JP2007289941A - 有機性廃水の処理方法及び処理装置 - Google Patents

有機性廃水の処理方法及び処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 有機性廃水を膜分離活性汚泥法により処理する際に生じ易い膜透水性不良や、発泡、スカムの発生、粘性増加などのトラブルを防止ないしは大幅低減させ、廃水処理を安定して長期間継続実施することができる廃水処理方法を提供する。
【解決手段】 膜分離活性汚泥法に於いて、生物反応槽内に存在する汚泥混合液の少なくとも一部を目開き5μm〜100μmの補助ろ過分離手段によりろ過し、ろ過液を生物反応槽外に取り出し、このろ過液に対して、ろ過液に含まれる細菌数を低減させる後処理を実施した後、廃水処理系のいずれかの箇所に返送する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、食品工場などから排出される多糖などを含有する産業廃水や生活排水などの有機性廃水を活性汚泥法または膜分離活性汚泥法により処理するにあたって好適に採用することができる有機性廃水の処理方法及び処理装置に関する。
有機性廃水の処理に適用される膜分離活性汚泥法においては、その処理安定性を損なう様々な不都合な現象が生じ易いことが知られている。例えば、膜の目詰まりによる膜透水性不良や激しい発泡、スカムの発生、さらには粘性増加に伴う曝気効率の悪化や汚泥流動性減少・気泡の抱き込みによる不具合などが挙げられる。
これらの不都合な現象を防止するために、様々な対策が試みられてきた。例えば、従来の活性汚泥法をはじめとする有機性廃水の生物学的処理の分野においては、汚泥減容化や処理水質の向上を目的として微小動物を作用させる処理法がある。例えば、多孔質粒体を投入し、余剰汚泥を処理する微小動物を生育させる方法が提案されている(特許文献1)。この場合、この多孔質粒体に生育する微小動物に余剰汚泥を摂食させ、余剰汚泥の発生を抑制することを目的としている。また、槽構造を多段にして接触材上に生育する微小動物によって汚泥を捕食させ、余剰汚泥の発生を抑制する方法も提案されている(特許文献2)。他には、返送汚泥の一部を水生ミミズに捕食させ余剰汚泥発生を抑制する方法(特許文献3)などが提案されている。
これらの方法はいずれも、微小動物に汚泥一般を捕食させることによって余剰汚泥の発生を抑制することをねらったものである。ここで用いられる微小動物は、細菌などで構成される汚泥を効率よく捕食するのであれば、特に微小動物はいずれでもよいが、通常汚泥は微生物が凝集した浮遊体であるフロックで構成されているため、このフロックなどの凝集物を中心に捕食する微小動物が好適に用いられる。例えば、アブラミミズや線虫、クマムシなどの他、フロックを好んで捕食する一部のワムシなどが挙げられる。しかし、これらの微小動物利用方法は通常の活性汚泥法など従来の有機性廃水処理方法を念頭に余剰汚泥発生抑制や処理水質向上を目的としたものであり、膜分離活性汚泥法において、特にBOD汚泥負荷を0.15kg−BOD/kg−VSS/day未満の条件で運転する膜分離活性汚泥法において、最も大きな課題である膜の目詰まりによる膜透水性不良や激しい発泡、スカムの発生、さらには粘性増加に伴う曝気効率の悪化や汚泥流動性減少などの問題に対しては十分な効果を得ることができない。
一方、膜透水性不良や激しい発泡、スカムの発生、粘性増加に対する対策として、生物由来ポリマーをろ過し取り除く方法が提案されている(特許文献4)。しかしこの方法では、後述するようにトラブルの根本的な原因である細菌を除去できず、単に生物由来ポリマーを除去するのみであり、根本的な解決には至らず非効率的であった。
他方、膜透水性不良や激しい発泡、スカムの発生、粘性増加に対する対策として、凝集剤を生物反応槽に添加する方法も知られている。こうした凝集剤を添加する方法も有用ではあるが、上記トラブルを解決するために必要な凝集剤が多くなりすぎる場合があり、他の問題が生じる場合もあった。
特開平11−10198号公報 特開2005−66595号公報 特開2004−141802号公報 特開2005−40747号公報
本発明は、従来技術における上記問題点を受けてなされたものであって、その目的は、膜分離活性汚泥法にて処理する際に生じ易い膜透水性不良や発泡、スカムの発生、粘性増加などのトラブルを防止ないしは大幅低減させ、廃水処理を安定して長期間継続実施することにある。
上記課題を解決するための本発明は、以下の構成により特定される。すなわち、
(1)有機成分を含有する有機性廃水を生物反応槽に供給し、生物反応槽内で有機性廃水を活性汚泥処理し、かつ生物反応槽内に設置した浸漬型膜分離装置により膜ろ過処理して浄化水を取り出す膜分離活性汚泥処理方法において、生物反応槽内に存在する汚泥混合液の少なくとも一部を目開き5μm〜100μmの補助ろ過分離手段によりろ過し、ろ過液を生物反応槽外に取り出すことを特徴とする有機性廃水の処理方法。
(2)目開き5μm〜100μmの補助ろ過分離手段によりろ過して取り出したろ過液に対して、ろ過液に含まれる細菌数を低減させる後処理を行った後、廃水処理系のいずれかの箇所に返送することを特徴とする上記(1)記載の有機性廃水の処理方法。
(3)活性汚泥処理を多段直列に連結された複数の生物反応槽で行ない、少なくとも最後段槽に浸漬型膜分離装置が設置されている方法の場合であって、補助ろ過分離手段によりろ過して取り出されたろ過液を後処理して得られる後処理液の返送先が、多段直列に連結された複数の生物反応槽のうちの最後段槽以外の槽であることを特徴とする上記(2)記載の有機性廃水の処理方法。
(4)後処理が、微小動物処理により行われることを特徴とする上記(2)または(3)記載の有機性廃水の処理方法。
(5)有機性廃水を活性汚泥により処理する生物反応槽と、生物反応槽内の汚泥混合液を固液分離するために生物反応槽内に設置された分離膜と、生物反応槽内の汚泥混合液の補助ろ過用に設置された目開き5μm〜100μmの補助ろ過分離手段とを備えていることを特徴とする有機性廃水の処理装置。
本発明によれば、膜分離活性汚泥法により有機性廃水を処理する際に、目開き5μm〜100μmの補助ろ過分離手段により汚泥混合液をろ過してろ過液を生物反応槽外に取り出すため、汚泥混合液中に分散して存在するトラブル関与微生物(原核生物やCFBグループ細菌、フレクトバシラス系統群細菌やペドバクター系統群細菌、フレキシバクター・サンクティ系統群細菌)を、分離除去することができ、これらの微生物が関与するトラブルを抑制もしくは防止することができる。
取り出したろ過液を廃水処理系のいずれかの箇所に返送しようとする場合には、その前に、ろ過液に含まれるトラブル関与微生物数を低減させることができる後処理を行って、トラブル原因の微生物や溶解成分を低減させる。このように補助ろ過分離手段により取り出されたろ過液に限定して後処理を行うことによって、トラブルの原因となる成分に絞って処理を行うことができるので、生物反応槽の汚泥そのままに対して処理する場合と比べて処理にかかる薬液量やエネルギーを節減しても十分な処理効果を得られるという利点がある。この後処理手段としてろ過摂食性微小動物を用いれば、その捕食特性から上記課題の原因である分散して存在する細菌を優先的に除去することができる。また、補助ろ過分離手段により取り出されたろ過液はフロックが概ね除去されているため、フロックを主に食する凝集物摂食性微小動物に比べてろ過摂食性微小動物が自然に優占化しているので、より効率的に本発明の効果を得ることができる。
これは、膜分離活性汚泥法により有機性廃水を処理する際に問題となる膜透水性不良や発泡、スカムの発生、粘性増加などのトラブルに関しては、汚泥中に分散して存在するこれらの分散菌が出現することによって生じることが多いので、目開き5μm〜100μmの補助ろ過分離手段により汚泥混合液をろ過して分散菌を含むろ過液を生物反応槽外に取り出すことにより、上記問題の原因である分散菌を優先的に除去することができるからである。つまり、本発明を用いれば、廃水処理に有用なフロックに含まれる微生物には悪影響を与えることなく生物反応槽内に保持することができるため、処理性を良好に維持しながらトラブルを抑制もしくは防止するという格別な効果が得られるのである。
