JP2007306816A - 修飾タンパク質及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 タンパク質の任意の部位に不飽和官能基を有する修飾タンパク質を用いて、その不飽和官能基を利用して共重合反応により、強固にタンパク質を担体に固定する方法を提供する。
【解決手段】タンパク質の構成成分として、非天然アミノ酸を使用し、そのアミノ酸に不飽和官能基を導入する。この不飽和官能基と重合性モノマーとを共重合することにより、基盤等へ強固にタンパク質を固定することができる。非天然アミノ酸へ導入される不飽和官能基としては、(メタ)アクリル基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。
【選択図】 なし
【解決手段】タンパク質の構成成分として、非天然アミノ酸を使用し、そのアミノ酸に不飽和官能基を導入する。この不飽和官能基と重合性モノマーとを共重合することにより、基盤等へ強固にタンパク質を固定することができる。非天然アミノ酸へ導入される不飽和官能基としては、(メタ)アクリル基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。
【選択図】 なし
Description
本発明は、タンパク質の任意の部位に不飽和官能基が導入されたタンパク質修飾物及びその製造方法に関する。
近年、ゲノムプロジェクトの進展により、生物の膨大な遺伝子情報が明らかとなり、その機能の解析が進められている。その機能解析のツールとして、DNAチップ(DNAマイクロアレイ)と呼ばれるデバイスを使用する方法が一般化しつつある。現在、DNAチップでは、例えば、ある生理的特徴を備えた細胞とコントロール細胞間で、細胞内で発現している遺伝子情報をmRNA量で比較し、その生理的特徴と遺伝子発現の相関を解析している。
しかし、実際に細胞内で機能的に発現しているタンパク質とmRNA量との相関は必ずしも高くないことから、タンパク質レベルを直接、解析する手法も注目されている。
例えば、タンパク質−医薬品の相互作用、タンパク質−タンパク質間の相互作用は、新規の医薬品開発、副作用の減弱化において重要な情報となる。
一方、直接、タンパク質を解析するには、適当な担体にタンパク質を固定する必要がある。タンパク質の固定化方法としては、担体にカルボキシル基の露呈させ、タンパク質のアミノ基とカップリングさせる方法(アミノカップリング法)、担体をチオール化し、カルボキシル基をPDEA等で修飾したタンパク質とジスルフィド結合を通してカップリングさせる方法(チオールカップリング法)等が知られている。また、上記共有結合による固定ではなく、タンパク質にHis−Tagを導入し、それをNTA(Nitrilotriacetic acid)で処理した担体にNi2+を通して結合させる方法も知られている。
しかし、上述のアミノカップリングによるタンパク質の固定化方法では、酸性タンパク質は固定することはできない。また、チオールカップリングによる固定化方法では、酸性タンパク質は固定化できるものの、多量のタンパク質を必要とする。さらには、His−Tagを用いる固定化方法では、最初は固定されるものの徐々に解離するという問題があった。
本発明は上記問題点を解決したタンパク質の固定化方法を提供する。
本発明者は、上述した問題点を解決するために鋭意検討を行った結果、タンパク質の特定の部位に不飽和官能基を有する修飾タンパク質を用いて、そのタンパク質の不飽和官能基を利用して共重合反応により、強固にタンパク質を担体に固定できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、タンパク質の任意の部位に、不飽和官能基を有する非天然アミノ酸を含む修飾タンパク質、である。
本発明によれば、タンパク質をその種類に関係なく、共有結合により強固に担体に結合させることができる。
本発明は、「タンパク質の任意の部位に、不飽和官能基を有する非天然アミノ酸を含む修飾タンパク質」である。
