JP2007521792A - 異常に切断されたタンパク質を異所性発現する酵母、およびこの用途 - Google Patents

異常に切断されたタンパク質を異所性発現する酵母、およびこの用途 Download PDF

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Abstract

異常に切断されたタンパク質を異所性発現する酵母、およびこのような異常に切断されたタンパク質の機能を酵母内で調節する化合物を同定するためのスクリーニング法を開示する。このようなスクリーニングによって同定された化合物を用いて、異常に切断されたタンパク質、またはタンパク質の誤った折りたたみが関連する疾患を治療または予防することができる。このような疾患には、パーキンソン病、痴呆を伴うパーキンソン病、レーヴィ体痴呆、パーキンソニズムを伴うアルツハイマー病、および多系統性萎縮症などが含まれる。

Description

発明の分野
本発明は、異常に切断されたタンパク質を異所性発現する酵母、およびこのような異常に切断されたタンパク質の機能を調節する化合物を同定するためのスクリーニング法に関する。
関連出願の相互参照
本出願は、2003年4月16日に出願された米国仮出願第60/463,284号、および2003年5月20日に出願された米国仮出願第60/472,317号の優先権を主張する。これら先願の全内容は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
政府出資による研究に関する説明
本発明は、米国立衛生研究所/米国立精神疾患・卒中研究所から供与された助成金(NS044829-01)を元に政府の支援を受けて実施された。米国政府は、本発明の一定の権利を有する。
発明の背景
α-シヌクレイン(synuclein)は、高密度の細胞質内封入体(レーヴィ体と呼ばれる)に凝集および沈殿可能なタンパク質である。レーヴィ体は、パーキンソン病、痴呆を伴うパーキンソン病、レーヴィ体痴呆、パーキンソニズムを伴うアルツハイマー病、および多系統性萎縮症を含む、さまざまな神経障害の病因に関与する。
パーキンソン病は、その有病率が65歳以上では約2%なので、ヒトの極めて一般的な神経変性疾患の1つである。パーキンソン病の病理学的特徴は:
(a)直径が約5〜25 μmの球状の細胞質封入体であるレーヴィ体の存在(主にα-シヌクレインに反応性を示すが、ユビキチンおよび他のタンパク質にも反応性を示す)(Spillantini MG, et al., 1997. Nature 388: 839-40);および
(b)黒質緻密部におけるドーパミンニューロンの広範囲の喪失(Fearnley JM, et al., 1991. Brain 114: 2283-2301)である。
パーキンソン病を始めとする神経変性疾患の有効な治療法が求められている。
発明の要約
本発明は少なくとも部分的には、α-シヌクレインなどの異常に切断されたタンパク質を異所性発現する酵母が、異常に切断されたタンパク質の生物学的側面(例えばα-シヌクレインの生物学的側面)のある特徴を示すという発見に基づく。この発見により、異常に切断されたタンパク質(例えばα-シヌクレイン)の発現の結果として、酵母に見られる異常な生物学的過程を調節する化合物を同定するために、酵母のスクリーニングを実施することが可能となっている。このようなスクリーニングによって同定される化合物は、タンパク質の誤った折りたたみに起因する疾患(パーキンソン病など)の治療または予防のための候補薬物として使用することができる。
本発明はまた、α-シヌクレインをコードする、ある用量の核酸を有する酵母細胞が、酵母内に存在するα-シヌクレインの量に比例した成長異常を示すという発見にも少なくとも部分的に基づく。中程度の成長異常が、α-シヌクレインをコードする核酸の1つの組込まれたコピーを有する酵母で観察されている一方で、極度の成長異常が、このような核酸の2つの組込まれたコピーを有する酵母で観察されている。このような酵母は、α-シヌクレインの誘導によって誘導される毒性を抑制または阻害する化合物を同定するための優れた系を提供する。このようなスクリーニングによって同定される化合物は、タンパク質の誤った折りたたみに起因する疾患(パーキンソン病など)の治療または予防のための候補薬物として使用することもできる。
本明細書には、タンパク質の誤った折りたたみに起因する疾患、またはヒトにおける神経障害や神経変性疾患などの疾患に関連するタンパク質(例えばα-シヌクレイン)を異所性発現する酵母細胞を開示する。このようなタンパク質は、ヒトの細胞(例えば神経細胞)で異常な切断を受け、細胞における異常な分布(例えば神経細胞内などの細胞における封入体、または膜局在化)、細胞における凝集体の形成、および/または細胞に対する毒性につながる。このようなタンパク質を本明細書では、「異常に切断されたタンパク質」と呼び、かつ関連する疾患、状態、または障害を、「タンパク質の誤った折りたたみに起因する疾患」と表現する。野生型もしくは変異型のタンパク質、またはその機能的異型であり得る、このようなタンパク質を発現する酵母細胞は、タンパク質の誤った折りたたみ、および/または異常な切断を阻害する薬物を同定する際に有用であり、したがってタンパク質の誤った折りたたみに起因する疾患の予防および/または治療(進行の阻害および逆転を含む)に有用である。このような疾患には例えば、パーキンソン病、痴呆を伴うパーキンソン病、レーヴィ体を伴う痴呆、アルツハイマー病、パーキンソニズムを伴うアルツハイマー病、多系統性萎縮症、ハンチントン病、および脊髄小脳失調などがある。
いくつかの態様では、タンパク質の誤った折りたたみに起因する疾患(例えばパーキンソン病、レーヴィ体を伴う痴呆、または多系統性萎縮症)に特徴的なタンパク質(例えばα-シヌクレイン)は、酵母細胞で異所性発現される。結果として得られる酵母細胞は、タンパク質の異常な切断を(部分的または全体的に)阻害する薬物(化合物または分子)を同定する際、およびタンパク質の異常な切断を(部分的または全体的に)阻害するように調節可能な遺伝的標的を同定する際の両方に有用である。例えば他の態様では、神経原繊維変化を生じるTauタンパク質、拡張Qリピートを含むハンチンチン(Htt)タンパク質、または拡張Qリピートを含むアタキシン(ataxin)が、酵母で異所性発現される。結果として得られる酵母細胞はそれぞれ、アルツハイマー病、ハンチントン病、および脊髄小脳失調の治療に有用な薬物を同定する際に有用である。
酵母は、病因にα-シヌクレインが重要な役割を果たす神経障害を調べるためのモデル、ならびにα-シヌクレインの細胞膜への局在、および/またはα-シヌクレインの細胞質封入体の形成に干渉する薬物(化合物または分子)を同定するためのモデル、ひいてはaSの有害作用を抑えるために使用される薬物を同定するためのモデルとして使用可能である。特定の態様は、α-シヌクレインを阻害する薬物を同定するために有用なモデル、および病因にα-シヌクレインが重要な役割を果たす(発症を妨げたり遅らせたり、疾患の程度を低下させたり、および/または既に発症した疾患を逆転させたりする)疾患の治療に有用な酵母モデルに関する。例えば、本明細書に記載された酵母系を使用することで、パーキンソン病、痴呆を伴うパーキンソン病、レーヴィ体を伴う痴呆、およびパーキンソニズムレーヴィを伴うアルツハイマー病などの神経変性疾患の治療に使用される薬物を同定することができる。このような薬物を使用することで、発症を妨げたり遅らせたりすることができるほか、発生の程度を低下させたり、または主にα-シヌクレインに反応性を示す封入体を特徴とする疾患を逆転させたりすることができる。
本明細書に記載された酵母系は、異常に切断されたタンパク質を異所性発現するサッカロミセス属などの酵母(例えば出芽酵母)細胞などの酵母細胞を含む。異所性発現されるタンパク質は、哺乳動物(例えばヒトまたはマウス)のタンパク質であり得、かつ野生型もしくは変異型、またはその機能的異型であり得る。特定の態様では、本明細書に記載されたタンパク質は酵母で異所性発現される。異常に切断されたタンパク質の野生型もしくは変異型(または、その機能的異型)を異所性発現する、本明細書に記載された酵母細胞は、異常に切断されたタンパク質をコードする核酸(DNAまたはRNA)を、その内部に組込まれている。
1つの局面では、出芽酵母などの酵母細胞は、発現対象となる異常に切断されるタンパク質(例えばα-シヌクレイン)をコードするDNAもしくはRNAを含むプラスミドまたはプラスミド群を含む(内部に取り込んでいる)。1つの態様では、異常に切断されたタンパク質をコードするDNAは、出芽酵母で機能するプロモーター(例えばGal 1-10プロモーター)などの、酵母で機能するプロモーターに機能的に連結されている。さまざまなプラスミドを使用することができる。1つの態様では、プラスミドは、組込み型プラスミド(例えばpRS303、pRS304、pRS305、pRS306、または他の任意の組込み型プラスミド)である。他の態様では、プラスミドは、エピソームプラスミド(例えばp426GPD、p416GPD、p426TEF、p423GPD、p425GPD、p424GPD、またはp426GAL)である。
本明細書に記載された酵母細胞は、異常に切断されたタンパク質(例えばα-シヌクレイン)検出用タンパク質融合タンパク質と呼ばれる融合タンパク質を発現可能である。1つの態様では、異常に切断されたタンパク質(野生型もしくは変異型、またはその機能的異型)をコードするDNA、および検出可能なタンパク質をコードするDNAは、酵母内における発現が可能な(発現される)プラスミド上で読み枠が同じである(この結果、発現される産物は融合タンパク質となる)。2つの成分は、プラスミド中で、発現を駆動する1つのプロモーターに機能的に連結可能であるほか、それぞれが、所望の融合タンパク質を産生させる場合には、異なる(別個の)プロモーターに機能的に連結可能である。任意で、2つの成分は、融合タンパク質が、わずかに異なる特性を示す場合のある残基(例えばリンカーポリペプチド)を介在することで分離することができる。検出可能なタンパク質は例えば、蛍光タンパク質、酵素、またはエピトープなどの場合がある。蛍光タンパク質は例えば、赤色蛍光タンパク質、緑色蛍光タンパク質、青色蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質、シアン蛍光タンパク質、または蛍光タンパク質の他の異型の場合がある。融合タンパク質の酵素成分は例えば、β-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、Ura3p、または他の栄養要求性マーカータンパク質の場合がある。エピトープ成分は例えば、FLAG、HA、His6、AU1、Tap、プロテインA、または他のエピトープの場合がある。特定の態様では、異常に切断されたタンパク質を単独で、または融合タンパク質の成分として異所性発現する酵母細胞はさらに、破壊された状態の(非機能状態となった)薬物排出および/または細胞透過性に重要な役割を果たす少なくとも1つの遺伝子を含む。このような破壊型遺伝子は、PDR1遺伝子、PDR3遺伝子、PDR5遺伝子、およびERG6遺伝子を含むがこれらに限定されない。
1つの態様は、α-シヌクレインを含むタンパク質をコードする核酸を含む発現コンストラクト(例えば本明細書に記載されたプラスミド)を含む酵母細胞を特徴とする(発現コンストラクトは酵母細胞のゲノムに組込まれ、かつ核酸の発現は、タンパク質産生の誘導が酵母細胞に毒性を示すように、誘導性プロモーター(例えば本明細書に記載された誘導性プロモーター)によって調節される)。酵母細胞は任意で、発現コンストラクトの2つまたはそれ以上の組込まれたコピーを含む場合がある。
他の態様は、α-シヌクレインを含む、毒性を誘導する量のタンパク質を発現する酵母細胞を特徴とする。このような酵母細胞は、タンパク質をコードする核酸を含む少なくとも1つの組込まれた状態の発現コンストラクト(また任意で、2つまたはそれ以上のコピー)を含む場合がある。
本明細書に記載された酵母で発現されるα-シヌクレインは、例えばヒトのα-シヌクレインの場合がある(例えば、本明細書に記載された野生型のヒトα-シヌクレインまたは変異型のヒトα-シヌクレイン)。
いくつかの態様では、α-シヌクレイン含有タンパク質を発現する酵母細胞は、出芽酵母、サッカロミセス ユヴァエ(uvae)、サッカロミセス クライベリ(kluyveri)、分裂酵母、クライベロミセス ラクティス(Kluyveromyces lactis)、ハンゼヌラ ポリモルファ(polymorpha)、ピチア パストリス(pastoris)、ピチア メタノリカ(methanolica)、ピチア クライベリ、ヤロウィア リポリティカ(Yarrowia lipolytica)、カンジダ種、カンジダ ユティリス(utilis)、カンジダ カカオイ(cacaoi)、ゲオトリクム種、またはゲオトリクム フェルメンタンス(fermentans)である。
本明細書に記載された酵母で使用される誘導性プロモーターは例えば、GAL1-10、GAL1、GALL、GALS、GPD、ADH、TEF、CYC1、MRP7、MET25、TET、VP16、またはVP16-ERなどである。
本明細書に記載された酵母に使用される発現コンストラクトは、pRS303、pRS304、pRS305、またはpRS306などの組込み型プラスミドの場合がある。
いくつかの態様では、核酸の発現の誘導によって、酵母細胞は生存能力を失うか、または細胞の成長が停止するようになる。
α-シヌクレイン含有タンパク質は、検出可能なタンパク質(例えば、蛍光タンパク質、酵素、またはエピトープ)を含む融合タンパク質の場合がある。例示的な蛍光タンパク質には、赤色蛍光タンパク質、緑色蛍光タンパク質、青色蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質、およびシアン蛍光タンパク質などがある。
