JP2008015416A - 音響信号に対する情報の埋め込み装置および音響信号からの情報の抽出装置 - Google Patents

音響信号に対する情報の埋め込み装置および音響信号からの情報の抽出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 従来と同等以上の抽出精度を維持しつつ、より多くの情報を埋め込むことが可能な音響信号に対する情報の埋め込み装置、音響信号からの情報の抽出装置を提供する。
【解決手段】 音響信号を所定区間に区分し、埋め込むべき2ビットおよびこの2ビットの付加情報の1ワード内の位置によりとり得る8値に応じて、前記所定区間の低周波成分の状態を変更する。具体的には、低周波成分をさらにより高い低周波成分とより低い低周波成分に分けるとともに、時間的に前と後に分け、得られる4つの領域を埋め込むべき8値に応じて変化させる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、CD・DVD等を用いた民生・業務用途における鑑賞用のパッケージ音楽分野、放送事業者等が商業目的で配信する放送・ネットワーク音楽配信分野における音楽著作権の保護(不正コピーの監視)および音楽属性情報の提供(楽曲タイトル検索サービス)分野、ミュージアム、イベント会場における展示説明ナレーションに連動した文字情報の提供サービス分野、放送番組やCD/DVDパッケージの音声信号からURLなどの情報を抽出し、携帯電話を用いて所定のコンテンツに関連するwebサイトにアクセスして詳細情報を抽出したり、アンケートに回答したりする非接触なインターネットのゲートウェイサービス分野に関する。
最近、流れている音楽のタイトル等を知ることができる楽曲属性情報の提供サービスとして、放送された音楽に対して日時と地域を放送局に照会したり、携帯電話で流れている音楽断片を録音してデータベースに登録されているメロディーと照合したりするサービスが実用化されている(例えば、特許文献1、2参照)。
特許文献1、2に記載の発明では、録音した音楽の断片と、データベースに登録されているメロディーと照合するため、データベースに登録される楽曲が増えると、処理負荷が増え、類似したメロディーを誤判定する可能性が増える。そこで、曲名やアーチスト情報などの楽曲属性情報を不可聴な電子透かしとして音響信号に埋め込む手法も提案されている(例えば、特許文献3〜6参照)。
特許文献1〜6に記載の手法では、埋め込み可能な情報量が少なく、音質が少なからず劣化し、各種信号処理により透かし情報が消失し、またアナログコピーに対しては、透かし検出が困難であるという問題がある。そこで、本出願人は、複数チャンネル有する音響信号の低周波数成分の比率を属性情報のビット値に応じて変更することにより、属性情報(付加情報)を埋め込む手法を提案した(特許文献7参照)。
特許文献7に記載の発明は、ステレオ音響信号にのみ対応したものであったが、本出願人は、モノラル音響信号にも対応可能なように改良を加え、低周波成分のうち、より高い低周波成分とより低い低周波成分を利用して付加情報を埋め込む手法を提案した(特許文献8参照)。
特許文献8に記載の発明では、低い方の低周波数帯が、一般的なマイクロフォンの感度範囲に含まれないことになる場合が多く、埋め込まれた情報を正しく識別することができない場合が生じるため、本出願人は、音響信号の所定区間における低周波成分の先頭部分と後部部分のスペクトル強度の割合を変更することにより、付加情報を埋め込む手法を提案した(特許文献9参照)。
上記特許文献7〜9に記載の発明では、いずれも周波数44.1kHzでサンプリングした音響信号について、4096サンプルを1音響フレームとし、この1音響フレームについて1ビットの情報を埋め込む処理を行っている。実際には、区切りを示す情報や、埋め込みエラーが生じた場合に対処する音響フレームも必要となり、全ての音響フレームに埋め込み対象とする有効な情報を埋め込むことができるわけではないため、現実には、毎秒10ビット程度の情報量が埋め込み可能となっている。
特開2002−259421号公報 特開2003−157087号公報 特開平11−145840号公報 特開平11−219172号公報 特許第3321767号公報 特開2003−99077号公報 特願2005−5157号 特願2005−58824号 特願2005−147743号
しかしながら、付加情報として例えば“http:www.○○○.co.jp”といったURLを埋め込もうとすると、最低でも18秒程度を要することになり、抽出時にも同様の時間を要するため、実用的に問題がある。埋め込み可能な情報量を増やすためには、単純に上記1音響フレームを構成するサンプル数を1/2にするという手法がある。
しかし、特許文献7〜9では、音響フレームに周波数変換を行うことにより処理するものであるため、1音響フレームのサンプル数を1/2にすると、周波数変換により得られる周波数成分の要素数も1/2となり、1音響フレームにおける解析のための情報量は、現状に比べ1/4となってしまう。このため、特に抽出時において、正確な情報を抽出することが困難となる。また、通常、付加情報は所定ビット数を1ワードとした場合に複数ワードで構成されるが、処理単位である1ワードの区切りを示す情報を埋め込むために1音響フレームを費やさなければならず、埋め込み効率を悪化させるという問題もある。
そこで、本発明は、従来と同等以上の抽出精度を維持しつつ、より多くの情報を埋め込むことが可能な音響信号に対する情報の埋め込み装置、音響信号からの情報の抽出装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明では、時系列のサンプル列で構成される音響信号に対して、付加情報を聴取不能な状態で埋め込む装置であって、前記音響信号より、所定数のサンプルを音響フレームとして読み込む音響フレーム読込手段と、前記音響フレームに対して第1窓関数、第2窓関数、第3窓関数を用いてそれぞれ周波数変換を行い、前記第1窓関数に対応するスペクトルである第1窓スペクトル、前記第2窓関数に対応するスペクトルである第2窓スペクトル、前記第3窓関数に対応するスペクトルである第3窓スペクトルを生成する周波数変換手段と、前記生成された第1窓スペクトルから互いに重複しない2つの低周波数範囲のスペクトル集合SP1UとSP1Dを抽出するとともに、前記第3窓スペクトルから互いに重複しない2つの低周波数範囲のスペクトル集合SP3UとSP3Dを抽出し、前記埋め込むべき付加情報の情報配列および当該情報配列の付加情報内の1単位における位置に基づいて、SP1U、SP1D、SP3U、SP3Dの割合を変更すると共に、中央の第2窓関数に対応する低周波成分を除去する低周波成分変更手段と、前記変更された低周波スペクトルを含む各窓スペクトルに対して周波数逆変換を行って、改変音響フレームを生成する周波数逆変換手段と、前記生成された改変音響フレームを順次出力する改変音響フレーム出力手段を有する音響信号に対する情報の埋め込み装置を提供する。
本発明によれば、音響信号の低周波領域から互いに重複しない2つの低周波成分を抽出するとともに、音響信号における所定区間の低周波成分を前部部分と後部部分に分け、所定区間の低周波領域において分けた4成分のスペクトル強度の割合を、埋め込むべき付加情報の情報配列および当該情報配列の付加情報内の1単位における位置に基づいて変更するようにしたので、従来と同等以上の抽出精度を維持しつつ、より多くの情報を埋め込むことが可能となるという効果を奏する。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
(1.本発明の基本概念)
まず、本発明の基本概念について、特許文献8、9に記載の発明と比較して説明する。本発明、特許文献8、9に記載の発明は、いずれも音響信号から所定数(例えば4096個)のサンプルを1音響フレームとして抽出し、この音響フレームに対して、周波数変換の後、その低周波成分の状態を、埋め込むべき付加情報の値に応じて変更するものである。図1に、従来の手法による低周波成分の状態を1音響フレーム単位で示す。図1に示す各音響フレームにおいて、横軸は時間方向、縦軸は周波数方向を示している。また、網掛けされた部分は、低周波成分が存在している部分を示し、網掛けが濃いほど成分強度が強いことを示している。
特許文献8、9に記載の発明については、図1(a)(e)に示すような原状態の低周波成分に対して、符号0を埋め込む場合、L-ch(左チャンネル)の信号の低周波成分を全て除去し、除去した成分と同等の成分をR-ch(右チャンネル)の信号の低周波成分に加算して図1(b)(f)に示すような状態に変更するのは同じである。
特許文献8に記載の発明では、低周波成分のうちより高い成分とより低い成分の分布により埋め込む符号の区別を行う。したがって、符号1を埋め込む場合、図1(c)に示すように、L-chの信号のより高い低周波成分を除去し、除去した成分と同等の成分をR-chの信号に加算し、逆に、R-chの信号のより低い低周波成分を除去し、除去した成分と同等の成分をL-chの信号に加算する。符号2を埋め込む場合は、図1(d)に示すように、L-chの信号のより低い低周波成分を除去し、除去した成分と同等の成分をR-chの信号に加算し、逆に、R-chの信号のより高い低周波成分を除去し、除去した成分と同等の成分をL-chの信号に加算する。
特許文献9に記載の発明では、低周波成分のうち時間的に前部(過去)の成分と後部(未来)の成分の分布により埋め込む符号の区別を行う。したがって、符号1を埋め込む場合、図1(g)に示すように、L-chの信号の後部の低周波成分を除去し、除去した成分と同等の成分をR-chの信号に加算し、逆に、R-chの信号の前部の低周波成分を除去し、除去した成分と同等の成分をL-chの信号に加算する。符号2を埋め込む場合は、図1(h)に示すように、L-chの信号の前部の低周波成分を除去し、除去した成分と同等の成分をR-chの信号に加算し、逆に、R-chの信号の後部の低周波成分を除去し、除去した成分と同等の成分をL-chの信号に加算する。
特許文献8に記載の発明では、図1(b)〜(d)に示すような3つの状態に低周波成分を変更することにより、情報の埋め込みを行い、特許文献9に記載の発明では、図1(f)〜(h)に示すような3つの状態に低周波成分を変更することにより、情報の埋め込みを行っている。3つの状態のうち、1つは、埋め込むべき付加情報を構成するワード間の区切りやエラー処理等に用いるものであるので、実質埋め込むことができるのは2つの状態、すなわち、1ビットに相当する。したがって、特許文献8、9に記載の発明では、1音響フレームに対して1ビットの情報が埋め込み可能となる。
図2に、本発明による低周波成分の状態を1音響フレーム単位で示す。図2に示す各音響フレームにおいても、横軸は時間方向、縦軸は周波数方向を示している。本発明では、特許文献8、9に記載の発明のそれぞれの特徴を組み合わせ低周波成分のうちより高い成分とより低い成分の分布と、低周波成分のうち時間的に前部の成分と後部の成分の分布を組み合わせて埋め込む符号の区別を行う。
本発明においても、図2(a)に示すような原状態の低周波成分に対して、符号0を埋め込む場合、L-chの信号の低周波成分を全て除去し、除去した成分と同等の成分をR-chの信号の低周波成分に加算して図2(b)に示すような状態に変更するのは、特許文献8、9に記載の発明と同じである。なお、図2においては、図1と異なり、縦軸の周波数方向が5つに区分されているが、これは、最下部にギャップ領域を設けたためである。このギャップ領域は、抽出対象であるL-chの信号においては、常に成分が除去され、除去された成分と同等の成分がR-chの信号の低周波成分に加算される。最下部にギャップ領域を設けることにより、埋め込み可能な低周波成分の上限を高くすることができる。さらに、5つに区分された低周波成分のうち最上部と上から3番目にもギャップ領域を設けている。上から2番目は上位低周波領域であり、上から4番目は下位低周波領域である。図2(b)に示すように、上位低周波領域の前部におけるスペクトルをSP1U、上位低周波領域の後部におけるスペクトルをSP3U、下位低周波領域の前部におけるスペクトルをSP1D、下位低周波領域の後部におけるスペクトルをSP3Dで表現することとする。
本発明で、符号1を埋め込む場合、図2(c)に示すように、L-chの信号の後部の低周波成分を除去し、除去した成分と同等の成分をR-chの信号に加算し、逆に、R-chの信号の前部の低周波成分を除去し、除去した成分と同等の成分をL-chの信号に加算する。符号2を埋め込む場合は、図2(d)に示すように、L-chの信号の前部の低周波成分を除去し、除去した成分と同等の成分をR-chの信号に加算し、逆に、R-chの信号の後部の低周波成分を除去し、除去した成分と同等の成分をL-chの信号に加算する。
