JP2007275889A - リグノセルロース系バイオマスの利用方法 - Google Patents
リグノセルロース系バイオマスの利用方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2007275889A JP2007275889A JP2007118020A JP2007118020A JP2007275889A JP 2007275889 A JP2007275889 A JP 2007275889A JP 2007118020 A JP2007118020 A JP 2007118020A JP 2007118020 A JP2007118020 A JP 2007118020A JP 2007275889 A JP2007275889 A JP 2007275889A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- liquid
- methane
- solution
- cellulosic fiber
- cooking
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E50/00—Technologies for the production of fuel of non-fossil origin
- Y02E50/30—Fuel from waste, e.g. synthetic alcohol or diesel
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02W—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
- Y02W10/00—Technologies for wastewater treatment
- Y02W10/30—Wastewater or sewage treatment systems using renewable energies
- Y02W10/37—Wastewater or sewage treatment systems using renewable energies using solar energy
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02W—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
- Y02W30/00—Technologies for solid waste management
- Y02W30/20—Waste processing or separation
Abstract
一酸化炭素及びタール分を含まない可燃性ガスを、高価な耐熱性材料を必要とす
るような高温状態を経ることなく得ることができ、しかも、リグノセルロース系
バイオマスが含有する水分を蒸発させることによるエネルギー損失が伴わないリ
グノセルロース系バイオマスの利用方法を提供する。
【解決手段】 リグノセルロース系バイオマスを水酸化ナトリウムを主要有効成
分とする蒸解薬液に浸漬させることによりセルロース系繊維を離解させて蒸解物
混合液を得、該蒸解物混合液をセルロース系繊維懸濁液と蒸解廃液に分離し、該
セルロース系繊維懸濁液、又は該セルロース系繊維を加水分解して得た単糖類溶
液、又は該単糖類を酸生成分解して得た有機酸溶液を嫌気性微生物によって処理
し、メタンを主成分とする可燃性ガスを発生せしめる。
【選択図】 図1
Description
特に、セルロース及びヘミセルロースを主成分とする繊維細胞がリグニンを主成分とする細胞間層によって結合されているリグノセルロース系バイオマスは、光合成効率が高く、しかもわが国土を含め地球全体に広く繁茂する樹木等の高等植物の構成体であることから、再生可能でカーボンニュートラルな燃料源として今後一層広く利用することが期待されている。
ところで、一般に、炭素と水素を含有する有機系の燃料は、炭素に対する水素の比率が多いほど均一に燃焼することが可能であり、したがって、燃焼に際して発生する窒素酸化物、未燃焼の炭化水素又は一酸化炭素(CO)などの汚染物質の発生量も少ないという傾向がある。このため、炭素1原子に対して水素4原子をもつメタン(CH4)は、炭素含有量がゼロである水素に次いで最もクリーンな燃料と考えられる。また、メタンは容易に水素と二酸化炭素に改質できるため、クリーンで効率の高い発電装置である燃料電池の燃料として使用することも可能である。
以上の理由から、リグノセルロース系バイオマスを燃料として利用する場合、一旦、メタンや水素を主成分とする可燃性ガスに転換して使用することが好ましい。
このため、一酸化炭素を含むガスを燃料として使用するためには、下式(1)や(2)の反応によって水素やメタンに転換することが好ましいが、そのためには熱分解又はガス化の工程とは別の工程が必要であり、さらにその工程においては高価な触媒や非常に高い温度を必要とするという問題がある。
CO+H2O → H2+CO2 (1)
CO+3H2 → CH4+H2O (2)
さらに、比較的低い温度でリグノセルロース系バイオマスを熱分解又はガス化するとタール分が生成するが、千℃前後の温度では生成したタール分は完全には分解できない。このため、通常の運転状態では水素と一酸化炭素を主成分とする可燃性ガス中にタール分が含有されることになるが、そのタール分はガスが冷却された後には凝縮し、ガスが流れるダクトやガスの貯蔵容器内に付着する。これを防止するためには、さらに高価な耐熱材料を用いた上で温度を上昇させるか、ガスの冷却前又は冷却と同時にタール分を取り除く工程を別途設ける必要があるという問題がある。
このような問題を避けるためには、リグノセルロース系バイオマスをあらかじめ乾燥した上で熱分解又はガス化する必要があるが、その場合でも、乾燥のために熱が必要になるか、あるいは非常に長時間乾燥した場所で貯留しておく必要があるという問題がある。
また、特に第3の発明のリグノセルロース系バイオマスの利用方法においては、蒸解薬液の有効成分を単純な工程で回収できるとともに、メタン発酵工程に移送されなかった有機物が有する化学エネルギーを有効に利用できるという効果がある。
また、特に第5の発明のリグノセルロース系バイオマスの利用方法においては、系外に排出されて放流された場合に水質汚濁の問題を引き起こす可能性のある排水の量を低減するとともに、蒸解薬液の有効成分の原料となる薬品の消費量をさらに低減することができるという効果がある。
最後に、特に第7の発明のリグノセルロース系バイオマスの利用方法においては、メタン発酵工程の進行を促進し、該処理対象液中の有機物をメタンを主成分とする可燃性ガスに転換するために必要な時間を短くすることができるという効果がある。
なり、かつ蒸解薬液中のナトリウムイオン濃度がNa2O換算で2〜100g/lとなるように調整すればよい。
この蒸解工程において、リグノセルロース系バイオマスの細胞間層の主成分であるリグニンが、主として水酸化ナトリウムが解離して生成する水酸イオン(OH−)によって開裂せしめられて分解することにより、蒸解薬液中に溶解する。その結果、セルロース及びヘミセルロースを主成分とする繊維細胞は離解し、一部はピーリング反応等によって低分子化しつつ蒸解薬液中に分散することによって蒸解物混合液が得られる。
該蒸解物混合液中には、セルロース及びヘミセルロースを主成分とする繊維細胞(以下、セルロース系繊維という)に加えて、蒸解薬液に由来するナトリウムイオン等の無機成分と、リグニンの分解生成物やセルロース系繊維のピーリング反応による剥脱生成物等の有機成分を含む。特に、ナトリウムイオンについては、主として炭酸イオン(CO3 2−)や有機酸イオン等の陰イオンとともに弱酸−強アルカリのナトリウム塩として含有されるとともに、一部は中和されずに水酸化ナトリウムとして含有される。このため、蒸解物混合液のpHは通常10以上となる。
なお、蒸解薬液の加熱は、蒸解釜の内部に直接蒸気を吹き込むか、又は蒸解薬液を循環ラインに抜き出し、該循環ラインに設けた間接熱交換器に蒸気を供給し、蒸気と蒸解薬液を間接熱交換することによって加熱して蒸解釜の内部に戻すか、又は蒸解釜の内部に設けた熱交換用配管に蒸気を供給し、蒸気と蒸解薬液を間接的に熱交換させることによって行うことができる。
Na2S+H2O → NaOH+NaSH (3)
