JP2007283063A - 縫合針 - Google Patents

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Abstract

【課題】 眼内レンズ移植、毛様溝縫着術をより安全に行なう縫合針を開発すること。
【解決手段】 眼内レンズ毛様溝縫着術用弯曲縫合針の先端に先端以外の弯曲部とは異なる角度を持たせ、虹彩や毛様体を損傷せず、眼内レンズ移植毛様溝縫着術を容易で確実にする縫合針を提供する。縫合針先端は直線或いは左右いずれかに曲げられ、眼球の使用部位により使い分けられる。弯曲した縫合針は上下の弯曲に加え、左右いずれかに弯曲し、同じく眼球の使用部位により使い分けられる。
【選択図】図1

Description

本発明の縫合針は、眼科手術、特に白内障手術及び眼内レンズ移植手術時、の眼内レンズ毛様溝固定に用いる。
白内障患者の白内障手術において、眼内レンズ、特に後房レンズ、の縫着固定は技術的に困難で、硝子体出血が起こり易く、網膜剥離の誘因となる可能性が高くなるとされているが、白内障手術中に水晶体後嚢が破嚢した場合の硝子体脱出時や後房レンズ二次移植時にこの眼内レンズ縫着手技が必要と言われている。眼内レンズ縫着固定部位としては一般的に眼内レンズ支持部を眼内毛様溝に縫着し固定する。
特許公開2005−334193号公報 特許公開2005−304990号公報 特許公開2005−007029号公報 特許公開2002−224485号公報
白内障手術時に水晶体嚢が正常に確保出来ない場合、眼内レンズは毛様溝固定されることがある。眼内レンズ二次移植時にも眼内レンズは毛様溝固定される。これら眼内レンズの毛様溝固定には一般的に弱弯性縫合針が使用される。この縫合針先端が毛様溝から強膜を穿刺するが、この毛様溝に針先を進める時、縫合針先端で穿刺部以外のぶどう膜である虹彩裏面や毛様体を損傷する恐れがある。ぶどう膜には血管組織が多くあり、縫合針先端の誤操作で余計な出血に至る場合がある。眼内レンズの固定位置の不具合や余計な出血は術後視力に影響を及ぼす。特に硝子体出血が起こり易く、網膜剥離の誘因となる。手術顕微鏡下において、曲針先端で毛様溝を探る微細な操作は手術医のストレスの一つでもある。散瞳が不充分な時、毛様溝を探る微細な操作は更に困難となる。その為に毛様体パッドや特許文献3で開示している器具、毛様溝ガイド、等が考案されている。眼内レンズ移植、毛様溝縫着術をより安全に、確実に行ない、術後合併症を軽減する縫合針を開発すること。
課題を解決する為の手段
第一に、上下に弯曲している曲針の先端が1〜5mmの範囲から選ばれた長さで、この先端が曲針弧の接線外に角度5〜45°の範囲から選ばれた角度の折れ曲がりで、この先端部が直針或いは曲針である縫合針により眼内レンズの毛様溝固定を施行する。針の先端部が少なくとも長さ1mm以上で、曲針弧の接線外に角度5°以上であると手術用顕微鏡でこの針先の確認が容易となる。
第二に、上下に弯曲している曲針の先端が1〜5mmの範囲から選ばれた長さで、この先端が曲針弧の接線外に角度5〜45°の範囲から選ばれた角度の折れ曲がりで、この先端部が直針或いは曲針であり、この先端部が左右のいずれかに角度0〜60°の範囲内で選択した角度で曲がっている縫合針により眼内レンズの毛様溝固定を施行する。先端部が縫合糸の付いている手元側から見て左に曲がっている縫合針は3時方向の眼内レンズ支持部固定に、先端部が右に曲がっている縫合針は9時方向の眼内レンズ支持部固定に用いる。
第三に、上下に弯曲している曲針が、更に10〜30mmの範囲から選ばれた曲率半径や“く”の字で左右のいずれかに弯曲している縫合針により眼内レンズの毛様溝固定を施行する。
第四に、上下に弯曲している曲針の先端が1〜5mmの範囲から選ばれた長さで、この先端が上下弯曲弧の接線外に角度5〜45°の範囲から選ばれた角度の折れ曲がりで、この先端部が直針或いは曲針である、上下に弯曲している曲針が更に10〜30mmの範囲から選ばれた曲率半径や“く”の字で左右のいずれかに弯曲している縫合針により眼内レンズの毛様溝固定を施行する。
第五に、上下に弯曲している曲針の先端が1〜5mmの範囲から選ばれた長さで、この先端が上下弯曲弧の接線外に角度5〜45°の範囲から選ばれた角度の折れ曲がりで、この先端部が直針或いは曲針であり、更にこの先端部が左右のいずれかに角度0〜45°の範囲内で選択した角度で曲がっている、上下に弯曲している曲針が更に10〜30mmの範囲から選ばれた曲率半径や“く”の字で左右のいずれかに弯曲している縫合針により眼内レンズの毛様溝固定を施行する。
