JP2007282733A - センサ出力信号評価システム - Google Patents

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Abstract

【課題】センサの出力信号を客観的且つ定量的に評価可能なセンサ出力信号評価システムを提供する。
【解決手段】被測定者の弛緩及び収縮動作を測定するセンサの出力信号を評価する評価システムは、被測定者がこれに応じて弛緩及び収縮を行うための指標となる指標信号を発生する指標信号発生部10と、センサの出力信号と指標信号との近似性を評価する出力信号評価部20とからなる。出力信号評価部20は、指標信号に応じた収縮時の出力信号の最大振幅を評価する最大振幅解析部21と、所定の閾値を下回る出力信号を評価する弛緩時解析部22と、所定の閾値を上回る出力信号を評価する収縮時解析部23との少なくとも何れか1つを用いて出力信号を評価する。
【選択図】図1

Description

本発明は被測定者の弛緩及び収縮動作に基づくセンサの出力信号を評価するセンサ出力信号評価システムに関し、特に、被測定者が指標信号に応じて行った弛緩及び収縮動作に基づくセンサの出力信号と指標信号とを比較評価するセンサ出力信号評価システムに関する。
人体の弛緩・収縮動作時の筋肉から発生する電気信号を測定するための筋電計や圧力計等のセンサは従来から種々存在している。
例えば筋電計を用いて筋肉の動作を検査する場合、筋電計からの出力信号は、通常、表面筋電計や針筋電計により測定された電圧を時間軸に沿って表示するものである。従来ではこの出力信号の生波形や積分波形を、測定者である医師等が視覚的に捉え、経験則等に基づき主観的に評価を行っていた。
針筋電図法では、その障害が神経原性のものなのか筋原性のものなのか、急性のものなのか否か、さらには慢性のものなのか否か等を判断するために、筋電計出力の評価は重要なものとなっている。
また、表面筋電図法では、不随意運動の診断として、振戦運動のタイプ分けやジストニアやスパズム等の診断、さらにはこれらの鑑別診断、不随意収縮筋の部位の特定等、筋電計出力の評価の応用範囲は多岐にわたっている。また、表面筋電法は、神経伝達検査の検出電位を示す誘発筋電図を作成するのにも用いられている。さらに、筋電計からの出力信号の積分波形は、筋収縮の相対的な度合いの判断材料にされる場合や、筋肉トレーニングの状態を評価する指標として用いられる場合もある。
さらに、会陰筋群の測定を行うためには、膣内に挿入するプローブを有する圧力計等も用いられている。これは、筋電計出力と膣圧とが高い相関関係を有するためである。
このように、筋肉からの重要な情報を示す筋電計や圧力計等のセンサからの出力信号の評価方法としては、最も単純には、センサの出力信号の生波形を評価者が見て主観的に評価する手法である。その他にも、センサの出力信号の評価方法は、従来から種々開発検討されてきている。例えば、センサからの出力信号を積分して評価するもの(特許文献1−3等)、FFT等の周波数解析を用いて評価するもの(特許文献4,5等)、検出値と目標値の誤差を求める誤差検出手段を用いてフィードバック制御するもの(特許文献6等)等があった。
特開2005−278706 特開2005−074063 特開2003−230545 特開2004−202196 特開2003−169782 特開平11−253502
しかしながら、被測定者の弛緩及び収縮動作を測定するセンサは、電極やプローブの当接位置や挿入位置によって、その出力信号の強度が大きく変化してしまうため、出力信号の波形の目視による主観的な評価はあまり意味のないものであった。また、筋力トレーニングの前後において、トレーニングの効果を測定しようとした場合、積分波形やFFT解析、誤差検出等を行う従来の種々の評価方法では、検査時の測定結果とトレーニング後の測定結果において基準となるものがなく、これらを定量的に評価することはできなかった。さらに、被測定者の測定時の体調等によっても出力信号の強度が大きく変化してしまうので、センサの出力信号を客観的且つ定量的に評価可能な手法は存在しなかった。
