JP2008096392A - タンク内の水−油界面の検出方法 - Google Patents

タンク内の水−油界面の検出方法 Download PDF

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道男 島田
Kunihiro Hoshino
邦弘 星野
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Abstract

【課題】タンク内の水−重油界面を良好に検出することができる水−油界面の検出方法を提案する。
【解決手段】この界面検出方法は、液体として水及び油が貯留されたタンクの外側から超音波を照射し、同タンクのタンク壁5と前記液体との界面で反射したエコーを調べることによって水−油界面を検出する方法である。本検出方法では、互いに離れて配置された発信側探触子及び受信側探触子を用い、該発信側探触子からタンク壁5に対して超音波を斜めに照射すると共に、前記タンク壁5と前記液体との界面で反射したエコーを前記受信側探触子で検出することにより、エコー強度の変化をみて水と油との界面を検出する。
【選択図】図9

Description

本発明は、超音波を用いて、沈没船などの船内などに残存する油の量を推定する技術に関する。特には、タンク内の水−重油界面を良好に検出することができる検出方法に関する。
日本近海を含む世界中の海底には、過去の戦争や海難事故等によって沈んだ沈船が無数に存在している。その中には、船体内部に貨物油や燃料油を積載したまま沈没しているものも多い。近年、沈船の腐食・破損によって船体から油が徐々に漏れ出たり、突発的に大量の油が噴き出たりする事故が多々見られるようになっている。
この問題に対応するためには、沈船内に油が残存しているのかどうか、また、している場合、どの部位にどれだけの量が残存しているのかを確認する必要がある。このように油の残留状況を非破壊検査的な手法により確認した上で、漏洩対策や回収方法を決定することが望ましい。
沈船内の重油タンクには、燃料である重油と共に、海水又は空気が存在している場合がある。海水−重油界面が分かれば油の残量を推定することができる。
沈船内の油の残量を推定するには、超音波を用いたパルスエコー法を利用することが考えられる。パルスエコー法(垂直入射型)は、超音波パルスが対象物から反射して戻ってくる時間とそのときの強度とを測る方法であり、音響インピーダンスの変化によるエコー強度の違いから界面を検出するものである(例えば特許文献1参照)。
特開昭63−179221号公報
しかしながら、水の音響インピーダンス(1.48)と、重油の音響インピーダンス(1.33)とが近い値をとるため、タンク内が重油である場合、垂直入射型のパルスエコー法では水−重油界面を良好に検出することが困難であった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、タンク内の水−重油界面を良好に検出することができる水−油界面の検出方法を提案することにある。
上記目的を達成するための本発明の水−油界面の検出方法は、
水及び油が貯留されたタンクの外側から超音波を照射し、同タンクのタンク壁と前記液体との界面で反射したエコーを調べることによって水−油界面を検出する方法であって、
発信側探触子から前記タンク壁に対して超音波を斜めに照射すると共に、前記タンク壁と前記液体との界面で反射したエコーを受信側探触子で検出し、エコー強度(エコー高さ)の変化により水と油との界面を検出することを特徴とする。
このように超音波を斜めに入射させるようにすることで、次のような理由から、従来困難であった水−重油界面の検出が可能になる。すなわち、重油は、水と比べてその粘性が非常に高いため、超音波を斜めに入射させると、タンク壁と重油との界面で反射する際の剪断力成分がエコーの挙動に影響すると考えられる。従って、この影響を考慮しつつエコーを調べることで、従来、垂直入射では困難であった水−重油界面検出が可能になる。
