JP2008047790A - パルスレーザ装置 - Google Patents

パルスレーザ装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2008047790A
JP2008047790A JP2006223871A JP2006223871A JP2008047790A JP 2008047790 A JP2008047790 A JP 2008047790A JP 2006223871 A JP2006223871 A JP 2006223871A JP 2006223871 A JP2006223871 A JP 2006223871A JP 2008047790 A JP2008047790 A JP 2008047790A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resonator
pulse laser
pulse
medium
laser device
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Abandoned
Application number
JP2006223871A
Other languages
English (en)
Inventor
Shogo Yamazoe
昇吾 山添
Takashi Adachi
貴志 足立
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2006223871A priority Critical patent/JP2008047790A/ja
Publication of JP2008047790A publication Critical patent/JP2008047790A/ja
Abandoned legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Lasers (AREA)

Abstract

【課題】パルスレーザ装置において、スペクトル幅の広いパルスレーザ光を発生し、小型化および低コスト化を図る。
【解決手段】 共振器11と、共振器11内に配置されたパルス発振を誘起する光変調素子である可飽和吸収体ミラー9と、共振器11内に配置された固体レーザ媒質7と、固体レーザ媒質7に励起光Leを入射させる励起手段12とを備えたパルスレーザ装置10において、共振器11内に、固体レーザ媒質7と可飽和吸収体ミラー9により発せられるパルスレーザ光のスペクトル幅を拡大する非線形光学媒質としてフォトニッククリスタルファイバ8を配置する。
【選択図】図1

