JP2007312683A - 成熟樹状細胞の生産方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】共通に単球を起源とするDC1およびDC2を効率よく生産する方法を提供すること、創薬標的となるDC由来のTh1またはTh2応答への偏向誘導因子の同定方法を提供すること、また、該同定方法により同定された遺伝子を用いたTh1またはTh2応答への偏向誘導阻害剤の同定方法を提供すること。
細胞内の化合物量を簡便かつ精度良く測定できる方法を提供すること。
【解決手段】単球由来の未成熟DCをリポポリサッカライドおよび抗CD40抗体存在下で培養することにより、共通に単球を由来とする、Th1応答への偏向を誘導する活性を有する細胞またはTh2応答への偏向を誘導する活性を有する細胞を生産できることを見出した。さらには、得られた細胞の発現遺伝子解析を行い、それぞれの細胞において優位に発現している遺伝子を明らかにするとともに、該遺伝子を用いたTh1またはTh2応答への偏向誘導因子阻害剤の同定方法を確立した。
【選択図】 なし

Description

本発明は、成熟樹状細胞を生産する方法に関する。より詳細には、単球を用いた、Tヘルパー1応答への偏向を誘導する活性を有する樹状細胞およびTヘルパー2応答への偏向を誘導する活性を有する樹状細胞の生産方法に関する。さらには、前記樹状細胞を用いるTヘルパー1またはTヘルパー2応答への偏向誘導に関与する因子の同定方法、および該同定方法により同定された因子、また、該因子を阻害することを特徴とするTヘルパー1またはTヘルパー2応答偏向への誘導阻害剤の同定方法に関する。
T細胞は、表面にT細胞受容体(TCR)と呼ばれる抗原受容体を発現する細胞として定義され、獲得免疫系において中心的な役割を果たす。T細胞は、主に、ヘルパーT細胞とキラーT細胞の2種類の機能集団に分類され、さらに、ヘルパーT細胞は、産生するサイトカインの種類によって、Tヘルパー1(Th1)細胞とTヘルパー2(Th2)細胞の2種類の亜群に分類される。Th1細胞はインターフェロンγを産生することを特徴として、主に細胞性免疫に関与し、Th2細胞はインターロイキン(IL)−4を産生することを特徴として、主に液性免疫に関与する。
Th1細胞とTh2細胞は共通して、胸腺から移出したナイーブT細胞を起源とし、抗原提示細胞からの刺激により分化誘導される。このようなTh1細胞とTh2細胞のそれぞれへの分化において重要な役割を果たす抗原提示細胞としては、樹状細胞(dendritic cell:DC)が知られている。DCは、リンパ系器官だけでなく生体内の種々の組織や器官に広く分布する最も強力な抗原提示細胞である。
DCにはその分化経路の相違により、マクロファージなどの食細胞に近い細胞群であるミエロイド系と、T、B、NK細胞などリンパ球と同一の前駆細胞から分化してくるリンパ球系が存在することが知られている。従来、ミエロイド系DCは種々の刺激により多量のIL−12を産生し、Th1細胞を誘導することが知られてきた。これに対し、リンパ球系DCはIL−12産生能が低いことが知られてきた。近年、Rissoanらは、リンパ球系細胞であるplasmacytoid cell由来のDCがTh2細胞への分化誘導能を有することを明らかにし、ミエロイド系DCをTh1細胞を誘導するDC亜群としてDC1、リンパ球系DCをTh2細胞を誘導するDC亜群としてDC2と定義した(非特許文献1)。
しかし、単球由来樹状細胞においても、プロスタグランジンE処理したものではIL−12の産生は抑制され、Th2細胞を誘導することが示されており(非特許文献2)、また、Ebnerらは、IL−3存在下で培養した単球からDC2作用を有する細胞を誘導できることを報告した(非特許文献3)。これらの報告から、生体内におけるDC亜群への分化は、細胞の起源のみに依存するのではなく、DCが成熟化していく過程における環境も深く関与していると考えられるようになった。
前述のとおり、Th1細胞とTh2細胞は共通してナイーブT細胞を起源としている。そのため、Th1細胞あるいはTh2細胞のいずれかが優位に誘導されてTh1細胞とTh2細胞のバランスが崩れると、様々な病態が生じると考えられている。例えば、Th1細胞優位の場合はリンパ球やマクロファージなど単核細胞中心の炎症反応が起こりやすいため、リウマチなどの自己免疫疾患が生じやすく、Th2細胞優位の場合は、IgEの過剰産生によるアレルギー疾患が生じやすいと考えられている。
Th1細胞およびTh2細胞をそれぞれ効果的に誘導する細胞は、前述の通り、それぞれDC1とDC2であると考えられているため、DC1とDC2によるTh1細胞あるいはTh2細胞誘導のメカニズムを解明することは、Th1またはTh2応答への偏向に起因する病態の予防や治療に結びつくと考えられている。そのため、DC1またはDC2由来の、Th1またはTh2応答への偏向誘導因子を見出だす目的で、DC1とDC2における発現遺伝子を比較する試みがこれまでにも行われてきた(非特許文献4)。しかし、多くが単球由来の成熟DCとリンパ球系成熟DCとの比較という形で行われたため、ミエロイド系とリンパ球系という系統差に由来すると考えられる遺伝子が発現相違遺伝子として見出だされるなどしてDC由来のTh1またはTh2応答への偏向誘導因子、さらには、有用なDC1およびDC2の発現遺伝子プロファイルが得られるには到っていない。
Rissoan M-L et al. Science, 283, 1183-1186 (1999) Kalinski P. et al. J. Immun., 159, 28-35 (1997) Ebner S. et al. J. Immun., 168, 6199-6207 (2002) Rissoan M-L et al. Blood, 100, 3295-3303 (2002)
本発明は、共通に単球を起源とするDC1およびDC2を効率よく生産する方法を提供するものである。さらには、創薬標的となるDC由来のTh1またはTh2応答への偏向誘導因子の同定方法を提供するものである。また、該同定方法により同定された遺伝子を用いたTh1またはTh2応答への偏向誘導阻害剤の同定方法を提供するものである。
本発明者は鋭意検討を重ねた結果、単球由来の未成熟DCをリポポリサッカライド(LPS)および抗CD40抗体存在下で培養することにより、共通に単球を由来とする、Th1応答への偏向を誘導する活性を有する細胞(以下、DC1作用を有する細胞と称することがある。)またはTh2応答への偏向を誘導する活性を有する細胞(以下、DC2作用を有する細胞と称することがある。)を生産できることを見出した。さらには、得られたDC1作用を有する細胞とDC2作用を有する細胞の発現遺伝子の比較を行い、それぞれの細胞において優位に発現している遺伝子を明らかにするとともに、該遺伝子を用いたTh1またはTh2応答への偏向誘導因子阻害剤の同定方法を確立し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、リポポリサッカライド(LPS)および抗CD40抗体存在下で培養する工程を含む単球由来の未成熟樹状細胞の成熟化方法に関する。
また、単球由来の未成熟樹状細胞をリポポリサッカライド(LPS)および抗CD40抗体存在下で培養する工程を含む成熟樹状細胞の生産方法に関する。
さらに、単球由来の未成熟樹状細胞をリポポリサッカライド(LPS)および抗CD40抗体存在下で培養する工程を含むCD25、CD83、CD86およびHLA−DR陽性細胞の生産方法に関する。
また、抗CD40抗体が固相化されたものである上記方法に関する。
さらに、次の工程を含む成熟樹状細胞の生産方法に関する。1)単球をインターロイキン4(IL−4)および顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)存在下で培養する工程、2)1)で得られた細胞をリポポリサッカライド(LPS)および抗CD40抗体存在下で培養する工程。
また、次の工程を含むインターロイキン12(IL−12)産生能を有する細胞の生産方法に関する。1)単球をインターロイキン4(IL−4)および顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)存在下で培養する工程、2)1)で得られた細胞をリポポリサッカライド(LPS)および抗CD40抗体存在下で培養する工程。
さらに、次の工程を含むTヘルパー1(Th1)応答への偏向を誘導する活性を有する細胞の生産方法に関する。1)単球をインターロイキン4(IL−4)および顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)存在下で培養する工程、2)1)で得られた細胞をリポポリサッカライド(LPS)および抗CD40抗体存在下で培養する工程。
また、次の工程を含むCD1a陽性細胞の生産方法に関する。1)単球をインターロイキン4(IL−4)および顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)存在下で培養する工程、2)1)で得られた細胞をリポポリサッカライド(LPS)および抗CD40抗体存在下で培養する工程。
さらに、次の工程を含むCD25、CD83、CD86、CD1aおよびHLA−DR陽性細胞の生産方法に関する。1)単球をインターロイキン4(IL−4)および顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)存在下で培養する工程、2)1)で得られた細胞をリポポリサッカライド(LPS)および抗CD40抗体存在下で培養する工程。
また、次の工程を含む、リンパ球混合反応(MLR)においてナイーブT細胞に対して増殖能を誘導する活性を有する細胞の生産方法に関する。1)単球をインターロイキン4(IL−4)および顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)存在下で培養する工程、
2)1)で得られた細胞をリポポリサッカライド(LPS)および抗CD40抗体存在下で培養する工程。
さらに、次の工程を含むDC1の生産方法に関する。1)単球をインターロイキン4(IL−4)および顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)存在下で培養する工程、
2)1)で得られた細胞をリポポリサッカライド(LPS)および抗CD40抗体存在下で培養する工程。
また、抗CD40抗体が固相化されたものである上記方法に関する。
さらに、次の工程を含む成熟樹状細胞の生産方法に関する。1)単球をインターロイキン4(IL−4)およびインターロイキン3(IL−3)存在下で培養する工程、2)1)で得られた細胞をリポポリサッカライド(LPS)および抗CD40抗体存在下で培養する工程。
また、次の工程を含むTヘルパー2(Th2)応答への偏向を誘導する活性を有する細胞の生産方法に関する。1)単球をインターロイキン4(IL−4)およびインターロイキン3(IL−3)存在下で培養する工程、2)1)で得られた細胞をリポポリサッカライド(LPS)および抗CD40抗体存在下で培養する工程。
