以下、本願発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本願発明に係る投写型映像表示装置の一実施形態である液晶プロジェクタを示す斜視図、図2はその上ケースを取り外して示した斜視図である。
図1に示すように、この液晶プロジェクタ1の外郭を成す本体ケース2は、上ケース2aと下ケース2bから成り、上ケース2aを取り外すと図2に示すように内部が現れる。
本体ケース2の前面中央部には、投写レンズ3が露出する投写窓4が形成されている。また、上面中央部には、メンテナンス用の開口5が形成され、このメンテナンス用開口5には開閉可能な蓋体6が設けられている。このメンテナンス用開口5の前側には、上記投写レンズ3を取り外すときに操作する投写レンズ取り外しボタン7が露出し、左側には操作表示部8が設けられている。さらに、右側後部側面には冷却用の通気孔9が形成されている。また、底面前端部の両側端には、高さ調整可能な脚部10,10が設けられている。
本体ケース2の内部には、図2に示すように、前面側から見て右側奥部に光源装置11が配置されると共に、この光源装置11から投写レンズ3に至る光学系12が配置されている。上記光源装置11の近傍には、光源装置11や他の要冷却部を冷却するための冷却用ファン13,13が前記図1に示した通気孔9に面して設けられている
図3は、上記光学系12の構成例を示す図である。なお、光学系12は図3に示したものに限定されるものではなく、各種の光学系に本願発明は適用できる。
図3において、光源装置11からの白色光は、第1インテグレータレンズ14、絞り機構15、第2インテグレータレンズ16、スリット板17、偏光ビームスプリッタ18及びコンデンサレンズ(集光レンズ)19等を経て、第1ダイクロイックミラー20に導かれる。
第1インテグレータレンズ14及び第2インテグレータレンズ16は、複数のセルをマトリクス状に配列して成る耐熱ガラス製のフライアイレンズから構成され、光源装置11から発せられる白色光の照度分布を均一化する機能を有している。また、スリット板17は、アルミニウム薄板から構成され、偏光ビームスプリツタ18に対する不要な入射光を遮断する機能を有し、偏光ビームスプリツタ18は、光のP波及びS波の内、一方の成分波のみを抽出する機能を有している。
偏光ビームスプリッタ18を通過した光は、コンデンサレンズ19を経て、第1ダイクロイックミラー20に至る。第1ダイクロイックミラー20は、光の青色成分のみを反射すると共に、赤色及び緑色成分を通過させる機能を有し、第2ダイクロイックミラー21は、光の緑色成分を反射すると共に、赤色成分を通過させる機能を有している。従って、光源装置11から発せられた白色光は、第1及び第2ダイクロイックミラー20,21によって、青色光,緑色光及び赤色光に分光される。第1ダイクロイックミラー20で反射された青色光はフィールドミラー22によって反射され、第2ダイクロイックミラー21で反射された緑色光はそのまま、第2ダイクロイックミラー21を通過した赤色光はフィールドミラー23,24で反射されて、それぞれ映像生成装置30に導かれることになる。
映像生成装置30は、立方体状の色合成プリズム31の3つの側面にそれぞれ、偏光板32r,32g,33b等を介して赤色用液晶パネル33r、緑色用液晶パネル33g及び青色用液晶パネル33bを取り付けて構成される。3枚の液晶パネル33r,33g,33bの光入射側にはそれぞれ、各液晶パネル33r,33g,33bに対する不要な光の成分波の入射を遮断するための光学補償板34r,34g,34bや偏光板35r,35g,35bが配置されている。