符号3を埋め込む場合、図2(e)に示すように、L-chの信号の前部の上位低周波領域の成分である上位低周波成分と、後部の下位低周波領域の成分である下位低周波成分を除去し、除去した成分と同等の成分をR-chの信号に加算し、逆に、R-chの信号の前部の下位低周波成分と後部の上位低周波成分を除去し、除去した成分と同等の成分をL-chの信号に加算する。符号4を埋め込む場合は、図2(f)に示すように、L-chの信号の前部の下位低周波成分と後部の上位低周波成分を除去し、除去した成分と同等の成分をR-chの信号に加算し、逆に、R-chの信号の前部の上位低周波成分と後部の下位低周波成分を除去し、除去した成分と同等の成分をL-chの信号に加算する。
符号5を埋め込む場合、図2(g)に示すように、L-chの信号の前部の上位低周波成分と、後部の低周波成分を除去し、除去した成分と同等の成分をR-chの信号に加算し、逆に、R-chの信号の前部の下位低周波成分を除去し、除去した成分と同等の成分をL-chの信号に加算する。符号6を埋め込む場合は、図2(h)に示すように、L-chの信号の前部の低周波成分と後部の上位低周波成分を除去し、除去した成分と同等の成分をR-chの信号に加算し、逆に、R-chの信号の後部の下位低周波成分を除去し、除去した成分と同等の成分をL-chの信号に加算する。
符号7を埋め込む場合、図2(i)に示すように、L-chの信号の前部の低周波成分と、後部の下位低周波成分を除去し、除去した成分と同等の成分をR-chの信号に加算し、逆に、R-chの信号の後部の上位低周波成分を除去し、除去した成分と同等の成分をL-chの信号に加算する。符号8を埋め込む場合は、図2(j)に示すように、L-chの信号の前部の下位低周波成分と後部の低周波成分を除去し、除去した成分と同等の成分をR-chの信号に加算し、逆に、R-chの信号の前部の上位低周波成分を除去し、除去した成分と同等の成分をL-chの信号に加算する。
本発明では、図2(b)〜(j)に示すような9つの状態に低周波成分を変更することにより、情報の埋め込みを行っている。9つの状態のうち、1つは、埋め込むことができない状態におけるエラー処理に用いるものであるので、実質埋め込むことができるのは8つの状態、すなわち、3ビットに相当する。ただし、3ビットのうち1ビットは埋め込むべき付加情報を構成するワード間の区切りを示すために用いるので、埋め込むべき付加情報については、本発明では、1音響フレームに対して2ビットの情報が埋め込み可能となる。ただし、区切りを示す情報を埋め込むためだけに1音響フレームを専有することはないので、全体としては付加情報の埋め込み効率が高まることになる。
(2.音響信号に対する情報の埋め込み装置)
図3は、本発明に係る音響信号に対する情報の埋め込み装置の構成を示す機能ブロック図である。図3において、10は音響フレーム読込手段、20は周波数変換手段、30は低周波成分変更手段、40は周波数逆変換手段、50は改変音響フレーム出力手段、60は記憶手段、61は音響信号記憶部、62は付加情報記憶部、63は改変音響信号記憶部、70は付加情報読込手段である。なお、図3に示す装置は、ステレオ音響信号、モノラル音響信号の両方に対応可能であるが、ここでは、ステレオ音響信号に対して処理を行う場合について説明していく。
音響フレーム読込手段10は、付加情報の埋め込み対象とする元のステレオ音響信号の各チャンネルから所定数のサンプルを1フレームとして読み込む機能を有している。周波数変換手段20は、音響フレーム読込手段10が読み込んだ音響信号のフレームをフーリエ変換等により周波数変換してフレームスペクトルを生成する機能を有している。低周波成分変更手段30は、生成されたフレームスペクトルから所定の低周波数範囲に相当するスペクトル集合を複数抽出し、付加情報記憶部62から抽出した付加情報に基づいて、低周波強度データのスペクトル集合の状態を変更する機能を有している。周波数逆変換手段40は、変更された低周波強度データを含む複数のフレームスペクトルに対して周波数逆変換を行うことにより、改変音響フレームを生成する機能を有している。改変音響フレーム出力手段50は、生成された改変音響フレームを順次出力する機能を有している。記憶手段60は、付加情報を埋め込む対象とするステレオ音響信号を記憶した音響信号記憶部61と、ビット配列として構成され、ステレオ音響信号に埋め込まれる付加情報を記憶した付加情報記憶部62と、付加情報埋め込み後の改変音響信号を記憶する改変音響信号記憶部63を有しており、その他処理に必要な各種情報を記憶するものである。付加情報読込手段70は、付加情報記憶部62から付加情報を抽出する機能を有している。なお、付加情報とは、音響情報に付加して埋め込むべき情報であり、タイトルやアーティスト名等の属性情報、および属性情報以外の他の情報を含むものである。本実施形態では、付加情報は8ビットを1ワードとし、この1ワードを1単位として構成される。図3に示した各構成手段は、現実にはコンピュータおよびその周辺機器等のハードウェアに専用のプログラムを搭載することにより実現される。すなわち、コンピュータが、専用のプログラムに従って各手段の内容を実行することになる。
(3.埋め込み装置の処理動作)
次に、図3に示した音響信号に対する情報の埋め込み装置の処理動作について説明する。ここでは、音響信号として、L(左)、R(右)の2チャンネルを有するステレオ音響信号に対して処理を行う場合について説明していく。音響フレーム読込手段10は、音響信号記憶部61に記憶されたステレオ音響信号の左右の各チャンネルから、それぞれ所定数のサンプルを1音響フレームとして読み込む。音響フレーム読込手段10が読み込む1音響フレームのサンプル数は、適宜設定することができるが、サンプリング周波数が44.1kHzの場合、4096サンプル程度とすることが望ましい。したがって、音響フレーム読込手段10は、左チャンネル、右チャンネルについてそれぞれ4096サンプルずつ、順次音響フレームとして読み込んでいくことになる。
音響フレームとしては、AタイプとBタイプが存在する。Aタイプの音響フレーム、Bタイプの音響フレームは、それぞれ同タイプの先行する音響フレームの最後のサンプルの次のサンプルを先頭サンプルとして設定される。そして、AタイプとBタイプの音響フレームは互いに所定数(本実施形態では2048)のサンプルを重複して設定される。例えば、Aタイプの音響フレームを先頭からA1、A2、A3…とし、Bタイプの音響フレームを先頭からB1、B2、B3…とすると、A1はサンプル1〜4096、A2はサンプル4097〜8192、A3はサンプル8193〜12288、B1はサンプル2049〜6144、B2はサンプル6145〜10240、B3はサンプル10241〜14336となる。なお、AタイプとBタイプは相対的なものであるので、どちらが先であっても良い。すなわち、上記とは逆にA1がサンプル2049〜6144、A2がサンプル6145〜10240、A3がサンプル10241〜14336、B1がサンプル1〜4096、B2がサンプル4097〜8192、B3がサンプル8193〜12288であっても良い。
周波数変換手段20は、音響フレーム読込手段10が読み込んだ音響フレームに対して、周波数変換を行って、その音響フレームのスペクトルであるフレームスペクトルを得る。具体的には、窓関数を利用して周波数変換を行う。周波数変換としては、フーリエ変換、ウェーブレット変換その他公知の種々の手法を用いることができる。本実施形態では、フーリエ変換を用いた場合を例にとって説明する。
一般に、所定の信号に対してフーリエ変換を行う場合、信号を所定の長さに区切って行う必要があるが、この場合、所定長さの信号に対してそのままフーリエ変換を行うと、擬似高調波成分が発生する。そこで、一般にフーリエ変換を行う場合には、ハニング窓と呼ばれる窓関数を用いて、信号の値を変化させた後、変化後の値に対してフーリエ変換を実行する。
本発明では、擬似高調波成分の発生を防止するためだけではなく、特許文献9に記載の発明と同様、一つの音響フレームから、情報を埋め込むための複数の状態を作り出すため、複数の窓関数を用意し、一つの音響フレームに対して、各窓関数を利用してフーリエ変換を行い、複数のスペクトルを得る。複数の窓関数として、特許文献9に示すものと同一のものを用いても本発明による効果は得られるが、より良い効果を得るため、本発明では、図4(b)〜(d)に示したような第1窓関数W(1,i)、第2窓関数W(2,i)、第3窓関数W(3,i)を用意し、抽出側で認識し易いようにした。第1窓関数W(1,i)は、音響フレームの前部を抽出するためのものであり、図4(b)に示すように前部の所定のサンプル番号iの位置において、最大値1をとり、後部においては、最小値0をとるように設定されている。どのサンプル番号の場合に最大値をとるかについては、窓関数W(1,i)の設計によって異なってくるが、本実施形態では、後述する〔数式1〕で定義される。窓関数W(1,i)を乗じることにより、図4(a)に示すような音響フレームの信号波形は、図4(f)に示すように、前部に信号成分が残り、後部の信号成分が削除されたものとなり、これがフーリエ変換対象となる。
また、第2窓関数W(2,i)は、音響フレームの中央部を抽出するためのものであり、図4(c)に示すように、中央部の所定のサンプル番号iの位置において、最大値1をとり、前部、後部においては、最小値0をとるように設定されている。どのサンプル番号の場合に最大値をとるかについては、窓関数W(2,i)の設計によって異なってくるが、本実施形態では、後述する〔数式2〕で定義される。窓関数W(2,i)を乗じることにより、図4(a)に示すような音響フレームの信号波形は、図4(g)に示すように、中央部に信号成分が残り、前部と後部の信号成分が除去されたものとなり、これがフーリエ変換対象となる。
また、第3窓関数W(3,i)は、音響フレームの後部を抽出するためのものであり、図4(d)に示すように、前部においては最小値0をとり、後部の所定のサンプル番号iの位置において、最大値1をとるように設定されている。どのサンプル番号の場合に最大値をとるかについては、窓関数W(3,i)の設計によって異なってくるが、本実施形態では、後述する〔数式3〕で定義される。窓関数W(3,i)を乗じることにより、図4(a)に示すような音響フレームの信号波形は、図4(h)に示すように、前部の信号成分が除去され、後部に信号成分が残ったものとなり、これがフーリエ変換対象となる。このように前部、中央部、後部を抽出した後、フーリエ変換を実行するため、前部、中央部、後部に対応したスペクトルが得られることになる。1つの音響フレームにビット値を埋め込むためには、本来、前部と後部の2つに分けられれば良いのであるが、抽出側においては、必ずしも、信号を同期して読み込むことができるとは限らず、したがって、前部と後部をはっきりと区別するため、本発明では、埋め込み時に中央部の信号成分を常に削除し、前部と後部を時間的に分離することとしている(ただし、抽出時は前部と後部だけを解析すればよく、中央部は無視してよい)。本発明において用いる窓関数は、窓関数W(1,i)と窓関数W(3,i)が左右非対称であるため、抽出時において、埋め込まれていた情報の誤認識が起こりにくくなる。
また、本発明では、音響フレームを重複させて読み込み、奇数フレーム(または偶数フレーム)については、窓関数W(1,i)、W(2,i)、W(3,i)を用い、偶数フレーム(または奇数フレーム)については、図4(e)に示したような第4窓関数W(4,i)を用いるようにした。
なお、本発明においては、音響フレームは重複して読み込まれる。すなわち、奇数番目の音響フレームと偶数番目の音響フレームは、所定数のサンプルを重複して読み込む。上記のように、奇数フレームと偶数フレームでは、用いられる窓関数が異なるが、奇数フレームと偶数フレームは単に奇数か偶数かの違いだけであるため、どちらに対して処理をどちらの処理を行っても良い。したがって、本明細書では、奇数フレーム、偶数フレームの一方をAタイプフレーム、他方をBタイプフレームと呼ぶことにする。本実施形態では、奇数フレームをAタイプフレーム、偶数フレームをBタイプフレームとして説明するが、逆に偶数フレームをAタイプフレーム、奇数フレームをBタイプフレームとしても良い。
本実施形態では、窓関数W(1,i)〜W(4,i)は、以下の〔数式1〕〜〔数式4〕で定義される。なお、図4において、横軸は時間軸(i)である。iは、後述するように、各音響フレーム内のN個のサンプルに付した通し番号であるため時刻tに比例している。また、図4(a)(f)(g)(h)(i)において縦軸は信号の振幅値(レベル)を示す。図4(b)〜(e)において縦軸は窓関数W(1,i)、W(2,i)、W(3,i)、W(4,i)の値を示しており、W(1,i)、W(2,i)、W(3,i)、W(4,i)の最大値はいずれも1である。
〔数式1〕
i≦3N/8のとき、W(1,i)=0.5−0.5cos(8πi/(3N))
3N/8<i≦N/2のとき、W(1,i)=0.5−0.5cos(8π(i−N/4)/N)
i>N/2のとき、W(1,i)=0.0
〔数式2〕
i≦3N/8のとき、W(2,i)=0.0
3N/8<i≦N/2のとき、W(2,i)=0.5−0.5cos(4π(i−N/4)/N)
i>3N/4のとき、W(2,i)=0.0
〔数式3〕
i≦N/2のとき、W(3,i)=0.0
i>N/2のとき、W(3,i)=0.5−0.5cos(4π(i−N/2)/N)
〔数式4〕
i≦N/4のとき、W(4,i)=0.0
