JP2007505605A6 - 低分子干渉核酸(siNA)を使用したRNA干渉により媒介される血管内皮増殖因子遺伝子発現および血管内皮増殖因子遺伝子受容体遺伝子発現のRNA干渉媒介性抑制 - Google Patents

低分子干渉核酸(siNA)を使用したRNA干渉により媒介される血管内皮増殖因子遺伝子発現および血管内皮増殖因子遺伝子受容体遺伝子発現のRNA干渉媒介性抑制 Download PDF

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Abstract

本発明は、低分子干渉核酸(siNA)を使用した、VEGFおよび/またはVEGFR遺伝子発現の調節に有効な化合物、組成物、および方法に関する。本発明はまた、VEGFおよび/またはVEGFR遺伝子発現経路および/または小核酸分子を使用するRNA干渉(RNAi)による活性に含まれる、その他の遺伝子の発現または活性の調節に有効な化合物、組成物、および方法にも関する。特に、本発明は、低分子干渉核酸(siNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、マイクロRNA(miRNA)、および短鎖ヘアピンRNA(shRNA)分子等の小核酸およびVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子発現の調節に使用される方法を特徴とする。

Description

本出願は、2002年7月3日付米国仮出願60/393,796および2002年7月29日付米国仮出願60/399,348の利益を主張する2003年2月20付PCT/US03/05022の一部継続出願である2003年9月16日付米国特許出願10/665,255および米国特許出願10/664,767の一部継続出願である2003年9月23日付米国特許出願10/670,011の一部継続出願である2004年1月26日付米国特許出願10/764,957の一部継続出願である2004年4月23日付米国特許出願10/831,620の一部継続出願である2004年5月11日付米国特許出願10/844,076の一部継続出願である。また本出願は、ともに2002年2月20日付米国仮出願60/358,580、2002年3月11日付米国仮出願60/363,124、2002年6月6日付米国仮出願、2002年4月29日付米国仮出願60/406,784、2002年9月5日付米国仮出願60/408,378、2002年9月9日付米国仮出願60/409,293、および2003年1月15日付米国仮出願60/440,129の利益を主張する2003年2月20日付国際特許出願PCT/US03/05346および2003年2月20日付国際特許出願PCT/US03/05028の一部継続出願である2003年5月23日付米国特許出願10/444,853の一部継続出願である2003年10月23日付米国特許出願10/693,059の一部継続出願である2003年11月24日付米国特許出願10/720,448の一部継続出願である2004年1月14日付米国特許出願10/757,803の一部継続出願である2004年4月16日付米国特許出願10/826,966の一部継続出願である2004年5月24日付国際特許出願PCT/US04/16390の一部継続出願である。また本出願は、2001年5月18日付米国特許出願60/292,217、2002年3月6日付米国仮出願60/362,016、2001年7月20日付米国仮出願60/306,883、および2001年8月13日付米国仮出願60/311,865の利益を主張する2002年5月17日付国際特許出願PCT/US02/15876の一部継続出願である2003年4月30日付米国特許出願10/427,160の一部継続出願である2004年2月13日付米国特許出願10/780,447の一部継続出願である2004年4月30日付国際特許出願PCT/US04/13456の一部継続出願である。また本出願は、2003年12月3日付米国特許出願10/727,780の一部継続出願である。また本出願は、2004年2月10日付米国仮出願60/543,480の利益を主張する。本出願は、上記の全出願の利益を主張し、これら全出願は、参照することにより、図も含めてその全体が本明細書に組み込まれる。
本発明は、血管内皮増殖因子(VEGF)および/または血管内皮増殖因子受容体(例、VEGFR1、VEGFR2および/またはVEGFR3)遺伝子発現および/または作用の調節に対応する形質、疾患、および状態の研究、診断、および治療用の化合物、組成物、および方法に関する。また本発明は、血管内皮増殖因子(VEGF)および/または血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)の遺伝子発現経路またはそのような形質、疾患および状態の維持または進行を媒介する他の細胞過程に関与する遺伝子の発現および/または作用の調節に対応する形質、疾患および状態に関する化合物、組成物、および方法を対象とする。特に本発明は、VEGFおよびVEGFR遺伝子発現に対するRNA干渉(RNAi)を媒介できる低分子干渉核酸(siNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、マイクロRNA(miRNA)、および短鎖ヘアピンRNA(shRNA)分子、等の小核酸分子に関する。
以下はRNAiに関する関連技術の考察である。この考察は、以下に続く本発明の理解を唯一の目的として提供する。要約は下記のいずれの研究をも請求の範囲に記載の発明に対する先行技術であると認めるものではない。
RNA干渉は、低分子干渉RNA(siRNA)により媒介される動物における配列特定転写後遺伝子サイレンシングの過程を示す(ザモーレ(Zamore)ら,2000年,セル誌(Cell),101,25−33;ファイヤー(Fire)ら,1998年,ネイチャー誌(Nature),391,806;ハミルトン(Hamilton)ら,1999年,サイエンス誌(Sceince),286,950−951;リン(Lin)ら,1999年,ネイチャー誌(Nature),402,128−129;シャープ(Sharp),1999年,遺伝子と発生誌(Genes Dev.),13:139−141;およびストラウス(Strauss),1999年,サイエンス誌(Science),286,886)。植物においてこれに相当するプロセス(ハイフェッツ(Herfetz)ら,国際PCT公開WO99/61631)は、一般に転写後遺伝子サイレンシングまたはRNAサイレンシングと呼ばれ、菌類ではクエリングと呼ばれる。転写後遺伝子サイレンシングのプロセスは、外来遺伝子の発現を防ぐために使用され、様々な植物相や門が一般に共有する進化的に保存された細胞防御機構であると考えられている(ファイヤー(Fire)ら,1999年,トレンド遺伝学誌(Trends Genet.),15,358)。外来遺伝子発現からのそのような保護は、ウイルス感染または同種の一本鎖RNAまたはウイルスゲノムRNAを特異的に破壊する細胞応答を介したホストゲノムへのトランスポゾン要素のランダムな統合から派生した二本鎖RNA(dsRNA)の生成に応答して進化したのかもしれない。細胞にdsRNAが存在すると、まだ完全には解明されていない機序を通じてRNAi応答を誘発する。この機序は、リボヌクレアーゼLの非特定切断を生じるタンパク質キナーゼPKRおよび2’,5’−オリゴアデニル酸合成酵素のdsRNA媒介性活性に起因するインターフェロン応答性といった二本鎖RNA特定のリボヌクレアーゼを含む他の周知の機構とは異なると考えられる(例として、米国特許6,107,094;5,898,031;クレメンス(Clemens)ら,1997年,ジャーナル・オブ・インターフェロン・アンド・サイトカイン・リサーチ誌(J.Interferon&Cytokine Res.),17,503−524;アダ(Adah)ら,2001年,カレント・メディカル・ケミストリー誌(Curr.Med.Chem.),8,1189を参照)。
細胞に長鎖dsRNAが存在すると、ダイサーと呼ばれるリボヌクレアーゼIII酵素の活性が誘発される(バス(Bass),2000年,セル誌(Cell),101,235;ザモーレ(Zamore)ら,2000年,セル誌(Cell),101,25−33;ハモンド(Hammond)ら,2000年,ネイチャー誌(Nature),404,293)。ダイサーは、dsRNAを低分子干渉RNA(siRNA)として知られる短鎖dsRNAへの処理に関与する(ザモーレ(Zamore)ら,2000年,セル誌(Cell),101,25−33;バス(Bass),2000年,セル誌(Cell),101,235;バースタイン(Berstein)ら,2001年,ネイチャー誌(Nature),409,363)。ダイサー作用から派生する低分子干渉RNAは、一般的に約21から約23ヌクレオチド長であり、約19塩基対の二重鎖で構成される(ザモーレ(Zamore)ら,2000年,セル誌(Cell),101,25−33;エルバシール(Elbashir)ら,2001年,遺伝子と発生誌(Genes Dev.),15,188)。またダイサーは、21および22ヌクレオチドの低分子一時RNA(stRNA)を翻訳調整に関わる保護構造の前駆RNAから切除する場合にも関与している(ハトヴァーグナー(Hutvagner)ら,2001年,サイエンス誌(Science),293,834)。RNAi応答は、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)と呼ばれるエンドヌクレアーゼ複合体も特徴とする。これはsiRNA二重鎖のアンチセンス鎖に相補的な配列を持つ一本鎖RNAの切断を媒介する。標的RNAの切断は、前記siRNA二重鎖のアンチセンス鎖に相補的な領域の中間で行われる(エルバシール(Elbashir)ら,2001年,遺伝子と発生誌(Genes Dev.),15,188)。
RNAiは様々な類系で研究されている。ファイヤー(Fire)ら(1998年,ネイチャー誌(Nature),391,806)は、シー・エレガンス(C.elegans)において初めてRNAiを観察した。バフラミアン(Bahramian)とザーブル(Zarbl)(1999年,分子細胞生物学誌(Molecular and Cellular Biology),19,274−283およびウィアニー(Wianny)とゲッツ(Goetz),1999年,ネイチャー細胞生物学誌(Nature Cell Biol.),2,70)は、哺乳類系においてdsRNAが媒介するRNAiについて記述している。ハモンド(Hammond)ら(2000年,ネイチャー誌(Nature),404,293)は、dsRNAとともに導入されるショウジョウバエ細胞におけるRNAiについて記述している。エルバシール(Elbashir)ら(2001年,ネイチャー誌(Nature),411,494)およびトゥッシュル(Tuschl)ら(国際PCT公開WO01/75164)は、ヒト胚腎臓細胞およびHeLa細胞を含む培養哺乳類細胞内の合成21−ヌクレオチドRNAの二重鎖導入によって誘導されるRNAiについて記述している。ショウジョウバエ胚の溶解物における最近の研究(エルバシール(Elbashir)ら,2001年,欧州分子生物学協会誌(EMBO J.),20,6877およびトゥッシュル(Tuschl)ら,国際PCT公開WO01/75164)によって、効率的なRNAi活性の媒介に必須のsiRNA長、構造、化学組成、および配列に対する特定の要件が明らかになった。これらの研究は、3’端ジヌクレオチド突出部を含む場合に、21ヌクレオチドsiRNA二重鎖が最も活性であることを示している。さらに、一方または両方のsiNA鎖を2’−デオキシ(2’−H)または2’−O−メチルヌクレオチドと完全に置換した場合はRNAiを不活性化したのに対し、3’端siRNA突出ヌクレオチドを2’−デオキシヌクレオチド(2’−H)で置換した場合は耐性を示した。またsiRNA二重鎖の中心にある単一のミスマッチ配列も、RNAiを不活性化することを示した。加えて、これらの研究は標的RNAにおける切断部位がガイド配列の3’端ではなくsiRNAガイド配列の5’端によって定義されることを示している(エルバシール(Elbashir)ら,2001年,欧州分子生物学協会誌(EMBO J.),20,6877)。他の研究によって、siRNA二重鎖の標的相補鎖上にある5’−リン酸がsiRNA活性に必要であること、およびsiRNA上に5’−リン酸部を維持するためにATPが利用されることが明らかになっている(二カネン(Nykanen)ら,2001年,セル誌(Cell),107,309)。
研究では、2つのヌクレオチド3’突出部を持つ21量体siRNA二重鎖の3’端ヌクレオチド突出部をデオキシリボヌクレオチドと置換してもRNAi活性に悪影響を与えないことが証明されている。前記siRNAの各末端にある4つまでのヌクレオチドをデオキシリボヌクレオチドと置換する場合は優れた耐性を持つが、デオキシリボヌクレオチドを完全に置換する場合はRNAiが不活性化されることが報告されている(エルバシール(Elbashir)ら,2001年,欧州分子生物学協会誌(EMBO J.),20,6877およびトゥッシュル(Tuschl)ら,国際PCT公開WO01/75164)。さらに、エルバシール(Elbashir)ら(前述)は、siRNAを2’−O−メチルヌクレオチドと置換することで完全にRNAiが不活性化されることも報告している。リー(Li)らの国際PCT公開WO00/44914およびビーチ(Beach)らの国際PCT公開WO01/68836は、少なくとも1つの窒素または硫黄へテロ原子を包むためにsiRNAがリン酸−糖骨格またはヌクレオシドのいずれかを修飾することがあると仮定しているが、そのような修飾がsiRNA分子においてどの程度耐性を持つかということは想定しておらず、そのような修飾siRNAに関する詳細な説明も例証も提供されていない。またクロイツァー(Kreutzer)らのカナダ特許出願2,359,180も、二本鎖RNA依存性タンパク質キナーゼPKR、特に2’−アミノまたは2’−O−メチルヌクレオチド、および2’−Oまたは4’−Cメチレン橋を含むヌクレオチドの活性に対抗するためのdsRNA構造に使用する特定の化学修飾について記述している。しかし、クロイツァー(Kreutzer)らも同様に、それらの修飾がどの程度dsRNA分子において耐性を持つかについての例証または説明を提供していない。
パリッシュ(Parrish)ら(2000年,分子細胞誌(Molecular Cell),6,1077−1087)は、長い(>25nt)siRNA転写を使用して、シー・エレガンス(C.elegans)におけるunc−22遺伝子を標的とする特定の化学修飾について試験した。その著者らは、チオリン酸ヌクレオチド類似体をT7およびT3RNAポリメラーゼに組み込むことによってチオリン酸残基をそれらsiRNA転写物に導入することについて記述しており、また2つのホスホロチオエート修飾塩基を持つRNAのRNAiとしての有効性は著しく減少したことを観察した。さらに、パリッシュ(Parrish)らは、2つ以上の残基のホスホロチオエート修飾がインビトロでRNAを著しく不安定化したため、干渉作用を分析できなかったとを報告した。(前記1081ページ)またこの著者らは、長いsiRNA転写物におけるヌクレオチド糖の2’位での特定の修飾を試験し、特にウリジンからチミジンおよび/またはシチジンからデオキシシチジンへの置換の場合に、デオキシヌクレオチドをリボヌクレオチドと置換することで干渉作用が大幅に減少することを発見した(同様)。さらに、彼らはsiRNAのセンス鎖およびアンチセンス鎖において、4−チオウラシル、5−ブロモウラシル、5−ヨードウラシル、ウラシルの3−(アミノアリル)ウラシル、およびグアニンのイノシンにおいて、置換を含む特定の塩基修飾を試験した。4−チオウラシルおよび5−ブロモウラシルの置換は、耐性を持つように思われたが、パリッシュ(Parrish)はイノシンがいずれかの鎖に組み込まれた場合に干渉作用を著しく減少させると報告した。またパリッシュ(Parrish)は、アンチセンス鎖に5−ヨードウラシルおよび3−(アミノアリル)ウラシルを組み込むことで、RNAi活性も大幅に減少することを報告した。
長鎖dsRNAの使用について記載されている。例えば、ビーチ(Beach)ら(国際PCT公開WO01/68836)は、内因性のdsRNAを使用して遺伝子の発現を減衰させる特定の方法について説明している。トゥッシェル(Tuschl)ら(国際PCT公開WO01/75164)は、ショウジョウバエのインビトロRNAiシステムについて、また特定の機能的ゲノムアプリケーションおよびに特定の治療用アプリケーションに対する特定のsiRNA分子の使用について説明している。しかし、トゥッシェル(Tuschl)(2001年,化学と生物化学誌(Chem.Biochem.),2,239−245は、インタフェロン応答性を活性化する危険性があるため、RNAiを遺伝的疾患またはウイルス感染の治療に使用することについて疑問視している。リー(Li)ら(国際PCT公開WO00/44914)は、特定の標的遺伝子の発現を減衰するために、特定の長い(141−488塩基対)酵素合成したdsRNAまたはベクター発現したdsRNAの使用について説明している。ツェルニッカ−ゲッツ(Zernicka−Goetz)ら(国際PCT公開WO01/36646)は、特定の長さ(550−714塩基対)の酵素合成したdsRNA分子またはベクター発現したdsRNA分子を使用して、哺乳類細胞における特定遺伝子の発現を抑制する方法について説明している。ファイヤー(Fire)ら(国際PCT公開WO99/32619)は、線虫類における遺伝子発現の抑制に使用するため、特定の長鎖dsRNA分子を細胞に導入する特定の方法について説明している。プラティンク(Plaetinck)ら(国際PCT公開WO00/01846)は、特定の長鎖dsRNA分子を使用して、細胞内の特定表現型を付与する特定の遺伝子を識別する方法について説明している。メロー(Mello)ら(国際PCT公開WO01/29058)は、dsRNA媒介性RNAiに関与する特定遺伝子の識別について説明している。パチャック(Pachuck)ら(国際PCT公開WO00/63364)は、特定の長い(少なくとも200ヌクレオチド)のdsRNA構造について記述している。デュシャン・デュパイエット(Deschamps Depaillette)ら(国際PCT公開WO99/07409)は、特定の抗ウイルス剤と結合する特定のdsRNA分子で構成された特定の組成物について説明している。ウォーターハウス(Waterhouse)ら(国際PCT公開99/53050および1998年米国サイエンスアカデミー会報(PNAS),95,13959−13964)は、特定のdsRNAを使用して、植物細胞における核酸の表現型発現を減少させる特定の方法について説明している。ドリスコール(Driscoll)ら(国際PCT公開WO01/49844)は、標的生物体において遺伝子のサイレンシングを促進するために使用する特定のDNA発現構造について触れている。
様々なRNAiおよび遺伝子サイレンシングシステムに関する他の報告もある。例えば、パリッシュ(Parrish)ら(2000年,分子細胞(Molecular Cell),6,1077−1087)は、シー・エレガンス(C.elegans)のunc−22遺伝子を標的とする特定の化学修飾dsRNA構造について説明している。グロスニクラウス(Grossniklaus)(国際PCT公開WO01/38551)は、ポリコーム遺伝子発現を規制する特定の方法について説明している。チュリコフ(Churikov)ら,国際PCT公開WO01/42443は、特定のdsRNAを使用して、生物体の遺伝的特徴を修飾する特定の方法について説明している。コゴニ(Cogoni)ら(国際PCT公開WO01/53475)は、アカパンカビサイレンシング遺伝子を分離する方法およびその使用について説明している。リード(Reed)ら(国際PCT公開WO01/68836)は、植物における遺伝子サイレンシングの特定の方法について説明している。ホーネル(Honer)ら(国際PCT公開WO01/70944)は、特定のdsRNAを使用して、パーキンソン病モデルとして遺伝子組み換え線虫類を用いた薬物スクリーニングの特定方法について説明している。ディーク(Deak)ら(国際PCT公開WO01/72774)は、ショウジョウバエのRNAiに関連する特定のショウジョウバエ由来の遺伝子産物について説明している。アルンド(Arndt)ら(国際PCT公開WO01/92513)は、RNAiを強化する要素を使用することによって遺伝子発現を媒介する特定の方法について説明している。トゥシェル(Tuschl)ら(国際PCT公開WO02/44321)は、特定の合成siRNA構造について説明している。パチャック(Pachuk)ら(国際PCT公開WO00/63364)およびサティシュチャンドラン(Satishchandran)ら(国際PCT公開WO01/04313)は、特定の長さ(250塩基対以上)のdsRNA、ベクター発現したdsRNAを使用して、特定のポリヌクレオチド配列の機能を抑制する特定の方法および組成物について説明している。エチェベリ(Echeverri)ら(国際PCT公開WO02/38805)は、RNAiを介して識別される特定のシー・エレガンス(C.elegans)遺伝子について説明している。クロイツァー(Kreutzer)ら(国際PCT公開WO02/055692、WO02/055693、およびEP1144623)は、dsRNAを使用して遺伝子発現を抑制する方法について説明している。グラハム(Graham)ら(国際PCT公開WO99/49029およびWO01/70949、およびAU4037501)は、特定のベクター発現したsiRNA分子について説明している。ファイヤー(Fire)ら(米国特許6,506,559)は、RNAiを媒介する特定の長いdsRNA(299−1033塩基対)構造を使用したインビトロ遺伝子発現の抑制方法について説明している。マルティネス(Martinez)ら(2002年),セル誌(Cell),110,563−574はHela細胞におけるRNA干渉を媒介する特定の5’−リン酸化一本鎖siRNAを含む特定の一本鎖siRNA構造について説明している。ハーボース(Harborth)ら(2003年,アンチセンス核酸薬剤開発(Antisense&Nucleic Acid Drug Development),13,83−105は、化学的および構造的に修飾したsiRNA分子について説明している。チウ(Chiu)およびラナ(Rana)(2003年,RNA,9,1034−1048)は、化学的および構造的に修飾した特定のsiNA分子について説明している。ウルフ(Woolf)ら(国際PCT公開WO03/064626およびWO03/064625)は化学修飾した特定のdsRNA構造について説明している。
本発明は、低分子干渉核酸(siNA)分子を使用して、血管形成および増殖に関連する遺伝子等の遺伝子発現を調節するのに有効な化合物、組成物、および方法に関する。さらに本発明は、血管内皮増殖因子(VEGF)および血管内皮増殖因子受容体(例、VEGFR1、VEGFR2、VEGFR3)遺伝子、または小核酸分子を使用してRNA干渉(RNAi)により遺伝子発現および/またはVEGF作用のVEGFおよび/またはVEGFR経路に関与する遺伝子の発現および作用を調節するのに有効な化合物、組成物、および方法に関する。特に、本発明は、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、マイクロRNA(miRNA)、および短鎖ヘアピンRNA(shRNA)分子等の小核酸分子、および対象または生物におけるVEGFおよびVEGFR遺伝子および/またはVEGFおよび/またはVEGFR媒介性血管形成に関与する他の遺伝子の発現の調節に使用される方法を特徴とする。
本発明のsiNAは、非修飾であっても、化学修飾されたものであってもよい。本発明のsiNAは、化学的に合成するか、ベクターから発現するか、または酵素合成することがでできる。また本発明は、RNA干渉(RNAi)によって、細胞中のVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現または活性を調節できる様々な化学修飾合成低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。化学修飾したsiNAの使用は、抵抗の増加からヌクレアーゼ分解までおよび/または細胞摂取の改善等天然siNA分子の様々な特性を改善する。さらに、先に公開されている研究とは逆に、複数の化学修飾を持つsiNAはそのRNAi活性を保持する。本発明の前記siNA分子は、様々な治療、動物、診断、標的検証、ゲノム検出、遺伝子工学、および薬理ゲノム学的アプリケーションに有効な試薬および方法を提供する。
1つの態様においては、本発明は1つ以上のsiNA分子、および本明細書では概してそれぞれVEGFおよびVEGFRと呼ばれ、表1に示すジンバンクアクセッション番号により参照される配列を含む遺伝子コード配列等の癌および他の増殖疾患の維持および進行に関連して、独立でまたは併用して、血管内皮増殖因子(VEGF)および/または血管内皮増殖因子受容体(例、VEGFR1、VEGFR2、VEGFR3)等の遺伝子をコードするタンパク質の発現を調節する方法を特徴とする。ここでそれぞれVEGFおよびVEGFRと呼ばれる典型的なVEGFおよびVEGFR(例、VEGFR1、VEGFR2、VEGFR3)遺伝子を参照して、本発明の様々な側面および態様に関する説明を以下に記す。しかし、この様々な側面および態様は、突然変異VEGFおよび/またはVEGFR遺伝子、VEGFおよび/またはVEGFR遺伝子のスプライス変異体、他のVEGFおよび/またはVEGFRリガンドおよび受容体等の他のVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子も対象とする。またこの様々な側面および態様は、疾患(例、癌)の発育、進行および/または維持に関与するシグナル変換または遺伝子発現のVEGFおよび/またはVEGFR媒介性経路に関与する他の遺伝子も対象とする。これらの追加遺伝子は、本明細書に記載のVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子に対する方法を使用して、標的部位を分析することができる。従って、他の遺伝子の調節およびそのような調節の効果は、本明細書に記載のように実施、判定、および計測することができる。
1つの態様においては、本発明は、血管内皮増殖因子(例、VEGF、VEGF−A、VEGF−B、VEGF−C、VEGF−D)遺伝子の発現を下方制御する二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、前記siNA分子は約15から約28の塩基対を含む。
1つの態様においては、本発明は、血管内皮増殖因子(例、VEGFR1、VEGFR2、および/またはVEGFR3)遺伝子の発現を下方制御する二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、前記siNA分子は約15から約28の塩基対を含む。
1つの態様においては、本発明は、RNA干渉(RNAi)を介して血管内皮増殖因子(VEGF、例、VEGF−A、VEGF−B、VEGF−C、VEGF−D)RNAの切断を指示する二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、二本鎖siNA分子は第一鎖および第二鎖からなり、siNA分子の各鎖は、約18から約28ヌクレオチド長である。siNA分子の第一鎖は、siNA分子のVEGF RNAに対して十分な相補性を持つヌクレオチド配列を含み、RNA干渉を介してVEGF RNAの切断を指示する。また前記siNA分子の第二鎖は、第一鎖に相補的なヌクレオチド配列を含む。
1つの態様においては、本発明は、RNA干渉(RNAi)を介して血管内皮増殖因子受容体(VEGFR、例、VEGFR1、VEGFR2、および/またはVEGFR3)RNAの切断を指示する二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、二本鎖siNA分子は第一鎖および第二鎖からなり、siNA分子の各鎖は、約18から約28ヌクレオチド長である。siNA分子の第一鎖は、siNA分子のVEGFR RNAに対して十分な相補性を持つヌクレオチド配列を含み、RNA干渉を介してVEGFR RNAの切断を指示する。また前記siNA分子の第二鎖は、第一鎖に相補的なヌクレオチド配列を含む。
1つの態様においては、本発明は、RNA干渉(RNAi)を介してVEGFおよび/またはVEGFR RNAの切断を指示する二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、二本鎖siNA分子は第一鎖および第二鎖からなり、siNA分子の各鎖は、約18から約28ヌクレオチド長である。siNA分子の第一鎖は、siNA分子のVEGFおよび/またはVEGFR RNAに対して十分な相補性を持つヌクレオチド配列を含み、RNA干渉を介してVEGFR RNAの切断を指示する。また前記siNA分子の第二鎖は、第一鎖に相補的なヌクレオチド配列を含む。
1つの態様においては、本発明は、RNA干渉(RNAi)を介してVEGFおよび/またはVEGFR RNAの切断を指示する二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、二本鎖siNA分子は第一鎖および第二鎖からなり、siNA分子の各鎖は、約18から約23ヌクレオチド長である。siNA分子の第一鎖は、siNA分子のVEGFおよび/またはVEGFR RNAに対して十分な相補性を持つヌクレオチド配列を含み、RNA干渉を介してVEGFおよび/またはVEGFR RNAの切断を指示する。また前記siNA分子の第二鎖は、第一鎖に相補的なヌクレオチド配列を含む。
1つの態様においては、本発明は、RNA干渉(RNAi)を介してVEGFおよび/またはVEGFR RNAの切断を指示する化学合成した二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、siNA分子の各鎖は、約18から約28ヌクレオチド長であり、siNA分子の一鎖は、siNA分子のVEGFおよび/またはVEGFR RNAに対して十分な相補性を持つヌクレオチド配列を含み、RNA干渉を介してVEGFおよび/またはVEGFR RNAの切断を指示する。
1つの態様においては、本発明は、RNA干渉(RNAi)を介してVEGFおよび/またはVEGFR RNAの切断を指示する化学合成した低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、siNA分子の各鎖は、約18から約23ヌクレオチド長であり、siNA分子の一鎖は、siNA分子のVEGFおよび/またはVEGFR RNAに対して十分な相補性を持つヌクレオチド配列を含み、RNA干渉を介してVEGFおよび/またはVEGFR RNAの切断を指示する。
1つの態様においては、本発明は、VEGFおよび/またはVEGFR RNAの切断を指示するVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を下方制御するsiNA分子を特徴とする。例えば、ここでRNAのVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子は、VEGFおよび/またはVEGFRコード配列を含む。1つの態様においては、本発明は、VEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を下方制御するsiNA分子、またはVEGFおよび/またはVEGFR RNAの切断を指示するsiNA分子を特徴とする。例えば、ここでRNAのVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子は、VEGFおよび/またはVEGFR非コード配列、またはVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子発現に関与する調節要素を含む。
1つの態様においては、本発明は、VEGFおよび/またはVEGFR遺伝子あるいはVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子系(例、1つ以上のVEGFおよび/またはVEGFRアイソフォーム)の発現を抑制するのに使用される。ここで、遺伝子または遺伝子系の配列は、配列相同性を共有する。そのような相同配列は、当該技術分野において周知のように、例えば配列アラインメントを使用して識別できる。siNA分子は、例えば完全に相補的な配列を使用して、またはミスマッチおよび/またはゆらぎ塩基対等の、追加の標的配列を提供できる非正準塩基対を統合することにより、そのような相同配列を標的とするように設計できる。ミスマッチが識別される場合、非正準塩基対(例えば、ミスマッチおよび/またはゆらぎ塩基)を使用して、2以上の遺伝子配列を標的とするsiNA分子を生成できる。限定を目的としない例において、UUおよびCC塩基対等の非正準塩基対を使用して、配列相同性を共有する異なるVEGFおよび/またはVEGFR標的の配列を標的とすることができる。このように、本発明のsiNAを使用する利点の1つは、単一siNAを、相同遺伝子間に保護されるヌクレオチド配列に相補的な核酸配列を含むように設計することができることである。このアプローチにおいて、単一siNAを使用して、複数のsiNAを使用して異なる遺伝子を標的とする代わりに、単一のsiNAを使用して、複数の遺伝子発現を抑制することができる。
1つの態様においては、本発明は、VEGFおよび/またはVEGFR RNAに対するRNAi活性を持つsiNA分子を特徴とする。ここで、前記siNA分子は表Iに示すジンバンクアクセッション番号を持つ配列等のVEGFおよび/またはVEGFRコード配列を持つ任意のRNAに相補的な配列を含む。別の態様においては、本発明は、VEGFおよび/またはVEGFR RNAに対するRNAi活性を持つsiNA分子を特徴とする。ここで、前記siNA分子は、例えば、血管形成、癌、増殖性疾患、眼疾患、および/または腎疾患等の維持および/または進行に関連し、表Iに示されていないが、当該技術分野において周知の他の変異VEGFおよび/またはVEGFR遺伝子等の変形VEGFおよび/またはVEGFRコード配列を持つRNAに相補的な配列を含む。表IIIおよびIVに示す化学修飾または本明細書に記載の化学修飾は、本発明の任意のsiNA構造に適用することができる。別の態様においては、本発明のsiNA分子は、VEGFおよび/またはVEGFR遺伝子のヌクレオチド配列と相互作用することでVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子発現のサイレンシングを媒介できるヌクレオチド配列を含む。例えばここで、前記siNAは、VEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の転写または翻訳を調節し、前記VEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を回避する細胞過程によって、VEGFおよび/またはVEGFR遺伝子発現の制御を媒介する。
1つの態様においては、本発明は、VEGFおよび/またはVEGFR RNAに対するRNAi活性を持つsiNA分子を特徴とする。ここで、前記siNA分子は表Iに示すVEGFおよび/またはVEGFRジンバンクアクセッション番号を持つ任意のRNAに相補的な配列を含む。別の態様においては、本発明は、VEGFおよび/またはVEGFR RNAに対するRNAi活性を持つsiNA分子を特徴とする。ここで、siNA分子は、例えば、変異VEGFおよび/またはVEGFR遺伝子、VEGFおよび/またはVEGFR遺伝子のスプライス変異体、同類置換を持つVEGFおよび/またはVEGFR変異体、および相同VEGFおよび/またはVEGFRリガンドおよび受容体等の他のVEGFおよび/またはVEGFRコード配列を持つRNAに相補的な配列を含む。表IIIおよびIVに示される化学修飾、そうでなければ本明細書に記載の化学修飾は、本発明の任意のsiNA構造に適用できる。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子は、形質、疾患または状態に関連するVEGFおよび/またはVEGFRハプロタイプ多型から生じるタンパク質の発現を下方制御または抑制に使用される。遺伝子、またはタンパク質あるいはRNAレベルの分析は、そのような多型を持つ対象、または本明細書に記載の形質、状態、または疾患を進行させる危険性のある患者の識別に使用することができる(例えば、シルベストリ(Silvestri)ら,2003,国際癌学会誌(International Journal of Cancer),104,310−7を参照)。これらの対象は、本発明のsiNA分子およびVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子発現に関連する疾患の治療に有効な任意の他の組成物を用いて治療することができる。このように、VEGFおよび/またはVEGFRタンパク質、あるいはRNAレベルを分析することによって、対象の治療する際の治療タイプおよび治療の経過を判断することができる。VEGFおよび/またはVEGFRタンパク質、あるいはRNAレベルをモニタリングすることによって、治療の成果を予測し、また形質、状態、または疾患に関連する特定のVEGFおよび/またはVEGFRタンパク質のレベルおよび/または作用を調節する化合物および組成物の有効性を判断することができる。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子は、水溶性VEGF受容体(例、sVEGFR1またはsVEGFR2)発現の下方制御または抑制に使用される。水溶性VEGF受容体レベルを分析することによって、特定の癌タイプを持つ対象を識別することができる。それらの癌は、例えば本発明のsiNA分子および任意の他の化学療法薬の組成物を用いて治療することができる。このように、水溶性VEGF受容体レベルの分析によって、対象を治療する際の治療タイプおよび治療の経過を判断することができる。水溶性VEGF受容体レベルをモニタリングすることによって、治療の成果を予測し、VEGF受容体のレベルおよび/または作用を調節する化合物および組成物の有効性を判断することができる(例えば、パヴコ(Pavco)米国特許出願10/438,493を参照。これは参照することで図面も含めてその全体が本明細書に組み込まれる)。
1つの態様においては、本発明のsiNAはVEGFおよび/またはVEGFRタンパク質をコードするヌクレオチド配列またはその一部に相補的なヌクレオチド配列を含むアンチセンス鎖で構造される。siNAフィルターは、センス鎖を含む。ここで、前記センス鎖はVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子のヌクレオチド配列またはその一部を含む。
別の態様においては、siNA分子は、VEFGおよび/またはVEGFRタンパク質をコードするヌクレオチド配列またはその一部に相補的なヌクレオチド配列で構成されるアンチセンス領域を含む。さらにsiNA分子は、センス領域を含む。ここでセンス領域は、VEGFおよび/またはVEGFR遺伝子のヌクレオチド配列またはその一部を含む。さらにsiNA分子は、センス領域を含む。ここで、前記センス領域は、VEGFおよびVEGFR遺伝子のヌクレオチド配列またはその一部を含む。
別の態様においては、本発明は、VEGFおよび/またはVEGFR遺伝子配列のヌクレオチド配列またはその一部に相補的な前記siNA分子のアンチセンス領域にヌクレオチド配列を含むsiNA分子を特徴とする。別の態様においては、本発明は、例えば、VEGFおよび/またはVEGFR遺伝子配列またはその一部を含む配列に相補的な前記siNA分子のアンチセンス領域等の領域を含むsiNA分子を特徴とする。
別の態様においては、本発明は、例えばVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子配列のヌクレオチド配列またはその一部に相補的なsiNA分子のアンチセンス領域にあるヌクレオチド配列等のヌクレオチド配列を含むsiNA分子を特徴とする。別の態様においては、本発明は、例えばVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子配列またはその一部を含む配列に相補的な前記siNA構造のアンチセンス領域等の領域を含むsiNA分子を特徴とする。
1つの態様においては、siNA構造のアンチセンス領域は、表IIおよびIIIに示す標的配列識別番号のいずれかを持つ配列に相補的な配列を含む。1つの態様においては、本発明のsiNA構造のアンチセンス領域は、表IIおよびIII、また図4および5に示すアンチセンス配列番号のいずれかを持つ配列を含む。別の態様においては、本発明のsiNA構造のセンス領域は、表IIおよびIII、また図4および5に示すセンス配列番号のいずれかを持つ配列を含む。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子は、配列識別番号1−4248のいずれかを含む。配列識別番号1−4248に示される配列は限定されない。本発明のsiNA分子は、連続するVEGFおよび/またはVEGFR配列を含むことができる(例、約15から約25以上、あるいは約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25以上の連続するVEGFおよび/またはVEGFRヌクレオチド)。
さらに別の態様においては、本発明は、例えば表Iに示すジンバンクアクセッション番号で示される配列を含む配列またはその一部に相補的な前記siNA構造のアンチセンス配列等の配列を含むsiNA分子を特徴とする。表IIおよびIVの化学修飾、および本明細書に記載の化学修飾は、本発明の任意のsiNA構造に適用することができる。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子は、約15から約30(例、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30)ヌクレオチドを持つアンチセンス鎖を含む。ここで、アンチセンス鎖はVEGFおよび/またはVEGFRをコードするRNA配列またはその一部に相補的であり、またここで、前記siNAはさらに約15から約30(例、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30)ヌクレオチドを持つセンス鎖を含み、また前記センス鎖および前記アンチセンス鎖は、各鎖にある少なくとも約15ヌクレオチドがもう一方の鎖に相補的である個別のヌクレオチド配列である。
別の態様においては、本発明のsiNA分子は、約15から約30(例、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30)ヌクレオチドを持つアンチセンス領域を含む。ここで、アンチセンス領域はVEGFおよび/またはVEGFRをコードするRNA配列に相補的であり、また前記siNAはさらに約15から約30(例、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30)ヌクレオチドを持つセンス領域を含む。ここで、前記センス領域および前記アンチセンス領域は、センス領域がアンチセンス領域に相補的な少なくとも約15ヌクレオチドを含む直鎖分子において構成される。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子は、VEGFおよび/またはVEGFR遺伝子によりコードされるRNAの発現を調節するRNAi活性を持つ。VEGFおよび/またはVEGFRは互いにある程度の配列相同性を共有するため、異なるVEGFおよび/またはVEGFR標的間で共有される配列または、代わりに特定のVEGFおよび/またはVEGFR標的に固有の配列のいずれかを選択することによって、siNA分子は、一群のVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子または代わりに特定のVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子(例、多型変異体)を標的とするように設計することができる。そのため、1つの態様においては、前記siNA分子は、いくつかのVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子変異体の間で相同性を持つVEGFおよび/またはVEGFR RNA配列の保護領域を標的とするように1つのsiNA分子を持つ一群のVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子を標的とするように設計することができる。従って、1つの態様においては、本発明のsiNA分子は、対象におけるVEGFおよび/またはVEGFR対立遺伝子の一方または両方の発現を調節する。別の態様においては、前記siNA分子は、RNAi活性を媒介する必要があるという高度な特異性のため、特定のVEGFおよび/またはVEGFR RNA配列(例、単一のVEGFおよび/またはVEGFR対立遺伝子またはVEGFおよび/またはVEGFR単一ヌクレオチド多型(SNP))に固有の配列を標的とするようにデザインすることができる。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子は、VEGFR遺伝子によりコードされるRNAの発現を調節するRNAi活性を持つ。VEGFR遺伝子は互いにある程度の配列相同性を共有できるため、siNA分子は、異なるVEGFR標的間で共有される配列または特定のVEGFR標的に固有の配列のいずれかを選択することによって、一群のVEGFR遺伝子(および関連する受容体またはリガンド遺伝子)または代わりに特定のVEGFR遺伝子を標的とするように設計することができる。そのため、1つの態様においては、前記siNA分子は、1つのsiNA分子を持ついくつかのVEGR遺伝子(例、VEGFR1、VEGFR2および/またはVEGFR3、異なるVEGFRアイソフォーム、スプライス変異体、突然変異遺伝子等)を標的とするようにいくつかのVEGFR遺伝子間に相同性を持つVEGFR RNA配列の保護領域を標的とするように設計することができる。1つの態様においては、前記siNA分子は、共有配列相同性を持つVEGFR1およびVEGFR2 RNA配列を保護領域を標的とするように設計することができる(例は表IIIを参照)。従って、1つの態様においては、本発明のsiNA分子は2以上のVEGFR遺伝子、例えばVEGFR1、VEGFR2、およびVEGFR3またはその任意の組み合わせの発現を調節する。別の態様においては、前記siNA分子は、RNAi活性を媒介する必要があるという高度な特異性のため、特定のVEGFR RNA配列に固有の配列を標的とするようにデザインすることができる。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子は、VEGF遺伝子によりコードされるRNAの発現を調節するRNAi活性を持つ。VEGF遺伝子は互いにある程度の配列相同性を共有できるため、siNA分子は、異なるVEGF標的間で共有される配列または、代わりに特定のVEGF標的に固有の配列のいずれかを選択することによって、一群のVEGF遺伝子(および関連する受容体またはリガンド遺伝子)または代わりに特定のVEGF遺伝子を標的とするように設計することができる。そのため、1つの態様においては、前記siNA分子は、1つのsiNA分子を持ついくつかのVEGF遺伝子(例、VEGF−A、VEGF−B、VEGF−Cおよび/またはVEGF−D、異なるVEGFアイソフォーム、スプライス変異体、突然変異遺伝子等)を標的とするようにいくつかのVEGF遺伝子間に相同性を持つVEGF RNA配列の保護領域を標的とするように設計することができる。従って、1つの態様においては、本発明のsiNA分子は、2以上のGF遺伝子、例えばVEGF−A、VEGF−B、VEGF−C、およびVEGF−Dまたはその任意の組み合わせの発現を調節する。別の態様においては、前記siNA分子は、RNAi活性を調節する必要があるという高度の特異性のため、特定のVEGF RNA配列に固有の配列を標的とするようにデザインすることができる。
1つの態様においては、1つ以上のVEGF受容体遺伝子(例、VEGFR1、VEGFR2、および/またはVEGFR3)を標的とする本発明のsiNA分子は、乳がん、肺癌(非小細胞肺癌を含む)、前立腺癌、結腸直腸癌、脳腫瘍、食道癌、膀胱癌、膵臓癌、子宮頸癌、脂肪肉腫、上皮癌、腎細胞癌、胆嚢腺癌、耳下腺癌、卵巣癌、黒色腫、リンパ腫、神経膠腫、子宮内膜腫、多剤耐性癌、糖尿病性網膜症、黄斑変性、血管新生緑内障、近視性変性、関節炎、乾癬、子宮内膜症、雌の生殖器、尋常性疣贅、結節硬化症の血管線維種、ポートワイン母斑、スタージ・ウェーバー症候群、クリッペル・トレノネイ・ェーバ症候群、オスラー・ウェーバー・レンデュ症候群、常染色体優性多発性嚢胞腎等の腎疾患、および細胞または組織内のVEGF、VEGFR1、およびVEGFR2のレベルに関連するか、または応答する任意の他の疾患または状態を含むがそれらに限定されない腫瘍血管形成および癌等の疾患に関連した血管形成または新血管形成を持つ対象の治療等、単独または他の治療と組み合わせて、本明細書に記載の使用に基づいて、VEGF遺伝子(例、VEGF−A、VEGF−B、VEGF−Cおよび/またはVEGF−D)を標的とする本発明のsiNA分子と組み合わせて使用される。
別の態様においては、相同VEGFR1およびVEGFR2配列を標的とする本発明のsiNA分子は、乳癌、肺癌(非小細胞肺癌を含む)、前立腺癌、結腸直腸癌、脳腫瘍、食道癌、膀胱癌、膵臓癌、子宮頸癌、頭頸部癌、皮膚癌、鼻咽腔癌、脂肪肉種、上皮癌、腎細胞癌、胆嚢腺癌、耳下腺癌、卵巣癌、黒色腫、リンパ腫、神経膠腫、子宮内膜腫、多剤耐性癌、糖尿病性網膜症、黄斑変性、血管新生緑内障、近視性変性、関節炎、乾癬、子宮内膜症、雌の生殖器、尋常性疣贅、結節硬化症の血管線維種、ポートワイン母斑、スタージ・ウェーバー症候群、クリッペル・トレノネイ・ェーバ症候群、オスラー・ウェーバー・レンデュ症候群、常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)等の腎疾患、および細胞または組織内のVEGF、VEGFR1、およびVEGFR2のレベルに関連するか、または応答する任意の他の疾患または状態を含むがそれらに限定されない、腫瘍血管形成および癌等の血管形成または新血管形成に関連する疾患を持つ対象の治療等、本明細書に記載の使用に基づいて、VEGF−Aを標的とするsiNA分子と組み合わせて使用される。
1つの態様においては、本発明のsiNAは、VEGFR1、VEGFR2、および/またはVEGFR3遺伝子の発現抑制に使用される。ここで、VEGFR1、VEGFR2、および/またはVEGFR3配列は、配列相同性を共有する。そのような相同配列は、当該技術分野において周知のように、例えば、配列アラインメントを使用して識別できる。siNA分子は、例えば、完全に相補的な配列を使用するか、または追加の標的配列を提供できるミスマッチおよび/またはゆらぎ塩基対等の非正準塩基対を組み込むことによって、そのような相同配列を標的とするように設計することができる。VEGFR1およびVEGFR2間の配列アラインメントに関する限定を目的としない例を表IIIに示す。ミスマッチが示される場合、例えばミスマッチおよび/またはゆらぎ塩基等の非正準塩基対を使用して、VEGFR1およびVEGFR2 RNA配列の両方を標的とするsiNA分子を生成することができる。限定を目的としない例において、UUおよびCC塩基対等の非正準塩基対は、異なるVEGFおよび/またはVEGFR配列(例、VEGFR1およびVEGFR2)を標的とできるsiNA分子の生成に使用される。このように、本発明のsiNAを使用する利点の1つは、単一のsiNAを、VEGF受容体(例、VEGFR1、VEGFR2、および/またはVEGFR3)間に保護されるヌクレオチド配列に相補的な核酸配列を含み、前記siNAが前記受容体のRNAと相互さようし、RNAiを媒介して前記VEGF受容体の発現を抑制するように設計できることである。このアプローチにおいて、複数のsiNA分子を使用して異なる受容体を標的とする代わりに、単一のsiNAを使用して複数のVEGF受容体の発現を抑制することができる。
1つの態様においては、本発明は、VEGFR1およびVEGFR2遺伝子の両方またはその一部によりコードされるか、またはそこに存在するヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を持つsiNAを設計することを含む、VEGFR1およびVEGFR2遺伝子両方の発現を抑制するように単一のsiNAを設計する方法を特徴とする。例えば、単一のsiNAは、VEGFR1およびVEGFR2遺伝子またはその一部によりコードされるRNAに存在する保護配列または相同配列に結合することによって、2つの遺伝子の発現を抑制することができる。
1つの態様においては、本発明は、VEGFR1およびVEGFR3遺伝子またはその一部によりコードされるか、またはそこに存在するヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を持つsiNAを設計することを含む、VEGFR1およびVEGFR3遺伝子両方の発現を抑制するように単一のsiNAを設計する方法を特徴とする。ここで、前記siNAはRNAiを媒介して、VEGFR1およびVEGFR3遺伝子両方の発現を抑制する。例えば、単一のsiNAは、VEGFR1およびVEGFR3遺伝子またはその一部によりコードされるRNAに存在する保護配列または相同配列に結合することにより、2つの遺伝子の発現を抑制することができる。
1つの態様においては、本発明は、VEGFR2およびVEGFR3遺伝子またはその一部によりコードされるか、またはそこに存在するヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を持つsiNAを設計することを含む、VEGFR2およびVEGFR3遺伝子両方の発現を抑制するように単一のsiNAを設計する方法を特徴とする。ここで、前記siNAはRNAiを媒介して、VEGFR2およびVEGFR3遺伝子両方の発現を抑制する。例えば、単一のsiNAは、VEGFR2およびVEGFR3遺伝子またはその一部によりコードされるRNAに存在する保護配列または相同配列に結合することにより、2つの遺伝子の発現を抑制することができる。
1つの態様においては、本発明は、VEGFR1、VEGFR2およびVEGFR3遺伝子またはその一部によりコードされるか、またはそこに存在するヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を持つsiNAを設計することを含む、VEGFR1、VEGFR2およびVEGFR3遺伝子の発現を抑制するように単一のsiNAを設計する方法を特徴とする。例えば、単一のsiNAは、VEGFR1、VEGFR2およびVEGFR3遺伝子またはその一部によりコードされるRNAに存在する保護配列または相同配列に結合することにより、2つの遺伝子の発現を抑制することができる。
1つの態様においては、RNA干渉遺伝子サイレンシング応答の媒介役として作用する本発明の核酸分子は、二本鎖核酸分子である。別の実子例において、本発明のsiNA分子は、約15から約30(例、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30)ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド間に約15から約30塩基対を含む二重鎖核酸分子で構成される。さらに別の実子例において、本発明のsiNA分子は、例えば、約19塩基対および3’末端モノヌクレオチド、ジヌクレオチド、またはトリヌクレオチド突出部を持つ約21ヌクレオチド二重鎖等の約1から約3(例、約1、2、または3)ヌクレオチドの突出部末端を持つ二重鎖核酸分子で構成される。さらに別の実子例において、本発明のsiNA分子は、平滑末端を持つ二重鎖核酸分子を含む。ここで、両端が平滑であるか、または一端が平滑である。
1つの態様においては、本発明は、VEGFおよび/またはVEGFRタンパク質またはVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現に関連する非コードRNAをコードするRNA等のVEGFおよび/またはVEGFR発現核酸分子に対して特異性を持つ1つ以上の化学修飾したsiNA構造を特徴とする。1つの態様においては、本発明は、本明細書に記載の1つ以上の化学修飾を含むVEGFおよび/またはVEGFR発現核酸分子に対して特異性を持つRNAベースのsiNA分子(例、2’−OHヌクレオチドを含むsiNA)を特徴とする。そのような化学修飾に関する限定を目的としない例は、ホスホロチオエートヌクレオチド間結合、2’−デオキシリボヌクレオチド、2’−O−メチルリボヌクレオチド、2’−デオキシ−2’−フルオロリボヌクレオチド、2’−O−トリフルオロメチルヌクレオチド、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシヌクレオチド、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシヌクレオチド、「ユニバーサル塩基」ヌクレオチド、「非環式」ヌクレオチド、5−C−メチルヌクレオチド、およびターミナルグリセリルおよび/または逆位デオキシ脱塩基残基の結合を含む。様々なsiNA構造(例、RNAベースのsiNA構造)に使用する場合、これらの化学修飾は細胞内のRNAi活性を保存すると同時に、これらの化合物の血清安定性を劇的に増加することが示される。さらに、上記パリッシュ(Parrish)らにより公開されたデータに反して、出願人は、複数(1つ以上)のホスホロチオエート置換は優れた耐性を持ち、また修飾したsiNA構造に対する血清安定性を大幅に増加することを説明する。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子は、RNAiを媒介する能力を維持しながら修飾ヌクレオチドを含む。修飾ヌクレオチドを使用して、安定性、作用、および/または生体利用能等のインビトロまたはインビボ特性を改善することができる。例えば、本発明のsiNA分子は、前記siNA分子にあるヌクレオチドの総数に占める割合の修飾ヌクレオチドを含むことができる。このため、本発明のsiNA分子は、一般的に約5%から約100%の修飾ヌクレオチド(例、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%修飾ヌクレオチド)を含むことができる。特定のsiNA分子に存在する修飾ヌクレオチドの実際の比率は、siNAに存在するヌクレオチドの総数に依存する。siNA分子が一本鎖である場合、修飾率は、一本鎖siNA分子に存在するヌクレオチドの総数に基づく。同様に、siNA分子が二本鎖である場合、修飾率はセンス鎖、アンチセンス鎖、またはその両方に存在するヌクレオチドの総数に基づく。
本発明の一側面は、VEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を下方制御するか、またはVEGFおよび/またはVEGFR RNAの切断を指示する二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。1つの態様においては、二本鎖siNA分子は、1つ以上の化学修飾を含み、二本鎖siNAの各鎖は、約21ヌクレオチド長である。1つの態様においては、二本鎖siNA分子はリボヌクレオチドを含まない。別の態様においては二本鎖siNA分子は1つ以上のリボヌクレオチドを含む。1つの態様においては、二本鎖siNA分子の各鎖は、独立に約15から約30(例、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30)ヌクレオチドを含む。ここで、各鎖はもう一方の鎖のヌクレオチドに相補的な約15から約30(例、約15、16、17、18、19,20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30)ヌクレオチドを含む。1つの態様においては、二本鎖siNA分子の一鎖は、VEGFおよび/またはVEGFR遺伝子のヌクレオチド配列またはその一部に相補的なヌクレオチド配列を含み、二本鎖siNA分子の第二鎖は、VEGFおよび/またはVEGFR遺伝子のヌクレオチド配列またはその一部とほぼ同様のヌクレオチド配列を含む。
別の態様においては、本発明は、VEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を下方制御するか、またはVEGFおよび/またはVEGFR RNAの切断を指示する、アンチセンス領域を含む二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、アンチセンス領域は、VEGFおよび/またはVEGFR遺伝子のヌクレオチド配列またはその一部、およびセンス領域を含む。ここで、センス領域は、VEGFおよび/またはVEGFR遺伝子のヌクレオチド配列またはその一部ににほぼ同様のヌクレオチド配列を含む。1つの態様においては、アンチセンス領域およびセンス領域は、独立に約15から約30(例、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30)ヌクレオチドを含む。ここで、アンチセンス領域は、センス領域のヌクレオチドに相補的な約15から約30(例、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30)ヌクレオチドを含む。
別の態様においては、本発明は、VEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を下方制御するか、またはVEGFおよび/またはVEGFR RNAの切断を指示し、センス領域およびアンチセンス領域を含む二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、アンチセンス領域は、VEGFおよび/またはVEGFR遺伝子に相補的なヌクレオチド配列またはその一部を含み、センス領域は、アンチセンス領域に相補的なヌクレオチド配列を含む。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子は、突出部ヌクレオチドを含まない末端等の平滑末端を含む。例えば、本明細書に記載の修飾を含む(例、化学式IからVIIを持つヌクレオチド、または「Stab00」−「Stab33」を含むsiNA構造(表IV)あるいは、その任意の組み合わせ(表IV参照))siNA分子および/または本明細書に記載の任意の長さは、平滑末端または突出ヌクレオチドを持たない末端を含むことができる。
1つの態様においては、本発明の任意のsiNA分子は、1つ以上の平滑末端を含む。例えばここで、平滑末端は突出ヌクレオチドを持たない。1つの態様においては、平滑末端siNA分子は、siNA分子の各鎖に存在するヌクレオチドの数に等しい多くの塩基対を持つ。別の態様においては、siNA分子は1つの平滑末端を含む。例えばここで、アンチセンス鎖の5’端および前記センス鎖の3’端は、突出ヌクレオチドを持たない。別の態様においては、siNA分子は1つの平滑末端を含む。例えばここで、アンチセンス鎖の3’端および前記センス鎖の5’端は、突出ヌクレオチドを持たない。別の態様においては、siNA分子は2つの平滑末端を持つ。例えばここで、アンチセンス鎖の3’端およびセンス鎖の5’端、またアンチセンス鎖の5’端およびセンス鎖の3’端は突出ヌクレオチドを持たない。平滑末端siNA分子は、例えば約15から約30ヌクレオチド(例、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30ヌクレオチド)を含むことができる。平滑末端siNA分子に存在する他のヌクレオチドは、例えばミスマッチ、バルジ、ループまたはゆらぎ塩基対を含み、RNA干渉を媒介するsiNA分子の活性を調節する。
「平滑末端」とは、対称的な末端または突出ヌクレオチドを持たない二本鎖siNA分子の末端を意味する。二本鎖siNA分子の二本鎖は、末端に突出ヌクレオチドを持たず、互いに協調する。例えば、平滑末端siNA構造は、siNA分子のセンスおよびアンチセンス領域間で相補的な末端ヌクレオチドを含む。
1つの態様においては、本発明は、VEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を下方制御するか、またはVEGFおよび/またはVEGFR RNAの切断を指示する二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、siNA分子は2つの個別のオリゴヌクレオチド断片から組み立てられる。ここで、1つの断片はセンス領域を含み、もう1つの断片はsiNA分子のアンチセンス領域を含む。センス領域は、ポリヌクレオチドリンカーまたは非ヌクレオチドリンカー等のリンカー分子を介して前記アンチセンス領域に結合することができる。
1つの態様においては、本発明は、VEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を下方制御するか、またはVEGFおよび/またはVEGFR RNAの切断を指示する二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、siNA分子は約15から約30(例、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30)塩基対を含み、siNA分子の各鎖は1つ以上の化学修飾を含む。別の態様においては、二本鎖siNA分子の一鎖はVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子のヌクレオチド配列またはその一部に相補的なヌクレオチド配列を含み、二本鎖siNA分子の第二鎖は、VEGFおよび/またはVEGFR遺伝子のヌクレオチド配列またはその一部とほぼ同様のヌクレオチド配列を含む。別の態様においては、二本鎖siNA分子の一鎖は、VEGFおよび/またはVEGFR遺伝子のヌクレオチド配列またはその一部に相補的なヌクレオチド配列を含み、二本鎖siNA分子の第二鎖は、VEGFおよび/またはVEGFR遺伝子のヌクレオチド配列またはその一部とほぼ同様のヌクレオチド配列を含む。別の態様においては、siNA分子の各鎖は、約15から約30(例、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30)ヌクレオチドを含み、各鎖はそのもう一方の鎖のヌクレオチドに相補的な少なくとも約15から約30(例、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30)ヌクレオチドを含む。VEGFおよび/またはVEGFR遺伝子は、例えば表Iに参照される配列を含むことができる。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子はリボヌクレオチドを含まない。別の態様においては、本発明のsiNA分子はリボヌクレオチドを含む。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子はVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子のヌクレオチド配列またはその一部に相補的なヌクレオチド配列を含むアンチセンス領域を含み、siNAはさらに、VEGFおよび/またはVEGFR遺伝子のヌクレオチド配列またはその一部とほぼ同様のヌクレオチド配列を含む。別の態様においては、アンチセンス領域およびセンス領域はそれぞれ、約15から約30(例、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30)ヌクレオチドを含み、アンチセンス領域はセンス領域のヌクレオチドに相補的な少なくとも約15から約30(例、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30)ヌクレオチドを含む。VEGFおよび/またはVEGFR遺伝子は、例えば表Iに参照される配列を含むことができる。別の態様においては、siNAは二本鎖核酸分子であり、ここでsiNA分子の二本鎖は、独立に約15から約40(例、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40)ヌクレオチドを含み、siNA分子の一鎖は、VEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の核酸配列またはその一部に相補的な少なくとも約15(例、約15、16,17、18、19、20、21、22、23、24、または25あるいはそれ以上)ヌクレオチドを含む。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子はセンス領域およびアンチセンス領域を含む。ここでアンチセンス領域はVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子によりコードされるRNAのヌクレオチドまたはその一部に相補的なヌクレオチド配列を含む。およびセンス領域は、アンチセンス領域に相補的なヌクレオチド配列を含む。1つの態様においては、siNA分子は2つの個別のオリゴヌクレオチド断片から組み立てられる。ここで、1つの断片はセンス領域を含み、もう1つの断片はsiNA分子のアンチセンス領域を含む。別の態様においては、センス領域は、リンカー分子を介して前記アンチセンス領域に結合される。別の態様においては、センス領域はヌクレオチドまたは非ヌクレオチドリンカー等のリンカー分子を介して前記アンチセンス領域に結合される。VEGFおよび/またはVEGFR遺伝子は、例えば表Iに参照される配列を含むことができる。
1つの態様においては、本発明は、VEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を下方制御するか、またはVEGFおよび/またはVEGFR RNAの切断を指示し、センス領域およびアンチセンス領域を含む二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、アンチセンス領域は、VEGFおよび/またはVEGFR遺伝子によりコードされるRNAのヌクレオチド核酸またはその一部に相補的なヌクレオチド配列を含み、センス領域はアンチセンス領域に相補的ニアヌクレオチド配列を含む。またここで、siNA分子は1つ以上の修飾ピリミジンおよび/またはプリンヌクレオチドを持つ。1つの態様においては、センス領域にあるピリミジンヌクレオチドは2’−O−メチルピリミジンヌクレオチドまたは2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであり、またセンス領域にあるプリンヌクレオチドは2’−デオキシプリンヌクレオチドである。別の態様においては、センス領域のピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであり、センス領域にあるプリンヌクレオチドは2’−O−メチルプリンヌクレオチドである。別の態様においては、センス領域にあるピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドである、センス領域にあるプリンヌクレオチドは2’−デオキシプリンヌクレオチドである。1つの態様においては、アンチセンス領域にあるピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであり、アンチセンス領域にあるプリンヌクレオチドは2’−O−メチルまたは2’−デオキシプリンヌクレオチドである。上述のsiNA分子のいずれかに関する別の態様においては、センス鎖(例、突出領域)の非相補領域にある任意のヌクレオチドは2’−デオキシヌクレオチドである。
1つの態様においては、本発明は、VEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を下方制御するか、またはVEGFおよび/またはVEGFR RNAの切断を指示する二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、siNA分子は2つの個別のオリゴヌクレオチド断片から組み立てられる。ここで、1つの断片はセンス領域を含み、もう1つの断片はsiNA分子のアンチセンス領域を含む。ここでセンス領域を含む断片は、その5’端、3’端、またはその両方に末端キャップ部を含む。1つの態様においては、末端キャップ部は逆位のデオキシ脱塩基部分またはグリセリル部分である。1つの態様においては、siNA分子の2つの断片はそれぞれ、約15から約30(例、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30)ヌクレオチドを含む。別の態様においては、siNA分子の2つの断片はそれぞれ、約15から約40(例、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40)ヌクレオチドを含む。限定を目的としない例において、siNA分子の2つの断片はそれぞれ約21ヌクレオチドを含む。
1つの態様においては、本発明は少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含むsiNA分子を特徴とする。ここで、修飾ヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチド、2’−O−トリフルオロメチルヌクレオチド、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシヌクレオチド、または2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシヌクレオチドである。siNAは、例えば約15から約40ヌクレオチド長である。1つの態様においては、siNAにあるすべてのピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシ、ピリミジンヌクレオチドである。1つの態様においては、siNAにある修飾ヌクレオチドは、少なくとも1つの2’−デオキシ−2’−フルオロシチジンまたは2’−デオキシ−2’−フルオロウリジンヌクレオチドを含む。別の態様においては、siNAにある修飾ヌクレオチドは、少なくとも1つの2’−フルオロシチジンおよび少なくとも1つの2’−デオキシ−2’−フルオロウリジンヌクレオチドを含む。1つの態様においては、siNAにあるすべてのウリジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロウリジンヌクレオチドである。1つの態様においては、siNAにあるすべてのシチジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロシチジンヌクレオチドである。1つの態様においては、siNAにあるすべてのアデノシンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロアデノシンヌクレオチドである。1つの態様においては、siNAにあるすべてのグアノシンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオログアノシンヌクレオチドである。siNAはさらに、ホスホロチオエート結合等の少なくとも1つの修飾ヌクレオチド間結合を含む。1つの態様においては、2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドは、ピリミジンヌクレオチドを持つ位置等の、リボヌクレアーゼによる切断に敏感で、siNAにおいて特異的に選択された位置に存在する。
1つの態様においては、本発明は、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを前記siNA分子に導入することを含む、リボヌクレアーゼによる切断に対するsiNA分子の安定性を増加する方法を特徴とする。ここで、修飾ヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドである。1つの態様においては、siNAにあるすべてのいりミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドである。1つの態様においては、siNAにある修飾ヌクレオチドは、少なくとも1つの2’−デオキシ−2’−フルオロシチジンまたは2’−デオキシ−2’−フルオロウリジンヌクレオチドを含む。別の態様においては、siNAにある修飾ヌクレオチドは、少なくとも1つの2’−フルオロシチジンおよび少なくとも1つの2’−デオキシ−2’−フルオロウリジンヌクレオチドを含む。1つの態様においては、siNAにあるすべてのウリジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロウリジンヌクレオチドである。1つの態様においては、siNAにあるすべてのシチジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロシチジンヌクレオチドである。1つの態様においては、siNAにあるすべてのアデノシンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロアデノシンヌクレオチドである。1つの態様においては、siNAにあるすべてのグアノシンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオログアノシンヌクレオチドである。siNAはさらに、ホスホロチオエート結合等の少なくとも1つの修飾ヌクレオチド間結合を含むことができる。1つの態様においては、2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドは、ピリミジンヌクレオチドを持つ位置等の、リボヌクレアーゼによる切断に敏感で、siNAにおいて特定の選択された位置に存在する。
