JP2007277643A - 低鉄損一方向性電磁鋼板 - Google Patents

低鉄損一方向性電磁鋼板 Download PDF

Info

Publication number
JP2007277643A
JP2007277643A JP2006106230A JP2006106230A JP2007277643A JP 2007277643 A JP2007277643 A JP 2007277643A JP 2006106230 A JP2006106230 A JP 2006106230A JP 2006106230 A JP2006106230 A JP 2006106230A JP 2007277643 A JP2007277643 A JP 2007277643A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel sheet
magnetic
magnetic anisotropy
groove
metal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2006106230A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4979970B2 (ja
Inventor
Keiji Iwata
圭司 岩田
Masahiro Fujikura
昌浩 藤倉
Yukihiro Yamamoto
幸弘 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2006106230A priority Critical patent/JP4979970B2/ja
Publication of JP2007277643A publication Critical patent/JP2007277643A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4979970B2 publication Critical patent/JP4979970B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Manufacturing Of Steel Electrode Plates (AREA)
  • Soft Magnetic Materials (AREA)

Abstract

【課題】垂直磁気異方性を鋼板に付与する方法を用い、渦電流損の飛躍的な低減効果を保ちつつ、B8等の磁束密度の低下やヒステリシス損の増加を更に抑え、一方向性電磁鋼板の鉄損等の磁気特性が向上する低鉄損一方向性電磁鋼板を提供する。
【解決手段】鋼板表裏層の何れか一方又は両方における1箇所又は複数箇所の溝に、磁気異方性定数がFeの磁気異方性定数より大きい金属または金属化合物を含有する鋼板において、前記金属または金属化合物は、前記溝界面の垂直方向に磁化容易軸を一つのみ有し、かつ全磁化容易軸に対する鋼板表面の垂直方向の磁化容易軸の割合が25〜80%となるように前記溝が形成されたことを特徴とする低損失一方向性電磁鋼板。
【選択図】図4