いくつかの態様では、薬物排出または細胞透過性に関与するポリペプチドをコードする少なくとも1つの遺伝子(例えばPDR1、PDR3、またはERG6、もしくはPDR5)が破壊されている。
細胞におけるα-シヌクレインの毒性を防止または抑制する薬物を同定する方法も開示する。この方法は以下の段階を含む:
(a)α-シヌクレインを異所性発現する酵母細胞(例えば出芽酵母)に候補薬物を接触させる段階;
(b)酵母細胞を、同細胞に毒性を十分引き起こすレベルでα-シヌクレインの発現を可能とする条件下で培養する段階;および
(c)候補薬物の存在下でα-シヌクレインの毒性が、候補薬物の非存在下と比較して弱いか否かを判定する段階(α-シヌクレインの毒性が候補薬物の存在下で弱い場合、α-シヌクレインの毒性を防止または抑制する薬物が同定されたことになる)。任意で、変異型のα-シヌクレインタンパク質(例えばA53TまたはA30P)を、この方法で使用することができる。
他の態様は、以下の段階を含む、α-シヌクレイン誘導毒性を防止または抑制する化合物を同定する方法を特徴とする:
(a)本明細書に記載された酵母細胞(例えば、α-シヌクレインを含むタンパク質をコードする核酸の2つの組込まれたコピーを含む酵母細胞)を候補薬剤の存在下で、かつ候補薬剤の非存在下で酵母細胞に毒性を十分誘導するレベルでタンパク質の発現を可能とする条件下で培養する段階;および
(b)候補薬剤の存在下で酵母細胞における毒性が、候補薬剤の非存在下と比較して弱いか否かを判定する段階(毒性が候補薬剤の存在下で弱い場合、候補薬剤は、α-シヌクレイン誘導毒性を防止または抑制する化合物であると判定される)。
別の局面は、以下の段階を含む、α-シヌクレイン誘導毒性の遺伝子外抑制因子を同定する方法である:
(a)本明細書に記載された酵母細胞(例えば、α-シヌクレインを含むタンパク質をコードする核酸の2つの組込まれたコピーを含む酵母細胞)を培養する段階(酵母細胞の内因性遺伝子は、内因性遺伝子の破壊の非存在下において酵母細胞に対する毒性を十分誘導するレベルで、α-シヌクレイン含有タンパク質の発現を可能とする条件下で破壊されている);および
(b)内因性遺伝子が破壊された条件下で酵母細胞に対する毒性が、内因性遺伝子が破壊されていない条件と比較して、弱いか否かを判定する段階(毒性が、内因性遺伝子が破壊された条件下で弱い場合、破壊された内因性遺伝子は、α-シヌクレイン誘導毒性の遺伝子外の抑制因子であると判定される)。
さらなる態様は、α-シヌクレインなどの異常に切断されたタンパク質を(本明細書に記載されているように、単独で、または融合タンパク質の成分として)異所性発現する酵母を用いて、細胞膜への局在を(部分的または完全に)阻害する薬物、および/または異常に切断されたタンパク質の細胞質封入体の形成/凝集を(部分的または完全に)阻害する薬物などのタンパク質(例えばα-シヌクレイン)の異常な切断を阻害することで、異常に切断されたタンパク質(例えばα-シヌクレイン)が病因に寄与する神経学的疾患または神経変性疾患の治療に使用される薬物(化合物もしくは分子)を同定するか、または産生させる方法に関する。
1つの態様は、異常に切断されたタンパク質(例えばα-シヌクレイン)の細胞膜への局在を阻害する薬物を同定する方法を特徴とする。この方法は以下の段階を含む:
(a)異常に切断されたタンパク質(例えばα-シヌクレイン)を、候補薬物の存在下で低レベルで異所性発現する酵母細胞を培養する段階;
(b)異常に切断されたタンパク質が酵母の形質膜に結合する程度を決定する段階;および
(c)(b)で決定された程度を、異常に切断されたタンパク質が適切な対照において酵母の形質膜に局在する程度と比較する段階((b)で決定された程度が、異常に切断されたタンパク質が対照において酵母の形質膜に局在する程度より小さい場合、候補薬物は、異常に切断されたタンパク質の細胞膜への局在を阻害する薬物となる)。対照は例えば、試験細胞と同じ酵母細胞の場合があり、かつ候補薬物の非存在下で培養される点を除いて試験細胞と同様に処理された酵母細胞の場合がある。対照の処理は、試験細胞と同時に実施され得るか、または標準曲線などの事前に確立された対照のであり得る。
以下の段階を含む、α-シヌクレインの形質膜への局在を調節する化合物を同定する方法も開示する:
(a)候補薬剤の存在下で、α-シヌクレインを含むタンパク質を異所性発現する酵母細胞を培養する段階;および
(b)候補薬剤の存在下での酵母細胞におけるタンパク質の形質膜への局在が、候補薬剤の非存在下と比較して変化するか否かを判定する段階(タンパク質の形質膜への局在が、候補薬剤の存在下で変化すれば、候補薬剤は、α-シヌクレインの形質膜への局在を調節する化合物であると判定される)。
1つの態様は、細胞における、異常に切断されたタンパク質(例えばα-シヌクレイン)の封入体の形成/凝集を(部分的または完全に)阻害する薬物を同定する方法を特徴とする。この方法は以下の段階を含む:
(a)異常に切断されたタンパク質(例えばα-シヌクレイン)を候補薬物の存在下で、酵母細胞内で、異常に切断されたタンパク質の封入体形成/凝集を十分引き起こすレベルで異所性発現する酵母細胞を培養する段階;
(b)異常に切断されたタンパク質が、酵母の細胞質内で封入体/凝集体を形成する程度を決定する段階;および
(c)(b)で決定された程度を、異常に切断されたタンパク質が適切な対照において酵母の細胞質内で封入体/凝集体を形成する程度と比較する段階((b)で決定された程度が、異常に切断されたタンパク質が対照における酵母の細胞質内で封入体/凝集体を形成する程度より小さい場合、候補薬物は、細胞における、異常に切断されたタンパク質の封入体の形成/凝集を阻害する薬物となる)。対照は例えば、試験細胞と同じ酵母細胞(例えば、野生型または変異型のα-シヌクレインを発現する酵母細胞)の場合があり、かつ候補薬物の非存在下で培養される点を除いて試験細胞と同様に処理された酵母細胞の場合がある。対照の処理は、試験細胞と同時に実施され得るか、または標準曲線などの事前に確立された対照のであり得る。
以下の段階を含む、α-シヌクレインのの凝集または封入体形成を阻害する化合物を同定する方法も開示する:
(a)候補薬剤の存在下で、α-シヌクレインを含むタンパク質を異所性発現する酵母細胞を培養する段階;および
(b)候補薬剤の存在下での細胞質内におけるタンパク質の凝集または封入体形成が、候補薬剤の非存在下と比較して少ないか否かを判定する段階(タンパク質の凝集または封入体形成が候補薬剤の存在下で少ない場合、候補薬剤はα-シヌクレインの凝集または封入体形成を阻害する化合物であると判定される)。
1つの態様は、α-シヌクレインの脱凝集を促進する(例えば、封入体または凝集体の分解または崩壊を引き起こすことなどによって、既に生じた凝集の逆転を促進する)薬物を同定する方法を特徴とする。この方法は以下の段階を含む:
(a)α-シヌクレインを異所性発現する酵母細胞(α-シヌクレインは酵母の細胞質内で封入体を形成しているか、または凝集している)に候補薬物を、同候補薬物の酵母内への進入に適した条件下で、または進入させる条件下で接触させる段階;および
(b)候補薬物の存在下での封入または凝集が、候補薬物の非存在下と比較して少ないか否かを判定する段階(封入または凝集が候補薬物の存在下で少ない場合、α-シヌクレインの脱凝集を促進する薬物が同定されたことになる)。α-シヌクレインは例えば、野生型または変異型(例えばA53T)の場合があり、かつ本明細書に記載されたように、さまざまな酵母細胞を使用することができる。野生型または変異型のα-シヌクレインは、本明細書に記載されたように、単独で、または融合タンパク質の成分として発現させることができる。
他の態様は、化合物が細胞内でα-シヌクレインの脱凝集を促進する能力を評価する方法を特徴とする。この方法は以下の段階を含む:
(a)α-シヌクレインを異所性発現し、かつα-シヌクレイン凝集体を細胞質内に含む酵母細胞に、評価対象の化合物を、同化合物の酵母内への進入に適した条件下で、または進入させる条件下で接触させる段階;
(b)(a)の産物を、細胞質内で、化合物がα-シヌクレイン凝集体と十分相互作用する時間維持する段階;および
(c)化合物の存在下での酵母細胞の細胞質内におけるα-シヌクレイン凝集体の発生が、化合物の非存在下と比較して少ないか否かを判定する段階(発生が、化合物の非存在下と比較して化合物の存在下で少ない場合、対象化合物は、細胞におけるα-シヌクレインの脱凝集を促進することになる)。α-シヌクレインは、野生型または変異型(例えばA53T)の場合があり、また本明細書に記載されたように、さまざまな酵母細胞を使用することができる。野生型または変異型のα-シヌクレインは、本明細書に記載されているように、単独で、または融合タンパク質の成分として発現させることができる。
以下の段階を含む、α-シヌクレインの脱凝集を促進する化合物を同定する方法も開示する:
(a)α-シヌクレインを含むタンパク質を異所性発現する酵母細胞を提供する段階(細胞は、タンパク質の細胞質内凝集体または封入体を含む);
(b)酵母細胞に候補薬剤を接触させる段階;および
(c)候補薬剤の存在下でのタンパク質の細胞質内における凝集または封入体形成が、候補薬剤の非存在下と比較して少ないか否かを判定する段階(タンパク質の凝集または封入体形成が、候補薬剤の存在下で少ない場合、候補薬剤は、α-シヌクレインの脱凝集を促進する化合物であると判定される)。
1つの態様は、細胞内で、α-シヌクレインに起因するプロテアソーム障害を防止または抑制する薬物を同定する方法を特徴とする。この方法は以下の段階を含む:
(a)α-シヌクレインを異所性発現する酵母細胞に候補薬物を接触させる段階;
(b)酵母細胞(例えば出芽酵母)を、プロテアソーム障害を十分生じるレベルでα-シヌクレインの発現を可能とする条件下で培養する段階;および
(c)α-シヌクレインによるプロテアソーム障害が、候補薬物の非存在下と比較して候補薬物の存在下で弱いか否かを判定する段階(α-シヌクレインによるプロテアソーム障害が、候補薬物の存在下で弱い場合、α-シヌクレインに起因するプロテアソーム障害を防止または抑制する薬物が同定されたことになる)。任意で、変異型のα-シヌクレインタンパク質(例えばA53T、A30P)を、この方法で使用することができる。
以下の段階を含む、α-シヌクレインに起因するプロテアソーム障害を防止または抑制する化合物を同定する方法も開示する:
(a)候補薬剤の存在下で、α-シヌクレインを含むタンパク質を異所性発現する酵母細胞を培養する段階;および
(b)候補薬剤の存在下での細胞中におけるプロテアソーム障害が、候補薬剤の非存在下と比較して弱いか否かを判定する段階(細胞におけるプロテアソーム障害が、候補薬剤の存在下で弱い場合、候補薬剤は、α-シヌクレインに起因するプロテアソーム障害を防止または抑制する化合物であると判定される)。
1つの態様は、細胞におけるα-シヌクレインに起因するホスホリパーゼD(PLD)の阻害を防止または抑制する薬物を同定する方法を特徴とする。この方法は以下の段階を含む:
(a)α-シヌクレインを異所性発現する酵母細胞(例えば出芽酵母)に候補薬物を接触させる段階;
(b)α-シヌクレインの発現を、PLDの阻害を十分引き起こすレベルで可能とする条件下で、酵母細胞を培養する段階;および
(c)候補薬物の存在下でα-シヌクレインによるPLDの阻害が、候補薬物の非存在下と比較して弱くなるか否かを判定する段階(α-シヌクレインによるPLDの阻害が、候補薬物の存在下で弱い場合、α-シヌクレインに起因するPLDの阻害を防止または抑制する薬物が同定されたことになる)。任意で、変異型のα-シヌクレインタンパク質(例えばA53T、A30P)を、この方法で使用することができる。
以下の段階を含む、α-シヌクレインに起因するPLDの阻害を防止または抑制する化合物を同定する方法も開示する:
(a)候補薬剤の存在下で、α-シヌクレインを含むタンパク質を異所性発現する酵母細胞を培養する段階;および
(b)候補薬剤の存在下での細胞におけるPLDの阻害が、候補薬剤の非存在下と比較して弱くなるか否かを判定する段階(細胞におけるPLDの阻害が、候補薬剤の存在下で弱くなる場合、候補薬剤は、α-シヌクレインに起因するPLDの阻害を防止または抑制する化合物であると判定される)。
1つの態様は、細胞における、α-シヌクレインに起因する酸化ストレスを防止または抑制する薬物を同定する方法を特徴とする。この方法は以下の段階を含む:
(a)α-シヌクレインを異所性発現する酵母細胞(例えば出芽酵母)に候補薬物を接触させる段階;
(b)酸化ストレスを十分引き起こすレベルにおけるα-シヌクレインの発現を可能とする条件下で、酵母細胞を培養する段階;および
(c)候補薬物の存在下でα-シヌクレインによる酸化ストレスが、候補薬物の非存在下と比較して弱いか否かを判定する段階(α-シヌクレインによる酸化ストレスが、候補薬物の存在下で弱い場合、α-シヌクレインに起因する酸化ストレスを防止または抑制する薬物が同定されたことになる)。任意で、変異型のα-シヌクレインタンパク質(例えばA53T、A30P)を、この方法で使用することができる。
以下の段階を含む、α-シヌクレインに起因する酸化ストレスを防止または抑制する化合物を同定する方法も開示する:
(a)候補薬剤の存在下で、α-シヌクレインを含むタンパク質を異所性発現する酵母細胞を培養する段階;および
(b)候補薬剤の存在下で細胞における酸化ストレスが、候補薬剤の非存在下と比較して弱いか否かを判定する段階(細胞における酸化ストレスが、候補薬剤の存在下で弱い場合、候補薬剤は、α-シヌクレインに起因する酸化ストレスを防止または抑制する化合物であると判定される)。
1つの態様は、α-シヌクレインとα-シヌクレイン関連タンパク質の相互作用を調節する薬物を同定する方法を特徴とする。この方法は以下の段階を含む:
