JP2007509961A - ジペプチド類似体合成 - Google Patents

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Abstract

詳細な説明の節に更に記載された式(I)
【化1】
Figure 2007509961

のジペプチド化合物の製造方法が開示される。

Description

出願データ
この出願は2003年10月30日に出願された米国仮特許出願第60/515,848号の優先権を主張する。
本発明は特にプロテアーゼ酵素のインヒビターとしての、薬理学的活性を有するジペプチド化合物を調製するための合成方法に関する。
ペプチジルニトリルがプロテアーゼインヒビターとして報告されていた。例えば、ニトリル及びケト複素環の両方が神経変性疾患の治療に有益なプロテアーゼインヒビターとしてB.A. Roweら(米国特許第5,714,471号)により記載されている。ペプチジルニトリルがピコルナウイルスプロテアーゼのインヒビターとしてB. Malcolmら(WO 9222570)により報告されている。B.J. Gour-Salin(Can. J. Chem., 1991, 69, 1288)及びT.C. Liang(Arch. Biochim. Biophys., 1987, 252, 626)はパパインのインヒビターとしてペプチジルニトリルを記載していた。
ジペプチドニトリルをベースとするカテプシンSインヒビターの例がノバルチスの出願、WO 99/24460, 1999及び関連米国特許第6,353,017号により報告されていた。一般構造の一つが以下に示される。
Figure 2007509961
そこに提供された方法はアミド、例えば、
Figure 2007509961
を相当するニトリルに変換すること及び(I)に到達するための中間体の幾つかの縮合反応を提供する。これらの方法の欠点は直線的な順序及びキラル中心が確立された後の脱保護/アシル化反応であり、これはラセミ化の潜在的な問題を有する。
米国特許第6,525,052号及び同第6,420,364号、米国仮特許出願第60/454,239号(夫々本件出願の譲受人により共有される)は、P1複素環を有するジペプチドニトリルを記載している。例2、3及び5に示された合成スキームの一つはそこに開示された特別なペプチドニトリルの合成における使用のための中間体2-ベンジルオキシカルボニルアミノ-5,5-ジメチル-ヘプタン酸の調製で始まる方法を開示している。
例2、3及び5:


Figure 2007509961
上記方法と較べて、本明細書に記載された本発明はジペプチド化合物を調製するための改良されたスケールアップ可能かつコスト有効な一般方法を提供する。
それ故、本発明の目的は詳細な説明の節に更に記載されるような式(I)のジペプチド化合物の製造方法を提供することである。







Figure 2007509961
本発明は同様の既知の方法に対し幾つかの利点を有する。
主要中間体ペンテンアルデヒド(IV)は新規パラジウム触媒タンデムビニルエーテル交換−クライゼン転位方法により合成された。この方法は高度に原子上かつ容量上有効である。既知の方法は触媒として水銀塩(これは毒性である)を使用することのみにより可能である。本発明のこの方法は当業界で見られる還元剤-酸化剤の使用を回避し、それ故、それは一層環境にやさしく、かつコスト有効である。
別の利点は尿素-デヒドロアミノエステル(VII)が“ワンポット”−3工程順序により有効に合成されたことである。それ故、これは単離/精製作業を回避し、溶媒及び労働作業を節減する。尿素-デヒドロアミノエステル(VII)は当業界におけるデヒドロアミノエステルの精製のためのカラムクロマトグラフィーの使用を回避する再結晶により再結晶し得た。
デヒドロアミノエステルの非対称水素化が知られているが、尿素置換デヒドロアミノエステルの非対称水素化は当業界で知られていない。本発明者らは新たに開発された触媒TangPhos-Rh(COD)OTfを使用することにより高度にエナンチオ選択的かつ高収率の水素化方法を成功裏に開発した。
最も広い包括的実施態様において、式(I):
Figure 2007509961
のジペプチド化合物の調製方法が提供される。
式中、
Hetは複素環又はヘテロアリールであり、かつその構造中に示されるカルボニル基に共有結合されている少なくとも1個の窒素原子を含む単環式環又は二環式環である。
