JP2007518980A6 - 光学”s”パラメーターの概念を用いたオプティカルパラメーター測定器及びマルチポート光学装置特性把握法 - Google Patents
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Abstract
特性把握プロセスの管理手段、一つ以上のテスト光信号(同調可能レーザー)源、光ファイバーその他各種光学的構成要素を含み、インターフェロメトリック光学配置、光コネクターを構成する光回路、光電式インターフェース、光検知器、アナログ電子回路、信号のデジタル処理用デジタル電子回路及びデータ捕捉電子回路からなり、テスト光信号及び参照光信号がいずれかの長さの複数行程を通過し、この長さは同一であっても異なってもよく、インターフェロメーターのアームの光信号が位相及び/又は周波数において変調される光学“S”パラメーターの概念を用いたオプティカルパラメーター測定器及びマルチポート光学装置特性把握法。本発明は振動及び温度変動の影響を遮断する手段を備えている。本発明は光学“S”パラメーターによる被試験装置(DUT)の各ポート間の光信号転送を記述するものであり、各"Sxy"パラメーターはジョーンズ形式(ジョーンズ行列)及び/又はミュラー形式(ミュラー行列)によって表現される。“S”パラメーターの行列から、帯域幅、位相、遅延時間、色分散、第二次分散、反射率、反射係数、"y"ポートから"x"ポートへ、及びその逆方向の透過率、"y"ポートから"x"ポートへ、及びその逆方向の透過係数、挿入損失、偏光依存損失、偏光形式のばらつき(DGD/PMD)、第二次DGDなど、DUTのすべての光学的特性が派生する。
Description
本発明は、透過及び/又は反射における、単数又は複数のポートを有する光学装置における“S”パラメーターの特定を含む光学装置のパラメーターのインターフェロメトリック測定に関する。
“S”パラメーターとは、マイクロ波の研究によく使われる概念であって、マルチポートの装置のポート同士の信号転送分析を容易にするため、光学装置に応用されて然るべきである。しかし、概念は似ていても、光学“S”パラメーターは、マイクロ波の“S”パラメーターとは実質的に異なる。というのは、DUT(Device Under Test −被試験装置)を通過する光の偏光応答の特性を取り込まなければならないからである。マイクロ波の“S”パラメーターの場合は、それぞれの"Sxy"は複素数であり、DUTのYポートからXポートへの透過及び/又は反射特性を示す。光学“S”パラメーターの場合、各"Sxy"は、ジョーンズ形式(ジョーンズ行列)及び/又はミュラー形式(ミュラー行列)を用いて示される。各"Sxy"からは、帯域幅、位相、遅延時間、色分散、第二次分散、反射率、反射係数、YポートからXポートへ及びその逆方向の透過率、YポートからXポートへ及びその逆方向の透過係数、挿入損失,偏光依存損失,偏光形式のばらつき(DGD/PMD)、第二次DGDなど、フォトニック装置の特性把握に通常使用されるすべての光学的特性が派生し得る。
受動的な光学的コンポーネントは、最近ますます、WDMシステム(Wavelength Division Multiplexing)、高性能光学システム、完全に光学的な通信システム、分散補正、ファイバーセンシングその他の技術に重要になって来ている。過去20年間において、完全に光学的な通信ネットワーク及びフォトニクス全般の開発を目指して、電子コンポーネントと同等の光学装置開発のために盛んに研究がなされて来た。これらの装置の潜在能力を完全に発揮させるためには、帯域幅、位相、遅延時間、分散、反射率、透過率、挿入損失、偏光依存損失、偏光形式のばらつきなど、その光学的特性を正確かつ念入りに測定することが必要となる。DUTの光学的特性は、特定の波長について明らかにされる。通常行われるように、一定の波長範囲内でのこれらのデータを調査するには、限定された一連の波長において特性把握プロセスを繰り返す。
この目的で、各種の機器、装置及び方法が提案されている。よく知られかつよく使用されている方法は、いわゆる“RF Phase Shift”法である。この光学装置特性把握方法は、高額な機器一式を要し、正確さと波長分解度とが互いに掛かり合うことになる。
今日では、インターフェロメトリック技術を使用した解決法がより実効的、正確かつ安価になっている。