ここで「タンパク質」とは、オリゴペプチド、ポリペプチドを含む意味で用いる。本発明では、タンパク質の任意の部位に不飽和官能基を有する非天然アミノ酸が導入されている。不飽和官能基を有する非天然アミノ酸をタンパク質の任意の部位に導入する方法としては、非天然アミノ酸をタンパク質の任意の部位に導入した後、非天然アミノ酸の側鎖部の官能基に対して化学的修飾を行い、不飽和官能基を導入する方法、又は予め非天然アミノ酸側鎖の官能基に対して化学的修飾を行い、不飽和官能基を導入した後、タンパク質の任意の部位に導入する方法が挙げられる。
タンパク質の任意の部位に非天然アミノ酸を導入する方法としては、プロテインスプライシング反応を利用したペプチド導入法(Protein Sci.,7,p.2256−2264,1998等)、アミノ酸の種類に特異的な導入法(特願平3−208321、US Patent No.6,586,207等)、アミノ酸の部位に特異的な導入法(Science,244,p.182−188,1989、Science,292,p.498−500,2001等)、4塩基認識を利用した位置特異的な導入法(J.Am.Chem.Soc.,118,p.9778−9779,1996、J.Am.Chem.Soc.,121,p.34−40,1999等)などが挙げられ、上記方法のいずれの方法も採用できる。
ここで用いる非天然アミノ酸としては、側鎖部に不飽和官能基を導入することが可能な官能基を有するものであれば、その種類を問わない。側鎖部の官能基には、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、アルデヒド基、アセチル基等の官能基が挙げられる。
また、導入される不飽和官能基としては、(メタ)アクリル基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。これら不飽和官能基の導入は、アクリル酸スクシンイミドエステル、メタクリル酸グリシジルエステル、メタクリル酸ヒドラジド化合物等を反応させることにより、導入することが可能となる。
例えばアクリル基を導入する場合であれば、非天然アミノ酸としてアミノフェニルアラニンを選択し、そのアミノ基にアクリル酸スクシンイミドエステル(以下、単に「ビニル化剤」と称す。)を反応させることにより、アクリル基を導入することが可能となる。
アミノフェニルアラニンを含むタンパク質を調製後に、アクリル基を導入する場合は、アミド結合形成反応をpH5程度で行うことで、他にアミノ基が存在していても、アミノフェニルアラニンの側鎖のアミノ基に選択的に反応させることができる。他の方法としては、反応に関与させたくないアミノ基をBoc化等により保護し、反応後脱Boc化すればよい。この方法は、例えば、「新生化学実験講座1 蛋白質VI 構造機能相関」の記載等を参照すればよい。
非天然アミノ酸を導入したタンパク質とビニル化剤との反応において、使用するビニル化剤は、反応率を考慮してその使用量を決定すればよい。経済性を考慮すると、アミノフェニルアラニン導入タンパク質に対して、等モル〜50倍モルを使用することが好ましい。
反応温度は、反応速度、反応率等を考慮して任意に設定することができる。10℃〜30℃が好ましい。
上記の方法により調製された修飾タンパク質は、透析等の方法により単離・精製することができる。
タンパク質に不飽和官能基が導入されたことの確認は、MALDI/TOFマススペクトロメトリーにより確認することができる。
このように調製された修飾タンパク質を、例えば、重合性モノマーと共重合することにより、タンパク質が固定(包含)された高分子材料を得ることができる。重合性モノマーとしては、特に制限されないが、例えば、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−アクリルロイルアミノエトキシエタノール、N−アクリルロイルアミノプロパノール、N−メチロールアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、ヒドロキシエチルメタクリレート、(メタ)アクリル酸、アリルデキストリン等から選ばれた少なくとも一種類以上の単量体と、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の多官能性単量体を、水性媒体中で共重合させ、タンパク質が固定(包含)されたゲルを得る。好ましくは、アクリルアミド系のゲルである。
