JP2007535947A - 幹細胞増幅及び分化のための方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、Opn及び/又は活性型Opnフラグメントの調節によって、エクスビボで特定の細胞集団の実用的な量を産生するための方法、培地及び装置を提供する。本発明は、薬剤スクリーニング、毒性テスト及び他の研究活動などの、移植治療、及び臨床並びに研究活動での使用のための、エクスビボ増幅されたHSC集団を提供する。また、提供された方法、装置、及び培地は、HISCへのOpn結合を阻害するために提供され、より分化した細胞集団の産生の増加を促進する。
【選択図】図1

Description

(技術分野)
本発明は、多分化能幹細胞集団のエクスビボ(ex vivo)増幅、増殖及び分化、そのような方法を実行するための方法、並びに培養を促進するための生産物、及び造血幹細胞並びに造血系列の細胞の両方の細胞集団の臨床的に有用な量の使用に広く関与する。
(背景技術)
骨髄は、多能性及び委任細胞に対して独特な環境を提供する。それは、未だ培養液中でうまく複製されない構造的及び体液性成分の両方を含む。髄腔それ自体は、内皮細胞で裏打ちされた、薄い壁で囲まれた類洞である。骨の壁の間は、造血細胞及び内皮を介して入る成熟血液細胞によって継続的に供給される脂肪細胞のクラスターである。分化細胞は似た様式で空洞から離れ、循環系内で機能することができる状態にある。
造血幹細胞(HSC)は造血系列の最も未発達な細胞であり、かつ造血系列の全ての細胞(HSCを含む)を生じさせる能力を有する。HSCは骨髄中に存在することが知られているが、骨髄微小環境内のそれらの特定の間隙は現在のところ規定されていない。先の研究は、特定のHSC子孫、すなわち系列制限されたクローン性造血前駆細胞(HPC)が、中央縦脈の近くの最も多くを有する大腿の軸を横断して、明確に空間分布に一致することが確立された。そのような所見は、骨髄中のこれらの様々な細胞集団によって示される明確な空間的構成が、下層の間質組織で起こる特異的な接着性相互作用の発現であるという、広く信じられてきたことを思い起こさせる。しかしながら、HSCの希少性及び正常な所在(in situ)でそれらの明確な同定を可能にする単一かつ固有の抗原マーカーの欠如のために、骨髄内のHSCの空間分布を定義することは不可能であった。
証拠は現在、造血が、未発達なHSCと間質細胞介在性微小環境との間の、発達上制御された接着性相互作用によって骨髄へと局在化するという示唆に存在する。この微小環境内の接着性相互作用は、個体発生の間、又は移植後における骨髄へのHSCのホーミング及び堆積、並びにHSCの増殖及び分化の直接的な制御に関与することを含む複数の機能を担うようである。
化学療法及び放射線治療などの治療によって消耗された(造血を介して)骨髄の造血細胞を補充する必要がある場合に、骨髄移植は、様々な血液学的、自己免疫性及び悪性疾患に対する有用な治療である。現在の骨髄移植治療は、骨髄から直接的にというのと同様に、臍帯血又は末梢血(G−CSFのような作用物質で非動員された、又は動員されたのどちらか)から獲得された造血細胞の使用を含む。
骨髄移植における制限は、造血を回復させるために十分な幹細胞を獲得することである。現在の治療は、しばしば、未発達な幹細胞を移植に適した集団へと増幅させるための、造血細胞のエクスビボ操作に頼っている。さらに、骨髄移植後の造血前駆体、及び成熟終末細胞の数における通常の移植前レベルへ急速に再生する間に、HSCの数は通常のレベルの5〜10%のみが回復する。これは、HSCはその自己再生行動、及び、従って宿主幹細胞区画を再び存在させる能力が明らかに制限されていることを示唆する。利用できる方法論は、エクスビボHSC操作に十分に対応せず、またそれゆえ臨床応用において使用される該細胞集団は提供者から単離され得る細胞数によって制限される。例えば、臍帯血における多能性HPCの数の制限のために、この供給源からの細胞は、若年患者における移植に対してのみ使用することができ、HSC移植治療の必要性がある成人集団を除外する。
治療的使用に影響する問題に加えて、臨床研究、薬剤開発、又は研究目的のための十分な数のHSCの獲得の問題が存在する。HSC活性及び挙動を理解することは、治療効果の向上、及び様々な治療毒性を決定することにおいて、きわめて重要である。成人組織中で通常発生している幹細胞又は前駆細胞の集団の単離は、一部分は、血液又は組織中に見出される幹細胞又は前駆細胞の制限された量、及び骨髄吸引物を得ることに伴う明らかな不快感のために、技術的に難しくかつ費用がかかった。概して、治療又は研究目的のための適正量において、選択的な供給源から、幹細胞又は前駆細胞の回収をすることは一般的に困難であり、該供給源は回収手順の性質のために限定され、かつ収率が低い。
それゆえ、骨髄移植などの治療用途における使用のためのHSC産物のエクスビボ増幅のための方法及び生産物の必要性がある。また、研究的使用、薬剤開発、及び毒性スクリーニング、並びに成熟、分化した細胞型の産生を含む他の用途のために、適切な量の特定の細胞集団を提供するための細胞集団の増幅及び分化に対する必要性がある。本発明はこの必要性に取り組む。
(発明の要旨)
本発明は、Opn及び/又は活性型Opnフラグメントの調節によって、エクスビボにおける特定の細胞集団の実用的な量を産生するための方法、培地、及び装置を提供する。本発明は、臍帯血からのHSC、又は動員後の末梢血から単離されたHSCなどの多分化能幹細胞に結合するOpnは、概してHSCからの細胞増殖を阻害するが、HSCの数の特異的な増幅を促進し、培養中のHSC集団の増加を導くことに基づいている。Opn存在下で培養されたHSCは造血系列細胞の産生の明らかな減少を示したが、該培養環境において産生される多能性HSCの数の増加を示した。それゆえ、HSCへのOpnの結合は、多能性HSCの最初の増幅を促進し、また同様にHSCから造血系列の子孫への増殖及び分化を抑制する。
本発明の重要な特徴は、HSCへのOpn(又は活性型Opnフラグメント)の結合を使用して、好ましくは少なくとも3ヶ月、より好ましくは少なくとも6ヶ月の期間にわたって自己再生できるHSCの培養集団を提供できることである。Opnは、培地に因子として添加されるか、又は細胞培養装置中に固定された形態のOpnとして提供され、Opn結合を促進し、そしてHSC増幅のためのHSC間質介在性微小環境的間隙、並びにHSCの多能性状態の維持を人工的に再現する。酵素トロンビンなどのOpn活性を強化する補助因子を添加し、培養中のOpn活性を増強させることができる。
HSC集団へのOpnの導入を使用して、医学的介入のようなものの必要がある患者への移植のために有用な細胞数を増加させることことができ、それゆえ移植のために増幅されたHSC集団を産生することが、本発明の特徴である。増幅したHSC集団のエクスビボ産生は増加した多能性細胞を用いる移植可能な細胞集団を提供し、移植の効果を増大させ、かつより少ないHSCの単離後の移植を可能にする。そのような移植可能な細胞集団は、骨髄、G−CSFなどの作用物質の使用を介した動員後の末梢血、又は臍帯血などの供給源からの細胞の単離後に産生され得る。
特定の実施態様において、本発明は、それを必要とする患者への移植のための、臍帯血から増幅されたHSCの集団を提供する。臍帯血から単離されたHSCは、それらを骨髄由来の細胞に対して優れさせる特定の性質を示す。特に、臍帯血由来のHSC及び臍帯血由来の子孫は、骨髄からのHSCのような抗原性がないようであり、それゆえ完全なHLA適合がない患者において向上した臨床的効果を示す。現在は、そのようなHSCの使用は、成人における移植のために十分でない臍帯供給源から単離され得るHSCの数によって制限される。成人において移植のための臍帯血を使用することの可能性は、より広い患者集団に対するこの細胞供給源の使用の可能性を開き、また現在適切なHLA適合提供者がいない多くの人々がHSC移植治療を受けることを可能にする。
それゆえ、移植治療のためのHSCの、エクスビボ増幅された集団を提供することが、本発明の目的である。エクスビボ増幅プロセスにおけるOpnの使用は、HSC集団の特異的増幅を可能にし、より大きな移植効率をもたらす。