以下、本発明を詳細かつ具体的に説明する。
<活性汚泥法および膜分離活性汚泥法>
活性汚泥法は、活性汚泥などの微生物により廃水中の有機物や窒素・リンなどの汚濁物質の分解・除去を行い、次いで、汚泥混合液を重力沈降により固液分離し、上澄み水を放流する有機性廃水処理方法である。
また、膜分離活性汚泥法とは、活性汚泥などの微生物により廃水中の有機物や窒素・リンなどの汚濁物質の分解・除去を行い、清澄な処理液を得るにあたって膜分離を用いる方法のことをいう。膜分離方式は、浸漬膜方式、外部膜分離方式、回転平膜方式など特に問わない。
<汚泥混合液中に分散して存在する原核生物>
ここで、「汚泥混合液中に分散して存在する」とは、フロック内に存在しないことを指す。フロックとは、活性汚泥中の複数の微生物が細胞外高分子などを介して互いに結合した凝集体で、長径が10μm(ただし、径を規定する際、糸状性細菌はこれに含めない)を越えるものをさす。汚泥混合液中に分散して存在する細菌には、例えば、単独で遊離して生育している細菌や、数個の細菌が連鎖している細菌(双球菌や連鎖球菌)、フロックに結合していない糸状性細菌などが含まれ、光学顕微鏡観察によって確認することができる。
<有機性廃水の処理方法>
本発明の有機性廃水処理方法は、汚泥混合液中に分散して存在する原核生物やCFBグループ細菌、フレクトバシラス系統群細菌やペドバクター系統群細菌、フレキシバクター・サンクティ系統群細菌が関与するトラブルの発生頻度が高いという点で、膜分離活性汚泥法に適用する。
また、本発明においては、有機性廃水が例えば図1に示す膜分離活性汚泥処理装置にて処理され、最終的に得られる清澄液は、河川等にそのまま放流することができる程度にまで有機物が分解処理されている。ここで処理される有機性廃水としては産業廃水や生活排水が挙げられる。汚泥混合液中に分散して存在する原核生物やCFBグループ細菌、フレクトバシラス系統群細菌やペドバクター系統群細菌、フレキシバクター・サンクティ系統群細菌が関与するトラブルの発生頻度が高いという点で、本発明は、多糖などの糖を主成分とする有機性廃水に対してより好適に適用される。これは、糖に対する利用性が比較的高いと思われる上記の細菌群が異常増殖することによるものと推測される。その例としては、食品工場などから排出される産業廃水などが挙げられる。
ここで、「糖を主成分とする有機性廃水」とは、糖の有機炭素量が有機性廃水全体の有機炭素量の5割以上である有機性廃水をいう。その糖の存在形態については、溶存態であるか懸濁態であるかを問わない。糖の有機炭素量は、例えばフェノール硫酸法やアンスロン硫酸法によって測定される糖濃度の値から、糖の組成式がCHOであるとして算出した量とする。
また、本発明法によると、BOD汚泥負荷を下げて運転することによって、余剰汚泥発生量を減らせるという利点がある。しかし、BOD汚泥負荷を下げて運転を行った場合、汚泥混合液中に分散して存在する原核生物やCFBグループ細菌、フレクトバシラス系統群細菌やペドバクター系統群細菌、フレキシバクター・サンクティ系統群細菌などによって、膜透水性不良や発泡、スカムの発生、粘性増加などのトラブルが発生しやすくなる。そこで、余剰汚泥の発生量削減と安定運転とを両立させるためには、BOD汚泥負荷が0.15kg−BOD/kg−VSS/day未満の条件とすることが好適である。BOD汚泥負荷とは、系内に存在する単位汚泥質量あたり1日に投入される汚濁負荷量を生物化学的酸素要求量(BOD)で表した指標であり、その廃水処理系全体の運転特性を表す。
さらにまた、低水温時や負荷変動が激しい場合には上記トラブルの発生頻度が高いので、本発明法の適用が効果的である。
図1に示す処理装置は、微生物を含有する汚泥を収容した生物反応槽1と、その生物反応槽1に原液を供給する原液ポンプ4と、生物処理された処理液を固液分離する膜分離装置2と、固液分離の際に分離液を吸引する吸引ポンプ3と、生物反応槽1内の汚泥混合液中に分散して存在する原核生物やCFBグループ細菌、フレクトバシラス系統群細菌やペドバクター系統群細菌、フレキシバクター・サンクティ系統群細菌の状態を監視する監視手段7とを備えている。膜分離装置2は、生物反応槽1内の処理液に浸漬されており、その膜分離装置2の下方には、酸素を供給し好気処理を進行させるとともに膜面の洗浄を行う、ブロワー6に接続された曝気装置5が設けられている。また、生物反応槽1の下方には、必要に応じて余剰汚泥を引き抜く汚泥引き抜きポンプ12が設置されている。
BOD汚泥負荷を下げた場合と同様に、汚泥滞留時間を長くして運転したり、生物反応槽での汚泥濃度を高くして運転することによって、余剰汚泥発生量を減らせるという利点が得られる。しかし、汚泥滞留時間を長くした運転や高汚泥濃度での運転を行った場合、膜透水性不良や発泡、スカムの発生、粘性増加などのトラブルが発生しやすくなる。そこで、余剰汚泥の発生量削減と安定運転を両立させるためには、汚泥滞留時間が40日以上で運転することが好適であり、300日以上がさらに好適である。
また、汚泥濃度を15g/L以上で運転することが好適であり、20g/L以上がさらに好適である。また同様に、BOD容積負荷については、0.5kg−BOD/m/day以上が好適であり、1.0kg−BOD/m/day以上がさらに好適である。その作用効果については定かではないが、汚泥滞留時間が長くなることや、汚泥濃度が高くなることや、BOD容積負荷が大きくなることにより、それに応じて汚泥混合液中に分散して存在する原核生物やCFBグループ細菌、フレクトバシラス系統群細菌やペドバクター系統群細菌、フレキシバクター・サンクティ系統群細菌の生育に有利な環境となり、微生物叢が変化することが考えられる。
生物反応槽1内には、微生物を含有する汚泥が収容されており、この微生物が、有機物の分解菌として作用し、さらにはそれら微生物の分解菌として作用し、生物処理を行う。また、汚泥に含有される微生物は、細菌類、酵母およびカビを含む真菌類など、有機物などの分解に寄与するもので、土壌、堆肥、汚泥など、自然界から集積培養及び馴養によって取得される。またこの馴養液から分解に関与する主要な微生物群を単離して用いることも可能である。
生物反応槽1内には、その他、微生物の生育に必要な成分が収容されていなければならない。そのため、例えば窒素、リン、カリウム、ナトリウム、マグネシウムその他の金属塩を、原液中に既に含まれている場合を除き、生物反応槽に添加する。
そして、生物反応槽1に設けられている膜分離装置2としては、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜などを用いて作製された膜ろ過モジュールを用いることができる。経済性の観点からは、ろ過速度が高くコンパクト化が可能で、メンテナンスが容易である精密ろ過膜、限外ろ過膜を用いたモジュールが好ましい。膜の形状は平膜、中空糸膜等のものが用いられる。モジュールの形態も特に限定されないが、図1に示す実施態様においては省スペース化のため浸漬型の膜モジュールを使用している。なお、浸漬型の場合は、曝気装置や撹拌装置との組合せ、配置により、ファウリング物質がうまく除去できるような形状であることが好ましい。さらに、膜分離装置2におけるろ過方法としては、クロスフロー方式や全量ろ過方式があるが、クロスフロー方式を採用すれば膜面の汚れを取りながらろ過できる。
<補助ろ過分離手段>
本発明に於いては、目開き5μm〜100μmの補助ろ過分離手段を設置し、生物反応槽1内の汚泥混合液の少なくとも一部をろ過処理し、ろ過液を生物反応槽外に取り出す。これにより、汚泥混合液中に分散して存在する原核生物やCFBグループ細菌、フレクトバシラス系統群細菌やペドバクター系統群細菌、フレキシバクター・サンクティ系統群細菌を、生物反応槽内の汚泥液中に含まれる有用成分のフロックに悪影響を与えることなく、生物反応槽から分離除去することができる。