第一から第五の上下に弯曲した曲針とは、従来の凡そ10〜30mmの範囲にある曲率半径を持つ曲針や、“く”の字に上下に弯曲している曲針を言う。又、眼内レンズ移植時に眼内レンズを眼内に固定するための縫着糸を装着した縫合針のこの縫合糸はループ糸であると眼内レンズ支持部に結紮し易い。
発明の効果
本発明の糸付き縫合針を用いて眼内レンズの毛様溝固定を施行すると目標とする毛様溝眼内レンズ縫着部位に針先を進め易い。針先は虹彩や毛様体の方向を避け、毛様溝に向けて進められる。眼内レンズの毛様溝固定が確実に行えると眼内レンズ位置不良が防止でき、術後視力の向上が期待できる。
更に、針先端部が実施例1〜5の様に先端から2mmであると、術者が虹彩裏面に針先端を進める時、虹彩下2mmの位置が分かることにより針先の進み具合が想定され、確実に毛様溝が狙える。
本発明の糸付き縫合針を用いれば、穿刺部以外のぶどう膜である虹彩裏面や毛様体を損傷する恐れが軽減される。虹彩や毛様体等のぶどう膜には血管組織が多く、縫合針先端の誤操作による余計な出血を防止できる。余計な出血は術後視力に影響を及ぼす。
本発明の針先端が左右のいずれかに折れ曲がった、或いは針全体が左右いずれかに弯曲した糸付き縫合針を用い、縫合糸を眼内レンズ支持部に縛り、針で毛様溝に縫着すると、針の穿刺した方向が眼内レンズ支持部に直角に近くなり、眼内レンズに対して最も歪みの少ない毛様溝縫着となる。つまり、従来の針では毛様溝及び強膜に対して放射状に穿刺できず、縫着糸に何らかの力が生じると眼内レンズに歪みを起こさせることとなる。
本発明の糸付き縫合針を用いて眼内レンズの毛様溝固定を施行すると白内障患者の眼内レンズ二次移植の術後視力向上が期待できる。
本発明の糸付き縫合針を用いての顕微鏡下での眼内レンズ毛様溝固定の施行は、術者に取り困難な手術をより容易に、又、ストレスを軽減し、より一般的な手術となる。
曲針の先端を長さ2mmの直針とし、手元側となる曲針弧の接線外に角度20°で折れ曲がり、手元側曲針弧の曲率半径を15mm、曲針全長は17mmとする。針先2mmの折れ曲がりは眼内の虹彩辺縁から毛様溝に穿刺する目安には適当と考えられる。この針先2mmは虹彩の裏面に平行で針先を毛様溝に向けるのに適当と考えられる。縫合糸は非吸収性縫合糸、例えばナイロンやポリプロピレン、が望ましい。縫合糸はループ糸とすると眼内レンズ支持部に結紮し易い。
毛様溝縫合針は眼内レンズ毛様溝縫着術に使用されるため、一般的に角膜縁12時方向より3時及び9時方向に穿刺される。眼内レンズ支持部は眼球内左右の毛様溝に縫い付けられることとなる。そのため、針先がその穿刺する毛様溝の方向に向いていると眼内レンズの固定が更に確実となる。このことより、針先が更に左右いずれかに折れ曲がっていると良い。又、曲針を更に左右いずれかに弯曲させ、角度を設けても同様の効果が得られる。
図1は曲針Nの先端Rを長さ2mmの直針とし、手元側曲針N弧の接線B外にGの角度20°で折れ曲がり、手元側曲針N弧の曲率半径を15mm、針の全長は17mmとした。糸Tは10−0でループ状のブルー・ポリプロピレン、長さ150mmとした。糸の最終端F部で眼内レンズ支持部を結紮する。針はステンレス製を作成した。先端Rは図2の先端Rsの様に正面から見て曲針Nの弧に同軸、直線、である。(株式会社はんだや製)
実施例1の針を更に先端R直針2mmを針の根元側より見て左に図2のR3の様に20°曲げ、毛様溝部位3時方向縫着用縫合針Nとした。
実施例2の針Nの弯曲部を図5の様に更に曲率半径15mmで左に弯曲させ、毛様溝部位3時方向縫着用縫合針CN3とした。この縫合針CN3は上下及び12時側から見て左、3時方向、に弯曲している。この図5の縫合針CN3の先端R3は、図1と同様に折れ曲がっている。
又、実施例1の針Nを図2の先端R9の様に直針2mmを針の根元側より見て右に20°曲げ、先端R9を持つ毛様溝部位9時方向縫着用縫合針Nとした。
実施例4の針Nの上下の弯曲部を図5の様に更に曲率半径15mmで右に弯曲させ、毛様溝部位9時方向縫着用縫合針CN9とした。この図5の縫合針CN9の先端R9は、図1の先端Rと同様に折れ曲がっている。
