[0001]本出願は、2002年8月26日に出願された米国特許出願第10/228,583号の一部継続出願であり、これは、2001年2月20日に出願された米国特許出願第09/790,204号、発明の名称「Steerable Endoscope and Improved Method of Insertion」(現在は米国特許第6,468,203号)の継続出願であり、これは、2000年4月3日に出願された米国仮特許出願第60/194,140号の優先権を主張している。また、本出願は、2003年7月13日に出願された米国特許出願第10/622,801号の一部継続出願であり、これは、2001年10月2日に出願された米国特許出願第09/969,927号、発明の名称「Steerable Segmented Endoscope and Method of Insertion」(現在は米国特許第6,610,007号)の継続出願であり、これは、2001年2月20日に出願された米国特許出願第09/790,204号(現在は米国特許第6,468,203号)の一部継続出願であり、これは、2000年4月3日に出願された米国仮特許出願第60/194,140号の優先権を主張している。また、本出願は、2003年8月20日に出願された米国予備特許出願第60/496,943号の優先権を主張している。これらの各々は、参照としてその全体が本明細書に組み込まれる。
[0002]本発明は、広く、関節運動(articulating)器具及びこのような器具の使用に関する。より詳細には、本発明は、工業及び医療の環境において選択された経路に沿って関節運動器具を挿入し制御するのを容易にするためにプラスチック電気機械アクチュエータを有利に使用する関節運動器具、方法及び装置に関する。
[0003]関節運動し、又は、曲げることが可能であり、又は、操作可能である器具であって、広く様々な工業及び医療の用途に使用される器具には、多数の例がある。一般に、関節運動器具は、視診、修復等の作業を達成するために、選択された経路又は所望の経路に沿って進むように方向づけられる。経路が回旋状になればなるほど、所望の位置へ器具を導くために、より高度な関節運動、制御及び可撓性が必要となる。関節運動器具用の運動及び制御の程度が増すにつれて、器具を操作するのに必要なアクチュエータ構成要素の数、種類及びサイズも同様に増加し得る。
[0004]関節運動器具は、広く様々な商業環境において、例えば、工業ロボットへの応用及び医療への応用を含む用途を見出している。関節運動医療器具の一つの例は、内視鏡である。内視鏡は、患者の身体の内部を可視化するための医療器具である。内視鏡は、結腸鏡検査、気管支鏡検査法、胸腔鏡検査、腹腔鏡検査、及び、ビデオ内視鏡検査を含む、様々な異なる診断及び診療処置に使用される。身体の遠い部分により効率的に接近したいという要望、又は、経路に沿った他の区域を避けながら一つの区域に接近したいという要望は、結果として、一般に、関節運動内視鏡及び関節運動手術器具の複雑性を増加する。
[0005]結腸鏡の挿入は、結腸が曲がりくねった回旋状の経路であるので、複雑である。結腸を通って結腸鏡を進めるためには、結腸鏡の相当の操作がしばしば必要となり、これは、処置をより困難で時間のかかるものにし、腸穿孔等の合併症の可能性を増す。結腸のカーブを通る正確な経路を選択することを容易にするために、操作型結腸鏡が考案されている。しかし、結腸鏡を結腸内へと更に挿入するにつれて、選択された経路に沿って結腸鏡を進めることはより困難になる。標準の結腸鏡では、遠位先端のみ、典型的には10cmの長さが操作可能であり、結腸鏡本体の残りは受動的である。したがって、装置の能力は限られている。医師又は他のユーザによって結腸鏡に与えられる押力は、結腸鏡本体の形状が結腸内で複雑なカーブをとる場合には、結腸鏡先端の前進運動を生じない。任意の平面で二つ以上の曲げをもって複雑にカーブした後に、結腸鏡の近位端における押力は、装置の最近位のカーブを拡大する。これは、結腸鏡の「ルーピング」を生じ、結腸鏡によって画成される最近位の曲線が拡大し、器具の遠位先端は結腸内を更に進むことはできない。
[0006]各ターンで、結腸の壁は、結腸鏡のカーブを維持しなければならない。結腸鏡は、各ターンの外側に沿う結腸の粘膜表面をこする。結腸鏡の摩擦及び弛みが各ターンで蓄積し、前進及び後退がより困難になり、結腸鏡のルーピングが生じる。加えて、結腸壁に対する力は、摩擦の蓄積で増加する。極度にねじれている場合には、結腸の全てを通って結腸鏡を進めることが不可能になることもある。
[0007]一定の種類のポリマーは一定状態の刺激下で形状を変えることができるという原理に基づく様々な電気機械アクチュエータが、何十年もの間、調査されている。この調査は、Yoseph Bar−Cohenによって、「Electroactive Polymer (EAP) Actuators as Artificial Muscles: Reality, Potential and Challenges」(SPIE Press、2001年1月)という題名の書籍にまとめられた。本明細書で使用されるように、活性ポリマーは、Bar−Cohenによって記載されたポリマーのファミリーに広く関連する。どの種類のポリマーが実際に調査下であるかを正確に説明するためには、更なる正確さが必要とされる。これらのポリマーをその活性化のモードによって分類することが有用である。Bar−Cohenによって提案されたように、これらは、非電気的に作動されたポリマー、イオンで作動されたポリマー及び電気的に作動されたポリマーを含む。活性機構の各種類の中には多数のサブカテゴリーがある。Bar−Cohenによると、イオンで作動されたポリマーは、電気活性ポリマーゲル、アイオノマーポリマー金属複合材料、導電性ポリマー、及び、カーボンナノチューブを含む。
[0008]Couvillonらは、導電性ポリマーアクチュエータのいくつかの用途を提案している(すなわち、米国特許出願第2003/0069474号)。Couvillonらは、導電性ポリマーを、共役バックボーンを有し且つ導電性であるポリマーのクラスとして説明している。Couvillonは、導電性ポリマーの例として、ポリアニリン、ポリピロール及びポリアセチレンを挙げている。Bar−Cohenらも、これらの材料の各々を導電性ポリマーとして分類している。
[0009]導電性ポリマー、例えばCouvillonらによって説明されたものは、多数の欠点があり、関節運動器具用のアクチュエータとして使用される有用性を限定する。導電性ポリマーアクチュエータの活性機構は、導電性ポリマーフィルムと電解媒体との間のイオン交換過程に基づいている。Bar−Cohenによると、これは、導電性ポリマーアクチュエータの応答時間を制御し限定する要因である。応答時間は、ゲル又は液体電解質の使用によって改良することができるが、この代案は、アクチュエータがカプセル化されることを必要とする。他方、固体電解質は、カプセル化を必要としないが、イオン導電性が低く、関節運動器具で有効に作動するために十分に低い機械的剛性を有することもあり有さないこともある。
[0010]導電性ポリマーの使用を提案する人が直面する別の難題は、材料自体である。導電性ポリマーは、π共役系であり、一重結合及び二重結合がポリマー鎖に交互に沿っている。これらのポリマーは、本来的には導電性ではないが、代わりに、ポリマーの構造及び導電性を化学的に又は電気化学的に修正する「ドーピング」と呼ばれるプロセスを使用して導電性ポリマーに変形される。ドーピングプロセス、及び、多数の酸化還元反応サイクル後の導電性状態の維持には、多数の難問が存在する。更に、共役ポリマーは、化学的に安定ではなく、循環されると、その充電容量は徐々に減少する。導電性ポリマーが直面する更に別の難題は、電極/導電性ポリマー界面での層間剥離である。1999年には、Smelaらは、層間剥離を、金電極を備えたポリピロールを使用する導電性ポリマーアクチュエータの故障モードとして報告した(Bar−Cohen、pg.206)。
[0011]導電性ポリマーには上に挙げたものや他の難題及び欠点があるため、活性ポリマー及び活性ポリマーをベースとしたアクチュエータの利点をより完全に実現する関節運動器具の必要性がある。
[0012]本発明のいくつかの実施形態においては、広く様々な医療及び工業の用途に使用される関節運動器具が提供される。一態様において、関節運動器具は、器具の関節運動を提供する複数の制御可能なセグメントを有する。いくつかのセグメントは、ユーザによって(コンピュータ制御支援ありで又はなしで)選択された経路又は所望の経路内に又はそれに沿って操作可能であるか又は制御可能であり、一方、他のものは、電子的に制御されるか又はコンピュータ制御されて、いわゆる「フォローザリーダー」方式で、先に操作されたセグメントの形状に従う。「フォローザリーダー」技術は、共同所有された同時係属の米国特許出願(係属中のBelsonの第203号出願)に記載されている。本発明の態様において、セグメントを制御することは、一つのセグメント又は複数のセグメントを所望の形状に位置決めするために、選択された電気機械アクチュエータを作動させることを意味する。本発明の他の態様において、制御することは、一つのセグメント又は複数のセグメントを所望の形状に位置決めするために選択された電気機械アクチュエータを作動させるだけではなく、セグメントが遠位(distally)に又は近位(proximally)に進むときに、選択された形状を他のセグメントに伝播するために、電子的な、コンピュータに基づいた、又は、他の公知のモーションコントローラを使用することもまた意味する。
[0013]いくつかの態様において、関節運動器具は、操作可能な内視鏡であり、患者の結腸、他の内部体腔、又は、他の内部身体空間を、これらの器官の壁との衝突を最小にして検査する。一態様において、本明細書に記載された操作可能な内視鏡は、セグメント化した長い(elongated)本体を有しており、手動で又は選択的に操作可能な遠位(distal)部分(少なくとも一つのセグメント)及び自動的に制御される近位(proximal)部分を備えている。更なる態様において、選択的に操作可能な遠位部分は、例えば、上記遠位部分の壁又は円周周囲の対向する側部の弧の長さを制御するとによって、又は、他の方法で、セグメントの間の相対形状(geometry)又は関係を変える作動力を提供することによって、装置の残りの部分に対して任意の方向に屈曲することができる。
[0014]一態様において、選択的に操作可能な遠位部分は、装置の残りの部分に対して任意の方向に、例えば完全に180度まで、選択的に操作され(又は曲げられ)得る。ファイバ画像形成バンドル及び一つ以上の照明ファイバが、本体を通って近位部分から遠位部分へ延在してもよい。照明ファイバは、好ましくは、その近位端で、光源に連通する。光源は、例えば、装置及び/又は患者の外部の場所に位置決めされる白熱ランプ等の従来の光源、又は、LED等の他の光源である。あるいは、内視鏡は、内視鏡本体の遠位部分に位置決めされたCCD又はCMOS等の小型ビデオカメラを備えたビデオ内視鏡として構成されてもよい。ビデオカメラは、照明ファイバと組み合わせて使用されてもよい。任意であるが、内視鏡の本体はまた、一つ又は二つのアクセスルーメンを含んでいてもよく、これは、例えば、吹送又は洗浄、空気及び水チャネル、及び、真空チャネル等のために使用されてもよい。一般に、内視鏡の本体は、高度に可撓性があり、そのため、様々なチャネルを無傷で維持しながら、座屈又は捩れなしで、小径の曲線のまわりを曲がることができる。内視鏡は、他の医療及び工業の用途のために、様々なサイズ及び構成で作ることができる。
[0015]別の態様において、内視鏡の操作可能な遠位部分は、最初に、患者の身体の開口を通って、例えば、肛門を経由して直腸内に、人工肛門造設処置の場合には瘻孔を通って、進んでもよい。内視鏡は単に、手動で、又は、モータ又は他の何らかの作動の方法によって自動的に、患者の胃腸管の第1の湾曲に達するまで、進んでもよい。この点で、ユーザ(例えば、医師又は外科医)は、操作可能な遠位部分を能動的に制御し、内視鏡が進むために最適な湾曲又は形状を得ることができる。最適な湾曲又は形状は、一般に、結腸の壁からの最小量の接触又は干渉を呈する経路である。一つの変形例において、ひとたび所望の湾曲が決定されると、内視鏡は、制御可能な部分の自動的に制御されるセグメントが遠位部分に従い、一方、最適な湾曲又は形状を、制御可能な部分の残りのセグメントへ近位に伝達しつつように、結腸内を更に進んでもよい。このようにして、器具が進むにつれて、当該器具は、遠位部分が画成した経路に従う。内視鏡装置を挿入する一つの変形例のより詳細な説明は、参照としてその全体が本明細書に組み込まれる共同所有の米国特許第6,468,203号に見ることができる。制御可能なセグメントの操作は、下記に更に詳細に説明される。
[0016]本発明の一態様において、関節運動器具の作動は、電気機械アクチュエータによって達成される。当該アクチュエータは、ポリマーの活性に基づくもの等のプラスチックアクチュエータを含む。一態様において、電気機械アクチュエータは、ポリマーが非電気的に活性化されるポリマーであるプラスチックアクチュエータを含む。別の態様において、電気機械アクチュエータは、ポリマーがイオン活性ポリマーであるプラスチックアクチュエータを含む。別の態様において、電気機械アクチュエータは、ポリマーが、クーロン力を使用して活性化されるプラスチックアクチュエータを含む。別の態様において、電気機械アクチュエータは、ポリマーが、電気力を使用して活性化されるプラスチックアクチュエータを含む。別の態様において、電気機械アクチュエータは、ポリマーが、電歪、静電気、圧電性及び/又は強誘電性等の力を、単独で又は組み合わせて使用して作動されるプラスチックアクチュエータを含む。
[0017]一態様において、本発明は、イオン活性ポリマー電気機械アクチュエータの制御使用を通して作動されるか又は操作される制御可能なセグメントを有する関節運動器具を提供する。このイオン活性ポリマー電気機械アクチュエータは、dcバイアスを使用して活性化された状態を持続することができない。一態様において、本発明は、電解質を使用せずに活性化されるイオン活性ポリマーアクチュエータの制御使用を通して作動されるか又は操作される関節運動器具を提供する。更なる態様において、イオン活性ポリマーアクチュエータは、電気活性ポリマーゲルを備える。更なる態様において、イオン活性ポリマーゲルアクチュエータは、物理ゲル、化学ゲル、化学的に作動されるゲル、又は、電気的に作動されるゲルを備える。更なる態様において、イオン活性ポリマーアクチュエータは、アイオノマーポリマー金属複合材料を備える。更なる態様において、イオン活性ポリマーアクチュエータは、カーボンナノチューブを備える。更なる態様において、イオン活性ポリマーアクチュエータは活性化し、結果として、イオン活性ポリマーが酸化還元過程を受けることのない関節運動器具の運動を生じる。
[0018]別の態様において、本発明は、電気機械アクチュエータの制御使用を通して作動されるか又は操作される制御可能なセグメントを有する関節運動器具を提供し、当該電気機械アクチュエータは、本質的に、ポリマーと、ポリマーに連結された一対の柔軟電極(compliant electrode)とからなり、それによって、関節運動器具を制御するか又は操作するのに使用される活性区域をポリマーに形成する
[0019]別の態様において、本発明は、導電性ポリマーアクチュエータの制御使用を通して作動されるか又は操作される制御可能なセグメントを有する関節運動器具を提供し、当該導電性ポリマーアクチュエータは、電解媒体に接触する導電性ポリマーと、少なくとも一対の柔軟電極を経由して導電性ポリマー及び電解媒体内に提供される電気エネルギと、を有する。
[0020]別の態様において、本発明は、電気機械アクチュエータの制御使用を通して作動されるか又は操作される制御可能なセグメントを有する関節運動器具を提供し、当該電気機械アクチュエータは、誘電性ポリマーと、上記ポリマーと共に活性区域を形成する一対の電極とを備え、活性区域のポリマーの撓みを使用して関節運動器具を制御するか又は操作する。更なる態様において、本発明は、関節運動器具を操作するために相乗的に制御される複数の活性区域を形成する複数の電極対を提供する。更なる態様において、電極は、柔軟電極である。
[0021]更なる態様において、本発明は、電子電気活性ポリマー系アクチュエータのカテゴリーからの電気機械アクチュエータの使用を通して作動されるか又は操作される関節運動器具を提供する。一態様において、電子電気活性ポリマー系アクチュエータを使用して、遠位の操作可能な部分を含む内視鏡の制御可能なセグメントを関節運動する。別の態様において、電子電気活性ポリマー系アクチュエータの実施形態は、非ドープポリマー、誘電性エラストマー、静電歪ポリマー(electrostatically strictedpolymer)、電歪ポリマー(すなわち、ポリビニリデンフルオライド−トリフルオロエチレンコポリマー又はP(VDF−TrFE))、ポリウレタン(例えば、Deerfieldによって製造されたもの:PT6100S)、シリコーン(例えば、ダウコーニングによって製造されたもの:Sylgard186)、フルオロシリコーン(例えば、ダウコーニングによって製造されたもの:730)、フルオロエラストマー(例えば、Laurenによって製造されたものL143HC)、ポリブタジエン(例えば、Aldrichによって製造されたもの:PBD)、イソプレン天然ゴムラテックス、アクリル、アクリルエラストマー、予め歪まされた(pre-strained)誘電性エラストマー、アクリル電気活性ポリマー人工筋肉、シリコーン(CF19−2186)電気活性ポリマー人工筋肉を含むが、それらに限定されない。
[0022]別の態様において、プラスチックアクチュエータは、ラミネートポリマーシート構造体を使用して形成され、当該ラミネートポリマーシートは、歪まされた(strained)ポリマーの組み合わせ、歪んでいない(unstrained)ポリマー、柔軟電極、ポリマー変形の一つの平面方向を形成する活性区域、ポリマー変形の二つの平面方向を形成する活性区域、多自由度を生成する柔軟電極パターニング、及び上記の組み合わせを含む。
[0023]本発明の他の態様において、プラスチック電気機械アクチュエータは、他の材料、例えば、電気粘性流体を備えるか又は備えないポリマーゲル、電気粘性流体、ポリジメチルシロキサン、ポリアクリロニトリル、カーボンナノチューブ及びカーボシングルウォールンナノチューブ(SWNT)の不溶混合物からの作動に依存する。
[0024]別の態様において、複数の選択的に制御可能なセグメントと、複数の自動的に制御可能なセグメントと、電子モーションコントローラと、電子モーションコントローラの制御下でセグメントの形状(geometry)を変えるために各セグメントに接続されたプラスチックアクチュエータと、を有する器具を経路に沿って進める方法であって、経路に沿ってカーブととるために選択的に制御可能なセグメントの形状を選択的に変えるステップであって、電子モーションコントローラを使用して上記選択的に制御可能なセグメントに連結されたプラスチックアクチュエータを作動するステップと、電子モーションコントローラを使用して自動的に制御可能なセグメントに連結されたプラスチックアクチュエータを自動的に変形し、経路に沿ってカーブをとるように自動的に制御可能なセグメントの形状を変えるステップと、を含む方法が提供される。
[0025]本発明の更なる態様において、プラスチックアクチュエータは、電気粘性プラスチックアクチュエータである。別の態様において、方法は、近位の自動的に制御可能なセグメントにおけるプラスチックアクチュエータを自動的に制御してカーブを近位に伝播しつつ、器具を遠位に前進するステップを含む。別の態様において、方法は、セグメントにおけるプラスチックアクチュエータを自動的に制御してカーブを器具に沿って遠位に伝播しつつ、器具を近位に後退するステップを含む。別の態様において、方法は、トランスデューサ、軸方向(axial)トランスデューサ又は他の位置インジケータを使用して、前進又は後退を測定するステップを含む。別の態様において、器具が近位に前進し且つ/又は遠位に後退するときに、カーブが空間においてほぼ固定されたままであるように、セグメントの形状をプラスチックアクチュエータの作動によって制御する。別の態様において、経路は、身体の開口内に存在する。別の態様において、経路は、工業的空間、例えば配管系に存在する。別の態様において、経路はチューブを横切る(traverse)。別の態様において、チューブは身体の器官である。別の態様において、器具は内視鏡であり、経路は患者の結腸に沿っている。
[0026]本発明の別の態様において、複数の関節運動セグメントを有する内視鏡が提供され、各セグメントの形状は、空中で操作可能な(operable in the air)電気活性ポリマーアクチュエータの作動によって変えられる。本明細書で使用されるように、「空中で操作可能な」との語は、アクチュエータが機能するために電解質又は他の転送媒体に依存せずに操作可能である多数の活性ポリマーの性質を意味する。「空中で操作可能な」との語は、ポリマーアクチュエータの操作を進めるためにこのような媒体を必要としないことを意味する。特に、導電性ポリマー系アクチュエータは、空中で操作可能ではない。それは、このようなポリマーが、適切な操作のために電解質に浸漬されるか又は囲繞される必要があるからである。「空中で操作可能な」は、非電解操作ポリマーアクチュエータの操作が可能である環境を限定しない。
[0027]本発明の別の態様において、各セグメントの形状は、二つ以上の空中で操作可能な電気活性ポリマーアクチュエータの協働作動によって変えられる。本発明の別の態様において、少なくとも一つの空中で操作可能な電気活性ポリマーアクチュエータが非活性であり、一方、少なくとも一つの空中で操作可能な電気活性ポリマーアクチュエータが作動される。本発明の別の態様において、空中で操作可能な電気活性ポリマーアクチュエータは、クーロン力によって作動される。本発明の別の態様において、空中で操作可能な電気活性ポリマーアクチュエータは、電歪、静電気、圧電性及び強誘電性からなる群から選択された力によって作動される。本発明の別の態様において、空中で操作可能な電気活性ポリマーアクチュエータは、電子電気活性ポリマーとして分類される。本発明の別の態様において、各セグメントは、複数の空中で操作可能な電気活性ポリマーアクチュエータを更に備え、複数の電気活性ポリマーアクチュエータは、セグメントが当該セグメントの長手方向軸に対する軸に沿って曲がることができるように、構成される。別の態様において、セグメントは、当該セグメントの長手方向軸に対する少なくとも2本の軸に沿って曲がることができる。