従って、第1ダイクロイックミラー20及びフィールドミラー22によって反射された青色光は、青色用の入射側偏光板35bに導かれ、該入射側偏光板35b、青色用の光学補償板34b、青色用液晶パネル33b及び青色用の出射側偏光板32b等を経て、色合成プリズム31へ至る。また、第2ダイクロイックミラー21によって反射された緑色光は、緑色用の入射側偏光板35gに導かれ、該入射側偏光板35g、緑色用の光学補償板34g、緑色用液晶パネル33g及び緑色用の出射側偏光板32gを経て、色合成プリズム31へ至る。同様に、第1ダイクロイックミラー20及び第2ダイクロイックミラー21を透過し、2枚のフィールドミラー23,24によって反射された赤色光は、赤色用の入射側偏光板35rに導かれ、該入射側偏光板35r、赤色用の光学補償板34r、赤色用液晶パネル33r及び赤色用の出射側偏光板32rを経て、色合成プリズム31へ至る。
色合成プリズム31に導かれた3色の映像光は、色合成プリズム31により合成され、これによって得られるカラー映像光が、投写レンズ3を経て前方のスクリーンへ拡大投写されることになる。
上記色合成プリズム31と各色用液晶パネル33r,33g,33b及び出射側偏光板32r,32g,32b等は一体にユニット化されたプリズム組み立て部品36(図6,図7参照)として着脱可能に構成されており、また、入射側偏光板35r,35g,35b及び光学補償板34r,34g,34bは、個別に着脱可能に構成されている。上記プリズム組み立て部品36、入射側偏光板35r,35g,35b及び光学補償板34r,34g,34bは、図4に示すようにメンテナンス用開口5の蓋体6を開放してメンテナンス可能となっている。
図5は、本実施形態における光源装置11の要部構成及び作用を示す図であり、(a)は前面開口をやや右側から見た斜視図、(b)は縦断面図であり、矢印は冷却空気の流れを示している。
本実施形態の光源装置11は、高圧水銀ランプ等から成る発光管110と、この発光管110を覆うように配置され、内面に放物面状の反射面が形成されて前面が開口するリフレクタ111と、このリフレクタ111の前面開口111aを閉塞する耐熱性のガラス板(透明部材)112とを備えている。発光管110の基部側の略球状部分は、放電電極があって放電発光する発光部110aである。
上記リフレクタ111には、図5(a)に示すように、予め前面開口縁の上下左右に等間隔(90゜間隔)に通風用の切欠部111b〜111eが形成されている。本実施形態では、上記リフレクタ111の前面開口縁の左側面の切欠部111dを吸気口113とする一方、この吸気口113と向かい合う対向面(右側面)の切欠部111eは閉塞して、それらの両側面(上下面)の切欠部111b,111cを排気口114,114としている。
このように、冷却空気の排気口114,114を吸気口113からほぼ90゜隔てて2箇所設けることによって、吸気口113から矢印a1で示すように発光管110の先端部に流れ込んだ冷却空気が対向面に当たり、対向面側の切欠部111e及び前面開口111aが閉塞されていることから、矢印a2で示すように奥部に向かって発光管110の発光部110aを通ってから、矢印a3で示すように両側の排気口114,114に向かうため、冷却空気はリフレクタ111内に停滞することなく発光管110の周囲を一様に冷却する。この構成によって、低コストで、光源装置11が任意の角度に向けて設置された場合にもリフレクタ111内を一様に冷却することができる。
以上のように、光源装置11のリフレクタ111内に冷却空気を停滞させることなく全体に循環させることによって、発光管110の温度調整を容易にし、且つ発光管110の先端部や発光部110a及びリフレクタ開口111a付近の冷却効果が得られるため、光源装置11を任意の角度に向けて設置することが可能となって、低コストで液晶プロジェクタ1の設置角度の制約がなくなる。
また、排気口114,114を吸気口113から両側にほぼ90゜隔てて配置したことにより、排気口114,114が吸気口113とその対向面の両側中間部に位置するので、冷却空気をリフレクタ111内に停滞させることなく全体に循環させる効果がより大きくなる。
なお、本実施形態では、上記のように排気口114,114を吸気口113から両側にほぼ90゜隔てて配置したが、それ以外でも両側面に排気口114,114を備えることにより、一定の効果が期待できる。
図6〜図9は、前述したプリズム組み立て部品36の取付構成を示す図であり、図6は斜め上方から見た分解斜視図、図7は斜め下方から見た分解斜視図、図8は取り付けた状態を示す要部縦断面図、図9はその要部拡大図である。
