JP2007305274A - 光ピックアップ - Google Patents
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Abstract
【課題】案内溝ピッチが互いに異なる光ディスクに対し、トラッキング誤差信号及びフォーカス誤差信号の両方を検出することが可能な光ピックアップを実現する。
【解決手段】本発明の光ピックアップは、光源と集光素子との間に配置され、主ビーム30及び副ビーム31・32に分割する光回折素子3Aを備え、案内溝ピッチが互いに異なる複数の光ディスク6に対応し、光回折素子3Aの格子構造面は、光ビームに位相差を与え、相対的に案内溝ピッチが小さい第1のディスクに対しては、副ビーム31・32におけるプッシュプル信号振幅が略0になる一方、相対的に案内溝ピッチが大きい第2の光ディスクに対しては、副ビームにおけるプッシュプル信号の振幅が検出されるように設計されている。
【選択図】図2
【解決手段】本発明の光ピックアップは、光源と集光素子との間に配置され、主ビーム30及び副ビーム31・32に分割する光回折素子3Aを備え、案内溝ピッチが互いに異なる複数の光ディスク6に対応し、光回折素子3Aの格子構造面は、光ビームに位相差を与え、相対的に案内溝ピッチが小さい第1のディスクに対しては、副ビーム31・32におけるプッシュプル信号振幅が略0になる一方、相対的に案内溝ピッチが大きい第2の光ディスクに対しては、副ビームにおけるプッシュプル信号の振幅が検出されるように設計されている。
【選択図】図2
Description
本発明は、光ピックアップに関するものである。
近年、光ディスクや光カード等の記録媒体は、多量の情報信号を高密度で記録することができるため、オーディオ、ビデオ、コンピュータ等の多くの機器で利用されている。
特に、最近では、コンピュータ等で用いられる動画情報などにおいて、取り扱うデータ量が飛躍的に増大している。これに伴って、記録ピットや案内溝ピッチの縮小化による光ディスクの大容量化が進んでいる。
上記の光ディスクのような記録媒体では、ミクロン単位で記録された情報信号を再生するため、記録用の案内溝に対して、光ビームを正確にフォーカシング及びトラッキングさせる必要がある。
図27(a)に、従来から広く用いられている光ピックアップ装置の概略構成図を示す。
図27(a)に示されるように、光ピックアップ装置100は、半導体レーザ1と、コリメータレンズ2と、光回折素子300Aと、ビームスプリッタ4と、対物レンズ5と、集光レンズ7と、シリンドリカルレンズ8と、受光部9とを備えている。また、図3(b)に示すように、受光部9は、4分割受光素子9A〜9Cを含む。光ピックアップ装置100は、光ディスク6に形成された案内溝61に情報を記録再生するものである。
半導体レーザ1から出射された光ビーム30Pは、コリメータレンズ2を通過して、平行光に変換される。この平行光は、光分岐素子としての光回折素子300Aにより、主ビーム30と2つの副ビーム31・32とに分割される。光ピックアップ装置100においては、主ビーム30が記録再生及びサーボ信号検出に用いられ、2つの副ビーム31・32がトラッキングに用いられる。
これら3つのビーム30〜32は、ビームスプリッタ4を透過し、対物レンズ5によって記録媒体である光ディスク6の案内溝61に集光される。そして、3つのビーム30〜32は、光ディスク6の案内溝61にてビーム30’〜32’となって、対物レンズ5側へ反射する。
これら3つのビーム30’〜32’は、再び対物レンズ5を通過し、ビームスプリッタ4で反射される。ビームスプリッタ4で反射された3つのビーム30’〜32’は、集光レンズ7およびシリンドリカルレンズ8を通過して、3つの4分割受光素子9A〜9Cにそれぞれ入射する。4分割受光素子9A〜9Cはそれぞれ、光ディスク6のトラック溝(案内溝61)方向に相当するx方向に沿った分割線と、x方向に直交するy方向の分割線とによって分割領域A1〜A4、分割領域B1〜B4、及び分割領域C1〜C4に分割されている。(ここで、各分割領域から出力される信号をそれぞれSA1〜SA4、SB1〜SB4、SC1〜SC4とする。)
ここで、図27(b)を用いて、光ピックアップ装置100において検出される、フォーカシング誤差信号について詳しく説明する。図27(b)は、従来の光ピックアップ装置100におけるフォーカス誤差信号検出原理を説明するためのブロック図である。このフォーカス誤差信号の検出は、図27(b)に示されるように、主ビーム30が光ディスク6にて反射したビーム30’を用いて行われる。すなわち、フォーカス誤差信号は、ビーム30’を受光する4分割受光素子9Aにおける、分割領域A1〜A4それぞれから出力されるSA1〜SA4に対し所定の演算を行うことにより検出される。このフォーカス誤差信号検出のための演算について、以下に説明する。
ここで、図27(b)を用いて、光ピックアップ装置100において検出される、フォーカシング誤差信号について詳しく説明する。図27(b)は、従来の光ピックアップ装置100におけるフォーカス誤差信号検出原理を説明するためのブロック図である。このフォーカス誤差信号の検出は、図27(b)に示されるように、主ビーム30が光ディスク6にて反射したビーム30’を用いて行われる。すなわち、フォーカス誤差信号は、ビーム30’を受光する4分割受光素子9Aにおける、分割領域A1〜A4それぞれから出力されるSA1〜SA4に対し所定の演算を行うことにより検出される。このフォーカス誤差信号検出のための演算について、以下に説明する。
主ビーム30は、シリンドリカルレンズ8により、非点収差が付加される。それゆえ、図27(b)に示されるように、光ピックアップ装置100では、非点収差法を用いて、次の演算を行うことでフォーカス誤差信号FEが得られる。
FE=(SA1+SA3)−(SA2+SA4)
次に、トラッキング誤差信号について示す。トラッキング誤差信号の検出方法としては主ビーム及び2つの副ビームの3つのビームを用いた差動プッシュプル(DPP:Differential Push-Pull)法が挙げられる。この差動プッシュプル法は、CD−R/RW(Compact Disk-Recordable/Rewritable)やDVD−R/RWなど、様々な記録型光ディスクのトラッキングのためのトラッキング誤差信号の検出方法に広く用いられている。この検出方法について、図27(c)及び図28を用いて詳しく説明する。図27(c)は、従来の光ピックアップ装置100におけるトラッキング誤差信号検出原理を説明するためのブロック図である。また、図28は、従来の光ピックアップ装置を用いた場合の光ディスク上のビームスポット形状(主ビームおよび副ビームの配置)を示した説明図である。
FE=(SA1+SA3)−(SA2+SA4)
次に、トラッキング誤差信号について示す。トラッキング誤差信号の検出方法としては主ビーム及び2つの副ビームの3つのビームを用いた差動プッシュプル(DPP:Differential Push-Pull)法が挙げられる。この差動プッシュプル法は、CD−R/RW(Compact Disk-Recordable/Rewritable)やDVD−R/RWなど、様々な記録型光ディスクのトラッキングのためのトラッキング誤差信号の検出方法に広く用いられている。この検出方法について、図27(c)及び図28を用いて詳しく説明する。図27(c)は、従来の光ピックアップ装置100におけるトラッキング誤差信号検出原理を説明するためのブロック図である。また、図28は、従来の光ピックアップ装置を用いた場合の光ディスク上のビームスポット形状(主ビームおよび副ビームの配置)を示した説明図である。
DPP法によりトラッキング誤差信号を検出する場合、光ディスク6上のビームスポット形状は、図28に示すようになる。すなわち、ビームスポット形状は、案内溝61上に位置する主ビーム30のビームスポットを中心として、副ビーム31および32それぞれのビームスポットが互いに点対称の位置になるように配置された形状になる。また、副ビーム31および32それぞれのビームスポットは、案内溝61から、ちょうど案内溝61間のピッチ(以下、単に案内溝ピッチと記す)の1/2分だけずれた位置に配置されている。
DPP法によるトラッキング誤差信号の検出は、図27(c)に示されるように、主ビーム30〜32が光ディスク6にて反射したビーム30’〜32’を用いて行われる。すなわち、トラッキング誤差信号は、ビーム30’〜32’を受光する4分割受光素子9A〜9Cの分割領域から出力される信号を用いて、主ビーム30のプッシュプル信号MPP、副ビーム31および32のプッシュプル信号SPP1およびSPP2が演算される。プッシュプル信号MPP、SPP1及びSPP2は、分割領域A1〜A4、分割領域B1〜B4、及び分割領域C1〜C4それぞれから出力される信号SA1〜SA4、SB1〜SB4、及びSC1〜SC4について下記の演算を行うことにより検出される。
MPP =(SA1+SA2)−(SA3+SA4)
SPP1=(SB1+SB2)−(SB3+SB4)
SPP2=(SC1+SC2)−(SC3+SC4)
さらに、DPP法では、プッシュプル信号MPP、SPP1及びSPP2について、下記の演算を行うにより、トラッキング誤差信号TE1が得られる。
TE1=MPP−α・(SPP1+SPP2)
ここで、αは主ビーム30と副ビーム31・32との光量差を補正する係数である。また、α・(SPP1+SPP2)を合成副ビームプッシュプル信号SPPと表わすことができる。
MPP =(SA1+SA2)−(SA3+SA4)
SPP1=(SB1+SB2)−(SB3+SB4)
SPP2=(SC1+SC2)−(SC3+SC4)
さらに、DPP法では、プッシュプル信号MPP、SPP1及びSPP2について、下記の演算を行うにより、トラッキング誤差信号TE1が得られる。
TE1=MPP−α・(SPP1+SPP2)
ここで、αは主ビーム30と副ビーム31・32との光量差を補正する係数である。また、α・(SPP1+SPP2)を合成副ビームプッシュプル信号SPPと表わすことができる。
しかしながら、これらフォーカス誤差信号およびトラッキング誤差信号の検出方法にはそれぞれ、後述する問題がある。
まず、非点収差法を用いたフォーカス誤差信号の検出方法に関する問題について説明する。
主ビーム30が光ディスク6の案内溝61にて反射したビーム30’は4分割受光素子9Aにより受光される。4分割受光素子9Aにおけるビーム30’の干渉パターンは、光ディスク6上のビームスポットと案内溝61との相対的な位置関係によって変化することになる。一般には、光ピックアップを構成する部品の組立公差などにより、図27(b)に示されるように、4分割受光素子9Aの中心と反射光(ビーム30’)の光軸とを完全に一致させることはきわめて困難であり、両者の間でずれが生じる。これにより、4分割受光素子9Aにおける反射光の干渉パターンに変化が生じた場合、すなわち、ビーム30’のビームスポットが光ディスク6の案内溝61を横断した(ビーム30’のビームスポットがトラック方向と垂直なラジアル方向に移動した)場合、フォーカス誤差信号が一定の値とならず、ビームスポットの案内溝横断に関連して変動することにある。このため、上記のフォーカス誤差信号の検出方法では、クロスノイズが発生し、安定した情報の書き込みや再生特性が得られないという問題がある。