[0028]本発明の別の態様において、各関節運動セグメントにおいて少なくとも一つの電気活性ポリマーアクチュエータを作動するように構成された電子モーションコントローラが設けられる。本発明の別の態様において、関節運動セグメントの一部の電気活性ポリマーアクチュエータは、カーブに従うように選択的に制御可能であり、関節運動セグメントの別の部分の電気活性ポリマーアクチュエータは、内視鏡がカーブを通って進む間に、自動的に制御可能な関節運動セグメントに沿ってカーブを伝播するために電子モーションコントローラによって自動的に制御可能である。本発明の別の態様において、電気活性ポリマーアクチュエータは、二つの隣接する関節運動セグメントの間に接続され、電気活性ポリマーアクチュエータの作動が結果として二つの隣接する関節運動セグメントの間の相対運動を生じるようにする。本発明の別の態様において、電気活性ポリマーアクチュエータは、関節運動セグメントの周囲に配置されたリングである。本発明の別の態様において、電気活性ポリマーアクチュエータは、関節運動セグメントの周辺に配置される。本発明の別の態様において、三つの電気活性ポリマーアクチュエータが、関節運動セグメントのまわりにおいて、間隔をおいている。本発明の別の態様において、電気活性ポリマーアクチュエータは、均一に間隔をおいている。本発明の別の態様において、電気活性ポリマーアクチュエータの電気活性ポリマーの膨張が、関節運動セグメントを曲げる。本発明の別の態様において、電気活性ポリマーアクチュエータの電気活性ポリマーの収縮が、関節運動セグメントを曲げる。
[0029]本発明の別の態様において、長い(elongate)本体と、作動されるときに長い本体の少なくとも一部を任意の位置で所望のカーブへと曲げる少なくとも一つの電子電気活性ポリマーアクチュエータと、少なくとも一つの電子電気活性ポリマーアクチュエータを作動して長い本体の少なくとも一部を所望のカーブへと曲げ、且つ、長い本体の曲がっていない部分が上記の位置を通るときに長い本体の曲がっていない部分に沿って所望のカーブを伝播するように構成された電子モーションコントローラと、を有する内視鏡が提供される。本発明の別の態様において、カーブは経路の一部である。本発明の別の態様において、経路は管状経路である。本発明の別の態様において、経路はヒトの体内にある。本発明の別の態様において、経路はヒトの結腸内にある。本発明の別の態様において、長い本体は、複数のセグメントを備える。本発明の別の態様において、少なくとも一つの電子電気活性ポリマーアクチュエータは、隣接するセグメントの間に相対運動を生じさせることによって、長い本体の少なくとも一部を所望のカーブへと曲げる。
[0030]本発明の別の態様において、少なくとも一つの電子電気活性ポリマーアクチュエータは、二つ以上のセグメントの間に接続される。本発明の別の態様において、電子電気活性ポリマーアクチュエータは、長い本体のまわりに配置されたシートであり、シートは、複数の活性区域と複数の非活性区域とを有し、複数の活性区域は長い本体を曲げるように位置決めされる。本発明の別の態様において、電子モーションコントローラは、活性区域を選択的に作動して長い本体に沿って所望のカーブを伝播する。本発明の別の態様において、長い本体は、連続的に曲げ可能な構造体である。本発明の別の態様において、少なくとも一つの電子電気活性ポリマーアクチュエータは、巻かれた(rolled)電気活性ポリマーアクチュエータである。本発明の別の態様において、少なくとも一つの電子電気活性ポリマーアクチュエータは、巻かれた電気活性ポリマーアクチュエータである。
[0031]本発明の別の態様において、少なくとも二つのセグメントであって、各セグメントは、外側表面と内側表面とを有し、外側表面と内側表面との間に配置された少なくとも二つの内側アクチュエータアクセスポートを備える少なくとも二つのセグメントと、少なくとも一つの電気機械アクチュエータであって、内側アクチュエータアクセスポートの各々を通って延在し、少なくとも二つのセグメントに連結され、当該少なくとも一つの電気機械アクチュエータの作動が少なくとも二つのセグメントの間の撓みを生じる、少なくとも一つの電気機械アクチュエータと、を含む関節運動器具が提供される。一態様において、少なくとも一つの電気機械アクチュエータは、電界によって活性化されるときには、電界の平方に比例する誘発歪を示す。本発明の別の態様において、少なくとも一つの電気機械アクチュエータは、作動されるポリマーアクチュエータである。本発明の別の態様において、作動されるポリマーアクチュエータは、電解質なしで動作する。本発明の別の態様において、作動されるポリマーアクチュエータの活性機構は、クーロン力を使用する。本発明の別の態様において、作動したポリマーアクチュエータの活性機構は、電歪力、静電気力、圧電性力又は強誘電性力を使用する。本発明の別の態様において、ポリマーアクチュエータは強誘電性ポリマーである。本発明の別の態様において、ポリマーアクチュエータは、圧電性作用を示すポリマーを備える。本発明の別の態様において、ポリマーアクチュエータは、エレクトレット材料を備える。本発明の別の態様において、ポリマーアクチュエータは、誘電性電気活性ポリマーである。本発明の別の態様において、作動されるポリマーアクチュエータの活性機構は、非電気的に活性化されるポリマーアクチュエータを含む。本発明の別の態様において、ポリマーアクチュエータは、化学的に活性化されるポリマーである。本発明の別の態様において、ポリマーアクチュエータは、形状記憶ポリマーである。本発明の別の態様において、ポリマーアクチュエータは、マッキベン型(Makibben)人工筋肉である。本発明の別の態様において、ポリマーアクチュエータは、光活性ポリマーである。本発明の別の態様において、ポリマーアクチュエータは、磁気活性ポリマーである。本発明の別の態様において、ポリマーアクチュエータは、熱活性ポリマーゲルである。本発明の別の態様において、作動されるポリマーアクチュエータの活性機構は、電気化学力を使用する。本発明の別の態様において、作動されるポリマーアクチュエータの活性機構は、導電性ポリマー無しでイオン力を使用する。本発明の別の態様において、作動されるポリマーアクチュエータの活性機構は、導電性ポリマーを用いてイオン力を使用する。本発明の別の態様において、シースが、少なくとも二つのセグメントの間に延在する。本発明の別の態様において、セグメントは連続している。本発明の別の態様において、セグメントは環状である。本発明の別の態様において、アクセスポートの少なくとも一つは、規則的な幾何学的形状を有する。本発明の別の態様において、アクセスポートの少なくとも一つは、円、矩形、長円、楕円又は多角形からなる群から選択された規則的な幾何学的形状を有する。本発明の別の態様において、アクセスポートの少なくとも一つは、複合的な幾何学的形状を有する。本発明の別の態様において、シースは、少なくとも二つのセグメントの外側表面に取り付けられる。本発明の別の態様において、シースは、少なくとも二つのセグメントの内側表面に接着される。本発明の別の態様において、シースは、少なくとも二つのセグメントの内側表面に取り付けられ、別のシースは、少なくとも二つのセグメントの外側表面に取り付けられる。
[0032]本発明の別の態様において、複数のセグメントと、ポリマー層と活性区域を有する予め歪まされたポリマー層とを備えるシースであって、複数のセグメントのまわりに配置されたシースと、を含むセグメント化された器具が提供され、予め歪まされたポリマー層の一部にわたって電圧を提供することによって、複数のセグメントの少なくとも二つの間に撓みが生成される。本発明の別の態様において、シースは、複数のセグメントを取り囲むように、複数のセグメントのまわりに配置される。本発明の別の態様において、シースは、複数のセグメントを取り囲むように複数のセグメントのまわりに配置され、複数のセグメントのまわりにシースの複数の層を形成する。本発明の別の態様において、シースは、複数のセグメントのまわりに配置され、複数のセグメント及びシースによって画成されるワーキングチャネルを形成する。本発明の別の態様において、シースは、複数のセグメントの外周において、複数のセグメントのまわりに配置される。本発明の別の態様において、シースは、複数のセグメントの内周において、複数のセグメントのまわりに配置される。本発明の別の態様において、シースは、複合ラミネートポリマーアクチュエータを備える。
[0033]本発明の別の態様において、身体内に挿入するための選択的に操作可能な遠位端及び自動的に制御可能な近位端を有するマルチレーヤー壁構造体の長く可撓性のある管状本体と、軸方向に間隔をおいた場所で可撓性のある管状本体内にある少なくとも一対の構造的要素と、上記マルチレーヤー壁構造体に含まれる少なくとも一つのポリマー層に活性区域を形成する少なくとも一対の柔軟電極であって、上記少なくとも一対の構造的要素の間にある少なくとも一対の柔軟電極と、活性区域を選択的に活性化し、それによって、選択的に操作可能であるか又は自動的に制御可能である少なくとも一対の構造的要素の間に長く可撓性のある管状本体の一部を作る制御手段と、を備える関節運動器具が提供される。本発明の別の態様において、マルチレーヤー壁構造体の最も外側の層は、関節運動器具の外側層である。本発明の別の態様において、外側の可撓性のあるシースは、可撓性のある管状本体を同心的に囲繞する。本発明の別の態様において、少なくとも一つのポリマー層に活性区域を形成する少なくとも一対の柔軟電極は、電気的に活性化されるポリマーアクチュエータの一部である。本発明の別の態様において、少なくとも一つのポリマー層に活性区域を形成する少なくとも一対の柔軟電極は、イオン活性ポリマーアクチュエータの一部である。本発明の別の態様において、少なくとも一つのポリマー層に活性区域を形成する少なくとも一対の柔軟電極は、非電気的に活性化されるポリマーアクチュエータの一部である。本発明の別の態様において、マルチレーヤー壁構造体は、ラミネートポリマーシート構造体を使用して形成されたプラスチックアクチュエータを含む。本発明の別の態様において、ラミネートポリマーシート構造体は、歪んだポリマー及び/又は歪んでいないポリマーを含む。本発明の別の態様において、活性区域は、ポリマー変形の一つの平面方向を提供する。本発明の別の態様において、活性区域は、ポリマー変形の二つの平面方向を提供する。本発明の別の態様において、少なくとも一対の柔軟電極は、多自由度のポリマー変形を生成する電極パターニングを備える。本発明の別の態様において、マルチレーヤー壁構造体の長く可撓性のある管状本体は、複合ラミネートポリマーアクチュエータを備える。
[0034]本発明の別の態様において、遠位端及び近位端を有する長い本体であって、予バイアス(pre-bias)形状を有する長い本体と、長い本体に連結された少なくとも一つの活性ポリマーアクチュエータであって、活性化したときに、長い本体の少なくとも一部を予バイアス形状から変えるようにする少なくとも一つの活性ポリマーアクチュエータと、を備える曲げ可能な器具が提供される。本発明の別の態様において、少なくとも一つの活性ポリマーアクチュエータは、電気的に活性化されるポリマーアクチュエータを備える。本発明の別の態様において、少なくとも一つの活性ポリマーアクチュエータは、イオン活性ポリマーアクチュエータを備える。本発明の別の態様において、少なくとも一つの活性ポリマーアクチュエータは、非電気的に活性化されるポリマーアクチュエータを備える。本発明の別の態様において、予バイアス形状は、外科処置に使用される典型的な経路に関連する。本発明の別の態様において、予バイアス形状は、脈管構造の一部に関連する。本発明の別の態様において、予バイアス形状は、骨格の一部に関連する。本発明の別の態様において、予バイアス形状は、器官の形状に関連する。本発明の別の態様において、予バイアス形状は、器官の内部形状に関連する。本発明の別の態様において、予バイアス形状は、心臓の内部形状に関連する。本発明の別の態様において、予バイアス形状は、結腸の内部形状に関連する。本発明の別の態様において、予バイアス形状は、内臓(gut)の内部形状に関連する。本発明の別の態様において、予バイアス形状は、喉の内部形状に関連する。本発明の別の態様において、予バイアス形状は、器官の外部形状に関連する。本発明の別の態様において、予バイアス形状は、心臓の外部形状に関連する。本発明の別の態様において、予バイアス形状は、肝臓の外部形状に関連する。本発明の別の態様において、予バイアス形状は、腎臓の外部形状に関連する。
[0035]本発明の別の態様において、複数のセグメントを有する長い本体と、選択的に操作可能な遠位部分を形成する複数のセグメントの第1の部分と、自動的に制御可能な近位部分を形成する複数のセグメントの第2の部分と、作動されるときに、複数のセグメントの第1の部分又は第2の部分を関節運動するか又は曲げる少なくとも一つの活性ポリマーアクチュエータと、少なくとも一つの活性ポリマーアクチュエータを活性化し、且つ、第1の部分から第2の部分へ所望のカーブを伝播するように構成された電子モーションコントローラと、を備える関節運動器具が提供される。本発明の別の態様において、少なくとも一つの活性ポリマーアクチュエータは、第1の部分及び第2の部分の両方を作動する。本発明の別の態様において、少なくとも一つの活性ポリマーアクチュエータは、柔軟電極を備える。本発明の別の態様において、少なくとも一つの活性ポリマーアクチュエータは、電荷分布層を備える。本発明の別の態様において、少なくとも一つの活性ポリマーアクチュエータは、複合ラミネートポリマーアクチュエータを備える。本発明の別の態様において、少なくとも一つの活性ポリマーアクチュエータは、巻かれた活性ポリマーアクチュエータを備える。本発明の別の態様において、巻かれた活性ポリマーアクチュエータは、複合の(compound)巻かれた活性ポリマーアクチュエータである。本発明の別の態様において、少なくとも一つの活性ポリマーアクチュエータは、イオンで作動されるポリマーアクチュエータであって、電解質なしで作動するポリマーアクチュエータを備える。本発明の別の態様において、少なくとも一つの活性ポリマーアクチュエータは、導電性ポリマー及び柔軟電極を備える。本発明の別の態様において、少なくとも一つの活性ポリマーアクチュエータは、導電性ポリマー及び電荷分布層を備える。本発明の別の態様において、少なくとも一つの活性ポリマーアクチュエータは、導電性ポリマー及び複合ラミネートポリマーアクチュエータを備える。本発明の別の態様において、少なくとも一つの活性ポリマーアクチュエータは、電気的に活性化されるポリマーを備える。本発明の別の態様において、少なくとも一つの活性ポリマーアクチュエータは、非電気的に活性化されるポリマーを備える。
[0076]ある種のポリマーはある状態の刺激下で形状を変えることができるという原則に基づいて、様々な電気機械アクチュエータが、何十年の間、調査されている。1990年代中に、活性ポリマーアクチュエータに関する広範囲におよぶ国際的な調査が行われ、多数の論文が発行され、数回会議が開催された。2001年1月に、この調査は、Yoseph Bar−Cohenによって、「Electroactive Polymer (EAP) Actuators as Artificial Muscles: Reality, Potential and Challenges」(SPIE Press、2001年1月)というタイトルで編集された本にまとめられた。ここで使用されるように、活性ポリマーは一般に、適切な刺激を受けたときに変化を呈するポリマーのファミリーを意味する。例えば、その全体が本明細書に組み込まれるBar−Cohen Topics 1、3及び7、第1章(1〜38頁)、第4章(89〜117頁)、第5章(123〜134頁)、第6章(139〜184頁)、第7章(193〜214頁)、第8章(223〜243頁)及び第16章(457〜493頁)、を参照されたい。
[0077]活性ポリマーを分類する一つの方法は、活性機構のタイプによるものである。Bar−Cohenによって使用され、且つ、ここに採用されるこのような分類は、非電気的に作動されるポリマー、イオンで作動されるポリマー及び電子的に作動されるポリマーを含む。活性機構の各タイプ内に多数の下位分類がある。非電気的に活性化されるポリマーは、化学的に活性化されるポリマー、形状記憶ポリマー、マッキベン型人工筋肉、光活性ポリマー、磁気活性ポリマー、熱活性ポリマーゲル、及び、電気化学作用を使用して活性化されるポリマーを含む。
[0078]イオン活性ポリマーは、電気活性ポリマーゲル、アイオノマーポリマー金属複合材料、導電性ポリマー及びカーボンナノチューブのグループを含む。一態様において、本発明は、電解質を使用せずに活性化されるイオン活性ポリマーアクチュエータの制御使用を通して作動されるか又は操作される関節運動器具を提供する。更なる態様において、イオン活性ポリマーアクチュエータは、電気活性ポリマーゲルを備える。更なる態様において、イオン活性ポリマーゲルアクチュエータは、物理ゲル、化学ゲル、化学作動ゲル又は電気作動ゲルを備える。更なる態様において、イオン活性ポリマーアクチュエータは、アイオノマーポリマー金属複合材料を備える。更なる態様において、イオン活性ポリマーアクチュエータは、カーボンナノチューブを備える。更なる態様において、イオン活性ポリマーアクチュエータは活性化し、結果として、イオン活性ポリマーが酸化/還元過程を受けることなく関節運動器具の運動を生じる。
[0079]電子活性ポリマーは、クーロン力、電気力、更に、電歪、静電気、圧電性の及び/又は強誘電性の力を用いて活性化されるポリマーを含む。更なる態様において、本発明は、電子電気活性ポリマー系アクチュエータのカテゴリーからの電気機械アクチュエータの使用を通して作動されるか又は操作される関節運動器具を提供する。一態様において、電子電気活性ポリマー系アクチュエータを使用して、遠位操作可能部分を含む内視鏡の制御可能なセグメントを関節運動する。別の態様において、電子電気活性ポリマー系アクチュエータの実施形態は、非ドープポリマー、誘電性エラストマー、静電歪ポリマー、電歪ポリマー(すなわち、ポリビニリデンフルオライド−トリフルオロエチレンコポリマー又はP(VDF−TrFE))、ポリウレタン(例えば、Deerfieldによって製造されたもの:PT6100S)、シリコーン(例えば、ダウコーニングによって製造されたもの:Sylgard186)、フルオロシリコーン(例えば、ダウコーニングによって製造されたもの:730)、フルオロエラストマー(例えば、Laurenによって製造されたもの:L143HC)、ポリブタジエン(例えば、Aldrichによって製造されたもの:PBD)、イソプレン天然ゴムラテックス、アクリル、アクリルエラストマー、予め歪まされた誘電性エラストマー、アクリル電気活性ポリマー人工筋肉、シリコーン(CF19−2186)電気活性ポリマー人工筋肉を含むが、それらに限定されない。
[0080]別の態様において、本発明の実施形態による関節運動器具は、ラミネートポリマーシート構造体を使用して形成されたプラスチックアクチュエータを採用する。ラミネートポリマーシート構造体は、予め歪んだポリマーの組み合わせ、歪んでいないポリマー、柔軟電極、ポリマー変形の一つの平面方向を形成する活性区域、ポリマー変形の二つの平面方向を形成する活性区域、多自由度を生成する柔軟電極パターニング、及び上記の組み合わせを含む。
[0081]いくつかの実施形態において、活性化されたポリマーは、予め歪まされる。予歪は、電気エネルギと機械エネルギとの間の転換を改良すると思われている。一実施形態において、予歪は、ポリマーの絶縁耐力を改良する。予歪は、電気活性ポリマーがより撓み且つより大きな機械的作用を提供することを可能にする。ポリマーの予歪は、一つ以上の方向において、予歪前のその方向の寸法に対する予歪後のその方向の寸法の変化として記述され得る。予歪は、ポリマーの弾性変形を含んでもよく、例えば、張力がかかっているポリマーを伸張し、伸張されている間に一つ以上の縁を固定することによって、形成されてもよい。一実施形態において、予歪は弾力性のものである。作動後に、弾性的に予め歪まされたポリマーは、原則的に、固定解除され、その元の状態に戻ることができる。予歪は、剛性フレームを使用して境界に課されてもよく、又は、ポリマーの一部に局所的に与えられてもよい。
[0082]一実施形態において、予歪が活性ポリマーの一部上に均一に加えられ、等方性の予め歪まされたポリマーを生成する。例として、アクリルエラストマーポリマーは、両方の平面方向に200〜400パーセント伸張されてもよい。別の実施形態において、予歪は、ポリマーの一部に異なる方向に不均等に加えられ、異方性の予め歪まされたポリマーを生成する。この場合、ポリマーは、作動されるときに、一方の方向で他方の方向よりも多く撓んでもよい。理論によって制約されることを望まないが、ポリマーを一方の方向に予め歪ませることによって、予歪方向にポリマーの剛性を高めることがあると考えられている。相応して、ポリマーは、高い予歪の方向では比較的により剛性であり、低い予歪方向ではより柔軟であり、作動時に撓みの大半は低い予歪方向で発生する。例として、使用されるアクリルエラストマーポリマーは、第1の方向に100パーセント、第1の方向に垂直な方向に500パーセント伸張されてもよい。活性ポリマーを予め歪ませることに関する更なる詳細は、その全体が参照として本明細書に組み込まれる、Pelrineらに付与された米国特許第6,664,718号、発明の名称「Monolithic Electroactive Polymers」に見出され得る。
[0083]発明の他の態様において、本発明の実施形態による関節運動器具は、プラスチック電気機械アクチュエータを使用し、当該アクチュエータは、他の材料、例えば、電気粘性流体を備えるか又は備えないポリマーゲル、電気粘性流体、ポリジメチルシロキサン、ポリアクリロニトリル、カーボンナノチューブ及びカーボシングルウォールナノチューブ(SWNT)の不溶混合物からの作動に依存する。
[0084]関節運動器具は、多数の異なる種類の製品を含み、例えば、ワイヤレス内視鏡、ロボット内視鏡、カテーテル、例えば、血栓溶解カテーテル、電気生理的カテーテル及びガイドカテーテル等のカテーテルに使用される特定の設計、カニューレ、手術器具、又は、イントロデューサーシース、又は、他の処置に特定の関節運動器具を含む。
[0085]更に、関節運動器具は、体内構造物の診療又は治療のための操作可能な内視鏡、カテーテル及び挿入装置を含む。多くのこのような器具は、各々の開示が参照としてその全体が本明細書に組み込まれる、下記の米国特許及び米国特許出願に記載されている:米国特許第6,610,007号、第6,468,203号、第4,054,128号、第4,543,090号、第4,753,223号、第4,873,965号、第5,174,277号、第5,337,732号、第5,383,852号、第5,487,757号、第5,624,380号、第5,662,587号、第6,770,027号、第6,679,836号及び米国特許出願第09/971,419号(特許査定通知2/24/04、特許証発行費用支払い5/27/04)。
[0086]操作可能なマルチセグメントコンピュータ制御内視鏡装置は、本発明の実施形態のいくつかを説明するための検討目的に有用な一つの特定の例である。このような内視鏡の例は、米国特許第6,468,203号及び第6,610,007号に記載されており、両方とも本出願人に譲渡されている。これらの操作可能なセグメント化内視鏡は、患者の身体内に挿入するために使用されてもよく、例えば、結腸鏡検査では肛門を通る。蛇行性の「フォローザリーダー」型のモーションを使用して患者内を進むためのこのような装置及び方法の例は、米国特許第6,468,203号に見ることができ、当該特許は、共同所有されており、上での参照によって本明細書に組み込まれている。内視鏡のセグメントの各々は、任意の形状を形成するために、個別に作動され制御されてもよい。このような「フォローザリーダー」型のアルゴリズムを使用して、装置は、隣接する組織又は物体を乱すことなく、曲がりくねった腔又は路内に進められてもよい。