Description

本発明は、励起光源からの励起光により固体レーザ媒質から発振光を発生させてパルスレーザ光を出力するパルスレーザ装置に関するものである。
近年、医療やレーザ加工分野において、パルスレーザ光が幅広く使用され始めている。例えば、OCT(Optical Coherence Tomography)と呼ばれる光の干渉を利用した断層画像の撮影方法では、分解能向上のためには低コヒーレンス光が望ましいため、50nm以上のスペクトル幅をもつ広帯域のパルスレーザ光が使用されている。また、レーザ加工においては、パルス幅の伸縮およびパルスエネルギーの増幅によって生成された非常に高いピークパワーをもつパルスレーザ光が使用されている。このように、パルスレーザ光に対する性能要求は多彩なものとなってきており、そのスペクトルやパルス幅の制御が重要視されている(例えば、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3参照)。
従来、広帯域のスペクトルをもつパルスレーザ光を得る方法としては、ファイバ内部に周期的な屈折率分布を形成して光の閉じ込め効果を高めたフォトニッククリスタルファイバに、レーザ共振器から出力されたピコ秒またはフェムト秒のパルス幅をもつパルスレーザ光を集光して入射させることにより、紫外から近赤外にわたってスペクトルを有する広帯域パルスレーザ光を得る方法が知られている(例えば、非特許文献4、非特許文献5参照)。なお、パルス幅がフェムト秒のパルスレーザ光を出力するフェムト秒パルスレーザとしては、チタンサファイアレーザまたはファイバレーザ等が知られている。
また、パルス幅の制御に関しては、レーザ共振器から出力されたパルスレーザ光をグレーティング等を用いてチャープすることにより、パルス幅が拡大されたパルスレーザ光を得る方法等が知られている。
Opt. Lett. 13, 3224 (2005) Opt. Lett. 12, 695 (2004) J. Opt. Soc. Am. B. 16, 637 (1999) Nature 424, 511 (2003) Opt. Lett. 26, 1356 (2001)
しかしながら、上記のようなフェムト秒パルスレーザは、安定したモード同期および分散補償を得るために複雑な内部構造となっており、部品点数が多く高価であり、かつ大型であるために、これらを用いた広帯域パルスレーザ装置のパッケージコストが高くなってしまうという問題がある。
パルス幅がピコ秒のパルスレーザ光を出力するピコ秒パルスレーザは、フェムト秒レーザよりも単純な構造で安価であるが、上記の方法では、レーザ共振器から出力されたパルスレーザ光をフォトニッククリスタルファイバに入射させているため、所望のスペクトル幅を得るには数mもの長さのフォトニッククリスタルファイバが必要となる。このため、フォトニッククリスタルファイバ自体のコストが高くなり、さらに長尺のファイバを収納するためにパッケージコストが高くなることから、結果として、広帯域パルスレーザ装置が高価になってしまうという問題がある。
また、パルス幅の制御に関しても、従来の方法では、レーザ共振器の外部にパルス制御機構を設けて、レーザ共振器から出力されたパルスレーザ光を制御しているため、装置の小型化を促進することができず、装置のパッケージコストが高くなってしまうという問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、本発明の第1の目的は、スペクトル幅の広いパルスレーザ光が得られ、小型で安価なパルスレーザ装置を提供することである。
また、本発明の第2の目的は、パルス幅の広いパルスレーザ光が得られ、小型で安価なパルスレーザ装置を提供することである。
さらに、本発明の第3の目的は、パルス幅の狭いパルスレーザ光が得られ、小型で安価なパルスレーザ装置を提供することである。
本発明の第1のパルスレーザ装置は、共振器と、該共振器内に配置されたパルス発振を誘起する光変調素子と、該共振器内に配置された固体レーザ媒質と、該固体レーザ媒質に励起光を入射させる励起手段とを備えたパルスレーザ装置において、前記共振器内に、スペクトル幅を拡大させる非線形光学媒質を配置したことを特徴とするものである。
上記のスペクトル幅の拡大は、前記非線形光学媒質中における、自己位相変調、高調波発生、和周波発生、差周波発生、光パラメトリック発振、光パラメトリック増幅、誘導ラマン散乱、誘導ブリユアン散乱、シングルフィラメント連続光発生のいずれか、またはそれらの組み合わせによるものであってもよい。
前記非線形光学媒質が、フォトニッククリスタルファイバであってもよい。また、前記非線形光学媒質が、LiNb (Lithium Niobate)、LiF(Lithium Fluoride)、NaCl、KDP(Potassium Dihydrogen Phosphate)、BaF2(Barium Floride)、及びCaF(Calcium Fluoride)からなる群より選択される少なくとも1種からなる固体媒質であることが望ましい。なお、この固体媒質は、不可避不純物を含んでいてもよい。また、前記非線形光学媒質が、H2O、D2O(Heavy water)、Methanol、Propanol、CCl、CCl4、C2HCl3、CS2、及びBenzeneからなる群より選択される少なくとも1種からなる液体媒質であることが望ましい。なお、この液体媒質は、不可避不純物を含んでいてもよい。あるいは、前記非線形光学媒質が、Fused silica又はglassであることが望ましい。