Description

本発明は、トランスの鉄心等に利用され、一方向性電磁鋼板の性能、特に低鉄損性に優れた一方向性電磁鋼板に関するものである。
近年、鋼板の圧延方向に磁化容易軸をもつ一方向性電磁鋼板は、主に変圧器やその他の電力変換器の鉄心に用いられ、エネルギー変換時に生じる損失を小さくするために、鉄心の材料には、低い鉄損特性が強く要求されている。
電磁鋼板の鉄損には、大別して、ヒステリシス損と渦電流損からなっている。ヒステリシス損は、結晶方位、欠陥、粒界等により影響を受け、渦電流損は、材料の板厚、電気抵抗および180°磁区幅等により決まる。
従って、これまでは、ヒステリシス損低減の観点から結晶粒組織を(110)[001]方位に高度に揃え、結晶の欠陥を少なくするなどの方法が用いられ、渦電流損低減の観点から板厚を薄くし、Si含有量の増加などにより材料の抵抗値を高めたり、張力被膜の鋼板表面への塗布などにより180°磁区幅を細分化するなどの方法が用いられ、電磁鋼板の低損失化が試みられてきた。
また、近年、鉄損を飛躍的に減少させるために、鉄損の大部分を占める渦電流損低減の観点から、上記の鋼板表面への張力付与以外の手段を用いて、人為的に鋼板に磁極を発生させ、180°磁区を細分化させる方法が提案されている。
例えば、特許文献1などには、レーザを一方向性電磁鋼板表面の圧延方向と直角方向に対して、所定のビーム幅、エネルギー密度、照射間隔で照射することにより鋼板表面に局部的な高転位密度領域、すなわち微小塑性歪を加えることで、磁区の芽を発生させて磁区の細分化を行い、一方向性電磁鋼板の鉄損を低減する方法が開示されている。
また、特許文献2には、一方向性鋼板表面の所定方向及び所定荷重で溝を形成した後、歪取り燃鈍により歪導入部に微細結晶粒を生じさせ、二次再結晶粒との界面から磁区細分化の芽を発生させる方法が開示されている。
また、特許文献3には、焼鈍済みの一方向性電磁鋼板の所定方向に溝付きロールなどにより機械的に所定深さの溝を形成した後、エッチングにより機械的歪により生じた微細粒を除去し溝を深めることで一方向性電磁鋼板の鉄損を低減する方法が開示されている。
上記特許文献1〜3の方法は、一方向性電磁鋼鈑表面に溝又は局部的塑性歪(高転位密度領域)を形成し、180°磁区幅の細分化を行うことを技術思想とする技術であるが、これらの方法で得られる鋼板の鉄損(W17/50)は0.80〜0.78 W/Kg 程度が限界であった。なお、前記W17/50は磁束密度1.7T、周波数50Hzにおける鉄損を示す。上記方法において鉄損低減効果に限界が生じる理由は、後述するように本発明者らの検討によれば、溝又は塑性歪の形成により180°磁区幅が細分化され、渦電流損は低減するものの、逆にヒステリシス損が増加する結果、鉄損が低減しないためであることを確認している。
この問題を改善し、一方向性電磁鋼板の鉄損を飛躍的に低減する方法として、本発明者らは、特許文献4において、鋼板表面に、その面に垂直な磁化容易軸を少なくとも1つ持つ高磁気異方性物質を付与した一方向性電磁鋼板を提案した。本発明者らの検討の結果によれば、この鋼板は、高磁気異方性物質により鋼板表面に磁極を多量に発生させ、磁区の再構成を促進し、180°磁区幅をより細分化させることで、渦電流損を格段に下げることができるが、高磁気異方性物質の磁化容易軸がほぼ全て鋼板表面に対して垂直であるため、B8(磁界800A/mにおける磁束密度)等の磁束密度が低下し、また、全損失のうちのヒステリシス損が大きくなるため、鉄損の改善を阻害する問題があることを確認した。
一方向性電磁鋼板のB8(磁界800A/mにおける磁束密度)等の磁束密度が低い場合は、トランス等を設計する際に必要となる最大磁束密度を得るために、巻き線の巻き数や電流値を大きくし、磁界を高める必要があるなど、最終製品であるトランス等の磁性部品が大きくなるため好ましくない。
したがって、一方向性電磁鋼板の鉄損を従来に比べて飛躍的に低減するとともに、B8(磁界800A/mにおける磁束密度)等の磁束密度を改善した磁気特性に優れた一方向性電磁鋼板の開発が望まれていた。
特開昭55−18566号公報 特開昭61−117218号公報 特開2000−169946号公報 特開2005−327772号公報
上記従来技術の現状を踏まえ、本発明は、垂直磁気異方性を鋼板に付与する方法を用い、渦電流損の飛躍的な低減効果を保ちつつ、B8等の磁束密度の低下やヒステリシス損の増加を更に抑え、一方向性電磁鋼板の鉄損等の磁気特性が向上する低鉄損一方向性電磁鋼板を提供するものである。
本発明は、上記課題を解決するものであり、その発明の要旨は以下の通りである。
(1)鋼板表裏層の何れか一方又は両方における1箇所又は複数箇所の溝に、磁気異方性定数がFeの磁気異方性定数より大きい金属または金属化合物を含有する鋼板において、前記金属または金属化合物は、前記溝界面の垂直方向に磁化容易軸を一つのみ有し、かつ全磁化容易軸に対する鋼板表面の垂直方向の磁化容易軸の割合が25〜80%となるように前記溝が形成されたことを特徴とする低損失一方向性電磁鋼板。
(2)前記金属または金属化合物の磁気異方性定数が2.4×105J/m3以上であることを特徴とする請求項1に記載の低鉄損一方向性電磁鋼板。
(3)前記鋼板表面から前記金属または金属化合物を含有する溝底面までの深さは、鋼板面から板厚方向に35μm以下の範囲に有することを特徴とする請求項1〜2の何れかに記載の低鉄損一方向性電磁鋼板。
(4)前記金属または金属化合物を含有する溝は、鋼板圧延方向に7mm以下の間隔で有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の低鉄損一方向性電磁鋼板。
(5)前記金属または金属化合物を含有する溝は、鋼板圧延方向に対して60〜120°の角度をなす方向に連続して、又は所定間隔で有することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の低鉄損一方向性電磁鋼板。
本発明によれば、鉄損等の磁気特性が非常に優れた一方向性電磁鋼板を提供でき、トランスのエネルギー損失が非常に小さくなる等、地球温暖化の防止や工業的効果が極めて大きい。
以下に、本発明について詳細に説明する。
先ず、本発明の技術思想について説明する。
図1は表面に溝及び歪を形成し低鉄損化した一方向性電磁鋼板における表面張力と鉄損との関係を示す。