[0087]「フォローザリーダー」モーションを実現するためのセグメント作動に関する別の変形例は、2001年10月2日に出願された米国特許出願第2002/0062062号に記載されている。記載されたように、変形例の一つは、各個別セグメントの少なくとも大半に搭載されるモータを使用する。それに記載されたモータは、本発明のいくつかの実施形態では、電気活性ポリマー回転クラッチモータに取って代わられてもよく、例えば、Heimらの米国特許出願公開第2002/0175598号、発明の名称「Electroactive Polymer Rotary Clutch Mortors」に記載されたようなもの、又は、Heimらの米国特許出願公開第2002/0185937号、発明の名称「Electroactive Polymer Rotary Mortors」に記載されたようなものであり、両方とも参照としてその全体が本明細書に組み込まれる。隣接するセグメントは、ヒンジ又はジョイントを介して互いに対して旋回してもよい。別の変形例は、2002年8月27日に出願された米国特許出願第2003/0045778号に記載されている。記載されたように、マルチセグメント化内視鏡のセグメントの各々は、内視鏡装置から離れて位置する一つ又は数個のアクチュエータ、例えばモータに接続されたプッシュプルケーブル又は「緊張材」(当分野では「ボーデンケーブル」としても既知である)によって作動されてもよい。これらの刊行物の各々は、共同所有され、参照としてその全体が本明細書に組み込まれる。
[0088]本明細書に記載されるように、活性ポリマー材料は、マルチセグメント化関節運動器具とともに使用され、例えば、二つの隣接するセグメント、複数のセグメント、関節運動器具のセクション、又は、関節運動器具の長さ全体の間の関係を変えてもよい。器具の一部を屈曲することは、ポリマーの活性が結果として器具の制御された関節運動になるように、器具の近傍に又はそのまわりに置かれたか又はそれ以外のやり方で連結された材料例えば活性ポリマー材料のサイズ又は長さに相対的な差を誘発することから生じることもある。例えば、活性ポリマー材料を使用するアクチュエータが内視鏡の一部の対向する側部に設けられて、活性ポリマー材料の活性によって内視鏡が活性化したポリマーアクチュエータを有する側部へ曲げられてもよい。代替の実施形態において、活性ポリマー材料を使用する別のアクチュエータは、先述のアクチュエータに対向して設けられ、対向する側部に沿って収縮しないか又は膨張するかのいずれかとして、内視鏡の当該部分を曲げるか又は旋回するのを容易にする。結果として得られる形状は、内径に沿って材料の収縮部分を有し、外径に沿って材料の非収縮長さ又は拡張長さを有する。
[0089]第1の側部12及び第2の側部14を有するセグメント10を考える。活性ポリマー材料又はアクチュエータが、側部(図示せず)に沿って提供される。アクチュエータも材料も活性化されないときには、セグメントは中立位置のままである(図1b)。他方、図1(a)は、L1で示されるセグメント10の第1の側部12の長さ方向に沿って位置する材料が、第2の対向する側部14に沿って位置する材料の長さL2よりも短く、結果として得られるセグメントの曲げが第1の側部12に向かう場合を示す。図1(b)は、第1の側部12の長さL1が、第2の側部14の長さL2に等しい場合、結果として得られるセグメント10の真っ直ぐな曲がっていない形状を示す。図1(c)は、第1の側部12の長さL1が、第2の側部14の長さL2よりも長く、結果として得られるセグメント10の曲げが第2の側部14へ向かう場合を示す。
[0090]関節運動器具の曲げを、すべての方向又は可能な限り用途に適する多くの方向に、制御することが一般に望ましい。好ましい一実施形態において、活性ポリマー系アクチュエータは、セグメントを、セグメントの長手方向軸に対して少なくとも2本の軸に沿って曲がることができるようにする制御を提供する。セグメント20は、このような制御及び2本の軸に沿って曲がることができる関節運動を達成する一つの構成を例示する(図2a〜2d)。図2(a)及び2(b)は、それぞれ、セグメント20の側面図及び上面図である。セグメント20は真っ直ぐであり、側部の長さL1、L2、L3及びL4はすべて等しい。図2(c)及び2(d)は、それぞれ、作動されたか又は曲げられたセグメント20又はセグメント20’の側面図及び上面図である。セグメント20’に連結された活性ポリマーアクチュエータの制御された作動の結果として、セグメント20’は、二つの方向、すなわち、L2で示される側部へ向けて、及び、ページの平面からL3で示される側部へ向けて、関節運動される。描写されたセグメント20’を図示のように曲げさせるために、長さL2’は長さL1’よりも短く作られてもよく、長さL3’は長さL4’よりも短く作られてもよく、例えば、L2’及びL3’に沿って位置する活性ポリマー材料又はアクチュエータを収縮させることによる。このようにして、セグメント20’は、二つの独立した軸に、関節運動させられるか又は曲げられてもよい。あるいは、L2’及びL3’に沿ったエレクトロポリマー材料は作動されないままであってもよく、対向する側部L1’及びL4’に沿った材料が膨張し、結果として得られる曲げを発生させてもよい。別の代替例において、セグメント20’のすべての側部は、別のものと連動して使用されてもよい。例えば、側部L2’及びL3’に沿った材料は収縮してもよく、一方、側部L1’及びL4’に沿った材料は同時に拡張してもよい。
[0091]更に別の代替例において、セグメント20’は、予め歪まされているか、又は、所定の望ましい形状又はカーブをもつバイアス状態を有するセグメントに対して当初非活性状態であってもよい。この例示において、セグメント20’は、非活性状態で右へ湾曲する(図2c及び2d)。セグメント20’に連結された活性ポリマー又はアクチュエータが活性化されるときに、セグメントは真っ直ぐな状態へ作動される。セグメントの予バイアスは、より少ないアクチュエータで作動することを可能にする。この例示において、側部12に沿ったアクチュエータは、この位置におけるアクチュエータによって提供される湾曲を予バイアスが提供するため、取り外されてもよい。操作中に、予バイアスは、減少されるか(すなわち、それほど右曲がりではない)、排除されるか(すなわち、図2aのように真っ直ぐ)、又は、所望により、別の構成へと関節運動されるか、のいずれかである。
[0092]予バイアスの使用はまた、関節運動器具22を用いて例示される(図2e、2f)。関節運動器具23は、選択的に操作可能な遠位部分25及び自動的に制御される近位部分26を備えた複数のセグメント(明瞭化のために示されない)を含む。関節運動器具22は、任意の所望のカーブへと予バイアスされてもよい。カーブは、例えば、胸腔内の手術等の外科手術に使用される典型的な経路を表してもよく、ここで、予バイアス形状は、最終的に適所にあるときの器具の適切な形状に関与する。一般的な予バイアス形状は、患者の特定の解剖学的構造に対して形状を微調整するために操作されてもよい。別の例では、予バイアス形状は、脈管構造によって形成された経路に関係してもよく、又は、心臓等の器官内の解剖学的構造に関係してもよい。
[0093]次に、関節運動器具22は、活性ポリマー層又はアクチュエータの使用を通して作動される制御可能なセグメント化結腸鏡としての使用に関連して説明される。関節運動器具22が潤滑油を受けて肛門Aを通って患者の結腸内に挿入されると、遠位端は直腸を通って、結腸の第1ターンに到達するまで進む。この第1ターンは、図2fには曲げ24で例示される。回転をうまく通り抜けるために、選択的に操作可能な遠位部分25が、ユーザによって操作制御を通してS状結腸へ向けて手動で操作される。操作制御から選択的に操作可能な遠位部分25への制御信号は、電子モーションコントローラによってモニタされる。器具22の遠位端をS状結腸内に進めるために選択的に操作可能な遠位部分25の正しいカーブが選択されると、カーブは、参照として電子モーションコントローラのメモリ内に記録される。手動モードで操作されようと自動モードで操作されようと、所望のカーブ(24)が選択的に操作可能な遠位部分25で選択されると、関節運動器具22が遠位に進むにつれて、選択されたカーブ24が、電子モーションコントローラを使用して、自動的に制御される近位部分26に沿って近位に伝播される。「フォローザリーダー」技術(後述される)に見られるように、カーブ24は空間に固定されたままであり、一方、関節運動器具22はS状結腸を通って遠位に進む。
[0094]しかし、第1ターンを越えてS状結腸に到達するために、結腸を横切ることは、一連の「左回転」とみなされてもよい。例えば、S状結腸から下行結腸に、下行結腸から横行結腸内に、且つ、横行結腸から右(結腸)曲を通って上行結腸内に結腸を横切ることは、一連の左回転を含むものと考える。このため、予バイアス曲げ23は、左予バイアスの例であり、ひとたび結腸が横切られると、関節運動器具の一般配向を近似するために使用されてもよい。このようにして、器具22が結腸を横切るために、予バイアスは、前進するにつれて、選択的に除去される。予バイアスはまた、患者の解剖学的構造をより厳密に近似するために、選択的に除去されてもよい。代替の実施形態において、予バイアスは、上述のように、最終位置以外の任意の位置に形形成されてもよい。
[0095]図2fはまた、器具が、他の部分においては予バイアス状態を保持しつつ、いくつかの部分においてどのように作動されるかを示す。例えば、選択的に操作可能な端25が関節運動されて曲げ24を形成し、中間領域が作動されて予バイアス湾曲を減少し、一方、近位端は元々の予バイアス湾曲を保持する。予バイアスの使用によって、器具を最終位置に維持するために必要なアクチュエータの数をより少なくすることが可能となり、又は、より少ない数のアクチュエータを全体に使用し得ることが認識されるべきである。例えば、器具22の左バイアスにおいて、側部23aに沿ったアクチュエータは、より少なくてもよく、又は、存在しなくてもよい。器具22のこのような実施形態の器具は、したがって、アクチュエータの使用を通じて作動されて、当該器具を予バイアス形状から変形し(reduce)、無効にし、又は、克服し、且つ、再方向づける。
[0096]遠位端25及び近位端26を備えた長い本体を有する曲げ可能な器具22が提供される。長い本体には、予バイアス形状が設けられる。長い本体に連結された少なくとも一つの活性ポリマーアクチュエータがあり、活性化されるときには、少なくとも一つの活性ポリマーアクチュエータが、長い本体の少なくとも一部を予バイアス形状から変えるようにする。一実施形態において、少なくとも一つの活性ポリマーアクチュエータは、電気的に活性化されるポリマーアクチュエータを備える。別の実施形態において、少なくとも一つの活性ポリマーアクチュエータは、イオン活性ポリマーアクチュエータを備える。更に別の実施形態において、少なくとも一つの活性ポリマーアクチュエータは、非電気活性ポリマーアクチュエータを備える。上述の予バイアス形状に加えて又はそれと組み合わせて、予バイアス形状の実施形態はまた、予バイアス形状が、外科手術に使用される典型的な経路、脈管構造の一部、骨格の一部、内部器官形状及び外部器官形状の両方を含む器官の形状に関連することを、含む。いくつかの実施形態において、予バイアス形状は、心臓、結腸、内臓又は喉の一部の内部形状に関連する。いくつかの実施形態において、予バイアス形状は、心臓、肝臓又は腎臓の一部の外部形状に関連する。
[0097]いくつかの実施形態において、関節運動器具は、アセンブリ全体を実質的に線状構成へと一実施形態ではバイアスし、又は、上述のように非線状構成又は特化された構成へとバイアスする復元力である。上記に検討されたように、アクチュエータを使用して、この実質的に線状の構成から逸脱してもよい。多数の従来の公知の機構のいずれかを提供して、適切なバイアスを関節運動器具に与えることが可能であることを認識すべきである。例えば、且つ、先に例示されたように、器具は、弾性スリーブ内に配置されてもよく、これは、スリーブの歪んだか、歪んでいないか、又は、他の状態に構成された形状によって決定される構成に、システムを戻す傾向がある。あるいは、セグメントの構造的要素に関連して、ばね又は他の適切に弾性のある部材を配置し、所望の構成、線状、非線状、又は別の箇所において検討されたような他の形状に器具を戻すためことができる。更に別の代替例において、器具自体の構造的要素は、単独で、又は、他の適切な弾性があるか又は復元的な部材と組み合わせて、器具を所望の構成に維持してもよく、又は、戻してもよい。
[0098]本発明の関節運動器具のいくつかの実施形態においては、少なくとも二つの制御可能な長い側部をもつ器具セグメントであることが望ましい。いくつかの実施形態においては、セグメントを任意の数の方向に曲げることを可能にするために、少なくとも二つの制御可能な長いセグメントが二つの独立した軸に対して提供されることが必要である。いくつかの実施形態においては、側部又は制御可能な長いセグメントの各々は、独立して作動可能である。あるいは、単一の制御可能な長いセグメントが、当該制御可能な長いセグメント又はアクチュエータに対向して位置決めされた付勢ばね型要素とともに、各軸に使用されてもよい。一つの代替の実施形態において、一方の軸の側部の長さが固定され、次いで、対向する側部の長さが変動する。例えば、図2(a)を参照すると、長さL1及びL3が固定される場合に、長さL2及びL4を作動することは、セグメント20’が多数の方向に曲がることを可能にする。
[0099]別の代替の実施形態においては、三つの独立して制御可能なアクチュエータ又は活性ポリマー材料を器具の側部に連結して、器具の作動を制御してもよい。90度のインターバルで間隔をあける代わりに、図2に示されるように、独立して制御可能なアクチュエータ又は活性ポリマー材料を120度のインターバルで間隔をおくことができ、又は、関節運動器具の周囲に60度の弧セグメントを形成してもよい。拡張によって、セクション(長手方向、水平方向又は側方向のセクションを含む)に形成された任意の数の制御可能なアクチュエータ又は活性ポリマー材料を、関節運動器具に、又はそのセグメントに、又はセグメントのグループに連結して、所望のように器具の曲げ及び/又は関節運動を提供してもよい。
[00100]いくつかの実施形態においては、器具の対向する側部に連結された少なくとも一対の活性ポリマーアクチュエータを制御することが好ましい。これによって、セグメントの四つの独立して制御可能な側部又は部分がもたらされ、セグメントの曲げを決定するのに使用され得る。これによって、所望の又は必要な曲げを決定するための計算の簡略化を容易にし得る。これによって、更に、セグメントに曲げを発生させる場合に、所望の制御性及び反応性を得ることができる。例えば、図3(a)は、側部に沿った四つの独立して制御可能なアクチュエータであって、セグメント30の曲げ又は側部の長さを決定するための当該アクチュエータを使用する構成におけるセグメント30の上面図を示す。この実施形態において、アクチュエータ(U、D、L及びR)は、90度のインターバルでセグメント30の周囲において対向する側部に配列される。代わって、図3(b)のセグメント32は、側部(U、L、R)に沿った三つの独立して制御可能なアクチュエータであって、側部の長さを決定するための当該アクチュエータを示す。三つのアクチュエータU、L、Rは、120度のインターバルでセグメント32の周囲において間隔をおいている。図3(c)は、更に別の変形例34を示しており、セグメント34の側部の長さを決定するための二つの独立して制御可能な側部U、L、及び、側部U、Lに対して対向する二つの固定された長さの側部D、Lを示しており、これらは90度のインターバルで配列されている。
[00101]上記に示された例は、活性ポリマー材料及びアクチュエータをセグメントの周囲に配置するための特定の変形例に向けたものであるが、これらの例は、例示的なものであることを意図しており、その配置の他の変形例及び構成が、本開示の範囲内に含まれる。
[00102]いくつかの実施形態においては、活性ポリマー材料及び/又は活性ポリマー系アクチュエータを、関節運動器具の部分又はセグメントの長い側部を制御するために構成して、所望の方向、配向又は構成に器具を曲げるか又は他の方法で操作してもよい。活性ポリマー材料又はアクチュエータの個別に制御可能な片又は領域を、それらが器具のセグメントに作用して器具のセグメント又は部分の関連位置を修正するか短くするか長くするか又は他の方法で変え得るように位置決めし、次いで、活性ポリマーの収縮及び/又は活性を制御することによって、関節運動器具セグメントを、所望のように曲がるか屈曲するように構成してもよい。
[00103]一実施形態において、数片又は数本の活性ポリマー材料及び/又は活性ポリマー系アクチュエータが、隣接するセグメント42、44の間においてヒンジ又はジョイント40の周辺又は周囲に設けられていてもよい(図4(a)〜4(c))。活性ポリマー材料及び/又は活性ポリマー系アクチュエータ46、48の片50、52の端は、ヒンジ又はジョイント40のまわりにおいて隣接するセグメント42、44に固定されてもよい。このため、活性ポリマー材料及び/又は活性ポリマー系アクチュエータ46、48の活性又は長さの変化は、ヒンジ又はジョイント40に力をかけ、これを動きの軸に対して曲げる。図4(a)に示されるように、第1の側部L1における活性ポリマー材料46の長さの収縮は、第2の側部L2の材料48のものと同一の長さであり、ヒンジ40は曲げられず、真っ直ぐな構成となるように、制御される。この場合、ヒンジ40は、場合によって、両方の活性ポリマー材料及び/又は活性ポリマー系アクチュエータ46、48からの等しい張力下にあってもよく、又は、長い部分L1又はL2のいずれからの張力下になくてもよい。
[00104]ジョイント又はヒンジをL1へ向けて第1の側部へ曲げるために、図4(b)に示されるように、長いポリマー材料46は収縮させられてもよく、一方、ポリマー材料48の長い部分L2は、弛緩又は膨張させられてもよい。ジョイント又はヒンジ40を対向するL2へ向けて第2の側部へ曲げるために、図4(c)に示されるように、ポリマー材料48の長い部分L2は収縮させられてもよく、一方、ポリマー材料46の長い部分L1は、弛緩又は膨張させられてもよい。ポリマー材料はまた、隣接するセグメント42、44及びヒンジ40内に画成された間質空間又は内腔に位置してもよい。図4は、活性ポリマー材料及び/又は活性ポリマー系アクチュエータがセグメント及びヒンジの外部のまわりに構成される例示の実施形態である。代替の構成もまた可能であり、例えば、活性ポリマー材料及び/又は活性ポリマー系アクチュエータが、セグメント及び/又はヒンジ内に又はその間に配置される構成等がある。
[00105]図4に例示された実施形態は、等しい長さ又はサイズの活性ポリマーアクチュエータを含む(すなわち、L1は長さがL2に等しい)が、本発明の他の実施形態は、そのように限定されない。他の変形例は、同一のジョイント又はヒンジのまわりに、異なる長さを有する活性ポリマーアクチュエータ及び/又は材料の長さ、サイズ及び形状を使用してもよい。一実施形態において、第1の長い部分L1は第2の長い部分L2に対して、両者が中立又は非活性構成にないときには、長くても短くてもよい。いずれかの又は両方の長い部分が刺激されて収縮するか又は膨張するときに、隣接するセグメントが、互いに対してジョイント又はヒンジのまわりに様々な角度で曲がるように構成されてもよい。あるいは、異なる長さの活性ポリマーアクチュエータ及び/又は材料が構成されて、セグメントの長手方向軸のまわりにセグメントの均一な曲げがもたらされてもよい。
[00106]別の代替の実施形態において、関節運動器具の設計が、ヒンジの代わりにユニバーサルジョイントを使用することによって、二つの軸に曲がるように拡張されてもよい。ユニバーサルジョイントは、セグメントの長手方向軸に対して任意の方向に曲がることを可能にする。この場合、数個の活性ポリマー材料及び/又は活性ポリマーアクチュエータがユニバーサルジョイントにわたってセグメントの周囲に配列されて、隣接するセグメントが任意の所望の方向に曲げられてもよい。この形態は、好ましくは、セグメントの間に配列された少なくとも二つの材料を使用し、各々が二つの独立した軸の各々にジョイントの動きをもたらすことを可能にする。一実施形態においては、材料又はアクチュエータの最小数は、2である。他の実施形態においては、任意の数を使用して、ユニバーサルジョイントの所望の曲げを発生させてもよい。別の特定の実施形態においては、四つの活性ポリマー材料又はアクチュエータが、ユニバーサルジョイントの周辺にインターバルをおいて配列されて、活性化されるときに、曲げの二つの独立した軸の各々においてプッシュ及び/又はプル力を生成する。一実施形態において、インターバルは90度である。代替の実施形態において、インターバルは90度のインターバルではないが、代わりに、別の配列では、使用されるジョイントの特定の形状寸法に適する。
[00107]次に、図5a、b及びcに移ると、本発明の活性ポリマー作動器具の別の実施形態が示されている。この実施形態においては、連続したバンド状の活性ポリマー材料が、一定の長さを有する環状リング60として形成されており、二つの隣接するセグメント62、64のまわりに置かれている。ヒンジ66は、セグメント62、64の間に位置決めされている。活性ポリマーリング60は、1本以上の軸において曲がり得るヒンジ66の周辺に配置される。あるいは、セグメント62、64は、図5(a)に示されるように、2本以上の軸において曲がり得るユニバーサルジョイント66’を使用して連結されてもよい。環状リング60は、複数の活性区域を有する活性ポリマー材料(図5a)の単一のシートであってもよく、当該活性区域は、ポリマーの選択された部分を撓ませて、セグメント62、64の制御可能な運動をもたらす。代替の構成において、環状リングは、単一の片でなくてもよく、代わりに、複数の長手方向の活性ポリマーストリップ、例えば、図5bのポリマーストリップ68、70、72であってもよい。一実施形態において、制御可能な活性ポリマー領域68、70、72は、個別に(又は、代替的に、単一片、環状リング60のサブセットとして)、電極の使用を通して、所望のように、収縮し、緩和し、且つ/又は、膨張し得るように構成されて制御される。当該電極は、セグメント62、64を所望の形状又は配向とするために、電圧を与えられてもよく、電圧解除されてもよく、且つ/又は、逆の極性で電圧を与えられてもよい。好ましい一実施形態においては、制御可能な領域68、70、72の各々又は単一のリング60は、独立して制御される。このように、単一の片状又は長い活性ポリマー材料を使用して、ヒンジ66又はユニバーサルジョイント66’のいずれかを任意の所望の方向へ作動してもよい。