このうち水酸化ナトリウムは蒸解の主要有効成分として機能し、一方、硫化水素ナトリウムは、解離して生成する硫化水素イオン(SH−)が、リグニンの結合箇所のうち水酸イオンでは不十分にしか開裂できない箇所を開裂することによって、又はリグニンの分解生成物の縮合を防止することによって脱リグニンを促進する。
これにより、110〜120℃程度の温度でリグノセルロース系バイオマスに蒸解薬品を浸透させた後、160℃程度以上まで加熱して保持する運転条件においては、セルロース系繊維を離解させるために蒸解釜内部で保持すべき時間は1時間から5時間程度にすることができる。この際、必要な保持時間をさらに短縮するためには、蒸解薬液は180℃以上、好ましくは200℃以上に加熱して保持すればよい。
なお、このような比較的高い温度条件においては、セルロース系繊維の主成分であるセルロース及び/又はヘミセルロースは、解重合によって重合度や分子量が小さくなるため、後段のメタン発酵工程、又はメタン発酵工程の前処理工程、すなわちセルロース系繊維を単糖類に加水分解する工程及び該単糖類を有機酸に酸生成分解する工程でのセルロース系繊維の加水分解の必要度を軽減することができる。
も原料として利用することができる。
また、樹木の樹皮や葉のように、セルロース、ヘミセルロース及びリグニン以外の成分を多く含む生細胞バイオマスが混入する場合にも、蒸解工程で離解せしめられたセルロース系繊維の長さが不均一になり、強度も低下する傾向があるが、上記のように本発明においては問題ない。むしろ、樹皮や葉に含まれ、蒸解工程において蒸解物混合液中に移行する窒素、リン及びカリウムなどの栄養成分を下流の工程を経由して最終的には適度の量だけメタン発酵工程又はその前処理工程に移行せしめることにより、そこで繁殖せしめられる微生物の栄養源を供給することができる。このため、樹木の枝打ちや枝払いによって発生し皮剥ぎを行うことが難しい枝条なども広く原料として利用することができ、あるいは製材工場などで廃棄物となった樹皮や枝葉を栄養源として積極的に受け入れることもできる。特に、現状ではあまり利用方法がなく廃棄物として処理されることが多い街路樹等の剪定樹も有効に利用することができる。
なお、ここで蒸解物混合液中に含有され、そのほとんどが蒸解廃液中に留まる溶解固形分としては、上記のようにナトリウムイオン等の無機成分とリグニンの分解生成物等の有機成分がある。また、蒸解廃液中においても、ナトリウムイオンは弱酸−強アルカリのナトリウム塩又は水酸化ナトリウムとして含有されるため、該蒸解廃液のpHは通常10以上となる。
セルロース系繊維懸濁液中のセルロース系繊維以外の溶解固形分の濃度を低くするためには、洗浄液として水又は溶解固形分の濃度が十分に低い液体を用いた上で洗浄液の量を増やし、さらに必要であれば稀釈洗浄及び/又は置換洗浄を複数段重ねればよい。なお、複数段の洗浄を行う場合には、最後段の洗浄では、水又は溶解固形分の濃度が十分に低い液体を洗浄液として用い、そこでセルロース系繊維懸濁液と分離された洗浄廃液を一つ前の段の洗浄での洗浄液として使用し、そこで発生した洗浄廃液をさらに一つ前の段の洗浄での洗浄液として使用する、というように洗浄液をカスケード的に使用することによって、最終的に発生する蒸解廃液の量を抑制することができる。
この問題は、上記のように、洗浄液として水又はナトリウムイオンの濃度が低い液体を用いた上で洗浄液の量を増やし、さらに必要であれば稀釈洗浄及び/又は置換洗浄を複数段重ねることにより、セルロース系繊維懸濁液中のセルロース系繊維に対するナトリウムイオンの重量比はNa2O換算で1%以下にすることによって回避できる。
まず、ナトリウムイオンはメタン発酵工程又はその前処理工程において繁殖せしめられる微生物の栄養源となる。また、ナトリウムイオンは、上記のようにセルロース系繊維懸濁液へ弱酸−強アルカリのナトリウム塩又は水酸化ナトリウムとして移行するため、該セルロース系繊維懸濁液はアルカリ性を呈する。ところで、メタン発酵工程又はその前処理工程における酸生成分解工程においては有機酸が生成することによって処理対象液のpHが低くなり、このため酸生成分解工程以降の工程が阻害されることがある。したがって、セルロース系繊維懸濁液がアルカリ性であることは、有機酸の生成によるpHの低下によってメタン発酵工程が阻害されることを抑制する効果がある。
一方、セルロース系繊維懸濁液中のセルロース系繊維に対するナトリウムイオンのNa2O換算での重量比を0.01%未満にしようとすると、洗浄工程において使用する洗浄液の量を極端に増やし、しかも洗浄段数も3段以上にする必要がある。そして、洗浄液の量を増やせば蒸解廃液の量が増えるため、後段の濃縮分離工程など蒸解廃液の処理工程への負荷が大きくなり、洗浄の段数を増やせばその分だけ洗浄にかかる設備費・運転費が上昇する。
以上の理由から、セルロース系繊維懸濁液中のセルロース系繊維に対するナトリウムイオンのNa2O換算での重量比は0.01%以上1%以下とすることが好ましい。
特に、蒸解釜として、リグノセルロース系バイオマスと蒸解薬液を連続的に供給し、蒸解物混合液を連続的に抜き出す連続式蒸解釜を用いる場合には、洗浄液を底部の供給口から連続的に供給し、生成したセルロース系繊維懸濁液を底部の抜出口より連続的に抜き出し、一方、前記洗浄液領域よりも上部に位置する別の抜出口より蒸解廃液を連続的に抜き出すことによって、セルロース系繊維懸濁液と蒸解廃液を分離することができる。一方、リグノセルロース系バイオマスと蒸解薬液を供給した後、設定した温度で設定した時間だけ保持した後、蒸解物混合液を排出するバッチ式蒸解釜の場合には、保持時間終了後、洗浄液を底部より供給し、セルロース系繊維が洗浄液中に移行して生成したセルロース系繊維懸濁液と残余の蒸解廃液を別々に抜き出すことによって、セルロース系繊維懸濁液と蒸解廃液を分離することができる。
なお、洗浄工程の少なくとも一部を蒸解釜の内部で行うため洗浄液を底部から供給する場合、洗浄液の温度が低いと蒸解釜から排出されるセルロース系繊維懸濁液の温度も低くなる。ところが、セルロース系繊維の主成分であるセルロース及び/又はヘミセルロースは、蒸解釜から抜き出されるセルロース系繊維懸濁液の温度が高いほど解重合が進んでその重合度や分子量が小さくなり、後段のメタン発酵工程又はその前処理工程でのセルロース系繊維の加水分解の必要度が軽減される。このため、釜内に供給する洗浄液を加熱して温度を高くし、排出されるセルロース系繊維懸濁液の温度を高くすることが好ましい。
ところが、本発明のリグノセルロース系バイオマスの利用方法では、上記の蒸解工程においてリグニンが分解された上でセルロース系繊維が離解されているため、加水分解酵素群が容易に接触することができ、したがって、セルロース系繊維の主成分であるセルロースやヘミセルロースは迅速に酵素糖化される。このため、本発明のリグノセルロース系バイオマスの利用方法では、前記セルロース系繊維懸濁液中にセルラーゼやヘミセルラーゼを生産する微生物、すなわちセルラーゼ生産菌やヘミセルラーゼ生産菌を繁殖させることによって、又はセルロース系繊維懸濁液にセルラーゼ生産菌やヘミセルラーゼ生産菌の培養液、培養濾液、培養抽出液等のセルラーゼ含有液やヘミセルラーゼ含有液、又はセルラーゼ製剤やヘミセルラーゼ製剤を添加することによって、セルロース系繊維懸濁液中のセルロース系繊維を単糖類に加水分解することができる。
特に、セルロース系繊維懸濁液の洗浄を完全には行わず、セルロース系繊維懸濁液が若干のナトリウムイオンを含んでアルカリ性を呈する場合には、該セルロース系繊維懸濁液中に好アルカリのセルラーゼ生産菌やヘミセルラーゼ生産菌を繁殖させるか、セルロース系繊維懸濁液に耐アルカリ性のセルラーゼやヘミセルラーゼを添加するによってセルロース及び/又はヘミセルロースを加水分解することが好ましい。
ただし、一般には、酸生成菌やメタン生成菌が有するセルラーゼ活性やヘミセルラーゼ活性は弱く、また、セルラーゼ活性の強いセルラーゼ生産菌やヘミセルラーゼ活性の強いヘミセルラーゼ生産菌が繁殖しやすい条件と、酸生成菌やメタン生成菌が繁殖しやすい条件は異なる。このため、一つの処理容器内で嫌気性微生物を繁殖させることによって加水分解工程と酸生成工程、又は加水分解工程と酸生成工程及びメタン発酵工程を並行して進行させようとした場合、加水分解工程が律速となって酸生成分解工程以降の工程が進まないという問題がある。また、外部で生産したセルラーゼ含有液やヘミセルラーゼ含有液、又はセルラーゼ製剤やヘミセルラーゼ製剤を添加する方法は、その生産のために原料となるセルロースやヘミセルロースを別途供給しなければならないため経済的でない。
