JP2008089337A - 金属部品の欠陥検査方法及び欠陥検査装置 - Google Patents

金属部品の欠陥検査方法及び欠陥検査装置 Download PDF

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政宏 春永
Juntaro Sawara
淳太郎 佐原
Kinji Yugawa
謹次 湯川
Hidekazu Takahashi
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Abstract

【課題】水等の液体を用いること無く、金属部品の表面及び内部に存在する欠陥を検査することが可能な金属部品の欠陥検査方法及び欠陥検査装置を提供する。
【解決手段】励磁手段22から交流電流ACを供給された励磁コイル4によって、テーブル2の上面に載置されたトロイダル型無段変速機部品18に交流磁界を付与してトロイダル型無段変速機部品18の周辺に磁場が発生させた後に、この磁場内に配置された検出コイル6に発生したインダクタンスの変化に基づいて、トロイダル型無段変速機部品18の表面及び内部に存在する欠陥の大きさを計算して、トロイダル型無段変速機部品18の表面及び内部に存在する欠陥を検査する。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属部品、例えば、自動車等の車両用の変速装置として用いられるトロイダル形無段変速装置を構成するトロイダル型無段変速機部品の欠陥を、非破壊検査によって、製造ライン中または製造ライン外で検査する欠陥検査方法及び欠陥検査装置に関する。
従来から、自動車等の車両用の変速装置として、例えば、変速時に段階的、断続的にトルクが変化することがない無段変速装置が用いられている。この無段変速装置は、変速時等に振動が生じないため、複数の歯車間の噛み合せを変更することにより、入力軸から出力軸ヘトルクを伝達する歯車式有段変速装置を用いた車両と比較して、車両の乗り心地を向上させることが可能となっている。また、歯車式有段変速装置と比較して、動力伝達時の損失が少ないため、車両に用いられた際の燃費も優れている。
このような無段変速装置としては、例えば、ベルト式無段変速装置とトロイダル形無段変速装置が提案されている。
トロイダル形無段変速装置は、入力軸と連動して回転する入力ディスクと、出力軸と連動して回転する出力ディスクと、入力ディスク及び出力ディスクに転接するパワーローラ軸受と、入力軸の回転力を入力ディスクに伝達するカムディスクと、入力ディスク及び出力ディスクの内の少なくとも一方を、両者が互いに接近する方向に押圧する押圧機構とを備えている。
このような構成のトロイダル形無段変速装置は、ベルト式無段変速装置と比較して、高いトルクを伝達することが可能であるため、例えば、大排気量のエンジンを備える中・大型車両用の無段変速装置として有効と考えられている。
しかしながら、このトロイダル形無段変速装置は、より高いトルクの伝達が必要とされる条件下で用いられることが多く、その使用環境においては、高荷重、高面圧が加わる可能性が高い。このため、トロイダル型無段変速機を構成するトロイダル型無段変速機部品、すなわち、入出力ディスク、パワーローラ軸受及びカムディスクが、一般的な歯車及び軸受等、通常の繰り返し応力が加わる機械部品と比較して、非常に大きな繰り返し曲げ応力および繰り返しせん断応力を受けるおそれがある。したがって、これらのトロイダル型無段変速機部品は、従来の一般的な機械部品よりも、一層耐久性の高い鋼材から製造する必要がある。
また、これらのトロイダル型無段変速機部品に損傷等が生じると、車両の挙動に多大な影響を与える。このため、トロイダル型無段変速機部品は最重要保安部品と位置付けられており、割損及び短時間での剥離を防止するために、組立前の工程で欠陥の検査を行っている。
一般に、トロイダル型無段変速機部品に適する高強度を必要とする鋼材の主な欠陥は、非金属の酸化物系介在物であることが知られている。なお、この介在物とは、溶解・鋳造・圧延等の工程を経て製造される際に、これらの工程で鋼材に不可避的に混入する不純物である。
トロイダル型無段変速機部品の表面及び内部に存在する欠陥を検査する欠陥検査方法としては、例えば、特許文献1に示すような、超音波探傷検査によって、欠陥を検査する欠陥検査方法が知られている。
この欠陥検査方法によってトロイダル型無段変速機部品の欠陥を検査する際は、組立前の工程において、トロイダル型無段変速機部品の被検面と、この被検面に対向させた超音波探触子とを、超音波伝達媒体中に浸漬させた後、トロイダル型無段変速機部品と超音波探触子とを相対移動させる。なお、超音波伝達媒体としては、例えば、水等の液体を用いる。
このとき、超音波探触子から超音波伝達媒体を介してトロイダル型無段変速機部品に超音波を伝播させた後、トロイダル型無段変速機部品から反射される超音波エコーを超音波探触子によって検出する。そして、検出した超音波エコーの波形に基づいて、トロイダル型無段変速機部品の表面及び内部に存在する欠陥の検査を行う。
国際公開第02/057656号パンフレット
しかしながら、特許文献1に記載されているトロイダル型無段変速機部品の欠陥検査方法では、超音波伝達媒体として水等の液体を用いる必要があるため、検査後のトロイダル型無段変速機部品を洗浄する工程が必要となる。このため、トロイダル型無段変速機部品の製造コスト及び検査コストが増加するおそれがある。
また、超音波伝達媒体として、特に水を用いた場合は、超音波探触子に防錆剤を塗布する等、超音波探触子の防錆加工が必要となり、トロイダル型無段変速機部品の検査コストが増加するおそれがある。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、超音波伝達媒体を用いること無く、トロイダル型無段変速機部品の表面及び内部に存在する欠陥を検査することが可能な、トロイダル型無段変速機部品の欠陥検査方法及び欠陥検査装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明のうち、請求項1に記載した発明は、金属部品の表面及び内部に存在する欠陥を検査する金属部品の欠陥検査方法であって、
