JP2007295808A - 気管支喘息発症モデル動物およびその作製方法、並びにその利用 - Google Patents

気管支喘息発症モデル動物およびその作製方法、並びにその利用 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、気管支喘息、特にアレルギー性炎症によって発症する気管支喘息に対する治療法に対して抵抗性を示す気管支喘息の病態解析および治療法を確立するために好適に利用できる、気管支喘息を発症する気管支喘息発症モデル動物およびその作製方法、並びにその利用を提供する。
【解決手段】モデル動物に、アレルゲン非存在下で、IL−2およびIL−18を吸入曝露させる。これにより、当該モデル動物に対して、気道感染などによって誘導される非アレルギー性気管支喘息を発症させることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、気管支喘息発症モデル動物およびその作製方法、並びにその利用に関するものであって、特に、アレルゲン非存在下で、気管支喘息を発症する気管支喘息発症モデル動物およびその作製方法、並びにその利用に関するものである。
気管支喘息は、気道過敏性(以下、「AHR」ともいう)、気道炎症(好酸球および好中球浸潤)、および気道上皮からのムチン産生の亢進、高レベルの免疫グロブリンE(以下、「IgE」ともいう)を特徴とする慢性炎症性呼吸器疾患である。AHRおよびムチン産生の亢進は、喘息症状および喘息の発症と関連していることが多い。そのため、現在では、気管支喘息の本態は、気道の慢性炎症に基づくAHRであると考えられている。AHRは、気道炎症によって引き起こされ、炎症細胞浸潤、気道上皮細胞の障害、サイトカインや各種メディエーターの遊離を起こし、様々な作用機序で気道平滑筋の反応性亢進を示す。
このような気管支喘息の症状を引き起こすメカニズムには、Th2細胞が関与していると考えられてきた。具体的には、気管支喘息は、アレルゲン、IgE、およびヘルパーT2細胞(以下、「Th2細胞」ともいう)が産生するサイトカイン(以下、「Th2サイトカイン」ともいう)の協調作用によって誘導されるTh2型疾患と考えられてきた。上記Th2サイトカインとしては、例えば、インターロイキン(以下、「IL」ともいう)−4、IL−5、IL−9、およびIL−13が挙げられる。
また、IL−4、IL−5、IL−9、およびIL−13を産生するCD4T細胞は、喘息患者の気管支肺胞洗浄(以下、「BAL」ともいう)や気道の生体組織検査で同定された。動物実験において、Th2細胞が、気道における好酸球の増加、気道上皮からのムチン産生の亢進を伴う杯細胞の異常増殖、およびAHRを誘導することが明らかとなった。Th2サイトカインの中で、IL−13は、AHRおよび気道上皮からのムチン産生の亢進を誘導するのに重要な役割を果たしていることが示唆されている。
事実、モデル動物系において、IL−13の阻害は、アレルゲン誘導性のAHR、好酸球が増加する気道炎症、および杯細胞の異常増殖を顕著に阻害する。さらに、IL−13を、ナイーブマウスの鼻腔内に直接投与すると、気道上皮からのムチン産生の亢進、気道の好酸球浸潤およびAHRが誘導される。
一方、Th1細胞は、一般に、IFN−γを介してTh2細胞の活性を低下させることによって、気管支喘息に対して防御的に作用すると考えられてきた。これに対し、本発明者らは、近年、抗原特異的なTh1細胞を移植したナイーブマウスを、抗原単独ではなく、抗原とIL−18とによって刺激すると、気管支喘息を発症することを明らかにしている。さらに、本発明者らは、IL−13とIFN−γとを組み合わせて投与すると、抗原刺激とは無関係に、重篤な気道炎症が誘導されることを明らかにしている。
また、気管支喘息の誘導に関しては、それ以外にも、(1)Th1細胞は、好中球を遊走・活性化することによって、気管支喘息を誘発するとの報告、(2)気管支喘息患者の中には、Th1細胞優位な免疫応答を示す症例も混在するという報告、(3)Th1細胞の減少に伴い、Th2細胞で誘導されたAHRが緩和するという報告、(4)Th1細胞は、好中球の遊走および活性化によって、AHRを誘導するという報告、(5)アレルゲン特異的Th1細胞、および、アレルゲン特異的Th2細胞の同時移入は、喘息を誘導するという報告などがある。
上記のような数々の気管支喘息の誘導に関する報告から、気管支喘息の発症メカニズムは、単純なものではなく、いくつかの型があることが明らかとなってきた。そのため、現在では、気管支喘息の1つの分類様式として、Th1細胞誘導型喘息(以下、「Th1型喘息」ともいう)、Th2細胞誘導型喘息(以下、「Th2型喘息」ともいう)、および、Th1細胞/Th2細胞混合誘導型喘息(以下、「混合型喘息」ともいう)の3つのタイプに分類することがなされている。
気管支喘息の治療法、および治療剤は、これら気管支喘息のタイプの違いにより異なる。そのため、各タイプの気管支喘息の治療法や治療剤を開発するためには、気管支喘息のタイプごとに、当該タイプの気管支喘息を発症したモデル動物が求められる。そこで、いくつかのタイプの気管支喘息について、当該気管支喘息を発症したモデル動物の作製方法が提案されている。
例えば、上記Th2型喘息を発症したモデル動物の作製方法としては、Th2細胞から産生するIL−13の作用によって、モデル動物において気管支喘息を誘導する方法、およびリポ多糖体(LPS)を利用する方法が挙げられる。
具体的には、IL−13の作用を利用する方法としては、以下の3つの方法が提案されている。1つ目の方法では、まず、OVAをアジュバンドと共にマウスに免疫して、OVA反応性のTh2細胞を生体内に誘導した感作マウスを作製する。そして、当該感作マウスに、OVAを投与することによって、Th2細胞からIL−13を産生させる。こうして産生されたIL−13の作用により、当該マウスにおいて、肺組織内の好酸球の増加と気道過敏性の亢進とを伴った気管支喘息を誘導させることができる。
また、2つ目の方法では、抗原特異的Th2細胞を利用して、マウスに気管支喘息を誘導させる。具体的には、当該方法では、まず、抗原特異的Th2細胞をマウスに移入し、その直後から抗原を投与する。これにより、Th2細胞からIL−13を産生させる。こうして産生されたIL−13の作用により、当該マウスにおいて、肺組織内の好酸球の増加と気道過敏性の亢進とを伴った気管支喘息を誘導させることができる。
また、3つ目の方法では、呼吸器合胞体ウィルス(RSウィルス;respiratory syncytial virus)を利用して、マウスに気管支喘息を誘導させる。具体的には、当該方法では、まず、正常マウスにRSウイルスを直接吸入させることにより、IL−13の産生を誘導する。そして、当該IL−13により気道内杯細胞を刺激し、ムチン産生亢進による気道閉塞を伴った気管支喘息を誘導することができる。
また、リポ多糖体(LPS)を利用する方法としては、例えば、マウスにLPSを直接投与して気管支喘息を誘導する方法が提案されている。当該方法では、正常マウスにグラム陰性菌の細胞壁の主成分であるLPSを直接投与して炎症性サイトカイン産生を誘導する。これにより、肺組織内の好中球の増加と気道過敏性の亢進とを伴った喘息を誘導することができる。
さらに、上述した3つのタイプのうち、所望のタイプの気管支喘息を発症するモデル動物を作製する方法として、特許文献1に開示される方法がある。
特許文献1には、抗原特異的Th細胞を選択的に刺激することによって、Th1型喘息、Th2型喘息、および混合型喘息を発症させる方法が開示されている。具体的には、特許文献1の方法では、まず、抗原特異的Th1またはTh2細胞を宿主に導入する。次に、宿主に導入したT細胞をメモリー型T細胞(Th1細胞またはTh2細胞)に変換する。そして、当該メモリー型ヘルパーT細胞を刺激することによって、宿主において、喘息を誘導することができる。
特開2005−211019号公報(平成17(2005)年8月11日公開)
気管支喘息の本態と考えられているAHRには、アレルギー性炎症等で誘導されるものと、気道感染症によって誘導されるものとがある。アレルギー性炎症によって誘導されるAHRは、主に、アレルゲンが原因で誘導される。一方、気道感染症によって誘導されるAHRについては、誘導機序およびその制御メカニズムが不明である。このような気道感染症によって発症する気管支喘息は、アレルギー性炎症によって発症する気管支喘息に対する治療法に対して抵抗性を示す。例えば、アレルギー性炎症によって発症する気管支喘息に対して有効なステロイド吸入法は、気道感染症によって発症する気管支喘息では症状を悪化させる可能性が指摘されている。つまり、気道感染症によって発症する気管支喘息の治療は、アレルギー性炎症によって発症する気管支喘息とは異なる方法で行う必要がある。
しかしながら、上述したように、気道感染症によって発症する気管支喘息で見られるAHRの原因は、未だ不明であり、その治療法、および治療剤の開発が十分になされていない。そのため、上記治療法および治療剤を開発するために、気道感染症によって発症する気管支喘息のモデル動物を作製し、その詳細な病態解析を行うことが求められている。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、気管支喘息、特にアレルギー性炎症によって発症する気管支喘息に対する治療法に対して抵抗性を示す気管支喘息の病態解析および治療法を確立するために好適に利用できる、気管支喘息を発症する気管支喘息発症モデル動物およびその作製方法、並びにその利用を提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、モデル動物にIL−2およびIL−18を吸入曝露することにより、抗原刺激の介在しない自然型の気管支喘息を誘導できることを独自に見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、以下の産業上有用な以下の発明を包含する。
(1)モデル動物に、アレルゲン非存在下で、インターロイキン−2およびインターロイキン−18を鼻腔内投与することにより得られることを特徴とする気管支喘息発症モデル動物。
