JP2007525205A - 短干渉核酸(siNA)を使用した,RNA干渉により仲介されるHairless(HR)遺伝子発現の抑制 - Google Patents

短干渉核酸(siNA)を使用した,RNA干渉により仲介されるHairless(HR)遺伝子発現の抑制 Download PDF

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Abstract

本発明は,短い干渉核酸(siNA)分子を使用した,Hairless(無毛)(HR)遺伝子発現の調節に有用な化合物,組成物,及び方法に関する。本発明はまた,小さい核酸分子を使用した,RNA干渉(RNAi)によるHairless遺伝子の発現,及び/又は活性の経路に関与する他の遺伝子の発現及び活性の調節に有用な化合物,組成物,及び方法にも関する。より詳細には,本発明は,短干渉核酸(siNA),短干渉RNA(siRNA),二本鎖RNA(dsRNA),マイクロRNA(miRNA),及びショートヘアピンRNA(shRNA)分子のような小さい核酸分子,及びHairless発現の調節に使用される方法に関する。

Description

本出願は2003年10月23日に出願の米国特許出願公開第10/693,059号の一部継続出願であり,同出願は2003年5月23日に出願の米国特許出願公開第10/444,853号の一部継続出願であり,同出願は2003年2月20日に出願の国際特許出願第PCT/US03/05346号の一部継続出願,及び2003年2月20日に出願の国際特許出願第PCT/US03/05028の一部継続出願であり,これら両方は,2002年2月20日に出願の米国仮特許出願公開第60/358,580号,2002年3月11日に出願の米国仮特許出願公開第60/363,124号,2002年6月6日に出願の米国仮特許出願公開第60/386,782号,2002年8月29日に出願の米国仮特許出願公開第60/406,784号,2002年9月5日に出願の米国仮特許出願公開第60/408,378号,2002年9月9日に出願の米国仮特許出願公開第60/409,293号,及び2003年1月15日に出願の米国仮特許出願公開第60/440,129号の利益を主張する。本願はまた,2004年4月30日に出願の国際特許出願第PCT/US04/13456号の一部継続出願であり,同出願は2004年2月13日に出願の米国特許出願公開第10/780,447号の一部継続出願であり,同出願は2003年4月30日に出願の米国特許出願公開第10/427,160号の一部継続出願であり,同出願は2002年5月17日に出願の国際特許出願第PCT/US02/15876号の一部継続出願であり,同出願は2001年5月18日に出願の米国仮特許出願公開第60/292,217号,2002年3月6日に出願の米国仮特許出願公開第60/362,016号,2001年7月20日に出願の米国仮特許出願公開第60/306,883号,及び2001年8月13日に出願の米国仮特許出願公開第60/311,865号の利益を主張する。本願はまた,2003年12月3日に出の米国特許出願公開第10/727,780号の一部継続出願である。本願はまた,20願04年2月10日に出願の米国仮特許出願公開第60/543,480号の利益を主張する。本願はまた,2004年5月24日に出願の国際特許出願第PCT/US04/16390号の一部継続出願であり,同出願は2004年4月16日に出願の米国特許出願公開第10/826,966号の一部継続出願である。本願は,図面を含めてその全容が参照により本明細書に加入される上記に列挙した全出願の利益を主張する。
本発明は,Hairless(無毛)(HR)遺伝子の発現及び/又は活性の調節に応答する形質,疾患及び病状を,研究,診断及び治療するための化合物,組成物,及び方法に関する。本発明はまた,Hairless遺伝子の発現経路に関与する遺伝子の発現及び/又は活性の調節に応答する形質,疾患及び病状に関係した,又はそのような形質,疾患及び病状の持続又は発達を仲介する他の細胞過程に関係した化合物,組成物及び方法にも関する。より詳細には,本発明は,Hirless遺伝子発現に対するRNA干渉を仲介し得る,例えば短干渉核酸(siNA),短干渉RNA(siRNA),二本鎖RNA(dsRNA),マイクロ−RNA(miRNA),及びショートヘアピンRNA(shRNA)分子のような,小さい核酸分子に関する。このような小さい核酸分子は,例えば被験者の毛の成長の防止,抑制,若しくは低下,被験者の除毛若しくは脱毛,又は代替的に,被験者のHairless遺伝子の発現の調節に応答し得る,形質,疾患及び病状,例えば脱毛症及び無毛症の治療に有用である。
以下に,RNAiに関する関連技術について説明する。本説明は,続く本発明の理解のためのみに提供される。要約は,以下に説明する研究のいずれかを,特許請求される本発明の先行技術であることを認めるものではない。
RNA干渉は,短干渉RNAにより仲介される,動物における配列特異的な転写後遺伝子サイレンシング(siRNA)プロセスを意味する(Zamore等,2000,Cell,101,25−33,Fire等,1998,Nature,391,806,Hamilton等,1999,Science,286,950−951,Lin等,1999,Nature,402,128−129,Sharp,1999,Genes&Dev13:139−141,及びStrauss,1999,Science,286,886)。植物における対応するプロセス(Heifetz等,国際特許出願公開第WO99/61631号)は,通常,転写後遺伝子サイレンシング又はRNAサイレンシングと称され,真菌類ではクエリング(quelling)とも称される。転写後遺伝子サイレンシングプロセスは,外来遺伝子の発現を防ぐための進化的に保存された細胞防御機構であると考えられ,種々の植物相及び種族により共有されている(Fire等,1999,Trends Genet15,358)。このような外来遺伝子発現からの保護は,ウイルス感染,又はトランスポゾン要素のホストゲノム内へのランダムな組み込みから細胞応答を介して誘導される二本鎖RNA(dsRNA)生産に応じて進化してきたもの思われる。相同な一本鎖RNA又はウイルスゲノムRNAを特異的に破壊する。細胞内のdsRNAの存在は,未だ完全に特定されていない機構を介してRNAi応答を誘発する。この機構は,二本鎖RNA特異的リボヌクレアーゼに関係する他の周知の機構,例えばdsRNAにより仲介されるタンパク質キナーゼPKR,及び2’,5’−オリゴアデニレートシンセターゼの活性化によるインターフェロン応答と,その結果のリボヌクレアーゼLによるmRNAの非特異的な切断等とは異なるように思われる(例えば,米国特許第6,107,094号,米国特許第5,898,031号,Clemens等,1997年,J.Interferon&Cytokine Res17,503−524,Adah等,2001,Curr.Med.Chem8,1189を参照)。
細胞内の長いdsRNAの存在は,Dicerと称されるリボヌクレアーゼIII酵素の活性を刺激する(Bass,2000,Cell,101,235,Zamore等,2000,Cell,101,25−33,Hammond等,2000,Nature,404,293)。Dicerは,dsRNAを,短干渉RNA(siRNA)として周知の短いdsRNA部分にプロセシングすることに関与している(Zamore等,2000,Cell,101,25−33,Bass,2000,Cell,101,235,Berstein等,2001,Nature,409,363)。Dicerの活性化により得られる短干渉RNAは,一般に約21〜約23個のヌクレオチド長を有し,約19個の塩基対を含む二重鎖からなる(Zamore等,2000,Cell,101,25−33,Elbashir等,2001,Genes Dev15,188)。Dicerはまた,翻訳抑制に関係する保存された構造を有する前駆体RNAから,21個及び22個のヌクレオチドの小さい一時的RNA(stRNA)を切断することにも関与している(Hutvagner等,2001,Science,293,834)。RNAi応答はまた,通常,RNA誘導型サイレンシング複合体(RISC)と称されるエンドヌクレアーゼ複合体にも関係し,同複合体は,siRNA二重鎖のアンチセンス鎖に相補的な配列を有する一本鎖RNAの切断を仲介する。標的RNAの切断は,siRNA二重鎖のアンチセンス鎖に相補的な領域の中央にて行われる(Elbashir等,2001,Genes Dev.,15,188)。
RNAiは,様々な系にて研究されている。Fire等,1998,Nature,391,806,は,最初に土壌線虫にてRNAiを観察した。Bahamian及びZarbl,1999,Molecular and Cellular Biology,19,274−283,並びにWianny及びGoetz,1999,Nature Cell Biol2,70は,哺乳動物系にてdsRNAにより仲介されるRNAiについて記載している。Hammond等,2000,Nature,404,293は,dsRNAで感染されたショウジョウバエ細胞中のRNAiについて記載している。Elbashir等,2001,Nature,411,494及びTuschl等,特許文献1は,ヒト胚腎臓及びHeLa細胞を含む培養哺乳類細胞中の合成21−ヌクレオチドRNAの二重鎖によって誘導されるRNAiについて記載している。ショウジョウバエ胚溶解物における最近の研究は(Elbashir等,2001,EMBOJ20,6877,及びTuschl等,特許文献1),十分なRNAi活性の仲介に必須のsiRNAの長さ,構造,化学的組成,及び配列に対する特定の要求を明らかにしている。これらの研究では,21−ヌクレオチドsiRNA二重鎖は,3’−末端ジヌクレオチド・オーバーハングを含む場合に最も活性があることを示している。更に,siRNA鎖の一方又は両方を2’−デオキシ(2’−H)又は2’−O−メチルヌクレオチドで完全に置換するとRNAi活性が消失するが,3’−末端siRNAオーバーハングヌクレオチドの2’−デオキシヌクレオチド(2’−H)による置換は許容し得ることが示された。siRNA二重鎖の中央の単一のミスマッチ配列もRNAi活性を消失させることが示された。加えて,これらの研究では,標的RNA内の切断位置はsiRNAガイド配列の3’−末端ではなく,5’−末端により規定されることが示された(Elbashir等,2001,EMBOJ20,6877)。他の研究では,siRNA活性には,siRNA二重鎖が標的とする相補的な鎖上に5’−ホスフェートが必要であり,また5’−ホスフェート部分を保持するのにATPが使用されることが示された(Nykanen等,2001,Cell,107,309)。
研究によれば,二つのヌクレオチド3’−オーバーハングを有する21−mer siRNA二重鎖の3’−末端ヌクレオチドオーバーハング部分を,デオキシリボヌクレオチドで置換しても,RNAi活性に悪影響を与えないことが示されている。siRNAの各末端の四つのヌクレオチドのデオキシリボヌクレオチドによる置換は十分許容し得ると報告されているのに対して,デオキシリボヌクレオチドによる完全な置換はRNAi活性を消失させる(Elbashir等,2001,EMBO J.,20,6877及びTuschl等,特許文献1)。更に,Elbashir等,前出,もまたsiRNAの2’−0−メチルヌクレオチドによる置換により,RNAi活性が完全に消失することを報告している。Li等,国際特許出願公開第WO00/44914号,及びBeach等,国際特許出願公開第WO01/68836号は,前もって,siRNAが,少なくとも1個の窒素又は硫黄ヘテロ原子を含めるためにホスフェート−糖バックボーン又はヌクレオシドのいずれかに修飾を有し得ることを示唆していたが,そのような修飾がどの程度siRNA分子内で許容されるか仮定する出願は存在せず,またそのような修飾iRNAの更なるガイダンスあるいは例は提供されていない。Kreutzer等,カナダ特許出願第2,359,180号もまた二本鎖RNA依存型タンパク質キナーゼPKRの活性を妨げるための,dsRNA構成内に使用される特定の化学修飾,詳細には2’−アミノ又は2’−O−メチルヌクレオチド,及び2’−O又は4’−Cメチレン架橋を含むヌクレオチドについて記載している。しかしながら,Kreutzer等は同様に,これらの修飾がどの程度dsRNA分子内で許容され得るかについてのガイダンス又は例を提供していない。
Parrish等,2000,Molecular Cell,6,1077−1087は,長い(>25nt)siRNA転写産物を使用して,土壌線虫のunc−22遺伝子を標的とする特定の化学修飾を試験した。著者等は,チオホスフェートヌクレオチド類似体をT7及びT3RNAポリメラーゼにより組み込むことによって,これらsiRNA転写産物内へチオホスフェート残基を導入し,二つのホスホロチオエート修飾塩基を含むRNAにも,RNAiと同様に有効性の相当な低下が観察されたことを記述している。また,Parrish等は,三つ以上の残基のホスホロチオエート修飾は,インビトロにてRNAを極めて不安定にし,そのため干渉活性を評価することが不可能であったことを報告した。(1081にId。)著者等はまた,長いsiRNA転写産物内のヌクレオチド糖の2’位における特定の修飾を試験し,リボヌクレオチドをデオキシヌクレオチドに置き換えると,特にウリジンをチミジン置き換え,及び/又はシチジンをデオキシ−シチジンに置き換えた場合に,干渉活性が相当低下することを見いだした。(Id。)更に著者等は,siRNAのセンス及びアンチセンス鎖における,ウラシルの4−チオウラシル,5−ブロモウラシル,5−ヨードウラシル,及び3−(アミノアリル)ウラシルとの置換,及びグアノシンのイノシンとの置換を含む特定の塩基修飾について試験した。4−チオウラシル及び5−ブロモウラシル置換は許容されるものと想定されるのに対して,Parrishは,イノシンがどちらかの鎖に組み込まれると,干渉活性が相当低下したことを報告した。Parrishはまた,アンチセンス鎖内に5−ヨードウラシル及び3−(アミノアリル)ウラシルを組み込むと,RNAi活性が相当低下することを報告した。
より長いdsRNAの使用についても記載されている。例えば,Beach等,国際特許出願公開第WO01/68836号は,内因的に誘導されたdsRNAを使用して遺伝子発現を減弱させる特定の方法について記載している。Tuschl,2001,Chem.Biochem.,2,239−245は,インターフェロン応答を活性化する危険性により,遺伝的疾患又はウイルス感染の治療でのRNAiの使用を懸念しているが,Tusclil等,特許文献1は,ショウジョウバエのインビトロRNAi系と,特定の機能性ゲノム及び特定の治療的応用のための特定のsiRNA分子の使用とを記載している。Li等,国際特許出願公開第WO00/44914号は,,特定の長い(141bp〜488bp)酵素的に合成,又はベクター発現されたdsRNAを使用して,特定の標的遺伝子の発現を減弱させること記載している。Zernicka−Goetz等,国際特許出願公開第WO01/36646号は,特定の長い(550bp−714bp),酵素的に合成,又はベクター発現されたdsRNA分子を使用して,哺乳類細胞内の特定の遺伝子の発現を抑制する特定の方法について記載している。Fire等,国際特許出願公開第WO99/32619号は,線虫類の遺伝子発現の抑制での使用のために特定の長いdsRNA分子を細胞内に導入する特定の方法を記載している。Plaetinck等,国際特許出願公開第WO00/01846号は,特定の長いdsRNAを使用して,細胞内で特定の表現型を付与する原因となる特定の遺伝子を確認する方法について記載している。Mello等,国際特許出願公開第WO01/29058号は,dsRNA−仲介RNAiに関与する特定遺伝子の確認について記載している。Pachuck等,国際特許出願公開第WO00/63364号は,特定の長い(少なくとも200ヌクレオチド)dsRNAの構成について記載している。DeschampsDepaillette等,国際特許出願公開第WO99/07409号は,特定の抗ウイルス剤と組合せた特定のdsRNA分子からなる特定の組成物を記載している。Waterhouse等,国際特許出願公開第99/53050号,及び1998,PNAS,95,13959−13964は,特定のdsRNAを使用して,植物細胞内の核酸の表現型の発現を低下させる特定の方法を記載している。Driscoll等,国際特許出願公開第WO01/49844号は,標的有機体内で遺伝子サイレンシングを促進するために使用される,特定のDNA発現構成について記載している。
その他に様々なRNAi及び遺伝子サイレンシング系が報告されている。例えば,Parrish等,2000,MolecularCell,6,1077−1087は,土壌線虫のunc−22遺伝子を標的とする特定の化学修飾dsRNA構成を記載している。Grossniklaus,国際特許出願公開第WO01/38551号は,特定のdsRNAを使用して植物内のポリコーム遺伝子発現を調節する特定の方法について記載している。Churikov等,国際特許出願公開第WO01/42443号は,特定のdsRNAを使用して有機体の遺伝的特徴を変更する特定の方法について記載している。Cogoni等,国際特許出願公開第WO01/53475号は,Neurosporaサイレンシング遺伝子を単離する特定の方法,及びその使用について記載している。Reed等,国際特許出願公開第WO01/68836号は,植物における遺伝子サイレンシングの特定の方法について記載している。Honer等,国際特許出願公開第WO01/70944号は,パーキンソン病モデルとして形質転換線虫類を使用して,特定のdsRNAを使用した薬物スクリーニングの特定の方法について記載している。Deak等,国際特許出願公開第WO01/72774号は,Di−osophila内のRNAiに関係し得る特定のショウジョウバエ由来遺伝子生成物について記載している。Arndt等,国際特許出願公開第WO01/92513号は,RNAiを向上させる因子を用いて遺伝子抑圧を仲介する特定の方法について記載している。Tuschl等,国際特許出願公開第WO02/44321号は特定の合成siRNA構成を記載している。Pachuk等,国際特許出願公開第WO00/63364号,及びSatishchandran等,国際特許出願公開第WO01/04313号は,特定の長い(250bp超),ベクター発現dsRNAを使用して特定のポリヌクレオチド配列の機能を抑制する特定の方法,及び組成物について記載している。Echeverri等,国際特許出願公開第WO02/38805号はRNAiによって同定された特定の土壌線虫遺伝子を記載している。Kreutzer等,国際特許出願公開第WO02/055692号,WO02/055693号,及び欧州特許第EP1144623B1号は,dsRNAを使用して遺伝子発現を抑制する特定の方法について記載している。Graham等,国際特許出願公開第WO99/49029号,及びWO01/70949号,並びにオーストラリア特許第AU4037501号は,ベクター発現された特定のsiRNA分子について記載している。Fire等,米国特許第6,506,559号は,RNAiを仲介する特定の長いdsRNA(299bp〜1033bp)構成を使用して,インビトロで遺伝子発現を抑制する特定の方法について記載している。Martinez等,2002,Cell,110,563−574は,Hela細胞にてRNA干渉を仲介する特定の5’−リン酸化一本鎖siRNAを含んだ,特定の一本鎖siRNA構成について記載している。Harborth等,2003,Antisense&Nucleic Acid Drug Development,13,83−105は,化学的に及び構造的に修飾された特定のsiRNA分子について記載している。Chiu及びRana,2003,RNA,9,1034−1048は,化学的に及び構造的に修飾された特定のsiRNA分子について記載している。Woolf等,国際特許出願公開第WO03/064626号及びWO03/064625号は,化学修飾された特定のdsRNA構成について記載している。Cserhalmi−Friedman等,2004,ExpDermatol.13,155−62及びChristiano,米国特許出願公開第UA20030077614号は,Hairless(HR)mRNAを標的とする特定のDNAザイムについて記載している。
国際特許出願公開第WO01/75164号
本発明は,短干渉核酸(siNA)分子を使用した,Hairless(無毛)(HR)遺伝子発現の調節に有用な化合物,組成物,及び方法に関する。本発明はまた,小さい核酸分子を使用したRNA干渉(RNAi)による,Hairless遺伝子の発現の調節,及び/又は活性の経路に関与する他の遺伝子の発現及び活性の調節に有用な化合物,組成物,及び方法に関する。より詳細には,本発明は,Hairless遺伝子の発現の調節に使用される,例えば短干渉核酸(siNA),短干渉RNA(siRNA),二本鎖RNA(dsRNA),マイクロ−RNA(miRNA),及びショートヘアピンRNA(shRNA)分子のような小さい核酸分子,及び方法に関する。
本発明のsiNAは,非修飾か,又は化学的に修飾され得る。本発明のsiNAは,化学的に合成されるか,又はベクターから発現されるか,又は酵素により合成され得る。本発明は,細胞内でRNA干渉(RNAi)によってHairless遺伝子の発現又は活性を調節し得る,様々な化学的に修飾された合成短干渉核酸(siNA)分子にも関する。化学修飾されたsiNAを使用すると,インビボでのヌクレアーゼ分解に対する耐性の向上,及び/又は細胞による取込みが改善することによって,天然siNA分子の様々な性質が向上される。更に,先に刊行された論文に反して,多数の化学修飾を含むsiNAは,そのRNAi活性を保持する。本発明のsiNA分子は,治療的,獣医学的,診断的,標的確認上,ゲノム発見上,遺伝子工学上,及び薬理ゲノミクス上などの多様な用途に有用な試薬及び方法を提供する。
一実施態様において,本発明は,独立して又は組合せて,例えば毛又は毛の成長の維持及び/又は発達に関連したHairlessを含むタンパク質のようなタンパク質をコード化するHairless遺伝子,例えば表Iに示すジェンバンク受入番号(GenBankAccessionNo)で参照される配列を含む配列をコード化し,本明細書では一般にHairless又はHRと称する遺伝子の発現を調節する,一種又はそれ以上のsiNA分子及び方法に関する。以下に,本発明の多様な局面及び実施態様を,本明細書でHairless又はHRと称する例示的なHairless遺伝子を参照に説明する。しかしながら,多様な局面及び実施態様は,他のHairless遺伝子,例えば特定のHairless遺伝子に関連したHairless相同遺伝子,HR−1,HR−2及び多型(例,ヌクレオチド多型,(SNPs))を含む転写産物異形にも関する。このようなものとして,多様な局面及び実施態様はまた,例えば毛又は毛の成長の維持及び/又は発達に関与するシグナル伝達又は遺伝子発現のHairless仲介経路に関係する他の遺伝子にも関する。これらの更なる遺伝子の標的部位は,本明細書のHairless遺伝子について説明した方法により分析することができる。従って,他の遺伝子の調節及びそのような調節による効果は,本明細書に記載されている通りに実行,決定,及び測定することができる。
一実施態様において,本発明は,Hairless(HR)遺伝子の発現を下方調節する二本鎖短干渉核酸(siNA)分子に関する。ここで該siNA分子は,約15〜約28個の塩基対を含む。
一実施態様において,本発明は,RNA干渉(RNAi)を介してHairless(HR)RNAを切断するよう向けられた二本鎖短干渉核酸(siNA)分子に関する。ここで二本鎖siNA分子は,第1の鎖及び第2の鎖を含み,該siNA分子の各鎖は約18〜約28個のヌクレオチド長を有し,該siNA分子の第1の鎖は,siNA分子がRNA干渉を介してHairlessRNAを切断するように,HairlessRNAに対して十分な相補性を有するヌクレオチド配列を有し,かつ該siNA分子の第2の鎖は,第1の鎖に相補的なヌクレオチド配列を有する。
一実施態様において,本発明は,RNA干渉(RNAi)を介してHairless(HR)RNAを切断するよう向けられた二本鎖短干渉核酸(siNA)分子に関する。ここで二本鎖siNA分子は,第1の鎖及び第2の鎖を含み,該siNA分子の各鎖は,約18〜約23個のヌクレオチド長を有し,該siNA分子の第1の鎖は,siNA分子がRNA干渉を介してHairlessRNAを切断するように,HairlessRNAに対して十分な相補性を有するヌクレオチド配列を有し,かつ該siNA分子の第2の鎖は,第1の鎖に相補的なヌクレオチド配列を有する。
一実施態様において,本発明は,RNA干渉(RNAi)を介してHairless(HR)RNAを切断するよう向けられた,化学的に合成された二本鎖短干渉核酸(siNA)分子に関する。ここでsiNA分子の各鎖は,約18〜約28個のヌクレオチド長を有し,siNA分子の鎖の一つは,siNA分子がRNA干渉を介してHRRNAを切断するように,HRRNAに対して十分な相補性を有したヌクレオチド配列を有する。
一実施態様において,本発明は,RNA干渉(RNAi)を介してHairless(HR)RNAを切断するよう向けられた,化学的に合成された二本鎖短干渉核酸(siNA)分子に関する。ここで,siNA分子の各鎖は,約18〜約23個のヌクレオチド長を有し,siNA分子の鎖の一つは,siNA分子がRNA干渉を介してHRRNAを切断するように,HRRNAに対して十分な相補性を有したヌクレオチド配列を有する。
一実施態様において,本発明は,Hairless遺伝子の発現を下方調節するsiNA分子に関し,ここで例えばHairless遺伝子は,Hairlessをコード化している配列を含む。一実施態様において,本発明は,Hairless遺伝子の発現を下方調節するsiNA分子に関し,ここで例えばHairless遺伝子は,Hairless遺伝子発現に関与するHairlessをコード化していない配列,又は調節要素を含む。
一実施態様において,本発明のsiNAは,Hairless遺伝子又はHairless遺伝子ファミリーの発現の抑制に使用される。ここで遺伝子又は遺伝子ファミリー配列は,相同性を共有している。このような相同配列は,当該技術分野にて周知であるように,例えば配列アラインメントを使用して確認することができる。siNA分子は,例えば完全に相同な配列を使用するか,又は例えばミスマッチ及び/又はゆらぎ塩基対のような非標準塩基対を組み込んで更なる標的配列を提供することにより,このような相同配列を標的にするよう構成されることができる。ミスマッチが確認された場合,非標準塩基対(例えば,ミスマッチ及び/又はゆらぎ塩基)を使用して,二個以上の遺伝子配列を標的とするsiNA分子を生産することができる。非限定的な例において,UU及びCC塩基対等の非標準塩基対を使用して,配列相同性を共有する異なるHairless配列を標的とし得るsiNA分子を生産することができる。このようなものとして,本発明のsiNAを使用する利点の一つは,1個のsiNAを相同遺伝子間で保存されているヌクレオチド配列に相補的な核酸配列を含むように構成することができることである。このアプローチでは,2個以上のsiNAを使用する代わりに,1個のsiNAを使用して異なる遺伝子を標的として,2種以上の遺伝子の発現を抑制することができる。
一実施態様において,本発明は,HairlessRNAに対してRNAi活性を有するsiNA分子に関し,ここでsiNA分子は,例えば表Iに示すジェンバンク受入番号を有する配列等,Hairlessをコード化する配列を有する任意のRNAに相補的な配列を含む。別の一実施態様において,本発明は,HairlessRNAに対してRNAi活性を有するsiNA分子に関し,ここでsiNA分子は,例えば表Iに示されていないが,当該技術分野にて毛又は毛の成長の維持及び/又は発達に関連するとして知られる,他の突然変異Hairless遺伝子のような異形Hairlessコード化配列を有するRNAに相補的な配列を含む。表III及びIVに示す化学修飾,又は本明細書にて別様に記載される化学修飾は,本発明の任意のsiNA構成に適用することができる。別の一実施態様において,本発明のsiNA分子は,Hairless遺伝子のヌクレオチド配列と相互作用することによって,Hairless遺伝子発現のサイレンシングを仲介し得るヌクレオチド配列を含む。ここで例えばsiNAは,Hairless遺伝子のクロマチン構造又はメチル化パターンを変更してHairless遺伝子の転写を妨げる細胞プロセスによって,Hairless遺伝子発現の調節を仲介する。
一実施態様において,本発明のsiNA分子は,疾患又は病状(例,脱毛症,抜け毛,及び/又は無毛症)に関連したHairlessハプロタイプ多型から生じるHairlessタンパク質発現の下方調節,又は抑制に使用される。Hairless遺伝子,Hairlessタンパク質,又はRNAレベルの分析を行って,このような多型を伴う被験者,又は本明細書に記載された形質,病状,又は疾患を発症する危険を有する被験者を識別することができる。これら被験者は,例えば本発明のsiNA分子,及びHairless遺伝子発現に関係した疾患の治療に有用な他の任意の組成物による治療に対して従順である。従って,Hairlessタンパク質又はRNAレベルの分析により,被験者を治療する際の治療タイプ,及び治療過程を決定することができる。Hairlessタンパク質又はRNAレベルの測定により,治療結果を予測したり,形質,病状,又は疾患に関連する特定のHairlessタンパク質のレベル及び/又は活性を調節する化合物及び組成物の効力を決定したりすることができる。
本発明の一実施態様において,siNA分子は,Hairlessタンパク質をコード化するヌクレオチド配列又はその一部に相補的なヌクレオチド配列を有するアンチセンス鎖を含む。siNAは更に,Hairless遺伝子のヌクレオチド配列又はその一部を含むセンス鎖を含む。
別の一実施態様において,siNA分子は,Hairlessタンパク質をコード化するヌクレオチド配列又はその一部に相補的なヌクレオチド配列を有するアンチセンス領域を含む。siNA分子は更に,Hairless遺伝子のヌクレオチド配列又はその一部を有するセンス領域を含む。
別の一実施態様において,本発明は,siNA分子のアンチセンス領域にHairless遺伝子のヌクレオチド配列,又はHairless遺伝子の配列の一部に相補的なヌクレオチド配列を有するsiNA分子に関する。別の一実施態様において,本発明は,Hairless遺伝子配列又はその一部を含む配列に相補的な領域,例えばsiNA構成のアンチセンス領域を有するsiNA分子に関する。
一実施態様において,Hairless siNA構成のアンチセンス領域は,SEQ ID NO1〜307又は615〜687のいずれかを含む配列に相補的な配列を有する。一実施態様において,Hairless siNA構成のアンチセンス領域は,SEQ ID NO308〜614,710〜731,754〜775,798〜819,842〜863,886〜951,974〜995,1044〜1091,1101〜1118,1122,1124,1126,1129,1131,1133,1135,又は1138のいずれかを含む配列を有する。別の一実施態様において,Hairless構成のセンス領域は,SEQIDNO1〜307,615〜687,688〜709,732〜753,776〜797,820〜841,864〜885,952〜973,996〜1043,1092〜1100,1119〜1120,1121,1123,1125,1127,1128,1130,1132,1134,1136又は1137のいずれかを含む配列を有する。
一実施態様において,本発明のsiNA分子は,SEQ ID NO1〜1138のいずれかを含む。SEQ ID NO1〜1138に示される配列は,限定的なものではない。本発明のsiNA分子は,任意の連続したHairless配列(例,約15〜約25,若しくはそれ以上,又は約15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,若しくは25,又はそれ以上の連続したHairlessヌクレオチド)を含み得る。
更に別の一実施態様において,本発明は,例えば表Iに示すジェンバンク受入番号で表される配列を含む配列,又はその一部に相補的な,siNA構成のアンチセンス配列等の配列を有する。表III及び表IVの化学修飾,及び本明細書に記載される化学修飾は,本発明の任意のsiNA構成に適用することができる。
一実施態様において,本発明のsiNA分子は,約15〜約30(例,約15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,又は30)個のヌクレオチドを含むアンチセンス鎖を有する。ここでアンチセンス鎖は,Hairlessタンパク質をコード化するRNA配列,又はその一部に相補性を有し,該siNAは更に約15〜約30(例,約15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,又は30)個のヌクレオチドを含むセンス鎖を有し,該センス鎖及び該アンチセンス鎖は,各鎖の少なくとも約15個のヌクレオチドが他方の鎖に相補性を有する別個のヌクレオチド配列を有する。
本発明の別の一実施態様において,本発明のsiNA分子は,約15〜約30(例,約15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,又は30)個のヌクレオチドを含むアンチセンス領域を有し,ここでアンチセンス領域は,Hairlessタンパク質をコード化するRNA配列に相補性を有し,該siNAは更に約15〜約30(例,約15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,又は30)個のヌクレオチドを含むセンス領域を有し,該センス領域及び該アンチセンス領域は,センス領域がアンチセンス領域に相補的な少なくとも約15個のヌクレオチドを有する線状の分子内に含まれる。
一実施態様において,本発明のsiNA分子は,Hairless遺伝子でコード化されたRNAの発現を調節するRNAi活性を有する。Hairless遺伝子は,互いにある程度の配列相同性を共有し得るため,siNA分子は,異なるHairless標的間にて共有されるか,又は代替的に特定のHairless標的に特有の配列を選択することによって,Hairless遺伝子のクラス,又は代替的に特定のHairless遺伝子(例,多型異形)を標的とするように構成され得る。従って,一実施態様において,siNA分子は,1個のsiNA分子でHairless遺伝子クラスを標的とするように,数個のHairless遺伝子異形間の相同性を有する,HairlessRNA配列の保存領域を標的とするように構成され得る。従って,一実施態様において,本発明のsiNA分子は,被験者のHairless対立遺伝子の一方又は両方の発現を調節する。別の一実施態様において,siNA分子は,RNAi活性の仲介においてsiNA分子が要求する高い特異性のため,特定のHairlessRNA配列に特有の配列(例,単一Hairless対立遺伝子又はHairless一塩基多型(SNP))を標的とするように構成されることができる。
一実施態様において,RNA干渉遺伝子サイレンシング応答のメディエータとして作用する本発明の核酸分子は,二本鎖核酸分子である。別の一実施態様において,本発明のsiNA分子は,約15〜約30(例,約15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,又は30)個のヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチド間に約15〜約30個の塩基対を含む二重鎖核酸分子から構成される。更に別の一実施態様において,本発明のsiNA分子は,例えば約19個の塩基対,及び3’−末端モノヌクレオチド,ジヌクレオチド,又はトリヌクレオチド・オーバーハングを有する約21個のヌクレオチドを含む二重鎖のような,約1〜約3(例,約1,2,又は3)個のヌクレオチドを含むオーバーハング末端を有する二重鎖の核酸分子を含む。更に別の一実施態様において,本発明のsiNA分子は,両方の末端が平滑,又は代替的に一方の末端が平滑な平滑末端を有する二重鎖核酸分子を含む。
一実施態様において,本発明は,例えばHairlessタンパク質をコード化するRNAのようなHairless発現核酸分子に特異性を有する一つ又はそれ以上の化学修飾siNA構成に関する。一実施態様において,本発明は,HR発現核酸分子に特異性を有し,かつ本明細書に記載されている一つ又はそれ以上の化学修飾を含むRNAベースのsiNA分子(例,2’−OHヌクレオチドを含むsiNA)に関する。このような化学修飾の非限定的な例には,ホスホロチオエートヌクレオチド間結合,2’−デオキシリボヌクレオチド,2’−O−メチルリボヌクレオチド,2’−デオキシ−2’−フルオロリボヌクレオチド,"万能"ヌクレオチド,"非環式"ヌクレオチド,5−C−メチルヌクレオチド,及び末端グリセリル及び/又は逆位デオキシ脱塩基残基の組込みを含むが,これらに限定されるものではない。これらの化学修飾は,多様なsiNA構成(例,RNAベースのsiNA構成)に使用される場合,細胞内でRNAi活性を保つ一方,同時にこれら化合物の血清安定性を劇的に増大させる。更に,Parrish等,前出により発行されたデータに反して,本願出願人等は,多数の(一より多い)ホスホロチオエート置換は十分許容され,また修飾siNA構成の血清安定性を相当増大させることを証明する。
一実施態様において,本発明のsiNA分子は,修飾ヌクレオチドを含むと同時に,RNAiを仲介する能力が保持されている。修飾ヌクレオチドは,例えば安定性,活性,及び/又はバイオアベイラビリティ等のインビトロ又はインビボ特性を改善するために使用され得る。例えば,本発明のsiNA分子は,修飾ヌクレオチドを,siNA分子内に存在するヌクレオチドの総数の割合として含み得る。このようなものとして,本発明のsiNA分子は,一般に約5%〜約100%の修飾ヌクレオチド(例,約5%,10%,15%,20%,25%,30%,35%,40%,45%,50%,55%,60%,65%,70%,75%,80%,85%,90%,95%又は100%の修飾ヌクレオチド)を含み得る。所定のsiNA分子内に存在する修飾ヌクレオチドの実際の割合は,siNA内に存在するヌクレオチドの総数に依存するであろう。siNA分子が一本鎖の場合,修飾の割合は,一本鎖siNA分子内に存在するヌクレオチドの総数に基づき得る。同様に,siNA分子が二本鎖の場合,修飾の割合は,センス鎖,アンチセンス鎖,又はセンス及びアンチセンス鎖の両方に存在するヌクレオチドの総数に基づき得る。
本発明の一局面は,Hairless遺伝子の発現を下方調節する二本鎖短干渉核酸(siNA)分子に関する。一実施態様において,二本鎖siNA分子は,一つ又はそれ以上の化学修飾を含み,二本鎖siNAの各鎖は,約21ヌクレオチド長を含む。一実施態様において,二本鎖siNA分子は,リボヌクレオチドを含まない。別の一実施態様において,二本鎖siNA分子は,一つ又はそれ以上のリボヌクレオチドを含む。一実施態様において,二本鎖siNA分子の各鎖は,独立して約15〜約30(例,約15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,又は30)個のヌクレオチドを含み,ここで各鎖は,他方の鎖のヌクレオチドに相補的な約15〜約30個(例,約15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,又は30個)のヌクレオチドを有する。一実施態様において,二本鎖siNA分子の一方の鎖は,Hairless遺伝子のヌクレオチド配列又はその一部に相補的なヌクレオチド配列を有し,二本鎖siNA分子の第2の鎖は,Hairless遺伝子のヌクレオチド配列又はその一部と実質的に同様のヌクレオチド配列を有する。
別の一実施態様において,本発明は,アンチセンス領域及びセンス領域を含む,Hairless遺伝子の発現を下方調節する二本鎖短干渉核酸(siNA)分子に関する。ここでアンチセンス領域は,Hairless遺伝子のヌクレオチド配列又はその一部に相補的なヌクレオチド配列を有し,センス領域は,Hairless遺伝子のヌクレオチド配列又はその一部と実質的に同様のヌクレオチド配列を有する。一実施態様において,アンチセンス領域,及びセンス領域は,独立して約15〜約30(例.約15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,又は30)個のヌクレオチドを含み,ここでアンチセンス領域は,センス領域のヌクレオチドに相補的な約15〜約30(例,約15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,又は30)個のヌクレオチドを含む。
別の一実施態様において,本発明は,センス領域及びアンチセンス領域を含む,Hairless遺伝子の発現を下方調節する二本鎖短干渉核酸(siNA)分子に関する。ここでアンチセンス領域は,Hairless遺伝子をコード化するRNAのヌクレオチド配列又はその一部に相補的なヌクレオチド配列を有し,センス領域は,アンチセンス領域に相補的なヌクレオチド配列を有する。
一実施態様において,本発明のsiNA分子は,平滑末端,即ち,オーバーハングヌクレオチドを含まない末端を含む。例えば,siNA分子は,本明細書に記載される修飾(例,式I〜VIIのヌクレオチド,又は"Stab00"〜"Stab32"(表IV)を含むsiNA構成,又はその任意の組合せ(表IV参照)を含む)を有し,及び/又は本明細書に記載されているいずれの長さも平滑末端,又はオーバーハングヌクレオチドを有さない末端を含み得る。
一実施態様において,本発明のsiNA分子はいずれも,一つ又はそれ以上の平滑末端を含み得る。即ち,ここで平滑末端は,オーバーハングヌクレオチドを有さない。一実施態様において,平滑末端を有するsiNA分子は,siNA分子の各鎖に存在するヌクレオチド数に等しい塩基対数を有する。別の一実施態様において,siNA分子は一つの平滑末端を含み,ここで例えばアンチセンス鎖の5’−末端及びセンス鎖の3’−末端は,オーバーハングヌクレオチドを含まない。別の一例にて,siNA分子は一つの平滑末端を含み,ここで例えばアンチセンス鎖の3’−末端及びセンス鎖の5’−末端は,オーバーハングヌクレオチドを含まない。別の一例にて,asiNA分子は二つの平滑末端を含み,ここで例えばアンチセンス鎖の3’−末端及びセンス鎖の5’−末端,並びにアンチセンス鎖の5’−末端及びセンス鎖の3’−末端は,オーバーハングヌクレオチドを含まない。平滑末端を有するsiNA分子は,例えば,約15〜約30個のヌクレオチド(例,約15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,又は30個のヌクレオチド)を有し得る。平滑末端を有するsiNA分子内に存在する他のヌクレオチドは,RNA干渉を仲介するために,例えばミスマッチ,バルジ,ループ,又はゆらぎ塩基対を有してsiNA分子の活性を調節し得る。
"平滑末端"とは,対称的な末端,即ちオーバーハングヌクレオチドを含まない二本鎖siNA分子の末端を意味する。二本鎖siNA分子の二つの鎖は,末端にオーバーハングヌクレオチドを含まない状態で互いに整合される。例えば,平滑末端を有するsiNA構成は,siNA分子のセンス及びアンチセンス領域間で互いに相補的な末端ヌクレオチドを有する。
一実施態様において,本発明は,Hairless遺伝子の発現を下方調節する二本鎖短干渉核酸(siNA)分子に関する。ここでsiNA分子は二つの別個のオリゴヌクレオチド断片から組立てられ,第一の断片はsiNA分子のセンス領域を含み,第二の断片はアンチセンス領域を含む。センス領域は,例えばポリヌクレオチドリンカー又は非ヌクレオチドリンカーのようなリンカー分子を介してアンチセンス領域に接続され得る。
一実施態様において,本発明は,Hairless遺伝子の発現を下方調節する二本鎖短干渉核酸(siNA)分子に関する。ここでsiNA分子は約15〜約30(例,約15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,又は30)個の塩基対を含み,またsiNA分子の各鎖は,一つ又はそれ以上の化学修飾を含む。別の一実施態様において,二本鎖siNA分子の一方の鎖は,Hairless遺伝子のヌクレオチド配列又はその一部に相補的なヌクレオチド配列を有し,二本鎖siNA分子の第2の鎖は,Hairless遺伝子のヌクレオチド配列又はその一部と実質的に同様のヌクレオチド配列を有する。別の一実施態様において,二本鎖siNA分子の第1の鎖は,Hairless遺伝子のヌクレオチド配列又はその一部に相補的なヌクレオチド配列を有し,また二本鎖siNA分子の第2の鎖は,Hairless遺伝子のヌクレオチド配列又はその一部と実質的に同様のヌクレオチド配列を有する。別の一実施態様において,siNA分子の各鎖は,約15〜約30(例.約15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,又は30)個のヌクレオチドを有し,各鎖は,他方の鎖のヌクレオチドに相補的な少なくとも約15〜約30(例.約15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,又は30)個のヌクレオチドを有する。Hairless遺伝子は,例えば,表Iに参照される配列を有し得る。
一実施態様において,本発明のsiNA分子は,リボヌクレオチドを含まない。別の一実施態様において,本発明のsiNA分子はリボヌクレオチドを含む。
一実施態様において,本発明のsiNA分子は,Hairless遺伝子のヌクレオチド配列又はその一部に相補的なヌクレオチド配列を含むアンチセンス領域を有し,またsiNAは更に,Hairless遺伝子のヌクレオチド配列又はその一部と実質的に同様のヌクレオチド配列を含むセンス領域を有する。別の一実施態様において,アンチセンス領域及びセンス領域の各々は,約15〜約30(例.約15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,又は30)個のヌクレオチドを有し,アンチセンス領域は,センス領域のヌクレオチドに相補的な少なくとも約15〜約30(例.約15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,又は30)個のヌクレオチドを有する。Hairless遺伝子は,例えば,表Iに参照される配列を有し得る。別の一実施態様において,siNAは二本鎖核酸分子であり,ここでsiNA分子の二つの鎖の各々は,独立して約15〜約40(例.約15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,30,31,23,33,34,35,36,37,38,39,又は40)個のヌクレオチドを含み,またsiNA分子の鎖の一つは,Hairless遺伝子の核酸配列又はその一部に相補的な少なくとも約15個(例,約15,16,17,18,19,20,21,22,23,24又は25個又はそれ以上)のヌクレオチドを含む。
一実施態様において,本発明のsiNA分子は,センス領域及びアンチセンス領域を有し,ここでアンチセンス領域は,Hairless遺伝子でコード化されるRNAのヌクレオチド配列又はその一部に相補的なヌクレオチド配列を有し,センス領域は,アンチセンス領域に相補的なヌクレオチド配列を有する。一実施態様において,siNA分子は,二つの別個のオリゴヌクレオチド断片から組立てられ,ここで第一の断片はsiNA分子のセンス領域を有し,第二の断片はアンチセンス領域を有する。別の一実施態様において,センス領域は,リンカー分子を介してアンチセンス領域に接続される。別の一実施態様において,センス領域は,例えばヌクレオチド又は非ヌクレオチドリンカーのようなリンカー分子を介して,アンチセンス領域に接続される。Hairless遺伝子は,例えば,表Iに参照される配列を有し得る。
一実施態様において,本発明は,センス領域及びアンチセンス領域を有する,Hairless遺伝子の発現を下方調節する二本鎖短干渉核酸(siNA)分子に関する。ここでアンチセンス領域は,Hairless遺伝子でコード化されるRNAのヌクレオチド配列又はその一部に相補的なヌクレオチド配列を有し,センス領域はアンチセンス領域に相補的なヌクレオチド配列を有し,またここでsiNA分子は,一つ又はそれ以上の修飾されたピリミジン及び/又はプリンヌクレオチドを含む。一実施態様において,センス領域内のピリミジンヌクレオチドは,2’−O−メチルピリミジンヌクレオチド又は2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであり,センス領域内に存在するプリンヌクレオチドは2’−デオキシプリンヌクレオチドである。別の一実施態様において,センス領域内のピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであり,センス領域内に存在するプリンヌクレオチドは2’−O−メチルプリンヌクレオチドである。別の一実施態様において,センス領域内のピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであり,センス領域内に存在するプリンヌクレオチドは2’−デオキシプリンヌクレオチドである。一実施態様において,アンチセンス領域内のピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであり,アンチセンス領域内に存在するプリンヌクレオチドは,2’−O−メチル又は2’−デオキシプリンヌクレオチドである。上記したsiNA分子のいずれかの別の一実施態様において,センス鎖の非相補的な領域(例,オーバーハング領域)内に存在する任意のヌクレオチドは,2’−デオキシヌクレオチドである。
