以下、本発明に係る無線通信システムの各種実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
まず、図1〜図10を用いて、無線通信システムの第1の実施形態について説明する。
本実施形態の無線通信システムは、図1に示すように、LAN(Local Area Network)(A)(B)に接続されている複数のアクセスポイント10及び有線通信端末3と、アクセスポイント10を介して他の端末と通信する複数の無端端末4と、各アクセスポイント10を保守管理するためのAP管理装置5と、を備えている。LAN(A)(B)は、ルータ2A,2Bを介してIP(Internet Protocol)網1に接続されている。各無端端末4は、IEEE802.11に準拠して動作する無線LAN通信機能を有する情報通信端末で、例えば、無線IP電話機等の電話端末、又はパーソナルコンピュータやPDA(Personal Digital Assistant)等の情報端末に接続される無線LANカードや情報端末に搭載される無線LANボード等である。
各アクセスポイント10は、IEEE802.11に準拠して動作する無線LAN通信機能と、IEEE802.3に準拠して動作するイーサネット(登録商標)等の有線LAN通信機能とを有し、無端端末4との間で無線LAN通信を行い、LAN(A)(B)に接続されている他の装置(有線通信端末3及びルータ2A,2B等)と有線LAN通信を行う。
ルータ2A,2Bは、LANとIP網1との間に介在し、LAN上に流れるIPパケット及びIP網1から得たIPパケットを監視し、このIPパケットのIPヘッダ情報(宛先IPアドレス情報やポート番号情報など)に基づきIPパケットをルーティングする通信装置であり、LAN上に流れるIPパケットがIP網1側にルーティングすべきものであると判断した場合は、これをIP網1側に送出し、また、IP網1から得たIPパケットがLAN側にルーティングすべきものであると判断した場合には、これをLAN側に送出する。
有線通信端末3は、有線用LANボードを有するパーソナルコンピュータであり、LANに接続されてIPパケットの送受信を行い、IP通信(LAN通信)を行う。
AP管理装置5は、例えば、IP網1に接続されており、このIP網1、ルータ2A,2B、LAN(A)(B)を介して、各アクセスポイント10の構成情報や設定情報等を変更することができる。
以上の構成により、LAN側の無端端末4、アクセスポイント10を介して、LAN側の他の無線通信端末や有線通信端末4とIP通信を行い、また、ルータ2、IP網1を経由して、このIP網1に接続されている各種通信端末とIP通信を行うことが可能である。
アクセスポイント10は、図2に示すように、複数のアンテナ装置11a,11b,11c,11dと、各アンテナ装置11a,11b,11c,11dに接続されている受信RF(Radio Frequency)部14a,14b,14c,14dと、各受信RF部14a,14b,14c,14dに接続されている受信ベースバンド部15a,15b,15c,15dと、各受信ベースバンド部15a,15b,15c,15dに接続されている受信MAC(Media Access Controller)処理部16a,16b,16c,16dと、各受信MAC処理部16a,16b,16c,16dに接続されているバッファメモリ17a,17b,17c,17dと、LANと接続するためのLANインタフェース部18と、送信RF部24と、送信ベースバンド部25と、送信MAC処理部26と、通信制御部21と、ワークメモリ22と、プログラムメモリ23と、各部へ電力を供給する電源回路29とを備えている。
すなわち、各アンテナ装置11a,11b,11c,11d毎に、受信RF部14a,14b,14c,14d、受信ベースバンド部15a,15b,15c,15d、受信MAC処理部16a,16b,16c,16d、バッファメモリ17a,17b,17c,17dが設けられており、これらが、各アンテナ装置11a,11b,11c,11d毎の無線受信処理部を構成している。
アクセスポイント10を構成する以上の要素のうち、アンテナ装置11a,11b,11c,11dを除く各要素は、バスBにより相互に接続されている。
通信制御処理部21は、プログラムメモリ23に記憶されている制御プログラムや設定データに従い、ワークメモリ22を使用しつつ、各RF部14a,14b,14c,14d,24と、各ベースバンド部15a,15b,15c,15d,25と、各MAC処理部16a,16b,16c,16d,26と、電源回路29とを制御する。
LANインタフェース部18は、LANから受信したIPパケットのIPアドレスや、TCP(Transmission Control Protocol)ポート番号又はUDP(User Datagram Protocol)ポート番号を含むIPヘッダを参照して、予め設定された規則に基づいて当該IPパケットをルーティングする。