1つの態様においては、本発明は、VEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を下方制御するか、またはVEGFおよび/またはVEGFR RNAの切断を指示し、センス領域およびアンチセンス領域を含む二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、アンチセンス領域は、VEGFおよび/またはVEGFR遺伝子によりコードされるRNAのヌクレオチド配列またはその一部に相補的なヌクレオチド配列を含み、センス領域は、アンチセンス領域に相補的なヌクレオチド配列を含む。またここで、アンチセンス領域にあるプリンヌクレオチドは、2’−デオキシ−プリンヌクレオチドを含む。別の態様においては、アンチセンス領域にあるプリンヌクレオチドは、2’−O−メチルプリンヌクレオチドを含む。上記態様のいずれかにおいて、前記アンチセンス領域は、アンチセンス領域の3’端にホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含むことができる。あるいは、上記態様のいずれかにおいて、アンチセンス領域は、その3’端にグリセリル修飾を含むことができる。上述のsiNA分子のいずれかに関する別の態様においては、アンチセンス鎖の非相補領域(例、突出領域)にある任意のヌクレオチドは、2’−デオキシヌクレオチドである。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子のアンチセンス領域は、疾患特異的な対立遺伝子に関連する単一ヌクレオチド多型(SNP)を含む配列等、対象または生物における特定のVEGFおよび/またはVEGFR疾患関連対立遺伝子に固有の配列を持つ内因性転写の一部に相補的な配列を含む。このため、本発明のsiNA分子のアンチセンス領域は、疾患、状態または形質関連対立遺伝子に対して選択的なRNAiを媒介する際に特異性を提供する特定の対立遺伝子に固有の配列に対して相補的な配列を含むことができる。
1つの態様においては、本発明は、VEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を下方制御するか、またはVEGFおよび/またはVEGFR RNAの切断を指示する二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、siNA分子は2つの個別のオリゴヌクレオチド断片から組み立てられる。ここで、1つの断片はセンス領域を含み、もう1つの断片はsiNA分子のアンチセンス領域を含む。別の態様においては、前記siNA分子は、二本鎖核酸分子である。ここで、各鎖は約21ヌクレオチド長であり、siNA分子の約19ヌクレオチド各断片は、siNA分子の他の断片の相補ヌクレオチドに対する塩基対である。ここで、siNA分子の各断片の少なくとも2つの3’端ヌクレオチドは、siNA分子の他の断片のヌクレオチドに対する塩基対ではない。別の態様においては、siNAは二本鎖核酸分子である。ここで各鎖は約19ヌクレオチド長であり、siNA分子の各断片のヌクレオチドは、siNA分子の他の断片の相補ヌクレオチドに対する塩基対であり、少なくとも約15(例、15、16、17、18、または19)塩基対を形成する。ここで、siNA分子の一端または両端は平滑末端である。1つの態様においては、siNA分子の各断片の2つの3’端ヌクレオチドはそれぞれ、2’−デオキシ−チミジン等の2’−デオキシ−ピリミジンヌクレオチドである。別の態様においては、siNA分子の各断片のヌクレオチドはすべて、siNA分子の他の断片の相補ヌクレオチドに対する塩基対である。別の態様においては、siNA分子は、センス領域およびアンチセンス領域を持つ約19から約25塩基対の二本鎖核酸分子である。ここで、アンチセンス領域の約19ヌクレオチドは、前記VEGFおよび/またはVEGFR遺伝子によりコードされるRNAのヌクレオチド配列またはその一部に対する塩基対である。別の態様においては、アンチセンス領域の約21ヌクレオチドは、VEGFおよび/またはVEGFR遺伝子によりコードされるRNAのヌクレオチド配列またはその一部に対する塩基対である。上記態様のいずれにおいても、前記アンチセンス領域を含む断片の5’端は、任意でリン酸基を含むことができる。
1つの態様においては、本発明はVEGFおよび/またはVEGFR RNA配列の発現を抑制する二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする(例、ここで前記標的RNA配列は、VEGFおよび/またはVEGFR経路に関与するVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子によりコードされる)。ここで、siNA分子は任意のリボヌクレオチドを含まず、また二本鎖siNA分子の各鎖は、約15から約30ヌクレオチドである。1つの態様においては、siNA分子は約21ヌクレオチド長である。siNA構造を含む非リボヌクレオチドの例は、Stab7/8、Stab7/11、Stab8/8、Stab18/8、Stab18/11、Stab12/13、Stab7/13、Stab18/13、Stab7/19、Stab8/19、Stab18/19、Stab7/20、Stab8/20、Stab18/20、Stab7/32、Stab8/32、またはStab18/32(例、Stab7、8、11、12、13、14、15、17、18、19、20、または32センスまたはアンチセンス鎖あるいはその任意の組み合わせを持つ任意のsiNA)等のセンス/アンチセンス化学反応の任意の組み合わせで表IVに示される安定化学反応の組み合わせである。
1つの態様においては、本発明は、RNA干渉を介してVEGFおよび/またはVEGFR RNAの切断を指示する化学合成した二本鎖RNA分子を特徴とする。ここで、前記RNA分子の各鎖は、約15から約30ヌクレオチド長である。RNA分子の一鎖は、RNA分子のVEGFおよび/またはVEGFR RNAに対して十分な相補性を持つヌクレオチド配列を含み、RNA干渉を介してVEGFおよび/またはVEGFR RNAの切断を指示する。ここで、RNA分子の少なくとも一鎖は任意で、限定を目的としないが、デオキシヌクレオチド、2’−O−メチルヌクレオチド、2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチド、2’−O−メトキシエチルヌクレオチド、2’−O−トリフルオロメチルヌクレオチド、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシヌクレオチド、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシヌクレオチド等の本明細書に記載する1つ以上の化学修飾ヌクレオチドを含む。
1つの態様においては、本発明は、本発明のsiNA分子を含む薬物を特徴とする。
1つの態様においては、本発明は、本発明のsiNA分子を含む有効成分を特徴とする。
1つの態様においては、本発明は、VEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を抑制、下方制御、または低減する二本鎖低分子干渉(siNA)分子の使用を特徴とする。ここで、siNA分子は1つ以上の化学修飾を含み、二本鎖siNAの各鎖は、独立に約15から約30以上(例、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30以上)のヌクレオチド長である。1つの態様においては、本発明のsiNA分子は、1つ以上の化学修飾を含む二本鎖核酸分子である。ここで、siNA分子の2つの断片はそれぞれ、約15から約40(例、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40)ヌクレオチドを含み、鎖の1つはRNAをコードするVEGFおよび/またはVEGFRのヌクレオチド配列またはその一部に相補的な少なくとも15ヌクレオチドを含む。限定を目的としない例において、siNA分子の2つの断片はそれぞれ約21ヌクレオチドを含む。別の態様においては、siNA分子は1つ以上の化学修飾を含む二本鎖核酸分子である。ここで各鎖は、約21ヌクレオチド長であり、siNA分子の各断片の約19のヌクレオチドはsiNA分子の他の断片の相補ヌクレオチドに対する塩基対である。ここで、siNA分子の各断片の少なくとも2つの3’端ヌクレオチドは、siNA分子の他の断片のヌクレオチドに対する塩基対ではない。別の態様においては、siNA分子は1つ以上の化学修飾を含む二本鎖核酸分子である。ここで、各鎖は約19ヌクレオチド長であり、siNA分子の各断片のヌクレオチドは、前記siNA分子の他の断片の相補ヌクレオチドに対する塩基対であり、少なくとも約15(例、15、16、17、18、または19)塩基対を形成する。ここでsiNA分子の一端または両端は平滑末端である。1つの態様においては、siNA分子の各断片の2つの3’端ヌクレオチドはそれぞれ、2’−デオキシ−チミジン等の2’−デオキシ−ピリミジンヌクレオチドである。別の態様においては、前記siNA分子の各断片のヌクレオチドはすべて、前記siNA分子の他の断片の相補ヌクレオチドに対する塩基対である。別の態様においては、siNA分子は、センス領域およびアンチセンス領域を持ち、1つ以上の化学修飾を含む約19から約25塩基対の二本鎖核酸分子である。ここで、記アンチセンス領域の約19ヌクレオチドは、VEGFおよび/またはVEGFR遺伝子によりコードされるRNAのヌクレオチド配列またはその一部に対する塩基対である。別の態様においては、約21ヌクレオチドのアンチセンス領域は、VEGFおよび/またはVEGFR遺伝子によりコードされるRNAのヌクレオチド配列またはその一部に対する塩基対である。上記態様のいずれにおいても、前記アンチセンス領域を含む断片の5’端は、任意でリン酸基を含むことができる。
1つの態様においては、本発明はVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を抑制、下方制御、または低減する二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子の使用を特徴とする。ここで、二本鎖siNA分子の鎖の1つはVEGFおよび/またはVEGFR RNAのヌクレオチド配列またはその一部に相補的なヌクレオチド配列を含むアンチセンス鎖であり、もう一方の鎖は、アンチセンス鎖のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含むセンス鎖である。ここで、二本鎖siNA分子にあるピリミジンヌクレオチドの大部分は糖修飾を含む。
1つの態様においては、本発明はVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を抑制、下方制御、または低減する二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、二本鎖siNA分子の鎖の1つはVEGFおよび/またはVEGFR RNAのヌクレオチド配列またはその一部に相補的なヌクレオチド配列を含むアンチセンス鎖であり、もう一方の鎖は、アンチセンス鎖のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含むセンス鎖である。またここで、二本鎖siNA分子にあるピリミジンヌクレオチドの大部分は糖修飾を含む。
1つの態様においては、本発明はVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を抑制、下方制御、または低減する二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、二本鎖siNA分子の鎖の1つは、タンパク質またはその一部をコードするVEGFおよび/またはVEGFR RNAのヌクレオチド配列またはその一部に相補的なヌクレオチド配列を含むアンチセンス鎖であり、もう一方の鎖は、アンチセンス鎖のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含むセンス鎖である。またここで、二本鎖siNA分子にあるピリミジンヌクレオチドの大部分は糖修飾を含む。1つの態様においては、siNA分子の各鎖は約15から約30以上(例、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30以上)のヌクレオチドを含む。ここで、各鎖はもう一方の鎖のヌクレオチドに相補的な少なくとも約15ヌクレオチドを含む。1つの態様においては、前記siNA分子は2つのオリゴヌクレオチド断片から組み立てられる。ここで、1つの断片は前記siNA分子のアンチセンス鎖のヌクレオチドを含み、もう1つの断片は前記siNA分子のセンス領域のヌクレオチド配列を含む。1つの態様においては、前記センス領域は、ポリヌクレオチドリンカーまたは非ヌクレオチドリンカー等のリンカー分子を介してアンチセンス鎖に結合される。別の態様においては、センス鎖にあるピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであり、センス領域にあるプリンヌクレオチドは2’−デオキシプリンヌクレオチドである。別の態様においては、センス鎖にあるピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであり、センス領域にあるプリンヌクレオチドは2’−O−メチルプリンヌクレオチドである。さらに別の態様においては、アンチセンス鎖にあるピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであり、アンチセンス鎖にある任意のプリンヌクレオチドは2’−デオキシ−プリンヌクレオチドである。別の態様においては、アンチセンス鎖は1つ以上の2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチド、および1つ以上の2’−O−メチルプリンヌクレオチドを含む。別の態様においては、アンチセンス鎖にあるピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであり、アンチセンス鎖にある任意のプリンヌクレオチドは2’−O−メチルプリンヌクレオチドである。別の態様においては、センス鎖は3’端および5’端を含み、ここで末端キャップ部(例、逆位デオキシ脱塩基部分または逆位チミジン等の逆位デオキシヌクレオチド部分)は、センス鎖の5’端、3’端、またはその両方に存在する。別の態様においては、アンチセンス鎖はその3’端にホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含む。別の態様においては、アンチセンス鎖は3’端にグリセリル修飾を含む。別の態様においては、アンチセンス鎖の5’端は任意でリン酸基を含む。
VEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を抑制する二本鎖低分子核酸(siNA)分子に関する上記態様のいずれにおいても、二本鎖siNA分子にあるピリミジンヌクレオチドの大部分は糖修飾を含み、siNA分子の二本鎖はそれぞれ約15から約30以上(例、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30あるいはそれ以上)のヌクレオチドを含むことができる。1つの態様においては、約15から約30以上(例、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30あるいはそれ以上)のヌクレオチドのsiNA分子の各鎖は、siNA分子のもう一方の鎖の相補ヌクレオチドに対する塩基対である。別の態様においては、約15から約30以上(例、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30あるいはそれ以上)のヌクレオチドのsiNA分子の各鎖は、siNA分子のもう一方の鎖の相補ヌクレオチドに対する塩基対である。ここで、siNA分子の各鎖の少なくとも2つの3’端ヌクレオチドは、siNA分子のもう一方の鎖のヌクレオチドに対する塩基対ではない。別の態様においては、siNA分子の各断片の2つの3’端ヌクレオチドはそれぞれ、2’−デオキシ−チミジン等の2’−デオキシ−ピリミジンである。1つの態様においては、siNA分子の各鎖はもう一方の区割りの相補ヌクレオチドに対する塩基対である。1つの態様においては、アンチセンス鎖の約15から30(例、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30)ヌクレオチドはVEGFおよび/またはVEGFR RNAのヌクレオチド配列またはその一部に対する塩基対である。1つの態様においては、アンチセンス鎖の約18から約25(例、約18、19、20、21、22、23、24、または25)ヌクレオチドはVEGFおよび/またはVEGFR RNAのヌクレオチド配列またはその一部に対する塩基対である。
1つの態様においては、本発明はVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を抑制する二本鎖低分子干渉(siNA)分子を特徴とする。ここで、二本鎖siNA分子の鎖の1つは、VEGFおよび/またはVEGFR RNAのヌクレオチド配列またはその一部に相補的なヌクレオチド配列を含むアンチセンス鎖であり、もう1つの鎖はアンチセンス鎖のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含むセンス鎖である。またここで、二本鎖siNA分子にあるピリミジンヌクレオチドの大部分は糖修飾を含み、アンチセンス鎖の5’端は任意でリン酸基を含む。
1つの態様においては、本発明はVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を抑制する二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、二本鎖siNA分子の鎖の1つはVEGFおよび/またはVEGFR RNAのヌクレオチド配列またはその一部に相補的なヌクレオチド配列を含むアンチセンス鎖であり、もう1つはアンチセンス鎖のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含むセンス鎖である。またここで、二本鎖siNA分子にあるピリミジンヌクレオチドの大部分は糖修飾を含み、アンチセンス鎖のヌクレオチド配列またはその一部は、VEGFおよび/またはVEGFR RNAの未翻訳領域のヌクレオチド配列またはその一部に相補的である。
1つの態様においては、本発明はVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を抑制する二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、二本鎖siNA分子の鎖の1つは、VEGFおよび/またはVEGFR RNAのヌクレオチド配列またはその一部に相補的なヌクレオチド配列を含むアンチセンス鎖であり、もう1つは、アンチセンス鎖のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含むセンス鎖である。ここで、二本鎖siNA分子にあるピリミジンヌクレオチドの大部分は糖修飾を含み、アンチセンス鎖のヌクレオチド配列は、VEGFおよび/またはVEGFR RNAにあるVEGFおよび/またはVEGFR RNAのヌクレオチド配列またはその一部に相補的である。
1つの態様においては、本発明は、医薬的に許容できる担体または希釈剤中の本発明のsiNA分子を含む組成物を特徴とする。
限定を目的としない例において、化学修飾したヌクレオチドを核酸分子に導入することで、体外から送達された天然RNA分子に固有のインビボの安定性および生物学的利用能に関する潜在的な限界を克服する強力なツールが提供される。例えば、化学修飾した核酸分子は血清中でより長い半減期を持つため、化学修飾した核酸分子を使用することで、低用量の特定核酸分子で指定の治療効果を挙げることが可能になる。さらに、特定の化学修飾は、特定の細胞または組織のターゲティングまたは核酸分子の細胞摂取を向上させることによって、核酸分子の生物学的利用能を改善できる。そのため、例えばすべてのRNA核酸分子と比較する場合等、化学修飾した核酸分子の活性が天然核酸分子に比べて低い場合でも、修飾した核酸分子の安定性および/または送達が向上したことによって、その分子の全体活性は天然分子と比べて優れている。天然の未修飾siNAとは異なり、化学修飾したsiNAは、ヒトにおいてインターフェロン作用を活性化する可能性を最小限に抑えることもできる。
本明細書に記載するsiNA分子のいずれの態様においても、本発明のsiNA分子のアンチセンス領域は、前記アンチセンス領域の3’端にホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含むことができる。ここに記載するsiNA分子の任意の態様において、アンチセンス領域は約1つから約5つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を前記アンチセンス領域の5’端に含むことができる。本明細書に記載のsiNA分子の任意の態様において、本発明のsiNA分子の3’端ヌクレオチド突出部は、核酸糖、塩基、または骨格で化学修飾されたリボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドを含むことができる。本明細書に記載のsiNA分子の任意の態様において、3’端ヌクレオチド突出部は1つ以上のユニバーサル塩基リボヌクレオチドを含むことができる。本明細書に記載するsiNA分子の任意の態様のいずれにおいても、3’端ヌクレオチド突出部は1つ以上の非環状ヌクレオチドを含むことができる。
本発明の1つの態様は、核酸分子の発現を許可する方法で、少なくとも1つの本発明のsiNA分子をコードする核酸配列を含む発現ベクターを提供する。本発明の別の態様は、そのような発現ベクターを含む哺乳類細胞を提供する。哺乳類細胞はヒトの細胞であってもよい。siNA分子の発現ベクターはセンス領域およびアンチセンス領域を含むことができる。アンチセンス領域は、VEGFおよび/またはVEGFRをコードするRNAまたはDNA配列に相補的な配列を含むことができ、またセンス領域は、アンチセンス領域に相補的な配列を含むことができる。siNA分子は相補的なセンス領域およびアンチセンス領域を持つ2つの個別の鎖を含むことができる。siNA分子は、相補的なセンス領域およびアンチセンス領域を持つ単一の鎖を含むことができる。
1つの態様においては、本発明は、細胞または再構築インビトロシステムにおいてVEGFおよび/またはVEGFRに対するRNA干渉(RNAi)を媒介できる化学修飾した低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とし、ここで、化学修飾は化学式I
Figure 2007505605
を持つ骨格修飾ヌクレオチド間結合を含む1つ以上(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)のヌクレオチドを含み、
式中、R1およびR2はそれぞれ、自然発生するまたは化学修飾した任意のヌクレオチド、非ヌクレオチド、またはポリヌクレオチドであり、XおよびYはそれぞれO、S、N、アルキル、または置換アルキルであり、ZおよびWはそれぞれO、S、N、アルキル、置換アルキル、O−アルキル、S−アルキル、アルカリル、アラルキル、またはアセチルであり、またここでW、X、Y、およびZは任意ですべてがOではない。別の態様においては、本発明の骨格修飾はホスホノ酢酸および/またはチオホスホノ酢酸ヌクレオチド間結合を含む(例えばシーハン(Sheehan)ら,2003,核酸リサーチ(Nucleic Acids Research),31,4109−4118を参照)。
化学式Iを持つ化学修飾ヌクレオチド間結合は、例えば、任意のZ、W、X、および/またはYはそれぞれ硫黄原子を含む場合、センス鎖、アンチセンス鎖、またはその両方にあるsiNA二重鎖の一方または両方のオリゴヌクレオチド鎖に存在し得る。本発明のsiNA分子は、センス鎖、アンチセンス鎖またはその両方の3’端、5’端、またはその両方に1つ以上(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上)の化学式Iの化学修飾ヌクレオチド間結合を含むことができる。例えば、本発明の典型的なsiNA分子は、センス鎖、アンチセンス鎖、またはその両方の5’端に化学式Iを持つ約1つから約5つ以上(例、約1、2、3、4、5、またはそれ以上)の化学修飾ヌクレオチド間結合を含むことができる。別の限定を目的としない例において、本発明の典型的なsiNA分子は、センス鎖、アンチセンス鎖、またはその両方に、約1つ、またはそれ以上(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)の化学式Iの化学修飾ヌクレオチド間結合を持つピリミジンヌクレオチドを含むことができる。さらに別の限定を目的としない例において、本発明の典型的なsiNA分子は、センス鎖、アンチセンス鎖、またはその両方に、約1つ、またはそれ以上(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)の化学式Iの化学修飾ヌクレオチド間結合を含むプリンヌクレオチドを含むことができる。別の態様においては、化学式Iのヌクレオチド間結合を持つ本発明のsiNA分子は、化学式IからVIIのいずれかを持つ化学修飾したヌクレオチドまたは非ヌクレオチドも含む。
1つの態様においては、本発明は、細胞または再構築インビトロシステムにおいてVEGFおよび/またはVEGFRに対するRNA干渉(RNAi)を媒介できる化学修飾した低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とし、ここで化学修飾は化学式II
Figure 2007505605
を持つ1つ以上(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)のヌクレオチドまたは非ヌクレオチドを含み、
式中、R3、R4,R5,R6,R7、R8,R10、R11,およびR12はそれぞれH、OH、アルキル、置換アルキル、アルカリルまたはアラルキル、F,Cl、Br、CN、CF3、OCF3、OCN、O−アルキル、S−アルキル、N−アルキル、b−アルケニル、S−アルケニル、N−アルケニル、SO−アルキル、アルキル−OSH、アルキル−OH、O−アルキル−OH、O−アルキル−SH、S−アルキル−SH、S−アルキル−OH、S−アルキル−SH、アルキル−S−アルキル、アルキル−O−アルキル、ONO2、NO2、N3、NH2、アミノアルキル、アミノ酸、アミノアシル、ONH2、O−アミノアルキル、O−アミノ酸、O−アミノアシル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリル、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、あるいは化学式IまたはIIのグループであり、R9はO、S、CH2、S−O、CHFまたはCF2であり、またBはアデニン、グアニン、ウラシル、シトシン、チミン、2−アミノアデノシン、5−メチルシトシン、2,6−ジアミノプリン、または標的RNAに相補的または非相補的な任意の他の非自然発生塩基、等のヌクレオシド塩基、あるいはフェニル、ナフチル、3−ニトロピロール、5−ニトロインドール、ネブラリン、ピリドン、ピリジノンあるいは標的RNAに相補的または非相補的な任意の他の非自然発生ユニバーサル塩基、等の非ヌクレオシド塩基である。
化学式IIの化学修飾ヌクレオチドまたは非ヌクレオチドは、例えば、センス鎖、アンチセンス鎖、またはその両方等、siNA二重鎖の一方または両方のオリゴヌクレオチド鎖に存在し得る。本発明のsiNA分子は、センス鎖、アンチセンス鎖、またはその両方の3’端、5’端、またはその両方に1つ以上の化学式IIの化学修飾ヌクレオチドまたは非ヌクレオチドを含むことができる。例えば、本発明の典型的なsiNA分子は、約1つから約5つ、またはそれ以上(例、約1、2、3、4、5、またはそれ以上)の化学式IIの化学修飾ヌクレオチドまたは非ヌクレオチドをセンス鎖、アンチセンス鎖、またはその両方の5’端に含むことができる。別の限定を目的としない例において、本発明の典型的なsiNA分子は、約1つから約5つ、またはそれ以上(例、約1、2、3、4、5、またはそれ以上)の化学式IIの化学修飾ヌクレオチドまたは非ヌクレオチドをセンス鎖、アンチセンス鎖、またはその両方の3’端に含むことができる。
1つの態様においては、本発明は細胞または再構築インビトロシステムにおいてVEGFおよび/またはVEGFRに対するRNA干渉(RNAi)を媒介できる化学修飾した低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とし、ここで、化学修飾は、化学式III
Figure 2007505605
を持つ1つ以上(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上)のヌクレオチドまたは非ヌクレオチドを含み、
式中、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R10、R11、およびR12はそれぞれH、OH、アルキル、置換アルキル、アルカリルまたはアラルキル、F、Cl、Br、CN、CF3、OCF3、OCN、O−アルキル、S−アルキル、N−アルキル、O−アルケニル、S−アルケニル、N−アルケニル、SO−アルキル、アルキル−OSH、アルキル−OH、O−アルキル−OH、O−アルキル−SH、S−アルキル−OH、S−アルキル−SH、アルキル−S−アルキル、アルキル−O−アルキル、ONO2、NO2、N3、NH2、アミノアルキル、アミノ酸、アミノアシル、ONH2、O−アミノアルキル、O−アミノ酸、O−アミノアシル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリル、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、あるいは化学式IまたはIIのグループであり、R9はO、S、CH2、S−O、CHFまたはCF2であり、Bはアデニン、グアニン、ウラシル、シトシン、チミン、2−アミノアデノシン、5−メチルシトシン、2,6−ジアミノプリン、または標的RNAに相補的または非相補的となるように使用される任意の他の非自然発生塩基、等のヌクレオシド塩基、またはフェニル、ナフチル、3−ニトロピロール、5−ニトロインドール、ネブラリン、ピリドン、ピリジノンまたは標的RNAに相補的または非相補的な任意の他の非自然発生ユニバーサル塩基、等の非ヌクレオシド塩基である。
化学式IIIの化学修飾ヌクレオチドまたは非ヌクレオチドは、例えばセンス鎖、アンチセンス鎖、またはその両方等、siNA二重鎖の一方または両方のオリゴヌクレオチド鎖に存在し得る。本発明のsiNA分子は、1つ以上の化学式IIIの化学修飾ヌクレオチドまたは非ヌクレオチドをセンス鎖、アンチセンス鎖、またはその両方の3’端、5’端、またはその両方に含むことができる。例えば、本発明の典型的なsiNA分子は、約1つから約5つ、またはそれ以上(例、約1、2、3、4、5、またはそれ以上)の化学式IIIの化学修飾ヌクレオチドまたは非ヌクレオチドをセンス鎖、アンチセンス鎖、またはその両方の5’端に含むことができる。別の限定を目的としない例において、本発明の典型的なsiNA分子は、約1つから約5つ、またはそれ以上(例、約1、2、3、4、5、またはそれ以上)の化学式IIIの化学修飾ヌクレオチドまたは非ヌクレオチドをセンス鎖、アンチセンス鎖、またはその両方の3’端に含むことができる。
別の態様においては、本発明のsiNA分子は、化学式IIまたはIIIを持つヌクレオチドを含む。ここで、化学式IIまたはIIIを持つヌクレオチドは逆位構造にある。例えば、化学式IIまたはIIIを持つヌクレオチドは、一方または両方のsiNA鎖の3’端、5’端、またはその両方といった、3’−3’、3’−2’、2’−3’、または5’−5’構造にあるsiNA構造と結合される。
1つの態様においては、本発明は細胞または再構築インビトロシステムにおいてVEGFおよび/またはVEGFRに対するRNA干渉(RNAi)を媒介できる化学修飾した低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とし、ここで、化学修飾は化学式IV
Figure 2007505605
を持つ5’端リン酸基を含み、
式中、XおよびYはそれぞれO、S、N、アルキル、置換アルキル、またはアルキルハロであり、ZおよびWはそれぞれO、S、N、アルキル、置換アルキル、O−アルキル、S−アルキル、アルカリル、アラルキル、アルキルハロ、またはアセチルであり、またW、X、Y、およびZがすべてOであることはない。
1つの態様においては、本発明は例えば、標的RNAに相補的な鎖等の標的相補鎖上に化学式IVの5’端リン酸基を持つsiNA分子を特徴とする。ここでsiNA分子はすべてのRNAsiNA分子を含む。別の態様においては、本発明は標的相補鎖上に化学式IVの5’端リン酸基を持つsiNA分子を特徴とする。ここでsiNA分子は、一方または両方の鎖の3’端に約1つから約4つ(例、約1、2、3、または4)のデオキシリボヌクレオチドを持つ約1つから約3つ(例、約1、2、または3)のヌクレオチドの3’端ヌクレオチド突出部も含む。別の態様においては、化学式IVの5’端リン酸基は、例えば化学式IからVIIのいずれかの化学修飾を持つsiNA分子といった本発明のsiNA分子の標的相補鎖上に存在する。
1つの態様においては、本発明は、細胞または再構築インビトロシステムにおいてVEGFおよび/またはVEGFRに対するRNA干渉(RNAi)を媒介できる化学修飾した低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、化学修飾は1つ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含む。例えば、限定を目的としない例において、本発明は、一方のsiNA鎖に約1、2、3、4、5、6、7、8またはそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を持つ化学修飾した低分子干渉核酸(siNA)を特徴とする。さらに別の態様においては、本発明は、両方のsiNA鎖にそれぞれ約1、2、3、4、5、6、7、8、またはそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を持つ化学修飾した低分子干渉核酸(siNA)を特徴とする。前記ホスホロチオエートヌクレオチド間結合は、例えばセンス鎖、アンチセンス鎖、またはその両方にあるsiNA二重鎖の一方または両方のオリゴヌクレオチド鎖に存在し得る。本発明のsiNA分子は、1つ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合をセンス鎖、アンチセンス鎖、またはその両方の3’端、5’端、またはその両方に含むことができる。例えば、本発明の典型的なsiNA分子は、センス鎖、アンチセンス鎖、またはその両方の5’端に約1つから約5つ、またはそれ以上(例、約1、2、3、4、5、またはそれ以上)の連続したホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含むことができる。別の態様においては、本発明の典型的なsiNA分子は、センス鎖、アンチセンス鎖、またはその両方に1つ以上(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)のピリミジンホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含むことができる。さらに別の態様においては、本発明の典型的なsiNA分子は、センス鎖、アンチセンス鎖、またはその両方に1つ以上(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)のプリンホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含むことができる。
1つの態様においては、本発明はsiNA分子を特徴とする。ここで、センス鎖は1つ以上、例えば約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合、および/または1つ以上(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)の2’−デオキシ、2’−O−メチル、2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシ、および/または約1つ以上(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)のユニバーサル塩基修飾ヌクレオチドを含み、また任意でセンス鎖の3’端、5’端、またはその両方に末端キャップ分子を含む。ここで、アンチセンス鎖は約1つから約10またはそれ以上、具体的には約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合、および/または1つ以上(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)の2’−デオキシ、2’−O−メチル、2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシ、および/または1つ以上(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)のユニバーサル塩基修飾ヌクレオチドを含み、また任意でアンチセンス鎖の3’端、5’端、またはその両方に末端キャップ分子を含む。別の態様においては、1つ以上、例えばセンスおよび/またはアンチセンスsiNA鎖の約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のピリミジンヌクレオチドは、1つ以上、例えば約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合および/または同一あるいは異なる鎖の3’端、5’端、またはその両方にある末端キャップ分子を持つか否かに関わらず、2’−デオキシ、2’−O−メチル、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシ、および/または2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドで化学修飾される。
別の態様においては、本発明はsiNA分子を特徴とする。ここで、センス鎖は約1つから約5つ、具体的には約1、2、3、4、または5つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合、および/または1つ以上(例、約1、2、3、4、5、またはそれ以上)の2’−デオキシ、2’−O−メチル、2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシ、および/または約1つ以上(例、約1、2、3、4、5、またはそれ以上)のユニバーサル塩基修飾ヌクレオチドを含み、また任意でセンス鎖の3’端、5’端、またはその両方に末端キャップ分子を含む。またここで、アンチセンス鎖は、約1つから約5つまたはそれ以上、具体的には約1、2、3、4、5、またはそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合、および/または1つ以上(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)の2’−デオキシ、2’−O−メチル、2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシ、および/または1つ以上(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)のユニバーサル塩基修飾ヌクレオチドを含み、また任意で前記アンチセンス鎖の3’端、5’端、またはその両方に末端キャップ分子を含む。別の態様においては、センスおよび/アンチセンスsiNA鎖の1つ以上、例えば約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のピリミジンヌクレオチドは、約1つから約5つ以上、例えば約1、2、3、4、5、またはそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合および/または同一あるいは異なる鎖の3’端、5’端、またはその両方にある末端キャップ分子を持つか否かに関わらず、2’−デオキシ、2’−O−メチル、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシ、および/または2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドで化学修飾される。
1つの態様においては、本発明はsiNA分子を特徴とする。ここで、アンチセンス鎖は、1つ以上、例えば約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合、および/または1つ以上(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上)の2’−デオキシ、2’−O−メチル、2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシ、および/または1つ以上(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上)のユニバーサル塩基修飾ヌクレオチドを含み、また任意でセンス鎖の3’端、5’端、またはその両方に末端キャップ分子を含む。またここで、アンチセンス鎖は、約1つから約10またはそれ以上、特に約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合、および/または1つ以上(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上)の2’−デオキシ、2’−O−メチル、2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシ、および/または1つ以上(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上)のユニバーサル塩基修飾ヌクレオチドを含み、また任意でアンチセンス鎖の3’端、5’端、またはその両方に末端キャップ分子を含む。別の態様においては、センスおよび/アンチセンスsiNA鎖の1つ以上、例えば約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上のピリミジンヌクレオチドは、約1つ以上、例えば約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合および/または同一あるいは異なる鎖の3’端、5’端、またはその両方にある末端キャップ分子を持つか否かに関わらず、2’−デオキシ、2’−O−メチル、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシ、および/または2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドで化学修飾される。
別の態様においては、本発明はsiNA分子を特徴とする。ここで、アンチセンス鎖は、約1つから約5つ以上、例えば約1、2、3、4、5以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合、および/または1つ以上(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上)の2’−デオキシ、2’−O−メチル、2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシ、および/または1つ以上(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上)のユニバーサル塩基修飾ヌクレオチドを含み、また任意でセンス鎖の3’端、5’端、またはその両方に末端キャップ分子を含む。またここで、アンチセンス鎖は、約1つから約5つ以上、特に約1、2、3、4、5以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合、および/または1つ以上(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上)の2’−デオキシ、2’−O−メチル、2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシ、および/または1つ以上(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上)のユニバーサル塩基修飾ヌクレオチドを含み、また任意でアンチセンス鎖の3’端、5’端、またはその両方に末端キャップ分子を含む。別の態様においては、センスおよび/アンチセンスsiNA鎖の1つ以上、例えば約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上のピリミジンヌクレオチドは、約1つから約5つ、例えば約1、2、3、4、5以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合および/または同一あるいは異なる鎖の3’端、5’端、またはその両方にある末端キャップ分子を持つか否かに関わらず、2’−デオキシ、2’−O−メチル、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシ、および/または2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドで化学修飾される。
1つの態様においては、本発明は、siNA分子の各鎖に約1つから約5つまたはそれ以上(例、約1、2、3、4、5、またはそれ以上)のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を持つ化学修飾低分子核酸(siNA)分子を特徴とする。
別の態様においては、本発明は、2’−5’ヌクレオチド間結合を含むsiNA分子を特徴とする。2’−5’ヌクレオチド間結合は、siNA配列鎖の一方または両方の3’端、5’端、またはその両方に存在し得る。さらに、2’−5’ヌクレオチド間結合は、siNA配列鎖の一方または両方の様々な他の位置に存在し得る。例えば、すべてのヌクレオチド間結合を含む約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上のsiNA分子の一方または両方にあるピリミジンヌクレオチドは、2’−5’ヌクレオチド間結合を含むことができる。またはすべてのヌクレオチド間結合を含む約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上のsiNA配列鎖の一方または両方にあるプリンヌクレオチドは、2’−5’ヌクレオチド間結合を含むことができる。
別の態様においては、本発明の化学修飾siNA分子は2つの鎖を持つ二重鎖を含み、その一方または両方の鎖は化学修飾することができる。ここで、各鎖はそれぞれ約15から約30(例、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30)ヌクレオチド長である。二重鎖は約15から約30(例、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30)の塩基対を持つ。また化学修飾は、化学式IからVIIのいずれかを持つ構造を含む。例えば、本発明の典型的な化学修飾siNA分子は、2つの鎖を持つ二重鎖を含み、その一方または両方の鎖は化学式IからVIIのいずれか、あるいはその任意の組み合わせを持つ化学修飾で化学修飾することができる。ここで、各鎖はそれぞれ2−ヌクレオチド3’端ヌクレオチド突出を持つ約21のヌクレオチドで構成され、ここで二重鎖は約19塩基対を持つ。別の態様においては、本発明のsiNA分子は一本鎖ヘアピン構造を含み、siNAは約15から約30(例、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30)塩基対を持つ約36から約70(例、約36、40、45、50、55、60、65、または70)ヌクレオチド長である。またここで、siNAは、化学式IからVIIのいずれか、またはその任意の組み合わせを持つ構造を含む化学修飾を含むことができる。例えば、本発明の典型的な化学修飾siNA分子は、化学式IからVIのいずれか、またはその任意の組み合わせを持つ化学修飾で化学修飾される約42から約50(例、約42、43、44、45、46、47、48、49、または50)ヌクレオチドを持つ直鎖オリゴヌクレオチドを含む。ここで、直鎖オリゴヌクレオチドは、約19から約21(例、19、20、または21)塩基対および2−ヌクレオチド3’端ヌクレオチド突出部を持つヘアピン構造を形成する。別の態様においては、本発明の直鎖ヘアピンsiNA分子は、ステムループモチーフを含み、siNA分子のループ部分は生分解が可能である。例えば、本発明の直鎖ヘアピンsiNAは、インビボのsiNA分子のループ部分の分解によって約2ヌクレオチドを含む3’端ヌクレオチド突出部等の3’端突出部を持つ二本鎖siNA分子を生成できるようにデザインされる。
別の態様においては、本発明のsiNA分子はヘアピン構造を含む。ここで、siNAは、約3から25(例、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25)塩基対を持つ約25から約50(例、約25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50)ヌクレオチド長である。またここで、siNAは、化学式IからVIIのいずれか、またはその任意の組み合わせを持つ構造を含む1つ以上の化学修飾を含むことができる。例えば、本発明の典型的な化学修飾siNA分子は、化学式IからVIIのいずれかまたはその任意の組み合わせを持つ1つ以上の化学修飾で化学修飾される約25から約35(例、約25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、または35)ヌクレオチドを持つ直鎖オリゴヌクレオチドを含む。ここで、直鎖オリゴヌクレオチドは、約3から約25(例、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25)塩基対および本明細書に記載のように化学修飾できる5’端リン酸基(例えば、化学式IVを持つ5’端リン酸基)を持つヘアピン構造を形成する。別の態様においては、本発明の直鎖ヘアピンsiNAは、ステムループモチーフを含む。ここで、siNA分子のループ部分は生分解が可能である。1つの態様においては、本発明の直鎖ヘアピンsiNA分子は、非ヌクレオチドリンカーを含むループ部分で構成される。
別の態様においては、本発明のsiNA分子は非対称のヘアピン構造を含む。ここで、siNAは約3から約25(例、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25)塩基対を持つ約25から約50(例、約25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50)ヌクレオチド長である。またここで、siNAは、化学式IからVIIのいずれか、またはその任意の組み合わせを持つ構造で構成される1つ以上の化学修飾を含むことができる。例えば、本発明の典型的な化学修飾siNA分子は、化学式IからVIIのいずれか、またはその任意の組み合わせを持つ1つ以上の化学修飾で化学修飾される約25から約35(例、約25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、または35)ヌクレオチドを持つ直鎖オリゴヌクレオチドを含む。ここで、前記直鎖オリゴヌクレオチドは、約3から約25(例、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25)塩基対および本明細書に記載のように化学修飾できる5’端リン酸基(例えば、化学式IVを持つ5’端リン酸基)を持つ非対称のヘアピン構造を形成する。1つの態様においては、本発明の非対称ヘアピンsiNA分子は、ステムループモチーフを含む。ここで、siNA分子のループ部分は生分解が可能である。別の態様においては、本発明の非対称ヘアピンsiNA分子は、非ヌクレオチドリンカーを含むループ部分で構成される。
別の態様においては、本発明のsiNA分子はセンス領域およびアンチセンス領域を含む個別のポリヌクレオチド鎖を持つ非対称の二本鎖構造を含む。ここで、アンチセンス領域は約15から約30(例、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30)ヌクレチド長であり、センス領域は約3から約25(例、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25)ヌクレオチド長である。センス領域およびアンチセンス領域は少なくとも3つの相補ヌクレオチドを持ち、siNAは化学式IからVIIのいずれか、またはその任意の組み合わせを持つ構造を含む1つ以上の化学修飾を含むことができる。例えば、本発明の典型的な化学修飾siNA分子は、センス領域およびアンチセンス領域を含む個別のプリヌクレオチド鎖を持つ非対称の二本鎖構造を含む。ここで、アンチセンス領域は約18から約23(例、約18、19、20、21、22、または23)ヌクレオチド長であり、センス領域は約3から約15(例、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15)ヌクレオチド長である。センス領域およびアンチセンス領域は、少なくとも3つの相補ヌクレオチドを持ち、siNAは化学式IからVIIのいずれか、またはその任意の組み合わせを持つ構造を含む1つ以上の化学修飾を含むことができる。別の態様においては、非対称の二本鎖siNA分子は、本明細書に記載のように化学修飾できる5’端リン酸基(例えば、化学式IVを持つ5’端リン酸基)を持つこともできる。
別の態様においては、本発明のsiNA分子は環状核酸分子を含む。ここでsiNAは、約15から約30(例、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30)塩基対を持つ約38から約70(例、約38、40、45、50、55、60、65、または70)ヌクレオチド長であり、siNAは化学式IからVIIのいずれか、またはその任意の組み合わせを持つ構造を含む化学修飾を含むことができる。例えば、本発明の典型的な化学修飾siNA分子は、化学式IからVIIのいずれか、またはその任意の組み合わせを持つ化学修飾で化学修飾される約42から約50(例、約42、43、44、45、46、47、48、49、または50)ヌクレオチドを持つ環状オリゴヌクレオチドを含む。ここで、環状オリゴヌクレオチドは、約19の塩基対と2つのループを持つダンベル型構造を形成する。
別の態様においては、本発明の環状siNA分子は2つのループモチーフを含む。ここで、siNA分子の1つまたは両方のループ部分は生分解が可能である。例えば、本発明の環状siNA分子は、インビボのsiNA分子のループ部分を分解することにより、約2ヌクレオチドを含む3’端ヌクレオチド突出部等の3’端突出部を持つ二本鎖siNA分子を生成できるようにデザインされる。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子は、例えば化学式V
Figure 2007505605
を持つ化合物等の少なくとも1つ(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)の脱塩基部分を含み、
式中、R3、R4、R5,R6、R7、R8、R10、R11、R12およびR13はそれぞれH、OH、アルキル、置換アルキル、アルカリルまたはアラルキル、F、Cl、Br、CN、CF3、OCF3、OCN、O−アルキル、S−アルキル、N−アルキル、O−アルケニル、S−アルケニル、N−アルケニル、SO−アルキル、アルキル−OSH、アルキル−OH、O−アルキル−OH、O−アルキル−SH、S−アルキル−OH、S−アルキル−SH、アルキル−S−アルキル、アルキル−O−アルキル、ONO2、NO2、N3、NH2、アミノアルキル、アミノ酸、アミノアシル、ONH2、O−アミノアルキル、O−アミノ酸、O−アミノアシル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリル、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、または化学式IまたはIIを持つグループであり、R9はO、S,CH2、S−O、CHF、またはCF2である。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子は、例えば化学式VI
Figure 2007505605
の化合物といった少なくとも1つ(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上)の逆位脱塩基部分を含み、
式中、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R10、R11、R12、およびR13はそれぞれH、OH、アルキル、置換アルキル、アルカリルまたはアラルキル、F、Cl、Br、CN、CF3、OCN、O−アルキル、S−アルキル、N−アルキル、O−アルケニル、S−アルケニル、N−アルケニル、SO−アルキル、アルキル−OSH、アルキル−OH、O−アルキル−OH、O−アルキル−SH、S−アルキル−OH、S−アルキル−SH、アルキル−S−アルキル、アルキル−O−アルキル、ONO2、NO2、N3、NH2、アミノアルキル、アミノ酸、アミノアシル、ONH2、O−アミノアルキル、O−アミノ酸、O−アミノアシル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリル、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、または化学式IあるいはIIを持つグループであり、R9はO、S、CH2、S−O、CHF、またはCF2であり、またR2、R3、R8またはR13は本発明のsiNA分子との結合点となる。
別の態様においては、本発明のsiNA分子は、例えば化学式VII
Figure 2007505605
を持つ化合物等の少なくとも1つ(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)の置換ポリアルキル部分を含み、
式中、nはそれぞれ1から12の整数であり、R1、R2およびR3はそれぞれH、OH、アルキル、置換アルキル、アルカリルまたはアラルキル、F、Cl、Br、CN、CF3、OCF3、OCN、O−アルキル、S−アルキル、N−アルキル、O−アルケニル、S−アルケニル、N−アルケニル、SO−アルキル、アルキル−OSH、アルキル−OH、O−アルキル−OH、O−アルキル−SH、S−アルキル−OH、S−アルキル−SH、アルキル−S−アルキル、アルキル−O−アルキル、ONO2、NO2、N3、NH2、アミノアルキル、アミノ酸、アミノアシル、ONH2、O−アミノアルキル、O−アミノ酸、O−アミノアシル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリル、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、または化学式Iを持つグループであり、またR1、R2、またはR3は本発明のsiNA分子との結合点となる。
別の態様においては、本発明は化学式VIIを持つ化合物を特徴とする。ここでR1およびR2はヒドロキシル(OH)グループであり、n=1であり、R3はOを含み、本発明の二本鎖siNA分子の一方または両方の鎖の3’端、5’端、またはその両方との結合点、または本発明の一本鎖siNA分子との結合点である。本明細書において、当該修飾は「グリセリル」と呼ばれる(例えば図10の修飾6)。
別の態様においては、本発明の化学修飾ヌクレオシドまたは非ヌクレオシド(例、化学式V、VIまたはVIIのいずれかを持つ部分)は、本発明のsiNA分子の3’端、5’端、またはその両方に存在する。例えば、化学修飾ヌクレオシドまたは非ヌクレオシド(例、化学式V、VIまたはVIIを持つ部分)は、siNA分子のセンス鎖、アンチセンス鎖、またはその両方の3’端、5’端、またはその両方に存在し得る。1つの態様においては、化学修飾したヌクレオシドまたは非ヌクレオシド(例、化学式V、VI、またはVIIを持つ部分)は、本発明の二本鎖siNA分子のセンス鎖の5’端および3’端、およびアンチセンス鎖の3’端に存在する。1つの態様においては、化学修飾したヌクレオシドまたは非ヌクレオシド(例、化学式V、VIまたはVIIを持つ部分)は、本発明の二本鎖siNA分子のセンス鎖の5’端および3’端、およびアンチセンス鎖の3’端の末端位置に存在する。1つの態様においては、化学修飾したヌクレオシドまたは非ヌクレオシド(例、化学式V、VIまたはVIIを持つ部分)は、本発明の二本鎖siNA分子のセンス鎖の5’端および3’端、およびアンチセンス鎖の3’端の最後から2番目の位置に存在する。さらに、化学式VIIを持つ部分は、本明細書に記載のようにヘアピンsiNA分子の3’端または5’端に存在し得る。
別の態様においては、本発明のsiNA分子は化学式VまたはVIを持つ脱塩基残基を含む。ここで、化学式VまたはVIを持つ脱塩基残基は、siNA鎖の一方または両方の3’端、5’端、またはその両方にある3’−3’、3’−2’、2’−3’、または5’−5’構造のsiNA構造と結合する。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子は、例えばその5’端、3’端、その両方、またはその任意の組み合わせに1つ以上(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)のロックト核酸(LNA)ヌクレオチドを含む。
別の態様においては、本発明のsiNA分子は、例えばsiNA分子の5’端、3’端、その両方、またはその任意の組み合わせに1つ以上(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)の非環式ヌクレオチドを含む。
1つの態様においては、本発明はセンス領域を含む本発明の化学修飾した低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、センス領域に存在する任意(例、1つ以上またはすべて)のピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであり(例、ここですべてのピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであるか、または代わりに複数のピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドである)、前記センス領域に存在する任意(例、1つ以上またはすべて)のプリンヌクレオチドは2’−デオキシプリンヌクレオチドである(例、ここですべてのプリンヌクレオチドが2’−デオキシプリンヌクレオチドであるか、または代わりに複数のプリンヌクレオチドが2’−デオキシプリンヌクレオチドである)。
1つの態様においては、本発明はセンス領域を含む本発明の化学修飾した低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、前記センス領域に存在する任意(例、1つ以上またはすべて)のピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであり(例、ここですべてのピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであるか、または代わりに複数のピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドである)、センス領域に存在する任意(例、1つ以上またはすべて)のプリンヌクレオチドは2’−デオキシプリンヌクレオチドである(例、ここですべてのプリンヌクレオチドが2’−デオキシプリンヌクレオチドであるか、または代わりに複数のプリンヌクレオチドが2’−デオキシプリンヌクレオチドである)。またここで、前記センス領域に存在する3’端ヌクレオチド突出部を含む任意のヌクレオチドは2’−デオキシヌクレオチドである。
1つの態様においては、本発明はセンス領域を含む本発明の化学修飾した低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、前記センス領域に存在する任意(例、1つ以上またはすべて)のピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであり(例、ここですべてのピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであるか、または代わりに複数のピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドである)、前記センス領域に存在する任意(例、1つ以上またはすべて)のプリンヌクレオチドは2’−O−メチルプリンヌクレオチドである(例、ここですべてのプリンヌクレオチドが2’−O−メチルプリンヌクレオチドであるか、または代わりに複数のプリンヌクレオチドが2’−O−メチルプリンヌクレオチドである)。
1つの態様においては、本発明はセンス領域を含む本発明の化学修飾した低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、センス領域に存在する任意(例、1つ以上またはすべて)のピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであり(例、ここですべてのピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであるか、または代わりに複数のピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドである)、前記センス領域に存在する任意(例、1つ以上またはすべて)のプリンヌクレオチドは2’−O−メチル、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシプリンヌクレオチドである(例、ここですべてのプリンヌクレオチドが2’−O−メチル、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシプリンヌクレオチドであるか、または代わりに複数のプリンヌクレオチドが2’−O−メチル、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシプリンヌクレオチドである)。またここで、前記センス領域に存在する3’端ヌクレオチド突出部を含む任意のヌクレオチドは2’−デオキシヌクレオチドである。
1つの態様においては、本発明はアンチセンス領域を含む本発明の化学修飾した低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、アンチセンス領域に存在する任意(例、1つ以上またはすべて)のピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであり(例、ここですべてのピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであるか、または代わりに複数のピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドである)、アンチセンス領域に存在する任意(例、1つ以上またはすべて)のプリンヌクレオチドは2’−O−メチル、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシプリンヌクレオチドである(例、ここですべてのプリンヌクレオチドが2’−O−メチル、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシプリンヌクレオチドであるか、または代わりに複数のプリンヌクレオチドが2’−O−メチル、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシプリンヌクレオチドである)。
1つの態様においては、本発明はアンチセンス領域を含む本発明の化学修飾した低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、アンチセンス領域に存在する任意(例、1つ以上またはすべて)のピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであり(例、ここですべてのピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであるか、または代わりに複数のピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドである)、アンチセンス領域に存在する任意(例、1つ以上またはすべて)のプリンヌクレオチドは2’−O−メチル、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシプリンヌクレオチドである(例、ここですべてのプリンヌクレオチドが2’−O−メチル、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシプリンヌクレオチドであるか、または代わりに複数のプリンヌクレオチドが2’−O−メチル、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシプリンヌクレオチドである)。またここで、前記アンチセンス領域に存在する3’端ヌクレオチド突出部を含む任意のヌクレオチドは2’−デオキシヌクレオチドである。
1つの態様においては、本発明はアンチセンス領域を含む本発明の化学修飾した低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、アンチセンス領域に存在する任意(例、1つ以上またはすべて)のピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであり(例、ここですべてのピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであるか、または代わりに複数のピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドである)、アンチセンス領域に存在する任意(例、1つ以上またはすべて)のプリンヌクレオチドは2’−デオキシプリンヌクレオチドである(例、ここですべてのプリンヌクレオチドが2’−デオキシプリンヌクレオチドであるか、または代わりに複数のプリンヌクレオチドが2’−デオキシプリンヌクレオチドである)。
1つの態様においては、本発明はアンチセンス領域を含む本発明の化学修飾した低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、アンチセンス領域に存在する任意(例、1つ以上またはすべて)のピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであり(例、ここですべてのピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであるか、または代わりに複数のピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドである)、アンチセンス領域に存在する任意(例、1つ以上またはすべて)のプリンヌクレオチドは2’−O−メチル、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシプリンヌクレオチドである(例、ここですべてのプリンヌクレオチドが2’−O−メチル、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシプリンヌクレオチドであるか、または代わりに複数のプリンヌクレオチドが2’−O−メチル、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシプリンヌクレオチドである)。
1つの態様においては、本発明はセンス領域を含む細胞または再構築インビトロシステム内のVEGFおよび/またはVEGFRに対するRNA干渉(RNAi)を媒介できる本発明の化学修飾した低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、センス領域に存在する1つ以上のピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであり(例、ここですべてのピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであるか、または代わりに複数のピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドである)、前記センス領域に存在する1つ以上のプリンヌクレオチドは2’−デオキシプリンヌクレオチドである(例、ここですべてのプリンヌクレオチドが2’−デオキシプリンヌクレオチドであるか、または代わりに複数のプリンヌクレオチドが2’−デオキシプリンヌクレオチドである)。またここで、1つ以上のアンチセンス領域に存在する1つ以上のピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであり(例、ここですべてのピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであるか、または代わりに複数のピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドである)、アンチセンス領域に存在する1つ以上のプリンヌクレオチドは2’−O−メチル、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシプリンヌクレオチドである(例、ここですべてのプリンヌクレオチドが2’−O−メチル、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシプリンヌクレオチドであるか、または代わりに複数のプリンヌクレオチドが2’−O−メチル、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシプリンヌクレオチドである)。センス領域および/またはアンチセンス領域は、本明細書に記載または図10に示すように、前記センス領域および/またはアンチセンス領域の3’端、5’端、またはその両方に任意で存在する任意の修飾等の末端キャップ修飾を持つことができる。さらにセンス領域および/またはアンチセンス領域は、約1つから約4つ(例、約1、2、3、または4)のホスホロチオエート、ホスホノアセテート、および/またはチオホスホノアセテートヌクレオチド間結合を含むことができる。これらの化学修飾siNAに関する限定を目的としない例は、本明細書の図4および5、ならびに表IIIおよびIVに示す。上記態様のいずれかにおいて、センス領域に存在するプリンヌクレオチドは、代替として2’−O−メチル、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシプリンヌクレオチドであり(例、ここですべてのプリンヌクレオチドが2’−O−メチル、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシプリンヌクレオチドであるか、または代わりに複数のプリンヌクレオチドが2’−O−メチル、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシプリンヌクレオチドである)、アンチセンス領域に存在する1つ以上のプリンヌクレオチドは、2’−O−メチル、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシプリンヌクレオチドである(例、ここですべてのプリンヌクレオチドが2’−O−メチル、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシプリンヌクレオチドであるか、または代わりに複数のプリンヌクレオチドが2’−O−メチル、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシプリンヌクレオチドである)。また、これらの態様のいずれかにおいて、センス領域に存在する1つ以上のプリンヌクレオチドは、代替としてプリンリボヌクレオチドであり(例、ここですべてのプリンヌクレオチドがプリンリボヌクレオチドであるか、または代わりに複数のプリンヌクレオチドがプリンリボヌクレオチドである)、アンチセンス領域に存在する任意のプリンヌクレオチドは2’−O−メチル、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシプリンヌクレオチドである(例、ここですべてのプリンヌクレオチドが2’−O−メチル、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシプリンヌクレオチドであるか、または代わりに複数のプリンヌクレオチドが2’−O−メチル、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシプリンヌクレオチドである)。さらにこれらの態様のいずれかにおいて、前記センス領域および/またはアンチセンス領域に存在する1つ以上のプリンヌクレオチドは、代替として2’−デオキシヌクレオチド、ロックト核酸(LNA)ヌクレオチド、2’−メトキシエチルヌクレオチド、4’−チオヌクレオチド、2’−O−トリフルオロメチルヌクレオチド、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシヌクレオチド、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシヌクレオチドおよび2’−O−メチルヌクレオチドで構成されるグループから選択される(例、ここですべてのプリンヌクレオチドが2’−デオキシヌクレオチド、ロックト核酸(LNA)ヌクレオチド、2’−メトキシエチルヌクレオチド、4’−チオヌクレオチド、2’−O−トリフルオロメチルヌクレオチド、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシヌクレオチド、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシヌクレオチドおよび2’−O−メチルヌクレオチドで構成されるグループから選択されるか、または代わりに複数のプリンヌクレオチドが2’−デオキシヌクレオチド、ロックト核酸(LNA)ヌクレオチド、2’−メトキシエチルヌクレオチド、4’−チオヌクレオチド、2’−O−トリフルオロメチルヌクレオチド、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシヌクレオチド、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシヌクレオチドおよび2’−O−メチルヌクレオチドで構成されるグループから選択される)。