上述の固定化方法は、様々なタンパク質検査装置に使用される。例えば、キャピラリー電気泳動法で使用するキャピラリーにおいて、その中空部にアクリルアミドモノマーと上述のタンパク質修飾物とを含む重合溶液を導入し、中空部内で重合反応を実施することにより、キャピラリーの中空部にタンパク質が固定されたアクリルアミドゲルが保持されたキャピラリーを得ることができる。
また、平面基板上にモノマー溶液と上述のタンパク質修飾物とを含む重合溶液を滴下し、平面基板上で重合反応を行うことにより、平面基板上に多数のタンパク質が固定されたタンパク質チップを作成することも可能である。
さらには、WO00/53736号公報、特開2000−60554号に記載の複数の貫通孔が整然配置された基盤の各貫通孔に上述のモノマー溶液とタンパク質修飾物とを含む重合溶液を導入し、重合反応を行うことにより、貫通孔内部にタンパク質が固定されたタンパク質チップを作成することも可能である。
以上、本発明におけるタンパク質修飾物の使用の一例を示したが、使用方法はこれらに限定されるものではない。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。
[実施例1]
タンパク質の任意の部位にアミノフェニルアラニンを導入した後、アクリル酸スクシンイミドエステルを用いタンパク質の修飾する方法
(1) ペプチド:Cys−Phe(4−NH2)の合成
Fmoc−Cys(Trt)−OH、Fmoc−Phe(4−NHBoc)−OH(いずれもAdvanced ChemTechより購入)を用い、固相合成法によりペプチドを合成した。合成法は一般的な方法による。(「新生化学実験講座1:蛋白質VI 合成および発現」等)
(2) プラスミドの調製
T7プロモーターを含むプラスミド(pTYB1)に、プラスミド(pET−2T)から得られるグルタチオンS−トランスフェラーゼ(以下、単に「GST」と称す、アミノ酸220 残基、分子量26kDa)のコーディング領域を遺伝子組換え法にて組込み、プラスミド(pTYB1−GST)を作製した。ここでも用いたプラスミド遺伝子の組み換えは制限酵素を用いた一般的な方法による(羊土社 改定遺伝子工学実験ノート等)。プラスミド(pTYB1)はNew England Biolabsから、プラスミド(pGEX−2T)はアマシャムバイオサイエンスから、また制限酵素はタカラバイオから購入した。宿主には大腸菌のXL−1株を用いた。作製したプラスミド(pTYB1−GST)を有する大腸菌のXL−1株を2×YT培地でアンピシリン(最終濃度40μg/ml)存在下、37℃、10時間培養し、遠心分離により菌体を採取した。プラスミド(pTYB1−GST)DNA はQIAGEN製QIAprep Spin Miniprep Kitにより精製した。
タンパク質の任意の部位にアミノフェニルアラニンを導入した後、アクリル酸スクシンイミドエステルを用いタンパク質の修飾する方法
(1) ペプチド:Cys−Phe(4−NH2)の合成
Fmoc−Cys(Trt)−OH、Fmoc−Phe(4−NHBoc)−OH(いずれもAdvanced ChemTechより購入)を用い、固相合成法によりペプチドを合成した。合成法は一般的な方法による。(「新生化学実験講座1:蛋白質VI 合成および発現」等)
(2) プラスミドの調製
T7プロモーターを含むプラスミド(pTYB1)に、プラスミド(pET−2T)から得られるグルタチオンS−トランスフェラーゼ(以下、単に「GST」と称す、アミノ酸220 残基、分子量26kDa)のコーディング領域を遺伝子組換え法にて組込み、プラスミド(pTYB1−GST)を作製した。ここでも用いたプラスミド遺伝子の組み換えは制限酵素を用いた一般的な方法による(羊土社 改定遺伝子工学実験ノート等)。プラスミド(pTYB1)はNew England Biolabsから、プラスミド(pGEX−2T)はアマシャムバイオサイエンスから、また制限酵素はタカラバイオから購入した。宿主には大腸菌のXL−1株を用いた。作製したプラスミド(pTYB1−GST)を有する大腸菌のXL−1株を2×YT培地でアンピシリン(最終濃度40μg/ml)存在下、37℃、10時間培養し、遠心分離により菌体を採取した。プラスミド(pTYB1−GST)DNA はQIAGEN製QIAprep Spin Miniprep Kitにより精製した。
