JP2007512234A - 治療活性を有する修飾ポリペプチド及びその使用方法 - Google Patents

治療活性を有する修飾ポリペプチド及びその使用方法 Download PDF

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Abstract

脂肪酸抱合により修飾したペプチド、及び、細菌感染の処置、例えば抗生物質体制細菌感染の処置における当該修飾ペプチドの使用を開示する。

Description

継続出願データ
本願は、引用により本明細書に組み入れられる、2003年10月17日に出願した米国仮出願番号第60/512,372号の利益を主張するものである。
病原菌に対する抗生物質の勝利は、現代医学の最大のサクセスストーリーである。これらの薬物は初めて広く第二次世界大戦で使用されるようになってから、数え切れないほどの命を救い、そして多数の恐れられていた疾患と感染症の深刻な合併症を減少させてきた。しかしながら、広範な使用から30年超経過した後、多くの抗生物質の効果が失われつつある。病原体は、薬物治療に対して耐性を有するようになり、そして公衆衛生の問題を増大させている。結核、淋病、マラリア、幼児期の耳感染等の疾患は、数十年前よりも処置するのが困難である。薬物耐性(抗生物質耐性又は抗菌剤耐性としても知られている)は、病院が一般集団よりも感染に対して脆弱な重症患者を収容しており、その結果より抗生物質を必要とするため、特に病院にとって困難な問題である。これらの患者における抗生物質の頻繁な使用は細菌の突然変異を早め、これが薬物耐性をもたらす。不幸なことに、このことは、最強の抗生物質による処置に対して生き残る能力がより強い細菌を生み出すことによりかかる問題を悪化させている。これらのより強い薬物耐性細菌は、脆弱な入院患者を苦しめ続けている。
抗生物質に対して防衛を発展させた生物には、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、エンテロコッカス(Enterococcus)、ストレプトコッカス・ニューモニアエ(Streptococcus pneurnoniae)(肺炎、髄膜炎、及び耳感染を引き起こすことがある)、ナイセリア・ゴノレア(Neisseria gorrhoeae)(性感染性の淋病を引き起こす)、サルモネラ、エスケリッチャ・コリ(Esclierichia coli)、及びマイコバクテリウム・ツベルクロシス(Mycobacterium tuberculosis)(結核を引き起こす)が含まれる。
疾病対策予防センター(CDC)によると、米国内のほぼ200万人の患者が毎年病院内で感染している。これらの患者のうち、約90,000人が毎年それらの感染の結果死亡しており、これは1992年の13,300人の患者の死亡から増大している。院内感染を引き起こす細菌の70%超が、それらを処置するのに最も一般的に使用されている薬物のうちの少なくとも1つに耐性がある。薬物耐性の生物に感染した人は、より長期の入院になりやすく、そしてあまり有効でなく、より毒性があり、より効果である場合がある第二又は第三希望の薬物で処置することを余儀なくされる。要約すると、抗菌剤耐性は、医療費を高騰させ、疾患の重症度を増大させ、そしてある感染からの死亡率を増大させる。
抗生物質に対する細菌耐性の問題が増大しているという複数の徴候が存在している。2003年には、複数の疫学者が、The New England Journal of Medicineにおいて、入院患者の5〜10%が入院中に感染すること、そして院内感染の危険性はここ数十年で確実に増大していること、を報告している。S.アウレウスのメチシリン耐性菌株は病院内で流行しており、そして病院以外の環境、例えばロッカールームにおいても増大している。2000年の9月から、メチシリン耐性S.アウレウス(黄色ブドウ球菌)感染のアウトブレークは、CDCによると、カリフォルニア、インディアナ、そしてペンシルバニアにおいて、高校生のフットボール選手、そしてレスリング選手間で報告されている。最初のバンコマイシン耐性S.アウレウス感染は、2002年に米国で起こり、医師と患者に重大な問題を提起した。バンコマイシンへの依存度の増大がバンコマイシン耐性腸球菌感染の出現をもたらした。1989年よりも前に、米国の病院はバンコマイシン耐性腸球菌について何ら報告していなかったが、CDCによると、次の10年間で、そのような病原体は米国の病院内で一般的になった。
ヒトの病気を処置するのに現在使用されている抗生物質に対する耐性は、公衆衛生に対する深刻な脅威となっている。従って、新規で且つ改善された抗菌剤についての要求が存在している。
本発明は、主として正電荷のアミノ酸残基を含んで成る一面と、主として疎水性のアミノ酸残基を含んで成る反対面とを有する両親媒性のα−ヘリックス又は310ヘリックス構造を有するポリペプチドを持ち、これらの残基が表面活性ドメインを規定し、当該ポリペプチドが最大14アミノ酸残基を有し、当該ポリペプチドが少なくとも6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖脂肪族基を含むようにN末端及び/又はC末端で修飾され、且つ修飾されたポリペプチドが、少なくとも6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖脂肪族基を含むようにN末端及び/又はC末端で修飾される前のポリペプチドの殺菌活性と比較して、増大した殺菌活性を示す、修飾ポリペプチド、を提供する。修飾ポリペプチドの態様によっては、当該ポリペプチドは、配列番号1〜17又はそれらの活性アナログから選択され、ここで、Xはアミノ酸であり、そしてそれらの活性アナログには、1又は2つの連続又は不連続アミノ酸残基の欠失、1又は2つの連続又は不連続アミノ酸残基の付加、1又は2つの連続又は不連続アミノ酸残基の置換、化学的修飾、及び/又は酵素的修飾が含まれる。態様によっては、Xはノルロイシンであってもよい。態様によっては、前記ポリペプチドは配列番号1〜8又はそれらの活性アナログから選択されてもよく、ここで、それらの活性アナログには、1又は2つの連続又は不連続アミノ酸残基の欠失、1又は2つの連続又は不連続アミノ酸残基の付加、1又は2つの連続又は不連続アミノ酸残基の置換、化学的修飾、及び/又は酵素的修飾が含まれる。
本発明はまた、主として正電荷のアミノ酸残基を含んで成る一面と、主として疎水性のアミノ酸残基を含んで成る反対面とを有するベータシート構造を有するポリペプチドを持ち、これらの残基が表面活性ドメインを規定し、当該ポリペプチドが最大14アミノ酸残基を有し、当該ポリペプチドが少なくとも6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖脂肪族基を含むようにN末端及び/又はC末端で修飾され、且つ修飾されたポリペプチドが、少なくとも6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖脂肪族基を含むようにN末端及び/又はC末端で修飾される前のポリペプチドの殺菌活性と比較して増大した殺菌活性を示す、修飾ポリペプチド、を提供する。
本発明はまた、配列番号1〜17から選択される配列を有するポリペプチド又はそれらの活性アナログを持ち、Xがアミノ酸であり、当該ポリペプチドが少なくとも6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖脂肪族基を含むようにN末端及び/又はC末端で修飾され、そしてそれらの活性アナログには、1又は2つの連続又は不連続アミノ酸残基の欠失、1又は2つの連続又は不連続アミノ酸残基の付加、1又は2つの連続又は不連続アミノ酸残基の置換、化学的修飾、及び/又は酵素的修飾が含まれる、修飾ポリペプチドも提供する。態様によっては、Xはノルロイシンである。態様によっては、前記ポリペプチドは配列番号1〜8又はそれらの活性アナログから選択される。態様によっては配列番号4又はその活性アナログを有する。態様によっては、修飾ポリペプチドは配列番号4である。
本発明の修飾ポリペプチドの態様によっては、当該修飾ポリペプチドは、少なくとも6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖脂肪族基を含むようにN末端及び/又はC末端を修飾する前のポリペプチドの殺菌活性と比較して増大した殺菌活性を示す。
本発明の修飾ポリペプチドの態様によっては、当該修飾ポリペプチドは約8〜約33アミノ酸長であってもよく、約10〜約25アミノ酸長であってもよく、あるいは約12〜約14アミノ酸長であってもよい。態様によっては、本発明の修飾ポリペプチドは、最大約14アミノ酸残基、最大約12アミノ酸残基、又は最大約10アミノ酸残基を有することがある。態様によっては、修飾ポリペプチドは12アミノ酸残基を有するドデカマーである。
本発明の修飾ポリペプチドの態様によっては、脂肪族基には、1又は複数の不飽和炭素間結合が含まれる。態様によっては、当該脂肪族基は、少なくとも11炭素原子を有することがある。態様によっては、当該脂肪族基は、約11〜約19炭素原子を有することがある。態様によっては、当該脂肪族基は、N末端又はC末端でポリペプチドと結合しうる。脂肪族基は、脂肪酸、例えばC8−C22脂肪酸、C10−C20脂肪酸、又はC8−C22脂肪酸を含む脂肪酸由来のアルキル基である。
本発明には、1又は複数の修飾ポリペプチドを含む組成物が含まれる。本発明にはまた、1又は複数の修飾ポリペプチド及び医薬として許容される担体を含む組成物が含まれる。
本発明には、殺菌活性を示すのに有効な量の修飾ポリペプチドを対象者に投与することにより対象者の細菌感染を処置するための方法、が含まれる。態様によっては、当該修飾ポリペプチドはまた、内毒素を中和することもある。
本発明には、内毒素血症を中和するのに有効な量の修飾ポリペプチドを対象者に投与することにより対象者の内毒素血症を処置するための方法、が含まれる。態様によっては、当該修飾ポリペプチドはまた、殺菌活性を示すこともある。
本発明には、細菌細胞の増殖を阻害し、そして/あるいは殺菌活性を示すのに有効な量の修飾ポリペプチドと細菌を接触させることによりin vitroでの細菌増殖を阻害するための方法、が含まれる。
本発明には、内毒素を中和するのに有効な量の修飾ポリペプチドと細胞を接触させることによりin vitroで内毒素を中和するための方法、が含まれる。
本発明には、対象者に請求項1に記載の修飾ポリペプチドをTNFα量を低下させるのに有効な量投与することにより対象者のTNFα量を低下させるための方法、が含まれる。
本発明には、細胞と、TNFα量を低下させるのに有効な量の前記修飾ポリペプチドとをインキュベートすることによりin vitroでのTNFα量を低下させるための方法、が含まれる。
本発明には、対象者に内皮細胞増殖を阻害するのに有効な量の修飾ポリペプチドを投与することにより対象者の内皮細胞増殖を阻害する方法、が含まれる。
本発明には、内皮細胞増殖を阻害するのに有効な量の修飾ポリペプチドと内皮細胞を接触させることにより内皮細胞増殖をin vitroで阻害する方法、が含まれる。
本発明には、血管新生因子媒介型細胞接着分子の発現のダウンレギュレーションを阻害するのに有効な量の修飾ポリペプチドを対象者に投与することにより対象者の血管新生因子媒介型細胞接着分子の発現のダウンレギュレーションを阻害する方法、が含まれる。
本発明には、血管新生因子媒介型細胞接着分子の発現のダウンレギュレーションを阻害するのに有効な量の修飾ポリペプチドと内皮細胞を接触させることによりin vitroでの血管新生因子媒介型細胞接着分子の発現のダウンレギュレーションを阻害する方法、が含まれる。
本発明には、血管新生を阻害するのに有効な量の修飾ポリペプチドを対象者に投与することにより対象者の血管新生を阻害する方法、が含まれる。
本発明には、血管新生を阻害するのに有効な量の修飾ポリペプチドと細胞を接触させることによりin vitroでの血管新生を阻害する方法、が含まれる。
本発明には、腫瘍形成を阻害するのに有効な量の修飾ポリペプチドを対象者に投与することにより対象者の腫瘍形成を阻害するための方法、が含まれる。
本明細書で使用する場合、単数形の用語は、1又は複数の変更された用語を意味する。従って、本発明の組成物には、1又は複数の修飾ポリペプチドが含まれる。
「アミノ酸」は、本明細書では、一般式:NH2−CRH−COOH(ここで、側鎖RはH又は有機基である)化合物を意味するように使用される。Rが有機基である場合、Rは変化することがあり、そして極性又は無極性(すなわち疎水性)のいずれかである。本発明のアミノ酸は、天然又は合成(しばしばノンプロテイノジェニック(nonproteinogenic)とも称される)であってもよい。本明細書で使用する場合、有機基は、脂肪族基、環式基又は脂肪族基と環式基の組み合わせとして分類される炭化水素基である。用語「脂肪族基」は、飽和又は不飽和直鎖又は分枝鎖炭化水素基を意味する。この用語は、アルキル、アルケニル、及びアルキル基等を包含するように使用される。用語「環式基」とは、脂環式基、芳香族基、又は複素環基として分類される閉環の炭化水素基を意味する。用語「脂環式基」は、脂肪族基の特性と類似の特性を有する環状炭化水素基を意味する。用語「芳香族基」は、単環式又は多環式の芳香族炭化水素基を意味する。本明細書で使用する場合、有機基は置換されても置換されなくてもよい。
用語「ポリペプチド」及び「ペプチド」は、本明細書で使用する場合、交換可能に使用され、そしてアミノ酸のポリマーを指す。これらの用語は、特定の長さのアミノ酸のポリマーを暗示していない。従って、例えば、オリゴペプチド、タンパク質、及び酵素という用語は、組換え技術を用いて、化学的又は酵素的合成で、あるいは天然のいずれで産生されていても、ポリペプチド又はペプチドの前記定義内に含まれる。
以下の略語は、本願を通じて使用される:
Figure 2007512234
本発明の種々の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明、実施例、特許請求の範囲及び添付図面を参照して直ちに明らかとなるであろう。明細書中数箇所、実施例のリストを通じて手引きを示す。それぞれの場合において、引用したリストは単に代表的なグループとしての役割を果たし、そして排他的なリストとして解釈されるべきではない。
本発明は、脂肪酸抱合により修飾されたポリペプチドに関する。脂肪酸抱合により修飾されたこのようなポリペプチドは、本明細書では「修飾ポリペプチド」と称する。当該修飾ポリペプチドは、好ましくは「ペプチド−両親媒性物質」であり、そして、特にグラム陽性細菌に対する高い細菌活性、及び/又は高い内毒素中和を示す。本発明の修飾ポリペプチドはまた、内皮細胞の増殖を阻害し、血管新生因子媒介型の細胞内接着分子のダウンレギュレーションを阻害し、血管新生を阻害し、そして/あるいは腫瘍形成を阻害することもある。本発明の修飾ポリペプチドはまた、抗真菌活性及び/又は抗寄生虫活性を示すこともある。
