JP2007289255A - 生花整形器 - Google Patents

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Keiji Sekiguchi
啓司 関口
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Abstract

【課題】剣山の代わりとなるものであって、花を刺す位置が分かりやすく、花を最初に活ける際及び刺し直しする際に生けやすく、その上、角度の修正も容易な生花整形器を提供し、その結果、花器内の水を容易に交換でき、生花の型崩れをし難くする。
【解決手段】花器内に設置する盤1の上面に、花を刺す下窄まりの刺し穴5を長穴形状にあけることを特徴とする生花整形器。刺し穴5の下部に通じる導水部9を、盤1の側面に有する。刺し穴5が非直線状の長穴形状である。非直線状は円弧状、円弧部と直線部とが連続したものである。刺し穴5が直線状の長穴形状である。刺し穴5を複数設けると共に、全ての刺し穴5を、直線状の長穴形状と、非直線状の長穴形状の組み合わせより構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は花や樹木など(花と称する)を生けるのに用いる剣山と同様の役割を果たす生花整形器に関する。
すべて改革改善実行の時代である。日本古来の文化として発展してきた華道に用いられる剣山もその例外ではなく、剣山という従来からの定型物にとらわれることなく、活け方の自由化及び効率化に適した生花整形器の開発が望まれている。活け方には各種の流派があり、それぞれの歴史と共に特徴がある。従って、単に生花を生ける道具として生花整形器を用いるのではなく、各流派による基本的技法や理念を、子供を含めた初心者に理解させるという役割を生花整形器が担えれば望ましい。例えば流派によっては、伝統的な生花正風体では、人・天・地になぞらえる三本の役枝、真・副・体により構成され、現代的な感覚を重視する生花新風体では、陰・陽からなる二つの役枝と作品効果を高める第三枝で構成される。また、これらの役枝以外のあしらいと言われる補助的なものを用いることもある。そして役枝やあしらいはその刺し位置がある程度決まっているのであるが、従来の剣山は多数本の針の中から刺し位置に適した針を選択しなければならず、その選択が熟練者以外には分かり難かった。
また、生花整形器は花を活けた状態で花器内の水に漬けて使用するものであり、生花がみずみずしい生気を保ち続けるには、きれいな水が必要であり、従って、毎日、花器の水を交換することが望ましい。
ところが、水の交換作業中に、生花に触れると、活けられた花の角度が変わってしまうことがある。生花は見る角度を計算し、全体の形を充分に考慮して活けられたものであるので、花の角度が変われば、作品本来の意図が崩れる。かといって、従来の剣山の針が2cm程度と短く形成されていることから、この短い針に斜めに切った花の茎などを刺し直して作品本来の意図に修正するには、熟練した高度な技能が要求される。なお、刺し直す場合に限らず、最初に活ける際であっても剣山の場合には、針に刺す技能が出来栄えを大きく左右し、刺した後に角度を修正することは困難である。
本発明は上記実情を考慮して創作されたもので、その目的とするところは、花を刺す位置が分かりやすく、花を最初に活ける際及び刺し直しする際に生けやすく、その上、角度の修正も容易な生花整形器を提供することにある。
請求項1の生花整形器は、花器内に設置する盤の上面に、花を刺す下窄まりの刺し穴を長穴形状にあけることを特徴とする。ここで下窄まりとは、盤の上面から底面に向かって全体がテーパーとなっているものに限らず、少なくともその上部がテーパーとなっており、その下側を同一口径としてあるものも含まれる形状をいう。
刺し穴は盤の外側の水と循環できない構造、例えば盤を花器内に設置した際に盤の底面全域が花器の底(上面)に接するような構造であっても良いが、この場合、刺し穴内の水が停滞して生花の生気が失われやすいことから、刺し穴がその上面以外の箇所で盤の外側の水と循環できる構造が望ましい。それには、請求項2の発明のように、刺し穴の下部に通じる導水部を、盤の側面に有することが望ましい。
また、刺し穴は長穴であれば良く、例えば請求項3の発明のように非直線状の長穴形状であっても良いし、請求項6の発明のように直線状の長穴形状であっても良い。即ち、長穴形状は、直線状と、それ以外の非直線状に分けられる。
非直線状とは、単なる直線状(真っ直ぐなもの)を除く趣旨であって、請求項4の発明のように、円弧状であっても良いし、請求項5の発明のように、円弧部と直線部とが連続したものであっても良いし、それ以外には蛇行する形状のものや、渦巻き状のものなどが例示できる。
