JP2008016823A - ガラス基板表面の平滑化方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ピットやスクラッチのような凹欠陥を有する基板表面を平滑化する方法の提供。
【解決手段】EUVリソグラフィ用反射型マスクブランク用ガラス基板表面を平滑化する方法であって、ガラス基板上に薄膜を形成する工程と、前記ガラス基板上に存在する凹欠陥を検出する工程と、検出された凹欠陥直上の前記薄膜を局所的に加熱することにより若しくは該薄膜を局所的に陽極酸化することにより、前記薄膜を構成する材料に体積増加を伴う化学反応を生じさせる工程と、を含むことを特徴とするガラス基板表面を平滑化する方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ガラス基板表面の平滑化方法に関する。より具体的には、EUV(Extreme Ultraviolet:極端紫外)リソグラフィ用反射型マスクブランク(以下、本明細書において、「EUVマスクブランク」という。)用ガラス基板表面の平滑化方法に関する。より具体的には、凹欠陥を有するEUVマスクブランク用ガラス基板表面の平滑化方法に関する。
また、本発明は、該平滑化方法により基板表面が平滑化されたEUVマスクブランク用基板を用いたEUVマスクブランク、ならびに該EUVマスクブランクをパターニングしたEUVマスクに関する。
EUVマスクブランクは、ガラス基板上に、EUV光を反射する反射層およびEUV光を吸収する吸収体層をこの順に形成することによって製造される。反射層としては、高屈折層であるモリブデン(Mo)層と低屈折層であるケイ素(Si)層とを交互に積層することで、EUV光を層表面に照射した際の光線反射率が高められた多層反射膜が最も一般的である。
EUVマスクブランクの製造に使用する基板表面に微少な凹凸が存在すると、該基板上に形成される反射層および吸収体層に悪影響を及ぼす。例えば、基板表面に微小な凹凸が存在すると、該基板上に反射層として形成される多層反射膜の周期構造が乱され、露光装置を用いてマスク上のパターンをSiウェハ上の感光性有機膜(いわゆるフォトレジスト膜)に転写した場合、所望のパターンの一部が欠損、あるいは所望のパターン以外に余分なパターンが形成される場合がある。基板上に存在する凹凸に起因する多層反射膜周期構造の乱れは位相欠陥と呼ばれ重大な問題であり、基板上には所定のサイズ以上の凹凸が無いことが望ましい。
非特許文献1および2には、EUVマスクおよびEUVマスクブランクの欠陥に関する要求が記載されており、これら欠陥に関する要求は非常に厳しいものである。非特許文献1には、基板上に50nmを超える欠陥が存在すると、多層反射膜の構造に乱れを生じさせ、Siウェハ上のレジストに投影されるパターンに予期せぬ形状を生じさせることから許容できないと記載されている。また、非特許文献1には、Siウェハ上のレジストに投影されるパターンで、ラインエッジの粗さが増加するのを防止するために、基板の表面粗さはrms(二乗平均平方根粗さ)で0.15nm未満であることが必要であると記載されている。非特許文献2には、EUVリソグラフィに使用される、多層反射膜でコートされたマスクブランクに25nmを超える欠陥が存在することは許容できないと記載されている。
また、非特許文献3には、基板上のどの程度の大きさの欠陥が、転写される可能性があるか記載されている。非特許文献3には、位相欠陥がプリントされたイメージのライン幅を変える可能性があると記載されている。高さ2nm、FWHM(full width at half maximum)60nmの表面バンプを有する位相欠陥が、該欠陥が転写される可能性があるか否かの境目となるサイズであり、この大きさの位相欠陥は35nmのラインに対して20%という許容不可能なライン幅の変化(マスク上、140nm)を生じると記載されている。
SEMI、 P37-1102 (2002)、 "極端紫外リソグラフィマスクブランクに関する指定"(Specification for extreme ultraviolet lithography mask substrate) SEMI、 P38-1102 (2002)、 "極端紫外リソグラフィマスクブランクの吸収膜スタックおよび多層膜に関する指定"(Specification for absorbing film stacks and multilayers on extreme ultraviolet lithography mask blanks) SPIE、 vol. 4889、 Alan Stivers.、 et. al.、 p.408-417 (2002)、 "EUVマスクブランクの検査用のマルチビーム共焦点評価システムの評価能力"(Evaluation of the Capability of a Multibeam Confocal Inspection System for Inspection of EUVL Mask Blanks)
基板表面に存在する微小な凹凸のうち、異物やファイバのようなパーティクルや基板自体のバンプなどの凸欠陥は、フッ酸やアンモニア水を用いた従来の湿式洗浄方法や、ブラシ洗浄、または精密研磨等によって除去することができる。
しかしながら、ピットやスクラッチのような凹欠陥は、これらの方法では除去することができない。しかも、凸欠陥を除去するために、フッ酸やアンモニア水を用いた湿式洗浄方法を用いた場合、基板から凸欠陥をリフトオフして除去するために、基板表面をわずかにエッチングすることが必要であるため、基板表面に新たな凹欠陥が生じるおそれがある。凸欠陥を除去するために、ブラシ洗浄を用いた場合も、基板表面に新たな凹欠陥が生じるおそれがある。
本発明は、上記した従来技術における問題点を解決するために、ピットやスクラッチのような凹欠陥を有する基板表面を平滑化する方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、該基板表面を平滑化する方法により得られるEUVマスクブランク用のガラス基板を提供することを目的とする。
また、本発明は、該EUVマスクブランク用基板を用いたEUVマスクブランク用の反射層付基板およびEUVマスクブランクを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は、EUVリソグラフィ用反射型マスクブランク用ガラス基板表面を平滑化する方法であって、
ガラス基板上に薄膜を形成する工程と、
前記ガラス基板上に存在する凹欠陥を検出する工程と、
検出された凹欠陥直上の前記薄膜を局所的に加熱することにより、前記薄膜を構成する材料に体積増加を伴う化学反応を生じさせる工程と、を含むことを特徴とするEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク用ガラス基板表面を平滑化する方法(以下、「本発明の基板平滑化方法(1)」という。)を提供する。
本発明の基板平滑化方法(1)において、前記化学反応が酸化反応であることが好ましい。
また、本発明の基板平滑化方法(1)において、前記化学反応が窒化反応であることが好ましい。
また、本発明の基板平滑化方法(1)において、前記薄膜がAl、B、Co、Cr、Ge、Hf、Mo、Nb、Ni、Ru、Si、Ta、Ti、ZnおよびZrからなる群から選択される少なくとも1つを主たる構成材料とすることが好ましい。