本発明の修飾ポリペプチドは、様々な用途で使用することができ、これは治療、予防、又は診断上のものであってもよい。本明細書で使用する場合、症状又は対象を「処置する」には、治療的、予防的、そして診断的な処置が含まれる。例えば、本発明の修飾ポリペプチドは、細菌感染の処置、例えば抗生物質耐性細菌による感染の処置において特に有効なことがある。
本発明の修飾ポリペプチドはまた、種々の用途の抗菌剤として使用してもよい。例えば、本発明の1又は複数の修飾ポリペプチドは、抗菌性の添加物として働くように組成物に添加してもよい。あるいは、1又は複数の修飾ポリペプチドは、表面上に、例えば医療器具の表面上にコーティングすることでコーティングされた表面に抗菌活性を賦与することもできる。
ポリペプチド
本発明の修飾ポリペプチドには、1つの側面として、脂肪酸が抱合されるポリペプチドが含まれる。このポリペプチドは、WO01/53335、米国特許第20020146406、Mayo et al. , Biochem. J. 349,717-728 (2000)及びLockwood et al. , Biochem. J. 378,93-103 (2004)に既述のとおりである。要約すると本発明の修飾ポリペプチドのポリペプチドとしての側面は、主として正電荷のアミノ酸残基を有する一面と、主として疎水性のアミノ酸残基を有する反対面を有するポリペプチドであってもよく、ここで、これらの残基が表面活性ドメインを規定する。
WO01/53335は、表面活性ドメインの形状と構造についての詳細情報を提供している。本明細書で使用する場合、「表面活性ドメイン」とは、その形状の結果として、抗菌活性を示し、そして/あるいは1又は複数の症状、例えば本明細書に記載のものの処置にとって活性である一分子又は分子複合体の一領域を意味する。このような表面活性ドメインは、所望の機能を賦与するのに重要であると考えられるポリペプチドの部分である。従って、まさにこのドメインの構造的情報を、候補ポリペプチドを同定するために使用することができる。「構造配位」とは、NMR分光学的実験から得られた核間距離を用いてのコンピューターモデリングに由来するデカルト座標を意味する。構造配位は、空間内に独特なポイント構成を生成する。注意すべきは、これらの配位が任意な1つのポリペプチドについての多数の構造の統計的に最良なフィットの代表を表していること、そして個々の構造配位における若干の変更が予想されうること、である。また、同様の構成又は同一の構成を、全体的に異なる配位のセットにより規定することもでき、但し、配位間の距離と角度は本質的に同一のままである。
通常、前記構造は両親媒性構造、例えばヘリックス(円筒と見なすことができる)又はベータシートであり、ここで、1つの面には、主として正電荷のアミノ酸残基が含まれ(好ましくは、1つの面は、主として正電荷のアミノ酸残基(すなわち、親水性アミノ酸残基)から構成される)、そして反対面には、疎水性アミノ酸残基が含まれる(好ましくは、反対面は、主として疎水性のアミノ酸残基から構成される)。表面活性ドメインは、正電荷アミノ酸残基と疎水性の反対面により同定される。
種々のコンピューター解析を使用して、化合物が所望とする三次元構造に十分類似するか否かを決定することができる。この様な解析は、当業界で知られているような、最新のソフトウェアアプリケーションで実施することができる。これには、三次元構造、疎水性、立体的嵩高さ、静電的特性、結合角、サイズ又は分子組成等の比較が含まれることがある。例えば、Quanta's Molecular Similarity package (Molecular Simulations Inc., Waltham, MA)は、異なる構造間、同一構造の異なる構成間、及び同一構造の異なる部分間の比較を可能にする。典型的に、解析される化合物の構造は、活性ポリペプチドの構造との最適なフィットを得るために平行移動又は回転される。
好ましい候補構造は、関連構造配位に重ね合わせた場合、2.0Å未満の保存残基原子の標準偏差(すなわち、平均の偏差の平方根の算術平均の平方根)を有する一組の構造配位を有するものである。更に好ましくは、当該標準偏差は1.0Å未満である。
態様によっては、本発明の修飾ポリペプチドのポリペプチドは、ベータシート構造を有することもある。例えば、本発明の修飾ポリペプチドのポリペプチドは、1又は複数の一連の設計された33量体のペプチドであってもよく、これはβpepペプチドと称され、そして殺菌性であり、且つ細菌性内毒素リポ多糖(LPS)を中和することができることが知られている。Mayo et al. , Biochim. Biophys. Acta 1425,81-92 (1998)を参照のこと。これらの新規なベータシート形成ペプチド33量体は、基本的な折り畳み原理を採用し、そして抗血管新生タンパク質のベータシートドメイン由来の短い配列を組み込んだコンビネーションアプローチを用いることで設計した。
これらの設計されたペプチドのうちの1つである、アミノ酸配列ANIKLSVQMKLFKRHLKWKIIVKLNDGRELSLD(配列番号19)を有するβpep−25ペプチドも、強力な抗血管新生活性を有する。Griffioen et al. , Biochem J. 354 (Pt 2): 233-42 (2001)を参照のこと。βpep−25はまた、サブディプロイド(sub-diploid)細胞のフローサイトメトリー検出、TUNEL(ターミナルデオキシヌクレオチドトランスフェラー ゼdUTPニック末端標識)解析及び細胞形態学が示すとおり、血管内皮細胞の増殖を阻害し、そしてこれらの細胞のアポトーシスを阻害する。βpep−25はまた、異なる細胞外マトリックス成分に対する内皮細胞の接着及び遊走を阻害する。in vitroでの血管新生の阻害は、出芽形成アッセイ及びin vivoでのニワトリ胚絨毛尿膜血管新生アッセイにおいて証明された。Griffioen et al. , Biochem J. 354 (Pt 2): 233-42 (2001)及びWO01/53335を参照のこと。
本発明の修飾ポリペプチドのポリペプチドは、βpep−25ペプチドのアミノ酸配列を「ウォークスルー」する一連のドデカペプチドのうちの1つであってもよい。このようなドデカペプチドには、SC−1からSC−8のドデカペプチドが含まれ、SC−1ドデカペプチドはアミノ酸配列ANIKLSVQMKLF(配列番号1)を有し;SC−2ドデカペプチドはアミノ酸配列KLSVQMKLFKRH(配列番号2)を有し;SC−3ドデカペプチドはアミノ酸配列VQMKLFKRHLKW(配列番号3)を有し;SC−4ドデカペプチドはアミノ酸配列KLFKRHLKWKII(配列番号4)を有し;SC−5ドデカペプチドはアミノ酸配列KRHLKWKIIVKL(配列番号5)を有し;SC−6ドデカペプチドはアミノ酸配列LKWKIIVKLNDG(配列番号6)を有し;SC−7ドデカペプチドはアミノ酸配列KIIVKLNDGREL(配列番号7)を有し;SC−8ドデカペプチドはアミノ酸配列VKLNDGRELSLD(配列番号8)を有する。Mayo et al. , Biochem J. 349 (Pt 3): 717-28 (2000)及びWO01/53335を参照のこと。このように、本発明の態様によっては、修飾ポリペプチドのポリペプチドは、1又は複数の配列番号1〜8のドデカペプチドのアミノ酸配列を有してもよい。他の態様において、修飾ポリペプチドのポリペプチドは、βpep−25の以下の配列のうちの1又は複数を表すアミノ酸配列を有することがある;QMKLFKRHLKWK(配列番号9)、MKLFKRHLKWKI(配列番号10)、及び/又はMKLFKRHLKWKIIV(配列番号11)。
SC−1〜SC−8ドデカペプチドがグラム陰性細菌及びグラム陽性細菌を殺し、そして内毒素を中和する能力は、Mayo et al. , Biochem J. 349 (Pt 3): 717-28 (2000)及びWO01/53335において報告されている。全てのSCペプチドについての円二色性のデータは、αヘリックス、310ヘリックスの両方の存在を強力に示している。30%トリフルオロエタノールの存在下でSCペプチドで獲得したNOESYデータも、αヘリックス、310ヘリックスの両方のNOE特性を示している。大部分が310ヘリックス様の、ドデカペプチドであるSC−4ドデカペプチドの場合、NOEベースのコンピューターモデリングは、一面に4個の正電荷アミノ酸残基が含まれ、そして反対面に疎水性アミノ酸残基が含まれている両親媒性の310ヘリックス構造をもたらした。具体的には、正電荷アミノ酸残基であるK1、K4、R5、K8及びK10がヘリックスの一面に五角形に配置される。更に具体的には、SC−4の場合、表面活性ドメインには、WO01/53335で提示されているとおり、アミノ酸残基であるK1、K4、R5、及びK8の原子の構造配位が含まれる。
態様によっては、修飾ポリペプチドのポリペプチドは、SC−4ドデカペプチドのアミノ酸配列KLFKRHLKWKII(配列番号4)を有することがある。SC−4ドデカペプチドは、強力な抗菌剤として同定されている。SC−4ドデカペプチドは、グラム陰性細菌に対してはナノモル濃度で、そしてグラム陽性細菌に対してはマイクロモル濃度未満で殺菌活性を示す。SC−4ドデカペプチドはまた、リポ多糖の内毒素を効果的に中和し、そして100μM未満では溶血活性を示さない。SC−4は、膜模倣トリフルオロエタノール/水の溶液中で両親媒性のヘリックスとしてフォールディングし、そして膜浸透機構を通じて殺菌効果を発揮するようである。直鎖ペプチドのヘリックス形成カテゴリー内の他の既知の殺菌ペプチドと比較して、SC−4は、これまで同定されているなかで最も強力で広範なスペクトルの殺菌剤であると思われる。Mayo et al. , Biochem J. 349 (Pt 3): 717-28 (2000)及びWO01/53335を参照のこと。
本発明の修飾ポリペプチドのポリペプチドは、既に研究されているSC−4の一残基置換変異体のうちの1つであってもよい(Mayo et al. , Biochem J. 349 (Pt 3): 717-28 (2000)及びWO01/53335)。そのような変異体には、SC−4のリジン/アルギニン置換ノルロイシン変異体を含んでもよく、これは、例えばSSC−4のK1、K4及び/又はR5位置の1又は複数についてイソロイシンで置換されている。例えば、態様によっては、ポリペプチドは、XLFKRHLKWKII(配列番号12);KLFXRHLKWKII(配列番号13);KLFKRHLXWKII (配列番号14);KLFKRHLKWXII(配列番号15);KLFKKHLKWKII(配列番号16)又はKLFKHLKWKII(配列番号17)(ここで、Xは天然又は合成のアミノ酸である)から選択されるアミノ酸配列を有してもよい。好ましくは、Xはノルロイシンである。
本発明の修飾ポリペプチドのポリペプチドは、配列番号1〜17から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチド又はそれらの活性アナログであってもよく、ここで、Xはアミノ酸である。態様によって、Xはノルロイシンであってもよい。本発明の修飾ポリペプチドのポリペプチドは、配列番号1〜8から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチド又はそれらの活性アナログであってもよい。
本明細書で使用する場合、ポリペプチドの「それらの活性アナログ」には、1個,2個,3個又はそれ以上連続している又は連続していないアミノ酸残基の欠失、1個,2個,3個又はそれ以上連続している又は連続していないアミノ酸残基の付加、及び/又は1個,2個,3個又はそれ以上連続している又は連続していないアミノ酸残基の異なるアミノ酸残基による置換が含まれる。本発明のポリペプチドのアミノ酸の置換は、好ましくは保存的置換であり、これは、そのアミノ酸が属するクラスのほかのメンバーから選択される。例えば、タンパク質生化学業界で周知であるように、特定のサイズ又は特徴(例えば、電荷、疎水性及び親水性)を有するアミノ酸のグループに属するアミノ酸を、通常、別のアミノ酸の代わりに、ポリペプチドの構造を実質的に変化させることなく置換することができる。
本発明のために、保存的アミノ酸置換は、以下の残基のクラスのうちの1つの中からのアミノ酸残基の交換に起因すると定義される:クラスI:Ala、Gly、Ser、Thr、及びPro(小さい両親媒性の側鎖及びヒドロキシル基側鎖を表す);クラスII:Cys、Ser、Thr、及びTyr(−OH又は−SH基を含む側鎖を表す);クラスIII:Glu、Asp、Asn、及びGln(カルボキシル基を含む側鎖);クラスIV:His、Arg、及びLys(塩基性の側鎖を表す);クラスV:Ile、Val、Leu、Phe、及びMet(疎水性の側鎖を表す);並びにクラスVI:Phe、Trp、Tyr、及びHis(芳香族の側鎖を表す)。これらのクラスにはまた、関連アミノ酸、例えば3Hyp及び4HypがクラスIに;ホモシステインがクラスIIに;2−アミノアジピン酸、β−カルボキシグルタミン酸、β−カルボキシアスパラギン酸、及び相当のアミノ酸アミドがクラスIIIに;オルニチン、ホモアルギニン、N−メチルリジン、ジメチルリジン、トリメチルリジン、2,3−ジアミノプロピオン酸、2,4−ジアミノ、ホモアルギニン、サルコシン及びヒドロキシリジンがクラスIVに;置換フェニルアラニン、ノルロイシン、ノルバリン、2−アミノオクタン酸、2−アミノヘプタン酸、スタチン及びβ−バリンがクラスVに;そしてナフチルアラニン、置換フェニルアラニン、テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸、及びハロゲン化チロシンがクラスVIに含まれる。
それらのアナログには、本明細書で使用する場合、1又は複数の構成アミノ酸において1又は複数の化学的及び/又は酵素的誘導体化、例えば側鎖の修飾、主鎖の修飾、そしてN−及びC末端の修飾、例えばアセチル化、ヒドロキシル化、メチル化、アミド化、及び炭水化物又は脂質(部分、補因子等)の付着が含まれるように修飾されたポリペプチドが含まれる。アナログはまた、ペプチドミメティクス(例えば、ペプチドの主鎖が1又は複数のベンゾジアゼピン分子で置換されているペプチド性の化合物、そして、1又は複数のL−アミノ酸が相当のD−アミノ酸で置換されているポリペプチド)が含まれる。好ましいアナログは、本明細書に記載の生体活性のうちの少なくとも1つを有することを特徴とする。そのようなアナログは、本明細書では「生体活性アナログ」又は単純に「活性アナログ」と称される。
本発明の修飾ポリペプチドは、長さが変化しうる。例えば、態様によっては、ポリペプチドは約33アミノ酸長であってもよい。態様によっては、ポリペプチドは約8〜約33アミノ酸長、約10〜約25アミノ酸長、約10〜約14アミノ酸長又は約12〜約14アミノ酸長であってもよい。態様によっては、ポリペプチドは最大14アミノ酸残基、最大12アミノ酸残基、最大10アミノ酸残基を有することもある。ポリペプチドは、9アミノ酸長、10アミノ酸長、11アミノ酸長、12アミノ酸長、13アミノ酸長、14アミノ酸長、15アミノ酸長、又は16アミノ酸長であってもよい。好ましい態様において、ポリペプチドは12アミノ酸残基を有するドデカマーである。