N/4<i≦N/2のとき、W(4,i)=0.5−0.5cos(4π(i−N/4)/N)
N/2<i≦7N/8のとき、W(4,i)=0.5−0.5cos(8π(i−N/8)/(3N))
i>7N/8のとき、W(4,i)=0.0
なお、図4および上記〔数式1〕〜〔数式4〕から明らかなように、窓関数W(1,i)とW(3,i)は、互いに非対称な形状である。これは、後述する抽出側において、両者の識別を容易にするためである。また、窓関数W(1,i)、W(2,i)、W(3,i)は、iが所定の値のときに最大値1をとり、iがその他の値をとる場合には、iの値に応じて単調増加、または単調減少する窓関数を分割したものであるため、窓関数W(1,i)とW(3,i)が定まると、窓関数W(2,i)も必然的に定まる。このため、窓関数W(2,i)は左右非対称の形状となっている。
本発明においては、奇数フレームと偶数フレームを、所定サンプルずつ重複して読み込むため、情報の埋め込みを行った後、音響信号に復元する際に、窓関数を乗じた奇数フレームと、窓関数を乗じた偶数フレームの重複サンプルを加算した場合に、ほぼ元の値に戻るようにしなければならない。このため、窓関数W(4,i)の形状は、窓関数W(1,i)、W(2,i)、W(3,i)の値に応じて必然的に定まる。すなわち、奇数フレームと偶数フレームの重複部分において、窓関数W(1,i)、W(2,i)、W(3,i)、W(4,i)を加算すると、全区間固定値1になるように定義されている。
周波数変換手段20が、Aタイプの音響フレームに対してフーリエ変換を行う場合は、左チャンネル信号Xl(i)、右チャンネル信号Xr(i)(i=0,…,N−1)に対して、3つの窓関数W(1,i)、W(2,i)、W(3,i)を用いて、以下の〔数式5〕に従った処理を行い、左チャンネルに対応する変換データの実部Al(1,j)、Al(2,j)、Al(3,j)、虚部Bl(1,j)、Bl(2,j)、Bl(3,j)、右チャンネルに対応する変換データの実部Ar(1,j)、Ar(2,j)、Ar(3,j)、虚部Br(1,j)、Br(2,j)、Br(3,j)を得る。なお、窓関数W(1,i)、W(2,i)、W(3,i)は、それぞれ音響フレームの前部(先頭)付近、中央付近、後部付近において値が大きくなる関数となっている。
〔数式5〕
Al(1,j)=Σi=0,…,N-1W(1,i)・Xl(i)・cos(2πij/N)
Bl(1,j)=Σi=0,…,N-1W(1,i)・Xl(i)・sin(2πij/N)
Al(2,j)=Σi=0,…,N-1W(2,i)・Xl(i)・cos(2πij/N)
Bl(2,j)=Σi=0,…,N-1W(2,i)・Xl(i)・sin(2πij/N)
Al(3,j)=Σi=0,…,N-1W(3,i)・Xl(i)・cos(2πij/N)
Bl(3,j)=Σi=0,…,N-1W(3,i)・Xl(i)・sin(2πij/N)
Ar(1,j)=Σi=0,…,N-1W(1,i)・Xr(i)・cos(2πij/N)
Br(1,j)=Σi=0,…,N-1W(1,i)・Xr(i)・sin(2πij/N)
Ar(2,j)=Σi=0,…,N-1W(2,i)・Xr(i)・cos(2πij/N)
Br(2,j)=Σi=0,…,N-1W(2,i)・Xr(i)・sin(2πij/N)
Ar(3,j)=Σi=0,…,N-1W(3,i)・Xr(i)・cos(2πij/N)
Br(3,j)=Σi=0,…,N-1W(3,i)・Xr(i)・sin(2πij/N)
周波数変換手段20が、Bタイプの音響フレームに対してフーリエ変換を行う場合は、左チャンネル信号Xl(i)、右チャンネル信号Xr(i)(i=0,…,N−1)に対して、窓関数W(4,i)を用いて、以下の〔数式6〕に従った処理を行い、左チャンネルに対応する変換データの実部Al(4,j)、虚部Bl(4,j)、右チャンネルに対応する変換データの実部Ar(4,j)、虚部Br(4,j)を得る。
〔数式6〕
Al(4,j)=Σi=0,…,N-1W(4,i)・Xl(i)・cos(2πij/N)
Bl(4,j)=Σi=0,…,N-1W(4,i)・Xl(i)・sin(2πij/N)
Ar(4,j)=Σi=0,…,N-1W(4,i)・Xr(i)・cos(2πij/N)
Br(4,j)=Σi=0,…,N-1W(4,i)・Xr(i)・sin(2πij/N)
上記〔数式5〕〔数式6〕において、iは、各音響フレーム内のN個のサンプルに付した通し番号であり、i=0,1,2,…N−1の整数値をとる。また、jは周波数の値について、値の小さなものから順に付した通し番号であり、iと同様にj=0,1,2,…N/2−1の整数値をとる。サンプリング周波数が44.1kHz、N=4096の場合、jの値が1つ異なると、周波数が10.8Hz異なることになる。
上記〔数式5〕〔数式6〕に従った処理を実行することにより、各音響フレームの信号成分を周波数に対応した成分であるスペクトルで表現されたフレームスペクトルが得られる。続いて、低周波成分変更手段30が、生成されたフレームスペクトルから3つの所定周波数範囲のスペクトル集合を抽出する。人間の聴覚は、200〜300Hz程度までの低周波成分については、方向性を感知しにくくなっていることが知られている(コロナ社1990年10月30日発行「音響工学講座1.基礎音響工学、日本音響学会編」p247図9・26参照)。したがって、特許文献7〜9に記載の発明においては、低周波成分を200〜300Hz程度以下としていた。しかし、本出願人による研究の結果、最低周波数帯における成分を削除した場合は、400Hz付近においても方向性を感知しにくくなることがわかった。そこで、本実施形態では、0〜150Hz付近の最低周波数帯の成分を除去し、150〜400Hz程度の低周波数帯に情報を埋め込むことにしている。さらに、本実施形態では、埋め込み対象とする低周波数帯を比較的高い低周波数帯と比較的低い低周波数帯に分けて、それぞれに対して加工を行うようにしている。
ここで、本発明の処理による周波数成分全体の状況を図5に示す。図5において、上下方向は周波数方向であり、j=2047は22.05kHzに対応している。図5(a)は特許文献9に示した従来方式、図5(b)は本発明による方式を示す。図5(b)は、最低周波数帯をj=0〜14(0〜約150Hz)、埋め込み対象とする低周波数帯のうち比較的高い低周波数帯をj=27〜35(約290〜380Hz)、埋め込み対象とする低周波数帯のうち比較的低い低周波数帯をj=15〜23(約160〜250Hz)とした場合を示している。また、網掛けの濃さは、信号成分の強度を概念的に示したものである。従来方式も本発明もj=40(従来はj=30)以上の高周波成分に対しては、変更を加えず、原音を維持する点については同じである。また、原音部との境を明確にするために、数成分(本実施形態では、j=36〜39の4成分)を左(L)信号から右(R)信号に移動させているのも、従来方式と同じである。
本発明が従来方式と異なるのは、従来方式がj=0を原音維持とし、j=1〜29の成分を原則左(L)信号から右(R)信号に移動させ、j=1〜26の成分に対しては付加情報に応じて選択的に右(R)信号から左(L)信号に移動させることにより、j=1〜26を埋め込み領域としているのに対して、本発明ではj=0〜39の成分を原則左(L)信号から右(R)信号に移動させ、j=15〜23、27〜35の成分に対しては付加情報に応じて選択的に右(R)信号から左(L)信号に移動させることにより、j=15〜35を埋め込み領域としている点である。なお、図5中のj=15〜23、27〜35の領域については、埋め込まれる情報により、LRのどちらかに成分が移動されることを示している。
低周波成分変更手段30は、Aタイプの音響フレームについて、付加情報読込手段70が読み込んだビット値に応じて、低周波成分の割合を変更する処理を行う。本発明では、付加情報を2ビットずつ読み込み、1音響フレームに対して2ビットの情報を埋め込む。埋め込まれる2ビットの値は、“00”“01”“10”“11”の4通りがある。本実施形態では、これらを値1〜値4と定義する。この際、“00”“01”“10”“11”の4通りのうち、いずれを値1〜値4と定義しても良い。抽出側において、埋め込み側で埋め込まれた2ビットの配列が特定できれば良いためである。したがって、この定義は、埋め込み側と抽出側で一致している必要がある。
また、本発明では、区切りを示す情報を付加情報と別に埋め込むようにしていないため、1ワードを構成する最後の2ビットを埋め込む際に、1ワードの終わりであることを示す情報を追加する。そのため、1ワード中の最後の2ビットを埋め込む際には、値1〜値4にさらに値4を追加し、値5〜値8とする処理を行う。そして、低周波成分変更手段30は、この値1〜値8に応じて、低周波成分を状態1〜状態8のいずれかに変更する。具体的には、まず、低周波成分変更手段30は、上記〔数式5〕により求めた左チャンネルの実部Al(1,j)、Al(3,j)、虚部Bl(1,j)、Bl(3,j)、右チャンネルの実部Ar(1,j)、Ar(3,j)、虚部Br(1,j)、Br(3,j)を利用して、以下の〔数式7〕により、合算値E1〜E4を算出する。
〔数式7〕
1=Σj=m,m+P-4{Al(1,j)2+Bl(1,j)2+Ar(1,j)2+Br(1,j)2
2=Σj=m,m+P-4{Al(3,j)2+Bl(3,j)2+Ar(3,j)2+Br(3,j)2
3=Σj=m+p,m+2P-4{Al(1,j)2+Bl(1,j)2+Ar(1,j)2+Br(1,j)2
4=Σj=m+p,m+2P-4{Al(3,j)2+Bl(3,j)2+Ar(3,j)2+Br(3,j)2
上記〔数式7〕において、mは低周波数帯の下限の成分の番号、Mは低周波数帯の上限の成分の番号であり、P=(M−m)/2である。なお、Pが整数にならない場合、切捨て処理を行う。m=15、M=40と設定すると、P=12となり、図5に例示したスケールと同じになる。上記〔数式7〕により算出されたE1〜E4は音響フレームの所定の範囲におけるスペクトル集合の成分強度の合算値を示すことになる。続いて、この合算値E1〜E4がレベル下限値Levより大きいかどうかの判定を行う。レベル下限値Levは、音響信号Xl(i)、Xr(i)の振幅最大値が1に正規化されており、M=40に設定されている場合、0.25に設定する。このLev=0.25という値は、経験的にアナログ変換への耐性が維持できるレベルであり、低周波成分が少ない場合は適宜下げることになるが、その場合は、アナログ変換により検出精度も低下することになる。
合算値E1〜E4がレベル下限値Levより大きいかどうかを判断するのは、信号の強度が小さいと、信号を変化させても、その変化を抽出側で検出することができないためである。すなわち、各低周波スペクトル成分を十分な大きさとすることができるかどうかを判断することになる。
1およびE3が共にレベル下限値Levより大きく、埋め込むべき情報が“値1”である場合、以下の〔数式8〕に従った処理を実行することにより、低周波成分の状態を“状態1”、すなわち、図2(c)に示したような状態に変更する。
〔数式8〕
j=m〜m+P−4、m+P〜m+2P−4の各成分に対して
Al´(3,j)=0
Bl´(3,j)=0
E(3,j)={Al(3,j)2+Bl(3,j)2+Ar(3,j)2+Br(3,j)21/2
Ar´(3,j)=Ar(3,j)・E(3,j)/{Ar(3,j)2+Br(3,j)21/2
Br´(3,j)=Br(3,j)・E(3,j)/{Ar(3,j)2+Br(3,j)21/2
Ar´(1,j)=0
Br´(1,j)=0
E(1,j)={Al(1,j)2+Bl(1,j)2+Ar(1,j)2+Br(1,j)21/2
Al´(1,j)=Al(1,j)・E(1,j)/{Al(1,j)2+Bl(1,j)21/2
Bl´(1,j)=Bl(1,j)・E(1,j)/{Al(1,j)2+Bl(1,j)21/2
上記〔数式8〕においては、j=m〜m+P−4、m+P〜m+2P−4において、Al´(3,j)、Bl´(3,j)を共に0としている。これは、図2(c)の上段に示すように、L-chにおいて、SP3U、SP3D内の各成分を0にすることを示しているが、“状態1”はSP1U、SP1Dとの差を明確にすることができれば十分であるため、必ずしも0にする必要はなく、小さな値であれば良い。
2およびE4が共にレベル下限値Levより大きく、埋め込むべき情報が“値2”である場合は、以下の〔数式9〕に従った処理を実行することにより、低周波成分の状態を“状態2” 、すなわち、図2(d)に示したような状態に変更する。
〔数式9〕
j=m〜m+P−4、m+P〜m+2P−4の各成分に対して
Al´(1,j)=0
Bl´(1,j)=0
E(1,j)={Al(1,j)2+Bl(1,j)2+Ar(1,j)2+Br(1,j)21/2
Ar´(1,j)=Ar(1,j)・E(1,j)/{Ar(1,j)2+Br(1,j)21/2
Br´(1,j)=Br(1,j)・E(1,j)/{Ar(1,j)2+Br(1,j)21/2
Ar´(3,j)=0
Br´(3,j)=0
E(3,j)={Al(3,j)2+Bl(3,j)2+Ar(3,j)2+Br(3,j)21/2