EP 1182805公報に、インターフェロメトリック光学技術を使用するよく知られたシステムについて記述されている。この構成では、レーザー発光器が一定した走査速度で波長を走査され、その信号は、必ず長さの異なる二つのアームに分配され、そのうちの一つのアームにDUTを挿入する。「既知」(又は基準)アーム及びDUT(Device Under Test −被試験装置)を挿入したアームを通過した信号は、検知器において混合させられ、周波数のずれた光信号のパルス由来の電気信号が発生する。このずれは、各行程間の伝搬の遅れに起因するものである。その結果発生する、周波数がKHz〜MHzのヘテロダイン(又は準ホモダイン)信号は、装置の光学的特性の特定のために信号処理システムへ送られる。こうすることによって、DUTの光学的特性のすべての情報を、光学領域から電気領域へ移転することができる。こうして、例えば瞬時波長の関数での透過係数は、ヘテロダイン電気信号の瞬時振幅から得られる。SWI(Swept Wavelength Interferometry)と呼ばれるこの技術の大きな欠点は、“swept”タイプのレーザー、すなわち波長における連続走査しか使用できないことである。もう一つの弱点は、不ぞろいなアームを有するオプティカルインターフェロメーターを要するため、レーザー由来のランブダ(波長)のノイズを増幅することである。
以上の理由により、本発明の第一の目的は、マルチポート受動的光学装置を迅速かつ正確に特性把握することを可能にし、同調可能レーザーの連続走査(swept)モード又は段階走査(stepped)モードで操作できるシステムを提供することである。
もう一つの目的は、光学装置の透過係数、反射係数、透過率、反射率、固有ロス、帯域幅、位相、遅延時間、色分散、第二次分散、差分グループ遅延(DGD)/偏光形式のばらつき(PMD)、第二次DGD、偏光依存損失の測定において高い正確度を提供するシステムを提供するとともに、高い波長分析度を提供することである。
さらにもう一つの目的は、機械的振動の影響が最小化されるシステムを提供することである。
加えて、周囲の温度変動の影響が最小化されるシステムを提供することである。
さらに加えて、同調可能レーザーの波長の一回の走査で上記各光学的特性を同時に、かつマルチポートDUTのあらゆる伝搬方向に特定できるシステムと方法を提供することである。
上記目的は、テスト信号(又はDUTの信号)も基準信号もほぼ同じ行程を通過し、インターフェロメーターのアームの長さを不ぞろいにする必要のないインターフェロメトリックな光学的構成の使用によって達成される。
本発明のもう一つの特徴は、インターフェロメーターのアームのうち少なくとも一つの光信号がその位相及び/又は周波数において変調されることである。
本発明のもう一つの特徴は、位相又は周波数の光変調装置は周知の光変調技術のいずれかによって作成することができることである。
本発明のもう一つの特徴は、インターフェロメーターのオプティカル・アームが、光ファイバー、プレーナー光ガイド、自由空間(FSO)など各種の光信号伝搬伝導用物理的手段を用いて作成することができることである。
発明の利点や特徴は、各種測定に使用される構成及びシステムの機能原理を示すいくつかの実施例の説明及びそれらに関する図面によってより理解しやすくなる。
以下、本発明を幾つかの典型的な構成に関する特定の例に基づいて詳細に説明する。まず、DUTの反射に関するパラメーターの特性把握に使用される構成から始める。図1は、テストに使用される次の各素子の配置を示す。
−コントロール装置30に支配される同調可能レーザー(TLS − Tunable Laser Source)を含む信号源11、
− 光学カップラー14、
− 被試験装置17(DUT)、
− 光学的変調器21、
− 変調信号発生器22、
− 光ファイバーのミラー24、
− 光学的検知システム26、
− データ捕捉電子システム27。
−コントロール装置30に支配される同調可能レーザー(TLS − Tunable Laser Source)を含む信号源11、
− 光学カップラー14、
− 被試験装置17(DUT)、
− 光学的変調器21、
− 変調信号発生器22、
− 光ファイバーのミラー24、
− 光学的検知システム26、
− データ捕捉電子システム27。