HSCのエクスビボ増幅が、HSCに対して濃縮された細胞集団、例えばCD34表面マーカーの同定を介して単離された細胞によって実行され得ることは、本発明の1つの態様である。
本発明はまた、薬剤スクリーニング、毒性試験、及び他の研究活動などの、臨床的及び研究活動の使用のためのHSCのエクスビボ増幅された集団を提供する。造血に関する治療薬剤の効果は、特に重篤な病態の患者において重要であり、また多くの場合において、これは臨床的問題を悪化させることがある。例えば、貧血は、腎不全、うっ血性心疾患、及び慢性閉塞性肺疾患を含む疾患を治療するために使用される治療薬剤の共通した副作用である。造血に関するこれらの治療薬剤の効果を理解することは、そのような患者集団においてこの副作用を取り除くためのこれらの産物の改良を導き、結果としてよりよい臨床的成果を提供する薬剤の開発をもたらし得る。本発明は、これら及び他の関連した活動のためのOpnの使用を介して増幅されたHSCの使用を想定する。
それゆえ、薬剤スクリーニングのためのエクスビボ増幅されたHSCの集団、及び治療的活性薬剤の最適化を提供することは、本発明の1つの目的である。
毒性テストのためにエクスビボ増幅されたHSCの集団を提供することは、本発明の他の目的である。治療薬剤の毒性テストは、患者集団でテストすることを必要とせずに、造血における悪影響の同定を可能にする。HSCなどのヒト細胞集団において薬剤テストを利用して、米国食品医薬品局などの取締機関に治療薬剤の安全性の証拠を提供することができる。
特定の実施態様において、本発明は、培地中のHSCへのOpn結合を促進するために、十分なレベルのOpnを含む細胞培地を提供する。強化培地はHSCの特異的増幅を促進する一方で、より分化した細胞型のさらなる増殖及び分化を抑制する。より特定の実施態様において、この培地は、活性型Opnフラグメントの産生、例えば、よりHSC結合に接近可能なエピトープを有するOpnフラグメントの産生を介して、HSCへのOpn結合を増強するトロンビンの添加によって強化されてもよい。該培地は、フラスコ、バイオリアクターなどを含む、任意の従来型の細胞培養装置で使用されてよい。この培地は、サイトカイン、成長因子、及びOpn活性を強化する因子(例えば、トロンビン)を含む、他の重要な因子を含んでよい。
さらに他の実施態様において、本発明は、Opn又は活性型Opnフラグメントが、培養フラスコ、ビーズ、又は他の表面(バイオリアクターの表面など)に固定された培養装置を提供し、また、HSC産生を増進させ、かつHSC子孫の増殖及び分化を防ぐために、HSCを該Opn固定表面に曝す。この培養装置は、親HSC及び多能性子孫HSCの両方を維持している該HSC集団の成長及び増幅を促進するためにOpn結合を使用する。これは、Opnが表面上に固定されているバイオリアクター培養装置を含む。表面はまたOpnと共に、HSC間質介在性微小環境的間隙を人工的に再現する他の固定された分子を含んでもよい。
本発明の他の実施態様において、方法、装置、及び培地を提供し、HSCへのOpn結合を阻害し、より分化した細胞集団の産生増加を促進する。これらの方法は造血系列において産生される細胞数の増加をもたらし、その後に、該造血系列に由来する細胞の導入に必要な他の特定の治療用途に使用可能である。
それゆえ、移植治療のためのエクスビボ増幅されたHSCの集団を提供することは、本発明の目的である。
Opn結合を阻害又は阻止し、HSC集団の全体的な増殖及び分化を増加させ、造血系列由来のより成熟した細胞集団を産生しかつ単離することは、本発明の目的である。これは、Opnが存在する場合に能動的阻害であり得、又は任意のOpnが欠如した培養環境を提供することを介した受動的阻害であり得る。能動的阻害は、直接又は間接、すなわちOpn分子上に直接的に作用してもよく、若しくは該培養環境中でOpn活性のために必要とされる分子の活性を阻害してもよい。
それゆえ、本発明は、患者の治療的処置のための細胞集団を提供する。造血系のより分化した細胞の導入は、骨髄赤血球(赤血球、顆粒球、及び単球)、巨核球(血小板)、及びリンパ球(T細胞、B細胞、及びナチュラルキラー細胞)系列由来の細胞を含む、造血系列の任意の細胞集団を含み得る。患者に導入される細胞集団は病状次第であり、また該細胞は、単離された集団又は、例えば臨床的に概算する全血の細胞集団のような混合集団で導入することが可能である。
ある態様において、細胞集団は、例えば赤血球のようなある特定の細胞型に単離される。別の態様において、細胞集団は、HSC子孫の混成集団であってよい。
本発明は、また分化した造血細胞集団の産生のための細胞培地及び装置を特色とする。特定の実施態様において、本発明は、HSCへのOpn結合を阻害する1以上の薬剤の十分なレベルを含む細胞培地を提供する。この培地はHSCレベルの維持しながら、造血系列においてより成熟した細胞型の増殖及び分化を促進することを可能にする。より特定の実施態様において、この培地は、先に記載したように、活性型Opnフラグメントの産生を介して、HSCへのOpn結合を強化することができるトロンビンを阻害する薬剤の添加によって強化され得る。該培地は、フラスコ、バイオリアクターなどを含む、任意の従来型の細胞培養装置で使用し得る。
本発明のある特定の実施態様において、細胞産生は、造血系列の臨床的に有用な量の成熟細胞を産生するためにデザインされたバイオリアクターで行われる。そのようなシステムはHSCへのOpn結合の減少を必要とし、HSCから適正な数の分化細胞への増殖増加を促進させる。特定の態様において、選別システムは、初めにOpn又は活性型Opnフラグメントを細胞へ与えながら培養されるHSCのOpn結合を提供する一連のシステムを含み、HSC「培養」集団の増幅を促進し、続けてOPN結合の阻害によって細胞の増殖増加及び分化の増大を促進する。
本発明はまた、休止HSCを活性化させるための方法を特徴とし、そのような細胞をOpnに曝すことによって分裂させ、薬剤(例えば、小さな分子、タンパク質、オリゴヌクレオチド、ベクター又は他の遺伝子導入装置)の取り込みを促進し、細胞内で遺伝子発現又はタンパク質産生を促進若しくは調節する。
したがって、関連した態様において、静止幹細胞は、トロンビン存在下でのOpnを用いた活性化を含むOpn又は活性型Opnフラグメントの存在下で活性化され、かつ活性化剤又は輸送ベクターと共に培養される。
これら及び本発明の他の目的、利点及び特性は、さらに以下に十分説明されるように、該装置の構造、組成物の剤形並びに使用方法の詳細を読むことで、当業者に明白となる。
(発明の詳細な説明)
本装置、細胞、及び細胞産生方法が記載されるのに先立ち、本発明は記載される特定の方法論、産物、装置、及び因子には限定されず、方法、装置及び剤形はもちろん異なってよいものとして理解される。本明細書で用いられる専門用語は、特定の実施態様のみを表現する目的のためであって、かつ添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定する意図はないこともまた理解される。
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるように、単数形「a」、「and」及び「the」は、文脈が明らかに他を指示しない場合には複数の参照を含むことは注意されるべきである。それゆえ、例えば「因子(a factor)」への言及は、因子(factors)の1つ又は混合物を参照し、また「産生方法(the method of production)」への言及は、対応する段階及び当業者に周知の方法などへの言及を含む。
他に定義されていない限り、本明細書で用いられる全ての技術及び科学用語は、本発明が属する任意の当業者によって共通に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されている全ての出版物は、該出版物中に記載され、かつここで説明される発明に関連して使用されてもよい装置、剤形及び方法論を説明し、かつ開示する目的のために引用され、本明細書に組み込まれる。