Al´(3,j)=Al(3,j)・E(3,j)/{Al(3,j)2+Bl(3,j)21/2
Bl´(3,j)=Bl(3,j)・E(3,j)/{Al(3,j)2+Bl(3,j)21/2
上記〔数式9〕においては、j=m〜m+P−4、m+P〜m+2P−4において、Al´(1,j)、Bl´(1,j)を共に0としている。これは、図2(d)の上段に示すように、L-chにおいて、SP1U、SP1D内の各成分を0にすることを示しているが、“状態2”はSP3U、SP3Dとの差を明確にすることができれば十分であるため、必ずしも0にする必要はなく、小さな値であれば良い。
1およびE4が共にレベル下限値Levより大きく、埋め込むべき情報が“値3”である場合、以下の〔数式10〕に従った処理を実行することにより、低周波成分の状態を“状態3” 、すなわち、図2(e)に示したような状態に変更する。
〔数式10〕
j=m〜m+P−4の各成分に対して
Al´(3,j)=0
Bl´(3,j)=0
E(3,j)={Al(3,j)2+Bl(3,j)2+Ar(3,j)2+Br(3,j)21/2
Ar´(3,j)=Ar(3,j)・E(3,j)/{Ar(3,j)2+Br(3,j)21/2
Br´(3,j)=Br(3,j)・E(3,j)/{Ar(3,j)2+Br(3,j)21/2
j=m+P〜m+2P−4の各成分に対して
Al´(1,j)=0
Bl´(1,j)=0
E(1,j)={Al(1,j)2+Bl(1,j)2+Ar(1,j)2+Br(1,j)21/2
Ar´(1,j)=Ar(1,j)・E(1,j)/{Ar(1,j)2+Br(1,j)21/2
Br´(1,j)=Br(1,j)・E(1,j)/{Ar(1,j)2+Br(1,j)21/2
j=m〜m+P−4の各成分に対して
Ar´(1,j)=0
Br´(1,j)=0
E(1,j)={Al(1,j)2+Bl(1,j)2+Ar(1,j)2+Br(1,j)21/2
Al´(1,j)=Al(1,j)・E(1,j)/{Al(1,j)2+Bl(1,j)21/2
Bl´(1,j)=Bl(1,j)・E(1,j)/{Al(1,j)2+Bl(1,j)21/2
j=m+P〜m+2P−4の各成分に対して
Ar´(3,j)=0
Br´(3,j)=0
E(3,j)={Al(3,j)2+Bl(3,j)2+Ar(3,j)2+Br(3,j)21/2
Al´(3,j)=Al(3,j)・E(3,j)/{Al(3,j)2+Bl(3,j)21/2
Bl´(3,j)=Bl(3,j)・E(3,j)/{Al(3,j)2+Bl(3,j)21/2
上記〔数式10〕においては、j=m〜m+P−4においてAl´(3,j)、Bl´(3,j)を共に0とし、j=m+P〜m+2P−4においてAl´(1,j)、Bl´(1,j)を共に0としている。これは、図2(e)の上段に示すように、L-chにおいて、SP3D、SP1U内の各成分を0にすることを示しているが、“状態3”はSP3U、SP1Dとの差を明確にすることができれば十分であるため、必ずしも0にする必要はなく、小さな値であれば良い。
2およびE3が共にレベル下限値Levより大きく、埋め込むべき情報が“値4”である場合、以下の〔数式11〕に従った処理を実行することにより、低周波成分の状態を“状態4” 、すなわち、図2(f)に示したような状態に変更する。
〔数式11〕
j=m〜m+P−4の各成分に対して
Al´(1,j)=0
Bl´(1,j)=0
E(1,j)={Al(1,j)2+Bl(1,j)2+Ar(1,j)2+Br(1,j)21/2
Ar´(1,j)=Ar(1,j)・E(1,j)/{Ar(1,j)2+Br(1,j)21/2
Br´(1,j)=Br(1,j)・E(1,j)/{Ar(1,j)2+Br(1,j)21/2
j=m+P〜m+2P−4の各成分に対して
Al´(3,j)=0
Bl´(3,j)=0
E(3,j)={Al(3,j)2+Bl(3,j)2+Ar(3,j)2+Br(3,j)21/2
Ar´(3,j)=Ar(3,j)・E(3,j)/{Ar(3,j)2+Br(3,j)21/2
Br´(3,j)=Br(3,j)・E(3,j)/{Ar(3,j)2+Br(3,j)21/2
j=m〜m+P−4の各成分に対して
Ar´(3,j)=0
Br´(3,j)=0
E(3,j)={Al(3,j)2+Bl(3,j)2+Ar(3,j)2+Br(3,j)21/2
Al´(3,j)=Al(3,j)・E(3,j)/{Al(3,j)2+Bl(3,j)21/2
Bl´(3,j)=Bl(3,j)・E(3,j)/{Al(3,j)2+Bl(3,j)21/2
j=m+P〜m+2P−4の各成分に対して
Ar´(1,j)=0
Br´(1,j)=0
E(1,j)={Al(1,j)2+Bl(1,j)2+Ar(1,j)2+Br(1,j)21/2
Al´(1,j)=Al(1,j)・E(1,j)/{Al(1,j)2+Bl(1,j)21/2
Bl´(1,j)=Bl(1,j)・E(1,j)/{Al(1,j)2+Bl(1,j)21/2
上記〔数式11〕においては、j=m〜m+P−4においてAl´(1,j)、Bl´(1,j)を共に0とし、j=m+P〜m+2P−4においてAl´(3,j)、Bl´(3,j)を共に0としている。これは、図2(f)の上段に示すように、L-chにおいて、SP1D、SP3U内の各成分を0にすることを示しているが、“状態4”はSP3D、SP1Uとの差を明確にすることができれば十分であるため、必ずしも0にする必要はなく、小さな値であれば良い。
1がレベル下限値Levより大きく、埋め込むべき情報が“値5”である場合、以下の〔数式12〕に従った処理を実行することにより、低周波成分の状態を“状態5” 、すなわち、図2(g)に示したような状態に変更する。
〔数式12〕
j=m+P〜m+2P−4の各成分に対して
Al´(1,j)=0
Bl´(1,j)=0
E(1,j)={Al(1,j)2+Bl(1,j)2+Ar(1,j)2+Br(1,j)21/2
Ar´(1,j)=Ar(1,j)・E(1,j)/{Ar(1,j)2+Br(1,j)21/2
Br´(1,j)=Br(1,j)・E(1,j)/{Ar(1,j)2+Br(1,j)21/2
j=m〜m+P−4、m+P〜m+2P−4の各成分に対して
Al´(3,j)=0
Bl´(3,j)=0
E(3,j)={Al(3,j)2+Bl(3,j)2+Ar(3,j)2+Br(3,j)21/2
Ar´(3,j)=Ar(3,j)・E(3,j)/{Ar(3,j)2+Br(3,j)21/2
Br´(3,j)=Br(3,j)・E(3,j)/{Ar(3,j)2+Br(3,j)21/2
j=m〜m+P−4の各成分に対して
Ar´(1,j)=0
Br´(1,j)=0
E(1,j)={Al(1,j)2+Bl(1,j)2+Ar(1,j)2+Br(1,j)21/2
Al´(1,j)=Al(1,j)・E(1,j)/{Al(1,j)2+Bl(1,j)21/2
Bl´(1,j)=Bl(1,j)・E(1,j)/{Al(1,j)2+Bl(1,j)21/2
上記〔数式12〕においては、j=m+P〜m+2P−4においてAl´(1,j)、Bl´(1,j)を共に0とし、j=m〜m+P−4、m+P〜m+2P−4においてAl´(3,j)、Bl´(3,j)を共に0としている。これは、図2(g)の上段に示すように、L-chにおいて、SP1U、SP3U、SP3D内の各成分を0にすることを示しているが、“状態5”はSP1Dとの差を明確にすることができれば十分であるため、必ずしも0にする必要はなく、小さな値であれば良い。
2がレベル下限値Levより大きく、埋め込むべき情報が“値6”である場合、以下の〔数式13〕に従った処理を実行することにより、低周波成分の状態を“状態6” 、すなわち、図2(h)に示したような状態に変更する。
〔数式13〕
j=m〜m+P−4、m+P〜m+2P−4の各成分に対して
Al´(1,j)=0
Bl´(1,j)=0
E(1,j)={Al(1,j)2+Bl(1,j)2+Ar(1,j)2+Br(1,j)21/2
Ar´(1,j)=Ar(1,j)・E(1,j)/{Ar(1,j)2+Br(1,j)21/2
Br´(1,j)=Br(1,j)・E(1,j)/{Ar(1,j)2+Br(1,j)21/2
j=m+P〜m+2P−4の各成分に対して
Al´(3,j)=0
Bl´(3,j)=0
E(3,j)={Al(3,j)2+Bl(3,j)2+Ar(3,j)2+Br(3,j)21/2
Ar´(3,j)=Ar(3,j)・E(3,j)/{Ar(3,j)2+Br(3,j)21/2
Br´(3,j)=Br(3,j)・E(3,j)/{Ar(3,j)2+Br(3,j)21/2
j=m〜m+P−4の各成分に対して
Ar´(3,j)=0
Br´(3,j)=0
E(3,j)={Al(3,j)2+Bl(3,j)2+Ar(3,j)2+Br(3,j)21/2
Al´(3,j)=Al(3,j)・E(3,j)/{Al(3,j)2+Bl(3,j)21/2
Bl´(3,j)=Bl(3,j)・E(3,j)/{Al(3,j)2+Bl(3,j)21/2
上記〔数式13〕においては、j=m〜m+P−4、m+P〜m+2P−4においてAl´(1,j)、Bl´(1,j)を共に0とし、j=m+P〜m+2P−4においてAl´(3,j)、Bl´(3,j)を共に0としている。これは、図2(h)の上段に示すように、L-chにおいて、SP1U、SP3U、SP1D内の各成分を0にすることを示しているが、“状態6”はSP3Dとの差を明確にすることができれば十分であるため、必ずしも0にする必要はなく、小さな値であれば良い。
4がレベル下限値Levより大きく、埋め込むべき情報が“値7”である場合、以下の〔数式14〕に従った処理を実行することにより、低周波成分の状態を“状態7” 、すなわち、図2(i)に示したような状態に変更する。
〔数式14〕
j=m〜m+P−4、m+P〜m+2P−4の各成分に対して
Al´(1,j)=0
Bl´(1,j)=0
E(1,j)={Al(1,j)2+Bl(1,j)2+Ar(1,j)2+Br(1,j)21/2
Ar´(1,j)=Ar(1,j)・E(1,j)/{Ar(1,j)2+Br(1,j)21/2
Br´(1,j)=Br(1,j)・E(1,j)/{Ar(1,j)2+Br(1,j)21/2
j=m〜m+P−4の各成分に対して
Al´(3,j)=0
Bl´(3,j)=0
E(3,j)={Al(3,j)2+Bl(3,j)2+Ar(3,j)2+Br(3,j)21/2
Ar´(3,j)=Ar(3,j)・E(3,j)/{Ar(3,j)2+Br(3,j)21/2
Br´(3,j)=Br(3,j)・E(3,j)/{Ar(3,j)2+Br(3,j)21/2
j=m+P〜m+2P−4の各成分に対して
Ar´(3,j)=0
Br´(3,j)=0
E(3,j)={Al(3,j)2+Bl(3,j)2+Ar(3,j)2+Br(3,j)21/2
Al´(3,j)=Al(3,j)・E(3,j)/{Al(3,j)2+Bl(3,j)21/2
Bl´(3,j)=Bl(3,j)・E(3,j)/{Al(3,j)2+Bl(3,j)21/2
上記〔数式14〕においては、j=m〜m+P−4、m+P〜m+2P−4においてAl´(1,j)、Bl´(1,j)を共に0とし、j=m〜m+P−4においてAl´(3,j)、Bl´(3,j)を共に0としている。これは、図2(i)の上段に示すように、L-chにおいて、SP1U、SP1D、SP3D内の各成分を0にすることを示しているが、“状態7”はSP3Uとの差を明確にすることができれば十分であるため、必ずしも0にする必要はなく、小さな値であれば良い。
3がレベル下限値Levより大きく、埋め込むべき情報が“値8”である場合、以下の〔数式15〕に従った処理を実行することにより、低周波成分の状態を“状態8” 、すなわち、図2(j)に示したような状態に変更する。
〔数式15〕
j=m〜m+P−4の各成分に対して
Al´(1,j)=0
Bl´(1,j)=0
E(1,j)={Al(1,j)2+Bl(1,j)2+Ar(1,j)2+Br(1,j)21/2
Ar´(1,j)=Ar(1,j)・E(1,j)/{Ar(1,j)2+Br(1,j)21/2
Br´(1,j)=Br(1,j)・E(1,j)/{Ar(1,j)2+Br(1,j)21/2
j=m〜m+P−4、m+P〜m+2P−4の各成分に対して
Al´(3,j)=0
Bl´(3,j)=0
E(3,j)={Al(3,j)2+Bl(3,j)2+Ar(3,j)2+Br(3,j)21/2
Ar´(3,j)=Ar(3,j)・E(3,j)/{Ar(3,j)2+Br(3,j)21/2
Br´(3,j)=Br(3,j)・E(3,j)/{Ar(3,j)2+Br(3,j)21/2
j=m+P〜m+2P−4の各成分に対して
Ar´(1,j)=0
Br´(1,j)=0
E(1,j)={Al(1,j)2+Bl(1,j)2+Ar(1,j)2+Br(1,j)21/2
Al´(1,j)=Al(1,j)・E(1,j)/{Al(1,j)2+Bl(1,j)21/2
Bl´(1,j)=Bl(1,j)・E(1,j)/{Al(1,j)2+Bl(1,j)21/2
