JP2008108744A - 燃料電池用セパレータの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電気的特性および機械的安定性に優れた燃料電池用セパレータを容易に製造できる方法を提供する。
【解決手段】電気的に導通する多数の突起部(3)を有する燃料電池用セパレータの製造方法において、多数の貫通孔を有するマスキング部材を導電性基板(2)に配置し、その状態で導電性材料によるコーティング処理を施すことにより、前記基板(2)に接合しかつマスキング部材の貫通孔を介して突出した突起部(3)を形成し、各突起部の間では前記マスキング部材を露出させる燃料電池用セパレータの製造方法。
【選択図】 図1
【解決手段】電気的に導通する多数の突起部(3)を有する燃料電池用セパレータの製造方法において、多数の貫通孔を有するマスキング部材を導電性基板(2)に配置し、その状態で導電性材料によるコーティング処理を施すことにより、前記基板(2)に接合しかつマスキング部材の貫通孔を介して突出した突起部(3)を形成し、各突起部の間では前記マスキング部材を露出させる燃料電池用セパレータの製造方法。
【選択図】 図1
Description
この発明は、燃料電池スタックを構成する各単電池の間に配置されて、集電機能を果たすとともに、燃料ガス用流路および酸化性ガス用流路を形成するセパレータの製造方法に関するものである。
例えば固体電解質型の燃料電池は、薄膜状の電解質を挟んだ両側に電極を設けて単電池(単セル)を構成し、その単セルを多数積層して燃料電池スタックを構成し、必要とする電圧および電流で電力を取り出すように構成している。その場合、各電極に導通して電力を取り出し、また各電極を介して電解質の表面に燃料ガス(例えば水素ガス)や酸化性ガス(例えば空気)などの反応ガスを供給するために、電極の表面側すなわち各単セルの間にセパレータを配置している。
したがってこのセパレータは、電力を取り出すために導電性材料によって構成され、かつ電極に導通可能に接触するとともに、電極の表面との間に反応ガスを流通させるための流路を形成する構造を備えている必要がある。このような要請を満たすために、金属などの導電性の板材に多数の凹凸部を形成し、その凸部を電極に接触させ、かつ凹部を互いに連通させてガス流路としたセパレータを用いることが試みられている。
ところで燃料電池は、電解質を介した燃料ガスと酸化性ガスとの電気化学的な反応で起電力を得るものであるから、陽極側では酸化反応が生じ、また陰極側では還元反応が生じる。前記セパレータは、そのような還元性雰囲気および酸化性雰囲気に設置されるので、高い耐食性が要求され、同時に電気的には可及的に高導電性が要求される。さらに、単電池で得られる電力が少ないので、実用に供するには数十ないし数百の単電池を一体化してスタックを構成する必要があり、そのためにセパレータの必要枚数が多くなるので、セパレータは可及的に安価に製造できる構造であることが要求される。
このような技術的背景の下に、従来、金属基板の表面に合成樹脂によって多数の突起を形成し、その表面に金属薄膜を形成したセパレータが特許文献1によって提案されている。具体的には、この特許文献1に記載されたセパレータは、アルミニウムなどの金属ベースの表面に、流動性に優れたポリマーを用いて突起を射出成形し、さらに表面全体に金属製の薄膜を表面コーティングによって形成したセパレータである。
上述したセパレータであれば、電極に接触する突起部を、金属基板の表面に合成樹脂を射出成型することにより形成することができるので、金属基板のプレス加工などの金属加工をおこなう必要がなく、その製造性が良好になり、また安価なセパレータとすることができる可能性がある。しかしながら、前記突起部は、電極に接触して電路を形成すると同時に、各突起部の間をガス流路とするものであるから、数mm程度の小さいものであることが好ましく、また高密度に形成することが望ましい。さらに、この突起部を合成樹脂で形成した場合、上記のように金属薄膜を形成して導電性を確保することになるので、その金属薄膜は、各突起部の間で金属基板に接触し、各突起部ごとに金属基板に対する導電性を確保することが望ましい。したがって上記の各突起部は、互いに微少間隔をあけて多数形成することになるが、そのような微少な合成樹脂製突起部を、金属基板の表面に数千ないし数万個、確実に付着・形成することは技術的に困難であり、実用に供し得る安定性のあるセパレータを製造するには至っていない。
