JP2007293317A - 光学補償フィルム、偏光板、及び液晶表示装置 - Google Patents

光学補償フィルム、偏光板、及び液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】液晶表示装置、特に応答速度が速く動画適性のあるOCB方式液晶表示装置に対して優れた光学補償機能を有し、更に液晶表示装置の薄型化にも寄与し得る光学補償フィルム及び偏光板の提供、並びに、表示品位が高く、応答速度が速く動画適性のある、高透過率のOCB方式液晶表示装置の提供。
【解決手段】ロ−ル状の長尺光学補償フィルムであって、該光学補償フィルムのRe(0°)、Re(40°)、Re(−40°)の値がそれぞれ37±6nm、50±6nm、124±12nmの範囲にある光学補償フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、光学補償フィルム、偏光板、及び液晶表示装置に関する。
液晶化合物を高度に配向固定した光学補償フィルムは、液晶表示装置の光学補償フィルム、輝度向上フィルム、投射型表示装置の光学補償フィルム等、近年になって様々な用途に展開されつつあり、中でも液晶表示装置の光学補償フィルムとしての発展は目覚しいものがある。
通常、液晶表示装置は、偏光板と液晶セルとを備える。現在主流であるTNモードのTFT液晶表示装置においては、光学補償フィルムを偏光板と液晶セルの間に挿入し、表示品位の高い液晶表示装置を実現している。しかし、この構成では、液晶表示装置自体の厚みが厚くなり、薄型化の要請に充分に応えることができなかった。
例えば、特許文献1及び2に記載の発明では、透明支持体上にディスコティック(円盤状)化合物から形成された光学異方性層を塗設した光学補償フィルムを、直接偏光板の保護フィルムとして用いることで、液晶表示装置を厚くすることなく、視野角に関する問題を解決した。
従来、現在主流のTN方式の液晶表示装置用に、光学補償フィルムが開発されていたが、最近では、液晶テレビへの需要が増えつつあり、動画に尾引き現象が生じるなど、応答速度に問題があることが指摘されつつある。特許文献3及び4に記載の発明では、OCB方式の液晶表示装置に、液晶化合物からなる層を有する光学補償フィルムを適用することで、動画に対応可能の問題も解決している。
しかし、液晶テレビ用途には、高いコントラストを維持し、視角によるコントラスト低下を無くすことが要求されており、従来知られている光学パラメーターを制御しただけでは、良好な正面コントラスト得ることが、困難であった。
また、近年、液晶テレビの低消費電力化が必要となってきており、高コントラスト、広視野角を維持し、更に高透過率を達成することが必要となってきている。
したがって、上記問題を解決する技術は種々提案されてはいるが、高コントラスト、広視野角を維持し、更に高透過率を達成する液晶表示装置は未だ提供されていないのが現状である。
特開平7−191217号公報 欧州特許出願公開第0911656号明細書 特開平9−211444号公報 特開平11−316378号公報
本発明は、従来における前記問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、液晶表示装置、特に応答速度が速く動画適性のあるOCB方式液晶表示装置に対して優れた光学補償機能を有する光学補償フィルムを提供することを目的とする。
また、本発明は、偏光機能を有するとともに、液晶表示装置、特に、応答速度が速く動画適性のあるOCB方式液晶表示装置に対して優れた光学補償機能を有し、更に液晶表示装置の薄型化にも寄与し得る偏光板を提供することを目的とする。
更に、本発明は、表示品位の高い画像を表示し得る液晶表示装置、特に応答速度が速く動画適性のある、高透過率のOCB方式液晶表示装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。即ち、
<1> 長手方向を有し、該長手方向に対して45°をなす方向のうち、面内屈折率が小さくなる方向と、フィルム面の法線とを含む平面内で、
(1)550nmの光を用いて、前記法線方向から測定したレターデーション値Re(0°)が、37±6nmの範囲にあり、
(2)550nmの光を用いて、前記法線から前記フィルム面の40°傾いた方向から測定したレターデーション値Re(40°)が、50±6nmの範囲にあり、
(3)550nmの光を用いて前記法線から逆に40°傾いた方向から測定したレターデーション値Re(−40°)が、124±12nmの範囲にあることを特徴とする光学補償フィルムである。
<2> 支持体、及び液晶化合物の配向を固定した光学異方性層を有する<1>に記載の光学補償フィルムである。
<3> 支持体が面内に遅相軸を有し、その遅相軸と、光学異方性層の面内の遅相軸とが、直交及び平行以外に位置する<2>に記載の光学補償フィルムである。
<4> 支持体は、下記式(1)により定義されるA1値が、0.10〜0.95の範囲を満足し、下記式(2)により定義されるA2値が、1.01〜1.50の範囲を満足する<2>から<3>のいずれかに記載の光学補償フィルムである。
ただし、下記式(1)、及び式(2)中、Re(450)は、波長450nmの光に対する前記支持体の面内レターデーション値であり、Re(550)は、波長550nmの光に対する前記支持体の面内レターデーション値であり、Re(650)は、波長650nmの光に対する前記支持体の面内レターデーション値である。
A1値=Re(450)/Re(550)・・・・・・・・・・・式(1)
A2値=Re(650)/Re(550)・・・・・・・・・・・式(2)
<5> 前記<1>から<4>のいずれかに記載の光学補償フィルムと、偏光膜とが貼合される工程を含むことを特徴とする偏光板の製造方法である。
<6> ロール状に形成した前記<1>から<4>のいずれかに記載の光学補償フィルムと、偏光膜とが、ロールtoロールで貼合される工程を含む前記<5>に記載の偏光板の製造方法である。
<7> 前記<5>から<6>のいずれかに記載の偏光板の製造方法によって製造されたことを特徴とする偏光板である。
<8> 前記<7>に記載の偏光板と、配向方式がOCB方式であり、その液晶層の厚みdと液晶の屈折率異方性Δnの積が500から800nmの範囲にある液晶セルを用いたことを特徴とする液晶表示装置である。
<9> 前記<7>に記載の偏光板と、配向方式がHAN方式であり、その液晶層の厚みdと液晶の屈折率異方性Δnの積が250から400nmの範囲にある液晶セルを用いたことを特徴とする液晶表示装置である。
本発明によると、液晶表示装置、特に応答速度が速く動画適性のあるOCB方式液晶表示装置に対して優れた光学補償機能を有する光学補償フィルムを提供することができる。
また、本発明は、偏光機能を有するとともに、液晶表示装置、特に、応答速度が速く動画適性のあるOCB方式液晶表示装置に対して優れた光学補償機能を有し、更に液晶表示装置の薄型化にも寄与し得る偏光板を提供することができる。
更に、本発明は、表示品位の高い画像を表示し得る液晶表示装置、特に応答速度が速く動画適性のある、高透過率のOCB方式液晶表示装置を提供することができる。
以下に、本発明に係る光学補償フィルム、偏光板、及びそれを用いた液晶表示装置について詳細に説明する。
なお、本実施形態の説明において、「45°」、「平行」あるいは「直交」とは、厳密な角度±5°未満の範囲内であることを意味する。厳密な角度との誤差は、4°未満であることが好ましく、3°未満であることがより好ましい。
また、角度について、「+」は時計周り方向を意味し、「−」は反時計周り方向を意味するものとする。
また、「遅相軸」は、屈折率が最大となる方向を意味し、「可視光領域」とは、380〜780nmのことをいう。
更に、屈折率の測定波長は、特別な記述がない限り、可視光域(λ=550nm)での値である。
また、本実施形態の説明において「偏光板」とは、特別な記述がない限り、長尺の偏光板、及び液晶装置に組み込まれる大きさに裁断された偏光板の両者を含む意味で用いている。なお、ここでいう「裁断」には「打ち抜き」及び「切り出し」等も含むものとする。
また、本実施形態の説明では、「偏光膜」と「偏光板」とを区別して用いるが、「偏光板」は「偏光膜」の少なくとも片面に該偏光膜を保護する透明保護膜を有する積層体のことを意味するものとする。
また、本実施形態の説明において「分子対称軸」とは、分子が回転対称軸を有する場合は、当該対称軸を指すが、厳密な意味で、分子が回転対称性であることを要求するものではない。
一般的に、円盤状液晶性化合物において、分子対称軸は、円盤面の中心を貫く円盤面に対して垂直な軸と一致し、棒状液晶性化合物において、分子対称軸は、分子の長軸と一致する。
(光学補償フィルム)
<光学補償フィルムの特性>
本発明の光学補償フィルムは、液晶表示装置、特にOCB、及びHAN方式の液晶表示装置の視野角を改良するために、エリプソメータで測定したRe(0°)、Re(40°)、Re(−40°)の値がそれぞれ37±6nm、50±6nm、124±12nmの範囲にあることが好ましい。
ここで、Re(0°)、Re(40°)、Re(−40°)は、光学補償フィルムの長手方向に対して45°をなす方向のうち、面内屈折率が小さくなる方向(進相軸方向)と、フィルム面の法線とを含む平面内で、法線方向、法線から前記フィルム面の40°傾いた方向、法線から逆に40°傾いた方向から測定した該光学異方性層の550nmの光で測定したレターデーション値を表す。
OCB、及びHAN方式に代表される複屈折モードの液晶表示装置は、液晶セル内部での液晶分子の配列が非常に複雑であり、視野角の補償に最適な光学補償フィルムを、従来のような屈折率楕円体では表せない。
本発明者は、鋭意研究の末、光学補償フィルムの様々な視角においてのレターデーション値と、液晶表示装置のコントラスト視野角に相関のあることを見出した。
更には、該光学補償フィルムを偏光板と一体型の態様にする場合には、ロール状の長尺光学補償フィルムにおいて、その長手方向に対して、面内屈折率が小さくなる方向に45°となる方向と法線を含む平面内で、法線方向、法線から該45°の方向に40°傾いた方向、法線から逆に40°傾いた方向から測定した該光学補償フィルムのレターデーション値と液晶表示装置の視野角と非常によく相関することをつきとめた。
また、コントラスト、及び視野角を維持したまま、液晶表示装置の高透過率を実現するには、Re(0°)とRe(40°)、及びRe(−40°)の関係と密接な関係にあることがわかった。
また、本発明の光学補償フィルムは、どの方向からレターデーション値を測定しても、「0」になる方向は存在せず、光軸を持たないことが好ましい。
<光学補償フィルムの構成>
本発明の光学補償フィルムは、少なくとも2層以上の積層構造をなし、支持体と、その支持体上に設けられた光学異方性層とを少なくとも有してなる。
<<支持体>>
本発明に用いる支持体は、透明であるのが好ましく、具体的には、光透過率が80%以上である透明なポリマーフィルムが好ましい。支持体として使用可能なポリマーフィルムとしては、セルロースエステル(例、セルロースアセテート、セルロースジアセテート)、ノルボルネン系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等からなるポリマーフィルムが挙げられる。市販のポリマー(ノルボルネン系ポリマーでは、ア−トン(登録商標)、及びゼオネックス(登録商標)を用いてもよい。中でもセルロースエステルからなるフィルムが好ましく、セルロースの低級脂肪酸エステルからなるフィルムが更に好ましい。低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。特に、炭素原子数が2(セルロースアセテート)、3(セルロースプロピオネート)又は4(セルロースブチレート)が好ましい。
そして、これらの中でも、セルロースアセテートからなるフィルムが特に好ましい。また、セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートのような混合脂肪酸エステルを用いることもできる。
なお、従来知られているポリカーボネートやポリスルホンのような複屈折の発現しやすいポリマーであっても、国際公開WO00/26705号パンフレットに記載のように、分子を修飾することで複屈折の発現性を制御すれば、本発明において、支持体として用いることもできる。
本発明の光学補償フィルムを、偏光板の保護フィルム又は位相差フィルムとして使用する場合は、ポリマーフィルムとしては、酢化度が55.0〜62.5%であるセルロースアセテートを使用することが好ましい。酢化度は、57.0〜62.0%であることが更に好ましい。ここで、酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。
酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定及び計算によって求められる。
セルロースアセテートの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることが更に好ましい。また、セルロースアセテートは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。
具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜40であることが好ましく、1.0〜1.65であることが更に好ましく、1.0〜1.6であることが特に好ましい。
セルロースアセテートでは、セルロースの2位、3位及び6位のヒドロキシルが均等に置換されるのではなく、6位の置換度が小さくなる傾向がある。
