JP2008008721A - 生理活性物質固定化用固相担体及びその使用方法 - Google Patents

生理活性物質固定化用固相担体及びその使用方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 非特異的な吸着・結合を抑制でき、検出精度の高い、簡便に使用可能な生理活性物質固定化用固相担体を提供すること。
【解決手段】プラスチックからなる固相担体の固相表面に、ホスホリルコリン基を有する高分子物質及び生理活性物質を固定化する為の分子を有し、該分子がビオチン又はビオチン誘導体と反応しうる分子であることを特徴とする生理活性物質固定化用固相担体であり、好ましくは生理活性物質を固定化する為の分子がアビジン又はストレプトアビジン又はニュートラアビジンである生理活性物質固定化用固相担体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、生理活性物質を固相表面に配置・固定する為の固相担体およびその使用方法に関する。
近年、様々な機能を有する生理活性物質として、糖鎖が注目されてきている。糖鎖とは,グルコース,ガラクトース,マンノース,フコース,キシロース,N−アセチルグルコサミン,N−アセチルガラクトサミン,シアル酸などの単糖およびこれらの誘導体がグリコシド結合によって鎖状に結合した分子の総称である。
糖鎖は、非常に多様性に富んでおり、天然に存在する生物が有する様々な機能に関与する物質である。糖鎖は生体内でタンパク質や脂質などに結合した複合糖質として存在することが多く,生体内の重要な構成成分の一つである。生体内の糖鎖は細胞間情報伝達,タンパク質の機能や相互作用の調整などに深く関わっていることが明らかになりつつある。
糖鎖を固定化した糖鎖チップは,糖鎖と糖鎖レセプター,糖鎖と細胞,糖鎖とウイルスなどの相互作用の研究に大いに寄与すると予想されている(たとえば,非特許文献1)。さらには,糖鎖チップを感染性疾患や糖鎖異常関連疾患の診断用デバイスとして利用することも期待されている。
また、遺伝子活性の評価や、薬物効果の分子レベルでの生理的プロセスを解読するための試みは、伝統的にゲノミクスに焦点が当てられてきたが、プロテオミクスは、細胞の生物学的機能についてより詳細な情報を提供する。プロテオミクスは、遺伝子レベルというよりもむしろ、タンパク質レベルでの発現を検出しそして定量することによる、遺伝子活性の定性的かつ定量的な測定を含む。また、タンパク質の翻訳後修飾、タンパク質間の相互作用など遺伝子にコードされない事象の研究を含む。
「生命の設計図」であるゲノムの構造が明らかにされ、膨大なゲノム情報の入手が可能となった今日、プロテオミクス研究はますます盛んになっており、それに伴って生理活性物質検出の迅速高効率(ハイスループット)化が求められている。この目的の分子アレイ(バイオチップ)として、DNAチップが開発され、実用化されつつある。一方、生体機能において最も複雑で多様性の高いタンパク質の検出に関してはプロテインチップが提唱され、近年研究が進められている。プロテインチップとは、タンパク質、またはそれを捕捉する分子をチップ(微小な基板)表面に固定化したものを総称する。
しかし、現状のプロテインチップは一般にDNAチップの延長線上に位置付けられて開発がなされているため、ガラス基板上にタンパク質、又はそれを捕捉する分子をチップ表面に固定化する検討がなされている(例えば特許文献1参照)。
一方で、高機能性分子であるタンパク質を、その機能を保持させたまま効率良く基材表面に固定化し、更にその特異的な相互作用を定量的に検出するということは、克服すべき課題も多く非常に困難を極める。その為、タンパク質の機能をミメティックできる、比較的安定な低分子としてペプチドを利用する場面が増えつつある。ペプチドはコンビナトリアルに合成する技術が確立されてきており、ペプチドアレイはハイスループットな生理活性物質検出という目的に合った手法であると言える。(例えば非特許文献2)