前記ポリペプチドは、t−ブチルオキシカルボニル(BOC)又は9−フルオレニルメトキシ−カルボニル(FOMC)保護基のいずれかをベースとする標準的な方法を用いた固相法により特徴付けられることがある。この方法は、G. B. Fieldsらにより"Synthetic Peptides: A User's Guide," W.M. Freeman & Company, New York, NY, pp. 77-183 (1992)において説明されている。ポリペプチドはまた、当業者に周知の組換え技術を介して合成されうる。例えば、米国特許第5,595,887号は、結合タンパク質及び1又は複数の所望の標的ペプチドのコピーを含む融合タンパク質をコードする組換え遺伝子コンストラクトの発現を介した種々の比較的小さいペプチドを形成する方法を説明している。発現後、融合タンパク質は単離され、そして化学的及び/又は酵素的方法を用いて開裂され、所望の標的ペプチドが生成する。
アシル化
本発明の修飾ポリペプチドは、脂肪酸抱合により修飾されているポリペプチドである。このような修飾ポリペプチドはまた、本明細書ではペプチド−両親媒性物質、アシル化ポリペプチド、アシルペプチド抱合体、リポペプチド、脂質化ペプチド、又はリポペプチド抱合体とも称されることがある。
抗菌活性、抗真菌活性、抗ウイルス活性、又は細胞溶解活性を有する天然のリポペプチドが指摘されているが(Arima et al. , Biochem. Biophys. Res. Commun. 31,488-494 (1968); Bernheimer et al. , J. Gen. Microbiol. 61, 361-369 (1970); Muhlradt et al. , J. Exp. Med. 185,1951-1958 (1997); 及びVollenbroich et al. , Biologicals 25,289-297 (1997))、そのような天然のリポペプチドは、本発明の修飾ポリペプチドと、それらの以上に短い長さ(通常は約6〜7アミノ酸長)、環化(De Lucca et al. , Antimicrob. Agents Chemother. 43,1-11 (1999))、負電荷、及び主として疎水性で且つ酸性のアミノ酸という組成の点で異なる。
本明細書では脂肪酸残基によるアシル化、脂肪酸アシル化、又は親油性酸による抱合とも称される脂肪酸抱合によるポリペプチドの修飾は、共有結合による。このような修飾は、当業者にとって利用可能な多数の方法のうちのいずれでもよい。例えば、脂肪酸抱合は、実施例1に記載のとおり、手作業でのFmoc固相化学を用いる樹脂結合ペプチド上で、本質的にBerndt et al. , J. Am. Chem. Soc. 117, 9515-9522 (1995)に記載のとおり実施することができる。脂肪酸抱合はまた、カテプシンGペプチド(Shafer et al. , J. Biol. Chem. 266,112-116(1991)及びMak et al., Int. J. Antimicrob. Agents 21,13-19 (2003))、ラクトフェリンペプチド(Wakabayashi et al. , Antimicrob. Agents Chemother. 43,1267-1269 (1999)及びMajerle et al. , J. Antimicrob. Chemother. 51,1159-1165 (2003))、マゲイニンペプチド(Avrahami and Shai, Biochemistry 41,2254-2263 (2002))の脂肪酸抱合体を生成するために使用される方法を用いて実施することもできる。
本発明の修飾ポリペプチドにおいて、脂肪酸抱合体は、ポリペプチドのN末端、ポリペプチドのC末端に、そして/あるいは当該ポリペプチドの配列内部に配置されうる。好ましくは、そのような修飾は、ポリペプチドに対し、N末端及び/又はC末端で結合されることがあり、更に好ましくはN末端で結合されることがある。
本発明の修飾ポリペプチドには、少なくとも6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖脂肪族基を含むように修飾されているポリペプチドが含まれる。態様によっては、直鎖又は分枝鎖脂肪族(好ましくはアルキル)基は、約8〜約22の炭素原子を有することがある。態様によっては、脂肪族基は、約10〜約20の炭素原子を有することがある。態様によっては、脂肪族基は約12〜約18の炭素原子を有することがある。態様によっては、直鎖又は分枝鎖脂肪族基は、22超の炭素原子を有することがある。直鎖又は分枝鎖脂肪族基には、1又は複数の不飽和炭素間結合が含まれることがある。これらは、二重又は三重の炭素間結合であってもよいが、典型的には、それらが存在する場合には、それらは二重結合である。存在している場合、典型的には1又は2つの不飽和炭素間結合が存在する。
直鎖又は分枝鎖脂肪族基は、脂肪酸に由来することがある。脂肪酸を使用してポリペプチドを修飾する場合、修飾される炭素原子のうちの1つは脂肪酸のカルボニル炭素に由来するであろう。脂肪酸以外の脂肪族基又はアルキル基を使用してポリペプチドを修飾する場合、炭素原子数は、脂肪酸由来のカルボニル炭素原子の寄与が無いので、1つ少ないであろう。脂肪酸には、動物又は植物の脂肪又は油に由来する又は含まれるカルボン酸が含まれる。脂肪酸は、4〜22の炭素原子(通常偶数)を含む炭化水素鎖から構成され、そして末端のカルボキシル基−COOHを特徴とする。例えば、8〜22炭素原子を有する脂肪酸(C8〜C22)は、本発明の修飾ポリペプチドに使用することもできる。好ましくは、C10〜C20の脂肪酸を使用してもよい。上記酢酸の一般式は、CH3(CH2xCOOHである(炭素原子数にはカルボキシル基が含まれる)。脂肪酸は飽和であっても不飽和(すなわちオレフィン)であってもよく、そして固体、半固体、又は液体のいずれでもよい。それらは石鹸及び蝋と一緒に脂質に分類される。飽和脂肪酸は、アルキル鎖の炭素原子が単結合で繋がっている脂肪酸である。一般的な飽和脂肪酸には、酪酸(C4)、ラウリン酸(C12)、パルミチン酸(C18)、及びステアリン酸(C18)がある。不飽和脂肪酸は、鎖の中の炭素原子間に1又は複数の二重結合又は三重結合が存在する脂肪酸である。これらの酸は、通常植物由来であり、そして特徴的な末端基である−COOHを有する18以上の炭素原子を含む炭素鎖から成る。
態様によっては、脂肪族基には、1又は複数の不飽和炭素間結合が含まれる。態様によっては、直鎖又は分枝鎖脂肪族基は、脂肪酸由来のアルキル基である。脂肪酸は、C8−C22脂肪酸であってもよい。脂肪酸は、C10−C20脂肪酸であってもよい。脂肪酸は、直鎖又は分枝鎖アルキル基が少なくとも11個の炭素原子を有し、そして直鎖又は分枝鎖アルキル基が11〜19個の炭素原子を有するC10−C20脂肪酸であってもよい。
抗菌活性
本発明の修飾ポリペプチドは抗菌活性を示す。殺菌活性は、様々な細菌、例えばグラム陰性細菌又はグラム陽性細菌に対して評価することができる。細菌の型は、シュードモナス種(Pseudonionas spp,)、例えばP.アエルギノサ(P.aeruginosa)及びP.セパシア(P. cepacia)、E.コリ(E. coli) 株、例えばE.コリB、サルモネラ(SalnaoJella)、プロテウス・ミラビリス(Proteus nzirabilis)及びスタフィロコッカス株、例えばスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)を含んでもよい。本発明の修飾ポリペプチドは、臨床的に関連する薬物耐性細菌株に対する抗菌活性を示すことがある。
本発明の修飾ポリペプチドは、培養細胞に添加することもでき、あるいは対象、例えば哺乳類の対象、例えばヒトの対象を処置するために使用することもできる。修飾ポリペプチドを使用して対象を処置する場合、当該修飾ポリペプチドは、医薬として許容される担体及び/又は医薬として許容される緩衝液と一緒になった組成物の状態でもよい。処置とは予防的又は治療的であってもよい。従って、処置は、処置される症状、例えば細菌感染及び/又は内毒素血症の発症の前、その間、又はその後に開始することができる。このように、症状、例えば細菌感染及び/又は内毒素血症の「阻害」又はそれを「阻害するのに有効」との語句は、例えば、予防的と治療的両方の処置を含む(すなわち、症状の予防及び/又は回復)。
本発明は、対象の細菌感染を処置する方法であって、対象に本明細書に記載の1又は複数の修飾ポリペプチドを、細菌感染を阻害するのに有効な量投与することによる方法を提供する。本発明はまた、細菌感染をin vitroで阻害する方法であって、細胞を本明細書に記載の1又は複数の修飾ポリペプチドを、細菌感染を阻害し、細菌細胞の増殖を阻害し、そして/あるいは殺菌活性を示すのに有効な量投与することによる方法を提供する。
細菌感染を処置するためのポリペプチドの有効量は、細菌感染、感染の位置及びそのペプチドに左右される。細菌感染を処置するためのペプチドの有効量は、動物における細菌数を減少させ、且つ細菌感染に関連する症候、例えば発熱、疼痛及び細菌感染の関連の症候を軽減する量である。ペプチドの有効量は、in vitroの標準的な用量応答方法により決定することができ、少なくとも50から少なくとも100%の細菌を殺すのに有効な量(LD50)、そしてより好ましくは約60%から約100%の細菌を殺すのに有効な量がが有効量と考えられる。好ましくは、当該ペプチドは、有効量が約1x10-4M〜約1x10-10M、そしてより好ましくは約1x10-7M〜約1x10-9Mの濃度である。殺菌性があると考えられるペプチドは、P.アエルギノサ(P.aeruginosa)、P.セパシア(P. cepacia)、E.コリB、サルモネラ(SalnaoJella)、プロテウス・ミラビリス(Proteus nzirabilis)及びスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)の群から選択される少なくとも1つの生物を、約10-10M以上の濃度で生理学的条件(例えば約pH7.4)のもと殺しうる。
あるいは、細菌感染を処置するための修飾ポリペプチドの有効量は、動物系、例えばマウスで決定することができる。急性腹膜炎は、Dunnら(Surgery, 98 :283, 1985)又はCodyら(Int. Surg. Res. , 52: 315,1992)によって説明されているように、マウス、例えば非近交系スイスウェブスターマウスにおいて、細菌、例えばP.アエルギノサを用いた腹腔内注射により誘導することができる。異なる量のペプチドを、細菌注射の1時間前に静脈内注射することができる。血液、脾臓、及び肝臓内の生菌の割合は、前記ペプチド又は他の抗生物質の存在下又は不在下で決定することができる。本発明を限定することを意味するものではないが、殺菌性ペプチドは他の抗生物質、例えばエリスロマイシン等の有効性を強化することができると考えられる。
in vivoとin vitro両方の方法において、細菌感染の「阻害」には、対象又は細胞性試料中の細菌の増殖の予防、並びに逆転又は軽減が含まれる。細菌感染レベルは、例えば実施例の項目に記載の殺菌アッセイに従い決定することができる。これらのアッセイを使用して、in vivo又はin vitroでの使用に関係なく、ポリペプチドの有効性を決定することができる。細菌に感染している患者の処置の有効性を決定するために、実施例の項目に記載の殺菌アッセイに従い、血液試料を採取し、培養を展開し、そして生菌の量を決定することができる。
殺菌活性を有する1又は複数の修飾ポリペプチドは、細菌感染を処置することが知られ、そしてそのために使用される他の物質と組み合わせることができる。
本発明の修飾ポリペプチドはまた、内毒素中和活性も示し、そして内毒素血症を処置するために使用されることがある。本発明は、対象の内毒素血症を処置する方法を提供する。これには、対象に対し、本明細書に記載の1又は複数の修飾ポリペプチドを、内毒素を中和するのに有効な量投与することを包含する。本発明はまた、細胞を本明細書に記載の1又は複数の修飾ポリペプチドと接触させることによりin vitroで内毒素を中和するための方法を提供する。
内毒素血症は、典型的には、グラム陰性細菌、例えばシュードモナス種、E.コリのラフ株(rough strain)、被包性E.コリ及びスムース株(smooth strain)のE.コリに由来する毒性LPSにより生じるが、グラム陽性細菌、場合によっては真菌によって引き起こされることもある。内毒素血症を引き起こしうるグラム陽性細菌により放出される成分には、ペプチドグリカン及びリポテイコ酸が含まれ、リポアラビノマンナンはマイコバクテリウム種の細胞壁由来である。グラム陰性細菌に全身的に感染した動物は、内毒素ショック(endotoxin shock)(内毒素性ショック(endotoxic shock)、敗血症ショック、循環性ショック、及び敗血症とも称される)、例えば発熱、ショック、及びTNF−α放出の症候を示す。
毒性LPS含有複合体による細胞の活性化は、細胞由来の炎症誘発性のメディエーターであって、サイトカイン(例えばインターロイキン−1、インターロイキン−6、インターロイキン−8、及び腫瘍壊死因子α)、血小板活性化因子、一酸化窒素、補体(例えば、C5a及びC3a)、プロスタグランジン、ロイコトリエン、キニン系、酸素代謝物、カテコールアミン及びエンドルフィンを含むことがあるもの合成、放出、又は活性化をもたらす。このメディエーターは、器官系、例えば心臓、血管系、凝結系、肺、肝臓、腎臓及び中枢神経系に衝撃を与えることがある。
内毒素中和活性は、修飾ポリペプチドが完全にリムルス・アモエボサイト(Limulus. amoebocyte)ライゼートアッセイ(LAL, Sigma Chemicals, St. Louis, MO)又は発色LAL1000テスト(Biowhittacker, Walkersville, MD)のようなアッセイにおいてリポ多糖の作用を阻害するモル濃度を決定することで測定することができる。内毒素中和活性はまた、阻害量(inhibitory dose)50(LD50)を、標準的な用量応答法を用いて算出することで決定することができる。阻害量50は、内毒素の活性を50%阻害することが出来るペプチドの量である。ペプチドは、好ましくは約1x10-4M〜約10-8M、更に好ましくは約10-5M〜約10-6Mのモル濃度で内毒素を中和した。内毒素中和活性を持たないと考えられるペプチドは、約10-4以下のモル濃度で内毒素を中和しない。