(a)α-シヌクレインおよびα-シヌクレイン関連タンパク質を異所性発現する酵母細胞(例えば出芽酵母)に候補薬物を接触させる段階;(b)酵母細胞を、α-シヌクレインとα-シヌクレイン関連タンパク質の相互作用を可能とする条件下でインキュベートする段階;および
(c)候補薬物の存在下で2つの分子間の相互作用が、候補薬物の非存在下と比較して弱いか否かを判定する段階(相互作用が候補薬物の存在下で弱い場合、α-シヌクレインとα-シヌクレイン関連タンパク質の相互作用を弱める、または阻害する薬物が同定されたことになる)。任意で、変異型のα-シヌクレインタンパク質(例えばA53T、A30P)を、この方法で使用することができる。
以下の段階を含む、α-シヌクレインとα-シヌクレイン関連タンパク質の相互作用を弱める、または阻害する化合物を同定する方法も開示する:
(a)候補薬剤の存在下で、(i)α-シヌクレインを含む第1のタンパク質、および(ii)α-シヌクレイン関連タンパク質を含む第2のタンパク質を異所性発現する酵母細胞を培養する段階;ならびに
(b)候補薬剤の存在下での細胞における第1のタンパク質と第2のタンパク質の相互作用が、候補薬剤の非存在下と比較して弱いか否かを判定する段階(細胞における第1のタンパク質と第2のタンパク質間の相互作用が、候補薬剤の存在下で弱い場合、候補薬剤は、α-シヌクレインとα-シヌクレイン関連タンパク質の相互作用を弱める、または阻害する化合物であると判定される)。例示的なα-シヌクレイン関連タンパク質には、デホスホ-BAD、プロテインキナーゼC(PKC)、分裂促進物質活性化細胞外調節キナーゼ(ERK)、シンフィリン(synphilin)-1、ハンチンチン(Htt)、ホスホリパーゼD(PLD)、パーキン(parkin)、およびTauなどがある。
1つの態様は、α-シヌクレイン関連タンパク質を同定する方法を特徴とする。この方法は以下の段階を含む:
(a)酵母細胞(例えば出芽酵母)を、α-シヌクレインおよび候補タンパク質をコードするプラスミドで形質転換する段階;
(b)α-シヌクレインおよび候補タンパク質の発現を可能とする条件下で、酵母細胞をインキュベートする段階;および
(c)α-シヌクレインと候補タンパク質間の相互作用を判定する段階(相互作用が認められれば、候補タンパク質はα-シヌクレイン関連タンパク質である)。任意で、変異型のα-シヌクレインタンパク質(例えばA53T、A30P)を、この方法で使用することができる。
以下の段階を含む、α-シヌクレイン関連タンパク質を同定する方法も開示する:
(a)酵母細胞を、(i)α-シヌクレインを含む第1のタンパク質をコードする第1の発現コンストラクト、および(ii)候補タンパク質を含む第2のタンパク質をコードする第2の発現コンストラクトで形質転換する段階;
(b)第1のタンパク質および第2のタンパク質の発現を可能とする条件下で、酵母細胞をインキュベートする段階;ならびに
(c)第1のタンパク質が第2のタンパク質と相互作用するか否かを判定する段階(相互作用が認められれば、候補タンパク質は、α-シヌクレイン関連タンパク質であると判定される)。
1つの態様は、α-シヌクレイン関連疾患に関与する遺伝子を同定する方法を特徴とする。この方法は以下の段階を含む:
(a)α-シヌクレインを異所性発現する酵母細胞(例えば出芽酵母)からRNAを単離する段階;
(b)対照酵母細胞からRNAを単離する段階;
(c)(a)および(b)で単離されたRNAの発現パターンを比較する段階;ならびに
(d)対照酵母細胞と比較して、α-シヌクレインを異所性発現する酵母細胞で高いレベルまたは低いレベルで発現される遺伝子を同定する段階。この方法は、ディファレンシャルディスプレイ(例えばマイクロアレイ)、またはサブトラクティブハイブリダイゼーションを行うことで実施できる。任意で、変異型のα-シヌクレインタンパク質(例えばA53T、A30P)を、この方法で使用することができる。α-シヌクレイン関連疾患の例には、パーキンソン病、痴呆を伴うパーキンソン病、レーヴィ体を伴う痴呆、パーキンソニズムを伴うアルツハイマー病、および多系統性萎縮症などがある。
以下の段階を含む、α-シヌクレイン関連疾患に関与する遺伝子を同定する方法も開示する:
(a)α-シヌクレインを異所性発現する第1の酵母細胞からRNAを単離する段階;
(b)α-シヌクレインを異所性発現しない第2の酵母細胞からRNAを単離する段階;
(c)第1の酵母細胞から単離されたRNAを、第2の酵母細胞から単離されたRNAと比較する段階;および
(d)第2の酵母細胞に対して、第1の細胞内で高レベルまたは低レベルで存在するRNAを同定することで、α-シヌクレイン関連疾患に関与する対応する遺伝子を同定する段階。このような方法では例えば、ディファレンシャルディスプレイまたはサブトラクティブハイブリダイゼーションを行うことでRNAを同定することができる。
1つの態様は、以下の段階を含む、細胞がレーヴィ症状の発現を阻害する薬物を同定する方法を特徴とする:
(a)レーヴィ症状の発現と関連する、異常に切断されたタンパク質を候補薬物の存在下で、酵母の細胞質内でタンパク質の凝集を十分生じるレベルで、異所性発現する出芽酵母細胞(試験細胞)などの酵母細胞を培養する段階;
(b)酵母細胞の細胞質内でタンパク質が凝集する程度を決定する段階;および
(c)(b)(試験細胞内)で決定された程度を、適切な対照において、酵母の細胞質内でタンパク質が凝集する程度と比較する段階((b)で決定された程度が、対照の細胞質内で異常に切断されたタンパク質が凝集する程度より低い場合、候補薬物は、細胞がレーヴィ症状の発現を阻害する薬物となる)。
本明細書に記載された酵母のスクリーニングで同定される化合物は、その有効性をインビボで(例えばマウスやヒトなどの哺乳動物で)検討することができる。例示的なインビボモデルは、ゲノムが、異常に切断されたタンパク質(例えばα-シヌクレイン)をコードする導入遺伝子を含み、かつマウスで(例えば神経細胞で)、細胞毒性、タンパク質の膜への結合、封入体形成、および/またはPLDの阻害を生じるように発現されるトランスジェニックマウスである。
本明細書に記載された酵母細胞を含むアッセイキットも開示する。
さらなる態様は、タンパク質の誤った折りたたみに起因する疾患(例えば神経変性疾患)を発症するか、または罹患するリスクのある個体または被験者を治療する方法に関する。この方法は、治療的有効量の化合物(例えば薬物)を被験者に投与する段階を含む(化合物(例えば薬物)は、本明細書に記載された任意の方法で同定されている)。同定される化合物は、小分子化合物、ペプチド模倣物、核酸、またはポリペプチドの場合がある。同定される化合物は、天然化合物、合成化合物、または半合成化合物の場合がある。任意で、治療用化合物は、薬学的に許容される担体を用いて製剤化される。このような化合物は単独で、またはこのような個体を治療する他の方法もしくは複数の方法と組み合わせて(例えば、他の薬物、外科手術、または幹細胞もしくは神経細胞の移植と組み合わせることで)投与できる。タンパク質の誤った折りたたみに起因する疾患の例には、パーキンソン病、痴呆を伴うパーキンソン病、レーヴィ体を伴う痴呆、アルツハイマー病、パーキンソニズムを伴うアルツハイマー病、多系統性萎縮症(MSA)、ハンチントン病、脊髄小脳失調(SCA)、プリオン病、および2型糖尿病などがある。
一例は、本明細書に記載された方法で同定される治療的有効量の化合物を含む薬学的組成物を個体に投与する段階を含む、タンパク質の誤った折りたたみに起因する疾患(例えばパーキンソン病)に罹患した個体を治療する方法を特徴とする。
本明細書に記載された研究から明らかなように、α-シヌクレインなどの異常に切断されたタンパク質を異所性発現する酵母は、(1)膜への結合;(2)封入体形成;(3)野生型とA53TおよびA30Pとの挙動の差;(4)ユビキチン化;(5)毒性;(6)変異型ハンチンチン(htt)との相互作用;(7)酸化ストレス;ならびに(8)PLDの阻害などの、異常に切断されたタンパク質の生物学的側面(例えばα-シヌクレインの生物学的側面)の特徴を示す。
特に明記した部分を除いて、本明細書で用いられる全ての科学技術用語は、本発明が属する技術分野の当業者により一般に理解される用語と同じ意味をもつ。本明細書に記載された方法および材料と類似の、または等価な方法および材料を、本発明を実施または検討する際に用いることができるが、好ましい方法および材料を以下に示す。本明細書で言及された、全ての出版物、特許出願、特許、および他の参考文献は、それぞれが全体として参照により本明細書に組み入れられる。矛盾が生じた場合、定義を含む本出願を優先する。また材料、方法、および実施例は、説明を目的とするだけであって、制限する意図はない。
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明から、また特許請求の範囲から明らかである。
発明の詳細な説明
異常に切断されたタンパク質(例えばα-シヌクレイン)を異所性発現する酵母を使用して、異常に切断されたタンパク質が関連する疾患を調べることができる。本明細書で用いる「異常に切断されたタンパク質」という表現は、ヒトの細胞(例えば神経細胞)で異常な切断を受け、結果として異常な分布(細胞内(例えば神経細胞内)における封入体、または膜局在化)、凝集体形成、および/または細胞に毒性を示すタンパク質を意味する。異常に切断されたタンパク質と関連する任意の疾患は、本明細書では「タンパク質の誤った折りたたみに起因する疾患」と表現する。
タンパク質の誤った折りたたみ、タンパク質原繊維の形成、および/またはタンパク質の凝集は、数多くの神経変性疾患(例えば、パーキンソン病、痴呆を伴うパーキンソン病、レーヴィ体を伴う痴呆、アルツハイマー病、パーキンソニズムを伴うアルツハイマー病、多系統性萎縮症(MSA)、ハンチントン病、脊髄小脳失調(SCA)、およびプリオン病)、ならびに非神経疾患(例えば2型糖尿病)に寄与する可能性がある。野生型もしくは変異型のタンパク質、またはその機能的異型の場合がある、このようなタンパク質を異所性発現する酵母細胞は、タンパク質の誤った折りたたみ、および/または異常な切断を阻害する候補薬物の同定に有用であり、したがってタンパク質の誤った折りたたみに起因する疾患の予防および/または治療(進行の阻害および逆転を含む)に有用である。
パーキンソン病(PD)は、タンパク質の誤った折りたたみに起因する疾患の一例である。PDの遺伝的基礎研究によって、α-シヌクレイン遺伝子上に2つのミスセンス変異が同定されている(Kruger R, et al., 1998. Nat. Genet. 18, 106-108; Polymeropoulos MH, et al., 1997. Science 276, 2045-2047)。変異の1つは、53位におけるアラニンからスレオニンへの置換(A53T)であり、もう1つは、30位におけるアラニンからプロリンへの置換(A30P)である。α-シヌクレインは、最初に発見された「PD遺伝子」であり、アルツハイマー病や多系統性萎縮症などの他の神経変性疾患の発症機構に関与する可能性もある。細胞におけるα-シヌクレインの通常の役割は未だ確認されていないが、重要な進展が最近、相互作用タンパク質(α-シヌクレイン関連タンパク質)の同定と、毒性パターンの解明の両方についてなされた。α-シヌクレイン関連タンパク質には、デホスホ-BAD(Bcl-2相同物)、プロテインキナーゼC(PKC)、分裂促進物質活性化細胞外調節キナーゼ(ERK)、シンフィリン-1、ハンチンチン(htt)、ホスホリパーゼD(PLD)、パーキン、およびTauなどがあるがこれらに限定されない。
ある局面では、本開示は、タンパク質の誤った折りたたみに起因する疾患を治療するための組成物および方法に関する。このような疾患には、パーキンソン病、痴呆を伴うパーキンソン病、レーヴィ体痴呆、パーキンソニズムを伴うアルツハイマー病、および多系統性萎縮症などがあるがこれらに限定されない。発明者らは、α-シヌクレインなどの異常に切断されたタンパク質の活性または機能に干渉する、これらの疾患に対する候補治療薬剤を同定するための、酵母を基礎とした系を開発した。前述したように、α-シヌクレインは、デホスホ-BAD、プロテインキナーゼC(PKC)、分裂促進物質活性化細胞外調節キナーゼ(ERK)、シンフィリン-1、ハンチンチン(htt)、ホスホリパーゼD(PLD)、パーキン、およびTauなどの他の多くのタンパク質と結合可能である。したがって、本開示の1つの局面は、酵母を基礎とした系における、このようなα-シヌクレイン関連タンパク質の発現を対象とする。
本開示は、α-シヌクレインを異所性発現する酵母細胞で例示されるが、本明細書に記載された方法および組成物を用いて、異常に切断されたタンパク質が、アミロイド-β(アルツハイマー病)、Tau(アルツハイマー病)、ハンチンチン(ハンチントン病)、PrP(プリオン病)、および膵島アミロイドポリペプチド(2型糖尿病)などの、α-シヌクレイン以外の、タンパク質の誤った折りたたみに起因する疾患の治療に有用な薬物を同定することもできる。
本明細書に記載された特定の態様は、病因にα-シヌクレイン(aS)が重要な役割を果たす神経変性疾患を調べる際、ならびに例えば、aSによって誘導される毒性、aSの細胞膜への局在、および/またはaSの細胞質封入体の形成を阻害する薬物(化合物もしくは分子)を同定することによって、aSの有害作用を抑える際に使用される薬物を同定するのに有用な酵母モデルである。特定の態様では、本開示は、aSを阻害する薬物を同定する際に有用な酵母モデルに関し、また病因にaSが重要な役割を果たす(発症を予防するかもしくは遅らせたり、疾患が生じる程度を低下させる、および/または、既に生じていた症状を逆転させる)疾患の治療に有用である。例えば、本明細書に記載された酵母系を用いて、パーキンソン病、痴呆を伴うパーキンソン病、レーヴィ体痴呆、およびパーキンソニズムレーヴィを伴うアルツハイマー病などの神経変性疾患の治療に使用される薬物を同定することができる。このような薬物を使用して、α-シヌクレイン(野生型または変異型)が異常に切断されたか、または誤って折りたたまれた疾患の発症を予防もしくは遅らせること、同疾患の発症の程度を低下させること、また同疾患を逆転させることができる。
本明細書では、異常に切断されたタンパク質(例えばα-シヌクレイン)を異所性発現する酵母細胞(例えば出芽酵母)を開示する。異所性発現される異常に切断されたタンパク質は、野生型もしくは変異型、またはその機能的異型の場合がある。ある態様では、酵母細胞は、aSタンパク質を、以下の2つの形状の1つで発現する:
(1)融合タンパク質の成分ではない(例えば、非aSアミノ酸の配列を含むキメラ産物の成分ではない)aS(またはaSの断片もしくは異型);または
(2)検出可能なタンパク質(ペプチドもしくはポリペプチド)をコードするアミノ酸配列などの、aSおよび非aSのアミノ酸配列を含む融合タンパク質の成分としてのaS(またはaSの断片もしくは異型)。例えば、検出可能なタンパク質(ペプチドもしくはポリペプチド)は、蛍光タンパク質、エピトープ、または酵素の場合がある。
酵母細胞
数十年間に及ぶ活発な研究により、酵母(例えば出芽酵母)は、生物学上の複雑な問題を検討するための非常に強力な系となっている。モデル系としての酵母の使用には数多くの利点がある。利点には、
(1)一倍体と二倍体の遺伝的背景が容易に切り替えられること;
(2)部位特異的変異導入が容易なこと;
(3)多くの発現ベクターが利用可能なこと;
(4)他の系で必要とされる時間および材料の何分の1かで実施可能な遺伝学的および化学的なスクリーニング法;
(5)(特に、周到に調べられているタンパク質の折りたたみに関する問題に重要な)シャペロン機構が存在すること;ならびに
(6)薬物感受性が大きく高められた特別の株が存在すること
などがある。また、酵母ゲノムは配列が決定された最初の真核生物ゲノムなので、現時点で唯一の非常によく性質が知られている真核細胞である。
本明細書には、aSを異所性発現する酵母細胞が、aSの生物学的側面の多くの点を忠実に示し、このためパーキンソン病の研究に使用可能であることを示す実験結果が記載されている。特に酵母は、タンパク質の誤った折りたたみを調べるための有用なモデル系、すなわち「生きた試験管」であることが報告されている。
本明細書に記載された組成物および方法に使用可能な酵母株には、出芽酵母、サッカロミセス ユヴァエ、サッカロミセス クライベリ、分裂酵母、クライベロミセス ラクティス、ハンゼヌラ ポリモルファ、ピチア パストリス、ピチア メタノリカ、ピチア クライベリ、ヤロウィア リポリティカ、カンジダ種、カンジダ ユティリス、カンジダ カカオイ、ゲオトリクム種、またはゲオトリクム フェルメンタンスなどがあるがこれらに限定されない。本明細書に記載された議論の多くは、異常に切断されたタンパク質を異所性発現する出芽酵母に関するが、これは単に説明を目的としたためである。他の酵母株を出芽酵母に代えて使用することができる。
本開示のある局面は、候補となる治療薬剤(例えば、薬学的、化学的、または遺伝学的な薬剤)を同定するためのスクリーニング法に関する。本明細書に記載された方法は、膜の排出ポンプに影響する、ならびに/または薬物の透過性を高める、ERG6遺伝子、PDR1遺伝子、PDR3遺伝子、PDR5遺伝子、および/もしくは他の任意の遺伝子に変異を有する酵母株を対象に実施することができる。
α-シヌクレインタンパク質
ある局面では、本明細書に開示された組成物および方法では、α-シヌクレインのポリペプチドを含むタンパク質を使用する。任意で、組成物および方法は、α-シヌクレイン関連疾患、および/またはタンパク質の誤った折りたたみに起因する疾患に関与する他のタンパク質(例えばα-シヌクレイン関連タンパク質)の使用を対象とする。
「α-シヌクレイン」という表現は、天然のα-シヌクレインの配列(例えば、天然の野生型および変異型のα-シヌクレイン)、ならびにその機能的異型を含む。
ヒトのα-シヌクレインは、以下のヌクレオチド配列にコードされる。
Figure 2007521792
ヒトのα-シヌクレインは、以下のアミノ酸配列を有する。
Figure 2007521792
「異型」という表現は本明細書で、機能的断片、変異体、および誘導体を含むように用いられる。例えば「異型」は、天然および非天然のアミノ酸を含むがこれらに限定されない、特定の部位における天然のアミノ酸の置換(例えば保存的なアミノ酸置換)を含む場合がある。いくつかの態様では、α-シヌクレインタンパク質は、SEQ ID NO:2のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、または98%が同一であり、かつα-シヌクレインの機能を保持する。
本明細書で用いる、α-シヌクレインの「活性」または「機能」という表現は、細胞質内における封入体形成/凝集、細胞膜への結合、α-シヌクレイン関連タンパク質との相互作用を含むが、これらに限定されない。またα-シヌクレインは、PLD活性を阻害し、細胞に毒性を引き起こし、かつプロテアソーム活性を損ない得る。
いくつかの態様では、完全長のα-シヌクレインタンパク質を使用することができる。「完全長」という表現は、α-シヌクレインのcDNAにコードされたアミノ酸の少なくとも全体を含むα-シヌクレインタンパク質を意味する。他の態様では、異なる長さのα-シヌクレインタンパク質を使用することができる。例えば、このようなタンパク質の機能的に活性のあるドメインのみを使用することができる。したがって、ほぼ任意の長さのタンパク質断片を使用することができる。
ある態様では、aSタンパク質の異型を使用することができる。このような異型は、aSタンパク質の生物学的に活性のある断片を含む場合がある。異型は、アミノ酸置換を含むaS活性を有するタンパク質を含む。ある態様では、酵母で異所性発現されるaS変異体は、A53T変異体(53位におけるアラニンからスレオニンへの置換を含む)、ならびにA30P変異体(30位におけるアラニンからプロリンへの置換を含む)などである。
ある態様では、aSタンパク質の少なくとも一部を含む融合タンパク質を使用することができる。例えば、aSタンパク質の一部を第2のドメインと融合させることができる。融合タンパク質の第2のドメインは、免疫グロブリンエレメント、二量体形成ドメイン、標的化ドメイン、安定化ドメイン、および精製用ドメインからなる群より選択することができる。あるいはaSタンパク質の一部を、検出タンパク質などの異種分子と融合させることができる。例示的な検出タンパク質には:
(1)緑色蛍光タンパク質(GFP)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、または黄色蛍光タンパク質(YFP)などの蛍光タンパク質;
(2)β-ガラクトシダーゼまたはアルカリホスファターゼ(AP)などの酵素;および
(3)グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)またはヘマグルチン(hemagluttin; HA)などのエピトープなどがある。例えば、α-シヌクレインタンパク質を、aSタンパク質のN末端もしくはC末端において、または他の部分においてGFPと融合させることができる。このような融合タンパク質は、本明細書では酵母細胞で例示される組換え宿主細胞においてaSタンパク質を迅速かつ容易に検出および同定する方法を提供する。
特定の態様では、本開示は、酵母を基礎とする系におけるβ-シヌクレインタンパク質またはγ-シヌクレインタンパク質の使用を対象とする。シヌクレインファミリーは、α-シヌクレイン、β-シヌクレイン、およびγ-シヌクレインの少なくとも3種類の既知のタンパク質を含む。いずれのシヌクレインも、交換可能なアポリポタンパク質のクラスA2の脂質結合ドメインと類似性を有する、共通の高度に保存されたαらせん状の脂質結合モチーフを有する(例えば、George JM, 2002, Genome Biol. 3: S3002を参照)。いくつかの態様では、本開示は、Genbankアクセッション番号NM_003085およびNP_003076でそれぞれ表される、β-シヌクレインの核酸配列、およびこれに対応するβ-シヌクレインタンパク質の配列に関する。
β-シヌクレインは、以下のヌクレオチド配列にコードされる。
Figure 2007521792
β-シヌクレインは、以下のアミノ酸配列を有する。
Figure 2007521792
いくつかの態様では、本開示は、Genbankアクセッション番号NM_003087およびNP_003078でそれぞれ表される、γ-シヌクレインの核酸配列、ならびにこれに対応するγ-シヌクレインのタンパク質配列に関する。γ-シヌクレインは、以下のヌクレオチド配列にコードされる。
Figure 2007521792
γ-シヌクレインは、以下のアミノ酸配列を有する。
Figure 2007521792
α-シヌクレイン(aS)の核酸
本明細書には、酵母細胞がaSタンパク質を発現するように、aSタンパク質をコードする核酸を酵母細胞に移入する方法を記載する。本開示は、α-シヌクレイン関連タンパク質もしくはβ-シヌクレインタンパク質などの、α-シヌクレイン関連疾患および/またはタンパク質の誤った折りたたみに起因する疾患に関与する他のタンパク質をコードする核酸も対象とする。
「α-シヌクレインの核酸」という表現は、SEQ ID NO:1で表される配列を含む核酸、および本明細書に記載されたα-シヌクレインの核酸の任意の異型を含む。「異型」という表現は本明細書で、全断片、変異体、および誘導体を含むように用いられる。例えば「異型」は、天然および非天然のヌクレオチドを含むがこれらに限定されない、特定の部位における天然のヌクレオチドの置換を含む場合がある。例示的なaSの異型の核酸は、A53TおよびA30Pの変異型タンパク質をコードする核酸を含む。
1つの態様では、α-シヌクレインの核酸は、このようなタンパク質またはポリペプチドの完全長または機能的に等価な形状をコードする。他の態様では、切断型のポリペプチド、または内部欠失を有するポリペプチドが酵母細胞に供給される。ある態様では、核酸は、少なくとも1つのタンパク質(例えばaS)、またはこの生物学的に機能的な等価物をコードする。他の態様では、このようなポリペプチドは、ヒトのα-シヌクレイン、または他の哺乳動物のα-シヌクレイン相同体である。
さらに他の態様では、本開示は、α-シヌクレインのタンパク質と結合する可能性のある任意のタンパク質を酵母細胞に同時にトランスフェクトする段階を対象とする。例えば、α-シヌクレイン関連タンパク質は、デホスホ-BAD、プロテインキナーゼC(PKC)、分裂促進物質活性化細胞外調節キナーゼ(ERK)、シンフィリン-1、ハンチンチン(htt)、ホスホリパーゼD(PLD)、パーキン、またはTauなどの場合がある。
組換え核酸技術の応用による、少なくとも1つの組換えコンストラクト、もしくは少なくとも1つの組換え宿主細胞の単離または作製は当業者に周知である。組換えコンストラクトまたは組換え宿主細胞は、α-シヌクレイン関連疾患、および/またはタンパク質の誤った折りたたみに起因する疾患に関与するタンパク質をコードする、少なくとも1種類の核酸を含む場合があり、かつこのようなタンパク質の少なくとも1種類、または、この生物学的に機能的な等価物の少なくとも1種類を発現する場合がある。
いくつかの態様では、本開示は、α-シヌクレインの核酸についてGenbankアクセッション番号NM_000345で表されるDNA配列に関する。対応するaSタンパク質は、Genbankアクセッション番号NP_000336で表される。
「核酸」という表現は一般に、少なくとも1残基の核酸塩基(例えば、DNAまたはRNA中に存在する天然のプリン塩基またはピリミジン塩基)を含む、DNA、RNA、またはこれらの誘導体もしくは類似体の少なくとも1種類の分子または鎖を意味する。「核酸」という表現は、「オリゴヌクレオチド」および「ポリヌクレオチド」という用語を含む。一般に「核酸」という表現は、少なくとも1種類の1本鎖分子を意味するが、特定の態様では、少なくとも1種類の1本鎖分子に対して部分的に、実質的に、または完全に相補的な、少なくとも1種類の追加的な鎖も含む。したがって核酸は、分子の鎖を含む特定の配列の1本または複数の相補鎖(群)、すなわち「相補物(群)」を含む、少なくとも1種類の2本鎖分子、または少なくとも1種類の3本鎖分子を含む場合がある。
ある態様では、このような核酸はaS遺伝子の核酸断片である。本明細書で用いる「遺伝子」という表現は、転写される核酸を意味する。「核酸断片」という表現は、aSのポリペプチド配列の一部のみをコードする断片などの、核酸のより短い断片を意味する。ある局面では、このような遺伝子は、転写、またはメッセージの産生、または組成物に関与する調節配列を含む。
酵母における発現用の核酸ベクター
本明細書に記載されたアッセイ系の成分(例えばα-シヌクレイン、α-シヌクレイン関連タンパク質、または原繊維の形成および/もしくはタンパク質の凝集に関与する他の任意のタンパク質)をコードする核酸を、プラスミド、直鎖状核酸分子、人工染色体、およびエピソームベクターを含むがこれらに限定されない核酸ベクターを用いて酵母細胞にトランスフェクトすることができる。
酵母細胞における組換えプラスミドの発現および複製に使用される既知の3つの系には、組込み型プラスミド、低コピー数のARS-CENプラスミド、および高コピー数の2μプラスミドなどがある。これについては、Sikorski, "Extrachromsomoal cloning vectors of Saccharomyces cerevisiae," in Plasmid, A Practical Approach, Ed. K.G. Hardy, IRL Press, 1993;およびYeast Cloning Vectors and Genes, Current Protocols in Molecular Biology, Section II, Unit 13.4, Eds., Ausubel et al., 1994を参照されたい。
組込み型プラスミドの一例は、一倍体ゲノムあたり1コピーで維持され、メンデル遺伝するYIpである。対象遺伝子、細菌由来の複製起点、および選択可能な遺伝子(典型的には抗生物質耐性マーカー)を含むこのようなプラスミドは細菌内で作られる。精製後のベクターを、選択可能な遺伝子内で直線化して、コンピテントな酵母細胞の形質転換に用いる。
低コピー数のARS-CENプラスミドの一例は、自律複製配列(ARS1)およびセントロメア配列(CEN4)を含むYCpである。このようなプラスミドは通常、1細胞あたり1〜2コピーで存在する。CEN配列を除去するとYRpプラスミドが得られる。このプラスミドは典型的には、1細胞あたり100〜200コピーで存在する。しかしながら同プラスミドは、有糸分裂および減数分裂の両過程で不安定である。
高コピー数の2μプラスミドの一例は、長さが約1 kbの配列(2μ配列と呼ばれる)を含むYEpである。2μ配列は、より多いプラスミドのコピー数を生じる酵母レプリコンとして作用する。しかしながら、このようなプラスミドは不安定であり、維持するためには選択を必要とする。コピー数は、crippledプロモーターに機能的に連結された選択遺伝子をプラスミド上に有することによって増える。
さまざまなプラスミドを、本明細書に記載された組成物および方法に使用することができる。1つの態様では、プラスミドは組込み型プラスミド(例えばpRS303、pRS304、pRS305、もしくはpRS306、または他の組込み型プラスミド)である。他の態様では、プラスミドはエピソームプラスミドである(例えばp426GPD、p416GPD、p426TEF、p423GPD、p425GPD、p424GPD、またはp426GAL)。
使用されるプラスミドの種類にかかわらず、酵母細胞は典型的には、化学的な方法(例えば、Rose et al., 1990, Methods in Yeast Genetics, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.に記載された方法)で形質転換される。細胞は、典型的には酢酸リチウムで処理することで、約104コロニー形成単位(形質転換細胞)/μg DNAの形質転換効率が達成される。酵母は、切断された選択可能なマーカーが変異のある(通常は点突然変異または小さな欠失のある)宿主遺伝子と組換えを起こして機能を回復するような相同組換えを起こす。次に形質転換細胞を選択的培地で単離する。
本明細書に記載された酵母ベクター(プラスミド)は典型的には、酵母由来の複製起点、抗生物質耐性遺伝子、細菌由来の複製起点(細菌細胞中における増幅用)、マルチクローニングサイト、および酵母細胞中で維持するための酵母栄養関連遺伝子を含む。栄養関連遺伝子(「栄養要求性マーカー」)は、(1)TRP1(ホスホリボシルアントラニル酸イソメラーゼ);(2)URA3(オロチジン-5'-リン酸デカルボキシラーゼ);(3)LEU2(3-イソプロピルマレイン酸デヒドロゲナーゼ);(4)HIS3(イミダゾールグリセロールリン酸デヒドラターゼもしくはIGPデヒドラターゼ);または(5)LYS2(α-アミノアジピン酸-セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ)である場合が極めて多い。
本明細書に記載された酵母ベクター(プラスミド)は、プロモーター配列を含む場合もある。「プロモーター」は、転写の開始および転写速度が制御される核酸配列領域である制御配列である。プロモーターは、RNAポリメラーゼや他の転写因子などの調節タンパク質および調節分子が結合して、核酸配列の特異的な転写を開始する可能性のある遺伝的エレメントを含む場合がある。「機能的に連結された」、および「機能的に配置された」という表現は、プロモーターが転写の開始および/または発現を制御するように、核酸配列に対して正しい機能的な位置および/または方向に配されていることを意味する。
プロモーターは、コードセグメントおよび/またはエクソンの上流に位置する5'非コード配列を単離することで得られるような、天然の状態で核酸配列と結合したプロモーターの場合がある。このようなプロモーターは「内因性である」と表現される場合がある。あるいはプロモーターは、組換え型または異種のプロモーターの場合がある。このようなプロモーターは、天然の環境では核酸配列と通常は結合していないプロモーターである。このようなプロモーターは、他の遺伝子のプロモーターを含む場合があり、また「天然ではない」プロモーターを含む場合がある。使用されるプロモーターは、構成的プロモーターか誘導性プロモーターのいずれかの場合がある。
例えば、酵母細胞におけるRNAの発現を調節するために、さまざまな酵母特異的なプロモーター(エレメント)を使用することができる。酵母用の誘導性プロモーターの例には、GAL1-10、GAL1、GALL、GALS、TET、VP16、およびVP16-ERなどがある。酵母用の抑制性プロモーターの例にはMet25などがある。酵母用の構成的プロモーターの例には、グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼプロモーター(GPD)、アルコールデヒドロゲナーゼプロモーター(ADH)、翻訳開始因子-1-αプロモーター(TEF)、シトクロムc-オキシダーゼプロモーター(CYC1)、およびMRP7などがある。グルココルチコイド応答配列(GRE)を含む、グルココルチコイドホルモンによって誘導可能なプロモーターを含む、自律的に複製する酵母用発現ベクターも報告されている(Picard et al., 1990)。以上の例および他の例は、いずれも参照により本明細書に組み入れられる、Mumber et al., 1995;Ronicke et al., 1997;Gao, 2000に記載されている。α因子、アルコールオキシダーゼ、およびPGHなどの構成的または誘導性のプロモーターを含む、他の酵母用ベクターを使用することができる。総説として、Ausubelら、およびGrantら(1987)を参照されたい。
α-シヌクレインタンパク質を酵母細胞で発現させるために、aSタンパク質の、さまざまなレベルにおける発現、およびさまざまな調節パターンを可能とする、さまざまな発現コンストラクトが作製されている。例えば2μベクターは高コピー数で存在し、高レベルの発現を可能とするが、細胞間で数が変動すること、および不安定なことといった短所がある。組込型のコンストラクトは極めて安定であるが、発現は低レベルである。構成的プロモーターは、通常の培地における発現を可能とするが、誘導性のプロモーターでは、発現のレベルおよびタイミングの制御が可能となる。制御可能な発現は、潜在的に毒性のあるタンパク質を扱う際に、形質転換効率を高めて、ゲノム中におけるaSの機能および毒性を変化させる変異の蓄積を避けるために特に重要である。aS、A53T、およびA30Pを対象としたウェスタンブロッティングの結果、蓄積は類似のレベルであることがわかっている。
スクリーニングアッセイ法
本開示のある局面は、候補薬物(薬剤または化合物)をスクリーニングする方法(アッセイ法)、およびタンパク質の誤った折りたたみに起因する疾患を治療するための薬物を同定する方法を提供する。本明細書で用いる「候補薬物」は、異常に切断されたタンパク質(例えばα-シヌクレイン)の活性/機能を低下させる、干渉する、または阻害する能力を有する任意の物質である。核酸、ポリペプチド、小分子化合物、およびペプチド模倣物を含む、さまざまな種類の候補薬物を、本明細書に記載された方法でスクリーニングすることができる。場合によっては、遺伝子をコードする核酸コンストラクトを酵母細胞に接触させることで遺伝的薬剤をスクリーニングすることができる。例えば、さまざまな遺伝子を発現するcDNAライブラリーをスクリーニングすることで、本明細書に記載された疾患の治療用遺伝子を同定することができる。他の例では、治療効果が期待される他のタンパク質またはポリペプチドを酵母細胞に接触させることができる。
本明細書で用いる、α-シヌクレインの「活性」または「機能」は、細胞質内における封入体形成/凝集、細胞膜への結合、aS関連タンパク質との相互作用を含むが、これらに限定されない。またaSは、PLD活性を阻害可能で、細胞に毒性を生じることが可能であり、かつプロテアソーム活性を損なう場合がある。
例えば、同定された薬物は、タンパク質の誤った折りたたみを阻止、タンパク質の封入体形成/凝集を阻害、またはタンパク質の脱凝集を促進する場合がある。したがって、真の作用機構にかかわらず、本明細書に記載されたスクリーニング法で同定された薬物は、aS関連疾患に対するだけでなく、神経変性疾患(ハンチントン病、パーキンソン病、アルツハイマー病、プリオン病など)、および他の非神経疾患(2型糖尿病など)を含む、タンパク質の誤った折りたたみ、または異常なタンパク質の蓄積(タンパク質の誤った折りたたみに起因する疾患)が関与する疾患に対しても、治療上の利益をもたらすと考えられる。
ある態様では、本明細書に記載されたスクリーニング法では、タンパク質(例えば、aSタンパク質、aS関連タンパク質、または原繊維形成および/もしくはタンパク質凝集に関与する他のタンパク質)を発現するように作製された酵母細胞を使用する。化学的なスクリーニングに関しては、膜排出ポンプに影響するように、また薬物透過性を高めるように設計された酵母株の適切な変異を使用することができる。例えば、ERG6遺伝子、PDR1遺伝子、PDR3遺伝子、および/またはPDR5遺伝子に変異を有する酵母株が使用の対象となる。例えば、膜排出ポンプに変異(erg6、pdr1、pdr3、および/またはpdr5)を有する酵母株は、成長調節因子を同定するための多くのスクリーニングに良好に使用されている(Jensen-Pergakes KL, et al., 1998. Antimicrob Agents Chemother 42: 1160-7)。
ある態様では、合成化合物または天然化合物の大規模ライブラリーから候補薬物をスクリーニングすることができる。その一例が、ヒトを対象に使用可能な、FDAによって承認済みの化合物ライブラリーである。また合成化合物ライブラリーは、Maybridge Chemical社(Trevillet, Cornwall, UK)、Comgenex社(Princeton, NJ)、Brandon Associates社(Merrimack, NH)、Microsource(New Milford, CT)など数社から市販されており、かつ稀少な化合物ライブラリーがAldrich社(Milwaukee, WI)から入手可能である。コンビナトリアルライブラリーを入手、または作製することができる。または、細菌、真菌、植物、および動物の抽出物の状態の天然化合物のライブラリーも、例えば、Pan Laboratories社(Bothell, WA)やMycoSearch社(NC)から入手可能なほか、当技術分野で周知の方法で容易に作製することができる。動物、細菌、真菌、植物(葉および樹皮を含む)、ならびに海洋由来の試料などの天然の供給源から単離された化合物を、潜在的に有用な薬剤の存在を示す候補として検討可能なことが提案されている。スクリーニング対象となる薬剤が、化学的組成物もしくは人工化合物に由来するか、またはこれらの化合物から合成される可能性があることも理解される。いくつかの市販のライブラリーは、スクリーニングにそのまま使用することができる。
他の態様は、「スクリーニング」ではなく「選択」が関与する戦略、および構造的に制約のあるペプチドライブラリーの使用に関する。例えば、ロックフェラー大学のTom Muirはインテイン触媒反応を元に、一定の長さのペプチドのライブラリーを作製するシステムを開発した。環状ペプチドには利点がいくつかある。環状の抗生物質と同様に、環状ペプチドは、生きている細胞中における安定性が高い。また制約のある構造は、ペプチド結合のエントロピー上のコストを除去するので、親和性を大きく高める。Muirの研究室で行われた研究からは、この方法が、細菌および哺乳動物の細胞に使用可能なことがわかる。また酵母細胞も、環状化に必要な環境を提供するであろう。先頭および最後の残基が操作上の理由で固定された、7個または9個のアミノ酸残基のランダムペプチドを有するライブラリーは、極めて多数のペプチドを生じるであろう(205=3.2×106または207=1.28×109)。ライブラリーを酵母発現ベクター中に作製し、哺乳動物および細菌の細胞で確立済みの対照コンストラクトを使用して酵母細胞を形質転換する。本明細書に記載された方法は、放置すれば死滅する細胞におけるその成長の回復を選択するので、数百万個の形質転換体を比較的少ない枚数のプレートで解析することができる。二重組込み株を用いることで、自然発生的なサプレッサー(偽陽性)の出現率が無視できることがわかっている。
他の態様は遺伝的スクリーニングに関する。例えば、ゲノムライブラリーおよび破壊ライブラリーをスクリーニングすることで、aS関連毒性の遺伝子外抑制因子を見つけることができる。酵母ゲノムは小さいので、各種類の10,000個の形質転換体で十分良好にカバーできるであろう。または、哺乳動物のライブラリーをスクリーニングすることができる。
潜在的な薬物は小分子を含む場合がある。小分子の例には、小ペプチドやペプチド様分子(例えばペプチド模倣物)などがあるがこれらに限定されない。本明細書で用いる「ペプチド模倣物」という表現は、非天然のアミノ酸やペプトイドほかを含む、化学的に修飾されたペプチド分子およびペプチド様分子を含む。ペプチド模倣物には、被験者に投与時の高い安定性を始めとする、ペプチドに勝るさまざまな利点がある。ペプチド模倣物の同定法は当技術分野で周知であり、また潜在的なペプチド模倣物のライブラリーを含むデータベースをスクリーニングする段階を含む。
ある態様では、このような候補薬物は数多くの化学的クラスも含むが、典型的には、候補薬物は有機分子、好ましくは分子量が50を上回りかつ約2,500ダルトンを下回る小さな有機化合物である。候補薬物は、タンパク質との構造的な相互作用(特に水素結合)に必要な官能基を含み、また典型的には、少なくともアミン基、カルボニル基、ヒドロキシル基、スルフヒドリル基、またはカルボキシル基を含む。
他の適切な候補薬物は、それぞれが標的分子に特異的な、アンチセンス分子、リボザイム、および抗体(1本鎖抗体を含む)を含む場合がある。例えば、翻訳または転写の開始部位、またはスプライス部位に結合するアンチセンス分子は、理想的な候補阻害剤となると考えられる。
1つの態様は、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を利用したスクリーニングアッセイ法を対象とする。FRETは、ドナーのフルオロフォアがアクセプターのフルオロフォアに近接(10〜60A)する場合、および前者の放出波長が後者の励起波長と重複する場合に生じる(Kenworthy AK et al., 2001. Methods. 24: 289-96)。FRETは、シアン蛍光タンパク質(CFP)および黄色蛍光タンパク質(YFP)の融合タンパク質が、事実上同じ複合体の一部である場合に生じるであろう。
例えば、α-シヌクレインタンパク質をそれぞれCFPとYFPと融合させ、酵母ゲノム中に、GAL1-10プロモーターの調節下に組込ませる。細胞を、ガラクトースの存在下で成長させて発現を誘導する。誘導後に、細胞は融合タンパク質を産生する。これは凝集して、CFPおよびYFPを近接させる。凝集体中のタンパク質は密に詰まった状態なので、CFPとYFP間の距離は、FRETの発生に必要な臨界距離である100A未満となる。この場合、CFPの発光によって放出されるエネルギーがYFPを励起し、これが最終的に、その特徴的な波長で光を放出する。発明者らは、CFPとYFPの相互作用を破壊可能な薬物、遺伝子、または他の因子を含む候補化合物を、凝集が生じない状態にタンパク質を維持することで同定するために、FRETに基づくスクリーニングを行うことを想定している。
任意で、aSとaS関連タンパク質の相互作用をFRET顕微鏡で、例えばα-シヌクレインとCFPを融合させることで、またaS関連タンパク質とYFPを融合させることで調べることができる。こうして、CFPとYFPの相互作用を調節可能な候補薬物を同定することができる。
1つの態様は、蛍光活性化細胞選別(FACS)解析によるスクリーニングアッセイ法を対象とする。FACSは当技術分野で周知の手法であり、また個々の細胞を対象に、蛍光標識部分/タグ部分の存在に関してスクリーニングを行う手段を提供する。この方法は、生きている細胞または固定された細胞のいずれかを対象とした、迅速で信頼性が高く、定量的で、また多パラメータの解析を提供可能な点が独特である。例えば、誤って折りたたまれたaSタンパク質は、適切な標識が可能であり、またタンパク質の凝集、および前述したように、個々の酵母細胞の他の遺伝または成長に関する条件の結果としての、タンパク質の凝集および/または原繊維の凝集体の形成を解析および定量するための有用なツールとなる。
特定の態様では、本開示の方法は、aSの局在/分布の検出に関する。アッセイ法の1例は、さまざまな細胞内区画が、YFPと他の正常な細胞タンパク質との融合体によって標識された酵母株を対象に実施することができる。共局在は、CFPに融合させたaSタンパク質を用いることで生じる。当業者であれば、細胞の分画および同時精製を行うことで、評価結果が生化学的実験の設計指針となることを理解できると思われる。また、このようなアッセイ法の結果から、aSの発現が、細胞内オルガネラの正常な構造および動態(例えばゴルジ輸送および小胞輸送)を変化させるか否かを判定可能であり、また正常なaSの機能および推定毒性機構に関する洞察が得られる場合がある。
特定の態様では、本開示の方法は、aSに関連する毒性の判定に関する。酵母の最も優れた局面の1つは、毒性を減じる可能性のある遺伝子、ペプチド、および他の化合物を同定可能な高処理能スクリーニングの実施が可能なことである。本明細書に記載された酵母系には、読み出しとしてaSの生物学的側面のさまざまな局面に注目した、さまざまなスクリーニングが可能であるという利点がある。特にこのようなスクリーニングでは、細胞毒性、タンパク質の凝集および局在、遺伝的相互作用、ならびにプロテアソーム障害における変化を調べることが可能となる。多数の化合物を、さまざまな成長条件下、かつさまざまな遺伝的背景においてスクリーニングすることができる。毒性のスクリーニングには、aSと相互作用する化合物を選択するだけではなく、それ自体は細胞毒性を示さない未同定の上流または下流の標的も選択するという利点がある。
例えば、Bioscreen-Cシステム(Labsystem)では、さまざまな条件における最大200細胞の同時培養物の成長が可能である。成長速度は光学的にモニタリングされ、記録は自動的に行われ、また将来の処理用にデジタルファイルとして保存される。遺伝子ライブラリー、化合物、薬物等の存在下で成長を追跡することで、選択的な成長上の利点をもたらす対象が同定される。さまざまな供給源に由来する変異体および化合物が検討対象となる。
特定の態様では、本開示の方法は、aSに起因するPLDの阻害の決定に関する。これは例えば、酵母においてaSの発現がPLD活性に及ぼす作用を調べるために、PLDの温度感受性(ts)変異体を用いるアッセイ法で達成される。例えば、単純な遺伝子的スクリーニング(例えば、Xie Z, et al., 1998. Proc Natl Acad Sci USA 95: 12346-52を参照されたい)によって、この活性の調節因子の容易な同定が可能となる。任意で、aS/PLDの相互作用の化学的修飾因子を同じ方法で同定することができる。
特定の態様では、本開示の方法は、aSに起因するプロテアソーム障害の判定に関する。これは例えば、ユビキチンと、さまざまなN末端を有するβ-ガラクトシダーゼ分子の融合体を利用するアッセイ法で行われる(例えば、Bachmair A, et al., 1986. Science. 234: 179-86を参照)。このようなアッセイ法では、酵母内におけるプロテアソーム活性の定性的評価が可能となる。このアッセイ系により、酵母の細胞質内で封入体を形成する高レベルの野生型aS-GFPが、同レベルのGFPのみを発現する細胞に対してプロテアソーム活性を弱めることが決定されている。同アッセイ法では、別個のaS(野生型対変異型)の挙動の定量および比較が可能となり、ならびにシャペロン、他のaS相互作用タンパク質、および酸化ストレスなどの条件が、品質管理システムのタンパク質分解アームに及ぼす作用の決定が可能となる。任意で、半減期を測定してプロテアソーム障害をより定量的に評価するパルスチェイス実験を実施することができる。
特定の態様では、本開示の方法は、aSに起因する酸化ストレスの判定に関する。ミトコンドリアの機能低下および酸化ストレスは、疾患(例えばパーキンソン病)との関連が明瞭に指摘されているが、その過程はほとんど解明されていない。酸化ストレスのレベルは、
(1)呼吸機構を促進または抑制する炭素供給源;
(2)細胞の酸化還元状態、および酸化還元状態の変化に対する細胞の反応を調節する成分中の変異;ならびに
(3)ミトコンドリアおよび活性酸素種(ROS)の産生に影響を及ぼす変異および/または薬物
によって、酵母で容易に操作可能である。本明細書に記載された実験結果から、aSの感作が極めて特異的なことは明らかである。ハンチンチンタンパク質によって酸化ストレスに対して細胞を感作させる、ミトコンドリア毒、金属、およびシャペロン変異は、細胞をaSに対して感作させる変異と部分的な重複しか認められない。例えば、酵母細胞中のROSの量は、スーパーオキシドラジカルによる水酸化エチジウムのエチジウムへの変換を調べることで測定可能である。aSを発現する細胞は、aSを発現しない細胞と比較すると、スーパーオキシドラジカルの産生レベルが高いことがわかっている。aSを発現する酵母細胞の成長速度に影響する成長条件、変異、化合物、および金属の作用は、当技術分野で周知の方法で評価することができる。任意で、aSを発現する細胞における抗酸化剤による防御のレベルを測定することで、aSの発現、酸化ストレス、および酸化的防御の間の関連を調べることができる。
特定の態様では、本開示の方法は、酵母細胞におけるaS発現のゲノミクス研究に関する。例えば、全ゲノム発現プロファイリングが酵母を対象に実施可能であり、酵母ゲノム中に存在する、推定で約6300のオープンリーディングフレーム(ORF)に特異的なDNAマイクロアレイが得られる。PCR産物、Gene Machines印刷ロボット、およびAxonスキャナーではなく、70-merのオリゴが使用された。マイクロアレイ解析では、遺伝子発現の変化を、酵母(および哺乳動物細胞)におけるaSの生物学的作用に関連づけることが可能となる。または、aSを発現する酵母細胞で、aSの非発現時に対して異なって発現される遺伝子を、ディファレンシャルPCRディスプレイやサブトラクティブハイブリダイゼーションなどの他の周知の方法で同定できる。
ある態様は、酵母系で同定された潜在的な薬物を、さらに別のモデル系で検討するための方法を提供する。このようなモデル系には、線虫、ハエ、哺乳動物の細胞、およびインビボの動物モデル(例えばaSトランスジェニックマウス)などがあるがこれらに限定されない。
治療法
本開示のある局面は、aS関連疾患、および/またはタンパク質の誤った折りたたみに起因する疾患に罹患した被験者を治療する方法に関する。前述のように、aS関連疾患は、パーキンソン病、痴呆を伴うパーキンソン病、レーヴィ体痴呆、パーキンソニズムを伴うアルツハイマー病、および多系統性萎縮症などを含むがこれらに限定されない。タンパク質の誤った折りたたみに起因する疾患は、多くの神経変性疾患(例えばパーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、およびプリオン病)、ならびに非神経疾患(例えば2型糖尿病)を含む。
ある態様は、本明細書に記載されたスクリーニングによって同定された候補薬物による、動物モデルの初期の検討および治療を対象とする。aS関連疾患、および/またはタンパク質の誤った折りたたみに起因する疾患のための適切な動物モデルが選択され、かつ治療には、適切な薬学的剤形の薬物の動物への投与が含まれる。投与は、経口、経鼻、口腔、または局所的な投与経路を含むがこれらに限定されない、臨床または非臨床の目的に使用可能な任意の経路をとり得る。あるいは投与は、気管内注入、気管支注入、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、または静脈内への注射の場合がある。具体的には、想定される経路は、全身静脈注射、血液もしくはリンパ液の補給を介する局所投与、または患部への直接投与である。インビボにおける化合物の有効性を見極める際には、多種多様な基準が用いられる場合がある。
ある態様では、本開示は、aS関連疾患、および/またはタンパク質の誤った折りたたみに起因する疾患に罹患した被験者(患者または個人)を治療する方法を提供する。他の態様では、本開示は、被験者における、このような疾患の発症を予防、または緩和する方法を提供する。例えば、パーキンソン病を発症するリスクのある個人(例えば、家族歴にパーキンソン病が含まれる個人)、および/またはパーキンソン病を発症する徴候が見られる個人を本発明の方法で治療することができる。このような方法は、前述のスクリーニング法で同定される有効量の化合物を個人に投与する段階を含む。このような方法は、動物(特にヒト)の治療的および予防的な処置を特に対象としている。
剤形および投与
ある態様では、候補薬物(化合物)を、適切な薬学的担体と組み合わせて製剤化することができる。このような剤形は、治療的有効量の薬物、および薬学的に許容される担体(賦形剤)を含む。適切な担体の例は当技術分野で周知である。例えば、薬学的に許容される担体は、水溶液または生理学的に許容される緩衝液の場合がある。任意で、水溶液は酸緩衝液である。酸緩衝液は、塩酸、硫酸、酒石酸、リン酸、アスコルビン酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、または酢酸などの場合がある。または、このような担体は、食塩水、緩衝食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノール、およびこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない。剤形は、投与様式に適したものであり、かつ当技術分野で周知である。
このような方法のある態様では、1種類または複数の薬物を共に(同時に)投与できるほか、異なる時間に(逐次)投与することができる。また、このような薬物は、タンパク質の誤った折りたたみに起因する疾患を治療するために、他の(1つもしくは複数の)種類の薬物(群)とともに投与することができる。例えば、同定された薬物を、パーキンソン病を治療する目的で、レボドーパ(L-DOPA)とともに投与することができる。
本明細書で用いる「治療的有効量」という表現は、タンパク質の誤った折りたたみに起因する疾患の症状を緩和する段階を含む、同疾患を予防または治療する(疾患の進行を防いだり逆転させたりする)のに十分または有効な量を意味する。
用量範囲は、薬物の選択、投与経路、製剤の性質、被験者の条件の内容、および施行者の判断によって変動する。しかしながら、非常に多様な必要用量が、入手可能なさまざまな薬物、およびさまざまな投与経路の効率の差を考慮して予想される。例えば経口投与は、静脈注射による投与時より高用量を必要とすると予想される。このような用量レベルの変動は、当技術分野で十分理解される、最適化するための標準的な経験上の常用的な手段で調節可能である。
本発明の実施例を以下に挙げる。これらは、本発明の範囲を何ら制限する意図はない。
実施例
材料および方法
以下の材料および方法を、本明細書に記載された研究で使用した。
(A)プラスミドの構築
α-シヌクレインのcDNAは、Peter Lansbury博士から供与された。WT、A53T、またはA30Pの各配列は、PCR増幅物のSpeI-HindIII切断産物として、p426GPD、p416GPD、p423GPD、p425GPD、およびp426GALにクローン化した(Mumberg et al., Gene, 156: 119-122)
Figure 2007521792
GFP、CFP、およびYFPの各融合体は、XFP(Xは、G、C、またはYを意味)のコード配列を、同ベクター中のα-シヌクレインと同じフレームに挿入することで構築した。GAL1-10プロモーターおよびCYC1ターミネーターを有するXFP融合体をSacI/KpnI断片として、組込み型プラスミドpRS306およびpRS304にサブクローン化した。
(B)酵母株および遺伝的手法
本研究には、実験用酵母株W303(Mat a can1-100, his3-11, 15, leu2-3, 112, trp1-1, ura3-1, ade2-1)を使用した。酵母株を標準的な手順で成長させて処理した。酵母の形質転換は、標準的な酢酸リチウム法で実施した(Ito et al., 1983)。
薬物排出および細胞透過性に重要な役割を果たすことが知られている遺伝子(PDR1、PDR3、PDR5、およびERG6)が破壊されている酵母細胞を、これらの遺伝子を、kanMX4カセットを用いて、short-flanking homology PCR(SFH-PCR)で標的化することで作製した。ORFの置換方向はPCRで検証した。
α-シヌクレインのコンストラクトを有する組込み型プラスミドpRS304およびpRS306を、栄養要求性マーカー領域内において制限酵素によって切断して直線化した後に、酵母を形質転換した。異種遺伝子の発現は、ウェスタンブロットおよび蛍光顕微鏡で検証した。
C)スポッティング実験
酵母細胞を常用の手順で、30℃でまたは室温で一晩、対数期または対数期中期に達するまで選択的培地で成長させた。次に細胞数を血球計数器でカウントし、1x106細胞/mlとなるように希釈した。5回の段階希釈(5倍)を行い、化合物/薬物を含む培地に細胞をスポットしてスクリーニングを行った。
実施例1:細胞内封入体およびアミロイド原繊維の形成
α-シヌクレインには、インビトロにおいて、ニューロンで細胞内封入体を形成すること、およびアミロイド原繊維を形成することなどの特徴がある。組織中における不溶性の原繊維タンパク質が蓄積することは、タンパク質の誤った折りたたみが関連する疾患に特徴的である。このような疾患の最も一般的なものは、神経変性疾患(例えばパーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、およびプリオン病)、ならびに2型糖尿病などの他の疾患である。タンパク質の凝集および原繊維形成を防ぐことが可能な薬剤の探索は活発に行われている。しかしながら、このような薬剤を同定する方法は限られている。
野生型のaSも、A53TおよびA30Pの変異体もアミロイド原繊維を形成するが、このようなタンパク質の生化学的特性および細胞生物学的特性は異なる。精製系においてA53T変異体は、A30P変異体および野生型aSタンパク質より速やかに原繊維を形成する一方で、A30P変異体はオリゴマー種を、より速やかに形成する(Conway KA, et al., 2000. Proc Natl Acad Sci USA. 97: 571-6)。初代ニューロンでは、aSと緑色蛍光タンパク質(GFP)の融合から、野生型aSとA53T変異体が似たような挙動を示すこと、また封入体を形成する能力があることがわかっている。しかしながらA30Pは、これらの条件下で類似の封入体を形成しない(McLean PJ, et al., 2001. Neuroscience. 104: 901-12)。α-シヌクレインは、酸性リン脂質に富む数種の膜および脂質小胞と結合する(McLean PJ, et al., 2000. J Biol Chem 275: 8812-6; Jo E, et al., 2000. J Biol Chem 275: 34328-34; Perrin RJ, et al., 2000. J Biol Chem. 275: 34393-8)。しかしながら、A30P変異体は、酸性リン脂質とそれほど強く結合せず、またαらせんを、その脂質結合構造中に形成しにくい(Perrin RJ, et al., 1999. Soc. Neurosci. 25: 27.11)。また、シンフィリン-1(別のaS相互作用タンパク質)とA53T変異体間の相互作用は、野生型aSまたはA30P変異体の場合の相互作用と比較して2倍強固である(Engelender S, et al., 1999. Nat. Genet. 22: 110-114)。
α-シヌクレインは、ヒト胚腎細胞(HEK 293)と、ヒト神経芽腫細胞系列SK-N-SHの両方に対して用量依存的に毒性を示す。A53TおよびA30Pの変異は、細胞毒性を高める(A53TはA30Pより毒性が高い)(Ostrerova N、et al., 1999. J. Neurosci. 19: 5782-5791; Zhou W、et al., 1999. Soc. Neurosci. 25: 27.15)。α-シヌクレインの発現は、HEK 293細胞では血清除去によって促進される。この観察を補うように、α-シヌクレインのアンチセンスコンストラクトは、血清除去条件下で細胞保護的に作用する(Ostrerova N, et al., 1999. J. Neurosci. 19: 5782-5791)。毒性は、他の細胞種では多様である(Ko L, et al., 1999. Soc. Neurosci. 25: 27.24; Hanin I, et al., 1999. Soc. Neurosci. 25: 27.27)。
PDの特徴は、α-シヌクレインを発現する他の細胞種と比較して、ドーパミンニューロンが選択的に脆弱なことである。これは、ドーパミンニューロンが特に、ドーパミンの酸化に由来する異常に高い酸化ストレス(Lotharius J, et al., 2000. J Biol Chem 275: 38581-38588; Berman SB, et al., 1999. J Neurochem 73: 1127-1137)に、および/または高い鉄濃度(Double KL, et al., 2000. J Neural Transm Suppl 60: 37-58)に曝されるという事実に関連する場合がある。ドーパミンニューロンのいくつかの局面により、同ニューロンは、α-シヌクレインが介する毒性に対して選択的に脆弱性を示すが、毒性がこれに制限されないこと、また他の細胞種が、重要かつ実験的により扱いやすい検討系を提供することは明らかである。α-シヌクレインを酵母で発現させる際は、呼吸代謝および酸化ストレスが毒性に強く影響する。
実施例2:ホスホリパーゼD(PLD)の阻害
α-シヌクレインは、哺乳動物のホスホリパーゼD2(PLD2)の強力かつ選択的な阻害剤であることが最近明らかにされた(Jenco JM, et al., 1998. Biochemistry. 37: 4901-9)。マウスの脳に由来する精製済みの天然のPLD2酵素、および組換え型PLD2が、PLD活性の調節因子を同定するための再構成アッセイ法に使用された。α-シヌクレインとベータ-シヌクレイン(bS)の混合物は、PLD2活性の強力な阻害因子であるが、PLD1を阻害しないことが判明した。可能な機能上の条件においては、PLDの活性化は膜輸送(Ktistakis NT, et al., 1996. J Cell Biol. 134: 295-306)に、また細胞骨格の再編成(Cross MJ, et al., 1996. Curr Biol. 6: 588-97)に直接関与する。具体的にはPLDは、輸送に不可欠な下流のエフェクターを活性化することで、および/または膜の局所的な構造上の特徴を変化させることで小胞の移動を調節する際に機能すると考えられている(Pertile P, et al., 1995. J Biol Chem. 270: 5130-5)。さらに、哺乳動物のゴルジ嚢に由来する被覆小胞のインビトロにおける形成では、PLDによるホスファチジン酸(PA)の産生が直接必要とされるようである(Ktistakis NT, et al., 1996. J Cell Biol. 134: 295-306)。したがって、α-シヌクレインは、部分的にはPLDの機能に影響することで小胞輸送に影響する可能性がある。
実施例3:膜への結合の検討
WTおよびA35Tのタンパク質を低レベルで発現させると、明瞭な膜への結合が観察される。図1A〜1Bに示す実験では、aSとYFP(黄色のFP)の融合体を使用した。GFP、およびCFP(シアンFP)の融合体に関しても類似の結果が得られた。この結果は、たとえ酵母細胞がヒトのニューロンといくつかの点で異なっていても、aSが正常に局在するのに必要な環境を提供することを示唆している。
実施例4:酵母の細胞質内におけるaSの凝集
aS-GFP融合体が酵母の細胞質内で高レベルで発現されると、封入体は、WTのaSおよびA53T変異体では形成されるが、GFP単独のみの場合、またA30Pでは形成されない(図2A〜2D)。類似の結果が、類似の融合タンパク質を発現する初代ニューロン培養物について報告されており(McLean PJ, et al., 2001. Neuroscience 104: 901-12)、酵母環境におけるaSの挙動が、哺乳動物細胞における挙動と、いくつかの点で似ているという考えが支持されている。
実施例5:aSのユビキチン化
他のタンパク質の誤った折りたたみ、および誤った輸送が関与する疾患における封入体と同様に、aS封入体がユビキチン化されているか否かを調べるために、細胞を抗ユビキチン抗体で同時染色した。封入体の全てとは言わないまでも、その一部はユビキチン陽性である。ユビキチン陽性の封入体を含む細胞は、プロテアソーム活性に関するタンパク質レポーターの代謝回転の低下も示した。
実施例6:酵母におけるaS発現の毒性
複数のグループによって、高レベルのWTおよびA53TのaSが哺乳動物細胞に毒性を示すことが報告されている(Ostrerova N、et al., 1999. J. Neurosci. 19: 5782-5791; Zhou W、et al., 1999. Soc. Neurosci. 25: 27.15)。本明細書に記載された研究の結果からは、WTのaSおよびA53Tが酵母に毒性を示すが、A30Pは示さないことがわかる(図3)。aSのみを発現する細胞、またはaS-GFP、aS-YFP、およびaS-CFPの各融合体を発現する細胞の挙動は同じである。毒性は用量依存性である。ガラクトース誘導型プロモーターの調節下にaS-GFP融合遺伝子の1つの組込まれたコピーを含む細胞は、中程度の成長欠損を示した。また2コピーを有する細胞の場合、極度の欠損を示した(図3)。発現を抑制する条件(グルコースの存在下における成長)では、これらのコンストラクトを有する株間の成長に差は認められない。
2つの組込まれた状態の遺伝子を有する場合の高レベルの毒性は、毒性を減じる因子を見つけるための極めて優れた機構を提供する。1コピーの場合の低レベルの毒性は、毒性を調節する因子を検討するための、より高感度の系を提供する。発明者らは、1コピーの低発現株を用いて、aSを発現する細胞の酸化ストレス、ミトコンドリア毒、および鉄に対する感受性が、対照細胞より遥かに強いことを認めた。
実施例7:aSとhttの相互作用
過去に実施された他の研究者による、ポリグルタミン(PQ)凝集体を対象とした調査の結果、ユビキチンに加えて、これらがaSに反応性を示すことがあることがわかっている(Charles V, et al., 2000. Neurosci Lett. 289: 29-32)。哺乳動物細胞系列においてhttとaS封入体が共局在するという報告もある(Waelter S, et al., 2001. Mol Biol Cell. 12: 1393-407; Furlong RA, et al., 2000. Biochem J. 346 Pt 3: 577-81)。しかしながら、これが、特定の細胞種に見られる特異な性質だったとすれば、小さな一般的な凝集関連問題、または2つのタンパク質間の相互作用の保存された特性があることは明らかとはならない。
PQ配列の長さが正常および異常な長さである、httの第1エクソン-CFP融合体とaS-YFP融合体を発現するような酵母細胞を作製した。72個および103個のPQなどの長いPQ配列を発現する細胞では、aSの局在は変化し、また細胞のかなりの部分が共局在を示した(図4A〜4D)。
aSとhttの共凝縮の特異性は極めて高かった。酵母の細胞質内においてaSと、哺乳動物のプリオンタンパク質(PrP)、トランスサイレチン(TTR)、または他の易凝集タンパク質のGFP融合体によって生じた凝集体との共局在は観察されなかった。
実施例8:aSによるPLDの阻害