このため、セルロース系繊維懸濁液は、別の処理容器であらかじめセルロース系繊維をグルコース等の単糖類へ加水分解することによって単糖類溶液に変換した後、酸生成分解工程以降のメタン発酵工程を行うことが好ましい。あるいは、セルロース系繊維懸濁液を一部分岐し、該分岐液を培地としてセルラーゼ生産菌やヘミセルラーゼ生産菌を培養し、得られた培養液、培養濾液又は培養抽出液を残余のセルロース系繊維懸濁液と混合することにより加水分解を行った上で、酸生成分解工程以降のメタン発酵工程を行うことが好ましい。
なお、セルラーゼ生産菌やヘミセルラーゼ生産菌を酸生成分解工程以降の工程が行われる処理容器とは別の処理容器内に繁殖させる場合、該セルラーゼ生産菌やヘミセルラーゼ生産菌は必ずしも嫌気性である必要はなく、好気性微生物を用いてもよい。
処理容器内の菌体濃度を高める方法としては、処理容器の内部に充填材を設け、その表面に嫌気性微生物の生物膜を付着増殖させる固定床法や、嫌気性微生物が付着増殖する担体を粒状化し、上昇流によって流動させる流動床などがあるが、特に、嫌気性微生物の自己集塊作用を利用して、菌体を沈降性に優れた粒状汚泥として処理容器内に保持するUASB法が、最もメタン生成速度が速い。
ただし、前記セルロース系繊維懸濁液中のセルロース系繊維が加水分解されることによって得られた単糖類溶液にUASB法を適用する場合には、単糖類を有機酸に分解する酸生成菌がマイナスに帯電したバイオポリマーを大量に生成して、メタン生成菌の緻密な粒状汚泥の生成を妨げるという問題がある。この問題を回避するためには、酸生成分解工程とメタン生成工程を分離し、該酸生成分解工程において単糖類を有機酸に分解して得た有機酸溶液をUASB法を用いたメタン生成工程で処理すればよい。
なお、一般に、酸生成菌が繁殖しやすい条件とメタン生成菌が繁殖しやすい条件は異なるため、メタン生成工程にUASB法以外の方法を用いる場合においても、酸生成分解工程とメタン生成工程を分離し、それぞれの工程の運転条件を最適化することが好ましい。
この目的のためには、上記のように、蒸解工程に樹木の樹皮や葉を供給し、それら供給物から蒸解物混合液中に移行した栄養成分を下流の工程を経由してメタン発酵工程又はその前処理工程に移行させることもできるが、樹皮や葉は、洗浄工程において蒸解物混合液から分離されたセルロース系繊維懸濁液と混合し、該混合物をメタン発酵工程又はその前処理工程に移送することもできる。その際、樹皮や葉は、あらかじめ発酵等によって分解しやすくした上でセルロース系繊維懸濁液と混合することによって、微生物が利用しやすくすることができる。
なお、栄養源としては、樹木の樹皮や葉だけでなく、厨芥、下水汚泥、屎尿、及びビール製造などの食品製造工程で生じる排水や廃棄物等の有機系廃棄物を利用することができる。このうち、特に、下水汚泥や屎尿などのセルロース系繊維の含有量が少ない有機系廃棄物についてはセルロースやヘミセルロースを加水分解する必要性があまりないため、セルロース系繊維懸濁液中のセルロース系繊維を加水分解することによって得た単糖類溶液と混合して酸生成分解工程に移送することによって、加水分解工程における処理対象液の液量がいたずらに増えることを回避することができる。
また、メタン発酵工程で得られた可燃性ガスから二酸化炭素及び/又は硫化水素(H2S)を除去し、メタンを主成分として二酸化炭素と硫化水素をわずかしか、又はほとんど含まない可燃性ガスを得た場合、該可燃性ガスは改質器で水素に改質した上で、隣接して設置した燃料電池によって電力に転換することができ、さらには、天然ガス自動車又は改質器を設けた燃料電池自動車に燃料として供給することができる。
あるいはまた、これらの可燃性ガスは、ボンベに充填して該ボンベをトラック等で輸送することによって、又はパイプラインに供給することによって、遠隔の消費地まで輸送することができる。
また、その際、パイプラインへの供給口に可燃性ガスの流量を計測する自動計量装置を設置し、計測された供給量とあらかじめ設定した価格に基づき、コンピュータを用いてパイプラインの所有者又は遠隔の消費者に自動的に課金するシステムとすることができる。特に、消費者が二酸化炭素の排出枠を設定されている場合には、本発明のリグノセルロース系バイオマスの利用方法によって得られたメタンを主成分とする可燃性ガスはカーボンニュートラルな燃料であることから、消費者の二酸化炭素の排出枠に余裕が生じ、その余裕分を二酸化炭素の排出権として販売することが可能であるため、それも考慮した価格設定とすることができる。
分を蒸発させるとともに、もとの揮発成分含有蒸気は凝縮せしめる多重効用蒸発缶を用いることによって、蒸気の使用量を低減することができる。
このような濃縮分離工程において、蒸解廃液中に含有されるナトリウムイオンは、わずかな量だけが飛散してナトリウムイオン低濃度含有液側に移行することを除いて大部分がナトリウムイオン高濃度含有液に移行させられる。この結果、ナトリウムイオンは大量の蒸解物混合液から少量のナトリウムイオン高濃度含有液に移行することになるため、該ナトリウムイオンを水酸化ナトリウム等の蒸解薬液の有効成分として回収することは、比較的容易に行えるようになる。
なお、上記のように蒸解廃液は、ナトリウムイオンを主として弱酸−強アルカリのナトリウム塩又は水酸化ナトリウムとして含有するためpHは通常10以上であるが、これらナトリウム成分が濃縮されるナトリウムイオン高濃度含有液では、pHはこれよりさらに高くなる。また、ナトリウムイオン低濃度含有液については、わずかの量のナトリウムイオンが飛散して移行するだけであるためpHは蒸解廃液よりも低くはなるが、それでも主として弱酸−強アルカリのナトリウム塩又は水酸化ナトリウムとして移行するためアルカリ性を呈する。
このように一旦蒸発した硫化水素及びチオールは、その大部分が後段の凝縮過程でナトリウムイオン低濃度含有液側に移行するが、その一部は水蒸気とともに気相にとどまる。硫化水素やチオールは気相のまま大気中に放散すると悪臭の問題が生じるが、これらはいずれも酸性又は弱酸性であって容易にアルカリ性水溶液に溶解するため、それらを含む含有するガスを、アルカリ性水溶液である蒸解物混合液、蒸解廃液又はナトリウムイオン高濃度含有液、あるいは蒸解工程に使用する前の蒸解薬液に気液接触させることにより、吸収除去することができる。
2Na2S+2O2+H2O → Na2S2O3+NaOH (4)
2NaSH+2O2 → Na2S2O3+H2O (5)
そして、前記濃縮分離工程の前にこのような蒸解廃液酸化工程を経ることによって、上記のように濃縮分離工程で蒸発する硫化水素及びチオールの量を減少させることができる。
このようにナトリウムイオン高濃度含有液が有する化学エネルギーを有効に利用するため、本発明のリグノセルロース系バイオマスの利用方法の一形態においては、前記ナトリウムイオン高濃度含有液は回収ボイラにおいて燃焼し、生成する燃焼残渣から前記蒸解薬液の有効成分を回収するとともに、該回収ボイラでは燃焼熱を蒸気又は温水として回収することとした。特に、回収ボイラの水管壁で蒸気を発生させて蒸気タービンを回転させた場合には、回収された熱エネルギーを電力に転換することもできる。
Na2CO3+Ca(OH)2 → 2NaOH+CaCO3 (6)
その際、特に、ナトリウムイオン高濃度含有液中に硫化ナトリウム及び/又は硫化水素ナトリウムが比較的高い濃度で含まれる場合、それらの硫黄含有ナトリウム成分は、下式(7)及び(8)でナトリウムイオン高濃度含有液の燃焼ガス中の二酸化炭素と反応して硫化水素を生成する。
Na2S+CO2+H2O → Na2CO3+H2S (7)
2NaSH+CO2+H2O → Na2CO3+2H2S (8)
この問題は、ナトリウムイオン高濃度含有液の燃焼工程に先立って、上式(4)又は(5)の反応によって硫化ナトリウム及び硫化水素ナトリウムをチオ硫酸ナトリウムに酸化する工程を経ることによって回避することができる。なお、この酸化は、上記のようにナトリウムイオン高濃度含有液を濃縮分離する前の蒸解廃液の段階で行ってもよく、また、ナトリウムイオン高濃度含有液を濃縮分離してから行ってもよい。
むしろ、上記のようにリグノセルロース系バイオマスは、森林等の生育場所で採取されてから消費されるまでの間に長距離輸送したり、大量に貯蔵したりするのには適していないのに対して、蒸解廃液は液体であり輸送も貯蔵も比較的行いやすいこと、及びナトリウムイオン高濃度含有液を燃焼させる回収ボイラは大規模化する方が経済的であることを考慮すれば、メタンガス発生装置は森林等のリグノセルロース系バイオマスの採取場所に比較的近い場所に設置し、蒸解薬液回収装置については、複数のメタンガス発生装置から発生する蒸解廃液から濃縮分離されるナトリウムイオン高濃度含有液を集中的に処理する装置を設置すること
が好適である。