プリズム組み立て部品36は、その底部の基台360から三方に突出した脚部361のネジ貫通孔362に取付ネジ363を通して、後述する投写レンズ移動機構を内蔵するベース部40から内側に張り出させた取付部41の雌ねじ部411にネジ止め固定されるようになっている。
上記取付部41上には、板バネ等の弾性部材412から所定間隔で一対の係合片413が立設されている。これらの係合片413には、それぞれ外側に突出する半球状の凸部414が形成されている。
一方、プリズム組み立て部品36の基台360の底面側は中空になっており、対向する内壁には上記各係合片413の凸部414が弾性的に係合する係合孔365が形成されている。
ここで、上記取付部41側の一対の係合片413,413は、プリズム組み立て部品36の基台360側の係合孔365が形成された内壁の間隔に合わせて立設されていると共に、プリズム組み立て部品36にその自重より大きな力が働いたときに着脱可能とする弾性を有している。
さらに、取付ネジ363には、先端部にのみ取付部41側の雌ネジ部411に螺合する雄ネジ部364が形成されている。また、プリズム組み立て部品36側のネジ貫通孔362は、取付ネジ363の雄ネジ部364より小径に形成すると共に、雄ネジ部364が螺合して貫通できる雌ネジ部(図示せず)が形成されている。
上記構成において、プリズム組み立て部品36を取り付けるときは、プリズム組み立て部品36の基台360を取付部41の所定位置に合わせて押し込むと、図8,図9に示すように取付部41の係合片413の凸部414が基台360側の係合孔365に弾性的に係合して仮止めされた状態になる。この状態で、プリズム組み立て部品36側のネジ貫通孔362に通された取付ネジ363を取付部41側の雌ネジ部411に締め付けると、プリズム組み立て部品36が取付部41に固定される。
一方、液晶プロジェクタ1が天吊り状態で180°上下反転した状態に設置されている場合にプリズム組み立て部品36を取り外す場合は、図4に示したようにメンテナンス用開口5の蓋体6を開けて、プリズム組み立て部品36の取付ネジ363をドライバーで回して取付部41の雌ネジ部411から外す。プリズム組み立て部品36を手で押さえることなく、その取付ネジ363を全て外しても、プリズム組み立て部品36はその自重より大きな弾性を有する係合片413で仮止めされた状態にあり、落下しない。プリズム組み立て部品36の取付ネジ363を全て外したら、プリズム組み立て部品36を手で引っ張ることにより容易に取り外すことができる。従って、液晶プロジェクタ1を天吊り設置したまま容易にプリズム組み立て部品36の交換が可能となり、メンテナンス時の作業効率が大幅に向上する。
さらに、ドライバーで取付ネジ363を取付部41の雌ねじ部411から外しても、プリズム組み立て部品36のネジ貫通孔362からは外れずにとどまるので、ドライバーから取付ネジ363を取り外す手間がかからずに次の取付ネジ363を外すことができるので、作業効率が更に向上する。
また、上述した技術をRGB各色毎の液晶パネル33r,33g,33bと出射側偏光板32r,32g,32b等を色合成プリズム31と一体化して成るプリズム組み立て部品36に適用したことにより、装置を天吊り設置したまま落下の畏れなく容易に部品交換が可能となる効果は大きい。
また、液晶プロジェクタ1を上記のように構成することで、装置を天吊り設置したまま容易に部品交換が可能となり、メンテナンス時の作業効率が大幅に向上した液晶プロジェクタ1を実現できる。
なお、本実施形態では、取付部41側に弾性を有する係合片413を形成し、プリズム組み立て部品36側に上記係合片413の凸部414が係合する係合孔365を形成したが、その逆でも良く、要は少なくともいずれか一方に弾性を有する係合部を形成すれば上記と同様な作用効果が得られる。
