JP2008009706A - 巨大分子系電子状態計算方法、巨大分子系電子状態計算装置、コンピュータに巨大分子系電子状態計算を実行させるためのプログラムおよび巨大分子系電子状態計算方法を用いた量子分子動力学法 - Google Patents

巨大分子系電子状態計算方法、巨大分子系電子状態計算装置、コンピュータに巨大分子系電子状態計算を実行させるためのプログラムおよび巨大分子系電子状態計算方法を用いた量子分子動力学法 Download PDF

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Abstract

【課題】巨大分子系の電子状態を計算時間が短く且つ計算精度を維持しながら計算する巨大分子系電子状態計算方法を提供することである。
【解決手段】巨大分子系電子状態計算方法は、経験的パラメータを用いずに、巨大分子系の電子状態を計算し、巨大分子系を局在化分子軌道が構築でき、且つ所定の原子数以下のフラグメントに分割し、フラグメント毎に分子軌道を計算し、分子軌道と原子軌道との重なり積分を計算し、分子軌道間の軌道相互作用エネルギーを計算し、重なり積分および軌道相互作用エネルギーを用いて、原子軌道間相互作用エネルギーおよび行列を計算し、原子軌道間相互作用エネルギー、行列および原子軌道を用いて、固有方程式を解いて固有ベクトルを計算し、固有ベクトルおよび原子軌道を用いて、局在化分子軌道を計算し、局在化分子軌道を用いて、巨大分子系の電子状態を計算する。
【選択図】図3

Description

この発明は、巨大分子系の電子状態を計算する巨大分子系電子状態計算方法、巨大分子系電子状態計算装置、コンピュータに巨大分子系の電子状態計算を実行させるためのプログラムおよび巨大分子系電子状態計算方法を用いた量子分子動力学法に関するものである。
巨大分子系の電子状態の計算方法としては、巨大分子系全ての座標をインプットして全系を取り扱う通常の計算法がある(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
しかし、この方法では正準分子軌道を基底としたFock行列の固有値問題を解く必要があるため、計算規模が大きくなる。
これに対し、巨大分子系を、通常の電子状態計算法により計算可能となる原子数以下のフラグメントに分割し、該分割したフラグメントを計算対象として求めた局在化分子軌道に基づいて、巨大分子系全体の電子状態を計算する方法が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
特開2003−316762号公報 特開2004−239685号公報 N.A.Anikin、他4名、「LocalSCF method for semiempirical quantum−chemical calculation of ultralarge biomolecules」、JOURNAL OF CHEMICAL PHYSICS、American Institute of Physics、2004年7月15日、第121巻、第3号、p.1266−1270
しかし、フラグメントに分割して電子状態を計算する方法では、フラグメントが小さくなるように分割すると分割数が多くなり計算時間が短くなるが、フラグメント間の相互作用が大きいため、計算精度が劣るという問題がある。逆に、フラグメントが大きくなるように分割すると分割数が少なくなりフラグメント間の相互作用をしっかり評価できるため、計算精度は高くなるが、計算量が増大するため計算時間が長くなるという問題がある。
このような巨大分子系全体の電子状態を求める方法にあっては、フラグメント間の相互作用に起因して、計算時間と計算精度を両立させることが困難であるため、巨大分子系全体の電子状態を効率よく計算することができないという問題がある。
この発明の目的は、巨大分子系の電子状態を計算時間が短く且つ計算精度を維持しながら計算する巨大分子系電子状態計算方法、巨大分子系電子状態計算装置、コンピュータに巨大分子系の電子状態計算を実行させるためのプログラムおよび巨大分子系電子状態計算方法を用いた量子分子動力学法を提供することである。