表面に溝及び歪を形成し低鉄損化した一方向性電磁鋼板の何れも、外部応力により鋼板表面の張力を増加することによって、さらに鉄損が低減する。表面張力が2kgf/mm2の場合に、鋼板表面に溝を形成した一方向性電磁鋼板ではW17/50で0.66(W/kg)、表面に歪を形成した一方向性電磁鋼板ではW17/50で0.64(W/kg)まで低鉄損化が図れるが、それ以上の低鉄損化は困難である。
鋼板圧延方向に対しておよそ直角な方向に溝を形成する方法では、表面の溝深さの増加とともに全損失を構成する渦電流損は磁区細分化が進行するため低減する。しかし、全損失を構成するヒステリシス損は表面の溝深さの増加とともに逆に増加してしまうため、表面の溝形成による全損失の低減には限界がある。また、溝形成によって鋼板表面の凹状部から磁束密度が漏れるため、磁気特性の一つであるB8(磁界800A/mにおける磁束密度)が劣化する問題も生じる。
一方、レーザ照射等により鋼板圧延方向に対しておよそ直角な方向に歪を導入する方法では、歪量の増加とともに磁区細分化を図られ損失は低減される。この方法では表面溝形成方法に比べて、ヒステリシス損の増加や表面の漏れ磁界によるB8の劣化の問題は生じにくいため、図1に示すように溝形成方法に比べて低損失化の効果が高い。しかし、本発明者らの確認試験結果から、レーザ照射により弾性歪の増加により磁区細分化は進むが、同時に塑性歪も増加し、塑性歪による磁壁移動が妨げられるためヒステリシス損が増加することを確認している。また、この方法で低損失化した鋼板は、歪取り焼鈍処理を行なう場合には歪による磁区細分化効果は消失してしまう。そのため、約800℃の歪取り焼鈍処理が必要とする巻きトランスに使用する鋼板には、この方法は適用できず、焼鈍処理が不要な積みトランスの用途に制限されるという問題があった。
本発明者らは、以上のような溝形成又は歪形成と張力付与等のような、従来方法の組み合わせでは、一方向性電磁鋼板の低鉄損化に限界があり、大幅な低鉄損化は図れないと考え、磁区解析などによる鋼板磁気特性の最適化の検討を行った。
一般に、一方向性電磁鋼板の磁化容易軸は、図2の概念図に示すように、圧延方向に向いているため、磁区は、圧延方向に平行および反平行な磁化で構成され、180°磁区幅を形成する。この状態でさらに鋼板表面の圧延方向に対して直角方向に溝を形成すると鋼板の180°磁区幅は狭くなる、つまり、磁区の細分化が行なわれることは上述した通りである。
本発明者らは、磁区解析を用いて鋼板表面の溝形成による180°磁区の細分化のメカニズムを検討した結果、この鋼板表面に溝を形成した場合には、溝断面に磁極が発生し、これが磁区の再構成を促すために、結果的に180°磁区幅が細分化されることを見出した。上述した鋼板表面に形成する溝深さを増加するとともに磁区の細分化が促進する理由は、溝深さの増加により溝の側面の表面積が増大するため、溝断面に発生する磁極も増加し、さらに磁区の再構成が促進するからであると考えられる。しかし、この方法は、上述したように溝深さの増加とともにヒステリシス損を増加し鉄損低減を阻害するため、鉄損特性の低減には限界がある。
これに対して、発明者らが特許文献4で提案した一方向性電磁鋼板は、図5に示すように鋼板表面に垂直な磁化容易軸を持つ高磁気異方性物質を少なくとも鋼板表層の一部に付与することで、上記鋼板表面に溝を付与した鋼板に比べて、磁極の発生する表面積を格段に拡大することができ、図3に示すように、上記物質を付与した部分において鋼板表面に発生する磁極量を増加させ、各180°磁区を構成する磁化の向きを鋼板表面に向かう板厚方向に誘導し、磁区の再構成を促進し、細分化の促進させることで、鉄損のうちで渦電流損は格段と低減するものである。
しかし、本発明者らの検討の結果によれば、上記鋼板は、鋼板に付与する高磁気異方性物質の磁化容易軸がほぼ全て鋼板表面に対して垂直であるため、B8(磁界800A/mにおける磁束密度)等の磁束密度が低下し、また、全損失のうちのヒステリシス損が大きくなるため、鉄損の改善を阻害する問題があることを確認した。
このB8(磁界800A/mにおける磁束密度)等の磁束密度が低下する原因は、上記鋼板表面内に含有した高磁気異方性物質の磁化容易軸が全て鋼板表面に対して垂直であるため、鋼板の圧延方向に磁界を印加された場合に鋼板表面に対して垂直な自発磁化を磁界印加方向(圧延方向)に向けるための仕事量すなわちエネルギーが必要となり、その分のエネルギー損失があるためであることが判った。また、B8(磁界800A/mにおける磁束密度)と鉄損のうちのヒステリシス損とは相関があり、B8(磁界800A/mにおける磁束密度)が高いほど、ヒステリシス損は低下することが知られている。
本発明は、以上の従来の一方向性電磁鋼板の磁区解析などの検討結果を踏まえ、図6に示すように、溝界面の垂直方向に磁化容易軸を一つのみ有する高磁気異方性物質を鋼板表層部に形成し、この高磁気異方性物質の全磁化容易軸に対する鋼板表面の垂直方向の磁化容易軸の割合を25〜80%となるように溝を形成することを特徴とする。
つまり、本発明は、図4に示すように、鋼板表層部の高磁気異方性物質が付与された領域において、鋼板表面の垂直方向に向いている磁化容易軸が全磁化容易軸に対する割合で25〜80%存在し、残部は、鋼板表面の垂直方向に対して圧延方向に傾いた磁化容易軸で構成されている。高磁気異方性物質の磁化容易軸のうち、鋼板表面の垂直方向に向いている磁化容易軸は、主として自発磁化の向きを鋼板表面に向かせ、溝界面に磁極を誘起させることで、180°磁区の再構成、細分化を促進させる作用を有する。また、高磁気異方性物質の磁化容易軸のうち、鋼板表面の垂直方向に対して圧延方向に傾いた磁化容易軸は、上記鋼板表面の垂直方向の磁化容易軸に比べて180°磁区の細分化促進作用は小さくなるものの、鋼板の圧延方向に磁界が印加された場合に、自発磁化を磁界印加方向(圧延方向)に向けるためのエネルギーを小さくし、B8(磁界800A/mにおける磁束密度)等の磁束密度を高め、ヒステリシス損を低下させる作用を有する。
本発明は、以上の技術思想を基になされたものであり、鋼板表裏層の何れか一方又は両方における1箇所又は複数箇所の溝に、磁気異方性定数がFeの磁気異方性定数より大きい金属または金属化合物を含有する鋼板において、前記金属または金属化合物は、前記溝界面の垂直方向に磁化容易軸を一つのみ有し、かつ全磁化容易軸に対する鋼板表面の垂直方向の磁化容易軸の割合が25〜80%となるように前記溝が形成されたことを特徴とするものである。
以下に本発明の限定理由について説明する。
(高磁気異方性物質の磁気異方性定数)
