JP2008031484A - 熱収縮性フィルムロールの製造方法 - Google Patents

熱収縮性フィルムロールの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】フィルムロール全長にわたって様々なタイプのインクに対する優れた密着性を有し、かつアルカリ脱離タイプのインクに対してアルカリ脱離性に優れ、かつラベルカット後のラベルの開口性に優れた熱収縮性フィルムロールの製造方法を提供すること。
【解決手段】熱収縮性フィルムを巻き取ってなるフィルムロールの製造方法であって、この熱収縮性フィルムは、85℃の温水処理による最大収縮方向の熱収縮率が20%以上であり、フィルムの窒素原子含有量が0.1%以上4.0%以下であり、フィルムロールの窒素原子含有量ばらつきが小さく、フィルムの少なくとも片面の表面を窒素雰囲気下でコロナ処理し、熱収縮性フィルムを巻き取る熱収縮性フィルムロールの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は熱収縮性フィルムを巻き取ってなるフィルムロールの製造方法に関し、さらに詳しくは印刷時のインク密着性に優れ、かつアルカリ水溶液で脱離するタイプのインクに対して優れた脱離性を有し、かつフィルムをラベル状とする際のラベルカット後の開口性に優れた熱収縮性フィルムを巻き取ってなる熱収縮性フィルムロールの製造方法に関し、熱収縮性フィルムロール内での表面特性の変動により発生する後加工でのインク密着性不良、アルカリ水溶液での脱離性不良、ラベルカット後の開口性不良の発生が極めて少ない熱収縮性フィルムロールの製造方法に関するものである。
従来、熱収縮性フィルムは加熱により収縮する性質を利用して、収縮包装、収縮ラベル等の用途に広く用いられている。なかでも、塩化ビニル系樹脂やポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂等からなる延伸フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)容器、ポリエチレン容器、ガラス容器等の各種容器において、ラベルやキャップシールあるいは集積包装の目的で使用されている。
これらの熱収縮性フィルムは、製造後、一旦ロール状に巻き取られ、このロールフィルムの形態で各種図柄の印刷工程を経て、印刷終了後は、必要に応じて、最終製品に用いられるラベル等のサイズに合わせてスリット加工され、さらに溶剤接着等の手段によりフィルムの左右端部を重ね合わせてシールしてチューブ状体にされ、チューブ状体のものを裁断して、ラベル、袋等の形態に加工される。そして、ラベルや袋状のものを開口させつつ容器に装着し、スチームを吹きつけて熱収縮させるタイプの収縮トンネル(スチームトンネル)や、熱風を吹きつけて熱収縮させるタイプの収縮トンネル(熱風トンネル)の内部を、ベルトコンベアー等にのせて通過させ、熱収縮させて容器に密着させている。
ところで、前述の工程のうち、印刷工程においてインクのフィルムに対する密着性が悪いとインクの脱落、剥がれ、割れ等が発生して商品としての価値を損なうものとなる。特に、近年ではPETボトル用ラベル等においてリサイクルを目的とした、アルカリ水溶液中で脱離するタイプのインキや環境に悪影響を及ぼす有機溶剤を削減あるいは使用しない水性タイプのインク等が開発されているが、これらのインクは所定の目的とする各々の性状を達成する為に、インクのフィルムに対する密着性等の性能が従来タイプのものよりも低下している場合がある。これらの様々なインクに対して優れた密着性を有し、かつアルカリ水溶液中で良好な脱離性を発現でき、かつ前述のフィルムをラベル状とする際のラベルカット後の開口性に優れた熱収縮性フィルムが望まれていた。
前述の様々なタイプのインク密着性を向上させる為には、例えばフィルム表面に通常の空気雰囲気下でのコロナ処理等の表面処理を施してフィルム表面の濡れ張力を高くする方法が考えられるが、これらの表面処理によってフィルム表面の濡れ張力を高めるとラベルカットした際にカット部分でフィルムが融着、ブロッキングを起こしてラベル装着時に開口不良を発生する問題が発生し、テトラヒドロフランや1,3−ジオキソランによって溶剤接着してチューブ状にする際にフィルムの耐溶剤性が低下して、溶剤接着部分が平面性を失い、いわゆるワカメ状になったり、チューブの溶剤接着部分が他のフィルム部分とブロッキングを発生する問題があった。
上記問題を解決する為には、フィルムの少なくとも片面の表面に窒素原子を含有し、そのフィルム表面の窒素原子含有量が0.1%以上4.0%以下、かつ該フィルム表面の濡れ張力が36mN/m以上あればよいことを本発明者らは見出したが、例えば窒素雰囲気下でのコロナ処理やプラズマ処理を常法にて行い、得られたフィルムロールを前述の後加工工程で加工すると、窒素雰囲気下でのコロナ処理やプラズマ処理を行う工程の変動に従って、インク密着性不良、アルカリ水溶液中でのインク脱離性不良、ラベルカット後のラベル開口性不良が発生して問題となっていた。
本発明は、フィルムロール全長にわたって様々なタイプのインクに対する優れた密着性を有し、かつアルカリ脱離タイプのインクに対してアルカリ脱離性に優れ、かつラベルカット後のラベルの開口性に優れた熱収縮性フィルムロールの製造方法を提供することを課題とするものである。
本発明により得られる熱収縮性フィルムロールは、熱収縮性フィルムを巻き取ってなるフィルムロールであって、この熱収縮性フィルムロールは、10cm×10cmの正方形状に切り出した試料を85℃の水中に10秒浸漬して引き上げ、次いで25℃の水中に10秒浸漬して引き上げたときの最大収縮方向の熱収縮率が20%以上であり、フィルムの少なくとも片面表面の窒素原子含有量が0.1%以上4.0%以下であり、フィルムの巻き終わりから2m以内に1番目の試料切り出し部を、また、フィルムの巻き始めから2m以内に最終の切り出し部を設けると共に、1番目の試料切り出し部から約100m毎に試料切り出し部を設け、切り出された各試料の平均窒素含有量を算出したときに、全ての試料の窒素原子含有量を算出したときに、全ての試料の窒素原子含有量が上記平均含有量±0.%の範囲内である。
