JP2007320129A - タイヤ構成部材の成形方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 タイヤサイズ毎に異なる寸法を持つ円筒状のタイヤ構成部材を成形する際の設備コストを低減することを可能にしたタイヤ構成部材の成形方法を提供する。
【解決手段】 回転軸が互いに平行に配置された少なくとも1本の成形ローラ1及び少なくとも1本の補助ローラ2と、これら成形ローラ1及び補助ローラ2の相対的な位置を調整する位置調整機構3と、成形ローラ1と対をなす圧着装置4とを備えた成形装置を用いたタイヤ構成部材の成形方法である。成形ローラ1及び補助ローラ2に円筒材5を掛け回し、成形ローラ1及び補助ローラ2の相互間隔を拡張することで円筒材5を成形ローラ1及び補助ローラ2に対して密着させ、円筒材5を回動させながら成形ローラ1と圧着装置4との間で円筒材5の外周面にシート材6を圧着する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、空気入りタイヤの構成部材を成形する方法に関し、更に詳しくは、タイヤサイズ毎に異なる寸法を持つ円筒状のタイヤ構成部材を成形する際の設備コストを低減することを可能にしたタイヤ構成部材の成形方法に関する。
円筒状のタイヤ構成部材を成形するための成形装置として、従来から拡縮自在の成形ドラムが使用されている。この成形ドラムは、環状に配置された複数枚の円弧状のプレートをドラム径方向に進退させることで外径を変化させるように構成され、その外径を拡げた状態で外周面上においてタイヤ構成部材を成形し、その外径を縮めた状態でタイヤ構成部材を取り外すようになっている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、円筒状のタイヤ構成部材はタイヤサイズ毎に異なる寸法を持っているため、拡縮自在の成形ドラムを用いてタイヤ構成部材を成形する場合、タイヤサイズ毎に成形ドラムを変更する必要があり、その設備コストが高くなるという問題がある。
また、成形ドラム上でインナーライナー層を構成する樹脂配合フィルム製の円筒材の外周面に例えば接着層を構成する他のシート材を圧着してタイヤ構成部材を成形する場合、円筒材とシート材との間にエア溜まりを生じ易いという欠点がある。つまり、拡縮自在の成形ドラムでは、プレート間に繋ぎ目や段差があるため、成形ドラムの外周側に配置された樹脂配合フィルム製の円筒材が繋ぎ目や段差の中に潜り込んでシート材との圧着が不十分になることがある。そして、インナーライナー層を構成する樹脂配合フィルム製の円筒材と接着層を構成するシート材との間にエア溜まりを生じると、タイヤの加硫直後に加熱されたエアが樹脂配合フィルムを膨らませて加硫故障を生じる原因となる。
更に、樹脂配合フィルム製の円筒材の外周面にシート材を貼り合わせる時には皺が発生しないように円筒材に適度なテンションを与えることが必要である。ところが、拡縮自在の成形ドラムの拡張時の外周長は予め決まっているのに対して、樹脂配合フィルム製の円筒材の内周長には若干のバラツキがあり、樹脂配合フィルム製の円筒材の内周長が成形ドラムの拡張時の外周長よりも大きい場合、シート材を貼り合わせる時に皺が発生し易いという欠点もある。
特開2001−219478号公報
本発明の目的は、タイヤサイズ毎に異なる寸法を持つ円筒状のタイヤ構成部材を成形する際の設備コストを低減することを可能にしたタイヤ構成部材の成形方法を提供することにある。
本発明の更なる目的は、円筒材とシート材との間におけるエア溜まりの発生や円筒材における皺の発生を防止することを可能にしたタイヤ構成部材の成形方法を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明のタイヤ構成部材の成形方法は、回転軸が互いに平行に配置された少なくとも1本の成形ローラ及び少なくとも1本の補助ローラと、これら成形ローラ及び補助ローラの相対的な位置を調整する位置調整機構と、前記成形ローラと対をなす圧着装置とを備えた成形装置を用いたタイヤ構成部材の成形方法であって、前記成形ローラ及び前記補助ローラに円筒材を掛け回し、前記成形ローラ及び前記補助ローラの相互間隔を拡張することで前記円筒材を前記成形ローラ及び前記補助ローラに対して密着させ、前記円筒材を回動させながら前記成形ローラと前記圧着装置との間で前記円筒材の外周面にシート材を圧着することを特徴とするものである。