[00108]三つで例示されているが、任意の数の個別に制御可能な領域をもつエレクトロポリマー材料が、形成されてもよい。いくつかの実施形態においては、領域の数は、3以上か又は2に等しい。一実施形態において、領域は、制御する軸の平面に作用するように配列される。例えば、図5(b)に示されるように三つの領域68、70、72、又は図5(c)に示されるように四つの領域74、76、78、80を使用して、所望のように領域を個別に制御し、プッシュ及び/又はプル力を形成してもよい。
[00109]更に別の変形例において、環状リングに形成されセグメントの周辺に設けられる連続バンド状のエレクトロポリマー材料は、図6(a)に示されるように、数個の、すなわち、少なくとも二つのヒンジ又はユニバーサルジョイント上に延在するように、長さがより長く作られてもよい。これは、単一の連続片に形成されてもよく、可撓性のある内視鏡構造体の長さの一部を又は長さ全体を覆うように作られてもよい。この構成90において、エレクトロポリマー材料の独立して制御可能な領域、例えば、領域96、98、100、102等は、内視鏡の長さ方向に沿って各ヒンジ、ジョイント又はユニバーサルジョイントに曲げ力を発揮することができるように、又は、エレクトロポリマー材料92、94のスリーブ内にできるだけ多くのヒンジ、ジョイント又はユニバーサルジョイントが含まれるように形成され且つ配置されてもよい。エレクトロポリマー材料は、ヒンジ及びジョイントに力を与えてそれを曲げるために、ヒンジ又はジョイントの間に固定セクションの中点で又はその近傍でヒンジ止めされた構造体又はジョイント止めされた構造体に固定されてもよく、又は、場合によって、エレクトロポリマー材料は、構造体に取り付けられていなくてもよく、摩擦接触及び弾性を使用して構造体に力を与えてもよく、又は、電極を用いて引き受けるために制御される形状に構造体を従わせてもよい。あるいは、長いエレクトロポリマー材料が、中に画成された任意の間質空間で、セグメント、ヒンジ及び/又はユニバーサルジョイント内部に位置してもよい。
[00110]別の実施形態において、マルチセグメント関節運動器具90は、複数の個別に制御可能な領域を含む(図6a)。この実施形態において、関節運動器具90は、活性ポリマー材料92、94によって覆われた六つのヒンジ止めされたセグメントを含む。一実施形態においては、活性ポリマー材料は、セグメントの間においてヒンジ止めされた部分に対応する複数の制御可能なセグメントに分割される。活性化されるときには、これらの活性ポリマー材料は、セグメントの間でヒンジのまわりに制御された運動を生成する(すなわち、セグメント5−6は、制御可能なセグメント100又は制御可能なセグメントセクション102によって変えられてもよい。関節運動器具90は、ポリマー材料92、94の個別に制御可能な領域96、98、100、102の活性ポリマーの活性を通して所望の方向に各ヒンジ又はジョイントを曲げてもよい。関節運動器具90の一実施形態において、連続バンド状の活性ポリマー材料は、器具の長さ又は長さのサブセットにわたっており、シースを形成する。このシースは、例えば、シリコーン、ウレタン、又は、内視鏡又は他の医療装置に普通に使用されるような他の任意の生体適合性材料等の、生体適合性材料から作られるか又はそれが塗布されてもよく、したがって、害又は損傷を生じることなく生体組織に接触してもよい。一実施形態において、活性ポリマー材料又はアクチュエータの形状及び長さを制御するために使用される電極は、絶縁されるか又は覆われて、電気ショックを防止しており、生体適合性材料で実現されていてもよい。別の実施形態において、電極は柔軟電極である。更に別の実施形態において、シースは、マルチレーヤーラミネートのポリマーアクチュエータの一部である。一実施形態において、シースは、セグメント化構造体を覆う使い捨てカバーを形成しており、当該構造体はヒンジ及びヒンジに連結された活性ポリマー材料を備えている。別の実施形態において、シースは、クリーニング可能であり、洗浄可能であり、且つ/又は、再使用可能である。
[00111]図6(b)は、制御可能な領域の代替の実施形態の断面図を示す。全体が活性ポリマー材料のスリーブを有するのではなく、活性ポリマー材料及び非活性ポリマー材料のセクションが設けられていてもよい。例えば、セクション104、110は活性ポリマー(例えば、その表面の一部にわたって分布された柔軟電極)を有する部分であってもよく、一方、セクション106、108は活性ポリマーを有さないか、又は、非活性ポリマー材料から形成される。あるいは、部分104、106、108、110の各々は、活性ポリマー材料から作られてもよく、各々が互いから独立して制御可能であってもよい。セクションは、例示された長手方向セクションに限定される必要はない。他の代替の実施形態は、五つ以上のセクション、複数の同心長手方向セクション、環状セクション、複数の同心環状セクション、及び、長手方向セクション、環状セクション及び同心セクションの組み合わせを含む。
[00112]他の代替の実施形態において、曲げ可能な器具又は関節運動器具は、図6のようなセグメントを使用せず、連続した可撓性のある材料を使用する。図7に例示されるように、代表的なセグメント124は、可撓性のある材料から作られ、例えば、ホース、チューブ、ばね、又は、曲げるか又は屈曲されてもよい他の任意の連続材料である。例示された実施形態において、セクションを有するか、片状であるか、又は長い活性ポリマー材料120、122が、セグメント124の周辺に配列される。活性ポリマー材料の片がセグメント124に連結されて、当該ポリマーの作動がセグメント124の所望の撓み、曲げ又は他の作動をもたらす。活性ポリマー材料は、任意の数の位置でセグメント124の構造体に、例えば、セグメントの外部に沿って、セグメントの内部に、セグメントの端のみに、セグメントの長さ方向に沿って連続して、又は、活性ポリマー材料の活性が結果として、セグメント124の形状、配向、曲げ又は全体的形状寸法の制御された変更になるような他の任意の方法で、連結されてもよい。
[00113]次に、セグメント124の例示的な作動が、図7a、7b及び7cを参照して説明される。図7(a)に示されるように、長さL1をもつ第1の側部のエレクトロポリマー材料120の長さが、長さL2をもつ第2の側部の材料122のものと同一の長さであるように制御されるときに、セグメント124は曲げられず、真っ直ぐな構成にある。この場合、セグメント124は、場合によって、両方の活性ポリマー材料120、122から等しい張力下にあってもよく、又は、代替的に、セグメント124は活性ポリマー材料からの張力下になくてもよい。セグメント124を第1の側部へ曲げるために、図7(b)に示されるように、セグメント124(L1)の左側にある活性ポリマー材料又はアクチュエータ120は収縮させられてもよく、一方、右側(L2)にある活性ポリマー材料又はアクチュエータ122は緩和又は膨張させられる。セグメント124を右へ曲げるために、図7(c)に示されるように、セグメント124(L2)の右側への活性ポリマー材料又はアクチュエータ122は収縮させられてもよく、一方、左側(L1)への活性ポリマー材料又はアクチュエータ120は緩和又は膨張させられる。図7は、例示的な目的のために、1本の軸(左−右)において曲がる、ホース、チューブ又はばねを示し、追加の個別に制御可能な長いエレクトロポリマー材料を加えて、ホース、チューブ又はばねを、ページから平面に曲げて(上−下)、2本の軸及び3次元へ拡張してもよい。
[00114]更に別の変形例において、連続バンド状の活性ポリマー材料が環状リングに形成され、例えば、ホース、チューブ、ばね、又は、任意の方向に曲げるか又は屈曲されてもよい他の任意の連続材料であるセグメント130の周辺に置かれてもよい。この構成においては、図8(a)に示されるように、活性ポリマー材料の個別に制御可能な領域132、134、136が、電圧を印加されるか、電圧を解除されるか、又は逆の極性で電圧を印加されてもよい電極の使用を通して、所望のように収縮し、緩和し、且つ膨張してもよいように形成される。このようにして、単一の片状の活性ポリマー材料を使用して、一定の長さのセグメント130を作動してもよい。活性ポリマー材料の任意の数の個別に制御可能な領域132、134、136が、形成されてもよい。一実施形態において、二つの制御可能な領域がある。別の実施形態において、図8(b)に示される三つの領域132、134、136のように、三つの制御可能な領域がある。更に別の実施形態において、図8(c)に示される四つの領域138、140、142、144等の、四つ以上の制御可能な領域がある。上述の領域のいずれにおいて、当該領域は、制御する軸の平面に膨張し且つ/又は収縮するように配列されてもよく、且つ/又は、当該領域が使用されて、個別に制御され、セグメント130にプッシュ及び/又はプル力を形成してもよい。
[00115]図9(a)は、本発明の関節運動器具の代替の実施形態を例示する。関節運動器具150は、連続バンド状の活性ポリマー材料152、154を含み、当該材料は、この実施形態では、環状リングとして形成され、ホース、チューブ、ばね、又は、所望の方向に曲げるか又は屈曲されてもよい他の任意の連続材料153によって画成された間質空間の周辺に又はその内径に沿って配置されてもよい。いくつかの実施形態において、活性ポリマー材料は、数「セグメント」にわたって延在するように、十分な長さのものである。図9(a)において、制御可能なセクション又は領域156、158、160、162の各々にわたる個別制御のため、5つの「セグメント」の連続構造体が形成される。これらのセグメントは、任意の方向に曲げられ得る独立して制御可能なセクションとして画成される。セグメントは、任意の所望の長さになるように選択されてもよい。関節運動器具が内視鏡である例示的な実施形態において、セグメントは、例えば、長さが、例えば1cm〜10cmの範囲であってもよい。他の用途では、更により短いセグメント長さが使用されてもよく、それは用途に依存する。関節運動器具が脈管構造又は他の制限された経路を進むことが意図されるいくつかの実施形態において、セグメント長さは、1cm未満であってもよく、例えば、50mm又は25mmである。
[00116]使用される活性ポリマー材料152、154は、単一の連続片に形成されてもよく、ホース、チューブ、ばね、又は、可撓性のある内視鏡構造体150を構成する他の可撓性のある材料の長さ全体を覆うように作られてもよい。この構成において、活性ポリマー材料の独立して制御可能な領域156、158、160、162が、内視鏡の長さ方向に沿って各セグメントに曲げ力をかけることができるように、又は、内視鏡の長さ全体よりも短くてもよい活性ポリマー材料のスリーブ内に、できるだけ多くのセグメントが含まれるように、形成されて配置される。活性ポリマー材料152、154は、セグメントに力を与えてそれを曲げるために、ホースに、チューブに、ばねに、又は、セグメントの各々の端点で又はその近傍で内視鏡を構成する他の可撓性のある材料に固定されてもよく、又は、場合によって、活性ポリマー材料152、154は、構造体に取り付けられていなくてもよく、摩擦接触及び弾性を使用して構造体に力を与えるか、又は、電極で引き受けるために制御される形状に構造体を従わせるかのいずれかである。
[00117]図9(a)は、各ヒンジ又はジョイントを所望の方向に曲げることができるように、動作するよう構成された活性ポリマー材料の個別に制御可能な領域156、158、160、162を有する実施形態を示す。この構造体において、一連のセグメントから作られた内視鏡の長さ又は長さのサブセットにわたる連続バンド状の活性ポリマー材料は、シースを形成する。このシースは、例えば、シリコーン、ウレタン、又は、内視鏡又は他の医療装置に普通に使用される他の任意の生体適合性材料である
生体適合性材料から作られるか又はそれが塗布されてもよく、したがって、害又は損傷を生じることなく生体組織に接触してもよい。活性ポリマー材料の形状及び長さを制御するために使用される電極は、柔軟電極であってもよく、また、絶縁されるか又は電気ショックを防止するために覆われてもよく、これもまた、生体適合性材料で実現されてもよい。一実施形態において、シースは、使い捨て可能である。別の実施形態において、シースは、クリーニング可能であり、再使用可能である。
[00118]図9(b)は、制御可能な領域の一部分の一実施形態の断面図を示す。制御可能な領域166、168は活性ポリマー材料で構成されてもよく、一方、部分164、170は非活性ポリマー材料から作られてもよい。別の代替の実施形態において、制御可能な領域部分164、166、168、170の各々は、活性ポリマー材料を含んでもよく、各々が、互いから独立して制御可能であってもよい。
[00119]更に別の変形例において、ホース、チューブ、ばね、又は、代替の可撓性のある材料又は構造体である長尺物180は、図10(a)に示されるように、複数のヒンジ、ジョイント又はユニバーサルジョイント182〜192から構成されてもよい。ヒンジ、ジョイント又はユニバーサルジョイント182〜192は、図10(a)に示されるように、一体に接続されてセグメント180を形成してもよく、次いで、活性ポリマー材料の使用によって、2本の軸において曲げさせられてもよい。ヒンジ、ジョイント又はユニバーサルジョイント182〜192は、内腔194、又は、図10(b)のセグメント180の端面図に示されるように、ワーキングチャネルを画成してもよく、これは、構成要素が画成された内腔194内に組み立てられるか又は通り得るように、十分に大きい。ケーブル、チューブ、ワーキングチャネル、光ファイバ等のツール及び構成要素、及び、他のツール、照明バンドル等が、内腔194を通ってもよい。1本の軸のみにおいて曲がるように構成されるヒンジ又はジョイントを使用する配列用に(少なくとも2本の軸に曲がることができるユニバーサルジョイントとは対照的に)、ヒンジ又はジョイントの配向を交互にし、そのため、一つおきのヒンジ又はジョイントが一方の軸に曲がり(例えば、左−右)、中間にあるヒンジ又はジョイントが別の軸に曲がる(例えば、横方向又は上−下)ことが好ましい。
[00120]セグメント180の縦方向下のジョイント182〜192の間の間隔は、各リンクの直径に対して小さいことが好ましく(例えば、1:1又はそれ未満)、したがって、隣接するリンクの間のジョイントを覆う真っ直ぐな非関節運動材料の長さは、対応して短い。このようにして、一連の別々のヒンジ、ジョイント又はユニバーサルジョイント182〜192が、可撓性のある材料(例えば、ホース、チューブ、ばね等)の連続形状に近似してもよい。この変形例において、活性ポリマー材料は上述の変形例のいずれに使用されてもよい。
[00121]図10(c)に示された一実施形態において、個別の片状の又は長い活性ポリマー材料182、184は、セグメントの外部か又は内部のいずれかに使用されてもよく、ヒンジ又はジョイントから作られたセグメントに曲げ力を加える。あるいは、図10(d)に示されるように、連続バンド186が、セグメントの周囲に置かれてもよく、又は、セグメントの長さであるか又は少なくともセグメントの部分的な長さであるセグメントの内径内に置かれてもよく、セグメントに端点で又はその近傍で接着される。別の代替例において、図10(e)に示されるように、内視鏡全体か、又は、内視鏡を構成するセグメントのサブセットを構成し得る多数のセグメント190、192の周囲に、連続スリーブ188が置かれてもよい。連続バンド又はスリーブが使用される変形例において、活性ポリマー材料を、それが、いくつかの実施形態においては、セグメントごとに周囲に四つの個別に制御可能な領域を有し、且つ、これらの領域が、ヒンジ又はジョイントの曲げの軸に一致してプッシュ及び/又はプル力を発揮するように、構成することが好ましいこともある。個別に制御可能な片状又は長い活性ポリマー材料、又は、活性ポリマー材料の個別の領域を覆う個別に制御可能な電極を使用して、セグメントの各々を個別に任意の所望の方向に曲げてもよい。加えて、シースが設けられてもよく、これは、例えば、シリコーン、ウレタン、又は、内視鏡又は他の医療装置に普通に使用される他の任意の生体適合性材料である生体適合性材料から作られるか又はそれが塗布されてもよい。シースのコーティング又は材料は、害又は損傷を生じることなく生体組織に接触してもよいように、選択される。活性ポリマー材料の形状及び長さを制御するために使用される電極は、いくつかの実施形態において、絶縁されるか又は電気ショックを防止するために覆われてもよく、これもまた、生体適合性材料で実現されてもよい。他の実施形態において、電極は柔軟電極である。一実施形態において、シースは、使い捨てである。別の実施形態において、シースは、クリーニング可能であり、再使用可能である。
[00122]活性ポリマー材料の作動は、その特定のポリマーの活性機構に依存した多数の方法のいずれかにおいて発生してもよい。例えば、活性は、いくつかのポリマーでは、それらを、又はその部分を、又はそれらの領域を、電界の存在中に置くことによって、発生してもよい。他の場合には、活性機構は、pHのレベルが変動する物質に活性ポリマーを接触させることに関係してもよい。いくつかの実施形態において、電気的に活性化されるポリマー材料及びアクチュエータは、電界の使用を通して作動される。電界を形成するために、図11に示されるように、電極が使用されてもよい。これらの電極202、206は、導体材料をエレクトロポリマー材料204の片又は領域のいずれかの側部に置き、エレクトロポリマー材料の一方の側部にある導体材料202を一つの電圧ポテンシャル(V1)にし、一方、エレクトロポリマー材料の他方の側部にある導体材料206を別の電圧ポテンシャル(V2)にすることによって、形成される。このようにして、電界は、エレクトロポリマー材料にわたって提供される。電圧ポテンシャルは、安定して一定であってもよく、又は、経時変化してもよい。
[00123]別の変形例において、電極は、エレクトロポリマー材料に非常に近接して接触する別個の材料であってもよい。電極及びエレクトロポリマー材料の配列は、例えば、サンドイッチ構成に形成されてもよく、各構成要素は、別個の片から構成される。層は、平らであるか又は管状であるかのいずれかでもよい。Mylar等の薄く導電性があり可撓性のある材料が使用されてもよい。エレクトロポリマー材料の収縮、緩和及び/又は膨張を可能にするために、サンドイッチ配列の層は、互いに対して動くことができてもよい。この理由のために、滑りやすいか又は滑らかな材料が使用されてもよい。
[00124]更に別の変形例において、電極は、活性ポリマー材料の表面に直接結合されてもよい。この場合、電極は、可撓性があることが好ましく、圧縮し且つ膨張することができ、そのため、収縮、緩和、及び膨張を行うときにエレクトロポリマー材料とともに動いてもよい。可撓性のある材料、例えば、導電性ゴム又は導電性材料の柔軟なウィーブから作られた電極を使用して、活性ポリマー材料を最大範囲の動きにすることを可能にしてもよい。いくつかの実施形態においては、エレクトロポリマー材料の表面に電極を接着する柔軟な方法が好ましく、例えば、ゴムセメント、ウレタン結合、又は、他の柔軟な接着剤が好ましい。更なる電極の実施形態及び柔軟な電極の実施形態は、Pelrineらに付与された米国特許第6,376,971号、発明の名称「Electroactive Polymer Electrodes」に記載されており、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。
[00125]更に別の変形例において、電極は、導電性インクを備えたシルクスクリーン等のプロセス、又は、印刷回路基板の生産に使用されるような還元プロセスを使用して、活性ポリマー材料の表面に直接印刷されてもよい。この変形例において、導電性インクは、活性ポリマー材料の運動とともに膨張し収縮することが必要であってもよい。これを達成するために、電極は、領域に細分割されて、例えば波線又は他の幾何学的形状といった全体的な動きを可能にする。図12は、大きな程度の伸張及び収縮を可能にする導電性インクのパターン210、212を示す。この変形例において、電極の領域のいずれか又はすべてを個別に制御するために必要なすべての接続を印刷することが望ましいこともあり、その結果、活性ポリマー材料の多数の領域が制御されてもよく、このようにして、図13に示されるように、追加配線の必要性を減少するか又は排除する。
[00126]個別に制御可能な電極の各々の電圧ポテンシャルを制御することによって、関節運動器具の形状を制御するために使用されるエレクトロポリマー材料の片又は領域の形状の制御が行われる。これは、コントローラの使用によって成されてもよく、当該コントローラは、電極の各々をオン又はオフに切り替え、電極の各々の電圧を個別に任意の所望の電圧に制御する。これは、コンピュータ又は他のプログラム可能なコントローラの使用によって、達成されてもよい。コントローラは、次いで、内視鏡のエレクトロポリマー材料の個別に制御可能な領域、部分又は片を作動することができる。このようにして、内視鏡の長さ全体の形状は、上述のように、「フォローザリーダー」アルゴリズムを含む任意の所望の方法で制御されてもよい。
[00127]更に別の変形例において、別個の接続が、個別電極の各々とコントローラとの間に形成されてもよい。この変形例において、別個のワイヤ又は一対のワイヤ、又は、ワイヤを備えているプリントトレースを使用して、図13の概略図に示されるように、各電極をコントローラに接続してもよい。
[00128]更に別の変形例においては、内視鏡の単一のセグメントを作動するのに必要であるように、各々が、より少ない数の電極を切り換え制御することができる小さなコントローラのネットワークが、図14に示されるように、データネットワーク及びパワーネットワークを備えたメインコントローラに、接続される。メインコントローラは、次いで、電極の各々用の設定を、ネットワークの各通信ノードへ伝送することによって、個別にセグメントの各々を構成する。これは、各電極から内視鏡のメインコントローラへと形勢されなければならない接続の数を大幅に減少する。更なるコントローラが、本明細書に参照することによって組み込まれる、Heim及びPelrineの特許及び出願、更に、参照として本明細書に組み込まれるPelrineらの米国特許出願公開第2003/0067245号、発明の名称「Master/Slave Electractive Polymer System」に記載されている。
[00129]選択された設計の変形とは無関係に、できるだけ速く且つ応答可能なようにセグメントを作動させるために、収縮が停止させられ緩和の過程にあるエレクトロポリマー材料の領域に対して能動的に引っ張ることが有利なこともある。これが、セグメントが新しく命じられた位置を達成するために必要な応答時間を減少するという利点を有しているのは、エレクトロポリマー材料の領域又は片が受動的に緩和するための時間が、エレクトロポリマー材料の対向する片又は領域がセグメントを新しく必要な位置へ引っ張るのに必要な時間よりも長いからである。このアルゴリズムを使用して、セグメント、ジョイント又はヒンジは、新しい位置を達成するためにそれらを緩和させる代わりに、新しい位置内に能動的に引かれる。