本発明の一方向性電磁鋼板は、鋼板表裏層の何れか一方又は両方における1箇所又は複数箇所の溝に、磁気異方性定数がFeの磁気異方性定数より大きい金属または金属化合物を含有する鋼板であることを前提とする。
なお、以下、説明の便宜上、「磁気異方性定数がFeの磁気異方性定数より大きい金属または金属化合物」を「高磁気異方性物質」という。
高磁気異方性物質の磁気異方性定数は、以下の理由から、Feの磁気異方性定数より大きなものとする。
一般に物質の磁化が、磁化容易軸に向き易いかどうかを示す指標は、磁気トルク法やマイクロ波共鳴法等により測定される正負の磁気異方性定数で決まる。また、結晶粒のc軸配向性は、EBSP(Electron Back Scattering Pattern)法による結晶方位解析等で調べることが可能であり、c軸方向に一軸磁気異方性を持つ物質などは、c軸配向性を調べることにより、一軸の磁化容易軸の向きを知ることができる。
例えば、電磁鋼板の母材元素であるFeは、図7に示すように磁化容易軸が三つあり、その磁化容易軸の一つは圧延方向に向いている。また、鉄の磁気異方性定数は、結晶の対称性から3方向が同等の正の磁気異方性定数:約4.8×104(J/m3)を持つことが知られている。従って、電磁鋼板の各180°磁区を構成する磁化の向き(鉄の容易軸方向である圧延方向)を鋼板表面に向かう板厚方向に誘導し、鋼板表面に磁極を誘起させるためには、板厚方向に容易軸を有する物質の磁気異方性定数が少なくとも鉄よりも大きくする必要がある。
上記の理由から、本発明の一方向性電磁鋼板において、鋼板表裏層の何れか一方又は両方における1箇所又は複数箇所の溝に付与する金属または金属化合物の磁気異方性定数は、Feの磁気異方性定数より大きなものとする。
なお、一方向性電磁鋼板に対して上記金属または金属化合物の付与する箇所は、鋼板表裏層の何れか一方又は両方における1箇所又は複数箇所のいずれの実施形態でも、従来の一方向性電磁鋼板に比べて鉄損を低減できる作用、効果は得られる。
(高磁気異方性物質の全磁化容易軸に対する鋼板表面の垂直方向の磁化容易軸の割合)
本発明において、上記のメカニズムによる一方向性電磁鋼板の磁区の再編成、細分化の促進効果およびB8等の磁束密度の大きさは、鋼板表面の垂直方向に向いている磁化容易軸と、鋼板表面の垂直方向に対して圧延方向に傾いた磁化容易軸の存在割合により決まる。そのため、本発明において、全磁化容易軸に対する鋼板表面の垂直方向の磁化容易軸の割合を適正範囲に規定することが重要である。
以下に本発明鋼板において、高磁気異方性物質が溝界面の垂直方向に磁化容易軸を一つのみ有し、かつ全磁化容易軸に対する鋼板表面の垂直方向の磁化容易軸の割合が25〜80%となるように溝を形成することの限定理由について説明する。
図8は、表層部に高磁気異方性物質を図6に示すように付与した、板厚が0.23mmの一方向性電磁鋼板について、高磁気異方性物質の全磁化容易軸に対する鋼板表面の垂直方向の磁化容易軸の割合と、鉄損中の渦電流損We17/50との関係を示す。
なお、高磁気異方性物質は、一軸磁気異方性物質とし、図6に示すように鋼板の圧延方向に対してほぼ直角方向に、鋼板表面からの溝界面の底面までの深さが約20μmで、帯状範囲の間隔(圧延方向距離)を約5mmとし、複数の溝を鋼板片面に設けた。このとき、高磁気異方性物質は、図6に示すように、溝底面および側面に母材鋼板(Fe)との界面を持ち、一軸磁気異方性物質の磁化容易軸は、溝界面に対して垂直である。
図8において、一軸磁気異方性物質の鋼板表面に対して垂直である磁化容易軸の全磁化容易軸に対する割合を変化させた。
また、渦電流損We17/50は、磁気測定装置を用いて、周波数50Hzで励磁し最大磁束密度が1.7Tになる時の渦電流損値を示す。なお、図8の縦軸は、高磁気異方性物質の磁化容易軸の全てが鋼板表面に対して垂直となる従来の一方向性電磁鋼板の渦電流損値を基準値(1.0)とし、この基準値(1.0)に対する測定値の相対比を示す。
図8から、高磁気異方性物質の磁化容易軸の全てが鋼板表面に対して垂直となる従来の一方向性電磁鋼板とほぼ同等の渦電流損値We17/50の低下を達成するためには、一軸磁気異方性物質の鋼板表面に対して垂直である磁化容易軸の全磁化容易軸に対する割合を25%以上とする必要がある。一軸磁気異方性物質の鋼板表面に対して垂直である磁化容易軸の全磁化容易軸に対する割合を25%未満の場合には、自発磁化の向きを鋼板表面に向かせ、溝界面に磁極を誘起させることで、180°磁区の再構成、細分化を促進させる効果が小さくなり、高磁気異方性物質の磁化容易軸の全てが鋼板表面に対して垂直となる従来の一方向性電磁鋼板に比べて渦電流損値We17/50が大きくなるため好ましくない。
図9は、図8と同様の試験を行った場合の高磁気異方性物質の全磁化容易軸に対する鋼板表面の垂直方向の磁化容易軸の割合と、B8(磁界800A/mにおける磁束密度)との関係を示す。
図9の縦軸は、高磁気異方性物質の磁化容易軸の全てが鋼板表面に対して垂直となる従来の一方向性電磁鋼板のB8の値を基準値(1.0)とし、この基準値(1.0)に対する測定値の相対比を示す。
図9から、高磁気異方性物質の磁化容易軸の全てが鋼板表面に対して垂直となる従来の一方向性電磁鋼板に対してB8等の磁束密度を向上させるためには、一軸磁気異方性物質の鋼板表面に対して垂直である磁化容易軸の全磁化容易軸に対する割合を80%以下とする必要がある。一軸磁気異方性物質の鋼板表面に対して垂直である磁化容易軸の全磁化容易軸に対する割合を80%を超える場合には、鋼板の圧延方向に磁界が印加された場合に、自発磁化を磁界印加方向(圧延方向)に向けるためのエネルギーを小さくし、B8(磁界800A/mにおける磁束密度)を高めることが困難となる。この結果、高磁気異方性物質の磁化容易軸の全てが鋼板表面に対して垂直となる従来の一方向性電磁鋼板に比べてB8を向上することができなくなるため好ましくない。
図10は、図8、図9と同様の試験を行った場合の高磁気異方性物質の全磁化容易軸に対する鋼板表面の垂直方向の磁化容易軸の割合と、鉄損(渦電流損+ヒステリシス損)との関係を示す。
図10の軸は、高磁気異方性物質の磁化容易軸の全てが鋼板表面に対して垂直となる従来の一方向性電磁鋼板の鉄損の値を基準値(1.0)とし、この基準値(1.0)に対する測定値の相対比を示す。