in vivo及びin vitro両方の方法において、内毒素の「中和」には、LPSに結合し、そしてそれによりこれを対象又は細胞試料の系から除去することが含まれる。内毒素のレベルは、例えば、実施例の項目に記載のLPS中和アッセイに従い決定することができる。これらのアッセイを使用することで、in vivo又はin vitroでの使用に関係なく、ポリペプチドの有効性を決定することができる。内毒素血症を有する対象の処置の有効性を決定するために、血液試料を採取し、培養を展開し、そしてサイトカイン(例えば、TNF−α、IL−1)の量を決定することができ、これには当業者に知られている方法を用いる。例えば、WEHIアッセイを使用してTNF−αを検出することができる(Battafarano etal., Surgery 118,318-324(1995))。
内毒素を中和することができる1又は複数の修飾ポリペプチドは、内毒素ショックを処置することが知られ、且つそのために使用されている他の物質と組み合わせることができる。研究により、サイトカインである腫瘍壊死因子(TNF)の血清中濃度が内毒素血症の開始後に増大し、血清TNF活性は異常な痛み及び発熱のような徴候の開始と直接関連していることが示された。従って、内毒素活性はまた、腫瘍壊死因子α(TNF−α)がマクロファージ細胞系から放出される量を決定することにより、あるいは動物のショックの症候を評価することにより測定することができる。TNF−αの産生は、Mossman等により説明されているようにアッセイすることができる(Immunological Methods 65: 55, 1983)。
本発明の修飾ポリペプチドは、対象のTNFα量を低下させるための方法で使用することができる。これには、TFNαの血清レベルを評価することで決定される対象の系におけるTNFα量を低下させるための量の、本明細書に記載の1又は複数の修飾ポリペプチドを対象に投与することを包含する。更に、本発明は、in vitroでTNFαの量を低下させるための方法であって、細胞と、本明細書に記載の1又は複数の修飾ポリペプチドとを、細胞培養中のTNFα量を低下させるのに有効な量で接触させ、そして/あるいはインキュベートすることによる方法を提供する。in vivo、in vitroいずれの方法においても、WEHIアッセイは、細胞培養中又は患者由来の血清中のTNFαの検出のために使用することができる(Battafarano et al. , Surgery 118,318-324 (1995))。あるいは、試料中のTNFα量は、抗TNFα抗体を用いてアッセイすることができる。TNFαを低下させるのに「活性な」修飾ポリペプチドは、in vitro試験を用いて評価することができ、そして、好ましくはTNFα量の少なくとも10%の低下を示す。
本発明の修飾ポリペプチドは抗真菌活性を示すことがあり、そして真菌感染症を処置するために使用してもよい。本発明は、対象の真菌感染症を処置する方法を提供する。これは、真菌の増殖を阻害するのに有効な量、本明細書に記載の1又は複数の修飾ポリペプチドを対象に投与することを包含する。更に、本発明は、in vitroで真菌の増殖を阻害するための方法であって、細胞と、本明細書に記載の1又は複数の修飾ポリペプチドとを、真菌細胞の増殖を阻害するのに有効な量で接触させることによる方法を提供する。修飾ポリペプチドの抗真菌活性は、例えば、Cavallarin et al., Mol Plant Microbe Interact. 11 (3), 218-27 (1998)に記載の通りアッセイすることができる。
本発明の修飾ポリペプチドは抗寄生虫活性を示すことがあり、そして寄生虫感染症を処置するために使用してもよい。本発明は、対象の寄生虫感染症を処置する方法を提供する。これは、寄生虫活性を阻害するのに有効な量の、本明細書に記載の1又は複数の修飾ポリペプチドを対象に投与することを包含する。更に、本発明は、in vitroで寄生虫活性を阻害するための方法であって、寄生虫及び/又は寄生虫に感染した細胞と、本明細書に記載の1又は複数の修飾ポリペプチドとを、寄生虫の代謝、増殖、及び/又は複製を阻害するのに有効な量で接触させることによる方法を提供する。修飾ポリペプチドの抗寄生虫活性は、例えば、Chicarro et al. , Antimicrob Agents Chemother. 45 (9), 2441-9 (2001)に記載の通りアッセイすることができる。
血管新生は、正常な過程、例えば胚形成及び創傷治癒から、異常な過程、例えば腫瘍増殖関節炎、再狭窄及び糖尿病性網膜症まで、体内の多数の生物学的機能にとって必須であり、そしてin vitro、in vivoで血管新生を阻害する物質を使用することは、特に腫瘍の処置において、有効な治療的モダリティーであろう。更なる仮定として、腫瘍増殖は、血管化の喪失により制御することができる(Folkman J. natl. Cancer. Inst. 82,4-6 (1990); Folkman et al. , J. Biol. Chem. 267,10931-10934 (1992))。益々多くの血管新生の内因性阻害剤、例えば、血小板因子−4(PF4)、インターフェロン−γ誘導タンパク質−10(IP−10)、トロンボスポンジン−1(TSP−1)、アンギオスタチン、並びに合成物質、例えばサリドマイド、TNP−470、及びメタロプロテイナーゼ阻害剤が説明されてきている。これらの物質の幾つかは、現在フェーズI/IIの臨床試験において試験されている。Griffioen et al. , Blood 88,667-673 (1996)、及びGriffioen et al. , Cancer Res. 56,1111-1117 (1996)に記載のこれまでの研究では、腫瘍の血管新生誘導(proangiogenic)因子が腫瘍の脈管構造において内皮細胞に対する接着分子のダウンレギュレーションを誘導し、そして炎症シグナル、例えば腫瘍壊死因子α(TNFα)、インターロイキン−1、及びインターフェロン−ファンγに対するアネルギーを誘導することが示されている。血管内皮細胞増殖因子(VEGF)(Griffioen et al., Blood 88,667-673 (1996))及び塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF) (Griffioen et al., Blood 88,667-673 (1996); 及びMelder et al., Nature Med. 2,992-997 (1996))に曝露されたECは、細胞間接着分子−1(ICAM−1)のアップレギュレーション並びに血管細胞接着分子(VCAM−1)及びE−セレクチンの誘導を激しく妨害した。この現象は、腫瘍誘導型ECアネルギーと称されており、血管新生の表現型を有する腫瘍が細胞障害性の白血球による炎症を回避しうる1つの方法である。
内皮細胞接着分子(EAM)の血管新生媒介型のダウンレギュレーションは、免疫反応を回避することで腫瘍の成長を促進しうるので(Griffioen et al., Blood 88,667-673 (1996); Kitayama et al., Cancer. Res. 54 4729-4733 (1994); 及びPiali et al. , J. exp. Med. 181, 811-816 (1995))、血管新生の阻害が接着分子のダウンレギュレーション及び炎症シグナルの無応答性を克服しうると考えられる。この仮説の裏づけにおいて、E−セレクチンのアップレギュレーションと血管新生抑制(angiostatic)物質であるAGM−1470との関係が報告されている(Budson et al. , Biochem. Biophys. Res. Comm. 225,141-145 (1996))。また、PF4による血管新生の阻害は、bFGFに刺激されたEC上のICAM−1をアップレギュレートする。尚、PF4による血管新生の阻害は、炎症シグナルに対する血管新生関連のECアネルギーを克服する。
本発明は、対象の内皮細胞増殖を阻害する方法であって、細胞と、本明細書に記載の1又は複数の修飾ポリペプチドとを、内皮細胞の増殖を阻害するのに有効な量で接触させることによる方法を提供する。本発明はまた、in vitrで内皮細胞増殖を阻害するための方法であって、内皮細胞の増殖を防ぎ、そして/あるいは軽減するのに有効な量で接触させることによる方法を提供する。内皮細胞の増殖を決定する場合、当業者に知られている方法を使用することができる。例えば、腫瘍における内皮細胞増殖の評価のために、組織切片を適切に染色することで血管密度を定量することができる。in vitroでの内皮細胞増殖の程度を決定するために、EC増殖アッセイを使用することができ、これは、細胞培養中の細胞によるトリチウム標識したチミジンの取り込みを包含する。内皮細胞の増殖を阻害するのに活性なポリペプチドは、好ましくは、10-4M未満の濃度で内皮細胞の増殖を少なくとも10%低下させるものである。
本発明はまた、対象の血管新生因子媒介型細胞接着分子の発現のダウンレギュレーションを阻害する方法であって、ICAMの発現のダウンレギュレーションを防ぎ、そして/あるいはその程度を軽減するのに有効な量の、本明細書に記載の1又は複数の修飾ポリペプチドを対象に投与することによる方法を提供する。本発明はまた、in vitroでの血管新生因子媒介型細胞接着分子の発現のダウンレギュレーションを阻害する方法であって、ICAMの発現のダウンレギュレーションを防ぎ、そして/あるいはその程度を軽減するのに有効な量の、本明細書に記載の1又は複数の修飾ポリペプチドを、細胞と接触させることによる方法を提供する。
本発明は、対象の血管新生を阻害する方法であって、血管新生を予防し、そして/あるいは軽減するのに有効な量の本明細書に記載の1又は複数の修飾ポリペプチドを対象に投与することによる方法を提供する。本発明はまた、in vitroでの血管新生を阻害する方法であって、血管新生を予防し、そして/あるいは軽減するのに有効な量の、本明細書に記載の1又は複数の修飾ポリペプチドを、細胞と接触させることによる方法を提供し、ここでは、組成物も含まれる。in vivoでの血管新生の程度を決定する場合、当業者に知られている種々の方法を使用することができる。例えば、組織切片を適切に染色することで血管密度を定量することができる。in vitroでの血管新生の程度を決定する場合、in vitro血管新生アッセイを使用することができ、これは、細胞培養におけるEC細胞出芽の消失を包含する。血管新生を阻害するのに「活性」なポリペプチドは、好ましくは、10-4M未満の濃度で内皮細胞の発芽を少なくとも10%低下させるものである。
本発明は、対象の腫瘍形成を阻害するための方法であって、腫瘍の増殖を防ぎ、そして/あるいは軽減するのに有効な量の、本明細書に記載の1又は複数の修飾ポリペプチドを対象に投与することによる方法を提供する。腫瘍形成の阻害を決定する方法は当業者にとって周知であり、これには腫瘍の収縮、生存等の評価が含まれる。
本発明の方法には、対象、好ましくは哺乳類、より好ましくはヒトに対し、所望な効果を生み出すのに有効な量の本発明の組成物を投与することが含まれる。修飾ポリペプチドは、単回量として、又は複数回投与で投与することができる。活性物質の有用な投与量は、それらのin vitroでの活性と、動物モデルにおけるin vivoでの活性とを比較することで決定することができる。マウス、その他の動物の有効量をヒトに外挿する方法は当業界で知られており、例えば、米国特許第4,938,949号を参照のこと。
本発明の修飾ポリペプチドは、医薬組成物に製剤化することができ、そして、本発明の方法に従い、対象に対し、選択した投与経路に適した種々の形態で投与することができる。製剤は、便宜的に単位剤形で存在することができ、そして医薬業界で周知な任意の方法により調製することができる。製剤には、限定しないが、経口、経腸、経膣、局所、経鼻、経眼、又は非経口(例えば皮下、筋肉内、腹腔内、腫瘍内、及び血管内)投与が含まれる。
非経口投与に適した製剤は、活性物質の滅菌水性調製物、又は活性物質の滅菌粉末の分散物を便宜的に含み、これらはレシピエントの血液と好ましくは等張性である。液体調製物に含まれ得る等張性物質には、糖類、緩衝物質、及び塩化ナトリウムが含まれる。活性物質溶液は水中で調製することができ、任意に非毒性の界面活性剤と混合することができる。活性物質の分散物は、水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール等)、植物油、グリセロールエステル、及びそれらの混合物中で調製することができる。究極的な剤形は、滅菌で、液体で、且つ製造条件と保存条件のもとで安定なものである。必要とされる流動性は、例えば、リポソームを用いることにより、分散物の場合には適切な粒径を採用することにより、又は界面活性剤を用いることにより達成することができる。液体調製物の滅菌は、活性物質の生体活性を保存する任意な常用の方法により、好ましくは濾過滅菌により達成することができる。粉末を調製するのに好ましい方法には、滅菌注射溶液の真空乾燥及び凍結乾燥が含まれる。その後の微生物のコンタミネーションは、種々の抗微生物剤、例えば抗菌剤、抗ウイルス剤及び抗真菌剤を用いて予防することができ、これらにはパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール等が含まれる。長期間にわたる活性物質の吸収は、遅延のための物質、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを含めることにより達成することができる。
経口投与に適した本発明の製剤は、個別の単位、例えば錠剤、トローチ、カプセル、ロゼンジ (lozenge)、ウェハー、又はカシェとして提供することができ、それぞれ、規定量の活性物質を、粉末又は顆粒として、化学予防物質を含むリポソームとして、あるいは水溶液又は非水溶液、例えばシロップ、エリキシル、エマルジョン、又はドラフト(draught)の溶液又は懸濁液として含む。このような組成物及び調製物は、典型的に少なくとも約0.1重量%の活性物質を含む。ポリペプチド(すなわち活性物質)の量は、投与レベルが対象において所望の結果をもたらすのに有効であろうものである。
点鼻製剤は、活性物質と防腐剤及び等張性物質の精製水溶液を含む。このような製剤は、好ましくは鼻粘膜に適合するpH及び等張性状態に調節される。経腸又は経膣投与のための製剤は、適当な担体、例えばココアバター、又は硬化脂肪若しくは硬化脂肪カルボン酸を有する座薬として提供することができる。点眼用製剤は、点鼻薬と類似の方法により調製され、但し、pHと等張性因子は好ましくは眼のものに適合するよう調節される。局所製剤は、1又は複数の媒体、例えば鉱油、石油、ポリヒドロキシアルコール、又は局所用医薬製剤に使用される他の基材中に溶解し、又は懸濁した活性物質を含む。