上記本発明の方法は、エコーを前記受信側探触子で検出する工程を、前記タンクの上下方向に沿って複数回行うものであってもよい。
タンク壁内を伝播するエコーとしては、縦波を多く含むもの、あるいは、横波を多く含むもの等、様々な経路が存在するが(詳細については図面を参照して後述する)、縦波と横波とが混在する径路(例えばw−s−c−wの経路)のエコーに比べ、タンク壁内を横波のみで伝播する経路(例えばw−4s−wの経路)のエコーは、水−油界面の検出に有利であると考えられる。
この場合、本発明に係る水−油界面の検出方法は、前記タンク壁と油との界面からのエコー強度が前記タンク壁と水との界面からのエコー強度よりも低く、これら両エコー強度の差に基づいて水と油との界面を検出するものとなる。
上述したように、本発明のタンク内の水−油界面の検出方法によれば、従来、垂直入射では検出が困難であった、タンク内の水−重油界面の検出を良好に行うことが可能である。
発明を実施するための形態
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
まず、本発明に係る斜め入射の水−油(特には重油)界面検出方法について説明をする前に、
(1)垂直入射による、手前側のタンク壁内面からのエコーを調べる方法、及び、
(2)垂直入射による、奥側のタンク壁からのエコーを調べる方法、について説明する。
(1)垂直入射による、手前側のタンク壁内面からのエコーを調べる方法について。
図1は、上記(1)、(2)の検出方法を行う装置及びタンクの構成を模式的に示す斜視図である。
図2(A)は、図1のタンク壁面の一部を示す縦断面図であり、図2(B)は、垂直入射による検出方法を説明するための波形図である。
図1に示すように、この例では、タンク10は鋼製の四角い容器であり、互いに対向する手前側のタンク壁5及び奥側のタンク壁6を有している。タンク10の内部には、若干の空気4を残して水2及び油3(灯油又は重油)が入っている。
探触子20は、水浸探傷装置の一部として水中に設けられ、タンク壁面5の手前側に配置されている。探触子20は、タンク壁5に沿って左右に往復走査しながらタンクの上部から下部に向かって移動可能に構成されている。探触子20は、例えば、コンピュータ制御可能な操作制御装置(不図示)に取り付けられていてもよい。
探触子20は、超音波をタンク壁面5に向けて発信する機能と、タンク壁5又は6で反射して戻ってきたエコーを受信する機能とを備えている。上記(1)、(2)の方法においては、探触子20からの超音波はタンク壁5に対して垂直に入射する。
探触子20は、データ解析装置(詳細は図4も参照)に接続されており、探触子20で受信されたエコーがこのデータ解析装置に送られるようになっている。データ解析装置はディスプレイを備えており、受信したエコー強度に応じたC−スコープをそのディスプレイに表示する。
図3は、探触子20からの超音波がタンク壁5、6で反射する様子を模式的に示す縦断面図である。
同図に示すように、探触子20から発信された超音波Pは、手前側のタンク壁5に垂直に入射する。そのうちの一部はタンク壁5の表面5aで反射する。タンク壁5内に入射した超音波の一部は、タンク壁5の内面(裏面)5bで反射して手前側に戻ってくる(P)。なお、図3では示していないが、タンク壁5内を複数回反射した後、探触子20側に戻ってくるエコーも存在する。
ここで、タンク外の水、タンク壁5、及びタンク内の油3の、それぞれの固有音響インピーダンスをZ、Z、及びZとすると、タンク壁内面5bからのエコーPの強度の、入射波エコーPに対する比は次の式で計算される。
第3層(タンクの内部を意図する)として、2つの異なる液体(水及び油)を考え、その基準化音響インピーダンスをkq1、kq2として、2つの液体間のエコー高さ変化量の平均エコー高さに対する比を計算する。具体的には、第2層を鋼、第3層を油と想定しているので、第2層の値で基準化した固有音響インピーダンスkq1、kq2は、1よりも十分小さくなり、計算式が簡略化され、次式が得られる。
タンク壁内面のエコー変化を調べることにより、水−油界面を検出することができる。ただし、この(1)の方法の場合、上記(3)式で表されるエコー高さ変化が、検出装置のSN比以上でなければならない。
