JP2007293501A - 施策・意思決定支援システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】実行主体の時間の関数としての属性情報および実行内容のキーワード群を入力する入力装置11と、入力装置11に入力されたデータから多次元パラメータ空間を生成し記憶する記憶装置14と、記憶装置14に記憶されたデータに基づいて、多次元パラメータ空間における複数の実行主体および複数の実行内容に関して、未来の時刻における施策遂行の効果または意思決定の結果の有効性を計算する演算装置15と、演算装置15の演算結果を出力する出力装置16とにより施策・意思決定支援システムを構成する。
【選択図】図2
Description
非特許文献1では経路積分(パスインテグラル)までは言及されていなかったが、一旦ラグランジアンが求まれば、これを用いて経路積分の手法が適用できることは、ファインマンによりまず量子力学において発見されて久しい(例えば、非特許文献2参照。)。
実際、いろいろな経済的仕組みに対応してラグランジアンを導入し、経路積分の手法を駆使して、ファイナンスの理論的定式化が議論され、ストックオプションやフォワードインテレストレート(forward interestrate) を考慮したファイナンスにおけるハミルトニアンやラグランジアンの詳細な検討が行われている(例えば、非特許文献4参照。)。
また、最近、Mathematica を用いて位相空間におけるファインマンの経路積分が、フリーバウンダリーな時間に対しても計算できることが示されている(例えば、非特許文献6参照)。
かかるより安定でリスクの少ない利潤を求めるという人間の経済的な営みの最たるものである相場の変動等が、経路積分という本来、純理論物理学的な処方で記述できるということは、最近の特筆すべき進展のひとつである。
すなわち、国立大学が法人格を持つことによりストック(株)を持つことができるようになってきて、国からの予算が減額されて研究資金等を自前で稼ぐ必要性とその法的支えとの両方が顕在化し、また古来より知の創造を行う拠点であった国立大学は、知的財産をその主要ポリシーに取り込む必要のある、上述の経済理論の対象に勇躍、入ってきた。
すなわち、図6に示すように、企業においては、その事業内容により自然に特許出願を行う分野は決定されてくるが、図7に示すように、国立大学法人など、研究活動が全方位的に広がっている研究組織では、無為無策に特許出願することは特許予算の破綻を意味する。また、このような研究組織では、上記のような企業ならば有効である意思決定手段が適用できない。そこで、このような研究組織においては、全方位的研究活動をベースに未踏の科学技術の領域(新しい技術思想空間)を切り開き、その新領域における未来技術を先取りする特許(ビジョナリー(visionary)特許)を取得することが重要だが、まだそのスキームは存在しない。
日本では優秀な種となるアイデアや技術があっても、その実現、実用化は、これまでは「寄らば大樹の陰」とばかりに大企業に委ねられてきた。特に技術畑の人間は、経営の観点が希薄で、必然的に保守的(コンサーバティブ)にならざるを得ず、スピンオフすること等はあまり考えない。そして、その大企業では経営幹部への出世の道がたとえ閉ざされても、企業にしがみついてきていた。それが日本の一般的な技術エリートのこれまでの典型例であり、日本企業の新規ビジネス開拓力は、裏打ちする方法論のないまま、その本来の力を発揮できないでいる。
企業が一時的な不況乗り切り策として中断する多数の研究テーマの喪失は国レベルでは膨大な損失となる可能性があるから、そのテーマの今後の研究・開発・市場導入の持って行き方を、システマティックに将来を見越して展開する方法について検討することは極めて重要であるが、現状ではこれについて十分検討されているとはいえない。
あるいは、陋習とはいわないまでも、計画立案、実行検討の実際の現場では、プランニングの直接担当者の個人的な能力や考え方や資質等により、その対応が千差万別となっている。やはりここでも、このような場合に有効な施策・意思決定支援システムがないことが問題となっている。
未来を自在に創るに勝る楽しみはないであろう。にも関わらずそれがなかなか行われないのは、単にその手段が(普通は)無いと思われているからにすぎない。
