JP2008075199A - 透明紙 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の透明紙に比べて、シート強度、透明性に優れる透明紙を提供する。
【解決手段】植物の柔細胞から得られた繊維を含有する透明紙。柔細胞がサトウダイコン由来であることが好ましい。柔細胞がサトウキビ由来であることが好ましい。植物の柔細胞より得られた繊維が、懸濁安定性が50%以上にフィブリル化されてなることが好ましい。
【選択図】なし
【解決手段】植物の柔細胞から得られた繊維を含有する透明紙。柔細胞がサトウダイコン由来であることが好ましい。柔細胞がサトウキビ由来であることが好ましい。植物の柔細胞より得られた繊維が、懸濁安定性が50%以上にフィブリル化されてなることが好ましい。
【選択図】なし
Description
本発明は、透明度、シート強度に優れた透明紙に関する。
透明紙は、トレーシングペーパー、食品包装、薬剤の包装、板紙と貼り合わせた経木箱、ケーキやチョコレートのカップ、窓付封筒等に使用されている。環境保護という観点から、透明フィルムの代わりに透明紙が使用されることが多くなっている。
透明紙を製造する場合、透明紙に内在する空気とセルロースの界面を減少させて、透明度を高めている。例えば、パルプを高度に粘状叩解して抄造し、一般紙よりも多目の水分をもたせて、強スーパーカレンダー処理を行う方法がある(例えば、特許文献1)。しかしながら、パルプの叩解を強度に行うことによって、シート強度が低下する場合がある。まら、叩解を進めることにより工程が煩雑になり、叩解時間や叩解動力が増大するといった製造上の問題もあった。
また、適度に叩解したパルプから抄造したシートに樹脂、油脂、合成透明化剤等を付与して、空気とセルロースの界面を減少させるとともに、空隙を塞ぐ方法が提案されているが、薬品類の浸みだし、臭いなどの製品安全性に関する問題が生じることがある。また、製造上では、カレンダーロールその他の装置が、薬品類で汚染されるなどのトラブルが生じる問題があった(例えば、特許文献2)。
微細繊維化パルプやバクテリアセルロースなどを混抄して、透明度を上げる試みもなされているが、透明度、シート強度が不十分という課題を残している(例えば、特許文献3〜5)。
特開平8−209586号公報
特開2003−306895号公報
特開平8−188980号公報
特開平9−195193号公報
特開平6−250431号公報
本発明は、上記実情を鑑みたものであって、透明度、シート強度に優れた透明紙を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、この課題を解決するために鋭意研究を行った結果、下記発明に至ったものである。すなわち、
(1)少なくとも、植物の柔細胞から得られた繊維とパルプとを含有する透明紙、
(2)植物の柔細胞から得られた繊維の懸濁安定性が50%以上である上記(1)記載の透明紙である。
(1)少なくとも、植物の柔細胞から得られた繊維とパルプとを含有する透明紙、
(2)植物の柔細胞から得られた繊維の懸濁安定性が50%以上である上記(1)記載の透明紙である。
本発明によれば、従来の透明紙に比べて、透明度、シート強度に優れた透明紙が得られる。
本発明における植物の柔細胞から得られる繊維(以下、柔細胞繊維と表記する。)とは、植物の茎や葉、果実等に存在する柔細胞を主体とした部分を、アルカリで処理する等して得られるセルロースを主成分とし、水に不溶な非木材繊維である。柔細胞は、二次壁が発達していない特徴を有する。二次壁よりもセルロースミクロフィブリル同士の結着が弱いと考えられる一次壁を主体とした植物の柔細胞を利用することで、二次壁を主体とした細胞よりも、容易に繊維を得ることができる。また、一次壁は二次壁よりもセルロースミクロフィブリルがまばらで配向が弱いため、強いせん断力を発生する特殊な装置を用いた処理を行わなくても、フィブリル化処理が可能である。柔細胞繊維は非常に微細であるので、透明紙に配合すると透明度が向上し、繊維同士の結着点も増えるので、シート強度も向上する。