上記〔数式15〕においては、j=m〜m+P−4においてAl´(1,j)、Bl´(1,j)を共に0とし、j=m〜m+P−4、m+P〜m+2P−4においてAl´(3,j)、Bl´(3,j)を共に0としている。これは、図2(j)の上段に示すように、L-chにおいて、SP1D、SP3U、SP3D内の各成分を0にすることを示しているが、“状態8”はSP1Uとの差を明確にすることができれば十分であるため、必ずしも0にする必要はなく、小さな値であれば良い。
上記〔数式8〕〜〔数式15〕に従った処理を実行し、低周波成分の状態を“状態1”〜“状態8”に変更した場合、いずれの場合であっても、さらに以下の〔数式16〕に従った処理を実行し、最低周波数帯におけるギャップ領域G1D、G3D、上位低周波数帯と下位低周波数帯の間にギャップ領域G1M、G3M、上位低周波数帯の高周波側にギャップ領域G1U、G3Uを設ける。
〔数式16〕
j=0〜m−1、m+P−3〜m+P−1、m+2P−3〜M−1の各成分に対して
Al´(1,j)=0
Bl´(1,j)=0
Al´(3,j)=0
Bl´(3,j)=0
E(1,j)={Al(1,j)2+Bl(1,j)2+Ar(1,j)2+Br(1,j)21/2
Ar´(1,j)=Ar(1,j)・E(1,j)/{Ar(1,j)2+Br(1,j)21/2
Br´(1,j)=Br(1,j)・E(1,j)/{Ar(1,j)2+Br(1,j)21/2
E(3,j)={Al(3,j)2+Bl(3,j)2+Ar(3,j)2+Br(3,j)21/2
Ar´(3,j)=Ar(3,j)・E(3,j)/{Ar(3,j)2+Br(3,j)21/2
Br´(3,j)=Br(3,j)・E(3,j)/{Ar(3,j)2+Br(3,j)21/2
j=0〜M−1の各成分に対して
Al´(2,j)=0
Bl´(2,j)=0
E(2,j)={Al(2,j)2+Bl(2,j)2+Ar(2,j)2+Br(2,j)21/2
Ar´(2,j)=Ar(2,j)・E(2,j)/{Ar(2,j)2+Br(2,j)21/2
Br´(2,j)=Br(2,j)・E(2,j)/{Ar(2,j)2+Br(2,j)21/2
埋め込まれる側の低周波成分の強度が小さすぎると、信号を変化させても、その変化を抽出側で検出することができない。そこで、このような場合には、付加情報が埋め込まれている音響フレームとの違いを明確にするため、以下の〔数式17〕に従った処理を実行し、その低周波成分を除去する。この状態を“状態0”と呼ぶことにする。これは、図2(b)に示すような状態である。
〔数式17〕
j=0〜M−1の各成分に対して
Al´(1,j)=0
Bl´(1,j)=0
Al´(2,j)=0
Bl´(2,j)=0
Al´(3,j)=0
Bl´(3,j)=0
E(1,j)={Al(1,j)2+Bl(1,j)2+Ar(1,j)2+Br(1,j)21/2
Ar´(1,j)=Ar(1,j)・E(1,j)/{Ar(1,j)2+Br(1,j)21/2
Br´(1,j)=Br(1,j)・E(1,j)/{Ar(1,j)2+Br(1,j)21/2
E(2,j)={Al(2,j)2+Bl(2,j)2+Ar(2,j)2+Br(2,j)21/2
Ar´(2,j)=Ar(2,j)・E(2,j)/{Ar(2,j)2+Br(2,j)21/2
Br´(2,j)=Br(2,j)・E(2,j)/{Ar(2,j)2+Br(2,j)21/2
E(3,j)={Al(3,j)2+Bl(3,j)2+Ar(3,j)2+Br(3,j)21/2
Ar´(3,j)=Ar(3,j)・E(3,j)/{Ar(3,j)2+Br(3,j)21/2
Br´(3,j)=Br(3,j)・E(3,j)/{Ar(3,j)2+Br(3,j)21/2
上記のように、Aタイプの音響フレームに対しては、埋め込むべきビット値に応じて、低周波成分の変更を行う必要があるため、低周波成分変更手段30は、上記〔数式8〕〜〔数式17〕に従った処理を実行する。ところが、Bタイプの音響フレームは、Aタイプの音響フレームのみの場合に生じる両端部分の不連続性を防止するために用いられるものであるので、ビット値に応じて低周波成分の変更を行う必要はない。そこで、低周波成分変更手段30は、Bタイプの音響フレームについては、以下の〔数式18〕に従った処理を実行し、常にその低周波成分を除去する。
〔数式18〕
j=0〜M−1の各成分に対して
Al´(4,j)=0
Bl´(4,j)=0
E(4,j)={Al(4,j)2+Bl(4,j)2+Ar(4,j)2+Br(4,j)21/2
Ar´(4,j)=Ar(4,j)・E(4,j)/{Ar(4,j)2+Br(4,j)21/2
Br´(4,j)=Br(4,j)・E(4,j)/{Ar(4,j)2+Br(4,j)21/2
周波数逆変換手段40は、上記のようにして、低周波成分の状態が変更されたフレームスペクトルを周波数逆変換して改変音響フレームを得る処理を行う。この周波数逆変換は、当然のことながら、周波数変換手段20が実行した手法に対応していることが必要となる。本実施形態では、周波数変換手段20において、フーリエ変換を施しているため、周波数逆変換手段40は、フーリエ逆変換を実行することになる。
具体的には、Aタイプの音響フレームに対しては、周波数逆変換手段40は、上記〔数式8〕〜〔数式17〕のいずれかにより得られたスペクトルの左チャンネルの実部Al´(1,j)等、虚部Bl´(1,j)等、右チャンネルの実部Ar´(1,j)等、虚部Br´(1,j)等を用いて、以下の〔数式19〕に従った処理を行い、Xl´(i)、Xr´(i)を算出する。なお、上記〔数式8〕〜〔数式17〕において改変されていない周波数成分については、Al´(1,j)等として、元の周波数成分であるAl(1,j)等を用いる。
〔数式19〕
Xl´(i)=1/N・{ΣjAl´(1,j)・cos(2πij/N)−ΣjBl´(1,j)・sin(2πij/N)}+1/N・{ΣjAl´(2,j)・cos(2πij/N)−ΣjBl´(2,j)・sin(2πij/N)}+1/N・{ΣjAl´(3,j)・cos(2πij/N)−ΣjBl´(3,j)・sin(2πij/N)}+Xlp(i+N/2)
Xr´(i)=1/N・{ΣjAr´(1,j)・cos(2πij/N)−ΣjBr´(1,j)・sin(2πij/N)}+1/N・{ΣjAr´(2,j)・cos(2πij/N)−ΣjBr´(2,j)・sin(2πij/N)}+1/N・{ΣjAr´(3,j)・cos(2πij/N)−ΣjBr´(3,j)・sin(2πij/N)}+Xrp(i+N/2)
上記〔数式19〕においては、式が繁雑になるのを防ぐため、Σj=0,…,N-1をΣjとして示している。上記〔数式19〕における第1式の“+Xlp(i+N/2)”、第2式の“+Xrp(i+N/2)”の項は、直前に改変された改変音響フレームのデータXlp(i)、Xrp(i)が存在する場合に、時間軸上N/2サンプル分重複することを考慮して加算するためのものである。上記〔数式19〕によりAタイプの改変音響フレームの左チャンネルの各サンプルXl´(i)、右チャンネルの各サンプルXr´(i)、が得られることになる。
Bタイプの音響フレームに対しては、周波数逆変換手段40は、上記〔数式18〕により得られたスペクトルの左チャンネルの実部Al´(4,j)、虚部Bl´(4,j)、右チャンネルの実部Ar´(4,j)、虚部Br´(4,j)を用いて、以下の〔数式20〕に従った処理を行い、Xl´(i)、Xr´(i)を算出する。なお、上記〔数式18〕において改変されていない周波数成分については、以下の〔数式20〕においてはAl´(4,j)、Bl´(4,j)、Ar´(4,j)、Br´(4,j)として、元の値であるAl(4,j)、Bl(4,j)、Ar(4,j)、Br(4,j)を用いる。
〔数式20〕
Xl´(i)=1/N・{ΣjAl´(4,j)・cos(2πij/N)−ΣjBl´(4,j)・sin(2πij/N)}+Xlp(i+N/2)
Xr´(i)=1/N・{ΣjAr´(4,j)・cos(2πij/N)−ΣjBr´(4,j)・sin(2πij/N)}+Xrp(i+N/2)
上記〔数式20〕によりBタイプの改変音響フレームの左チャンネルの各サンプルXl´(i)、右チャンネルの各サンプルXr´(i)、が得られることになる。
改変音響フレーム出力手段50は、周波数逆変換手段40の処理により得られたAタイプの改変音響フレーム、Bタイプの改変音響フレームを順次出力ファイルに出力する。
次に、図3に示した音響信号に対する情報の埋め込み装置の処理の全体的な流れを、図6のフローチャートに従って説明する。図3に示した装置を構成する各構成要素は、連携して図6に従った処理を実行する。図6は、付加情報1ワード分の処理に対応したものとなっている。1ワードとしては、任意のビット数に設定することができるが、通常1バイト(8ビット)に設定する。また、情報の埋め込みは、Aタイプの音響フレームに対して行われるので、図6は、Aタイプの音響フレームについての説明となっている。Bタイプの音響フレームについては、Aタイプの音響フレームと並行して、音響フレーム読込手段10により読み込まれ、窓関数W(4,i)を利用して周波数変換手段20により周波数変換された後、低周波成分変更手段30により低周波成分が除去され、周波数逆変換手段40により周波数逆変換された後、改変音響フレーム出力手段50により出力される。
図6においては、まず、付加情報読込手段70は、付加情報記憶部62から付加情報を1ワード単位で読み込む(S101)。具体的には、音響信号に対する情報の埋め込み装置として用いられるコンピュータ内のレジスタに1ワード読み込むことになる。
次に、低周波成分変更手段30が、レジスタに保持された1ワードから2ビットを読み込む処理を行う(S102)。そして、読み込む2ビットが末端2ビットでない場合は、読み込んだ2ビットの上位に1ビットを加える処理を行う。これは、10進数に換算した場合に4を加えることに相当する(S103)。
続いて、音響フレーム読込手段10が、音響信号記憶部61に記憶されたステレオ音響信号の左右の各チャンネルから、それぞれ所定数のサンプルを1音響フレームとして読み込む(S104)。
続いて、周波数変換手段20は、読み込んだ音響フレームに対して、周波数変換を行って、その音響フレームのスペクトルであるフレームスペクトルを得る(S109)。具体的には、各音響フレームについて、3つの窓関数W(1,i)、W(2,i)、W(3,i)を用いて、上記〔数式5〕に従った処理を行う。
続いて、低周波成分変更手段30は、上記〔数式7〕によりE1〜E4を算出する。そして、E1〜E4がレベル下限値Lev以下である場合、低周波成分を“状態0”とする処理を行う(S112)。具体的には、上記〔数式17〕に従った処理を実行することになる。
上記〔数式17〕に従った処理を実行することにより、左チャンネルのフレームスペクトルの低周波数成分は、上位低周波領域前部のスペクトルSP1U、上位低周波領域後部のスペクトルSP3U、下位低周波領域前部のスペクトルSP1D、下位低周波領域後部のスペクトルSP3D全てにおいて、“0” で同一となる。この“状態0”のパターンは、合算値E1〜E4が下限値Lev以下であることにより、当該フレームに値1〜値8の記録が行なわれなかったことを示す情報となる。なお、上記〔数式17〕においては、j=0〜M−1の各成分に対してAl´(j)=Bl´(j)=0としているが、抽出側において、“状態1”〜“状態8”のいずれでもないことを認識可能とすることを目的としているため、十分小さな値であれば、必ずしも0とする必要はない。また、必ずしも4つのスペクトル成分の値が同一である必要はなく、差が小さければ良い。
一方、低周波成分変更手段30は、合算値E1〜E4がレベル下限値Levより大である場合、埋め込むべき情報が値1〜値8の場合に、低周波成分の状態を“状態1”〜“状態8”のいずれかの状態に変更する処理を行う(S111)。すなわち、S111においては、上記〔数式8〕〜〔数式11〕に従った処理を実行する。
次に、周波数逆変換手段40が、上記S111、S112の処理により各窓成分のスペクトル集合間の割合が変更されたフレームスペクトルを周波数逆変換して改変音響フレームを得る処理を行う(S114)。この周波数逆変換は、当然のことながら、周波数変換手段20がS109において実行した手法に対応していることが必要となる。本実施形態では、周波数変換手段20において、フーリエ逆変換を施しているため、周波数逆変換手段40は、フーリエ逆変換を実行することになる。具体的には、上記〔数式8〕〜〔数式17〕のいずれかにより得られたスペクトルの左チャンネルの実部Al´(1,j)等、虚部Bl´(1,j)等、右チャンネルの実部Ar´(1,j)等、虚部Br´(1,j)等を用いて、上記〔数式19〕に従った処理を行い、Xl´(i)、Xr´(i)を算出する。