別の態様においては、本発明のsiNA分子に存在する、好ましくは本発明のsiNA分子のアンチセンス、また任意でセンス鎖および/またはその両方に存在する任意の修飾ヌクレオチドは自然発生するリボヌクレオチドと同様の特性または特徴を持つ修飾ヌクレオチドを含む。例えば、ノーザン構造を持つ修飾ヌクレオチドを含むsiNA分子を特徴とする(例、ノーザン擬似回転サイクル、ゼンガー(Saenger),核酸構造の原理(Principles of Nucleic Acid Structure),スプリンガー・ヴァーラグ(Springer−Verlag)ら,1984年を参照)。そのように、本発明のsiNA分子に存在する、好ましくは本発明のsiNA分子のアンチセンス、また任意でセンス鎖および/またはその両方に存在する化学修飾ヌクレオチドは、RNAiを媒介する能力を維持すると同時に、ヌクレアーゼ分解に対する耐性を示す。ノーザン構造を持つヌクレオチドに関する限定を目的としない例は、ロックト核酸(LNA)ヌクレオチド(例、2’−O、4’−C−メチレン−(D−リボフラノシル)ヌクレオチド);2’−メトキシエトキシ(MOE)ヌクレオチド:2’−メチル−チオ−エチル、2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチド、2’−デオキシ−2’−クロロヌクレオチド、2’−アジドヌクレオチド、2’−O−トリフルオロメチルヌクレオチド、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシヌクレオチド、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシヌクレオチドおよび2’−O−メチルヌクレオチドを含む。
1つの態様においては、本発明の二本鎖siNA分子のセンス鎖は、その3’端、5’端、またはその両方に逆位デオキシ脱塩基部分等の末端キャップ部(図10を参照)を含む。
1つの態様においては、本発明は細胞または再構築インビトロシステム内でVEGFおよび/またはVEGFRに対するRNA干渉(RNAi)を媒介できる化学修飾低分子核酸分子(siNA)を特徴とする。ここで、化学修飾は化学修飾siNA分子に共有結合しているコンジュゲートを含む。本発明で意図するコンジュゲートの限定を目的としない例は、ヴァルギース(Vargeese)ら,2003年4月30日付米国特許出願10/427,160に記載のコンジュゲートおよびリガンドを含む。この特許は、参照することにより図も含めてその全体が本明細書に組み込まれる。別の態様においては、コンジュゲートは生分解が可能なリンカーを介して化学修飾siNA分子と共有結合している。1つの態様においては、コンジュゲート分子は化学修飾siNA分子のセンス鎖、アンチセンス鎖またはその両方の3’端で結合する。別の態様においては、コンジュゲート分子は化学修飾siNA分子のセンス鎖、アンチセンス鎖またはその両方の5’端で結合する。さらに別の態様においては、コンジュゲート分子は化学修飾siNA分子のセンス鎖、アンチセンス鎖またはその両方の3’端および5’端で結合する。1つの態様においては、本発明のコンジュゲート分子は細胞等の生物系への化学修飾siNA分子の送達を促進する分子を含む。別の態様においては、化学修飾siNA分子に結合するコンジュゲート分子は、ポリエチレングリコール、ヒト血清アルブミン、または細胞摂取を媒介できる細胞受容体のリガンドである。化学修飾siNA分子に結合でき、本発明で意図する特定のコンジュゲート分子の例は、ヴァルギース(Vargeese)ら,2002年7月22日付米国特許出願10/201,394に記載されており、これは参照することにより本明細書に組み込まれる。使用されるコンジュゲートのタイプおよび本発明のsiNA分子のコンジュゲートの範囲は、siNA構造の薬物動態プロファイル、生物学的利用能、および/または安定性の改善のために評価できる一方、RNAi作用を媒介するsiNAの能力を維持することができる。当然、当該技術分野における技術を有する者であれば、様々なコンジュゲートで修飾したsiNA構造を検定して、前記siNAコンジュゲート複合体が改善された特性を待ちながらRNAiを媒介する能力を維持しているかを判断することができる。例えば、当該技術分野では動物モデルにおける例が一般的に知られている。
1つの態様においては、本発明は本発明の低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここでsiNAは、さらにヌクレオチド、非ヌクレオチド、またはsiNAのセンス領域をsiNAのアンチセンス領域に結合する混合ヌクレオチド/非ヌクレオチドリンカーを含む。1つの態様においては、本発明のヌクレオチドリンカーは、2より多いヌクレオチド長、例えば約3、4、5、6、7、8、9、または10ヌクレオチド長のリンカーであってもよい。別の態様においては、前記ヌクレオチドリンカーは核酸アプタマーであってもよい。本明細書で使用する「アプタマー」または「核酸アプタマー」は、標的分子に特異的に結合する核酸分子を意味する。ここで核酸分子は、その自然環境において標的分子によって認識される配列を含む配列を持つ。代わりにアプタマーは、核酸に自然結合しない標的分子に結合する核酸分子であってもよい。標的分子は、関連の任意の分子であってよい。例えば、アプタマーを使用して、タンパク質のリガンド結合ドメインに結合することができ、それによって自然発生するリガンドとタンパク質の相互作用を回避することができる。これは限定を目的としない例であり、当業者であれば、当該技術分野において一般に知られている技術を使用して、他の例を容易に実施できる(例として、ゴールド(Gold)ら,1995年,生化学アニュアルレビュー(Annu.Rev.Biochem),64,763;ブロディ(Brody)とゴールド(Gold),2000年,生物工学会誌(J.Biotechnol.),74,5;サン(Sun),2000年,分子治療学カレントオピニオン(Curr.Opin.Mol.Ther.),2,100;クッサー(Kusser),2000年,生物工学会誌(J.Biotechnol.),74,27;ハーマン(Hermann)とパテル(Patel),2000年,サイエンス誌(Science),287,820;およびジャヤセナ(Jayasena),1999年,臨床化学誌(Clinical Chemistry),45,1628を参照)。
さらに別の態様においては、本発明の非ヌクレオチドリンカーは、脱塩基ヌクレオチド、ポリエーテル、ポリアミン、ポリアミド、ペプチド、炭水化物、脂質、ポリ炭化水素、または他のポリマー化合物(例、2から100エチレングリコール単位を持つポリエチレングリコール等)を含む。特定の例は、シーラ(Seela)とカイザー(Kaiser),核酸リサーチ(Nucleic Acid Research),1990年,18:6353および核酸リサーチ(Nucleic Acid Research),1987年,15:3113;クロード(Cload)とシェパーツ(Schepartz),米国化学学会誌(J.Am.Chem.Soc.),1991年,113:6324;リチャードソン(Richardson)とシェパーツ(Schepartz),米国化学学会誌(J.Am.Chem.Soc.),1991年,113:5109;マ(Ma)ら,核酸リサーチ(Nucleic Acids Res.),1993年,21:2585および生物化学(Biochemistry),1993年,32:1751;デュラン(Durand)ら,核酸リサーチ(Nucleic Acids Res.),1990年,18:6353;マカーディ(McCurdy)ら,ヌクレオシドとヌクレオチド(Nucleosides & Nucleotides)1991年,10:287;イシュク(Jschke)ら,テトラヒドロン通信(Tetrahedron Letter),1993年,34:301;オノ(Ono)ら,生物化学(Biocemistry)1991年,30:9914;アーノルド(Arnold)ら,国際公開WO89/02439;ウスマン(Usman)ら,国際公開WO95/06731;ドゥーディッチ(Dudycz)ら,国際公開WO95/11910およびフェレンツ(Ferentz)とヴェルディン(Verdine),米国化学学会誌(J.Am.Chem.Soc.)、1991年,113:4000に記載の例を含み、これらはすべて参照することにより本明細書に組み込まれる。さらに「非ヌクレオチド」は1つ以上のヌクレオチド単位として核酸鎖に組み込むことができ、糖および/またはリン酸塩置換を含む任意のグループまたは化合物を意味し、残基はその酵素活性を示すことができる。前記グループまたは化合物は、例えば糖のC1位にアデノシン、グアニン、シトシン、ウラシルまたはチミン等の一般に認識されているヌクレオチド塩基を含まない場合は、脱塩基であってよい。
1つの態様においては、本発明は、細胞または再構築インビトロシステム内でRNA干渉(RNAi)を媒介できる低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、siNA分子の一方または両方の鎖は、リボヌクレオチドを含まない2つの個別のオリゴヌクレオチドから組み立てられる。例えば、siNA分子は単一のオリゴヌクレオチドから組み立てることができる。ここで、siNAのセンスおよびアンチセンス領域は、オリゴヌクレオチドに存在するリボヌクレオチドを含まない個別のオリゴヌクレオチド(例、2’−OHグループを持つヌクレオチド)を含む。別の態様においては、siNA分子は単一のオリゴヌクレオチドから組み立てることができる。ここで、siNAのセンスおよびアンチセンス領域は、本明細書に記載のようにヌクレオチドまたは非ヌクレオチドリンカーにより結合されるか、または環状になる。ここで、オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドに存在するリボヌクレオチド(例、2’−OHグループを持つヌクレオチド)を含まない。驚くべきことに、出願人はsiNA分子内のリボヌクレオチド(例、2’−ヒドロキシルグループを持つヌクレオチド)の存在はRNAi活性のサポートに必要不可欠ではないことを発見した。そのように、1つの態様においては、siNA内のすべての位置は化学式I、II、III、IV、V、VIまたはVIIまたはその任意の組み合わせを持つヌクレオチドおよび/または非ヌクレオチド等の化学修飾したヌクレオチドおよび/または非ヌクレオチドを含むことができ、細胞におけるRNAi活性をサポートするsiNA分子の能力をある程度維持することができる。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子は、細胞または再構築インビトロシステム内でRNAi活性を媒介する一本鎖siNA分子である。ここで、前記siNA分子は標的核酸配列に対して相補性を持つ一本鎖ポリヌクレオチドを含む。別の態様においては、本発明の一本鎖siNA分子は5’端リン酸基を含む。別の態様においては、本発明の一本鎖siNA分子は5’端リン酸基および3’端リン酸基(例、2’,3’−環状リン酸)を含む。別の態様においては、本発明の一本鎖siNA分子は約15から約30(例、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30)ヌクレオチドを含む。さらに別の態様においては、本発明の一本鎖siNA分子は、本明細書に記載の1つ以上の化学修飾ヌクレオチドまたは非ヌクレオチドを含む。例えば、前記siNA分子内のすべての位置は、化学式IからVIIのいずれか、またはその任意の組み合わせを持つヌクレオチド等の化学修飾ヌクレオチドを含むことができ、細胞におけるRNAi活性をサポートするsiNA分子の能力をある程度維持することができる。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子は、標的核酸配列に対して相補性を持つ一本鎖ポリヌクレオチドを含む細胞または再構築インビトロシステム内でRNAi活性を媒介する一本鎖siNA分子である。ここで、siNAに存在する1つ以上のピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであり(例、ここですべてのピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであるか、または代わりに複数のピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドである)アンチセンス領域に存在する任意のプリンヌクレオチドは2’−O−メチル、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドである(例、ここですべてのプリンヌクレオチドが2’−O−メチル、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドであるか、または代わりに複数のプリンヌクレオチドが2’−O−メチル、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、または2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドである)。また、本明細書または図10に示す任意の修飾等の末端キャップ修飾は、任意でアンチセンス配列の3’端、5’端、またはその両方に存在する。siNAは、さらに任意で約1つから約4つまたはそれ以上(例、約1、2、3、4、またはそれ以上)の末端2’−デオキシヌクレオチドをsiNA分子の3’端に含む。ここで末端ヌクレオチドはさらに、1つ以上(例、1、2、3、4、またはそれ以上)のホスホロチオエート、ホスホロアセテート、および/またはチオホスホノアセテートヌクレオチド間結合を含むことができ、またsiNAはさらに任意で、5’端リン酸基等の末端リン酸基を含む。これらの態様のいずれかにおいて、アンチセンス領域に存在する任意のプリンヌクレオチドは、代わりに2’−デオキシプリンヌクレオチドである(例、ここですべてのプリンヌクレオチドが2’−デオキシプリンヌクレオチドであるか、または代わりに複数のプリンヌクレオチドが2’−デオキシプリンヌクレオチドである)。また、これらの態様のいずれかにおいて、siNAに存在する任意のプリンヌクレオチド(例、センスおよび/またはアンチセンス領域に存在するプリンヌクレオチド)は、代わりにロックト核酸(LNA)ヌクレオチドであってよい(例、ここですべてのプリンヌクレオチドがLNAヌクレオチドであるか、代わりに複数のプリンヌクレオチドがLNAヌクレオチドである)。また、これらの態様のいずれかにおいて、siNAに存在する任意のプリンヌクレオチドは、代わりに2−メトキシエチルプリンヌクレオチドである(例、ここですべてのプリンヌクレオチドが2’−メトキシエチルプリンヌクレオチドであるか、または代わりに複数のプリンヌクレオチドが2’−メトキシエチルプリンヌクレオチドである)。別の態様においては、本発明の一本鎖siNA分子に存在する任意の修飾ヌクレオチドは、自然発生するリボヌクレオチドと同様の特性または特徴を持つ修飾ヌクレオチドを含む。例えば、本発明はノーザン構造を持つ修飾ヌクレオチドを含むsiNA分子を特徴とする(例、ノーザン擬似回転サイクル、ゼンガー(Saenger),核酸構造の原理(Principles of Nucleic Acid Structure),スプリンガー・ヴァーラグ(Springer−Verlag)ら,1984を参照)。このように、本発明の一本鎖siNA分子に存在する化学修飾ヌクレオチドは、好ましくはRNAiを媒介する能力を維持しながら、同時にヌクレアーゼ分解に対する耐性を持つ。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子は、化学修飾したヌクレオチドまたは非ヌクレオチド(例、化学式IからVIIのいずれかを持つ、2’−デオキシ、2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシまたは2’−O−メチルヌクレオチド等)を、前記siNA分子の1つ以上の鎖または領域内の代替位置に含む。例えば、そのような化学修飾は、siNAの3’端または5’端から第一または第二ヌクレオチドのいずれかで開始して、RNAベースのsiNA分子の他の各位置に導入することができる。限定を目的としない例において、siNAの各鎖が21ヌクレオチド長である本発明の二本鎖siNA分子は、各鎖の1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、および21位が化学修飾されるという特徴を持つ(例、2’−デオキシ、2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシまたは2’−O−メチルヌクレオチド等、化学式IからVIIのいずれかを持つ化合物を用いて)。限定を目的としない別の例において、siNAの各鎖が21ヌクレオチド長である本発明の二本鎖siNA分子は、各鎖の2、4、6、8、10、12、14、16、18、および20位が化学修飾されるという特徴を持つ(例、2’−デオキシ、2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシまたは2’−O−メチルヌクレオチド等、化学式IからVIIのいずれかを持つ化合物を用いて)。そのようなsiNA分子はさらに、本明細書に記載のような末端キャップ部および/または骨格修飾を含むことができる。
1つの態様においては、本発明は細胞内のVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を調節する方法を特徴とし、(a)化学修飾可能な本発明のsiNA分子を合成すること(ここで、siNA鎖の1つがVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子に相補的な配列を含む)、および(b)細胞内のVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を調節する(例、抑制する)のに適した条件下で、前記siNA分子を細胞に導入することを含む。
1つの態様においては、本発明は細胞内のVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を調節する方法を特徴とし、(a)化学修飾可能な本発明のsiNA分子を合成すること(ここで、siNA鎖の1つがVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子のRNAに相補的な配列を含み、siNAのセンス鎖配列が標的RNAの配列と同一かまたはほぼ同様の配列を含む)、および(b)細胞内のVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を調節する(例、抑制する)のに適した条件下で、siNA分子を細胞に導入することを含む。
別の態様においては、本発明は細胞内の2以上のVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を調節する方法を特徴とし、(a)化学修飾可能な本発明のsiNA分子を合成すること(ここで、siNA鎖の1つがVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子のRNAに相補的な配列を含む)、および(b)細胞内のVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を調節する(例、抑制する)のに適した条件下で、前記siNA分子を細胞に導入することを含む。
別の態様においては、本発明は細胞内の2つ以上のVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を調節する方法を特徴とし、(a)化学修飾可能な本発明の1つ以上のsiNA分子を合成すること(ここで、siNA鎖がVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子のRNAに相補的な配列を含み、siNAのセンス鎖配列が標的RNAの配列と同一かまたはほぼ同様の配列を含む)、および(b)細胞内のVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を調節する(例、抑制する)のに適した条件下で、siNA分子を細胞に導入することを含む。
別の態様においては、本発明は細胞内の2以上のVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を調節する方法を特徴とし、(a)化学修飾可能な本発明のsiNA分子を合成すること(ここで、siNA鎖の1つがVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子のRNAに相補的な配列を含み、siNAのセンス鎖配列が標的RNAの配列と同一かまたはほぼ同様の配列を含む)、および(b)細胞内のVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を調節する(例、抑制する)のに適した条件下で、siNA分子を細胞に導入することを含む。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子は体外アプリケーションにおける試薬として使用される。例えば、siNA試薬は、治療効果を挙げるため対象に移植される組織または細胞に導入される。細胞および/または組織は、後に外移植を受ける生物体または対象から採取するか、または移植前に別の生物体または対象から採取することができる。siNA分子を使用して、細胞または組織内の1つ以上の遺伝子発現を調節することができる。そのため、細胞または組織は、望ましい表現型を取得するか、またはインビボで移植された場合に機能を発揮することができる。1つの態様においては、特定の標的細胞を患者から抽出する。これらの抽出細胞は、それらの細胞によるsiNAの摂取に適した条件下で(例、カチオン脂質、リポソーム等の送達試薬を使用するか、または細胞へのsiNA送達を促進するエレクトロポレーション等の技術を使用して)、細胞内で特定のヌクレオチド配列を標的とするsiNAに接触される。その後、細胞は同一の患者または他の患者に再導入される。1つの態様においては、本発明は組織外植片におけるVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を調節する方法を特徴とし、(a)化学修飾可能な本発明のsiNA分子を合成すること(ここで、siNA鎖の1つがVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子のRNAに相補的な配列を含む)、および(b)組織外植片におけるVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を調節する(例、抑制する)のに適した条件下で、siNA分子を特定の生物から摂取した組織外植片の細胞に導入することを含む。別の態様においては、さらに前記方法は、その生物におけるVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を調節する(例、抑制する)のに適した条件下で、組織を採取した生物または別の生物に組織外植片を再導入することを含む。
1つの態様においては、本発明は組織外植片におけるVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を調節する方法を特徴とし、(a)化学修飾可能な本発明のsiNA分子を合成すること(ここで、siNA鎖の1つがVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子のRNAに相補的な配列を含み、siNAのセンス鎖配列が標的RNAの配列と同一かまたはほぼ同様の配列を含む)、および(b)組織外植片におけるVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を調節する(例、抑制する)のに適した条件下で、特定の生物から採取した組織外植片の細胞にsiNA分子を導入することを含む。別の態様においては、さらに前記方法は、その生物体内のVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を調節する(例、抑制する)のに適した条件下で、組織を採取した生物体または別の生物体に組織外植片を再導入することを含む。
別の態様においては、本発明は組織外植片における1つ以上のVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を調節する方法を特徴とし、(a)化学修飾可能な本発明のsiNA分子を合成すること(ここで、siNA鎖の1つはVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子のRNAに相補的な配列を含む)、および(b)組織外植片におけるVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を調節する(例、抑制する)のに適した条件下で、siNA分子を特定の生物から摂取した組織外植片の細胞に導入することを含む。別の態様においては、前記方法はさらに、その生物体内のVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を調節する(例、抑制する)のに適した条件下で、組織を摂取した生物体または別の生物体に組織外植片を再導入することを含む。
1つの態様においては、本発明は対象または生物体内のVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を調節する方法を特徴とし、(a)化学修飾可能な本発明のsiNA分子を合成すること(ここで、siNA鎖の1つはVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子に相補的な配列を含む)、および(b)対象または生物におけるVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を調節する(例、抑制する)のに適した条件下で、siNA分子を対象または生物に導入することを含む。VEGFおよび/またはVEGFRタンパク質あるいはRNAのレベルは、当該技術分野においてよく知られている様々な方法を使用して判定できる。
別の態様においては、本発明は対象または生物体における2以上のVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を調節する方法を特徴とし、(a)化学修飾可能な本発明のsiNA分子を合成すること(ここで、siNA鎖の1つはVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子のRNAに相補的な配列を含む)、および(b)対象または生物体におけるVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を調節する(例、抑制する)のに適した条件下で、siNA分子を対象または生物体に導入することを含む。VEGFおよび/またはVEGFRタンパク質あるいはRNAのレベルは、当該技術分野においてよく知られている様々な方法を使用して判別できる。
1つの態様においては、本発明は細胞内のVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を調節する方法を特徴とし、(a)化学修飾可能な本発明のsiNA分子を合成すること(ここで、siNAはVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子に相補的な一本鎖配列を含む)、および(b)細胞におけるVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を調節する(例、抑制する)のに適した条件下で、siNA分子を細胞に導入することを含む。
別の態様においては、本発明は細胞内の2以上のVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を調節する方法を特徴とし、(a)化学修飾可能な本発明のsiNA分子を合成すること(ここで、siNAはVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子のRNAに対して相補性を持つ一本鎖配列を含む)、および(b)細胞内のVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を調節する(例、抑制する)のに適した条件下で、細胞をインビトロまたはインビボでsiNA分子に接触させることを含む。
1つの態様においては、本発明は組織外植片(例、肝臓移植)におけるVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を調節する方法を特徴とし、(a)化学修飾可能な本発明のsiNA分子を合成すること(ここで、siNA鎖はVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子のRNAに対して相補性を持つ一本鎖配列を含む)、および(b)組織外植片におけるVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を調節する(例、抑制する)のに適した条件下で、特定の対象または生物体から採取した組織外植片の細胞をsiNA分子と接触させることを含む。別の態様においては、さらに前記方法は、その生物体におけるVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を調節する(例、抑制する)のに適した条件下で、組織を摂取した生物体または別の生物体に組織外植片を再導入することを含む。
別の態様においては、本発明は組織外植片(例、肝臓移植)における2以上のVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を調節する方法を特徴とし、(a)化学修飾可能な本発明のsiNA分子を合成すること(ここで、siNA鎖はVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子のRNAに対して相補性を持つ一本鎖配列を含む)、および(b)組織外植片におけるVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を調節する(例、抑制する)のに適した条件下で、siNA分子を特定の対象または生物体から採取した組織外植片の細胞に導入することを含む。別の態様においては、さらに前記方法は、その対象または生物体におけるVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を調節する(例、抑制する)のに適した条件下で、組織を摂取した対象または生物体に組織外植片を再導入することを含む。
1つの態様においては、本発明は対象または生物体におけるVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を調節する方法を特徴とし、(a)化学修飾可能な本発明のsiNA分子を合成すること(ここで、siNA鎖はVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子のRNAに対して相補性を持つ一本鎖配列を含む)、および(b)対象または生物体におけるVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を調節する(例、抑制する)のに適した条件下で、siNA分子を対象または生物体に導入することを含む。
別の態様においては、本発明は対象または生物体における2以上のVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を調節する方法を特徴とし、(a)化学修飾できる本発明のsiNA分子を合成すること(ここで、siNA鎖はVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子のRNAに対して相補性を持つ一本鎖配列を含む)、および(b)対象または生物体におけるVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を調節する(例、抑制する)のに適した条件下で、siNA分子を対象または生物体に導入することを含む。
1つの態様においては、本発明は、対象または生物体におけるVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を調節する方法を特徴とし、対象または生物体におけるVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を調節する(例、抑制する)のに適した条件下で、対象または生物体を本発明のsiNA分子と接触させることを含む。
1つの態様においては、本発明は、対象または生物体における眼疾患を治療または予防する方法を特徴とし、対象または生物におけるVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子発現の抑制因子の発現を調節する(例、抑制する)のに適した条件下で、対象または生物体を本発明のsiNA分子と接触させることを含む。1つの態様においては、眼疾患は加齢性黄斑変性症(例、湿性または乾性AMD)である。1つの態様においては、眼疾患は糖尿病性網膜症である。
1つの態様においては、本発明は、対象または生物における癌を治療または予防する方法を特徴とし、対象または生物体におけるVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子発現の抑制因子の発現を調節する(例、抑制する)のに適した条件下で、対象または生物体を本発明のsiNA分子と接触させることを含む。1つの態様においては、癌は、結腸直腸癌、乳癌、子宮癌、卵巣癌、または腫瘍の血管新生で構成されるグループから選択される。
1つの態様においては、本発明は、対象または生物体における増殖性疾患を治療または予防する方法を特徴とし、対象または生物体におけるVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子発現の抑制因子の発現を調節する(例、抑制する)のに適した条件下で、対象または生物体を本発明のsiNA分子と接触させることを含む。
1つの態様においては、本発明は、対象または生物体における腎疾患を治療または予防する方法を特徴とし、対象または生物体におけるVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子発現の抑制因子の発現を調節する(例、抑制する)のに適した条件下で、対象または生物体を本発明のsiNA分子と接触させることを含む。1つの態様においては、腎疾患は多発性嚢胞腎である。
1つの態様においては、本発明は、対象または生物体における血管形成を治療または予防する方法を特徴とし、対象または生物体におけるVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子発現の抑制因子の発現を調節する(例、抑制する)のに適した条件下で、対象または生物体を本発明のsiNA分子と接触させることを含む。
別の態様においては、本発明は、対象または生物体における2以上のVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を調節する方法を特徴とし、対象または生物体におけるVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の発現を調節する(例、抑制する)のに適した条件下で、対象または生物体を本発明の1つ以上のsiNA分子と接触させることを含む。
本発明のsiNA分子は、様々なRNA分子のRNAiターゲティングを通じて、標的(例、VEGFおよび/またはVEGFR)遺伝子の発現を下方制御または抑制するようにデザインすることができる。1つの態様においては、本発明のsiNA分子を使用して、標的遺伝子に対応する様々なRNAを標的とする。そのようなRNAの限定を目的としない例は、メッセンジャーRNA(mRNA)、標的遺伝子の代替RNAスプライス変異体、標的遺伝子の転写後修飾RNA、標的遺伝子のプレmRNA、および/またはRNAテンプレートを含む。代替スプライシングによって、適切なエクソンの使用によって区別される一群の転写物が生成される場合、本発明を使用すると、適切なエクソンを通して遺伝子発現を抑制し、特異的な抑制、または遺伝子群メンバーの機能の識別が可能になる。例えば、代替スプライス膜貫通ドメインを含むタンパク質は、膜結合型および分泌型の両方で発現することができる。本発明を使用して膜貫通ドメインを含むエクソンを標的とすることで、タンパク質の分泌型に対向する膜結合型の製薬ターゲティングの機能的結果を判別することができる。これらのRNA分子のターゲティングに関連する本発明のアプリケーションの限定を目的としない例は、治療医薬アプリケーション、医薬品発見アプリケーション、分子診断および遺伝子機能アプリケーション、および例えば本発明のsiNA分子を用いた単一のヌクレオチド多型マッピングを使用した遺伝子マッピングを含む。そのようなアプリケーションは、周知の遺伝子配列または発現配列標識(EST)から取得可能な部分配列を使用して実施できる。
別の態様においては、本発明のsiNA分子を使用して、1つ以上のVEGFおよび/またはVEGFRファミリー遺伝子等の遺伝子ファミリーに対応する保存配列を標的とする。そのようにして、複数のVEGFおよび/またはVEGFR標的をターゲットとするsiNA分子は治療効果を高めることができる。さらに、siNAを使用して、様々なアプリケーションにおける遺伝子機能の経路を特徴付けることができる。例えば、本発明を使用して、経路における標的遺伝子の活性を抑制し、遺伝子機能分析、mRNA機能分析、または翻訳分析において未同定の遺伝子の機能を判別することができる。本発明を使用して、医薬品開発に向けた様々な疾患および状態に関与する潜在的な標的遺伝子経路を判別することができる。本発明を使用して、例えば癌の進行および/または維持等に関与する遺伝子発現の経路を理解することができる。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子および/または方法を使用して、ジンバンクアクセッション番号によって本明細書に参照されるRNAをコードする遺伝子、例えば表Iに示すジンバンクアクセッション番号によって本明細書で参照されるRNA配列をコードするVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子を下方制御する。
1つの態様においては、本発明は(a)事前設定された複雑性を持つsiNA構造のライブラリを生成すること、および(b)標的RNA配列内のRNAi標的部位を判別するのに適した条件下で、前記(a)のsiNA構造を試験することを含む方法を特徴とする。1つの態様においては、(a)のsiNA分子は例えば約23ヌクレオチド長といった固定長の鎖を持つ。別の態様においては、(a)のsiNA分子は例えば約15から約30(例、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30)ヌクレオチド長の異なる長さの鎖を持つ。1つの態様においては、アッセイには本明細書に記載の再構築インビトロsiNAアッセイを含むことができる。別の態様においては、アッセイには標的RNAが発現する細胞培養システムを含むことができる。別の態様においては、標的RNAの断片は、例えばゲル電気泳動、ノーザンブロット解析、またはRNAse保護アッセイによって、検出可能なレベルの切断を分析し、標的RNA配列内の最適標的部位を判断する。前記標的RNA配列は、当該技術分野において周知のように、例えばクローニングおよび/またはインビトロシステムの転写、およびインビボシステムにおける細胞発現によって取得することができる。
1つの態様においては、本発明は(a)4N等の事前設定された複雑性を持つsiNA構造のランダムなライブラリ生成すること(ここでNは各siNA構造鎖における塩基対ヌクレオチドの数を示す(例、19塩基対とともに21ヌクレオチドセンスおよびアンチセンス鎖を含むsiNA構造の場合、複雑性は419となる))、および(b)標的VEGFおよび/またはVEGFR RNA配列内のRNAi標的部位を判別するのに適した条件下で、前記(a)のsiNA構造を試験することを含む方法を特徴とする。別の態様においては、(a)のsiNA分子は例えば約23ヌクレオチド長といった固定長の鎖を持つ。さらに別の態様においては、(a)のsiNA分子は例えば約15から約30(例、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30)ヌクレオチド長の異なる長さの鎖を持つ。1つの態様においては、アッセイには本明細書の実施例6に記載のような再構築インビトロsiNAアッセイを含むことができる。別の態様においては、前記アッセイには標的RNAが発現する細胞培養システムを含むことができる。別の態様においては、VEGFおよび/またはVEGFR RNAの断片について、例えばゲル電気泳動、ノーザンブロット解析、またはRNAse保護アッセイによって、検出可能なレベルの切断を分析し、標的VEGFおよび/またはVEGFR RNA配列内の最適標的部位を判断する。前記標的VEGFおよび/またはVEGFR RNA配列は、当該技術分野において周知のように、例えばクローニングおよび/またはインビトロシステムの転写、およびインビボシステムにおける細胞発現によって取得することができる。
別の態様においては、本発明は(a)標的遺伝子によりコードされるRNA標的の配列を分析すること、(b)RNAの1つ以上の領域に相補的な配列を持つ1組以上のsiNA分子を合成すること、および(c)標的RNA配列内のRNAi標的を判別するのに適した条件下で、(b)のsiNA分子を試験することを含む方法を特徴とする。1つの態様においては、(b)のsiNA分子は例えば約23ヌクレオチド長の固定長の鎖を持つ。別の態様においては、(b)のsiNA分子は例えば約15から約30(例、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30)ヌクレオチド長の異なる長さの鎖を持つ。1つの態様においては、前記アッセイは本明細書に記載のような再構築インビトロsiNAアッセイを含むことができる。別の態様においては、アッセイは標的RNAが発現する細胞培養システムを含むことができる。標的RNAの断片は、例えばゲル電気泳動、ノーザンブロット解析、またはRNAse保護アッセイによって、検出可能なレベルの切断について分析され、前記標的RNA配列内の最適標的部位が判別される。前記標的RNA配列は、例えばインビトロシステムの場合のクローニングおよび/または転写、およびインビボシステムにおける発現によって、当該技術分野において周知のように取得することができる。
「標的部位」とは、標的配列に相補的なアンチセンス領域に配列を含むsiNA構造により媒介される切断の「標的」とされる標的RNA内の配列を意味する。
「検出可能なレベルの切断」とは、標的RNAのランダム分解によって生成されるRNAのバックグラウンドから切断産物を識別するのに十分な標的RNAの切断(および切断産物RNAの形成)を意味する。標的RNAの1−5%の切断産物の生成は、検出の大部分の方法でバックグラウンドからの検出に十分である。
1つの態様においては、本発明は、医薬的に許容できる担体または希釈剤に化学修飾可能な本発明のsiNA分子を含む組成物を特徴とする。別の態様においては、本発明は、医薬的に許容できる担体または希釈剤中の1つ以上の遺伝子を標的とする化学修飾可能な本発明のsiNA分子を含む組成物を特徴とする。別の態様においては、本発明は、対象における疾患または状態の診断に適した条件下で、本発明の組成物を対象に投与することを含む、対象における疾患または状態の診断方法を特徴とする。別の態様においては、本発明は、対象における疾患または状態の治療または予防に適した条件下で、本発明の組成物を前記対象に投与することを含む、対象における疾患または状態の治療または予防方法を特徴とする。さらに別の態様においては、本発明は、対象または生物体における眼疾患、癌、増殖性疾患、血管形成、および/または腎疾患の抑制、低減、または予防に適した条件下で、本発明の組成物を前記対象に投与することを含む、対象または生物体における眼疾患、癌、増殖性疾患、血管形成、および/または腎疾患の抑制、低減、または予防方法を特徴とする。
別の態様においては、本発明はVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子標的を確認する方法を特徴とし、(a)化学修飾可能な本発明のsiNA分子を合成すること(ここで、前記siNA鎖の1つはVEGFおよび/またはVEGFR標的遺伝子のRNAに相補的な配列を含む)、(b)VEGFおよび/またはVEGFR標的遺伝子の発現を調節するのに適した条件下で、前記siNA分子を細胞、組織、対象、または生物体に導入すること、および(c)前記細胞、組織、対象、または生物体における任意の表現型の変化を分析することによって前記遺伝子の機能を判別することを含む。
別の態様においては、本発明はVEGFおよび/またはVEGFR標的を確認する方法を特徴とし、(a)化学修飾可能な本発明のsiNA分子を合成すること(ここで、前記siNA鎖の1つはVEGFおよび/またはVEGFR標的遺伝子のRNAに相補的な配列を含む)、(b)生体系における前記VEGFおよび/またはVEGFR標的遺伝子の発現を調節するのに適した条件下で、前記siNA分子を前記生体系に導入すること、および(c)生体系における任意の表現型の変化を分析することによって遺伝子の機能を判別することを含む。
「生体系」とは、ヒトまたは動物を含むがそれに限定されない生物源から精製されたまたは精製されていない材料を意味し、ここで前記生体系はRNAi活性に必要な構成要素を含む。「生体系」という語は、例えば細胞、組織、対象または生物体あるいはその抽出物を含む。また生体系という語は、インビトロ環境で使用できる再構築RNAi系も含む。
「表現型の変化」とは、本発明の核酸分子(例、siNA)との結合またはそれを用いた処理に応答して生じる細胞への任意の検出可能な変化を意味する。そのような検出可能な変化は、当該技術分野において知られる方法によって試験できる形状、サイズ、増殖、運動性、タンパク質発現またはRNA発現、あるいはような他の物理的または化学的変化を含むが、それらに限定されない。また検出可能な変化は、緑色蛍光タンパク質(GFP)等のレポーター遺伝子/分子の発現、発現したタンパク質の識別に使用される様々なタグ、あるいは試験できる任意の他の細胞要素を含む。
1つの態様においては、本発明は、例えば細胞、組織、対象または生物体等を含む生体系において、VEGFおよび/またはVEGFR標的遺伝子の発現の調節に使用できる化学修飾可能な本発明のsiNA分子を含むキットを特徴とする。別の態様においては、本発明は、例えば細胞、組織、対象または生物体等を含む生体系における2以上のVEGFおよび/またはVEGFR標的遺伝子の発現の調節に使用できる化学修飾可能な本発明の2以上のsiNA分子を含むキットを特徴とする。
1つの態様においては、本発明は、化学修飾可能な本発明の1つ以上のsiNA分子を含む細胞を特徴とする。別の態様においては、本発明のsiNA分子を含む前記細胞は哺乳類細胞である。さらに別の態様においては、本発明のsiNA分子を含む前記細胞はヒト細胞である。
1つの態様においては、化学修飾可能な本発明のsiNA分子の合成は、(a)siNA分子の2つの相補鎖を合成すること、および(b)二本鎖siNA分子の取得に適した条件下で、2つの相補鎖をアニールすることを含む。別の態様においては、siNA分子の2つの相補鎖の合成は、固相オリゴヌクレオチド合成による。さらに別の態様においては、siNA分子の2つの相補鎖の合成は、固相タンデムオリゴヌクレオチド合成による。
1つの態様においては、本発明はsiNA二重鎖分子を合成する方法を特徴とし、(a)siNA分子の第一オリゴヌクレオチド配列鎖を合成すること(ここで前記第一オリゴヌクレオチド配列鎖は、siNAの第二オリゴヌクレオチド配列鎖の合成に足場として使用できる切断可能なリンカー分子を含む)、(b)siNAの第二オリゴヌクレオチド配列鎖を第一オリゴヌクレオチド配列鎖の足場上に合成すること(ここで第二オリゴヌクレオチド配列鎖はさらに、前記siNA二重鎖の精製に使用できる化学部分を含む)、(c)2つのsiNAオリゴヌクレオチド鎖をハイブリダイズして安定した二重鎖を形成するのに適した条件下で、(a)のリンカー分子を切断すること、および(d)前記第二オリゴヌクレオチド配列鎖の化学部分を利用して、siNA二重鎖を精製することを含む。1つの態様においては、(c)におけるリンカー分子の切断は、メチルアミン等のアルキラミン塩基を使用して、例えば加水分解条件下で、オリゴヌクレオチドの脱保護中に生じる。1つの態様においては、合成方法は、制御核ガラス(CPG)またはポリスチレン等の固定支持体上での固相合成を含む。ここで、(a)の第一配列は、前記固定支持体を足場として使用して、スクシニルリンカー等の切断可能なリンカー上で合成される。第二鎖の合成に足場として使用される(a)の切断可能なリンカーは、固定支持体被覆リンカーと同様の反応度を含むことができるため、固定支持体被覆リンカーおよび(a)の切断可能なリンカーの切断は同時に発生する。別の態様においては、結合したオリゴヌクレオチド配列の分離に使用できる(b)の化学部分は、ジメトキシトリチル基等の、本明細書に記載のトリチル−オン合成方法で使用できるトリチル基を含む。さらに別の態様においては、ジメトキシトリチル基等の前記化学部分は、例えば酸性状況を使用して精製中に除去される。
別の態様においては、siNA合成の方法は、固相合成またはハイブリッド相合成である。ここでsiNA二重鎖の両鎖は、第二配列の合成に足場として機能する第一配列に結合する切断可能なリンカーを使用して、並行して合成される。個別のsiNA配列鎖のハイブリダイゼーションに適した条件下でリンカーを切断すると、二本鎖siNA分子が形成される。
別の態様においては、本発明はsiNA二重鎖分子を合成する方法を特徴とし、(a)前記siNA分子の第一オリゴヌクレオチド配列鎖を合成すること(ここで前記配列は、別のオリゴヌクレオチド配列の合成に足場として使用できる切断可能なリンカー分子を含む)、(b)(a)の足場上にある第一配列鎖に対して相補性を持つ第二オリゴヌクレオチド配列を合成すること(ここで前記第二配列は前記二本鎖siNA分子の他方の鎖を含み、さらに結合したオリゴヌクレオチド配列の分離に使用できる化学部分を含む)、および(c)前記切断可能なリンカーにより結合されるsiNAオリゴヌクレオチド鎖を両方含む全長配列を分離するのに適した条件下、またその2つのsiNAオリゴヌクレオチド鎖をハイブリダイズして安定した二重鎖を形成するのに適した条件下で、第二オリゴヌクレオチド配列鎖の化学部分を利用して、(b)の産物を精製することを含む。1つの態様においては、(c)におけるリンカー分子の切断は、例えば加水分解条件下で、オリゴヌクレオチドの脱保護中に生じる。別の態様においては、(c)のリンカー分子の切断は、オリゴヌクレオチドの脱保護後に生じる。別の態様においては、合成方法は、制御核ガラス(CPG)またはポリスチレン等の固定支持体上での固相合成を含む。ここで、(a)の第一配列は、前記固定支持体を足場として使用し、スクシニルリンカー等の切断可能なリンカー上で合成される。第二鎖の合成に足場として使用される(a)の切断可能なリンカーは、固定支持体被覆リンカーと同様の反応度または異なる反応度を含むことができるため、固定支持体被覆リンカーおよび(a)の切断可能なリンカーの切断は、同時または連続的に発生する。1つの態様においては、結合したオリゴヌクレオチド配列の分離に使用できる(b)の化学部分は、例えばジメトキシトリチル基等のトリチル基を含む。
別の態様においては、本発明は、単一の合成プロセスにおいて二本鎖siNA分子を生成する方法を特徴とし、(a)第一および第二配列を持つオリゴヌクレオチドを合成すること(ここで第一配列は第二配列に相補であり、第一オリゴヌクレオチド配列は切断可能なリンカーを介して第二配列と結合する。また例えば5’−O−ジメトキシトリチル基(5’−O−DMT)等の末端5’保護基は第二配列を持つオリゴヌクレオチド上に残る)、(b)オリゴヌクレオチドを脱保護することによって、2つのオリゴヌクレオチド配列を結合するリンカーを切断すること、および(c)例えば、本明細書に記載のトリチル−オン合成方法を使用して、二本鎖siNA分子を分離するのに適した条件下で、(b)の産物を精製することを含む。
別の態様においては、本発明のsiNA分子の合成方法は、スカリンジ(Scaringe)らの米国特許5,889,136、6,008,400、および6,116,086に記載の方法を含み、それら全体は参照することにより本明細書に組み込まれる。
1つの態様においては、本発明は、VEGFおよび/またはVEGFRに対するRNAiを媒介するsiNA構造を特徴とする。ここでsiNA構造は、例えばそのヌクレアーゼ抵抗を高める化学式IからVIIのいずれか、またはその任意の組み合わせを持つ1つ以上の化学修飾等の、1つ以上の化学修飾を含む。
別の態様においては、高いヌクレアーゼ抵抗を持つsiNA分子を生成する方法を特徴とし、(a)化学式IからVIIのいずれか、またはその任意の組み合わせを持つヌクレオチドをsiNA分子に導入すること、および(b)高いヌクレアーゼ抵抗を持つsiNA分子を分離するのに適した条件下で、ステップ(a)のsiNA分子を試験することを含む。
別の態様においては、本発明は、改良された毒性プロファイルを持つ(例、弱毒化特性を持つ、または免疫活性化特性を持たない)siNA分子を生成する方法を特徴とし、(a)化学式IからVIIのいずれか(例、表IVに参照されるsiNAモチーフ)、またはその任意の組み合わせを持つヌクレオチドをsiNA分子に導入する、および(b)改良された毒性プロファイルを持つsiNA分子を分離するのに適した条件下で、ステップ(a)のsiNA分子を試験することを含む。
別の態様においては、本発明は、細胞、対象、または生物においてインターフェロン応答を刺激しない(例、インターフェロン応答なし、または減衰したインターフェロン応答)siNA分子を生成する方法を特徴とし、(a)化学式IからVIIのいずれか(例、表IVに参照されるsiNAモチーフ)、またはその任意の組み合わせを持つヌクレオチドをsiNA分子に導入すること、および(b)インターフェロン応答を刺激しないsiNA分子を分離するのに適した条件下で、ステップ(a)のsiNA分子を試験することを含む。
「改良された毒性プロファイル」とは、未修飾のsiNAまたは改良された毒性を付与するのに効果的でない修飾の少ないsiNA分子と比較して、化学修飾したsiNA構造が、細胞、対象、または生物体において弱い毒性を示すことを意味する。限定を目的としない例において、改良された毒性プロファイルを持つsiNA分子は、未修飾のsiNAまたは改良された毒性を付与するのに効果的でない修飾の少ないsiNA分子と比較して、細胞、対象、または生物体における低いまたは減衰した免疫活性化応答に関連する。1つの態様においては、改良された毒性プロファイルを持つsiNA分子はリボヌクレオチドを含まない。1つの態様においては、改良された毒性プロファイルを持つsiNA分子は5より少ないリボヌクレオチド(例、約1、2、3、または4リボヌクレオチド)を含む。1つの態様においては、改良された毒性プロファイルを持つsiNA分子は、Stab7、Stab8、Stab11、Stab12、Stab13、Stab16、Stab17、Stab18、Stab19、Stab20、Stab23、Stab24、Stab25、Stab26、Stab27、Stab28、Stab29、Stab30、Stab31、Stab32、Stab33またはその任意の組み合わせを含む(表IVを参照)。1つの態様においては、特定のsiNA分子に関連する免疫活性化応答のレベルは、当該技術において周知のように、例えば試験においてPKR/インターフェロン応答、増殖、B−細胞活性、および/またはサイトカイン産生のレベルを判断して、特定のsiNA分子の免疫活性化応答を定量することにより計測することができる。(例として、ライファー(Leifer)ら,2003,免疫療法雑誌(Journal of Immunotherapy),26,313−9、および米国特許5,968,909を参照。これらは参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる)。
1つの態様においては、本発明は、VEGFおよび/またはVEGFRに対するRNAiを媒介するsiNA構造を特徴とする。ここでsiNA構造は、siNA構造のセンスおよびアンチセンス鎖の間の結合親和力を調節する本明細書に記載の1つ以上の化学修飾を含む。
別の態様においては、本発明は、siNA分子のセンスおよびアンチセンス鎖の間に高い結合親和力を持つsiNA分子を生成する方法を特徴とし、(a)化学式IからVIIのいずれか、またはその任意の組み合わせを持つヌクレオチドをsiNA分子に導入すること、および(b)siNA分子のセンスおよびアンチセンス鎖の間に高い結合親和力を持つsiNA分子を分離するのに適した条件下で、ステップ(a)のsiNA分子を試験することを含む。
1つの態様においては、本発明は、VEGFおよび/またはVEGFRに対するRNAiを媒介するsiNA構造を特徴とする。ここでsiNA構造は、siNA構造のアンチセンス鎖と細胞内の相補標的RNA配列の間の結合親和力を調節する本明細書に記載の1つ以上の化学修飾を含む。
1つの態様においては、本発明は、VEGFおよび/またはVEGFRに対するRNAiを媒介するsiNA構造を特徴とする。ここでsiNA構造は、siNA構造のアンチセンス鎖と細胞内の相補標的DNA配列の間の結合親和力を調節する本明細書に記載の1つ以上の化学修飾を含む。
別の態様においては、本発明は、siNA分子のアンチセンス鎖と相補標的RNA配列の間に高い結合親和力を持つsiNA分子を生成する方法を特徴とし、(a)化学式IからVIIのいずれか、またはその任意の組み合わせを持つヌクレオチドをsiNA分子に導入すること、および(b)siNA分子のアンチセンス鎖と相補標的RNA配列の間に高い結合親和力を持つsiNA分子を分離するのに適した条件下で、ステップ(a)のsiNA分子を試験することを含む。
別の態様においては、本発明は、siNA分子のアンチセンス鎖と相補標的DNA配列の間に高い結合親和力を持つsiNA分子を生成する方法を特徴とし、(a)化学式IからVIIのいずれか、またはその任意の組み合わせを持つヌクレオチドをsiNA分子に導入すること、および(b)siNA分子のアンチセンス鎖と相補標的DNA配列の間に高い結合親和力を持つsiNA分子を分離するのに適した条件下で、ステップ(a)のsiNA分子を試験することを含む。
1つの態様においては、本発明は、VEGFおよび/またはVEGFRに対するRNAiを媒介するsiNA構造を特徴とする。ここでsiNA構造は、化学修飾したsiNA構造に対して配列相同性を持つ追加の内因性siNA分子を生成できる細胞ポリメラーゼのポリメラーゼ活性を調節する本明細書に記載の1つ以上の化学修飾を含む。
別の態様においては、本発明は、化学修飾siNA分子に対して配列相同性を持つ追加の内因性siNA分子を生成できる細胞ポリメラーゼの高いポリメラーゼ活性を媒介できるsiNA分子を生成する方法を特徴とし、(a)化学式IからVIIのいずれか、またはその任意の組み合わせを持つヌクレオチドをsiNA分子に導入すること、および(b)化学修飾siNA分子に対して配列相同性を持つ追加の内因性siNA分子を生成できる細胞ポリメラーゼの高いポリメラーゼ活性を媒介できるsiNA分子を分離するのに適した条件下で、ステップ(a)のsiNA分子を試験することを含む。
1つの態様においては、本発明は、細胞におけるVEGFおよび/またはVEGFRに対するRNAiを媒介する化学修飾siNA構造を特徴とする。ここで化学修飾は、そのようなsiNA構造が媒介するRNAiの有効性を低減するという意味では、siNAと標的RNA分子、DNA分子および/またはタンパク質、あるいはRNAiに重要な他の要素との相互作用にほとんど影響しない。
別の態様においては、本発明は、VEGFおよび/またはVEGFRに対して高いRNAi作用を持つsiNA分子を生成する方法を特徴とし、(a)化学式IからVIIのいずれか、またはその任意の組み合わせを持つヌクレオチドをsiNA分子に導入すること、および(b)高いRNAi作用を持つsiNA分子を分離するのに適した条件下で、ステップ(a)のsiNA分子を試験することを含む。
別の態様においては、本発明は、VEGFおよび/またはVEGFR標的RNAに対して高いRNAi作用を持つsiNA分子を生成する方法を特徴とし、(a)化学式IからVIIのいずれか、またはその任意の組み合わせを持つヌクレオチドをsiNA分子に導入すること、および(b)標的RNAに対して高いRNAi作用を持つsiNA分子を分離するのに適した条件下で、ステップ(a)のsiNA分子を試験することを含む。
別の態様においては、本発明は、VEGFおよび/またはVEGFR標的DNAに対して高いRNAi作用を持つsiNA分子を生成する方法を特徴とし、(a)化学式IからVIIのいずれか、またはその任意の組み合わせを持つヌクレオチドをsiNA分子に導入すること、および(b)標的DNAに対して高いRNAi作用を持つsiNA分子を分離するのに適した条件下で、ステップ(a)のsiNA分子を試験することを含む。
1つの態様においては、本発明は、VEGFおよび/またはVEGFRに対するRNAiを媒介するsiNA構造を特徴とする。ここでsiNA構造は、siNA構造の細胞摂取を媒介する本明細書に記載の1つ以上の化学修飾を含む。
別の態様においては、本発明は、VEGFおよび/またはVEGFRに対して高い細胞摂取を持つsiNA分子を生成する方法を特徴とし、(a)化学式IからVIIのいずれか、またはその任意の組み合わせを持つヌクレオチドをsiNA分子に導入すること、および(b)高い細胞摂取を持つsiNA分子を分離するのに適した条件下で、ステップ(a)のsiNA分子を試験することを含む。
1つの態様においては、本発明は、VEGFおよび/またはVEGFRに対するRNAiを媒介するsiNA構造を特徴とする。ここで、siNA構造は、例えばポリエチレングリコール等のポリマーコンジュゲート、またはsiNA構造の薬物動態を改善する同等のコンジュゲートを結合することによって、あるいはインビボで特定の組織タイプまたは細胞タイプを標的とするコンジュゲートを結合することによってその生物学的利用能を高める本明細書に記載の1つ以上の化学修飾を含む。そのようなコンジュゲートに関する限定を目的としない例は、ヴァルギース(Vargeese)らの米国特許出願10/201,394に記載されており、参照することにより本明細書に組み込まれる。
1つの態様においては、本発明は、高い生物学的利用能を持つ本発明のsiNA分子を生成する方法を特徴とし、(a)コンジュゲートをsiNA分子の構造に導入すること、および(b)高い生物学的利用能を持つsiNA分子を分離するのに適した条件下で、ステップ(a)のsiNA分子を試験することを含む。そのようなコンジュゲートは、自然発生するタンパク質リガンド;細胞ZIPコード配列を含むタンパク質局在配列;抗体、核酸アプタマー、ビタミンおよび葉酸、N−アセチルガラクトサミン等共同因子;ポリエチレングリコール(PEG)等のポリマー;リン脂質;コレステロール;スペルミンまたはスペリミジン等のポリアミン等に由来するペプチド等の細胞受容体のリガンドを含むことができる。
1つの態様においては、本発明は、標的RNA配列に対して相補的な第一ヌクレオチド配列またはその一部、および第一配列に対して相補性を持つ第二配列を含む二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、前記第二配列はRNA干渉を効果的に媒介するためのガイド配列として作用できなくなり、および/またはRNAiを促進する細胞タンパク質により認識できるように化学修飾される。
1つの態様においては、本発明は、標的RNA配列に対して相補的な第一ヌクレオチド配列またはその一部、および前記第一配列に対して相補性を持つ第二配列を含む二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、第二配列はガイド配列として、または標的核酸(例、RNA)配列に相補的な配列としてRNAi経路に入るのを回避する方法でデザインまたは修飾される。そのようなデザインまたは修飾は、siNAの活性を強化し、および/または本発明のsiNA分子の特異性を向上させることが期待される。またそれらの修飾は、任意のオフ−ターゲット効果および/または付随する毒性を最小限にすることも期待される。
1つの態様においては、本発明は、標的RNA配列に対して相補的な第一ヌクレオチド配列またはその一部、および前記第一配列に対して相補性を持つ第二配列を含む二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、前記第二配列はRNA干渉を媒介するためのガイド配列として作用することができない。
1つの態様においては、本発明は、標的RNA配列に対して相補的な第一ヌクレオチド配列またはその一部、および前記第一配列に対して相補性を持つ第二配列を含む二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、前記第二配列は末端5’−ヒドロキシル(5’−OH)または5’−リン酸基を持たない。
1つの態様においては、本発明は、標的RNA配列に対して相補的な第一ヌクレオチド配列またはその一部、および前記第一配列に対して相補性を持つ第二配列を含む二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで前記第二配列は、その5’端に末端キャップ部を含む。1つの態様においては、前記末端キャップ部は、逆位脱塩基、逆位デオキシ脱塩基、逆位ヌクレオチド部分、図10に示す基、アルキルまたはシクロアルキル基、複素環、または第二配列がガイド配列またはRNAiのテンプレートとして作用するRNAi活性を回避する任意の他の基を含む。
1つの態様においては、本発明は、標的RNA配列に対して相補的な第一ヌクレオチド配列またはその一部、および前記第一配列に対して相補性を持つ第二配列を含む二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、前記第二配列はその5端および3’端に末端キャップ部を含む。1つの態様においては、各末端キャップ部は、個別に逆位脱塩基、逆位デオキシ脱塩基、逆位ヌクレオチド部分、図10に示す基、アルキルまたはシクロアルキル基、複素環、または第二配列がガイド配列またはRNAiのテンプレートとして作用するRNAi活性を回避する任意の他の基を含む。
1つの態様においては、本発明は、標的核酸(例、遺伝子等のDNAまたはRNA、あるいはそれに対応するRNA)の発現を下方制御または抑制する高い特異性を持つ本発明のsiNA分子を生成する方法を特徴とし、(a)1つ以上の化学修飾をsiNA分子の構造に導入すること、および(b)高い特異性を持つsiNA分子を分離するのに適した条件下で、ステップ(a)のsiNA分子を試験することを含む。別の態様においては、特異性の向上に使用される化学修飾は、siNA分子の5’端、3’端、またはその両方に末端キャップ修飾を含む。末端キャップ修飾は、例えば図10に示す構造(例、逆位デオキシ脱塩基部分)またはsiNA分子(例、センス鎖)の一部をオフターゲット核酸配列に対するRNA干渉を媒介不能にする任意の他の化学修飾を含むことができる。限定を目的としない例において、siNA分子はそのアンチセンス配列のみが対応する標的RNA配列の分解が媒介されるRISC媒介のガイド配列として機能できるようにデザインされる。これは、RNAi機構によるガイド配列としてのセンス鎖認識を回避する化学修飾をセンス鎖に導入し、siNAのセンス配列を不活性にすることで実現できる。1つの態様においては、そのような化学修飾は、前記siNAのセンス鎖の5’端に任意の化学基を含むか、またはセンス鎖をRNA干渉を媒介するガイド配列としての機能を不活性化する任意の他の基を含む。これらの修飾は、例えばセンス鎖の5’端がフリーの5’−ヒドロキシル(5’−OH)またはフリーの5’−リン酸基(例、リン酸、二リン酸、三リン酸、環状リン酸等)を持たない分子にする。そのようなsiNA構造に関する限定を目的としない例は、本明細書において「Stab9/10」、「Stab7/8」、「Stab7/19」、「Stab17/22」、「Stab23/24」、「Stab24/25」、および「Stab24/26」(例、Stab7、9、17、23、または24センス鎖を持つ任意のsiNA)化学反応(表IV)およびその変異体として記載されている。ここでsiNAのセンス鎖の5’端および3’端は、ヒドロキシル基またはリン酸基を含まない。
1つの態様においては、本発明は、標的核酸(例、遺伝子等のDNAまたはRNA、あるいはそれに対応するRNA)の発現を下方制御または抑制する高い特異性を持つ本発明のsiNA分子を生成する方法を特徴とし、1つ以上の化学修飾をsiNA分子の鎖または一部がRNAi作用のテンプレートまたはガイド配列として機能することを防ぐsiNA分子の構造に導入することを含む。1つの態様においては、siNA分子の不活性な鎖またはセンス領域は、siNA分子のセンス鎖またはセンス領域、例えば標的核酸配列に対して相補性を持たないsiNAの鎖または領域である。1つの態様においては、そのような化学修飾は、5’−ヒドロキシル(5’−OH)または5’−リン酸基、あるいは前記センス鎖またはセンス領域をRNA干渉を媒介するガイド配列としての機能を不活性化する任意の他の基を含まないsiNAのセンス鎖または領域の5端に任意の化学基を含む。そのようなsiNA構造に関する限定を目的としない例は、本明細書において「Stab9/10」、「Stab7/8」、「Stab7/19」、「Stab17/22」、「Stab23/24」、「Stab24/25」、および「Stab24/26」(例、Stab7、9、17、23、または24センス鎖を持つ任意のsiNA)化学反応(表IV)およびその変異体として記載されている。ここでsiNAのセンス鎖の5端および3’端は、ヒドロキシル基またはリン酸基を含まない。
1つの態様においては、本発明は、標的核酸配列に対するRNA干渉を媒介する際に活性であるsiNA分子を審査する方法を特徴とし、(a)複数の未修飾siNA分子を生成すること、(b)前記標的核酸配列に対するRNA干渉を媒介することにおいて活性なsiNA分子を分離するのに適した条件下で、ステップ(a)のsiNA分子をスクリーニングすること、および(c)化学修飾(例、本明細書に記載の化学修飾または当該技術分野において周知の化学修飾)を(b)の活性siNA分子に導入することを含む。1つの態様においては、方法はさらに、標的核酸配列に対するRNA干渉を媒介する際に活性である化学修飾siNA分子を分離するのに適した条件下で、ステップ(c)の化学修飾siNA分子を再スクリーニングすることを含む。
1つの態様においては、本発明は、標的核酸配列に対するRNA干渉を媒介することにおいて活性な化学修飾siNA分子をスクリーニングする方法を特徴とし、(a)複数の化学修飾siNA分子(例、本明細書に記載のsiNA分子または当該技術分野において周知のsiNA分子)を生成すること、および(b)前記標的核酸配列に対するRNA干渉を媒介することにおいて活性な化学修飾siNA分子を分離するのに適した条件下で、ステップ(a)のsiNA分子をスクリーニングすることを含む。
「リガンド」という語は、受容体等の別の化合物と直接または間接的に相互作用できる薬剤、ペプチド、ホルモン、または神経伝達物質といった任意の化合物または分子を意味する。リガンドと相互作用する受容体は、細胞の表面に存在することができ、あるいは代替として細胞間受容体であってよい。前記リガンドと前記受容体の相互作用によって生化学反応が生じるか、あるいは単なる物理的相互作用または関連となる。
別の態様においては、本発明は(a)賦形剤形をsiNA分子に導入すること、および(b)高い生物学的利用能を持つsiNA分子を分離するのに適した条件下で、ステップ(a)のsiNA分子を試験することを含む、高い生物学的利用能を持つ本発明のsiNA分子を生成する方法を特徴とする。そのような賦形剤は、シクロデキストリン、脂質、カチオン脂質、ポリアミン、リン脂質、ナノ粒子、レセプター、リガンド等のポリマーを含む。
別の態様においては、本発明は(a)化学式IからVIIのいずれかを持つヌクレオチドまたはその任意の組み合わせをsiNA分子に導入すること、および(b)高い生物学的利用能を持つsiNA分子を分離するのに適した条件下で、ステップ(a)のsiNA分子を試験することを含む、高い生物学的利用能を持つ本発明のsiNA分子を生成する方法を特徴とする。
別の態様においては、ポリエチレングリコール(PEG)は、本発明のsiNA化合物と共有結合的に結合することができる。結合されたPEGは好ましくは約100から約50,000ダルトン(Da)の任意の分子量を持つ。
本発明を単独または試薬の少なくとも1つを持つキットの構成要素として使用し、RNAのインビトロまたはインビボ導入を実施して、サンプルおよび/または対象を試験することができる。例えば、キットの好ましい構成要素は、本発明のsiNA分子および本明細書に記載のように細胞へのsiNAの導入を促進する担体を含む(例、脂質および当該技術分野において周知の他のトランスフェクション方法を使用する。例としてベージェルマン(Beigelman)らの米国特許6,395,713)を参照)。例えば、遺伝子機能および/または作用の判定、または薬物最適化、および薬物発見において前記キットを標的の確認に使用することができる(例としてウスマン(Usman)らの米国特許出願60/402,996を参照)。そのようなキットには、ユーザーが本発明を実施できるよう指示も含まれている。