各MAC処理部16a,16b,16c,16d,26は、イーサネット(登録商標)規格であるIEEE802.3のデータリンク層と無線LAN規格であるIEEE802.11のデータリンク層との間で、MAC層の変換処理を行う。送信ベースバンド部25は、IEEE802.11用にMAC処理されたIPパケット(ディジタル)、つまりMACフレームをアナログのベースバンド信号に変調する。各受信ベースバンド部15a,15b,15c,15dは、アナログのベースバンド信号を復調して元のMACフレーム(ディジタル)に復元する。送信RF部(変調部)24は、送信ベースバンド部25から受け取ったアナログのベースバンド信号をIEEE802.11に従って、例えば、DS−SS(Direct Sequence Spread Spectrum)方式やFH−SS方式(Frequency Hopping Spread Spectrum)により規定される搬送無線周波数に載せてアンテナ装置11a,11b,11c,11dから無線信号として送出する。各受信RF部(復調部)14a,14b,14c,14dは、対応する各アンテナ装置11a,11b,11c,11dで受信した無線信号から搬送無線周波数を除去して元のアナログのベースバンド信号に抽出し、対応する各受信ベースバンド部15a,15b,15c,15dへ送出する。
4つのアンテナ装置11a,11b,11c,11dは、図3に示すように、4つ側面を有するアクセスポントハウジング30の各側面31に設けられている。ハウジング30の隣り合っている側面31,31相互間の角度は、ほぼ90°である。各側面31には、ハウジング30の内部側へ凹んだ凹部32が形成されている。各凹部32の内面には、電波吸収部材13が設けられている。電波吸収部材13は、例えば、フェライトやカーボン等の磁性損失材や誘電損出材を含む材料で形成されている。この凹部32内に、円柱状のアンテナ12が、その両端部を上下に向けた状態で配置されている。このアンテナ12は、この凹部32内で移動可能に、ハウジング30内に配置されているアンテナ移動機構35(図4に示す)に支持されている。各アンテナ装置11a,11b,11c,11dは、以上で説明したアンテナ12,12,12,12と、電波吸収部材13,13,13,13と、アンテナ移動機構35,35,35,35を有して構成されている。円柱状のアンテナ12は、その中心軸に対して垂直な平面内では無指向性である。しかしながら、このアンテナ12の回りの一部は、電波吸収部材13で覆われているため、アンテナ12を基準として、この電波吸収部材13で覆われている側からの電波をほとんど受信できない、さらに、この電波吸収部材13で覆われている側へ電波を送信できない。このため、アンテナ装置としては、アンテナ12を基準として、電波吸収部材13で覆われていない側に指向性がある。このアンテナ装置の指向性を示す範囲は、図4に示すように、凹部32内でアンテナ12を移動させることで変えることができる。凹部32内のほぼ中心の標準位置Sにアンテナ12が存在する場合には、この実施形態では、1台のアンテナ装置の指向性を示す範囲は、アンテナ12を中心として90°+α(例えば、10°〜20°)であり、この標準位置Sよりもハウジング30の中心から遠い位置Tにアンテナ12が存在する場合には、指向性を示す範囲は、標準位置Sでの指向性を示す範囲よりも広くなる。また、標準位置Sから、ハウジング30の中心に対する遠近方向に垂直な方向にズレた位置Uにアンテナ12が存在する場合には、標準位置Sでのアンテナ装置の指向方向に対して、その指向方向が変わる。
各アンテナ装置11a,11b,11c,11dのアンテナ12,12,12,12が、図5に示すように、いずれも標準位置Sに存在する場合には、それぞれのアンテナ装置11a,11b,11c,11dが指向性を示す範囲は、90°+αであるため、全アンテナ装置11a,11b,11c,11dにより、ハウジング30の全周囲、つまり、水平方向における360°をカバーすることができる。
ハウジング30の凹部32の内側面のうち、図13に示すように、上側の側面32aは、ハウジング30の中心から遠ざかるに連れて次第に下側に位置するよう傾斜している。このため、この上側の側面32aに設けられている電波吸収部材13も、ハウジング30の中心から遠ざかるに連れて次第に下側に位置するよう傾斜している。また、円柱状のアンテナ12の上端部は、その下端部よりも、ハウジング30の中心から僅かに遠い側に位置しており、この円柱状のアンテナ12はやや斜めに傾斜している。このため、このアンテナ装置の上下方向の指向性は、斜め下方である。これは、アクセスポイントが、多くの場合、室内の天井に設置され、無線端末4は、当然、天井よりも下の位置で使用されるので、使用される無線端末4の方向に指向方向をほぼ一致させるためである。
また、本実施形態では、ハウジング30の凹部32には、下側の側面は形成されておらず、当然、そこには電波吸収部材13も存在しない。このため、アンテナ装置の真下に無縁端末4が存在する場合でも、この無線端末4とアクセスポイント10との間の無線通信を確保できる。
なお、アンテナ移動機構35は、手動でアンテナ12を移動させる機構であっても、電動でアンテナ12を移動させる機構であってもよい。また、前述したように、少なくとも一つの平面内でアンテナを基準にして、360°指向性がないものを、本願の明細書及び特許請求の範囲において、「無指向性のアンテナ」としている。