(2)血清における免疫グロブリンEの濃度が、インターロイキン−2およびインターロイキン−18の投与前の上記モデル動物と実質的に同一であることを特徴とする(1)に記載の気管支喘息発症モデル動物。
(3)気道粘膜において、好塩基球および肥満細胞の活性を実質的に有しないことを特徴とする(1)または(2)に記載の気管支喘息発症モデル動物。
(4)活性化されたCD4陽性T細胞を有し、当該CD4陽性T細胞から、インターロイキン−13が産生されていることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の気管支喘息発症モデル動物。
(5)上記CD4陽性T細胞からのインターロイキン−13の産生量が、上記CD4陽性T細胞からのインターロイキン−4の産生量の30倍以上であることを特徴とする(4)に記載の気管支喘息発症モデル動物。
(6)インターロイキン−13を中和することのみによって、気管支喘息の発症が阻害されることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の気管支喘息発症モデル動物。
(7)モデル動物に、アレルゲン非存在下で、インターロイキン−2およびインターロイキン−18を鼻腔内投与することを特徴とする気管支喘息発症モデル動物の作製方法。
(8)(1)〜(6)のいずれかに記載の気管支喘息発症モデル動物に対して、被験物質を投与し、気管支喘息の改善効果を検定することを特徴とする気管支喘息治療剤のスクリーニング方法。
(9)上記被験物質を投与した気管支喘息発症モデル動物において、少なくともインターロイキン−13またはインターロイキン−13をコードする遺伝子の発現強度を測定することを特徴とする(8)に記載の気管支喘息治療剤のスクリーニング方法。
(10)(8)または(9)に記載の気管支喘息治療剤のスクリーニング方法により、気管支喘息の改善効果を示すと判定される物質を含有することを特徴とする気管支喘息治療剤。
(11)鼻腔内投与されることを特徴とする(10)に記載の気管支喘息治療剤。
本発明にかかる気管支喘息発症モデル動物は、アレルゲン非存在下で、インターロイキン−2およびインターロイキン−18が鼻腔内投与されることにより、非アレルギー性気管支喘息を発症している。それゆえ、本発明にかかる気管支喘息発症モデル動物によれば、非アレルギー性の気管支喘息の治療方法、および治療剤の開発、および当該治療剤のスクリーニングを行えるという効果を奏する。
本発明の一実施形態について説明すると以下の通りであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
<1.本発明を完成させるに至った経緯>
外因性の気管支喘息をもつ患者は、特定のアレルゲンの刺激を受けると、AHRを示す。つまり、アレルゲンは、Th2型気管支喘息の原因因子として作用する。しかし、気管支喘息患者には、微生物やウィルスの感染に伴って、AHRを発症する患者がいる。また、マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)やA型インフルエンザが非アレルギー患者においても、AHRのような喘息を誘導することがよく知られている。このような気管支喘息を、以下、「非アレルギー性喘息」とも称する。
非アレルギー性喘息は、難治性喘息であり、アレルギー性炎症によって発症する気管支喘息に対する治療法に対して抵抗性を示す。例えば、ステロイド吸入法は、アレルギー性炎症によって発症する気管支喘息に対しては有効であるが、上記非アレルギー性喘息に対しては、その症状を悪化させる可能性が指摘されている。つまり、上記非アレルギー性喘息は、アレルギー性炎症によって発症する気管支喘息とは、誘導機序およびその制御メカニズムが異なるものである。しかしながら、上記非アレルギー性喘息の誘導機序およびその制御メカニズムは、不明であり、上記非アレルギー性喘息に対して有効な治療方法や治療剤の開発が十分なされていないのが現状である。そのため、微生物やウィルスの感染が、アレルゲンとは無関係に、どのような機序で気管支喘息を悪化させるのかを解明することが求められている。
ところで、インターロイキン(以下、「IL」ともいう)−18は、気管支喘息の誘導または悪化に深く関連していることはよく知られている。また、IL−18は、様々な感染によって著しく誘導されることが知られている。このように、気管支喘息との関連性がよく知られているIL−18は、マクロファージや樹状細胞内で前駆体として産生され、Toll-like Receptor(TLR)のリガンド刺激を受けることによってカスパーゼ−1(caspase-1)によって活性型となって分泌されるサイトカインである。また、IL−18は、発見当初、抗CD3およびIL−12存在下、Th1細胞からIFN−γ産生を促進する因子として認識されていた。その後の研究で、IL−18は、ユニークなサイトカインであり、Th1応答およびTh2応答の両方を制御することが分かってきた。具体的には、IL−18は、IL−12存在下で、Th1やNK細胞に作用して、IFN−γの産生を強力に誘導する。なお、IFN−γに関して、IL−18とIL−12とは、相乗的に機能する。また、Th1やNK細胞上に、Fasリガンド(アポトーシスを誘導する生体内のタンパク質)の発現を誘導する。このため、生体内でIL−12とIL−18とが過剰に産生されると、例えば、腸や肝臓で重篤な臓器障害が惹起され、いわゆるTh1型疾患の原因となる。
また、IL−18は、抗原刺激がなくても、IL−2の存在下でCD4陽性T細胞(以下、「CD4T細胞」ともいう)を刺激して、IL−4、IL−5、IL−9、およびIL−13といったTh2サイトカインの産生を誘導する。さらに、このとき、CD40リガンドの発現も誘導される。したがって、IL−2およびIL−18を全身投与すると、IL−4、stat6、およびCD4T細胞依存的に、免疫グロブリンE(以下、「IgE」ともいう)の産生が誘導される。
さらに、本発明者らのこれまでの研究により、IL−18が、T細胞、NK細胞、好塩基球および肥満細胞からのTh2サイトカイン産生を促進することが明らかとなった。すなわち、IL−18は、IL−3の存在下において、好塩基球や肥満細胞を直接刺激して、IgE非依存的に、これらの細胞から、ヒスタミン、IL−4、IL−13などの産生を誘導する。このため、例えば、皮膚ケラチノサイト特異的カスパーゼ−1トランスジェニックマウスでは、高IL−18血症、高IgE血症、さらに顕著なアトピー性皮膚炎の症状が認められる。このように、IL−18はIL−12非存在下かつIL−2存在下で、アレルギー反応を誘導する。従って、IL−12の産生を伴わないIL−18の過剰産生は、いわゆるTh2型疾患の原因ともなる。
このように、IL−18は、T細胞からのTh1サイトカインまたはTh2サイトカインの産生を誘導し、肝炎や炎症性腸疾患などのようなTh1型疾患の発症ばかりか、喘息やアトピー性皮膚炎などのようなTh2型疾患の発症にも関与している。一般に、Th1細胞またはTh2細胞は、それぞれ、Th1サイトカインまたはTh2サイトカインを産生するために、TCRの関与を必要とする。一方、上述したように、IL−18およびIL−12、または、IL−18およびIL−2は、TCRの関与を必要とすることなく、T細胞を刺激して、それぞれTh1サイトカインまたはTh2サイトカインを産生することもできる。
これらの知見に基づき、本発明者らは、これまでに、T細胞の活性化経路には、2つのタイプがあることを提案している。1つのタイプが、TCRの関与を必要とする、獲得型のT細胞の活性化経路(以下、単に「獲得型経路」ともいう)、もう1つが、TCRの関与を必要としない、T細胞の自然な活性化経路(以下、単に「自然型経路」ともいう)である。
上記獲得型経路は、獲得性免疫応答、例えば、気管支喘息の発症において、重要な役割を担っていることはよく認知されている。一方、上記自然型経路が、実際に、気管支喘息の発症に関与しているのかという点については、これまで明確にはされていなかった。
このような状況下において、本発明者らは、IL−18は種々の器官の上皮細胞に大量に蓄積されているとの知見(Cameron, L.A., R.A. Taha, A. Tsicopoulos, M. Kurimoto, R. Olivenstein, B. Wallaert, E.M. Minshall, and Q.A. Hamid. 1999. Airway epithelium expresses interleukin-18. Eur. Respir. J. 14:553-559.)を鑑み、病原菌が気管支の上皮細胞を刺激し、IL−18の産生を誘導し、当該IL−18が、上記自然型経路によりT細胞を活性化する結果、気管支喘息が発症するとの仮説を立てた。上記仮説を立証すべく、本発明者らは、鋭意検討し、IL−2とIL−18とをナイーブマウスに鼻腔内投与することにより、抗原非依存性の気管支喘息を発症させることに成功し、本発明を完成させるに至ったのである。
<2.気管支喘息発症モデル動物>
本発明にかかる気管支喘息発症モデル動物(以下、「喘息モデル動物」ともいう)は、少なくとも気道炎症、好ましくは気道炎症と気道過敏性(以下、「AHR」ともいう)との症状を示すヒト以外の(非ヒト)モデル動物である。さらに、上記の症状に加えて、喘息の症状に特徴付けられる他の症状を示すモデル動物であってもよい。
上記喘息モデル動物における「AHR」の程度は、例えば、通常アセチルコリン、メタコリン、ヒスタミンなどの気道収縮作用のある薬剤を、低濃度から順次、当該モデル動物に吸入し、気管支が一定の基準以上に収縮した時の薬剤の最低濃度から判定することができる。なお、後述の実施例では、β−メタコリンを用いてAHRの程度を評価している。
上記喘息モデル動物の対象動物は、ヒト以外の動物であれば特に限定されるものでない。例えば、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、マウス、ラットなどの哺乳動物が例示される。特に、マウスやラット等の齧歯目動物は、実験動物・病態モデル動物として広く用いられており、なかでも近交系が多数作出されており、受精卵の培養、体外受精等の技術が整っているマウスが実験動物・病態モデル動物として好ましく、喘息の病態解析、有効な治療法の確立や、その治療方法の開発などに有用である。
