以下、図面を参照しつつ、次の流れに沿って本発明の実施形態を詳細に説明する。
1. 機械的構成
1.1 インクタンク
1.2 インクタンク取り付け部
1.3 記録装置
2.制御系の構成
2.1 全体構成
2.2 接続部の構成
2.3 制御手順
3.他の実施形態
1.機械的構成
1.1 インクタンク(図1〜図3)
図1(a)、(b)および(c)は、それぞれ、本発明の第1の実施形態に利用される液体収納容器であるインクタンクの側面図、正面図および底面図、図2はその側断面図である。なお、本説明において、インクタンクの正面とは、ユーザに向き合うことでその操作(着脱操作等)およびユーザへの情報提供(後述するLEDの発光)を可能とする面を言う。
図1において、本実施形態のインクタンク1は正面側の下部に支持された支持部材3を有している。支持部材3はインクタンク1の外装と一体に、樹脂により形成されており、後述するタンクホルダへの装着操作等を行う際に被支持部を中心に変位可能な構成である。インクタンク1の背面側および正面側には、タンクホルダ側の係止部にそれぞれ係合可能な第1係合部5および第2係合部6(本例では支持部材3に一体化されている)が設けられ、これらの係合によってインクタンク1のタンクホルダへの装着状態が確保される。この装着時の動作については図8により後述する。
インクタンク1の底面には、タンクホルダへの装着時に、後述する記録ヘッドのインク導入口と結合してインク供給を行うためのインク供給口7が設けられている。この底面と正面とが交わる部分にあって、支持部材3の支持部分の底面側には、本実施形態の主要部をなす基体が設けられている。基体の形状としてはチップ形状でも板状であっても良いが、以下では基板100として説明する。
図2はインクタンク1の側断面図である。基板100には後述するLED(発光部)101が設けられ、LED101からの発光を上方に導く導光部材121とその端面である発光部122によりユーザへの情報提供を可能としている。
図3〜図4を用い、基板100および記録ヘッド105のインクタンクを保持するホルダ(搭載部)150の構成および機能について説明する。ここで、図3(a)および(b)は本発明の第1の実施形態に係るインクタンクに配置される基板の機能の概略を説明するための模式的側面図、およびその主要部の拡大図である。図4(a)および(b)は、それぞれ、第1の実施形態に係るインクタンクに取り付けられる制御基板100の一例を示す正面図および側面図である。
記録ヘッド105’を備えた記録ヘッドユニット105に一体化されているホルダ150の第1係止部155および第2係止部156に対し、インクタンク1の第1係合部5および第2係合部6がそれぞれ係合する。これによりインクタンク1がホルダ150に装着され、固定される。またこのとき、ホルダ150に設けられた接点(以下コネクタと称す)152と、インクタンクに設けられた基板100の外側に向かって位置する面に設けられた接点としての電極パッド102(図4(a))とが接触し、電気的接続が可能となる。
インクタンク1の内側に向かって位置する基板100の面には、LEDなど可視光を発生する第1発光部101と、この発光部を制御する制御素子103とが設けられている。そしてコネクタ152よりパッド102を介して供給される電気信号により、制御素子103は第1発光部101の発光の制御を行う。また、インクタンクが収納しているインクの色情報やインク残量などの情報を記憶させておくメモリ素子を制御素子103内に搭載することができる。
ここで、上述したように、インクタンク1の底面および正面をなす両面が交わる部分にあって、支持部材3の支持部分の下方には、本実施形態の主要部をなす基板100が配設されている。この配設部位において、インクタンク1の上方に伸びる導光部材121により発光は導かれ、その端面である発光部122から外に向かって投光される。
かかる配置とした基板100を用いることで、例えば走査範囲の中央にキャリッジを位置させてLED101の発光を制御することで、ユーザはその発光状態を目視することによりインクタンク1に係る所定の情報を認識することが可能となる。
インクタンク(液体収容容器)1の所定の情報とは、インクタンク1の装着状態の良否(すなわち装着が完全であるか否か)、装着位置の適否(インク色に対応して予め定められているホルダ上の装着位置に正しく装着されているか否か)である。さらにはインク残量の有無(十分なインク量が残っているか否か)などであり、発光の有無や発光の状態(点滅など)によりそれらの情報の提示が可能となるのである。発光の制御およびそれに伴う情報提示の態様については、制御系の構成の説明の項において詳述する。
ここで、ホルダ150には発光部101からのインクタンク1の側方への投光を受ける開口161と外光の影響を受けないように覆われた受光室160が設けられており、受光室160の内部には一つの第1受光部210が、全タンクに共通に配設されている。第1受光部210は例えばコネクタ152が実装されるコネクタ基板163の裏面などに実装されている。開口161はインクタンク搭載位置により面積が異なり、これによりインクタンク搭載位置が特定可能となる。この発光の制御およびそれに伴う搭載位置検出の態様については、制御系の構成の説明の項において詳述する。
図5〜図6を用い、ホルダ150に配設された受光室160の内部における第1受光部210によるインクタンク1からの発光の受光の態様について説明する。
図5は記録ヘッド105に4色のインクタンク(1K、1C、1M、1Y)が搭載された状態の正面図である。受光室160は外光の影響を受けないように覆われており、通常使用状態で内部は見えないため、本図においては受光室160をカットした状態を示している。インクタンク1K〜1Yの各色の発光部101K〜101Yの近傍のホルダ150の壁面には図3で説明したように光量可変手段としての開口161が設けられている。図5の例ではブラックインクタンク1Kに対応する開口161Kの開口面積が最も大きく、以下、シアンインクタンク1C、マゼンタインクタンク1M、イエローインクタンク1Yの順に対応する開口161C、161M、161Yの面積は小さくなっている。