次に、図7を用いて、無線LANフレームの構成について簡単に説明する。
無線LANフレームは、プリアンブルとPLCP(Physical Layer Convergence Protocol)ヘッダとMACヘッダとフレーム本体とFCS(Frame Check Seqence)とを有して構成されている。
以上のフレーム構成要素のうち、プリアンブルは、受信した信号を受信RF部で元のベースバンド信号に復調するためのトレーニング信号としての役割を果たす。フレーム本体には、IPパケットが格納されている。このIPパケットは、IPヘッダ及びペイロードを有しており、このペイロード部分に、通信相手に伝えるべきデータが格納されている。FCSには、MACヘッダとフレーム本体に関する誤り検出符号が格納される。
次に、図2を用いて、本実施形態のアクセスポイント10の動作について説明する。
アンテナ装置11a,11b,11c,11dのいずれかで受信した無線信号は、複数の受信RF部14a,14b,14c,14dのうちで対応する受信RF部で、受信された無線LANフレーム中の前述のプリアンブルから、この無線信号の搬送波の位相等が取得され、ベースバンド信号に復調される。このベースバンド信号は、複数の受信ベースバンド部15a,15b,15c,15dのうちで、無線信号からベースバンド信号を復調した受信RF部に対応する受信ベースバンド部で、ディジタルのMACフレームに変換される。このMACフレームは、複数の受信MAC処理部16a,16b,16c,16dのうちで、ベースバンド信号からMACフレームを取出した受信ベースバンド部に対応する受信MAC処理部で、MACヘッダ等が取り除かれ、対応するバッファメモリ17a,17b,17c,17dに格納される。すなわち、バッファメモリには、MACフレーム本体、つまりIPパケットが格納される。
通信制御処理部21は、各バッファメモリ17a,17b,17c,17dを順次読出し、バッファメモリから読み出したIPパケットが正常であるか否かを検査し、正常でないパケットを破棄する。このIPパケットが正常であるか否かの検査は、前述のFCSに格納されている誤り検出符号を用いる。さらに、正常なIPパケットとして、同一のIPパケットが複数あるか否かを、各IPパケットのヘッダを参照して判断し、同一のIPパケットが複数存在する場合には、一つのIPパケットを残し、残りを破棄する。そして、残った一つのIPパケットの送信先が有線LAN側であれば、このIPパケットをLANインタフェース部18に転送し、そこから有線LANへ送出させる。また、残った一つのIPパケットの送信先が当該アクセスポイント10に接続している無線端末4であれば、適切なタイミングで、このIPパケットを送信MAC処理部26へ渡す。また、通信制御処理部21は、LANインタフェース部18が有線LANからIPパケットを受信した場合にも、このIPパケットを送信MAC処理部26へ渡す。
送信MAC処理部26は、通信制御処理部21等から受け取ったIPパケットに、MACヘッダ等を付与して、MACフレームを生成し、これを送信ベースバンド部25へ渡す。送信ベースバンド部25は、ディジタルのMACフレームをアナログのベースバンド信号に変換し、送信RF部24に渡す。送信RF部24は、このベースバンド信号をIEEE802.11に従って、搬送無線周波数に載せて、これを無線信号として、全てのアンテナ装置11a,11b,11c,11dから送出させる。すなわち、この無線信号は、全てのアンテナ装置11a,11b,11c,11dから同時に送信される。
無線LANのアクセスポイントは、多くの場合、室内に設けられる。このため、壁際の天井に設けられた場合、壁側のアンテナ装置による送受信を実行しなくても、基本的に支障はなく、しかも省電力化を図ることができる。そこで、本実施形態では、AP管理装置5から、特定のアンテナ装置又はこの特定のアンテナ装置に対応する無線受信処理部を指定することで、この無線受信処理部への電力供給を断てるようにしている。例えば、アンテナ装置11aが壁側を向いている場合に、AP管理装置5から、このアンテナ装置11a、又は、このアンテナ装置11aに対応する無線受信処理部を指定すると、この情報が通信制御部21が受け取り、電源回路29に対して、この無線受信処理部への電力供給を断つように指示する。この結果、この無線受信処理部への電力供給が断たれる。
次に、以上で説明した動作のうちで、通信制御処理部21の動作について、図9に示すフローチャートに従って詳細に説明する。
通信制御処理部21は、まず、検査対象となるバッファメモリの番号Nを1に初期化する(S1)。なお、ここでは、バッファメモリ17a、バッファメモリ17b、バッファメモリ17c、バッファメモリ17dを、それぞれ、第1バッファメモリ、第2バッファメモリ、第3バッファメモリ、第4バッファメモリとする。