支持体として用いるポリマーフィルムでは、セルロースの6位置換度が、2位、3位に比べて同程度又は多い方が好ましい。
2位、3位及び6位の置換度の合計に対する6位の置換度の割合は、30〜40%であることが好ましく、31〜40%であることがより好ましく、32〜40%であることが特に好ましい。また、6位の置換度は0.88以上であることが好ましい。なお、各位置の置換度は、NMRによって測定することできる。
6位置換度が高いセルロースアセテートは、特開平11−5851号公報の段落番号[0043]〜「0044」に記載の合成例1、段落番号[0048]〜[0049]に記載の合成例2、及び段落番号[0051]〜[0052]に記載の合成例3の方法を参照して合成することができる。
支持体のReレターデーション値、及びRthレターデーション値は、それぞれ、下記式(I)及び(II)で定義される。なお、下記式(I)、及び(II)において、nxはフィルム面内の遅相軸方向(屈折率が最大となる方向)の屈折率を指し、nyは、フィルム面内の進相軸方向(屈折率が最小となる方向)の屈折率を指し、nzは、フィルムの厚み方向の屈折率を指し、dは単位をnmとするフィルムの厚さを指す。
Re=(nx−ny)×d・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・式(I)
Rth={(nx+ny)/2−nz}×d・・・・・・・・・・・・式(II)
本発明の面内に遅相軸を有する支持体の場合、Reレターデーション値は、20〜150nmが好ましく、25〜100nmが更に好ましく、30〜60nmが特に好ましい。
支持体として、セルロースアセテートフィルムを用いた本発明の光学補償フィルムを、液晶表示装置に二枚組み込む場合、Rthレターデーション値は、150〜250nmであることが好ましく、170〜210nmが更に好ましく、180〜200nmが特に好ましい。
なお、セルロースアセテートフィルムの複屈折率(Δn:nx−ny)は、0.00025〜0.00088であることが好ましい。また、セルロースアセテートフィルムの厚み方向の複屈折率{(nx+ny)/2−nz}は、0.00088〜0.005であることが好ましい。
本発明の光学補償フィルムの下記式(1)により定義されるA1値は、0.10〜0.95であることが好ましく、0.3〜0.8が更に好ましく、0.5〜0.75が特に好ましい。
また、下記式(2)により定義されるA2値は、1.01〜1.50であることが好ましく、1.10〜1.45が更に好ましく、1.20〜1.40が特に好ましい。
なお、下記式(1)及び式(2)中、Re(450)は、波長450nmの光に対するフィルムのレターデーション値であり、Re(550)は、波長550nmの光に対するフィルムのレターデーション値であり、Re(650)は、波長650nmの光に対するフィルムのレターデーション値である。
A1値=Re(450)/Re(550)・・・・・・・・・・・・・式(1)
A2値=Re(650)/Re(550)・・・・・・・・・・・・・式(2)
本発明の光学補償フィルムのReを制御する方法としては、透明ポリマーフィルムを該ポリマーのガラス転移点の25〜100℃の温度で延伸する方法が好ましく用いられる。
一方、光学補償フィルムの透過率は、85%以上であることが好ましく、90%以上であることが更に好ましい。本発明の延伸方法を適用することで同じ材料を使用しても、より高い透過率の光学補償フィルムを得ることができる。本発明者によれば、非常に高温で延伸することでポリマー材料中の不純物等が揮発し、フィルム中での散乱因子が減少するものと推定している。
高温延伸することで各波長でのReが所望の値になるメカニズムを、特に好ましい態様であるセルロースアシレートを例に説明する。
セルロースアシレートは、グルコピラノース環からなる主鎖とアシル基からなる側鎖で形成されている。セルロースアシレートからなるフィルムを延伸すると主鎖が延伸方向に向き、Reを発現する。本発明者は、鋭意研究の末、175〜210℃(使用したセルロースアシレートのTgは140℃)という非常に高温で延伸することで、450nmにおけるReが減少し、650nmにおけるReが上昇することを突き止めた。
また、同高温延伸後のセルロースアシレートフィルムには、結晶化に由来すると考えられるX線回折のピークが現れており、結晶化により主鎖と側鎖の配向状態が変化し、Reの波長依存性が変化したと推定している。
すなわち、本発明の光学補償フィルムを実現するには、結晶化は重要なファクターであり、X線回折測定より算出した下記式(III)で定義される主鎖の配向度は、0.04〜0.30であることが好ましく、0.06〜0.25であることが更に好ましい。
なお、下記式(III)中、βは入射するX線の入射面とフィルム面内のある1方向とのなす角度であり、Iは角度βで測定したX線回折チャートにおける2θ=8°での回折強度である。
また、下記式(III)中、<cos2β>=∫(0、π)cos2βI(β)sinβdβ/∫(0、π)I(β)sinβdβである。
P=<3cos2β−1>/2・・・・・・・・・・・・・・・・・・・式(III)
一方、液晶表示装置の色ずれを改良するには、Rthを制御することも重要である。
可視光領域での波長450nmにおけるReとRthの比Re(450nm)/Rth(450nm)が、波長550nmにおけるRe(550nm)/Rth(550nm)の0.10〜0.95倍であり、0.4〜0.8倍が好ましく、0.5〜0.7倍がより好ましい。
また、波長650nmにおけるRe(650nm)/Rth(650nm)が、Re(550nm)/Rth(550nm)の1.01〜1.9倍であり、1.1〜1.7倍が好ましく、1.3〜1.6倍がより好ましい。
なお、R、G、BそれぞれにおけるRe/Rthは、いずれも0.1〜0.8の範囲であることが好ましい。
また、該光学補償フィルム全体の厚み方向のレターデーション(Rth)は、黒表示時における厚さ方向の液晶層のレターデーションをキャンセルさせるための機能を持っているので、各液晶層の態様によって好ましい範囲も異なる。
例えば、OCBモードの液晶セル(例えば、厚さd(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δn・dが0.2〜1.5μmである液晶層を有するOCBモードの液晶セル)の光学補償に用いられる場合は、70〜400nmであるのが好ましく、100〜400nmであるのがより好ましく、130〜200nmであるのが更に好ましい。
このRthを制御する方法としては、後述の液晶層を塗設する方法、もしくは添加剤を使用する方法等が好ましく使用される。
支持体にセルロースアセテートフィルムを用いる場合は、レターデーション上昇剤をフィルム中に含有させるのが好ましく、好ましい化合物例、及びその製造方法に関しては、特開2000−154261号公報、及び特開2000−111914号公報に記載されている。
<<光学異方性層>>
本発明の光学補償フィルムは、液晶化合物から形成された光学異方性層を少なくとも一層有する。前記光学異方性層は、支持体の表面に直接形成してもよいし、支持体上に配向膜を形成し、該配向膜上に形成してもよい。また、別の基材に形成した液晶化合物層を、粘着剤等を用いて、支持体上に転写することで、本発明の光学補償フィルムを作製することも可能である。
光学異方性層の形成に用いる液晶化合物としては、棒状液晶化合物及びディスコティック液晶化合物が挙げられる。棒状液晶化合物及びディスコティック液晶化合物は、高分子液晶でも低分子液晶でもよく、更に、低分子液晶が架橋され液晶性を示さなくなったものも含まれる。
[棒状液晶化合物]
本発明に使用可能な棒状液晶化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。
なお、棒状液晶化合物には、金属錯体も含まれる。また、棒状液晶化合物を繰り返し単位中に含む液晶ポリマーも用いることができる。言い換えると、棒状液晶化合物は、(液晶)ポリマーと結合していてもよい。
棒状液晶化合物については、季刊化学総説第22巻「液晶の化学(1994)日本化学会編」の第4章、第7章、及び第11章、及び液晶デバイスハンドブック日本学術振興会第142委員会編の第3章に記載がある。
本発明に用いる棒状液晶化合物の複屈折率は、0.001〜0.7の範囲にあることが好ましい。
棒状液晶化合物は、その配向状態を固定するために、重合性基を有することが好ましい。重合性基は、不飽和重合性基又はエポキシ基が好ましく、不飽和重合性基が更に好ましく、エチレン性不飽和重合性基が特に好ましい。
[ディスコティック液晶化合物]
ディスコティック液晶化合物には、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physics lett,A,78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体及びJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルが含まれる。
前記ディスコティック液晶化合物には、分子中心の母核に対して、直鎖のアルキル基、アルコキシ基、又は置換ベンゾイルオキシ基が母核の側鎖として放射線状に置換した構造の、液晶性を示す化合物も含まれる。分子又は分子の集合体が、回転対称性を有し、一定の配向を付与できる化合物であることが好ましい。
ディスコティック液晶化合物から光学異方性層を形成した場合、最終的に光学異方性層に含まれる化合物は、もはや液晶性を示す必要はない。
例えば、低分子のディスコティック液晶化合物が熱、又は光で反応する基を有しており、熱又は光によって該基が反応して、重合又は架橋し、高分子量化することによって光学異方性層が形成される場合などは、光学異方性層中に含まれる化合物は、もはや液晶性を失っていてもよい。
ディスコティック液晶化合物の好ましい例は、特開平8−50206号公報に記載されている。また、ディスコティック液晶化合物の重合については、特開平8−27284号公報に記載がある。
ディスコティック液晶化合物を重合により固定するためには、ディスコティック液晶化合物の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入する。
従って、重合性基を有するディスコティック液晶化合物は、下記一般式(I)で表わされる化合物であることが好ましい。
上記一般式(I)中、Dは円盤状コアであり、Lは二価の連結基であり、Qは重合性基であり、nは4〜12の整数である。
円盤状コア(D)の例として、(D1)〜(D15)を以下に示す。以下の各例において、LQ(又はQL)は、二価の連結基(L)と重合性基(Q)との組み合わせを意味する。
また、上記一般式(I)において、二価の連結基(L)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−、−S−及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。
二価の連結基(L)は、アルキレン基、アリ−レン基、−CO−、−NH−、−O−及び−S−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた二価の連結基であることが更に好ましい。
二価の連結基(L)は、アルキレン基、アリーレン基、−CO−及び−O−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた二価の連結基であることが特に好ましい。
前記アルキレン基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましい。前記アルケニレン基の炭素原子数は、2〜12であることが好ましい。前記アリ−レン基の炭素原子数は、6〜10であることが好ましい。
二価の連結基(L)の例として、(L1〜L24)を以下に示す。左側が円盤状コア(D)に結合し、右側が重合性基(Q)に結合する。ALはアルキレン基又はアルケニレン基、ARはアリーレン基を意味する。なお、アルキレン基、アルケニレン基及びアリ−レン基は、置換基(例、アルキル基)を有していてもよい。
L1:−AL−CO−O−AL−
L2:−AL−CO−O−AL−O−
L3:−AL−CO−O−AL−O−AL−
L4:−AL−CO−O−AL−O−CO−
L5:−CO−AR−O−AL−
L6:−CO−AR−O−AL−O−
L7:−CO−AR−O−AL−O−CO−
L8:−CO−NH−AL−
L9:−NH−AL−O−
L10:−NH−AL−O−CO−
L11:−O−AL−
L12:−O−AL−O−
L13:−O−AL−O−CO−
L14:−O−AL−O−CO−NH−AL−
L15:−O−AL−S−AL−
L16:−O−CO−AR−O−AL−CO−
L17:−O−CO−AR−O−AL−O−CO−
L18:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−CO−
L19:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−AL−O−CO−
L20:−S−AL−
L21:−S−AL−O−
L22:−S−AL−O−CO−
L23:−S−AL−S−AL−
L24:−S−AR−AL−
上記一般式(I)の重合性基(Q)は、重合反応の種類に応じて決定する。重合性基(Q)は、不飽和重合性基又はエポキシ基であることが好ましく、不飽和重合性基であることが更に好ましく、エチレン性不飽和重合性基であることが特に好ましい。
また、上記一般式(I)において、nは4〜12の整数である。具体的な数字は、円盤状コア(D)の種類に応じて決定される。なお、複数のLとQの組み合わせは、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
