JP2007530640A - 聴力損失を予防及び/又は治療するためのフェノチアジン誘導体の使用 - Google Patents
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Abstract
〔式中、Rは水素原子、アルキル基、アリールアルキル基又は−C(O)R´基を表す〕
のフェノチアジンの使用に関する。
Description
〔式中、Rは水素原子、(C1〜C6)アルキル基、アリールアルキル基又は−C(O)R´基を表し、前記の基のR´はヘテロシクロアルキル基、(C1〜C6)アルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す;
但し、前記のアルキル基、アリール基又はヘテロシクロアルキル基は、場合により(C1〜C6)アルキル基、ヒドロキシ基、(C1〜C6)アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子又は−NR1R2から選択される1個又はそれ以上の同一又は異なる置換基で置換されていてもよく;R1及びR2は、独立して水素原子又は(C1〜C6)アルキル基を表すか、あるいはR1及びR2は、これらを結合している窒素原子と一緒になって場合により置換されていてもよい複素環を形成する〕
に対応する複素環誘導体の使用である。
さらに詳しくは次式
の一つを有する。
さらに詳しくは次式
の一つを有する。
薬理学的研究
1)ゲンタマイシンを用いた治療によって誘発される中毒性難聴
ゲンタマイシンによって誘発される聴覚有毛細胞の消失に対して同時治療として投与される化合物1の保護効果の実証
ゲンタマイシン及びその他のアミノグリコシドは、ヒトにおいて聴覚有毛細胞に対する損傷及び聴力損失を引き起こすことが明らかにされている。ゼブラフィッシュは、その体表面に神経小丘と呼ばれる感覚器を示す。この魚の場合には、神経小丘聴覚有毛細胞はDASPEIを用いて染色することができ、この染色は聴覚有毛細胞の数を反映する。この聴覚有毛細胞はヒトの耳の内部聴覚有毛細胞と構造的及び機能的に類似している。
− 陰性対照の染色信号は対照の信号の31.5±4.2%に相当するか、又はゲンタマイシンを用いて処理した後の聴覚有毛細胞の68.5±4.9%の喪失に相当すること、
− ゲンタマイシンと化合物1を用いて処理した動物の染色信号は、対照の信号の65.2± 4.4%に相当するか、又はゲンタマイシンを用いた処理によって損傷した聴覚有毛細胞の48.7±2.63%の極めて顕著な保護に相当すること
を示す。
これは、モルモットで音響外傷によって引き起こされた聴力損失後の、一方では内耳の聴覚有毛細胞の保護及び他方では聴覚の機能回復に関する治療前及び治療後における化合物(1)の保護効果の研究を含む。化合物(1)は、ヒトの外科臨床医学でその使用を模擬実験するように“蝸牛内又は蝸牛外”局所経路で投与した。
− 動物に、Rompun(登録商標)2%(3mg/kg)+Zoletil(登録商標)(40mg/kg) の混合物の筋肉内注射で麻酔をかけた。この麻酔は、急速に消散するという利点を有し且つ最初の用量の3分の1の規則的注射(2時間毎)によって数時間維持することができる。
音刺激を、2つのヒューレット・パッカードシンセサイザー(HP 3314 A及びHP 8904 A)を使用して生じさせ、耳から10cm離して配置したラウンドスピーカー(JBL 075)を用いて自由野で伝えた。音響装置の較正は、人工内耳で1/2インチマイクロホン(型式4134、Bruel and Kjaer)及びデシベルSP(dB SPL、reference:2.10-5 Pa)の音響レベルの直接読み取りを可能にする測定用アンプ(型式2606)を使用して行った。音響信号を表示するために、測定用アンプの出力をオシロスコープに接続した。動物を6 kHzの音に、120 dB SPLで30分間暴露した。
