JP2007274902A - siRNA発現ベクターライブラリー作製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、二本鎖DNAから、末端が平滑な少なくとも2以上の該DNAの部分断片を作製する方法の提供を目的とし、さらに、該方法を用いてsiRNAを発現するベクターライブラリーの提供を課題とする。
【解決手段】 二本鎖DNAから、末端が平滑な少なくとも2以上の該DNAの部分断片を作製する方法を開発した。さらに該方法を利用することにより、siRNAを発現するベクターライブラリーを効率的に作製する方法を開発した。
【選択図】なし

Description

本発明は、標的遺伝子の発現を抑制し得るsiRNAを発現するベクターのライブラリー作製方法に関する。
siRNA発現ベクターは、配列特異的に遺伝子の発現を抑制する手法として広範囲にわたって利用され始めている。siRNAを発現させるプロモーターとしては、Pol III系のH1、U6、tRNAが一般的に用いられている。H1およびU6に関しては、ヘアピン構造部分の長さが21塩基であるsiRNAが最も高い遺伝子発現抑制を示すことが知られているが、tRNAに関してはヘアピン構造部分の長さが29塩基付近である場合に高い遺伝子発現抑制を示すことが示されている。しかしながら、高い遺伝子発現抑制効果を有するsiRNA配列の設計方法は確立されておらず、現在までのところ、in silicoでの方法が最も多く試みられてきているが、その確実性は必ずしも高いとはいえない。
最近、高い遺伝子発現抑制効果を有するsiRNA配列を選択することを目的として、任意の二重鎖DNAをDNA分解酵素により配列非特異的に切断した断片を原料として、U6プロモーターを用いたsiRNA発現ベクターライブラリーを調製する方法が報告された(非特許文献1および2参照)。このsiRNA発現ベクターライブラリーに含まれる個々のsiRNA発現ベクタークローンは、原料とした任意の二重鎖DNA配列のどこかを標的としている。従って、このライブラリー全体では、原料とした任意の二重鎖DNA配列全体をカバーするように、網羅的にsiRNAを発現することとなる。しかしながら、これらの方法は、用いる制限酵素の特徴によりヘアピン構造部分の長さが21塩基と規定されるため、tRNAプロモーターによるsiRNA発現ベクターライブラリーの調製には利用できない。
今回本発明者らは、任意の二重鎖DNAをDNA分解酵素により配列非特異的に切断した断片を原料として、任意の長さのヘアピン構造部分の長さを有するsiRNA発現ベクターライブラリーを構築する方法を開発した。さらに、その方法を利用してtRNAプロモーターによるsiRNA発現ベクターライブラリーの調製する方法を開発した。このライブラリーにより、高い遺伝子発現抑制効果を有するsiRNA配列を選択することが可能である。
さらにこのライブラリーは、任意の二重鎖DNAを原料として構築することが可能であり、各種cDNAライブラリーおよびゲノムDNAを原料としてsiRNA発現ベクターライブラリーを調製することが可能である。このことから、それらライブラリーを用いることにより、ある表現型の変化に関連する遺伝子を網羅的に探索すること、すなわち大量の創薬標的候補遺伝子の中から治療効果の高い創薬標的遺伝子を選択できる可能性が示唆される。
Sen, G. et al., Nature Genetics 36: 183-189, 2004 Shirane, D. et al., Nature Genetics 36: 190-196, 2004
本発明は、二本鎖DNAから、末端が平滑な少なくとも2以上の該DNAの部分断片を作製する方法の提供を目的とし、さらに、該方法を用いてsiRNAを発現するベクターライブラリーの提供を課題とする。
本願発明者らは、上記課題に鑑みてsiRNA発現ベクターライブラリー作製法について鋭意研究の結果、二本鎖DNAから、末端が平滑な少なくとも2以上の該DNAの部分断片を作製する方法を開発した。さらに該方法を利用することにより、siRNAを発現するベクターライブラリーを効率的に作製する方法を開発した。
すなわち本発明は具体的には、
〔1〕 二本鎖DNAから、末端が平滑な少なくとも2以上の該DNAの部分断片を作製する方法であって、以下の工程(a)〜(c)を含む方法、
(a)二本鎖DNAをニック導入酵素によって消化し、二本鎖のそれぞれの鎖に少なくとも1以上のニックを有する二本鎖DNAを作製する工程
(b)工程(a)の作製物を一本鎖DNA特異的分解酵素で処理し、含まれる一本鎖DNAを除去する工程
(c)クレノウ酵素による5’-3’ポリメラーゼ活性によって、ニック部位の3’末端を合成起点とするDNA伸長反応を行い、平滑末端を有する二本鎖DNAを作製する工程
〔2〕 作製される2以上のDNA断片に、互いに重複したDNA領域を有するDNA断片が含まれることを特徴とする、〔1〕に記載の方法、
〔3〕 ニック導入酵素がDNAseIである、〔1〕または〔2〕に記載の方法、
〔4〕 一本鎖DNA特異的分解酵素がExonuclease VIIまたはExonuclease Iである、〔1〕または〔2〕に記載の方法、
〔5〕 二本鎖DNAがゲノムDNA由来である、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の方法、