一実施態様において,本発明は,Hairless遺伝子の発現を下方調節する二本鎖短干渉核酸(siNA)分子に関する。ここでsiNA分子は二つの別個のオリゴヌクレオチド断片から組立てられ,第一の断片はsiNA分子のセンス領域を含み,第二の断片はアンチセンス領域を含み,またここで該断片は,断片の5’−末端,3’−末端,又は5’−及び3’−末端の両方にて末端キャップ部分を含むセンス領域を含む。一実施態様において,末端キャップ部分は,逆位デオキシ脱塩基部分又はグリセリル部分である。一実施態様において,siNA分子の二つの断片の各々は,独立して約15〜約30(例.約15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,又は30)個のヌクレオチドを含む。別の一実施態様において,siNA分子の二つの断片の各々は,独立して約15〜約40(例.約15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,30,31,23,33,34,35,36,37,38,39,又は40)個のヌクレオチドを有する。非限定的な例において,siNA分子の二つの断片の各々は,約21個のヌクレオチドを含む。
一実施態様において,本発明は,少なくとも一つの修飾ヌクレオチドを含むsiNA分子に関し,ここで修飾ヌクレオチドは,2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドである。siNAは,例えば約15〜約40個のヌクレオチド長を有し得る。一実施態様において,siNA内に存在する全ピリミジンヌクレオチドは,2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドである。一実施態様において,siNA内の修飾ヌクレオチドは,少なくとも一つの2’−デオキシ−2’−フルオロシチジン又は2’−デオキシ−2’−フルオロウリジンヌクレオチドを含む。別の一実施態様において,siNA内の修飾ヌクレオチドは,少なくとも一つの2’−フルオロシチジン及び少なくとも一つの2’−デオキシ−2’−フルオロウリジンヌクレオチドを含む。一実施態様において,siNA内に存在する全ウリジンヌクレオチドは,2’−デオキシ−2’−フルオロウリジンヌクレオチドである。一実施態様において,siNA内に存在する全シチジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロシチジンヌクレオチドである。一実施態様において,siNA内に存在する全アデノシンヌクレオチドは,2’−デオキシ−2’−フルオロアデノシンヌクレオチドである。一実施態様において,siNA内に存在する全グアノシンヌクレオチドは,2’−デオキシ−2’−フルオログアノシンヌクレオチドである。siNAは,更に例えばホスホロチオエート結合のような,少なくとも一つの修飾されたヌクレオチド間結合を含み得る。一実施態様において,2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドはsiNA内で,例えばピリミジンヌクレオチドを有する位置のような,リボヌクレアーゼによって切断されやすい特定の選択された位置に存在する。
一実施態様において,本発明は,少なくとも一つの修飾ヌクレオチドをsiNA分子に導入することを含む,リボヌクレアーゼによる切断に対するsiNA分子の安定性を増大させる方法に関する。ここで修飾ヌクレオチドは,2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドである。一実施態様において,siNA内に存在する全ピリミジンヌクレオチドは,2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドである。一実施態様において,siNA内の修飾ヌクレオチドは,少なくとも一つの2’−デオキシ−2’−フルオロシチジン又は2’−デオキシ−2’−フルオロウリジンヌクレオチドを含む。別の一実施態様において,siNA内の修飾ヌクレオチドは,少なくとも一つの2’−フルオロシチジン及び少なくとも一つの2’−デオキシ−2’−フルオロウリジンヌクレオチドを含む。一実施態様において,siNA内に存在する全ウリジンヌクレオチドは,2’−デオキシ−2’−フルオロウリジンヌクレオチドである。一実施態様において,siNA内に存在する全シチジンヌクレオチドは,2’−デオキシ−2’−フルオロシチジンヌクレオチドである。一実施態様において,siNA内に存在する全アデノシンヌクレオチドは,2’−デオキシ−2’−フルオロアデノシンヌクレオチドである。一実施態様において,siNA内に存在する全グアノシンヌクレオチドは,2’−デオキシ−2’−フルオログアノシンヌクレオチドである。siNAは更に,例えばホスホロチオエート結合のような,少なくとも一つの修飾ヌクレオチド間結合を有してもよい。一実施態様において,2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドは,siNA内で,例えばピリミジンヌクレオチドを有する位置のような,リボヌクレアーゼによって切断されやすい特定の選択された位置に存在する。
一実施態様において,本発明は,センス領域及びアンチセンス領域を有する,Hairless遺伝子の発現を下方調節する二本鎖短干渉核酸(siNA)分子に関する。ここでアンチセンス領域は,Hairless遺伝子でコード化されるRNAのヌクレオチド配列又はその一部に相補的なヌクレオチド配列を有し,センス領域は,アンチセンス領域に相補的なヌクレオチドを有し,またここでアンチセンス領域内に存在するプリンヌクレオチドは,2’−デオキシ−プリンヌクレオチドを含む。代替的な実施態様において,アンチセンス領域内に存在するプリンヌクレオチドは,2’−O−メチルプリンヌクレオチドを含む。上記の実施態様のどちらかにおいて,アンチセンス領域は,該アンチセンス領域の3’位にてホスホロチオエートヌクレオチド間結合を有し得る。代替的に,上記の実施態様のどちらかにおいて,アンチセンス領域は,該アンチセンス領域の3’位にてグリセリル修飾を有し得る。上記した任意のsiNA分子の別の一実施態様において,アンチセンス鎖の非相補的領域(例,オーバーハング領域)内に存在する任意のヌクレオチドは,2’−デオキシヌクレオチドである。
一実施態様において,本発明のsiNA分子のアンチセンス領域は,特定のHairless疾患に関連した対立遺伝子に特有の配列,例えば疾患に特異的な対立遺伝子と関連した単ヌクレオチド多型(SNP)を含む配列を含むHairless転写産物の部分に相補的な配列を含む。そのように,本発明のsiNA分子のアンチセンス領域は,特定の対立遺伝子に特有の配列に相補的な配列を含み,疾患,病状,又は形質に関連した対立遺伝子に対する選択的RNAiを仲介する特異性を提供することができる。
一実施態様において,本発明は,Hairless遺伝子の発現を下方調節する二本鎖短干渉核酸(siNA)分子に関し,ここでsiNA分子は,二つの別個のオリゴヌクレオチド断片から組立てられ,第一の断片はsiNA分子のセンス領域を有し,第二の断片はアンチセンス領域を有する。別の一実施態様において,siNA分子は,各鎖が約21ヌクレオチド長を有する二本鎖核酸分子を含み,ここでsiNA分子の各断片の約19個のヌクレオチドは,siNA分子の他方の断片のヌクレオチドに相補性を有し,siNA分子の各断片の少なくとも二つの3’末端ヌクレオチドは,siNA分子の他方の断片のヌクレオチドと塩基対形成しない。別の一実施態様において,siNA分子は,各鎖が約19ヌクレオチド長を有する二本鎖核酸分子を含み,ここでsiNA分子の各断片のヌクレオチドは,siNA分子の他方の断片の相補的ヌクレオチドと塩基対形成して,少なくとも約15(例,15,16,17,18,又は19)個の塩基対を形成し,またここでsiNA分子の一方又は両方の末端は,平滑末端である。一実施態様において,siNA分子の各断片の二つの3’末端ヌクレオチドの各々は,例えば2’−デオキシ−チミジンのような2’−デオキシ−ピリミジンヌクレオチドである。別の一実施態様において,siNA分子の各断片の全ヌクレオチドは,siNA分子の他方の断片の相補的ヌクレオチドと塩基対形成する。別の一実施態様において,siNA分子は,センス領域及びアンチセンス領域を有する約19〜約25個の塩基対を含む二本鎖核酸分子であり,ここでアンチセンス領域の約19個のヌクレオチドは,Hairless遺伝子でコード化されるRNAのヌクレオチド配列又はその一部と塩基対形成する。別の一実施態様において,アンチセンス領域の約21個のヌクレオチドは,Hairless遺伝子でコード化されるRNAのヌクレオチド配列又はその一部と塩基対形成する。上記のいずれかの実施態様において,アンチセンス領域を有する断片の5’−末端は,任意にてリン酸基を含んでもよい。
一実施態様において,本発明は,HairlessRNA配列(例,Hairless経路に関与するHairless遺伝子でコード化される標的RNA配列)の発現を抑制する二本鎖短干渉核酸(siNA)分子に関する。ここでsiNA分子はリボヌクレオチドを含まず,また二重鎖siNA分子の各鎖は,約15〜約30個のヌクレオチドを含む。一実施態様において,siNA分子は21ヌクレオチド長を有する。リボヌクレオチドを含まないsiNA構成の例は,センス/アンチセンス化学構造(chemistry)の任意の組合せにおける表IVに示す安定化化学構造の組合せ,例えばStab7/8,Stab7/11,Stab8/8,Stab18/8,Stab18/11,Stab12/13,Stab7/13,Stab18/13,Stab7/19,Stab8/19,Stab18/19,Stab7/20,Stab8/20,Stab18/20,Stab7/32,Stab8/32,又はStab18/32(例,Stab7,8,11,12,13,14,15,17,18,19,20,若しくは32のセンス若しくはアンチセンス鎖,又はその任意の組合せを有する任意のsiNA)である。
一実施態様において,本発明は,RNA干渉を介したHairlessRNAの切断に向けられた,化学的に合成された二本鎖RNA分子に関し,ここで該RNA分子の各鎖は約15〜約30個のヌクレオチド長を有し,RNA分子の一つの鎖は,RNA分子がRNA干渉を介してHairlessRNAを切断するように,HairlessRNAに対して十分な相補性を有するヌクレオチド配列を有し,またRNA分子の少なくとも一つの鎖は,場合によっては本明細書に記載される例えばデオキシヌクレオチド,2’−O−メチルヌクレオチド,2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチド,2’−O−メトキシエチルヌクレオチド等を含むが,これらに限定されない化学修飾された一つ又はそれ以上のヌクレオチドを含み得る。
一実施態様において,本発明は,本発明のsiNA分子を含有する医薬品に関する。
一実施態様において,本発明は,本発明のsiNA分子を含有する活性成分に関する。
一実施態様において,本発明は,Hairless遺伝子の発現を抑制,下方調節,又は低下させる二本鎖短干渉核酸(siNA)分子の使用に関する。ここでsiNA分子は,一つ又はそれ以上の化学修飾を含み,二本鎖siNAの各鎖は,独立して約15〜約30個,又はそれ以上(例,約15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29若しくは30個,又はそれ以上)のヌクレオチド長を有する。一実施態様において,本発明のsiNA分子は,一つ又はそれ以上の化学修飾を含む二本鎖核酸分子であり,ここでsiNA分子の二つの断片の各々は,独立して約15〜約40(例.約15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,30,31,23,33,34,35,36,37,38,39,又は40)個のヌクレオチドを含み,鎖の一つは,RNAをコード化するHairlessヌクレオチド配列又はその一部に相補的な少なくとも15個のヌクレオチド配列を有する。非限定的な例において,siNA分子の二つの断片の各々は,約21個のヌクレオチドを有する。別の一実施態様において,siNA分子は,一つ又はそれ以上の化学修飾を含む二重鎖核酸分子であり,ここで各鎖は約21ヌクレオチド長を有し,またsiNA分子の各断片の約19ヌクレオチドは,siNA分子の他方の断片の相補的ヌクレオチドと塩基対形成し,ここでsiNA分子の各断片の少なくとも二つの3’末端ヌクレオチドは,siNA分子の他方の断片のヌクレオチドと塩基対形成しない。別の一実施態様において,siNA分子は一つ又はそれ以上の化学修飾を含む二重鎖核酸分子であり,ここで各鎖は約19ヌクレオチド長を有し,またsiNA分子の各断片のヌクレオチドは,siNA分子の他方の断片の相補的ヌクレオチドと塩基対形成して,少なくとも約15(例15,16,17,18,又は19)個の塩基対を形成し,ここでsiNA分子の一方又は両方の末端は,平滑末端である。一実施態様において,siNA分子の各断片の二つの3’末端ヌクレオチドの各々は,例えば2’−デオキシ−チミジンのような2’−デオキシ−ピリミジンヌクレオチドである。別の一実施態様において,siNA分子の各断片の全ヌクレオチドは,siNA分子の他方の断片の相補的ヌクレオチドと塩基対形成する。別の一実施態様において,siNA分子は,センス領域及びアンチセンス領域を有する,約19〜約25塩基対を含み,かつ一つ又はそれ以上の化学修飾を含む二本鎖核酸分子であり,ここでアンチセンス領域の約19個のヌクレオチドは,Hairless遺伝子でコード化されるRNAのヌクレオチド配列又はその一部と塩基対形成する。別の一実施態様において,アンチセンス領域の約21個のヌクレオチドは,Hairless遺伝子でコード化されるRNAのヌクレオチド配列又はその一部と塩基対形成する。上記の実施態様のいずれかにおいて,アンチセンス領域を含む断片の5’−末端は,任意にてリン酸基を有してもよい。
一実施態様において,本発明は,Hairless遺伝子の発現を抑制,下方調節,又は低下させる二本鎖短干渉核酸(siNA)分子の使用に関する。ここで二本鎖siNA分子の一つの鎖は,HairlessRNAのヌクレオチド配列又はその一部に相補的なヌクレオチド配列を有するアンチセンス鎖であり,他方の鎖は,アンチセンス鎖のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を有するセンス鎖であり,また二本鎖siNA分子内に存在する大部分のピリミジンヌクレオチドは,糖修飾を含む。
一実施態様において,本発明は,Hairless遺伝子の発現を抑制,下方調節,又は低下させる二本鎖短干渉核酸(siNA)分子に関する。ここで二本鎖siNA分子の一つの鎖は,HairlessRNAのヌクレオチド配列又はその一部に相補的なヌクレオチド配列を有するアンチセンス鎖であり,また他方の鎖は,アンチセンス鎖のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を有するセンス鎖であり,また二本鎖siNA分子内に存在する大部分のピリミジンヌクレオチドは,糖修飾を含む。
一実施態様において,本発明は,Hairless遺伝子の発現を抑制,下方調節,又は低下させる二本鎖短干渉核酸(siNA)分子に関する。ここで二本鎖siNA分子の一つの鎖は,タンパク質をコード化するHairlessRNAのヌクレオチド配列又はその一部に相補的なヌクレオチド配列を有するアンチセンス鎖であり,他方の鎖は,アンチセンス鎖のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を有するセンス鎖であり,また二本鎖siNA分子内に存在する大部分のピリミジンヌクレオチドは,糖修飾を含む。一実施態様において,siNA分子の各鎖は,約15〜約30個又はそれ以上(例,約15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,又は30個又はそれ以上)のヌクレオチドを含み,ここで各鎖は,他方の鎖のヌクレオチドに相補性を有する少なくとも約15個のヌクレオチドを含む。一実施態様において,siNA分子は二つのオリゴヌクレオチド断片から組立てられ,ここで一つの断片はsiNA分子のアンチセンス鎖のヌクレオチド配列を有し,第二の断片は,siNA分子のセンス領域のヌクレオチド配列を有する。一実施態様において,センス鎖は,例えばポリヌクレオチドリンカー又は非ヌクレオチドリンカーのようなリンカー分子を介してアンチセンス鎖に接続される。更なる実施態様において,センス鎖内に存在するピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’フルオロピリミジンヌクレオチドであり,センス領域内に存在するプリンヌクレオチドは2’−デオキシプリンヌクレオチドである。別の一実施態様において,センス鎖内に存在するピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’フルオロピリミジンヌクレオチドであり,センス領域内に存在するプリンヌクレオチドは2’−O−メチルプリンヌクレオチドである。更に別の一実施態様において,アンチセンス鎖内に存在するピリミジンヌクレオチドは,2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであり,アンチセンス鎖内に存在する任意のプリンヌクレオチドは2’−デオキシプリンヌクレオチドである。別の一実施態様において,アンチセンス鎖は,一つ又はそれ以上の2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチド及び一つ又はそれ以上の2’−0−メチルプリンヌクレオチドを含む。別の一実施態様において,アンチセンス鎖内に存在するピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであり,アンチセンス鎖内に存在する任意のプリンヌクレオチドは,2’−O−メチルプリンヌクレオチドである。更なる実施態様において,センス鎖は3’−末端及び5’−末端を有し,ここでセンス鎖の5’−末端,3’−末端,又は5’及び3’末端の両方に末端キャップ部分(例,逆位デオキシ脱塩基部分,又は例えば逆位チミジンのような逆位デオキシヌクレオチド部分)が存在する。別の一実施態様において,アンチセンス鎖は,該アンチセンス鎖の3’末端にてホスホロチオエートヌクレオチド間結合を有する。別の一実施態様において,アンチセンス鎖は,3’末端にてグリセリル修飾を有する。別の一実施態様において,アンチセンス鎖の5’−末端は,任意にてリン酸基を有してもよい。
Hairless遺伝子の発現を抑制する二本鎖短干渉核酸(siNA)分子の上記した任意の実施態様において,二本鎖siNA分子内に存在する大部分のピリミジンヌクレオチドは糖修飾を有し,siNA分子の二つの鎖の各々は,約15〜約30個又はそれ以上(例,約15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,若しくは30個,又はそれ以上)のヌクレオチドを有する。一実施態様において,siNA分子の各鎖の約15〜約30個又はそれ以上(例,約15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,若しくは30個又はそれ以上)のヌクレオチドは,siNA分子の他方の鎖の相補的なヌクレオチドと塩基対形成する。別の一実施態様において,siNA分子の各鎖の約15〜約30個又はそれ以上(例,約15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,若しくは30個又はそれ以上)のヌクレオチドは,siNA分子の他方の鎖の相補的なヌクレオチドと塩基対形成し,ここで少なくともsiNA分子の各鎖の二つの3’末端ヌクレオチドは,siNA分子の他方の鎖のヌクレオチドと塩基対形成しない。別の一実施態様において,siNA分子の各断片の二つの3’末端ヌクレオチドの各々は,例えば2’−デオキシ−チミジンのような2’−デオキシ−ピリミジンである。一実施態様において,siNA分子の各鎖は,siNA分子の他方の鎖の相補的なヌクレオチドと塩基対形成する。一実施態様において,アンチセンス鎖の約15〜約30(例,約15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,又は30)個のヌクレオチドは,HairlessRNAのヌクレオチド配列又はその一部と塩基対形成する。一実施態様において,アンチセンス鎖の約18〜約25(例,約18,19,20,21,22,23,24,又は25)個のヌクレオチドは,HairlessRNAのヌクレオチド配列又はその一部と塩基対形成する。
一実施態様において,本発明は,Hairless遺伝子の発現を抑制する二本鎖短干渉核酸(siNA)分子に関し,ここで二本鎖siNA分子の一つの鎖は,HairlessRNAのヌクレオチド配列又はその一部に相補的な配列を有するアンチセンス鎖であり,他方の鎖は,アンチセンス鎖のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を有するセンス鎖であり,二本鎖siNA分子内に存在する大部分のピリミジンヌクレオチドは糖修飾を有し,またアンチセンス鎖の5’−末端は,任意にてリン酸基を有してもよい。
一実施態様において,本発明は,Hairless遺伝子の発現を抑制する二本鎖短干渉核酸(siNA)分子に関し,ここで二本鎖siNA分子の一つの鎖は,HairlessRNAのヌクレオチド配列又はその一部に相補的な配列を有するアンチセンス鎖であり,他方の鎖は,アンチセンス鎖のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を有するセンス鎖であり,二本鎖siNA分子内に存在する大部分のピリミジンヌクレオチドは糖修飾を有し,またアンチセンス鎖のヌクレオチド配列又はその一部は,HairlessRNAの未翻訳領域のヌクレオチド配列又はその一部に相補性を有する。
一実施態様において,本発明は,Hairless遺伝子の発現を抑制する二本鎖短干渉核酸(siNA)分子に関し,ここで二本鎖siNA分子の一つの鎖は,HairlessRNAのヌクレオチド配列又はその一部に相補的な配列を有するアンチセンス鎖であり,他方の鎖は,アンチセンス鎖のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を有するセンス鎖であり,二本鎖siNA分子内に存在する大部分のピリミジンヌクレオチドは糖修飾を有し,またアンチセンス鎖のヌクレオチド配列は,HairlessRNA内に存在するHairlessRNAのヌクレオチド配列又はその一部に相補性を有する。
一実施態様において,本発明は,薬剤的に許容される担体又は希釈剤中に本発明のsiNA分子を含む組成物に関する。
非限定的な例において,化学修飾ヌクレオチドの核酸分子内への導入は,外来的に送達される天然RNA分子に固有の,インビボ安定性及びバイオアベイラビリティの潜在的な限界を克服するための強力なツールを提供し得る。例えば,化学修飾された核酸分子は血清内の半減期が比較的長い傾向を有することから,化学修飾核酸分子の使用は,所定の治療効果を達成する特定の核酸分子の用量を低減し得る可能性がある。更に,特定の化学修飾は,特定の細胞又は組織を標的とすることによって核酸分子のバイオアベイラビリティを向上させ,及び/又は,核酸分子の細胞取り込みを改善し得る。従って,化学修飾核酸分子の活性が,天然核酸分子と比較して,例えば全てRNAの核酸分子と比較して低下した場合でも,修飾核酸分子の活性全体は,その分子の安定性及び/又は送達の改善により天然分子と比較して大きくなり得る。天然非修飾siNAとは異なり,化学修飾siNAはまた,ヒト内でインターフェロン活動の活性化を最小にし得る。
本明細書に記載されるsiNA分子の任意の実施態様において,本発明のsiNA分子のアンチセンス領域は,該アンチセンス領域の3’−末端においてホスホロチオエートヌクレオチド間結合を有し得る。本明細書に記載されるsiNA分子の任意の実施態様において,アンチセンス領域は,該アンチセンス領域の5’−末端において約1〜約5個のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を有し得る。本明細書に記載されるsiNA分子の任意の実施態様において,本発明のsiNA分子の3’−末端ヌクレオチドオーバーハングは,核酸の糖,塩基,又はバックボーンにおいて化学修飾されたリボヌクレオチド又はデオキシリボヌクレオチドを含み得る。本明細書に記載されるsiNA分子の任意の実施態様において,3’−末端ヌクレオチドオーバーハングは,一つ又はそれ以上の万能塩基リボヌクレオチドを含み得る。本明細書に記載されるsiNA分子の任意の実施態様において,3’−末端ヌクレオチドオーバーハングは,一つ又はそれ以上の非環式ヌクレオチドを含み得る。
本発明の一実施態様は,少なくとも一つの本発明のsiNA分子を,該核酸分子を発現させるようコード化する核酸配列を含む発現ベクターを提供する。本発明の別の一実施態様は,そのような発現ベクターを含む哺乳類細胞を提供する。哺乳類細胞は,ヒトの細胞であり得る。発現ベクターのsiNA分子は,センス領域及びアンチセンス領域を有し得る。アンチセンス領域は,Hairlessをコード化するRNA配列又はDNA配列に相補的な配列を有し得,センス領域は,アンチセンス領域に相補的な配列を有し得る。siNA分子は,相補的なセンス及びアンチセンス領域を有する二つの別個の鎖を含み得る。siNA分子は,センス及びアンチセンス領域を有する一つの鎖を含み得る。
一実施態様において,本発明は,細胞又は再構成されたインビトロ系内で,Hairlessに対するRNA干渉(RNAi)を仲介し得る化学修飾された短干渉核酸(siNA)分子に関する。ここで化学修飾は,式I
Figure 2007525205
(式中,各R1及びR2は,独立して,天然若しくは任意の化学修飾ヌクレオチド,非ヌクレオチド,又はポリヌクレオチドであり,各X及びYは,独立してO,S,N,アルキル,又は置換アルキルであり,各Z及びWは,独立してO,S,N,アルキル,置換アルキル,0−アルキル,S−アルキル,アルカリル,アラルキル,又はアセチルであり,またW,X,Y,及びZは,任意にて全てOではない。)のバックボーン修飾ヌクレオチド間結合を含む,1個又はそれ以上(例,約1,2,3,4,5,6,7,8,9,10個,又はそれ以上)のヌクレオチドを含む。別の一実施態様において,本発明のバックボーン修飾は,ホスホノアセテート及び/又はチオホスホノアセテートヌクレオチド間結合(例えばSheehan等,2003,NucleicAcidResearch,31,4109−4118参照)を含む。
式Iに示した化学修飾ヌクレオチド間結合は,例えば,Z,W,X,及び/又はYのいずれも,独立して硫黄原子を含むことができ,かつsiNA二重鎖の一方又は両方のオリゴヌクレオチド鎖,例えばセンス鎖,アンチセンス鎖,又は両方の鎖に存在し得る。本発明のsiNA分子は,1個又はそれ以上(例,約1,2,3,4,5,6,7,8,9,10個,又はそれ以上)の式Iの化学修飾されたヌクレオチド間結合を,センス鎖,アンチセンス鎖,又は両方の鎖の3’−末端,5’−末端,又は3’−末端及び5’−末端の両方において含み得る。例えば,例示的な本発明のsiNA分子は,約1〜約5個又はそれ以上(例,約1,2,3,4,5個,又はそれ以上)の式Iの化学修飾ヌクレオチド間結合を,センス鎖,アンチセンス鎖,又は両方の鎖の5’−末端にて含み得る。別の非限定的な例において,例示的な本発明のsiNA分子は,センス鎖,アンチセンス鎖,又は両方の鎖に,式Iの化学修飾ヌクレオチド間結合を伴う1個又はそれ以上(例,約1,2,3,4,5,6,7,8,9,10個,又はそれ以上)のピリミジンヌクレオチドを有し得る。更に別の非限定的な例において,例示的な本発明のsiNA分子は,センス鎖,アンチセンス鎖,又は両方の鎖に,式Iの化学修飾ヌクレオチド間結合を伴う1個又はそれ以上(例,約1,2,3,4,5,6,7,8,9,10個,又はそれ以上)のプリンヌクレオチドを有し得る。別の一実施態様において,式Iのヌクレオチド間結合(一つ又は複数)を含む本発明のsiNA分子は,式I〜VIIのいずれかの化学修飾ヌクレオチド又は非ヌクレオチドを含んでもよい。
一実施態様において,本発明は,細胞又は再構成されたインビトロ系内でHairlessに対するRNA干渉(RNAi)を仲介し得る化学修飾された短干渉核酸(siNA)分子に関する。ここで化学修飾は,1個又はそれ以上(例,約1,2,3,4,5,6,7,8,9,10個,又はそれ以上)の式II
Figure 2007525205
(式中,各R3,R4,R5,R6,R7,R8,R10,R11及びR12は,独立してH,OH,アルキル,置換アルキル,アルカリル若しくはアラルキル,F,Cl,Br,CN,CF3,OCF3,OCN,O−アルキル,S−アルキル,N−アルキル,O−アルケニル,S−アルケニル,N−アルケニル,SO−アルキル,アルキル−OSH,アルキル−OH,O−アルキル−OH,O−アルキル−SH,S−アルキル−OH,S−アルキル−SH,アルキル−S−アルキル,アルキル−O−アルキル,ONO2,NO2,N3,NH2,アミノアルキル,アミノ酸,アミノアシル,ONH2,0−アミノアルキル,0−アミノ酸,O−アミノアシル,ヘテロシクロアルキル,ヘテロシクロアルカリル,アミノアルキルアミノ,ポリアルキルアミノ,置換シリル,又は式I若しくはIIの基,R9はO,S,CH2,S=O,CHF,又はCF2,そしてBはアデニン,グアニン,ウラシル,シトシン,チミン,2−アミノアデノシン,5−メチルシトシン,2,6−ジアミノプリンのようなヌクレオシド塩基,若しくは標的RNAに相補的若しくは非相補的な任意の他の非天然塩基,又はフェニル,ナフチル,3−ニトロピロール,5−ニトロインドール,ネブラリン,ピリドン,ピリジノンのような非ヌクレシド塩基,若しくは標的RNAに相補的若しくは非相補的な任意の他の非天然万能塩基である。)のヌクレオチド又は非ヌクレオチドを含む。
式IIの化学修飾ヌクレオチド又は非ヌクレオチドは,siNA二重鎖の一方又は両方,例えばセンス鎖,アンチセンス鎖,又は両方の鎖に存在し得る。本発明のsiNA分子は,一つ又はそれ以上の式IIの化学修飾ヌクレオチド又は非ヌクレオチドを,センス鎖,アンチセンス鎖,又は両方の鎖の3’−末端,5’−末端,又は3’及び5’−末端の両方にて含み得る。例えば,例示的な本発明のsiNA分子は,約1〜約5個又はそれ以上(例,約1,2,3,4,5個,又はそれ以上)の式IIの化学修飾ヌクレオチド又は非ヌクレオチドを,センス鎖,アンチセンス鎖,又は両方の鎖の5’−末端にて含み得る。別の非限定的な例において,例示的な本発明のsiNA分子は約1〜約5個又はそれ以上(例,約1,2,3,4,5個,又はそれ以上)の式IIの化学修飾ヌクレオチド又は非ヌクレオチドを,センス鎖,アンチセンス鎖,又は両方の鎖の3’−末端にて含み得る。
一実施態様において,本発明は,細胞又は再構成されたインビトロ系内でHairlessに対するRNA干渉(RNAi)を仲介し得る化学修飾された短干渉核酸(siNA)分子に関する。ここで,化学修飾は,1個又はそれ以上(例,約1,2,3,4,5,6,7,8,9,10個,又はそれ以上)の式III
Figure 2007525205
(式中,各R3,R4,R5,R6,R7,R8,R10,R11及びR12は,独立してH,OH,アルキル,置換アルキル,アルカリル若しくはアラルキル,F,Cl,Br,CN,CF3,OCF3,OCN,O−アルキル,S−アルキル,N−アルキル,O−アルケニル,S−アルケニル,N−アルケニル,SO−アルキル,アルキル−OSH,アルキル−OH,O−アルキル−OH,O−アルキル−SH,S−アルキル−OH,S−アルキル−SH,アルキル−S−アルキル,アルキル−O−アルキル,ONO2,NO2,N3,NH2,アミノアルキル,アミノ酸,アミノアシル,ONH2,O−アミノアルキル,O−アミノ酸,O−アミノアシル,ヘテロシクロアルキル,ヘテロシクロアルカリル,アミノアルキルアミノ,ポリアルキルアミノ,置換シリル,又は式I若しくはIIの基であり,R9はO,S,CH2,S=O,CHF,又はCF2であり,そしてBは,例えばアデニン,グアニン,ウラシル,シトシン,チミン,2−アミノアデノシン,5−メチルシトシン,2,6−ジアミノプリンのようなヌクレオシド塩基,若しくは標的RNAに相補的若しくは非相補的に使用することができる任意の他の非天然塩基,又は非ヌクレオチド塩基,例えばフェニル,ナフチル,3−ニトロピロール,5−ニトロインドール,ネブラリン,ピリドン,ピリジノンのような非ヌクレオシド塩基,若しくは標的RNAに相補的若しくは非相補的な任意の他の非天然万能塩基である。)のヌクレオチド又は非ヌクレオチドを含む。
式IIIの化学修飾ヌクレオチド又は非ヌクレオチドは,siNA二重鎖の一方又は両方のオリゴヌクレオチド鎖,例えばセンス鎖,アンチセンス鎖,又は両方の鎖に存在し得る。本発明のsiNA分子は,一つ又はそれ以上の式IIIの化学修飾ヌクレオチド又は非ヌクレオチドを,センス鎖,アンチセンス鎖,又は両方の鎖の3’−末端,5’−末端,又は3’及び5’−末端の両方にて含み得る。例えば,例示的な本発明のsiNA分子は,約1〜約5個又はそれ以上(例,約1,2,3,4,5個,又はそれ以上)の式IIIの化学修飾ヌクレオチド又は非ヌクレオチドを,センス鎖,アンチセンス鎖,又は両方の鎖の5’−末端にて含み得る。別の非限定的な例において,例示的な本発明のsiNA分子は,約1〜約5個又はそれ以上(例,約1,2,3,4,5個,又はそれ以上)の式IIIの化学修飾ヌクレオチド又は非ヌクレオチドを,センス鎖,アンチセンス鎖,又は両方の鎖3’−末端にて含み得る。
別の一実施態様において,本発明のsiNA分子は式II又はIIIのヌクレオチドを含み,ここで式II又はIIIのヌクレオチドは,逆位配置である。例えば,式II又はIIIのヌクレオチドはsiNA構成に対して,例えば一方又は両方のsiNA鎖の3’−末端,5’−末端,又は3’及び5’−末端の両方に対して3’−3’,3’−2’,2’−3’,又は5’−5’配置で接続される。
一実施態様において,本発明は,細胞又は再構成されたインビトロ系内でHairlessに対するRNA干渉(RNAi)を仲介し得る化学修飾された短干渉核酸(siNA)分子に関する。ここで,化学修飾は式IV
Figure 2007525205
(式中,各X及びYは独立してO,S,N,アルキル,置換アルキル,又はアルキルハロであり,各Z及びWは,独立してO,S,N,アルキル,置換アルキル,O−アルキル,S−アルキル,アルカリル,アラルキル,アルキルハロ,又はアセチルであり,またW,X,Y及びZは全てOではない。)の5’−末端リン酸基を含む。
一実施態様において,本発明は,標的に相補的な鎖,例えば標的RNAに相補的な鎖上に式IVの5’−末端リン酸基を有するsiNA分子に関し,ここでsiNA分子は,全てRNAのsiNAを含む。別の一実施態様において,本発明は,標的に相補的な鎖上に式IVの5’−末端リン酸基を有するsiNA分子に関し,ここでsiNA分子は約1〜約3(例,約1,2,又は3)個のヌクレオチドを含む3’−末端ヌクレオチドオーバーハングを有し,同オーバーハングは一方又は両方の鎖の3’−末端に約1〜約4(例,約1,2,3,又は4)個のデオキシリボヌクレオチドを含む。別の一実施態様において,式IVの5’−末端リン酸基は,本発明のsiNA分子,例えば式I−VIIのいずれかの化学修飾を有するsiNA分子の標的に相補的な鎖上に存在する。
一実施態様において,本発明は,細胞又は再構成されたインビトロ系内でHairlessに対するRNA干渉(RNAi)を仲介し得る化学修飾された短干渉核酸(siNA)分子に関する。ここで,化学修飾は,一つ又はそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を有する。例えば,非限定的な例において,本発明は,一方のsiNA鎖に約1,2,3,4,5,6,7,8個又はそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を有する化学修飾された短干渉核酸(siNA)に関する。また更に別の一実施態様において,本発明は,両方のsiNA鎖に約1,2,3,4,5,6,7,8個又はそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を個別に有する化学修飾された短干渉核酸(siNA)に関する。ホスホロチオエートヌクレオチド間結合は,siNA二重鎖の一方又は両方のオリゴヌクレオチド鎖,例えばセンス鎖,アンチセンス鎖,又は両方の鎖に存在し得る。本発明のsiNA分子は,センス鎖,アンチセンス鎖,又は両方の鎖の,3’−末端,5’−末端,又は3’及び5’−末端の両方において一つ又はそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含み得る。例えば,例示的な本発明のsiNA分子は,センス鎖,アンチセンス鎖,又は両方の鎖の5’−末端において約1〜約5個又はそれ以上(例,約1,2,3,4,5,又はそれ以上)の連続的なホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含み得る。別の非限定的な例において,例示的な本発明のsiNA分子は,センス鎖,アンチセンス鎖,又は両方の鎖に1個又はそれ以上(例,約1,2,3,4,5,6,7,8,9,10個,又はそれ以上)のピリミジンホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含み得る。更に別の非限定的な例において,例示的な本発明のsiNA分子は,センス鎖,アンチセンス鎖,又は両方の鎖に1個又はそれ以上(例,約1,2,3,4,5,6,7,8,9,10個,又はそれ以上)のプリンホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含み得る。
一実施態様において,本発明は,センス鎖が1個又はそれ以上,例えば,約1,2,3,4,5,6,7,8,9,10個,又はそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合,及び/又は1個又はそれ以上(例,約1,2,3,4,5,6,7,8,9,10個又はそれ以上)の2’−デオキシ,2’−O−メチル,2’−デオキシ−2’−フルオロ,及び/又は約1個又はそれ以上(例,約1,2,3,4,5,6,7,8,9,10個又はそれ以上)の万能塩基で修飾されたヌクレオチド,並びに任意にてセンス鎖の3’−末端,5’−末端,又は3’及び5’−末端の両方に末端キャップ分子を含み,アンチセンス鎖が約1〜約10個又はそれ以上,詳細には約1,2,3,4,5,6,7,8,9,10個,又はそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合,及び/又は1個又はそれ以上(例,約1,2,3,4,5,6,7,8,9,10個又はそれ以上)の2’−デオキシ,2’−O−メチル,2’−デオキシ−2’−フルオロ,及び/又は1個又はそれ以上(例,約1,2,3,4,5,6,7,8,9,10個又はそれ以上)の万能塩基修飾ヌクレオチド,並びに任意にてアンチセンス鎖の3’−末端,5’−末端,又は3’及び5’−末端の両方に末端キャップ分子を含むsiNA分子に関する。別の一実施態様において,センス及び/又はアンチセンスsiNA鎖の,1個又はそれ以上,例えば約1,2,3,4,5,6,7,8,9,10個,又はそれ以上のピリミジンヌクレオチドは,同一又は異なる鎖内に存在する1個又はそれ以上,例えば約1,2,3,4,5,6,7,8,9,10個,又はそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合,及び/又は3’−末端,5’−末端,又は3’及び5’−末端の両方の末端キャップ分子を伴って,又伴わずに2’−デオキシ,2’−O−メチル及び/又は2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドで化学修飾される。
別の一実施態様において,本発明は,センス鎖が約1〜約5個,詳細には約1,2,3,4,又は5個のホスホロチオエートヌクレオチド間結合,及び/又は1個又はそれ以上(例,約1,2,3,4,5個,又はそれ以上)の2’−デオキシ,2’−O−メチル,2’−デオキシ−2’−フルオロ,及び/又は1個又はそれ以上(例,約1,2,3,4,5個,又はそれ以上)の万能塩基修飾ヌクレオチド,並びに任意にてセンス鎖の3−末端,5’−末端,又は3’及び5’−末端の両方に末端キャップ分子を含み,アンチセンス鎖が約1〜約5個又はそれ以上,詳細には約1,2,3,4,5個又はそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合,及び/又は1個又はそれ以上(例,約1,2,3,4,5,6,7,8,9,10個又はそれ以上)の2’−デオキシ,2’−O−メチル,2’−デオキシ−2’−フルオロ,及び/又は1個又はそれ以上(例,約1,2,3,4,5,6,7,8,9,10個又はそれ以上)の万能塩基修飾ヌクレオチド,並びに任意にてアンチセンス鎖の3’−末端,5’−末端,又は3’及び5’−末端の両方に末端キャップ分子を含むsiNA分子に関する。別の一実施態様において,センス及び/又はアンチセンスsiNA鎖の,1個又はそれ以上,例えば約1,2,3,4,5,6,7,8,9,10個,又はそれ以上のピリミジンヌクレオチドは,同一又は異なる鎖内に存在する約1〜約5個又はそれ以上,例えば約1,2,3,4,5個,又はそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合及び/又は3’−末端,5’−末端,又は3’及び5’−末端の両方の末端キャップ分子を伴って,又は伴わずに2’−デオキシ,2’−O−メチル及び/又は2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドで化学修飾される。
一実施態様において,本発明は,アンチセンス鎖が1個又はそれ以上,例えば,約1,2,3,4,5,6,7,8,9,10個,又はそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合,及び/又は約1個又はそれ以上(例,約1,2,3,4,5,6,7,8,9,10個又はそれ以上)の2’−デオキシ,2’−O−メチル,2’−デオキシ−2’−フルオロ,及び/又は1個又はそれ以上(例,約1,2,3,4,5,6,7,8,9,10個又はそれ以上)の万能塩基修飾ヌクレオチド,並びに任意にてセンス鎖の3’−末端,5’−末端,又は3’及び5’−末端の両方に末端キャップ分子を含み,アンチセンス鎖が約1〜約10個又はそれ以上,詳細には約1,2,3,4,5,6,7,8,9,10個又はそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合,及び/又は1個又はそれ以上(例,約1,2,3,4,5,6,7,8,9,10個又はそれ以上)の2’−デオキシ,2’−O−メチル,2’−デオキシ−2’−フルオロ,及び/又は1個又はそれ以上(例,約1,2,3,4,5,6,7,8,9,10個又はそれ以上)の万能塩基修飾ヌクレオチド,並びに任意にてアンチセンス鎖の3’−末端,5’−末端,又は3’及び5’−末端の両方に末端キャップ分子を含むsiNA分子に関する。別の一実施態様において,センス及び/又はアンチセンスsiNA鎖の,1個又はそれ以上,例えば約1,2,3,4,5,6,7,8,9,10個又はそれ以上のピリミジンヌクレオチドは,同一又は異なる鎖内に存在する1個又はそれ以上,例えば,約1,2,3,4,5,6,7,8,9,10個又はそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合,及び/又は3’−末端,5’−末端,又は3’及び5’−末端の両方の末端キャップ分子を伴って,又は伴わずに2’−デオキシ,2’−O−メチル及び/又は2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドで化学修飾される。
別の一実施態様において,本発明は,アンチセンス鎖が約1〜約5個又はそれ以上,詳細には約1,2,3,4,5個又はそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合,及び/又は1個又はそれ以上(例,約1,2,3,4,5,6,7,8,9,10個又はそれ以上)の2’−デオキシ,2’−O−メチル,2’−デオキシ−2’−フルオロ,及び/又は1個又はそれ以上(例,約1,2,3,4,5,6,7,8,9,10個又はそれ以上)の万能塩基修飾ヌクレオチド,並びに任意にてセンス鎖の3’−末端,5’−末端,又は3’及び5’−末端の両方に末端キャップ分子を含み,アンチセンス鎖が約1〜約5個又はそれ以上,詳細には約1,2,3,4,5個又はそれ以上ホスホロチオエートヌクレオチド間結合,及び/又は1個又はそれ以上(例,約1,2,3,4,5,6,7,8,9,10個又はそれ以上)の2’−デオキシ,2’−O−メチル,2’−デオキシ−2’−フルオロ,及び/又は1個又はそれ以上(例,約1,2,3,4,5,6,7,8,9,10個又はそれ以上)の万能塩基修飾ヌクレオチド,並びに任意にてアンチセンス鎖の3’−末端,5’−末端,又は3’及び5’−末端の両方に末端キャップ分子を含むsiNA分子に関する。別の一実施態様において,センス及び/又はアンチセンスsiNA鎖の1個又はそれ以上,例えば約1,2,3,4,5,6,7,8,9,10個又はそれ以上のピリミジンヌクレオチドは,同一又は異なる鎖内に存在する約1〜約5個,例えば約1,2,3,4,5個又はそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合,及び/又は3’−末端,5’−末端,又は3’及び5’−末端の両方の末端キャップ分子を伴って,又は伴わずに2’−デオキシ,2’−O−メチル及び/又は2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドで化学修飾される。
一実施態様において,本発明は,siNA分子の各鎖内に約1〜約5個又はそれ以上(詳細には約1,2,3,4,5個又はそれ以上)のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含む,化学修飾された短干渉核酸(siNA)分子に関する。
別の一実施態様において,本発明は,2’−5’ヌクレオチド間結合を含むsiNA分子に関する。一つ又は複数の2’−5’ヌクレオチド間結合は,siNA配列鎖の一方又は両方の3’−末端,5’−末端,又は3’及び5’−末端の両方に存在し得る。加えて,一つ又は複数の2’−5’ヌクレオチド間結合は,siNA配列鎖の一方又は両方内の様々な他の位置に存在し得,例えばsiNA分子の一方又は両方の鎖内のピリミジンヌクレオチドの各ヌクレオチド間結合を含む,約1,2,3,4,5,6,7,8,9,10個,又はそれ以上の結合は,2’−5’ヌクレオチド間結合を含み得,又はsiNA分子の一方又は両方の鎖内のプリンヌクレオチドの各ヌクレオチド間結合を含む,約1,2,3,4,5,6,7,8,9,10個,又はそれ以上の結合は2’−5’ヌクレオチド間結合を含み得る。
別の一実施態様において,本発明の化学修飾されたsiNA分子は,二つの鎖を有する二重鎖を含み,その一方又は両方が化学修飾されてよく,各鎖は独立して約15〜約30(例,約15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,又は30)個のヌクレオチド長を有し,該二重鎖は約15〜約30(例,約15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,又は30)個の塩基対を含み,該化学修飾は式I〜VIIのいずれかの構造を有する。例えば,本発明の例示的な化学修飾siNA分子は,二つの鎖を有する二重鎖を含み,一方又は両方の鎖は式I〜VIIのいずれかの化学修飾,又はその任意の組合せにより化学修飾されてもよく,各鎖は約21個のヌクレオチドから構成されており,また各鎖は2個のヌクレオチドを有する3’−末端ヌクレオチドオーバーハングを有し,該二重鎖は約19個の塩基対を有する。別の一実施態様において,本発明のsiNA分子は,一本鎖ヘアピン構造を含み,該siNAは約36〜約70(例,約36,40,45,50,55,60,65,又は70)個のヌクレオチド長を有し,かつ約15〜約30(例,約15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,又は30)個の塩基対を含み,該siNAは,式I〜VIIのいずれかの構造又はその任意の組合せを含む化学修飾を有し得る。例えば,本発明の例示的な化学修飾siNA分子は,線状のオリゴヌクレオチドを含み,該線状オリゴヌクレオチドは,式I〜VIIのいずれかの化学修飾又はその任意の組合せで化学修飾され,約42〜約50(例,約42,43,44,45,46,47,48,49,又は50)個のヌクレオチドを有し,該線状オリゴヌクレオチドは,約19〜約21(例,19,20,又は21)個の塩基対,及び2個のヌクレオチドを含む3’−末端ヌクレオチドオーバーハングを含むヘアピン構造を形成する。別の一実施態様において,本発明の線状siNA分子はステムループモチーフを有し,該ループ部分は生物分解性を有する。例えば,本発明の線状siNA分子は,インビボでsiNA分子のループ部分が生分解すると,例えば約2個のヌクレオチドを含む3’−末端ヌクレオチドオーバーハングのような3’−末端オーバーハングを有する二本鎖siNA分子を生成し得るようにデザインされている。