動物の頭部に固定されたコネクターを経由して蝸牛に埋め込まれた電極によって記録された蝸牛の反応を増幅し(増幅率1000)、プレアンプ及びGRASS P 511 K型の差動増幅器を使用してフィルターにかけた(32 Hz〜3200 Hz)。ダイレクトトレース(direct trace)をオシロスコープ(Tektronix type 513)上に表示した。この信号を平均して(256パス)バックグラウンドノイズを減少させ、486 PCコンピューター、66メガヘルツ(Hewlett-Packard-Vectra 05/65)に保存した。限界基準を、測定可能な応答( >2μV)を生じさせるのに必要なdB SPL値と定義した。蝸牛(正円窓)と接触させて配置した電極は、それぞれの耳について蝸牛反応及びオージオグラムの生成を可能にする。計量音響閾値を、音響外傷の20分後に記録し、1ヶ月間毎日記録した。
音響外傷後のカルパイン酵素の活性を測定することを目的として、カルパインの特異基質(ホドリン)の切断を定量した。カルパインは、240 KDのホドリンを切断して150 KDの分解生成物を生成する。二重マーキング(marking)を、150 KDの断片に特異的なポリクロナール抗体と、聴覚有毛細胞の確認を可能にする抗カルビンジン抗体とを用いて行った。蛍光は共焦点顕微鏡を用いて示された。
細胞死の性質を調べることを目的として、蝸牛細胞のDNAの断片化を、TUNEL法を使用して定量した。
蝸牛細胞の完全性を、免疫細胞化学により抗シトクロムC抗体を使用して調べた。健常細胞では、シトクロムCはミトコンドリアに局在する。音響外傷後に、シトクロムCは細胞質に拡散され、分配される。
プロトコール − 第1相:化合物(1)の前投与
皮膚の下に配置された浸透圧ミニポンプは、化合物(1)を送達する。
100μMの濃度の化合物(1)
オージオグラムで測定した機能試験。音響外傷後の聴力損失及び化合物1による保護
120 dBで30分間の外傷後5日目に、オージオグラムの読み取りは、化合物(1)の有効性を実証することを可能にした;この化合物は、この外傷の2日前に100μMで灌流させた場合に聴覚の100%の回復を可能にした(図3)。
電気生理学的評価(オージオグラム)の終わり、すなわち音響外傷後30日目に、動物の蝸牛を採取し、電子顕微鏡用に調製した。
化合物(1)の保護効果を、聴力損失の50%を回復させる有効量(ED50)を規定することを目的として用量を変化させることによって評価した。動物5匹からなる8群、例えば人工外リンパのみを受けいれた群及び化合物(1)1μM、3μM、10μM、33μM及び100μMを受け入れた群、すなわち動物30匹を使用した。
予備研究により、暴露後に行った蝸牛開口術(cochleostomy)は音の外傷効果をさらに悪化させることが明らかにされた。このようにして、外傷後に埋め込まれた動物は、回復しないし、また埋め込まれていない動物も回復しない。蝸牛開口術(cochleostomy)に関連した外傷を除くために、本発明者らは、本発明の化合物を直接に正円窓(蝸牛外)に投与することによる非外傷法(non-traumatic method)を開発した。
300μMの濃度での化合物(1)
機能試験:オージオグラム
外傷後1時間で、化合物(1)は聴覚の90%を維持する。化合物(1)が外傷後に聴覚の50%を維持しながら示すことができる時間は、6〜7時間と決定された。化合物(1)の治療窓は、120 dBで30分間の音響外傷後24時間である。これは、このモデルにおいて化合物(1)が音響外傷後の最初の24時間活性であることを意味する(図9:音響外傷後10日間行ったオージオグラム)。
音響外傷の6時間後に開始した300μMの化合物(1)の蝸牛外灌流は、音響外傷の1ヶ月後に聴覚有毛細胞の大部分をまだ保護している。実際に、雑音に暴露されるが化合物(1)で処理されない反対側(contralateral side)(この場合には内部聴覚有毛細胞の86%及び外部聴覚有毛細胞の62%が音響障害によって損傷した領域に存在しない)と比べて、内部聴覚有毛細胞の32%及び外部聴覚有毛細胞の18%が音響障害によって損傷した領域に存在しないだけである。
Claims (29)
- 聴力損失を予防及び/又は治療することを目的とした医薬を製造するためのジアステレオ異性体又はこれらの異性体の任意の組み合わせの形の式
〔式中、Rは水素原子、(C1〜C6)アルキル基、アリールアルキル基又は−C(O)R´基を表し、前記の基のR´はヘテロシクロアルキル基、(C1〜C6)アルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す;