そこで、この問題を解決する手段として、例えば、特許文献1に開示された光ピックアップ装置(以下、従来例1の光ピックアップ装置と記す)が提案されている。従来例1の光ピックアップ装置について、図29及び図30を用いて説明する。図29は、従来例1の光ピックアップ装置におけるフォーカス誤差信号検出原理を説明するためのブロック図である。
従来例1の光ピックアップ装置では、フォーカス誤差信号検出は、主ビーム30〜32が光ディスク6にて反射したビーム30’〜32’を用いて行われる。図29に示すように、光ディスク6上に集光されている主ビーム30のスポットに対しては、図27(b)に示されたものと同様の演算で主ビームフォーカス誤差信号MFEを算出する。一方、2つの副ビーム31および32のスポットについては、以下の演算により、副ビームフォーカス誤差信号SFE1およびSFE2を検出する。
MFE =(SA1+SA3)−(SA2+SA4)
SFE1=(SB1+SB3)−(SB2+SB4)
SFE2=(SC1+SC3)−(SC2+SC4)
ここで、従来例1の光ピックアップ装置においても、光ディスク6上のビームスポットの形状は、図28に示されたものと同様の形状になる。すなわち、ビームスポット形状は、案内溝61上に位置する主ビーム30のビームスポットを中心として、副ビーム31および32それぞれのビームスポットが互いに点対称の位置になるように配置され、かつ副ビーム31および32それぞれのビームスポットが、案内溝61から、ちょうど案内溝ピッチの1/2分だけずれた位置に配置された形状である。
MFE =(SA1+SA3)−(SA2+SA4)
SFE1=(SB1+SB3)−(SB2+SB4)
SFE2=(SC1+SC3)−(SC2+SC4)
ここで、従来例1の光ピックアップ装置においても、光ディスク6上のビームスポットの形状は、図28に示されたものと同様の形状になる。すなわち、ビームスポット形状は、案内溝61上に位置する主ビーム30のビームスポットを中心として、副ビーム31および32それぞれのビームスポットが互いに点対称の位置になるように配置され、かつ副ビーム31および32それぞれのビームスポットが、案内溝61から、ちょうど案内溝ピッチの1/2分だけずれた位置に配置された形状である。
このため、主ビームフォーカス誤差信号MFE、副ビームフォーカス誤差信号SFE1およびSFE2の信号波形は、図30に示す信号波形になる。図30に示すように、副ビーム31・32のビームスポットに対する副ビームフォーカス誤差信号SFE1・SFE2にのるクロスノイズの位相は一致している。その一方で、副ビームフォーカス誤差信号SFE1・SFE2は、主ビームフォーカス誤差信号MFEに対し、位相が反転している。
従来例1の光ピックアップ装置では、上記主ビームフォーカス誤差信号MFE、副ビームフォーカス誤差信号SFE1およびSFE2を用いて、以下の演算により、フォーカス誤差信号FE2を生成する。
FE2=MFE−β・(SFE1+SFE2)
ここで、βは主ビーム30と副ビーム31・32との光量差を補正する係数である。また、β・(SFE1+SFE2)を合成副ビームのフォーカス誤差信号SFEと表わすことができる。
FE2=MFE−β・(SFE1+SFE2)
ここで、βは主ビーム30と副ビーム31・32との光量差を補正する係数である。また、β・(SFE1+SFE2)を合成副ビームのフォーカス誤差信号SFEと表わすことができる。
これにより、従来例1の光ピックアップ装置では、クロスノイズがキャンセルでき、安定したフォーカス誤差信号(FE2)を得ることが可能になる。
次に、DPP法を用いたトラッキング誤差信号の検出方法に関する問題について説明する。
DPP法を用いたトラッキング誤差信号の検出方法では、上述のように、光ディスク6上の主ビーム30、及び副ビーム31・32のビームスポットを、図28に示されるように、正確に配置する必要がある。すなわち、主ビーム30、及び副ビーム31・32のビームスポットを、案内溝61上に位置する主ビーム30のビームスポットを中心として、副ビーム31および32それぞれのビームスポットが互いに点対称の位置になり、かつ副ビーム31および32それぞれのビームスポットが、案内溝61から、ちょうど案内溝ピッチの1/2分だけずれた位置に配置する必要がある。
そのため、案内溝ピッチが光ディスク6と異なる他の種類の光ディスクを記録再生した場合、トラッキング誤差信号が劣化してしまうという問題が生じる。
そこで、この問題を解決する手段として、例えば特許文献2に開示された光ピックアップ(以下、従来例2の光ピックアップ装置と記す)が提案されている。
従来例2の光ピックアップ装置の構成は、回折格子の格子形状が異なる以外、図27(a)に示された光ピックアップ装置の構成と同様であるため、説明を省略する。従来例2の光ピックアップ装置においては、回折格子の格子の周期構造に特徴がある。以下、従来例2の光ピックアップ装置における光回折素子300Bの格子の周期構造について、図31〜39を用いて説明する。図31(a)は、従来例2の光ピックアップ装置における光回折素子300Bの格子構造面を示した平面図であり、図31(b)は、図31(a)に示された回折格子の点線円部を拡大した拡大図である。
図31(a)に示されるように、光回折素子300Bは、光ディスク6の案内溝61の方向に相当するX方向の分割線300xとそれに直交するY方向の分割線300yとにより、第1格子形成領域300aと第2格子形成領域300bとに分割されている。なお、図31(a)においては、光回折素子300Bに受光される光ビームを実線円部として示している。
また、図31(b)に示されるように、第1格子形成領域300a及び第2格子形成領域300bにはそれぞれ、案内溝61の方向(X方向)に垂直なY方向に沿った、ランド部及びグルーブ部からなる凹凸状の周期構造が形成されている。また、第1格子形成領域300a及び第2格子形成領域300bの周期構造は、互いに位相が180°異なっている。すなわち、第1格子形成領域300aは、第2格子形成領域300bにおける格子溝に対し、格子溝が1/2ピッチ(格子溝のピッチ)ずれた構造になっている。以下、第1格子形成領域300aのように、格子溝が1/2ピッチずれた領域を位相シフト領域と記す。また、この位相シフト領域を有する回折格子を位相シフト回折格子と記す。
図32は、従来例2の光ピックアップ装置を用いた場合の光ディスク上のビームスポット形状(主ビームおよび副ビームの配置)を示した説明図である。
光回折素子300Bの周期構造によって回折された副ビーム31・32は、各ビームの1/4円領域に180°の光学的な位相差が付加される。この結果、図32に示されるように、副ビーム31・32のビームスポットは、光ディスク6の案内溝61上に形成される。また、副ビーム31・32のビームスポットは、複数の強度ピークを有する集光スポット形状となる。そして、副ビーム31・32が光ディスク6の案内溝61を横断するときの4分割受光素子9B・9C上での干渉パターンは、図33に示すようになる。すなわち4分割受光素子9Bにおいては、分割領域B1・B3の強度変化(明暗)と分割領域B2・B4の強度変化(明暗)とが互いに逆になっている。また、4分割受光素子9Cにおいては、分割領域C1・C3の強度変化(明暗)と分割領域C2・C4の強度変化(明暗)とが互いに逆になっている。
図34は、従来例2の光ピックアップ装置における、主ビームのプッシュプル信号MPP、副ビームのプッシュプル信号SPP1・SPP2、及びトラッキング誤差信号TE2を示す波形図である。なお、図33に示されるように、従来例2の光ピックアップ装置においては、プッシュプル信号MPP、プッシュプル信号SPP1・SPP2、及びトラッキング誤差信号TE2はそれぞれ、上述したDPP法と同様の演算を行うことにより算出される。
図34に示されるように、プッシュプル信号SPP1・SPP2の波形は、副ビーム31・32のビームスポットが光ディスク6の案内溝61を横断する場合においても、その信号変化が発生しない。一方、主ビーム30のプッシュプル信号MPPの波形は、通常の回折格子(光回折素子300A)を用いた場合と全く同じ波形になっている。それゆえ、トラッキング誤差信号TE2は、プッシュプル信号MPPとほぼ同じ信号となる(以下、このような位相シフト回折格子を用いたトラッキング誤差信号の検出方法を位相シフトDPP法と記す)。
位相シフトDPP法では、副ビーム31・32のビームスポットが光ディスク6の案内溝61を横断した時でも、副ビームのプッシュプル信号SPP1・SPP2に振幅変化が生じない。このため、従来例2の光ピックアップ装置では、主ビーム30のビームスポットに対し、副ビーム31・32のビームスポットを、光ディスク6上の任意の位置に配置することが可能になる。それゆえ、図32に示されるような、副ビーム31・32のビームスポットと主ビーム30のビームスポットとが同じ案内溝61上に配置された場合においても、本来のトラッキング誤差信号TE2を検出することが可能になる。したがって、従来例2の光ピックアップ装置では、案内溝ピッチが光ディスク6のものと異なる別の種類の光ディスクにも対応することが可能になる。
また、対物レンズ5がラジアル方向にシフトした場合には、図35に示すように、プッシュプル信号MPPは、Δpだけオフセットが発生する。このとき、合成副ビームプッシュプル信号SPPは、Δpだけオフセットが発生することになる。このため、トラッキング誤差信号TE2はオフセットがキャンセルされ、正常なトラッキング誤差信号が得られる。この効果については、従来のDPP法と同じである。
以上のように、上記位相シフトDPP法を用いた従来例2の光ピックアップ装置では、案内溝ピッチが互いに異なる光ディスクに対して、正常なトラッキング誤差信号が得られる。
特開平4−169631号公報(平成 4(1992)年 6月16日公開)
特許第3527705号公報(平成16(2004)年 2月27日登録)
しかしながら、上記従来例1及び従来例2の光ピックアップ装置では、以下の問題を生じる。
まず、従来例1は、案内溝61上に位置する主ビーム30のビームスポットを中心として、副ビーム31および32それぞれのビームスポットが互いに点対称の位置になり、かつ副ビーム31および32それぞれのビームスポットが、案内溝61から、ちょうど案内溝ピッチの1/2分だけずれた位置に配置させた光ピックアップ装置においては、ビームスポットが案内溝61を横断した場合に、フォーカス誤差信号に発生するクロスノイズを副ビームのフォーカス誤差信号を用いてキャンセルすることが可能である。
しかしながら、案内溝ピッチが光ディスク6と異なる他の種類の光ディスクに対し光ビームを照射した場合、主ビーム及び副ビームのビームスポットと案内溝との相対的な位置関係が異なってしまい、最適な副ビームの位置が異なる。すなわち、案内溝が異なる他の種類の光ディスクに対し光ビームを照射した場合、副ビームのビームスポットが案内溝ピッチの1/2分だけずれた位置に配置されなくなる。