図10〜図13は、前述した入射側偏光板35r,35g,35bと光学補償板34r,34g,34bの取付構成を示す図で、図10は斜め上方から見た分解斜視図、図11は要部上面図、図12は入射側偏光板35r,35g,35bや光学補償板34r,34g,34bが取り付けられた調整部品42の側面図、図13はその要部拡大図である。なお、ここでは、緑色用の入射側偏光板35gと光学補償板34gを例に説明するが、他の赤色用,青色用のものも同様である。
図10に示すように、入射側偏光板35gと光学補償板34gは、樹脂で略円板状に形成された調整部品42,42にそれぞれ取り付けられ、それらの両側縁が、取付部43側の両側壁に形成された装着溝431,431に挿入されて、その上から調整部品ストッパー44が取付ネジ441で取付部43上面の雌ネジ部432にネジ止められて取り付けられる。各調整部品42,42の上部には取手片421が形成され、調整部品ストッパー44には各調整部品42,42の上部と取手片421を露出させる長孔442と調整部品ストッパー44用の取手片443が形成されている。
さらに、本実施形態では、略円板状の調整部品42の両側縁中央部に、片面側にやや折曲形成して樹脂の弾性を利用した係合片422,422が形成されている。係合片422,422は、入射側偏光板35gや光学偏光板34gを保持した調整部品42にその自重より大きな力が働いたときに着脱可能とする弾性を有している。また、これらの係合片422の折曲側の面は、図12,図13に示すように略円弧状に形成され、取付部43の装着溝431に挿入する時に引っかからないように形成されている。
上記構成において、入射側偏光板35r,35g,35bや光学補償板34r,34g,34bが取り付けられた調整部品42を取り付けるときは、当該調整部品42を取付部43の対応する装着溝431に挿入し、係合片422の弾性に抗して押し込むと、図10に示す偏光板35gを保持した調整部品42のように係合片422が取付部43の装着溝431に弾性的に係合して仮止めされた状態になる。さらに、光学補償板34gを保持した調整部品42をもう一方の装着溝431に同様に装着して、この状態で、調整部品ストッパー44をその長孔442に2つの調整部品42の取手片421を通すようにして取付部43の上面にセットした後、取付ネジ441を取付部43側の雌ネジ部432に締め付けると、入射側偏光板35gや光学補償板34gを保持した調整部品42,42が取付部43に固定される。
一方、液晶プロジェクタ1が天吊り状態で180°上下反転した状態に設置されている場合に、入射側偏光板35r,35g,35bや光学補償板34r,34g,34bが取り付けられた調整部品42を取り外す場合は、図4に示したようにメンテナンス用開口5の蓋体6を開けて、調整部品ストッパー44の取付ネジ441をドライバーで回して取り外す。調整部品ストッパー44は1個の取付ネジ441で取り付けられているので、その取手片443を持って容易に取り外すことができる。調整部品ストッパー44を取り外しても、入射偏光板35gや光学補償板34gを保持した調整部品42は、その自重より大きな弾性を有する係合片422で仮止めされた状態にあり、落下しない。調整部品ストッパー44を取り外したら、調整部品42の取手片421を手で引っ張ることにより容易に取り外すことができる。従って、調整機能を失わずに、液晶プロジェクタ1を天吊り設置したまま容易に入射側偏光板35r,35g,35bや光学補償板34r,34g,34bの交換が可能となり、メンテナンス時の作業効率が大幅に向上する。
また、入射側偏光板35r,35g,35bや光学補償板34r,34g,34bが取り付けられる平板状の樹脂製の調整部品42に、樹脂の弾性を利用して、取付部43の装着溝431に圧接する係合片422を形成したことにより、低コストで、入射側偏光板35r,35g,35bや光学補償板34r,34g,34bのメンテナンス性が大きく向上する。
上述したように液晶プロジェクタ1を構成することで、装置を天吊り設置したまま容易に部品交換が可能となり、メンテナンス時の作業効率が大幅に向上した液晶プロジェクタ1が実現できる。
なお、本実施形態では、上述した技術を入射側偏光板35r,35g,35bと光学補償板34r,34g,34bに適用した場合について説明したが、調整部品を介して取り付けられる光学部品であれば他の光学部品にも適用可能である。