さらに、次の工程を含むCD25、CD83、CD86およびHLA−DR陽性細胞の生産方法に関する。1)単球をインターロイキン4(IL−4)およびインターロイキン3(IL−3)存在下で培養する工程、2)1)で得られた細胞をリポポリサッカライド(LPS)および抗CD40抗体存在下で培養する工程。
また、次の工程を含む、リンパ球混合反応(MLR)においてナイーブT細胞に対して増殖能を誘導する活性を有する細胞の生産方法に関する。1)単球をインターロイキン4(IL−4)およびインターロイキン3(IL−3)存在下で培養する工程、2)1)で得られた細胞をリポポリサッカライド(LPS)および抗CD40抗体存在下で培養する工程。
さらに、次の工程を含むDC2の生産方法に関する。1)単球をインターロイキン4(IL−4)およびインターロイキン3(IL−3)存在下で培養する工程、2)1)で得られた細胞をリポポリサッカライド(LPS)および抗CD40抗体存在下で培養する工程。
また、抗CD40抗体が固相化されたものである上記方法に関する。
さらに、上記方法を用いて得られた細胞に関する。
また、上記細胞を用いることを特徴とするヘルパーT細胞の生産方法に関する。
さらに、ナイーブT細胞を、上記細胞の存在下で培養する工程を含む、ヘルパーT細胞の生産方法に関する。
また、ナイーブT細胞を、上記方法を用いて得られた細胞の存在下で培養する工程を含むインターフェロンγ産生能を有する細胞の生産方法に関する。
さらに、ナイーブT細胞を、上記方法を用いて得られた細胞の存在下で培養する工程を含む、Tヘルパー1(Th1)細胞の生産方法に関する。
また、ナイーブT細胞を上記方法を用いて得られた細胞の存在下で培養する工程を含む、IL−4産生能を有する細胞の生産方法に関する。
さらに、ナイーブT細胞を、上記方法を用いて得られた細胞の存在下で培養する工程を含む、Tヘルパー2(Th2)細胞の生産方法に関する。
また、CD4およびCD45RA陽性かつCD45RO陰性のT細胞を、上記方法を用いて得られた細胞の存在下で培養する工程を含む、インターフェロンγ産生能を有する細胞の生産方法に関する。
さらに、CD4およびCD45RA陽性かつCD45RO陰性のT細胞を、上記方法を用いて得られた細胞の存在下で培養する工程を含む、Tヘルパー1(Th1)細胞の生産方法に関する。
また、CD4およびCD45RA陽性かつCD45RO陰性のT細胞を、上記方法を用いて得られた細胞の存在下で培養する工程を含む、IL−4産生能を有する細胞の生産方法に関する。
さらに、CD4およびCD45RA陽性かつCD45RO陰性のT細胞を、上記方法を用いて得られた細胞の存在下で培養する工程を含む、Tヘルパー2(Th2)細胞の生産方法に関する。
また、上記方法を用いることにより得られた細胞に関する。
さらに、次の工程を含む、DC1とDC2における発現遺伝子を比較する方法に関する。(1)単球を得る工程、(2)(1)で得られた単球を2つの細胞群に分け、一方の細胞群をインターロイキン4(IL−4)および顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)存在下で、他方の細胞群をインターロイキン4(IL−4)およびインターロイキン3(IL−3)存在下で培養する工程、(3)(2)で得られた2つの細胞群それぞれを、リポポリサッカライド(LPS)および抗CD40抗体存在下で培養する工程、(4)(3)で得られた2つの細胞群のうち、(2)の工程でGM−CSF存在下で培養した細胞群をDC1群とし、IL−3存在下で培養した細胞群をDC2群とする工程、(5)(4)で得られたDC1群とDC2群の発現遺伝子を差異解析により比較する工程。
また、差異解析がサブトラクション法、DNAチップを用いた解析法または蛋白質二次元電気泳動法である上記方法に関する。
また、上記方法を含むTヘルパー1(Th1)またはTヘルパー2(Th2)応答への偏向誘導因子の同定方法に関する。
さらに、被検者から得られた試料における次の群から選ばれる1以上の遺伝子の発現量を測定する工程を含むTヘルパー1(Th1)応答への偏向の診断方法に関する。annexin A8、follistatin−like 1、ADAM metallopeptidase domain 12(ADAM12)、p21/Cdc42/Rac1−activated kinase 1(PAK1)、sterol−C4−methyl oxidase−like、coactosin−like 1、sialyltransferase 9(GM3 synthase)、farnesyl−diphosphate farnesyltransferase 1(squalene synthase)、copine IV、A kinase anchor protein 13、tumor necrosis factor alpha−induced protein 1。
また、被検者から得られた試料における次の群から選ばれる1以上の遺伝子の発現量を測定する工程を含むTヘルパー2(Th2)応答への偏向の診断方法に関する。fibronectin 1、chemokine(C−C motif) ligand 3、cytochrome P450 family 27 subfamily A polypeptide 1、serpin peptidase inhibitor clade E member 1、integrin alpha E、radical S−adenosyl methionine domain containing 2、interleukin 1 receptor antagonist、stabilin 1、secreted protein, acidic, cystein−rich、phosphatidic acid phosphatase type 2B、glycoprotein nmb、leukocyte immunoglobulin−like receptor subfamily B member 4、formyl peptide receptor−like 2、urokinase−type plasminogen activator receptor、arachidonate 15−lipoxygenase (15−LO)、neutrophil cytosolic factor 2、thromboxane A synthase 1、ATP−binding cassette subfamily C member 3、cathepsin B、chemokine ligand 14、chemokine ligand 15、SERPINB2、RAB7B、chemokine receptor 1、apolipoprotein E、paired immunogloblin−like receptor alpha、matrix metallopeptidase 9、phospholipase D family member 3、egf mucin receptor 2、caspase 1、chemokine receptor 5、chemokine ligand 4。
さらに、次の群から選ばれるいずれか1の遺伝子がコードする蛋白質の機能阻害作用を有する化合物を選択する工程を含むTヘルパー1(Th1)応答への偏向誘導阻害剤の同定方法に関する。annexin A8、follistatin−like 1、ADAM metallopeptidase domain 12(ADAM12)、p21/Cdc42/Rac1−activated kinase 1(PAK1)、sterol−C4−methyl oxidase−like、coactosin−like 1、sialyltransferase 9(GM3 synthase)、farnesyl−diphosphate farnesyltransferase 1(squalene synthase)、copine IV、A kinase anchor protein 13、tumor necrosis factor alpha−induced protein 1。
また、次の群から選ばれるいずれか1の遺伝子がコードする蛋白質の機能促進作用を有する化合物を選択する工程を含むDC移植免疫療法の効果増強剤の同定方法に関する。annexin A8、follistatin−like 1、ADAM metallopeptidase domain 12(ADAM12)、p21/Cdc42/Rac1−activated kinase 1(PAK1)、sterol−C4−methyl oxidase−like、coactosin−like 1、sialyltransferase 9(GM3 synthase)、farnesyl−diphosphate farnesyltransferase 1(squalene synthase)、copine IV、A kinase anchor protein 13、tumor necrosis factor alpha−induced protein 1。
さらに、次の群から選ばれるいずれか1の遺伝子がコードする蛋白質の機能阻害作用を有する化合物を選択する工程を含むTヘルパー2(Th2)応答への偏向誘導阻害剤の同定方法に関する。fibronectin 1、chemokine(C−C motif) ligand 3、cytochrome P450 family 27 subfamily A polypeptide 1、serpin peptidase inhibitor clade E member 1、integrin alpha E、radical S−adenosyl methionine domain containing 2、interleukin 1 receptor antagonist、stabilin 1、secreted protein, acidic, cystein−rich、phosphatidic acid phosphatase type 2B、glycoprotein nmb、leukocyte immunoglobulin−like receptor subfamily B member 4、formyl peptide receptor−like 2、urokinase−type plasminogen activator receptor、arachidonate 15−lipoxygenase (15−LO)、neutrophil cytosolic factor 2、thromboxane A synthase 1、ATP−binding cassette subfamily C member 3、cathepsin B、chemokine ligand 14、chemokine ligand 15、SERPINB2、RAB7B、chemokine receptor 1、apolipoprotein E、paired immunogloblin−like receptor alpha、matrix metallopeptidase 9、phospholipase D family member 3、egf mucin receptor 2、caspase 1、chemokine receptor 5、chemokine ligand 4。
