JP2008047294A - 酸化珪素膜を有する光触媒を含有する燃料電池用電極触媒 - Google Patents

酸化珪素膜を有する光触媒を含有する燃料電池用電極触媒 Download PDF

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Abstract

【課題】 燃料電池用電極触媒の活性及び寿命性能を向上させ、より安価な燃料電池を提供すること。
【解決手段】 光触媒活性を有する基体と、該基体の表面の少なくとも一部を被覆している、実質的に細孔を有しない酸化珪素膜、からなる酸化珪素被覆光触媒を、燃料電池用電極触媒に含有した構成とする。前記酸化珪素被覆光触媒が、一酸化炭素等の被毒物を効果的に吸着除去し、分解することによって、燃料電池用電極触媒の活性および寿命性能を高める。
【選択図】 なし

Description

本発明は固体高分子型燃料電池用の電極触媒に関する。
固体高分子型燃料電池(PEFC)は、固体高分子電解質膜の一方の面にアノードを、他の面にカソードを接合して構成され、例えば、アノードに燃料として水素、カソードに酸化剤として酸素をそれぞれ供給すると、次の電気化学反応によって発電する装置である。
アノード:H→2H+2e
カソード:1/2O+2H+2e→H
このような燃料電池は、クリーンで且つ高効率であり、更に、従来の二次電池のように長時間の充電が不要であって、燃料を供給し続ければ実質的に連続して用いることができるという特徴から、種々の用途、特に電気自動車用電源、家庭用分散型電源、携帯機器用電源等として注目されている。
しかしながら、実際に用いられるだけの出力を得る為には、酸化還元触媒として白金など貴金属を用いなくてはならず、また使用する固体高分子電解質が高価なため、より安価な材料が求められているのが現状である。特に、触媒の低コスト化を図るべく、白金触媒の代替触媒や白金との併用触媒の検討が数多く試みられている。
前者としては、例えば燃料極(アノード)の水素反応に用いる触媒としてニッケル粒子を担持した触媒などが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、後者としては、白金と各種金属との合金を用いる方法が多く検討されているが、金微粒子と共に白金と各種金属又は金属酸化物を含有する負極触媒も知られている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、白金触媒の代替触媒については十分な活性が得られておらず、また白金の触媒活性を高める方法では、いずれの方法も、触媒とともに用いる金属がそれ程安価でなく、また製造工程も煩雑であるため、十分なコストの低減が図れていないという問題がある。
さらに固体高分子型燃料電池の実用化において、インフラ設備が容易になることから燃料として炭化水素系の燃料、例えばメタノールまたはメタンを改質して得られる水素と炭酸ガスとを含む改質ガスを用いる方法や、炭化水素系の燃料、特にメタノールなどを改質せずに、直接燃料として用いる方法も検討されている。
しかしながら、改質ガスを燃料として用いた場合には、わずかに含まれる一酸化炭素(CO)、もしくは炭化水素系燃料を用いた場合には分解する際に発生する一酸化炭素(CO)によって、酸化還元触媒、特に白金への被毒が顕著であり、PEFCの出力及び、寿命性能が著しく低下するという問題がある。
燃料電池用電極触媒の活性向上によるコスト低減と、一酸化炭素被毒による寿命性能の低下の回避という課題に対し、貴金属系の金属からなる触媒と、酸化チタンのような光を照射することにより、活性化する光触媒とを備えた燃料電池用の電極に関する技術が開示されている。(特許文献3,4,5 非特許文献1)
これは光触媒がもつ酸化力により、貴金属触媒表面に付着した一酸化炭素を酸化分解し、触媒寿命性能を向上させること、及びその吸着力により燃料、特にメタノールなどを貴金属触媒近傍に濃縮し、反応を促進することを目的としたものであるが、一酸化炭素被毒を解消し、活性を向上させる傾向はある程度見られるものの、未だその効果が十分ではなく、また紫外線照射を行うためのインフラ設備が必要となるという問題がある。
また貴金属系の金属からなる触媒と、酸化還元機能を備えた金属酸化物又は金属窒化物とを備えることで、紫外線を照射することなく、一酸化炭素被毒を解消する技術も開示されている。(特許文献6,7)さらに、酸化チタンや酸化ケイ素など吸着力の高い酸化物を粒子として添加することで、紫外線照射の有無に関わらず、触媒金属に吸着した一酸化炭素の酸化反応に必要な水酸基を供給することで、一酸化炭素の分解反応を促進し、寿命性能を向上させる技術も開示されている。(特許文献8)
しかしながら、これらの方法では、紫外線照射のためのインフラ設備が不要になるという利点があるが、紫外線を照射する場合に比べ、著しく一酸化炭素被毒を解消する効果が低下するという問題がある。
上記のように、燃料電池用電極触媒に、金属酸化物等を添加することで酸化力、及び燃料への吸着力を向上させ、一酸化炭素被毒が解消、及び触媒活性の向上を目的とした技術開発が行われているが、未だその効果が十分でなく、新しい技術の開発が切望されていた。
特開2000−223130号公報 特開2004−146223号公報 特開2000−243406号公報 特開2005−347216号公報 特開2006−86037号公報 特開2005−302554号公報 特開2005−63677号公報 特開2006−19133号公報 J. Phys. Chem. B vol. 109, No.24, 2005.