また、本発明の基板平滑化方法(1)において、前記薄膜が、互いに構成材料が異なる少なくとも2層の膜を含み、
前記化学反応が、前記2層の膜を構成する材料同士の相互拡散に伴ってもよい。
前記薄膜が互いに構成材料が異なる少なくとも2層の膜を含む場合において、前記少なくとも2層の膜のうち1層の膜が、Al、B、Co、Cr、Ge、Hf、Mo、Nb、Ni、Ru、Si、Ta、Ti、ZnおよびZrからなる群から選択される少なくとも1つを主たる構成材料とすることが好ましい。
また、本発明の基板平滑化方法(1)において、前記薄膜の厚さが、前記ガラス基板に存在する凹欠陥の最大深さの0.5〜10倍であることが好ましい。
また、本発明の基板平滑化方法(1)において、前記薄膜の局所的に加熱された部位の結晶状態が、前記化学反応によってアモルファスとなることが好ましい。
また、本発明の基板平滑化方法(1)において、前記局所的な加熱後の前記薄膜の結晶状態がアモルファスであることが好ましい。
また、本発明の基板平滑化方法(1)において、前記局所的な加熱を、前記ガラス基板の凹欠陥直上の薄膜にレーザー光を照射することにより行うことが好ましい。
前記局所的な加熱をレーザー光照射で行う場合において、前記レーザー光の径が前記ガラス基板に存在する凹欠陥の直径の2倍以下であることが好ましい。
前記局所的な加熱をレーザー光照射で行う場合において、前記凹欠陥の検出をレーザー光照射により行い、
前記局所的な加熱に使用するレーザー光源と、前記凹欠陥の検出に使用するレーザー光源と、が同一のレーザー光源であることが好ましい。
また、本発明の基板平滑化方法(1)において、前記凹欠陥の検出に、加熱可能な探針を有する原子間力顕微鏡(AFM)、走査型トンネル顕微鏡(STM)または触針式段差計を使用し、
前記局所的な加熱を、前記凹欠陥直上の薄膜に接近または接触させた前記探針を加熱することにより行うことが好ましい。
また、本発明の基板平滑化方法(1)において、前記局所的な加熱後の前記薄膜表面を針状の部材を用いて研削してもよい。
前記凹欠陥の検出および前記局所的な加熱をAFM、STMまたは触針式段差計の加熱可能な探針で行なう場合、前記局所的な加熱後の前記薄膜表面を前記探針を用いて研削することが好ましい。
また、上記の目的を達成するため、本発明は、EUVリソグラフィ用反射型マスクブランク用ガラス基板表面を平滑化する方法であって、
ガラス基板上に薄膜を形成する工程と、
前記ガラス基板上に存在する凹欠陥を検出する工程と、
検出された凹欠陥直上の前記薄膜を局所的に陽極酸化することにより、前記薄膜を構成する材料に体積増加を伴う化学反応を生じさせる工程と、を含むことを特徴とするEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク用ガラス基板表面を平滑化する方法(以下、「本発明の基板平滑化方法(2)」という。)を提供する。
また、本発明の基板平滑化方法(2)において、前記薄膜がAl、B、Co、Cr、Ge、Hf、Mo、Nb、Ni、Ru、Si、Ta、Ti、ZnおよびZrからなる群から選択される少なくとも1つを主たる構成材料とすることが好ましい。
また、本発明の基板平滑化方法(2)において、前記薄膜の厚さが、前記ガラス基板に存在する凹欠陥の最大深さの0.5倍以上であることが好ましい。
また、本発明の基板平滑化方法(2)において、前記薄膜の局所的に陽極酸化された部位の結晶状態が、前記化学反応によってアモルファスとなることが好ましい。
また、本発明の基板平滑化方法(2)において、前記局所的な陽極酸化後の前記薄膜の結晶状態がアモルファスであることが好ましい。
本発明の基板平滑化方法(2)において、前記凹欠陥の検出に、通電可能な探針を有する原子間力顕微鏡(AFM)、走査型トンネル顕微鏡(STM)または触針式段差計を使用し、
前記局所的な加熱を、前記凹欠陥直上の薄膜に接近または接触させた前記探針と前記薄膜との間に電圧を印加することにより行うことが好ましい。
また、本発明の基板平滑化方法(2)において、前記局所的な陽極酸化後の前記薄膜表面を針状の部材を用いて研削してもよい。
前記凹欠陥の検出および前記局所的な陽極酸化をAFM、STMまたは触針式段差計の探針で行なう場合、前記局所的な陽極酸化後の前記薄膜表面を前記探針を用いて研削することが好ましい。
また、本発明は、本発明の基板平滑化方法(1),(2)により基板表面が平滑化されたEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク用基板上にEUV光を反射する反射層を形成してなるEUVリソグラフィ用反射層付基板(以下、「本発明の反射層付基板」という。)を提供する。
また、本発明は、上記した本発明の反射層付基板の反射層上にEUV光を吸収する吸収体層を形成してなるEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク(以下、「本発明のEUVマスクブランク」という。)を提供する。
また、本発明は、上記した本発明のEUVマスクブランクをパターニングしたEUVリソグラフィ用反射型マスク(以下、「本発明のEUVマスク」という)を提供する。
本発明の基板平滑化方法では、凹欠陥を有するEUVマスクブランク用ガラス基板表面に薄膜を形成し、該凹欠陥直上の薄膜、すなわち、薄膜上に凹欠陥が現れた部位を局所的に加熱して、該薄膜を構成する材料に体積増加を伴う化学反応を生じさせることにより(本発明の基板平滑化方法(1))、あるいは、薄膜上に凹欠陥が現れた部位を局所的に陽極酸化して、該薄膜を構成する材料に体積増加を伴う化学反応を生じさせることにより(本発明の基板平滑化方法(2))、薄膜上に現れた凹欠陥を低減または解消する。これによりEUVマスクブランクの製造時に反射層や吸収体層が形成される成膜面となる薄膜表面を平滑化し、EUVマスクブランクとして問題がないレベルまで平滑性を高めることができる。
基板表面に存在する凸欠陥は、フッ酸やアンモニア水を用いた従来の湿式洗浄方法や、ブラシ洗浄または精密研磨によって除去することができる。しかし、凸欠陥を除去する目的でこれらの方法を実施した場合、基板表面に新たな凹欠陥が発生する場合もある。本発明の基板平滑化方法では、このような新たな凹欠陥が発生したガラス基板の成膜面を平滑化し、EUVマスクブランクとして問題がないレベルまで平滑性を高めることができる。
以下、本発明の基板平滑化方法について図面を用いて説明する。
本発明の基板平滑化方法では、EUVマスクブランク用のガラス基板表面、より具体的には、EUVマスクブランクの製造時に反射層および吸収層が形成される側のガラス基板表面(以下、「成膜面」という。)を平滑化する目的で使用される。但し、EUVマスクブランクの製造時に静電チャック用の導電膜を形成する側のガラス基板表面を本発明の基板平滑化方法で平滑化してもよい。EUVマスクブランク用のガラス基板の成膜面を平滑化する場合を例に以下説明する。
本発明の基板平滑化方法を実施する場合、まず始めに、予め準備したEUVマスクブランク用のガラス基板の成膜面を酸化セリウム、酸化ジルコニウム、コロイダルシリカ等の研磨砥粒を用いて研磨し、その後フッ酸、ケイフッ酸、硫酸等の酸性溶液や、アンモニア水等のアルカリ溶液、または純水を用いて成膜面を洗浄し、乾燥する。成膜面に異物やファイバのようなパーティクルや基板自体のバンプなどの凸欠陥が存在する場合、これらの手順によって除去される。
