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Ce,Prによって共活性されたピロリン酸カルシウム燐光体及びそれを含むランプ Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は改善した、セリウムで活性化されたピロリン酸カルシウム燐光体、及びそれを含むランプを提供する。
【解決手段】本発明はUVを放射する、Ce,Prで共活性化されたピロリン酸カルシウム燐光体を提供する。本発明の燐光体のPr活性剤は185nm放射線による励起に対する燐光体の感受性を増大させる。185nm放射線への向上した感受性は、燐光体が低圧力水銀放電によって185nmで放射される約10%UV放射線をより効率的に利用することを可能にする。
【選択図】図1

Description

本発明はセリウムで活性化されたピロリン酸カルシウム燐光体に関する。
紫外線スペクトルは一般に、3つの領域、UVA(400nm−320nm)、UVB(320nm−290nm)及びUVC(290nm−200nm)に分けられる。UVA及びUVB領域は日焼け用ランプ及び医学的な光療法の適用に対して重要であり、UVCは殺菌性ランプの用途に対して重要である。これらの用途で使用される燐光体は通常、主に254nm放射線を発生する通常の蛍光ランプで使用されている低圧力水銀放電の種類による刺激を意図したものである。
特許文献1は紫外線(UV)を放射するセリウムで活性化されたピロリン酸カルシウム燐光体を開示している。この燐光体の配合はCa(2-w-x-y)(NSF)wCexNay27(ここで、NSFは不定比因子であり、wは0から0.1の範囲であり、xは0.05から0.20の範囲であり、そしてyは0.05から0.20の範囲である)として表される。不定比因子は、配合される燐光体のブレンドで僅かに過剰なアニオン種を使用することにより焼成された燐光体材料に対して向上した輝度が得られるという、多くの燐光体に対して一般的な観念である。燐光体配合のNa+の量は全体的な電荷平衡のために燐光体のCe3+の量にほぼ等しい。Ceによって活性化されたピロリン酸カルシウム燐光体は254nmの放射線によって刺激され、約330nmのUVB領域で放射ピークを有する。
米国特許4757233号明細書
本発明の目的は改善した、セリウムで活性化されたピロリン酸カルシウム燐光体、及びそれを含むランプを提供することである。
本発明はプラセオジム共活性剤を組み込むことによってセリウムで活性化されたピロリン酸カルシウム燐光体の特性を向上させる。プラセオジム共活性剤は燐光体の254nm放射線による励起への感受性を維持しながら、185nm放射線による励起の下での燐光体のUV放射を大幅に増大させる。日焼け用ランプで使用されている低圧力水銀放電は254nm放射線だけではなく、ランプの充填圧力に依存して、最大で10%の185nmでの放射線も放射するので、この特徴はランプの効率に対して重要である。すなわち、本発明のCe,Prで共活性された燐光体はCeで活性化された燐光体に比べ、より多くの水銀放電の有効な励起放射線を利用することができる。
本発明のCe,Prで共活性されたピロリン酸カルシウム燐光体は概略的に化学式Ca227:Ce,Prで表されてもよい。本発明の燐光体は254nm及び185nm放射線による刺激への応答で約334nmでの紫外線放射線を放射する。好まれるものとして、本発明の燐光体はまた、燐光体のモル当り最大で約0.25モルNaの量のナトリウムを含んでもよい。
好まれる実施例において、本発明の燐光体は化学式Ca(2-w-x-y-z)CexyPrz27で表される。ここで、Aは1+の金属カチオン、好ましくはNa+であり、wは0から約0.1の範囲、より好ましくは約0.06に等しい不定比因子であり、xは約0.04から約0.16、より好ましくは約0.07から約0.12の範囲であり、yは0から約0.25、より好ましくはx+z−0.01からx+z+0.01の範囲であり、そして、zは0から約0.06(0を除く)、より好ましくは0から約0.04(0を除く)の範囲である。1+の金属カチオンは主に、電荷平衡のために配合に含まれる。それゆえ、1+の金属カチオンの量はPr及びCe活性剤の量の合計に等しいことが好ましい。すなわち、y=x+zである。
本発明の他の目的、長所、及び能力、及び本発明自体のさらなる理解のために図面への参照ともに本発明を以下に詳細に説明する。
本発明のCa227:Ce,Pr燐光体は適当な原料を完全にドライブレンドし、そして、ブレンドされた材料を還元性雰囲気、好ましくは、5%H2−95%N2で、燐光体を形成するために十分な温度で十分な時間、好ましくは、約1000℃で2〜4時間焼成することによって準備されてもよい。好まれる実施例において、原料はリン酸水素カルシウム、CaHPO4、リン酸水素二アンモニウム、(NH42HPO4、炭酸ナトリウム、Na2CO3、酸化セリウム、CeO2、及び酸化プラセオジム、Pr47を含む。
原料を焼成した後、焼成された固形物は脱イオン水に2〜12時間浸すことによって軟化され、次に、−60メッシュで湿式に漉され、そして乾燥されてもよい。あるいは、乾燥した焼成固形物を小片状に砕き、すりつぶし、そして−60メッシュで乾式にふるいにかけられてもよい。そして、適当な粒子寸法を達成し、粒子の損傷による輝度の損失を最小に抑えるために湿式ボールミル技術が使用されてもよい。