本発明において、植物の柔細胞を得るためには、茎の内部柔組織や葉の葉肉、果実等を粉砕するなどすればよいが、工業的には食品加工工場や製糖工場等から排出される、果実からのジュースの搾り粕やサトウダイコン、サトウキビ等からの搾汁粕を用いるのが最適である。例えば、サトウダイコンの搾汁粕を利用する際には、粉砕した根を搾汁し、残さの粕をそのまま利用することができる。サトウキビの搾汁粕を利用する際には、搾り粕であるバガスを適当な大きさに粉砕し、目開き1〜2mmのふるいを通過させることにより柔細胞を多く含む部分を得ることができる。
本発明において、柔細胞から繊維を得るためには木材からパルプを製造する際のパルプ化処理を適用するのが良い。例えば、苛性ソーダ等のアルカリと混合、加熱してリグニンを分解除去するクラフトパルプ化法やソーダパルプ化法を用いることができる。詳細なパルプ化処理条件は、原料の性状や目的とする繊維の性状、収率等を鑑みて適宜決定すればよい。アルカリを洗浄後、必要に応じて漂白処理を行なう。漂白剤として過酸化水素、二酸化塩素、次亜塩素酸ソーダ、酸素、オゾン等を用いることができる。漂白後、洗浄して繊維の懸濁液を得ることができる。
パルプ化処理により得られた繊維は、そのままでも使用可能だが、フィブリル化処理することにより、比表面積が大きくなり、且つ均一性が高くなるため好ましい。フィブリル化処理には、リファイナー、ビーター、ミル、摩砕装置、高速の回転刃によりせん断力を与える回転刃式ホモジナイザー、高速で回転する円筒形の内刃と固定された外刃との間でせん断力を生じる二重円筒式の高速ホモジナイザー、超音波による衝撃で微細化する超音波破砕器、繊維懸濁液に少なくとも3000psiの圧力差を与えて小径のオリフィスを通過させて高速度とし、これを衝突させて急減速することにより繊維にせん断力、切断力を加える高圧ホモジナイザー等を用いることができる。
柔細胞繊維の好ましいフィブリル化の目安は、懸濁安定性が50%以上である。ここで、懸濁安定性が50%以上とは、0.1質量%濃度の繊維懸濁液をメスシリンダーなどに入れて24時間静置したときに、繊維の沈降面より下の懸濁液の体積が全体の体積の50%以上になることである。この懸濁安定性は分散性と解釈することもでき、繊維の分散性が高く、懸濁液がより均一である程、懸濁安定性が高いと言える。この懸濁安定性は繊維の大きさと関係しており、フィブリル化が進行しているもの程その懸濁液の安定性は高い。懸濁安定性が50%未満では、紙層中での分布状態にむらができやすく、均一な透明度が得られないばかりか、フィブリル相互の水素結合形成が弱く、十分なシート強度が得られない場合がある。
懸濁安定性を50%以上にするには、リファイナー、ビーター、ミル、摩砕装置、回転刃式ホモジナイザー、高速ホモジナイザー、高圧ホモジナイザーなどを用いて処理条件を適正化することにより達成できる。
本発明の目的は、透明度、シート強度に優れた透明紙に関するものである。本発明者等が、透明度、シート強度に優れた素材を調査した結果、透明紙の構成成分として、柔細胞繊維を用いることが有効な手段であることが判明した。この柔細胞繊維は、太さ0.1μm以下の微細なセルロース繊維を主体とし、繊維が微細である上に、繊維同士が強固に水素結合するために、シート強度に優れ、また、透明度を向上させることが判明した。また、柔細胞繊維のフィブリル化を進行させて懸濁安定性を上げることで、繊維同士の水素結合が促進され、より透明性、シート強度が向上することが判明した。さらに、この柔細胞繊維は、果実の搾り粕やサトウダイコン、サトウキビ等からの搾汁粕を原料としているため、植物由来の産業廃棄物、つまりバイオマス資源の有効利用という点でも大変有益である。
本発明の透明紙を製造する際のフィブリル化を進行させた柔細胞繊維の配合量としては、全パルプ量の1〜99質量%の範囲で配合することが可能である。更に望ましくは、25〜99質量%配合することで、透明性・シート強度・透明均一性という点で優れた特性を有した透明紙を提供することが可能である。