また、気管支喘息は、上述したように、いくつかのタイプに分類することができる。具体的には、Th1細胞誘導型喘息(以下、「Th1型喘息」ともいう)、Th2細胞誘導型喘息(以下、「Th2型喘息」ともいう)、および、Th1細胞/Th2細胞混合誘導型喘息(以下、「混合型喘息」ともいう)の3つのタイプに分類することができる。また、気管支喘息に関与するTh1細胞およびTh2細胞は、上述したように、IL−18のT細胞の活性化により誘導されるが、T細胞の活性化経路もまた、獲得型経路と自然型経路とがある。さらに、自然型経路は、TCRの関与を必要とせず、IL−18がTh1サイトカインの産生(Th1細胞への分化)を誘導する自然型経路1と、TCRの関与を必要とせず、IL−18がTh2サイトカインの産生(Th2細胞への分化)を誘導する自然型経路2とに分類することができる。このように、気管支喘息は、発症の原因となるヘルパーT細胞の種類と、そのヘルパーT細胞の活性化機序との組み合わせによって分類することができる。本発明にかかる喘息モデル動物においては、当該喘息モデル動物が発症する気管支喘息は、非アレルギー性喘息であって、特に、上記自然型経路2により分化したTh2細胞によって誘導される気管支喘息である。
このように、上記喘息モデル動物は、非アレルギー性喘息を発症するものであればよい。すなわち、遺伝子型が野生型の動物であってもよいし、特定の遺伝子が欠損した遺伝子欠損動物(ノックアウト動物)や、外来遺伝子が導入されたトランスジェニック動物などであってもよい。換言すれば、特定の遺伝子が欠損した遺伝子欠損動物(ノックアウト動物)や、外来遺伝子が導入されたトランスジェニック動物に対して、後述する気管支喘息発症モデル動物の作製方法を用いて、非アレルギー性喘息を発症させた喘息モデル動物であってもよい。
ここで、本発明にかかる喘息モデル動物において、気管支喘息を発症する機序について説明する。
後述する気管支喘息発症モデル動物の作製方法で詳細に説明するが、上記喘息モデル動物は、IL−2およびIL−18を鼻腔内投与することにより得られるものである。上記喘息モデル動物では、IL−2およびIL−18が鼻腔内に投与されることにより、CD4T細胞が活性化される。これにより、CD4T細胞からIL−13が産生される。このとき、IL−13に加えて、IL−4も産生されるが、その産生量は、IL−13のほうが遥かに大きい。こうして産生されたIL−13は、杯細胞の異常増殖を誘導し、その結果、ムチンが過剰分泌される。また、上記IL−13は、AHRを誘導する。本発明にかかる喘息モデル動物におけるAHRの誘導には、IL−13に加えて、IL−4が関与してもよい。
さらに、産生されたIL−13は、STAT6を活性化し、肺におけるエオタキシンおよびエオタキシン−2の発現を上昇させる。なお、上記STAT6をコードするstat6遺伝子は、IL−4およびIL−13のシグナル伝達に必須の遺伝子である。また、上記エオタキシンおよびエオタキシン−2は、好酸球遊走因子である。こうして発現が増加したエオタキシンおよびエオタキシン−2により、気道における好酸球浸潤が誘導される。なお、本発明において、上記気道における好酸球浸潤には、IL−5およびIL−9が関与しないことが好ましい。
また、本発明にかかる喘息モデル動物では、IL−17、並びに、GCP−2およびMIP−2の産生が誘導されている。IL−17は、気管支上皮細胞において、GCP−2およびMIP−2を含む数種のCXCケモカインを放出することによって、上記気道における好中球遊走に関与する。したがって、上記喘息モデル動物では、IL−17および/またはCXCケモカイン(例えば、MIP−2およびGCP−2)によって、気道の好中球浸潤が誘導される。
以上のような機序により、本発明にかかる喘息モデル動物は気管支喘息を発症する。
したがって、本発明にかかる喘息モデル動物は、以下のような性質を有する。具体的には、上記喘息モデル動物は、非アレルギー性喘息を発症しているモデル動物である。そのため、上記喘息モデル動物では、IL−2およびIL−18の投与前と、血清におけるIgE濃度が実質的に同一である。つまり、IL−2およびIL−18を鼻腔内投与する前と、投与した後では、当該モデル動物の血清におけるIgE濃度は、実質的に同一であることを意味する。さらに言い換えれば、上記喘息モデル動物は、IL−2およびIL−18の投与によって、アレルギー反応を実質的に示していないと解釈されるIgE量であることを意味する、具体的には、上記喘息モデル動物が、ナイーブモデル動物に、IL−2およびIL−18を鼻腔内投与して得られたものである場合、当該喘息モデル動物と、上記ナイーブモデル動物とで、血清におけるIgE濃度が、実質的に同一であることを意味する。
また、上記喘息モデル動物では、気道粘膜において、好塩基球および肥満細胞の活性を実質的に有しない。なお、「好塩基球および肥満細胞の活性を実質的に有しない」とは、アレルギー反応を示す好塩基球および肥満細胞が実質的に存在しないことを意味する。
また、上記喘息モデル動物は、活性化されたCD4T細胞を有する。この活性化されたCD4T細胞は、少なくとも上記喘息モデル動物の肺に存在し、IL−13を産生する。なお、上記喘息モデル動物においては、活性化されたCD4T細胞が、肺だけではなく、末梢組織にも存在していてもよい。
上記活性化されたCD4T細胞では、IL−13の産生に加えて、IL−4が産生されてもよい。その場合、IL−13の産生量は、IL−4の産生量よりも多いことが特徴で、重要なことはIL−13の産生量が多いことである。これらの病態は、重篤となる。IL−4も類似した作用を発現するが、産生量が少ないため、IL−13の作用で病態が決定されている。具体的には、上記CD4T細胞からのIL−13の産生量は、IL−4の産生量の30倍以上であることが好ましい。また、上記喘息モデル動物では、肺においても、IL−13が産生され、その産生量は、IL−4の産生量よりも多いことが好ましい。これにより、杯細胞の異常増殖、AHR、および気道における好酸球浸潤が誘導される。
さらに、本発明にかかる喘息モデル動物は、IL−13を中和することのみによって、気管支喘息の発症が阻害される。つまり、本発明にかかる喘息モデル動物において、気管支喘息の発症はIL−13に依存している。そのため、IL−13を中和することのみによって、気管支喘息の発症、すなわち、気管支喘息の諸症状をほぼ完全に阻害することができる。なお、本明細書において、「IL−13を中和する」とは、「IL−13の機能を阻害する」との意味のみならず、「IL−13を分解する」、および「IL−13の産生を阻害する」の意味の包含する。したがって、上記喘息モデル動物のおいて、気管支喘息の発症を阻害する方法としては、IL−13に対する抗体の使用、IL−13の阻害剤の使用、IL−13拮抗剤の使用、およびIL−13の産生抑制剤の使用が挙げられる。例えば、上記IL−13拮抗剤としては、可溶性IL−13Rα2−ヒトFc融合タンパク質(以下、「sIL−13R−Fc」ともいう)等が挙げられる。上記sIL−13R−Fcは、IL−13に選択的に結合し、IL−13を中和するものである。つまり、sIL−13R−Fcは、Decoy IL−13Rである。
本発明にかかる喘息モデル動物は、上記のような性質を有する。このような喘息モデル動物は、アレルゲン/IgEの関与しない難治性喘息や、IL−18が関与する喘息などの病態解析に有効である。また、現在、的確な治療法がない非アレルギー性喘息の発症メカニズムの解明、非アレルギー性喘息に有効な新規治療薬・治療方法の開発などに好適に用いることができる。
<3.気管支喘息発症モデル動物の作製方法>
本発明にかかる気管支喘息発症モデル動物の作製方法(以下、「喘息モデル動物の作製方法」ともいう)は、モデル動物に、アレルゲン非存在下で、IL−2およびIL−18を鼻腔内投与することにより、上述した喘息モデル動物を作製するものである。上記のように、IL−2およびIL−18を鼻腔内に投与することによって、IL−2およびIL−18を全身投与するときとは異なる生理応答が見られる。具体的には、IL−2およびIL−18を全身投与すると、上述したように、IL−4、stat6、およびCD4T細胞依存的に、IgEの産生が誘導される。これに対して、本発明では、IL−2およびIL−18を鼻腔内投与しているため、投与されたモデル動物では、IgE産生が誘導されることなく、非アレルギー性喘息が誘導される。
上記喘息モデル動物の作製方法は、具体的には、モデル動物に、IL−2およびIL−18を鼻腔内投与する工程(以下、「投与工程」ともいう)を含んでいればよく、その他具体的な構成、使用器具、使用装置などは特に限定されるものではない。
例えば、上記投与工程で、上記モデル動物に投与するIL−2および/またはIL−18を取得する工程(以下、「取得工程」)をさらに含んでいてもよい。また、上記投与工程の後のモデル動物が気管支喘息を発症していることを検出する工程(以下、「発症検出工程」ともいう)を含んでいてもよい。
ここで、上記投与工程、取得工程、および発症検出工程について説明する。
(3−1.投与工程)
上記投与工程では、モデル動物に、IL−2およびIL−18を鼻腔内投与する。
上記モデル動物は、非感作性動物(ナイーブ動物)であればよく、その種類は特に限定されるものではない。例えば、<1.気管支喘息発症モデル動物>に例示した対象動物の非感作性動物(ナイーブ動物)を用いることができる。