本発明の第2のパルスレーザ装置は、共振器と、該共振器内に配置されたパルス発振を誘起する光変調素子と、該共振器内に配置された固体レーザ媒質と、該固体レーザ媒質に励起光を入射させる励起手段とを備えたパルスレーザ装置において、前記共振器内に、該共振器内の群速度分散を制御して、パルス幅を拡大させる光学機構を配置したことを特徴とするものである。
前記光学機構としては、フォトニッククリスタルファイバまたは石英ファイバ等を採用してもよく、あるいは、干渉を用いたものであってもよい。干渉を用いる場合は、共振器内にエタロン等の干渉部材を配置してこれを光学機構としてもよく、または、光変調素子、固体レーザ媒質、共振器の端部が有する面のうちいずれか2つ以上の面で反射した光が干渉するように構成してこれを光学機構としてもよい。
本発明の第3のパルスレーザ装置は、共振器と、該共振器内に配置されたパルス発振を誘起する光変調素子と、該共振器内に配置された固体レーザ媒質と、該固体レーザ媒質に励起光を入射させる励起手段とを備えたパルスレーザ装置において、前記共振器内に、干渉を用いることにより該共振器内の群速度分散を制御して、パルス幅を縮小させる光学機構を配置したことを特徴とするものである。
前記光学機構としては、共振器内にエタロン等の干渉部材を配置してもよく、または、光変調素子、固体レーザ媒質、共振器の端部が有する面のうちいずれか2つ以上の面で反射した光が干渉するように構成してもよい。
本発明の第1、第2、第3のパルスレーザ装置において、前記光変調素子として、可飽和吸収体を用いてもよく、その際には、半導体可飽和ミラーを用いてもよい。
本発明の第1のパルスレーザ装置では、共振器内に、スペクトル幅を拡大させる非線形光学媒質を配置しているので、共振器内で発生した光は、この非線形光学媒質を進行する際に非線形効果を受けてスペクトル幅が拡大され、結果として、スペクトル幅の広いパルスレーザ光を共振器から出力させることができる。非線形光学媒質での光路長が長いほど、また光のパワーが大きいほど、非線形効果は大きくなり、スペクトル幅も広くなる。パルスレーザ装置は、共振器内で発生したパルスレーザ光のごく一部のみが共振器外に出力されるものであるから、共振器外に出力されるパルスレーザ光よりも共振器内で発生しているパルスレーザ光の方が大きなピークパワーを有している。よって、本発明の第1のパルスレーザ装置のように、共振器内に非線形光学媒質を配置すれば、従来の装置のように共振器外に非線形光学媒質を配置した場合よりも、少量の非線形光学媒質で広いスペクトル幅の光を得ることができ、非線形光学媒質の低コスト化が可能になる。例えば、従来では非線形光学媒質として長尺のファイバを用いていたものが、本発明によればファイバ長を格段に短くすることができるため、ファイバの低コスト化とともに、ファイバを収容するスペースの節約もでき、装置の小型化を促進することができる。また、共振器内にスペクトル幅を拡大する非線形光学媒質を配置することにより、従来では共振器外に配置されていたスペクトル幅拡大機構を取り除くことができるため、いっそうの装置の小型化が可能になり、パッケージコスト減が可能になる。
非線形光学媒質がフォトニッククリスタルファイバである場合は、フォトニッククリスタルファイバのクラッドに設ける空孔の大きさや間隔、並べ方により自由に光学特性を制御できるため、所望のスペクトル幅の光を容易に得ることができる。
本発明の第2のパルスレーザ装置によれば、共振器内に、パルス幅を拡大させる光学機構を配置しているので、パルス幅を拡大できるとともに、従来では共振器外に配置されていたパルス幅拡大機構を取り除くことが可能になり、小型化およびパッケージコスト減が可能となる。
光学機構がフォトニッククリスタルファイバである場合は、フォトニッククリスタルファイバのクラッドに設ける空孔の大きさや間隔、並べ方により自由に光学特性を制御できるため、所望のパルス幅の光を容易に得ることができる。また、光学機構が石英ファイバである場合は、安価で入手容易な部材により構成できる。
光学機構が、干渉を用いることにより群速度分散を制御してパルス幅を広げるものであれば、例えば、共振器内に配置された光変調素子、固体レーザ媒質、共振器の端部が有する面のいずれかを干渉用反射面として利用することができ、干渉用の部材を新たに設ける必要がないため、部品点数を削減でき、低コスト化を図ることができる。
本発明の第3のパルスレーザ装置によれば、共振器内に、パルス幅を縮小させる光学機構を配置しているので、パルス幅を縮小できるとともに、従来では共振器外に配置されていたパルス幅縮小機構を取り除くことが可能になり、小型化およびパッケージコスト減が可能となる。
光学機構が、干渉を用いることにより群速度分散を制御してパルス幅を狭めるものであれば、例えば、共振器内に配置された光変調素子、固体レーザ媒質、共振器の端部が有する面のいずれかを干渉用反射面として利用することができ、干渉用の部材を新たに設ける必要がないため、部品点数を削減でき、低コスト化を図ることができる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態のパルスレーザ装置10の概略構成を示すものである。本実施形態のパルスレーザ装置10は、スペクトル幅の拡大を図ったものであり、より詳しくは、非線形光学媒質を共振器内に配置することにより、該非線形光学媒質が共振器内に配置されていない場合よりも広いスペクトル幅をもつパルスレーザ光を得るものである。パルスレーザ装置10は、共振器ミラー6およびパルス発振を誘起する光変調素子である可飽和吸収体ミラー9によって両端が構成されて、内部に固体レーザ媒質7と、フォトニッククリスタルファイバ8とが配置された共振器11と、共振器11の光軸と一致させて共振器ミラー6側から励起光を入射する励起手段12とから構成された直線型共振器構造を有する。