図6はこのインクタンク1の発光、及び第1受光部210による受光の態様を説明する模式図である。各インクタンク1のLED101からの発光は各開口161により、異なる減光率で減光し、第1受光部210によって受光される。受光室160をほぼ密閉状態にしておけば、特に導光する部材を設けなくても、第1受光部210に指向性の広い受光素子を選択すれば、各インクタンク1からの発光を各開口面積に応じた異なるレベルで受光が可能となる。
1.2 インクタンク取り付け部(図7〜図9)
図7は第1の実施形態に係るインクタンクが着脱可能に構成された記録ヘッドユニットの一例を示す斜視図である。
記録ヘッドユニット105は、概して、複数(図では4個)のインクタンクを着脱可能に保持するホルダ(搭載部)150と、底面側に配置される記録ヘッド105’(図3)とからなっている。そしてインクタンクをホルダ150に装着することで、ホルダ底部に位置する記録ヘッド側のインク導入口107とインクタンク側のインク供給口7とが結合し、両者間のインク連通路が形成される。
記録ヘッド105’としては、ノズルを構成する液路内に電気熱変換素子を設け、これに電気パルスを与えることでインクに熱エネルギを付与し、その時のインクの相変化により生じる発泡(沸騰)時の圧力をインクの吐出に利用するものを用いることができる。そして、後述するキャリッジ203に設けられた信号伝達用の電気接点部(不図示)と記録ヘッドユニット105側の電気接点部157とのコンタクトが行われ、配線部158を介して記録ヘッド105’の電気熱変換素子駆動回路への記録信号の伝達が行われる。また、電気接点部157からはコネクタ152に至る配線部159も延設されている。
本発明の第1実施形態に係るインクタンクの取り付け部分の構成は、図7に示したものに限られない。
図8〜9を用いてこれを説明する。図8はインクタンクからインクの供給を受けて記録動作を実行する記録ヘッドユニットの他の構成例及びこれを組み込むキャリッジの斜視図、図9は両者を結合した状態を示す斜視図である。
この例に係る記録ヘッドユニット405は、インクタンク全体を固定保持する上例のようなホルダ150と異なり、図8に示すように、インクタンク正面側に対応したホルダ部分、およびここに配設されていた第2係止部およびコネクタなどを有していない。その他は上例とほぼ同様であり、底面上にはインク供給口7に接続されるインク導入口107を、また背面側には第1係止部155を、さらにその裏面には信号伝達用の電気接点部(不図示)を有している。
シャフト417に沿って移動可能なキャリッジ415には、記録ヘッドユニット405を装着・固定する為のレバー419及び記録ヘッド側電気接点部と接続されている電気接点部418の他、インクタンク正面側の構成に対応したホルダが設けられている(図9)。すなわち、第2係止部156、コネクタ152およびコネクタへの配線部159はキャリッジ側に配設されている。
かかる構成にあって、図9に示すように記録ヘッドユニット405をキャリッジ415に装着した状態とすればインクタンクの取り付け部分の全体が構成される。図7の記録ヘッドと同様の装着動作を経て、インク供給口7およびインク導入口107の接合並びにパッド102およびコネクタ152の接続が行われて装着動作が完了する。図8〜9に示す構成の場合、受光室160、および受光室160内のコネクタ基板163、第1受光部210はキャリッジ415に搭載されることになる。
1.3 記録装置(図10〜図11)
図10は、以上説明したインクタンクを装着して記録を行うインクジェットプリンタ200の外観を示す図であり、図11は、図10に示す本体カバー201を開放した状態を示す斜視図である。
本実施形態のプリンタ200は、記録ヘッドおよびインクタンクを搭載したキャリッジが走査のための移動をして記録を行う機構などプリンタの主要部分が、本体カバー201およびその他のケース部分によって覆われているプリンタ本体を備えたものである。また、その前後にそれぞれ設けられる排紙トレイ203と、自動給紙装置(ASF)202とを備えたものである。また、本体カバーを閉じた状態および開いた状態の両方で本プリンタの状態を表示するための表示器、電源スイッチおよびリセットスイッチを備えた操作部213が設けられている。
本体カバー201を開放した状態では、図11に示すように、ユーザは、記録ヘッドユニット105およびインクタンク1K、1Y、1M、1Cを搭載したキャリッジ205が移動する範囲およびその周辺を見ることができる。実際は本体カバー201を開けると、キャリッジ205が自動的に同図に示すほぼ中央の位置(以下、「タンク交換位置」ともいう)へ移動するシーケンスが実行され、ユーザはこのタンク交換位置でそれぞれのインクタンクの交換操作などを行うことができる。
本実施形態のプリンタは、記録ヘッドユニット105に各色のインクに対応したチップ形態の記録ヘッド(不図示)が設けられ、これら各色の記録ヘッドがキャリッジ205の移動によって用紙などの記録媒体に対して走査を行う。そして、この走査の間に記録媒体にインクを吐出して記録を行うものである。すなわち、キャリッジ205は、その移動方向に延在するガイド軸207と摺動可能に係合するとともに、キャリッジモータおよびその駆動力伝達機構によって、上述の移動をすることができる。そして、K、Y、M、Cのインクに対応したそれぞれの記録ヘッドでは、フレキシブルケーブル206を介して本体側の制御回路から送られる吐出データに基づいてインク吐出が行われる。また、紙送りローラや排紙ローラなどの紙送り機構が設けられ、自動給紙装置202から給紙された記録媒体(不図示)を排紙トレイ203まで搬送することができる。また、キャリッジ205には、インクタンクホルダを一体に備えた記録ヘッドユニット105が着脱自在に装着され、一方、この記録ヘッドユニット105に対してそれぞれのインクタンク1がカートリッジの形態にて着脱自在に装着される。すなわち、キャリッジ205に記録ヘッドユニット105を装着し、さらに記録ヘッドユニット105にインクタンク1を装着することが可能であり、本実施形態ではインクタンク1は記録ヘッドユニット105を介してキャリッジ205に着脱可能である。