好ましいHetとして、アゼパニル、アゾカニル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、インドリニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、テトラゾリル、ピラゾリル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、キノリニル、テトラヒドロキノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、キナゾリニル、テトラヒドロキナゾリニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジニル及びキノキサリニルが挙げられる。
最も好ましい実施態様において、Hetが
Figure 2007509961
であり、
環aがアゼパニル、ピペリジニル、ピロリジニル、アゼチジニル、オキセパニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロフラニル、オキセタニル、アゾカニル、オキソカニル、1,3-ジアゾカニル、1,4-ジアゾカニル、1,5-ジアゾカニル、1,3-ジオキソカニル、1,4-ジオキソカニル、1,5-ジオキソカニル、1,3-オキサゾカニル、1,4-オキサゾカニル、1,5-オキサゾカニル、1,3-ジアゼパニル、1,4-ジアゼパニル、1,3-ジオキセパニル、1,4-ジオキセパニル、1,3-オキサゼパニル、1,4-オキサゼパニル、1,2-チアゾカニル-1,1-ジオキシド、1,2,8-チアジアゾカニル-1,1-ジオキシド、1,2-チアゼパニル-1,1-ジオキシド、1,2,7-チアジアゼパニル-1,1-ジオキシド、テトラヒドロチオフェニル、ヘキサヒドロピリミジニル、ヘキサヒドロピリダジニル、ピペラジニル、1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニル、ピラゾリジニル、ジヒドロ-オキサゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロイミダゾリル、イソオキサゾリニル、オキサゾリジニル、1,2-チアジナニル-1,1-ジオキシド、1,2,6-チアジアジナニル-1,1-ジオキシド、イソチアゾリジニル-1,1-ジオキシド、イミダゾリジニル-2,4-ジオン、イミダゾリジニル、モルホリニル、ジオキサニル、テトラヒドロピリジニル、チオモルホリニル、チアゾリジニル、ジヒドロピラニル、ジチアニル、デカヒドロ-キノリニル、デカヒドロ-イソキノリニル、1,2,3,4-テトラヒドロ-キノリニル、インドリニル、オクタヒドロ-キノリジニル、ジヒドロ-インドリジニル、オクタヒドロ-インドリジニル、オクタヒドロ-インドリル、デカヒドロキナゾリニル、デカヒドロキノキサリニル、1,2,3,4-テトラヒドロキナゾリニルもしくは1,2,3,4-テトラヒドロキノキサリニル、
C6-10ブリッジされたビシクロ(1個以上の炭素原子が必要によりN、O及びSから選ばれたヘテロ原子により置換されていてもよい)、又は
C4-7シクロアルキルである。
好ましい環aとして、ピペリジニル、ピロリジニル、アゼチジニル及びアゼパニルが挙げられ、ピペリジン-4-イルが最も好ましい。
環a又はHetの夫々が必要により1個以上のR4〔これは水素又は分岐アルキルもしくは直鎖アルキルから選ばれ、その鎖中の夫々の炭素原子が必要によりO、S、及びN-R5(式中、R5は水素又はアルキルであり、またR5は必要により1個以上のアルコキシ、アミン、ハロゲン、炭素環、ヘテロアリール又は複素環により置換されていてもよい)から選ばれた1〜3個のヘテロ原子で置換されていてもよい〕で置換されていてもよい。
R1及びR2は夫々独立にアルキル、アルコキシ、炭素環、炭素環(S(O)m-、アルキルS(O)m-(式中、mは0、1又は2である)、複素環又はヘテロアリールである。好ましいR1及びR2はC1-5アルキルであり、メチルが最も好ましい。
R3はシアノ、アミノ又は-C(O)-Ar(式中、Arは複素環、ヘテロアリール又は炭素環である)であり、好ましくはR3はシアノである。
前記方法は下記の工程を含む:
a)式(II)のアリルアルコールをパラジウム触媒及びリガンドの存在下で20℃〜120℃の温度範囲、好ましくは約70℃で式(III)のビニルエーテルと反応させる。この反応工程における新規特徴はビニルエーテル交換がクライゼン転位と組み合わされることであり、その反応は約7時間にわたって約100-200℃、好ましくは120-145℃で起こる。パラジウム触媒として、Pd(OAc)2、Pd(OCOCF3)2、PdCl2が挙げられ、好ましい触媒はPd(O-C(O)-CH3)2である。リガンドとして、1,10-フェナトロリン、4,7-ジフェニル-1,10-フェナトロリン、2,2'-ジピリジルが挙げられる。好ましいリガンドは1,10-フェナトロリンである。