また、刺し穴の個数は問わないし、複数設けた場合の各々の刺し穴の形状も長穴形状であれば、不一致であっても良い。例えば、請求項7の発明のように、刺し穴を複数設けると共に、全ての刺し穴を、直線状の長穴形状と、非直線状の長穴形状の組み合わせより構成してあるものである。
本発明の生花整形器は、刺し穴が下窄まりであるので、花を上から突き刺す簡単な操作だけで花の下端部が刺し穴の下方に向かうにつれて次第に穴との隙間がなくなり狭められて拘束され、結果的に活けられる。従って、花を最初に生ける際、及び刺し直す際に活けやすい。また、その結果、花を生けた生花整形器を、花器から取り出して、水を交換する作業中に花の角度が変わっても、刺し穴が長穴形状なので、刺したまま花を長穴形状に沿って傾けたり、長穴内で回したりして、角度の調整をすることもでき、水の交換作業をなんら気兼ねなくでき、花をみずみずしい状態で長期に亘って維持できる。そして、盤にあけた刺し穴以外の箇所には花を刺せないので、花の刺し位置が明確になり、しかも、盤に対する長穴の位置を予め各流派に合わせて形成すれば、流派に合わせた活け方も容易となる。なお、刺し穴を長穴形状としているので、長さ具合によっては一つの刺し穴に複数本の花を刺すことも可能である。
また、刺し穴の下部に通じる導水部を盤の側面に設けた場合は、刺し穴内の水が停滞することなく、それ故、花をみずみずしい状態に長期に亘って維持できる。
さらに、刺し穴が直線状や非直線状であれば、その形状に合わせて花を傾けて活けられる。刺し穴が特に直線状であれば、その直線の長さを利用して花を大きく傾けて活けられる。また、盤に刺し穴を複数設け、刺し穴が直線状、非直線状の組み合わせからなるものであれば、多様な活け方ができる。
生花整形器の第一例は図1〜図3に示すように、盤1と、盤1の周囲を覆う化粧枠2と、盤1と化粧枠2を一体化する拘束具3と、盤1から上方に突出するツマミ4とから構成される。
盤1は、厚肉の円盤状の木製品であって、その上面には花を刺す下窄まりの複数の刺し穴5を、底面に貫通してあけてある。刺し穴5はいずれも長穴形状であって、盤1の中央部の刺し穴5を直線状とし、盤1の外周部(化粧枠2の一部が被さる部分)よりも内側にあける刺し穴5を非直線状(約40°の範囲に亘る円弧状)としてある。非直線状の刺し穴5は、円周方向に間隔をあけて形成すると共に、全体として二重の同心円状に形成してある。
刺し穴5の下窄まり具合(テーパー角度)は、穴の深さ方向に対して15°〜25°、望ましくは18°〜20°傾ける。15°〜25°の範囲外であれば、穴が広すぎたり、狭すぎたりして花を刺し込みにくくなる。また、活ける花が細い場合には10°〜20°が望ましい。刺し穴5の直径はその上面を15mm前後としてある。なお、刺し穴5は上面から底面に向かって全体が同一角度で傾斜している。
また、ツマミ4は棒状(着脱自在とするために雄ネジ)であって、化粧枠2を被せたまま盤1にツマミ4の下部を止めるために、締結具6(雌ネジ)を盤1の上面に露出する状態で埋め込んである。雌ネジ6はその内周側に設ける雌ネジ6自身の上部に一回り大径の角穴7をあけると共に、その外周部に外ネジ(符号省略)を設けてある。そして、盤1の上面にあけた丸穴Hに雌ネジ6を捩じ込む際には、角穴7に図示しない角レンチ(六角レンチ)を差し込んで使用する。図4に示すように、花を生けた花器整形器を花器8内に入れて水に漬けた際に、花器8の外側からはツマミ4が見えなくとも、花器8内の水位がツマミ4よりも低ければ、ツマミ4を掴んで持ち上げると手が濡れずにすみ、使い勝手が良い。
盤1を花器8内に設置して水を入れた際に、刺し穴5内の水が停滞しないようにすることを目的として、盤1の下部には導水部9を設けてある。導水部9は盤1の底面の大半に設けた凹みであって、盤1の底面から側面に通じている。この凹みは円形の両側に円弧が連続した形態である。
化粧枠2は陶器製で、盤1の外側に嵌まり込むリング10の上端部から環状の内鍔11を内向きに突出し、内鍔11で盤1の上面外周部に引っ掛ける。化粧枠2は、盤1の体裁を向上する役割の他に、盤1が軽い場合や水に浮く場合には重りとしての役割もあり、花器8内で盤1を安定させる。また、図1〜図6に示すように、リング10の下端部から環状の外鍔12を外向きに突出し、外鍔12には拘束具3を止める複数(図6中、四箇所)の切欠13を外周から内側に向かって設けてある。四つの切欠13に引っ掛けるために、拘束具3として伸縮可能なバンド14を用い、緊張した状態で掛け渡したバンド14で盤1の底を二列状に支持しながら、盤1を化粧枠2の内鍔11に押し付けてある。このように、バンド14はその弾性によって盤1と化粧枠2を一体化しているので、盤1を傷めずに済む。また、化粧枠2を外して、盤1の刺し穴5を掃除することも容易にできる。なお、盤1の底面は、化粧枠2の底面より上側、面一、下側であっても良く、下側の場合は盤1の底面の導水部9への水の流入効果が充分に得られる。