記録動作では、記録ヘッドが上記の移動によって走査しその間にそれぞれの記録ヘッドから記録媒体にインクを吐出して記録ヘッドにおける吐出口に対応した幅の領域に記録を行う。それと共に、この走査と次の走査の間に、上記紙送り機構によって上記幅に応じた所定量の紙送りを行うことにより、記録媒体に対して順次記録を行ってゆく。また、上記のキャリッジ移動による記録ヘッドの移動範囲の端部には、各記録ヘッドについてその吐出口が配設された面を覆うキャップなどの吐出回復ユニットが設けられている。これにより、記録ヘッドは所定の時間間隔で回復ユニットが設けられた位置へ移動して、予備吐出などの回復処理を行う。
各インクタンク1のタンクホルダ部を備えた記録ヘッドユニット105には、前述したように、各インクタンクに対応してコネクタが設けられており、それぞれのコネクタは装着されるインクタンク1に設けられている基板のパッドと接触する。これにより、それぞれのLED101について、図17〜図19にて後述されるシーケンスに従った点灯ないし点滅の制御が可能となる。
具体的には、上記のタンク交換位置では、それぞれのインクタンク1についてインク残量が少なくなったとき、その該当するインクタンク1のLED101を点灯もしくは点滅させ、発光部122を点灯もしくは点滅させる。さらに、LEDの点灯などの制御の他の例として、上記タンク交換位置で、インクタンク1が正しく装着されたときにそのタンクのLED101を点灯させる制御を行う。これらの制御は、記録ヘッドのインク吐出などの制御と同様、フレキシブルケーブル206を介して本体側の制御回路からそれぞれのインクタンクに対して制御データ(制御信号)が送られることによって実行される。
2.制御系の構成
2.1 全体構成(図12)
図12は、上述したインクジェットプリンタの制御系の構成例を示すブロック図であり、プリンタ本体におけるPCB(プリント配線基板)形態の制御回路とそれによって制御される、インクタンクのLEDの発光などに関する構成を主に示している。
図12において、制御回路300は本プリンタに関するデータ処理および動作制御を実行する。具体的には、CPU301は、ROM303に格納されているプログラムに従い、図17〜図19にて後述される処理などを実行する。また、RAM302は、CPU301による処理実行の際に、ワークエリアとして用いられる。
図12において模式的に示すように、キャリッジ205に搭載された記録ヘッドユニット105は、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各インクを吐出する複数の吐出口が形成された記録ヘッド105´K、Y、M、Cを備えている。そして、記録ヘッドユニット105のホルダには、これらの記録ヘッドに対応してインクタンク1K、1Y、1M、1Cが着脱自在に搭載される。
それぞれのインクタンク1には、前述したように、LED101、その表示制御回路、および、接触端子であるパッドなどが設けられた基板100が取り付けられている。そして、インクタンク1が記録ヘッドユニット105に正しく装着されたとき、上記基板100上のパッドが記録ヘッドユニット105においてインクタンク1にそれぞれ対応して設けられたコネクタと接触する。また、キャリッジ205に設けられたコネクタ(不図示)と本体側の制御回路300とはフレキシブルケーブル206を介して信号接続する。さらに、キャリッジ205に記録ヘッドユニット105が装着されることにより、キャリッジ205の上記コネクタと記録ヘッドユニット105の上記コネクタとが信号接続する。以上の接続構成により、本体側の制御回路300とそれぞれのインクタンク1との間で信号の授受を行うことが可能となる。これにより、制御回路300は、図17〜図19にて後述されるシーケンスに従った点灯ないし点滅の制御を行うことができる。
記録ヘッド105´K、Y、M、Cにおけるインク吐出の制御についても、フレキシブルケーブル206、キャリッジ205のコネクタ、および記録ヘッドユニットのコネクタを介して行われる。それぞれの記録ヘッドに設けられた駆動回路などが、本体側の制御回路300と信号接続し、これにより、制御回路300はそれぞれの記録ヘッドにおけるインク吐出などを制御することができる。
キャリッジ205上のコネクタ基板163に設けられる第1受光部210は、インクタンク1のLED101からの発光を受けて、それに応じた信号をフレキシブルケーブル206を介して制御回路300へ出力する。制御回路300内ではまず、第1受光部210からの出力であるアナログ信号をA/D変換器304によってデジタル信号に変換してCPU301により信号処理される。
制御回路300は、後述のように、この信号に基づき、それぞれのインクタンク1のキャリッジ205における位置を判断することができる。また、キャリッジ205の移動経路に沿ってエンコーダスケール209が設けられるともに、キャリッジ205にはエンコーダセンサ211が設けられる。このセンサの検出信号はフレキシブルケーブル206を介して制御回路300に入力し、これにより、キャリッジ205の移動位置を知ることができる。さらに、キャリッジ205の移動範囲における所定の位置の近傍に設けられる第2発光/受光部214は、発光素子と受光素子とを有し、キャリッジ205に搭載されるそれぞれのインクタンク1のインク残量に係る信号を制御回路300に出力する。そして、制御回路300は、この信号に基づき、インク残量を検出することができる。