本発明によれば、成形ローラ及び補助ローラの相対的な位置を任意に調整することで、寸法が異なる複数種類の円筒状タイヤ構成部材を同一の成形装置で成形することが可能である。そのため、タイヤサイズ毎に異なる寸法を持つ円筒状のタイヤ構成部材を成形する際に成形装置を共通化し、その設備コストを低減することができる。
また、従来の拡縮自在の成形ドラムとは異なって、成形ローラの表面には繋ぎ目や段差が形成されないため、円筒材とシート材との圧着状態を良好にして円筒材とシート材との間におけるエア溜まりの発生を防止することができる。しかも、成形ローラ及び補助ローラの相互間隔を拡張することで円筒材を成形ローラ及び補助ローラに対して密着させるので、円筒材における皺の発生も防止することができる。
本発明において、円筒材は円筒状に成形された樹脂配合フィルムを含むことが好ましい。つまり、円筒材は樹脂配合フィルムの単層体又は少なくとも1層の樹脂配合フィルムを含む積層体であると良い。樹脂配合フィルムはヤング率が1MPa〜500MPaで厚さが0.01mm〜3mmであると良い。このようなヤング率及び厚さを備えた樹脂配合フィルムはインナーライナー層として好ましく使用されるが、従来の拡縮自在の成形ドラムを用いて他のシート材を貼り合わせるとエア溜まりや皺を生じ易いので、上記成形方法を適用することで顕著な作用効果が得られる。また、上記ヤング率及び厚さを備えた樹脂配合フィルムは剛性が高いため、成形ローラ及び補助ローラの相互間隔を拡張した際に円筒材が弛むこともない。
円筒材は円筒状に成形されたゴム材であっても良い。但し、ゴム材の場合、成形ローラ及び補助ローラの相互間隔を拡張した際に円筒材が弛む可能性がある。そのため、ゴム材は50%伸張時のモジュラスが0.05MPa〜5MPaで厚さが0.2mm〜5mmであることが好ましい。或いは、ゴム材は円筒状に成形されたコード入りのゴム材であることが好ましい。なお、ゴム材の50%伸張時のモジュラスは、未加硫状態のゴム組成物を100℃で5分間、プレス加硫し、厚さ2mmのシートに成形し、このシートから3号ダンベル状の試験片を打ち抜き、この試験片を用いてJIS K6251に準拠して測定されるものとする。
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明のタイヤ構成部材の成形方法を実施するための成形装置の一例を概略的に示す斜視図であり、図2はその側面図である。図1に示すように、この成形装置は、回転軸が互いに平行に配置された成形ローラ1及び補助ローラ2と、これら成形ローラ1及び補助ローラ2の相対的な位置を調整する位置調整機構3と、成形ローラ1と対をなす圧着装置4とを備えている。円筒材5は成形ローラ1及び補助ローラ2に跨がるように掛け回され、シート材6は成形ローラ1と圧着装置4との間で円筒材5の外周面に圧着されるようになっている。
成形ローラ1及び補助ローラ2は、それぞれ少なくとも1本必要であるが、それぞれ複数本としても良い。成形ローラ1及び補助ローラ2の材質は特に限定されるものではなく、金属材料や樹脂材料等から構成することができる。これら成形ローラ1及び補助ローラ2の外周面は平滑であり、繋ぎ面や段差を実質的に有していない。但し、0.5mm以下のような無視できるほど小さい段差は存在していても差し支えない。
成形ローラ1及び補助ローラ2は、好ましくは回転軸が水平方向となるように配置されるが、両者の位置関係は特に限定されるものではない。例えば、図示のように、成形ローラ1を補助ローラ2よりも上方に配置する他、成形ローラ1を補助ローラ2よりも下方に配置したり、成形ローラ1と補助ローラ2を同一高さ位置に配置することができる。
成形ローラ1及び補助ローラ2の長さは特に限定されるものではないが、成形対象とする円筒材5やシート材6の幅よりも長いことが好ましい。また、円筒材5とシート材6との圧着状態を良好にするために成形ローラ1の外径を補助ローラ2の外径よりも大きくすることが好ましい。
位置調整機構3は、成形ローラ1及び補助ローラ2の相対的な位置を調整する機能を有するものであれば、その構成が特に限定されるものではない。