本発明の基板平滑化方法は、上記の手順で表面研磨および洗浄を実施することにより、凸欠陥が除去された成膜面に対して好ましく使用される。
EUVマスクブランク用のガラス基板は、成膜面全面において高い平滑性および平坦度を有していることが要求される。具体的には、ガラス基板の成膜面がrms(二乗平均平方根粗さ)が0.15nm以下の平滑な表面と50nm以下の平坦度を有していることが要求される。これらの要求値を満たしても、なお成膜面にはピットやスクラッチと呼ばれる局在した凹欠陥が存在している場合がある。
ガラス基板の成膜面に存在する凹欠陥のサイズが非常に小さい場合、該ガラス基板を用いて製造されるEUVマスクブランクに悪影響が及ぶおそれはない。しかしながら、ガラス基板の成膜面にある大きさ以上の凹欠陥が存在すると、成膜面上に形成される反射層表面や吸収体層表面に凹欠陥が現れ、該ガラス基板を用いて製造されるEUVマスクブランクの欠陥となる場合がある。
ガラス基板の成膜面にどの程度の大きさの凹欠陥が存在すると、EUVマスクブランクの欠陥となるかは、凹欠陥の直径と深さ、および形状に影響されるため一概には言えないが、例えば、ガラス基板の成膜面に直径30nm以上かつ深さ3nm以上の凹欠陥が存在すると、成膜面上に形成される反射層表面や吸収体層表面に凹欠陥が現れたり、反射層の多層構造に乱れが生じたりして、該ガラス基板を用いて製造されるEUVマスクブランクの欠陥となるおそれがある。
EUVマスクブランク用のガラス基板は、平滑性および平坦度に優れていることに加えて、低熱膨張係数(0±1.0×10-8/℃であることが好ましく、より好ましくは0±0.3×10-8/℃)を有するものが好ましい。このような低熱膨張係数を有するガラス基板の具体例としては、例えばSiO2−TiO2系ガラス製のガラス基板や、β石英固溶体を析出した結晶化ガラス製のガラス基板が挙げられる。
また、EUVマスクブランク用のガラス基板は、EUVマスクブランクまたはパターン形成後のフォトマスクの洗浄等に用いる洗浄液への耐性に優れたものであることが好ましい。
また、EUVマスクブランク用のガラス基板は、該ガラス基板上に形成される反射層および吸収体層の膜応力によって変形するのを防止するために、高い剛性を有しているものが好ましい。特に、3×1072/s2以上の高い比剛性を有しているものが好ましい。
EUVマスクブランク用のガラス基板の大きさや厚みなどは、マスクの設計値等により適宜決定されるものである。具体例を挙げると、例えば外形6インチ(152.4mm)角程度で、厚さ0.25インチ(6.3mm)程度のものがある。
図1は、ガラス基板の凹欠陥が存在する部分付近を示した模式図である。図1において、ガラス基板1の成膜面1aには、凹欠陥2が存在している。凹欠陥2の直径は例えば100nmであり、深さは例えば30nmである。
本発明の基板平滑化方法(1)では、第1にガラス基板上に薄膜を形成する工程を実施する。本工程では、ガラス基板1の成膜面1aに薄膜3を形成する。図2は、図1のガラス基板1の成膜面1aに薄膜3を形成した状態を示している。図2において、薄膜3の厚さは凹欠陥2の深さの約1.5倍であり、45nm程度である。薄膜3は、ガラス基板1の成膜面1aの形状に沿って広がるため、凹欠陥2の直上の薄膜3には凹欠陥4が現れる。本発明の基板平滑化方法(1)では、薄膜3表面に現れる凹欠陥4を軽減または解消することにより、薄膜3表面を平滑化するものである。
なお、薄膜3は、後述するように体積増加をすることによって、凹欠陥4を軽減または解消する役割を果たす。この働き以外に、薄膜3は基板1の成膜面1a上に形成された非常に小さい凹欠陥2を検出しやすくするという効果も奏する。EUVマスクブランク用の基板のように非常に小さな欠陥までもが問題になるような用途においては、通常の光学検査装置では検出することが困難な欠陥までもが問題視される。しかし、本発明のように薄膜3を形成することで、基板1の成膜面1a上に形成された微小な凹欠陥2を検出することが可能となる。なお、薄膜3を形成することで、基板1の成膜面1a上に形成された微小な凹欠陥2を検出することが可能となる理由は、欠陥検出は基板の表面にレーザーを照射し、その反射像を解析することにより行われるが、基板にこのような薄膜を形成した場合、一般的なガラスの光線反射率の4%から10%以上へと大きくなり、より高い信号/ノイズ比で欠陥像を得ることが可能になるからである。
薄膜3の構成材料は、加熱時に体積増加を伴う化学反応を生じるものである限り特に限定されない。ここで、加熱時に生じる化学反応は、体積増加を伴うものである限り特に限定されないが、加熱のみで進行し、かつ加熱した部位のみで局所的に反応を進行させることができ、かつ化学反応が伴う体積増加を制御しやすいことから酸化反応または窒化反応が好ましい。なお、酸化反応を行う場合、空気中または酸素雰囲気中で局所的な加熱を実施すればよい。窒化反応を行う場合、窒素雰囲気中で局所的な加熱を実施すればよい。
但し、薄膜3の構成材料は、加熱時に化学反応を生じやすいこと、および加熱により体積増加を伴う化学反応を生じさせた後の薄膜3表面の平滑性に優れる(以下、「加熱後の薄膜3表面の平滑性に優れる」という。)ことから、金属であることが好ましい。中でも、Al、B、Co、Cr、Ge、Hf、Mo、Nb、Ni、Ru、Si、Ta、Ti、ZnおよびZrからなる群(以下、「A群」という。)から選択される少なくとも1つを主たる構成材料とすることが、加熱時に化学反応を生じやすく、加熱後の薄膜3表面の平滑性に優れ、かつEUVマスクブランク製造時に該薄膜3上に形成される反射層や吸収体層に悪影響を与えないという点で優れている。中でも、Hf、Nb、Si、Ta、TiおよびZrを主たる構成材料とする薄膜3は、加熱後の結晶状態、特に加熱による酸化反応後の結晶状態、また加熱による窒化反応後の結晶状態がアモルファスとなりやすいことからさらに好ましい。
薄膜3を構成する材料は、加熱時に生じる化学反応による体積増加率が高い材料であることが好ましい。具体的には、下記式で求められる加熱時の体積増加率ΔVが10%以上となる材料であることが好ましく30%以上となる材料であることがより好ましい。
ΔV(%)=(V2−V1)/V1×100
ここで、V1は常温(20℃)における材料の体積であり、V2は加熱後における材料の体積である。加熱は、50〜500℃の範囲で行うことが好ましい。
以下、本明細書において、「加熱時の体積増加」と言った場合、加熱時に生じる化学反応による体積増加のことを指す。
なお、A群の材料は、いずれもΔVが50〜250%である。
上記の条件を満たす薄膜3としては、「A群」から選択される少なくとも1つを主たる構成材料とすることが好ましい。したがって、薄膜3はA群のうち1種のみを構成材料としてもよく、2種以上を構成材料としてもよい。また、薄膜3は、A群以外の材料を構成材料として含んでいてもよい。但し、薄膜3がA群以外の材料を含む場合、薄膜3の全構成材料中、50原子%以上がA群の材料であることが好ましい。
薄膜3がA群以外の材料を含む場合、薄膜3の全構成材料中、80原子%以上がA群の材料であることがより好ましい。