錠剤、トローチ、ピル、カプセル等はまた、1又は複数の以下の結合剤、例えばトラガカントガム、アカシア、コーンスターチ又はゼラチン;賦形剤、例えばリン酸二カルシウム;崩壊剤、例えばコーンスターチ、ポテトスターチ、アルギン酸等;滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム;甘味剤、例えばスクロース、フルクトース、ラクトース又はアスパルテーム;及び天然又は人工の香味剤を含むことがある。単位剤形がカプセルである場合、これは更に液体担体、例えば植物油又はポリエチレングリコールを含んでもよい。種々の他の材料も、コーティングとして、あるいは場合によって固体の単位剤形の物理的形態を修飾するために存在することもある。例えば、錠剤、ピル、又はカプセルをゼラチン、ワックス、シェラック、糖などでコーティングしてもよい。シロップ又はエリキシルも1又は複数の甘味剤、防腐剤、例えばメチルパラベン、又はプロピルパラベン、糖の結晶化を遅らせるための物質、任意な他の成分の溶解性を増大させるための物質、例えば多価アルコール、例えばグリセロール又はソルビトール、色素、及び香味剤を含んでもよい。任意な単位剤形を調製するのに使用する材料は、採用する量で実質的に非毒性のものである。活性物質は、徐放の調製物及び装置内に組み入れることができる。
本発明を以下の実施例で例示する。特定の実施例、材料、量、及び手順は、本明細書に記載の本発明の範囲及び精神に従い広く解釈されるべきであると理解されたい。
実施例1
SC4ドデカペプチドのアシル化(actylation)によるグラム陽性で且つ薬物耐性の細菌に対しての殺菌能の増大
ドデシル脂肪酸及びオクタデシル脂肪酸を、アミノ酸配列KLFKRHLKWKII(配列番号4)を有する12量体の潜在的に殺菌性のヘリックス形成ペプチドであるSC4のN末端に抱合させ、そして生じたSC4「ペプチド−両親媒性物質」分子の殺菌活性を試験した。SC4ペプチド−両親媒性物質は、グラム陽性菌種であるS.アウレウス、S.パイオジェネス(S. pyogenes)、B.アンスラシス(anthracis)、例えば常用の抗生物質に対して耐性のあるS.アウレウス菌種に対して最大三倍の殺菌活性の増大を示したが、グラム陰性細菌であるE.コリ及びP.アエルギノサ(P. aeruginosa)に対しては殆んど又は全く増大を示さなかった。脂肪酸抱合により、内毒素(リポ多糖)の中和は3〜6倍向上した。アシル化はややヒト赤血球の溶解を増大させたが、内皮細胞の溶解は増大させず、そして溶血作用は、細菌細胞に要求されるものよりも10〜100倍高い濃度で生じた。SC4ペプチド−両親媒性物質の作用機構に対する洞察のために、円二色、NMR及び蛍光分光法による研究を、ミセルとリポソームのモデルにおいて、真核細胞膜及び細菌細胞膜を用いずに行った。円二色法は、SC4ペプチド−両親媒性物質が細菌細胞膜を模倣しているリポソームにおいて最も強いヘリックスの傾向を有していること、そしてSC4ペプチド−両親媒性物質の強固な膜の統合がこれらの条件下でトリプトファン蛍光分光法により観察されたことを示し;これは、SC4ペプチド−両親媒性物質の殺菌活性の増大と一致していた。ミセルのNMR構造解析は、脂肪酸の尾に最も近いペプチドの2/3がヘリックス構造を示し、モデル膜表面とより層と作用している両親媒性のヘリックスの正電荷側鎖を有していたことを証明した。これらの結果は、疎水性脂肪酸をSC4ペプチドに抱合させることで、膜の相互作用が増大し、そして膜結合状態のペプチドのヘリックス構造が安定化して殺菌能が増大することを示している。
材料と方法
ペプチド配列と両親媒性物質の構造。設計した12残基のSC4ペプチド配列は、殺菌性/浸透性増大タンパク質(Mayo et al. , Biochem. J. 349,717-728 (2000))由来のペプチドを基礎とした。SC4のC12とC18の両親媒性物質のバージョンは、ペプチドのN末端に適切な脂肪酸を共有結合させている(図1)。SC4ペプチド及びSC4ペプチド−両親媒性物質は、C末端をアミド化した。
SC4ペプチド合成。SC4ペプチドは、ミネソタ大学の微量化学施設において、Milligen/Biosearch 9600ペプチド固相合成機上で、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)化学を用いて合成した。凍結乾燥した粗製ペプチドを調製用の逆相高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)により、C18カラム上で、0.1%トリフルオロ酢酸/水を含む0〜60%アセトニトリルの溶出勾配で精製した。ペプチドの純度及び粗製は、HPLC、アミノ酸解析、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型(MALDI−TOF)質量分析により確認した。
SC4ペプチド−両親媒性物質の合成。ペプチド−両親媒性物質は、樹脂結合型SC4ペプチドとドデカン酸(ラウリン酸)又はオクタデカン酸(ステアリン酸)の脂肪酸類とから、本質的に既述されている手動のFmoc固相化学(Berndt et al. , J. Am. Chem. Soc. 117,9515-9522 (1995))を用い合成した。要約すると、C12又はC18の脂肪酸尾部は、樹脂結合型ペプチドに対し、4倍モル過剰の2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、N,N−ジイソプロピルエチルアミド(DIEA)、及び脂肪酸尾部のジクロロメタン(DCM)/N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を用いて3時間N末端側でカップリングさせた。ペプチド−両親媒性物質と保護基は、reagent K(82.5%トリフルオロ酢酸(TFA)、5%フェノール、5%H2O、2.5%エタンジチオール)で2時間処理することで樹脂から開裂した。粗製ペプチド−両親媒性物質は、逆相C4カラム上での、水に対し30〜60%(C12−SC4の場合)又は35〜70%(C18−SC4の場合)の勾配で0.1%TFAを含むものによるHPLCで精製した。精製したペプチド−両親媒性物質産物の同一性は、MALDI−TOF質量分析計で確認した。
細菌種。グラム陰性のエスケリッチャ・コリJ96及びIA2はスムースな菌種であり、尿路疾患性の臨床分離株であり、これはJohnson及びBrownにより説明されている(Johnson and Brown, J. Infect. Dis. 173,920-926 (1996))。シュードモナス・アエルギノサI型は、臨床学的なスムースな菌種の分離株であり、これはHomma et al., Japan. J. Exp. Med. 46,329-336 (1976)に記載のスキームを用いて血清型が分類されていおり、そして血液アガープレート上に毎月移行することで研究室で維持されている。グラム陽性のMN8及びMNHOは、スタフィロコッカス・アウレウスの患者由来分離株であり;イートン及びウイルソンは、2人の患者に由来するスタフィロコッカス・パイオジェネスの分離株である(Lockwood et al. , Biochem. J. 378,93-103 (2004))。M497880及びW73134は、バンコマイシンを除くあらゆる常用の抗生物質に対して耐性を示すS.アウレウスの臨床的分離株の菌種である(Lockwood et al., Biochem. J. 378,93-103 (2004))。バチルス・アントラシス(Bacillus antracis)は、P. M. Schlievertのラボの研究用菌種である。全てのグラム陽性菌種がP. M. Schlievertにより提供されたものである。E.コリ及びS.アウレウスの菌種を栄養アガープレート上で維持し、そしてプレーティングした。S.パイオジェネス菌種は、血液アガープレート上で維持し、そして脳−心臓注入液アガープレート上にプレーティングした。B.アントラシスは、Todd Hewittブロス中で生育させた。
殺菌アッセイ。パイロジェンフリー溶液は本アッセイを通じて使用した。対数期の細菌は、一晩培養物を移すか、あるいは一晩培養物の−85℃グリセロールストックから結晶を掬い取ることで得られた。細菌は洗浄し、そして0.9%塩化ナトリウム溶液中で再懸濁し、650nmで3x108コロニー形成単位(CFU)/ミリリットル(mL)をもたらす光学密度に調節した。細菌は、続いてpH7.0の0.08Mクエン酸リン酸緩衝液(0.08Mクエン酸を0.08M二塩基性リン酸ナトリウムと混合することで調製した)中で希釈した。細菌(0.15mL)と適切な量のペプチドと1,0mLの緩衝液とを17x100mmのポリプロピレンチューブ内で混合し、そしてレシプロ式のウォーターバスにおいて37℃で30分間インキュベートした。B.アントラシスを除く全ての細菌菌種について、1:10、1:00、及び1:1000希釈物を0.9%塩化ナトリウム溶液中で調製し、そして20マイクロリットルの(μL又はμl)の各希釈物をアガープレート全体にストリーキングした。グラム陰性の生物を、2%アガーを含む栄養アガープレート上にプレーティングし、そしてグラム陽性の生物をMacConkeyアガー(2%)上でプレーティングした。プレートを一晩37℃でインキュベートし、そしてコロニーを次の朝カウントした。10〜100の細菌コロニーを含む希釈物をカウントし、そしてその数に50掛けて全てのカウントを1mL当たり死んだ細菌数に調節した。B.アントラシスの場合、5mLのTodd Hewittブロスをインキュベーション後に溶液に添加し、そして細菌を連続攪拌しながら対数期の中間部まで生育させた。細胞の生存は、B.アントラシスの場合、650nmの光学密度でアッセイした。
殺菌活性は、シグモイド用量応答方程式に対してデータフィットすることで決定したLD50(細菌の50%致死量)値として報告する:
死亡率(%)=Rmin+{(Rmin−Rmax)/[1+(C/LD50)^m]}
(ここで、Cは濃度であり、Rmin=0であり、これは最小の応答である;Rmax=100であって最大の応答であり;LD50は移行の中点であり;そしてmは移行の傾きである。LD50とmは、データフィットに使用した自由変項であった)
リポ多糖(LPS)中和についてのリムルス・アモエボサイト(Limulus. amoebocyte)ライゼートアッセイ。SC4ペプチドと両親媒性物質が内毒素を中和する能力は、BioWhittackerの発色AQCL−1000キット(Walkersville, MD)を用いて測定した。この方法はグラム陰性細菌の内毒素(LPS)にとって定量的であり、そして活性の測定値としてプロ酵素のLPS媒介型の活性化のペプチド阻害を使用している(Young et al. , J. Clin. Invest. 51, 1790-1797 (1972))。適切な濃度のペプチドは、リムルス・アモエボサイトライゼート、0.04ユニット(0.01ナノグラム(ng))のE.コリ055:B5 LPS(SIGMA)、及び無色の合成基質(Ac−Ile−Glu−Ala−Arg−pNA)(配列番号18)と一緒に混合した。LPSに対するペプチド結合は、410nmでの吸収を介して前記基質が黄色いp−ニトロアニリン(pNA)へと酵素変換されるのをモニタリングすることで決定した。内毒素濃度は、酵素活性の初速度から決定した。LPS結合についてのIC50(50%阻害を示す濃度)値は、用量応答曲線にフィットさせることで決定した。
真核細胞溶解活性。SC4分子の溶解活性は、ヒト赤血球とヒト内皮細胞に対して試験した。赤血球は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS;35mMリン酸緩衝、0.15MのNaCl、pH7.0)で3回洗浄し、溶血アッセイを実施した。100マイクロリットル(μl)の連続希釈したペプチド(1〜100マイクロモーラー(μM))/PBSを、0.4%体積/体積(v/v)のPBS懸濁ヒト赤血球を含有するエッペンドルフチューブに添加した。チューブを1時間37℃でインキュベートし、そして次に1000xgで5分間遠心した。上清の100μlのアリコートを続いてエッペンドルフチューブに移し、そして溶血を414nmの吸光度で測定した。ゼロと100%の溶血をPBSと1%Triton−X100中でそれぞれ決定した。溶血のパーセンテージは:
溶血(%)={[A414(ペプチド)−A414(PBS)]/[A414(Triton−X100)−A414(PBS)]}x100
として算出した。
細菌細胞膜及び真核細胞膜の模倣体。二重層形成リン脂質とミセル形成界面活性剤とを膜の模倣体として使用した。双性イオンの1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DPPC)を、主に天然の双性イオンの脂質から構成される真核細胞膜の模倣体として使用した。中性DPPEと負電荷1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−[ホスホ−rac−(1−グリセロール)](DPPG)の7:3モル混合物から構成されたリポソームであって、全体的に負の膜電荷と、前記模倣体において使用したものと本質的に適合する組成とを有しているリポソームを使用して細菌細胞膜を模倣した。ミセル形成ドデシルホスファチジルコリン(DPC)とドデシル硫酸ナトリウム(DSD)を、それぞれ真核細胞膜と細菌細胞膜の単純な模倣体として、共鳴広がりを制限するのに小さな凝集体サイズを必要とする核磁気共鳴(NMR)実験において使用し、そして円二色(CD)実験において凝集体からの光散乱を最小化させて使用した。
リポソームの調製。1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DPPC)、1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(DPPE)、及び1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−[ホスホ−rac−(1−グリセロール)](DPPG)のリン脂質類をAvanti Polar Lipids, Incから入手した。純粋なリン脂質のクロロホルム溶液をガラスチューブ内で所望の脂質比で混合し、そして低流のN2のもと乾燥させて薄い脂質フィルムを形成させた。残留溶媒を減圧下で数時間乾燥させた。生じた脂質フィルムを少なくとも1.5時間脂質転移温度超の温度で、4mMの最終脂質濃度をもたらすのに適当な量の水を用いて水和させた。この溶液を水和期間中定期的にボルテックスにかけた。溶液を続いて20分以上バスソニケーター内で、脂質転移温度超の温度で超音波処理し、小さいリポソームを生成させた。脂質溶液は、室温に冷却して使用した。