将来戦略の要になるのは知的財産であり、大学がその鍵を握る。研究と特許をもとに、戦略的知的財産の創造とシステムを構築し、以って再び百年のオーダーで日本が活力ある成長を遂げる礎を確立しようと企図しても(認識できる範囲での)経験的なものに頼らざるを得なかった。
そこで、図5に示すように、起こりうる未来としての光円錐内に、知的財産、特にビジョナリー特許を、実現を期する未来の「有力候補」として布陣し、かかる特許を群として“Future as it can be ”の総体、つまり有り得べき”未来”の集合体とならしめるとともに、現在から未来に向かう時間発展の中で、その可能ないくつもの筋道の中からできるだけ自陣(すなわち研究組織、それを含む自治体、国家等)に有利なように持っていくことが可能となるようにする。
本発明者は、鋭意研究の結果、時間を含む多次元パラメータ空間(多変数空間)における演算、中でも現在から未来の一時刻の間に対する経路積分の計算を利用し、その結果に基づいて施策決定または意思決定を行うことが有効であるという考えに至り、この発明を案出するに至ったものである。
実行主体の時間の関数としての属性情報および実行内容のキーワード群を入力する入力装置と、
上記入力装置に入力されたデータから多次元パラメータ空間を生成し記憶する記憶装置と、
上記記憶装置に記憶されたデータに基づいて、上記多次元パラメータ空間における複数の実行主体および複数の実行内容に関して、未来の時刻における施策遂行の効果または意思決定の結果の有効性を計算する演算装置と、
上記演算装置の演算結果を出力する出力装置とを有することを特徴とする施策・意思決定支援システムである。
コンピュータを用いて実行主体および指揮者の少なくとも一つとの間で施策決定または意思決定の支援を行う施策・意思決定支援システムであって、
a)実行主体に対し、時間の関数としての実績、活動資金、マンパワー等のデータのコンピュータへの入力を促し、当該データをデータベース化し、
b)目的に応じて予め設定された相互作用のもと、上記データベースを用いて経路積分を計算し、
c)指揮者に対し、上記経路積分の計算結果に基づいて施策遂行の効果または意思決定の結果の有効性に対する評価関数値を表示し、
d)指揮者に対し、上記相互作用に付加項、摂動等を与えた場合または実行主体を交代させた場合の結果を表示し、施策オプションの選択を促し、
e)上記選択された施策に関連付けられた期待値、パラメータ敏感性、初期値依存性情報等を読み出して指揮者に対して出力するようにしたことを特徴とする施策・意思決定支援システムである。
コンピュータを用いて実行主体および指揮者の少なくとも一つとの間で施策決定または意思決定の支援を行う施策・意思決定支援システムであって、
a)指揮者に対し、将来のマイルストーンを含む、施策の希望将来価値の値を設定しコンピュータへ入力するよう促し、当該値をデータベース化し、
b)目的に応じて予め設定された相互作用のもと、上記データベースを用いて経路積分を計算し、
c)実行主体に対し、上記経路積分の計算結果に基づいて施策遂行の効果または意思決定の結果の有効性に対する評価関数値を表示し、
d)各実行主体の管理可能データに付加項、摂動等を与えた場合の結果を表示し、実行主体に対し、実行オプションの選択を促し、
e)上記選択された施策に関連付けられた期待値、パラメーター敏感性、初期値依存性情報等を読み出して実行主体に対して出力するようにしたことを特徴とする施策・意思決定支援システムである。
また、この手法に基づいて特許出願を行い、特許化を進めることにより、図5に示すように未来に向かって研究活動を行うに際し、眼前には自前の特許が飛び石の如く見出されるのであるから、未来のリンクをつけることは、こうした戦略なしに進める場合にくらべれば圧倒的に容易である。これは丁度、World Wide Webという一種の非計量空間を拵えてそこに新しい「領土」を築くことをIT技術が可能にしたのと同じく、研究者は内在するイメージと母なる自然が応えてくれる物質・材料・機能を以って、Future as it can be