このため、副ビームのビームスポットに対する副ビームフォーカス誤差信号SFE1・SFE2にのるクロスノイズの、主ビームフォーカス誤差信号MFEに対する位相の反転状態がずれてしまう。そして、副ビームフォーカス誤差信号SFE1・SFE2の位相と主ビームフォーカス誤差信号MFEとが完全に打ち消されなくなる。その結果、フォーカス誤差信号は、一定の値にならず、ビームスポットの案内溝横断に応じて値が変動し、クロスノイズが残留することになる。
従って、従来例1の光ピックアップ装置では、案内溝ピッチが異なる他の種類の光ディスクに対し光ビームを照射した場合、安定した情報の書き込みや再生特性が得られないという問題が生じる。すなわち、従来例1の光ピックアップ装置では、案内溝ピッチが互いに異なる2つの光ディスク両方に対応させてフォーカス誤差信号を検出できず、一方の光ディスクに対応したフォーカス誤差信号しか検出することができないという問題がある。
一方、従来例2の光ピックアップ装置では、案内溝ピッチが光ディスク6と異なる別の種類の光ディスクに対し、正常なトラッキング誤差信号を得ることが可能である。すなわち、案内溝ピッチが互いに異なる2つの光ディスク両方に対応させてトラッキング誤差信号を検出することが可能になる。
また、図30に示されるように、4分割受光素素子9B・9Cにおける、副ビーム31・32のビームスポットからの反射光(ビーム31’・32’)の干渉パターンは、主ビーム30のビームスポットからの反射光(ビーム30’)の干渉パターンと大きく異なっている。また、副ビーム31・32のプッシュプル信号SPP1・SPP2は、光ディスク上の副ビーム31・32のビームスポットと案内溝との相対的な位置関係によって、変化しない(振幅が略0になる)。このため、従来例2のように位相シフトDPP法を用いてトラッキング誤差信号を検出するような光ピックアップ装置では、フォーカス誤差信号を検出するに際し、特許文献1(従来例1)で示したようなフォーカス誤差信号のクロスノイズのキャンセル方法を適用することができなくなるおそれがある。
特に、光ディスクとして各種DVDディスクを適用する場合、DVD−RAMディスクは、DVD−R/RWディスクに比べて、案内溝のピッチが大きくなっている(DVD−R/RWディスクの案内溝が0.74μmであるのに対し、DVD−RAMディスクの案内溝は1.23μmである)。このため、DVD−RAMディスクとDVD−R/RWディスクとの両方を記録再生する光ディスク装置においては、フォーカス誤差信号のクロスノイズが大きくなる傾向がある。また、DVD−R/RWディスクの記録再生の際に、フォーカス誤差信号のクロスノイズのキャンセルが不要である場合であっても、DVD−RAMディスクを記録再生する際に、対策が必要となる場合が多い。このような場合において、従来例2のような位相シフトDPP法では、フォーカス誤差信号のクロスノイズをキャンセルすることができなくなるおそれがある。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、案内溝ピッチが互いに異なる光ディスクに対し、正常な(または安定した)トラッキング誤差信号及びフォーカス誤差信号の両方を検出することが可能な光ピックアップを実現することにある。
本発明に係る光ピックアップは、上記の課題を解決するために、光ビームを出射するレーザ光源と、該光ビームを光記録媒体上に集光させる集光素子と、上記光源と集光素子との間に配置され、少なくとも主ビーム及び2つの副ビームの3ビームに分割するための光回折素子と、上記光記録媒体からの3ビームの反射光を受光する受光素子を有し、かつ3ビームのそれぞれの反射光からプッシュプル信号を検出する光検出部とを備え、光情報記録媒体として、案内溝ピッチが互いに異なる複数の光情報記録媒体に対応した光ピックアップであって、光回折素子は、通過する光ビームに位相差を与える格子構造面を備え、該格子構造面が、複数の光情報記録媒体のうち相対的に案内溝ピッチが小さい第1の光情報記録媒体に対しては、副ビームにおけるプッシュプル信号の振幅が略0になる一方、複数の光情報記録媒体のうち相対的に案内溝ピッチが大きい第2の光情報記録媒体に対しては、副ビームにおけるプッシュプル信号の振幅が検出されるように設計されていることを特徴としている。
上記の構成によれば、光回折素子の格子構造面が、複数の光情報記録媒体のうち相対的に案内溝ピッチが小さい第1の光情報記録媒体に対しては、副ビームにおけるプッシュプル信号の振幅が略0になる一方、複数の光情報記録媒体のうち相対的に案内溝ピッチが大きい第2の光情報記録媒体に対しては、副ビームにおけるプッシュプル信号の振幅が検出されるように設計されているので、第1の光情報記録媒体を記録再生する際には、位相シフトDPP法によるトラッキングサーボを行うことかでき、第2の光情報記録媒体を記録再生する際には、通常のDPP法によるトラッキングサーボ法を適用することが可能とななる。その結果、上記の構成によれば、案内溝ピッチが互いに異なる複数の光情報記録媒体それぞれに対し、安定したトラッキング誤差信号を検出することができる。
そして、特にフォーカス誤差信号のクロスノイズが大きくなる、案内溝ピッチが相対的に大きい第2の光ディスクに対しては、副ビームのビームスポットを用いたクロスノイズキャンセル法を使うことができる。従って、上記の構成によれば、案内溝ピッチが互いに異なる複数の光情報記録媒体それぞれに対し、正確なフォーカス誤差信号を検出することができる。
以上のように、上記の構成によれば、案内溝ピッチが互いに異なる光ディスクに対して、安定したトラッキングサーボおよびフォーカスサーボが実現できる。
本発明に係る光ピックアップでは、上記光回折素子の格子構造面は、第2の光情報記録媒体において、副ビームのビームスポットが主ビームのビームスポットと同一案内溝に配置された場合に、副ビームにおけるプッシュプル信号の位相が、主ビームにおけるプッシュプル信号と180°異なるように設計されていることが好ましい。
上記の構成によれば、第2の光情報記録媒体に対し、3ビームのビームスポットが同一案内溝上に配置された構成であっても、通常のDPP法によるトラッキングサーボ法を適用し、より確実にトラッキング誤差信号を検出することが可能になる。それゆえ、上記の構成によれば、案内溝ピッチが互いに異なる複数の光ディスクに対しても、3ビームの最適調整が不要になる。
本発明に係る光ピックアップでは、上記光回折素子は、その格子構造面に、第1の格子パターンが形成された第1格子形成領域と、第1の格子パターンの格子溝に対し1/2ピッチだけずれた格子溝を有する第2の格子パターンが形成された第2格子形成領域とを有し、格子構造面を、光ビームが通過する領域の中心を通過しかつ格子溝の方向に対し垂直な分割線により分割したとき、分割線に対して少なくとも片方側に、第1格子形成領域及び第2格子形成領域が格子溝の方向に沿って交互に配置された、格子配置領域を有することが好ましい。
第2格子形成領域は、第1の格子パターンの格子溝に対し1/2ピッチだけずれた格子溝を有する第2の格子パターンが形成された構成になっている。すなわち、第1格子形成領域と第2格子形成領域とでは、パターン溝である凸部のランドと凹部のグルーブとが反転した領域となっている。このような構成とすることによって、第1格子形成領域と第2格子形成領域とでは、位相差が180°異なった領域が形成できる。したがって、位相差を付加しない領域を第2格子形成領域とした場合、位相差が180度付加された領域は第1格子形成領域(位相シフト領域)となる。
上記の構成によれば、光回折素子は、格子構造面を、光ビームが通過する領域の中心を通過しかつ格子溝の方向に対し垂直な分割線により分割したとき、分割線に対して少なくとも片方側に、第1格子形成領域及び第2格子形成領域が格子溝の方向に沿って交互に配置された、格子配置領域を有するので、格子配置領域で回折された副ビームでは、第1の格子パターンである第1格子形成領域で回折された場合と、第2の格子パターンである第2格子形成領域で回折された場合とで、位相差が180°異なることになる。
その結果、光回折素子により分割された、主ビーム及び副ビームのビームスポット形状は、第1の光情報記録媒体に対しては、副ビームにおけるプッシュプル信号の振幅が略0になるようなビームスポット形状になり、第2の光情報記録媒体に対しては、副ビームにおけるプッシュプル信号の振幅が検出されるようなビームスポット形状になる。
また、上記格子配置領域では、第1格子形成領域及び第2格子形成領域が、光ビーム半径の1/2毎に交互に配置されていることが好ましい。
また、上記光回折素子は、格子構造面を、光ビームが通過する領域の中心を通過しかつ格子溝の方向に対し垂直な分割線により2つの領域に分割したとき、上記格子配置領域は、分割線に対して片方側の領域全域に形成されている構成であってもよい。
また、上記光回折素子は、格子構造面を、光ビームが通過する領域の中心を通過しかつ格子溝の方向に対し垂直な分割線により分割したとき、上記格子配置領域は、分割線に対して両側に形成されている構成であってもよい。
また、上記光回折素子は、上記光回折素子の格子構造面全面に、第1格子形成領域及び第2格子形成領域が格子溝の方向に沿って交互に配置された格子配置領域が形成されている構成であってもよい。
本発明に係る光ピックアップでは、上記光回折素子の格子構造面は、上記第2の光情報記録媒体に対して、主ビームのビームスポットが案内溝上に配置されたときに、副ビームのビームスポットの位置が、主ビームのビームスポットが配置された案内溝から1/2ピッチだけずれた位置になるように設定されていることが好ましい。
これにより、第2の光情報記録媒体に対し、通常のDPP法によるトラッキングサーボ法を適用するとき、より正確にトラッキング誤差信号を検出することが可能になる。
本発明に係る光ピックアップでは、上記光回折素子の格子構造面は、第1および第2の光情報記録媒体の両方に対して、主ビームのビームスポットが案内溝上に配置されたときに、副ビームのビームスポットの位置が、主ビームのビームスポットが配置された案内溝と同一の案内溝に配置されるように設定されていることが好ましい。
上記光回折素子が、上記光回折素子の格子構造面全面に、第1格子形成領域及び第2格子形成領域が格子溝の方向に沿って交互に配置された格子配置領域が形成されている構成である場合、上記の構成により、案内溝ピッチが相対的に大きい第2の光ディスクに対しては、通常のDPP法でトラッキング誤差信号を検出することができる。一方、案内溝ピッチが相対的に小さい第1の光ディスクに対しては、副ビームのビームスポットの位置に依存しない、位相シフトDPP法を適用することにより、トラッキング誤差信号を検出することができる。
本発明に係る光ピックアップでは、上記光検出部は、第2の光情報記録媒体に対しては、差動プッシュプル法によりトラッキング誤差信号を検出する一方、第1の光情報記録媒体に対しては、位相シフト差動プッシュプル法によりトラッキング誤差信号を検出することが好ましい。
本発明に係る光ピックアップでは、上記光検出部は、第1の光情報記録媒体に対しては、主ビームだけを用いてフォーカス誤差信号を検出する一方、第2の光ディスクに対しては、主ビームと副ビームとの両方を用いてフォーカス誤差信号を検出することが好ましい。