2.2 接続部の構成(図13〜図16)
図13は、フレキシブルケーブル206における、インクタンク1との信号接続のための信号配線の構成を、各インクタンクの基板100との関係で示す図である。
図13に示すように、インクタンク1に対する信号配線は、4本の信号線からなり、また、4つのインクタンク1に共通の信号配線(所謂バス接続)である。それぞれのインクタンク1に対する信号配線は以下の4本の信号線から構成される。インクタンクにおけるLED101の発光およびその駆動などを行う機能素子群103の動作などの電力供給にかかる電源信号線「VDD」およびアース信号線「GND」。さらに後述されるように、制御回路300から、LED101の点灯、点滅などの処理に関する制御信号(制御データ)などを送るための信号線「DATA」およびそのクロック信号線「CLK」である。本実施例においては4本の信号線による説明を行うが、本発明はこれに限定されるものでなく例えばアース信号を別構成で達成することにより「GND」線を省略することも可能である。また「CLK」と「DATA」の信号線を共有して一本で構成することも可能である。
一方、各インクタンク1の基板100には、これら4本の信号線の信号によって動作する制御部103およびそれによって動作するLED101が設けられている。
図14はこれら制御部などが設けられた基板の詳細を示す回路図である。同図に示すように、制御部103は、入出力制御回路(I/O CTRL)103A、メモリーアレイ103BおよびLEDドライバ103Cを有して構成される。入出力制御回路103Aは、本体側の制御回路300からフレキシブルケーブル206を介して送られてくる制御データに応じて、LED101の表示駆動やメモリーアレイ103Bに対するデータの書き込みおよび読み出しを制御する。メモリーアレイ103Bは、本実施形態ではEEPROMの形態のものであり、インク残量、収納するインクの色情報の他、そのインクタンクの固有番号や製造ロット番号などの製造情報等のインクタンク個体情報を記憶することができる。なお、色情報はインクタンクの出荷時または製造時に、その収納しているインクの色に対応して、メモリーアレイ103Bの所定のアドレスに書き込まれる。例えばこの色情報は、図15、図16にて後述されるように、インクタンクの識別情報(個体情報)として用いられる。これにより、インクタンクを特定してメモリーアレイ103Bに対するデータの書き込みやメモリーアレイ103Bからデータの読み出しを行い、また、そのインクタンクのLED101の点灯、消灯を制御することが可能となる。メモリーアレイ103Bに書き込まれ、また、読み出されるデータには、例えば、インク残量のデータがある。本実施形態のインクタンクには、図2に示したようにその底部にプリズム17が設けられ、インクの残量が少なくなったときはこのプリズムを介して光学的にその旨を検出することができる。本実施形態では、これに加え、制御回路300は、吐出データに基づいて記録ヘッドごとの吐出数をカウントし、それに基づいてインクタンクごとのインク残量を計算する。そして、この残量情報をそれぞれ対応するインクタンクのメモリーアレイ103Bに書き込み、また、読み出す処理を行う。これにより、メモリーアレイ103Bはその時点のインク残量の情報を保持することができる。そしてこの情報は、例えば、上記プリズムを用いたインク残量検出と併用したより精度の高い残量検出に用いられたり、装着されたインクタンクが新しいものか、あるいは一度用いられて再装着されたものであるかなどを判断するために用いられたりする。また、メモリーアレイ103Bには、インクタンク出荷時などにLED101の発光強度を予め測定しておき、LED101の駆動時などに発光強度を補正するために発光強度に関するデータを書き込んでおいても良い。
LEDドライバ103Cは、入出力制御回路103Aから出力される信号がオフ(ローレベル)のときLED101に電圧を印加するよう動作し、これにより、LED101を発光させる。従って、入出力制御回路103Aから出力される信号がオフの状態にあるとき、LED101は点灯状態となり、上記信号がオンの状態にあるとき、LED101は消灯状態となる。
図15は、上述したメモリーアレイ103Bに対するデータの書き込みおよび読み出しの動作をそれぞれ説明するためのタイミングチャートであり、図16は、LED101の点灯および消灯の動作をそれぞれ説明するタイミングチャートである。
図15に示すように、メモリーアレイ103Bへの書き込みでは、本体側の制御回路300からインクタンク1の制御部103における入出力制御回路103Aに対し、信号線DATA(図13)を介して各データ信号が送られて来る。各データ信号は「開始コード+色情報」、「制御コード」、「アドレスコード」、「データコード」であり、クロック信号CLKに同期してこの順で送られてくる。「開始コード+色情報」は、その「開始コード」信号によって、一連のデータ信号の始まりを意味し、また、「色情報」信号によってこの一連のデータ信号の対象となっているインクタンクを特定する。なお、ここでのインクの「色」とはY、M、C等のインク色だけでなく濃度の異なるインクをも含むものである。
「色情報」は、同図に示すように、インクの色「K」、「C」、「M」、「Y」に対応したコードを有している。入出力制御回路103Aは、このコードが示す色情報とメモリーアレイ103Bに格納されている自身の色情報とを比較し一致している時にのみ、それ以降のデータ信号を取り込む処理を行う。一致しないときは、それ以降のデータ信号の取り込みを無視する処理を行う。これにより、図13に示した共通の信号線「DATA」を介して、本体側からデータ信号をそれぞれのインクタンクに共通に送っても、それに上述の色情報を含めることによってインクタンクを特定することができる。そのため、書き込み、読み出し、LEDの点灯、消灯など、その後のデータ信号に基づく処理を、その特定したインクタンクに関してのみ行うことが可能となる。この結果、4つのインクタンクに対して共通の(1本の)データ信号線を介して送信されるデータによってデータの書き込みなどのほか、LEDの点灯、消灯の制御を行うことができ、これらの制御に要する信号線の数を本発明のように少なくすることが可能となる。なお、このような共通の(1本の)データ信号線を用いる構成は、インクタンクの数に限定されずに同じものとすることができることは、以上の説明からも明らかである。