前記金属部品に交流磁界を付与した後に金属部品に発生した起電力の変化を検出し、この検出した前記起電力の変化に基づいて前記欠陥を検査することを特徴とするものである。
本発明によると、金属部品に交流磁界を付与した後に、金属部品に発生した起電力の変化を検出し、この検出した起電力の変化に基づいて、金属部品の表面及び内部に存在する欠陥を検査している。
このため、超音波伝達媒体、すなわち、水等の液体を用いること無く、金属部品の表面及び内部に存在する欠陥を検査することが可能となり、金属部品を洗浄する工程を省略することが可能となる。
次に、請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した発明であって、前記金属部品を、トロイダル型無段変速機を構成するトロイダル型無段変速機部品としたことを特徴とするものである。
本発明によると、表面及び内部に存在する欠陥を検査したトロイダル型無段変速機部品によって、トロイダル型無段変速機を構成することにより、トロイダル型無段変速機の長寿命化が可能となる。
次に、請求項3に記載した発明は、金属部品の表面及び内部に存在する欠陥を検査する金属部品の欠陥検査装置であって、
前記金属部品に交流磁界を付与して金属部品の周辺に磁場を発生させる励磁コイルと、前記磁場内に配置されてインダクタンスが発生する検出コイルと、を有し、
前記励磁コイルに交流電流を供給する励磁手段と、前記検出コイルに発生したインダクタンスを測定する測定手段と、当該測定手段が測定した前記インダクタンスの変化を検出する検出手段と、当該検出手段が検出した前記インダクタンスの変化に基づいて前記欠陥を検査する検査手段と、を備えることを特徴とするものである。
本発明によると、金属部品に交流磁界を付与して金属部品の周辺に磁場を発生させ、この磁場内に配置された検出コイルに発生したインダクタンスの変化に基づいて、金属部品の表面及び内部に存在する欠陥を検査している。
このため、超音波伝達媒体、すなわち、水等の液体を用いること無く、金属部品の表面及び内部に存在する欠陥を検査することが可能となり、検査後の金属部品を洗浄する工程を省略することが可能となる。
次に、請求項4に記載した発明は、請求項3に記載した発明であって、前記励磁コイル及び前記検出コイルと前記金属部品とを相対移動させる相対移動手段を備えたことを特徴とするものである。
本発明によると、励磁コイル及び検出コイルと金属部品とを相対移動させながら、金属部品の表面及び内部に存在する欠陥を効率良く検査することが可能となる。
このため、金属部品が大型の部品であっても、金属部品の検査工程を簡略化させることが可能となるため、金属部品の検査コストを低減させることが可能となる。
次に、請求項5に記載した発明は、請求項3または4に記載した発明であって、前記金属部品を、トロイダル型無段変速機を構成するトロイダル型無段変速機部品としたことを特徴とするものである。
本発明によると、表面及び内部に存在する欠陥を検査したトロイダル型無段変速機部品によって、トロイダル型無段変速機を構成することにより、トロイダル型無段変速機の長寿命化が可能となる。
次に、請求項6に記載した発明は、請求項5に記載した発明であって、前記トロイダル型無段変速機部品を、駆動源により回転駆動される入力軸と連動して回転する入力ディスク及び前記入力軸の回転に基づく動力を取り出す出力軸と連動して回転する出力ディスクのうち少なくとも一方の円板状部材としたことを特徴とするものである。
本発明によると、トロイダル型無段変速機に備えられるトロイダル型無段変速機部品のうち、入力ディスク及び出力ディスクのうち少なくとも一方の表面及び内部に存在する欠陥を、効率よく検査することが可能となる。
その結果、トロイダル型無段変速機の検査コストを低減させることが可能となるとともに、トロイダル型無段変速機の生産効率を向上させることが可能となる。
次に、請求項7に記載した発明は、請求項6に記載した発明であって、前記相対移動手段は、前記円板状部材を中心軸線回りに回転させる回転手段と、前記励磁コイル及び前記検出コイルを前記円板状部材の中心軸線を含む断面において少なくとも中心軸線方向に移動させる移動手段と、を備え、
前記円板状部材の前記励磁コイル及び前記検出コイルと対向する面に沿うように円板状部材と励磁コイル及び検出コイルとを相対移動させることを特徴とするものである。
本発明によると、円板状部材を中心軸線回りに回転させながら、励磁コイル及び検出コイルを円板状部材の中心軸線を含む断面において少なくとも中心軸線方向に進退させ、且つ円板状部材の励磁コイル及び検出コイルと対向する面の形状に沿うように、円板状部材と励磁コイル及び検出コイルとを相対移動させることが可能となる。
このため、円板状部材の表面及び内部に存在する欠陥を効率良く検査することが可能となり、円板状部材の検査工程を簡略化させることが可能となるため、円板状部材の検査コストを低減させることが可能となる。
次に、請求項8に記載した発明は、請求項5に記載した発明であって、前記トロイダル型無段変速機部品を、駆動源により回転駆動される入力軸と連動して回転する入力ディスク及び入力軸の回転に基づく動力を取り出す出力軸と連動して回転する出力ディスクに転接するパワーローラ軸受に備えられるボールとしたことを特徴とするものである。
本発明によると、トロイダル型無段変速機に備えられるトロイダル型無段変速機部品のうち、入力ディスク及び出力ディスクに転接するパワーローラ軸受に備えられるボールの表面及び内部に存在する欠陥を、効率よく検査することが可能となる。
その結果、ボールの検査コストを低減させることが可能となるとともに、トロイダル型無段変速機の生産効率を向上させることが可能となる。
本発明によれば、トロイダル型無段変速機部品に交流磁界を付与した後に生じた起電力の変化に基づいて、トロイダル型無段変速機部品の表面及び内部に存在する欠陥を検査することが可能となる。
