JP2008100657A - 電気的推進車両への給電システム - Google Patents
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Abstract
【課題】変電設備を集約して、その数を削減することが可能な電気的推進車両への給電システムを提供する。
【解決手段】このシステムは、複数の変電設備1と、給電線(トロリ線5)と、超電導ケーブル3とを備える。この変電設備1は、送電網からの受電電圧を変圧する。給電線は、電気的推進車両(電車T)に電力を供給する。超電導ケーブル3は、各変電設備1で変圧して出力された電力を給電線に供給する。一つの変電設備1に対し、超電導ケーブル3から給電線に電力を供給する第一給電部4が複数形成されている。このシステムによれば、電圧降下の問題とならない超電導ケーブル3を用いることで、一つの変電設備1に対して複数箇所から給電線に給電でき、変電設備1の設置場所を削減し、設備の運用効率を改善することができる。
【選択図】図1
【解決手段】このシステムは、複数の変電設備1と、給電線(トロリ線5)と、超電導ケーブル3とを備える。この変電設備1は、送電網からの受電電圧を変圧する。給電線は、電気的推進車両(電車T)に電力を供給する。超電導ケーブル3は、各変電設備1で変圧して出力された電力を給電線に供給する。一つの変電設備1に対し、超電導ケーブル3から給電線に電力を供給する第一給電部4が複数形成されている。このシステムによれば、電圧降下の問題とならない超電導ケーブル3を用いることで、一つの変電設備1に対して複数箇所から給電線に給電でき、変電設備1の設置場所を削減し、設備の運用効率を改善することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、電車などの電気的推進車両に電力を供給するシステムに関するものである。特に、変電設備や交直変換器を集約して、それらの数を低減できる電気的推進車両への給電システムに関するものである。
鉄道等の電車線への給電では、例えば図5に示す給電システムが知られている(類似のシステムを開示する文献として特許文献1)。このシステムは、配電線6と、複数の変電設備1と、複数の交直変換器2と、電車線と、複数の第二給電部8とを備える。
配電線6には、図示しない送電網より交流の電力が供給される。各変電設備1は、配電線6を介して受電した交流電力を所定の電圧に変換して出力する。交直変換器2は、変電設備1からの交流電力を直流電力に変換して出力する。電車線にはトロリ線5が広く用いられる。このトロリ線5には、交直変換器からの直流が第二給電部8を介して流される。一方、電車Tはレール7上にて集電装置を介してトロリ線5から電力供給を受ける。集電装置としては、パンタグラフT1が一般的である。そのパンタグラフT1に設けた摺り板がトロリ線5に摺接されることで、電車Tの駆動装置に電力が供給される。
このようなシステムにおいては、トロリ線5の長手方向にわたって電圧降下が生じる。そのため、電圧降下が許容範囲内となるような間隔で複数の変電設備1を設け、一つの変電設備1に対して一つの第二給電部8からトロリ線5への給電を行っている。
しかし、上記の従来技術では次のような問題があった。
既に述べたように、トロリ線では電圧降下が生じるため、第二給電部の間隔を長くすることが難しい。通常、第二給電部の間隔は5〜10km程度である。それに伴って変電設備と交直変換器も同様の間隔で設置する必要がある。そのため、ほぼ各駅ごとに変電設備や交直変換器を設置している場合が多い。
その結果、変電設備や交直変換器が多数必要になる。変電設備や交直変換器の数が多くなれば、その設置スペースの確保が困難となったり、各設備の保守が煩雑になったりする。特に、各第二給電部同士の区間が短ければ、各区間における電車の走行状況が負荷の変動に大きく影響する。それに伴い、変電設備は余裕をみてより高い仕様の変電設備を用いる場合が多く、結果的に無駄の多い変電設備となっている。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、変電設備を集約して、その数を削減することが可能な電気的推進車両への給電システムを提供することにある。