前記光学異方性層中に液晶化合物の配向については、光学異方性層の分子対称軸の平均方向が、長手方向に対して43°〜47°であることが好ましい。
ハイブリッド配向では、液晶化合物の分子対称軸と支持体の面との角度が、光学異方性層の深さ方向でかつ支持体の面からの距離の増加と共に増加又は減少している。
角度は、距離の増加と共に増加することが好ましい。更に、角度の変化としては、連続的増加、連続的減少、間欠的増加、間欠的減少、連続的増加と連続的減少を含む変化、あるいは、増加及び減少を含む間欠的変化が可能である。間欠的変化は、厚さ方向の途中で傾斜角が変化しない領域を含んでいる。
角度は、角度が変化しない領域を含んでいても、全体として増加又は減少していればよい。更に、角度は連続的に変化することが好ましい。
液晶化合物の分子対称軸の平均方向は、一般に液晶化合物もしくは配向膜の材料を選択することにより、又はラビング処理方法の選択することにより、調整することができる。
本発明の好ましい実施態様として、支持体と液晶化合物層の遅相軸が互いに直交でも平行でもない光学補償フィルムの場合、支持体の遅相軸と異なる方向にラビング処理をすることで、液晶化合物層の遅相軸は、いかようにも簡便に調整することができる。
また、表面側(空気側)の液晶化合物の分子対称軸方向は、一般に、液晶化合物又は液晶化合物と共に使用する添加剤の種類を選択することにより調整することができる。
液晶化合物と共に使用する添加剤の例としては、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー及びポリマーなどを挙げることができる。分子対称軸の配向方向の変化の程度も、上記と同様に、液晶化合物と添加剤との選択により調整できる。特に界面活性剤に関しては、上述の塗布液の表面張力制御と両立することが好ましい。
液晶化合物と共に使用する可塑剤、界面活性剤及び重合性モノマーは、ディスコティック液晶化合物と相溶性を有し、液晶化合物の傾斜角の変化を与えられるか、あるいは配向を阻害しないことが好ましい。前記重合性モノマーとしては、ビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル基、及びメタクリロイル基を有する化合物が好ましい。
また、上記化合物の添加量は、液晶化合物に対して一般に1〜50質量%の範囲にあり、5〜30質量%の範囲にあることが好ましい。なお、重合性の反応性官能基数が4以上のモノマーを混合して用いると、配向膜と光学異方性層間の密着性を高めることができる。
液晶化合物としてディスコティック液晶化合物を用いる場合は、ディスコティック液晶化合物とある程度の相溶性を有し、ディスコティック液晶化合物に傾斜角の変化を与えられるポリマーを用いるのが好ましい。
ポリマーの例としては、セルロースエステルを挙げることができる。セルロースエステルの好ましい例としては、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロース、及びセルロースアセテートブチレートを挙げることができる。
ディスコティック液晶化合物の配向を阻害しないように、上記ポリマーの添加量は、ディスコティック液晶化合物に対して0.1〜10質量%の範囲にあることが好ましく、0.1〜8質量%の範囲にあることがより好ましく、0.1〜5質量%の範囲にあることが更に好ましい。
ディスコティック液晶化合物のディスコティックネマティック液晶相−固相転移温度は、70〜300℃が好ましく、70〜170℃がより好ましい。
本発明において、光学異方性層の厚さは、0.1〜20μmであることが好ましく、0.5〜15μmであることが更に好ましく、1〜10μmであることが特に好ましい。
<<配向膜>>
本発明の光学補償フィルムは、支持体と光学異方性層との間に配向膜を有しているのが好ましい。
本発明において、前記配向膜は、架橋されたポリマーからなる層であるのが好ましい。
配向膜に使用されるポリマーは、それ自体架橋可能なポリマーであっても、架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができる。
上記配向膜は、官能基を有するポリマーあるいはポリマーに官能基を導入したものを、光、熱又はPH変化等により、ポリマー間で反応させて形成するか、又は、反応活性の高い化合物である架橋剤を用いてポリマー間に架橋剤に由来する結合基を導入して、ポリマー間を架橋することにより形成することができる。
架橋されたポリマーからなる配向膜は、通常、上記ポリマー又はポリマーと架橋剤との混合物を含む塗布液を、支持体上に塗布した後、加熱等を行なうことにより形成することができる。
後述のラビング工程において、配向膜の発塵を抑制するために、架橋度を上げておくことが好ましい。前記塗布液中に添加する架橋剤の量(Mb)に対して、架橋後に残存している架橋剤の量(Ma)の比率(Ma/Mb)を1から引いた値(1−(Ma/Mb))を架橋度と定義した場合、架橋度は50〜100%が好ましく、65〜100%がより好ましく、75〜100%が特に好ましい。
本発明において、前記配向膜に使用されるポリマーは、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができる。なお、双方の機能を有するポリマーを使用することもできる。
上記ポリマーの例としては、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、スチレン/マレインイミド共重合体、ポリビニルアルコール、及び変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、スチレン/ビニルトルエン共重合体、クロロスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリカーボネート等のポリマー及びシランカップリング剤等の化合物を挙げることができる。
好ましいポリマーの例としては、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコール等の水溶性ポリマーであり、更にゼラチン、ポリビルアルコール、及び変性ポリビニルアルコールが好ましく、特にポリビルアルコール及び変性ポリビニルアルコールを挙げることができる。
上記ポリマーの中で、ポリビニルアルコール、又は変性ポリビニルアルコールが好ましい。ポリビニルアルコールとしては、例えば鹸化度70〜100%のものであり、一般に鹸化度80〜100%のものであり、より好ましくは鹸化度85〜95%のものである。
重合度としては、100〜3,000の範囲が好ましい。変性ポリビニルアルコールとしては、共重合変性したもの(変性基として、例えば、COONa、Si(OX)、N(CH・Cl、C19COO、SO、Na、C1225等が導入される)、連鎖移動により変性したもの(変性基として、例えば、COONa、SH、C1225等が導入されている)、ブロック重合による変性をしたもの(変性基として、例えば、COOH、CONH、COOR、C等が導入される)等のポリビニルアルコールの変性物を挙げることができる。
重合度としては、100〜3,000のも範囲が好ましい。これらの中で、鹸化度80〜100%の未変性〜変性ポリビニルアルコールが好ましく、より好ましくは鹸化度85〜95%の未変性、又はアルキルチオ変性ポリビニルアルコールである。
配向膜に用いる変性ポリビニルアルコールとして、下記一般式(2)で表わされる化合物とポリビニルアルコールとの反応物が好ましい。なお、下記一般式(2)において、Rは無置換のアルキル基、又はアクリロリル基、メタクリロイル基もしくはエポキシ基で置換されたアルキル基を表わし、Wはハロゲン原子、アルキル基、又はアルコキシ基を表わし、Xは活性エステル、酸無水物又は酸ハロゲン化物を形成するために必要な原子群を表わし、lは0又は1を表わし、nは0〜4の整数を表わす。
また、配向膜に用いる変性ポリビニルアルコールとして、下記一般式(3)で表わされる化合物とポリビニルアルコールとの反応物も好ましい。なお、下記一般式(3)において、Xは活性エステル、酸無水物又は酸ハロゲン化物を形成するために必要な原子群を表わし、mは2〜24の整数を表わす。
前記一般式(2)、及び一般式(3)により表される化合物と反応させるために用いられるポリビニルアルコールとしては、上記変性されていないポリビニルアルコール、及び上記共重合変性したもの、即ち連鎖移動により変性したもの、ブロック重合による変性をしたもの等のポリビニルアルコールの変性物、を挙げることができる。
上記特定の変性ポリビニルアルコールの好ましい例としては、特開平8−338913号公報に詳しく記載されている。
配向膜にポリビニルアルコール等の親水性ポリマーを使用する場合、硬膜度の観点から、含水率を制御することが好ましく、制御される含水率としては、0.4〜2.5%であることが好ましく、0.6〜1.6%であることがより好ましい。含水率は、市販のカールフィッシャー法の水分率測定器で測定することができる。
なお、配向膜は、10μm以下の膜厚であるのが好ましい。
<光学補償フィルムの製造方法>
次に、本発明の好ましい光学補償フィルムを連続的に製造する方法について説明する。
<<ロール状光学補償フィルムの製造方法>>
本発明のロール状光学補償フィルムの製造方法は、下記工程(1)〜(4)を連続して行う。
工程(1):長手方向に搬送される長尺状の支持体の表面又は該支持体上に形成された配向膜の表面に、ラビングローラによりラビング処理を施す工程。
工程(2):液晶性化合物を含む塗布液を前記ラビング処理面に塗布する工程。
工程(3):塗布された塗布液を乾燥するのと同時に又は乾燥した後に、液晶転移温度以上の温度で前記液晶化合物を配向させ、その配向を固定して光学異方性層を作製する工程。
工程(4):前記光学異方性層が形成された長尺状の積層体を巻き取る工程。
ここで、工程(3)における液晶転移温度以上の温度で前記液晶化合物を配向させる間に、前記ラビング処理された方向以外の方向に吹く液晶化合物表面の膜面風速が、下記数式(3)を満たすことが好ましく、下記式(3)において、Vが0〜2.5×10−3×ηであることがより好ましい。なお、下記式(3)中、Vは液晶化合物表面の膜面風速(m/sec)、ηは液晶化合物の配向温度での液晶化合物層の粘度(cp)である。
0<V<5.0×10−3×η・・・・・・・・・・・・・・・・・式(3)
本発明の光学補償フィルムの製造方法によれば、液晶化合物の分子対称軸の支持体面への正射影の平均方向、即ち、前記光学異方性層の分子対称軸の平均方向と、支持体の面内遅相軸、即ち、支持体の長手方向とが異なり、更に該分子対称軸の平均方向とラビング方向の間の角度が、実質的に0°、好ましくは−2〜2°、更に好ましくは−1〜1°である光学補償フィルムを連続的に安定に製造することができ、大量生産に適する。
OCBモードの液晶表示装置に本発明の光学補償フィルムを適用する場合は、該光学補償フィルムと、偏光膜とを、ロールtoロールで貼合することが好ましく、該分子対称軸の平均方向と支持体の面内の遅相軸、即ち、支持体の長手方向との角度が、実質的に45°であることが好ましい。
更に、本発明の光学補償フィルムの製造方法においては、以下の(a)〜(d)のいずれかの要件を含むことが望ましい。なお、これらの各工程の詳細は、特開平9−73081号公報に記載されている。
(a)上記工程(2)において、液晶化合物として架橋性官能基を有する重合性液晶化合物を用い、上記工程(3)において、連続的に塗布層を光照射して重合性液晶化合物を重合により硬化させて配向状態に固定し、その後、連続的に上記工程(4)を行なう。
(b)上記工程(1)において、前記支持体又は配向膜の表面を除塵しながら、ラビングローラでラビング処理する。
(c)上記工程(2)の前に、ラビング処理した前記支持体又は前記配向膜の表面を除塵する工程を行う。
(d)上記工程(4)の前に、形成した光学異方性層の光学特性を連続的に測定することにより検査する検査工程。
ここで、上記工程(1)〜(4)の詳細について、以下に説明する。
[工程(1)]
前記工程(1)では、長手方向に搬送される長尺状の支持体の表面又は該支持体上に形成された配向膜の表面に、ラビングローラによりラビング処理を施す。
前記工程(1)に用いるラビングローラの直径は、ハンドリング適性、及び布寿命の観点から、100〜500mmであることが好ましく、200〜400mmであることが更に好ましい。
ラビングローラの幅は、搬送するフィルムの幅よりも広いことが必要であり、フィルム幅×21/2以上であることが好ましい。
また、ラビングローラの回転数は、発塵の観点から低く設定することが好ましく、液晶化合物の配向性にもよるが、100〜1,000rpmであることが好ましく、250〜850rpmであることが更に好ましい。
ラビングロールの回転数を低くしても液晶化合物の配向性を維持するには、ラビング時の支持体又は配向膜を加熱することが好ましい。加熱温度は、支持体又は配向膜表面の膜面温度で、(素材のTg−50℃)〜(素材のTg+50℃)であることが好ましい。ポリビニルアルコールからなる配向膜を使用する場合は、ラビングの環境湿度を制御することが好ましく、25℃の相対湿度として25〜70%RHであることが好ましく、30〜60%RHであることが更に好ましく、35〜55%RHであることが特に好ましい。
支持体の搬送速度は、生産性の観点と液晶の配向性の観点から、10〜100m/分であることが好ましく、15〜80m/分であることが更に好ましい。搬送は、従来、フィルムの搬送に用いられる種々の装置を用いて行うことができ、特に搬送方式については制限されない。