本発明に係る光ピックアップは、以上のように、光回折素子は、通過する光ビームに位相差を与える格子構造面を備え、該格子構造面が、複数の光情報記録媒体のうち相対的に案内溝ピッチが小さい第1の光情報記録媒体に対しては、副ビームにおけるプッシュプル信号の振幅が略0になる一方、複数の光情報記録媒体のうち相対的に案内溝ピッチが大きい第2の光情報記録媒体に対しては、副ビームにおけるプッシュプル信号の振幅が検出されるように設計されている構成である。
それゆえ、案内溝ピッチが相対的に大きい第2の光ディスクに対しては、通常のDPP法でトラッキング誤差信号を検出することができる。一方、案内溝ピッチが相対的に小さい第1の光ディスクに対しては、副ビームのビームスポットの位置に依存しない、位相シフトDPP法を適用することにより、トラッキング誤差信号を検出することができる。
特にフォーカス誤差信号のクロスノイズが大きくなる、案内溝ピッチが相対的に大きい第2の光ディスクに対しては、副ビームのビームスポットを用いたクロスノイズキャンセル法を使うことができる。よって、案内溝ピッチが互いに異なる光ディスクに対して、安定したトラッキングサーボおよびフォーカスサーボが実現できる。
〔実施の形態1〕
本発明は、光ディスクや光カード等の情報記録媒体に対して光学的に情報を記録再生する光学的記録再生装置に使用可能な光ピックアップに関するものである。
本発明は、光ディスクや光カード等の情報記録媒体に対して光学的に情報を記録再生する光学的記録再生装置に使用可能な光ピックアップに関するものである。
本発明の一実施の形態について図1〜図11に基づいて説明すれば、以下の通りである。図1は、本実施形態の光ピックアップ装置10の光学系を示した概略構成図である。なお、図1では、従来の光ピックアップ装置を示す図27(a)と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
本実施の形態の光ピックアップとしてのピックアップ装置10は、図1に示されるように、光ビーム30Pを出射する半導体レーザ1(レーザ光)と、光ビーム30Pを光ディスク6(光記録媒体)上に集光させる対物レンズ5(集光素子)と、半導体レーザ1と対物レンズ5との間に配置され、少なくとも主ビーム30及び2つの副ビーム30・31の3ビームに分割するための光回折素子3Aと、光ディスク6から反射した主ビーム30及び副ビーム31・32の反射光30’・31’・32’(光情報記録媒体からの3ビームの反射光)それぞれからプッシュプル信号を検出する光検出部9とを備えている。光検出部9は、反射光30’・31’・32’を受光する4分割受光素子9A・9B・9C(受光素子)を有している。
また、図1に示されるように、コリメータレンズ2は、半導体レーザ1から出射した光ビーム30Pを平行光に変換するものである。また、光回折素子3Aにより分割された主ビーム30及び副ビーム31・32は、ビームスプリッタ4を通過後、対物レンズ5により光ディスク6上の案内溝61に集光される。そして、光ディスク6の案内溝61にて反射された主ビーム30及び副ビーム31・32の反射光(ビーム30’・31’・32’)は、ビームスプリッタ4により反射され、集光レンズ7及びシリンドリカルレンズ9を通過した後、4分割受光素子9A・9B・9Cに導かれる。
主ビーム30及び副ビーム31・32の反射光(ビーム30’・31’・32’)の干渉パターンはそれぞれ、4分割受光素子9A及び4分割受光素子9B・9Cで受光される。4分割受光素子9A・9B・9Cは、それぞれ光ディスク6のトラック溝(案内溝61)方向に相当するx方向に沿った分割線と、x方向に直交するy方向の分割線とによって分割領域A1〜A4、分割領域B1〜B4、及び分割領域C1〜C4に分割されている。そして、ピックアップ装置10では、各4分割受光素子からの信号に基づいて、フォーカス誤差信号及びトラッキング誤差信号が検出される。
本実施形態のピックアップ装置10は、光回折素子3Aの格子構造面に特徴を有する構成となっている。ピックアップ装置10では、この光回折素子3Aの格子構造面により、案内溝ピッチの異なる複数の光ディスクに対し、トラッキング誤差信号及びフォーカス誤差信号の両方を検出することが可能な光ピックアップを実現している。
以下、本実施形態において特徴的な光回折素子3Aの格子構造面について、図2(a)・(b)に基づいて説明する。図2(a)は、図1の光ピックアップ装置10における光回折素子3Aの格子構造面を示した平面図であり、図2(b)は、図2(a)に示された光回折素子3Aの点線円部を拡大した拡大図である。なお、図2(a)では、光回折素子3Aにおける、光ビーム30Pが通過する領域を実線円部として示している。また、以下では、光ディスク6の案内溝61の長さ方向をx方向と定義し、x方向に直交する方向をy方向と定義する。そして、光回折素子3Aの光ビーム30Pが通過する領域の中心を原点Oとし、上記x方向、上記y方向に設定されたxy座標系を用いて、この光回折素子3Aの凹凸面の構造について説明する。なお、ここで定義されたx方向、及びy方向はそれぞれ、トラック方向(タンジェンタル方向ともいう)、及びラジアル方向ともいえる。
図2(a)に示すように、光回折素子3Aは、格子の周期構造に特徴がある。光回折素子3Aは、y方向に沿った分割線3Ay(y軸)により分割された2つの領域のうち、片方の領域3Am(格子配置領域)に、かつx方向に沿った分割線3x(x軸)に平行に、第1の格子パターンである第1格子形成領域3a…と第2の格子パターンである第2格子形成領域3b…とが形成されている。また、第1格子形成領域3aと第2格子形成領域3bとは、y方向に交互に形成されており、y方向における幅Lが互いに等しくなっている。そして、この幅Lは、光回折素子3Aを通過する光ビーム30Pの半径の略1/2に設定されている。なお、第1の格子パターンと第2の格子パターンとは、互いに異なる格子パターンとなっている。一方、他方の領域3Anには、第2の格子パターンである第2格子形成領域3bが形成されている。
上記第1の格子パターンである第1格子形成領域3a…は、図2(b)に示すように、光回折素子3Aの凹凸溝がトラック方向(y軸方向)に対して垂直に形成されている。一方、第2の格子パターンである第2格子形成領域3b…は、光回折素子3Aの凹凸溝ピッチは第1格子形成領域3aと同じであるが、格子溝が1/2ピッチだけずれた構成となっている。すなわち、第1格子形成領域3aと第2格子形成領域3bとでは、パターン溝である凸部のランドと凹部のグルーブとが反転した領域となっている。このような構成とすることによって、第1格子形成領域3aと第2格子形成領域3bとでは、位相差が180°異なった領域が形成できる。したがって、位相差を付加しない領域を第2格子形成領域3bとした場合、位相差が180度付加された領域は第1格子形成領域3a(位相シフト領域)となる。
ところで、ピックアップ装置10を用いて記録再生される光ディスク6は、案内溝ピッチの異なる複数種類の光ディスクである。従来(従来例1及び2)では、案内溝ピッチの異なる複数種類の光ディスクを1つの光ピックアップで再生するに際し、各光ディスクに対し、フォーカス誤差信号及びトラッキング誤差信号の両方を良好に検出することできないという問題があった。本実施形態のピックアップ装置10では、光回折素子として図2(a)に示された光回折素子3Aを採用することにより、案内溝ピッチの異なる複数種類の光ディスクそれぞれに対し、フォーカス誤差信号及びトラッキング誤差信号の両方を良好に検出することが可能になっている。
以下、ピックアップ装置10を案内溝ピッチの異なる複数種類の光ディスクに対応させた場合について説明する。
半導体レーザ1から出射した光ビーム30Pが、光回折素子3Aにより主ビーム30及び副ビーム31・32に分割されるとき、0次回折光である主ビーム30は、位相を変化させることなく、光回折素子3Aを通過する。一方、±1次回折光である副ビーム31・32は、光回折素子3Aの凹凸面によって回折されるので、それぞれ±180°の位相差が付加されることになる。つまり、光回折素子3Aの凹凸面によって回折された副ビーム31・32では、第1の格子パターンである第1格子形成領域3aで回折された場合と、第2の格子パターンである第2格子形成領域3bで回折された場合とで、位相差が180°異なることになる。それゆえ、第2格子形成領域3bで回折された光には、位相差が付加されていないとすれば、第1格子形成領域3aで回折された光には、位相差が180°付加されることになる。
その結果、光回折素子3Aにより分割された、主ビーム30及び副ビーム31・32のビームスポット形状は、図3及び図4のようになる。図3は、案内溝ピッチの異なる複数種類の光ディスクのうち、相対的に案内溝ピッチが小さい第1の光ディスク6a上のビームスポット形状(主ビーム30および副ビーム31・32のビームスポット配置)を示した説明図である。図4は、相対的に案内溝ピッチが大きい第2の光ディスク6b上のビームスポット形状(主ビーム30および副ビーム31・32のビームスポット配置)を示した説明図である。
図3及び図4に示されるように、光ディスク(第1の光ディスク6a及び第2の光ディスク6b)上の副ビーム31・32のビームスポット形状は、案内溝(案内溝61a及び案内溝61b)の長さ方向であるx方向に対し略垂直な方向(y方向)に分布したビームスポット形状になっている。また、副ビーム31・32のビームスポット形状は、略3つの強度ピークを有した分布になっている。
また、本実施形態のピックアップ装置10においては、図4に示されるように、案内溝ピッチが相対的に小さい第1の光ディスク6aに対して、主ビーム30のビームスポットが案内溝61a上に位置している。このとき、副ビーム31・32のビームスポット形状の中心ピーク(上記略3つの強度ピークを有する分布うち中心に位置する強度ピーク)の位置がともに、主ビーム30のビームスポットが形成された案内溝61aと隣接する2つ案内溝61aの中間に位置するようになっている。また、図4に示されるような副ビーム31・32のビームスポットの配置は、角度φを決定することで可能になる。なお、角度φは、主ビーム30のビームスポットと副ビーム31・32のビームスポット形状の中心ピークとを結ぶ3ビーム列と、案内溝61aとのなす角度である。
このようなビームスポット形状において、副ビーム31・32のビームスポットが光ディスクの案内溝を横断するときの4分割受光素子9A・9B・9C上での干渉パターン、及びサーボ信号(フォーカス誤差信号及びトラッキング誤差信号)の演算方法を、図5〜図8に示す。
図5は、第1のディスク6aを記録再生する場合における、ピックアップ装置10によるトラッキング誤差信号検出原理を説明するための図である。図6は、第1のディスク6aを記録再生する場合における、ピックアップ装置10によるフォーカス誤差信号検出原理を説明するための図である。図7は、第2のディスク6bを記録再生する場合における、ピックアップ装置10によるトラッキング誤差信号検出原理を説明するための図である。図8は、第2のディスク6bを記録再生する場合における、ピックアップ装置10によるフォーカス誤差信号検出原理を説明するための図である。