本発明の透明紙は、柔細胞繊維以外に、溶剤紡糸セルロース、再生セルロース、天然セルロースを含有させることができる。これらのセルロースはパルプ状又はフィブリル状が好ましい。
本発明における透明紙は、円網抄紙機、長網抄紙機、短網抄紙機、傾斜型抄紙機、これらの中から同種または異種の抄紙機を組み合わせてなるコンビネーション抄紙機などを用いて抄紙する方法によって製造することができる。原料スラリーの調製には、繊維原料、必要に応じて分散剤、増粘剤、紙力増強剤、サイズ剤、消泡剤などを適宜添加し、5質量%〜0.001質量%程度の固形分濃度に調整する。この原料スラリーをさらに所定濃度に希釈して抄紙する。抄紙して得た透明紙は必要に応じて、カレンダー処理、塗工、熱処理などが施される。
本発明の透明紙は、不透明度10%以下の紙をいう。また、坪量は20〜150g/m2が好ましく、より好ましくは30〜130g/m2である。透明紙の用途に応じて、不透明度及び坪量を適宜選択することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
<柔細胞繊維1>
サトウダイコンの搾り粕からなる市販のビートパルプを10L容のオートクレーブに投入した。液比4、有効アルカリ添加率(対柔細胞)12%となるように水酸化ナトリウムを混合し、保持温度120℃、保持時間30分の条件で処理した。ろ過による洗浄後、試料濃度8%とし、試料に対して有効塩素濃度2%となるように次亜塩素酸ナトリウムを加えて攪拌し、室温で8時間漂白した後、ろ過により洗浄した。これによりサトウダイコン柔細胞由来の柔細胞繊維が得られた。これを0.1質量%に調整して100mL容のメスシリンダーに入れて静置し、24時間後の沈降体積を測定した結果、懸濁安定性は15%であった。以下、これを柔細胞繊維1又はJ1と表記する。
サトウダイコンの搾り粕からなる市販のビートパルプを10L容のオートクレーブに投入した。液比4、有効アルカリ添加率(対柔細胞)12%となるように水酸化ナトリウムを混合し、保持温度120℃、保持時間30分の条件で処理した。ろ過による洗浄後、試料濃度8%とし、試料に対して有効塩素濃度2%となるように次亜塩素酸ナトリウムを加えて攪拌し、室温で8時間漂白した後、ろ過により洗浄した。これによりサトウダイコン柔細胞由来の柔細胞繊維が得られた。これを0.1質量%に調整して100mL容のメスシリンダーに入れて静置し、24時間後の沈降体積を測定した結果、懸濁安定性は15%であった。以下、これを柔細胞繊維1又はJ1と表記する。
<柔細胞繊維2>
サトウキビの搾り粕からなるバガスを粉砕し、目開き1mmのふるいにかけて、ふるいを通過した分を収集した。これを<柔細胞繊維1>の製法と同様にして漂白と洗浄し、サトウキビ柔細胞由来の柔細胞繊維を得た。これを0.1質量%に調整して100mL容のメスシリンダーに入れて静置し、24時間後の沈降体積を測定した結果、懸濁安定性は11%であった。以下、これを柔細胞繊維2又はJ2と表記する。
サトウキビの搾り粕からなるバガスを粉砕し、目開き1mmのふるいにかけて、ふるいを通過した分を収集した。これを<柔細胞繊維1>の製法と同様にして漂白と洗浄し、サトウキビ柔細胞由来の柔細胞繊維を得た。これを0.1質量%に調整して100mL容のメスシリンダーに入れて静置し、24時間後の沈降体積を測定した結果、懸濁安定性は11%であった。以下、これを柔細胞繊維2又はJ2と表記する。
<柔細胞繊維3>
柔細胞繊維1を1質量%の懸濁液とし、回転刃式ホモジナイザー(オステライザー、オステライザー社製)を用いて、1Lの懸濁液を10000rpmで1分間処理して、フィブリル化柔細胞繊維を作製した。これを0.1質量%に調整して100mL容のメスシリンダーに入れて静置し、24時間後の沈降体積を測定した結果、懸濁安定性は46%であった。以下、これを柔細胞繊維3又はJ3と表記する。