この発明に係わる巨大分子系電子状態計算方法は、経験的パラメータを用いずに、巨大分子系の電子状態を計算する巨大分子系電子状態計算方法において、上記巨大分子系を、局在化分子軌道が構築でき、且つ所定の原子数以下のフラグメントに分割するステップと、上記フラグメント毎に分子軌道を計算するステップと、上記分子軌道と原子軌道との重なり積分を計算するステップと、上記分子軌道間の軌道相互作用エネルギーを計算するステップと、上記重なり積分および上記軌道相互作用エネルギーを用いて、上記原子軌道間相互作用エネルギーおよび行列を計算するステップと、上記原子軌道間相互作用エネルギー、上記行列および上記原子軌道を用いて、固有方程式を解いて固有ベクトルを計算するステップと、上記固有ベクトルおよび上記原子軌道を用いて、局在化分子軌道を計算するステップと、上記局在化分子軌道を用いて、上記巨大分子系の電子状態を計算するステップと、を含む。
この発明に係わる巨大分子系電子状態計算方法の効果は、巨大分子系をフラグメントに分割し、フラグメント毎に分子軌道を計算し、その分子軌道を用いて分子軌道と原子軌道間の重なり積分と分子軌道間の軌道相互作用エネルギーを計算し、重なり積分と分子軌道間の軌道相互作用エネルギーを用いて原子軌道間相互作用エネルギーと係数行列を計算し、この原子軌道間相互作用エネルギーと係数行列とを用いて局在化分子軌道を求めており、フラグメント間の相互作用を考慮しているので、局在化分子軌道の計算精度が巨大分子系全体を1つにして計算したときの精度が維持されている。そして、巨大分子系をフラグメントに分割して分子軌道を計算しているので、巨大分子系全体を1つにして分子軌道を計算したときに比べて計算時間が大幅に短縮することができる。
実施の形態1.
この発明の説明に先立って、使用する用語を定義する。
「巨大分子系」とは、分子量が巨大な分子だけではなく、分子量が小さな分子が集合することにより合算した分子量が巨大分子に匹敵する集合体も意味する。なお、この発明では、巨大分子系は計算負荷が大きいために計算時間と計算に要するメモリー容量の関係で容易に計算できないものを意味するので、電子計算機の演算能力や計算の難易度が関係する。
この発明の巨大分子系電子状態計算方法を適用する巨大分子系としては、分子量の大きな分子、高分子化合物、分子集合体、高分子集合体、結晶性化合物、または非晶性化合物がある。例えば、生体材料、導電性材料、磁性材料、半導体表面または金属錯体が挙げられる。
「電子状態」とは、物質(原子、分子なども含む)における電子の状態のことを意味し、具体的な電子の状態として、電荷密度、電荷分布、バンド構造、電子の準位、磁気構造、電子のスピンの状態、フェルミ面、状態密度、原子間の結合の状態などが挙げられる。
「局在化分子軌道が構築できる長さ以上」とは、2つの原子間の長さ以上を意味する。
「所定の電子状態計算方法」には、例えば、LocalSCF法、フラグメントMO法が含まれる。
「所定の電子状態計算方法により計算可能となる原子数以下」とは、電子計算機の能力に依存しますが、計算時間の観点から、200以下、計算時間を考慮すると100以下が好ましく、さらに好ましくは30以下を意味する。
「経験的パラメータ」とは、物理的考察から得られるパラメータであり、経験的パラメータを用いずに」とは、物理定数を用いて分子積分を行うことを意味する。
図1は、この発明の実施の形態1に係わる巨大分子系電子状態計算装置の構成図である。
この発明の実施の形態1に係わる巨大分子系電子状態計算装置は、図1に示すように、コンピュータ1から構成されており、コンピュータ1は、計算を実行するプロセッサ2、プロセッサ2が実行する手順が記述されたプログラムが記憶されているROM3、計算の過程で使用するデータが記憶されるRAM4、計算に必要なデータを外部から入力し、計算結果を外部に出力するインターフェース回路5を備える。
なお、図示しないがコンピュータには、分子構造、計算条件を入力する入力装置、計算結果を出力する出力装置、外部にデータを記憶する外部記憶装置を備える。