続いて、
(2)垂直入射による、奥側のタンク壁からのエコーを調べる方法、について説明する。
この方法では、図3に示すように手前側のタンク壁面5を透過してタンク内の水又は油内を伝播し、奥側のタンク壁6の内面で反射して戻ってきたエコーPT′の高さを調べる方法である。この方法は、タンクの構造についての知識が予め必要とされるが、それが判っていれば水−重油界面を有効に検出することが可能である。
このエコーPT′を調べることによって、内部が水であるか又は油であるかを検出できる理由は次の通りである。すなわち、重油の粘性は水に比べて非常に高く、このような高粘性な媒質内を伝播する際、超音波は大幅に減衰する。そのため、油内を伝播して奥側のタンク壁6から反射してくるエコーの高さは、水内を伝播して同壁6に当たりそこから反射してくるエコーの高さに比べて低くなる(エコーの消失を含む)。このエコー高さの差を検出することで、タンク内が水であるか又は油であるかを検出することができる。
なお、タンク内が空気層である場合、重油層の場合と同様、奥側のタンク壁からのエコーが消失する。このため、空気層と重油層とを判別するためには、上述した(1)の方法組み合わせるとよい。
次に、上記した(1)、(2)の方法で実際に水−油界面を検出した例について簡単に説明する。
〔実験条件〕
図4に示す実験装置を用いた。タンク10(図1参照)に相当する鋼水槽10を、水を満たした水槽9内に配置し、探触子20をコンピュータ制御可能な走査制御装置17に取り付けて計測を行った。タンク10は、厚み8mmの鋼製タンクとし、タンク内には水及び油(C重油・灯油)を入れた。(2)の方法では、SUS304製のタンク内に水と重油を入れた。タンク内壁間間隔は70mmである。
なお、符号14は走査駆動部及び超音波計測器であり、符号15が制御部であり、符号16がデータ表示解析部である。各材料の物性値を表1に示す。
(1)垂直入射による、手前側のタンク壁内面からのエコーを調べる方法での検出例
図5(A)に、水−灯油−空気の3層を含む、鋼製タンク壁内面のエコー高さ情報で作成したC−スコープ画像を示す。
各層に接するタンク内面における反射率の差により、水−灯油−空気の各層が異なる色調で表示され、水−灯油界面及び灯油−空気界面を検出することができた。表1の物性値及び(2)式を利用して、水と灯油、水の空気のエコー高さの差を計算すると、それぞれ1.8%、6.5%であった。このことから、水と空気層の判別が容易であり、また、水と灯油の判別も可能であることが分かった。
図5(B)は、タンク内に水と重油を満たした際のC−スコープ画像である。
図から分かるとおり、(1)の方法では、重油と水の判別は困難であった。イコライズ処理(エコー高さの分解能を高める手法)を用いても、重油と水の判別は困難であった。この理由は、重油と水のエコー高さが計測系のSN比以下であるためと考えられる。ちなみに、(2)式で計算されるエコー高さの差は0.7%である。
(2)垂直入射による、奥側のタンク壁からのエコーを調べる方法での検出例
次に、タンク内の重油を透過し、対面内壁(タンク壁6)からのエコーを調べる手法による界面の検出を試みた。タンク内には水と重油を入れた。
結果を図6に示す。図6において、上半分は重油の部分である。重油中での超音波の減衰が大きいため、対面内壁からのエコーが消失し、装置のスレシュホルドに対応する階調となっていた。下半分は水の部分であり、対面内壁からのエコー高さによる画像である。重油のような、高粘性な媒質内では、超音波の減衰が大きいため、水の部分との判別に本手法は有効と考えられた。
(3)斜め入射エコーを利用した水−重油界面の検出方法について
上述した、タンク内の油層を透過したエコーを検出する(2)の方法を用いるためには、予めタンク形状等に関する情報が必要である。しかしながら、沈船などでは得られる情報に限りがあるので、正確な界面検出を行うことが困難と考えられる。