本発明は、以上のような状況を鑑みてなされたものであり、燃料電池用電極触媒の活性及び寿命性能を向上させ、より安価な燃料電池を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記の課題を解決するため鋭意検討した結果、光触媒活性を有する基体を酸化珪素で被覆した光触媒を電極触媒に含有させることで、充分な一酸化炭素酸化能力を保持しつつ、かつ効果的に吸着力を向上させる方法を開発し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明によれば、以下の構成を特徴とする燃料電池用電極触媒が提供される。
[1]
光触媒活性を有する基体と、
該基体の表面の少なくとも一部を被覆している、実質的に細孔を有しない酸化珪素膜、
からなる光触媒を含有する燃料電池用電極触媒。
[2]
酸化還元触媒を含むことを特徴とする[1]記載の燃料電池用電極触媒
[3]
前記酸化還元触媒が白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、銀、ニッケル、鉄、銅、コバルト及び、モリブデンから選ばれる少なくとも1種類の遷移金属か、又はその酸化物であることを特徴とする[2]記載の燃料電池用電極触媒
[4]
前記光触媒が導電性化合物に担持されていることを特徴とする[1]から[3]のいずれかに記載の燃料電池用電極触媒
[5]
前記導電性化合物が、カーボンブラック、グラファイト、活性炭、繊維状の黒鉛チューブ、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、フラーレン及び、メソポーラスカーボンからなる群から選択される1以上の炭素含有材料であることを特徴とする[4]記載の燃料電池用電極触媒
[6]
前記光触媒がアルカリ金属を含有する[1]から[5]のいずれかに記載の燃料電池用電極触媒
[7]
前記酸化珪素膜が、焼成された酸化珪素膜である、[1]から[6]のいずれかに記載の燃料電池用電極触媒
本発明の燃料電池用電極触媒は、光触媒活性を有する基体と、該基体の表面の少なくとも一部を被覆している、実質的に細孔を有さない酸化珪素膜、からなる光触媒を備えることで、酸化力、及び燃料、特にメタノールなどへの吸着力が向上している。かような燃料電池用電極触媒を用いれば、被毒成分である一酸化炭素の酸化除去反応、及び燃料の酸化反応を促進することができ、寿命性能に優れ、かつ高価な貴金属触媒を減じた安価な燃料電池を提供することができる。
本発明の燃料電池用電極触媒は、以下の構成を特徴としている。
[1]
光触媒活性を有する基体と、
該基体の表面の少なくとも一部を被覆している、実質的に細孔を有しない酸化珪素膜、
からなる光触媒を含有する燃料電池用電極触媒。
[2]
酸化還元触媒を含むことを特徴とする[1]記載の燃料電池用電極触媒。
[3]
前記酸化還元触媒が白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、銀、ニッケル、鉄、銅、コバルト及び、モリブデンから選ばれる少なくとも1種類の遷移金属か、又はその酸化物であることを特徴とする[2]記載の燃料電池用電極触媒。
[4]
前記光触媒が導電性化合物に担持されていることを特徴とする[1]から[3]のいずれかに記載の燃料電池用電極触媒。
[5]
前記導電性化合物が、カーボンブラック、グラファイト、活性炭、繊維状の黒鉛チューブ、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、フラーレン及び、メソポーラスカーボンからなる群から選択される1以上の炭素含有材料であることを特徴とする[4]記載の燃料電池用電極触媒。
[6]
前記光触媒がアルカリ金属を含有する[1]から[5]のいずれかに記載の燃料電池用電極触媒。
[7]
前記酸化珪素膜が、焼成された酸化珪素膜である、[1]から[6]のいずれかに記載の燃料電池用電極触媒。
本発明の燃料電池用電極触媒に含まれる光触媒は、光触媒活性を有する基体と、該基体の表面の少なくとも一部を被覆している、実質的に細孔を有さない酸化珪素膜、からなる光触媒(以下適宜、「酸化珪素被覆光触媒」と略記する)であり、光触媒機能を有する基体の表面を酸化珪素からなる膜で被覆したものを意味する。
したがって、酸化珪素の存在下で後から光触媒を形成して製造される、酸化珪素に光触媒を固定化したものや、酸化珪素と光触媒を同一容器中で並行して形成させた複合体は、含まれない。
酸化珪素膜が基体を被覆する態様は特に制限されず、基体の一部を被覆する態様、全部を被覆する態様のいずれも含むが、より高い光分解活性を得る観点からは、基体の表面が酸化珪素からなる膜で一様に被覆されていることが好ましい。また、酸化珪素膜は、水系媒体中で生じた状態のものと、これを焼成したもののいずれをも含むが、焼成した酸化珪素膜(以下、適宜「焼成酸化珪素膜」と略記する)が好ましい。未焼成のものは、酸化珪素周辺に水分を多く保持するので、一酸化炭素に対する吸着性能が充分に発揮されず、同時に一酸化炭素被毒の解消性能が不充分な場合があるからである。前記酸化珪素被覆光触媒の重量に対する含水率として、7重量以下は好ましく、5重量%がより好ましく、4重量%以下が最も好ましい。
光触媒活性を有する基体(以下、適宜「基体」と略記する。)としては、金属化合物光半導体を用いることができる。金属化合物光半導体としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タングステンおよびチタン酸ストロンチウムなどがあり、このうち、光触媒活性に優れており、無害かつ安定性にも優れる酸化チタンが好ましい。酸化チタンとしては、例えば、非晶質、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型等が挙げられる。このうち、光触媒活性に優れているアナターゼ型あるいはルチル型、または、これらの混合物がより好ましく、これらに非晶質が少量含まれていてもかまわない。
前記基体として、金属化合物光半導体に1種以上の遷移金属を添加したもの、金属化合物光半導体に14族、15族、および/または16族の典型元素を1種以上添加したもの、2種以上の金属化合物からなる光半導体、2種以上の金属化合物光半導体の混合物も使用できる。
さらに前記基体の比表面積は、30m/g以上が好ましく、120m/g以上、400m/g以下がより好ましく、120m/g以上、300m/g以下が最も好ましい。基体の比表面積が上記範囲内にある場合、良好な触媒活性が維持され得る。なお、基体の比表面積は、一般的なBET法により算出することができる。
前記基体の一次粒子径は1nm以上50nm以下が好ましく、2nm以上30nm以下がより好ましい。基体の一次粒子径がこの範囲内にある場合、良好な触媒活性が維持され得る。
また、前記酸化珪素被覆光触媒は、アルカリ金属を含有することが好ましい。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウムが挙げられる。これらのアルカリ金属は1種を含んでいてもよく、これらを2種以上含んでいても良い。このうち、ナトリウムおよび/またはカリウムが好ましく、ナトリウムがより好ましい