また、上記の特許文献1に記載されたセパレータでは、突起部と金属基板との間の導通を、金属薄膜によっておこなうことになるが、製造性およびコストの点を考慮すると、その金属薄膜は可及的に薄いことが望ましく、そうすると、金属薄膜の導電性が低下し、セパレータの全体としての電気抵抗が高くなり、ひいては燃料電池の発電効率が低下する可能性があった。また、金属薄膜と金属基板とは、各突起部の間で互いに接触することになるが、その接触のために許容されるスペースが極めて限られるので、この点でも電気抵抗が高くなってセパレータの電気的特性が低下する可能性があった。
この発明は、上記の技術的課題に着目してなされたものであり、電気的特性に優れた燃料電池用セパレータを容易に製造できる方法を提供することを目的とするものである。
請求項1の発明は、電極の表面に当接させられて電気的に導通する多数の突起部を有する燃料電池用セパレータの製造方法において、多数の貫通孔を有するマスキング部材を導電性基板の表面に配置し、その状態で、導電性材料によるコーティング処理を施すことにより、前記貫通孔を介して前記基板に接合するとともにマスキング部材の表面側に突出しかつマスキング部材の表面より盛り上がった前記突起部を形成し、それらの突起部同士の間の部分では、前記マスキング部材を露出させることを特徴とする方法である。
そして請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記マスキング部材が耐食性材料からなることを特徴とする方法である。
したがって請求項1によれば、平板状のいわゆる基体部分から導電性の多数の突起部が突出した構造のセパレータを製造でき、またそのコーティングの方法としてメッキなどの方法を採用できるので、セパレータを容易に製造することができる。
したがって請求項2の発明では、請求項1の発明と同様の効果が得られるほかに、平板状のいわゆる基体部分から導電性の多数の突起部が突出した構造のセパレータを製造できると同時に、その突起部の間の部分を耐食被覆でき、導電性および耐久性に優れたセパレータを製造することができる。
つぎにこの発明において製造できるセパレータの基本的な構成例を図面を参照して具体的に説明する。図1にこの発明の対象となるセパレータ1の断面図を示してあり、ここに示すセパレータ1は、導電性の基板2の少なくとも一方の面に、導電性の多数の突起部3を設けた構造である。このセパレータ1は、燃料電池スタックにおける単電池(それぞれ図示せず)の間に配置され、各突起部3を電極4に接触させることにより電極4に対して電気的に導通して集電体として機能するとともに、各突起部3の間に形成される空間部を、水素などの燃料ガスや空気などの酸化性ガスあるいは水などの液体を流通させる流路5とするようになっている。
その導電性基板2は、気密性および水密性を維持するとともに平板状の形態を維持する強度を有し、かつ電流を各単電池の間から外部に導く機能を奏するものであって、ステンレス鋼やアルミニウムなどの金属板、導電性のセラミック板、セラミック板に導電性コーティングを施した薄板、カーボン成形体、導電性シート材、導電性樹脂などによって形成されている。なお、セパレータ1は、燃料電池の陰極側に配置される場合と、陽極側に配置される場合とがあるが、いずれの電極側に配置されるものも同様の構成とすることができるが、陰極側は強い酸化性雰囲気となるので、基板2の素材として耐酸化性に優れた素材を採用することが好ましい。
また、突起部3は、外形の寸法および高さが1mm前後もしくは数mm程度の微少なものであって、1mm前後もしくは数mm程度の間隔で設けられている。その形状および配列パターンを図2に示してある。図2の(A)に示す例は、突起部3を円柱状に形成し、かつマトリックス状に配列した例である。また(B)に示す例は、突起部3を角柱状に形成するとともに、マトリックス状に配列した例である。さらに(C)に示す例は、突起部3を断面長円形状に形成するとともに、千鳥状に配列し、かつその長円形の向きを各列で反転させた例である。
この突起部3を形成している素材は、要は導電性を有していればよく、前記基板2と同種の材料もしくは異種の導電性材料を使用することができる。同種の素材を用いれば、突起部3と基板2との接合強度が高くなり、また種類が異なっても基板2と同系統の素材によって突起部3を形成すれば、突起部3と基板2との接合強度が高くなる。なお、この突起部3は、電極4と基板2との間の電路を形成するものであるから、高い導電性を有することが好ましく、これに加えて電極4に直接接触するから、耐酸化性に富むことが好ましいので、ニッケル(Ni)やスズ(Sn)などの比較的酸化しにくい金属によって突起部3を形成することが好ましい。
