JP2007281131A - 樹脂モールドコイル - Google Patents

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Teruhiko Maeda
照彦 前田
Yoshikazu Takeuchi
美和 竹内
Hiroshi Sonobe
浩 園部
Satoshi Kida
聡 木田
Yusuke Shima
裕介 陦
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Abstract

【課題】部分放電の発生しにくい樹脂モールドコイルを提供する。
【解決手段】絶縁被覆導体を巻回してなる巻線を樹脂モールドして略環状に形成した単位コイル(2)の表面に導体による静電シールド層(3)を形成する。静電シールド層を形成した単位コイルを複数個、軸方向に所定の間隔をおいて配置して直列接続する。全体を樹脂モールドして筒状に仕上げる。
【選択図】図1

Description

本発明は変圧器、リアクトル等の誘導機器に用いる樹脂モールドコイルに関する。
変圧器、リアクトル等の誘導機器に用いるコイルとして、図11の断面図に示すようにコイル周囲を絶縁樹脂でモールドした構造の樹脂モールドコイル50が広く用いられている。この樹脂モールドコイル50は絶縁被覆銅線あるいは絶縁被覆銅帯をドーナツ状に巻回した単位コイル51を最初に製作し、次にそれらを複数個軸方向に積み重ねてモールド型内に固定し、最後に全体を熱硬化性樹脂でモールドして製作される。複数個の単位コイル51の接続方法は用途により異なるが、高圧機器用のものでは一般に直列接続される。この樹脂モールドコイル50は、絶縁性、難燃性に優れた特性を示す他、コンパクトに製作できる利点がある。
モールドのため注型された樹脂は単位コイル51を構成する銅線あるいは銅帯の隙間にも入り込み、それら導体間の絶縁性を高める。しかし、単位コイル51は銅線あるいは銅帯を密に巻回して形成されているため導体間の狭い隙間には樹脂は侵入しにくい。このため単位コイル51内に樹脂が未含浸の隙間が残ったり、例え含浸しても導体と樹脂との間に微小な空隙が残ったりすることがある。
単位コイル51に高電圧が印加されると、単位コイル51と接地間、あるいは単位コイル相互間に電位差が生じて高電界が発生する。発生する電界の強さは、電束密度が同じであれば誘電率に反比例する。空隙部分の誘電率は樹脂より低いため、空隙内の電界強度は樹脂部分の4〜5倍にもなる。その値が空気の絶縁破壊電界強度を上回ると空隙内で部分放電が発生し、故障につながる。
こうした問題を解決する従来技術として、例えば特許文献1には注入樹脂の粘度を小さくして樹脂中に空隙が残ることを防止する技術が開示されている。また、特許文献2には樹脂モールド層の表面に導電性高分子からなる表面導電層を設けて耐クラック性や耐部分放電性を向上させる技術が開示されている。また、特許文献3には、変圧器に雷インパルスが侵入した場合には給電端子に近い単位コイルに最も高い電圧が加わることから、給電端子に近い単位コイルの内周側を覆う絶縁部の肉厚を他の単位コイル内周側を覆う部分より厚くする技術が開示されている。
しかしながら特別高圧級の変圧器に使用する樹脂モールドコイルとしては、上記のような対策だけでは不十分であり、部分放電の発生を防止するための更なる技術が求められている。
特開平08−316055号公報 特開平08−264347号公報 特開平07−122439号公報
本発明はこのような従来技術の問題点を解決するためになされたもので、その課題は、部分放電が発生しにくい樹脂モールドコイルを提供することにある。
前記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、絶縁被覆導体を巻回してなる巻線を樹脂モールドして略環状に形成した単位コイル(2)の表面には導体による静電シールド層(3)が形成してあり、静電シールド層が形成された単位コイルは複数個を軸方向に所定の間隔をおいて配置して直列接続してあり、それら複数個の単位コイルは全体を樹脂モールドして筒状に仕上げてあることを特徴とする樹脂モールドコイルである。