その結果、超音波伝達媒体、すなわち、水等の液体を用いること無く、トロイダル型無段変速機部品の表面及び内部に存在する欠陥を検査することが可能となるため、より高い品質管理が可能となるとともに、トロイダル型無段変速機部品の製造コスト及び検査コストを低減させることが可能となる。
次に、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
まず、図1を参照して本実施形態の構成を説明する。
図1は、本実施形態のトロイダル型無段変速機部品の欠陥検査装置(以下、「欠陥検査装置1」と記載する)を示す図である。
図1に示すように、欠陥検査装置1は、テーブル2と、励磁コイル4と、検出コイル6と、相対移動手段8と、位置決め制御装置10と、電磁誘導ユニット12と、コンピュータユニット14と、ディスプレイ16とを備えている。
テーブル2は、トロイダル型無段変速機部品18が上面に載置される台であり、後述するテーブル移動部20に支持されている。
励磁コイル4は、電磁誘導ユニット12に接続されており、後述する励磁手段22から交流電流ACを供給されることにより、テーブル2の上面に載置されたトロイダル型無段変速機部品18に交流磁界を付与する。トロイダル型無段変速機部品18に交流磁界が付与されると、トロイダル型無段変速機部品18の周辺に磁場が発生する。
検出コイル6は、励磁コイル4と一体化されており、トロイダル型無段変速機部品18の周辺に発生した磁場内に配置されてインダクタンスを発生する。
また、励磁コイル4及び検出コイル6は、共に後述するコイル移動部24に支持されている。
相対移動手段8は、テーブル移動部20と、コイル移動部24とを備えている。
テーブル移動部20は、例えば、サーボモータ等によって形成されており、テーブル2を、テーブル2の中心軸回りに回転させる回転手段を形成している。なお、本実施形態では、欠陥の検査対象となるトロイダル型無段変速機部品18を、トロイダル型無段変速機部品18の材料となる棒状鋼とした場合について説明する。
また、テーブル移動部20は、位置決め制御装置10に接続されており、テーブル2が回転すると、テーブル2の位置情報を含む信号を、テーブル位置信号S1として、位置決め制御装置10に出力する機能を有している。なお、テーブル2の位置情報としては、例えば、テーブル2の回転角度を用いる。
コイル移動部24は、例えば、サーボモータ等によって形成されており、励磁コイル4及び検出コイル6を、トロイダル型無段変速機部品18の中心軸線を含む断面において、中心軸方向に移動させる移動手段を形成している。
また、コイル移動部24は、位置決め制御装置10に接続されており、励磁コイル4及び検出コイル6が移動すると、励磁コイル4及び検出コイル6の移動状態を含む信号を、コイル位置信号S2として、位置決め制御装置10に出力する機能を有している。なお、励磁コイル4及び検出コイル6の移動状態としては、例えば、励磁コイル4及び検出コイル6の、トロイダル型無段変速機部品18の中心軸線を含む断面における中心軸方向への移動量を用いる。
したがって、本実施形態の欠陥検査装置1では、テーブル移動部20及びコイル移動部24によって、励磁コイル4及び検出コイル6とトロイダル型無段変速機部品18とを相対移動させる相対移動手段8が構成されている。
位置決め制御装置10は、テーブル移動部20から出力されたテーブル位置信号S1と、コイル移動部24から出力されたコイル位置信号S2とを受信すると、これらの信号に基づいて、励磁コイル4及び検出コイル6とトロイダル型無段変速機部品18との相対的な位置関係を示す検査位置信号S3を演算する。そして、この演算した位置関係を含む信号を、検査位置信号S3として、コンピュータユニット14へ出力する機能を有している。
電磁誘導ユニット12は、励磁手段22と、測定手段26と、増幅手段28とを備えている。
励磁手段22は、励磁コイル4に接続されており、励磁コイル4に交流電流ACを供給する機能を有している。また、励磁手段22は、励磁コイル4に交流電流ACを供給する際の、励磁電圧及び発振周波数を調整可能となっている。本実施形態では、一例として、励磁電圧の調整範囲を1[mV]〜1000[mV]の範囲内とし、発振周波数の調整範囲を1[kHz]〜1[MHz]の範囲内とした場合を説明する。
測定手段26は、検出コイル6に接続されており、検出コイル6に発生したインダクタンスを測定し、この測定したインダクタンスを含む信号を、インダクタンス測定信号S4として増幅手段28へ出力する機能を有している。
増幅手段28は、測定手段26に接続されており、測定手段26から出力されたインダクタンス測定信号S4を増幅し、この増幅したインダクタンスを含む信号を、インダクタンス増幅信号S5としてコンピュータユニット14へ出力する機能を有している。
コンピュータユニット14は、A/D変換器30と、検査手段32と、ディスプレイドライバ34とを備えている。
A/D変換器30は、増幅手段28から出力されたインダクタンス増幅信号S5を、ディジタルデータに変換し、この変換したディジタルデータを含む信号を、インダクタンスディジタル信号S6として、検査手段32へ出力する機能を有している。また、A/D変換器30は、位置決め制御装置10から出力された検査位置信号S3を、ディジタルデータに変換し、この変換したディジタルデータを含む信号を、検査位置ディジタル信号S7として、検査手段32へ出力する機能を有している。
検査手段32は、記憶装置36と、CPU38とを備えている。
記憶装置36には、欠陥検査ソフトウェアが記憶されている。
欠陥検査ソフトウェアは、励磁コイル4及び検出コイル6とトロイダル型無段変速機部品18との相対的な位置関係の情報と、トロイダル型無段変速機部品18に生じた起電力の変化を示す値の大きさから、トロイダル型無段変速機部品18の表面及び内部に存在する空間的な介在物を検出し、その大きさを計算するプログラムである。