本実施形態の「制御コード」は、図15に示すように、後述するLEDの点灯、消灯制御に用いられる「OFF」、「ON」のコードと、メモリーアレイに対する読み出しおよび書き込みを示すそれぞれ「READ」および「WRITE」のコードを有している。本書き込み動作では、「WRITE」のコードがインクタンクを特定する上記「色情報」のコードの後に続くことになる。次の「アドレスコード」は、書き込み先であるメモリーアレイのアドレスを示し、最後の「データコード」は書き込む内容を表している。
なお、「制御コード」が表す内容は上記の例に限られないことはもちろんであり、例えば、ベリファイコマンド、連続読み出しコマンドなどに関する制御コードを加えて用いることもできる。
読み出しでは、上記の書き込みの場合とデータ信号の構成は同じである。また、「開始コード+色情報」のコードは、上記の書き込みの場合と同様、総てのインクタンクの入出力制御回路103Aによって取り込まれ、それ以降のデータ信号は「色情報」が一致したインクタンクの入出力制御回路103Aだけが取り込む。異なる点は、アドレスコードによってアドレスを指定した後、最初のクロック(図15では13クロック目)の立ち上がりに同期して、読み出したデータの出力が行われる。複数のインクタンクのデータ信号端子が、このような共通の(1本の)データ信号線に接続されていても、読み出したデータが他の入力信号とぶつからないように入出力制御回路103Aが調停を行っているのである。
LED101の点灯または消灯では、図16に示すように、上記と同様、先ず、「開始コード+色情報」のデータ信号が、本体側から信号線DATAを介して入出力制御回路103Aに送られてくる。上述したように、「色情報」によってインクタンクが特定され、その後に送られてくる「制御コード」に基づくLED101の点灯、消灯は特定されたインクタンクのみで行われる。点灯、消灯にかかる「制御コード」は、図15にて上述したように、「ON」または「OFF」のコードがあり、「ON」によってLED101の点灯が行われ、「OFF」によって消灯が行われる。すなわち、制御コードが「ON」のとき、入出力制御回路103Aは、図14にて前述したように、LEDドライバ103Cに対してオフ信号を出力し、それ以降もその出力状態を維持する。逆に、制御コードが「OFF」のとき、入出力制御回路103Aは、LEDドライバ103Cに対してオン信号を出力し、それ以降もその出力状態を維持する。なお、LED101の点灯または消灯の実際のタイミングは、図16に示す各データ信号についてクロックCLKの7クロック目以降に行われる。
同図に示す例では、最初、同図の最左端のデータ信号にあるように、ブラックKのインクタンクが特定されて、インクKのタンクのLED101が点灯されている。次に、2番目のデータ信号の「色情報」はマゼンタインクMを指定するものであり、「制御コード」は点灯を指示するものであるから、インクKのタンクのLED101が点灯したまま、インクMのタンクのLED101も点灯する。そして、3番目のデータ信号は、インクKのタンクについて、「制御コード」が消灯を指示するものであるから、インクKのタンクについてのみそのLED101が消灯する。
LEDの点滅制御は、上記の説明からも分かるように、本体側の制御回路300が、点灯と消灯の「制御コード」をそれぞれ含むデータ信号をそのインクタンクを特定して送ることによって可能となる。その場合に、その信号を送る周期を定めることによって、点滅の周期を制御することができる。
2.3 制御手順(図17〜図21)
図17は、以上説明した本実施形態の構成に基づくインクタンクの着脱に関する制御手順を示すフローチャートであり、特に、本体側の制御回路300による各インクタンク1のLED101の点灯、消灯の制御を示すものである。
図17に示す処理は、ユーザが本実施形態のプリンタの本体カバー201を開いたとき、所定のセンサによってこれを検知して起動される処理である。本処理が起動されると、先ず、ステップS101で、インクタンク着脱処理を実行する。
図18は、このインクタンク着脱処理の詳細を示すフローチャートである。同図に示すように、着脱処理では、先ず、ステップS201で、キャリッジ205を移動するとともにそのとき搭載されているそれぞれのインクタンクについて状態情報(インクタンクの個体情報報)を取得する。取得される状態情報としてはそのときのインク残量などであり、これらがそのインクタンクの固有番号とともに、メモリーアレイ103Bから読み出される。そして、ステップS202で、キャリッジ205が図18にて説明したインクタンク交換位置に到達したか否かを判断する。
キャリッジ205がインクタンク交換位置に到達したと判断すると、ステップS203でインクタンク装着確認制御を行う。
図19は、この装着確認制御の詳細を示すフローチャートである。先ず、ステップS301で、キャリッジ205に搭載されるインクタンクの数を示すパラメータNを設定するとともに、このインクタンクの数に応じてLEDの発光を確認するためのフラグF(k)を初期化する。本実施形態では、Nとして、K、C、M、Yのインクタンクの数で4が設定される。これに従い、F(1)、k=1〜4、の4つのフラグが用意され、これらが総て初期化されてその内容が“0”とされる。