図3の様に実施例1〜5の曲針について大きさが人眼に模擬しているシリコーン製手術用模型眼を用いて実体顕微鏡下で操作性を試験した。各針の先端Rの2mmは針の操作には目安となり、毛様溝穿刺直前の位置が確認可能であった。針の先端2mmは虹彩1裏面にほぼ平行で虹彩1裏面を損傷する恐れが軽減できることが確認出来た。実施例2〜5の針先は眼球光軸より放射状に毛様溝・強膜を穿刺する可能性がより高くなり眼内レンズを光軸に合わせて固定出来ることを示唆していた。実施例1の曲針Nは対面通糸の場合に眼球光軸より放射状に毛様溝・強膜を穿刺する。
実施例1の針を作成する前の従来の針は、針先が眼内に挿入後、常に虹彩の裏面方向を向き、虹彩裏面を損傷する可能性が常に存在した。又、一旦、針先が虹彩裏面に隠れた場合、針先がどの位置にあるか推測困難で、図4の様に本発明の先端R3やR9の2mmの様な目印が必要と示唆された。針先の位置推測困難は毛様体を損傷する可能性もあり、毛様体損傷は避けねばならぬことと考えられた。更に、従来の単に上下に弯曲した針では12時、図4のXII、から3時方向、III、にS3やS9の位置に毛様溝から強膜を通糸した場合、強膜に直角に通糸出来ず、眼内レンズ支持部が下方6時方向、VI、に引っ張られることが分かった。
図2の先端がR3とR9の様に折れ曲がった縫合針を2本作成し、眼内レンズ、後房レンズ、毛様溝縫着術をシリコーン製手術用模型眼を用いて実体顕微鏡下で試験した。図3で説明すると、強角膜縁(角膜Kと強膜Scの境界)より眼内に挿入された針の先端Rの2mmは針の操作には目安となり、毛様溝Cs穿刺直前の針Rの位置が虹彩I下で確認可能であった。針の先端Rの2mmは虹彩I裏面にほぼ平行で虹彩I裏面を損傷する恐れが軽減できることが確認出来た。図3の様に水晶体後嚢Pcがチン小帯Zから離断していたり、チン小帯Zが脆弱な場合にも毛様溝縫着術が施行される場合がある。図3の様に針先Rが虹彩1裏面を毛様溝Csに向かって進むと虹彩Iや毛様体Uを避け、これらを損傷することなく毛様溝Csから強膜Scを穿刺することが分かった。縫合糸は眼内レンズ毛様溝に固定後に強膜Scに縫合され、結膜Ct下に縫埋される。
図4は実施例8を模擬眼前面より見た説明のための簡易な図であり、眼の位置として、XIIは時計方向12時で、IIIは3時、VIは6時、IXは9時の方向を指す。強角膜に設けられた創口Dは白内障手術及び眼内レンズ移植のための創口である。この創口より縫合針は眼内に挿入され、縫合針N3はIIIの方向へ針先R3を進め、縫合針N9はIXの方向へ針先R9を進める。縫合糸Tの端のそれぞれに眼内レンズ支持部が結紮されている。まず縫合針N3でIII方向に通糸し、続いて縫合針N9でIX方向に通糸した後、眼外に出た双方の糸を牽引しながら創口Dより長径13.0mm、光学径6.5mmのソフト・アクリル製で支持部がブルー・PMMA製の眼内レンズを折りたたみ、模擬眼内に挿入、縫着部位S3及びS9でそれぞれ毛様溝縫着固定した。縫合針N3及びN9の針先R3及びR9のそれぞれはIII及びIXの方向には眼球光軸より放射状に毛様溝・強膜を穿刺する可能性がより高くなり、VIの方向を避け、眼内レンズをより光軸に合わせて固定出来た。模擬眼は人眼より硬いものの、通糸の結果はより良い光学的な毛様溝縫着固定を示唆した。更に図2の針先Rsを含め、R3やR9の折れ曲がりは図4の虹彩1の虹彩辺縁1Eでの目安となり角膜縁KEのやや外側となる毛様溝の穿刺がより容易に行えた。
上述したように本発明の縫合針は、白内障手術時の眼内レンズの毛様溝固定を確実に施行することができ、安全度の高い眼内レンズ移植手術を提供できる。
先端が直で先端以外が上下に弯曲している本発明の縫合針の側面図。 先端が直か左右のいずれかに曲がっていることを説明するための本発明の縫合針の正面図。 本発明の縫合針が眼内に挿入されている前眼部の断面図。 図2の縫合針の内の2種類が眼内左右に挿入されている前眼部の正面図。 上下に加え、左右のいずれかに弯曲している縫合針の正面図。
符号の説明
B 弯曲している縫合針の接線
CN3 3時方向(左)に弯曲している縫合針
CN9 9時方向(右)に弯曲している縫合針
Cs 毛様溝
D 白内障/眼内レンズ移植手術用切開創
F 縫合糸眼内レンズ結紮部
G 縫合針上下弯曲接線からの先端部角度
I 虹彩
IE 虹彩辺縁
K 角膜
KE 角膜縁
N 縫合針
N3 3時方向(左)用の縫合針
N9 9時方向(右)用の縫合針
Pc 水晶体後嚢
R 縫合針先端部分
Rs 直線的な先端部
R3 眼球角膜3時方向縫着用縫合針先端部
R9 眼球角膜9時方向縫着用縫合針先端部
Sc 強膜
T 縫合糸
U 毛様体
Z チン小帯