柔細胞繊維1を1質量%の懸濁液とし、回転刃式ホモジナイザー(オステライザー、オステライザー社製)を用いて、1Lの懸濁液を10000rpmで1分間処理して、フィブリル化柔細胞繊維を作製した。これを0.1質量%に調整して100mL容のメスシリンダーに入れて静置し、24時間後の沈降体積を測定した結果、懸濁安定性は46%であった。以下、これを柔細胞繊維3又はJ3と表記する。
<柔細胞繊維4>
柔細胞繊維1を1質量%の懸濁液とし、回転刃式ホモジナイザー(オステライザー、オステライザー社製)を用いて、1Lの懸濁液を15700rpmで1分間処理した。次いで、高圧ホモジナイザー(ニロ・ソアビ社製)を用いて、1Lの懸濁液を50MPaの圧力で45秒間循環処理してフィブリル化柔細胞繊維を作製した。これを0.1質量%に調整して100mL容のメスシリンダーに入れて静置し、24時間後の沈降体積を測定した結果、懸濁安定性は51%であった。以下、これを柔細胞繊維4又はBJ4と表記する。
柔細胞繊維1を1質量%の懸濁液とし、回転刃式ホモジナイザー(オステライザー、オステライザー社製)を用いて、1Lの懸濁液を15700rpmで1分間処理した。次いで、高圧ホモジナイザー(ニロ・ソアビ社製)を用いて、1Lの懸濁液を50MPaの圧力で45秒間循環処理してフィブリル化柔細胞繊維を作製した。これを0.1質量%に調整して100mL容のメスシリンダーに入れて静置し、24時間後の沈降体積を測定した結果、懸濁安定性は51%であった。以下、これを柔細胞繊維4又はBJ4と表記する。
<柔細胞繊維5>
柔細胞繊維1を1質量%の懸濁液とし、回転刃式ホモジナイザー(オステライザー、オステライザー社製)を用いて、1Lの懸濁液を15700rpmで1分間処理した。次いで、高圧ホモジナイザー(ニロ・ソアビ社製)を用いて、1Lの懸濁液を50MPaの圧力で5分間循環処理してフィブリル化柔細胞繊維を作製した。これを0.1質量%に調整して100mL容のメスシリンダーに入れて静置し、24時間後の沈降体積を測定した結果、懸濁安定性は100%であった。以下、これを柔細胞繊維5又はBJ5と表記する。
柔細胞繊維1を1質量%の懸濁液とし、回転刃式ホモジナイザー(オステライザー、オステライザー社製)を用いて、1Lの懸濁液を15700rpmで1分間処理した。次いで、高圧ホモジナイザー(ニロ・ソアビ社製)を用いて、1Lの懸濁液を50MPaの圧力で5分間循環処理してフィブリル化柔細胞繊維を作製した。これを0.1質量%に調整して100mL容のメスシリンダーに入れて静置し、24時間後の沈降体積を測定した結果、懸濁安定性は100%であった。以下、これを柔細胞繊維5又はBJ5と表記する。
<柔細胞繊維6>
柔細胞繊維1を1質量%の懸濁液とし、回転刃式ホモジナイザー(オステライザー、オステライザー社製)を用いて、1Lの懸濁液を15700rpmで1分間処理した。次いで、シングルディスクリファイナーを用いて処理し、フィブリル化柔細胞繊維を作製した。これを0.1質量%に調整して100mL容のメスシリンダーに入れて静置し、24時間後の沈降体積を測定した結果、懸濁安定性は90%であった。以下、これを柔細胞繊維6又はBJ6と表記する。
柔細胞繊維1を1質量%の懸濁液とし、回転刃式ホモジナイザー(オステライザー、オステライザー社製)を用いて、1Lの懸濁液を15700rpmで1分間処理した。次いで、シングルディスクリファイナーを用いて処理し、フィブリル化柔細胞繊維を作製した。これを0.1質量%に調整して100mL容のメスシリンダーに入れて静置し、24時間後の沈降体積を測定した結果、懸濁安定性は90%であった。以下、これを柔細胞繊維6又はBJ6と表記する。
<柔細胞繊維7>
柔細胞繊維2を1質量%の懸濁液とし、回転刃式ホモジナイザー(オステライザー、オステライザー社製)を用いて、1Lの懸濁液を15700rpmで1分間処理した。次いで、高圧ホモジナイザー(ニロ・ソアビ社製)を用いて、1Lの懸濁液を50MPaの圧力で10分間循環処理してフィブリル化柔細胞繊維を作製した。これを0.1質量%に調整して100mL容のメスシリンダーに入れて静置し、24時間後のフィブリル化柔細胞繊維の沈降体積を測定した結果、懸濁安定性は100%であった。以下、これを柔細胞繊維7又はBJ7と表記する。