フォトニッククリスタルファイバ8は、非線形光学媒質であり、クラッドに結晶のように整然と空孔を設けることにより、クラッドの実効的な屈折率をコアより低くし、光を導波する光ファイバであり、その空孔の大きさや間隔、並べ方により光学特性を自由に制御できる。本実施形態のフォトニッククリスタルファイバ8は、光を導波する過程で生じる非線形効果によりスペクトル幅を拡大するように設計されており、ゼロ分散波長が1064nm、コア径が2μm、全長100mmのものを使用している。
フォトニッククリスタルファイバ8は、固体レーザ媒質7と可飽和吸収体ミラー9の間に近接配置されており、フォトニッククリスタルファイバ8と固体レーザ媒質7の端面間の距離、およびフォトニッククリスタルファイバ8と可飽和吸収体ミラー9の端面間の距離はともに5μm以内である。
共振器ミラー6は、一端面が曲率10mmの凹面、他端面が平面の凹面ミラーであり、凹面が共振器内部に対向するように配置されている。共振器ミラー6の凹面には850〜1063nmおよび1065〜1300nmの波長に対し反射率が5%以下である反射防止コートおよび1064±1nmの波長に対して反射率が99.99%以上である高反射コートが施されており、平面には850〜1300nmの波長に対し反射率5%以下の反射防止コートが施されている。
固体レーザ媒質7は、一例としてNdが2%ドープされた厚さ0.5mm のNd:YVOを用いている。固体レーザ媒質7の両端面には850〜1300nmの波長に対して反射率が1%以下、特に1064±1nmの波長に対して反射率が0.1%以下となる反射防止コートが施されている。
可飽和吸収体ミラー9は、可飽和吸収体であり、半導体可飽和ミラーデバイスであるSESAM(Semiconductor Saturable Absorber Mirrors、BATOP社製)を用いている。可飽和吸収体ミラー9は1064nm±1の波長に対し反射率99.99%、変調深さ0.5%、飽和フルーエンス90μJ/cmを有している。
上記構成の共振器11によって、固体レーザ媒質7中に150μmの発振光ビーム径、可飽和吸収体ミラー9上に10μmの発振光ビームウェスト径を形成した。
励起手段12は、励起光源であり励起光Leを出射する半導体レーザ1と、該半導体レーザ1からの励起光Leを集光して固体レーザ媒質7に入射させるためのレンズ2、3、5からなる集光光学系とから構成されている。
半導体レーザ1は、高出力半導体レーザであり、例えばエミッターサイズ100μm、最大出力3W(nlight社製)のものを使用できる。集光光学系を構成するレンズ2は焦点距離1.5mmのFast axisコリメートレンズであり、レンズ3は焦点距離15mmのSlow axisコリメートレンズであり、レンズ5は焦点距離8.5mmのアクロマートレンズである。本集光光学系を用いることにより、固体レーザ媒質7内に39×41μmの励起光ビームウェスト径が形成されている。
レンズ3、5の間には共振器11からの出力光Lを外部へ出力させるためのダイクロイックミラー4が配置されている。ダイクロイックミラー4には、808±2nmの波長に対し反射率5%以下の反射防止コートおよび850〜1300nmの波長に対し反射率95%以上の高反射コートが施されている。
上記構成のパルスレーザ装置10において、半導体レーザ1から出射された励起光Leはレンズ2、3、5により集光されて、共振器ミラー6を経由した後、固体レーザ媒質7に入射する。また、共振器11内においては、固体レーザ媒質7は励起光Leにより励起され、固体レーザ媒質7から出射して共振器11内を進行する光は、フォトニッククリスタルファイバ8内を導波される過程で生じる非線形効果によりスペクトル幅が拡大される。このようにしてスペクトル幅が拡大された発振光Lの一部は共振器ミラー7から出力され、レンズ5を透過してダイクロイックミラー4で反射されて光路を90度曲げられて出力光Loutとして外部へ出力される。
上記構成のパルスレーザ装置10を想定した理論計算の結果を以下に述べる。まず、フォトニッククリスタルファイバ8で全く非線形効果が生じず、すなわちスペクトル幅の拡大も起こらないとした場合には、励起出力3Wの励起に対し、繰り返し周波数1.1GHz、パルス幅5ps、パルスエネルギー261nJ、ピークパワー52kW、スペクトル幅1nmのパルスを共振器内に生成することが可能である。
次に、フォトニッククリスタルファイバ8での非線形効果を考慮して、この効果により生じる内部エネルギーロスを組み入れた理論計算によれば、パルスエネルギー19nJ、ピークパワー3.8kWのパルスを共振器内に生成することが可能である。このパルスが長さ100mmのフォトニッククリスタルファイバ8を一往復すると、スペクトル幅が200nmに広がった広帯域パルスレーザ光を得ることが可能である。なお、ここでのスペクトル幅とは、スペクトルピーク強度に対し、10分の1の値におけるスペクトル幅を意味する。
さらに、実際の実験条件を考慮したシミュレーションによれば、励起出力3Wの励起に対し、平均出力2mW、スペクトル幅1000nm〜1150nmに広がった広帯域パルスレーザ光を得ることができる。