なお、配向膜は、前述のポリビニルアルコール等の素材を、水及び/又は有機溶媒等に溶解した塗布液を、支持体の表面に塗布して、乾燥することによって作製することができる。配向膜の作製は、上記一連の工程の前に行うことができ、搬送される長尺状の支持体の表面に配向膜を連続的に作製してもよい。
[工程(2)]
上記工程(2)では、液晶性化合物を含む塗布液を前記ラビング処理面に塗布する。光学異方性層形成用の塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。
有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラクロロエタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライド及びケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
均一性の高い光学異方性層を作製するためには、塗布液の表面張力は、25mN/m以下であることが好ましく、22mN/m以下であるのが更に好ましい。
この低表面張力を実現するには、該光学異方性層を形成する塗布液に、界面活性剤、又はフッ素化合物、特に、下記(i)のモノマーに相当する繰り返し単位及び下記(ii)のモノマーに相当する繰り返し単位を含むフルオロ脂肪族基含有共重合体等のフッ素系ポリマーを含有することが好ましい。
(i)下記一般式(4)で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマー
(ii)ポリ(オキシアルキレン)アクリレート及び/又はポリ(オキシアルキレン)メタクリレート
上記一般式(4)において、Rは水素原子又はメチル基を表し、Xは酸素原子、硫黄原子、又は−N(R)−を表し、mは、1以上6以下の整数、nは、2〜4の整数を表す。また、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
光学異方性層形成用塗布液中に添加する前記フッ素系ポリマーの重量平均分子量は、3,000〜100,000が好ましく、6,000〜80,000がより好ましい。
更に、前記フッ素系ポリマーの添加量は、液晶化合物を主とする塗布組成物(溶媒を除いた塗布成分)に対して0.005〜8質量%が好ましく、0.01〜1質量%がより好ましく、0.05〜0.5質量%が更に好ましい。
前記フッ素系ポリマーの添加量が、0.005質量%未満では効果が不十分であり、また8質量%より多くなると、塗膜の乾燥が十分に行われなくなったり、光学補償フィルムとしての性能(例えばレターデーションの均一性、等)に悪影響を及ぼす。
前記塗布液のラビング処理面への塗布は、公知の方法(例、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施することができる。塗布量は、光学異方性層の所望の厚みに基づいて適宜決定することができる。
[工程(3)]
上記工程(3)では、塗布された塗布液を乾燥するのと同時、又は乾燥した後に、液晶転移温度以上の温度で前記液晶化合物を配向させ、その配向を固定して光学異方性層を作製する。液晶化合物は、乾燥時の加熱によってもしくは乾燥後の加熱によって、所望の配向となる。
乾燥温度は、塗布液に用いた溶媒の沸点、ならびに支持体及び配向膜の素材を考慮して決定することができる。液晶化合物の配向温度は、用いる液晶化合物の液晶相−固相転移温度に応じて決定することができる。
液晶化合物として、ディスコティック液晶化合物を用いる場合は、配向温度は、70〜300℃が好ましく、70〜170℃が更に好ましい。
また、液晶状態の粘度は、10〜10,000cpであることが好ましく、100〜1,000cpであることが更に好ましい。
粘度が低すぎると、配向時の風の影響を受けやすく、連続生産のために、非常に高精度の風速/風向制御が必要となる。一方、粘度が高いと風の影響は受けにくいが、液晶の配向が遅くなり、生産性が非常に悪化することとなる。
液晶層の粘度は、液晶化合物の分子構造によって適宜制御できる。また、上述の添加剤(特にセルロース系のポリマー、等)、及びゲル化剤等を適量使用することで所望の粘度に調整する方法が好ましく用いられる。
加熱は、所定の温度の温風を送風することによって、又は所定の温度に維持された加熱室内を搬送することによって実施できる。
このときの温風は、下記式(3)に示すように、液晶化合物層に当たるラビング方向以外の風速を制御されることが好ましい。なお、下記式(3)中、Vは液晶化合物表面の膜面風速(m/sec)、ηは液晶化合物の配向温度での液晶化合物層の粘度(cp)である。
0<V<5.0×10−3×η・・・・・・・・・・式(3)
更に、配向させた液晶化合物を、配向状態を維持して固定し、光学異方性層を形成する。液晶化合物の固定は、固相転移温度まで冷却することによって、又は重合反応により実施することができるが、重合反応により行うのが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。
光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、及び米国特許2367670号の各明細書に記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書に記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書に記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、及び米国特許2951758号の各明細書に記載)、トリアリールイミダゾールダイマーと、p−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書に記載)、アクリジン及びフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、及び米国特許4239850号明細書に記載)、及びオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書に記載)が含まれる。
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%の範囲にあることが好ましく、0.5〜5質量%の範囲にあることが更に好ましい。
液晶化合物の重合を進行させて固定するための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20〜50J/cmの範囲にあることが好ましく、20〜5,000mJ/cmの範囲にあることがより好ましく、100〜800mJ/cmの範囲にあることが更に好ましい。
また、光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。光照射は、光学異方性層形成用塗布液を塗布した支持体を、1以上の光源が上下及び左右のいずれかの位置に配置された搬送路を通過させることによって実施することができる。
上記工程(4)に移行する前に、上記工程(3)で作製した光学異方性層の上に、保護層を設けることもできる。例えば、あらかじめ作製した保護層用フィルムを、長尺状に作製された光学異方性層の表面に連続的にラミネートしてもよい。
上記工程(4)では、前記光学異方性層が形成された長尺状の積層体を巻き取る。巻き取りは、例えば、連続的に搬送される光学異方性層を有する支持体を、円筒状の芯に巻きつけることによって行ってもよい。
上記工程(4)により得られる光学補償フィルムは、ロール形態であるので、大量に製造した場合にもその取り扱いが容易である。そのままの形態で保管・搬送できる。
本発明の製造方法の各工程の諸条件、使用可能な装置等の詳細については、特開平9−73081号公報に記載の諸条件、装置を適用することができる。
(偏光板)
本発明の偏光板は、偏光膜と該偏光膜を挟持する一対の光学補償フィルムとから構成され、このように構成されることが偏光能、及び透過率の観点から好ましい。例えば、矩形状等の所望の形状に切断した後、上述の光学補償フィルムを偏光膜と貼り合せてもよいし、長尺状の偏光膜と貼り合せた後、所望の形状に切断することもできる。
本発明の偏光板は、偏光機能のみならず、優れた光学補償機能をも有し、しかも容易に液晶表示装置に組み込むことができる。また、前記光学補償フィルムを偏光膜の保護膜とした態様は、液晶表示装置の薄型化にも寄与する。
<偏光膜>
本発明の偏光板に用いる偏光膜は、Optiva Inc.に代表される塗布型偏光膜、又はバインダーとヨウ素、もしくは二色性色素とからなる偏光膜が好ましい。
前記ヨウ素及び二色性色素は、バインダー中で配向することで偏向性能を発現する。ヨウ素及び二色性色素は、バインダー分子に沿って配向するか、もしくは二色性色素が液晶のような自己組織化により一方向に配向することが好ましい。
現在市販の偏光膜は、延伸したポリマーを、浴槽中のヨウ素もしくは二色性色素の溶液に浸漬し、バインダー中にヨウ素、もしくは二色性色素をバインダー中に浸透させることで作製されるのが一般的である。
また、市販の偏光膜は、ポリマー表面から4μm程度(両側合わせて8μm程度)にヨウ素もしくは二色性色素が分布しており、十分な偏光性能を得るためには、少なくとも10μmの厚みが必要である。浸透度は、ヨウ素もしくは二色性色素の溶液濃度、同浴槽の温度、同浸漬時間により制御することができる。
したがって、上記のように、バインダーの厚みの下限は、10μmであることが好ましい。厚みの上限は、偏光板を液晶表示装置に使用した場合に発生する光漏れ現象の観点からは、薄ければ薄い程よい。現在市販の偏光板(約30μm)以下であることが好ましく、25μm以下が好ましく、20μm以下が更に好ましい。20μm以下であると、光漏れ現象は、17インチの液晶表示装置で観察されなくなる。
偏光膜のバインダーは架橋していてもよい。偏光膜のバインダーとして、それ自体架橋可能なポリマーを用いてもよい。官能基を有するポリマー、又はポリマーに官能基を導入して得られたポリマーに、光、熱あるいはpH変化を与えて、官能基を反応させてポリマー間を架橋させ、偏光膜を形成することができる。
また、架橋剤によりポリマーに架橋構造を導入してもよい。反応活性の高い化合物である架橋剤を用いてバインダー間に架橋剤に由来する結合基を導入して、バインダー間を架橋することにより形成することができる。
架橋は一般に、架橋可能なポリマー、又はポリマーと架橋剤との混合物を含む塗布液を、透明支持体上に塗布した後、加熱することにより実施できる。最終商品の段階で耐久性が確保できればよいため、架橋させる処理は、最終の偏光板を得るまでのいずれの段階で行なってもよい。
上記した様に、偏光膜のバインダーとしては、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができる。
ポリマーの例には、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、ポリビニルトルエン、クロロスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、塩素化ポリオレフィン(例、ポリ塩化ビニル)、ポリエステル、ポリイミド、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、カルボキシメチルセルロース、ポリプロピレン、ポリカーボネート及びそれらのコポリマー(例、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、スチレン/マレインイミド共重合体、スチレン/ビニルトルエン共重合体、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体)が含まれる。シランカップリング剤をポリマーとして用いてもよい。
水溶性ポリマー(例、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコール)が好ましく、ゼラチン、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールが更に好ましく、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールが特に好ましい。
ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコールの鹸化度は、70〜100%が好ましく、80〜100%が更に好ましく、95〜100%が特に好ましい。ポリビニルアルコールの重合度は、100〜5,000が好ましい。
変性ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールに対して、共重合変性、連鎖移動変性あるいはブロック重合変性により変性基を導入して得られる。共重合変性では、変性基として、COONa、Si(OH)、N(CH・Cl、C19COO、SO3Na、C1225を導入することができる。連鎖移動変性では、変性基として、COONa、SH、SC1225を導入することができる。
変性ポリビニルアルコールの重合度は、100〜3,000が好ましい。変性ポリビニルアルコールについては、特開平8−338913号公報、特開平9−152509号公報、及び特開平9−316127号公報に記載がある。
また、鹸化度が85〜95%の未変性ポリビニルアルコール、及びアルキルチオ変性ポリビニルアルコールが特に好ましい。
更に、ポリビニルアルコール、及び変性ポリビニルアルコールは、二種以上を併用してもよい。
架橋剤については、米国再発行特許23297号明細書に記載があり、本発明に用いることができる。また、ホウ素化合物(例、ホウ酸、硼砂)も、架橋剤として用いることができる。