なお、A群の材料の中でも、Si、TaおよびTiが酸化反応および窒化反応のどちらも容易に進行することから好ましい。さらに、Siであれば、反射多層膜を構成する膜の材料をそのまま使用できるため、生産性の点で好ましい。
薄膜3は、互いに構成材料が異なる少なくとも2層の膜を含んでいてもよい。すなわち、薄膜3は2層以上の膜が積層されたものであってもよい。但し、この場合、積層関係にある膜を構成する材料同士が、互いに異なるものであって、加熱時に相互拡散を伴う化学反応を生じ、かつ該化学反応が体積増加を伴うものであることが必要となる。以下、本明細書において、このような薄膜3のことを「積層体からなる薄膜3」という。積層体からなる薄膜3において、個々の膜を構成する材料としては、上記したA群の材料を使用することができる。但し、A群の材料以外であっても、A群の材料との間で加熱時に相互拡散を伴う化学反応を生じるものであれば、積層体からなる薄膜3を構成する膜材料として使用することができる。
なお、薄膜3が3層以上の膜が積層されたものである場合、互いに積層関係にある膜を構成する材料が互いに異なっていればよく、例えば、3層が積層された構成の場合、一番上の膜と一番下の膜とは同一の材料で構成されていてもよい。この場合、中間に位置する膜は、その上下に位置する膜とは異なる材料で構成される。
ガラス基板1の成膜面1aに形成する薄膜3の厚さは、該成膜面1aに存在する凹欠陥2の深さによって異なるが、凹欠陥2の深さの0.5〜10倍程度であることが好ましい。薄膜3の厚さが上記の範囲であれば、後述する手順で凹欠陥2直上の薄膜3を局所的に加熱することにより、薄膜3表面に現れる凹欠陥4を軽減または解消して、薄膜3表面を平滑化することができる。薄膜3の厚さが凹欠陥2の深さの0.5倍未満であると、薄膜3を構成する材料の加熱時の体積増加率にもよるが、凹欠陥2直上の薄膜3を局所的に加熱した際に、薄膜3表面に現れる凹欠陥4を十分軽減することができないおそれがある。一方、薄膜3の厚さが凹欠陥2の深さの10倍超であると、薄膜3を構成する材料の熱伝導性により、熱が広範囲に広がってしまい、凹欠陥2直上の薄膜3のみを局所的に加熱することが困難になる。この場合もまた、薄膜3表面に現れる凹欠陥4を十分軽減することができないおそれがある。
なお、ガラス基板1の成膜面1aに複数の凹欠陥2が存在する場合、深さが最も大きい凹欠陥の深さ(凹欠陥の最大深さ)の0.5〜10倍程度に薄膜3の厚さをする。また、積層体からなる薄膜3の場合、積層体全体の厚さが、凹欠陥2の深さの0.5〜10倍程度とする。薄膜3の厚さは凹欠陥2の深さの1〜5倍程度であることがより好ましい。
但し、本発明の基板平滑化方法(1)では、薄膜3を形成した後で該薄膜3表面に現れる凹欠陥を検出するので、薄膜3形成時にガラス基板1の成膜面1aに存在する凹欠陥2の深さは不明である。このため、薄膜3の厚さは、ガラス基板1の成膜面1a、より具体的には、表面研磨および洗浄により凸欠陥が除去された成膜面1a、に通常存在する凹欠陥2の深さを基準とすることになる。表面研磨および洗浄により凸欠陥が除去された成膜面1aには、通常1〜50nm程度の深さの凹欠陥2が存在する。このため、薄膜3の厚さは、凹欠陥を検出しやすくするという点を考慮すると、5〜500nm程度であることが好ましく、5〜250nm程度であることがより好ましい。なお、積層体からなる薄膜3の場合、積層体全体の厚さが5〜100nm程度であることが好ましく、5〜250nm程度であることがより好ましい。
本発明の基板平滑化方法(1)において、薄膜3の形成方法としては、マグネトロンスパッタリング法やイオンビームスパッタリング法などのスパッタリング法や、真空蒸着、CVD法など、各種乾式成膜法を使用することができる。これらの中でも薄膜形成時に新たな凸欠陥(パーティクル)を生じさせるおそれが少ないことから、スパッタリング法またはCVD法が好ましく、新たな凸欠陥を生じさせないという観点ではCVD法が、成膜面1aへの薄膜3の付着力という観点ではスパッタリング法が特に好ましい。但し、本発明の基板平滑化方法の実施後、薄膜3上に反射層や吸収体層を形成する際、同一の装置を使用できる点ではスパッタリング法が好ましい。
本発明の基板平滑化方法(1)では、ガラス基板上に薄膜を形成する工程に続いて、ガラス基板上に存在する凹欠陥を検出する工程を実施する。具体的には、ガラス基板上に存在する凹欠陥の位置、直径、深さ等を測定する。但し、本工程では、ガラス基板1の成膜面1aに存在する凹欠陥2を検出するのではなく、薄膜3の形成後、該薄膜3表面に現れた凹欠陥4を検出して、次に実施する工程において、凹欠陥2直上の薄膜3を局所的に加熱する際に必要となるデータ(以下、本明細書において「凹欠陥データ」という)を収集する。具体的には、ガラス基板1上における凹欠陥4の位置、該凹欠陥4の形状および寸法(直径、深さ)といったデータを収集する。
なお、上記したように、基板1の成膜面1a上に薄膜3を形成することにより、成膜面1a上に形成された非常に小さい凹欠陥2(実際には、薄膜3表面に現れた凹欠陥4)が検出しやすくなっている。
凹欠陥4の検出には、ガラス基板上に存在する凹欠陥を検出する際に通常使用される手法を用いることができる。具体的には、触針段差計、原子間力顕微鏡(AFM)、走査型トンネル顕微鏡(STM)、光切断法(三角測量法)、焦点ずれ検出方式、光触針追従式(合焦点法)、焦点走査法(走査型レーザ顕微鏡)、コンフォーカル(共焦点)レーザ欠陥検査法、ノマルスキー微分干渉法、縞走査法が挙げられる。これらの中でも、レーザ光照射による方法、すなわち、コンフォーカルレーザー欠陥検査法や、AFM、STM、触針段差計のような探針(プローブ)を薄膜3表面に接近もしくは接触させる方法が、次に実施する凹欠陥直上の薄膜を局所的に加熱する工程を行うのに好ましい。探針を使用する方法は、凹欠陥の直径および深さをより正確に測定できるという点で、より好ましい。
本発明の基板平滑化方法(1)では、ガラス基板上に存在する凹欠陥を検出する工程に続いて、検出された凹欠陥直上の薄膜を局所的に加熱することにより、薄膜を構成する材料に体積増加を伴う化学反応を生じさせる工程を実施する。但し、先の工程で検出されるのはガラス基板1の成膜面1aに存在する凹欠陥2ではなく、薄膜3表面に現れた凹欠陥4である。したがって、本工程では、先の工程で得られた凹欠陥データに基づいて、凹欠陥4直下の薄膜3を局所的に加熱することになる。
薄膜3を構成する材料は、加熱時に体積増加を伴う化学反応を生じるものであるため、凹欠陥4直下の薄膜3を局所的に加熱すると、凹欠陥4直下の薄膜3が該薄膜3を構成する材料の化学反応により、局所的に体積増加する。この結果、図3に示すように、凹欠陥4が解消され、薄膜3表面が平滑化される。
本工程において、凹欠陥4直下の薄膜3を局所的に加熱する手段は、凹欠陥4直下の薄膜3を局所的に加熱できる方法である限り特に限定されない。凹欠陥4直下の薄膜3を局所的に加熱する好適な方法の一例として、凹欠陥4にレーザー光を照射する方法が挙げられる。凹欠陥4にレーザー光を照射する条件は、凹欠陥4直下の薄膜3を局所的に加熱することができる限り特に限定されない。但し、照射するレーザー光の径が凹欠陥4の直径に対して大きすぎると、凹欠陥4直下の薄膜3だけではなく、広範囲の薄膜3が加熱されることになるので、凹欠陥4直下の薄膜3のみを局所的に加熱することが困難になる。このため、照射するレーザー光の径が凹欠陥4の直径に対して2倍以下であることが好ましい。照射するレーザー光の径が凹欠陥4の直径に対して2倍以下であれば、凹欠陥4の直径が比較的小さい場合、例えば、凹欠陥4の直径が30nm以下の場合であっても、レーザー光の照射により凹欠陥4を解消して、薄膜3を平坦化することができる。照射するレーザー光の径は凹欠陥4の直径に対して1倍以下であることがより好ましい。