図14(a),(b),(c)は、レンズが固定される調整部品の構成及び作用を示す図である。ここでは、図3に示したコンデンサレンズ19を例にとって説明する。
樹脂で形成された矩形枠体の調整部品45には、下側の2つの角部にコンデンサレンズ19の外周縁の一側(図では下側)両端部が嵌合して位置決めされる位置決め用嵌合部451,451が形成されている。これらの位置決め用嵌合部451は、背面側の壁部452と前面側の爪部453で構成されている。また、これらの位置決め用嵌合部451の中間部には、前面側の爪部454のみが形成されている。
一方、調整部品45の上側の2つの角部には、上記位置決め用嵌合部451に下側が嵌合したコンデンサレンズ19の外周縁の上側両端部と弾性を有して嵌合する弾性嵌合部455,455が形成されている。これらの弾性嵌合部455は、枠体45に立設されて内側に略U字状に折曲形成されたもので、弾性変形する内側片に爪部456が形成されている。
上記の構成において、コンデンサレンズ19を調整部品45に取り付けるときは、先ず図14(a)に示すように、コンデンサレンズ19の一側(下側)を調整部品45の下側の位置決め用嵌合部451,451の壁部452と爪部453の間に挟みこむ。そして、図14(b)に示すように、コンデンサレンズ19の他側(上側)を調整部品45の上側の弾性嵌合部455,455に滑らせるように押し込む。
これにより、コンデンサレンズ19の上側両端部が、図14(c)に示すように弾性嵌合部455の爪部456に嵌合して、矢印の方向にテンションがかかり、コンデンサレンズ19が完全に位置決め固定される。
一方、調整部品45からコンデンサレンズ19を取り外すときは、2つの弾性嵌合部455を外側に弾性変形させて、その爪部456とコンデンサレンズ19との嵌合状態を解除すれば、容易に取り外すことができる。
上記のように、1部品でレンズ固定を可能としたことにより、部品点数が少ないため作業効率のアップやコストダウンを実現することができる。さらに、レンズ固定のための溶着のような専用の設備投資は不要となる。また、調整部品45及びコンデンサレンズ19共に再利用が可能となる。
また、調整部品45を樹脂で形成し、弾性嵌合部455を樹脂の弾性を利用して形成したことにより、更なるコストダウンを実現することができる。
上述したような技術を用いて液晶プロジェクタ1を構成することで、作業効率のアップやコストダウンを実現し、尚且つ溶着のような特別な設備も必要とせず、調整部品45及びコンデンサレンズ19共に再利用が可能となる液晶プロジェクタ1が実現できる。
なお、コンデンサレンズ19に限らず、調整部品に固定されるレンズであれば各種のレンズに適用することができる。例えば、図3の光学系では図示していないが、一般にRGB各色の光路長の差を調整するためにリレーレンズが用いられるが、このリレーレンズも調整部品に固定されて取り付けられるので上述した技術が適用可能である。
図15は、光学系の筐体構成を示す分解斜視図である。
本実施形態の光学系12は、熱収縮が少ない耐熱性樹脂で形成された上面開口の光学系収納部46に収納され、光学系12を収納した光学系収納部46の上面開口が上蓋47で覆われるようになっている。
従来は上蓋47全体が耐熱製樹脂で形成されていたが、本実施形態では光源位置に近い高温部に板金製上蓋471を使用し、光源位置からある程度離れた低温部には耐熱製樹脂ではない弾性を有する樹脂製上蓋472を使用している。具体的には、図3に示した第1インテグレータレンズ14の上方が板金製上蓋471で覆われるので、図15に示したように僅かな面積で済む。
光学系収納部46内に収納された光学部品の寸法公差は、上記板金製上蓋471及び樹脂製上蓋472を一部を切り欠いて形成された簡単なバネ構造部473,474によって吸収するように構成されている。
以上のように、光学系12の高温部に板金製上蓋471を、低温部に樹脂製上蓋472を使用することにより、それぞれの弾性で光学部品の寸法公差を吸収し、且つ確実な固定が可能になる。