改変音響フレーム出力手段50は、得られた改変音響フレームを順次出力ファイルに出力する。こうして1つの音響フレームに対する処理を終えたら、状態0に設定した場合には、音響フレーム読込手段10が、次の音響フレームを読み込む(S104)。一方、状態1〜状態8のいずれかに設定した場合には、低周波成分変更手段30が付加情報のビット配列中の次の2ビットを読み込む(S102)。以上のような処理を音響信号の両チャンネルの全サンプルに渡って実行していく。すなわち、所定数のサンプルを音響フレームとして読み込み、音響信号から読み込むべき音響フレームがなくなったら(S104)、処理を終了する。なお、S101において読み込んだ1ワードのデータの各ビットに対応する処理を終えた場合、S102からS101に戻り、付加情報の次のワードを読み込む処理をすることになる。付加情報の全ワードに対して処理が終了した場合は、付加情報の先頭ワードに戻って処理を行う。この結果、全ての音響フレームに対して処理を行った全ての改変音響フレームが出力ファイルに記録されて、改変音響信号として得られる。得られた改変音響信号は、記憶手段60内の改変音響信号記憶部63に出力され、記憶される。
以上の処理による左チャンネル信号の変化の様子について、1音響フレームに1ビットを埋め込む従来の手法と比較して説明する。図7に、従来の手法によるビット埋め込みの手順を示す。図7において、図面左右方向は、時間軸方向である。また、図中多数存在する矩形は、改変音響フレームの第1成分、第2成分の存在(削除されていないこと)を示している。図7の例では、固定長8ビットの連続する4ワードの付加情報を埋め込む場合を示している。図7に示すように、最初に区切りを示す情報が埋め込まれた後は、ビット値を示す情報が埋め込まれる。低周波成分が小さいために埋め込みができないフレームが存在しない場合には、連続して1ワード分の8ビットが埋め込まれ、その後、再び、区切りを示す情報が埋め込まれ、続いて、ビット値を示す情報が埋め込まれる。低周波成分が小さいために埋め込みができないフレームが存在した場合には、図7に示す3ワード目のように、2ビット目の後、区切りを示す情報が埋め込まれ、その後、3ビット目から埋め込まれる。
これに対して、本発明では、1音響フレームに1ビットを埋め込むため、より多くの情報を埋め込むことができる。図8に、本発明によるビット埋め込みの手順を示す。図8において、第1成分と第2成分を結ぶ破線は、音響フレーム長を示しており、矩形は、改変音響フレームの第1成分、第2成分の存在を示している。図8の例でも、固定長8ビットの連続する6ワード強の付加情報を埋め込む場合を示している。図8に示すように、2ビットの値を示す情報が順次埋め込まれる。すなわち“状態5”〜“状態8”のいずれかの状態に変更される。4つ目の音響フレームは、1ワードの最後の2ビットを埋め込むものであるため、“状態1”〜“状態4”のいずれかの状態に変更される。これにより1ワードの終了を示すことができる。低周波成分が小さいために埋め込みができないフレームが存在しない場合には、連続して1ワード分の8ビットが埋め込まれ、その後、再び、区切りを示す情報が埋め込まれ、続いて、2ビットの値を示す情報が埋め込まれる。低周波成分が小さいために埋め込みができないフレームが存在した場合には、図8に示す5ワード目のように、2ビット目の後、“状態0”に変更される。なお、本実施形態で、低周波成分が小さいために埋め込みができないフレームが存在した場合とは、上記〔数式7〕により算出された合算値E1〜E4のうち埋め込むべき値に対応するものが、レベル下限値Lev以下となる音響フレームが存在する場合を示している。
図7、図8は、従来手法と、本発明における処理の一例であるが、図7に示すように、従来の手法では、36個の音響フレームを利用して30ビットしか埋め込むことができないのに対し、本発明の手法では、31個の音響フレームを利用して50ビット埋め込むことができ、埋め込み効率が高まる。ワード間の区切りを1つの音響フレームに埋め込むようにした場合は、図8の例では、さらに4つの音響フレームを必要とすることになり、埋め込み効率は低くなる。したがって、ワード間の区切りを4つ目の音響フレームにおいて表現した本発明の手法では、埋め込み効率がその分だけさらに高くなることを示している。
なお、本実施形態では、付加情報の1ワードを1バイトとした場合について説明したが、抽出側と取り決めがある限り、付加情報の1ワードを任意のビット数単位で記録することが可能である。
上記のようにして得られた改変音響信号の左チャンネルのうち、付加情報が埋め込まれている部分については、低周波成分は、上記状態0〜状態8の9通りの分布しかないことになる。しかし、高周波成分については、元の音響信号のままであるので、制作者の設定に基づいた種々な分布になる。また、上記の例で示したように、ステレオ音響信号を利用した場合には、左チャンネルにおいて変化させられた低周波成分は、上記〔数式11〕〜〔数式17〕の処理からも明らかなように、必ず右チャンネルの低周波成分に付加されている。したがって、右チャンネルが左チャンネルにおいて削除された成分を補っているため、両チャンネル全体として見ると、信号の劣化がない。人間の聴覚は、高周波成分については、方向性を感知し易いが、低周波成分については、方向性を感知しにくくなっている。したがって、低周波成分が一方に偏っていても、聴いている人にとっては、通常の音響信号と変わりなく聴こえることになる。
(4.音響信号からの情報の抽出装置)
次に、本発明に係る音響信号からの情報の抽出装置について説明する。図9は、本発明に係る音響信号からの情報の抽出装置の一実施形態を示す構成図である。図9において、100は音響信号入力手段、110は基準フレーム獲得手段、120は位相変更フレーム設定手段、130は周波数変換手段、140は符号判定パラメータ算出手段、150は符号出力手段、160は付加情報抽出手段、170は音響フレーム保持手段である。
音響信号入力手段100は、流れている音声をデジタル音響信号として取得し、入力する機能を有している。現実には、マイクロフォンおよびA/D変換器により実現される。マイクロフォンとしては、低周波成分が検出可能なものであれば、モノラル無指向性のものであっても、ステレオ指向性のものであっても使用可能である。ステレオ指向性のものであっても一方のチャンネルだけ利用すれば良い。また、図3に示した装置で情報の埋め込みを行った場合には、特別精度の高いものでなく、一般的な精度のマイクロフォンを用いても情報の抽出が可能となる。基準フレーム獲得手段110は、入力されたデジタルのモノラル音響信号(あるいはステレオ音響信号の1チャンネル)から所定数のサンプルで構成される音響フレームを基準フレームとして読み込む機能を有している。位相変更フレーム設定手段120は、基準フレームと所定サンプルずつ移動させることにより位相を変更した音響フレームを位相変更フレームとして設定する機能を有している。周波数変換手段130は、図3に示した周波数変換手段20と同様の機能を有している。
符号判定パラメータ算出手段140は、生成されたフレームスペクトルから所定の周波数以下に相当する各低周波強度データを抽出し、各成分に対応した各低周波強度データの合算値EC1〜EC4を以下の〔数式21〕に基づいて算出し、この合算値EC1〜EC4を符号判定パラメータとし、この符号判定パラメータEC1〜EC4の比率等に基づいて、所定の状態であると判断する機能を有している。以下の〔数式21〕は上記〔数式7〕において右チャンネル成分を削除したもので、抽出時には右チャンネル成分を参照しないためである。
〔数式21〕
C1=Σj=m,…,m+P-4{Al(1,j)2+Bl(1,j)2
C2=Σj=m,…,m+P-4{Al(3,j)2+Bl(3,j)2
C3=Σj=m+P,…,m+2P-4{Al(1,j)2+Bl(1,j)2
C4=Σj=m+P,…,m+2P-4{Al(3,j)2+Bl(3,j)2
符号出力手段150は、1つの基準フレームに対応する音響フレーム(基準フレームおよび位相変更フレーム)の中から最適な位相であると判断されるものを判断し、その音響フレームの状態に対応する符号を出力する機能を有している。
符号判定パラメータ算出手段140と符号出力手段150により符号化手段が構成される。付加情報抽出手段160は、符号出力手段150により出力された9値の配列を、所定の規則により変換して意味のある付加情報として抽出する機能を有している。音響フレーム保持手段170は、連続する2個の基準フレームを保持可能なバッファメモリである。図9に示した各構成手段は、現実には情報処理機能を有する小型のコンピュータおよびその周辺機器等のハードウェアに専用のプログラムを搭載することにより実現される。特に、本発明の目的をより簡易に達成するためには、携帯型端末装置をハードウェアとして用いることが望ましい。
(5.抽出装置の処理動作)
次に、図9に示した音響信号からの情報の抽出装置の処理動作について図10のフローチャートに従って説明する。まず、本装置では、平均符号レベルHL1〜HL8、位相判定テーブルS(p)、非符号カウンタNnを初期化する(S200)。これらについて説明する。平均符号レベルHL1〜HL8は、値1〜値8が埋め込まれていたと判断される音響フレーム(以下、有効フレームと呼ぶことにする)についての、上記〔数式21〕で算出される低周波成分の合算値EC1〜EC4を利用して得られるEC1+EC3、EC2+EC4、EC1+EC4、EC2+EC3、2・EC1、2・EC2、2・EC4、2・EC3それぞれの平均値、すなわち、過去の有効フレームにおけるこれらの値の平均値で与えられるものであり、初期値は、0.1に設定されている。位相判定テーブルS(p)は、位相を判定するためのテーブルであり、pは0〜5の整数値をとる。初期値はS(p)=0に設定されている。非符号カウンタNnは、信号レベルが低く、非符号(埋め込みエラーを示す情報)であると判断されるフレーム数のカウンタであり、初期状態では、Nn=0に設定される。
このように、初期値が設定されている状態で、利用者が流れている音楽について、その楽曲名等の属性情報を知りたいと思った場合、まず、抽出装置に対して、抽出装置としての起動の指示を行う。これは、例えば、抽出装置を携帯電話機等の携帯端末で実現している場合は、所定のボタンを操作することにより実行できる。抽出装置は、指示が入力されると、音響信号入力手段100が、流れている音楽を録音し、デジタル化してデジタル音響信号として入力する。具体的には、無指向性マイクロフォン(または指向性マイクロフォンの一方のチャンネル)から入力される音声を、A/D変換器によりデジタル化する処理を行うことになる。
続いて、基準フレーム獲得手段110が、音響信号入力手段100から入力された音響信号から、所定数のサンプルで構成される音響フレームを基準フレームとして抽出する(S201)。具体的には、基準フレームを抽出して音響フレーム保持手段170に読み込むことになる。基準フレーム獲得手段110が基準フレームとして読み込む1音響フレームのサンプル数は、図3に示した音響フレーム読込手段10で設定されたものと同一にする必要がある。したがって、本実施形態の場合、基準フレーム獲得手段110は、4096サンプルずつ、順次基準フレームとして読み込んでいくことになる。音響フレーム保持手段170には、上述のように2個の基準フレームが格納可能となっており、新しい基準フレームが読み込まれると、古い基準フレームを破棄するようになっている。したがって、音響フレーム保持手段170には、常に基準フレーム2個分(連続する8192サンプル)が格納されていることになる。
埋め込み装置で処理する音響フレームは、先頭から途切れることなく隣接して設定される基準フレームと、この基準フレームと位相を変更した位相変更フレームとに分けることができる。基準フレームについては、最初の基準フレームとしてサンプル番号1からサンプル番号4096までを設定したら、次の基準フレームは、サンプル番号4097からサンプル番号8192、さらに次の基準フレームは、サンプル番号8193からサンプル番号12288、というように途切れることなく設定される。そして、各基準フレームについて、1/6フレーム(約683サンプル)ずつ移動した5個の位相変更フレームを設定する。例えば、最初の基準フレームについては、サンプル番号683、1366、2049、2732、3413から始まる4096のサンプルで構成される5個の位相変更フレームが設定されることになる。続いて、周波数変換手段130、符号判定パラメータ算出手段140が、読み込んだ各音響フレームから、埋め込まれている情報を判定し、対応する符号を出力する(S202)。出力される情報の形式は、付加情報が埋め込まれる場合に対応する値1〜値8の8値、および値0の計9値の形式となる。
ここで、ステップS202の符号判定処理の詳細を図11のフローチャートに従って説明する。まず、周波数変換手段130が、読み込んだ各音響フレームに対して、周波数変換を行ってフレームスペクトルを得る(S401)。この処理は、図3に示した周波数変換手段20における処理と同様である。ただし、抽出に用いるのは、左チャンネルだけであるので、上記〔数式5〕に従った処理を行い、左チャンネルに対応する変換データの実部Al(1,j)等、虚部Bl(1,j)等を得る。