このように単位コイルの周りに静電シールド層を設けると、静電シールド層の電位は単位コイルを構成する各巻線の電位のほぼ平均値となる。そのため、各巻線と静電シールド層との間の電位差が小さくなる。また、静電シールド層内の巻線間の電位差も小さくなる。これらのことから、微小空隙が静電シールド層内の単位コイル周りに存在したとしても部分放電が生じにくくなる効果を奏する。
更に、静電シールド層を設けたことにより、樹脂モールドコイルに立ち上がりの速いサージ電圧が加わった場合の各単位コイルにかかる電圧が平均化される。これにより樹脂モールドコイルの入力端子に近い位置に接続された単位コイルに他より著しく高い電圧が加わることがなくなる。従って、それら単位コイル付近での部分放電も抑制される効果を奏する。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の樹脂モールドコイルにおいて、該樹脂モールドコイルの表面には表面接地用の表面導体層(30)が形成してあることを特徴とする樹脂モールドコイルである。
このような表面導体層を形成して接地すれば、装置の安全性を高めることができる。表面導体層の形成により静電シールド層から接地までの距離が短くなるが、静電シールド層の外側のモールド層には微小隙間は形成されないので部分放電が発生する心配は少ない。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の樹脂モールドコイルにおいて、前記複数個の単位コイルにおける隣り合う前記静電シールド層間にはコンデンサ(19)が接続してあり、それらコンデンサも複数個の単位コイルと一体に樹脂モールドしてあることを特徴とする樹脂モールドコイルである。
このような構成の樹脂モールドコイルは、請求項1に記載の樹脂モールドコイルと同様の効果を奏する。更に、コンデンサを追加したことによりサージ電圧が加わった場合における樹脂モールドコイルの入力端子近くに接続された単位コイル近傍の電界強度が一層弱まる。従って、それら単位コイル近傍に微小な空隙が存在したとしても部分放電が一層生じにくくなる効果を奏する。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の樹脂モールドコイルにおいて、隣り合う前記単位コイル間の渡り配線(20)周りにおいて隣り合う前記静電シールド層を接近して対向させることにより隣り合う静電シールド層間の静電容量を増加させてあることを特徴とする樹脂モールドコイルである。
このような構成の樹脂モールドコイルは、請求項3に記載の樹脂モールドコイルと同様の効果を奏する。
また、請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の樹脂モールドコイルにおいて、隣り合う前記静電シールド層間に接続する前記コンデンサ(19)のリード線の静電シールド層への接続位置(25)は隣り合うコンデンサについて同じ位置にしてあることを特徴とする樹脂モールドコイルである。
本構成のように隣り合う上下のコンデンサのリード線を共通の接続点にて静電シールド層3に接続してあれば、コンデンサを渡って流れるサージ電流が静電シールド層を流れなくなる。従って、静電シールド層上の電位分布がサージ電流によって乱されることが少なくなり、静電シールド層内に強電界部分が発生しにくくなる。これにより部分放電の発生が抑制される。
また、請求項6に記載の発明は、請求項3又は5に記載の樹脂モールドコイルにおいて、前記コンデンサ(19)を隣り合う前記静電シールド層間に複数個接続してあることを特徴とする樹脂モールドコイルである。
小容量のコンデンサを環状の静電シールド層の周りに複数個配置すれば、静電シールド層上の電位分布を一層安定させることができる。従って、部分放電が一層発生しにくくなる効果を奏する。
以下、本発明に係る樹脂モールドコイルの構成例を実施形態に分けて説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る樹脂モールドコイル1の構成を断面図で示したものである。樹脂モールドコイル1は全体として略円筒または略角筒の筒状に形成されており、筒の中心孔に変圧器の鉄心、リアクトルの鉄心等を通して使用される。