従って、光学部品を固定する別部品が不要になるため、部品点数削減、工数削減、更に上蓋47にコスト高の耐熱製樹脂を使わないため、大幅なコストダウンが実現できる。
また、光学系収納部46内に収納された光学部品の寸法公差を板金製上蓋471と樹脂製上蓋472の一部を切り欠いて形成された簡単なバネ構造部473,474によって吸収することができるので、容易に実現できる。
図16は、投写レンズ取り外し装置の構成及び作用を示す図、図17は投写レンズの取付機構を示す分解斜視図である。
図17に示す投写レンズ3の取付機構は従来と同様で、投写レンズ3は、カメラの交換レンズなどと同様に、ネジ込み式に装着された投写レンズ3の回転を拘束するピンで固定されて、この固定用ピンによる投写レンズ3の回転拘束を解除する押しボタン48が投写レンズ3の取付部49の上部に備えられている。図16に示す本実施形態の投写レンズ取り外し装置50は、図2に示すように上記押しボタン48に近接して投写レンズ3の上方に取り付けられる。
図16に示すように、本実施形態の投写レンズ取り外し装置50は、上面が図1に示したように本体ケース1上面から露出する投写レンズ取り外しボタン7と、この投写レンズ取り外しボタン7を囲繞する枠体51と、投写レンズ取り外しボタン7を上方に付勢するコイルバネから成る弾性体52とを有している。投写レンズ取り外しボタン7には、両側に突出する略円筒形の摺動部材71が設けられている。一方、枠体51には、上記投写レンズ取り外しボタン7の摺動部材71の一側が摺動する第1の傾斜面511と、摺動部材71の他側が摺動する第2の傾斜面512と、図17に示すように投写レンズ3の取付部49の上部に設けられた押しボタン48を押圧する押圧部材513とが設けられている。ここで、上記摺動部材71に対して枠体51とその第1の傾斜面511により従動機構が構成され、弾性体52と枠体51の第2の傾斜面512により復動機構が構成されている。
上記構成において、本体ケース1上面に露出する投写レンズ取り外しボタン7が操作されて図16(b)に示すように下方向に移動すると、投写レンズ取り外しボタン7に設けた摺動部材71が枠体51に設けた第1の傾斜面511を摺動し、投写レンズ取り外しボタン7の移動方向と交差する方向へ枠体51を従動させて、押圧部材513により押しボタン48を押圧することが可能になる。これにより、投写レンズ取付部49に取り付けられた投写レンズ3の固定ピンによる回転拘束が解除されて、投写レンズ3を回転して取り外すことが可能になる。
また、投写レンズ3を取り外した後には、図16(c)に示すように投写レンズ取り外しボタン7の下部に設置された弾性体52の復元力で、投写レンズ取り外しボタン7は初期の位置に自動復帰すると共に、その摺動部材71の第2の傾斜面512との摺動により枠体51も自動復動することが可能になる。
これにより、投写レンズ取り外しボタン7を押しボタン48の移動方向と交差する方向に設置することができるので、投写レンズ取り外しボタン7の設置面の制約が少なくなる。従って、投写レンズ取り外しボタン7を本体ケース1の上面に露出するように設置することができるので、投写レンズ取り外しボタン7の操作性が向上した液晶プロジェクタ1が実現できる。
また、投写レンズ取り外しボタン7の操作後に当該投写レンズ取り外しボタン7と枠体51を元の位置に自動的に復帰させることができる。従って、少ない部品で交差する方向への従動を可能とし、かつ機構の確実な復動が行えるようになる。
なお、押しボタン48に充分な復元力があれば、この復元力を利用して上述したような復動機構を省略することも可能である。
図18は、投写レンズ移動装置の要部構成を示す斜視図である。
この投写レンズ移動装置53は、ベース部40に内蔵された上下方向移動部材531と左右方向移動部材532とそれらの駆動機構(図示せず)及び後述する制御機構により構成されている。投写レンズ3は左右方向移動部材532に取り付けられて、左右方向移動部材532が駆動されると左右方向に移動し、上下方向移動部材531が駆動されると、上下方向移動部材531と共に左右方向移動部材532が上下に移動して、投写レンズ3が上下に移動するように構成されている。