その際、蒸解廃液をナトリウムイオン高濃度含有液とナトリウムイオン低濃度含有液を分離する濃縮分離装置については、メタンガス発生装置に近接して設置してもよいし、蒸解薬液回収装置に近接して設置し、複数のメタンガス発生装置から発生する蒸解廃液を集めた上で濃縮分離してもよい。特に、複数のメタンガス発生装置から発生する蒸解廃液を集めた上で濃縮分離する場合には、蒸解廃液酸化工程についても、複数のメタンガス発生装置から発生する蒸解廃液を集めた上で実施することが好ましい。
このように本発明のリグノセルロース系バイオマスの利用方法をクラフトパルプ製造工程と組み合わせると、本発明のリグノセルロース系バイオマスの利用方法を実施するにあたって蒸解廃液の再利用に用いる設備を新設する必要度を軽減できるという利点がある。一方、クラフトパルプ工場においても、回収ボイラで燃焼させる有機物の量が、本発明のリグノセルロース系バイオマスの利用方法において得られる蒸解廃液に含まれる有機物の分だけ増えるため、クラフトパルプ製造工程で必要になる熱又は電力を得るために燃焼させる化石燃料の量を減らせるという利点がある。特に、二酸化炭素による地球温暖化防止のため各クラフトパルプ製造会社又は工場にクラフトパルプの製造量に応じた二酸化炭素の排出枠が設定される場合には、リグノセルロース系バイオマスから得られ、したがってカーボンニュートラルな燃料である蒸解廃液又はナトリウムイオン高濃度含有液を使用することによって排出枠に余裕ができるため、その余裕分を二酸化炭素の排出権として販売することも可能である。
このように、本発明のリグノセルロース系バイオマスの利用方法とクラフトパルプ製造工程を結合した利用方法の場合、メタン発生装置における水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムの混合水溶液又は懸濁液(白液)の受入部と、クラフトパルプ製造工程における蒸解廃液の受入部に、それぞれの液量を計測する自動計量装置を設置し、計測された受入量とあらかじめ設定した価格に基づき、コンピュータを用いて、メタンガス発生装置の所有者とクラフトパルプ製造工場の間の支払い金額を自動的に計算するシステムとすることができる。
なお、この方法においても、パルプ懸濁液をメタン発酵工程に移送する分、クラフトパルプだけを製造していた従来の運転状態より黒液の発生量が増えることにより、クラフトパルプ工場において、クラフトパルプ製造量あたりの化石燃料の消費量を減らすことができるとともに二酸化炭素の排出枠に余裕ができるというメリットが生じる。また、可燃性ガスをパイプラインの所有者又は遠隔の消費者に販売する場合には、上記のようにパイプラインの所有者又は遠隔の消費者に自動的に課金するシステムとすることができ、また、消費者に二酸化炭素の排出枠が設定されている場合には、排出枠の余裕分を二酸化炭素の排出権として販売することが可能であるため、それも考慮した価格設定とすることができる。
このため、発明のリグノセルロース系バイオマスの利用方法の一形態においては、前記ナトリウムイオン低濃度含有液は、前記セルロース系繊維懸濁液、単糖類溶液、又は有機酸溶液と混合の上、前記メタン発酵工程に移送し、嫌気性微生物によって処理することとした。これにより、ナトリウムイオン低濃度含有液が含有する有機物が、必要であれば酸生成分解などの前処理を受けた上で嫌気性微生物によって処理され、メタンを主成分とする可燃性ガスに転換される。
この際、メタノールはメタン生成菌によって直接メタンに転換されるため、加水分解工程及び酸生成分解工程を経る必要はない。したがって、ナトリウムイオン低濃度含有液は有機酸溶液と混合することが好ましく、これによって加水分解工程と酸生成分解工程での処理液量がナトリウムイオン低濃度含有液の分だけ増加することを回避することができる。
また、前記のようにナトリウムイオン低濃度含有液はアルカリ性であるため、これをメタン発酵工程に先立ってセルロース系繊維懸濁液、単糖類溶液、又は有機酸溶液と混合することは、メタン発酵工程の酸生成分解工程における有機酸の生成により、処理対象液のpHが低くなって酸生成分解工程以降の工程が阻害されることを抑制する効果もある。
また、メタン発酵工程の処理対象液中には、上記のように洗浄工程において蒸解物混合液からセルロース系繊維懸濁液中にナトリウムイオンが移行することよって、また、ナトリウムイオン低濃度含有液をメタン発酵工程に移送する場合には、濃縮分離工程において飛散したナトリウムイオンがナトリウム低濃度含有液中に移行することによっても、ナトリウムイオンが含有される。このナトリウムイオンは、一部がメタン発酵工程において発生する汚泥に移行することを除けば、処理済液に移行するため、該処理済液を放流するとナトリウムイオンが流失することになり好ましくない。
これにより、仮にセルロース系繊維懸濁液側にナトリウムイオンが比較的多量に移行したとしても、該セルロース系繊維懸濁液からのナトリウムイオンの流失は非常に低いレベルに抑えられるため、ナトリウムイオンの流失を防ぐために前記洗浄工程でセルロース系繊維懸濁液側に移行するナトリウムイオンの濃度を著しく低いレベルに抑える必要はない。このため、洗浄工程において使用する洗浄液の量を極端に増やしたり、洗浄段数を増やすことによって設備費・運転費が上昇することを回避できる。
一方、リグノセルロース系バイオマスに硫黄分が含まれる場合や、樹皮や葉などの硫黄分を比較的多く含む生細胞バイオマスが混入する場合には、それらの硫黄分は蒸解工程にて主として硫酸イオンやチオ硫酸イオンに転換せしめられ、洗浄工程を経てセルロース系繊維懸濁液に移行する。特に、蒸解薬品として水酸化ナトリウムとともに硫化ナトリウムを使用する場合、硫化ナトリウムから上記の式(3)によって生成した硫化水素イオンは、蒸解過程で主として硫酸イオンやチオ硫酸イオンへと酸化され、同じくセルロース系繊維懸濁液に移行する。この硫酸イオンは最終的にはメタン発酵工程の処理対象液中に移行するが、メタン発酵工程においては、硫酸還元菌が硫酸イオンやチオ硫酸イオンとメタノールや有機酸を原料として硫化水素を生成せしめ、液中に溶解しきれなかった分はガスとして放出され、その結果、メタン発酵工程で生成した可燃性ガス中に硫化水素が含有されることになる。特に、セルロース系繊維懸濁液やナトリウムイオン低濃度含有液が硫化水素イオンを含有し、その結果、メタン発酵工程の処理対象液が硫化水素を含有する場合には、メタン発酵工程で発生した硫化水素が溶解する余地が小さくなるため、可燃性ガス中に含まれる硫化水素の濃度が高くなる傾向がある。
硫化水素は、それ自体が有臭で有毒であるだけでなく、それを含む可燃性ガスを燃焼させた場合には有毒で腐食性のある二酸化硫黄等の硫黄酸化物が生成するため、燃料として使用されるガス中に含まれることは好ましくない。
上記のように蒸解物混合液、蒸解廃液及びナトリウムイオン高濃度含有液は、ナトリウムイオンを主として弱酸−強アルカリのナトリウム塩又は水酸化ナトリウムとして含有するためpHは通常10以上である。一方、二酸化炭素と硫化水素はともに酸性ガスであってアルカリ性水溶液には溶け易く、また、可燃性ガスの主成分であるメタンは水溶液には難溶であるため、メタン発酵工程において生成する可燃性ガスを蒸解廃液と接触させることによって、可燃性ガス中の二酸化炭素と硫化水素は選択的に吸収除去することができる。
蒸解物混合液、蒸解廃液又はナトリウムイオン高濃度含有液中に吸収された二酸化炭素と硫化水素は、下式(9)及び(10)の反応で蒸解物混合液、蒸解廃液又はナトリウムイオン高濃度含有液中に含まれる未反応の水酸化ナトリウムと反応し、それぞれ炭酸ナトリウム及び硫化水素ナトリウムに転換される。
CO2+2NaOH → Na2CO3+H2O (9)
H2S+NaOH → NaSH+H2O (10)
そして、特にメタンを主成分とする可燃性ガスを前記蒸解物混合液又は蒸解廃液と接触させた場合には、蒸解物混合液又は蒸解廃液中で生成した炭酸ナトリウム及び硫化水素ナトリウムは、洗浄工程及び濃縮分離工程、又は濃縮分離工程を経てナトリウムイオン高濃度含有液側に移行せしめられ、ほんのわずかな部分だけがセルロース系繊維懸濁液中又はナトリウムイオン低濃度含有液側に移行する。
なお、二酸化炭素と硫化水素の平衡分圧は、いずれも吸収液の温度が低いほど小さいため、蒸解物混合液、蒸解廃液又はナトリウムイオン高濃度含有液を冷却した上で、メタン発酵工程で得られた可燃性ガスと接触させることによって接触後の可燃性ガス中の二酸化炭素と硫化水素の濃度を低くすることができる。その際、蒸解物混合液、蒸解廃液又はナトリウムイオン高濃度含有液の温度は50℃以下とすることが好ましい。