次に、ステップS302で上記フラグのインクタンクの装着判定順序に関る変数Aを1に設定し、ステップS303で、A番目のインクタンクについて装着確認制御を行う。この制御はユーザがインクタンクを正しい位置に装着することで、本体とインクタンクとが通信し、制御回路300が、色情報によってインクタンクを特定しつつ特定したタンクのメモリーアレイ103Dから色情報を順次読出す動作である。また、上記特定するための色情報は、それまでに既に読み出されているものについては、用いないことはもちろんである。さらに、本制御では、この読み出した色情報が、本処理が起動された後、それまでに読み出された色情報と異なるものか否かの判断も行う。
そして、ステップS304では、色情報を読み出すことができ、かつその色情報がそれまでに読み出されたものと異なるとき、その色情報のインクタンクがA番目のインクタンクとして装着されたと判断する。それ以外の場合は、A番目のインクタンクが装着されていないと判断する。尚、ここで説明するA番目というのは単にインクタンクの判定を行う順番を説明するものであり、インクタンクの装着位置を示す順番ではない。A番目のインクタンクの装着を判断した時は、S305で、そのフラグF(A)、すなわち、4つのフラグF(k)、k=1〜4のうち、k=Aに該当するフラグ(A)の内容を“1”とし、該当する色情報のインクタンク1の発光部122を点灯する。装着されていないと判断したときは、ステップS311で、そのフラグF(A)の内容を“0”とする。
次に、ステップS306で、変数Aを1インクリメントし、ステップS307で、この変数AがステップS301で設定したN(本実施形態のプリンタの場合はN=4)より大きいか否かを判断する。ここで、変数AがN以下であると判断したときは、ステップS303以降の処理を繰り返す。また、変数AがNより大きいと判断したときは、4つのインクタンク総てについて装着確認制御が終了したとして、ステップS308で、本体カバー201が開放された状態か否かを、上記のセンサの出力に基づいて判断する。すなわち、本体カバーが閉じた状態であるときは、ユーザが、例えば、インクタンクのいくつかを未装着あるいは装着が不完全なままカバーを閉じた可能性があるとして、ステップS312で異常状態のステータスを図18の処理ルーチンへ返して本処理を終了する。
ステップS308で、本体カバー201が開いた状態であると判断したときは、4つのフラグF(k)、k=1〜4、の総てについてその内容が“1”か否か、すなわち、総てのインクタンクについて、LED101の点灯がされたか否かを判断する。いずれかのインクタンクのLED101が点灯していないと判断したときは、ステップS302以降の処理を繰り返す。すなわち、ユーザが、LED101が点灯していないインクタンクについて、装着し、または装着動作をやり直し、そのインクタンクのLEDが点灯するまで、上記の処理を繰り返す。
総てのインクタンクのLEDが点灯されたと判断したときは、ステップS310で正常終了動作を行い、本処理を終了し、処理は図18に示す処理ルーチンに戻る。
再び、図18を参照すると、ステップS203のインクタンク装着確認制御を上記のように実行した後、ステップS204で、その制御正常終了したか否か、すなわち、正常にインクタンクが装着されたか否かを判断する。装着が正常と判断したときは、ステップS205で操作部213の表示器(図10、図11)を、例えばグリーンに点灯し、ステップS206で正常終了して図17に示す処理ルーチンに戻る。また、装着が異常と判断したときは、ステップS207で操作部213の表示器を、例えば、オレンジで点滅し、ステップS208で異常終了して図17に示す処理ルーチンに戻る。記録装置を制御するホストPCが接続されている場合は、同時にPCモニタを通して装着異常表示を行うこともできる。
図17において、ステップS101のインクタンク着脱処理を終了すると、ステップS102で、上記着脱処理が正常終了したか否かを判断する。異常終了であると判断したときは、ステップS108で、ユーザが本体カバー201を開けるのを待ち、カバー201が開けられたことによってステップS101の処理が起動され、図18にて説明した処理を繰り返す。
ステップS102で、着脱処理が正常に終了したと判断したときは、ステップS103の光認証処理に移行する。この際、点灯されているそれぞれのインクタンクのLED101を消灯する。
光認証処理は、正常に装着されたインクタンクそれぞれが正しい位置に装着されているか否かを判断する処理である。本実施形態では、インクタンクの装着位置について、例えば、インクタンクと装着位置の形状を他のインクのインクタンクが装着できないような形状とし、それぞれの色のインクタンクに対応して装着位置を定めるような構成をとらない。このことから、それぞれの色のインクタンクについて本来の位置でないところに誤って装着される可能性がある。このため、本光認証処理を行い、誤って装着されている場合は、ユーザにその旨を知らせるものである。これにより、特に、インクタンクの形状を色ごとに異ならせることなく、インクタンクの製造の効率化や低コスト化を図ることができる。
図20(a)〜(f)は、この光認証処理を説明する図である。
4色のインクタンク1K〜1Yの装着が完了したあと、図20(a)に示すように、先ず、ブラックインクタンク1KのLED101Kのみを発光制御する。この時、正しい装着位置に装着された場合はブラックの位置のホルダ150の開口161Kを通って第1受光部210に投光されるため、第1受光部210からの出力レベルは最も高いレベル4が得られる。ここでは便宜的に4種類の開口面積による減光によって得られる4段階の受光部出力レベルをレベル4〜1と表現する。
同様にして、図20(b)に示すように、シアンインクのインクタンク1Cについて発光制御し、正しい装着位置であれば開口161Cを通って第1受光部210に投光されるため、第1受光部210からの出力レベルはレベル3が得られる。以下同様にして、図20(c)、(d)に示すようにマゼンタインクタンク1M、イエローインクタンク1Yについても、正しい装着位置であればレベル2、レベル1の出力を得ることができる。図20(e)は、装着位置が正しい場合の、第1受光部210から得られる出力レベルを纏めて示したグラフである。