上記周波数変換手段130における処理により、周波数に対応した成分であるスペクトルで表現されたフレームスペクトルが得られる。続いて、符号判定パラメータ算出手段140は、平均符号レベルHL1〜HL8の算出を行う(S402)。具体的には、過去“状態1”であると判断された音響フレームについての合算値EC1と合算値EC3の和の積算値であるv1を、過去“状態1”であると判断された音響フレームの数であるn1で除算することによりHL1を算出し、過去“状態2”であると判断された音響フレームについての合算値EC2と合算値EC4の和の積算値であるv2を、過去“状態2”であると判断された音響フレームの数であるn2で除算することによりHL2を算出し、過去“状態3”であると判断された音響フレームについての合算値EC1と合算値EC4の和の積算値であるv3を、過去“状態3”であると判断された音響フレームの数であるn3で除算することによりHL3を算出し、過去“状態4”であると判断された音響フレームについての合算値EC2と合算値EC3の和の積算値であるv4を、過去“状態4”であると判断された音響フレームの数であるn4で除算することによりHL4を算出する。
さらに、過去“状態5”であると判断された音響フレームについての合算値EC1の2倍の積算値であるv5を、過去“状態5”であると判断された音響フレームの数であるn5で除算することによりHL5を算出し、過去“状態6”であると判断された音響フレームについての合算値EC2の2倍の積算値であるv6を、過去“状態6”であると判断された音響フレームの数であるn6で除算することによりHL6を算出し、過去“状態7”であると判断された音響フレームについての合算値EC3の2倍の積算値であるv7を、過去“状態7”であると判断された音響フレームの数であるn7で除算することによりHL7を算出し、過去“状態8”であると判断された音響フレームについての合算値EC4の2倍の積算値であるv8を、過去“状態8”であると判断された音響フレームの数であるn8で除算することによりHL8を算出する。したがって、平均符号レベルHL1〜HL4は、過去対応する状態であると判断された音響フレームの低周波強度データの合算値の平均値となる。平均符号レベルHL5〜HL8は、過去対応する状態であると判断された音響フレームの低周波強度データの合算値の2倍の平均値となる。
続いて、符号判定パラメータ算出手段140は、候補符号テーブルの初期化を行う(S403)。候補符号テーブルは、1つの基準フレームおよび5個の位相変更フレームを特定する0〜5の位相番号および、この6個の音響フレームの状態から得られる9値の符号を記録するものである。
続いて、符号判定パラメータ算出手段140は、合算値EC1〜合算値EC4を用いて、低周波成分の状態がどのような状態であるか、すなわち、2ビットの値としてどのような値が埋め込まれていたかを判断する処理を行う(S404)。具体的には、まず、以下の4群の判定処理を実行し、各群における全ての条件を満たす場合に、対応する状態であったと判断し、対応する値を出力する。
C1>0.0005・HL1、かつEC3>0.0005・HL3、かつEC1>2・EC2、かつEC3>2・EC4の場合、“状態1”であると判断し、値1を出力する。
C2>0.0005・HL2、かつEC4>0.0005・HL4、かつEC2>2・EC1、かつEC4>2・EC3の場合、“状態2”であると判断し、値2を出力する。
C1>0.0005・HL1、かつEC4>0.0005・HL4、かつEC1>2・EC2、かつEC4>2・EC3の場合、“状態3”であると判断し、値3を出力する。
C2>0.0005・HL2、かつEC3>0.0005・HL3、かつEC2>2・EC1、かつEC3>2・EC4の場合、“状態4”であると判断し、値4を出力する。
上記各群のいずれも満たさない場合は、符号判定パラメータ算出手段140は、さらに以下の各群における判定処理を実行して状態を判断し、対応する値を出力する。
C1>0.0005・HL1、かつEC1>2・EC2、かつEC1>EC3、かつEC1>EC4の場合、“状態5”であると判断し、値5を出力する。
C2>0.0005・HL2、かつEC2>2・EC1、かつEC2>EC3、かつEC2>EC4の場合、“状態6”であると判断し、値6を出力する。
C4>0.0005・HL4、かつEC4>2・EC3、かつEC4>EC1、かつEC4>EC2の場合、“状態7”であると判断し、値7を出力する。
C3>0.0005・HL3、かつEC3>2・EC4、かつEC3>EC1、かつEC3>EC2の場合、“状態8”であると判断し、値8を出力する。
符号判定パラメータ算出手段140は、各音響フレーム単位で、上記判定結果に応じて値1〜値8のいずれかを出力する(S407)。上記いずれの群の条件も満たさない場合は、“状態0”であると判断し、値0を出力する(S408)。この“状態0”は、合算値E1〜E4が下限値Lev以下であることにより、当該フレームに値1〜値8の記録が行なわれなかったことを示す埋め込みエラーを示すものとなる。
また、上記判定の結果、値1〜値8のいずれかを出力した場合には、さらに、以下の〔数式22〕に従って位相判定テーブルS(p)の更新を行う(S409)。
〔数式22〕
“状態1”であると判断し、値1を出力した場合、S(p)←S(p)+EC1+EC3
“状態2”であると判断し、値2を出力した場合、S(p)←S(p)+EC2+EC4
“状態3”であると判断し、値3を出力した場合、S(p)←S(p)+EC1+EC4
“状態4”であると判断し、値4を出力した場合、S(p)←S(p)+EC2+EC3
“状態5”であると判断し、値5を出力した場合、S(p)←S(p)+2・EC1
“状態6”であると判断し、値6を出力した場合、S(p)←S(p)+2・EC2
“状態7”であると判断し、値7を出力した場合、S(p)←S(p)+2・EC4
“状態8”であると判断し、値8を出力した場合、S(p)←S(p)+2・EC3
続いて、符号判定パラメータ算出手段140は、候補符号テーブルに、最適位相となる候補を保存する(S410)。具体的には、位相判定テーブルに記録されているS(p)の値が最大となる位相番号pの値、前記S407、S408により判定された9値のいずれかの符号、その音響フレームについての上記〔数式21〕に従った処理を実行することにより算出した、低周波数成分に対応するEC1+EC3、EC2+EC4、EC1+EC4、EC2+EC3、2・EC1、2・EC2、2・EC4、2・EC3のいずれかを最適位相の候補として候補符号テーブルに保存する。
続いて、全ての位相番号pに対応する処理を終えたかどうかを判定する(S411)。これは、ある基準フレームに対して全ての位相変更フレームの処理を行ったかどうかを判定している。本実施形態では、pが0〜5までの値をとるので、6回分処理していない場合は、処理していた音響フレームから所定サンプル数ずらして、位相の異なる音響フレームを設定し、S404に戻って処理を繰り返す。なお、p=0の場合が基準フレームであり、p=1〜5の場合が位相変更フレームである。全ての位相番号pに対応する処理を終えた場合は、候補保存テーブルに記録されている位相番号pに対応する位相が最適位相であると判定し、候補保存テーブルに記録されている符号を出力する(S412)。
再び図10のフローチャートに戻って説明する。S202による処理の結果、値1〜値8に相当する符号が出力された場合には、平均符号レベルのパラメータの更新処理を行う(S203)。具体的には、平均符号レベルHL1〜HL8算出の際の分子となる積算値v1〜v8に、それぞれEC1+EC3、EC2+EC4、EC1+EC4、EC2+EC3、2・EC1、2・EC2、2・EC4、2・EC3のいずれかを加算して積算値v1〜v8を更新し、分母となるフレーム数n1〜n8にそれぞれ1を加算してフレーム数n1〜n8を更新することにより行う。n1〜n8はあらかじめ設定したnmax(例えば100)を超えないように設定する。
ここからは、出力された値が値1〜4であるか、値5〜8であるかにより異なる。値5〜8である場合、非符号カウンタの初期化処理を行う(S204)。具体的には、上記S200の初期化処理における処理と同様、非符号カウンタNn=0と設定する。続いて、出力された値から4減じた値、すなわち値1〜4に対応する2ビットの値をバッファに保存する(S205)。続いて、ビットカウンタを“2”だけカウントアップする(S206)。そして、S201に戻って、次の基準フレームを抽出する処理を行う。
S202において出力された値が値1〜4である場合、出力された2ビットの値をバッファに保存する(S207)。値1〜4は、1ワードの終了を示しているので、バッファに記録された1ワード分のデータを、付加情報抽出手段160が出力する(S208)。そして、ビットカウンタを0に初期化する(S209)。そして、S201に戻って、次の基準フレームを抽出する処理を行う。
S202による処理の結果、値0が出力された場合には、非符号カウンタのカウントアップ処理を行う(S210)。具体的には、非符号カウンタNnの値に1を加算する。そして、非符号カウンタNnの値がnmax以上である場合は、S200に戻って初期化処理を行う。非符号カウンタNnの値がnmax未満である場合は、S201に戻って符号抽出処理を継続する。図10に示す処理を各基準フレームに対して実行することにより、付加情報が抽出されることになる。S201において全ての基準フレームが抽出されたと判断された場合には、処理を終了する。
上記S208の処理において、付加情報抽出手段160は、まず、符号出力手段150により出力された値を、所定の規則により変換して意味のある付加情報として抽出する。所定の規則としては、情報を埋め込む者が意図した情報が受け取った者に認識可能な状態とできるものであれば、さまざまな規則が適用できるが、本実施形態では、文字情報として認識するための規則としている。すなわち、付加情報抽出手段160は、符号判定パラメータ算出手段140が判定し、符号出力手段150から出力される符号から得られる2ビット値の配列を1バイト(8ビット)単位で認識し、これを設定されたコード体系に従って文字情報を認識する。このようにして得られた文字情報は、表示装置(図示省略)の画面に表示出力される。
従って、埋め込み装置により音響信号に、その楽曲の曲名やアーチスト等の属性情報を文字情報として埋め込んでおけば、利用者は、その音楽が流れているのを聞いて、その曲名やアーチストを知りたいと思ったときに、抽出装置として機能する自身の携帯端末に所定の操作を行えば、自身の携帯端末の画面に曲名やアーチスト等の属性情報が文字情報として表示されることになる。
(6.位相補正処理について)
上記のように、抽出時には、埋め込み時に埋め込んだ音響フレームに対応して、音響信号を読み込むことができるとは限らない。そこで、音響フレームの位相をずらして複数通り(本実施形態では6通り)で読み込み、その中で最適な位相を決定し、その位相で特定される音響フレームに対応する符号を出力することにしている。例えば、6通りで読み込む場合、先頭の音響フレームは、本来サンプル番号1〜4096のサンプルであるが、サンプル番号1、683、1366、2049、2732、3413から始まる4096のサンプルで構成される6個の各音響フレームに対して処理を行い、最適な音響フレームに対応する符号を出力することになる。この位相補正処理は、S403、S409、S410、S411、S412における処理を中心として行われることになる。
(7.下限閾値補正処理について)
信号レベルが小さい場合には、窓成分の強度の大小が判定できず、抽出側で誤判断することが多くなる。そこで、合算値EC1〜EC4が所定の閾値以下のフレームについては、無効なフレームであると判断するようにしているが、この際の閾値を過去の有効フレームについての低周波強度の積算値を利用して補正する処理を行っている。このように閾値を変動させることにより、信号レベルが変動しても無効なフレームであるか、有効なフレームであるかを正確に判断することが可能となる。この下限閾値補正処理は、S402、S203における処理を中心として行われることになる。
(8.モノラル音響信号の場合)
上記実施形態においては、埋め込み装置、抽出装置のいずれにおいても、左右のチャンネルを有するステレオ音響信号の左チャンネル信号に付加情報を埋め込む場合を例にとって説明したが、逆に右チャンネル信号に付加情報を埋め込むようにしても良い。本発明は、左右の特性には無関係だからである。また、1つのチャンネルしかないモノラル音響信号に対して処理を行う場合は、上記実施形態において、左チャンネル信号に対して行った処理を行うことになる。本発明は、1つのチャンネル信号に対して付加情報を埋め込み、また抽出を行うので、モノラル音響信号であってもステレオ音響信号であっても同様に行うことができる。
(9.信号成分が小さくても情報の埋め込みを可能とする手法)
ここまで、説明してきた処理においては、上記E1〜E4が所定値より大きいことが必要となり、上記E1〜E4が所定値以下の場合には、情報の埋め込みを行うことができない。そこで、以下、上記E1〜E4が所定値以下であっても、信号の埋め込みを可能とする手法について説明する。
この場合、図3に示した埋め込み装置における情報の埋め込み処理は、図6のフローチャートに従って行われるが、合算値E1〜E4がレベル下限値Lev以下となることがなくなるため、S109において低周波成分変更手段30がレベルの判定を行わない。これは、この処理では、信号レベルが小さくても強制的に情報を埋め込むこととしているため、情報の埋め込みが不可能な信号レベルが小さい部分が存在するかどうかを判断し、区切りモードに設定する必要がないからである。