上記の特性を有する熱収縮性フィルムロールは様々なタイプのインクに対する印刷加工性、密着性等の印刷適性に優れ、かつアルカリ脱離タイプのインクに対してはアルカリ脱離性に優れ、かつラベルカット後の開口性においてもカット部分の融着やブロッキングが発生せずラベル装着での加工性に優れているのみならず、しかもフィルムロール内でそれらの特性のバラツキを低減化できるので、印刷工程、ラベルカット及びラベル装着の工程、アルカリ脱離の工程での加工安定性において非常に優れているので各工程での不良率を低減化することができる。特に、ラベルのリサイクル性を目的とした、アルカリ溶液中で脱離性を持つタイプのインクに対するアルカリ脱離性と密着性において優れた適性を有する。
本発明により得られる熱収縮性フィルムロールを構成するフィルムは、10cm×10cmの正方形状に切り出した試料を85℃の温水中に10秒浸漬して引き上げ、次いで25℃の水中に10秒浸漬して引き上げたときの最大収縮方向の熱収縮率が、20%以上である熱収縮性フィルムを巻き取ってなるものであるのが好ましい。フィルムの熱収縮率が20%未満であると、フィルムの熱収縮力が不足して、容器等に被覆収縮させたときに、容器に密着せず、外観不良が発生するため好ましくない。より好ましい熱収縮率は30%以上、さらに好ましくは40%以上である。
さらに、本発明においては前述方法に従って切り出された試料の全ての窒素原子含有量が0.1%以上4.0%以下のフィルム表面における濡れ張力が36mN/m以上であることが好ましい。
さらに本発明においては、熱収縮性フィルムロールがポリエステル系樹脂及びフィルム又はポリスチレン系樹脂フィルムからなることが好ましい。これらの熱収縮性フィルムはフィルム強度、環境特性等の点で優れ、又、低温から高温までの幅広い温度域において良好な熱収縮特性を示し、収縮斑、シワ、歪みの少ない優れた収縮仕上り外観を得られるためである。また、美麗な光沢感や透明性にも優れている。さらに、熱収縮性フィルムロールが、幅200mm以上、長さ300m以上である場合も、本発明を適用しないと、熱収縮性フィルムの表面特性変動が起こりやすく、本発明を適用する意義がある。また、上記幅及び長さを有するフィルムは、前述の印刷工程から最終製品までの加工適性及びハンドリング性において優れ、又、アルカリ脱離性インクを用いた場合、PETボトルのリサイクル工程でのアルカリ脱離性不良を低減することができる為、本発明の好ましい実施様態である。
上記本発明の熱収縮性フィルムロールを得るための好ましい製造方法は、フィルムの少なくとも片面の表面を窒素雰囲気下でコロナ処理又はプラズマ処理を施すことであり、より好ましくは、前記窒素雰囲気下のコロナ処理又はプラズマ処理時の窒素雰囲気中の酸素濃度が1000ppm以下かつ酸素濃度の変動幅が平均酸素濃度±200ppmの範囲内であることである。
本発明により得られる熱収縮性フィルムロールは、様々なタイプのインクに対するインク密着性に優れ、かつアルカリ水溶液で脱離するタイプのインクに対して優れた脱離性を有し、かつフィルムロールのフィルムをラベル状とする際のラベルカット後の開口性に優れ、工業生産上において非常に有用なものである。
本発明により得られる熱収縮性フィルムは、10cm×10cmの正方形状に切り出した試料を85℃の温水中に10秒浸漬して引き上げ、次いで25℃の水中に10秒浸漬して引き上げたときの最大収縮方向の熱収縮率が、20%以上である熱収縮性フィルムを巻き取ってなるものである。フィルムの熱収縮率が20%未満であると、フィルムの熱収縮力が不足して、容器等に被覆収縮させたときに、容器に密着せず、外観不良が発生するため好ましくない。より好ましい熱収縮率は30%以上、さらに好ましくは40%以上である。
ここで、最大収縮方向の熱収縮率とは、試料の最も多く収縮した方向での熱収縮率の意味であり、最大収縮方向は、正方形の縦方向または横方向の長さで決められる。また、熱収縮率(%)は、10cm×10cmの試料を、85℃±0.5℃の温水中に、無荷重状態で10秒間浸漬して熱収縮させた後、25℃±0.5℃の水中に無荷重状態で10秒間浸漬した後の、フィルムの縦および横方向の長さを測定し、下記式に従って求めた値である(以下、この条件で測定した最大収縮方向の熱収縮率を、単に「熱収縮率」と省略する)。
熱収縮率=100×(収縮前の長さ−収縮後の長さ)÷(収縮前の長さ)
本発明により得られる熱収縮性フィルムロールに巻かれているフィルムは少なくとも片面の表面に窒素原子を含有し、そのフィルム表面の窒素原子の含有量が0.1%以上4.0%以下である。該フィルム表面の窒素原子の含有量が0.1%未満では本発明の目的とする、様々なタイプのインクに対する密着性が不充分となる。また、該フィルム表面の窒素原子の含有量が4.0%を超える場合には、ラベルカット後の融着、ブロッキングが発生し、又、フィルムの表面性状の変化による滑性の低下が発生する。
本発明により得られる熱収縮性フィルムロールに巻かれているフィルムは、フィルムの巻き終わりから2m以内に1番目の試料切り出し部を、また、フィルムの巻き始めから2m以内に最終の切り出し部を設けると共に、1番目の試料切り出し部から約100m毎に試料切り出し部を設け、それぞれ10cm×10cmに切り出された各試料について85℃の温水中に10秒浸漬したときの熱収縮率を測定し、これらの熱収縮率の平均熱収縮率を算出したときに、全ての試料の上記熱収縮率が、上記平均熱収縮率の±5%以内の範囲でなければならない。なお、「約100m毎」というのは、100m±1m程度のところで試料を切り出しても構わないという意味である。