バインダーの架橋剤は、多く添加すると、偏光膜の耐湿熱性を向上させることができる。ただし、バインダーに対して架橋剤を50質量%以上添加すると、ヨウ素、もしくは二色性色素の配向性が低下する。架橋剤の添加量は、バインダーに対して、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%が更に好ましい。
バインダーは、架橋反応が終了した後でも、反応しなかった架橋剤をある程度含んでいる。ただし、残存する架橋剤の量は、バインダー中に1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることが更に好ましい。
バインダー中に1.0質量%を超える量で架橋剤が含まれていると、耐久性に問題が生じる場合がある。すなわち、架橋剤の残留量が多い偏光膜を液晶表示装置に組み込み、長期使用、あるいは高温高湿の雰囲気下に長期間放置した場合に、偏光度の低下が生じることがある。
前記二色性色素としては、アゾ系色素、スチルベン系色素、ピラゾロン系色素、トリフェニルメタン系色素、キノリン系色素、オキサジン系色素、チアジン系色素あるいはアントラキノン系色素が用いられる。二色性色素は、水溶性であることが好ましい。二色性色素は、親水性置換基(例、スルホ、アミノ、ヒドロキシル)を有することが好ましい。
二色性色素の例には、C.I.ダイレクト・イエロー12、C.I.ダイレクト・オレンジ39、C.I.ダイレクト・オレンジ72、C.I.ダイレクト・レッド39、C.I.ダイレクト・レッド79、C.I.ダイレクト・レッド81、C.I.ダイレクト・レッド83、C.I.ダイレクト・レッド89、C.I.ダイレクト・バイオレット48、C.I.ダイレクト・ブルー67、C.I.ダイレクト・ブルー90、C.I.ダイレクト・グリ−ン59、C.I.アシッド・レッド37が含まれる。
二色性色素については、特開平1−161202号公報、特開平1−172906号公報、特開平1−172907号公報、特開平1−183602号公報、特開平1−248105号公報、特開平1−265205号公報、特開平7−261024号公報に記載がある。
二色性色素は、遊離酸、又はアルカリ金属塩、アンモニウム塩、もしくはアミン塩等の塩として用いられる。二種類以上の二色性色素を配合することにより、各種の色相を有する偏光膜を製造することができる。偏光軸を直交させた時に黒色を呈する化合物(色素)を用いた偏光膜、あるいは黒色を呈するように各種の二色性分子を配合した偏光膜又は偏光板が、単板透過率及び偏光率とも優れており、好ましい。
<<偏光膜の製造方法>>
偏光膜は、バインダーを偏光膜の長手方向(MD方向)に延伸した後に、ヨウ素、二色性染料で染色することが好ましい。
延伸法の場合、延伸倍率は、2.5〜30.0倍が好ましく、3.0〜10.0倍が更に好ましい。延伸は、空気中でのドライ延伸で実施できる。
また、水に浸漬した状態でのウェット延伸を実施してもよい。ドライ延伸の延伸倍率は、2.5〜5.0倍が好ましく、ウェット延伸の延伸倍率は、3.0〜10.0倍が好ましい。
延伸工程は、数回に分けて行ってもよい。数回に分けることによって、高倍率延伸でもより均一に延伸することができる。
延伸前に、横あるいは縦に若干の延伸(幅方向の収縮を防止する程度)を行ってもよい。延伸は、二軸延伸におけるテンター延伸を左右異なる工程で行うことによって実施できる。上記二軸延伸は、通常のフィルム製膜において行われている延伸方法と同様である。
偏光膜の両面には、保護フィルムを配置するのが好ましく、一方の面の保護フィルムとして、本発明のロール状光学補償フィルムの一部を用いるのが好ましい。
例えば、保護フィルム/偏光膜/支持体/光学異方性層、保護フィルム/偏光膜/支持体/配向膜/光学異方性層の順に積層された積層体が好ましい。
但し、この構成に限定されず、偏光膜と光学異方性層の表面側とを貼りあわせてもよい。貼り合せには接着剤を用いてもよく、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂(アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基による変性ポリビニルアルコールを含む)やホウ素化合物水溶液を接着剤として用いることができる。これらの中でも、ポリビニルアルコール系樹脂が好ましい。
接着剤層の厚みは、乾燥後に0.01〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05〜5μmの範囲にあることが特に好ましい。
また、本発明の偏光板を液晶表示装置に用いる場合、視認側表面に反射防止層を設置するのが好ましく、該反射防止層を偏光膜の視認側の保護層と兼用してもよい。
液晶表示装置の視角による色味変化抑制の観点から、反射防止層の内部ヘイズを50%以上にすることが好ましい。これら好ましい具体例としては、特開2001−33783号公報、特開2001−343646号公報、及び特開2002−328228号公報に記載がある。
液晶表示装置のコントラスト比を高めるためには、偏光子(偏光膜)の透過率は高い方が好ましく、偏光度も高い方が好ましい。
本発明の偏光子の透過率は、波長550nmの光において、30〜50%の範囲にあることが好ましく、35〜50%の範囲にあることが更に好ましく、40〜50%の範囲にあることが特に好ましい。
偏光度は、波長550nmの光において、90〜100%の範囲にあることが好ましく、95〜100%の範囲にあることが更に好ましく、99〜100%の範囲にあることが特に好ましい。
(液晶表示装置)
本発明の光学補償フィルム、又は該光学補償フィルムを用いた偏光板は、複屈折モードの液晶表示装置、特にOCB方式の液晶表示装置、HAN方式の液晶表示装置、及びECB型反射型液晶表示装置、等、光学補償フィルムが装着されないと黒/白表示が困難な液晶表示装置に有利に用いられる。
透過型液晶表示装置は、液晶セル及びその両側に配置された二枚の偏光板からなる。液晶セルは、二枚の電極基板の間に液晶を担持している。
光学補償フィルムは、液晶セルと一方の偏光板との間に、一枚配置するか、あるいは液晶セルと双方の偏光板との間に二枚配置する。
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置であり、米国特許4583825号明細書、及び米国特許5410422号明細書に開示されている。棒状液晶分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。
そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶モードとも呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速いとの利点がある。
なお、このOCBモードの場合、静止画像の表示特性と応答速度に優れた表示装置を得るためには、液晶セルの液晶層の厚みdと液晶の屈折率異方性Δnの積であるΔndが500〜800nmの範囲にあることが好ましい。
また、OCB方式は、高速応答駆動が可能なため、フィールドシーケンシャル駆動方式と組み合わせることが好ましい。
HANモードの液晶セルは、OCBモードの液晶セルを半分にしたような棒状液晶分子が液晶セルの上部でホメオトロピック配向し、下部でホモジニアス配向しており、全体としてはハイブリット配向した配向様式であり、反射型液晶表示装置に好ましく適用される。
なお、このHANモードの場合、液晶セルの液晶層の厚みdと液晶の屈折率異方性Δnの積であるΔndが250〜400nmの範囲にあることが好ましい。
ECBモードの液晶セルは、棒状液晶分子を液晶セルの上部と下部で実質的に同じ方向に配向させる水平配向モードの液晶セルを用いた、最も古くから知られている構成の液晶表示装置である。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
(光学補償フィルム(KH−1)の作製)
<支持体(PK−1)の作製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
[セルロースアセテート溶液組成]
・酢化度60.9%のセルロースアセテート・・・・・・・・・・・・・・100質量部
・トリフェニルホスフェート(可塑剤)・・・・・・・・・・・・・・・・7.8質量部
・ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤)・・・・・・・・・・・・3.9質量部
・メチレンクロライド(第1溶媒)・・・・・・・・・・・・・・・・・・300質量部
・メタノール(第2溶媒)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45質量部
・染料(住化ファインケム(株)製 360FP)・・・・・・・・0.0009質量部
別のミキシングタンクに、下記一般式(5)に示すレターデーション上昇剤16質量部、メチレンクロライド80質量部及びメタノール20質量部を投入し、加熱しながら攪拌して、レターデーション上昇剤溶液を調製した。
上記組成のセルロースアセテート溶液464質量部に、レターデーション上昇剤溶液36質量部、及びシリカ微粒子(アイロジル製 R972)1.1質量部を混合し、充分に攪拌してドープを調製した。
レターデーション上昇剤の添加量は、セルロースアセテート100質量部に対して、7.5質量部であった。また、シリカ微粒子の添加量は、セルロースアセテート100質量部に対して、0.15質量部であった。
得られたドープを、幅2mで長さ65mの長さのバンドを有する流延機を用いて流延した。バンド上での膜面温度が40℃となってから、1分乾燥し、剥ぎ取った後、140℃の乾燥風で、テンターを用いて幅方向に28%延伸した。
この後、135℃の乾燥風で20分間乾燥し、残留溶剤量が0.3質量%の支持体(PK−1)を製造した。
得られた支持体(PK−1)の幅は1,340mmであり、厚さは88μmであった。
また、エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、波長550nmにおけるレターデーション値(Re)を測定したところ、39nmであった。また、波長550nmにおけるレターデーション値(Rth)を測定したところ、190nmであった。
また、同様に波長450nm、及び650nmにおけるレターデーション値(Re)を測定したところ、それぞれ、40nm、及び38nmであった。
また、波長450nm、及び650nmにおけるレターデーション値(Rth)を測定したところ、それぞれ、193nm、及び185nmであった。これらの結果を表1に示す。
作製した支持体(PK−1)のバンド面側に、1.0Nの水酸化カリウム溶液(溶媒:水/イソプロピルアルコール/プロピレングリコール=69.2質量部/15質量部/15.8質量部)を10mL/m塗布し、約40℃の状態で30秒間保持した後、アルカリ液を掻き取り、純水で水洗し、エアーナイフで水滴を削除した。
その後、100℃で15秒間乾燥した。この支持体(PK−1)の純水に対する接触角を求めたところ、42°であった。
<<配向膜の作製>>
この支持体(PK−1)上(アルカリ処理面)に、下記の組成の配向膜塗布液を#16のワイヤーバーコーターで28mL/m塗布した。60℃の温風で60秒、更に90℃の温風で150秒乾燥し、配向膜を作製した。
[配向膜塗布液組成]
・下記一般式(6)に示す変性ポリビニルアルコール・・・・・・・・・・・10質量部
・水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・371質量部
・メタノール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・119質量部
・グルタルアルデヒド(架橋剤)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.5質量部
・クエン酸エステル(三協化学(株)製 AS3)・・・・・・・・・・0.35質量部
<<ラビング処理>>
支持体(PK−1)を速度20m/分で搬送し、長手方向に対して45°にラビング処理されるようにラビングロール(300mm直径)を設定し、650rpmで回転させて、支持体(PK−1)の配向膜設置表面にラビング処理を施した。ラビングロールと支持体(PK−1)との接触長さは、18mmとなるように設定した。
<光学異方性層の形成>
前記配向膜上に、下記一般式(7)に示すディスコティック液晶性化合物41.01kg、エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)4.06kg、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)0.45kg、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)1.35kg、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.45kgを102kgのメチルエチルケトンに溶解した塗布液に、フルオロ脂肪族基含有共重合体(メガファックF780 大日本インキ(株)製)を0.1kg加え、#3.4のワイヤーバーを391回転でフィルムの搬送方向と同じ方向に回転させて、20m/分で搬送されている支持体(PK−1)の配向膜面に連続的に塗布して、光学異方性層(ディスコティック液晶化合物層)を形成した。
室温から100℃に連続的に加温する工程で、溶媒を乾燥させ、その後、130℃の乾燥ゾ−ンでディスコティック液晶化合物層の膜面風速が、2.5m/secとなるように、約90秒間加熱し、ディスコティック液晶化合物を配向させた。