別の一実施態様において,本発明のsiNA分子はヘアピン構造を含み,該siNAは約3〜約25(例,約3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,又は25)個の塩基対を含む約25〜約50(例,約25,26,27,28,29,30,31,32,33,34,35,36,37,38,39,40,41,42,43,44,45,46,47,48,49,又は50)個のヌクレオチド長を有し,またsiNAは,式I〜VIIのいずれかの構造,又はその任意の組合せを有する一つ又はそれ以上の化学修飾を含み得る。例えば,本発明の例示的な化学修飾siNA分子は,式I〜VIIのいずれかの又はその任意の組合せの一つ又はそれ以上の化学修飾で修飾された,約25〜約35(例,約25,26,27,28,29,30,31,32,33,34,又は35)個のヌクレオチドを含む線状オリゴヌクレオチドを含み,該線状オリゴヌクレオチドは,約3〜約25(例,約3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,又は25)個の塩基対と,本明細書に記載されているように化学修飾され得る5’−末端リン酸基(例えば,式IVの5’−末端リン酸基)とを有するヘアピン構造を形成している。別の一実施態様において,本発明の線状siNA分子はステムループモチーフを有し,該siNA分子のループ部分は生物分解性である。一実施態様において,本発明の線状siNA分子は,非ヌクレオチドリンカーを含むループ部分を有する。
別の一実施態様において,本発明のsiNA分子は非対称ヘアピン構造を含み,該siNAは,約3〜約25(例,約3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,又は25)個の塩基対を含む約25〜約50(例,約25,26,27,28,29,30,31,32,33,34,35,36,37,38,39,40,41,42,43,44,45,46,47,48,49,又は50)個のヌクレオチド長を有し,該siNAは式I〜VIIのいずれか構造,又はその任意の組合せを有する一つ又はそれ以上の化学修飾を含み得る。例えば,本発明の例示的な化学修飾siNA分子は,式I〜VIIのいずれか,又はその任意の組合せの一つ又はそれ以上の化学修飾で修飾された,約25〜約35(例,約25,26,27,28,29,30,31,32,33,34,又は35)個のヌクレオチドを含む線状オリゴヌクレオチドを含み,また線状オリゴヌクレオチドは,約3〜約25(例,約3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,又は25)個の塩基対と,本明細書に記載されているように化学修飾され得る5’−末端リン酸基(例えば,式IVの5’−末端リン酸基)とを有する非対称ヘアピン構造を形成している。一実施態様において,本発明の非対称ヘアピンsiNA分子はステムーループモチーフを有し,該siNA分子のループ部分は生物分解性である。別の一実施態様において,本発明の非対称ヘアピンsiNA分子は,非ヌクレオチドリンカーを含むループ部分を有する。
別の一実施態様において,本発明のsiNA分子は非対称二本鎖構造を含み,該構造は,センス及びアンチセンス領域を有する別個のポリヌクレオチド鎖を含み,アンチセンス領域は約15〜約30(例,約15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,又は30)個のヌクレオチド長を有し,センス領域は約3〜約25(例,約3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,又は25)個のヌクレオチド長を有し,センス領域及びアンチセンス領域は,少なくとも3個の相補的なヌクレオチドを有し,該siNAは,式I〜VIIのいずれかの構造又はその任意の組合せの一つ又はそれ以上の化学修飾を含み得る。例えば,本発明の例示的な化学修飾siNA分子は非対称二本鎖構造を含み,該構造は,センス及びアンチセンス領域を有する別個のポリヌクレオチド鎖を含み,アンチセンス領域は約18〜約23(例,約18,19,20,21,22,又は23)個のヌクレオチド長を有し,センス領域は約3〜約15(例,約3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,又は15)個のヌクレオチド長を有し,センス領域及びアンチセンス領域は,少なくとも3個の相補的なヌクレオチドを有し,該siNAは,式I〜VIIのいずれかの構造又はその任意の組合せの一つ又はそれ以上の化学修飾を含み得る。別の一実施態様において,非対称二本鎖siNA分子はまた,本明細書に記載されているように化学修飾され得る5’−末端リン酸基(例えば式IVの5’−末端リン酸基)を有してもよい。
別の一実施態様において,本発明のsiNA分子は環状の核酸分子を含み,該siNAは約15〜約30(例,約15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,又は30)個の塩基対を含む約38〜約70(例,約38,40,45,50,55,60,65,又は70)個のヌクレオチド長を有し,該siNAは式I〜VIIのいずれか構造,又はその任意の組合せの一つ又はそれ以上の化学修飾を含み得る。例えば,本発明の例示的な化学修飾siNA分子は,式I〜VIIのいずれか,又はその任意の組合せの一つ又はそれ以上の化学修飾で修飾された約42〜約50(例,約42,43,44,45,46,47,48,49,又は50)個のヌクレオチドを含む環状オリゴヌクレオチドを含み,また環状オリゴヌクレオチドは,約19個の塩基対と2個のループを有するダンベル構造を形成している。
別の一実施態様において,本発明の環状siNA分子は,2個のループ部分を有し,該siNA分子の一方又は両方のループは生物分解性である。例えば,本発明の環状siNA分子は,インビボでsiNA分子のループ部分が分解されると,約2個のヌクレオチドを含む3’−末端ヌクレオチドオーバーハングのような3’−末端オーバーハングを有する二重鎖siNA分子を生成し得るようにデザインされている。
一実施態様において,本発明のsiNA分子は,少なくとも1個(例,約1,2,3,4,5,6,7,8,9,10個,又はそれ以上)の例えば式V
Figure 2007525205
(式中,各R3,R4,R5,R6,R7,R8,R10,R11,R12,及びR13は,独立してH,OH,アルキル,置換アルキル,アルカリル若しくはアラルキル,F,Cl,Br,CN,CF3,OCF3,OCN,O−アルキル,S−アルキル,N−アルキル,O−アルケニル,S−アルケニル,N−アルケニル,SO−アルキル,アルキル−OSH,アルキル−OH,O−アルキル−OH,O−アルキル−SH,S−アルキル−OH,S−アルキル−SH,アルキル−S−アルキル,アルキル−O−アルキル,ONO2,NO2,N3,NH2,アミノアルキル,アミノ酸,アミノアシル,ONH2,O−アミノアルキル,O−アミノ酸,O−アミノアシル,ヘテロシクロアルキル,ヘテロシクロアルカリル,アミノアルキルアミノ,ポリアルキルアミノ,置換シリル,又は式I若しくはIIの基であり,R9はO,S,CH2,S=O,CHF,又はCF2である。)の化合物のような脱塩基部分を有する。
一実施態様において,本発明のsiNA分子は,少なくとも1個(例,約1,2,3,4,5,6,7,8,9,10個,又はそれ以上)の,例えば式VI
Figure 2007525205
(式中,各R3,R4,R5,R6,R7,R8,R10,R11,R12,及びR13は,独立してH,OH,アルキル,置換アルキル,アルカリル若しくはアラルキル,F,Cl,Br,CN,CF3,OCF3,OCN,O−アルキル,S−アルキル,N−アルキル,O−アルケニル,S−アルケニル,N−アルケニル,SO−アルキル,アルキル−OSH,アルキル−OH,O−アルキル−OH,O−アルキル−SH,S−アルキル−OH,S−アルキル−SH,アルキル−S−アルキル,アルキル−O−アルキル,ONO2,NO2,N3,NH2,アミノアルキル,アミノ酸,アミノアシル,ONH2,O−アミノアルキル,O−アミノ酸,O−アミノアシル,ヘテロシクロアルキル,ヘテロシクロアルカリル,アミノアルキルアミノ,ポリアルキルアミノ,置換シリル,又は式I若しくはIIの基であり,R9は,O,S,CH2,S=O,CHF,又はCF2であり,R2,R3,R8又はR13のいずれかは,本発明のsiNA分子の結合点として働く。)の化合物のような逆位脱塩基部分を有する。
別の一実施態様において,本発明のsiNA分子は,少なくとも1個の(例,約1,2,3,4,5,6,7,8,9,10個,又はそれ以上)の例えば式VII
Figure 2007525205
(式中,各nは,独立して1〜12の整数であり,各R1,R2及びR3は,独立してH,OH,アルキル,置換アルキル,アルカリル若しくはアラルキル,F,Cl,Br,CN,CF3,OCF3,OCN,0−アルキル,S−アルキル,N−アルキル,O−アルケニル,S−アルケニル,N−アルケニル,SO−アルキル,アルキル−OSH,アルキル−OH,O−アルキル−OH,O−アルキル−SH,S−アルキル−OH,S−アルキル−SH,アルキル−S−アルキル,アルキル−O−アルキル,ONO2,NO2,N3,NH2,アミノアルキル,アミノ酸,アミノアシル,ONH2,O−アミノアルキル,O−アミノ酸,O−アミノアシル,ヘテロシクロアルキル,ヘテロシクロアルカリル,アミノアルキルアミノ,ポリアルキルアミノ,置換シリル,又は式Iの基であり,及びR1,R2又はR3は,本発明のsiNA分子の結合点として働く。)の化合物のような置換ポリアルキル部分を有する。
別の一実施態様において,本発明は,式VIIの化合物に関し,式中R1及びR2は,ヒドロキシル(OH)基であり,n=1,及びR3はOを含み,かつ本発明の二本鎖siNA分子若しくは本発明の一本鎖siNA分子の一方又は両方の鎖の3’−末端,5’−末端,又は3’及び5’−末端の両方の結合点である。この修飾は本明細書では"グリセリル"と称される(例えば図10の修飾6)。
別の一実施態様において,本発明の化学修飾されたヌクレオシド若しくは非ヌクレオシド(例,式V,VI又はVIIのいずれかを有する部分)は,本発明のsiNA分子の3’−末端,5’−末端,又は3’及び5’−末端の両方に存在する。例えば,化学修飾されたヌクレオシド若しくは非ヌクレオシド(例,式V,VI又はVIIを有する部分)は,siNA分子のアンチセンス鎖,センス鎖及び/又はアンチセンス鎖及びセンス鎖の両方の3’−末端,5’−末端,又は3’及び5’−末端の両方に存在し得る。一実施態様において,化学修飾されたヌクレオシド若しくは非ヌクレオシド(例,式V,VI又はVIIを有する部分)は,本発明の二本鎖siNA分子のセンス鎖の5’−末端及び3’−末端,並びにアンチセンス鎖の3’−末端に存在する。一実施態様において,化学修飾されたヌクレオシド若しくは非ヌクレオシド(例,式V,VI又はVIIを有する部分)は,本発明の二本鎖siNA分子のセンス鎖の5’−末端及び3’−末端,並びにアンチセンス鎖の3’−末端の末端位置に存在する。一実施態様において,化学修飾されたヌクレオシド若しくは非ヌクレオシド(例,式V,VI又はVIIを有する部分)は,本発明の二本鎖siNA分子のセンス鎖の5’−末端及び3’−末端,並びにアンチセンス鎖の3’−末端に存在する。一実施態様において,化学修飾されたヌクレオシド若しくは非ヌクレオシド(例,式V,VI又はVIIを有する部分)は,本発明の二本鎖siNA分子のセンス鎖の5’−末端及び3’−末端,並びにアンチセンス鎖の3’−末端の終わりから2番目の位置に存在する。加えて,本明細書に記載されるように,ヘアピンsiNA分子の3’−末端又は5’−末端に式VIIの部分が存在し得る。
別の一実施態様において,本発明のsiNA分子は,式VI又はVIがsiNA構成に対して例えばsiNA鎖の一方又は両方の3’−末端,5’−末端,又は3’及び5’−末端の両方に3’−3’,3’−2’,2’−3’,又は5’−5’配置で接続される式V又はVIの脱塩基残基を有する。
一実施態様において,本発明のsiNA分子は,例えば該siNA分子の5’−末端,3’−末端,5’及び3’−末端の両方,又はその任意の組合せの箇所にて,1個又はそれ以上(例,約1,2,3,4,5,6,7,8,9,10個,又はそれ以上)の固定化核酸(LNA)ヌクレオチドを有する。
別の一実施態様において,本発明のsiNA分子は,例えばsiNA分子の5’−末端,3’−末端,5’及び3’−末端の両方,又はその任意の組合せの箇所にて,1個又はそれ以上(例,約1,2,3,4,5,6,7,8,9,10個,又はそれ以上)の非環式ヌクレオチドを有する。
一実施態様において,本発明は,センス領域を有する本発明の化学修飾された短干渉核酸(siNA)分子に関し,ここでセンス領域内に存在する任意(例,一つ若しくはそれ以上,又は全部)のピリミジンヌクレオチドは,2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであり(例,全ピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチド,又は代替的に複数のピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチド),センス領域内に存在する任意(例,一つ若しくはそれ以上,又は全部)のプリンヌクレオチドは,2’−デオキシプリンヌクレオチドである(例,全プリンヌクレオチドが2’−デオキシプリンヌクレオチド,又は代替的に複数のプリンヌクレオチドが2’−デオキシプリンヌクレオチド)。
一実施態様において,本発明は,センス領域を有する本発明の化学修飾された短干渉核酸(siNA)分子に関し,ここでセンス領域に存在する任意(例,一つ若しくはそれ以上,又は全部)のピリミジンヌクレオチドは,2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであり(例,全ピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチド,又は代替的に複数のピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチド),センス領域内に存在する任意(例,一つ若しくはそれ以上,又は全部)のプリンヌクレオチドは,2’−デオキシプリンヌクレオチドであり(例,全プリンヌクレオチドが2’−デオキシプリンヌクレオチド,又は代替的に複数のプリンヌクレオチドが2’−デオキシプリンヌクレオチド),センス領域内に存在する3’−末端ヌクレオチドオーバーハングに含まれる任意のヌクレオチドは,2’−デオキシヌクレオチドである。
一実施態様において,本発明は,センス領域を有する本発明の化学修飾された短干渉核酸(siNA)分子に関し,ここでセンス領域内に存在する任意(例,一つ若しくはそれ以上,又は全部)のピリミジンヌクレオチドは,2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであり(例,全ピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチド,又は代替的に複数のピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチド),センス領域内に存在する任意(例,一つ若しくはそれ以上,又は全部)のプリンヌクレオチドは,2’−O−メチルプリンヌクレオチドである(例,全プリンヌクレオチドが2’−O−メチルプリンヌクレオチド,又は代替的に複数のプリンヌクレオチドが2’−O−メチルプリンヌクレオチド)。
一実施態様において,本発明は,センス領域を有する本発明の化学修飾された短干渉核酸(siNA)分子に関し,ここでセンス領域内に存在する任意(例,一つ若しくはそれ以上,又は全部)のピリミジンヌクレオチドは,2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであり(例,全ピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチド,又は代替的に複数のピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチド),センス領域内に存在する任意(例,一つ若しくはそれ以上,又は全部)のプリンヌクレオチドは,2’−O−メチルプリンヌクレオチドであり(例,全プリンヌクレオチドが2’−O−メチルプリンヌクレオチド,又は代替的に複数のプリンヌクレオチドが2’−O−メチルプリンヌクレオチド),センス領域内に存在する3’−末端ヌクレオチドオーバーハングに含まれる任意のヌクレオチドは,2’−デオキシヌクレオチドである。
一実施態様において,本発明は,アンチセンス領域を有する本発明の化学修飾された短干渉核酸(siNA)分子に関し,ここでアンチセンス領域内に存在する任意(例,一つ若しくはそれ以上,又は全部)のピリミジンヌクレオチドは,2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであり(例,全ピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチド,又は代替的に複数のピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチド),またここでアンチセンス領域内に存在する任意(例,一つ若しくはそれ以上,又は全部)のプリンヌクレオチドは,2’−O−メチルプリンヌクレオチドである(例,全プリンヌクレオチドが2’−O−メチルプリンヌクレオチド,又は代替的に複数のプリンヌクレオチドが2’−0−メチルプリンヌクレオチド)。
一実施態様において,本発明は,アンチセンス領域を有する本発明の化学修飾された短干渉核酸(siNA)分子に関し,ここでアンチセンス領域内に存在する任意(例,一つ若しくはそれ以上,又は全部)のピリミジンヌクレオチドは,2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであり(例,全ピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチド,又は代替的に複数のピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチド),またここでアンチセンス領域内に存在する任意(例,一つ若しくはそれ以上,又は全部)のプリンヌクレオチドは,2’−O−メチルプリンヌクレオチドであり(例,全プリンヌクレオチドが2’−O−メチルプリンヌクレオチド,又は代替的に複数のプリンヌクレオチドが2’−0−メチルプリンヌクレオチド),またここでアンチセンス領域内に存在する3’−末端ヌクレオチドオーバーハングに含まれる任意のヌクレオチドは,2’−デオキシヌクレオチドである。
一実施態様において,本発明は,アンチセンス領域を有する本発明の化学修飾された短干渉核酸(siNA)分子に関し,ここでアンチセンス領域内に存在する任意(例,一つ若しくはそれ以上,又は全部)のピリミジンヌクレオチドは,2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであり(例,全ピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチド,又は代替的に複数のピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチド),またここでアンチセンス領域内に存在する任意(例,一つ若しくはそれ以上,又は全部)のプリンヌクレオチドは,2’−デオキシプリンヌクレオチドである(例,全プリンヌクレオチドが2’−デオキシプリンヌクレオチド,又は代替的に複数のプリンヌクレオチドが2’−デオキシプリンヌクレオチド)。
一実施態様において,本発明は,アンチセンス領域を有する本発明の化学修飾された短干渉核酸(siNA)分子に関し,ここでアンチセンス領域内に存在する任意(例,一つ若しくはそれ以上,又は全部)のピリミジンヌクレオチドは,2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであり(例,全ピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチド,又は代替的に複数のピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチド),またここでアンチセンス領域内に存在する任意(例,一つ若しくはそれ以上,又は全部)のプリンヌクレオチドは,2’−O−メチルプリンヌクレオチドである(例,全プリンヌクレオチドが2’−O−メチルプリンヌクレオチド,又は代替的に複数のプリンヌクレオチドが2’−O−メチルプリンヌクレオチド)。
一実施態様において,本発明は,細胞又は再構成インビトロ系内でHairlessに対するRNA干渉(RNAi)を仲介することができる,センス領域及びアンチセンス領域を有する化学修飾短干渉核酸(siNA)分子に関する。ここでセンス領域内に存在する一つ又はそれ以上のピリミジンヌクレオチドは,2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであり(例,全ピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチド,又は代替的に複数のピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチド),センス領域内に存在する一つ又はそれ以上のプリンヌクレオチドは,2’−デオキシプリンヌクレオチドであり(例,全プリンヌクレオチドが2’−デオキシプリンヌクレオチド,又は代替的に複数のプリンヌクレオチドが2’−デオキシプリンヌクレオチド),アンチセンス領域内に存在する一つ又はそれ以上ピリミジンヌクレオチドは,2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであり(例,全ピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチド,又は代替的に複数のピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチド),アンチセンス領域内に存在する一つ又はそれ以上のプリンヌクレオチドは,2’−O−メチルプリンヌクレオチドである(例,全プリンヌクレオチドが2’−O−メチルプリンヌクレオチド,又は代替的に複数のプリンヌクレオチドが2’−0−メチルプリンヌクレオチド)。センス領域及び/又はアンチセンス領域は,任意にてセンス配列,及び/又はアンチセンス配列の3’−末端,5’−末端,又は3’及び5’−末端の両方に存在する末端キャップ修飾,例えば本明細書に記載されているか,又は図10に示す任意の修飾を有し得る。センス領域,及び/又はアンチセンス領域は,任意にて更に,約1〜約4(例,約1,2,3,又は4)個の2’−デオキシヌクレオチドを有する3’−末端ヌクレオチドオーバーハングを含み得る。オーバーハングヌクレオチドは,更に1個又はそれ以上(例,約1,2,3,4個又はそれ以上)のホスホロチオエート,ホスホノアセテート,及び/又はチオホスホノアセテートヌクレオチド間結合を含み得る。これら化学修飾siNAの非限定的な例を,本明細書の図4及び図5並びに表III及び表IVに示す。記載した実施態様のいずれかにおいて,センス領域内に存在するプリンヌクレオチドは,二者択一的に2’−O−メチルプリンヌクレオチドであり(例,全プリンヌクレオチドが2’−O−メチルプリンヌクレオチド,又は代替的に複数のプリンヌクレオチドが2’−O−メチルプリンヌクレオチド),アンチセンス領域内に存在する一つ又はそれ以上のプリンヌクレオチドは,2’−O−メチルプリンヌクレオチドである(例,全プリンヌクレオチドが2’−O−メチルプリンヌクレオチド,又は代替的に複数のプリンヌクレオチドが2’−O−メチルプリンヌクレオチド)。同様に,これら実施態様のいずれかにおいて,センス領域内に存在する一つ又はそれ以上のプリンヌクレオチドは,二者択一的にプリンリボヌクレオチドであり(例,全プリンヌクレオチドがプリンリボヌクレオチド,又は代替的に複数のプリンヌクレオチドがプリンリボヌクレオチド),アンチセンス領域内に存在する任意のプリンヌクレオチドは,2’−O−メチルプリンヌクレオチドである(例,全プリンヌクレオチドが2’−O−メチルプリンヌクレオチド,又は代替的に複数のプリンヌクレオチドが2’−O−メチルプリンヌクレオチド)。加えて,これら実施態様のいずれかにおいて,センス領域内に存在する,及び/又はアンチセンス領域内に存在する一つ又はそれ以上のプリンヌクレオチドは,二者択一的に2’−デオキシヌクレオチド,固定化核酸(LNA)ヌクレオチド,2’−メトキシエチルヌクレオチド,4’−チオヌクレオチド,及び2’−O−メチルヌクレオチドからなる群より選択される(例,全プリンヌクレオチドが2’−デオキシヌクレオチド,固定化核酸(LNA)ヌクレオチド,2’−メトキシエチルヌクレオチド,4’−チオヌクレオチド,及び2’−O−メチルヌクレオチドからなる群より選択されるか,又は代替的に複数のプリンヌクレオチドが2’−デオキシヌクレオチド,固定化核酸(LNA)ヌクレオチド,2’−メトキシエチルヌクレオチド,4’−チオヌクレオチド,及び2’−O−メチルヌクレオチドからなる群より選択される)。
別の一実施態様において,本発明のsiNA分子内,好ましくは本発明のsiNA分子のアンチセンス鎖内(場合によりセンス鎖内にも),及び/又はアンチセンス鎖及びセンス鎖の両方内に存在する任意の修飾ヌクレオチドは,天然に存在するリボヌクレオチドと同様の性質又は特徴を有する修飾ヌクレオチドを含む。例えば,本発明は,ノーザンコンフォメーション(Northern conformation)(例,ノーザン擬似回転周期,例えばSaenger,Principles of Nucleic Acid Structure,Springer−Verlag ed 1984参照)を有する修飾ヌクレオチドを含むsiNA分子に関する。このようなものとして,本発明のsiNA分子内,好ましくは本発明のsiNA分子のアンチセンス鎖内(場合によりセンス鎖内にも),及び/又はアンチセンス鎖及びセンス鎖の両方内に存在する化学修飾ヌクレオチドは,ヌクレアーゼ分解耐性を有する一方で,RNAiを仲介する能力を保持している。ノーザンコンフォメーションを有するヌクレオチドの非限定的な例は,固定化核酸(LNA)ヌクレオチド(例,2’−O,4’−C−メチレン−(D−リボフラノシル)ヌクレオチド),2’−メトキシエトキシ(MOE)ヌクレオチド,2’−メチル−チオ−エチル,2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチド,2’−デオキシ−2’−クロロヌクレオチド,2’−アジドヌクレオチド,及び2’−O−メチルヌクレオチドを含む。
一実施態様において,本発明の二本鎖siNA分子のセンス鎖は,該センス鎖の3’−末端,5’−末端,又は3’及び5’−末端の両方にて,例えば逆位デオキシ脱塩基部分のような末端キャップ部分(例えば図10参照)を含む。
一実施態様において,細胞又は再構成インビトロ系内でHairlessに対するRNA干渉(RNAi)を仲介することができる化学修飾された短干渉核酸(siNA)分子に関し,ここで化学修飾は,化学修飾siNA分子に共有結合しているコンジュゲートを含む。
本発明で想定されるコンジュゲートの非限定的な例は,図面を含めその全容が参照により本明細書に加入される2003年4月30日出願のVargeese等,米国特許出願第10/427,160号に記載されているコンジュゲート及びリガンドを含む。別の一実施態様において,コンジュゲートは,生物分解性のリンカーを介して化学修飾siNA分子に共有結合されている。一実施態様において,コンジュゲート分子は,化学修飾siNA分子のセンス鎖,アンチセンス鎖,又は両方の鎖のいずれかの3’−末端に結合している。別の一実施態様において,コンジュゲート分子は,化学修飾siNA分子のセンス鎖,アンチセンス鎖,又は両方の鎖のいずれかの5’−末端に結合している。更に別の一実施態様において,コンジュゲート分子は,化学修飾siNA分子のセンス鎖,アンチセンス鎖,又は両方の鎖のいずれかの3’−末端及び5’−末端の両方,又はその任意の組合せに結合している。一実施態様において,本発明のコンジュゲート分子は,化学修飾siNA分子の生体系,例えば細胞内への送達を促進する分子を含む。別の一実施態様において,化学修飾siNA分子に結合したコンジュゲート分子は,ポリエチレングリコール,ヒト血清アルブミン,又は細胞取込みを仲介し得る細胞受容体のためのリガンドである。本発明で想定される,化学修飾siNA分子に結合し得る特定のコンジュゲート分子の例は,参照により本明細書に加入される2002年7月22日出願のVargeese等,米国特許出願第10/201,394号に記載されている。使用されるコンジュゲートのタイプ,及び本発明のsiNA分子のコンジュゲーションの範囲は,siNA構成の改良された薬物動態学プロファイル,バイオアベイラビリティ,及び/又は安定性,及び同時にsiNAのRNAiを仲介する能力の保持によって評価され得る。このようなものとして,当業者は様々なコンジュゲートで修飾されたsiNA構成をスクリーニングしてsiNAコンジュゲートコンジュゲートが改良された性質を有する一方,例えば周知のように動物モデル内でRNAiを仲介する能力を保持しているかを決定することができる。
一実施態様において,本発明は,本発明の短干渉核酸(siNA)分子に関する。ここでsiNAは更に,siNAのセンス領域をsiNAのアンチセンス領域に連結するヌクレオチド,非ヌクレオチド,又はヌクレオチド/非ヌクレオチド混合リンカーを含む。一実施態様において,本発明のヌクレオチドリンカーは,2個以上のヌクレオチド長,例えば約3,4,5,6,7,8,9,又は10個のヌクレオチド長を有するリンカーであり得る。別の一実施態様において,ヌクレオチドリンカーは,核酸アプタマーであり得る。本明細書で使用されるように,"アプタマー"又は"核酸アプタマー"は,標的分子に特異的に結合する核酸分子を意味し,ここで核酸分子は,標的分子により認識される配列を含む配列を自然設定で有する。代替的に,アプタマーは,標的分子に結合する核酸分子であり得,ここで標的分子は核酸に自然には結合しない。標的分子は,関心の任意の分子であり得る。例えば,アプタマーは,タンパク質のリガンド結合ドメインに結合することによって,天然に存在するリガンドとタンパク質との相互作用を防止するのに使用され得る。これは非限定的な例であり,当業者は他の体現もまた当該技術分野にて公知の技術を使用して容易に生成し得ることを理解するであろう(例えば,Gold等,1995,Annu.Rev.Biochem,64,763,Brody及びGold,2000,J.Biotechnol,74,5,Sun,2000,Curr.Opin.Mol.Ther,2,100,Kusser,2000,J.Biotechnol,74,27,Hermann及びPatel,2000,Science,287,820,並びにJayasena,1999,Clinical Chemistry,45,1628参照)。
また更に別の一実施態様において,本発明の非ヌクレオチドリンカーは,脱塩基ヌクレオチド,ポリエーテル,ポリアミン,ポリアミド,ペプチド,炭水化物,脂質,ポリ炭化水素,又は他のポリマー化合物(例,例えば2〜100のエチレングリコール単位を有するポリエチレングリコール)を含む。特定の例は,全て本明細書に参照により加入されるSeela及びKaiser,Nucleic Acids Res.1990,18:6353 及びNucleic Acids Res.1987,15:3113,Cload及びSchepartz,J.Am.Chem.Soc.1991,113:6324,Richardson及びSchepartz,J.Am.Chem.Soc.1991,113:5109,Ma等,Nucleic Acids Res.1993,21:2585及びBiochemistry 1993,32:1751,Durand等,Nucleic Acids Res.1990,18:6353,McCurdy等,Nucleosides&Nucleotides 1991,10:287,Jschke等,Tetrahedron Lett.1993,34:301,Ono等,Biochemistry 1991,30:9914,Arnold等,国際特許出願公開第WO89/02439号,Usman等,国際特許出願公開第WO95/06731号,Dudycz等,国際特許出願公開第.WO95/11910号,並びにFerentz及びVerdie,J.Am.Chem.Soc.1991,113:4000に記載されたものを含む。"非ヌクレオチド"は更に,一つ又はそれ以上のヌクレオチド単位に代替して核酸鎖内に組み込まれ,残留する塩基の酵素活性を維持する任意の基又は化合物を意味し,それには糖置換,及び/又はホスフェート置換のいずれかが含まれる。基又は化合物は,例えば糖のC1位置に通常認識されるヌクレオチド塩基,例えばアデノシン,グアニン,シトシン,ウラシル又はチミン等を含まない脱塩基であり得る。
一実施態様において,本発明は,細胞又は再構成インビトロ系内でRNA干渉(RNAi)を仲介することができる短干渉核酸(siNA)分子に関する。ここで,二つの別個のオリゴヌクレオチドから組立てられたsiNA分子の一方又は両方の鎖は,リボヌクレオチドを含まない。例えば,siNA分子は一つのオリゴヌクレオチドから組立てられ得,該siNAのセンス及びアンチセンス領域は分離したオリゴヌクレオチドを含み,該オリゴヌクレオチドはオリゴヌクレオチド内に存在するリボヌクレオチド(例,2’−OH基を有するヌクレオチド)を有さない。別の例では,siNA分子は一つのオリゴヌクレオチドから組立てられ得,siNAのセンス及びアンチセンス領域は,本明細書に記載されるように,ヌクレオチド又は非ヌクレオチドリンカーによって結合又は環化され,ここでオリゴヌクレオチドは,該オリゴヌクレオチド内に存在するリボヌクレオチド(例2’−OH基を有するヌクレオチド)を有さない。本願出願人は,驚くべきことに,siNA分子内のリボヌクレオチド(例,2’−ヒドロキシル基を有するヌクレオチド)の存在は,RNAi活性の支持において必要としない,又は必須でないことを見いだした。このようなものとして,一実施態様において,siNA内の全位置は,例えば式I,II,III,IV,V,VI,若しくはVII,又はその任意の組合せを有するヌクレオチド及び/又は非ヌクレオチドのような化学修飾ヌクレオチド,及び/又は非ヌクレオチドを,siNA分子が細胞内でRNAi活性を支持する能力が保持される程度に含み得る。
一実施態様において,本発明のsiNA分子は,標的核酸配列に相補性を有する一本鎖ポリヌクレオチドを含む,細胞又は再構成インビトロ系内でRNAi活性を仲介する一本鎖siNA分子である。別の一実施態様において,本発明の一本鎖siNA分子は,5’−末端リン酸基を含む。別の一実施態様において,本発明の一本鎖siNA分子は,5’−末端リン酸基及び3’−末端リン酸基(例,2’,3’−環状ホスフェート)を含む。別の一実施態様において,本発明の一本鎖siNA分子は,約15〜約30(例,約15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,又は30)個のヌクレオチドを含む。更に別の一実施態様において,本発明の一本鎖siNA分子は,本明細書に記載されている一つ又はそれ以上の化学修飾ヌクレオチド又は非ヌクレオチドを含む。例えば,siNA分子内の全位置は,化学修飾ヌクレオチド,例えば式I〜VIIのいずれか,又はその任意の組合せの化学修飾を有するヌクレオチドを,siNA分子が細胞内でRNAi活性を支持する能力が保持される程度に含み得る。
一実施態様において,本発明のsiNA分子は,標的核酸配列に相補性を有する一本鎖ポリヌクレオチドを含む,細胞又は再構成インビトロ系内でRNAi活性を仲介する一本鎖siNA分子であり,ここでsiNA内に存在する一つ又はそれ以上のピリミジンヌクレオチドは,2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであり(例,全ピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチド,又は代替的に複数のピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチド),アンチセンス領域内に存在する任意のプリンヌクレオチドは,2’−O−メチルプリンヌクレオチドであり(例,全プリンヌクレオチドが2’−O−メチルプリンヌクレオチド,又は代替的に複数のプリンヌクレオチドが2’−O−メチルプリンヌクレオチド),アンチセンス配列の3’−末端,5’−末端,又は3’及び5’−末端の両方に末端キャップ修飾,例えば本明細書に説明するか,又は図10に示す任意の修飾が任意に存在する。siNAは,任意にて更に約1〜約4個又はそれ以上(例,約1,2,3,4個又はそれ以上)の末端2’−デオキシヌクレオチドをsiNA分子の3’−末端に含み,末端ヌクレオチドは更に1個又はそれ以上(例,1,2,3,4個又はそれ以上)のホスホロチオエート,ホスホノアセテート,及び/又はチオホスホノアセテートヌクレオチド間結合を含み得,siNAは,場合により更に末端リン酸基,例えば5’−末端リン酸基を含む。これら実施態様のいずれかにおいて,アンチセンス領域内に存在する任意のプリンヌクレオチドは,二者択一的に2’−デオキシプリンヌクレオチドである(例,全プリンヌクレオチドが2’−デオキシプリンヌクレオチド,又は代替的に複数のプリンヌクレオチドが2’−デオキシプリンヌクレオチド)。同様に,これら実施態様のいずれかにおいて,siNA内に存在する任意のプリンヌクレオチド(即ち,センス及び/又はアンチセンス領域内に存在するプリンヌクレオチド)は,二者択一的に固定化核酸(LNA)ヌクレオチドであり得る(例,全プリンヌクレオチドがLNヌクレオチド,又は代替的に複数のプリンヌクレオチドがLNヌクレオチド)。同様に,これら実施態様のいずれかにおいて,siNA内に存在する任意のプリンヌクレオチドは,二者択一的に2’−メトキシエチルプリンヌクレオチドである(例,全プリンヌクレオチドが2’−メトキシエチルプリンヌクレオチド,又は代替的に複数のプリンヌクレオチドが2’−メトキシエチルプリンヌクレオチド)。別の一実施態様において,本発明の一本鎖siNA分子内に存在する任意の修飾ヌクレオチドは,天然に存在するリボヌクレオチドと同様の性質又は特徴を有する修飾ヌクレオチドを含む。例えば,本発明は,ノーザンコンフォメーション(例,ノーザン擬似回転周期,例えばSaenger,Principles of Nucleic Acid Structure,Springer−Verlag ed,1984参照)を有する修飾ヌクレオチドを含む。このようなものとして,本発明の一本鎖siNA分子内に存在する化学修飾ヌクレオチドは,好ましくはヌクレアーゼ分解耐性を有する一方で,RNAiを仲介する能力を保持する。
一実施態様において,本発明のsiNA分子は,該siNA分子の一つ又はそれ以上の鎖又は領域内の交互の位置に,化学修飾されたヌクレオチド又は非ヌクレオチド(例,式I〜VIIのいずれか,例えば2’−デオキシ,2’−デオキシ−2’−フルオロ,又は2’−O−メチルヌクレオチド)を有する。例えば,そのような化学修飾は,siNAの3’−末端又は5’−末端の一番目又は二番目のヌクレオチドから出発して,RNAベースのsiNA分子の一つ置きの位置に導入し得る。非限定的な例において,本発明の二重鎖siNA分子の各鎖が21ヌクレオチド長を有する本発明の二本鎖siNA分子を提供し,ここで各鎖の位置1,3,5,7,9,11,13,15,17,19及び21は(例,式I〜VIIの任意の化合物,例えば2’−デオキシ,2’−デオキシ−2’−フルオロ,又は2’−O−メチルヌクレオチドによって)化学修飾されている。別の非限定的な例において,siNAの各鎖が21ヌクレオチド長を有する本発明の二本鎖siNAを提供し,ここで各鎖の位置2,4,6,8,10,12,14,16,18,及び20は(例,式I〜VIIの任意の化合物,例えば2’−デオキシ,2’−デオキシ−2’−フルオロ,又は2’−0−メチルヌクレオチドによって)化学修飾されている。このようなsiNA分子は,本明細書に記載されるように,更に末端キャップ部分及び/又はバックボーン修飾を有し得る。このようなsiNA分子は更に,本明細書に記載されるように平滑末端を有し得る。
一実施態様において,本発明は,細胞内でHairless遺伝子の発現を調節する方法に関し,同方法は,(a)化学修飾されていてもよく,またsiNA鎖の一方がHairless遺伝子のRNAに相補的な配列を有する本発明のsiNA分子を合成し,(b)細胞内でHairless遺伝子の発現を調節するに適切な条件下で,該siNA分子を細胞内に導入することを含む。
一実施態様において,本発明は,細胞内でHairless遺伝子の発現を調節する方法に関し,同方法は,(a)化学修飾されていてもよく,またsiNA鎖の一方がHairless遺伝子のRNAに相補的な配列を有し,該siNAのセンス鎖配列が標的RNAの配列と同一又は実質的に同一の配列を有する本発明のsiNA分子を合成し,(b)細胞内でHairless遺伝子の発現を調節するに適切な条件下で,該siNA分子を細胞内に導入することを含む。
別の一実施態様において,本発明は,細胞内で二つ以上のHairless遺伝子の発現を調節する方法に関し,同方法は,(a)化学修飾されていてもよく,またsiNA鎖の一方がHairless遺伝子のRNAに相補的な配列を有する本発明のsiNA分子を合成し,(b)細胞内でHairless遺伝子の発現を調節するに適切な条件下で,該siNA分子を細胞内に導入することを含む。
別の一実施態様において,本発明は,細胞内で二つ又はそれ以上のHairless遺伝子の発現を調節する方法に関し,同方法は,(a)化学修飾されていてもよく,またsiNA鎖の一方がHairless遺伝子のRNAに相補的な配列を有し,該siNAのセンス鎖配列が標的RNAの配列と同一又は実質的に同一の配列を有する本発明のsiNA分子を合成し,(b)細胞内でHairless遺伝子の発現を調節するに適切な条件下で,該siNA分子を細胞内に導入することを含む。
別の一実施態様において,本発明は,細胞内で二つ以上のHairless遺伝子の発現を調節する方法に関し,同方法は,(a)化学修飾されていてもよく,またsiNA鎖の一方がHairless遺伝子のRNAに相補的な配列を有し,該siNAのセンス鎖配列が標的RNAの配列と同一又は実質的に同一の配列を有する本発明のsiNA分子を合成し,(b)細胞内でHairless遺伝子の発現を調節するに適切な条件下で,該siNA分子を細胞内に導入することを含む。
一実施態様において,本発明のsiNA分子は,エクスビボで適用される試薬として使用される。例えば,siNA試薬は治療効果を呈するために被験者内に移植される組織又は細胞内に導入される。細胞及び/又は組織は,後に外植片を受容する有機体又は被験者から得られるか,又は移植に先立って他の有機体又は被験者から得ることができる。siNA分子は細胞又は組織内の一つ又はそれ以上の遺伝子の発現を調節するのに使用され,それにより細胞又は組織は所望の表現型を獲得したり,又はインビボで移植された際に機能を遂行したりすることができる。一実施態様において,患者から特定の標的細胞を抜き取る。これら抜き取った細胞を,これら細胞によるsiNAの適切な取り込み条件下において,細胞内で特定のヌクレオチド配列を標的にするsiNAと接触させる(例,例えばカチオン性脂質,リポソーム,及び同様物等の送達試薬を使用するか,又は例えば電気穿孔法を使用して細胞内へのsiNAの送達を促進する等)。次に,細胞を同一患者又は他の患者に再導入する。一実施態様において,本発明は,組織外植片内でのHairless遺伝子発現の調節方法に関し,同方法は,(a)化学修飾されていてもよく,またsiNA鎖の一方がHairless遺伝子のRNAに相補的な配列を有する本発明のsiNA分子を合成し,(b)組織外植片内でHairless遺伝子の発現を調節するに適切な条件下で,該siNA分子を特定の有機体から得た組織外植片の細胞内に導入することを含む。別の一実施態様において,本方法は更に,有機体内でのHairless遺伝子の発現の調節に適切な条件下で,組織外植片を,該組織が得られた,又は別の有機体内に導入し戻すことを含む。一実施態様において,本発明は,本発明は,組織外植片内でのHairless遺伝子発現の調節方法に関し,同方法は,(a))化学修飾されていてもよく,またsiNA鎖の一方がHairless遺伝子のRNAに相補的な配列を有し,該siNAのセンス鎖配列が標的RNAの配列と同一又は実質的に同一の配列を有する本発明のsiNA分子を合成し,(b)組織外植片内でHairless遺伝子の発現を調節するに適切な条件下で,該siNA分子を特定の有機体から得た組織外植片の細胞内に導入することを含む。別の一実施態様において,本方法更に,有機体内でのHairless遺伝子の発現の調節に適切な条件下で,組織外植片を,該組織が得られた,又は別の有機体内に導入し戻すことを含む。
別の一実施態様において,本発明は,組織外植片内での二つ以上のHairless遺伝子発現の調節方法に関し,同方法は,(a)化学修飾されていてもよく,またsiNA鎖の一方がHairless遺伝子のRNAに相補的な配列を有し,該siNAのセンス鎖配列が標的RNAの配列と同一又は実質的に同一の配列を有する本発明のsiNA分子を合成し,(b)組織外植片内でHairless遺伝子の発現を調節するに適切な条件下で,該siNA分子を特定の有機体から得た組織外植片の細胞内に導入することを含む。別の一実施態様において,本方法更に,有機体内でのHairless遺伝子の発現の調節に適切な条件下で,組織外植片を,該組織が得られた,又は別の有機体内に導入し戻すことを含む。
一実施態様において,被験者又は有機体内でHairless遺伝子の発現を調節する方法に関し,同方法は,(a)化学修飾されていてもよく,またsiNA鎖の一方がHairless遺伝子のRNAに相補的な配列を有する本発明のsiNA分子を合成し,(b)被験者又は有機体内でHairless遺伝子の発現を調節するに適切な条件下で,該siNA分子を被験者又は有機体内に導入することを含む。
一実施態様において,被験者又は有機体内で二つ以上のHairless遺伝子の発現を調節する方法に関し,同方法は,(a)化学修飾されていてもよく,またsiNA鎖の一方がHairless遺伝子のRNAに相補的な配列を有する本発明のsiNA分子を合成し,(b)被験者又は有機体内でHairless遺伝子の発現を調節するに適切な条件下で,該siNA分子を被験者又は有機体内に導入することを含む。Hairlessタンパク質又はRNAのレベルは,当該技術分野にて周知のように決定され得る。
一実施態様において,本発明は,細胞内でHairless遺伝子の発現を調節する方法に関し,同方法は,(a)化学修飾されていてもよく,またsiNAがHairless遺伝子のRNAに相補的な一本鎖配列を有する本発明のsiNA分子を合成し,(b)細胞内でHairless遺伝子の発現を調節するに適切な条件下で,該siNA分子を細胞内に導入することを含む。
別の一実施態様において,本発明は,細胞内で二つ以上のHairless遺伝子の発現を調節する方法に関し,同方法は,(a)化学修飾されていてもよく,またsiNAがHairless遺伝子のRNAに相補的な一本鎖配列を有する本発明のsiNA分子を合成し,(b)細胞内でHairless遺伝子の発現を調節するに適切な条件下で,該siNA分子をインビトロ又はインビボで細胞と接触させることを含む。
一実施態様において,本発明は,組織外植片内でのHairless遺伝子発現の調節方法に関し,同方法は,(a)化学修飾されていてもよく,またsiNAがHairless遺伝子のRNAに相補的な一本鎖配列を有する本発明のsiNA分子を合成し,(b)組織外植片内でHairless遺伝子の発現を調節するに適切な条件下で,特定の被験者又は有機体から得られた組織外植片細胞をsiNA分子と接触させることを含む。
別の一実施態様において,本方法は更に,被験者又は有機体内でのHairless遺伝子の発現の調節に適切な条件下で,組織外植片を,該組織が得られた,又は別の被験者又は有機体内に導入し戻すことを含む。