但し、前記のアルキル基、アリール基又はヘテロシクロアルキル基は、場合により(C1〜C6)アルキル基、ヒドロキシ基、(C1〜C6)アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子又は−NR1R2から選択される1個又はそれ以上の同一又は異なる置換基で置換されていてもよく;R1及びR2は、独立して水素原子又は(C1〜C6)アルキル基を表すか、あるいはR1及びR2は、これらを結合している窒素原子と一緒になって場合により置換されていてもよい複素環を形成する〕
に対応する複素環誘導体の使用。 - Rが−C(O)R´を表すことを特徴とする請求項1に記載の使用。
- R´はがアルキル基を表すことを特徴とする請求項2に記載の使用。
- Rが-C(O)-CH3を表すことを特徴とする請求項3に記載の使用。
- Rが水素原子を表すことを特徴とする請求項1に記載の使用。
- 化合物(I)が式
を有することを特徴とする前記請求項のいずれか1項に記載の使用。 - 化合物(I)が式
を有することを特徴とする請求項6に記載の使用。 - 化合物(I)が式
を有することを特徴とする請求項6に記載の使用。 - 化合物(I)が式
を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用。 - 化合物(I)が式
を有することを特徴とする請求項8に記載の使用。 - 化合物(I)が式
を有することを特徴とする請求項8に記載の使用。 - 誘導体(I)が治療前に投与されるものであることを特徴とする前記請求項のいずれか1項に記載の使用。
- 誘導体(I)が治療後に投与されるものであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の使用。
- 医薬の投与の後の聴力損失を予防及び/又は治療することを目的とした医薬を製造するための前記請求項のいずれか1項に記載の使用。
- 抗生物質、抗癌薬、非ステロイド系抗炎症剤、利尿薬、抗潰瘍薬、抗痙攣剤から選択される別の医薬の投与の後の請求項14に記載の使用。
- 抗生物質の投与の後の請求項15に記載の使用。
- 抗生物質がゲンタマイシンアミノであることを特徴とする請求項16に記載の使用。
- 老人性難聴の後の聴力損失を予防及び/又は治療することを目的とした医薬を製造するための請求項1〜13のいずれか1項に記載の使用。
- 音響外傷の後の聴力損失を予防及び/又は治療することを目的とした医薬を製造するための請求項1〜13のいずれか1項に記載の使用。
- 化合物(I)が音響外傷の後の7時間以内、好ましく1時間以内で投与されることを特徴とする請求項19に記載の使用。
- 化合物(I)を、医薬活性をもつ少なくとも1種の別の物質と組み合わせることを特徴とする前記請求項のいずれか1項に記載の使用。
- 化合物(I)を、聴力損失を予防及び/又は治療することができるかあるいは聴力損失に関係した病気を予防及び/又は治療することができる医薬活性をもつ少なくとも1種の別の物質と組み合わせることを特徴とする前記請求項のいずれか1項に記載の使用。
- 医薬活性をもつ別の物質が酸化防止剤、カルパイン阻害剤、末梢血管拡張剤、NMDA受容体の作動薬又は拮抗薬及びc-Jun N末端キナーゼのペプチド阻害剤から選択されるものであることを特徴とする請求項21又は22の1項に記載の使用。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載の式(I)で示される複素環誘導体と、治療活性をもつ少なくとも1種の物質とを、聴力損失を予防及び/又は治療するために同時に、別々に又は時間全体にわたって使用するための併用剤として含有する製品。
- 医薬の投与の後の聴力損失を予防及び/又は治療するための請求項24に記載の製品。
- 抗生物質、好ましくはゲンタマイシンの投与の後の聴力損失を予防及び/又は治療するための請求項25に記載の製品。
- 老人性難聴の後の聴力損失を予防及び/又は治療するための請求項24に記載の製品。
- 音響外傷の後の聴力損失を予防及び/又は治療するための請求項24に記載の製品。
- 医薬としての請求項24〜28のいずれか1項に記載の製品。
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