Claims (5)

  1. 上下に弯曲している曲針の先端が1〜5mmの範囲から選ばれた長さで、この先端が曲針弧の接線外に角度5〜45°の範囲から選ばれた角度の折れ曲がりで、この先端部が直針或いは曲針であることを特徴とする縫合針。
  2. 上下に弯曲している曲針の先端が1〜5mmの範囲から選ばれた長さで、この先端が曲針弧の接線外に角度5〜45°の範囲から選ばれた角度の折れ曲がりで、この先端部が直針或いは曲針であり、更にこの先端部が左右のいずれかに角度0〜60°の範囲内で選択した角度で曲がっていることを特徴とする先端部が左右のいずれかに曲がっている縫合針。
  3. 上下に弯曲している曲針が、更に10〜30mmの範囲から選ばれた曲率半径や“く”の字で左右のいずれかに弯曲していることを特徴とする縫合針。
  4. 上下に弯曲している曲針の先端が1〜5mmの範囲から選ばれた長さで、この先端が上下弯曲弧の接線外に角度5〜45°の範囲から選ばれた折れ曲がりで、この先端部が直針或いは曲針であることを特徴とする請求項3に記載の縫合針。
  5. 上下に弯曲している曲針の先端が1〜5mmの範囲から選ばれた長さで、この先端が上下弯曲弧の接線外に角度5〜45°の範囲から選ばれた折れ曲がりで、この先端部が直針或いは曲針であり、更にこの先端部が左右のいずれかに角度0〜45°の範囲内で選択した角度で曲がっていることを特徴とする先端部が左右のいずれかに曲がっている請求項3に記載の縫合針。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
RU2464943C1 (ru) * 2011-08-08 2012-10-27 Сергей Владимирович Кривоносов Способ закрытия раневого дефекта после радикального иссечения эпителиального копчикового хода по кривоносову-брежневу
JP2013066639A (ja) * 2011-09-26 2013-04-18 Manii Kk 縫合針
KR101719809B1 (ko) * 2016-06-03 2017-03-24 주식회사 한마음 치과용 봉합침

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