Figure 2007509961
(式(III)中のnは2、3、4又は5、好ましくは3である)
b)ワンポット反応で、中間体(V)を還元し、窒素含有複素環(VI)(その窒素原子の一つが反応性アシル基、例えば、-CO-X(式中、Xはハロゲン原子、好ましくはクロロである)を有する)と反応させ、続いて上記生成物(IV)と更に反応させて、生成物として新規中間体(VII)を得、続いて(VII)を好適な条件下でH2/Rh-(RRSS)-TangPhosの如き非対称接触水素化により還元してエステル(VIII)を得る。続いて、中間体(VIII)を、好ましくは塩基性加水分解反応により、更に好ましくはLiOH水溶液で加水分解して酸(IX)を生成する。
Figure 2007509961
c)先に生成された中間体(IX)を続いて好適なカップリング条件、例えば、EDC/HOBt、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N,N'-ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、O-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチル-ウロニウムヘキサフルオロホスフェート、トリメチルアセチルクロリド/i-Pr2NEt、トリメチルアセチルクロリド/トリエチルアミン、トリメチルアセチルクロリド/N-メチルモルホリン、イソブチルクロロホルメート/トリエチルアミン、イソブチルクロロホルメート/N-メチルモルホリン、イソブチルクロロホルメート/i-Pr2NEt、エチルクロロホルメート/N-メチルモルホリン、2,4,6-トリクロロベンゾイルクロリド/i-Pr2NEt、2,4,6-トリクロロベンゾイルクロリド/トリエチルアミン、2,4,6-トリクロロベンゾイルクロリド/N-メチルモルホリンのもとに、好ましくは1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)及び1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(HOBt)を使用して、環aを有するアミン中間体と反応させて(I)を生成する。
Figure 2007509961
特にことわらない限り、1個以上の不斉炭素原子を含む本発明の方法により生成された化合物はラセミ体及びラセミ体混合物、単一鏡像体、ジアステレオマー混合物並びに個々のジアステレオマーとして生じてもよい。これらの化合物の全てのこのような異性体形態が本発明に明らかに含まれる。夫々の立体中心(stereogenic)炭素は、特に明記されない限り、R配置もしくはS配置、又はこれらの配置の組み合わせであってもよい。
本発明の好ましい実施態様において、生成物化合物中で、P2キラル炭素は天然アミノ酸配置を有する(S)鏡像体である。本発明の化合物の幾つかは一種より多い互変異性体形態で存在し得る。本発明は全てのこのような互変異性体を生成することを含む。
本明細書に開示された方法により生成された全ての化合物は化学的に安定である化合物であることが当業者により理解されるべきである。
本明細書に記載された発明が更に充分に理解し得るために、下記の詳細な説明が示される。本明細書に使用されるように、下記の略号が使用される。
BOC又はt-BOCはターシャリィ-ブトキシカルボニルであり、
t-Buはターシャリィ-ブチルであり、
DMFはジメチルホルムアミドであり、
EtOAcは酢酸エチルであり、
OAcはアセテートであり、
THFはテトラヒドロフランであり、
NMMは4-メチルモルホリンであり、
CH2Cl2はジクロロメタンであり、
MgSO4は硫酸マグネシウムであり、
Na2SO4は硫酸ナトリウムであり、
Arはアルゴンであり、
EDCは1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩であり、また
HOBtは1-ヒドロキシベンゾトリアゾールであり、
DBUは1,8-ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデカ-7-エンであり、
MTBEはtert-ブチルメチルエーテルである。
また、本明細書に使用されるように、単独で、又はその他の用語と一緒に使用される、下記の用語の夫々が以下のように定義される(その逆にことわられる場合を除く)。