本発明電気的推進車両への給電システムは、複数の変電設備と、給電線と、超電導ケーブルとを備える。この変電設備は、送電網からの受電電圧を変圧する。給電線は、電気的推進車両に電力を供給する。超電導ケーブルは、各変電設備で変圧して出力された電力を給電線に供給する。そして、このシステムにおいて、一つの変電設備に対し、超電導ケーブルから給電線に電力を供給する第一給電部が複数形成されている。
超電導ケーブルで送電を行う際、同ケーブルの長手方向にわたって電圧降下が実質的に生じない。そのため、変電設備から超電導ケーブルを介して給電線に電力供給を行う際、超電導ケーブルの長手方向に複数の第一給電部を形成することが可能である。図5に示す従来のシステムでは、一つの変電設備に対して一つの第二給電部から給電線に電力供給を行う必要があったため、変電設備の間隔は第二給電部の間隔とほぼ同等にする必要があった。これに対し本発明システムでは、一つの変電設備に対して、複数の第一給電部を形成することができるため、変電設備の間隔は第一給電部の間隔(第一給電区間)に依存することがない。そのため、変電設備の数を従来システムに比べて削減でき、給電システムを簡素化することができる。それに伴い、変電設備の設置箇所確保の問題や、変電設備のメンテナンスの煩雑性を軽減することもできる。
また、本発明システムによれば、変電設備の数を削減して集約することで、図5に示す従来のシステムに比べ、一つの変電設備から電力供給可能な給電線の区間長を長くできる。この区間長が短ければ、例えばその区間に電車が通過しているか否かといった運行状況がその区間における負荷の変動に大きく影響する。しかし、この区間長が長くなれば、同区間における電車の運行状況による負荷の変動が小さくなり、負荷を平準化することができる。それに伴って、標準仕様の変電設備を利用したり、今後の電車ダイヤの過密化に対応することもできる。
給電システムに超電導ケーブルを用いることで、同ケーブルによる送電には実質的に損失を伴わないため、給電システム全体としての損失低減に寄与することができる。
超電導ケーブルの中でも、液体窒素を冷媒とする超電導ケーブルは、万一冷媒が漏洩してガス化しても、窒素ガスが発生するだけである。この窒素ガスは不燃性であるため、給電線に沿って超電導ケーブルを布設していても、冷媒の漏洩に伴う火災などの問題が実質的にない。
また、一般にトンネルには、その内部に気流を形成するファンや排煙設備が設けられている。そのため、万一トンネル内の軌条付近で冷媒が漏洩しても、窒素ガスを早期にトンネル外に排出することができ、漏洩箇所近傍にいる人が窒息することも回避できると考えられる。
さらに、超電導ケーブルの場合、運転温度を下げることで、給電システムの仕様を変更することなく増容量化ができる。窒素の沸点は約77K、融点は約63Kであり、液体窒素を冷媒とする超電導ケーブルは、これらの温度範囲内で運転される。その際、同ケーブルに用いられる超電導体は運転温度を下げるほど臨界電流密度を向上できるため、運転温度の低下により容易に増容量化を実現できる。そして、この増容量化に伴い、今後の電車ダイヤの過密化にも容易に対応することができる。
その他、超電導ケーブルをループ構成とすることで、ループ状の超電導ケーブルに対して複数の変電設備がつながれた状態となる。そのため、個々の変電設備を連携制御することで、一部の変電設備に障害が発生した場合など、他の健全な変電設備の出力を調整することで、より信頼性の高い給電システムを構築することができる。
本発明給電システムにおいて、さらに各変電設備と超電導ケーブルとの間に交直変換器を有することが好ましい。この交直変換器は、各変電設備から出力された交流を直流に変換して超電導ケーブルに出力する。
この構成によれば、給電システムを直流き電方式とすることができる。交流であれば交流損失が発生するが、直流であれば超電導ケーブルにおいて実質的に損失がないため、電力の損失低減に特に有効である。
また、通常、交直変換器の数は変電設備の数に対応しているため、前述したように変電設備の数が削減できれば、交直変換器の数も削減することができる。