図1は、その筒状樹脂モールドコイル1の中心軸を含む断面の片側部分を示している。樹脂モールドコイル1は、単位コイルと呼ぶ略環状をなすコイル2を複数個つないで形成してある。単位コイル2は絶縁被覆銅線を略環状に巻回し、絶縁性樹脂で全体をモールドしたものである。絶縁被覆銅線の代わりに絶縁した銅帯を用いてもよい。
本実施形態の樹脂モールドコイル1の特徴として、モールド形成した各単位コイル2の表面には静電シールド層3が形成してある。静電シールド層3は、比較的電気抵抗の高い導電性テープを巻回して形成してある。導電性テープの代わりに導電塗料の塗布、金属の溶射により静電シールド層3を形成してもよい。
表面に静電シールド層3を形成した単位コイル2は、複数個が軸方向に所定の間隔をおいて配置してある。そして、それらは渡り配線(20)により直列接続してある。各静電シールド層3は独立しており、他と絶縁された状態になっている。複数個の単位コイル2は、そのように配置した状態で全体を樹脂でモールドして筒状に仕上げてある。軸方向両端に位置する単位コイルからはリード線5、6が外部に引き出してある。
このように本実施形態の樹脂モールドコイル1は、図11に示した従来の樹脂モールドコイル50と比較すると、各単位コイル2の表面に電気的に他と絶縁された静電シールド層3が形成してあることに特徴がある。
次に、このように各単位コイル2の表面に静電シールド層3を形成した効果について説明する。図2は、本実施形態の樹脂モールドコイル1の電気的な等価回路である。各単位コイル2は直列接続されており、両端の単位コイル2はリード線5、6により外部の入力端子7、8に接続してある。各単位コイル2は絶縁された静電シールド層3により個々にシールドされている。
この状態で入力端子7、8に高電圧Vが印加されたとする。単位コイル2の数をn個とすると、各単位コイル2の両端に位置する巻線間にはV/nの高い電位差が生ずる。両端以外の巻線と、同じ単位コイル2内の他の巻線との間にもV/nほどではないが高い電位差が生ずる。
更に、各巻線と隣の単位コイル2の巻線との間にも高い電位差が生ずる。ここで、静電シールド層3が形成されていない図11の樹脂モールドコイル50の場合を考える。単位コイル2を構成する各巻線の物理的配置は図11に示すようになっている。こうした配置のため隣り合う単位コイル2に属し、高電位差を持つ2つの巻線が接近して配置されることになる。例として図11における巻線53、54は別の単位コイル2に属し、その間にはV/nより大きな電位差が生じている。
こうした巻線間の電位差の他に、各巻線と接地との間にも高い電位差が生じている。これは、印加電圧Vの入力線が接地(中性点)に対して高い電位差を有しているからである。
このように樹脂モールドコイル50の両端に高電圧が印加されると、各巻線は、同じ単位コイル51内の他の巻線、他の単位コイル51の巻線、更には接地との間に高い電位差を持つことになる。その電位差をその間の距離で割った値が電界である。その電界の大きさが、その間にある絶縁物の絶縁破壊電界を超えると部分放電が発生する。
図11に示した従来構造の樹脂モールドコイル50では、こうした巻線間、巻線と接地間の電位差が局所的に大きくなる個所が生じやすい。「背景技術」で述べたように、単位コイル51を構成する巻線間にはモールド樹脂が侵入しにくい。そのため微小な空隙が残りやすい。残った微小空隙に上に述べたような高電界が加わると、微小空隙内に残る気体が絶縁破壊を起こして部分放電が発生する。その微小空隙が例え真空であったとしても、その真空空間を通って部分放電が発生する。
そうした微小空隙における部分放電の発生を防ぐには、巻線間、巻線と接地間の電位差を小さくしてやればよい。本実施形態の各単位コイル2の表面に設けた静電シールド層3は、この電位差を小さくして微小空隙での部分放電の発生を防ぐことを目的としている。