次に、80℃の乾燥ゾ−ンに搬送させて、フィルムの表面温度が約100℃の状態で、紫外線照射装置(紫外線ランプ:出力160W/cm、発光長1.6m)により、照度600mWの紫外線を4秒間照射し、架橋反応を進行させて、ディスコティック液晶化合物をその配向に固定した。
その後、室温まで放冷し、円筒状に巻き取ってロール状の形態にした。このようにして、ロール状光学補償フィルム(KH−1)を作製した。
ディスコティック液晶化合物層の膜面温度は、127℃であり、この温度での該層の粘度は、695cpであった。粘度は該層と同じ組成比の液晶層(溶媒は除く)を加熱型のE型粘度系で測定した。
作製したロール状光学補償フィルム(KH−1)の一部を切り取り、サンプルとして用いて、光学特性を測定した。波長546nmで測定した光学補償フィルム(KH−1)のReレターデーション値は、Re(0°)が34.0nm、Re(40°)が50.3nm、Re(−40°)が116.3nmであった。結果を表1に示す。
また、光学異方性層中のディスコティック液晶化合物の円盤面と、支持体面との角度(傾斜角)は、層の深さ方向で連続的に変化し、平均で32゜であった。
更に、サンプルから光学異方性層のみを剥離し、光学異方性層の分子対称軸の平均方向を測定したところ、光学補償フィルム(KH−1)の長手方向に対して、45°となっていた。
また、液晶化合物層の配向性を1対の偏光子(グラントンプソンプリズム)間で測定した。各光学要素の配置は、出射光側から観察して、入射側偏光板の透過軸を90°、透明支持体の遅相軸を20°、液晶化合物層の遅相軸を155°に配置し、出射光側の偏光子を182度としたときに、透過率は最小となり、0.0046となった。
更に、偏光板をクロスニコル配置とし、得られた光学補償フィルムのムラを観察したところ、正面、及び法線から60°まで傾けた方向から見ても、ムラは検出されなかった。
(実施例2)
(光学補償フィルム(KH−2)の作製)
<支持体(PK−2)の作製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
[素材・溶剤組成]
・セルロースアセテート(置換度2.81、酢化度60.2%)・・・・・100質量部
・トリフェニルホスフェート(可塑剤)・・・・・・・・・・・・・・・・6.5質量部
・ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤)・・・・・・・・・・・・5.2質量部
・メチレンクロライド(第1溶媒)・・・・・・・・・・・・・・・・・・500質量部
・メタノール(第2溶媒)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・80質量部
・下記一般式(8)に示すレターデーション上昇剤・・・・・・・・・・・3.5質量部
得られたドープを、幅2mで長さ65mの長さのバンドを有する流延機を用いて流延した。バンド上での膜面温度が40℃となってから1分乾燥し、剥ぎ取った後、更に135℃の乾燥風で20分乾燥してタックフィルムを得た。その後、このタックフィルムを185℃の温度条件下で、120%に1軸延伸して、支持体(PK−2)を作製した。作製した支持体(PK−2)の厚さは88μmであった。
また、エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、25℃、55%RHの環境下で2時間調湿した後の波長550nmにおけるレターデーション値(Re)を測定したところ、40.0nmであった。
また、波長550nmにおけるレターデーション値(Rth)を測定したところ、190.0nmであった。
また、同様に波長450nm、及び650nmにおけるレターデーション値(Re)を測定したところ、それぞれ、28nm、及び52nmであった。
また、波長450nm、及び650nmにおけるレターデーション値(Rth)を測定したところ、それぞれ、203nm、及び183nmであった。結果を表1に示す。
作製した支持体(PK−2)のバンド面側に、1.0Nの水酸化カリウム溶液(溶媒:水/イソプロピルアルコール/プロピレングリコール=69.2質量部/15質量部/15.8質量部)を10mL/m塗布し、約40℃の状態で30秒間保持した後、アルカリ液を掻き取り、純水で水洗し、エアーナイフで水滴を削除した。その後、100℃で15秒間乾燥した。この支持体(PK−2)の純水に対する接触角を求めたところ、42°であった。支持体(PK−2)における、これらの結果を表1に示す。
<配向膜の作製>
この支持体(PK−2)上に、下記の組成の配向膜塗布液を#16のワイヤーバーコーターで28mL/m塗布した。60℃の温風で60秒、更に90℃の温風で150秒乾燥し、配向膜を作製した。
[配向膜塗布液組成]
・上記一般式(6)に示す変性ポリビニルアルコール・・・・・・・・・・・10質量部
・水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・371質量部
・メタノール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・119質量部
・グルタルアルデヒド(架橋剤)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.5質量部
・クエン酸エステル(三協化学(株)製 AS3)・・・・・・・・・・0.35質量部
25℃で60秒間、60℃の温風で60秒間、更に90℃の温風で150秒間乾燥した。乾燥後の配向膜の厚さは1.1μmであった。
また、配向膜の表面粗さを原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope、SPI3800N、セイコーインスツルメンツ(株)製)にて測定したところ、1.147nmであった。
<<ラビング処理>>
支持体(PK−2)を、速度20m/分で搬送し、長手方向に対して45°にラビング処理されるようにラビングロール(300mm直径)を設定し、650rpmで回転させて、支持体(PK−2)の配向膜設置表面にラビング処理を施した。なお、ラビングロールと支持体(PK−2)の接触長さは、18mmとなるように設定した。
<光学異方性層の形成>
配向膜上に、上記一般式(7)に示すディスコティック液晶性化合物41.01kg、エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)4.06kg、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)0.23kg、セルロースアセテートブチレート(CAB551−0.2、イーストマンケミカル社製)0.14kg、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)1.35kg、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.45kgを102kgのメチルエチルケトンに溶解した塗布液に、フルオロ脂肪族基含有共重合体(メガファックF780 大日本インキ(株)製)0.1kgを加え、#3.6のワイヤーバーを391回転でフィルムの搬送方向と同じ方向に回転させて、20m/分で搬送されている支持体(PK−1)の配向膜面に連続的に塗布して、光学異方性層(ディスコティック液晶化合物層)を形成した。
室温から100℃に連続的に加温する工程で、溶媒を乾燥させ、その後、130℃の乾燥ゾーンでディスコティック液晶化合物層の膜面風速が、2.5m/secとなるように、約90秒間加熱し、ディスコティック液晶化合物を配向させた。
次に、80℃の乾燥ゾーンに搬送させて、フィルムの表面温度が約100℃の状態で、紫外線照射装置(紫外線ランプ:出力160W/cm、発光長1.6m)により、照度600mWの紫外線を4秒間照射し、架橋反応を進行させて、ディスコティック液晶化合物をその配向に固定した。
その後、室温まで放冷し、円筒状に巻き取ってロール状の形態にした。このようにして、ロール状光学補償フィルム(KH−2)を作製した。
ディスコティック液晶化合物層の膜面温度は、127℃であり、この温度での該層の粘度は、695cpであった。粘度は該層と同じ組成比の液晶層(溶媒は除く)を加熱型のE型粘度系で測定した。
作製したロール状光学補償フィルム(KH−2)の一部を切り取り、サンプルとして用いて、光学特性を測定した。波長546nmで測定した光学補償フィルム(KH−2)のReレターデーション値は、Re(0°)が40.3nm、Re(40°)が46.1nm、Re(−40°)が129.1nmであった。結果を表1に示す。
また、光学異方性層中のディスコティック液晶化合物の円盤面と、支持体面との角度(傾斜角)は、層の深さ方向で連続的に変化し、平均で32°であった。
更に、サンプルから光学異方性層のみを剥離し、光学異方性層の分子対称軸の平均方向を測定したところ、光学補償フィルム(KH−2)の長手方向に対して、45°となっていた。
また、液晶化合物層の配向性を1対の偏光子(グラントンプソンプリズム)間で測定した。各光学要素の配置は、出射光側から観察して、入射側偏光板の透過軸を90°、透明支持体の遅相軸を20°、液晶化合物層の遅相軸を155°に配置し、出射光側の偏光子を182度としたときに、透過率は最小となり、0.0030となった。
更に、偏光板をクロスニコル配置とし、得られた光学補償フィルムのムラを観察したところ、正面、及び法線から60°まで傾けた方向から見ても、ムラは検出されなかった。
(比較例1)
<支持体(PK−H1)の作製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
[セルロースアセテート溶液組成]
・酢化度60.9%のセルロースアセテート・・・・・・・・・・・・・・100質量部
・トリフェニルホスフェート(可塑剤)・・・・・・・・・・・・・・・・7.8質量部
・ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤)・・・・・・・・・・・・3.9質量部
・メチレンクロライド(第1溶媒)・・・・・・・・・・・・・・・・・・300質量部
・メタノール(第2溶媒)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45質量部
・染料(住化ファインケム(株)製 360FP)・・・・・・・・0.0009質量部
別のミキシングタンクに、上記一般式(5)に示すレターデーション上昇剤16質量部、メチレンクロライド80質量部、及びメタノール20質量部を投入し、加熱しながら攪拌して、レターデーション上昇剤溶液を調製した。
上記組成のセルロースアセテート溶液464質量部に、レターデーション上昇剤溶液36質量部、及びシリカ微粒子(アイロジル製 R972)1.1質量部を混合し、充分に攪拌してドープを調製した。レターデーション上昇剤の添加量は、セルロースアセテート100質量部に対して、5.0質量部であった。また、シリカ微粒子の添加量は、セルロースアセテート100質量部に対して、0.15質量部であった。
得られたドープを、幅2mで長さ65mの長さのバンドを有する流延機を用いて流延した。バンド上での膜面温度が40℃となってから、1分乾燥し、剥ぎ取った後、140℃の乾燥風で、テンターを用いて幅方向に28%延伸した。
この後、135℃の乾燥風で20分間乾燥し、残留溶剤量が0.3質量%の支持体(PK−H1)を製造した。
得られた支持体(PK−H1)の幅は1340mmであり、厚さは92μmであった。また、エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、波長550nmにおけるレターデーション値(Re)を測定したところ、38nmであった。
また、波長550nmにおけるレターデーション値(Rth)を測定したところ、175nmであった。
また、同様に波長450nm、及び650nmにおけるレターデーション値(Re)を測定したところ、それぞれ、39nm、及び38nmであった。
また、波長450nm、及び650nmにおけるレターデーション値(Rth)を測定したところ、それぞれ、176nm、及び173nmであった。これらの結果を表1に示す。
作製した支持体(PK−1)のバンド面側に、1.0Nの水酸化カリウム溶液(溶媒:水/イソプロピルアルコール/プロピレングリコール=69.2質量部/15質量部/15.8質量部)を10mL/m塗布し、約40℃の状態で30秒間保持した後、アルカリ液を掻き取り、純水で水洗し、エアーナイフで水滴を削除した。その後、100℃で15秒間乾燥した。このPK−H1の純水に対する接触角を求めたところ、42°であった。これらの結果を表1に示す。
<配向膜の作製>
この支持体(PK−H1)上(アルカリ処理面)に、下記の組成の配向膜塗布液を#16のワイヤーバーコーターで28mL/m塗布した。60℃の温風で60秒、更に90℃の温風で150秒乾燥し、配向膜を作製した。
[配向膜塗布液組成]
・上記一般式(6)に示す変性ポリビニルアルコール・・・・・・・・・・10質量部
・水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・371質量部
・メタノール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・119質量部
・グルタルアルデヒド(架橋剤)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.5質量部
・クエン酸エステル(三協化学(株)製 AS3)・・・・・・・・・・0.35質量部
<<ラビング処理>>