図10から、高磁気異方性物質の磁化容易軸の全てが鋼板表面に対して垂直となる従来の一方向性電磁鋼板に対して鉄損を低下させるためには、一軸磁気異方性物質の鋼板表面に対して垂直である磁化容易軸の全磁化容易軸に対する割合を25〜80%とする必要がある。一軸磁気異方性物質の鋼板表面に対して垂直である磁化容易軸の全磁化容易軸に対する割合が25%未満の場合には、自発磁化の向きを鋼板表面に向かせ、溝界面に磁極を誘起させることで、180°磁区の再構成、細分化を促進させる効果が小さくなり、高磁気異方性物質の磁化容易軸の全てが鋼板表面に対して垂直となる従来の一方向性電磁鋼板に比べて渦電流損値We17/50が大きくなり、鉄損を低下させることが困難となる。一方、一軸磁気異方性物質の鋼板表面に対して垂直である磁化容易軸の全磁化容易軸に対する割合が80%を超える場合には、自発磁化を磁界印加方向(圧延方向)に向けるための仕事量が増加し、鉄損のうちのヒステリシス損が高くなるため、鉄損を低下させることが困難となる。この結果、一軸磁気異方性物質の鋼板表面に対して垂直である磁化容易軸の全磁化容易軸に対する割合が25%未満の場合、および、80%を超える場合には、高磁気異方性物質の磁化容易軸の全てが鋼板表面に対して垂直となる従来の一方向性電磁鋼板に比べて鉄損を低下することができなくなるため好ましくない。
以上の図8〜10に示す実験結果などによる検討結果を踏まえ、本発明では、高磁気異方性物質の溝界面の垂直方向に磁化容易軸を一つのみ有し、かつ全磁化容易軸に対する鋼板表面の垂直方向の磁化容易軸の割合を25〜80%となるよう溝を形成する。
なお、本発明において、上記高磁気異方性物質、つまり、磁気異方性定数がFeの磁気異方性定数より大きい金属または金属化合物とは、Co系合金、FeNiO系化合物、MnBi等が挙げられる。また、物質の磁気異方性は、その結晶構造やその形状などに依存する。例えば、針状結晶構造の鉄粉の磁気異方性は、Fe自体の磁気異方性定数に比べて、針状方向の異方性が高い磁気異方性定数をもつことが知られている。したがって、上記金属または金属化合物(高磁気異方性物質)として、上記の例示した金属または金属化合物で結晶構造や形状が異なり、特定方位の磁気異方性が異なるものも当然含むものである。
また、本発明において、上記金属または金属化合物(高磁気異方性物質)の形態は、金属系、合金系、化合物物系、酸化物系いずれでも良い。
(好ましい高磁気異方性物質の磁気異方性定数)
上述した図8には、磁気異方性定数Kが2.4×105(J/m3)未満の高磁気異方性物質(□)を用いた場合と、磁気異方性定数Kが2.4×105(J/m3)以上の高磁気異方性物質(黒丸)の場合の高磁気異方性物質の全磁化容易軸に対する鋼板表面の垂直方向の磁化容易軸の割合と、鉄損中の渦電流損We17/50との関係を示す。
図8から分かるように、磁気異方性定数(K)が約2.4×105(J/m3)以上の高磁気異方性物質を用いれば、より安定して鉄損値を充分に低下することができる。
なお、図8中、K(Fe)はFeの磁気異方性定数を表す。
本発明では、高磁気異方性物質の磁化容易軸の全てが鋼板表面に対して垂直となる従来の一方向性電磁鋼板と異なり、高磁気異方性物質の磁化容易軸の一部を、鋼板表面の垂直方向に対して圧延方向に傾いた磁化容易軸で構成する。この鋼板表面の垂直方向に対して圧延方向に傾いた磁化容易軸により、鋼板の圧延方向に磁界が印加された場合に、自発磁化を磁界印加方向(圧延方向)に向けるためのエネルギーが小さくなり、B8(磁界800A/mにおける磁束密度)等の磁束密度は高められ、ヒステリシス損は低下させることができる。しかし、一方で、高磁気異方性物質の磁化容易軸の全てが鋼板表面に対して垂直となる従来の一方向性電磁鋼板に比べて、鋼板表面の垂直方向の磁化容易軸が少なくことに起因して、180°磁区の細分化促進作用は小さくなるため、渦電流損が大きくなることが懸念させる。
したがって、本発明において、一方向性電磁鋼板の渦電流損を安定して低下させ、鉄損値を低下させるためには、鋼板表面に付与する高磁気異方性物質の磁気異方性定数は、母材のFeの磁気異方性に比べてより大きくすることが望ましく、高磁気異方性物質の磁気異方性定数(絶対値)を約2.4×105(J/m3)以上とすることが好ましい。
(好ましい高磁気異方性物質を含有する溝の深さ)
本発明者らの実験などの検討によれば、鋼板表面から高磁気異方性物質を含有する溝底面までの板厚方向の厚みが35μmを超えるような場合には、高磁気異方性物質の鋼板表面に対して垂直の磁化容易軸の磁化量が過度に増加するため、鋼板の圧延方向に磁界を印加した場合にこの自発磁化方向を磁界印加方向(圧延方向)に向けるためのエネルギーの増加による損失が無視できなくなり、B8(磁界800A/mにおける磁束密度)等の磁束密度と鉄損のうちのヒステリシス損がやや増加する傾向にある。
このため、鋼板表面から高磁気異方性物質を含有する溝底面までの板厚方向の厚みが35μmを超えるような場合には、本発明の高磁気異方性物質の付与によるB8(磁界800A/mにおける磁束密度)等の磁束密度の向上、および、鉄損のうちのヒステリシス損の低下の効果がやや減少する場合がある。また、高磁気異方性物質の厚みを過度に増加することは、高価な高磁気異方性物質の使用による鋼板コストを増加させる原因となり好ましくない。
このため、本発明において、前記金属または金属化合物(高磁気異方性物質)の鋼板表面から高磁気異方性物質を含有する溝底面までの板厚方向の深さ範囲は、35μm以下の範囲とすることが好ましい。
(鋼板圧延方向の溝の間隔)
本発明の上記高磁気異方性物質が付与された一方向性電磁鋼板を実際に製造する場合には、図6に示すような鋼板の圧延方向に対して略垂直な方向の帯状範囲に、鋼板表面から底面までの所定深さを有し、かつ所定幅を有する帯状の溝(この例では、台形状の窪み)を、圧延方向で所定の間隔(ピッチ)で複数個形成した後、その鋼板をメッキ浴に浸し、高磁気異方性物質を積層させることにより製造することができる。
このような実施形態により形成される、高磁気異方性物質を含有する溝(帯状範囲)の圧延方向の間隔(ピッチ)は7mm以下とすることが好ましい。
上記間隔(ピッチ)が7mmを超えると、180°磁区の再構成と細分化の促進させ、渦電流損の低下による鉄損低下を安定して行うために、高磁気異方性物質を含有する溝(帯状範囲)の幅を増加させる必要があり、本発明の効果であるB8の改善とヒステリシス損の減少に影響を与える。また、本発明の一方向電磁鋼板の実製造時において、局所的な積層領域の増加によるメッキ時間の増加などの問題を招く可能性があるため製造操業上好ましくない。
したがって、本発明において、前記金属または金属化合物(高磁気異方性物質)を含有する溝(帯状範囲)の鋼板圧延方向の間隔を7mm以下とするのが好ましい。