図2は、この発明の実施の形態1に係わるコンピュータの機能ブロック図である。
そして、コンピュータ1は、図2に示すように、巨大分子系を分割して得られ、局在化分子軌道が構築でき、且つ所定の原子数以下のフラグメント毎に分子軌道を計算する分子軌道計算手段11と、分子軌道と原子軌道との重なり積分を計算する重なり積分計算手段12と、分子軌道間の軌道相互作用エネルギーを計算する軌道相互作用エネルギー計算手段13と、重なり積分および軌道相互作用エネルギーを用いて、原子軌道間相互作用エネルギーおよび行列を計算する係数計算手段14と、原子軌道間相互作用エネルギー、行列および原子軌道を含む固有方程式を解いて固有ベクトルを計算する固有値解析手段15と、固有ベクトルおよび原子軌道を用いて、局在化分子軌道を計算する局在化分子軌道計算手段16と、局在化分子軌道を用いて、巨大分子系の電子状態を計算する電子状態計算手段17と、を有する。
図3は、この発明の実施の形態1に係わる巨大分子系電子状態計算方法のステップを示すフローチャートである。
この発明の実施の形態1に係わる巨大分子系電子状態計算装置で行う巨大分子系電子状態計算方法を図3を参照して説明する。
ステップS101で、計算対象の原子数N個の巨大分子系を、局在化分子軌道が構築できる長さ以上で所定の電子状態計算法方法により計算可能となる原子数n個のm個のフラグメントに分割する。以下の説明では、フラグメントに番号p=1〜mを付加する。また、フラグメントpに含まれる原子数をnとする。
ステップS102で、分子軌道計算手段11は、フラグメントp毎に原子軌道χを基底関数に用いてフラグメントpの分子軌道φpiを、式(1)に示すように、基底関数展開し、ハートリー・フォック方程式を展開係数Capiに関する代数方程式に変形する。そして、エネルギー表式の展開係数Capiについてのリッツの変分を行い、フラグメントp毎の分子軌道φpiを計算する。
Figure 2008009706
ステップS103で、重なり積分計算手段12は、フラグメントp毎に計算された分子軌道φpiと巨大分子系全体の原子軌道χを用いて、式(2)に従って分子軌道φpiと原子軌道χとの重なり積分Spiaを計算する。
ステップS104で、軌道相互作用エネルギー計算手段13は、異なるフラグメントβ、γの分子軌道φβi、φγj間の軌道相互作用エネルギーVβi,γjを式(3)に従って計算する。
Figure 2008009706
ステップS105で、係数計算手段14は、計算して得られた重なり積分Spiaと軌道相互作用エネルギーVβi,γjを用いて、原子軌道χと原子軌道χ間の相互作用エネルギーWabを計算する。このとき最初に、分子軌道を被占軌道(OCC)と空軌道(VAC)とに分けて、一方のフラグメントの被占軌道(OCC)と他方のフラグメントの被占軌道(OCC)、一方のフラグメントの被占軌道(OCC)と他方のフラグメントの空軌道(VAC)、一方のフラグメントの空軌道(VAC)と他方のフラグメントの被占軌道(OCC)、一方のフラグメントの空軌道(VAC)と他方のフラグメントの空軌道(VAC)に関して、式(4)に示すようにして計算し、その後、計算して得られた相互作用エネルギーを式(5)に示すようにして加算して、巨大分子系全体の相互作用エネルギーWabを求める。そして、係数計算手段14は、計算して得られた相互作用エネルギーWabを用いて、相互作用エネルギー行列Wを式(6)のようにして構成する。
Figure 2008009706
ステップS106で、係数計算手段14は、計算して得られた重なり積分Spiaと軌道相互作用エネルギーVβi,γjを用いて、行列要素Tabを計算する。このとき最初に、分子軌道を被占軌道(OCC)と空軌道(VAC)とに分けて、一方のフラグメントの被占軌道(OCC)と他方のフラグメントの被占軌道(OCC)、一方のフラグメントの被占軌道(OCC)と他方のフラグメントの空軌道(VAC)、一方のフラグメントの空軌道(VAC)と他方のフラグメントの被占軌道(OCC)、一方のフラグメントの空軌道(VAC)と他方のフラグメントの空軌道(VAC)に関して、式(7)に示すようにして行列要素を計算し、その後、計算して得られた行列要素を式(8)に示すようにして加算して、巨大分子系全体の行列要素Tabを求める。そして、係数計算手段14は、計算して得られた行列要素Tabを用いて、行列Tを式(9)のようにして構成する。