“アルキル”という用語は1〜10個の炭素原子を含む飽和脂肪族基又は2〜12個の炭素原子を含むモノ不飽和もしくはポリ不飽和脂肪族炭化水素基を表す。モノ不飽和又はポリ不飽和脂肪族炭化水素基は夫々少なくとも一つの二重結合又は三重結合を含む。“アルキル”は分岐アルキル基及び非分岐アルキル基の両方を表す。“アルキル”の例として、1〜8個の炭素原子を含む直鎖アルキル基及び3〜8個の炭素原子を含む分岐アルキル基であるアルキル基が挙げられる。その他の例として、1〜6個の炭素原子を含む直鎖アルキル基及び3〜6個の炭素原子を含む分岐アルキル基である下級アルキル基が挙げられる。“alk”又は“アルキル”接頭辞を使用するあらゆる組み合わせ用語は“アルキル”の上記定義に従う類似体を表すことが理解されるべきである。例えば、“アルコキシ”、“アルキルチオ”の如き用語は酸素原子又は硫黄原子を介して第二の基に結合されたアルキル基を表す。“アルカノイル”はカルボニル基(C=O)に結合されたアルキル基を表す。本明細書に記載された夫々のアルキル又はアルキル類似体は必要により部分又は完全ハロゲン化されていてもよいことが理解されるべきである。
炭素環は芳香族もしくは部分飽和である“アリール”、又は非芳香族シクロアルキルを表す。
“シクロアルキル”という用語は先に定義された、アルキル基の環状類似体を表す。シクロアルキル基の例は3〜8個の炭素原子を含む飽和又は不飽和非芳香族シクロアルキル基であり、その他の例として、3〜6個の炭素原子を有するシクロアルキル基が挙げられる。本明細書に記載された夫々のシクロアルキルは必要により部分又は完全ハロゲン化されていてもよいことが理解されるべきである。
“アリール”という用語はフェニル及びナフチルを表す。
“ハロゲン”という用語はフルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードから選ばれたハロゲン基を表す。
“ヘテロアリール”という用語は安定な5-8員(好ましくは、5員又は6員)単環式又は8-11員二環式の芳香族複素環基を表す。夫々の複素環は炭素原子と窒素、酸素及び硫黄から選ばれた1〜4個のヘテロ原子からなる。複素環は環のいずれかの原子により結合されてもよく、これが安定な構造の形成をもたらす。特に特定されない限り、“ヘテロアリール”の例として、フラニル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、インドリジニル、インドリル、イソインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、プリニル、キノリジニル、キノリニル、イソキノリニル、シノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル及びフェノキサジニルの如き基が挙げられる。
“複素環”という用語は安定な4-8員(好ましくは、5員又は6員)単環式又は8-11員二環式の複素環基(これは飽和又は不飽和であってもよく、非芳香族である)を表す。夫々の複素環は炭素原子と窒素、酸素及び硫黄から選ばれた1〜4個のヘテロ原子からなる。複素環は環のいずれかの原子により結合されてもよく、これが安定な構造の形成をもたらす。特に特定されない限り、“複素環”の例として、ピロリニル、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピラニル、チオピラニル、ピペラジニル、インドリニル、アゼチジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロフラニル、ヘキサヒドロピリミジニル、ヘキサヒドロピリダジニル、1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン-2-イルアミン、ジヒドロ-オキサゾリル、1,2-チアジナニル-1,1-ジオキシド、1,2,6-チアジアジナニル-1,1-ジオキシド、イソチアゾリジニル-1,1-ジオキシド及びイミダゾリジニル-2,4-ジオンの如き基が挙げられる。
“複素環”、“ヘテロアリール”又は“アリール”という用語は、別の部分と関連される場合、特に明記されない限り、先に示されたのと同じ意味を有するべきである。例えば、“アロイル”はカルボニル基(C=O)に結合されたフェニル又はナフチルを表す。
夫々のアリール又はヘテロアリールは、特に明記されない限り、その部分又は完全水素化誘導体を含む。例えば、キノリニルはデカヒドロキノリニル及びテトラヒドロキノリニルを含んでもよく、ナフチルはテトラヒドロナフチルの如きその水素化誘導体を含んでもよい。本明細書に記載されたアリール化合物及びヘテロアリール化合物のその他の部分又は完全水素化誘導体は当業者に明らかであろう。