(好ましい高磁気異方性物質を含有する溝の長さ方向)
また、上記本発明実施形態において、上記高磁気異方性物質を含有する溝(帯状範囲)は、図6に示すように鋼板の圧延方向に対してほぼ直角方向が好ましい。しかし、実製造時には、コイルに巻き取りながら、鋼板表面に台形状の窪みを形成し、メッキ浴で積層する好ましい実施形態で製造する場合に、高磁気異方性物質を含有する溝(帯状範囲)の長さ方向は、鋼板圧延方向に対して直角方向からずれてしまうことがあることを確認した。
前述した通り、磁区制御を施す前の一方向性電磁鋼板は、理想的には、鉄損を低減するために、圧延方向に磁化容易軸をもった(110)[001]方位の結晶粒で構成された集合組織鋼板であることが望ましい。しかし、実際に工業的に製造し得る一方向性電磁鋼板における磁化容易軸は圧延方向と完全に平行ではなく、磁化容易軸は圧延方向に対してずれ角度が存在する。前述した通り、一方向性電磁鋼板の磁区細分化により鉄損を低減するためには、鋼板の磁化方向、つまり、磁化容易軸に対して直角方向に高磁気異方性物質を含有する溝(帯状範囲)を形成するのが有効である。
本発明者らの実験結果によれば、上記磁化容易軸の圧延方向に対するずれ角度に起因して、圧延方向に対して60〜120°の方向に高磁気異方性物質を含有する溝(帯状範囲)を形成する場合に、磁区細分化の効果による鉄損の低減が充分に得られることを確認した。
上記の角度範囲は、理想とする磁化容易軸方向、つまり、鋼板の圧延方向に対して直角な方向からずれ角度で30°以内の範囲に相当する。この角度範囲から外れると、鋼板の磁区細分化作用は少なくなるため、従来に比べてより安定して充分に鉄損値を向上するためには、上記高磁気異方性物質を含有する溝(帯状範囲)の方向を圧延方向に対して60〜120°の方向とするのが好ましい。
したがって、本発明において、前記金属または金属化合物(高磁気異方性物質)を含有する溝(帯状範囲)は、鋼板圧延方向に対して60〜120°の角度をなす方向に連続して、又は所定間隔で有することが好ましい。
本発明において、鋼板表裏層の何れか一方又は両方における1箇所又は複数箇所に、前記金属または金属化合物(高磁気異方性物質)を付与する方法は、特に限定する必要はない。例えば、その具体的な方法としては、通常の方法で得られる一方向性電磁鋼板に対して、さらに、エッチングや歯形ロール等の加工方法を用いて、その鋼板表面に溝を形成した後、上記高磁気異方性物質を積層しコイルに巻き取る方法が用いられる。なお、上記高磁気異方性物質を積層する方法は、例えば、スパッタ法、蒸着法、メッキ法のいずれかの方法が用いられる。また、鋼板に溝を形成せずに、母材鋼板を圧延で製造する過程に形成した窪み等を利用して上記高磁気異方性物質を積層しても良い。
また、鋼板に溝を形成せずに、上記高磁気異方性物質を冷間または熱間圧延し埋め込んでも良い。
また、上記高磁気異方性物質を積層ではなく、鋼板表面へのイオン注入やドーピング等の方法により付与する方法を利用しても良い。
(実施例1)
質量%で、Siが約3%含有し、残部はFeとその他の不純物の組成から成り、鋼板の結晶方位が(110)[001]の理想方位に対して平均値で約3度以下のずれを持つ集合組織を有し、厚さが0.23mmの一方向性電磁鋼板を製造した。このとき、この鋼板の鉄損値W17/50は、約0.9(W/kg)であった。その後、この鋼板の表層に、図6に示すように表1の条件で高磁気異方性物質を積層し、表層に高磁気異方性物質を付与した鋼板を製造した(表1の試料No.1、3、5〜7)。また、高磁気異方性物質を付与した本発明の一方向性電磁鋼板に対する比較鋼板として、上記一方向性電磁鋼板の表層に図5に示すように高磁気異方性物質を付与した鋼板(表1の試料No.2、4)を製造した。なお、一方向性電磁鋼板の表層に図5に示すように高磁気異方性物質を付与した鋼板(表1の試料No. 2、4)の高磁気異方性物質は、鋼板表面に対して磁化容易軸方向が垂直であり、厚みが約20μmであり、幅が約100μmの帯状範囲に存在し、帯状範囲の間隔が約5mmである。このとき、高磁気異方性物質の鋼板面における総面積率は、約1.2%であった。
表1に示すように、試料No.1、3の発明例は、付与物質の磁化容易軸が鋼板表面に対して垂直である割合が30%であり、本発明の規定範囲内であるため、試料No.2、4の比較例と比べて、B8が高く、また鉄損値も改善されている。
また、これらの発明例のうち、本発明で規定するさらに好ましい条件、つまり、高磁気異方性物質の磁気異方性定数が2.4×105J/m3以上、鋼板面から板厚方向の深さ(積層厚)が35μm以下、付与領域の鋼板圧延方向の間隔が7mm以下、付与領域方向の鋼板圧延方向に対する角度が60〜120°の条件を満足する試料No.1の発明例は、それらの条件を外れた試料No.3、5〜7の発明例に比べてB8あるいは鋼板の鉄損値(W17/50)がより改善した。
これに対して、試料No.2、4の比較例は、それぞれ付与物質の磁化容易軸が鋼板表面に対して垂直である割合が100%、すなわち、磁化容易軸方向が全て鋼板表面に対して垂直であり、本発明の規定範囲から外れているため、B8や鋼板の鉄損値(W17/50)が本発明より劣る結果であった。
また、試料No.8の比較例は、付与物質の磁化容易軸が鋼板表面に対して垂直である割合が20%であり、本発明の規定範囲から外れているため、鋼板の鉄損値(W17/50)が本発明より劣る結果であった。
Figure 2007277643
表面に溝及び歪を形成し低鉄損化した一方向性電磁鋼板における表面張力と鉄損値との関係を示すグラフ。 鋼板に生じる磁区構造を示す概念図。 従来技術による磁区構造の再編成における鋼板表層近傍の磁化分布を示す断面図。 本発明による磁区構造の再編成における鋼板表層近傍の磁化分布を示す断面図。 従来技術による鋼板表層部に高磁気異方性物質を付与した一実施形態を示す概念図。 本発明による鋼板表層部に高磁気異方性物質を付与した一実施形態を示す概念図。 電磁鋼板の母材元素であるFeの3つの磁化容易軸を示す概念図。 付与した高磁気異方性物質の磁化容易軸が鋼板表面に対して垂直である割合と、磁気異方性定数と、渦電流損値との関係を示すグラフ。ここで、Kは磁気異方性定数、K(Fe)はFeの磁気異方性定数を表す。 付与した高磁気異方性物質の磁化容易軸が鋼板表面に対して垂直である割合と、B8との関係を示すグラフ。 付与した高磁気異方性物質の磁化容易軸が鋼板表面に対して垂直である割合と、鉄損との関係を示すグラフ。