非常に有用であるバイオチップだが、ペプチドや糖鎖のように担体表面に物理化学吸着させることが難しい場合もある。この問題を解決する為の方法として、固定化したい分子と反応しうる分子や官能基を担体表面に導入する方法がある。
担体表面に導入した反応性官能基を用いて生理活性物質を共有結合で固定化する場合、生理活性物質がどの部位で結合したかを明確にする事が困難になる場合や、担体表面との結合部位と生理活性に重要な部位とが重なる事で、生理活性物質が本来有する活性が減衰する、もしくは消失する場合がある、などの問題点があった。また、固定化する生理活性物質の構造によって、担体表面に導入した反応性官能基との反応性に差が生じ、複数の生理活性物質を固定化する際に固定化量にばらつきが生じるという問題もあった。
一方、生理活性物質を基板上に固定化した後に該表面上で他の物質と反応させ、最終的に検出機等で検出する場合、生理活性物質が固定されていない部分に他の物質が固定されると、検出時にノイズとなる為に信号対雑音比(S/N比)を低下させる原因となり、検出精度を低下させる(例えば非特許文献3参照)。
このため、生理活性物質と反応させる物質の非特異吸着を防止するため、ブロッキング剤のコーティングが必要となるが、これらの非特異吸着防止能は十分でない。また、生理活性物質を固定化した後にブロッキング剤をコーティングするため、固定化した生理活性物質の上にコーティングされてしまう場合があり、生理活性物質と反応させる物質が反応しにくいという問題があった。このため、生理活性物質固定化後のブロッキング工程がなく、かつ生理活性物質と反応させる物質の非特異吸着量の少ないバイオチップが求められている。
また、すべてのタンパク質(プロテオーム)や糖鎖(グライコーム)の変動をプロファイリングする技術面では、超微量の生理活性物質や数ナノリットルというような超微量の溶液の操作を可能とするマイクロフルイディクスの技術や、チップ上での前処理、分離、検出を目標とする「ラボ・オン・チップ」の概念が重要となってくる。この技術においては、サンプルであるタンパク質や複合糖質などの生理活性物質が、流路内に固定化されたキャプチャーと特異的に反応し、かつキャプチャー部以外の流路の内壁への非特異吸着を抑制することが必要となる。
特開2001−116750号公報 Nature(2003, 421, 219-220) 「DOJIN NEWS 109号 ケミストからみたポストゲノム9」、同仁化学研究所、2004年 「DNAマイクロアレイ実戦マニュアル」、林崎良英、岡崎康司編、羊土社、2000年、p.57
本発明は、非特異的な吸着・結合を抑制でき、検出精度の高い、簡便に使用可能な生理活性物質固定化用固相担体を提供することを目的とする。
本発明は、以下のとおりである。
(1)プラスチックからなる固相担体の固相表面に、ホスホリルコリン基を有する高分子物質及び生理活性物質を固定化する為の分子を有し、該分子がビオチン又はビオチン誘導体と反応しうる分子であることを特徴とする生理活性物質固定化用固相担体。
(2)固相担体の形態が、平板状基板、マイクロウェルプレート、微細流路を有する基板、又はマイクロビーズである(1)記載の生理活性物質固定化用固相担体。
(3)前記ホスホリルコリン基が2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン基である(1)又は(2)記載の生理活性物質固定化用固相担体。
(4)生理活性物質を固定化する為の分子がアビジン又はストレプトアビジン又はニュートラアビジンである(1)〜(3)いずれか記載の生理活性物質固定化用固相担体。
(5)生理活性物質を固定化する為の分子が、固相担体表面に導入されたビオチン又はビオチン誘導体に結合していることを特徴とする(1)〜(4)いずれか記載の生理活性物質固定化用担体。
(6)生理活性物質を固定化する為の分子を固相担体表面に固定化する為のビオチン又はビオチン誘導体が、固相担体にあらかじめ導入された官能基と共有結合していることを特徴とする(5)記載の生理活性物質固定化用担体。
(7)生理活性物質を固定化する為の分子が、固相担体にあらかじめ導入された官能基と共有結合していることを特徴とする(1)〜(4)いずれか記載の生理活性物質固定化用担体。