そこで、以下、斜め入射エコーを利用した方法について説明する。この方法は、予めタンク形状等の情報がない場合にも、良好に水−重油界面を検出し得る方法である。また、従来の垂直入射方では判別しにくかった水−重油界面を、水と重油の粘性の差を利用して検出しようとするものである。すなわち、斜め入射における、反射率及び屈折率の計算に重油の粘性効果を導入し、反射率及び屈折率の計算に現れる粘性の影響を考慮して、水−重油界面の検出に役立てるものである。
図7は、タンク壁5を横方向に切った横断面図であり、図の上側がタンク10の外側(図1参照)であり、下側がタンク10の内側である。同図の例では、タンク内部は重油層となっている。
図7に示すように、この方法で用いられる界面検出装置(全体は図4の構成とほぼ同じ)は、一対の探触子20A及び20Bを備えている。
探触子20Aは超音波発信用のものであり、探触子20Bはエコー受信用のものである。両探触子20A、20Bは互いに離れて配置されている。発信用探触子20Aは、タンク壁面5に対して0°〜約27°の角度で超音波を照射する(詳細後述)。
図8は、2つの媒質の界面に超音波が入射した際の反射の態様を示す図である。
同図に示すように、超音波が界面Bに入射すると、縦波及び横波の反射波と、縦波及び横波の屈折波とが生じる。この現象を「モード変換」と称する。入射角と屈折角及び反射角は、スネル法則で関係付けられている。
ここで、粘性効果を考慮した斜め入射による反射率及び屈折率の計算について簡単に述べる。
角周波数ωを有する微小振動振幅を仮定すると、粘性流体中の二次元応力は次式で表される。ここで、κ、μは、それぞれ体積弾性率と粘性係数である。cvc、cvsはそれぞれ、縦波及び横波の音速に相当するが、虚数を含むため、波動は減衰振幅の形式である。従って、粘性率を有する媒質中では、粘性に基づく減衰効果が縦波及び横波に存在することが分かる。
次に、固体材料における応力は、(5)式におけるcvc、cvsを、固体中の縦波及び横波の音速c、cに置き換えることにより得られる((下記(8)、(9)式参照)。図8に示した横波反射波及び縦波反射波を、変位ポテンシャルφIc、φIsで表す(下記(10)、(11)式参照)。また、横波反射波と縦波反射波による変位は、変位ポテンシャルの定義から、下記(12)、(13)式で計算される。応力は(5)式に(12)、(13)式を代入して計算する。
入射波及び屈折波も同様に変位ポテンシャルで表し、これらを用いて、界面(Z=0)での応力(x方向軸力、zx方向剪断力)、変位(x方向、z方向)の媒質1、2における計算式を求め、これらを連続とした条件を解いて、反射波及び屈折波の変位振幅を計算する。以上の計算を入射角の関数として実施し、反射率及び屈折率の入射角依存性が求められる。
次に、斜め入射における超音波の伝播経路について検討する。
固体中の境界では、縦波から横波、及び、横波から縦波のモード変換現象が生じる。そのため、送信側探触子20Aから受信側探触子20B(図7参照)に到る超音波の伝搬経路は、タンク壁内におけるモード変換によって多様な種類が存在することとなる。
図9は、比較的単純な経路の例を幾つか示している。図中、「w」は水中(探触子からタンク壁外側表面までを指す)における伝搬を、「s」及び「c」はそれぞれタンク壁内での横波及び縦波の伝搬を示す。「s」及び「c」の前に付された数字は、板厚分の経路数を表している。
図9(B)、(E)に示すように、「w−s−c−w」や「w−3s−c−w」などには複数の経路かあり、検出信号はこれらを加算した結果となる。
入射角は径路毎に異なっており、送受信探触子20Aの設定方向と一致した経路の超音波が大きな信号で受信される。また、TOF(伝搬時間)も経路毎に異なるので、目的とするエコー高さをゲート回路で抽出し、C−スコープ画像を作成し、重油−水界面検出を行う。なお、エコーの検出は、(1)、(2)の方法と同じく、探触子をタンク外面に沿って上下にスキャンさせながら行った。
前述した方法により、水から鋼、鋼から重油、鋼から水における屈折透過率及び反射率を計算し、このデータを用いて、各伝搬経路におけるエコー高さを入射角の関数として計算した。この結果を図10に示す。なお、超音波の周波数は5MHzとした。