単位コイル2の表面に静電シールド層3を設けた場合、単位コイル2を構成する巻線と静電シールド層3との間にはモールド樹脂を挟んでコンデンサが形成される。その状態を電気的等価回路で示せば、図3に示すように無数の微小容量浮遊コンデンサ10が存在していることになる。単位コイル2の巻線と静電シールド層3との間隔は狭く形成してある。単位コイル2の巻線と静電シールド層3との間隔が狭く、且つその間に浮遊コンデンサ10が存在すると、導体である静電シールド層3の電位は各巻線の電位のほぼ平均値となる。
単位コイル2の周りにこのような各巻線の平均電位をもつ静電シールド層3が存在すると、各巻線と静電シールド層3との間の電位差は、各単位コイル2の両端間の電位差V/nの1/2以下の小さい値となる。従って、微小空隙が静電シールド層3内側の単位コイル2内に存在したとしても、巻線と静電シールド層3の間では放電は生じにくくなる。
また、こうした各巻線の平均電位をもつ静電シールド層3が周囲に存在すると、同じ単位コイル2に属する巻線間の電位差も大きくなりにくい。その値は静電シールド層3が存在しない場合に比べて小さくなる。従って、同じ単位コイル2に属する巻線間での放電も生じにくくなる。
静電シールド層3の外側部分については、静電シールド層3と接地との間に高い電位差が生じる。しかし、静電シールド層3の外側部分の樹脂層には微小空隙は殆ど存在しない。且つ、静電シールド層3は同電位である。このため静電シールド層3が形成されていない場合と違って、静電シールド層3の外側部分における電界強度はどの部分も同じ程度となり、局所的に高い電界が発生するという現象は生じない。従って、静電シールド層3の外側部分では、部分放電は殆ど発生しない。
このような理由から本実施形態の樹脂モールドコイル1では、静電シールド層3を設けたことにより局所的に高電界となる部分が生じない。従って、単位コイル2内に微小な空隙が存在したとしても部分放電が発生しにくくなる効果を奏する。
更に、後述する第2以降の実施形態における効果との関係で、静電シールド層3を設けた場合の別の効果について説明する。その効果は、樹脂モールドコイル1にサージ電圧が加わった場合の各単位コイル2に加わる電圧の不均一性についてのものである。
図4は、静電シールド層3が設けられていない場合(図11の従来構造の樹脂モールドコイル50に相当)に、立ち上がりの速いサージ電圧が加わった場合の主要な電流経路を示したものである。図中には、主要な浮遊コンデンサも記載してある。浮遊コンデンサには、隣り合う単位コイル2間の浮遊コンデンサ12と、各単位コイル2と接地GND間の浮遊コンデンサ13とがある。
立ち上がりの速いサージ電圧に対しては、単位コイル2のインピーダンスは大きく、浮遊コンデンサ12、13のインピーダンスは逆に小さくなる。このため、立ち上がりの速いサージ電圧が入力端子7、8間に印加された場合には、サージ電流は単位コイル2を通しては流れず、大略、図中の電流経路15又は16を通って流れる。電流経路15は、直列につながる浮遊コンデンサ12を渡って流れる経路である。電流経路16は、単位コイル2と接地GND間の浮遊コンデンサ13を通って一旦、接地GNDに流れ、その後、再び単位コイル2と接地GND間の浮遊コンデンサ13を通って反対側入力端子に流れる経路である。
ここで、各単位コイル2の両端に加わる電圧について考察する。便宜上、各浮遊コンデンサ12の容量は等しく、各浮遊コンデンサ13の容量も等しいとする。各浮遊コンデンサ13の容量をゼロとした場合には、各浮遊コンデンサ12に加わる電圧、即ち、各単位コイル2の両端に加わる電圧は等しい値となる。即ち、サージ電圧は各単位コイル2によって均等にかかる。
ところが、実際には単位コイル2と接地GNDとの間には浮遊コンデンサ13が存在する。浮遊コンデンサ13が存在すると図7の入力端子7より流れ込んだ電流の一部は、入力端子7に近い位置の浮遊コンデンサ13を通って接地GNDに流れ込む。そして、接地GNDを流れた後、反対側の入力端子8に近い位置の浮遊コンデンサ13を通って入力端子8に流出する。そのため、入力端子7、8に近い位置に接続された単位コイル2間の浮遊コンデンサ12には比較的大きな電流が流れる。これに対し、中央に近い位置に接続された単位コイル2間の浮遊コンデンサ12には少ない電流しか流れない。