実施例
Ca227:Ce及びCa227:Ce,Pr燐光体のサンプルは以下の方法に従って準備された。
Ca227:Ce燐光体のサンプルを作製するために、2.337kgのCaHPO4、397.7gの(NH42HPO4、206.5gのCeO2、及び63.6gのNa2CO3を混ぜ合わせてブレンドした。
Ca227:Ce,Pr燐光体のサンプルを作製するために、2.337kgのCaHPO4、397.7gの(NH42HPO4、172.1gのCeO2、63.6gのNa2CO3、及び33.8gのPr47を混ぜ合わせてブレンドした。
両方のサンプルにおいて、ブレンドされた材料はシリカ製のるつぼに装填され、1000℃の5%H2−95%N2雰囲気の下で2時間焼成された。次に、サンプルは砕かれ、3分間すりつぶされ、−60メッシュでふるいにかけられ、3.5〜4時間やや湿った状態で粉砕され、乾燥され、そして−300メッシュでふるいにかけられた。これら2つの燐光体のUV放射は254nm励起の下で測定された。表1は270nmから400nmまでの範囲のUV放射の相対的輝度を示している。これらのデータはCa227:Ce,Pr燐光体が比較的少ない量のセリウム活性剤を含んでいるにもかかわらず、254nm励起の下で、Ca227:Ce,Pr燐光体のUV放射がCa227:Ce燐光体より大きいことを示している。
Figure 2007277550
254nm及び185nmの放射線の下での励起に対する燐光体の配合を最適にするために複数のサンプルを準備した。これらのサンプルは表1のサンプルと同じ条件で焼成され、そして、−60メッシュでふるいにかけられた。しかしながら、これらのサンプルに対してはすりつぶしを行わなかった。各サンプルにおいて、不定比因子wは0.06であり、Naのレベルは活性剤の全レベルに等しくなるように、すなわち、y=x+zとなるように維持された。
表2は原料の相対的なモル量、活性剤のレベル(モル活性剤/モル燐光体)、及び254nm及び185nmの放射線の下での合成放射強度(相対的な輝度)を含む、これらのサンプルに対する290nmから415nmの間のUV放射の結果の一覧を示している。UV放射スペクトルは重水素光源及びVM-504真空単色光分光器とともにActon SpectraPro-2500i単色光分光器/分光器を使用して得られた。計算された全輝度は低圧力水銀放電の下での特性をシミュレートするために185nm放射線による10%の励起及び254nm放射線による90%励起に基づいて示されている。サンプル1は対照標準として使用され、254nm放射線の下でのそれの相対的な輝度は100%に設定された。
Figure 2007277550
図1は185nm励起の下での対照標準サンプルのUV放射スペクトルをサンプル4のUV放射スペクトルと比較している。燐光体は両方とも0.10モルCe/モル燐光体を含んでいた。しかしながら、対照標準サンプルは付加的に0.02モルPr/モル燐光体を含んでいた。付加的なPr共活性剤は185nm放射線への燐光体の感受性を明らかに増大させ、結果的にそれのUV放射を実質的に増大させた。この結果は表1にも示されている。すなわち、185nm放射線の下での相対的な輝度はCe,Prで共活性化された対照標準サンプルに対して74%であるのに対し、Ceのみによって活性化されたサンプル4に対しては僅か26%である。さらに、これらのデータは254nm励起の下でのUV放射が両方のサンプルに対してほとんど同一であることを示している。同様な挙動はサンプル2及び3についても観測することができる。実際、Ce,Prで共活性化された全ての燐光体は185nm励起の下で比較的大きなUV放射強度を呈することが観測された。
本願の発明人はもう1組の複数のサンプルを作製した。上述のサンプルと同様に、Na+はCe3+及びPr3+共活性剤の合計と等しくなるように維持され、不定比因子wは0.06であった。サンプルは表2のサンプルとほぼ同様な様式で焼成され、処理され、そして分析された。表3及び表4はこれらのサンプルに対する原料の相対的なモル量、活性剤のレベル(モル活性剤/モル燐光体)、及び表2の対照標準を基準にして表されているUV放射の結果の一覧を示している。
Figure 2007277550
Figure 2007277550
上記の表のこれらのデータは、Pr共活性剤が254nm放射線による励起への応答に対してほとんど影響を与えずに、燐光体の185nm放射線による励起への感受性を大幅に増大させることをはっきりと示している。したがって、全体的な効果として、低圧力水銀放電によって照射されたとき、Ce,Prによって共活性化された燐光体は増大した放射の結果となる。低圧力水銀放電での燐光体の特性を予想するための計算された全輝度は多くの場合において、共活性化された燐光体の方がCeのみによって活性化された燐光体に対する計算された輝度よりも大きい。