(3) 任意の部位にアミノフェニルアラニンを導入したタンパク質の調整
調整したプラスミド(pTYB1−GST)DNAを、ホスト大腸菌ER2566に形質転換により導入した。本形質転換株をLB培地中にて培養し、その際IPTGの誘導によりインテインのN末端側にGSTが付加されたタンパク質複合体を過剰発現させる。過剰発現させたタンパク質複合体を超音波処理により菌体外に可溶化させた後、Chitin Beadsを用いて捕捉させた状態で、緩衝液により精製する。その後、(1)で合成したCys−Phe(4−NH2)をビーズと混合させて、Cys−Phe(4−NH2)がGSTのC末端側付加させると同時にビーズから溶出させられる。溶出液中に含まれる調製された目的タンパク質は、透析等の方法により単離・精製することができる。
調整したプラスミド(pTYB1−GST)DNAを、ホスト大腸菌ER2566に形質転換により導入した。本形質転換株をLB培地中にて培養し、その際IPTGの誘導によりインテインのN末端側にGSTが付加されたタンパク質複合体を過剰発現させる。過剰発現させたタンパク質複合体を超音波処理により菌体外に可溶化させた後、Chitin Beadsを用いて捕捉させた状態で、緩衝液により精製する。その後、(1)で合成したCys−Phe(4−NH2)をビーズと混合させて、Cys−Phe(4−NH2)がGSTのC末端側付加させると同時にビーズから溶出させられる。溶出液中に含まれる調製された目的タンパク質は、透析等の方法により単離・精製することができる。
ここで用いた方法は全てNew England BiolabsのIMPACTTM−CNの取扱説明書に記載された方法により、必要な試薬類は全てNew England Biolabsより購入した。
得られた目的タンパク質がGSTのC末端部に(1)Cys−Phe(4−NH2)の修飾体であることは、MALDI/TOFマススペクトロメトリーにより確認できる。GSTは、MALDI/TOFマススペクトロメトリーで [M+H]+の分子イオンがm/z 26,000に現れたが、上述の方法で得られたGSTのCys−Phe(4−NH2)修飾体は、MALDI/TOFマススペクトロメトリーで [M+H]+の分子イオンがm/z 26,265に現れた。本結果はGSTが上述の方法によりCys−Phe(4−NH2)により修飾されたことを示唆する。
(4) アミノフェニルアラニンの導入されたタンパク質にビニル基を導入する方法
(3)で得られたアミノフェニルアラニンを導入したタンパク質と2倍モル当量のアクリル酸スクシンイミドエステル(Aldrich−Merck)をpH=5のクエン酸緩衝液中にて25℃条件下で30分間反応させる。反応後、未反応のアクリル酸スクシンイミドエステルは、透析等の方法により除去し、GSTのCys−Phe(4−NH2)修飾体を単離・精製することができる。
(3)で得られたアミノフェニルアラニンを導入したタンパク質と2倍モル当量のアクリル酸スクシンイミドエステル(Aldrich−Merck)をpH=5のクエン酸緩衝液中にて25℃条件下で30分間反応させる。反応後、未反応のアクリル酸スクシンイミドエステルは、透析等の方法により除去し、GSTのCys−Phe(4−NH2)修飾体を単離・精製することができる。
[実施例2]
タンパク質の任意の部位に4−アセチルフェニルアラニンを導入した後、メタクリル酸ヒドラジドを用いタンパク質の修飾する方法
(1) ぺプチド:Cys−Phe(4−acetyl)の合成
Fmoc−Cys(Trt)−OH(Advanced ChemTechより購入)、4−アセチルフェニルアラニン(J.Med.Chem.,11,p.225−227,1968、Chim.Acta.,54,p.1395−1400,1971、Liebigs.Ann.Chem.,752,p.109−114,1971等に従い合成)を用い、固相合成法によりペプチドを合成した。合成法は一般的な方法による。(「新生化学実験講座1 蛋白質VI 合成および発現」等)
(2) プラスミドの調製