[00130]更に代替の構造体へ移る前に、本発明のいくつかの実施形態に使用されるような巻かれた電気活性ポリマーの製作及び用途、更に、電気的に活性化されるポリマー、又は、電気活性ポリマーの構造及び操作の基本的な原則のいくつかが最初に解明される。本発明の装置の電気エネルギと機械エネルギとの間の変換は、電気活性ポリマーの一つ以上の区域のエネルギ転換に基づいている。電気活性ポリマーは、機械エネルギと電気エネルギとの間の転換を可能にする。いくつかの場合において、電気活性ポリマーは、機械歪を伴って電気特性(例えば、キャパシタンス及び抵抗)を変える。
[00131]電気エネルギと機械エネルギとの間の転換における電気活性ポリマーの能力を例示するのを助けるために、図15Aは、本発明の一実施形態に係るトランスデューサ部分1510の上部斜視図を示す。トランスデューサ部分1510は、電気エネルギと機械エネルギとの間で転換するための電気活性ポリマー1512の一部を含む。一実施形態においては、電気活性ポリマーは、二つの電極の間の絶縁誘電体として作用するポリマーを意味し、二つの電極の間に電圧差を加えられたときに撓み得るものである(「誘電性エラストマー」)。頂部及び底部の電極1514及び1516は、電気活性ポリマー1512にそれぞれその頂部及び底部の表面で接着され、ポリマー1512にわたる電圧差を提供するか、又は、ポリマー1512から電気エネルギを受け取る。ポリマー1512は、頂部及び底部の電極1514及び1516によって提供される電界の変化で撓み得るものである。電極1514及び1516によって提供される電界の変化に応答するトランスデューサ部分1510の撓みは、「作動」と称される。作動は、典型的に、電気エネルギが機械エネルギに転換することに関与する。ポリマー1512はサイズが変わると、撓みが使用されて、機械的作用が生成される。
[00132]図15Bは、撓みを含むトランスデューサ部分1510の上部斜視図を例示する。一般に、撓みは、ポリマー1512の一部の、任意の変位、膨張、収縮、捩れ、線状又は区域の歪、又は、他の任意の変形を意味する。作動のために、電極1514及び1516に加えられるか又はそれによる電圧差に対応する電界の変化は、ポリマー1512内に機械的圧力を生成する。この場合、電極1514及び1516によって生成された異なる電荷は、互いに引き付け合い、電極1514及び1516の間に圧縮力を提供し、平面方向1518及び1520のポリマー1512に膨張力を提供し、ポリマー1512を電極1514及び1516の間で圧縮させ、平面方向1518及び1520に伸張させる。
[00133]電極1514及び1516は、柔軟であり、ポリマー1512と共に形状を変える。ポリマー1512及び電極1514及び1516の構成は、撓みを伴うポリマー1512の応答を増加する。より具体的には、トランスデューサ部分1510が撓むにつれて、ポリマー1512の圧縮が電極1514及び1516の反対の電荷を近づけさせ、ポリマー1512の伸張が各電極の類似電荷を分離する。一実施形態において、電極1514及び1516の一方が接地される。例えば、トランスデューサ部分1510は一般に、撓みを発生する静電気力と機械的な力がバランスを取るまで、撓み続ける。機械的な力は、ポリマー1512材料の弾性復元力、電極1514及び1516のコンプライアンス、及び、トランスデューサ部分1510へ連結された装置及び/又は荷重によって提供される任意の外部抵抗力等を含む。印加された電圧の結果としてのトランスデューサ部分1510の撓みは、多数の他の要因に依存し得るものであり、例えば、ポリマー1512誘電定数及びポリマー1512のサイズに依存し得る。
[00134]本発明に係る電気活性ポリマーは、任意の方向に撓むことができる。電極1514及び1516の間に電圧が加えられた後に、電気活性ポリマー1512は、両方の平面方向1518及び1520でサイズが増加する。いくつかの場合において、電気活性ポリマー1512は、非圧縮性であり、例えば、応力下で実質的に一定の容量を有する。この場合、ポリマー1512は、平面方向1518及び1520における膨張の結果として、厚さが減少する。本発明は、非圧縮性ポリマーに限定されず、ポリマー1512の撓みは、このような簡単な関係に一致しなくてもよいことに注意しなければならない。
[00135]図15Aに示されるトランスデューサ部分1510の電極1514及び1516の間に比較的大きな電圧差を加えることは、トランスデューサ部分1510を、図15Bに示されるように、より薄くより大きな区域形状に変化させる。このようにして、トランスデューサ部分1510は、電気エネルギを機械エネルギに転換する。トランスデューサ部分1510を使用して、機械エネルギを電気エネルギに転換してもよい。
[00136]作動のために、トランスデューサ部分1510は一般に、撓みを駆動する静電気力と機械的な力がバランスを取るまで、撓み続ける。機械的な力は、ポリマー1512材料の弾性復元力、電極1514及び1516のコンプライアンス、及び、トランスデューサ部分1510へ連結された装置及び/又は荷重によって提供される任意の外部抵抗等を含む。加えられた電圧の結果としてトランスデューサ部分1510の撓みは、多数の他の要因に依存してもよく、例えば、ポリマー1512誘電定数及びポリマー1512のサイズである。
[00137]一実施形態において、電気活性ポリマー1512は、予め歪まされる。ポリマーの予歪は、一つ以上の方向において、予歪後の方向の寸法の、予歪前のその方向の寸法に対する変化として説明され得る。予歪は、ポリマー1512の弾性変形を含んでもよく、例えば、張力でポリマーを伸張し、伸張しつつ一つ以上の縁を固定することによって形成されてもよい。あるいは、下記により詳細に説明されるように、ばね等の機構が電気活性ポリマーの異なる部分に連結されてもよく、ポリマーの一部を歪ませる力を提供してもよい。多くのポリマーでは、予歪は、電気エネルギと機械エネルギとの間の転換を向上する。向上された機械的な応答は、電気活性ポリマー用のより大きな機械的作用、例えば、より大きな撓み及び作動圧力を可能にする。一実施形態において、予歪は、ポリマーの絶縁耐力を向上する。別の実施形態において、予歪は、弾性的である。作動後、弾性的に予め歪まされたポリマーは、原則として、固定解除され、その元々の状態に戻ることができる。
[00138]一実施形態において、予歪は、ポリマー1512の一部上に均一に加えられ、等方性の予め歪まされたポリマーを生成する。例として、アクリルエラストマーポリマーは、両方の平面方向に200〜400パーセント伸張されてもよい。別の実施形態において、予歪は、ポリマー1512の一部に異なる方向に不均等に加えられ、異方性の予め歪まされたポリマーを生成する。この場合、ポリマー1512は、作動されるときに、一方の方向で他方の方向よりも多く撓んでもよい。予歪は、先述されている。一実施形態において、トランスデューサ部分1510の方向1518における撓みは、垂直方向1520における大きな予歪を利用することによって高めることができる。例えば、トランスデューサ部分1510として使用されるアクリルエラストマーポリマーは、方向1518に10パーセント、垂直方向1520に500パーセント伸張されてもよい。ポリマーの予歪の量は、ポリマー材料及び用途におけるポリマーの所望の能力に基づいてもよい。
[00139]一般に、ポリマーは、予め歪まされた後に、一つ以上の物体又は機構に固定されてもよい。剛性の物体では、当該物体は、ポリマーに望ましい予歪のレベルを維持するために適切に硬いことが好ましい。ポリマーを歪ませる力を提供するばね又は他の適切な機構は、ばね又は機構へ接着する前に、ポリマーに先に設定された任意の予歪に加えてもよく、又は、ポリマーのすべての予歪を担っていてもよい。ポリマーは、化学接着剤、接着層又は材料、機械的な接着等の当分野において公知の任意の従来の方法にしたがって、一つ以上の物体又は機構に固定されてもよい。
[00140]本発明のトランスデューサ及び予め歪まされたポリマーは、任意の特定の幾何形状又は撓みの種類に限定されない。例えば、ポリマー及び電極は、任意の幾何形状又は形状に形成されてもよく、チューブ及びマルチレーヤーロール、複数の剛性構造体の間に接着された巻かれたポリマー、湾曲した又は複雑な形状を含む任意の形状のフレームにわたって、一つ以上のジョイントを有するフレームにわたって、接着された巻かれたポリマー、等を含む。本発明によるトランスデューサの撓みは、一つ以上の方向における線膨張及び圧縮、曲げ、ポリマーが巻かれるときの軸方向撓み、ポリマーのまわりの外側円筒形に設けられた穴からの撓み、等を含む。トランスデューサの撓みは、ポリマーに接着されたフレーム又は剛性構造体によってポリマーがどのように抑制されるかによって、影響されてもよい。
[00141]本発明で電気活性ポリマーとして使用されるのに適切な材料は、静電気力に応答して変形するか又はその変形が結果として電界の変化になる任意の実質的に絶縁のポリマー又はゴム(又はその組み合わせ)を含んでもよい。一つの適切な材料は、カリフォルニア州カーペンテリアのNuSil Technologyによって提供されたNuSil CF19−2186である。予め歪まされたポリマーとして使用されるのに適切な他の模範的な材料は、シリコーンエラストマー、アクリルエラストマー、例えば、ミネソタ州セントポールの3M Corporationが生産したVHB4910アクリルエラストマー、ポリウレタン、熱可塑性エラストマー、PVDFを備えているコポリマー、感熱接着剤、フルオロエラストマー、シリコーン及びアクリル成分を備えているポリマー等である。シリコーン及びアクリル成分を備えているポリマーは、例えば、シリコーン及びアクリル成分を備えているコポリマー、シリコーンエラストマー及びアクリルエラストマーを備えているポリマー混合物等を含んでもよい。これらの材料のいくつかの組み合わせもまた、本発明の関節運動器具の実施形態の活性ポリマー又はポリマーアクチュエータ又はトランスデューサ等の電気活性ポリマーとして、使用されてもよい。
[00142]電気活性ポリマーとして使用される材料は、高い絶縁破壊の強度、低い弾性率(大きな又は小さい変形用)、高い誘電定数等の、一つ以上の材料特性に基づいて選択されてもよい。一実施形態において、ポリマーは、多くても約100MPaの弾性率を有するように選択される。別の実施形態において、ポリマーは、約0.05MPa〜約10MPaの間の、好ましくは約0.3MPa〜約3MPaの間の、最大作動圧力を有するように選択される。別の実施形態において、ポリマーは、約2〜約20の間の、好ましくは約2.5〜約12の間の、誘電定数を有するように選択される。
[00143]本発明のアクチュエータの電気活性ポリマー層は、広い範囲の厚さを有してもよい。一実施形態において、ポリマーの厚さは、約1マイクロメートル〜約2ミリメートルの間の範囲であってもよい。ポリマーの厚さは、フィルムを一方又は両方の平面方向に伸張することによって減少されてもよい。多くの場合には、本発明の電気活性ポリマーは、薄膜として製造され実施されてもよい。これらの薄膜に適切な厚さは、50マイクロメートル未満であってもよい。
[00144]本発明の電気活性ポリマーは、高い歪で撓んでもよいため、ポリマーに接着された電極もまた、機械的な又は電気的な能力を低減せずに撓まなければならない。一般に、本発明に使用されるのに適切な電極は、電気活性ポリマーへ適切な電圧を供給することができるか又はそれから適切な電圧を受け取ることができるのであれば、任意の形状及び材料であってもよい。電圧は、一定であるか又は経時変化するかのいずれかであってもよい。一実施形態において、電極は、ポリマーの表面に接着する。ポリマーに接着する電極は、柔軟であることが好ましく、ポリマーの変化する形状に従う。相応して、本発明は、接着される電気活性ポリマーの形状に従う柔軟電極を含んでもよい。電極は、電気活性ポリマーの一部に与えられるだけであり、その形状にしたがって活性区域を画成する。電気活性ポリマーの一部を覆うだけである電極の幾つかの例が、下記に更に詳細に説明される。
[00145]本発明に使用されるのに適切な様々な種類の電極は、米国特許第6,376,971号に記載されており、これは、上記に参照として先に組み込まれた。それに記載され本発明に使用されるのに適切な電極は、金属トレース及び電荷分布層を備える構造化電極、平面寸法から変化することを含むテクスチャード加工電極、導電性グリース例えばカーボングリース又はシルバーグリース、コロイド懸濁液、高いアスペクト比の導電性材料例えばカーボンフィブリル及びカーボンナノチューブ、及び、イオン性導電性材料の混合物を含む。本明細書に記載されているように、本発明の関節運動器具の実施形態は、有利なことに、一つ又は柔軟な電極を含む一つ以上の電極、及び、活性ポリマーを作動するための一つ以上の活性区域を含んでもよい。一実施形態において、活性ポリマーは、電気的に活性化されるポリマー又は電気活性ポリマーである。一般的に言えば、本発明に使用されるのに適切な電極は、一定であるか又は経時変化するかのいずれかの適切な電圧を、活性ポリマーへ供給するか又はそれから受け取ることができるのであれば、任意の形状及び材料であってもよい。一実施形態において、電極は、ポリマーの表面に接着する。ポリマーに接着する電極は、柔軟であることが好ましく、ポリマーの変化する形状に従う。いくつかの実施形態において、一つの電極又は複数の電極は、活性ポリマーの一部のみに与えられてもよく、その形状にしたがって活性区域を画成する。特定の一実施形態において、活性ポリマーは、電気活性誘電性ポリマーである。
[00146]柔軟電極は、一つ以上の方向に撓むことができる。線歪を使用して、これらの方向の一つにおける柔軟電極の撓みを説明してもよい。本明細書で使用されるように、柔軟電極の線歪は、撓みの線に沿った単位長さあたりの撓みを意味する。本発明の柔軟電極では、少なくとも約50パーセントの最大線歪(引っ張り又は圧縮)が可能である。いくつかの柔軟電極では、少なくとも約100パーセントの最大線歪が一般的である。当然ながら、電極は、最大よりも少ない歪で撓んでもよい。一実施形態において、柔軟電極は、一つ以上の高い導電性の領域及び一つ以上の低い導電性の領域を備える「構造化電極」である。
[00147]本発明の電極に使用される材料は、異なっていてもよい。電極に使用される適切な材料は、グラファイト、カーボンブラック、コロイド懸濁液、銀及び金を含む薄い金属、銀充填及び炭素充填のゲル及びポリマー、及び、イオンで又は電子的に導電性のポリマーを含んでもよい。本発明の柔軟電極は、単独で使用されてもよく、又は、電荷分布層と組み合わせて使用されてもよい。特定の実施形態において、本発明に使用されるのに適切な電極は、例えば、ペンシルバニア州フィラデルフィアのStockwell Rubber Co.,Inc.が生産したStockwell RTV60−CON等のシリコーンゴム結合剤中に80パーセントのカーボングリース及び20パーセントのカーボンブラックを含む。カーボングリースは、マサチューセッツ州フェアヘブンのNye Lubricant Inc.が提供したNyoGel756G等の種類である。導電性グリースはまた、ゲル状導電性グリースを提供するために、エラストマー、例えば、ニューヨーク州ウォーターフォードのGeneral Electricが生産したシリコーンエラストマーRTV118等と混合されてもよい。
[00148]電荷分布層を有する実施形態では、電極は構造化電極であるとみなされ、当該構造化電極は、活性ポリマーのいずれかの側部のパターン化導電性トレース又は部分が、柔軟な電荷分布層によってポリマーから分離されることを意味する。このように、金属トレース及び電荷分布層は、ポリマーの対向する表面に適用される。したがって、構造化電極は、頂部から底部へ、上部金属又は導電性トレース、上部電荷分布層、活性ポリマー、下部電荷分布層、下部金属又は導電性トレースの断面を有する活性ポリマーアクチュエータを意味する。この一般的な構造は、特定の活性ポリマーの必要条件に適合するために、必要に応じて修正されてもよいことを当業者は認識するであろう。例えば、導電性ポリマーが使用される場合には、適切な電解質がいずれかの又は両方の電荷分布層の間に設けられる。
[00149]一般に、電荷分布層のいくつかの実施形態は、電気活性ポリマーよりも大きいが金属トレースよりは小さいコンダクタンスを有する。電荷分布層の非強制の導電率必要条件は、広く様々な材料が使用されることを可能にする。例として、電荷分布層は、カーボンブラック、コロイドシルバーを備えたフルオロエラストマー、少ない割合のヨウ化ナトリウムの質量負荷を備えた水系ラテックスゴムエマルジョン、及び、テトラチアフルバレン/テトラシアノキノジメタン(TTF/TCNQ)電荷移動錯体を備えたポリウレタンを含んでもよい。これらの材料は、均一な範囲で薄い均一な層を形成することができ、環境内にかなりの電荷が漏れる前に金属トレースの間に電荷を伝えるのに十分な表面導電率を有する。一実施形態において、電荷分布層用の材料は、アクチュエータに使用される活性ポリマーのRC時定数に基づいて選択される。例として、本発明のいくつかの実施形態に適切な電荷分布層の表面抵抗は、106〜1011オームの範囲であってもよい。いくつかの他の実施形態において、電荷分布層は使用されず、金属トレースはポリマーに直接パターン化されることにも注意すべきである。電荷分布層が使用されないこれらの実施形態において、ポリマー表面の空気又は別の化学種が、トレースの間に電荷を担持するのに十分である。この効果は、プラズマエッチング又はイオンインプランテーション等の表面処理を通して表面導電率を上げることによって、高められてもよい。
[00150]更に別の実施形態において、複数の金属電極がポリマーの同一の側部に位置し、ポリマーの幅にわたっている。この実施形態において、電極は、幅に対して垂直な方向にコンプライアンスを提供する。二つの隣接する金属電極が、それらの間のポリマー材料用の電極として作用する。複数の金属電極はこのようにして交互になり、交互の電極は、ポリマーの同期活性を提供するために電気的に接続してもよい。他の実施形態において、電極は、長さ方向に対して垂直な方向にコンプライアンスを提供するように配列される。
[00151]一定の電極材料は、特定のポリマーに対して旨く働くことがあり、他のものではそれほど作用しないこともあることが理解される。例として、カーボンフィブリルは、アクリルエラストマーポリマーに対して旨く働くが、シリコーンポリマーでは旨く働かない。大半のトランスデューサでは、柔軟電極用の望ましい特性は、下記の一つ以上を含んでもよい。すなわち、低い弾性率、低い機械的減衰、低い表面抵抗、均一な抵抗、化学的且つ環境的安定性、電気活性ポリマーとの化学的適合性、電気活性ポリマーへの良好な接着性、及び、滑らかな表面を形成する能力である。いくつかの場合には、本発明のトランスデューサは、二つの異なる種類の電極を実施してもよく、例えば、各活性区域用に異なる電極の種類、又は、ポリマーの対向する側部に異なる電極の種類である。
[00152]巻かれた電気活性ポリマー装置
[00153]図16A〜16Dは、本発明の一実施形態にしたがって巻かれた電気活性ポリマー装置1520を示す。図16Aは、装置1520の側面図を例示する。図16Bは、頂部端からの装置1520の軸方向図を例示する。図16Cは、断面A−Aを通って取られた装置1520の軸方向図を例示する。図16Dは、巻く前の装置1520の構成要素を例示する。装置1520は、巻かれた電気活性ポリマー1522、ばね1524、エンドピース1527及び1528、及び、装置1520を一緒に保持するのに使用される様々な製造構成要素を備える。
[00154]図16Cに例示されるように、電気活性ポリマー1522は巻かれる。一実施形態において、巻かれた電気活性ポリマーは、電極を備えて又は備えずに、それ自体のまわりに包まれた(例えば、ポスターのように)、又は、別の物体(例えば、ばね1524)のまわりに包まれた、電気活性ポリマーを意味する。ポリマーは、繰り返し巻かれてもよく、最低でも、少なくともポリマーの内側層部分に重なり合うポリマーの外側層部分を備える。一実施形態において、巻かれた電気活性ポリマーは、物体又は中心のまわりに包まれた螺旋状に巻いた電気活性ポリマーを意味する。用語が本明細書で使用されるように、「巻かれた」は、どのようにしてポリマーがその巻かれた構成になるかとは無関係である。
[00155]図16C及び16Dに例示されるように、電気活性ポリマー1522は、ばね1524の外部のまわりに巻かれる。ばね1524は、ポリマー1522の少なくとも一部を歪ませる力を提供する。ばね1524の頂部端1524aは、剛性エンドピース1527に接着される。同様に、ばね1524の底部端1524bは、剛性エンドピース1528に接着される。ポリマー1522の頂部縁1522a(図16D)は、エンドピース1527のまわりに巻かれ、適切な接着剤を使用してそれに接着される。ポリマー1522の底部縁1522bは、エンドピース1528のまわりに巻かれ、接着剤を使用してそれに接着される。したがって、頂部端1524aの撓みがポリマー1522の頂部縁1522aの撓みに対応するため、ばね1524の頂部端1524aは、ポリマー1522の頂部縁1522aに作用可能に連結される。同様に、ばね1524の底部端1524bは、ポリマー1522の底部縁1522bに作用可能に連結され、撓み底部端1524bはポリマー1522の底部縁1522bの撓みに対応する。ポリマー1522及びばね1524は、そのそれぞれの底部分と頂部分との間に撓むことができる。
[00156]上述のように、多くの電気活性ポリマーは、予め歪まされるときにより良好に機能する。例えば、いくつかのポリマーは、予め歪まされるときに、より高い破壊電界強さ、電気的に作動された歪及びエネルギ密度を呈する。装置1520のばね1524は、ポリマー1522に対して結果として円周方向予歪及び軸方向予歪の両方になる力を提供する。
[00157]ばね1524は、対向する軸方向(図16A)に外向き力を提供する圧縮ばねであり、ポリマー1522を軸方向に伸張し、ポリマー1522を軸方向に歪ませる。したがって、ばね1524は、張力がかかっているポリマー1522を軸方向1535に保持する。一実施形態において、ポリマー1522は、軸方向1535に約50〜約300パーセントの軸方向予歪を有する。製造のために下記に更に詳細に説明されるように、装置1520は、ばねが圧縮されている間に予め歪まされた電気活性ポリマーをばね1524のまわりに巻くことによって製造されてもよい。ひとたび解放されると、ばね1524は、引っ張り歪がかかっているポリマー1522を保持し、軸方向予歪を達成する。
[00158]ばね1524はまた、ポリマー1522に円周方向予歪も維持する。予歪は、ポリマーがばね1524のまわりに巻かれる前に、方向1533(図16D)に長手方向にポリマー1522内に設定されてもよい。製造中にこの方向に予歪を設定する技術は、下記により詳細に説明される。巻いた後にポリマーを固定することは、ばね1524用の実質的に一定の外径とともに、ばね1524のまわりに円周方向予歪を維持する。一実施形態において、ポリマー1522は、約100〜約500パーセントの円周方向予歪を有する。多くの場合、ばね1524は、結果としてポリマー1522上で異方性予歪になる力を提供する。