さらに、本発明システムにおいて、第一給電部の間隔は、各変電設備の電力を、超電導ケーブルを介することなく、給電線に供給する場合に、一つの変電設備に対して一つの給電部から電力を供給し、この給電部を第二給電部とするとき、第二給電部の間隔に相当することが好適である。
図5に示したように、従来システムではトロリ線の電圧降下の許容限度に応じて第二給電部の間隔が決定され、その第二給電部に近接して変電設備が設置されている。直流き電方式の場合は、さらに交直変換器も第二給電部に近接して設置されている。一方、本発明システムでは、この従来のシステムにおける第二給電部同士の区間を複数区間相当分にわたって超電導ケーブルでつないだ状態とすることができる。超電導ケーブルにおける送電では電圧降下が実質的に問題とならないため、超電導ケーブル自体の長さに特に制約はない。ただし、トロリ線では電圧降下が生じるため、超電導ケーブルからトロリ線に給電を行う第一給電部の間隔は、第二給電部の間隔に対応させることが好適である。
さらに、本発明給電システムにおいて直流き電方式とした場合、内側超電導導体と、この内側超電導導体の外側に形成された外側超電導導体とを備える超電導ケーブルが好適に利用できる。その際、内側超電導導体を交直変換器から電気的推進車両へ供給する電流の往路とし、外側超電導導体を電気的推進車両から交直変換器へ帰還する電流の復路とすればよい。
従来、帰線電流は軌条(レール)を帰線路とすることが多い。その場合、帰線電流が大地に漏れることにより、直流き電方式では地中埋設物への電食が、交流き電方式では通信誘導障害が生じ、その対策が必要になる。これに対し、本発明の上記の構成によれば、電気的推進車両の帰線電流を超電導ケーブルの外側超電導導体を用いて流すことができるため、帰線電流が軌条から大地に流れることがなく、格別の対策を採ることなく電食等の問題を解消することができる。
従来は一つの変電設備に対して一箇所の給電部を介して給電線に給電していたのに対し、超電導ケーブルを用いた本発明給電システムによれば、一つの変電設備に対して複数箇所から給電線に給電でき、変電設備の数を削減することができる。
以下、本発明の構成要素をより詳しく説明する。
<変電設備>
変電設備は、送電網からの受電電圧を所定の電圧に変圧する。この変電設備には、通常、変圧器の他、遮断器などの保護装置も含まれる。
変電設備は、送電網からの受電電圧を所定の電圧に変圧する。この変電設備には、通常、変圧器の他、遮断器などの保護装置も含まれる。
変電設備の設置間隔は、図5における各第二給電部の間隔(第二給電区間)よりも広い間隔とすることができる。特に、複数分の第二給電区間に相当する間隔で変電設備を設置すれば、変電設備の削減効果が大きい。また、変電設備をこのように設置すれば、一区間長に電力を供給する変電設備のスペックを簡素化できる。
この変電設備には、より無駄の少ない仕様の変圧器を用いることができる。図5に示すような従来システムであれば、変電設備の仕様に大幅な余裕をみているため、大型の設備となっていたが、本発明システムに用いる変電設備では、より仕様の低いものに見直すことが期待できる。
<給電線>
給電線は、電気的推進車両に電力を供給する線路である。具体的には、トロリ線や剛体電車線が挙げられる。通常、電気的推進車両に設けられた集電装置の一部を給電線に摺接することで、給電線から電気的推進車両への電力供給が行なわれる。
給電線は、電気的推進車両に電力を供給する線路である。具体的には、トロリ線や剛体電車線が挙げられる。通常、電気的推進車両に設けられた集電装置の一部を給電線に摺接することで、給電線から電気的推進車両への電力供給が行なわれる。
<電気的推進車両>
本発明における電気的推進車両には、給電線からの電力供給により駆動可能なあらゆる車両を含む。この推進車両の代表例としては電車(もちろん地下鉄も含む)が挙げられる。その他、新交通システムやモノレール、トロリバスなども電気的推進車両の具体例として挙げられる。