として膨大なる「未来時空間」を創造するとともに、明るく力強い躍進する未来を提示できる。すなわち、「特許」をして、Future as it can be として、より明るく望ましい未来の候補として提示・提供して行くこと、および、それに対する対価を払うことをシステム化できる。また、特許をベースとした共同研究のスキームをより未来志向で設定することができる。研究組織全体、特にリサーチ&ビジネス構想等を通じてこれから得られる研究成果を基に特許出願して行くことが可能となる。すなわち、走りながら特許によって飛び石(stepping stone)の布石も打って行く。こうすることで、例えばこれから10年の基礎研究が、種つくり、土耕し、肥料施し、苗床つくりになり、相俟って百年レンジの持続可能(sustainable)なハーベスティングを支えることを可能とする。意図的に自陣に有利なように「未来」を確定して行くには、例えば重要特許に関する出願直後の機動的審査請求、度重なる拒絶にも屈しない強靭な発明者と弁理士とのタッグチームの形成・支援システム、特許成立後の特許権行使やありうべき係争に備えた体制の整備・充実といった積極的な施策を行っていくことができる。
そして、知の価値(を演算子化したもの)を通じて、企業におけるいわゆる金銭と同じく、入ってくるものも出て行くのも「(演算子化した)金銭」という形に持ち込むことができ、ダーウイニズムが機能するようにすることができる。
その意味で研究者の役割は極めて大きいが、この発明により知的財産よりもたらされる資金の研究への還流等を以って支えつつ、再び日本が活力ある成長を百年のオーダーで遂げる端緒を切っていかせることができる。
例えばナノテクノロジーを含む基礎科学研究に関して、世界の動きが急である。全てを網羅的に研究するのは、事実上不可能であるし、仮に実行したとしても終った頃には既に時代遅れのものである恐れが強い。そこで、蓄積情報や数値データを時系列データとして再整理する。これに時間変化を織り込んで、時間の関数としてのデータとして記憶装置に記憶する。この場合、各時刻にスナップショットとしてのデータの相関解析を行うのでなく、相互作用を仮定し、ラグランジアンを導いて、上述の時系列データに経路積分の処方を適用して、未来の期待値を求める。
この施策・意思決定支援システムには、施策・意思決定支援のサービス提供者(サーバー)と施策・意思決定支援のサービスの提供を受ける顧客1および顧客2とが関わる。顧客1は実行主体(プレーヤー)、顧客2は顧客1が所属する研究組織等の組織の指揮者、意思決定者等(オーガナイザー)である。
図2に示すように、顧客1である実行主体群(プレーヤー群)は、N台(n=1〜N)の入力装置11に実行主体群の属性情報(研究者属性情報等)および実行内容のキーワード群(研究キーワード群等)等を入力する。入力装置11としては一般的にはコンピュータ(ユーザーコンピュータ)が用いられる。これらの入力装置11に入力されたデータは記憶装置12に記憶される。
図3中、太い線は、細い線を与えたパラメータセット(セット1)と別のパラメータセット(セット2)を用いて施策を遂行したときの効果の定量値の未来時間tにおける期待値を示す。セット1で行った場合の最大値(極大値)にくらべセット2の実行主体群で行った場合の方が、施策を行う上で比較優位になることがわかる(求める効果が期待されるまで、実行主体の編成を変える判断基準を与えている)。
例えば国立大学法人等の研究者等の実行主体は、サービス提供者に、想定している目的を遂行する上での施策のオーガナイザー(指揮者(例えば、知的財産本部等))の管理のもと、実績、予算、エキスパティー、キーワーズ等の個々の要素データの過去未来に亘る実績・予想時系列データをコンピュータ51に入力してデータベースに蓄積し、ネットワークを通じて提供する。
サービス提供者は、施策のオーガナイザーに対し、前記計算情報に基づいて施策に対する評価関数値を表示する。
サービス提供者は、選択された施策に関連付けられた期待値、パラメータ敏感性、初期値依存性情報等を読み出してオーガナイザーに対して出力する。
オーガナイザーは、前記相互作用に付加項や摂動を与えた場合の結果を基に、施策オプションの中から一つを選択する。
オーガナイザーはコンピュータ53を用いてサービス提供者に、想定している施策の内容と目標値とを伝える。
サービス提供者は、実行主体に(オーガナイザーによって設定された)、目標を遂行する上で参考となる実績、予算、マンパワー、エキスパティー、今後の想定マイルストーン等、過去から未来に亘る時系列データをコンピュータ51へ入力するよう促す。
サービス提供者は、施策のオーガナイザーが予め想定した目標値を上述の計算の結果が満たすかどうか調べる。