“アミン”という用語は夫々の水素原子がアルキル、炭素環、炭素環アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、複素環、複素環アルキルにより置換されていてもよい-NH2基を意味し、その結果、アミン窒素は前記基により一置換又は二置換されていてもよい。
本明細書に先に使用され、またこの出願中に使用される、“窒素”及び“硫黄”は窒素及び硫黄のあらゆる酸化された形態並びにあらゆる塩基性窒素の四級化された形態を含む。
本発明が更に充分に理解されるために、下記の実施例が示される。これらの実施例は本発明の好ましい実施態様を示す目的のためであり、本発明の範囲を何ら限定すると見なされるべきではない。
下記の実施例は例示であり、当業者により認められるように、特別な試薬又は条件が個々の化合物について必要に応じて変更し得る。下記のスキーム中に使用される出発物質は市販されており、又は当業者により市販の物質から容易に調製される。これに関して、米国特許第6,525,052号及び同第6,420,364号、米国仮特許出願第60/454,239号が参考にされてもよい。
この出願中に引用された全ての雑誌及び特許文献は参考として本明細書にそのまま含まれる。
連続のビニルエーテル生成及びクライゼン転位による3,3-ジメチルペント-4-エナールの合成
Figure 2007509961






Figure 2007509961
Pd(OAc)2(22.4g、0.1モル)及び1,10-フェナントロリン(18.0g、0.1モル)を12Lの3口フラスコに添加した。トリエチレングリコールジビニルエーテル(6.06kg、6L、30モル)を添加し、その混合物を室温で20分間撹拌し、その間にレモン黄色の懸濁液を生成した。3-メチル-2-ブテノール(1.72kg、2L、20モル)を添加し、その反応混合物を穏やかに68-70℃に加熱した。その反応液はこの時点で透明な黄色の溶液になった。5-7時間撹拌した後、NMRは3-メチル-2-ブテノールの約80%がそのビニルエーテルに変換されたことを示した。1,4-ブチンジオール(12g、0.28モル)を添加し、次いでその反応混合物を110-120℃まで加熱した。還流を維持するために温度を約1時間以内で145℃に徐々に上昇させ、次いで1H-NMRが転位の終了を示すまでこの温度で5-10時間保った。その反応混合物を約120℃に冷却し、真空下で蒸留した。約90℃/300mg Hgにおける留分を集めた。所望の生成物1.34kgを無色の液体として得た(収率60%)。
デヒドロ尿素エステルの“ワンポット”合成(工程2−4)
Figure 2007509961
N-(ベンジルオキシカルボニル)-α-ホスホノグリシントリメチルエステルの水素化
20Lの乾燥オートクレーブを7.0kg/cm2(100psi)でN2で加圧試験し、次いで排気し、真空下に置いた。残留真空を使用して、THF(12L)中のCbz-α-ホスホノグリシントリメチルエステル(3.0kg、9.06モル)の溶液をオートクレーブに移した。撹拌機用の冷却水を始動させ、バッチを500-700rpmで撹拌し、オートクレーブをN2で10-15分間パージし、次いでわずかな真空下に置いた。残留真空を使用して、最小量のTHF中のデグッサ型E101 NE/W約50%のH2O湿潤Pd/C(600g、10重量%)のスラリーを反応器に移した。反応器をシールし、窒素でパージし、水素で0.70kg/cm2(10psi)に加圧し、2回排気した。チェック弁を備えたラインを使用して反応器を7.0kg/cm2(100psi)まで充填し、ラインを開放して内部圧力を7.0kg/cm2(100psi)に維持した。4時間後に、H2を徐々に排出し、サンプルをHPLCのために採取して反応液が2%未満の出発物質を含むことを確かめた。真空を使用して、反応液をMgSO4(1kg)を含むフィルターロートに移してPd/C及びH2Oを除去した。パッドをTHFですすぎ、濾液を次の工程へと直接採取した。
注:濾過中にパッドを乾燥させてはならない。発火の危険。
注:この反応で生成されたアミノホスホノエステルは濃縮された場合に極めて不安定であり、爆発的に分解し得る。
尿素生成
上記アミンを含む溶液をメカニカル・スターラー、熱伝対及び窒素入口を備えた50Lのフラスコに移した。4-モルホリンカルボニルクロリド(1.25L、10.9モル)及びN-メチルモルホリン(1.64L、14.9モル)を17℃で添加し、二三度の温和な遅延された発熱があり、その反応を一夜放置した。反応を31P NMR、又はLCMSにより追跡した。反応が完結した時、それを処理又は精製しないで次の工程に使用した。
ホーナー・エモンズ・ワッズワース反応