光触媒中のアルカリ金属含有量は、原子吸光光度計(AA)、誘導結合プラズマ発光分析装置(ICP)、蛍光X線分析装置(XRF)等を用いて定量可能である。酸化珪素被覆光触媒のアルカリ金属含有量は、1ppm以上、1000ppm以下が好ましく、10ppm以上、500ppm以下がより好ましく、10ppm以上、200ppm以下が特に好ましい。1ppm以上であれば、光分解活性の向上効果が得られ、10ppm以上であれば、この光分解活性の向上効果が顕著となる。アルカリ金属を所定量含有することにより光分解活性が向上する理由については必ずしも明らかではないが、分解目的物の吸着率が向上するため、あるいは、アルカリ金属が存在することで、光分解活性を向上させる所望の酸化珪素膜が形成されるため、と考えられる。一方、アルカリ金属含有量の上限については、1000ppm以下が好ましく、500ppm以下がより好ましく、200ppm以下が特に好ましい。アルカリ金属が多いと、アルカリ金属がプロトン伝導体に拡散して、プロトン伝導率を低下させ、燃料電池を徐々に劣化させることがあるためである。
また、アルカリ金属は、酸化珪素被覆光触媒に含有されている量の、少なくとも一部が、酸化珪素膜に含まれることが好ましい。酸化珪素膜中のアルカリ金属量は、酸化珪素被覆光触媒全体の重量に対して、1ppm以上、500ppm以下が好ましく、1ppm以上200ppm以下がより好ましい。
「実質的に細孔を有さない」とは、酸化珪素膜で被覆された光触媒と、その基体に相当する光触媒活性を有する基体とについて、20〜500オングストロームの領域で細孔径分布を比較した場合に、酸化珪素膜に細孔が実質的に存在しないことを意味する。
具体的には、光触媒活性を有する基体、並びに、酸化珪素膜で被覆された光触媒の細孔径分布を、窒素吸着法等の細孔分布測定によって把握し、これらを比較することによって酸化珪素膜に細孔が実質的に存在しないか否かを判定できる。
窒素吸着法での把握方法をより具体的に述べると、以下の(1)〜(4)の手法によって酸化珪素膜の細孔の有無を判定することができる。
(1)酸化珪素膜で被覆された光触媒の、脱着過程での窒素吸着等温線を測定する。
(2)酸化珪素膜で被覆された光触媒の基体に相当する光触媒活性を有する基体の、脱着過程での窒素吸着等温線を測定する。
(3)BJH(Barrett−Joyner−Halenda)法で、前記二つの窒素吸着等温線を解析して、20〜500オングストロームの領域のlog微分細孔容積分布曲線を求める。
(4)二つのlog微分細孔容積分布曲線を比較し、酸化珪素膜で被覆された光触媒のlog微分細孔容積が、基体のlog微分細孔容積よりも0.1ml/g以上大きい領域が存在しない場合には、酸化珪素膜に細孔が実質的にないと判定し、0.1ml/g以上大きい領域が存在する場合には、酸化珪素膜に細孔が有ると判定する。なお、0.1ml/g以上とするのは、窒素吸着法による細孔分布測定では、log微分細孔容積値で約0.1ml/g幅の測定誤差が生じることが多いためである。
このように、20〜500オングストロームの範囲で2つのlog微分細孔容積分布曲線を比較すれば、酸化珪素膜の細孔の有無を実質的に判定することができる。なお、二つのlog微分細孔容積分布曲線を比較し、10〜1000オングストロームの領域において、酸化珪素膜で被覆された光触媒のlog微分細孔容積が、光触媒粒子のlog微分細孔容積よりも0.1ml/g以上大きい領域が存在しないことがより好ましい。
ここで、酸化珪素膜に細孔が存在する場合、光分解活性が向上し難い。この理由は必ずしも明らかではないが、細孔の存在によって酸化珪素膜での光の散乱や反射が起こりやすくなり、光触媒活性を有する基体に到達する紫外線の光量が減少し、光触媒励起による正孔と電子の生成量が減少することによるものと推察される。また、同じ酸化珪素量で被覆した場合、細孔有りのものは、細孔無しのものに比べ、細孔の容積の分だけ酸化珪素膜の厚さが増す結果、光触媒活性を有する基体と分解対象物である有機物との物理的距離が大きくなるため、充分な光分解活性が得られないものと推察される。
前記酸化珪素被覆光触媒の表面積1m当りの珪素担持量は、酸化珪素被覆光触媒が含有する珪素量と、酸化珪素被覆光触媒の表面積から算出される計算値である。光触媒活性の良好な範囲は0.10mg以上、2.0mg以下であり、好ましくは0.12mg以上、1.5mg以下、より好ましくは0.16mg以上、1.25mg以下である。珪素担持量が少なすぎると、酸化珪素膜による吸着性能の向上効果が限定的であり、多すぎると、酸化珪素被覆光触媒に含まれる前記基体の割合が少なくなりすぎて、光触媒活性が却って低下する。珪素担持量を上記範囲とすることで、酸化珪素膜による光触媒活性向上効果が顕著になる。
酸化珪素被覆光触媒の表面積は、露点−195.8℃以下の乾燥ガス気流下、150℃で15分加熱処理した後に、窒素吸脱着によるBET法比表面積測定装置を用いて測定することができる。比表面積30m/g以上であれば、光触媒の効果を被毒解消に生かすことが可能であり、好ましくは、100m/g以上、400m/g以下であり、より好ましくは、120m/g以上、300m/g以下である。酸化珪素被覆光触媒の比表面積が上記範囲内にある場合、良好な触媒活性が維持され得る。
前記酸化珪素被覆光触媒の製造方法は、水系媒体中に存在させた前記基体に珪酸塩を用いて酸化珪素を被覆する際、基体と珪酸塩の両方を含む混合液のpHを5以下に維持することを特徴とする。
水系媒体としては、水、あるいは水を主成分とし、脂肪族アルコール類、脂肪族エーテル類等のうち、水に溶解可能な有機溶媒を含む混合液が挙げられる。水系媒体を具体的に例示するとすれば、水、並びに、水とメチルアルコール、水とエチルアルコール、水とイソプロパノール等の混合液が挙げられる。これらの中では水が好ましい。また、これらの水および混合液は、1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。更に、水系媒体には、光触媒の分散性あるいは溶解性を向上させるために、脂肪族アルコール類、脂肪族エーテル類等のうち、水に溶解可能な有機溶媒、並びに脂肪族アミン類、脂肪族ポリエーテル類およびゼラチン類等の界面活性剤を混ぜることもできる。
珪酸塩としては、珪酸および/またはそのオリゴマーの塩を用い、2種以上を混合して用いても良い。ナトリウム塩およびカリウム塩は、工業的に入手容易である点から好ましく、溶解工程を省略できるので珪酸ナトリウム水溶液(JIS K1408“水ガラス”)がさらに好ましい。
水系媒体中に存在させた基体に珪酸塩を用いて酸化珪素膜を被覆する際には、水系媒体、基体、および珪酸塩を混合し、続けてこの混合液を熟成する。
具体的に示すと、
(i)基体を含む水系媒体と珪酸塩、
(ii)珪酸塩を含む水系媒体と基体、および
(iii)基体を含む水系媒体と珪酸塩を含む水系媒体、
の少なくともいずれか一組を混合する工程、並びにこの混合液を熟成する工程からなる被覆方法である。熟成する工程では、基体に対する酸化珪素膜の被覆が徐々に進むこととなる。
この際、基体および珪酸塩の両方を含む水系媒体のpHを5以下に維持することが必要であり、pH4以下の酸性領域とすることがより好ましい。基体の非存在下でpH5以下を維持した場合、珪酸、珪酸イオンおよび/またはこれらのオリゴマーから、珪酸化合物の縮合物が単独では析出しにくい。一方、基体の存在下でpH5以下を維持した場合、基体の表面が珪酸化合物の縮合触媒として作用し、酸化珪素膜が基体の表面にのみ速やかに生成される。すなわち、pHが5以下の酸性領域は、珪酸化合物を含む溶液を安定に存在させることができ、かつ、基体の表面に酸化珪素を膜状に形成可能な領域である。
pH11以上の塩基性領域においても、pH5以下の酸性領域と同様に珪酸、珪酸イオンおよび/またはこれらのオリゴマーを含む液を熟成した際に、珪酸化合物の縮合物は析出しにくい。しかしながら、用いた珪酸塩のうちの一部しか酸化珪素膜を形成しないので、好ましくない。また、pH6〜11の領域は、珪酸化合物の縮合物、すなわち、酸化珪素微粒子および/またはゲル等が生じやすいため、酸化珪素膜が多孔質となったり、基体の表面上で局所的に酸化珪素が形成されるので好ましくない。