リポソームとミセル溶液の調製。水性のストック溶液は、乾燥ペプチド、両親媒性物質、界面活性剤を水に溶解することで調製した;水性の脂質ストック溶液は、上述のとおり調製した。SDS又はDPC界面活性剤−ペプチド溶液は、ペプチド/両親媒性物質のストック溶液を、別々に水で希釈して所望の終濃度の2倍にすることで調製した。希釈溶液を混合して、1:50(DPC)又は1:100(SDS)のペプチド:界面活性剤比にある適切な最終のペプチド濃度(CDの場合0.1mM、NMRの場合0.5mM)を生じさせた。これらの比率は、界面活性剤の凝集体数に基づくと、1ミセル当たり大体1ペプチドに相当する。蛍光分光法のための界面活性剤ミセル溶液は、最終ペプチド濃度が5〜10マイクロモーラー(μM)で、ペプチド:界面活性剤比がDPCにおいて1:500、SDSにおいて1:1000であることを除いて同様に調製した。リポソーム溶液は、希釈したペプチドのストック溶液とリポソームとを混合して最終ペプチド濃度を5〜10μM、ペプチド:脂質比を1:20にすることで同様に調製した。ペプチドと界面活性剤/脂質の希釈溶液を混合する方法は、より高濃度のストックを混合する場合に観察される凝集体を制限した。
円二色。CDスペクトルは、JascoJ−710スペクトロフォトメーター上で、25℃又は37℃で、0.1cm(水性の界面活性溶液)又は1.0cm(脂質溶液)の光路の石英キュベットにおいて記録した。捕捉は、50nm/分の走査速度、1nmのバンド幅、そして2秒の応答で実施した。相当の基線(水、界面活性剤、又は脂質溶液)は、各スペクトル(θ)から引いた。報告するスペクトルは、6回の走査の平均であり、そして平均残基楕円率として表した。ペプチド濃度は水又は界面活性剤ミセル溶液中で0.1mMであり、リポソーム溶液中では10μMであった。CDの基礎のスペクトルは、ポリリジン及びポリグルタミン酸(Sigma)を用い、他で報告されている条件及びパラメーター(Adler et al. , Methods Enzymol. 27,675-735 (1973) and Greenfield et al. , Biochemistry 8,4108-4116 (1969))で測定した。α−ヘリックス、β−シート、及びランダムコイルの基礎のスペクトルの一次結合(linear combination)を使用して、二次構造の寄与の予測についての実験的なCDスペクトルにフィットさせた。
NMR測定。NMR測定のための溶液は、90%のH2O、10%D2Oに溶解させて最終的なペプチド/両親媒性物質の濃度を0.5mM、pHを5.3(緩衝化していない)にした点を除き上述のとおり調製した。プロトンNMRスペクトルは、Varian UNITY Plus-600 NMR分光計上で、25℃で得た。スピン系は、60ミリ秒(ms)で得られた2D−等核磁化移動TOCSYスペクトルで同定した。核オーバーハウザー効果分光(NOESY)実験は、100msの混合時間で、立体解析のために実施した。水の共鳴は、WATERGATE全相関分光法(TOCSY)又はWET核オーバーハウザー効果分光法(NOESY)パルスシーケンスを用いて抑制した。構造解析実験のために、2D−NMRスペクトルは、512のtlの増加について、それぞれ8kHzのスペクトル幅にわたる1kの複雑なデータ点で、両方の次元で、水の共鳴に据えられたキャリヤーを用いて回収した。32回の走査は、それぞれのtlの増加につき平均化した。データは、NMRPipe(Delaglio et al. , J. Biomol. NMR 6,277-293 (1995))及びSparky(Goddard, T. D. and Kneller, D. G. , University of California, San Franciscoでにより提供されているもの)を用い、アップルのiBook上でオフラインで処理した。データセットは、両方の次元において、フーリエ変換前に、変動したサインベル関数を掛け、ベースライン補正し、そしてtl次元においては1kに、そしてt2次元においては2kに対しゼロ充填した。より短いTOCSY実験(128t1の増大のそれぞれについての4回の過渡現象)を使用して、ペプチド−ミセルの相互作用を研究し、そしてNHの化学シフトの温度依存性を通じて水素結合を試験した。
構造モデリング。分子間距離拘束は、1H NOESYスペクトルで割り当てられた核オーバーハウザー効果(NOE)クロスピークから導き出した。NOEは、2.9、3.3、4.0、及び5.0Åの上限距離拘束にそれぞれ対応させて、強、中、弱又は最弱として分類した。非結合プロトン間の下限の拘束1.8Åに設定した。0.5Åの訂正を、側鎖のプロトンを包含するNOEの上限に加えた。水素結合の拘束は、NH及びCaHのプロトンを包含する、連続的で且つ鎖間のNOWのパターンと、遅いアミドプロトン−溶媒交換の証拠とから同定した。各水素結合は、NH−O及びN−Oの距離の場合、それぞれ3.5Å及び4.0Åの上限距離拘束で定義した。
X−PLORソフトウェアパッケージ(Nilges, M.,Kuszewski, J. and Brunger, A. T.(1991) in Computational Aspects of the Study of Biological Macromolecules by NMR, Plenum Press, New York)をNOEから導いた距離拘束と一緒に使用して、既述の方法(Mayo et al. , Biochem. J. 349, 717-728 (2000))に従い、DPCミセルにおけるC12−SC4の構造を算出した。最終構造は、いずれの最終構造もNOE違反が0.5Å超でなく、且つそして結合角度、長さ又は不適切な角度が、それぞれ5°、0.05Å、そして5°超の理想的な形状から逸脱しないように、結果をフィルターにかけることで得られた。構造は、VMDソフトウェアパッケージ(Humphrey et al. , J. Mol. Graph. 14,33-38 (1996))を用いて重ね合わせ、そして視覚化し、そしてX−PLORをルーチンに行い解析した。
トリプトファン蛍光分光法。トリプトファン蛍光スペクトルは、25℃又は37℃でISS−K2定常状態蛍光光度計上で得た。溶液を上述のとおり調製し、そして測定のために1cm石英キュベットに据えた。ペプチド濃度は、水中又は1:20(モル/モル)脂質溶液中で5μMであった。試料を280nmで励起させ、そして発光は、300〜450nmから、1nmの分解能で記録した。
結果
殺菌活性。SC4ペプチド、並びにC12−SC4及びC18−SC4ペプチド−両親媒性物質(図1)は、グラム陰性細菌、グラム陽性細菌、及び薬物耐性細菌の複数の臨床的に関連している菌種に対する殺菌活性について試験した。活性は、用量応答データのシグモイドフィット(図2で例示)で決定した場合に50%の細菌を殺すペプチド濃度(LD50)として報告する。C12−SC4及びC18−SC4は共に、概して、SC4と比較して増大した殺菌活性を示した(表1)。脂肪酸抱合の結果としての殺菌活性の最大の増大は、S.アウレウス及び薬物耐性S.アウレウス菌種に対して30倍超高かった。S.パイオジェネスに対する有効な増大は、SC4からの活性の欠如により正確には算出できなかったものの、この増大は、試験したSC4の最大濃度(2.0mM)を用いて20倍超高かった。SC4と比較して、C12−SC4及びC18−SC4は、グラム陰性菌種に対しては、活性がある場合にはわずかな増大を示し、E.コリに対してはLD50を2倍以下に変化させ、そしてP,アエルギノサに対しては本質的にそのままであった。
Figure 2007512234
LPS中和。グラム陰性細菌の溶解は、内毒素であるリポ多糖(LPS)を酸性させ、これは、十分大量に体内に放出された場合には、病理的障害である内毒素血症を引き起こして、敗血症に至ることがある。これに関して、殺菌性があり、且つLPSを効果的に中和するペプチドは、医薬としてかなり重要なものである。SC4、C12−SC4、及びC18−SC4のLPS結合活性及び中和活性は、リムルス・アモエボサイトライゼートアッセイで測定した。IC50値は、用量応答曲線から決定した。C12−SC4及びC18−SC4は、SC4ペプチドよりもそれぞれ約3倍及び約6倍高いLPS結合活性を示した(表1)。より高い疎水性を有するペプチドほどより強くLPSと結合する傾向があり、そしてSC4両親媒性物質における尾部の基の性質は、LPSの脂質A部分に対する結合を行わせ、これは相互作用、そしてその後の中和の最も可能性がある部位である。
真核細胞溶解活性。SC4及びその両親媒性物質はおそらく細菌細胞膜を崩壊させるため、真核細胞を溶解するそれらの能力を評価した。抗生物質として動物に投与した場合、これらの物質が血管内で遭遇するであろう2つの主な真核細胞の型は、赤血球と血管壁に裏打ちしている内皮細胞である。最大0.4mMの濃度で、SC4、C12−SC4、C18−SC4のいずれも培養液中の内皮細胞を殺さなかった。SC4はまた、最大0.4mMでほとんど溶血活性を示さなかった。しかしながら、C12−SC4とC18−SC4は、マイクロモーラーの範囲で赤血球を溶解し(表1);C18−SC4はC12−SC4よりも大よそ3倍溶血性があった。
円二色。膜と相互作用しているSC4ペプチド−両親媒性物質の構造的挙動を洞察するために、SC4、C12−SC4、及びC18−SC4の、水溶液中で且つ真核細胞膜模倣体(DPCミセル又はDPPCリポソーム)及び細菌細胞膜模倣体(SDSミセル又はDPPE/DPPGリポソーム)の存在下での高次構造をCD分光法で試験した(図3)、純粋なSC4、C12−SC4、及びC18−SC4の水溶液は、不規則な構造と一致したCDスペクトルをもたらし;基礎スペクトルの一次結合を用いたデータフィットは、分子それぞれにつき63%〜77%のランダムコイルを示した。同様のCDスペクトルがDPC又はSDSミセル環境のいずれかにおけるSC4について観察され、同時にフィットは62〜67%のコイルを示唆していた。しかしながら、C12−SC4とC18−SC4のCDスペクトルは、それぞれ78%と82%のα−ヘリックスをDPCミセルにおいて示し、そしてそれぞれ53%と54%のα−ヘリックスをSDSミセルにおいて示した。
真核細胞膜を模倣している1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(PC)リポソームにおいて、SC4分子のいずれも有意なヘリックス構造を示さなかった(SC4の場合76%のコイル、そしてC12−SC4とC18−SC4の場合には60%のコイル)。細菌細胞膜を模倣している70%1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン/30%1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−[ホスホ−rac−(1−グリセロール)](PE/PG)リポソームにおいて、CDスペクトルの質は、SC4又はその両親媒性物質をPE/PGリポソーム溶液と混合した場合に濁った溶液が形成するため、比較的悪かった。この効果は、排除することはできないが、より低いペプチドと液体の濃度の溶液を用いることにより最小化された。SC4スペクトルは特にノイジーであり、そして215nm超のスペクトルがPCのものに似ていると言う以外には解釈することはできない。C12−SC4とC18−SC4のCDスペクトルは、それらの対応するPCスペクトルとは異なっていた。PE/PG中のSC4及びC18−SC4は、構造化されたペプチドと一致するCDスペクトルをもたらした。定性的には、これらのCDトレース全体形状は、有意なα−ヘリックス構造の存在を示唆している。
NMR研究。NMR研究は、リポソーム溶液と比較して全体的に改善した溶液挙動とより小さい凝集体サイズの結果として、SDSとDPCのミセル環境におけるC12−SC4ペプチドに対し実施された。DPCとSDSにおけるTOCSYとNOESYスペクトルは、H−NH領域とNH−NH領域においてよく分離され、そしてよく分散した交差ピークを示しており(図4)、これらは、安定なペプチド構造の存在を示唆している。C12−SC4のHとNHの共鳴は、同一のミセル溶液におけるSC4と比較して、概して高磁場にシフトしており、特に、H共鳴には、残基K1〜H7が属しており、そしてNH共鳴には残基L2〜K8が属している(図5)。これらのシフトの性質は、C12−SC4におけるアシル鎖の存在が、これらのミセル系との相互作用時に、ペプチドのこのN末端領域内により安定なヘリックスを誘導したことを示唆している(Wishart etal., Biochemistry 31,1647-1651 (1992))。しかしながら、注目すべきは、F4とW9の芳香族化合物が種々の共鳴の環電流シフトを誘導して、幾つかのH又はNH共鳴の実際の高磁場シフトを弱めることがあるということである;このことは、何故幾つかのHとNHのシフト差がゼロ又はポジティブであるかを説明することの一助となるであろう。HとNHのシフト差は、SDSにおけるDPCの両親媒性物質についてのものよりも概して大きく、これはDPCにおけるヘリックス安定性の増大を示唆している。NOESYデータは、長い範囲のNOEが、DPCミセルの存在下でのC12−SC4の場合に、SDSミセルのものよりもより多く、そしてより強いというこの結論を支持している。
NMR構造モデリング。SC4両親媒性物質の構造をより詳細に特徴付けるために、完全なNMR構造解析は、DPCミセルにおけるC12−SC4に対し、25℃で、我々のCD解析において最高レベルのαヘリックス含量を示した条件で実施した。C12−SC4について観察されたNOEのパターンは、α−ヘリックス構造と一致した(図6)。
構造モデリングは、NOESY実験から得られたNOE距離拘束を用いて実施した。合計196のNOE距離拘束は、NOESYスペクトル解析から導き、これには、23の残基間の拘束、83の連続的な拘束、及び90の中距離(Ii−jI<5)の拘束が含まれる。尚、4個の水素結合は、最初のC12−SC4構造の検査により、そして同定することができ、これは8つの水素結合の距離拘束をもたらしている。実験的に導かれた拘束の総数は、それ故に204であり、残基当たり平均17の拘束であった。100個の構造をNOE及びH結合拘束で算出した;0.5Å超のNOE違反の無い24個の最終的な構造が得られた(図7A)。構造的な統計学(表2)は、前記の構造が実験的な拘束を十分満たしていることを示している。同時に、上記データは、C12−SC4の溶液構造を表すのに使用した構造がよく集中していることを示している。α−ヘリックス残基の主鎖の重原子について平均RMSDが0.24Åであり、主鎖の重原子全てについては0.80Åであり、そして分子全体(脂肪酸尾部を除く)については1.453Åであった。DPCミセルにおけるC12−SC4のNMR構造は、前記ペプチドの長さ全体にわたる両親媒性のα−ヘリックス構造を示した(図7B及び図7C)。
Figure 2007512234
a)24個の最終構造のいずれも、0.5Å超の距離拘束違反示さなかった。示した値は、平均±標準偏差である。
b)全RMSDは重原子について算出し、そしてこれには脂肪酸尾部は含まれない。
Figure 2007512234
a)発光スペクトルは300〜450nm、励起スペクトルは280nm、25℃、C=5μMで集めた。値はピーク位置(nm)±標準偏差、n=3である。
b)ペプチド−脂質比:DPPC、DPPE/DPPG、1:20;DPC、1:500;SDS、1:1000.