まず、3ビーム(主ビーム30、及び副ビーム31・32)のビームスポットが第1の光ディスク6aの案内溝61aを横断した場合、4分割受光素子9B・9C上での干渉パターンは、図5に示すようになる。すなわち、4分割受光素子9Bにおいては、分割領域B1と分割領域B2との間、及び分割領域B3と分割領域B4との間で強度変化が互いに逆になっている。また、4分割受光素子9Cにおいては、分割領域C1と分割領域C2との間、及び分割領域C3と分割領域C4との間で強度変化が互いに逆になっている。
この干渉パターンは、図33に示された4分割受光素子9B・9C上での干渉パターンと同様のパターンとなっており、位相シフトDPP法によるトラッキング誤差信号の検出が可能になる。すなわち、プッシュプル信号MPP、SPP1及びSPP2は、分割領域A1〜A4、分割領域B1〜B4、及び分割領域C1〜C4それぞれから出力される信号SA1〜SA4、SB1〜SB4、及びSC1〜SC4について下記の演算を行うことにより検出される。
MPP =(SA1+SA2)−(SA3+SA4)
SPP1=(SB1+SB2)−(SB3+SB4)
SPP2=(SC1+SC2)−(SC3+SC4)
さらに、プッシュプル信号MPP、SPP1及びSPP2について、下記の演算を行うにより、トラッキング誤差信号TE2が得られる。
TE2=MPP−α・(SPP1+SPP2)
ここで、αは主ビーム30と副ビーム31・32との光量差を補正する係数である。また、α・(SPP1+SPP2)を合成副ビームプッシュプル信号SPPと表わすことができる。
MPP =(SA1+SA2)−(SA3+SA4)
SPP1=(SB1+SB2)−(SB3+SB4)
SPP2=(SC1+SC2)−(SC3+SC4)
さらに、プッシュプル信号MPP、SPP1及びSPP2について、下記の演算を行うにより、トラッキング誤差信号TE2が得られる。
TE2=MPP−α・(SPP1+SPP2)
ここで、αは主ビーム30と副ビーム31・32との光量差を補正する係数である。また、α・(SPP1+SPP2)を合成副ビームプッシュプル信号SPPと表わすことができる。
図9は、第1のディスク6aを記録再生する場合における、主ビームのプッシュプル信号MPP、合成副ビームのプッシュプル信号SPP、及びトラッキング誤差信号TE2を示す波形図である。図9に示されるように、プッシュプル信号SPP1・SPP2(合成副ビームのプッシュプル信号SPP)は、副ビーム31・32のビームスポットが光ディスク6aの案内溝61aを横断する場合においても、その信号変化が発生せず、図34と同様の波形になっている。
よって、副ビーム31・32のビームスポットが光ディスク6の案内溝61を横断した時でも、合成副ビームのプッシュプル信号SPPに振幅変化が生じない(プッシュプル信号SPPの振幅が略0になる)。このため、主ビーム30のビームスポットに対し、副ビーム31・32のビームスポットを、第1の光ディスク6a上の任意の位置に配置することが可能になる。
また、フォーカス誤差信号については、図6に示すように、非点収差法による検出を行うことが可能である。具体的には、次の演算を行うことでフォーカス誤差信号FEが得られる。
FE=(SA1+SA3)−(SA2+SA4)
一方、3ビーム(主ビーム30、及び副ビーム31・32)のビームスポットが第2の光ディスク6bの案内溝61bを横断した場合、4分割受光素子9B・9C上での干渉パターンは、図7に示すようになる。すなわち、4分割受光素子9B・9Cにおける各分割領域の強度変化の逆転は、図5に示されるような強度変化の逆転ではない。さらに換言すると、4分割受光素子9Bにおいては、分割領域B1・B2の強度変化(明暗)と分割領域B3・B4の強度変化(明暗)とが互いに逆になっている。また、4分割受光素子9Cにおいては、分割領域C1・C2の強度変化(明暗)と分割領域C3・C4の強度変化(明暗)とが互いに逆になっている。
FE=(SA1+SA3)−(SA2+SA4)
一方、3ビーム(主ビーム30、及び副ビーム31・32)のビームスポットが第2の光ディスク6bの案内溝61bを横断した場合、4分割受光素子9B・9C上での干渉パターンは、図7に示すようになる。すなわち、4分割受光素子9B・9Cにおける各分割領域の強度変化の逆転は、図5に示されるような強度変化の逆転ではない。さらに換言すると、4分割受光素子9Bにおいては、分割領域B1・B2の強度変化(明暗)と分割領域B3・B4の強度変化(明暗)とが互いに逆になっている。また、4分割受光素子9Cにおいては、分割領域C1・C2の強度変化(明暗)と分割領域C3・C4の強度変化(明暗)とが互いに逆になっている。
この干渉パターンは、図27(c)に示された4分割受光素子9B・9C上での干渉パターンと同様であり、DPP法によるトラッキング誤差信号の検出が可能になる。
図10は、第2のディスク6bを記録再生する場合における、主ビームのプッシュプル信号MPP、合成副ビームのプッシュプル信号SPP、及びトラッキング誤差信号TE2を示す波形図である。図10に示されるように、合成副ビームのプッシュプル信号SPPは、通常のDPP法を行った場合と同様に、主ビーム30のプッシュプル信号MPPと位相が180°反転した波形となっている。
上述のように、案内溝ピッチが相対的に大きい第2の光ディスク6bでは、プッシュプル振幅(合成副ビームのプッシュプル信号SPP)が大きくなっている。そのため、第1の光ディスク6aと第2の光ディスク6bとの両方を記録再生する光ディスク装置においては、第2の光ディスク6bを記録再生する際に、フォーカス誤差信号のクロスノイズが大きくなる傾向にある。位相シフトDPP法を用いた従来例2の光ピックアップ装置では、副ビーム31・32の干渉パターンは、主ビーム30の干渉パターンと大きく異なっている(副ビーム31・32の干渉パターンは、主ビーム30の干渉パターンを反転したようなパターンではない)ため、このフォーカス誤差信号のクロスノイズをキャンセルすることができなくなっていた。
これに対して、本実施形態のピックアップ装置10では、図7及び図8に示されるように、第2のディスク6bを記録再生する場合における、副ビーム31・32のビームスポットに対する干渉パターンは、主ビーム30のビームスポットに対する干渉パターンを反転したようなパターンになっている。この干渉パターンは、図29に示された干渉パターンと類似したパターンになっており、従来例1に示されたフォーカス誤差信号のクロスノイズのキャンセル方法を適用することが可能になる。
具体的には、下記演算により、主ビームフォーカス誤差信号MFE、副ビームフォーカス誤差信号SFE1およびSFE2を検出する。
MFE =(SA1+SA3)−(SA2+SA4)
SFE1=(SB1+SB3)−(SB2+SB4)
SFE2=(SC1+SC3)−(SC2+SC4)
このとき、主ビームフォーカス誤差信号MFE、副ビームフォーカス誤差信号SFE1およびSFE2の波形は、図11に示される波形になっている。図11に示すように、副ビーム31・32のビームスポットに対する副ビームフォーカス誤差信号SFE1・SFE2にのるクロスノイズの位相は一致している。その一方で、副ビームフォーカス誤差信号SFE1・SFE2は、主ビームフォーカス誤差信号MFEに対し、位相が反転している。上記主ビームフォーカス誤差信号MFE、副ビームフォーカス誤差信号SFE1およびSFE2を用いて、以下の演算により、フォーカス誤差信号FE2を生成する。これにより、第2の光ディスク6bに対しても、フォーカス誤差信号のクロスノイズをキャンセルでき、安定したフォーカス誤差信号(FE2)を得ることが可能になる。。
FE2=MFE−β・(SFE1+SFE2)
ここで、βは主ビーム30と副ビーム31・32との光量差を補正する係数である。また、β・(SFE1+SFE2)を合成副ビームのフォーカス誤差信号SFEと表わすことができる。
MFE =(SA1+SA3)−(SA2+SA4)
SFE1=(SB1+SB3)−(SB2+SB4)
SFE2=(SC1+SC3)−(SC2+SC4)
このとき、主ビームフォーカス誤差信号MFE、副ビームフォーカス誤差信号SFE1およびSFE2の波形は、図11に示される波形になっている。図11に示すように、副ビーム31・32のビームスポットに対する副ビームフォーカス誤差信号SFE1・SFE2にのるクロスノイズの位相は一致している。その一方で、副ビームフォーカス誤差信号SFE1・SFE2は、主ビームフォーカス誤差信号MFEに対し、位相が反転している。上記主ビームフォーカス誤差信号MFE、副ビームフォーカス誤差信号SFE1およびSFE2を用いて、以下の演算により、フォーカス誤差信号FE2を生成する。これにより、第2の光ディスク6bに対しても、フォーカス誤差信号のクロスノイズをキャンセルでき、安定したフォーカス誤差信号(FE2)を得ることが可能になる。。
FE2=MFE−β・(SFE1+SFE2)
ここで、βは主ビーム30と副ビーム31・32との光量差を補正する係数である。また、β・(SFE1+SFE2)を合成副ビームのフォーカス誤差信号SFEと表わすことができる。
すなわち、ピックアップ装置10における光回折素子3A(位相シフト光回折素子)の格子構造面は、案内溝ピッチが相対的に小さい第1の光ディスク6aに対しては、副ビームのプッシュプル信号の振幅が略0になる一方、案内溝ピッチが相対的に大きい第2の光ディスク6bに対しては、副ビームのプッシュプル信号の振幅が検出可能になるように設定されている。よって、案内溝ピッチが相対的に大きい第2の光ディスク6bに対しては、副ビームのビームスポットを、主ビームのビームスポットが位置する案内溝から1/2ピッチ分隣接させて配置させることで、通常のDPP法でトラッキング誤差信号を検出することができる。一方、案内溝ピッチが相対的に小さい第1の光ディスク6aに対しては、副ビームのビームスポットが、主ビームのビームスポットが位置する案内溝から1/2ピッチ分隣接した位置から外れた場所に配置される。しかしながら、この場合、副ビームのビームスポットの位置に依存しない、位相シフトDPP法を適用することにより、トラッキング誤差信号を検出することができる。
そして、特にフォーカス誤差信号のクロスノイズが大きくなる、案内溝ピッチが相対的に大きい第2の光ディスクに対しては、副ビームのビームスポットを用いたクロスノイズキャンセル法を使うことができる。よって、案内溝ピッチが互いに異なる光ディスクに対して、安定したトラッキングサーボおよびフォーカスサーボが実現できる。
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について図12(a)・(b)〜図16に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記の実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