圧着装置4は、各成形ローラ1に対して設置されている。圧着装置4としては、図示のような圧着ローラを用いることが好ましいが、コンベアベルトや単なる押圧部材を用いても良い。
円筒材5としては、円筒状に成形された樹脂配合フィルムの単層体又は少なくとも1層の樹脂配合フィルムを含む積層体を使用することができる。樹脂配合フィルムは、熱可塑性樹脂で構成されるフィルム又は熱可塑性樹脂中にエラストマーを分散させたフィルムである。
円筒材5に使用する樹脂配合フィルムは、ヤング率が1MPa〜500MPa、より好ましくは10MPa〜300MPaで、厚さが0.01mm〜3mm、より好ましくは0.05mm〜2.5mmであると良い。樹脂配合フィルムのヤング率が低過ぎると剛性低下により円筒材5が弛み易くなり、逆にヤング率が高過ぎるとタイヤ構成部材として好ましくない。また、樹脂配合フィルムが薄過ぎると剛性低下により円筒材5が弛み易くなり、逆に厚過ぎるとタイヤ質量の増大要因となる。
円筒材5として、円筒状に成形されたゴム材を使用しても良い。円筒材5にゴム材を使用する場合、成形ローラ1及び補助ローラ2の相互間隔を拡張した際に円筒材5が弛む可能性がある。そのため、円筒材5に使用するゴム材は、50%伸張時のモジュラスが0.05MPa〜5MPa、より好ましくは0.1MPa〜5MPaで、厚さが0.2mm〜5mm、より好ましくは0.5mm〜5mmであると良い。また、円筒材5に使用するゴム材は円筒状に成形されたコード入りのゴム材でも良い。
上記円筒材5は、加硫後の空気入りタイヤにおいて、例えば、樹脂配合フィルム製のインナーライナー層、ブチルゴム製のインナーライナー層、タイゴム層、カーカス層、サイドゴム層(リムクッションを含む)を構成するための材料である。
一方、シート材6としては、シート状に成形された樹脂配合フィルムの単層体又は少なくとも1層の樹脂配合フィルムを含む積層体を使用することができる。樹脂配合フィルムは、熱可塑性樹脂で構成されるフィルム又は熱可塑性樹脂中にエラストマーを分散させたフィルムである。シート材6として、シート状に成形されたゴム材又はコード入りゴム材を使用しても良い。
上記シート材6は、加硫後の空気入りタイヤにおいて、例えば、樹脂配合フィルム製のインナーライナー層、ブチルゴム製のインナーライナー層、タイゴム層、カーカス層、サイドゴム層(リムクッションを含む)を構成するための材料である。
円筒材5とシート材6として、例えば、表1のような組み合わせを例示することができる。なお、表1に示す円筒材及びシート材には別の部材を予め貼り合わせることも可能である。
Figure 2007320129
上記成形装置を用いてタイヤ構成部材を成形する場合、先ず、成形ローラ1及び補助ローラ2に円筒材5を掛け回し、位置調整機構3により成形ローラ1及び補助ローラ2の相互間隔を拡張することで円筒材5を成形ローラ1及び補助ローラ2に対して密着させる。次いで、成形ローラ1及び補助ローラ2の少なくとも一方を不図示の駆動手段により回転させることにより円筒材5を回動させ、その状態でシート材6を円筒材5の外周面上に供給し、成形ローラ1と圧着装置4との間で円筒材5の外周面にシート材6を圧着する。
上記タイヤ構成部材の成形方法において、シート材6を円筒材5の外周面上に供給する位置は成形ローラ1の位置である必要はなく、図3のように成形ローラ1と補助ローラ2との中間位置でも良い。また、円筒材5の外周面には図示のように円筒材5と同幅のシート材6を巻き付けても良いが、円筒材5よりも狭幅であるストリップ状のシート材6を円筒材5の外周面に対して螺旋状に巻き付けたり、円筒材5よりも狭幅であるストリップ状のシート材6を円筒材5の外周面に対して局部的に巻き付けるようにしても良い。
上述したタイヤ構成部材の成形方法によれば、成形ローラ1及び補助ローラ2の相対的な位置を任意に調整することにより、寸法が異なる複数種類の円筒状タイヤ構成部材を同一の成形装置で成形することが可能である。そのため、タイヤサイズ毎に異なる寸法を持つ円筒状のタイヤ構成部材を成形する際の設備コストを低減することができる。
また、従来の拡縮自在の成形ドラムとは異なって、成形ローラ1の表面には繋ぎ目や段差が存在しないため、円筒材5とシート材6との圧着状態を良好にして円筒材5とシート材6との間にエア溜まりが生じるのを防止することができる。しかも、成形ローラ1及び補助ローラ2の相互間隔を拡張することで円筒材5を成形ローラ1及び補助ローラ2に対して密着させるので、円筒材5の周長にバラツキがある場合でも円筒材5における皺の発生も防止することができる。