但し、レーザー光の径が凹欠陥4の直径よりも小さすぎると、凹欠陥4直下を薄膜3を加熱する際に要する時間が長くなったり、レーザー光の照射位置を移動させる必要が生じるので好ましくない。このため、レーザー光の径は凹欠陥4の直径の0.5倍以上であることが好ましい。
本発明の基板平滑化方法(1)において、薄膜3表面に現れた凹欠陥4の検出、および検出された凹欠陥4直下の薄膜3の局所的な加熱をいずれもレーザー光照射により行う場合、レーザー光源が同一であることが好ましい。言い換えると、同一のレーザー光照射装置を使用することが好ましい。レーザー光照射により凹欠陥4を検出した後、同一のレーザー光源から該凹欠陥4直下の薄膜3にレーザー光照射を行えば、凹欠陥4の検出により得られた凹欠陥データをそのまま使用できるため、凹欠陥4直下の薄膜3へのレーザー光照射をより正確に行うことができる。
なお、凹欠陥4の検出と、凹欠陥4直下の薄膜3の局所的な加熱と、に同一のレーザー光照射装置を使用する場合、凹欠陥4検出時には、薄膜3が加熱されないように、薄膜3上でレーザー光を走査させればよく、凹欠陥4直下の薄膜3の局所的な加熱の際には、凹欠陥4にレーザー光を一定時間照射させればよい。
凹欠陥4直下の薄膜3を局所的に加熱するのに好適な方法の別の一例として、加熱可能な探針を有するAFM、STMまたは触針段差計を用いて薄膜3表面に存在する凹欠陥4を検出し、次いで検出された凹欠陥4に探針を接近または接触させて該探針を加熱することにより、該凹欠陥4直下の薄膜3を局所的に加熱する方法が挙げられる。図4は、加熱可能な探針5を凹欠陥4に接触させて、該凹欠陥4直下の薄膜3を局所的に加熱している状態を示している。この方法もまた、凹欠陥4の検出により得られた凹欠陥データをそのまま使用できるため、凹欠陥4直下の薄膜3の局所的な加熱をより正確に行うことができる。加熱可能な探針を有するAFM、STMとしては、米国Anasys Instruments社のnano−TAの局所熱解析システムなどがある。加熱可能な探針の材料としては、単結晶SiやSiNなどが好ましい。
上記の手順で凹欠陥4直下の薄膜3を局所的に加熱した結果、薄膜3の加熱された部分の結晶状態がアモルファスとなることが好ましい。別の言い方をすると、加熱時に生じる化学反応によって薄膜3を構成する材料の結晶状態がアモルファスとなることが好ましい。薄膜3の加熱された部分は、該薄膜3を構成する材料の化学反応により局所的に体積増加することにより、凹欠陥4であった部分が解消されて平滑化される部分である。この部分の結晶状態がアモルファスであれば、平滑化された薄膜表面がより平滑性に優れた状態になる。具体的には、平滑化された後の薄膜3表面の表面粗さが0.5nm rms以下である。平滑化された後の薄膜3表面の表面粗さが0.5nm rms以下であれば、薄膜3表面が十分平滑であるため、該薄膜3上に形成される反射層の多層構造に乱れが生じるおそれがない。反射層の多層構造に乱れが生じると、製造されるEUVマスクブランクの欠陥となるおそれがある。また、製造されるEUVマスクブランクにおいて、パターンのエッジラフネスが大きくなることがなく、パターンの寸法精度が良好である。薄膜3表面が表面粗さが大きいと、該薄膜3上に形成される反射層の表面粗さが大きくなり、さらに、該反射層上に形成される吸収体層の表面粗さが大きくなる。この結果、該吸収体層に形成されるパターンのエッジラフネスが大きくなり、パターンの寸法精度が悪化する。薄膜3表面の表面粗さは0.4nm rms以下であることがより好ましく、0.3nm rms以下であることがさらに好ましい。
本明細書において、「結晶状態がアモルファスである」と言った場合、全く結晶構造を持たないアモルファス構造となっているもの以外に、微結晶構造のものを含む。なお、結晶状態がアモルファスであること、すなわち、アモルファス構造であること、または微結晶構造であることは、X線回折(XRD)法によって確認することができる。結晶状態が全く結晶構造を持たないアモルファス構造であるか、または微結晶構造であれば、XRD測定により得られる回折ピークにシャープなピークが見られない。
なお、薄膜3表面の平滑性という点では、加熱後の薄膜3全体の結晶状態がアモルファスになっていることが好ましい。この場合、薄膜3を形成した時点で、薄膜3全体の結晶状態がアモルファスになっている。そして、凹欠陥4直下の薄膜3を構成する材料が加熱により化学反応した後でも、薄膜3全体の結晶状態はアモルファスを維持している。
次に、本発明の基板平滑化方法(2)について説明する。本発明の基板平滑化方法(2)においても、第1にガラス基板上に薄膜3´を形成する工程を実施する。但し、本発明の基板平滑化方法(2)では、薄膜3´の構成材料を陽極酸化により体積増加を伴う化学反応を生じるものとする。ここで、陽極酸化により生じる化学反応は、体積増加を伴うものである限り特に限定されないが、陽極酸化のみで進行し、かつ陽極酸化した部位のみで局所的に化学反応を進行させることができ、かつ化学反応が伴う体積増加を制御しやすいことが好ましい。
薄膜3´の構成材料は、陽極酸化時に化学反応を生じやすいこと、および陽極酸化により体積増加を伴う化学反応を生じさせた後の薄膜表面の平滑性に優れる(以下、「陽極酸化後の薄膜表面の平滑性に優れる」という。)ことから、金属であることが好ましい。中でも、上記したA群から選択される少なくとも1つを主たる構成材料とすることが、陽極酸化時に化学反応を生じやすく、陽極酸化後の薄膜3´表面の平滑性に優れ、かつEUVマスクブランク製造時に該薄膜3´上に形成される反射層や吸収体層に悪影響を与えないという点で優れている。中でも、Hf、Nb、Si、Ta、TiおよびZrを主たる構成材料とする薄膜3´は、陽極酸化後の結晶状態がアモルファスとなりやすいことからさらに好ましい。
薄膜3´を構成する材料は、陽極酸化時に生じる化学反応による体積増加率が高い材料であることが好ましい。具体的には、下記式で求められる陽極酸化時の体積増加率ΔV´が10%以上となる材料であることが好ましく30%以上となる材料であることがより好ましい。
ΔV´(%)=(V2´−V1)/V1×100
ここで、V1は常温(20℃)における材料の体積であり、V2´は陽極酸化後における材料の体積である。
以下、本明細書において、「陽極酸化時の体積増加」と言った場合、陽極酸化時に生じる化学反応による体積増加のことを指す。
なお、A群の材料は、いずれもΔV´が50〜250%である。
上記の条件を満たす薄膜3´としては、「A群」から選択される少なくとも1つを主たる構成材料とすることが好ましい。したがって、薄膜3´はA群のうち1種のみを構成材料としてもよく、2種以上を構成材料としてもよい。また、薄膜3´は、A群以外の材料を構成材料として含んでいてもよい。但し、薄膜3´がA群以外の材料を含む場合、薄膜3´の全構成材料中、50原子%以上がA群の材料であることが好ましい。