本発明の他の実施の形態について図12(a)・(b)〜図16に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記の実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態のピックアップ装置(以下、本光ピックアップ装置と記す)は、上記実施の形態1にて説明した構成のうち、光回折素子3Aに代えて、図12(a)・(b)に示す光回折素子3Bを備えている。図12(a)は、本光ピックアップ装置における光回折素子3Bの格子構造面を示した平面図であり、図2(b)は、図12(a)に示された光回折素子3Bの点線円部を拡大した拡大図である。なお、図12(a)では、光回折素子3Bにおける、光ビーム30Pが通過する領域を実線円部として示している。
光回折素子3Bは、図12(a)に示されるように、上記光ディスク6のトラック方向に対応するy方向に延びる2つの分割線3By1・3By2により、3つの領域3Bm・3Bp・3Bnに分割され、これら領域3Bm・3Bp・3Bnに対応して、別個の格子が形成されている。
領域3Bm及び領域3Bn(格子配置領域)には、第1の格子パターンである第1格子形成領域3a…と第2の格子パターンである第2格子形成領域3b…とが形成されている。また、第1格子形成領域3aと第2格子形成領域3bとは、y方向に交互に形成されており、y方向における幅Lが互いに等しくなっている。そして、この幅Lは、光回折素子3Aを通過する光ビーム30Pの半径の略1/2に設定されている。なお、第1の格子パターンと第2の格子パターンとは、互いに異なる格子パターンとなっている。また、領域3Bmと領域3Bnにおける、第1格子形成領域3及び第2格子形成領域3bの配置は、原点Oに対し点対称の位置関係になっている。
一方、領域3Bpには、第2の格子パターンである第2格子形成領域3bが形成されている。
この回折素子3Bの構成は、格子構造面を光ビームが通過する領域の中心Oを通過しかつ格子溝の方向に対し垂直な分割線3Ayにより分割したとき、分割線3Ayに対して片方の側に格子配置領域としての領域3Bmが形成され、他方の側に領域3Bnが形成されている構成であるともいえる。
上記第1の格子パターンである第1格子形成領域3a…は、図12(b)に示すように、光回折素子3Aの凹凸溝がトラック方向(y軸方向)に対して垂直に形成されている。一方、第2の格子パターンである第2格子形成領域3b…は、光回折素子3Aの凹凸溝ピッチは第1格子形成領域3aと同じであるが、格子溝が1/2ピッチだけずれた構成となっている。すなわち、第1格子形成領域3aと第2格子形成領域3bとでは、パターン溝である凸部のランドと凹部のグルーブとが反転した領域となっている。このような構成とすることによって、第1格子形成領域3aと第2格子形成領域3bとでは、位相差が180°異なった領域が形成できる。したがって、位相差を付加しない領域を第2格子形成領域3bとした場合、位相差が180°付加された領域は第1格子形成領域3a(位相シフト領域)となる。
この光回折素子3Bの格子の周期構造によって回折された副ビーム31,32は、第1格子形成領域3aを通過した部分だけ180°の位相差が付加されることになる。この結果、光回折素子3Bにより分割された、主ビーム30及び副ビーム31・32のビームスポット形状は、図13及び図14のようになる。
図13は、案内溝ピッチの異なる複数種類の光ディスクのうち、相対的に案内溝ピッチが小さい第1の光ディスク6a上のビームスポット形状(主ビーム30および副ビーム31・32のビームスポット配置)を示した説明図である。図14は、相対的に案内溝ピッチが大きい第2の光ディスク6b上のビームスポット形状(主ビーム30および副ビーム31・32のビームスポット配置)を示した説明図である。
図13及び図14に示されるように、光ディスク(第1の光ディスク6a及び第2の光ディスク6b)上の副ビーム31・32のビームスポット形状は、案内溝(案内溝61a及び案内溝61b)の長さ方向であるx方向に対し略垂直な方向(y方向)に分布したビームスポット形状になっている。また、副ビーム31・32のビームスポット形状は、略5つの強度ピークを有した分布になっている。
本ピックアップ装置においては、図14に示されるように、案内溝ピッチが相対的に小さい第1の光ディスク6aに対して、主ビーム30のビームスポットが案内溝61a上に位置している。このとき、副ビーム31・32のビームスポット形状の中心ピーク(上記略5つの強度ピークを有する分布うち中心に位置する強度ピーク)の位置がともに、主ビーム30のビームスポットが形成された案内溝61aと隣接する2つ案内溝61aの中間に位置するようになっている。また、図14に示されるような副ビーム31・32のビームスポットの配置は、角度φを決定することで可能になる。この角度φが決定される点は、上記実施の形態1と同様の方法である。
このようなビームスポット形状において、主ビーム30及び副ビーム31・32のビームスポットが光ディスクの案内溝を横断するときの4分割受光素子9A・9B・9C上での干渉パターンを図15及び図16に示す。図15は、第1のディスク6aを記録再生する場合における干渉パターンを示し、図16は、第2のディスク6bを記録再生する場合における干渉パターンを示す。
まず、3ビーム(主ビーム30、及び副ビーム31・32)のビームスポットが第1の光ディスク6aの案内溝61aを横断した場合、4分割受光素子9B・9C上での干渉パターンは、図15に示すようになる。すなわち、4分割受光素子9Bにおいては、分割領域B1と分割領域B2との間、及び分割領域B3と分割領域B4との間それぞれについて、常に強度変化が互いに逆になっている。また、4分割受光素子9Cにおいては、分割領域C1と分割領域C2との間、及び分割領域C3と分割領域C4との間それぞれについて、常に強度変化が互いに逆になっている。なお、この干渉パターンは、領域3Bpにおけるx方向の幅を設定することで、干渉部分(0次光と±1次光が重なる領域)において、その面積をほぼ同じにすることができる。
この干渉パターンは、図5に示された4分割受光素子9B・9C上での干渉パターンと同様の効果となり、位相シフトDPP法によるトラッキング誤差信号の検出が可能になる。
また、フォーカス誤差信号については、非点収差法による検出を行うことが可能である。
一方、3ビーム(主ビーム30、及び副ビーム31・32)のビームスポットが第2の光ディスク6bの案内溝61bを横断した場合、4分割受光素子9B・9C上での干渉パターンは、図16に示すようになる。すなわち、4分割受光素子9B・9Cにおける各分割領域の強度変化の逆転現象は、図15のものと比較して小さくなっている。それゆえ、この干渉パターンにより、通常のDPP法によるトラッキング誤差信号の検出が可能になる。
また、同図に示されるように、第2のディスク6bを記録再生する場合においては、副ビーム31・32のビームスポットに対する干渉パターンは、主ビーム30のビームスポットに対する干渉パターンを反転したようなパターンになっている。この干渉パターンは、図29に示された干渉パターンと類似したパターンになっており、従来例1に示されたフォーカス誤差信号のクロスノイズのキャンセル方法を適用することが可能になる。
以上のように、本光ピックアップ装置では、実施の形態1と同様に、案内溝ピッチが相対的に大きい第2の光ディスク6bに対しては、副ビームのビームスポットを、主ビームのビームスポットが位置する案内溝から1/2ピッチ分隣接させて配置させることで、通常のDPP法でトラッキング誤差信号を検出することができる。一方、案内溝ピッチが相対的に小さい第1の光ディスク6aに対しては、副ビームのビームスポットが、主ビームのビームスポットが位置する案内溝から1/2ピッチ分隣接した位置から外れた場所に配置される。しかしながら、この場合、副ビームのビームスポットの位置に依存しない、位相シフトDPP法を適用することにより、トラッキング誤差信号を検出することができる。
そして、特にフォーカス誤差信号のクロスノイズが大きくなる、案内溝ピッチが相対的に大きい第2の光ディスクに対しては、副ビームのビームスポットを用いたクロスノイズキャンセル法を使うことができる。よって、案内溝ピッチが互いに異なる光ディスクに対して、安定したトラッキングサーボおよびフォーカスサーボが実現できる。
また、光回折素子3B(位相シフト光回折素子)は、図12に示されるように、y方向から見て両側の位置に、第1格子形成領域3a(位相シフト領域)が形成された、領域3Bmと領域3Bnとが設けられている。このため、光回折素子3Bは、図2に示された光回折素子3A(位相シフト光回折素子)と比較して、x方向の回折格子の位置ずれに対して特性変化が少ないという利点がある。
〔実施の形態3〕
本発明のさらに他の実施の形態について図17(a)・(b)〜図21に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記の実施の形態1及び2の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
本発明のさらに他の実施の形態について図17(a)・(b)〜図21に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記の実施の形態1及び2の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態のピックアップ装置(以下、本光ピックアップ装置と記す)は、上記実施の形態1にて説明した構成のうち、光回折素子3Aに代えて、図17(a)・(b)に示す光回折素子3Cを備えている。図17(a)は、本光ピックアップ装置における光回折素子3Cの格子構造面を示した平面図であり、図17(b)は、図17(a)に示された光回折素子3Bの点線円部を拡大した拡大図である。なお、図17(a)では、光回折素子3Cにおける、光ビーム30Pが通過する領域を実線円部として示している。
光回折素子3Cは、図17(a)に示されるように、上記光ディスク6のトラック方向に対応するy方向に延びる5つの分割線3Cy1・3Cy2・3Cy3・3Cy4・3Cy5により、6つの領域3Cm・3Cn・3Co・3Cp・3Cq・3Crに分割され、これら領域3Cm・3Cn・3Co・3Cp・3Cq・3Crに対応して、別個の格子が形成されている。
これら領域のうち、領域3Cn、領域3Cp、及び領域3r(格子配置領域)には、第1の格子パターンである第1格子形成領域3a…と第2の格子パターンである第2格子形成領域3b…とが形成されている。また、第1格子形成領域3aと第2格子形成領域3bとは、y方向に交互に形成されており、y方向における幅Lが互いに等しくなっている。そして、この幅Lは、光回折素子3Aを通過する光ビーム30Pの半径の略1/2に設定されている。なお、第1の格子パターンと第2の格子パターンとは、互いに異なる格子パターンとなっている。また、領域3Cn、領域3Cp、及び領域3rは、x方向からこの順に形成されており、各領域における第1格子形成領域3aと第2格子形成領域3bとが、x方向から互い違いに設けられた構成になっている。