上記要件をより詳細に説明する。例えば、長さ498mの熱収縮性フィルムがロールに巻回されている場合、フィルムの巻き終わりから2m以内までの間で、最初の試料(1)(10cm×10cm)切り取る。なお、正方形の切り取り方向は、便宜上、フィルムの長手方向に沿う辺と、長手方向と直交する方向に沿う辺を有するように切り取る(斜めには切り取らない)こととする。続いて、切り取った部分から100m離れたところで、2番目の試料(2)を切り取る。同様にして、200m目で3番目の試料(3)を、300m目で4番目の試料(4)を、400m目で5番目の試料(5)を切り取る。ここで、残りは100mよりも短くなるため、6番目(最終)の試料(6)はフィルムの巻き始めから2m以内のいずれかの部分を切り取る。フィルムの巻き始めと巻き終わりは、熱収縮特性がばらついている可能性が高いため、巻き始めから2m以内の試料(最終試料)と、巻き終わりから2m以内の試料(1番目の試料)を、必ずサンプリングするため、このように規定した。
そして、切り取られた各試料について、表面の窒素原子含有量を測定し、平均窒素含有量を算出する。平均窒素含有量がX(%)で、試料(1)の窒素含有量をY1(%)とすると、|X−Y1|(X−Y1の絶対値)が0.8(%)よりも小さく、試料(2)〜(6)についての窒素含有量Y2〜Y6(%)においても同様に、|X−Yn|がいずれも0.8(%)よりも小さいことが、平均窒素含有量の±0.8%の意味である。換言すれば、Ynの最大値YmaxとXとの差と、最小値YminとXとの差のいずれもが±0.8%以内であれば、本発明の要件を満足する。
このように1本の熱収縮性フィルムロールのフィルム表面の窒素原子含有量の変動を小さくすることで、1個、1個のラベル、袋等の表面の窒素原子含有量の変動が小さくなるため、印刷工程、被覆収縮工程、PETボトルのリサイクル工程等の各々の工程で不良を低減することができる。表面の窒素原子含有量の変動率は平均熱収縮率の±0.7%以内が好ましく、±0.6%以内がさらに好ましい。
また、本発明においては、熱収縮性フィルムロールに巻回された熱収縮性フィルムより前述の方法にて切り出された試料の窒素原子を含有するフィルム表面の濡れ張力が全て36mN/m以上であることが好ましい。該フィルム表面の濡れ張力が36mN/m未満の場合があると、様々なタイプのインクに対する密着性が不充分となる場合がある。本発明の好ましい実施様態は該フィルム試料表面の濡れ張力が全て37mN/m以上、さらに好ましい実施様態は該フィルム試料表面の濡れ張力が全て38mN/m以上である。また、該フィルム表面の濡れ張力の上限は特に制限されるものではないが、ラベルカット後の融着、ブロッキングの発生やフィルム滑性の点からは58mN/m以下であることが好ましい。
さらに、本発明により得られる熱可塑性樹脂フィルムは、ポリエステル系フィルムまたはポリスチレン系であることが好ましい。さらに本発明においては、熱収縮性フィルムロールがポリエステル系樹脂及びフィルム又はポリスチレン系樹脂フィルムからなることが好ましい。これらの熱収縮性フィルムはフィルム強度、環境特性等の点で優れ、又、低温から高温までの幅広い温度域において良好な熱収縮特性を示し、収縮斑、シワ、歪みの少ない優れた収縮仕上り外観を得られるためである。また、美麗な光沢感や透明性にも優れている。
上記要件を満足する熱可塑性樹脂フィルムを得るための好ましい製造方法を説明する。従来から、熱収縮性フィルムのみならず、フィルムの製膜時あるいは製膜後に、フィルム表面の片面あるいは両面に空気雰囲気下でコロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、紫外線処理等を実施して様々なインクに対する密着性を向上させることが行われている。中でも工業生産においては空気雰囲気下でのコロナ処理による表面処理が最も広く行われている。熱収縮性フィルムにコロナ処理を行うと他のフィルムと同様に、表面の濡れ張力が増加して前述の様々なタイプのインクに対する密着性が向上する。そして、コロナ処理によってアルカリで脱離するタイプのインクに対するアルカリ脱離性は向上するが、熱収縮性フィルムをラベルカットする際に融着やブロッキングが発生しやすくなることを本発明者らは見出した。
例えばポリエステルを例にとると、熱収縮性フィルムはポリエチレンテレフタレートを最多構成モノマー成分として、必要な熱収縮率を得るために、ポリマーの結晶性を低下させ、非晶化する1,4−シクロヘキサンジメタノールやネオペンチルグリコール等のモノマー成分や、ガラス転移温度(Tg)を低下させて低温での熱収縮率を発現させるための1,4−ブタンジオールや1,3−プロパンジオール等の低Tgモノマー成分を含有させており、特に前者の非晶化させる成分の効果によって、フルム表面処理の無い状態(未処理状態)では未処理のPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムよりもインクに対する密着性は優れている。
しかしながら、一般のPETフィルムで実施されているエネルギーレベルのコロナ処理を熱収縮性フィルムに施すと、特に前者の非晶化させる成分の効果によって、表面が過度に酸化処理されることによって、表面張力が必要以上に増加して前述のフィルムをラベルカットする際に融着やブロッキングが発生しやすくなり、また、フィルム表面の滑性がより滑りにくい状態へ変化することにより、フィルムの加工性が悪化したり、又、例えばフィルムをロール巻きの状態で保管した際にフィルム同士のブロッキングが発生する悪さを生じるので弱処理でのコロナ処理を施す必要がある。このような弱処理を行う場合には、熱収縮性フィルムの中でも特に非晶化させる成分の多いものでは通常のPETフィルム用のコロナ処理設備では達成することが難しいために、弱処理用の特殊な電源や電極設備を新たに導入する必要が生じる。