以下に、本発明で使用される樹脂配合フィルムについて説明する。この樹脂配合フィルムは、熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂中にエラストマーをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物から構成することができる。
本発明で使用される熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド系樹脂〔例えばナイロン6(N6)、ナイロン66(N66)、ナイロン46(N46)、ナイロン11(N11)、ナイロン12(N12)、ナイロン610(N610)、ナイロン612(N612)、ナイロン6/66共重合体(N6/66)、ナイロン6/66/610共重合体(N6/66/610)、ナイロンMXD6、ナイロン6T、ナイロン6/6T共重合体、ナイロン66/PP共重合体、ナイロン66/PPS共重合体〕、ポリエステル系樹脂〔例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、ポリブチレンテレフタレート/テトラメチレングリコール共重合体、PET/PEI共重合体、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、液晶ポリエステル、ポリオキシアルキレンジイミドジ酸/ポリブチレンテレフタレート共重合体などの芳香族ポリエステル〕、ポリニトリル系樹脂〔例えばポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS)、メタクリロニトリル/スチレン共重合体、メタクリロニトリル/スチレン/ブタジエン共重合体〕、ポリ(メタ)アクリレート系樹脂〔例えばポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル、エチレンエチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレンアクリル酸共重合体(EAA)、エチレンメチルアクリレート樹脂(EMA)〕、ポリビニル系樹脂〔例えば酢酸ビニル(EVA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルアルコール/エチレン共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニリデン/メチルアクリレート共重合体〕、セルロース系樹脂〔例えば酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース〕、フッ素系樹脂〔例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロルフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフロロエチレン/エチレン共重合体(ETFE)〕、イミド系樹脂〔例えば芳香族ポリイミド(PI)〕などを挙げることができる。
本発明で使用されるエラストマーとしては、例えば、ジエン系ゴム及びその水素添加物〔例えばNR、IR、エポキシ化天然ゴム、SBR、BR(高シスBR及び低シスBR)、NBR、水素化NBR、水素化SBR〕、オレフィン系ゴム〔例えばエチレンプロピレンゴム(EPDM、EPM)、マレイン酸変性エチレンプロピレンゴム(M−EPM)〕、ブチルゴム(IIR)、イソブチレンと芳香族ビニル又はジエン系モノマー共重合体、アクリルゴム(ACM)、アイオノマー、含ハロゲンゴム〔例えばBr−IIR、Cl−IIR、イソブチレンパラメチルスチレン共重合体の臭素化物(Br−IPMS)、クロロプレンゴム(CR)、ヒドリンゴム(CHC,CHR)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、塩素化ポリエチレン(CM)、マレイン酸変性塩素化ポリエチレン(M−CM)〕、シリコーンゴム(例えばメチルビニルシリコーンゴム、ジメチルシリコーンゴム、メチルフェニルビニルシリコーンゴム)、含イオウゴム(例えばポリスルフィドゴム)、フッ素ゴム(例えばビニリデンフルオライド系ゴム、含フッ素ビニルエーテル系ゴム、テトラフルオロエチレン−プロピレン系ゴム、含フッ素シリコン系ゴム、含フッ素ホスファゼン系ゴム)、熱可塑性エラストマー(例えばスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー)などを挙げることができる。