(8)生理活性物質を固定化する為の分子が、固相担体に吸着していることを特徴とする(1)〜(4)いずれか記載の生理活性物質固定化用担体。
(9)前記プラスチックがポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、飽和環状ポリオレフィン、ポリペンテン、ポリアミド、及びそれらの共重合体よりなる群より選択された少なくとも1種である(1)〜(8)いずれか記載の生理活性物質固定化用固相担体。
(10)(1)〜(9)いずれか記載の生理活性物質固定化用固相担体に生理活性物質を固定化した固相担体。
(11)前記生理活性物質が、糖鎖、複合糖質、核酸、アプタマー、タンパク質、抗体、ペプチド、及び脂質から選択された少なくとも1種である(10)記載の固相担体。
(12)前記生理活性物質がビオチン又はビオチン誘導体が導入されたものである(10)又は(11)記載の固相担体。
(13)(1)〜(9)いずれか記載の生理活性物質固定化用固相担体の使用方法であって、
(a)固相表面に生理活性物質を固定化する工程、
(b)該生理活性物質と特異的に反応する別の物質を作用させる工程、及び
(c)該生理活性物質と特異的に反応した別の物質又は特異的に反応した該生理活性物質を蛍光、発光又は発色を用いて検出する工程、を含む生理活性物質固定化用固相担体の使用方法。
(14)前記生理活性物質と特異的に反応する別の物質が、核酸、アプタマー、タンパク質、抗体、ペプチド、糖鎖、複合糖質、及び脂質から選択された少なくとも1種である(13)記載の生理活性物質固定化用固相担体の使用方法。
(15)前記生理活性物質と特異的に反応する別の物質が、蛍光、発光、発色で検出可能な分子である(13)又は(14)記載の生理活性物質固定化用固相担体の使用方法。
(16)前記生理活性物質と特異的に反応する別の物質が、蛍光、発光、発色で検出可能な分子と反応しうる物質である(13)〜(15)いずれか記載の生理活性物質固定化用固相担体の使用方法。
本発明の固相担体によれば、生理活性物質を効率よく簡単に固相担体に結合する事が可能となり、また、該生理活性物質と反応する別の物質の非特異吸着を効果的に抑制する事から、簡便かつハイスループットなバイオチップの作製と評価が可能となる。
本発明の固相担体は、固相表面にホスホリルコリン基を有する高分子物質及び生理活性物質を固定化する為の分子を有することを特徴とする。該分子の効果によって生理活性物質を特異的に担体表面に結合させる事が可能となり、また、ホスホリルコリン基を有する高分子物質は、生体膜(リン脂質二重層膜)類似の構造を有しているポリマーであって、固定化した生理活性物質と反応し得る別の生理活性物質や蛍光物質等の非特異的吸着を抑制する性質を持つ。上記特性により、固相担体表面への生理活性物質や蛍光物質の非特異的吸着を効果的に抑制する事が可能となり、その結果、固相担体表面に固定化した生理活性物質と特異的に反応した物質のみを捕獲する事が可能となる。
本発明に使用するホスホリルコリン基としては、例えば2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、2−メタクリロイルオキシエトキシエチルホスホリルコリン、6−メタクリロイルオキシヘキシルホスホリルコリン、10−メタクリロイルオキシエトキシノニルホスホリルコリン、アリルホスホリルコリン、ブテニルホスホリルコリン、ヘキセニルホスホリルコリン、オクテニルホスホリルコリン、デセニルホスホリルコリン等を挙げられるが、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンがより好ましい。
本発明に使用する生理活性物質を固定化する為の分子としては、生理活性物質に結合したビオチン又はビオチン誘導体と特異的に反応する分子が好ましく、特にアビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジンが好ましい。ビオチンとアビジンとの相互作用は非常に強く、特異性も高い。また、低分子であるビオチンを生理活性物質へ導入する事も容易な為、物質固定化の為の強力なツールとなる。