このような弱処理でのコロナ処理において、インクに対する密着性を向上させることは可能であるが、実用上必要なインク密着性のレベルまでコロナ処理を行うと、フィルムをラベルカットする際に融着やブロッキングが発生する問題がありこの両方の特性を両立することはできない。これらのインク密着性とアルカリ脱離タイプのインクに対する脱離性を確保し、かつフィルムをラベルカットする際に融着やブロッキングを発生させないためには、フィルム表面に窒素原子を含有させることが効果的であることを本発明者らは見出した。フィルム表面に窒素原子を所定の量含有させることによって上記効果を達成することができる。該フィルム表面の窒素原子の含有量が0.1%未満では本発明の目的とする、様々なタイプのインクに対する密着性が不充分となる。また、該フィルム表面の窒素原子の含有量が4.0%を超える場合には、ラベルカット後の融着、ブロッキングが発生し、又、フィルムの表面性状の変化による滑性の低下が発生する。本発明での好ましい実施様態は、該フィルム表面の窒素原子含有量が0.15%以上3.9%以下、さらに好ましい実施様態は、該フィルム表面の窒素原子含有量が0.2%以上3.8%以下である。なお、本発明でのフィルム表面の窒素原子の形態としては、窒素原子(N)の形態でもよく、又、窒素イオン(N)の形態のいずれでもよい。
本発明の熱可塑性樹脂フィルムを得るための好ましい製造方法を説明する。フィルムの少なくとも片面の表面に窒素原子を含有させる方法としては、該フィルム表面を窒素雰囲気下でコロナ処理又はプラズマ処理をする方法が好ましい。窒素雰囲気下でコロナ処理又はプラズマ処理をすることにより、窒素原子は窒素原子(N)の形態か、窒素イオン(N)の形態でフィルム表面に存在する。又、フィルム表面の窒素原子量をコントロールする方法としては、コロナ処理又はプラズマ処理での設備や処理条件を変更することが挙げられる。設備面では例えばコロナ処理設備においては電源の周波数や放電電極の材質、形状、本数、処理ロールの材質、放電電極とフィルム処理面とのギャップ、窒素雰囲気下での窒素ガス濃度が挙げられ、条件面ではフィルム走行速度、雰囲気温度や処理時のロール表面温度等が挙げられる。
例えばコロナ処理において好ましい設備を例示すると、電源の周波数としては、8KHzから60KHzの範囲が好ましい。放電電極の材質としては、アルミニウム又はステンレスが好ましく、放電電極の形状はナイフエッジ状、バー状、又はワイヤー状であることが好ましい。また、放電電極の本数はフィルム表面を均一処理する為に、2本以上であることが好ましい。処理ロールは、コロナ放電を行う場合の対極となるものであるが、少なくとも表面の材質は誘電体である必要がある。誘電体材質としては、シリコンゴム、ハイパロンゴム、EPTゴム等を用いることが好ましく、少なくとも処理ロール表面を1mm厚以上の厚さで被覆することが好ましい。また、放電電極とフィルム処理面のギャップは0.2mm〜5mm程度の範囲内であることが好ましい。
また、条件面ではフィルムの走行速度(処理速度)は設備能力の範囲内で任意の速度で処理を行うことができる。雰囲気温度は15℃から120℃程度の範囲内で任意の温度を選択することができるが、本発明の熱収縮性フィルムの物性変化を防止する観点からは110℃以下が好ましく、100℃以下がさらに好ましい。また、窒素雰囲気中の窒素濃度は、空気を窒素雰囲気に置換した際の雰囲気の酸素濃度として、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは900ppm以下、さらに好ましくは700ppm以下である。
また、処理ロール表面は温調設備により温度制御することが好ましい。処理ロール表面は30℃から70℃の範囲内にあることが好ましい。また、必要に応じて処理ロールの前又は後に調温ロールを配置することもできる。
本発明の前述の要件を満足し、表面の窒素原子含有量をコントロールするための手法を説明する。フィルム表面の窒素原子含有量が変動する原因の1つとしては、コロナ処理またはプラズマ処理を行う際の雰囲気の窒素濃度の変動が挙げられる。コロナ処理又はプラズマ処理設備を囲い込み、窒素で内部の空気を置換して、窒素雰囲気としてその内部にフィルムを走行させる際、走行するフィルムの随伴流により、空気が流れこんで窒素雰囲気の濃度が変動する現象が発生するのでこれを抑制することが好ましい。その方法としては、第1にフィルムと囲い込み装置間のギャップを好ましくは0.4mm以下、さらに好ましくは0.3mm以下として、プラスチックフィルムや布で該ギャップを覆って随伴流をカットすることが挙げられる。さらに、囲い込みを2層以上の構造にして外層側で随伴流カットのための窒素を別途供給することも有効な手段である。本発明においてコロナ処理又はプラズマ処理を行う窒素雰囲気中の酸素濃度は、前述のごとく1000ppm以下、かつ酸素濃度の変動幅が、フィルムフィルム全長にわたって好ましくは平均酸素濃度±200ppmの範囲内、より好ましくは平均酸素濃度±150ppm以下の範囲内、さらに好ましくは平均酸素濃度±150ppmの範囲内である。
また、本発明においてはフィルムの窒素原子を含有するフィルム表面の濡れ張力は、36mN/m以上であることが必要である。該フィルム表面の濡れ張力が36mN/m未満であると、様々なタイプのインクに対する密着性が不充分となる。本発明の好ましい実施様態は該フィルム表面の濡れ張力が37mN/m以上、さらに好ましい実施様態は該フィルム表面の濡れ張力が38mN/m以上である。また、該フィルム表面の濡れ張力の上限は特に制限されるものではないが、ラベルカット後の融着、ブロッキングの発生やフィルム滑性の点からは58mN/m以下であることが好ましい。
なお、通常の空気雰囲気下のコロナ処理においてはフィルム表面の濡れ張力を38mN/m程度以上とすると、様々なインクに対する密着性、アルカリ脱離タイプのインクに対する脱離性は得ることができるが、ラベルカット後の融着、ブロッキングが発生する。窒素原子をフィルム表面に含有させることで、フィルム表面の濡れ張力を高め、かつラベルカット後の融着、ブロッキングの発生を抑止することができる。
本発明においては、熱可塑性樹脂フィルムは、塩化ビニル系樹脂やポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂等いずれの素材を用いてもよいが、熱収縮工程において、低温から高温までの幅広い温度域において優れた収縮仕上がり性を有し、特に比較的低温域においても収縮斑、シワ、歪みが少ない収縮仕上がり外観を得ることができ、また美麗な光沢感や透明性を得ることができることから、ポリエステル系樹脂またはポリスチレン系樹脂より構成されたフィルムであることが好ましい。本発明においては、ポリエステル系樹脂及びポリスチレン系樹脂のいずれにおいてもフィルム表面の適正な窒素含有量と濡れ張力の適正な範囲は同一である。