オプティカル部分がマイケルソンのインターフェロメーターを構成する図1のシステムは、下記のように作動する。光学的特性把握プロセスの進行を管理する管理システム30の指令により、TLS11が光信号12を発生する。この信号は、光ファイバー13によりオプティカルカップラー14に送られ、そこで12’及び12”に分かれ、それぞれ光ファイバー15及び20によってDUT17及び光学的変調器21へ送られる。前記DUTに到達すると、信号12’は、その波長及びDUTの特定の光学的特性によって透過又は反射する。出口10は、透過した信号がまったく反射しないように作られ、信号はここで喪失される。一方、反射した信号18は、光ファイバー15 を通じてカップラー14に復帰し、そこで分裂する。すなわち、一部は、光ファイバー13を通じて復帰し、他の一部18’は、光ファイバー19へ向かう。一方、信号12”は、変調器21を通過し、そこで信号発生器22由来の変調信号23によって位相又は周波数において変調される。変調された光信号25は、ミラー24によって反射させられ、再び変調器21を通り、光ファイバー20へ復帰しカップラー14に到達し、そこで分裂する。この被変調信号の部分25’は、光ファイバー19に到達し、この光ファイバーは、同じく信号18’を光学的検知システム26へ導く。
光学的検知システム26は、二つの信号18’及び25’の間にパルスを発生し、光学領域の情報を電気領域へ移転させ、その結果として原信号ばかりでなくパルスの生成物、特に差信号を生む。これは、そのスペクトルが、振幅及び位相が変調信号23及びDUTの光学特性に依存するところの周波数成分を含む電気信号である。データ捕捉回路27は、電気信号からDUTの特性情報を抽出する。この電気信号に含まれる情報抽出プロセスは、フィルトレーション・直接検知、ロックイン、FFT(Fast Fourier Transformation)など様々な方法を使用して行うことができ、これらはアナログ(信号のアナログ処理)、デジタル(信号のデジタル処理)及び/又はソフトウエアを通じて実施することができる。電気信号から抽出した振幅情報は、DUT17の“反射係数”として知られる特性に比例する。この振幅の情報から反射率,挿入損失,帯域幅などの色々なDUTの情報を抽出することができる。電気信号から抽出した位相の情報は、反射信号にDUTが導入した位相の偏差に関するもので、この位相の偏差は、グループ遅延、色分散などDUTの他の情報の取得を可能にする。
管理システムは、DUTの反射係数及び位相の偏差に関するデータを記録するほか、プロセスを指揮し、一連の波長を選出する。これらの波長は、DUTの特性把握において適切な波長を分析できるよう、互いに接近していることが必要である。
すでに述べたように、光位相又は周波数における変調は、周知の変調方法のいずれを使用してもよく、例えばある光学素子の屈折係数の変化、伝搬距離の変化、各種電子光学的影響などを含むものが挙げられる。これらのうちの一つを例示すると、圧電セラミックの円柱に光ファイバーをきつく巻いたものを使用する方法が挙げられる。同円柱に変調信号を加えると、その寸法は前記変調信号に合わせて変化し、その上に巻かれた光ファイバーを緊張させ、物理的長さばかりでなく屈折率も変化し、ファイバーを通じて伝搬する光信号の位相の変調をもたらす。
変調器21は、必ずしもインターフェロメーターの基準アームに位置する必要はなく、DUTのあるアームに位置してもよく、又は両アームに付いていてもよい。
このシステムで使用する変調信号は、鋸波に限らず、矩形波、正弦波、部分線形波など他の信号を用いてもよい。
本発明の利点の一つは、システムがレーザー光源で、波長の連続走査ばかりでなく段階的走査(Lasers “Swept” and “Stepped”)で作動できることである。
図2は、透過におけるDUT17の特性測定に使用された構成を示す。よりわかりやすくするために、図では、システムの各種コンポーネント、すなわちレーザー11、捕捉電子回路27の制御システムを示す各線31を省略したが、前述の構成と同様にこの制御システムが存在するものと理解されたい。オプティカル部分がMach-Zehnderインターフェロメーターを構成する図2の構成では、レーザー11が発する信号12は、光ファイバー13によってカップラー14に送られ、そこで信号12’及び12”に分かれる。前者は、光ファイバー15によってDUT17に伝えられ、DUTの特定光学特性如何によってそこで反射、分散及び/又は吸収されあるいは透過して信号41を発する。信号12”は、変調器21に送られ、そこで信号発生器22の発する変調信号により変調され、位相又は周波数において変調された信号25となり、光ファイバー33により第二のカップラー34に送られ、そこでDUT17を透過した信号41に加えられる。これらの加算された信号25’及び41’の一部は、光学的検知システム37へ送られ、そこで両者間にパルスが起こる。かくして、図1の構成では、差信号は捕捉回路27の入力部の一つに導入され、もう一つの入力部では変調基準信号を受信し、これでDUT17の透過特性を把握する。アイテム10及び10’は、反射を呈しない末端である。