通信制御処理部21は、次に、検査対象番号Nのバッファメモリを検査し(S2)、このバッファメモリにIPパケットが格納されているか否かを判断する(S3)。ここで、IPパケットが格納されていなければ後述のステップ11に進み、IPパケットが格納されていれば、このIPパケットを読み込む(S4)。次に、このIPパケットが正常なものであるか否かを前述のFCSに格納されている誤り検出符号を用いて判断する(S5)。正常なIPパケットでなければ後述のステップ11に進み、正常なIPパケットであれば、このIPパケットのIPヘッダを解析して、図7に示す送信済みリスト中に、当該IPパケットと同一IPパケットが存在するか否か、言い換えると、当該IPパケットの送信元アドレス及び送信先アドレス、さらに当該IPパケットのパケット番号に関して、同一のものが存在するか否かを判断する(S6)。このように、同一のIPパケットがあるか否かを判断しているのは、複数のアンテナ装置11a,11b,11c,11dのうちで、隣合うアンテナ装置間で同一の無線信号を受信する可能性があるからである。なお、同一のIPパケットであるか否かの判断は、当該IPパケットの送信元アドレス及び当該IPパケットのパケット番号に関して同一であるか否かの判断で足りる。同一のものが存在すれば、ステップ11に進み、同一のものがなければ、送信先が無線LAN側であるか有線LAN側であるかを判断し(S7)、送信先が有線LAN側であれば、当該パケットをLANインタフェース部15に渡して、これを有線LAN側に送出させる(S8)。また、送信先が無線LAN側であれば、このIPパケットを図示されていない送信バッファに格納する(S9)。
ステップ8又はステップ9が終了すると、図7に示す送信済みリスト中の該当バッファメモリ番号の欄に、パケットの送信元アドレス、送信先アドレス、パケット番号を格納する(S10)。
ステップ3で検査対象バッファメモリにIPパケットが格納されていないと判断した場合、ステップ5で正常なIPパケットではないと判断した場合、ステップ6で当該IPパケットと同一IPパケットが送信済みリスト中に存在すると判断した場合、さらに、ステップ10が終了した場合には、無線で送信すべきデータがあるか否かを判断する(S11)
無線で送信すべきデータがない場合には、後述のステップ13に進む。また、無線で送信すべきデータがある場合には、このデータを送信MAC処理部26に渡し、前述したように、このデータを含む無線信号を、全てのアンテナ装置11a,11b,11c,11dから同時に送信させる。つまり、このデータを含む無線信号を無指向で送信させる(S12)。
次に、検査対象番号Nに1を加えて(S13)、この検査対象番号Nが4以下であるか否かを判断し(S14)、4以下であればステップ2に戻って、この新たな検査対象番号Nのバッファメモリを検査する。また、検査対象番号Nが4より大きい場合には、つまり、全てのバッファメモリを検査終了していれば、ステップ1に戻って、検査対象番号Nを1に初期化し、第1バッファメモリを検査する(S2)。
例えば、検査対象番号Nを1とし(S1)、第1バッファメモリを検査して(S2)、この第1バッファメモリにIPパケットが格納されていなければ(S3)、ステップ11に進み、必要に応じてステップ12を実行してから、ステップ検査対象番号を次のバッファメモリの番号に設定した後、ステップ14を経てステップ2に戻る。このように、検査対象バッファメモリにIPパケットが格納されていない場合に、このバッファメモリにIPパケットが格納されるのを待たずに、次のバッファメモリを検査するようにしているのは、検査対象バッファメモリにIPパケットが格納されるまで待つよりも、次のバッファメモリを検査したほうが効率が良いからである。
また、ステップ3で読み込んだIPパケットが正常ではないと判断した場合(ステップ4)、及び同一のIPパケットが送信済みリスト中に在ると判断した場合(S6)には、直ちに、ステップ11に進み、以降、当該パケットを扱わなくなる。つまり、正常ではないと判断されたIPパケット及び送信済みリスト中に同一のものがあると判断されたIPパケットは、破棄される。一方、正常なものであり、且つ送信済みリスト中に同一のものがないと判断されたIPパケットは、有線LAN側へ送信されるか(S8)、無線LAN側へ送信される(S12)。
以上、本実施形態では、図5に示すように、指向方向が異なる4台のアンテナ装置11a,11b,11c,11dを用いているので、無指向のアンテナ装置が1台の場合よりも、各アンテナ装置11a,11b,11c,11dが受信すべき領域がほぼ1/4になり、各アンテナ装置11a,11b,11c,11dでの受信信号中に含まれる雑音Sは、無指向のアンテナ装置が1台の場合のほぼ1/4になる。このことから、仮に、無指向のアンテナ装置が1台の場合と同等の雑音レベルでよければ、無線端末4の送信電力を1/4にすることができる。逆に、無線端末4の送信電力を維持しておけば、雑音レベルが1/4になり、無線端末4とアクセスポイント10との間に障害物等がある場合でも、両者間の通信が可能になる。すなわち、本実施形態では、無指向のアンテナ装置が1台の場合よりも、アンテナが受信する雑音電力を下げることができるので、無線端末4の送信電力を下げて節電を図ったり、無線端末4とアンテナ間に障害物等があっても無線信号が減衰する場合でも、この無線信号をアンテナで受信することができる。
また、本実施形態では、いわゆる隠れ端末問題を解決することもできる。
ここで、隠れ端末問題について、図10を用いて説明する。