本発明を用いることにより、創薬標的となるTh1またはTh2応答への偏向誘導因子を同定することができる。さらには、同定された遺伝子を用いることにより、Th1またはTh2応答への偏向誘導の阻害剤、ひいては、Th1またはTh2応答への偏向に起因する疾患の治療剤および/または予防剤の同定が可能となる。
本発明は単球由来の未成熟樹状細胞の成熟化方法に関する。また、単球を起源とする成熟樹状細胞の生産方法に関する。
本発明の成熟化方法または成熟樹状細胞の生産方法においては、単球由来の未成熟樹状細胞をLPSおよび抗CD40抗体存在下で培養する工程を含む。LPSおよび抗CD40抗体以外の成分をさらに添加してもよいが、本発明では、通常の細胞培養に用いられる培地(例えば、牛胎児血清を添加したRPMI1640培地、MEM培地、DMEM培地等)中にLPSおよび抗CD40抗体の2成分を添加して、共存させて作用させることで、効率よくDC1およびDC2に成熟化させることができる。また、培地中に添加する牛胎児血清はエンドトキシン保証のものを用いるとよい。
本発明に用いる単球は、起源となる生物種を問わず、また、いかなる手段によって得られたものでもよいが、密度勾配遠心分離法を利用して動物の末梢血から採取する方法が一般に用いられる。例えば、まず、単球を得ようとする動物に対してヘパリンコートしたシリンジ等を用いて採血を行い、末梢血を得る。次に、密度勾配遠心分離法により、単核球細胞を得る。密度勾配遠心分離法には、例えば、市販のフィコール(登録商標)、パーコール(登録商標)などの密度勾配遠心用媒体を用いると良い。さらに血球分離用に調製が施されたLymphoprep(登録商標)、Mono−poly Resolving Solution(登録商標)などを利用してもよい。密度勾配遠心分離法における媒体の量、温度設定等は用いる媒体により、適宜、設定されるが、例えば、Ficoll−Isopaque(登録商標)およびパーコールを用いる場合は、まず、得られた末梢血をPBS(−)で4〜5倍程度希釈し、遠心用チューブに予め入れておいたFicoll−Isopaque液層に重層する。次に、400×gで20分程度遠心処理し、中間層を単核球細胞フラクションとして得る。さらにPBS(−)で数回洗浄後、10%牛胎児血清(FBS)を添加したRPMI1640培地などの培地中に該細胞を浮遊させる。次に、46%パーコール溶液層に前記細胞浮遊液を重層する。400×gで20分程度遠心処理後、中間層を粗単球フラクションとして得る。該粗単球フラクションをPBSで3回程度遠心洗浄することにより、単球を得ることができる。
単核球細胞フラクションからの単球の分離は、プラスティック付着法によっても行うことができる。プラスティック付着法は、例えば、まず通常の培養用のプラスティックフラスコにFBSを注入し底面に十分いきわたらせた後、PBS(−)で3回程度洗浄する。10%FBSを添加したRPMI1640培地などに浮遊させた単核球細胞フラクションを上記フラスコ内に注入し、37℃で1時間程度培養する。上清を吸引後、培地により3回程度洗浄し、非付着細胞を除去する。さらに冷却した0.5%EDTA、5%FBS含有PBSを添加し4℃で30分程度放置する。その後、ピペット等で付着細胞を回収することにより、単球を得ることができる。
さらに、別法としては、後述する実施例で示すように、抗CD14MACSビーズ(登録商標:Miltenui Biotec.)を用いてMagnetic sorting system(Miltenui Biotec.)でCD14陽性細胞として単球を回収する方法も挙げられる。
本発明における「単球由来の未成熟樹状細胞」とは、単球由来であって、抗原提示細胞としてナイーブT細胞からヘルパーT細胞を有意に誘導し得る細胞へと分化する能力を持つ細胞を意味する。該細胞は、いかなる方法によって得られたものでもよく、由来等も問わないが、例えば、単球を、未成熟樹状細胞の分化に必要とされるサイトカイン存在下で培養することにより得ることができる。
DC1作用を有する細胞へ分化する活性を有する未成熟樹状細胞を生産する場合は、単球をIL−4および顆粒球・マクロファージ−コロニー刺激因子(GM−CSF)存在下で培養し、DC2作用を有する細胞へ分化する活性を有する未成熟樹状細胞を生産する場合は、単球をIL−4およびIL−3存在下で培養するとよい(Ebner S. et al. J. Immun.,168,6199−6207(2002))。用いるサイトカインは生体成分から分離されたものでも遺伝子工学的手法により生産したものでもよく、市販品を入手することもできる。また、本発明における各サイトカインには、そのサイトカインの作用を示し得る各サイトカインの変異体および部分構造をも含む。添加する各サイトカインの濃度は限定されることはなく、適宜設定すればよいが、最終濃度が1U/ml〜2000U/mlであることが好ましく、100U/ml〜1000U/ml程度であることがより好ましい。各培養期間は、数時間から数週間程度が好ましく、より好ましくは数日間から数十日間であり、6〜9日間程度がさらに好ましい。培養に用いる培養液は、通常の細胞培養に用いる培地(例えば、牛胎児血清を添加したRPMI1640培地、MEM培地、DMEM培地等)を用いることが好ましい。
本発明では、単球由来の未成熟樹状細胞は、さらにLPSおよび抗CD40抗体存在下で培養する工程により成熟化され、成熟樹状細胞へと分化する。
成熟樹状細胞とは、ナイーブT細胞からヘルパーT細胞を誘導する活性を有する細胞である。さらに詳細には、Th1応答への偏向を誘導する活性またはTh2応答への偏向を誘導する活性を有する細胞である。別の観点からは、CD25、CD83、CD86およびHLA−DR陽性の細胞である。また、リンパ球混合反応(MLR)において、ナイーブT細胞に対して増殖能を誘導する活性を有する細胞である。
上記成熟樹状細胞のうちでも、Th1応答への偏向を誘導することができる細胞は、IL−12を有意に産生する細胞であり、また、表面抗原として、CD1aを有意に発現する細胞である。また、Th1応答への偏向を誘導する樹状細胞として、DC1と定義されることもある。これに対し、上記Th2応答への偏向を誘導する活性を有する細胞はDC2と定義されることもある。DC2はDC1に比べ、有意にCD1aの発現が低下している。
未成熟樹状細胞が成熟化したことは、表面抗原CD25、CD83、CD86およびHLA−DRの発現をフローサイトメトリー法等により調べることにより確認できる。また、BDCA4、TLR2、CD11cまたはCD14の発現が、成熟樹状細胞では、未成熟樹状細胞と比較して低下する傾向が見られる。さらに、IL−12の分泌活性をELISA法などにより調べることにより、Th1応答への偏向を誘導する活性を有する成熟樹状細胞であることが確認できる。これらの確認試験に用いる抗体、蛍光標識抗体等は、BDファーミンジェン社等から入手できる。
本発明において用いられるLPSはシグマ社等から入手でき、O抗原の種類は特に限定されない。
本発明において用いられる抗CD40抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体のいずれであってもよく、由来も問わない。用いる単球由来の生物種のCD40を認識する抗体を適宜選択すればよい。ヒト由来の単球を用いる場合は、好ましいものとして、Mabtec社の抗ヒトCD40モノクローナル抗体が挙げられる。また、抗CD40抗体は、細胞培養液中に液体として加えてもよいが、細胞培養に供するプラスティックプレート等に予め固相化して作用させることがより好ましい。
LPSおよび抗CD40抗体存在下での未成熟樹状細胞の培養は、数時間から数週間程度でよいが、好ましくは数日間程度、2日間程度行うことがより好ましい。添加するLPSおよび抗CD40抗体の量は、用いる試薬やロット等により適宜設定すればよいが、LPSは最終濃度が1〜1000ng/ml、好ましくは50〜200ng/ml程度になるように、抗CD40抗体は、1〜1000μg/ml、好ましくは1〜50μg/ml程度になるように、添加するとよい。抗CD40抗体は、1〜1000μg/ml、好ましくは1〜50μg/ml程度の濃度で、予めプレートに添加して24時間程度穏やかに振とうすることにより、固相化させることが好ましい。
上記のとおり、単球を用いて、DC1の場合は、IL−4およびGM−CSF存在下で、DC2の場合は、IL−4およびIL−3存在下で、好ましくは6〜9日間程度培養した後に、LPSを含む培地に交換して抗CD40抗体を固相化したプレートにてさらに培養を行うことにより、それぞれ、DC1作用を有する成熟樹状細胞またはDC2作用を有する成熟樹状細胞を生産することができる。DC1およびDC2それぞれへの分化は、後述するTh1およびTh2の誘導能を調べることにより確認できる。
本発明の上記方法により生産された、単球由来の、成熟樹状細胞、IL−12産生能を有する細胞、Th1応答への偏向を誘導する活性を有する細胞、Th2応答への偏向を誘導する活性を有する細胞、CD1a陽性細胞、DC1またはDC2(以下、成熟樹状細胞と総称することもある。)を用いると、ヘルパーT細胞を生産することができる。具体的には、本発明の上記方法により生産された成熟樹状細胞の存在下で、ナイーブT細胞を培養することにより、ヘルパーT細胞を生産することができる。また、ナイーブT細胞に対して増殖能を誘導することができる。
ヘルパーT細胞の生産に用いるナイーブT細胞は、起源となる生物種を問わず、また、いかなる手段によって得られたものでもよいが、作用させる成熟樹状細胞と同一の生物種由来であることが好ましい。ナイーブT細胞は、一般に、胸腺から移出した抗原刺激を受けていないT細胞とされ、表面抗原は、CD4およびCD45RA陽性かつCD45RO陰性である。
ナイーブT細胞は、例えば、末梢血からネガティブセレクションによって採取することができる。具体的には、上記の単球の採取時と同様にして、まず、末梢血から単核球細胞フラクションを得る。該単核球細胞フラクションに、CD8、CD14、CD16、CD19、CD36、CD56、CD123、TCRγ/δおよびGlycophorinAのそれぞれに対するビオチン化抗体を含むカクテル液を添加し反応させる。これらのビオチン化抗体はMiltenui Biotec.社等から入手できる。次に、抗ビオチンミクロビーズ、抗CD45ROミクロビーズを添加、反応させ、Magnetic sorting systemを用いて、ネガティブフラクションを回収することにより、CD4およびCD45RA陽性かつCD45RO陰性のT細胞を回収でき、ナイーブT細胞として用いることができる。
本発明の方法により得た成熟樹状細胞とアロジェニックなナイーブT細胞との共培養は、共培養時の細胞混合比が、ナイーブT細胞数が成熟樹状細胞数の400倍以下、好ましくは100倍以下、より好ましくは20倍以下、さらに好ましくは10倍以下になるように調製して行うとよい。培養期間は1日間〜数ヶ月間、好ましくは1日間〜数週間、より好ましくは1〜10日間程度で設定するとよい。
ヘルパーT細胞への分化は上記共培養により得られたT細胞の分泌サイトカインまたは、産生サイトカインを調べることにより確認できる。一般的に、インターフェロンγを有意に産生するヘルパーT細胞をTh1細胞、IL−4を有意に産生するヘルパーT細胞をTh2細胞という。