上記アレルゲンとは、上記モデル動物に対して、アレルギーの原因となる抗原物質を意味する。本発明では、上記モデル動物に、アレルゲン非存在下で、IL−2およびIL−18を投与する。したがって、上記IL−2およびIL−18は、上記モデル動物に投与したときに、アレルゲンとならないものである。具体的には、上記IL−2およびIL−18は、上記モデル動物由来のIL−2およびIL−18であることが好ましい。また、上記IL−2およびIL−18は、投与するモデル動物においてアレルゲンとならないものであれば、IL−2およびIL−18としての機能を有し、1個または数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質を用いることもできる。例えば、上記モデル動物がマウスである場合、上記IL−2およびIL−18としては、マウス由来のIL−2およびIL−18、またはマウス由来のIL−2およびIL−18と同等の機能を有し、1個または数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質、換言すれば、IL−2およびIL−18の変異タンパク質を用いることができる。本明細書において、「1個または数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加された」とは、部位特異的突然変異誘発法等の公知の変異ペプチド作製法により置換、欠失、挿入、および/または付加できる程度の数(好ましくは10個以下、より好ましくは7個以下、さらに好ましくは5個以下)のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加されることを意味する。なお、上記投与工程で用いるIL−2およびIL−18は、市販品を適宜購入して用いることもできるし、後述する取得工程で取得したものを用いることもできる。
上記投与工程において、上記IL−2およびIL−18を上記モデル動物に鼻腔内投与する方法は特に限定されるものではない。アレルゲンを混入させることなく、上記モデル動物の鼻腔内に上記IL−2およびIL−18を投与できる方法であればよく、従来公知の方法を用いることができる。
また、上記投与工程において、上記モデル動物に投与する、IL−2およびIL−18の投与量、および投与期間は、上記モデル動物の種類や、体重、年齢等にあわせて、適宜設定すればよい。例えば、上記モデル動物がマウスである場合、IL−2の投与量は、1日につき、200〜500Uであることが好ましい。また、IL−18の投与量は、1日につき、0.5〜1.0μgであることが好ましい。さらに、上記モデル動物がマウスである場合、IL−2およびIL−18の投与期間は、3〜4日間であることが好ましい。上記範囲内とすれば、当該マウスに気管支喘息を発症させることができる。
(3−2.取得工程)
上述したように、IL−2およびIL−18は、投与対象であるモデル動物の種類に応じて適宜選択されるものである。上記取得工程では、上述した投与工程で用いるIL−2および/またはIL−18を取得する。
具体的には、例えば、IL−2またはIL−18を含有する生物学的試料(例えば、細胞、組織、生物個体等)などから単純精製することによって、IL−2およびIL−18をすることができる。このとき、IL−2またはIL−18を精製する方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法で細胞や組織から細胞抽出液を調製し、この細胞抽出液を公知の方法、例えばカラム等を用いて精製すればよい。より具体的には、細胞または組織より抽出した粗タンパク質画分を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に供し、IL−2またはIL−18の精製・分離を行うことができる。なお、IL−2と、IL−18とは、同一の生物学的試料に含有されていてもよい。
また、その他のIL−2およびIL−18を取得する方法として、従来公知の遺伝子組み換え技術等を用いる方法も挙げられる。この場合、例えば、IL−2またはIL−18をコードする遺伝子をベクターなどに組み込んだ後、公知の方法により、発現可能に宿主細胞に導入し、細胞内で翻訳されて得られる上記IL−2またはIL−18を精製するという方法などを採用することができる。
なお、このように宿主に外来遺伝子を導入する場合、外来遺伝子の発現のため宿主内で機能するプロモーターを組み入れた発現ベクター、および宿主には様々なものが存在するので、目的に応じたものを選択すればよい。産生されたIL−2またはIL−18を精製する方法は、用いた宿主、タンパク質の性質によって異なるが、タグの利用等によって比較的容易に目的のタンパク質を精製することが可能である。つまり、本発明に用いるIL−2およびIL−18は、付加的なポリペプチドを含むものであってもよい。
IL−2および/またはIL−18の変異タンパク質を作製する方法についても、特に限定されるものではない。例えば、部位特異的突然変異誘発法(Hashimoto-Gotoh, Gene 152,271-275(1995)他)、PCR法を利用して塩基配列に点変異を導入し変異タンパク質を作製する方法、あるいはトランスポゾンの挿入による突然変異株作製法などの周知の変異タンパク質作製法を用いることができる。これら方法を用いることによって、IL−2またはIL−18をコードするcDNAの塩基配列において、1または数個の塩基が置換、欠失、挿入、および/または付加されるように改変を加えることによって作製することができる。また、変異タンパク質の作製には、市販のキットを利用してもよい。
IL−2およびIL−18の取得方法は、上記に限定されるものではなく、例えば、市販されているペプチド合成器等を用いて化学合成されたものであってもよい。また、その他の例としては、無細胞系のタンパク質合成液を利用して、本発明にかかる遺伝子から本発明にかかるペプチドを合成してもよい。さらには、市販品を購入して用いることができる。
(3−3.発症検出工程)
上記発症検出工程では、上記投与工程に供した上記モデル動物において、気管支喘息が発症していることを検出する。上記発症検出工程において、当該モデル動物において気管支喘息を発症していることを検出する方法は、特に限定されるものではない。具体的には、当該モデル動物が非アレルギー性喘息を発症していることを検出することができればよい。例えば、血清IgE値の上昇の有無を検証することによって、非アレルギー性喘息の発症を検出することができる。具体的には、血清IgE値の上昇が見られなければ、当該モデル動物は、非アレルギー性の気管支喘息を発症していると判定することができる。血清中のIgEの検出(定量)方法は、特に限定されるものではなく、ELISAなどの従来公知の方法を用いて検出(定量)することができる。
また、上記投与工程に供した上記モデル動物の気管支肺胞洗浄液を用いて、好酸球および/または好中球浸潤を検出することによって、当該モデル動物が気管支喘息を発症していることを検出することができる。好酸球および/または好中球浸潤を検出する方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いることができる。例えば、後述の実施例で用いる方法で検出することができる。
さらに、上記投与工程に供した上記モデル動物の気管支肺胞洗浄液や、気道の生体組織から採取したCD4T細胞を用いて、IL−13の産生誘導を検出することによって、当該モデル動物における気管支喘息の発症を検出することができる。IL−13の産生誘導を検出する方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の方法、例えば後述の実施例で用いる方法によって検出することができる。
また、上記投与工程に供した上記モデル動物にアセチルコリンを吸入させ、AHRの上昇をモニタリングすることによって、当該モデル動物における気管支喘息の発症を検出することができる。つまり、アセチルコリン吸入によりAHRが上昇すれば、当該モデル動物は、気管支喘息を発症していると判定することができる。
なお、上記発症検出工程では、上記例示したような気管支喘息発症の検出方法を、全て実施してもよいし、一部のみを実施してもよい。
<4.気管支喘息治療剤のスクリーニング方法>
本発明にかかる気管支喘息治療剤(以下、「喘息治療剤」ともいう)のスクリーニング方法は、上述の本発明にかかる喘息モデル動物に対して、被験物質を投与し、気管支喘息の改善効果を検定するものである。具体的には、上記スクリーニング方法は、上記喘息モデル動物に被験物質を投与する工程(以下、「被験物質投与工程」ともいう)と、上記被験物質の気管支喘息の改善効果を検定する工程(以下、「検定工程」ともいう)を含んでいればよく、その他の具体的な構成は特に限定されるものではない。以下、上記被験物質投与工程および検定工程について説明する。
(4−1.被験物質投与工程)
上記被験物質投与工程では、本発明にかかる喘息モデル動物に被験物質を投与する。上記被験物質は特に限定されるものではなく、上記喘息モデル動物が発症する気管支喘息に有効と考えられる物質を用いればよい。例えば、上記喘息モデル動物は、上述したように、IL−13の中和により、気管支喘息の発症が阻害される。したがって、IL−13を中和することが期待される物質を被験物質とすればよい。具体的には、IL−13に対する抗体、IL−13の阻害剤、IL−13の拮抗剤、およびIL−13の産生阻害剤などが例示できる。
また、上記被験物質の上記喘息モデル動物への投与方法は、特に限定されるものではなく、上記被験物質の性質などによって、適宜選択して行えばよい。例えば、経皮的、鼻腔内的、経気管支的、筋内的、腹腔内、静脈内、関節内、皮下、脊髄腔内、脳室内、または経口的に行うことができる。本発明では、スクリーニングされた喘息治療剤の実用化の観点から、鼻腔内的に投与することが好ましい。
(4−2.検定工程)
上記検定工程では、上記被験物質の気管支喘息の改善効果を検定する。上記気管支喘息の改善効果の検定方法は特に限定されるものではないが、例えば、以下の(a)〜(f)項目を検証することによって、非アレルギー性喘息の発症を検出することができる。なお、これらの検証項目は、全てを実施してもよいし、一部のみを実施するだけでもよい。
(a)ムチン産生の亢進の有無
(b)好酸球および/または好中球浸潤の有無
(c)AHRの亢進の有無
(d)杯細胞の異常増殖の有無
(e)CD4T細胞におけるIL−13産生の有無
(f)サイトカインおよび/またはケモカインの肺における発現解析
上記項目(a)〜(f)と気管支喘息との関係について、以下説明する。
上記項目(a)〜(d)では、気管支喘息の一般的な症状を検出するものである。これらの症状が見られなければ、当該被験物質には、気管支喘息の改善効果があると判定することができる。上記項目(a)〜(d)の検証方法としては、従来公知の方法を用いればよく、例えば、後述の実施例にある方法で検証することができる。