本請求で使用する「低分子干渉核酸」、「siNA」、「低分子干渉RNA」、「siRNA」、「低分子干渉核酸分子」、「低分子干渉オリゴヌクレオチド分子」または「化学修飾低分子干渉核酸分子」という語は、例えばRNA干渉「RNAi」または遺伝子サイレンシングを配列特異的な方法で媒介することで、遺伝子の発現またはウイルスの増殖を抑制または下方制御できる任意の核酸分子を意味する。例として、ザモーレ(Zamore)ら,2000年,セル誌(Cell),101,25−33;バス(Bass),2001年,ネイチャー誌(Nature),411,428−429;エルバシール(Elbashir)ら,2001年,ネイチャー誌(Nature),411,494−498;およびクラウツァー(Kreutzer)ら,国際PCT公開WO00/44895;ツェルニッカ−ゲッツ(Zernicka−Goetz)ら,国際PCT公開WO01/36646;ファイヤー(Fire),国際PCT公開WO99/32619;プラティンク(Plaetinck)ら,国際PCT公開WO00/01846:メロ(Mello)とファイヤー(Fire),国際PCT公開WO01/29058;デュシャン−デュパイエット(Deschamps−Depaillette),国際PCT公開WO99/07409;およびリー(Li)ら,国際PCT公開WO00/44914;オールシャー(Allshire),2002年,サイエンス誌(Science),297,1818−1819;ヴォルペ(Volpe)ら,2002年,サイエンス誌(Science),297,1833−1837;ジニュウェイン(Jenuwein),2002年,サイエンス誌(Science),297,2215−2218;およびホール(Hall)ら,2002年,サイエンス誌(Science),297,2232−2237;ハトヴァグナー(Hutvagner)とザモーレ(Zamore),2002年,サイエンス誌(Science),297,2056−60;マクマヌス(McManus)ら,2002年,RNA,8,842−850;ラインハルト(Reinhart)ら,2002年,遺伝子と発生誌(Gene & Dev.),16,1616−1626;およびラインハルト(Reinhart)とバーテル(Bartel),2002年,サイエンス誌(Science),297,1831を参照)。本発明のsiNA分子の限定を目的としない例を本明細書の図4−6および表IIおよびIIIに示す。例えば、siNAは自己相補センス領域およびアンチセンス領域を含む二本鎖のポリヌクレオチド分子であってよい。ここで、アンチセンス領域は標的核酸分子ヌクレオチド配列またはその一部に相補的なヌクレオチド配列を含み、センス領域は前記標的核酸配列またはその一部に対応するヌクレオチド配列を持つ。siNAは2つの個別のオリゴヌクレオチドから組み立てることができる。ここで、一方の鎖はセンス鎖であり、もう一方はアンチセンス鎖である。ここでアンチセンスおよびセンス鎖は自己相補である(例、各鎖は他の鎖にあるヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含むため、アンチセンス鎖およびセンス鎖は二重鎖または二本鎖構造を形成する。例えばここで、二本鎖領域は約15から約30塩基対(例、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、または30塩基対である))。アンチセンス鎖は標的核酸分子にあるヌクレオチド配列またはその一部に相補的なヌクレオチド配列を含み、センス鎖は標的核酸配列またはその一部に対応するヌクレオチド配列を含む(例、siNAの約15から約25以上のヌクレオチドが標的核酸配列またはその一部に相補的である)。代替として、siNAは単一のオリゴヌクレオチドから組み立てられる。ここでsiNAの自己相補センス領域およびアンチセンス領域は、核酸ベースまたは非核酸ベースのリンカーによって結合される。siNAは自己相補センス領域およびアンチセンス領域を持つ二重鎖、非対称二重鎖、ヘアピンまたは非対称ヘアピン二次構造のポリヌクレオチドであってよい。ここで、アンチセンス領域は、個別の標的核酸分子にあるヌクレオチド配列またはその一部に相補的なヌクレオチド配列を含み、センス領域は、標的核酸配列に対応するヌクレオチド配列またはその一部を持つ。siNAは2つ以上のループ構造および自己相補センス領域およびアンチセンス領域を含むステムを持つ環状一本鎖ポリヌクレオチドであってよい。ここで、アンチセンス領域は標的核酸分子にあるヌクレオチド配列またはその一部に相補的なヌクレオチド配列を含み、センス領域は前記標的核酸配列に対応するヌクレオチド配列またはその一部を持つ。またここで、環状ポリヌクレオチドはインビボまたはインビトロのいずれかで処理してRNAiを媒介できる活性siNA分子を生成することができる。またsiNAは、標的核酸分子のヌクレオチド配列またはその一部に相補的なヌクレオチド配列を持つ一本鎖ポリヌクレオチドを含むこともできる(例えば、ここでそのようなsiNA分子は標的核酸配列に対応するヌクレオチド配列またはその一部のsiNA分子内に存在する必要がない)。ここで、一本鎖ポリヌクレオチドはさらに、5’−リン酸等の末端リン酸基を含むことができる(例として、マルティネス(Martinez)ら,2002年,セル誌(Cell),110,563−574およびシュワルツ(Schwarz)ら,2002年,分子細胞(Molecular Cell),10,537−568を参照)、または5’,3’−二リン酸塩であってよい。特定の態様において、本発明のsiNA分子は、個別のセンスおよびアンチセンス配列または領域を含む。ここで、センス領域およびアンチセンス領域は当該技術分野において周知のヌクレオチドリンカー分子または非ヌクレオチドリンカー分子によって共有結合的に結合されるか、あるいは代替として、イオン相互作用、水素結合、フォン−デル−ワールス相互作用、疎水性相互作用および/またはスタッキング相互作用によって非共有結合的に結合される。特定の態様において、本発明のsiNA分子は標的遺伝子のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含む。別の態様においては、本発明のsiNA分子は標的遺伝子の発現を抑制する方法で、標的遺伝子のヌクレオチド配列と相互作用する。本明細書で使用する場合、siNA分子は、RNAのみを含む分子に必ずしも限定される必要はなく、化学修飾ヌクレオチドおよび非ヌクレオチドを包含する。特定の態様において、本発明の低分子干渉核酸分子はヌクレオチドを含む2’−ヒドロキシ(2’−OH)が欠如している。出願人は、RNAiを媒介するために2’−ヒドロキシグループを持つヌクレオチドの存在を必要としない特定の態様における低分子干渉核酸について、また任意でリボヌクレオチド(例、2’−OHグループを持つヌクレオチド)を含まない本発明の低分子干渉核酸分子について記載している。しかし、RNAiをサポートするためにsiNA分子内にリボヌクレオチドの存在を必要としないそのようなsiNA分子は、1つ以上の結合リンカー、あるいは2’−OHグループを持つ1つ以上のヌクレオチドを含む他の結合されたまたは関連するグループ、部分、または鎖を持つ。任意で、siNA分子はヌクレオチド位に約5、10、20、30、40、または50%のリボヌクレオチドを含むことができる。本発明の修飾低分子干渉核酸分子は、低分子干渉修飾オリゴヌクレオチド「siMON」とも呼ばれる。本明細書で使用する場合、siNAという語は、例えば、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、マイクロRNA(miRNA)、短鎖ヘアピンRNA(shRNA)、低分子干渉オリゴヌクレオチド、低分子干渉核酸、低分子干渉修飾オリゴヌクレオチド、化学修飾siRNA、転写後遺伝子サイレンシングRNA(ptgsRNA)等、の配列特異的なRNAiを媒介できる核酸分子を説明するのに使用される他の語に等しいことを意味する。さらに、本明細書で使用されるRNAiという語は、例えば、転写後遺伝子サイレンシング、翻訳抑制、または後成等、の配列特異的なRNAiを媒介できる核酸分子を説明するのに使用される他の語に等しいことを意味する。例えば、本発明のsiNA分子を後成的に抑制された遺伝子に転写後レベルまたは転写前レベルで使用することができる。限定を目的としない例において、本発明のsiNA分子による遺伝子発現の後成的規制は、遺伝子発現を変質するクロマチン構造またはメチル化パターンのsiNA媒介性修飾の結果生じる(例として、ヴァーデル(Verdel)ら,2004年,サイエンス誌(Science),303,672−676;パル−バードラ(Pal−Bhadra)ら,2004年,サイエンス誌(Science),303,669−672;オールシャー(Allshire),2002年,サイエンス誌(Science),297,1818−1819;ヴォルペ(Volpe)ら,2002年,サイエンス誌(Science),297,1833−1837;ジニュウェイン(Jenuwein),2002年,サイエンス誌(Science),297,2215−2218;およびホール(Hall)ら,2002年,サイエンス誌(Science),297,2232−2237を参照)。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子は二重鎖形成オリゴヌクレオチド「DFO」である(例として、図14−15および2003年12月3日出願のヴァイシュ(Vaish)らの米国特許出願10/727,780および2004年5月24日出願の国際PCT出願US04/16390を参照)。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子は多機能siNAである(例として、図16−21および2004年2月10日出願のジャドハティ(Jadhati)らの米国特許出願60/543,480および2004年5月24日出願の国際PCT出願US04/16390を参照)。本発明の多機能siNAは、例えば、VEGFおよび/またはVEGFR RNAの2つ以上の領域を標的とする配列を含むことができる(例として表IIおよびIIIの標的配列を参照)。1つの態様においては、本発明の多機能siNAは、1つ以上のVEGFアイソフォーム(例、VEGF−A、VEGF−B、VEGF−C、および/またはVEGF−D)を標的とする配列を含むことができる。1つの態様においては、本発明の多機能siNAは、1つ以上のVEGF受容体(例、VEGFR1、VEGFR2、および/またはVEGFR3)を標的とする配列を含むことができる。1つの態様においては、本発明の多機能siNAは、1つ以上のVEGFアイソフォーム(例、VEGF−A、VEGF−B、VEGF−C、および/またはVEGF−D)および1つ以上のVEGF受容体(例、VEGFR1、VEGFR2、および/またはVEGFR3)を標的とする配列を含むことができる。
本明細書で使用する「非対称ヘアピン」は、アンチセンス領域、ヌクレオチドまたは非ヌクレオチドを含むことができるループ部分、およびアンチセンス領域より少なく、センス領域がアンチセンス領域を持つ塩基対に対して相補的なヌクレオチドを十分に持ち、ループを持つ二重鎖を形成するに足るヌクレオチドを含むセンス領域を含む直鎖siNA分子を意味する。例えば、本発明の非対称ヘアピンsiNA分子は細胞またはインビトロシステム内でRNAiを媒介するのに十分な長さ(例、約15から約30、または約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30ヌクレオチド)を持つアンチセンス領域、および約4から約12(例、約4、5、6、7、8、9、10、11、または12)ヌクレオチドを持つループ領域、およびアンチセンス領域に相補的な約3から約25(例、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25)のヌクレオチドを持つセンス領域を含むことができる。非対称ヘアピンsiNA分子は、化学修飾可能な5’端リン酸基を含むこともできる。非対称ヘアピンsiNA分子のループ部分は、本明細書に記載のヌクレオチド、非ヌクレオチド、リンカー分子、または共有結合分子を含むことができる。
本明細書で使用する「非対称二重鎖」は、センス領域およびアンチセンス領域を含む2つの個別の鎖を持つsiNA分子を意味する。ここでセンス領域はアンチセンス領域より少なく、センス領域がアンチセンス領域を持つ塩基対に対して相補的なヌクレオチドを十分に持ち、二重鎖を形成するに足るヌクレオチドを含む。例えば、本発明の非対称二重鎖siNA分子は細胞またはインビトロシステム内でRNAiを媒介するのに十分な長さ(例、約15から約30、または約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30ヌクレオチド)を持つアンチセンス領域、およびアンチセンス領域に相補的な約3から約25(例、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25)のヌクレオチドを持つセンス領域を含むことができる。
「調節」とは、遺伝子の発現またはRNA分子のレベル、あるいは1つ以上のタンパク質またはタンパク質サブユニットをコードする同等のRNA分子、または1つ以上のタンパク質またはタンパク質サブユニットの活性が上方制御または下方制御されることを意味する。そのため、発現、レベル、または活性はモジュレーターが不在の場合に観察される場合より高いかまたは低くなる。例えば、「調節」は「抑制」を意味する場合もあるが、「調節」という語の使用はこの定義に限定されない。
「抑制」、「下方制御」、または「低減」とは、遺伝子の発現、またはRNA分子のレベル、あるいは1つ以上のタンパク質またはタンパク質サブユニットをコードする同等のRNA分子、または1つ以上のタンパク質またはタンパク質サブユニットの活性が、本発明の核酸分子(例、siNA)が不在の場合に観測されるレベルより低くなることを意味する。1つの態様においては、siNA分子を用いた抑制、下方制御、または低減は、不活性または弱力化した分子が存在する場合に観察されるレベルより低い。別の態様においては、本発明の核酸分子を用いた抑制、下方制御、または低減は、核酸分子が不在の場合より存在する場合のほうが大きい。1つの態様においては、siNA分子を用いた抑制、下方制御、または低減は、例えば、スクランブル配列またはミスマッチを持つsiNA分子が存在する場合に観察されるレベルより低い。別の態様においては、本発明の核酸分子を用いた抑制、下方制御、または低減は、核酸分子が不在の場合より存在する場合のほうが大きい。1つの態様においては、遺伝子発現の抑制、下方制御、または低減は、標的核酸分子(例、RNA)のRNAi媒介性切断等の転写後サイレンシングまたは翻訳抑制に関連する。1つの態様においては、遺伝子発現の抑制、下方制御、または低減は転写前サイレンシングに関連する。
「遺伝子」または「標的遺伝子」は、例えば、ポリペプチドをコードする構造遺伝子を含むがそれに限定されない核酸配列等、RNAをコードする核酸を意味する。遺伝子または標的遺伝子は、機能的RNA(fRNA)または低分子一時RNA(stRNA)、マイクロRNA(miRNA)、小核RNA(snRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、小核小体RNA(snRNA)、リボソームRNA(rRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、およびその前駆RNA等の非コードRNA(ncRNA)をコードすることもできる。そのような非コードRNAは、機能的または規制的細胞過程に関与するfRNAまたはncRNAの活性の調節におけるsiNA媒介性RNA干渉の場合に標的核酸分子として機能することができる。そのため、疾患につながる異常なfRNAまたはncRNA活性を本発明のsiNA分子で調節することができる。fRNAおよびncRNAを標的とするsiNA分子を使用して、遺伝子刷り込み、転写、翻訳、または核酸処理(例、アミノ基転移、メチル化等)といった細胞過程に介在することで、生物体または細胞の遺伝子型または表現型を操作あるいは変質させることもできる。前記標的遺伝子は、細胞、内在性遺伝子、トランス遺伝子、または例えば、感染後細胞内に存在するウイルス等の病原体の遺伝子といった外来遺伝子から採取した遺伝子であってよい。標的遺伝子を含む細胞は、例えば、植物、動物、原生動物、ウイルス、細菌、または菌類等の任意の生物体から採取できるか、またはこれらに含まれる。植物の限定を目的としない例は、単子葉植物、双子葉植物、または裸子植物を含む。動物の限定を目的としない例は、脊椎動物または無脊椎動物を含む。菌類の限定を目的としない例は、カビまたはイースト菌を含む。例として、スナイダー(Snyder)とガースタイン(Gerstein),2003年サイエンス誌(Science),300,258−260を参照のこと)。
「非正準塩基対」は、反ミスマッチ、単一水素結合ミスマッチ、トランス型ミスマッチ、三重塩基相互作用、および四重塩基相互作用を含むミスマッチおよび/またはゆらぎ塩基対といった任意の非ワトソン−クリック塩基対を意味する。そのような非正準塩基対の限定を目的としない例は、AC逆転フーグスティーン、ACゆらぎ、AU逆転フーグスティーン、GUゆらぎ、AAN7アミノ、CC2−カルボニル−アミノ(H1)−N3−アミノ(H2)、GA剪断、UC4−カルボニル−アミノ、UUイミノ−カルボニル、AC逆転ゆらぎ、AUフーグスティーン、AU逆転ワトソン−クリック、CG逆転ワトソン−クリック、GCN3−アミノ−アミノN3、AAN1−アミノ対称、AAN7−アミノ対称、GAN7−N1アミノ−カルボニル、GA+カルボニル−アミノN7−N1、GGN1−カルボニル対称、GGN3−アミノ対称、CCカルボニル−アミノ対称、CCN3−アミノ対称、UU2−カルボニル−イミノ対称、UU4−カルボニル−イミノ対称、AAアミノ−N3、AAN1−アミノ、ACアミノ2−カルボニル、ACN3−アミノ、ACN7−アミノ、AUアミノ−4−カルボニル、AUN1−イミノ、AUN3−イミノ、AUN7−イミノ、CCカルボニル−アミノ、GAアミノ−N1、GAアミノ−N1、GAアミノ−N7、GAカルボニル−アミノ、GAN3−アミノ、GCアミノ−N3、GCカルボニル−アミノ、GCN3−アミノ、GCN7−アミノ、GGアミノ−N7、GGカルボニル−イミノ、GGN7−アミノ、GUアミノ−2−カルボニル、GUカルボニル−イミノ、GUイミノ−2−カルボニル、GUN7−イミノ、psiUイミノ−2−カルボニル、UC4−カルボニル−アミノ、UCイミノ−カルボニル、UUイミノ−4−カルボニル、ACC2−H−N3、GAカルボニル−C2−H、UUイミノ−4−カルボニル2カルボニル−C5−H、ACアミノ(A)N3(C)−カルボニル、GCイミノアミノ−カルボニル、Gpsiイミノ−2−カルボニルアミノ−2−カルボニル、およびGUイミノアミノ−2−カルボニル塩基対を含む。
本明細書で使用する「VEGF」とは、例えば、表IのVEGF ジンバンクアクセッション番号によりコードされる任意の血管内皮成長因子(例、VEGF、VEGF−A、VEGF−B、VEGF−C、VEGF−D)タンパク質、ペプチド、または血管内皮成長因子活性を持つポリペプチドを意味する。またVEGFという語は、任意の血管内皮成長因子プロテイン、ペプチド、または血管内皮成長因子活性を持つポリペプチドを示す。
「VEGF−B」とは、例えばジンバンクアクセッション番号NM−003377でコードされ、血管内皮成長因子タイプB活性を持つタンパク質、ペプチド、またはポリペプチド受容体あるいはその派生物を意味する。またVEGF−Bという語は、VEGF−B活性を持つ任意のVEGF−Bタンパク質、ペプチド、またはポリペプチドを包含する核酸配列も含む。
「VEGF−C」とは、例えばジンバンクアクセッション番号NM−005429でコードされ、血管内皮成長因子タイプC活性を持つタンパク質、ペプチド、またはポリペプチド受容体あるいはその派生物を意味する。またVEGF−Cという語は、VEGF−C活性を持つ任意のVEGF−Cタンパク質、ペプチド、またはポリペプチドを包含する核酸配列も含む。
「VEGF−D」とは、例えばジンバンクアクセッション番号NM−004469でコードされ、血管内皮成長因子タイプD活性を持つタンパク質、ペプチド、またはポリペプチド受容体あるいはその派生物を意味する。またVEGF−Dという語は、VEGF−D活性を持つ任意のVEGF−Dタンパク質、ペプチド、またはポリペプチドを包含する核酸配列も含む。
本明細書で使用する「VEGFR」とは、表Iに示すVEGFRジンバンクアクセッション番号でコードされるような血管内皮成長因子受容体活性を持つ任意の血管内皮成長因子受容体タンパク質、ペプチド、またはポリペプチド(例、その膜結合型および可溶型を含むVEGFR1、VEGFR2、またはVEGFR3)を意味する。また、VEGFRというごは、血管内皮成長因子受容体活性を持つ任意の血管内皮成長因子受容体タンパク質、ペプチド、またはポリペプチドを包含する核酸配列を示す。
「VEGFR1」とは、血管内皮成長因子受容体タイプ1(flt)活性を持つ、例えば血管内皮成長因子を結合する能力を持つ、ジンバンクアクセッション番号NM−002019によりコードされるようなタンパク質、ペプチド、またはポリペプチド受容体またはその派生物を意味する。またVEGFR1という語は、VEGFR1活性を持つ任意のVEGFR1タンパク質、ペプチド、またはポリペプチドを包含する核酸を示す。
「VEGFR2」とは、血管内皮成長因子受容体タイプ2(kdr)活性を持つ、例えば血管内皮成長因子を結合する能力を持つ、ジンバンクアクセッション番号NM_002253によりコードされるようなタンパク質、ペプチド、またはポリペプチド受容体またはその派生物を意味する。またVEGFR2という語は、VEGFR2活性を持つ任意のVEGFR2タンパク質、ペプチド、またはポリペプチドを包含する核酸を示す。
「VEGFR3」とは、血管内皮成長因子受容体タイプ3(kdr)活性を持つ、例えば血管内皮成長因子を結合する能力を持つ、ジンバンクアクセッション番号NM_002020によりコードされるようなタンパク質、ペプチド、またはポリペプチド受容体またはその派生物を意味する。またVEGFR3という語は、VEGFR3活性を持つ任意のVEGFR3タンパク質、ペプチド、またはポリペプチドを包含する核酸を示す。
「相同配列」とは、例えば遺伝子、遺伝子転写および/または非コードポリヌクレオチド等の1つ以上のポリヌクレオチド配列で共有されるヌクレオチド配列を意味する。例えば、相同配列は遺伝子ファミリーの異なるメンバー、異なるタンパク質エピトープ、異なるタンパク質アイソフォームあるいはサイトカインおよびその対応する受容体といった完全に異なる遺伝子等、関連するが異なるタンパク質をコードする2つ以上の遺伝子で共有されるヌクレオチド配列であってよい。相同配列は非コードDNAまたはRNA、規制配列、イントロン、および転写制御または規制部位といった2つ以上の非コードポリヌクレオチドで共有されるヌクレオチド配列であってよい。また相同配列は、2以上のポリヌクレオチド配列で共有される保存配列領域を含むこともできる。前記相同配列は、部分的に相同な配列も本発明によって検討されるため(例、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%等)、完全に相同(例、100%)である必要はない。
「保存配列領域」は、世代間またはある生体系、対象、または生物体から別の生体系、対象、または生物体で大幅に変化しないポリヌクレオチドにおけるヌクレオチド配列の1つ以上の領域を意味する。ポリヌクレオチドはコードおよび非コードDNAおよびRNAを含むことができる。
「センス領域」とは、siNA分子のアンチセンス領域に対して相補性を持つsiNA分子のヌクレオチド配列を意味する。さらに、siNA分子のセンス領域は標的核酸配列と相同性を持つ核酸配列を含むことができる。
「アンチセンス領域」は、標的核酸配列に対して相補性を持つsiNA分子のヌクレオチド配列を意味する。さらに、siNA分子のアンチセンス領域は、任意でsiNA分子のセンス領域に対して相補性を持つ核酸配列を含むことができる。
「標的核酸」とは、発現または活性が調節される任意の核酸配列を意味する。前記標的核酸は、DNAまたはRNAであってよい。1つの態様においては、本発明の前記標的核酸は、VEGF RNAまたはDNAであってよい。別の態様においては、本発明の標的核酸はVEGFR RNAまたはDNAであってよい。
「相補性」とは、従来のワトソン−クリックまたは他の非従来的なタイプによって、核酸が別の核酸配列との水素結合を形成できることを意味する。本発明の核分子を参照して、相補配列を持つ核酸分子の結合自由エネルギーは、例えば核酸の関連機能にRNAi活性を促進させるのに十分である。核酸分子の結合自由エネルギーの判定は、当該技術分野においてよく知られている(例、ターナー(Turner)ら,1987年、量子生物学シンポジウム(CSH Symp.Quant.Biol.LII)pp.123−133;フライヤー(Frier)ら,1986年,米国科学アカデミー会報(Proc.Nat.Acad.Sci.USA)83:9373−9377;ターナー(Turner)ら,1987,J.Am.Chem.Soc.109:3783−3785を参照)。相補率は、第二核酸配列とともに水素結合(例、ワトソン−クリック塩基対)を形成できる核酸分子における隣接残基の割合を示す(例、10ヌクレオチドを持つ第二核酸配列に対する塩基対となる第一オリゴヌクレオチドにある全10ヌクレオチド中5、6、7、8、9、または10ヌクレオチドは、それぞれ50%、60%、70%、80%、90%および100%相補であることを示す)。「完全に相補」とは、核酸配列のすべての隣接残基が第二核酸配列における同数の隣接残基と水素結合することを意味する。1つの態様においては、本発明のsiNA分子は、1つ以上の標的核酸分子に相補的な約15から約30以上(例、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30以上)のヌクレオチドまたはその一部を含む。
1つの態様においては、VEGFおよび/またはVEGFR遺伝子発現を下方制御または低減する本発明のsiNA分子は、対象または生物体における眼疾患、癌、増殖性疾患、腎疾患、または血管形成の治療、予防または低減に使用される。
本明細書で使用する「増殖性疾患」または「癌」は、当該技術分野において知られる制御不能な細胞成長または増殖で特徴付けられる任意の疾患、状態、形質、遺伝子型または表現型を意味し、カポジ肉腫等のAIDS関連癌;乳癌;骨肉腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、線維肉腫、巨細胞腫、アダマンチノーム、および脊索腫等の骨癌;髄膜腫、グリア芽腫、低悪性度星細胞腫、オリゴデンドロ細胞腫、下垂体部腫瘍、神経鞘腫、および転移性脳癌等の脳癌;マントル細胞リンパ腫、非ホジキンズリンパ腫、腺腫、扁平上皮癌、喉頭癌等様々なリンパ腫を含む頭頸部癌、胆嚢および胆管癌、網膜芽腫等の網膜癌、食道癌、胃癌、多発性骨髄腫、卵巣癌、子宮癌、甲状腺癌、睾丸癌、子宮内膜癌、黒色腫、結腸直腸癌、肺癌、膀胱癌、前立腺癌、肺癌(非小細胞肺腫瘍を含む)、膵臓癌、肉腫、ウィルムス腫瘍、子宮頸部癌、頭頸部癌、皮膚癌、鼻咽頭癌、脂肪肉腫、上皮性癌、腎細胞癌、腺筋腫、耳下腺癌、子宮内膜肉腫、多剤耐性癌、および腫瘍血管形成に関連する新血管形成等の増殖性疾患および状態、黄斑変性(例、湿/乾AMD)、角膜新血管形成、糖尿病性網膜症、血管新生緑内障、近視性変性、および再狭窄および多発性嚢胞腎といった他の増殖性疾患および状態、および単独または他の治療との組み合わせで細胞または組織内の疾患関連遺伝子発現の調節に対応する任意の他の癌または増殖疾患、状態、形質、遺伝子型または表現型を含む。
本明細書で使用する「眼疾患」は、類嚢胞黄斑浮腫、星芒状硝子体症、病的近視および後部ブドウ腫、トクソカリアシス(眼幼虫移行症)、網膜静脈閉塞症、後部硝子体剥離、けん引網膜裂傷、網膜上膜、糖尿病性網膜症、格子様変性、網膜静脈閉塞症、網膜動脈閉塞症、黄斑変性(例、湿性AMDまたは乾性AMD等の加齢性黄斑変性)、トキソプラズマ症、脈絡膜メラノーマ、後天性網膜分離症、ホーレンホルスト伝染病、特発性中心性漿液性網脈絡膜症、黄斑円孔、推定眼ヒストプラスマ症、網膜動脈瘤、網膜色素変性、網膜剥離、高血圧性網膜症、網膜色素上皮(RPE)剥離、パピロ静脈炎、眼性虚血症候群、コーツ病、レーバー粟粒動脈瘤、結膜新生物、アレルギー性結膜炎、春季結膜炎、急性細菌性結膜炎、アレルギー性結膜炎および春季角結膜炎、ウイルス性結膜炎、細菌性結膜炎、クラミジア結膜炎および淋菌性結膜炎、結膜裂傷、上強膜炎、強膜炎、瞼裂斑炎、翼状片、上方輪部角結膜炎(セオドアのSLK)、中毒性結膜炎、偽膜を伴う膜炎、巨乳頭結膜炎、テリエン角膜周辺変性症、アカントアメーバ角膜炎、真菌性角膜炎、糸状角膜炎、細菌性角膜炎、乾燥角膜炎/ドライアイ症候群、細菌性角膜炎、単純ヘルペス角膜炎、無菌角膜浸潤、角膜フリクテン炎、角膜擦過傷および再発性角膜びらん、角膜異物、角膜腐食、上皮基底膜ジストロフィー(EBMD)、サイジェソン点状表層角膜炎、角膜裂傷、サルツマン結節性変性、フーチ角膜内皮ジストロフィー、水晶体亜脱臼、様体ブロック緑内障、原発性開放隅角緑内障、色素分散症候群および色素性緑内障、偽落屑症候群および偽落屑性緑内障、前部ブドウ膜炎、原発性開放隅角緑内障、ブドウ膜緑内障および緑内障毛様体炎発症、色素分散症候群および色素性緑内障、急性閉塞隅角緑内障、前部眼内炎、前房出血、隅角後退緑内障、水晶体過敏性緑内障、偽落屑症候群および偽落屑性緑内障、アクセンフェルド−リーガー症候群、血管新生緑内障、扁平部炎、脈絡膜破裂、デュアン後退症候群、中毒性/栄養性視神経症、脳神経IIIの異所性再生、頭蓋内大損傷、頸動脈−海綿静脈洞瘻、前部虚血性視神経症、視神経浮腫および視神経乳頭水腫、脳神経III麻痺、脳神経IV麻痺、脳神経VI麻痺、脳神経VII(顔面神経)麻痺、ホルネル症候群、核間性眼筋麻痺、視神経頭部形成不全、視窩、緊張性瞳孔、視神経頭部ドルーセン、脱髄性視神経症(視神経炎、球後視神経炎)、一過性黒内障および一過性脳虚血発作、偽脳腫瘍、下垂体腺腫、伝染性軟属腫、涙管炎、疣贅および乳頭腫、眼瞼シラミおよびシラミ、眼瞼炎、麦粒腫、前中隔蜂巣炎、霰粒腫、基底細胞癌、眼部帯状疱疹、眼瞼シラミおよびシラミ、眼窩下壁骨折、慢性流涙症、涙嚢炎、単純ヘルペス、眼瞼炎、眼窩蜂巣炎、老人性内反、および扁平細胞腫等、の任意の眼疾患、状態、形質、遺伝子型または表現型および関連する構造を意味する。
本発明の1つの態様においては、本発明のsiNA分子の各鎖は、独立に約15から約30ヌクレオチド長であり、特定の態様においては約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30ヌクレオチド長である。別の態様においては、本発明のsiNA二重鎖は、独立に約15から約30(例、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30)の塩基対を含む。別の態様においては、本発明のsiNA分子の1つ以上の鎖は、独立に標的核酸分子に相補的な約15から約30(例、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30)のヌクレオチドを含む。さらに別の態様においては、ヘアピンまたは環状構造を含む本発明のsiNA分子は、約35から約55(例、約35、40、45、50、または55)ヌクレオチド長、あるいは約38から約44(例、約38、39、40、41、42、43、または44)ヌクレオチド長であり、また約15から約25(例、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25)塩基対を含む。本発明の典型的なsiNA分子を表IIに示す。本発明の典型的な合成siNA分子を表IIおよび/または図4−5に示す。
本明細書で使用する「細胞」は、通常の生物学的意味において使用され、多細胞生物体全体、特にヒトを示すものではない。細胞は、例えば鳥類、植物およびヒト、ウシ、羊、猿、ブタ、犬、および猫といった哺乳類等の生物体に存在し得る。前記細胞は原核(例、細菌細胞)または真核(例、ヒトまたは植物細胞)であってよい。細胞は体細胞または生殖細胞系起源、全能性または多能性、分割または非分割であってよい。また細胞は配偶子または胚、幹細胞、または完全に分化した細胞から派生するかまたはそれらを含んでもよい。
本発明のsiNA分子は直接追加されるか、またはカチオン脂質と複合、リポソーム内に包含、あるいは標的細胞または組織に送達することができる。核酸または核酸複合体は、生体高分子に組み込まれるか否かに関係なく、注射、輸液ポンプまたはステントを通じて生体外または生体内の関連組織に局所的に投与することができる。特定の態様において、本発明の核酸分子は表II−IIIおよび/または図4−5に示す配列を含む。そのような核酸分子の例は、基本的にそれらの表および図において定義される配列を含む。さらに、表IVに記載される化学修飾構造は本発明のsiNA配列に適用することができる。
別の側面において、本発明は本発明の1つ以上のsiNA分子を含む哺乳類細胞を提供する。1つ以上のsiNA分子は同一または異なる部位を独立して標的とすることができる。
「RNA」とは、少なくとも1つのリボヌクレオチド残基を含む分子を意味する。「リボヌクレオチド」とはβ−D−リボフラノーゼ部分の2’位にヒドロキシル基を持つヌクレオチドを意味する。この語は、1つ以上のヌクレオチドの追加、削除、置換および/または変質によって、自然発生するRNAとは異なる変質RNAとともに、二本鎖RNA、一本鎖RNA、部分的に精製されたRNA等の分離されたRNA、基本的に純粋なRNA、合成RNA、組み換えによって生成されたRNAを含む。そのような変質は、例えばRNAの1つ以上のヌクレオチドにおけるsiNAの末端への非ヌクレオチド材の追加を含むことができる。本発明のRNA分子にあるヌクレオチドは、自然発生でないヌクレオチドまたは化学合成されたヌクレオチドまたはデオキシヌクレオチド等の非標準ヌクレオチドを含むこともできる。これらの変質RNAは、類似体または自然発生RNAの類似体と呼ばれる。
「対象」とは外植細胞の提供者または被提供者、あるいはその細胞自体である生物体を意味する。また「対象」とは本発明の核酸分子を投与できる生物体も意味する。対象はヒトまたはヒト細胞を含む哺乳類または哺乳類細胞であってよい。
本明細書で使用する「ホスホロチオエート」という語は、化学式Iを持つヌクレオチド間結合を示す。ここでZおよび/またはWは硫黄原子を含む。このため、ホスホロチオエートという語はホスホロチオエートおよびホスホロジチオエートヌクレオチド間結合を意味する。
本明細書で使用する「ホスホノ酢酸」という語は、化学式Iを持つヌクレオチド間結合を示す。ここでZおよび/またはWはアセチルまたは保存アセチル基を含む。
本明細書で使用する「チオホスホノ酢酸」という語は、化学式Iを持つヌクレオチド間結合を示す。ここでZはアセチルまたは保存アセチル基を含み、Wは硫黄原子を含むか、あるいは代替としてアセチルまたは保存アセチル基を含み、Zは硫黄原子を含む。
本明細書で使用する「ユニバーサル塩基」という語は、ほとんど違いのない天然DNA/RNA塩基をそれぞれ用いて塩基対を形成するヌクレオチド塩基類似体を示す。ユニバーサル塩基の限定を目的としない例は、C−フェニル、C−ナフチルおよび他の芳香族誘導体、イノシン、アゾールカルボキサミド、および当該技術分野において周知の3−ニトロピロール、4−ニトロインドール、5−ニトロインドール、および6−ニトロインドールといったニトロアゾール誘導体を含む(例として、ロークス(Loakes),核酸リサーチ(Nucleic Acids Research),29,2437−2447を参照)。
本明細書で使用する「非環状ヌクレオチド」という語は、非環状リボース糖を持つ任意のヌクレオチドを意味する。例えばリボースカーボン(C1、C2、C3、C4またはC5)のいずれかがヌクレオチドから離れて単独で存在するか、または組み合わされて存在している。
本発明の核酸分子を単独で、または他の薬剤と組み合わせてあるいは結合して使用することで、対象または生物体における眼疾患、癌、増殖性疾患、腎疾患または血管形成を治療、抑制、低減、または予防することができる。例えば、治療に適した条件下で、前記siNA分子を単独で、または1つ以上の薬剤と併用して当業者に明示の他の適切な細胞に投与することができる。
別の態様においては、前記siNA分子を他の周知の治療と併用して、対象または生物体における眼疾患、癌、増殖性疾患、腎疾患、または血管形成を治療、抑制、低減、または予防することができる。例えば、前記分子を1つ以上の周知の化合物、治療、または手順と併用して、当該技術分野において知られるように、対象または生物体における眼疾患、癌、増殖性疾患、腎疾患、または血管形成を治療、抑制、低減、または予防することができる。
1つの態様においては、本発明は、siNA分子を発現できるように本発明の少なくとも1つのsiNA分子をコードする核酸配列を含む発現ベクターを特徴とする。例えば、ベクターは、二重鎖を含むsiNA分子の両鎖をコードする配列を含むことができる。またベクターは、自己相補的であるためsiNA分子を形成する単一の核酸分子をコードする配列も含むことができる。そのような発現ベクターの限定を目的としない例は、ポール(Paul)ら,2002年,ネイチャーバイオテクノロジー(Nature Biotechnology),19,505:ミヤギシ(Miyagisi)とタイラ(Taira),2002年,ネイチャーバイオテクノロジー(Nature Biotechnology),19,505、リー(Lee)ら,2002年,ネイチャーバイオテクノロジー(Nature Biotechnology),19,500、およびノヴィーナ(Novina)ら,2002年,自然医薬(Nature Medicine),アドバンスオンライン公開 doi10.1038/nm725に記載されている。
別の態様においては、本発明は本発明の発現ベクターを含む、例えばヒト細胞等の哺乳類細胞を特徴とする。
さらに別の態様においては、本発明の発現ベクターは、例えば表Iに示すジンバンクアクセッション番号等で参照されるRNA分子に対して相補性を持つsiNA分子の配列を含む。
1つの態様においては、本発明の発現ベクターは、同一または異なる2つ以上のsiNA分子をコードする核酸配列を含む。
別の態様においては、標的RNA分子と相互作用し、標的RNA分子(例、本明細書においてジンバンクアクセッション番号で参照される標的RNA分子)をコードする遺伝子を下方制御するsiNA分子は、DNAまたはRNAベクターに挿入される転写ユニットから発現する。組み換えベクターは、DNAプラスミドまたはウイルスベクターであってよい。ウイルスベクターを発現するsiNAは、アデノ関連ウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、またはアルファウイルスに基づいて構築できるが、それらに限定されない。siNA分子を発現できる組み換えベクターは、本明細書に記載のように送達することができ、標的細胞内に維持できる。代替として、ウイルスベクターを使用してsiNA分子の一時的発現を提供することができる。そのようなベクターは、必要に応じて繰返し投与することができる。一旦発現すると、siNA分子は結合し、RNA干渉(RNAi)を介して遺伝子の機能または発現を下方制御する。ベクターを発現するsiNAは、静脈または筋肉内投与等により全身に送達されるか、対象から外植された標的細胞に投与した後、対象に再導入することにより送達できるか、または望ましい標的細胞への導入を可能にする任意の他の方法によって送達できる。
「ベクター」とは、望ましい核酸の送達に使用される任意の核酸および/または細菌ベースの技術を意味する。
本発明の他の機能および利点は、その好ましい態様に関する以下の記述および特許請求の範囲から明白となる。
図面の簡単な説明
図1は、siNA分子の合成スキームの限定を目的としない例を示す。相補siNA配列鎖、鎖1および鎖2は、タンデム内で合成され、ヌクレオチドコハク酸塩または脱塩基コハク酸塩等の切断可能なリンカーにより結合される。この切断可能なリンカーは、固定支持体上での固相合成に使用される切断可能なリンカーと同じであるかまたは異なってよい。合成は、固相または液相のいずれかであってよく、表示の例において、合成は固相合成である。合成は、ジメトキシトリチル基等の保護基がタンデムオリゴヌクレオチドの末端ヌクレオチド上で維持されるように実施する。オリゴヌクレオチドの切断および脱保護の際に、2つのsiNA鎖は、同時にハイブリダイズしてsiNA二重鎖を形成する。これによって、末端脱保護基の特性を利用すること、例えばトリチルを精製方法に適用することにより二重鎖の精製を行うことができる。ここで、末端保護基を持つ二重鎖/オリゴヌクレオチドのみが分離される。
図2は、本発明の方法で合成された精製siNA二重鎖のMALDI−TOF質量スペクトルを示す。表示された2つのピークは、個別のsiNA配列鎖の予測質量に対応する。この結果は、単純なトリチル−オン精製方法を使用して、タンデム合成から生成されたsiNA二重鎖を単一体として精製できることを示す。
図3は、RNAiに関与する標的RNA分解の限定を目的としない機構図案を示す。例えばウイルス、トランスポゾン、または他の外来RNA等外来単一鎖RNAからRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRP)により生成される二本鎖RNA(dsRNA)は、siNA二重鎖を順に生成するダイサー(DICER)酵素を活性化する。代わりに、合成siNAまたは発現siNAを適切な手段で細胞に直接導入することができる。活性なsiNA複合体は標的RNAを認識し、その結果標的RNAがRISCエンドヌクレアーゼ複合体により分解されるか、またはRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRP)により追加のRNAが合成される。これがダイサー(DICER)を活性化して追加のsiNA分子を生じることによりRNAi応答を増幅する。
図4A−Fは、本発明の化学修飾したsiNA構造の限定を目的としない例を示す。図中Nは、任意のヌクレオチド(アデノシン、グアノシン、シトシン、ウリジン、または任意でチミジンを示し、例えばチミジン丸括弧で指定された突出領域(N N)において置換できる。siNA構造のセンス鎖およびアンチセンス鎖に対する様々な修飾が示される。
図4A:センス鎖は21ヌクレオチドを含み、ここで2つの末端3’−ヌクレオチドは任意で塩基対であり、すべてのヌクレオチドは、(N N)ヌクレオチドを除き、リボヌクレオチドである可能性があり、(N N)ヌクレオチドはリボヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、ユニバーサル塩基、または本明細書に記載されている他の化学修飾で構成されてよい。センス鎖は21ヌクレオチドを含み、任意で3’端グリセリル部を有し、ここで2つの末端3’−ヌクレオチドは任意で標的RNA配列に相補的であり、すべてのヌクレオチドは、(N N)ヌクレオチドを除き、リボヌクレオチドである可能性があり、(N N)ヌクレオチドはリボヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、ユニバーサル塩基、または本明細書に記載の他の化学修飾で構成されてよい。ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、または本明細書に記載の他の修飾ヌクレオチド間結合等の修飾ヌクレオチド間結合は「s」で表示され、アンチセンス鎖の(N N)ヌクレオチドと任意で結合する。
図4B:センス鎖は21ヌクレオチドを含み、ここで2つの末端3’−ヌクレオチドは任意で塩基対であり、すべてのピリミジンヌクレオチドは2’デオキシ−2’−フルオロ修飾ヌクレオチドである可能性があり、すべてのプリンヌクレオチドは(N N)ヌクレオチドを除き、2’−O−メチル修飾ヌクレオチドである可能性があり、(N N)ヌクレオチドはリボヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、ユニバーサル塩基、または本明細書に記載されている他の化学修飾で構成されてよい。アンチセンス鎖は21ヌクレオチドを含み、任意で3’端グリセリル部を有し、ここで2つの末端3’−ヌクレオチドは任意で標的RNA配列に対して相補的であり、すべてのピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロ修飾ヌクレオチドである可能性があり、すべてのプリンヌクレオチドは(N N)ヌクレオチドを除き、2’−O−メチル修飾ヌクレオチドである可能性があり、(N N)ヌクレオチドはリボヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、ユニバーサル塩基、または本明細書に記載されている他の化学修飾で構成されてよい。ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、または本明細書に記載の他の修飾ヌクレオチド間結合等の修飾ヌクレオチド間結合は「s」で表示され、センス鎖およびアンチセンス鎖における(N N)ヌクレオチドと任意で結合する。
図4C:センス鎖は21ヌクレオチドを含み、5’端および3’端キャップ部を有し、ここで2つの末端3’−ヌクレオチドは任意で塩基対であり、すべてのピリミジンヌクレオチドは(N N)ヌクレオチドを除き、2’−O−メチルまたは2’−デオキシ−2’−フルオロ修飾ヌクレオチドである可能性があり、(N N)ヌクレオチドはリボヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、ユニバーサル塩基、または本明細書に記載されている他の化学修飾で構成されてよい。アンチセンス鎖は21ヌクレオチドを含み、任意で3’端グリセリル部を有し、ここで2つの末端3’−ヌクレオチドは任意で標的RNA配列に対して相補的であり、すべてのピリミジンヌクレオチドは(N N)ヌクレオチドを除き、2’−デオキシ−2’−フルオロ修飾ヌクレオチドである可能性があり、(N N)ヌクレオチドはリボヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、ユニバーサル塩基、または本明細書に記載されている他の化学修飾で構成されてよい。ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、または本明細書に記載の他の修飾ヌクレオチド間結合等の修飾ヌクレオチド間結合は「s」で表示され、アンチセンス鎖の(N N)ヌクレオチドと任意で結合する。
図4D:センス鎖は21ヌクレオチドを含み、5’端および3’端キャップ部を有し、ここで2つの末端3’−ヌクレオチドは任意で塩基対であり、すべてのピリミジンヌクレオチドは(N N)ヌクレオチドを除き、2’−デオキシ−2’−フルオロ修飾ヌクレオチドである可能性があり、(N N)ヌクレオチドはリボヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、ユニバーサル塩基、または本明細書に記載されている他の化学修飾で構成されてよい。またここで、すべてのプリンヌクレオチドは2’−デオキシヌクレオチドである可能性がある。前記アンチセンス鎖は21ヌクレオチドを含み、任意で3’端グリセリル部を有し、ここで2つの末端3’−ヌクレオチドは任意で標的RNA配列に対して相補的であり、すべてのピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロ修飾ヌクレオチドである可能性があり、すべてのプリンヌクレオチドは(N N)ヌクレオチドを除き、2’−O−メチル修飾ヌクレオチドである可能性があり、(N N)ヌクレオチドはリボヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、ユニバーサル塩基、または本明細書に記載されている他の化学修飾で構成されてよい。ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、または本明細書に記載の他の修飾ヌクレオチド間結合等の修飾ヌクレオチド間結合は「s」で表示され、アンチセンス鎖の(N N)ヌクレオチドと任意で結合する。
図4E:センス鎖は21ヌクレオチドを含み、5’端および3’端キャップ部を有し、ここで2つの末端3’−ヌクレオチドは任意で塩基対であり、すべてのピリミジンヌクレオチドは(N N)ヌクレオチドを除き、2’−デオキシ−2’−フルオロ修飾ヌクレオチドである可能性があり、(N N)ヌクレオチドはリボヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、ユニバーサル塩基、または本明細書に記載されている他の化学修飾で構成されてよい。アンチセンス鎖は21ヌクレオチドを含み、任意で3’端グリセリル部を有し、ここで2つの末端3’−ヌクレオチドは任意で標的RNA配列に対して相補的であり、すべてのピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロ修飾ヌクレオチドである可能性があり、すべてのプリンヌクレオチドは(N N)ヌクレオチドを除き、2’−O−メチル修飾ヌクレオチドである可能性があり、N N)ヌクレオチドはリボヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、ユニバーサル塩基、または本明細書に記載されている他の化学修飾で構成されてよい。ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、または本明細書に記載の他の修飾ヌクレオチド間結合等の修飾ヌクレオチド間結合は「s」で表示され、アンチセンス鎖の(N N)ヌクレオチドと任意で結合する。
図4F:センス鎖は21ヌクレオチドを含み、5’端および3’端キャップ部を有し、ここで2つの末端3’−ヌクレオチドは任意で塩基対であり、すべてのピリミジンヌクレオチドは(N N)ヌクレオチドを除き、2’−デオキシ−2’−フルオロ修飾ヌクレオチドである可能性があり、(N N)ヌクレオチドはリボヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、ユニバーサル塩基、または本明細書に記載されている他の化学修飾で構成されてよい。またここで、すべてのプリンヌクレオチドは2’−デオキシヌクレオチドである可能性がある。アンチセンス鎖は21ヌクレオチドを含み、任意で3’端グリセリル部を有し、ここで2つの末端3’−ヌクレオチドは任意で標的RNA配列に対して相補的であり、1つの3’端ホスホロチオエートヌクレオチド間結合を有する。ここで、すべてのピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロ修飾ヌクレオチドである可能性があり、すべてのプリンヌクレオチドは(N N)ヌクレオチドを除き、2’−デオキシヌクレオチドである可能性があり、(N N)ヌクレオチドはリボヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、ユニバーサル塩基、または本明細書に記載されている他の化学修飾で構成されてよい。ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、または本明細書に記載の他の修飾ヌクレオチド間結合等の修飾ヌクレオチド間結合は「s」で表示され、アンチセンス鎖の(N N)ヌクレオチドと任意で結合する。アンチセンス鎖の構造A−Fは、本発明の任意の標的核酸配列に対して相補的な配列を含む。さらに、グリセリル部(L)が図4A−Fに示す任意の構造のアンチセンス鎖の3’端に存在する場合は、修飾ヌクレオチド結合は任意である。
図5A−Fは、本発明の特定の化学修飾したsiNA配列の限定を目的としない例を示す。A−Fは、図4A−Fに示す化学修飾をVEGFR1siNA配列に適用する。そのような化学修飾は、任意のVEGFおよび/またはVEGFR配列および/または細胞標的配列に適用することができる。
図6は、本発明の異なるsiNA構造の限定を目的としない例を示す。表示の例(構造1、2、および3)は19の代表的な塩基対を持つが、本発明の異なる態様は本明細書に記載する任意の数の塩基対を含む。括弧付きの領域は、例えば約1、2、3、または4ヌクレオチド長、好ましくは約2ヌクレオチドを含むヌクレオチド突出部を示す。構造1および2は独立してRNAi作用に使用することができる。構造2は、任意で生分解が可能なリンカーとして設計できるポリヌクレオチドまたは非ヌクレオチドリンカーを含むことができる。1つの態様においては、構造2に示すループ構造は、生分解が可能なリンカーを含むことができるため、インビボおよび/またはインビトロで構造1を形成する。別の態様においては、構造3を使用して同一の原理で構造2を生成することができる。ここでリンカーを使用して、活性なsiNA構造2をインビボおよび/インビトロで生成することができる。また任意で別の生分解が可能なリンカーを利用して活性なsiNA構造1をインビボ/インビトロで生成することができる。そのようにして、siNA構造の安定性および/または活性をその設計に基づいて調節して、インビボまたはインビトロおよび/またはインビトロで使用することができる。
図7A−Cは、siNAヘアピン構造を生成する発現カセットの生成に利用されるスキームの図表示である。
図7A:DNAオリゴマーは、事前設定されたVEGFおよび/またはVEGFR標的配列と同一の配列を有する領域(siNAのセンス領域)が後に続く5’−制限部位(R1)配列で合成される。ここでセンス領域は、例えば約19、20、21、または22ヌクレオチド(N)の長さを含み、その後に例えば約3から約10ヌクレオチドを含む定義配列(X)のループ配列が続く。
図7A:前記合成構造は、次にDNAポリメラーゼにより拡張されて自己相補型配列を有するヘアピン構造を生成する。その結果、VEGFおよび/またはVEGFR標的配列に対する特異性を有し、自己相補型センスおよびアンチセンス領域を持つsiNA転写物が生じる。
図7C:構造を(例えば約95℃まで)加熱して配列を線形化することによって、プライマーを第一鎖の3’制限配列に使用して、相補第二DNA鎖を拡張することができる。二本鎖DNAは、次に細胞内発現のための適切なベクターに挿入される。構造は、例えばポール(Paul)ら(2002年,ネイチャー生化学誌(Nature Biotechnology),29,505−508)に記載のように制限部位を設けることおよび/またはポリ−U末端領域を利用することにより、3’端ヌクレオチド突出部が前記転写物から生じるようにデザインすることができる。
図8A−Cは、二本鎖siNAヘアピン構造を生成する発現カセットの生成に利用されるスキームの図表示である。
図8A:DNAオリゴマーは、事前設定されたVEGFおよび/またはVEGFR標的配列と同一の配列を有する領域(siNAのセンス領域)が後に続く5’−制限部位(R1)配列で合成される。ここでセンス領域は、例えば約19、20、21、または22ヌクレオチド(N)の長さを含み、その後に定義配列(X)のループ配列に隣接する3’−制限部位(R2)が続く。
図8B:合成構造は、次にDNAポリメラーゼにより拡張され、自己相補型配列を有するヘアピン構造を生成する。
図8C:構造は、R1およびR2に特定の制限酵素により処理され、後で細胞内発現のための適切なベクターに挿入される二本鎖DNAを生成する。転写カセットは、U6プロモータ領域がsiNAの個別のセンス鎖およびアンチセンス鎖を生成するdsDNAの各側面に位置するように設計される。ポリT終止配列を構造に追加して、その結果生じる転写物にU突出部を生成することができる。
図9A−Eは、メッセンジャーRNA等、の特定の標的核酸配列内でsiNA媒介性RNAiの標的部位を判別するために使用される方法の図表示である。
図9A:siNAオリゴヌクレオチドのプールが合成される。ここで前記siNA構造のアンチセンス領域は、標的核酸配列全体の標的部位に対して相補性を持ち、センス領域はsiNAのアンチセンス領域に相補的な配列を含む。
図9BおよびC:(図9C)細胞へのベクター導入によってsiNAの発現を生じるように、(図9B)配列がプールされ、ベクターに挿入される。
図9D:標的核酸配列の調節に関連する表現型の変化に基づいて細胞を分類する。
図9E:siNAは分類された細胞から分離され、配列が決定されて標的核酸配列内で有効な標的部位を識別する。
図10は、例えば本発明のsiNA配列の3’端を安定化させるために使用できる異なる安定化化学反応(1−10)((1)[3−3’]−逆位デオキシリボース;(2)デオキシリボヌクレオチド;(3)[5’−3’]−3’−デオキシリボヌクレオチド;(4)[5’−3’]−リボヌクレオチド;(5)[5’−3’]−3’−O−メチルリボヌクレオチド;(6)3’−グリセリル;(7)[3’−5’]−3’−デオキシリボヌクレオチド;(8)[3’−3’]−デオキシリボヌクレオチド;(9)[5’−2’]−デオキシリボヌクレオチド;および(10)[5−3’]−ジデオキシリボヌクレオチドを含む)の限定を目的としない例を示す。図に示す修飾および未修飾骨格化学反応に加えて、これらの化学反応を本発明に記載の異なる骨格修飾、例えば化学式Iの骨格修飾と組み合わせることができる。さらに、表示の2’−デオキシヌクレオチド5’から末端修飾は、例えば化学式IからVIIのいずれか、またはその任意の組み合わせを持つ修飾等、の本明細書に記載の別の修飾または未修飾のヌクレオチドあるいは非ヌクレオチドであってよい。
図11は、RNAi活性を媒介する能力を保持しながらヌクレアーゼ耐性を示す、本発明の化学修飾したsiNA構造の識別に使用される方法の限定を目的としない例を示す。知識に裏付けられた設計パラメータに基づいて化学修飾をsiNA構造に導入する(例、2’−修飾、塩基修飾、骨格修飾、末端キャップ修飾等を導入する)。修飾した構造を適切なシステムにおいて試験する(例、ヌクレアーゼ耐性についてはヒト血清、あるいはPK/送達パラメータについては動物モデル)。平行して、RNAi作用について、例えばルシフェラーゼレポーターアッセイ等の細胞培養システムにおいて、siNA構造を試験する。次に、RNAi作用を維持しながら特定の特性を有するリードsiNA構造を識別し、さらにもう一度修飾および試験することができる。これと同じアプローチを使用して、高い薬物動態プロファイル、送達、およびRNAi活性を持つsiNAコンジュゲート分子を識別することができる。
図12は、直鎖および二重鎖構造ならびにその非対称派生物を含む、本発明のリン酸化siNA分子の限定を目的としない例を示す。
図13は、本発明の化学修飾した末端リン酸基の限定を目的としない例を示す。
図14Aは、標的核酸配列内で識別されるパリンドロームおよび/または反復核酸配列を利用した、自己相補型DFO構造の設計に使用される方法の限定を目的としない例を示す。(i)パリンドロームまたは反復配列が核酸標的配列内で識別される。(ii)標的核酸配列およびパリンドローム配列に対して相補的な配列がデザインされる。(iii)相補配列の非パリンドローム/反復部分の逆位反復配列が前記相補配列の3’端に付加され、核酸標的に相補的な配列を含む自己相補型DFO分子を生成する。(iv)DFO分子は自己組織化して二本鎖オリゴヌクレオチドを形成することができる。図14Bは、二重鎖形成オリゴヌクレオチド配列の限定を目的としない代表的な例を示す。図14Cは、代表的な二重鎖形成オリゴヌクレオチド配列の自己組織化の概略について限定を目的としない例を示す。図14Dは、遺伝子発現の調節につながる標的核酸配列との相互作用が後に続く、代表的な二重鎖形成オリゴヌクレオチド配列の自己組織化の概略について限定を目的としない例を示す。
図15は、関連の任意の標的核酸配列に対して相補的な配列を有し、前記DFO構造に組み込まれるパリンドロームおよび/または反復核酸配列を利用した、自己相補型DFO構造のデザインの限定を目的としない例を示す。これらのパリンドローム/反復配列の組み込みによって、各鎖が例えばRNAiにより標的遺伝子発現の調節を媒介できる、二重鎖を形成するDFO構造の設計が可能になる。最初に、標的配列を識別する。次に相補配列を生成する。ここで、ヌクレオチドまたは非ヌクレオチド修飾(XまたはYで示す)が人工パリンドローム(図中XYXYXYで示す)を生成する相補配列に導入される。非パリンドローム/反復相補配列の逆位反復配列が相補配列の3’端に付加され、核酸標的に相補的な配列を含む自己相補型DFO分子を生成する。DFOは自己組織化して二本鎖オリゴヌクレオチドを形成することができる。
図16は、RNAiにより指示された異なる標的核酸配列の切断を媒介できる2つの個別のポリヌクレオチド配列を含む、本発明の多機能siNA分siNAの限定を目的としない例を示す。図16Aは、第一標的核酸配列に対して相補的な第一の領域(相補領域1)および第二標的核酸配列に対して相補的な第二の領域(相補領域2)を有する多機能siNA分siNAの限定を目的としない例を示す。ここで、第一および第二の相補領域は、多機能siNAにおいて各ポリヌクレオチド配列の3’端に配置される。多機能siNA構造の各ポリヌクレオチド配列のダッシュ付部分は、siNA二重鎖の対応する部分に対して相補性を有するが、標的核酸配列に対する相補性は有しない。図16Bは、第一標的核酸配列に対して相補的な第一の領域(相補領域1)および第二標的核酸配列に対して相補的な第二の領域(相補領域2)を有する多機能siNA分siNAの限定を目的としない例を示す。ここで、第一および第二の相補領域は、多機能siNAにおいて各ポリヌクレオチド配列の5’端に配置される多機能siNA構造の各ポリヌクレオチド配列のダッシュ付部分は、siNA二重鎖の対応する部分に対して相補性を有するが、標的核酸配列に対する相補性は有しない。
図17は、RNAiにより指示された異なる標的核酸配列の切断を媒介できる単一のポリヌクレオチド配列を含む、本発明の多機能siNA分siNAの限定を目的としない例を示す。図17Aは、第一標的核酸配列に対して相補的な第一の領域(相補領域1)および第二標的核酸配列に対して相補的な第二の領域(相補領域2)を有する多機能siNA分siNAの限定を目的としない例を示す。ここで、第二の相補領域は多機能siNAにおいてポリヌクレオチド配列の3’端に配置される。多機能siNA構造の各ポリヌクレオチド配列のダッシュ付部分は、siNA二重鎖の対応する部分に対して相補性を有するが、標的核酸配列に対する相補性は有しない。図17Bは、第一標的核酸配列に対して相補的な第一の領域(相補領域1)および第二標的核酸配列に対して相補的な第二の領域(相補領域2)を有する多機能siNA分siNAの限定を目的としない例を示す。ここで、第一相補領域は多機能siNAにおいてポリヌクレオチド配列の5’端に配置される。多機能siNA構造の各ポリヌクレオチド配列のダッシュ付部分は、siNA二重鎖の対応する部分に対して相補性を有するが、標的核酸配列に対する相補性は有しない。1つの態様においては、これらの多機能siNA構造をインビボまたはインビトロで処理し、図16に示す多機能siNA構造を生成する。
図18は、RNAiにより指示された異なる標的核酸配列の切断を媒介できる2つの個別のポリヌクレオチド配列を含む、本発明の多機能siNA分siNAの限定を目的としない例を示す。ここで、多機能siNA構造は自己相補型パリンドロームまたは反復部分をさらに含むため、異なる標的核酸配列に対するRNA干渉を媒介できる多機能siNA構造を短縮することができる。図18Aは、第一標的核酸配列に対して相補的な第一の領域(相補領域1)および第二標的核酸配列に対して相補的な第二の領域(相補領域2)を有する多機能siNA分siNAの限定を目的としない例を示す。ここで、第一および第二相補領域は多機能siNAにおいて各ポリヌクレオチド配列の3’端に配置され、さらに自己相補型パリンドロームまたは反復領域を含む前記多機能siNA構造の各ポリヌクレオチド配列のダッシュ付部分は、siNA二重鎖の対応する部分に対して相補性を有するが、標的核酸配列に対する相補性は有しない。図18Bは、第一標的核酸配列に対して相補的な第一の領域(相補領域1)および第二標的核酸配列に対して相補的な第二の領域(相補領域2)を有する多機能siNA分siNAの限定を目的としない例を示す。ここで、第一および第二相補領域は、前記多機能siNAにおいて各ポリヌクレオチド配列の5端に配置され、さらに自己相補的なパリンドロームまたは反復領域を含む。多機能siNA構造の各ポリヌクレオチド配列のダッシュ付部分は、siNA二重鎖の対応する部分に対して相補性を有するが、前記標的核酸配列に対する相補性は有しない。
図19は、RNAiにより指示された異なる標的核酸配列の切断を媒介できる単一のポリヌクレオチド配列を含む、本発明の多機能siNA分siNAの限定を目的としない例を示す。ここで、多機能siNA構造はさらに自己相補型パリンドロームまたは反復部分を含むため、異なる標的核酸配列に対するRNA干渉を媒介できる多機能siNA構造を短縮することができる。図19Aは、第一標的核酸配列に対して相補的な第一の領域(相補領域1)および第二標的核酸配列に対して相補的な第二の領域(相補領域2)を有する多機能siNA分siNAの限定を目的としない例を示す。ここで、第二相補領域は多機能siNAにおいてポリヌクレオチド配列の3’端に配置され、第一および第二相補領域はさらに自己相補型パリンドロームまたは反復領域を含む。多機能siNA構造の各ポリヌクレオチド配列のダッシュ付部分は、siNA二重鎖の対応する部分に対して相補性を有するが、標的核酸配列に対する相補性は有しない。図19Bは、第一標的核酸配列に対して相補的な第一の領域(相補領域1)および第二標的核酸配列に対して相補的な第二の領域(相補領域2)を有する多機能siNA分siNAの限定を目的としない例を示す。ここで、第相補領域は、多機能siNAにおいてポリヌクレオチド配列の5’端に配置され、第一および第二相補領域はさらに自己相補的なパリンドロームまたは反復領域を含む。多機能siNA構造の各ポリヌクレオチド配列のダッシュ付部分は、siNA二重鎖の対応する部分に対して相補性を有するが、標的核酸配列に対する相補性は有しない。1つの態様においては、これらの多機能siNA構造をインビボまたはインビトロで処理し、図18に示す多機能siNA構造を生成する。
図20は、異なるタンパク質、例えばサイトカインおよびその対応する受容体、異なるウイルス株、ウイルス感染または増殖に関与するウイルスおよび細胞タンパク質、または疾患の維持または進行に関わる共通または異なる生物学的経路に関与する異なるタンパク質等、をコードする個別のRNA分子等、本発明の多機能siNA分siNAがどのように2つの個別の標的核酸分siNAを標的とするかに関する限定を目的としない例を示す。多機能siNA構造の各鎖は相補性を有する領域を含み、標的核酸配列分子を分離する。多機能siNA分子は、siNAの各鎖がRISC複合体に利用されてその対応する標的のRNA干渉媒介性切断を開始するようにデザインされる。これらのデザインパラメータは、siNA構造の各末端の不安定化を含むことができる(例として、シュワルツ(Schwarz)ら,2003年,セル誌(Cell),115,199−208を参照)。そのような不安定化は、例えばグアノシン−シチジン塩基対、代替塩基対(例、ゆらぎ)を使用する、または当該技術分野において知られているように、末端ヌクレオチド位の化学修飾ヌクレオチドを不安定化させることによって得られる。
図21は、本発明の多機能siNA分子が2つの個別の標的核酸配列を、RNAの代替コード領域、RNAのコードおよび非コード領域、またはRNAの代替スプライス変異体領域等、同一の標的核酸分子内でどのように標的とするかに関する限定を目的としない例を示す。多機能siNA構造の各鎖は標的核酸分子の個別の領域に対する相補性を有する領域を含む。多機能siNA分子は、siNAの各鎖がRISC複合体に利用されてその対応する標的領域のRNA干渉媒介性切断を開始するようにデザインされる。これらのデザインパラメータは、siNA構造の各末端の不安定化を含むことができる(例として、シュワルツ(Schwarz)ら,2003年,セル誌(Cell),115,199−208を参照)。そのような不安定化は、例えばグアノシン−シチジン塩基対、代替塩基対(例、ゆらぎ)を使用する、または当該技術分野において知られているように、末端ヌクレオチド位の化学修飾ヌクレオチドを不安定化させることによって得られる。
図22は、VEGFR1 mRNAを標的とする化学修飾siNAにより媒介されるA375細胞内のVEGFR1 mRNAの減少に関する限定を目的としない例を示す。A549細胞は、25nM siNAと混合された0.25μg/ウェルの脂質とともにトランスフェクトした。Stab4/5化学反応(化合物番号31190/31193)、Stab1/2化学反応(化合物番号31183/31186および化合物番号31184/31187)、および未修飾のRNA(化合物番号30075/30076)を含むsiNA構造の審査(安定化「Stab」化学反応を表IVに示す。構造は化合物番号により参照される。表IIIを参照のこと)において、未処理の細胞、対応する化学反応の逆位コントロールsiNA構造、(化合物番号31208/31211、化合物番号31201/31204、化合物番号31202/31205、および化合物番号30077/30078)スクランブルsiNAコントロール構造(Scram1およびScram2)、および脂質のみをトランスフェクトした細胞(トランスフェクトコントロール)と比較した。siNA構造はすべて、VEGFR1 RNA発現の著しい減少を示した。
図23は、対応する化学反応の逆位コントロールsiNA構造と比較して、VEGFR1 mRNAにおける8つの位置に対して指示されたStab9/10を使用したHAEC細胞培養におけるVEGFR1 mRNAレベルの減少に関する限定を目的としない例を示す。コントロールUNTおよびLF2Kは、それぞれ未処理の細胞およびLF2Kトランスフェクション試薬のみで処理した細胞を示す。
図24は、VEGFR2 mRNAを標的とする化学修飾siNAにより媒介されるHAEC細胞内のVEGFR2 mRNAの減少に関する限定を目的としない例を示す。HAEC細胞は、25nM siNAと混合された0.25μg/ウェルの脂質とともにトランスフェクトした。Stab4/5化学反応(化合物番号30786/30790)、Stab7/8化学反応(化合物番号31858/31860)、およびStab9/10化学反応(化合物番号31862/31864)およびStab4/5化学反応(化合物番号31856/31857)を含む3948位、Stab7/8化学反応(化合物番号31859/31861)、およびStab9/10化学反応(化合物番号31863/31865)を含むsiNA構造の審査(安定化「Stab」化学反応を表IVに示す。構造は化合物番号により参照される。表IIIを参照のこと)において、未処理の細胞、3854位にある対応する化学反応の逆位コントロールsiNA構造(化合物番号31878/31880、化合物番号31882/31884、および化合物番号31886/31888)および3948にある対応する化学反応の逆位コントロールsiNA構造(化合物番号31879/31881、化合物番号31883/31885、および化合物番号31887/31889)、LF2K(トランスフェクション試薬)で処理した細胞、およびすべてのRNAコントロール(3854位における化合物番号31435/31439および3948位における化合物番号31437/31441)と比較した。siNA構造はすべて、VEGFR2 RNA発現の著しい減少を示した。
図25は、無関連のコントロールsiNA構造(IC1、IC2)と比較して、VEGFR2 mRNAにおける4つの位置に対して指示されたStab0/0を使用したHAEC細胞培養におけるVEGFR2 mRNAレベルの減少に関する限定を目的としない例を示す。コントロールUNTおよびLF2Kは、それぞれ未処理の細胞およびLF2Kトランスフェクション試薬のみで処理した細胞を示す。
図26は、VEGFR1(Flt−1)およびVEGFR2(KDR)相同性を有する配列を標的とするsiNA分子を用いた処理から24時間後の、HAEC細胞(15,000細胞/ウェル)におけるVEGFR1(Flt−1)mRNAレベルの減少に関する限定を目的としない例を示す。HAEC細胞は、25nM siNAと混合された1.5μg/ウェルの脂質とともにトランスフェクトした。siNA分子の活性は、対応する化学反応の逆位siNAコントロール、未処理の細胞、および脂質のみで処理した細胞(トランスフェクションコントロール)と比較して表示される。siNA分子およびコントロールは化合物番号(センス/アンチセンス)により参照される。配列については表IIIを参照のこと。図26Aは、Stab9/10siNA構造の場合のデータを示す。図26BはStab7/8siNA構造の場合のデータを示す。図26Bの研究は、追加コントロールとしてVEGFR1(32748/32755)およびその対応する化学反応の逆位コントロール(32772/32779)のみを標的とする構造を含む。図に示すように、VEGFR1およびVEGFR2配列の両方を標的とするsiNA構造は、細胞培養実験においてVEGFR1発現の抑制に関して潜在的な有効性を示している。
図27は、VEGFR1およびVEGFR2相同配列を標的とするsiNA分子を用いた処理後24時間のHAEC細胞(15,000細胞/ウェル)におけるVEGFR2(KDR)mRNAレベルの低減に関する限定を目的としない例を示す。HAEC細胞は、25nM siNAと混合された1.5μg/ウェルの脂質とともにトランスフェクトした。siNA分子活性は、合致する化学的な逆位siNAコントロール、未処理の細胞、および脂質のみで処理した細胞(トランスフェクションコントロール)と比較して表示される。siNA分子およびコントロールは化合物番号(センス/アンチセンス)により参照される。配列については表IIIを参照のこと。図27Aは、Stab9/10siNA構造の場合のデータを示す。図27BはStab7/8siNA構造の場合のデータを示す。図27Bの試験は、追加コントロールとしてVEGFR1(32748/32755)およびその対応する化学反応の逆位コントロール(32772/32779)のみを標的とする構造を含む。図に示すように、VEGFR1およびVEGFR2配列の両方を標的とするsiNA構造は、細胞培養実験においてVEGFR2発現の抑制に関して潜在的な有効性を示している。
図28は、ラット角膜モデルの血管形成を使用した、VEGF誘発性血管形成のsiNA媒介性抑制の限定を目的としない例を示す。VEGFR1 RNAの2340位を標的とするsiNA(化合物番号29695/29699 センス鎖/アンチセンス鎖で表示される)を、逆位のコントロールsiNA(化合物番号29983/29984 センス鎖/アンチセンス鎖)と3つの異なる濃度(1μg、3μg、および10μg)で比較し、またsiNAを投与していないVEGFコントロールとも比較した。図に示すように、VEGFR1 RNAを標的とするsiNA構造は、ラット角膜モデルにおいて血管形成を著しく抑制した。
図29は、ラット角膜モデルにおけるVEGF誘発性新血管形成の抑制に関する限定を目的としない例を示す。VEGFR1の349位にある「Stab9/10」化学反応を有するsiNA(化合物番号31270/31273)を、VEGF誘発性新血管形成の抑制について3つの異なる濃度(2.0μg、1.0μg、および0.1μg用量反応)で試験し、各濃度での合致した化学的な逆位のコントロールsiNA構造(化合物番号31276/31279)およびsiNAを投与していないVEGFコントロールと比較した。図に示すように、「Stab9/10」化学反応を有する活性siNA構造(化合物番号31270/31273)は、0.1μgから2.0μg濃度での合致した化学的な逆位コントロールsiNAと比較して、ラット角膜モデルにおけるVEGF誘発性血管形成の抑制に極めて有効である。
図30は、2つの異なるsiNA安定化化学反応を使用して、VEGFR1の349位に隣接する部位の有効性を評価した試験の限定を目的としない例を示す。化学反応CはStab9/10であるが、化学反応DはStab7/8である。
図31は、VEGFディスク移植後のsiNA結膜下投与を介してVEGFR1およびVEGFR2により共有される相同配列を標的とするsiNA構造を使用した、VEGF誘発性眼血管形成の抑制に関する限定を目的としない例を示す。脈略膜をレーザーで損傷させた後、1日目および7日目にsiNA構造を眼内投与し、14日目に脈略膜の新血管形成を判定した。
図32は、siNAの眼内投与を介したマウスモデルの脈略膜新血管形成におけるVEGF誘発性新血管形成の抑制に関する限定を目的としない例を示す。VEGFR1の349位にある「Stab9/10」化学反応を有する活性siNA(化合物番号31270/31273)を、新血管形成の抑制について2つの異なる濃度(1.5μgおよび0.5μg)で試験し、合致した化学的な逆位コントロールsiNA構造(化合物番号31276/31279)およびリン酸緩衝生理食塩水(PBS)と比較した。脈略膜をレーザーで損傷させた後、1日目および7日目にsiNA構造を眼内投与し、14日目に脈略膜の新血管形成を判定した。図に示すように、「Stab9/10」化学反応(化合物番号31270/31273)を有する活性siNA構造は、このモデルにおいて眼内投与を介した新血管形成の抑制に極めて有効である。
図33は、siNAの眼周囲投与を介したマウスモデルの脈略膜新血管形成におけるVEGF誘発性新血管形成の抑制に関する限定を目的としない例を示す。VEGFR1の349位にある「Stab9/10」化学反応を有する活性siNA(化合物番号31270/31273)を、新血管形成の抑制について2つの異なる濃度(生理食塩水コントロールの場合1.5μg、逆位のsiNAコントロールの場合0.5μg、化合物番号31276/31279)で試験した。片方の目に活性siNA、もう一方の目に生理食塩水または逆位コントロールを投与した8匹のマウスを本試験の各郡に使用した。図に示すように、「Stab9/10」化学反応を有する活性siNA構造(化合物番号31270/31273)は、このモデルにおける眼周囲投与を介した新血管形成の抑制に極めて有効である。
図34は、siNAの眼周囲投与を介したマウスモデルの脈略膜新血管形成におけるVEGF誘発性新血管形成の抑制に関する限定を目的としない例を示す。VEGFR1の349位にある「Stab9/10」化学反応を有する活性siNA(化合物番号31270/31273)を、新血管形成の抑制について2つの異なる濃度(逆位siNAコントロールの場合1.5μg、化合物番号31276/31279および生理食塩水コントロールの場合0.5μg)で試験した。片方の目に活性siNA、もう一方の目に逆位コントロールを投与した9匹のマウスを本試験の活性群対逆位群に使用した。片方の目に活性siNA、もう一方の目に生理食塩水または逆位コントロールを投与した8匹のマウスを本試験の各郡に使用した。レーザーで脈略膜を損傷させた後、siNA構造およびコントロールを最長14日間毎日投与し、17日目に新血管形成を判定した。図に示すように、「Stab9/10」化学反応を有する活性siNA構造(化合物番号31270/31273)は、このモデルにおける眼周囲投与を介した新血管形成の抑制に極めて有効である。
図35は、眼新血管形成のマウスモデルにおいて、合致した化学的な逆位コントロールsiNA構造(31276/31279)を注射したマウスと比較して、VEGFR1 mRNAの349位を標的とする活性siNA(31270/31273)を注射したマウスにおける脈略膜新血管形成(CNV)のsiNA媒介性抑制の限定を目的としない例を示す。ブルッフ(Bruch)膜の破裂後、3日ごとに眼周囲注射を実施した。活性siNAで治療した眼は、逆位コントロールsiNA構成(n=13,p=0.0002)で治療した眼よりもCNVの領域が著しく小さかった。
図36は、酸素誘発性網膜症(OIR)のマウスモデルにおいて、合致した化学的な逆位コントロールsiNA構造(31276/31279)を注射したマウスと比較して、VEGFR1 mRNAの349位を標的とする活性siNA(31270/31273)を注射したマウスにおけるVEGFR1 mRNAレベルのsiNA媒介性抑制に関する限定を目的としない例を示す。VEGFR1siNA(31270/31273)をP12、P14、およびP16上に眼周囲注射(5μl;1.5μg/μl)することで、合致した化学的な逆位コントロールsiNA構造(31276/31279)を注射した場合と比較して、VEGFR1mRNA発現が著しく減少した(40%抑制;n=9、p=0.0121)。
