JP2008055482A - ギャップ調整機構及びそれを用いたアーク溶接装置 - Google Patents

ギャップ調整機構及びそれを用いたアーク溶接装置 Download PDF

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Abstract

【課題】熟練した技術を必要とせずに、金型に熱的悪影響を一切与えることなく、金型の極微細な傷や極僅かな変形を補修し、補修後の金型に高い耐久性を付与し得る手段を提供すること。
【解決手段】ギャップ調整機構41と、そのギャップ調整機構41によって金属からなる母材32の溶接箇所から一定の距離の場所に配設される1次電極15と、母材32に電気的に接続される2次電極16と、1次電極15と2次電極16との間にパルス状に電流を通電して1次電極15と母材32との間に断続的にアークを発生させる電源装置と、アークの発生による熱で溶融した母材32の中へアークが消える前に金属からなる溶加材25を差し込む溶加材送給手段14と、を具備するアーク溶接装置1の提供による。
【選択図】図2

Description

本発明は、1次電極と、金属からなる母材の溶接箇所と、の間のギャップを調整するギャップ調整機構、及び、それが組み込まれたアーク溶接装置に関する。
工業製品を大量生産する場合、精密な金型は不可欠で重要なものである。特に、近年の電気電子製品では、そのデザインとともに形態の微妙な仕上がりが評価の決め手となる場合があり、金型に対する要求は高まってきている。そのため、価格も高くなり、金型によっては、数億円のオーダーになる場合がある。
このような金型は、多くの場合、高温の成形材料を受け入れ、冷却によって成形する、という温度変化の激しい成形工程で、繰り返し使用される。従って、その繰り返しの使用によって、成形材料が入り込んでパーティングラインに凹みが生じたり、キャビティに、カジリ、摩耗、ピンホール等の傷が生じたり、ダレや潰れ等の変形が生じる場合がある。このような金型に問題が僅かでも発生した場合には、得られる製品が形態の仕上がりの劣るものとなるため、それを使用して成形を続けることは出来ない。特に、形態の仕上がりに僅かな狂いも許されない携帯電話等の携帯電子機器の部品用の金型では、極微細な傷等の存在が、製品の歩留まりを大きく低下させるおそれがあるため、極微細な傷や極僅かな変形も存在しない金型を常に使用する必要がある。一方、上記の価格より、経済的に、金型を使い捨てにすることは出来ないため、定期的に補修が行われることになる。
ところが、このような極微細な傷や極僅かな変形も許されない金型を補修するための適切な手段は存在していない、というのが現状である。従来、金型の補修手段として知られる一般的なTIG(タングステンイナートガス)溶接は、不活性ガス雰囲気中で、アークにより溶加材(溶接棒)を連続的に溶かして金型の補修箇所に形成した溶融池へ肉盛り溶接を施し、凝固後に余肉を削除し、研磨して仕上げる、という方法であるが、熟練した技術を必要とする上に、6000〜8000℃という高温のアーク熱を連続的に発生させて溶加材を溶かすため、金型に、ひけ、変形、変色等の熱的悪影響を及ぼし易く、補修したつもりがかえって悪化させることにもなり、極微細な傷等の補修には適用することは不可能である。
又、銀ろう付け、メッキ肉盛り、及びたたき出し等の金型補修手段も知られているが、これらの方法は、同じく熟練した技術を必要とする上に、補修後の耐久性に劣るため、補修頻度が多くなって、成形する製品の生産性低下を招来することから、電気電子機器の部品用の金型を補修する手段として、適切ではない。
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、熟練した技術を必要とせずに、金型に熱的悪影響を一切与えることなく、金型の極微細な傷や極僅かな変形を補修し、補修後の金型に高い耐久性を付与し得る手段を提供することにある。検討が重ねられた結果、以下に示す手段により、上記目的を達成出来ることが見出された。
即ち、先ず、本発明によれば、金属からなる母材にアーク溶接を行う際に、(アーク溶接を行う主体であるアーク溶接装置に備わる)1次電極と、(アーク溶接が行われる)母材の溶接箇所と、の間のギャップを調整するために用いられるギャップ調整機構であって、1次電極が取付られた可動アームと、その可動アームを直線的に移動をさせるアクチュエータと、を備えるギャップ調整機構が提供される。