上記項目(e)において、当該モデル動物のCD4T細胞において、IL−13の産生誘導が見られなければ、当該被験物質には、気管支喘息の改善効果があると判定することができる。CD4T細胞におけるIL−13の産生誘導を検出する方法は、特に限定されないが、例えば、後述の実施例の方法で検出することができる。
上記項目(f)は、非アレルギー性喘息に特徴的な、肺におけるサイトカインおよび/またはケモカインの発現を検出することにより、当該被験物質には、気管支喘息の改善効果を検定することができる。上記サイトカインとしては、例えば、IL−4、IL−5、IL−9、IL−13、およびIL−17を挙げることができる。また、上記ケモカインとしては、例えば、MIP−2、GCP−2、エオタキシン、およびエオタキシン−2を挙げることができる。
上記項目(f)において、サイトカインおよび/またはケモカインの発現を解析する方法は、特に限定されるものではない。例えば、(A)上記サイトカインおよび/またはケモカインのmRNA(cDNA)を用いて、上記サイトカインおよび/またはケモカインの発現を解析する方法、(B)上記サイトカインおよび/またはケモカインのタンパク質を用いて、上記サイトカインおよび/またはケモカインの発現を解析する方法を挙げることができる。また、上記(A)および(B)の両方の方法を併用して、上記サイトカインおよび/またはケモカインの発現を解析してもよい。これにより、上記サイトカインおよび/またはケモカインの発現をより正確に解析することができる。ここでは、上記(A)および(B)の方法について、以下、説明する。
(A)mRNA(cDNA)を用いる方法
mRNAを利用する場合、例えば、上記被験物質を投与した喘息モデル動物から採取した試料より抽出したmRNAまたは全RNAを用いて、ノザンハイブリダイゼーション法、ドットブロット法、DNAマイクロアレイを用いた方法などにより、上記サイトカインおよび/またはケモカインのmRNAを定量することができる。さらには、RT−PCR法等の遺伝子増幅技術を利用することができる。RT−PCR法においては、遺伝子の増幅過程においてPCR増幅モニター法を用いることにより、上記サイトカインおよび/またはケモカインのmRNAの発現について、より定量的な解析を行うことが可能である。
上記PCR遺伝子増幅モニター法においては、両端に互いの蛍光を打ち消し合うことができる異なる蛍光色素で標識したプライマーを用い、検出対象(DNAもしくはRNAの逆転写産物)にハイブリダイズさせる。PCRが進んでTaqポリメラーゼの5’−3’エクソヌクレアーゼ(exonuclease)活性により上記プライマーが分解されると2つの蛍光色素が離れ、蛍光が検出されるようになる。この蛍光の検出をリアルタイムに行う。上記検出対象についてコピー数の明らかな標準試料についても同時に測定することにより、PCR増幅の直線性のあるサイクル数で目的試料中の検出対象のコピー数を決定する(Holland,P.M.et al.,1991,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:7276-7280;Livak,K.J.et al.,1995,PCR Methods and Applications 4(6):357-362;Heid,C.A.et al.,Genome Research 6:986-994;Gibson,E.M.U.et al.,1996,Genome Research 6:995-1001を参照)。これにより、検出対象を定量することができる。PCR増幅モニター法においては、例えば、ABI PRISM7700(PEバイオシステムズ社)を用いることができる。
上記プライマーは、特に限定されるものではなく、上記サイトカインおよび/またはケモカインのmRNAの塩基配列を利用して、従来公知の方法で設計すればよい。
上記試料からmRNAまたは全RNAを抽出する方法は、特に限定されるものではなく、上記サイトカインおよび/またはケモカインのmRNAを発現する生物学的試料(例えば、細胞、組織、生物個体等)などから、従来公知の方法を用いてmRNAまたは全RNAを抽出することができる。上記生物学的試料としては、具体的には、肺、および肺内CD4T細胞を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
また、上記RT−PCRに用いるプライマーや、ノザンハイブリダイゼーション法やドットブロット法に用いるプローブを蛍光色素などにより標識する場合、その標識方法は特に限定されるものではない。例えば、DNAポリメラーゼIを用いるニックトランスレーション法、ポリヌクレオチドキナーゼを用いる末端標識法、クレノーフラグメントによるフィルイン末端標識法(Berger SL,Kimmel AR.(1987)Guide to Molecular Cloning Techniques,Method in Enzymology,Academic Press;Hames BD,Higgins SJ(1985)Genes Probes:A Practical Approach.IRL Press;Sambrook J,Fritsch EF,Maniatis T.(1989)Molecular Cloning:a Laboratory Manual,2nd Edn.Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照)、RNAポリメラーゼを用いる転写による標識法(Melton DA,Krieg,PA,Rebagkiati MR,Maniatis T,Zinn K,Green MR.(1984)Nucleic Acid Res.,12,7035−7056を参照)、放射性同位体を用いない修飾ヌクレオチドをDNAに取り込ませる方法(Krick a LJ.(1992)Nonisotopic DNA Probing Techniques.Academic Pressを参照)などを用いることができる。
(B)タンパク質を用いる方法
上記被験物質を投与した喘息モデル動物から採取した試料より抽出したタンパク質を用いる場合、分析対象となる上記サイトカインおよび/またはケモカインに特異的に結合する抗体を用いて、ウェスタンブロット法やELISA法などの従来公知の免疫化学的手法により上記サイトカインおよび/またはケモカインを定量することができる。また、本発明はこれに限定されず、上記サイトカインおよび/またはケモカインの検出、定量方法として、従来公知のあらゆる手法を用いて、上記サイトカインおよび/またはケモカインを定量することができる。
また、上記試料からタンパク質を抽出する方法は、特に限定されるものではなく、上記サイトカインおよび/またはケモカインを含有する生物学的試料(例えば、細胞、組織、生物個体等)などから、上記サイトカインおよび/またはケモカインが分解されない条件下で、従来公知の緩衝液および装置、キット等を用いてタンパク質を抽出することができる。上記生物学的試料としては、具体的には、肺、および肺内CD4T細胞を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
上記抗体は、ポリクローナル抗体であっても、モノクローナル抗体であってもよい。また、上記抗体の取得方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いることができる。例えば、ポリクローナル抗体は、抗原を感作した哺乳動物 の血液を取り出し、この血液から公知の方法により血清を分離することにより取得することができる。また、ポリクローナル抗体としては、ポリクローナル抗体を含む血清を使用することができる。さらに、必要に応じてこの血清からポリクローナル抗体を含む画分をさらに単離してもよい。
また、モノクローナル抗体は、例えば、抗原を感作した哺乳動物から免疫細胞を取り出して骨髄腫細胞などと細胞融合させて得られたハイブリドーマをクローニングして、その培養物から抗体を回収することにより取得することができる。
上記項目(f)では、上記(A)および/または(B)に例示したような方法で、上記被験物質を投与した喘息モデル動物と、上記被験物質投与前の喘息モデル動物とにおいて、サイトカインおよび/またはケモカインの肺における発現を解析する。その後、両者の間で有意な相違が見られた場合、当該被験物質には、気管支喘息の改善効果があると判定することができる。
ここで、上記例示したサイトカインおよびケモカインのmRNAを用いて、上記検定工程における気管支喘息の改善効果を検定する方法について具体的に説明する。本発明にかかる喘息モデル動物では、STAT6の活性化により、エオタキシンおよびエオタキシン−2のmRNAレベルを上昇させる。したがって、被験物質の投与により、エオタキシンおよびエオタキシン−2のmRNAレベルの低下が見られれば、気管支喘息の改善効果があると判定することができる。
また、本発明にかかる喘息モデル動物の肺やCD4T細胞では、IL−13の産生が誘導されている。したがって、被験物質の投与により、IL−13のmRNAレベルの低下が見られれば、気管支喘息の改善効果があると判定することができる。
以上のように、本発明にかかる気管支喘息治療剤のスクリーニング方法によれば、気管支喘息、特に、非アレルギー性気管支喘息のための治療剤のスクリーニングができる。また、本発明には、上記気管支喘息治療剤のスクリーニング方法により喘息の改善効果を示すと判定される物質を含有する気管支喘息治療剤も含まれる。
なお本発明は、以上例示した各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術範囲に含まれる。
本発明について、実施例、および図1〜図4に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。当業者は本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更、修正、および改変を行うことができる。
<1.実験材料と実験方法>
〔動物および試薬〕