本発明における電気的推進車両には、給電線からの電力供給により駆動可能なあらゆる車両を含む。この推進車両の代表例としては電車(もちろん地下鉄も含む)が挙げられる。その他、新交通システムやモノレール、トロリバスなども電気的推進車両の具体例として挙げられる。
<超電導ケーブル>
超電導ケーブルは、超電導体を導体に用いたケーブルである。このケーブルは、代表的には、中心から順に、フォーマ、内側超電導導体、絶縁層、保護層を有するコアと、コアを収納する断熱管とを備える。一つの断熱管に収納されるコアの数は、単心でも多心でも構わない。この内側超電導導体に用いられる超電導体には、液体窒素温度で超電導となる高温超電導体が好適に利用できる。その他、絶縁層と保護層との間に外側導体(シールド層)を設けてもよい。この外側導体も内側超電導導体と同様に液体窒素温度で超電導となる高温超電導体が好適に利用できる。外側導体がない超電導ケーブルの場合、大地を帰線電流の流路とすることができ、外側超電導導体を有する超電導ケーブルの場合、内側超電導導体を電力供給の往路とし、外側超電導導体をその復路とすることができる。超電導ケーブルの種類は、き電区間の種別に合わせてAC用、DC用のいずかを選択すれば良い。
超電導ケーブルは、超電導体を導体に用いたケーブルである。このケーブルは、代表的には、中心から順に、フォーマ、内側超電導導体、絶縁層、保護層を有するコアと、コアを収納する断熱管とを備える。一つの断熱管に収納されるコアの数は、単心でも多心でも構わない。この内側超電導導体に用いられる超電導体には、液体窒素温度で超電導となる高温超電導体が好適に利用できる。その他、絶縁層と保護層との間に外側導体(シールド層)を設けてもよい。この外側導体も内側超電導導体と同様に液体窒素温度で超電導となる高温超電導体が好適に利用できる。外側導体がない超電導ケーブルの場合、大地を帰線電流の流路とすることができ、外側超電導導体を有する超電導ケーブルの場合、内側超電導導体を電力供給の往路とし、外側超電導導体をその復路とすることができる。超電導ケーブルの種類は、き電区間の種別に合わせてAC用、DC用のいずかを選択すれば良い。
超電導ケーブルは、変電設備と給電線との間に配置する。交流き電の場合、変電設備の出力を超電導ケーブルに導入し、その超電導ケーブルから給電線に電力を供給する。直流き電の場合、変電設備の出力を交直変換器で直流に変換し、その直流を超電導ケーブルを介して給電線に供給する。
通常、超電導ケーブルは給電線に沿って布設される。軌条や給電線が環状であれば、超電導ケーブルを給電線に沿ってループ状に布設することが容易にできる。その場合、ループ状の超電導ケーブルには複数の変電設備が接続されていることになり、いずれかの変電設備で障害が起こっても、他の変電設備の出力調整により、給電線への必要電力を給電することができる。その他、軌条が環状でなくても、複数の第一給電区間をつなぐ超電導ケーブルをループ状とすることもできる。その場合も、ループにつながるいずれかの変電設備に支障が生じても他の変電設備を利用して所定の電力を給電線に供給することができる。特に、超電導ケーブルに帰線電流の流れる帰路導体を設け、超電導ケーブルを流れる電流の往路と復路である帰路導体とを近接して配置させることで、往路に生じる磁場と復路に生じる磁場とを相殺させることが可能である。
<第一給電部>
第一給電部は、超電導ケーブルからの送電路と給電線との接続構造である。通常、超電導ケーブルの端部あるいは中間分岐部から端末構造あるいは分岐構造を介して常電導ケーブル(送電路)に電力を引き出し、その常電導ケーブルと給電線の接続箇所を第一給電部とする。単位長の超電導ケーブルにつながる第一給電部の数が多ければ、一つの変電設備から給電線に電力を供給する第一給電部の数を多くできる。ただし、あまり第一給電部の数が多いと、超電導ケーブルから常電導ケーブルに電力を引き出す端末の数が多くなり、熱侵入によるエネルギー損失が増加する傾向となる。