本発明に使用するホスホリルコリン基を有する高分子物質は、ホスホリルコリン基を有する単量体を重合して得られる高分子物質であることが好ましい。更にホスホリルコリン基以外に他の官能基や分子を含んでもよく、ホスホリルコリン基を有する単量体とブチルメタクリレート基を含む単量体との共重合体が好ましい。
生理活性物質を固定化する為の分子と担体表面との結合はどのような形式でもよいが、あらかじめ担体表面を処理する事で表面に導入した官能基を用いる方法が好ましく、更に該官能基にビオチン又はビオチン誘導体を導入する方法が好ましい。この際、該官能基とビオチン又はビオチン誘導体との間にリンカー構造を含む事も可能である。また、担体表面に吸着させる方法も考えられる。
本発明の生理活性物質固定化用固相担体の製造方法の工程の一例を下記に示す。
(a)プラスチック固相担体を準備する。
プラスチック固相担体表面は、プラズマ処理等によりカルボキシル基、水酸基、アミノ基等の官能基が表面に導入されていることが好ましい。
(b)生理活性物質を固定化する分子を導入する為、予め別の分子を導入する。
別の分子はビオチン又はビオチンヒドラジド等のビオチン誘導体であることが好ましい。例えばビオチンヒドラジドを使用した場合、プラスチック固相担体表面のカルボキシル基等と共有結合する。
(c)ホスホリルコリン基を有する高分子物質を塗布する。
(d)生理活性物質を固定化するための分子を導入する。
該分子は、アビジン、ストレプトアビジン又はニュートラアビジンであることが好ましい。これらのアビジン系分子は、予め導入されたビオチン系分子と結合する。
(固相担体の素材)
本発明の固相担体は、固相材質がプラスチックであることを特徴とする。
プラスチックとしては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂を用いることができるが、熱可塑性樹脂の方が製造効率の観点から好ましい。熱可塑性樹脂としては、蛍光発生量の少ないものが好ましく、例えばポリエチレンやポリプロピレン等の直鎖状ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアミド、環状ポリオレフィン、含フッ素樹脂等が挙げられる。耐熱性、耐薬品性、低蛍光性、成形性に特に優れる環状ポリオレフィンを用いることがより好ましい。ここで環状ポリオレフィンとは、環状オレフィン構造を有する重合体単独または環状オレフィンとα―オレフィンとの共重合体を水素添加した飽和重合体をさす。
前者の例としては、例えばノルボルネン、ジシクロペンタジエン、テトラシクロドデセンに代表されるノルボルネン系モノマー、および、これらのアルキル置換体を開環重合して得られる重合体を水素添加して製造される飽和重合体である。
後者の共重合体はエチレンやプロピレン、イソプロピル、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のα―オレフィンと環状オレフィン系モノマーのランダム共重合体を水素添加することにより製造される飽和重合体である。共重合体では、エチレンとの共重合体が最も好ましい。
これら樹脂は単独で用いてもよく、2種類またはそれ以上の共重合体あるいは混合物であってもよい。また、樹脂成分以外に繊維状、球状その他の形状を有する無機物あるいは有機物充填材、または各種添加剤成分を含んでもよい。
(固相担体の形状)
固相担体の形状としては、平板状基板、マイクロウェルプレート、マイクロビーズ、微細流路形状を有した基板等が挙げられる。
マイクロビーズ表面に生理活性物質を固定化させた担体の場合、基板やプレートに固定化させた場合に比べ生理活性物質を固定化できる表面積が大幅に増加するため、結果的に多くの検出目的となる、生理活性物質と特異的に反応する物質を捕獲でき、S/N比の増加が可能となる。
また微細流路内に生理活性物質を固定化した場合、生理活性物質が検出目的となる物質を捕獲できる頻度が相対的に増加するため、反応時間の短縮ができる。
さらには、生理活性物質を固定化したマイクロビーズを微細流路内に封入した場合、前記の利点の両方が達成できる。