Jackson Laboratoryから特定病原体未感染(SPF)雌BALB/cマウス、およびSTAT6欠損マウス(STAT6−/−;遺伝的背景BALB/c)を購入した。BALB/c IL−4欠損マウス(IL−4−/−;遺伝的背景BALB/c)およびRag−2欠損マウス(Rag−2−/−;遺伝的背景BALB/c)を、タコニック(Taconic, Germantown, NY)から取得した。また、兵庫医科大学(西宮、日本)の動物施設で、全てのマウスをSPF条件下で飼育し、8〜10週齢のものを使用した。動物実験は、兵庫医科大学の動物実験ガイドラインに沿って行った。組み換えヒトIL−2は、味の素株式会社(川崎、日本)から入手した。組み換えマウスIL−5、IL−13、およびIL−18は、Genetics Institute Inc. (Cambridge, MA)およびMBL(名古屋、日本)からそれぞれ購入した。組み換えマウスIL−4は、組み換えバキュロウイルス(AcMNPV.IL−4)から精製し、取得した。
〔マウスのIn vivoにおけるマウスのサイトカイン処理〕
50μlのPBSに溶解したIL−18(0〜1μg/日)およびIL−2(500U/日)を様々に組み合わせて、1〜4日間まで、毎日、上記の様々なマウスの鼻腔内に曝露させた。また、コントロールマウスには、PBSを曝露させた。PBSのみ、またはサイトカインに最後に曝露させてから、24時間後に、マウスの解析を行った。
〔AHRの測定〕
Pulmos−I(MIPS、大阪、日本)のハードウェアおよびソフトウェアを用いて、マウスのβ−メタコリン(以下、「Mch」ともいう)吸入に対するAHRを測定した。チャンバーにマウスを置き、最初に、生理食塩水のエアロゾル(ベースライン)に暴露し、次いで、濃度を増加したメタコリン(5、10、および20mg/ml)に暴露した。それぞれ、2分間の暴露後、増強された圧力波形状および呼吸時間の振幅の変化を反映する指数を3分間測定した。
〔気管支肺胞洗浄(BAL)〕
1匹のマウス当たり、1.0mLのPBSを3回に分けて、BALを行い、全細胞数を数えた。BAL液(以下、「BALF」ともいう)を遠心後、Dif−Quik染色法(Baxter Healthcare Corp,Miami,FL)で染色し、形態学および染色特性に基づいて区別した。
〔組織病理学的解析〕
上記の方法でサイトカイン処理したマウス(サイトカイン処理5日目のマウス)の肺組織に、右心室を介して、10mlのPBSを注入した。次に、この肺組織を、10%緩衝化ホルマリンに固定し、3μmの断片とし、ヘマトキシリンおよびエオシン(ヘマトキシリン・エオシン染色)、または分解されやすくした過ヨウ素酸シッフ(predigested periodic acid Schiff)(PAS染色)で染色した。なお、各グループにつき、6〜8匹のマウスを使用した。
〔胚繊維芽細胞の調製〕
マウス胚繊維芽細胞をBALB/cマウスから発生したE14胚から調製した。迅速に、当該マウスの頭部を切断し、カーカスを、はさみを用いて、細かく切り刻んだ。そして、0.1%トリプシン(GIBCO-BRL, Grand Island, NY)、および0.02%EDTA(ナカライテスク、京都、日本)を含むPBS中で、37℃で20分間、インキュベーションすることにより、消化した。10% FBS、50μM 2−メルカプトエタノール、2mM L−グルタミン、100U/mlペニシリン、および100μg/mlストレプトマイシンを含むDMEMを用いて上記細胞を2回洗浄することによって、トリプシンを失活させた。そして、上記細胞を、組織培養皿状に置いた。3〜4日後、繊維芽細胞の増殖が落ち着いた時に、胚断片を除去した。胚繊維芽細胞は、単層培養で維持し、そうして得られた細胞を用いた。
〔in vitro培養〕
MicroBeads(抗マウスCD4クローンRM4−5、Miltenyi Biotec, Bergisch Gladbach, Germany)を用いて、BALB/cマウスから脾臓のCD4T細胞を調製した。こうして濃縮されたCD4T細胞(10/0.2ml/ウェル)を10% FBS、50μM 2−メルカプトエタノール、2mM L−グルタミン、100U/mlペニシリン、および100μg/mlストレプトマイシンを含むRPMI1640のみ、または、IL−2(200pM)およびIL−18(50ng/ml)を様々に組み合わせて添加した上記RPMI1640で培養した。培養後、上清を採取し、ELISAにより、IL−4およびIL−13の含量を測定した。
また、マウス胚繊維芽細胞(5×10/0.2ml/ウェル)を10% FBS、50μM 2−メルカプトエタノール、2mM L−グルタミン、100U/mlペニシリン、および100μg/mlストレプトマイシンを含むDMEM、または、IL−4(10U/ml)およびIL−13(10ng/ml)またはIL−5(10ng/ml)を様々に組み合わせて添加した上記DMEMで、2日間培養した。培養後、上清を採取し、ELISAにより、エオタキシン含量を測定した。
〔肺のホモジネーション〕
IL−18およびIL−2をそれぞれ、1日につき、1μgおよび500Uずつ、1〜4日間、毎日、BALB/cマウスの鼻腔内に曝露させた。IL−2およびIL−18の最後の曝露後、8時間で、肺を摘出した。そして、当該肺を、Bead Smash 12(和研薬、京都、日本)を用いて、2mM EDTA、1mM フッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)、2μg/mlロイペプチンを含む0.1% Triton X−100で、1分間ホモジナイズした。その後、10000rpm、4℃で、5分間遠心分離した。得られた上清について、ELISAにより、IL−4およびIL−13の含量を測定した。
〔RT−PCR解析〕
50μlのPBSに溶解したIL−18およびIL−2をそれぞれ、1日につき、1μgおよび500Uずつ、1〜4日間、毎日、動物の鼻腔内に曝露させた。IL−2およびIL−18の最後の曝露後、4時間で、肺を摘出した。そして、当該肺から、トリゾール試薬を用いて、全RNAを抽出した。当該全RNAをDNaseIで処理し、Superscript II RTおよびoligo (dT)12-18プライマー(Invitrogen, Carlsbad, CA)を用いて逆転写した。IL−4およびIL−13のcDNAを増幅するために、94℃で2分間、変性処理した後、94℃で1分間、55℃で1分間、68℃で1分間の条件で、34サイクル、PCRを行った。最後に、68℃で7分間の伸張反応を行った。IL−9のcDNAを増幅するためには、94℃で1分間、58℃で1分間、68℃で1分間の条件で、34サイクル、PCRを行った。また、IL−5、MIP−2、エオタキシン−2、RANTESおよびGCP−2のcDNAを増幅するためには、94℃で1分間、60℃で1分間、68℃で1分間の条件で34サイクル、PCRを行った。さらに、エオタキシンおよびβ−アクチンのcDNAを増幅するためには、94℃で1分間、62℃で1分間、68℃で1分間の条件で、30サイクル、PCRを行った。また、IL−17のcDNAを増幅するためには、94℃で15秒間、58℃で30秒間、68℃で1分間の条件で、34サイクル、PCRを行った。上記のとおり、PCRを行った後、解析するまで、当該試料を4℃で保存した。上記のようにして得られたPCR産物を、1.7%アガロースゲルを用いた電気泳動により分離し、UV照射により可視化した。上記PCRに用いたプライマーセットは、以下の通りである。
IL−4cDNA検出用プライマーセット
forward primer;5’-GAA TGT ACC AGG AGC CAT ATC-3’(配列番号1)
reverse primer;5’-CTC AGT ACT ACG AGT AAT CCA-3’(配列番号2)
IL−5cDNA検出用プライマーセット
forward primer;5’-ATG GAG ATT CCC ATG AGC AC-3’(配列番号3)
reverse primer;5’-GTC TCT CCT CGC CAC ACT TC-3’(配列番号4)
IL−9cDNA検出用プライマーセット
forward primer;5’-TAC ATC CTT GCC TCT GTT TT-3’(配列番号5)
reverse primer;5’-CAG AAA TGA CAG TGT GTT GC-3’(配列番号6)
IL−13cDNA検出用プライマーセット
forward primer;5’-ACA GCT CCC TGG TTC TCT CA-3’(配列番号7)
reverse primer;5’-GCT ACT TCG ATT TTG GTA TCG G-3’(配列番号8)
IL−17cDNA検出用プライマーセット
forward primer;5’-TCT CAT CCA GCA AGA GAT CC-3’(配列番号9)
reverse primer;5’-AGT TTG GGA CCC CTT TAC AC-3’(配列番号10)
エオタキシンcDNA検出用プライマーセット
forward primer;5’-CTC CAC AGC GCT TCT ATT CC-3’(配列番号11)
reverse primer;5’-CTT CTT CTT GGG GTC AGC AC-3’(配列番号12)
GCP−2cDNA検出用プライマーセット
forward primer;5’-CCA CCC ACG GAT TTT CTT TA-3’(配列番号13)
reverse primer;5’-GGT CCC CAT TTC ATG AGA GA-3’(配列番号14)
エオタキシン−2cDNA検出用プライマーセット
forward primer;5’-CTG TGA CCA TCC CCT CAT CT-3’(配列番号15)
reverse primer;5’-TAT GTG CCT CTG AAC CCA CA-3’(配列番号16)
RANTEScDNA検出用プライマーセット
forward primer;5’-GTG CCC ACG TCA AGG AGT AT-3’(配列番号17)
reverse primer;5’-ATT TCT TGG GTT TGC TGT GC-3’(配列番号18)
MIP−2cDNA検出用プライマーセット
forward primer;5’-GAA GTC ATA GCC ACT CTC AAG GGG C-3’(配列番号19)