別の一実施態様において,本発明は,組織外植片内でのHairless遺伝子発現の調節方法に関し,同方法は,(a)化学修飾されていてもよく,またsiNAがHairless遺伝子のRNAに相補的な一本鎖配列を有する本発明のsiNA分子を合成し,(b)組織外植片内でHairless遺伝子の発現を調節するに適切な条件下で,該siNA分子を特定の被験者又は有機体から得られた組織外植片細胞内に導入することを含む。別の一実施態様において,本方法更に,被験者又は有機体内でのHairless遺伝子の発現の調節に適切な条件下で,組織外植片を,該組織が得られた,又は別の被験者又は有機体内に導入し戻すことを含む。
一実施態様において,本発明は,被験者又は有機体内でHairless遺伝子の発現を調節する方法に関し,同方法は,(a)化学修飾されていてもよく,またsiNAがHairless遺伝子のRNAに相補的な一本鎖配列を有する本発明のsiNA分子を合成し,(b)被験者又は有機体内でHairless遺伝子の発現を調節するに適切な条件下で,該siNA分子を被験者又は有機体内に導入することを含む。
別の一実施態様において,本発明は,被験者又は有機体内で二つ以上のHairless遺伝子の発現を調節する方法に関し,同方法は,(a)化学修飾されていてもよく,またsiNAがHairless遺伝子のRNAに相補的な一本鎖配列を有する本発明のsiNA分子を合成し,(b)被験者又は有機体内でHairless遺伝子の発現を調節するに適切な条件下で,該siNA分子を被験者又は有機体内に導入することを含む。
一実施態様において,本発明は,被験者又は有機体内でHairless遺伝子の発現を調節する方法に関し,同方法は,被験者又は有機体内でHairless遺伝子の発現を調節するに適切な条件下で,本発明のsiNA分子を被験者又は有機体と接触させることを含む。
一実施態様において,本発明は,被験者又は有機体の脱毛,又は除毛のための方法に関し,同方法は,被験者又は有機体内でHairless遺伝子の発現を調節するに適切な条件下で,本発明のsiNA分子を被験者又は有機体と接触させることを含む。一実施態様において,siNAは,他の除毛方法,例えば機械的脱毛(例,剃り,引抜き,ワックス脱毛),化学的脱毛,レーザー処置等を行った後に,例えば被験者又は有機体の濾胞のアナゲン期,又はアナゲン期とカタゲン期との間の期間を標的として被験者に投与され,Hairlessの抑制に基づく抜け毛を同調させる。一実施態様において,siNAは被験者に治療の過程で投与され,例えば例えば一日一回,又は週に二,三回,若しくは四回等の様々な時間間隔にて投与される。一実施態様において,siNAは被験者に治療の過程で投与され,例えば週に一回,又は二週に一回投与される。一実施態様において,siNAは被験者に治療の過程で投与され,例えば約1〜約52週間の間,週に一回投与される。一実施態様において,本発明のsiNA分子は,被験者に治療の過程で,約2〜約8(例,2,3,4,5,6,7,又は8)週間の間,週に一回投与される。
一実施態様において,本発明は,被験者又は有機体内で毛の成長を防止,抑制,又は低下させる方法に関し,同方法は,被験者又は有機体内でHairless遺伝子の発現を調節するに適切な条件下で,本発明の被験者又は有機体をsiNA分子と接触させることを含む。一実施態様において,siNAは,他の除毛方法,例えば機械的脱毛(例,剃り,引抜き,ワックス脱毛),化学的脱毛,レーザー処置等を行った後に,例えば被験者又は有機体の濾胞の分裂後期を標的として被験者に投与され,Hairless抑制に基づく抜け毛を同調させる。一実施態様において,siNAは被験者に治療の過程で投与され,例えば例えば一日一回,又は週に二,三回,若しくは四回等の様々な時間間隔で投与される。一実施態様において,siNAは被験者に治療の過程で投与され,例えば週に一回,又は二週に一回投与される。一実施態様において,siNAは被験者に治療の過程で投与され,例えば約1〜約52週間の間,週に一回投与される。一実施態様において,本発明のsiNA分子は,被験者に治療の過程で約2〜約8(例,2,3,4,5,6,7,又は8)週間の間,週に一回投与される。
一実施態様において,本発明は,被験者又は有機体内で毛の成長を防止,抑制,又は低下させる方法に関し,同方法は,被験者又は有機体内でHairless遺伝子の発現を抑制又は下方調節するに適切な条件下で,本発明の被験者又は有機体をsiNA分子と接触させることを含む。一実施態様において,siNAは,他の除毛方法,例えば機械的脱毛(例,剃り,引抜き,ワックス脱毛),化学的脱毛,レーザー処置等を行った後に,例えば被験者又は有機体の濾胞のアナゲン期,又はアナゲン期とカタゲン期の間の期間を標的として被験者に投与され,Hairless遺伝子発現抑制に基づく抜け毛を同調させる。一実施態様において,siNAは被験者に治療の過程で投与され,例えば例えば一日一回,又は週に二,三回,若しくは四回等の様々な時間間隔で投与される。一実施態様において,siNAは被験者に治療の過程で投与され,例えば週に一回,又は二週に一回投与される。一実施態様において,siNAは被験者に治療の過程で投与され,例えば約1〜約52週間の間,週に一回投与される。一実施態様において,本発明のsiNA分子は,被験者に治療の過程で約2〜約8(例,2,3,4,5,6,7,又は8)週間の間,週に一回投与される。
一実施態様において,本発明は,被験者又は有機体内で毛の成長を防止,抑制,又は低下させる方法に関し,同方法は,被験者又は有機体内でHairless遺伝子の発現を抑制又は下方調節するに適切な条件下で,本発明の被験者又は有機体をsiNA分子と接触させることを含む。一実施態様において,siNAは,他の除毛方法,例えば機械的脱毛(例,剃り,引抜き,ワックス脱毛),化学的脱毛,レーザー処置等を行った後に,例えば被験者又は有機体の濾胞内の分裂後期を標的として被験者に投与され,Hairless抑制発現の抑制に基づく抜け毛を同調させる。一実施態様において,siNAは被験者に治療の過程で投与され,例えば例えば一日一回,又は週に二,三回,若しくは四回等の様々な時間間隔で投与される。一実施態様において,siNAは被験者に治療の過程で投与され,例えば週に一回,又は二週に一回投与される。一実施態様において,siNAは被験者に治療の過程で投与され,例えば約1〜約52週間の間,週に一回投与される。一実施態様において,本発明のsiNA分子は,被験者に治療の過程で約2〜約8(例,2,3,4,5,6,7,又は8)週間の間,週に一回投与される。
一実施態様において,本発明は,被験者又は有機体内で脱毛症(例,男性ホルモン性脱毛症)を治療又は予防する方法に関し,同方法は,被験者又は有機体内でHairless遺伝子を調節するに適切な条件下で,本発明の被験者又は有機体をsiNA分子と接触させることを含む。
一実施態様において,本発明は,被験者又は有機体内で無毛症を治療又は予防する方法に関し,同方法は,被験者又は有機体内で適切な条件下で,被験者又は有機体を本発明のsiNA分子と接触させることを含む。
別の一実施態様において,本発明は,被験者又は有機体内で二つ以上のHairless遺伝子の発現を調節する方法に関し,同方法は,被験者又は有機体内でHairless遺伝子の発現を調節するに適切な条件下で,被験者又は有機体を一つ又はそれ以上の本発明のsiNA分子と接触させることを含む。
本発明のsiNA分子は,様々なRNA分子を標的とするRNAiを介して,標的(例,Hairless)遺伝子発現を下方調節又は抑制するようにデザインされ得る。一実施態様において,本発明のsiNA分子は,標的遺伝子に対応する様々なRNAを標的にするために使用される。そのようなRNAの非限定的な例には,メッセンジャーRNA(mRNA),一つ又は複数の標的遺伝子の選択的RNAのスプライスバリアント,一つ又は複数の標的遺伝子の転写後修飾RNA,一つ又は複数の標的遺伝子の前駆体mRNA,及び/又はRNAテンプレートが含まれる。選択的スプライシングにより転写産物のファミリーが生成し,これらが適切なエクソンの使用により区別されるとしたら,適切なエクソンを介して遺伝子ファミリーのメンバーの機能を特異的に抑制又は区別することによって,本発明を遺伝子発現の抑制に使用することができる。例えば,選択的にスプライスされた膜貫通ドメインを含むタンパク質は,膜結合型及び分泌型の両方として発現し得る。膜貫通ドメインを含むエクソンを標的とする本発明を使用して,タンパク質の分泌型に対抗して膜結合型を標的とする薬剤の機能的な因果関係を測定することができる。これらRNA分子を標的とする本発明の用途の非限定的な例には,治療薬への応用,医薬品発見,分子診断及び遺伝子機能,並びに例えば本発明のsiNA分子による一塩基多型マッピングを使用した遺伝子マッピングがある。このような応用は,公知の遺伝子配列,又は発現配列タグ(EST)から入手可能な部分配列を使用して実行することができる。
別の一実施態様において,本発明のsiNA分子は,一つ又は複数の遺伝子ファミリー,例えばHairless遺伝子ファミリーに対応する保存された配列を標的とするよう使用される。このようなものとして,複数のHairless標的を標的とするsiNA分子は,その治療効果が増大し得る。更に,siNAは,様々な用途において遺伝子機能の経路を特徴付けるために使用され得る。例えば,本発明は,ある経路(一つ又は複数)の標的遺伝子の活性を抑制して,遺伝子機能解析,mRNA機能解析,又は翻訳解析によって(一つ又は複数の)未だ特徴付けられていない遺伝子の機能を調べることに使用することができる。本発明は,医薬品開発のために,様々な疾患及び病状に関与する潜在的な標的遺伝子経路の決定に使用することができる。本発明は例えば,脱毛症及び無毛症,又は毛若しくは毛の成長の発達及び維持に関係する遺伝子発現の経路を理解するために使用される。
一実施態様において,本発明のsiNA分子(一つ又は複数)及び/又は方法は,GenbankAccessionに参照されるRNAをコード化する遺伝子(一つ又は複数),例えば本明細書でジェンバンク受入番号(Genbank Accession number)と称するRNA配列(一つ又は複数),例えば表Iに示すジェンバンク受入番号をコード化するHairless遺伝子の発現を下方調節するために使用される。
一実施態様において,本発明は,(a)予め定められた複雑性を有するsiNA構成のライブラリを生成し,(b)標的RNA配列内のRNAi標的部位を決定するに適切な条件下で(a)のsiNA構成をアッセイすることを含む方法に関する。一実施態様において,(a)のsiNA分子は固定した長さの鎖,例えば約23ヌクレオチド長の鎖を有する。別の一実施態様において,(a)のsiNA分子は,異なる長さの鎖,例えば約15〜約30(例,約15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,又は30)ヌクレオチド長の鎖を有する。一実施態様において,このアッセイは,本明細書に記載されるように,再構成インビトロsiNAアッセイを含むことができる。別の一実施態様において,アッセイは内部で標的RNAが発現される細胞培養系を用い得る。別の一実施態様において,標的RNA断片の検出可能な切断レベルは,例えばゲル電気泳動,ノーザンブロット分析,又はリボヌクレアーゼタンパク質アッセイ等による標的RNA配列内の最も適切な標的部位(一つ又は複数)の決定により解析される。標的RNA配列は,当業者公知の方法により,例えばインビトロ系でのクローン化及び/又は転写,並びにインビボ系での細胞発現により得ることができる。
一実施態様において,本発明は,(a)予め定められた複雑性,例えば4Nを有するsiNA構成のランダム化ライブラリを生成し,(ここでNは,siNA構成の各鎖の塩基対をなすヌクレオチド数を表す)(例,19の塩基対を有する21ヌクレオチドのセンス及びアンチセンス鎖を含むsiNA構成において,複雑性は419となる),(b)標的HairlessRNA配列内のRNAi標的部位を決定するに適切な条件下で,(a)のsiNA構成をアッセイすることを含む方法に関する。別の一実施態様において,(a)のsiNA分子は固定した長さの鎖,例えば約23ヌクレオチド長の鎖を有する。別の一実施態様において,(a)のsiNA分子は,異なる長さの鎖,例えば約15〜約30(例,約15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,又は30)ヌクレオチド長の鎖を有する。一実施態様において,このアッセイは,本明細書の実施例6に記載されるように,再構成インビトロsiNAアッセイを含むことができる。別の一実施態様において,アッセイは内部で標的RNAが発現される細胞培養系を用い得る。別の一実施態様において,HairlessRNA断片の検出可能な切断レベルは,ゲル電気泳動,ノーザンブロット分析,又はリボヌクレアーゼタンパク質アッセイ等による標的HairlessRNA配列内の最も適切な標的部位の決定により解析される。標的HairlessRNA配列は当業者公知の方法により,例えばインビトロ系でのクローン化及び/又は転写,並びにインビボ系での細胞発現により得ることができる。
別の一実施態様において,本発明は,(a)標的遺伝子によりコード化されるRNA標的配列を解析する工程と,(b)(a)のRNAの一つ又はそれ以上の領域に相補的な配列を有するsiNA分子の一つ又はそれ以上のセットを合成する工程と,(c)標的RNA配列内のRNAi標的を決定するに適切な条件下で(b)のsiNA分子をアッセイすることを含む方法に関する。一実施態様において,(b)のsiNA分子は,固定した長さの鎖,例えば約23ヌクレオチド長の鎖を有する。別の一実施態様において,別の一実施態様において,(b)のsiNA分子は,異なる長さの鎖,例えば約15〜約30(例,約15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,又は30)ヌクレオチド長の鎖を有する。一実施態様において,このアッセイは,本明細書の実施例6に記載されるように,再構成インビトロsiNAアッセイを含む。別の一実施態様において,アッセイは内部で標的RNAが発現される細胞培養系を用い得る。別の一実施態様において,HairlessRNA断片の検出可能な切断レベルは,ゲル電気泳動,ノーザンブロット分析,又はリボヌクレアーゼタンパク質アッセイ等による標的HairlessRNA配列内の最も適切な標的部位の決定により解析される。標的HairlessRNA配列は当業者公知の方法により,例えばインビトロ系でのクローン化及び/又は転写,並びにインビボ系での細胞発現によって得ることができる。
"標的部位"とは,そのアンチセンス領域内にて標的配列に相補的な配列を含むsiNA構成が仲介する切断の"標的とされる",標的RNA内の配列を意味する。
"検出可能な切断レベル"とは,標的RNAのランダムな分解によって生成したRNAのバックグラウンドを超える切断生成物を認識し得るに十分な程度の切断(及びRNAの切断生成物の形成)を意味する。切断生成物は,標的RNAの1〜5%から生成されれば,殆どの検出方法においてバックグラウンドを超え十分である。
一実施態様において,本発明は,化学修飾されていてもよい本発明のsiNA分子を,薬剤的に許容される担体又は希釈剤中に含む組成物に関する。別の一実施態様において,本発明は,化学修飾されていてもよく,一つ又はそれ以上の遺伝子を標的とする本発明のsiNA分子を,薬剤的に許容される担体又は希釈剤中に含む組成物に関する。別の一実施態様において,本発明は,被験者の疾患又は病状を診断する方法に関し,同方法は,被験者の疾患又は病状を診断するに適切な条件下で,本発明の組成物を被験者に投与することを含む。別の一実施態様において,本発明は,本発明は,被験者の疾患,形質又は病状を治療又は予防する方法に関し,同方法は,被験者の疾患,形質又は病状の治療又は予防に適切な条件下で,本発明の組成物を単独で,又は一つ若しくはそれ以上の他の治療的化合物と共に被験者に投与することを含む。更に別の一実施態様において,本発明は,被験者の毛又は毛の成長を抑制,低下又は防止する方法に関し,同方法は,被験者の毛又は毛の成長を抑制,低下又は防止するに適切な条件下で本発明の組成物を被験者に投与することを含む。
別の一実施態様において,本発明は,Hairless遺伝子標的を確認する方法に関し,同方法は(a)化学修飾されていてもよく,siNA鎖の一方がHairless標的遺伝子のRNAに相補的な配列を含む本発明のsiNA分子を合成し,(b)細胞,組織,被験者又は有機体内でHairless標的遺伝子の発現を調節するに適切な条件下で,該siNA分子を細胞,組織,被験者又は有機体内に導入し,(c)細胞,組織,被験者又は有機体内での表現型の変化の全てをアッセイすることによって,遺伝子機能を決定することを含む。
別の一実施態様において,本発明は,Hairless標的を確認する方法に関し,同方法は,(a)化学修飾されていてもよく,siNA鎖の一方がHairless標的遺伝子のRNAに相補的な配列を含む本発明のsiNA分子を合成し,(b)生体系内でHairless標的遺伝子の発現を調節するに適切な条件下で,該siNA分子を生体系内に導入し,(c)生体系内での表現型の変化の全てをアッセイすることによって,遺伝子機能を決定することを含む。
"生体系"とは,ヒト又は動物を含むが,これらに限定されない生物源を由来とする,精製された,又は精製形態の材料を意味し,該生体系はRNAi活性に必要な構成要素を有している。用語"生体系"には,例えば細胞,組織,被験者若しくは有機体,又はそれらの抽出物が含まれる。生体系という用語には,インビトロ設置に使用される再構成RNAi系も含まれる。
"表現型の変化"とは,本発明の核酸分子(例,siNA)による接触又は処理に応答して細胞に生じる任意の検出可能な変化を意味する。そのような検出可能な変化には,当該技術分野にて公知の方法でアッセイされ得る形状,寸法,増殖,運動性,タンパク質発現若しくはRNA発現,又は他の物理的又は化学的変化が含まれるが,これらに限定されるものではない。検出可能な変化には,発現したタンパク質又はアッセイされ得る他の任意の細胞成分を同定するのに使用される例えばGreen Florescentタンパク質(GFP)のようなレポーター遺伝子/分子,又は他の様々なタグの発現も含まれ得る。
一実施態様において,本発明は,例えば細胞,組織,被験者又は有機体を含む生体系内でHairless標的遺伝子発現を調節するのに使用され得る,化学修飾されていてもよい本発明のsiNA分子を含むキットに関する。別の一実施態様において,本発明は,例えば細胞,組織,被験者又は有機体を含む生体系内でHairless標的遺伝子の発現の調節に使用され得る,化学修飾されていてもよい二つ以上の本発明のsiNA分子を含むキットに関する。
一実施態様において,本発明は,化学修飾されていてもよい一つ又はそれ以上の本発明のsiNA分子を含む細胞に関する。別の一実施態様において,本発明のsiNA分子を含む細胞は,哺乳類細胞である。更に別の一実施態様では,本発明のsiNA分子を含む細胞は,ヒト細胞である。
一実施態様において,化学修飾されていてもよい本発明のsiNA分子の合成は,(a)siNA分子の二つの相補的な鎖を合成し,(b)二本鎖siNA分子を獲得するに適切な条件下で,該二つの相補的な鎖をアニールすることを含む。別の一実施態様において,siNA分子の二つの相補的な鎖の合成は,固相オリゴヌクレオチド合成を用いる。更に別の一実施態様では,siNA分子の二つの相補的な鎖の合成は,固相タンデムオリゴヌクレオチド合成を用いる。
一実施態様において,本発明は,siNA二重鎖分子を合成する方法に関し,同方法は,(a)siNA分子の第一のオリゴヌクレオチド配列鎖を合成する工程と,ここで,第一のオリゴヌクレオチド配列鎖は,siNAの第二のオリゴヌクレオチド配列鎖の合成のための土台として使用され得る切断可能なリンカー分子を有することと,(b)第一のオリゴヌクレオチド配列鎖の土台上にsiNA分子の第二のオリゴヌクレオチド配列鎖を合成する工程と,ここで第二のオリゴヌクレオチド配列鎖は更に,siNA二重鎖の精製に使用され得る化学部分を有することと,(c)二つのsiNAオリゴヌクレオチド鎖がハイブリダイズして安定な二重鎖を形成するに適切な条件下で,(a)のリンカー分子を切断する工程と,(d)第二のオリゴヌクレオチド配列鎖の化学部分を利用してsiNA二重鎖を精製する工程とを含む。一実施態様において,(c)のリンカー分子の切断は,例えばメチルアミンのようなアルキルアミン塩基を使用した加水分解条件下でのオリゴヌクレオチドの脱保護中に行われる。一実施態様において,合成方法は,例えば微細孔性ガラス(CPG)又はポリスチレンのような固体支持体上での固相合成を含む。ここでは固体支持体を土台として使用して,(a)の第一の配列を例えばスクシニルリンカーのような切断可能なリンカー上に合成する。第2の鎖の合成のための土台として使用される(a)の切断可能なリンカーは,固体支持体によって誘導されるリンカーと同様の反応性を有し得ため,固体支持体誘導リンカーと(a)の切断可能なリンカーの切断とは同時に起こる。別の一実施態様において,結合しているオリゴヌクレオチド配列を切り離すのに使用され得る(b)の化学部分は,例えばジメトキシトリチル基のようなトリチル基を含み,これは本明細書に記載されるように,トリチル−オン−合成に使用され得る。更に別の一実施態様では,例えばジメトキシトリチル基のような化学部分は,例えば酸性条件を用いた精製中に除去される。
更なる実施態様において,siNAの合成方法は,液相合成又は混合合成を用いる。ここではsiNA二重鎖の両方の鎖が,第二の配列合成の際の土台として機能する第一の配列に結合した切断可能なリンカーを使用して一列に合成される。別々のsiNA配列鎖のハイブリダイゼーションに適切な条件下でリンカーを切断することにより,二重鎖siNA分子が形成される。
別の一実施態様において,本発明は,siNA二重鎖分子を合成する方法に関し,同方法は,(a)siNA分子の第一のオリゴヌクレオチド配列鎖を合成する工程と,ここで該配列は,他方のオリゴヌクレオチド配列の合成のための土台として使用され得る切断可能なリンカー分子を有することと,(b)(a)の土台上に第一の配列鎖に相補性を有する第二のオリゴヌクレオチドを合成する工程と,ここで第二の配列は二本鎖siNA分子の他方の鎖を含み,第二の配列は更に,結合しているオリゴヌクレオチド配列を切り離すのに使用され得る化学部分を有することと,(c)切断可能なリンカーで接続されている両方のsiNAオリゴヌクレオチドを含む完全長配列を切り離すに適切な条件下で,かつ二つのsiNAオリゴヌクレオチド鎖がハイブリダイズして安定な二重鎖を形成するに適切な条件下で,第二のオリゴヌクレオチド配列鎖の化学部分を利用して(b)の生成物を精製する工程とを含む。一実施態様において,上記の(c)のリンカー分子の切断は,例えば,加水分解条件下でのオリゴヌクレオチドの脱保護中に行われる。別の一実施態様において,上記の(c)のリンカー分子の切断は,オリゴヌクレオチドの脱保護後に行われる。別の一実施態様において,合成方法は,例えば微細孔性ガラス(CPG)又はポリスチレンのような固体支持体上での固相合成を含む。ここでは固体支持体を土台として使用して,(a)の第一の配列を例えばスクシニルリンカーのような切断可能なリンカー上に合成する。第2の鎖の合成のための土台として使用される(a)の切断可能なリンカーは,固体支持体によって誘導されたリンカーと同様又は異なる反応性を有し得ため,固体支持体誘導リンカーと(a)の切断可能なリンカーの切断とは同時に又は連続して起こる。一実施態様において,結合しているオリゴヌクレオチド配列を切り離すのに使用され得る(b)の化学部分は,例えばジメトキシトリチル基のようなトリチル基を含む。
別の一実施態様において,本発明は,単一合成プロセスで二本鎖siNA分子を形成する方法に関する。同方法は,(a)第一及び第二の配列を有するオリゴヌクレオチドを合成する工程と,ここで第一の配列は第二の配列に相補性を有し,第一のオリゴヌクレオチド配列は,切断可能なリンカーを介して第二の配列に連結されていることと,また例えば5’−O−ジメトキシトリチル基(5’−O−DMT)のような,末端の5’−保護基が,第二の配列を有するオリゴヌクレオチド上に残留していることと,(b)オリゴヌクレオチドを脱保護する工程と,それにより二つのオリゴヌクレオチド配列を連結しているリンカーが切断されることと,(c)二本鎖siNA分子を切り離すに適切な条件下で,本明細書に記載されるように例えばトリチル−オン−合成戦略を使用して,(b)の生成物を精製する工程とを含む。
別の一実施態様において,本発明のsiNA分子の合成方法は,その全容が参照により本明細書に加入されるScaringe等,米国特許第5,889,136号,米国特許第第6,008,400号,及び米国特許第第6,111,086号の教示を含む。
一実施態様において,本発明は,Hairlessに対するRNAiを仲介するsiNA構成に関する。ここでsiNA構成は,siNA構成のヌクレアーゼ耐性を増大させる一つ又はそれ以上の化学修飾,例えば式I〜VIIのいずれか,又はその任意の組合せの化学修飾を含む。
別の一実施態様において,本発明は,増大されたヌクレアーゼ耐性を有するsiNA分子を生成する方法に関する。同方法は,(a)式I〜VIIのいずれか,又はその任意の組合せのヌクレオチドをsiNA分子に導入する工程と,(b)増大されたヌクレアーゼ耐性を有するsiNA分子を単離するに適切な条件下で,ステップ(a)のsiNA分子をアッセイする工程とを含む。
別の一実施態様において,本発明は,改良された毒物学的プロファイル(例,免疫賦活性が源弱されているか,又は該性質を有さない)siNA分子を生成する方法に関する。同方法は,(a)式I〜VIIのいずれか,又はその任意の組合せのヌクレオチド(例,表IVに示すsiNAのモチーフ)を,siNA分子内に導入する工程と,(b)改良された毒物学的プロファイルを有するsiNA分子を単離するに適切な条件下で,ステップ(a)のsiNA分子をアッセイする工程とを含む。
別の一実施態様において,本発明は,細胞,被験者又は有機体内でインターフェロン応答を刺激しない(例,インターフェロン応答がない,又はインターフェロン応答が源弱されている)siNA分子を生成する方法に関する。同方法は,式I〜VIIのいずれか,又はその組合せのヌクレオチド(例,表IVに示すsiNAのモチーフ)を,siNA分子内に導入する工程と,(b)インターフェロン応答を刺激しないsiNA分子を単離するに適切な条件下で,ステップ(a)のsiNA分子をアッセイする工程とを含む。
"改良された毒物学的プロファイル"とは,化学修飾siNA構成が,非修飾siNA,又はより少ない修飾,若しくは改良された毒性を付与する効果が小さい修飾を有するsiNA分子と比較して,細胞,被験者又は有機体内で低下された毒性を示すことを意味する。非限定的な例において,改良された毒物学的プロファイルを有するsiNA分子は,非修飾siNA,又はより少ない修飾,若しくは改良された毒性を付与する効果が小さい修飾を有するsiNA分子と比較して,細胞,被験者又は有機体内での免疫賦活性応答の低下又は源弱に,より大きく関与する。一実施態様において,改良された毒物学的プロファイルを有するsiNA分子は,リボヌクレオチドを含まない。一実施態様において,改良された毒物学的プロファイルを有するsiNA分子は,5個より少ないリボヌクレオチド(例1,2,3,又は4個のリボヌクレオチド)を含む。一実施態様において,改良された毒物学的プロファイルを有するsiNA分子は,Stab7,Stab8,Stab11,Stab12,Stab13,Stab16,Stab17,Stab18,Stab19,Stab20,Stab23,Stab24,Stab25,Stab26,Stab27,Stab28,Stab29,Stab30,Stab31,Stab32又はその任意の組合せ(表IV参照)を含む。一実施態様において,所定のsiNA分子に関連した免疫賦活性応答のレベルは,当該技術分野にて周知のように,例えば特定のsiNA分子の免疫賦活性応答を定量するアッセイにおいて,PKR/インターフェロン応答,増殖,B−細胞活性化,及び/又はサイトカイン産生のレベルを測定することにより決定され得る(例えば,参照により本明細書に加入されるLeifer等,2003,J Immunother.26,313−9及び米国特許第5,968,909号を参照)。
一実施態様において,本発明は,Hairlessに対するRNAiを仲介するsiNA構成に関する。ここでsiNA構成は,本明細書に記載されている,siNA構成のセンス鎖とアンチセンス鎖との間の結合親和力を調節する一つ又はそれ以上の化学修飾を含む。
別の一実施態様において,本発明は,センス鎖とアンチセンス鎖との間の結合親和力が増大されたsiNA分子の生成方法に関する。同方法は,(a)式I〜VIIのいずれか,又はその任意の組合せのヌクレオチドをsiNA分子内に導入する工程と,(b)siNA分子のセンス鎖とアンチセンス鎖との間の結合親和力が増大されたsiNA分子を単離するに適切な状況下で,ステップ(a)のsiNA分子をアッセイする工程とを含む。
一実施態様において,本発明は,Hairlessに対するRNAiを仲介するsiNA構成に関する。ここでsiNA構成は,本明細書に記載されている,siNA構成のアンチセンス鎖と,細胞内の相補的な標的RNA配列との間の結合親和力を調節する一つ又はそれ以上の化学修飾を含む。
一実施態様において,本発明は,Hairlessに対するRNAiを仲介するsiNA構成に関する。ここでsiNA構成は,本明細書に記載されている,siNA構成のアンチセンス鎖と,細胞内の相補的な標的DNA配列との間の結合親和力を調節する一つ又はそれ以上の化学修飾を含む。
別の一実施態様において,本発明は,センス鎖とアンチセンス鎖との間の結合親和力が増大されたsiNA分子の生成方法に関する。同方法は,(a)式I〜VIIのいずれか,又はその任意の組合せのヌクレオチドをsiNA分子内に導入する工程と,(b)siNA分子のアンチセンス鎖と相補的な標的RNA配列との間の結合親和力が増大されたsiNA分子を単離するに適切な状況下で,ステップ(a)のsiNA分子をアッセイする工程とを含む。
別の一実施態様において,本発明は,センス鎖とアンチセンス鎖との間の結合親和力が増大されたsiNA分子の生成方法に関する。同方法は,(a)式I〜VIIのいずれか,又はその任意の組合せのヌクレオチドをsiNA分子内に導入する工程と,(b)siNA分子のアンチセンス鎖と相補的な標的DNA配列との間の結合親和力が増大されたsiNA分子を単離するに適切な状況下で,ステップ(a)のsiNA分子をアッセイする工程とを含む。
一実施態様において,本発明は,Hairlessに対するRNAiを仲介するsiNA構成に関する。ここでsiNA構成は,本明細書に記載されている,化学修飾されたsiNA構成に対して配列相同性を有する,更なる外来性siNA分子を生成することができる細胞ポリメラーゼのポリメラーゼ活性を調節する一つ又はそれ以上の化学修飾を含む。
別の一実施態様において,本発明は,化学修飾されたsiNA構成に対して配列相同性を有する,更なる外来性siNA分子を生成することができる細胞ポリメラーゼの,増大されたポリメラーゼ活性を調節することができるsiNA分子を生成する方法に関する。同方法は,(a)式I〜VIIのいずれか,又はその任意の組合せのヌクレオチドをsiNA分子内に導入する工程と,(b)化学修飾されたsiNA構成に対して配列相同性を有する,更なる外来性siNA分子を生成することができる細胞ポリメラーゼの増大されたポリメラーゼ活性を調節することができるsiNA分子を単離するに適切な条件下で,ステップ(a)のsiNA分子をアッセイする工程とを含む。
一実施態様において,本発明は,細胞内でHairlessに対するRNAiを仲介する化学修飾siNA構成に関する。ここで化学修飾は,siNA分子と,標的のRNA分子,DNA分子及び/又はタンパク質,又はそのようなsiNA構成によって仲介されるRNAiの効力を低下させる,RNAiに必須の他の要素との相互作用を有意に生じない。
別の一実施態様において,本発明は,Hairlesに対する改良されたRNAi活性を有するsiNA分子の生成方法に関する。同方法は,(a)式I〜VIIのいずれか,又はその任意の組合せのヌクレオチドをsiNA分子内に導入する工程と,(b)改良されたRNAi活性を有するsiNA分子を単離するに適切な条件下で,ステップ(a)のsiNA分子をアッセイする工程とを含む。
更に別の一実施態様において,本発明は,Hairless標的RNAに対する改良されたRNAi活性を有するsiNA分子の生成方法に関する。同方法は,(a)式I〜VIIのいずれか,又はその任意の組合せのヌクレオチドをsiNA分子内に導入する工程と,(b)標的RNAに対する改良されたRNAi活性を有するsiNA分子を単離するに適切な条件下で,ステップ(a)のsiNA分子をアッセイする工程とを含む。
更に別の一実施態様において,本発明は,Hairless標的DNAに対する改良されたRNAi活性を有するsiNA分子の生成方法に関する。同方法は,(a)式I〜VIIのいずれか,又はその任意の組合せのヌクレオチドをsiNA分子内に導入する工程と,(b)標的RNAに対する改良されたDNAi活性を有するsiNA分子を単離するに適切な条件下で,ステップ(a)のsiNA分子をアッセイする工程とを含む。
一実施態様において,本発明は,Hairlessに対するRNAiを仲介するsiNA構成に関する。ここでsiNA構成は,本明細書に記載されている,siNA構成の細胞取込みを調節する一つ又はそれ以上の化学修飾を含む。
別の一実施態様において,本発明は,細胞取込みが改良されたHairlessに対するsiNA分子を生成する方法に関する。同方法は,(a)式I〜VIIのいずれか,又はその任意の組合せのヌクレオチドをsiNA分子内に導入する工程と,(b)細胞取込みが改良されたsiNA分子を単離するに適切な条件下で,ステップ(a)のsiNA分子をアッセイする工程とを含む。
一実施態様において,本発明は,Hairlessに対するRNAiを仲介するsiNA構成に関する。ここでsiNA構成は,本明細書に記載されている,siNA構成の薬物動態を改良する,例えばポリエチレングリコール若しくはそれと等価なコンジュゲート等のポリマーコンジュゲートを結合させることによって,又はインビボで特定の組織型又は細胞型を標的とするコンジュゲートを結合させることによってsiNA構成のバイオアベイラビリティを増大させる,一つ又はそれ以上の化学修飾を含む。このようなコンジュゲートの非限定的な例は,参照により本明細書に加入されるVargeese等,米国特許出願第10/201,394号に記載されている。
一実施態様において,本発明は,改良されたバイオアベイラビリティを有する本発明のsiNA分子の生成方法に関する。同方法は,(a)siNA分子の構造内にコンジュゲートを導入し,(b)改良されたバイオアベイラビリティを有するsiNA分子を単離するに適切な条件下で,ステップ(a)のsiNA分子をアッセイすることを含む。このようなコンジュゲートは,細胞受容体のためのリガンド,例えば天然タンパク質リガンド由来のペプチド,細胞ZIPコード配列を含むタンパク質局在化配列,抗体,核酸アプタマー,ビタミン及び葉酸及びN−アセチルガラクトサミンのような他の補助因子,ポリエチレングリコール(PEG)のようなポリマー,リン脂質,コレステロール,ポリアミン,スペルミン又はスペルミジンのようなポリアミン,並びに他を含み得る。
一実施態様において,本発明は,標的RNA配列,又はその一部に相補的な第一のヌクレオチド配列と,該第一の配列に相補的な第二の配列とを有する二本鎖短干渉核酸(siNA)分子に関し,ここで該第二の配列は,RNA干渉の効果的なガイド配列として作用しないように,及び/又はRNAiを促進する細胞タンパク質として認識されないように,化学修飾されている。
一実施態様において,本発明は,標的RNA配列,又はその一部に相補的な第一のヌクレオチド配列と,該第一の配列に相補的な第二の配列とを有する二本鎖短干渉核酸(siNA)分子に関し,ここで該第二の配列は,それがガイド配列又は標的核酸(例,RNA)配列に相補的な配列としてRNAi経路内に入り込むことを防止するように,デザイン又は修飾されている。このようなデザイン又は修飾は,本発明のsiNAの活性を増大させ,及び/又はsiNA分子の特異性を高めることが期待される。またこれらの修飾は,任意の標的から外れた効果,及び/又は関連する毒性を最小にすることも期待される。
一実施態様において,本発明は,標的RNA配列,又はその一部に相補的な第一のヌクレオチド配列と,該第一の配列に相補的な第二の配列とを有する二本鎖短干渉核酸(siNA)分子に関し,ここで該第二の配列は,RNA干渉仲介のためのガイド配列として作用することができない。
一実施態様において,本発明は,標的RNA配列,又はその一部に相補的な第一のヌクレオチド配列と,該第一の配列に相補的な第二の配列とを有する二本鎖短干渉核酸(siNA)分子に関し,ここで該第二の配列は,末端5’−ヒドロキシル(5’−OH)又は5’−リン酸基を有さない。
一実施態様において,本発明は,標的RNA配列,又はその一部に相補的な第一のヌクレオチド配列と,該第一の配列に相補的な第二の配列とを有する二本鎖短干渉核酸(siNA)分子に関し,ここで該第二の配列は,該第二の配列の5’−末端において末端キャップ部分を有する。一実施態様において,末端キャップ部分は,逆位脱塩基,逆位デオキシ脱塩基,逆位ヌクレオチド部分,図10に示す基,アルキル又はシクロアルキル基,複素環,又は第二の配列がRNAiのガイド配列又はテンプレートとして働くRNAi活性を妨げる任意の他の基を含む。
一実施態様において,本発明は,標的RNA配列,又はその一部に相補的な第一のヌクレオチド配列と,該第一の配列に相補的な第二の配列とを有する二本鎖短干渉核酸(siNA)分子に関し,ここで該第二の配列は,該第二の配列の5’−末端及び3’−末端において末端キャップ部分を有する。一実施態様において,各末端キャップ部分は,個々に,逆位脱塩基,逆位デオキシ脱塩基,逆位ヌクレオチド部分,図10に示す基,アルキル又はシクロアルキル基,複素環,又は第二の配列がRNAiのガイド配列又はテンプレートとして働くRNAi活性を妨げる任意の他の基を含む。
一実施態様において,本発明は,標的核酸(例,DNA又はRNA,例えば遺伝子又は対応するRNA)の発現を下方調節,又は抑制する改良された特異性を有する本発明のsiNA分子の生成方法に関する。同方法は,(a)siNA分子の構造内に一つ又はそれ以上の化学修飾を導入し,(b)改良された特異性を有するsiNA分子を単離するに適切な条件下で,ステップ(a)のsiNA分子をアッセイすることを含む。別の一実施態様において,特異性の改良に使用される化学修飾は,siNA分子の5’−末端,3’−末端,又は5’及び3’−末端の両方の末端キャップ修飾を含む。末端キャップ修飾は,例えば図10に示す構造(例,逆位デオキシ脱塩基部分)又は標的から外れた核酸配列に対するRNA干渉を仲介できないように,siNA分子の一部(例,センス鎖)を変更する任意の他の化学修飾を含み得る。非限定的な例において,siNA分子は,siNA分子のアンチセンス鎖のみが,RISC仲介による対応する標的RNA配列の分解ためのガイド配列として働き得るようデザインされる。これは,RNAi機構によりセンス鎖がガイド配列として認識されることを妨げる,センス鎖への化学修飾の導入によるsiNAのセンス配列の変更によって達成され得る。一実施態様において,このような化学修飾は,センス鎖の5’−末端の任意の化学基,又はRNA干渉を仲介するガイド配列として不活性なようにセンス鎖を変更する任意の他の基を含む。これらの修飾により,例えばセンス鎖の5’−末端にはもはや遊離5’−ヒドロキシル(5’−OH),又は遊離5’−リン酸基(例,ホスフェート,ジホスフェート,トリホスフェート,環式ホスフェート等)が存在しない分子が形成され得る。このようなsiNA構成の非限定的な例は,本明細書に記載されており,例えば"Stab9/10","Stab7/8","Stab7/19","Stab17/22","Stab23/24","Stab24/25",及び"Stab24/26"(例,Stab7,9,17,23,又は24センス鎖を有する任意のsiNA分子)化学構造,及びその異形(表IV参照)を含み,ここでsiNAのセンス鎖の5’−末端及び3’−末端は,ヒドロキシル基又はリン酸基を有さない。
一実施態様において,本発明は,標的核酸(例,DNA又はRNA,例えば遺伝子又はその対応するRNA)の発現を下方調節,又は抑制する改良された特異性を有する本発明のsiNA分子の生成方法に関する。同方法は,siNA分子の鎖又は一部分のRNAi活性のためのテンプレート又はガイド配列としての作用を妨げる一つ又はそれ以上の化学修飾を,siNA分子の構造内に導入することを含む。一実施態様において,siNA分子の不活性な鎖又は領域は,siNA分子のセンス鎖又はセンス領域,即ち標的核酸配列に相補性を有さないsiNA分子の鎖又は領域である。一実施態様において,このような化学修飾は,5’−ヒドロキシル(5’−OH)又は5’−リン酸基を含まない,siNA分子の鎖又は領域の5’−末端の任意の基,又はセンス鎖又はセンス領域をRNA干渉仲介のためのガイド配列として不活性にする任意の他の基を含む。そのようなsiNA構成の非限定的な例は,本明細書に記載されている,例えば"Stab9/10","Stab7/8","Stab7/19","Stab17/22","Stab23/24","Stab24/25",及び"Stab24/26"(例,Stab7,9,17,23,又は24のセンス鎖を有する任意のsiNA)化学構造及びその異形(表IV参照)を含み,ここでセンス鎖の5’−末端及び3’−末端は,ヒドロキシル基又はリン酸基を有さない。
一実施態様において,本発明は,標的核酸配列に対するRNA干渉を仲介する活性を有するsiNA分子をスクリーニングするための方法に関する。同方法は,(a)複数の未修飾siNA分子を生成する工程と,(b)標的核酸配列に対するRNA干渉を仲介する活性を有するsiNA分子を単離するに適切な状況下で,ステップ(a)のsiNA分子をスクリーニングする工程と,(c)化学修飾を(例,本明細書に記載される,又は周知の別の化学修飾)(b)の活性siNA分子内に導入する工程とを含む。一実施態様において,本方法は更に,標的核酸配列に対するRNA干渉を仲介する活性を有する化学修飾されたsiNA分子を単離するに適切な条件下で,ステップ(c)の化学修飾されたsiNA分子を再スクリーニングする工程とを含む。
一実施態様において,本発明は,標的核酸配列に対するRNA干渉を仲介する活性を有する化学修飾されたsiNA分子をスクリーニングするための方法に関する。同方法は,(a)複数の化学修飾されたsiNA分子(例,本明細書に記載される,又は周知の他のsiNA分子)を生成する工程と,(b)標的核酸配列に対するRNA干渉を仲介する活性を有する化学修飾されたsiNA分子を単離するに適切な条件下で,ステップ(a)のsiNA分子をスクリーニングする工程とを含む。
用語"リガンド"は,別の化合物,例えば受容体と直接的又は間接的に相互作用することができる任意の化合物又は分子,例えば薬物,ペプチド,ホルモン,又は神経伝達物質等を意味する。リガンドと相互作用する受容体は,細胞表面上に存在するか,又は代替的に細胞間受容体に存在し得る。リガンドの受容体との相互作用は生化学的反応を誘起し得るか,又は単に物理的な相互作用又は結合であり得る。
別の一実施態様において,本発明は,改良されたバイオアベイラビリティを有する本発明のsiNA分子を生成する方法に関する。同方法は,(a)賦形剤製剤をsiNA分子に導入し,(b)改良されたバイオアベイラビリティを有するsiNA分子を単離するに適切な条件下で,ステップ(a)のsiNA分子をアッセイすることを含む。このような賦形剤には,シクロデキストリン,脂質,カチオン性脂質,ポリアミン,リン脂質,ナノ粒子,受容体,リガンド,及び他のポリマーが含まれる。
別の一実施態様において,本発明は,改良されたバイオアベイラビリティを有する本発明のsiNA分子を生成する方法に関する。同方法は,式I〜VIIのいずれか,又はその任意の組合せのヌクレオチドをsiNA分子内に導入し,(b)改良されたバイオアベイラビリティを有するsiNA分子を単離するに適切な条件下で,ステップ(a)のsiNA分子をアッセイすることを含む。
別の一実施態様において,ポリエチレングリコール(PEG)は,本発明のsiNA化合物と共有結合し得る。結合したPEGは,任意の分子量,好ましくは約2,000〜約50,000ダルトン(Da)の分子量を有し得る。
本発明を,単独で,又はインビトロ又はインビボでRNAの導入を実行するのに必要な試薬の少なくとも一つを有するキットの構成要素として使用して,サンプル及び/又は被験者を試験し得る。例えば,キットの好ましい構成要素には,本発明のsiNA分子と,本明細書に記載されるようにsiNAを細胞内に導入することを促進するビヒクル(例,脂質の使用,及び周知の他のトランスフェクション方法)が含まれる。キットは,標的の確認のため,例えば遺伝子の機能及び/又は活性を測定するために使用され得るか,又は薬物最適化,及び薬物発見において使用され得る(例えばUsman等,米国特許出願第60/402,996号を参照)。このようなキットはまた,キットの使用者が本発明を実施できるように説明書も含む。
用語"短干渉核酸","siNA","短干渉RNA","siRNA","短干渉核酸分子","短干渉オリゴヌクレオチド分子",又は"化学修飾された短干渉核酸分子"は,本明細書で使用されているように,配列特異的な方法においてRNA干渉"RNAi"又は遺伝子サイレンシングを仲介することにより,遺伝子発現又はウイルス複製を抑制又は下方調節し得る任意の核酸分子を指す。(例えばZamore等,2000,Cell,101,25−33,Bass,2001,Nature,411,428−429,Elbashir等,2001,Nature,411,494−498,及びKreutzer等,国際特許出願公開第WO00/44895号,Zernicka−Goetz等,国際特許出願公開第WO01/36646号,Fire,国際特許出願公開第WO99/32619号,Plaetinck等,国際特許出願公開第WO00/01846号,Mello及びFire,国際特許出願公開第WO01/29058号,Deschamps−Depaillette,国際特許出願公開第WO99/07409号,及びLi等,国際特許出願公開第WO00/44914号,Allshire,2002,Science,297,1818−1819,Volpe等,2002,Science,297,1833−1837,Jenuwein,2002,Science,297,2215−2218,及びHall等,2002,Science,297,2232−2237,Hutvagner及びZamore,2002,Science,297,2056−60,McManus等,2002,RNA,8,842−850,Reinhart等,2002,Gene&amp,Dev.,16,1616−1626,及びReinhart&Bartel,2002,Science,297,1831参照)。本発明のsiNA分子の非限定的な例は,本明細書にて図4〜6,及び表IIとIIIに示す。例えばsiNAは,自己相補的なセンス領域及びアンチセンス領域を有する二本鎖ポリヌクレオチド分子であり得,ここでアンチセンス領域は標的核酸分子のヌクレオチド配列又はその一部に相補的なヌクレオチド配列を有し,センス領域は,標的核酸配列又はその一部に一致するヌクレオチド配列を有する。siNAは二つの別個のオリゴヌクレオチドから組立てられてもよく,ここで片方の鎖はセンス鎖で,他方の鎖はアンチセンス鎖であり,またアンチセンス鎖及びセンス鎖は自己相補性を有し(即ち,例えばアンチセンス鎖及びセンス鎖が二重鎖又は二本鎖構造を形成する場合等,各鎖は他方の鎖のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を有し,例えば二本鎖領域は,約15〜約30個,例えば,約15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29又は30個の塩基対を有し,アンチセンス鎖は,標的核酸分子のヌクレオチド配列又はその一部に相補的なヌクレオチド配列を有し,かつセンス鎖は,標的核酸配列,又はその一部に一致するヌクレオチド配列を有する(例,siNA分子の約15〜約25個又はそれ以上のヌクレオチドは,標的核酸,又はその一部に相補性を有する)。代替的に,siNAは単一のオリゴヌクレオチドから組立てられてもよく,ここでsiNAの自己相補的なセンス領域及びアンチセンス領域は,核酸ベース又は非核酸ベースのリンカー(一つ又は複数)によって連結される。siNAは,自己相補的なセンス領域及びアンチセンス領域を有する二重鎖,非対称二重鎖,ヘアピン又は非対称ヘアピン第二構造を有するポリヌクレオチドであり得,ここでアンチセンス領域は,別個の標的核酸分子のヌクレオチド配列又はその一部に相補的なヌクレオチド配列を有し,センス領域は,標的核酸配列,又はその一部に一致するヌクレオチド配列を有する。siNAは,二つ又はそれ以上のループ構造と,自己相補的なセンス領域及びアンチセンス領域を含むステム部とを有する環状の一本鎖ポリヌクレオチドであり得る。ここでアンチセンス領域は,標的核酸分子のヌクレオチド配列又はその一部に相補的なヌクレオチド配列を有し,センス領域は,標的核酸配列,又はその一部に一致するヌクレオチド配列を有し,また環状ポリヌクレオチドは,インビボ又はインビトロのいずれかで,RNAiを仲介し得る活性siNA分子を生成するように処理され得る。siNAはまた,標的核酸分子のヌクレオチド配列又はその一部に相補的なヌクレオチドを有する一本鎖ポリヌクレオチドを含むことができる(例えばこのようなsiNA分子は,該siNA分子内に標的核酸配列,又はその一部に一致するヌクレオチド配列を必要としない)。ここで一本鎖ポリヌクレオチドは更に,5’−ホスフェート(例えばMartinez等,2002,Cell.,110,563−574及びSchwarz等,2002,Molecular Cell,10,537−568参照),又は5’,3’−ジホスフェートのような末端リン酸基を有し得る。特定の実施態様において,本発明のsiNA分子は,別個のセンス及びアンチセンス配列又は領域を有し,ここでセンス領域とアンチセンス領域とは,公知のようにヌクレオチド又は非ヌクレオチドリンカー分子で共有結合しているか,又は代替的に,イオン相互作用,水素結合,ファンデルワールス相互作用,疎水性相互作用,及び/又はスタッキング相互作用で非共有結合している。特定の実施態様において,本発明のsiNA分子は,標的遺伝子のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を有する。別の一実施態様において,本発明のsiNA分子は,標的遺伝子の発現を抑制するように標的遺伝子のヌクレオチド配列と相互作用する。本明細書で使用されているように,siNA分子は,RNAのみを含むものに限定される必要はなく,化学修飾されたヌクレオチド及び非ヌクレオチドをも包含する。特定の実施態様において,本発明の短干渉核酸分子は,2’−ヒドロキシ(2’−OH)含有ヌクレオチドを欠く。本願出願人は,特定の実施態様において,短干渉核酸はRNAiの仲介には2’−ヒドロキシ基を含むヌクレオチドの存在を必要としないことを説明する。また,そのようなものとして,本発明の短干渉核酸分子は,任意でリボヌクレオチド(例,2’−OH基を含むヌクレオチド)を含まない。RNAiを支持するためにsiNA分子内にリボヌクレオチドの存在を必要としないこのようなsiNA分子は,しかしながら,2’−OH基を有する一つ又はそれ以上のヌクレオチドを含む,結合した一つ若しくは複数のリンカー,又は他の結合若しくは関連する基,部分,又は鎖を有していてもよい。任意にてsiNA分子は,ヌクレオチド位置の約5,10,20,30,40,又は50%にてリボヌクレオチドを有し得る。本発明の修飾された短干渉核酸分子は,短干渉修飾オリゴヌクレオチド"siMON"とも称され得る。本明細書で使用されるように,用語siNAは,配列特異的なRNAiを仲介できる核酸分子を説明するために使用される他の用語,例えば短干渉RNA(siRNA),二重鎖RNA(dsRNA),マイクロRNA(miRNA),ショートヘアピンRNA(shRNA),短干渉オリゴヌクレオチド,短干渉核酸,短干渉修飾オリゴヌクレオチド,化学修飾siRNA,転写後遺伝子サイレンシングRNA(ptgsRNA),及び他と等価であるとする。加えて,本明細書で使用されるように,用語RNAiは,例えば転写後遺伝子サイレンシング,翻訳抑制,又は後成等,配列特異的なRNA干渉を説明するために使用される他の用語と等価であるとする。例えば,本発明のsiNA分子は,転写後レベル,又は転写前レベルの両方において遺伝子を後成的にサイレンシングするために使用され得る。非限定的な例において,本発明のsiNA分子による遺伝子発現の後成的な調節は,siNA仲介によるクロマチン構造又はメチル化パターンの修飾により,遺伝子発現を変更し得る(例えば,Verdel等,2004,Science,303,672−676,Pal−Bhadra等,2004,Science,303,669−672,Allshire,2002,Science,297,1818−1819,Volpe等,2002,Science,297,1833−1837,Jenuwein,2002,Science,297,2215−2218,及びHall等,2002,Science,297,2232−2237を参照されたい)。