補助ろ過手段の目開きの大きさについては、生物処理に有用なフロックがろ過液中に混入しないようにするためには、できるだけ目開きは小さい方が好ましい。他方、補助ろ過分離手段のろ過流束を確保する必要性や、生物由来ポリマーだけでなく0.5μmから数μm程度の大きさを有する分散菌も効率よく補助ろ過手段を透過させる必要性の点からは、目開きを大きくする方が好ましい。これらのバランスをとる観点から、目開きの大きさは5μm〜100μmであることが必要であり、10μm〜50μmが好ましく、15μm〜30μmであることがさらに好ましい。この補助ろ過分離手段としては、例えばナイロン製やポリエステル製、ポリプロピレン製などのメッシュクロスを用いることができる。また、ステンレスなどの金属製の金網を用いることもできる。一方、良好なろ過流束を確保する観点から、目開き率は5%以上のものが好ましい。
また、これらの分離手段による分散菌の除去を安定的に行う観点から、補助ろ過分離手段の表面にケーキ層が付着することを防ぐため、必要に応じて補助ろ過手段の下方から曝気を行い、膜面の洗浄を行うことが好ましく、その曝気風量は補助ろ過分離手段の設置面積1平方メートルあたり100L以上であることが好ましい。ケーキ層の付着を防止する目的は、ケーキ層が付着してしまうとダイナミックろ過となってしまい、分散菌が補助ろ過手段を透過しなくなってしまうためである。
さらに、これらの分離手段による分散菌の除去を安定的に行う観点から、補助ろ過分離手段の表面にケーキ層が付着することを防ぐため、必要に応じて次亜塩素酸ソーダ等による薬液洗浄や物理洗浄、逆洗を行い、補助ろ過分離手段のろ過性を良好に維持することも有効である。またコストの面で可能であれば、表面にケーキ層が付着し効率的に分散菌を透過させることができなくなった補助ろ過分離手段は、新しいものと交換することも有効である。
補助ろ過分離手段は、生物反応槽のいずれの位置にも配置することができるが、分散菌による膜ろ過への影響を最小限に抑える必要性から、膜分離装置の設置されている生物反応槽内に設置することが望ましい。
補助ろ過分離手段のろ過流束は、膜表面へのケーキ層付着を防止する観点から、被ろ過汚泥の汚泥濃度にも依存するが、一般に1.0m/日以下で運転することが望ましい。
補助ろ過分離手段のろ過流量としては、十分に分散菌を除去する必要性から、1日あたりのろ過流量が廃水処理系内の槽容量の1/20以上であることが好ましく、1/10以上であることがさらに好ましい。また、同様の観点から、1日あたりのろ過流量が原廃水流入量の1/100以上であることが好ましく、1/50以上であることがさらに好ましい。
<ろ過液の後処理方法>
補助ろ過分離手段によりろ過されて取り出されたろ過液中には、トラブルに関与する微生物や溶解成分が含まれているため、このろ過液を廃水処理系のいずれかの箇所に返送しようとする場合には、その前に、後処理して、トラブル原因の微生物や溶解成分を低減させる。この後処理は、ろ過液に含まれる細菌数の低減を行うことができる処理であり、副反応槽等(生物反応槽とは異なる槽や装置)で行われる。この後処理の例としては、微生物処理、遠心分離処理、吸着処理、凝集処理、オゾン処理、水熱反応処理、高pH処理、低pH処理、加熱処理や、これらを組み合わせて行う処理方法が挙げられる。このように、補助ろ過分離手段によて取り出されたろ過液に限定して後処理を行えることによって、トラブルの原因となる成分に絞って処理作用を及ぼすことができるので、生物反応槽の汚泥そのままに対して処理する場合と比べて処理にかかる薬液量やエネルギーを節減しても十分な処理効果を得られるという利点がある。
後処理として微生物処理を行う場合には、取り出されたろ過液を混合もしくは曝気することによって、ろ過液に含まれる細菌の自己消化を促し、これによりろ過液に含まれる細菌数の低減を行った後、生物反応処理槽に返送する。また、後述するように、微小動物を作用させることによって、細菌数の低減を行うこともできる。一方、遠心分離処理を行う場合は、ろ過液を遠心分離して分散菌が含まれる沈殿を余剰汚泥として処分し、生物由来ポリマーなどが含まれる上清はそのまま生物反応槽に返送するか、微生物処理や吸着処理、凝集処理、オゾン処理、水熱反応処理、高pH処理、低pH処理、加熱処理を行う。このとき、分散菌は粒径が小さく沈降しにくいため、分散菌が沈降するだけの十分な遠心加速度と遠心時間をかける必要がある。凝集処理については、ろ過液に凝集剤を作用させたのち、凝集液を静置するか遠心分離してその上澄みのみを生物反応槽に返送するか、凝集液をそのまま生物反応槽に返送することによって、凝集剤の使用量をトラブル原因成分に応じて最小限に抑制しながら最大の効果を得ることができる。他方、オゾン処理や水熱反応処理、高pH処理、低pH処理、加熱処理によって、ろ過液に含まれる細菌の分解を行った上で、生物反応槽に返送することもできる。
後処理した液を廃水処理系のいずれかの箇所に返送する際、後処理によって生じた生成物や生物由来ポリマーの分解を促すためには、複数の生物反応槽が多段直列に連結された廃水処理工程における最後段以外の槽を返送先とすることが好ましい。複数の生物反応槽が多段直列に連結された廃水処理工程の一例を図2に示す。この図の場合では、前段の槽に相当する脱窒槽15に、後処理した液が返送されている。
以上のように、単に固液分離を行うことによって分散菌やフロックから生物由来ポリマーを分離して生物由来ポリマーを除去するのではなくて、本発明の方法を採用することによって、トラブル発生の根本的原因である分散菌を有用なフロックから分離し、分散菌を効率的に除去することができるようになるのである。
<微小動物処理の方法>
以上のような後処理方法の中でも費用や廃棄物の発生抑制の観点から微小動物を作用させる方法が好ましく採用される。オゾン処理、水熱反応処理、高pH処理、低pH処理、加熱処理などの方法は、装置費などの固定費もしくは薬液や用役費などの比例費でコストが高く、一方、遠心分離処理、吸着処理などは新たに廃棄物が発生してしまう。それに比べ微小動物を作用させる方法は、コストが低く新たな廃棄物が出ない点から好ましい。補助ろ過分離手段によってろ過されて取り出されたろ過液は微小動物副反応装置に供給され、微小動物による捕食作用によりトラブル原因微生物やトラブル原因物質が除去される。この際、微小動物一般を作用させてもよいが、本発明の課題の原因である分散して存在する細菌を優先的に除去することができるという点でろ過摂食性の微小動物を作用させることが好ましい。副反応装置内の液ではフロックが概ね除去されているため、フロックを主に食する凝集物摂食性微小動物に比べてろ過摂食性微小動物が自然に優占化し、より効率的に本発明の効果を得ることができる。
微小動物を作用させる副反応装置としては反応槽が用いられ、この反応槽内に、取り出されたろ過液を供給し、曝気による酸素供給と混合を行うとよい。また、反応槽内に担体や接触材を浸漬することで微小動物が作用しやすい環境にすることも有効である。これらの担体や接触材には、ガラスウールや、多孔質スポンジ担体などの流動担体、活性炭や、ガラス製やプラスチック製の板状構造など、ろ過摂食性微小動物の生育に適したものを用いることができる。
その中でも、ろ過摂食性微小動物の定着性やコストの点からスポンジ担体や板状構造の接触材が好ましい。ここで板状構造の接触材の設置としては、例えば、ガラス板やプラスチック板を反応槽内に1枚以上浸漬する場合が挙げられ、この際、互いに間隔を空けて複数枚を浸漬するとよい。その間隔としては、槽内液の流動性や設置スペースの観点から2mm以上であることが好ましい。このとき、これらの板状構造の接触材に対しては、生物反応槽内の底面に設置した散気管からの曝気により生じる激しい気液混合流が直接あたらないようにすることが好ましい。これは気液混合流が直接あたる場所はろ過摂食性微小動物の生育環境として適さないことによる。このため、板状構造の接触材の下部スペースには散気装置をおかないことが好ましい。スポンジ担体の場合は、直接担体内部には気液混合流があたらないためろ過摂食性微小動物の生育好適環境を維持することができる。ただし、スポンジ担体の内部に微小動物の生育スペースを確保するため、スポンジ担体内に存在する空隙が、0.1mm以上の孔径をもつ大きさであることが望ましい。