本発明に係るギャップ調整機構においては、可動アームが、ナット機能を備え、アクチュエータが、ボールねじ、ギア機構、及び回転モータを有することが好ましい。
可動アームを直線的に移動をさせる、とは、直線上を移動するように可動アームを動かすことを意味する。可動アームがナット機能を備え、とは、可動アームに(オスねじである)ボールねじと螺合するメスねじが形成されている態様を指す。
即ち、上記好ましい態様は、アクチュエータがボールねじによる送り機構であり、ボールねじを回転させることによって可動アームが送られ、直線的に移動をするものである。アクチュエータとしては、他に、シャフトモータ(リニアモータ)等を採用し得るが、ギア機構によって、回転モータの回転数を変換し、ボールねじを回転させて、可動アームに取付られた1次電極を高精度に位置決め可能とする点において、上記ボールねじ、ギア機構、及び回転モータで構成される態様の方が、より優れており、好ましい。又、必要に応じ、可動アームを安定して移動させる(送る)ための、スライダやガイドレールを設けることも好ましい。
本発明に係るギャップ調整機構は、ギャップの大きさが、0.6〜1.0mmである場合に好適に用いられる。
次に、本発明によれば、上記した何れかのギャップ調整機構と、そのギャップ調整機構によって金属からなる母材の溶接箇所から一定の距離の場所に配設される1次電極と、母材に電気的に接続される2次電極と、1次電極と2次電極との間にパルス状に電流を通電して1次電極と母材との間に断続的にアークを発生させる電源装置と、アークの発生による熱で溶融した母材の中へアークが消える前に金属からなる溶加材を差し込む溶加材送給手段と、を具備するアーク溶接装置が提供される。
換言すれば、本発明に係るアーク溶接装置は、ギャップ調整機構によって、金属からなる母材の溶接箇所と1次電極との間のギャップの大きさを一定に調整した上で、極短い時間だけアークを発生させ、そのアークが発生している間に、アークの発生に僅かに遅れて、アークの熱で溶融した母材の溶融池の中(即ち、母材に生じたアークプールの中へ)、素早く、一定量の溶加材を差し込み、母材の所定位置を、溶加材で、スポットで溶接する工程を実現する装置である。母材の金属としては、鉄鋼、銅合金、アルミニウム合金等が例示される。溶加材の金属は、通常は母材と同じ材料が選定されるが、異なるものでもよい。本発明に係るアーク溶接装置は、溶接対象である母材が、電気電子機器の部品用の金型をはじめ、各種の金型である場合に、好適に使用される。
本発明に係るアーク溶接装置においては、電流が、1〜300アンペアであることが好ましい。
この電流の大きさは、溶接対象となる母材の状態によって決まるが、電気電子機器の部材を成形する金型を補修する場合には、より好ましくは1〜200Aであり、特に好ましくは1〜100Aである。又、電流を通電する時間は、1/1000〜1秒(1〜1000msec.)であることが好ましい。電流を通電する時間は、アークを発生させる時間にあたり、この時間は、溶接対象となる母材の状態によって決まるが、電気電子機器の部材を成形する金型を補修する場合には、より好ましくは1〜500msec.であり、特に好ましくは1〜300msec.である。
本発明に係るアーク溶接装置においては、金属からなる溶加材が、直線ワイヤ状を呈し、その太さ(径)が、0.1〜1.0mmφであることが好ましい。
溶加材が、直線状ではない場合には、溶加材が溶融池の中へ一定して入らないので好ましくない。この直線ワイヤ状の溶加材の太さは、溶接対象となる母材の状態によって決まるが、電気電子機器の部材を成形する金型を補修する場合には、より好ましくは0.1〜0.6mmφであり、特に好ましくは0.1〜0.3mmφである。加えて、1次電極が、非消耗電極であることが好ましい。非消耗電極としては、例えば、タングステン電極が挙げられる。
更に、母材の溶接箇所の近傍の空間をシールするためにその空間へ不活性ガスを供給するシールドガス供給手段を具備することが好ましい。不活性ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガス、又はヘリウムガスが、好適に採用される。