図3aは、透過と反射において同時にDUTの特性把握をするのに使用できる構成の一つを示す。レーザー11の信号12は、オプティカルカップラー14に導入され、そこでコンポーネント12’及び12”に分けられ、それぞれDUT17及び変調器21に送られ、そこで信号発生器22が発する変調信号によって位相又は周波数における変調が行われる。この被変調光信号25は、オプティカルカップラー44に送られ、そこでコンポーネント25’及び25”に分けられ、前者は、オプティカルカップラー16に送られ、そこで前記DUTを透過する信号41に加えられる。前記和信号は、光学的検知システム43によって検知され、そこで各種信号を発生するパルスが起こり、これが捕捉回路47の第一入力部に送られるが、これらのうちに差信号(25’−41)も含まれている。後者は、一定の波長に対するDUTの振幅及び位相の情報を含む複数の周波数帯からなる。捕捉回路47の第二入力部には、回路にとって位相及び振幅の基準となる22由来の変調信号が導入される。これの出力部では、DUTの透過S21(ポート1からポート2へ)に関するパラメーターの特性を示す振幅及び位相の情報が得られる。
被変調信号の第二成分25”は、ミラー45に反射してカップラー44、変調器21及びカップラー14を通じてもと来た道を戻り、カップラー14ではDUTが反射した信号18に加えられる。これらの信号は、光学的検知システム42に送られるが、その出力部は他の信号とともに差信号(25’””−18)を出力し、これらの差信号は、捕捉回路27の入力部に入力され、捕捉回路27の出力部では反射した信号の振幅と位相の情報が得られ、DUT(S11)の反射に関する特性把握が可能になる。
図3aの構成は、二つのオプティカル・インターフェロメーターを重ねたものに相当すると言え、3b、3cにその詳細が示されている。3bでは、オプティカル部分が光ファイバーの断片13、15、19、20、32、34及びミラー45、カップラー14、44、そして光学的変調器21からなるマイケルソンのインターフェロメーターを形成する。図3cは、DUTの透過特性測定に使用される光学素子が光ファイバーの断片13、15、20、32、33、41、35、36及びカップラー14、44、16、そして光学的変調器21からなるMach-Zenderのインターフェロメーターを形成することを示している。上に列記した素子の幾つかが、上記二つのインターフェロメーターのいずれにも含まれていることがわかる。光ファイバー断片13、15、20、32及びカップラー14、44、そして電気光変調器21がそうである。この−DUTの二つのパラメーターの同時測定を可能にする−重複は、基準信号を位相又は周波数において光変調することにより可能となり、この変調は前記インターフェロメーターの操作を各インターフェロメーターのアームの物理的長さとは全く独立して行えることを利点としている。
図3の構成で他の二つのパラメーターS12、S22の特性を把握するには、DUTの位置を反転する必要がある。ポートを二つ備えたDUTの両ポートを同時に、さらに透過と反射についても同時に特性を把握するためには、図4に示された構成を使用するべきである。この同時特性把握は、一回の波長走査で行われる、ポートを二つ備えたDUTの、あらゆる方向の透過及び反射に関するパラメーター(すなわちS11、S21、S22、S12)の特定に関する。この構成では、発生器49が発生する、周波数がそれぞれωm1とωm2の、二つの異なる変調信号が使用されるが、これらの周波数は、調波が合致しないよう、倍数であってはならない。同図では、検知システム42、43が検知する信号の処理を行う電子回路はそれぞれパラメーター「S11、S12」及び「S22、S21」の捕捉を担うブロック50、50’に組み分けられている。