図37は、酸素誘発性網膜症(OIR)のマウスモデルにおいて、合致した化学的な逆位コントロールsiNA構造(31276/31279)を注射したマウスと比較して、VEGFR1 mRNAの349位を標的とする活性siNA(31270/31273)を注射したマウスにおけるVEGFR1 mRNAレベルのsiNA媒介性抑制に関する限定を目的としない例を示す。VEGFR1siNA(31270/31273)(5μg)の眼内注射も著しく減少させた。VEGFR1タンパク質レベルを合致した化学的な逆位コントロールsiNA構成(31276/31279)を注射した場合と比較した(30%抑制;n=7,p=0.0103)。
図38は、合致した化学的な不活性逆位コントロールsiNA(化合物番号31276/31279)および生理食塩水と比較して、VEGFR1 RNAの349位を標的とする活性Stab9/10siNA(化合物番号31270/31273)を使用した、マウス4T1ルシフェラーゼ乳癌同系腫瘍モデルにおける初期腫瘍量の低減に関する限定を目的としない例を示す。図に示すように、このモデルにおいて活性siNA構成は腫瘍量の低減に有効である。
図39は、合致した化学的な不活性逆位コントロールsiNA(化合物番号31276/31279)と比較して、VEGFR1 RNAの349位を標的とする活性Stab9/10siNA(化合物番号31270/31273)を使用した、マウス4T1ルシフェラーゼ乳癌同系腫瘍モデルにおける可溶VEGFR1血清レベルの低減に関する限定を目的としない例を示す。図に示すように、このモデルにおいて活性siNA構造は可溶VEGFR1血清レベルの低減に有効である。
図40は、VEGFの1420位およびVEGFR1/VEGFR2の保存された3646/3718位(MF34706/34707)、VEGFの1421位およびVEGR1/VEGFR2の保存された3646/3718位(MF34708/34709)、およびVEGFの1562位およびVEGFR1/VEGFR2の保存された3646/3718位(MF34695/34700)を標的とする多機能siNAを、25nMで異なる多機能長(IC−1、IC−2、IC−3、およびIC−4)に対応して異なる長さを有する無関連の多機能siNAコントロール、および未処理の細胞にとともにVEGFの1420位(32530/32548)、1421(32531/32549)、および1562(34682/34690)を標的とする個別のsiNA構造を用いて評価した試験結果を示す。siNA構造の化合物番号を表IIIに示す。(A)VEGF発現に対するウミシイタケ(Renilla)/ホタル(Firefly)ルミネセンスの比率としてデータを示す。(B)VEGFR1発現に対するウミシイタケ(Renilla)/ホタル(Firefly)ルミネセンスの比率としてデータを示す。(C)VEGFR2発現に対するウミシイタケ(Renilla)/ホタル(Firefly)ルミネセンスの比率としてデータを示す。図に示すように、多機能siNA構成は、未処理の細胞および無関連の合致した化学的なコントロール、合致した長さのコントロールと比較して、VEGF、VEGFR1、およびVEGFR2を選択的に抑制する。
図41は、VEGFの1562位およびVEGFR1/VEGFR2の保存された3646/3718(MF37538/37579)を標的とする安定化した多機能siNAを、0.02から10nMで、VEGFの1562位(37575/37577)およびVEGFR1/VEGFR2の保存された3646/3718位(33726/37576)を標的とする個別のsiNA構造、およびVEGFの1562位(37575/37577)およびVEGFR1/VEGFR2の保存された3646/3718(33726/37576)を標的とするプールされた個別のsiNA構造と比較して評価した容量反応試験の結果を示す。siNA構造の化合物番号を表IIIに示す。(A)VEGF発現に対するウミシイタケ(Renilla)/ホタル(Firefly)ルミネセンスの比率としてデータを示す。(B)VEGFR1発現に対するウミシイタケ(Renilla)/ホタル(Firefly)ルミネセンスの比率としてデータを示す。(C)VEGFR2発現に対するウミシイタケ(Renilla)/ホタル(Firefly)ルミネセンスの比率としてデータを示す。図に示すように、安定化した多機能siNA構造は、対応する個別のsiNA構造およびプールされたsiNA構造と同様のVEGF、VEGFR1、およびVEGFR2を選択的に抑制する。
図42は、VEGFの1421位およびVEGFR1/VEGFR2の保存された3646/3718位を標的とする様々な非ヌクレオチド連結多機能siNAを、25nMで、未処理の細胞(siRNAなし)、HCV RNAの327位(HCV327,34585/36447)標的とする無関連のsiNAコントロール、VEGFの1421位(32531/32549)およびVEGFR1/VEGFR2の保存された3646/3718(32236/32551)を標的とする個別の活性siNA構造、無関連の合致した長さの多機能siNA構造(35414/36447/36446)と比較して評価した試験結果を示す。ウミシイタケ/ホタルルシフェラーゼシグナルの比率によって、本明細書に記載のようにVEGF、VEGFR1(Flt)、またはVEGFR2(KDR)発現レベルに関して各構造を評価した。ヘキサエチレングリコール係留紐(36425/32251/32549)、C12係留紐(36426/32251/32549)、テトラエチレングリコール係留紐(36427/32251/32549)、C3係留紐(36428/32251/32549)および二重ヘキサエチレングリコール係留紐(36429/32251/32549)を有する活性連結多機能siNAに関するデータを示す。siNA構造の化合物番号を表IIIに示す。図に示すように、非ヌクレオチド連結多機能siNA構造は、VEGF、VEGFR1、およびVEGFR2を標的とする対応する個別のsiNA構造に対する同様の活性を示す。
図43(A−H)は、本発明の連結された多機能siNA構造の限定を目的としない例を示す。表示の例において、リンカー(例、ヌクレオチドまたは非ヌクレオチドリンカー)は2つのsiNA領域(例、2つのセンス、2つのアンチセンス、または代替として1つのセンス領域および1つのアンチセンス領域)を結合する。第一標的配列および第二標的配列に対応する個別のセンス(またはセンスおよびアンチセンス)配列は、多機能siNAにおいてそれらに対応するセンスおよび/またはアンチセンス配列に対してハイブリダイズする。さらに、選択的または高い送達および/または薬物動態特性を目的として、様々なコンジュゲート、リガンド、アプタマー、ポリマーまたはレポーター分子をリンカー領域に接続することができる。
図44は、様々なデンドリマーベースの多機能siNAデザインの限定を目的としない例を示す。
図45は、様々な超分子の多機能siNAデザインの限定を目的としない例を示す。
図46は、30ヌクレオチドの前駆siNA構造を使用して多機能siNAデザインを可能にするダイサーの限定を目的としない例を示す。30塩基対の二重鎖は、ダイサーによっていずれかの末端から22および8塩基対生成物に切断される(8塩基対部分は表示せず)。表示を簡略化するため、ダイサーにより生成される突出部は表示しないが、補うことができる。3つの標的配列を示す。必要な配列の重複単位はグレーのボックスで表示する。安定した化学的性質において試験する場合、親30塩基対siNAのN’は、ダイサー切断が可能な2’−OH位の部位を提示している。ダイサーRNaseIIIによる30量体二重鎖の処理では精密に22+8に切断されるのではなく、一連の近似する生成物(初期位として22+8を持つ)が生成される。そのため、ダイサーによる処理で一連の活性siNAが産出される。
図47は、40ヌクレオチドの前駆siNA構造を使用して多機能siNAデザインを可能にするダイサーの限定を目的としない例を示す。40塩基対の二重鎖は、ダイサーによっていずれかの末端から20塩基対生成物に切断される。表示を簡略化するため、ダイサーにより生成される突出部は表示しないが、補うことができる。4つの標的配列を示す。必要な配列の重複単位はグレーのボックスで表示する。このデザイン形式はより大きなRNAに拡大することができる。化学的に安定したsiNAがダイサーにより結合される場合、次に戦略的に配置されたリボヌクレオチド結合によってデザイナー切断生成物が可能になり、我々の多機能デザインのレパートリーをさらに拡大することができる。例えば、約22ヌクレオチドのダイサー標準に限定されない切断生成物によって、例えば約3から約15ヌクレオチドの範囲で重複する標的配列単位を持つ多機能siNA構造を実現することができる。
図48は、HBVの263位を標的とする多機能siNA構造を可能にするダイサーによるHBV RNAの抑制の限定を目的としない例を示す。siNAアンチセンス鎖(例、3’−TT突出部を持つ二重鎖における21ヌクレオチド鎖)の最初の17ヌクレオチドが標的RNAに対して相補的である場合、25nMで強固なサイレンシングが観察された。同一形式で16ヌクレオチドのみが相補性を持つ場合、80%のサイレンシングが認められた。
図49は、本発明の追加多機能siNA構造のデザインの限定を目的としない例を示す。1つの態様においては、コンジュゲート、リガンド、アプタマー、ラベル、または他の部分を多機能siNAの一領域に結合することで高い送達または薬物動態プロファイリングが実現する。
図50は、本発明の追加多機能siNA構造のデザインの限定を目的としない例を示す。1つの態様においては、コンジュゲート、リガンド、アプタマー、ラベル、または他の部分を多機能siNAの一領域に結合することで高い送達または薬物動態プロファイリングが実現する。
本発明の核酸分子の作用機序
以下の考察は、現在知られている低分子干渉RNAを介したRNA干渉の機構を論じるものであり、従来技術に限定する意図はなく、従来技術を承認するものではない。出願人は、本明細書にて化学的に修飾された低分子干渉核酸がsiRNA分子同様に類似の、または改善されたRNAiを媒介する能力を有すること、また、改良された安定性とインビボ活性を有すると期待されることを示し、従って、本考察はsiRNAのみに限定されず、siNA全体に応用され得る。「RNAiを媒介する改良された能力」または「改良されたRNAiアクティビティー」という用語は、インビトロまた/もしくはインビボでRNAiアクティビティーを測定したものを含んで意味し、RNAiアクティビティーはRNAiを媒介するsiNAの活性と本発明のsiNAの安定性、双方の反映である。本発明では、全てのRNA、複数のリボヌクレオチドを含むsiRNAもしくはsiNAと比較して、これらの活性による結果はインビトロまた/もしくはインビボで上昇し得る。ある場合においては、siNA分子の活性または安定性は低下し得るが(すなわち10倍未満)、siNA分子の全体的な活性はインビトロまた/もしくはインビボで改良された。
RNA干渉は、動物における低分子干渉RNA(siRNA)によって媒介される配列特異的な転写後遺伝子サイレンシングの過程を指す(ファイヤー(Fire)ら,1998年,ネイチャー誌(Nature),391,806)。植物においてこれに相当する過程は、一般的に転写後遺伝子サイレンシング、またはRNAサイレンシング、菌類ではクエリングとも呼ばれる。転写後の遺伝子サイレンシング過程は、外来遺伝子の発現を阻止するために使用される進化的に保存された細胞防御機構であると考えられ、一般に多様な植物相および門に共通である(ファイヤー(Fire)ら,1999年,トレンド遺伝学誌Trends Genet),15,358)。外来遺伝子からのそのような保護は、ウイルス感染から、または特に同種の一本鎖RNAまたはウイルスゲノムRNAを破壊する細胞応答による、転位因子の宿主ゲノムへの任意の融合から生じた、二本鎖RNA(dsRNA)の生成に応じて進化してきた可能性がある。細胞内におけるdsRNAの存在は、未だ特性が完全には明らかにされていない機序によってRNAi応答を誘発する。この機序は、dsRNAに媒介されるプロテインキナーゼPKRの活性化の結果起こる反応と、リボヌクレアーゼLによる非特異的なmRNA切断の結果起こる2’、5’−オリゴアデニル生成とで異なるようである。
長鎖dsRNAが細胞内に存在すると、ダイサーと呼ばれるリボヌクレーゼIII酵素の活性を刺激する。ダイサーは、dsRNAが低分子干渉RNA(siRNA)として知られるdsRNAの短い断片になる過程に関わっている(バースタイン(Berstein)ら,2001年,ネイチャー誌(Nature),409,363)。ダイサー活性によって生じる低分子干渉RNAは、一般的に約21から約23ヌクレオチドの長さで、約19塩基対の二重鎖を含む。ダイサーは、21および22ヌクレオチドの低分子一時RNA(stRNA)を、翻訳調整に関わる保存構造の前駆RNAから切除する場合にも関与している(ハットヴァーグナー(Hutvagner)ら,2001年,サイエンス誌(Science),293,834)。RNAi反応はRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)と一般的に呼ばれる、siRNAとの相同配列を持つ一本鎖RNAの切断を媒介するsiRNAを含むエンドヌクレアーゼ複合体としての役割がある。標的RNAの切断はsiRNA二重鎖であるガイド配列に相補的な中央の領域で行われる(エルバシール(Elbashir)等、2001年,遺伝子と発生誌(Genes Dev.),15,188)。加えて、RNA干渉は、おそらくクロマチン構造を制御し、それによって標的遺伝子配列の転写を防ぐという細胞機構を通じた、短いRNA(例えば、マイクロRNA、またはmiRNA)によって媒介される遺伝子サイレンシングにも関わっている可能性がある(例えば以下の文献を参照:オールシャー(Allshire),2002年,サイエンス誌(Science),297,1818−1819;ヴォープ(Volpe)ら,2002年,サイエンス誌(Science),297,1833−1837;ジニュウェイン(Jenuwein)2002年,サイエンス誌(Science),297,2215−2218;ホール(Hall)ら,2002年,サイエンス誌(Science),297,2232−2237)。例えば、本発明のsiNA分子は、転写物であるRNAとの相互作用を介して、または特定の遺伝子配列との相互作用の代わりとして遺伝子サイレンシングの媒介に使われる可能性があり、そのような相互作用は転写レベルまたは転写後レベルで遺伝子サイレンシングを引き起こす。
RNAiは様々なシステムで研究されてきた。ファイヤー(Fire)ら,1998年、ネイチャー誌(Nature),391,806,は、シー・エレガンス(C.elegance)で初めてRNAiを観察した。ウィアニー(Wianny)とゲッツ(Goetz),1999年,ネイチャー細胞生物学誌(Nature Cell Biol.)2,70,は、マウスの胚においてRNAiはdsRNAによって媒介されていると述べた。ハモンド(Hammond)ら,2000年,ネイチャー誌(Nature),404,293)は、dsRNAとともに導入されるショウジョウバエ細胞におけるRNAiについて記述している。エルバシール(Elbashir)ら,2001年,ネイチャー誌(Nature),411,494,は、ヒトの胚の腎臓およびHeLa細胞を含むほ乳類の細胞における21ヌクレオチドの二重鎖の合成RNAの導入によるRNAi誘導について述べた。ショウジョウバエ(Drosophila)の胚ライセートにおける最近の研究では、siRNAの長さ、構造、化学組成、配列といった効率的なRNAi活性の媒介に最も重要な特定の必要条件が明らかになった。これらの研究は、21ヌクレオチドのsiRNA二重鎖は3’端の2ヌクレオチドの突出を含んでいる場合に最も活性が高いという事を示した。さらに、片方または双方のsiRNA鎖を2’デオキシ、または2’−O−メチルヌクレオチドで置換した場合RNAiアクティビティーは消滅し、一方でsiRNAヌクレオチド3’端のデオキシヌクレオチドによる置換は耐用性を示した。siRNA二重鎖の中央のミスマッチ配列も、同様にRNAi活性を消滅させる事が示された。加えて、これらの研究は標的RNAの切断部位の位置はsiRNAの3’端ではなく5’端によって規定されるという事も示された(エルバシール(Elbershir)ら,2001年,欧州分子生物学協会誌(EMBO J.),20,6877)。siRNA二重鎖の標的相補鎖の5’リン酸がsiRNA活性に必要であり、siRNAの5’リン酸部分の維持にATPが用いられると別の研究が示したが(ニカネン(Nykanen)ら,2001年,セル誌(Cell),107,309)、一方で、外因的に導入された場合には5’リン酸が欠けているsiRNA分子は活性であり、siRNA構造の5’リン酸化がインビボで起こるのかもしれないと示唆されている。
本発明の二重鎖形成オリゴヌクレオチド(DFO)
1つの態様として、本発明は、二重鎖オリゴヌクレオチドへと自己集合することができる二重鎖形成オリゴヌクレオチド(DFO)を含むsiNA分子を特徴とする。本発明の二重鎖形成オリゴヌクレオチドは、化学的に合成するか、転写単位および/またはベクターから発現することができる。本発明のDFO分子は、様々な治療、診断、農業、畜産、標的の確認、ゲノム上の発見、遺伝子工学、薬理ゲノミクス上の応用に、有用な試薬と方法を提供する。
本明細書においては便宜上、二重鎖形成オリゴヌクレオチドまたはDFO分子と呼ぶが、これらに限定されない特定のオリゴヌクレオチドが、遺伝子発現の配列特異的な調節の有力なメディエーターであることを、出願人は本明細書で示す。二重鎖オリゴヌクレオチドになるよう自己集合するようデザインされた、二重鎖オリゴヌクレオチドのそれぞれの鎖が、標的核酸分子に相補的なヌクレオチド配列を含む線状のポリヌクレオチド配列群である点において、本発明のオリゴヌクレオチドは、当該分野で知られている他の核酸配列(例えば、siRNA、miRNA、stRNA、shRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチドなど)とは異なる。従って本発明の核酸分子は、二重鎖のそれぞれの鎖に同じポリヌクレオチド配列を含み、それぞれの鎖が標的核酸分子に相補的なヌクレオチド配列を含む、機能的な二重鎖へと自己集合することができる。
概して、二重鎖のオリゴヌクレオチドは、一つの鎖のオリゴヌクレオチド配列が二つ目の鎖のオリゴヌクレオチド配列と相補的である、二つの異なるオリゴヌクレオチド配列の集合によって形成され、そのような二重鎖オリゴヌクレオチドは二つの分離したオリゴヌクレオチドが集合するか、または、当該分野ではしばしばヘアピン様ステムループ構造(例えば、shRNA、または短鎖ヘアピンRNA)と呼ばれる、二重鎖構造を形成するように折り畳まった一つの分子から形成される。当該分野で知られる二重鎖のそれぞれの鎖に全て共通の特徴があるこれらの二重鎖オリゴヌクレオチドには、特徴的なヌクレオチド配列がある。
当該分野で知られる二重鎖核酸分子とは異なり、出願人は、新規の、潜在的な費用効率が高い、一本鎖または線状のオリゴヌクレオチドから二重鎖核酸分子を形成する簡便な方法を開発した。二重鎖オリゴヌクレオチドの二つの鎖は、同じヌクレオチド配列を持ち、非共有結合で互いに結合された本発明に従って形成された。前述の二重鎖オリゴヌクレオチド分子は、合成後に当該分野で既知の手法と試薬によって容易に結合することができ、本発明の範囲内である。1つの態様においては、二重鎖を形成する本発明(二重鎖形成オリゴヌクレオチド)の一本鎖オリゴヌクレオチドは、第一の領域と第二の領域を含み、第二の領域は第一の領域のヌクレオチド配列の逆方向反復のヌクレオチド配列を含むか、もしくは、二重鎖の片方の鎖のヌクレオチド配列が二本目の鎖のヌクレオチド配列と同一である二重鎖オリゴヌクレオチドを、自己集合して形成するような部分を含む。上述の二重鎖形成オリゴヌクレオチドの限定を目的としない例が図14および15に描かれている。これらの二重鎖形成オリゴヌクレオチド(DFO)は状況に応じて特定のパリンドロームまたは反復配列を含んでいてもよく、そのようなパリンドロームまたは反復配列は、DFOの第一の領域と第二の領域の間に存在する。
1つの態様においては、本発明は、二重鎖形成オリゴヌクレオチド(DFO)中に標的核酸配列に相補的なヌクレオチド配列である二重鎖を形成する自己相補的な核酸配列を含むDFO分子であることを特徴とする。DFO分子は自己相補配列を単独で、またはそのような自己相補配列による集合の結果生じた二重鎖を含む可能性がある。
1つの態様においては、本発明の二重鎖形成オリゴヌクレオチド(DFO)は第一の領域と第二の領域を含み、第二の領域はDFO分子が二重鎖ヌクレオチドに自己集合できるように第一の領域のヌクレオチド配列の逆方向反復のヌクレオチド配列を含む。そのような二重鎖オリゴヌクレオチドは、遺伝子発現を調節する低分子干渉核酸(siNA)として作用することができる。本発明のDFO分子によって二重鎖形成された二重鎖オリゴヌクレオチドのそれぞれの鎖は、標的核酸分子(例えば、標的VEGFおよび/またはVEGFR RNA)の同じヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列領域を含む可能性がある。
1つの態様においては、本発明は、二重鎖オリゴヌクレオチドへと自己集合できる一本鎖のDFOであることを特徴とする。出願人は意外にも、自己相補性のヌクレオチド領域を有する一本鎖オリゴヌクレオチドが容易に二重鎖オリゴヌクレオチド構造に自己集合できるということを見いだした。このようなDFOは、配列特異的に遺伝子発現を抑制することができる二重鎖へと自己集合することができる。本発明のDFO分子は、第二領域のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を持つ第一領域を含み、その第一領域の配列は標的核酸(例えばRNA)に相補的である。DFOは、二重鎖オリゴヌクレオチドそれぞれの鎖の一部分が標的核酸配列に相補的な配列を含む二重鎖オリゴヌクレオチドを形成することができる。
1つの態様においては、本発明の二重鎖オリゴヌクレオチドは、二重鎖オリゴヌクレオチドの二本の鎖は互いに共有結合で結合されていない、また、二重鎖オリゴヌクレオチドのそれぞれの鎖は標的核酸分子またはその一部のヌクレオチド配列と同一の配列に対して相補的なヌクレオチド配列を含んでいるという点を特徴とする(例、VEGFおよび/またはVEGFR RNA標的)。別の態様においては、二重鎖オリゴヌクレオチドの二本の鎖は少なくとも約15、望ましくは約16、17、18、19、20、または21ヌクレオチドの同一のヌクレオチド配列を共有している。
1つの態様においては、本発明のDFO分子は化学式DFO−I:
Figure 2007505605
の構造を有し、式中、Zは場合により1か所以上の修飾されたヌクレオチド(例、2−アミノプリン、2−アミノ−1,6−ジヒドロプリン、またはユニバーサル塩基といった修飾された塩基を含むヌクレオチド)を含んでいてもよい、例えば約2から24ヌクレオチドの偶数の長さ(例えば、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、または22または24ヌクレオチド)のパリンドロームまたは反復核酸配列を含み、Xは、例えば約1から21ヌクレオチドの間(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または21ヌクレオチド)の長さの核酸配列を示し、X’は、Xかその一部に相補的なヌクレオチド配列を持つ約1から21ヌクレオチドの間(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または21ヌクレオチド)の長さの核酸配列を含み、pは、末端リン酸基を含むがこれは存在していても存在しなくてもよく、式中の配列XおよびZは、標的核酸配列またはその一部に相補的な核酸配列を単独または同時に含み、その長さは標的核酸配列またはその一部(例、VEGFおよび/またはVEGFR RNA標的)と相互作用するのに十分な長さ(例えば、塩基対)であり、例えば、Xは配列Xやその一部に相補的な、約12から約21以上(例えば、約12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、またはそれ以上)の長さのヌクレオチドを単独で標的VEGFおよび/またはVEGFR RNAやその一部に含むことができる。限定を目的としない他の例では、XおよびZのヌクレオチド配列の長さは共に、標的VEGFおよび/またはVEGFR RNAやその一部に相補的なXが存在している場合には、約12から21、もしくはそれ以上(例えば、約12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、またはそれ以上)のヌクレオチドである。さらに、限定を目的としない他の例では、Xが存在しない場合、標的VEGFおよび/またはVEGFR RNAやその一部に相補的なZのヌクレオチド配列の長さは約12から約24、もしくはそれ以上(例えば、約12、14、16、18、20、22、24、またはそれ以上)のヌクレオチドである。さらに別の限定を目的としない例では、Xが存在している場合、標的VEGFおよび/またはVEGFR RNAまたはその一部と相補的なZのヌクレオチド配列の長さは、約12から約24もしくはそれ以上のヌクレオチド(例、約12、14、16、18、20、22、24、またはそれ以上)である。1つの態様においては、X、Z、およびX’は、Xおよび/またはZは、標的RNAやその一部のヌクレオチド配列と相互作用するのに十分な長さ(例えば、塩基対)のヌクレオチド配列を含んでいるオリゴヌクレオチドである(例、VEGFおよび/またはVEGFR RNA標的)。1つの態様においては、オリゴヌクレオチドXおよびX’の長さは同一である。別の態様においては、オリゴヌクレオチドXおよびXの長さは同一ではない。別の態様では、オリゴヌクレオチドXおよびZ、またはZおよびX’、またはX、ZおよびX’の長さは同一あるいは相違のいずれかである。
1つの態様においては、本発明は、DFO−I(a):
Figure 2007505605
を有する二重鎖ヌクレオチド構造を特徴をとし、
式中、Zは1か所以上の修飾されたヌクレオチド(2−アミノプリン、2−アミノ−1,6−ジヒドロプリン、またはユニバーサル塩基といった修飾された塩基を含むヌクレオチド)を含んだ、例えば約2から24ヌクレオチドの偶数の長さ(例えば、約2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、または22または24ヌクレオチド)のパリンドロームまたは反復配列様の核酸配列を含み、Xは、例えば約1から21ヌクレオチドの間(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または21ヌクレオチド)の長さの核酸配列を示し、X’は、Xかその一部に相補的なヌクレオチド配列を持つ約1から21ヌクレオチドの間(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または21ヌクレオチド)の長さの核酸配列を含み、pは、末端リン酸基を含むがこれは存在していても存在しなくてもよく、式中の配列XおよびZは、標的核酸配列またはその一部に相補的な核酸配列をそれぞれ単独で含み(例、VEGFおよび/またはVEGFR RNA標的)、その長さは標的核酸配列またはその一部と相互作用するのに十分な長さである例、VEGFおよび/またはVEGFR RNA標的)。例えば、配列Xは標的RNAやその一部に相補的な、約12から約21以上(例えば、約12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、またはそれ以上)の長さのヌクレオチドを単独で含むことができる(例、VEGFおよび/またはVEGFR RNA標的)。限定を目的としない他の例では、XおよびZのヌクレオチド配列の長さは共に、(Xが存在している場合)標的RNAやその一部に相補的な、約12から21、もしくはそれ以上(例えば、約12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、またはそれ以上)のヌクレオチドである(例、VEGFおよび/またはVEGFR RNA標的)。さらに、限定を目的としない他の例では、Xが存在しない場合、標的VEGFおよび/またはVEGFR RNAやその一部に相補的なZのヌクレオチド配列の長さは約12から約24、もしくはそれ以上(例えば、約12、14、16、18、20、22、24、またはそれ以上)のヌクレオチドである。1つの態様においては、X、Z、およびX’は、Xおよび/またはZは、標的RNAやその一部のヌクレオチド配列と相互作用するのに十分な長さ(例えば、塩基対)のヌクレオチド配列を含んでいるオリゴヌクレオチドである(例、VEGFおよび/またはVEGFR RNA標的)。1つの態様においては、オリゴヌクレオチドXおよびX’の長さは同一である。別の1つの態様においては、オリゴヌクレオチドXおよびX’の長さは同一ではない。別の態様では、オリゴヌクレオチド、XおよびZ、またはZおよびX’、またはX、ZおよびX’の長さは同一か相違のどちらかである。1つの態様においては、化学式I(a)の二重鎖オリゴヌクレオチドの構造は、1つ以上、具体的には1、2、3、もしくは4のミスマッチを含み、このようなミスマッチの範囲が標的遺伝子の発現を抑制する二重鎖オリゴヌクレオチドの効力を減少させることはない。
1つの態様においては、本発明のDFO分子は化学式DFO−II:
Figure 2007505605
の構造を有し、
式中、XおよびX’は約12ヌクレオチドから約21ヌクレオチドの長さのオリゴヌクレオチドをそれぞれ独立に含み、式中のXは例えば約12ヌクレオチドから約21ヌクレオチドの長さ(例えば、12、13、14、15、16、17、18、19、20もしくは21ヌクレオチド)のオリゴヌクレオチドを含み、X’は配列Xまたはその一部に相補的なヌクレオチド配列を有する例えば約12ヌクレオチドから約21ヌクレオチドの長さ(例えば、12、13、14、15、16、17、18、19、20もしくは21ヌクレオチド)のオリゴヌクレオチドを含み、pは、末端リン酸基を含むがこれは存在していても存在していなくてもよく、式中のXは標的核酸配列(例えば、VEGFおよび/またはVEGFR RNA)もしくはその一部に相補的なヌクレオチド配列を含み、その長さは標的核酸配列またはその一部と相互作用(例えば塩基対)するのに十分な長さである。1つの態様においては、オリゴヌクレオチドXおよびX’の長さは同一である。別の態様では、オリゴヌクレオチドXおよびX’の長さは同一ではない。1つの態様では、オリゴヌクレオチドXおよびX’の長さは、比較的安定な二重鎖オリゴヌクレオチドを形成するのに十分な長さである。
1つの態様においては、本発明は化学式DFO−II(a):
Figure 2007505605
を有する二重鎖オリゴヌクレオチド構造を特徴とし、
式中、XおよびX’は約12ヌクレオチドから約21ヌクレオチドの長さのオリゴヌクレオチドをそれぞれ独立に含み、式中のXは例えば約12ヌクレオチドから約21ヌクレオチドの長さ(例えば、約12、13、14、15、16、17、18、19、20もしくは21ヌクレオチド)のオリゴヌクレオチドを含み、X’は配列Xまたはその一部に相補的なヌクレオチド配列を有する例えば約12ヌクレオチドから約21ヌクレオチドの長さ(例えば、約12、13、14、15、16、17、18、19、20もしくは21ヌクレオチド)のオリゴヌクレオチドを含み、pは、末端リン酸基を含むがこれは存在していても存在していなくてもよく、式中のXは標的核酸配列もしくはその一部(例、VEGFおよび/またはVEGFR RNA標的)に相補的なヌクレオチド配列を含み、その長さは標的核酸配列またはその一部(例、VEGFおよび/またはVEGFR RNA標的)と相互作用するのに十分な長さ(例えば塩基対)である。1つの態様においては、オリゴヌクレオチドXおよびX’の長さは同一である。別の態様では、オリゴヌクレオチドXおよびX’の長さは同一ではない。1つの態様では、オリゴヌクレオチドXおよびX’の長さは、比較的安定な二重鎖オリゴヌクレオチドを形成するのに十分な長さである。1つの態様においては、化学式II(a)の二重鎖オリゴヌクレオチドの構造は、1つ以上、具体的には1、2、3、もしくは4のミスマッチを含み、このようなミスマッチの範囲が標的遺伝子の発現を抑制する二重鎖オリゴヌクレオチドの効力を減少させることはない。
1つの態様においては、本発明は化学式DFO−I(b):
Figure 2007505605
を有するのDFO分子を特徴とし、
式中、Zは、1か所かそれ以上の他のヌクレオチドと塩基対形成を容易にすることができる非標準の、もしくは修飾されたヌクレオチド(例、2−アミノプリンまたはユニバーサル塩基といった修飾された塩基を含むヌクレオチド)を含んでいてもよい、パリンドロームもしくは反復核酸配列を含む。Zは、標的核酸(例、VEGFおよび/またはVEGFR RNA)分子のヌクレオチド配列と相互作用(例えば塩基対)するのに十分な長さ、望ましくは少なくとも12ヌクレオチドの長さで、具体的には約12から約24ヌクレオチド(例えば約12、14、16、18、20、22もしくは24ヌクレオチド)であることができる。pは末端リン酸基を表し、これは存在していても存在していなくてもよい。
1つの態様においては、化学式DFO−I、DFO−I(a)、DFO−I(b)、DFO−II(a)またはDFO−IIのいずれかを含むDFO分子は、本明細書で述べられた、しかしこれに限定されない、例えば化学式I−VIIのいずれかを含むヌクレオチドや、表IVに述べられた安定化反応、もしくは本明細書で述べられた様々な態様のような他の修飾ヌクレオチドや非ヌクレオチドとのいずれかの組み合わせの化学修飾を含む。
1つの態様では、化学式DFO−I、DFO−I(a)およびDFO−I(b)を有するDFO構造のZのパリンドロームまたは反復配列または修飾されたヌクレオチド(2−アミノプリンまたはユニバーサル塩基といった修飾された塩基を含むヌクレオチド)は、標的核酸配列の一部分と相互作用できる化学修飾されたヌクレオチド(例えば、ワトソン−クリック塩基対または非ワトソン−クリック塩基を形成することができる、修飾された塩基アナログ)を含む。
1つの態様においては、例えば化学式DFO−IまたはDFO−IIを有するDFOといった本発明のDFO分子は、約15から約40ヌクレオチド(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40ヌクレオチド)を含む。1つの態様においては、本発明のDFO分子は1つ以上の化学修飾を含む。限定を目的としない例において、化学修飾されたヌクレオチドおよび/または非ヌクレオチドの本発明の核酸への導入は、外因的に供給された修飾されていないRNA分子特有のインビボでの安定性と生物学的利用能の潜在的な限界を乗り越える強力なツールを提供する。例えば、化学修飾された核酸は血清中または細胞内または組織内でより長い半減期を持つ傾向にあるため、化学修飾された核酸分子の利用は特定の核酸分子の用量をより少なくすることができる。さらに、特定の化学修飾は、半減期を改善するだけでなく核酸分子の特定の器官や細胞、組織へのターゲティングを容易にし、および/または核酸分子の細胞への取込みを改善することによって、生物学的利用能および/または核酸分子の作用強度を向上させる。従って、化学修飾された核酸分子の活性が、インビトロで野生型の/修飾されていない核酸分子との比較で、例えば修飾されていないRNAと比較した場合に活性が減少したとしても、安定性と作用強度、効果持続期間、生物学的利用能、および/または分子の供給が改善されるために、修飾された核酸分子の全体的な活性は野生型または修飾されていない核酸分子より高い可能性がある。
本発明の多機能または多標的のsiNA分子
1つの態様では、本発明は、細胞や組織、または生物体といった生体系のなかで、1つかそれ以上の遺伝子の発現を調節する多機能低分子干渉核酸(多機能siNA)分子を含むことを特徴とする。本発明の多機能低分子干渉核酸(多機能siNA)分子は、VEGFおよび/またはVEGFR RNA標的核酸配列の2以上の領域を標的とすることができ、もしくは2以上の別々の標的核酸分子の配列を標的とすることができる(例えば、VEGFおよび/またはVEGFR RNA標的)。本発明の多機能siNA分子は、化学的に合成するか、転写単位および/またはベクターから発現することができる。本発明の多機能siNA分子は、治療、診断、農業、畜産、標的の確認、ゲノム上の発見、遺伝子工学、および薬理ゲノミクス上の応用へとヒトへの様々な応用のための有用な試薬や方法を提供する。
本明細書においては便宜上、多機能低分子干渉核酸分子または多機能siNA分子と呼ぶが、これに限定されない特定のオリゴヌクレオチドが、遺伝子発現の配列特異的な調節の有力なメディエーターであることを、出願人は本明細書で示す。本発明の多機能siNA分子は、多機能siNA構造のそれぞれの鎖が、1つ以上の標的核酸分子の異なる核酸配列に相補的な核酸配列を含むようにデザインされている点で、当該分野で知られている他の核酸配列(例えば、siRNA、miRNA、stRNA、shRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチドなど)とは異なる。本発明の単一の多機能siNA分子(概して二重鎖分子)は、従って2以上(例えば2、3、4、5、もしくはそれ以上)の異なる標的核酸、標的分子を標的とすることができる。本発明の核酸分子は、同じ標的核酸配列の2以上(例えば、2、3、4、5、もしくはそれ以上)の領域を標的とすることもできる。このような本発明の多機能siNA分子は、1つ以上の標的核酸分子発現の下方制御や抑制に有用である。例えば、本発明の多機能siNA分子は、サイトカインおよびその対応する受容体(例、本明細書に記載のVEGFおよびVEGF受容体)をコード化する核酸分子を標的とすることができる。1つの多機能siNA構造で2以上の標的核酸分子の発現を低減または抑制することによって、本発明の多機能siNA分子は、ある疾患に関連した経路のうちの複数の標的の同時抑制を提供することができる一群の有効な治療薬となる。このような同時抑制は、個々の前臨床および臨床開発努力もしくは複雑な規制認可手続きの必要なしに、相乗的な治療上の処置戦略を提供することができる。
標的核酸分子(例えば、メッセンジャーRNA)の1つ以上の領域を標的とする多機能siNA分子の利用は、遺伝子発現の有効な抑制を提供すると期待される。例えば、本発明の単一の多機能siNA構造は、標的核酸分子(例、VEGFおよび/またはEGFR RNA)の保存された領域と可変領域の双方を標的とすることができ、それによって単一遺伝子によってコード化された異種スプライスバリアントの下方制御や抑制を可能にし、もしくは標的核酸分子のコード領域および非コード領域双方のターゲティングを可能にする。
概して、二重鎖のオリゴヌクレオチドは、1つの鎖のオリゴヌクレオチド配列が2つ目の鎖のオリゴヌクレオチド配列と相補的である2つの異なるオリゴヌクレオチド配列の集合によって形成され、そのような二重鎖オリゴヌクレオチドは概して2つの分離したオリゴヌクレオチド(例えばsiRNA)が集合することによって形成される。代わりに、二重鎖はそれ自身が折り畳まる単一分子(例えば、shRNA、または短鎖ヘアピンRNA)から形成されることもできる。これらの二重鎖オリゴヌクレオチドは、RNA干渉を媒介し、二重鎖オリゴヌクレオチドのたった1か所のヌクレオチド配列領域(ガイド配列、もしくはアンチセンス配列)が標的核酸配列(例、VEGFおよび/またはVEGFR RNA)に相補的であり、もう一方の鎖(センス配列)は標的核酸配列に相補的なヌクレオチド配列を含んでいるという、いずれにも共通の特徴を持つということが当該分野で知られている。概して、アンチセンス配列は活性型のRISC複合体に保持され、配列特異的RNA干渉の媒介のためにアンチセンス配列と標的配列の相補的な塩基対形成を用いて、RISCを標的ヌクレオチド配列へ導く。ある培養細胞系では、ある種の非修飾siRNAは「オフターゲット」効果を示すということが当該分野で知られている。このオフターゲット効果は、RISC複合体中のsiRNAのアンチセンス配列の代わりのセンス配列の関与に関係しているとの仮説が設けられている(例えば、シュワルツ(Schwarz)等、2003年、セル誌(Cell)、115、199−208を参照)。この例では、センス配列はRISC複合体を、本来の標的配列とは異なる配列(オフターゲット配列)へと導き、その結果オフターゲット配列の抑制が起ると考えられている。これらの二重鎖核酸分子では、それぞれの鎖は異なる標的核酸配列に相補的である。但し、これらのdsRNAによって影響されるオフターゲットは完全には予測することができず、非特異的である。
当該分野で知られる二重鎖核酸分子とは異なり、出願人は、単一の多機能siNA構造を用いて2以上の標的核酸配列の発現を下方制御もしくは抑制する新規の、潜在的な費用効率が高い、簡便な方法を開発した。本発明の多機能siNA分子は、二重鎖または部分的に二重鎖になるようデザインされ、そのようなそれぞれの鎖の一部分、もしくは多機能siNAの領域は、選んだ標的核酸配列に相補的である。このように本発明の多機能siNA分子は互いに相補的な標的配列に限定されず、むしろあらゆる2つの異なる標的核酸配列である。本発明の多機能siNA分子は、それぞれの鎖もしくは多機能siNA分子の領域が標的核酸配列に相補的であり、標的核酸配列に対してRNA干渉を媒介するのに適切な長さ(例えば、約16から約28ヌクレオチドの長さで、約18から約28ヌクレオチドの長さであると望ましい)であるようにデザインされている。標的核酸配列と、多機能siNAの鎖もしくは領域の間の相補性は、RAN干渉による標的核酸配列の切断に十分(少なくとも約8塩基対)でなければならない。本発明の多機能siNAは、前述のシュワルツ(Schwarz)等が述べたような、あるsiRNA配列に見られるオフターゲット効果を最低限にすると期待される。
29塩基対と36塩基対の間の長さのdsRNA(トゥーシュル(Tuschl)等、国際特許協力条約文献番号、国際公開特許02/44321)はRNAiを媒介しないということが報告されてきた。これらdsRNAは非活性型である1つの理由は、RISC複合体が効果的多コピーの標的RNAと相互作用できないように標的RNA配列と相互作用し、その結果、効力とRNAi過程の効率の著しい低下を招いている、鎖の代謝回転もしくは解離の欠如かもしれない。出願人は意外にも、本発明の多機能siNAはこの障害を乗り越え、RNAi過程の効率と効力を向上させることができる点を見いだした。上述のような本発明の態様においては、約29から約36塩基対の間の長さの多機能siNAは、多機能siNA分子のそれぞれの鎖の一部がRNAiを効果的に媒介するに十分な長さ(例えば約15から約23塩基)の標的核酸に相補的であるヌクレオチド配列領域と、標的核酸に相補的でないヌクレオチド配列領域を含むようにデザインすることができる。相補的な部分と非相補的な部分両方を多機能siNAのそれぞれの鎖に持つことによって、多機能siNAは、阻害的な代謝回転もしくは解離(それぞれの鎖の長さがそれぞれの標的核酸配列に対するRNAiを媒介するには長すぎる場合)なしに標的核酸配列に対してRNA干渉を媒介することができる。更に、本発明の内部重複配列を有する多機能siNA分子のデザインは、多機能siNA分子を、RNA干渉のために好ましい(少ない)サイズにすることや、治療薬(例えば、それぞれの鎖が独立的に約18から約28ヌクレオチドの長さの場合)として利用するのに適切なサイズにすることができる。限定を目的としない例を、添付の図16−21、および42にて説明する。
1つの態様においては、本発明の多機能siNA分子は第一の領域と第二の領域を含み、多機能siNAの第一の領域は第一の標的核酸分子の核酸配列に相補的なヌクレオチド配列を含み、多機能siNAの第二の領域は第二の標的核酸分子の核酸配列に相補的な核酸配列を含む。1つの態様においては、本発明の多機能siNA分子は第一の領域と第二の領域を含み、多機能siNAの第一の領域は第一の標的核酸分子の核酸配列に相補的なヌクレオチド配列を含み、多機能siNAの第二の領域は第二の標的核酸分子の核酸配列に相補的なヌクレオチド配列を含む。別の態様においては、多機能siNAの第一の領域と第二の領域は、相補性をある程度共有する別々の核酸配列を含む場合がある(例えば、約1から10の相補ヌクレオチド)。ある態様においては、多機能siNA構造は、当該分野で知られている方法と試薬によって容易に合成後に結合される、別々の核酸配列を含む場合がある。代わりに、多機能siNAの第一の領域と第二の領域は、ヘアピンもしくはステムループ構造にあるような、ある程度の自己相補性をもつ単一の核酸配列を含む場合がある。そのような二重鎖およびヘアピン様の多機能低分子干渉核酸の、限定を目的としない例を図16および17にてそれぞれ説明する。これらの多機能低分子干渉核酸(多機能siNA)は、特定の重複ヌクレオチド配列を含む場合があり、そのような重複ヌクレオチド配列は多機能siNAの第一の領域と第二の領域の間に存在する(図18および19の例を参照)。
1つの態様においては、本発明は多機能低分子干渉核酸(多機能siNA)分子を特徴とし、多機能siNA分子においては多機能siNAのそれぞれの鎖は独立に、異なる標的核酸配列に相補的な核酸配列の第一の領域と、標的配列に相補的でない第二のヌクレオチド配列を含む。それぞれの鎖の標的核酸配列は、同一の標的核酸分子、または異なる標的核酸分子にある。
1つの態様においては、多機能siNAは2つの鎖を含み、ここで(a)第一の鎖は標的核酸配列に相補的な配列を持つ領域(相補領域1)と標的ヌクレオチド配列に相補的な配列を持たない領域(非相補領域1)を含み、(b)第一の鎖のヌクレオチド配列に相補的な標的ヌクレオチド配列とは異なる標的核酸配列に相補的な配列を持つ領域(相補領域2)と、相補領域2の標的ヌクレオチド配列に相補的な配列を持たない領域(非相補領域2)を含み、(c)第一の鎖の相補領域1は、2本目の鎖の非相補領域2のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列と、1本目の鎖の非相補領域1のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含む2本目の鎖の相補領域2を含む。相補領域1および相補領域2の標的核酸配列は、同一の標的核酸分子、または異なる標的核酸分子の中にある。
別の態様においては、多機能siNAは2つの鎖を含み、ここで(a)第一の鎖は、遺伝子(例えば、VEGFおよび/またはVEGFR遺伝子)に由来する標的核酸配列に相補的な配列を持つ領域(相補領域1)と標的ヌクレオチド配列に相補配列を持たない領域(非相補領域1)を含み、(b)多機能siNAの2本目の鎖は、相補領域1の遺伝子とは異なる遺伝子由来の標的核酸配列に相補的な配列を有する領域(相補領域2)と、相補領域2の標的ヌクレオチド配列に相補的な配列を持たない領域(非相補領域2)を含み、(c)第一の鎖の相補領域1は、2本目の鎖の非相補領域2のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列と、1本目の鎖の非相補領域1のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含む2本目の鎖の相補領域2を含む。
別の1つの態様においては、多機能siNAは2つの鎖を含み、ここで(a)第一の鎖は、遺伝子(例えば、VEGFおよび/またはVEGFR遺伝子)に由来する標的核酸配列に相補的な配列を持つ領域(相補領域1)と相補領域1の標的ヌクレオチド配列に相補配列を持たない領域(非相補領域1)を含み、(b)多機能siNAの2本目の鎖は、相補領域1の核酸配列とは異なる遺伝子由来の標的核酸配列に相補的な配列を有する領域(相補領域2)を含むが、もし相補領域1の標的核酸配列および相補領域2の標的核酸配列の双方が同じ遺伝子に由来する場合には、相補領域2の標的ヌクレオチド配列に相補的な配列を持たない領域(非相補領域2)を含み、(c)第一の鎖の相補領域1は、2本目の鎖の非相補領域2のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列と、1本目の鎖の非相補領域1のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含む2本目の鎖の相補領域2を含む。
1つの態様においては、本発明は、多機能siNAが、第一の配列が標的核酸分子中のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を有する第一の領域を含んだ配列と、第二の配列が同一標的核酸分子中の別々のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を有する第一領域を含んだ配列の、2つの相補核酸配列を含む、多機能低分子干渉核酸(多機能siNA)分子であることを特徴とする。第一の配列の第一領域は、第二配列の第二領域のヌクレオチド配列に相補的でもあり、第二の配列の第一領域は第一の配列の第二領域のヌクレオチド配列に相補的であることが望ましい
1つの態様においては、本発明は、多機能siNAが、第一の配列が第一の標的核酸分子中のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を有する第一の領域を含んだ配列と、第二の配列が第二の標的核酸分子中の別々のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を有する第一領域を含んだ配列の、2つの相補核酸配列を含む、多機能低分子干渉核酸(多機能siNA)分子であることを特徴とする。第一の配列の第一領域は、第二配列の第二領域のヌクレオチド配列に相補的でもあり、第二の配列の第一領域は第一の配列の第二領域のヌクレオチド配列に相補的であることが望ましい。
1つの態様では、本発明は、第一領域および第二領域を含み、その第一領域は第一の標的核酸分子中の核酸配列に相補的な約18から約28ヌクレオチドの間の核酸配列を含み、第二領域は別の第二の標的核酸分子中の核酸配列に相補的な約18から約28ヌクレオチドの間の核酸配列を含む、多機能siNA分子であることを特徴とする。
1つの態様では、本発明は、第一領域および第二領域を含み、その第一領域は標的核酸分子中の核酸配列に相補的な約18から約28ヌクレオチドの間の核酸配列を含み、第二領域は別の同一標的核酸分子中の核酸配列に相補的な約18から約28ヌクレオチドの間の核酸配列を含む、多機能siNA分子であることを特徴とする。
1つの態様においては、本発明は、多機能siNAの1本の鎖が第一の標的核酸配列に相補的なヌクレオチド配列を有する第一領域を含み、2本目の鎖が第二の標的核酸配列に相補的なヌクレオチド配列を有する第一領域を含む、二重鎖の多機能低分子干渉核酸(多機能siNA)分子であることを特徴とする。第一および第二の標的核酸配列は同一標的核酸分子に存在してもよく、もしくは同一の標的核酸分子中の異なる領域であってもよい。上述のような本発明のsiNA分子は異なる遺伝子の発現、同一遺伝子のスプライスバリアント、1つ以上の遺伝子転写物の変異領域と保存領域の両方、または同一遺伝子あるいは異なる遺伝子もしくは遺伝子転写物のコード配列と非コード配列の両方を標的として利用することができる。
1つの態様においては、本発明の標的核酸分子は、単一のタンパク質をコード化する。別の態様においては、標的核酸分子は1つ以上のタンパク質(例えば1、2、3、4、5もしくはそれ以上のタンパク質)をコード化する。上述のような本発明の多機能siNA構造はいくつかのタンパク質の発現を下方制御もしくは抑制するのに利用することができる。例えば、多機能siNA分子は、一本の鎖に1つのタンパク質をコード化する遺伝子(例えば、血管内皮成長因子またはVEGFといったサイトカイン)に由来する第一の標的核酸配列に相補的なヌクレオチド配列を有し、第二の鎖は二つのタンパク質をコード化する遺伝子(VEGFといった単一サイトカインに対するVEGF受容体1およびVEGF受容体2等の2つの異なる受容体)に由来する標的核酸分子中に存在する第二の標的核酸配列に相補的なヌクレオチド配列を有する領域を含み、特定の生物学的経路を、例えばサイトカインおよびその受容体、またはリガンドおよびその受容体を標的にすることによって、下方制御、抑制もしくは遮断するのに利用することができる。
1つの態様においては、本発明は、サイトカインまたはリガンドの異なるアイソフォームおよび前記サイトカインまたはリガンドの受容体に存在する、保存されたヌクレオチド配列を活用している。一方の鎖がサイトカインの様々なアイソフォームの間で保存されている標的核酸配列に相補的な配列を含み、もう一方の鎖が前記サイトカインの受容体の間で保存されている標的核酸配列に相補的な配列を含むという具合に多機能siNAをデザインすることによって、単一の多機能siNAを用いて、選択的また効果的に生物学的経路もしくはその経路にある複数の遺伝子を調節または抑制することができる。
別の限定を目的としない例において、2つのタンパク質(例、VEGF−A、VEGF−B、VEGF−C、および/またはVEGF−D)のいずれかを含むVEGFといったサイトカインの2つのアイソフォーム)コード化する標的核酸分子に存在する第一の標的核酸配列に相補的なヌクレオチド配列を有する一方の鎖、および2つの追加タンパク質(例、VEGFR1、VEGFR2、および/またはVEGFR3といったサイトカインの2つの異なる受容体)をコード化する標的ヌクレオチド分子に存在する第二の標的核酸配列に相補的な相補的なヌクレオチド配列を持つ領域を含む第二の鎖に領域を含む多機能siNA分子を使用して、サイトカインの異なるアイソフォームおよびそのようなサイトカインの受容体を標的とすることにより、特定の生物学的経路を下方制御、抑制、または遮断することができる。
1つの態様においては、本発明の多機能低分子干渉核酸(多機能siNA)は各鎖に領域を含み、第一の鎖にある領域はサイトカインに相補的なヌクレオチド配列を含み、第二の鎖にある領域は前記サイトカインの対応する受容体に相補的なヌクレオチド配列を含む。サイトカインの限定を目的としない例は、血管内皮成長因子(例、VEGF−A、VEGF−B、VEGF−C、VEGF−D)を含み、サイトカイン受容体の限定を目的としない例は、VEFR1、VEGFR2、およびVEGFR3を含む。
1つの態様においては、本発明の二重鎖多機能siNA分子は化学式MF−I:
Figure 2007505605
の構造を含み、式中、5’−p−XZX’−3’および5’−p−YZY’−3’はそれぞれ、独立に約20ヌクレオチドと約300ヌクレオチド、望ましくは約20と約200ヌクレオチド、約20ヌクレオチドと約100ヌクレオチド、約20と約40ヌクレオチド、約20ヌクレオチドと約40ヌクレオチド、約24と約38ヌクレオチド、もしくは約26と約38ヌクレオチドの間の長さのオリゴヌクレオチドであり、XZは第一の標的核酸配列に相補的な核酸配列を含み、YZは第二の標的核酸配列に相補的な核酸配列を含み、Zは自己相補的な約1から24ヌクレオチド(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、もしくは24ヌクレオチド)の長さの核酸配列を含み、XはY’内に存在するヌクレオチド配列に相補的な約1から約100ヌクレオチド、望ましくは約1から約21ヌクレオチド(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、もしくは21ヌクレオチド)の長さのヌクレオチド配列を含み、YはX’内に存在するヌクレオチド配列に相補的な約1から約100ヌクレオチド、望ましくは約1から約21ヌクレオチド(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、もしくは21ヌクレオチド)の長さのヌクレオチド配列を含み、それぞれのpは、独立に存在しているか欠損しているそれぞれ末端リン酸基を含み、XZおよびYZはそれぞれ、独立に第一および第二の標的核酸配列もしくはその一部と安定に相互作用(すなわち塩基対)するのにそれぞれ十分な長さがある。例えば、XおよびYはそれぞれ、標的RNAもしくはその一部のような、異なる標的核酸分子中の標的ヌクレオチド配列に相補的な、約12から21もしくはそれ以上の長さのヌクレオチド(例えば、約12、13、14、15、16、17、18、19、20、21もしくはそれ以上)の配列を独立に含む。限定を目的としない別の態様においては、第一の標的核酸配列もしくはその一部に相補的なXおよびZを合わせたヌクレオチド配列の長さは、約12から約21ヌクレオチドもしくはそれ以上(約12、13、14、15、16、17、18、19、20、21もしくはそれ以上)である。限定を目的としない別の態様においては、第二の標的核酸配列もしくはその一部に相補的なYおよびZを合わせたのヌクレオチド配列の長さは、約12から約21ヌクレオチドもしくはそれ以上(約12、13、14、15、16、17、18、19、20、21もしくはそれ以上)である。1つの態様においては、第一の標的核酸配列および第二の標的核酸配列は、同一標的核酸分子中に存在する(例、VEGFおよび/またはVEGFR RNA)。別の態様においては、第一の標的核酸配列および第二の標的核酸配列は、別の標的核酸分子中に存在する(例、VEGFおよび/またはVEGFR RNA)。1つの態様においては、Zはパリンドロームもしくは反復配列を含む。1つの態様においては、オリゴヌクレオチドXおよびX’の長さは同一である。別の態様においては、オリゴヌクレオチドXおよびX’の長さは同一ではない。1つの態様においては、オリゴヌクレオチドYおよびY’の長さは同一である。別の態様においては、オリゴヌクレオチドYおよびY’の長さは同一ではない。1つの態様においては、化学式I(a)の二重鎖オリゴヌクレオチド構造は、標的遺伝子の発現を抑制する二重鎖オリゴヌクレオチドの効力を著しく損なわない程度で、1つ以上の、具体的には1、2、3、もしくは4つのミスマッチを含む。
1つの態様においては、本発明の多機能siNA分子は化学式MF−II:
Figure 2007505605
の構造を含み、式中、5’−p−XX’−3’および5’−p−YY’−3’はそれぞれ、独立に約20ヌクレオチドと約300ヌクレオチド、望ましくは約20と約200ヌクレオチド、約20ヌクレオチドと約100ヌクレオチド、約20と約40ヌクレオチド、約20ヌクレオチドと約40ヌクレオチド、約24と約38ヌクレオチド、もしくは約26と約38ヌクレオチドの間の長さのオリゴヌクレオチドであり、Xは第一の標的核酸配列に相補的な核酸配列を含み、Yは第二の標的核酸配列に相補的な核酸配列を含み、XはY’内に存在するヌクレオチド配列に相補的な約1から約100ヌクレオチド、望ましくは約1から約21ヌクレオチド(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、もしくは21ヌクレオチド)の長さのヌクレオチド配列を含み、YはX’内に存在するヌクレオチド配列に相補的な約1から約100ヌクレオチド、望ましくは約1から約21ヌクレオチド(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、もしくは21ヌクレオチド)の長さのヌクレオチド配列を含み、それぞれのpは、独立に存在していたり欠損しているそれぞれ末端リン酸基を含み、XおよびYはそれぞれ、独立に第一および第二の標的核酸配列もしくはその一部と安定に相互作用(すなわち塩基対)するのにそれぞれ十分な長さがある。例えば、XおよびYはそれぞれ、VEGFおよび/またはVEGFR標的RNAもしくはその一部のような、異なる標的核酸分子中の標的ヌクレオチド配列に相補的な、約12から21もしくはそれ以上の長さのヌクレオチド(例えば、約12、13、14、15、16、17、18、19、20、21もしくはそれ以上)の配列を独立に含む。別の態様においては、第一の標的核酸配列および第二の標的核酸配列は、同一標的核酸分子中に存在する(例、VEGFおよびVEGFR RNA)。別の態様においては、第一の標的核酸配列および第二の標的核酸配列は、別の標的核酸分子中に存在する(例、VEGFおよび/またはVEGFR RNA)。1つの態様においては、Zはパリンドロームもしくは反復配列を含む。1つの態様においては、オリゴヌクレオチドXおよびX’の長さは同一である。別の態様においては、オリゴヌクレオチドXおよびX’の長さは同一ではない。1つの態様においては、オリゴヌクレオチドYおよびY’の長さは同一である。別の態様においては、オリゴヌクレオチドYおよびY’の長さは同一ではない。1つの態様においては、化学式I(a)の二重鎖オリゴヌクレオチド構造は、標的遺伝子の発現を抑制する二重鎖オリゴヌクレオチドの効力を著しく損なわない程度で、1つ以上の、具体的には1、2、3、もしくは4つのミスマッチを含む。
1つの態様においては、本発明の多機能siNA分子は化学式MF−III:
Figure 2007505605
の構造を含み、式中、X、X’、YおよびY’は、独立に、約15ヌクレオチドと約50ヌクレオチド、望ましくは約18から約40ヌクレオチド、もしくは約19および約23ヌクレオチドの長さのオリゴヌクレオチドであり、XはY’領域内に存在するヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含み、X’はY領域内に存在するヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含み、XとX’はそれぞれ、独立にそれぞれ第一および第二の標的核酸配列、もしくはその一部と安定な相互作用(すなわち塩基対)するのに十分な長さであり、Wは、Y’配列とY配列を結合するヌクレオチドリンカーまたは非ヌクレオチドリンカーを指し、多機能siNAはRNA干渉による第一と第二の標的配列の切断を指示する。1つの態様においては、第一標的核酸配列および第二標的核酸配列は、同一標的核酸分子中に存在する(例、VEGFおよび/またはVEGFR RNA)。別の態様においては、第一標的核酸配列および第二標的核酸配列は、別の標的核酸分子中に存在する(例、VEGFおよび/またはVEGFR RNA)。1つの態様においては、W領域はY’配列の3’端をY配列の3’端と結合する。1つの態様においては、W領域はY’配列の3’端をY配列の5’端と結合する。1つの態様においては、W領域はY’配列の5’端をY配列の5’端と結合する。1つの態様においては、W領域はY’配列の5’端をY配列の3’端と結合する。1つの態様においては、末端リン酸基はX配列の5’端に存在する。1つの態様においては、末端リン酸基はY配列の5’端に存在する。1つの態様においては、末端リン酸基はY’配列の5’端に存在する。1つの態様においては、WはY配列とY’配列を、生分解性リンカーを介して結合する。1つの態様においては、Wはコンジュゲート、ラベル、アプタマー、リガンド、脂質、もしくはポリマーをさらに含む。
1つの態様においては、本発明の多機能siNA分子は化学式MF−IV:
Figure 2007505605
の構造を含み、式中、X、X’、YおよびY’は、独立に、約15ヌクレオチドと約50ヌクレオチド、望ましくは約18から約40ヌクレオチド、もしくは約19および約23ヌクレオチドの長さのオリゴヌクレオチドであり、XはY’領域内に存在するヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含み、X’はY領域内に存在するヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含み、YとY’はそれぞれ、独立にそれぞれ第一および第二の標的核酸配列、もしくはその一部と安定な相互作用(すなわち塩基対)するのに十分な長さであり、Wは、Y’配列とY配列を結合するヌクレオチドリンカーまたは非ヌクレオチドリンカーを指し、多機能siNAはRNA干渉による第一と第二の標的配列の切断を指示する。1つの態様においては、第一標的核酸配列および第二標的核酸配列は、同一標的核酸分子中に存在する(例、VEGFおよび/またはVEGFR RNA)。別の態様においては、第一標的核酸配列および第二標的核酸配列は、別の標的核酸分子中に存在する(例、VEGFおよび/またはVEGFR RNA)。1つの態様においては、W領域はY’配列の3’端をY配列の3’端と結合する。1つの態様においては、W領域はY’配列の3’端をY配列の5’端と結合する。1つの態様においては、W領域はY’配列の5’端をY配列の5’端と結合する。1つの態様においては、W領域はY’配列の5’端をY配列の3’端と結合する。1つの態様においては、末端リン酸基はX配列の5’端に存在する。1つの態様においては、末端リン酸基はX’配列の5’端に存在する。1つの態様においては、末端リン酸基はY配列の5’端に存在する。1つの態様においては、末端リン酸基はY’配列の5’端に存在する。1つの態様においては、WはY配列とY’配列を、生分解性リンカーを介して結合する。1つの態様においては、Wはコンジュゲート、ラベル、アプタマー、リガンド、脂質、もしくはポリマーをさらに含む。
1つの態様においては、本発明の多機能siNA分子は化学式MF−V:
Figure 2007505605
の構造を含み、式中、X、X’、YおよびY’は、独立に、約15ヌクレオチドと約50ヌクレオチド、のぞましくは約18から約40ヌクレオチド、もしくは約19および約23ヌクレオチドの長さのオリゴヌクレオチドであり、XはY’領域内に存在するヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含み、X’はY領域内に存在するヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含み、X、X’、YまたはY’はそれぞれ、独立にそれぞれ第一、第二、第三、または第四の標的核酸配列、もしくはその一部と安定な相互作用(すなわち塩基対)するのに十分な長さであり、Wは、Y’配列とY配列を結合するヌクレオチドリンカーまたは非ヌクレオチドリンカーを指し、多機能siNAはRNA干渉による第一、第二、第三および/または第四の標的配列の切断を指示する。1つの態様においては、第一、第二、第三および第四の標的核酸配列はすべて、同一標的核酸分子中に存在する(例、VEGFおよび/またはVEGFR RNA)。別の態様においては、第一、第二、第三および第四の標的核酸配列はそれぞれ、別の標的核酸分子中に存在する(例、VEGFおよび/またはVEGFR RNA)。1つの態様においては、W領域はY’配列の3’端をY配列の3’端と結合する。1つの態様においては、W領域はY’配列の3’端をY配列の5’端と結合する。1つの態様においては、W領域はY’配列の5’端をY配列の5’端と結合する。1つの態様においては、W領域はY’配列の5’端をY配列の3’端と結合する。1つの態様においては、末端リン酸基はX配列の5’端に存在する。1つの態様においては、末端リン酸基はX’配列の5’端に存在する。1つの態様においては、末端リン酸基はY配列の5’端に存在する。1つの態様においては、末端リン酸基はY’配列の5’端に存在する。1つの態様においては、WはY配列とY’配列を、生分解性リンカーを介して結合する。1つの態様においては、Wはコンジュゲート、ラベル、アプタマー、リガンド、脂質、もしくはポリマーをさらに含む。
1つの態様においては、本発明の多機能siNA分子の(例えば、化学式MF−I〜MF−Vを有する)X領域とY領域は、同一標的核酸分子の一部分である別の標的核酸配列に相補的である。1つの態様においては、前述の標的核酸配列は、RNA転写物のコード領域内の異なる位置にある。1つの態様においては、前述の標的核酸配列は同一RNA転写物のコード領域と非コード領域を含む。1つの態様においては、前述の標的核酸配列は選択的スプライシングを受けた転写物の領域、もしくはそのような選択的スプライシングを受けた転写物の前駆体の領域を含む。
1つの態様においては、化学式MF−I〜MF−Vのいずれかを有する多機能siNA分子は、本明細書で限定を目的とせずに述べられるように、例えば、本明細書で述べられたような化学式I〜VIIのいずれかを有するヌクレオチド、表IVで述べられるような安定化反応、もしくは本明細書の様々な態様で述べられたような修飾されたヌクレオチドおよび非ヌクレオチドのその他の組み合わせのような化学修飾を含むことができる。
1つの態様においては、多機能siNA構造のZ中のパリンドロームもしくは反復配列もしくは修飾ヌクレオチド(例えば、2−アミノプリンやユニバーサル塩基のような修飾塩基をもつヌクレオチド)は、標的核酸配列(例えば、ワトソンクリック塩基対もしくは非ワトソンクリック塩基対を形成することができる修飾塩基アナログ)の一部と相互作用することができる化学修飾ヌクレオチドを含む化学式MF−IまたはMF−IIを有する。
1つの態様においては、例えば多機能siNA分子のそれぞれの鎖に化学式MF−I〜MF−Vを有する本発明の多機能siNA分子は、単独で約15から約40ヌクレオチド(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40ヌクレオチド)を含む。1つの態様においては、本発明の多機能siNA分子は1つ以上の化学修飾を含む。限定を目的としない例において、化学修飾されたヌクレオチドおよび/または非ヌクレオチドの本発明の核酸への導入は、外因的に供給された修飾されていないRNA分子特有のインビボでの安定性と生物学的利用能の潜在的な限界を乗り越える強力なツールを提供する。例えば、化学修飾された核酸は血清中または細胞内または組織内でより長い半減期を持つ傾向にあるため、化学修飾された核酸分子の利用は特定の核酸分子の用量をより少なくすることができる。更に、特定の化学修飾は、半減期を改善するだけでなく核酸分子の特定の器官や細胞、組織へのターゲティングを容易にし、および/または核酸分子の細胞への取込みを改善することによって、生物学的利用能および/または核酸分子の作用強度を向上させる。従って、化学修飾された核酸分子の活性が、インビトロで野生型の/修飾されていない核酸分子との比較で、例えば修飾されていないRNAと比較した場合に活性が減少したとしても、安定性と作用強度、効果持続期間、生物学的利用能、および/または分子の供給が改善されるために、修飾された核酸分子の全体的な活性は野生型または修飾されていない核酸分子より高い可能性がある。
また別の態様においては、本発明は、2つのアンチセンスsiNA鎖が、互いに一方の端でつなぎ止められた対応するセンス鎖にアニールされるように、それぞれのセンス鎖の一方の端がもう一方のsiNA分子のセンス鎖端とつなぎ止められている、2つの別々の二重鎖siNAが集合した多機能siNAであることを特徴とする(図43参照)。テザーまたはリンカーは、当該分野で一般的に知られているように、また本明細書で述べられているように、ヌクレオチドリンカーもしくは非ヌクレオチドリンカーであることができる。
1つの態様においては、本発明は、2つのアンチセンスsiNA鎖の5’端が互いに逆を指して(反対方向で)互いに一方の端でつなぎ止められた(図43(A)参照)対応するセンス鎖にアニールされるように、siNAの一方のセンス鎖の5’端に他のsiNA分子のセンス鎖の5’端がつなぎ止められている2つの別々の二重鎖siNAが集合した多機能siNAであることを特徴とする。テザーまたはリンカーは、当該分野で一般的に知られているように、また本明細書で述べられているように、ヌクレオチドリンカーもしくは非ヌクレオチドリンカーであることができる。
1つの態様においては、本発明は、2つのアンチセンスsiNA鎖の5’端が互いに向き合って互いに一方の端でつなぎ止められた(図43(B)参照)対応するセンス鎖にアニールされるように、siNAの一方のセンス鎖の3’端に他のsiNA分子のセンス鎖の5’端がつなぎ止められている2つの別々の二重鎖siNAが集合した多機能siNAであることを特徴とする。テザーまたはリンカーは、当該分野で一般的に知られているように、また本明細書で述べられているように、ヌクレオチドリンカーもしくは非ヌクレオチドリンカーであることができる。
1つの態様においては、本発明は、一方のアンチセンスsiNA鎖の5’端が他方のアンチセンス鎖の3’端に向き合うよう互いに一方の端でつなぎ止められた(図43(C−D)参照)対応するセンス鎖にアニールされるように、siNAの一方のセンス鎖の3’端に他のsiNA分子のセンス鎖の5’端がつなぎ止められている2つの別々の二重鎖siNAが集合した多機能siNAであることを特徴とする。テザーまたはリンカーは、当該分野で一般的に知られているように、また本明細書で述べられているように、ヌクレオチドリンカーもしくは非ヌクレオチドリンカーであることができる。
1つの態様においては、本発明は、一方のセンスsiNA鎖の5’端が他方のアンチセンス鎖の3’端に向き合うよう互いに一方の端でつなぎ止められた(図43(G−H)参照)対応するアンチセンス鎖にアニールされるように、siNAの一方のアンチセンス鎖の3’端に他のsiNA分子のアンチセンス鎖の5’端がつなぎ止められている2つの別々の二重鎖siNAが集合した多機能siNAであることを特徴とする。1つの態様においては、第一のアンチセンス鎖の5’端と第二のアンチセンス鎖の3’端の間の結合は、多機能siNAのそれぞれのアンチセンス鎖の5’端が標的RNAのRNA干渉による切断を媒介するのに適した遊離の5’端を持つよう、容易に切断されるような方法(例えば、生分解性リンカー)でデザインされている。テザーまたはリンカーは、当該分野で一般的に知られているように、また本明細書で述べられているように、ヌクレオチドリンカーもしくは非ヌクレオチドリンカーであることができる。
1つの態様においては、本発明は、一方のセンスsiNA鎖の3’端が他方のアンチセンス鎖の3’端に向き合うよう互いに一方の端でつなぎ止められた(図43(E)参照)対応するアンチセンス鎖にアニールされるように、siNAの一方のアンチセンス鎖の5’端に他のsiNA分子のアンチセンス鎖の5’端がつなぎ止められている2つの別々の二重鎖siNAが集合した多機能siNAであることを特徴とする。1つの態様においては、第一のアンチセンス鎖の5’端と第二のアンチセンス鎖の5’端の間の結合は、多機能siNAのそれぞれのアンチセンス鎖の5端が標的RNAのRNA干渉による切断を媒介するのに適した遊離の5’端を持つよう、容易に切断されるような方法(例えば、生分解性リンカー)でデザインされている。テザーまたはリンカーは、当該分野で一般的に知られているように、また本明細書で述べられているように、ヌクレオチドリンカーもしくは非ヌクレオチドリンカーであることができる。
1つの態様においては、本発明は、一方のセンスsiNA鎖の5’端が他方のアンチセンス鎖の3’端に向き合うよう互いに一方の端でつなぎ止められた(図43(F)参照)対応するアンチセンス鎖にアニールされるように、siNAの一方のアンチセンス鎖の3’端に他のsiNA分子のアンチセンス鎖の3’端がつなぎ止められている二つの別々の二重鎖siNAが集合した多機能siNAであることを特徴とする。1つの態様においては、第一のアンチセンス鎖の5’端と第二のアンチセンス鎖の5’端の間の結合は、多機能siNAのそれぞれのアンチセンス鎖の5’端が標的RNAのRNA干渉による切断を媒介するのに適した遊離の5’端を持つよう、容易に切断されるような方法(例えば、生分解性リンカー)でデザインされている。本明細書で述べられたように、テザーまたはリンカーは、当該分野で一般的に知られているように、また本明細書で述べられているように、ヌクレオチドリンカーもしくは非ヌクレオチドリンカーであることができる。
上記態様のいずれにおいても、第一標的核酸配列または第二核酸配列はそれぞれ、VEGFおよび/またはVEGFR RNAまたはその一部を含むことができる。1つの態様においては、第一標的核酸配列はVEGF(例、VEGF−A、VEGF−B、VEGF−C、および/またはVEGF−Dのいずれか)RNAまたはその一部であり、第二標的核酸配列はVEGFR(例、VEGFR1、VEGFR2、および/またはVEGFR3のいずれか)RNAもしくはその一部である。1つの態様においては、第一標的核酸配列はVEGFR(VEGFR1、VEGFR2、および/またはVEGFR3のいずれか)RNAまたはその一部であり、第二標的核酸配列はVEGF(例、VEGF−A、VEGF−B、VEGF−C、および/またはVEGF−Dのいずれか)RNAもしくはその一部である。1つの態様においては、第一標的核酸配列はVEGF(例、VEGF−A、VEGF−B、VEGF−C、および/またはVEGF−Dのいずれか)RNAまたはその一部であり、第二標的核酸配列はVEGFA、VEGF−B、VEGF−C、および/またはVEGF−Dのいずれか)RNAもしくはその一部である。1つの態様においては、第一標的核酸配列はVEGFR(例、VEGFR1、VEGFR2、および/またはVEGFR3のいずれか)RNAまたはその一部であり、第二標的核酸配列はVEGFR(例、VEGFR1、VEGFR2、および/またはVEGFR3)RNAもしくはその一部である。
核酸分子の合成
100ヌクレオチド以上の長さの核酸の合成は、自動化された方法では困難であり、そのような分子による治療コストは非常に高額である。本発明では低分子核酸モチーフ(「低分子」とは、100ヌクレオチド長を越えない核酸モチーフを指し、望ましくは80ヌクレオチドを越えない長さであり、最も望ましくは50ヌクレオチドを越えない長さである。例えば、個別のsiNAオリゴヌクレオチド配列もしくはタンデムに合成されたsiNA配列)は、外因的な供給として用いられるのが望ましい。これらの分子の単純な構造は、標的のタンパク質領域および/またRNA構造に核酸が侵入する能力を上昇させる。典型的な本発明の分子は化学的に合成され、その他は同様にして合成される。