[00159]エンドピース1527及び1528は、巻かれた電気活性ポリマー1522の対向する端及びばね1524に接着される。図16Eは、本発明の一実施形態にしたがってエンドピース1527の側面図を例示する。エンドピース1527は、外側フランジ1527a、インタフェース部分1527b、及び、内側穴1527cを備える円形構造体である。インタフェース部分1527bは、ばね1524と同一の外径を有することが好ましい。インタフェース部分1527bの縁はまた、ポリマーの損傷を防止するために、丸みを帯びていてもよい。内側穴1527cは円形であり、頂部端から外側フランジ27aを含む底部外側端へ、エンドピース1527の中心を通って進む。特定の実施形態において、エンドピース1527は、アルミニウム、マグネシウム又は他の機械金属を備える。内側穴1527cは、エンドピース1527内に機械加工されたか又は類似の方法で製造された穴によって画成される。特定の実施形態において、エンドピース1527は、3/8インチの内側穴1527cを備えた1/2インチのエンドキャップを備える。
[00160]一実施形態において、ポリマー1522は、外側フランジ1527aまでずっとは延在せず、ポリマー1522の外側部分の縁と外側フランジ1527aの内側表面との間にギャップ1529が残される。下記に更に詳細に説明されるように、この巻かれた構成を維持するために、接着剤か又はグルー接着剤が、巻かれた電気活性ポリマー装置に加えられてもよい。ギャップ1529は、エンドピース1527に、巻かれた装置の外径の増強ではなく、接着剤か又はグルー接着剤用に専用の空間を提供し、ロールのすべてのポリマー層をエンドピース1527へ固定する。特定の実施形態において、ギャップ1529は、約0mm〜約5mmの間である。
[00161]エンドピース1527及び1528の間の電気活性ポリマー1522及びばね1524の部分は、その機能的な目的のために活性であるとみなされてもよい。したがって、エンドピース1527及び1528は、装置1520の活性領域1532を画成する(図16A)。エンドピース1527及び1528は、ばね1524に且つポリマー1522に接着するために共通の構造体を提供する。加えて、各エンドピース1527及び1528は、装置1520へ外側から機械的且つ取り外し可能な連結を可能にする。例えば、装置1520は、エンドピース1527がロボットの上流リンクへ接着され且つエンドピース1528がロボットの下流リンクへ接着されるロボット用途に使用されてもよい。次いで、電気活性ポリマー1522の作動が、二つのリンクの間の自由の程度によって決定されるように、下流リンクを上流リンクに対して動かす(例えば、リンク1上のピンジョイントのまわりのリンク152の回転)。
[00162]特定の実施形態において、内側穴1527cは、ねじ又はねじ山を切ったボルト等のねじ山を切った部材を備えたねじ山を切ったインタフェースが可能な内側ねじ山を備える。内側ねじ山は、装置1520の一方の端への取り外し可能な機械的接着を可能にする。例えば、ねじは、ロボット要素へ外側から接着するためにエンドピース1527内の内側ねじ山内にねじ込まれてもよい。装置1520への取り外し可能な機械的接着のために、各エンドピース1527及び1528内にねじ込まれるべきナット又はボルトは、ばね1524の軸方向コアを通って進み、それによって、二つのエンドピース1527及び1528を互いに対して固定する。これによって、装置1520を任意の撓んだ状態で保持することができ、例えば、巻いている間に有用な完全に圧縮された状態等である。これはまた、ポリマー1522が保管中に歪まないように、装置1520の保管中にも有用であってもよい。
[00163]一実施形態において、剛性部材又は線状ガイド1530が、ばね1524のばねコア内に配置される。ばね1524のポリマー1522は、エンドピース1527及び1528の間で実質的に柔軟であるため、装置1520は、方向1535に沿って軸方向に撓み、且つ、ポリマー1522及びばね1524をその線状軸(ばね1524の中心を通って進む軸)から離して曲げることとの両方が可能である。いくつかの実施形態において、軸方向撓みのみが所望される。線状ガイド1530は、装置1520が線状軸を中心にしてエンドピース1527及び1528の間で曲がるのを防止する。好ましくは、線状ガイド1530は、装置1520の軸方向撓みに干渉しない。例えば、線状ガイド1530は、それ自体とばね1524の任意の部分との間に摩擦抵抗を導入しないことが好ましい。線状ガイド1530で、又は、軸方向1535の外部の動きを防止する他の任意の適切な制約で、装置1520は、出力が完全に方向1535である線状アクチュエータ又はジェネレータとして作用してもよい。線状ガイド1530は、任意の適切に剛性な材料例えば木、プラスチック、金属等から構成されてもよい。
[00164]ポリマー1522は、ばね1524のまわりに繰り返し巻かれる。単一の電気活性ポリマー層構造用に、本発明の巻かれた電気活性ポリマーは、約2〜約200の間の層を備えてもよい。この場合、層とは、巻かれたポリマーの半径方向断面で遭遇(存在)するポリマーフィルム又はシートの数を意味する。いくつかの場合には、巻かれたポリマーは、約5〜約100の間の層を備える。特定の実施形態において、巻かれた電気活性ポリマーは、約15〜約50の間の層を備える。
[00165]別の実施形態において、巻かれた電気活性ポリマーは、マルチレーヤー構造(複数層構造)となる。マルチレーヤー構造では、巻いたり巻き付けたりする前に互いに配置される複数のポリマー層を備える。例えば、第2の電気活性ポリマー層は、上にパターン化された電極を備えず、パターン化された電極を両側部に有する電気活性ポリマー上に配置されてもよい。二つのポリマーのすぐ間にある電極は、直接接触する両方のポリマー表面に作用する。巻いた後に、電極化ポリマーの底部側の電極は、次いで、非電極化ポリマーの頂部側に接触する。このようにして、パターン化した電極を上に備えていない第2の電気活性ポリマーは、第1の電極化ポリマーの二つの電極を使用する。
[00166]他のマルチレーヤー構造も構成することができる。例えば、マルチレーヤー構造は、任意の偶数のポリマー層を備えてもよく、その中で、奇数のポリマーが電極化され、偶数のポリマーは電極化されないようにしてもよい。次いで、頂部の非電極化ポリマーの上部表面は、巻いた後に、スタックの底部の電極を当てにする。2、4、6、8等を有するマルチレーヤー構造が、この技術を可能にする。いくつかの場合において、マルチレーヤー構造に使用される層の数は、ロールの寸法及びポリマー層の厚さによって限定されてもよい。ロール半径が減少するにつれて、許容される層の数もまた典型的に減少する。使用される層の数とは無関係に、巻かれたトランスデューサは、所与の極性の電極が反対の極性の電極に触れないように、構成される。一実施形態において、複数の層は、各々が個別に電極化され、巻く前に一つおきのポリマー層が反転され、巻いた後に互いに接触する電極が、類似電圧又は極性であるようにする。
[00167]マルチレーヤーポリマーのスタックはまた、2種類以上のポリマーを備えてもよい。例えば、第2のポリマーの一つ又は複数の層を使用して、巻かれた電気活性ポリマー層の弾性又は剛性を修正してもよい。このポリマーは、作動中に、充電/放電において、活性があってもなくてもよい。非活性ポリマー層が使用されるときには、ポリマー層の数は奇数であってもよい。第2のポリマーはまた、巻かれた製品の能力を変える別の種類の電気活性ポリマーであってもよい。
[00168]一実施形態において、巻かれた電気活性ポリマーのもっとも外側の層は、上に配置された電極を備えない。これは、機械的保護の層を提供するために、又は、次の内側層の電極を電気的に絶縁にするために、行われてもよい。
[00169]装置1520は、小型の電気活性ポリマー装置構造体を提供し、従来の電気活性ポリマー装置に対して、全体的に電気活性ポリマー装置の能力を改良する。例えば、装置1520のマルチレーヤー構造は、個別のポリマー層の各々に対する装置の全体的ばね定数を調整する。加えて、ばね1524を経由して達成された装置の増加した剛性は、装置1520の剛性を増加し、所望により、作動における応答をより速くすることができる。
[00170]特定の実施形態において、ばね1524は、カリフォルニア州ロサンゼルスのCentury Springによって提供されるカタログ番号11422等の圧縮ばねである。このばねは、0/91lb/インチのばね力、及び、4.38インチの自由長さ、1.17インチの固体長さ、0.360インチの外径、0.3インチの内径という寸法によって特徴づけられる。この場合、巻かれた電気活性ポリマー装置1520は、約5〜5cmの高さ36、約0.8〜約1.2cmの直径1537、及び、約4〜約5cmのエンドピースの間の活性領域を有する。ポリマーは、約300〜約500パーセントの円周方向予歪及び約150〜約250パーセントの軸方向予歪(ばね1524による力貢献を含む)によって特徴づけられる。
[00171]装置1520は、多くの機能的な用途を有する。下記に更に詳細に説明されるように、本発明の電気活性ポリマーは、他に記載されるように、様々な医療及び工業の用途のためにマルチセグメント化器具の作動のために使用されてもよい。したがって、装置1520もまた、機械的エネルギの作動及び生産のためにロボット用途に使用されてもよい。あるいは、巻かれた装置20は、ロボットリンク又は関節運動セグメントの剛性及び減衰制御に寄与してもよい。したがって、エンドピース1527又は1528のいずれかが、潜在的に動く機械的リンクに連結され、リンクから機械的エネルギを受け取り、動きを減衰してもよい。この場合、ポリマー1522は、下記に記載される技術にしたがって、この機械的エネルギを電気エネルギに転換する。
[00172]装置1520は、巻かれたポリマーに内側に配置された単一のばね1524を備えて例示されているが、歪及び予歪力を提供するために、ポリマーの外側に別のバネ等の追加構造体が使用されてもよいことが理解される。これらの外側構造体は、例えば、エンドピース1527及び1528を使用して、装置1520に接着されてもよい。
[00173]本発明はまた、巻かれたポリマーを歪ませる力を加えるために巻かれた電気活性ポリマー装置に使用されるばね以外の機構も包含する。用語が本明細書で使用されるように、巻かれた電気活性ポリマー装置に歪を提供するために使用される機構は、一般に、巻かれた電気活性ポリマーの異なる部分に力を提供することができるシステム又は要素の配列を意味する。多くの場合、機構は曲がりやすい(例えば、ばね)か、又は、可動部分(例えば、空気圧シリンダ)を有する。機構はまた、剛性部分(例えば、フレーム等)を備えてもよい。あるいは、歪力を提供して軸方向撓みを可能にするために、圧縮可能材料及び発泡体が、ロールの内側に配置されてもよい。
[00174]一般に、機構は、ポリマーへ力を提供する。一実施形態において、後述されるように、力は、装置の力対撓み特性を変え、例えば、負の力応答を提供するようにする。別の実施形態において、力はポリマーを歪ませる。この後者の場合は、ポリマーが力に応答して、その撓み状態に対して機構の影響なしで、撓むことを暗示する。この歪は、上述のような予歪を含んでもよい。一実施形態において、機構は、ポリマーに先に設定された任意の予歪を維持するか又は加え、後述されるように巻いている間に固定具によって提供されるような予歪である。別の実施形態において、予歪はポリマーに先に加えられておらず、機構が予歪をポリマーに設定する。
[00175]一実施形態において、機構は、電気活性ポリマーに類似するか又は異なる別のエラストマーである。例えば、この第2のエラストマーは、巻く前に軸方向に圧縮されるほぼ中実のラバーコアとして配置されてもよい(電気活性ポリマーに軸方向引っ張り予歪を提供するために)。エラストマーコアは、巻く過程を容易にするために剛性ロッド用の薄い穴を有することができる。潤滑油を差す場合には、剛性ロッドは製造後にロールから滑り出てもよい。類似技術を使用して、電気活性ポリマーがしっかり巻かれた中実エラストマーロールを作ってもよい。
[00176]機構及びその構成要素は典型的に、歪が達成されるように、ポリマーに作用可能に連結される。これは、固定されたか又は取り外し可能な連結、永久接着等を含んでもよい。上記のばねの場合には、作用可能な連結は、接着剤例えばグルー接着剤の使用を含み、これは、ばねの対向する端をポリマーの対向する端に接着する。接着剤はまた、所望により、巻かれたポリマーをフレームに接着するのに使用される。連結は、直接であっても間接であってもよい。二つの機械的構造体を一緒に連結するか又は接着するために多数の技術があることを当業者は知っているため、これらの技術は簡潔さのためにここでは広範には説明しない。
[00177]本発明の巻かれた電気活性ポリマーは、多数の利点を有する。第1に、これらの設計は、各層を個別にフレーム作る必要なくマルチレーヤー装置を提供し、多数のフレームを積み重ねる。加えて、これらの装置によって提供される円筒形パッケージは、平坦な電気活性ポリマー装置に関連する平らなパッケージよりも、長く円筒形のパッケージが有利である用途において、有利である。加えて、ロールに多数のポリマー層を使用することは、装置の信頼性を改良し、任意の個別のポリマー層の不完全さ及び局所割れに対する感度を減少する。
[00178]巻かれた電気活性ポリマー装置の代替的設計
[00179]複数の活性区域
[00180]いくつかの場合には、電極は、電気活性ポリマーの区域全体に対してポリマーの限られた部分を覆う。これは、ポリマーの縁のまわりの電気的破壊を防止するために、巻かれた構造(例えば、外側ポリマーバリア層)をポリマー部分が容易にするために、多機能性を提供するために、又は、ポリマーの一つ以上の部分用の特別製の撓みを達成するために、行われてもよい。用語が本明細書で使用されるように、活性区域は、電気活性ポリマーの一部と、その部分へ電気エネルギを提供するか又はそれから電気エネルギを受け取る一つ以上の電極と、を備えているトランスデューサの一部として規定される。活性区域は、後述される機能の任意のために使用されてもよい。作動のために、活性区域は、十分な静電気力を有するポリマーの一部を含んで、その部分の撓みを可能にする。生成又は検知のために、活性区域は、十分な撓みを有するポリマーの一部を含み、静電エネルギの変化を可能にする。本発明のポリマーは、複数の活性区域を有してもよい。
[00181]本発明にしたがって、「モノリシック」という用語が本明細書で使用され、単一のポリマー上に複数の活性区域を備えている電気活性ポリマー及びトランスデューサを意味する。図17Aは、本発明の一実施形態にしたがって、単一のポリマー151上に複数の活性区域を備えているモノリシックトランスデューサ150を例示する。モノリシックトランスデューサ150は、電気エネルギと機械エネルギとの間を転換する。モノリシックトランスデューサ150は、二つの活性区域152a及び152bを有する電気活性ポリマー151を備える。ポリマー151は、例えば、ポリマーの縁に接着された剛性フレーム(図示せず)を使用して、適所に保持されてもよい。活性区域152a及び152bにワイヤ153が連結され、これは、活性区域152a及び152bの間の電気連通を可能にし、通信電子機器155との電気連通を可能にする。
[00182]活性区域152aは、頂部及び底部の電極154a及び154bを有し、これらは、それぞれ、その頂部及び底部の表面151c及び151dでポリマー151に接着する。電極154a及び154bは、ポリマー151の部分151aにわたって電気エネルギを提供するか又は受け取る。部分151aは、電極154a及び154bによって提供される電界の変化で撓んでもよい。作動のために、部分151aは、電極154a及び154bの間にポリマー151を備え、ポリマー151の他の任意の部分は、電極154a及び154bを使用して電圧を加えるときに撓みを可能にするのに十分な静電気力を有する。活性区域152aが電気エネルギから機械エネルギへ転換するためのジェネレータとして使用されるときには、部分151aの撓みが、部分151aの電界の変化を生じさせ、これは、電極154a及び154bによる電圧差の変化として受け取られる。
[00183]活性区域152bは、頂部及び底部の電極156a及び156bを有し、これらは、それぞれ、その頂部及び底部の表面151c及び151dでポリマー151に接着する。電極156a及び156bは、ポリマー151の部分151bにわたって電気エネルギを提供するか又は受け取る。部分151bは、電極156a及び156bによって提供される電界の変化で撓んでもよい。作動のために、部分151bは、電極156a及び156bの間にポリマー151を備え、ポリマー151の他の任意の部分は、電極156a及び156bを使用して電圧を加えるときに撓みを可能にするために静電気力によって誘発された十分な応力を有する。活性区域152bが電気エネルギから機械エネルギへ転換するためのジェネレータとして使用されるときには、部分151bの撓みが、部分151bの電界の変化を生じさせ、これは、電極156a及び156bによる電圧差の変化として受け取られる。
[00184]電気活性ポリマー用の活性区域は、従来の電気活性ポリマー製造技術を使用して、容易にパターン化され構成されてもよい。複数の活性区域ポリマー及びトランスデューサは、米国特許出願第09/779,203号、現在は米国特許第6,664,718号に更に記載されており、これは、すべての目的のために参照として本明細書に組み込まれる。複数の活性区域をパターン化し独立して制御する能力が与えられるならば、本発明の巻かれたトランスデューサが、多くの新しい用途に使用され、且つ、従来の用途で新しいやり方で使用されるのを可能にする。
[00185]図17Bは、本発明の一実施形態にしたがって、巻く前に、単一のポリマー172上に複数の活性区域を備えているモノリシックトランスデューサ170を例示する。トランスデューサ170は、対向ポリマー側部177に個別の電極174を備える。電極172の対向する側部(図示せず)は、電極174に位置が対応する個別の電極を含んでもよく、又は、区域にわたり且つ複数の又はすべての電極174に作用し電気通信を簡略化する共通の電極を含んでもよい。次いで、活性区域176は、活性区域の操作のモードによって決定されたように、各個別電極174とポリマー172の対向する側部の電極との間にポリマー172の部分を備える。作動のために、例えば、電極174a用の活性区域176aは、上述のように、その部分の撓みを可能にするのに十分な静電気力を有するポリマー172の部分を含む。
[00186]トランスデューサ170の活性区域176は、一つ以上の機能用に構成されてもよい。一実施形態において、すべての活性区域176は、すべて作動用に構成される。ロボット用途に使用されるのに適切な別の実施形態において、一つ又は二つの活性区域176は検知用に構成され、一方、残っている活性区域176は作動用に構成される。このようにして、トランスデューサ170を使用する巻かれた電気活性ポリマー装置は、作動及び検知の両方が可能である。後述されるように、検知用に示された任意の活性区域は、各々が、検知電子機器へ専用のワイヤリングを含んでもよい。
[00187]図示のように、電極174a〜dは、各々がそれに接着されたワイヤ175a〜dを含み、これは、専用の外部電気通信を提供し、各活性区域176a〜d用に個別の制御を可能にする。電極174e〜iはすべて、共通電極177、及び、活性区域176e〜iとの共通電気通信を提供するワイヤ179に、電気通信する。共通電極177は、類似のやり方で作用するために使用される巻かれた電気活性ポリマーの複数の活性区域との電気通信を簡略化する。一実施形態において、共通電極177は、巻く前にポリマー172に配置されたアルミニウムホイルを備える。一実施形態において、共通電極177は、電極174a〜iに使用されるものに類似した材料のパターン化電極であり、例えばカーボングリースである。
[00188]例えば、作動、ジェネレーション、検知、剛性及び/又は減衰の変化、又は、その組み合わせの一つ以上のために、1セットの活性区域が使用されてもよい。適切な電気制御はまた、単一の活性区域が二つ以上の機能のために使用されるのを可能にする。例えば、活性区域174aは、ロボット用途におけるロボットの肢の作動及び可変剛性制御のために使用されてもよい。同一の活性区域はまた、ロボットの肢の動きに基づいて電気エネルギを生成するためのジェネレーション用に使用されてもよい。これらの機能の各々に適切な電極は、下記に更に詳細に説明される。活性区域174bもまた、作動、ジェネレーション、検知、剛性の変化、又は、その組み合わせのために、柔軟に使用されてもよい。用途によって所望により、一つの活性区域によって生成されるエネルギが、別の活性区域に提供されてもよい。したがって、本発明の巻かれたポリマー及びトランスデューサは、電気エネルギから機械エネルギへ転換するためのアクチュエータ、機械エネルギから電気エネルギへ転換するためのジェネレータ、パラメータを検知するセンサ、又は、剛性及び/又は減衰を制御するために使用される可変剛性及び/又は減衰装置、又は、その組み合わせとして使用される活性区域を含んでもよい。
[00189]一実施形態において、作動のために使用される複数の活性区域は、グループに配線され、巻かれた電気活性ポリマー装置から、力の段階的電気制御及び/又は撓み出力を提供する。例えば、巻かれた電気活性ポリマートランスデューサは、50の活性区域を有してもよく、そのうちの20の活性区域が一つの共通電極に連結され、10の活性区域が第2の共通電極に連結され、別の10の活性区域が第3の共通電極に連結され、5の活性区域が、個別に配線された残りの5つの中で、第4の共通電極に連結される。次いで、各共通電極用の適切なコンピュータ管理及びオンオフ制御が、バイナリオンオフスイッチのみを使用して、巻かれたトランスデューサ用の段階的な力及び撓み制御を可能にする。このシステムの生物学的相似は、多くの哺乳類の筋肉制御システムに見られる運動単位である。明らかに、任意の数の活性区域及び共通電極が、このように実施されてもよく、適切な機械的出力又は段階的な制御システムを提供する。
[00190]多自由度の巻かれたロール
[00191]別の実施形態において、電気活性ポリマーの複数の活性区域が配置され、活性区域のこのようなサブセットは、巻いた後に半径方向に整列配置される。例えば、複数の活性区域は、巻いた後に、活性区域がロールの90度ごとに配置されるように、配置されてもよい。これらの半径方向に整列配置された電極は、次いで、一体で作動されてもよく、巻かれた電気活性ポリマー装置用の多自由度の動きを可能にする。
[00192]図17Cは、本発明の一実施形態にしたがって、二次元出力が可能である巻かれたトランスデューサ180を例示する。トランスデューサ180は、10層を提供するために巻かれた電気活性ポリマー182を備えている。各層は、4つの半径方向に整列配置された活性区域を備える。各活性区域の中心は、隣接のものに対して90度のインクレメントで配置される。図17Cは、ポリマー182のもっともの外側の層と、半径方向に整列配置された活性区域184、186及び188と、を示し、これは、その中心が互いに対して90度のインクレメントをマークするように、配置される。ポリマー182の裏側の第4の半径方向に整列配置された活性区域(図示せず)は、半径方向に整列配置された活性区域186からおよそ180度に位置する中心を有する。