薄膜3´がA群以外の材料を含む場合、薄膜3´の全構成材料中、80原子%以上がA群の材料であることがより好ましい。
なお、A群の材料の中でも、Si、TaおよびTiが陽極酸化時に化学反応が容易に進行することから好ましい。さらに、Siであれば、反射多層膜を構成する膜の材料をそのまま使用できるため、生産性の点で好ましい。
ガラス基板1の成膜面1aに形成する薄膜3´の厚さは、該成膜面1aに存在する凹欠陥2の深さによって異なるが、凹欠陥2の深さの0.5倍以上であることが好ましい。薄膜3´の厚さが上記の範囲であれば、後述する手順で凹欠陥2直上の薄膜3´を局所的に陽極酸化することにより、薄膜3´表面に現れる凹欠陥4を軽減または解消して、薄膜3´表面を平滑化することができる。薄膜3´の厚さが凹欠陥2の深さの0.5倍未満であると、薄膜3´を構成する材料の陽極酸化時の体積増加率にもよるが、凹欠陥2直上の薄膜3´を局所的に陽極酸化した際に、薄膜3´表面に現れる凹欠陥4を十分軽減することができないおそれがある。
なお、ガラス基板1の成膜面1aに複数の凹欠陥2が存在する場合、深さが最も大きい凹欠陥の深さ(凹欠陥の最大深さ)の0.5倍以上に薄膜3´の厚さをする。
薄膜3´の厚さは凹欠陥2の深さの1倍以上であることがより好ましい。
薄膜3´の形成方法としては、本発明の基板平滑化方法(1)における薄膜3の形成方法と同様、各種乾式成膜法を使用することができる。中でも薄膜形成時に新たな凸欠陥(パーティクル)を生じさせるおそれが少ないことから、スパッタリング法またはCVD法が好ましく、新たな凸欠陥を生じさせないという観点ではCVD法が、成膜面1aへの薄膜3´の付着力という観点ではスパッタリング法が特に好ましい。但し、本発明の基板平滑化方法(2)の実施後、薄膜3´上に反射層や吸収体層を形成する際、同一の装置を使用できる点ではスパッタリング法が好ましい。
ガラス基板上に薄膜3´を形成する工程に続いて、ガラス基板上に存在するガラス基板上に存在する凹欠陥を検出する工程を本発明の基板平滑化方法(1)と同様の手順で実施する。
ガラス基板上に存在する凹欠陥を検出する工程に続いて、検出された凹欠陥直上の薄膜3´を局所的に陽極酸化することにより、薄膜3´を構成する材料に体積増加を伴う化学反応を生じさせる工程を実施する。但し、先の工程で検出されるのはガラス基板1の成膜面1aに存在する凹欠陥2ではなく、薄膜3´表面に現れた凹欠陥4である。したがって、本工程では、先の工程で得られた凹欠陥データに基づいて、凹欠陥4直下の薄膜3´を局所的に陽極酸化することになる。
薄膜3´を構成する材料は、陽極酸化時に体積増加を伴う化学反応を生じるものであるため、凹欠陥4直下の薄膜3´を局所的に陽極酸化すると、凹欠陥4直下の薄膜3´が該薄膜3´を構成する材料の化学反応により、局所的に体積増加する。この結果、図3に示すように、凹欠陥4が解消され、薄膜3´表面が平滑化される。
本工程において、凹欠陥4直下の薄膜3´を局所的に陽極酸化する手段は、凹欠陥4直下の薄膜3´を局所的に陽極酸化できる方法である限り特に限定されない。凹欠陥4直下の薄膜3´を局所的に陽極酸化する好適な方法の一例として、通電可能な探針を有するAFM、STMまたは触針段差計を用いて薄膜3´表面に存在する凹欠陥4を検出し、次いで検出された凹欠陥4に探針を接近または接触させて、探針と薄膜3´との間に電圧を印加することによって、該凹欠陥4直下の薄膜3´を局所的に陽極酸化する方法が挙げられる。図5は、陽極酸化可能な探針6を凹欠陥4に接触させて、探針6を正極、薄膜3´を負極として探針6と薄膜3´との間に直流電圧を印加することによって、該凹欠陥4直下の薄膜3を局所的に陽極酸化している状態を示している。この方法は、凹欠陥4の検出により得られた凹欠陥データをそのまま使用できるため、凹欠陥4直下の薄膜3の局所的な陽極酸化をより正確に行うことができる。陽極酸化可能な探針の材料は、導電性のあるものである必要があり、単結晶SiやSiNが好ましい。
上記の手順で凹欠陥4直下の薄膜3´を局所的に陽極酸化した結果、薄膜3´の陽極酸化された部分の結晶状態がアモルファスとなることが好ましい。別の言い方をすると、陽極酸化時に生じる化学反応によって薄膜3´を構成する材料の結晶状態がアモルファスとなることが好ましい。
薄膜3´の陽極酸化された部分は、該薄膜3を構成する材料の化学反応により局所的に体積増加することにより、凹欠陥4であった部分が解消されて平滑化される部分である。この部分の結晶状態がアモルファスであれば、平滑化された薄膜表面がより平滑性に優れた状態になる。具体的には、平滑化された後の薄膜3´表面の表面粗さが0.5nm rms以下である。平滑化された後の薄膜3´表面の表面粗さが0.5nm rms以下であれば、薄膜3´表面が十分平滑であるため、該薄膜3上に形成される反射層の多層構造に乱れが生じるおそれがない。反射層の多層構造に乱れが生じると、製造されるEUVマスクブランクの欠陥となるおそれがある。また、製造されるEUVマスクブランクにおいて、パターンのエッジラフネスが大きくなることがなく、パターンの寸法精度が良好である。薄膜3´表面が表面粗さが大きいと、該薄膜3´上に形成される反射層の表面粗さが大きくなり、さらに、該反射層上に形成される吸収体層の表面粗さが大きくなる。この結果、該吸収体層に形成されるパターンのエッジラフネスが大きくなり、パターンの寸法精度が悪化する。薄膜3´表面の表面粗さは0.4nm rms以下であることがより好ましく、0.3nm rms以下であることがさらに好ましい。
なお、薄膜3´表面の平滑性という点では、陽極酸化後の薄膜3´全体の結晶状態がアモルファスになっていることが好ましい。この場合、薄膜3´を形成した時点で、薄膜3´全体の結晶状態がアモルファスになっている。そして、凹欠陥4直下の薄膜3´を構成する材料が陽極酸化により化学反応した後でも、薄膜3´全体の結晶状態はアモルファスを維持している。
本発明の基板平滑化方法(1)において、凹欠点4直下の薄膜3の局所的な加熱に加熱可能な探針5を用いる場合、探針5の材料として薄膜3の材料よりも硬度の高いものを選択することにより、加熱後の薄膜3表面に存在する凸欠陥を除去することもできる。凹欠陥4直下の薄膜3を局所的に加熱した際、過度の体積増加によって薄膜3表面に凸欠陥が生じる場合がある。また、凹欠陥4直下の薄膜3を局所的に加熱した際の体積増加による欠陥の形状変化を制御して一度の処理で平坦にすることが困難な場合もあるが、そのような場合は後述のような加工で平坦とするために、敢えて過度の体積増加によって薄膜3表面に凸欠陥を生じさせる場合もある。
同様に、本発明の基板平滑化方法(2)において、凹欠点4直下の薄膜3´の局所的な陽極酸化に通電可能な探針6を用いる場合、探針6の材料として薄膜3´の材料よりも硬度の高いものを選択することにより、陽極酸化後の薄膜3´表面に存在する凸欠陥を除去することもできる。凹欠陥4直下の薄膜3´を局所的に陽極酸化した際、過度の体積増加によって薄膜3´表面に凸欠陥が生じる場合がある。また、凹欠陥4直下の薄膜3´を局所的に陽極酸化した際の体積増加による欠陥の形状変化を制御して一度の処理で平坦にすることが困難な場合もあるが、そのような場合は後述のような加工で平坦とするために、敢えて過度の体積増加によって薄膜3´表面に凸欠陥を生じさせる場合もある。