このシミュレーションにより得られた広帯域パルスレーザ光のスペクトル形状は、波長1064nmにおいて突出したピークが存在したものであるが、共振器から出力された広帯域パルスレーザ光を、波長1064nmに対する透過率を下げたスペーシャルフィルターを透過させることにより、平坦なスペクトル形状を得ることができる。また、このスペーシャルフィルターの特性を変えれば、矩形、放物など任意のスペクトル形状のパルスレーザ光を形成することができるので、近年要求が高まっている多彩なスペクトル形状のパルスレーザ光の生成に有効である。
なお、上記の第1の実施形態では、パルスレーザ光を広帯域化する非線形媒質としてフォトニッククリスタルファイバを用いたが、代わりにLiNb (Lithium Niobate)、LiF(Lithium Fluoride)、NaCl、KDP(Potassium Dihydrogen Phosphate)、BaF2(Barium Floride)、及びCaF(Calcium Fluoride)からなる群より選択される少なくとも1種からなる固体媒質(不可避不純物を含んでいてもよい)を用いてもよく、H2O、D2O(Heavy water)、Methanol、Propanol、CCl、CCl4、C2HCl3、CS2、及びBenzeneからなる群より選択される少なくとも1種からなる液体媒質を用いてもよく、Fused silica又はglassを用いてもよい。glassとしては例えばSF-11 glass(SCHOTT社製)を用いることができる。
また、パルスレーザ装置におけるスペクトルの広帯域化は、非線形光学媒質中における、自己位相変調、高調波発生、和周波発生、差周波発生、光パラメトリック発振、光パラメトリック増幅、誘導ラマン散乱、誘導ブリユアン散乱、シングルフィラメント連続光発生のうちのいずれか、またはそれらの組み合わせによって行うようにしてもよい。
次に、本発明の第2の実施形態によるパルスレーザ装置20について説明する。図2は本発明の第2の実施形態のパルスレーザ装置20の概略構成を示すものである。第1の実施形態のパルスレーザ装置10と同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略し、主として第1の実施形態と異なる点について説明する。第2の実施形態のパルスレーザ装置20は、パルス幅の拡大を図ったものであり、より詳しくは、群速度分散を制御してパルス幅を拡大する光学機構を共振器内に配置することにより、該光学機構が共振器内に配置されていない場合よりも広いパルス幅をもつパルスレーザ光を得るものである。
パルスレーザ装置20では、第1の実施形態のパルスレーザ装置10のダイクロイックミラー4、共振器ミラー6、固体レーザ媒質7、フォトニッククリスタルファイバ8に代り、それぞれダイクロイックミラー24、共振器ミラー26、固体レーザ媒質27、石英ファイバ28を用いている。
石英ファイバ28は、正の群速度分散を有し、パルス幅を拡大する光学機構として機能するものである。石英ファイバ28の長さを長くすると、正の群速度分散が大きくなることから、石英ファイバ28の長さを調整することにより、任意のパルス幅に拡大することが可能である。パルスレーザ装置20の石英ファイバ28としては、全長5km、コア径10μmのシングルモード石英ファイバが使用されている。
石英ファイバ28は、固体レーザ媒質27と可飽和吸収体ミラー9の間に近接配置されており、石英ファイバ28と固体レーザ媒質27の端面間の距離および石英ファイバ28と可飽和吸収体ミラー9の端面間の距離はともに5μm以内である。
ダイクロイックミラー24は、808±2nmの波長に対し反射率5%以下の反射防止コートおよび1064±2nmの波長に対し反射率95%以上の高反射コートが施されている。共振器ミラー26は第1の実施形態の共振器ミラー6と同じ形状であるが、凹面には、808±2nmの波長に対し反射率5%以下の反射防止コートおよび1064±1nmの波長に対し反射率99.99%以上の高反射コートが施されおり、平面には808±2nmおよび1064±1nmの波長に対し5%以下の反射率を有する反射防止コートが施されている。
固体レーザ媒質27は、第1の実施形態の固体レーザ媒質7と同じNdドープ量、厚みのものであるが、両端面に808±2nmの波長に対し5%以下、1064nm±1nmの波長に対しては0.1%以下の反射率を有する反射防止コートが施されている。
上記構成のパルスレーザ装置を用いて、パルス幅15ps、出力0.3mW、繰返し周波数20kHzのパルスレーザ光を得ることができた。石英ファイバ28を配置していない場合のパルス幅は約5psであるため、石英ファイバ28を配置することによりパルス幅を3倍に拡大できたことになる。
上記の第2の実施形態では、パルス幅を拡大する光学機構として石英ファイバを用いたが、これに限定されるものではなく、例えば、石英ファイバの代わりに、正の群速度分散を有するように構成されたフォトニッククリスタルファイバを用いてもよい。また、石英ファイバの代わりに、石英ファイバよりも大きな正の群速度分散を有する光学媒質を用いれば、石英ファイバよりも短い光学媒質長でパルス幅を拡大することができる。