水系媒体中にアルコール等の有機媒体が存在する場合には、水用のpH電極ではpHを正確に測定できないので、有機媒体を含む水溶液用のpH電極を用いて測定する。別途、有機媒体を同体積の水で置き換えてpHを測定することも可能である。
基体と珪酸塩の両方を含む混合液を、pH5以下に維持する方法としては、基体、珪酸塩、水系溶媒の混合および熟成を行う際、水系媒体のpHを常時測定し、適宜、酸および塩基を加えて調整する方法でも構わない。しかし、製造に用いる珪酸塩に含まれる塩基成分の総量を中和した上でpH5以下となるに十分な量の酸を予め水系媒体中に存在させておくことが簡便である。
酸は、どのような酸でも使用可能であるが、塩酸、硝酸、硫酸等の鉱酸が好適に用いられる。酸は、1種のみを用いても、2種以上を混合して用いても良い。この中で塩酸、硝酸が好ましい。硫酸を使用する場合、光触媒中の硫黄含有量が多く残存すると、吸着効率が経時劣化することがある。光触媒中の硫黄含有量は、光触媒の全重量を基準として、0.5重量%以下が好ましく、0.4重量%以下がより好ましい。
塩基は、珪酸塩に含まれる塩基成分の総量を中和した上でpH5以下となるのに十分な量の酸を予め水系媒体中に存在させておく前述した方法を使用する場合には、特に別途用いる必要は無い。しかしながら、塩基を用いる場合は、どのような塩基でも使用可能である。なかでも、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物が好適に用いられる。
混合溶液を熟成し、基体に対して酸化珪素膜を被覆する際の反応温度および反応時間等の反応条件は、目的とする酸化珪素被覆光触媒の生成に悪影響を与えない条件であれば特に限定されない。反応温度は、10℃以上、200℃以下であることが好ましく、20℃以上、80℃以下であることがより好ましい。10℃未満であると、珪酸化合物の縮合が進行し難くなることにより、酸化珪素膜の生成が著しく遅延し、酸化珪素被覆光触媒の生産性の悪化を招くことがある。200℃より高温であると、珪酸化合物の縮合物、すなわち、酸化珪素微粒子および/またはゲル等が生じやすいため、酸化珪素膜が多孔質となったり、基体表面上で局所的に酸化珪素が形成されてしまうことがある。
熟成時間は、10分以上、500時間以下であることが好ましく、1時間以上、100時間以下であることがより好ましい。10分未満であると、酸化珪素膜による被覆が充分に進行せず、被膜による光分解活性の向上効果が充分に得られない場合がある。500時間より長時間であると、光触媒機能を有する基体は、酸化珪素膜により充分に被覆され、光分解機能も向上するが、酸化珪素被覆光触媒の生産性が悪化することがある。
また、混合液中に含まれる光触媒活性を有する基体の濃度は、1重量%以上、50重量%以下であることが好ましく、5重量%以上、30重量%以下であることがより好ましい。1重量%未満であると、酸化珪素被覆光触媒の生産性が悪くなり、50重量%より高濃度であると基体に対する酸化珪素膜の被覆が均一に進行せず、光分解活性の向上効果が充分に得られないことがある。混合液中に含まれる珪素の濃度は、0.05重量%以上、5重量%以下であることが好ましく、0.1重量%以上、3重量%以下であることがより好ましい。珪素濃度が0.05重量%未満であると、珪酸化合物の縮合が遅延し、基体に対する酸化珪素膜の被覆が充分でなくなることがある。珪素濃度が5重量%より高濃度であると、基体に対する酸化珪素膜の被覆が均一に進行しないことがある。
本発明の酸化珪素被覆光触媒の製造方法において、光触媒活性を有する基体および珪酸塩の使用量の比率は、前記基体の表面積1m当りの珪素原子として、0.01mg/m以上、0.50mg/m以下であることが好ましい。この範囲の比率で製造すれば、前記基体の表面に酸化珪素膜を形成する工程、すなわち、前記基体を含む水系媒体と珪酸塩、珪酸塩を含む水系媒体と前記基体、および前記基体を含む水系媒体と珪酸塩を含む水系媒体、の少なくともいずれか一組を混合し熟成する工程において、基体の表面に所望の酸化珪素膜を形成できると共に、基体の表面で縮合せずに未反応で残った、珪酸、珪酸イオン、および/またはこれらのオリゴマーの量を少なく抑えられるので、細孔を有する酸化珪素膜が形成されることが少ない。0.50mg/m以上、5.0mg/m以下の範囲では、比率が大きくなるほど、未反応物の量が増え、細孔を有する酸化珪素膜が形成されることがあるが、未反応物の縮合が進行して細孔が生じることに対して、処理時間を短くすることで回避することが可能である。
本発明の酸化珪素被覆光触媒の製造方法をより具体的に示すとすれば、例えば、
(工程a)基体を含む水系媒体と珪酸塩、珪酸塩を含む水系媒体と基体、および基体を含む水系媒体と珪酸塩を含む水系媒体、の少なくともいずれか一組を混合する工程、
(工程b)この混合液を熟成し、前記基体に対して酸化珪素膜を被覆する工程、
(工程c)混合液を中和せずに、酸化珪素被覆光触媒を水系媒体から分離および洗浄する工程、
(工程d)酸化珪素被覆光触媒を乾燥および/または焼成する工程、からなり、
かつ、工程a並びに工程bにおいて、前記基体および珪酸塩の両方を含む水系媒体のpHを5以下に維持する製造方法が挙げられる。
水系媒体から酸化珪素被覆光触媒を分離する際に、中和すると、洗浄工程でのアルカリ金属分の低減効率が悪くなる点、並びに水系媒体中に溶解したまま残った珪素化合物が縮合、ゲル化して多孔質シリカ膜が形成される点が問題となる。予め珪酸塩溶液を脱アルカリし、この脱アルカリした液を調製して製造に用いること、並びに光触媒機能を有する基体および珪酸塩の使用量の比率を小さくすること、によって上記の問題を回避あるいは極小化することも可能である。しかしながら、中和せずに酸化珪素被覆光触媒を水系媒体から分離すると、上記問題を回避でき、かつ製法が簡便なので好ましい。
酸化珪素被覆光触媒の混合液からの分離方法は特に限定されないが、例えば、自然ろ過法、減圧ろ過法、加圧ろ過法、遠心分離法などの公知の方法が好適に利用できる。
酸化珪素被覆光触媒の洗浄方法は特に限定されないが、例えば、純水への再分散化とろ過の繰り返し、イオン交換処理による脱塩洗浄、などが好適に利用できる。
酸化珪素被覆光触媒の焼成方法は特に限定されないが、例えば、減圧焼成、空気焼成、窒素焼成等が好適に利用できる。通常、焼成は200℃以上、1200℃以下の温度で実施できる。この温度で焼成することにより、吸着性に優れる焼成酸化珪素膜が形成される。そして、400℃以上、1000℃以下が好ましく、400℃以上、800℃以下がより好ましい。200℃未満であると、充分な光分解効果が得られず、酸化珪素膜の吸着性能が充分でないと推察される。また、1200℃より高温であると、酸化珪素被覆光触媒の焼結が進行し、充分な光分解活性が得られない。また、焼成前に乾燥処理を施すことには、何ら制限は無く、行わなくても良いし、あるいは、公知の方法のいずれかで実施しても構わない。
上記のように、本発明の酸化珪素被覆光触媒の製造方法は、実質的に細孔を有さない酸化珪素膜を得るために、pHを低くするとともに、珪酸塩の濃度、基体の濃度、使用する酸性溶液、熟成温度、熟成時間、膜形成後の焼成温度、焼成時間等の条件を適宜選択することが重要となる。
本発明の燃料電池用電極触媒(以下、適宜「電極触媒」と略記する)において、前記酸化珪素被覆光触媒を導電性化合物に固定化する方法は一般的な触媒担持法によるものであればよいが、加熱により固定化する場合は、温度が350℃を越えない温度であることが好ましい。また導電性化合物に前記酸化珪素被覆光触媒を固定化する際に、導電性化合物に酸化還元触媒を担持していても、していなくてもよく、特に限定されない。