オリゴヌクレオチド(例、特定の修飾を受けたオリゴヌクレオチド、またはリボヌクレオチドが欠けているオリゴヌクレオチドの部分)は、例えばカラザーズ(Caruthers)等、1992、酵素学手法(Methods in enzymology)、211、3−19、トンプソン(Thompson)等、国際特許協力条約文献番号、国際公開特許99/54459、ウィンコット(Wincott)等、1995、核酸研究誌(Nucleic Acids Res.)、23、2677−2684、ウィンコット(Wincot)等、1997、分子生物学手法誌(Methods Mol. Biol)、74、59、ブレナン(Brennan)等、1998、バイオテクノロジーとバイオ工学(Biotechnol Bioeng.)61、33−45、およびブレナン(Brennan)、米国特許番号6,001,311に述べられているような当該分野で知られているプロトコールを用いて合成された。これら全ての参考文献は、参照することで本明細書に組み込まれる。オリゴヌクレオチドの合成は、5’端のジメトキシトリチルや3’端のホスホラミダイトのような、一般的な核酸保護基とカップリング基を利用する。限定を目的としない例において、小規模合成は394アプライドバイオシステムズ社(394Applied Biosystems, Inc.)核酸合成装置で、2’−O−メチル化ヌクレオチドのカップリングステップは2.5分、2’−デオキシヌクレオチドもしくは2’−デオキシ−2−フルオロヌクレオチドのカップリングステップは45秒の0.2μmolスケールのプロトコールを用いて行われた。表Vは、合成サイクルで用いられた試薬の量と接触回数をまとめている。また、0.2μmolスケールでの合成は、プロトジーン社(Protogene)(カリフォルニア州パロアルト(Palo Alto, CA))製造の装置のような96ウェルプレート核酸合成装置でサイクルへの最低限の修正で行うことができる。33倍過剰(60μL中に0.11M=6.6μmol)の2’−O−メチルホスホラミダイト、および105倍過剰のS−エチルテトラゾール(60μL中に0.25M=15μmol)は、ポリマー結合5’−ヒドロキシルに関連した2’−O−メチル残基のそれぞれのカップリングサイクルに使用することができる。22倍過剰(40μL中に0.11M=4.4μmol)のデオキシホスホラミダイト、および70倍過剰のS−エチルテトラゾール(40μL中に0.25M=10μmol)は、ポリマー結合5’−ヒドロキシルに関連したデオキシ残基のそれぞれのカップリングサイクルに使用することができる。394アプライドバイオシステムズ社(394Applied Biosystems,Inc.)核酸合成装置の比色定量法で測定したトリチル分画のカップリングの平均収量は、通常97.5−99%である。その他の394アプライドバイオシステムズ社(394Applied Biosystems,Inc.)核酸合成装置のオリゴヌクレオチド合成試薬は、塩化メチレン中に3%TCAのデトリチル化溶液(ABI)、キャップ形成はTHF中に16%のN−メチルイミダゾール(ABI)およびTHF中に10%無水酢酸/10%の2、6−ルチジンで行い、酸化溶液はTHF中に16.9mMI2、49mMピリジン、9%の水(パーセプティブバイオシステムズ社(PerSeptive Biosystems, Inc.))、を含む。バーディック&ジャクソン(Burdick & Jackson)の合成グレードのアセトニトリルは、試薬瓶から直接使用した。S−エチルテトラゾール溶液(アセトニトリル中に0.25M)は、アメリカ・インターナショナル・ケミカル社(American International Chemical, Inc)より入手した個体から調製した。また、ホスホロチオエート結合の導入には、ビューケージ(Beaucage)試薬(アセトニトリル中に0.05Mの3H−1,2−ベンゾジチオール−3−オン1,1−ジオキシド)が用いられた。
DNAオリゴヌクレオチドの脱保護は、以下の通り行われた。ポリマー結合のトリチル付きオリゴリボヌクレオチドは4mLのガラスねじ蓋キャップ付きのバイアルに移され、65℃で10分間、40%メチルアミン水(1mL)に懸濁された。−20℃に冷却後、ポリマー担体から上澄が除かれた。担体は1.0mLのEtOH:MeCN:H2O/3:1:1で3回洗浄され、激しく撹拌され、その後上澄は最初の上澄みに加えられた。オリゴリボヌクレオチドを含む、合わせた上澄は、白色粉末になるまで乾燥された。
本発明の特定のsiNA分子を含むRNAの合成に用いられた方法は、ウスマン(Usman)等、1987、米国化学学会誌(J. Am. Chem. Soc.)109、7845、スケアリンジ(Scaringe)等、1990、核酸研究誌(Nucleic Acids Res.)18、5433、およびウィンコット(Wincott)等、1995、核酸研究誌(Nucleic Acids Res.)23−2677−2684、ウィンコット(Wincott)等、1997、分子生物学手法誌(Methods Mol. Bio.)74、59で述べられた方法に従っており、また、5’端ではジメトキシトリチル、また3’端ではホスホラミダイトといった、一般的な核酸の保護基およびカップリング基を用いた。限定を目的としない例において、小規模合成は394アプライドバイオシステムズ社(394Applied Biosystems,Inc.)核酸合成装置で、アルキルシリル保護されたヌクレオチドのカップリングステップは7.5分、2’−O−メチル化ヌクレオチドのカップリングステップは2.5分で0.2μmolスケールのプロトコールを用いて行われた。表Vは、合成サイクルで用いられた試薬の量と接触回数をまとめている。また、0.2μmolスケールでの合成は、プロトジーン社(Protogene)(カリフォルニア州パロアルト(Palo Alto, CA))製造の装置のような96ウェルプレート核酸合成装置でサイクルへの最低限の修正で行うことができる。33倍過剰(60μL中に0.11M=6.6μmol)の2’−O−メチルホスホラミダイト、および75倍過剰のS−エチルテトラゾール(60μL中に0.25M=15μmol)は、ポリマー結合5’−ヒドロキシルに関連した2’−O−メチル残基のそれぞれのカップリングサイクルに使用することができる。66倍過剰(120μL中に0.11M=13.2μmol)のアルキルシリル(リボ)保護されたホスホラミダイト、および150倍過剰のS−エチルテトラゾール(120μL中に0.25M=30μmol)は、ポリマー結合5’−ヒドロキシルに関連したリボ残基のそれぞれのカップリングサイクルに使用することができる。394アプライドバイオシステムズ社(394Applied Biosystems,Inc.)核酸合成装置の比色定量法で測定したトリチル分画のカップリングの平均収量は、通常97.5−99%である。その他の394アプライドバイオシステムズ社(394Applied Biosystems,Inc.)核酸合成装置のオリゴヌクレオチド合成試薬は、塩化メチレン中に3%TCAのデトリチル化溶液(ABI)、キャップ形成はTHF中に16%N−メチルイミダゾール(ABI)およびTHF中に10%無水酢酸/10%2、6−ルチジンで行い、酸化溶液はTHF中に16.9mM I2、49mMピリジン、9%の水(パーセプティブバイオシステムズ社(PerSeptive Biosystems, Inc.))を含む。バーディック&ジャクソン(Burdick & Jackson)の合成グレードのアセトニトリルは、試薬瓶から直接使用した。S−エチルテトラゾール溶液(アセトニトリル中に0.25M)は、アメリカ・インターナショナル・ケミカル社(American International Chemical, Inc.)より入手した個体から調製した。また、ホスホロチオエート結合の導入には、ビューケージ(Beaucage)試薬(アセトニトリル中に0.05Mの3H−1,2−ベンゾジチオール−3−オン−1,1−ジオキシド)が用いられた。
RNAの脱保護は、ツーポットまたはワンポットプロトコールのいずれかを用いて行われた。ツーポットプロトコールでは、ポリマー結合のトリチル付きオリゴリボヌクレオチドが4mLのガラスねじ蓋付きのバイアルに移され、65℃で10分間、40%メチルアミン水(1mL)に懸濁された。−20℃に冷却後、ポリマー担体から上澄が除かれた。担体は1.0mLのEtOH:MeCN:H2O/3:1:1で3回洗浄され、激しく撹拌され、その後上澄は最初の上澄みに加えられた。オリゴリボヌクレオチドを含む、合わせた上澄は、白色粉末になるまで乾燥された。塩基が脱保護されたオリゴリボヌクレオチドは、無水TEA/HF/NMP溶液(HFが1.4Mの濃度になるように、N−メチルピロリジノン溶液を1.5mL、TEAを750μL、TEA・3HFを1mLを混合した溶液を300μL)に再度懸濁され、65℃に加熱された。1.5時間後、オリゴマーは1.5M NH4HCO3でクェンチされた。
または、ワンポットプロトコールでは、ポリマー結合のトリチル付きオリゴリボヌクレオチドは4mLのガラスねじ蓋付きのバイアルに移され、65℃で15分間、33%のエタノール性メチルアミン/DMSO:1/1(0.8mL)溶液に懸濁される。バイアルを室温にし、TEA・3HF(0.1mL)が加えられ、バイアルは65℃で15分間加熱された。試料は−20℃に冷却され、その後1.5M NH4HCO3でクェンチされた。
トリチル付きオリゴマーの精製には、クェンチされたNH4HCO3溶液がアセトニトリルで予備洗浄されたC−18を含むカートリッジにロードされ、その後50mM TEAAが加えられた。ロードされたカートリッジを水で洗浄した後、RNAは0.5%TFAで13分間、脱トリチル化された。カートリッジは次いで水で再び洗浄され、1M NaClで塩が交換され、再び水で洗浄された。オリゴヌクレオチドは次に30%アセトニトリルで溶出された。
段階的なカップリングの平均収量は、一般的に>98%である(ウィコット(Wincott)等、1995、核酸研究誌(Nucleic Acids Res.)23、2677−2684)。当該分野で通常の技術を有する者は、合成の規模を、上述の例より大規模もしくは小規模、例えば、限定されないが96ウェルフォーマットに適応させることが可能であることを認識する。
あるいは、本発明の核酸分子は別々に合成し、例えば、ライゲーション(ムーア(Moore)等、1992、サイエンス誌(Science)256、9923、ドレーパー(Draper)等、国際特許協力条約文献番号、国際公開特許93/23569、シャバロヴァ(Shabarova)等、1991、核酸研究誌(Nucleic Acids Research)19、4247、ベロン(Bellon)等、1997、ヌクレオシドとヌクレオチド誌(Nucleosides & Nucleotides)、16、951、ベロン(Bellon)等、1997、バイオコンジュゲート化学(Bioconjugate Chem.)8、204)、もしくは合成および/また脱保護の後に、ハイブリダイゼーションによって、合成後に互いに結合することも可能である。
本発明のsiNA分子は、本明細書の実施例1に記載のように、タンデム合成法によって合成することも可能であり、ここで両方のsiNA鎖が、単一な連続したオリゴヌクレオチド断片、あるいは切断可能なリンカーによって隔てられた鎖として合成され、後にハイブリダイズし、siNA二重鎖の精製を可能にする別々のsiNA断片または鎖を供給するために、続いて切断されるリンカーはポリヌクレオチドリンカーもしくは非ヌクレオチドリンカーであることができる。本明細書で記載の通り、siNAのタンデム合成は、96ウェルもしくは類似のより大きいマルチウェルプラットフォームのようなマルチウェル/マルチプレート双方の合成に容易に適応することができる。本明細書で記載の通り、siNAのタンデム合成は、バッチリアクター、合成カラムなどを採用した大規模合成プラットフォームに容易に適応することができる。
siNA分子は、二本の別々の核酸鎖、または断片から組み立てられ、ここで一方の断片がセンス領域を含み、もう一方の断片がRNA分子のアンチセンス領域を含む。
本発明の核酸分子は、例えば、2’−アミノ、2’−C−アリル、2’−フルオロ、2’−O−メチル、2’−Hのようなヌクレアーゼ耐性基で修飾することによって(総説には、ウスマン(Usman)およびシダーグレン(Cedergren)、1992、生化学サイエンスの傾向(TIBS)17、34、ウスマン(Usman)等、1994、核酸シンポジウムシリーズ(Nucleic Acids Symp.Ser.)31、163を参照)、安定性を向上させるために広範囲に修飾することができる。siNA構造は、通常の方法を用いてゲル電気泳動によって精製するか、もしくは高速液体クロマトグラフィー(HPLC、前述のウィンコット(Wincott)等を参照、当該文献は参照することによりその全体が本申請に組み込まれる)で精製することができ、水に再懸濁される。
本発明の別の側面では、本発明のsiNA分子はDNAもしくはRNAベクターに挿入された転写単位から発現される。組み替えベクターは、DNAプラスミド、もしくはウイルスベクターであることができる。siNAを発現するウイルスベクターは、これに限定はしないが、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、もしくはアルファウイルスに基づいて構築することができる。siNA分子を発現可能な組み替えベクターは、本明細書で述べられるように供給され、標的細胞内で存続する可能性がある。または、siNA分子の一時的な発現を提供するウイルスベクターが使用できる。
本発明の核酸分子活性の最適化
修飾(塩基、糖および/またリン酸)の化学合成された核酸分子は、血清リボヌクレアーゼによる分解が妨げられ、その効力が増大する可能性がある(例、エックスタイン(Eckstein)等、国際特許協力条約文献番号、国際公開特許92/07065、ペロート(Perrault)等、1990、ネイチャー誌(Nature)、344、565、ピーケン(Pieken)等、サイエンス誌(Science)、253、314、ウスマン(Usman)およびシダーグレン(Cedergren)、1992、生化学サイエンスの傾向(Trends in Biochem. Sci.)17、334、ウスマン(Usman)等、国際特許協力条約文献番号、国際公開特許93/15187、ロッシー(Rossi)等、国際特許協力条約文献番号、国際公開特許91/03162、スプロート(Sproat)米国特許番号5,334,711、ゴールド(Gold)等、米国特許番号6,300,074、前述のバーギン(Burgin)等を参照のこと。これら全ては、参照することで本明細書に組み込まれる)。上述の全ての文献は、本明細書で述べた核酸分子の塩基、リン酸および/また糖部分に対する様々な化学修飾について述べている。細胞内での効果を高める、また核酸分子から塩基を取り除くような、オリゴヌクレオチド合成の時間を短縮し必要な試薬を減らすような修飾が望ましい。
核酸分子にヌクレアーゼの安定性と効力の著しい向上をもたらすことのできる、糖、塩基、リン酸修飾について述べている当該分野の例がいくつかある。例を挙げると、オリゴヌクレオチドは、例えば、2’−アミノ、2’−C−アリル、2’−フルオロ、2’−
O−メチル、2’−O−アリル、2’−H,ヌクレオチド塩基修飾(総説として、ウスマン(Usman)およびシダーグレン(Cedergren)、1992、生化学サイエンスの傾向(TIBS)、17、34、ウスマン(Usman)等、1994、核酸シンポジウムシリーズ(Nucleic Acids Symp. Ser.)31、163、バーギン(Burgin)等、1996、生化学誌(Biochemistry)、35、14090を参照)といったヌクレアーゼ耐性基での修飾によって、安定性を向上させ、および/また生物学的活性を向上させるために修飾される。核酸分子の糖修飾は当該分野において広範囲に述べられてきた(エックスタイン(Eckstein)等、国際特許協力条約文献番号、国際公開特許92/07065、ペロート(Perrault)等、ネイチャー誌(Nature)、1990、344、565−568、ピーケン(Pieken)等、サイエンス誌(Science)、1991、253、314−317、ウスマン(Usman)およびシダーグレン(Cedergren)、生化学サイエンスの傾向(Trends in Biochem. Sci.)、1992、17、334−339、ウスマン(Usman)等、国際特許協力条約文献番号、国際公開特許93/15187、スプロート(Sproat)米国特許番号5,334,711、および、べーゲルマン(Beigelman)等、1995、生化学雑誌(J. Biol. Chem.)、270、25702、べーゲルマン(Beigelman)等、国際特許協力条約文献番号、国際公開特許97/26270、べーゲルマン(Beigelman)等、米国特許番号5,716,824、ウスマン(Usman)等、米国特許番号5,627,053、ウールフ(Woolf)等、国際特許協力条約文献番号、国際公開特許98/13526、1998年4月20出願のトンプソン(Thompson)等、米国特許出願60/082、404、カーペイスキー(Karpeisky)等、1998、テトラヒドロン通信(Tetrahedron Lett.)、39、1131、アーンショー(Earnshaw)およびゲイト(Gait)、1998、バイオポリマー(核酸科学)(Biopolymerrs(Nucleic Acid Science))、48、39−55、ヴァーマ(Verma)およびエックスタイン(Eckstein)、1998、生化学アニュアルレビュー(Annu.Rev.Biochem.)、67、99−134、およびバーリナ(Burlina)等、1997、生体無機医薬品化学(Bioorg.Med.Chem.)、5、1999−2010を参照のこと。これら全ての参考文献は、参照することにより、その全体が本明細書に組み込まれる)。上述の文献は、糖、塩基、および/またはリン酸やそのような修飾を、触媒作用を調節せずに核酸分子に組み込む位置を決定するための一般的な方法と戦略を述べており、参照することで本明細書に組み込まれる。このような内容の観点では、本明細書に記載の通り、本発明のsiNA核酸分子を修飾するために、siNAの、細胞内のRNAiを促進する能力が著しく抑制されない限りは、類似の修飾を用いることができる。
ホスホロチオエート、ホスオロジチオエート、および/または5’−メチルホスホン酸結合を伴うオリゴヌクレオチドのヌクレオチド間結合の化学修飾は安定性を向上させる一方、過剰な修飾はある毒性や活性の低下を引き起こす可能性がある。従って、核酸分子をデザインする際にはヌクレオチド間結合の含量は最低限にするべきである。これらの結合の密度減少は、毒性を低下させ、その結果これらの分子の増大した効力と高い特異性をもたらすはずである。
活性を維持し、または向上させる化学修飾を有する低分子干渉核酸(siNA)分子が提供される。このような核酸はまた一般的に、未修飾核酸よりもヌクレアーゼにより耐久性がある。従って、インビトロおよび/またインビボ活性は著しく低下しないはずである。調節が目的である場合、標的RNAの翻訳が、望ましくないタンパク質のレベルが低下するに十分長く調節されるまで、外因的に供給される治療用の核酸分子は、好ましくは細胞中で安定しているべきである。この期間は、病状によって数時間から数日の間で様々である。RNAおよびDNAの化学合成(ウィンコット(Wincott)等、1995、核酸研究(Nucleic Acids Res.)、23、2677、カラザーズ(Caruthers)等、1992、酵素学手法(Methods in Enzymology)、211、3−19(参照することで本明細書に組み込まれる))の改良によって、上述のように、ヌクレオチド修飾でヌクレアーゼの安定性を向上させることによって核酸分子を修飾する能力が拡大した。
1つの態様においては、本発明の核酸分子は1つ以上(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)のG−クランプヌクレオチドを含む。G−クランプヌクレオチドは、修飾シトシンアナログであり、ここでその修飾によってワトソン−クリック型とフーグスティーン型双方に二重鎖中の相補的なグアニン面となる水素結合を可能にする、例えば、リン(Lin)およびマテウッチ(Matteucci)、1998、アメリカ化学学会誌(J.Am.Chem.Soc.)、120、8531−8532を参照のこと。オリゴヌクレオチド中の1つのG−クランプアナログ置換は、相補的なオリゴヌクレオチドとハイブリダイズした際の、らせんの熱安定性とミスマッチ識別が大幅に向上する結果になる可能性がある。本発明の核酸分子へのこのようなヌクレオチドの含有は、核酸標的、相補配列、もしくはテンプレート鎖への親和性と特異性の双方を向上する結果になる。別の態様においては、本発明の核酸分子は、1つ以上(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)の、2’,4’−Cメチレンビシクロヌクレオチドのような「ロックト核酸」(LNA)ヌクレオチドを含む(例として、ウェンゲル(Wengel)等、国際特許協力条約文献番号、国際公開特許00/66604、および国際公開特許99/14226を参照)。
別の態様においては、本発明は本発明のsiNA分子のコンジュゲートおよび/または複合体を含む。そのようなコンジュゲートおよび/または複合体は、siNA分子の細胞のような生体系への送達を容易にするために使用することができる。本発明によって提供されるコンジュゲートおよび/また複合体は、治療のための化合物を、細胞膜を越えて輸送することによって、薬物動態を変化させることによって、および/また本発明の核酸分子の局在を調節することによって、治療活性を与えることができる。本発明は、小分子、脂質、コレステロール、リン脂質、ヌクレオシド、ヌクレオチド、核酸、抗体、毒素、マイナスに帯電したポリマー、および、例えばタンパク質、ペプチド、ホルモン、炭水化物、ポリエチレングリコール、またはポリアミンといったその他のポリマーを含むがこれに限定しない、細胞膜を越える分子の送達のための新規のコンジュゲートおよび/また複合体のデザインと合成を含む。一般的に、述べられた輸送体は、個別に、または多成分系の一部として分解性リンカーと共に、または無しで利用されるようデザインされている。これらの化合物は、異なる組織由来の数多くの細胞タイプへの血清存在下、または非存在化での本発明の核酸分子の送達と局在化を改善すると期待される(スレンガー(Sullenger)およびセック(Cech),米国特許5,854,038参照)。本明細書で述べられる分子のコンジュゲートは、生分解性核酸リンカー分子のような、生分解性のリンカーを介して生物学的に活性がある分子に結合される。
本明細書で使用される「生分解性リンカー」という語は、例えば、本発明のsiNA分子に対して生物学的活性分子、あるいは本発明のsiNA分子のセンス鎖およびアンチセンス鎖のような、ある分子を他の分子に結合するように生分解性リンカーとしてデザインされた、核酸、または非核酸リンカー分子を指す。生分解性リンカーは、特定の組織や細胞タイプへの送達といった、特定の目的のためにその安定性を調節できるようにデザインされている。核酸に基づく生分解性リンカー分子の安定性は、様々な化学反応を用いることによって調節でき、例えば、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、および、2’−O−メチル、2’−フルオロ、2’−アミノ、2’−O−アミノ、2’−C−アリル、2’−O−アリル、およびその他の2’−修飾のような、化学的に修飾されたヌクレオチド、もしくは塩基を修飾したヌクレオチドの組み合わせである。生分解性核酸リンカー分子は、例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドのような、二量体、三量体、四量体、もしくはより長い核酸分子であることができ、もしくは、例えば、ホスホラミデートまたはホスホジエステル結合のような、リンに基づく結合を有する単一ヌクレオチドを含むことができる。また、生分解性核酸リンカー分子は、核酸骨格、核酸糖、もしくは核酸塩基の修飾を含むことができる。
本明細書で使用される「生分解性」という用語は、例えば酵素的な分解、もしくは化学的な分解といった生体系での分解を指す。
本明細書で使用される「生物学的活性分子」という語は、系の生物学的反応を誘発または修飾する能力をもつ化合物または分子を指す。本発明によって単独または他の分子との組み合わせで検討された生物学的に活性なsiNA分子の限定を目的としない例は、抗生物質、コレステロール、ホルモン、抗ウイルス剤、ペプチド、タンパク質、化学療法剤、低分子、ビタミン、補因子、ヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、酵素的核酸、アンチセンス核酸、三重鎖形成オリゴヌクレオチド、2,5−Aキメラ、siNA、dsRNA、アロザイム、アプタマー、デコイ、およびそのアナログといった治療上の活性分子を含む。本発明の生物学的活性分子は、例えば、脂質、およびポリアミン、ポリアミド、ポリエチレングリコールおよびその他のポリエステルのようなポリマーといった、薬物動態を調節できる、および/また他の生物学的活性分子の薬物動態を調節できる分子も含む。
本明細書で使用される「リン脂質」という語は、少なくとも1つのリン基を含む疎水性分子を指す。例えば、リン脂質は、リン含有基および飽和もしくは不飽和アルキル基、場合によってはOH、COOH、オキソ、アミン、もしくは置換アリールまたは非置換アリール基を含むことができる。
外因的に送達された治療核酸分子(例えば、siNA分子)は、最適には、RNAの逆転写がRNA転写物のレベルを減少させるのに十分長い間調節されるまで細胞内で安定である。核酸分子は、有効な細胞内の治療剤として機能するよう、ヌクレアーゼに耐性である。本発明また当該分野で述べられた、核酸分子の化学合成における改良点は、上述のようにそのヌクレアーゼの安定性を向上させるためのヌクレオチド修飾の導入によって、核酸分子の修飾の可能性を拡大した。
さらに別の態様においては、RNAiに関わるタンパク質の酵素活性を維持または向上させるような化学修飾を有するsiNA分子が提供される。そのような核酸は、未修飾核酸よりも一般的にヌクレアーゼにより耐性がある。従って、インビトロおよび/またインビボで活性は著しく低下しないはずである。
核酸に基づく本発明の分子の利用は、併用療法(例えば、異なる遺伝子を標的とした複数のsiNA分子、既知の低分子モジュレーターとカップリングされた核酸分子、もしくは異なるモチーフ、および/また化学薬品また生物学的分子といった分子の併用による断続的な治療)の可能性を提供することによって、より良い治療を導き出すだろう。siNA分子による対象の治療は、酵素的な核酸分子(リボザイム)、アロザイム、アンチセンス、2,5−Aオリゴアデニレート、デコイ、およびアプタマーのような異なるタイプの核酸分子の併用も含むkどえる。
別の側面では、本発明のsiNA分子は、例えばセンス鎖、アンチセンス鎖のみ、もしくはsiNA鎖両方に、1つ以上の5’および/または3’キャップ構造を含む。
「キャップ構造」は、オリゴヌクレオチドのどちらかの末端に組み込まれている化学修飾を指す(例として、アダミック(Adamic)ら,米国特許5,998,203を参照のこと。これは参照することで本明細書に組み込まれる)。これらの末端修飾は、核酸分子をエキソヌクレアーゼ分解から保護し、細胞内への送達および/または局在化を助ける。キャップは5’末端(5’キャップ)または3’末端(3’キャップ)もしくは両末端に存在することができる。限定を目的としない例において、5’キャップは、グリセリル、逆位のデオキシ脱塩基残基(部分)、4’,5’−メチレンヌクレオチド、1−(ベ
ータ−D−エリスロフラノシル)ヌクレオチド、4’−チオヌクレオチド、炭素環式ヌク
レオチド、1,5−無水ヘキシトールヌクレオチド、L−ヌクレオチド、アルファ−ヌクレオチド、修飾塩基ヌクレオチド、ホスホロジチオエート結合、スレオ−ペントフラノシルヌクレオチド、非環状3’,4’−セコヌクレオチド、非環状3,4−ジヒドロキシブ
チルヌクレオチド、非環状3,5−ジヒドロキシペンチルヌクレオチド、3’−3’−逆
位ヌクレオチド部分、3’−3’−逆位脱塩基部分、3’−2’−逆位ヌクレオチド部分
、3’−2’−逆位脱塩基部分、1,4−ブタンジオールリン酸、3’−ホスホラミデー
ト、ヘキシルリン酸、アミノヘキシルリン酸、3’−リン酸、3’−ホスホロチオエート
、ホスホロジチオエート、または架橋もしくは非架橋メチルホスホン酸部分を含むが、これらに限定はしない。キャップ部分の限定を目的としない例を、図10に示す。
3’キャップの限定を目的としない例は、グリセリル、逆位のデオキシ塩基残基(部分)、4’,5’−メチレンヌクレオチド、1−(ベータ−D−エリスロフラノシル)ヌク
レオチド、4’−チオヌクレオチド、炭素環式ヌクレオチド、5’−アミノアルキルリン
酸、1,3−ジアミノ−2−プロピルリン酸、3−アミノプロピルリン酸、6−アミノヘキシルリン酸、1,2−アミノドデシルリン酸、ヒドロキシプロピルリン酸、1,5−無水ヘキシトールヌクレオチド、L−ヌクレオチド、アルファ−ヌクレオチド、修飾塩基ヌクレオチド、ホスホロジチオエート、スレオ−ペントフラノシルヌクレオチド、非環状3’,4’−セコヌクレオチド、3,4−ジヒドロキシブチルヌクレオチド、3,5−ジヒ
ドロキシペンチルヌクレオチド、5’−5’−逆位ヌクレオチド部分、5’−5’−逆位
脱塩基部分、5’−ホスホラミデート、5’−ホスホロチオエート、1,4−ブタンジオ
ールリン酸、5’−アミノ、架橋および/または非架橋5’−ホスホラミデート、ホスホ
ロチオエートおよび/またはホスホロジチオエート、架橋および/または非架橋メチルホスホン酸、および5’−メルカプト部分を含むが、これらに限定されない(さらに詳細は
、参照することで本明細書に組み込まれる、ビューケージ(Beaucage)およびアイヤー(Iyer),1993,テトラヒドロン誌(Tetrahedron)49,1925を参照のこと)。
「非ヌクレオチド」は、糖および/またはリン酸置換基のいずれかを含む、核酸鎖の1つ以上のヌクレオチド単位の位置に組み込まれることができる、任意の基または化合物を意味し、それにより残りの塩基が酵素活性を示すことができる。基または化合物は、一般的に認められるアデノシン、グアニン、シトシン、ウラシルまたはチミンのようなヌクレオチド塩基を含まないという点において脱塩基であり、よって1’位の塩基が欠けている。
「アルキル」基は、直鎖、分岐鎖、および環状アルキル基を含む、脂肪族飽和炭化水素を指す。好ましくは、アルキル基は1から12の炭素を有する。より好ましくは、1から7の炭素、さらに好ましくは、1から4の炭素を持つ低アルキルである。アルキル基は、置換される場合もあり、未置換の場合もある。置換される場合には、望ましい単数または複数の置換基は、ヒドロキシル、シアノ、アルコキシ、=O、=S、NO2、またはN(CH32、アミノ、またはSHである。この用語は、直鎖、分岐鎖、および環状基を含む、少なくとも1つの炭素炭素二重結合を含む不飽和炭化水素基であるアルケニル基も含む。好ましくは、アルケニル基は1から12の炭素を有する。より好ましくは、1から7の炭素、さらに好ましくは、1から4の炭素を持つ低アルケニルである。アルケニル基は、置換されてもよく、未置換でもよい。置換される場合には、望ましい単数または複数の置換基は、ヒドロキシル、シアノ、アルコキシ、=O、=S、NO2、ハロゲン、またはN(CH32、アミノ、またはSHである。「アルキル」という用語は、直鎖、分岐鎖、および環状基を含む、少なくとも1つの炭素炭素三重結合を含む不飽和炭化水素基を持つアルキニル基も含む。好ましくは、アルキニル基は1から12の炭素を有する。より好ましくは、1から7の炭素、さらに好ましくは、1から4の炭素を持つ低アルキニルである。アルキニル基は、置換されてもよく、未置換でもよい。置換される場合、置換基は好ましくは、ヒドロキシル、シアノ、アルコシキ、−O、−S、NO2、またはN(CH32、アミノ、またはSHである。
そのようなアルキル基は、アリール、アルキルアリール、炭素環式アリール、ヘテロ環式アリール、アミドおよびエステル基を含むことができる。「アリール」基は、共役π電子系を持つ少なくとも1つの環を有し、炭素環式アリール、ヘテロ環式アリール、ビアリール基を含む芳香族基を指し、それらの全ては置換されていてもよい。アリール基の単数または複数の置換基は、ハロゲン、トリハロメチル、ヒドロキシル、SH、OH、シアノ、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびアミノ基が望ましい。「アルキルアリール」基は、アリール基(上述)に共有的に結合したアルキル基(上述)を指す。炭素環アリール基は、芳香環の環原子が全て炭素原子である基である。炭素原子は置換されていてもよい。ヘテロ環アリール基は、芳香環の環原子として、1から3のヘテロ原子を有し、残りの環原子が炭素原子である基である。適切なヘテロ原子は酸素、硫黄、および窒素を含み、またフラニル、チエニル、ピリジル、ピロリル、N−低アルキルピロロ、ピリミジル、ピラジニル、イミダゾリル、および同様の基を含み、いずれも任意で置換される。「アミド」は、Rがアルキル、アリール、アルキルアリール、もしくは水素のいずれかである場合の、C(O)−NH−Rを指す。「エステル」は、Rがアルキル、アリール、アルキルアリール、もしくは水素のいずれかである場合の、−C(O)−OR’を
指す。
本明細書で使用する「ヌクレオチド」という語は、当該分野で認められているような天然の塩基(標準)、および当該分野でよく知られている修飾塩基を指す。そのような塩基は、一般的にヌクレオチド糖部分の1’位に位置している。ヌクレオチドは一般的に、塩基、糖、およびリン酸基を含む。ヌクレオチドは、非修飾、もしくは糖、リン酸および/または塩基部分で修飾されていてもよく、(また、ヌクレオチドアナログ、修飾ヌクレオチド、非天然ヌクレオチド、非標準ヌクレオチド、などと互換的に呼ばれる。例として、前述のウスマン(Usman)およびマックスウィッゲン(McSwiggen);エックスタイン(Eckstein)ら,国際PCT公開WO92/07065;ウスマン(Usman)ら,国際PCT公開WO93/15187;前述のウールマン(Uhlman)およびパイマン(Peyman)を参照のこと。これらは全て参照することで本明細書に組み込まれる)。リンバック(Limbach)ら,核酸リサーチ(Nucleic Acids Res.),1994,22,2183に要約されているように、当該分野で知られている修飾核酸塩基の例がいくつかある。限定を目的としない核酸分子に導入可能な塩基修飾一部の例は、イノシン、プリン、ピジリン−4−オン、ピジリン−2−オン、フェニル、シュードウラシル、2,4,6−トリメトキシベンゼン、3−メチルウラシル、ジヒドロウリジン、ナフチル、アミノフェニル、5−アルキルシチジン(例えば、5−メチルシチジン)、5−アルキルウリジン(例えば、5−リボチミジン)、5−ハロウリジン(例えば、5−ブロモウリジン)、もしくは6−アザピリミジン、もしくは6−アルキルピリミジン(例えば、6−メチルウリジン)、プロピン、およびその他を含む(バーグン(Burgin)ら,1996,生化学誌(Biochemistry),35,14090;前述のウールマン(Uhlman)およびパイマン(Peyman))。この側面で「修飾塩基」は、1’位の、またはそれに同等に位置する、アデニン、グアニン、シトシン、およびウラシル以外のヌクレオチド塩基を指す。
1つの態様においては、本発明は、1つ以上のホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、メチルホスホン酸、ホスホトリエステル、モルフォリノ、アミデートカルバミン酸、カルボキシメチル、アセトアミデート、ポリアミド、スルホン酸、スルホンアミド、スルファミン酸、ホルムアセタール、チオホルムアセタール、および/またアルキルシリル、置換基を含む、リン酸骨格修飾された修飾siNA分子を特徴とする。オリゴヌクレオチド骨格修飾の概説としては、ハンジカー(Hunziker)およびリューマン(Leumann),1995,「最新合成方法における、核酸アナログ:合成と特性(Nucleic Acid Analogues:Synthesis and Properties, in Modern Synthetic Methods)」,VCH,331−417;およびメスメーカー(Mesmaeker)ら,1994,「アンチセンス研究の炭水化物修飾における、オリゴヌクレオチドのための新規の骨格交換(Novel Backbone Replacefnents for OligoTaucleotides, in Carbohydrate Modifications in Antisense Research)」,ACS,24−39を参照のこと。
「脱塩基」は、塩基が欠けた、またはその他の化学基を1’の塩基の位置に有する糖部分を意味する。例として、アダミック(Adamic)ら,米国特許5,998,203を参照のこと。
「非修飾ヌクレオシド」は、ベータ−D−リボ−フラノースの1’位の炭素に結合したアデニン、シトシン、グアニン、チミン、もしくはウラシル塩基の一つを指す。
「修飾ヌクレオシド」は、非修飾ヌクレオチド塩基、糖および/またはリン酸の化学構造に修飾を含む任意のヌクレオチド塩基を指す。限定を目的としない修飾核酸の例は、化学式I−VIIおよび/また本明細書で述べられたその他の修飾として示されている。
本発明で述べられたような2’−修飾ヌクレオチドと結合している場合、「アミノ」は、修飾され得る、または未修飾の2’−NH2または2’−O−NH2を指す。このよう
な修飾基は、例えば、エックスタイン(Eckstein)ら,米国特許5,672,695、およびマチューリック−アダミック(Matulic−Adamic)ら,米国特許6,248,878で述べられており、双方とも参照することでその全体が本明細書に組み込まれる。
核酸のsiNA構造への様々な修飾は、これらの分子の利用を向上させるために行い得る。このような修飾は、有効期限、インビトロでの半減期、安定性、例えば、細胞膜の透過性を向上させ、また標的細胞の認識能や結合能を与えることによって、標的部位へのそのようなオリゴヌクレオチドの導入の簡便さを向上させることになる。
核酸分子の投与
本発明のsiNA分子は、細胞または組織内のVEGFおよび/またはVEGFRのレベルに関連する、あるいは反応する癌、眼疾患、増殖性疾患、または血管形成関連疾患、状態、または障害、および/または任意の他の形質、疾病または状態の治療、予防、抑制、または低減に使用するために、単独で、もしくは他の療法と組み合わせて適応させることができる。
例えば、siNA分子は、リポソームを対象へ投与するための担体、希釈剤、およびその塩を含む送達手段を含むことが可能であり、および/また医薬的に許容できる製剤として存在することが可能である。核酸分子の送達の方法はアクタール(Akhtar)ら,1992,細胞生物学の傾向(TrendsCell Bio.),2,139;アンチセンスオリゴヌクレオチド治療学のための送達戦略(Delivery Strategies for Antisense Oligonucleotide Therapeutics)アクタール(Akhtar)編,1995;モウラー(Maurer)ら,1999,分子膜生物学誌(Mol. Membr. Biol.),16,129−140;ホフランド(Hofland)およびフアン(Huang),1999,実験薬理学ハンドブック(Handb. Exp. Pharmacol.),137,165−192;およびリー(Lee)ら,2000,米国癌学会シンポジウムシリーズ(ACS Symp.Ser.),752,184−192で述べられており、これらは全て参照することで本明細書に組み込まれる。べーゲルマン(Beigelman)ら,米国特許6,395,713;およびサリヴァン(Sullivan)ら,国際PCT公開WO94/02595は更に核酸分子の送達のための一般的な方法を述べている。これらのプロトコールは、事実上、任意の核酸分子の送達に利用できる。核酸分子は、当該分野の技術者に知られている様々な方法で細胞に投与することができ、その方法には、リポソームへの封入、イオン導入による方法、もしくは生分解性ポリマー、ヒドロゲル、シクロデキストリン(例として、ゴンザレス(Gonzalez)ら,1999,バイオ結合化学誌(Bioconjugate Chem.),10,1068−1074;ワン(Wang)ら,国際PCT公開WO03/47518および国際PCT公開WO03/46185を参照)、乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)およびPLGAミクロスフェア(例として、米国特許6,447,796および米国特許2002130430を参照)、生分解性ナノカプセル、および生体接着性ミクロスフェア、またはタンパク質性ベクター(オヘア(O’Hare)およびノーマンド(Normand),国際PCT公開特許WO00/53722)といった他の担体への組み込みによる方法が含まれるが、これらに限定しない。別の態様においては、本発明の核酸分子は、ポリエチレンイミン−ポリエチレングリコール−N−アセチルガラクトサミン(PEI−PEG−GAL)もしくはポリエチレンイミン−ポリエチレングリコール−トリ−N−アセチルガラクトサミン(PEI−PEG−triGAL)の誘導体のようなポリエチレンイミンとその誘導体との調剤もしくは複合体とすることも可能である。1つの態様においては、本発明の核酸分子は、参照することでその全体が本明細書に組み込まれる米国特許20030077829に記載の通り調剤される。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子は、参照することにより図を含めた全体が本明細書に組み込まれる米国特許20010007666で述べられたような膜破壊剤との複合体とされる。別の態様においては、膜破壊剤、または媒介物およびsiNA分子は、本申請の参考文献により図を含めた全体が組み込まれる米国特許6,235,310で述べられたような、脂質である陽イオン性脂質またはヘルパー脂質分子と共に複合体とされる。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子は、参照することにより図を含めた全体が本明細書に組み込まれる米国特許2003077829および国際PCT公開WO00/03683および国際PCT公開WO02/087541で述べられたような送達系との複合体とされる。
別の態様においては、眼症状(例、黄斑変性症、糖尿病性網膜症等)の治療のための化合物、分子、または組成物は、眼内に、または眼内の方法によって対象に投与される。別の態様においては、眼症状(例、黄斑変性症、糖尿病性網膜症等)の治療のための化合物、分子、または組成物は、眼周囲に、または眼周囲の方法によって対象に投与される(例えば、アルハイム(Ahlheim)ら,国際PCT公開WO03/24420を参照のこと)。1つの態様においては、siNA分子および/または製剤もしくはその組成物は、眼内に、または眼内の方法によって投与される。別の態様においては、siNA分子および/または製剤もしくはその組成物は、眼周囲に、または眼周囲の方法によって投与される。眼周囲投与は、概してsiNA分子および製剤またはその組成物を対象に投与するための低侵襲性アプローチを提供する(例えば、アルハイム(Ahlheim)ら,国際PCT公開WO 03/24420を参照のこと)。眼周囲投与の使用はまた、網膜剥離の危険性を最小限に抑え、投薬または投与の回数増加を可能にし、黄斑変性症およびその他の目の状態のための臨床上適切な投与経路を提供し、リザーバ(例、埋め込み物、ポンプまたはその他の装置)使用の可能性も提供する。1つの態様においては、本発明のsiNA化合物および組成物は、例えば注射、イオン導入(例えば、WO03/043689およびWO03/030989を参照のこと)、または埋め込み物等、眼内もしくは眼周囲経由の方法で、約1−50週間毎(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、8、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50週毎)に、単独で、もしくは本明細書に記載の他の化合物および/または療法と組み合わせて、局所的に投与される。1つの態様においては、本発明のsiNA化合物および組成物は約1−50週間毎(例、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、8、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50週毎)に、単独で、もしくは本明細書に記載の、および/または当該技術分野において周知の他の化合物および/または療法と組み合わせて、全身的に(例、静脈内、皮下、筋肉内、輸液、ポンプ、埋め込み物等を経由して)投与される。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子は、例えば特定の器官または区画(例、眼、眼底、心臓、肝臓、腎臓、膀胱、前立腺、腫瘍、CNS等)にイオン導入的に投与される。イオン導入による送達の限定を目的としない例は、例えばWO03/043689およびWO03/030989に記載されており、これらは、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子、およびその製剤または組成物は、当該技術分野において一般的に知られているように、肝臓に投与される(例として、ウェン(Wen)ら,2004,胃腸病学世界誌(World J Gastroenterol.),10,244−9;ムラオ(Murao)ら,2002,薬学研究(Pharm Res.),19,1808−14;リョウ(Liu)ら,2003,遺伝子療法(Gene Ther.),10、180−7;ホン(Hong)ら,2003,薬学および薬学ジャーナル(J Pharm Pharmacol.),54,51−8;ヘルマン(Herrmann)ら,2004,ウイルス学アーカイブ(Arch Virol.),149,1611−7およびマツノ(Matsuno)ら,2003,遺伝子療法(Gene Ther.),10,1559−66.を参照のこと)。
1つの態様においては、本発明は、本発明の核酸分子を単球およびリンパ球を含む造血細胞へ送達するための方法の使用を特徴とする。これらの方法は、ハートマン(Hartmann)ら,1998,薬理学実験療法誌(J.Phamacol.Exp.Ther.),285(2),920−928;クロネンウェット(Kronenwett)ら,1998,ブラッド誌(Blood),91(3),852−862;フィリオン(Filion)およびフィリップス(Phillips),1997,生化学と生物物理学会報(Biochim. Biophys. Acta.),1329(2),345−356;マ(Ma)およびウェイ(Wei),1996,白血病リサーチ(Leuk.Res.),20(11/12),925−930;およびボンガルツ(Bongartz)ら,1994,核酸リサーチ(Nucleic Acids Research),22(22),4681−8.に詳しく記載されている。そのような方法は、上述したように、オリゴヌクレオチドを持つ造血細胞のトランスフェクションのため、遊離オリゴヌクレオチド、陽イオン性脂質製剤、pH感受性リポソームおよび免疫リポソームを含むリポソーム製剤、および融合活性ペプチドにコンジュゲートさせたオリゴヌクレオチドを含むバイオコンジュゲートの使用を含む。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子、およびその製剤または組成物は、中枢神経系および/または末梢神経系に投与される。実験により、ニューロンによるインビボでの効率的な核酸摂取が実証されている。神経細胞への核酸の局所投与の例として、ソマー(Sommer)ら,1998,アンチセンス核酸薬剤開発(Antisense Nuc.Acid Drug Dev.),8,75が、シー・フォス(c−fos)に対して15量体ホスホロチエートアンチセンス核酸分子を脳内への微量注入によりラットに投与する研究について記載している。テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC)またはフルオレセインイソチオシアネート(FITC)で標識化されたアンチセンス分子は、注入後30分、ニューロンにより排他的に取り込まれた。拡散細胞質染色および核染色がこれらの細胞内で観察された。神経細胞への核酸の全身投与の例として、エパ(Epa)ら,2000,アンチセンス核酸薬剤開発(Antisense Nuc.Acid Drug Dev.),10,469が、神経系に分化したPC12細胞内のp75神経栄養因子受容体を標的にするためにベータ−シクロデキストリン−アダマンタン−オリゴヌクレオチドコンジュゲートを使用したインビボでのマウスの研究について記載している。2週間のIP投与に続き、p75神経栄養因子受容体アンチセンスの明白な摂取が後根神経節(DRG)細胞内で観察された。加えて、著しく連続したp75の下方制御がDRGニューロン内で観察された。ニューロンに対する核酸のターゲティングのための追加アプローチは、ブローダス(Broaddus)ら,1998,神経外科学誌(J.Neurosurg.),88(4),734;カール(Karle)ら,1997,ヨーロッパ臨床薬理学誌(Eur.J.Pharmocol),340(2/3),153;バンナイ(Bannai)ら,1998,脳研究誌(Brain Research)784(1,2),304;ラジャクマール(Rajakumar)ら,1997,シナプス(Synapse),26(3),199;ウーポン(Wu−pong)ら,1999,生物薬剤学誌(BioPharm),12(1),32;バンナイ(Bannai)ら,1998,脳研究議定書(Brain Res.Protoc.),3(1),83;シマントブ(Simantov)ら,1996,神経科学誌(Neuroscience),74(1),39に記載されている。本発明の核酸分子は従って、遺伝子発現の調節のための反復拡大対立遺伝子多型を発現する細胞への送達および細胞からの摂取に対して影響を受けやすい。REを標的とする本発明の核酸分子送達は、様々な異なる戦略により提供される。使用可能なCNS送達への従来のアプローチは、くも膜下投与および脳室内投与、カテーテルおよびポンプの埋め込み、損傷部位または病巣への直接注射、脳動脈系への注射、もしくは血液脳関門の化学的または浸透性開口部の経由を含むがこれらに限定されない。その他のアプローチには、例えばコンジュゲートおよび生分解性のポリマーの使用を介する等の、様々な輸送および搬送システムの使用が含まれ得る。さらに、例えばカプリット(Kaplitt)ら,米国特許6,180,613およびデビッドソン(Davidson),WO04/013280に記載されているような遺伝子療法アプローチを使用して、CNS内に核酸分子を発現させることができる。
1つの態様においては、本発明の核酸分子は、適切な肺組織への核酸分子の迅速な局所的摂取を提供するエアロゾルの吸引もしくは吸入装置またはネブライザーにより投与される乾燥製剤のスプレー等の肺送達を介して投与される。微粉化拡散組成物の呼吸用乾燥粒子を含む固体粒子組成物は、乾燥または凍結核酸組成物を粉末にし、次いで、例えば400メッシュスクリーンにかけて微粉化組成物を分散させる、または大きな塊を析出することによって調製できる。本発明の核酸分子組成物を含む固体粒子組成物は、治療のためのその他の化合物と同様、任意でエアロゾルの製剤を容易にするのに役立つ分散剤を含むことができる。適切な分散剤は、重量で1対1の割合等、任意の適切な割合で核酸化合物と混和することができるラクトースである。
本発明の核酸組成物を含む液体粒子のエアロゾルは、ネブライザーを使用する方法等、任意の適切な方法によって生成できる。(例えば米国特許4,501,729を参照のこと)。ネブライザーは、圧縮ガス、一般的には空気または酸素を、細いベンチュリを経由して加速する方法、もしくは超音波撹拌の方法により活性成分の溶媒または懸濁液を治療用エアロゾルミストに変換する市販の装置である。ネブライザーで使用する適切な製剤は、製剤中最大量40%w/wまで、好ましくは20%w/w未満の液体担体中の活性成分を含む。担体は一般的に水または希釈アルコール水溶液であり、好ましくは、例えば塩化ナトリウムまたはその他の適切な塩の追加により、体液と等張にできている。任意選択の添加物は、製剤が滅菌調製されていない場合、例えばヒドロキシ安息香酸メチル、酸化防止剤、香料、精油、緩衝剤および乳化剤等の保存料、ならびにその他の製剤界面活性剤を含む。活性組成物および界面活性剤を含む固体粒子のエアロゾルは、同様に、任意の固体粒子エアロゾル発生器を使用して生成できる。対象に治療用の固体粒子を投与するためのエアロゾル発生器は、上記で説明したように、呼吸用の粒子を産出し、所定量の治療用組成物をヒトへの投与に適した割合で含む一定量のエアロゾルを生成する。固体粒子エアロゾル発生器の1つの具体的タイプは、吸入器である。吸入器による投与に適切な製剤は、吸入器により送達できる、細かく粉砕した粉末を含む。吸入器内において、例えば本明細書に記載の治療を実行するのに効果的な定量の粉末は、一般的にはゼラチンまたはプラスチックでできた、原位置で孔が開けてあるか開口しているカプセルまたはカートリッジ内に入れられており、粉末は吸入器または手動ポンプを用いる装置を通した気体により送達される。吸入器内で使用される粉末は、活性成分または活性成分、ラクトース等の適切な粉末賦形剤を含む粉末混合物、および任意選択の界面活性剤のいずれか1つだけを含む。活性成分は一般的に0.1から100w/wの製剤を含む。具体的なエアロゾル発生器の第二のタイプは、定量吸入器を含む。定量吸入器は加圧型エアロゾルディスペンサーであり、一般的に、液化推進剤中に活性成分の懸濁液または製剤溶液を含む。使用中にこれらの装置は取り付けられたバルブを通して製剤を放出し、活性成分を含む微粒子スプレーを産出するために定められた量を送達する。適切な推進剤は、一定のクロロフルオロカーボン化合物、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、およびそれらの混合物を含む。製剤は、例えばエタノール、乳化剤、およびオレイン酸または三オレイン酸ソルビタン等のその他の製剤界面活性剤のような1つ以上の共溶媒、酸化防止剤、および適切な香料添加剤をさらに含むことができる。肺送達のその他の方法は、例えば米国特許出願20040037780および米国特許6,592,904;6,582,728;6,565,885に記載されている。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子およびその製剤または組成物は、当該技術分野において一般的に知られているように、真皮または濾胞に、直接または局所に(例、局在的に)投与される(例えばブランド(Brand),2001,分子治療学カレントオピニオン(Curr. Opin. Mol. Ther.),3,244−8;レグニア(Regnier)ら,1998,薬剤標的雑誌(J. Drug Target),5,275−89;カニッカナン(Kanikkannan),2002,バイオドラッグ(BioDrugs),16,339−47;ライト(Wraight)ら,2001,薬理学と治療誌(Pharmacol.Ther.),90,89−104;プリート(Preat)およびドゥジャーディン(Dujardin),2001,科学技術と実践:薬理科学誌(STP PharmaSciences),11,57−68;およびヴォート(Vogt)ら,2003,デルハウターツ(Hautarzt),54,692−8を参照のこと)。
1つの態様においては、本発明の送達系は、例えば水性および非水性のゲル、クリーム、複合的な乳剤、マイクロエマルジョン、リポソーム、軟膏、水性および非水性の溶液、ローション、エアロゾル、炭化水素基剤および粉末を含み、また溶解剤、浸透促進剤(例えば、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、およびアミノ酸)、親水性ポリマー(例えば、ポリカルボフィルおよびポリビニルピロリドン)などの賦形剤を含むことができる。1つの態様においては、医薬的に許容できる担体は、リポソームあるいは経皮的エンハンサーである。本発明で利用可能なリポソームの例は、以下を含む:(1)セルフェクチン(CellFectin)、1:1.5(M/M)陽イオン性脂質のリポソーム製剤、N,NI,NII,NIII−テトラメチル−N,NI,NII,NIII−テトラパルミット−y−スペルミンとジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)(ギブコBRL(GIBCO BRL)、(2)サイトフェクチンGSV(Cytofectin GSV)、2:1(M/M)陽イオン性脂質のリポソーム製剤およびDOPE(グレンリサーチ(Glen Research))、(3)DOTAP(N−[l−(2,3−ジオレオイルオキシ)−N,N,N−トリメチル−メチル硫酸アンモニウム](ベーリンガーマンハイム(Boehringer Manheim))、および(4)リポフェクタミン(Lipofectamine)、3:1(M/M)多価陽イオン性脂質のリポソーム製剤DOSPAおよび天然脂質のDOPE(ギブコBRL(GIBCO BRL)。
1つの態様においては、本発明の送達系は、パッチ、錠剤、座薬、膣座薬、ゲルおよびクリームを含み、溶解剤やエンハンサー(例えば、プロピレングリコール、胆汁酸塩、アミノ酸)、またその他の溶媒(例えば、ポリエチレングリコール、脂肪酸エステルとその誘導体、ヒドロキシプロピルメチルセルロースやヒアルロン酸のような親水性ポリマー)のような賦形剤を含むことができる。
1つの態様においては、本発明の経粘膜の送達系は、パッチ、錠剤、座薬、膣座薬、ゲルおよびクリームを含み、溶解剤やエンハンサー(例えば、プロピレングリコール、胆汁酸塩、アミノ酸)、またその他の溶媒(例えば、ポリエチレングリコール、脂肪酸エステルとその誘導体、ヒドロキシプロピルメチルセルロースやヒアルロン酸のような親水性ポリマー)のような賦形剤を含むことができる。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子は、ポリエチレンイミン(例えば線状または分岐したPEI)および/または、ガラクトースPEI、コレステロールPEI、抗体誘導体PEI、およびポリエチレングリコールPEI(PEG−PEI)誘導体のような、例えばグラフトされたPEI(例として、参照することで本明細書に組み込まれる、オグリス(Ogris)ら,2001,米国製薬科学者協会薬理科学誌(AAPS PharmSci),3,1−11;ファーグソン(Furgeson)ら,2003,バイオコンジュゲート化学誌(Bioconjugate Chem.),14,840−847,クナース(Kunath)ら,2002;医薬研究誌(Phramaceutical Research),19,810−817,チョイ(Choi)ら,2001;韓国化学学会紀要(Bull. Korean Chem. Soc.),22,46−52;ベッティンガー(Bettinger)ら,1999,バイオコンジュゲート化学誌(Bioconjugate Chem.),10,558−561;ピーターソン(Peterson)ら,2002,バイオコンジュゲート化学誌(Bioconjugate Chem.),13,845−854;アーバッカー(Erbacher)ら,1999,遺伝子医薬誌プレプリント(Journal of Gene Medicine Preprint),1,1−18;ゴッドビー(Godbey)ら,1999,米国科学アカデミー会報(PNAS USA),96,5177−5181,ゴッドビー(Godbey)ら,1999,放出制御誌(Journal of Controlled Release),60,149−160;ディーボルド(Diebold)ら,1999,生物学化学誌(Journal of Biological Chemistry),274,19087−19094;トーマス(Thomas)およびクリバノフ(Klibanov),2002,米国科学アカデミー会報(PNAS USA),99,14640−14645;サガラ(Sagara)、米国特許6,586,524を参照)を含むポリエチレンイミン誘導体と共に調剤または複合体とされる。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子は、バイオコンジュゲートを含み、例えば参照することにより本明細書に組み込まれるヴァーギース(Vargeese)ら,米国特許出願10/427,160,2003年4月30日申請;米国特許6,528,631;米国特許6,335,434;米国特許6,235,886;米国特許6,153,737;米国特許番号5,214,136;米国特許番号5,138,045で述べられる核酸結合体がある。
従って、本発明は、安定剤、緩衝剤および同等の許容できる担体を用いた、1つ以上の本発明の核酸を含む医薬組成物であることを特徴とする。本発明のポリヌクレオチドは、医薬組成物を形成するための安定剤、緩衝剤やそういったようなものを含む、または含まない標準的な方法で対象に投与(例えば、RNA、DNAもしくはタンパク質)、および導入される可能性がある。リポソーム送達機序が望まれる場合には、リポソーム形成のための標準的なプロトコールに従うことができる。本発明の組成物は、調剤され、クリーム、ゲル、オイル、およびその他の当該分野で知られている局所的、真皮、または経皮的な投与に適した組成物として使用される可能性もある。
本発明は、述べられている化合物の医薬的に許容できる剤形も含む。これらの剤形は、例えば、塩酸塩、臭化水素塩、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸といった、例えば酸添加塩のような上述化合物の塩を含む。
薬理成分もしくは製剤とは、例えば、全身投与、細胞または例えばヒトを含む対象へといった投与に適切な形の成分または製剤をさす。適切な形は、一つは用途、または例えば経口、経皮、もしくは注入による、といった摂取経路によって決まる。そのような形は成分または製剤が標的細胞(すなわち細胞への送達には、マイナスに荷電した核酸が望ましい)への到達を妨げないようにしなければならない。例えば、血流へ注入される薬理成分は可溶性でなければならない。その他の要素は、毒性および成分または製剤が効果を発揮するのを妨げるような剤形というような考察を含めて、当該技術分野で知られている。
1つの態様においては、本発明のsiNA分子は全身投与により医薬的に許容可能な組成物または製剤で対象に投与される。「全身投与」とは、インビボの体内吸収もしくは薬剤の血流への蓄積の後、全身くまなく分配されることを意味する。全身吸収にいたる投与経路は、静脈内、皮下、腹腔内、吸引、経口、肺内、および筋肉内を含むが、これに限定しない。これらそれぞれの投与経路は、本発明のsiNA分子を到達可能な病変組織に曝す。循環に対する薬剤全体の比率は、分子量またはサイズの関数として示されている。本発明の化合物を含んでいるリポソーム、またはその他の薬剤担体の利用は、例えば網膜内皮系(RES)の組織といった特定の組織タイプへ薬剤が局在する可能性が潜在的にある。リンパ球やマクロファージのような細胞の表面との薬剤の会合を可能にすることができるリポソーム製剤は、また有用である。このアプローチは、異常細胞に対するマクロファージやリンパ球の免疫認識の特異性の利点を活かして、標的細胞への薬剤の送達を向上させることができる。
「医薬的に許容できる製剤」または「医薬的に許容できる組成物」とは、望ましい活性のために最も適切な肉体的な部位で、本発明の核酸分子の効果的な分配を可能にする組成物または製剤を意味する。本発明の核酸分子を含む製剤のための適切な物質の限定を目的としない例は、(プルロニック(Pluronic)P85のような)P−糖タンパク質阻害剤、持続放出送達するポリ(DL−ラクチド−コグリコイド)マイクロスフェアのような生分解性のポリマー(エマーリックD.F.(Emerich, DF)ら,1999,細胞移植誌(Cell Transplant),8,47−58)、ポリシアノアクリル酸ブチルでできたような薬剤が入ったナノ粒子を含む。本発明の核酸分子のための送達戦略のその他の限定を目的としない例は、ボアード(Boado)ら,1998,薬理科学誌(J.Pliarm. Sci.),87,1308−1315;タイラー(Tyler)ら,1999,欧州生化学学会連合通信(FEBS Lett.),421,280−284;パードリッジ(Pardridge)ら,1995,米国科学アカデミー会報(PNAS USA),92,5592−5596;ボアード(Boado),1995,応用薬剤送達総説誌(Adv. Drug Delivery Rev.),15,73−107;アードリアン−ヘラーダ(Aldrian−Herrada)ら,1998,核酸リサーチ(Nucleic AcidsRes.),26,4910−4916;およびタイラー(Tyler)ら,1999,米国科学アカデミー会報(PNAS USA),96,7053−7058で述べられた素材を含む。
本発明は、ポリ(エチレングリコール)油脂(PEG修飾された、または長期循環リポソーム、またはステルスリポソーム)および本発明の核酸分子を含む表面修飾されたリポソームを含む成分の利用も特徴とする。これらの剤形は、標的組織における薬剤(例、siNA)の蓄積を増加させる手段を提供する。この種類の薬剤担体は、オプソニン作用や単核食作用形(MPSまたはRES)による排除に耐性であり、そのために血液循環時間が長くなり、封入された薬剤への組織暴露が向上する(レーシック(Lasic)ら,化学総説誌(Chem. Rev.),1995,95,2601−2627;イシワタ(Ishiwata),化学薬理学紀要(Cherra.Pharm.Bull.),1995,43,1005−1011)。このようなリポソームが、腫瘍に選択的に、おそらく血管外遊出し血管新生された標的組織での捕捉によって、蓄積するのが示されている(レーシック(Lasic)ら,サイエンス誌(Science),1995,267,1275−1276;オク(Oku),1995,生化学と生物物理学会報(Biochem.Biophys.Acta),1238,86−90)。長期循環リポソームは、特に、MPS組織に蓄積することで知られている旧来の陽イオン性リポソームと比較して、DNAおよびRNAの薬物動態と薬力学を向上させる(リュー(Liu)ら,生物化学雑誌(J.Biol.Chem.)1995,42,24864−24870;チョイ(Choi)ら,国際PCT公開WO96/10391;アンセル(Ansell)ら,国際PCT公開WO96/10390;ホーランド(Holland)ら,国際PCT公開WO96/10392)。長期循環リポソームはまた、代謝上活動的である肝臓や脾臓のようなMPS組織に蓄積するのを防ぐ能力に基づいて、陽イオン性のリポソームと比較して薬剤をヌクレアーゼ分解から大いに保護すると思われる。
本発明はまた、医薬的に許容できる担体または希釈剤中の目的とする化合物の医薬的に効果的な量を含む、保存または投与のために調製された組成物も含む。治療上の使用で許容できる担体または希釈剤は薬学分野でよく知られており、例えば、レミントンの薬剤科学(Remington’s Pharmaceutical Sciences),マ
ック出版社(Mack Publishing Co.),(A.R.ジェナーロ(A.R. Gennaro)編,1985)に記載されており、参照することにより本明細書に組み込まれる。例えば、保存料、安定剤、色素と香料剤が提供される。これらは、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、およびヒドロキシ安息香酸のエステルを含む。加えて、抗酸化剤と懸濁化剤を使用してもよい。
医薬的に効果的な用量は、病状の防止、発生の抑制、もしくは治療(ある程度の症状、好ましくは全ての症状の緩和)に必要な用量である。医薬的に効果的な用量は、疾患のタイプ、用いられる組成物、投与の経路、治療される哺乳類のタイプ、考慮すべき特定の哺乳類の肉体的な特徴、併用薬剤、および当該技術分野の熟練者に認知されるであろうその他の要因によって決まる。概して、陰性に帯電したポリマーの効能次第で、体重当たり、一日当たり、0.1mg/kgと100mg/kgの間の量の活性成分が投与される。
本発明の核酸分子およびその製剤は、経口的に、局所的に、非経口的に、吸引やスプレーで、もしくは経直腸的に、従来の非毒性の医薬的に許容できる担体、アジュバント、および/また溶剤を含む、用量単位の製剤が投与され得る。本明細書で使用される場合の、非経口的という用語は、経皮的、皮下、血管内(例、静脈内)、筋肉内、またはくも膜下注射または輸液技術および同等のものを含む。加えて、本発明の核酸分子と医薬的に許容できる担体を含む医薬製剤が提供される。1つ以上の本発明の核酸分子は、1つ以上の非毒性の医薬的に許容できる担体、および/また希釈剤、および/またアジュバント、および必要に応じて他の活性成分と共同して存在することができる。本発明の核酸分子を含む医薬組成物は、例えば錠剤、トローチ、薬用キャンディー、水性または油性の懸濁液、分散可能な粉末か顆粒、乳液、ハードまたはソフトカプセル、またはシロップまたはエリキシル剤といった、経口での使用に適切な形であり得る。
経口で使用する意図の配合は、医薬組成物の製造のために当該分野で知られている任意の方法に従って調製することができ、そのような配合は医薬品として洗練された口当たりの良い調合になるように、1つ以上の甘味料、香料、着色料、または保存料を含むことができる。錠剤は、非毒性の医薬的に許容される、錠剤の製造に適切な賦形剤との混合として活性成分を含む。それらの賦形剤は、例えば、炭酸カルシウムや炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウムのような不活性の希釈剤や、例えばコーンスターチやアルギニン酸のような整粒および崩壊剤、例えばデンプン、ゼラチンまたはアカシアのような結合剤、および例えばステアリン酸マグネシウムやステアリン酸、もしくはタルクのような潤滑剤であり得る。錠剤はコーティングなし、または従来法によってコーティングされることができる。ある場合には、そのようなコーティングは消化管での分散と吸収を遅らせ、長い期間に渡って作用を持続させるための、従来技術で調製されることができる。例えば、モノステアリン酸グリセリンやジステアリン酸グリセリンのような時間遅延剤が用いられる。
経口で使用する製剤は、活性成分が、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、もしくはカオリンといった不活性の固形希釈剤と混合されて入っている、硬質ゼラチンカプセルである場合や、もしくは活性成分が水または例えばピーナッツオイル、流動パラフィン、またはオリーブオイルといったオイル溶剤に混合された、ソフトゼラチンカプセルであることができる。
水性懸濁液は、水性懸濁液を製造するのに適切な賦形剤との混合物として活性物質を含む。そのような賦形剤は、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウムやメチルセルロース、ヒドロプロピル−メチルセルロース、アルギニン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガム、アカシアガムのような懸濁剤であり、分散剤や湿潤剤は、例えば、レシチンのような天然リン脂質、または例えばステアリン酸ポリオキシエチレンのような酸化アルキレンと脂肪酸の天然の縮合生成物、または例えばヘプタデカチレンオキシセタノールのような酸化エチレンと長鎖脂肪族アルコールの縮合生成物、またはポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートのようなエチレンオキサイドと脂肪酸とヘキシトール由来の部分エステルとの縮合生成物、またはポリエチレンソルビタンモノオレエートのようなエチレンオキサイドと脂肪酸とヘキシトール無水物由来の部分エステルとの縮合生成物であることができる。水性懸濁液は、例えばエチル、またはn−プロピル−p−パラオキシ安息香酸といった1つ以上の保存料、もしくは1つ以上の着色料、1つ以上の香料、および1つ以上のサッカロースやサッカリンのような甘味料を含むことができる。
油性懸濁液は、例えば、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油、もしくはココナッツオイルのような植物性オイル、もしくは流動パラフィンのような鉱物油中に活性成分を懸濁することによって調剤することができる。油性懸濁液は、例えば蜜ろう、固形パラフィン、もしくはセチルアルコールのような増粘剤を含むことができる。甘味料と香料が、口当たりの良い経口製剤になるよう加えることができる。これらの組成物はアスコルビン酸のような抗酸化剤の添加によって保存することができる。
水の添加による水性懸濁液の調製に適切な分散可能な粉末および顆粒は、分散剤、もしくは湿潤剤、懸濁剤、および1つ以上の保存料との混合剤として活性成分を提供する。適切な分散剤または湿潤剤、または懸濁剤は、既に上で例示されたものである。例えば甘味料、香料、着色料といった付加的な賦形剤が与えられることができる。
本発明の医薬組成物は、水中油型乳剤の剤形もあり得る。油層は植物油または鉱物油、またはその混合物であり得る。適切な乳化剤は、例えばアカシアガム、トラガカントガムといった天然のガムや、例えばダイズレシチン、および、例えばソルビタンモノオレエートといった脂肪酸とヘキシトール、無水物由来のエステルまたは部分エステルといった天然のリン脂質や、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートのような部分エステルとのエチレンオキサイドとの縮合生成物であり得る。また乳液は、甘味料と香料を含むことができる。
シロップやエリキシル剤は、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、グルコース、またはサッカロースといった甘味料とともに調剤され得る。そのような製剤は、粘滑剤、保存料、および香料と着色料を含むことができる。医薬組成物は注射可能な滅菌水性懸濁液、または油性懸濁液の形に含まれることができる。この懸濁液は、上述の当該分野で知られている適切な分散剤もしくは湿潤剤、および懸濁剤を用いて調製され得る。滅菌注射製剤は、例えば1,3−ブタンジオール溶液のような、非毒性の非経口的に許容できる希釈剤または溶剤の滅菌注射溶液、または懸濁液であることができる。許容できる賦形剤および溶媒のなかで使用できるものは、水、リンガー溶液、等張の塩化ナトリウム溶液である。加えて、滅菌された不揮発性油が、溶媒または懸濁媒体として通常用いられる。この目的のために、合成モノグリセリド、もしくはジグリセリドを含めて、任意の平凡な不揮発性油が用いられ得る。加えて、オレイン酸のような脂肪酸が注射製剤に用いられる。
本発明の核酸分子は、例えば、経直腸投与のための薬剤として、座薬の形でも投与することができる。これらの配合は、通常の温度では固体だが、直腸の温度では液体で、従って直腸で融けて薬剤が放出されるような、適切な刺激性のない賦形剤と混合して薬剤を調製することができる。そのような素材には、ココアバターおよびポリエチレングリコールが含まれる。
本発明の核酸分子は、滅菌溶媒で非経口的に投与することができる。薬剤は、溶媒と用いられる濃度によるが、溶媒に懸濁もしくは溶解することができる。局部麻酔、保存料、緩衝剤のような都合の良い補助剤を溶媒に溶解することができる。
体重キログラム当たり、一日当たり約0.1mgから約140mgのオーダーの投与量レベルが上述の病状の治療に有用である(対象につき、一日当たり、約0.5mgから約7g)。一回の投薬形態にするために担体物質と混合される活性成分の量は、治療されるホストと特定の投与方法によって様々である。投薬量単位の様式は通常約1mgから約500mgの間の活性成分を含む。
任意の特定対象への特定の投与量レベルは、用いられる特定の化合物の活性、年齢、体重、一般的な健康状態、性別、食習慣、投与の時間、投与経路、および排出率、薬剤の組み合わせと治療中の特定の疾患の重症度を含む様々な要因によって決まることが分かっている。
ヒト以外の動物への投与には、組成物は動物飼料や飲み水に加えることができる。動物が医薬的に適切な量の組成物をその食餌と共に摂取するように、動物飼料や飲み水の組成物として調剤すると便利であろう。飼料もしくは飲み水に添加するプレミックスとして組成物を提示するのも便利であろう。
本発明の核酸分子は、全体的な治療効果を増大させるために、その他の治療化合物との組み合わせで対象に投与されることができる。ある徴候を治療するための多数の化合物の使用は、薬効を増大させる一方で副作用を軽減することができる。
1つの態様においては、本発明は特定の細胞タイプへの本発明の核酸分子の投与に適した組成物を含む。例えば、アシアロ糖タンパク質受容体(ASGPr)(ウー(Wu)およびウー(Wu)、1987、生物化学雑誌(J.Biol.Chem.)262、4429−4432)は肝細胞に独特であり、アシアロオロソムコイド(ASOR)のような分岐したガラクトース末端をもつ糖タンパク質に結合する。別の態様においては、葉酸受容体は多くのガン細胞で過剰発現されている。そのような糖タンパク質、合成糖結合体、または葉酸の受容体への結合は、オリゴ糖鎖の分岐の度合いに強く依存した親和性によって行われ、例えば、三分岐構造(triantennary)、二分岐鎖(biantennary)、単鎖(monoantennary)より強い親和性で結合する(バエンツィガー(Baenziger)およびフィート(Fiete),1980,セル誌(Cell),22,611−620;コノリー(Connolly)ら,1982,生物化学雑誌(J.Biol.Chem.),257,939−945)。リー(Lee)およびリー(Lee)、1987、糖結合体雑誌(Glycoconjugate J.)、4、317−328、は、ガラクトースと比較して受容体に対してより高い親和性を有するN−アセチル−D−ガラクトサミンを炭水化物部位として用いてこの高特異性を得た。「クラスター形成効果」は、マンノシル末端糖タンパク質または糖結合体の結合および取り込みについて述べられている(ポンピポム(Ponpipom)ら,1981,医化学雑誌(J.Med.Chem),24,1388−1395)。外因化合物を、細胞膜を越えて輸送するためのガラクトース、ガラクトサミン、または葉酸の結合体の利用は、例えば肝臓疾患の治療、肝臓癌、またはその他の癌を標的とした送達アプローチを提供することができる。バイオコンジュゲートの利用は、治療に必要な治療化合物の必要用量の低減をも提供することができる。さらに、治療上の生物利用能、薬力学上、薬物動態上のパラメーターは本発明の核酸バイオコンジュゲートの利用を通じて調節することができる。限定を目的としないそのようなバイオコンジュゲートの例が、ヴァーギース(Vargeese)ら,米国特許出願10/201,394、2001年8月13日申請、およびマトゥリック−アダミック(Matulic−Adamic)ら,米国特許出願60/362,016、2002年3月6日申請、で述べられている。