次に、本発明の第3の実施形態によるパルスレーザ装置30について説明する。図3は本発明の第3の実施形態のパルスレーザ装置30の概略構成を示すものである。第2の実施形態のパルスレーザ装置20と同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略し、主として第2の実施形態と異なる点について説明する。第3の実施形態のパルスレーザ装置30は、パルス幅の縮小を図ったものであり、より詳しくは、干渉により群速度分散を制御してパルス幅を縮小する光学機構を共振器内に配置することにより、該光学機構が共振器内に配置されていない場合よりも狭いパルス幅をもつパルスレーザ光を得るものである。
パルスレーザ装置30では、第2の実施形態のパルスレーザ装置20の石英ファイバ28に代り、エタロン38を用いている。エタロン38は、パルス幅を縮小する光学機構として機能するものであり、固体レーザ媒質27と可飽和吸収体ミラー9との間の光路に配置されている。エタロン38は、負の群速度分散を有するよう構成されており、群速度分散を制御してパルス幅を縮小する光学機構として機能するものである。エタロン38は、平行に配置された2枚の平面ガラスからなり、その内面は反射層が形成され、これらの面で発振光Lを干渉させることにより、群速度分散を制御してパルス幅を縮小する。エタロン38の2枚の平面ガラスの間隔を変化させることにより、群速度分散の値を変化させることができ、これによりパルス幅の縮小量を変化することができる。
次に、本発明の第4の実施形態によるパルスレーザ装置40について説明する。図4は本発明の第4の実施形態のパルスレーザ装置40の概略構成を示すものである。第2の実施形態のパルスレーザ装置20と同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略し、主として第2の実施形態と異なる点について説明する。本実施形態のパルスレーザ装置40は、パルス幅の縮小を図ったものであり、より詳しくは、干渉により群速度分散を制御する光学機構を共振器内に設けることにより、該光学機構を共振器内に設けない場合よりも狭いパルス幅をもつパルスレーザ光を得るものである。
パルスレーザ装置40は、第3の実施形態のパルスレーザ装置30からエタロン38を取り去り、パルスレーザ装置30の固体レーザ媒質27に代り、固体レーザ媒質37を用いている。
固体レーザ媒質37は、第2の実施形態の固体レーザ媒質27と同じNdドープ量、厚みであり、各コートの波長帯域も同じであるが、反射率の値が若干異なり、群速度分散を制御して所望のパルス幅となるように反射率が最適化されている。
パルスレーザ装置40では、群速度分散を制御する光学機構として、固体レーザ媒質37の両端面で反射した光が干渉し、これにより群速度分散を制御してパルス幅を縮小するように構成されている。干渉に用いられる固体レーザ媒質37の両端面間の距離を変化させることにより、群速度分散の値を変化させることができ、これによりパルス幅の縮小量を変化することができる。また、第4の実施形態を第3の実施形態と比較すると、共振器内にエタロンを配置していないため、部品点数の削減による低コスト化が可能になる。
なお、第4の実施形態では、群速度分散を制御するための干渉用反射面として、固体レーザ媒質37の両端面を用いたが、これらに限定されるものではなく、共振器ミラーの一端面、固体レーザ媒質の2つの端面、可飽和吸収体ミラーの一端面のうち任意の面を用いることができる。また、共振器内に干渉用反射面をもつ反射部材をさらに配置して、共振器ミラーの一端面、固体レーザ媒質の2つの端面、可飽和吸収体ミラーの一端面、反射部材がもつ反射面のうち任意の面を用いて干渉させ、群速度分散を制御してパルス幅を縮小するようにしてもよい。なお、干渉用反射面として用いられる面間距離および該面のコートの仕様は、所望のパルス幅に応じて構成することは言うまでもない。
また、上記第3、第4の実施形態および変形例では、干渉を利用して群速度分散を制御してパルス幅を縮小する光学機構について述べたが、干渉用反射面の構成や反射面間の距離を設定することにより、干渉を利用して群速度分散を制御してパルス幅を拡大する光学機構を実現することも可能である。
なお、第1〜第4の実施形態においては、モード同期型のパルスレーザ装置を例にとり、パルス発振を誘起する光変調素子としてSESAMを用いたが、もちろん別の手段を用いてもよい。半導体以外の例えばカーボンナノチューブを用いた可飽和吸収体でも良い。また、固体レーザ媒質自身の光カー効果を生じる性質を利用したカーレンズモード同期(Kerr lens mode locking; KLM)や、KLMとSESAMなどの併用、能動モード同期素子(例えば音響光学素子による強度変調や周波数変調)なども実用的に使用可能である。また、本発明は、Qスイッチを用いたものなど、モード同期型以外のパルスレーザ装置にも適用可能である。さらに、共振器としては、直線型共振器に限定されるものではなく、V型あるいはZ型共振器なども使用可能である。
本発明の第1の実施形態のパルスレーザ装置の概略構成図 本発明の第2の実施形態のパルスレーザ装置の概要構成図 本発明の第3の実施形態のパルスレーザ装置の概要構成図 本発明の第4の実施形態のパルスレーザ装置の概要構成図
符号の説明
1 半導体レーザ
2、3、5 レンズ
4 ダイクロイックミラー
6、26、36、46 共振器ミラー
7、27、37、47 固体レーザ媒質
8 フォトニッククリスタルファイバ
9 可飽和吸収体ミラー(光変調素子)
10、20、30、40 パルスレーザ装置
11、21、31、41 共振器
12、22 励起手段
28 石英ファイバ
38 エタロン
Le 励起光
発振光
L 出力光