THF中の尿素ホスホノエステルのスラリーを約10℃に冷却し、3,3-ジメチル-4-ペンテナール(1.35kg、純度83%、1.0モル)をTHFすすぎ(2L)とともに添加した。DBU(2.9kg、19モル)を添加ロートに仕込み、反応の内部温度を6-17℃に維持しながら反応液に3.5時間にわたって滴下して添加した。添加が完結した後、その反応を室温に徐々に温め、LCMSにより追跡した。ホスホネートがLCMSにより消費された時に、スラリーを氷浴中で約4℃に冷却し、4M HCl (12L)を2.5-3.5時間にわたって反応液に徐々に滴下し、その間に反応温度を20℃以下に保った。次いで層を分離し、水層をEtOAc(2x8L)で抽出し、有機層を合わせ、1M HCl (6L)で洗浄し、蒸留により濃縮して粗生成物をスラリー/固体として得た。
結晶化
二つのバッチを合わせ、EtOAc(4L)を添加し、次いでホース真空下で50℃以下で蒸留してTHFの殆どを除去した。粗物質をEtOAc(1.8L)及びヘプタン(3.8L)と混合し、水浴中で70℃に加熱し、溶液が約66℃で生成した。その溶液の温度を数時間にわたって周囲温度に徐々に下げ、周囲温度で一夜撹拌した。固体を真空濾過により集め、フラスコを母液ですすいだ。オフホワイトの固体を真空オーブン中で40℃以下で乾燥させ、窒素でパージして3.7kgを1/126のE/Z比で得た。
デヒドロ尿素エステル(3.6kg)を2.5時間にわたってH2O(9L)を含む22Lのフラスコ中でスラリーにすることにより、生成物を更に精製し、白色の固体を真空濾過により集め、真空オーブン中で40℃以下で乾燥させて所望の生成物2.98gをふわふわした白色の固体として得た。
非対称水素化による置換キラルアミノエステルの合成
Figure 2007509961
化合物 MW 質量 モル数 当量
デヒドロアミノエステル 296 1.5kg 5.0モル 1
Rh(COD)2OTf 468 2.34g 0.005モル 0.001
(RRSS)-TangPhos 286 1.57g 0.0055モル 0.0011
MeOH 6L 溶媒
Pd-C (10%、50%湿潤) 75g (1:20)
キラル触媒の調製:
Rh(COD)2OTf及びリガンドをArの下でメタノール(500ml)中で混合した。その溶液を周囲温度で30分間撹拌した。水素を更に15分間にわたってその中に吹き込んだ。
非対称水素化:
メタノール5.5L中のデヒドロアミノエステルをオートクレーブに添加した。その溶液を2.1kg/cm2(30psi)で水素で4回パージした。キラル触媒の溶液をカニューレで添加し、その反応混合物を3.5kg/cm2(50psi)の水素の下で10時間にわたって周囲温度で撹拌した。NMR及びHPLCの両方が出発物質の消失を示した。
末端アルケンの水素化(Pd-C):
水素圧力を解放した。その反応混合物にパラジウム/木炭(75g)を添加し、その反応混合物を水素(2.1kg/cm2(30psi))で3回パージした。その反応混合物を3.5kg/cm2(50psi)の水素の下で3時間撹拌した。NMR及びHPLCが反応の完結を示した。Pd-Cをケイソウ土パッドによる濾過により除去した。その溶液を更に精製しないで次の工程に直接使用した。HPLCアッセイは生成物1.5kgが得られたことを示した。収率>99%、ee:キラルHPLCに基づいて99%。
酸へのキラルアミノエステルの加水分解:
Figure 2007509961
メカニカル・スターター及び窒素入口を取り付けた22Lの3口フラスコに、エステル(1.40kg、4.66モル)を添加した。メタノール(4.20L)及びTHF(4.20L)をフラスコに仕込み、透明な溶液が得られるまで内容物を撹拌した。水4.20L中の水酸化リチウム(215.10g、5.13モル、1.1当量)の溶液をフラスコに徐々に添加した。冷水浴を使用して、反応温度を30℃以下に維持した。添加の終了時に、冷浴を除去し、反応混合物を22±2℃で2時間撹拌した。内部温度を15-20℃に保って、反応混合物のpHを2N HCl (1.40L)の添加により約5-6に調節した。その混合物を減圧で蒸留にかけて揮発性溶媒(MeOH及びTHF)を除去した。残渣を2N HCl (1.82L)でpH約3に調節し、MTBE(2x4.66L)で抽出した。合わせた有機相を飽和食塩水(2.30L)で洗浄した。酸を含む有機層(約11.8L)をMTBEの蒸留により最小の撹拌可能な容積に濃縮した。MTBE(9.30L)を添加し、得られる混合物を減圧で蒸留した。次いで無水THF(9.30L)を残渣に添加し、減圧で最小の撹拌可能な容積に蒸留した。無水THF(7.0L)を残渣に添加した。その溶液をHPLCによりアッセイし、それを窒素の下で冷たい乾燥した場所で貯蔵した。
アミドカップリングのための操作
Figure 2007509961