各単位コイル2にかかる電圧は、その部分の浮遊コンデンサ12のインピーダンスにそこを流れる電流の値を掛けたものである。従って、大きな電流が流れる入力端子7、8に近い位置に接続された単位コイル2にかかる電圧は大きくなり、中央に近い位置に接続された単位コイル2にかかる電圧は小さくなる。即ち、単位コイル2にかかる電圧に不均一が生ずる。その不均一さは接地GNDとの間の浮遊コンデンサ13の容量が増すに従って強くなり、反対に単位コイル2間の浮遊コンデンサ12の容量が増すと弱くなる。
このようにサージ電圧が加わった場合には、入力端子7、8の近くに接続された単位コイル2には大きな電圧がかかり、その付近の微小空隙に部分放電が生じやすい。この部分放電を防ぐには、各単位コイル2に加わる電圧を均等化し、一部の単位コイル2にのみ不均一な大きな電圧がかかるのを防止する必要がある。それには、図4における電流経路15を流れる電流は大きく、電流経路16を流れる電流は小さくなくように工夫してやればよい。それには前述したように、単位コイル2と接地GNDとの間の浮遊コンデンサ13の容量は小さく、単位コイル2間の浮遊コンデンサ12の容量は大きくしてやればよい。
ここで、再び本実施形態の図1に示した樹脂モールドコイル1の構造に戻ると、図4に相当する等価回路は図5に示すようになる。図4における単位コイル2間の浮遊コンデンサ12に対応するコンデンサは、図5の等価回路では単位コイル2の巻線と静電シールド層3との間の浮遊コンデンサ17と、隣り合う静電シールド層3間の浮遊コンデンサ18とを直列接続したものである。単位コイル2と静電シールド層3との間隔は狭く形成してある。従って、単位コイル2と静電シールド層3間の浮遊コンデンサ17の容量は非常に大きな値となっている。また、隣り合う静電シールド層3は、図1に示すように大きな面積部分が接近して対向した状態になっている。従って、隣り合う静電シールド層3間の浮遊コンデンサ18の値も非常に大きな値となっている。
これに対して静電シールド層3が設けてない図4の等価回路における単位コイル2間の浮遊コンデンサ12では、コンデンサの電極に相当する巻線間の距離が長く、対向する部分の面積も小さい。そのため、その容量は小さな値となっている。
こうしたことから、図5の等価回路における隣り合う単位コイル2間の静電容量である浮遊コンデンサ17、18の直列容量は、図4における隣り合う単位コイル2間の浮遊コンデンサ12の容量よりも大きくなる。従って、サージ電圧が加わった場合に図5の等価回路の電流経路15を流れる電流は、図4の回路の電流経路15を流れる電流よりも大きくなる。その結果、前述したような理由により各単位コイル2に加わる電圧は図4の回路の場合よりも均等化され、入力端子7、8近くの単位コイル2間に特別大きな電圧が加わることがなくなる。
単位コイル2間に加わる電圧が低くなれば、単位コイル2と静電シールド層3間の電圧も低くなる。その電圧が低くなれば、静電シールド層3の内側部分の電界強度も弱まる。従って、静電シールド層3内に微小な空隙が残っていたとしても部分放電が生じにくくなる。
このように本実施形態の樹脂モールドコイル1では、静電シールド層3を設けたことにより単位コイル2内の電界強度が弱くなる。そのため、それら単位コイル2の巻線近傍に微小な空隙が残っていたとしても部分放電が生じにくくなる効果を奏する。
(第2の実施形態)
図6に、第2の実施形態に係る樹脂モールドコイル1aの構成を断面図で示す。本実施形態の樹脂モールドコイル1aは、図1に示した第1の実施形態に係る樹脂モールドコイル1の隣り合う静電シールド層3間にコンデンサ19を追加したものである。その等価回路は図7に示すようになる。追加したコンデンサ19は、隣り合う静電シールド層3間の浮遊コンデンサ18に並列につながり、隣り合う静電シールド層3間の静電容量を増加させる。
隣り合う静電シールド層3間の静電容量が増加すると、第1の実施形態で述べたように、樹脂モールドコイル1aの入力端子7、8間にサージ電圧が加わった場合に電流経路15を流れる電流が増加する。それにより各単位コイル2に加わる電圧は均等化される方向に向かい、入力端子7、8近くに接続した単位コイル2間に加わる電圧は低くなる。