また、欠陥検査ソフトウェアは、人工的に形成した欠陥を有する鋼材や、予め超音波探傷検査によって内部欠陥が検出されている試料等を用いて較正されている。
CPU38は、励磁コイル4及び検出コイル6とトロイダル型無段変速機部品18との相対的な位置関係の情報と、検出コイル6に発生したインダクタンスの情報とを、記憶装置36へ記憶させる機能と、検査位置ディジタル信号S7及びインダクタンスディジタル信号S6に基づいて、欠陥検査ソフトウェアを制御する機能を有している。
具体的には、検査位置ディジタル信号S7及びインダクタンスディジタル信号S6に基づいて、励磁コイル4及び検出コイル6とトロイダル型無段変速機部品18との相対的な位置関係の情報と、検出コイル6に発生したインダクタンスの情報とを、記憶装置36へ連続的に記憶する。
そして、検出コイル6に発生したインダクタンスに変化が生じた際に、欠陥検査ソフトウェアを制御し、検出コイル6に発生したインダクタンスの変化に基づいて、トロイダル型無段変速機部品18の表面及び内部に存在する空間的な介在物、すなわち、欠陥の大きさを計算する。
ここで、検出コイル6に発生したインダクタンスの変化は、トロイダル型無段変速機部品18の周辺に発生した磁場中において発生した磁束が、トロイダル型無段変速機部品18を通過した際に生じる変化を反映している。トロイダル型無段変速機部品18の周辺に発生した磁場中において発生した磁束の変化は、トロイダル型無段変速機部品18の表面及び内部に存在する欠陥によって変化した磁束の変化を反映しており、検出コイル6に発生したインダクタンスの変化量は、トロイダル型無段変速機部品18の表面及び内部に存在する欠陥の大きさを反映している。したがって、検出コイル6に発生したインダクタンスの変化量に基づいて、トロイダル型無段変速機部品18の表面及び内部に存在する欠陥の大きさを計算することが可能となる。
そして、計算された欠陥の大きさの情報を含む信号と、励磁コイル4及び検出コイル6とトロイダル型無段変速機部品18との相対的な位置関係の情報を含む信号とを、ディスプレイドライバ信号S8として、ディスプレイドライバ34へ出力する。
すなわち、CPU38及び欠陥検査ソフトウェアは、測定手段26が測定したインダクタンスの変化を検出する検出手段を構成している。
また、CPU38は、A/D変換器30及びディスプレイドライバ34と記憶装置36との間における、データ転送の管理機能を有している。このデータ転送に用いられるデータ転送方式としては、PIO方式(プログラムI/O方式)を用いる。
ディスプレイドライバ34は、ディスプレイドライバ信号S8に基づいて、計算された欠陥の大きさを示す情報と、励磁コイル4及び検出コイル6とトロイダル型無段変速機部品18との相対的な位置関係の情報とを、互いに対応した形でディスプレイ16の画面上に表示可能に生成する。そして、この生成した情報を含む信号を、ディスプレイ表示信号S9としてディスプレイ16へ出力する機能を有している。
ディスプレイ16は、コンピュータユニット14に接続されており、ディスプレイドライバ34から出力されたディスプレイ表示信号S9に基づいて、計算された欠陥の大きさを示す情報と、励磁コイル4及び検出コイル6とトロイダル型無段変速機部品18との相対的な位置関係の情報とを、互いに対応した形で画面上に表示する機能を有している。
次に、上記の構成を備えた欠陥検査装置1の作用・効果等を説明する。
以下、欠陥検査装置1を用いて、トロイダル型無段変速機部品18の表面及び内部に存在する欠陥の検査手順を説明する。
まず、テーブル2の上面に、トロイダル型無段変速機部品18を載置する。このとき、テーブル2の中心軸とトロイダル型無段変速機部品18の中心点とを、テーブル2の上下方向から見て合致させる。
また、励磁手段22から励磁コイル4に交流電流ACを供給し、トロイダル型無段変速機部品18に交流磁界を付与する。このとき、励磁電圧及び発振周波数を調整して、トロイダル型無段変速機部品18に対する、欠陥の検査対象位置を設定する。なお、この検査手順では、当初、トロイダル型無段変速機部品18の表面のうち、上面を欠陥の検査対象位置に設定する。トロイダル型無段変速機部品18に交流磁界を付与すると、トロイダル型無段変速機部品18の周辺に磁場が発生する。
次に、テーブル2を回転させてトロイダル型無段変速機部品18を回転させながら、励磁コイル4及び検出コイル6をテーブル2の半径方向に移動させ、励磁コイル4及び検出コイル6とトロイダル型無段変速機部品18とを相対移動させる。励磁コイル4及び検出コイル6とトロイダル型無段変速機部品18とを相対移動させると、トロイダル型無段変速機部品18の励磁コイル4及び検出コイル6と対向する面全体に対して、励磁コイル4及び検出コイル6を沿うように移動させることが可能となる。
このとき、テーブル移動部20は、テーブル2の位置情報を含む信号を、テーブル位置信号S1として位置決め制御装置10に出力する。また、コイル移動部24は、励磁コイル4及び検出コイル6の移動状態を含む信号を、コイル位置信号S2として位置決め制御装置10に出力する。
テーブル移動部20から出力されたテーブル位置信号S1と、コイル移動部24から出力されたコイル位置信号S2とを受信した位置決め制御装置10は、これらの信号に基づいて、検査位置信号S3を演算し、この演算した位置関係を含む信号を、検査位置信号S3として、コンピュータユニット14が備えるA/D変換器30へ出力する。
また、励磁コイル4及び検出コイル6とトロイダル型無段変速機部品18とを相対移動させると、電磁誘導ユニット12が備える測定手段26は、検出コイル6に発生したインダクタンスを測定し、この測定したインダクタンスを含む信号を、インダクタンス測定信号S4として増幅手段28へ出力する。
インダクタンス測定信号S4を受信した増幅手段28は、このインダクタンス測定信号S4を増幅し、この増幅したインダクタンスを含む信号を、インダクタンス増幅信号S5として、コンピュータユニット14が備えるA/D変換器30へ出力する。