本発明で使用される熱可塑性エラストマー組成物において、熱可塑性樹脂成分(A)とエラストマー成分(B)との組成比は、フィルムの厚さや柔軟性のバランスで適宜決めればよいが、好ましい範囲は10/90〜90/10、更に好ましくは20/80〜85/15(重量比)である。
本発明に係る熱可塑性エラストマー組成物には、上記必須成分(A)及び(B)に加えて第三成分として、相溶化剤などの他のポリマー及び配合剤を混合することができる。他のポリマーを混合する目的は、熱可塑性樹脂成分とエラストマー成分との相溶性を改良するため、材料のフィルム成形加工性を良くするため、耐熱性向上のため、コストダウンのため等であり、これに用いられる材料としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS、SBS、ポリカーボネート等が挙げられる。
上記熱可塑性エラストマー組成物は、予め熱可塑性樹脂とエラストマー(ゴムの場合は未加硫物)とを2軸混練押出機等で溶融混練し、連続相を形成する熱可塑性樹脂中にエラストマー成分を分散させることにより得られる。エラストマー成分を加硫する場合には、混練下で加硫剤を添加し、エラストマーを動的に加硫させても良い。また、熱可塑性樹脂またはエラストマー成分への各種配合剤(加硫剤を除く)は、上記混練中に添加しても良いが、混練の前に予め混合しておくことが好ましい。熱可塑性樹脂とエラストマーの混練に使用する混練機としては、特に限定はなく、スクリュー押出機、ニーダ、バンバリミキサー、2軸混練押出機等が挙げられる。中でも樹脂成分とゴム成分の混練およびゴム成分の動的加硫には2軸混練押出機を使用するのが好ましい。さらに、2種類以上の混練機を使用し、順次混練してもよい。溶融混練の条件として、温度は熱可塑性樹脂が溶融する温度以上であれば良い。また、混練時の剪断速度は2500〜7500sec-1であるのが好ましい。混練全体の時間は30秒から10分、また加硫剤を添加した場合には、添加後の加硫時間は15秒から5分であるのが好ましい。上記方法で作製された熱可塑性エラストマー組成物は、樹脂用押出機による成形またはカレンダー成形によってフィルム化される。フィルム化の方法は、通常の熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーをフィルム化する方法によれば良い。
このようにして得られる熱可塑性エラストマー組成物の薄膜は、熱可塑性樹脂のマトリクス中にエラストマーが不連続相として分散した構造をとる。かかる状態の分散構造を採ることにより、ヤング率を1〜500MPaの範囲に設定し、タイヤ構成部材として適度な剛性を付与することが可能になる。
上記熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマー組成物はシート又はフィルムに成形して単体でタイヤ内部に埋設することが可能であるが、隣接するゴムとの接着性を高めるために接着層を積層しても良い。この接着層を構成する接着用ポリマーの具体例としては、分子量100万以上、好ましくは300万以上の超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、エチレンエチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレンメチルアクリレート樹脂(EMA)、エチレンアクリル酸共重合体(EAA)等のアクリレート共重合体類及びそれらの無水マレイン酸付加物、ポリプロピレン(PP)及びそのマレイン酸変性物、エチレンプロピレン共重合体及びそのマレイン酸変性物、ポリブタジエン系樹脂及びその無水マレイン酸変性物、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SEBS)、フッ素系熱可塑性樹脂、ポリエステル系熱可塑性樹脂などを挙げることができる。これらは常法に従って例えば樹脂用押出機によって押し出してシート状又はフィルム状に成形することができる。接着層の厚さは特に限定されないが、タイヤ軽量化のためには厚さが少ない方がよく、5μm〜150μmが好ましい。