第一給電部は、超電導ケーブルからの送電路と給電線との接続構造である。通常、超電導ケーブルの端部あるいは中間分岐部から端末構造あるいは分岐構造を介して常電導ケーブル(送電路)に電力を引き出し、その常電導ケーブルと給電線の接続箇所を第一給電部とする。単位長の超電導ケーブルにつながる第一給電部の数が多ければ、一つの変電設備から給電線に電力を供給する第一給電部の数を多くできる。ただし、あまり第一給電部の数が多いと、超電導ケーブルから常電導ケーブルに電力を引き出す端末の数が多くなり、熱侵入によるエネルギー損失が増加する傾向となる。
以下、図1に基づいて本発明給電システムを説明する。
この給電システムは、直流き電方式の電車用給電システムである。同システムは、変電設備1、交直変換器2、超電導ケーブル3、第一給電部4およびトロリ線5(給電線)を備える。図1を含む全ての図では、トロリ線5の長さに対して変電設備1、交直変換器2、電車Tなどのサイズを誇張して示している。
変電設備1は、図示を略した送電網から配電線6を介して供給される交流を所定の電圧に変圧して出力する。この変電設備1は、変圧器の他、高速遮断機も設けられている。
交直変換器2は、変電設備1で所定の電圧に変圧して出力された電力を交流から直流に変換して出力する。
超電導ケーブル3は、交直変換器2からの直流を送電する。この超電導ケーブル3は、ほぼレール7に沿って布設されているが、レール7の全長に沿って布設されているのではなく、レール7の一部の区間に沿って布設されている。
本例で用いた超電導ケーブル3は、断熱管内にコアが収納された構造である。断熱管は、内管と外管とからなる二重管構造で、両管の間には真空断熱層が形成されている。一方、コアは、中心から順にフォーマ、内側超電導導体、絶縁層、外側超電導導体、保護層を備える。例えば、フォーマは銅撚り線で構成される。内側超電導導体と外側超電導導体は、例えばBi2223系超電導線材を螺旋状に多層に巻回して形成されている。絶縁層には、クラフト紙とポリプロピレンフィルムがラミネートされたPPLP(住友電気工業株式会社の登録商標)が好適に利用できる。保護層には、布テープなどが利用できる。本例では、断熱管内に1心のコアが収納された単心ケーブルを用いている。そして、断熱管の内管とコアとの間に形成される空間が冷媒の流路となっている。冷媒には液体窒素を用いる。
このような超電導ケーブル3の端部あるいは中間部から、図示しない端末構造または分岐構造を介して、超電導ケーブル3の直流を常温域に引き出す。端末(分岐)構造から引き出された直流は常電導ケーブルを介してトロリ線5に供給される。この常電導ケーブルとトロリ線5との接続箇所が第一給電部4となる。本例では、一連長の超電導ケーブル3に対して3つの第一給電部4が引き出された構成となっている。一連長の超電導ケーブル3に対する第一給電部4の数が3つに限定されないことはいうまでもない。なお、この第一給電部4の間隔は、図5に記載の従来システムにおける第二給電部8の間隔に相当する。
トロリ線5は、レール7に沿って布設されている。ここでは、イヤーを介して架設される断面がほぼ円形の溝付きトロリ線を用いている。このトロリ線5には、第一給電部4を介して超電導ケーブル3からの直流が流される。
一方、電車Tは、パンタグラフT1や主電動機(図示せず)を備える。主電動機の駆動は、パンタグラフT1のすり板をトロリ線5に摺接させることで集電し、集電された電力を主電動機に供給することで行なわれる。そして、主電動機の駆動により、電車Tはレール7上を走行する。レール7および大地は、電車Tの走行により消費された後の電流(帰線電流)の帰路としても利用される。
以上の給電システムによれば、超電導ケーブル3での送電については実質的に電圧降下が問題とならない。そのため、この超電導ケーブル沿いに複数箇所の第一給電部4を形成することができる。そのため、変電設備1および交直変換器2の設置場所を削減することができる。例えば、図5の従来システムと図1の実施例1とを比較すると、両図に示した区間における第一給電部4の数および間隔は第二給電部8の数および間隔と同じであるものの、変電設備1および交直変換器2の設置場所は半分となっていることがわかる。それに伴い、変電設備1(交直変換器2)の設置箇所確保の問題や、変電設備1(交直変換器2)のメンテナンスの煩雑性を軽減することができる。