T7プロモーターを含むプラスミド(pTYB1)に、プラスミド(pET−2T)から得られるグルタチオンS−トランスフェラーゼ(以下、単に「GST」と称す、アミノ酸220 残基、分子量26kDa)のコーディング領域を遺伝子組換え法にて組込み、プラスミド(pTYB1−GST)を作製した。ここでも用いたプラスミド遺伝子の組み換えは制限酵素を用いた一般的な方法による(羊土社 改定遺伝子工学実験ノート等)。プラスミド(pTYB1)はNew England Biolabsから、プラスミド(pGEX−2T)はアマシャムバイオサイエンスから、また制限酵素はタカラバイオから購入した。宿主には大腸菌のXL−1株を用いた。作製したプラスミド(pTYB1−GST)を有する大腸菌のXL−1株を2×YT培地でアンピシリン(最終濃度40μg/ml)存在下、37℃、10時間培養し、遠心分離により菌体を採取した。プラスミド(pTYB1−GST)DNA はQIAGEN製QIAprep Spin Miniprep Kitにより精製した。
タンパク質の任意の部位に4−アセチルフェニルアラニンを導入した後、メタクリル酸ヒドラジドを用いタンパク質の修飾する方法
(1) ぺプチド:Cys−Phe(4−acetyl)の合成
Fmoc−Cys(Trt)−OH(Advanced ChemTechより購入)、4−アセチルフェニルアラニン(J.Med.Chem.,11,p.225−227,1968、Chim.Acta.,54,p.1395−1400,1971、Liebigs.Ann.Chem.,752,p.109−114,1971等に従い合成)を用い、固相合成法によりペプチドを合成した。合成法は一般的な方法による。(「新生化学実験講座1 蛋白質VI 合成および発現」等)
(2) プラスミドの調製
T7プロモーターを含むプラスミド(pTYB1)に、プラスミド(pET−2T)から得られるグルタチオンS−トランスフェラーゼ(以下、単に「GST」と称す、アミノ酸220 残基、分子量26kDa)のコーディング領域を遺伝子組換え法にて組込み、プラスミド(pTYB1−GST)を作製した。ここでも用いたプラスミド遺伝子の組み換えは制限酵素を用いた一般的な方法による(羊土社 改定遺伝子工学実験ノート等)。プラスミド(pTYB1)はNew England Biolabsから、プラスミド(pGEX−2T)はアマシャムバイオサイエンスから、また制限酵素はタカラバイオから購入した。宿主には大腸菌のXL−1株を用いた。作製したプラスミド(pTYB1−GST)を有する大腸菌のXL−1株を2×YT培地でアンピシリン(最終濃度40μg/ml)存在下、37℃、10時間培養し、遠心分離により菌体を採取した。プラスミド(pTYB1−GST)DNA はQIAGEN製QIAprep Spin Miniprep Kitにより精製した。
(3) 任意の部位に4−アセチルフェニルアラニンを導入したタンパク質の調整
調整したプラスミド(pTYB1−GST)DNAを、ホスト大腸菌ER2566に形質転換により導入した。本形質転換株をLB培地中にて培養し、その際IPTGの誘導によりインテインのN末端側にGSTが付加されたタンパク質複合体を過剰発現させる。過剰発現させたタンパク質複合体を超音波処理により菌体外に可溶化させた後、Chitin Beadsを用いて捕捉させた状態で、緩衝液により精製する。その後、(1)で合成したCys−Phe(4−acetyl)をビーズと混合させて、Cys−Phe(4− acetyl)がGSTのC末端側付加させると同時にビーズから溶出させられる。溶出液中に含まれる調製された目的タンパク質は、透析等の方法により単離・精製することができる。
調整したプラスミド(pTYB1−GST)DNAを、ホスト大腸菌ER2566に形質転換により導入した。本形質転換株をLB培地中にて培養し、その際IPTGの誘導によりインテインのN末端側にGSTが付加されたタンパク質複合体を過剰発現させる。過剰発現させたタンパク質複合体を超音波処理により菌体外に可溶化させた後、Chitin Beadsを用いて捕捉させた状態で、緩衝液により精製する。その後、(1)で合成したCys−Phe(4−acetyl)をビーズと混合させて、Cys−Phe(4− acetyl)がGSTのC末端側付加させると同時にビーズから溶出させられる。溶出液中に含まれる調製された目的タンパク質は、透析等の方法により単離・精製することができる。
ここで用いた方法は全てNew England BiolabsのIMPACTTM−CNの取扱説明書に記載された方法により、必要な試薬類は全てNew England Biolabsより購入した。