以下の記載において、多数の具体的な詳細は、本発明のより徹底した理解を提供するために記載される。しかしながら、本発明が1以上のこれらの具体的な詳細情報なしで実行されてよいことは、任意の当業者に明らかである。他の場合において、当業者に周知の特性及び手順は、本発明が分かり難くなることから避けるために記載されていない。例えば、本明細書に記載される増幅及び分化の方法のために用いられてよい装置、細胞集団及び適切な因子のさらなる記載は、米国特許第5,399,493号;第5,472,867号;第5,635,386号;第5,635,388号;第5,646,043号;第5,674,750号;第5,925,567号;第6,403,559号;第6,455,306号;第6,258,597号;及び第6,280,718号に記載されたものを含む。
一般的に、細胞培養、幹細胞生物学、及び組換えDNA技術の当業者に標準的な方法が、本発明で使用されている。そのような技術は、例えば、Maniatis, Fritsch 及びSambrookの文献, 『分子クローニング:研究室マニュアル』(1982); Sambrook, Russell及びSambrookの文献, 『分子クローニング:研究室マニュアル』 (2001); Harlow, Lane及びHarlowの文献, 『抗体の使用:研究室マニュアル:携帯用プロトコール 第1号』, Cold Spring Harbor Laboratory (1998);並びに、Harlow及びLaneの文献, 『抗体:研究室マニュアル』, Cold Spring Harbor Laboratory; (1988)に参照される文献中で十分に説明されている。
本発明は始めにHSCへの言及として記述されるが、Opnとその細胞表面との相互作用が、微小環境的間隙での堆積に関与する他の幹細胞集団(間葉幹細胞などの既知の幹細胞、又は他の未同定の幹細胞を含む)の制御に役割を担ってよいこともまた記載される。本発明は、HSCと同様にこれらの幹細胞集団中で、これらのOpn調節を対照とすることが意図される。
(定義)
本明細書で用いられているように、用語「活性型Opnフラグメント」は、記載された方法で、OpnのHSC増幅活性を維持する活性型Opnフラグメントを含む。これはOpnの切断産物を含むが、Opnと酵素トロンビンとの相互作用によって産生された切断産物を含むがこれに限定されない。
用語「血液細胞」は、赤血球(erythrocyte)(赤血球(red blood cell))、網状赤血球、巨核球、好酸球、好中球、好塩基球、血小板、単球、マクロファージ、顆粒球、及びリンパ球系列の細胞を含むことが意図される。患者への成熟細胞集団の移入の目的に対して、赤血球、顆粒球及び血小板は特に価値がある。語句「臨床的に有用な量の血液細胞」は、特定の細胞集団が、病態を治療するためのヒト患者へ移入に十分である血液細胞の量を意味することが意図される。
用語「造血幹細胞」、「HSC」などは、(1)全ての定義された造血系列における子孫を生みだす能力、及び(2)全ての血液細胞及び多能性造血幹細胞を含むそれらの子孫において、自己再生によって、重篤な免疫不全宿主を十分に再構成できる幹細胞を有する幹細胞を意味するものとして本明細書で使用される。多能性造血幹細胞は、細胞表面マーカーCD34の発現によって同定されてもよい。
本明細書で使用されるように、用語「多能性」は、造血系列の任意の細胞を産生するための能力をさす。
本明細書で用いられる用語「オステオポンチン」、「Opn」などは、本発明の方法でのエクスビボと同様に、インビボ(in vivo)、例えば初期骨マトリクス組織に影響を与えることができる形態の両方でその意図された機能を実行することができるタンパク質オステオポンチン又はそのフラグメントの形態をさす。Opnは、骨系列の細胞によって初めに合成され、石化された組織中に固定化されたECM及びサイトカインとして存在する、リン酸化された酸性糖タンパク質である。
本発明において有用なオステオポンチン形態の例は:リン酸化されたオステオポンチン、例えば、1モルのタンパク質当たり約6〜約12個のリン酸を有するオステオポンチンであり、好ましくは、下記のSer26、Ser27、Ser63、Ser76、Ser78、Ser81、Ser99、 Ser102、Ser105、Ser108、Ser117、Thr138及び/又はThr152からなる群から選択される1以上のアミノ酸でリン酸化されたオステオポンチンである。本発明における使用のために示された形態は、組換えオステオポンチン、例えば、ヒト又はマウスの組換えオステオポンチン、及び天然存在型の単離されたオステオポンチン、例えば、ヒト供給源から単離された天然存在型オステオポンチンを含む。
本明細書の説明及び特許請求の範囲を通して、単語「含む(comprise)」、及び「含むこと(comprising)」並びに「含む(comprises)」などの単語の変化は、他の添加物又は成分若しくは整数又は段階を排除することを意図していない。
(BMにおけるHSCのホーミング及び堆積:細胞接着分子(CAM)の役割)
静脈的に注入された骨髄による造血の回復は、ホーミング、移行、及び骨髄微小環境内でのHPCの堆積を含む、いくつかの共同的事象を必要とする。最初の事象であるホーミングは、循環しているHSCの骨髄への特異的な動員として定義され、骨髄の毛細血管内皮のHSCによる選択的認識、及び血管外造血空間への内皮貫通的細胞移行を含む。これに対し、堆積は管外遊出に続く事象を含み、骨髄血管外造血空間中の適切な微小環境的間隙への細胞の選択的移行として定義される。
HSCホーミングは、成熟白血球の組織への管外遊出に関与するものへの、CAMの同様なカスケードを含む(Butcher, E. Cの論文, Cell, 1991. 67. p. 1033-6)。HSCは、インテグリン、シアロムチン、免疫グロブリンスーパーファミリー、及びCD44ファミリーの様々なメンバーを含む、広範囲のCAMを示す(Simmons, P. J.らの論文, Leukemia and Lymphoma, 1994. 12. p. 353-363; Simmons, P.J., J.-P. Levesque及びA. Zannettinoの論文, Bailliere's Clinical Haematology, 1997. 10. p. 485-505に概説されている)。最新のデータは、骨髄へのHSCのホーミングにおける、P−セレクチン、PSGL−1(Frenette, P. S.らの論文, Proceedings of the National Academy of Sciences, 1998. 95. p. 14423-14428)、βインテグリンVLA−4(Papayannopoulou, T.らの論文, Proc Natl Acad Sci USA, 1995. 92. p. 9647-9651)に対するシアロムチン受容体、及びSDF−1、CXCR4(Peled, A.らの論文, Science, 1999. 283. p. 845-8)に対する受容体についての重要な役割を示唆する。対照的に、骨髄へのホーミング後のHSC堆積の部分に影響を与える分子についてはほとんど知られていない。
本発明は、Opnが、CD44との相互作用を介する骨内膜空間中での堆積のために必要であるという、予期しなかった知見に一部基づいている。HSC細胞表面上及び造血微小環境の両方におけるCD44、及びCD44のOpnとの相互作用の重要性は、造血微小環境的間隙を再現するための方法を示唆する。
本発明者によるさらなる研究で、Opnはまた、HSC堆積、制御及び増殖、そして特にさらにHSCへと増幅させる、又は選択的に造血系列のより分化した細胞へ増殖させるHSCの能力に関して重要な役割を担うことが見出された。本発明は、HSC制御におけるOpnの活性に関連した科学的観察に大部分基づいており、また記載された方法、培地及び装置は、幹細胞制御、増幅並びに増殖におけるOpnの固有の性質を利用する。
またOpnの役割は、そのCD44との相互作用に完全には依存せず、かつ実際に間質へのHSCの移動を可能にするためのSDF−1相互作用を含む。
(エクスビボ培養におけるHSCの増幅:細胞供給源)
HSCは、成人及び胎児両方の骨髄、動員された末梢血、並びに臍帯血を含む、任意の既知の幹細胞のヒト供給源から単離されてよい。はじめに、骨髄細胞は、腸骨(例えば、腸骨稜を介して寛骨から)、頸骨、大腿骨、脊椎、又は他の骨空洞を含む、骨髄の供給源から獲得されてよい。幹細胞の他の供給源は、胚卵黄嚢、胎児肝臓、及び胎児脾臓を含む。本発明の方法での使用のために供給されたHSCは、多能性HSC、免疫担当細胞及び線維芽細胞を含む間質細胞の組み合わせ並びに内皮細胞を含む、混成細胞集団を含むことができる。