このため、本発明のリグノセルロース系バイオマスの利用方法の一形態では、前記蒸解工程及び/又は濃縮分離工程において供給した熱の一部を回収し、該回収熱によって前記メタン発酵工程の処理対象液を加温することとした。これにより、メタン発酵工程の処理対象液を加温するために新たな熱源を用意する必要はなくなるか、新たな熱源が必要になるにしてもその必要量は少なくて済む。なお、メタン生成工程を加水分解工程や酸生成分解工程と分離する場合、前記回収熱によるメタン発酵工程の処理対象液の加温は、セルラーゼ生産菌やヘミセルラーゼ生産菌及び/又は酸生成菌として至適温度がメタン生成菌と同程度のものを選ぶことによって、加水分解工程の前又は酸生成分解工程の前に行うことも可能である。
このようにして得られた温水又は蒸気をメタン発酵工程の処理対象液と間接的に熱交換することによって、該処理対象液を加温することができる。あるいは、蒸解物混合液等又は蒸解物混合液等から発生するフラッシュ蒸気と間接的に熱交換する冷却水としてメタン発酵工程の処理対象液を用いることによって、該処理対象液を中間的な熱媒体を介さずに直接加温することも可能である。
一方、蒸解釜としてバッチ式蒸解釜を用いる場合には、連続式蒸解釜を用いる場合と同じく、セルロース系繊維懸濁液と蒸解廃液、又は蒸解物混合液が保有する熱は、それらの排出物が蒸解釜から排出された後に回収することができるが、蒸解物混合液を蒸解釜中に保持した状態で回収することも可能である。具体的には、蒸解釜のリリーフ弁を開いて密閉状態を開放することにより、フラッシュ蒸気を発生させることができ、あるいは、蒸解薬液の循環ライン又は蒸解釜内部の間接熱交換器又は熱交換用配管で蒸解物混合液と冷却水を熱交換することによって蒸気又は温水を回収することができる。その際、熱交換用配管としては、前記蒸解工程において蒸解薬液を加熱するために用いた間接熱交換器又は熱交換用配管を転用し、蒸気の替わりに冷却水を流すことができる。
特に、蒸解物混合液が保有する熱を蒸気(フラッシュ蒸気を含む)として回収する場合には、該蒸気を、リグノセルロース系バイオマスを蒸解薬液に浸漬させるに先立って該リグノセルロース系バイオマスと接触させる蒸気として利用したり、前記濃縮分離工程の熱源として利用し、生成した温排水をメタン発酵工程の処理対象液の熱源として利用することができる。
なお、蒸解釜としてバッチ式蒸解釜を用いる場合、フラッシュ蒸気や高温の蒸解物混合液から回収される熱は時間的に大きな変動がある。この変動を吸収してメタン発酵工程における処理対象液を一定の温度に保つためには、熱の吸収体として大量の水を用いればよい。
このため、フラッシュ蒸気凝縮液は、前記洗浄工程で分離されたセルロース系繊維懸濁液、又は蒸解廃液と混合せしめられて処理される。これにより、フラッシュ蒸気凝縮液中に含まれる有機物は、最終的にはメタン発酵工程においてメタンを主成分とする可燃性ガスに転換されるか、蒸解薬液回収工程において回収ボイラで燃焼せしめられてその燃焼熱を回収することができる。
なお、フラッシュ蒸気凝縮液は、その性状がナトリウムイオン低濃度含有液と類似しているため、ナトリウムイオン低濃度含有液と同じく有機酸溶液と混合の上、メタン発酵工程に移送することが好ましい。
この問題を回避するためには、フラッシュ用バルブを開放して蒸気を放出させることによって蒸解薬液を冷却する代わりに、熱交換用配管に蒸気に替えて冷却水を流して間接的に熱交換ことによって冷却することができる。
図1は、本発明のリグノセルロース系バイオマスの利用方法の一例を示すフロー工程図である。
木材等のリグノセルロース系バイオマスは、必要であれば破砕又は切断された上で、水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムが溶解した水溶液又は分散した懸濁液である蒸解薬液とともに、圧力容器で構成された蒸解釜1の頂部に設けられたそれぞれの供給口から蒸解釜1の内部に供給される。その際、蒸解薬液の供給量は、リグノセルロース系バイオマスに対するNaOH+1/2Na2SのNa2O換算での重量比が10〜30%(乾ベース)となるように調整し、また、蒸解薬液の溶解固形分濃度はNa2O換算で10〜50g/lとなるように調整する。
蒸解薬液は循環ラインに抜き出され、該循環ラインに設けられた間接熱交換器である蒸解薬液加熱器2で蒸気と間接的に熱交換することによって160〜200℃に加熱される。リグノセルロース系バイオマスは該加熱蒸解薬液の領域を徐々に沈降し、底部に至るまで1〜3時間滞留する間にセルロース及びヘミセルロースを主成分とする繊維細胞が離解し、セルロース系繊維が液中に分散するとともにその他の溶解固形分が溶解又は分散した蒸解物混合液が得られる。
蒸解釜1の底部の供給口からは洗浄液IIが供給されて底部付近に洗浄液の領域が形成され、該洗浄液領域にセルロース系繊維が拡散・移行することによってセルロース系繊維懸濁液Iが得られる。該セルロース系繊維懸濁液Iは蒸解釜1の底部に設けられた抜出口から排出され、一方、底部の供給口から供給された洗浄液IIの一部とセルロース系繊維が脱離した蒸解物混合液の残余部分の混合物は、蒸解釜1の底部の洗浄液領域よりも上部に位置する別の抜出口から蒸解廃液として抜き出される。
前記セルロース系繊維懸濁液Iはブロータンク3に一旦貯留され、フラッシュ蒸気を放出することによって圧力を大気圧に下げるとともに100℃以下に冷却される。該冷却後のセルロース系繊維懸濁液Iは、ディフュージョンウォッシャ4に供給されて洗浄液Iによって置換洗浄され、ナトリウムイオン濃度がセルロース系繊維懸濁液Iより低いセルロース系繊維懸濁液IIと洗浄廃液に分離される。
このうち洗浄廃液は前記洗浄液IIとして蒸解釜1に供給され、一方、セルロース系繊維懸濁液IIは、必要であれば置換洗浄及び/又は稀釈洗浄を繰り返すことによってナトリウムイオン濃度をさらに低くした上で、加水分解槽5に供給される。加水分解槽5においては、セルロース系繊維懸濁液II中のセルロース系繊維がセルラーゼ生産菌やヘミセルラーゼ生産菌を含む微生物によってグルコース等の単糖類へと加水分解される。こうして得られた単糖類溶液は酸生成槽6へと供給され、酸生成槽6では単糖類が酸生成菌によって酢酸等の揮発性脂肪酸を主体とする有機酸へと分解されることにより有機酸溶液が得られ、該有機酸溶液はUASB装置であるメタン生成槽7へと送られる。
一方、蒸解釜1から抜き出された蒸解廃液はフラッシュタンク8に移送され、フラッシュ蒸気を放出することによって圧力を大気圧に下げるとともに100℃以下に冷却された上で、多重効用蒸発缶である濃縮分離装置9へと供給される。該蒸解廃液は濃縮分離装置9において蒸気と間接的に熱交換することにより、メタノール等の揮発成分を含む蒸気が生成し、生成した揮発成分含有蒸気が残余の液体と間接的に熱交換することによって揮発成分含有蒸気は凝縮する一方、残余の液体から再び揮発成分含有蒸気が生成する、ということを繰り返すことにより、最終的には、ナトリウムイオン高濃度含有液Iとナトリウムイオン低濃度含有液に分離される。
このうちナトリウムイオン低濃度含有液は、前記有機酸溶液とともにUASB装置であるメタン生成槽7に送られ、それら液体中の有機酸及びメタノールはメタン生成菌によって、メタン、二酸化炭素及び水に分解され、そのうち水に溶存できない成分がガス体として放出され、結果として、メタンを主成分とし、十〜数十%の二酸化炭素と、若干の硫化水素を含む可燃性ガスIが得られる。この可燃性ガスIは充填塔であるガス吸収装置10に送られ、濃縮分離装置9から移送されてきたナトリウムイオン高濃度含有液Iと気液接触せしめられ、該可燃性ガスIに含まれる二酸化炭素と硫化水素はナトリウムイオン高濃度含有液Iによって吸収除去される。こうして、メタンを主成分として二酸化炭素と硫化水素をわずかしか、又はほとんど含まない可燃性ガスIIが得られる。
一方、ナトリウムイオン高濃度含有液Iが二酸化炭素及び/又は硫化水素を吸収することによって得られたナトリウムイオン高濃度含有液IIは、必要であれば、炭酸ナトリウム及び/又は硫酸ナトリウムを添加した上で、回収ボイラ11に送られ燃焼せしめられる。そこで得られた燃焼残渣を溶解タンク12で補給水に溶解せしめて残渣水溶液を得た後、該残渣水溶液は必要であれば不溶解分を除去した上で苛性化槽13へ送り、水酸化カルシウムを添加され、生成した炭酸カルシウムを除去することによって蒸解薬液が回収される。また、回収ボイラ11には水管壁が設けられており、ナトリウムイオン高濃度含有液IIの燃焼熱を蒸気として回収する。