図5は、ポート1の反射に関するパラメーター(S11)の特性把握に使用される光信号の道程の概略を示す。この測定において、レーザーが発生する信号は、カップラー14によって二つの成分に分けられ、そのうちの一つは、光ファイバー15とカップラー54によって変調器21へ送られ、そこで周波数がωm1の変調信号によって位相又は周波数変調され、その後、DUT17のポートP1へ送られる。二つ目の成分は、光ファイバー20を通じてカップラー52へ至り、カップラー52は、この成分の一部を、ファイバー53を通じてカップラー54へ送り、そこで変調器21を通じて戻って来た、DUTが反射した信号に加えられる。これらの和信号は、光学的検知システム42に到達するまで光ファイバー55を通行し、この検知の結果としての電気信号は、捕捉回路を取り込んだブロック50によって処理され、パラメーターS11の特性把握のためのデータを提供する。
図6は、S21の特性把握のための光信号の道程の概略を示す。この場合、レーザーが発生する信号の成分の一つ目は、光ファイバー15によってカップラー54へ送られ、そこで分裂する。この信号の一部は、位相又は周波数変調器21へ送られ、そこで周波数がωm1 の変調信号によって変調され、次いでDUT17を、ポートP1からポートP2の方向へ通過し、さらに変調器51を通過し、そこで周波数がωm2の変調信号によって変調され、カップラー52へ送られ、光ファイバー53を通じて送信された未変調信号に加算される。光学的検知システム43による和信号の検知は、差信号を発生し、この差信号はブロック50’によって処理され、DUT17のポートP1からポートP2の方向への透過率に関連するパラメーターS21の特定が可能になる。
ポート2における反射に関するパラメーター(S22)の特性把握に使用される信号の道程の概略を図7に示す。この測定において、レーザーが発する信号は、カップラー14によって二つの成分に分けられ、そのうちの二つ目は、光ファイバー20及びカップラー52を通じて変調器51へ送られ、そこで周波数がωm2の変調信号によって位相又は周波数変調され、さらにDUT17のポートP2へ送られる。一つ目の成分はカップラー14から出て光ファイバー15を通過し、カップラー54に至り、カップラー54はこの成分の一部を、ファイバー53を介してカップラー52へ送り、そこで変調器51を通じて復帰した、DUTが反射した信号に加算される。これらの和信号は、光ファイバー56を通過して光学的検知システム43に至り、この検知の結果としての電気信号は、ブロック50’によって処理され、パラメーターS22の特性把握のためのデータが提供される。
図8は、S12の特性把握のための光信号の道程の概略を示す。この場合、レーザーが発生する信号の成分の二つ目は、光ファイバー20によってカップラー52へ送られ、そこで分裂する。この信号の一部は、位相又は周波数変調器51へ送られ、そこで周波数がωm2 の変調信号によって変調され、次いでDUT17を、ポートP2からポートP1の方向へ通過し、さらに変調器21を通過し、そこで周波数がωm1の変調信号によって変調され、カップラー54へ送られ、光ファイバー53を通じて送信された未変調信号に加算される。光学的検知システム42による和信号の検知は差信号を発生し、この差信号はブロック50によって処理され、DUT17のポートP2からポートP1の方向への透過率に関連するパラメーターS12の特定が可能になる。
図3の構成と同じく、本構成も光ファイバーの同じ部分を共有する複数のオプティカル・インターフェロメーターを重ね合わせたものに相当する。従って、図5及び7では、二つのマイケルソンのインターフェロメーターは光ファイバーの断片15、20、53からなるリングばかりでなく、カップラー14、52、54をも共有している。図6及び8の構成では、Mach-Zenderのインターフェロメーターは、光ファイバー53は光ファイバー53の複数の断片、及びカップラー54から変調器21、DUT17及び変調器51を経てカップラー52に至るまでの部分を共有する。
図示の構成は、二つの光学的検知−42及び43−のみを使用し、それぞれ二つのパラメーターに関する信号を受信する。すなわち、パラメーターS11、S12の特定を可能にする信号は同時にシステム42によって受信され、パラメーターS21、S22に関する信号は、同時に光学的検知システム43によって受信される。同一の検知システムに到達する各信号の区別は、これらの信号に加えられる、それぞれ異なる変調によって可能となる。すなわち、S11の特定のために使用される信号は、周波数wm1によって変調され(図5参照)、S12の特定を可能にする信号は周波数wm2 及びwm1によって変調される(図8参照)。要約すると、捕捉電子回路は、希望する周波数における情報を選択し、これらの情報は変調信号によって個別化されているので、同一の光学的検知システムで受信しても、それぞれ異なるSxyパラメーターを区別することができる。