横波の臨界角は約27°であるので、0°〜27°が鋼内に超音波(横波)が伝搬可能な範囲となる。縦波の臨界角(α=約14°)を超えた範囲では、横波のみが存在することとなるので、横波経路のエコーが大きい。
0°〜縦波臨界角α(約14°)の範囲では、縦波と横波との双方がタンク壁5内に入射するが、α〜27°の範囲では横波のみがタンク壁5内に入射する。入射角が0°の場合が垂直入射に相当する。前述した通り、垂直入射では水−重油界面の検出が困難である。水−重油界面を検出するための入射角の下限としては、縦波臨界角αの1/3又は1/2の角度以上であることが好ましい。一方、入射角の上限としては(後述する実験結果も参照)、縦波臨界角α程度であることが好ましい。
「w−s−c−w」経路は、透過率が計算誤差の範囲でゼロであった。これは、鋼内を横波−縦波で伝搬する超音波の位相と、縦波−横波で伝搬する超音波の位相とが180°異なるため、互いに打ち消しあってゼロになったと考えられた。
次に、重油の粘性が超音波の透過率に及ぼす影響について検討する。
図10は、タンク内部が重油である場合の各経路(図9(A)〜(E)参照)のエコー高さを示したものである。これに対して、図11は、タンク内部が水である場合のエコー高さを計算して基準値とし、重油の値から基準値を差し引き、更に両者の平均値で割算して、重油の粘性によるエコー高さの変化を調べた結果を示す。なお、重油の粘度の効果を明らかにするため、重油の密度と音速は水と同一に設定した。
図11に示されているように、経路に縦波が多く含まれる場合、粘度によってエコー高さが増加することが分かった。一方、横波が多く含まれる場合には、粘度によってエコー高さが低下することが分かった。粘度の影響は、縦波の臨界角付近(14〜15°)で最大になることも分った。
また、「w−s−c−w」(図9(B)参照)の場合のエコー高さの変化は、計算誤差の範囲でゼロであった。これは、タンク壁内を横波から縦波で伝播する経路の透過波エコー高さ変化と、縦波から横波で伝播する経路の透過波エコー高さ変化とが互いに逆であるため、両者が打ち消しあって振幅変化がゼロになるためと考えられる。
続いて、超音波の周波数の影響を、「w−2s−w」(図9(A)参照)と「w−2c−w」(図9(C)参照)の場合について、図12に示す。縦軸は、図11と同様、水を基準とした場合の変化率である。
図12に示されているように、周波数が大きいほど粘性によるエコー高さの変化が大きいこと、及び、エコー高さの変化が縦波の臨界角付近で最も大きくなることが分かった。
また、縦波臨界角以上の領域における横波には粘性の影響が少ないことが分かった。
図13は、図12における入射角8°のエコー高さ変化率を周波数の関数としてプロットしたものである。同図より、周波数が高いほど、粘性の影響によるエコー高さ変化が大きく、水−重油界面検出に有利であることが分かった。また、タンク壁内における超音波としては、縦波や縦波と横波が混在した経路に比べ、横波のみで伝搬する経路の超音波エコーに、粘性の影響が大きく出ることが分かった。
次に、斜め入射による水−重油界面の検出例について説明する。
水及び重油を満たしたSUS304製タンク(壁厚さ10mm)に対し、水浸法にて、2つの探触子20A及び20Bの間隔=53.9mm(図7参照)、タンク壁−探触子20A、20Bの間隔=6mm、探触子20Aからの入射角=15.2°とした。TOF=29.6usのエコー高さで作成したC−スコープ像を図14に示す。図15は、図14の水−重油界面検出実験に利用したエコーを示す波形図である。
利用した29.6usのエコーは、ほぼw−4s−wに相当するものであり、これによって水−重油界面が検出可能であった。周波数は5MHzである。カラースケールから、水の部分より重油の部分のエコー高さが低いことが分かり、計算で求めたエコー高さ変化と定性的に一致する傾向を示した。