一実施態様において,本発明のsiNA分子は,オリゴヌクレオチド"DFO"を形成する二重鎖である(例えば図14〜15,及びVaish等,2003年12月3日出願の米国特許出願第10/727,780号,及び2004年5月24日出願の国際特許出願第US04/16390,を参照されたい)。
一実施態様において,本発明のsiNA分子は,多機能siNAである(例えば図16〜21,及びJadhav等,2004年2月10日出願の米国特許出願第60/543,480号,及び2004年5月24日出願の国際特許出願第PCT/US04/16390号を参照されたい)。本発明の多機能siNAは,例えば,HairlessRNAの二つの領域を標的とする配列を含み得る(例えば表II及びIIIの標的配列を参照されたい)。
本明細書で使用されるように,"非対称ヘアピン"とは,アンチセンス領域,ヌクレオチド又は非ヌクレオチドを有し得るループ部分,及びアンチセンス領域と塩基対をなしてループを有する二重鎖を形成するに十分な相補的なヌクレオチドを含む程度に,アンチセンス領域と比較して数少ないヌクレオチドを含むセンス領域を含む線状siNA分子を意味する。例えば,本発明の非対称ヘアピンsiNA分子は,細胞又はインビトロ系内でRNAiを仲介するに十分な長さ(例,約15〜約30,又は約15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,又は30ヌクレオチド)のアンチセンス領域,及び約4〜約12(例,約4,5,6,7,8,9,10,11,又は12)ヌクレオチドを含むループ領域,及びアンチセンス領域に相補的な約3〜約25(例,約3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,又は25)ヌクレオチドを有するセンス領域を有し得る。非対称ヘアピンsiNA分子はまた,化学修飾されていてもよい5’−末端リン酸基を有し得る。非対称ヘアピンsiNA分子のループ部分は,ヌクレオチド,非ヌクレオチド,リンカー分子,又は本明細書に記載されるような共有結合分子を含むことができる。
"非対称二重鎖”は,本明細書で使用されるように,センス領域及びアンチセンス領域を含む二つの別個の鎖を有するsiNA分子を意味し,ここでセンス領域は,該センス領域がアンチセンス領域と塩基対をなして二重鎖を形成するに十分な相補的なヌクレオチドを含む程度に,アンチセンス領域と比較して少ないヌクレオチドを含む。例えば,本発明の非対称二重鎖siNA分子は,細胞又はインビトロ系内でRNAiを仲介するに十分な長さのアンチセンス領域(例,約15〜約30,又は約15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,若しくは30ヌクレオチド),及びアンチセンス領域に相補的な約3〜約25(例,約3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,又は25)ヌクレオチドを含むセンス領域を有し得る。
"調節する"は,遺伝子の発現,又は一つ又はそれ以上のタンパク質若しくはタンパク質サブユニットをコード化するRNA分子若しくは等価であるRNA分子のコード化レベル,又は一つ又はそれ以上のタンパク質若しくはタンパク質サブユニットの活性が,該発現,レベル,又は活性がモジュレータの不在下で観察される場合と比較して増大,又は減少するよう上方調節,又は下方調節されることを意味する。例えば,用語"調節する"は,“抑制する”を意味し得るが,用語“調節する”の用途はこの定義に限定されるものではない。
"抑制する","下方調節する",又は"低下させる"は,遺伝子の発現,又は一つ又はそれ以上のタンパク質若しくはタンパク質サブユニットをコード化するRNA分子若しくは等価であるRNA分子のコード化レベル,又は一つ又はそれ以上のタンパク質若しくはタンパク質サブユニットの活性が,本発明の核酸分子(例,siNA)が存在しない場合に観察されるもの以下に減少することを意味する。一実施態様において,siNA分子による抑制,下方調節又は低下は,不活性化又は弱化した分子の存在下で観察されるレベル未満である。別の一実施態様において,siNA分子による抑制,下方調節,又は低下は,例えば,スクランブル配列又はミスマッチを伴うsiNA分子の存在下で観察されるレベル未満である。別の一実施態様において,本発明の核酸分子による遺伝子発現の抑制,下方調節,又は低下は,核酸分子の不在下と比較してその核酸分子の存在下にて大きい。一実施態様において,遺伝子発現の抑制,下方調節,又は低下は,例えばRNAi仲介による標的核酸分子(例,RNA)の切断,又は翻訳抑制のような転写後サイレンシングと関連する。一実施態様において,遺伝子発現の抑制,下方調節,又は低下は,転写前サイレンシングと関連する。
"遺伝子",又は"標的遺伝子"は,例えば,ポリペプチドをコード化する構造遺伝子を含むが,それに限定されない核酸配列等,RNAをコード化する核酸を意味する。遺伝子又は標的遺伝子は,例えば小さい一時的RNA(stRNA),マイクロRNA(miRNA),小核RNA(snRNA),短干渉RNA(siRNA),小核小体RNA(snRNA),リボソームRNA(rRNA),転移RNA(tRNA)及びそれらの前駆体RNAのような機能性RNA(fRNA)又は非コード化RNA(ncRNA)もコード化し得る。
これらの非コード化RNAは,siNA仲介RNA干渉のための標的核酸分子としての役割を果たし,機能的又は調節的細胞過程に関与するfRNA又はncRNAの活性を調節する。従って,疾患に繋がる異常なfRNA及びncRNA活性は,本発明のsiNA分子により調節することができる。fRNA及びncRNAを標的とするsiNA分子はまた,例えば遺伝子刷り込み,転写,翻訳,又は核酸プロセシング(例,アミノ基転移,メチル化等)のような細胞過程への干渉によって,有機体又は細胞の遺伝子型又は表現型を操作又は変更するのに使用され得る。標的遺伝子は,細胞由来の遺伝子,内在遺伝子,導入遺伝子,又はその感染後に細胞内に存在する例えばウイルスのような病原体の遺伝子等の外来遺伝子であり得る。標的遺伝子を含む細胞は,任意の有機体,例えば植物,動物,原生動物,ウイルス,細菌,又は真菌から由来するか,又はそれらに含まれ得る。植物の非限定的な例としては,単子葉植物,双子葉植物,又は裸子植物がある。動物の非限定的な例としては,脊椎動物又は無脊椎動物がある。真菌の非限定的な例としては,カビ又はイーストがある。再考には,例えばSnyder及びGerstein,2003,Science,300,258−260を参照されたい。
"非標準塩基対"は,例えば反転(flipped)ミスマッチ,一水素結合ミスマッチ,トランス型ミスマッチ,三塩基相互作用,及び四塩基相互作用を含む,ミスマッチ及び/又はゆらぎ塩基対のような任意の非ワトソン・クリック塩基対を意味する。そのような非標準塩基対の非限定的な例としては,AC反転フーグスティーン,ACゆらぎ,AU反転フーグスティーン,GUゆらぎ,AAN7−アミノ,CC2−カルボニル−アミノ(Hl)−N3−アミノ(H2),GA共有(shared),UC4−カルボニル−アミノ,UUイミノ−カルボニル,AC反転ゆらぎ,AU フーグスティーン,AU反転ワトソン・クリック,CG反転ワトソン・クリック,GC N3−アミノ−アミノN3,AA N1−アミノ対称,AA N7−アミノ対称,GA N7−N1−アミノ−カルボニル,GA+カルボニル−アミノN7−N1,GG Nl−カルボニル対称,GG N3−アミノ対称,CCカルボニル−アミノ対称,CC N3−アミノ対称,UU 2−カルボニル−イミノ対称,UU 4−カルボニル−イミノ対称,AAアミノ−N3,AA N1−アミノ,ACアミノ2−カルボニル,AC N3−アミノ,AC N7−アミノ,AUアミノ−4−カルボニル,AU N1−イミノ,AU N3−イミノ,AU N7−イミノ,CCカルボニル−アミノ,GA−アミノ−N1,GAアミノ−N7,GAカルボニル−アミノ,GA N3−アミノ,GC−アミノ−N3,GCカルボニル−アミノ,GC N3−アミノ,GC N7−アミノ,GGアミノ−N7,GGカルボニル−イミノ,GG N7−アミノ,GUアミノ−2−カルボニル,GUカルボニル−イミノ,GUイミノ−2−カルボニル,GU N7−イミノ,psiUイミノ−2−カルボニル,UC4−カルボニル−アミノ,UCイミノ−カルボニル,UUイミノ−4−カルボニル,AC C2−H−N3,GAカルボニル−C2−H,UUイミノ−4−カルボニル2カルボニル−C5−H,AC−アミノ(A)N3(C)−カルボニル,GCイミノ−アミノ−カルボニル,Gpsiイミノ−2−カルボニルアミノ−2−カルボニル,及びGUイミノ−アミノ−2−カルボニル塩基対があるが,これらに限定されるものではない。
本明細書で使用されるように,"Hairless"又は"HR"は,例えば表Iに示すHairlessジェンバンク受入番号でコード化されるような,Hairless活性を有する任意のHairlessタンパク質,ペプチド,又はポリペプチドを意味する。用語“Hairless”はまた,Hairless活性を有する任意のHairlessタンパク質,ペプチド,又はポリペプチドをコード化する核酸配列も意味する。用語"Hairless"はまた,例えばHairlessアイソフォーム(例,HR−1,HR−2),突然変異Hairless遺伝子,Hairless遺伝子のスプライスバリアント,及びHairless遺伝子多型のような他のHairlessコード化配列も含む。
"相同配列"は,例えば遺伝子,遺伝子転写産物,及び/又は非コード化ポリヌクレオチドのような一つ又はそれ以上のポリヌクレオチド配列によって共有されるヌクレオチド配列を意味する。例えば,相同配列は,例えば遺伝子ファミリーの異なるメンバー,異なるタンパク質エピトープ,異なるタンパク質アイソフォーム,又はサイトカイン及び対応する受容体等の完全に分岐した遺伝子のような,関連するが異なるタンパク質をコード化する二つ又はそれ以上の遺伝子によって共有されるヌクレオチド配列であり得る。相同配列は,例えば非コード化DNA又はRNA,調節配列,イントロン,及び転写制御又は調節部位のような,二つ又はそれ以上の非コード化ポリヌクレオチドによって共有されるヌクレオチド配列であり得る。相同配列はまた,二つ以上のポリヌクレオチド配列によって共有される保存された配列領域を含み得る。相同性は,完全に相同である必要はなく(例,100%),本発明では部分的に相同な配列も想定される(例,99%,98%,97%,96%,95%,94%,93%,92%,91%,90%,89%,88%,87%,86%,85%,84%,83%,82%,81%,80%等)。
"保存された配列領域"は,ポリヌクレオチド内の一つ又はそれ以上の領域のヌクレオチド配列が,世代間で,又は一つの生物系,被験者若しくは有機体と別の一生物系,被験者若しくは有機体間で,有意に異ならないことを意味する。このポリヌクレオチドは,非コード化DNA及びRNAの両方を含み得る。
"センス領域"は,siNA分子のアンチセンス領域に相補性を有するsiNA分子のヌクレオチド配列を意味する。加えて,siNA分子のセンス領域は,標的核酸配列に相同性を有する核酸配列を含み得る。
"アンチセンス領域"は,標的核酸配列に相補性を有するsiNA分子のヌクレオチド配列を意味する。加えて,siNA分子のアンチセンス領域は,任意にてsiNA分子のセンス領域に相補性を有する核酸配列を含み得る。
"標的核酸"は,その発現又は活性が調節されるべき任意の核酸配列を意味する。標的核酸は,DNA又はRNAのいずれであってもよい。
"相補性"は,核酸が従来のワトソン・クリック型又は他の非従来型のいずれかにより別の一核酸配列と一つ又は複数の水素結合を形成し得ることを意味する。本発明の核酸分子を参照すると,相補的配列を有する核酸分子の結合自由エネルギーは,核酸の関連機能,例えばRNAi活動を進行させるに十分である。核酸分子の結合自由エネルギーの測定は,当該技術分野にて公知である(例えば,Turner等,1987,CSH Symp.Quant.Biol.LII pp.123−133,Frier等,1986,Proc.Nat.Acad.Sci.USA83:9373−9377,Turner等,1987,J.Am.Chem.Soc.109:3783−3785参照)。相補性の割合は,第二の核酸配列と水素結合(ワトソン・クリック型塩基対)を形成することができる核酸分子の連続的な残基の割合を示す(例,10個のオリゴヌクレオチドを有する第二核酸配列と塩基対をなす第一オリゴヌクレオチド10個のうちの5,6,7,8,9又は10個ヌクレオチドは,各々50%,60%,70%,80%,90%,及び100%の相補性を示す)。"完全に相補的な"とは,核酸配列の連続する残基の全てが,同数の,第二の核酸配列内の連続する残基と水素結合することを意味する。一実施態様において,本発明のsiNA分子は,一つ又はそれ以上の標的核酸分子,又はその一部に相補的な約15〜約30又はそれ以上(例,約15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,若しくは30又はそれ以上)のヌクレオチドを含む。
一実施態様において,Hairless遺伝子発現を下方調節又は低下させる本発明のsiNA分子は,被験者又は有機体の毛の成長を防止,抑制又は低下させるために使用される。別の一実施態様において,本発明のsiNA分子は,除毛又は脱毛に使用される。
一実施態様において,本発明のsiNA分子(例,Hairlessの阻害剤を標的とする)は,被験者又は有機体の脱毛症又は無毛症の治療に使用される。
本発明の一実施態様において,本発明のsiNA分子の各配列は,独立して約15〜約30個のヌクレオチド長を有する。特定の実施態様では,約15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,又は30個のヌクレオチド長を有する。別の一実施態様において,本発明のsiNA二重鎖は,独立して約15〜約30個の塩基対(例,約15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,又は30個)を有する。別の一実施態様において,本発明のsiNA分子の一つ又はそれ以上の鎖は,独立して標的核酸分子に相補的な約15〜約30(例,約15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,又は30)個のヌクレオチドを有する。更に別の一実施態様において,本発明のsiNA分子は,約35〜約55(例,約35,40,45,50又は55)個のヌクレオチド長,又は約38〜約44(例,約38,39,40,41,42,43,又は44)個のヌクレオチド長と,約15〜約25(例,約15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,又は25)個の塩基対とを含むヘアピン又は環状構造を有する。例示的な本発明のsiNA分子を,表IIに示す。例示的な本発明の合成siNA分子を,表III及び/又は図4〜5に示す。
本明細書で使用されるように,"細胞"は,その生物学的な意味において使用され,多細胞有機体全体,例えば特にヒトを意味するものではない。細胞は,有機体,例えば鳥類,植物及び例えばヒト,雌牛,羊,大型猿,小型猿,豚,犬,及び猫のような哺乳類内に存在し得る。細胞は,原核生物(例,細菌細胞)又は真核生物(例,哺乳類又は植物細胞)由来であり得る。細胞は,体細胞でもよく,生殖細胞由来であってもよく,全能性又は多能性,分裂細胞又は非分裂細胞であり得る。細胞はまた,配偶子若しくは胚,幹細胞,又は完全に区別される細胞から由来するか,又はそれらを含み得る。
本発明のsiNA分子は,直接加えるか,又はカチオン性脂質と複合体を構成してリポソーム内に封入され,又は別の方法で標的細胞若しくは組織に送達される。核酸,又は核酸複合体は,関連組織にエクスビボ又はインビボで,直接皮膚適用,経皮適用,又は注入を介して,生体高分子に組み込まれ又は組み込まれずに局所投与され得る。特定の実施態様において,本発明の核酸分子は,表II〜III及び/又は図4〜5に示す配列を含む。このような核酸分子の例は,主にこれらの表及び図に定義される配列から構成される。更に,表IVに記載する化学修飾構造は,本発明の任意のsiNA配列に適用することができる。
別の一局面において,本発明は,本発明のsiNA分子の一つ又はそれ以上を含む哺乳類細胞を提供する。siNA分子の一つ又はそれ以上は,独立して,同一又は異なる部位を標的とし得る。
"RNA"は,少なくとも一つのリボヌクレオチド残基を含む分子を意味する。"リボヌクレオチド"は,P−D−リボフラノース部分の2’位にヒドロキシル基を有するヌクレオチドを意味する。本用語は,二本鎖RNA,一本鎖RNA,一部精製RNAのような単離RNA,本質的に純粋なRNA,合成RNA,組み換え生成RNA,並びに一つ以上のヌクレオチドの付加,欠失,置換,及び/又は変更による天然に存在するRNAとは異なる変更RNAを含む。このような変更には,例えばsiNAの末端,又は内部,例えばRNAの一つ以上のヌクレオチドに非ヌクレオチド材料を加えることが含まれる。ヌクレオチドintheRNA分子of本発明のRNA分子内のヌクレオチドはまた,例えば天然に存在しないヌクレオチド,又は化学合成されたヌクレオチド若しくはデオキシヌクレオチドであってもよい。これら変更RNAは,天然に存在するRNAの類似体と称され得る。
"被験者"は,外植される細胞の提供者又は受容者である有機体,又は細胞それ自体を意味する。"被験者"は,本発明の核酸分子が投与され得る有機体も意味する。被験者は,ヒト又はヒトの細胞を含む哺乳類又は哺乳類の細胞であり得る。
本明細書で使用されるように,用語"ホスホロチオエート"は,式Iのヌクレオチド間結合を意味し,ここでZ及び/又はWは硫黄原子を含む。従って,用語ホスホロチオエートは,ホスホロチオエート及びホスホロジチオエートの両方のヌクレオチド間結合を意味する。
本明細書で使用されるように,用語"ホスホノアセテート"は,式Iを有するヌクレオチド間結合を意味し,ここでZ及び/又はWは,アセチル又は保護されたアセチル基を含む。
本明細書で使用されるように,用語"チオホスホノアセテート"は,式Iのヌクレオチド間結合を意味し,ここでZはアセチル又は保護されたアセチル基を含み,かつWは硫黄原子を含むか,又は代替的にWはアセチル又は保護されたアセチル基を含み,かつZは硫黄原子を含む。
本明細書で使用されるように,用語"万能塩基"は,天然DNA/RNA塩基の各々と塩基対を形成し,その間に相違点が殆ど存在しないヌクレオチド塩基類似体を意味する。万能塩基の非限定的な例としては,周知のように,C−フェニル,C−ナフチル及び他の芳香族誘導体,イノシン,アゾールカルボキサミド,及びニトロアゾール誘導体,例えば3−ニトロピロール,4−ニトロインドール,5−ニトロインドール,及び6−ニトロインドールがある(例えばLoakes,2001,Nucleic Acids Research,29,2437−2447参照)。
本明細書で使用されるように,用語"非環式ヌクレオチド"は,例えば任意のリボース炭素(C1,C2,C3,C4,又はC5)が,独立して,又は組合せて,ヌクレオチドから欠けている非環式リボース糖を有する任意のヌクレオチドを意味する。
本発明の核酸分子は,個別的に,若しくは組合せて,又は他の薬剤と関連して,被験者若しくは有機体において,除毛(脱毛)のために毛の成長を抑制,低下,又は防止するか,又は脱毛症若しくは無毛症を予防又は治療するために使用され得る。例えば,siNA分子は,治療に適切な条件下で,個別的に,又は一つ又はそれ以上の薬物と組合せて,被験者に投与され得るか,又は当業者に明らかな他の適切な細胞に対して投与され得る。
更なる実施態様において,siNA分子は,被験者若しくは有機体において,除毛(脱毛)のために毛の成長を抑制,低下,又は防止するか,又は脱毛症若しくは無毛症を予防又は治療するために,他の周知の治療と組合せて使用され得る。例えば,本明細書に記載する分子は,周知のように,被験者若しくは有機体において,除毛(脱毛)のために毛の成長を抑制,低下,又は防止するか,又は脱毛症若しくは無毛症を予防又は治療するために,一つ又はそれ以上の周知の化合物,治療法,又は処置と組合せて使用され得る。
一実施態様において,本発明は,少なくとも一つの本発明のsiNA分子を,該siNA分子を発現させるようにコード化する核酸配列を含む発現ベクターに関する。例えば,ベクターは,二重鎖を含むsiNA分子の両方の鎖をコード化する配列を有し得る。ベクターはまた,自己相補的な単一核酸分子をコード化する配列を有し,それによりsiNA分子を形成し得る。発現ベクターの非限定的な例は,Paul等,2002,Nature Biotechnology,19,505,Miyagishi及びTaira,2002,Nature Biotechnology,19,497,Lee等,2002,Nature Biotechnology,19,500,及びNovina等,2002,Nature Medicine,オンライン版doi,10.1038/nm725に記載されている。
別の一実施態様において,本発明は,本発明の発現ベクターを含む哺乳類細胞,例えばヒト細胞に関する。
更に別の一実施態様において,本発明の発現ベクターは,ジェンバンク受入番号,例えば表Iに示すジェンバンク受入番号により参照されるRNA分子に相補性を有する,siNAのための配列を有する。
一実施態様において,本発明の発現ベクターは,同一又は異なり得る二つ又はそれ以上のsiNA分子をコード化する核酸配列を有する。
本発明の別の一局面において,標的RNA分子と相互作用して,標的RNA分子(例えば本明細書にてジェンバンク受入番号で参照される標的RNA分子)をコード化する遺伝子を下方調節するsiNAは,DNA又はRNAベクター内に挿入された転写単位から発現される。組み替えベクターは,DNAプラスミド又はウイルスベクターであり得る。siNAを発現するウイルスベクターは,アデノ関連ウイルス,レトロウイルス,アデノウイルス,又はαウイルスをベースとして構成され得るが,これらに限定されるものではない。siNA分子を発現可能な組み替えベクターは,本明細書に記載されるように送達され得,標的細胞に存続する。代替的に,ウイルスベクターを使用してsiNA分子を一過性発現してもよい。そのようなベクターは必要に応じて繰り返し投与され得る。一旦発現するとsiNA分子は結合し,RNA干渉(RNAi)。によって遺伝子機能又は発現を下方調節する。siNA発現ベクターの送達は,例えば静脈内又は筋内投与,被験者から外植された標的細胞への投与と,それに次ぐ被験者内への再導入,又は所望の標的細胞内への導入を可能にする任意の他の手段による全身的なものである。
"ベクター"は,所望の核酸を送達するために使用される任意の核酸及び/又はウイルスベースの技術を意味する。
本発明の他の特徴及び利点は,以下の実施態様の記載,及び特許請求の範囲により明らかとなるであろう。
図面の簡単な説明
図1は,siNA分子の合成スキームの非限定的な例を示す。相補的なsiNA配列の鎖,鎖1及び鎖2は,一列に合成され,例えばコハク酸ヌクレオチド又は脱塩基スクシネートのような,固体支持体上の固相合成に使用される切断可能なリンカーと同一でも又は異なっていてもよい切断可能な結合によって接続される。合成は,固相又は液相のいずれでもよいが,ここで示す例は固相合成である。合成は,例えばジメトキシトリチル基のような保護基が,線状オリゴヌクレオチドの末端ヌクレオチド上にそのまま残留するように行われる。オリゴヌクレオチドを切断及び脱保護すると,二つのsiNA鎖が自発的にハイブリダイズしてsiNA二重鎖を形成し,それにより,例えば精製方法にトリチルを適用することにより,末端保護基を伴う二重鎖/オリゴヌクレオチドのみが単離され,末端保護基の性質を利用して二重鎖を精製することができる。
図2は,本発明の方法により合成されたsiNA二重鎖の精製のMALDI−TOF質量スペクトルを示す。2個のピークは,予想された別個のsiNA配列鎖の質量に一致する。その結果,タンデム合成から生成したsiNA二重鎖は,トリチル−オン精製の方法体系を使用して,単一体として精製し得ることが示される。
図3は,RNAiに関与する標的RNA分解の,提案する機構的表現の非限定的な例を示す。例えばウイルス,トランスポゾン,又は他の外来RNA等の外来一本鎖RNAから,RNA依存型RNAポリメラーゼ(RdRP)によって生成した二重鎖RNA(dsRNA)がDicer酵素を活性化し,これは次にsiNA二重鎖を生成する。代替的に,合成又は発現siNAを,適切な手段により細胞内に直接導入してもよい。活性siNA複合体が生じてこれが標的RNAを認識し,その結果,RISCエンドヌクレアーゼ複合体により標的RNAが分解される。あるいはRNA依存型RNAポリメラーゼ(RdRP)により更なるRNAが合成され,これはDicerを活性化して,更なるsiNA分子を生成し,RNAi応答を増幅し得る。
図4A−Fは,本発明の化学修飾iNAの非限定的な例(図4A〜4F)を示す。図にてNは任意のヌクレオチド(アデノシン,グアノシン,シトシン,ウリジン,又は任意にてチミジン)を表し,例えばチミジンは括弧(NN)で示されるオーバーハング領域内で置換されてもよい。siNA構成のセンス鎖及びアンチセンス鎖の多様な修飾が示される。
図4A:センス鎖は21ヌクレオチドを含み,二つの末端3’−ヌクレオチドは任意にて塩基対をなし,また存在する全ヌクレオチドは,(NN)ヌクレオチドを除いてリボヌクレオチドであり,(NN)ヌクレオチドはリボヌクレオチド,デオキシヌクレオチド,万能塩基,又は本明細書に記載される他の化学修飾を含み得る。アンチセンス鎖は任意にて3’−末端グリセリル部分を有する21ヌクレオチドを含み,二つの末端3’−ヌクレオチドは,任意にて標的RNA配列に相補性を有し,また存在する全ヌクレオチドは,(NN)ヌクレオチドを除いてリボヌクレオチドであり,(NN)ヌクレオチドはリボヌクレオチド,デオキシヌクレオチド,万能塩基,又は本明細書に記載される他の化学修飾を含み得る。"s"で示される修飾されたヌクレオチド間結合,例えばホスホロチオエート,ホスホロジチオエート又は本明細書に記載される他のヌクレオチド間結合は,任意にてアンチセンス鎖内の(NN)ヌクレオチドを接続する。
図4B:センス鎖は21ヌクレオチドを含み,二つの末端3’−ヌクレオチドは任意にて塩基対をなし,また存在し得る全ピリミジンヌクレオチドは,2’デオキシ−2’−フルオロ修飾ヌクレオチドであり,存在し得るプリンヌクレオチドは(NN)ヌクレオチドを除いて2’−O−メチル修飾ヌクレオチドであり,(NN)ヌクレオチドはリボヌクレオチド,デオキシヌクレオチド,万能塩基,又は本明細書に記載される他の化学修飾を含み得る。アンチセンス鎖は,任意にて3’−末端グリセリル部分を有する21ヌクレオチドを含み,二つの末端3’−ヌクレオチドは,任意にて標的RNA配列に相補性を有し,また存在し得る全ピリミジンヌクレオチドは,2’−デオキシ−2’−フルオロ修飾ヌクレオチドであり,かつ存在し得る全プリンヌクレオチドは,(NN)ヌクレオチドを除いて,2’−O−メチル修飾ヌクレオチドであり,(NN)ヌクレオチドはリボヌクレオチド,デオキシヌクレオチド,万能塩基,又は本明細書に記載される他の化学修飾を含み得る。"s"で示される修飾されたヌクレオチド間結合,例えばホスホロチオエート,ホスホロジチオエート又は本明細書に記載される他のヌクレオチド間結合は,任意にてアンチセンス鎖内の(NN)ヌクレオチドを接続する。
図4C:センス鎖は,5’及び3’−末端キャップ部分を有する21ヌクレオチドを含み,二つの末端3’−ヌクレオチドは,任意にて塩基対をなし,また存在し得る全ピリミジンヌクレオチドは(NN)ヌクレオチドを除いて2’−0−メチル又は2’−デオキシ−2’−フルオロ修飾ヌクレオチドであり,(NN)ヌクレオチドはリボヌクレオチド,デオキシヌクレオチド,万能塩基,又は本明細書に記載される他の化学修飾を含み得る。アンチセンス鎖は,任意にて3’−末端グリセリル部分を有する21ヌクレオチドを含み,また二つの末端3’−ヌクレオチドは,任意にて標的RNA配列に相補性を有し,また存在し得る全ピリミジンヌクレオチドは(NN)ヌクレオチドを除いて2’−デオキシ−2’−フルオロ修飾ヌクレオチドであり,(NN)ヌクレオチドはリボヌクレオチド,デオキシヌクレオチド,万能塩基,又は本明細書に記載される他の化学修飾を含み得る。"s"で示される修飾されたヌクレオチド間結合,例えばホスホロチオエート,ホスホロジチオエート又は本明細書に記載される他のヌクレオチド間結合は,任意にてアンチセンス鎖内の(NN)ヌクレオチドを接続する。
図4D:センス鎖は,5’及び3’−末端キャップ部分を有する21ヌクレオチドを含み,二つの末端3’−ヌクレオチドは,任意にて塩基対をなし,また存在し得る全ピリミジンヌクレオチドは(NN)ヌクレオチドを除いて2’−デオキシ−2’−フルオロ修飾ヌクレオチドであり,(NN)ヌクレオチドはリボヌクレオチド,デオキシヌクレオチド,万能塩基,又は本明細書に記載される他の化学修飾を含み得,また存在し得る全プリンヌクレオチドは,2’−デオキシヌクレオチドである。アンチセンス鎖は,任意にて3’−末端グリセリル部分を有する21ヌクレオチドを含み,二つの末端3’−ヌクレオチドは,任意にて標的RNA配列に相補性を有し,また存在し得る全ピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロ修飾ヌクレオチドであり,かつ存在し得る全プリンヌクレオチドは(NN)ヌクレオチドを除いて2’−O−メチル修飾ヌクレオチドであり,(NN)ヌクレオチドはリボヌクレオチド,デオキシヌクレオチド,万能塩基,又は本明細書に記載される他の化学修飾を含み得る。"s"で示される修飾されたヌクレオチド間結合,例えばホスホロチオエート,ホスホロジチオエート又は本明細書に記載される他のヌクレオチド間結合は,任意にてアンチセンス鎖内の(NN)ヌクレオチドを接続する。
図4E:センス鎖は,5’及び3’−末端キャップ部分を有する21ヌクレオチドを含み,二つの末端3’−ヌクレオチドは,任意にて塩基対をなし,また存在し得る全ピリミジンヌクレオチドは(NN)ヌクレオチドを除いて2’−デオキシ−2’−フルオロ修飾ヌクレオチドであり,(NN)ヌクレオチドはリボヌクレオチド,デオキシヌクレオチド,万能塩基,又は本明細書に記載される他の化学修飾を含み得る。アンチセンス鎖は,任意にて3’−末端グリセリル部分を有する21ヌクレオチドを含み,二つの末端3’−ヌクレオチドは任意にて標的RNA配列に相補性を有し,また存在し得る全ピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロ修飾ヌクレオチドであり,かつ存在し得る全プリンヌクレオチドは(NN)ヌクレオチドを除いて2’−O−メチル修飾ヌクレオチドであり,(NN)ヌクレオチドはリボヌクレオチド,デオキシヌクレオチド,万能塩基,又は本明細書に記載される他の化学修飾を含み得る。"s"で示される修飾されたヌクレオチド間結合,例えばホスホロチオエート,ホスホロジチオエート又は本明細書に記載される他のヌクレオチド間結合は,任意にてアンチセンス鎖内の(NN)ヌクレオチドを接続する。
図4F:センス鎖は,5’及び3’−末端キャップ部分を有する21ヌクレオチドを含み,ここで二つの末端3’−ヌクレオチドは,任意にて塩基対をなし,また存在し得る全ピリミジンヌクレオチドは(NN)ヌクレオチドを除いて2’−デオキシ−2’−フルオロ修飾ヌクレオチドであり,(NN)ヌクレオチドはリボヌクレオチド,デオキシヌクレオチド,万能塩基,又は本明細書に記載される他の化学修飾を含み得,また存在し得る全プリンヌクレオチドは,2’−デオキシヌクレオチドである。アンチセンス鎖は,任意にて3’−末端グリセリル部分を有する21ヌクレオチドを含み,二つの末端3’−ヌクレオチドは,任意にて標的RNA配列に相補性を有し,かつ一つの3’−末端ホスホロチオエートヌクレオチド間結合を有し,また存在し得る全ピリミジンヌクレオチドは,2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドであり,かつ存在し得る全プリンヌクレオチドは,(NN)ヌクレオチドを除いて2’−デオキシヌクレオチドであり,リボヌクレオチド,デオキシヌクレオチド,万能塩基,又は本明細書に記載される他の化学修飾を含み得る。"s"で示される修飾されたヌクレオチド間結合,例えばホスホロチオエート,ホスホロジチオエート又は本明細書に記載される他のヌクレオチド間結合は,任意にてアンチセンス鎖内の(NN)ヌクレオチドを接続する。構成A〜Fのアンチセンス鎖は,本発明の任意の標的核酸配列に相補的な配列を含み,更に,図4A〜Fに示すいずれかの構成において,グリセリル部分(L)がアンチセンス鎖の3’−末端に存在する場合,修飾されたヌクレオチド間結合は任意である。
図5A−Fは,本発明の特定の化学修飾siNA配列の非限定的な例を示す。A〜Fは図4A〜Fに記載された化学修飾をHairless(HR)siNA配列に適用したものである。このような化学修飾は,いずれのHairless配列及び/又はHairless多型配列にも適用し得る。
図6は,本発明の異なるsiNA構成の非限定的な例を示す。この例は(構成1,2,及び3)19の代表的な塩基対を有するが,本発明の異なる実施態様は,本明細書に記載される任意数の塩基対を含む。括弧で示される領域は,例えば,約1,2,3,又は4ヌクレオチド長を含み,好ましくは約2ヌクレオチドを含むヌクレオチドオーバーハングを示す。構成1及び2は,RNAi活性のために独立して使用され得る。構成2は,任意にて生物分解性のリンカーとしてデザインされ得るポリヌクレオチド又は非ヌクレオチドリンカーを含み得る。一実施態様において,構成2に示すループ構造は,結果としてインビボ及び/又はインビトロで構成1を生成する生物分解性のリンカーを含み得る。別の例では,構成3は,リンカーがインビボ及び/又はインビトロにて活性siNA構成の生成に使用されるのと同一原理の下で構成2を生成させるのに使用され得,同構成は任意にて別の生物分解性のリンカーを使用してインビボ及び/又はインビトロにて活性siNA構成1を生成させ得る。そのようなものとして,siNA構成の安定性及び/又は活性はインビボ,又はインビトロ及び/又はインビトロで使用するためのsiNA構成のデザインに基づいて調節され得る。
図7A−Cは,発現カセットを生成してsiNAヘアピン構成を生成させる際に用いられるスキームの概略を示す。
図7A:DNAオリゴマーは5’−制限酵素認識部位(Rl)配列と共に合成され,次いで所定のHairless標的配列と同一の配列(siNAのセンス領域)を有する領域が合成される。センス領域は,例えば,約19,20,21,又は22ヌクレオチド(N)長を含み,これに例えば約3〜約10ヌクレオチドを含む規定の配列(X)のループ配列が続く。
図7B:合成された構成は,次にDNAポリメラーゼにより伸長されて,自己相補的な配列を有するヘアピン構造を生成する。これはHairless標的配列に特異性を有し,かつ自己相補的なセンス領域及びアンチセンス領域を有するsiN転写産物を生成することとなる。
図7C:構成は(例えば,約95℃)に加熱されて線状配列となり,そのためプライマーを使用して相補的な第二のDNA鎖を第1の鎖の3’−制限酵素認識配列へ伸長することが可能となる。二本鎖DNAは次に,細胞内に発現させるため適切なベクター内に挿入される。構成は,例えば制限酵素認識部位を遺伝子工学で作ることによって,及び/又はPaul等,2002,Nature Biotechnology,29,505−508に記載されているように,ポリ−U末端領域を使用して,転写から3’−末端ヌクレオチドオーバーハングが形成されるようにデザインされ得る。
図8A−Cは,発現カセットを生成して二本鎖iNA構成を生成させる際に用いられるスキームの概略を示す。
図8A:DNAオリゴマーは,5’−制限酵素認識部位(Rl)配列と主に合成され,次いで所定のHairless標的配列と同一の配列(siNAのセンス領域)を有する領域が合成される。センス領域は,例えば,約19,20,21,又は22ヌクレオチド(N)長を含み,これに規定の配列(X)のループ配列に隣接する3’−制限酵素認識部位(R2)が続く。
図8B:合成された構成は,次にDNAポリメラーゼにより伸長されて,自己相補的な配列を有するヘアピン構造を生成する。
図8C:この構成は,R1及びR2に特異的な制限酵素で処理されて二本鎖DNAを生成し,これは次に,細胞内に発現させるため適切なベクター内に挿入される。転写カセットは,U6プロモーター領域が,siNAの別個のセンス鎖及びアンチセンス鎖を生成するdsDNAの各側に隣接するようにデザインされる。ポリT末端配列をこの構成に加えて,得られる転写産物内にUオーバーハングを生成し得る。
図9A−Eは,例えばメッセンジャーRNAのような,特定の標的核酸配列内の,siNA仲介RNAiのための標的部位を決定する際に使用される方法の概略を示す。
図9A:siNAオリゴヌクレオチドのプールを,siNA構成のアンチセンス領域が,標的部位の標的核酸配列全体に相補性を有するように,またセンス領域が,siNAのアンチセンス領域に相補的な配列を有するように合成する。
図9BおよびC:配列がプールされ,細胞内へのベクターのトランスフェクションがsiNを発現させるように,ベクター内に挿入される。
図9D:細胞を,標的核酸配列調節に関連した表現型の変化に基づき区分けする。
図9E:区分けされた細胞からsiNAを単離して配列を決定し,標的核酸配列内の効果的な標的部位を確認する。
図10は,例えば本発明のsiNA配列の3’−末端の安定化に使用され得る,異なる安定化化学構造(1〜10)の非限定的な例を示す。これには,(1)[3−3’]逆位デオキシリボース,(2)デオキシリボヌクレオチド,(3)[5’−3’]−3’−デオキシリボヌクレオチド,(4)[5’−3’]−リボヌクレオチド,(5)[5’−3’]−3’−O−メチルリボヌクレオチド,(6)3’−グリセリル,(7)[3’−5’]−3’−デオキシリボヌクレオチド,(8)[3’−3’]−デオキシリボヌクレオチド,(9)[5’−2’]−デオキシリボヌクレオチド,及び(10)[5−3’]−ジデオキシリボヌクレオチドが含まれる。図に示す修飾及び非修飾バックボーン化学構造に加えて,これら化学構造は,本明細書に記載されている異なるバックボーン修飾,例えば式Iのバックボーン修飾と組合せてもよい。加えて,5’〜末端修飾の2’−デオキシヌクレオチドは,本明細書に記載する別の修飾又は非修飾のヌクレオチド又は非ヌクレオチド,例えば式I〜VII,若しくはその任意の組合せであってもよい。
図11は,ヌクレアーゼ耐性を有する一方でRNAi活性仲介能力を保持する本発明の化学修飾siNA構成の同定に使用される戦略の非限定的な例を示す。化学修飾は,経験的デザインパラメータに基づいてsiNA構成内に導入される(例,2’−修飾,塩基修飾,バックボーン修飾,末端キャップ修飾等の導入)。修飾構成は,適切な系内で試験される(例,ヌクレアーゼ耐性にはヒト血清,PK/送達パラメータには動物モデル)。並行して,例えばルシフェラーゼレポータアッセイのような細胞培養系内でsiNA構成のRNAi活性を試験する。特定の性質を所有する一方でRNAi活性を保持するリードsiNA構成が次に同定され,更に修飾され再度アッセイされ得る。この同一のアプローチを,次に,改良された薬物動態プロファイル,送達,及びRNAi活性を有するsiNA−コンジュゲート分子の同定に使用し得る。
図12は,線状及び二重鎖の構成を含む本発明のリン酸化siNA分子,及びその非対称誘導体の非限定的な例を示す。
図13は,本発明の化学修飾された末端リン酸基の非限定的な例を示す。
図14Aは,標的核酸配列内で同定される自己相補的なDFO構成のデザインに使用される,回文及び/又は反復核酸配列を使用した方法体系の非限定的な例を示す。(i)回文配列又は反復配列が,標的配列の核酸内にて同定される。(ii)配列は,標的核酸配列,及び回文配列に相補的にデザインされる。(iii)非回文配列の逆転反復配列/相補的配列の反復部分が,相補的配列の3’−末端に付加されて,標的核酸に相補的な配列を含む自己相補的なDFO分子を生成する。(iv)DFO分子は自己的に組立てて,二重鎖オリゴヌクレオチドを形成し得る。図14Bは,オリゴヌクレオチド配列を形成する二重鎖の非限定的な代表例を示す。図14Cは,オリゴヌクレオチド配列を形成する代表的な二重鎖の自己組立ての概略の非限定的な例を示す。図14Dは,オリゴヌクレオチド配列を形成している代表的な二重鎖の自己会合の概略と,それに続く遺伝子発現をもたらす標的核酸との相互作用の非限定的な例を示す。
図15は,任意の関心標的核酸配列に相補的な配列を有するDFO構成内に組み込まれた回文及び/又は反復核酸配列を使用した,自己相補的なDFO構成のデザインの非限定的な例を示す。これらの回文/反復配列の組み込みにより,各鎖が例えばRNAiにより標的遺伝子の発現の調節を仲介し得る,二重鎖を形成するDFO構成のデザインが可能になる。最初に,標的配列を同定する。次いで,相補的配列が生成され,ここで人工回文配列(図にてXYXYXYで示す)を生成する相補的な配列内に,ヌクレオチド又は非ヌクレオチド修飾(X又はYとして示す)が導入される。非回文配列の逆転反復/相補的配列の反復部分が,相補的配列の3’−末端に付加されて,標的核酸に相補的な配列を含む自己相補的なDFO分子を生成する。DFO分子は,自己組立てにより,二重鎖オリゴヌクレオチドを形成し得る。
図16は,各々がRNAiによる異なる標的核酸配列の切断を仲介し得る,二つの別個のポリヌクレオチド配列を含む,本発明の多機能siNA分子の非限定的な例を示す。図16Aは,第一の標的核酸配列に相補的な第一の領域(相補的領域1)と,第二の標的核酸配列に相補的な第二の領域(相補的領域2)とを有する多機能siNA分子の非限定的な例を示し,ここで第一及び第二の相補的領域は,多機能siNAの各ポリヌクレオチド配列の3’−末端に位置する。多機能siNA構成の各ポリヌクレオチド配列の点線部分は,siNA二重鎖の対応する部分に関して対称性を有するが,標的核酸配列に対称性を有さない。図16Bは,第一の標的核酸配列に相補的な第一の領域(相補的領域1)と,第二の標的核酸配列に相補的な第二の領域(相補的領域2)とを有する多機能siNA分子の非限定的な例を示し,ここで第一及び第二の相補的領域は,多機能siNAの各ポリヌクレオチド配列の5’−末端に位置する。多機能siNA構成の各ポリヌクレオチド配列の点線部分は,siNA二重鎖の対応する部分に関して対称性を有するが,標的核酸配列に対称性を有さない。
図17は,各々がRNAiによる異なる標的核酸配列の切断を仲介し得る,別個の領域を含む単一のポリヌクレオチド配列を含む,本発明の多機能siNA分子の非限定的な例を示す。図17Aは,第一の標的核酸配列に相補的な第一の領域(相補的領域1)と,第二の標的核酸配列に相補的な第二の領域(相補的領域2)とを有する多機能siNA分子の非限定的な例を示し,ここで第二の相補的領域は,多機能siNAの各ポリヌクレオチド配列の3’−末端に位置する。多機能siNA構成の各ポリヌクレオチド配列の点線部分は,siNA二重鎖の対応する部分に関して対称性を有するが,標的核酸配列に対称性を有さない。図17Bは,第一の標的核酸配列に相補的な第一の領域(相補的領域1)と,第二の標的核酸配列に相補的な第二の領域(相補的領域2)とを有する多機能siNA分子の非限定的な例を示し,ここで第一の相補的領域は,多機能siNAの各ポリヌクレオチド配列の5’−末端に位置する。多機能siNA構成の各ポリヌクレオチド配列の点線部分は,siNA二重鎖の対応する部分に関して対称性を有するが,標的核酸配列に対称性を有さない。一実施態様において,これらの多機能siNA構成はインビボ又はインビトロにて処理されて,図16に示す多機能siNA構成を生成する。
図18は,各々がRNAiによる異なる標的核酸配列の切断を仲介し得る,二つの別個のポリヌクレオチド配列を含み,更に自己相補的な,回文配列,又は反復領域を含むことによって,異なる標的核酸配列に対するRNA干渉を仲介し得る比較的短い二機能siNA構成を可能にする,本発明の多機能siNA分子の非限定的な例を示す。図18Aは,第一の標的核酸配列に相補的な第一の領域(相補的領域1)と,第二の標的核酸配列に相補的な第二の領域(相補的領域2)とを有する多機能siNA分子の非限定的な例を示し,ここで第一及び第二の相補的領域は,多機能siNAの各ポリヌクレオチド配列の3’−末端に位置し,また第一及び第二の相補的領域は,更に自己相補的な,回文配列,又は反復領域を含む。多機能siNA構成の各ポリヌクレオチド配列の点線部分は,siNA二重鎖の対応する部分に関して対称性を有するが,標的核酸配列に対称性を有さない。図18Bは,第一の標的核酸配列に相補的な第一の領域(相補的領域1)と,第二の標的核酸配列に相補的な第二の領域(相補的領域2)とを有する多機能siNA分子の非限定的な例を示し,ここで第一及び第二の相補的領域は,多機能siNAの各ポリヌクレオチド配列の5’−末端に位置し,またここで第一及び第二の相補的領域は,更に自己相補的な,回文配列,又は反復領域を含む。多機能siNA構成の各ポリヌクレオチド配列の点線部分は,siNA二重鎖の対応する部分に関して対称性を有するが,標的核酸配列に対称性を有さない。