まず、隠れ端末問題の第1のケースについて説明する。例えば、APaのサービス領域内に無線端末T1,T2,T3が存在し、無線端末T1と無線端末T3とは、APaを中心として反対側に位置し、無線端末T2は、無線端末T1の傍に位置しているとする。このような場合、無線端末T1からの無線信号は、この無線端末T1と比較的近距離に存在する無線端末T2及びAPaへ、強い電力で到達する。このため、無線端末T2及びAPaは、無線端末T1による無線信号の送信を検知すると、無線信号の送信を停止する。
一方、無線端末T3は無線端末T1に対して遠距離の位置に存在するため、無線端末T1からの無線信号は、無線端末T3へ到達する過程で減衰して、無線端末T3によって受信できない。このため、無線端末T3は、無線端末T1の存在を認識できない。また、無線端末T1も、無線端末T3の存在を認識できない。すなわち、無線端末T1と無線端末T3とは隠れ端末の関係にあると言える。
このように、隠れ端末の関係にある無線端末T1と無線端末T3とは、一方の無線端末の存在を認識できないことから、ほぼ同時に無線信号を送信する場合が生じる。このような場合では、APaは、無線端末T1からの無線信号と無線端末T3からの無線信号とが互いに干渉して、各無線信号を正常に受信できない。この結果、APaは、無線端末T1及び無線端末T3に対して、受信完了を示す信号、例えば、ACK信号を送信しないので、無線端末T1及び無線端末T3は、再び、無線信号を送信し合うことになる。このため、伝送効率が低下してしまう。
次に、隠れ端末問題の第2のケースについて説明する。例えば、サービス領域が隣接し合っているAPaとAPbとが、同一の周波数の無線搬送波を用いており、無線端末T3は、APaのサービス領域内で、APb寄りに位置しており、無線端末T4は、APbのサービス領域内で、APa寄りに位置しているとする。このような場合、無線端末T3からの無線信号は、この無線端末T3と比較的近距離に存在する無線端末T4へ、強い電力で到達する。また、APbからの無線信号は、このAPbと比較的近距離に位置する無線端末T4へ、強い電力で到達する。この場合には互いの存在を検知できるので、隠れ端末にはならない。
一方、APbは、無線端末T3に対して遠距離の位置に存在するため、無線端末T3からの無線信号は、APbへ到達する過程で減衰して、APbによって受信できない。このため、APbは、無線端末T3の存在を認識できない。また、無線端末T3も、APbの存在を認識できない。すなわち、無線端末T3とAPbとは隠れ端末の関係にあると言える。
このように、隠れ端末の関係にある無線端末T3とAPbとは、ほぼ同時に無線信号を送信する場合が生じる。このような場合では、無線端末T4は、無線端末T3からの無線信号とAPbからの無線信号とが互いに干渉して、各無線信号を正常に受信できないことになる。
本実施形態では、前述したように、以上の各隠れ端末問題を解決することができる。
第1のケースの場合、本実施形態では、無線端末T1と無線端末T3とが、それぞれ、ほぼ同時に無線信号を送信しても、アクセスポイントでは、各無線端末T1,T2からの無線信号をそれぞれ異なるアンテナ装置で受信し、各無線信号を対応する無線受信処理部で処理するので、無線端末T1からの無線信号と無線端末T3からの無線信号とが干渉せず、各無線信号を的確に受信することができる。
また、第2のケースの場合、本実施形態では、前述したように、無線端末の送信電力を低下させることができるので、無線端末T3の送信電力が弱まれば、無線端末T3とAPbとがほぼ同時に無線信号を送信したとしても、無線端末T4は、無線端末T3からの無線信号を受信できないので、無線端末T3からの無線信号とAPbからの無線信号とが干渉するのを回避することができる。
また、本実施形態では、隠れ端末問題の第1のケースで述べたように、アクセスポイントが複数の無線端末と同時に無線通信できるので、通信効率を高めることもできる。
さらに、本実施形態では、アクセスポイント10の設置環境に応じて、アクセスポイントの送受信能力を変えることができる。
ここで、例えば、図6に示すように、アンテナ装置11b側に、障害物O等が多数存在し、アンテナ装置11b側でのアクセスポイント10と無線端末4との間の通信状況が悪いことが想定される場合について考える。このような場合、アンテナ装置11bのアンテナ12を標準位置Sからハウジング30の中心に近づく方向に移動させ、アンテナ装置11bが指向性を示す範囲を、例えば、90°−βに狭めて、アンテナ装置11bの受信雑音レベルを標準位置Sにある場合よりも下げ、アンテナ装置11bと無線端末4との間の通信状況を良くする。また、この場合、アクセスポイント10が全方向に渡って、無線端末と通信できるようにするために、アンテナ装置11bに隣接するアンテナ装置11a,11cのアンテナ12,12を標準位置からハウジング30の中心に対する遠近方向に垂直な方向に移動させて、言い換えると、アンテナ装置11bから遠ざかる方向に移動させて、アンテナ装置11a,11bの指向方向をアンテナ装置11b側に向けて、アンテナ装置11aの指向範囲を狭くしたのを補う。さらに、指向性を示す範囲を狭めたアンテナ装置11bと反対側にアンテナ装置11dのアンテナ12を標準位置Sからハウジング30の中心から遠ざかる方向に移動させ、このアンテナ装置11dが指向性を示す範囲を、例えば、90°+βに広げる。