前述したように各突起部3の間に形成される空間部分は、ガスや水を流すための流路5となるので、この部分は、酸化性雰囲気あるいは還元性雰囲気に直接曝される。そのため、各突起部3の間に耐食性被膜などの耐食層6が形成されている。この耐食層6は、アクリル、エポキシ、ポリプロピレン、塩化ビニール、ポリエチレンなどの合成樹脂、酸化シリコン、ジルコニア、アルミナなどのセラミック、金、白金、銀、タングステン、チタン、クロムなどの金属などによって形成することができる。それらのうち特に電気的な絶縁性を有する素材が好ましい。このような耐食層6を設ける場合には、基板2を耐食性よりも電気的特性を重視した構造とし、これに対して突起部3を電気的特性と耐食性とを重視した構造とすることが可能になり、素材の選択の自由度や設計の自由度が向上する。
上述したように突起部3は電極4に直接接触させられて酸化性雰囲気あるいは還元性雰囲気に直接曝されるので、導電性に加えて耐食性が求められる。そのために上記の例では、ニッケルやスズなどの耐酸化性のある金属を使用する例を示してあるが、これに代えて、もしくはこれに加えて、耐食性被覆を設けてもよい。図3にその例を模式的に示してあり、突起部3の外部に露出している外表面の全体および耐食層6の表面の全体に耐食性被膜7が形成されている。この耐食性被膜7は、突起部3を形成している材料よりも高い耐食性が必要あり、また導電性が必要であるから、金(Au)や銀(Ag)などの貴金属によって構成されている。なお、この種の耐食性被覆7を設ける場合には、上記の耐食層6を省くこともできる。
つぎに上記のセパレータ1の製造方法について説明する。上述したようにこの発明に係るセパレータ1の基本的な構造は、導電性の基板2の少なくとも一方の面に、導電性の多数の突起部3を接合して形成した構造であり、したがって基板2の素材として、穴開けや曲げなどの特別な加工を施していない板材10が用意される(図4の(A))。すなわち前述した金属板やセラミック板あるいはカーボン成形体もしくは導電性シートである。その素材板10の少なくとも一方の面に、ニッケルやスズなどの導電性の材料を、多数の点状に接合して突起部3を形成する(図4の(B))。
この突起部3を形成する方法としては、例えば図5に示すように、前記素材板10を成形型11に挟み込んで前記突起部3の形状に相当するキャビティ12を形成し、そのキャビティ12に導電性材料13を加圧して注入することにより、その導電性材料13を突起状に成形すると同時に素材板10に接合する方法を採用することができる。
また、突起部3を形成する他の方法は、メッキ法である。すなわち図6に示すように、突起部3に対応する形状および位置に多数の貫通孔14を設けたマスキングシート15を、基板2のための素材板10の表面に接合する(図6の(A))。そのマスキングシート15としては、以下に述べるメッキの際に導電性材料が付着しないようにするために、絶縁性のある材料を使用する。
素材板10とマスキングシート15とをこのようにセットした状態で、メッキ装置に入れてニッケルやスズなどの導電性材料のメッキをおこなう。素材板10のうちメッキ液に露出しているのは、貫通孔14に相当する部分のみであるから、その部分に導電性材料が電着して次第に堆積し、ついにはマスキングシート15の表面側にナゲット状に盛り上がり、突起部3が形成される(図6の(B))。
なお、上記の図4ないし図6を参照して説明した方法によって製造したセパレータ1の表面に、図3に示す耐食性被膜7を形成する場合には、イオンプレーティングやスパッタリング、CVD法(化学的気相蒸着法)、PVD法(物理的気相蒸着法)などの方法によって耐食性材料を薄膜状に形成すればよい。
上述したこの発明の方法で製造したセパレータ1は、従来のものと同様に、単電池の間に配置されて単電池とともに積層されて燃料電池スタックを構成する。その例を図7に単電池について模式的に示してある。すなわち、電解質膜20の両側に陰極である水素極21と陽極である酸素極22とが形成され、それらの表面側にそれぞれセパレータ1が配置されて、その突起部3が各電極21,22に接触させられている。その状態で、各突起部3の間の空間部分がガスおよび水のための流路を形成している。
その場合、セパレータ1における各突起部3が単電池の電極21,22に接触して電気的に導通し、外部負荷23に電力を取り出すことができる。この発明に係るセパレータ1ではその突起部3が導電性材料によって形成されているので、その突起部3の全体が電路を構成し、したがって電極から基板2もしくは端子(図示せず)に至る間の導電性が高くなってセパレータ1の全体としての抵抗値が低下し、電気的特性に優れたセパレータ1となる。また、各突起部3は、溶融金属を基板2に溶着させる方法やメッキなどの方法で接合して形成することができるので、突起部3と基板2との接合強度が高く、その結果、機械的強度が高く、その点での耐久性に富むセパレータ1とすることができる。また、突起部3の間の部分に耐食層6を設けた場合や、表面の全体に耐食性被膜7を形成した場合には、酸化性雰囲気での腐食が防止もしくは抑制されるので、セパレータ1の耐久性が向上する。