Figure 2008009706
ステップS107で、固有値解析手段15は、相互作用エネルギー行列W、行列T、固有値λを用いて、式(10)に示す固有方程式の固有ベクトルUを求める。なお、固有ベクトルUは、式(11)のように、ベクトルの要素Ubaで表されている。
Figure 2008009706
ステップS108で、局在化分子軌道計算手段16は、固有ベクトルUと原子軌道χ(d=1〜N)を用いて、式(12)に従って局在化分子軌道ηを計算する。
Figure 2008009706
ステップS109で、電子状態計算手段17は、局在化分子軌道ηを用いて、電子状態を計算する。
このような巨大分子系電子状態計算方法では、巨大分子系をフラグメントに分割し、フラグメント毎に分子軌道を計算し、その分子軌道を用いて分子軌道と原子軌道間の重なり積分と分子軌道間の軌道相互作用エネルギーを計算し、重なり積分と分子軌道間の軌道相互作用エネルギーを用いて原子軌道間相互作用エネルギーと係数行列を計算し、この原子軌道間相互作用エネルギーと係数行列とを用いて局在化分子軌道を求めており、フラグメント間の相互作用を考慮しているので、局在化分子軌道の計算精度が巨大分子系全体を1つにして計算したときの精度が維持されている。そして、巨大分子系をフラグメントに分割して分子軌道を計算しているので、巨大分子系全体を1つにして分子軌道を計算したときに比べて計算時間が大幅に短縮することができる。
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係わる巨大分子系電子状態計算方法は、実施の形態1に係わる巨大分子系電子状態計算方法と計算して得られた局在化分子軌道を用いることは同様であるがそれを用いて電子状態を計算する方法が異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分には同じ符号を付記して説明は省略する。特に、局在化分子軌道ηを求めるまでの計算は、実施の形態1と同様である。
実施の形態2に係わる巨大分子系電子状態計算方法では、電子状態の計算に密度汎関数理論に基づいた化学ポテンシャル平衡近似法を用いている。この化学ポテンシャル平衡近似法では、式(13)に従って、異なるフラグメントpとフラグメントq間の電子移動量ΔNpqを求める。ここで、μ とξは、それぞれ、フラグメントpの化学ポテンシャルとハードネス、f(r)はフラグメントpのFukui関数、Δv(r)はフラグメントp上の電子に働く有効外部ポテンシャルを表す。また、μ とξは、それぞれ、フラグメントqの化学ポテンシャルとハードネス、f(r)はフラグメントqのFukui関数、Δv(r)はフラグメントq上の電子に働く有効外部ポテンシャルを表す。
Figure 2008009706
次に、電子移動量ΔNabを用いて、式(14)に従ってフラグメントpとフラグメントq間の相互作用エネルギーΔEpqを計算する。ここで、ρはフラグメントpの電子密度、ρはフラグメントqの電子密度である。
Figure 2008009706
このように化学ポテンシャル平衡近似法は簡便な計算法ではあるが、事前にフラグメント間の電子分布を定量的に求めておくことが必要である。しかし、従来の正準分子軌道法または局在化分子軌道法のように巨大分子系全てを1つの計算対象とすると、電子分布を定量的に求めるための計算時間が長くなってしまう。一方、この発明のように小さなフラグメントに分割して分子軌道を求めるので、電子分布を定量的に求めるための計算時間を大幅に短縮することができる。また、フラグメント間の電子分布を定量的に求めるとき、フラグメント間の相互作用を考慮した上で分子軌道が求められ、それを用いて電子分布を定量的に求めているので、化学ポテンシャル平衡近似法を用いても精度良く電子状態を計算することができる。
実施の形態3.