ナイーブT細胞と共培養する成熟樹状細胞が、DC1作用を有する成熟樹状細胞である場合、インターフェロンγ産生能を有する細胞、すなわち、Th1細胞を効果的に生産することができる。これに対して、ナイーブT細胞と培養する成熟樹状細胞がDC2作用を有する成熟樹状細胞である場合、IL−4産生能を有する細胞、すなわち、Th2細胞を効果的に生産することができる。
上記共培養により得られたTh1細胞またはTh2細胞のインターフェロンγまたはIL−4の産生は、抗CD3抗体および抗CD28抗体存在下で再活性化することにより誘導できることが知られている(Ebner S. et al. J. Immun.,168,6199−6207(2002))。抗CD3抗体および抗CD28抗体は、Th1細胞またはTh2細胞の培養液中に液体で添加してもよいが、予め培養に用いるプラスティックプレートに固相化して作用させることが好ましい。抗CD3抗体のみを固相化することがさらに好ましい。抗CD3抗体および抗CD28抗体はポリクローナル抗体であってもモノクローナル抗体であってもよく、用いるT細胞の生物種に応じて、適宜選択すればよい。BDファーミジェン社等から入手できる。添加する抗体の濃度は用いる抗体によって適宜設定すればよい。抗CD3抗体および抗CD28抗体をTh1細胞またはTh2細胞に作用させる期間は、特に限定されないが、数時間〜数十時間が好ましく、20〜30時間程度が特に好ましい。
再活性化されたTh1細胞またはTh2細胞から分泌されるインターフェロンγまたはIL−4は、ELISA法などによって定量すればよい。Cytometric Bead Array(CBA)システムを用いたTh1/Th2サイトカイン測定キット(BDファーミジェン)を利用することもできる。
また、Th1細胞またはTh2細胞が産生するサイトカインを、細胞外へ分泌させないで細胞内にとどめ、フローサイトメトリーを利用して確認することもできる。上記共培養により得られたTh1細胞またはTh2細胞をPMAなどのホルボールエステルとイオノマイシンにより活性化処理した後、BrefeldinAを添加し、分泌因子を細胞内に蓄積させる。その後、ホルマリン固定およびサポニンによる脱脂を行った後、抗インターフェロンγ抗体、抗IL−4抗体を用いて細胞内染色を行い、フローサイトメトリーにより定量を行う。
本発明は別の観点からは、DC1とDC2における発現遺伝子の比較方法に関する。該方法は、(1)単球を得る工程、(2)(1)で得られた単球を2つの細胞群に分け、一方の細胞群をIL−4およびGM−CSF存在下で、他方の細胞群をIL−4およびIL−3存在下で培養する工程、(3)(2)で得られた2つの細胞群それぞれを、LPSおよび抗CD40抗体存在下で培養する工程、(4)(3)で得られた2つの細胞群のうち、(2)の工程でGM−CSF存在下で培養した細胞群をDC1群とし、IL−3存在下で培養した細胞群をDC2群とする工程を含む。
上述のように、DC1およびDC2は、Th1応答またはTh2応答への偏向に深く関与していると考えられていることから、DC1およびDC2における発現遺伝子を比較することは、Th1応答またはTh2応答への偏向誘導因子の同定を可能とし、ひいては、Th1応答またはTh2応答への偏向に基づく疾患の予防および/または治療につながるため有用である。
本発明の方法により生産されたDC1およびDC2は、共通に単球を起源としているので、該DC1とDC2の発現遺伝子を比較することは、細胞の起源に基づく相違ではなく、DC1およびDC2のそれぞれの機能を特徴づける発現遺伝子の相違を見出だすことが可能であると考えられ、非常に有用である。さらに、本発明では、単球から成熟DC1および成熟DC2を得る過程中に単球に作用させる物質としては、未成熟DC1および未成熟DC2を得る工程における、GM−CSFとIL−3が相違するのみであるため、作用させる物質の副次的な作用も最小に抑えられると考えられ、DC1とDC2の比較に適している。
DC1とDC2の発現遺伝子の比較は、差異解析により行う。差異解析としては、サブトラクション法、DNAチップを用いた解析法、蛋白質二次元電気泳動法などが挙げられる。
DC1およびDC2の発現遺伝子は通常用いられるRNAの採取法により採取できる。以降の解析において、発現遺伝子は、mRNAのままで用いてもcDNA化して用いてもよい。mRNAからcDNAへの変換は逆転写酵素等を用いた方法が適用できる。全RNAの採取には例えば、酸性グアニジニウム−フェノール−クロロホルム法(AGPC法;Chomczynski et al.,Anal.Biochem.162,pp156−159(1986))が適用でき、全RNAからのmRNAの採取にはオリゴdTカラム等を用いたpolyA(+)RNAの精製等が挙げられる。RNAサンプルは複数回採取したものを混合して用いてもよい。採取ロットの品質を解析する目的では、いくつかの遺伝子の発現をモニターするとよい。例えば、DC1においてはCD1a、DC2においてはCD123などをモニター遺伝子として用い、これらの発現が同等であるサンプルを使用するとよい。
サブトラクション法では差し引かれる側の遺伝子群(テスター)と差し引く側の遺伝子群(ドライバー)の二組の遺伝子群を用いる。例えば、DC1において優位に発現する遺伝子を獲得するためには、テスターとしてDC1から得られた遺伝子、ドライバーとしてDC2から得られた遺伝子を用いたサブトラクションを行うとよい。DC2において優位に発現する遺伝子を獲得するためには、テスターとしてDC2から得られた遺伝子、ドライバーとしてDC1から得られた遺伝子を用いたサブトラクションを行うとよい。サブトラクション処理の方法としては、既知の各種手段を利用可能であり(特開平3−117488号)、好ましくはcDNAサブトラクション法が挙げられる。cDNAサブトラクション法としては、RDA法、PCR−選択(select)cDNAサブトラクション法などが特に好ましい。
サブトラクション処理においては、サブトラクションの陽性対照として、テスター側に適当なDNAフラグメントを加え、その濃縮を確認することにより、サブトラクション処理の効率を確認できる。また、DC1またはDC2において優位に発現することが知られている遺伝子をプローブとして、サブトラクション前およびサブトラクション後のPCR産物についてサザンブロット・ハイブリダイゼーションを行うと、同様にサブトラクション処理の成否を確認できる。DC1で優位に発現している遺伝子としてはCD1a、DC2で優位に発現している遺伝子としては、CD123が挙げられる。
サブトラクション処理後のPCR産物を適当なベクターへ挿入し、プラスミドライブラリーなどを作成する。ベクター挿入部分をPCRにより増幅し、それらの遺伝子をメンブレンにドットブロットしたものを2セット作製する。このドットメンブレンに対して、テスターとしてDC1由来遺伝子、ドライバーとしてDC2由来遺伝子を用いたサブトラクション処理後のPCR産物(以下、サブトラクション処理を(テスター)−(ドライバー)の式で表す。)プローブと(DC2)−(DC1)のサブトラクション後のPCR産物プローブでそれぞれハイブリダイゼーションを実施する。例えば、(DC2)−(DC1)のサブトラクション後のPCR産物と比較して、(DC1)−(DC2)のサブトラクション後のPCR産物において特異的に濃縮が認められるクローンは、DC1で優位に発現する遺伝子として判断することができる。DC2で優位に発現する遺伝子を得るためには、上記のテスターにDC2由来遺伝子、ドライバーにDC1由来遺伝子を用いればよい。ベクター挿入部分は自体公知のDNAシークエンス法によりその配列を決定することができる。
DNAチップを用いた解析では、DC1およびDC2からRNAを精製した後、用いるDNAチップに適した方法によりそれぞれcDNA化、cRNA化等を行う。差異解析が可能なDNAチップとしては、例えば、Affymetrix社のGeneChip、アマシャムバイオサイエンス社のCodeLink、タカラバイオ社のIntelliGeneなどが挙げられる。それぞれのDNAチップおよび解析ソフトを用いて、各細胞における発現遺伝子を測定後、両者の比較解析により、発現に差がある遺伝子を見出だすことができる。
蛋白質二次元電気泳動法では、DC1、DC2をそれぞれ可溶化液にてホモジナイズした後に、2−D Clean−Up Kit(Amersham Biosciences)などにて二次元電気泳動に影響を与える不純物を除去後、膨潤液と混合し、その遠心上清をBradford法でタンパク質を定量した後に、二次元電気泳動サンプルとすることができる。1次元目の等電点電気泳動、2次元目のSDS−PAGEを実施し、泳動後のゲルをSYPRO Ruby (Molecular Probes)等で染色し、画像解析により各サンプル間のスポットパターンの比較解析を行うとよい。DC1とDC2とで1.1倍以上、好ましくは1.5倍以上、より好ましくは2.0倍以上の発現変動のあるスポットを切り出しMALDI−TOF MS、もしくはLC−MS/MS分析により蛋白質を同定すれば、発現相違因子を同定することができる。
本発明者は、本発明の、DC1とDC2における発現遺伝子を比較する方法を用いて、実際に、ヒト由来DC1またはDC2において優位に発現する遺伝子を同定した。これらの遺伝子は、Th1またはTh2応答への偏向誘導に関与する因子であると考えられる。
DC1において優位に発現する遺伝子としては、annexinA8、follistatin−like 1、ADAM metallopeptidase domain 12(ADAM12)、p21/Cdc42/Rac1−activated kinase 1 (PAK1)、sterol−C4−methyl oxidase−like、coactosin−like 1、sialyltransferase 9(GM3 synthase)、farnesyl−diphosphate farnesyltransferase 1(squalene synthase)、copine IV、A kinase anchor protein 13およびtumor necrosis factor alpha−induced protein 1が得られた。
各遺伝子は表1に示されるアクセッション番号(#)でGenBankに登録されている遺伝子である。各遺伝子の配列や機能等に関する情報は該データベースから入手できる。
Figure 2007312683