また、針筋電計や誘発筋電計の場合、用いるプローブとして針電極が用いられている。この針電極をこの針電極を経皮的に筋組織内に刺入することで、筋組織からの筋電位を測定したり、末梢神経に電気刺激を与えたりする。このような検査は侵襲性があり、強い痛みを伴うものである。したがって、何度も測定されるのは被測定者にとって非常に酷であったにもかかわらず、従来の手法では、定量的な評価ができなかったため、継続的に何度も測定することで、傾向をつかむしかなかった。
本発明は、斯かる実情に鑑み、センサの出力信号を客観的且つ定量的に評価可能なセンサ出力信号評価システムを提供しようとするものである。
上述した本発明の目的を達成するために、本発明によるセンサ出力信号評価システムは、被測定者がこれに応じて弛緩及び収縮動作を行うための指標となる指標信号を発生する指標信号発生部と、センサの出力信号と指標信号との近似性を評価する出力信号評価部と、を具備するものである。そして、出力信号評価部は、指標信号に応じた単位時間の出力信号の最大振幅を評価する最大振幅解析部と、所定の閾値を下回る出力信号を評価する弛緩時解析部と、所定の閾値を上回る出力信号を評価する収縮時解析部と、の少なくとも何れか1つを用いて出力信号を評価する。
ここで、出力信号評価部は、最大振幅解析部と弛緩時解析部と収縮時解析部のすべてを組み合わせて出力信号を評価しても良い。
また、出力信号評価部は、最大振幅解析部と弛緩時解析部と収縮時解析部の評価結果に重み付けをして出力信号を評価しても良い。
さらに、出力信号評価部は、出力信号のパワースペクトルを評価する周波数スペクトル解析部を有しても良い。
ここで、周波数スペクトル解析部は、低周波帯域におけるパワースペクトルを用いれば良い。
また、弛緩時解析部は、所定の閾値を下回る出力信号の平均値を用いれば良い。
また、弛緩時解析部は、所定の閾値を下回る出力信号のばらつきを用いても良い。
さらに、弛緩時解析部は、所定の閾値を下回る出力信号の極大値列を用いて弛緩時の指数減衰関数の回帰分析を行っても良い。
また、収縮時解析部は、所定の閾値を上回る出力信号の平均値を用いれば良い。
また、収縮時解析部は、所定の閾値を上回る出力信号のばらつきを用いても良い。
また、収縮時解析部は、所定の閾値を上回る出力信号の極大値列を用いて収縮継続時間を解析しても良い。
さらに、収縮時解析部は、所定の閾値を上回る出力信号の極大値列を用いて収縮時の指数減衰関数の回帰分析を行っても良い。
また、指標信号は、その最大値及び最小値が被測定者の最大収縮時及び最大弛緩時の出力信号に基づき決定されれば良い。
また、指標信号は、その最大値が最大収縮時の出力信号から所定量だけ低い大きさに決定されても良い。
ここで、指標信号は、パルス波であれば良い。また、音であっても良い。
本発明のセンサ出力信号評価システムには、客観的且つ定量的にセンサからの出力信号を評価できるという利点がある。このため、測定時期や測定環境にかかわらず、常に安定した診断等を行うことも可能となる。したがって、何度も測定する必要もなくなり、被測定者の負担も軽くなる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図示例と共に説明する。図1は、本発明のセンサ出力信号評価システムの全体的な概要を説明するためのブロック図である。本発明のセンサ出力信号評価システムは、主に指標信号発生部10と、出力信号評価部20とに分けられる。指標信号発生部10は、被測定者に対して指標となる指標信号を発生するものである。被測定者は、この指標信号に応じて測定部位の弛緩及び収縮動作を行う。なお、被測定者は測定部位に筋電計や圧力計の電極やプローブ等が提供された者であり、より具体的には、例えば嚥下障害や尿失禁、ジストニア等の症状を持つ患者等である。
指標信号発生部10から出力される指標信号は、例えば所定の周期のパルス波や音等である。指標信号がパルス波の場合、被測定者には、例えばパルス波がローのときに弛緩し、ハイのときに収縮するように動作してもらうようにする。また、指標信号が音の場合には、例えば音が発せられている時に収縮し、音が止まったところで弛緩するように動作してもらえば良い。本明細書においては、以下の説明では基本的に指標信号としてパルス波を用いたものについて説明するが、本発明はこれに限定されず、被測定者が弛緩及び収縮動作をするのに指標となるものであれば、正弦波や三角波等、あらゆるものが利用可能である。