柔細胞繊維2を1質量%の懸濁液とし、回転刃式ホモジナイザー(オステライザー、オステライザー社製)を用いて、1Lの懸濁液を15700rpmで1分間処理した。次いで、高圧ホモジナイザー(ニロ・ソアビ社製)を用いて、1Lの懸濁液を50MPaの圧力で10分間循環処理してフィブリル化柔細胞繊維を作製した。これを0.1質量%に調整して100mL容のメスシリンダーに入れて静置し、24時間後のフィブリル化柔細胞繊維の沈降体積を測定した結果、懸濁安定性は100%であった。以下、これを柔細胞繊維7又はBJ7と表記する。
<フィブリル化セルロース繊維1>
針葉樹パルプをパルパーで離解した後、ダブルディスクリファイナーで叩解処理し、さらに高圧ホモジナイザー(ニロ・ソアビ社製)を用いて、1Lの懸濁液を50MPaの圧力で20分間循環処理してフィブリル化セルロース繊維を作製した。これを0.1質量%に調整して100mL容のメスシリンダーに入れて静置し、24時間後の沈降体積を測定した結果、懸濁安定性は60%であった。以下、これをフィブリル化セルロース繊維1又はFBC1と表記する。
針葉樹パルプをパルパーで離解した後、ダブルディスクリファイナーで叩解処理し、さらに高圧ホモジナイザー(ニロ・ソアビ社製)を用いて、1Lの懸濁液を50MPaの圧力で20分間循環処理してフィブリル化セルロース繊維を作製した。これを0.1質量%に調整して100mL容のメスシリンダーに入れて静置し、24時間後の沈降体積を測定した結果、懸濁安定性は60%であった。以下、これをフィブリル化セルロース繊維1又はFBC1と表記する。
<フィブリル化セルロース繊維2>
市販のバクテリアセルロース(ナタデココ、フジッコ社製)を水洗した後、1質量%の懸濁液1Lを回転刃式ホモジナイザー(オステライザー、オステライザー社製)を用いて10000rpmで1分間処理してフィブリル化セルロース繊維を作製した。これを0.1質量%に調整して100mL容のメスシリンダーに入れて静置し、24時間後の沈降体積を測定した結果、懸濁安定性は80%であった。以下、これをフィブリル化セルロース繊維2又はFBC2と表記する
市販のバクテリアセルロース(ナタデココ、フジッコ社製)を水洗した後、1質量%の懸濁液1Lを回転刃式ホモジナイザー(オステライザー、オステライザー社製)を用いて10000rpmで1分間処理してフィブリル化セルロース繊維を作製した。これを0.1質量%に調整して100mL容のメスシリンダーに入れて静置し、24時間後の沈降体積を測定した結果、懸濁安定性は80%であった。以下、これをフィブリル化セルロース繊維2又はFBC2と表記する
(実施例1〜11)
針葉樹クラフトパルプ(NBKP)をダブルディスクリファイナーでカナダ標準濾水度50mlCSFまで叩解した。表1に示した配合に従って、濃度1質量%の抄紙用スラリーを調製した。表1のスラリーを用いて、長網抄紙機を用いて抄紙した。必要に応じてスーパーカレンダー処理して厚みを調整し、表3に示した坪量と密度の透明紙を作製した。
針葉樹クラフトパルプ(NBKP)をダブルディスクリファイナーでカナダ標準濾水度50mlCSFまで叩解した。表1に示した配合に従って、濃度1質量%の抄紙用スラリーを調製した。表1のスラリーを用いて、長網抄紙機を用いて抄紙した。必要に応じてスーパーカレンダー処理して厚みを調整し、表3に示した坪量と密度の透明紙を作製した。
(比較例1〜3)
針葉樹クラフトパルプ(NBKP)をダブルディスクリファイナーでカナダ標準濾水度50mlCSFまで叩解した。表2に示した配合に従って、濃度1質量%の抄紙用スラリーを調製した。表2のスラリーを用いて、長網抄紙機を用いて抄紙した。必要に応じてスーパーカレンダー処理して厚みを調整し、表4に示した坪量と密度の透明紙を作製した。
針葉樹クラフトパルプ(NBKP)をダブルディスクリファイナーでカナダ標準濾水度50mlCSFまで叩解した。表2に示した配合に従って、濃度1質量%の抄紙用スラリーを調製した。表2のスラリーを用いて、長網抄紙機を用いて抄紙した。必要に応じてスーパーカレンダー処理して厚みを調整し、表4に示した坪量と密度の透明紙を作製した。