得られた目的タンパク質がGSTのC末端部に(1)Cys−Phe(4− acetyl)の修飾体であることは、MALDI/TOFマススペクトロメトリーにより確認できる。GSTは、MALDI/TOFマススペクトロメトリーで [M+H]+の分子イオンがm/z 26,000に現れたが、上述の方法で得られたGSTのCys−Phe(4− acetyl)修飾体は、MALDI/TOFマススペクトロメトリーで [M+H]+の分子イオンがm/z 26,282に現れた。本結果はGSTが上述の方法によりCys−Phe(4− acetyl)により修飾されたことを示唆する。
(4)4−アセチルフェニルアラニンの導入されたタンパク質にビニル基を導入する方法
(3)で得られたアミノフェニルアラニンを導入したタンパク質と2倍モル当量のアクリル酸スクシンイミドエステル(Aldrich−Merck)をpH=5のクエン酸緩衝液中にて25℃条件下で30分間反応させる。反応後、未反応のアクリル酸スクシンイミドエステルは、透析等の方法により除去し、GSTのCys−Phe(4−NH2)修飾体を単離・精製することができる。
(3)で得られたアミノフェニルアラニンを導入したタンパク質と2倍モル当量のアクリル酸スクシンイミドエステル(Aldrich−Merck)をpH=5のクエン酸緩衝液中にて25℃条件下で30分間反応させる。反応後、未反応のアクリル酸スクシンイミドエステルは、透析等の方法により除去し、GSTのCys−Phe(4−NH2)修飾体を単離・精製することができる。
[実施例3、4]
本実施例では、実施例1により得られたアクリル基が導入されたGSTのCys−Phe(4−NH2)の修飾体、および実施例2により得られたメタクリル基が導入されたGSTのCys−Phe(4−acetyl)の修飾体をアクリルアミドゲルへの固定及び評価を行った。また、GSTのCys−Phe(4−NH2)の修飾体(比較例1)、Cys−Phe(4−acetyl)の修飾体(比較例2)及び無修飾のGST(比較例3)のアクリルアミドゲルへの固定及び評価も行った。
本実施例では、実施例1により得られたアクリル基が導入されたGSTのCys−Phe(4−NH2)の修飾体、および実施例2により得られたメタクリル基が導入されたGSTのCys−Phe(4−acetyl)の修飾体をアクリルアミドゲルへの固定及び評価を行った。また、GSTのCys−Phe(4−NH2)の修飾体(比較例1)、Cys−Phe(4−acetyl)の修飾体(比較例2)及び無修飾のGST(比較例3)のアクリルアミドゲルへの固定及び評価も行った。
表1に示したゲル前駆体水溶液(3種類)を調製し、マイクロピペットにてガラススライド上に各0.1μl滴下した。
上述のタンパク質チップは以下に示す方法で評価を行った。
ここで利用する評価法は、タンパク質チップに用いるタンパク質の相互作用の評価法として一般的に用いられる方法による(Science,2000,vol.289,p.1760)。
はじめに、0.1wt%Tween20含有PBS緩衝液にて、アクリルアミドゲル中に固定されずに存在するGSTを洗浄、除去する。
続いて、蛍光標識化されたCy5TM Labeled GST−Antibody(モレキュラープローブから購入)40μg/ml溶液を上記タンパク質チップに供し、チップ上に固定されたIL6抗体と結合させる。
さらに、0.1wt%Tween20含有PBS緩衝液にて、未結合のCy5TM Labeled GST −Antibodyを洗浄、除去する。
以上より、アクリル基またはメタクリル基が導入されたGSTが固定されたスポットに起因する蛍光値は、アクリル基またはメタクリル基を導入していないGSTが固定されたスポットに起因する蛍光値の約60倍であった。
よって、アクリル基またはメタクリル基が導入されたGSTをアクリルアミドモノマーと共重合により固定することで、活性中心が露呈した状態配向させ、且つその機能を保持したままで固定できていることが示唆される。
Claims (1)
- タンパク質の任意の部位に不飽和官能基を有する非天然アミノ酸を含む、修飾タンパク質。
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