[00193]半径方向に整列配置された活性区域184は、同一の半径方向の整列配置を有する内側ポリマー層の活性区域との共通電気通信を含んでもよい。同様に、他の3つの半径方向に整列配置された外側活性区域182、186及び図示されない裏部の活性区域は、その内側層の対応物との共通電気通信を含んでもよい。一実施形態において、トランスデューサ180は、4つの半径方向に整列配置された活性区域セットの各々に共通の作動を提供する4本のリード線を備える。
[00194]図17Dは、半径方向に整列配置された活性区域188、及び、作動された、その対応する半径方向に整列配置された内側層の活性区域を備えたトランスデューサ180を例示する。活性区域188、及び、対応する内側層の活性区域の作動は、結果として、ポリマー182の対向する側部でトランスデューサ188の軸方向膨張になる。結果は、活性区域188の中心点からおよそ180度で、トランスデューサ180は側方向に曲がる。この影響はまた、トランスデューサ180の頂部部分189の撓みによって測定されてもよく、これは、図17Dに示されたこの点へ、図17Cに示された静止位置から半径方向アークをトレースする。活性区域188及び対応する内側層の活性区域に提供される電気エネルギの量を変えることは、このアークに沿って頂部部分189の撓みを制御する。したがって、トランスデューサ180の頂部部分189は、図17Dに示されたような撓みを有してもよく、又はより大きくてもよく、又は、図17Cに示された位置から最小に離れた撓みを有してもよい。別の方向における類似曲げは、他方の半径方向に整列配置された活性区域セットの任意の一つを作動することによって達成されてもよい。
[00195]半径方向に整列配置された活性区域セットの作動を組み合わせることは、頂部部分189の撓み用に二次元の空間を生成する。例えば、半径方向に整列配置された活性区域セット186及び184は、同時に作動されてもよく、図17Cに示された座標系に対応する45度の角度で頂部部分用に撓みを生成する。半径方向に整列配置された活性区域セット186に提供される電気エネルギの量を減少し且つ半径方向に整列配置された活性区域セット184に提供される電気エネルギの量を増加することは、頂部部分189をゼロ度マークにより近くに動かす。次いで、適切な電気制御は、頂部部分189が0度〜360度の任意の角度の路をトレースするのを可能にするか、又は、この二次元空間で可変路に従うのを可能にする。
[00196]トランスデューサ180はまた、三次元撓みも可能である。トランスデューサ180の全4側部における活性区域の同時作動は、頂部部分189を上方へ動かす。言い換えると、トランスデューサ180はまた、トランスデューサ180の全側部における活性区域の同時作動に基づいて軸方向撓みが可能である線状アクチュエータでもある。この線状作動を、半径方向に整列配置された活性区域の差動式作動及び上述されたばかりのその結果として得られる二次元撓みに連結することは、結果として、トランスデューサ180の頂部部分用の三次元撓みになる。このようにして、適切な電気制御は、頂部部分189が上下に動くことを可能にし、且つ、この線状軸に沿って二次元路をトレースするのを可能にする。
[00197]トランスデューサ180は、簡略化のために、90度のインクレメントで配置された4つの半径方向に整列配置された活性区域セットを備えて示されているが、二次元及び三次元の動きが可能である本発明のトランスデューサは、より複雑な設計又は代替の設計を備えてもよいことが理解される。例えば、8つの半径方向に整列配置された活性区域セットが、45度のインクレメントで配置される。あるいは、二次元及び三次元の動きには、120度のインクレメントで配置された3つの半径方向に整列配置された活性区域セットが、適切である可能性がある。
[00198]加えて、トランスデューサ180は、軸方向活性区域の一つのセットのみで示されるが、図17Cの構造体は、モジュール式である。言い換えると、90度のインクレメントで配置された4つの半径方向に整列配置された活性区域セットは、軸方向に複数回、発生してもよい。例えば、二次元及び三次元の動きを可能にする半径方向に整列配置された活性区域セットは、10回繰り返されてもよく、10の独立して制御可能なリンクを備えたスネーク状のロボットマニピュレータを提供する。
[00199]入れ子状の巻かれた電気活性ポリマー装置
[00200]いくつかの用途は、巻かれた電気活性ポリマー装置からストロークが増加することを望む。一実施形態において、入れ子状の構成又は複合の巻かれた活性ポリマーアクチュエータを使用して、電気活性ポリマー装置のストロークを増加する。入れ子状の又は複合の構成において、一つ以上の電気活性ポリマーロールは、別の電気活性ポリマーロールの中空中心部分に置かれる。
[00201]図17E〜Gは、本発明の一実施形態にしたがって、円筒形ロールの垂直中点を通って取られた入れ子状の電気活性ポリマー装置200の模範的な断面図を例示する。入れ子状の装置200は、3つの電気活性ポリマーロール202、204及び206を備える。各ポリマーロール202、204及び206は、各ロールに均一な撓みを提供する単一の活性区域を含む。各ポリマーロール202、204及び206用の電極は、電気的に連結して一緒に作動(又は電気エネルギを生成)してもよく、又は、独立した制御及び性能のために別個に配線されてもよい。電気活性ポリマーロール202の底部は、コネクタ205を使用して、次の外側の電気活性ポリマーロール、すなわちロール204の頂部に接続される。コネクタ205は、力及び撓みを一つのポリマーロールから別のポリマーロールへ移す。コネクタ205は、好ましくは、ロールの間の動きを制限せず、低摩擦且つ絶縁の材料、例えばテフロン等を備えてもよい。同様に、電気活性ポリマーロール204の底部は、もっとも外側の電気活性ポリマーロール206の頂部に接続される。ポリマーロール202の頂部は、装置200の中心を通って走る出力シャフト208に接続される。入れ子状装置200は、3つの同心の電気活性ポリマーロールを備えて示されているが、入れ子状装置は、別の数の電気活性ポリマーロールを備えてもよいことが理解される。
[00202]出力シャフト208は、装置200(又は外側の物体への機械的インタフェース)に機械的出力を提供してもよい。軸受が底部ハウジング212に配置されてもよく、装置200の中心を通って軸方向にシャフト208の実質的に摩擦のない線状運動を可能にする。ハウジング212もまた、ロール206の底部に接着されてもよく、シャフト208がハウジング212を通って移動するのを可能にする軸受を含む。
[00203]シャフト208の撓みは、入れ子状装置200に含まれる各電気活性ポリマーロールの累積撓みを備える。より具体的には、ポリマーロール202、204及び206の個別の撓みが合計して、シャフト208の合計線状運動出力を提供する。図17Eは、ゼロ撓みの入れ子状の電気活性ポリマー装置200を例示する。この場合、各ポリマーロール202、204及び206は非活性(静止)位置にあり、装置200は完全に収縮している。図17Fは、各ポリマーロール202、204及び206に20%の歪を備えた入れ子状の電気活性ポリマー装置200を例示する。したがって、シャフト208は、各ロールの個別長さに対して60%の全体歪を示す。同様に、図17Gは、各ポリマーロール202、204及び206に50%の歪を備えた入れ子状の電気活性ポリマー装置200を例示する。この場合、シャフト208は、各ロールの個別長さに対して150%の全体歪を備える。複数の電気活性ポリマーロールを互いに内部に入れ子状にすることによって、個別ロールの歪は合計され、単一ロールを使用して達成されるであろうよりも大きな正ストロークを提供する。次いで、入れ子状の電気活性ポリマーの巻かれた装置は、大きな歪及び小型のパッケージを必要とする用途に有用である。
[00204]別の実施形態において、シャフト208は、チューブ内部のシャフトであってもよく、これは、ロールが別の方向に曲がることなく軸方向に膨張し収縮することを可能にする。いくつかの状況では、208を202の頂部に接着させ軸受を通って走らせることが有利であるが、シャフト208はまた、二つの別個の片であってもよく、すなわち、1)212に接続され、206の頂部へ向けての途の約4/5ほど軸方向に突出するシャフトと、2)206の頂部に接続され、212へ向けての途の約4/5ほど軸方向に突出し、212に接続されたシャフトを部分的に取り囲むチューブと、である。
[00205]図17H〜Jは、本発明の別の実施形態にしたがって、入れ子状の電気活性ポリマー装置220の模範的な垂直断面図を例示する。入れ子状装置220は、3つの電気活性ポリマーロール222、224及び226を備える。各ポリマーロール222、224及び226は、各ロールに均一な撓みを提供する単一の活性区域を含む。
[00206]この構成において、隣接する電気活性ポリマーロールは、その共通の非接続端で接続される。より具体的には、電気活性ポリマーロール222の底部は、その次に外側にある電気活性ポリマーロール、すなわちロール224の底部に接続される。同様に、電気活性ポリマーロール224の頂部は、もっとも外側の電気活性ポリマーロール226の頂部に接続される。ポリマーロール222の頂部は、装置220の中心を通って走る出力シャフト228に接続される。シャフト208に関連して述べたものに類似して、シャフト228は、チューブ内部のシャフトであってもよく、これは、ロールが別の方向に曲がることなく軸方向に膨張し収縮することを可能にする。
[00207]図17Hは、装置220の非作動(静止)位置を示す。図17Iは、ポリマーロール224の作動による装置220の収縮位置を示す。図17Jは、ポリマーロール222及び226の作動による装置220の拡張位置を示す。図17Hの非作動(静止)位置において、シャフト208の位置は、各個別ロールの軸方向長さに依存して、図17Iの収縮位置と図17Jの拡張位置の間にある場所である。
[00208]この入れ子状の設計は、増加した撓みを提供するために、増加する数の層で繰り返されてもよい。第1の入れ子状のロールから開始して、一つおきのロールを作動させることは、シャフト228を収縮させる。最も外側のロールから開始して、一つおきのロールを作動することは、シャフト228を拡張させる。入れ子状装置220の設計の一つの利点は、電荷が一つのポリマーロールから別のポリマーロールへ分路されてもよく、これにより、全体的なエネルギの使用を保護できることである。
[00209]次に、多数の代替のセグメントの実施形態が、図18A〜18Fに関して、説明される。いくつかの実施形態において、少なくとも二つのセグメントを有する関節運動器具が提供され、各セグメントは外側表面と内側表面とを有し、外側表面と内側表面との間に配置された少なくとも二つの内側アクチュエータアクセスポートを備える。加えて、少なくとも一つの電気活性アクチュエータが内側アクチュエータアクセスポートの各々を通って延在し、少なくとも二つのセグメントに連結され、そのため、少なくとも一つの電気活性アクチュエータの作動が結果として、少なくとも二つのセグメントの間の撓みになる。
[00210]セグメント1802は、外側表面1804と内側表面1806とを有する環状の連続したセグメントの例である(図18A)。3つの内側アクチュエータアクセスポート1808が、外側表面1804と内側表面1806との間に配置される。内側アクチュエータアクセスポート1808は、この実施形態では、略長円又は楕円形の形状を有する。他の形状は可能である。下記により詳細に説明されるように、内側アクセスポートの実施形態は、セグメントと、例えばアクチュエータ、巻かれたアクチュエータ、一つ以上の活性区域を有する活性ポリマー材料のシート等の活性ポリマー構成要素と、の間に接着点を提供する。
[00211]セグメント1810は、形状が略円形であり、外側表面1804と内側表面1806とを有する(図18B)。二つの内側アクチュエータアクセスポート1812が、外側表面1804と内側表面1806との間に配置される。内側アクセスポート1812は、この実施形態では、略円形の形状を有する。
[00212]セグメント1816は、形状が略円形であり、外側表面1804と内側表面1806とを有する(図18C)。12の均一に間隔をおかれたアクチュエータアクセスポート1818が、外側表面1804と内側表面1806との間に、セグメント1816の円周のまわりに配置される。内側アクセスポート1818は、この実施形態では、略円形の形状を有する。各内側アクセスポートの形状は、所与のセグメントではポートごとに同一である必要はなく、ポートはセグメントのまわりに均一に整列される必要はない。いくつかのポートは、外側表面1804又は内側表面1806により近くてもよく、又は、二つ以上のポートが、同一の半径に沿って位置決めされ且つ内側表面1806と外側表面1816との間に分布されることが可能である。これらの代替例はセグメント1816の実施形態に対して説明されるが、本明細書に記載された他のセグメントの実施形態にも同様に適用される。
[00213]セグメント1820は、形状が略円形であり、外側表面1804と内側表面1806とを有する(図18D)。8つのアクチュエータアクセスポート1822が、セグメント周囲のまわりに外側表面1804と内側表面1806との間に整列される。内側アクセスポート1818は、この実施形態では、様々な略長円の形状を有する。
[00214]セグメント1825は、形状が略円形であり、外側表面1804と内側表面1806とを有する(図18E)。4つのアクチュエータアクセスポート1826が、外側表面1804と内側表面1806との間にセグメント1825の円周のまわりに配置される。内側アクセスポート1826は、この実施形態では、矩形の形状を有する。
[00215]セグメント1830は、略円形であり、先のセグメント実施形態とは異なり、非連続である(図18F)。セグメント1830は、外側表面1832と内側表面1834とを有する。3つのアクチュエータアクセスポート1836が、外側表面1832と内側表面1834との間にセグメント1830のまわりに配置される。内側アクセスポート1836は、この実施形態では、複合幾何学的形状を有する。この実施形態において、複合幾何学的形状は、インゲン豆の形状に似ている。後述されるように、複合幾何学的形状のアクセスポートは、活性ポリマー材料のシート又はセクション又はセグメントに有利な曲線を提供してもよい。セグメント1832はまた、非環状又は非円形のセグメント形状も例示する。セグメントの部分はフレア状になり、より長円の形状を提供する実施形態もあり、形状が平らな三角形又は丸みを帯びた円錐形状に似てもよい実施形態もある。
[00216]様々なセグメント及びアクセスポートの上記検討から、セグメントの少なくとも一つのアクセスポートが、規則的な幾何学的形状を有することが認識される。いくつかの実施形態において、アクセスポートは、円形、矩形、長円、楕円形からなる群から選択された規則的な幾何学的形状を有する。他の実施形態において、アクセスポートは、複合幾何学的形状を有してもよい。更に、内側アクセスポートは、均一な間隔あけを備えて備えず、任意の形状、数、配向又は空間配列でありうる。例えば、セグメントの実施形態が上述の予バイアス形状の器具と有利に組み合わされた実施形態において、セグメントのアクセスポートは、アクチュエータが予バイアス形状の影響を弱めるように位置決めされる必要性を認識する以外のやり方で分布されてもよい。他の実施形態において、二つ以上の活性ポリマーアクチュエータ又は材料が、アクセスポートを通って提供されるか、アクセスポートに連結されるか、又は、アクセスポートで終端する。
[00217]図19A及び19Bは、本発明の関節運動器具の実施形態において、関節運動するか曲がるか又は他のように操作するのに使用されてもよい活性ポリマーセグメントの更なる実施形態を例示する。関節運動セグメント1900及び1950は、類似構造を共有する。これらは、最小の二つのセグメントであり、各セグメントは、外側表面と内側表面とを有し、外側表面と内側表面との間に配置された少なくとも二つの内側アクチュエータアクセスポートを備えている。例示された実施形態は、アクセスポート1808を備えたセグメント1802を示す。他の述べられたセグメント等のいずれも使用されてよいことを認識すべきである。関節運動セグメントはまた、内側アクチュエータアクセスポートの各々を通って延在し少なくとも二つのセグメントに連結された少なくとも一つの電気機械アクチュエータも含み、そのため、少なくとも一つの機械活性アクチュエータの作動が結果として、少なくとも二つのセグメントの間の撓みになる。一実施形態において、活性ポリマーアクチュエータ1910は、外側セグメント1802に接着され(すなわち、終端し)、中間セグメント1802を通って進み十分に連結され、セグメントの各々、いずれ、及び/又は、すべての間で撓みを可能にする。図19Aに例示された実施形態において、活性ポリマーアクチュエータ1910は、ポリマーシート1912と、電極を含む活性区域1915とを含む。ポリマーシートは、活性区域1915に使用される部分のみを有する活性ポリマーから形成されてもよい。異なる材料の追加裏打ちシートを必要とするのではなく、活性ポリマー材料は、アクチュエータに使用される構造シート1912として使用することができることを認識すべきである。
[00218]加えて、シース1905が、少なくとも二つのセグメントの外側表面1816に接着される。代替の実施形態において、シース1905は、少なくとも二つのセグメントの内側表面1806に接着される。いくつかの実施形態において、シースは、再使用されてもよいように、耐久性があり可撓性があり且つ洗浄可能である医療当分野において公知の適切な材料から形成される。他の実施形態において、シースは、セグメントから取り外すことができ、使い捨てである。更に別の実施形態において、シース材料は、生体適合性材料を備える。
[00219]関節運動セグメント1950(図19B)は、複数の活性区域1965がセグメント1802の間に設けられる点で、関節運動セグメント1900とは異なる。3つの活性区域1965が、図19Bに示される。より多い数が可能である。更に、活性区域は、均一に間隔をおかれる必要はなく、また、セグメントの長手方向軸に沿ってのみ整列配置される必要はない。加えて、セグメント1900、1950のすべての実施形態では、活性区域の構造及びポリマーシート1912、1962は、活性ポリマーアクチュエータの適切な操作を提供するために、予め歪まされたポリマー及び歪まされていないポリマー、マルチラミネート電極構造体、柔軟電極、他の構造的要素を含んでもよい。例えば、導電性ポリマー型のアクチュエータに隣接して電解質を提供する。
[00220]上記に描かれたセグメントは閉鎖ループ及び開放ループであるが、セグメントは、所望により、様々な長さのチューブと組み合わせて使用されてもよく、又は、それに取って代わられてもよい。例えば、公知の脈管の、胆管の、又は、食道のステントに類似して構造された一連の短いチューブを使用することができる。このような構造体は、一連の短いステント状要素の間に位置決めされた複数のアクチュエータの配置を含んでもよい。
[00221]本発明のいくつかの実施形態において、関節運動器具は、上述の巻かれたポリマーアクチュエータの実施形態を使用して、作動されるか、曲げられるか、又は、他のように操作される。一般に、巻かれたポリマーアクチュエータは、一対のセグメント2008の間に延在する。図20Aにおいて、活性セグメント2005は、セグメント2008の間に分布された巻かれたポリマーアクチュエータ2010a、b及びcを含む。適切な電子制御機器が提供され、アクチュエータが別個に又は組み合わせて操作されるのを可能にし、セグメント2008の間に所望の撓みを生成する。
[00222]活性セグメント2020は、巻かれたポリマーアクチュエータ2025a及び2025bの協働対を含む(図20B)。巻かれたアクチュエータ2025a、2025bはまた、アクチュエータに加えられた電位が、逆の操作を提供するためにどのように逆にされてもよいかも例示する。例えば、実線は正の電位の印加を示し、点線は負の電位の印加を表す。適切な電子制御が提供され、逆作動を別個に又は組み合わせて使用してアクチュエータが操作されるのを可能にし、セグメント2008の間に所望の撓みを生成する。
[00223]活性セグメント2030は、協働的な巻かれたポリマーアクチュエータ対の代替の実施形態を含む。巻かれたアクチュエータ対2034a、b及び2036a、bはセグメント2008の間に配置される。一実施形態において、セグメント2008は、アクチュエータ2034aをその接着したセグメント2008上で引いている間にアクチュエータ2034bをその接着したセグメント2008で押すことによって、操作されるか又は関節運動されてもよい。別の実施形態において、両方のアクチュエータ対2034a、b及び2036a、bは、上述の押し引きモードで操作している。別の実施形態では、全アクチュエータよりも少ないアクチュエータが活性化され、セグメント2008を撓ませる。他の代替の巻かれたポリマーアクチュエータの構成も可能である。例えば、図20Bに説明された可逆性態様を他の実施形態に加えてもよく、又は。アクチュエータ構成2010、2025及び2034の組み合わせを、同一セグメント対の間に使用してもよい。
[00224]図5、6、7、8、及び9に説明された実施形態に更に、単一の長いチューブ2100を構造的要素として使用して、本発明の関節運動器具の実施形態を形成することができる。いくつかの実施形態において、構造体の設計は、複数のステント状の要素の形態であってもよい。いくつかの実施形態において、長い部材2100は、上記図2e及び2fに検討されたように、長い部材2100が固有のバイアス又はメモリを有するように構成されることができるように、可撓性のある材料か又は弾性材料から形成される。バイアスは、アセンブリを、例示されたように実質的に線上の構成に戻すか、又は、上記に検討されたように任意の所望のバイアス形状に戻すように作用する。同様に、次いで、部材2100に連結されたアクチュエータを使用して、例えば、関節運動器具が挿入される腔、器官又は体腔の形状を反映するのに必要なように、元々の又はバイアスの構成からこれを撓ませることができる。当然ながら、弾性スリーブ等のバイアスの源(すなわち、上記に検討されたように構造体内に又はそのまわりに挿入される)もまた、提供されてもよい。
[00225]図21もまた、ポリマー層2107に沿って配置された活性区域2110を有する多数の活性ポリマーシート2105を例示する。この実施形態において、ポリマーシート2107は、部材2100のまわりを少なくとも1回は包むほど十分に広く、いくつかの実施形態においては複数回包むことができる。他で検討された代替の実施形態において、ポリマーシートは、複数の活性区域を有してもよいが、部材2100の周囲のセクション又は部分ほど広いだけである。これらの代替例において、一つ以上のポリマーシートのセクションを使用して、部材2100を曲げるか又は他のように操作する。