Claims (12)

  1. 共振器と、該共振器内に配置されたパルス発振を誘起する光変調素子と、該共振器内に配置された固体レーザ媒質と、該固体レーザ媒質に励起光を入射させる励起手段とを備えたパルスレーザ装置において、
    前記共振器内に、スペクトル幅を拡大させる非線形光学媒質を配置したことを特徴とするパルスレーザ装置。
  2. 前記スペクトル幅の拡大が、前記非線形光学媒質中における、自己位相変調、高調波発生、和周波発生、差周波発生、光パラメトリック発振、光パラメトリック増幅、誘導ラマン散乱、誘導ブリユアン散乱、シングルフィラメント連続光発生のいずれか、またはそれらの組み合わせによることを特徴とする請求項1記載のパルスレーザ装置。
  3. 前記非線形光学媒質が、フォトニッククリスタルファイバであることを特徴とする請求項1または2項記載のパルスレーザ装置。
  4. 前記非線形光学媒質が、LiNb、LiF、NaCl、KDP(Dは重水素を示す)、BaF2、及びCaFからなる群より選択される少なくとも1種からなる固体媒質であることを特徴とする請求項1または2記載のパルスレーザ装置。
  5. 前記非線形光学媒質が、H2O、D2O(Dは重水素を示す)、Methanol、Propanol、CCl、CCl4、C2HCl3、CS2、及びBenzeneからなる群より選択される少なくとも1種からなる液体媒質であることを特徴とする請求項1または2記載のパルスレーザ装置。
  6. 前記非線形光学媒質が、Fused silica又はglassであることを特徴とする請求項1または2記載のパルスレーザ装置。
  7. 共振器と、該共振器内に配置されたパルス発振を誘起する光変調素子と、該共振器内に配置された固体レーザ媒質と、該固体レーザ媒質に励起光を入射させる励起手段とを備えたパルスレーザ装置において、
    前記共振器内に、該共振器内の群速度分散を制御して、パルス幅を拡大させる光学機構を配置したことを特徴とするパルスレーザ装置。
  8. 前記光学機構が、フォトニッククリスタルファイバまたは石英ファイバであることを特徴とする請求項7記載のパルスレーザ装置。
  9. 前記光学機構が、干渉を用いたものであることを特徴とする請求項7記載のパルスレーザ装置。
  10. 共振器と、該共振器内に配置されたパルス発振を誘起する光変調素子と、該共振器内に配置された固体レーザ媒質と、該固体レーザ媒質に励起光を入射させる励起手段とを備えたパルスレーザ装置において、
    前記共振器内に、干渉を用いることにより該共振器内の群速度分散を制御して、パルス幅を縮小させる光学機構を配置したことを特徴とするパルスレーザ装置。
  11. 前記光変調素子が、可飽和吸収体であることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項記載のパルスレーザ装置。
  12. 前記可飽和吸収体が、半導体可飽和ミラーであることを特徴とする請求項11記載のパルスレーザ装置。
JP2006223871A 2006-08-21 2006-08-21 パルスレーザ装置 Abandoned JP2008047790A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006223871A JP2008047790A (ja) 2006-08-21 2006-08-21 パルスレーザ装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006223871A JP2008047790A (ja) 2006-08-21 2006-08-21 パルスレーザ装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2008047790A true JP2008047790A (ja) 2008-02-28