本発明の原理によれば、DUT'の特性測定は、光が二つの通路又はアームを通じて伝搬した後再度結合するオプティカル・インターフェロメトリーによって行われる。これらの測定の結果は、ファイバーの光屈折率、光が通行する物理的距離など、これらの通路に起こる様々な変動の影響を受ける。温度変動や機械的振動によって光ファイバーが膨張したり屈折率が変わったりし、インターフェロメーターの二つのアームにそれぞれ異なった形で影響し、その結果、インターフェロメーターの出力信号に有害な変動をもたらす。
このような光通路の性質の変化は、本発明における光学システムの変化の積極的な制御により、温度変動及び/又は機械的振動に起因する誤差を補正することにより中和される。用いられた手段は、インターフェロメーターを仮想的に増設し、それぞれ異なる二つの波長で作動させることである。第一の波長は、DUTの特性把握のために使用される。第二の波長は温度変動及び/又は機械的振動によってインターフェロメーターに起こっている変動を評価することができ、そのため修正信号をシステムにフィードバックし、この信号をDUTの特性把握に使用されるインターフェロメーターに加える。
図9は、温度補正の機能原理を示すブロック図である。同図が示すとおり、二つのレーザー光源が使用され、そのうちの一つ81は、DUTテスト用可変波長信号λs を発し、もう一つの光源82は、振動及び温度の制御及び補正システムに向け一定した波長の信号λtを発する。いずれの信号もインターフェロメ ーター83に導入される。インターフェロメーターの出力部には、二つの光学的検知システムがあり、そのうちの一つ84は、DUTの特性把握用の光学的検知システムであり、もう一つのシステム85は、モニタリング信号λt用である。後者の光学的検知システムは、比較ブロックとエラー信号発生器86を供給する。すると、エラー信号は、オプティカル変調器を通じてインターフェロメーターに負の供給をする。従って、温度変動による変動がシステムに起こった場合、これはフィードバックリンク87によって補正され、測定の結果には影響を与えない。
図10は、温度補正システムをさらに詳しく示したものである。このダイヤグラムでは、二つのレーザー発生装置が使用され、第一の装置11は、テスト信号(可変波長)を、第二の装置11’は、補正信号(一定した波長λt、テスト信号の帯域以外)を発生する。これらの信号は、カップラー14で加算され、和信号は二つの成分に分けられ、光ファイバー15、20によって伝導される。DUTを通過した信号41は、再びカップラー34によって分けられ、ファイバー35、36を通じて光受信システム37、38に到達する。信号12”は、変調器21を経て同じくカップラー34に分けられ、ファイバー35、36を通じて光受信システム37、38に到達する。光受信システム38は制御波長λt における選択フィルター39を備え、そのため、38が光検波した信号は制御波長への応答のみを示す。温度補正信号は、測定信号の処理に使用されたのと類似の電子回路を含むブロック27’へ送られる。λtについては、光通路派一定しており、制御用光源も一定の波長で作動するため、光検波された信号の位相に変化がないことが期待される。もし何らかの位相変化があったとしたら、これは温度又は機械学的な変動によるもので、変調器で補正できる。制御波長λt及び測定波長に対する光学 システムの応答は、ほとんど同じなので、補正も同じく装置のテスト波長の帯域で行われる。それで、オプティカル・インターフェロメーター及び光学的検知システム38に関連する捕捉回路からなる総体は、エラー信号の捕捉を可能にし、存在する変調器を用いてアームのうちの一つの光位相変調をすることにより、このエラー信号をインターフェロメーターに負のフィードバックをする。一方、光学的検知システム37関連素子、テスト波長用セレクティブフィルター39’は、捕捉回路27とともに、すでに図2に関連して詳細に述べたように、DUTの特性把握に作用する。