図19は,各々が,RNAiにより誘導される異なる標的核酸配列の切断を仲介し得る別個の領域を含む単一のポリヌクレオチド配列を含み,更に自己相補的な,回文配列,又は反復領域を含むことによって,異なる標的核酸配列に対するRNA干渉を仲介し得る比較的短い二機能siNA構成を可能にする,本発明の多機能siNA分子の非限定的な例を示す。図19Aは,第一の標的核酸配列に相補的な第一の領域(相補的領域1)と,第二の標的核酸配列に相補的な第二の領域(相補的領域2)とを有する多機能siNA分子の非限定的な例を示し,ここで第一及び第二の相補的領域は,多機能siNAの各ポリヌクレオチド配列の3’−末端に位置し,またここで第一及び第二の相補的領域は,更に自己相補的な,回文配列,又は反復領域を含む。多機能siNA構成の各ポリヌクレオチド配列の点線部分は,siNA二重鎖の対応する部分に関して対称性を有するが,標的核酸配列に対称性を有さない。図19Bは,第一の標的核酸配列に相補的な第一の領域(相補的領域1)と,第二の標的核酸配列に相補的な第二の領域(相補的領域2)とを有する多機能siNA分子の非限定的な例を示し,ここで第一の相補的領域は,多機能siNAの各ポリヌクレオチド配列の5’−末端に位置し,またここで第一及び第二の相補的領域は,更に自己相補的な,回文配列,又は反復領域を含む。多機能siNA構成の各ポリヌクレオチド配列の点線部分は,siNA二重鎖の対応する部分に関して対称性を有するが,標的核酸配列に対称性を有さない。一実施態様において,これらの多機能siNA構成はインビボ又はインビトロにて処理されて,図18に示す多機能siNA構成を生成する。
図20は,本発明の多機能siNA分子が,例えばサイトカイン及び対応する受容体,異なるウイルス株,ウイルス感染又は複製に関与するウイルス及び細胞タンパク質,又は疾患の進行の維持に関係する多様な生物学的経路に関与する異なるタンパク質等,異なるタンパク質をコード化する別個のRNA分子のような二つの別個の標的核酸分子をどのように標的にし得るかを示す,非限定的な例を示す。多機能siNA構成の各鎖は,別個の標的核酸分子に相補性を有する領域を含む。多機能siNA分子は,siNAの各鎖がRISC複合体により使用されて,RNA干渉仲介の対応する標的の切断の開始を仲介し得るようにデザインされる。これらのデザインパラメータには,siNA構成の各末端の不安定化が含まれ得る(例えばSchwarz等,2003,Cell,115,199−208参照)。このような不安定化は,例えばグアノシン−シチジン塩基対,代替塩基対(例,ゆらぎ),又は当該技術分野で公知の,末端ヌクレオチド位置の不安定化化学修飾ヌクレオチドを使用して達成され得る。
図21は,本発明の多機能siNA分子が,例えばRNAの代替コード化領域,RNAのコード化及び非コード化領域,又はRNAの選択的スプライスバリアント領域のような,標的核酸分子内の二つの別個の標的核酸配列を,どのように標的にし得るかを示す,非限定的な例を示す。多機能siNA構成の各鎖は,分離した標的核酸分子に相補性を有する領域を含む。多機能siNA分子は,siNAの各鎖がRISC複合体により使用されて,RNA干渉仲介の,対応する標的の切断の開始を仲介し得るようにデザインされる。これらのデザインパラメータには,siNA構成の各末端の不安定化が含まれ得る(例えばSchwarz等,2003,Cell,115,199−208参照)。このような不安定化は,例えばグアノシン−シチジン塩基対,代替塩基対(例,ゆらぎ),又は当該技術分野で公知の,末端ヌクレオチド位置の不安定化化学修飾ヌクレオチドを使用して達成され得る。
図22は,Hairless(HR2,転写産物異形2)mRNAを標的とするsiNAにより仲介されるA375細胞内のHairless mRNAの減少を表す非限定的な例を示す。A375細胞は,25nMsiNAと複合体を形成する脂質0.25μg/ウエルでトランスフェクトされた。Stab9/10安定化化学構造(表III及びIV参照)を含む活性siNA構成は,未処理細胞,一致した化学構造の無関連siNAコントロール構成(33965/33971及び33977/33983),及び脂質単独でトランスフェクトされた細胞(トランスフェクションコントロール)と比較された。図に示すように,siNA構成はHairlessRNA発現を有意に低下させた。
図23は,Hairless(HR2,転写産物異形2)mRNAを標的とするsiNAにより仲介されるA375細胞内のHairless mRNAの減少を表す非限定的な例を示す。A375細胞は,25nMsiNAと複合体を形成する脂質0.25μg/ウエルでトランスフェクトされた。Stab23/24安定化化学構造(表III及びIV参照)を含む活性siNA構成は,未処理細胞,一致した化学構造の無関連siNAコントロール構成(33965/33971及び33977/33983),及び脂質単独でトランスフェクトされた細胞(トランスフェクションコントロール)と比較された。図に示すように,siNA構成はHairlessRNA発現を有意に低下させた。
図24は,Hairless(HR2,転写産物異形2)mRNAを標的とするsiNAにより仲介されるNMuMg細胞内のHairless mRNAの減少を表す非限定的な例を示す。NMuMg細胞は,25nMsiNAと複合体を形成する脂質0.5μg/ウエルでトランスフェクトされた。Stab9/10安定化化学構造(表III及びIV参照)を含む活性siNA構成は,未処理細胞,一致した化学構造の無関連siNAコントロール構成(IC),及び脂質単独でトランスフェクトされた細胞(トランスフェクションコントロール)と比較された。図に示すように,siNA構成はHairlessRNA発現を有意に低下させた。
図25は,Hairless(HR2,転写産物異形2)mRNAを標的とするsiNAにより仲介されるNMuMg細胞内のHairless mRNAの減少を表す非限定的な例を示す。NMuMg細胞は,25nMsiNAと複合体を形成する脂質0.5μg/ウエルでトランスフェクトされた。Stab7/8及び7/25安定化化学構造(表III及びIV参照)を含む活性siNA構成は,未処理細胞(UNT),一致した化学構造の無関連siNAコントロール構成(IC−1及びIC−2),及び脂質単独でトランスフェクトされた細胞(トランスフェクションコントロール)と比較された。図に示すように,siNA構成はHairlessRNA発現を有意に低下させた。
本発明の核酸分子の作用機序
以下は,現在周知である短干渉RNAにより仲介されるRNA干渉の提案される機構を説明するものであり,本発明を限定することを意味するものではなく,また先行技術を容認するものではない。本願出願人は本明細書において,化学修飾された短干渉核酸がsiRNA分子と同様にRNAiを仲介する同様の又は向上した能力を有し,またインビボでの向上した安定性及び活性を有することが期待され,従って,本説明は,siRNAのみに限定されるものではなく,全体としてのsiNAに適用され得る。"仲介する向上した能力"又は"向上したRNAi活性"という表現は,インビトロ及び/又はインビボで測定されたRNAi活性を含み,ここでRNAi活性とは,本発明のsiNAのRNAiを仲介する能力と,安定性との両方を反映するものである。本発明において,これら活性は,全RNAsiRNA,又は多数のリボヌクレオチドを含むsiNAと比較して,インビトロ及び/又はインビボで増大され得る。ある場合には,siNA分子の活性又は安定性は低下し得るが(即ち,10倍未満),総じてsiNA分子の活性はインビトロ及び/又はインビボにて増大される。
RNA干渉は,短干渉RNA(siRNA)により仲介される,動物における配列特異的な転写後遺伝子サイレンシングのプロセスを意味する(Fire等,1998,Nature,391,806)。植物での対応するプロセスは,通常,転写後遺伝子サイレンシング,又はRNAサイレンシングと称され,真菌ではクエリング(quelling)とも称される。転写後遺伝子サイレンシングのプロセスは,外来遺伝子の発現の防止のための進化的に保存された細胞防御機構であると考えられ,多様な植物相及び種族によって共有されている(Fire等,1999,Trends Genet,15,358)。このような外来遺伝子発現からの保護は,相同な一本鎖RNA又はウイルスゲノムRNAを特異的に破壊する,ウイルス感染,又はトランスポゾン要素のホストゲノム内へのランダムな組込みから細胞応答を介して誘導される二本鎖RNA(dsRNA)の生産に応じて進化してきたとものと思われる。細胞内のdsRNAの存在は,未だ完全に特定されていない機構を介してRNAi応答を誘発する。この機構は,dsRNAにより仲介されるタンパク質キナーゼPKR及び2’,5’−オリゴアデニレートシンセターゼの活性化によるインターフェロン応答と,その結果のリボヌクレアーゼLによるmRNAの非特異的な切断とは異なるものと想定される。
細胞内の長いdsRNAの存在は,Dicerと称されるリボヌクレアーゼIII酵素の活性を刺激する。Dicerは,dsRNAを,短干渉RNA(siRNA)として周知の短いdsRNA部分にプロセシングすることに関与している(Berstein等,2001,Nature,409,363)。Dicerの活性化により得られる短干渉RNAは,一般に約21〜約23個のヌクレオチド長を有し,約19個の塩基対を含む二重鎖を含む。
Dicerはまた,保存された構造を有する前駆体RNAから,翻訳抑制に関係する21個及び22個のヌクレオチドの小さい一時的RNA(stRNA)を切断することにも関与している(Hutvagner等,2001,Science,293,834)。RNAi応答はまた,通常,RNA誘導型サイレンシング複合体(RISC)と称される,siRNAを含むエンドヌクレアーゼ複合体にも関係し,同複合体は,siRNAに相同な配列を有する一本鎖RNAの切断を仲介する。標的RNAの切断は,siRNA二重鎖のガイド配列に相補的な領域の中央にて行われる(Elbashir等,2001,Genes Dev.,15,188)加えて,RNA干渉はまた,おそらくクロマチン構造を調節する細胞機構を介した,小さいRNA(例,マイクロRNA又はmiRNA)により仲介される遺伝子サイレンシングにも関与し,それにより標的遺伝子配列の転写を防止する(例えばAllshire,2002,Science,297,1818−1819,Volpe等,2002,Science,297,1833−1837,Jenuwein,2002,Science,297,2215−2218,及びHall等,2002,Science,297,2232−2237を参照)。そのようなものとして,本発明のsiNA分子は,RN転写産物との相互作用を介した,又は代替的に特定の遺伝子配列との相互作用を介した遺伝子サイレンシングの仲介に使用することができ,ここで該相互作用は,転写レベル又は転写後レベルにおける遺伝子サイレンシングにて行われる。
RNAiは,多様な系内で研究されてきた。Fire等,1998,Nature,391,806,は,RNAiを土壌線虫(C.elegant)中にて最初に観察した。Wianny及びGoetz,1999,Nature Cell Biol.,2,70は,マウス胚にてdsRNAにより仲介されるRNAiについて記載した。Hammond等,2000,Nature,404,293は,dsRNAでトランスフェクトしたDroopMa細胞中のRNAiについて記載している。Elbashir等,2001,Nature,411,494は,培養されたヒト胚腎臓,及びHeLa細胞を含む哺乳類細胞中での,合成した21個のヌクレオチドからなるRNA二重鎖の導入によって誘導されるRNAiについて記載している。最近のショウジョウバエ胚溶解物の研究において,RNAi活性の仲介に必須のsiRNA長,構造,化学的組成,及び配列に対する必要性が明らかとなった。この研究では,21ヌクレオチドiRNA二重鎖は,2−ヌクレオチド3’−末端ヌクレオチドオーバーハングを含む場合に最も活性が高いことを示している。更に,siRNA鎖の一方又は両方を2’−デオキシ又は2’−O−メチルヌクレオチドで置換するとRNAi活性が失われるのに対し,デオキシヌクレオチドによる3’−末端siRNAヌクレオチドの置換は許容されることが示されている。siRNA二重鎖中央のミスマッチ配列もまた,RNAi活性を失わせることが示されている。加えて,これらの研究は標的RNA内の切断部位は,siRNAガイド配列の3’−末端ではなく,5’−末端で規定されることも示している(Elbashir等,2001,EMBOJ.,20,6877)。別の研究は,siRNA活性のためにsiRNA二重鎖の標的に相補的な鎖上には5’−ホスフェートが必要であり,またsiRNA上の5’−ホスフェート部分の維持にATPが使用されることを指摘している(Nykanen等,2001,Cell,107,309)。しかしながら,5’−ホスフェートを欠いたsiRNA分子は外来的に導入された場合に活性を有し,このことはsiRNA構成の5’−リン酸化がインビボにて行われ得ることを示唆している。
核酸分子の合成
100ヌクレオチド長より長い核酸の合成は,自動化された方法では困難であり,またそのような分子の治療的コストは高価である。本発明では,小さい核酸モチーフ("小さい"は,100ヌクレオチド長以下,好ましくは80ヌクレオチド長以下,及び最も好ましくは50ヌクレオチド長以下の核酸モチーフ,例えば,個々のsiNAオリゴヌクレオチド配列,又は一列に合成されたsiNA配列を指す)は,外来的送達に使用されることが好ましい。これら分子の単純な構造は,タンパク質及び/又はRNA構造の標的とする領域に侵入する核酸の能力を増大させる。例示的な本発明の分子は化学的に合成され,また他の分子も同様に合成することができる。
オリゴヌクレオチド(例,特定の修飾オリゴヌクレオチド,又はリボヌクレオチドを欠いたオリゴヌクレオチド部分)は,例えばその引用の全てが参照により本明細書に加入されるCaruthers等,1992,Methods in Enzynaology211,3−19,Thompson等,国際特許出願公開第WO99/54459号,Wincott等,1995,Nucleic Acids Res.23,2677−2684,Wincott等,1997,Methods Mol.Bio.,74,59,Brennan等,1998,Biotechnol Bioeng,61,33−45,及びBrennan,米国特許第6,001,311号に記載されているような,公知のプロトコルを用いて合成される。オリゴヌクレオチドの合成は,5’−末端にジメトキシトリチル,及び3’−末端にホスホロアミダイト等,通常の核酸保護基,及び核酸結合基を利用する。非限定的な例において,394Applied Biosystems,Inc製の合成機上にて,0.2μmolスケールのプロトコルを用いて2’−O−メチル化ヌクレオチドのための連結ステップ25分,及び2’−デオキシヌクレオチド又は2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドのための第二の連結ステップ45分により小規模合成を行った。表Vに,この合成サイクルに使用される試薬の量及び接触時間を概略する。代替的に,例えばProtogene(Palo Alto,CA)により製造された装置のような96−ウエルプレート合成機上にて,サイクルに最小限の変更を加えて,0.2μmolスケールでの合成を行い得る。2’−O−メチル残基の各連結サイクルにて,ポリマー結合5’−ヒドロキシルに関して33倍過剰量の2’−O−メチルホスホロアミダイト(0.11Mの60μL=6.6μmol),及び105倍過剰量のS−エチルテトラゾール(0.25Mの66μL=15μmol)を使用し,デオキシ残基の各連結サイクルにて,ポリマー結合5’−ヒドロキシルに関して70倍過剰量のS−エチルテトラゾール(0.25Mの40μL=10μmol)を使用し得る。トリチル断片の比色定量で測定される394Applied Biosystems,Inc.製の合成機上での平均連結収率は,一般に97.5〜99%である。394Applied Biosystems,Inc.合成機のための他のオリゴヌクレオチド合成試薬は,以下のものを含む:脱トリチル化溶液は,塩化メチレン(ABI)中3%TCA,キャッピングはTHF(ABI)中16%N−メチルイミダゾール,及びTHF(ABI)中10%無水酢酸/10%2,6−ルチジンにより行われ,酸化溶液は,THF中16.9mM I2,49mMピリジン,9%水である(PerSeptive Biosystems,Inc.)。Burdick&Jackson Synthesis Gradeのアセトニトリルは,試薬瓶から直接使用される。S−エチルテトラゾール溶液(0.25M,アセトニトリル中)は,American International Chemical,Inc.から入手した固体から作成される。代替的に,ホスホロチオエート結合の導入には,Beaucage試薬(3H−1,2−ベンゾジチオール−3−オン1,1−ジオキシド,0.05M,アセトニトリル中)が使用される。
DNAベースのオリゴヌクレオチドの脱保護は,以下のように行われる:ポリマー結合トリチル−オンオリゴリボヌクレオチドを4mLねじ蓋付きガラス瓶に移し,65℃で10分間,40%のメチルアミン溶液(1mL)中に懸濁させる。−20℃に冷却した後,ポリマー支持体から上澄み液を除去する。支持体を1.0mLのEtOH:MeCN:H20/3:1:1で3回洗浄し,渦状に攪拌した後,上澄み液を第一の上澄み液に加える。一緒にしたオリゴリボヌクレオチドを含んだ上澄み液を乾燥して,白色粉末を得る。
本発明の特定のsiNA分子を含むRNAの合成に使用される方法は,Usman等,1987,J.Am.Chem.Soc.,109,7845,Scaringe等,1990,Nucleic Acids Res.,18,5433,及びWincott等,1995,Nucleic Acids Res.23,2677−2684 Wincott等,1997,Methods Mol.Bio.,74,59に記載された手順に従い,通常の核酸保護基,及び核酸結合基,例えば5’−末端にジメトキシトリチル,及び3’−末端にホスホロアミダイトを使用する。非限定的な例において394Applied Biosystems,Inc.合成機上にて,0.2μmolスケールのプロトコルを用いてアルキルシリル保護ヌクレオチドのための連結ステップ7.5分間と,2’−O−メチル化ヌクレオチドのための連結ステップ2.5分間とにより小規模合成を行った。表Vに,この合成サイクルに使用される試薬の量及び接触時間を概略する。代替的に,例えばProtogene(Palo Alto,CA)により製造された装置のような96−ウエルプレート合成機上にて,サイクルに最小限の変更を加えて,0.2μmolスケールでの合成を行い得る。2’−O−メチル残基の各連結サイクルにて,ポリマー結合5’−ヒドロキシルに関して33倍過剰量の2’−O−メチルホスホロアミダイト(0.11Mの60μL=6.6μmol),及び75倍過剰量のS−エチルテトラゾール(0.25Mの60μL=15μmol)を使用し,デオキシ残基の各連結サイクルにて,ポリマー結合5’−ヒドロキシルに関して75倍過剰量のS−エチルテトラゾール(0.25Mの60μL=10μmol)を使用し得る。リボ残基の各連結サイクルにて,ポリマー結合5’−ヒドロキシルに関して66倍過剰量(0.11Mの120μL=13.2μmol)のアルキルシリル(リボ)保護ホスホロアミダイト,及び150倍過剰量のS−エチルテトラゾール(0.25Mの120μL=30μmol)を使用し得る。トリチル断片の比色定量で測定される394Applied Biosystems,Inc.製の合成機上での平均連結収率は,一般に97.5〜99%である。394Applied Biosystems,Inc.合成機のための他のオリゴヌクレオチド合成試薬は,以下のものを含む:脱トリチル化溶液は,塩化メチレン(ABI)中3%TCA,キャッピングはTHF(ABI)中16%N−メチルイミダゾール,及びTHF(ABI)中10%無水酢酸/10%2,6−ルチジンにより行われ,酸化溶液は,THF中16.9mM I2,49mMピリジン,9%水である(PerSeptive Biosystems,Inc.)。Burdick&Jackson Synthesis Gradeのアセトニトリルは,試薬瓶から直接使用される。S−エチルテトラゾール溶液(0.25M,アセトニトリル中)は,American International Chemical,Inc.から入手した固体から作成される。代替的に,ホスホロチオエート結合の導入には,Beaucage試薬(3H−1,2−ベンゾジチオール−3−オン1,1−二酸化物,0.05M,アセトニトリル中)が使用される。
RNAの脱保護は,ツーポット又はワンポットプロトコルのいずれかを用いて行われる。ツーポットプロトコルでは,ポリマー結合トリチル−オンオリゴリボヌクレオチドを4mLねじ蓋付きガラス瓶に移し,65℃で10分間,40%のメチルアミン水溶液(1mL)中に懸濁させる。−20℃に冷却した後,ポリマー支持体から上澄み液を除去する。支持体を1.0mLのEtOH:MeCN:H20/3:1:1で3回洗浄し,渦状に攪拌した後,上澄み液を第一の上澄み液に加える。一緒にしたオリゴリボヌクレオチドを含んだ上澄み液を乾燥して,白色粉末を得る。塩基脱保護オリゴリボヌクレオチドを,無水TEA/HF/NMP溶液(300μLの1.5mL N−メチルピロリジノン,750μL TEA及び1mL TEA・3HFの溶液で,1.4M HF濃度を与える)中に再懸濁させ,65℃に加熱する。1.5時間後,オリゴマーを1.5M NH4HCO3でクエンチする。
代替的に,ワンポットプロトコルでは,ポリマー結合トリチル−オンオリゴリボヌクレオチドを4mLねじ蓋付きガラス瓶に移し,65℃で15分間,33%のメチルアミン/DMSO:1/1(0.8mL)のエタノール溶液中に懸濁させる。ガラス瓶を室温にして,TEA・3HF(0.1mL)を加え,ガラス瓶を65℃で15分間加熱する。サンプルを−20℃で冷却し,その後1.5M NH4HCO3でクエンチする。
トリチル−オンオリゴマーの精製の際には,クエンチされたNH4HCO3溶液を,アセトニトリルと,次いで50mM TEAAとで予め洗浄されたC−18含有カートリッジ上に充填する。充填カートリッジを水で洗浄した後,RNAを0.5%TFAで13分間,脱トリチル化する。次にカートリッジを水で再び洗浄し,1M NaClで塩交換し,再び水で洗浄する。次にオリゴヌクレオチドを30%アセトニトリルで溶出する。
ステップごとの平均結合率は,一般に>98%である(Wincott等,1995Nucleic Acids Res.23,2677−2684)。当業者は,合成の規模は,96ウエルフォーマットを含むが,それに限定されない上記した例よりも大きい,又は小さい規模に適合し得ることを理解するであろう。
代替的に,本発明の核酸分子は,別々に合成され,合成後に,例えばライゲーションにより(Moore等,1992,Science256,9923,Draper等,国際特許出願公開第WO93/23569,Shabarova等,1991,Nucleic Acids Research19,4247,Bellon等,1997,ヌクレオシド&ヌクレオチド,16,951,Bellon等,1997,Bioconjugate Chem 8,204),又は合成及び/又は脱保護後のハイブリダイズにより互いに連結され得る。
本発明のsiNA分子はまた,本明細書で実施例1に記載するように,タンデム合成の方法体系により合成され得る。ここで両方のsiNA鎖は,切断可能なリンカーによって分離された一個の連続したオリゴヌクレオチド断片,又は鎖として合成され,これは続いて切断されて,siNA二重鎖をハイブリダイズして精製し得る別個のsiNA断片又は鎖を提供する。リンカーは,ポリヌクレオチドリンカー又は非ヌクレオチドリンカーであり得る。本明細書に記載されるように,siNAのタンデム合成は,96ウエルのようなマルチウエル/マルチプレート合成プラットフォーム,又は同様の,より大きいマルチウエルプラットフォームの両方に容易に適合し得る。本明細書に記載されるようなsiNAのタンデム合成は,回分式反応器,合成カラム,及び同様物を使用した大規模合成プラットフォームにも容易に適合し得る。
siNA分子は,二つの別個の核酸鎖又は断片からも組立てられ得,ここで一つの断片はセンス領域を含み,第二の断片はRNA分子のアンチセンス領域を含む。
本発明の核酸分子は,例えば2’−アミノ,2’−C−アリル,2’−フルオロ,2’−O−メチル,2’−Hのようなヌクレアーゼ耐性基を用いて,安定性の向上のために広範囲に修飾され得る(再考には,Usman及びCedergren,1992,TIBS17,34,Usman等,1994,Nucleic Acids Symp.Ser.31,163を参照)。siNA構成はゲル電気泳動による一般的方法を用いて精製されるか,又は高速液体クロマトグラフィーによって精製され得(HPLC,全体が本明細書に参照により加入されるWincott等,前出,を参照),水中に再懸濁される。
本発明の別の一局面において,本発明のsiNA分子は,DNA又はRNAベクター内に挿入された転写単位から発現される。組み替えベクターは,DNAプラスミド又はウイルスベクターであり得る。siNA発現ウイルスベクターは,アデノ関連ウイルス,レトロウイルス,アデノウイルス,又はαウイルスを基に構成され得るが,これらに限定されるものではない。siNA分子を発現可能な組み替えベクターは,本明細書に記載されているように送達され,標的細胞内に存続し得る。代替的に,ウイルスベクターは,siNA分子の一過性発現に使用され得る。
本発明の核酸分子活性の最適化
修飾(塩基,糖及び/又はホスフェート)による核酸分子化学合成は,血清リボヌクレアーゼによる分解を防止することができ,核酸分子の有効性を増大し得る(例えば,全て本明細書に参照により加入されるEckstein等,国際特許出願公開第WO92/07065号,Perrault等,1990 Nature 344,565,Pieken等,1991,Science 253,314,Usman及びCedergren,1992,Trends in Biochem.Sci.17,334,Usman等,国際特許出願公開第WO93/15187号,及びRossi等,国際特許出願公開第WO91/03162号,Sproat,米国特許第5,334,711号,Gold等,米国特許第6,300,074号,及びBurgin等,前出,を参照)。上記の引用は全て,本明細書に記載された核酸分子の塩基,ホスフェート及び/又は糖部分に行うことができる様々な化学修飾について記載している。細胞内での有効性を増大させる修飾と,オリゴヌクレオチド合成時間の短縮,及び化学的必要条件の縮小のための核酸分子からの塩基の除去が所望されている。
核酸分子内に導入することができ,ヌクレアーゼ安定性及び有効性を有意に増大させる糖,塩基及びホスフェート修飾のいくつかの例の記載が,当該技術分野に存在している。例えば,オリゴヌクレオチドは,例えば2’−アミノ,2’−C−アリル,2’−フルオロ,2’−O−メチル,2’−O−アリル,2’−H,ヌクレオチド塩基修飾のようなヌクレアーゼ耐性基による修飾により,安定性及び/又は生物学的活性が向上される(再考には,その引用の全てが全体として参照により本明細書に加入されるUsman及びCedergren,1992,TIBS.17,34,Usman等,1994,Nucleic Acids Syp.Ser.31,163,Burgin等,1996,Biochemistry,35,14090を参照)。核酸分子の糖修飾は,数多く記載されている(全て参照により全容が本明細書に加入されるEckstein等,国際特許出願公開第WO92/07065号,Perrault等,Nature,1990,344,565−568,Pieken等,Science,1991,253,314−317,Usman及びCedergren,Trends in Biochem.Sci.,1992,17,334−339,Usman等,国際特許出願公開第WO93/15187号,Sproat,米国特許第5,334,711号及びBeigelman等,1995,J Biol.Chem.,270,25702,Beigelman等,国際特許出願公開第WO97/26270号,Beigelman等,米国特許第5,716,824号,Usman等,米国特許第5,627,053号,Woolf等,国際特許出願公開第WO98/13526号,Thompson等,1998年4月20日出願の米国特許出願第60/082,404号,Karpeisky等,1998,Tetrahedron Lett.,39,1131,Earnshaw 及びGait,1998,Biopolymers(Nucleic Acids Sciences),48,39−55,Verma及びEckstein,1998,Annu.Rev.Biochem.,67,99−134,及びBurlina等,1997,Bioorg Med.Chem.,5,1999−2010を参照)。これらの刊行物には,触媒作用を変更することなく,糖,塩基及び/又はホスフェート修飾,及び同様物を核酸分子内へ組み込む位置を決定する一般的方法及び戦略が記載されている。これら教示を考察することにより,細胞内でのsiNAのRNAi促進能力が有意に抑制されない限りは,同様の修飾を使用して本発明のsiNA核酸分子を修飾することができる。
ホスホロチオエート,ホスホロジチオエート,及び/又は5’−メチルホスホネート結合によるオリゴヌクレオチド,ヌクレオチド間結合の化学修飾が安定性を向上させる一方,過剰な修飾は,毒性,又は活性の減少の原因となり得る。従って,核酸分子をデザインする際,これらヌクレオチド間結合の量は最小にされなければならない。これら結合の集中を低減することにより毒性が低下し,その結果これら分子の有効性,及び特異性が高まる。
活性を保持又は向上させる化学修飾を有する短干渉核酸(siNA)分子を提供する。このような核酸はまた,一般に非修飾核酸と比較してヌクレアーゼ耐性が高い。従って,インビトロ及び/又はインビボ活性は,さほど低下しないものと想定される。調節が目的の場合,外来的に送達される治療的核酸分子は,標的RNAの翻訳が,望ましくないタンパク質のレベルを低下させる迄十分に長く調節されるよう,細胞内で安定性を最適に保つ必要がある。この期間は疾患の状態に応じて,数時間から数日間の間で変動する。RNA及びDNAの化学合成の改良(Wincott等,1995,Nucleic Acids Res.23,2677,Caruthers等,1992,Methods in Enzymology211,3−19(本明細書に参照により加入される))は,上述したように,ヌクレオチド修飾を導入してヌクレアーゼ安定性を高めたことにより,核酸分子を調節する能力が拡大された。
一実施態様において,本発明の核酸分子は,一つ又はそれ以上の(例,約1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,又はそれ以上)G−クランプヌクレオチドを含む。G−クランプヌクレオチドは修飾されたシトシン類似体であり,同修飾により二重鎖内の相補的なグアニンのワトソン・クリック及びフーグスティーン面の両方に水素結合の能力が付与される。例えばLin及びMatteucci,1998,J.Am.Chem.Soc.,120,8531−8532を参照されたい。オリゴヌクレオチド内の単一のG−クランプ類似体の置換によって,相補的なオリゴヌクレオチドとハイブリダイズした際の,螺旋の熱安定性,及びミスマッチ識別が相当高まり得る。このようなヌクレオチドを本発明の核酸分子に含めることにより,標的核酸,相補的配列,又は鋳型鎖に対する親和力及び特異性の両方が高まる。別の一実施態様において,本発明の核酸分子は,一つ又はそれ以上の(例,約1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,又はそれ以上),LNA"固定された核酸"ヌクレオチド,例えば2’,4’−Cメチレンビシクロヌクレオチドを含む(例えばWengel等,国際特許出願公開第WO00/66604号及びWO99/14226号を参照のこと)。
別の一実施態様において,本発明は,本発明のsiNA分子のコンジュゲート,及び/又は複合体を提供する。このコンジュゲート及び/又は複合体は,siNA分子の生物系内,例えば細胞内への送達を促進するために使用され得る。本発明にて提供されるこのコンジュゲート及び複合体は,治療的化合物を細胞膜を通して移動させ,薬物動態を変更し,及び/又は本発明の核酸分子の局在性を変更して,治療活性を付与し得る。本発明は,細胞膜を通して分子を送達するための新規なコンジュゲート及び/又は複合体のデザイン及び合成を包含する。同コンジュゲート及び/又は複合体は,小分子,脂質,コレステロール,リン脂質,ヌクレオシド,ヌクレオチド,核酸,抗体,毒素,負荷電ポリマー及び他のポリマー,例えばタンパク質,ペプチド,ホルモン,炭化水素,ポリエチレングリコール,又はポリアミドが含まれるが,これらに限定されるものではない。一般に,記載されている輸送体は,個別的に,又は多成分系の一部として,分解性のリンカーと伴に,又は伴わずに使用されるようデザインされている。これらの化合物は,血清の存在下又は不在下で,異なる組織に由来する多数の細胞タイプ内への本発明の核酸分子の送達及び/又は局在化を改善することが期待される(Sullenger及びCech,米国特許第5,854,038号を参照)。本明細書に記載される分子のコンジュゲートは,生物分解性のリンカー,例えば生物分解性の核酸リンカー分子を介して,生物学的に活性な分子に結合することができる。
用語"生物分解性のリンカー"は,本明細書で使用されるように,生物分解性のリンカーとして,一つの分子を他の一つの分子に接続するように,例えば生物学的に活性な分子を本発明のsiNA分子,又は本発明のsiNA分子のセンス鎖及びアンチセンス鎖に接続するようにデザインされた核酸,又は非核酸リンカー分子を意味する。生物分解性のリンカーは,その安定性が,例えば特定の組織,又は細胞タイプに送達する等,特定の目的のために調節され得るようデザインされる。核酸ベースの生物分解性のリンカー分子の安定性は,例えばリボヌクレオチド,デオキシリボヌクレオチド,及び化学修飾ヌクレオチド,例えば2’−O−メチル,2’−フルオロ,2’−アミノ,2’−O−アミノ,2’−C−アリル,2’−O−アリル,及び他の2’−修飾,又は塩基修飾ヌクレオチドの組合せ等の様々な化学構造を使用して調節され得る。生物分解性の核酸リンカー分子は,二量体,三量体,四量体,又はより長い核酸分子,例えば,約2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,又は20個のヌクレオチド長のオリゴヌクレオチド,又は例えば,ホスホロアミデート又はホスホジエステル結合のようなリンベースの結合を有する一個のヌクレオチドであり得る。生物分解性の核酸リンカー分子はまた,核酸バックボーン,核酸糖,又は核酸塩基修飾を有してもよい。
用語"生物分解性"は,本明細書で使用されるように,生体系内での例えば酵素的分解又は化学分解のような分解を意味する。
用語"生物学的に活性な分子"は,本明細書で使用されるように,系内で生物学的応答を誘発又は調節し得る化合物又は分子を意味する。本明細書にて想定される生物学的に活性なsiNA分子の非限定的な例は,単独で,又は他の分子と組合せて,抗体,コレステロール,ホルモン,抗ウイルス,ペプチド,タンパク質,化学療法薬,小分子,ビタミン,補助因子,ヌクレオシド,ヌクレオチド,オリゴヌクレオチド,酵素性核酸,アンチセンス核酸,三重オリゴヌクレオチド,2,5−Aキメラ,siNA,dsRNA,アロザイム,アプタマー,デコイ及びその類似体のような,治療活性を有する分子を含む。本発明の生物学的に活性な分子はまた,他の生物学的に活性な分子,例えば,脂質及びポリマー,例えばポリアミン,ポリアミド,ポリエチレングリコール及び他のポリエステルの薬物動態及び/又は薬力学を調節することができる分子を含む。
用語"リン脂質"は,本明細書で使用されるように,少なくとも一つのリン基を有する疎水性分子を意味する。例えば,リン脂質は,リン含有基,及び飽和又は不飽和アルキル基を有してもよく,任意にてOH,COOH,オキソ,アミン,又は置換若しくは非置換アリール基で置換される。
外来的に送達された治療的核酸分子(例,siNA分子)は,RNAの逆転写が,RN転写産物のレベルを低下させる迄十分に長く調節されるよう,細胞内で安定性を最適に保つ。核酸分子は,有効な細胞内治療薬として機能するようヌクレアーゼ耐性を有する。本発明及び当該技術分野に記載される核酸分子の化学合成の改良は,上述したように,ヌクレオチド修飾を導入してヌクレアーゼ安定性を高めたことにより,核酸分子を調節する能力が拡大された。
更に別の一実施態様において,RNAiに関与するタンパク質の酵素活性を保持又は高める化学修飾を有するsiNA分子を提供する。このような核酸はまた,非修飾核酸と比較してヌクレアーゼ耐性が高い。従って,インビトロ及び/又はインビボにて活性が有意に低下しないものと想定される。
本発明の核酸ベースの分子の使用により,組合せ治療の可能性が得られ,それにより更に治療が向上するものと想定される(例,異なる遺伝子を標的とする多数のsiNA分子,周知の小分子モジュレータと結合した核酸分子,又は異なるモチーフ及び/又は他の化学的若しくは生物学的分子等の分子の組合せによる周期性治療)。siNA分子による被験者の治療にはまた,異なるタイプの核酸分子,例えば酵素的核酸分子(リボザイム),アロザイム,アンチセンス,2,5−Aオリゴアデニレート,デコイ,及びアプタマーとの組合せ治療も含まれる。
別の一局面において,本発明のsiNA分子は,例えばセンスsiNA鎖のみ,アンチセンスsiNA鎖のみ,又は両方のsiNA鎖に,一つ又はそれ以上の5’及び/又は3’−キャップ構造を含む。
"キャップ構造"は,オリゴヌクレオチドのいずれかの末端に組み込まれている化学修飾を意味する(例えば,参照により本明細書に加入されるAdamic等,米国特許第5,998,203号を参照)。これらの末端修飾は,核酸分子をエキソヌクレアーゼ分解から保護し,かつ細胞内で送達及び/又は局在化を補助し得る。キャップは5’−末端(5’−キャップ)又は3’−末端(3’−キャップ)に存在し得るか,又は両方の末端に存在し得る。非限定的な例において,5’−キャップはグリセリル,逆位デオキシ脱塩基残基(部分)4’,5’−メチレンヌクレオチド,1−(β−D−エリトロフラノシル)ヌクレオチド,4’−チオヌクレオチド,炭素環式ヌクレオチド,1,5−アンヒドロヘキシトールヌクレオチド,L−ヌクレオチド,α−ヌクレオチド,修飾塩基ヌクレオチド,ホスホロジチオエート結合,トレオ−ペントフラノシルヌクレオチド,非環式3’,4’−セコヌクレオチド,非環式3,4−ジヒドロキシブチルヌクレオチド,非環式3,5−ジヒドロキシペンチルヌクレオチド,3’−3’逆位ヌクレオチド部分,3’−3’逆位脱塩基部分,3’−2’逆位ヌクレオチド部分,3’−2’逆位脱塩基部分,1,4−ブタンジオールホスフェート,3’−ホスホロアミデート,ヘキシルホスフェート,アミノヘキシルホスフェート,3’−ホスフェート,3’−ホスホロチオエート,ホスホロジチオエート,又は架橋又は非架橋メチルホスホネート部分を含むが,これらに限定されるものではない。図10に,キャップ部分の非限定的な例を示す。
3’−キャップの非限定的な例は,グリセリル,逆位デオキシ脱塩基残基(部分),4’,5’−メチレンヌクレオチド,1−(β−D−エリトロフラノシル)ヌクレオチド,4’−チオヌクレオチド,炭素環式ヌクレオチド,5’−アミノ−アルキルホスフェート,1,3−ジアミノ−2−プロピルホスフェート,3−アミノプロピルホスフェート,6−アミノヘキシルホスフェート,1,2−アミノドデシルホスフェート,ヒドロキシプロピルホスフェート,1,5−アンヒドロヘキシトールヌクレオチド,L−ヌクレオチド,α−ヌクレオチド,修飾塩基ヌクレオチド,ホスホロジチオエート,トレオ−ペントフラノシルヌクレオチド,非環式3’,4’−セコヌクレオチド,3,4−ジヒドロキシブチルヌクレオチド,3,5−ジヒドロキシペンチルヌクレオチド,5’−5’逆位ヌクレオチド部分,5’−5’逆位脱塩基部分,5’−ホスホロアミデート,5’−ホスホロチオエート,1,4−ブタンジオールホスフェート,5’−アミノ,架橋及び/又は非架橋5’−ホスホロアミデート,ホスホロチオエート及び/又はホスホロジチオエート,架橋又は非架橋メチルホスホネート及び5’−メルカプト部分を含むが,これらに限定されるものではない(より詳細には,参照により本明細書に加入されるBeaucage及びIyer,1993,Tetrahedron49,1925を参照)。
用語"非ヌクレオチド"は,糖及び/又はホスフェート置換を含む,核酸鎖の一つ又はそれ以上のヌクレオチド単位の代わりに組み込まれ,残りの塩基がその酵素活性を示し得る任意の基又は化合物を意味する。その基又は化合物は,例えばアデノシン,グアニン,シトシン,ウラシル又はチミンのような,通常認識されるヌクレオチド塩基を含まず,従って1’−位に塩基が存在しないことから脱塩基である。
"アルキル"基は,飽和脂肪族炭素水素を指し,直鎖,分岐鎖,及び環式アルキル基を含む。好ましくは,アルキル基は1〜12個の炭素を有する。より好ましくは,アルキルは1〜7個の炭素,更に好ましくは1〜4個の炭素を有する低級アルキルである。アルキル基は,置換されても又は置換されていなくてもよい。置換されている場合,置換基(一つ又は複数)は,好ましくはヒドロキシル,シアノ,アルコキシ,=O,=S,NO2又はN(CH32,−アミノ,又はSHである。本用語はまた,少なくとも一つの炭素−炭素二重結合が含まれる不飽和炭素水素基である,直鎖,分岐鎖,及び環式基を含むアルケニル基も含む。好ましくは,アルケニル基は1〜12個の炭素を有する。より好ましくは,アルケニルは1〜7個の炭素,更に好ましくは1〜4個の炭素を有する低級アルケニルである。アルケニル基は,置換されても又は非置換されていなくてもよい。置換されている場合,置換基(一つ又は複数)は,好ましくはヒドロキシル,シアノ,アルコキシ,=O,=S,NO2,ハロゲン,N(CH32,−アミノ,又はSHである。用語"アルキル"はまた,少なくとも一つの炭素−炭素三重結合が含まれる不飽和炭化水素基である,直鎖,分岐鎖,及び環式基を含むアルキニル基も含む。好ましくは,アルキニル基は1〜12個の炭素を有する。より好ましくは,1〜7個の炭素,更に好ましくはアルキニルは1〜4個の炭素を有する低級アルキニルである。アルキニル基は,置換されても又は置換されていなくてもよい。置換されている場合,置換基(一つ又は複数)は,好ましくはヒドロキシル,シアノ,アルコキシ,=O,=S,NO2若しくはN(CH32,−アミノ又はSHである。
このようなアルキル基は,アリール,アルキルアリール,炭素環式アリール,複素環式アリール,アミド,及びエステル基を含み得る。"アリール"基は,共役したπ電子系を含む少なくとも一つの環を有する芳香族基を指し,炭素環式アリール,複素環式アリール及びビアリール基を含む。これら全ては,任意にて置換されてもよい。アリール基の好ましい置換基(一つ又は複数)は,ハロゲン,トリハロメチル,ヒドロキシル,SH,OH,シアノ,アルコキシ,アルキル,アルケニル,アルキニル,及びアミノ基を含む。"アルキルアリール"基は,(上述したような)アリール基に共有結合した(上述したような)アルキル基を指す。炭素環式アリール基は,芳香環上の環原子が全て炭素原子の基である。炭素原子は,任意にて置換されてもよい。複素環式アリール基は,芳香環内に環原子として1〜3個のヘテロ原子を含み,かつ残りの環原子が炭素原子の基である。適切なヘテロ原子には酸素,硫黄,及び窒素が含まれ,また複素環式アリール基には,フラニル,チエニル,ピリジル,ピロリル,N−低級アルキルピロロ,ピリミジル,ピラジニル,イミダゾリル及び同様物が含まれ,全て任意にて置換されてもよい。"アミド"は−C(O)−NH−Rを指し,ここでRは,アルキルアリール,アルキルアリール又は水素のいずれかである。"エステル"は−C(O)−OR’を指し,ここでRは,アルキルアリール,アルキルアリール又は水素のいずれかである。
本明細書で使用されるように,"ヌクレオチド"は,当該技術分野では天然塩基(標準),及び周知の修飾塩基を含むと理解されている。このような塩基は,通常,ヌクレオチドの糖部分の1’位に位置する。ヌクレオチドは,通常,塩基,糖及びリン酸基を含む。ヌクレオチドは糖,ホスフェート及び/又は塩基部分が修飾されていても,又はいなくてもよい(これらは交換可能に,ヌクレオチド類似体,修飾ヌクレオチド,非天然ヌクレオチド,非標準ヌクレオチド及びその他とも称される。例えば,全て本明細書に参照により加入されるUsman及びMcSwiggen,前出,Eckstein等,国際特許出願公開第WO92/07065号,Usman等,国際特許出願公開第WO93/15187号,Uhlman&Peyman,前出を参照されたい)。修飾核酸塩基には,Limbach等,1994,Nucleic Acids Res.22,2183に要約されているように,公知の数個の例が存在する。核酸分子内に導入され得る塩基修飾の非限定的な数個の例は,イノシン,プリン,ピリジン−4−オン,ピリジン−2−オン,フェニル,シュードウラシル,2,4,6−トリメトキシベンゼン,3−メチルウラシル,ジヒドロウリジン,ナフチル,アミノフェニル,5−アルキルシチジン(例,5−メチルシチジン),5−アルキルウリジン(例,リボチミジン),5−ハロウリジン(例,5−ブロモウリジン)又は6−アザピリミジン若しくは6−アルキルピリミジン(例,6−メチルウリジン),プロピン,及び他を含む(Burgin等,1996,Biochemistry,35,14090,Uhlman&Peyman,前出)。本局面において"修飾塩基"は,1’位に存在するアデニン,グアニン,シトシン及びウラシル以外のヌクレオチド塩基,又はその等価物を意味する。
一実施態様において,本発明は,一つ又はそれ以上のホスホロチオエート,ホスホロジチオエート,メチルホスホネート,リン酸トリエステル,モルフォリノ,カルバミン酸アミド,カルボキシメチル,アセトアミデート,ポリアミド,ススフォネート,スルホンアミド,スルファメート,ホルムアセタール,チオホルムアセタール,及び/又はアルキルシリル置換を含むホスフェートバックボーン修飾を有する修飾iNA分子に関する。オリゴヌクレオチドバックボーン修飾の再考には,Hunziker及びLeumann,1995,Nucleic Acids Analogues:Synthesis and Properties,in Modern Synthetic Methods,VCH,331−417,及びMesmaeker等,1994,Novel Backbone Replacements for Oligonucleotides,in Carbohydrate Modifications in Antisense Research,ACS,24−39を参照されたい。
"脱塩基"は,1’位に塩基を欠いた,又は塩基の代わりに他の化学基を有する糖部分を意味する。例えばAdamic等,米国特許第5,998,203号を参照されたい。
"非修飾ヌクレオシド"は,β−D−リボフラノースの1’炭素に結合したアデニン,シトシン,グアニン,チミン,又はウラシルのいずれかの塩基を意味する。
"修飾ヌクレオシド"は,非修飾ヌクレオチドの塩基,糖及び/又はホスフェートの化学構造において修飾を含む,任意のヌクレオチド塩基を意味する。修飾ヌクレオチドの非限定的な例は,式I〜VII,及び/又は本明細書に記載される他の修飾で示される。
本発明に記載されているような2’−修飾ヌクレオチドと関連して,"アミノ"は,修飾されていても,又は修飾されていなくてもよい2’−NH2又は2’−O−NH2を意味する。このような修飾基は,例えば,Eckstein等,米国特許第5,672,695号,及びMatulic−Adamic等,米国特許第6,248,878号に記載されており,これら双方はその全容が参照により本明細書に加入される。
核酸siNA構造に様々な修飾を行って,それらの分子の有用性を高めることができる。そのような修飾は,有効期間,インビトロ半減期,安定性,及び標的部位へのそのようなオリゴヌクレオチドの導入の容易性,例えば細胞膜の貫通性を高め,標的細胞に対する認識及び結合能力を付与する。
核酸分子の投与
本発明のsiNA分子は,単独で,又は他の治療と組合せて,毛の成長を防止,抑制,又は低下させ,除毛(脱毛)のため,及び/又は脱毛症及び無毛症,及び/又は細胞又は組織内のHairless(HR)レベルに関連した,又はそれに応じた任意の他の形質,疾患又は病状の予防若しくは治療に使用されるよう適合され得る。一実施態様において,本発明のsiNA分子及び製剤又は組成物は,周知のように,真皮又は濾胞に対して直接又は局所的に投与される(例,局所投与)。(例えばBrand,2001,Curr.Opin.Mol.Ther.,3,244−8,Regnier等,1998,J.Drug Target,5,275−89,Kanikkannan,2002,BioDrugs,16,339−47,Wraight等,2001,Pharmacol.Ther.,90,89−104,並びにPreat及びDujardin,2001,STP PharmaSciences,11,57−68を参照のこと)。