通常、汚泥混合液の中に、上記のような担体や接触材を浸漬した場合は、担体の間隙や接触材表面が汚泥で閉塞してしまったり、汚泥で覆われてしまったりするので、微小動物の好ましい生育環境として機能しないことが多い。しかし、本発明法の場合では、取り出されたろ過液が供給される副反応槽内に担体や接触材を設置するので、供給液であるろ過液にはフロックがほぼ含まれていないため、汚泥による閉塞などの障害が生じにくく、微小動物のための生育環境としての機能を十分に発揮することができる。
一方、エネルギー節約やろ過摂食性微小動物の生育好適環境の観点から、微小動物を作用させる流路状の反応装置で構成することもできる。この流路状の反応装置は、水深が3mm〜5cm程度の流路で構成され、1ヶ所以上の箇所からろ過液を供給し、流路を流し、1ヶ所以上の別の箇所から処理液を回収する。この流路を流れている間に流路の底部を中心として生育する微小動物にトラブル原因成分を摂食させることによって処理を行う。流路中にスポンジなどの担体を設置することもできる。ろ過液はフロックをほとんど含まないため、このような流路式の装置で処理しても沈殿による流路の閉塞が生じにくく、水深が浅いことから曝気を行わなくても微小動物が生育するのに十分な酸素供給が可能である。さらに、処理に適した微小動物の多くは激しい混合環境に比較的弱いため、その点からも流路状の反応装置を用いることは有効である。発生するトラブル原因微生物が比較的少ない場合には、この方法を用いることもできる。
こうした微小動物を作用させる副反応装置を用いる際には、より効率的に効果を発揮させる観点から、設置する担体や接触材、もしくは微小動物副反応装置自体に予めろ過摂食性微小動物群を種微生物として接種しておくことが好ましい。
また、副反応槽の運転については、生物反応槽1内の汚泥混合液中に含まれる微生物を監視すること(後述)により得られる監視結果に基づいて制御することもできる。監視結果に基づく制御としては、トラブルの原因となる微生物を監視し、これらの微生物によるトラブルが引き起こされるおそれが少ない時には、補助ろ過分離手段によるろ過速度を低下もしくは停止し、後処理の運転を制限もしくは停止したりすることが例示される。
なお、本発明において微小動物とは、鞭毛虫や繊毛虫、肉質虫などの原生動物や、袋形動物や環形動物などを含む微小後生動物であり、体長5mm以下の真核生物を指す。なお、微小動物群とは、1種以上の微小動物により構成される微小動物の混合系を指す。ろ過摂食性微小動物とは、主として口付近に付着している繊毛の運動により口の周囲に水流を起こし、その水流に随伴される細菌を体内に取り込みろ過することで細菌を摂食し、該微小動物にフロックと分散菌を与えた場合フロックよりも分散菌を多く摂食する微小動物を指す。なお、非ろ過摂食性の摂食方式をとる場合はこれと異なり、フロックなどの摂食対象をかじるようにして摂食する。こうした摂食方式を本発明においては凝集物摂食性と呼称することとする。後生動物とは、多細胞の真核生物を指す。
<特定の系統群細菌の監視方法>
次に、フレクトバシラス系統群細菌やペドバクター系統群細菌、フレキシバクター・サンクティ系統群細菌を監視する方法を示す。
生物反応槽1内の汚泥混合液中のフレクトバシラス系統群細菌やペドバクター系統群細菌、フレキシバクター・サンクティ系統群細菌の状態を監視する監視手段・運転制御装置7としては、フレクトバシラス系統群細菌やペドバクター系統群細菌、フレキシバクター・サンクティ系統群細菌の遺伝情報、RNA転写特性、蛋白質翻訳特性、発現蛋白質生成物質特性などに基づいて、フレクトバシラス系統群細菌やペドバクター系統群細菌、フレキシバクター・サンクティ系統群細菌の状態を監視するものを用いることができる。以下、それらの方法についてそれぞれ具体的に記載していくが、遺伝情報に基づいてフレクトバシラス系統群細菌やペドバクター系統群細菌、フレキシバクター・サンクティ系統群細菌の状態を監視することが、その簡便性から好ましい。
具体的には、遺伝情報に基づいて監視する場合には、蛍光顕微鏡、蛍光イメージスキャナ等の蛍光測定装置、核酸のハイブリダイゼーション検出装置、フローサイトメーター、サーマルサイクラーおよび電気泳動装置などを用いるとよい。また、RNA転写特性、蛋白質翻訳特性、発現蛋白質生成物質特性などの遺伝子発現特性に基づいて監視する場合には、蛍光顕微鏡、フローサイトメーター、電気泳動装置、質量分析装置、画像解析装置、分光光度計、蛍光測定装置、発光量測定装置などを用いればよい。
フレクトバシラス系統群細菌やペドバクター系統群細菌、フレキシバクター・サンクティ系統群細菌の存在数や濃度、優占性を遺伝情報に基づいて監視する方法としては、染色体ゲノム全体のハイブリダイゼーション相同値による方法や、フレクトバシラス系統群細菌やペドバクター系統群細菌、フレキシバクター・サンクティ系統群細菌に特異的な遺伝子配列に基づく方法があるが、簡単に効率的かつ実質的に確認できるという観点から後者のフレクトバシラス系統群細菌やペドバクター系統群細菌、フレキシバクター・サンクティ系統群細菌に特異的な遺伝子配列に基づく方法に基づいて監視することが好ましい。特異的な遺伝子配列対象としては、16SリボソームRNA遺伝子、23SリボソームRNA遺伝子、gyrB遺伝子配列、リボソームRNA遺伝子間スペーサー領域などが挙げられる。この中でも、公開されている情報が多いため特異的な遺伝子配列を決定することが容易な点で、16SリボソームRNA遺伝子の配列を用いることがさらに好ましい。また、監視の対象としては、フレクトバシラス系統群細菌やペドバクター系統群細菌、フレキシバクター・サンクティ系統群細菌の全部であっても一部であってもよく、さらに、フレクトバシラス系統群細菌やペドバクター系統群細菌、フレキシバクター・サンクティ系統群細菌を監視できるのであればその余の細菌を含んでいてもよい。また、トラブル時における出現頻度の高さおよび簡便性の点から、「バージィズ・マニュアル・オブ・システマティック・バクテリオロジー」においてペドバクター属(genus Pedobacter)に属するとされる細菌に絞って監視を行うことも有用である。
フレクトバシラス系統群細菌やペドバクター系統群細菌、フレキシバクター・サンクティ系統群細菌の優占性を監視する際には、例えば全原核生物や、全細菌、ある分類群の細菌の存在数をできるだけ反映するような測定を同時に行い、それらとの比率で優占性を算出するとよい。
特異的な遺伝子配列を監視する方法としては、公知の手法を用いることができ、例えば遺伝子配列情報の中からフレクトバシラス系統群細菌やペドバクター系統群細菌、フレキシバクター・サンクティ系統群細菌に特異的な領域を選択し、その遺伝子配列をもつオリゴヌクレオチドもしくはポリヌクレオチドのハイブリダイゼーション効率を利用する方法を用いることが簡易的に検出できるという点で好ましい。具体的には、蛍光物質やラジオアイソトープ、酵素学的レポーター分子、電気活性を持つインターカレーターなどを用いて、ドットハイブリダイゼーション法や、マクロアレイ法、マイクロアレイ法、原位置ハイブリダイゼーション法などを用いることができる。検出過程の自動化が比較的容易であるという点で、ドットハイブリダイゼーション法やマクロアレイ法、マイクロアレイ法がさらに好ましい。必要に応じて、これらの方法にポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)等による遺伝子増幅を組み合わせることもできる。原位置ハイブリダイゼーション法としては、蛍光標識オリゴヌクレオチドもしくは蛍光標識ポリヌクレオチドを用いた蛍光原位置ハイブリダイゼーション法(FISH法)を用いることができる。なお、必要に応じてシグナルを増強してFISH法を実施すればよい。FISH法による検出方法としては、蛍光顕微鏡による方法でもフローサイトメーターを用いた方法でもよい。ドットハイブリダイゼーション法やマクロアレイ法・マイクロアレイ法としては、フレクトバシラス系統群細菌やペドバクター系統群細菌、フレキシバクター・サンクティ系統群細菌に特異的な遺伝子配列をもつオリゴヌクレオチドもしくはポリヌクレオチドをメンブレンフィルターもしくは基盤状に固定し、これに検出対象の汚泥由来の核酸を蛍光物質などで標識したものをハイブリダイゼーションさせて行う方法などが挙げられる。