ここで、装着位置を間違えた場合を考える。図20(f)はマゼンタインクタンク1Mとシアンインクタンク1Cを入れ替えて装着してしまった場合を示す。インクタンク1Mはシアンの位置に装着されたのでLED101Mからの発光は開口161Cを通って第1受光部210に投光されるため、第1受光部210からの出力レベルはレベル3が得られる。同様にシアンインクタンク1Cからの発光によって第1受光部210からの出力レベルはレベル2が得られる。このことから、発光制御したインクタンクの個体情報と得られた第1受光部210からの出力レベルを参照することにより、インクタンクの装着位置を認識することができる。
以上説明した光認証処理を行うことにより、制御回路300は本来の位置に装着されていないインクタンクを特定することができる。また、出力レベルを検出することで、そのインクタンクを誤って何処の位置に装着してしまったかを特定することもできる。
また、LED101は元々、発光強度にある程度のばらつき幅を持っているが、インクタンクの出荷時に発光強度を測定しておき、前述のように制御部103内のEEPROMなどのメモリアレイ103B内に測定データを格納しておくこともできる。制御回路300は第1受光部210からの出力レベルを参照する時にこのLED発光強度測定データをメモリアレイから読み出し、第1受光部210からの出力レベルを補正することが可能である。これにより、さらに正確にインクタンクの装着位置を検出することが可能となり、特にインクタンクの数が多い機種では出力レベル値をさらに細かく設定することが必要であるため、有効である。
また、第1受光部にフォトトランジスタなどを使用した場合、その出力である光電流は部品個々のバラツキが大きい。図30は感度バラツキが2倍ある場合の第1受光部からの出力の差を説明する図である。図30(a)は第1受光部A(Aは部品個々の番号を示す)を用いた場合でインクタンク1K、C、M、Yの順に出力4、3、2、1(単位は任意)を得られたことを示す。図30(b)は第1受光部Aに対し受光感度が2分の1の第1受光部Bを用いた場合でインクタンク1K、C、M、Yの順に出力2、1.5、1、0.5を得られたことを示す。仮にこのように2倍の感度バラツキがあったとしても全インクタンクからの光量を測定後、各インクタンクから得られた光量の大小関係を調べて、相対的に比較を行い順位付けする処理を行えば、インクタンクの装着位置を特定することができる。
図31は他のインクタンク装着確認制御の実施例を説明するフローチャートである。前述の光認証処理はインクタンク着脱処理が完了したあとに一括して行う例を説明したが、1個ずつのインクタンクが装着された時に逐次、インクタンクの発光制御を行い、第1受光部210からの出力レベルを参照して光認証処理を行うことも可能である。こうすることで1個ずつインクタンク1を装着する度に装着位置を検出することができるため、早期に装着位置間違いをユーザに通知することができる。この場合には前述のように第1受光部の感度バラツキが大きい場合、インクタンクの位置を精度良く検出するためにはセンサーを選別するか、または記録装置に組込み後、感度を測定し記録装置内の不揮発メモリに記憶しておいて校正することが好ましい。
図17において、上述したステップS103の光認証処理の後、ステップS104でこの処理が正常終了したか否かを判断する。光認証が正常終了したと判断したときは、ステップS105で、操作部213の表示器を例えばグリーンに点灯して、本処理を終了する。一方、正常の終了でないと判断した時はステップS109で操作部213の表示器を例えばオレンジで点滅すると共に、ステップS110で、ステップS103で特定した、本来の正しい位置に装着されていないインクタンクのLED101を、点滅または点灯する。これにより、本来の正しい位置に装着されていないインクタンクを知ることができ、正しい位置への再装着を促すことができる。
図21は、本実施形態にかかる記録処理を示すフローチャートである。本処理では、先ず、ステップS401で、インク残量確認処理を行う。この処理は、これから記録しようとしているジョブについて、記録データからその記録量を求め、この量とそれぞれのインクタンクの残量とを比較して、上記ジョブの記録に十分な量があるか否かを確認する処理である。なお、この処理では、上記のインク残量は、制御回路300でそのときの残量としてカウントして求めたものを用いることができる。
ステップS402では、上記の確認処理に基づいて記録に必要なインク量があるか否かを判断する。十分なインク量があるときは、ステップS403で記録動作を行い、ステップS404で操作部213の表示器をグリーンに点灯して正常終了を行う。一方、ステップS402で十分なインク量がないと判断したときは、ステップS405で、操作部213の表示器をオレンジに点滅するとともに、ステップS406で、インク残量が少ないインクタンク1のLED101を点滅または点灯させて、異常終了する。記録装置を制御するホストPCが接続されている場合は、同時にPCモニタを通してインク残量表示を行うこともできる。
3.他の実施形態(図22〜図26)
図22〜図23は本発明の他の実施形態に係るインクタンク1の構成例を説明するための図である。図22はインクタンク1の側断面図である。インクタンク1のLED101の近傍には第1受光部210への側方の投光を導光する第2導光部材123が設けられている。図23(a)および(b)に示すように第2導光部材123は開口161の近傍にインクタンク装着時にその端面が位置するように設けられている。このように構成することで、LED101からの発光を効率良く、ホルダ150の開口161に導くことができる。