したがって、S111における状態1〜状態8に設定する処理としては、まず、以下の〔数式23〕に従って算出される固定値Vを、低周波成分の強度として設定する。
〔数式23〕
V={0.5・Lev/(2P−6)}1/2
そして、状態1とする場合は、上記〔数式8〕に従った処理を実行した後、以下の〔数式24〕に従った処理を実行する。
〔数式24〕
j=m〜m+P−4、m+P〜m+2P−4の各成分に対して
Al´(1,j)=Al(1,j)・V/{Al(1,j)2+Bl(1,j)21/2
Bl´(1,j)=Bl(1,j)・V/{Al(1,j)2+Bl(1,j)21/2
状態2とする場合は、上記〔数式9〕に従った処理を実行した後、以下の〔数式25〕に従った処理を実行する。
〔数式25〕
j=m〜m+P−4、m+P〜m+2P−4の各成分に対して
Al´(3,j)=Al(3,j)・V/{Al(3,j)2+Bl(3,j)21/2
Bl´(3,j)=Bl(3,j)・V/{Al(3,j)2+Bl(3,j)21/2
状態3とする場合は、上記〔数式10〕に従った処理を実行した後、以下の〔数式26〕に従った処理を実行する。
〔数式26〕
j=m〜m+P−4の各成分に対して
Al´(1,j)=Al(1,j)・V/{Al(1,j)2+Bl(1,j)21/2
Bl´(1,j)=Bl(1,j)・V/{Al(1,j)2+Bl(1,j)21/2
j=m+P〜m+2P−4の各成分に対して
Al´(3,j)=Al(3,j)・V/{Al(3,j)2+Bl(3,j)21/2
Bl´(3,j)=Bl(3,j)・V/{Al(3,j)2+Bl(3,j)21/2
状態4とする場合は、上記〔数式11〕に従った処理を実行した後、以下の〔数式27〕に従った処理を実行する。
〔数式27〕
j=m〜m+P−4の各成分に対して
Al´(3,j)=Al(3,j)・V/{Al(3,j)2+Bl(3,j)21/2
Bl´(3,j)=Bl(3,j)・V/{Al(3,j)2+Bl(3,j)21/2
j=m+P〜m+2P−4の各成分に対して
Al´(1,j)=Al(1,j)・V/{Al(1,j)2+Bl(1,j)21/2
Bl´(1,j)=Bl(1,j)・V/{Al(1,j)2+Bl(1,j)21/2
状態5とする場合は、上記〔数式12〕に従った処理を実行した後、以下の〔数式28〕に従った処理を実行する。
〔数式28〕
j=m〜m+P−4の各成分に対して
Al´(1,j)=Al(1,j)・V/{Al(1,j)2+Bl(1,j)21/2
Bl´(1,j)=Bl(1,j)・V/{Al(1,j)2+Bl(1,j)21/2
状態6とする場合は、上記〔数式13〕に従った処理を実行した後、以下の〔数式29〕に従った処理を実行する。
〔数式29〕
j=m〜m+P−4の各成分に対して
Al´(3,j)=Al(3,j)・V/{Al(3,j)2+Bl(3,j)21/2
Bl´(3,j)=Bl(3,j)・V/{Al(3,j)2+Bl(3,j)21/2
状態7とする場合は、上記〔数式14〕に従った処理を実行した後、以下の〔数式30〕に従った処理を実行する。
〔数式30〕
j=m+P〜m+2P−4の各成分に対して
Al´(3,j)=Al(3,j)・V/{Al(3,j)2+Bl(3,j)21/2
Bl´(3,j)=Bl(3,j)・V/{Al(3,j)2+Bl(3,j)21/2
状態8とする場合は、上記〔数式15〕に従った処理を実行した後、以下の〔数式31〕に従った処理を実行する。
〔数式31〕
j=m+P〜m+2P−4の各成分に対して
Al´(1,j)=Al(1,j)・V/{Al(1,j)2+Bl(1,j)21/2
Bl´(1,j)=Bl(1,j)・V/{Al(1,j)2+Bl(1,j)21/2
〔数式24〕〜〔数式31〕により算出されたAl´、Bl´の値を、上記〔数式7〕におけるAl、Blに代えて用いると、E1〜E4=Levとなるため、S109において、Levとの大小関係の判断を行う必要が不要となる。
上記のように、周波数成分が小さい場合に情報を埋め込んだ場合であっても、抽出側の、音響信号からの情報の抽出装置の構成は図9と同一であり、処理動作は図10のフローチャートに従ったものと同一である。
従来の手法による低周波成分の変化の状態を示す図である。 本発明による低周波成分の変化の状態を示す図である。 音響信号に対する情報の埋め込み装置の機能ブロック図である。 本発明で用いる窓関数を示す図である。 本発明の処理による周波数成分全体の状態を示す図である。 図3に示した装置の処理概要を示すフローチャートである。 従来の手法によるビット埋め込みの手順を示す図である。 本発明によるビット埋め込みの手順を示す図である。 本発明に係る音響信号からの情報の抽出装置の機能ブロック図である。 図9に示した装置の処理概要を示すフローチャートである。 図10のS202の符号判定処理の詳細を示すフローチャートである。
符号の説明
10・・・音響フレーム読込手段
20・・・周波数変換手段
30・・・低周波成分変更手段
40・・・周波数逆変換手段
50・・・改変音響フレーム出力手段
60・・・記憶手段
61・・・音響信号記憶部
62・・・付加情報記憶部
63・・・改変音響信号記憶部
70・・・付加情報読込手段
100・・・音響信号入力手段
110・・・基準フレーム獲得手段
120・・・位相変更フレーム設定手段
130・・・周波数変換手段
140・・・符号判定パラメータ算出手段
150・・・符号出力手段
160・・・付加情報抽出手段
170・・・音響フレーム保持手段

Claims (10)

  1. 時系列のサンプル列で構成される音響信号に対して、付加情報を聴取不能な状態で埋め込む装置であって、
    前記音響信号より、所定数のサンプルを音響フレームとして読み込む音響フレーム読込手段と、
    前記音響フレームに対して第1窓関数、第2窓関数、第3窓関数を用いてそれぞれ周波数変換を行い、前記第1窓関数に対応するスペクトルである第1窓スペクトル、前記第2窓関数に対応するスペクトルである第2窓スペクトル、前記第3窓関数に対応するスペクトルである第3窓スペクトルを生成する周波数変換手段と、
    前記生成された第1窓スペクトルから互いに重複しない2つの低周波数範囲のスペクトル集合SP1UとSP1Dを抽出するとともに、前記第3窓スペクトルから互いに重複しない2つの低周波数範囲のスペクトル集合SP3UとSP3Dを抽出し、前記埋め込むべき付加情報の情報配列および当該情報配列の付加情報内の1単位における位置に基づいて、SP1U、SP1D、SP3U、SP3Dの割合を変更すると共に、中央の第2窓関数に対応する低周波成分を除去する低周波成分変更手段と、
    前記変更された低周波スペクトルを含む各窓スペクトルに対して周波数逆変換を行って、改変音響フレームを生成する周波数逆変換手段と、
    前記生成された改変音響フレームを順次出力する改変音響フレーム出力手段と、
    を有することを特徴とする音響信号に対する情報の埋め込み装置。
  2. 請求項1において、
    前記低周波成分変更手段は、所定の固定値Vを利用して、SP1U、SP1D、SP3U、SP3Dのいずれかに所定の強度を与えることにより、前記SP1U、SP1D、SP3U、SP3Dのスペクトル強度の割合を変更するものであることを特徴とする音響信号に対する情報の埋め込み装置。
  3. 請求項1または請求項2において、
    前記音響フレーム読込手段は、先行する音響フレームと所定数のサンプルを重複させて読み込み、読み込んだ音響フレーム全体に所定の窓関数を乗じて前記周波数変換手段に渡すものであり、
    前記改変音響フレーム出力手段は、前記生成された改変音響フレームを先行する改変音響フレームと連結させて出力するものであることを特徴とする音響信号に対する情報の埋め込み装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかにおいて、
    前記低周波成分変更手段は、前記低周波数範囲をF1以上およびF2以下に設定し、前記スペクトル集合SP1DおよびSP3Dの下限周波数はF1に一致させて設定し、前記スペクトル集合SP1DおよびSP3Dの上限周波数はSP1UおよびSP3Uの下限周波数より所定の幅だけ小さく設定し、前記SP1UおよびSP3Uの上限周波数はF2より所定の幅だけ小さく設定し、直流成分から前記SP1DおよびSP3Dの下限周波数までのギャップ領域をG1DおよびG3Dとし、SP1DおよびSP3Dの上限周波数とSP1UおよびSP3Uの下限周波数までのギャップ領域をG1MおよびG3Mとし、SP1UおよびSP3Uの上限周波数からF2までのギャップ領域をG1UおよびG3Uとするとき、前記全てのギャップ領域の成分を常に除去するものであることを特徴とする音響信号に対する情報の埋め込み装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかにおいて、
    前記低周波成分変更手段は、前記F1を150Hz、前記F2を400Hzに設定するものであることを特徴とする音響信号に対する情報の埋め込み装置。
  6. 請求項1または請求項4において、
    前記音響信号が左右2チャンネルの時系列のサンプル列で構成されるステレオ音響信号であって、
    前記音響フレーム読込手段は、各チャンネルに対応する音響フレームをそれぞれ読み込み、
    前記周波数変換手段は、各チャンネルの音響フレームに対して周波数変換を行い、各チャンネル別の第1窓スペクトル、第2窓スペクトル、第3窓スペクトルを生成するものであり、
    前記低周波成分変更手段は、一方のチャンネルの窓スペクトルから抽出した所定の低周波数範囲に対応する各スペクトル集合に対して、前記埋め込むべき付加情報の情報配列および当該情報配列の付加情報内の1単位における位置に基づいて、SP1U、SP1D、SP3U、SP3Dの割合を変更するにあたり、SP1U、SP1D、SP3U、SP3Dのいずれかの成分を除去する際、前記一方のチャンネルにおいて行われた変更により除去された成分を補足するよう他方のチャンネルの前記スペクトル集合間の割合を変更するものであり、
    前記周波数逆変換手段は、各チャンネルについて、変更されたスペクトル集合を含むフレームスペクトルに対して周波数逆変換を行って改変音響フレームを生成し、前記改変音響フレーム出力手段は、各チャンネルについて、生成された改変音響フレームを順次出力するものであることを特徴とする音響信号に対する情報の埋め込み装置。
  7. コンピュータを、請求項1から請求項6のいずれかに記載の音響信号に対する情報の埋め込み装置として、機能させるためのプログラム。
  8. 音響信号から、あらかじめ聴取不能な状態で埋め込まれた付加情報を抽出する装置であって、
    前記音響信号の所定区間をデジタル化して、所定数のサンプルで構成される音響フレームを獲得する音響フレーム獲得手段と、
    前記音響フレームに対して第1窓関数、第3窓関数を用いてそれぞれ周波数変換を行い、前記第1窓関数に対応するスペクトルである第1窓スペクトル、前記第3窓関数に対応するスペクトルである第3窓スペクトルを生成する周波数変換手段と、
    前記生成された第1窓スペクトルから互いに重複しない2つの低周波数範囲のスペクトル集合SP1UとSP1Dを抽出するとともに、前記第3窓スペクトルから互いに重複しない2つの低周波数範囲のスペクトル集合SP3UとSP3Dを抽出し、4種類のスペクトル集合SP1U、SP1D、SP3U、SP3Dのスペクトル強度を算出し、その各スペクトル強度の大きさおよび2種類のスペクトル強度の大小関係に基づいて、埋め込まれていた付加情報の情報配列および当該情報配列の付加情報内の1単位における位置を示す所定の符号を出力する符号化手段と、
    前記出力された符号に対応する情報配列を、所定の規則により変換して付加情報を抽出する付加情報抽出手段と、
    を有することを特徴とする音響信号からの情報の抽出装置。
  9. 請求項8において、
    前記音響フレーム獲得手段は、前記音響信号から、所定数のサンプルで構成される音響フレームを基準フレームとして獲得する基準フレーム獲得手段と、前記基準フレームと所定サンプルずつ移動させることにより位相を変更して設定される複数の音響フレームを位相変更フレームとして設定する位相変更フレーム設定手段により構成され、
    前記符号化手段は、前記抽出したスペクトル集合に基づいて、符号判定パラメータを算出する符号判定パラメータ算出手段と、基準フレームが異なる過去の同位相の音響フレームにおいて算出された符号判定パラメータに基づいて、前記基準フレームおよび複数の位相変更フレームのうち1つの音響フレームを位相が最適なものであると判断し、当該最適な位相の音響フレームについて判断された前記符号判定パラメータに基づいて、所定の符号を出力する符号出力手段を有するものであることを特徴とする音響信号からの情報の抽出装置。
  10. コンピュータを、請求項8または請求項9に記載の音響信号からの情報の抽出装置として、機能させるためのプログラム。

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