インダクタンス増幅信号S5を受信したA/D変換器30は、インダクタンス増幅信号S5をディジタルデータに変換し、この変換したディジタルデータを含む信号を、インダクタンスディジタル信号S6として検査手段32へ出力する。また、検査位置信号S3を受信したA/D変換器30は、検査位置信号S3をディジタルデータに変換し、この変換したディジタルデータを含む信号を、検査位置ディジタル信号S7として検査手段32へ出力する。
検査位置ディジタル信号S7及びインダクタンスディジタル信号S6を受信した検査手段32は、これらの信号に基づいて、CPU38により欠陥検査ソフトウェアを制御及び演算し、トロイダル型無段変速機部品18の表面に存在する欠陥の大きさを計算する。
そして、計算された欠陥の大きさの情報を含む信号と、励磁コイル4及び検出コイル6とトロイダル型無段変速機部品18との相対的な位置関係の情報を含む信号とを、ディスプレイドライバ信号S8として、ディスプレイドライバ34へ出力する。
ディスプレイドライバ信号S8を受信したディスプレイドライバ34は、ディスプレイドライバ信号S8に基づいて、計算された欠陥の大きさを示す情報と、励磁コイル4及び検出コイル6とトロイダル型無段変速機部品18との相対的な位置関係の情報とを、互いに対応した形でディスプレイ16の画面上に表示可能に生成する。そして、この生成した情報を含む信号を、ディスプレイ表示信号S9としてディスプレイ16へ出力する。
ディスプレイ表示信号S9を受信したディスプレイ16は、ディスプレイ表示信号S9に基づいて、計算された欠陥の大きさを示す情報と、励磁コイル4及び検出コイル6とトロイダル型無段変速機部品18との相対的な位置関係の情報とを、互いに対応した形で画面上に表示する。
トロイダル型無段変速機部品18の上面に対する欠陥の検査が終了した後、励磁手段22による励磁電圧及び発振周波数を調整して、欠陥の検査対象位置を、トロイダル型無段変速機部品18の内部に設定する。そして、トロイダル型無段変速機部品18の上面に対する欠陥の検査と同様に、検出コイル6に発生したインダクタンスを測定し、トロイダル型無段変速機部品18の内部に対する欠陥の検査を行う。最終的には、励磁手段22による励磁電圧及び発振周波数を調整して、欠陥の検査対象位置を、トロイダル型無段変速機部品18の下面に設定し、トロイダル型無段変速機部品18の下面に対する欠陥の検査を行う。
トロイダル型無段変速機部品18の表面及び内部に対する欠陥の検査過程において、表面及び内部のうち少なくとも一方に存在する欠陥が検出され、この検出された欠陥、すなわち介在物の最大値が所定の閾値未満である場合、このトロイダル型無段変速機部品18を用いて、トロイダル型無段変速機を製造する。なお、所定の閾値は、例えば、50μmとする。
したがって、本実施形態の欠陥検査装置1であれば、トロイダル型無段変速機部品18に交流磁界を付与した後に生じた起電力の変化に基づいて、トロイダル型無段変速機部品18の表面及び内部に存在する欠陥を検査している。
このため、水等の液体を用いること無く、トロイダル型無段変速機部品18の表面及び内部に存在する欠陥を検査することが可能となり、検査後のトロイダル型無段変速機部品18を洗浄する工程を省略することが可能となる。
その結果、トロイダル型無段変速機部品18に対する高い品質管理が可能となるとともに、トロイダル型無段変速機部品18の製造コスト及び検査コストを低減させることが可能となる。
また、トロイダル型無段変速機部品18に対する励磁コイル4及び検出コイル6の走査ピッチを、従来のような超音波探傷検査による欠陥検査装置と比較して、大きく取ることが可能となる。
以下、その理由を説明する。
超音波探傷検査は、例えば、軸受等に形成されている高圧転動面の寿命に影響を与えるほどの小さい鋼中介在物を検出するためには、高周波を発生する集束型プローブの鋼中のスポット径を、検出したい介在物の大きさ程度まで縮小する必要がある。このため、走査ピッチの大きさは、介在物の大きさ程度の大きさが必要となり、トロイダル型無段変速機部品18の被検査体積及び面積が広いほど、検査に要する時間が長期化する。
これは、超音波探傷検査では超音波のエコーが戻る必要があり、検査の対象範囲が非常に狭い範囲に限定されるためである。これに対し、本実施形態の欠陥検査装置を用いた欠陥検査方法では、磁束の乱れをインダクタンスの変化として検出しているために、検査の対象範囲を、従来よりも広範囲とすることが可能となるためである。
その結果、トロイダル型無段変速機部品18の表面及び内部に存在する欠陥の検査時間を短縮することが可能となり、トロイダル型無段変速機部品18の表面及び内部に存在する欠陥の検査効率を向上させることが可能となる。
また、励磁コイル4に交流電流ACを供給する際の発振周波数を、発振周波数の範囲を1[kHz]〜1[MHz]の範囲内とすることが可能となるため、従来のような超音波探傷検査による欠陥検査装置と比較して、周波数を発生させる回路のコストを低減させることが可能となる。これは、超音波探傷検査では50MHz前後の高周波を発生させる必要があることに対し、本実施形態の欠陥検査装置を用いた欠陥検査方法に必要とされる周波数は、超音波探傷検査と比較して、非常に低い周波数となるためである。
また、本実施形態の欠陥検査装置1であれば、水等の液体を用いること無く、トロイダル型無段変速機部品18の表面及び内部に存在する欠陥を検査することが可能となるため、従来の欠陥検査装置のように、欠陥検査装置の構成部材に防錆加工を行う必要が無い。
このため、従来のような超音波探傷検査による欠陥検査装置と比較して、トロイダル型無段変速機部品18の検査コストを低減させることが可能となる。
さらに、本実施形態の欠陥検査装置1であれば、検出コイル6及び励磁コイル4が一体化されているため、漏れ磁束を低減させることが可能となっているとともに、相互インダクタンスを向上させることが可能となっている。
このため、トロイダル型無段変速機部品18の表面及び内部に存在する欠陥の検査精度を向上させることが可能となっている。