フレクトバシラス系統群細菌やペドバクター系統群細菌、フレキシバクター・サンクティ系統群細菌に特異的な16SリボソームRNA遺伝子配列をもつオリゴヌクレオチドもしくはポリヌクレオチドのハイブリダイゼーション効率を利用する方法としては、フレクトバシラス系統群細菌やペドバクター系統群細菌、フレキシバクター・サンクティ系統群細菌の核酸と特異的にハイブリダイズし得るDNAもしくはRNAプローブを用いればよい。
また、特異的な遺伝子配列を監視する方法としては、フレクトバシラス系統群細菌やペドバクター系統群細菌、フレキシバクター・サンクティ系統群細菌に特異的な遺伝子配列をもつプライマーDNAを用いたポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)を応用して検出・定量する方法もある。こうした方法としては例えば、フレクトバシラス系統群細菌やペドバクター系統群細菌、フレキシバクター・サンクティ系統群細菌に特異的なプライマーセットを用いて、核酸の増幅をリアルタイムで検出しながら行う定量PCR法などが挙げられる。さらに、汚泥混合液に含まれる微生物のゲノムDNAを抽出し、原核生物一般、細菌一般あるいはさらに範囲の狭い分類系統群に特異的なプライマーセットを用いてPCR増幅を行い、電気泳動によりフレクトバシラス系統群細菌やペドバクター系統群細菌、フレキシバクター・サンクティ系統群細菌の遺伝子配列を分別し監視することもできる。この電気泳動法としては変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法(DGGE)を用いることができる。
さらに、フレクトバシラス系統群細菌やペドバクター系統群細菌、フレキシバクター・サンクティ系統群細菌の監視方法としては、その遺伝子発現特性を利用することもできる。遺伝子発現特性とは、フレクトバシラス系統群細菌やペドバクター系統群細菌、フレキシバクター・サンクティ系統群細菌ゲノムからのRNA転写特性、蛋白質翻訳特性および生成物質特性(たとえば発現蛋白質生成物質特性)などをいう。フレクトバシラス系統群細菌やペドバクター系統群細菌、フレキシバクター・サンクティ系統群細菌は、フロック内で生育するか分散して生育するかといった生育条件の違いにより、菌の性質が大きく変化する。そのため、フレクトバシラス系統群細菌やペドバクター系統群細菌、フレキシバクター・サンクティ系統群細菌の性質変化を遺伝子発現特性で追跡することは膜分離活性汚泥法の運転安定性において非常に有用であり、遺伝子発現特性と発生トラブルとを関連づけて監視することによって、早い段階でより正確にトラブルを予測・検知し対策を講じることが可能となる。遺伝子発現特性の対象としては特に限定するものではなく、構成遺伝子、制御遺伝子を問わない。
RNA転写特性の対象としては、メッセンジャーRNAおよびリボソームRNAのいずれであってもよい。そして、これらRNA転写特性を監視する手法としては様々な公知の方法をとることができ、例えば、メッセンジャーRNAの存在量をハイブリダイゼーションにより解析する方法や、画像解析装置を用いたDNAチップによる方法などが好ましい。また、FISH法を用いることもできる。
また、蛋白質翻訳特性の対象蛋白質としては特に限定されるものではなく、たとえば形態変化誘導蛋白質や分散生育時発現タンパク質、細胞外ポリマー生成蛋白質などが挙げられる。蛋白質翻訳特性を監視する方法としては、例えば2次元電気泳動法やウェスタンブロット、質量分析装置など様々な公知の蛋白質分析方法を用いることができる。
さらに、生成物質特性の対象としても特に限定するものではなく、例えば細胞外生成ポリマーや菌体内成分が挙げられる。細胞外生成ポリマーや菌体内成分を監視する方法としては、例えば液体クロマトグラフィー装置やガスクロマトグラフィー装置、質量分析装置、分光光度計、蛍光測定装置、発光量測定装置などを用いた方法があり、抗体抗原反応を活用したイライザ法なども適用できる。
<各系統群細菌の定義>
また、本発明においてフレクトバシラス(Flectobacillus)系統群細菌とは、原核生物の系統分類学指標として多く用いられている16SリボソームRNA遺伝子が配列番号1記載の塩基配列に対して相同率88%以上の細菌を指し、培養の可否を問わない。フレクトバシラス系統群細菌に含まれる細菌には、例えばフレクトバシラス属細菌が含まれ、フレクトバシラス・メイジャー(Flectobacillus major)やフレクトバシラス・スピランケイ(Flectobacillus speluncae)、Flectobacillus sp.EP293、Flectobacillus sp.str.MWH38などが挙げられる。当然、命名や分類がなされていない細菌や系統分類されておらず不適切な属名が与えられている細菌であっても、前述の条件に合致していれば、その近縁性からフレクトバシラス系統群細菌とする。
また、ペドバクター(Pedobacter)系統群細菌とは、配列番号2記載の塩基配列に対して、原核生物の系統分類学指標として多く用いられている16SリボソームRNA遺伝子の対応部分が相同率88%以上の細菌を指し、培養の可否を問わない。ペドバクター系統群細菌に含まれる細菌には、ペドバクター属細菌やスフィンゴバクテリウム(Sphingobacterium)属細菌が含まれる。具体的には、分子系統分類学的に定義された細菌の分類群を用いた「バージィズ・マニュアル・オブ・システマティック・バクテリオロジー(Bergey’s Manual of Systematic Bacteriology)」(ジョージ・ギャリティ(George M. Garrity)ら編、第二版、シュプリンガー・フェアラーク(Springer-Verlag)、2002年、p.119−166)において、バクテロイデス門(phylum Bacteroidetes)のスフィンゴバクテリウム綱(class Sphingobacterium)のスフィンゴバクテリウム目(order Sphingobacteriales)のスフィンゴバクテリウム科(family Sphingobacteriaceae)に分類される細菌が含まれる。具体的な菌種としては、例えばペドバクター・アフリカナス(africanus)やスフィンゴバクテリウム・スピーシズ・SAFR−022、ペドバクター・スピーシズ・HHS22、ペドバクター・ヘパリナス(heparinus)、ペドバクター・ピスシウム(piscium)、バクテロイデテス・バクテリウム・EC2(Bacteroidetes bacterium EC2)、フラヴォバクテリウム・スピーシズ・MTN11(Flavobacterium sp.MTN11)、サイトファーゲイルズ・ストレイン・MBIC4147(Cytophagales str.MBIC4147)、バクテロイデテス・バクテリウム・LC9、スフィンゴバクテリウム・ライク・スピーシズ・PC1.9(Sphingobacterium like sp.PC1.9)、グレイシア・バクテリウム・FJS5(glacier bacterium FJS5)、ペドバクター・サルタンス(saltans)、フラヴォバクテリウム・ミズタイ(mizutaii)、スフィンゴバクテリウム・ファエシウム(faecium)、スフィンゴバクテリウム・スピリティヴォラム(spiritivorum)、スフィンゴバクテリウム・マルティヴォラム(multivorum)、スフィンゴバクテリウム・サルポフィラム(thalpophilum)などが挙げられる。当然、命名や分類がなされていない細菌や系統分類されておらず不適切な属名が与えられている細菌であっても、前述の条件に合致していれば、その近縁性からペドバクター系統群細菌とする。また、監視の際には、トラブル時における出現頻度の高さおよび簡便性、精度の点から、配列番号2記載の塩基配列に対して、16SリボソームRNA遺伝子の対応部分が相同率93%以上の細菌に絞って行うこともできる。具体的には、「バージィズ・マニュアル・オブ・システマティック・バクテリオロジー」において、ペドバクター属(genus Pedobacter)に属するとされるに相当な細菌が含まれる。