これはPr活性剤の量の関数として異なった輝度レベルをプロットしている図2及び3により明確に示されている。図2に示されているサンプルの組は全て0.09モルCe/モル燐光体を含んでいる。図3に示されているサンプルの組は全て0.10モルCe/モル燐光体を含んでいる。各図における点線はCeだけを含んでいる活性剤を含む燐光体に対する、計算された全輝度を表している。これらの図はCe,Prで共活性化されたほとんど全てのサンプルに対して、計算された全輝度レベルがCeだけの燐光体のレベルより大きいことを示している。
図4はCa227:Ce,Pr燐光体を含む燐光体被膜を有する蛍光ランプの断面図である。このランプは気密状に封止されたガラス製エンベロープ17を有している。エンベロープ17の内側は例えば、1〜3トルの低圧力のアルゴン、またはアルゴンとクリプトンの混合物等の不活性ガス、及び少なくとも動作中に低い蒸気圧(40℃で約0.008トル)を与えるために十分な少量の水銀で充填されている。水銀蒸気を励起して紫外線放射線を生成するために、電極12の間に電気放電が生成される。低圧力水銀放電によって放射された紫外線放射線の少なくとも一部を所望の波長範囲に変換させるために、エンベロープ17の内面には燐光体被膜15が適用される。燐光体被膜15はCa227:Ce,Pr燐光体を含んでおり、それは約334nmで紫外線放射線を放射するために低圧力水銀放電によって放射された紫外線放射線によって刺激される。
ここまで本発明の現在の好まれる実施例が示され、説明されてきたが、付随する請求の範囲から外れることなく、これらの実施例に多様な変更及び改良を加えることができることは当業者にとって明白であるだろう。
同じレベルのCe活性剤を有するCeで活性化されたピロリン酸カルシウム燐光体(サンプル4)の放射と比較した、185nm励起の下での本発明の燐光体(対照標準)のUV放射のグラフである。 一定のCe活性剤のレベル(0.09モルCe/モル燐光体)でのPr活性剤のレベル及び励起波長の関数として表された、本発明の燐光体の相対的な輝度のグラフである。 一定のCe活性剤のレベル(0.10モルCe/モル燐光体)でのPr活性剤のレベル及び励起波長の関数として表された、本発明の燐光体の相対的な輝度のグラフである。 Ca227:Ce,Pr燐光体を含む燐光体被膜を有する蛍光ランプの断面図である。

Claims (21)

  1. セリウム及びプラセオジムによって活性化されるピロリン酸カルシウムを含むUV放射燐光体。
  2. 化学式Ca(2-w-x-y-z)CexyPrz27(ここで、Aは1+の金属カチオン;wは0から約0.1の範囲;xは約0.04から約0.16の範囲;yは0から約0.25;そして、zは0から約0.06(0を除く))によって表される、請求項1に記載の燐光体。
  3. yがx+z−0.01からx+z+0.01の範囲である、請求項2に記載の燐光体。
  4. y=x+zである、請求項2に記載の燐光体。
  5. 燐光体のモル当り最大で約0.25モルNaの量のナトリウムを含んでいる、請求項1に記載の燐光体。
  6. AがNa+である、請求項2に記載の燐光体。
  7. yがx+z−0.01からx+z+0.01の範囲である、請求項6に記載の燐光体。
  8. xが約0.07から約0.12の範囲である、請求項2に記載の燐光体。
  9. zが0から約0.04(0を除く)の範囲である、請求項2に記載の燐光体。
  10. wが約0.06に等しい、請求項2に記載の燐光体。
  11. 化学式Ca(2-w-x-y-z)CexNayPrz27(ここで、wは0から約0.1の範囲;xは約0.04から約0.16の範囲;yは0から約0.25;そして、zは0から約0.06(0を除く))によって表される、請求項1に記載の燐光体。
  12. yがx+z−0.01からx+z+0.01の範囲である、請求項11に記載の燐光体。
  13. xが約0.07から約0.12の範囲である、請求項12に記載の燐光体。
  14. zが0から約0.04(0を除く)の範囲である、請求項12に記載の燐光体。
  15. wが約0.06に等しい、請求項12に記載の燐光体。
  16. xが約0.07から約0.12の範囲であり、zが0から約0.04(0を除く)の範囲である、請求項11に記載の燐光体。
  17. yがx+z−0.01からx+z+0.01の範囲である、請求項16に記載の燐光体。
  18. y=x+zである、請求項16に記載の燐光体。
  19. 内面上の燐光体被膜を有するガラスエンベロープを備えるランプであって、前記燐光体被膜がセリウム及びプラセオジムによって活性化されたピロリン酸カルシウムを含むUV放射燐光体を含むランプ。
  20. 前記燐光体が化学式Ca(2-w-x-y-z)CexyPrz27(ここで、Aは1+の金属カチオン;wは0から約0.1の範囲;xは約0.04から約0.16の範囲;yは0から約0.25;そして、zは0から約0.06(0を除く))によって表される、請求項19に記載のランプ。
  21. 内面上の燐光体被膜を有するガラスエンベロープを備えるランプであって、前記エンベロープが気密状に封止されておりかつ水銀及び不活性ガスを含んでおり、そして前記燐光体被膜がUV放射Ca227:Ce,Pr燐光体を含むランプ。
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