また、本実施形態の欠陥検査装置1を用いてトロイダル型無段変速機部品18の欠陥を検査し、介在物の最大値が所定の閾値未満のトロイダル型無段変速機部品18を用いてトロイダル型無段変速機を製造すれば、長寿命のトロイダル型無段変速機を製造することが可能となる。
また、本実施形態の欠陥検査装置1であれば、トロイダル型無段変速機部品18の表面及び内部に生じる磁束の変化から、トロイダル型無段変速機部品18の表面及び内部に存在する欠陥を検出することが可能である。
このため、トロイダル型無段変速機の製造ラインにおいて従来から用いられている、トロイダル型無段変速機部品18の表面に存在する欠陥を検査する渦流検査装置を、本実施形態の欠陥検査装置1と置き換えることにより、従来のような超音波探傷検査による欠陥検査装置と比較して、トロイダル型無段変速機部品18の検査コストを低減させることが可能となる。
また、本実施形態の欠陥検査装置1であれば、テーブル移動部20及びコイル移動部24によって、励磁コイル4及び検出コイル6とトロイダル型無段変速機部品18とを相対移動させる相対移動手段8が構成されている。
このため、励磁コイル4及び検出コイル6とトロイダル型無段変速機部品18とを相対移動させながら、トロイダル型無段変速機部品18の表面及び内部に存在する欠陥を効率良く検査することが可能となる。
その結果、トロイダル型無段変速機部品18が大型の部品であっても、トロイダル型無段変速機部品18の検査工程を簡略化させることが可能となるため、トロイダル型無段変速機部品18の検査コストを低減させることが可能となる。
なお、本実施形態の欠陥検査装置1では、励磁電圧及び発振周波数を調整して、トロイダル型無段変速機部品18に対する、欠陥の検査対象位置を設定しているが、これに限定されるものではなく、欠陥検査ソフトウェアの演算処理によって、トロイダル型無段変速機部品18に対する、欠陥の検査対象位置を設定してもよい。
また、本実施形態の欠陥検査装置1では、テーブル移動部20及びコイル移動部24によって、励磁コイル4及び検出コイル6とトロイダル型無段変速機部品18とを相対移動させる相対移動手段8を構成したが、相対移動手段8の構成はこれに限定されるものではない。すなわち、テーブル移動部20のみによって、相対移動手段8を構成してもよく、コイル移動部24のみによって、相対移動手段8を構成してもよい。
さらに、本実施形態の欠陥検査装置1では、電磁誘導ユニット12とコンピュータユニット14とを分割しているが、これに限定されるものではなく、電磁誘導ユニット12とコンピュータユニット14とを一体化してもよい。
また、本実施形態の欠陥検査装置1では、A/D変換器30がコンピュータユニット14に備えられている構成としたが、これに限定されるものではなく、A/D変換器30が電磁誘導ユニット12に備えられている構成としてもよい。この場合、A/D変換器30の構成を、インダクタンス増幅信号S5を、ディジタルデータに変換し、この変換したディジタルデータを含む信号を、インダクタンスディジタル信号S6として、コンピュータユニット14へ出力する機能、及び位置決め制御装置10から出力された検査位置信号S3を、ディジタルデータに変換し、この変換したディジタルデータを含む信号を、検査位置ディジタル信号S7として、コンピュータユニット14へ出力する機能を有する構成とする。
また、本実施形態の欠陥検査装置1では、励磁コイル4及び検出コイル6とトロイダル型無段変速機部品18とを相対移動させる相対移動手段8を備えた構成としたが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、欠陥の検査対象となるトロイダル型無段変速機部品18が小さい部品であり、トロイダル型無段変速機部品18の周辺に発生した磁場中に、励磁コイル4及び検出コイル6とトロイダル型無段変速機部品18が配置される場合等は、欠陥検査装置1を、励磁コイル4及び検出コイル6とトロイダル型無段変速機部品18とを相対移動させる相対移動手段8を備えていない構成としてもよい。
また、本実施形態の欠陥検査装置1では、コイル移動部24を、励磁コイル4及び検出コイル6をトロイダル型無段変速機部品18の中心軸線を含む断面において、中心軸方向に移動させる移動手段によって形成したが、これに限定されるものではない。すなわち、コイル移動部24を、励磁コイル4及び検出コイル6をトロイダル型無段変速機部品18の中心軸線を含む断面において、中心軸方向に移動させるとともに、テーブル2の半径方向に移動可能な移動手段によって形成してもよい。
また、本実施形態の欠陥検査装置1では、A/D変換器30及びディスプレイドライバ34と記憶装置36との間における、データ転送に用いられるデータ転送方式として、PIO方式を用いたが、これに限定されるものではなく、DMA方式(Direct Memory Access方式)を用いてもよい。
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
図2は、本実施形態の欠陥検査装置1の構成を示す図である。
図2に示すように、本実施形態の欠陥検査装置1の構成は、トロイダル型無段変速機部品の構成を除き、上述した第一実施形態と同様の構成となっている。なお、図2中では、相対移動手段、位置決め制御装置、電磁誘導ユニット、コンピュータユニット及びディスプレイの図示を省略している。
本実施形態では、欠陥の検査対象となるトロイダル型無段変速機部品を、完成品の入力ディスクD、すなわち、成形された後に熱処理及び研磨加工された入力ディスクDとした場合について説明する。
入力ディスクDは、駆動源により回転駆動される入力軸と連動して回転する円板状部材であり、一方の平面に、外周部付近から中心軸側へ向かうにつれて傾斜して突出する突出部Daを有している。
その他の構成は、上述した第一実施形態と同様である。
次に、上記の構成を備えた欠陥検査装置1の作用・効果等を説明する。
以下、欠陥検査装置1を用いて、入力ディスクDの表面及び内部に存在する欠陥の検査手順を説明する。なお、上述した第一実施形態と同様の手順については、説明を省略する。