指標信号発生部10から出力される指標信号は、その最大値及び最小値は、被測定者の最大収縮時及び最大弛緩時のセンサ出力に基づき決定されれば良い。すなわち、センサ装着後、被測定者に可能な限り測定部位の筋肉を収縮してもらったときのセンサ出力と、平常時のセンサ出力とを予め記録しておく。なお、センサ出力については、生波形を基準にしても良いし、その出力を積分した積分波形を基準にしても良い。そして、この出力に基づき、例えば最大収縮時の出力信号から所定量だけ低い大きさに指標信号の最大値を決定する。例えば、最大収縮時の出力信号から80%低い値を指標信号の最大値とする。より具体的には、例えば筋電計を用いた測定の場合、筋電計の出力が最大収縮時に2.5Vを示し、最大弛緩時に1Vを示したときには、指標信号は、最大値が2Vで最小値が1Vのパルス波となるように設定する。また、パルス波は、所定の周期、例えば12秒周期となるように設定すれば良い。このように指標信号を設定することで、センサの当接位置や挿入位置等、そのとき測定環境に影響されない被測定者の最大収縮時の出力を基準とする指標信号を提供することが可能となる。
次に、被測定者が上記のように決定された指標信号に応じて弛緩及び収縮動作を行ったときのセンサからの出力信号は、移動積分部11で例えば0.1秒毎に積分され、積分波形が生成される。この積分波形は、指標信号発生部10の指標信号を基準に、周期毎に、例えば上記の例では12秒毎に、スプリッタ12で分割される。
ここで、被測定者が指標信号に応じて弛緩及び収縮動作を行った場合の筋電計からの生波形及びその積分波形、さらにはその積分波形を基にした指標信号の各一例を図2に示す。図2(a)は、指標信号であるパルス波である。図2(b)は、この指標信号に応じて弛緩及び収縮動作を行ったときの筋電計からの生波形であり、従来ではこの生波形の振幅を見て筋肉が正しく動いているか否かを測定者の主観で評価していたものである。図2(c)は、図2(b)の生波形を積分した波形である。なお、指標信号及び出力信号は、図2(d)に示すように、オーバーラップ表示してリアルタイムに被測定者へ示せば良い。このように、筋電計の出力信号の積分波形は、弛緩時には低い電圧を示し、収縮時には高い電圧を示すものである。なお、図2のグラフは、横軸は時間で縦軸は電圧であるが、各値には特に意味はなく、振幅やパルス幅等は図示例のものに限定されるものではない。
このようにして得られた図2(c)に示すような出力信号を、周期毎にスプリッタ12で分配して、本発明の出力信号評価部20へ入力する。出力信号評価部20は、主に最大振幅解析部21と弛緩時解析部22と収縮時解析部23と周波数スペクトル解析部24とからなるものである。なお、本発明のセンサ出力信号評価システムにおける出力信号評価部は、必ずしも上記のすべての解析部を必要とするものではなく、評価システムの用途や構成等により、少なくとも上記の何れか1つの解析部が含まれていれば評価システムとして機能するものである。以下、本発明のセンサ出力信号評価システムの好適実施例に関し、図2(c)の積分波形の1つのパルス波形の拡大図である図3を用いながら、各評価部についてその機能を詳細に説明する。
最大振幅解析部21は、指標信号に応じた単位時間の出力信号の最大振幅を評価・検出するものである。図3に示されるように、スプリッタ12で単位時間毎に分割された各々の出力信号の最も高くなったピーク電圧が、周期毎、すなわち、パルス毎に記録される。最大振幅解析部21により、指標信号のハイと同じ程度の出力信号が得られているか否かが解析される。
弛緩時解析部22は、被測定者の弛緩時のセンサの出力信号を解析するものである。図示例では、弛緩時解析部22は、出力信号の平均値を検出する平均値検出部13からの平均値を用いて、これを下回る出力信号を抽出する弛緩時データ抽出部31と、弛緩時データ抽出部31の出力信号の平均値を検出する弛緩時平均値検出部32とからなる。これにより、被測定者が弛緩時に、指標信号のローと同じ程度の出力信号が得られているか否かが解析される。