ポリエステル系樹脂としては、ジカルボン酸成分として、芳香族ジカルボン酸、それらのエステル形成誘導体、脂肪族ジカルボン酸の1種以上を用い、多価アルコール成分と重縮合した公知の(共重合)ポリエステルを用いることができる。芳香族ジカルボン酸として、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−1,4−もしくは−2,6−ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等が挙げられる。またこれらのエステル誘導体としてはジアルキルエステル、ジアリールエステル等の誘導体が挙げられる。また脂肪族ジカルボン酸としては、ダイマー酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、シュウ酸、コハク酸等が挙げられる。また、p−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等の多価のカルボン酸を、必要に応じて併用してもよい。
多価アルコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ダイマージオール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール等のアルキレングリコール、ビスフェノール化合物またはその誘導体のアルキレンオキサイド付加物、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。また、多価アルコールではないが、ε−カプロラクトンも使用可能である。
ポリエステル系熱収縮性フィルムを構成するポリエステル原料は、単独でもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。単独の場合は、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチルテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエチレンテレフタレート以外のホモポリエステルが好ましい。ポリエチレンテレフタレート単独では、熱収縮性が発現しないからである。
熱収縮特性の点からは、Tgの異なる2種以上のポリエステルをブレンドして使用することが好ましい。ポリエチレンテレフタレートと共重合ポリエステル(2種以上であってもよい)を混合して使用することが好ましいが、共重合ポリエステル同士の組み合わせであってもよい。また、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチルテレフタレート、ポリエチレンナフタレート同士を組み合わせたり、これらと他の共重合ポリエステルを組み合わせて用いることもできる。最も熱収縮特性的に好ましいのは、ポリエチレンテレフタレートと、ポリブチレンテレフタレート、エチレングリコールとネオペンチルグリコールとの混合ジオール成分とテレフタル酸とからなる共重合ポリエステルとの3種類のブレンドタイプである。2種以上のポリエステルを併用する場合は、前記したように、それぞれのポリマーのチップをホッパ内でブレンドすることが、生産効率の点からは好ましい。
ポリエステルは常法により溶融重合することによって製造できるが、ジカルボン酸類とグリコール類とを直接反応させ得られたオリゴマーを重縮合する、いわゆる直接重合法、ジカルボン酸のジメチルエステル体とグリコールとをエステル交換反応させたのちに重縮合する、いわゆるエステル交換法等が挙げられ、任意の製造法を適用することができる。また、その他の重合方法によって得られるポリエステルであってもよい。ポリエステルの重合度は、固有粘度にして0.3〜1.3dl/gのものが好ましい。
ポリエステルには、着色やゲル発生等の不都合を起こさないようにするため、酸化アンチモン、酸化ゲルモニウム、チタン化合物等の重合触媒以外に、酢酸マグネシウム、塩化マグネシウム等のMg塩、酢酸カルシウム、塩化カルシウム等のCa塩、酢酸マンガン、塩化マンガン等のMn塩、塩化亜鉛、酢酸亜鉛等のZn塩、塩化コバルト、酢酸コバルト等のCo塩を、ポリエステルに対して、各々金属イオンとして300ppm以下、リン酸またはリン酸トリメチルエステル、リン酸トリエチルエステル等のリン酸エステル誘導体を燐(P)換算で200ppm以下、添加してもよい。
上記重合触媒以外の金属イオンの総量がポリエステルに対し300ppm、またP量が200ppmを超えるとポリマーの着色が顕著になるのみならず、ポリマーの耐熱性や耐加水分解性が著しく低下するため好ましくない。
このとき、耐熱性、耐加水分解性等の点で、総P量(P)と総金属イオン量(M)とのモル原子比(P/M)は、0.4〜1.0であることが好ましい。モル原子比(P/M)が0.4未満または1.0を超える場合には、フィルムが着色したり、フィルム中に粗大粒子が混入することがあるため好ましくない。
上記金属イオンおよびリン酸及びその誘導体の添加時期は特に限定しないが、一般的には、金属イオン類は原料仕込み時、すなわちエステル交換前またはエステル化前に、リン酸類は重縮合反応前に添加するのが好ましい。
また、必要に応じて、シリカ、二酸化チタン、カオリン、炭酸カルシウム等の微粒子を添加してもよく、さらに酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、着色剤、抗菌剤等を添加することもできる。