本発明に係るアーク溶接装置においては、母材に対する1次電極及び溶加材送給手段の相対的な位置を、三次元で任意の位置に自在に決定し得る三次元位置決め手段を、更に具備することが好ましい。
1次電極と母材との間にアークを発生させ、アークの発生による熱で溶融した母材の中へアークが消える前に、溶加材送給手段で金属からなる溶加材を差し込むことによって、母材が溶加材と溶融接合されるから、母材に対する(母材に対しての)1次電極及び溶加材送給手段の相対的な位置とは、母材において溶接を行うところ、即ち溶接位置を指す。相対的な位置であるから、母材を、例えば、ステージに載せて、そのステージを移動させることによって、溶接位置の位置決めをしてもよいが、1次電極及び溶加材送給手段の方を移動させて、溶接位置の位置決めすることが好ましい。
三次元位置決め手段は、X軸、Y軸、及びZ軸からなる三次元座標軸上におけるそれぞれの位置決めを担う、3つの(例えば)直線運動案内機器(LMガイド)で構成することが出来る。又、三次元の位置決め手段を、それぞれ、ラック&ピニオン、ステッピングモータ&スクリュ、本発明に係るギャップ調整機構と同様のボールねじによる送り機構、等で構成することも可能である。1次電極及び溶加材送給手段の方を移動させて母材に対し相対的に位置決めする場合(換言すれば、溶接位置を決める場合)には、例えば、1次電極及び溶加材送給手段を所定の保持板に保持させ、その保持板を3つの直線運動案内機器等で移動させることによって、溶接位置を決めればよい。
本発明に係るアーク溶接装置においては、制御手段を、更に具備することが好ましい。詳細には、本発明に係るアーク溶接装置においては、母材に対する1次電極及び溶加材送給手段の位置の範囲が、三次元を構成するX軸、Y軸、及びZ軸の位置の範囲として、予め入力されるとともに、断続的にアークを発生させるために電流を通電する時間が、予め入力され、三次元位置決め手段に指令を出して、予め入力された母材に対する1次電極及び溶加材送給手段の位置の範囲に従って、パルス状の電流の通電と通電の間の非通電のときであってアークが消えている間に、母材に対する1次電極及び溶加材送給手段の位置を断続的に移動させるとともに、各位置において、ギャップ調整機構に指令を出して、1次電極と、母材の溶接箇所と、の間のギャップを0.6〜1.0mmの間の一定の大きさに調整し、その後、電源装置に指令を出して、入力された電流を通電する時間に従って1次電極と2次電極との間にパルス状に電流を通電させ、ギャップが調整された1次電極と母材との間に断続的にアークを発生させ、且つ、溶加材送給手段に指令を出して、アークの発生による熱で溶融した母材の中へアークが消える前に金属からなる溶加材を差し込ませる工程を、繰り返し行うことが出来る制御手段を、更に具備し、母材の三次元の所定の範囲に、自動で、溶加材を溶融接合し得るものであることが好ましい。
制御手段は、汎用のシーケンサや産業用コンピュータを利用してもよく、あるいは専用機として構築してもよい。
本発明に係るギャップ調整機構は、1次電極が取付られた可動アームと、その可動アームを直線的に移動をさせるアクチュエータと、を有し、その好ましい態様では、可動アームが、ナット機能を備え、アクチュエータが、ボールねじ、ギア機構、及び回転モータを有しており、特に、アクチュエータにギア機構を備えているので、これによって回転モータの回転数を変換し、ボールねじを回転させて、可動アームに取付られた1次電極を高精度に位置決めすることが可能であり、ギャップの大きさを、0.6〜1.0mmの範囲で、正確に設定することが出来る。
本発明に係るアーク溶接装置は、本発明に係るギャップ調整機構を具備するので、金属からなる母材の溶接箇所と1次電極とのギャップを、好ましくは0.6〜1.0mmの範囲で、溶接する度に、常に、正確に保持することが出来る。従って、母材と1次電極とが固着する等の問題は当然に生じず、アークの発生が均一であり、アークの分散もなく、溶接箇所に生じる熱は一定である。そのため、母材にひけ、変形、変色等の熱的悪影響を及ぼすことなく、溶接を行うことが可能であり、母材に溶加材を溶融接合する装置であることから、大変に高価な金型の極微細な傷や極僅かな変形を補修するのに、好適なものということが出来る。