また本発明の電極触媒において、前記酸化珪素被覆光触媒の担持量は、電極触媒の全量に対して、好ましくは0.1重量%以上、30重量%以下、より好ましくは0.5重量%以上、10重量%以下とするのがよい。前記担持量が、0.1重量%未満であると、光触媒粒子による効果が充分に得られない。30重量%を越えると、却って触媒粒子と固体高分子電解質との接触度合いを低下させ、経済性が悪くなる。
本発明の電極触媒に用いられる酸化還元触媒としては、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、銀、ニッケル、鉄、銅、コバルト及びモリブデンから選ばれる少なくとも1種の遷移金属及び、その酸化物を用いることができる。
前記酸化還元触媒を電極触媒に用いるに際して、その使用量は、特に限定されるものではないが、通常、電極面積当たり、0.001mg/cm以上、5mg/cm以下の範囲であるが、好ましくは、0.005mg/cm以上、1mg/cm以下の範囲にあり、特に好ましくは、0.01mg/cm以上、0.5mg/cm以下の範囲である。
本発明の電極触媒に用いられる導電性担体としては、カーボン粒子を熱処理などにより黒鉛化させた黒鉛化カーボン粒子が好ましく用いられる。これにより耐久性および撥水性に優れる電極触媒とすることができる。前記熱処理としては、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性雰囲気中、2000℃以上、特に2500℃以上で行うのが好ましい。前記黒鉛化カーボン粒子は疎水性を有するが、上記の通り、本発明によれば前記黒鉛化カーボン粒子を用いても電極触媒における三相界面の接触度合いを高めることが出来る。
前記導電性担体は、前記黒鉛化カーボン粒子に限定されず,他に黒鉛化されていないカーボン粒子や、不活性雰囲気下で熱処理することによりカーボン粒子表面に存在するカルボキシル基などの親水性基を減少させて表面を疎水性に改質させた疎水性カーボン粒子など、電極触媒における導電性担体として従来一般的に用いられているものであれば、特に制限されない。これらのカーボン粒子を用いた場合であっても、電極触媒層における三相界面をより向上させることができる。
前記導電性担体として、具体的にはカーボンブラック、グラファイト、活性炭、繊維状の黒鉛チューブ、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、フラーレン、及び、メソポーラスカーボンが挙げられるが、従来一般的に用いられているものであれば特に制限されない。
本発明の電極触媒は、照射光が無い場合でも活性向上効果を有するが、波長400nm以下の紫外線が照射される条件であると、活性向上効果がより顕著となる。光源としては、特に制限は無く、太陽光、室内照明、蛍光灯、殺菌灯、水銀灯、ブラックライトランプ、キセノンランプ、高圧ナトリウムランプ、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯など、いずれを用いても良い。酸化珪素被覆光触媒による活性向上効果を強化するには、より強い紫外線を照射することが好ましい。
なお、本発明の燃料電池用電極触媒に含まれる前記酸化珪素被覆光触媒は、吸着能力に優れるので、光触媒作用で被毒物を分解する際、被毒物を光触媒表面に濃縮して、照射された光によって生じる活性種を効率的に利用することができる点を特徴としている。そのため、紫外線の強度が弱くても、光照射による活性向上効果が発現し易い。
以下、本発明を実施例、比較例によって更に詳述するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
[光触媒の調製]
光触媒を作製し、その性状を評価した。はじめに評価方法について説明する。
(i)アルカリ金属含有量
アルカリ金属含有量は、蛍光X線分析器(LAB CENTER XRE−1700、島津製作所)を用いて測定し、本測定で検出されたものに関して、原子吸光光度計(Z−5000,日立製作所)を用いて定量した。なお、検出されなかったアルカリ金属については、記載を省略した。
(ii)珪素、硫黄含有量
珪素、硫黄含有量は、蛍光X線分析法(LAB CENTER XRE−1700,島津製作所)を用いて定量した。
(iii)比表面積
比表面積はBET法比表面積測定装置により測定した。
以下、光触媒の製造例について説明する。
なお、以下に示す光触媒は、光触媒27を除き、焼成処理を施している。したがって、酸化珪素膜で被覆された光触媒は、光触媒27を除き、いずれも焼成酸化珪素膜により被覆された構造を有するものである。
(光触媒1)
ガラスフラスコに水200gと1N塩酸水溶液66.9gを加え、二酸化チタン(ST−01、石原産業株式会社、吸着水分量9重量%、BET法比表面積測定装置による比表面積300m/g)24.5gを分散させて、A液とした。ビーカー内に水100gと水ガラス1号(SiO含有量35〜38重量%、JIS−K1408)10.7gを加え、攪拌しB液とした。A液を35℃に保持し、攪拌しているところに、B液を2ml/分で滴下し、混合液Cを得た。この時点における混合液CのpHは2.3であった。混合液Cを35℃に保持したまま3日間攪拌を継続した。この後、混合液Cを減圧ろ過し、得られた濾物を、500mLの水への再分散化、および減圧ろ過を4回繰り返して洗浄した後、室温で2日間放置した。得られた固形物を乳鉢で粉砕した後、600℃、3時間焼成処理を施し、光触媒1を得た。この光触媒1のナトリウム含有量を原子吸光光度計(Z−5000,日立製作所)にて定量したところ、ナトリウム含有量は87ppmであった。また、この光触媒1の珪素含有量、硫黄含有量を蛍光X線分析法(LAB CENTER XRE−1700,島津製作所)にて定量したところ、珪素含有量6.9重量%、硫黄含有量0.06重量%であった。比表面積をBET法比表面積測定装置により測定したところ、212.8m/gであった。よって、光触媒1の表面積1m当りの珪素担持量は0.33mgであった。光触媒1の細孔分布を測定した結果を図1に示す。
(光触媒2)
二酸化チタンの量を82.1gとし、混合液CのpHが4.0となった以外は、光触媒1の製法と同様にして、光触媒2を得た。この光触媒2は、ナトリウム含有量56ppm、珪素含有量2.4重量%、比表面積133.8m/gであった。よって、光触媒2の表面積1m当りの珪素担持量は0.18mgであった。
(光触媒3)
二酸化チタンの量を38.9gとし、混合液CのpHが2.8となった以外は、光触媒1の製法と同様にして、光触媒3を得た。この光触媒3は、ナトリウム含有量85ppm、珪素含有量4.6重量%、比表面積194.9m/gであった。よって、光触媒3の表面積1m当りの珪素担持量は0.24mgであった。
(光触媒4)
二酸化チタンの量を12.2gとし、混合液CのpHが2.5となった以外は、光触媒1の製法と同様にして、光触媒4を得た。この光触媒4は、ナトリウム含有量160ppm、珪素含有量9.6重量%、比表面積244.2m/gであった。よって、光触媒4の表面積1m当りの珪素担持量は0.39mgであった。
(光触媒5)
二酸化チタンとして、P25(日本アエロジル株式会社、アナターゼ:ルチル比が8:2の混合体、純度99.5%、BET法比表面積測定装置による比表面積50m/g)を75.0g使用したこと、珪酸ナトリウム水溶液を6.5g使用したこと、混合液CのpHが2.6となった以外は、光触媒1の製法と同様にして、光触媒5を得た。この光触媒5は、ナトリウム含有量34ppm、珪素含有量1.4重量%、硫黄含有量は検出されず、比表面積61.1m/gであった。よって、光触媒5の表面積1m当りの珪素担持量は0.22mgであった。光触媒5の細孔分布を測定した結果を図2に示す。
(光触媒6)