臍帯血は、造血幹細胞及び前駆体の供給源として、骨髄に相当する(Broxmeyerらの文献, 1992; Mayaniらの文献, 1993)。骨髄とは対照的に、臍帯血は定期的に、より容易に利用可能である。
末梢血への幹細胞の動員方法は当業者に既知であり、かつ一般的に、例えばサイトキサン(Cytoxan)、シクロフォスファミド、VP−16のような化学療法薬、及びGM−CSF、G−CSF、又はIL−3、若しくはこれらの組み合わせのようなサイトカインを用いた治療を含む。通常、全白血球に対する除去療法は、該全白血球数が500〜2000細胞/μlに達し、かつ血小板数が50,000/μlに達した場合に着手する。日々の白血球分離サンプルはCD34及び/又はThy−1細胞の存在に関して観測し、幹細胞動員のピークを測定し、その後末梢血幹細胞を回収するのに適した時間を決定してよい。
(供給された細胞からのHSCの濃縮)
HSCへのOpn又は活性型Opnフラグメントの結合は、幹細胞のエクスビボ増幅、及び幹細胞のエクスビボ遺伝子操作などの様々なエクスビボ操作を向上させる新規かつ有力な手段を提供する。本発明の方法、培地及び装置はまた、成人ヒト骨髄又はヒト臍帯血細胞などの混成細胞集団中のHSCのエクスビボ増幅のために使用され得ることが意図されるが、そのような装置において好ましく使用されるHSCは、単離されたHSC集団である。
濃縮されたHSC集団の例は、CD34マーカーの発現によって選択される細胞の集団である。LTCICアッセイにおいて、CD34細胞中に濃縮された細胞は通常、1/50〜1/500の範囲で、より一般的には1/50〜1/200の範囲で、LTCIC頻度を有する。好ましくは、該HSC集団は、CD34発現のみを基にして選別された集団によって提供されたHSC集団よりも、HSCはより高度に濃縮される。以下により十分に記載される様々な技術の使用によって、高度に濃縮されたHSC集団を獲得し得る。高度に濃縮されたHSC集団は、1/5〜1/100、より一般的には1/10〜1/50の範囲で、LTCICを典型的に有する。好ましくは、高度に濃縮されたHSC集団は、少なくとも1/50のLTCIC頻度を有する。高度に濃縮されたHSC集団の例は、そのような細胞を開示しかつ説明するために引用によって本明細書に組み込まれる米国特許第5,061 ,620号に記載されているような、CD34Lin又はCD34Thy−1Lin表現型を有する集団である。この表現型を有する集団は通常、平均約1/20のLTCIC頻度を有する(Murrayらの論文,『動員された末梢血からのCD34Thy−1Lin亜集団における、ヒト造血幹細胞活性の濃縮』, Blood, vol. 85, No. 2, pp. 368-378 (1995); Lansdorpらの論文(1993) J. Exp. ed. 177:1331)。LTCIC頻度は、CAFC頻度に相関することが知られている(Readingら, ISEH会議1994の議事録, 要約, Exp. Hematol., vol. 22:786, 406, (1994))。
様々な技術を使用して、特定の系列(「系列−委任」細胞の)のはじめに取り除くことで該細胞を分離してもよい。モノクローナル抗体は、特定の細胞系列及び/又は分化の段階に関連したマーカーを同定するのに特に有用である。抗体を固相支持体に結合させ、粗分離を可能にしてもよい。実行される分離技術は、回収される画分の生存率を最大化させるはずである。
分離技術の使用は、物理的特性(密度勾配遠心及び向流遠心水簸)、細胞表面特性(レクチン及び抗体親和性)、及び生体染色特性(ミトコンドリア結合色素ローダミン123及びDNA結合色素ヘキスト(Hoechst)33342)における違いに基づいたものを含む。分離のための手順は、抗体で被覆したマグネチックビーズを使用した磁気分離、アフィニティークロマトグラフィー、補体及び毒素を含むモノクローナル抗体に結合され又はモノクローナル抗体と共に使用される細胞毒性薬、並びに固相マトリクスに結合された抗体又は任意の他の適切な技術を用いた「パニング(panning)」を含んでよい。正確な分離を提供する技術は、例えば、複数の色チャネル、低角度、及び鈍角光散乱検出チャネル、インピーダンスチャネルなどの、様々な精巧さの度合いを搭載できるフローサイトメトリーを含む。
分化細胞の大部分は、巨核球、肥満細胞、好酸球及び好塩基球などのリンパ球性集団と同様に、リンパ球性及び骨髄単球性などの造血系列の主要な細胞集団系列が除去される、比較的粗い分離を最初に利用することによって除去されてよい。通常、少なくとも約70〜90パーセントの造血細胞が除去される。
例えば、CD34マーカーを用いる陽性選別を提供する粗分離に付随して又はその次に陰性選別が実行されてよく、それには特定の細胞上に存在する系列特異的マーカーに対する抗体が使用される。ほとんど、これらのマーカーは、CD2、CD3、CD7、CD8、CD10、CD14、CD15、CD16、CD19、CD20、CD33、CD38、CD71、HLA-DR、及びグリコフォリン(glycophorin)Aを含み;好ましくは、少なくともCD2、CD14、CD15、CD16、CD19、及びグリコフォリンAを含み;また通常は、少なくともCD14、CD15を含む。本明細書で使用されるように、Linは、少なくとも1つの系列特異的マーカーを欠いている細胞集団をさす。特定の細胞が大幅に減少した造血細胞組成はさらに、Thy−1及び/又はRho123l0に対する選別を使用して分離されてもよく、それによって高度に濃縮されたHSC集団が達成される。
精製されたHSCは、FACS解析による低方散乱プロファイル及び低位から中位の前方散乱プロファイルを有する。サイトスピン(Cytospin)標本は、濃縮HSCが成熟リンパ球細胞と成熟顆粒球との間のサイズを有することを示す。細胞は、それらの様々な細胞表面抗原の発現と同様に、光散乱特性に基づいて選別されてよい。
細胞を、はじめに粗分離によって分離し、続いてHSCに付随するマーカーを用いた陽性選別、及び系列委任細胞に付随するマーカーに対する陰性選別を用いて高純度に分離することができる。高度に濃縮されたHSCの組成は、この様式で達成され得る。所望の幹細胞はCD34Thy−1Lin表現型を有する集団によって裏づけられ、また長時間培養で維持されることができ、選抜して2次及び高次の培養に移すことができ、かつ様々なリンパ球性及び骨髄単球性系列、特にB並びにTリンパ球、単球、マクロファージ、好中球、赤血球などへ分化できることによって特徴付けられる。
(HSC集団の増幅のための培養方法及び装置)
Opn又はそのフラグメントを培地に添加し、HSCへのOpn結合を促進させ、かつHSC間質介在性微小環境的間隙を人工的に再現することができる。特定のHSC増幅培地を使用して、様々な使用のための多能性HSC集団を確立し、かつ維持することができる。特定の実施態様において、該培地はまた、HSCへのOpn結合を増加させるためのトロンビンを含む。
あるいは、Opn又はそのフラグメントを、培養フラスコ、ビーズ、又は他の培養装置の表面(バイオリアクターの表面など)に固定化し、HSCをOpn固定化表面に曝露させることができる。HSCは、1)Opn又は活性型Opnフラグメントは、該細胞を培養システム中の表面上に固定化させ、かつ2)Opn又は活性型Opnフラグメントは、多能性HSC集団の増幅を促進させるという、2つの主要な効果を有する培養装置内又は培養装置上の適切なOpn又は活性型Opnフラグメントに結合する。
固定化されたOpnを、培地又は培養装置上に選択的に固定化されたもののどちらかで、HSCに結合する他の固定化されたタンパク質(アンジオテンシン転換酵素(ACE)、CD59、CD34、及び/又はThy−1に結合する薬剤など)と共に使用し、HSC微小環境的間隙の成分を人工的に再現することができる。HSCの細胞分裂と共に、産生された多能性HSC子孫もまたOpnに結合し、それゆえ培養システム中の固定された細胞数は増幅する。