そして、上述したこの発明に係る方法では、基板2に対して穿孔や曲げ、コイニングなどの機械的な加工を施すことなく、微少かつ多数の突起部3を形成することができ、その結果、燃料電池用セパレータを容易かつ安価に製造することができる。
なお、この発明によって製造されるセパレータは、導電性基板に多数の導電性突起部を形成した構成であればよいのであり、したがって図8に示すように、基板2の表面に、突起部3と同一材料のコーティング3aを施し、そのコーティング3aと一体に突起部3を形成し、さらに突起部3の間でかつコーティング3aの表面に耐食層6を設けた構成としてもよい。
また、メッキ法によって突起部3を形成する場合、図9に示す構造のマスキングシート15aを使用してもよい。すなわちこの図9に示すマスキングシート15aは、貫通孔14の周辺部に筒状部14aを一体に形成したものであり、このマスキングシート15aを使用してメッキをおこなうことにより、導電性材料がその筒状部14aの内部に次第に堆積されて突起部3を形成する。その結果、形成された突起部3の周囲を、筒状部14aが包み込んだ状態となり、マスキングシート15aを形成している素材が絶縁性のものであって燃料電池での発電時に電気的な耐食性を示すから、突起部3の側面部分の耐食性が向上し、セパレータ1の耐久性が良好になる。
ところで、燃料電池の発電効率を向上させる要因としては、酸素や水素などのガスと電極との反応面積または、電極に対するガスの拡散領域を可及的に広げるという事項と、電極からセパレータへの電子の移動を促進して集電効果を高めるために、電極と突起部との接触面積を可及的に広げるという事項とがある。しかしながら、電極と突起部とが接触した状態においては、ガスと電極との反応面と、電極と突起部との接触面とが相互に隣接して配置され、かつ、ガスの拡散領域が、電極と突起部との接触面に対応する電極の内部に形成される。このため、従来は、上記2つの事項(言い換えれば相反する特性)を両立させることが困難であった。
そこで、この発明によって製造されるセパレータ1を下記に記すように構成することで、このような課題に対処することが可能となる。そのためのセパレータ1の構成例を、図10ないし図13に基づいて説明する。図10は、そのセパレータ1を模式的に示す断面図であり、突起部3の全体が、多数の導電性粒子24を焼き固めた焼結体により構成されている。各導電性粒子24同士が相互に接触した状態で、かつ、基板2と電極4との間に複数段が配置されている。この突起部3を構成する焼結体としては、カーボン、金属、導電性樹脂、導電性セラミックなどが挙げられる。また、各導電性粒子24の粒径は、φ0.01mmないしφ2.0mmの範囲に設定されている。また、図10においては、各導電性粒子24の粒径が、全て同一に設定されている。なお、図10においては、図1の耐食層6が便宜上、省略されている。
図10の例においては、突起部3が多数の導電性粒子24を焼結した焼結体により構成されており、各導電性粒子24同士の間に隙間が形成されているとともに、各突起部3の先端面に、各導電性粒子24により微細な凹凸が形成されている。このため、流路5に存在する酸素や水素などのガスが、前記隙間に進入することにより、ガスと電極4との反応面積が可及的に拡大されるとともに、電極4に対するガスの拡散領域が拡大される。また、このように、ガスと電極4との反応面積を可及的に拡大し、かつ、電極4に対するガスの拡散領域を拡大しても、電極4と突起部3との接触面積が狭められることはなく、電極4と突起部3との接触面積をも可及的に拡大することができ、電極4と突起部3との接触面における電気抵抗が低下する。つまり、前述した2つの事項を両立させることができ、燃料電池の発電効率が向上する。
さらに、突起部3を焼結体により構成しているため、突起部3の形状が複雑なものであっても、その成形を容易におこなうことができる。すなわち、図10の例によれば、突起部3であって、電極4に接触する面を、機械加工などにより微細に加工する必要がないために、突起部3を構成する材料の無駄や加工時間の長時間化が抑制され、セパレータ1の製造コストの上昇を抑制することができる。さらにまた、突起部3を焼結体により構成しているため、突起部3を構成する焼結体として、前述した各種の導電性材料を用いることができ、その材料の選択自由度が増す。特に、突起部3として、加工が困難なセラミックをも使用することができる。