(生理活性物質の固定化)
本発明において生理活性物質を固相上に固定化する際には、生理活性物質を溶解又は分散させた液体を付着する方法が好ましい。生理活性物質を溶解又は分散した液体のpHは6.0〜8.0であることが好ましく、pH6.5〜7.5がより好ましい。この範囲外だと、生理活性物質や生理活性物質を固定化する分子が変性・分解する恐れがある。
生理活性物質付着後は、固相表面のホスホリルコリン基の特性により、界面活性剤を含む水や緩衝液で洗浄することで、生理活性物質と反応しうる別の物質の固相表面への非特異吸着を抑制することが可能となる。しかし、生理活性物質と反応しうる別の物質に固相表面の分子と反応しうるビオチン又はビオチン誘導体が含まれる場合、生理活性物質を固定化した以外の固相表面に残存する分子の不活性化処理を、ビオチン又はビオチン誘導体を有する他の化合物で行うことが好ましい。
(固定化する生理活性物質の構造)
固定化する生理活性物質にビオチン又はビオチン誘導体を導入する事で、基材表面に固定化された分子によって、効果的に目的の生理活性物質を固定化する事が可能となる。より反応性を高める為に、ビオチン又はビオチン誘導体の導入位置は生理活性物質の末端や外側であることが望ましい。生理活性物質の合成法が進歩してきた事で、任意の位置にビオチン又はビオチン誘導体を導入できるようになってきており、生理活性を発現する為に重要な部位に影響を及ぼさないような位置で生理活性物質を担体表面に固定化することが可能である。
本発明の生理活性物質固定化用固相担体の使用方法における工程の一例を下記に示す。
(a)生理活性物質固定化用固相担体を準備する。
固相担体表面には生理活性物質を固定化するための分子としてアビジン、ストレプトアビジン又はニュートラアビジンが導入されていることが好ましい。
(b)生理活性物質(A)を固定化する。
生理活性物質(A)は、予めビオチン又はビオチン誘導体が導入されていることが好ましい。
(c)生理活性物質(A)と特異的に反応する別の物質(B)を作用させる。
別な物質(B)は、核酸、アプタマー、タンパク質、抗体、ペプチド、糖鎖、複合糖質、及び脂質から選択された少なくとも1種であることが好ましい。
(d)生理活性物質(A)と特異的に反応した別の物質(B)、又は特異的に反応した生理活性物質(A)を蛍光、発光又は発色を用いて検出する。
これにより、生理活性物質(B)を検出することが出来る。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、この発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例)
表面にカルボキシル基が直接結合した、ポリスチレン樹脂製の96ウェルマイクロプレート(住友ベークライト製 ELISA用プレートカルボ MS-8796F)を用いた。純水を用いて調製した10mg/mlのWSC溶液100mlを各ウェルに添加し、37℃で4時間反応させた。純水でウェルを洗浄し、リン酸緩衝液を用いて200mg/mlに希釈し、pHが5.8に調整されたビオチンヒトラジド溶液100mlをウェルに添加して、37℃で一晩静置してビオチンを担体表面に固定化させた後に、純水で洗浄を行った。その後、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン−ブチルメタクリレート共重合体の0.3重量%エタノール溶液100ml加え、30分静置した。溶液を回収しウェルを風乾した後に、0.05%TritonX-100含有リン酸緩衝液で3回洗浄した。5.0mg/mlに希釈したストレプトアビジン(ケミコン社製、SA101)100mlをウェルに添加して1時間静置してストレプトアビジンを固定化した。プレートを乾燥させた後に0.05%TritonX-100含有リン酸緩衝液で3回洗浄した。市販のビオチン標識ペルオキシダーゼ(ZYMED Laboratories社製、43−2040)をPBS(−)で0.5mg/mlに希釈して、ストレプトアビジンを固定化したウェルと固定化していないウェルにそれぞれ100ml添加して30分静置して固定化し酵素標識した。