その結果、単位コイル2と静電シールド層3間の電圧も低くなり、静電シールド層3の内側部分の電界強度も弱まる。それにより静電シールド層3内では部分放電が生じにくくなる。
このように本実施形態の樹脂モールドコイル1aでは、コンデンサ19を追加したことによりサージ電圧が加わった場合における入力端子7、8近くの単位コイル2近傍の電界強度が一層弱まる。従って、それら単位コイル2近傍に微小な空隙が残っていたとしても部分放電が一層生じにくくなる効果を奏する。
(第3の実施形態)
図8に、第3の実施形態に係る樹脂モールドコイル1bの構成を断面図で示す。本実施形態の樹脂モールドコイル1bが図6に示した樹脂モールドコイル1aと異なる点は、隣り合う静電シールド層3間に設けるコンデンサ19の形成の仕方にある。本実施形態では、単位コイル2間の渡り配線20周りにおいて隣り合う静電シールド層3を接近して対向させ、それにより隣り合う静電シールド層間の静電容量を増加させている。この場合の等価回路は、図7に示したものと同じとなる。
隣り合う静電シールド層3間にこのようなコンデンサ19aを形成すれば、第2の実施形態の場合と同様にサージ電圧が加わった場合における入力端子7、8近くの単位コイル2近傍の電界強度が一層弱まる。従って、それら単位コイル2近傍に微小な空隙が残っていたとしても部分放電が一層生じにくくなる効果を奏する。
(第4の実施形態)
図9に、第4の実施形態に係る樹脂モールドコイル1cの構成を断面図で示す。本実施形態の樹脂モールドコイル1cは、図6に示した第2の実施形態に係る樹脂モールドコイル1aの変形実施形態である。図6に示した構成と異なる点は、隣り合う静電シールド層3間に追加したコンデンサ19の静電シールド層3への接続位置にある。
図6に示した構成では、1個の静電シールド層3に接続する上下2個のコンデンサ19のリード線を、静電シールド層3上の別々の位置25a、25bで接続している。これに対して本実施形態では図9中の接続点25に示すように、上下のコンデンサ19のリード線を共通の接続点25にて静電シールド層3に接続している。即ち、共通の一点で接続している。
上下のコンデンサ19のリード線が別々の位置で静電シールド層3に接続されていると、サージ電圧の印加により図5の電流経路15を流れるサージ電流が静電シールド層3をも通って流れることになる。
各静電シールド層3は環状をなしていて、単位コイル2を一次コイルと考えると各静電シールド層3は1ターンの二次巻線を構成している。そのため、単位コイル2に電流を流すと静電シールド層3にも電流が流れて発熱をもたらす。また、その電流は樹脂モールドコイル1b、1cの中心孔に通した鉄心内に発生する磁束を弱める働きもする。この静電シールド層3に流れる電流を少なくするため、静電シールド層3は比抵抗の値がある程度高い導体で形成される。
従って、図6のような構成の場合には、接続点25a、25b間の静電シールド層3上を、コンデンサ19を渡るサージ電流が流れてその間に電位差を発生させる。その電位差は静電シールド層3上の電位分布を乱し、静電シールド層3内に強電界部分を生じさせることがある。強電界部分では部分放電が生じ易い。
これに対して図9に示す本実施形態の構成では、上下のコンデンサ19のリード線が共通の接続点25にて静電シールド層3に接続されている。そのため、コンデンサ19を渡って流れるサージ電流は、静電シールド層3上を流れることはない。従って、静電シールド層3上の電位分布がそれによって乱されないため、静電シールド層3内に強電界部分が生じにくい。その結果として部分放電が生じにくくなる効果が得られる。
なお、図9の構成の場合も、単位コイル2の巻線と静電シールド層3との間には図7に示した浮遊コンデンサ17が存在するため、その浮遊コンデンサ17を流れた電流は静電シールド層3内を流れて接続点25に達する。その流れる過程で静電シールド層3上に電位差を生じさせる。その電位差を小さくするには、コンデンサ19が接続された接続点25までの距離を短くすればよい。