ポリスチレン系熱収縮フィルムは、ポリスチレン系ポリマーから得ることができる。ポリスチレン系ポリマーとは、スチレン;p−、m−またはo−メチルスチレン、2,5−、3,4−または3,5−ジメチルスチレン、p−t−ブチルスチレン等のアルキルスチレン;p−、m−またはo−クロロスチレン、p−、m−またはo−ブロモスチレン、p−、m−またはo−フルオロスチレン、o−メチル−p−フルオロスチレン等のハロゲン化スチレン;p−、m−またはo−クロロメチルスチレン等のハロゲン置換アルキレンスチレン;p−、m−またはo−メトキシスチレン、p−、m−またはo−エトキシスチレン等のアルコキシスチレン;p−、m−またはo−カルボキシメチルスチレン等のカルボキシアルキルスチレン;p−ビニルベンジルプロピルエーテル等のアルキルエーテルスチレン;p−トリメチルシリルスチレン等のアルキルシリルスチレン;ビニルベンジルジメトキシホスファイド等のスチレン系モノマーを1種または2種以上用いて、公知のラジカル重合等で得られるポリマーである。
スチレン系ポリマーはシンジオタクチック構造のものとアタクチックポリマーとを混合して使用することもできる。スチレン系ポリマーの分子量としては、重量平均分子量(Mw)で10000以上が好ましく、50000以上がより好ましい。Mwが1万未満では、強伸度特性や耐熱性に優れたフィルムが得られない。
これらのスチレン系ポリマーに、熱可塑性樹脂またはゴムをブレンドすることにより、良好な特性が得られる。熱可塑性樹脂としては、AS樹脂、ABS樹脂等のポリスチレン系樹脂;前記した各種ポリエステル;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ナイロン46、ポリヘキサメチレンアジパミド等のポリアミド;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィン類が好ましいものとして挙げられる。
ゴム成分としては、スチレン系モノマーを構成成分として含むゴム類が好ましく、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBS)、SBSのブタジエン部分を一部または全部水素化(以下、水添化物)したもの、スチレン−イソプレンブロック共重合体(SIS)、SIS水添化物、(メタ)アクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−(メタ)アクリル酸アルキルエステル−ブタジエン−スチレン共重合体等が挙げられる。これらは、スチレンユニットを有しているため、スチレン系ポリマーに対する分散性が良好であり、物性改良効果が大きい。
また、ゴムのミクロドメインを形成させてもよく、この場合に利用できるゴムとしては、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ネオプレン、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、アクリルゴム、ポリエーテル−エステルゴム、ポリエステル−エステルゴム等が利用可能である。ポリエステルの場合と同様、公知の添加剤を添加してもよい。
また、本発明により得られる熱可塑性樹脂フィルムに対して使用するアルカリ脱離性を有するタイプのインクとは、例えば熱収縮フィルム上にインク層を積層した試料1gを1cm角に切断して100ccのNaOH3%水溶液(90℃)中で30分撹拌した後、水洗乾燥しインク除去率が90%以上であるインクを意味する。除去されるのは、インク層がアルカリ性温湯中で主として膨潤又は溶解されることによる。実用的には弱アルカリ性温湯による洗浄は通常30分前後行われ、その間にインク層が脱落するものであればよい。
インク層に上記特性を持たせる方法としては特に制約はないが、例えばアルカリ性温湯中で可溶な又は膨潤性の化合物を通常使用されるインク、例えば顔料又は染料からなる着色体、バインダー、揮発性有機溶剤を構成成分とするインクに添加する方法が挙げられる。アルカリ性温湯中で可溶又は膨潤性の化合物としては、塩化ナトリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、酢酸ナトリウム、硫酸アンモニウム等の無機塩、アスコルビン酸、セバシン酸、アゼライン酸等の有機酸又はその塩、ポリエチレンオキサイド、ポリテトラメチレンオキサイド等の高分子ポリエーテル、ポリアクリル酸又はポリメタクリル酸又はそれらの金属塩並びにそれらの共重合体、例えばポリスチレンとポリアクリル酸及び/又はポリメタクリル酸等のアクリル系化合物との共重合体等が挙げられる。
また、上記化合物としては常温で液体のものも挙げられ、具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール等の多価アルコールのモノエチル、モノプロピル、モノブチルエーテルあるいはモノメチル、モノエチル、モノプロピル、モノブチルエーテル或いはモノメチル、モノエチルエステル等、その他、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、ジアセトンアルコール、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン等が挙げられる。中でもインク層中に残存することが必要であることから高沸点であることが好ましく、具体的には沸点が50℃以上のものが好ましく、さらにアルカリ性温湯への可溶性から多価アルコールのモノアルキルエーテルが特に好ましい。
なお、本発明により得られる熱可塑性樹脂フィルムの厚みは特に限定するものではないが、例えばラベル用熱収縮性フィルムとしては、10〜200μmが好ましく、20〜100μmがさらに好ましい。
以下、以下実施例によって本発明をさらに詳述するが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施する場合は、本発明に含まれる。なお、実施例および比較例で得られたフィルムの物性の測定方法は、以下の通りである。
(1)熱収縮率
ルムを走行方向およびその直交方向に沿うように10cm×10cmの正方形に裁断し、85℃±0.5℃の温水中に、無荷重状態で10秒間浸漬して熱収縮させた後、25℃±0.5℃の水中に10秒浸漬した後、試料の縦および横方向の長さを測定し、下記式に従って求めた値である。