二酸化チタンとして、PC−102(チタン工業株式会社、アナターゼ型、吸着水分量5%、BET法比表面積測定装置による比表面積137m/g)を70.5g使用したこと、混合液CのpHが3.8となったこと、そして混合液Cを16時間攪拌して熟成した他は、光触媒1と同様にして、光触媒6を得た。この光触媒6は、ナトリウム含有量12ppm、珪素含有量2.2重量%、硫黄含有量0.19重量%、比表面積127.8m/gであった。よって、光触媒6の表面積1m当りの珪素担持量は0.18mgであった。
(光触媒7)
二酸化チタンとして、AMT−100(テイカ株式会社、アナターゼ型、吸着水分量11%、BET法比表面積測定装置による比表面積290m/g)を25.0g使用したこと、混合液CのpHが2.4となった他は、光触媒6の製法と同様にして、光触媒7を得た。この光触媒7は、ナトリウム含有量17ppm、珪素含有量5.5重量%、硫黄含有量0.07重量%、比表面積207.2m/gであった。よって、光触媒7の表面積1m当りの珪素担持量は0.27mgであった。
(光触媒8)
二酸化チタンとして、TKP−101(テイカ株式会社、アナターゼ型、吸着水分量11%、BET法比表面積測定装置による比表面積300m/g)を25.0g使用したこと、混合液CのpHが2.1となった他は、光触媒6の製法と同様にして、光触媒8を得た。この光触媒8は、ナトリウム含有量50ppm、珪素含有量6.7重量%、硫黄含有量0.38重量%、比表面積194.2m/gであった。よって、光触媒8の表面積1m当りの珪素担持量は0.34mgであった。
(光触媒9)
混合液Cを16時間攪拌して熟成した他は、光触媒1の製法と同様にして、光触媒9を得た。この光触媒9は、ナトリウム含有量180ppm、珪素含有量5.7重量%、比表面積246.2m/gであった。よって、光触媒9の表面積1m当りの珪素含有量は0.23mgであった。
(光触媒10)
500mLの水への再分散化および減圧ろ過を7回繰り返して洗浄した以外は、光触媒8の製法と同様にして、光触媒10を得た。この光触媒10は、ナトリウム含有量120ppm、珪素含有量5.7重量%、比表面積231.4m/gであった。よって、光触媒10の表面積1m当りの珪素担持量は0.25mgであった。
(光触媒11)
500mLの水への再分散化および減圧ろ過を1回行うことで洗浄した以外は、光触媒8の製法と同様にして、光触媒11を得た。この光触媒11は、ナトリウム含有量210ppm、珪素含有量5.7重量%、比表面積231.4m/gであった。よって、光触媒11の表面積1m当りの珪素担持量は0.24mgであった。
(光触媒12)
400℃、3時間焼成処理を施した他は、光触媒1の製法と同様にして、光触媒12を得た。この光触媒12は、ナトリウム含有量93ppm、珪素含有量6.9重量%、比表面積255.5m/gであった。よって、光触媒12の表面積1m当りの珪素担持量は0.27mgであった。
(光触媒13)
800℃、3時間焼成処理を施した他は、光触媒1の製法と同様にして、光触媒13を得た。この光触媒13は、ナトリウム含有量98ppm、珪素含有量6.9重量%、比表面積150.7m/gであった。よって、光触媒13の表面積1m当りの珪素担持量は0.46mgであった。
(光触媒14)
900℃、3時間焼成処理を施した他は、光触媒1の製法と同様にして、光触媒14を得た。この光触媒14は、ナトリウム含有量96ppm、珪素含有量6.9重量%、比表面積108.2m/gであった。よって、光触媒14の表面積1m当りの珪素担持量は0.64mgであった。
(光触媒15)
1000℃、3時間焼成処理を施した他は、光触媒1の製法と同様にして、光触媒15を得た。この光触媒15は、ナトリウム含有量92ppm、珪素含有量6.9重量%、比表面積55.3m/gであった。よって、光触媒15の表面積1m当りの珪素担持量は1.25mgであった。光触媒15の細孔分布を測定した結果を図3に示す。
(光触媒16)
1規定塩酸水溶液の代わりに同量の1規定硝酸水溶液を用いたこと、混合液CのpHが3.2になったことの他は、光触媒9の製法と同様にして、光触媒16を得た。この光触媒16は、ナトリウム含有量480ppm、珪素含有量6.7重量%、比表面積207.4m/gであった。よって、光触媒16の表面積1m当りの珪素担持量は0.32mgであった。
(光触媒17)
1規定塩酸水溶液66.9gの代わりに1規定硝酸水溶液81.7gを用いたこと、異なる組成の珪酸ナトリウム水溶液(SiO含有量29.1重量%、NaO含有量9.5重量%、JIS K1408“水ガラス3号”)13.3gを用いたこと、の他は、光触媒9の製法と同様にして、光触媒17を得た。この光触媒17は、ナトリウム含有量150ppm、珪素含有量3.4重量%、比表面積210.5m/gであった。よって、光触媒17の表面積1m当りの珪素担持量は0.16mgであった。
(光触媒18)
焼成温度を600℃の代わりに200℃にしたこと、の他は、光触媒2の製法と同様にして、光触媒18を得た。この光触媒18は、ナトリウム含有量56ppm、珪素含有量2.4重量%、比表面積237.3m/gであった。よって、光触媒18の表面積1m当りの珪素担持量は0.10mgであった。
(光触媒19)
水ガラス3号の代わりにケイ酸カリウム溶液(和光純薬工業、SiO含有量28重量%)13.8gを用いたことの他は、光触媒17の製法と同様の方法で、光触媒19を得た。この光触媒19のナトリウム、カリウム含有量を原子吸光光度計(Z−5000,日立製作所)にて定量したところ、ナトリウム含有量は74ppm、カリウム含有量は90ppmであった。この結果、光触媒19は、その酸化珪素膜中にカリウムを含有していることが確認された。また、この光触媒19の珪素含有量を蛍光X線分析法(LAB CENTER XRE−1700,島津製作所)にて定量したところ、珪素含有量は4.9重量%であり、比表面積をBET法比表面積測定装置により測定したところ193.9m/gであった。よって、光触媒19の表面積1m当りの珪素担持量は0.25mgであった。光触媒19の細孔分布を測定した結果を図4に示す。
(光触媒20)
市販の二酸化チタン(石原産業株式会社、ST−01)を200℃、3時間乾燥し、光触媒20を得た。この光触媒20は、ナトリウム含有量1400ppm、比表面積214.3m/gであった。
(光触媒21)
市販の二酸化チタン(日本アエロジル株式会社、P25)を200℃、3時間乾燥し、光触媒21を得た。この光触媒21はアルカリ金属が検出されなかった。比表面積50.2m/gであった。
この結果、光触媒5は、その焼成酸化珪素膜中にナトリウムを、光触媒19はその焼成酸化珪素膜中にカリウムを含有していることが確認された。
ナトリウム含有量あるいは20〜500オングストロームの領域における、酸化珪素膜由来の細孔の有無による性能の差異を確認するために光触媒22〜26の調製を行った。
(光触媒22)
特許文献8(特開昭62−260717号)の実施例(製造例1)に則して、二酸化チタンとしてST−01(石原産業株式会社、吸着水分量9重量%、比表面積300m/g)を用いて実施し、光触媒22を得た。この光触媒22は、ナトリウム含有量1200ppm、珪素含有量5.8重量%、比表面積187.3m/gであった。よって、光触媒22の表面積1m当りの珪素担持量は0.31mgであった。光触媒22の細孔分布を測定した結果を図5に示す。
(光触媒23)
特許文献8(特開昭62−260717号)の実施例(製造例1)に則して、二酸化チタンとしてP25(日本アエロジル株式会社、純度99.5%、比表面積50.8m/g)を用いて実施し、光触媒23を得た。この光触媒23はアルカリ金属が検出されなかった。また、この光触媒23は、珪素含有量2.2重量%、比表面積38.7m/gであった。よって、光触媒23の表面積1m当りの珪素担持量は0.56mgであった。光触媒23の細孔分布を測定した結果を図6に示す。