上記の場合、薄膜3,3´表面に新たに生じた凸欠陥は、図6に示すように、探針5,6を用いて除去することができる。図6において、7は探針5,6を用いて除去された凸欠陥を示している。これにより薄膜3,3´表面の平滑性をより高めることができる。なお、凹欠陥4直下の薄膜3の局所的な加熱をレーザー光照射により行う場合においても、加熱後の薄膜3表面に新たな凸欠陥が生じた場合、針状の部材を用いて除去することができる。
上記の手順で薄膜3,3´表面が平滑化されたガラス基板を用いてEUVマスクブランクを製造する場合、薄膜3,3´表面にEUV光を反射する反射層を形成し、該反射層上にEUV光を吸収する吸収体層を形成する。
薄膜3,3´表面に形成する反射層は、EUVマスクブランクの反射層として所望の特性を有するものである限り特に限定されない。ここで、反射層に特に要求される特性は、高EUV光線反射率であることである。具体的には、EUV光の波長領域の光線を反射層表面に照射した際に、波長13.5nm付近の光線反射率の最大値が60%以上であることが好ましく、65%以上であることがより好ましい。なお、反射層上に後述する保護層を設けた場合であっても、波長13.5nm付近の光線反射率の最大値が60%以上であることが好ましく、65%以上であることがより好ましい。
反射層は、高EUV光線反射率を達成できることから、通常は高屈折層と低屈折率層を交互に複数回積層させた多層反射膜が用いられる。反射層をなす多層反射膜において、高屈折率層には、Moが広く使用され、低屈折率層にはSiが広く使用される。すなわち、Mo/Si多層反射膜が最も一般的である。但し、多層反射膜はこれに限定されず、Mo化合物/Si化合物多層反射膜、Si/Mo/Ru多層反射膜も用いることができる。
反射層をなす多層反射膜を構成する各層の膜厚および層の繰り返し単位の数は、使用する膜材料および反射層に要求されるEUV光線反射率に応じて適宜選択することができる。Mo/Si多層反射膜を例にとると、EUV光線反射率の最大値が60%以上の反射層とするには、多層反射膜は膜厚2.3±0.1nmのMo層と、膜厚4.5±0.1nmのSi層とを繰り返し単位数が30〜60になるように積層させればよい。
なお、反射層をなす多層反射膜を構成する各層は、マグネトロンスパッタリング法、イオンビームスパッタリング法など、周知の成膜方法を用いて所望の厚さになるように成膜すればよい。例えば、イオンビームスパッタリング法を用いてSi/Mo多層反射膜を形成する場合、ターゲットとしてSiターゲットを用い、スパッタガスとしてArガス(ガス圧1.3×10-2Pa〜2.7×10-2Pa)を使用して、イオン加速電圧300〜1500V、成膜速度0.03〜0.30nm/secで厚さ4.5nmとなるようにSi膜を成膜し、次に、ターゲットとしてMoターゲットを用い、スパッタガスとしてArガス(ガス圧1.3×10-2Pa〜2.7×10-2Pa)を使用して、イオン加速電圧300〜1500V、成膜速度0.03〜0.30nm/secで厚さ2.3nmとなるようにMo膜を成膜することが好ましい。これを1周期として、Si膜およびMo膜を40〜50周期積層させることによりSi/Mo多層反射膜が成膜される。
反射層表面が酸化されるのを防止するため、反射層をなす多層反射膜の最表層は酸化されにくい材料の層とすることが好ましい。酸化されにくい材料の層は反射層のキャップ層として機能する。キャップ層として機能する酸化されにくい材料の層の具体例としては、Si層を例示することができる。反射層をなす多層反射膜がSi/Mo膜である場合、最上層をSi層とすることによって、該最上層をキャップ層として機能させることができる。その場合キャップ層の膜厚は、11.0±1.0nmであることが好ましい。
反射層上に成膜される吸収体層の構成材料としては、EUV光に対する吸収係数の高い材料、具体的には、Cr、Taおよびこれらの窒化物などが挙げられる。中でも、TaNがアモルファスになりやすく、表面形状が平滑であるという理由で好ましい。吸収体層の厚さは、50〜100nmであることが好ましい。吸収体層の成膜方法は、スパッタリング法である限り特に限定されず、マグネトロンスパッタリング法またはイオンビームスパッタリング法のいずれであってもよい。
イオンビームスパッタリング法を用いて、吸収体層としてTaN層を成膜する場合、ターゲットとしてTaターゲットを用い、スパッタガスとしてN2ガス(ガス圧1.3×10-2Pa〜2.7×10-2Pa)を使用して、電圧300〜1500V、成膜速度0.01〜0.1nm/secで厚さ50〜100nmとなるように成膜することが好ましい。
スパッタリング法を用いて、吸収層を成膜する際、均一な成膜を得るために、回転体を用いて基板を回転させながら成膜を行うことが好ましい。
反射層と、吸収層と、の間にバッファ層を成膜してもよい。バッファ層を構成する材料としては、たとえば、Cr、Al、Ru、Taおよびこれらの窒化物、ならびにSiO2、Si34、Al23などが挙げられる。バッファ層は厚さ10〜60nmであることが好ましい。
図1は、ガラス基板の凹欠陥が存在する部分付近を示した模式図である。 図2は、図1のガラス基板の成膜面に薄膜を形成した状態を示している。 図3は、本発明の基板平滑化方法によって、薄膜表面に現れた凹欠陥が解消されて薄膜表面が平滑化された状態を示している。 図4は、加熱可能な探針を薄膜表面に現れた凹欠陥に接触させて、該凹欠陥直下の薄膜を局所的に加熱している状態を示している。 図5は、通電可能探針を薄膜表面に現れた凹欠陥に接触させて、該凹欠陥直下の薄膜を局所的に陽極酸化している状態を示している。 図6は、薄膜表面に新たに生じた凸欠陥を探針を用いて除去している状態を示している。
符号の説明
1:基板
1a:成膜面
2:凹欠陥(基板の成膜面上に存在する凹欠陥)
3,3´:薄膜
4:凹欠陥(薄膜表面に現れた凹欠陥)
5:加熱可能な探針
6:通電可能な探針
7:探針5,6を用いて除去された凸欠陥

Claims (26)

  1. EUVリソグラフィ用反射型マスクブランク用ガラス基板表面を平滑化する方法であって、
    ガラス基板上に薄膜を形成する工程と、
    前記ガラス基板上に存在する凹欠陥を検出する工程と、
    検出された凹欠陥直上の前記薄膜を局所的に加熱することにより、前記薄膜を構成する材料に体積増加を伴う化学反応を生じさせる工程と、を含むことを特徴とするEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク用ガラス基板表面を平滑化する方法。
  2. 前記化学反応が、酸化反応であることを特徴とする請求項1に記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク用ガラス基板表面を平滑化する方法。
  3. 前記化学反応が、窒化反応であることを特徴とする請求項1に記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク用ガラス基板表面を平滑化する方法。
  4. 前記薄膜が、Al、B、Co、Cr、Ge、Hf、Mo、Nb、Ni、Ru、Si、Ta、Ti、ZnおよびZrからなる群から選択される少なくとも1つを主たる構成材料とする請求項1ないし3のいずれかに記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク用ガラス基板表面を平滑化する方法。