一方、本発明において、フレキシバクター・サンクティ(Flexibacter sancti)系統群細菌とは、配列番号3記載の塩基配列に対して、16SリボソームRNA遺伝子の対応部分が相同率85%以上の細菌を指し、培養の可否を問わない。フレキシバクター・サンクティ系統群細菌に含まれる細菌は、としては、例えばフラヴォバクテリウム・フェルジニウム(ferrugineum)やサイトファーガ・アーヴェンシコラ(arvensicola)、フレキシバクター・フィリフォーミス(Flexibacter filiformis)、キチノファーガ・ピネンシス(Chitinophaga pinensis)、フレキシバクター・サンクティなどが挙げられる。フレキシバクター・サンクティ系統群細菌は命名・分類が混乱しているものが多く、代表的な属名を挙げることはできないが、前述の条件に合致していれば、その近縁性からフレキシバクター・サンクティ系統群細菌とする。
そして、フレクトバシラス系統群細菌および/またはペドバクター系統群細菌および/またはフレキシバクター・サンクティ系統群細菌の状態とは、フレクトバシラス系統群細菌やペドバクター系統群細菌、フレキシバクター・サンクティ系統群細菌の存在数や濃度、優占性、特性などを指す。
本発明においてCFBグループ細菌とは、分子系統分類学的に定義された細菌の分類群であって、バクテロイデス門(phylum Bacteroidetes)に分類される細菌群をさす。細菌の分類は、「バージィズ・マニュアル・オブ・システマティック・バクテリオロジー(Bergey’s Manual of Systematic Bacteriology)」(ジョージ・ギャリティ(George M. Garrity)ら編、第二版、シュプリンガー・フェアラーク(Springer−Verlag)、2002年、p.119−166)に準じ、これに応じた種々の系統分類学的分類サービスを利用することができる。
<汚泥混合液中に分散して存在する原核生物・CFBグループ細菌の監視方法>
生物反応槽1内の汚泥混合液中に分散して存在する原核生物および/またはCFBグループ細菌の状態を監視する監視手段・運転制御装置7としては、汚泥混合液中に分散して存在する原核生物および/またはCFBグループ細菌の状態を効率的に監視できるものであればよく、例えば顕微鏡付属画像記録手段とその画像解析手段による自動監視手段などを用いることができ、その際には汚泥混合液に対して蛍光染色を施した上で顕微鏡観察手段を用いることもできる。しかしその簡便性から、前記の補助ろ過分離手段のろ過液に対して、原核生物および/またはCFBグループ細菌の状態を監視するのが好ましい。つまり、補助ろ過分離手段のろ過液は、フロックが除去されているため、分散して存在する微生物を監視するのに適している。分散して存在する原核生物の監視方法としては、簡便性を考慮すると、濁度、吸光度、全有機炭素、生体構成物質、細胞外高分子、糖および微粒子分布からなる群から少なくとも1つを選択することが好ましい。さらに好ましくは、濁度や吸光度を測定することによって、分散して存在する原核生物の濃度を簡易的に測定できることから濁度や吸光度を測定するとよい。
次に、汚泥混合液中に分散して存在するCFBグループ細菌をモニタリングする方法を示す。
上記の方法等により採取された試料に対する測定項目としては、CFBグループ細菌の状態を効率的に監視することができるものであれば特に問わない。監視方法としては、CFBグループ細菌は、選択培地による平板培養法などによって増殖させてモニタリングすることも可能であるが、たとえば次に説明するように、CFBグループ細菌の遺伝情報、RNA転写特性、蛋白質翻訳特性、生成物質特性などに基づいてその存在数や濃度、優占性、特性の経時的変化などを観察すると、精度が高く、効率的であるので好ましく、その簡便性から遺伝情報に基づいて監視することがさらに好ましい。これらの監視方法は、上述したフレクトバシラス系統群細菌やペドバクター系統群細菌、フレキシバクター・サンクティ系統群細菌を監視する方法と同等の手法を用いることができる。そのうち、CFBグループ細菌に特異的な16SリボソームRNA遺伝子配列をもつオリゴヌクレオチドもしくはポリヌクレオチドのハイブリダイゼーション効率を利用する場合には、CFBグループ細菌の核酸と特異的にハイブリダイズし得るDNAもしくはRNAプローブを用いればよい。例えば、DNAプローブ「CFB560」(ルイーズ・オサリヴァン(Louise A. O’Sullivan)他2名、アプライド・アンド・エンヴァイロメンタル・マイクロバイオロジー(Appl. Environ. Microbiol.)、2002年、68巻、p.201−210.)が挙げられる。ただ、当然このプローブ以外にも、CFBグループ細菌をハイブリダイゼーションによって検出できるよう設計されたものであれば用いることができる。
<好適な監視方法>
これらの監視方法は、分離膜の目詰まりによる膜透水性不良や激しい発泡、スカムの発生、さらには粘性増加に伴う曝気効率の悪化や汚泥流動性減少・気泡の抱き込みによる不具合などの問題を解決するために開発されたものである。これらの問題は、ある特定の細菌や分散して存在する原核生物やCFBグループ細菌が出現することによって生じているものと考えられる。これらの微生物の出現は、従来の膜分離活性汚泥法に比べて余剰汚泥を低減もしくは基本的に発生させないという効果を得るべく生物反応槽1内の汚泥負荷を0.15kg−BOD/kg−VSS/day未満にしたときに、特に問題となる。
余剰汚泥を減少させることの必要性や、原水に含まれる溶解性有機成分の菌体変換率などの原水性状に応じて、汚泥負荷をより低下させ0.10kg−BOD/kg−VSS/day未満、さらに0.08kg−BOD/kg−VSS/day未満にした際には、より一層これらの微生物の出現が問題となりやすい。これらの問題に対処すると共に、前記余剰汚泥を低減しもしくは基本的にゼロにするという効果を得ようとするためには、監視手段7でこれらの微生物の状態を監視し、監視結果に基づいて補助ろ過分離手段や後処理の運転の制御を行うことが好ましい。つまり、これらの原因微生物によりトラブルが引き起こされるおそれが少ない時には、補助ろ過分離手段によるろ過速度を低下もしくは停止し、後処理の運転を停止すればよい。これにより、汚泥負荷を低くし余剰汚泥の発生を低減しつつ、膜トラブルを早い段階で予測・検知し効率的にその対策を講じることができるのである。
なお、監視方法については、次のような考え方を考慮して選択することができる。
分散して生育するCFBグループ細菌を監視する方法については、CFBグループ細菌は分散して出現する時にトラブルが発生することから、分散状のCFBグループ細菌を監視することによって、汚泥全体のCFBグループ細菌を監視するよりも格段に精度よくトラブルにつながるシグナルをつかむことができる。これは、汚泥全体のCFBグループ細菌を検出した場合、フロック内にいる有用なCFBグループ細菌をも検出してしまうことになるため、実際にトラブルを引き起こす分散状のCFBグループ細菌のシグナルを見落としてしまうからである。CFBグループ細菌は一般に、多糖などの汚濁物質の分解や死菌の分解に寄与しているものが多いと言われ、膜分離活性汚泥法に有用である微生物が多く含まれている。監視対象を分散して存在する微生物に絞った上で、CFBグループ細菌を検出対象とすることによって、トラブルにつながるCFBグループ細菌を効率よく検出することができるのである。