この発明の実施の形態3として、ネオジウム系希土類磁石材料へ適用した巨大分子系電子状態計算方法について説明する。なお、この実施の形態3に示す例は、巨大分子系電子状態計算方法を好適に説明するための例示に過ぎず、この発明の内容を限定するものではない。
図4は、NdFe14B結晶の計算に用いた単位セルの構造図である。
ネオジウム系希土類磁石としてのNdFe14B結晶の単位セルは、図4に示すように、68個の原子から構成されている。電子状態の計算は、この単位セルに隣接する最近接単位セルの半分だけを考慮した544個の原子から構成されるスーパーセルに対して行った。中心に配置された単位セルの電子状態を用いて減磁曲線を評価した。スーパーセルに対する計算では、68個のフラグメントに分割して行った。
図5は、NdFe14B結晶の温度295Kにおける減磁曲線を示したものである。図5における実線と一点鎖線は、それぞれ、この発明に係わる巨大分子系電子状態計算方法と特開2004−239685公報に記載の従来の巨大分子系電子状態計算方法とを用いて得られた減磁曲線の計算値である。そして、点線は対応する減磁曲線の実験値を示している。
図5より、この発明に係わる巨大分子系電子状態計算方法による減磁曲線の計算値が従来の巨大分子系電子状態計算方法による減磁曲線の計算値および実験値と良く一致していることがわかる。
また、計算はエンジニアワークステーションを用いて行ったが、この発明に係わる巨大分子系電子状態計算方法と従来の巨大分子系電子状態計算方法での計算時間は、それぞれ、8分と420分であった。
このように、この発明に係わる巨大分子系電子状態計算方法を用いれば、従来の巨大分子系電子状態計算方法を用いたときと比べて大幅に計算時間を短縮することができる。
また、この発明に係わる巨大分子系電子状態計算方法を用いれば、計算値が実験結果および従来の巨大分子系電子状態計算方法による計算値と一致し、計算精度も良好である。
実施の形態4.
この発明の実施の形態4に係わる量子分子動力学法では、電子状態の計算を実施の形態1に係わる巨大分子系電子状態計算方法を用いている。そして、計算した電子状態を用いて評価対象の安定構造を求める。この評価対象は、図4に示すNdFe14B結晶の鉄(Fe)サイトを一部コバルト(Co)で置換したNd(Fe1−xCo14B結晶である。なお、xは、0.125、0.25、0.50である。
この実施の形態4に係わる量子分子動力学法において、粒子数、体積、温度一定のNVTアンサンブルに対して周期境界条件を適用し、時間間隔0.1fs、1000000ステップの条件下で、Nd(Fe1−xCo14B結晶の安定構造を求めた。
図6は、Nd(Fe1−xCo14B結晶のキュリー温度のCo添加量依存性を示したグラフである。
Co添加量に対するキュリー温度を実験値と計算値で比較したところ、図6に示すように、計算値が実験値に良好に一致しており、Nd(Fe1−xCo14B結晶の安定構造の妥当性が確認できた。
このように、この発明に係わる巨大分子系電子状態計算方法を用いて電子状態を計算し、その電子状態に基づいて構造を精度良く求めるので、この巨大分子系電子状態計算方法を量子分子動力学法に適用することができる。
なお、上述の実施の形態での具体的な構成例は、この発明の内容を限定するものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲で設計変更された構成であってもこの発明に含まれる。
例えば、巨大分子系電子状態計算をコンピュータに実行させるためのプログラムをコンピュータのROMに記憶しているが、プログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムを他のコンピュータに読み込ませ実行させてもよい。
この発明の実施の形態1に係わる巨大分子系電子状態計算装置の構成図である。 この発明の実施の形態1に係わるコンピュータの機能ブロック図である。 この発明の実施の形態1に係わる巨大分子系電子状態計算方法のステップを示すフローチャートである。 NdFe14B結晶の計算に用いた単位セルの構造図である。 NdFe14B結晶の温度295Kにおける減磁曲線を示したものである。 Nd(Fe1−xCo14B結晶のキュリー温度のCo添加量依存性を示したグラフである。