なお、メタン生成槽7で可燃性ガスと分離せしめられた液体は、汚泥を除去した上で稀釈槽14へ送られ補給水で稀釈されることにより洗浄液Iが得られる。そして、該洗浄液Iは、上記のようにディフュージョンウォッシャ4に供給される。
図2は、本発明のリグノセルロース系バイオマスの利用方法のもう一つの例を示すフロー工程図であり、特に、蒸解工程及び濃縮分離工程において供給した熱の一部の回収と、回収熱によるメタン発酵工程の処理対象液の加温を説明したフロー工程図である。
ガス燃焼ボイラ15で発生せしめられた蒸気は蒸解薬液加熱器2に供給され、蒸解薬液及び蒸解廃液と間接的に熱交換することによって相手を加熱する一方、自らは凝縮して温排水となる。また、ガス燃焼ボイラ15で発生せしめられた蒸気は濃縮分離装置9にも供給され、蒸解廃液と間接的に熱交換することによって相手から水分及び揮発成分を蒸発させる一方、自らは凝縮して温排水となる。そして、蒸解薬液加熱器2及び濃縮分離装置9で発生した温排水は温排水槽16で回収される。なお、濃縮分離装置9で蒸発した揮発成分含有蒸気は凝縮せしめられてナトリウムイオン低濃度含有液として回収される。
また、ブロータンク3から放出せしめられたフラッシュ蒸気I及びフラッシュタンク8から放出せしめられたフラッシュ蒸気IIは、それぞれフラッシュ蒸気I凝縮器17とフラッシュ蒸気II凝縮器18に送られ、冷却水槽19から供給された冷却水と間接的に熱交換することによって自らは凝縮する一方、冷却水を加熱して温排水を生成せしめる。そして、これらの温排水は温排水槽16で回収される。
このように温排水槽16に回収された温排水は加温用温水として間接熱交換器である処理対象液加熱器20に供給され、加水分解槽6で生成した有機酸溶液と間接的に熱交換することによって該有機酸溶液を50℃〜55℃に加温する一方、自らは冷却されて冷却水槽19に回収される。回収された冷却水は、上記のようにフラッシュ蒸気I凝縮器17及びフラッシュ蒸気II凝縮器18に供給されるとともに、一部はガス燃焼ボイラ15に供給されて蒸気に転換される。
一方、加温された有機酸溶液はメタン生成槽7に送られ、有機酸溶液中の有機酸及びメタノールが分解されることによってメタンを主成分とする可燃性ガスが発生し、該可燃性ガスの一部はガス燃焼ボイラに送られて燃焼せしめられ、その燃焼熱によって蒸気が発生せしめられる。
図3は、本発明のリグノセルロース系バイオマスの利用方法のもう一つの例を示すフロー工程図であり、特に、本発明のリグノセルロース系バイオマスの利用方法とクラフトパルプ(図中ではKPと略記する)製造工程を結合した利用方法を説明したフロー工程図である。
蒸解釜1から抜き出されたセルロース系繊維懸濁液は、図には示されていない工程を経た後、メタンを主成分とし、十〜数十%の二酸化炭素と、若干の硫化水素を含む可燃性ガスIに転換せしめられる。該可燃性ガスIは、同じく蒸解釜1から抜き出された蒸解廃液Iとガス吸収装置10で気液接触せしめられ、該可燃性ガスIに含まれる二酸化炭素と硫化水素は蒸解廃液Iによって吸収除去される。こうして、メタンを主成分として二酸化炭素と硫化水素をわずかしか、又はほとんど含まない可燃性ガスIIが得られ、一方、蒸解廃液Iが二酸化炭素及び/又は硫化水素を吸収することによって蒸解廃液IIが得られる。
以上の装置及び工程からなる複数のメタンガス発生装置から得られた蒸解廃液IIは、クラフトパルプ製造工程から得られるクラフトパルプ黒液ともに混合槽21に送られて混合せしめられ、得られた混合廃液は散気管式曝気槽である酸化装置22において空気と気液接触せしめられることにより、混合廃液中の硫化ナトリウム及び/又は硫化水素ナトリウムがチオ硫酸ナトリウムに酸化せしめられた後、多重効用蒸発缶である濃縮分離装置9へと供給される。
酸化後の混合廃液は濃縮分離装置9において蒸気と間接的に熱交換することにより、メタノール等の揮発成分を含む蒸気が生成し、生成した揮発成分含有蒸気が残余の液体と間接的に熱交換することによって揮発成分含有蒸気は凝縮する一方、残余の液体から再び揮発成分含有蒸気が生成する、ということを繰り返すことにより、最終的には、ナトリウムイオン高濃度含有液とナトリウムイオン低濃度含有液に分離される。このうちナトリウムイオン高濃度含有液は、必要であれば、炭酸ナトリウム及び/又は硫酸ナトリウムを添加した上で、回収ボイラ11に送られ燃焼せしめられる。そこで得られた燃焼残渣を溶解タンク12で補給水に溶解せしめて残渣水溶液を得た後、該残渣水溶液は必要であれば不溶解分を除去した上で苛性化槽13へ送り、水酸化カルシウムを添加され、生成した炭酸カルシウムを除去することによって蒸解薬液が回収される。また、回収ボイラ11には水管壁が設けられており、ナトリウムイオン高濃度含有液の燃焼熱を蒸気として回収される。
このようにして得られた蒸解薬液の一部はクラフトパルプ製造工程に送られ、残りは、蒸解廃液IIの供給源である複数のメタンガス発生装置へ送られ、再び蒸解釜1に供給される。
2‥‥‥蒸解薬液加熱器
3‥‥‥ブロータンク
4‥‥‥ディフュージョンウォッシャ
5‥‥‥加水分解槽
6‥‥‥酸生成槽
7‥‥‥メタン生成槽
8‥‥‥フラッシュタンク
9‥‥‥濃縮分離装置
10‥‥‥ガス吸収装置
11‥‥‥回収ボイラ
12‥‥‥溶解タンク
13‥‥‥苛性化槽
14‥‥‥稀釈槽
15‥‥‥ガス燃焼ボイラ
16‥‥‥温排水槽
17‥‥‥フラッシュ蒸気I凝縮器
18‥‥‥フラッシュ蒸気II凝縮器
19‥‥‥冷却水槽
20‥‥‥処理対象液加熱器
21‥‥‥混合槽
22‥‥‥酸化装置
Claims (8)
- リグノセルロース系バイオマスからリグニンを分解除去することによってセルロース系繊維懸濁液を得るセルロース系繊維懸濁液生成工程と;
該セルロース系繊維懸濁液と、窒素、リン、カリウム及び鉄のうちの少なくとも一つの栄養成分を含む有機物とを混合する有機物混合工程と;
前記セルロース系繊維懸濁液と前記有機物との混合液を嫌気状態に保ち、該混合液内で繁殖させた微生物によって、又は、該微生物と加水分解酵素とによって該混合液中のセルロース系繊維及びその他の有機物質を分解することにより「メタンを主成分とする可燃性ガス」を生成せしめるメタン生成工程と;
を備えるリグノセルロース系バイオマスの利用方法。 - 前記メタン生成工程は、
前記セルロース系繊維懸濁液と前記有機物との混合液を嫌気状態に保ち、該混合液中のセルロース系繊維及びその他の有機物質を微生物によって、又は、微生物と加水分解酵素とによって分解することにより有機酸溶液を得る酸生成分解工程と;
該有機酸溶液を嫌気状態に保ち、該有機酸溶液中の有機酸及びその他の有機物質を微生物によって分解することにより「メタンを主成分とする可燃性ガス」を生成せしめるメタン発酵工程と;
からなることを特徴とする、請求項1に記載のリグノセルロース系バイオマスの利用方法。 - リグノセルロース系バイオマスからリグニンを分解除去することによってセルロース系繊維懸濁液を得るセルロース系繊維懸濁液生成工程と;
該セルロース系繊維懸濁液と、窒素、リン、カリウム及び鉄のうちの少なくとも一つの栄養成分を含む有機物とを混合する有機物混合工程と;
前記セルロース系繊維懸濁液と前記有機物との混合液中のセルロース系繊維を加水分解酵素、又は、加水分解酵素生成菌を用いて加水分解することにより単糖類溶液を得る加水分解工程と;
該単糖類溶液を嫌気状態に保ち、該単糖類溶液内で繁殖させた微生物によって該単糖類溶液中の単糖類及びその他の有機物質を分解することにより「メタンを主成分とする可燃性ガス」を生成せしめるメタン生成工程と;
を備えるリグノセルロース系バイオマスの利用方法。 - 前記メタン生成工程は、
前記単糖類溶液を嫌気状態に保ち、該単糖類溶液中の単糖類及びその他の有機物質を微生物によって分解することにより有機酸溶液を得る酸生成分解工程と;
該有機酸溶液を嫌気状態に保ち、該有機酸溶液中の有機酸及びその他の有機物質を微生物によって分解することにより「メタンを主成分とする可燃性ガス」を生成せしめるメタン発酵工程と;
からなることを特徴とする、請求項3に記載のリグノセルロース系バイオマスの利用方法。 - リグノセルロース系バイオマスからリグニンを分解除去することによってセルロース系繊維懸濁液を得るセルロース系繊維懸濁液生成工程と;
該セルロース系繊維懸濁液中のセルロース系繊維を加水分解酵素、又は、加水分解酵素生成菌を用いて加水分解することにより単糖類溶液を得る加水分解工程と;
該単糖類溶液と、窒素、リン、カリウム及び鉄のうちの少なくとも一つの栄養成分を含む有機物とを混合する有機物混合工程と;
前記単糖類溶液と前記有機物との混合液を嫌気状態に保ち、該混合液内で繁殖させた微生物によって該単糖類溶液中の単糖類及びその他の有機物質を分解することにより「メタンを主成分とする可燃性ガス」を生成せしめるメタン生成工程と;