一方、汚泥混合液中に存在する特定のトラブル関与微生物であるフレクトバシラス系統群細菌やペドバクター系統群細菌、フレキシバクター・サンクティ系統群細菌の状態を検出する方法は、実際にトラブルに関与する極限られた微生物群を検出対象とするため、精度が非常に高く、それゆえ分散して存在する微生物に検出対象をしぼって検出しなくても汚泥全体を対象に検出することができる。さらに汚泥全体を対象に検出できることによって、フレクトバシラス系統群細菌が分散せずにフロック内に存在している時からその動向を監視できる点で優れている。
しかし、検出対象をCFBグループ細菌中の限られた微生物群(つまり、フレクトバシラス系統群細菌やペドバクター系統群細菌、フレキシバクター・サンクティ系統群細菌)にした場合、感度が上がるメリットがあるものの、検出系をその分増やす必要が生じてしまう。一方、「分散してトラブルを生じる細菌はCFBグループ細菌である」という発見に基づいて分散して生育するCFBグループ細菌を監視する方法を用いると、検出対象をCFBグループ細菌というように大くくりにすることが可能となり、検出系がより簡素になるメリットがある。実際、分散して存在する細菌を検出対象とした場合においては、通常CFBグループ細菌を検出対象とすることで十分な精度が得られる。つまり、効果が認められる範囲で、簡素化・コスト削減の観点から検出対象範囲をできるだけ広げる場合、その最大の検出対象範囲はCFBグループ細菌とするのがよいのである。
他方、分散して存在する原核生物を監視する方法や汚泥混合液の粘性やろ過指標を監視する方法は、前述の方法より精度は劣るがある程度の精度と予防効果が得られるため、経済性の面から好ましく用いられる。ここでろ過指標とは、膜ろ過流量やろ過差圧、膜抵抗などの測定値を指す。つまり、分散して存在する原核生物の濃度の上昇は、補助ろ過分離手段のろ過液の濁度や吸光度の上昇や、粘性の上昇、ろ過流量の低下、ろ過差圧もしくは膜抵抗の上昇として検出できるので、これらの検出に応じて、補助ろ過分離手段によるろ過速度を増加したり、後処理の運転を開始したりすればよい。また、逆に、分散して存在する原核生物の濃度が低下した場合には、補助ろ過分離手段によるろ過速度を低下もしくは停止したり、後処理の運転を停止したりすればよい。
膜ろ過流量は、定圧運転時のろ過流量を計測することにより、ろ過差圧は、定流量運転時のろ過差圧を計測することにより、求められる。膜抵抗は、採取した汚泥を全量ろ過のろ過試験装置を用いて定圧ろ過運転を行うことで時間あたりのろ過流量を測定することにより求められる。また、ろ紙における汚泥のろ過速度を測定することによって簡易的に汚泥の膜抵抗を測定してもよい。こうして、ろ過流量や、ろ過差圧、膜抵抗の検出値に応じて、補助ろ過分離手段の運転を調整するのである。検出系の簡素化やコストの観点が問題となる場合は、この方法を採用することもできる。
一方、分散して存在する原核生物を監視する方法については、汚泥混合液中に分散して存在する原核生物または補助ろ過分離手段のろ過液に存在する細菌の濃度が10^8乗個/mL以下に保たれるように、補助ろ過分離手段や後処理の運転を行うとよい。また、粘性については100mPa・s以下に保たれるように、ろ過差圧については安定運転時の差圧から5kPa以上上昇しないように、補助ろ過分離手段や後処理の運転を行うとよい。
以上のようにこれらの監視方法は、状況に応じて使い分け、もしくは併用すればよい。
<まとめ>
以上の説明をまとめると、本発明は次のように要約される。
本発明法は、汚泥混合液中に分散して存在するトラブル関与微生物(原核生物やCFBグループ細菌、フレクトバシラス系統群細菌やペドバクター系統群細菌、フレキシバクター・サンクティ系統群細菌など)が関与して発生するトラブルが多く発生する膜分離活性汚泥法に適用される。本発明においては、目開き5μm〜100μmの補助ろ過分離手段によるろ過処理を行い、ろ過液を生物反応槽外に取り出す。これにより、生物反応槽内の汚泥液中の有用成分であるフロックに悪影響を与えることなく、生物反応槽からトラブル関与微生物を取り出すことができる。この取り出されたろ過液は廃水処理系のいずれかの箇所に返送するが、返送する前にろ過液中に含まれる細菌数を低減させる後処理を行って、トラブル原因の微生物や溶解成分を低減させる。このように補助ろ過分離手段により取り出したろ過液に限定して後処理を行うことによって、トラブルの原因となる成分に絞って処理を行うことができるので、生物反応槽の汚泥そのままに対して処理する場合と比べて後処理にかかるコストを節減しながら十分な処理効果をあげられる。この後処理ではろ過摂食性微小動物を作用させる。これにより、ろ過摂食性微小動物の捕食特性から上記問題の原因である分散して存在する細菌を優先的に除去できる。また、補助ろ過分離手段のろ過液はフロックが概ね除去されているため、廃水処理に有用なフロックを主に食する凝集物摂食性微小動物に比べてろ過摂食性微小動物が自然に優占化させることができる。
<実施例1>
(1)まず、汚泥混合液中に分散して存在する原核生物が発生しているラボで運転している膜分離活性汚泥法のリアクターから汚泥を採取し、3000×g(約29420m/s^2)3分間の遠心分離処理を施し、上清を得た。この上清を3g/L栄養ブイヨン寒天培地に塗沫培養し、出現したコロニーを純化し単離した。これらの単離株の16SリボソームRNA遺伝子配列決定を行った結果、単離株のうちの1つは、フレクトバシラス系統群細菌に属する細菌であった。
(2)次に、前述の汚泥5mLを試験管に入れ、単離したフレクトバシラス系統群細菌培養液を超純水で1回洗浄したものを5mL添加し(給餌)、振盪培養を行った。その後、この培養液については、1週間に2回のペースで、遠心分離(3000×g、3分)の上清を5mL取り除き、フレクトバシラス系統群細菌培養液の洗浄物5mL添加する(給餌)作業を2ヶ月間繰り返した。ここで得られた微小動物混合系をシードとして、フレクトバシラス系統群細菌培養液の洗浄物を連続的に添加する連続培養系を構築した。この系においては、ろ過摂食性の繊毛虫が中心であり、採取したサンプル中の微小動物に対してろ過摂食性繊毛虫の量は、2/3を占めていた。この系における1日の微小動物体積あたりの細菌捕食数を算出した結果、1×10^8個−細菌/μL−微小動物体積・日であり、膜分離活性汚泥法の汚泥におけるトラブル原因微生物の捕食能に優れたろ過摂食性微小動物群を得ることができた。
(3)一方、ラボで運転している複数の膜分離活性汚泥から実体顕微鏡を用いて微小動物を多数単離し、それぞれ8穴スライドガラス上にて、単離したフレクトバシラス系統群細菌培養液の洗浄物を添加して(給餌)、培養を行った。この際、1週間に2回のペースで給餌と水交換を行った。この操作によりろ過摂食性繊毛虫など多くの微小動物は死滅したが、死滅せず増殖が見られたろ過摂食性微小後生動物の一種であるヒルガタワムシ類は、2週間後には10匹以上に増殖した。これを順次、試験管およびフラスコにて培養をスケールアップし、連続的にフレクトバシラス系統群細菌培養液の洗浄物を添加する連続培養系を最終的に構築した。この連続培養槽内には、生育好適環境を構築するためスライドガラスを微小動物の足場として投入した。ヒルガタワムシ類は一部が遊泳しているほか、ガラス面上に固着して多数生育していることが確認され、ガラス面上の生育密度は6000匹/平方センチメートルになった。この系における1日の微小動物体積あたりの細菌捕食数を算出した結果、8×10^8個−細菌/μL−微小動物体積・日であり、膜分離活性汚泥法の汚泥におけるトラブル原因微生物の捕食能に優れたろ過摂食性微小後生動物を得ることができた。
(4)また、(3)で得られたヒルガタワムシ類のフラスコ培養液を用いて、生育好適環境を構築するため1cm角立方体型のプラスチック製スポンジを微小動物の足場として投入した連続培養系を構築した。その結果、ヒルガタワムシ類は一部が遊泳しているほか、スポンジ表面及びスポンジ内に固着して多数生育していることが確認された。スポンジ内の生育密度は4×10^5匹/1cm角スポンジに達しており、膜分離活性汚泥法の汚泥におけるトラブル原因微生物の捕食能に優れたろ過摂食性微小後生動物を得ることができた。