Opn結合のための適切な細胞接着分子を発現していない細胞は固定化されず、それゆえ培養システムから除去されることがある。例えば、Opnがバイオリアクターを通す貫流で固定化された場合、Opnに結合していない任意のHSC子孫は、培地の貫流中にHSC培地から分離される。それゆえ、Opn結合のための細胞表面受容体を欠く分化細胞は溶出され、他の結合した細胞から分離され得る。これは原始HSC集団の増幅のみならず、事実上のOpn選別過程を介してこの集団の高い同質性を促進する。
ある実施態様において、本発明は、HSC産生装置、すなわち多能性HSC集団のエクスビボ増幅のための培養装置を提供する。この産生装置は、該培養装置に固定化された又は培地を介して導入されるかのどちらかでOpnをHSC集団へと送達する。好ましくは、HSC集団は、該培養装置へのHSCの導入に先立って、例えばCD34又はアンジオテンシン転換酵素(ACE)のような細胞表面マーカーの1つ若しくはそれらの組み合わせを使用する、その開始物質から単離される。しかしながら、HSCは、優先的にHSCに結合する他の固定化された分子に基づいた、関連するHSC集団を単離する能力を有する装置に導入される前に、混成細胞集団中に存在し得ることが予想される。そのような混成集団は、成人ヒト骨髄又は成人臍帯血細胞中に存在するHSCを含む。
本発明で使用できるバイオリアクターは、インビボにおける栄養素濃度及び割合を模倣する、制御された濃度並びに割合で、培地及び酸素化を供給することができる培養プロセスを提供する。バイオリアクターは、長年の間市販されており、かつ様々なタイプの培養技術を採用する。いったん稼動すれば、バイオリアクターは、自動的に制御された培地流量、酸素供給、及び温度、並びにpH制御を提供し、そしてバイオリアクターは通常、大量の細胞の産生を可能にする。最も高性能なバイオリアクターは、最小限の手作業要件及び公開された処理段階を含む、準備、成長、選別及び回収手順を可能にする。そのようなバイオリアクターは、本発明によって意図される結合したHSC集団のような混成細胞混合体を用いた使用のためにデザインされる。
哺乳動物細胞培養のために使用される異なるバイオリアクターの多くは、単一の細胞型、及び本発明での使用に見出される高密度培養の産生を可能にするためにデザインされている。これらの高密度システムの典型的な用途は、細胞によって産生される最終生成物としての馴化培地を生産することである。これは、例えば、ウイルスベクター産生のために、モノクローナル抗体のハイブリドーマ産生、及びパッケージング細胞株を用いる場合である。本発明のある態様はそれゆえ、該最終生成物がHSC馴化培地である場合における、馴化HSC培地の産生である。
本発明の使用用途に適切なバイオリアクターは、これらに限定されないが、特に培養バイオリアクターとしての使用用途では、Slowiaczekらの米国特許第5,763,194号;特に本発明の増殖及び分化バイオリアクターとしての使用用途では、Armstrongらの米国特許第5,985,653号及び第6,238,908号、Sandstromらの米国特許第5,512,480号、並びにPalssonらの米国特許第5,459,069号、第5,763,266号、第5,888,807号及び第5,688,687号における記載されるものを含む。
(培養装置表面へのOpnの結合)
非共有結合は当業者に既知であり、かつこれらに限定されないが、例えばCa++、Mg++又はMn++架橋のような2価イオン架橋を介した結合;物質へのOpn又はそのフラグメントの吸着を介した結合;物質上における、例えばポリリジン、ポリアルギニン、スペルミン、スペルミジン又はカダベリンのようなポリアミンのプラズマ溶射又は被覆乾燥を介した結合;物質上に被覆された、例えばフィブロネクチン又はコラーゲンのような第2ポリペプチドを介した接着;又は、例えば、N−ヒドロキシスルフォスクシンイミジル−4−アジドサリチル酸(Sulfo-NHS-ASA)、スルフォスクシンイミジル(4−アジドサリチルアミド)ヘキサン酸(Sulfo-NHS- LC-ASA)、N−γ−マレイミドブチリルオキシスクシンイミドエステル(GMBS)、N−γ−マレイミドブチリルオキシスルフォスクシンイミドエステル(Sulfo-GMBS)、4−スクシンイミジルオキシカルボニル−メチル−α−(2−ピリジルジチオ)−トルエン(SMPT)、スルフォスクシンイミジル6[α−メチル−α(2−ピリジルジチオ)トルアミド]ヘキサン酸(Sulfo-LC-SMPT)、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオン酸(SPDP)、スクシンイミジル6−[3−(2−ピリジルジチオ)プロピオンアミド]ヘキサン酸(LC-SPDP)、スルフォスクシンイミジル6−[3−(2−ピリジルジチオ)プロピオンアミド]ヘキサン酸(Sulfo-LC-SPDP)、スクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボン酸(SMCC)、スルフォスクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボン酸(Sulfo-SMCC)、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスルフォスクシンイミドエステル(Sulfo MBS)、N−スクシンイミジ(4−ヨードアセチル)アミノ安息香酸(SIAB)、スルフォスクシンイミジル(4−ヨードアセチル)アミノ安息香酸(Sulfo-SIAB)、スクシンイミジル4−(p−マレイミドフェニル)酪酸(SMPB)、スルフォスクシンイミジル4(p−マレイミドフェニル)酪酸(Sulfo-SMPB)、又はアジドベンゾイルヒドラジド(ABH)のような二価性クロスリンカーを介する物質への接着を含む。他の実施態様において、Opn又はOpnの活性フラグメントは、静電相互作用を介して物質に接着する。
あるいは、Opnは、先に記載したように、非共有結合を介して表面に接着することができ、さらにグリコサミノグリカンを含む。Opn、CD44及びヒアルロン酸の間の相互作用に基づいて、好ましいグリコサミノグリカンは、ヒアルロン酸、より好ましくは二糖より大きいヒアルロン酸である。ある実施態様において、ヒアルロン酸は、100kDa未満、より好ましくは約20〜約100kDa、例えば、約50〜100kDa、70〜100kDa、又は30〜80kDaの範囲の分子量を有する。
(細胞増殖及び分化を促進するための培地並びに装置)
HSCが分裂する場合、全てではないが、いくつかの分裂は非対称である。非対称性分裂において、最初のHSCは分裂し、娘HSC、及びより分化した子孫細胞を産生する。非対称性分裂は、さらなる分化を伴い又は伴わずに使用される子孫細胞集団を生じるHSC集団の定常状態をもたらす。本発明のある態様は、HSC培養中のOpnの阻害は、全体として細胞増殖を促進するという知見に基づいている。本発明におけるOpnの阻害を利用して、培養システム中で非対称性分裂の速度を増加させることによって、非対称プロセスを活用することができる。
より分化した細胞を増殖させるために使用されるバイオリアクター及び培養条件は、所望の最終成熟細胞産物によって変化する。いくつかの「古典的な」バイオリアクターは当業者に既知であり、かつArmstrongらの米国特許第5,985,653号及び第6,238,908号、Sandstromらの米国特許第5,512,480号、並びにPalssonらの米国特許第5,459,069号、第5,763,266号、第5,888,807号及び第5,688,687号において記載されるようなバイオリアクターを含む。
Opnブロッキング増殖後の分化細胞集団は、血管芽細胞、又は成熟し完全に分化した血液細胞の他の不確定な共通の前駆体であってよい。血管芽細胞は安定な、新生児及び成人の両方に存在し、臍帯血から単離される非一過性細胞である。血管芽細胞は、最初の段階での増殖に続いて、所望の血液細胞へとさらに増殖することができる。さらなる分化細胞は細胞表面マーカーによって始原細胞から識別可能であり、かつ所望の細胞型はそのようなマーカーに基づいて同定又は単離されることができる。例えば、Lin−HSCは、系列委任細胞に付随するいくつかのマーカーを欠いている。系列委任マーカーは、T細胞(CD2、CD3、CD4、及びCD8など)、B細胞(CD10、CD19、及びCD20など)、骨髄性細胞(CD14、CD15、CD16、及びCD33など)、ナチュラルキラー(「NK」)細胞(CD2、CD16、及びCD56など)、RBC(グリコフォリンAなど)、巨核球(CD41)に付随するマーカー、又はCD38、CD71及びHLA−DRなどの他のマーカーを含む。HSCにおいて高度に濃縮された集団、及びそれらを得るための方法は、PCT/US94/09760;PCT/US94/08574及びPCT/US94/10501に記載されている。