収縮時解析部23は、被測定者の収縮時のセンサの出力信号を解析するものである。図示例では、収縮時解析部23は、出力信号の平均値を検出する平均値検出部13からの平均値を用いて、これを上回る出力信号の極大値列を検出する極大値列検出部35と、極大値列検出部35の出力信号を用いて収縮時の継続時間を検出する収縮継続時間検出部36と、極大値列検出部35の出力信号を用いて極大値列の指数減衰関数の回帰分析を行う回帰分析部37とからなる。収縮継続時間検出部36と最大振幅解析部21により、指標信号のハイと同じ程度の時間継続同じ程度の出力信号で収縮できているか否かが解析される。
なお、平均値検出部13に関しては、必ずしも出力信号の平均値を検出するものである必要はなく、所定の閾値を設けて出力信号のハイ側とロー側を分離できるものであれば如何なるものであっても構わず、弛緩時解析部22が弛緩時の信号を、収縮時解析部23が収縮時の信号をそれぞれ解析できるように振り分けるものであれば良い。
極大値列検出部35は、積分波形の平均値を上回る部分のピーク(極大値)の電圧を平均値が下回るまで順に検出するものである。収縮継続時間検出部36は、極大値列検出部35の出力信号から、最初の極大値から最後の極大値までの時間を検出するものである。なお、パルス状の積分波形の立ち上がり及び立ち下がり部分の誤差を考慮して、最初の極大値の次の極大値から最後の極大値の手前の極大値までの時間を検出するようにしても構わない。
回帰分析部37は、極大値列検出部35で得られた極大値列の「傾き」を検出するものである。通常、被測定者が指標信号に追従するように筋を収縮させるときに、指標信号の立ち上がり時に過大に反応しすぎてその後筋力を調整して右下がりな出力信号となる傾向がある。また、筋力の弱まった被測定者が収縮動作を行うと、収縮動作中にも関わらず、時間と共に徐々に収縮力が弱まっていくため、筋電計の収縮時の出力は右下がりな出力信号となる。しかしながら、正常な筋運動が可能な被測定者の場合には、指標信号に応じてほぼ水平な出力信号となる。なお、この右下がりな出力信号となる場合、筋電図の積分波形は減衰振動をすることになる。回帰分析部37では、極大値列検出部35によりこの振動成分を省いた極大値列のみを対象としており、減衰特性のみを分析できる。したがって、回帰分析部37では、この収縮時の極大値列を用いて、指数減衰曲線による回帰分析を行うことにより、例えば傾きに対応する形状因子を求めることで、一定時間継続して同じ力で収縮できているか否かが解析される。具体的には、例えば以下の減衰曲線を回帰し、βを形状因子として求め、この値が小さければ小さいほど追従波形が平坦化していることが解析可能となる。
Cexp[−βt]
但し、Cは最大振幅の回帰値、tは時間である。
なお、形状因子βは、指標信号のパルス波と同じように平坦に追従すべきところからどのくらいかけ離れているかを意味するものであり、βは減衰の勾配に相当するものである。したがって、上式でβが小さいほど緩やかな勾配となり平坦に近く、大きいほど急激な勾配となり平坦ではないということが分析できる。
周波数スペクトル解析部24は、出力信号の周波数をスペクトル解析するものである。図示例では、周波数スペクトル解析部24は、FFT解析部38と、ローパスフィルタ部39とからなる。周波数スペクトル解析部24では、FFT解析部38で周波数別のパワースペクトルを解析し、ローパスフィルタ部39で具体的には例えば3Hz以下のパワースペクトルの平均値に着目することで、安定した弛緩及び収縮運動が行えているか否かが解析される。
上記の各解析部で解析された結果は、データストック部42にそれぞれ蓄積される。そして、バイオフィードバックトレーニング等を行う前のデータを例えば累積して蓄積するトレーニング前データベース部45を用いて、トレーニングを行う前の状態と後の状態を比較できるようにし、これらを用いて診断部46で診断する。診断部では、各解析部の解析結果をそれぞれ表示するようにしても良いし、必要により生波形や積分波形を表示するようにしても良い。また、トレーニング前後のデータのばらつきを示す標準偏差(σ)を表示するようにし、ゼロに近づけば近づくほどトレーニング成果が現れていると診断するようにしても良い。