また、領域3Cm及び領域3Cqには、第1の格子パターンである第1格子形成領域3aが形成されている。また、領域3Coには、第2の格子パターンである第2格子形成領域3bが形成されている。
この回折素子3Cの構成は、格子構造面を光ビームが通過する領域の中心Oを通過しかつ格子溝の方向に対し垂直な分割線3Cy3(3Ay)により分割したとき、分割線3Cy3に対して片方の側に格子配置領域としての領域3Cnが形成され、他方の側に格子配置領域としての領域3Cp及び領域3Crが形成されている構成であるともいえる。
上記第1の格子パターンである第1格子形成領域3a…は、図17(b)に示すように、光回折素子3Aの凹凸溝がトラック方向(y軸方向)に対して垂直に形成されている。一方、第2の格子パターンである第2格子形成領域3b…は、光回折素子3Aの凹凸溝ピッチは第1格子形成領域3aと同じであるが、格子溝が1/2ピッチだけずれた構成となっている。すなわち、第1格子形成領域3aと第2格子形成領域3bとでは、パターン溝である凸部のランドと凹部のグルーブとが反転した領域となっている。このような構成とすることによって、第1格子形成領域3aと第2格子形成領域3bとでは、位相差が180°異なった領域が形成できる。したがって、位相差を付加しない領域を第2格子形成領域3bとした場合、位相差が180°付加された領域は第1格子形成領域3a(位相シフト領域)となる。
この光回折素子3Cの格子の周期構造によって回折された副ビーム31,32は、第1格子形成領域3aを通過した部分だけ180°の位相差が付加されることになる。この結果、光回折素子3Bにより分割された、主ビーム30及び副ビーム31・32のビームスポット形状は、図18及び図19のようになる。
図18は、案内溝ピッチの異なる複数種類の光ディスクのうち、相対的に案内溝ピッチが小さい第1の光ディスク6a上のビームスポット形状(主ビーム30および副ビーム31・32のビームスポット配置)を示した説明図である。図19は、相対的に案内溝ピッチが大きい第2の光ディスク6b上のビームスポット形状(主ビーム30および副ビーム31・32のビームスポット配置)を示した説明図である。
図18及び図19に示されるように、光ディスク(第1の光ディスク6a及び第2の光ディスク6b)上の副ビーム31・32のビームスポット形状は、案内溝(案内溝61a及び案内溝61b)の長さ方向であるx方向に対し略垂直な方向(y方向)に分布したビームスポット形状になっている。また、副ビーム31・32のビームスポット形状は、略6つの強度ピークを有した分布になっている。
本ピックアップ装置においては、図19に示されるように、案内溝ピッチが相対的に小さい第1の光ディスク6aに対して、主ビーム30のビームスポットが案内溝61a上に位置している。このとき、副ビーム31・32のビームスポット形状の中心ピーク(上記略6つの強度ピークを有する分布うち中心に位置する強度ピーク)の位置がともに、主ビーム30のビームスポットが形成された案内溝61aと隣接する2つ案内溝61aの中間に位置するようになっている。また、図19に示されるような副ビーム31・32のビームスポットの配置は、角度φを決定することで可能になる。この角度φが決定される点は、上記実施の形態1及び2と同様の方法である。
このようなビームスポット形状において、主ビーム30及び副ビーム31・32のビームスポットが光ディスクの案内溝を横断するときの4分割受光素子9A・9B・9C上での干渉パターンを図20及び図21に示す。図20は、第1のディスク6aを記録再生する場合における干渉パターンを示し、図21は、第2のディスク6bを記録再生する場合における干渉パターンを示す。
まず、3ビーム(主ビーム30、及び副ビーム31・32)のビームスポットが第1の光ディスク6aの案内溝61aを横断した場合、4分割受光素子9B・9C上での干渉パターンは、図20に示すようになる。すなわち、4分割受光素子9Bにおいては、分割領域B1と分割領域B3との間、及び分割領域B2と分割領域B4との間それぞれについて、強度変化(明暗)パターンが同じになっている。また、4分割受光素子9Cにおいては、分割領域C1と分割領域C3との間、及び分割領域C2と分割領域C4との間それぞれについて、強度変化(明暗)パターンが同じになっている。また、この干渉パターンは、干渉部分(0次光と±1次光が重なる領域)において、明部と暗部との面積がほぼ同じになっている。この干渉パターンは、図5に示された4分割受光素子9B・9C上での干渉パターンと同様の効果となり、位相シフトDPP法によるトラッキング誤差信号の検出が可能になる。
また、フォーカス誤差信号については、非点収差法による検出を行うことが可能である。
一方、3ビーム(主ビーム30、及び副ビーム31・32)のビームスポットが第2の光ディスク6bの案内溝61bを横断した場合、4分割受光素子9B・9C上での干渉パターンは、図21に示すようになる。すなわち、4分割受光素子9B・9Cにおける各分割領域の強度変化の逆転現象は、図20のものと比較して小さくなっている。それゆえ、この干渉パターンにより、通常のDPP法によるトラッキング誤差信号の検出が可能になる。
また、同図に示されるように、第2のディスク6bを記録再生する場合においては、副ビーム31・32のビームスポットに対する干渉パターンは、主ビーム30のビームスポットに対する干渉パターンを反転したようなパターンになっている。この干渉パターンは、図29に示された干渉パターンと類似したパターンになっており、従来例1に示されたフォーカス誤差信号のクロスノイズのキャンセル方法を適用することが可能になる。
以上のように、本光ピックアップ装置では、実施の形態1と同様に、案内溝ピッチが相対的に大きい第2の光ディスク6bに対しては、副ビームのビームスポットを、主ビームのビームスポットが位置する案内溝から1/2ピッチ分隣接させて配置させることで、通常のDPP法でトラッキング誤差信号を検出することができる。一方、案内溝ピッチが相対的に小さい第1の光ディスク6aに対しては、副ビームのビームスポットが、主ビームのビームスポットが位置する案内溝から1/2ピッチ分隣接した位置から外れた場所に配置される。しかしながら、この場合、副ビームのビームスポットの位置に依存しない、位相シフトDPP法を適用することにより、トラッキング誤差信号を検出することができる。
そして、特にフォーカス誤差信号のクロスノイズが大きくなる、案内溝ピッチが相対的に大きい第2の光ディスクに対しては、副ビームのビームスポットを用いたクロスノイズキャンセル法を使うことができる。よって、案内溝ピッチが互いに異なる光ディスクに対して、安定したトラッキングサーボおよびフォーカスサーボが実現できる。
また、光回折素子3C(位相シフト光回折素子)は、図17に示されるように、y方向から見て多分割に、第1格子形成領域3a(位相シフト領域)が形成されている。このため、光回折素子3Cは、図2に示された光回折素子3A(位相シフト光回折素子)と比較して、x方向の回折格子の位置ずれに対して特性変化が少ないという利点がある。
〔実施の形態4〕
本発明のさらに他の実施の形態について図22(a)・(b)〜図26に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記の実施の形態1及び2の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
本発明のさらに他の実施の形態について図22(a)・(b)〜図26に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記の実施の形態1及び2の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態のピックアップ装置(以下、本光ピックアップ装置と記す)は、上記実施の形態1にて説明した構成のうち、光回折素子3Aに代えて、図22(a)・(b)に示す光回折素子3Dを備えている。図22(a)は、本光ピックアップ装置における光回折素子3Dの格子構造面を示した平面図であり、図22(b)は、図22(a)に示された光回折素子3Bの点線円部を拡大した拡大図である。なお、図22(a)では、光回折素子3Dにおける、光ビーム30Pが通過する領域を実線円部として示している。
光回折素子3Dは、図22(a)に示されるように、上記光ディスク6のラジアル方向に対応するx方向に延びる4つの分割線3Dx1・3Dx2・3Dx3・3Dx4により、5つの領域3Dm・3Dn・3Do・3Dp・3Dqに分割され、これら領域3Dm・3Dn・3Do・3Dp・3Dqに対応して、別個の格子が形成されている。
領域3Dm、領域3Do及び領域3Dqには、第1の格子パターンである第1格子形成領域3aが形成されている。また、領域3Dn、及び領域3Dpには、第2の格子パターンである第2格子形成領域3bが形成されている。つまり、光回折素子3Dは、領域3Dm・3Dn・3Do・3Dp・3Dqがそれぞれ、x方向に一様に形成されたものであり、y方向からみて第1格子形成領域3aと第2格子形成領域3bとが交互に形成された構成であるといえる。
上記第1の格子パターンである第1格子形成領域3a…は、図22(b)に示すように、光回折素子3Aの凹凸溝がトラック方向(y軸方向)に対して垂直に形成されている。一方、第2の格子パターンである第2格子形成領域3b…は、光回折素子3Aの凹凸溝ピッチは第1格子形成領域3aと同じであるが、格子溝が1/2ピッチだけずれた構成となっている。すなわち、第1格子形成領域3aと第2格子形成領域3bとでは、パターン溝である凸部のランドと凹部のグルーブとが反転した領域となっている。このような構成とすることによって、第1格子形成領域3aと第2格子形成領域3bとでは、位相差が180°異なった領域が形成できる。したがって、位相差を付加しない領域を第2格子形成領域3bとした場合、位相差が180°付加された領域は第1格子形成領域3a(位相シフト領域)となる。
光回折素子3Dでは、第2格子形成領域3bが形成された領域3Dnのy方向の幅が、光回折素子3Dを通過する光ビームの半径の略1/3に設定されている。
また、領域3Dm・3Dqは、対物レンズ5が光回折素子3Dの中心に位置している場合に、光ビームが通過する領域外に配置させることが好ましい。これにより、対物レンズシフト時にも特性変化を小さくすることができる。
この光回折素子3Dの格子の周期構造によって回折された副ビーム31,32は、第1格子形成領域3aを通過した部分だけ180°の位相差が付加されることになる。この結果、光回折素子3Dにより分割された、主ビーム30及び副ビーム31・32のビームスポット形状は、図23及び図24のようになる。
図23は、案内溝ピッチの異なる複数種類の光ディスクのうち、相対的に案内溝ピッチが小さい第1の光ディスク6a上のビームスポット形状(主ビーム30および副ビーム31・32のビームスポット配置)を示した説明図である。図24は、相対的に案内溝ピッチが大きい第2の光ディスク6b上のビームスポット形状(主ビーム30および副ビーム31・32のビームスポット配置)を示した説明図である。