reverse primer;5’-CAA CTC ACC CTC TCC CCA GAA AC-3’(配列番号20)
β−アクチンcDNA検出用プライマーセット
forward primer;5’-GTA CGA CCA GAG GCA TAC AGG-3’(配列番号21)
reverse primer;5’-GAT GAC GAT ATC GCT GCG CTG-3’(配列番号22)
〔実施例1:IL−2およびIL−18によるムチン産生亢進、気道炎症、およびAHRの誘発〕
上記の方法でサイトカイン処理をしたマウスの肺について、上記の方法で組織病理学的解析を行った。その結果、図1(a)および(b)に示すように、1日につき、1μgのIL−18と500UのIL−2とを投与したマウスでは、気管支周囲(peribronchial)および細静脈周囲(perivenular)に好酸球および単核球が、顕著に浸潤していた。さらに、これらのマウスでは、気道でのムチンの過剰分泌を伴った杯細胞の異常増殖が誘導されていた。一方、IL−2およびIL−18の一方のみを投与したマウスでは、図1(a)に示すように、上記症状は見られないか、またはその症状は軽かった。
また、1日につき500UのIL−2を投与したマウスでは、IL−18の1日あたりの投与量が増加するにつれて、投与量依存的に気道炎症およびムチン産生が誘導された(図1(a))。また、1日につき、1μgのIL−18と500UのIL−2とを、1日または2日間投与しただけでは、気道炎症や胚細胞の異常増殖は、十分に誘導されなかった。一方、上記投与を3日間または4日間行ったマウスでは、気道炎症や胚細胞の異常増殖が、十分に誘導された。
さらに、上記の方法でサイトカイン処理をしたマウスについて、上記の方法でAHR測定を行った。その結果、図1(c)に示すように、3日間以上、IL−2およびIL−8を鼻腔内投与されたマウスでは、AHRが顕著に亢進された。一方、PBSを投与したマウスや、IL−2およびIL−18の一方のみを投与したマウスは、AHRを示さなかった。
以上の結果から、IL−2およびIL−18の両方を鼻腔内投与することによって、ナイーブマウスに対して、ムチンの過剰分泌、気道炎症、およびAHRを誘導させることができることが分かった。
次に、IL−2およびIL−18の投与によって、AHRが誘導される機序を調べるために、上記の方法でサイトカイン処理をしたマウスの肺組織に浸潤した炎症細胞の数を評価するため、上記の方法で調製したBALFについて解析を行った。その結果、図1(d)に示すように、IL−2およびIL−18の両方を投与したマウスでは、好酸球および好中球の数が顕著に増加していた。これは、IL−2およびIL−18によって、好酸球および好中球の浸潤が誘導されることを示すものである。つまり、これらの結果から、IL−2およびIL−18を鼻腔内投与することにより、ムチンの過剰分泌、好酸球および好中球による気道炎症、およびAHRが誘導されることが明らかとなった。これらの症状は、いずれも、気管支喘息において、顕著な病理学的、生理学的特徴である。すなわち、本実施例において、IL−2およびIL−18を鼻腔内投与することにより、マウスにおいて、気管支喘息を誘導(発症)させることが可能なことが分かった。
つまり、野生型マウスにIL−2およびIL−18を点鼻投与すると、β−メタコリン吸入に対するAHRの著明な亢進、肺組織とBALF中の好酸球および好中球の強い浸潤、更に気道上皮内ムチン産生細胞の増加など、気管支喘息に特徴的な症状を誘導できることが分かった。
一方、IL−2およびIL−18を投与したマウスにおいて、血清IgE値、並びに気道粘膜における好塩基球およびマスト細胞の活性を測定した。その結果、当該マウスにおいて、血清IgE値の上昇、気道粘膜における好塩基球およびマスト細胞の活性は認められなかった。つまり、IL−2およびIL−18の刺激によって誘導される気管支喘息は、アレルギー性炎症等で誘導される気管支喘息ではなく、抗原刺激が全く関与しない気管支喘息であった。これらの結果から、IL−2およびIL−18を点鼻投与するだけで、抗原刺激が全く関与しない気管支喘息を誘導できることが明らかとなった。
〔実施例2:IL−2およびIL−18吸引マウスにおけるCD4T細胞依存性気管支喘息〕
CD4T細胞を除去した野生型マウス、およびRAG2欠損マウスに対して、上記の方法でサイトカイン処理を行った。上記CD4T細胞を除去した野生型マウスは、なお、マウスから、CD4T細胞を除去するために、BALB/c野生型マウスに対して、CD4に対するモノクローナル抗体を4回(上述したサイトカイン処理の14日前、10日前、7日前、および4日前)、腹腔内に注射することにより得た。また、上記Rag2欠損マウスは、T細胞とB細胞との両方を欠損するマウスである。
これらサイトカイン処理したマウスを用いて、IL−2およびIL−18によって誘導される気管支喘息におけるCD4T細胞の関与を調べた。
その結果、図2(a)マウスを抗CD4抗体で処理することによって、IL−2およびIL−18によって誘導される、ムチン産生による杯細胞の異常増殖が見られなくなった。また、図2(b)に示すように、Mch投与によるAHRも見られなかった。さらに、図2(c)に示すように、BALFにおける好酸球および好中球の増加も見られなかった。また、Rag2欠損マウスでも、同様に、ムチン産生を伴った杯細胞の異常増殖、Mch投与によるAHR、およびBALFにおける好酸球および好中球の増加といった喘息症状は誘導されなかった。これらの結果から、IL−2およびIL−18の刺激によって誘導される気管支喘息は、CD4T細胞の活性化によるものであることが明らかとなった。
つまり、IL−2およびIL−18吸引マウスにおける気管支喘息誘導の機序として、IL−2およびIL−18の刺激を受けたCD4T細胞が、IL−13を大量に産生するため、AHRの亢進、好酸球浸潤およびムチン産生亢進がIL−13の作用で誘導されることが示唆された。
〔実施例3:IL−13によるムチン産生亢進、気道炎症、およびAHRの誘発〕
モデル動物として、STAT6欠損マウス、IL−4欠損マウス、およびsIL−13R−Fcを与えたBALB/c野生型マウスを用いた。これらのモデル動物に対して、上記の方法で、サイトカイン処理を行った。また、sIL−13R−Fc処理は、20μgのsIL−13Rα−Fc、または20μgのコントロールヒトIgG(Genentics Institute Inc. Cambridge, MA)を、IL−2およびIL−18と混合する形で、4日間、毎日、鼻腔内に投与することにより行った。このようなsIL−13Rα−Fc処理マウスは、in vivoにおいてIL−13が阻害される。さらに、STAT6欠損マウスでは、IL−4およびIL−13のシグナル伝達に必須であるstat6遺伝子が欠損している。
上記モデル動物に対してサイトカイン処理を行った結果、図3(a)〜(c)に示すように、STAT6欠損マウスでは、BALF中の好中球浸潤は認められたが、その他の喘息所見は全く認められなかった。このことから、IL−2およびIL−18によって誘導される気管支喘息には、IL−4およびIL−13が大きく関与していることが分かった。
一方、IL−4欠損マウスでは、図3(a)に示すように、実施例1と同様、杯細胞の異常増殖が見られた。また、sIL−13R−Fcで処理した野生型マウスでは、図3(a)に示すように、杯細胞の異常増殖は見られなかった。これらの結果から、ムチンの過剰産生の誘導には、IL−13が不可欠であることが明らかとなった。
また、図3(b)および(c)に示すように、IL−4欠損マウスでは、好酸球および好中球浸潤、ムチン産生の亢進は認められたが、AHRの亢進は軽度であった。一方、sIL−13R−Fcで処理した野生型マウスでは、AHR、および気道における好酸球浸潤が見られなかった。つまり、IL−13の中和により、AHR、および気道における好酸球浸潤は抑制された。これらの結果から、気管支喘息の発症要因として、IL−13が重要であることが分かった。つまり、IL−2およびIL−18による刺激は、IL−13を誘導することにより、杯細胞の異常増殖および気道における好酸球浸潤を誘導することが明らかとなった。
次に、上記の方法で、野生型マウスから調製した脾臓のCD4T細胞に対して、in vitroにおいて、IL−2およびIL−18で刺激した。その結果、図3(d)に示すように、IL−2およびIL−18で刺激されたT細胞は、29.8±6.8ng/mlのIL−13を産生したのに対して、94.5±7.5pg/mlのIL−4しか産生しなかった。さらに、上記の方法で、IL−2およびIL−18処理した野生型マウスから摘出した肺を用いて、IL−4およびIL−13の含量を測定した。その結果、図3(e)に示すように、肺においても、IL−2およびIL−18の刺激によって、IL−4よりも、IL−13のほうがより強く誘導された。これらの結果から、IL−2およびIL−18によって誘導される気管支喘息において、IL−4は、AHR誘導には関与しているが、その他の喘息症状への関与は軽度であることが分かった。つまり、IL−2およびIL−18による刺激は、IL−4よりも、IL−13を強く誘導することによって、杯細胞の異常増殖、AHR、および好酸球浸潤を誘導することが明らかとなった。
〔実施例4:IL−2およびIL−18処理マウス肺内におけるサイトカインおよびケモカインcDNAの発現〕
IL−2およびIL−18によって誘導される気道における好酸球および好中球浸潤を制御するサイトカインおよびケモカインを調べるために、STAT6欠損マウス、およびBALB/c野生型マウスに対して上記の方法でサイトカイン処理をし、マウスの肺におけるサイトカインおよびケモカインのmRNAの発現を経時的に解析した。上記サイトカインとしては、IL−4、IL−5、IL−9、IL−13、およびIL−17について解析した。また、上記ケモカインとしては、MIP−2、GCP−2、エオタキシン、およびエオタキシン−2について解析した。上記サイトカインおよびケモカインのmRNA量は、上記の方法に従い、RT−PCR法によって解析した。