使用されるバイオリアクターと同様に、培地成分、O濃度、分化因子、pH、温度などの他の培養条件は、所望の分化した細胞集団、及び所望の分化細胞型によって変化するが、分化培地への供給に使用されるサイトカインにおいて主に異なる。特定の系列への成熟化プロセスは、制御因子の複雑なネットワークによって調節され得る。そのような因子は、約0.1ng/mL〜500ng/mL、より一般的には10ng/mL〜100ng/mLの濃度で使用されるサイトカインを含む。適切なサイトカインは、それらに限定されるものではないが、c−kitリガンド(KL)(また、造血幹細胞因子(Stl)、肥満細胞成長因子(MGF)及び幹細胞成長因子(SCGF)とも呼ばれる)、マクロファージコロニー刺激因子(MCSF)、IL−1α、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−11、G−CSF、GM−CSF、MIP−1、LIF、c−mplリガンド/トロンボポエチン、エリスロポエチン及びflk2/flk3リガンドを含む。分化培養条件は、上記にリスト化されたサイトカインの少なくとも2つを含み、かついくつかを含んでもよい。
例えば、赤血球が所望の成熟血液産物である場合、少なくともエリスロポエチンが培地に添加され、好ましくはSCGF、IL−1、IL−3、IL−6、及びGMCSFの全てが培地に添加され、場合によりエリスロポエチンは最終分化因子として後に添加される。血小板が所望の成熟血液産物である場合、好ましくはSCGF、IL−1、IL−3、GMSCF、及びIL−11が培地に添加される。例えば、T細胞の分化のための経路は、該細胞集団がIL−1及びIL−6で分化され、続いてIL−1、IL−2及びIL−7で分化され、続いてIL−2及びIL−4で分化されることが必要である。
選択的に単一の細胞型への分化を指示するので、最終産物は混合された集団であってよく、かつ該細胞は、現在の細胞分離技術及び手順を用いて分離されてよい。
HSCへのOpn結合の阻害はまた、研究、HSCの機能又は生存率を変化させる化合物又は薬剤に対するスクリーニング、医薬品の毒性テストなどの用途の細胞集団を提供することに実用性を有する。HSC開始培地を提供すること、及びHSCへのOpn結合の阻害を介した、より成熟した細胞型の増殖を選択的に増幅させることは、HSC増殖の増加のみならず、より分化した子孫の産生を特異的に促進させることを可能にする。
それゆえ、ある実施態様において、本発明は、Opnを阻害する1以上の薬剤を含む、HSC増殖及び分化のための培地を提供する。Opnの阻害は、単一の培養システム又は逐次的培養システム(すなわち、異なる培地を用いた逐次的バイオリアクター)のどちらかで提供されてよい。これは、培養システムは、逐次的培養条件を含む場合に特に有用である。
例えば、産生された分化子孫の数を最大化させるために、Opn結合を介してHSC集団を最初に増幅させ(培養セッティング内に固定化されて提供されるOpn、又はOpnを含む培地を介して培養セッティングに提供されるOpnを用いて)、続くOpnの阻害がより成熟した造血子孫の増殖及び分化を促進させることが望ましいことがある。
単一のOpn阻害剤は本発明の方法で使用されてもよいが、ある実施態様においては、特にOpnは複数の細胞接着分子に結合することが知られているので、培養システム及び/又は培地中でOpnの阻害を確実にするための複数の薬剤(例えば、様々なOpnエピトープに対する複数の抗体)を使用することは好ましいであろう。培地中に含まれるOpn阻害分子は、培地かん流によって補給されてよい。あるいは、Opn阻害分子は、培養システムにおける分離手段を通って(例えばバイオリアクター中の吸気ポートの中に)濃縮された溶液として、培地かん流なしで別々に添加されてよい。結合剤がかん流なしで添加される場合、Opnに対する特定の薬剤又は薬剤の実際の親和性に当然依存するが、培養システム内の1/10〜1/100の容量に等しい量で、10〜100×溶液として通常添加される。
典型的な実施態様において、Opn結合及び/又は阻害は、血液細胞の産生に使用される。いったん分化すると、所望の血液細胞型に対する選別は、細胞表面マーカーを探すことによって行われ得る。例えば、T細胞は、マーカーCD2、CD3、CD4、及びCD8を有することが知られ;B細胞はCD10、CD19、及びCD20を有し;骨髄性細胞はCD14、CD15、CD16、及びCD33に対して陽性であり;ナチュラルキラー(「NK」)細胞はCD2、CD16、及びCD56に対して陽性であり;赤血球はグリコフォリンAに対して陽性であり;巨核球はCD41を有し;また、肥満細胞、好酸球、及び好塩基球は、CD38、CD71、及びHLA−DRなどのマーカーを有することが知られている。
いったん産生されたならば、血液細胞はまた、将来的な使用のために保存されてよい。血液細胞の保存は、当業者に既知の任意の方法によって達成されてよい。例えば、血液細胞などの生物学的生成物の保存及び低温保存のための一般的プロトコールは、Liveseyら米国特許第6,194,136号及び第5,364,756号;及びAugelloらの米国特許第6,602,718号で開示されている。さらに、赤血球細胞の保存のための溶液及び方法はEstepの米国特許第4,386,069号に開示され、また血小板の保存は、ハイパーバリックシステムズ・インコーポレイテッド(HyperBaric Systems, Inc.)及びヒューマンバイオシステムズ・インコーポレイテッド(Human Biosystems, Inc.)からの新しい方法に関連した最近の報告と同様に、Liveseyらの米国特許第5,622,867号、第5,919614号及び第6,211 ,669号に開示されている。
本発明の方法を用いて産生された細胞を治療的に使用して、様々な血液疾患を治療できることが想定される。該培養システムにおけるOpnの使用は、HSCの治療的に適切な数の細胞への増幅を促進する。
特定の実施態様において、産生される細胞は赤血球(erythrocyte)(赤血球(red blood cell))である。赤血球の主要な機能は、身体の組織に酸素を運搬することである。主要でない機能は、栄養素、細胞間メッセージ、及びサイトカインの運搬、並びに細胞内代謝物の吸収を含む。貧血、又は赤血球若しくは赤血球限度容量の不足は、酸素を運搬する血液の能力の減少として明らかに定義されることができ、かつ急性又は慢性であってよい。慢性失血は、外因性赤血球異常、内因性異常、又は赤血球の産生障害によって引き起こされることもある。外因性、又は赤血球外異常は、輸血反応及び赤芽球症などの抗体介在性疾患、微小血管症性溶血性貧血などの赤血球に対する物理的損傷、血栓性血小板減少性紫斑病及び播種性血管内凝固症候群を含む。さらに、プラスモディウム(Plasmodium)などの寄生生物による感染、例えば鉛中毒からの化学的損傷、及び脾機能亢進症などの単核細胞における分画症は、赤血球疾患を誘発することができる。
赤血球産生のより一般的な疾患のいくつかは、腎不全又は内分泌異常に伴う再生不良性貧血(aplastic anemia)、再生不良性貧血(hypoplastic anemia)、赤芽球癆、及び貧血を含む。赤芽球の増殖及び分化の障害は、シアノコバラミン又は葉酸の利用障害及び巨赤芽球性貧血などのDNA合成における欠陥、、ヘム又はグロビン合成における欠陥、及び鉄芽球性貧血などの未知の原因による貧血、マラリア、トリパノソーマ、HIV、肝炎ウイルス又は他のウイルスなどの慢性感染症に伴う貧血、及び骨髄欠損症によって引き起こされる骨髄障害性貧血を含む。
(HSC増幅を介した薬剤及びベクター取り込みの促進)
本発明の特定の治療態様において、造血細胞が対象から摘出され、エクスビボで形質導入され、そして該修飾細胞は該対象へと戻される。修飾HSC及びそれらの子孫は、インビボで所望の遺伝子産物を発現し、それゆえ持続的な治療的有用性を提供する。