Figure 2007509961
THF(2.8L)中の酸(1.20kg、4.19モル)の溶液に、無水DMF(2.88L)及びHOBT(0.706kg、4.61モル)を添加した。温度を15〜17℃に保って、EDC(0.884kg、4.61モル)を数回に分けて添加した。1時間撹拌した後、アミノニトリル(0.671kg、4.82モル)を45分間にわたって添加し(T<20℃)、その反応混合物を3時間撹拌した。この時点で残りのHOBT(0.141kg)及びEDC(0.221kg)を添加し、周囲温度で16時間撹拌した。その反応混合物を濾過して粒状物を除去し、7%の重炭酸ナトリウム溶液(29L)に注入することにより反応停止した。その混合物を周囲温度で4時間撹拌した。生成物を濾過し、水(3x5L)で洗浄し、N2の下で乾燥させた。単離収量:1.32kg(77.3%)、ee=100%、純度:HPLCにより97.55%。

Claims (5)

  1. 式(I):
    Figure 2007509961
    〔式中、
    Hetは複素環又はヘテロアリールであり、かつカルボニル基に共有結合している少なくとも1個の窒素原子を含む単環式環又は二環式環であり、
    環aは
    アゼパニル、ピペリジニル、ピロリジニル、アゼチジニル、オキセパニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロフラニル、オキセタニル、アゾカニル、オキソカニル、1,3-ジアゾカニル、1,4-ジアゾカニル、1,5-ジアゾカニル、1,3-ジオキソカニル、1,4-ジオキソカニル、1,5-ジオキソカニル、1,3-オキサゾカニル、1,4-オキサゾカニル、1,5-オキサゾカニル、1,3-ジアゼパニル、1,4-ジアゼパニル、1,3-ジオキセパニル、1,4-ジオキセパニル、1,3-オキサゼパニル、1,4-オキサゼパニル、1,2-チアゾカニル-1,1-ジオキシド、1,2,8-チアジアゾカニル-1,1-ジオキシド、1,2-チアゼパニル-1,1-ジオキシド、1,2,7-チアジアゼパニル-1,1-ジオキシド、テトラヒドロチオフェニル、ヘキサヒドロピリミジニル、ヘキサヒドロピリダジニル、ピペラジニル、1,4,5,6-テトラヒドロピリミジニル、ピラゾリジニル、ジヒドロ-オキサゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロイミダゾリル、イソオキサゾリニル、オキサゾリジニル、1,2-チアジナニル-1,1-ジオキシド、1,2,6-チアジアジナニル-1,1-ジオキシド、イソチアゾリジニル-1,1-ジオキシド、イミダゾリジニル-2,4-ジオン、イミダゾリジニル、モルホリニル、ジオキサニル、テトラヒドロピリジニル、チオモルホリニル、チアゾリジニル、ジヒドロピラニル、ジチアニル、デカヒドロ-キノリニル、デカヒドロ-イソキノリニル、1,2,3,4-テトラヒドロ-キノリニル、インドリニル、オクタヒドロ-キノリジニル、ジヒドロ-インドリジニル、オクタヒドロ-インドリジニル、オクタヒドロ-インドリル、デカヒドロキナゾリニル、デカヒドロキノキサリニル、1,2,3,4-テトラヒドロキナゾリニル、1,2,3,4-テトラヒドロキノキサリニル、
    C6-10ブリッジされたビシクロ(1個以上の炭素原子が必要によりN、O及びSから選ばれたヘテロ原子により置換されていてもよい)、又は
    C4-7シクロアルキルであり、
    環a又はHetの夫々が必要により1個以上のR4〔これは水素及び分岐又は直鎖アルキルから選ばれ、そのアルキル鎖中の夫々の炭素原子が必要によりO、S、及びN-R5(式中、R5は水素又はアルキルであり、またR5は必要により1個以上のアルコキシ、アミン、ハロゲン、炭素環、ヘテロアリール又は複素環により置換されていてもよい)から選ばれた1〜3個のヘテロ原子で置換されていてもよい〕で置換されていてもよく、
    R1及びR2は夫々独立にアルキル、アルコキシ、炭素環、炭素環(S(O)m-、アルキルS(O)m-(式中、mは0、1又は2である)、複素環又はヘテロアリールであり、
    R3はシアノ、アミノ又は-C(O)-Ar(式中、Arは複素環、ヘテロアリール又は炭素環である)である〕
    の化合物の調製方法であって、
    前記方法が
    a)式(II)のアリルアルコールをパラジウム触媒及びリガンドの存在下で20℃〜120℃の温度範囲で式(III)のビニルエーテルと反応させ、その反応を約100-200℃で約7時間続け、
    Figure 2007509961
    (式(III)中のnは2、3、4又は5である)