代替として、本発明の特定のsiNA分子は真核生物プロモーターの細胞内で発現することができる(例、アイザン(Izant)およびワイントローブ(Weintraub),1985,サイエンス誌(Science),229,345;マクギャリー(McGarry)およびリンドキスト(Lindquist),1986,米国化学アカデミー会報(Proc.Natl.Acad.Sci.,USA)83、399,スキャンロン(Scanlon)ら,1991,米国化学アカデミー会報(Proc.Natl.Acad.Sci.,USA),88、10591−5,カシャニ−サベット(Kashani−Sabet)ら,1992,アンチセンス研究開発(Antisense Res.Dev.),2,3−15,ドロパリック(Dropulic)ら,1992,ウイルス学雑誌(J.Virol.),66,1432−41,ウィラシンゲ(Weerasinghe)ら,1991,ウイルス学雑誌(J.Virol.),65、5531−4オジュワン(Ojwang)ら,1992,米国化学アカデミー会報(Proc.Natl.Acad.Sci.,USA),89,10802−6;チェン(Chen)ら,1992,核酸リサーチ(Nucleic Acids Res)20,4581−9;サーバー(Sarver)ら,1990,サイエンス誌(Science),247,1222−1225;トンプソン(Thompson)ら,1995,核酸リサーチ(Nucleic Acids Res.),23,2259;グッド(Good)ら,1997,遺伝子療法(Gene Therapy),4,45)。それらの当該技術分野の熟練者は、任意の核酸が適切なDNA/RNAベクターから真核細胞中に発現できることを認識している。そのような核酸の活性は、酵素核酸による一次転写産物からの放出により増大できる(ドレイパー(Draper)ら,PCT WO93/23569,およびサリバン(Sullivan)ら,PCT WO94/02595;オーカワ(Ohkawa)ら,1992,核酸シンポジウムシリーズ(Nucleic Acids Symp.Ser.),27,15−6;タイラ(Taira)ら,1991,核酸リサーチ(Nucleic Acids Res.),19,5125−30;ベンチュラ(Ventura)ら,1993,核酸リサーチ(Nucleic Acids Res.),21,3249−55;チョウリラ(Chowrira)ら,1994,生物化学雑誌(J.Biol.Chem.),269,25856。
本発明の別の側面において、本発明のRNA分子は、DNAまたはRNAベクターに挿入された転写単位(例えばクチュール(Couture)ら,1996,ティーアイジー(TIG.),12,510を参照)から発現させることができる。組み替えベクターは、DNAプラスミド、もしくはウイルスベクターであることができる。siNAを発現するウイルスベクターは、これに限定はしないが、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、もしくはアルファウイルスに基づいて構築することができる。別の態様においては、ポリメラーゼIIIベースの構造は本発明の核酸分子発現に使用される(例えばトンプソン(Thompson)、米国特許5,902,880および6,146,886を参照)。siNA分子発現が可能な組み替えベクターは上述のように送達され、標的細胞内にとどまることができる。代替として、ウイルスベクターを使用して核酸分子の一時的発現を提供することができる。そのようなベクターは必要に応じて繰り返し投与されることができる。一度発現すると、siNA分子は標的mRNAと相互作用しRNAi応答を生成する。siNA分子発現ベクターの送達は、静脈内または筋肉内投与、または対象から外植された標的細胞への投与、続いてその対象への再導入、または望ましい標的細胞への導入を可能にするその他の任意の方法等による全身性であることができる(クチュール(Couture)ら,1996,ティーアイジー(TIG.),12,510を参照)。
一側面において本発明は少なくとも1つの本発明のsiNA分子をコード化する核酸配列を含む発現ベクターを特徴とする。発現ベクターは、siNA二重鎖の一方または両方の鎖、もしくはsiNA二重鎖に自家交雑する単一の自己相補的な鎖をコード化することができる。本発明のsiNA分子をコード化する核酸配列は、siNA分子の発現を可能にする方法で使用可能なように結合することができる(例えばポール(Paul)ら,2002,ネイチャーバイオテクノロジー誌(Nature Biotechnology),19,505;ミヤギシ(Miyagishi)およびタイラ(Taira),2002、ネイチャーバイオテクノロジー誌(Nature Biotechnology),19,497,リー(Lee)ら,2002,ネイチャーバイオテクノロジー誌(Nature Biotechnology),19,500;およびノビナ(Novina)ら,2002,ネイチャーメディシン誌(Nature Medicine),電子版デジタルオブジェクト識別子:10.1038/nm725を参照)。
別の側面では、本発明は、a)転写開始領域(例、真核性ポリメラーゼI、IIまたはIII開始領域)、b)転写終結領域(例、真核性ポリメラーゼI、IIまたはIII終結領域)、および、c)少なくとも1つの本発明のsiNA分子をコード化する核酸配列を含み、ここで前記配列は前記開始領域および前記終結領域にsiNA分子の発現および/または送達を可能にする方法で使用可能なように結合している、発現ベクターを特徴とする。ベクターは任意で本発明のsiNAをコード化する配列の5’側または3’側に結
合するタンパク質の読み取り枠(ORF)、および/またはイントロン(介在配列)を含むことができる。
siNA分子配列の転写は、真核性RNAポリメラーゼI(pol I)、RNAポリメラーゼII(pol II)、またはRNAポリメラーゼIII(pol III)のプロモーターから開始されることがある。polIIまたはpolIIIプロモーターからの転写は細胞内において高いレベルで発現され、所定の細胞タイプにおける所定のpolIIレベルは周辺に存在する遺伝子調節配列の性質による(エンハンサー、サイレンサー等)。原核生物RNAポリメラーゼ酵素は適切な細胞内で発現されることを条件として、原核生物RNAポリメラーゼプロモータ−も使用される(エルロイ−ステイン(Elroy−Stein)およびモス(Moss),1990,米国化学アカデミー会報(Proc.Natl.Acad.Sci.USA),87,6743−7,ガオ(Gao)およびファング(Huang)1993,核酸(Nucleic Acids Res.),21,2868−72,リーバー(Liever)ら,1993,酵素学手法(Methods Enzymol.),217,47−66,チョウ(Zhou)ら,1990,分子細胞生物学(Mol Cell.Biol.),10,4529−37)。複数の調査者によって、そのようなプロモーターから発現する核酸分子が哺乳類細胞において機能し得ることが実証された(例、カシャニ−サベット(Kashani−Sabet)ら,1992,アンチセンス研究開発(Antisense Res.Dev.),2,3−15;オジュワング(Ojwang)ら,1992,米国化学アカデミー会報(Proc.Natl.Acad.Sci.USA),89,10802−6;チェン(Chen)ら,1992,核酸リサーチ(Nucleic Acids Res.),20,4581−9;ユー(Yu)ら,1993,米国化学アカデミー会報(Proc.Natl.Acad.Sci.USA),90,6340−4;リュイリエール(L’Huillier)ら,1992,欧州分子生物学協会誌(EMBO J.),11,4411−8;リジューイック(Lisziewicz)ら,1993,米国化学アカデミー会報(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A),90,8000−4;トンプソン(Thompson)ら,1995,核酸リサーチ(Nucleic Acids Res.),23,2259;スレンガ−(Sullenger)およびセック(Cech),1993,サイエンス誌(Science),262,1566)。さらに詳しくは、U6低分子核(snRNA)、トランスファーRNA(TRNA)およびアデノウイルスVA RNAをコード化する遺伝子から派生したような転写単位は、細胞中のsiNAのような高濃度の望ましいRNA分子を生成するのに有効である(トンプソン(Thompson)ら(前述);クチュール(Couture)およびスティンチコム(Stinchcomb),1996(前述);ヌーンバーグ(Noonberg)ら,1994,核酸リサーチ(Nucleic Acid Res.),22、2830;ヌーンバーグ(Noonberg)ら,米国特許5,624,803,グッド(Good)ら,1997,遺伝子療法(Gene ther.),4,45,ベーゲルマン(Beigelman)ら,国際PCT公開WO96/18736)。上述のsiNA転写単位は、プラスミドDNAベクター、ウイルスDNAベクター(アデノウイルスまたはアデノ随伴ウイルスベクター等)またはウイルスRNAベクター(レトロウイルスまたはアルファウイルスベクター)を含むがこれに限定されない、哺乳類細胞に導入する様々なベクターに組み込むことができる(クチュール(Couture)およびスティンチコム(Stinchcomb),1996(前述)を参照)。
一側面において本発明は、siNA分子の発現を可能にする方法で本発明のsiNA分子の少なくとも1つをコード化する核酸配列を含む発現ベクターを特徴とする。発現ベクターは、1つの実施形態において、a)転写開始領域、b)転写終結領域、およびc)少なくとも1つの本発明のsiNA分子の鎖をコード化する核酸配列を含み、ここで前記配列は前記開始領域および前記終結領域にsiNA分子の発現および/または送達を可能にする方法で使用可能なように結合している。
別の態様においては、発現ベクターは、a)転写開始領域、b)転写終結領域、c)読み取り枠、およびd)少なくとも1つのsiNA分子の鎖をコード化する核酸配列を含み、ここで配列は読み取り枠の3’端に使用可能なように結合しており、またここで配列は開始領域、読み取り枠および終結領域にsiNA分子の発現および/または送達を可能にする方法で使用可能なように結合している。さらに別の態様においては、発現ベクターはa)転写開始領域、b)転写終結領域、c)イントロン、d)少なくとも1つのsiNA分子をコード化する核酸配列を含み、ここで配列は開始領域、イントロンおよび終結領域にsiNA分子の発現および/または送達を可能にする方法で使用可能なように結合している。
別の態様においては、発現ベクターは、a)転写開始領域、b)転写終結領域、c)イントロン、d)読み取り枠、およびe)少なくとも1つのsiNA分子の鎖をコード化する核酸配列を含み、ここで配列は読み取り枠の3’端に使用可能なように結合しており、
またここで配列は開始領域、イントロン、読み取り枠および終結領域にsiNA分子の発現および/または送達を可能にする方法で使用可能なように結合している。
VEGFおよび/またはVEGFR生物学および生物化学
以下の考察は、R&Dシステム(R&D Systems)社から翻案した、サイトカインミニレビュー(Cytokine Mini Reviews),血管内皮増殖因子(Vascular Endothelial Growth Factor)(VEGF),著作権c2002 R&Dシステム(R&D Systems)。血管形成とは、新しい血管を既存の血管系から開発する過程である。それは多くの疾患における多数の役割同様、胚発生、組織の正常な成長、創傷治癒、女性の生殖周期(例、排卵、月経、および胎盤発育)において不可欠な役割を果たす。腫瘍は新しく血液供給を開発しないと、数ミリメートルを越えるサイズには成長できないため、特に癌に関心が向けられている。血管形成はまた、癌細胞の転移の拡大および成長に必要とされる。
内皮細胞が成長し生存するための重要な要素のうちの1つに、血管内皮増殖因子(VEGF)がある。VEGFは、血管形成および内皮細胞増殖を含み、脈管形成を調整する上で重要な役割を果たす。VEGFは、45kDaのホモ二量体として分泌されるヘパリン結合糖タンパク質である。多くの種類の細胞は、通常は内皮細胞自身ではないが、VEGFを分泌する。初期に発見されたVEGFおよびVEGF−Aは、血管透過性を高めたので、それは血管透過性因子として知られるようになった。加えてVEGFは、一部では内皮細胞の中の一酸化窒素シンターゼの刺激を介して、血管拡張を起こす。VEGFはまた細胞移動を刺激し、アポトーシスを抑制する。
いくつかのVEGF−Aのスプライスバリアントが存在する。主なものには、121、165、189および206アミノ酸(aa)が含まれ、それぞれ特定のエクソンの付加を含む。VEGF165が最も優勢なタンパク質であるが、VEGF121の転写物がより豊富な場合がある。VEGF206は稀にしか発現しないが、胎児肝臓内でのみ検出されている。最近では、145および183aaのその他のスプライスバリアントもまた詳述されている。165、189、および206aaスプライスバリアントは、ヘパリン結合ドメインを持ち、それが細胞外マトリックスへの固定を助け、ヘパリン硫酸への結合およびVEGF 受容体へaの提示に関与する。そのような提示は、VEGFの有効性にとって重要な要素である(例、ヘパリン結合形はより活性である)。その他のいくつかのVEGF群のメンバーが、VEGF−B、−C、および−Dを含めてクローン化されてきた。胎盤成長因子(PlGF)はまた、VEGF−Aと密接に関連している。VEGF−A、−B、−C、−DおよびPlGFは、すべて血小板由来成長因子−Aおよび−Bと遠い親戚関係にある。VEGF−B、−C、および−Dの機能や調節に関してはあまり知られていないが、それらはVEGF−Aを調節する主要な経路によっては調節されないようである。
VEGF−A転写は、低酸素状態に反応して、また活性化された腫瘍遺伝子によって可能となる。転写因子、低酸素誘導因子−1a(hif−1a)および−2aは、正常酸素圧下でプロテオソームにより分解され、低酸素状態で安定化される。この経路は、フォン・ヒッペル・リンドウ遺伝子産物に依存する。Hif−1aおよびhif−2aは、細胞核内で、アリール炭化水素核輸送体でヘテロ二量体化し、VEGFプロモーター/エンハンサーを結合する。これは、ほとんどの種類の細胞で発現される主要な経路である。低酸素状態の誘発性が、その他のVEGF群のメンバーや血管新生因子に対して、VEGF−Aを特に特徴づける。正常酸素圧下でのVEGF転写は上皮増殖成長因子受容体やerbB2のような、H−rasやいくつかの膜貫通型チロシンキナーゼを含めて、多くのに腫瘍遺伝子よって活性化される。これらの経路がともに、正常な組織と比べて腫瘍内での著しいVEGF−Aの上方調節の主な原因となり、しばしば予後に重要である。
VEGFには3つの受容体がある。それらは共通の特性として、複数のIgGに似た細胞外ドメインおよびチロシンキナーゼ活性を有する。VEGF受容体1(VEGFR1、またFlt−1としても知られている)、VEGFR2(KDRあるいはFlk−1としても知られている)、およびVEGFR3(Flt4としても知られている)の酵素ドメインは、挿入配列によって分割される。内皮細胞はまた、さらにVEGF受容体、ニューロピリン−1およびニューロピリン−2を発現する。VEGF−AはVEGFR1およびVEGFR2に、そしてニューロピリン−1およびニューロピリン−2に結合する。PlGFとVEGF−BがVEGFR1とニューロピリン−1を結合する。VEGF−Cと−DがVEGFR3とVEGFR2を結合する。
VEGF−CおよびVEGFR3経路がリンパの増殖には重要である。VEGFR3は特にリンパ管内皮上に発現する。可溶形のFlt−1は末梢血で検出でき、VEGFにとって高い親和性を持つリガンドである。水溶性のFlt−1はVEGFの機能を中和させるために使用できる。VEGFR1およびVEGFR2は、腫瘍および増殖する内皮細胞内で、部分的には低酸素状態により、またVEGF−A自体に反応して、上方調節される。VEGFR1およびVEGFR2は、PLC−g、Ras、Shc、Nck、PKCおよびPI3−キナーゼのようなタンパク質を介して、複数の下流シグナル伝達経路と相互作用できる。VEGFR1はVEGFR2より高い親和性を持ち、運動性と血管透過性を媒介する。VEGFR2が増殖には必要である。
VEGFは患者の血漿および患者の血清試料の療法で検出され、血清中にはより多く含まれる。血小板は凝集する際にVEGFを放出し、腫瘍へのVEGF送達の主要な原因となりうる。いくつかの研究が、VEGFの高い血中濃度と癌患者の予後の悪さとの関連が、高められた血小板数と相関関係にある可能性を示している。多くの腫瘍は、骨髄中で巨核球の生成を刺激できるサイトカインを放出し、血小板数を高める。これにより、VEGFの腫瘍への送達を間接的に増大する結果となる。
VEGFは機能強化された血管形成と関連するその他のいくつかの病態に関係があるとされている。例えば、VEGFは乾癬および関節リウマチの両方で役割を果たす。糖尿病性網膜症は、VEGFの高い眼球内レベルと関連する。VEGF機能の抑制により、黄体機能の遮断により不妊症となることがある。腫瘍の成長におけるVEGFの重要性の直接的な実証が、VEGF39あるいはVEGFR2への抗体の遮断と同様、インビボの増殖を遮断するために、優性抑制VEGF受容体を用いて達成されている。
VEGFを標的とする低分子干渉核酸分子、および相当する受容体およびリガンドの使用は、従って癌、増殖性疾患、あるいはその他のVEGFおよび/またはVEGFR遺伝子の調節に反応する任意の疾患あるいは状態の診断および治療に使用可能な新規治療薬を提供する。
以下は、本発明の核酸の選択、単離、合成および活性を示す、限定を目的としない例である。
実施例1:siNA構造のタンデム合成
典型的な本発明のsiNA分子を、例えばスクシニルに基づくリンカーのような切断可能なリンカーを用いて、タンデムに合成する。本明細書で述べたように、タンデム合成の後、高収量でRNAi分子を供給するワンステップ精製過程が行われた。このアプローチは、高処理能力のRNAiスクリーニングの一助としてsiNA合成に適しており、マルチカラムもしくはマルチウェルシステムプラットホームに容易に適応することができる。
siNAオリゴと5端のジメトキシトリチル(5’−O−DMT)基がそのまま残った(トリチルオン合成)相補オリゴのタンデム合成の完了後、オリゴヌクレオチドは上述のように脱保護される。脱保護後、siNA配列鎖は自然にハイブリダイズされる。このハイブリダイゼーションは、一方の鎖が5’−O−DMT基を保持し、一方で相補鎖が末端5’−ヒドロキシルを含む二重鎖を生じる。一方の分子のみがジメトキシトリチル基を持つにも関わらず、新規に形成された二重鎖は、ルーチンの固相抽出精製(トリチルオン精製)の間、単一分子のように振舞う。この鎖は安定な二重鎖を形成するため、このジメトキシトリチル基(またはその他のトリチル基、またはその他の疎水性部分のような同等の基)だけで、例えばC18カートリッジを用いることによって、一対のオリゴを精製することができる。
逆位のデオキシ脱塩基コハク酸、またはグリセリルコハク酸リンカー(図1参照)、または同等の切断可能なリンカーのようなタンデムリンカーを導入する目的で、標準的なホスホラミダイト合成化学反応を用いる。限定を目的としないリンカーカップリング条件で利用可能な例は、ブロモトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBrOP)のような活性化試薬の存在下で、ジイソプロピルエチルアミン(DIPA)および/またDMAPのような障害塩基を含む。リンカーをカップリングした後、標準的な合成化学反応を利用して、末端の5’−O−DMTをそのまま残したままの第二配列の合成を完了させる。合成後、この結果合成されたオリゴヌクレオチドを、本明細書に記載した手順に従って脱保護し、例えば50mM NaOAcまたは1.5M NH4H2CO3のような適切なバッファーでクェンチする。
siNA二重鎖の精製は、例えば、ウォーターズ社(Waters)のC18 SepPak lgカートリッジを用いて、1カラム容量(CV)のアセトニトリル、2CVのH2O、および2CVの50mM NaOAcで、固相抽出精製を用いて容易に達成される。試料をロードした後、1CVのH2Oまたは50mM NaOAcで洗浄する。故障配列をI CV 14% ACN(50mM NaOAcと50mM NaCIの水溶液)で溶出する。カラムをその後、例えば1CVのH2Oで洗浄し、次いで、例えば1CVの1%のトリフルオロ酢酸(TFA)水溶液をカラムに通した後、2回目の、1CVの1%のTFA酢酸水溶液をカラムに加え約10分間放置することによって、カラム上、脱トリチル化を行う。残留TFA溶液を除き、カラムをH2O、次いで1CVの1M NaCI、さらにH2Oで洗浄する。siNA二重鎖産物をその後、例えば、1CVの20%CAN水溶液を用いて溶出する。
図2は、精製されたsiNA構造のMALDI−TOF質量分析の例であり、それぞれのピークは、siNA二重鎖のそれぞれのsiNA鎖の計算上の質量に一致する。同一の精製siNAは、キャピラリーゲル電気泳動(CGE)による解析では三つのピークを与え、一つのピークはおそらく二重鎖siNAに相当し、二つのピークはおそらく分離したsiNA配列鎖に相当する。同一のsiNA構造のイオン交換HPLC分析では、単一ピークのみを示す。精製siNA構造の、後述のルシフェラーゼレポーターアッセイを用いたテストでは、別々に合成されたオリゴヌクレオチド配列鎖から生成されたsiNA構造と比較して、同等のRNAi活性が示された。
実施例2:任意のRNA配列中の潜在的siNA標的部位の特定
ウイルスやヒトmRNA転写物のような、関連のRNA標的の配列は、例えば、コンピューターの折り畳みアルゴリズムを用いることによって標的部位を選別する。限定を目的としない例において、ジンバンクのようなデータベース由来の遺伝子配列またはRNA遺伝子転写物を用いて、その標的に相補性を持つsiNA標的を生成する。このような配列はデータベースから得ることができ、もしくは当該分野で知られているように、実験的に決定することができる。例えば変異や欠失を含んでいるリボザイム、またはアンチセンス、または疾患や病状、形質、遺伝子型もしくは表現型に関連していることが知られているそれらの部位といった、例えばその他の核酸分子の研究に基づく効果的な標的部位であると決定された既知の標的部位は、その部位を標的とするsiNA分子のデザインに用いることができる。標的RNA中のどの部位が最も適切な標的部位かを決定するために、様々なパラメーターが用いられる。これらのパラメーターは、RNAの2次、3次構造、標的配列のヌクレオチド塩基組成、標的配列の様々な領域間の相同性の程度、またはRNA転写物中の標的配列の相対位置を含むが、これらに限定はされない。これらの決定に基づいて、siNA分子の効率の選別のためにRNA転写物中に任意の数の標的部位を、例えば、インビトロRNA切断アッセイ、細胞培養、または動物モデルを用いて選ぶことができる。限定を目的としない例において、用いられるsiNA構造のサイズに応じ、転写産物内に1から1000の任意の標的部位が選ばれる。当該分野で知られているマルチウェルまたはマルチプレートアッセイ、またはsiNAの組み合わせライブラリーのスクリーニングアッセイ方法を用いることによって、siNA分子のスクリーニングのための標的遺伝子の発現の効果的な減少を測定する高処理能力のスクリーニングアッセイが開発可能である。
実施例3:RNA中のsiNA分子標的部位の選択
以下の限定を目的としない方法を用いて、遺伝子配列または転写物を標的とするsiNAを選択することができる。
1.標的配列は、標的配列中に含まれる全ての断片のリスト、または特定の長さの部分配列、例えば23ヌクレオチドの断片のリストとしてコンピューター上で解析される。この手法は、一般的には特注のパールスクリプトを用いて行われるが、オリゴ(Oligo)、マックベクター(MacVector)、またはGCGウィスコンシンパッケージ(GCG Wisconsin Package)でも同様に使用することができる。
2.ある例ではsiNAは1つより多い標的配列に対応し、それは例えば同じ遺伝子の異なる転写物を標的としたり、1つより多い遺伝子の異なる転写物を標的としたり、またはヒト遺伝子と動物の相同遺伝子両方を標的とする事例である。この場合、特定の長さの部分配列のリストがそれぞれの標的に対して作成され、次にそれぞれのリストで一致する配列を見つけるために比較が行われる。ほとんどの、または全ての標的配列に存在している部分配列を見つけるのを目的として、部分配列は任意の配列を含む標的配列の数によって順位付けされる。あるいは、この順位付けは変異標的配列のような、標的配列に固有の部分配列を特定することができる。このようなアプローチは、正常配列の発現には影響せずに変異配列を特異的に標的とするためのsiNA使用を可能にするであろう。
3.ある例では、siNA部分配列が望ましい標的配列には存在するが、1つ以上の配列では欠失しており、このようなパラログファミリー遺伝子が存在する遺伝子をsiNAが標的とする場合には、パラログは標的から外れることになる。上述の事例2として、特定の長さの部分配列のリストがそれぞれの標的に対して作成され、次にそれぞれのリストで標的遺伝子に存在するが、標的としないパラログには存在しない配列を見つけるために比較が行われる。
4.順位付けされたsiNA部分配列はさらに解析され、GC含有量によって順位付けすることができる。GCを30−70%含んでいる部位に優先順位が与えられ、GCを40−60%含んでいる部位にさらに優先順位が与えられる。
5.順位付けされたsiNA部分配列はさらに解析され、自己折り畳みと内部ヘアピンによって順位付けすることができる。弱い内部折り畳みが優先で、強いヘアピン構造は避けられるべきである。
6.順位付けされたsiNA部分配列はさらに解析され、配列中にGGGまたはCCCの連続があるかどうかによって順位付けすることができる。いずれかの鎖のGGG(もしくは更に多くのG)は、オリゴヌクレオチド合成に問題を生じる場合があり、またRNAi活性を妨げる恐れがあり得るので、ほかにふさわしい配列があれば避ける。CCCは、アンチセンス鎖にGGGを配置するので、標的鎖中で検索される。
7.順位付けされたsiNA部分配列は更に解析され、配列の3’端にUUのジヌクレオチド(ウリジンジヌクレオチド)を有するかどうか、および/または配列の5’端にAA(アンチセンス配列に3’UUをもたらす)があるかどうかによって順位付けすることができる。これらの配列は、末端TTチミジンジヌクレオチドのsiNA分子をデザインできる。
8.上述したような順位付けされた部分配列のリストから、4つか5つの標的部位を選ぶ。例えば、23ヌクレオチドを有する部分配列においては、それぞれ選ばれた23塩基長の配列の右21ヌクレオチドがデザインされ、siNA二重鎖の上側の(センス)鎖として合成され、一方、それぞれ選ばれた23塩基長の配列の左21ヌクレオチドの逆方向の相補ヌクレオチドがデザインされ、siNA二重鎖の下側の(アンチセンス)鎖として合成される(表IIおよびIII参照)。末端TT残基が(第7段落で述べたように)配列に望まれる場合、センスおよびアンチセンス双方の鎖の二つの3’末端ヌクレオチドはオリゴの合成前にTTに置き換えられる。
9.最も活性が高いsiNA分子を特定するため、または標的RNA配列中の最も望ましい標的部位を特定するために、インビトロ、細胞培養、または動物モデル系でスクリーニングする。
10.標的核酸配列を選択する際にはその他のデザイン考察を使用することができ、例えばレナルズ(Reynolds)ら,2004,ネイチャーバイオテクノロジー電子出版(Nature Biotechnology Advanced Online Publication),2004年2月1日,電子版デジタルオブジェクト識別子:10.1038/nbt936およびウイテイ(Ui−Tei)ら,2004,核酸リサーチ(Nucleic Acids Research),32,電子版デジタルオブジェクト識別子:10.1093/nar/gkh247を参照のこと。
代替のアプローチにおいて、VEGFおよび/またはVEGFRに特異的なsiNA構造のプールは、HUVEC、HMVEC、またはA375細胞のような、VEGFおよび/またはVEGFR RNAを発現する細胞内の標的部位のスクリーニングに使用される。このアプローチに用いられる一般的な戦略を図9に示す。限定を目的としないこのようなプールの例は、配列識別番号1−4248のいずれかを含むものもある。VEGFおよび/またはVEGFR(例、HUVEC、HMVEC、またはA375細胞)を発現している細胞は、siNA構造のプールで形質移入されVEGFおよび/またはVEGFR抑制に関連した表現型を示す細胞が分類される。siNA構造のプールは、適切なベクターに挿入された転写カセットから発現されることができる(例えば図7および図8を参照)。表現型の変化(例、増殖の低下、VEGFおよびまたはVEGFR mRNAレベルの低下、VEGFおよび/またはVEGFRタンパク質発現の低下)で陽性を示している細胞由来のsiNAは、標的VEGFおよび/またはVEGFR RNA配列内の最も適切な単数または複数の標的部位を決定するために配列される。
実施例4:VEGFおよび/またはVEGFRを標的としたsiNAデザイン
VEGFおよび/またはVEGFR RNA標的の配列解析によって、また折り畳み基盤(siNAの標的への接近可能性を決定するために解析された任意の配列の構造)上の標的部位の優先順位付けを行い、任意で実施例3で述べたようなsiNA分子のライブラリーを用いて、あるいは本明細書の実施例6で述べられるようなインビトロsiNAシステムを用いて、siNA標的部位を選んだ。siNA分子はそれぞれの標的に結合できるようデザインされ、任意でsiNA分子が標的配列と相互作用できるかどうか評価するために、個別にコンピューターで折り畳みが解析された。様々なsiNA分子の長さが、活性を最適化するために選ばれる可能性がある。概して、標的RNAと結合または相互作用するのに十分な数の相補的ヌクレオチド塩基が選ばれるが、相補性の度合いはsiNA二重鎖に適応するように調節することができ、または長さや塩基組成は様々である。このような方法を用いることにより、例えば任意の遺伝子転写物に相当するRNA配列のように、任意の既知のRNA配列中の部位を標的とするようにsiNA分子をデザインすることができる。
化学的に修飾されたsiNA構造は、RNAi活性を媒介する能力を保ちつつ、インビボでの全身投与のためのヌクレアーゼ安定性、および/また薬物動態、局在性、および送達特性を提供するようにデザインされる。本明細書で述べられるような、または当該分野で一般的に知られている合成方法を用いて、本明細書で述べるような化学的修飾を合成的に導入する。次に、合成siNA構造の、血清中、および/また細胞/組織抽出物(例えば肝臓抽出物)中のヌクレアーゼ安定性を試験する。本明細書で述べられたルシフェラーゼレポーターアッセイのような適切なアッセイ、またはその他のRNAi活性を定量できるその他の適切なアッセイを用いて、合成siNA構造のRNAi活性も並行して試験する。ヌクレアーゼ安定性とRNAi活性の両方を有する合成siNA構造は、更に修飾され、安定性と活性アッセイで再評価されることができる。安定化された活性なsiNA構造の化学修飾を、任意の選ばれたRNAを標的とする任意のsiNA配列に適合し、例えば治療成果をもたらす主要なsiNA組成物(例、図11を参照)を選ぶための標的スクリーニングアッセイで使用することができる。
実施例5:siNAの化学合成と精製
siNA分子は、例えば、本明細書で述べられるRNA配列中の標的配列のような、RNAメッセージ中の様々な部位と相互作用するようデザインすることができる。siNA分子の一方の鎖の配列は、上述の標的部位配列に相補的である。siNA分子は本明細書で述べられる方法を用いて化学的に合成することができる。コントロール配列として用いられる不活性siNA分子は、標的配列と相補的にならないようにsiNA分子の配列を混ぜ合わせることによって合成することができる。概して、siNA構造は本明細書で述べられたような固相オリゴヌクレオチド合成法を用いて合成することができる(例えば、ウスマン(Usman)等、米国特許番号5,804,683;5,831,071;5,998,203;6,117,657;6,353,098;6,362,323;6,437,117;6,469,158;スケアリンジ(Scaringe)等、米国特許番号6,111,086;6,008,400;6,111,086を参照。これらはすべて参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる)。
限定を目的としない例において、RNAオリゴヌクレオチドは、当該技術分野で知られているようなホスホラミダイト化学反応を用いる段階的な方法で合成される。標準的なホスホラミダイト化学反応は、5’−O−ジメトキシトリチル、2’−O−タートブチルジミチルシリル、3’−O−2−シアノエチルlN,N−ジイソプロピルホスホロアミダイト基、および環外アミノ保護基(例、N6−ベンゾイルアデノシン、N4アセチルシチジン、およびN2−イソブチリルグアノシン)のいずれかを含むヌクレオチドの利用を伴う。あるいは、上述のスケアリンジ(Scaringe)によって述べられるように、RNA合成において、酸に不安定な2’−O−オルトエステル保護基との結合に2’−O−シリルエステルを用いることができる。異なる2’化学反応は、例えば、参照することによ
りその全体が本明細書に組み込まれる、ウスマン(Usman)等、米国特許番号5,631,360で述べられている、N−フタロイル保護に利用できる2’−デオキシ−2’−アミノヌクレオチドのように、異なる保護基を要求することができる。
固相合成の間、それぞれのヌクレオチドは連続的に(3’−から5’−方向に)固相支持体結合オリゴヌクレオチドに加えられる。鎖の3’端の最初のヌクレオチドは、様々なリンカーを用いて、固相(例、調節された微細孔ガラスまたはポリスチレン)に共有的に結合されている。ヌクレオチド前駆体であるリボヌクレオチドホスホラミダイト、および活性化剤が混合すると、最初のヌクレオチドの5’端に第二のヌクレオチドホスホラミダイトのカップリングが生じる。支持体を洗浄し、未反応の5’−ヒドロキシル基を無水酢酸のようなキャップ試薬でキャップして、不活性な5’−アセチル部分を生成する。三価のリン結合をより安定なリン酸結合にするために酸化する。ヌクレオチド添加サイクルの終わりに、適切な条件下(例、トリチルに基づく基では酸性条件、シリルに基づく基にはフッ素)で5’−O−保護基を切断する。各部分配列ヌクレオチドごとにこのサイクルを繰り返す。
カップリング効率を最適化するために、例えば、合成されるsiNAの特定の化学組成によって、異なるカップリング時間、異なる試薬/ホスホラミダイト濃度、異なる接触回数、異なる固相支持体、および固相支持体リンカー化学反応を用いることによって、合成条件を変更することができる。siNAの脱保護および精製は、ウスマン(Usman)ら、米国特許番号5,831,071、米国特許番号6,353,098、米国特許番号6,437,117、およびベロン(Bellon)米国特許番号6,054,576、米国特許番号6,162,909、米国特許番号6,303,773、あるいは、上述のスケアリンジ(Scaringe)に概して述べられているように実行されることができ、これらの文献は参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。加えて、脱保護の条件は可能な限り最高の収量とsiNA構造の純度が得られるように変更することができる。例えば、出願人は、2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドが、不適切な脱保護条件下で分解する場合があることを観察した。このようなオリゴヌクレオチドを、メチルアミン水を用いて約35℃で、30分間脱保護する。2’−デオキシ−2’−フルオロを含むヌクレオチドがリボヌクレオチドも含む場合には、メチルアミン水を用いて約35℃で、30分間脱保護した後、TEA−HFを加え、約65℃でさらに15分間反応を維持する。
実施例6:siNA活性評価のためのインビトロRNAiアッセイ
無細胞系でRNAiを再現するインビトロアッセイを用いて、VEGFおよび/またはVEGFR RNA標的をターゲティングするsiNA構造の評価を行う。このアッセイは、トゥッシェル(Tuschl)等、1999、遺伝子と発生誌(Genes and Development)13,3191−3197およびザモーレ(Zamore)等、2000、セル誌(Cell)、101、25−33によって述べられる、VEGFおよび/またはVEGFR標的RNAとともに使用する目的に適合したシステムを含む。ショウジョウバエ(Drosophila)のシンチウム胚盤葉由来の抽出液を用いて、インビトロのRNAi活性を再構成する。標的RNAは、T7RNAポリメラーゼを用いて適切なVEGFおよび/またはVEGFR発現プラスミドからインビトロ転写することによって、または本明細書で述べるような化学合成によって生成される。センスおよびアンチセンスsiNA鎖(例えば、それぞれ20uM)を、緩衝液(例えば、100mM酢酸カリウム、30mM HEPES−KOH、pH7.4、2mM酢酸マグネシウム)中、90℃で1分間、次いで37℃で1時間のインキュベートによってアニールし、溶解緩衝液(例えば、100mM酢酸カリウム、30mM HEPES−KOH、pH7.4、2mM酢酸マグネシウム)で希釈する。アニーリングはTBE緩衝液中のエチジウムブロマイドで染色したアガロースゲルでゲル電気泳動し、モニターすることができる。オレゴンR(Oregon R)系のハエの、酵母を塗ったモラセス寒天上で回収したゼロから2時間の胚を用いて、ショウジョウバエ溶解液を調製する。溶解液を遠心分離機にかけ、上澄を分離する。アッセイは、50%溶解液[vol/vol]、RNA(終濃度10−50pM)、および10%[vol/vol]のsiNAを含む(終濃度10nM)溶解緩衝液を含んでいる反応混合液を含む。反応混合液は、10mMクレアチンリン酸、10ug.mlクレアチンホスホキナーゼ、100uM GTP、100uM UTP、100uM CTP、500uM ATP、5mM DTT、0.1U/uL RNasin(プロメガ(Promega))、およびそれぞれ100uMのアミノ酸も含む。酢酸カリウムの終濃度は100mMに調節する。反応液を氷上で予め混合し、RNAを加える前に25℃で10分間プレインキュベートし、その後25℃でさらに60分間インキュベートする。反応液を4倍量の1.25x受動的溶解緩衝液(Passive Lysis Buffer、プロメガ(Promega))でクェンチする。標的RNAの切断を、RT−PCR解析、または当該技術分野で知られているその他の方法でアッセイし、反応液からsiNAが除外されたコントロール反応と比較する。
あるいは、アッセイのために内部標識された標的RNAを、[alpha−32P]CTP存在下でのインビトロ転写で調製し、スピンクロマトグラフィーによってG50セファデックスカラムに通し、更なる精製なしに標的RNAとして用いる。任意で、T4ポリヌクレオチドキナーゼ酵素を用いて標的RNAを5’−32P−末端標識する。アッセイを上述のように実行し、RNAiによって生じた標的RNAと特異的RNA切断産物を、ゲルのオートラジオグラフで視覚化する。切断の割合を、無傷のコントロールRNA、またはsiNAなしのコントロール反応からのRNAとアッセイによって生じた切断産物を表すバンドの、ホスホイメージャー(登録商標)(Phosphor Imager)による定量によって測定する。
一実施形態において、このアッセイは、siNAに媒介されるRNAi切断のためのVEGFおよび/またはVEGFR RNA標的の標的部位を決定するために用いられ、ここで複数のsiNA構造は、RNAiに媒介されたVEGFおよび/またはVEGFR RNA標的の切断のために、例えば標識された標的RNAの電気泳動によって、またはノーザンブロット、同様に当該分野でよく知られているその他の方法によって、アッセイ反応液が解析されることにより選択される。
実施例7:VEGFおよび/またはVEGFR標的RNAのインビボ核酸抑制
ヒトVEGFおよび/またはVEGFR RNAを標的としたsiNA分子は、上述のようにデザインされ合成される。これらの核酸分子は、例えば以下のような方法を用いて、インビボでの切断活性を試験することができる。VEGFおよび/またはVEGFR RNA内における標的配列およびヌクレオチド位置を表IIおよびIIIに示す。
VEGFおよび/またはVEGFRを標的とするsiNAの効率を試験するために、二つの形式が用いられる。第一は、RNAおよびタンパク質抑制の程度を測定するため、試薬を細胞培養で、例えばHUVEC、HMVECまたはA375細胞を使用して試験する。siNA試薬(例、表IIおよびIII参照)は、本明細書に記載のようにVEGFおよび/またはVEGFR標的に対して選択される。RNA抑制は、例えば上皮角化細胞への適切なトランスフェクション媒介物によるこれらの試薬の送達後に測定される。アクチンに対する標的RNAの相対量は、増幅のモニターであるリアルタイムPCR(例えば、アプライドバイオシステムズ社7700タックマン(登録商標)(ABI 7700 TAQMAN))を用いて測定される。無関係の標的にとなったオリゴヌクレオチド配列の混合物、または同一の全長と化学組成であるが各位置のヌクレオチドがランダムに置換された、ランダムに選ばれたsiNAコントロールに対して、比較を行う。標的への第一および第二の主要試薬を選び、最適化を行う。最適なトランスフェクション媒体の濃度を選択した後、主要siNA分子でRNA抑制の経時的解析を実行する。加えて、RNA抑制を測定するために、細胞プレーティングフォーマットを用いることもできる。
細胞へのsiNAの送達
トランスフェクションの前日に、細胞(例えばHUVEC、HMVECまたはA375 細胞)を、例としてウェルあたり1x103細胞でEGM−2(バイオウィッタカー(BioWhittaker))の6ウェルディッシュに播種する。siNA(終濃度は例えば25nM)およびカチオン脂質(例、終濃度2ul/ml)を、EGM基本培地(バイオウィッタカー(BioWhittaker))中、37℃で30分間、ポリプロピレンマイクロチューブで混合する。渦形成後、複合siNAを各ウェルに加え、表示時間インキュベートする。第一の最適化実験のため、細胞を、例として96ウェルプレートに1x103で播種し、記述のように複合siNAを加える。脂質と混合された蛍光siNAを使用して、siNAの送達効率を判定する。6ウェルディッシュの細胞をsiNAと24時間インキュベートし、PBSで洗浄し、2%パラホルムアルデヒドで室温にて5分間固定する。siNAの取込みは、蛍光顕微鏡を用いて視覚化する。
タックマン(登録商標)(TAQMAN)(リアルタイムPCR増幅モニタリング)およびライトサイクラー(Lightcycler)によるmRNAの定量
総RNAは、例えばキアゲン(Qiagen)の6ウェル用RNA精製キット、96ウェル用またはアールエヌイージ(Rneasy)抽出キットを使用し、siNA送達に続いて細胞から調製される。タックマン(登録商標)(TAQMAN)解析(リアルタイムPCR増幅モニタリング)には、二色素標識されたプローブがレポーター色素、FAMまたはJOEで合成され、5’端に共有結合され、クエンチャー色素のTAMRAは3’端に結合される。ワンステップRT−PCR増幅は、例えば、アプライドシステムズ社プリズム7700(ABI PRISM 7700)配列検出機で、10μlのトータルRNA、100nMのフォワードプライマー、900nMのリバースプライマー、100nMのプローブ、1Xタックマン(Taqman)PCR反応緩衝液(パーキンエルマー・アプライドシステムズ社(PE−Applied Biosystems))、5.5mM MgCl2、dATP、dCTP、dGTP、およびdTTPをそれぞれ300μM、10Uリボヌクレアーゼ阻害剤(プロメガ社(Promega))、1.25Uアンプリタックゴールド(登録商標)(AMPLITAQ GOLD)(DNAポリメラーゼ)(パーキンエルマー・アプライドシステムズ社(PE−Applied Biosystems))および10U M−MLV逆転酵素(プロメガ社(Promega))、で構成される50μlの反応液を用いて行われる。温度サイクリング条件は、48℃で30分、95℃で10分、次いで40サイクルの95℃で15秒、60℃で1分、で構成されることができる。mRNAレベルの定量は、全細胞RNAの希釈系列(300、100、33、11ng/反応)から生成された標準に対する相対値として測定され、同時に実行されたβ−アクチンまたはGAPDH mRNAのタックマン(登録商標)(TAQMAN)反応(リアルタイムPCR増幅モニタリング)に対して標準化される。関連の各遺伝子の上流および下流プライマー、および蛍光で標識されたプローブがデザインされる。サイバーグリーンI(SYBR Green I)色素の特定のPCR産物へのリアルタイムの取込みは、ライトサイクラー(Lightcycler)を用いてガラス毛細管で測定することができる。コントロールのcRNAを用いて、それぞれのプライマー対の標準曲線が作成される。数値は、それぞれの試料のGAPDHに対する相対発現量として表現される。
ウェスタンブロッティング
核抽出物は、標準的な微量調製技術を用いて調製することができる(例として、アンドリュー(Andrews)およびフォーラー(Faller)、1991、核酸リサーチ(Nucleic Acids Research)、19、2499参照)。例えば、TCA沈澱を用いて、上澄からタンパク質抽出物が調製される。等量の20%TCAを細胞上澄に加え、氷上で1時間インキュベートし、5分間の遠心でぺレットにする。ぺレットをアセトンで洗浄し、乾燥し、水に再懸濁する。細胞のタンパク質抽出物を、10%ビス−トリスのニューペイジ(NuPage)(核抽出物)または4−12%トリス−グリシン(上澄抽出物)のポリアクリルアミドゲルで泳動させ、ニトロセルロース膜上にトランスファーする。非特異的な結合は、例えば5%の脱脂粉乳で1時間、次いで一次抗体で、4°Cで16時間インキュベートすることによってブロックすることができる。次いで、洗浄、二次抗体を(1:10,000希釈)例えば室温で1時間塗布し、スーパーシグナル試薬(SuperSignal reagent)(ピアース(Pierce))でシグナルを検出する。
実施例8:VEGFおよび/またはVEGFR遺伝子発現の下方制御評価に有効な動物モデル
VEGF、VEGFR1、VEGFR2および/またはVEGFR3に対して指示されたsiRNA等本発明の核酸の抗血管形成効果が試験できるいくつかの動物モデルがある。一般的に、角膜のモデルは、通常は無血管である組織において容易に血管の形成が観察できるため、ラットよびウサギにおける血管形成の研究に使用されている(パンドリー(Pandey)ら,1995年,サイエンス誌(Science,268)567−569)。これらのモデルの場合、血管形成因子(例、bFGFまたはVEGF)と前処理を施した小型テフロンまたはヒドロンディスクが角膜内に外科的に作られたポケットに挿入される。血管形成は、3から5日後にモニターされる。VEGF、VEGFR1、VEGFR2および/またはVEGFR3 mRNA等に対して指示されたsiRNAもまた、前記ディスクに送達されるか、または実験の時間経過にともなって点眼され送達される。別の眼のモデルにおいて、低酸素状態によりVEGFの発現の増加と網膜内の新血管形成を引き起こすと示してきた(ピアース(Pierce)ら,1995年,米国化学アカデミー会報(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)92:905−909:シュウェキ(Shweiki)ら,1992年,ジェー.クリニ.インベスト(J.Clin.Invest).91:2235−2243)。
ヒトグリア芽腫の場合、VEGFは少なくとも部分的に腫瘍の血管新生に関与していると示されてきた(プレート(Plate)ら,1992年,ネイチャー誌(Nature),359,854)。グリア芽腫細胞がヌードマウスの皮下に移植され、腫瘍増殖および血管新生の経過が研究されるための動物モデルが開発されてきた(キム(Kim)ら,1993年上述;ミローラ(Milluer)ら,1994年上述)。
新血管形成に取り組むための別の動物モデルには、皮下に注入時に固形ゲルになる基底膜の抽出物マトリゲル(Matrigel)が含まれる(パッサ二ティ(Passaniti)ら,1992年 ラブ.インベスト(Lab.Invest.)67:519−528)。マトリゲル(Matrigel)にVEGF等血管形成因子が補充されると、3から5日間で血管はマトリゲル(Matrigel)に成長し、血管形成が評価できる。再度、VEGFR mRNAに対して指示された核酸がマトリゲル(Matrigel)に送達される。
血管新生阻害剤のスクリーニング用の動物モデルがいくつか存在する。これらには、角膜の損傷に伴う角膜の血管形成が含まれる(バーガー(Burger)ら,1985年 角膜(Cornea)4:3541;ルプリ(Lepri)ら,1994年 眼学および薬理学ジャーナル(J Ocular Pharmacol.)10: 273−280;オーメロッド(Ormerod),1990年,米国病理学会誌(J.Am.Pathol.)137:1243−1252)または角膜内増殖因子埋め込み物(グラント(Grant)ら,1993年糖尿病学(Diabetologia)36:282−291:パンドリー(Pandey)ら,1995年上述;ジッヒ(Zieche)ら,1992年,ラブ.インベスト(Lab.Invest.)67:711−715),増殖因子を含むマトリゲル(Matrigel)基質への血管成長(パッサ二ティ(Passaniti)ら,1992年上述),ホルモン処置を伴う女性生殖器の新血管形成(シュウェキ(Shweiki)ら,1993年,臨床試験(Clin.Invest).91:2235−2243),高い血管新生化固形腫瘍における腫瘍増殖の抑制等幾つかのモデル(オールリ(O‘Reily)ら,1994年,セル誌(Cell)79:315−328:サンジェ(Senger)ら,1993年,がん及び転移の検討(Cancer and Metas. Rev.)12:303−324:タカハシ(Takahasi)ら,1994年,がん研究(Cancer Res.)54:4233−4237:キム(Kim)ら,1993年,上述;およびマウスの網膜内における一時的低酸素誘導新血管形成(ピアース(Pierce)ら,1995年,米国化学アカデミー会報(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)92:905−909)。905−909). 腫瘍の血管新生を研究するその他のモデルシステムがフォークマン(Folkman),1985年,がん研究の進歩(Adv.Cancer.Res.)43,175によって検討される。
血管形成の眼モデル
角膜モデルは、パンドリー(Pandey)ら,上述で記載の通り、血管新生阻害剤の有効性のスクリーニング用として最も一般的で、非常に特徴のあるモデルである。このモデルは、血管が刺激剤により強化された無血管組織を含む(増殖因子、熱傷またはアルカリによる火傷、内毒素)。角膜のモデルは、ペレットに向けて血管を強化するため、VEGF−ヒドロン溶液に浸したテフロン製ペレットによる基質内の角膜移植を利用し、標準の顕微鏡的および像解析法を使用して量を測ることができる。血管新生阻害剤の有効性を評価するため、核酸は眼に局所的に適用されるか、またはテフロン製ペレット自体の上にあるヒドロン内に結合される。この無血管角膜もマトリゲル(Matrigel)(以下参照)も低バックグラウンドアッセイを提供する。角膜のモデルがウサギにおいて幅広く行われてきた一方で、ラットにおける研究もまた実施されてきた。
マウスモデル(パッサ二ティ(Passaniti)ら,上述)は、基底膜の抽出物(クラインマン(Kleinman)ら,1986年)マトリゲル(Matrigel)または、注入前に液体中に増殖因子および血管新生阻害剤を含浸できるミリポア(登録商標)(Millipore)フィルターディスクを利用する無組織モデルである。体温で皮下投与すると、マトリゲル(Matrigel)またはミリポア(登録商標)(Millipore)フィルターディスクが固形埋め込み物を形成する。マトリゲル(Matrigel)またはミリポア(登録商標)(Millipore)フィルターディスクに組み込まれているVEGFは、マトリゲル(Matrigel)またはミリポア(登録商標)(Millipore)フィルターディスクの基質内の血管を強化するのに利用され、内皮細胞特異的なvWF(因子VIII抗原)免疫組織化学、トリクロム−マソン(Trichrome−Masson)染色、またはヘモグロビン含有量へと組織学的に処理されることができる。角膜と同様に、マトリゲル(Matrigel)またはミリポア(登録商標)(Millipore)フィルターディスクは;しかしながら、組織ではない。マトリゲル(Matrigel)またはミリポア(登録商標)(Millipore)フィルターディスクにおいて、血管新生阻害剤の有効性を試験するため、核酸はマトリゲル(Matrigel)またはミリポア(登録商標)(Millipore)フィルターディスクの基質内に投与される。従って、このモデルの送達組織は、ラットの角膜のモデルにおけるヒドロン加工テフロン製ペレットによる核酸の送達に伴い、各基質内核酸の同質の存在により問題が生じる可能性が低いかもしれない。
更に、VEGFおよび/またはVEGFR(例、VEGFR1、VEGFR2、および/またはVEGFR3)を標的とする本発明のsiNA分子を、活性トランスジェニックマウスで評価し、VEGFおよび/またはVEGFRの調節により眼の新血管形成を抑制できるかどうかを判断できる。脈絡膜の新血管形成の動物モデルは、例えば、モリ(Mori)ら,2001年,細胞生理学ジャーナル(Journal of Cellular Physiology),188,253;モリ(Mori)ら,2001年,米国病理学誌(American Journal of Pathology),159,313;オオノ−マツイ(Ohno−Matsui)ら,2002年,米国病理学誌(American Journal of Pathology),160,711;およびクワック(Kwak)ら,2000年,研究眼科学および視覚科学(Investigative Ophthlmology & Visual Science),41,3158)で説明する。VEGFは、網膜の新血管形成を引き起こす中心的な役割を果たす。トランスジェニックマウスの網膜の光受容器におけるVEGFR2の発現の増加により、網膜内の新血管形成を刺激し、VEGFR2シグナルの遮断は、網膜の脈絡膜の新血管形成(CNV)を抑制すると示されてきた(モリ(Mori)ら,2001年,細胞生理学ジャーナル(J.Cell.Physiol.),188.253)。
CNVは、例えば、成体C57BL/6マウスにレーザーで誘起される。前記マウスは、また各眼におけるVEGFおよび/またはVEGFR(例、VEGFR2)siNAの硝子体、眼周囲または網膜下注入される。硝子体内注入は、ハーバード(Harbard)ポンプマイクロインジェクション装置を利用して行われ、ガラス製マイクロピペットに引き出される。従って、マイクロピペットは角膜輪部のちょうど後ろにあり、硝子体腔へ続く強膜へ挿入される。網膜下注入は、解剖顕微鏡の集光レンズシステムを利用して行われる。前記ピペットチップは、従って角膜輪部の後方にある強膜へ挿入され、網膜上に置かれる。ベクターの注入5日後に、マウスは塩酸ケタミン(100mg/体重kg)で麻酔をかけられ、1%のトロピカミドもまた瞳孔を希釈するのに利用され、さらに各眼における3つの場所でダイオードレーザー光凝固術がブルッフ(Bruch)の膜を破壊するのに利用される。細隙灯送達システムおよび手動カバースライドがレーザー光凝固術用に利用される。視神経から2から3のディスク直径の9、12、3時の位置に火傷させる。
マウスでは通常、胎児期7日目の初めに、光受容器におけるVEGFの発現により網膜下新血管形成が起こる。胎児期21日目に、マウスは麻酔をかけられ、50mg/mlのフルオレセイン標識デキストランを含有する1mlのリン酸塩緩衝食塩水にてかん流される。その後、眼は除去され、そして10%のリン酸塩緩衝ホルマリンに1時間置かれる。網膜が除去され、蛍光顕微鏡検査法で試験される(モリ(Mori)ら,上述)。
ブルッフ(Bruch)の膜のレーザーで誘起による破壊の14日後には、対照眼がCNVの広範囲領域で評価される一方で、siNAの硝子体および網膜下注入を受けた眼はCNVのより狭い発症領域で評価される。硝子体注入またはsiNAの網膜下注入を受ける眼はまた、網膜の外表上の新血管形成のより狭い領域で評価され、深い網膜毛細血管からの潜在的な不全芽は、siNAの注入を受けていない眼と比較して網膜の表面に到達しない。
血管形成の腫瘍モデル
マウスモデルの使用
各投与群を10匹のマウス(各20g)で構成する典型的な全身性研究では、5用量(14日間連続投与中に毎日1、3、10、30および100mg/kg)、約400mgの食塩水調剤されたsiRNAが使用される。若年成体ラット(200g)における同種の研究には4g以上を必要とする。平行する薬物動態研究には、同類の量の利用を含む。
ルイス(Lewis)肺癌およびB−16メラノーママウスモデル
核酸の全身有効性テスト用一般的な動物モデルを識別することは、siRNAの全身有効性をスクリーニングする効率的な方法である。
ルイス(Lewis)肺癌およびB−16マウスメラノーマモデルは、原発性および転移性癌の広く認められたモデルであり、抗癌剤の初期スクリーニングとして利用される。これらマウスモデルは、免疫不全マウスの利用に依存せず、比較的安価であり、さらに飼育施設に関する懸念を最小化する。ルイス(Lewis)肺およびB−16メラノーマモデルは共に、C57BL/6Jマウスに転移進行性癌細胞ライン(ルイス(Lewis)肺ライン3LLまたはD122、LLc−LN7;B−16−BL6メラノーマ)から約106の癌細胞の皮下埋め込みを含む。代替として、ルイス(Lewis)肺モデルは、腫瘍の球体を外科的埋め込むことにより生成できる(直径約0.8mm)。転移はまた、癌細胞を直接静脈内へ注入することにより作ることが出来る。ルイス(Lewis)肺モデルの場合、21から25日以内に定量化可能な巨視的転移性腫瘍が発症し、顕微鏡的転移が埋め込み後約14日で観察できる。B−16メラノーマは、腫瘍の新血管形成と類似した時間経過を埋め込み後4日の初めに示す。両原発性および転移性癌は、同一動物内の21から25日後にこれらモデルが存在するため、指標の有用性として複数の測定が可能である。原発性癌量および増殖潜伏および微視的−巨視的転移性肺焦点の数または転移を示す動物の数が定量できる。寿命における割合の増加もまた測定できる。従って、これらモデルは、全身に投与されたsiRNA核酸およびsiRNA核酸製剤のスクリーニング用に適切な主要有用性アッセイを提供する。
ルイス(Lewis)肺およびB−16メラノーマモデルの場合、多種の薬剤を使用した全身薬物療法が通常は腫瘍埋め込み/植菌から1から7日で、連続または複数の投与治療により始まる。併用薬物動態学的研究により充分なsiRNAの組織レベルが予測される薬力学的効果を達成することができるか判断することができる。更に、原発腫瘍および第二肺転移は除去され、多様なインビトロ研究に従うことができる(例、標的RNA減少)。
加えて、動物モデルは、化合物、例えばsiRNA分子、のスクリーニングの際に有用であり、腎不全、その結果引き起こる常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)等の治療に有効である。Han:SPRDラットモデル、Pkd2遺伝子に標的変異を伴うマウス、および先天性多嚢胞腎(cpk)のマウスは、ヒトADPKDに非常に類似し、血管形成等ADPKD媒介腎不全の1つ以上の病原性要素を妨げる潜在能力を有するsiRNA構造の治療効果を評価する動物モデルを提供する。血管形成は、嚢胞細胞の増殖および嚢胞に体液分泌を促進する増加した血管透過性のためADPKDの進行に必要でありうる。培養中に嚢胞細胞は可溶性血管内皮増殖因子(VEGF)を生成するため、嚢胞性上皮の増殖もまた、ADPKDの特徴の1つである。VEGFR1はまた、嚢胞性細管の上皮細胞で検出されてきたが、嚢胞性腎または正常な腎の脈管構造における上皮細胞では検出されなかった。VEGFR2発現は、嚢胞性血管の上皮細胞および腎臓虚血再かん流の間の上皮細胞で増加する。抗−VEGFR1および抗−VEGFR2 siRNA分子とVEGF受容体の抑制により嚢胞形成、腎不全およびADPKDにおける死亡率を減衰するだろうと提案されている。抗−VEGFR2 siRNA分子は、従って嚢胞形成に伴う血管形成を抑制するようデザインされる。VEGFR1が嚢胞の血管内皮ではなく嚢胞性上皮中に存在するため、抗−VEGFR1 siRNA分子が、嚢胞性上皮細胞の増殖および順々により少ない嚢胞形成を導くアポトーシスを減衰するだろうと提案されている。更に、嚢胞性上皮細胞により生成されたVEGFが、血管形成ならびに上皮細胞の増殖およびアポトーシスの刺激物の1つであると提案されている。Han:SPRDラット(例、カスパレイト−リッテングハウセン(Kaspareit−Rittinghausen)ら,1991年、米国病理学会誌(Am.J.Pathol.)139,696を参照)Pkd2遺伝子に標的変異を伴うマウス(Pkd2−/−マウス、例、ウー(Wu)ら,2000年,ネイチャー遺伝学誌(Nat.Genet.)24,75−78を参照)およびcpkマウス(例、ウー(Woo)ら,1994年,ネイチャー誌(Nature),368,750−753を参照)の利用により、VEGFR1およびVEGFR2媒介腎不全に対する本発明のsiRNA分子の有効性を研究する動物モデルをすべて提供する。
VEGF、VEGFR1 VGFR2および/またはVEGFR3タンパク質レベルが、臨床上または実験上FACS分析により測定できる。VEGF、VEGFR1 VGFR2および/またはVEGFR3コード化されたmRNAレベルは、ノーザン(Northern)分析、RNAseタンパク質、プライマー伸長解析および/または軽量RT−PCRにより評価される。mRNAをコード化するVEGF、VEGFR1 VGFR2および/またはVEGFR3タンパク質を遮断し、従って結果としてVEGF、VEGFR1 VGFR2および/またはVEGFR3活性のレベルをインビトロの20%以上で減少させるsiRNA核酸は識別できる。
実施例9:細胞培養におけるVEGFR発現のRANi媒介性抑制
VEGFR1 RNAを標的とするsiNAを利用したVEGFR1 RNA発現の抑制
siNA構造(表III)が、例えば、HUVEC、HMVECまたはA375細胞におけるVEGFおよび/またはVEGFR RNA発現の減少時の有効性に関して試験される。細胞がトランスフェクション前に約24時間ウェルプレートにおいて、5,000から7,500細胞/ウェルで100μ/ウェルでプレートされるので、トランスフェクション細胞の時間は70から90%の融合性である。トランスフェクションの場合、アニールされたsiNAがトランスフェクション試薬(リポフェクタミン(Lipofectamine)2000年,インビトロジェン社(Invitrogen))と50μl/ウェルの量で混合され、室温で20分間インキュベートする。siNAトランスフェクション混合液を、25nMの最終siNA濃度になるように150μlの量で細胞に加える。各siNAトランスフェクション混合液をsiNA処理が3倍になるよう3ウェル加える。連続するsiNAトランスフェクション混合液下で、細胞を37℃で24時間インキュベートする。24時間、RNAは処理された細胞の各ウェルから調製される。トランスフェクション混合液との上澄が、初めに除去され破棄されてから、細胞が溶解されRNAが各ウェルから調製される。処理に従って標的遺伝子発現が、正常化向けRT−PCRにより標的遺伝子および対照遺伝子用(36B4、RNAポリメラーゼサブユニット)に評価される。3部構成のデータが平均化されおよび各処理用に標準偏差が決定される。正常化されたデータが図示され、各逆位コントロールsiNAと比較した活性siNAによる標的mRnAの割合の減少が決定される。
図22は、VEGFR1 mRNAを標的とする化学修飾siNAにより媒介されるA375細胞内のVEGFR1 mRNAの減少に関する限定を目的としない例を示す。A549細胞は、25nM siNAと混合された0.25μg/ウェルの脂質とともにトランスフェクトした。Stab4/5化学反応(化合物番号31190/31193)、Stab1/2化学反応(化合物番号31183/31186および化合物番号31184/31187)、および未修飾のRNA(化合物番号30075/30076)を含むsiNA構造のスクリーニング(安定化「Stab」化学反応を表IVに示す。構造は化合物番号により参照される。表IIIを参照のこと)において、未処理の細胞、対応する化学反応の逆位コントロールsiNA構造、(化合物番号31208/31211、化合物番号31201/31204、化合物番号31202/31205、および化合物番号30077/30078)、スクランブルsiNAコントロール構造(Scram1およびScram2)、および脂質のみをトランスフェクトした細胞(トランスフェクションコントロール)と比較した。図に示した通り、全てのsiNA構造が大幅にVEGFR1 RNA発現を減少させた。表IVに示した通り、さらに安定化化学反応の活性を同様に試験した。これらのsiNA構造を、適切な、対応する化学反応の逆位コントロールと比較した。さらにまた、siNA構造を、未処理細胞、脂質およびスクランブルsiNA構造をトランスフェクトした細胞、および脂質のみをトランスフェクトした細胞(トランスフェクションコントロール)と比較した。
図23は、対応する化学反応の逆位コントロールsiNA構造と比較して、VEGFR1 mRNAにおける8つの部位に対して指示されたStab9/10を使用したHAEC細胞培養におけるVEGFR1 mRNAレベルの減少に関する限定を目的としない例を示す。コントロールUNTおよびLF2Kは、それぞれ未処理の細胞およびLF2Kトランスフェクション試薬のみで処理した細胞を示す。
VEGFR2 RNAを標的とするsiNAを用いた、VEGFR2 RNA発現の抑制
siNA構造(表III)の、例えばHUVEC、HMVEC、あるいはA375細胞内でVEGFおよび/またはVEGFR RNA発現の減少における有効性を試験した。細胞は、トランスフェクションの前に、96ウェルプレートで、5,000−7,500細胞/ウェル、100μl/ウェルで、トランスフェクション時に細胞が70−90%の融合となるように、約24時間プレートした。トランスフェクションには、アニ−ルしたsiNAを、トランスフェクション試薬(リポフェクタミン(Lipofectamine)2000、インビトロジェン社(Invitrogen))と、ウェルあたり50μlの容量に混合し、室温で20分間インキュベートした。siNAトランスフェクション混合液を、細胞に加え、25nMの最終siNA濃度が150μlの容量で得られる。各siNAトランスフェクション混合液を、3部構成のsiNA処理のため、3ウェルに加える。細胞を、siNAトランスフェクション混合液の存在下で、連続して24時間37℃でインキュベートする。24時間の時点で、処理ずみの細胞の各ウェルからRNAを調製する。トランスフェクション混合液の上澄をまず除き、廃棄した後、細胞を溶解し、各ウェルからRNAを調製する。処理後の標的遺伝子の発現を、標的遺伝子および対照遺伝子(36B4、RNAポリメラーゼサブユニット)の正常化をRT−PCRによって評価する。三部構成データの平均をとり、各処理の標準偏差を決定した。正常化したデータをグラフ化し、活性なsiNAによる標的mRNAの、それぞれの逆位コントロールsiNAと比較して、活性なsiAによる標的mRNAの減少割合を決定した。
図24は、VEGFR2 mRNAを標的とする化学修飾siNAにより媒介されるHAEC細胞内のVEGFR2 mRNAの減少に関する限定を目的としない例を示す。HAEC細胞は、25nM siNAと混合された0.25μg/ウェルの脂質とともにトランスフェクトした。Stab4/5化学反応(化合物番号30786/30790)、Stab7/8化学反応(化合物番号31858/31860)、およびStab9/10化学反応(化合物番号31862/31864)を含む部位3854、およびStab4/5化学反応(化合物番号31856/31857)、Stab7/8化学反応(化合物番号31859/31861)、およびStab9/10化学反応(化合物番号31863/31865)を含む部位3948中のsiNA構造のスクリーニング(安定化「Stab」化学反応を表IVに示す。構造は化合物番号により参照される。表IIIを参照のこと)を、未処理の細胞、部位3854(化合物番号31878/31880、化合物番号31882/31884、および化合物番号31886/31888)中、および部位3948(化合物番号31879/31881、化合物番号31883/31885、および化合物番号31887/31889)中の対応する化学反応の逆位コントロールsiNA構造、およびLF2K(トランスフェクション試薬)でトランスフェクトした細胞、およびすべてのRNAコントロール(部位3854中の化合物番号31435/31439および部位3948中の化合物番号31437/31441)と比較した。図に示した通り、全てのsiNA構造が大幅にVEGFR2 RNA発現を減少させた。表IVに示した通り、さらに安定化化学反応の活性を同様に試験した。これらのsiNA構造を、適切な、対応する化学反応の逆位コントロールと比較した。さらにまた、siNA構造を、未処理細胞、脂質およびスクランブルsiNA構造をトランスフェクトした細胞、および脂質のみをトランスフェクトした細胞(トランスフェクションコントロール)と比較した。
図25は、無関連の対照siNA構造(IC1、IC2)と比較して、VEGFR2 mRNAにおける4つの部位に対して指示されたStab0/0を使用したHAEC細胞培養におけるVEGFR2 mRNAレベルの減少に関する限定を目的としない例を示す。コントロールUNTおよびLF2Kは、それぞれ未処理の細胞およびLF2Kトランスフェクション試薬のみで処理した細胞を示す。
VEGFR1およびVEGFR2相同RNA配列を標的としたsiNAを使用した、VEGFR1およびVEGFR2 RNA発現の抑制
VEGFR1およびVEGFR2相同性を持つ配列を標的とするsiNA分子での処理から24時間後、VEGFR1およびVEGFR2 RNAレベルをHAEC細胞内で判定した。HAEC細胞は、25nM siNAと混合された1.5μg/ウェルの脂質とともにトランスフェクトした。siNA分子の活性を、対応する化学反応の逆位siNAコントロール、未処理の細胞、および脂質のみで処理した細胞(トランスフェクションコントロール)と比較して表示する。siNA分子およびコントロールは化合物番号(センス/アンチセンス)により参照する。配列については表IIIを参照のこと。図26AおよびBに示すように、VEGFR1およびVEGFR2配列の両方を標的とするsiNA構造は、細胞培養実験においてVEGFR1発現の抑制に関して有意な有効性を示している。図27AおよびBに示すように、VEGFR1およびVEGFR2配列の両方を標的とするsiNA構造は、細胞培養実験においてVEGFR2発現の抑制に関して有意な有効性を示している。
実施例10:インビボ血管形成のsiNA媒介性抑制
VEGF誘発血管形成のラットの角膜モデルにおけるsiNA分子の評価
この研究は、VEGF誘発血管形成のラットの角膜モデルを使用してVEGFR1に対して標的とされるsiNAの抗血管形成活性を評価することを目的とする。図28で参照されるsiNA分子は、RNA標的と相互作用することができないために不活性である合致した逆位コントロールを有する。siNA分子およびVEGFは、フィルターディスク法を使用して相互に送達された。直径0.057のニトロセルロースのフィルターディスク(ミリポア社(登録商標)(Millipore))は、パンデー(Pandey)ら(上述)によって記述されているように、適切な溶液に浸されラットの角膜に外科的に埋め込められた。
この研究での血管形成に対する刺激は、角膜の基質内に埋め込まれた30μMのVEGFを有するフィルターディスクの処理であった。埋め込んでから5日後の用量反応試験において、この用量はディスクの方向へ成長する角膜周囲の脈管叢から生じる再生産可能な新血管形成をもたらす。VEGFの担体のみで処理されたフィルターディスクは、血管形成反応を示さない。siNAは3つの異なるsiNA濃度においてディスク上でVEGFとともに投与された。VEGF受容体は刺激されないためsiNAは血管形成を抑制することができないということが、同時投与に関する問題の1つである。しかし、出願人は、低用量のVEGFで新生血管反応は、血管形成反応を維持するためにはVEGF刺激が不可欠であるという通常示唆されていることに戻ることを認めた。抗VEGF−R mRNA siNAを同時投与することによるVEGF受容体の生成阻止は、VEGF処理されたフィルターディスクによって誘発した正常な新血管形成を弱める可能性がある。
材料および方法
テスト化合物および制御
R&Dシステム社(R&D Systems)VEGF、82mM Tris−Cl 75μMで無担体、pH6.9
活性siNA構造および逆位コントロール(表III)
動物
ハーランスプラーグ−ドーリー系ラット、約225−250g
雄45、1群につき5匹
飼育
動物は2匹ずつの群で収容される。試料、水、温度、湿度は、1996年の実験動物の管理と使用に関する指針(NRC)に従う薬理試験施設実施基準(SOPs)によって決定される。動物は、実験の少なくとも7日前から設備に馴化させられる。この間、動物の健康状態を全般的に観察し、歩哨動物の基本血清をとった。
実験群
各溶液(VEGFおよびsiNAs)は、表IIIで記述される実験群で示される最終濃度の1X溶液として調製される。
siNAのアニーリング条件
siNAセンス鎖およびアンチセンス鎖は、1.67mg/mL/鎖のH2Oで1分間アニールした後、37℃で1時間インキュベートし、二重siNA3.34mg/mLを生成する。20μg/眼の処理において、3.34mg/ml二本鎖6μLが眼に注入される(下記参照)。それから3.34mg/ml二本鎖siNAは、用量反応アッセイ用に連続的に希釈される。
VEGFフィルダーディスクの調製
角膜の埋め込みに対して、孔径0.45μmのニトロセルロースのフィルター膜(ミリポア社(Millipore Corporation))で調製された直径0.57mmのニトロセルロースディスクは、氷上にある覆われたペトリ皿内で82mM TrisHCl(pH6.9)中の75μM VEGF1μLに30分間浸された。VEGF(83mM Tris−Cl pH6.9)の担体のみに浸されたフィルダーディスクは、血管形成反応を誘発させない。
角膜手術
この研究で使用したラットの角膜モデルは、コッホ(Koch)ら(上述)およびパンデー(Pandey)ら(上述)からの改変である。つまり、角膜は0.5%ポビドンヨード液、次に生理食塩水および2滴の2%リドカインで洗浄した。解剖顕微鏡(ライカ(Leica) MZ−6)の下、基質ポケットが形成され、予浸されたフィルターディスク(上記参照)はその端が角膜輪部から1mmとなるようにポケットへ挿入された。
テスト溶液の結膜内注入
ディスクを挿入した直後、40〜50μmのOD注射器(当方の研究所で作成)の先端をVEGFで浸したフィルターディスクのすぐ隣にある角膜輪部の端から1mm離れた結膜組織の中に挿入した。テスト溶液600ナノリットル(siNA、逆位コントロールまたは滅菌水の担体)をシリンジポンプ(KD サイエンティフィック社(Kd Scientific))を使用して、1.2μL/分の速度で投与した。注射器は除かれ、70%エタノールおよび滅菌水で連続的にすすぎ、注入ごとに滅菌水につけた。テスト溶液が注入されたら、動物の総自発運動量が回復されるまで、微小動脈瘤クリップを使用してまぶたを閉じ、それを維持した。処理の後、動物を37度の加温パッドの上で温めた。
血管形成反応の定量
ディスク埋め込みの5日後、動物はアトロピン0.4mg/kgを投与して安楽死させ、角膜をデジタルで撮像した。新生血管の表面積(NSA、ピクセル表示)を死後に電子化された形態計測(イメージプロプラス(Image Pro Plus)、メディアサイバーネティックス社(Media Cybernetics)、v2.0)を使用して血液が充満した角膜の血管で測定した。個体の平均NSAは、フィルターディスと角膜輪部の間にある最大新血管形成の面積が同一である3つの領域からの3枚綴りの複写用紙で決定された。これらの領域にある血液が充満した角膜の血管に対応するピクセル数が合計され、NSA指数が作成された。そして群の平均NSAを計算した。各処理群のデータはVEGF/siNAの担体処理されたコントロールNSAに標準化し、最終的にVEGF誘発血管形成の抑制度として表された。
統計
処理群の平均の規定度を決定した後、VEGF誘発血管形成の郡平均抑制度は一元配置分散分析にしたがった。この後有意性のために、ダネット検定(VEGFコントロールとの比較)およびアルファ=0.05でテューキー−クレーマー検定(その他すべての郡平均比較)を含む2つの多重比較を行った。統計分析はJMP v.3.1.6(SASインスティテュートジャパン(SAS Institute)を使用して行われた。
試験結果は、図28および29において図で表示される。図28で示されるように、3段階の濃度でのVEGFR1部位4229活性siNA(Sirna/RPI29695/29699)は、逆位siNAコントロール(Sirna/RPI29983/29984)およびVEGFコントロールに比べて、血管形成の抑制に効果があった。2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンと5’および3’末端逆位デオキシ脱塩基残基を持つリボプリンを有するセンス鎖、および2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンと末端3’−ホスホロチオエートインターヌクレオチド連鎖(Sirna/RPI30196/30416)を持つリボプリンを有するアンチセンス鎖で構成する化学的に変性した種類のVEGFR1部位4229活性siNAは、同様の抑制を示した。さらに、各濃度での合致する化学的な逆位コントロールsiNA構造(化合物番号31276/31279)とsiNAが投与されないVEGFコントロールとを比べて、「Stab9/10」化学反応(化合物番号31270/31273)を有するVEGFR1部位349活性siNAは、3つの異なる濃度(用量反応2.0ug、1.0ug、0.1ug)でVEGF誘発血管形成の抑制に関してテストした。図29で示されるように、「Stab9/10」化学反応(化合物番号31270/31273)を有する活性siNA構造は、0.1ugから2.0ugの濃度での合致する化学的な逆位コントロールsiNAに比べて、ラットの角膜モデルにおけるVEGF誘発血管形成の抑制効果が高かった。これらの結果によって、本発明で記述される変性など異なる化学的に変性した組成を有するsiNA分子はインビボの血管形成を有意に抑制する能力があることが証明される。2つの異なるsiNA安定化化学反応によってVEGFR1部位349に隣接する部位が効果に関して評価された次の試験の結果は、図30に示される。