(5)孔径0.1μmのPVDF製精密ろ過平膜をモジュール化した膜分離装置を、有効容積約1Lの生物反応槽に浸漬したラボリアクターが3系列あり、BOD 500ppmのデキストリン系人工廃水を膜分離活性汚泥法により処理していた。両リアクターとも生物反応槽における人工廃水の滞留時間は12時間とし、汚泥滞留時間で1000日に相当する汚泥サンプリングをおこなった他は汚泥引抜なしで処理を行っており、両リアクターともMLSS濃度は約24g/Lで一定であったが(BOD汚泥負荷:0.05kg−BOD/kg−VSS/day)、内2系列の粘性が上昇し100mPa・sとなった。これら3系列の汚泥混合液に対して3000×g、3分間の遠心分離処理を施し、上清中に含まれる細菌についてPCR−DGGE法を行った結果、粘性が上昇した2系列の上清においてフレキシバクター・サンクティ系統群細菌を検出した。
(6)これらの3系列の汚泥を一旦混合した上で3等分し、再度同様の条件で運転を再開した。各系列とも平常運転時に比べ精密ろ過平膜の膜ろ過差圧が6kPa上昇していた。ここで、内2系列(系列A,B)には、生物反応槽内に目開き20μmのネット(目開き率14%)を設置して200mL/日の流量でろ過処理し、ろ過液を取り出して槽容積100mLの副反応槽に移送し、曝気を行った。
残り1系列(系列C)については、ネットでのろ過処理を行わないで、汚泥混合液を200mL/日の流量で100mLの副反応槽に移送し、曝気を行った。
3系列とも副反応槽からは生物反応槽からの流入分だけ生物反応槽にポンプで返送するようにした。
ここで、ネットろ過を行う系の一方(系列A)については、実施例1(3)のようにヒルガタワムシ類を生育させたスライドガラス3枚を副反応槽内に移し浸漬した。また、もう一方(系列B)については、実施例1(2)で構築した、ろ過摂食性の繊毛虫を中心とした微小動物群10mLを種微生物として副反応槽に添加した。ネットろ過して取り出されたろ過液中に含まれていた分散菌は副反応槽内で減少した。
(7)以上の条件で運転を継続した結果、系列Aについては2週間後のPCR−DGGE法において遠心上清のフレキシバクター・サンクティ系統群細菌が検出されなくなるとともに精密濾過膜のろ過差圧は平常運転時の値に回復し、系列Bについては3週間後のPCR−DGGE法において同様の改善がなされた。一方、系列Cについては3週間後にもPCR−DGGE法において遠心上清にフレキシバクター・サンクティ系統群細菌が検出されたとともに、精密濾過膜のろ過差圧はさらに5kPa上昇した。
(8)以上の系列Aや系列Bのように、目開き20μmの補助ろ過分離手段でろ過を行なってろ過液を取り出し、ろ過液にろ過摂食性微小動物群を作用させた後に生物反応槽に返送することによって、膜分離活性汚泥法において課題となるトラブル原因微生物を大幅に抑制することができたとともに、膜ろ過性の上昇を防止することができた。
<実施例2>
(1)実施例1(3)で得られたヒルガタワムシ類のフラスコ培養液を用いて、生育好適環境を構築するため1cm角立方体型のプラスチック製スポンジを微小動物の足場として投入した連続培養系を構築した。その結果、ヒルガタワムシ類は一部が遊泳しているほか、スポンジ表面及びスポンジ内に固着して多数生育していることが確認された。スポンジ内の生育密度は4×10^5匹/1cm角スポンジに達しており、膜分離活性汚泥法の汚泥におけるトラブル原因微生物の捕食能に優れたろ過摂食性微小後生動物を得ることができた。
(2)次に、実施例1と同様にラボリアクターを3系列運転した結果、内1系列の粘性が上昇し150mPa・sとなった。これら3系列の汚泥混合液に対して3000×g、3分間の遠心分離処理を施し、上清中に含まれる細菌についてPCR−DGGE法を行った結果、粘性が上昇した1系列の上清においてフレクトバシラス系統群細菌を検出した。
(3)これらの3系列の汚泥を一旦混合した上で3等分し、再度同様の条件で運転を再開した。各系列とも平常運転時に比べ精密ろ過平膜の膜ろ過差圧が5kPa上昇していた。ここで、内1系列(系列A)には、生物反応槽内に目開き20μmのネット(目開き率14%)を設置して200mL/日の流量でろ過処理し、ろ過液を取り出して槽容積100mLの副反応槽に移送し、曝気を行った。
残り1系列(系列B)については、ネットでのろ過処理を行わないで、汚泥混合液を200mL/日の流量で100mLの副反応槽に移送し、曝気を行った。
3系列とも副反応槽からは生物反応槽からの流入分だけ生物反応槽にポンプで返送するようにした。
ここで、ネットろ過を行う系(系列A)については、(1)のようにヒルガタワムシ類を生育させたプラスチック製スポンジ15個を副反応槽内に浸漬した。また、もう一方(系列B)については、実施例1(2)で構築した、ろ過摂食性の繊毛虫を中心とした微小動物群10mLを種微生物として副反応槽に添加した。ネットろ過して取り出されたろ過液に含まれていた分散菌は副反応槽内で減少した。
(4)以上の条件で運転を継続した結果、系列Aについては2週間後のPCR−DGGE法において遠心上清のフレクトバシラス系統群細菌が検出されなくなるとともに精密濾過膜のろ過差圧は平常運転時の値に回復した。一方、系列Bについては3週間後にもPCR−DGGE法において遠心上清にフレクトバシラス系統群細菌が検出されたとともに、精密濾過膜のろ過差圧はさらに4kPa上昇した。
(5)以上の系列Aや系列Bのように、目開き20μmの補助ろ過分離手段でろ過を行なってろ過液を取り出し、ろ過液にろ過摂食性微小動物群を作用させた後に生物反応槽に返送することによって、膜分離活性汚泥法において課題となるトラブル原因微生物を大幅に抑制することができたとともに、膜ろ過性の上昇を防止することができた。
本発明に係る膜分離活性汚泥処理工程の一実施形態を示す概略フロー図である。 多段直列に連結された複数の生物反応槽により活性汚泥処理を行う廃水処理工程の一実施形態を示す概略フロー図である。
符号の説明
1.生物反応槽
2.膜分離装置
3.吸引ポンプ
4.原水ポンプ
5.曝気装置
6.ブロワー
7.監視手段・運転制御装置
8.補助ろ過分離手段
9.補助ろ過分離ポンプ
10.副反応槽
11.副反応槽循環ポンプ
12.汚泥引き抜きポンプ
13.制御信号
14.汚泥循環経路
15.脱窒槽

Claims (5)

  1. 有機成分を含有する有機性廃水を生物反応槽に供給し、生物反応槽内で有機性廃水を活性汚泥処理し、かつ生物反応槽内に設置した浸漬型膜分離装置により膜ろ過処理して浄化水を取り出す膜分離活性汚泥処理方法において、生物反応槽内に存在する汚泥混合液の少なくとも一部を目開き5μm〜100μmの補助ろ過分離手段によりろ過し、ろ過液を生物反応槽外に取り出すことを特徴とする有機性廃水の処理方法。
  2. 目開き5μm〜100μmの補助ろ過分離手段によりろ過して取り出したろ過液に対して、ろ過液に含まれる細菌数を低減させる後処理を行った後、廃水処理系のいずれかの箇所に返送することを特徴とする請求項1記載の有機性廃水の処理方法。
  3. 活性汚泥処理を多段直列に連結された複数の生物反応槽で行ない、少なくとも最後段槽に浸漬型膜分離装置が設置されている方法の場合であって、補助ろ過分離手段によりろ過して取り出されたろ過液を後処理して得られる後処理液の返送先が、多段直列に連結された複数の生物反応槽のうちの最後段槽以外の槽であることを特徴とする請求項2記載の有機性廃水の処理方法。
  4. 後処理が、微小動物処理により行われることを特徴とする請求項2または3記載の有機性廃水の処理方法。
  5. 有機性廃水を活性汚泥により処理する生物反応槽と、生物反応槽内の汚泥混合液を固液分離するために生物反応槽内に設置された分離膜と、生物反応槽内の汚泥混合液の補助ろ過用に設置された目開き5μm〜100μmの補助ろ過分離手段とを備えていることを特徴とする有機性廃水の処理装置。
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