まず、テーブル2の上面に完成品の入力ディスクDを載置する。このとき、テーブル2の中心軸と入力ディスクDの中心軸とを、テーブル2の上下方向から見て合致させる。
次に、励磁手段から励磁コイル4に交流電流を供給し、入力ディスクDに交流磁界を付与する。このとき、励磁電圧及び発振周波数を調整して、入力ディスクDに対する、欠陥の検査対象位置を、入力ディスクDの表面のうち、上面を欠陥の検査対象位置に設定する。入力ディスクDに交流磁界を付与すると、入力ディスクDの周辺に磁場が発生する。
入力ディスクDに交流磁界を付与した後、テーブル2を回転させて入力ディスクDを回転させながら、励磁コイル4及び検出コイル6をテーブル2の半径方向及び中心軸方向に移動させて、励磁コイル4及び検出コイル6と入力ディスクDとを相対移動させる。励磁コイル4及び検出コイル6と入力ディスクDとを相対移動させると、入力ディスクDの励磁コイル4及び検出コイル6と対向する面全体に対して、励磁コイル4及び検出コイル6を沿うように移動させることが可能となる。
入力ディスクDの上面に対する欠陥の検査が終了した後、励磁手段による励磁電圧及び発振周波数を調整して、欠陥の検査対象位置を、入力ディスクDの内部に設定する。そして、入力ディスクDの上面に対する欠陥の検査と同様に、検出コイル6に発生したインダクタンスを測定し、入力ディスクDの内部に対する欠陥の検査を行う。最終的には、励磁手段による励磁電圧及び発振周波数を調整して、欠陥の検査対象位置を、入力ディスクDの下面に設定し、入力ディスクDの下面に対する欠陥の検査を行う。
そして、入力ディスクDの表面及び内部に対する欠陥の検査過程において、表面及び内部のうち少なくとも一方に存在する欠陥が検出され、この検出された欠陥、すなわち介在物の所定の閾値を超えている場合、この入力ディスクDをトロイダル型無段変速機の構成部品から除外する。
したがって、本実施形態の欠陥検査装置1であれば、完成品の入力ディスクDに交流磁界を付与した後に生じた起電力の変化に基づいて、完成品の入力ディスクDの表面及び内部に存在する欠陥を検査することが可能となる。
このため、入力ディスクDに対する高い品質管理が可能となるとともに、入力ディスクDの製造コスト及び検査コストを低減させることが可能となる。特に、トロイダル型無段変速機が大量生産される場合において、好適である。
また、本実施形態の欠陥検査装置1であれば、完成品の入力ディスクDに対して短時間で欠陥の検査を行うことが可能となるため、トロイダル型無段変速機の製造効率を向上させることが可能となる。
なお、本実施形態の欠陥検査装置1では、欠陥の検査対象となるトロイダル型無段変速機部品を、完成品の入力ディスクDとしたが、欠陥の検査対象となるトロイダル型無段変速機部品は、これに限定されるものではない。すなわち、欠陥の検査対象となるトロイダル型無段変速機部品を、入力軸の回転に基づく動力を取り出す出力軸と連動して回転する出力ディスクとしてもよい。要は、本実施形態の欠陥検査装置1を用いた欠陥の検査手順は、入力ディスク及び出力ディスクのうち少なくとも一方の円板状部材に適用することが好適である。
次に、本発明の第三実施形態について説明する。
図3は、本実施形態の欠陥検査装置1の構成を示す図である。
図3に示すように、本実施形態の欠陥検査装置1の構成は、テーブル2、相対移動手段及びコンピュータユニットの構成を除き、上述した第一実施形態と同様の構成となっている。なお、図3中では、位置決め制御装置及びディスプレイの図示を省略している。
本実施形態では、欠陥の検査対象となるトロイダル型無段変速機部品を、パワーローラ軸受に備えられるボールBとした場合について説明する。パワーローラ軸受は、駆動源により回転駆動される入力軸と連動して回転する入力ディスクと、入力軸の回転に基づく動力を取り出す出力軸と連動して回転する出力ディスクに転接する部材であり、内輪及び外輪と、これらの間に介装される複数のボールBを備えている。
本実施形態のテーブル2は、ボールBの製造ラインに備えられたコンベアによって構成されている。このコンベアは、ボールBの製造機械に連結されており、完成品のボールBを搬送する機能を有している。
励磁コイル4及び検出コイル6は、テーブル2の上方において、搬送されるボールBの欠陥を検出するために最適な位置に固定されている。
したがって、本実施形態の欠陥検査装置1では、テーブル2のみによって、励磁コイル4及び検出コイル6とボールBとを相対移動させる相対移動手段が形成されている。
コンピュータユニットは、A/D変換器と、検査手段と、判定回路40とを備えている。
判定回路40以外の構成については、上述した第一実施形態と同様であるため、図示及び説明を省略する。
判定回路40は、ボールBの製造ラインに接続されており、ボールBの表面及び内部に存在する欠陥が検出され、この検出された欠陥の大きさが所定の閾値を超えているときに、このボールBを欠陥ボールとして処理する。
なお、所定の閾値は、ボールBの内部において、ボールBの表面から最大せん断応力位置の二倍の深さまでに存在する介在物の大きさとし、例えば、ボールBの材料となる鋼材の鋼中酸素量が8ppmである場合に、200μmとする。
その他の構成は、上述した第一実施形態と同様である。
次に、上記の構成を備えた欠陥検査装置1の作用・効果等を説明する。
以下、欠陥検査装置1を用いて、ボールBの表面及び内部に存在する欠陥の検査手順を説明する。なお、上述した第一実施形態と同様の手順については、説明を省略する。
まず、製造機械によって製造され、テーブル2の上面に載置されて搬送される完成品のボールBに交流磁界を付与するとともに、テーブル2を作動させて、励磁コイル4及び検出コイル6とボールBとを相対移動させる。このとき、励磁電圧及び発振周波数を調整して、ボールBに対する、欠陥の検査対象位置を、ボールBの内部において、ボールBの表面から最大せん断応力位置の二倍の深さに設定する。ボールBに交流磁界を付与すると、ボールBの周辺に磁場が発生する。