DC2において優位に発現する遺伝子としては、fibronectin 1、chemokine(C−C motif) ligand 3、cytochrome P450 family 27 subfamily A polypeptide 1、serpin peptidase inhibitor clade E member 1、integrin alpha E、radical S−adenosyl methionine domain containing 2、interleukin 1 receptor antagonist、stabilin 1、secreted protein, acidic, cystein−rich、phosphatidic acid phosphatase type 2B、glycoprotein nmb、leukocyte immunoglobulin−like receptor subfamily B member 4、formyl peptide receptor−like 2、urokinase−type plasminogen activator receptor、arachidonate 15−lipoxygenase (15−LO)、neutrophil cytosolic factor 2、thromboxane A synthase 1、ATP−binding cassette subfamily C member 3、cathepsin B、chemokine ligand 14、chemokine ligand 15、SERPINB2、RAB7B、chemokine receptor 1、apolipoprotein E、paired immunogloblin−like receptor alpha、matrix metallopeptidase 9、phospholipase D family member 3、egf mucin receptor 2、caspase 1、chemokine receptor 5、chemokine ligand 4が得られた。
各遺伝子は表2および表3に示されるアクセッション番号(#)でGenBankに登録されている遺伝子である。各遺伝子の配列や機能等に関する情報は該データベースから入手できる。
Figure 2007312683
Figure 2007312683
DC2での発現上昇遺伝子として同定された遺伝子群の中でも、thromboxane A synthase 1に関しては本酵素阻害剤ならびにその産物であるTXA2のアンタゴニストの計3剤が喘息治療剤として既に国内上市・発売済であり、また、CCR5阻害剤に関しては抗HIV剤としてのほかに喘息治療剤として2社で前臨床開発中である。
一方、DC1での発現上昇遺伝子には、関節リウマチ患者(Th1偏向病態)の自己抗原探索解析で見出されたfollistatin−like 1、ファミリー内他分子が同じく関節リウマチの自己抗原として見出されているannexin A8、動脈硬化症(Th1偏向病態)への関与が報告されているsialyltransferase 9(GM3 synthase)などが含まれていた。また、動脈硬化危険因子のコレステロール合成系の2因子も含まれた。
これらの結果から、本研究戦略で抽出されたDCサブタイプ発現上昇遺伝子群は、実際に生体内で生じるTh2偏向病態(アレルギー等)、Th1偏向病態(リウマチ等)への関与因子を反映する遺伝子発現プロファイルとして有用である可能性が高いことが示唆された。
上記DC1において優位に発現する遺伝子は、Th1応答への偏向誘導に関与する遺伝子と考えられるので、被験者から得られた試料における該遺伝子の発現量を測定することにより、被験者のTh1応答への偏向を診断できる。診断は、上記DC1において優位に発現する遺伝子群から選ばれる1以上の遺伝子の発現量を測定することにより行う。本発明において、「遺伝子の発現量を測定する」とは、該遺伝子およびその断片、該遺伝子の転写物およびその断片、該遺伝子の産物である蛋白質およびその一部分の量を測定することを意味する。
診断に供される試料としては、血液、ずい液、脳生検サンプル等が好適であり、特に血液が好ましい。診断に用いる測定法は、自体公知の抗原抗体反応、酵素反応系、PCR反応系等を利用すればよい。
同様に、上記DC2において優位に発現する遺伝子は、Th2応答への偏向誘導に関与する遺伝子と考えられるので、被験者から得られた試料における該遺伝子の発現量を測定することにより、被験者のTh2応答への偏向を診断できる。
Th1またはTh2応答への偏向を診断することは、Th1またはTh2応答への偏向に起因する疾患の診断、予防、治療等につながると考えられる。Th1応答への偏向に起因する疾患としては、慢性関節リウマチ、膠原病等の自己免疫疾患ならびに移植片対宿主病(GVHD)が挙げられる。Th2応答への偏向に起因する疾患としては、喘息、アトピー性皮膚炎、花粉症等のアレルギー疾患が挙げられる。また、逆に、Th1を誘導することは、細胞性免疫の強化につながり、例えば、抗腫瘍DC免疫療法(DC移植免疫療法)の効果増強が期待できる。
一方で、上記のように、DC1またはDC2において優位に発現する上記の遺伝子がコードする蛋白質の機能阻害作用を有する化合物は、それぞれ、Th1またはTh2応答への偏向誘導の阻害剤となり得る。Th1またはTh2応答への偏向誘導の阻害剤は、ひいては、Th1またはTh2応答への偏向が関与する疾患の治療剤および/または予防剤になり得る。
本発明において、「遺伝子がコードする蛋白質の機能阻害作用を有する化合物」とは、蛋白質そのものに何らかの作用をして機能を阻害する化合物のみならず、該蛋白質がコードする遺伝子に作用したり、遺伝子から蛋白質が発現してくる過程において何らか作用することにより蛋白質の発現を阻害等することによって該蛋白質の機能を阻害する化合物をも含む。
DC1またはDC2において優位に発現する上記の遺伝子がコードする蛋白質の機能阻害作用を有する化合物の同定には、公知のいかなる手法を適用してもよい。阻害剤の同定には、DC1またはDC2において優位に発現する上記の遺伝子群から選ばれる1以上の遺伝子、該遺伝子がコードする蛋白質、およびそれらの由来物、それらを認識する抗体、該遺伝子を含有する組換えベクター、該組換えベクターで形質転換された形質転換体などを用いることができる。例えば、天然の上記遺伝子産物は一般的酵素精製手段により精製して得たり、あるいは、遺伝子工学的手法により生産したりなどして得ればよい。また、阻害剤の同定に供する上記遺伝子が、酵素をコードするものである場合は、該酵素と基質との酵素反応系を確立し、酵素反応を阻害する物質を阻害剤とすればよい。阻害剤の同定に供する上記遺伝子が、リガンドである場合は、該リガンドとそのレセプターとの結合試験系をセルフリー、または、細胞にレセプターを発現させた系などで確立し、結合阻害試験を行えばよい。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明の範囲はこれに限定されない。フローサイトメトリーに用いた抗体を表4に示す。
Figure 2007312683
(実施例1)単球の調製
ヒト新鮮末梢血を、ヘパリン(ノボ・ノルディクス)コートしたシリンジで採血後穏やかに転倒混和した。Mono−Poly Resolving Solution(大日本製薬)を予め20ml分注した50mlチューブ(イワキ)に新鮮末梢血25mlを重層し、遠心分離(800×g、20分、室温)を行った。単核球細胞(mononuclear cells)を回収し、PBS(−)への再懸濁と遠心分離による細胞回収を繰り返して洗浄操作を実施し、その際に遠心回転数を徐々に下げることで血小板を除去した。検鏡により血小板が少なくなったことを確認し、単核球細胞(リンパ球、単球)を再度遠心回収し、末梢血100ml由来分量に対しMACS洗浄用緩衝液500μl(Miltenyi Biotec.)を用いてMagnetic sorting system(MACS;Miltenyi Biotec.)により、CD14陽性細胞(単球)を回収した。方法は添付プロトコールに従った。フローサイトメーター(Aria;BD)にてCD14陽性率として単球純度が95%以上であることを確認した。
(実施例2)樹状細胞への分化
得られた単球を6ウエルプレート(BD Falcon)に2×10cells/ウエル、1ウエルあたり3mlの培養溶液(RPMI 1640(Gibco)に、10%非働化エンドトキシン保証牛胎児血清(FBS;Gibco)とペニシリン−ストレプトマイシン(Gibco)を加えて調製)となるように播種した。DC1サブタイプ分化誘導のためには、IL−4(1000U/ml;R&Dsystems)およびGM−CSF(800U/ml;R&Dsystems)、DC2サブタイプ分化誘導のためには、IL−4(1000U/ml;R&Dsystems)およびIL−3(100U/ml;Peprotec)を添加し、7日間培養した。その際、2、4、6日目に培養溶液を交換した。
(実施例3)樹状細胞の成熟化操作
単球を上記の分化条件で7日間培養して得られた細胞を遠心回収(280×g、10分、4℃)し、分化培養1ウエルから派生した細胞が2ウエルに等分されるように6ウエルプレート播種した(1ウエルあたり3ml培養液)。成熟化方法の開発検討のため、次の6条件でDCの成熟化培養(37℃、5%CO、48h)後成績を比較した。i)Maturation cocktail(MC);TNF−α(10ng/ml;Peprotec)+IL−1β(10ng/ml;Peprotec)+IL−6(1000U/ml;Peprotec)+プロスタグランジンE(1μg/ml;Sigma)、ii)LPS(100ng/ml;Sigma)、iii)TNF−α(25ng/ml;Peprotec)、iv)TNF−α(25ng/ml;Peprotec)+IL−1β(10ng/ml;Peprotec)、v)プレート固相化抗CD40モノクローナル抗体(10μg/ml,overnight;Mabtech)、vi)プレート固相化抗CD40モノクローナル抗体(10μg/ml,overnight;Mabtech)+LPS(100ng/ml;Sigma)。i)〜vi)の成熟化操作を加えずに2日間培養した細胞を未成熟DC、成熟化操作を施した細胞を成熟化DCと称した。
(実施例4)樹状細胞培養上清サイトカインの定量
未成熟DCに対する実施例3に示した成熟化操作2日後の培養上清をそれぞれ回収し、Inflammation Kit(BD)を用いたCBA(Cytometric Beads Array;BD)法にて分泌サイトカインを定量した。成熟化DCの培養上清に含まれるIL−12p70およびIL−10分泌量を定量することにより、DC1/DC2サブタイプそれぞれへの分化度合いを評価した。方法は添付プロトコールに従った。vi)LPS+固相化抗CD40抗体により成熟化させた場合、GM−CSF前処理DCでIL−12、GM−CSF前処理DCならびにIL−3前処理DCでIL−10の分泌が他の方法に比べてよく認められた(図1)。得られた成熟化DCを光学顕微鏡下で観察したところ、成熟化DCは、樹状突起を延ばし、単球と比較して細胞大も高まった。
(実施例5)ナイーブT細胞の精製
新鮮末梢血を実施例1に記した単球精製同様に処理し、単核球細胞を回収した。末梢血100ml由来分量に対しMACS洗浄用緩衝液1ml(Miltenyi Biotec.)を加えて懸濁し、ビオチン化抗体カクテル(CD8、CD14、CD16、CD19、CD36、CD56、CD123、TCRγ/δ、Glycophorin A抗体、抗ビオチンMicrobeads、CD45RO Microbeads(Milteni Biotec)を用いてMagnetic sorting systemにより、ネガティブフラクションを回収した。方法は添付プロトコールに従った。フローサイトメーター(Aria;BD)にてCD4、CD45RA、CD45ROT細胞(ナイーブT細胞)としての純度が98%以上であることを確認した。