支持体(PK−H1)を速度20m/分で搬送し、長手方向に対して45°にラビング処理されるようにラビングロール(300mm直径)を設定し、650rpmで回転させて、支持体(PK−H1)の配向膜設置表面にラビング処理を施した。なお、ラビングロールと支持体(PK−H1)の接触長さは、18mmとなるように設定した。
<光学異方性層の形成>
配向膜上に、上記一般式(7)に示すディスコティック液晶性化合物41.01kg、エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)4.06kg、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)0.45kg、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)1.35kg、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.45kgを102kgのメチルエチルケトンに溶解した塗布液に、フルオロ脂肪族基含有共重合体(メガファックF780 大日本インキ(株)製)0.1kgを加え、#3.0のワイヤーバーを391回転でフィルムの搬送方向と同じ方向に回転させて、20m/分で搬送されている支持体(PK−H1)の配向膜面に連続的に塗布して、光学異方性層(ディスコティック液晶化合物層)を形成した。
室温から100℃に連続的に加温する工程で、溶媒を乾燥させ、その後、130℃の乾燥ゾーンでディスコティック液晶化合物層の膜面風速が、2.5m/secとなるように、約90秒間加熱し、ディスコティック液晶化合物を配向させた。
次に、80℃の乾燥ゾーンに搬送させて、フィルムの表面温度が約100℃の状態で、紫外線照射装置(紫外線ランプ:出力160W/cm、発光長1.6m)により、照度600mWの紫外線を4秒間照射し、架橋反応を進行させて、ディスコティック液晶化合物をその配向に固定した。
その後、室温まで放冷し、円筒状に巻き取ってロール状の形態にした。このようにして、ロール状光学補償フィルム(KH−H1)を作製した。
ディスコティック液晶化合物層の膜面温度は、127℃であり、この温度での該層の粘度は、695cpであった。粘度は該層と同じ組成比の液晶層(溶媒は除く)を加熱型のE型粘度系で測定した。
作製したロール状光学補償フィルム(KH−H1)の一部を切り取り、サンプルとして用いて、光学特性を測定した。波長546nmで測定した光学補償フィルム(KH−H1)のReレターデーション値は、Re(0°)が30.5nm、Re(40°)が44.5nm、Re(−40°)が107.5nmであった。結果を表1に示す。
また、光学異方性層中のディスコティック液晶化合物の円盤面と支持体面との角度(傾斜角)は、層の深さ方向で連続的に変化し、平均で32゜であった。
更に、サンプルから光学異方性層のみを剥離し、光学異方性層の分子対称軸の平均方向を測定したところ、光学補償フィルム(KH−H1)の長手方向に対して、45°となっていた。
また、液晶化合物層の配向性を1対の偏光子(グラントンプソンプリズム)間で測定した。各光学要素の配置は、出射光側から観察して、入射側偏光板の透過軸を90°、透明支持体の遅相軸を20°、液晶化合物層の遅相軸を155°に配置し、出射光側の偏光子を182度としたときに、透過率は最小となり、0.0033となった。
更に、偏光板をクロスニコル配置とし、得られた光学補償フィルムのムラを観察したところ、正面、及び法線から60°まで傾けた方向から見ても、ムラは検出されなかった。
(比較例2−1)
<支持体の作製>
実施例1で作製したセルロースアセテート溶液に、実施例1で作製したレターデーション上昇剤溶液を混合し、充分に攪拌してドープを調製した。レターデーション上昇剤の添加量は、セルロースアセテート100質量部に対して、7.5質量部であった。
得られたドープを、実施例1と同様にバンド流延機を用いて流延し、延伸倍率を20%とする以外は、実施例1と同様にして、残留溶剤量が0.3質量%の支持体(PK−H2−1)を製造した。
得られた支持体(PK−H2−1)の幅は1,500mmであり、厚さは、95μmであった。
また、エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、波長550nmにおけるレターデーション値(Re)を測定したところ、35nmであった。また、波長550nmにおけるレターデーション値(Rth)を測定したところ、200nmであった。
また、同様に波長450nm、及び650nmにおけるレターデーション値(Re)を測定したところ、それぞれ、38nm、及び33nmであった。
また、波長450nm、及び650nmにおけるレターデーション値(Rth)を測定したところ、それぞれ、209nm、及び192nmであった。これらの結果を表1に示す。
支持体(PK−H2−1)を、2.0Nの水酸化カリウム溶液(25℃)に2分間浸漬した後、硫酸で中和し、純水で水洗、乾燥した。支持体(PK−H2−1)の表面エネルギーを接触角法により求めたところ、63mN/mであった。支持体(PK−H2−1)におけるA1値、及びA2値とともに、これらの結果を表1に示す。
<配向膜の形成>
作製した支持体(PK−H2−1)上に、下記の組成の塗布液を#16のワイヤーバーコーターで28mL/m塗布した。60℃の温風で60秒、更に90℃の温風で150秒乾燥した。
[配向膜塗布液組成]
・上記一般式(6)に示す変性ポリビニルアルコール・・・・・・・・・・・10質量部
・水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・371質量部
・メタノール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・119質量部
・グルタルアルデヒド(架橋剤)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.5質量部
支持体(PK−H2−1)を速度20m/分で搬送し、長手方向に対して、ラビング方向が45°になるように設定したラビングロール(300mm直径)を450rpmで回転させて、支持体(PK−H2−1)の配向膜設置表面にラビング処理を施した。
<光学異方性層の形成>
配向膜上に、実施例1のディスコティック液晶性化合物41.01kg、エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)4.06kg、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)0.68kg、光重合開始剤(イルガキュア−907、チバガイギ−社製)1.35kg、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.45kg、クエン酸エステル0.45kg(三協化学製 AS3)を、98kgのメチルエチルケトンに溶解した塗布液に、フルオロ脂肪族基含有共重合体(P−29)0.1kgを加え、#3.8のワイヤーバーを391回転でフィルムの搬送方向と同じ方向に回転させて、20m/分で搬送されている支持体(PK−H2−1)の配向膜面に連続的に塗布して、光学異方性層(ディスコティック液晶化合物層)を形成した。
室温から100℃に連続的に加温する工程で、溶媒を乾燥させ、その後、135℃の乾燥ゾーンでディスコティック液晶性化合物層にあたる風速が1.5m/secとなるように約90秒間加熱し、ディスコティック液晶性化合物を配向させた。
次に、80℃の乾燥ゾーンに搬送させて、フィルムの表面温度が約100℃の状態で、紫外線照射装置(紫外線ランプ:出力160W/cm、発光長1.6m)により、照度600mWの紫外線を4秒間照射し、架橋反応を進行させ、ディスコティック液晶化合物をその配向に固定した。
その後、室温まで放冷し、円筒状に巻き取ってロール状の形態にした。このようにして、ロール状光学補償フィルム(KH−H2−1)を作製した。
ディスコティック液晶化合物層の膜面温度は、131℃であり、この温度での該層の粘度は、600cpであった。粘度は該層と同じ組成比の液晶層(溶媒は除く)を加熱型のE型粘度系で測定した。
作製したロール状光学補償フィルム(KH−H2−1)の一部を切り取り、サンプルとして用いて、光学特性を測定した。
波長546nmで測定した光学補償フィルム(KH−H2−1)のReレターデーション値は、Re(0°)が43.5nm、Re(40°)が46.5nm、Re(−40°)が118.6nmであった。結果を表1に示す。
また、光学異方性層中のディスコティック液晶化合物の円盤面と支持体面と角度(傾斜角)は、層の深さ方向で連続的に変化し、平均で33°であった。
更に、サンプルから光学異方性層のみを剥離し、光学異方性層の分子対称軸の平均方向を測定したところ、光学補償フィルム(KH−H2−1)の長手方向に対して、45.5°となっていた。
また、液晶化合物層の配向性を1対の偏光子(グラントンプソンプリズム)間で測定した。各光学要素の配置は、出射光側から観察して、入射側偏光板の透過軸を90°、透明支持体の遅相軸を20°、液晶化合物層の遅相軸を155°に配置し、出射光側の偏光子を181度としたときに、透過率は最小となり、0.0043となった。
偏光板をクロスニコル配置とし、得られた光学補償フィルムのムラを観察したところ、正面、及び法線から60°まで傾けた方向から見ても、ムラは検出されなかった。
(比較例2−2)
<支持体の作製>
本比較例では実施例2で作製した支持体(PK−2)をそのまま用いた
支持体(PK−2)を、2.0Nの水酸化カリウム溶液(25℃)に2分間浸漬した後、硫酸で中和し、純水で水洗、乾燥した。支持体の表面エネルギーを接触角法により求めたところ、63mN/mであった。
<配向膜の形成>
作製した支持体上に、下記の組成の塗布液を#16のワイヤーバーコーターで28mL/m塗布した。60℃の温風で60秒、更に90℃の温風で150秒乾燥した。
[配向膜塗布液組成]
・上記一般式(6)に示す変性ポリビニルアルコール・・・・・・・・・・・10質量部
・水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・371質量部
・メタノール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・119質量部
・グルタルアルデヒド(架橋剤)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.5質量部
支持体を速度20m/分で搬送し、長手方向に対して、ラビング方向が45°になるように設定したラビングロール(300mm直径)を450rpmで回転させて、支持体の配向膜設置表面にラビング処理を施した。
<光学異方性層の形成>
配向膜上に、実施例1のディスコティック液晶性化合物41.01kg、エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)4.06kg、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)0.45kg、光重合開始剤(イルガキュア−907、チバガイギ−社製)1.35kg、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.45kg、クエン酸エステル0.45kg(三協化学製 AS3)を、98kgのメチルエチルケトンに溶解した塗布液に、フルオロ脂肪族基含有共重合体(P−29)0.1kgを加え、#3.6ワイヤーバーを391回転でフィルムの搬送方向と同じ方向に回転させて、20m/分で搬送されている支持体の配向膜面に連続的に塗布して、光学異方性層(ディスコティック液晶化合物層)を形成した。
室温から100℃に連続的に加温する工程で、溶媒を乾燥させ、その後、130℃の乾燥ゾーンでディスコティック液晶性化合物層にあたる風速が2.0m/secとなるように約90秒間加熱し、ディスコティック液晶性化合物を配向させた。
次に、80℃の乾燥ゾーンに搬送させて、フィルムの表面温度が約100℃の状態で、紫外線照射装置(紫外線ランプ:出力160W/cm、発光長1.6m)により、照度600mWの紫外線を4秒間照射し、架橋反応を進行させ、ディスコティック液晶化合物をその配向に固定した。
その後、室温まで放冷し、円筒状に巻き取ってロール状の形態にした。このようにして、ロール状光学補償フィルム(KH−H2−2)を作製した。
ディスコティック液晶化合物層の膜面温度は、127℃であり、この温度での該層の粘度は、695cpであった。粘度は該層と同じ組成比の液晶層(溶媒は除く)を加熱型のE型粘度系で測定した。
作製したロール状光学補償フィルム(KH−H2−2)の一部を切り取り、サンプルとして用いて、光学特性を測定した。
波長546nmで測定した光学補償フィルム(KH−H2−2)のReレターデーション値は、Re(0°)が39.0nm、Re(40°)が45.1nm、Re(−40°)が142.0nmであった。結果を表1に示す。
また、光学異方性層中のディスコティック液晶化合物の円盤面と支持体面と角度(傾斜角)は、層の深さ方向で連続的に変化し、平均で33°であった。
更に、サンプルから光学異方性層のみを剥離し、光学異方性層の分子対称軸の平均方向を測定したところ、光学補償フィルム(KH−H2−2)の長手方向に対して、45.5°となっていた。
また、液晶化合物層の配向性を1対の偏光子(グラントンプソンプリズム)間で測定した。各光学要素の配置は、出射光側から観察して、入射側偏光板の透過軸を90°、透明支持体の遅相軸を20°、液晶化合物層の遅相軸を155°に配置し、出射光側の偏光子を181度としたときに、透過率は最小となり、0.0043となった。