図7は第一例の変形例で、化粧枠2の代わりに、円盤状の重り15を用い、重り15を盤1の底面に当てて、拘束具3としての留めネジ16を重り15の抜穴17から盤1の裏面のネジ穴(図示省略)に捩じ込んで止めることを特徴とする。
生花整形器の第二例は図8に示すように、盤1の上面に複数の刺し穴5を直線状に形成し、且つ刺し穴5の配置関係に特徴を有するものである。全ての刺し穴5の延長方向は必ずしも同一ではなく、図では、幾つかの刺し穴5の延長方向を前後方向とし、他の刺し穴5の延長方向を前後方向に対して傾斜した方向としてある。また、全ての刺し穴5の長さも必ずしも同一ではない。
第一例のものであれば盤1に刺し穴5を二重の同心円状に設けてあるが、生花整形器の第三例は図9に示すように、第一例と比較して言えば、二重の同心円状に設けた刺し穴5のうち、内周側の刺し穴5を無くし、盤1の中央部の直線状の刺し穴5を長く形成したものである。
生花整形器の第四例は図10に示すように、非直線状の刺し穴5の形状に特徴を有するものである。一つの非直線状の刺し穴5を、盤1の中心に対して点対称の関係にある半円より少し小さい二つの円弧部18と、盤1を左右に二分する方向に沿いながら両円弧部18,18の片側端部を結ぶ直線部19とから構成してある。また、直線部19の左右であって各円弧部18の内側には、二つの円弧状の刺し穴5を、線対称の位置関係に設けてある。さらに、下窄まりの刺し穴5は、上面から高さ中間部までは同一角度で傾斜するテーパーを付けてあるが、高さ中間部から底面までは同一口径としてある。
生花整形器の第五例は図11に示すように、直線状の刺し穴5の一部(図では中央)に大径の大穴20をあけ、大穴20にはより太い花を活けられるようにしてある。また、盤1の上面には円弧状の刺し穴5を二重の同心円状にあけてあるが、外側の円弧状の刺し穴5を約170度程度の範囲に亘ってあけてある。
本発明は上記実施形態に限られず、例えば、長穴形状の刺し穴5のほかに、盤1の上面に円形の下窄み状の穴を別の箇所にあけても良いし、刺し穴5の長穴形状も平面視して蛇行する形態であっても良いし、渦巻き状、V字状に屈曲する形態であっても良い。さらに、導水部9の形状も側面に達するものであれば、側面から刺し穴5に通じる穴であっても良いし、底面に形成する溝状であっても良い。また、刺し穴5の深さ方向も鉛直方向に限らず、傾いていても良い。
生花整形器の第一例を示す分解斜視図である。 生花整形器の第一例の組み立て状態を示す斜視図である。 (イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)図は第一例の盤の平面図、底面図、正面図、右側面図、A−A線断面図である。 花器内に設置した状態を示す断面図である。 生花整形器の第一例の組み立て状態を示す断面図である。 化粧枠とバンドとの関係を示す平面図である。 生花整形器の第一例の変形例を示す分解斜視図である。 (イ)(ロ)図は生花整形器の第二例を示す平面図、底面図である。 (イ)(ロ)図は生花整形器の第三例を示す平面図、底面図である。 (イ)(ロ)(ハ)図は生花整形器の第四例を示す平面図、底面図、A−A線断面図である。 (イ)(ロ)(ハ)図は生花整形器の第五例を示す平面図、底面図、A−A線断面図である。
符号の説明
1盤、2化粧枠、3拘束具、4ツマミ、5刺し穴、6締結具(雌ネジ)、7角穴、8花器、9導水部、10リング、11内鍔、12外鍔、13切欠、14バンド、15重り、16留めネジ、17抜穴、18円弧部、19直線部、20大穴、H丸穴

Claims (7)

  1. 花器(8)内に設置する盤(1)の上面に、花を刺す下窄まりの刺し穴(5)を長穴形状にあけることを特徴とする生花整形器。
  2. 刺し穴(5)の下部に通じる導水部(9)を、盤(1)の側面に有することを特徴とする請求項1記載の生花整形器。
  3. 刺し穴(5)が非直線状の長穴形状であることを特徴とする請求項1又は2記載の生花整形器。
  4. 非直線状は円弧状であることを特徴とする請求項3記載の生花整形器。
  5. 非直線状は円弧部(18)と直線部(19)とが連続したものであることを特徴とする請求項3記載の生花整形器。
  6. 刺し穴(5)が直線状の長穴形状であることを特徴とする請求項1又は2記載の生花整形器。
  7. 刺し穴(5)を複数設けると共に、全ての刺し穴(5)を、直線状の長穴形状と、非直線状の長穴形状の組み合わせより構成してあることを特徴とする請求項1又は2記載の生花整形器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010063676A (ja) * 2008-09-11 2010-03-25 Keiji Sekiguchi 生花整形器

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