各移動部材531,532には、移動量制限形状の貫通孔533,534が互いに連通するように形成され、その両側の開口には分離型フォトインターラプター54,54が配置されている。なお、左右方向移動部材532は左右方向に単独で移動するため、上下方向移動部材531には横長の貫通孔533が形成されている。
図19は、上記投写レンズ移動装置53の制御機構を示すブロック図であり、制御手段を構成するマイコン55は、前述した操作表示部8と、上記フォトインタラプター54からの入力に基づき、上下移動用モータ56と左右移動用モータ57を制御するように構成されている。マイコン55は、各移動部材531,532が移動して光を遮ったところをフォトインターラプター54からの出力に基づき検知して移動限界と判断する。なお、移動量が少ない場合には、分離型フォトインターラプター54,54の代わりに、通常のコの字型のフォトインターラプターを用いてもよい。
図20,図21は、移動量制限の制御例を示すフローチャートである。
図20に示すフローチャートの制御例では、先ず操作表示部8からのレンズシフト信号の入力を待って(ステップS11のNOループ)、レンズシフト信号の入力が有ると、入力したレンズシフト信号に対応する移動用モータ56又は57を対応する方向に駆動制御する(ステップS11のYES→ステップS12)。
その後、フォトインターラプター54からの信号がOFFになるのを待って(ステップS13のNOループ)、フォトインターラプター信号がOFFになると、光が移動部材531又は532によって遮られたことになるので移動限界を越えたと判断し、駆動していた移動用モータ56又は57を停止させる(ステップS13のYES→ステップS14)。そして、その移動用モータ56又は57を所定時間逆制御して移動量制限内に戻してから、次のレンズシフト信号の入力を待つ(ステップS15→ステップS11のNOループ)。
一方、図21に示すフローチャートの制御例では、前記と同様、先ず操作表示部8からのレンズシフト信号の入力を待って(ステップS21のNOループ)、レンズシフト信号の入力が有ると、入力したレンズシフト信号に対応する移動用モータ56又は57を対応する方向に駆動制御する(ステップS21のYES→ステップS22)。
その後、フォトインターラプター54からの信号がOFFになるのを待って(ステップS23のNOループ)、フォトインターラプター信号がOFFになると、光が移動部材531又は532によって遮られたことになるので移動限界を越えたと判断し、駆動していた移動用モータ56又は57を停止させる(ステップS23のYES→ステップS24)。そして、逆方向へのレンズシフト信号の入力を待って(ステップS25のNOループ)、逆方向へのレンズシフト信号の入力があると、前記ステップS22に戻って移動用モータ56又は57の制御を行う(ステップS25→ステップS22)。この制御例では、前記制御例のステップ15のような所定時間の逆制御を行っていないので、移動限界を超えたらステップS25によって逆方向(戻る方向)へのレンズシフト信号しか受け付けないようにしている。
以上のように、本実施形態においては、一対のフォトインターラプター54,54により、上下左右の移動量制限が可能となるため、コストダウンが可能となる。また、投写レンズ3を移動する部材のみで他部品を介することなく移動量制限が行えるため、精密な移動量制限が可能となる。さらに、投写レンズ移動部材531,532に開ける貫通孔533,534の形状により、四角形以外の任意の形状での移動量制限が可能となる。
なお、上記実施形態では、投写型映像表示装置として光変調素子に液晶パネルを用いた液晶プロジェクタを示したが、液晶パネルを必須とする発明以外は、他の映像光生成系を備える投写型映像表示装置においても本願発明を適用することができる。例えば、DLP(Digital Light Processing;テキサス・インスツルメンツ(TI)社の登録商標)方式のプロジェクタにおいても本願発明を適用することができる。