その結果、図4に示すように、STAT6欠損マウス、およびBALB/c野生型マウスのいずれにおいても、IL−4、IL−5、IL−9、およびIL−13のmRNAは、IL−2およびIL−18の投与1日目で検出できた。そして、その後、徐々に、それらのmRNAの発現量は増加した。このように、STAT6欠損マウスでは、IL−5およびIL−9のmRNAが明らかに発現していたにもかかわらず、これらのマウスでは、図3(b)および(c)に示すように、AHR、および気道における好酸球浸潤が見られなかった。これらの結果から、IL−2およびIL−18によって誘導される気管支喘息には、IL−5およびIL−9は関与しないことが明らかとなった。
また、STAT6欠損マウス、およびBALB/c野生型マウスのいずれにおいても、IL−17、並びにCXCケモカインであるMIP−2およびGCP−2のmRNAは、IL−2およびIL−18の投与1日目で検出でき、その発現レベルが4日目まで維持された。MIP−2およびGCP−2は、好中球の強力な化学誘引物質である。また、IL−17は、原則的にCD4T細胞によって産生される。そして、IL−17は、気管支上皮細胞において、GCP−2およびMIP−2を含む数種のCXCケモカインを放出することによって、上記気道における好中球遊走に関与する。
したがって、IL−2およびIL−18によって誘導される気道の好中球浸潤は、STAT6欠損マウスにおいても見られることから、IL−17および/またはCXCケモカイン(MIP−2およびGCP−2)によるものと考えられる。
本解析において、STAT6欠損マウスとBALB/c野生型マウスとの間で最も顕著に異なったのは、エオタキシンの発現パターンであった。なお、上記エオタキシンは、最も強力な好酸球遊走因子である。図4に示すように、BALB/c野生型マウスでは、エオタキシンのmRNAの発現は、IL−2およびIL−18の投与1日目で検出できるようになった。そして、その発現レベルは、4日目まで経時的に上昇した。一方、STAT6欠損マウスでは、エオタキシンのmRNAは増加しなかった。これらの結果から、IL−2およびIL−18による刺激は、STAT6の活性化により、エオタキシンのmRNAレベルを上昇させることが分かった。
さらに、エオタキシンに加えて、エオタキシン同様、好酸球遊走因子であるエオタキシン−2、および好酸球誘導因子であるRANTESのmRNAについても測定した。エオタキシンと同様、エオタキシン−2についても、mRNAの発現が、迅速に、かつSTAT6依存的に誘導された(図4を参照)。そして、その発現レベルは、4日目まで経時的に上昇した。一方、RANTESのmRNAは、図4に示すように、ナイーブマウスの肺において、恒常的に発現していた。つまり、IL−2およびIL−18処理によってアップレギュレートされることはなかった。
これらの結果、および実施例3の結果から分かるように、STAT6欠損マウスでは、IL−13の産生が認められた。一方、エオタキシンおよびエオタキシン−2のmRNAの発現は認められず、また、好酸球浸潤も認められなかった。したがって、IL−2およびIL−18の刺激により野生型マウスにおけるエオタキシンおよびエオタキシン−2の発現が上昇するのは、IL−13の刺激がstat6依存的に伝達された結果であることが明らかとなった。また、IL−2およびIL−18によって処理されたSTAT6欠損マウスの肺では、IL−5のmRNAが発現していたが、当該STAT6欠損マウスでは、気道における好酸球浸潤が認められなかったことから、IL−5は好酸球浸潤に関与しないと考えられる。
次に、上記の方法に従い、培養繊維芽細胞において、IL−4、IL−5、およびIL−13がエオタキシンの発現を誘導する活性を測定した。その結果、IL−4およびIL−13は、培養繊維芽細胞のエオタキシン誘導に関して、同等の効果を示した。しかし、その効果は、付加的な誘導効果に過ぎなかった。一方、IL−5は、培養繊維芽細胞におけるエオタキシンの発現を誘導しなかった。これらの結果から、IL−2およびIL−18の刺激は、肺に浸潤するCD4T細胞において、IL−4よりも、IL−13を強く誘導することによって、肺における好酸球浸潤を誘導することがより確証づけられた。
IL−18は気道上皮細胞に豊富に蓄えられ、病原性微生物成分の刺激で分泌産生される。したがって、この知見と、上記実施例1〜4とから、上記実施例1〜4から、感染に伴い、IL−18が、気道上皮から分泌されると、IL−13依存性に好酸球増加、ムチン産生亢進等、アレルギー性炎症に類似した病理像が誘導されることが明らかとなった。さらに、上記実施例1〜4の結果から、IL−18の機能を抑制することで、気管支喘息の発症が制御できることが明らかとなった。したがって、本発明は、IL−18の制御を通じた感染誘導性喘息の治療法の開発に非常に有効に用いることが可能である。
なお本発明は、以上説示した各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態や実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態や実施例についても本発明の技術範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。
以上のように、本発明は、感染によって誘発される気道過敏症に代表される気管支喘息を、モデル動物で発症させることを可能にするものである。したがって、本発明は、現在、的確な治療法がない非アレルギー性喘息の発症メカニズムの解明、非アレルギー性喘息に有効な新規治療薬・治療方法の開発などに好適に用いることができる。すなわち、本発明は、医療分野、医薬品分野をはじめ、幅広い分野に利用可能である。
図1(a)〜(d)は、IL−2およびIL−18処理した野生型マウスにおける気管支喘息の誘導を解析した結果を示す図である。図1(a)および(b)は、上記マウス肺の組織病理学的解析の結果を示す図である。図1(a)は、過ヨウ素酸シッフ反応により染色した結果を示す図であり、図1(b)は、ヘマトキシリン・エオシン染色した結果を示す図である。図1(c)は、上記マウスについて、β−メタコリン吸入に対するAHRを測定した結果を示す図である。図1(d)は、上記マウスのBALFのDif−Quik染色の結果を示す図である。 図2(a)〜(c)は、CD4T細胞を除去した野生型マウス、およびRAG2欠損マウスをIL−2およびIL−18処理し、当該マウスにおける気管支喘息の誘導を解析した結果を示す図である。図2(a)は、上記マウス肺の組織病理学的解析(過ヨウ素酸シッフ反応)の結果を示す図である。図2(b)は、上記マウスについて、β−メタコリン吸入に対するAHRを測定した結果を示す図である。図2(c)は、上記マウスのBALFのDif−Quik染色の結果を示す図である。 図3(a)〜(c)は、IL−2およびIL−18処理された、STAT6欠損マウス、IL−4欠損マウス、およびsIL−13R−Fc処理マウスにおける気管支喘息の誘導を解析した結果を示す図である。図3(a)は、上記マウス肺の組織病理学的解析(過ヨウ素酸シッフ反応)の結果を示す図である。図3(b)は、上記マウスについて、β−メタコリン吸入に対するAHRを測定した結果を示す図である。図3(c)は、上記マウスのBALFのDif−Quik染色の結果を示す図である。図3(d)は、野生型マウスから採取した脾臓のCD4T細胞をIL−2およびIL−18で刺激したときのIL−4およびIL−13の産生誘導を解析した結果を示す図である。図3(e)は、IL−2およびIL−18処理した野生型マウスの肺におけるIL−4およびIL−13の産生誘導を解析した結果を示す図である。 図4は、IL−2およびIL−18処理した、野生型マウスおよびSTAT6欠損マウスの肺におけるサイトカインおよびケモカインのcDNAの発現を解析した結果を示す図である。

Claims (11)

  1. モデル動物に、アレルゲン非存在下で、インターロイキン−2およびインターロイキン−18を鼻腔内投与することにより得られることを特徴とする気管支喘息発症モデル動物。
  2. 血清における免疫グロブリンEの濃度が、インターロイキン−2およびインターロイキン−18の投与前の上記モデル動物と実質的に同一であることを特徴とする請求項1に記載の気管支喘息発症モデル動物。
  3. 気道粘膜において、好塩基球および肥満細胞の活性を実質的に有しないことを特徴とする請求項1または2に記載の気管支喘息発症モデル動物。
  4. 活性化されたCD4陽性T細胞を有し、
    当該CD4陽性T細胞から、インターロイキン−13が産生されていることを特徴とする1〜3のいずれか1項に記載の気管支喘息発症モデル動物。
  5. 上記CD4陽性T細胞からのインターロイキン−13の産生量が、上記CD4陽性T細胞からのインターロイキン4の産生量の30倍以上であることを特徴とする請求項4に記載の気管支喘息発症モデル動物。
  6. インターロイキン−13を中和することのみによって、気管支喘息の発症が阻害されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の気管支喘息発症モデル動物。
  7. モデル動物に、アレルゲン非存在下で、インターロイキン−2およびインターロイキン−18を鼻腔内投与することを特徴とする気管支喘息発症モデル動物の作製方法。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の気管支喘息発症モデル動物に対して、被験物質を投与し、気管支喘息の改善効果を検定することを特徴とする気管支喘息治療剤のスクリーニング方法。
  9. 上記被験物質を投与した気管支喘息発症モデル動物において、少なくともインターロイキン−13またはインターロイキン−13をコードする遺伝子の発現強度を測定することを特徴とする請求項8に記載の気管支喘息治療剤のスクリーニング方法。
  10. 請求項8または9に記載の気管支喘息治療剤のスクリーニング方法により、気管支喘息の改善効果を示すと判定される物質を含有することを特徴とする気管支喘息治療剤。
  11. 鼻腔内投与されることを特徴とする請求項10に記載の気管支喘息治療剤。
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