c)n=1
トリプトファン蛍光分光法を介した膜相互作用。トリプトファン蛍光分光法を使用して、水、リポソーム、そしてミセルにおけるSC4分子のW9残基の環境をプローブした(表3)。水中のSC4、C12−SC4、そしてC18−SC4についての発光極大はおよそ354nmであった。この極大値由来のブルーシフトは、トリプトファンがより疎水性環境にあることを示唆している(Lakowicz, J. (1983) Principles of Fluorescence Spectroscopy, Plenum Press, New York)。PCリポソーム(真核細胞膜模倣体)において、発光極大値の位置はSC4の場合変化しなかったが、C12−SC4とC18−SC4についての極大値は若干ブルーシフトであった。PE/PGリポソーム(細菌細胞膜模倣体)において、発光極大値は、3分子全てについて強力なブルーシフトを示し、同時に、シフトの値は、SC4両親媒性物質のいずれについても、SC4ペプチドよりも大きかった。同様の結果が37℃で得られ、この温度は殺菌アッセイを実施した温度である。DPC又はSDSミセル環境において、W9発光ピークはブルーシフトであり、そしてDPPE/DPPGリポソームにおいて観察されるものに匹敵するレベルである。このことは、DPCミセルのNMR構造研究が細菌細胞膜におけるC12−SC4の環境を恐らく反映していることを示唆している。
NMRの化学シフトを介した膜相互作用。αHとNHの化学シフト差は、概して、α−ヘリックス又はβ−シート構造及び安定を反映しており(Wishart etal., Biochemistry 31,1647-1651 (1992))、側鎖の化学シフトは、折りたたまれたペプチドが相互作用する環境に対する洞察を提供することができる。このことは、より長い側鎖のCH2基以外のシフト差が大きい場合に特に洞察力が優れていると言える。
側鎖の化学シフトを、ミセル(DPC又はSDS)内のC12−SC4について、SC4ペプチドのものと同一条件下で比較した(図8);この比較は、脂肪酸尾部をSC4ペプチドに付加することの効果を試験するものである。γCHとδCH基に関連している化学シフト差は、より長い側鎖を含むアミノ酸残基において比較的大きく、これは、それらのαH、βCH及びNH基と比較した場合(図5との比較)でも大きい。このことは、側鎖周囲の環境が、脂肪酸尾部の存在によって、恐らくは高次構造の変化と界面活性剤ミセルとの相互作用の増大との組み合わせにより有意に乱されていることを示唆している。側鎖の化学シフト差は、SDS中のC12−SC4の場合、DPC中のものよりも大きい傾向があった。DPC中での最大の化学シフト差はK5とK9について観察された;SDS中のシフト差は、これらの2つの残基について同様に大きかった。C末端の111と112残基についてのより大きいシフト差は、DPC中のペプチド末端に関して、よりミセルが埋没した環境を示すようである。SDS中、大きいシフトはK1、F3、及びK11についても見られた。SDS中のリジン側鎖の大きいシフト差は、相互作用が主にペプチドのリジンとSDSミセル上の表面の負電荷との間にあることを示唆している。このことはまた、ペプチド内のほかの残基について観察されるより小さいシフト差と一致している。
リジン側鎖とSDSミセル表面との間の相互作用はまた、SDSミセル中のC12−SC4リジン残基の末端側鎖アミン由来の、TOCSYのαH、βH、γH、及びδHのプロトン交差ピークによっても裏付けられている(図9B)。SDSミセルの存在下でのペプチド由来のリジンのNH3 +共鳴の観察は、εNHプロトンが直ちに水と交換しないことを示している。このことは、ペプチドが、低誘電性の環境内、すなわち、ミセル内に埋没している場合に起こり得るが、より可能性がある説明としては、特に交差ピークがDPCミセル中で観察されないことを考慮すると(図9A)、この作用がミセル表面との静電相互作用の結果であるということである。
考察
それ自体潜在的に抗菌性であるSC4ペプチドへの脂肪酸抱合は、より一層強力な殺菌剤を創出し、そして薬物耐性細菌、グラム陽性細菌、及び炭素菌の菌株を含むように感受性細菌の範囲を広げる。SC4に対する脂肪酸の抱合は、グラム陽性細菌に対して最も劇的に殺菌活性を増大させて、SC4の活性を最大30倍増大させる(図2及び表1)。更に、常用の抗生物質であるバンコマイシンに対してのみ感受性のある薬物耐性グラム陽性菌株が、マイクロモル濃度未満のSC4ペプチド−両親媒性物質で効果的に死滅した。
かかる結果は、殺菌活性に対する尾部の長さの以下の効果を示している。C12脂肪酸鎖に対して抱合されたSC4は、典型的には、グラム陽性細菌に対してより有効であった。かかる結果は、最適な尾部の長さとは、事実上、細菌種の機能であり、単純な規則ではないことを示している。このことは、必然的に特定の細菌細胞膜環境の組成及び構造と関連している。尾部の鎖長と活性の増大との単純な関係も、脂肪酸抱合の他の研究において同様に分かり難くいものであったが、この従来の研究の多くの一般的な結論は、最適な尾部の長さが11〜12炭素原子であることを示唆していた(Mak et al., Int. J. Antimicrob. Agents 21,13-19 (2003); Wakabayashi et al. , Antimicrob. Agents Chemother. 43,1267-1269 (1999); Majerle et al. , J. Antimicrob. Chemother. 51,1159- 1165 (2003)。SC4は、存在している場合、最大ミリモル濃度の範囲で真核細胞に対しわずかに破壊作用(溶解)を示した;しかしながら、SC4ペプチド−両親媒性物質の溶血活性の相対的増大が観察された(表1)。このことは、部分的に、恐らくは相対的に大きい陽イオン性の面を有するα−ヘリックスの高次構造の安定化によるものと思われる。Weiprechtとその共同研究者は、モデルペプチドの陽イオン性の面の角度を増大させた際に同様の効果を観察した(Wieprecht etal., Biochemistry 36,6124-6132 (1997))。力学的な観点から、脂肪酸尾部をSC4に付加した際の溶血活性の増大は、細菌細胞膜の特異性の低下、換言すると、膜親和性の一般的な増大を示している。このことは、脂肪酸尾部の非特異的な疎水性の性質を考慮すると驚くべく事ではない。全体的なペプチドの疎水性が増大する際の特異性の同様の低下について示している者もいる(Wieprecht etal., Biochemistry 36,6124-6132 (1997))。溶血活性とは対照的に、培養内皮細胞に対するSC4又はその両親媒性物質の溶解活性は観察されなかった。単に、処理済の赤血球が、ペプチド−両親媒性物質様の分子から溶解作用をより受けやすいとも考えられる。それにも関わらず、試験した細菌株の大部分に関して、SC4−両親媒性物質で観察された溶血性のIC50は効果的な殺菌のLD50よりも10倍から100倍高く、このことは、これらの物質をin vivoで使用する場合に毒性が増大しうるとの懸念を緩和する。
かかる結果は、ペプチドに対する脂肪酸の抱合が、膜親和性を増大させ、且つ膜環境の二次構造を強化することにより殺菌活性を増大させることを示唆している。ペプチド−両親媒性物質は、ペプチドのα−ヘリックス及び三重らせんの種々の構造であって、さもなければ構造化されていないものを安定化させ(Yu et al. , J. Am. Chem. Soc. 120,9979-9987 (1998); Fields et al. , Biopolymers 47,143-151 (1998))、自己集合又はミセル若しくはリポソーム内への取り込みを通じて媒介されると考えられるプロセスを安定化させること(Gore et al. , Langmuir 17,5352-5360 (2001))、が示されている。本発明でのCDの結果は、SC4ペプチド−両親媒性物質が適切な凝集物で同程度の挙動を示すことを証明している(図3)。SC4ペプチドは、研究した全ての条件下でランダムコイルの高次構造を示すCDスペクトルを示したが、C12−SC4両親媒性物質とC18−SC4両親媒性物質は共に、ミセル系及びPE/PGリポソームにおける有意なヘリックス含量と一致するCDスペクトルを生成させた。
SC4ペプチド−両親媒性物質のヘリックスの二次構造の安定化には、重要な機能的含みがあると考えられ、これは特に、本発明で試験した濃度で、全てのSC4誘導体が水中でランダムコイルの高次構造を示すCDトレースもたらすことを考慮した場合である。膜との相互作用の際のα−ヘリックス構造の発生は、抗菌ペプチドの活性における重要な段階であり(Bechinger et al., Protein Sci. 2,2077-2084 (1993))、そして膜結合ペプチドのヘリックス構造を安定化する要因は、それ故に、細菌細胞膜の溶解に恐らく必要とされる両親媒性の発生の一助となり得る。反対に、膜と相互作用する前に溶液中で構築するペプチドは、抗菌的な効力の低下を示している(Houston et al. , J Pept Res 52, 81-88 (1998))。溶液中でのSC4両親媒性物質の構築は観察されているが、このような凝集は生物学的に関連する濃度を大幅に上回るときだけに生じた。C12−SC4及びC18−SC4は、約0.5mM〜5mM超の濃度であって、本発明の生物学的アッセイ又は生物物理的実験のいずれかで使用したものよりも100超高いレベルでのみ凝集物を形成する。しかしながら、SC4両親媒性物質が自己集合する傾向が、膜結合型の両親媒性物質をSC4ペプチドに必要とされるものよりも低い表面濃度で膜内に凝集させることによって、細胞膜を透過する役割を果たしうるという可能性もある。
C12−SC4の頭部の構造的な詳細は、恐らく、尾部の存在により賦与される高次構造の安定化と同じぐらい重要である。DPCのNMRの結果は、恐らく、トリプトファン蛍光スペクトルにおいて各条件下で観察されるブルーシフトの類似性に基づいて、細菌細胞膜におけるC12−SC4の挙動とよく関連付けられている(表3)。DPCミセル中のC12−SC4のNMR構造モデルによって、これらの分子が何故上述のような強力な抗菌物質であるかという詳細の一部が解明される。前記ペプチドにより形成されるヘリックスの二次構造は明確な両親媒性物質としての特徴を示しており、陽イオン性面と、ヘリックスの反対面上でより小さな疎水性面とを有している。ヘリックスの陽イオン性面によって規定される大きな角は、モデル系において、より小さい陽イオン性面を有するペプチドと比較して高い殺菌能に繋がることが証明されている(Wieprecht et al., Biochemistry 36, 12869-12880 (1997))。C12−SC4のヘリックスは、脂肪酸尾部に最も近いペプチドの部分で最も規定されており、SC4と比較した場合に、SC4ペプチド−両親媒性物質のCDスペクトルで観察されるヘリックス含量の増大を示唆する結果は、ミセル−又はリポソーム−水の界面でのペプチドのアンカリングの直接的な結果である。
C12−SC4及びC18−SC4の膜親和性の非特異的な増大も、恐らく、殺菌活性における役割を果たしているようである。PE/PGリポソームが細菌細胞膜を模倣しており、且つPCリポソームが赤血球膜を模倣していることを思い出すと、SC4及びその両親媒性物質についての我々のトリプトファン蛍光スペクトルと、同一分子による我々の生物学的アッセイとを比較することは容易である。脂肪酸抱合によるSC4殺菌活性の一般的な増大(表1)は、PE/PGリポソームとPCリポソーム中のC12−SC4とC18−SC4内それぞれのトリプトファンのより疎水性の環境に反映されている(表3)。SC4ペプチド−両親媒性物質の膜親和性の増大は(それらの蛍光スペクトルが示す通り)、当該両親媒性物質の生体活性の増大を少なくとも一部説明しているようである。
SC4及びC12−SC4は細菌細胞膜を透過することが知られており、その結果、SC4両親媒性物質の機構に対する洞察のために膜透過ペプチドのモデルに目を向けることは論理的である。両親媒性のα−ヘリックス抗菌ペプチドの膜破壊活性を説明するために使用する基本モデルは、1つ目が、膜貫通孔が細菌細胞膜に及んでいる少数のペプチドの凝集を介して形成している樽板(barrelstave)モデルであり、2つ目が、多数のペプチドが細菌細胞膜の領域上で凝集し、そして当該領域を溶解するカーペットモデルであり、そして3つ目が、カーペットモデルとの類似性を有するが、脂質とペプチドで裏打ちされている一続きの孔であるトロイダルな孔モデルである(Oren and Shai, Biopolymers 47,451-463 (1998)にて概説済み)。
データによると、C12−SC4及びC18−SC4の殺菌作用が膜表面に対する静電的結合であり、上記3モデルのそれぞれと一致する第一の段階であることが示唆される、静電的相互作用は、因みに、SC4ペプチド又は両親媒性物質をPE/PGリポソームの溶液に対して添加した際の沈殿物の形成(ミリモル濃度のペプチド濃度)又は溶液の霞み(マイクロモル濃度のペプチド濃度)として観察した。C12−SC4側鎖の化学シフト(図8)とNHプロトン間でのTOCSYの接続性の存在(図9)は、SDSミセルにおける、リジン側鎖とSDSミセル表面との静電的相互作用のモデルを証明している。
樽板モデルは、単純な幾何学的条件でしか起こりえない選択である。12残基を有するSC4は、恐らく、短すぎて細菌細胞膜を網羅することはできない。更に、SC4上での電荷は+5であり、このモデリングは、安定な樽様の孔を形成するのは高すぎることが示唆されている(Zemel et al. , Biophys. J. 84, 2242-2255 (2003))。しかしながら、他の証拠も樽板モデルを軽視している。C12−SC4ミセルとSDSミセルとの間で観察された静電的相互作用は長期間持続し(本研究で使用した試料は、少なくとも数時間平衡であった)、これは、最終状態も優位な静電的成分を有していることを示唆している。また、構造的シフトと化学シフトのデータの組み合わせは、ヘリックスが恐らくミセルの表面に平行に横たわっており、更に、両親媒性のヘリックス面のあまり極性でない側面はより溶媒に曝露されていることを示唆している。この最終状態の型は、トロイダルな孔のモデルと一致しており、ここでの膜の孔は、膜脂質とペプチドの混合物で裏打ちされており、ペプチドは樽板モデルのように、膜の厚さ全体に完全に及ぶことはないが、脂質膜をわずかな距離だけ透過する。
SC4ペプチド−両親媒性物質における脂肪酸尾部の存在は、膜表面での凝集を増大させる手段を提供し、これは溶液中でSC4について観察される凝集の2次元アナログとなる。トロイダルな孔のモデルとの関連で、凝集挙動のこの増大は、SC4と比較して、膜の穿孔に必要とされる表面濃度を低下させる。本発明の殺菌アッセイは、少なくともグラム陽性生物についてこのモデルを支持しており、それは、殺菌濃度がSC4両親媒性物質の場合前記ペプチドのものよりも低いためである。脂肪酸尾部の別の潜在的な影響は、前記ペプチドの疎水性面を有する細菌細胞膜内に挿入されていることであり、これが、恐らくは局所的な曲率に影響を及ぼし、そしてトロイダルな孔を誘導する。このことはまた、観察した様式での殺菌活性をも強化させる。
本発明は、SC4の脂肪酸抱合体が強力で広域スペクトルの抗菌剤であることを示している。脂肪酸尾部は、殺菌活性とLPS内毒素に対する結合との観点で、SC4ペプチドの生体活性を増大させるが、最も劇的な増大は、グラム陽性細菌に対して観察された。CD及びNMRによる構造解析は、脂肪酸抱合が、膜結合型のSC4ペプチド−両親媒性物質内での両親媒性のヘリックスの形成を強化することで殺菌活性を増大させることを示唆している。NMR及び蛍光を用いた膜相互作用の解析は、脂肪酸抱合の第二の効果が膜親和性の増大であり、これがより強力な殺菌活性をもたらしていることを示唆している。
実施例2
N末端のアシル化による抗菌活性の向上
実施例1で概説した手順に従い、SC−4ペプチド並びにSC4のC12−SC4及びC18−SC4のN末端のアシル化の、5種類の異なるグラム陽性細菌の菌株に対する抗菌作用を決定した。使用した細菌株は、NM8、Hoch、Knutson、FR1722、及びRN6390である(Lockwood et al., Biochem. J. 378,93-103 (2004))。用量応答の結果をそれぞれ図10〜図14に示す。
これらの結果は、SC4のN末端アシル化(C12及びC18)がSC−4ペプチドの抗菌活性を大きく向上させることを証明している。この抗菌作用は、グラム陽性細菌、例えばブドウ球菌及び炭素菌に特異的な傾向がある。グラム陰性細菌株に対する活性は、最高でもわずかに約2倍まで増大する。このことは、SC4及びこの全体的な新規抗菌剤のクラスが働くこれらの細菌細胞膜における既知の差異と一致している。