そして、ボールBの表面及び内部に対する欠陥の検査過程において、表面及び内部のうち少なくとも一方に存在する欠陥が検出され、この検出された欠陥、すなわち介在物の最大値が200μmを超えている場合、判定回路40によって、このボールBを欠陥ボールとして処理する。
したがって、本実施形態の欠陥検査装置1であれば、製造機械によって製造され、テーブル2の上面に載置されて搬送される完成品のボールBの表面及び内部に存在する欠陥を検査することが可能となる。
このため、ボールBに対する高い品質管理が可能となるとともに、ボールBの製造コスト及び検査コストを低減させることが可能となる。これは、ボールBの体積は、その他のトロイダル型無段変速機部品、例えば、入力ディスクや出力ディスク等と比較して小さいため、大きな介在物が混入する可能性が低く、ボールBの材料となる鋼材に対して欠陥の検査を行うよりも、ボールBの製造に係る歩留まりを低下させるおそれがないためである。
また、ボールBの製造ラインにおいて従来から用いられている、ボールBの表面に存在する欠陥を検査する渦流検査装置を、本実施形態の欠陥検査装置1と置き換えることにより、従来のような超音波探傷検査による欠陥検査装置と比較して、ボールBの検査コストを低減させることが可能となる。
また、本実施形態の欠陥検査装置1であれば、完成品のボールBに対して短時間で欠陥の検査を行うことが可能となるため、トロイダル型無段変速機の製造効率を向上させることが可能となる。
さらに、本実施形態の欠陥検査装置1を用いてボールBの欠陥を検査し、介在物の最大値が所定の閾値未満のボールBを用いてトロイダル型無段変速機を製造すれば、長寿命のトロイダル型無段変速機を製造することが可能となる。
なお、上述した第一から第三実施形態の欠陥検査装置1では、欠陥の検査対象を、トロイダル型無段変速機を構成するトロイダル型無段変速機部品としたが、欠陥の検査対象は、これに限定されるものではなく、例えば、ボールねじ装置を構成するボールねじ部品、例えば、ねじ軸等としてもよい。要は、表面及び内部に存在する欠陥を検査する対象が金属部品であれば、本実施形態の欠陥検査装置1を用いて、欠陥の検査を行うことが可能となる。
本発明の第一実施形態のトロイダル型無段変速機部品の欠陥検査装置を示す図である。 本発明の第二実施形態のトロイダル型無段変速機部品の欠陥検査装置を示す図である。 本発明の第三実施形態のトロイダル型無段変速機部品の欠陥検査装置を示す図である。
符号の説明
1 欠陥検査装置
2 テーブル
4 励磁コイル
6 検出コイル
8 相対移動手段
10 位置決め制御装置
12 電磁誘導ユニット
14 コンピュータユニット
16 ディスプレイ
18 トロイダル型無段変速機部品
20 テーブル移動部
22 励磁手段
24 コイル移動部
26 測定手段
28 増幅手段
30 A/D変換器
32 検査手段
34 ディスプレイドライバ
36 記憶装置
38 CPU
40 判定回路
D 入力ディスク
B ボール
AC 交流電流
S1 テーブル位置信号
S2 コイル位置信号
S3 検査位置信号
S4 インダクタンス測定信号
S5 インダクタンス増幅信号
S6 インダクタンスディジタル信号
S7 検査位置ディジタル信号
S8 ディスプレイドライバ信号
S9 ディスプレイ表示信号

Claims (8)

  1. 金属部品の表面及び内部に存在する欠陥を検査する金属部品の欠陥検査方法であって、
    前記金属部品に交流磁界を付与した後に金属部品に発生した起電力の変化を検出し、この検出した前記起電力の変化に基づいて前記欠陥を検査することを特徴とする金属部品の欠陥検査方法。
  2. 前記金属部品を、トロイダル型無段変速機を構成するトロイダル型無段変速機部品としたことを特徴とする請求項1に記載した金属部品の欠陥検査方法。
  3. 金属部品の表面及び内部に存在する欠陥を検査する金属部品の欠陥検査装置であって、
    前記金属部品に交流磁界を付与して金属部品の周辺に磁場を発生させる励磁コイルと、前記磁場内に配置されてインダクタンスが発生する検出コイルと、を有し、
    前記励磁コイルに交流電流を供給する励磁手段と、前記検出コイルに発生したインダクタンスを測定する測定手段と、当該測定手段が測定した前記インダクタンスの変化を検出する検出手段と、当該検出手段が検出した前記インダクタンスの変化に基づいて前記欠陥を検査する検査手段と、を備えることを特徴とする金属部品の欠陥検査装置。
  4. 前記励磁コイル及び前記検出コイルと前記金属部品とを相対移動させる相対移動手段を備えたことを特徴とする請求項3に記載した金属部品の欠陥検査装置。
  5. 前記金属部品を、トロイダル型無段変速機を構成するトロイダル型無段変速機部品としたことを特徴とする請求項3または4に記載した金属部品の欠陥検査装置。
  6. 前記トロイダル型無段変速機部品を、駆動源により回転駆動される入力軸と連動して回転する入力ディスク及び前記入力軸の回転に基づく動力を取り出す出力軸と連動して回転する出力ディスクのうち少なくとも一方の円板状部材としたことを特徴とする請求項5に記載した金属部品の欠陥検査装置。
  7. 前記相対移動手段は、前記円板状部材を中心軸線回りに回転させる回転手段と、前記励磁コイル及び前記検出コイルを前記円板状部材の中心軸線を含む断面において少なくとも中心軸線方向に移動させる移動手段と、を備え、
    前記円板状部材の前記励磁コイル及び前記検出コイルと対向する面に沿うように円板状部材と励磁コイル及び検出コイルとを相対移動させることを特徴とする請求項6に記載した金属部品の欠陥検査装置。
  8. 前記トロイダル型無段変速機部品を、駆動源により回転駆動される入力軸と連動して回転する入力ディスク及び入力軸の回転に基づく動力を取り出す出力軸と連動して回転する出力ディスクに転接するパワーローラ軸受に備えられるボールとしたことを特徴とする請求項5に記載した金属部品の欠陥検査装置。
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