Family

ID=39181210

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006223871A Abandoned JP2008047790A (ja) 2006-08-21 2006-08-21 パルスレーザ装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2008047790A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104466645A (zh) * 2013-09-18 2015-03-25 福州高意通讯有限公司 一种短腔被动锁模激光器
JP2015220376A (ja) * 2014-05-19 2015-12-07 日本電信電話株式会社 レーザー発振器
JP2015220375A (ja) * 2014-05-19 2015-12-07 日本電信電話株式会社 レーザー発振器
CN112204452A (zh) * 2018-06-15 2021-01-08 大陆汽车有限责任公司 用于生成具有干扰光抑制的虚像的设备

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104466645A (zh) * 2013-09-18 2015-03-25 福州高意通讯有限公司 一种短腔被动锁模激光器
JP2015220376A (ja) * 2014-05-19 2015-12-07 日本電信電話株式会社 レーザー発振器
JP2015220375A (ja) * 2014-05-19 2015-12-07 日本電信電話株式会社 レーザー発振器
CN112204452A (zh) * 2018-06-15 2021-01-08 大陆汽车有限责任公司 用于生成具有干扰光抑制的虚像的设备

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9397467B2 (en) Optical pumping device
US7477672B2 (en) Mitigation of photodarkening to achieve laser oscillation and amplification with highly doped fibers
JP2000200931A (ja) モ―ドロック多モ―ドファイバレ―ザパルス光源
EP2369695B1 (en) Fiber amplifier based light source for semiconductor inspection
US20110122903A1 (en) Wide-Band Wavelength-Variable Laser Device
JP6607534B2 (ja) 受動モードロックファイバレーザ装置
Hemming et al. A high power hybrid mid-IR laser source
US10348049B2 (en) Light source device and information acquisition apparatus
JP2008047790A (ja) パルスレーザ装置
JP2020127000A (ja) 圧縮パルス幅を有する受動qスイッチ型固体レーザ
Nomura et al. Development of ultrafast laser oscillators based on thulium-doped ZBLAN fibers
Lin et al. The generation of 1.2 μJ pulses from a Mamyshev oscillator based on a high concentration, large-mode-area Yb-doped fiber
JP2007073552A (ja) レーザ光発生装置及び画像生成装置
US20230163553A1 (en) Fiber laser system
Wu et al. A high-power harmonically self-mode-locked Nd: YVO4 1.34-μm laser with repetition rate up to 32.1 GHz
Hofer et al. High energy, sub-picosecond pulses from a Nd-doped double-clad fiber laser
Xue et al. Compact efficient 1.5 W continuous wave Nd: YVO4/LBO blue laser at 457 nm
Forster et al. Recent advances in high-power 2 µm fiber lasers for frequency conversion into the mid-IR
Liem et al. Experimental analysis of the influence of the spectral width of out-coupling Fiber Bragg Gratings to the amount of Stimulated Raman Scattering in a cw kW fiber oscillator
CN113937605A (zh) 一种多参量可调谐飞秒脉冲激光器
Sims et al. Spectral beam combining of 2 μm Tm fiber laser systems
Chen et al. Intracavity frequency doubling of an active Q-switched Nd: YAG laser with 2.25 W output power at 473 nm
Krämer et al. 514 W monolithic fiber laser with a femtosecond inscribed fiber Bragg grating
Gurram et al. Generation of 6.8 W of CW output power at 1550 nm using small mode field diameter Er: Yb co-doped double clad fiber in laser oscillator configuration
JP2015220376A (ja) レーザー発振器

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090217

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110613

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110621

A762 Written abandonment of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A762

Effective date: 20110725