図11は、二つの直交偏光モードについて同時にDUTの特性を把握するのに用いられるトポロジーを示す。同調可能レーザー11が発するテスト信号は、カップラー14によって二つの成分に分けられ、光ファイバー110、111によってカップラー112、113へ送られ、そこで再び分けられる。カップラー112から派生したサブコンポーネントは、信号ωs、ωpによって変調器114、116で位相又は周波数変調され、変調された信号は変更制御装置(PC−polarization controller)115、117によって処理され、これらの装置は、それぞれ偏光直交成分s及びpを最大化する。これらの信号は次いで偏光コンバイナー(PBC−Polarization Beam Combiner)118で加算される。この偏光コンバイナーは、両者間の直交性を保証し、これらの信号はカップラー119へ送られ、そこで前記和信号は二つの成分に分けられ、カップラー121、122を通じてDUT125へ送られる。この道程において、前記和信号の各成分は変調信号ω1、ω2によって変調される。これらの成分の一部はDUT125を通過し、一部は反射する。次いで、これらの各部分は、変調信号ω1又はω2によって二度目の変調を受ける。その結果生じる信号は、カップラー121、122によって偏移され、PBS(Polarization Beam Splitter)126、127へ送られ、続いて光学的検知システム128、132、133、135へ、さらに処理・捕捉システムへ送られる。道程中光信号が受けた変調は、各種成分を偏光直角位相において個別化することを可能にし、これらの成分はDUTの偏光特性把握を可能にする。それで、例えば光学的検知システム128に到達する信号は、DUT透過に関しては、次の信号によって変調されている。
反射した信号については、光学的検知システム128に到達する信号は、次の信号によって変調されている。
これら6つの信号は、電子的に分別することができ、電子回路によって個別的に分析することができる。
前記光学的検知システム128に関連する電子回路129は、前記光学的検知システム132に関連する回路131と共に偏光の多様な受信機を形成し、各成分の振幅及び位相の情報を抽出しオプティカル偏波においてパラメーターS11、S12を選択的に特性把握することができる。その他の光学的検知システム及び関連回路も同様に作動し、DUTのすべてのパラメーター、すなわちS11、S12、S22、S21の特性を、すべて偏光において選択的に把握できるようにする。専用コンピューターアルゴリズムは、電子回路129、131、134、136において得られた情報を相互に関連させ、DUTの偏光における応答に関する特性も含め当該DUTの完全な特性把握を可能にする。これらは、すべて同時に、かつ同調可能レーザーの一回の波長走査で行われる。
前述の測定方法は、ポートを二つ備えた光学装置の特性把握に関するもので、4つの光学“S”パラメーター(二つは反射、あと二つは透過)を生成する。この概念は、一般性を失うことなくポートをN個有する装置の特定把握に拡張することができる。この場合、最も完全なバージョン(図11)を例に取ると、“DUT+変調器”(123、124、125)のセットはポートをN個備えたDUT(N=3、4、5...)に置換され、そこで、各ポートには、他の変調周波数とは異なり、その倍数でもない周波数に中心をおいた光学的変調器を挿入する。DUTの各ポートからのこれらの信号は、すべてカップラー121、122に至るまでオプティカルカップラーによって加算され、これら二つのカップラーは、全信号の和プラス基準を光学的検知システムへ送り、そこでパルスが発生する。こうして、光学的検知システムではDUTのすべてのポートの結合の振幅及び位相の情報を含む多数の信号が発生し、それぞれの信号は変調に応じて特定の周波数に中心を置いている。
Claims (12)
- 受動的光学装置の特性を把握することを目的とし、特性把握プロセスの管理手段、一つ以上のテスト光信号(同調可能レーザー)源、光ファイバーその他各種光学的構成要素を含み、インターフェロメトリック光学配置、光コネクターを構成する光回路、光電式インターフェース、光検知器、アナログ電子回路、信号のデジタル処理用デジタル電子回路及びデータ捕捉電子回路からなるものであって、テスト光信号及び参照光信号がいずれかの長さの複数行程を通過し、この長さは同一であっても異なってもよく、インターフェロメーターのアームの光信号が位相及び/又は周波数において変調されることを特徴とする光学“S”パラメーターの概念を用いたマルチポート光学装置のオプティカルパラメーター測定器。
- オプティカル・インターフェロメトリー概念に基づき、二つの別々の光学的通路を用い、それに被試験装置(DUT)を挿入し、さらに一つ又はそれぞれ異なる複数の位相又は周波数の光学変調器を用いるものであって、両アームの信号が同一の光検知器で加算され、この検知器がDUTの光学的特性の情報を含む光信号のパルスを電気領域に移転させることを特徴とする光学“S”パラメーターの概念を用いたマルチポート光学装置特性把握法。