以下、指標信号に追従した運動をした被測定者に対して、センサ、特に筋電計を用いて測定したときの各解析部の解析結果を、各解析部の出力結果等を用いてより具体的に説明する。測定方法としては、骨盤底筋群筋電計(Mega Electronics Ltd製のFemiScan)のプローブを被測定者の膣部に挿入し、指標信号に合わせて骨盤底筋群の収縮と弛緩を繰り返し行わせた。具体的には、予め被測定者の最大収縮時の出力信号の80%の振幅に設定された1周期12秒のパルス波を指標信号発生部10から発生させ、収縮6秒間及び弛緩6秒間の繰り返し運動を4回連続で行わせ、これを6セット行った。筋電計からの出力信号を移動積分部11にて積分し、この積分波形をパルス波の周期毎にスプリッタ12で分割した。これらの積分波形を独立した試行によるものと捉え、それぞれ各解析部で解析し、バイオフィードバックトレーニングの前後で統計的に比較した。なお、ここではウィルコクソンの符号順位検定を用い、有意水準を0.05とした。
そして、腹圧性尿失禁患者に対するバイオフィードバックトレーニングは、FemiScanのプローブを用いて、膣部収縮6秒間と弛緩6秒間を12回、3セットを1週間単位で12週間行った。なお、本発明は上記の測定方法や測定回数、バイオフィードバックトレーニング方法等に限定されるものではなく、上述の説明はあくまでも一例である。
さて、このようにして測定された解析結果について、以下、各解析部の出力結果を示す図を用いて説明する。なお、各図中、Preはバイオフィードバックトレーニング前の出力データ、Postはトレーニング後の出力データを意味する。
図4は、最大振幅解析部21の出力結果の一例を示すものである。図4は、縦軸は振幅を表している。同図より、トレーニング前後で最大振幅が抑えられていることが分かる。すなわち、トレーニング前は指標信号のパルス波のハイに追従して収縮動作をしようとしてもうまくコントロールできず筋肉を収縮させすぎてしまい、リンギングのような波形となっていたものが、トレーニング後にはパルス波にうまく追従するようコントロールできるようになり、リンギングが抑えられていることが分かる。
図5は、弛緩時解析部22の出力結果の一例を示すものである。図5は、縦軸は振幅を表している。同図より、トレーニング前後で弛緩時の平均振幅が下がっていることが分かる。すなわち、弛緩時に筋収縮信号が出ていないということになり、被測定者の筋制御機能が向上していることが分かる。
図6は、収縮時解析部23の収縮継続時間検出部36の出力結果の一例を示すものである。図6は、縦軸は時間を表している。同図より、トレーニング前後で収縮時の継続時間が増えており、より持続的な筋運動ができるようになっていることが分かる。
図7は、収縮時解析部23の回帰分析部37の出力結果の一例を示すものである。図7は、縦軸は極大値列の傾きに対応する形状因子βの値を表している。同図より、トレーニング前後で形状因子の値が減っているため、指標信号のハイに追従した出力波形の傾きが平坦化しており、被測定者の筋制御機能が向上していることが分かる。
図8は、周波数スペクトル解析部24の出力結果の一例を示すものである。図8は、縦軸はパワースペクトルの平均値を表している。同図より、低周波領域のうち、0Hzのパワースペクトルがトレーニング前後で上がっており、逆にそれ以上の周波数で下がっていることが分かる。すなわち、0Hzという低周波成分が増えたということは、それだけばらつきの少ない出力波形が得られているということになるため、より安定した弛緩及び収縮運動ができるようになっていることが分かる。