符号の説明
1 コンピュータ、2 プロセッサ、3 ROM、4 RAM、5 インターフェース回路、11 分子軌道計算手段、12 重なり積分計算手段、13 軌道相互作用エネルギー計算手段、14 係数計算手段、15 固有値解析手段、16 局在化分子軌道計算手段、17 電子状態計算手段。

Claims (4)

  1. 経験的パラメータを用いずに、巨大分子系の電子状態を計算する巨大分子系電子状態計算方法において、
    上記巨大分子系を、局在化分子軌道が構築でき、且つ所定の原子数以下のフラグメントに分割するステップと、
    上記フラグメント毎に分子軌道を計算するステップと、
    上記分子軌道と原子軌道との重なり積分を計算するステップと、
    上記分子軌道間の軌道相互作用エネルギーを計算するステップと、
    上記重なり積分および上記軌道相互作用エネルギーを用いて、上記原子軌道間相互作用エネルギーおよび行列を計算するステップと、
    上記原子軌道間相互作用エネルギー、上記行列および上記原子軌道を用いて、固有方程式を解いて固有ベクトルを計算するステップと、
    上記固有ベクトルおよび上記原子軌道を用いて、局在化分子軌道を計算するステップと、
    上記局在化分子軌道を用いて、上記巨大分子系の電子状態を計算するステップと、
    を含むことを特徴とする巨大分子系電子状態計算方法。
  2. 経験的パラメータを用いずに、巨大分子系の電子状態を計算するプログラムにおいて、
    上記巨大分子系を分割して得られ、局在化分子軌道が構築でき、且つ所定の原子数以下のフラグメント毎に分子軌道を計算する手順と、
    上記分子軌道と原子軌道との重なり積分を計算する手順と、
    上記分子軌道間の軌道相互作用エネルギーを計算する手順と、
    上記重なり積分および上記軌道相互作用エネルギーを用いて、上記原子軌道間相互作用エネルギーおよび行列を計算する手順と、
    上記原子軌道間相互作用エネルギー、上記行列および上記原子軌道を用いて、固有方程式を解いて固有ベクトルを計算する手順と、
    上記固有ベクトルおよび上記原子軌道を用いて、局在化分子軌道を計算する手順と、
    上記局在化分子軌道を用いて、上記巨大分子系の電子状態を計算する手順と、
    をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
  3. 経験的パラメータを用いずに、巨大分子系の電子状態を計算する巨大分子系電子状態計算装置において、
    上記巨大分子系を分割して得られ、局在化分子軌道が構築でき、且つ所定の原子数以下のフラグメント毎に分子軌道を計算する分子軌道計算手段と、
    上記分子軌道と原子軌道との重なり積分を計算する重なり積分計算手段と、
    上記分子軌道間の軌道相互作用エネルギーを計算する軌道相互作用エネルギー計算手段と、
    上記重なり積分および上記軌道相互作用エネルギーを用いて、上記原子軌道間相互作用エネルギーおよび行列を計算する係数計算手段と、
    上記原子軌道間相互作用エネルギー、上記行列および上記原子軌道を用いて、固有方程式を解いて固有ベクトルを計算する固有値解析手段と、
    上記固有ベクトルおよび上記原子軌道を用いて、局在化分子軌道を計算する局在化分子軌道計算手段と、
    上記局在化分子軌道を用いて、上記巨大分子系の電子状態を計算する電子状態計算手段と、
    を有することを特徴とする巨大分子系電子状態計算装置。
  4. 上記請求項1に記載の巨大分子系電子状態計算方法を電子状態計算部とすることを特徴とする量子分子動力学法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2022097298A1 (ja) * 2020-11-09 2022-05-12 富士通株式会社 量子化学計算プログラム、量子化学計算方法、および量子化学計算装置
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