を備えるリグノセルロース系バイオマスの利用方法。 - 前記メタン生成工程は、
前記単糖類溶液と前記有機物との混合液を嫌気状態に保ち、該混合液中の単糖類及びその他の有機物質を微生物によって分解することにより有機酸溶液を得る酸生成分解工程と;
該有機酸溶液を嫌気状態に保ち、該有機酸溶液中の有機酸及びその他の有機物質を微生物によって分解することにより「メタンを主成分とする可燃性ガス」を生成せしめるメタン発酵工程と;
からなることを特徴とする、請求項5に記載のリグノセルロース系バイオマスの利用方法。 - 前記窒素、リン、カリウム及び鉄のうちの少なくとも一つの栄養成分を含む有機物は、
樹木の樹皮や葉などの生細胞バイオマスであることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のリグノセルロース系バイオマスの利用方法。 - 前記窒素、リン、カリウム及び鉄のうちの少なくとも一つの栄養成分を含む有機物は、
厨芥、下水汚泥、屎尿、及び食品製造工程で生じる排水や廃棄物のうちの少なくとも一つの有機系廃棄物であることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のリグノセルロース系バイオマスの利用方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007118020A JP4028588B2 (ja) | 2007-04-27 | 2007-04-27 | リグノセルロース系バイオマスの利用方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007118020A JP4028588B2 (ja) | 2007-04-27 | 2007-04-27 | リグノセルロース系バイオマスの利用方法 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002005514A Division JP4138319B2 (ja) | 2002-01-15 | 2002-01-15 | リグノセルロース系バイオマスの利用システム |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007275889A true JP2007275889A (ja) | 2007-10-25 |
JP4028588B2 JP4028588B2 (ja) | 2007-12-26 |
Family
ID=38677931
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007118020A Expired - Fee Related JP4028588B2 (ja) | 2007-04-27 | 2007-04-27 | リグノセルロース系バイオマスの利用方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4028588B2 (ja) |
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2010055647A1 (ja) * | 2008-11-13 | 2010-05-20 | 本田技研工業株式会社 | リグノセルロース系バイオマス糖化前処理装置 |
WO2010070817A1 (ja) * | 2008-12-16 | 2010-06-24 | 本田技研工業株式会社 | リグノセルロース系バイオマス糖化前処理装置 |
JP2011239715A (ja) * | 2010-05-18 | 2011-12-01 | Fujii Kiso Sekkei Jimusho:Kk | メタン発酵方法 |
JP2013006164A (ja) * | 2011-06-27 | 2013-01-10 | Kobelco Eco-Solutions Co Ltd | 有機性廃棄物の湿式メタン発酵処理方法 |
JP2013059274A (ja) * | 2011-09-12 | 2013-04-04 | Honda Motor Co Ltd | バイオマスの糖化前処理におけるアンモニア処理方法 |
JP2015521533A (ja) * | 2012-06-12 | 2015-07-30 | レネサイエンス エー/エス | バイオメタン製造のための方法および組成物 |
JP2015527975A (ja) * | 2012-06-13 | 2015-09-24 | フレッド ハッチンソン キャンサー リサーチ センター | カルコゲニドを含む組成物および関連方法 |
JP6243991B1 (ja) * | 2016-10-27 | 2017-12-06 | 大王製紙株式会社 | パルプ繊維前処理装置、セルロースナノファイバーの製造装置及びセルロースナノファイバーの製造方法 |
WO2020251005A1 (ja) * | 2019-06-14 | 2020-12-17 | 株式会社愛研化工機 | 排水処理方法及び排水処理システム |
-
2007
- 2007-04-27 JP JP2007118020A patent/JP4028588B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (15)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010115162A (ja) * | 2008-11-13 | 2010-05-27 | Honda Motor Co Ltd | リグノセルロース系バイオマス糖化前処理装置 |
WO2010055647A1 (ja) * | 2008-11-13 | 2010-05-20 | 本田技研工業株式会社 | リグノセルロース系バイオマス糖化前処理装置 |
US8419900B2 (en) | 2008-11-13 | 2013-04-16 | Honda Motor Co., Ltd. | Apparatus for pretreatment for saccharification of lignocellulose biomass |
US8444925B2 (en) | 2008-12-16 | 2013-05-21 | Honda Motor Co., Ltd. | Lignocellulosic biomass saccharification pre-treatment device |
WO2010070817A1 (ja) * | 2008-12-16 | 2010-06-24 | 本田技研工業株式会社 | リグノセルロース系バイオマス糖化前処理装置 |
JP2010142680A (ja) * | 2008-12-16 | 2010-07-01 | Honda Motor Co Ltd | リグノセルロース系バイオマス糖化前処理装置 |
JP2011239715A (ja) * | 2010-05-18 | 2011-12-01 | Fujii Kiso Sekkei Jimusho:Kk | メタン発酵方法 |
JP2013006164A (ja) * | 2011-06-27 | 2013-01-10 | Kobelco Eco-Solutions Co Ltd | 有機性廃棄物の湿式メタン発酵処理方法 |
JP2013059274A (ja) * | 2011-09-12 | 2013-04-04 | Honda Motor Co Ltd | バイオマスの糖化前処理におけるアンモニア処理方法 |
JP2015521533A (ja) * | 2012-06-12 | 2015-07-30 | レネサイエンス エー/エス | バイオメタン製造のための方法および組成物 |
JP2015527975A (ja) * | 2012-06-13 | 2015-09-24 | フレッド ハッチンソン キャンサー リサーチ センター | カルコゲニドを含む組成物および関連方法 |
JP6243991B1 (ja) * | 2016-10-27 | 2017-12-06 | 大王製紙株式会社 | パルプ繊維前処理装置、セルロースナノファイバーの製造装置及びセルロースナノファイバーの製造方法 |
JP2018071015A (ja) * | 2016-10-27 | 2018-05-10 | 大王製紙株式会社 | パルプ繊維前処理装置、セルロースナノファイバーの製造装置及びセルロースナノファイバーの製造方法 |