図24〜図25はホルダ150側の開口161から第1受光部210間にホルダ側導光部材164を設けた場合の例を説明する図である。図24は記録ヘッド105の正面図、図25はこのインクタンク1の発光、及び第1受光部210による受光の態様を説明する模式図である。
各色の開口161K〜Yの第1受光部210側にはアクリルなどの透明な樹脂により一体に構成された導光部材164が設けられている。これにより、各開口161K〜Yからの投光を効率良く第1受光部210に導くことができる。この構成にすることで、外光からの影響を防ぐために、ほぼ密閉状態の受光室160を設けることを不要とすることも可能となる。
また、ホルダ側導光部材164の代わりに光ファイバを4本、各開口161K〜Yと第1受光部210間に設けることでも、好適に各開口161K〜Yからの投光を効率良く第1受光部210に導くことができる。
また、本発明はキャリッジ上に搭載される記録ヘッドとは別体にインクタンクを記録装置の固定部位に取り付け、可撓性チューブを介してその固定インクタンクと記録ヘッドとを連結してインクを供給するチューブを用いる形態の連続供給方式に対しても適用できる。この形態において、インクタンクと記録ヘッドとの中間タンクとして機能するインクタンクが記録ヘッドないしキャリッジ上に搭載される構成であってもよい。
図26はかかる構成のインクジェット記録装置の一例を示す。
710はカセット形態の給紙トレイであり、ここに積載された記録媒体は1枚ずつ分離・送給され、折り返し状の搬送経路に沿って搬送されてキャリッジ803に搭載された記録ヘッド(不図示)による記録領域を通過した後、排紙トレイ703に排出される。キャリッジ803はガイド軸807によって支持・案内され、図の左右方向に移動して記録ヘッドの記録走査を行わせる。
キャリッジ803には、各色インク用の記録ヘッドが搭載されるとともに、各色インク用の記録ヘッドにはそれぞれ専用の中間(サブ)タンク(例えば、ブラック、シアン、マゼンタおよびイエローインク用のインクタンク811K〜811Y)が搭載される。また、これらの中間タンクには、装置の搭載部に着脱可能に設けられた比較的大容量の固定(メイン)タンク701K〜701Yからそれぞれのインクが供給される。また、850はキャリッジ803の移動に追従するフレキシブルな追従部であり、キャリッジに搭載される各記録ヘッド等に所要の電気信号を伝達する電気配線部のほか、各固定タンクから各中間タンクへのインク供給チューブ群をまとめて総括的に示すものである。また、供給チューブ群は、不図示の連通管を介して、固定タンクとインク連通している。
記録動作に関しては上述した実施形態と同様であるが、本例では、上述の発光部101と同様の機能を果たす発光部801を固定タンク701K〜701Yのそれぞれに設けてある。また、発光部801に対応して、記録装置の固定タンクホルダ(不図示)の一部に遮蔽板812を設け、各発光部801の近傍には夫々径の異なる開口813が設けられている。そして各開口813を通った各固定タンク701K〜701Yからの投光を受光する受光部810を記録装置内の固定タンクホルダ下方に搭載している。すなわち、これらの機構により、固定タンク701K〜701Yに関して、そのインク残量の有無や、装着の有無ないしは装着状態の良否につき、上述したのと同様、各固定タンクの状態を認識して所要の制御を行うことが可能となる。また、ユーザは発光部801の発光状態を視認することで、各固定タンクに関する情報を認識することができる。なお、固定タンクは着脱可能なものだけでなく、インク残量に応じてインクを補充することが可能な、実質的に半恒久的に取り付けられているものであってもよい。
さらに、このような構成は、チューブを用いた連続供給方式によるものだけではない。記録ヘッドに比較的少量のインクを貯留する貯留部を備えるとともに、その貯留部に対し比較的大量のインクを貯留する供給源から適切なタイミングで言わば間欠的にインクが供給されるように供給系を構成した方式のものに対しても適用が可能である。(間欠供給方式;所謂ピットイン供給方式)
その態様としては、中間タンクへのインク充填を行う際にのみ固定タンクとのインク供給系が空間的に接続される形態のものとすることができる。また、その接続構造に電磁弁等を介挿し、これを適宜開閉制御することによって、両タンク間を流体的に絶縁および接続するような構成を有するものであってもよい。また中間タンク部に気液分離膜(気体は通すが液体を通さない膜)を設け、その膜を介してタンク内のエアーを吸引することで中間タンク内にインク供給を行うピットイン方式にも適用可能である。
図27は本発明のさらに他の実施形態に係る記録ヘッドのインクタンクホルダの正面図である。開口部161Y、M、C、Kはそれぞれ、同じ面積の開口を夫々1、2、3、4個備えている。
図28は本発明のさらに他の実施形態に係る記録ヘッドのインクタンクホルダの正面図である。この例では各開口161は同じ開口面積で設けられているが、導光部材として、異なる本数の光ファイバ165を備えている。本実施例では光ファイバ165Y、M、C、Kはそれぞれ、同じ断面積の光ファイバを1、2、3、4本備える例を示している。これにより発行部と受光部との距離の差による受光量の影響を軽減することができ、各インクタンクの受光量の差を正確に識別することが可能となる。また外光の影響も軽減させることが可能となる。
図29は本発明のさらに他の実施形態に係る記録ヘッドのインクタンクホルダの正面図である。この例では各開口161は同じ開口面積で設けられているが、導光部材164の開口161の近傍の端面は異なる断面積を備えている。それにより受光量に差をもたせている。
以上の実施形態はインクタンクの制御部と記録装置の制御部間の通信にはインクタンク側の接点と記録装置側コネクタを介して接触して行われる例を示して説明してきたが、本発明はこの形態に限定されるものでは無い。例えばRFIDのような無線通信によってインクタンクと記録装置間の通信を行っても良い。