VEGF誘発血管形成のラット角膜モデルにおけるsiNA分子標的相同VEGFR1およびVEGFR2配列の評価
上記のモデルは、VEGF誘発の眼球血管形成の抑制におけるsiNA分子標的相同VEGFR1およびVEGFR2配列の効果を評価するために使用された。テスト化合物およびコントロールは、表VIIに参照され、配列は表IIに示される。siNAsまたはその他の被験物質は、VEGFディスク埋め込みの後、結膜下注射によって投与された。siNAは投与前に前もってアニールした。結膜下注射は、ポリイミドでコーティングし溶融したシリカゲルカテーテル管(OD=148μm、ID=74μm)を使用して行われた。この管は、火炎殺菌/茶色の微量ピペットプラー(モデルP−87、サッターインストゥルメント社(Sutter Instrument Co.))を使用してOD約40〜50ミクロンの細かい点へ引かれたホウケイ酸ガラス製微量ピペットへ挿入された。微量ピペットは、埋め込まれたフィルターディスクの周辺にある角膜周囲の結膜へ挿入され、1.2μLの量がハミルトンミ気密シリンジ(25μL)およびシリンジポンプを使用して15秒以上送達された。ラットの眼球は、眼球の周りのひげを切り取り、プロビドン−ヨードで洗浄した後、局所にリドカイン麻酔をして調整した。硝酸銀の棒で角膜の表面を触り、傷の治癒反応および同時に起こる新血管形成を誘発した。5日目に動物はケタミン/キシラジン/アセプロマジンを使用して麻酔し、血管の増殖の採点を行った。動物は、CO2の吸入によって安楽死させ、イメージプロプラス(Image Pro Plus)を使用して血管の増殖を計量するために各眼球のデジタル画像を得た。計量された新生血管の表面積は、アノバ(ANOVA)によって分析した後、ダネット検定およびテューキー−クレーマー検定を含む95%の信頼水準で有意性のために2つの多重比較を行った。結果はVEGF誘発血管形成の抑制度として、VEGFコントロールと比較して図31に示される。図で示されるように、相同配列によるVEGFR1およびVEGFR2の両方(例えば、化合物番号33725/33731、33737/33743、33742/33748、33729/33735)を標的とするいくつかのsiNA構造は、このモデルにおいてVEGF誘発血管形成の抑制をもたらす。これらの化合物は、VEGFR1のみを標的とするsiNA構造(化合物番号31270/31273)と同様またはそれ以上の抑制を与えるために現れる。
マウス脈略膜新血管形成モデルにおけるsiNA分子の評価
siNAの眼内投与
雌のC57BL/6マウス(4〜5週齢)は、ケタミン/キシラジンの混合液(8:1)0.2mLで麻酔をし、1%トロピカミド1滴で瞳孔を膨張させた。そして、532nmのダイオードレーザー光凝固術(75μmスポットサイズ、持続時間0.1秒、120mW)で、手で握れるカバースリップをコンタクトレンズとして使用して、視神経を囲う各眼球に3つのレーザースポットを作成した。レーザースポットで形成された泡はブルッフ膜の破裂を示す。次に、レーザー処理の後17日目に、レーザースポットをCNVの存在に関して評価した。
マウスに複数のCNV損傷をレーザー誘導した後、siNAを解剖顕微鏡の下、眼内注入によって投与した。ハーバードポンプ微量注入器具および引き外しガラス製微量ピペットを使用して、眼内注入が行われた。各微量ピペットは、siNA0.5ugまたは1.5ug、逆位コントロールsiNAあるいは生理食塩水を含む担体1μLを送達するために較正した。マウスに麻酔をかけて瞳孔を膨張させ、微量ピペットの鋭い先端を角膜輪部のすぐ後ろから硝子体腔にある強膜を通し、足踏みスイッチを押した。レーザー光凝固術の後7日目に注入が繰り返された。
死亡時に、マウスは麻酔され(ケタミン/キシラジン混合液、8:1)、フルオレセイン標識デキストラン(FITC−デキストラン、200万平均分子量、シグマ社(Sigma))50mg/mlを含有するPBS1mlを心臓にかん流させた。眼球は取り除かれ、1%リン酸緩衝の4%ホルマリンに一晩漬けた。角膜およびレンズは取り除かれ、感覚神経の網膜は慎重に洗眼用コップから解剖した。5つの切り込みが洗眼用コップの端から赤道へとつけられ、強膜・脈絡膜・網膜色素上皮(RPE)の錯体は、強膜面を下にしてアクアマウント(Aquamount)のスライドグラス上に平らに載せた。平らに載せたものは、ニコン(Nikon)の蛍光顕微鏡で検査した。緑色の血管があるレーザースポットはCNV陽性となり、緑色の血管が欠乏したレーザースポットはCNV陰性をなった。平らに載せたものは蛍光顕微鏡検査法(アキシオスコップ(AXIOSKOP);カールツアイス株式会社(Carl Zeiss)、ソーンウッド(Thornwood)、NY)で検査し、画像は3色電荷結合素子(CCD)ビデオカメラおよびフレーム取込み器でデジタル化した。画像分析ソフトウェア(イメージプロプラス(Image Pro Plus);メディアサイバーネティックス社(Media Cybernetics)、シルバースプリング(Sylver Spring)、MD)を使用して、維管束の傷の合計に対応する、各熱傷に関連する超蛍光発光の合計面積を測定した。各眼球内の面積は平均化され、面積をプロットするために眼球ごとに1つの実験値を得た。
VEGFR1発現の測定も、PT−PCRおよび/または即時応答のPCRを使用して決定した。網膜RNAは、Rnaイージー(Rnaeasy)キットで単離し、逆転写は総RNA約0.5μg、逆転写酵素(スーパースクリプトII(SuperScriptII))および5.0μMオリゴ−D(T)プライマーで行われた。PCR増幅はVEGFR−1(5’−AAGATGCCAGCCGAAGGAGA−3’、配列識別番号:4253)および(5’−GGCTCGGCACCTATAGACA−3’、配列識別番号:4254)専用のプライマーを使用して行われた。滴定はPCR反応が増幅の線上の範囲で行われることを確実にするために決定された。マウスS16リボソームタンパク質プライマー(5’−CACTGCAAACGGGGAAATGG−3’、配列識別番号:4255および5’−TGAGATGGACTGTCGGATGG−3’、配列識別番号:4256)は、PCR反応の鋳型の量に内部コントロールを与えるために使用された。
「Stab9/10」化学反応(化合物番号31270/31273、表III)を有するVEGFR1部位349活性siNAは、合致する化学的な1.5ug逆位コントロールsiNA構造(化合物番号31276/31279、表III)および生理食塩水コントロールと比べて、2つの異なる濃度(用量反応1.5ugおよび0.5ug)でVEGF誘発新血管形成の抑制のためのテストを行った。図32で示されるように、「Stab9/10」化学反応を有する活性siNA構造は、合致する化学的な逆位コントロールsiNAと比べて、C57BL/6マウスの眼内送達モデルにおけるVEGFR1誘発新血管形成(57%抑制)の抑制における効果が高かった。活性siNA構造もまた、生理食塩水コントロールに比べて、VEGFR1誘発新血管形成(66%抑制)の抑制における効果が高かった。さらに、「Stab9/10」化学反応(化合物番号31270/31273、表III)を有するVEGFR1部位349siNAのRT−PCR分析は、逆位siNA構造(化合物番号31276/31279、表III)および生理食塩水と比べて、VEGFR1 mRNAのレベルで有意な減少を示した。さらに、上記の活性siNAおよび逆位コントロールsiNAを使用したVEGFR1タンパク質のELISA分析は、不活性siNA構造と比べて、活性siNAを使用したVEGFR1タンパク質発現のレベルで有意な減少を示した。これらの結果は、本明細書に記載の修飾等、異なる化学的に修飾された組成を有するsiNA分子が、眼内投与のこのモデルで示されるように、新血管形成を有意に抑制する能力を有することを証明するものである。
siNAの眼周囲投与
雌のC57BL/6マウス(4〜5週齢)は、ケタミン/キシラジンの混合液(8:1)0.2mLで麻酔をし、1%トロピカミド1滴で瞳孔を膨張させた。そして、532nmのダイオードレーザー光凝固術(75μmスポットサイズ、持続時間0.1秒、120mW)で、ハンドヘルド型のカバースリップをコンタクトレンズとして使用し、視神経を囲う各眼球に3つのレーザースポットを作成した。レーザースポットで形成された泡はブルッフ膜の破裂を示す。次に、レーザー処理の後17日目に、レーザースポットはCNVの存在に関して評価された。
マウスに複数のCNV損傷をレーザー誘導した後、siNAを解剖顕微鏡の下、眼周囲注入によって投与した。ハーバードポンプ微量注入器具および引き外しガラス製微量ピペットを使用して眼周囲注入が行われた。各微量ピペットは、siNA0.5ugまたは1.5ugの濃度でテストsiNAを含有する担体5μLを送達するために較正された。マウスに麻酔をかけて瞳孔を膨張させ、微量ピペットの鋭い先端を通し、足踏みスイッチを押した。眼周囲注入は、1日目から14日までレーザー光凝固術後に毎日行われた。代替として、眼周囲注入はブルッフ膜の破裂後3日おきに行われた。
死亡時に、マウスは麻酔され(ケタミン/キシラジン混合液、8:1)、フルオレセイン標識デキストラン(FITC−デキストラン、200万平均分子量、シグマ社(Sigma))50mg/mlを含有するPBS1mlを心臓にかん流させた。眼球は取り除かれ、1%リン酸緩衝の4%ホルマリンに一晩漬けた。角膜およびレンズは取り除かれ、感覚神経の網膜は慎重に洗眼用コップから解剖した。5つの切り込みが洗眼用コップの端から赤道へとつけられ、強膜・脈絡膜・網膜色素上皮(RPE)の錯体は、強膜面を下にして、アクアマウント(Aquamount)のスライドグラス上に平らに載せた。平らに載せたものは、ニコン(Nikon)の蛍光顕微鏡で検査した。緑色の血管があるレーザースポットはCNV陽性となり、緑色の血管が欠乏したレーザースポットはCNV陰性をなった。平らに載せたものは蛍光顕微鏡検査法(アキシオスコップ(AXIOSKOP);カールツアイス株式会社(Carl Zeiss)、ソーンウッド(Thornwood)、NY)で検査し、画像は3色電荷結合素子(CCD)ビデオカメラおよびフレーム取込み器でデジタル化した。画像分析ソフトウェア(イメージプロプラス(Image Pro Plus);メディアサイバーネティックス社(Media Cybernetics)、シルバースプリング(Sylver Spring)、MD)を使用して、維管束の傷の合計に対応する、各熱傷に関連する超蛍光発光の合計面積を測定した。各眼球内の面積は平均化され、眼球ごとに1つの実験値を得た。
「Stab9/10」化学反応(化合物番号31270/31273、表III)を有するVEGFR1部位349活性siNAは、合致する化学的な生理食塩水コントロールおよび0.5ug逆位コントロールsiNA構造(化合物番号31276/31279、表III)と比べて、2つの異なる濃度(用量反応1.5ugおよび0.5ug)でVEGF誘発新血管形成の抑制のためのテストを行った。図33で示されるように、「Stab9/10」化学反応(化合物番号31270/31273)を有する活性siNA構造は、合致する化学的な逆位コントロールsiNAと比べて、C57BL/6マウスの眼周囲の送達モデルにおけるVEGFR1誘発新血管形成(20%抑制)の抑制において効果があった。活性siNA構造は、生理食塩水コントロールと比べて、VEGFR1誘発新血管形成(54%抑制)の抑制においても効果が高かった。図34で示される追加分析において、2つの濃度で「Stab9/10」化学反応(化合物番号31270/31273)を有するVEGFR1部位349活性化siNAは、逆位siNAコントロールおよび生理食塩水コントロールと比べて、CNV病変において新血管形成の抑制において効果があった。図34で示されるように、「Stab9/10」化学反応(化合物番号31270/31273)を有する活性siNA構造は、合致する化学的な逆位コントロールsiNAと比べて、C57BL/6マウスの眼周囲の送達モデルにおけるVEGFR1誘発新血管形成(43%抑制)の抑制において効果がある。活性siNA構造は、ブルッフ膜の破裂後3日おきに行われた眼周囲注入での生理食塩水コントロールと比べて、VEGFR1誘発新血管形成(45%抑制)の抑制においても効果があった(図35参照)。これらの結果は、本明細書に記載の修飾等、異なる化学的に修飾された組成を有するsiNA分子が、眼周囲投与のこのモデルで示されるように、新血管形成を有意に抑制する能力を有することを証明するものである。
早熟モデルのマウス網膜症におけるsiNA分子の評価
以下の手順は、早熟モデルの酸素誘発虚血性網膜症/網膜症におけるsiNA分子標的VEGF受容体mRNAを評価するために使用された。雌のC57BL/6マウスの子供を、P7(生後7日)に75%酸素(ROP)雰囲気へ置いた。母親はP10で敏速に変更した。マウスはP12で75%酸素部屋から移された。子供は、75%酸素雰囲気から移された3時間後、P12で投与された。siNAは解剖顕微鏡の下、硝子体内または眼周囲注入によって送達された。ハーバードポンプ微量注入器具および引き外しガラス製微量ピペットを注入に使用した。各微量ピペットはテストsiNAを含む担体1μLを送達するために較正された。マウスに麻酔をかけて瞳孔を膨張させ、微量ピペットの鋭い先端を角膜輪部に通し、微量注入器具の足踏みスイッチを押した。マウスは、高酸素濃度環境から移されてから3日後に、P15でRNA用に頸椎脱臼およびタンパク質抽出によって死亡させた。網膜は取り除かれ、適切なリーシス緩衝液に入れられた(タンパク質およびRNA分析方法に関して下記を参照)。
タンパク質解析:タンパク質溶解緩衝液に50μLの1Mトリス−HCl(pH7.4)、50μLの10%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)、50μLの100nM PHSF(フェニルメタンスルホニル)および5mLの滅菌脱イオン化水を含ませた。200μLの溶解緩衝液を新鮮組織に加え、ピペットを用いてホモジナイズした。組織を4℃で25分間、超音波分解し、4℃、13Kで5分間回転させた。ペレットを廃棄し、上澄みを新しい試験管に移した。バイオラッド(BioRad)アッセイを使用し、BSAを標準として用い、タンパク質濃度を測定した。試料を−80℃で保存した。血液内皮成長因子受容体(VEGFR)1およびR&Dシステム社(R&D Systems)のR2キットを使用して酵素免疫測定法(ELISA)を実行した(クオンティカイン(登録商標)(Quantikine)免疫学的検定)。本マニュアルのプロトコルに厳密に従った。
RNA解析:キアゲン(Quiagen)RNイージーミニキットおよび動物細胞からの抽出に関する以下のプロトコルを使用して、RNAを抽出した。アンビオン社(Ambion)が企業プロトコルに従いRNA試料をDNA−free(TM)で処理した。次いで、RT−PCR用のインビトロジェン社(Invitrogen)スーパースクリプトファーストストランドシステム(Superscript 1st Strand System)を用い、以下のプロトコルに従ってリアルタイムPCRのためにファーストストランド(First Strand )cDNAを合成した。次に、ファストスタートDNAマスターSYBRグリーン(Fast Start DNA Master SYBR Green)Iを使用してロッシュライトサイクラー(Roche Lightcycler)でリアルタイムPCRを実行した。サイクロフィリンAを対照として使用し、精製したPCR産物を標準として使用した。
新血管形成の解析:マウスを頚椎脱臼によりP17で死亡させた。眼球を除去してOCTで新鮮凍結し、−80℃で保存した。次に眼球を切断し、レクチンを用いた免疫組織化学的染色を行った。10μmの凍結した眼球切断部分を、選択的に内皮細胞へ結合するビオチン化グリフォニアシンプリキフォリアレクチンB4(GSA;ベクターラボラトリーズ社(Vector Laboratories)、バーリンゲーム、カリフォルニア)を用いて組織学的に染色した。スライドを乾燥し、4%PFAに20分間固定し、次いでメタノール/H2O2中、室温で10分間インキュベートした。0.05Mトリス緩衝生理食塩水、pH7.6(TBS)で洗浄後、10%ブタ血清を用いてスライドを30分間遮断した。まずビオチン化GSAを用いてスライドを室温で2時間染色し、続いて0.05M TBSで完全に洗浄した。スライドをアルカリホスファターゼ(ベクターラボラトリーズ社(Vector Laboratories))とカップリングしたアビジンで、室温で45分間さらに染色した。スライドを赤色染色(ヒストマークレッド(Histomark Red)、キルケゴール アンド ペリー社(Kirkegaard and Perry)、ゲーサーズバーグ、メリーランド)でインキュベートすると、赤色の反応産物が得られる。コンピュータおよびイメージ解析ソフトウェア(イメージプロプラスソフトウェア(Image−Pro Plus software)、メディアサイバーネティクス社(Media Cybernetics)、シルバースプリング、メリーランド)を使用して網膜上のGSA染色細胞を定量化し、その領域を測定した。各眼球につき15回の測定の平均を一実験値として使用した。
代表的な研究結果を図36および37に示す。図36に示すように、酸素誘発性網膜症(OIR)のマウスにおいて、VEGFR1siNA(31270/31273)をP12、P14、およびP16上に眼周囲注射(5μl;1.5μg/μl)することで、合致した化学的な逆位コントロールsiNA構造(31276/31279)を注射した場合と比較して、VEGFR1mRNA発現が著しく減少した(40%抑制;n=9、p=0.0121)。図37に示すように、酸素誘発性網膜症(OIR)のマウスにおいて、VEGFR1siNA(31270/31273)を眼内注射(5μl)することで、合致した化学的な逆位コントロールsiNA構造(31276/31279)を注射した場合と比較して、VEGFR1タンパク質レベルが著しく減少した(30%抑制;n=7、p=0.0103)。
マウス4T1ルシフェラーゼ乳癌同系腫瘍モデルの評価
本研究は、VEGFR−1に向けられた全身投与されるsiRNAが皮下腫瘍の成長を抑制するか否かを判断するようにデザインされた。試験化合物は、VEGFR1 RNAの349位を標的とする活性Stab9/10siNA(化合物番号31270/31273)、合致した化学的な不活性逆位コントロールsiNA(化合物番号31276/31279)、および生理食塩水を含むものであった。対象動物は、約20−25g(生後5−7週間)の雌のバルブ/C(Balb/c)マウスとした。試験した対象は40匹のマウスであったが、その治療群を表VIに示す。マウスは4匹ずつの群に分けて飼育した。餌、水、温度および湿度の条件は1996年実験動物に関する指針(Guide for the Care and Use of Laboratory Animals) (NRC)を踏まえた薬理学試験機関(Pharmacology Testing Facility)実施基準(SOP’s)に従った。動物を実験前少なくとも3日間、施設に順応させた。この間、動物の健康状態を全般的に観察し、歩哨動物の基本血清をとった。4T1−ルシフェラーゼ乳癌腫瘍細胞を、この研究で動物への注射を使用するまで細胞培養しつづけた。研究0日目、ケタミン/キシラジンで動物に麻酔をかけ、100μlの注射量中1.0×106細胞を右側に皮下接種した。マイクロキャリパーを使用して初期腫瘍量を測定した。全長および全幅の測定は、接種3日後から始め接種21日後まで各腫瘍3x/週(M,W,F)から得られた。以下の等式に従い、全長/全幅から腫瘍量を計算した。腫瘍量=(a)(b)2/2ここでa=腫瘍の長軸であり、b=腫瘍の短軸である。投薬前3日間、腫瘍を成長させておいた。投薬は、18日間毎日行う実験化合物の静脈内尾静脈注射からなる。21日目、動物は、試験化合物の最終投薬後24時間、または動物が瀕死の兆候(体重減少、嗜眠、身づくろい行動の欠如等)を見せ始めた際に、CO2吸入を使用して安楽死させ、続いて肺を除去した。25X倍率のライツ(Leitz)解剖顕微鏡で肺転移が確認された。免疫組織化学的エンドポイントまたはmRNAレベルの解析のため、腫瘍を除去しLN2で急速冷凍した。結果を図38に示す。図に示されるように、活性siNA構造は腫瘍の成長を不活性コントロールsiNA構造と比較して50%抑制した。
加えて、活性および逆位コントロールsiNA構造で処理したマウスにおける血漿中の可溶VEGFR1レベルの評価を行った。図39は、合致した化学的な不活性逆位コントロールsiNA(化合物番号31276/31279)と比較して、VEGFR1 RNAの349位を標的とする活性Stab9/10siNA(化合物番号31270/31273)を使用したマウス4T1ルシフェラーゼ乳癌同系腫瘍モデルにおける可溶VEGFR1血清レベルの減少を示す。図39に示すように、このモデルにおいて活性siNA構造は可溶VEGFR1血清レベルの低減に有効である。
VEGFおよび/またはVEGFR RNA発現の多機能siNA抑制
多機能siNAのデザイン
一度、多機能siNA構造のための標的部位が特定されると、siNAのそれぞれの鎖は、例えば、約18と約28ヌクレオチドの間で異なる標的核酸配列に相補的である、相補領域の範囲がデザインされる。それぞれの相補領域は、約4から約22ヌクレオチドの標的配列に相補的でないが、その他の配列の相補領域に相補を含む、直近の隣接領域と共にデザインされる(例として、図16を参照)。ヘアピン構造も同様にデザインすることができる(例として、図17を参照)。異なる標的核酸配列と共通の相補、パリンドローム、または反復配列は、多機能siNA構造全体の長さの短縮に用いることができる(例として、図18と19を参照)。
限定を目的としない例において、多機能siNAは2つの個別の核酸配列を標的とするようデザインされた。目標は、2つの異なるsiNAを一緒にして、2つの異なる標的に対して活性の1つのsiNAにすることである。siNAは、それぞれの鎖の5’が、下に斜体で示されたような2つのsiRNAの1つの「アンチセンス」配列で始まるように結合された。
3’TTAGAAACCAGACGUAAGUGU GGUACGACCUGACGACCGU5’ 配列識別番号4257
5’UCUUUGGUCUGCAUUCACAC CAUGCUGGACUGCUGGCATT3’配列識別番号4258
RISCは、2つの鎖をいずれも5’端から取り込むと予想される。つまり、それぞれの鎖を運ぶ二種類の活性RISCの集団があることになる。それぞれの鎖の5’の19ntは、個別の標的配列の分解におけるガイド配列として作用する。
別の態様においては、多機能siNA分子のサイズは、重複を見つける、または個別のsiNAの長さを切り詰める、のいずれかによって短縮される。以下に述べられる例は、任意の第一の標的配列に対して、第二の標的配列中の共通の相補配列が見つかり得るということを示している。
一方とは独立に生成された、二つの長い配列の間に生じると期待される、数多くの短いポリヌクレオチド配列(例えば、14ヌクレオチド未満)の自然発生的な一致が検証された。均一なランダム発生プログラムSAS V8.1を用いたシミュレーションが、{ACGU}の文字の繰り返しで生成される4,000文字の文字列に利用された。この配列は、次にS1を位置(1,2...n)から、S2を位置(2,3...,n+l)から、S4000−n+lを位置(4000−n+1,...,4000)から、配列を完全に最後のセットまでとることによって作られた、ほぼ4000の重複した組に切断された。この過程は第二の4000文字の文字列で繰り返された。(サイズnの)同一のセットの存在が、二つの文字列の間の配列の同一性が、分類および一致−結合ルーチンによって照合された。この過程は9−11文字のセットで繰り返された。結果は、長さn=9文字で平均55の一致配列(39から72の範囲)、サイズn=10で13の共通セット(6から18の範囲)、および11文字の平均で4つ(0から6の範囲)の一致、であった。4000の選択の最初の文字列の長さは、両方のVEGFR1およびVEGFR2のコード領域のおよその長さである。この単純なシミュレーションは、他方とは独立に生成された任意の二つの長いコード領域が、多機能siNA構造の長さを短縮するのに用いることができる、短い共通配列を持つということを示唆している。この例において、サイズが9の共通配列は、偶然だけで>1%の確率で生じた。
以下は、各鎖が14ntの自己相補領域(下線)を含む24ntの合計長を有するVEGFR1およびVEGFR2を標的とする多機能siNA構造の例である。VEGFR1を標的とするsiNA‘1’およびVEGFR2を標的とするsiNA‘2’の各アンチセンス領域(相補領域は斜体で表示)を使用する。
siNA‘1’
5’CAAUUAGAGUGGCAGUGAG(配列識別番号4259)
3’GUUAAUCUCACCGUCACUC(配列識別番号4260)
siNA‘2’
AGAGUGGCAGUGAGCAAAG5’(配列識別番号4261)
UCUCACCGUCACUCGUUUC3’(配列識別番号4262)
多機能siNA
CAAUUAGAGUGGCAGUGAGCAAAG(配列識別番号4263)
GUUAAUCUCACCGUCACUCGUUUC(配列識別番号4264)
別の態様においては、多機能siNAの長さは、各標的配列に対する配列相同性のより少ない塩基対が効果的なRNAi作用に対する耐性を持ち得るか否かを判断することにより短縮される。耐性を持ち得る場合、多機能siNAの全体の長さを以下に示すように短縮することができる。以下の仮説的実施例において、4つのヌクレオチド(太字)は、それぞれ19ヌクレオチドのsiNA‘1’およびsiNA‘2’構造から短縮される。その結果として生じる多機能siNAは、30塩基対の長さである。
siNA‘1’
5’CAAUUAGAGUGGCAGUGAG(配列識別番号4259)
3’GUUAAUCUCACCGUCACUC(配列識別番号4260)
siNA‘2’
AGAGUGGCAGUGAGCAAAG5’(配列識別番号4261)
UCUCACCGUCACUCGUUUC3’(配列識別番号4262)
多機能siNA
CAAUUAGAGUGGCAGUGGGAGUGAGCAAAG(配列識別番号4265)
GUUAAUCUCACCGUCACCGUCACUCGUUUC(配列識別番号4266)
二重レポータープラスミドシステムにおけるVEGFおよびVEGFR RNAを標的とする多機能siNA構造
VEGFおよびVEGFR RNA標的をターゲティングする多機能siNA構造の評価に使用される二重レポーターアッセイは、ホタルおよびウミシイタケルシフェラーゼ遺伝子を含む二重レポータープラスミド(psiCHECK−II(プロメガ(Promega)社)を使用する。興味のある配列(siNAの標的RNA)をウミシイタケルシフェラーゼ終止コドンの下流でクローニングする。ウミシイタケルシフェラーゼ活性の欠如は、多機能siNAによるメッセージ分解に直接関連する。ホタルルシフェラーゼ活性はトランスフェクションコントロールとして使用される。
多機能siNA作用の細胞培養解析
96ウェルプレート、37℃、5%CO2にて、70−80%密集度に対して10%の胎孔血清を含む75μlのイスコヴ(Iscove)溶液中で成長したHeLa細胞におけるRNAi作用を評価した。175.5μlのOpti−MEMI(ギブコ−BRL(Gibco−BRL)、2μlのリポフェクタミン2000(インビトロゲン(Invitrogen))および50ng/μlで適切な標的RNA配列を含む10μlのsiCHECK(TM)−2プラスミド(プロメガ(Promega))で構成されるトランスフェクション混合物をマイクロタイタープレートにおいて調整した。12.5μlのsiRNA(1μM)溶液を前記混合物に加えて、siRNA濃度を62.5nMにする。前記トランスフェクション混合物を20−30分間25℃で培養した。次に50μlの前記トランスフェクション混合物をHeLa細胞を含む75μlの媒体に加えて、最終siRNA濃度を25nMにする。細胞を37℃、5%CO2で20時間培養した。
遺伝子ノックダウンの定量
96ウェルプレート様式で行われた実験に対する製造者の指示に従って、ホタルおよびウミシイタケルシフェラーゼルミネセンスを計測した。典型的な手順では、20時間のトランスフェクション後、50μlの媒体を培養物から取り除き、75μlのデュアル・グロー・ルシフェラーゼ(Dual Glo Luciferase)試薬を加えて、室温で10分間やさしく揺らす。ホタルルミネセンスを96ウェルプレートリーダーで測定した。次に、75μlの新たに調整したデュアル・グロー・ストップ・アンド・グロー(Dual Glo Stop and Glow)試薬を加えて、プレートをさらに10分間室温でやさしく揺らした。ウミシイタケルミネセンスを96ウェルプレートリーダーで測定した。ホタルルミネセンスとウミシイタケルミンセンスの比率は、サイレンシング作用の標準化した値を提供する。結果を図40−42に示す。図40は、RNAベースの多機能siNAが媒介する(A)VEGF、(B)VEGFR1、および(C)VEGFR2 RNAの抑制を示す。図41は、安定した多機能siNAが媒介する(A)VEGF、(B)VEGFR1、および(C)VEGFR2 RNAの抑制を示す。図42は、非ヌクレオチド連結多機能siNAが媒介するVEGF、VEGFR1およびVEGFR2 RNAの抑制を示す。これらのデータは、各部位を標的とする個別のsiNA構造として複数部位を標的とすることにより、VEGFおよびVEGFR RNA発現の抑制において、多機能siNA構造が同様に効果的であることを示す。
その他の多機能siNAデザイン
単一siNA分子が複数の標的をサイレンシングできるような3種類の更なる多機能siNAデザインが提示される。第一の方法は、siNA(または多機能siNA)を直接結合するためのリンカーを利用する。この方法で、干渉反応を誘因する見込みのある長い連続したRNAを作ること無しに、多くの強力なsiNAを結合できるようになる。第二の方法は、重複している、または結合された多機能デザインのデンドリマー状の伸長であるか、あるいは、それに代わる超分子形式でのsiNAの編成である。第三の方法は、長さが30塩基対以上のらせんを用いる。これらのsiNAのダイサーによる作用で、新しい、活性型の5’アンチセンス端を露呈する。従って、長いsiNAは、本来の5’端で規定される部位と、ダイサー作用によって作られた新しい末端によって規定される部位とを標的にすることができる。従来型の多機能siNA(センスおよびアンチセンス鎖がそれぞれ標的を規定する)との併用で用いた場合、このアプローチは例えば4つかそれ以上の部位を標的とするように用いることができる。
I.テザー二機能siNA
基本的なアイディアは、二つのアンチセンスsiNA鎖が単一のセンス鎖にアニールされた、多機能siNAのデザインへの新しいアプローチである。センス鎖オリゴヌクレオチドは、リンカー(例えば、本申請で述べられた非ヌクレオチドリンカー)と、アンチセンスsiNA鎖にアニールする二つの断片を含む(図43参照)。リンカーは、ヌクレオチドに基づくリンカーを含むことができる。いくつかの見込みのある利点と、このアプローチのバリエーションは以下を含むが、それに限定しない
1.前記の二つのアンチセンスsiNAは独立している。従って、標的部位の選択は、二つの部位の間の保存配列のための要求によって制約されない。任意の二つの高度に活性なsiNAは、多機能siNAを形成するために組み合わされることができる。
2.相同性、二つの遺伝子(例えば、異なるVEGFおよびVEGFR株)に存在する配列を標的とするsiNAを有する標的部位の組み合わせが用いられた場合、そのデザインは二つ以上の部位を標的とするように利用することができる。例えば単一の多機能siNAは、2つの異なるVEGFおよび/またはVEGFR RNA(二つのRNAの間の保存配列を標的とする多機能siNAの一方のアンチセンス鎖を用いる)および宿主RNA(宿主RNAを標的とする多機能siNAの第ニアンチセンス鎖を用いる(例、La抗原またはFAS)のRNAを標的にするために利用できる。このアプローチによって、2以上のVEGFおよび/またはVEGFR株、および1つ以上の宿主RNAを、単一の多機能siNAを用いて標的とすることができるようになる。
3.遺伝子を標的とするために、センス鎖とアンチセンス鎖の両方を用いる多機能siNAは、テザー多機能デザインに組込むこともできる。このことは、単一の複合体で64以上の部位を標的とする可能性を残している。
4.2つ以上のアンチセンス鎖siNAを、単一のテザーセンス鎖にアニールすることができ得る。
5.このデザインは、長く続くdsRNAを回避する。従って、インターフェロン反応を起こしにくい。
6.リンカー(または、本申請で述べられたコンジュゲートのように、それに結合した修飾)は、複合体の薬物動態学特性を向上させる、またはリポソームへの組み込みを向上させることができる。リンカーに導入された修飾は、直接siNAに結合された場合と同一程度には、siNA活性に影響を与えないはずである(例として、図49および50を参照)。
7.センス鎖は、コンジュゲートの結合部位をさらに提供するために、アニールされたアンチセンス鎖を越えて延長できる。
8.複合体の極性は、両方のアンチセンスの3端がリンカーと近隣するように、および、5鋳端がリンカーと離れているように、またはその組み合わせになるように、切り替えることができる。
デンドリマーおよび超分子siNA
デンドリマーsiNAアプローチにおいて、siNAの合成は、最初にデンドリマーの鋳型を合成することから始め、次いで様々な機能的siNAが結合される。様々な構造が図44に描かれている。結合できる機能的siNAの数は、用いられるデンドリマーのサイズによってのみ限定される。
多機能siNAへの超分子アプローチ
超分子形式は、デンドリマー合成の難問を単純化する。この形式において、siNA鎖は標準的なRNA化学反応によって合成され、次いで様々な相補鎖がアニーリングされる。個々の鎖の合成は、1つのsiNAの5’端にアンチセンス、センス配列を含み、ヘクサエチレングリコールのような、核酸または合成リンカーが続き、今度はほかのsiNAのセンス鎖が5’から3’方向に他のsiNAのセンス鎖が続く。従って、siNA鎖の合成は、標準的な3’から5’の方向で行える。代表的な三機能、または四機能のsiNAの例は、図45に描かれている。類似の原理に基づいて、様々な鎖のアニーリング効率が達成される限り、より多機能なsiNA構造をデザインすることができる。
ダイサー作用可能な多機能siNA
多標的の生物情報学的解析を用いて、異なる標的配列の間で共有される同一配列が、約2から約14ヌクレオチド長の範囲で同定されることができる。これらの同一領域は、ダイサーによる作用が二次機能的な5’−アンチセンス部位を露呈するように、延長されたsiNAらせん(例えば、>30塩基対)の中にデザインされることができる(例えば図46参照)。例えば、最初のsiNAアンチセンス鎖の17ヌクレオチド(例、3TT突出を有する二重鎖中の21ヌクレオチド鎖)が標的RNAに相補的である場合、強いサイレンシングが25nMで観察された。’80%サイレンシングが、同一形式での僅か16ヌクレオチド相補で観察された(図48参照)。
約30から40以上の塩基対のsiNAデザインへのこの特性の組み込みの結果、更なる多機能siNA構造が生じる。図46の例は、ダイサー−リボヌクレアーゼIIIによる処理の後、いかにして30塩基対の二重鎖が3つの異なる配列を標的にできるかを図解している。つまりこれらの配列は、ウイルスと宿主因子のメッセージのような、同一mRNA上、または別のRNA上、あるいは所定の経路に沿った複数のポイント(例えば、炎症カスケード)に、存在できる。更に、40塩基対の二重鎖は、4つの標的配列を標的とする単一の二重鎖を提供するために、二機能デザインを直列に組み合わせることができる。更により広範なアプローチは、5つまたは6つの標的を一つの多機能二重鎖でサイレンスするための相同性配列(例えば、VEGFR−1/VEGFR−2)を含むことができる。図46の例は、この達成方法を示している。30塩基対二重鎖は、ダイサーによってどちらかの端から22および8塩基対産物に切断される(8塩基対断片は示されていない)。提示を容易にするため、ダイサーによって作られた突出は示されないが、補うことができる。3つの標的配列が示される。重複した必要な配列の同一性は、灰色の四角で示される。親の30塩基対のsiNAのNは、2’−OH位置の推奨部位であり、もしこの化学反応の安定性がテストされたのであれば、ダイサー切断を可能にする。なお、ダイサー−リボヌクレアーゼIIIによる30塩基長二重鎖の作用は、正確な22+8には切断しないが、むしろ一連の非常に関連した産物(原発部位では22+8)を産生する。従って、ダイサーによる作用は一連の活性siNAを生じる。別の限定を目的としない例を、図47に示す。40塩基対の二重鎖は、ダイサーによってどちらかの端から20塩基対の産物に切断される。提示を容易にするため、ダイサーによって作られた突出は示されないが、補うことができる。4つの標的配列は、青、水色、赤、オレンジの4色で示されている。重複した必要な配列の同一性は、灰色の四角で示される。このデザイン形式は、より大きなRNAに拡大できる。化学的に安定したsiNAがダイサーによって結合した場合、計画的に配置されたリボヌクレオチド結合は、我々の、さらに広範囲な多機能的デザインのレパートリーをもたらす、意図的に作られた切断産物を可能にすることができる。例えば、約22ヌクレオチドのダイサー標準に限定されない切断産物により、標的配列が同一の多機能siNA構造が、例えば、約3から約15ヌクレオチドの範囲で重複できるようになる。
このアプローチの別の重要な側面は、そのエスケープ変異を制限する能力である。内部標的部位を露出する過程によって、アンチセンス5’端の8ヌクレオチドに相補的なエスケープ変異が、確実にsiNAの効果を減少させないようにできる。約17ヌクレオチドの相補がRISCに媒介される標的切断に必要な場合、これによって例えば、8/17または47%で起こり得るエスケープ変異が制限されるだろう。
実施例12
適応症
VEGFおよび/またはVEGFRリサーチにおける現在の一連の知識は、リサーチや、診断、および治療に使用するために、VEGFおよび/またはVEGFR活性を試験する方法、およびVEGFおよび/またはVEGFR発現を制御することのできる化合物の必要を示唆している。本請求で述べた通り、本発明の核酸分子は、VEGFおよび/またはVEGFRのレベルに関連した病状を診断するアッセイに使用できる。加えて、前記核酸分子は、VEGFおよびVEGFRのレベルに関連した病状の治療に使用できる。
VEGFおよびVEGFR発現の調節に関連付けられる特定の変性および病状には以下が含まれるが、それらに限定はされない。
1)腫瘍血管新生:血管新生は、腫瘍が病的サイズに成長するのに必要であることを示している(フォークマン(Folkman),1971年,米国サイエンスアカデミー会報(PNAS)76,5217−5221;ウェルスタイン(Wellstein)とツバイコ(Czubayko),1996年,乳癌リサーチと治療(Breast Cancer Res and Treatment)38,109−119)。さらに、血管新生によって腫瘍細胞が転移中に循環器系を移動する。血管および浮腫関連脳腫瘍において、血管内皮成長因子(VEGF)といった多くの血管新生因子の高レベルの遺伝子発現が報告されている(バールマン(Berlman)ら,1993年,臨床試験誌(J.Clini.Invest.,91,153)。ジム・キム(Jim Kim)ら(1993年,ネイチャー誌(Nature)362,841)は、腫瘍血管新生におけるVEGFの役割をさらに直接的に示している。ここでは、VEGFに対するモノクローナル抗体をうまく利用して、裸マウスにおける横紋筋肉腫、膠芽腫多型細胞の成長を抑制した。同様に、flt−1VEGF受容体の優性ネガティブ突然変異型は、裸マウスにおいてヒト膠芽腫細胞による誘発された血管新生を抑制する(ミラウアー(Millauer)ら,1994年,ネイチャー誌(Nature)367,576)。本発明の核酸分子を使用して標的とすることができる特定の腫瘍/癌タイプは、本明細書に記載の腫瘍/癌タイプが含まれるが、それらに限定されない。
2)眼疾患:新血管形成は、加齢性黄斑変性(AMD)、乾性AMS、湿性AMD、predominantly classic型AMD(PD AMD)、minimally classic型AMD(MC AMD)、およびoccult型AMDを含む黄斑変性;血管新生緑内障、糖尿病性黄斑浮腫(DME)および増殖性糖尿病網膜症を含む糖尿病性網膜症;近視性変性、ブドウ膜炎、およびトラコーマを含むがそれらに限定されない眼疾患を誘発する、または悪化させることが示されている(ノルビ(Norrby),1997年。APMIS105,417−437)。アイエロ(Aiello)ら(1994年,ニューイングランド医薬誌(New Engl.J.Med.)331,1480)は、糖尿病性網膜症および他の網膜疾患の患者の大部分で眼液に高濃度のVEGFが含まれることを示した。ミラー(Miller)ら(1994年,アメリカ病理学誌(Am.J.Pathol.)145,574)は、網膜虚血患者のVEGF mRNAレベルが高いことを報告した。これらの発見は、眼疾患におけるVEGFの直接的な役割を支持している。VEGF合成を刺激する因子を含む他の因子もまた、これらの報告に貢献することがある。
3)皮膚疾患:乾癬、尋常性疣贅、結節硬化症の血管線維腫、ポートワイン母斑、スタージ・ウェーバー症候群、クリッペル−トレノネイ−ウェーバー症候群、およびオスラー−ウェーバー−レンデュ症候群(前述のノルビ(Norrby)を含むがそれらに限定されない、血管新生依存性の多くの兆候が識別されている。血管新生因子b−FGFの皮内注射は、裸マウスにおける血管新生を示した(ウェックベッカー(Weckbecker)ら,1992年,血管新生(Angiogenesis):基本原理−サイエンス−テクノロジー−医薬,アール.シュタイナー(R.Steiner)編)。デトマー(Detmar)ら(1994年,実験医学誌(J.Exp.Med.)180,1141)は、乾癬皮膚および乾癬皮膚毛細血管においてVEGFおよびその受容体が過剰発現したことを報告し、VEGFが乾癬において重要な役割を果たすことを示唆している。
4)関節リウマチ:関節リウマチ患者の関節から採取した組織に関する免疫組織化学およびin situハイブリッド形成試験は、高いVEGFおよびその受容体レベルを示している(ファヴァ(Fava)ら,1994年,実験医学誌(J.Exp.Med.)180,341)。さらにコッホ(Koch)ら(1994年,免疫学誌(J.Immunol.)152,3139)は、関節リウマチ患者から採取した滑膜組織の分裂促進作用を著しく低減できることを発見した。これらの発見は、関節リウマチにおけるVEGFの直接的な役割を支持している。本発明の血管新生因子を含む他の血管新生因子もまた、関節炎に関与することがある。
5)子宮内膜症:様々な研究が、VEGFが子宮内膜症において直接的に実装されることを示している。ある研究では、ELISAにより測定した腹水中のVEGF濃度が、子宮内膜症でない女性よりも子宮内膜症の女性で著しく高いことが分かった(正常な場合において24.1+−15ng/ml対13.3+−7.2ng/ml)。子宮内膜症の患者において、月経周期の分泌期(10.7+−5ng/ml)に比べて、増殖期(33+−13ng/ml)に高いVEGF濃度が検出された。通常患者から採取した腹水中における周期変動については言及されていない(マクラーレン(McLaren)ら,1996年,ヒトの生殖(Human Reproduction)11,220−223)。別の研究では、中度から重度の子宮内膜症を患う女性の腹水VEGF濃度が、子宮内膜症でない女性に比べて著しく高かった。子宮内膜症と腹水中のVEGF濃度には正相関があった。ヒト子宮内膜検査において、初期増殖期と比べ、中期増殖期、後期増殖期、および分泌期の子宮内膜においてVEGF発現が約1.6倍、2倍、および3.6倍増加した(シフレン(Shifren)ら,1996年,臨床内分泌学と代謝誌(J.Clin.Endocrinol.Metab.)81,3112−3118)。第三の研究では、ヒト異所性子宮内膜のVEGF陽性染色法によってマクロファージに限局されることが示された(CD14マーカーを用いた二重免疫蛍光染色法)。腹水マクロファージは、子宮内膜症の女性および子宮内膜症でない女性においてVEGF染色を示した。しかし対照と比較して、子宮内膜症の女性から採取した腹水において、高いマクロファージ活性(酸ホスファターゼ活性)が示された。子宮内膜症の患者から採取した腹水マクロファージ馴化培地は、対照と比較して、HUVEC細胞において著しい細胞増殖を生じた([3H]チミジンの取り込み)。VEGFR2 mRNAを持つ腹水マクロファージの比率は、分泌期のほうが高く、対照(32+−20%)と比較して、子宮内膜症の女性から採取した腹水(80+−15%)において著しく高かった。Flt−mRNAは、子宮内膜症の女性および子宮内膜症でない女性から採取した腹水マクロファージにおいて検出されたが、グループ間に相違はなく、または周期依存の証拠も見られなかった(マクラーレン(McLaren)ら,1996年,臨床試験誌(J.Clin.Invest.)98,482−489)。月経周期の初期増殖期において、雌のマウスの卵管および子宮の内側を覆う分泌円柱上皮(エストロゲン反応性)においてVEGFが発現したことがわかった。分泌期において、VEGF発現が機能的子宮内胃膜を構成する基礎的な支質に変えたことを示した。子宮内膜の審査に加えて、血管新生と同様に、胚着床部位における卵胞の新血管形成および黄体も解析した。これらの過程で、形成中の血管に近い場所および時期においてVEGFが発現した(シュウェイキ(Shweiki)ら,1993年,臨床実験誌(J.Clin.Invest.)91,2235−2243)。
6)腎疾患:常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)は、米国において最も一般的な生命に関わる遺伝性疾患である。約400人から1000人に1人、またADPKDを持つ人の50%が腎不全を発症する。ADPKDは、米国において末期腎不全の5−10%を閉め、透析および腎移植を必要とする。血管新生は、ADPKDの進行中に実装されて嚢胞細胞を成長させ、嚢胞へ体液分泌を促進する血管透過性を増加する。培養下の嚢胞細胞が可溶性の血管内皮成長因子(VEGF)を産生するため、嚢胞上皮の増殖はADPKDの特徴の1つである。VEGFR1は、嚢胞腎または正常な腎臓の血管系における内皮細胞ではなく、嚢胞細管の内皮細胞において検出されている。VEGFR2の発現は、嚢胞血管の内皮細胞および腎虚血再かん流中の内皮細胞において増加する。
ゲムシタビンおよびシクロホスファミドといった放射線治療および化学療法の利用は、本発明の核酸分子(例、siNA分子)と結合できる、または併用できる化学療法薬の限定を目的としない例である。当業者であれば、他の抗癌化合物および治療も同様に、本発明の核酸分子(例、siNA分子)と容易に組み合わせることができ、故に本発明の範囲に含まれることを認識するであろう。そのような化合物および治療は、当該技術分野においてよく知られており(例として、癌:腫瘍学の原理と実践(Principles and Practice of Oncology),Volume1および2,デヴィータ,ヴィー.ティー.(Devita,V.T.)、ヘルマン,エス.(Hellman,S.)、およびローゼンバーグ,エス.エー(Rosenberg,S.A.)編,ジェイ・ビー・リッピンコット・カンパニー(J.B.Lippincott Company),フィラデルフィア,アメリカを参照。これは参照することにより本明細書に組み込まれる)、葉酸、抗葉酸、ピリミジンアナログ、フルオロピリミジン、プリンアナログ、アデノシンアナログ、トポアイソメラーゼI抑制因子、アントラピラゾール、レチノイド、抗生物質、アントラサイクリン、プラチナアナログ、アルキル化薬、ニトロソウレア、ビンカ・アルカロイドなどの植物由来の化合物、エピポドフィロトキシン、チロシンキナーゼ抑制因子、タキソール、放射線治療、外科手術、栄養補給、遺伝子治療、3D−CRTなどの放射線治療、リシンなどの抗毒素治療、およびモノクローナル抗体を含むがそれらに限定されない。本発明の核酸分子と結合できる、または併用される化学療法薬の特定の例は、パクリタキセル、ドセタキセル、メトトレキサート、ドキソルビン、エダトレキサート、ビノレルビン、トマキシフェン、ロイコボリン、5−フルオロウリジン(5−FU)、イオノテカン、シスプラチン、カルボプラチン、アムサクリン、シタラビン、ブレオマイシン、ミトマイシンC、ダクチノマイシン、ミトラマイシン、ヘキサメチルメラミン、ダカルバジン、L−アスペリギナーゼ、ニトロゲンマスタード、メルファラン、クロラムブチル、ブスルファン、アイフォスファミド、4−ヒドロペロキシシクロホスファミド、チオテパ、イリノテカン(CAMPTOSAR(R)、CPT−11、カンプトテシン−11、カンプト)タモキシフェン、ヘルセプチン、IMC C225、ABX−EGF、およびその組み合わせを含むがそれらに限定されない。眼性疾患および状態の本発明のsiNA分子と組み合わせて使用できる治療および化合物の限定を目的としない例は、黄斑下手術、焦点レーザー網膜光凝固、限局的な黄斑転移手術、網膜および網膜色素上皮移植、網膜マイクロチッププロテーゼ、フィーダー血管CNVMレーザー光凝固、インターフェロンアルファ治療、硝子体内ステロイド治療、経瞳孔温熱療法、膜分離濾過治療、VEGF(例、マクゲン(Macugen)(商標))および/またはVEGF受容体を標的とするアプタマー、VEGF(例、ルセンティス(Lucentis)(商標)および/またはVEGF受容体、ヴィスダイン(Visudyne)(商標)(例、光治療(PDT)で使用)を標的とする抗体、セレブレックス(Celebrex)(商標)またはアネコルターブ酢酸(例、レターヌ(Retaane)(商標))といった抗炎症化合物、グルココルチコイドといったアンギオスタチンステロイド、ポスルデックス(Posurdex)(商標)といった硝子体内移植、FGF2モジュレータ、スクアラミンといった抗血管新生化合物、および/またはVEGFとラップおよび他のサイトカインとラップを含む(例として、エコノマイド(Eonomides)ら,2003年,天然医薬誌(Nature Medicine),9,47−52を参照)。前記化合物は、本発明の核酸分子(例、siNA)と組み合わせることができる、または併用される化合物および/または方法の限定を目的としない例を示す。当業者であれば、他の薬剤化合物および治療も同様に、本発明の核酸分子(例、siNA分子)と容易に組み合わせることができ、故に本発明の範囲に含まれることを認識するであろう。
実施例13
診断上の利用
発明のsiNA分子は、例えば、治療、工業、環境、農業、および/また研究のような様々な応用における標的分子(例えば、RNA)の特定のような、様々な診断上の応用に利用することができる。そのようなsiNA分子の診断上の利用は、例えば、細胞溶解液または部分精製された細胞溶解液を用いる、RNAi再構成システムの利用を伴う。本発明のsiNA分子は、例えば、疾患細胞中の遺伝的浮動や変異を検査するための、または、細胞中のウイルスRNAのような内因性または外因性の存在を検出するための診断手段として用いることができる。siNA活性と標的RNAの構造間の密接な関係故に、塩基対と標的RNAの3次元構造が変わり、分子の任意の領域の変異を検出することができる。本発明で述べられた複数のsiNA分子を用いることにより、RNAの構造、また細胞と組織内同様にインビトロでの機能に重要なヌクレオチドの変化をマップすることができる。siNA分子と標的RNAの切断は、遺伝子発現の抑制や特定の遺伝子産物の疾患または感染の進行における役割を明らかにするのに用いることができる。この方法で、その他の遺伝子標的が疾患の重要な調節因子として明らかにされる可能性がある。これらの実験は、併用療法(例えば、異なる遺伝子を標的とする複数のsiNA分子、既知の低分子阻害剤と結合したsiNA分子、またはsiNA分子および/またその他の化学的または生物学的分子との断続的な併用治療)の可能性を提供することによって、疾患進行へのより良い治療を導き出すだろう。本発明のsiNA分子のその他のインビトロ利用は、当該分野でよく知られており、疾患、感染症、または関連の病体に関連するmRNAの存在の検出を含む。このようなRNAは、例えば、蛍光共鳴放射転移(FRET)のような標準的手法を用いて、siNAによる治療後、切断産物の存在の測定によって検出される。
特定の例において、標的RNAの野生型のみ、または変異型のみを切断するsiNA分子がアッセイに用いられる。第一のsiNA分子(すなわち、標的RNAの野生型のみを切断するもの)は、試料中の野生型RNAの存在を確認するのに用いられ、第二のsiNA分子(すなわち、標的RNAの変異型のみを切断するもの)は試料中の変異型RNAを確認するのに用いられる。反応コントロールとして、反応中のsiNAの相対的効率、また「標的でない」RNA種は切断されていないことを示すために、野生型および変異RNA双方の合成基質が双方のsiNA分子によって切断される。合成基質からの切断産物は、試料群中の野生系と変異RNAの解析のためのサイズマーカーを作るのに役立つ。すなわち、それぞれの解析には、二つのsiNA分子、二つの基質、および一つの未知の試料で、合計6つの反応が必要である。切断産物の存在は、それぞれのRNAの全長および切断断片がポリアクリルアミドゲルの1レーンで解析できる、リボヌクレアーゼ保護アッセイを用いて検出される。変異RNAの発現と標的細胞における望ましい表現系が変化するという想定される危険性の洞察を得るために、結果の定量が絶対に必要というわけではない。表現系の発展にタンパク質産物が関わっている(すなわち、疾患に関係した、または感染に関係した)mRNAの発現は、危険を証明するに十分である。もし比較可能な特定の活性のプローブが双方の転写物に用いられるなら、RNAレベルの定性的な比較で十分であり、初期診断の費用を低減する。RNAレベルが定性的に、または定量的に比較されるかどうかに関わらず、野生型に対する変異型のより高い比率は、より高い危険性と相関している。
本明細書の中で述べられた全ての特許と出版物は、本発明が属する技術分野の熟練者のレベルを表すものである。本開示に引用された全ての参考文献は、各文献を参照することでその全体が個別に本申請に組み込まれるのと同様に、本申請に組み込まれる。
当業者は、目的を遂行するために本発明はよく適合されていること、また、述べられた目的と利点を達成していることを容易に理解することであろう。好ましい例の目下の代表例として本明細書で述べられた方法と組成物は例示的なものであり、本発明の範囲の限定を目的としない。当業者に見いだされるであろう変更やその他の用途は、請求の範囲によって定義される、本発明の精神に含まれるものである。
当業者には、様々な置換と修飾は本明細書で開示される本発明が、本発明の範囲と精神から離れることなく行われ得るということが容易に理解できるだろう。従って、このような付加的な態様は本発明および請求項の範囲に含まれる。本発明は当業者に、本申請で述べられた、RNAi活性を媒介するための活性が向上した核酸構造を作成するための、様々な化学修飾の組み合わせおよび/または置換を試験することを悟らせる。このように向上された活性には、向上された安定性、向上された生物学的利用能、および/またRNAiを媒介する細胞反応の向上された活性化を含む可能性がある。従って、本明細書で述べられた個別の態様は限定を目的とせず、当業者は、容易に本明細書で述べられた修飾の個別の組み合わせを、RNAi活性が向上したsiNA分子特定のための無駄な実験を行うことなく試験できることが容易に理解できる。本申請で適切に述べられた本発明は、本明細書で具体的に開示されなかった、任意の要素や要素群、制限項目または制限項目群が欠落していても実践することができる。従って、例えば、本明細書のそれぞれの態様において、「含む」「原則的に構成される」および「構成される」のいずれの語も、他の二つのいずれかと置き換えてられてよい。使用された用語や表現は、説明の用語として用いられるのであって、限定のためではなく、このような用語や表現で示され述べられた特徴、またはその一部分である任意の同等のものを排除する意図はなく、請求された本発明の範囲で、様々な修飾が可能であることが認識される。従って、本発明は好ましい態様によって具体的に開示されているが、本明細書で開示されたコンセプトの任意の特性、変形、およびバリエーションは当業者によって行われることができること、そして説明と添付特許請求の範囲によって明確にされたように、変形およびバリエーションは、本発明の範囲であると考えられるということが理解されるべきである。
加えて、当業者であれば、本発明の特性や側面がマークーシュ(Markush)グループまたは、他の代替グループの観点で述べられている場合には、本発明が、マークーシュ(Markush)グループまたはその他のグループにおける任意の個々メンバーまたはサブグループのメンバーの観点でも述べられていることを認識するであろう。
表 I: VEGF および/またはVEGFR アクセッション番号

NM_005429
Homo sapiens vascular endothelial growth factor C (VEGFC), mRNA
gi|19924300|ref|NM_005429.2|[19924300]
NM_003376
Homo sapiens vascular endothelial growth factor (VEGF), mRNA
gi|19923239|ref|NM_003376.2|[19923239]
AF095785
Homo sapiens vascular endothelial growth factor (VEGF) gene, promoter region and
partial cds
gi|4154290|gb|AF095785.1|[4154290]
NM_003377
Homo sapiens vascular endothelial growth factor B (VEGFB), mRNA
gi|20070172|ref|NM_003377.2|[20070172]
AF486837
Homo sapiens vascular endothelial growth factor isoform VEGF165 (VEGF) mRNA,
complete cds
gi|19909064|gb|AF486837.1|[19909064]
AF468110
Homo sapiens vascular endothelial growth factor B isoform (VEGFB) gene, complete
cds, alternatively spliced
gi|18766397|gb|AF468110.1|[18766397]
AF437895
Homo sapiens vascular endothelial growth factor (VEGF) gene, partial cds
gi|16660685|gb|AF437895.1|AF437895[16660685]
AY047581
Homo sapiens vascular endothelial growth factor (VEGF) mRNA, complete cds
gi|15422108|gb|AY047581.1|[15422108]
AF063657
Homo sapiens vascular endothelial growth factor receptor (FLT1) mRNA, complete
cds
gi|3132830|gb|AF063657.1|AF063657[3132830]
AF092127
Homo sapiens vascular endothelial growth factor (VEGF) gene, partial sequence
gi|4139168|gb|AF092127.1|AF092127[4139168]
AF092126
Homo sapiens vascular endothelial growth factor (VEGF) gene, 5' UTR
gi|4139167|gb|AF092126.1|AF092126[4139167]
AF092125
Homo sapiens vascular endothelial growth factor (VEGF) gene, partial cds
gi|4139165|gb|AF092125.1|AF092125[4139165]
E15157
Human VEGF mRNA
gi|5709840|dbj|E15157.1||pat|JP|1998052285|2[5709840]
E15156
Human VEGF mRNA
gi|5709839|dbj|E15156.1||pat|JP|1998052285|1[5709839]
E14233
Human mRNA for vascular endothelial growth factor (VEGF), complete cds
gi|5708916|dbj|E14233.1||pat|JP|1997286795|1[5708916]
AF024710
Homo sapiens vascular endothelial growth factor (VEGF) mRNA, 3'UTR
gi|2565322|gb|AF024710.1|AF024710[2565322]
AJ010438
Homo sapiens mRNA for vascular endothelial growth factor, splicing variant
VEGF183
gi|3647280|emb|AJ010438.1|HSA010438[3647280]
AF098331
Homo sapiens vascular endothelial growth factor (VEGF) gene, promoter, partial
sequence
gi|4235431|gb|AF098331.1|AF098331[4235431]
AF022375
Homo sapiens vascular endothelial growth factor mRNA, complete cds
gi|3719220|gb|AF022375.1|AF022375[3719220]
AH006909
vascular endothelial growth factor [alternative splicing] [human, Genomic, 414
nt 5 segments]
gi|1680143|gb|AH006909.1||bbm|191843[1680143]
U01134
Human soluble vascular endothelial cell growth factor receptor (sflt) mRNA,
complete cds
gi|451321|gb|U01134.1|U01134[451321]
E14000
Human mRNA for FLT
gi|3252767|dbj|E14000.1||pat|JP|1997255700|1[3252767]
E13332
cDNA encoding vascular endodermal cell growth factor VEGF
gi|3252137|dbj|E13332.1||pat|JP|1997173075|1[3252137]
E13256
Human mRNA for FLT,complete cds
gi|3252061|dbj|E13256.1||pat|JP|1997154588|1[3252061]
AF063658
Homo sapiens vascular endothelial growth factor receptor 2 (KDR) mRNA, complete
cds
gi|3132832|gb|AF063658.1|AF063658[3132832]
AJ000185
Homo Sapiens mRNA for vascular endothelial growth factor-D
gi|2879833|emb|AJ000185.1|HSAJ185[2879833]
D89630
Homo sapiens mRNA for VEGF-D, complete cds
gi|2780339|dbj|D89630.1|[2780339]
AF035121
Homo sapiens KDR/flk-1 protein mRNA, complete cds
gi|2655411|gb|AF035121.1|AF035121[2655411]
AF020393
Homo sapiens vascular endothelial growth factor C gene, partial cds and 5'
upstream region
gi|2582366|gb|AF020393.1|AF020393[2582366]
Y08736
H.sapiens vegf gene, 3'UTR
gi|1619596|emb|Y08736.1|HSVEGF3UT[1619596]
X62568
H.sapiens vegf gene for vascular endothelial growth factor
gi|37658|emb|X62568.1|HSVEGF[37658]
X94216
H.sapiens mRNA for VEGF-C protein
gi|1177488|emb|X94216.1|HSVEGFC[1177488]
NM_002020
Homo sapiens fms-related tyrosine kinase 4 (FLT4), mRNA
gi|4503752|ref|NM_002020.1|[4503752]
NM_002253
Homo sapiens kinase insert domain receptor (a type III receptor tyrosine kinase)
(KDR), mRNA
gi|11321596|ref|NM_002253.1|[11321596]
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図1は、siNA分子の合成スキームの例を示す。 図2は、本発明の方法で合成された精製siNA二重鎖のMALDI−TOF質量スペクトルを示す。 図3は、RNAiに関与する標的RNA分解の限定を目的としない機構図案を示す。 図4は、本発明の化学修飾したsiNA構造の例を示す。 図5は、本発明の特定の化学修飾したsiNA配列の例を示す。 図6は、本発明の異なるsiNA構造の例を示す。 図7は、siNAヘアピン構造を生成する発現カセットの生成に利用されるスキームの図表示である。 図8は、二本鎖siNAヘアピン構造を生成する発現カセットの生成に利用されるスキームの図表示である。 図9は、メッセンジャーRNA等、の特定の標的核酸配列内でsiNA媒介性RNAiの標的部位を判別するために使用される方法の図表示である。 図10は、例えば本発明のsiNA配列の3’端を安定化させるために使用できる異なる安定化化学反応の例を示す。 図11は、RNAi活性を媒介する能力を保持しながらヌクレアーゼ耐性を示す、本発明の化学修飾したsiNA構造の識別に使用される方法の例を示す。 図12は、直鎖および二重鎖構造ならびにその非対称派生物を含む、本発明のリン酸化siNA分子の例を示す。 図13は、本発明の化学修飾した末端リン酸基の例を示す。 図14Aは、自己相補型DFO構造の設計に使用される方法の例を示す。 図14Bは、二重鎖形成オリゴヌクレオチド配列の限定を目的としない代表的な例を示す。 図14Cは、代表的な二重鎖形成オリゴヌクレオチド配列の自己組織化の概略について例を示す。 図14Dは、代表的な二重鎖形成オリゴヌクレオチド配列の自己組織化の概略について例を示す。 図15は、自己相補型DFO構造のデザインの例を示す。 図16は、RNAiにより指示された異なる標的核酸配列の切断を媒介できる2つの個別のポリヌクレオチド配列を含む、本発明の多機能siNA分siNAの例を示す。 図17は、RNAiにより指示された異なる標的核酸配列の切断を媒介できる単一のポリヌクレオチド配列を含む、本発明の多機能siNA分siNAの例を示す。 図18は、RNAiにより指示された異なる標的核酸配列の切断を媒介できる2つの個別のポリヌクレオチド配列を含む、本発明の多機能siNA分siNAの例を示す。 図19は、RNAiにより指示された異なる標的核酸配列の切断を媒介できる単一のポリヌクレオチド配列を含む、本発明の多機能siNA分siNAの例を示す。 図20は、本発明の多機能siNA分siNAがどのように2つの個別の標的核酸分siNAを標的とするかに関する例を示す。 図21は、本発明の多機能siNA分子が2つの個別の標的核酸配列を、同一の標的核酸分子内でどのように標的とするかに関する例を示す。 図22は、A375細胞内のVEGFR1 mRNAの減少に関する例を示す。 図23は、HAEC細胞培養におけるVEGFR1 mRNAレベルの減少に関する例を示す。 図24は、HAEC細胞内のVEGFR2 mRNAの減少に関する例を示す。 図25は、HAEC細胞培養におけるVEGFR2 mRNAレベルの減少に関する例を示す。 図26Aは、HAEC細胞におけるVEGFR1(Flt−1)mRNAレベルの減少に関する例を示す。 図26Bは、追加コントロールとしてVEGFR1およびその対応する化学反応の逆位コントロールのみを標的とする構造を含む例を示す。 図27Aは、VEGFR2(KDR)mRNAレベルの低減に関する例を示す。 図27BはStab7/8siNA構造の場合のデータを示す。 図28は、ラット角膜モデルの血管形成を使用した、VEGF誘発性血管形成のsiNA媒介性抑制の例を示す。 図29は、ラット角膜モデルにおけるVEGF誘発性新血管形成の抑制に関する例を示す。 図30は、2つの異なるsiNA安定化化学反応を使用して、VEGFR1の349位に隣接する部位の有効性を評価した試験の例を示す。 図31は、VEGF誘発性眼血管形成の抑制に関する例を示す。 図32は、siNAの眼内投与を介したマウスモデルの脈略膜新血管形成におけるVEGF誘発性新血管形成の抑制に関する例を示す。 図33は、siNAの眼周囲投与を介したマウスモデルの脈略膜新血管形成におけるVEGF誘発性新血管形成の抑制に関する例を示す。 図34は、siNAの眼周囲投与を介したマウスモデルの脈略膜新血管形成におけるVEGF誘発性新血管形成の抑制に関する例を示す。 図35は、活性siNAを注射したマウスにおける脈略膜新血管形成(CNV)のsiNA媒介性抑制の例を示す。 図36は、活性siNAを注射したマウスにおけるVEGFR1 mRNAレベルのsiNA媒介性抑制に関する例を示す。 図37は、活性siNAを注射したマウスにおけるVEGFR1 mRNAレベルのsiNA媒介性抑制に関する例を示す。 図38は、活性Stab9/10siNAを使用した、マウス4T1ルシフェラーゼ乳癌同系腫瘍モデルにおける初期腫瘍量の低減に関する例を示す。 図39は、活性Stab9/10siNAを使用した、マウス4T1ルシフェラーゼ乳癌同系腫瘍モデルにおける可溶VEGFR1血清レベルの低減に関する例を示す。 図40Aは、多機能siNAを評価した試験結果を示す。 図40Bは、多機能siNAを評価した試験結果を示す。 図40Cは、多機能siNAを評価した試験結果を示す。 図41Aは、多機能siNAを評価した容量反応試験の結果を示す。 図41Bは、多機能siNAを評価した容量反応試験の結果を示す。 図41Cは、多機能siNAを評価した容量反応試験の結果を示す。 図42は、非ヌクレオチド連結多機能siNAを評価した試験結果を示す。 図43Aは、本発明の連結された多機能siNA構造の例を示す。 図43Bは、本発明の連結された多機能siNA構造の例を示す。 図44は、様々なデンドリマーベースの多機能siNAデザインの例を示す。 図45は、様々な超分子の多機能siNAデザインの例を示す。 図46は、30ヌクレオチドの前駆siNA構造を使用して多機能siNAデザインを可能にするダイサーの例を示す。 図47は、40ヌクレオチドの前駆siNA構造を使用して多機能siNAデザインを可能にするダイサーの例を示す。 図48は、HBVの263位を標的とする多機能siNA構造を可能にするダイサーによるHBV RNAの抑制の例を示す。 図49は、本発明の追加多機能siNA構造のデザインの例を示す。 図50は、本発明の追加多機能siNA構造のデザインの例を示す。

Claims (27)

  1. 化学式MF−III
    Figure 2007505605
    を持つ構造を含む多機能siNA分子であって、
    式中、
    (a)X、X’、Y、およびY’は、それぞれ独立して、約15から約50ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドであり、
    (b)Xは領域Y’に存在するヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含み、
    (c)X’は領域Yに存在するヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含み、
    (d)XおよびX’はそれぞれ独立して、第一VEGFまたはVEGFRおよび第二VEGFまたはVEGFR標的核酸配列、あるいはその一部と安定して相互作用するに足る長さであり、
    (e)Wは配列Y’とYとを結合するヌクレオチドまたは非ヌクレオチドリンカーを示し、および
    (f)前記多機能siNAは、RNA干渉を介して第一VEGFまたはVEGFRおよび第二VEGFまたはVEGFRの切断を指示する、
    ことを特徴とする多機能siNA。
  2. Wが配列Y’の3’端と配列Yの3’端を結合する、請求項1に記載の多機能siNA分子。
  3. Wが配列Y’の3’端と配列Yの5’端を結合する、請求項1に記載の多機能siNA分子。
  4. Wが配列Y’の5’端と配列Yの5’端を結合する、請求項1に記載の多機能siNA分子。
  5. Wが配列Y’の5’端と配列Yの3’端を結合する、請求項1に記載の多機能siNA分子。
  6. 末端リン酸基が配列X、X’、Y、またはY’のいずれかの5’端に存在する、請求項1に記載の多機能siNA分子。
  7. Wが生分解性リンカーを介して配列YとY’を結合する、請求項1に記載の多機能siNA分子。
  8. Wがコンジュゲート、ラベル、アプタマー、リガンド、脂質、またはポリマーをさらに含む、請求項1に記載の多機能siNA分子。
  9. 配列X、X’、Y、またはY’のいずれかが3’端キャップ部を含む、請求項1に記載の多機能siNA分子。
  10. 前記末端キャップ部が逆位デオキシ脱塩基部分である、請求項9に記載の多機能siNA分子。
  11. 前記末端キャップ部が逆位デオキシヌクレオチド部分である、請求項10に記載の多機能siNA分子。
  12. 前記末端キャップ部がジヌクレオチド部分である、請求項10に記載の多機能siNA分子。
  13. 前記ジヌクレオチドがジチミジン(TT)である、請求項12に記載の多機能siNA分子。
  14. 前記siNA分子がリボヌクレオチドを含まない、請求項1に記載の多機能siNA分子。
  15. 前記siNA分子が1つ以上のリボヌクレオチドを含む、請求項1に記載の多機能siNA分子。
  16. 前記siNAにある任意のプリンヌクレオチドが2’−O−メチルプリンヌクレオチドである、請求項1に記載の多機能siNA分子。
  17. 前記siNAにある任意のプリンヌクレオチドが2’−デオキシプリンヌクレオチドである、請求項1に記載の多機能siNA分子。
  18. 前記siNAにある任意のピリミジンヌクレオチドが2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドである、請求項1に記載の多機能siNA分子。
  19. X、X’、Y、およびY’が、それぞれ独立して、約19から約23ヌクレオチドを含む、請求項1に記載の多機能siNA分子。
  20. 前記第一および第二標的配列がそれぞれVEGF RNA配列である、請求項1に記載の多機能siNA分子。
  21. 前記第一標的配列がVEGF RNA配列であり、前記第二標的配列がVEGFR RNA配列である、請求項1に記載の多機能siNA分子。
  22. 前記第一標的配列がVEGFR RNA配列であり、前記第二標的配列がVEGF RNA配列である、請求項1に記載の多機能siNA分子。
  23. 前記第一標的配列がVEGFR RNA配列であり、前記第二標的配列がVEGFR RNA配列である、請求項1に記載の多機能siNA分子。
  24. 前記VEGFR RNA配列がVEGFR1、VEGFR2、およびVEGFR3 RNA配列で構成されるグループから選択される、請求項21に記載の多機能siNA分子。
  25. 前記VEGFR RNA配列がVEGFR1、VEGFR2、およびVEGFR3 RNA配列で構成されるグループから選択される、請求項22に記載の多機能siNA分子。
  26. 前記VEGFR RNA配列がVEGFR1、VEGFR2、およびVEGFR3 RNA配列で構成されるグループから選択される、請求項23に記載の多機能siNA分子。
  27. 請求項1に記載の多機能siNA分子および許容できる担体または希釈剤を含む医薬組成物。

JP2006526437A 2003-09-16 2004-09-16 低分子干渉核酸(siNA)を使用したRNA干渉により媒介される血管内皮増殖因子遺伝子発現および血管内皮増殖因子遺伝子受容体遺伝子発現のRNA干渉媒介性抑制 Withdrawn JP2007505605A (ja)

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