WO2020251005A1 (ja) * | 2019-06-14 | 2020-12-17 | 株式会社愛研化工機 | 排水処理方法及び排水処理システム |
JP6857374B1 (ja) * | 2019-06-14 | 2021-04-14 | 株式会社愛研化工機 | 排水処理方法及び排水処理システム |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP4028588B2 (ja) | 2007-12-26 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4028588B2 (ja) | リグノセルロース系バイオマスの利用方法 | |
Feng et al. | Integrated processes of anaerobic digestion and pyrolysis for higher bioenergy recovery from lignocellulosic biomass: a brief review | |
Gumisiriza et al. | Biomass waste-to-energy valorisation technologies: a review case for banana processing in Uganda | |
Chandra et al. | Methane production from lignocellulosic agricultural crop wastes: A review in context to second generation of biofuel production | |
Ma et al. | Nutrient recovery technologies integrated with energy recovery by waste biomass anaerobic digestion | |
Dar et al. | Biomethanation of agricultural residues: Potential, limitations and possible solutions | |
Rahmani et al. | Pretreatment methods to enhance solubilization and anaerobic biodegradability of lignocellulosic biomass (wheat straw): Progress and challenges | |
Li et al. | Wet wastes to bioenergy and biochar: A critical review with future perspectives | |
Sikarwar et al. | Potential of coupling anaerobic digestion with thermochemical technologies for waste valorization | |
Agarwal et al. | Anaerobic digestion of sugarcane bagasse for biogas production and digestate valorization | |
ES2923644T3 (es) | Producción de productos con reducciones favorables de emisiones de GEI a partir de materias primas celulósicas | |
KR101047169B1 (ko) | 가축 분뇨를 이용한 고농도 바이오가스 발생 및 발효 잔존물의 친환경 처리 시스템 | |
JP4138319B2 (ja) | リグノセルロース系バイオマスの利用システム | |
Kabir et al. | Biogas from lignocellulosic materials | |
Weber et al. | Agave bagasse response to steam explosion and anaerobic treatment | |
Amin et al. | Methane biogas production in Malaysia: challenge and future plan | |
JP2007064614A (ja) | 蓄熱装置への蓄熱方法及び蓄熱システム | |
CN103649410A (zh) | 生物油与来自纸浆厂的含碱富能水溶液的气化 | |
Vieira et al. | Pretreatments of solid wastes for anaerobic digestion and its importance for the circular economy | |
Thorin et al. | Waste to Energy-a review | |
Loh et al. | Oil palm biomass value chain for biofuel development in Malaysia: part II | |
Thorin et al. | State of the Art in the Waste to Energy Area: Technology and Systems | |
Mohd Johari et al. | Recent technology developments in biogas production from waste materials in Malaysia | |
Kumara Behera et al. | Biomethanization | |
Font et al. | Significance of anaerobic digestion in circular bioeconomy |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20070810 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20070911 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101012 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101012 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111019 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111019 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111019 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111019 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111019 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111019 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121019 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121019 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121019 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121019 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131019 Year of fee payment: 6 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R255 | Notification that request for automated payment was rejected |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R2525 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |