JP2007520997A - ErbB4共結晶 - Google Patents

ErbB4共結晶 Download PDF

Info

Publication number
JP2007520997A
JP2007520997A JP2006502883A JP2006502883A JP2007520997A JP 2007520997 A JP2007520997 A JP 2007520997A JP 2006502883 A JP2006502883 A JP 2006502883A JP 2006502883 A JP2006502883 A JP 2006502883A JP 2007520997 A JP2007520997 A JP 2007520997A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
erbb4
kinase domain
amino acid
interactions
acid residues
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2006502883A
Other languages
English (en)
Inventor
シューチャック,リサ,マリー
ハッセル,アン,ムーア
ブリグノラ,ペリー,スコット
Original Assignee
スミスクライン ビーチャム コーポレーション
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by スミスクライン ビーチャム コーポレーション filed Critical スミスクライン ビーチャム コーポレーション
Publication of JP2007520997A publication Critical patent/JP2007520997A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/705Receptors; Cell surface antigens; Cell surface determinants
    • C07K14/71Receptors; Cell surface antigens; Cell surface determinants for growth factors; for growth regulators
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • C12N9/10Transferases (2.)
    • C12N9/12Transferases (2.) transferring phosphorus containing groups, e.g. kinases (2.7)
    • C12N9/1205Phosphotransferases with an alcohol group as acceptor (2.7.1), e.g. protein kinases
    • GPHYSICS
    • G16INFORMATION AND COMMUNICATION TECHNOLOGY [ICT] SPECIALLY ADAPTED FOR SPECIFIC APPLICATION FIELDS
    • G16BBIOINFORMATICS, i.e. INFORMATION AND COMMUNICATION TECHNOLOGY [ICT] SPECIALLY ADAPTED FOR GENETIC OR PROTEIN-RELATED DATA PROCESSING IN COMPUTATIONAL MOLECULAR BIOLOGY
    • G16B15/00ICT specially adapted for analysing two-dimensional or three-dimensional molecular structures, e.g. structural or functional relations or structure alignment
    • G16B15/20Protein or domain folding
    • GPHYSICS
    • G16INFORMATION AND COMMUNICATION TECHNOLOGY [ICT] SPECIALLY ADAPTED FOR SPECIFIC APPLICATION FIELDS
    • G16BBIOINFORMATICS, i.e. INFORMATION AND COMMUNICATION TECHNOLOGY [ICT] SPECIALLY ADAPTED FOR GENETIC OR PROTEIN-RELATED DATA PROCESSING IN COMPUTATIONAL MOLECULAR BIOLOGY
    • G16B20/00ICT specially adapted for functional genomics or proteomics, e.g. genotype-phenotype associations
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2299/00Coordinates from 3D structures of peptides, e.g. proteins or enzymes
    • GPHYSICS
    • G16INFORMATION AND COMMUNICATION TECHNOLOGY [ICT] SPECIALLY ADAPTED FOR SPECIFIC APPLICATION FIELDS
    • G16BBIOINFORMATICS, i.e. INFORMATION AND COMMUNICATION TECHNOLOGY [ICT] SPECIALLY ADAPTED FOR GENETIC OR PROTEIN-RELATED DATA PROCESSING IN COMPUTATIONAL MOLECULAR BIOLOGY
    • G16B15/00ICT specially adapted for analysing two-dimensional or three-dimensional molecular structures, e.g. structural or functional relations or structure alignment

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Spectroscopy & Molecular Physics (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Medical Informatics (AREA)
  • Theoretical Computer Science (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Bioinformatics & Computational Biology (AREA)
  • Evolutionary Biology (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Toxicology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)

Abstract

ErbB4キナーゼドメイン(ErbB4K)とくにリガンド化形態のErbB4Kの結晶構造、およびErbB4阻害剤の探索におけるその使用法。本明細書中に開示されている方法により同定されるErbB4阻害剤を利用して、不適切なErbB4活性により媒介される疾患を治療する方法をさらに開示する。
【選択図】 図2

Description

発明の背景
本発明は、ErbB4キナーゼドメイン(ErbB4K)とくにリガンド化形態のErbB4Kの結晶構造、ならびにErbB4阻害剤の探索におけるおよび不適切なErbB4活性により媒介される疾患の治療におけるその使用法に関する。
異常なプロテインチロシンキナーゼ(PTK)活性は、癌だけでなく、乾癬、リウマチ様関節炎、気管支炎を含むさまざまな障害にも関係していることが明らかにされている。そのような障害に有効な治療剤の開発は、医療分野において絶えず継続されている事業である。c-ErbB-2、EGFR、およびErbB-4を含むErbBファミリーのPTKは、治療標的として興味をひいてきた一群のPTKである。現時点でとりわけ興味深いのは、過増殖性障害とくにヒト悪性疾患におけるErbBファミリーのPTKの役割である。結果的に、ErbBファミリーのPTKの阻害は、ErbBファミリーのPTKの異常な活性により特性付けられる障害に対する対応策になるはずである。ErbBファミリーのPTKの生物学的役割およびさまざまな疾患状態とのかかわりについては、たとえば、米国特許第5,773,476号; 国際特許出願WO99/35146号; M.C Hung et al, Seminars in Oncology, 26: 4, Suppl. 12 (August) 1999, 51-59; Ulrich et al, Cell, 61:203-212, April 20, 1990; Modjtahedi et al, Int'l J. of Oncology, 13: 335-342, 1998; およびJ.R. Woodburn, Pharmacol. Ther., 82: 2-3, 241-250, 1999に論じられている。
ErbB4などのポリペプチドは、一次アミノ酸配列およびポリペプチドを取り囲む環境により決定される三次元構造を有する。この三次元構造は、ポリペプチドの活性、安定性、結合親和性、結合特異性、および他の生化学的属性を確定する。したがって、タンパク質の三次元構造を知ることにより、可溶形態または膜結合形態におけるその生物学的活性を模擬、阻害、または改善する薬剤をデザインする際に多くの指針を提供することができる。
ポリペプチド(polypepetide)の三次元構造は、いくつかの方法で決定可能である。最も正確な方法の多くは、X線結晶解析を利用する(たとえば、Van Holde, (1971) Physical Biochemistry, Prentice-Hall, N. J., 221-239を参照されたい)。この技術は、結晶格子がX線または他の形態の放射線を回折する能力に依存する。巨大分子の三次元構造の決定に好適な回折実験は、典型的には、高品質の結晶を必要とする。ErbB4に対してはそのような結晶を利用することができなかったので、ErbB4の三次元構造を解明することは困難であるとされてきた。
本発明者らは、そのような結晶を作製し、そして不可逆阻害剤で複合体化された非リン酸化ヒトErbB4Kの結晶構造をこのたび2.5Åの分解能で決定した。そのような結晶構造は、ErbB4を阻害したり異常なErbB4活性により特性付けられる疾患を治療したりするのに好適な化合物を探索するうえで有用である。
本発明の一態様では、配列番号1のアミノ酸配列を含みかつ表2の構造座標を有するリガンド化結晶形態のErbB4キナーゼドメインを提供する。
本発明の第2の態様では、
リガンド化形態のErbB4キナーゼドメインを表す三次元コンピューターモデルを生成することと、ここで、該キナーゼドメインは、配列番号1のアミノ酸配列により記述されかつ表2の構造座標を有する;
該モデルを用いて可能性のあるErbB4阻害剤として化合物を評価することと;
該評価に基づいてさらなる試験に供する化合物を選択することと;
を含む、ErbB4阻害剤デザインの方法を提供する。
本発明の第3の態様では、
リガンド化形態のErbB4キナーゼドメインを表す三次元コンピューターモデルを生成することと、ここで、該キナーゼドメインは、配列番号1のアミノ酸配列により記述されかつ表2の構造座標を有する;
該モデルを用いて可能性のあるErbB4阻害剤として化合物を評価することと、ここで、該評価は、以下のErbB4キナーゼドメイン/化合物相互作用:
(i)ErbB4キナーゼドメインヒンジ領域のアミノ酸残基との1つ以上の相互作用、
(ii)ErbB4キナーゼドメインアデニンポケットのアミノ酸残基との1つ以上の相互作用、
(iii)ErbB4キナーゼ糖質ポケットのアミノ酸残基との1つ以上の相互作用、
(iv)ErbB4キナーゼドメインバックポケットのアミノ酸残基との1つ以上の相互作用、および
(v)ErbB4キナーゼドメイン溶媒境界のアミノ酸残基との1つ以上の相互作用、
の少なくとも1つが可能な化合物を同定することを含む;
該評価に基づいてさらなる試験に供する化合物を選択することと;
を含む、ErbB4阻害剤デザインの方法を提供する。
本発明の第4の態様では、
リガンド化形態のErbB4キナーゼドメインを表す三次元コンピューターモデルを生成することと、ここで、該キナーゼドメインは、配列番号1のアミノ酸配列により記述されかつ表2の構造座標を有する;
該モデルを用いて可能性のあるErbB4阻害剤として化合物を評価することと、ここで、該評価は、以下のErbB4キナーゼドメイン/化合物相互作用:
(i)アミノ酸残基796、797、798、799、および800との1つ以上の相互作用、
(ii)アミノ酸残基724、749、および850との1つ以上の相互作用、
(iii)アミノ酸残基848、860、803、847、732、および725との1つ以上の相互作用、
(iv)アミノ酸残基732、749、751、796、861、860、772、781、783、794、796、および862との1つ以上の相互作用、ならびに
(v)残基801、802、803、806、および810との1つ以上の相互作用、
の少なくとも1つが可能な化合物を同定することを含む;
該評価に基づいてさらなる試験に供する化合物を選択することと;
を含む、ErbB4阻害剤デザインの方法を提供する。
本発明の第5の態様では、哺乳動物において不適切なErbB4活性により特性付けられる障害を治療する方法を提供する。この方法は、ErbB4キナーゼドメインとの複合体を形成することによりリガンド化形態のErbB4キナーゼドメインを生成しうる治療上有効な量の化合物を該哺乳動物に投与することを含み、リガンド化形態の該キナーゼドメインは、配列番号1のアミノ酸配列および表2の構造座標により記述され、該複合体は、以下のErbB4キナーゼドメイン/化合物相互作用:
(i)ErbB4キナーゼドメインヒンジ領域のアミノ酸残基との1つ以上の相互作用、
(ii)ErbB4キナーゼドメインアデニンポケットのアミノ酸残基との1つ以上の相互作用、
(iii)ErbB4キナーゼ糖質ポケットおよびリン酸領域のアミノ酸残基との1つ以上の相互作用、
(iv)ErbB4キナーゼドメインバックポケットのアミノ酸残基との1つ以上の相互作用、ならびに
(v)ErbB4キナーゼドメイン溶媒境界のアミノ酸残基との1つ以上の相互作用、
の少なくとも1つにより特性付けられる。
本発明の第6の態様では、哺乳動物においてErbB4を阻害する方法を提供する。この方法は、ErbB4キナーゼドメインとの複合体を形成することによりリガンド化形態のErbB4キナーゼドメインを生成しうる治療上有効な量の化合物を該哺乳動物に投与することを含み、リガンド化形態の該キナーゼドメインは、配列番号1のアミノ酸配列および表2の構造座標により記述され、該複合体は、以下のErbB4キナーゼドメイン/化合物相互作用:
(i)ErbB4キナーゼドメインヒンジ領域のアミノ酸残基との1つ以上の相互作用、
(ii)ErbB4キナーゼドメインアデニンポケットのアミノ酸残基との1つ以上の相互作用、
(iii)ErbB4キナーゼ糖質ポケットおよびリン酸領域のアミノ酸残基との1つ以上の相互作用、
(iv)ErbB4キナーゼドメインバックポケットのアミノ酸残基との1つ以上の相互作用、ならびに
(v)ErbB4キナーゼドメイン溶媒境界のアミノ酸残基との1つ以上の相互作用、
の少なくとも1つにより特性付けられる。
本発明の第7の態様では、配列番号1のアミノ酸配列および表2の構造座標により記述されるErbB4キナーゼドメイン形態と、ErbB4キナーゼドメインとの複合体を形成することのできる化合物と、を含む、ErbB4キナーゼドメイン/阻害剤複合体を提供する。該複合体は、以下のErbB4キナーゼドメイン/化合物相互作用:
(i)ErbB4キナーゼドメインヒンジ領域のアミノ酸残基との1つ以上の相互作用、
(ii)ErbB4キナーゼドメインアデニンポケットのアミノ酸残基との1つ以上の相互作用、
(iii)ErbB4キナーゼ糖質ポケットおよびリン酸領域のアミノ酸残基との1つ以上の相互作用、
(iv)ErbB4キナーゼドメインバックポケットのアミノ酸残基との1つ以上の相互作用、ならびに
(v)ErbB4キナーゼドメイン溶媒境界のアミノ酸残基との1つ以上の相互作用、
の少なくとも1つにより特性付けられる。
表1は、ErbB4Kの結晶形態から得られた結晶・データ統計量をまとめた表である。結晶空間群、単位格子寸法、非対称格子あたりの分子数、および結晶分解能に関するデータをはじめとする単位格子に関するデータが提示されている。
表2は、X線回折によりリガンド化ErbB4Kの結晶形態から得られた原子構造座標データの表である。
本明細書中で使用する場合、「有効量」という用語は、たとえば研究者または臨床医が探し求めている組織、系、動物、またはヒトの生物学的または医学的応答を引き起こす薬剤または医薬品の量を意味する。さらに、「治療上有効な量」という用語は、そのような量を摂取していない対応する被験者と比較して、疾患、障害、もしくは副作用の治療、治癒、予防、もしくは改善が向上されるか、または疾患もしくは障害の進行速度が低減される任意の量を意味する。この用語はまた、正常な生理的機能を強化するのに有効な量をもその範囲内に包含する。
本明細書中で使用する場合、「突然変異」という用語は、その伝統的な意味合いを有し、核酸またはポリペプチドの配列の遺伝された変化、天然に存在する変化、または導入された変化を意味し、当業者に一般に知られる意味で使用される。
本明細書中で使用する場合、「標識化」という用語は、分光学的方法、放射線学的方法、または他の方法による検出が可能な部分のプローブ分子への結合を意味する。
本明細書中で使用する場合、「標的細胞」という用語は、核酸配列もしくはポリペプチドを挿入するかまたは未改変細胞において標準的であることが知られている状態からの改変を他の方法で行うことが望まれる細胞を意味する。標的細胞中に導入される核酸配列は、さまざまな長さをとりうる。さらに、核酸配列は、プラスミドもしくは他のベクターの成分としてまたは裸の配列として標的細胞中に導入しうる。
本明細書中で使用する場合、「転写」という用語は、遺伝子のコード配列中に存在する構造情報をもつRNAとして発現するように方向付けるRNAポリメラーゼと遺伝子との相互作用が関与する細胞過程を意味する。この過程には、次の工程:(a)転写の開始、(b)転写産物の伸長、(c)転写産物のスプライシング、(d)転写産物のキャッピング、(e)転写の終結、(f)転写産物のポリアデニル化、(g)転写産物の核外移行、(h)転写産物のエディティング、および(i)転写産物の安定化が含まれるが、これらに限定されるものではない。
本明細書中で使用する場合、「発現」という用語は、一般に、生物学的に活性なポリペプチドがRNAから産生される細胞過程を意味する。
本明細書中で使用する場合、「転写因子」という用語は、遺伝子に結合することにより、あるいはそのような遺伝子のRNA転写産物に結合することにより、あるいはそのような遺伝子もしくはそのようなRNA転写産物に結合する他のタンパク質またはそのような遺伝子もしくはそのようなRNA転写産物に順次結合する他のタンパク質に結合することにより、遺伝子の発現をモジュレートする細胞質または核のタンパク質を意味する。そのようなモジュレーションは、さらに、他の機序により達成可能であり、したがって、「遺伝子の転写因子」の本質は、遺伝子の転写レベルがなんらかの方法で改変されることである。
本明細書中で使用する場合、「ハイブリダイゼーション」という用語は、標的サンプルへのプローブ分子(検出可能な部分が結合されている分子)の結合を意味する。
本明細書中で使用する場合、「検出する」という用語は、標的物の存在下で排他的に現れる放射線学的または分光学的シグナルのような検出可能なシグナルの発生を観測することにより標的物の存在を確認することを意味する。
本明細書中で使用する場合、「配列決定する」という用語は、従来の手動または自動の実験技術を用いてDNAまたはタンパク質の標的サンプルの核酸またはアミノ酸の順序付けられた線状配列を決定することを意味する。
本明細書中で使用する場合、「単離された」という用語は、たとえば、会合(そのような会合は細胞物質中または合成培地中のいずれかで生じる)しうる他の核酸、タンパク質、脂質、炭水化物、またはそれ以外の物質を実質的に含まないオリゴヌクレオチドを意味する。この用語はまた、ポリペプチドなどの他の分子タイプにも適用することができる。その場合には、ポリペプチドは、核酸、炭水化物、脂質、および他の望ましくないポリペプチドを実質的に含まない。
本明細書中で使用する場合、「単離された」という用語は、たとえば、会合(そのような会合は細胞物質中または合成培地中のいずれかで生じる)しうる他の核酸、タンパク質、脂質、炭水化物、または他の物質を実質的に含まないオリゴヌクレオチドを意味する。この用語はまた、ポリペプチドなどの他の分子タイプにも適用することができる。その場合には、ポリペプチドは、核酸、炭水化物、脂質、および他の望ましくないポリペプチドを実質的に含まない。
本明細書中で使用する場合、「実質的に純粋な」という用語は、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドが、天然の状態でそれらに会合する配列および分子ならびに単離手順で使用される分子を実質的に含まないことを意味する。「実質的に含まない」という用語は、サンプルの少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは80%、最も好ましくは90%が、自然界でそれに会合する物質および化合物でないことを意味する。
本明細書中で使用する場合、「プライマー」という用語は、2個以上のデオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチド、好ましくは4個以上、より好ましくは9個以上、最も好ましくは少なくとも約20個のヌクレオチドのエキソン領域またはイントロン領域を含む配列を意味する。そのようなオリゴヌクレオチドは、好ましくは、10〜30塩基の長さである。
本明細書中で使用する場合、「DNAセグメント」という用語は、特定種の全ゲノムDNAを含まないように単離されたDNA分子を意味する。たとえば、erbB4またはerbB4KポリペプチドをコードするDNAセグメントとは、配列番号1をコードするがHomo sapiensのような起源種の全ゲノムDNAを含まないように単離または精製されたDNAセグメントを意味する。「DNAセグメント」という用語に包含されるのは、DNAセグメントおよびそのようなセグメントのより小さい断片、さらには、たとえば、プラスミド、コスミド、ファージ、ウイルスなどをはじめとする組換えベクターである。
本明細書中で使用する場合、「エンハンサー-プロモーター」という表現は、エンハンサーエレメントとプロモーターエレメントの両方を含有する複合ユニットを意味する。エンハンサー-プロモーターは、少なくとも1種の遺伝子産物をコードするコード配列に機能的に連結される。
本明細書中で使用する場合、「機能的に連結される」という表現は、コード配列の転写がエンハンサー-プロモーターにより制御されレギュレートされるようにエンハンサー-プロモーターがコード配列に結合されることを意味する。エンハンサー-プロモーターをコード配列に機能的に連結するための技術については、当技術分野で周知であるが、対象のコード配列に対する正確な方向および位置は、とくにエンハンサー-プロモーターの特異的性質に依存する。
本明細書中で使用する場合、「阻害剤候補」という用語は、他の部分(たとえば、相互作用すると考えられる所与のリガンド)と相互作用して完全な酵素もしくは酵素ポリペプチドまたはそれらの断片の活性を少なくとも部分的に阻害すると考えられ、かつ続いてそのような相互作用および活性阻害が評価可能である物質を意味する。同様に、「ErbB4阻害剤候補」という用語は、他の部分(たとえば、相互作用すると考えられる所与のリガンド)と相互作用して完全なErbB4もしくはErbB4ポリペプチドまたはそれらの断片の活性を少なくとも部分的に阻害すると考えられ、かつ続いてそのような相互作用および活性阻害が評価可能である物質を意味する。代表的な候補化合物または基質としては、薬剤および他の治療剤、発癌物質および環境汚染物質、天然の産物および抽出物のような生体異物、ならびにステロイド、脂肪酸、およびプロスタグランジンのような生体内物質が挙げられる。本発明の方法を用いて調べることのできる候補物質の他の例としては、ErbB4もしくはErbB4ポリペプチドのアゴニストおよびアンタゴニスト、毒素および毒液、ウイルスエピトープ、ホルモン(たとえば、オピオイドペプチド、ステロイドなど)、ホルモン受容体、ペプチド、酵素、酵素基質、補因子、レクチン、糖質、オリゴヌクレオチドまたは核酸、オリゴ糖、タンパク質、小分子、ならびにモノクロナール抗体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本明細書中で使用する場合、「改変された」という用語は、物質の通常の存在状態からの変化を意味する。物質は、個別の化学単位を除去することによりまたは個別の化学単位を付加することにより改変することができる。「改変された」という用語は、検出可能な標識および精製時に助剤として添加される物質を包含する。
本明細書中で使用する場合、「相互作用」という用語は、原子または分子の間の結合平衡を促進する原子および/または分子の状態または力が存在する原子または分子の間の任意の関係を意味する。好適な例としては、共有結合、静電結合、疎水結合、親水結合、水素結合、およびファンデルワールス結合が挙げられるが、これらに限定されるものではない。そのような結合関係の性質については、当技術分野で公知であり、たとえば、Mathews et al (1990) Biochemistry, Chapter 2, pgs 30-54に記載されている。
本明細書中で使用する場合、「構造座標(structure coordinates)」および「構造座標(structural coordinates)」という用語は同義的であり、結晶形態の分子(たとえばErbB4K)の原子(散乱中心)によるX線の単色ビームの回折に基づいて得られるパターンに関連付けられる数式から誘導される数学的座標を意味する。回折データは、結晶の反復単位の電子密度図を計算するために使用される。電子密度図は、結晶の単位格子内の各原子の位置を確定するために使用される。当業者は、X線結晶解析により決定される構造座標セットに標準誤差がないわけではないことを熟知している。本発明の目的では、表2に列挙されている構造座標上にポリペプチド主鎖原子を用いて重ね合わせたときに、理想値からの根平均二乗(RMS)偏差が1.5Å以下であるErbB4またはErbB4Kの突然変異体の構造座標セットはいずれも、同等であるとみなすものとするが、ただし、活性化ループおよびヌクレオチド結合ループに関しては、理想値からのそのような偏差は、10Å以下のRMSを有していなければならない。
本明細書中で使用する場合、「非対称単位」という用語は、反復により全体を構築する対称な対象物の一部分を意味する。したがって、それは、その点群の対称操作により対象物を生成することのできる最小単位である。
本明細書中で使用する場合、「分子置換」という用語は、未知結晶の観測された回折パターンを最もよく説明するように未知結晶の単位格子内で構造座標が既知である分子の向きおよび位置を決定することにより、構造座標が未知であるErbB4またはErbB4Kの突然変異体の結晶の予備的モデルを生成することを含む方法を意味する。次に、このモデルから位相を計算し、観測された振幅と組み合わせて、座標が未知である構造の近似フーリエ合成を行うことができる。それに続いて、これをいくつかの精密化方式のいずれかに付すことにより、未知結晶の最終的な正確な構造を得ることができる(Lattman, (1985) in Methods in Enzymology, 115: 55-77)。本発明により提供されるerbB4Kおよびリガンド化形態のerbB4Kの構造座標を用いれば、分子置換を使用してErbB4Kの突然変異体もしくは相同体の結晶またはErbBKの異なる結晶形態の構造座標を決定することができる。
本明細書中で使用する場合、「βシート」および「ベータシート」という用語は同義的であり、伸長ジグザグ(zig-zig)コンフォメーションの状態に引き伸ばされたポリペプチド鎖のコンフォメーションを意味する。「平行」に伸びるポリペプチド鎖の部分はすべて、同一方向に伸びる。「逆平行」であるポリペプチド鎖は、平行鎖と反対の方向に伸びる。
本明細書中で使用する場合、「αヘリックス」および「アルファヘリックス」という用語は同義的であり、ポリペプチド主鎖が分子の長軸の周りに左回りまたは右回りの方向に巻かれたポリペプチド鎖のコンフォメーションを意味する。アミノ酸の置換基は、へリックス主鎖から外向きに突出し、構造の反復単位は、へリックスの1回転分であり、長軸に沿って約0.56nm延在する。
本明細書中で使用する場合、「突然変異体」という用語は、天然のerbB4もしくはerbB4Kのポリペプチド中の少なくとも1個のアミノ酸残基を異なるアミノ酸残基と置き換えることによりならびに/あるいは天然のポリペプチド内または天然のerbB4もしくはerbB4Kに対応するポリペプチドのN末端および/もしくはC末端でアミノ酸残基を付加および/または欠失させることにより得られ、かつ誘導の出発源となる天然のerbB4またはerbB4Kと実質的に同一の三次元構造を有するポリペプチドを意味する。実質的に同一の三次元構造を有するとは、天然のerbB4またはerbB4KのCα原子の少なくとも約50%〜100%を重ね合わせに組み込んだ場合、突然変異体を誘導する出発源となる天然のerbB4またはerbB4Kの原子構造座標と重ね合わせたときに、約1.5Å(活性化ループおよびヌクレオチド結合ループに関しては10Å)よりも小さいかまたはそれに等しい根平均二乗偏差(RMS偏差)を有する原子構造座標セットを有することを意味する。突然変異体は、自己リン酸化活性を有しうるが、有している必要があるわけではない。
本明細書中で使用する場合、「空間群」という用語は、無限に伸長された規則的反復パターンに一致する操作群または操作配列を意味する。それは、三次元構造の対称性または結晶の対称要素の配列である。可能な空間群対称性は230種あるが、生物学的構造に利用しうる空間群対称性はわずか65種にすぎない。
本明細書中で使用する場合、「対称性」という用語は、区別できない対象物を生じる対象物のなんらかの空間的操作を意味する。したがって、対称な対象物は、なんらかの操作によりそれ自体に重ね合わせることができる。
本明細書中で使用する場合、「単位格子」という用語は、三次元の平行移動により無限に反復される結晶構造の基本部分を意味する。単位格子は、平行六面体の辺を形成する一平面内に位置しない3つのベクトルa、b、およびcにより特性付けられる。角度α、β、およびγは、ベクトル間の角度を規定する。すなわち、角度αは、ベクトルbおよびc間の角度であり、角度βは、ベクトルbおよびc間の角度であり、そして角度γは、ベクトルaおよびb間の角度である。結晶の全体積は、単位格子の規則的集合により構成することができ、各単位格子は、反復により結晶を構築するパターン単位の完全な表現を含む。
本明細書中で使用する場合、「単斜晶系単位格子」とは、a≠b≠cかつα=γ=90°かつβ≠90°の単位格子を意味する。ベクトルa、b、およびcは、単位格子の辺を記述し、そして角度α、β、およびγは、単位格子の角度を記述する。
本明細書中で使用する場合、「斜方晶系単位格子」とは、a≠b≠cかつα=β=γ=90°の単位格子を意味する。ベクトルa、b、およびcは、単位格子の辺を記述し、そして角度α、β、およびγは、単位格子の角度を記述する。
本明細書中で使用する場合、「結晶格子」という用語は、充填された単位格子の頂点により規定される点の配列を意味する。
本明細書中で使用する場合、「活性部位」という用語は、基質ペプチド結合、ATP結合、および触媒作用を生じるerbB4Kドメインの部位を意味する。erbB4の場合、活性部位は、少なくとも活性化ループおよびヌクレオチド結合ループを含む。
本明細書中で使用する場合、「活性化ループ」という用語は、調節ループとして作用すると考えられる保存AspPheGly配列と保存AlaProGlu配列の間のチロシンキナーゼドメイン中のループを意味する。
本明細書中で使用する場合、「ヌクレオチド結合ループ」および「グリシンリッチループ」という用語は同義(synonomous)であり、プロテインキナーゼ保存グリシンリッチコンセンサス配列を含有するRTK中のループを意味する。
本明細書中で使用する場合、「自己リン酸化部位」という用語は、erbB4自体のドメインによりリン酸化されるerbB4K中の1個または複数個の残基を意味する。
本明細書中で使用する場合、「膜近傍領域」という用語は、膜貫通へリックスとチロシンキナーゼドメインとの間に位置するerbB4Kの部分を意味する。
本明細書中で使用する場合、「キナーゼインサート」および「キナーゼインサートドメイン」という用語は同義であり、非レセプターチロシンキナーゼまたはセリン/トレオニンキナーゼの中に見いだされない追加のドメインを意味する。それは、レセプターチロシンキナーゼのC末端ドメイン中のへリックスαDおよびαE間に見いだされ、配列および長さが大きく異なりうる。
本明細書中で使用する場合、「C末端テール」という用語は、RTKのC末端ドメインの最終へリックスを越えて延在するRTKの領域を意味する。
本明細書中で使用する場合、「N末端ドメイン」という用語は、規定の構造を有しかつヒンジ領域よりも配列が先行するRTKの領域を意味する。
本明細書中で使用する場合、「モジュレートする」という用語は、野生型または突然変異型のerbB4またはerbB4Kのポリペプチドの化学的および生物学的な活性または特性のいずれかまたはすべての増加、減少、または他の変化を意味する。
ErbB4K構造の説明
ErbB4Kの全体的構造は、セリン/トレオニンプロテインキナーゼとチロシンプロテインキナーゼの両者に関してこれまでに報告されている構造と類似していた(Johnson et al, Cell, 85: 149-158; Cox et al, Curr. Opin. Struct. Biol., 4: 893-901)。ErbB4のCαトレースを図2に示す。図中、キナーゼ二次構造エレメントは、cAPKに対して最初に定められた規約に従って表記されている(Knighton et al, Science, 253:407-413)。ErbB4Kは、2つのドメインの状態に折り畳まれ、2つのドメイン間のクレフトで触媒作用を生じる。N末端ドメイン中の残基は、主にATPを連結する役割を担い、一方、C末端ドメイン中の残基は、触媒作用および基質結合に関与する。
N末端ドメイン(残基690〜801)は、ねじれたβシートおよび1つのαヘリックスの状態に折り畳まれる。より大きいC末端ドメイン(残基802〜999)は、8つのαへリックス(αD-αI)および1セットの逆平行ストランド(β6/β7)を含有する。ストランド6および7は、N末端βシートに隣接するドメイン間境界に位置する。他のキナーゼと同様に、ErbB4Kもまた、機能的に重要なループ領域:グリシンリッチヌクレオチド結合ループ(残基725〜730)、触媒ループ(残基841〜848)、および活性化ループ(残基861〜890)を含有する。これについては、以下でさらに詳細に説明する。
活性化ループ
プロテインキナーゼは、活性化ループまたはAループと呼ばれる大きいフレキシブルループを含有し、そのコンフォメーションは、キナーゼ活性を調節すると考えられている。多くのキナーゼでは、Aループのコンフォメーションは、この領域内の特定の残基のリン酸化により制御される(Johnson et al)。活性化ループは、一般に、保存AspPheGly配列(ErbB4K 861)から始まって、保存AlaProGlu(ErbB4K 890、ErbB4K中のAlaLeuGlu))で終わる(Johnson et al)。不活性なキナーゼの構造では、このループの一部分は、多くの場合、無秩序である。Aループが秩序化されている構造では、多くの場合、基質結合部位またはATP結合部位のいずれかをブロックする(Mohammadi et al; Wybenga-Groot et al; Hubbard et al - 1997; Hubbard et al - 1994; McTigue et al; and Xu et al)。リン酸化されると、Aループは、C末端ドメイン中の残基に接触するように再配置される(Hubbard et al - 1997)。次に、活性化性リン酸は、触媒アスパラギン酸(ErbB4K D843)に先行する保存アルギニン(ErbB4K R842)を含む塩基性残基のクラスターと相互作用することができる。AspPheGlyモチーフのアスパルチル残基は、Mg2+イオンに連結し、続いてATPのβおよびγリン酸に接触する。
ErbB4Kでは、活性化ループは残基861〜890に対応し、位置875に1個のチロシンを含有する。提示されたErbB4K構造では、Aループは完全に秩序化され、ATP結合部位および基質結合部位のいずれをも顕著にブロックすることはない。これまでに観測されている他のAループとは異なり、ErbB4中のAループは、AspPheGlyモチーフの直後に短いへリックス(へリックスA')を含有する。
ErbB4では、他のチロシンキナーゼの活性化に必要とされるチロシンのときと類似したAループ内の位置にTyr875が見いだされる。ErbB4K結晶構造中のこの残基の側鎖は、溶媒の方向ではなくタンパク質の内部の方向を向いており、そのOHは、Cys891の主鎖カルボニルに対して水素結合を形成する。ErbB4中のこのチロシンのリン酸化がキナーゼの完全な活性に必要とされるかは明らかでない。
ヌクレオチド結合ループ
ヌクレオチド結合ループ(NBループ)は、触媒作用に見合った適正位置にATPの三リン酸部分を結合する役割を担う残基を含有する(Johnson etal and Cox et al)。このグリシンリッチループはきわめてフレキシブルであると考えられ、多くの場合、無秩序であるかまたは多数の非リガンド化キナーゼ構造部位に高度のb因子を有するかのいずれかである(Mohammadi et al; Wybenga-Groot et al; Hubbard et al - 1997; Hubbard et al - 1994; McTigue et al; and Xu et al)。ErbB4Kでは、このループは秩序化されており、他のキナーゼ構造で見られる位置と類似した位置を占有する。
触媒ループ
プロテインキナーゼの触媒ループは、αEとβ7の間に存在し、リン酸転移反応において触媒塩基として機能するインバリアントなアスパラギン酸(ErbB4中のD843)を含有する(Johnson et al)。このループの主鎖および側鎖の位置だけでなく配列(HRDLAARN)もまた、リガンド化されていないEphB2、FGFR1、Tie2、IRK、およびVEGFR2、ならびに三リン酸化されたIRK複合体構造部位のものに類似している(Mohammadi et al; Wybenga-Groot et al; Hubbard et al - 1997; Hubbard et al - 1994; and McTigue et al)。
阻害剤結合部位
ATP結合部位は、いくつかの領域:ヒンジ、アデニンポケット、溶媒境界、バックポケット、および糖質ポケットに分けることができる。ATPは、活性化IR構造に基づいてErbB4中にモデル化される。ヒンジ領域は、thr796からpro800まで延在しており、ATPのアデニン塩基と水素結合を形成すると予想される。アデニンポケットは、側方のヒンジ残基と、上端のala749およびleu724と、下端のleu850と、により形成されるであろう。ErbB4中のバックポケットは、(1)val732、ala749、lys751、thr796、asp861、およびthr860、ならびに(2)met772、val781、leu783、leu794、thr796、およびphe862により規定される2つの領域に分割することのできる細長いチャネルである。典型的には、可能性のある阻害剤は、領域(1)中に結合し、領域(2)の奥には達しない。残基his801、gly802、cys803、glu806、およびglu810により形成される溶媒境界の表面は、阻害剤との相互作用を起こしうる。リボースポケットまたは糖質ポケットは、asn848、thr860、cys803、arg847、val732、およびgly725により規定される。
阻害剤/ErbB4K複合体構造
非リン酸化ErbB4の構造は、チエノピリミジン阻害剤(式Ia):
Figure 2007520997
の存在下で解明された。
阻害剤は、ATP結合部位中に結合してポケットの奥まで入り込む。チエノピリミジン基は、ATPのアデノシン塩基と同様に、NおよびC末端ドメイン間のヒンジ領域に水素結合する(図3)。阻害剤は、タンパク質に対して単一の水素結合を形成する。阻害剤のN1は、Met799の主鎖NHに水素結合する。チエノピリミジン環は、上端および下端からそれぞれAla749およびLeu850の側鎖によりはさまれる。cys803の側鎖は、アルキニル基中に付加してシス二重結合を形成する。阻害剤のBおよびC環は、ATP結合部位の奥深くに存在する。B環は、Val732、Ala749、Lys751、Thr796、およびThr860の側鎖に当接して詰め込まれ、一方、C環は、Met772、Val781、Leu783、Leu794、Thr796、およびPhe862により形成される疎水性ポケット中に着座する。
共結晶構造はまた、式(Ib):
Figure 2007520997
で示されるチエノピリミジン化合物を用いて解明された。
ErbB4キナーゼドメインと共結晶化されうるさらなる化合物としては、式(I):
Figure 2007520997
で示される化合物が挙げられる。ただし、上記式中、
A1およびA2の一方はSであり、かつ他方はCHであり;
R1は、Hまたは-(CR11R11)n-R5であり;
R2は、HまたはC1〜6アルキルであり;
R3は、ハロ、アルキニル、-CF3、-(CH2)nOR4、-(CH2)nSR4、-NO2、C1〜6アルキル、-CN、-SO2R9、-(CH2)nアリール、および-(CH2)nNR9R10よりなる群から選択される1つ以上の置換基で場合により置換されていてもよいアリール、ならびにハロ、アルキニル、-CF3、-(CH2)nOR4、-(CH2)nSR4、-NO2、C1〜6アルキル、-CN、-SO2R9、-(CH2)nアリール、および-(CH2)nNR9R10よりなる群から選択される1つ以上の置換基で場合により置換されていてもよいヘテロアリールよりなる基から選択され;
R4は、H、C1〜6アルキル、-(CH2)nNR9R10、-(CH2)nヘテロシクリル、-(CH2)nアリール(ここで、アリールは、ハロ、-CF3、C1〜6アルコキシ、-NO2、C1〜6アルキル、-CN、-SO2R9、および-(CH2)nNR9R10よりなる群から選択される1つ以上の置換基で場合により置換されていてもよい)、アリールC1〜6アルケニレン(ここで、アリールは、ハロ、-CF3、C1〜6アルコキシ、-NO2、C1〜6アルキル、-CN、-SO2R9、および-(CH2)nNR9R10よりなる群から選択される1つ以上の置換基で場合により置換されていてもよい)、ヘテロアリールC1〜6アルケニレン(ここで、ヘテロアリールは、ハロ、-CF3、C1〜6アルコキシ、-NO2、C1〜6アルキル、-CN、-SO2R9、および-(CH2)nNR9R10よりなる群から選択される1つ以上の置換基で場合により置換されていてもよい)、および-(CH2)nヘテロアリール(ここで、ヘテロアリールは、ハロ、-CF3、C1〜6アルコキシ、-NO2、C1〜6アルキル、-CN、-SO2R9、および-(CH2)nNR9R10よりなる群から選択される1つ以上の置換基で場合により置換されていてもよい)よりなる群から選択され;
R5は、ヘテロシクリル、-N(R6)-C(O)-N(R6)(R7)、-N(R6)-C(S)-N(R6)(R7)、-N(R6)-C(O)-OR7、-N(R6)-C(O)-(CH2)n-R7、-N(R6)-SO2R6、-(CH2)nNR6R7、-(CH2)nOR7、-(CH2)nSR8、-(CH2)nS(O)R8、-(CH2)nS(O)2R8、-OC(O)R8、-OC(O)OR8、-C(O)NR6R7、ヘテロアリール(ハロ、-CF3、C1〜6アルコキシ、-NO2、C1〜6アルキル、-CN、-SO2R9、および-(CH2)nNR9R10よりなる群から選択される1つ以上の置換基で場合により置換されていてもよい)、およびアリール(ハロ、-CF3、C1〜6アルコキシ、-NO2、C1〜6アルキル、-CN、-SO2R9、および-(CH2)nNR9R10よりなる群から選択される1つ以上の置換基で場合により置換されていてもよい)よりなる基から選択され;
R6およびR7は、独立して、H、C1〜6アルキル、C3〜8シクロアルキル、ヘテロシクリル、-(CH2)nNR9R10、-(CH2)nOR9、-(CH2)nC(O)R8、-C(O)2R8、-(CH2)nSR8、-(CH2)nS(O)R8、-(CH2)nS(O)2R8、-(CH2)nR8、-(CH2)nCN、アリール(ハロ、-CF3、C1〜6アルコキシ、-NO2、C1〜6アルキル、-CN、-(CH2)nOR8、-(CH2)nヘテロシクリル、-(CH2)nヘテロアリール、-SO2R9、および-(CH2)nNR9R10よりなる群から選択される1つ以上の置換基で場合により置換されていてもよい)、およびヘテロアリール(ハロ、-CF3、C1〜6アルコキシ、-NO2、C1〜6アルキル、-CN、-(CH2)nOR8、-(CH2)nヘテロシクリル、-(CH2)nヘテロアリール、-SO2R9、および-(CH2)nNR9R10よりなる群から選択される1つ以上の置換基で場合により置換されていてもよい)よりなる群から選択されるか、またはR6およびR7は、それらが結合されている原子と一緒になって、3〜8員環を形成し;
R8は、C1〜6アルキル、C3〜8シクロアルキル、ヘテロシクリルC1〜6アルキレン、アリールC1〜6アルキレン(ここで、該アリールは、ハロ、-CF3、C1〜6アルコキシ、-NO2、C1〜6アルキル、-CN、-SO2R9、および-(CH2)nNR9R10よりなる群から選択される1つ以上の置換基で場合により置換されていてもよい)、ヘテロアリールC1〜6アルキレン(ここで、該ヘテロアリールは、ハロ、-CF3、C1〜6アルコキシ、-NO2、C1〜6アルキル、-CN、-SO2R9、および-(CH2)nNR9R10よりなる群から選択される1つ以上の置換基で場合により置換されていてもよい)、アリール(ハロ、-CF3、C1〜6アルコキシ、-NO2、C1〜6アルキル、-CN、-SO2R9、および-(CH2)nNR9R10よりなる群から選択される1つ以上の置換基で場合により置換されていてもよい)、およびヘテロアリール(ハロ、-CF3、C1〜6アルコキシ、-NO2、C1〜6アルキル、-CN、-SO2R9、および-(CH2)nNR9R10よりなる群から選択される1つ以上の置換基で場合により置換されていてもよい)よりなる群から選択され;
R9およびR10は、独立して、H、C1〜6アルキル、C3〜8シクロアルキル、および-C(O)R11よりなる群から選択されるか、またはR9およびR10は、それらが結合されている原子と一緒になって、3〜8員環を形成し;
R11は、独立して、H、C1〜6アルキル、およびC3〜8シクロアルキルよりなる群から選択され;そして
nは、0〜6である。
そのようなチエノピリミジン類については、PCT特許出願PCT/US02/39872号として2002年12月13日に出願されWO 03/053446として2003年7月3日に公開された2001年12月19日出願の米国仮特許出願第60/342,207号に記載されている。そのような出願は、そのようなチエノピリミジン類ならびにその製造および使用についてそれらに開示および説明されている程度まで参照により本明細書に組み入れられるものとする。
先に述べたように、本発明は、リガンド化結晶形態のErbB4キナーゼドメインを提供する。そのようなErbB4リガンド化キナーゼドメインは、配列番号1のアミノ酸配列および表2の構造座標により記述される。配列番号1は、配列番号2のDNA配列によりコードされる。他の実施形態では、配列番号2のDNA配列によりコードされるアミノ酸配列および表2の構造座標により、ErbB4リガンド化キナーゼドメインが記述される。さらなる実施形態では、配列番号1のアミノ酸配列および表2の構造座標により、実質的に純粋な単離されたErbB4リガンド化キナーゼドメインが記述される。他の実施形態では、配列番号2のDNA配列によりコードされるアミノ酸配列および表2の構造座標により、実質的に純粋な単離されたErbB4リガンド化キナーゼドメインが記述される。
一実施形態では、結晶形態のリガンド化ErbB4キナーゼドメインは、a=63.95Å、b=63.95Å、c=163.95Å、α=90°、β=90°、およびγ=90°の格子定数を有する。一実施形態では、結晶形態のリガンド化ErbB4キナーゼドメインは、P43の空間群を有する。他の実施形態では、結晶形態のリガンド化ErbB4キナーゼは、秩序化された全NT領域を有する。さらに他の実施形態では、結晶形態のリガンド化ErbB4キナーゼは、1.5Å以下のRMSの理想値からの偏差を有する構造座標を有する。ただし、活性化ループおよび/またはヌクレオチド結合ループは、10Å以下のRMSの理想値からの偏差を有する構造座標を有する。さらなる実施形態では、結晶形態のリガンド化ErbB4キナーゼは、10Å以下のRMSの理想値からの偏差を有する構造座標を有する活性化ループおよび/またはヌクレオチド結合ループを有する。
他の実施形態では、配列番号1または2のアミノ酸配列および表2の構造座標により記述されるErbB4リガンド化キナーゼドメインと、cFMSキナーゼドメインとの以下の相互作用:
(i)ErbB4キナーゼドメインヒンジ領域のアミノ酸残基との1つ以上の相互作用、
(ii)ErbB4キナーゼドメインアデニンポケットのアミノ酸残基との1つ以上の相互作用、
(iii)ErbB4キナーゼ糖質ポケットのアミノ酸残基との1つ以上の相互作用、
(iv)ErbB4キナーゼドメインバックポケットのアミノ酸残基との1つ以上の相互作用、および
(v)ErbB4キナーゼドメイン溶媒境界のアミノ酸残基との1つ以上の相互作用、
好ましくは
(i)アミノ酸残基796、797、798、799、および800との1つ以上の相互作用、
(ii)アミノ酸残基724、749、および850との1つ以上の相互作用、
(iii)アミノ酸残基848、860、803、847、732、および725との1つ以上の相互作用、
(iv)アミノ酸残基732、749、751、796、861、860、772、781、783、794、796、および862との1つ以上の相互作用、ならびに
(v)残基801、802、803、806、および810との1つ以上の相互作用、
の少なくとも1つが可能な化合物と、を含むErbB4キナーゼドメイン/阻害剤複合体を提供する。
相互作用(i)、(ii)、(iii)、(iv)、および(v)のより好ましい実施形態について、以下で説明する。
(i)に記される相互作用で参照されるアミノ酸領域(アミノ酸残基796〜800を含む)は、典型的には、ヒンジ領域と称される。一実施形態では、アミノ酸残基796〜800の少なくとも1つが関与する1つ以上のキナーゼドメイン/化合物結合相互作用が存在し、好ましくは、結合相互作用の少なくとも1つは、水素結合相互作用である。他の実施形態では、アミノ酸残基796〜800の少なくとも1つが関与する2つ以上の結合相互作用が存在し、好ましくは、結合相互作用の少なくとも1つは、水素結合相互作用である。さらなる実施形態では、アミノ酸残基796〜800の少なくとも1つが関与する3つ以上の結合相互作用が存在し、好ましくは、結合相互作用の少なくとも1つは、水素結合相互作用である。他のさらなる実施形態では、アミノ酸残基796〜800の少なくとも1つが関与する4つ以上の結合相互作用が存在し、好ましくは、結合相互作用の少なくとも1つは、水素結合相互作用である。
好ましい実施形態では、アミノ酸残基796〜800の少なくとも1つが関与する1つ以上のキナーゼドメイン/化合物水素結合相互作用、他の選択肢としては、アミノ酸残基796〜800の少なくとも1つが関与する2つ以上の水素結合相互作用、さらに他の実施形態では、アミノ酸残基796〜800の少なくとも1つが関与する3つ以上の水素結合相互作用、および他のさらなる実施形態では、アミノ酸残基796〜800の少なくとも1つが関与する4つ以上の結合相互作用が存在する。
より好ましい実施形態では、メチオニン799が関与するキナーゼドメイン/化合物水素結合相互作用、好ましくは、メチオニン799の主鎖NHが関与する1つの水素結合相互作用が存在する。典型的には、この水素結合は、2.5〜3.5、好ましくは2.6〜3.3、より好ましくは2.8〜3.0Åの距離を隔てる。
他の実施形態では、メチオニン799が関与するキナーゼドメイン/化合物水素結合相互作用が存在し、かつアミノ酸残基796〜800の少なくとも1つが関与する1つ以上のキナーゼドメイン/化合物結合相互作用が存在する。他の実施形態では、メチオニン799が関与するキナーゼドメイン/化合物水素結合相互作用が存在し、かつアミノ酸残基796〜800の少なくとも1つが関与する2つ以上の結合相互作用が存在する。さらなる実施形態では、メチオニン799が関与するキナーゼドメイン/化合物水素結合相互作用が存在し、かつアミノ酸残基796〜800の少なくとも1つが関与する3つ以上の結合相互作用が存在する。最後に、他のさらなる実施形態では、メチオニン799が関与するキナーゼドメイン/化合物水素結合相互作用が存在し、かつアミノ酸残基796〜800の少なくとも1つが関与する4つ以上の結合相互作用が存在する。好ましくは、メチオニン799が関与する水素結合相互作用の1つは、メチオニン799の主鎖NHが関与する。典型的には、この水素結合は、2.5〜3.5、好ましくは2.6〜3.3、より好ましくは2.8〜3.0の距離を隔てる。
(ii)に記される相互作用で参照されるアミノ酸領域(アミノ酸残基749、724、および850を含む)は、一般に、アデニンポケットと呼ばれる。一実施形態では、アミノ酸残基749、724、および850の少なくとも1つが関与する1つ以上のキナーゼドメイン/化合物相互作用、好ましくは、アミノ酸残基749、724、および850の少なくとも2つが関与する2つ以上の相互作用、より好ましくは、アミノ酸残基749、724、および850の少なくとも3つが関与する3つ以上の相互作用、最も好ましくは、アミノ酸残基749、724、および850が関与する4つ以上の結合相互作用が存在する。
一実施形態では、アラニン749が関与するキナーゼドメイン/化合物疎水性相互作用、好ましくは、アラニン749の側鎖が関与する相互作用が存在する。他の実施形態では、ロイシン724が関与するキナーゼドメイン/化合物相互作用が存在する。さらなる実施形態では、ロイシン850が関与するキナーゼドメイン/化合物相互作用、好ましくは、ロイシン850の側鎖が関与する相互作用が存在する。より好ましい実施形態では、アラニン749、ロイシン724、およびロイシン850の少なくとも1つが関与する1つのキナーゼドメイン/化合物相互作用が存在する。最も好ましい実施形態では、2つのキナーゼドメイン/化合物結合相互作用:(i)アラニン749の側鎖が関与する相互作用、およびii)ロイシン850の側鎖が関与する相互作用が存在する。
(iii)に記される相互作用で参照されるアミノ酸領域は、一般に糖質(リボース)ポケットと呼ばれる部分を記述し、アミノ酸残基848、860、803、847、732、および725により規定される。一実施形態では、アミノ酸残基848、860、803、847、732、および725の少なくとも1つが関与する1つ以上のキナーゼドメイン/化合物相互作用、好ましくは、アミノ酸残基848、860、803、847、732、および725が関与する2つ以上の相互作用が存在する。
一実施形態では、アスパラギン848が関与するキナーゼドメイン/化合物相互作用が存在する。他の実施形態では、トレオニン860が関与するキナーゼドメイン/化合物相互作用が存在する。他の実施形態では、システイン803が関与するキナーゼドメイン/化合物相互作用、好ましくは、システイン803と化合物の間の共有結合相互作用、より好ましくは、シス二重結合を形成するシステイン803と化合物のアルキニル基の間の共有結合相互作用が存在する。他の実施形態では、アルギニン847が関与するキナーゼドメイン/化合物相互作用が存在する。他の実施形態では、バリン732が関与するキナーゼドメイン/化合物相互作用が存在する。他の実施形態では、グリシン725が関与するキナーゼドメイン/化合物相互作用が存在する。
(iv)の相互作用で参照されるアミノ酸領域は、一般にバックポケット呼ばれる部分を記述したものであり、残基732、749、751、796、861、860、772、781、783、794、796、および862により形成される。一実施形態では、アミノ酸残基732、749、751、796、861、860、772、781、783、794、796、および862の少なくとも1つが関与する1つ以上のキナーゼドメイン/化合物相互作用、好ましくは、アミノ酸残基732、749、751、796、861、860、772、781、783、794、796、および862の少なくとも2つが関与する2つ以上の相互作用、より好ましくは、アミノ酸残基732、749、751、796、861、860、772、781、783、794、796、および862の少なくとも3つが関与する3つ以上の相互作用、さらに好ましくは、アミノ酸残基732、749、751、796、861、860、772、781、783、794、796、および862の少なくとも4つが関与する4つ以上の結合相互作用が存在する。
一実施形態では、バリン732が関与するキナーゼドメイン/化合物相互作用、好ましくは、バリン732が関与する疎水性相互作用が存在する。他の実施形態では、アラニン749が関与するキナーゼドメイン/化合物相互作用、好ましくはアラニン749が関与する疎水結合相互作用が存在する。他の実施形態では、リシン751が関与するキナーゼドメイン/化合物相互作用、好ましくは、リシン751が関与する疎水性相互作用が存在する。さらなる実施形態では、トレオニン796が関与するキナーゼドメイン/化合物相互作用、好ましくは、トレオニン796が関与する疎水性相互作用が存在する。他のさらなる実施形態では、アスパラギン酸861が関与するキナーゼドメイン/化合物疎水性相互作用、好ましくは、アスパラギン酸861が関与する疎水性相互作用が存在する。他の実施形態では、トレオニン860が関与するキナーゼドメイン/化合物相互作用、好ましくは、トレオニン860が関与する疎水性相互作用が存在する。他の実施形態では、メチオニン772が関与するキナーゼドメイン/化合物相互作用、好ましくは、メチオニン772が関与する疎水性相互作用が存在する。他の実施形態では、バリン781が関与するキナーゼドメイン/化合物相互作用、好ましくは、バリン781が関与する疎水性相互作用が存在する。他の実施形態では、ロイシン783が関与するキナーゼドメイン/化合物相互作用、好ましくは、ロイシン783が関与する疎水性相互作用が存在する。他の実施形態では、ロイシン794が関与するキナーゼドメイン/化合物相互作用、好ましくは、ロイシン794が関与する疎水性相互作用が存在する。他の実施形態では、トレオニン796が関与するキナーゼドメイン/化合物相互作用、好ましくは、トレオニン796が関与する疎水性相互作用が存在する。他の実施形態では、フェニルアラニン862が関与するキナーゼドメイン/化合物相互作用、好ましくは、フェニルアラニン862が関与する疎水性相互作用が存在する。
(v)の相互作用で参照されるアミノ酸領域は、一般に溶媒境界と呼ばれる部分を記述し、残基801、802、803、806、および810により形成される。一実施形態では、アミノ酸残基801、802、803、806、および810の少なくとも1つが関与する1つ以上のキナーゼドメイン/化合物相互作用、好ましくは、アミノ酸残基801、802、803、806、および810の少なくとも2つが関与する2つ以上の相互作用、より好ましくは、アミノ酸残基801、802、803、806、および810の少なくとも2つが関与する3つ以上の相互作用が存在する。
一実施形態では、ヒスチジン801が関与するキナーゼドメイン/化合物相互作用が存在する。他の実施形態では、グリシン802が関与するキナーゼドメイン/化合物相互作用が存在する。一実施形態では、システイン803が関与するキナーゼドメイン/化合物相互作用が存在する。他の実施形態では、グルタミン酸806が関与するキナーゼドメイン/化合物相互作用が存在する。さらなる実施形態では、グルタミン酸810が関与するキナーゼドメイン/化合物相互作用が存在する。
本発明のErbB4阻害剤デザインの方法は、第1の工程として、リガンド化形態のErbB4キナーゼドメインを表す三次元コンピューターモデルを生成することを含む。ここで、該キナーゼドメインは、配列番号1のアミノ酸配列により記述されかつ表2の構造座標を有する。典型的には、配列番号1および表2の構造座標のそのようなコンピューターモデルは、市販のソフトウェアプログラムを利用して構築される。構造座標セットから分子またはその一部分の三次元グラフ表現を生成させるためのソフトウェアプログラムは、当技術分野において周知であり使用される。タンパク質構造の表示または他の操作を行うためのそのようなコンピュータープログラムの好適な例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない:Midas (University of California, San Francisco)、MidasPlus (University of California, San Francisco)、MOIL (Univeristy of Illinois)、Yummie (Yale University)、Sybyl (Tripos, Inc.)、Insight/Discover (Biosym Technologies)、MacroModel (Columbia University)、Quanta (Molecular Simulations, Inc.)、CNS (Molecular Simulations, Inc.)、Cerius (Molucular Simulations, Inc.)、Alchemy (Tripos, Inc.)、LabVision (Tripos, Inc.)、Rasmol (Glaxo Research and Development)、Ribbon (University of Alabama)、NAOMI (Oxford University)、Explorer Eyechem (Silicon Graphics, Inc.)、Univision (Cray Research)、Molscript (Uppsala University)、Chem-3D (Cambridge Scientific)、Chain (Baylor College of Medicine)、O (Uppsala University)、GRASP (Columbia University)、X-Plor (Molecular Simulations, Inc., Yale University)、Spartan (Wavefunction, Inc.)、Catalyst (Molecular Simulations, Inc.)、Molcadd (Tripos, Inc.)、VMD (University of Illinois/Beckman Institute)、Sculpt (Interactive Simulations, Inc.)、Procheck (Brookhaven National Laboratory)、DGEOM (QCPE)、RE_VIEW (Brunel University)、Modeller (Birbeck College, University of London)、Xmol (Minnesota Supercomputing Center)、Protein Expert (Cambridge Scientific)、HyperChem (Hypercube)、MD Display (University of Washington)、PKB (National Center for Biotechnology Information, NIH)、ChemX (Chemical Design, Ltd.)、Cameleon (Oxford Molecular,Inc.)、およびIditis (Oxford Molecular, Inc.)。
ErbB4キナーゼドメインの三次元モデルが確定すれば、モデルおよび所定のソフトウェアアプリケーションを利用して、候補阻害剤化合物を評価しうる。最初に、当然のことながら、「評価する」という用語は、限定されるものではないが、de novo阻害剤分子デザイン、既知の候補阻害剤のコンピューター支援最適化、および候補阻害剤のコンピューター利用選択をその範囲内に包含する。ペプチド結合ポケットと候補阻害剤分子の間の可能性のある結合相互作用を評価するためのさまざまなコンピューター解析法が、当技術分野で知られている。そのような方法は、典型的には、先に列挙したソフトウェアパッケージの少なくとも1つを利用するものであり、当技術分野で公知である。計算法および他の評価法については、たとえば、米国特許第6,251,620号および同第6,356,845号に記載されている。そのような特許は、薬剤のデザイン、選択、および/または最適化のための計算法および他の評価法ついてそれらに開示されている程度まで、参照により本明細書に組み入れられるものとする。
スクリーニングの対象となるタンパク質-阻害剤相互作用の例としては、ErbB4キナーゼ分子と候補阻害剤の間の可能性のある共有結合、静電結合、疎水結合、親水結合、ファンデルワールス結合、および水素結合、ならびにErbB4キナーゼ結合ポケット内の有利な候補阻害剤コンフォメーションが挙げられる。
一実施形態では、該モデルを用いて可能性のあるErbB4阻害剤として化合物を評価することは、以下のErbB4キナーゼドメイン/化合物相互作用:
(i)ErbB4キナーゼドメインヒンジ領域のアミノ酸残基との1つ以上の相互作用、
(ii)ErbB4キナーゼドメインアデニンポケットのアミノ酸残基との1つ以上の相互作用、
(iii)ErbB4キナーゼ糖質ポケットおよびリン酸領域のアミノ酸残基との1つ以上の相互作用、
(iv)ErbB4キナーゼドメインバックポケットのアミノ酸残基との1つ以上の相互作用、および
(vi)ErbB4キナーゼドメイン溶媒境界のアミノ酸残基との1つ以上の相互作用、
好ましくは
(i)アミノ酸残基796、797、798、799、および800との1つ以上の相互作用、
(iii)アミノ酸残基724、749、および850との1つ以上の相互作用、
(iii)アミノ酸残基848、860、803、847、732、および725との1つ以上の相互作用、
(iv)アミノ酸残基732、749、751、796、861、860、772、781、783、794、796、および862との1つ以上の相互作用、ならびに
(v)残基801、802、803、806、および810との1つ以上の相互作用、
の少なくとも1つが可能な化合物を同定することを含む。
相互作用(i)、(ii)、(iii)、(iv)、および(v)のさらに好ましい実施形態(embodments)については、先に記載したとおりである。
評価により候補阻害剤が有望であることが示唆された場合、該評価に基づいてさらなる試験に供すべく化合物を選択する。一般的には、ErbB4キナーゼドメイン結合ポケットの少なくとも一部分と構造的に適合すると思われるコンフォメーションで存在しうる阻害剤候補を探索する。そのようなコンフォメーションは、ErbB4キナーゼドメインと立体的かつエネルギー的に適合するであろう。典型的には、先に列挙した非共有結合相互作用または二次的結合相互作用が、候補阻害剤とErbB4キナーゼドメインとの相互作用で重要になる。さらに、他のコンフォメーション因子としては、タンパク質構造内、とくに結合ポケット内の候補阻害剤の全体的三次元構造および配向、ならびに相互作用を起こしうる候補阻害剤の種々の官能基とErbB4キナーゼドメインとの空間的およびエネルギー的関係が挙げられる。典型的に行われるさらなる試験は、ErbB4のキナーゼ活性に及ぼす阻害作用を評価することであり、酵素または細胞に基づくアッセイおよびErbB4のキナーゼ活性に及ぼす阻害作用を測定するための当技術分野で公知の他のアッセイの形態をとりうる。
本発明はまた、哺乳動物においてErbB4を阻害する方法を提供する。この方法は、ErbB4キナーゼドメインとの複合体を形成することによりリガンド化形態のErbB4キナーゼドメインを生成しうる治療上有効な量の化合物を該哺乳動物に投与することを含む。また、哺乳動物において不適切なErbB4活性により特性付けられる障害を治療する方法をも提供する。この方法は、ErbB4キナーゼドメインとの複合体を形成することによりリガンド化形態のErbB4キナーゼドメインを生成しうる治療上有効な量の化合物を該哺乳動物に投与することを含む。
本発明の治療方法に有用な化合物としては、ErbB4キナーゼドメインとの相互作用(i)、(ii)、(iii)、(iv)、および(v)を有する化合物が挙げられる。そのような相互作用は、先に記載したとおりである。
本明細書中で参照される不適切なErbB4活性とは、特定の哺乳動物被験者において予想される通常のErbB4活性から逸脱する任意のErbB4活性である。不適切なErbB4活性は、たとえば、活性の異常な増加またはErbB4活性のタイミングおよび制御の異常の形態をとりうる。この場合、そのような不適切な活性は、たとえば、不適切または無制御な活性化を引き起こすプロテインキナーゼの過剰発現または突然変異が原因で生じうる。さらに、同様に当然のことながら、望ましくないErbB4活性は、悪性疾患のような異常源に存在しうる。すなわち、ErbB4活性のレベルは、異常でなくとも不適切であるとみなされることもある。もっと正確に言えば、そうした活性は異常源に由来する。
治療に使用するために、治療上有効な量の本発明に記載の化合物ならびにその塩、溶媒和物、および生理学的機能性誘導体をそのまま化学物質として投与することが可能であるが、医薬組成物としての活性成分にもなりうる。したがって、本発明は、治療上有効な量の本明細書に記載の化合物ならびにその塩、溶媒和物、および生理学的機能性誘導体と、1種以上の製薬上許容される担体、希釈剤、または賦形剤と、を含む医薬組成物をさらに提供する。式(I)で示される化合物ならびにその塩、溶媒和物、および生理学的機能性誘導体は、先に記載したとおりである。担体(複数種可)、希釈剤(複数種可)、または賦形剤(複数種可)は、製剤の他の成分と適合しかつそのレシピエントに有害でないという意味で許容しうるもでなければならない。本発明の他の態様によれば、本発明の化合物またはその塩、溶媒和物、および生理学的機能性誘導体を、1種以上の製薬上許容される担体、希釈剤、または賦形剤と混合することを含む医薬製剤の調製方法もまた提供される。
医薬製剤は、ユニット用量あたり所定量の活性成分を含有するユニット製剤の状態で提示しうる。そのようなユニットは、治療対象の症状、投与経路、ならびに患者の年齢、体重、および健康状態に応じて、たとえば、0.5mg〜1g、好ましくは1mg〜700mg、より好ましくは5mg〜100mgの本発明の化合物を含有しうるか、または医薬製剤は、ユニット用量あたり所定量の活性成分を含有するユニット製剤の状態で提示しうる。好ましいユニット製剤は、先に本明細書中に列挙したような一日用量もしくはサブ用量または適切なその部分用量の活性成分を含有するものである。さらに、そのような医薬製剤は、製薬技術分野で周知の方法のいずれかにより調製可能である。
医薬製剤は、任意の適切な経路、たとえば、経口(頬腔内もしくは舌下を含む)経路、経直腸経路、経鼻経路、局所(頬腔内、舌下、もしくは経真皮を含む)経路、経膣経路、または非経口(皮下、筋肉内、静脈内、もしくは皮内を含む)経路による投与に適合させうる。そのような製剤は、たとえば、活性成分を担体(複数種可)または賦形剤(複数種可)と会合させることにより、製薬技術分野で公知の任意の方法で調製可能である。
経口投与に適合した医薬製剤は、カプセル剤もしくは錠剤のような個別ユニット;粉末剤もしくは顆粒剤;水性もしくは非水性液体中の溶液剤もしくはサスペンジョン剤;可食性のフォーム剤もしくはホイップ剤;または水中油型液状エマルジョン剤もしくは油中水型液状エマルジョン剤として提示しうる。
たとえば、錠剤またはカプセル剤の形態で経口投与に供すべく、活性薬剤成分を、エタノール、グリセロール、水などのような経口用の無毒の製薬上許容される不活性担体と組み合わさることができる。粉末剤は、化合物を好適な微細サイズに粉砕し、同様に粉砕された医薬担体(たとえば、デンプンやマンニトールなどの可食性炭水化物)と混合することにより、調製される。香味剤、保存剤、分散剤、および着色剤を存在させることもできる。
カプセル剤は、先に記載したように粉末混合物を調製し、成形されたゼラチンシースに充填することにより、作製される。充填操作の前に、コロイドシリカ、タルク、マグネシウムステアレート、カルシウムステアレート、または固体ポリエチレングリコールのような流動促進剤および滑沢剤を粉末混合物に添加することができる。カプセルが摂取されたときに医薬の利用可能性を改善すべく、寒天、炭酸カルシウム、または炭酸ナトリウムのような崩壊剤または可溶化剤を添加することもできる。
さらに、所望または所要の場合、好適な結合剤、滑沢剤、崩壊剤、および着色剤を混合物中に組み込むこともできる。好適な結合剤としては、デンプン、ゼラチン、天然の糖質(たとえば、グルコースまたはベータ-ラクトース)、コーン甘味料、天然および合成のガム(たとえば、アカシア、トラガカント、またはアルギン酸ナトリウム)、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックスなどが挙げられる。これらの製剤に使用される滑沢剤としては、ナトリウムオレエート、ナトリウムステアレート、マグネシウムステアレート、ナトリウムベンゾエート、ナトリウムアセテート、塩化ナトリウムなどが挙げられる。崩壊剤としては、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。錠剤は、たとえば、粉末混合物を調製し、顆粒化またはスラッギングし、滑沢剤および崩壊剤を添加し、そして錠剤の状態にプレスすることにより、製剤化される。粉末混合物は、好適には粉砕された化合物を、先に記載したような希釈剤もしくは基剤、ならびに場合により結合剤(たとえば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート(aliginate)、ゼラチン、もしくはポリビニルピロリドン)、溶解遅延剤(たとえば、パラフィン)、吸収促進剤(たとえば、第四級、塩)、および/または吸収剤(たとえば、ベントナイト、カオリン、もしくはリン酸二カルシウム)と混合することにより、調製される。粉末混合物は、結合剤(たとえば、シロップ、デンプン糊、アカシア(acadia)粘液、セルロース系材料または高分子材料の溶液)で湿潤させ、そしてスクリーンに通して押し出すことにより、顆粒化することができる。顆粒化の代わりに、粉末混合物を錠剤機に通すことが可能であり、その結果、顆粒に破壊される不完全に成形されたスラッグが得られる。錠剤成形ダイへの付着を防止するために、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルク、または鉱油を添加することにより、顆粒を滑沢化することができる。次に、滑沢化された混合物を錠剤の状態に圧縮する。本発明の化合物を自由流動性不活性担体と組み合わせ、顆粒化工程にもスラッギング工程にも通すことなく錠剤の状態に直接圧縮することもできる。シェラックのシーリングコート、糖質または高分子材料のコーティング、およびワックスの光沢コーティングよりなる透明または不透明な保護コーティングを施すことができる。異なるユニット用量を区別するために、これらのコーティングに色素を添加することができる。
所与の量が所定量の化合物を含有するように、溶液剤、シロップ剤、およびエリキシル剤のような経口流体剤を投与ユニット製剤の状態に調製することができる。シロップ剤は、好適に香味付けされた水溶液中に化合物を溶解させることにより調製することができ、一方の、エリキシル剤は、無毒のアルコール性媒体を用いて調製される。サスペンジョン剤は、無毒の媒体中に化合物を分散させることにより製剤化することができる。可溶化剤および乳化剤(たとえば、エトキシル化イソステアリルアルコールおよびポリオキシエチレンソルビトールエーテル)、保存剤、香味添加剤(たとえば、ペパーミント油または天然甘味剤またはサッカリンまたは他の人工甘味剤)などを添加することもできる。
適切であれば、経口投与に供される投与ユニット製剤をマイクロカプセル化することができる。製剤はまた、たとえば、ポリマー、ワックスなどで微粒子状材料にコーティングを施したりまたは微粒子状材料を包埋したりすることにより、放出を遅延させたりまたは持続させたりするように、調製することもできる。
本発明の化合物ならびにその塩、溶媒和物、および生理学的機能性誘導体は、小さい単ラメラ小胞、大きい単ラメラ小胞、および多重ラメラ小胞のようなリポソーム送達システムの形態で投与することもできる。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミン、またはホスファチジルコリンのようなさまざまなホスホリピドから形成することができる。
本発明の化合物ならびにその塩、溶媒和物、および生理学的機能性誘導体はまた、化合物分子を結合させる個別の担体としてモノクロナール抗体を用いて送達することも可能である。化合物はまた、ターゲッティング可能な薬剤担体としての可溶性ポリマーと組み合わせることも可能である。そのようなポリマーとしては、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド-フェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルトアミドフェノール、またはパルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシドポリリシンを挙げることができる。さらに、化合物は、薬剤の制御放出を達成するのに有用な生分解性ポリマー類、たとえば、ポリ乳酸、ポリイプシロン(polepsilon)カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、およびヒドロゲルの架橋型または両親媒性ブロックコポリマーに結合させることが可能である。
経真皮投与に適合した医薬製剤は、長期間にわたりレシピエントの表皮と密接した状態に保持すべく意図された個別の貼付剤として提示可能である。たとえば、Pharmaceutical Research, 3(6), 318 (1986)に概説されているようなイオントホレシスにより、活性成分をパッチから送達することが可能である。
局所投与に適合した医薬製剤は、軟膏剤、クリーム剤、サスペンジョン剤、ローション剤、粉末剤、溶液剤、ペースト剤、ゲル剤、スプレー剤、エアロゾル剤、または油剤として製剤化することが可能である。
眼または他の外部組織(たとえば、口および皮膚)の治療に供する場合、製剤は、好ましくは、局所軟膏剤またはクリーム剤として適用される。軟膏剤の状態で製剤化する場合、活性成分は、パラフィン系または水混和性の軟膏基剤のいずれかと併用可能である。他の選択肢として、活性成分は、水中油型クリーム基剤または油中水型基剤を用いてクリーム剤の状態に製剤化することが可能である。
眼への局所投与に適合した医薬製剤としては、活性成分が好適な担体(とくに水性溶媒)中に溶解または懸濁されている点眼剤が挙げられる。
口内への局所投与に適合した医薬製剤としては、ロゼンジ剤、パステル剤、および洗口剤が挙げられる。
直腸内投与に適合した医薬製剤は、坐剤または浣腸剤として提示可能である。
担体が固体である経鼻投与に適合した医薬製剤としては、鼻呼吸する方法で、すなわち鼻のすぐ近くに保持された粉末剤の容器から鼻道を通って迅速な吸入を行うことにより投与されるたとえば20〜500ミクロンの範囲内の粒子サイズを有する粗い粉末剤が挙げられる。経鼻スプレー剤または点鼻剤として投与に供される担体が液体である好適な製剤としては、活性成分の水溶液剤または油液剤が挙げられる。
吸入による投与に適合した医薬製剤としては、種々のタイプの定量噴霧式加圧エアロゾル、ネブライザー、またはインサフレーターを利用して生成しうる微粒子のダスト剤またはミスト剤が挙げられる。
経膣投与に適合した医薬製剤は、膣坐剤、タンポン剤、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、フォーム剤、またはスプレー製剤として提示可能である。
非経口投与に適合した医薬製剤としては、酸化防止剤、緩衝液、静菌剤、および対象のレシピエントの血液との等張性を製剤に付与する溶質を含有しうる水性および非水性の無菌注射溶液剤;ならびに懸濁化剤および粘稠化剤を含有しうる水性および非水性の無菌サスペンジョン剤が挙げられる。製剤は、密封されたアンプルやバイアルなどのユニット用量または複数回用量の容器に入れて提示可能であり、使用直前に無菌液体担体(たとえば注射用水)の添加剤だけが必要となるフリーズドライ(凍結乾燥)条件で保存可能である。即時注射用の溶液剤およびサスペンジョン剤は、滅菌された粉末剤、顆粒剤、および錠剤から調製可能である。
当然のことながら、先に特記した成分に加えて、製剤は、対象の製剤のタイプを考慮して当技術分野で慣用される他の薬剤を含みうる。たとえば、経口投与に好適な製剤は、香味剤を含みうる。
治療上有効な量の本発明の化合物は、いくつかの因子、たとえば、動物の年齢および体重、治療を必要とする正確な症状およびその重症度、製剤の性質、ならびに投与経路に依存するであろう。また、最終的には、担当の医師または獣医師の自由裁量にゆだねられるであろう。しかしながら、新生物性増殖(たとえば結腸癌および乳癌)を治療するのに有効な量の本発明の化合物は、一般的には、1日につきレシピエント(哺乳動物)の体重1kgあたり0.1〜100mgの範囲、より一般的には、1日につき体重1kgあたり1〜10mgの範囲であろう。したがって、70kgの成体哺乳動物では、1日あたりの実際量は、通常、70〜700mgであろう。また、この量は、1日あたり1回用量で、より一般的には、全1日用量が同じになるように1日あたりいくつか(たとえば、2、3、4、5、または6回)のサブ用量で与えることが可能である。その塩または溶媒和物または生理学的機能性誘導体の有効量は、本発明の化合物自体の有効量部分として決定可能である。類似の投与量が先に参照した他の症状を治療するのに適切であろうと予想される。
実施例
本明細書中で使用する場合、これらの方法、スキーム、および実施例で用いられる記号および規約は、現代の科学文献、たとえば、the Journal of the American Chemical Society or the Journal of Biological Chemistryで使用されるものと一致する。アミノ酸残基を指定するために、一般的には、標準的一文字略号または三文字略号が使用され、別段の記載がないかぎり、L-配置をとるものと仮定される。別段の記載がないかぎり、出発物質はすべて、供給業者から入手したものであり、さらなる精製を行うことなく使用した。
構造決定
ErbB4の全細胞内ドメインのモデリングおよびタンパク質限定加水分解を用いて、構造研究に好適な構築物を規定した(残基690〜999)。精製に役立てるべく、6x-HisタグをN末端に付加した。バキュロウイルスに感染させた昆虫細胞中で構築物を発現し、標準的クロマトグラフィー手順により精製した。不可逆阻害剤で複合体化された非リン酸化タンパク質を用いて、結晶化スクリーニングを行った(図1)。結晶は、非対称単位中に2個の分子を有する正方晶系空間群P43として得られた。
検索モデルとしてFGFR1の構造[PDBエントリー1FGKの分子1]を用いて分子置換により、構造を解明した。2.5Åの分解能で21%のR因子まで構造を精密化した(表1)。N末端の8個の残基、C末端の7個の残基、および表面露出ループ内の6個の残基(残基754〜761)は、無秩序であり、モデル化することができなかった。非対称単位中の2個の分子の構造は、0.20ÅのCαrmsdで本質的には同等であった。
次に、本発明の特定の実施形態について具体的に説明するが、それらは単なる例にすぎない。
材料および方法
構築物の生成
タンパク質限定加水分解とモデリングの組合せを用いて、構造研究用の構築物を規定した。最初に、ErbB4の細胞質ドメイン(残基690〜1309)をpFastBac1ベクター(Invitrogen)中に6xHisタグ(MKKGHHHHHHG)の後にインフレームで連結させた。クローン化配列は、GENBANK(L07868)中に報告されているものと同じであった。
6xHis-EphB4_690-1309構築物に由来する精製タンパク質に対してタンパク質限定加水分解を行い、より小さい触媒ドメインを規定した(より詳細については以下を参照されたい)。
タンパク質加水分解から、両方のC末端が末端切断されうることが示唆された。したがって、6x his tag(MKKGHHHHHHG)に融合された残基690〜999に対応する第2の構築物を生成した。Hisタグ付きキナーゼドメインをpFastBac1-His-EphB4_690-1309構築物からPCRによりクローニングし、pFastBac1ベクター(Invitrogen)中に連結させた。
両方の構築物をSpodoptera frugiperda(sf-9)細胞中にトランスフェクトし、単一のプラークを単離し、そして高力価ストックを生成した。以下に記載されているようにタンパク質を発現し精製した。
タンパク質限定加水分解
精製6xHis-ErbB4_690-1309を96ウェルプレート中で一群の8種のプロテアーゼで消化させた。5μgの6xHis-ErbB4(1mg/mLで5μL)を20μLの反応緩衝液(50 mM Tris-HCl, pH 8.0, 100 mM NaCl)中の5μLの10mg/mLプロテアーゼに添加した。0.75、2、および18時間で、10μLの4x SDS-PAGEサンプル緩衝液を用いて、反応を停止させた。SDS-PAGE(NuPAGE Novex 10% Bis-Tris gel, MES泳動緩衝液)により、すべての消化物を分析した。対象のバンドをPVDF膜上にエレクトロブロッティングし、Edman配列決定に付した。
使用したプロテアーゼ 供給元(別段の記載がないかぎり、Boehringer Mannheim)
1.)トリプシン カタログ番号1418475
2.)キモトリプシン カタログ番号1418467
3.)Lys C カタログ番号1047825
4.)Glu C カタログ番号1047817
5.)Asp N カタログ番号1054589
6.)arg C カタログ番号1370529
7.)サーモリシン カタログ番号161586
8.)サブチリシン カタログ番号572908(Calbiochem)
タンパク質発酵/精製
発酵:27.5℃および120 RPMの6L振盪フラスコ内においてGrace補足培地(GIBCO/Life Technologies) + 0.1% capluronic(登録商標) F-68 (GIBCO/Life Technologies) + 10% FBS(HyClone Laboratories)中で増殖するSf9細胞に0.1の感染多重度(MOI)で感染させることにより、発酵用の大量(2L)のウイルス調製物を作製した。感染の72時間後、2500 RPMで20分間遠心分離することにより、ウイルス上清を収集した。ELISAによりウイルス力価を決定した。外部のオーバーヘッドスターラーおよび水浴、ならびに内部のディップチューブ、熱伝達コイル、パドル型インペラー、およびdO2プローブを、36L攪拌バイオリアクター(University Research Glassware)に装着した。バイオリアクターにTrichoplusia ni (T. ni)細胞[好意によりJRH BioSciences (Woodland, CA)から入手した]を約0.5×106/mLで接種した。Ex-Cell 405(登録商標)昆虫細胞培地(JRH BioSciences)中で培養物を増殖させた。外部の水浴ならびに内部の温度プローブおよび熱伝達コイルを用いて、温度を27.5℃に保持した。外部のオーバーヘッドドライブおよび内部のパドル型インペラーを用いて、30 RPMに攪拌を保持した。内部のdO2プローブの制御下でスパージングすることにより、溶存酸素を50%に保持した。上記のパラメーターで細胞を一晩で倍増させることが可能であった。次に、MOI=1で約1×106/mLの密度で培養物に感染させた。トリパンブルー排除により、培養物のpH、グルコース、ラクテート、およびグルタミンのレベル、ならびに細胞数および生存能力を毎日監視した。上記のパラメーターで感染を進行させ、感染の48時間後、Centritech(登録商標) 100連続フロー遠心分離器(DuPont)を用いて細胞を収集した。続いて、濃縮した細胞を2000 RPMで20分間遠心分離し、プロテアーゼ阻害剤緩衝液[1×Dulbecco's PBS(GIBCO/Life Technologies)、1mM EDTA(Sigma)、1mM p-アミノベンズアミジン(Sigma)、1g/mLアプロチニン(Boehringer Mannheim)、1g/mLロイペプチン(Boehringer Mannheim)]で洗浄した。再度、2000 RPMで細胞を20分間遠心分離した。上清をデカントし、ドライアイス/エタノール浴中で細胞を凍結させ、さらなる精製まで-80℃で保存した。
精製:
操作はすべて4℃で行った。プロテアーゼ阻害剤カクテル(Sigma)、1mM MgCl2、ならびに5g/mlのDNAse IおよびRNAseで補足された緩衝液A(25mM HEPES pH7.5、750mM NaCl、10%グリセロール、25mMイミダゾール)中に、昆虫細胞を再懸濁させ、解凍させた。細胞をPolytronホモジナイザー(Brinkmann)で溶解させ、次に、Sorvall SLA 1500ローターを用いて30,000g(14,000rpm)で1時間遠心分離した。ペレット化物質を廃棄し、上清を4.5μのフィルター(PALL Corp.)に通して濾過した。溶解物をNi-Chelating Sepharose FF column (Amersham Pharmacia)上に直接充填した。サンプルを充填する前、5カラム体積(CV)の緩衝液Aでカラムを平衡化させた。サンプルを充填した後、5CVの緩衝液Aでカラムを洗浄した。緩衝液A中の50〜500 mMイミダゾールの20CV直線勾配でタンパク質を溶出させた。ErbB4Kタンパク質を含有する画分をポリアクリルアミドゲル電気泳動により分析し、プールした。プールを緩衝液B(20mM HEPES、20mM NaH2PO4、pH6.8、10%グリセロール)で8倍希釈し、緩衝液Bであらかじめ平衡化されたセラミックHA(Bio-Rad)カラム上に充填した。活性ErbB4は貫流して結合しない。2.5M(NH4)2SO4ストック溶液を添加することにより、貫流画分を0.6M (NH4)2SO4にし、緩衝液E(20mM TrisHCl、pH7.5、0.6M (NH4)2SO4)であらかじめ平衡化されたPhenyl HICカラムにサンプルを適用した。100%緩衝液F(20mM TrisHCl、pH7.5、10%グリセロール)までの逆直線勾配を用いてタンパク質を溶出させた。純粋なErbB4を含有する画分をプールし、アリコートに分け、そして-80℃で保存した。
阻害剤候補化合物の調製
本明細書中で使用する場合、これらの方法、スキーム、および実施例で用いられる記号および規約は、現代の科学文献、たとえば、the Journal of the American Chemical Society or the Journal of Biological Chemistryで使用されるものと一致する。アミノ酸残基を指定するために、一般的には、標準的一文字略号または三文字略号が使用され、別段の記載がないかぎり、L-配置をとるものと仮定される。別段の記載がないかぎり、出発物質はすべて、供給業者から入手したものであり、さらなる精製を行うことなく使用した。とくに、実施例中および本明細書全体を通して以下の略号を使用することもある:
g(グラム); mg(ミリグラム);
L(リットル); mL(ミリリットル);
μL(マイクロリットル); psi(ポンド毎平方インチ);
M(モル濃度); mM(ミリモル濃度);
mol(モル); mmol(ミリモル);
エーテルが参照されている場合はいずれも、ジエチルエーテルを指し;ブラインは、NaClの飽和水溶液を意味する。とくに明示されていないかぎり、温度はすべて、℃(摂氏度)で表現されている。反応はすべて、別段の記載がないかぎり、不活性雰囲気下、室温で行われる。
1H NMRスペクトルは、Varian VXR-300、Varian Unity-300、Varian Unity-400 instrument、Brucker AVANCE-400、またはGeneral Electric QE-300を用いて記録した。化学シフトは、百万分率(ppm単位)で表現されている。結合定数はヘルツ(Hz)単位である。分裂パターンは、見掛けの多重度を記述し、s(一重線)、d(二重線)、t(三重線)、q(四重線)、quint(五重線)、m(多重線)、br(広幅)として記される。
HPLCは、以下の条件によりGilson HPLCシステムまたはShimazu HPLCシステムを用いて記録された。カラム:5μm Phenomenex Luna C-18が充填された50×4.6mm(内径)ステンレス鋼;流量:2.0mL/分;移動相:A相=50mMアンモニウムアセテート(pH7.4)、B相=アセトニトリル、0〜0.5分(A:100%, B:0%)、0.5〜3.0分(A:100〜0%, B:0〜100%)、3.0〜3.5分(A:0%, B:100%)、3.5〜3.7分(A:0〜100%, B:100〜0%)、3.7〜4.5分(A:100%, B:0%);検出:UV 254nm;注入体積:3μL。
低分解能質量スペクトル(MS)は、JOEL JMS-AX505HA、JOEL SX-102、またはSCIEX-APIiiiスペクトロメーターを用いて記録し;LC-MSは、マイクロ質量2MDおよびWaters 2690を用いて記録し;高分解能MSは、JOEL SX-102Aスペクトロメーターを用いて取得した。質量スペクトルはすべて、エレクトロスプレーイオン化(ESI)法、化学イオン化(CI)法、電子衝撃(EI)法、または高速原子衝撃(FAB)法により測定した。赤外(IR)スペクトルは、1mmNaClセルを用いてNicolet 510 FT-IRスペクトロメーターにより取得した。ほとんどの反応は、UV光、5%エタノール性リンモリブデン酸、またはp-アニスアルデヒド溶液で視覚化される0.25mm E.Merckシリカゲルプレート(60F-254)を用いて薄層クロマトグラフィーにより監視した。フラッシュカラムクロマトグラフィーは、シリカゲル(230〜400メッシュ、Merck)を用いて行った。
式I(a)およびI(b)で示される化合物 は、以下の実施例の節で詳述される合成シーケンスに従って調製することができる。
実施例1
N-{3-クロロ-4-[(3-フルオロベンジル)オキシ]フェニル}-6-エチニルチエノ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン
Figure 2007520997
工程A
6-ブロモ-N-{3-クロロ-4-[(3-フルオロベンジル)オキシ]フェニル}チエノ[3,2-d]ピリミジン-4-アミンヒドロクロリドの調製
Figure 2007520997
6-ブロモ-4-クロロチエノ[3,2-d]ピリミジン(2)(1.05g, 4mmol)および3-クロロ-4-[(3-フルオロベンジル)オキシ]アニリン(986mg, 3.9mmol)を、イソプロパノール(30mL)中、60℃で3時間加熱した。混合物を濃縮し、得られた物質をエチルエーテルで摩砕し、吸引濾過により収集し、白色の固体として生成物(1.7g)を得た。
工程B
N-{3-クロロ-4-[(3-フルオロベンジル)オキシ]フェニル}-6-エチニルチエノ[3,2-d]ピリミジン-4-アミンの調製
Figure 2007520997
6-ブロモ-N-{3-クロロ-4-[(3-フルオロベンジル)オキシ]フェニル}チエノ[3,2-d]ピリミジン-4-アミンヒドロクロリド(1.0g, 2.0mmol)を、CuI(45mg, 0.24mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(57mg, 0.08mmol)、THF(14mL)、トリエチルアミン(0.74mL, 5.3mmol)、およびトリメチルシリルアセチレン(0.37mL, 2.62mmol)と組み合わせた。混合物を室温で6時間攪拌し、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(3:1〜2:1ヘキサン/エチルアセテートで溶出させた)により精製した。得られたシリルアセチレン中間体(618mg)をTHF(17mL)中に溶解させ、0℃に冷却した。THF(1.4mL, 1.4mmol)中のTBAFの1.0M溶液を添加し、混合物を1時間攪拌した。反応系をエチルアセテートと水との間で分配させ、有機層を分離し、脱水し(Na2SO4)、濾過し、濃縮した。得られた固体をシリカゲルクロマトグラフィー(7:3〜6:4ヘキサン/エチルアセテートで溶出させた)により精製し、橙色の固体として標記化合物(400mg)を得た。ESI MS(正イオン): (M-H) 410.2 1H NMR (300 MHz, DMSO) δ 5.03 (s, 1H), 5.25 (s, 2H), 7.14-7.21 (m, 1H), 7.23-7.22 (m, 3H), 7.43-7.50 (d, 1H), 7.61 (dd, J=8.9, 2.6Hz, 1H), 7.71 (s, 1H), 7.92 (d, J=2.5Hz, 1H), 8.59 (s, 1H), 9.78 (s, 1H).
実施例2
N-{3-クロロ4-[(3-フルオロベンジル)オキシ]フェニル}-6-エチニルチエノ[2,3-d]ピリミジン-4-アミン
工程A
6-ブロモチエノ[2,3-d]ピリミジン-4(3H)-1の調製
Figure 2007520997
氷酢酸(26mL)中の市販のチエノ[2,3-d]ピリミジン-4(3H)-オン(1.5g, 9.86mmol)のスラリーに臭素(1.0mL, 20mmol)を滴下した。暗褐色の混合物を80℃で1.5時間加熱した。混合物を周囲温度に冷却させ、飽和水性NaHCO3と氷の混合物上に注いだ。得られた固体を吸引濾過により収集し、水で洗浄し、真空中で乾燥させ、2.09gの標記化合物を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.54 (s, 1H), 8.13 (d, 2H, J = 3.7 Hz), 12.6 (bs, 1H).
工程B
6-ブロモ-4-クロロチエノ[2,3-d]ピリミジンの調製
Figure 2007520997
6-ブロモチエノ[2,3-d]ピリミジン-4(3H)-オン(2.09g, 9.05mmol)をオキシ塩化リン(phorphorous oxychloride)(4.0mL, 42.9mmol)で覆い、混合物を118〜120℃で2時間加熱した。混合物を周囲温度に冷却させ、飽和水性NaHCO3と氷の混合物上に注いだ。得られた沈殿を吸引濾過により収集し、水で洗浄した。得られた固体を真空中で乾燥させ、2.07gの標記化合物を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.88 (s, 1H), 8.93 (s, 1H).
工程C
6-ブロモ-N-{3-クロロ-4-[(3-フルオロベンジル)オキシ]フェニル}チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-アミンの調製
Figure 2007520997
6-ブロモ-4-クロロチエノ[2,3-d]ピリミジン(2.07g, 8.29mmol)、3-クロロ-4-[(3-フルオロベンジル)オキシ]アニリン(2.09g, 8.29mmol)、トリエチルアミン(2.31mL, 16.57mmol)、およびイソプロパノール(40mL)の混合物を85℃で16時間加熱した。混合物を周囲温度に冷却させ、濃縮し、褐色の残渣を残した。混合物をエーテルで摩砕し、黄褐色の固体として標記化合物(3.34g)を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 5.24 (s, 2H), 7.18 (m, 1H), 7.26 (d, 1H, J = 9.1 Hz), 7.32 (m, 1H), 7.64 (dd, 1H, J = 12.1, 2.7 Hz), 8.00 (d, 1H, J = 2.5 Hz), 8.02 (s, 1H), 8.48 (s, 1H), 9.63 (s, 1H).
工程D
N-{3-クロロ-4-[(3-フルオロベンジル)オキシ]フェニル}-6-[(トリメチルシリル)エチニル]-4, 4a-ジヒドロチエノ[2,3-d]ピリミジン-4-アミンの調製
Figure 2007520997
N2でフラッシングされたフラスコに、6-ブロモ-N-{3-クロロ-4-[(3-フルオロベンジル)オキシ]フェニル}チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-アミン(1.0g, 2.15mmol)、Cu(I)I(46mg, 0.24mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィノ)パラジウム(II)(57mg, 0.081mmol)、無水THF(13.5mL)、トリエチルアミン(600μL, 4.3mmol)、およびトリメチルシリルアセチレン(370μL, 2.62mmol)を充填し、得られた混合物を40℃で5時間加熱した。混合物をロータリーエバポレーターで濃縮し、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(5:1ヘキサン/エチルアセテートで溶出させた)により残渣を精製し、黄色固体としての623.4mgの標記化合物を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 0.25 (s, 9H), 5.22 (s, 2H), 7.16 (dt, 1H, J = 8.9, 2.5 Hz), 7.24 (d, 1H, J = 9.0), 7.29 (m, 1H). 7.43 (m, 1H), 7.62 (dd, 1H, J = 8.9, 2.5 Hz), 8.01 (d, 1H, J = 2.8 Hz), 8.09 (s, 1H), 8.52 (s, 1H), 9.63 (s, 1H).
工程E
N-{3-クロロ-4-[(3-フルオロベンジル)オキシ]フェニル}-6-エチニルチエノ[2,3-d]ピリミジン-4-アミンの調製
Figure 2007520997
無水THF(17mL)中のN-{3-クロロ-4-[(3-フルオロベンジル)オキシ]フェニル}-6-[(トリメチルシリル)エチニル]-4,4a-ジヒドロチエノ[2,3-d]ピリミジン-4-アミン(623.4mg, 1.29mmol)の0℃の溶液に、THF(1.41mL, 1.41mmol)中の1.0M TBAFを添加した。混合物を0℃で30分間攪拌し、次に、エチルアセテートと水との間で分配させた。有機層を分離し、Na2SO4で脱水し、濾過し、濃縮し、残渣を取得し、これをシリカゲルクロマトグラフィー(5:1ヘキサン/エチルアセテートで溶出させた)により精製し、淡黄色の固体(mp 197℃)として519.3mgの標記化合物を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 4.89 (s, 1H), 5.27 (s, 2H), 7.21 (t, 1H, J = 9.2 Hz), 7.31 (d, 1H, J = 9.2 Hz), 7.34-7.36 (m, 1H). 7.45-7.50 (m, 1H), 7.67 (dd, 1H, J = 9.0, 2.4 Hz), 8.02 (d, 1H, J = 2.4 Hz), 8.10 (s, 1H), 8.56 (s, 1H), 9.75 (s, 1H). ms (MH)+ = 382.3.
ErbB4酵素アッセイ:
バキュロウイルス発現系から精製された酵素を用いて基質リン酸化アッセイにより、本発明の化合物のErbB-4プロテインチロシンキナーゼ阻害活性を試験することが可能である。試薬産生およびアッセイ手順は、本質的には、(Brignola, P.S., et al, (2002) J. Biol. Chem. v. 277 in press)に記載されているように行った。
この方法では、ATPからビオチン化合成ペプチド(ビオチン-Ahx-RAHEEIYHFFFAKKK-アミド)中のチロシン残基上へのγリン酸の転移を触媒する単離された酵素の能力を測定する。96ウェルポリスチレン丸底プレート中で45μLの最終体積で反応を行った。反応混合物は、50mM MOPS(pH7.5)、2mM MnCl2、10μM ATP、1反応あたり0.125μCiの[γ-33P]ATP、2μMペプチド基質、および1mMジチオトレイトールを含有した。1反応あたり1pmol(20nM)の指定の酵素を添加することにより、反応を開始させた。反応を15分間進行させて終了し、McDonald, O.B., Antonsson, B., Arkinstal, S., Marshall, C.J., and Wood, E.R. (1999) Analytical Biochemistry, 268, 318-329に記載されているようなシンチレーション近接アッセイ手順を用いて定量した。
分析対象の化合物を0.5mMになるようにMe2SO中に溶解させ、96ウェルプレートの11個のカラムを介してMe2SOで1対3に逐次希釈した。各濃度の1μLをアッセイプレートの対応するウェルに移した。これにより、最終化合物濃度が0.00019〜11.1μMの範囲になる。
用量応答のデータを、データ処理式100*(U1-C2)/(C1〜C2)を用いて計算された対照基準%vs化合物の濃度としてプロットし、
y = ((Vmax * x) / ( K + x ))
により記述される曲線にあてはめた。式中、Vmaxは上側漸近線であり、そしてKはIC50である。典型的には、有望なErbB4阻害剤では、pIC50>7.0が導かれるであろう。
結晶化およびデータ収集
結晶は、ハンギングドロップ蒸気拡散法により取得した。タンパク質(約4mg/ml, 20 mM HEPES pH 7.5, 300 mM NaCl, 5 mM DTT, 1mM CHAPS中)を、同体積のリザーバー(50mMカコジレート pH 6.5, 100 mMアンモニウムアセテート, 10 mM Mgアセテート, 30% PEG8000)と混合し、22℃でインキュベートした。結晶は、非対称単位中に2個の分子を有しかつ次の格子寸法:a=63.95Å、b=63.95Å、c=163.39Å、α=90°β=90°、γ=90°を有する正方晶系空間群P43に属していた。
データ収集前、グリセロールおよびPEG400をそれぞれ25%および5%の最終濃度になるように添加し、結晶を液体N2中でフラッシュ凍結させた。Advanced Photon Source, Argonne National LaboratoryのIndustrial Macromolecular Crystallography Association Collaborative Access Team (IMCA-CAT)の施設でMAR-CCD検出器を用いてビームライン17-BMでデータを収集した。これらの施設は、Illinois Institute of Technology (IIT)との契約を介してIndustrial Macromolecular Crystallography Associationの会社による支援を受け、契約は、IIT's Center for Synchrotron Radiation Research and Instrumentationにより履行される。HKL2000を用いてデータを処理した。
構造決定および精密化
CNXおよび検索モデルとしてFGFR1(PDBエントリー1FGKの分子1)を用いて分子置換により、構造を解明した。検索モデルは、FGFR1残基464〜485、491〜500、506〜578、592〜647、および651〜761を含有していた。FGFR1とErbB4の間で保存されない残基は、先端を切り取ってアラニンとしてモデル中に組み入れた。正しい解は、回転および並進の両機能において上2つのピークであった。剛体精密化により、48%の初期R因子が得られた。QUANTAおよびCNXを用いて複数ラウンドのモデル構築および精密化を行った。CNXを用いて計算されたコンポジットオミットマップ(composite omit map)により、全体的構造を確認した。PROCHECKを用いた構造解析により、主鎖のねじれがすべて、ラマチャンドランプロットの許容領域内に含まれることが示唆された。
結果を後続の表1および2に示す。
(1)アミノ酸配列:
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
Figure 2007520997
参考文献
References
1. Johnson, L.N., Noble, M.E.M & Owen, D.J. (1996). Active and inactive protein kinases: structural basis for regulation. Cell 85, 149-158.
2. Cox, S., Radzio-Andzelm, E. & Taylor, S.S. (1994). Domain movements in protein kinases. Curr. Opin. Struct. Biol. 4, 893-901.
3. Schindler, T., Bornmann, W., Pellicena, P., Miller, W. T., Clarkson, B., Kuriyan, J.(2000). Structural Mechanism for Sti-571 Inhibition of Abelson Tyrosine Kinase. Science 289, 1857-9.
4. Knighton, D.R., et al., & Sowadski, J.M. (1991). Crystal structure of the catalytic subunit of cyclic adenosine monophosphate-dependent protein kinase. Science 253, 407-413.
5. Mohammadi, M., Schlessinger, J. & Hubbard, S.R. (1996). Structure of the FGF receptor tyrosine kinase domain reveals a novel autoinhibitory mechanism. Cell 86, 577-87.
6. Wybenga-Groot, L.E., Baskin, B., Ong, S.H., Tong, J., Pawson, T. & Sicheri, F. (2001). Structural Basis for Autoinhibition of the EphB2 Receptor Tyrosine Kinase by the Unphosphorylated Juxtamembrane Region. Cell 106, 745-757.
7. Hubbard, S.R. (1997). Crystal structure of the activated insulin receptor tyrosine kinase in complex with peptide substrate and ATP analog. Embo J. 16, 5572-5581.
8. Hubbard, S.R., Wei, L., Ellis, L. & Hendrickson, W.A. (1994). Crystal structure of the tyrosine kinase domain of the human insulin receptor. Nature 372, 746-754.
9. McTigue,M.A., et al., & Appelt,K. (1999). Crystal structure of the kinase domain of human vascular endothelial growth factor receptor 2: a key enzyme in angiogenesis. Structure 7, 319-330.
10. Xu, W., Doshi, A., Lei, M., Eck, M.J. & Harrison SC (1999) Crystal structures of c-Src reveal features of its autoinhibitory mechanism. Mol. Cell 5, 629-38.
図1は、タンパク質との反応前の2種のチエノピリミジン阻害剤の構造を示している。 図2は、不可逆阻害剤で複合体化されたErbB4Kのリボン表示を示している。結晶構造中の無秩序なAループは、破線として示されている。図は、RIBBONSを用いて作成されたものである。 図3は、ErbB4KのATP結合部位におけるチエノピリミジン阻害剤の結合を示している。阻害剤は、太い黒線で強調表示されている。阻害剤とMet799の主鎖NHとの間の水素結合は、グレイの破線として示されている。阻害剤とCys803との間の共有結合は、黒の破線として示されている。図は、QUANTAを用いて作成されたものである。

Claims (9)

  1. 配列番号1のアミノ酸配列を含みかつ表2の構造座標を有する、リガンド化結晶形態のErbB4キナーゼドメイン。
  2. 前記結晶形態が、a=63.95Å、b=63.95Å、c=163.95Å、α=90°、β=90°、およびγ=90°の格子定数を有する、請求項1に記載のリガンド化ErbB4キナーゼドメイン。
  3. 前記結晶形態がP43の空間群を有する、請求項1に記載の結晶形態のリガンド化ErbB4キナーゼドメイン。
  4. リガンド化形態のErbB4キナーゼドメインを表す三次元コンピューターモデルを生成することと、ここで、該キナーゼドメインは、配列番号1のアミノ酸配列により記述されかつ表2の構造座標を有する;
    該モデルを用いて可能性のあるErbB4阻害剤として化合物を評価することと;
    該評価に基づいてさらなる試験に供する化合物を選択することと;
    を含む、ErbB4阻害剤デザインの方法。
  5. リガンド化形態のErbB4キナーゼドメインを表す三次元コンピューターモデルを生成することと、ここで、該キナーゼドメインは、配列番号1のアミノ酸配列により記述されかつ表2の構造座標を有する;
    該モデルを用いて可能性のあるErbB4阻害剤として化合物を評価することと、ここで、該評価は、以下のErbB4キナーゼドメイン/化合物相互作用:
    (iv)ErbB4キナーゼドメインヒンジ領域のアミノ酸残基との1つ以上の相互作用;
    (v)ErbB4キナーゼドメインアデニンポケットのアミノ酸残基との1つ以上の相互作用、
    (iii)ErbB4キナーゼ糖質ポケットのアミノ酸残基との1つ以上の相互作用、
    (iv)ErbB4キナーゼドメインバックポケットのアミノ酸残基との1つ以上の相互作用、および
    (v)ErbB4キナーゼドメイン溶媒境界のアミノ酸残基との1つ以上の相互作用、
    の少なくとも1つが可能な化合物を同定することを含む;
    該評価に基づいてさらなる試験に供する化合物を選択することと;
    を含む、ErbB4阻害剤デザインの方法。
  6. リガンド化形態のErbB4キナーゼドメインを表す三次元コンピューターモデルを生成することと、ここで、該キナーゼドメインは、配列番号1のアミノ酸配列により記述されかつ表2の構造座標を有する;
    該モデルを用いて可能性のあるErbB4阻害剤として化合物を評価することと、ここで、該評価は、以下のErbB4キナーゼドメイン/化合物相互作用:
    (i)アミノ酸残基796、797、798、799、および800との1つ以上の相互作用;
    (ii)アミノ酸残基724、749、および850との1つ以上の相互作用;
    (iii)アミノ酸残基848、860、803、847、732、および725との1つ以上の相互作用;
    (iv)アミノ酸残基732、749、751、796、861、860、772、781、783、794、796、および862との1つ以上の相互作用;ならびに
    (v)残基801、802、803、806、および810との1つ以上の相互作用;
    の少なくとも1つが可能な化合物を同定することを含む;
    該評価に基づいてさらなる試験に供する化合物を選択することと;
    を含む、ErbB4阻害剤デザインの方法。
  7. 哺乳動物において不適切なErbB4活性により特性付けられる障害を治療する方法であって、ErbB4キナーゼドメインとの複合体を形成することによりリガンド化形態のErbB4キナーゼドメインを生成しうる治療上有効な量の化合物を該哺乳動物に投与することを含み、リガンド化形態の該キナーゼドメインが、配列番号1のアミノ酸配列および表2の構造座標により記述され、該複合体が、以下のErbB4キナーゼドメイン/化合物相互作用:
    (i)ErbB4キナーゼドメインヒンジ領域のアミノ酸残基との1つ以上の相互作用;
    (ii)ErbB4キナーゼドメインアデニンポケットのアミノ酸残基との1つ以上の相互作用、
    (iii)ErbB4キナーゼ糖質ポケットおよびリン酸領域のアミノ酸残基との1つ以上の相互作用、
    (iv)ErbB4キナーゼドメインバックポケットのアミノ酸残基との1つ以上の相互作用、ならびに
    (v)ErbB4キナーゼドメイン溶媒境界のアミノ酸残基との1つ以上の相互作用、
    の少なくとも1つにより特性付けられる、上記方法。
  8. 哺乳動物においてErbB4を阻害する方法であって、ErbB4キナーゼドメインとの複合体を形成することによりリガンド化形態のErbB4キナーゼドメインを生成しうる治療上有効な量の化合物を該哺乳動物に投与することを含み、リガンド化形態の該キナーゼドメインが、配列番号1のアミノ酸配列および表2の構造座標により記述され、該複合体が、以下のErbB4キナーゼドメイン/化合物相互作用:
    (i)ErbB4キナーゼドメインヒンジ領域のアミノ酸残基との1つ以上の相互作用;
    (ii)ErbB4キナーゼドメインアデニンポケットのアミノ酸残基との1つ以上の相互作用、
    (iii)ErbB4キナーゼ糖質ポケットおよびリン酸領域のアミノ酸残基との1つ以上の相互作用、
    (iv)ErbB4キナーゼドメインバックポケットのアミノ酸残基との1つ以上の相互作用、ならびに
    (v)ErbB4キナーゼドメイン溶媒境界のアミノ酸残基との1つ以上の相互作用、
    の少なくとも1つにより特性付けられる、上記方法。
  9. 配列番号1のアミノ酸配列および表2の構造座標により記述されるErbB4キナーゼドメイン形態と、ErbB4キナーゼドメインとの複合体を形成することのできる化合物と、を含む、ErbB4キナーゼドメイン/阻害剤複合体であって、該複合体が、以下のErbB4キナーゼドメイン/化合物相互作用:
    (i)ErbB4キナーゼドメインヒンジ領域のアミノ酸残基との1つ以上の相互作用;
    (ii)ErbB4キナーゼドメインアデニンポケットのアミノ酸残基との1つ以上の相互作用、
    (iii)ErbB4キナーゼ糖質ポケットおよびリン酸領域のアミノ酸残基との1つ以上の相互作用、
    (iv)ErbB4キナーゼドメインバックポケットのアミノ酸残基との1つ以上の相互作用、ならびに
    (v)ErbB4キナーゼドメイン溶媒境界のアミノ酸残基との1つ以上の相互作用、
    の少なくとも1つにより特性付けられる、上記ErbB4キナーゼドメイン/阻害剤複合体。
JP2006502883A 2003-01-21 2004-01-20 ErbB4共結晶 Pending JP2007520997A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US44144303P 2003-01-21 2003-01-21
PCT/US2004/001291 WO2004066921A2 (en) 2003-01-21 2004-01-20 Erbb4 co-crystal

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2007520997A true JP2007520997A (ja) 2007-08-02

Family

ID=32825161

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006502883A Pending JP2007520997A (ja) 2003-01-21 2004-01-20 ErbB4共結晶

Country Status (4)

Country Link
US (1) US20060134768A1 (ja)
EP (1) EP1585480A4 (ja)
JP (1) JP2007520997A (ja)
WO (1) WO2004066921A2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20040180445A1 (en) * 2003-03-12 2004-09-16 Domanico Michael J. Methods and compositions for purification of nucleic acid from a host cell
WO2023027279A1 (ko) * 2021-08-27 2023-03-02 디어젠 주식회사 화학구조 내부 원자의 키나아제 결합여부 예측 방법

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11510061A (ja) * 1995-08-30 1999-09-07 アリアド・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド 結晶性zapファミリータンパク質
WO2001011054A1 (en) * 1999-08-04 2001-02-15 Pharmacia & Upjohn Company CRYSTALLIZATION AND STRUCTURE DETERMINATION OF STAPHYLOCOCCUS AUREUS UDP-N-ACETYLENOLPYRUVYLGLUCOSAMINE REDUCTASE (S. AUREUS MurB)
JP2003513016A (ja) * 1999-08-30 2003-04-08 ニューヨーク・ユニバーシティ レセプタータンパク質チロシンキナーゼのドメイン、およびそのリガンドの結晶構造
WO2003053446A1 (en) * 2001-12-19 2003-07-03 Smithkline Beecham Corporation Thienopyrimidine compounds as protein tyrosine kinase inhibitors

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5804396A (en) * 1994-10-12 1998-09-08 Sugen, Inc. Assay for agents active in proliferative disorders
AUPP380498A0 (en) * 1998-05-29 1998-06-25 Biomolecular Research Institute Limited Egf receptor agonists and antagonists

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11510061A (ja) * 1995-08-30 1999-09-07 アリアド・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド 結晶性zapファミリータンパク質
WO2001011054A1 (en) * 1999-08-04 2001-02-15 Pharmacia & Upjohn Company CRYSTALLIZATION AND STRUCTURE DETERMINATION OF STAPHYLOCOCCUS AUREUS UDP-N-ACETYLENOLPYRUVYLGLUCOSAMINE REDUCTASE (S. AUREUS MurB)
JP2003513016A (ja) * 1999-08-30 2003-04-08 ニューヨーク・ユニバーシティ レセプタータンパク質チロシンキナーゼのドメイン、およびそのリガンドの結晶構造
WO2003053446A1 (en) * 2001-12-19 2003-07-03 Smithkline Beecham Corporation Thienopyrimidine compounds as protein tyrosine kinase inhibitors

Non-Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6010014216, J. Med. Chem., 1997, 40, 1130−5 *
JPN6010014217, J. Biol. Chem., 1998, 273(19), 11667−74 *
JPN6010014218, Science, 2002, 297(1330), 1330−3 *

Also Published As

Publication number Publication date
EP1585480A2 (en) 2005-10-19
US20060134768A1 (en) 2006-06-22
EP1585480A4 (en) 2008-12-03
WO2004066921A3 (en) 2007-07-12
WO2004066921A2 (en) 2004-08-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Saharinen et al. Autoinhibition of Jak2 tyrosine kinase is dependent on specific regions in its pseudokinase domain
Diskin et al. Structures of p38α active mutants reveal conformational changes in L16 loop that induce autophosphorylation and activation
WO1998007835A2 (en) Crystal structures of a protein tyrosine kinase
US20180010109A1 (en) Polypeptide fragments comprising endonuclease activity and their use
US20080312298A1 (en) Methods for Identification of Modulators of Carm1 Methyl Transferase Activity
US7491731B2 (en) Crystal structure of liganded cFMS kinase domain
US20050261836A1 (en) Crystal structure of mitogen-activated protein kinase-activated protein kinase 2 and binding pockets thereof
WO2003087816A1 (en) Crystals and structures of pak4kd kinase pak4kd
EP1851310B1 (en) Crystal structure of tak1-tab1
CN102803288A (zh) 来自甲型流感2009大流行h1n1病毒的rna依赖性rna聚合酶的pa亚基片段及其用途
JP2007520997A (ja) ErbB4共結晶
US7584087B2 (en) Structure of protein kinase C theta
US20060094081A1 (en) Crystal structure of the c-fms kinase domain: applications and use of heterologous substitutions of kinase insert domains for crystallization
US20050107298A1 (en) Crystals and structures of c-Abl tyrosine kinase domain
EP1452590A1 (en) Stereostructure of dna recombination repair enzyme and utilization thereof
US7444273B1 (en) Crystallization of aurora/LPL1P-related kinase
WO2008067045A2 (en) Crystals and structures of ron kinase
US20100286372A1 (en) Pregnane X Receptor Compositions, Crystals and Uses Thereof

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100316

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100810