熱収縮率(%)=100×(収縮前の長さ−収縮後の長さ)÷(収縮前の長さ)最も収縮率の大きい方向を最大収縮方向とした。
(2)フィルム表面の窒素原子含有量
X線光電子分光法測定装置(ESCA測定装置:ESCAスペクトロメーター ES−200型(国際電気株式会社製))によりフィルム表面の全元素量に対する窒素元素量の比率を定量して求めた。1番目の試料切りだし部は、フィルムの巻き終わり部分(巻き終わりから0m)とした。また、最終の切りだし部は、フィルムの巻き始め(巻き始めから0m)とし、全部で11試料について切りだした。
(3)フィルム表面の濡れ張力
JIS K6768の方法にてフィルム表面の濡れ張力を測定した。
(4)インク密着性不良率
大日精化工業(株)製インク「ダイエコロSRF915紅」と「SRF希釈溶剤No.2」を100:10の重量比で混合後、印刷機によりフィルムロール全面に印刷を施した。該サンプルロールより10mピッチでサンプリングし、セロハンテープを貼りつけた後に該テープを剥離して剥離後のインクピンホールの発生状況を以下に従い評価し、○以上を合格、他を不合格とした。
○:インクピンホールの発生なし
△:インクピンホール発生するが全て1mm未満のサイズ
×:インクピンホールが発生して1mm以上のサイズのものあり
(5)インクのアルカリ脱離性不良率
(4)の方法にてフィルム表面にインクを塗布後、10mピッチでサンプリングし、該サンプルを2cm×20cmのサイズに裁断し、温度を85℃±2℃の範囲内に制御した1.5%NaOH水溶液中に20分間浸漬後取りだして直ちに25℃±2℃の範囲内に20秒間浸漬して取りだし、インク層の脱離状態を目視で判定し○以上を合格とし、他は不良とした。
○:インク層が全て脱離
△:インク層が部分的に脱離、または取りだし後に綿棒でインク層をこすると容易に剥離可能
×:インク層が脱離せず、かつ取りだし後に綿棒でインク層をこすっても剥離不可能
(6)ラベルカット後の開口性不良率
熱収縮性フィルムロールをスリットし、続いて、センターシールマシンを用いて1,3−ジオキソランで溶剤接着してチューブを作り、二つ折り状態で巻き取った。裁断機で連続的に裁断して、熱収縮性フィルムラベルを作成後、手で全数開口して裁断部の開口性を判定した。○以上のものを合格とし、他は不良とした。○:裁断部が抵抗なく開口できる
△:裁断部が軽い抵抗ある場合あるが開口可能である
×:裁断部が開口不可能な部分あり
(7)表面処理のフィルム面積当りエネルギー換算値
表面処理のフィルム面積当りエネルギー換算値(KW/m・min)
=高周波電源装置電流値(A)×電圧(V)÷電極幅(m)÷フィルム走行速度(m/min)
として求めた。
[合成例1](ポリエステルの合成)
撹拌機、温度計および部分環流式冷却器を備えたステンレススチール製オートクレーブに、ジカルボン酸成分としてジメチルテレフタレート(DMT)100モル%と、グリコール成分として、エチレングリコール(EG)72モル%とネオペンチルグリコール(NPG)30モル%を、グリコールがモル比でメチルエステルの2.2倍になるように仕込み、エステル交換触媒として酢酸亜鉛を0.05モル(酸成分に対して)と、重縮合触媒として三酸化アンチモン0.025モル(酸成分に対して)添加し、生成するメタノールを系外へ留去しながらエステル交換反応を行った。その後、280℃で26.7Paの減圧条件の下で重縮合反応を行い、固有粘度0.73dl/gのポリエステル(A)を得た。
[合成例2および合成例3]
合成例1と同様な方法により、表1に示すポリエステル原料チップ(B)および(C)を得た。なお、表中、BDは、1,4−ブタンジオールである。それぞれのポリエステルの固有粘度は、チップBが0.72dl/g、チップCが1.20dl/gであった。
Figure 2008031484
(実施例1)
上記合成例で得られた各チップを別個に予備乾燥し、表1に示したように、チップAを53質量%、チップBを37質量%、チップCを10質量%を、押出機直上のホッパに、定量スクリューフィーダーで連続的に別々に供給しながら、このホッパ内で混合し、280℃で単軸式押出機で溶融押出しし、その後急冷して、厚さ180μmの未延伸フィルムを得た。 上記未延伸フィルムを100℃で10秒間予熱した後、テンターで横方向に80℃で4.0倍延伸し、続いて80℃で10秒間熱処理を行って、厚さ45μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを1000m以上にわたって製膜した。
続いて該フィルムを、処理電極及び処理部分を2重に囲い込み2層構造として窒素を各々の部分に連続的に供給して窒素雰囲気に置換したコロナ処理装置に導き、表2の条件で窒素雰囲気下でのコロナ処理を施した。このとき、高周波電源装置は春日電機社製装置を使用し、表面処理エネルギー換算値は0.20(KW/m・min)、発振周波数は45KHz±3KHz、処理電極はアルミニウム製のバー型電極、処理電極とフィルム間のギャップは0.5mm、処理ロールは表面材質がシリコンゴム製のものを使用し、処理ロール表面温度は40℃、フィルムと囲い込み装置間のギャップは0.4mmとし、ギャップの部分は綿製の布(別珍)で被覆した。得られたフィルムを幅400mm、長さ1000mの紙管に巻き取り、熱収縮性フィルムロールを得た。このとき、フィルムを連続的に1000m製造したときの窒素雰囲気中の酸素濃度は655ppm±102ppmの範囲内であった。得られたフィルムロールの物性値を表2に示す。
(比較例1)
実施例1と同じ方法にて未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを100℃で10秒間予熱した後、テンターで横方向に80℃で4.0倍延伸し、続いて80℃で10秒間熱処理を行って、厚さ45μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを製膜した。続いて該フィルムを、窒素雰囲気下のコロナ処理装置に導き、表面処理エネルギー換算値は0.20(KW/m・min)条件でコロナ処理を施した。このときコロナ処理設備は実施例1のものを使用し、囲い込みの設備は、フィルムと囲い込み装置間のギャップは0.7mmとし、ギャップの部分の被覆はなしとした。このときフィルムを連続的に1000m製造したときの窒素雰囲気中の酸素濃度は728ppm±272ppmの範囲内であった。熱収縮性フィルムロールを得た。