このように、図1に示した出力信号評価部20では、種々の解析を行い、これらを総合的に用いることで指標信号と出力信号が如何に近似しているかが評価可能となる。また、必要により個々に用いて個々の解析結果のみに着目して評価しても勿論構わない。例えば最大振幅解析部21と弛緩時解析部22と収縮時解析部23の回帰分析部37と収縮時解析部23の収縮継続時間検出部36の解析結果を用いて、測定されたセンサからの出力信号が如何に指標信号と近似しているか評価する場合には、各解析部からの結果をそれぞれ数値等で表示することで、どの部分が近似していてどの部分が近似していないのかを明らかにしても良い。
さらに、各解析部からの結果をまとめて点数化し、1つの数値を表示するようにしても良い。まとめて1つの数値を出力する場合には、各解析部からの結果を等分して出力するのではなく、各解析部からの結果に重み付けをした上で出力するようにしても良い。例えば、収縮継続時間検出部36の解析結果については、仮に指標信号に追従しておらず指標信号よりも常に一定時間長い時間で収縮が継続していたとしても、その継続時間が安定していれば、持続的な筋活動ができるように改善されたと判断される可能性がある。しかしながら、実際には指標信号には追従した動作とはなっていないため、このような誤認識の影響を低くするために、例えば収縮継続時間検出部36の解析結果については、他の解析部からの解析結果に比べて重み付けを低くするということが可能である。
なお、図示例では弛緩時解析部22は、弛緩時平均値検出部32により弛緩時の出力信号の平均値を検出するものとなっているが、本発明はこれに限定されず、弛緩時の出力信号のばらつきを検出するものであっても良い。すなわち、弛緩時の出力信号の平均値から出力信号までの差分を用いる等により、弛緩時の出力信号が安定しているか否かを解析するものであっても良い。さらに、収縮時解析部23と同じように、弛緩時の出力信号の極大値列を用いて指数減衰関数の回帰分析を行うものであっても良い。また、収縮継続時間検出部36と同様に、弛緩継続時間を検出するようにしても良い。さらに、このような種々の弛緩時解析の手法を組み合わせても良い。
一方、収縮時解析部23も、収縮時の出力信号の平均値を検出するようにしても良いし、その出力信号のばらつきを検出するものであっても良い。また、上記と同様、このような種々の収縮時解析の手法を組み合わせても良い。
このように、本発明のセンサ出力信号評価システムでは、上記の解析部を種々組み合わせることで、客観的且つ定量的に、種々の測定、解析、診断等が可能となる。
なお、本発明のセンサ出力信号評価システムは、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
図1は、本発明のセンサ出力信号評価システムの全体的な概要を説明するためのブロック図である。 図2は、各波形信号を示すグラフであり、図2(a)は指標信号、図2(b)は指標信号に応じて弛緩及び収縮動作を行った場合の筋電計からの生波形、図2(c)は生波形を積分した積分波形、図2(d)は図2(a)と図2(c)をオーバーラップしたものである。 図3は、図2(c)の積分波形の1つのパルス波形の拡大図である。 図4は、最大振幅解析部の出力結果の一例を示すグラフである。 図5は、弛緩時解析部の出力結果の一例を示すグラフである。 図6は、収縮時解析部の収縮継続時間検出部の出力結果の一例を示すグラフである。 図7は、収縮時解析部の回帰分析部の出力結果の一例を示すグラフである。 図8は、周波数スペクトル解析部の出力結果の一例を示すグラフである。
符号の説明
10 指標信号発生部
11 移動積分部
12 スプリッタ
13 平均値検出部
20 出力信号評価部
21 最大振幅解析部
22 弛緩時解析部
23 収縮時解析部
24 周波数スペクトル解析部
31 弛緩時データ抽出部
32 弛緩時平均値検出部
35 極大値列検出部
36 収縮継続時間検出部
37 回帰分析部
38 FFT解析部
39 ローパスフィルタ部
42 データストック部
45 トレーニング前データベース部
46 診断部

Claims (16)

  1. 被測定者の弛緩及び収縮動作を測定するセンサの出力信号を評価する評価システムであって、該システムは、
    被測定者がこれに応じて弛緩及び収縮動作を行うための指標となる指標信号を発生する指標信号発生部と、
    センサの出力信号と指標信号との近似性を評価する出力信号評価部と、