Claims (5)

  1. 鋼板表裏層の何れか一方又は両方における1箇所又は複数箇所の溝に、磁気異方性定数がFeの磁気異方性定数より大きい金属または金属化合物を含有する鋼板において、前記金属または金属化合物は、前記溝界面の垂直方向に磁化容易軸を一つのみ有し、かつ全磁化容易軸に対する鋼板表面の垂直方向の磁化容易軸の割合が25〜80%となるように前記溝が形成されたことを特徴とする低損失一方向性電磁鋼板。
  2. 前記金属または金属化合物の磁気異方性定数が2.4×105J/m3以上であることを特徴とする請求項1に記載の低鉄損一方向性電磁鋼板。
  3. 前記鋼板表面から前記金属または金属化合物を含有する溝底面までの深さは、鋼板面から板厚方向に35μm以下の範囲に有することを特徴とする請求項1〜2の何れかに記載の低鉄損一方向性電磁鋼板。
  4. 前記金属または金属化合物を含有する溝は、鋼板圧延方向に7mm以下の間隔で有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の低鉄損一方向性電磁鋼板。
  5. 前記金属または金属化合物を含有する溝は、鋼板圧延方向に対して60〜120°の角度をなす方向に連続して、又は所定間隔で有することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の低鉄損一方向性電磁鋼板。
JP2006106230A 2006-04-07 2006-04-07 低鉄損一方向性電磁鋼板 Active JP4979970B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006106230A JP4979970B2 (ja) 2006-04-07 2006-04-07 低鉄損一方向性電磁鋼板