また同時に、市販のペルオキシダーゼ標識抗体(DAKO社製、P0260)をPBS(−)で0.5mg/mlに希釈して、ストレプトアビジンを固定化したウェルに100ml添加して30分静置した。0.05%TritonX-100含有リン酸緩衝液で3回洗浄した後に、ペルオキシダーゼ用発色キット(住友ベークライト社製 ML−1120T)を用いて、過酸化水素を基質とする発色反応を行い、発色基質として用いたTMBZ(3,3’,5,5’テトラメチルベンチジン)の吸光度を測定した。ストレプトアビジンを固定化したウェルにビオチン標識ペルオキシダーゼを加えたウェルの吸光度をシグナル値、ストレプトアビジンを固定化していないウェルにビオチン標識ペルオキシダーゼを加えたウェルの吸光度をバックグラウンド値(A)、ペルオキシダーゼ標識抗体を加えたウェルの吸光度をバックグラウンド値(B)として、その際のシグナル値、バックグラウンド値(A)(B)を表1に示す。各工程の概略を表2に示す。
(比較例)
表面にカルボキシル基が直接結合した、ポリスチレン樹脂製の96ウェルマイクロプレート(住友ベークライト製 ELISA用プレートカルボ MS-8796F)を用いた。純水を用いて調製した10mg/mlのWSC溶液100mlを各ウェルに添加し、37℃で4時間反応させた。純水でウェルを洗浄し、リン酸緩衝液を用いて200mg/mlに希釈し、pHが5.8に調整されたビオチンヒトラジド溶液100mlをウェルに添加して、37℃で一晩静置してビオチンを担体表面に固定化させた後に、純水で洗浄を行った。その後、5.0mg/mlに希釈したストレプトアビジン(ケミコン社製、SA101)100mlをウェルに添加して1時間静置してストレプトアビジンを固定化した。プレートを乾燥させた後に0.05%TritonX-100含有リン酸緩衝液で3回洗浄した。市販のビオチン標識ペルオキシダーゼ(ZYMED Laboratories社製、43−2040)をPBS(−)で0.5mg/mlに希釈して、ストレプトアビジンを固定化したウェルと固定化していないウェルにそれぞれ100ml添加して30分静置して固定化し酵素標識した。また同時に、市販のペルオキシダーゼ標識抗体(DAKO社製、P0260)をPBS(−)で0.5mg/mlに希釈して、ストレプトアビジンを固定化したウェルに100ml添加して30分静置した。0.05%TritonX-100含有リン酸緩衝液で3回洗浄した後に、ペルオキシダーゼ用発色キット(住友ベークライト社製 ML−1120T)を用いて、過酸化水素を基質とする発色反応を行い、発色基質として用いたTMBZ(3,3’,5,5’テトラメチルベンチジン)の吸光度を測定した。ストレプトアビジンを固定化したウェルにビオチン標識ペルオキシダーゼを加えたウェルの吸光度をシグナル値、ストレプトアビジンを固定化していないウェルにビオチン標識ペルオキシダーゼを加えたウェルの吸光度をバックグラウンド値(A)、ペルオキシダーゼ標識抗体を加えたウェルの吸光度をバックグラウンド値(B)として、その際のシグナル値、バックグラウンド値(A)(B)を表1に示す。各工程の概略を表3に示す。
実施例および比較例における吸光度の測定には、TECAN社製SPECTRAFLUORを用い、測定波長450nmで測定した。
実施例と比較例のバックグラウンド値(B)を比べると、比較例ではペルオキシダーゼ標識抗体が非特異吸着しているのに対して、実施例はペルオキシダーゼ標識抗体の非特異吸着を効果的に抑制している事が分かる。またシグナル値とバックグラウンド値(A)とを比較すると、固定化したストレプトアビジンの効果により、ビオチン標識ペルオキシダーゼが固定化されていることが分かる。
Figure 2008008721
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本発明の生理活性物質固定化用固相担体を用いることで、生理活性物質を固相担体の任意の位置に固定化し、それ以外の部分への不要な生理活性物質や蛍光物質の吸着および結合を抑制することでき、高感度でハイスループットなバイオチップの簡便な評価が可能となる。また形状の自由度も高く、マイクロビーズやマイクロフルイディクスを含む各種バイオチップの検出方法に適用できる。