    を具備し、
    前記出力信号評価部は、
    前記指標信号に応じた単位時間の出力信号の最大振幅を評価する最大振幅解析部と、
    所定の閾値を下回る出力信号を評価する弛緩時解析部と、
    所定の閾値を上回る出力信号を評価する収縮時解析部と、
    の少なくとも何れか1つを用いて出力信号を評価することを特徴とするセンサ出力信号評価システム。
  2. 請求項1に記載のセンサ出力信号評価システムにおいて、前記出力信号評価部は、前記最大振幅解析部と前記弛緩時解析部と収縮時解析部のすべてを組み合わせて出力信号を評価することを特徴とするセンサ出力信号評価システム。
  3. 請求項2に記載のセンサ出力信号評価システムにおいて、前記出力信号評価部は、前記最大振幅解析部と前記弛緩時解析部と収縮時解析部の評価結果に重み付けをして出力信号を評価することを特徴とするセンサ出力信号評価システム。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れかに記載のセンサ出力信号評価システムにおいて、前記出力信号評価部は、さらに、出力信号のパワースペクトルを評価する周波数スペクトル解析部を有することを特徴とするセンサ出力信号評価システム。
  5. 請求項4に記載のセンサ出力信号評価システムにおいて、前記周波数スペクトル解析部は、低周波帯域におけるパワースペクトルを用いることを特徴とするセンサ出力信号評価システム。
  6. 請求項1乃至請求項5の何れかに記載のセンサ出力信号評価システムにおいて、前記弛緩時解析部は、所定の閾値を下回る出力信号の平均値を用いることを特徴とするセンサ出力信号評価システム。
  7. 請求項1乃至請求項6の何れかに記載のセンサ出力信号評価システムにおいて、前記弛緩時解析部は、所定の閾値を下回る出力信号のばらつきを用いることを特徴とするセンサ出力信号評価システム。
  8. 請求項1乃至請求項7の何れかに記載のセンサ出力信号評価システムにおいて、前記弛緩時解析部は、所定の閾値を下回る出力信号の極大値列を用いて弛緩時の指数減衰関数の回帰分析を行うことを特徴とするセンサ出力信号評価システム。
  9. 請求項1乃至請求項8の何れかに記載のセンサ出力信号評価システムにおいて、前記収縮時解析部は、所定の閾値を上回る出力信号の平均値を用いることを特徴とするセンサ出力信号評価システム。
  10. 請求項1乃至請求項9の何れかに記載のセンサ出力信号評価システムにおいて、前記収縮時解析部は、所定の閾値を上回る出力信号のばらつきを用いることを特徴とするセンサ出力信号評価システム。
  11. 請求項1乃至請求項10の何れかに記載のセンサ出力信号評価システムにおいて、前記収縮時解析部は、所定の閾値を上回る出力信号の極大値列を用いて収縮継続時間を解析することを特徴とするセンサ出力信号評価システム。
  12. 請求項1乃至請求項11の何れかに記載のセンサ出力信号評価システムにおいて、前記収縮時解析部は、所定の閾値を上回る出力信号の極大値列を用いて収縮時の指数減衰関数の回帰分析を行うことを特徴とするセンサ出力信号評価システム。
  13. 請求項1乃至請求項12の何れかに記載のセンサ出力信号評価システムにおいて、前記指標信号は、その最大値及び最小値が被測定者の最大収縮時及び最大弛緩時の出力信号に基づき決定されることを特徴とするセンサ出力信号評価システム。
  14. 請求項1乃至請求項13の何れかに記載のセンサ出力信号評価システムにおいて、前記指標信号は、その最大値が前記最大収縮時の出力信号から所定量だけ低い大きさに決定されることを特徴とするセンサ出力信号評価システム。
  15. 請求項1乃至請求項14の何れかに記載のセンサ出力信号評価システムにおいて、前記指標信号は、パルス波であることを特徴とするセンサ出力信号評価システム。
  16. 請求項1乃至請求項14の何れかに記載のセンサ出力信号評価システムにおいて、前記指標信号は、音であることを特徴とするセンサ出力信号評価システム。
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