以上のように、本実施形態では、アクセスポイント10の設置環境内である領域の通信状況が悪いことが想定される場合でも、前述したように、アクセスポイントの各種方向の送受信能力を変えることで、これに対処することができる。
なお、本実施形態は、以下で説明する第2の実施形態のように、各アンテナ装置11a,11b,11c,11d毎に無線送信処理部が設けられているものではなく、各アンテナ装置11a,11b,11c,11dに共有の一つの無線送信処理部が設けられているものであるが、アクセスポイントから送信する場合、隠れ端末問題が生じ難いこと、アクセスポイントの送信電力を節電する必要性が乏しいこと等の理由により、装置簡単化のために、本実施形態のように、各アンテナ装置11a,11b,11c,11dに共有の一つの無線送信処理部を設ける方が基本的に好ましい。
次に、図11及び図12を用いて、本発明に係る無線通信システムの第2の実施形態について説明する。
本実施形態は、第1の実施形態が各アンテナ装置11a,11b,11c,11dに共有の一つの無線送信処理部を設けたものであるのに対して、前述したように、各アンテナ装置11a,11b,11c,11d毎に無線送信処理部を設けたものである。なお、本実施形態は、無線通信システムの基本的にシステム構成(図1に示す)、アクセスポイントのその他の構成、各アンテナ装置の構成は、基本的に第1の実施形態と同様である。このため、第1の実施形態と同一の部分に関しての重複説明は省略する。
図11は、本実施形態のアクセスポイント10Aの回路ブロック図である。本実施形態のアクセスポイント10Aは、第1の実施形態と同様、各アンテナ装置11a,11b,11c,11d毎に無線受信処理部が設けられていると共に、前述したように、各アンテナ装置11a,11b,11c,11d毎に無線送信処理部が設けられている。
各無線受信処理部は、第1の実施形態と同様、受信RF部14a,14b,14c,14dと、受信ベースバンド部15a,15b,15c,15dと、MAC処理部46a,46b,46c,46dと、バッファメモリ17a,17b,17c,17dとを有して構成されている。また、各無線送信処理部は、送信RF部44a,44b,44c,44dと、送信ベースバンド部45a,45b,45c,45dと、MAC処理部46a,46b,46c,46dとを有して構成されている。なお、MAC処理部47a,47b,47c,47dは、無線受信処理部と無線送信処理部とで共有する。なお、以下では、複数の送信RF部44a,44b,44c,44dのうちのいずれか一つの送信RF部の符号を「44」とし、複数の送信ベースバンド部45a,45b,45c,45dのうちのいずれか一つの送信ベースバンド部の符号を「45」とし、複数のMAC処理部46a,46b,46c,46dのうちの一つのMAC処理部の符号を「46」とする。
次に、本実施形態のアクセスポイント10Aの動作について説明する。
アンテナ装置11a,11b,11c,11dのいずれかで受信した無線信号は、第1の実施形態と同様に、対応受信RF部で、ベースバンド信号に復調される。このベースバンド信号は、対応受信ベースバンド部で、ディジタルのMACフレームに変換される。このMACフレームは、対応受信MAC処理部で、MACヘッダ等が取り除かれ、対応バッファメモリに格納される。通信制御処理部21は、各バッファメモリ17a,17b,17c,17dを順次読出し、バッファメモリから読み出したIPパケットが正常であるか否かを検査し、正常でないパケットを破棄する。さらに、正常なIPパケットとして、同一のIPパケットが複数あるか否かを、各IPパケットのヘッダを参照して判断し、同一のIPパケットが複数存在する場合には、一つのIPパケットを残し、残りを破棄する。そして、残った一つのIPパケットの送信先が有線LAN側であれば、このIPパケットをLANインタフェース部18に転送し、そこから有線LANへ送出させる。また、残った一つのIPパケットの送信先が当該アクセスポイント10に接続している無線端末4であれば、適切なタイミングで、このIPパケットをMAC処理部へ渡す。以上、無線信号の受信動作については、第1の実施形態と同様である。
通信制御処理部21は、LANインタフェース部18が有線LANからIPパケットを受信し、これを無線端末4へ送信する場合や、無線端末4へACK応答を送信する場合には、複数のMAC処理部46a,46b,46c,46dのうち、これらの送信先の無線端末4からの無線信号を受信したアンテナ装置11に接続されているMAC処理部46にIPパケット等を渡す。このMAC処理部46は、通信制御処理部21から受け取ったIPパケットに、MACヘッダ等を付与して、MACフレームを生成し、これを複数の送信ベースバンド部45a,45b,45c,45dのうちの対応送信ベースバンド部45へ渡す。この送信ベースバンド部45は、ディジタルのMACフレームをアナログのベースバンド信号に変換し、複数の送信RF部44a,44b,44c,44dのうちの対応送信RF部44に渡す。この送信RF部44は、このベースバンド信号をIEEE802.11に従って、搬送無線周波数に載せて、これを無線信号として対応無線アンテナ装置10から送出させる。すなわち、この無線信号は、第1の実施形態と異なり、複数のアンテナ装置11a,11b,11c,11dのうちの一のアンテナ装置11から送信される。