例えば,siNA分子は,被験者に投与されるためのリポソームを含む送達ビヒクル,担体及び希釈剤並びにそれらの塩を包含し,及び/又は,薬剤的に許容される製剤中に存在し得る。核酸分子の送達方法は,全て本明細書に参照により加入されるAkhtar等,1992,Trends Cell Bio.,2,139,Delivery Strategies for Antisense Oligonucleotide Therapeutics,ed.Akhtar,1995,Maurer等,1999,Mol.Membr.Biol.,16,129−140,Hofland及びHuang,1999,Handb.Exp.Pharmacol.,137,165−192,及びLee等,2000,ACS Symp.Ser.,752,184−192に記載されている。Beigelman等,米国特許第6,395,713号,及びSullivan等,国際特許出願公開第WO94/02595号には更に,核酸分子の一般的な送達方法が記載されている。これらのプロトコルは,事実上,任意の核酸分子の送達に使用され得る。核酸分子は,リポソーム内封入,イオン導入法,又は生物分解性のポリマー,ヒドロゲル,シクロデキストリン(例えばGonzalez等,1999,Bioconjugate Chem.,10,1068−1074,Wang等,国際特許出願公開第WO03/47518号及びWO03/46185号を参照),ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)(PLGA)及びPLCA微小球(例えば米国特許第6,447,796号,及び米国特許出願公開第US2002130430号を参照),生物分解性ナノカプセル,及び生物接着性微小球のような他のビヒクル中への組み込み,又はタンパク質性ベクターの使用(O’Hare及びNormand,国際特許出願公開第WO00/53722号)を含むが,これらに限定されない公知の多様な方法によって,細胞に投与することができる。別の一実施態様において,本発明の核酸分子はまた,ポリエチレンイミン及びその誘導体,例えばポリエチレンイミン−ポリエチレングリコール−N−アセチルガラクトサミン(PEI−PEG−GAL)又はポリエチレンイミン−ポリエチレングリコールトリ−N−アセチルガラクトサミン(PEI−PEG−トリGAL)誘導体と共に調製されるか,又複合体に形成され得る。
一実施態様において,本発明の核酸分子は,その全容が参照により本明細書に加入される米国特許出願公開第20030077829号に記載されているように調製される。一実施態様において,かように調製されたsiNA分子は,本発明のsiNA分子を毛嚢細胞に送達するために使用される。
一実施態様において,本発明のsiNA分子は,図面を含めその全容が参照により本明細書に加入される米国特許出願公開第20010007666号に記載されているような膜破壊剤と複合体を形成する。別の一実施態様において膜破壊剤(一つ又は複数),及びsiNA分子はまた,図面を含めその全容が参照により本明細書に加入される米国特許第6,235,310号に記載されている脂質のような,カチオン性脂質又はヘルパー脂質分子と複合体を形成する。
一実施態様において,本発明のsiNA分子は,全て図面を含めその全容が参照により本明細書に加入される米国特許出願公開第2003077829号,並びに国際特許出願公開第WO00/03683号及びWO02/087541号に記載されている送達システムと複合体を形成する。
一実施態様において,本発明の送達システムには,例えば水性及び非水性のジェル,クリーム,マルチプルエマルジョン,マイクロエマルジョン,リポソーム,軟膏,水溶液及び非水性溶液,ローション,エアロゾル,炭素水素ベース及び粉末が含まれ,また可溶化剤,浸透促進剤(例,脂肪酸,脂肪酸エステル,脂肪アルコール及びアミノ酸),及び親水性ポリマー(例,ポリカルボフィル及びポリビニルピロリドン)のような賦形剤を含有してもよい。一実施態様において,薬剤的に許容される担体は,リポソーム又は経皮送達促進剤(transdermal enhancer)である。本発明で使用され得るリポソームの例は,以下を含む。(1)CellFectin,カチオン性脂質N,NI,NII,NIII−テトラメチル−N,NI,NII,NIII−テトラパルミト−ワイ−スペルミン及びジオレイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)(GIBCOBRL)の1:1.5(M/M)リポソーム製剤,(2)CytofectinGSV,カチオン性脂質及びDOPE(GlenResearch)の2:1(M/M)リポソーム製剤,(3)DOTAP,N−[1−(2,3−ジオレオイルオキシ)−N,N,N−トリ−メチル−アンモニウムメチルスルフェート(Boehringer Manheim),並びに(4)Lipofectamine,ポリカチオン性脂質DOSPA及び中性脂質DOPE(GIBCOBRL)の3:1(M/M)リポソーム製剤。
一実施態様において,本発明の送達システムには,パッチ,錠剤,坐剤,膣坐剤,ジェル及びクリームが含まれ,また可溶化剤及び賦活剤(例,プロピレングリコール,胆汁酸塩,及びアミノ酸)等の賦形剤,並びに他のビヒクル(例,ポリエチレングリコール,脂肪酸エステル及びその誘導体,ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒアルロン酸等の親水性ポリマー)を含有してもよい。
一実施態様において,本発明のsiNA分子は,ポリエチレンイミン(例,線状又は分岐PEI)及び/又はポリエチレンイミン誘導体,例えばガラクトースPEI,コレステロールPEI,抗体誘導PEI,及びポリエチレングリコールPEI(PEG−PEI)誘導体のようなグラフトPEI(grafted PEI)と共に調製されるか,又は複合体を形成する(例えば本明細書に参照により加入されるOgris等,2001,AAPA PharmSci,3,1−11,Furgeson等,2003,Bioconjugate Chem.,14,840−847,Kunath等,2002,Phramaceutical Research,19,810−817,Choi等,2001,Bull.Korean Chem.Soc.,22,46−52,Bettinger等,1999,Bioconjugate Chem.,10,558−561,Peterson等,2002,Bioconjugate Chem.,13,845−854,Erbacher等,1999,Journal of Gene Medicine Preprint,1,1−18,Godbey等,1999,PNAS USA,96,5177−5181,Godbey等,1999,Journal of Controlled Release,60,149−160,Diebold等,1999,Journal of Biological Chemistry,274,19087−19094,Thomas及びKlibanov,2002,PNAS USA,99,14640−14645,及びSagara,米国特許第US6,586,524号を参照)。
一実施態様において,本発明のsiNA分子は,例えば全て本明細書に参照により加入されるVargeese等,2003年4月出願の米国特許出願第10/427,160号,米国特許第6,528,631号,米国特許第6,335,434号,米国特許第6,235,886号,米国特許第6,153,737号,米国特許第5,214,136号,米国特許第5,138,045号に記載されている核酸コンジュゲートのようなバイオコンジュゲートを含む。
従って,本発明は,例えば安定剤,緩衝剤,及び同様物のような許容される担体中に,一つ又はそれ以上の本発明の核酸を含む薬剤組成物に関する。本発明のポリヌクレオチドは,投与可能であり(例,RNA,DNAまたはタンパク質),任意の標準的手段を用いて,薬剤組成物を形成するための安定剤,緩衝剤,及び同様物と伴に,又は伴わずに,被験者に導入される。リポソーム送達機構の使用が所望される場合,リポソーム形成のための標準プロトコルに従い得る。本発明の組成物は,調剤されてクリーム,ジェル,スプレー,オイル,又は局所,皮膚,若しくは経皮投与に適切な他の組成物として使用され得る。
本発明は,本明細書に記載されている化合物の薬剤的に許容される製剤も含む。それらの製剤は,上記の化合物の塩,例えば,塩酸塩,臭化水素酸塩,酢酸塩,及びベンゼンスルホン酸塩のような酸付加塩を含む。
薬理学的組成物,又は製剤とは,例えば細胞,又はヒト等の被験者内への,全身又は局所投与のような投与に適した形態の組成物,又は製剤を意味する。適切な形態は,一部には,用法,又は例えば経口,経皮,若しくは注入等,入り込む際の経路に依存する。これらの形態は,組成物又は製剤の標的細胞への到達を妨げるものであってはならない(即ち,ある細胞への送達には,負荷電の核酸が望ましい)。例えば,血流内に注入される薬理学的組成物は,可溶性である必要がある。他の要素も周知であり,それには例えば毒性や,組成物又は製剤がその有効性を発揮することを妨げる形態等の考察が含まれる。
一実施態様において,本発明のsiNA分子は,薬剤的に許容される組成物又は製剤による全身投与によって,被験者に投与される。"全身投与"とは,インビボでの薬物の血流内への全身性吸収,又は蓄積と,続く全身への分配を意味する。全身性吸収へ誘導される投与経路は,静脈内,皮下,腹膜内,吸入,経口,肺内及び筋内を含むが,これらに限定されるものではない。これら各投与経路は,本発明のsiNA分子を接近可能な疾患組織に暴露する。循環内へ薬物が入り込む割合は,分子量又は分子サイズの関数であることが証明されている。本発明の化合物を含むリポソーム又は他の薬物担体を使用することによって,薬物を潜在的に,例えば細網内皮系組織(RES)のような所定の組織タイプ等に局在化することができる。薬物の細胞表面に対する結合を促進し得るリポソーム製剤,例えばリンパ球及びマクロファージのようなもまた有用である。このアプローチによって,異常細胞のマクロファージ及びリンパ球免疫認識の特異性を利用することにより,薬物の標的細胞への送達を向上させることができる。
"薬剤的に許容される製剤",又は"薬剤的に許容される組成物"は,本発明の核酸分子を,それらの所望の活性に最も適切な物理的位置へ有効に分配することができる組成物又は製剤を意味する。本発明の核酸分子と適切な製剤を形成する薬剤の非限定的な例は,P−グリコタンパク質抑制剤(例えばPluronicP85),生物分解性ポリマー,例えば持続放出送達のためのポリ(DL−ラクチド−コグリコリド)微小球(Emerich,DF等,1999,Cell Transplant,8,47−58),及び例えばポリブチルシアノアクリレート製の充填ナノ粒子を含む。本発明の核酸分子の他の非限定的な送達戦略は,Boado等,1998,J.Pharm.Sci.,87,1308−1315,Tyler等,1999,FEBS Lett.,421,280−284,Pardridge等,1995,PNAS USA.,92,5592−5596,Boado,1995,Adv.Drug Delivery Rev.,15,73−107,Aldrian−Herrada等,1998,Nucleic Acids Res.,26,4910−4916,及びTyler等,1999,PNAS USA.,96,7053−7058に記載されている材料を含む。
本発明はまた,ポリ(エチレングリコール)脂質を含んだ表面修飾リポソーム(PEG−修飾,又は長時間循環リポソーム,即ちステルスリポソーム)と,本発明の核酸分子とを含む組成物の使用にも関する。これらの製剤は標的組織内の薬物(例,siNA)の蓄積を増大させるための方法を提供する。薬物担体のこのクラスは,オプソニン化,及び単核食細胞系(MPS又はRES)による除去に抵抗することによって,血液循環時間をより長くし,またカプセル化薬物の組織暴露を高めることができる。(Lasic等,Chem.Rev.1995,95,2601−2627,Ishiwata等,Chem.Pharm.Bull.1995,43,1005−1011)。このようなリポソームは,おそらく血管外遊出,及び新生血管標的組織内への捕獲によって,腫瘍内に選択的に蓄積されることが証明されている(Lasic等,Science 1995,267,1275−1276,Oku等,1995,Biochim.Biophys.Acta,1238,86−90)。長時間循環リポソームは,特にMPSの組織内に蓄積することで知られる従来のカチオン性リポソームと比較して,DNA及びRNAの薬物動態及び薬力学を高める(Liu等,J.Biol.Chem.1995,42,24864−24870,Choi等,国際特許出願公開第WO96/10391号,Ansell等,国際特許出願公開第WO96/10390号,Holland等,国際特許出願公開第WO96/10392号)。長時間循環リポソームは,たとえば肝臓及び秘蔵のような代謝の激しいMPS組織内の蓄積を避ける能力により,カチオン性リポソームと比較して,薬物をヌクレアーゼ分解から相当保護するものと思われる。
本発明はまた,薬剤的に許容される担体又は希釈剤中に薬剤的有効量の所望の化合物を含む,保管又は投与のために調製された組成物を含む。治療的使用のための許容される担体又は希釈剤は,薬学にて周知であり,例えば参照により本明細書に加入されるRemington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.(A.R.Gennaro edit.1985)に記載されている。例えば,保存料,安定剤,色素及び矯味矯臭剤を挙げることができる。それらには,安息香酸ナトリウム,ソルビン酸,及びp−ヒドロキシ安息香酸のエステルが含まれる。加えて,酸化防止剤及び懸濁剤を使用することができる。
薬剤的有効用量とは,疾患状態の予防,発症の抑制,又は治療(好ましくは全症状の,ある程度の緩和)に必要な用量である。薬剤的有効用量は,疾患の種類,使用する組成物,投与経路,治療される哺乳類の種類,考慮されている特定の哺乳類の物理的特徴,併用薬,及び当業者が認識し得る他の因子に依存する。一般に,負荷電ポリマーの有効性に応じて,体重1kgあたり0.1mg/kg〜100mg/日の量の活性成分が投与される。
本発明の核酸分子及びその製剤は,従来の薬剤的に許容される非毒性の担体,補助剤及び/又はビヒクルを含有する単位用量製剤にて,経口で,局所的に,非経口で,吸入若しくはスプレーにより,又は直腸経由で投与され得る。本明細書で使用されるように,用語非経口は,経皮,皮下,血管内(例,静脈内),筋内,又は鞘内注入手法,及び同様物を含む。加えて,本発明の核酸分子,及び薬剤的に許容される担体を含有する薬物製剤を提供する。一種又はそれ以上の本発明の核酸分子が,一種又はそれ以上の薬剤的に許容される非毒性の担体及び/又は希釈剤及び/又は補助剤,及び所望により他の活性成分と共に存在し得る。本発明の核酸分子を含有する薬剤組成物は,例えば,錠剤,トローチ,ロゼンジ,水性若しくは油性懸濁液,分散可能な粉末若しくは顆粒,エマルジョン,硬質若しくは軟質カプセル,又はシロップ若しくはエリキシルのような経口使用に適切な形態であり得る。
経口使用が意図される組成物は,薬剤組成物の製造にて周知の任意の方法に従って製造することができ,またそのような組成物は,一種又はそれ以上の甘味剤,矯味矯臭剤,着色剤又は保存料を含有して,薬剤的に洗練した及び味のよい調剤を提供し得る。錠剤は,錠剤の製造に適切な薬剤的に許容される非毒性の賦形剤との混合物中に,活性成分を含有する。これら賦形剤は,例えば,不活性希釈剤,例えば炭酸カルシウム,炭酸ナトリウム,乳糖,リン酸カルシウム若しくはリン酸ナトリウム,顆粒化剤,及び錠剤崩壊剤,例えば,コーンスターチ,又はアルギン酸,結合剤,例えばデンプン,ゼラチン又はアカシアゴム,及び滑沢剤,例えばステアリン酸マグネシウム,ステアリン酸又はタルクであり得る。錠剤は,コーティングされないか,又は周知の技術でコーティングされ得る。ある場合には,そのようなコーティングは,胃腸管内での崩壊及び吸収遅延させることによって,より長時間に亘る持続作用を得る公知の技術により調製され得る。例えば,モノステアリン酸グリセリル又はステアリン酸グリセリルのような時間遅延材料が使用され得る。
経口使用のための製剤は,硬質のゼラチンカプセルとしても存在し得,ここで活性成分は不活性固体希釈剤,例えば炭酸カルシウム,リン酸カルシウム又はカオリンと混合される。あるいは経口使用のための製剤は,軟質のゼラチンカプセルとしても存在し得,ここで活性成分は,水,又は例えば落花生油,流動パラフィン又はオリーブ油のような油媒体と混合される。
水性懸濁液は,水性懸濁液を製造するに適切な賦形剤との混合物中にて活性物質を含有する。そのような賦形剤は,例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム,メチルセルロース,ヒドロプロピル−メチルセルロース,アルギン酸ナトリウム,ポリビニルピロリドン,トラガカントゴム及びアカシアゴムのような懸濁剤,分散剤又は湿潤剤は,天然に存在するリン脂質であり得,例えば,レシチン,又は例えばポリオキシエチレンステアレートのような,アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合物,又は例えばヘプタデカエチレンオキシセタノールのような,エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合物,又は例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトールのような,エチレンオキシドと,脂肪酸及びヘキシトールから誘導された部分エステルとの縮合物,例えばモノオレイン酸ポリエチレンソルビタンのような無水物である。水性懸濁液はまた,一つ又はそれ以上の保存料,例えばエチル,又はn−プロピルp−ヒドロキシベンゾエート,一種又はそれ以上の着色剤,一種又はそれ以上の矯味矯臭剤,及び例えばショ糖又はサッカリンのような,一種又はそれ以上の甘味剤を含有し得る。
油性懸濁液は,活性成分を,ベジタブルオイル,例えば落花生油,オリーブ油,ごま油若しくはココナッツ油,又は例えば流動パラフィンのような鉱油中に懸濁させて調製され得る。油性懸濁液は,増粘剤,例えば蜜蝋,固形パラフィン又はセチルアルコールを含有してもよい。味のよい経口製剤を作成するために,甘味剤及び矯味矯臭剤を加えてもよい。これら組成物は,例えばアスコルビン酸のような酸化防止剤を加えることにより保存され得る。水を加えて水性懸濁液を調製するに適切な分散可能な粉末及び顆粒は,分散剤若しくは湿潤剤,懸濁剤,及び一つ又はそれ以上の保存料との混合物中に活性成分を提供する。適切な分散剤若しくは湿潤剤,又は懸濁剤は,上記にて既に言及したものに例示される。追加の賦形剤,例えば甘味剤,矯味矯酬剤,及び着色剤存在し得る。
本発明の薬剤組成物は,水中油型のエマルジョンの形態で存在し得る。油相は,ベジタブルオイル若しくは鉱油又はそれらの混合物であり得る。適切な乳化剤は,天然に存在するガム,例えばアカシアガム若しくはトラガカントガム,天然に存在するリン脂質,例えば大豆,レシチン,及び脂肪酸とヘキシトールとから誘導されたエステル若しくは部分エスエル,無水物,例えばモノオレイン酸ソルビタン,及び上記の部分エステルとエチレンオキシドとの縮合物,例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンであり得る。エマルジョンはまた,甘味剤及び矯味矯臭剤を含有してもよい。
シロップ及びエリキシルは,甘味剤,例えばグリセロール,プロピレングリコール,ソルビトール,ブドウ糖又はショ糖と共に調製され得る。このような製剤はまた,粘滑剤,保存料,並びに矯味矯臭剤及び着色剤を含有し得る。薬剤組成物は,無菌注射用水性又は油性懸濁液の形態で存在し得る。この懸濁液は,上記に言及してある適切な分散剤又は湿潤剤を用いて,当該技術分野にて周知のように調製され得る。無菌注射用製剤は,例えば1,3−ブタンジオール中の溶液のような,非経口的に許容される非毒性の希釈剤又は溶媒中の注射可能な無菌溶液,又は懸濁液でもあり得る。使用され得る許容されるビヒクル及び溶媒には,水,リンゲル溶液,及び等張塩化ナトリウム溶液がある。加えて,無菌,固定油が従来より溶媒又は懸濁媒体として使用されている。この目的のために,合成モノ又はジグリセリドを含む任意の刺激の少ない固定油を使用し得る。加えて,注射溶液の調製には,例えばオレイン酸のような脂肪酸も有用である。
本発明の核酸分子はまた,例えば薬剤の直腸投与のために坐剤の形態にて投与されてもよい。これらの組成物は,薬物を,常温で固体だが,直腸の温度では液体であり,従って直腸内で融解して薬物を放出する適切な無刺激性賦形剤と共に混合して調製され得る。そのような材料には,ココアバター,及びポリエチレングリコールがある。
本発明の核酸分子は,無菌媒体にて非経口的に投与され得る。薬物は,使用されるビヒクル及び濃度に応じて,ビヒクル中に懸濁されるか,又は溶解されるかのいずれかであり得る。都合よくは,局所麻酔薬のような補助剤,保存料及び緩衝剤をビヒクル中に溶解し得る。
上記した状態の治療には,体重1kgあたり約0.1mg〜約140mg/日のオーダーの用量レベルが実用的である(被験者一人あたり,約0.5mg〜約7g/日)。担体材料と組合せて単一用量を形成し得る活性成分量は,治療される対象と,特定の投与モードとに応じて変動する。単位用量形態は,一般に活性成分を約1mg〜約500mg含有する。
任意の特定の被験者のための特定の用量レベルは,使用される特定の化合物の活性,年齢,体重,全身の健康,性別,食事,投与時間,投与経路,及び排泄率,薬物の組合せ,及び治療を受けている特定患者の重症度を含む種々の要因に依存することが理解される。
ヒトではない動物への投与のために,組成物は動物の飼料又は飲料水に加えてもよい。動物飼料及び飲料水組成物を調製して,動物が食事と共に治療的に適量の組成物を摂取すれば都合がよいであろう。組成物を,飼料又は飲料水に加えるためのプレミックスとして形成することも都合がよいと思われる。
本発明の核酸分子は,総合的な治療効果を上昇させるために,他の治療化合物と組合せて投与されてもよい。複数の化合物を使用して徴候を治療することにより有益な効果が増すと共に,副作用が軽減される。
代替的に,本発明の特定のsiNA分子は,真核生物プロモーターから細胞内に発現させることができる(例,Izant及びWeintraub,1985,Science,229,345,McGarry及びLindquist,1986,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA83,399,Scanlon等,1991,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,88,10591−5,Kashani−Sabet等,1992,Antisense Res.Dev.,2,3−15,Dropulic等,1992,J.Virol.,66,1432−41,Weerasinghe等,1991,J.Virol.,65,5531−4,Ojwang等,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89,10802−6,Chen等,1992,Nucleic Acids Res.,20,4581−9,Sarver等,1990 Science,247,1222−1225,Thompson等,1995,Nucleic Acids Res.,23,2259,Good等,1997,Gene Therapy,4,45)。当業者は,適切なDNA/RNAベクターから,真核生物細胞内で任意の核酸を発現させ得ることを理解するであろう。そのような核酸の活性は,酵素性核酸による一次転写産物からのそれらの放出により増大され得る(Draper等,国際特許出願公開第WO93/23569号,及びSullivan等,国際特許出願公開第WO94/02595号,Ohkawa等,1992,Nucleic Acids Symp.Ser.,27,15−6,Taira等,1991,Nucleic Acids Res.,19,5125−30,Ventura等,1993,Nucleic Acids Res.,21,3249−55,Chowrira等,1994,J.Biol.Chem.,269,25856)。
本発明の別の一局面において,本発明のRNA分子は,DNA又はRNAベクター内に挿入された転写単位(例えばCouture等,1996,TIG.,12,510を参照)から発現し得る。組み替えベクターは,DNAプラスミド又はウイルスベクターであり得る。ウイルスベクターを発現するsiNAは,アデノ関連ウイルス,レトロウイルス,アデノウイルス,又はαウイルスを基に構成され得るが,これに限定されるものではない。別の一実施態様において,polIIIベースの構成を使用して本発明の核酸分子を発現させ得る(例えばThompson,米国特許第5,902,880号及び米国特許第6,146,886号を参照)。siNA分子を発現可能な組み替えベクターは,上記に説明したように送達され得,標的分子内に存続する。代替的に,ウイルスベクターを使用して核酸分子を一過性発現させることもできる。そのようなベクターは,必要に応じて繰り返し投与され得る。一旦発現すると,siNA分子は,標的mRNAと相互作用して,RNAi応答を生成する。siNA分子発現ベクターの送達は,例えば静脈投与又は筋内投与するか,被験者から外植された標的細胞へ投与し,続いて被験者内に再導入するか,又は所望の標的細胞内へ導入し得る任意の他の手段を用いることにより全身的なものであり得る(再考には,Couture等,1996,TIG.,12,510を参照)。
一局面において,本発明は,本発明のsiNAの少なくとも一つをコード化する核酸配列を有する発現ベクターに関する。発現ベクターは,siNA二重鎖の一方若しくは両方の鎖,又はsiNA二重鎖に自己ハイブリダイズする一本の自己相補的な鎖をコード化し得る。本発明のsiNAをコード化する核酸配列は,siNA分子の発現を可能にするように,操作可能に連結され得る(例えばPaul等,2002,Nature Biotechnology,19,505,Miyagishi及びTaira,2002,Nature Biotechnology,19,497,Lee等,2002,Nature Biotechnology,19,500,Novina等,2002,Nature Medicine,オンライン版doi,10.1038/nm725,Kaplitt等,米国特許第6,180,613号,Davidson,国際特許出願公開第WO04/013280号を参照)。
別の一局面において,本発明はa)転写開始領域(例,真核生物polI,II又はIII開始領域),b)転写終結領域(例,真核生物polI,II又はIII終結領域),及びc)本発明のsiNA分子の少なくとも一つをコード化する核酸配列を有する発現ベクターに関し,該配列は,siNA分子を発現及び/又は送達し得るように,開始領域及び終結領域に,操作可能に連結されている。ベクターは,任意にて,本発明のsiNAをコード化する配列の5’側又は3’側に操作可能に連結された,タンパク質のためのオープンリーディングフレーム(ORF),及び/又はイントロン(介在配列)を有し得る。
siNA分子配列の転写は,真核生物RNAポリメラーゼI(polI),RNAポリメラーゼII(polII),又はRNAポリメラーゼIII(polIII)のためのプロモーターから操作され得る。polII又はpolIIIプロモーターからの転写産物は,全細胞内にて高いレベルで発現され,所定の細胞型内の所定のpolIIプロモーターのレベルは,近傍に存在する遺伝子調節配列(エンハンサー,サイレンサー等)の性質に依存する。原核生物RNAポリメラーゼ酵素が適切な細胞内で発現される場合には,原核生物RNAポリメラーゼプロモーターも使用され得る(Elroy−Stein及びMoss,1990,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87,6743−7,Gao及びHuang1993,Nucleic Acids Res.,21,2867−72,Lieber等,1993,Methods Enzymol.,217,47−66,Zhou等,1990,Mol.Cell.Biol.,10,4529−37)。幾人かの研究者は,このようなプロモーターから発現される核酸分子が,哺乳類細胞内で機能し得ることを証明している(例,Kashani−Sabet等,1992,Antisense Res.Dev.,2,3−15,Ojwang等,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89,10802−6,Chen等,1992,Nucleic Acids Res.,20,4581−9,Yu等,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90,6340−4,L’Huillier等,1992,EMBOJ.,11,4411−8,Lisziewicz等,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A,90,8000−4,Thompson等,1995,Nucleic Acids Res.,23,2259,Sullenger&Cech,1993,Science,262,1566)。より詳細には,U6小核RNA(snRNA),転移RNA(tRNA)及びアデノウイルスVA RNAをコード化する遺伝子由来の転写単位は,細胞内でsiNA等の所望のRNA分子の高い濃度を生成するのに有用である(Thompson等,前出,Couture及びStinchcomb,1996,前出,Noonberg等,1994,Nucleic Acids Res.,22,2830,Noonberg等,米国特許第5,624,803号,Good等,1997,Gene Ther.,4,45,Beigelman等,国際特許出願公開第WO96/18736号)。上記のsiN転写単位は,プラスミドDNAベクター,ウイルスDNAベクター(例えばアデノウイルス又はアデノ関連ウイルスベクター),又はウイルスRNAベクター(例えばレトロウイルス又はαウイルスベクター)を含むがこれに限定されない,哺乳類細胞内に導入するための様々なベクター内に組み込まれ得る(再考には,Couture及びStinchcomb,1996,前出,を参照)。
別の一局面において本発明は,本発明のsiNA分子の少なくとも一つを,該siNA分子の発現を可能にするようにコード化する核酸配列を有する発現ベクターに関する。一実施態様において,発現ベクターは,a)転写開始領域,b)転写終結領域,及びc)siNA分子の少なくとも一つの鎖をコード化する核酸配列を有し,ここで該配列は,siNA分子を発現及び/又は送達し得るように,該開始領域及び終結領域に操作可能に連結されている。
別の一実施態様において,発現ベクターは,a)転写開始領域,b)転写終結領域,c)オープンリーディングフレーム,及びd)siNA分子の少なくとも一つの鎖をコード化する核酸配列を有し,ここで該配列はオープンリーディングフレームの3’−末端に操作可能に連結され,該配列は,siNA分子を発現及び/又は送達し得るように,開始領域,オープンリーディングフレーム及び終結領域に操作可能に連結されている。更に別の一実施態様において,発現ベクターは,a)転写開始領域,b)転写終結領域,c)イントロン,及びd)siNA分子の少なくとも一つをコード化する核酸配列を有し,ここで該配列は,siNA分子を発現及び/又は送達し得るように,開始領域,イントロン及び終結領域に操作可能に連結されている。
別の一実施態様において,発現ベクターは,a)転写開始領域,b)転写終結領域,c)。イントロン,d)オープンリーディングフレーム,及びe)siNA分子の少なくとも一つの鎖をコード化する核酸配列を有し,ここで該配列は,オープンリーディングフレームの3’−末端に操作可能に連結され,該配列は,siNA分子を発現及び/又は送達し得るように,開始領域,イントロン,オープンリーディングフレーム及び終結領域に操作可能に連結されている。
Hairlessの生物学及び生物化学
以下の説明は,"HAIRLESS,MOUSE,HOMOLOGOF,HR",Copyright(D1966−2004 Johns Hopkins University)のためのOMIMデータベースエントリーを脚色したものである。毛の成長は,3期,即ちアナゲン期(成長期),カタゲン期(退行期),及びテロゲン期(休止期)からなる非同期サイクルにて起こる。Hairless遺伝子の生成物は,この経路の一つの移行部分を調節し得る。表皮,繊維芽細胞,及び形質転換成長因子ファミリーのメンバーを含むサイトカイン及び成長因子の長いリストが毛の成長に関与しており,Hairless遺伝子の転写制御のための様々な潜在的標的を提供する。
無毛マウス(hr/hr)マウスは,最初に,1926年にBrookeによる(Brooke,1926,J.Hered.17,173−174)で説明された。続いて,“Hairless”遺伝子のイントロン6内への内因性ハツカネズミ白血病プロウイルスの自発的な組込みから突然変異が生じ(Stoye等,1988,Cell 54,383−391),その結果,異常なスプライシングが生じ,ホモ接合体hr/hrマウス内で正常なmRN転写産物は約5%のみ存在した(Cachon−Gonzalez等,1994,Proc.Nat.Acad.Sci.91,7717−7721)。ヒト,マウス,及びラットHairless遺伝子によってコード化されたタンパク質は,新奇でかつ保存された6−システインモチーフを伴う単一亜鉛フィンガードメインを含み,GATAファミリー,及びラット精巣内に発現する遺伝子によりコード化されるタンパク質であるTsgaに対して構造的相同性を有して転写因子として機能すると考えられる。
ヒトHairless遺伝子の完全なコード配列は,Ahmad等,1998,Science 279,720−724によって決定されており,189アミノ酸から構成される。ヒトHR遺伝子の発現パターンは,マウス及びラットにて観察される発現パターンと一致し,脳及び皮膚において相当量の発現と,それ以外の箇所において微量の発現とを伴う。先のマウス及びラットの研究と同様に,ヒトHRは,毛を支持する皮膚からの繊維芽細胞内で相当発現し,脳内で最も多量に発現した(Thompson,1996,J.Neurosci.,16,7832−7840)。
マウス’Hairless’遺伝子に対するヒト相同体のクローンニング,及び特徴付け(遺伝子は,Cichon等,1998,Hum.Molec.Genet.,7,1671−1679にて報告されている。Cichon等は,ヒトHairless遺伝子は選択的スプライシングを受け,またエクソン17の選択的使用から生成した少なくとも二つのアイソフォームがヒト組織内に発見されることを証明した。エクソン17を含むアイソフォームは,皮膚を除く全組織内で優位に発現し,皮膚では比較的短いアイソフォームの限定的な発現が観察される。このエクソン17配列を欠いたHairless転写産物の割合の組織特異的な相違は,先天性脱毛症を有する固体に観察される組織−疾患表現型に寄与するものであり得る。
ビタミンD受容体(VDR),及びHairless(HR)遺伝子の両方は,そのどちらかの不活性突然変異により脱毛症を発症することから,哺乳類の毛成長サイクルに重要な役割を果たしている。(Hsieh等,2003,J Biol Claem.,278,38665−74)。VDRは,リガンド活性化転写因子として機能する核内受容体であり,それに対してHairless遺伝子生成物(HR)は,甲状腺ホルモン受容体(TR)及びオーファン核受容体RORαの両方の補抑制体として作用する。Hseih等,前出,は,VDR−仲介トランス活性化が,ラットHRの共発現により著しく抑制されることを証明した。HRの抑圧(repressive)効果は,合成の及び天然に存在するVDR応答性プロモーターの両方上にて観察され,また更に,VDR−仲介トランス活性化がそのヘテロ二量体パートナー,レチノイドX受容体の過剰発現によって増大される際に観察される。インビトロプルダウン法を使用して,著者等は,HRは直接VDRに結合するが,HRによって機能的に抑圧されない核内受容体には僅かにのみ結合することを見いだした。共免疫沈降のデータは,HR及びVDRが細胞環境内にて関連性を有することを示し,それによってHR及びVDRのインビボ相互作用が示唆された。ヒトVDR内のHR接触部位は,活性化機能−2ドメインから分離した他の核内受容体内の,周知の補抑制体ドッキング領域であるリガンド結合ドメインの中央部に局在化していることが見いだされた。共免疫沈降,及びHR欠失体の機能的研究によって,VDRが,TR及びRORαの結合に必要なモチーフを含むHRのC−末端領域に接触することが明らかとなった。加えて,原位置での(insitu)マウス皮膚内のHR及びVDRmRNAのハイブリダイゼーション分析により,毛嚢細胞内の共局在化が証明され,インビボでのVDR標的遺伝子発現を抑圧するためのこれらのタンパク質間の細胞内相互作用の仮説と一致した(Hsieh等,2003,J Biol Chem.,278,38665−74)。
様々な研究にて,マウス及びヒトの両方で,脱毛症はHairless(HR)不活性化の特徴であることが示されている(Kong等,2002,Journal of investigative Dermatology,118,631−638)。毛の成長の調節におけるHRの役割を直接的に決定するため,Kong等,前出,は,ヒトケラチン14プロモーターを使用して,形質転換マウスの皮膚内のヒトHairless遺伝子発現を標的とし,Hairless導入遺伝子を発現している無毛ヌルマウスを生成させた。野生型の同腹子を用いて,Hairlessヌル,形質転換,及びヒトHairless−発現ヌルマウス,二つの形質転換系統を並行して研究した。形質転換マウスは極めて正常である一方HRヌル及びHRヌル/ヒトHRマウルは成長が遅延し,低カルシウム血症,二次性の上皮小体機能亢進症,及びくる病を発症した。脱毛症を発症したHRヌルマウスと対照的に,HRヌル/ヒトHRマウスは正常な被毛を示し,またその毛幹及び皮膚組織構造は野生型マウスのものと区別がつかなかった。免疫組織化学解析によって,ヒトHRは表皮の基底層,及び毛嚢の外毛根鞘内に高度に発現することが明らかとなった。毛嚢の形態形成中,野生型,HRヌル,形質転換,及びHRヌル/ヒトビタミンD受容体同腹子の皮膚内で,主な組織学的相違は観察されなかった。しかしながら,誕生から20日後,脱毛によりアナゲン期が誘発されると,無毛ヌルマウスは毛周期を開始しなかったのに対し,HRヌル/ヒトHRマウスは,野生型マウスと同様のアナゲン期毛嚢形成パターンを示した。興味深いことに,形質転換マウスは,遺伝子濃度依存的に,野生型及びHRヌル/ヒトHRマウスよりも早く毛嚢周期を開始した。これらのデータにより,マウスの出生後の毛嚢周期の開始には,ビタミンD受容体が必要であるという直接的な証拠が提供される(Kong等,2002,Journal of Investigative Dermatology,118,631−638)。
ビタミンD受容体を介して作用する活性ビタミンD代謝産物,1,25−ジヒドロキシビタミンDは,表皮を含む,様々なビタミンD応答性組織内にて遺伝子発現を調節する。表皮分化の仲介におけるビタミンD受容体の役割を調べるため,Xie等,2002,Journal of Investigative Dermatology,118,11−16は,遺伝子ターゲティングによって生成したビタミンD受容体ノックアウトマウスの表皮内の組織形態及び分化マーカーの発現を検査した。ホモ接合体ノックアウトマウスは,ヒトのビタミンD−依存性くる病タイプIIに非常に類似した表現型を示し,それにはくる病及び脱毛症の両方の発症が含まれた。誕生後3ヶ月迄に脱毛症が発症し,8ヶ月迄に徐々に完全な脱毛へと進行した。ホモ接合体ノックアウトマウスの皮膚の組織学的解析により,誕生後3週間から毛嚢が拡張し,皮膚嚢胞が形成されることが明らかとなった。これらの嚢胞は,年齢の上昇に伴いその寸法及び数が両方とも増大した。免疫染色及び原位置での(in situ)ハイブリダイゼーション法によって検出されたインボルクリン,プロフィラグリン,及びロリクリンを含む表皮分化マーカーは,誕生から3週間目迄のホモ接合体ノックアウトマウスにて低下した発現レベルを示した。次いで毛嚢内で組織形態の変化が観察された。しかしながら,ケラチン10レベルは低下されていないことが見いだされた。超微細構造レベルにて,ホモ接合体ノックアウトマウスでは顆粒層内に小さい密な顆粒が多数形成され,周囲のケラチン束は殆ど,又は全く存在せず,またケラトヒリアン顆粒が消失していた。このようなものとして,濾胞間表皮及び毛嚢の両方が,正常な分化のためにビタミンD受容体を必要とするものと想定される。二つのプロセス間の時間経過的な異常は,発生時の毛周期のアナゲン期においてビタミンD受容体の必要性を欠き,濾胞間表皮の末期分化上に影響を与えることを示す。
毛嚢周期におけるHairlessの役割から,Hairless遺伝子を標的とする短干渉核酸分子の使用によって,被験者又は有機体の毛の成長を防止,抑制,又は低下させるため,被験者又は有機体の除毛(脱毛)のため,及び/又は被験者又は有機体の脱毛症及び無毛症,及び/又は細胞又は組織内のHairless(HR)レベルに関連した又は応答する任意の他の形質,疾患又は病状の予防又は治療のために,単独で,又は他の治療と組合せて,使用することができる新規な薬剤の類が提供される。
実施例
以下は,本発明の核酸の選択,単離,合成及び活性を示す非限定的な実施例である。
実施例1:siNA構成のタンデム合成
本発明の例示的なsiNA分子は,切断可能なリンカー,例えば,スクシニルベースのリンカーを使用して一列(タンデム)に合成される。本明細書に記載されるタンデム合成は,RNAi分子を高収率で提供する一ステップ精製工程の前に行われる。このアプローチは,高スループットのRNAiスクリーニングに支持されsiNA合成に高い順応性を有し,マルチカラム又はマルチウエル合成プラットフォームに容易に適応され得る。
5’−末端ジメトキシトリチル(5’−O−DMT)基がそのまま残留する(トリチル−オン合成)siNAオリゴ及びその相補体のタンデム合成の完了後,オリゴヌクレオチドを上述したように脱保護した。その後,siNA配列鎖を自発的にハイブリダイズさせた。このハイブリダイズにより,一方の鎖が5’−O−DMT基を保持する一方,相補的な鎖は末端5’−ヒドロキシルを有する二重鎖が得られた。この新たに形成された二重鎖は,分子一方のみがジメトキシトリチル基を有する場合でも,慣例の固相抽出精製(トリチル−オン精製)中に,単一の分子として挙動した。鎖は安定な二重鎖を形成するため,例えば,C18カートリッジを用いた,一対のオリゴの精製にはジメトキシトリチル基(又は等価である基,例えば他のトリチル基又は他の疎水性部分)が唯一要求される。
逆位デオキシ脱塩基スクシネート,若しくはグリセリルスクシネートリンカー(図1参照)又は等価の切断可能なリンカー等のタンデムリンカーの導入迄,標準的なホスホロアミダオト合成を行った。使用され得るリンカー結合条件の非限定的な例には,例えばブロモトリピロリジノフォスフォニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBrOP)のような賦活剤の存在下での例えばジイソプロピルエチルアミン(DIPA)及び/又はDMAPのような障害塩基が含まれる。リンカーを結合した後,標準的な合成を用いて,末端5’−O−DMTをそのままに保持して第二の配列の合成を完了させた。合成後,生成したオリゴヌクレオチドを本明細書に記載した手順に従って脱保護し,例えば50mM NaOAc又は1.5M NH42CO3のような適切な緩衝剤でクエンチした。
siNA二重鎖の精製は,例えばアセトニトリル,2CVH20,及び2CV50mM NaOAcの1カラム容積(CV)でコンディショニングしたWaters C18 SepPak 1gカートリッジを使用する固相抽出により容易に実行し得る。サンプルを充填した後,1CVH20又は50mM NaOAcで洗浄した。不完全配列(failure sequence)を1CV14%ACN(50mM NaOAc及び50mM NaClと水溶液)で溶出した。その後,カラムを,例えば1CVH20で洗浄し,次いで例えば1CVof1%トリフルオロ酢酸(TFA)水溶液を通過させることにより,カラム上で脱トリチル化し,次いでカラムに第二のCVof1%TFA水溶液を加え,約10分間静止させた。残留したTFA溶液を除去してカラムをH2Oで,次いで1CV1M NaClで,更にH2Oで洗浄した。その後,1CV20%CAN水溶液を使用してsiNA二重鎖生成物を溶出した。
図2に,精製siNA構成のMALDI−TOFマススペクトル分析の例を示す。ここでピークは,個々のsiNA二重鎖の計算された質量と一致する。キャピラリゲル電気泳動(CGE)で分析した場合,同一の精製siNAが3個のピークを提供する。ピークの一つは,おそらく二重鎖siNAに対応し,ピークの二つはおそらく別々のsiNA配列鎖に対応している。同一のsiNAのイオン交換HPLC分析は,縮小した単一のピークのみを示す。以下に説明するルシフェラーゼレポータアッセイを用いた精製siNA構成の試験では,別に合成したヌクレオチド配列鎖から生成したsiNA構成と比較して同一のRNAi活性を示した。
実施例2:任意のRNA配列内の潜在的なsiNA標的部位の同定
関心のRNA標的の配列,例えばウイルス又はヒトmRN転写産物の標的部位を,コンピュータ折り畳みアルゴリズムを使用してスクリーニングした。非限定的な例において,例えばジェンバンク等のデータベースから得た遺伝子又はRNA遺伝子転写産物の配列を使用して,標的に相補性を有するsiNA標的を生成した。このような配列はデータベースから得られるか,又は当該技術分野にて周知のように実験的に決定され得る。公知の標的部位,例えば他の核酸分子,例えばリボザイム若しくはアンチセンスの研究に基づいて有効な標的部位であると決定された標的部位,又は例えば突然変異若しくは欠失を含む部位等,疾患又は病状に関連することが周知の標的部位が,関心部位を標的とするsiNA分子のデザインに使用され得る。様々なパラメータを使用して,標的RNA配列内の最も適切な標的部位を決定し得る。これらパラメータには,二次又は三次のRNA構成,標的配列のヌクレオチド塩基組成,標的配列の様々な領域間の相同性の程度,又はRNA転写産物内の標的配列の相対位置が含まれるが,これらに限定されるものではない。これらの測定に基づき,例えばインビトロRNA切断アッセイ,細胞培養,又は動物モデル等を使用して,RN転写産物内の任意数の標的部位がsiNA分子の有効性のスクリーニングのために選択され得る。非限定的な例では,使用されるsiNA構成の大きさに基づいて転写産物内の1〜1000の標的部位のいずれかを選択した。公知の方法を使用して,siNA分子スクリーニングのためのマルチウエル又はマルチプレートアッセイ等の高スループットのスクリーニングアッセイが,標的遺伝子発現の有効性低下を測定するために開発され得る。
実施例3:RNA内におけるsiNA分子の標的部位の選択
以下の非限定的なステップを使用して,所定の遺伝子配列又は転写産物を標的とするsiNA分子が選択され得る。
1.標的配列をin silicoで解析して,特定の長さの,例えば23ヌクレオチド長の断片の配列の全部分をリストした。このステップは一般に,慣習的なPerlスクリプトを使用して実行されるが,Oligo,Macベクター,又はGCG Wisconsin Packageのような商業的な配列分析プログラムを使用することもできる。
2.ある場合に,siNAは二つ以上の標的配列に対応した。これは例えば同一遺伝子の異なる転写産物を標的とする,二つ以上の遺伝子の異なる転写産物を標的とする,又はヒト遺伝子及び動物のホモログの両方を標的とする場合に当てはまる。この場合,標的の各々について特定の長さのサブ配列リストを作成した後,リストを比較して各リスト内に存在する一致配列を発見した。次いでサブ配列を,所定のサブ配列を含む標的配列の数に従ってランク付けした。目標は殆ど又は全ての標的配列内に存在するサブ配列を見つけることにある。代替的に,ランキングにより例えば突然変異標的配列のような,標的配列に独特のサブ配列を確認することができた。このようなアプローチによって,siNA分子を使用して突然変異配列を特異的に標的とし,正常配列の発現に影響を与えないようにすることができた。
3.ある場合に,siNAサブ配列は,一つ又はそれ以上の配列内に存在しない一方で,所望の標的配列内に存在した。標的とされないで残留するべきパラロガス(paralogous)ファミリーメンバーを有する遺伝子を標的とする場合に当てはまる。上記のケース2の場合と同様,各標的につき特定の長さのサブ配列リストを作成し,次いでリストを比較して,標的遺伝子内に存在するが,非標的パラログ内に存在しない配列を発見した。
4.ランク付けされたsiNAサブ配列は更に解析され,GC含有量に従ってランク付けされ得た。30〜70%のGCを含む部位が好ましく,40〜60%のGCを含む部位が更に好ましいであろう。
5.ランク付けされたsiNAサブ配列は更に解析され,自己折り畳み及び内部ヘアピンに従ってランク付けされた。比較的弱い内部折り畳みが好ましく,強力なヘアピン構造は回避するべきである。
6.ランク付けされたsiNAサブ配列は更に解析され,配列内にGGG又はCCCのrunを有するか否かに従ってランク付けされた。いずれかの鎖内に存在するGGG(又は更に多数のG)は,オリゴヌクレオチド合成に問題を発生させる場合があり,RNAi活性を妨害する虞があり得るため,よりよい配列が利用される際は常に回避されるべきである。アンチセンス鎖内にGGGが配置されるため,標的鎖内のCCCが探索された。
7.ランク付けされたsiNAサブ配列は更に解析され,配列の3’−末端上にてジヌクレオチドUU(ウリジンジヌクレオチド)を有する,及び/又は配列の5’−末端上にAAを有する(アンチセンス配列上に3’UUを得る)か否かに従ってランク付けされた。これらの配列は末端TTチミジンジヌクレオチドを有するsiNA分子のデザインを可能にする。