偏光板をクロスニコル配置とし、得られた光学補償フィルムのムラを観察したところ、正面、及び法線から60°まで傾けた方向から見ても、ムラは検出されなかった。
(実施例3)
<偏光板(HB−1A)の作製>
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光子(HF−1)を作製し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、KH−1(光学補償フィルム)を支持体(PK−1)面で偏光子(HF−1)の一方の面に貼り付けた。
また、厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(TD−80U:富士写真フイルム(株)製)に鹸化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光子(HF−1)の他方の面に貼り付けた。
なお、偏光子(HF−1)の長手方向と、支持体(PK−1)の長手方向と、更には、市販のトリアセチルセルロースフィルムの長手方向とが全て平行になるように配置した。このようにして、偏光板(HB−1A)を作製した。
(実施例4)
<偏光板(HB−1B)の作製>
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光子(HF−1)を作製し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、KH−1(光学補償フィルム)を支持体(PK−1)面で偏光子(HF−1)の一方の面に貼り付けた。
また、反射防止機能付きフィルム(CVフィルム クリアビューUA:富士写真フイルム(株)製)に鹸化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光子(HF−1)の他方の面に貼り付けた。
なお、偏光子(HF−1)の長手方向と、支持体(PK−1)の長手方向と、更には、市販のトリアセチルセルロースフィルムの長手方向とが全て平行になるように配置した。このようにして偏光板(HB−1B)を作製した。
(実施例5)
<偏光板(HB−2)の作製>
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光子(HF−1)を作製し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、光学補償フィルム(KH−2)を支持体(PK−2)面で偏光子(HF−1)の一方の面に貼り付けた。
また、厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(TD−80U:富士写真フイルム(株)製)に鹸化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光子(HF−1)の他方の面に貼り付けた。
なお、偏光子(HF−1)の長手方向と、支持体(PK−2)の長手方向と、更には、市販のトリアセチルセルロースフィルムの長手方向とが全て平行になるように配置した。このようにして、偏光板(HB−2)を作製した。
(比較例3)
<偏光板(HB−H1)の作製>
光学補償フィルム(KH−H1)を用いた以外は、実施例3と同様にして、偏光板(HB−H1)を作製した。
(比較例4)
<偏光板(HB−H2)の作製>
光学補償フィルム(KH−H2)を用いた以外は、実施例3と同様にして、偏光板(HB−H2)を作製した。
(実施例6)
<ベンド配向液晶セルの作製>
ITO電極付きのガラス基板に、ポリイミド膜を配向膜として設け、配向膜にラビング処理を行った。得られた二枚のガラス基板をラビング方向が平行となる配置で向かい合わせ、セルギャップを4.5μmに設定した。
Δnが0.1396の液晶性化合物(ZLI1132、メルク社製)を前記セルギャップに注入し、ベンド配向の液晶セルを作製した。したがって、この液晶セルのセルギャップdと液晶の屈折率異方性Δnの積であるΔndは628.2nmである。液晶セルの大きさは20インチであった。
作製したベンド配向液晶セルを挟むように、実施例3、及び実施例4で作製した偏光板(HB−1A)、及び偏光板(HB−1B)をそれぞれ貼り付けた。なお、偏光板の光学異方性層が前記ガラス基板に対面し、前記液晶セルのラビング方向とそれに対面する光学異方性層のラビング方向とが反平行となるように配置した。
前記液晶セルに、55Hzの矩形波電圧を印加した。前記液晶セルは、白表示2V、黒表示5Vのノーマリーホワイトモードとした。透過率の比(白表示/黒表示)をコントラスト比として、測定機(EZ−Contrast160D、ELDIM社製)を用いて、黒表示(L1)から白表示(L8)までの8段階で視野角を測定した。また、正面コントラスト(CR:白表示の輝度/黒表示の輝度)を求めた。また、前記液晶セルの透過率を白表示の輝度/バックライトのみの輝度より求めた。これらの結果を表2に示す。
(比較例5)
<ベンド配向液晶セルの作製>
実施例6において、偏光板を、比較例3で作製した偏光板(HB−H1)に代えた以外は、実施例6と同様にして、液晶表示装置を作製し、視野角の測定を行った。結果を表2に示す。
液晶セルに55Hzの矩形波電圧を印加した。液晶セルは、白表示2V、黒表示5Vのノーマリーホワイトモードとした。正面における透過率が最も小さくなる電圧、すなわち黒電圧を印加し、そのときの方位角0°、極角60°方向視野角における黒表示透過率(%)を求めた。結果を表2に示す。
また、透過率の比(白表示/黒表示)をコントラスト比として、測定機(EZ−Contrast160D、ELDIM社製)を用いて、黒表示(L1)から白表示(L8)までの8段階で視野角を測定した。結果を表3に示す。
<評価>
<<パネルでのムラ評価>>
実施例6の液晶表示装置を全面中間調に調整し、ムラを評価した。どの方向から見てもムラは観察されなかった。
(実施例7)
<ベンド配向液晶セルの作製>
ITO電極付きのガラス基板に、ポリイミド膜を配向膜として設け、配向膜にラビング処理を行った。得られた二枚のガラス基板をラビング方向が平行となる配置で向かい合わせ、セルギャップを5.2μmに設定した。
Δnが0.1396の液晶性化合物(ZLI1132、メルク社製)を前記セルギャップに注入し、ベンド配向液晶セルを作製した。したがって、この液晶セルのセルギャップdと液晶の屈折率異方性Δnの積であるΔndは725.9nmである。なお、液晶セルの大きさは20インチであった。
作製したベンド配向液晶セルを挟むように、実施例5で作製した偏光板(HB−2)を二枚貼り付けた。なお、楕円偏光板の光学異方性層が前記ガラス基板に対面し、液晶セルのラビング方向とそれに対面する光学異方性層のラビング方向とが反平行となるように配置した。
液晶セルに55Hzの矩形波電圧を印加した。液晶セルは、白表示2V、黒表示6Vのノーマリーホワイトモードとした。
また、透過率の比(白表示/黒表示)をコントラスト比として、測定機(EZ−Contrast160D、ELDIM社製)を用いて、黒表示(L1)から白表示(L8)までの8段階で視野角を測定した。結果を表3に示す。
更に、正面における透過率が最も小さくなる電圧すなわち黒電圧を印加し、そのときの方位角0°、極角60°方向視野角における黒表示透過率(%)及び、方位角0°、極角60°と、方位角180°、極角60°との色ずれΔxを求めた。結果を表4に示す。
なお、表4において、「色ずれ」は、方位角0°でのΔCu’v’; u’v’(極角60°)−u’v’(極角0°)と方位角180°でのΔCu’v’; u’v’(極角60°)−u’v’(極角0°)の和を示す。(u’v’:CIELAB空間における色座標)
(比較例6)
<ベンド配向液晶セルの作製>
実施例7において、偏光板を、比較例2−1で作製した偏光板(HB−H2−1)に代えた以外は、実施例7と同様にして、液晶表示装置を作製し、視野角の測定を行った。
液晶セルに55Hzの矩形波電圧を印加した。液晶セルは、白表示2V、黒表示5Vのノーマリーホワイトモードとした。
また、透過率の比(白表示/黒表示)をコントラスト比として、測定機(EZ−Contrast160D、ELDIM社製)を用いて、黒表示(L1)から白表示(L8)までの8段階で視野角を測定した。そして、全方位での階調間にて輝度の反転の有無を調べた。結果を表3に示す。
更に、正面における透過率が最も小さくなる電圧、すなわち黒電圧を印加し、そのときの方位角0°、極角60°方向視野角における黒表示透過率(%)及び、方位角0°、極角60°と、方位角180°、極角60°との色ずれΔxを求めた。結果を表4に示す。
(比較例7)
<ベンド配向液晶セルの作製>
実施例7において、偏光板を、比較例2で作製した偏光板(HB−H2−2)に代えた以外は、実施例7と同様にして、液晶表示装置を作製し、視野角の測定を行った。
液晶セルに55Hzの矩形波電圧を印加した。液晶セルは、白表示2V、黒表示5Vのノーマリーホワイトモードとした。
また、透過率の比(白表示/黒表示)をコントラスト比として、測定機(EZ−Contrast160D、ELDIM社製)を用いて、黒表示(L1)から白表示(L8)までの8段階で視野角を測定した。そして、全方位での階調間にて輝度の反転の有無を調べた。その結果を表3に示す。
更に、正面における透過率が最も小さくなる電圧、すなわち黒電圧を印加し、そのときの方位角0°、極角60°方向視野角における黒表示透過率(%)及び、方位角0°、極角60°と、方位角180°、極角60°との色ずれΔxを求めた。結果を表4に示す。
表2〜4に示すように、実施例7の液晶表示装置は、比較例6の液晶表示装置よりも、優れた光学補償機能を有し、視野角コントラストが著しく改善され、高透過率であることが確認された。
本発明の偏光板は、特にOCBモードや、HANモードにおける黒状態の視角補償をほぼ全ての波長において可能にし、更に環境による表示品位変化を著しく低減させることができ、特に、黒表示時の斜め方向の光抜けが軽減され、視野角コントラストが著しく改善された液晶表示装置に好適に用いることができる。
本発明の液晶表示装置は、液晶セルを光学的に補償し、コントラストの改善、及び視角方向に依存したカラーシフトを軽減でき、携帯電話、パソコン用モニタ、テレビ、液晶プロジェクタなどに好適に使用することができる。

Claims (9)

  1. 長手方向を有し、該長手方向に対して45°をなす方向のうち、面内屈折率が小さくなる方向と、フィルム面の法線とを含む平面内で、
    (1)550nmの光を用いて、前記法線方向から測定したレターデーション値Re(0°)が、37±6nmの範囲にあり、
    (2)550nmの光を用いて、前記法線から前記フィルム面の方向に40°傾いた方向から測定したレターデーション値Re(40°)が、50±6nmの範囲にあり、
    (3)550nmの光を用いて前記法線から逆に40°傾いた方向から測定したレターデーション値Re(−40°)が、124±12nmの範囲にあることを特徴とする光学補償フィルム。
  2. 支持体、及び液晶化合物の配向を固定した光学異方性層を有する請求項1に記載の光学補償フィルム。
  3. 支持体が、面内に遅相軸を有し、その遅相軸と、光学異方性層の面内の遅相軸とが、直交及び平行以外に位置する請求項2に記載の光学補償フィルム。
  4. 支持体は、下記式(1)により定義されるA1値が、0.10〜0.95の範囲を満足し、下記式(2)により定義されるA2値が、1.01〜1.50の範囲を満足する請求項2から3のいずれかに記載の光学補償フィルム。
    ただし、下記式(1)、及び式(2)中、Re(450)は、波長450nmの光に対する前記支持体の面内レターデーション値であり、Re(550)は、波長550nmの光に対する前記支持体の面内レターデーション値であり、Re(650)は、波長650nmの光に対する前記支持体の面内レターデーション値である。
    A1値=Re(450)/Re(550)・・・・・・・・・・・式(1)
    A2値=Re(650)/Re(550)・・・・・・・・・・・式(2)
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の光学補償フィルムと、偏光膜とを貼合する工程を含むことを特徴とする偏光板の製造方法。
  6. ロール形状とした請求項1から4のいずれかに記載の光学補償フィルムと、偏光膜とを、ロールtoロールで貼合する工程を含む請求項5に記載の偏光板の製造方法。
  7. 請求項5から6のいずれかに記載の偏光板の製造方法によって製造されたことを特徴とする偏光板。
  8. 請求項7に記載の偏光板と、配向方式がOCB方式であり、その液晶層の厚みdと液晶の屈折率異方性Δnの積が500から800nmの範囲にある液晶セルを用いたことを特徴とする液晶表示装置。
  9. 請求項7に記載の偏光板と、配向方式がHAN方式であり、その液晶層の厚みdと液晶の屈折率異方性Δnの積が250から400nmの範囲にある液晶セルを用いたことを特徴とする液晶表示装置。
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Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH0540903A (ja) * 1991-08-07 1993-02-19 Canon Inc 磁界発生装置
JP2006083357A (ja) * 2004-09-17 2006-03-30 Fuji Photo Film Co Ltd セルロースアシレートフイルム、光学補償フイルム、偏光板および液晶表示装置

Patent Citations (2)

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