(光触媒24)
ガラスフラスコに水250gと0.1N水酸化ナトリウム水溶液0.05gを加え、二酸化チタン(ST−01、石原産業株式会社、吸着水分量9重量%、比表面積300m/g)24.5gを分散させて、A液とした。ビーカー内に水100gと珪酸ナトリウム水溶液(SiO含有量36.1重量%、NaO含有量17.7重量%、JIS K1408“水ガラス1号”)10.7gを加え、攪拌しB液とした。A液を35℃に保持し、攪拌しているところに、B液を2ml/分で滴下し、混合液Cを得た。この時点における混合液CのpHは11.5であった。混合液Cを35℃に保持したまま3日間攪拌を継続した。この後、混合液Cを減圧ろ過し、得られた濾物を、500mLの水への再分散化、および減圧ろ過を4回繰り返して洗浄した後、室温で2日間放置した。得られた固形物を乳鉢で粉砕した後、600℃、3時間焼成処理を施し、光触媒24を得た。この光触媒24は、ナトリウム含有量14000ppm、珪素含有量3.4重量%、比表面積126.1m/gであった。よって、光触媒24の表面積1m当りの珪素担持量は0.27mgであった。光触媒24の細孔分布を測定した結果を図7に示す。
(光触媒25)
ガラスフラスコに水100gを入れ、二酸化チタン(P−25、日本アエロジル株式会社、純度99.5%、BET法比表面積測定装置による比表面積50.8m/g)10.0gを分散させて、A液とした。これに4規定水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHを10.5に調整した。そして、液温75℃まで加熱し、75℃を維持したまま、珪酸ナトリウム水溶液(SiO含有量29.1重量%、NaO含有量9.5重量%、JIS K1408“水ガラス3号”)14.8gを加え、攪拌しB液とした。B液を90℃まで加熱し、90℃を維持したまま、1規定の硫酸水溶液を2ml/分の速度で滴下し、C液とした。硫酸水溶液の滴下に伴い、混合液のpHは10.5から少しずつ酸性側へ低下し、最終的にC液のpHは5となった。その後、C液を90℃に保持したまま1時間攪拌を継続して熟成した。次に、熟成後のC液を減圧ろ過し、得られた濾物を、250mLの水への再分散化、および減圧ろ過を4回繰り返して洗浄した後、120℃で3時間乾燥した。得られた固形物を乳鉢で粉砕した後、600℃、3時間焼成処理を施し、光触媒25を得た。この光触媒25は、ナトリウム含有量2500ppm、珪素含有量13.0重量%、比表面積68.4m/gであった。よって、光触媒25の表面積1m当りの珪素担持量は1.90mgであった。
(光触媒26)
ガラスフラスコに水100gを入れ、二酸化チタン(ST−01、石原産業株式会社、吸着水分量9重量%、BET法比表面積測定装置による比表面積300m/g)4.2gを分散させて、A液とした。ビーカー内に水43gと珪酸ナトリウム水溶液(SiO含有量29.1重量%、NaO含有量9.5重量%、JIS K1408“水ガラス3号”)5.6gを加え、攪拌しB液とした。次に、A液を35℃に保持し、攪拌しているところに、B液を2ml/分の速度で滴下した。この時、混合液のpHが6〜8になるように、適宜1規定硝酸水溶液を滴下した。B液の滴下完了時における混合液のpHは7.0であった。その後、混合液を35℃に保持したまま16時間攪拌を継続して熟成した。この後、混合液を減圧ろ過し、得られた濾物を、250mLの水への再分散化、および減圧ろ過を4回繰り返して洗浄した後、120℃で3時間乾燥した。得られた固形物を乳鉢で粉砕した後、600℃、3時間焼成処理を施し、光触媒26を得た。この光触媒26は、ナトリウム含有量5900ppm、珪素含有量12.0重量%、比表面積258.3m/gであった。よって、光触媒26の表面積1m当りの珪素担持量は0.47mgであった。光触媒26の細孔分布を測定した結果を図8に示す。
(光触媒27)
シリカ水和物被膜との差異を確認するために特許文献9の実施例1を参考にして、硫酸チタニル水溶液を熱加水分解して結晶粒子径6nmのメタチタン酸スラリーを作成した。このメタチタン酸スラリー(TiO換算で100g/l)100mlを40℃に昇温し、SiOとして200g/lのケイ酸ナトリウム水溶液5ml(SiO/TiO重量比=0.1)を一定速度で10分を要して添加した。添加後、水酸化ナトリウムでpH4.0に調節し、40℃を維持しながら30分攪拌した。その後スラリーを濾過、水洗し、得られたケーキを110℃で12時間乾燥した後、サンプルミルを用いて粉砕し、光触媒27を得た。この光触媒27は、ナトリウム含有量210ppm、珪素含有量5.1重量%、比表面積140.0m/gであった。よって、光触媒27の表面積1m当りの珪素担持量は0.36mgであった。
得られた光触媒1〜27の特性をまとめて表1に示す。
<光触媒1〜27の評価>
[1.メチレンブルー光分解活性評価]
光触媒1〜27を、メチレンブルー水溶液に懸濁させた。その後、光照射を行い、液中のメチレンブルー濃度を分光分析で定量することにより、光分解活性を試験した。詳細な試験操作方法は、次のとおりである。
(光触媒懸濁液の調製)
あらかじめフッ素樹脂製攪拌子を入れた100ccポリエチレン製広口びんに、濃度40×10−6mol/Lのメチレンブルー水溶液を45g量りこんだ。次に、マグネチックスターラーによる攪拌下、10mgの光触媒を加えた。そして、5分間激しく攪拌した後に、液が飛び散らない程度に攪拌強度を調整し、攪拌を継続した。
(予備吸着処理)
光触媒を加え終わった瞬間を起点として、60分間、光照射せずに、攪拌し続けた。60分経過後、懸濁液を3.0cc採取し、光照射前サンプルとした。
(光分解処理)
予備吸着処理後の懸濁液を3.5cc抜き出し、あらかじめフッ素樹脂製攪拌子を入れた石英製標準分光セル(東ソー・クォーツ株式会社、外寸12.5×12.5×45mm、光路幅10mm、光路長10mm、容積4.5cc)に入れ、マグネチックスターラーで攪拌した。次に、分光セルの外部/横方向から光を5分間照射した。光照射は、光源装置SX−UI151XQ(ウシオ電機株式会社、150Wクセノンショートアークランプ)を光源として、純水を満たした石英製フィルター容器越しに行った。照射光量は、紫外線照度計UVD−365PD(ウシオ電機株式会社、試験波長365nm)で、5.0mW/cmであった。照射後、分光セル内の懸濁液を回収し、光照射後サンプルとした。
(メチレンブルーの定量)
オールプラスチックス製10ccシリンジにメンブレンフィルター(東洋濾紙株式会社、DISMIC−13HP)を装着した。これに、光照射前後のサンプル懸濁液をそれぞれ入れ、ピストンで押出して光触媒を除去した。その際、前半量のろ液は廃棄し、後半量のろ液を、可視光分析用セミマイクロ型ディスポセル(ポリスチレン製、光路幅4mm、光路長10mm、容積1.5cc)に採取した。そして、紫外可視分光分析装置(UV−2500、島津製作所)を使用して、波長680ナノメートルの吸光度を測定し、メチレンブルー濃度を算定した。
光分解活性は、光照射前のメチレンブルー濃度に対する光照射後のメチレンブルー濃度で評価した。光分解活性としてのメチレンブルー除去率を表1に示した。また、メチレンブルーの仕込濃度(光触媒を加える前のメチレンブルーの濃度)を基準として、光照射前のメチレンブルー濃度から、メチレンブルー吸着率を算出し、表1に併記した。
[2.細孔分布測定による酸化珪素膜由来の細孔有無の判定]
オートソーブ(カンタクローム社製)を使用し、液体窒素下(77K)における脱着過程での光触媒1〜27の窒素吸着等温線を測定した。
各光触媒の前処理として、100℃での真空脱気を行った。次に各光触媒の測定結果をBJH法で解析し、log微分細孔容積分布曲線を求めた。