8.上記したように,サブ配列のランク付けリストから4又は5個の標的部位が選択された。例えば,23ヌクレオチドを有するサブ配列において,次に選択された各23−merサブ配列の右側の21ヌクレオチドをデザインし,siNA分子二重鎖の上部(センス)鎖が合成された。その一方,各23−merサブ配列の左側の21ヌクレオチドの逆相補体がデザインされ,siNA分子の下部(アンチセンス)鎖が合成された(表II及びIII参照)。末端TT残基が配列に所望される場合(段落7に記述したように),オリゴ合成前にセンス鎖及びアンチセンス鎖の両方の3’末端ヌクレオチドをTTと交換する。
9.siNA分子は,インビトロ,細胞培地又は動物モデル系内でスクリーニングされて,最も活性なsiNA分子,又は標的RNA配列内の最も好ましい標的部位が確認された。
10.標的核酸配列の選択には,デザインに対する他の考察も使用され得る。Reynolds等,2004,Nature Biotechnology Advanced Online Publication,1,February 2004,doi,10.1038/nbt936及びUi−Tei等,2004,Nucleic Acids Research,32,doi,10.1093/nar/gkh247を参照されたい。
代替的アプローチでは,Hairless標的配列に特異的なsiNA構成のプールを使用して,HairlessRNAを発現する,例えば培養されたヒト皮膚繊維芽細胞,又はSKOV−3,A375,A431,A549,NMuMg若しくはSK−N−SH細胞のような細胞内の標的部位についてスクリーニングした。このアプローチで使用する一般的戦略を,図9に示す。このプールの非限定的な例は,SEQIDNOS1−1138のいずれかを有する配列を含む。HairlessRNAを発現する細胞(例,培養ヒト皮膚繊維芽細胞,又はSKOV−3,A375,A431,A549,NMuMg若しくはSK−N−SH細胞)はsiNA構成のプールでトランスフェクトされて,Hairless抑制に関連した表現型を示す細胞が区分けされた。siNA構成のプールは,適切なベクター内に挿入された転写カセットから発現され得る(例えば図7及び図8参照)。表現型がポジティブに変化した細胞からのsiNA(例,増殖の低下,Hairless mRNAレベルの低下,又はHairlessタンパク質発現の低下)の配列を決定して,標的HairlessRNA配列内で最も適切な標的部位(一つ又は複数)を決定した。
実施例4:Hairlessを標的とするsiNAデザイン
HairlessRNA標的の配列を解析してsiNA標的部位を選択し,任意にて本明細書の実施例3に記述されたようなsiNA分子のライブラリーを使用して,又は代替的に本明細書の実施例6に記述されているようなインビトロsiNA系を使用して,折り畳み(標的へのsiNAのアクセシビリティを測定するために解析されたいずれかの所定の配列構造)に基づいて標的部位に優先順位をつけた。siNA分子は各標的に結合することができるようデザインされ,また任意にて個別的にコンピュータ折り畳みを使用してsiNA分子が標的配列と相互作用し得るか否かアクセスすることによって解析された。siNA活性を最適化するために分子の長さを変更する選択をすることができた。一般には,標的RNAとの結合,又は別様の相互作用のために,十分数の相補的なヌクレオチド塩基が選択されたが,相補性の程度は,siNA二重鎖に適応させるために,又はsiNA二重鎖の長さ若しくは塩基組成物を変動させるために調節し得る。このような方法体系を用いることにより,任意の遺伝子転写産物に対応するRNA配列のような任意の周知のRNA配列内の標的部位に,siNA分子をデザインすることができた。
化学修飾siNA構成は,インビボでの全身投与のためのヌクレアーゼ安定性,及び/又は改良された薬物動態,局在化,及び送達特性を提供する一方,RNAi活性の調節能力を保存するようデザインされた。本明細書に記載される化学修飾は,本明細書に記載される,及び一般に周知の合成方法を用いた合成により導入された。次いで合成されたsiNA構成は,血清及び/又は細胞/組織抽出物(例,肝臓抽出物)中のヌクレアーゼ安定性についてアッセイされた。合成siNA構成はまた,本明細書に記載されるようにルシフェラーゼレポータアッセイのような適切なアッセイ,又はRNAi活性を定量し得る他の適切なアッセイの一つを使用して,RNAi活性について並行して試験された。ヌクレアーゼ安定性及びRNAi活性の両方を有する合成siNA構成は更に修飾され,安定性及び活性アッセイにおいて再評価された。このように,安定化した活性siNA構成の化学修飾は,例えば,治療的開発のためのリードsiNA分子を精選するための標的スクリーニングアッセイ等,任意の選択されたRNAを標的とする任意のsiNA配列に適用することができる(例えば図11参照)。
実施例5:siNAsiNA分子の化学的合成及び精製
siNAは,例えば本明細書に記載されるRNA配列等のRNAメッセージ中の様々な部位と相互作用するようにデザインされ得る。siNA分子(一つ又は複数)の一方の鎖の配列は,上述した標的部位配列に相補性を有している。siNA分子は,本明細書に記載される方法を使用して化学的に合成され得る。調節配列として使用される不活性siNA分子は,siNA分子が標的配列に相補性を有さないように該siNA分子の配列を不規則に変更して合成され得る。一般にsiNA構成は,本明細書に記載されるような固相オリゴヌクレオチド合成法を使用して合成され得る(例えば,全て本明細書に参照により加入されるUsman等,米国特許第.5,804,683号,米国特許第5,831,071号,米国特許第5,998,203号,米国特許第6,117,657号,米国特許第6,353,098号,米国特許第6,362,323号,米国特許第6,437,117号,米国特許第6,469,158号,Scaringe等,米国特許第6,111,086号,米国特許第6,008,400号,米国特許第6,111,086号を参照)。
非限定的な例において,RNAオリゴヌクレオチドは,周知のようにホスホロアミダイト構造を用いて段階的に合成される。標準的なホスホロアミダイト構造は,5’−O−ジメトキシトリチル,2’−O−tert−ブチルジメチルシリル,3’−O−2−シアノエチルN,N−ジイソプロピルホスホロアミダイト基,及び環外アミン保護基(例,N6−ベンゾイルアデノシン,N4アセチルシチジン,及びN2−イソブチリルグアノシン)のいずれかを含むヌクレオシドを使用する。代替的に,Scaringe,前出,に記載されているように,RNAの合成は,酸に不安定な2’−O−オルトエスエル保護基と共に2’−O−シリルエステルを使用してもよい。2’化学構造が異なると,異なる保護基を必要とし,例えば全容が参照により本明細書に加入されるUsman等,米国特許第5,631,360号に記載されているように,2’−デオキシ−2’−アミノヌクレオシドはN−フタロイル保護を使用し得る。
固相合成中,各ヌクレオチドは,固体支持体に結合したオリゴヌクレオチドに連続して(3’−から5’−の方向へ)加えられた。鎖の3’−末端の第一ヌクレオシドは,様々なリンカーを用いて固体支持体(例,微細孔性ガラス又はポリスチレン)に共有結合された。ヌクレオチド前駆体,リボヌクレオシドホスホロアミダイト,及び賦活剤を組合せ,第一のヌクレオシドの5’−末端上に第二のヌクレオシドホスホロアミダイトを連結させた。次いで支持体を洗浄し,未反応5’−ヒドロキシル基の全てを例えば無水酢酸のようなキャッピング試薬でキャップして,不活性5’−アセチル部分を得る。次いで三価リン結合を酸化して,より安定なホスフェート結合とした。ヌクレオチド付加周期の最後に,5’−O−保護基を適切な条件下(例,トリチル−ベースの基では酸性条件,シリル−ベースの基ではフッ化物)で切断した。この周期は各ヌクレオシドに関して繰り返された。
連結の効率を最適化するために,修飾の合成条件が用いられ,例えば合成されるべきsiNAの特定の構成に応じて,異なる連結時間,異なる試薬/ホスホロアミダイト濃度,異なる接触時間,異なる固体支持体及び固体支持体のリンカーの化学構造が使用される。siNAの脱保護及び精製は,全容が参照により本明細書に加入されるUsman等,米国特許第5,831,071号,米国特許第6,353,098号,米国特許第6,437,117号,及びBellon等,米国特許第6,054,576号,米国特許第6,162,909号,米国特許第6,303,773号,又はScaringe,前出,に記載されているように実行され得る。また可能な限り最高のsiNA構成の収率及び純度を得るように,脱保護の条件を調節し得る。例えば,本願出願人は2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドは,適切な脱保護条件下において分解し得ることを観察した。このようなオリゴヌクレオチドは,メチルアミン水溶液を使用して約35℃で30分間脱保護される。2’−デオキシ−2’−フルオロ含有オリゴヌクレオチドがリボヌクレオチドをも含む場合,メチルアミン水溶液で約35℃にて30分間脱保護した後,TEA−HFを加えて,反応物を約65℃で更に15分間保持する。
実施例6:siNA活性を評価するRNAiインビトロアッセイ
無細胞系内でRNAiを再現するインビトロアッセイを使用して,HairlessRNA標的を標的とするsiNA構成を評価した。アッセイは,Tuschl等,1999,Genes and Development,13,3191−3197,及びZamore等,2000,Cell,101,25−33に記載されている,Hairless標的RNAに使用するよう適合されたシステムを含む。シンシチウム胚盤葉由来のショウジョウバエ抽出物を使用してインビトロでRNAi活性を再構成した。標的RNAは,T7RNAポリメラーゼを使用して適切なHairless発現プラスミドからのインビトロ転写を介して生成され,又は本明細書に記載されたような化学合成により生成された。センス及びアンチセンスsiNA鎖(例えば各々20μM)を,緩衝液(例えば100mM酢酸カリウム,30mM HEPES−KOH,pH7.4,2mM酢酸マグネシウム)中で90℃で1分間,次いで37℃で1時間インキュベートすることによりアニールし,次いで溶解物緩衝液(例えば100mM酢酸カリウム,30mM HEPES−KOH,pH7.4,2mM酢酸マグネシウム)中で希釈した。アニーリングは,TBE緩衝剤中のアガロースゲル電気泳動により監視し得,臭化エチジウムで染色した。適切なHairless発現プラスミドに適切な発酵糖蜜寒天上で収集したOregonRハエ由来の0〜2時間経過した幼胚を使用し,これを溶解してショウジョウバエ溶解物を調製した。溶解物を遠心分離して上澄み液を単離した。アッセイは,,RNA(10〜50pM最終濃度),及びsiNA(10nM最終濃度)を含む10%[vol/vol]溶解物緩衝液から構成された。反応混合物はまた,10mMリン酸クレアチン,10ug.mlクレアチンホスホキナーゼ,100umGTP,100uM UTP,100uM CTP,500uM ATP,5mM DTT,0.1U/uL RNAin(Promega),及び各アミノ酸100uMも含んでいた。酢酸カリウムの最終濃度を100mMに調整した。反応物を氷上で予め集め,RNAに加える前に25℃で10分間プレインキュベートした。その後,25℃で更に60分間インキュベートした。反応物を4容量の1.25xPassive Lysis Buffer(Promega)でクエンチした。RT−PCR分析又は周知の他の方法を用いて標的RNAの切断をアッセイし,siNAが存在しないコントロール反応と比較した。
代替的に,アッセイのために内部標識した標的RNAを,[α−32P]CTPの存在下,インビトロ転写により準備し,クロマトグラフィーによりG50Sephadexカラムを通過させ,更に精製することなく標的RNAとして使用した。任意にて,T4ポリヌクレオチドキナーゼ酵素を使用して,標的RNAの5’−32P−末端を標識してもよい。上述したようにアッセイを実行し,標的RNA及びRNAiにより生成した特定のRNA切断生成物を,ジェルの放射能写真により視覚化した。切断の割合はPHOSPHOR IMAGER(登録商標)(放射能写真)を使用して,手付かずのコントロールRNA,又はsiNA不在コントロール反応からのRNAと,アッセイにより生成した切断生成物とを表すバンドの定量によって決定された。
一実施態様において,このアッセイは,siNA仲介RNAi切断のためのHairlessRNA標的に標的部位を決定するのに使用される。ここではHairlessRNA標的の切断を仲介するRNAiのために,複数のsiNA構成が,例えば標識標的RNAの電気泳動によるアッセイ反応の分析,又はノーザンブロット法,及び当該技術分野で周知の他の方法体系を使用した解析によりスクリーニングされる。
非限定的な例において,Hairless(HR)RN転写産物を標的とするsiNA構成が,無細胞系内でRNAiを再現するインビトロアッセイによりアッセイされる。HeLa細胞由来の溶解物を使用して,インビトロでRNAi活性を再構成した。標的RNAは,T7RNAポリメラーゼを使用して適切なHR2 RNA発現dsDNAからのインビトロ転写を介して生成された。センス及びアンチセンスsiNA鎖(各20uM)を,緩衝液(100mM酢酸カリウム,30mM HEPES−KOH,pH7.4,2mM酢酸マグネシウム)中で90℃で1分間,次いで37℃で1時間インキュベートすることによりアニールした。アニーリングは,TBE緩衝剤中のアガロースゲル電気泳動により監視し,臭化エチジウムで染色した。Martinezプロトコル(Martinez J.等,2002,Cell,110,563−74)の修正バージョンを用いて,HeLa溶解物を調製した。アッセイは,50%溶解物[vol/vol]を含む反応混合物,RNA標的(最終濃度10〜50pM),及びsiNA(最終濃度100nM)を含む10%[vol/vol]溶解物緩衝液から構成された。反応混合物はまた,200μM GTP,2mM ATP,0.1mM DTT,及び5mM MgCl2,1mM HEPES(pH7.5)も含んでいた。反応物を室温で予め集め,RNA標的に加える前に30℃で15分間プレインキュベートした。その後,30℃で更に160分間インキュベートした。反応物を2容量の染料を含む7M尿素ジェルでクエンチし,ドライアイス上で素早く冷凍した。RNAiにより生成した特定のRNA切断生成物を,dPAGE上に分離した。PHOSPHOR IMAGER(登録商標)(放射能写真)を使用して,手付かずのコントロールRNA,又はsiNA不在コントロール反応からのRNAと,アッセイにより生成した切断生成物とを表すバンドの定量によって決定された。結果を表VIにまとめる。表VIに示すように,数個のsiNA構成(センス/アンチセンス化合物番号,表III参照)は,この系のHairlessRNAの切断活性を示している。切断活性は,高いものについては(+++)で示し,中間については(++)で示し,低いものについては(+)で示し,及び切断活性を有さないものは(−)で示す。
実施例7:Hairless標的RNAの核酸抑制
ヒトHairlessRNAを標的とするsiNA分子は,上記したようにデザイン及び合成された。これら核酸分子のインビボでの切断活性は,例えば以下の手順により試験することができる。標的配列,及びHairlessRNA内のヌクレオチド位置を,表II及びIIIに記す。
Hairlessを標的とするsiNAの有効性を試験するために,二つのフォーマットが使用された。最初に,例えば培養されたヒト皮膚繊維芽細胞,又はSKOV−3,A375,A431,A549,NMuMg若しくはSK−N−SH細胞を使用して,細胞培養液内で試薬を試験して,RNA及びタンパク質抑制の程度を測定した。本明細書に記載されるように,siNA試薬(例,表II及びIII参照)をHairless標的に対して選択した。これらの試薬を適切なトランスフェクション剤により,例えば培養ヒト皮膚繊維芽細胞,又はSKOV−3,A375,A431,A549,NMuMg若しくはSK−N−SH細胞に送達した後に,RNA抑制を測定した。標的RNAの相対的な量は,増幅のリアルタイムPCR監視(例,ABI7700 TAQMAN(登録商標))を使用したアクチンとの対比にて測定した。比較は,無関係標的に対して形成したオリゴヌクレオチド配列の混合物,又は同一の長さ及び化学構造を有するが,各位置にてランダムに置換されたランダム化siNAコントロールについて行われた。標的用に第一及び第二のリード試薬が選択され,最適化された。最適なトランスフェクション剤濃度が選択された後,リードsiNA分子でRNAの時間経過抑制を実行した。更に,細胞プレーティングフォーマットを使用してRNA抑制を測定し得る。
siNAの細胞への送達
トランスフェクションの前日,細胞(例,培養されたヒト皮膚繊維芽細胞,又はSKOV−3,A375,A431,A549,NMuMg,若しくはSK−N−SH細胞)を,例えばEGM−2(Bio Whittaker)の6ウエル皿の各ウエルに1×105細胞にて播種した。siNA(最終濃度,例えば20nM)とカチオン性脂質(例,最終濃度2μg/ml)とを,37℃で30分間,ポリスチレンチューブ内にてEGM基質媒体(BioWhittaker)内で複合した。渦状に攪拌した後,複合siNAを各ウエルに加え,指示された時間インキュベートした。最初の最適化実験では,細胞を,例えば96ウエルプレート内で例えば1×103にて播種し,記述したようにsiNA複合体を加えた。脂質と複合された蛍光siNAを用いて細胞へのsiNA送達の効率を測定した。6−ウエル皿内の細胞を,siNAと共に24時間インキュベートし,PBSで濯ぎ,2%パラホルムアルデヒド中にて室温で15分間固定した。蛍光顕微鏡を使用してsiNAの取り込みを視覚化した。
TAQMAN(登録商標)増幅のリアルタイムPCR監視,及びmRNAのLightcycler定量
siNA送達後,6−ウエルのQiagenRNA精製キット又は96−ウエルのRneasy抽出キットのアッセイにより,細胞から全RNAを準備した。TAQMAN分析(増幅のリアリタイムPCR監視)では,レポーター染料,FAM又はJOEを5’−末端に共有結合させ,クエンチャー染料を3’−末端に共有結合させた二重−標識プローブを合成した。一ステップRT−PCR増幅を,10μl総RNA,100nM フォワード(forward)プライマー,900nM リバース(reverse)プライマー,100nMプローブ,1XTaqMan PCR反応緩衝液(PE−Applied Biosystems),5.5mM MgCl2,300μM,各dATP,dCTP,dGTP,及びdTTP,10UR NAase Inhibitor(Promega),1.25U AMPLITAQ GOLD(登録商標)(DNAポリメラーゼ)(PE−Applied Biosystems),並びに10U M−MLV Reverse Transcriotase(Promega)から構成された50μl反応物を使用して,例えばABI PRISM7700 Sequence Detector上で行った。熱周期条件は,48℃で30分間,95℃で10分間,次いで95℃で15秒,及び60℃で1分間の40サイクルから構成され得る。連続的に希釈された全細胞RNA(300,100,33,11ng/rxn)から生成した標準に関してmRNAレベルを計量し,並行TAQMAN反応(増幅のリアリタイムPCR監視)におけるβ−アクチン又はGAPDH mRNAに標準化した。各関心遺伝子について上部及び下部プライマー,及び蛍光標識プローブがデザインされた。特定のPCR生成物へのSYBRGreenI染料のリアルタイム組込みは,ライトサイクラー(lightcyler)を使用してガラスキャピラリチューブ内で測定し得る。コントロールcRNAを使用して各プライマーについて,標準曲線を生成した。値は各サンプルのGAPDHに対する相対的な表現で表される。
ウエスタンブロッティング
標準的なミクロ製造技術を使用して核抽出物を調製し得る(例えば,Andrews及びFaller,1991,Nucleic Acids Research,19,2499参照)。例えばTCA沈殿を使用して,上澄み液からタンパク質抽出物を調製した。等量の20%TCAを細胞上澄み液に加え,氷上で1時間インキュベートし,5分間遠心分離してペレット化した。ペレットをアセトンで洗浄し,乾燥して,水中に再懸濁させた。細胞タンパク質抽出物を,10%ビス−トリスNuPage(核抽出物)又は4〜12%トリス−グリシン(上澄み液抽出物)ポリアクリルアミドゲル上に流し,ニトロセルロース膜上に転写した。例えば,4℃にて5%無脂肪牛乳で1時間,次いで一次抗体で16時間インキュベートすることにより,非特異的結合を遮断し得る。洗浄後,二次抗体を例えば(1:10,000希釈にて)室温で1時間適用し,SuperSignal試薬(Pierce)でシグナルを検出した。
実施例8:Hairless遺伝子発現の下方調節の評価に有用な動物モデル
動物モデルにおけるHR薬の有効性の評価は,ヒト臨床試験にて重要な必要条件となっている。インビトロアッセイで選択されたリード抗HR siNA分子は,以下のマウス及びラットモデルで更に試験され得る。Hairlessを標的とする本発明のsiNA分子の評価に使用される有利な動物モデルについては,参照により本明細書に加入されるChristiano,米国特許出願公開第20030077614号に記載されている。非限定的な例において,C57B1/6Jマウスの新生児を,送達後一日目から開始して,siNAで1日2回処理した。マウスの毛の発生が開始すると同時に,電気クリッパーを使用して毛幹を規則的に短縮して皮膚表面への到達を容易にし,かつsiNA製剤の貫通性を高めた。各処理では,85%EtOH及び15%エチレングリコールビヒクル中に溶解した2μgのsiNAを,マウス背部の1平方cmに適用した。適用中,及び適用から14分後,マウスを一時的に拘束して,製剤の除去を防止した。対照動物を,一致する逆位構造のsiNAコントロールを含有するビヒクル,又はビヒクルのみで処理した。マウスが評価のために犠牲になる迄,処理を継続(例,28日,35日又は8週間)した。皮膚の処理領域全体と未処理の隣接領域とを除去し,ホルマリン溶液中で固定して,標準的手順により包埋及び加工した。毛の成長,密度,及び濾胞発達(例,濾胞の数,又は濾胞のアナゲン期からカタゲン期への移行)のようなパラメータを用いて,対照と比較してsiNA処理群を評価した。毛の成長の阻害剤,及び脱毛症又は無毛症治療のアプローチのための他の有利な動物モデルには,Tong等,2003,Trends Mol.Med.,9,79−84,Porter,2003,J.Anat.,202,125−31,Irvine及びChristiano,2001,Clin.Exp.Dermatol.,26,59−71,並びにSundberg等,1999,Exp.Mol.Patrol.,67,118−30に記載されたものが含まれる。
このようなものとして,これらのモデルは,例えば毛の成長の防止,抑制,若しくは低下,又は除毛を評価するに適切な条件下で,動物に適用されるsiNA局所製剤を用いて,毛の成長の防止,抑制,若しくは低下,又は除毛(例,脱毛)における本発明のsiNA分子の有効性を評価するのに使用され得る。これら及び他のモデルは,同様に,前臨床設定にて本発明のsiNA分子の安全性及び有効性の評価にも使用され得る。
実施例9:RNAi仲介によるHairless発現の抑制
例えば培養ヒト皮膚繊維芽細胞,又はSKOV−3,A375,A431,A549,NMuMg若しくはSK−N−SH細胞内で,HairlessRNA発現の低下におけるsiNA構成(表III)の有効性を試験した。トランスフェクションの約24時間前,細胞を5,000〜7,500細胞/ウエル,100μml/ウエルにて96−ウエルプレート内にプレーティングした。それによりトランスフェクション時には細胞は70〜90%融合性を有していた。トアンスフェクションのために,アニールしたsiNAをトランスフェクション剤(Lipofectamine2000,Invitrogen)と共に混合して,50μl/ウエルの容量にし,室温で20分間インキュベートした。siNAトランスフェクション混合物を細胞に加えて,最終siNA濃度を25nM(150μl)とした。siNAトランスフェクション混合物の継続的な存在下,細胞を37℃で24時間インキュベートした。24時間後,処理した細胞の各ウエルからRNAを準備した。トランスフェクション混合物を含む上澄みを最初に除去し,廃棄した後,細胞を溶解して,各ウエルよりRNAを準備した。処理後の標的遺伝子の発現については,RT−PCRによって標的遺伝子を評価し,標準化のためにコントロール遺伝子(36B4,RNAポリメラーゼサブユニット)について評価した。3重のデータを平均化して,各処理につき標準偏差を決定した。標準化データをグラフに表し,標的mRNA低下の割合を,反転コントロールsiNAと比較したsiNAの活性により決定した。
非限定的な例において,A275細胞内で化学修飾siNA構成(表III)のHairlessRNA発現の低下における有効性を,上述したように試験した。活性siNAを,未処理細胞,一致した化学構造の反転コントロール(33965/33971及び33977/33983),及びトランスフェクションコントロールと比較して評価した。結果を図22及び図23に示す。図22は,Hairless mRNA内の様々な部位を標的とするStab9/10(表IV)のsiNA構成の結果を示す。図23は,Hairless mRNA内の様々な部位を標的とするStab23/24siNAの構成の結果を示す。図22及び図23に示すように,活性siNA構成は,一つ又はそれ以上細胞培養実験において,Hairless mRNAレベルと適切なコントロールとを比較した場合,該一つ又はそれ以上の細胞内でHairless遺伝子発現を有意に抑制する。
非限定的な例において,NMuMg細胞内で化学修飾siNA構成(表III)のHairlessRNA発現の低下における有効性を,上述したように試験した。活性siNAを,未処理細胞,一致した化学構造の反転コントロール(IC)及びトランスフェクションコントロールと比較して評価した。結果を図24及び図25に示す。図24は,Hairless mRNA内の様々な部位を標的とするStab9/10(表IV)のsiNA構成の結果を示す。図25は,Hairless mRNA内の様々な部位を標的とするStab7/8のsiNA構成の結果を示す。図24及び図25に示すように,活性siNA構成は,マウス細胞培養実験において,Hairless mRNAレベルと適切なコントロールと比較した場合,マウス細胞内でHairless遺伝子発現を有意に抑制する。
実施例10:適応
本発明のsiNA分子は,被験者若しくは有機体の毛の成長の防止,抑制,若しくは低下,被験者若しくは有機体の除毛(例,脱毛),又は代替的に被験者若しくは有機体の脱毛症若しくは無毛症,及び細胞若しくは組織内のHairless(HR)レベルに関連した,若しくはそれに応答する任意の他の疾患若しくは病状の治療に,単独で又は他の治療若しくは療法と組合せて使用され得る。
本発明のsiNA分子と組合せて使用され得る化合物の非限定的な例は,Wingless(例,WNT3A),ビタミンD受容体(VDR),及び/又はHairless(HR)遺伝子発現を抑制する組成物,例えばWingless(例,WNT3A),ビタミンD受容体(VDR)及び/又はHairless(HR)RNAを標的とするsiNA分子等を含むが,これに限定されるものではない。上記の化合物のリストは,本願にて形質,疾病及び疾患の予防又は治療のために本発明の核酸分子(例,siNA)と組合せて,又はそれに関連して使用され得る化合物及び/又は方法の非限定的な例である。当業者は,他の薬物化合物及び療法も同様に本発明の核酸分子(例,siNA分子)と容易に組合せ得ることを理解し,従ってそれらの薬物化合物及び療法も本発明の範囲内に含まれることを理解するであろう。
実施例11:診断的用途
本発明のsiNA分子は,例えば臨床的,工業的,環境的,農業的,及び/又は研究設定等の多様な用途にて,例えば分子標的(例,RNA)の同定等の多様な診断的用途に使用することができる。このようなsiNA分子の診断的用途には,例えば細胞溶解物又は一部精製した細胞溶解物を用いる再構成RNAi系の利用が含まれる。本発明のsiNA分子は,診断ツールとして使用され,疾患細胞内の遺伝子のドリフト及び突然変異を検査する,又は例えばウイルスのような細胞内の外因性又は内因性RNAの存在を検出する際に使用され得る。siNA活性と標的RNA構造との密接な関係は,標的RNAの塩基対及び三次元構造を変更する,分子の任意の領域内の突然変異を検出することができる。本明細書に記載される多数のsiNA分子を使用することによって,インビトロ,並びに細胞及び組織内で,RNA構造及び機能にとって重大なヌクレオチド変化をマッピングし得る。標的RNAのsiNA分子による切断は,遺伝子発現を抑制し,疾患又は感染症の進行における特定の遺伝子生成物の役割の定義に使用し得る。この方法で,他の遺伝子標的を疾患の重要な仲介物として規定し得る。この実験は,組合せ治療の可能性から,疾患の進行に対するより良好な治療法となり得る(例,異なる遺伝子を標的とする多数のsiNA分子,周知の小分子抑制剤に結合したsiNA分子,又はsiNA分子及び/又は他の化学的又は生物学的分子との組合せによる断続的な治療)。本発明のsiNA分子の他のインビトロ用途も周知であり,それは疾患,感染症,又はそれに関係する病状と関連したmRNAの存在の検出を含む。このようなRNAは,標準的な方法体系,例えば蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)を使用して,siNA処理後の切断生成物の存在を測定することによって検出される。
特定の例において,標的RNAの野生型又は突然変異型のみを切断するsiNAがアッセイに使用される。第一のsiNA分子(即ち,標的RNAの野生型のみを切断するもの)を使用して,サンプル中に存在する野生型RNAを同定し,第二のsiNA分子(即ち,標的RNAの突然変異型のみを切断するもの)を使用して,サンプル中に存在する突然変異RNAを同定する。反応コントロールとして合成の野生型及び突然変異型RNAの基質を両方のsiNA分子で切断し,反応における相対的なsiNAの有効性,及び"非標的"RNA種の切断の欠如を証明する。合成基質からの切断生成物も,サンプル集団の野生型及び突然変異型RNAを解析するためのサイズマーカーを生成する役割を果たす。従って,各分析は,二つのsiNA分子,二つの基質,及び未知の一サンプルを必要し,これらを6個の反応に組合せる。切断生成物の存在は,RNase保護アッセイにより測定され,従って各RNAの完全長及び切断された断片が,ポリアクリルアミドゲルの一レーンで解析され得る。結果を定量して突然変異RNAの発現の洞察を得ること,標的細胞の所望の表現型の変化の推定上の危険性を知ることは必ずしも要求されない。そのタンパク質生成物が表現型(即ち,疾患又は感染症に関連した)の成長に関与するmRNAの発現は,危険性を十分確立する。匹敵した特定の活性を備えたプローブを,両方の転写産物に使用した場合,RNAレベルの定性的比較が適切であり,初期診断のコストが低減される。RNAレベルを定性的又は定量的のいずれで比較した場合でも,野生型に対する突然変異型の高い割合は,高い危険性と関係する。
明細書中に言及した全特許及び刊行物は,本発明に関係する当業者の技術レベルを示すものである。本開示中に引用した全参照は,各参照の全体が個別的に参照により本明細書に加入されるがごとく,その同一の範囲が本明細書に加入される。
当業者は目的を遂行し,また,それに固有のものも含めて,言及された結論及び利点を得るために非常に適していることを容易に理解するであろう。本明細書に記載されている,現在好ましい実施態様を代表する方法及び組成物は,例示的なものであり,本発明の範囲を限定することを意図するものではない。当業者は本発明の変更及び他の用途を想起し得るが,これらは請求項の範囲にて定義された本発明の趣旨に包含される。
本発明の範囲及び趣旨から逸脱せずに,本明細書に開示された本発明に様々な置換及び修正を行い得ることが当業者には明らかである。従って,そのような追加の実施形態は本発明及び以下の特許請求の範囲内に含まれる。本発明は,当業者に本明細書に記載された化学的修飾の,RNAi活性仲介のための改良された活性を備えた核酸構成の生成に向けた多様な組合せ及び/又は置換を教授する。そのような改良された活性は安定性,バイオアベイラビリティ,及び/又はRNAiを仲介する細胞応答の活性化を向上され得る。従って,本明細書に記載された特定の実施形態は限定的なものではなく,当業者は本明細書に記載された修飾の特定の組合せが,改良されたsiNA分子活性を有するsiNA分子を同定する過度の実験を行うことなく,試験され得ることを容易に理解する。
本明細書に例証により記載された本発明は,任意の一つ又は複数の要素,本明細書に特に開示しない一つ又は複数の制限を含まなくとも,適切に実行し得る。従って,例えば,本明細書の各ケースにおいて,用語「を含む」,「を有する」,「からなる」,「本質的に〜から構成される」,及び「から構成される」は,他の用語のいずれかと置き換えてもよい。本明細書で使用されている用語及び表現は,説明を目的とするもので,限定を目的とするものではなく,これら用語及び表現の使用は開示かつ記述した特徴,又はその一部の任意の等価物を除外するものではないが,特許請求される本発明の範囲内に含まれる様々な変更が可能であることが理解される。従って,本発明は好ましい実施態様によって開示されているが,当業者は開示された本願の概念の任意の特徴,修正及び変更に訴え得るが,それら修正及び変更は説明及び添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内に含まれるものと見なされる。
表I:無毛(Hairless)受入番号
NM018411
ホモサピエンス無毛ホモログ(マウス)(HR),転写産物異形2,mRNA
gi|22547206|ref|NM_018411.2|[22547206]
NM005144
ホモサピエンス無毛ホモログ(マウス)(HR),転写産物異形1,mRNA
gi|22547203|ref|NM_005144.2|[22547203]
AF039196
ホモサピエンス推定単一亜鉛フィンガー転写因子タンパク質(無毛)
mRNA,完全cds
gi|20149786|gb|AF039196.3|[20149786]
BC067128
ホモサピエンス無毛ホモログ(マウス),転写産物異形1,mRNA(cDNAクローン
MGC:70516イメージ:6138631),完全cds
gi|45501002|gb|BC067128.1|[45501002]
AJ277165
無毛タンパク質のためのホモサピエンスmRNA(常染色体劣性先天性全身脱毛症の原因である推定単一亜鉛フィンガー転写因子タンパク質,HR遺伝子)
gi|7573246|emb|AJ277165.2|HSA277165[7573246]
AF361864
アカゲザル無毛mRNA,完全cds
gi|18028978|gb|AF361864.1|AF361864[18028978]
BC008946
ホモサピエンス無毛ホモログ(マウス),mRNA(cDNAクローンイメージ:3050359),部分cds
gi|38013981|gb|BC008946.2|[38013981]
AJ277250
無毛タンパク質のためのホモサピエンス部分HR遺伝子,エクソン3
gi|7573511|emb|AJ277250.1|HSA277250[7573511]
AJ277249
無毛タンパク質のためのホモサピエンス部分HR遺伝子,エクソン2及び連結cds
gi|7579914|emb|AJ277249.1|HSA277249[7579914]
AJ400829
無毛タンパク質のためのホモサピエンス部分HR遺伝子,エクソン11
gi|7630108|emb|AJ400829.1|HSA400829[7630108]
AJ277252
無毛タンパク質のためのホモサピエンス部分HR遺伝子,エクソン5
gi|12057006|emb|AJ277252.2|HSA277252[12057006]
AJ400837
無毛タンパク質のためのホモサピエンス部分HR遺伝子,エクソン19
gi|7630146|emb|AJ400837.1|HSA400837[7630146]
AJ400830
無毛タンパク質のためのホモサピエンス部分HR遺伝子,エクソン12
gi|7630109|emb|AJ400830.1|HSA400830[7630109]
AJ277253
無毛タンパク質のためのホモサピエンス部分HR遺伝子,エクソン6
gi|12057007|emb|AJ277253.2|HSA277253[12057007]
AJ400828
無毛タンパク質のためのホモサピエンス部分HR遺伝子,エクソン10
gi|630107|emb|AJ400828.1|HSA400828[7630107]
AJ277251
無毛タンパク質のためのホモサピエンス部分HR遺伝子,エクソン4
gi|7573512|emb|AJ277251.1|HSA277251[7573512]
AJ400832
無毛タンパク質のためのホモサピエンス部分HR遺伝子,エクソン14
gi|7630111|emb|AJ400832.1|HSA400832[7630111]
AJ400836
無毛タンパク質のためのホモサピエンス部分HR遺伝子,エクソン18
gi|7630115|emb|AJ400836.1|HSA400836[7630115]
AJ400834
無毛タンパク質のためのホモサピエンス部分HR遺伝子,エクソン16
gi|7630113|emb|AJ400834.1|HSA400834[7630113]
AJ400833
無毛タンパク質のためのホモサピエンス部分HR遺伝子,エクソン15
gi|7630112|emb|AJ400833.1|HSA400833[7630112]
AJ400826
無毛タンパク質のためのホモサピエンス部分HR遺伝子,エクソン8
gi|630105|mb|J400826.1|SA400826[7630105]
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siNA構成の上部配列及び下部配列の3’−末端は、例えば約1、2、3、又は4ヌクレオチド長、好ましくは2ヌクレオチド長のオーバーハングを含み得、下部配列のオーバーハング配列は、任意にて標的配列の一部に相補性を有する。表中の上部及び下部配列は、更に、例えば図4及び図5に示す例示的なsiNA構成のように、式I〜VIIの化学修正を有するか、又は表IVに記載する修正又はその任意の組合せを有し得る。
Figure 2007525205
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siNA分子の合成スキームの非限定的な例。 本発明の方法により合成されたsiNA二重鎖の精製のMALDI−TOF質量スペクトル。 RNAiに関与する標的RNA分解の,提案する機械的表現の非限定的な例。 本発明の化学修飾iNAの非限定的な例。 本発明の特定の化学修飾siNA配列の非限定的な例。 本発明異なるsiNA構成の非限定的な例。 発現カセットを生成してsiNAヘアピン構成を生成させる際に用いられるスキームの概略。 発現カセットを生成して二本鎖iNA構成を生成させる際に用いられるスキームの概略。 例えばメッセンジャーRNAのような,特定の標的核酸配列内の,siNA仲介RNAiのための標的部位を決定する際に使用される方法の概略。 例えば本発明のsiNA配列の3’−末端の安定化に使用され得る,異なる安定化化学構造(1〜10)の非限定的な例。 ヌクレアーゼ耐性を有する一方でRNAi活性仲介能力を保持する本発明の化学修飾siNA構成の同定に使用される戦略の非限定的な例。 線状及び二重鎖の構成を含む本発明のリン酸化siNA分子,及びその非対称誘導体の非限定的な例。 本発明の化学修飾された末端リン酸基の非限定的な例。 標的核酸配列内で同定される自己相補的なDFO構成のデザインに使用される,回文及び/又は反復核酸配列を使用した方法体系の非限定的な例。 オリゴヌクレオチド配列を形成する二重鎖の非限定的な代表例。 オリゴヌクレオチド配列を形成する代表的な二重鎖の自己組立ての概略の非限定的な例。 オリゴヌクレオチド配列を形成している代表的な二重鎖の自己会合の概略と,それに続く遺伝子発現をもたらす標的核酸との相互作用の非限定的な例。 任意の関心標的核酸配列に相補的な配列を有するDFO構成内に組み込まれた回文及び/又は反復核酸配列を使用した,自己相補的なDFO構成のデザインの非限定的な例。 各々がRNAiによる異なる標的核酸配列の切断を仲介し得る,二つの別個のポリヌクレオチド配列を含む,本発明の多機能siNA分子の非限定的な例。 各々がRNAiによる異なる標的核酸配列の切断を仲介し得る,別個の領域を含む単一のポリヌクレオチド配列を含む,本発明の多機能siNA分子の非限定的な例。 各々がRNAiによる異なる標的核酸配列の切断を仲介し得る,二つの別個のポリヌクレオチド配列を含み,更に自己相補的な,回文配列,又は反復領域を含むことによって,異なる標的核酸配列に対するRNA干渉を仲介し得る比較的短い二機能siNA構成を可能にする,本発明の多機能siNA分子の非限定的な例。 各々が,RNAiにより誘導される異なる標的核酸配列の切断を仲介し得る別個の領域を含む単一のポリヌクレオチド配列を含み,更に自己相補的な,回文配列,又は反復領域を含むことによって,異なる標的核酸配列に対するRNA干渉を仲介し得る比較的短い二機能siNA構成を可能にする,本発明の多機能siNA分子の非限定的な例。 本発明の多機能siNA分子が,例えばサイトカイン及び対応する受容体,異なるウイルス株,ウイルス感染又は複製に関与するウイルス及び細胞タンパク質,又は疾患の進行の維持に関係する多様な生物学的経路に関与する異なるタンパク質等,異なるタンパク質をコード化する別個のRNA分子のような二つの別個の標的核酸分子をどのように標的にし得るかを示す,非限定的な例。 本発明の多機能siNA分子が,標的核酸分子内の二つの別個の標的核酸配列を,どのように標的にし得るかを示す,非限定的な例。 Hairless(HR2,転写産物異形2)mRNAを標的とするsiNAにより仲介されるA375細胞内のHairless mRNAの減少を表す非限定的な例。 Hairless(HR2,転写産物異形2)mRNAを標的とするsiNAにより仲介されるA375細胞内のHairless mRNAの減少を表す非限定的な例。 Hairless(HR2,転写産物異形2)mRNAを標的とするsiNAにより仲介されるNMuMg細胞内のHairless mRNAの減少を表す非限定的な例。 Hairless(HR2,転写産物異形2)mRNAを標的とするsiNAにより仲介されるNMuMg細胞内のHairless mRNAの減少を表す非限定的な例。

Claims (35)

  1. RNA干渉(RNAi)を介してHairless遺伝子でコード化されたRNAの切断を導く,化学的に合成された二本鎖短干渉核酸(siNA)分子であって,
    a)前記siNA分子の各鎖は約15〜約30個のヌクレオチド長を有し,
    b)前記siNA分子の一方の鎖は,Hairless遺伝子でコード化された前記RNAに対して,siNA分子がRNA干渉を介してHairless遺伝子でコード化されたRNAの切断を導くのに十分な相補性を有するsiNA分子。
  2. 前記siNAがリボヌクレオチドを含まない,請求項1に記載のsiNA分子。
  3. 前記siNAが1個又はそれ以上のリボヌクレオチドを含む,請求項1に記載のsiNA分子。
  4. 前記二本鎖siNA分子の一方の鎖は,Hairless遺伝子でコード化されたRNAのヌクレオチド配列又はその一部に相補的なヌクレオチド配列を有し,前記二本鎖siNA分子の第2の鎖は,Hairless遺伝子でコード化された前記RNAのヌクレオチド配列又はその一部と実質的に同様のヌクレオチド配列を有する,請求項1に記載のsiNA分子。
  5. siNA分子の各鎖は約15〜約30個のヌクレオチドを含み,各鎖は,他方の鎖のヌクレオチドに相補的な少なくとも約15個のヌクレオチドを含む請求項4に記載のsiNA分子。
  6. 前記siNA分子は,Hairless遺伝子でコード化されたRNAのヌクレオチド配列又はその一部に相補的なヌクレオチド配列を有するアンチセンス領域を含み,更に前記siNA分子はさらにセンス領域を含み,前記センス領域はHairless遺伝子でコード化された前記RNAのヌクレオチド配列又はその一部と実質的に同様のヌクレオチド配列を有する,請求項1に記載のsiNA分子。
  7. 前記アンチセンス領域及び前記センス領域は約15〜約30個のヌクレオチドを含み,前記アンチセンス領域は,センス領域のヌクレオチドに相補的な少なくとも約15個のヌクレオチドを含む,請求項6に記載のsiNA分子。
  8. 前記siNA分子はセンス領域及びアンチセンス領域を有し,前記アンチセンス領域は,Hairless遺伝子でコード化されたRNAのヌクレオチド配列又はその一部に相補的なヌクレオチド配列を有し,前記センス領域は前記アンチセンス領域に相補的なヌクレオチド配列を有する,請求項1に記載のsiNA分子。
  9. 前記siNA分子は二つの別個のオリゴヌクレオチド断片からアセンブリされ,第一の断片は前記siNA分子のセンス領域を有し,第二の断片は前記siNA分子のアンチセンス領域を有する請求項6に記載のsiNA分子。
  10. 前記センス領域はリンカー分子を介してアンチセンス領域に接続される,請求項6に記載のsiNA分子。
  11. 前記リンカー分子がポリヌクレオチドリンカーである,請求項10に記載のsiNA分子。
  12. 前記リンカー分子が非ヌクレオチドリンカーである,請求項10に記載のsiNA分子。
  13. センス領域内のピリミジンヌクレオチドが2’−O−メチルピリミジンヌクレオチドである,請求項6に記載のsiNA分子。
  14. センス領域内のプリンヌクレオチドが2’−デオキシプリンヌクレオチドである,請求項6に記載のsiNA分子。
  15. センス領域内に存在するピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドである,請求項6に記載のsiNA分子。
  16. 前記センス領域を含む断片が,前記センス領域を含む断片の5’−末端,3’−末端,又は5’及び3’−末端の両方において末端キャップ部分を含む請求項9に記載のsiNA分子。
  17. 前記末端キャップ部分が逆位デオキシ脱塩基部分である,請求項16に記載のsiNA分子。
  18. 前記アンチセンス領域のピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドである,請求項6に記載のsiNA分子。
  19. 前記アンチセンス領域のプリンヌクレオチドが2’−O−メチルプリンヌクレオチドである,請求項6に記載のsiNA分子。
  20. 前記アンチセンス領域内に存在するプリンヌクレオチドが2’−デオキシ−プリンヌクレオチドである,請求項6に記載のsiNA分子。
  21. 前記アンチセンス領域が,前記アンチセンス領域の3’−末端においてホスホロチオエートヌクレオチド間結合を有する請求項18に記載のsiNA分子。
  22. 前記アンチセンス領域が,前記アンチセンス領域の3’−末端においてグリセリル修飾を有する請求項6に記載のsiNA分子。
  23. 前記siNA分子の二つの各断片が約21個のヌクレオチドを含む,請求項9に記載のsiNA分子。
  24. siNA分子の各断片の約19個のヌクレオチドはsiNA分子の他方の断片の相補的なヌクレオチドと塩基対形成し,siNA分子の各断片の少なくとも二つの3’−末端ヌクレオチドはsiNA分子の他方の断片のヌクレオチドと塩基対形成しない,請求項23に記載のsiNA分子。
  25. siNA分子の各断片の二つの3’−末端ヌクレオチドの各々が,2’−デオキシ−ピリミジンである請求項24に記載のsiNA分子。
  26. 前記2’−デオキシ−ピリミジンは2’−デオキシ−チミジンである,請求項25に記載のsiNA分子。
  27. 前記siNA分子の各断片の約21個のヌクレオチドのすべてが,siNA分子の他方の断片の相補的なヌクレオチドと塩基対形成する,請求項23に記載のsiNA分子。
  28. アンチセンス領域の約19個のヌクレオチドが,Hairless遺伝子でコード化されたRNAのヌクレオチド配列又はその一部と塩基対形成する,請求項23に記載のsiNA分子。
  29. アンチセンス領域の約21個のヌクレオチドが,Hairless遺伝子でコード化されたRNAのヌクレオチド配列又はその一部と塩基対形成する,請求項23に記載のsiNA分子。
  30. 前記アンチセンス領域を有する断片の5’−末端が,任意にてリン酸基を有する請求項9に記載のsiNA分子。
  31. 薬剤的に許容される担体又は希釈剤中に,請求項1に記載のsiNA分子を含有する組成物。
  32. Hairless遺伝子でコード化されたRNAが,ジェンバンク受入番号(Genbank Accession No)NM_018411を含む請求項1に記載のsiNA。
  33. 前記siNAがSEQ ID NO 1〜1138のいずれかを含む,請求項1に記載のsiNA。
  34. 薬剤的に許容される担体又は希釈剤と共に請求項32に記載のsiNAを含有する組成物。
  35. 薬剤的に許容される担体又は希釈剤と共に請求項33に記載のsiNAを含有する組成物。

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