静止HSCは、薬剤の取り込み又は遺伝情報の形質導入を促進するために、そのような細胞をOpnに暴露させることによって、分裂することを活性化さることができる。本発明のこの態様は重要な臨床的意義を有し、ウイルスベクター(例えば、レトロウイルスベクター又はレンチウイルスベクター)を利用する方法を介したHSCへの遺伝物質の改良された形質導入、HSC集団における遺伝子発現、タンパク質産生及び/又は酵素活性化のエクスビボ操作用の低分子干渉RNA分子(RNAi)、アンチセンス、リボザイムなどを含む。
静止HSCは、トロンビン存在下でのOpnを用いた活性化を含む、Opn又は活性型Opnフラグメントの存在下で活性化され、活性剤又は輸送ベクターと共に培養される。活発に分裂している細胞は、遺伝物質の遺伝的取り込み、細胞内の遺伝性又はウイルス性エレメントの複製、すなわち細胞分裂の間における特定のタンパク質の活性化を促進することができる。そのような形質転換された/形質導入されたHSCは、多くの治療目的のための遺伝子発現及びタンパク質産生を促進するために有用であり、造血系列の細胞に付随する遺伝的欠損を含む細胞の補正を含み、又は修飾されたHSCの子孫におけるウイルス感染に対する免疫力(例えば、HIVによる感染に対する免疫力)を提供する。
本発明は、その特定の実施態様への言及と共に記載されているが、様々な変形が作り出されてよく、かつ同等物は、本発明の実際に意とするところ及び範囲から逸脱することなしに置換されてよいことは、当業者によって理解されるはずである。さらに、多くの修飾を作り、特定の状況、素材、成分の組成、プロセス、工程段階を、本発明の対象物、意とするところ及び範囲に適合させてもよい。全てのそのような修飾は、この文書に添付された特許請求の範囲内にあることが意図されている。
(実施例1):切除していない受容者における、骨髄移植を用いたHSCの空間分布解析
骨髄除去した受容者への移植は、依然として患者がHSCの移植片を与えられるという標準的な手段のままである。しかしながら、骨髄内の細胞の空間分布及びこのプロセスを制御する因子を解析するための最も適切な方法は、HMが予備切除によって除去されていない場合におけるものである。性不整合骨髄移植及び正常な所在ハイブリダイゼーションによる提供者細胞の検出を使用して、本発明者は、移植後6週間の、骨内膜領域内に移植されたHSCの検出(骨から12個の細胞として独断的に定義された)を以前に報告した(Nilsson, S. K.らの論文, Blood, 1997. 89. p. 4013- 4020)。この研究室のそれに続く研究は、これらの所見を確認し、拡張する。
近年、新たなアプローチが、蛍光標識された(CFSE)細胞の移植、かん流固定、及び切除していない受容者において留まっている個々の細胞を追跡するための骨髄切片の解析を用いて発達してきた。異なる骨髄亜母集団を使用した移植は、大部分の細胞は中心骨髄血管から骨髄へと入るが、それらの結果的な局在は骨髄亜母集団の表現型に従って変化することを示した。HSC(LinScaKit細胞)中に濃縮された集団は、骨内膜領域に選択的な移行及び堆積を示したが、対照的に系列委任(Linに指定される)に付随する表面マーカーを発現している造血細胞は骨内膜領域から離れ、そして中心骨髄領域に高い選択性を示した。それゆえ、骨髄内に移植した造血細胞の分布はランダムではなく、かつ定常状態成体マウスBM中の関連した細胞集団に対して先に定義されたことをしっかりと反映する(Lord, B.I., N. G. Testa及びJ.H. Hendryの論文, Blood, 1975. 46. p. 65-72)。これらのデータは、骨髄内に移植した造血細胞の個々の空間的局在は、解剖的に異なった部位での造血細胞の集団の滞留に至る、特定の階層依存的パターンの結果であるようであることを初めて示す。それゆえ、骨髄の骨内膜領域はHSC「間隙」の部位を存在することを提案する。
(実施例2):移植したHSCの空間分布における、HAとその受容体CD44との相互作用
細胞表面ヒアルロン酸(HA)は明らかに、正常細胞及び主要細胞の両方の幅広い細胞型の接着、運動性及び成長に影響する。その複数結合価(隣接細胞上の複数の受容体の架橋を可能にする)のために、内因性細胞表面HAと、その一次受容体であるCD44との相互作用は、いくつかの細胞型の凝集を仲介する(Aruffo, A.らの論文, Cell, 1990. 61. p. 1303- 1313)。HAへの細胞の曝露、又はHAの異所性発現のどちらかの後の増加した細胞運動又は進入の多くの例があり、また細胞運動の阻害は、HA分解、又はHA受容体のブロッキングのどちらかの結果として起こる(Turley, E.A.らの論文, Exp Cell Res, 1993. 207. p. 277-82)。
HAは複数の受容体を有するが、主要な細胞表面受容体はCD44である(Aruffo, A.らの論文、上記参照)。最も広く分布しているCD44H(H=造血)を含む、CD44の多くのタンパク質アイソフォームがある。マウスモデルは、骨髄細胞上のCD44、及び移植したHSCの堆積における造血微小環境内でのCD44の役割の解析のために、本発明者によって利用され発展してきた。このモデルにおいて、受容者は、3ヶ月を越える期間にわたり、正常なC57B6又はCD44−/−骨髄のどちらかで再構成した、致死的に切除したCD44−/−若しくはC57B6を用いて作成した。CD44−/−又はC57B6マウスのどちらかから単離したHSCの空間分布は、それから移植後の短い時間点で解析した。間質細胞は静脈的に移植していないので、このモデルは、骨髄細胞又は微小環境のどちらかによるCD44の発現の効果の解析を可能にする。
このモデルにおいて移植されたHSCの解析は、骨内膜領域内の堆積内における、受容者骨髄細胞上に発現するCD44の重要な役割を示した。予め致死的に放射線照射し、CD44−/−正常骨髄を用いて再構成した、切除されていないマウスC57B6受容体へ移植したC57B6 HSC(LinScaKit)の空間分布の解析は、予め致死的に放射線照射し、C57B6正常骨髄を用いて再構成した、C57B6受容体へのC57B6 HSCの移植に比較して、移植後15時間(p<0.05)の骨内膜領域内における提供者細胞の比率の大幅な減少を示した(図1)。これらの受容者において、間質介在性微小環境はCD44を発現し、かつ骨髄細胞はCD44を欠損している。予め致死的に放射線照射し、かつ移植の15時間後にCD44−/−正常骨髄を用いて再構成した、切除していないマウスCD44−/−受容者へのC57B6 HSC(LinScaKit)を移植することは、提供者細胞の全体的にランダムな分布を示した(図1);野生型に比較して、p<0.001。これらの受容者において、骨髄細胞及び微小環境は、両方ともCD44を欠いていた。これは、移植されたHSCの空間分布における、HA−CD44相互作用の機能的役割を示唆する。
(実施例3):HSC及び造血微小環境の両方によるCD44発現は、インビボのHSC潜在性にとってきわめて重要である。
インビボの限界希釈アッセイでのHSC潜在性の解析は、受容者微小環境的間隙内のみならず提供者HSCの両方でのCD44のきわめて重要な必要性を示した(図2)。CD44が提供者HSCに存在しない場合、50%未満のキメラを、野生型HSCに同数の移植に続く、100%提供者再構成に比較した1000個のHSCの移植後12週で獲得した。さらに、野生型HSCを、CD44を欠く微小環境へと移植した場合、野生型HMへ移植した野生型HSCに比較して、移植後12週間で100%提供者再構成を得るために、著しく多くのHSCが必要であった。これは、HSC潜在性の制御における、CD44の機能的役割を示唆する。
(実施例4):HSC堆積におけるCD44の生理的役割及び相互作用