(実施例2)
実施例1と同じ方法にて未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを100℃で10秒間予熱した後、テンターで横方向に80℃で4.0倍延伸し、続いて80℃で10秒間熱処理を行って、厚さ45μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを製膜した。続いて該フィルムを、処理電極及び処理部分を囲い込み窒素を連続的に供給して窒素雰囲気に置換したコロナ処理装置に導き、表面処理エネルギー換算値は0.52(KW/m・min)で実施例1と同じ設備で窒素雰囲気濃度下でのコロナ処理を施した。このときの処理設備は実施例1と同じものを使用した。熱収縮性フィルムロールを得た。このときフィルムを連続的に1000m製造したときの窒素雰囲気中の酸素濃度は128ppm±72ppmの範囲内であった。熱収縮性フィルムロールを得た。得られたフィルムロールの物性値を表2に示す。
(比較例2)
実施例1と同じ方法にて未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを100℃で10秒間予熱した後、テンターで横方向に80℃で4.0倍延伸し、続いて80℃で10秒間熱処理を行って、厚さ45μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを製膜した。続いて該フィルムを、窒素雰囲気下のコロナ処理装置に導き、表面処理エネルギー換算値は0.20(KW/m・min)の条件でコロナ処理を施した。このときコロナ処理設備は実施例1のものを使用し、囲い込みの設備は、フィルムと囲い込み装置間のギャップは0.8mmとし、ギャップの部分の被覆はなしとした。このときフィルムを連続的に1000m製造したときの窒素雰囲気中の酸素濃度は1228ppm±363ppmの範囲内であった。熱収縮性フィルムロールを得た。得られたフィルムロールの物性値を表2に示す。
(比較例3)
実施例1と同じ方法にて未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを100℃で10秒間予熱した後、テンターで横方向に80℃で4.0倍延伸し、続いて80℃で10秒間熱処理を行って、厚さ45μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを製膜した。続いて該フィルムを、窒素雰囲気下のコロナ処理装置に導き、表面処理エネルギー換算値は0.05(KW/m・min)の条件でコロナ処理を施した。このときコロナ処理設備は実施例1のものを使用し、囲い込みの設備は、フィルムと囲い込み装置間のギャップは0.8mmとし、ギャップの部分の被覆はなしとした。このときフィルムを連続的に1000m製造したときの窒素雰囲気中の酸素濃度は2228ppm±395ppmの範囲内であった。熱収縮性フィルムロールを得た。得られたフィルムロールの物性値を表2に示す。
Figure 2008031484
本発明により得られる熱収縮性フィルムロールは、様々なタイプのインクに対するインク密着性に優れ、かつアルカリ水溶液で脱離するタイプのインクに対して優れた脱離性を有し、かつフィルムロールのフィルムをラベル状とする際のラベルカット後の開口性に優れ、工業生産上において非常に有用なものである。

Claims (5)

  1. 熱収縮性フィルムを巻き取ってなるフィルムロールの製造方法であって、この熱収縮性フィルムは、10cm×10cmの正方形状に切り出した試料を85℃の温水中に10秒浸漬して引き上げ、次いで25℃の水中に10秒浸漬して引き上げたときの最大収縮方向の熱収縮率が20%以上であり、フィルムの少なくとも片面表面の窒素原子含有量が0.1%以上4.0%以下であり、フィルムの巻き終わりから2m以内に1番目の試料切り出し部を設けると共に、1番目の試料切り出し部から約100m毎に試料切り出し部を設け、切り出された各試料の平均窒素原子含有量を算出したときに、全ての試料の窒素原子含有量が上記平均窒素含有量±0.8%以内の範囲であり、電源の周波数が8KHzから60KHzのコロナ処理設備を用いてフィルムの少なくとも片面の表面を窒素雰囲気下でコロナ処理し、熱収縮性フィルムを巻き取ることを特徴とする熱収縮性フィルムロールの製造方法
  2. 請求項1に記載の熱収縮性フィルムロールの製造方法において、フィルムの巻き終わりから2m以内に1番目の試料切り出し部を設けると共に、1番目の試料切り出し部から約100m毎に試料切り出し部を設け、切り出された試料の全ての窒素原子含有量が0.1%以上4.0%以下のフィルム表面における濡れ張力が36mN/m以上であることを特徴とする熱収縮性フィルムロールの製造方法
  3. 熱収縮性フィルムロールが、ポリエステル系樹脂フィルム又はポリスチレン系樹脂フィルムからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱収縮性フィルムロールの製造方法
  4. 熱収縮性フィルムが、幅200mm以上、長さ300m以上である請求項1〜3のいずれかに記載の熱収縮性フィルムロールの製造方法
  5. 請求項5に記載の熱収縮性フィルムロールの製造方法において、コロナ処理を行う窒素雰囲気中の酸素濃度が1500ppm以下かつ酸素濃度の変動幅が、フィルム全長にわたって平均酸素濃度±200ppmの範囲内であることを特徴とする熱収縮性フィルムロールの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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