こうしたことから、隣り合う静電シールド層3には大きな容量のコンデンサ19を1個接続する代わりに、小容量のコンデンサを環状の静電シールド層3の周りに等間隔に複数個配置することが望ましい。そのように配置すれば、静電シールド層3上の電位分布を図9に示した場合よりも一層安定させることができ、部分放電の発生を一層効果的に抑えることができる。
(その他の実施形態)
前記、第1〜第4の実施形態における各樹脂モールドコイルの外表面には、表面導体層を更に形成してもよい。図10は、第1の実施形態に係る樹脂モールドコイル1の表面に、そのような表面導体層30を形成した場合の断面図である。そのような表面導体層30は、比較的電気抵抗の高い導電性テープの巻回か、導電塗料の塗布、金属の溶射により形成する。そして、使用に当ってはその表面導体層30を接地する。それによって安全性を高めることができる。
樹脂モールドコイル1dの外表面にこのような接地した表面導体層30を設けた場合には、単位コイル2周囲の静電シールド層3から接地までの距離が短くなる。しかし、静電シールド層3より外側のモールド層には微小隙間は形成されにくいので、その部分で部分放電の発生することは殆ど起こらない。
第1の実施形態に係る樹脂モールドコイル1の断面図である。 第1の実施形態に係る樹脂モールドコイル1の等価回路である。 静電シールド層3を有する単位コイル2内の浮遊コンデンサの状態である。 静電シールド層3を有しない樹脂モールドコイルにサージ電圧が加わった場合の主要な電流経路を説明する図である。 第1の実施形態に係る樹脂モールドコイル1にサージ電圧が加わった場合の主要な電流経路を説明する図である。 第2の実施形態に係る樹脂モールドコイル1aの断面図である。 第2の実施形態に係る樹脂モールドコイル1aの等価回路と電流経路を説明する図である。 第3の実施形態に係る樹脂モールドコイル1bの断面図である。 第4の実施形態に係る樹脂モールドコイル1cの断面図である。 外表面に静電シールド層30を設けた樹脂モールドコイル1dの断面図である。 従来技術に係る図1相当図である。
符号の説明
図面中、1、1a、1b、1c、1dは樹脂モールドコイル、2は単位コイル、3は静電シールド層、19はコンデンサ、25は共通の接続点、30は表面導体層を示す。

Claims (6)

  1. 絶縁被覆導体を巻回してなる巻線を樹脂モールドして略環状に形成した単位コイル(2)は表面に導体による静電シールド層(3)が形成してあり、静電シールド層が形成された単位コイルは複数個を軸方向に所定の間隔をおいて配置して直列接続してあり、それら複数個の単位コイルは全体を樹脂モールドして筒状に仕上げてあることを特徴とする樹脂モールドコイル。
  2. 請求項1に記載の樹脂モールドコイルにおいて、該樹脂モールドコイルの表面には表面接地用の表面導体層(30)が形成してあることを特徴とする樹脂モールドコイル。
  3. 請求項1又は2に記載の樹脂モールドコイルにおいて、前記複数個の単位コイルにおける隣り合う前記静電シールド層間にはコンデンサ(19)が接続してあり、それらコンデンサも複数個の単位コイルと一体に樹脂モールドしてあることを特徴とする樹脂モールドコイル。
  4. 請求項1又は2に記載の樹脂モールドコイルにおいて、隣り合う前記単位コイル間の渡り配線(20)周りにおいて隣り合う前記静電シールド層を接近して対向させることにより隣り合う静電シールド層間の静電容量を増加させてあることを特徴とする樹脂モールドコイル。
  5. 請求項3に記載の樹脂モールドコイルにおいて、隣り合う前記静電シールド層間に接続する前記コンデンサ(19)のリード線の静電シールド層への接続位置(20)は隣り合うコンデンサについて同じ位置にしてあることを特徴とする樹脂モールドコイル。
  6. 請求項3又は5に記載の樹脂モールドコイルにおいて、前記コンデンサ(19)が隣り合う前記静電シールド層間に複数個接続してあることを特徴とする樹脂モールドコイル。
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