[00226]例示された実施形態において、活性区域は、ポリマー層2107の長手方向軸に沿って延在する。ポリマー層2107は、有利なことに、活性領域がポリマーシートに不可欠である活性ポリマーから形成されてもよい。ポリマーシート全体が作動のために使用されてもよいため、活性区域は、所望により、任意の配列、場所又は配向であってもよい。これは、非活性ポリマーを使用するか又はこの設計の固有の簡略さとは無関係に単にポリマー構造要素を使用する他のポリマーアクチュエータ設計に対して、一つの利点である。活性区域2110は、単一のモノリシック構造である必要はないが、蛇行性のジグザグの又は他のパターン化された導電性トレースを含んでもよいことを認識すべきである。活性区域2110の実施形態は、上述の様々な代替の電極及び活性区域の構成のすべてを含むこともまた認識されるべきである。
[00227]図21にはまた、第2のポリマーシート2115に設けられた複数の歪みゲージ又はフィードバックポリマー要素2120が、例示される。フィードバック要素を使用して、セグメントの操作中に、モニタしフィードバックを提供してもよい。いくつかの実施形態において、フィードバック要素は、シート2115に印刷される。他の実施形態において、フィードバック要素は、Pelrineらの米国特許出願公開第2002/0130673号に更に記載されるような電気活性ポリマーセンサであり、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。ポリマーシート2107、2115の順序は、シート2107が部材2100に接触しシート2115がシート2107の外側に接触する例示された実施形態から、変えられてもよい。一つの代替の実施形態において、シート2115は、部材2100とシート2107との間に対する。代替の実施形態において、シート2207、2115は、任意の配列で、部材2100内部に配置されることができる。
[00228]図22は、作動された部材2100の別の実施形態を例示する。この実施形態は、活性区域2210及び歪みゲージ2120の両方を含む単一のポリマーシート2207が使用される点で、図21の実施形態とは異なる。加えて、活性区域2210は、図21では長手方向の活性区域であるのとは対照的に、部材2100の長手方向軸にほぼ直交して整列配置される。代替の実施形態において、シート2207は部材2100内部に配置されることができる。
[00229]図23は、本発明による活性ポリマー作動セグメント2300の実施形態を例示する。この実施形態において、コイル又はコイルチューブ2305がセグメントを画成する。ここで、複合のアクチュエータセグメントがラミネート構造体に形成される。一実施形態では、活性区域(図示せず)を有するアクチュエータ2305の第1のセットが、コイル2300のまわりに円周的に作用する一連のフープ構造に設けられる。一実施形態では、アクチュエータ2310の第2のセットが、コイル2300上で長手方向に作用するように設けられる。アクチュエータ2305、2310の各々は、結果として極めて構成しやすく曲げ可能な器具になるように、複数の活性区域を含んでもよい。活性区域の各々は、上述の電極及び/又は活性区域の特徴のすべて又はいくつかを含んでもよい。例えば、セグメント2305の関節運動は、第1のセットのアクチュエータ2305の一つ以上の活性区域から生成された作動力(単/複)と、第1のセットのアクチュエータ2310の一つ以上の活性区域から生成された作動力(単/複)との組み合わせから生じてもよい。代替の実施形態において、第1のセットのアクチュエータ2305は、単一のポリマーシートに設けられ、第2のセットのアクチュエータ2310は、アクチュエータ2305を含むシートに結合されたか又は連結された第2のポリマーシートに設けられる。
[00230]複合ラミネートポリマーアクチュエータの概念は、図24を参照して、更に例示される。複合ラミネートポリマーアクチュエータ2400は、複数の異なる活性区域2410、2412、2416、2418及び2420を有する活性ポリマーシート2406のまわりにポリマー層2402、2404を含む。一実施形態において、層2402、2404及び2406は、すべて活性ポリマーであり、唯一の差は、層2406が複数の活性区域を有することである。活性区域の各々は、上述の電極及び/又は活性区域の特徴のすべて又はいくつかを含んでもよい。
[00231]複合ラミネートポリマーアクチュエータの概念は、図25を参照して、更に例示される。一実施形態において、複合ラミネートポリマーアクチュエータ2500は、各々が複数の異なる活性区域を有する4つの活性ポリマー層2520、2530、2540及び2550を含む。更なる実施形態において、各層の活性区域の配向は、異なってもよい。例えば、シート2520の活性区域は構成1を提供し、シート2530は構成2を提供する、等である。例示的な活性ポリマーシート2510は、異なる配向を備えた複数の活性区域が提供される点を例示する。活性区域2514は略長手方向の側面であり、活性区域2512、2516は、相補的な角度配向を有する活性区域を例示する。他の活性区域配向も可能である。例えば、活性区域の構成1〜4の各々は同一であっても異なっても又は相補的であってもよい。一実施形態において、1枚のシートの活性区域は、別のシートの活性区域に相補的なやり方で作用する。代替の実施形態において、シートは互いに隣接する。更に別の代替の実施形態において、少なくとも1枚の他のシートが、相補的なシートを分離する。シートとして説明されているが、本発明の複合ラミネートポリマーアクチュエータは、フープ、リング、長手方向セクション、又は、他の部分的なセグメント内に形成されてもよいことを認識すべきである。
[00232]更なる活性区域構成も可能である。例えば、活性区域は、活性ポリマー変形の一方又は両方の平面方向を生成する活性ポリマーシートに設けられてもよい。有利なことに、複数の活性区域及びそのそれぞれの電極(導電層を備えても備えなくても)は、単一の活性ポリマー基板又はシート材料にパターン化されてもよく、単一の活性ポリマー基板又はシートから多自由度又は作動様式を生成する。
[00233]本発明のいくつかの実施形態において、関節運動器具は、ハイブリッド作動機構を使用して、操作されるか、曲げられるか、又は、制御される。ハイブリッド関節運動器具2600は、緊張材駆動セグメント部分2607及び活性ポリマー部分2605を含む。明瞭化のために、二つの部分を結合するシース又は他の構造的接続は省略されている。緊張材駆動セグメント2607は、複数のセグメントを含み、ここでは3つである(2610、2615及び2620)。セグメントの各々は接着点2614を含み、もっとも遠位のセグメント2610を除くすべてはパススルー又はポータル2616を含み、力伝達要素2612(すなわち、緊張材、ボーデンケーブル等)がより遠位のセグメントに接着するのを可能にする。駆動セグメントセクション2607に関する更なる詳細は、同一権利人の譲渡された米国特許出願第10/229,577号、発明の名称「Tendon Driven Endoscope and Methods of Insertion」に示されており、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。活性ポリマー部分2605は、ここに記載された活性ポリマーアクチュエータ又は構成の任意の一つを含んでもよい。一実施形態において、セグメント化関節運動器具は、活性ポリマーによって作動される選択的に操縦可能な遠位端、及び、力伝達要素、ケーブル等の使用を通して作動される自動的に制御可能な近位端を含む。更に、経路の曲線が、活性ポリマーによって作動される選択的に操縦可能な遠位端の形状によって選択され画成され、次いで、力伝達要素の使用を通して作動される自動的に制御可能な近位端に沿って自動的に伝播される。ハイブリッド実施形態は、ハイブリッド関節運動器具2600の「フォローザリーダー」型の作動を提供するために適切な制御システムを含むことを認識すべきである。フォローザリーダースキームの更なる詳細は、先に組み込まれたBelson特許第6,468,203号及び第6,610,007号に記載されている。
[00234]セグメント化内視鏡である関節運動器具に特定の言及がなされ、結腸鏡とともに使用される他のアセンブリが記載されている。本発明の実施形態の電気機械アクチュエータ及び電気機械アクチュエータアセンブリが、多数の他の医療及び工業の用途に、幅広い様々な制御可能な物品を操作するために構成されてもよい。加えて、本発明の実施形態は、下記とともに使用するために構成されることもでき、すなわち、ワイヤレス内視鏡、ロボット内視鏡、カテーテル、例えば、血栓溶解カテーテル、電気生理的カテーテル及びガイドカテーテル等のカテーテルに使用される特定の設計、カニューレ、手術器具、又は、イントロデューサーシース、又は、処置に特定な関節運動器具、例えば、体器官内で且つ/又は身体チャネルを通して、体器官のまわりに又はその間に、体腔と選択的に、身体内を航行するために本発明の実施形態の原則を使用する様々な医療処置に使用されるもの等である。
[00235]次に、「フォローザリーダー」型制御の例が、図27及び28を参照して、説明される。「フォローザリーダー」型制御の更なる詳細は、Belsonに付与された米国特許第6,468,203号に示されている(先に参照として本明細書に組み込まれている)。
[00236]図27は、関節運動器具2700の本体2702のセクションのワイヤフレームモデルを示す。予バイアス形状の実施形態が本明細書に記載されているが、この例は、例示されるように、真っ直ぐな又はバイアスのない位置を有するセクションにフォローザリーダーを使用することに対処する。関節運動器具本体2702の内部構造体の大半は、明瞭化のためにこの図面では排除されている。関節運動器具本体2702は、セグメント又はセクション1、2、3……10等に分割される。各セクションの形状寸法は、適切な数の測長又は様々なセグメントの関連位置の他の指示によって画成される。セクションの形状寸法は、測長又は他の指示によって画成されてもよい。この例示的な例において、セグメントは、4本の軸、すなわち、a、b、c及びd軸に沿った長さ又は指示を有するものとして記載される。2又は3等のより少ない軸、及び、より多くの軸を使用して、セグメントを記載してもよい。この例示的な例において、セクション1の形状寸法は、4つの側長11a、11b、11c、11dによって画成され、セクション2の形状寸法は、4つの側長12a、12b、12c、12dによって画成される等である。好ましくは、形状寸法の測長又は他の指示の各々は、線状アクチュエータによって、例えば、本明細書に記載された活性ポリマーアクチュエータ及び材料の使用を通して、個別に制御される。線状アクチュエータは、数種類の異なる操作原則の一つを使用してもよい。例えば、線状アクチュエータの各々は、自己発熱NiTi合金線状アクチュエータ、又は、電気粘性プラスチックアクチュエータ、又は、他の公知の機械的、空気式、油圧式又は電気機械のアクチュエータであってもよい。いくつかの実施形態において、他の公知の電気機械アクチュエータは、本明細書に記載された活性ポリマーアクチュエータの実施形態を含む。例示的な例にとどまると、a、b、c及びd軸に沿った4つの側長を変えるために、各セクションの形状寸法は、線状アクチュエータを使用して変えられてもよい。いくつかの実施形態において、セグメント形状寸法の測長又は他の指示は、相補的な対で変えられ、関節運動器具本体2702を所望の方向へ選択的に曲げる。例えば、関節運動器具本体2702をa軸の方向に曲げるために、長さ11a、12a、13a……110aは短くされ、長さ11b、12b、13b...110bは同じ量だけ長くされる。これらの長さが変えられる量は、結果として得られる曲線の半径を決定する。
[00237]関節運動器具本体2702の選択的に操縦可能な遠位端部分2704において、各セクションのa、b、c及びd軸の長さを制御するアクチュエータは、公知の操縦制御の使用を通してユーザによって選択的に制御される。したがって、a、b、c及びd軸の長さの適切な制御によって、関節運動器具本体2702の選択的に操縦可能な遠位端部分2704は、選択的に操縦されるか又は曲ることができる。いくつかの実施形態において、操縦可能な部分は、任意の方向に完全180度曲げられてもよい。
[00238]しかし、自動的に制御される近位部分2706において、各セクションのa、b、c及びd軸の長さは、使用されるアクチュエータの種類に基づいて制御し作動するのに適した電子モーションコントローラによって自動的に制御される。モーションコントローラは、フォローザリーダーアルゴリズム、例えば曲線伝播方法を実施し、関節運動器具本体2702の形状を自動的に制御する。曲線伝播方法がどのように操作するかを説明するために、図28は、曲線Cを通って進む図27に示される関節運動器具本体2702の自動的に制御される近位部分2706の一部のワイヤフレームモデルを示す。簡略化のために、二次元曲線の例が示され、a及びb軸のみが考慮される。三次元曲線では、すべての軸(例示的な例では4本、すなわち、a、b、c及びd軸)が、活動されるものである。
[00239]図28において、関節運動器具本体2702は、選択的に操縦可能な遠位端部分2704によって曲線Cを通るように操作され(手順のこの部分は、下記により詳細に説明される)、今、自動的に制御される近位部分2706が曲線部分にある。セクション1及び2は、曲線Cの比較的真っ直ぐな部分にあり、したがって、11a=11b及び12a=12bである。しかし、セクション3〜7はS字形曲線セクションにあるため、13a<13b、14a<14b及び15a<15bであるが、16a>16b、17a>17b及び18a>18bである。関節運動器具本体2702が1ユニットだけ遠位に進むときに、セクション1は、1’がマークされた位置内に動き、セクション2は、セクション1が先に占めていた位置内に動き、セクション3は、セクション2が先に占めていた位置内に動く、等である。軸方向モーショントランスデューサは、固定の参照点に対する関節運動器具本体2702の軸方向位置を示す信号を生成し、この信号を電子モーションコントローラへ送るように使用してもよい。電子モーションコントローラの制御下で、関節運動器具本体2702が1ユニット進むたびに、自動的に制御される近位部分2706の各セクションは、現在占有している空間を先に占めていたセクションの形状を想定するために、信号を受ける。したがって、関節運動器具本体2702が1’がマークされた位置へ進むときには、11a=11b、12a=12b、13a=13b、14a<14b、15a<15b、16a<16b、17a>17b、18a>18b及び19a>19bであり、関節運動器具本体102が1”がマークされた位置へ進むときには、11a=11b、12a=12b、13a=13b、14a=14b、15a<15b、16a<16b、17a<17b、18a>18b、19a>19b及び110a>110bである。このようにして、S字形曲線Cは、関節運動器具本体102の自動的に制御される近位部分2706の長さ方向に沿って近位に伝播する。関節運動器具本体102が遠位に進むときには、S字形曲線は空間に固定されると考えられている。
[00240]同様に、関節運動器具本体2702が近位に引かれるときには、関節運動器具本体2702が1ユニット近位に動くたびに、自動的に制御される近位部分2706の各セクションは、現在占有している空間を先に占めていたセクションの形状を想定するために、信号で伝えられる。S字形曲線は、関節運動器具本体2702の自動的に制御される近位部分2706の長さ方向に沿って遠位に伝播し、関節運動器具本体102が近位に引くときには、S字形曲線は空間に固定されると考えられる。
[00241]関節運動器具本体2702が進むか又は引くときには必ず、軸方向モーショントランスデューサが位置の変化を検出し、電子モーションコントローラが、関節運動器具本体2702の自動的に制御される近位部分2706に沿って、選択された曲線を近位に又は遠位に伝播し、曲線を空間的に固定された位置に維持する。これによって、例えば、器官内に、器官のまわりに、又は、脈管構造を通って、又は、結腸内部に、横行している経路の壁(単/複)に不必要な力を加えることなく、関節運動器具本体102が曲がりくねった曲線を通って動くのを可能にする。
[00242]本明細書で使用されるように、曲線、曲線又は路に沿って進む又は引くは、単なる曲線及び路だけではなく、複雑な曲線、一連の簡単な又は複雑な曲線を意味し、医療環境及び工業環境の両方における三次元空間又はゾーンを含む。更に、進む又は他のように沿って伝播する又はから引くも含まれる。
[00243]活性ポリマー電極を使用して関節運動器具のセグメントを制御して曲げることは、多数の技術を使用して実行されてもよい。本明細書に記載されたいくつかの技術は、器具にバイアス要素又は予歪を使用すること、活性ポリマーアクチュエータの協働対、活性区域及び複数の活性区域の使用を通して実現される複合アクチュエータによって誘発される撓みの量を調整するための電圧制御、自由度及び複合ラミネートポリマーアクチュエータを含む。別の代替例は、所望の曲線を生成するために複数の活性区域の順次制御に関与する。
[00244]図29(a)〜(d)は、セグメント2900を曲げるために、どのように多数の活性区域の順次活性及び制御を使用してもよいかを例示する。セグメント2900は、関節運動器具の一部を形成するか、又は、完全な器具であってもよい。この例示的な実施形態において、セグメント2900は、遠位端2920、近位端2930及び3つの活性区域2905、2910及び2905を有する。セグメントの曲げの程度は、作動される活性区域の数によって制御される。活性区域2915のみが活性化されるときには、わずかな曲げ2960がセグメント内に導入される(図29(a))。活性区域2915及び2910の両方が活性化されるときには、セグメント2900は、曲げ2960よりも鋭い曲げ2970を形成する(図29(c))。3つすべての活性区域2915、2910及び2905が活性化されるときには、セグメント2900は、更により鋭い曲げ2980を形成する。この例示的な実施形態は、セグメント2900に沿ってほぼ長手方向に整列配置される3つの活性区域を使用するが、より多くの、より少ない、異なって配向された、異なったサイズの、及び、異なって活性化された活性区域が使用されてもよいことを認識すべきである。
[00245]更に、3つの活性区域2915、2910及び2905は、単一の電極として、又は、単一の活性区域のみとして例示され記載される。いくつかの実施形態において、活性区域は、多数の電極を含んでもよく、且つ、曲げの程度を更に細分割することができてもよい。例えば、活性区域2910がより大きな例示区域内に20のサブ活性区域を含む例示的な場合を考慮する。サブ活性区域の各々は、セグメント2900に対して整列配置され、セグメントを曲げ2960状態から2970曲げ状態へ曲げる。しかし、曲げ2970を生成する活性区域2910を活性化する上述の単一ステップとは異なり、サブ活性区域は、曲げ2960と曲げ2970との間の中間曲げ状態を生成するために1回に一つずつ活性化されてもよい。別の代替例において、アルゴリズムを使用するコントローラは、所望の曲線用に活性化されるべき活性区域の数/量等を決定する。更なる実施形態において、複数のサブ活性区域の使用は、応答時間をより速くするために有利に使用されてもよい。この理論に縛られることを望まない場合には、単一の活性区域のみを使用する類似セグメントよりもより速い応答時間でセグメントを生成するために複数のサブ活性区域を使用するポリマーアクチュエータ構成があってもよい。
[00246]順次活性及び制御の概念は、単一の二次元曲げを使用して記載されているが、この概念は、もっとも複雑な形状用にでさえ、本明細書に記載された代替のアクチュエータの実施形態の全体にわたって有利に使用されてもよいことを認識すべきである。例えば、複合ラミネートポリマーアクチュエータの実施形態内の活性区域の配向、サイズ及び配置は、順次活性及び制御を使用して決定されてもよい。この概念の名前は、アクチュエータが同時に活性化されず順次のみであることを暗示しない。順次は、所望の曲げ、形状又は操作が達成されるまで、ますます多くのアクチュエータを加えることを意味する。より多くのアクチュエータを加えることでさえ、活性区域を活性化するために使用されるコントローラによって行われることができるが、それは、曲げ−活性区域活性化曲線が、おそらく公知であるか、又は、所望の曲線の速い活性を可能にするために十分に特徴づけられるからである。
[00247]図30は、遠位端3010及び近位端3005及び活性区域又は電極3015、3020を有するセグメント3000を例示する。セグメント3000は、活性区域3015、3020の一方又は両方が非活性であるときに曲がるように特別に設計される。例えば、図30(a)は、両方の活性区域3015、3020の単数又は複数の電極が活性化される場合を例示する。活性区域は、セグメント3000の側部に沿ってポリマーを長くするためにポリマー誘発撓みを使用するように特別に整列配置される。結果として、活性区域3015によって誘発された撓み/変形は、活性区域3020によって誘発された撓み/変形によってバランスを取られるか又は相殺される。それ故、セグメント3000は、図示の真っ直ぐな又は線状の位置を維持する。次に、活性区域3015が非活性である場合を考慮する。活性区域3015がその関連ポリマーを変形しないときには、その側部のポリマー(他方の側で活性区域3020に関連するポリマー等)は収縮し、それによって、セグメント3000に曲げ3025を生成する。更に別の実施形態において、活性区域3015は、活性区域3015に加えられた電位を逆にすることが実際にセグメント曲げを曲げ3030へ増大するように構成されてもよい。類似の現象は、活性区域3020によって呈され、活性区域3020の電位が逆にされるときに、曲げ3040(活性区域3020は活性ではない)及び曲げ3050を生成する。曲げ3025、3040(非活性状態が誘発した曲げ)を生成する活性区域の配列及び構成は、逆電位を使用して生成された曲げ3030及び3050から独立して使用されてもよい。いくつかの実施形態において、非活性状態が誘発した曲げは、逆電位が誘発した曲げに呼応して使用されてもよい。
[00248]本発明の電気機械アクチュエータ制御の関節運動器具の実施形態はまた、様々な異なる診断及び介入処置に使用されるのに適するように有利に修正されてもよく、結腸鏡検査、気管支鏡検査法、胸腔鏡検査、腹腔鏡検査、及び、上述の原則及び概念を使用するビデオ内視鏡検査を含む。本発明の実施形態にしたがった関節運動器具は、工業用途にも使用されてもよく、例えば、エンクロージャへのアクセスが困難な例えば機械類、パイプ等の曲がりくねった領域内の点検及び探索用途等である。
[00249]本発明は詳述され、本発明の特定の実施形態についても説明した。これらの細目の使用は、本発明をいかなるようにも限定することは意図しない。例えば、本明細書に記載された装置及び方法は、非医療関連処置にも使用されてもよい。上記に開示された様々な例の間の特徴部の組み合わせが、互いに他の変形例に使用されてもよいことが企図される。更に、開示の精神内であり且つ特許請求の範囲に見られる本発明の等価物である本発明の変形例の程度まで、本特許がそれらの変形例も同様に適用することが本発明者らの意図である。