また、本発明システムでは、直流き電方式であり、超電導ケーブル3における損失が実質的にないため、極めてエネルギー伝送効率の高い給電システムを構築することができる。
さらに、本発明システムによれば、一つの変電設備1から電力供給可能なトロリ線5の区間長を長くできる。そのため、電車Tの運行に対して、一つの変電設備1から電力供給可能なトロリ線5の区間における負荷の変動の影響が小さくなり、同区間における負荷の平準化を図ることができる。
<変形例1>
上記実施例1では帰線電流の電流路としてレールを用いたが、その代わりに、超電導ケーブルの外側超電導導体を用いてもよい。例えば、図2に示すように、レール7における第一給電部4にほぼ対応する位置から上向き矢印で示すように送電路を引き出し、その送電路を端末(分岐)構造を介して超電導ケーブル3の外側超電導導体に電気的に接続する。そして、この外側超電導導体を交直変換器2側でレール7(接地)に接続する。図2では、説明の便宜上、超電導ケーブルの内側超電導導体と外側超電導導体とを並列して記載しているが、実際には、これら両導体は絶縁層を挟んで同軸に配置されている。
上記実施例1では帰線電流の電流路としてレールを用いたが、その代わりに、超電導ケーブルの外側超電導導体を用いてもよい。例えば、図2に示すように、レール7における第一給電部4にほぼ対応する位置から上向き矢印で示すように送電路を引き出し、その送電路を端末(分岐)構造を介して超電導ケーブル3の外側超電導導体に電気的に接続する。そして、この外側超電導導体を交直変換器2側でレール7(接地)に接続する。図2では、説明の便宜上、超電導ケーブルの内側超電導導体と外側超電導導体とを並列して記載しているが、実際には、これら両導体は絶縁層を挟んで同軸に配置されている。
この構成によれば、大地に漏れる帰線電流を大幅に低減できるため、帰線電流が大地に流れることで生じる地中埋設物や地上設置物の電食などの問題を解消することができる。
次に、複数の変電設備を一連長の超電導ケーブルに接続した本発明実施例を図3に基づいて説明する。変電設備1、交直変換器2、超電導ケーブル3、第一給電部4、トロリ線5の各構成は、実施例1と共通である。また、図1と同一符号は同一部材を示す。
本例では、2つの変電設備1(交直変換器2)が一連長の超電導ケーブル3に対して電力供給を行っている。そして、この一連長の超電導ケーブル3の長手方向に合計4箇所の第一給電部4を形成している。
実施例2のシステムによれば、一連長の超電導ケーブル3に対して複数の変電設備1からの電力供給が可能であるため、一方の変電設備1(交直変換器2)に障害が生じても、他方の変電設備1(交直変換器2)の出力を調整することで、トロリ線5に電力供給を行なうことができる。
<変形例2>
上記実施例2では、超電導ケーブルとして両端の存在する一条の単心ケーブルを用いたが、その代わりに超電導ケーブル3の一端の第一給電部4Aから他端の第一給電部4Bに至り、さらに他端の第一給電部4Bから一端の第一給電部4Aにまで帰って来るループを形成した超電導ケーブル3を用いてもよい。
上記実施例2では、超電導ケーブルとして両端の存在する一条の単心ケーブルを用いたが、その代わりに超電導ケーブル3の一端の第一給電部4Aから他端の第一給電部4Bに至り、さらに他端の第一給電部4Bから一端の第一給電部4Aにまで帰って来るループを形成した超電導ケーブル3を用いてもよい。
この場合、図3では、超電導ケーブル3を1本の線で示しているが、実際には一端の第一給電部4Aから他端の第一給電部4Bまでの往路の超電導ケーブル部と、他端の第一給電部4Bから一端の第一給電部4Aにまでの復路の超電導ケーブル部とが並列して布設されていることになる。そして、両ケーブル部の端部を接続してループとしている。このように往路と復路のケーブル部を並列配置すれば、両超電導ケーブル部に流れる直流が互いに逆方向となるため、各ケーブル部の外側に生じる磁場を打ち消しあうことができる。なお、本例では、超電導ケーブル3でループを構成したが、一つの断熱管に収納された一対のコアを端部で接続し、コアでループを構成してもよい。