以上説明したように、本発明に係るの水−油界面の検出方法によれば、タンク壁面に対して超音波を斜めに入射させ、タンク壁(手前側)と水との界面及び同タンク壁と油との界面から反射したエコー波を検出し、C−スコープで画像化することにより、従来、垂直入射では困難であった水−重油界面の検出が可能となる。特には、水と重油との粘性の違いに着目し、粘性の違いが超音波の反射率及び透過率に及ぼす影響を考慮することにより、より効果的な水−重油界面の検出が可能となる。
実験では、一例として、タンク壁内の経路がw−4s−wとなるエコーの場合に界面の検出が良好に行われることが確認された。また、周波数が高いほど、粘性の影響によるエコー高さの変化が大きく、水−重油界面の検出に有利であることが確認された。
探触子及びタンクの構成を模式的に示す斜視図である。 図2(A)は、図1のタンク壁面の一部を示す縦断面図であり、図2(B)は、垂直入射による検出方法を説明するための波形図である。 探触子からの超音波がタンク壁で反射する様子を模式的に示す縦断面図である。 データ解析装置の構成を模式的に示す斜視図である。 垂直入射による、手前側のタンク壁内面からのエコーを調べる方法で界面を検出した際のC−スコープ画像である。 垂直入射による、奥側のタンク壁からのエコーを調べる方法で界面を検出した際のC−スコープ画像である。 斜め入射エコーを利用した水−重油界面の検出方法で用いられる探触子の構成を示す横断面図である。 2つの媒質の界面に超音波が入射した際の反射の態様を示す図である。 タンク壁内における超音波径路の幾つかの例を示す図である。 タンク内部が重油である場合のエコー高さを計算した結果を示すグラフである。 タンク内部が水である場合のエコー高さを計算して基準値とし、重油の値から基準値を差し引き、更に両者の平均値で割算して、重油の粘性によるエコー高さの変化を調べた結果を示すグラフである。 超音波の周波数の大きさがエコー高さに及ぼす影響を示すグラフである。 入射角が8°のときのエコー高さ変化率を周波数の関数としてプロットしたグラフである。 斜め入射による水−重油界面の検出例を示すC−スコープ画像である。 A−スコープのエコー波形を示す図である。
符号の説明
2・・・水、3・・・油、4・・・空気、5、6・・・タンク壁、10・・・タンク、20、20A、20B・・・探触子

Claims (6)

  1. 水及び油が貯留されたタンクの外側から超音波を照射し、同タンクのタンク壁と前記液体との界面で反射したエコーを調べることによって水−油界面を検出する方法であって、
    発信側探触子から前記タンク壁に対して超音波を斜めに照射すると共に、前記タンク壁と前記液体との界面で反射したエコーを受信側探触子で検出し、エコー強度の変化により水と油との界面を検出することを特徴とする、タンク内の水−油界面の検出方法。
  2. エコーを前記受信側探触子で検出する工程を、前記タンクの上下方向に沿って複数回行うことを特徴とする、請求項1に記載のタンク内の水−油界面の検出方法。
  3. 前記超音波の縦波の前記タンク壁に対する入射臨界角がα°であるときに、前記タンク壁に対する超音波の入射角が、α/3〜α°であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のタンク内の水−油界面の検出方法。
  4. 前記エコーを検出する工程は、前記タンク壁内を横波のみで伝播する経路のエコーを検出することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のタンク内の水−油界面の検出方法。
  5. 前記エコーは、前記タンク壁内を横波で伝播し、前記タンク壁と前記液体との前記界面で2度反射したエコーであることを特徴とする、請求項4に記載のタンク内の水−油界面の検出方法。
  6. 前記タンク壁と油との界面からのエコー強度が前記タンク壁と水との界面からのエコー強度よりも低く、
    これら両エコー強度の差に基づいて水と油との界面を検出することを特徴とする、請求項4又は5に記載のタンク内の水−油界面の検出方法。
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