本発明に係るアーク溶接装置は、1次電極と2次電極との間にパルス状に電流を通電して1次電極と母材との間に断続的にアークを発生させる電源装置と、アークの発生による熱で溶融した母材の中へアークが消える前に金属からなる溶加材を差し込む溶加材送給手段と、を具備する装置であり、アークを連続して発生させずに溶接を行う。又、好ましい態様では溶接時の電流が1〜300アンペアであり、アーク熱は3000℃程度である。所定の溶接箇所を溶接する際に、熱は極短い時間にのみ発生し、温度は直ぐに低下するので、特段の熟練した技術を要さずとも、母材にひけ、変形、変色等の熱的悪影響を及ぼすことなく、溶接を行うことが可能である。この点においても、大変に高価な金型の極微細な傷や極僅かな変形を補修するのに、好適なものということが出来る。
本発明に係るアーク溶接装置は、上記の通り、金型の極微細な傷や極僅かな変形を補修する場合に、補修後の金型に優れた耐久性を付与し得る装置である。即ち、本発明に係るアーク溶接装置を使用して金型を補修すれば、高価な金型の寿命を延ばして使用することが可能であり、且つ金型の補修頻度を抑制することが出来、成形する製品の生産性低下を防止することが可能である。
本発明に係るアーク溶接装置は、本発明に係るギャップ調整機構を具備しており、加えて、好ましい態様においては、母材に対する1次電極及び溶加材送給手段の相対的な位置(溶接位置)を、三次元で任意の位置に自在に決定し得る三次元位置決め手段を具備し、更には、制御手段を具備するものであり、母材の三次元の所定の範囲に対し、母材の溶接箇所と1次電極とのギャップを常に正確に保持しつつ、自動で、溶加材を溶融接合し得るものである。従って、本発明に係るアーク溶接装置を利用すれば、母材にひけ、変形、変色等の熱的悪影響を及ぼさせることなく、熟練した技術を必要とすることなく何人も容易に、立体的な母材のあらゆる三次元位置に、例えその溶接位置が傾斜していてもそれに1次電極を追従させて、溶接を施すことが可能である。
以下、本発明について、適宜、図面を参酌しながら、実施の形態を説明するが、本発明はこれらに限定されて解釈されるべきものではない。本発明の要旨を損なわない範囲で、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良、置換を加え得るものである。例えば、図面は、好適な本発明の実施の形態を表すものであるが、本発明は図面に表される態様や図面に示される情報により制限されない。本発明を実施し又は検証する上では、本明細書中に記述されたものと同様の手段若しくは均等な手段が適用され得るが、好適な手段は、以下に記述される手段である。
図1は、本発明に係るギャップ調整機構の一の実施形態を示す図である。図1には、可動アームに1次電極(トーチ)を取付した様子が表されており、ギャップ調整機構としての側面が示されている。図1に示されるギャップ調整機構41は、ホルダ23を介して1次電極15が取付られた可動アーム44と、その可動アーム44を直線的に移動をさせるためのアクチュエータと、を有する。アクチュエータは、枠体46、ボールねじ45、ギア機構43、回転モータ42で構成される。
枠体46は、ボールねじ45を回転可能に保持するとともに、ギア機構43、及びそれを介して回転モータ42を固定する基体の役割を果たす。(制御装置からの指令によって)回転モータ42で生じた回転は、ギア機構43で変換され(通常は小さい回転数に変換され)、ボールねじ45を回転させる。可動アーム44には、メスねじが形成された貫通孔が備わっており(ナット機能が備わっており)、その貫通孔のメスねじに螺合したボールねじ45が回転することによって、可動アーム44が直線的に(図1中において上下方向に)、移動をする。そして、この移動によって、可動アーム44に取付られた1次電極15も(図1中において上下方向に)移動をして、1次電極15と、母材32の溶接箇所と、の間のギャップG(図1を参照)を、正確に調整する。
図2〜図4は、本発明に係るアーク溶接装置の一の実施形態を示す図であり、図4は制御手段を含む全体構成を示すブロック図であり、図2はアーク溶接装置としての正面図であり、図3は上面図である。図2〜図4に示されるアーク溶接装置1は、溶接装置本体部10、三次元位置決め装置20、制御装置2、及びシールドガス供給装置31で構成される。三次元位置決め装置20は三次元位置決め手段に相当する部分であり、シールドガス供給装置31はシールドガス供給手段に相当する部分である。又、制御装置2は、入力装置21を備えるとともに、制御手段の機能を含み、全体的な制御を行う装置である。