(実施例6)DCとの共培養とT細胞分泌サイトカインの定量
得られたナイーブT細胞とアロジェニック成熟化DCを24ウエルプレート(Falcon)で細胞混合比4:1(1×10T細胞:0.25×10DC)で6日間共培養した。
DCと6日間共培養した後に、24ウェルプレート固相化抗CD3抗体(5μg/mlでovernight固相化;BD、cat.No.555329)ならびに抗CD28抗体(1μg/ml;BD、cat.No.555725)存在下にて1×10T cells/mlで再活性化(22h)し、その培養上清を回収し、Th1/Th2 Cytokine Kit (BD)を用いたCBA法にて分泌サイトカインを定量した。方法は添付プロトコールに従った。
ヘルパーT細胞のIFN−γ(Th1サイトカイン)およびIL−4(Th2サイトカイン)の分泌量を指標とし、Th1/Th2への分化度合いを比較解析評価した。その結果、IFN−γ分泌量では、i)〜vi)のほぼ全ての成熟化法において、DC2サブタイプに比し、DC1サブタイプによるTh1への有意な誘導傾向が認められた。その中でも、v)抗CD40抗体、および、vi)LPS+抗CD40抗体の2方法が特に効果的なTh1への誘導を示した。一方、IL−4分泌量に関しては、ii)LPSにおいてもDC1サブタイプに比し、DC2サブタイプによるTh2への誘導が認められるものの、vi)LPS+抗CD40抗体が最も効果的なTh2誘導を示した。v)抗CD40抗体は、IL−4分泌量は高いものの、DC1に比べたDC2サブタイプによるTh2への効果的誘導傾向は認められなかった。以上の結果より、vi)LPS+抗CD40抗体の成熟化方法により、最も有効にTh1/Th2それぞれを誘導するDC1/DC2サブタイプが得られることが明らかになった(図2)。
細胞の形態変化を合わせて、光学顕微鏡を用いて観察した。成熟化DCとの共培養により、ナイーブT細胞は細胞大を高め、DCを中心とするクラスターを構成しながら増殖した。
(実施例7)多数検体を用いたDC1/DC2サブタイプ分化・成熟化方法の確認
実施例6で見出だされたDC1/DC2サブタイプ分化・成熟化方法の有効性と再現性を確認するため、LPS存在下での抗CD40抗体による成熟化方法で得られるDC1/DC2サブタイプのフェノタイプに関して、成熟化DC分泌サイトカイン、ならびに成熟化DCとの共培養で得られるヘルパーT細胞が分泌するサイトカインを指標とし、試験検体数(採血ドナー数)を増やして解析した。 DC分泌サイトカインでは、IL−12p70については11全ドナーのDC1サブタイプがDC2サブタイプに比べて優位に分泌し、IL−10に関しては両サブタイプで同等に分泌されるという傾向が再現された(図3)。一方、成熟化DCと共培養して得られるヘルパーT細胞の分泌サイトカインに関しても、再現性良く、DC1サブタイプと共培養したナイーブT細胞がIFN−γを優位に分泌するTh1へ、対して、DC2サブタイプと共培養したナイーブT細胞はIL−4を優位に分泌するTh2へ効果的に誘導されていることが示された(図4)。TNF−αとIL−2(いずれもTh1サイトカインとされている)に関してはDC1サブタイプと共培養して得られるヘルパーT細胞で優位に、対してIL−5(Th2サイトカイン)とIL−10(Th2サイトカインとされている)に関してはDC2と共培養して得られるヘルパーT細胞で優位に分泌されることが明らかとなった。これらの結果からも、本研究で開発したDC1/DC2サブタイプがTh1/Th2のそれぞれを効果的に誘導していることが支持された。
(実施例8)T細胞産生サイトカインの細胞内染色定量
DCと6日間共培養したT細胞をPMA(10ng/ml;Sigma)とIonomycin(1μg/ml;Sigma)により2時間活性化処理した後、Brefeldin A(Sigma)を添加し、分泌因子を細胞内に6時間蓄積処理した。細胞を遠心回収後、1.9% Formalin(Sigma)固定(10分、室温)、1%Saponin(Sigma)脱脂(10分、室温)を行い、抗IFN−γ抗体、抗IL−4抗体にて細胞内染色を実施し、フローサイトメトリーにて解析した。
DC1/DC2サブタイプのそれぞれと共培養することで分化誘導されたヘルパーT細胞プレパレ−ションをドナー毎に比較すると、DC1サブタイプとの共培養ではDC2サブタイプとの共培養で得られるヘルパーT細胞(Th)プレパレ−ションに比較して、Th1含有率(Th1への分化誘導率)が高く、Th2含有率(Th2への分化誘導率)が低かった。逆に、DC2サブタイプとの共培養ではDC1サブタイプとの共培養で得られるヘルパーT細胞(Th)プレパレ―ションに比較して、Th1含有率が低く、Th2含有率が高いという傾向が認められた(図5)。このことはDC1/DC2サブタイプがTh1/Th2それぞれへの分化を効果的に誘導していることを示している。
(実施例9)リンパ球混合反応(MLR:Mixed Lymphocyte Reaction)
ナイーブT細胞(2×10cells/well、96ウエルプレート:BDファルコン)とDC(30Gy−irradiated)を細胞数比1:6、1:24、1:96、1:384(DC:ナイーブT細胞)となるように加え、6日間共培養した。培養終了の16時間前に最終濃度が1μCiになるように[H]thymidine(280GBq/mmol=6.7Ci/mmol;Perkin Elmer)を添加し、グラスフィルター(Millipore)に細胞を付着させ37℃で一晩風乾した。液体シンチレーション(Aqazol2;DuPont)にて細胞を溶解した後、増殖したT細胞数を[H]Thymidineの取り込み量としてシンチレーションカウンター(トップカウント)で測定した。
DC1/DC2両サブタイプとも成熟化DCの混合比に依存したナイーブT細胞に対する増殖能の誘導を同程度に示した(図6)。このことは、作製した両DCサブタイプ間ではナイーブT細胞に対する増殖誘導能には違いが無く、Th1/Th2のそれぞれを効果的に分化誘導する能力を有していることを示す。一方、未成熟DCにおいては両サブタイプとも増殖誘導能が認められなかったことから、確立した成熟化方法が両DCサブタイプ間での相違ない成熟化に有効に機能していることも明らかとなった。
(実施例10)DC1/DC2サブタイプからのtotal RNAの抽出、poly A (+)RNAの精製、cDNAサブトラクション、ディファレンシャルハイブリダイゼーションスクリーニング、ならびにRT−PCRによる発現変動遺伝子の同定
延べ22ドナーから得た末梢血由来、LPSおよび抗CD40抗体による処理後24時間のDC1/DC2サブタイプよりtotal RNAを抽出した。得られたtotal RNAをプ−ル(DC1/DC2サブタイプそれぞれ250μg)し、その一部(5μg)を用いてGeneChip(Human Genome U133 Plus 2.0;Affymetrix)解析を実施した。残るtotal RNAよりOligotex−MAG mRNA Purification kit(Takara)を用い添付プロトコールに従いpoly A(+)RNAを精製(DC1:4.8μg、DC2:3.8μgを取得)し、DC1/DC2サブタイプそれぞれのpoly A(+)RNA(800ng)を出発材料に、(DC1−DC2)/(DC2−DC1)の双方向のcDNAサブトラクションを実施した。cDNAサブトラクション効果の検証実験として、DC1またはDC2サブタイプで優位に発現することを事前に明らかにしたCD1aならびにCD123、また、両サブタイプで同等に発現しているハウスキーピング遺伝子としてG3PDH(Clontech)遺伝子断片をプローブにサザンブロッティング解析した。CD1a、CD123プローブはRT−PCR法(Advantage RT−for−PCR Kit;Clontech)にてDC由来poly A(+) RNAを鋳型に得たPCR産物を使用した。サブトラクティッドプラスミドライブラリーよりディファレンシャルハイブリダイゼーションスクリーニングにて選択された遺伝子の塩基配列を決定した。得られた塩基配列情報をもとにBLAST解析を実施し、選択クローン中の重複クローンを除去した。DC1/DC2サブタイプ間での発現変動評価は、個々の遺伝子についてプライマーを設計し(シグマジェノシス製造)、cDNAサブトラクションに供したpoly A(+)RNAが由来するtotal RNAを用いてRT−PCR法にて実施した。エチジウムブロマイド染色後の増幅遺伝子量をIntelligent Quantifier(Bio Image)にて定量した。内部標準として、G3PDH遺伝子を用いてcDNA化効率を標準化した。
cDNAサブトラクション実施後、その効果の検証実験として、DC1サブタイプで優位に発現するCD1aならびにDC2サブタイプで優位に発現するCD123が、それぞれの方向のサブトラクション操作後PCR産物において有意に濃縮されているか否か、また、両サブタイプで同等に発現しているハウスキーピング遺伝子(G3PDH)がサブトラクション操作により相殺されているか否かをサザンブロッティングにて解析した。その結果、濃縮並びに相殺効果が有意に認められ、cDNAサブトラクションが系として機能していることが確認できた。以上から、発現変動遺伝子抽出作業を実施するに値する、cDNAサブトラクティッドライブラリーの構築材料の獲得に成功したと判断した。
作製した(DC1−DC2)、(DC2−DC1)それぞれの方向のcDNAサブトラクティッドプラスミドライブラリーより(DC1−DC2)方向:768クローン、(DC2−DC1)方向:1152クローンをディファレンシャルハイブリダーゼーションに供し、(DC2−DC1)側で241クローン、(DC1−DC2)側で163クローンを選出した。これら発現変動候補遺伝子の塩基配列を決定し、重複遺伝子を除去した後に、次の解析優先順位を設けてRT−PCR法による発現変動遺伝子の同定を実施した。本研究において目的とするDC由来のヘルパーT細胞分化制御因子としては、直接的にヘルパーT細胞に働きかける因子を想定していることから、クロマチン結合蛋白質、転写因子等の核内蛋白質、機能未知蛋白質については解析優先順位を下げ、逆に、細胞膜表面分子、分泌因子、免疫系シグナルカスケード関連因子の解析優先順位を上げた。(DC2−DC1)側で114クローン(GeneChip解析で有力な21クローンも含む)、(DC1−DC2)側27クローンをRT−PCR法にて解析し、DCサブタイプ間で1.9倍以上の発現変動を示すものを発現変動遺伝子とした。(DC2−DC1)側で32、(DC1−DC2)側で11遺伝子を獲得した。
Figure 2007312683
Figure 2007312683
Figure 2007312683
(実施例11)DC1/DC2サブタイプの表面抗原発現解析
確立した分化・成熟化方法で得られるDC1/DC2サブタイプの特性解析として、細胞表面抗原の発現解析をフローサイトメトリーにて解析した。