満たさなかった場合は、実行主体の管理可能な変数を多少振って、期待値が満たすかどうか調べる。それでも駄目なときは、実行主体自体を変更して、同様の計算を行い、調べる。満たすまで上記のループを繰り返す。
満たした時点で、選択された施策に関連付けられた有効な実行主体の編成、パラメーター敏感性、初期値依存性情報を読み出してオーガナイザーに対して出力する。
例えば、サービス業者の役割をソフトウエアパッケージ化して、これを実行主体(プレーヤー)あるいはオーガナイザーが利用することで両者間の2体問題として応用することも勿論可能である。また、経路積分をオーソドックスなものと仮定したが、これと等価な計算体系を用いることも可能である。例えば、ブラックショールズ式の枠組みを変形して適用することも可能である。また、知的財産権に限らず、評価関数が定義できるような意思決定、施策決定、商取引に応用することも可能である。また、上述の実施形態における入力装置11は、必要なデータをWeb等のデータベースから適宜自動抽出する「データ生成プログラム」で置き換えることも可能である。
Claims (7)
- 実行主体の時間の関数としての属性情報および実行内容のキーワード群を入力する入力装置と、
上記入力装置に入力されたデータから多次元パラメータ空間を生成し記憶する記憶装置と、
上記記憶装置に記憶されたデータに基づいて、上記多次元パラメータ空間における複数の実行主体および複数の実行内容に関して、未来の時刻における施策遂行の効果または意思決定の結果の有効性を計算する演算装置と、
上記演算装置の演算結果を出力する出力装置とを有することを特徴とする施策・意思決定支援システム。 - 上記記憶装置に記憶されたデータに基づいて、上記多次元パラメータ空間における複数の実行主体および複数の実行内容に関して、未来の時刻における施策遂行の効果または意思決定の結果の有効性が所定の閾値を越えるように、実行主体の属性情報および実行内容のキーワード群を補完し、または、実行主体そのものの一部または全部の選定改変を促すことを特徴とする請求項1記載の施策・意思決定支援システム。
- 上記実行内容が特許出願であることを特徴とする請求項1記載の施策・意思決定支援システム。
- 上記実行内容が共同研究であることを特徴とする請求項1記載の施策・意思決定支援システム。
- 上記実行内容が政策決定であることを特徴とする請求項1記載の施策・意思決定支援システム。
- コンピュータを用いて実行主体および指揮者の少なくとも一つとの間で施策決定または意思決定の支援を行う施策・意思決定支援システムであって、
a)実行主体に対し、時間の関数としての実績、活動資金、マンパワー等のデータのコンピュータへの入力を促し、当該データをデータベース化し、
b)目的に応じて予め設定された相互作用のもと、上記データベースを用いて経路積分を計算し、
c)指揮者に対し、上記経路積分の計算結果に基づいて施策遂行の効果または意思決定の結果の有効性に対する評価関数値を表示し、
d)指揮者に対し、上記相互作用に付加項、摂動等を与えた場合または実行主体を交代させた場合の結果を表示し、施策オプションの選択を促し、
e)上記選択された施策に関連付けられた期待値、パラメータ敏感性、初期値依存性情報等を読み出して指揮者に対して出力するようにしたことを特徴とする施策・意思決定支援システム。 - コンピュータを用いて実行主体および指揮者の少なくとも一つとの間で施策決定または意思決定の支援を行う施策・意思決定支援システムであって、
a)指揮者に対し、将来のマイルストーンを含む、施策の希望将来価値の値を設定しコンピュータへ入力するよう促し、当該値をデータベース化し、
b)目的に応じて予め設定された相互作用のもと、上記データベースを用いて経路積分を計算し、
c)実行主体に対し、上記経路積分の計算結果に基づいて施策遂行の効果または意思決定の結果の有効性に対する評価関数値を表示し、
d)各実行主体の管理可能データに付加項、摂動等を与えた場合の結果を表示し、実行主体に対し、実行オプションの選択を促し、
e)上記選択された施策に関連付けられた期待値、パラメーター敏感性、初期値依存性情報等を読み出して実行主体に対して出力するようにしたことを特徴とする施策・意思決定支援システム。
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