溶接装置本体部10は、金属からなる母材32にアーク溶接を行う際に1次電極15と母材32の溶接箇所との間のギャップを調整するために用いられる(既述の)ギャップ調整機構41と、母材32の溶接箇所の近傍に配設される1次電極15と、ステージ24に載置されたその母材32に電気的に接続される2次電極16と、1次電極15と2次電極16との間にパルス状に電流を通電して1次電極15と母材32との間に断続的にアークを発生させる電源装置17と、アークの発生による熱で溶融した母材32の中へアークが消える前に金属からなる直線ワイヤ状の溶加材25を差し込む溶加材送給装置14と、を具備する。溶加材送給装置14は、溶加材送給手段に相当する装置である。
1次電極15は、融点が高く溶融し難い非消耗の電極であり、例えば、1次電極15としてタングステン電極が採用される。又、母材32の溶接箇所の近傍の空間は、溶接時には、図2には示されないシールドガス供給装置31によって、(例えば)アルゴンガスが供給されてシールされ、高温になった1次電極15と溶融した母材32が、大気中の窒素や酸素等と反応したり混入したりするのを防止する。
三次元位置決め装置20は、X軸、Y軸、及びZ軸からなる三次元座標軸上におけるそれぞれの位置決めを担う、X軸位置決め機11、Y軸位置決め機12、及びZ軸位置決め機13で構成される。そして、X軸位置決め機11、Y軸位置決め機12、及びZ軸位置決め機13は、(例えば)それぞれがLMガイドで構成される。
アーク溶接装置1では、スタンド26(図3を参照、図2では省略)にポール27が立てられ、そのポール27にハンガー28が固定され、そのハンガー28にY軸位置決め機12が取り付けられている。そして、そのY軸位置決め機12にZ軸位置決め機13が取り付けられ、Z軸位置決め機13にX軸位置決め機11が取り付けられ、更に、そのX軸位置決め機11に保持板22が固定されている。1次電極15は、ホルダ23を介してギャップ調整機構41の可動アームに取付されており、ギャップ調整機構41は保持板22に固定されている。溶加材送給装置14も保持板22に固定されている。
アーク溶接装置1は、三次元位置決め装置20によって、保持板22を任意の位置に位置決めすることが可能な構成になっており、三次元位置決め装置20で保持板22の位置を決めることによって、1次電極15及び溶加材送給装置14の位置が定まる。即ち、三次元位置決め装置20によって、溶接を行う1次電極15及び溶加材送給装置14を移動させ、母材32に対する所望の場所に位置決めすることが可能であり、これによって母材32の三次元の溶接範囲(立体的な溶接範囲)を、自在に決定することが可能である。そして、溶接を行う各位置において、ギャップ調整機構41によって、1次電極15と母材32の溶接箇所との間のギャップが、正確に調整される。
次に、上記したアーク溶接装置1を用いて、母材32の立体的な位置に溶接する場合を例にとって、溶接方法を説明する。図5は、溶接工程を示すタイムチャートである。溶接を行う前に、先ず、準備を行う。この準備は、以下の(1)〜(4)で構成される。
(1)母材32をステージ24の所定の位置に載置し、例えば微細な傷の補修をするために、母材32に対し溶接する範囲を、入力装置21を用いて制御装置2に予め入力する。これは、具体的には、溶接を行う1次電極15及び溶加材送給装置14の位置の範囲を、X軸、Y軸、及びZ軸の各位置の範囲として入力することにより、行われる。例えば、図2の母材32に示されるように、X軸方向の中心にあたるA点から上面の角のB点を介して下面のC点まで溶接する場合には、溶接開始位置のA点、通過点のB点、終了点のC点の、それぞれのX軸、Y軸、及びZ軸上の位置を制御装置2に入力する。
(2)断続的にアークを発生させるためにパルス状に電流を通電する時間T1(図5を参照)を、制御装置2に予め入力する。通電する時間T1は、母材32の溶接対象位置の状況によって、1/1000〜1秒の範囲で設定する。
(3)電源装置17において、電流の大きさを設定する。電流は、母材32の溶接対象位置の状況によって、1〜300アンペアの範囲で設定する。