    b)ワンポット反応で、中間体(V)を還元し、(V)を窒素含有複素環(VI)(その窒素原子の一つが反応性アシル基:-CO-X(式中、Xはハロゲン原子である)を有する)と反応させ、続いて上記生成物(IV)と更に反応させて、生成物として中間体(VII)を得、
    続いて(VII)を非対称接触水素化により還元してエステル(VIII)を得、
    中間体(VIII)を加水分解して酸(IX)を生成し、
    Figure 2007509961
    c)先に生成された中間体(IX)をカップリング条件下で環aを有するアミン中間体と反応させて(I)を得、
    Figure 2007509961
    続いて生成物(I)を単離することを特徴とする式(I)の化合物の調製方法。
  2. Hetがアゼパニル、アゾカニル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、インドリニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、テトラゾリル、ピラゾリル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、キノリニル、テトラヒドロキノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、キナゾリニル、テトラヒドロキナゾリニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジニル及びキノキサリニルから選ばれ、
    環aがピペリジニル、ピロリジニル、アゼチジニル又はアゼパニルであり、
    R1及びR2がC1-5アルキルであり、かつ
    R3がシアノである、請求項1記載の方法。
  3. Hetが
    Figure 2007509961
    であり、
    環aがピペリジン-4-イルであり、かつ
    R1及びR2がメチルである、請求項2記載の方法。
  4. 工程a):
    パラジウム触媒及びリガンドの存在下の式(II)のアリルアルコールと式(III)のビニルエーテルの反応が約70℃の温度であり、続く反応が約120-145℃で約7時間であり、
    パラジウム触媒がPd(OAc)2、Pd(OCOCF3)2又はPdCl2であり、リガンドが1,10-フェナトロリン、4,7-ジフェニル-1,10-フェナトロリン、2,2'-ジピリジルであり、かつ式(III)中のnが3であり、
    工程b):
    Xがクロロであり、
    (VII)を続いてH2/Rh-(RRSS)-TangPhosを使用する非対称接触水素化により還元してエステル(VIII)を得、
    (VIII)を続いて塩基性加水分解反応により加水分解して酸(IX)を生成し、
    工程c):
    カップリング条件が1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)/1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(HOBt)、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N,N'-ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、O-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチル-ウロニウムヘキサフルオロホスフェート、トリメチルアセチルクロリド/i-Pr2NEt、トリメチルアセチルクロリド/トリエチルアミン、トリメチルアセチルクロリド/N-メチルモルホリン、イソブチルクロロホルメート/トリエチルアミン、イソブチルクロロホルメート/N-メチルモルホリン、イソブチルクロロホルメート/i-Pr2NEt、エチルクロロホルメート/N-メチルモルホリン、2,4,6-トリクロロベンゾイルクロリド/i-Pr2NEt、2,4,6-トリクロロベンゾイルクロリド/トリエチルアミン及び2,4,6-トリクロロベンゾイルクロリド/N-メチルモルホリンから選ばれる、請求項1から3のいずれか1項記載の方法。
  5. 工程a):
    パラジウム触媒がPd(O-C(O)-CH3)2であり、
    リガンドが1,10-フェナトロリンであり、
    工程b):
    (VIII)を続いてLiOH水溶液による塩基性加水分解反応により加水分解して酸(IX)を生成し、
    工程c):
    カップリング条件がEDC及びHOBtである、請求項4記載の方法。
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