  5. 前記薄膜が、互いに構成材料が異なる少なくとも2層の膜を含み、
    前記化学反応が、前記2層の膜を構成する材料同士の相互拡散に伴うことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク用ガラス基板表面を平滑化する方法。
  6. 前記少なくとも2層の膜のうち1層の膜が、Al、B、Co、Cr、Ge、Hf、Mo、Nb、Ni、Ru、Si、Ta、Ti、ZnおよびZrからなる群から選択される少なくとも1つを主たる構成材料とすることを特徴とする請求項5に記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク用ガラス基板表面を平滑化する方法。
  7. 前記薄膜の厚さが、前記ガラス基板に存在する凹欠陥の最大深さの0.5〜10倍であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク用ガラス基板表面を平滑化する方法。
  8. 前記薄膜の局所的に加熱された部位の結晶状態が、前記化学反応によってアモルファスとなることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク用ガラス基板表面を平滑化する方法。
  9. 前記局所的な加熱後の前記薄膜の結晶状態がアモルファスであることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク用ガラス基板表面を平滑化する方法。
  10. 前記局所的な加熱を、前記ガラス基板の凹欠陥直上の薄膜にレーザー光を照射することにより行うことを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク用ガラス基板表面を平滑化する方法。
  11. 前記レーザー光の径が、前記ガラス基板に存在する凹欠陥の直径の2倍以下であることを特徴とする請求項10に記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク用ガラス基板表面を平滑化する方法。
  12. 前記凹欠陥の検出をレーザー光照射により行い、
    前記局所的な加熱に使用するレーザー光源と、前記凹欠陥の検出に使用するレーザー光源と、が同一のレーザー光源であることを特徴とする請求項10または11に記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク用ガラス基板表面を平滑化する方法。
  13. 前記凹欠陥の検出に、加熱可能な探針を有する原子間力顕微鏡(AFM)、走査型トンネル顕微鏡(STM)または触針式段差計を使用し、
    前記局所的な加熱を、前記凹欠陥直上の薄膜に接近または接触させた前記探針を加熱することにより行うことを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク用ガラス基板表面を平滑化する方法。
  14. 前記局所的な加熱後の前記薄膜表面を針状の部材を用いて研削することを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク用ガラス基板表面を平滑化する方法。
  15. 前記局所的な加熱後の前記薄膜表面を前記探針を用いて研削することを特徴とする請求項13に記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク用ガラス基板表面を平滑化する方法。
  16. EUVリソグラフィ用反射型マスクブランク用ガラス基板表面を平滑化する方法であって、
    ガラス基板上に薄膜を形成する工程と、
    前記ガラス基板上に存在する凹欠陥を検出する工程と、
    検出された凹欠陥直上の前記薄膜を局所的に陽極酸化することにより、前記薄膜を構成する材料に体積増加を伴う化学反応を生じさせる工程と、を含むことを特徴とするEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク用ガラス基板表面を平滑化する方法。
  17. 前記薄膜が、Al、B、Co、Cr、Ge、Hf、Mo、Nb、Ni、Ru、Si、Ta、Ti、ZnおよびZrからなる群から選択される少なくとも1つを主たる構成材料とする請求項16に記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク用ガラス基板表面を平滑化する方法。
  18. 前記薄膜の厚さが、前記ガラス基板に存在する凹欠陥の最大深さの0.5倍以上であることを特徴とする請求項16または17に記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク用ガラス基板表面を平滑化する方法。
  19. 前記薄膜の局所的に陽極酸化された部位の結晶状態が、前記化学反応によってアモルファスとなることを特徴とする請求項16ないし18のいずれかに記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク用ガラス基板表面を平滑化する方法。
  20. 前記局所的な陽極酸化後の前記薄膜の結晶状態がアモルファスであることを特徴とする請求項16ないし18のいずれかに記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク用ガラス基板表面を平滑化する方法。
  21. 前記凹欠陥の検出に、通電可能な探針を有する原子間力顕微鏡(AFM)、走査型トンネル顕微鏡(STM)または触針式段差計を使用し、
    前記局所的な陽極酸化を、前記凹欠陥直上の薄膜に接近または接触させた前記探針と、前記薄膜と、の間に電圧を印加することにより行うことを特徴とする請求項16ないし20のいずれかに記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク用ガラス基板表面を平滑化する方法。
  22. 前記局所的な陽極酸化後の前記薄膜表面を針状の部材を用いて研削することを特徴とする請求項16ないし20のいずれかに記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク用ガラス基板表面を平滑化する方法。
  23. 前記局所的な陽極酸化後の前記薄膜表面を前記探針を用いて研削することを特徴とする請求項21に記載のEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク用ガラス基板表面を平滑化する方法。
  24. 請求項1ないし23のいずれかに記載の方法により基板表面が平滑化されたEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク用ガラス基板上にEUV光を反射する反射層を形成してなるEUVリソグラフィ用反射層付基板。
  25. 請求項24に記載のEUVリソグラフィ用反射層付基板の反射層上にEUV光を吸収する吸収体層を形成してなるEUVリソグラフィ用反射型マスクブランク。
  26. 請求項25に記載のEUVリソグラフィ用マスクブランクをパターニングしたEUVリソグラフィ用反射型マスク。
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