次に、光触媒1〜27の酸化珪素膜由来の細孔の有無を判定した。具体的には、原料として使用した光触媒と、この光触媒を基体(ベース触媒)として用いて調製した、酸化珪素膜で被覆された光触媒のlog微分細孔容積分布曲線を比較して、酸化珪素膜由来の細孔の有無を判定した。
光触媒1〜27の20〜500オングストロームの領域における、酸化珪素膜由来の細孔の有無を表1に示す。
Figure 2008047294
光触媒1〜19は、良好な触媒活性を示すことが確認された。
[3.示差熱天秤分析]
酸化珪素膜で被覆された光触媒の水分含有量を調べるために、示差熱天秤分析(サーモプラスTG8120、リガク)を行った。流速50mL/分の空気気流中、室温から600℃まで、10℃/分で昇温し、その際の重量減少率を測定した。
各試料は、乾燥あるいは焼成処理後に吸着する水分の影響をできるだけ排除するため、乾燥あるいは焼成し、冷却後1時間以内に測定した。光触媒1、5、18、27の重量減少率を表2に示す。
Figure 2008047294
[電極触媒の調製]
(実施例1)
白金・ルテニウム合金(白金:ルテニウム=1:1モル比 ジョンソン・マッセイ・ジャパン・インコーポレイテッド社製)を、固体高分子電解質であるナフィオン(デュポン社登録商標)を1.6重量%含有するテトラヒドロキシフラン溶液に分散させ、白金・ルテニウム金属の固定化量が0.8mg/cmになるようにカーボンペーパー(東レ社製)に滴下後、風乾し固定化した。
次に、光触媒1を濃度が5mg/Lになるようにメタノール溶液中に分散させ、これを白金・ルテニウム触媒を固定化したカーボンペーパーに、光触媒1の固定化量が0.14mg/cm2になるように滴下し、200℃で30分乾燥し固定化した。
(比較例1)
実施例1で光触媒1の代わりに光触媒20を添加する以外は、実施例1と同様の方法で燃料電池用電極触媒を調製した。
(比較例2)
実施例1で光触媒1を添加しない以外は、実施例1と同様な方法で燃料電池用電極触媒を調製した。
[メタノール酸化活性評価方法]
メタノール酸化活性評価は、三極子型セルを用いて半電池を作成して行った。対電極には白金線、参照電極には飽和カロメル電極を用い、作用電極として実施例1、もしくは比較例1,2で作成した触媒担持カーボンペーパーを配置し、これらをBAS社製100W型電気化学分析装置に接続した。電解溶液としては1N硫酸水溶液を使用し、この溶液中に2.2Mのメタノールを添加したものを使用した。測定手法はサイクリックボルタモグラム法を採用し、電位走査速度を100mV/秒、飽和カロメル電極に対して0mV〜1000mVまで走査範囲し、電流値を測定することでメタノール酸化活性を評価した。
図9から、酸化珪素被覆光触媒を備えることで、通常の酸化チタン光触媒を添加する場合に比べて、紫外線照射下では大きくメタノール酸化活性が向上することがわかった。
また図10から、紫外線照射を行わなくても、酸化チタン光触媒を添加することでメタノール酸化活性が向上し、さらに酸化珪素被覆光触媒を添加することで活性向上が大きいことがわかった。
光触媒1のlog微分細孔容積分布曲線(実線)と、この光触媒の基体に該当する酸化珪素膜を有しない光触媒(光触媒20)のlog微分細孔容積分布曲線(点線)とを示す図である。 光触媒5のlog微分細孔容積分布曲線(実線)と、この光触媒の基体に該当する酸化珪素膜を有しない光触媒(光触媒21)のlog微分細孔容積分布曲線(点線)とを示す図である。 光触媒15のlog微分細孔容積分布曲線(実線)と、この光触媒の基体に該当する酸化珪素膜を有しない光触媒(光触媒20)のlog微分細孔容積分布曲線(点線)とを示す図である。 光触媒19のlog微分細孔容積分布曲線(実線)と、この光触媒の基体に該当する酸化珪素膜を有しない光触媒(光触媒20)のlog微分細孔容積分布曲線(点線)とを示す図である。 光触媒22のlog微分細孔容積分布曲線(実線)と、この光触媒の基体に該当する酸化珪素膜を有しない光触媒(光触媒20)のlog微分細孔容積分布曲線(点線)とを示す図である。 光触媒23のlog微分細孔容積分布曲線(実線)と、この光触媒の基体に該当する酸化珪素膜を有しない光触媒(光触媒21)のlog微分細孔容積分布曲線(点線)とを示す図である。 光触媒24のlog微分細孔容積分布曲線(実線)と、この光触媒の基体に該当する酸化珪素膜を有しない光触媒(光触媒20)のlog微分細孔容積分布曲線(点線)とを示す図である。 光触媒26のlog微分細孔容積分布曲線(実線)と、この光触媒の基体に該当する酸化珪素膜を有しない光触媒(光触媒20)のlog微分細孔容積分布曲線(点線)とを示す図である。 実施例1、比較例1,2記載の燃料電池用電極触媒のメタノール酸化ピーク電流密度(紫外線照射あり) 実施例1、比較例1,2記載の燃料電池用電極触媒のメタノール酸化ピーク電流密度(紫外線照射なし)

Claims (13)

  1. 光触媒活性を有する基体と、
    該基体の表面の少なくとも一部を被覆している、実質的に細孔を有しない酸化珪素膜、からなる光触媒を含有する燃料電池用電極触媒。
  2. 酸化還元触媒を含むことを特徴とする請求項1記載の燃料電池用電極触媒
  3. 酸化還元触媒が白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、銀、ニッケル、鉄、銅、コバルト及び、モリブデンから選ばれる少なくとも1種類の遷移金属か、又はその酸化物であることを特徴とする請求項2記載の燃料電池用電極触媒
  4. 前記光触媒が導電性化合物に担持されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の燃料電池用電極触媒
  5. 前記導電性化合物が、カーボンブラック、グラファイト、活性炭、繊維状の黒鉛チューブ、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、フラーレン、及び、メソポーラスカーボンからなる群から選択される1以上の炭素含有材料であることを特徴とする請求項4記載の燃料電池用電極触媒
  6. 前記光触媒がアルカリ金属を含有する請求項1から5のいずれか一項に記載の燃料電池用電極触媒
  7. 前記アルカリ金属の含有量が、前記光触媒の全体に対して、1ppm以上、1000ppm以下であることを特徴とする請求項6に記載の燃料電池用電極触媒。
  8. 前記酸化珪素膜がアルカリ金属を含むことを特徴とする請求項6または7のいずれか一項に記載の燃料電池用電極触媒
  9. 前記酸化珪素膜が、焼成された酸化珪素膜である、請求項1から8のいずれか一項に記載の燃料電池用電極触媒
  10. 窒素吸着法による20〜500オングストロームの領域の細孔径分布測定において、酸化珪素膜由来の細孔がないことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の燃料電池用電極触媒。
  11. 前記光触媒の表面積1mあたりの珪素担持量が、0.10mg以上、2.0mg以下であることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の燃料電池用電極触媒。
  12. 前記基体が、アナターゼ型、ルチル型、あるいはこれらの混合物を含む酸化チタンであることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の燃料電池用電極触媒。
  13. 前記光触媒の比表面積が120m/g以上、400m/g以下であることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の燃料電池用電極触媒。
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