C18誘導体の場合、抗菌作用の10〜20倍の増大が異なるグラム陽性細菌株;MN8(図10)、Hoch(図11)、Knutson(図12)、FR1722(図13)、及びRN6390(図14)上で観察された。
更に、SC−4、C12−SC4、及びC18−SC4を、S.アウレウス(S. aureus)の2種類の薬物耐性菌株(実施例1に記載のW73134及びM49780)に対して試験した。
薬物耐性は、現在利用可能な抗生物質の大きな問題である。いずれの場合でも、Sc−4のC12−及びC18−誘導体は、両方の薬物耐性菌株を死滅させた。両菌株は、通常、最も強力な市販の抗生物質であるバンコマイシンを用いた場合にのみ死滅する。これらの2種類のグラム陽性薬物耐性菌株についての用量応答の結果(図15及び16)は、親のSC−4と比較した場合のC12及びC18改変SC−4の効果を証明している。
実施例3
脂肪酸抱合によるペプチド抗菌活性の促進
3つのペプチド、YGAA[KKAAKAA](2)(配列番号20)であって、「AKK」とも称されるもの、KLFKRHLKWKII(SC4)、及びYG[AKAKAAKA](2)(配列番号21)であって、「KAK」とも称されるもの、をラウリル酸と抱合させ、そしてそれらの構造、抗菌活性、及び真核細胞毒性に対する効果について試験した(Chu-Kung et al. , Bioconjug Chem. 15(3) : 530-5 (2004))。抱合したAKKペプチドとSC4ペプチドは、抱合されていないペプチドと比較して抗菌活性の増大を示したが、抱合したKAKペプチドはそうではなかった。AKKの円二色スペクトルは、抱合型におけるそのアルファヘリックス含量において、細菌細胞膜を模倣しているホスファチジルエタノールアミン/ホスファチジルグリセロール小胞を含む溶液中でのペプチドKAKよりも有意により大きな増大を示した。KAK及びAKKペプチド並びにそれらの相当の脂肪酸抱合体は、真核細胞の細胞膜を模倣する、ホスファチジルコリン小胞の存在下で、それらの構造のわずかな変化を示した。KAK及びAKKペプチド並びに抱合体の溶血活性は低かった。しかしながら、SC4脂肪酸抱合体は、溶血活性の大きな増大と、ホスファチジルコリン小胞の存在下でのヘリックス含量の相当の増大を示した。これらの結果は、抗菌ペプチドの溶血活性と抗菌活性が二次構造の変化と関連しており、そして、修飾ペプチドが脂質膜と相互作用する能力を向上させることを示している。脂肪酸抱合は、抗菌剤としてのペプチドの有用性を、細菌細胞膜との相互作用の際にそれらが二次構造を形成する能力を強化させることにより向上させる。
本明細書で引用する全ての特許、特許出願、刊行物、及び電気回線を通じて利用可能な材料(例えば、ヌクレオチド配列の、例えばGenBank及びRefSeqへの提出、及びアミノ酸配列の、例えばSwissProt、PIR、PRF、PDBへの提出、並びに、GenBank及びRefSeqの注釈付きのコード領域由来の翻訳)の開示は、引用により組み入れられる。前述の詳細な説明及び実施例は、理解を明確にするためのみに示したものである。不必要な限定はそれから理解されるべきではない。本発明は、示し、そして記載した詳細に正確には限定されず、当業者にとって自明の変更については特許請求の範囲で規定する本発明の範囲内に含まれる。
全ての表題は読み手の便宜のためにあり、そして、特に断らない限り表題の後のテキストの意味を限定するために使用されるべきではない。
図1は、ペプチド配列(配列番号4)、ペプチド−両親媒性物質の構造、及び命名を表す図である。各配列の右側の「−NH2」はC末端のアミド化を示す。 図2は、グラム陰性のE.コリJ96、グラム陽性のS.パイオジェネス(S. pyogenes) イートンに対するSC4(黒丸)、C12−14(黒四角)、及びC18−SC4(黒三角)の代表的な用量応答曲線、グラム陽性のS.アウレウスのW73134細菌の薬物耐性、を示す。線は、LD50値を決定するために使用したシグモイドカーブフィットである。 図3は、DPCミセル、SDSミセル、DPPCリポソーム、及びDPPE/DPPGリポソームにおけるSC4(実線)、C12−SC4(点線)及びC18−SC4(破線)のCDスペクトルである。ミセル膜模倣体において、SC4両親媒性物質は、DPCミセル内のヘリックス構造と一致するスペクトルと、SDSミセル内のややヘリックスとは言えない構造と一致するスペクトルを示した。リポソーム膜模倣体は、DPPCリポソーム(赤血球模倣体)内の小さなSC4両親媒性構造を示すスペクトルを示す一方で、細菌性の模倣体としてのDPPE/DPPGリポソームにおけるより構造化された状態を示すスペクトルを示した。SC4ペプチドスペクトルは、あらゆる条件下で小さな構造を示す。水中でのスペクトルは、DPPCリポソーム内のものと類似しているように見え、37℃での結果は全ての条件で同じであった。 SDS及びDPCミセル内のC12−SC4のTOCSY及びNOESYスペクトルの領域。図4Aは、SDSミセル内のC12−SC4についてのTOCSYスペクトルを表す。TOCSYスペクトルの分散の増大及びより長い範囲のNOEは、DPCミセル内のC12−SC4についてのより構造化された状態を示す。図4Bは、DPCミセル内のC12−SC4についてのTOCSYスペクトルを表す。図4Cは、SDSミセル内のC12−SC4についてのNOESYスペクトルを表す。図4Dは、DPCミセル内のC12−SC4についてのNOESYスペクトルを表す。 同一条件下でのSC4に関連するDPC又はSDS内のC12−SC4についてのαH及びNH化学シフト。当該シフトの高磁場の性質は、脂肪酸抱合の結果、ヘリックス構造、特に残基K1−H7におけるヘリックス構造の安定化を示す。 DPCミセル及びSDSミセル内のC12−SC4についてのNOE結合性。DPC内のNOE結合性の数及び規則性は、秩序のある状態を示唆し、このパターンは、K1からK8残基のαヘリックス構造と一致している。SDSにおいて、観測可能なNOEはかなり少なかったが、それらのうちの幾つかがやや構造化されたペプチドと一致している。 DPCミセル内のC12−SC4のNOEに由来する構造。図7Aは、アラインメントのためにK1からW9の残基を用いた24個の最後の構造の重ね合わせを表す。図7Bは、1つの構造のリボンバックボーン表示であり、これは全体的にヘリックス状の折りたたみとやや秩序の無いC末端を示している。極性の残基を黒で示し、無極性の残基を灰色で示す。脂肪酸の尾部は丸と棒として示す。図7Cは平均構造の軸方向像を表しており、これは両親媒性ヘリックスにおける荷電側鎖(アルギニンとリジン)の分布を示す。極性の残基を黒で示し、無極性の残基を灰色で示す。 SDSミセル及びDPCミセル内のC12−SC4と同一条件下のSC4ペプチドとの間の側鎖の化学シフト差。全ての化学シフト差は、正の数と負の数についての解釈に対する憶測を回避するために絶対値として示す。 DPC及びSDSミセル内のC12−SC4についてのTOCSYスペクトルのリジン側鎖アミン領域。 グラム陽性のMN8細菌に対するSC4(黒四角)、C12−SC4(黒丸)、及びC18−SC4(黒三角)の抗菌活性。 グラム陽性のHoch細菌に対するSC4(黒四角)、C12−SC4(黒丸)、及びC18−SC4(黒三角)の抗菌活性。 グラム陽性のKnutson細菌に対するSC4(黒四角)、C12−SC4(黒丸)、及びC18−SC4(黒三角)の抗菌活性。 グラム陽性のFR1722細菌に対するSC4(黒四角)、C12−SC4(黒丸)、及びC18−SC4(黒三角)の抗菌活性。 グラム陽性のRN6390細菌に対するSC4(黒四角)、C12−SC4(黒丸)、及びC18−SC4(黒三角)の抗菌活性。 グラム陽性の薬物耐性W73134細菌に対するSC4(黒四角)、C12−SC4(黒丸)、及びC18−SC4(黒三角)の抗菌活性。 グラム陽性のM49780細菌に対するSC4(黒四角)、C12−SC4(黒丸)、及びC18−SC4(黒三角)の抗菌活性。
配列番号1−17、19−21 合成ポリペプチド
配列番号18 合成ペプチド基質

Claims (44)

  1. 主として正電荷のアミノ酸残基を含んで成る一面と、主として疎水性のアミノ酸残基を含んで成る反対面とを有する両親媒性のα−ヘリックス又は310ヘリックス構造を有するポリペプチドを含んで成り、これらの残基が表面活性ドメインを規定し、当該ポリペプチドが最大14アミノ酸残基を有し、当該ポリペプチドが少なくとも6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖脂肪族基を含むようにN末端及び/又はC末端で修飾され、且つ修飾されたポリペプチドが、少なくとも6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖脂肪族基を含むようにN末端及び/又はC末端で修飾される前のポリペプチドの殺菌活性と比較して強化された殺菌活性を示す、修飾ポリペプチド。
  2. 最大12アミノ酸残基を有する、請求項1に記載の修飾ポリペプチド。
  3. ポリペプチドが配列番号1〜17及びそのアナログから成る群から選択され、ここで、Xがアミノ酸であり、
    そしてその活性アナログが1又は2つの連続又は不連続アミノ酸残基の欠失、1又は2つの連続又は不連続アミノ酸残基の付加、1又は2つの連続又は不連続アミノ酸残基の置換、化学的修飾、及び/又は酵素的修飾を含む、請求項1に記載の修飾ポリペプチド。
  4. Xがノルロイシンである、請求項3に記載の修飾ポリペプチド。
  5. ポリペプチドが配列番号1〜8及びその活性アナログから成る群から選択され、
    その活性アナログが、又は2つの連続又は不連続アミノ酸残基の欠失、1又は2つの連続又は不連続アミノ酸残基の付加、1又は2つの連続又は不連続アミノ酸残基の置換、化学的修飾、及び/又は酵素的修飾を含む、請求項1に記載の修飾ポリペプチド。
  6. 脂肪族基が1又は複数の不飽和炭素間結合を含む、請求項1に記載の修飾ポリペプチド。
  7. 脂肪族基がポリペプチドとN末端及び/又はC末端で結合している、請求項1に記載の修飾ポリペプチド。
  8. 脂肪族基が脂肪酸由来のアルキル基である、請求項1に記載の修飾ポリペプチド。
  9. 脂肪酸がC8−C22脂肪酸である、請求項8に記載の修飾ポリペプチド。
  10. 脂肪酸がC10−C20脂肪酸である、請求項8に記載の修飾ポリペプチド。
  11. 脂肪族基が少なくとも11炭素原子を有する、請求項1に記載の修飾ポリペプチド。
  12. 脂肪族基が11〜19炭素原子を有する、請求項1に記載の修飾ポリペプチド。
  13. 配列番号1〜17及びその活性アナログから成る群から選択されるポリペプチドを含んで成り、ここで、Xがアミノ酸であり、
    当該ポリペプチドが少なくとも6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖脂肪族基を含むようにN末端及び/又はC末端で修飾されており、
    活性アナログが1又は2つの連続又は不連続アミノ酸残基の欠失、1又は2つの連続又は不連続アミノ酸残基の付加、1又は2つの連続又は不連続アミノ酸残基の置換、化学的修飾、及び/又は酵素的修飾を含む、修飾ポリペプチド。
  14. 少なくとも6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖脂肪族基を含むようにN末端及び/又はC末端を修飾する前のポリペプチドの殺菌活性と比較して増大した殺菌活性を示す、請求項13に記載の修飾ポリペプチド。
  15. Xがノルロイシンである、請求項13に記載の修飾ポリペプチド。
  16. ポリペプチドが請求項1〜8及びそれらの活性アナログから成る群から選択される、請求項13に記載の修飾ポリペプチド。
  17. 配列番号4又はその活性アナログである、請求項13に記載の修飾ポリペプチド。
  18. 配列番号4である、請求項13に記載の修飾ポリペプチド。
  19. 脂肪族基が1又は複数の不飽和炭素間結合を含む、請求項13に記載の修飾ポリペプチド。
  20. 脂肪族基がポリペプチドとN末端及び/又はC末端で結合している、請求項13に記載の修飾ポリペプチド。
  21. 脂肪族基が脂肪酸由来のアルキル基である、請求項13に記載の修飾ポリペプチド。
  22. 脂肪酸がC8−C22脂肪酸である、請求項21に記載の修飾ポリペプチド。
  23. 脂肪酸がC10−C20脂肪酸である、請求項21に記載の修飾ポリペプチド。
  24. 脂肪酸がC8−C22脂肪酸である、請求項21に記載の修飾ポリペプチド。
  25. 脂肪族基が少なくとも11炭素原子を有する、請求項13に記載の修飾ポリペプチド。
  26. 脂肪族基が11〜19炭素原子を有する、請求項1に記載の修飾ポリペプチド。
  27. 請求項1に記載の修飾ポリペプチドを含んでなる組成物。
  28. 請求項1に記載の修飾ポリペプチド及び医薬として許容される担体を含んで成る組成物。
  29. 主として正電荷のアミノ酸残基を含んで成る一面と、主として疎水性のアミノ酸残基を含んで成る反対面とを有する両親媒性のベータシート構造を有するポリペプチドを含んで成り、
    ここで、これらの残基が表面活性ドメインを規定し、当該ポリペプチドが最大14アミノ酸残基を有し、
    当該ポリペプチドが少なくとも6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖脂肪族基を含むようにN末端及び/又はC末端で修飾され、
    且つ修飾されたポリペプチドが、少なくとも6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖脂肪族基を含むようにN末端及び/又はC末端で修飾される前のポリペプチドの殺菌活性と比較して強化された殺菌活性を示す、修飾ポリペプチド。
  30. 対象者の細菌感染を処置する方法であって、対象者に対し、殺菌活性を示すのに有効な量の請求項1に記載の修飾ポリペプチドを投与することを含んでなる方法。
  31. 修飾ポリペプチドが更に内毒素を中和する、請求項30に記載の方法。
  32. 対象者の内毒素を処置する方法であって、対象者に対し、内毒素を中和するのに有効な量の請求項1に記載の修飾ポリペプチドを投与することを含んでなる方法。
  33. 修飾ポリペプチドが更に殺菌活性を示す、請求項32に記載の方法。
  34. in vitroでの細菌増殖を阻害する方法であって、細菌細胞の増殖を阻害し、そして/あるいは殺菌活性を示すのに有効な量の請求項1に記載の修飾ポリペプチドと細菌を接触させることを含んで成る方法。
  35. in vitroで内毒素を中和するための方法であって、内毒素を中和するのに有効な量の請求項1に記載の修飾ポリペプチドと細胞を接触させることを含んで成る方法。
  36. 対象者のTNFα量を低下させるための方法であって、当該対象者に対し、請求項1に記載の修飾ポリペプチドをTNFα量を低下させるのに有効な量投与することを含んで成る方法。
  37. in vitroでのTNFα量を低下させるための方法であって、細胞と、TNFα量を低下させるのに有効な量の前記修飾ポリペプチドとをインキュベートすることを含んで成る方法。
  38. 対象者の内皮細胞増殖を阻害するための方法であって、当該対象者に対し、内皮細胞増殖を阻害するのに有効な量の請求項1に記載の修飾ポリペプチドを投与することを含んで成る方法。
  39. in vitroでの内皮細胞増殖を阻害するための方法であって、内皮細胞と、内皮細胞増殖を阻害するのに有効な量の請求項1に記載の修飾ポリペプチドとを接触させることを含んで成る方法。
  40. 対象者の血管新生因子媒介型細胞接着分子の発現のダウンレギュレーションを阻害するための方法であって、当該対象者に対し、血管新生因子媒介型細胞接着分子の発現のダウンレギュレーションを阻害するのに有効な量の請求項1に記載の修飾ポリペプチドを投与することを含んで成る方法。
  41. in vitroでの血管新生因子媒介型細胞接着分子の発現のダウンレギュレーションを阻害するための方法であって、内皮細胞と、血管新生因子媒介型細胞接着分子の発現のダウンレギュレーションを阻害するのに有効な量の請求項1に記載の修飾ポリペプチドとを接触させることを含んで成る方法。
  42. 対象者の血管新生を阻害するための方法であって、当該対象者に対し、血管新生を阻害するのに有効な量の請求項1に記載の修飾ポリペプチドを投与することを含んで成る方法。
  43. in vitroでの血管新生を阻害するための方法であって、細胞と、血管新生を阻害するのに有効な量の請求項1に記載の修飾ポリペプチドとを接触させることを含んで成る方法。
  44. 対象者の腫瘍形成を阻害するための方法であって、当該対象者に対し、腫瘍形成を阻害するのに有効な量の請求項1に記載の修飾ポリペプチドを当該対象者に投与することを含んで成る方法。
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