実施例及び比較例の透明紙について、下記の試験方法により測定し、その結果を表3〜4に示した。
<坪量>
透明紙の坪量をJIS P8124に準拠して測定した。
透明紙の坪量をJIS P8124に準拠して測定した。
<密度>
透明紙の密度をJIS P8118に準拠して測定した。
透明紙の密度をJIS P8118に準拠して測定した。
<裂断長>
透明紙の裂断長をJIS P8113に準拠して測定した。
透明紙の裂断長をJIS P8113に準拠して測定した。
<不透明度>
透明紙の不透明度をJIS P8138に準拠して測定した。
透明紙の不透明度をJIS P8138に準拠して測定した。
<凹凸状態>
目視で、透明紙の凹凸を判断し、以下の通り評価した。
◎:凹凸なし
○:小さな凹凸が確認できるが、使用上問題ないレベル。
△:大きな凹凸が確認できるが、使用上問題ないレベル。
×:凹凸がひどく、使用上問題があるレベル。
目視で、透明紙の凹凸を判断し、以下の通り評価した。
◎:凹凸なし
○:小さな凹凸が確認できるが、使用上問題ないレベル。
△:大きな凹凸が確認できるが、使用上問題ないレベル。
×:凹凸がひどく、使用上問題があるレベル。
<透明均一性>
目視で、透明紙のムラの有無を透明均一性として判断し、以下の通り評価した。
◎:目視でムラが確認できないレベル。
○:ほぼ均一である、もしくは多少のムラはあるが、目立たないレベル。
△:ムラがあるが、使用上問題ないレベル。
×:ムラが多く、使用上問題があるレベル。
目視で、透明紙のムラの有無を透明均一性として判断し、以下の通り評価した。
◎:目視でムラが確認できないレベル。
○:ほぼ均一である、もしくは多少のムラはあるが、目立たないレベル。
△:ムラがあるが、使用上問題ないレベル。
×:ムラが多く、使用上問題があるレベル。
表3及び表4に示した通り、実施例1〜11で作製した透明紙は、柔細胞繊維を含有するため、柔細胞繊維を含有しない比較例1で作製した紙と比べて、密度が高く、裂断長、透明度が大きかった。また、例えば実施例1、6〜11を比較すると明らかなように、柔細胞繊維の懸濁安定性が50%以上の場合、裂断長が大きく、透明度、凹凸、透明均一性も優れていることが確認された。
二次壁が発達した針葉樹パルプから得られたフィブリル化セルロース繊維FBC1を用いた比較例2の透明紙は、柔細胞繊維を含有する実施例1〜11の透明紙と比較して、透明度と裂断長が小さかく、柔細胞繊維が二次壁由来のフィブリル化セルロースよりも、透明度およびシート強度を向上させることが確認された。比較例3では、抄紙時にFBC2の脱落が確認され、密度が低くなり、不透明な紙が得られた。
本発明の透明紙の活用例としては、トレーシングペーパー、食品包装、薬剤の包装、板紙と貼り合わせた経木箱、ケーキやチョコレートのカップ、窓付封筒等が挙げられる。
Claims (2)
- 少なくとも、植物の柔細胞から得られた繊維とパルプとを含有する透明紙。
- 植物の柔細胞から得られた繊維の懸濁安定性が50%以上である請求項1記載の透明紙。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015071848A (ja) * | 2013-10-04 | 2015-04-16 | 三菱化学株式会社 | 微細セルロース繊維の製造方法 |
JP2016074991A (ja) * | 2014-10-03 | 2016-05-12 | 日本製紙株式会社 | 着色グラシン紙 |
JP2020165042A (ja) * | 2019-03-29 | 2020-10-08 | 筑波乳業株式会社 | アーモンド薄皮を利用したセルロースナノファイバーの製造方法 |
-
2006
- 2006-09-20 JP JP2006255092A patent/JP2008075199A/ja active Pending
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