まず、DC成熟化マーカー分子であるCD86、CD83、HL−DR、CD25分子は、DC1/DC2サブタイプに関らず、未成熟DCに比べ成熟化DCでの発現亢進が認められた(図7)。この結果は、確立したDC調製方法が、両サブタイプ間で相違なく十分なDC成熟化をもたらしていることを示す。一方、BDCA4、TLR2、CD11c、CD14については、未成熟DCに比べ成熟化DCでの発現低下が認められた(図8)。隣接リンパ節でT細胞と接触するために、DCは抗原を取り込んだ後成熟化する際にはTLRなどの抗原認識分子を内在化させることが明らかになっている。次に、この解析の主たる目的であるDC1/DC2サブタイプ間で発現に差異が認められた分子群については、DC1優位な分子としてCD1aとBDCA1、DC2優位な分子としてはHLA−DRが見出せた(図9)。CD1aに関してはEbnerらの報告(Ebner S. et al. J. Immun.,168,6199−6207(2002))と一致する。他の分子のDC1/DC2サブタイプ間での発現差異に関しては本研究で初めて見出されたものである。
図中i)〜vi)の各刺激条件下で成熟化させたDCの分泌サイトカイン(IL−12およびIL−10)量を示す図である。DC1は、IL−4およびGM−CSF存在下で培養した後に図中i)〜vi)に示す各条件下で成熟化させた細胞、DC2は、IL−4およびIL−3存在下で培養した後に図中i)〜vi)に示す各条件下で成熟化させた細胞を示す。MCはMaturarion Cocktailを意味する。 図中i)〜vi)の各刺激条件下で成熟化させたDCをナイーブT細胞と共培養することで分化誘導されるヘルパーT細胞のIFN−γ(Th1サイトカイン)およびIL−4(Th2サイトカイン)の分泌量を示す図である。DC1―Thは、IL−4およびGM−CSF存在下で培養した後に図中i)〜vi)に示す各条件下で成熟化させた細胞と共培養して得られたヘルパーT細胞、DC2―Thは、IL−4およびIL−3存在下で培養した後に図中i)〜vi)に示す各条件下で成熟化させた細胞と共培養して得られたヘルパーT細胞を示す。MCはMaturarion Cocktailを意味する。 多数検体を用いて、LPSおよび抗CD40抗体で成熟化させた際のDCの分泌サイトカイン(IL−12およびIL−10)量を測定した結果を示す図である。DC1は、IL−4およびGM−CSF存在下で培養した後に、DC2は、IL−4およびIL−3存在下で培養した後にLPSおよび抗CD40抗体刺激で成熟化させた細胞を示す。 多数検体を用いて、LPSおよび抗CD40抗体で成熟化させたDCをナイーブT細胞と共培養することで分化誘導されるヘルパーT細胞のIFN−γ(Th1サイトカイン)およびIL−4(Th2サイトカイン)の分泌量測定した結果を示す図である。DC1−Thは、IL−4およびGM−CSF存在下で培養した後にLPSおよび抗CD40抗体で成熟化させた細胞と共培養して得られたヘルパーT細胞、DC2−Thは、IL−4およびIL−3存在下で培養した後にLPSおよび抗CD40抗体で成熟化させた細胞と共培養して得られたヘルパーT細胞を示す。 成熟化DCによって誘導されたヘルパーT細胞のうちの、Th1/Th2比率を、ヘルパーT細胞が産生するIFN−γおよびIL−4を細胞内で染色、定量解析することで算出した図である。図中の丸で囲まれた数値は、T細胞全体に占めるTh1、Th2それぞれの含有率を示す。 未成熟および成熟DCの、ナイーブT細胞に対する増殖能の誘導をリンパ球混合反応(MLR)により測定した結果を示す図である。 未成熟および成熟DCの表面抗原CD86、CD83、HLA−DRおよびCD25の発現量をDC1(IL−4およびGM−CSF存在下で培養した後にLPSおよび抗CD40抗体存在下で成熟化させて得たDC)およびDC2(IL−4およびIL−3存在下で培養した後にLPSおよび抗CD40抗体存在下で成熟化させて得たDC)で比較した図である。 未成熟および成熟DCの表面抗原BDCA4、TLR−2、CD11cおよびCD14の発現量をDC1(IL−4およびGM−CSF存在下で培養した後にLPSおよび抗CD40抗体存在下で成熟化させて得たDC)およびDC2(IL−4およびIL−3存在下で培養した後にLPSおよび抗CD40抗体存在下で成熟化させて得たDC)で比較した図である。 未成熟および成熟DCの表面抗原CD1a、BDCA1およびHLA−DRの発現量をDC1(IL−4およびGM−CSF存在下で培養した後にLPSおよび抗CD40抗体存在下で成熟化させて得たDC)およびDC2(IL−4およびIL−3存在下で培養した後にLPSおよび抗CD40抗体存在下で成熟化させて得たDC)で比較した図である。

Claims (38)

  1. リポポリサッカライド(LPS)および抗CD40抗体存在下で培養する工程を含む単球由来の未成熟樹状細胞の成熟化方法。
  2. 単球由来の未成熟樹状細胞をリポポリサッカライド(LPS)および抗CD40抗体存在下で培養する工程を含む成熟樹状細胞の生産方法。
  3. 単球由来の未成熟樹状細胞をリポポリサッカライド(LPS)および抗CD40抗体存在下で培養する工程を含むCD25、CD83、CD86およびHLA−DR陽性細胞の生産方法。
  4. 抗CD40抗体が固相化されたものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 次の工程を含む成熟樹状細胞の生産方法。
    1)単球をインターロイキン4(IL−4)および顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)存在下で培養する工程
    2)1)で得られた細胞をリポポリサッカライド(LPS)および抗CD40抗体存在下で培養する工程
  6. 次の工程を含むインターロイキン12(IL−12)産生能を有する細胞の生産方法。
    1)単球をインターロイキン4(IL−4)および顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)存在下で培養する工程
    2)1)で得られた細胞をリポポリサッカライド(LPS)および抗CD40抗体存在下で培養する工程
  7. 次の工程を含むTヘルパー1(Th1)応答への偏向を誘導する活性を有する細胞の生産方法。
    1)単球をインターロイキン4(IL−4)および顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)存在下で培養する工程
    2)1)で得られた細胞をリポポリサッカライド(LPS)および抗CD40抗体存在下で培養する工程
  8. 次の工程を含むCD1a陽性細胞の生産方法。
    1)単球をインターロイキン4(IL−4)および顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)存在下で培養する工程
    2)1)で得られた細胞をリポポリサッカライド(LPS)および抗CD40抗体存在下で培養する工程
  9. 次の工程を含むCD25、CD83、CD86、CD1aおよびHLA−DR陽性細胞の生産方法。
    1)単球をインターロイキン4(IL−4)および顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)存在下で培養する工程
    2)1)で得られた細胞をリポポリサッカライド(LPS)および抗CD40抗体存在下で培養する工程
  10. 次の工程を含む、リンパ球混合反応(MLR)においてナイーブT細胞に対して増殖能を誘導する活性を有する細胞の生産方法。
    1)単球をインターロイキン4(IL−4)および顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)存在下で培養する工程
    2)1)で得られた細胞をリポポリサッカライド(LPS)および抗CD40抗体存在下で培養する工程
  11. 次の工程を含むDC1の生産方法。
    1)単球をインターロイキン4(IL−4)および顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)存在下で培養する工程
    2)1)で得られた細胞をリポポリサッカライド(LPS)および抗CD40抗体存在下で培養する工程
  12. 抗CD40抗体が固相化されたものである請求項5〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 次の工程を含む成熟樹状細胞の生産方法。
    1)単球をインターロイキン4(IL−4)およびインターロイキン3(IL−3)存在下で培養する工程
    2)1)で得られた細胞をリポポリサッカライド(LPS)および抗CD40抗体存在下で培養する工程
  14. 次の工程を含むTヘルパー2(Th2)応答への偏向を誘導する活性を有する細胞の生産方法。
    1)単球をインターロイキン4(IL−4)およびインターロイキン3(IL−3)存在下で培養する工程
    2)1)で得られた細胞をリポポリサッカライド(LPS)および抗CD40抗体存在下で培養する工程
  15. 次の工程を含むCD25、CD83、CD86およびHLA−DR陽性細胞の生産方法。
    1)単球をインターロイキン4(IL−4)およびインターロイキン3(IL−3)存在下で培養する工程
    2)1)で得られた細胞をリポポリサッカライド(LPS)および抗CD40抗体存在下で培養する工程
  16. 次の工程を含む、リンパ球混合反応(MLR)においてナイーブT細胞に対して増殖能を誘導する活性を有する細胞の生産方法。
    1)単球をインターロイキン4(IL−4)およびインターロイキン3(IL−3)存在下で培養する工程
    2)1)で得られた細胞をリポポリサッカライド(LPS)および抗CD40抗体存在下で培養する工程
  17. 次の工程を含むDC2の生産方法。
    1)単球をインターロイキン4(IL−4)およびインターロイキン3(IL−3)存在下で培養する工程
    2)1)で得られた細胞をリポポリサッカライド(LPS)および抗CD40抗体存在下で培養する工程
  18. 抗CD40抗体が固相化されたものである請求項13〜17のいずれか1項に記載の方法。
  19. 請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法を用いて得られた細胞。
  20. 請求項19に記載の細胞を用いることを特徴とするヘルパーT細胞の生産方法。
  21. ナイーブT細胞を、請求項19に記載の細胞の存在下で培養する工程を含む、ヘルパーT細胞の生産方法。
  22. ナイーブT細胞を、請求項5〜12のいずれか1項に記載の方法を用いて得られた細胞の存在下で培養する工程を含むインターフェロンγ産生能を有する細胞の生産方法。
  23. ナイーブT細胞を、請求項5〜12のいずれか1項に記載の方法を用いて得られた細胞の存在下で培養する工程を含む、Tヘルパー1(Th1)細胞の生産方法。
  24. ナイーブT細胞を、請求項13〜18のいずれか1項に記載の方法を用いて得られた細胞の存在下で培養する工程を含む、IL−4産生能を有する細胞の生産方法。