回転軸が互いに平行に配置された少なくとも1本の成形ローラ及び少なくとも1本の補助ローラと、これら成形ローラ及び補助ローラの相対的な位置を調整する位置調整機構と、成形ローラと対をなす圧着装置とを備えた成形装置を用いて、円筒材と該円筒材に貼り合わせるシート材の種類を表2のように異ならせて種々のタイヤ構成部材を成形した(実施例1〜7)。比較のため、拡縮自在の成形ドラムを用いてタイヤ構成部材を成形した(従来例)。
これら実施例1〜7及び従来例のタイヤ構成部材の成形方法について、下記の方法により、タイヤサイズ変更への対応性、円筒材の周長バラツキへの対応性、部材間の圧着状態を評価し、その結果を表2に併せて示した。
タイヤサイズ変更への対応性:
タイヤサイズを195/65R15から205/55R16に変更した場合のタイヤ構成部材の成形能力を評価した。評価結果は、以下の基準にて示した。
○:ローラの段替不要でローラ間隔の調整により変更したサイズのタイヤ構成部材を成 形することができる。
×:成形ドラムの段替により変更したサイズのタイヤ構成部材の成形が可能になる。
円筒材の周長バラツキへの対応性:
円筒材の周長が設計値の1220mmよりも30mm長い場合のタイヤ構成部材の成形能力を評価した。評価結果は、以下の基準にて示した。
○:ローラ間隔の調整により周長バラツキに対応でき、問題なくタイヤ構成部材を成形 することができる。
×:円筒材が成形ドラムの表面に密着せず、タイヤ構成部材の成形ができない。
部材間の圧着状態:
○:部材間にエア溜まりが全く存在しない。
×:部材間のドラム段差箇所に対応する部位にエア溜まりが存在する。
Figure 2007320129
この表2から明らかなように、実施例1〜7では、従来例とは異なって、タイヤサイズ変更への対応性、円筒材の周長バラツキへの対応性、部材間の圧着状態がいずれも良好であった。
本発明のタイヤ構成部材の成形方法を実施するための成形装置の一例を概略的に示す斜視図である。 図1の成形装置の側面図である。 図1の成形装置について、ローラの配置及びシート材の供給位置を異ならせた状態を示す側面図である。
符号の説明
1 成形ローラ
2 補助ローラ
3 位置調整機構
4 圧着装置
5 円筒材
6 シート材

Claims (6)

  1. 回転軸が互いに平行に配置された少なくとも1本の成形ローラ及び少なくとも1本の補助ローラと、これら成形ローラ及び補助ローラの相対的な位置を調整する位置調整機構と、前記成形ローラと対をなす圧着装置とを備えた成形装置を用いたタイヤ構成部材の成形方法であって、前記成形ローラ及び前記補助ローラに円筒材を掛け回し、前記成形ローラ及び前記補助ローラの相互間隔を拡張することで前記円筒材を前記成形ローラ及び前記補助ローラに対して密着させ、前記円筒材を回動させながら前記成形ローラと前記圧着装置との間で前記円筒材の外周面にシート材を圧着することを特徴とするタイヤ構成部材の成形方法。
  2. 前記円筒材が円筒状に成形された樹脂配合フィルムを含むことを特徴とする請求項1に記載のタイヤ構成部材の成形方法。
  3. 前記樹脂配合フィルムのヤング率が1MPa〜500MPaで厚さが0.01mm〜3mmであることを特徴とする請求項2に記載のタイヤ構成部材の成形方法。
  4. 前記円筒材が円筒状に成形されたゴム材であることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ構成部材の成形方法。
  5. 前記ゴム材の50%伸張時のモジュラスが0.05MPa〜5MPaで厚さが0.2mm〜5mmであることを特徴とする請求項4に記載のタイヤ構成部材の成形方法。
  6. 前記ゴム材が円筒状に成形されたコード入りのゴム材であることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ構成部材の成形方法。
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