図11は、この発明によって製造されたセパレータ1を模式的に示す断面図であり、突起部3が、多数の導電性粒子24,25を焼結した焼結体により構成されている。すなわち、突起部3は、基板2に接触して配置された多数の導電性粒子24と、多数の導電性粒子24および電極4に接触して配置された多数の導電性粒子25とにより構成されている。そして、基板2に接触して配置された多数の導電性粒子24の粒径の方が、電極4に接触する側に配置された多数の導電性粒子25の粒径よりも大きく設定されている。この図11の例においても、図10の例と同様の作用効果を得られる。
図12は、この発明によって製造されたセパレータ1を模式的に示す断面図であり、突起部3が、多数の導電性粒子26を焼結した焼結体により構成されている。ここで、多数の導電性粒子26の粒径は、2種類以上に設定され、かつ、粒径の異なる導電性粒子26同士が不規則的に配置されている。また、突起部3における基板2とは反対側の表面に研磨を施した平坦面27が形成されている。この平坦面27と電極4とが接触する。この図12の例においても、図10の例と同様の作用効果を得られる。
つぎに、図10ないし図12に示す突起部3の配置パターン例を、図13に基づいて説明する。図13は、基板2の平面図、つまり、基板2を電極4側から見た図である。図13の(A)に示す例は、各突起部3を角柱形状に構成するとともに、各突起部3を相互にマトリックス状に配置した例である。図13の(B)に示す例は、各突起部3を基板2の平面方向に沿って帯状に構成するとともに、各突起部3をその幅方向に沿って複数列を配置した例である。図13の(C)に示す例は、突起部3をクランク形状に屈曲させて配置した例である。図13の(D)に示す例は、各突起部3をほぼ楕円形状に構成するとともに、各突起部3を長軸方向および短軸方向に複数配置した例である。
さらに、この発明において、図10ないし図12に示すセパレータ1において、基板2または突起部3の少なくとも一方のうち、少なくとも一部の表面に、基板2および突起部3よりも耐食性の高い導電性金属を被覆することもできる。ここで、「表面」とは、電極4に臨む面を意味している。例えば、図3に示す突起部3を、図10ないし図12のいずれかに示す導電性粒子で構成することができる。耐食層6が設けられていないセパレータ1を構成した場合は、突起部3の表面および基板2の表面の全部に耐食性被膜7を形成することもできる。さらに、図示はしないが、図10ないし図12のセパレータ1に対して、基板2の表面のみに耐食性被膜を形成することもできる。
また、図10ないし図12に示すこの発明によって製造されたセパレータ1において、突起部3の表面全部にのみ耐食性被膜を形成することもできる。さらに、図10ないし図12のセパレータ1において、突起部3であって電極4との接触する先端面にのみ耐食性被膜を形成することもできる。このように、図10ないし図12の例に対して、基板2または突起部3の少なくとも一部の表面に、図3の耐食性被膜7を被覆した場合は、基板2または突起部3の少なくとも一部が、酸化性雰囲気または還元性雰囲気に曝されても、その腐食が抑制され、セパレータ1の耐久性が向上する。
なお、図10ないし図13の例においても、図1の具体例と同様の効果を得られる。また、図10ないし図13の例において、図1ないし図9の具体例と同様の構成部分については、図1ないし図9で用いた符号と同じ符号を付してその説明を省略している。ここで、各具体例の構成と、この発明において製造されるセパレータ1の構成との対応関係を説明すれば、耐食層6がこの発明において製造されるセパレータ1の耐食性の膜に相当し、耐食性被膜7がこの発明おいて製造されるセパレータ1の導電性金属に相当する。
1…セパレータ、 2…基板、 3…突起部、 4,21,22…電極、 6…耐食層、 7…耐食性被膜、 14…貫通孔、 15,15a…マスキングシート。
Claims (2)
- 電極の表面に当接させられて電気的に導通する多数の突起部を有する燃料電池用セパレータの製造方法において、
多数の貫通孔を有するマスキング部材を導電性基板の表面に配置し、その状態で、導電性材料によるコーティング処理を施すことにより、前記貫通孔を介して前記基板に接合するとともにマスキング部材の表面側に突出しかつマスキング部材の表面より盛り上がった前記突起部を形成し、それらの突起部同士の間の部分では、前記マスキング部材を露出させることを特徴とする燃料電池用セパレータの製造方法。 - 前記マスキング部材が耐食性材料からなることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
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