Claims (16)

  1. プラスチックからなる固相担体の固相表面に、ホスホリルコリン基を有する高分子物質及び生理活性物質を固定化する為の分子を有し、該分子がビオチン又はビオチン誘導体と反応しうる分子であることを特徴とする生理活性物質固定化用固相担体。
  2. 固相担体の形態が、平板状基板、マイクロウェルプレート、微細流路を有する基板、又はマイクロビーズである請求項1記載の生理活性物質固定化用固相担体。
  3. 前記ホスホリルコリン基が2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン基である請求項1又は2記載の生理活性物質固定化用固相担体。
  4. 生理活性物質を固定化する為の分子がアビジン又はストレプトアビジン又はニュートラアビジンである請求項1〜3いずれか記載の生理活性物質固定化用固相担体。
  5. 生理活性物質を固定化する為の分子が、固相担体表面に導入されたビオチン又はビオチン誘導体に結合していることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の生理活性物質固定化用担体。
  6. 生理活性物質を固定化する為の分子を固相担体表面に固定化する為のビオチン又はビオチン誘導体が、固相担体にあらかじめ導入された官能基と共有結合していることを特徴とする請求項5記載の生理活性物質固定化用担体。
  7. 生理活性物質を固定化する為の分子が、固相担体にあらかじめ導入された官能基と共有結合していることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の生理活性物質固定化用担体。
  8. 生理活性物質を固定化する為の分子が、固相担体に吸着していることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の生理活性物質固定化用担体。
  9. 前記プラスチックがポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、飽和環状ポリオレフィン、ポリペンテン、ポリアミド、及びそれらの共重合体よりなる群より選択された少なくとも1種である請求項1〜8いずれか記載の生理活性物質固定化用固相担体。
  10. 請求項1〜9いずれか記載の生理活性物質固定化用固相担体に生理活性物質を固定化した固相担体。
  11. 前記生理活性物質が、糖鎖、複合糖質、核酸、アプタマー、タンパク質、抗体、ペプチド、及び脂質から選択された少なくとも1種である請求項10記載の固相担体。
  12. 前記生理活性物質がビオチン又はビオチン誘導体が導入されたものである請求項10又は11記載の固相担体。
  13. 請求項1〜9いずれか記載の生理活性物質固定化用固相担体の使用方法であって、
    (a)固相表面に生理活性物質を固定化する工程、
    (b)該生理活性物質と特異的に反応する別の物質を作用させる工程、及び
    (c)該生理活性物質と特異的に反応した別の物質又は特異的に反応した該生理活性物質を蛍光、発光又は発色を用いて検出する工程、を含む生理活性物質固定化用固相担体の使用方法。
  14. 前記生理活性物質と特異的に反応する別の物質が、核酸、アプタマー、タンパク質、抗体、ペプチド、糖鎖、複合糖質、及び脂質から選択された少なくとも1種である請求項13記載の生理活性物質固定化用固相担体の使用方法。
  15. 前記生理活性物質と特異的に反応する別の物質が、蛍光、発光、発色で検出可能な分子である請求項13又は14記載の生理活性物質固定化用固相担体の使用方法。
  16. 前記生理活性物質と特異的に反応する別の物質が、蛍光、発光、発色で検出可能な分子と反応しうる物質である請求項13〜15いずれか記載の生理活性物質固定化用固相担体の使用方法。
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