次に、電車の線路が環状に形成されている場合に、超電導ケーブルをその環状の線路に沿ってループ状に配した本発明給電システムを図4に基づいて説明する。変電設備1、交直変換器2、超電導ケーブル3、第一給電部4、トロリ線5の各構成は、実施例1と共通である。また、図1と同一符号は同一部材を示す。
本例では、レール7、トロリ線5が環状に配置されているため、トロリ線5に電力供給を行う超電導ケーブル3もトロリ線5に沿ったループを形成している。
この場合も、実施例2と同様に、ループ状の超電導ケーブル3に複数の変電設備1(交直変換器2)が接続された状態となっているため、いずれかの変電設備1あるいは交直変換器2に支障が生じても、他の変電設備1および交直変換器2を用いてトロリ線5に電力供給を行なうことができる。
なお、以上の各実施例は例示であり、本発明の範囲がこれら実施例に限定されることはない。
本発明給電システムは、一般的な鉄道の他、新交通システムやモノレールなどの給電システムとして利用することが期待される。
1 変電設備 2 交直変換器 3 超電導ケーブル
4、4A、4B 第一給電部 5 トロリ線 6 配電線 7 レール 8 第二給電部
T 電車 T1 パンタグラフ
4、4A、4B 第一給電部 5 トロリ線 6 配電線 7 レール 8 第二給電部
T 電車 T1 パンタグラフ
Claims (4)
- 送電網からの受電電圧を変圧する複数の変電設備と、
電気的推進車両に電力を供給する給電線と、
各変電設備で変圧して出力された電力を給電線に供給するための超電導ケーブルとを備え、
一つの変電設備に対し、超電導ケーブルから給電線に電力を供給する第一給電部が複数形成されていることを特徴とする電気的推進車両への給電システム。 - さらに各変電設備と超電導ケーブルとの間に交直変換器を有し、この交直変換器は、各変電設備から出力された交流を直流に変換して超電導ケーブルに出力することを特徴とする請求項1に記載の電気的推進車両への給電システム。
- 前記第一給電部の間隔は、各変電設備の電力を、超電導ケーブルを介することなく給電線に供給する場合に、一つの変電設備に対して一つの給電部から電力を供給し、この給電部を第二給電部とするとき、第二給電部の間隔に相当することを特徴とする請求項1または2に記載の電気的推進車両への給電システム。
- 前記超電導ケーブルは、内側超電導導体と、この内側超電導導体の外側に形成された外側超電導導体とを備え、
内側超電導導体を交直変換器から電気的推進車両へ供給する電流の往路とし、
外側超電導導体を電気的推進車両から交直変換器へ帰還する電流の復路とすることを特徴とする請求項2に記載の電気的推進車両への給電システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006286606A JP2008100657A (ja) | 2006-10-20 | 2006-10-20 | 電気的推進車両への給電システム |
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---|---|---|---|
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Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008174107A (ja) * | 2007-01-18 | 2008-07-31 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 給電システム |
CN102123883A (zh) * | 2008-06-20 | 2011-07-13 | 西门子有限公司 | 适于向输电线供电以将功率供应给交通工具的功率调整系统 |
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-
2006
- 2006-10-20 JP JP2006286606A patent/JP2008100657A/ja not_active Withdrawn
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