本実施形態でも、第1の実施形態と同様に、AP管理装置5から、特定のアンテナ装置又はこの特定のアンテナ装置に対応する無線受信処理部及び無線送信処理部を指定することで、この無線受信処理部への電力供給を断つことができる。但し、本実施形態の場合、特定のアンテナ装置に対応する無線受信処理部への電力供給のみならず、この特定のアンテナ装置に対応する無線送信処理部への電力供給も断つようにしている。
次に、以上で説明した動作のうちで、本実施形態の通信制御処理部21の動作について、図12に示すフローチャートに従って詳細に説明する。
通信制御処理部21は、まず、第1の実施形態と同様に、検査対象となるバッファメモリの番号Nを1に初期化する(S1)。なお、ここでも、バッファメモリ17a、バッファメモリ17b、バッファメモリ17c、バッファメモリ17dを、それぞれ、第1バッファメモリ、第2バッファメモリ、第3バッファメモリ、第4バッファメモリとする。また、バッファメモリ17a、バッファメモリ17b、バッファメモリ17c、バッファメモリ17dに格納されるデータを受信するアンテナ装置11a,11b,11c,11dを、それぞれ、第1アンテナ装置、第2アンテナ装置、第3アンテナ装置、第4アンテナ装置とする。
通信制御処理部21は、以下、第1の実施形態と同様に、検査対象番号Nのバッファメモリの検査(S2)、このバッファメモリにIPパケットが格納されているか否かの判断(S3)、バッファメモリからのIPパケットの読み込み(S4)、このIPパケットが正常なものであるか否かの判断(S5)、送信済みリスト中に当該IPパケットと同一IPパケットが存在するか否かの判断(S6)送信先が無線LAN側であるか有線LAN側であるかの判断(S7)、LANインタフェース部15への送出(S8)又は無線送信バッファへの格納(S9)、送信済みリストに送信元アドレス等を格納(S10)、を行う。
ステップ3で検査対象バッファメモリにIPパケットが格納されていないと判断した場合、ステップ5で正常なIPパケットではないと判断した場合、ステップ6で当該IPパケットと同一IPパケットが送信済みリスト中に存在すると判断した場合、さらに、ステップ10が終了した場合には、通信制御処理部21は、第1の実施形態と異なり、第N番のアンテナ装置11から無線で送信すべきデータがあるか否かを判断する(S11a)。この場合、有線LAN側から送られてきたIPパケットに関しては、まず、このIPパケットのIPヘッダを解析して、送信元アドレス及び送信先アドレスを取得する。そして、送信済みリスト中に、この取得した送信元アドレスを送信先アドレスとし、この取得した送信先アドレスを送信元アドレスとするIPパケットが第N番のバッファメモリに格納されていたものである場合には、有線LAN側から送られてきたIPパケットは、第N番のアンテナ装置11から送信すべきものであると判断する。また、無線送信バッファに格納されているIPパケットに関しては、この無線送信バッファが第N番のアンテナ装置11に対応するものであるか否かで判断する。
第N番のアンテナ装置11から送信すべきデータがない場合には、ステップ13に進む。また、第N番のアンテナ装置11から送信すべきデータがある場合には、このデータを第N番のアンテナ装置11に対応するMAC処理部46に渡し、このデータを含む無線信号を、対応アンテナ装置11から送信させる(S12a)。
以下は、再び、第1の実施形態と同様、通信制御処理部21は、検査対象番号Nに1を加算(S13)、この検査対象番号Nが4以下であるか否かの判断(S14)の処理を行い、ステップ14での判断結果に応じて、ステップ1又はステップ2に戻る。
以上、本実施形態でも、第1の実施形態と同様に、指向方向が異なる4台のアンテナ装置11a,11b,11c,11dを用いて、無線信号を受信しているので、第1の実施形態と基本的に同様の効果を得ることができる。すなわち、本実施形態でも、無線端末4の送信電力をある程度下げても、無指向のアンテナ装置が1台の場合よりも、雑音レベルを下げることができる。また、隠れ端末問題を解決することもできる。さらに、アクセスポイント10Aの設置環境内である領域の通信状況が悪いことが想定される場合でも、アクセスポイント10Aの各種方向の送受信能力を変えることで、これに対処することができる。
なお、本実施形態では、第1の実施形態と異なり、各アンテナ装置11a,11b,11c,11d毎に、無線送信処理部が設けられているので、異なるアンテナ装置からそれぞれ送信すべきデータがある場合、異なるアンテナ装置からのそれぞれ送信した無線信号が干渉しない場合には、異なるアンテナ装置のそれぞれからほぼ同時に無線信号を送信して、通信効率を高めるようにしてもよい。例えば、対称な位置に存在するアンテナ装置11aとアンテナ装置11cとのそれぞれから無線信号を同時に送信しても、各無線信号相互で干渉し合うことがないので、対称な位置に存在するアンテナ装置11aとアンテナ装置11cとのそれぞれから送信すべきデータがある場合には、これらのアンテナ装置11a,11bのそれぞれからほぼ同時に無線信号を送信してもよい。