- 同調可能レーザー光源の波長の連続走査でも段階走査でも同様に機能することを特徴とする請求項2の光学“S”パラメーターの概念を用いたマルチポート光学装置特性把握法。
- インターフェロメーターの各アームに取り付けられた別々の光学位相及び/又は周波数変調器を用いてマルチポート光学装置のすべてのポートのインターフェロメトリック特性把握を反射及び透過において同時に行うことができることを特徴とする請求項2の光学“S”パラメーターの概念を用いたマルチポート光学装置特性把握法。
- インターフェロメーターの各アームに取り付けられた別々の光学位相及び/又は周波数変調器が偏光の区別を行うことにより同時に偏光の二つの直交モードについてDUTの偏光特性を把握することができることを特徴とする請求項4の光学“S”パラメーターの概念を用いたマルチポート光学装置特性把握法。
- 光学”S”パラメーターによる被試験装置(DUT)の各ポート間の光信号転送を記述するものであり、各"Sxy"パラメーターはジョーンズ形式(ジョーンズ行列)及び/又はミュラー形式(ミュラー行列)によって表現され、これら“Sxy”パラメーターから、帯域幅、位相、遅延時間、色分散、第二次分散、反射率、反射係数、"y"ポートから"x"ポートへ、及びその逆方向の透過率、"y"ポートから"x"ポートへ、及びその逆方向の透過係数、挿入損失、偏光依存損失、偏光形式のばらつき(DGD/PMD)、第二次DGDなど、DUTのすべての光学的特性が把握されることを特徴とする請求項2の光学“S”パラメーターの概念を用いたマルチポート光学装置特性把握法。
- それぞれ異なる伝搬方向におけるそれぞれ異なるオプティカル・パラメーターの測定がそれぞれ異なるオプティカル・トポロジーに基づくインターフェロメトリック光回路の配列によって行われ、それぞれのトポロジーが希望する光学“S”パラメーターの測定に対応することを特徴とする請求項4の光学“S”パラメーターの概念を用いたマルチポート光学装置特性把握法。
- インターフェロメトリック光回路が同時に複数の光学“S”パラメー ターの測定に対応する複数の個別的なオプティカル・トポロジーの重ね合わせに相当することを特徴とする請求項7の光学“S”パラメーターの概念を用いたマルチポート光学装置特性把握法。
- 光学的方法(インターフェロメトリー、偏光多様性、光位相及び/又は周波数における光変調、光ビーム結合及び分割、光信号発生、信号パルス、光検波など)、アナログ・デジタル電子学で通常使用される方法(変調信号発生、増幅、アナロジック・フィルトレーション、デジタル・フィルトレーション、アナロジック・ロックイン法、デジタル・ロックイン法、信号のアナロジック処理、信号のデジタル処理、デジタルFFT −“Fast Fourier Transform”法、アナロジックFourier変換、デジタル・コミュニケーションなど)及び専用ソフトウエア(データ捕捉、データ分析、結果操作、ユーザーとのインターフェースのソフトウエア)など、合わせて使用するとマルチポート光学装置の転送行列(“S”パラメーター行列)の全特性を把握することができる方法を使用することを特徴とする請求項4の光学“S”パラメーターの概念を用いたマルチポート光学装置特性把握法。
- 温度又は機械学的変動に対するインターフェロメトリック光回路の安定化が同じテスト光回路の内部で、ただしテスト波長の帯域外の波長で作動する第二のインターフェロメーターの使用によって、通常WDM−波長分割多重方式と呼ばれる方法でもたらされることを特徴とする請求項4の光学“S”パラメーターの概念を用いたマルチポート光学装置特性把握法。
- オプティカル・インターフェロメーターが光ファイバー、プレーナー光ガイド、自由空間(FSO)など各種の光信号伝搬伝導の物理的手段を用いて構成されることを特徴とする請求項1の光学“S”パラメーターの概念を用いたマルチポート光学装置のオプティカルパラメーター測定器。
- インターフェロメーターのアームに位相及び/又は周波数の光変調器を使用し、当該変調器が屈折率変更法、信号伝搬距離変更法、結晶における光音響効果、電気工学効果などを含む、可能なすべての技術を使用して構成することができることを特徴とする請求項1又は10の光学“S”パラメーターの概念を用いたマルチポート光学装置のオプティカルパラメーター測定器。
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