(4)直線ワイヤ状の金属からなる溶加材25を溶加材送給装置14にセットする。溶加材25の材料(金属の種類)は、母材32の材料に基づいて選択する。ワイヤの太さは、母材32の溶接対象位置の状況によって、0.1〜1.0mmφの範囲で選択する。
上記準備を終えたら、制御装置2に備わる溶接開始ボタンを押して、溶接を開始させる。溶接が開始されると、制御装置2は、先ず、三次元位置決め装置20に指令を出し、予め入力された母材32に対する溶接範囲(1次電極15及び溶加材送給装置14の位置の範囲)に従って、1次電極15及び溶加材送給装置14を、最初の溶接位置((例えば)A点)に位置決めする。
そして、制御装置2は、シールドガス(不活性ガス)を供給するように、シールドガス供給装置31へ指令を出す。指令を受けたシールドガス供給装置31は、シールドガスとして(例えば)アルゴンガスを、母材32の溶接箇所の近傍の空間に供給し、この空間をシールする(図5を参照)。
次に、制御装置2は、ギャップ調整機構41に指令を出し、1次電極15と母材32の溶接箇所(溶接位置)との間のギャップを、(例えば)0.6mmに調整する。具体的には、回転モータを回して可動アームを移動させ、入力されている最初の溶接位置((例えば)A点)から0.6mm離れた((例えば)上方の)位置に1次電極15の先端が配置されるように、1次電極15を移動させて位置決めすることによって、ギャップを調整する。尚、センサを設け、一度、1次電極15を母材32の溶接箇所(溶接位置)に接触させて、その接触をセンサで検知して溶接位置を確認してから、その接触位置を基準として、そこから0.6mm離れた((例えば)上方の)位置に1次電極15の先端が配置されるように、1次電極15を位置決めするようにしてもよい。
そして、制御装置2は、予め入力された時間T1に従って、1次電極と2次電極との間にパルス状に電流を通電させるように、電源装置17に指令を出す(図5を参照)。通電によって、1次電極15と母材32との間にはアークが発生し、アークの発生による熱で母材32は部分的に溶融し、母材32にはアークプール(溶融した部分、溶融池)が生じる。そこで、制御装置2は、通電の指令に対し時間T2だけ遅らせて、溶加材送給装置14に指令を出し、アークプールの中へアークが消える前に溶加材25を送給し差し込ませ、母材32と溶融させる(図5を参照)。差し込む溶加材25の量は、0.1〜10mm程度である。アークが消えることにより母材32は空気で冷却され、母材32と溶加材25は完全に接合し、溶接部分は肉盛り状になる。
次に、制御装置2は、三次元位置決め装置20に指令を出し、予め入力された母材32に対する溶接範囲(1次電極15及び溶加材送給装置14の位置の範囲)に従って、パルス状の電流の通電と通電の間の非通電のときであってアークが消えている間に、1次電極15及び溶加材送給装置14を、次の溶接位置に移動させる(図5を参照、溶接位置(1))。1回の移動距離は、通常、0.6〜1.0mmである。尚、1次電極15及び溶加材送給装置14の移動を、溶加材の送給と同時に行い、アークが発生しているときに、溶接位置を移動させてもよい(図5を参照、溶接位置(2))。
溶接位置を移動したら、シールドガスの供給を継続したまま、最初の溶接位置と同様にして、1次電極15と母材32の溶接箇所との間のギャップを調整し、その後、1次電極15と2次電極16との間にパルス状に電流を通電させるように、電源装置17に指令を出し、溶接を行う。この工程を、A点からB点を介してC点まで、繰り返し行うことにより、立体的な母材32の、A点からC点までの三次元の範囲に、自動で、連続して、溶加材25を溶融接合することが可能である。C点まで溶接したら自動で溶接を終了する。溶接を終えたら、仕上げとして、公知の手段を用いて、溶接した肉盛り部分を削り取り、研磨すれば、母材32の微細な傷等は、元の通りに修復される。
本発明に係るギャップ調整機構を具備する本発明に係るアーク溶接装置は、あらゆる金型の潰れや傷の補修及び寸法補正を行う手段として、好適に利用される。特に、極微細な傷も許されない携帯電話をはじめとする各種電気電子機器の部品を成形するための、高価な金型を補修する手段として、好適に用いられる。