また、ビーコン信号のように、アクセスポイント10Aに無線接続している全ての無線端末4に対して同報(ブロードキャスト)すべき信号の場合には、図12のフローチャートで示すように、複数のアンテナ11a,11b,11c,11dから順次、ビーコン信号を送信するようにしてもよいが、互いに対称位置に存在する2台のアンテナ装置から同時に送信するようにしても、全アンテナ装置11a,11b,11c,11dから同時に送信するようにしてもよい。
次に、アンテナ装置に関する第1及び第2の変形例について説明する。
まず、第1の変形例のアンテナ装置について、図13を用いて説明する。
本変形例のアンテナ装置11Aは、以上の実施形態と同様に、アンテナ12と電波吸収部材13とアンテナ移動機構35との他に、電波吸収材で形成されたひさし13aと、このひさし13aを移動させるひさし移動機構36とを有して構成されている。
ひさし13aは、ハウジング30の凹部32の内側面のうち、上側の側面32aに設けられている電波吸収部材13の端部に、水平方向の軸を中心に揺動可能に取り付けられている。ひさし移動機構36は、このひさし13aの端部を、前記水平方向の軸を中心に揺動させるための機構である。なお、この機構の駆動方式は、手動でも電動でもよい。
繰り返して述べているように、アクセスポイントは、多くの場合、室内の天井に設けられる。また、天井近傍は、遮蔽物が無いことが多い。このため、天井に設けられたアクセスポイントは、予定外の遠方の無線端末からの電波を受信したり、予定外の遠方の無線端末へ電波を送信してしまったりすることがある。このため、本変形例では、電波吸収材で形成されたひさし13aを設けることで、予定外の遠方の無線端末と通信してしまうことを防いでいる。さらに、本変形例では、ひさし13aを揺動させることができるので、遠方の無線端末との通信規制範囲を調整できる。
なお、ここでは、電波吸収材で形成されたひさし13aを揺動させるようにしているが、アンテナ移動機構35により、アンテナ12を上下動させても、同様の効果を得ることができる。このように、アンテナ装置の指向方向及び指向範囲を変えるためには、電波吸収部材13の一部又は全部をアンテナ12に対して移動させるか、アンテナ12を電波吸収部材に対して移動させればよい。
次に、第2の変形例のアンテナ装置について、図14を用いて説明する。
本変形例のアンテナ装置11Bは、以上の実施形態及び変形例と同様に、アンテナ12と電波吸収部材13とアンテナ移動機構35とを有している。但し、本変変形例の場合、円筒状のアンテナ12の両端部を水平方向に向けた状態で設けられている。このように、アンテナ12を水平に配置することで、ハウジング30Bの高さを低くし、アクセスポイントの小型化を図ることができる。
なお、以上の実施形態及び変形例では、いずれも、ハウジングの側面に凹部を形成し、その内面に電波吸収部材を施したが、ハウジングの側面に凹部を形成せず、側面自体に電波吸収部材を施すようにしてもよい。この場合、装置構成が簡単化するというメリットがあるものの、指向範囲が180°に固定され、雑音が増えるというディメリットがある。
また、以上の実施形態及び変形例は、いずれも、アンテナ装置を4台備えているものであるが、本発明は、これに限定されるものではなく、4台未満であっても、5台以上であってもよいことは言うまでもない。
また、以上の第1及び第2の実施形態では、いずれも、各アンテナ装置毎の無線受信処理部として、受信RF部、受信ベースバンド部、受信MAC処理部、バッファメモリを備えているが、受信ベースバンド部や受信MAC処理部は、各アンテナ装置での共有化を図り、それぞれ一つであってもよい。この場合、各アンテナ装置毎の受信RF部の後段に、各受信RF部毎にバッファメモリを配し、その後段に、各アンテナ装置共有の受信ベースバンド部及び受信MAC処理部を配することになる。また、第2の実施形態では、各アンテナ装置毎の無線送信処理部として、送信RF部、送信ベースバンド部、MAC処理部を備えているが、送信ベースバンド部、MAC処理部は、各アンテナ装置での共有化を図り、それぞれ一つであってもよい。
1:IP網、4:無線端末、5:AP管理装置、10,10A:アクセスポイント、11a,11b,11c,11d,11A,11B:アンテナ装置、12:アンテナ、13:電波吸収部材、13a:ひさし、14a,14b,14c,14d:受信RF部、15a,15b,15c,15d:受信ベースバンド部、16a,16b,16c,16d:受信MAC処理部、17a,17b,17c,17d:バッファメモリ、18:LANインタフェース部、21:通信制御処理部、24,44a,44b,44c,44d:送信RF部、25,45a,45b,45c,45d:送信ベースバンド部、26:送信MAC処理部、30:ハウジング、31:側面、32:凹部、35:アンテナ移動機構、46a,46b,46c,46d:MAC処理部