図23及び図24に示されるように、光ディスク(第1の光ディスク6a及び第2の光ディスク6b)上の副ビーム31・32のビームスポット形状は、案内溝(案内溝61a及び案内溝61b)の長さ方向であるx方向に対し略垂直な方向(y方向)に分布したビームスポット形状になっている。また、副ビーム31・32のビームスポット形状は、略2つの強度ピークを有した分布になっている。
本ピックアップ装置においては、図23及び図24に示されるように、第1の光ディスク6aと第2の光ディスク6bとの両方に対して、主ビーム30のビームスポットが案内溝61a上に位置している。このとき、副ビーム31・32のビームスポット形状の2つの強度ピークの位置が、主ビーム30のビームスポットが形成された案内溝61aと同じ案内溝61aに位置するようになっている。この副ビーム31・32のビームスポットの配置は、実施の形態1〜3のものと異なる。
このようなビームスポット形状において、主ビーム30及び副ビーム31・32のビームスポットが光ディスクの案内溝を横断するときの4分割受光素子9A・9B・9C上での干渉パターンを図25及び図26に示す。図25は、第1のディスク6aを記録再生する場合における干渉パターンを示し、図26は、第2のディスク6bを記録再生する場合における干渉パターンを示す。
まず、3ビーム(主ビーム30、及び副ビーム31・32)のビームスポットが第1の光ディスク6aの案内溝61aを横断した場合、4分割受光素子9B・9C上での干渉パターンは、図25に示すようになる。すなわち、4分割受光素子9B及び9Cにおいては、x方向から見ると明暗パターンが一定になっている。すなわち、4分割受光素子9B及び9Cにおいては、明暗パターンが、x軸に対して線対称になるようなパターンになっている。また、この干渉パターンは、干渉部分(0次光と±1次光が重なる領域)において、明部と暗部との面積がほぼ同じになっている。この干渉パターンは、図5に示された4分割受光素子9B・9C上での干渉パターンと同様の効果となり、位相シフトDPP法によるトラッキング誤差信号の検出が可能になる。
また、フォーカス誤差信号については、非点収差法による検出を行うことが可能である。
一方、3ビーム(主ビーム30、及び副ビーム31・32)のビームスポットが第2の光ディスク6bの案内溝61bを横断した場合、4分割受光素子9B・9C上での干渉パターンは、図26に示すようになる。すなわち、4分割受光素子9B・9Cにおける各分割領域の強度変化の逆転現象は、図25のものと比較して小さくなっている。それゆえ、この干渉パターンにより、プッシュプル信号を検出できるので、通常のDPP法によるトラッキング誤差信号の検出が可能になる。
ここで、副ビーム31・32のビームスポットと主ビーム30のビームスポットとが同一案内溝に配置しているにもかかわらず、4分割受光素子9B・9C上の副ビーム31・32の明暗パターンは、4分割受光素子9A上の主ビーム30の明暗パターンと逆になっている。これは、図22(a)に示された領域3Do(位相シフト領域)のy方向の幅が光ビームの半径の2/3程度を占めているためである。これにより、プッシュプル信号の位相が反転する。これにより、3ビームが同一記録トラックに位置しているにもかかわらず、ほぼ通常のDPP法を適用することができる。
以上のように、本光ピックアップ装置では、実施の形態1と同様に、案内溝ピッチが相対的に大きい第2の光ディスク6bに対しては、通常のDPP法でトラッキング誤差信号を検出することができる。一方、案内溝ピッチが相対的に小さい第1の光ディスク6aに対しては、副ビームのビームスポットの位置に依存しない、位相シフトDPP法を適用することにより、トラッキング誤差信号を検出することができる。
そして、特にフォーカス誤差信号のクロスノイズが大きくなる、案内溝ピッチが相対的に大きい第2の光ディスクに対しては、副ビームのビームスポットを用いたクロスノイズキャンセル法を使うことができる。よって、案内溝ピッチが互いに異なる光ディスクに対して、安定したトラッキングサーボおよびフォーカスサーボが実現できる。
また、光回折素子3C(位相シフト光回折素子)は、図22に示されるように、光回折素子3Dは、領域3Dm・3Dn・3Do・3Dp・3Dqがそれぞれ、x方向に一様に形成されたものであり、y方向からみて第1格子形成領域3aと第2格子形成領域3bとが交互に形成された構成である。このため、光回折素子3Dは、図2に示された光回折素子3A(位相シフト光回折素子)と比較して、x方向に対する回折格子の位置ずれには全く影響が無い。さらに、本光ピックアップ装置では、3ビームのビームスポットを同一案内溝上に配置することができるため、案内溝ピッチが互いに異なる複数の光ディスクに対しても、3ビームの最適調整が不要になるという利点がある。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明の光ピックアップは、以上のように、案内溝ピッチが互いに異なる光ディスクに対して、安定したトラッキングサーボおよびフォーカスサーボが実現できるので、光ディスクを記録再生するオーディオ、ビデオ、コンピュータ等の多くの機器の産業に適用できる。
1 半導体レーザ(光源)
2 コリメータレンズ
3A,3B,3C,3D,300A 光回折素子
4 ビームスプリッタ
5 対物レンズ(集光素子)
6 光ディスク(第1の光情報記録媒体,第2の光情報記録媒体)
6a 第1の光ディスク(第1の光情報記録媒体)
6b 第2の光ディスク(第2の光情報記録媒体)
61,61a,61b 案内溝
7 集光レンズ
8 シリンドリカルレンズ
9 光検出部
10 ピックアップ装置(光ピックアップ)
2 コリメータレンズ
3A,3B,3C,3D,300A 光回折素子
4 ビームスプリッタ
5 対物レンズ(集光素子)
6 光ディスク(第1の光情報記録媒体,第2の光情報記録媒体)
6a 第1の光ディスク(第1の光情報記録媒体)
6b 第2の光ディスク(第2の光情報記録媒体)
61,61a,61b 案内溝
7 集光レンズ
8 シリンドリカルレンズ
9 光検出部
10 ピックアップ装置(光ピックアップ)
Claims (11)
- 光ビームを出射するレーザ光源と、
該光ビームを光記録媒体上に集光させる集光素子と、
上記光源と集光素子との間に配置され、少なくとも主ビーム及び2つの副ビームの3ビームに分割するための光回折素子と、
上記光記録媒体からの3ビームの反射光を受光する受光素子を有し、かつ3ビームのそれぞれの反射光からプッシュプル信号を検出する光検出部とを備え、
光情報記録媒体として、案内溝ピッチが互いに異なる複数の光情報記録媒体に対応した光ピックアップであって、
光回折素子は、通過する光ビームに位相差を与える格子構造面を備え、該格子構造面が、
複数の光情報記録媒体のうち相対的に案内溝ピッチが小さい第1の光情報記録媒体に対しては、副ビームにおけるプッシュプル信号の振幅が略0になる一方、
複数の光情報記録媒体のうち相対的に案内溝ピッチが大きい第2の光情報記録媒体に対しては、副ビームにおけるプッシュプル信号の振幅が検出されるように設計されていることを特徴とする光ピックアップ。 - 上記光回折素子の格子構造面は、
第2の光情報記録媒体において、副ビームのビームスポットが主ビームのビームスポットと同一案内溝に配置された場合に、副ビームにおけるプッシュプル信号の位相が、主ビームにおけるプッシュプル信号と180°異なるように設計されていることを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ。 - 上記光回折素子は、その格子構造面に、
第1の格子パターンが形成された第1格子形成領域と、
第1の格子パターンの格子溝に対し1/2ピッチだけずれた格子溝を有する第2の格子パターンが形成された第2格子形成領域とを有し、
格子構造面を、光ビームが通過する領域の中心を通過しかつ格子溝の方向に対し垂直な分割線により分割したとき、
分割線に対して少なくとも片方側に、第1格子形成領域及び第2格子形成領域が格子溝の方向に沿って交互に配置された、格子配置領域を有することを特徴とする請求項1または2に記載の光ピックアップ。 - 上記格子配置領域では、第1格子形成領域及び第2格子形成領域が、光ビーム半径の1/2毎に交互に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の光ピックアップ。
- 格子構造面を、光ビームが通過する領域の中心を通過しかつ格子溝の方向に対し垂直な分割線により2つの領域に分割したとき、
上記格子配置領域は、分割線に対して片方側の領域全域に形成されていることを特徴とする請求項3または4に記載の光ピックアップ。 - 格子構造面を、光ビームが通過する領域の中心を通過しかつ格子溝の方向に対し垂直な分割線により分割したとき、
上記格子配置領域は、分割線に対して両側に形成されていることを特徴とする請求項3また4に記載の光ピックアップ。 - 上記光回折素子の格子構造面全面に、第1格子形成領域及び第2格子形成領域が格子溝の方向に沿って交互に配置された格子配置領域が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の光ピックアップ。
- 上記光回折素子の格子構造面は、
上記第2の光情報記録媒体に対して、主ビームのビームスポットが案内溝上に配置されたときに、副ビームのビームスポットの位置が、主ビームのビームスポットが配置された案内溝から1/2ピッチだけずれた位置になるように設定されていることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の光ピックアップ。 - 上記光回折素子の格子構造面は、
第1および第2の光情報記録媒体の両方に対して、主ビームのビームスポットが案内溝上に配置されたときに、副ビームのビームスポットの位置が、主ビームのビームスポットが配置された案内溝と同一の案内溝に配置されるように設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の光ピックアップ。 - 上記光検出部は、
第2の光情報記録媒体に対しては、差動プッシュプル法によりトラッキング誤差信号を検出する一方、第1の光情報記録媒体に対しては、位相シフト差動プッシュプル法によりトラッキング誤差信号を検出することを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に光ピックアップ。 - 上記光検出部は、
第1の光情報記録媒体に対しては、主ビームだけを用いてフォーカス誤差信号を検出する一方、第2の光ディスクに対しては、主ビームと副ビームとの両方を用いてフォーカス誤差信号を検出することを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の光ピックアップ。
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JP2006135766A JP2007305274A (ja) | 2006-05-15 | 2006-05-15 | 光ピックアップ |
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