本発明に係るギャップ調整機構の一の実施形態を示す側面図である。 本発明に係るアーク溶接装置の一の実施形態を示す正面図である。 本発明に係るアーク溶接装置の一の実施形態を示す上面図である。 本発明に係るアーク溶接装置の一の実施形態を示す図であり、全体構成を示すブロック図である。 溶接工程を示すタイムチャートである。
符号の説明
1 アーク溶接装置
2 制御装置
10 溶接装置本体部
11 X軸位置決め機
12 Y軸位置決め機
13 Z軸位置決め機
14 溶加材送給装置
15 1次電極
16 2次電極
17 電源装置
20 三次元位置決め装置
21 入力装置
22 保持板
23 ホルダ
24 ステージ
25 溶加材
31 シールドガス供給装置
32 母材
41 ギャップ調整機構
42 回転モータ
43 ギア機構
44 可動アーム
45 ボールねじ
46 枠体

Claims (8)

  1. 金属からなる母材にアーク溶接を行う際に、1次電極と、前記母材の溶接箇所と、の間のギャップを調整するために用いられるギャップ調整機構であって、
    前記1次電極が取付られた可動アームと、その可動アームを直線的に移動をさせるアクチュエータと、を備えるギャップ調整機構。
  2. 前記可動アームが、ナット機能を備え、前記アクチュエータが、ボールねじ、ギア機構、及び回転モータを有する請求項1に記載のギャップ調整機構。
  3. 前記ギャップの大きさが、0.6〜1.0mmである請求項1又は2に記載のギャップ調整機構。
  4. 請求項1〜3の何れか一項に記載のギャップ調整機構と、そのギャップ調整機構によって金属からなる母材の溶接箇所から一定の距離の場所に配設される1次電極と、前記母材に電気的に接続される2次電極と、前記1次電極と2次電極との間にパルス状に電流を通電して前記1次電極と前記母材との間に断続的にアークを発生させる電源装置と、前記アークの発生による熱で溶融した母材の中へアークが消える前に金属からなる溶加材を差し込む溶加材送給手段と、を具備するアーク溶接装置。
  5. 前記電流が、1〜300アンペアである請求項4に記載のアーク溶接装置。
  6. 前記金属からなる溶加材が、直線ワイヤ状を呈し、その太さが、0.1〜1.0mmφである請求項4又は5に記載のアーク溶接装置。
  7. 前記母材に対する前記1次電極及び前記溶加材送給手段の相対的な位置を、三次元で任意の位置に自在に決定し得る三次元位置決め手段を、更に具備する請求項4〜6の何れか一項に記載のアーク溶接装置。
  8. 前記母材に対する前記1次電極及び前記溶加材送給手段の位置の範囲が、前記三次元を構成するX軸、Y軸、及びZ軸の位置の範囲として、予め入力されるとともに、断続的にアークを発生させるために前記電流を通電する時間が、予め入力され、
    前記三次元位置決め手段に指令を出して、予め入力された前記母材に対する前記1次電極及び前記溶加材送給手段の位置の範囲に従って、前記パルス状の電流の通電と通電の間の非通電のときであってアークが消えている間に、前記母材に対する前記1次電極及び前記溶加材送給手段の位置を断続的に移動させるとともに、
    各位置において、前記ギャップ調整機構に指令を出して、前記1次電極と、前記母材の溶接箇所と、の間のギャップを0.6〜1.0mmの間の一定の大きさに調整し、その後、前記電源装置に指令を出して、入力された前記電流を通電する時間に従って前記1次電極と2次電極との間にパルス状に電流を通電させ、ギャップが調整された前記1次電極と前記母材との間に断続的にアークを発生させ、且つ、前記溶加材送給手段に指令を出して、アークの発生による熱で溶融した母材の中へアークが消える前に金属からなる溶加材を差し込ませる工程を、繰り返し行うことが出来る制御手段を、更に具備し、
    前記母材の三次元の所定の範囲に、自動で、前記溶加材を溶融接合し得る請求項4〜7の何れか一項に記載のアーク溶接装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012061481A (ja) * 2010-09-14 2012-03-29 Nippon Steel Corp アルミニウム合金板材のプラズマ溶接方法
KR101584777B1 (ko) * 2009-03-27 2016-01-13 재단법인 포항산업과학연구원 강관의 초층 용접 장치 및 방법

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