前述したようにaSは、再構成系でPLD2の活性を阻害することがわかっている。PLDの阻害活性がaSの一般的な性質であるか否かを調べるために、ヒトのPLD2に極めて近い可能性がある酵母のPLD相同物を対象に探索を行った。酵母のSPO14遺伝子は、ヒトのPLD1よりヒトのPLD2に対する相同性が高いPLDをコードする(Charles V, et al., 2000. Neurosci Lett. 289: 29-32)。注目すべきことに、「sec 14バイパスアッセイ法」(Xie Z, et al., 1998. Proc Natl Acad Sci USA 95: 12346-52)では、aSが酵母でSpo14pの機能を阻害することが観察されている。したがって、aSがPLD2の機能を阻害する能力は、真核細胞におけるaSの機能と密接に関連する可能性が高い、高度に保存された特性である。
他の態様
本発明を、その詳細な説明によって説明したが、前述の記述は説明目的であり、本発明の範囲を制限しないことが理解される。本発明の他の局面、利点、および変更は、特許請求の範囲内にある。
酵母細胞の形質膜へのaSの局在を示す。YFP対照(1A)、または野生型のYFPを融合させたaS(1B)を酵母の細胞質内で発現させた。 aSの凝集が、WT(2B)およびA53T(2C)変異体では生じるが、A30P(2D)またはGFP対照(2A)では生じないことを示す。α-シヌクレインをGFPと融合させ、酵母の細胞質で発現させた。 酵母の細胞質におけるα-シヌクレイン-GFP融合体の過剰発現時に観察された毒性表現型を示す。細胞を段階希釈し(各段階で5倍)、グルコースまたはガラクトースを含む培地上にスポットした。 α-シヌクレインとPQ103が共凝集することを示す。aSおよびQ25を同時に発現する細胞では、aSは正常な分布を示す(一部の細胞は封入体を示し、また他の細胞は膜への結合を示す)。これらの細胞では、Q25は可溶性である。aSおよびQ103を共に発現する細胞は、細胞質封入体において両タンパク質の緊密な共局在を示す。

Claims (42)

  1. α-シヌクレインを含むタンパク質をコードする核酸を含む発現コンストラクトを含む酵母細胞であって、ここで発現コンストラクトは酵母細胞のゲノムに組込まれており、かつ核酸の発現は、誘導性プロモーターによって、タンパク質産生の誘導が酵母細胞に毒性を示すように調節されている、酵母細胞。
  2. 細胞が、発現コンストラクトの2つの組込まれたコピーを含む、請求項1記載の酵母細胞。
  3. 核酸の発現の誘導が細胞の生存を妨げる、請求項1記載の酵母細胞。
  4. 核酸の発現の誘導が細胞の成長を停止させる、請求項1記載の酵母細胞。
  5. α-シヌクレインがヒトのα-シヌクレインである、請求項1記載の酵母細胞。
  6. α-シヌクレインが変異型α-シヌクレインである、請求項1記載の酵母細胞。
  7. 酵母が、出芽酵母、サッカロミセス ユヴァエ(uvae)、サッカロミセス クライベリ(kluyveri)、分裂酵母、クライベロミセス ラクティス(Kluyveromyces lactis)、ハンゼヌラ ポリモルファ(polymorpha)、ピチア パストリス(pastoris)、ピチア メタノリカ(methanolica)、ピチア クライベリ、ヤロウィア リポリティカ(Yarrowia lipolytica)、カンジダ種、カンジダ ユティリス(utilis)、カンジダ カカオイ(cacaoi)、ゲオトリクム種、またはゲオトリクム フェルメンタンス(fermentans)である、請求項1記載の酵母細胞。
  8. 誘導性プロモーターが、GAL1-10、GAL1、GALL、GALS、GPD、ADH、TEF、CYC1、MRP7、MET25、TET、VP16、またはVP16-ERである、請求項1記載の酵母細胞。
  9. 発現コンストラクトが組込み型プラスミドである、請求項1記載の酵母細胞。
  10. 組込み型プラスミドが、pRS303、pRS304、pRS305、またはpRS306である、請求項9記載の酵母細胞。
  11. タンパク質が、検出可能なタンパク質を含む融合タンパク質である、請求項1記載の酵母細胞。
  12. 検出可能なタンパク質が、蛍光タンパク質、酵素、またはエピトープである、請求項11記載の酵母細胞。
  13. 検出可能なタンパク質が、赤色蛍光タンパク質、緑色蛍光タンパク質、青色蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質、およびシアン蛍光タンパク質からなる群より選択される蛍光タンパク質である、請求項12記載の酵母細胞。
  14. 薬物排出または細胞透過性に関与するポリペプチドをコードする少なくとも1つの遺伝子が破壊されている、請求項1記載の酵母細胞。
  15. 少なくとも1つの遺伝子がPDR1、PDR3、またはERG6である、請求項14記載の酵母細胞。
  16. 少なくとも1つの遺伝子がPDR5である、請求項14記載の酵母細胞。
  17. α-シヌクレインを含む、毒性誘導量のタンパク質を発現する酵母細胞。
  18. 細胞が、タンパク質をコードする核酸を含む組込み型の発現コンストラクトを含む、請求項17記載の酵母細胞。
  19. 細胞が、タンパク質をコードする核酸を含む発現コンストラクトの2つの組込まれたコピーを含む、請求項17記載の酵母細胞。
  20. α-シヌクレインがヒトのα-シヌクレインである、請求項17記載の酵母細胞。
  21. α-シヌクレインが変異型α-シヌクレインである、請求項17記載の酵母細胞。
  22. 酵母が、出芽酵母、サッカロミセス ユヴァエ、サッカロミセス クライベリ、分裂酵母、クライベロミセス ラクティス、ハンゼヌラ ポリモルファ、ピチア パストリス、ピチア メタノリカ、ピチア クライベリ、ヤロウィア リポリティカ、カンジダ種、カンジダ ユティリス、カンジダ カカオイ、ゲオトリクム種、またはゲオトリクム フェルメンタンスである、請求項17記載の酵母細胞。
  23. 以下の段階を含む、α-シヌクレインによって誘導毒性を防止または抑制する化合物を同定する方法:
    請求項1記載の酵母細胞を候補薬剤の存在下で、および候補薬剤の非存在下では酵母細胞で毒性を十分に誘導するレベルにおけるタンパク質の発現を可能とする条件下で培養する段階;ならびに、
    候補薬剤の存在下での酵母細胞における毒性が、候補薬剤の非存在下と比較して小さいか否かを判定する段階(毒性が候補薬剤の存在下で弱い場合、候補薬剤は、α-シヌクレイン誘導毒性を防止または抑制する化合物であると判定される)。
  24. α-シヌクレインがヒトのα-シヌクレインである、請求項23記載の方法。
  25. α-シヌクレインが変異型α-シヌクレインである、請求項23記載の方法。
  26. 変異型α-シヌクレインが変異型のヒトα-シヌクレインA53Tである、請求項25記載の方法。
  27. 以下の段階を含む、α-シヌクレイン誘導毒性の遺伝子外の抑制因子を同定する方法:
    請求項1記載の酵母細胞を培養する段階(酵母細胞の内因性遺伝子は、内因性遺伝子の破壊の非存在下において酵母細胞で毒性を十分に誘導するレベルにおけるタンパク質の発現を可能とする条件下で破壊されている);および
    内因性遺伝子の破壊の存在下で酵母細胞における毒性が、内因性遺伝子の破壊の非存在下と比較して低いか否かを判定する段階(毒性が、内因性遺伝子の破壊の存在下で低い場合、破壊された内因性遺伝子は、α-シヌクレイン誘導毒性の遺伝子外の抑制因子であると判定される)。
  28. 以下の段階を含む、α-シヌクレインの形質膜への局在を調節する化合物を同定する方法:
    候補薬剤の存在下で、α-シヌクレインを含むタンパク質を異所性発現する酵母細胞を培養する段階;および、
    候補薬剤の存在下での酵母細胞におけるタンパク質の形質膜への局在が、候補薬剤の非存在下と比較して変化するか否かを判定する段階(タンパク質の形質膜への局在が、候補薬剤の存在下で変化する場合、候補薬剤は、α-シヌクレインの形質膜への局在を調節する化合物であると判定される)。
  29. 以下の段階を含む、α-シヌクレインの凝集または封入体形成を阻害する化合物を同定する方法:
    候補薬剤の存在下で、α-シヌクレインを含むタンパク質を異所性発現する酵母細胞を培養する段階;および
    候補薬剤の存在下でのタンパク質の細胞質内凝集または封入体形成が、候補薬剤の非存在下と比較して少ないか否かを判定する段階(タンパク質の凝集または封入体形成が、候補薬剤の存在で少ない場合、候補薬剤は、α-シヌクレインの凝集または封入体形成を阻害する化合物であると判定される)。
  30. 以下の段階を含む、α-シヌクレインの脱凝集を促進する化合物を同定する方法:
    α-シヌクレインを含むタンパク質を異所性発現する酵母細胞を提供する段階(細胞は、タンパク質の細胞質内における凝集体または封入体を含む);
    酵母細胞に候補薬剤を接触させる段階;および
    候補薬剤の存在下でのタンパク質の細胞質内における凝集または封入体形成が、候補薬剤の非存在下と比較して少ないか否かを判定する段階(タンパク質の凝集または封入体形成が、候補薬剤の存在下で減少する場合、候補薬剤は、α-シヌクレインの脱凝集を促進する化合物であると判定される)。
  31. 以下の段階を含む、α-シヌクレインに起因するプロテアソーム障害を防止または抑制する化合物を同定する方法:
    候補薬剤の存在下で、α-シヌクレインを含むタンパク質を異所性発現する酵母細胞を培養する段階;および
    候補薬剤の存在下での細胞におけるプロテアソーム障害が、候補薬剤の非存在下と比較して弱いか否かを判定する段階(細胞におけるプロテアソーム障害が、候補薬剤の存在下で弱い場合、候補薬剤は、α-シヌクレインに起因するプロテアソーム障害を防止または抑制する化合物であると判定される)。
  32. 以下の段階を含む、α-シヌクレインに起因するホスホリパーゼD(PLD)の阻害を防止または抑制する化合物を同定する方法:
    候補薬剤の存在下で、α-シヌクレインを含むタンパク質を異所性発現する酵母細胞を培養する段階;および
    候補薬剤の存在下での細胞におけるPLDの阻害が、候補薬剤の非存在下と比較して弱いか否かを判定する段階(細胞におけるPLDの阻害が、候補薬剤の存在下で弱い場合、候補薬剤は、α-シヌクレインに起因するPLDの阻害を防止または抑制する化合物であると判定される)。
  33. 以下の段階を含む、α-シヌクレインに起因する酸化ストレスを防止または抑制する化合物を同定する方法:
    候補薬剤の存在下で、α-シヌクレインを含むタンパク質を異所性発現する酵母細胞を培養する段階;および
    候補薬剤の存在下での細胞における酸化ストレスが、候補薬剤の非存在下と比較して弱いか否かを判定する段階(細胞における酸化ストレスが、候補薬剤の存在下で弱い場合、候補薬剤は、α-シヌクレインに起因する酸化ストレスを防止または抑制する化合物であると判定される)。
  34. 以下の段階を含む、α-シヌクレインとα-シヌクレイン関連タンパク質の相互作用を低下または阻害する化合物を同定する方法:
    候補薬剤の存在下で、(i)α-シヌクレインを含む第1のタンパク質、および(ii)α-シヌクレイン関連タンパク質を含む第2のタンパク質を異所性発現する酵母細胞を培養する段階;ならびに
    候補薬剤の存在下での細胞における第1のタンパク質と第2のタンパク質の相互作用が、候補薬剤の非存在下と比較して弱いか否かを判定する段階(細胞における第1のタンパク質と第2のタンパク質の相互作用が、候補薬剤の存在下で弱い場合、候補薬剤は、α-シヌクレインとα-シヌクレイン関連タンパク質の相互作用を低下または阻害する化合物であると判定される)。
  35. α-シヌクレイン関連タンパク質が、デホスホ-BAD、プロテインキナーゼC(PKC)、分裂促進物質活性化細胞外調節キナーゼ(ERK)、シンフィリン-1、ハンチンチン(htt)、ホスホリパーゼD(PLD)、またはパーキン(parkin)である、請求項34記載の方法。
  36. α-シヌクレイン関連タンパク質がTauである、請求項34記載の方法。
  37. 以下の段階を含む、α-シヌクレイン関連タンパク質を同定する方法:
    酵母細胞を、(i)α-シヌクレインを含む第1のタンパク質をコードする第1の発現コンストラクト、および(ii)候補タンパク質を含む第2のタンパク質をコードする第2の発現コンストラクトで形質転換する段階;
    酵母細胞を、第1のタンパク質および第2のタンパク質の発現を可能とする条件下でインキュベートする段階;ならびに
    第1のタンパク質が第2のタンパク質と相互作用するか否かを判定する段階(相互作用が生じる場合、候補タンパク質は、α-シヌクレイン関連タンパク質であると判定される)。
  38. 以下の段階を含む、α-シヌクレイン関連疾患に関与する遺伝子を同定する方法:
    α-シヌクレインを異所性発現する第1の酵母細胞からRNAを単離する段階;
    α-シヌクレインを異所性発現しない第2の酵母細胞からRNAを単離する段階;
    第1の酵母細胞から単離されたRNAを、第2の酵母細胞から単離されたRNAと比較する段階;および
    第2の酵母細胞に対して第1の細胞中に高レベルまたは低レベルで存在するRNAを同定することで、α-シヌクレイン関連疾患に関与する、対応する遺伝子を同定する段階。
  39. ディファレンシャルディスプレイを行うことでRNAを同定する、請求項38記載の方法。
  40. サブトラクティブハイブリダイゼーションを行うことでRNAを同定する、請求項38記載の方法。
  41. 請求項23記載の方法で同定された治療的有効量の化合物を含む薬学的組成物を個人に投与する段階を含む、タンパク質の誤った折りたたみに起因する疾患に罹患している個人を治療する方法。
  42. 請求項23記載の方法で同定された治療的有効量の化合物を含む薬学的組成物を個人に投与する段階を含む、パーキンソン病に罹患している個人を治療する方法。
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