  25. ナイーブT細胞を、請求項13〜18のいずれか1項に記載の方法を用いて得られた細胞の存在下で培養する工程を含む、Tヘルパー2(Th2)細胞の生産方法。
  26. CD4およびCD45RA陽性かつCD45RO陰性のT細胞を、請求項5〜12のいずれか1項に記載の方法を用いて得られた細胞の存在下で培養する工程を含む、インターフェロンγ産生能を有する細胞の生産方法。
  27. CD4およびCD45RA陽性かつCD45RO陰性のT細胞を、請求項5〜12のいずれか1項に記載の方法を用いて得られた細胞の存在下で培養する工程を含む、Tヘルパー1(Th1)細胞の生産方法。
  28. CD4およびCD45RA陽性かつCD45RO陰性のT細胞を、請求項13〜18のいずれか1項に記載の方法を用いて得られた細胞の存在下で培養する工程を含む、IL−4産生能を有する細胞の生産方法。
  29. CD4およびCD45RA陽性かつCD45RO陰性のT細胞を、請求項13〜18のいずれか1項に記載の方法を用いて得られた細胞の存在下で培養する工程を含む、Tヘルパー2(Th2)細胞の生産方法。
  30. 請求項20〜29のいずれか1項に記載の方法を用いることにより得られた細胞。
  31. 次の工程を含む、DC1とDC2における発現遺伝子を比較する方法。
    (1)単球を得る工程
    (2)(1)で得られた単球を2つの細胞群に分け、一方の細胞群をインターロイキン4(IL−4)および顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)存在下で、他方の細胞群をインターロイキン4(IL−4)およびインターロイキン3(IL−3)存在下で培養する工程
    (3)(2)で得られた2つの細胞群それぞれを、リポポリサッカライド(LPS)および抗CD40抗体存在下で培養する工程
    (4)(3)で得られた2つの細胞群のうち、(2)の工程でGM−CSF存在下で培養した細胞群をDC1群とし、IL−3存在下で培養した細胞群をDC2群とする工程
    (5)(4)で得られたDC1群とDC2群の発現遺伝子を差異解析により比較する工程
  32. 差異解析がサブトラクション法、DNAチップを用いた解析法または蛋白質二次元電気泳動法である請求項31に記載の方法。
  33. 請求項31または32に記載の方法を含むTヘルパー1(Th1)またはTヘルパー2(Th2)応答への偏向誘導因子の同定方法。
  34. 被検者から得られた試料における次の群から選ばれる1以上の遺伝子の発現量を測定する工程を含むTヘルパー1(Th1)応答への偏向の診断方法。
    annexin A8、
    follistatin−like 1、
    ADAM metallopeptidase domain 12(ADAM12)、
    p21/Cdc42/Rac1−activated kinase 1(PAK1)、
    sterol−C4−methyl oxidase−like、
    coactosin−like 1、
    sialyltransferase 9(GM3 synthase)、
    farnesyl−diphosphate farnesyltransferase 1(squalene synthase)、
    copine IV、
    A kinase anchor protein 13、
    tumor necrosis factor alpha−induced protein 1
  35. 被検者から得られた試料における次の群から選ばれる1以上の遺伝子の発現量を測定する工程を含むTヘルパー2(Th2)応答への偏向の診断方法。
    fibronectin 1、
    chemokine(C−C motif) ligand 3、
    cytochrome P450 family 27 subfamily A polypeptide 1、
    serpin peptidase inhibitor clade E member 1、
    integrin alpha E、
    radical S−adenosyl methionine domain containing 2、
    interleukin 1 receptor antagonist、
    stabilin 1、
    secreted protein, acidic, cystein−rich、
    phosphatidic acid phosphatase type 2B、
    glycoprotein nmb、
    leukocyte immunoglobulin−like receptor subfamily B member 4、
    formyl peptide receptor−like 2、
    urokinase−type plasminogen activator receptor、
    arachidonate 15−lipoxygenase (15−LO)、
    neutrophil cytosolic factor 2、
    thromboxane A synthase 1、
    ATP−binding cassette subfamily C member 3、
    cathepsin B、
    chemokine ligand 14、
    chemokine ligand 15、
    SERPINB2、
    RAB7B、
    chemokine receptor 1、
    apolipoprotein E、
    paired immunogloblin−like receptor alpha、
    matrix metallopeptidase 9、
    phospholipase D family member 3、
    egf mucin receptor 2、
    caspase 1、
    chemokine receptor 5、
    chemokine ligand 4
  36. 次の群から選ばれるいずれか1の遺伝子がコードする蛋白質の機能阻害作用を有する化合物を選択する工程を含むTヘルパー1(Th1)応答への偏向誘導阻害剤の同定方法。
    annexin A8、
    follistatin−like 1、
    ADAM metallopeptidase domain 12(ADAM12)、
    p21/Cdc42/Rac1−activated kinase 1(PAK1)、
    sterol−C4−methyl oxidase−like、
    coactosin−like 1、
    sialyltransferase 9(GM3 synthase)、
    farnesyl−diphosphate farnesyltransferase 1(squalene synthase)、
    copine IV、
    A kinase anchor protein 13、
    tumor necrosis factor alpha−induced protein 1
  37. 次の群から選ばれるいずれか1の遺伝子がコードする蛋白質の機能促進作用を有する化合物を選択する工程を含むDC移植免疫療法の効果増強剤の同定方法。
    annexin A8、
    follistatin−like 1、
    ADAM metallopeptidase domain 12(ADAM12)、
    p21/Cdc42/Rac1−activated kinase 1(PAK1)、
    sterol−C4−methyl oxidase−like、
    coactosin−like 1、
    sialyltransferase 9(GM3 synthase)、
    farnesyl−diphosphate farnesyltransferase 1(squalene synthase)、
    copine IV、
    A kinase anchor protein 13、
    tumor necrosis factor alpha−induced protein 1
  38. 次の群から選ばれるいずれか1の遺伝子がコードする蛋白質の機能阻害作用を有する化合物を選択する工程を含むTヘルパー2(Th2)応答への偏向誘導阻害剤の同定方法。
    fibronectin 1、
    chemokine(C−C motif) ligand 3、
    cytochrome P450 family 27 subfamily A polypeptide 1、
    serpin peptidase inhibitor clade E member 1、
    integrin alpha E、
    radical S−adenosyl methionine domain containing 2、
    interleukin 1 receptor antagonist、
    stabilin 1、
    secreted protein, acidic, cystein−rich、
    phosphatidic acid phosphatase type 2B、
    glycoprotein nmb、
    leukocyte immunoglobulin−like receptor subfamily B member 4、
    formyl peptide receptor−like 2、
    urokinase−type plasminogen activator receptor、
    arachidonate 15−lipoxygenase (15−LO)、
    neutrophil cytosolic factor 2、
    thromboxane A synthase 1、
    ATP−binding cassette subfamily C member 3、
    cathepsin B、
    chemokine ligand 14、
    chemokine ligand 15、
    SERPINB2、
    RAB7B、
    chemokine receptor 1、
    apolipoprotein E、
    paired immunogloblin−like receptor alpha、
    matrix metallopeptidase 9、
    phospholipase D family member 3、
    egf mucin receptor 2、
    caspase 1、
    chemokine receptor 5、
    chemokine ligand 4



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WO2022235072A1 (ko) * 2021-05-07 2022-11-10 아주대학교산학협력단 수지상 세포의 배양 방법

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