CD44は、造血組織内の細胞で普遍的に発現し、厳重に制御され、かつ特定の細胞型及び活性化状態でのみ起こるオルタナティブスプライシングを有する(Isacke, CM. 及びH. Yarwoodの論文, lnt J Biochem Cell Biol, 2002. 34. p. 718-21)。CD44は、細胞外マトリクスタンパク質コラーゲン、ラミニン、及びフィブロネクチンと同様に、広い範囲の細胞型への結合を仲介する複数のリガンドを有する(Wayner, E.A.及び W.G. Carterの論文, The Journal of Cell Biology, 1987. 105. p. 1873-1884; Faassen, A.E.らの論文, J Cell Biol, 1992. 116. p. 521-31 ; Jalkanen, S.及びM. Jalkanenの論文, J Cell Biol, 1992. 116. p. 817-25)。マウス及びヒトHSCの解析は、CD44H、CD44v6、及びCD44v7発現を明示した。骨内膜内のHSC細胞堆積におけるCD44の役割を解析するために、この領域に固有の分布を有するCD44受容体の解析を行った。これらの調査は、CD44との十分に立証された相互作用を有する微小環境的間隙内の2つの潜在的候補、他の細胞成分であるHA及びOpnを同定した。
(実施例5):HSC堆積におけるOpnの生理的役割
特異的抗Opn抗体を用いたマウス大腿骨の切片のラベリングは、骨内膜へのOpnの限局的な発現を示した。さらに、本発明者は、マウスHSCが、βインテグリン及びCD44を介してOpnに結合することを示した(図3)。これは、HSCとOpnとの間の特異的相互作用の初めての証明である。Opnが骨髄微小環境的間隙に存在しない場合、移植後15時間の骨内膜に位置する細胞数の大幅な(〜30%)減少がある。それと共に、これらのデータはまた、移植したHSCの空間分布における、CD44−Opn相互作用の機能的役割を示唆する。
(実施例6):HSC制御におけるOpnの役割
最新の実験は、HSCがOpnに結合することのみならず、これらの相互作用が造血前駆細胞の増殖を阻害することを示す(図4)。これらの実験において、CD34細胞への2μg/mlのOpnの添加は、培養4日後に全体の細胞増殖を50%にまで阻害した。しかしながら、全体的な増殖の増加にもかかわらず、4週間の継続的なブロモデオキシウリジン(BrdU)の経口投与後のOpn−/−及び野生型マウスから単離したHSCの循環履歴の解析は、野生型コントロールに比較して、Opn−/−マウスの著しく速い細胞周期速度を示した(図5)。それと共に、これらのデータは、HSC制御におけるインビボOpnの重要な役割を示唆する。培養中のHSCへのOpnの添加は、細胞増殖に関して2つの重要な効果を有する:1)Opnは、造血系列細胞の細胞産生の全体的なレベルを阻害している;それゆえ、Opnは、HSCの増殖及び分化を阻害している;及び2)Opnは、さらなるHSCへのHSCの分裂を促進しており、それゆえ、培養中の多能性HSCの産生を増幅している。
(実施例7):HSC−微小環境的相互作用における、OpnのCD44−非依存的活性化
さらなるデータは、Opnの活性がCD44とのその相互作用に完全には依存していないことを示す。間質におけるOpnの存在が、間質へのHSCの移行を阻害することを示しているデータを図6に示す。間質へのHSCの通常の移行はほとんどSDF−1(これはAMDによって特異的に阻害される)のためなので、これはOpnがSDF−1制御に関与していることを示唆する。CD44は、SDF−1及びOpnのこの潜在的相互作用に関与していないようなので、本結果は、野生型及びCD44ノックアウトマウスにおいて同じである。さらに、固定されたOpnは、HSCのSDF−1誘導型走化性を阻害する能力を有する(図7)。
またこれは、Opnが造血微小環境においてHSCの堆積に直接的に影響する、CD44とは独立した効果を有していることを示唆する。
本発明は、特定の実施態様への言及をもって記載されているが、様々な変化が作り出されてよく、かつ同等物は、本発明の実際に意とするところ及び範囲から逸脱することなしに置換されてよいことは当業者によって理解されるはずである。さらに、多くの修飾を作り出し、特定の状況、素材、又はプロセスを、本発明の対象物、意とするところ及び範囲に適合させてもよい。全てのそのような修飾は、本発明の範囲内であることが意図されている。
(図面の簡単な説明)
上記列挙された本発明の特性、利点、及び目的を達成し、かつ、より詳細に理解することができるように、上記に手短に要約した本発明のより具体的な説明が、添付の実施例及び図面に描写される実施態様を参照することによって得られる。しかしながら、本発明は他の同等な効果を有する実施態様を受け入れてよいため、添付の実施例及び図面は本発明の特定の実施態様のみを描写し、それゆえその範囲を制限すると考えるべきでないことに留意されたい。
図1は、切除なしの移植後、CD44−/−又はC57B6マウスのどちらかから単離されたHSCの空間分布を示す棒グラフである。 図2は、異なる造血微小環境への野生型HSCの移植後の提供者再構成を示す。HSC=提供者造血幹細胞;HM=受容者微小環境。 図3は、OpnへのマウスHSCの接着を示す棒グラフである。CD44結合はEDTA存在下であるが、VLA4結合はMnClの存在下である。 図4は、HSCへのOpn結合が、造血子孫の増殖を阻害することを示す棒グラフである。産生された造血前駆体は、4日間無血清培養中にまかれた500個のCD34 CB HSC当たりで測定された。HGF=造血成長因子 図5は、BrdUの4週間後のOpn−/−及び野生型コントロールの細胞周期履歴を示す棒グラフである。該グラフは、4週間の継続的なBrdU後の、LinScaKit細胞の周期のパーセンテージを測定する。このグラフは、HSC増幅を促進するためのOpnの能力を示す。 図6は、間質におけるOpnの不在が、間質へのHSCの移行を阻害することを示す棒グラフである。 図7は、固定化されたOpnが、SDF−1勾配に対するHSCの走化性を妨げることを示す棒グラフである。

Claims (16)

  1. 多分化能幹細胞集団のエクスビボ制御、増幅、増殖、又は分化を調節する方法であって、Opn及び/又は活性型Opnフラグメントに対する該多分化能幹細胞集団の曝露を調節することを含む、前記方法。
  2. 多分化能幹細胞集団のエクスビボ増幅を増加させるための請求項1記載の方法であって、該多分化能幹細胞集団をOpn及び/又は活性型Opnフラグメントに曝露させることを含む、前記方法。
  3. 前記Opn及び/又は活性型Opnフラグメントが、前記多分化能幹細胞集団培養の培地に添加される、請求項2記載の方法。
  4. 前記Opn及び/又は活性型Opnフラグメントが培養装置上に固定されている、請求項2又は3記載の方法。
  5. 該培養装置が、ビーズ、培養フラスコ、又はバイオリアクターを含む群から選択される、請求項4記載の方法。
  6. さらにトロンビンを添加することを含む、請求項2〜5いずれか1項記載の方法。
  7. 多分化能幹細胞集団のエクスビボ増殖及び分化を増加させるための請求項1記載の方法であって、Opn及び/又は活性型Opnフラグメントへの該多分化能幹細胞集団の曝露を減少させる又は阻止することを含む、前記方法。
  8. Opn及び/又は活性型Opnフラグメントを含まない培地中で該多分化能幹細胞集団を培養することを含む、請求項7記載の方法。
  9. 1以上のOpn結合の阻害剤の存在下で、該多分化能幹細胞集団を培養することを含む、請求項7又は8記載の方法。
  10. 多分化能幹細胞集団を獲得すること、及びOpn及び/又は活性型Opnフラグメントを含む培地中で該多分化能幹細胞集団を培養することを含む方法によって作成される、多能性細胞集団。
  11. 多分化能幹細胞集団を獲得すること、及び1以上のOpn及び/又は活性型Opnフラグメントの結合阻害剤を含む培地中で、多分化能幹細胞集団を獲得すること及び該多分化能幹細胞集団を培養することを含む方法によって作成された分化細胞集団。
  12. 多分化能幹細胞集団の増幅を促進する濃度で、Opn及び/又は活性型Opnフラグメントを含む、細胞培地。
  13. 多分化能幹細胞集団の分化を促進する濃度で、Opn及び/又は活性型Opnフラグメントの結合阻害剤を含む、細胞培養液。
  14. 該多分化能幹細胞が造血幹細胞である、請求項1〜9のいずれか1項記載の方法。
  15. 該多分化能幹細胞が造血幹細胞である、請求項10又は11記載の細胞集団。
  16. 該多分化能幹細胞が造血幹細胞である、請求項12又は13記載の培地。
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