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006106230A JP4979970B2 (ja) 2006-04-07 2006-04-07 低鉄損一方向性電磁鋼板

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007277643A true JP2007277643A (ja) 2007-10-25
JP4979970B2 JP4979970B2 (ja) 2012-07-18

Family

ID=38679385

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006106230A Active JP4979970B2 (ja) 2006-04-07 2006-04-07 低鉄損一方向性電磁鋼板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4979970B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2017111555A1 (ko) * 2015-12-24 2017-06-29 주식회사 포스코 방향성 전기강판 및 그의 제조 방법

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05121224A (ja) * 1991-10-24 1993-05-18 Kawasaki Steel Corp 鉄損の低い方向性電磁鋼板及びその製造方法
JPH05186827A (ja) * 1992-01-10 1993-07-27 Kawasaki Steel Corp 磁気特性の優れた方向性電磁鋼板の製造方法
JPH07268474A (ja) * 1994-03-31 1995-10-17 Kawasaki Steel Corp 鉄損の低い方向性電磁鋼板

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05121224A (ja) * 1991-10-24 1993-05-18 Kawasaki Steel Corp 鉄損の低い方向性電磁鋼板及びその製造方法
JPH05186827A (ja) * 1992-01-10 1993-07-27 Kawasaki Steel Corp 磁気特性の優れた方向性電磁鋼板の製造方法
JPH07268474A (ja) * 1994-03-31 1995-10-17 Kawasaki Steel Corp 鉄損の低い方向性電磁鋼板

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2017111555A1 (ko) * 2015-12-24 2017-06-29 주식회사 포스코 방향성 전기강판 및 그의 제조 방법

Also Published As

Publication number Publication date
JP4979970B2 (ja) 2012-07-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4593678B2 (ja) 低鉄損一方向性電磁鋼板及びその製造方法
KR101421387B1 (ko) 방향성 전기 강판 및 그 제조 방법
JP5115641B2 (ja) 方向性電磁鋼板およびその製造方法
KR101553497B1 (ko) 방향성 전자 강판 및 그 제조 방법
JP5866850B2 (ja) 方向性電磁鋼板の製造方法
RU2570591C1 (ru) Текстурированный лист из электротехнической стали
KR20130025965A (ko) 방향성 전기 강판
EP2891726A1 (en) Grain-oriented electrical steel sheet for iron core and method of manufacturing the same
JP2008127612A (ja) 分割コア用無方向性電磁鋼板
JP2012031498A (ja) 方向性電磁鋼板およびその製造方法
JP2020516766A (ja) 低鉄損の方向性ケイ素鋼およびその製造方法
JP2013087305A (ja) 方向性電磁鋼板とその製造方法および変圧器
JP4120121B2 (ja) 方向性電磁鋼板の製造方法
JP4344264B2 (ja) 低鉄損一方向性電磁鋼板
EP2573193A1 (en) Method for producing unidirectional electromagnetic steel sheet
JP2008150697A (ja) 電磁鋼板の製造方法
JP7440638B2 (ja) 方向性電磁鋼板およびその磁区微細化方法
JPH07268474A (ja) 鉄損の低い方向性電磁鋼板
JP4979970B2 (ja) 低鉄損一方向性電磁鋼板
JP4192399B2 (ja) 方向性電磁鋼板およびその製造方法
WO2022153605A1 (ja) 方向性電磁鋼板およびその製造方法
JP2001303261A (ja) 張力付与異方性被膜を有する低鉄損一方向性電磁鋼板
JP4437939B2 (ja) 低鉄損一方向性電磁鋼板
JP4276618B2 (ja) 低鉄損一方向性電磁鋼板
JP7459955B2 (ja) 方向性電磁鋼板

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080805

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100715

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100727

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100927

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110628

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110826

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110913

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111110

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120410

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120418

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150427

Year of fee payment: 3

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4979970

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150427

Year of fee payment: 3

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150427

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350