〔6〕 二本鎖DNAがcDNA由来である、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の方法、
〔7〕 二本鎖DNAから、該DNAの部分断片を繰り返し単位とする逆方向繰り返し配列を含む二本鎖DNAを作製する方法であって、以下の工程(a)〜(f)を含む方法、
(a)二本鎖DNAから、〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の方法によって、末端が平滑な該DNAの部分断片を作製する工程
(b)工程(a)のDNA断片の5’末端を、脱リン酸化する工程
(c)工程(b)により5’末端が脱リン酸化された二本鎖DNAと、ヘアピン形二本鎖DNAリンカーAの5’末端とをライゲーションし、該脱リン酸化二本鎖DNAの両末端に該リンカーAが結合した構造のDNA分子を作製する工程
(d)クレノウ酵素による5’-3’ポリメラーゼ活性によって、工程(c)のDNA分子のニック部位の3’末端を合成起点としてDNAを伸長させ、工程(a)の部分断片DNAと該ヘアピン形リンカーAとが結合した構造のDNA分子を作製する工程
(e)工程(d)のDNA分子と、二本鎖DNAリンカーBの5’末端とをライゲーションし、該DNA分子の3’末端と該リンカーBの5’末端とが結合した構造のDNA分子を作製する工程
(f)クレノウ酵素による5’-3’ポリメラーゼ活性によって、工程(e)のDNA分子のニック部位の3’末端を合成起点としてDNAを伸長させ、工程(a)の部分断片を繰り返し単位とする逆方向繰り返し配列を含む二本鎖DNAを作製する工程
〔8〕 工程(e)の二本鎖DNAリンカーBが、該DNA領域中に制限酵素部位を有し、かつヘアピン形二本鎖DNAである、〔7〕に記載の方法、
〔9〕 二本鎖DNAの部分断片に対応する転写産物をステムの一方の鎖とするステムループ形RNA分子発現ベクターの作製方法であって、以下の工程(a)および(b)を含む方法、
(a)〔7〕に記載の方法によって、二本鎖DNAの部分断片を繰り返し単位とする逆方向繰り返し配列を含む二本鎖DNAを作製する工程、
(b)プロモーターの下流に、工程(a)のDNAの逆方向繰り返し配列が転写し得るように配置された構造を有する発現ベクターを作製する工程、を提供するものである。
本発明は、siRNA発現ベクターライブラリーの作製方法に関する。siRNAは、通常20bp程度の二本鎖RNA分子であり、RNAi効果を有することが知られている。RNAi(RNA interference;RNA干渉)は、標的遺伝子のmRNAと相同な配列からなるセンスRNAとこれと相補的な配列からなるアンチセンスRNAとからなる二本鎖RNA(以下、「dsRNA」と略称する)を細胞等に導入することにより、標的遺伝子mRNAの破壊を誘導し、標的遺伝子の発現を抑制し得る現象である。
本発明は、二本鎖DNAから、末端が平滑な少なくとも2以上の該DNAの部分断片を作製する方法を提供する。好ましくは、以下の工程(a)および(b)を含む方法である。
(a)二本鎖DNAをニック導入酵素によって消化し、二本鎖のそれぞれの鎖に少なくとも1以上のニックを有する二本鎖DNAを作製する工程、
(b)クレノウ酵素による5’-3’ポリメラーゼ活性によって、ニック部位の3’末端を合成起点とするDNA伸長反応を行い、平滑末端を有する二本鎖DNAを作製する工程
本発明の方法は、上記のようにして作製される2以上の断片に、互いに重複したDNA領域を有するDNA断片が含まれることを特徴とする。
本発明の上記方法においてはまず、材料となる二本鎖DNAよりPCRによってDNA断片を調製する。本発明で用いられる二本鎖DNAは好ましくはゲノムDNA由来であり、さらに好ましくはcDNA由来である。
次いで、調製されたDNA断片を、ニック導入酵素によって消化し(nicking)、small
DNA断片を調製する。本発明における「ニック導入酵素」としては、好ましくはDNAseIである。
次いで、small DNA断片を調製した系を一本鎖DNA特異的分解酵素で処理して含まれる一本鎖DNAを除去する。その処理には、Exonuclease VIIまたはExonuclease Iを用いることができる。
次いで、ニック部位の3’末端を合成起点とするDNA伸長反応を行う。この鎖置換合成には、例えば5’-3’ポリメラーゼ活性を有するクレノウ酵素を用いることができる。
更に、このようにして作成されたDNAをCIP処理により脱リン酸化し、平滑末端を有する二本鎖DNAを作製する。
さらに本発明は、二本鎖DNAから、該DNAの部分断片を繰り返し単位とする逆方向繰り返し配列(Inverted repeat)を含む二本鎖DNAを作製する方法を提供する。詳しくは、以下の工程(a)〜(f)を含む方法である。
(a)二本鎖DNAから、上記した方法によって、末端が平滑な該DNAの部分断片を作製する工程
(b)工程(a)のDNA断片の5’末端を、脱リン酸化する工程
(c)工程(b)により5’末端が脱リン酸化された二本鎖DNAと、ヘアピン形二本鎖DNAリンカーAの5’末端とをライゲーションし、該脱リン酸化二本鎖DNAの両末端に該リンカーAが結合した構造のDNA分子を作製する工程
(d)クレノウ酵素による5’-3’ポリメラーゼ活性によって、工程(c)のDNA分子のニック部位の3’末端を合成起点としてDNAを伸長させ、工程(a)の部分断片DNAと該ヘアピン形リンカーAとが結合した構造のDNA分子を作製する工程
(e)工程(d)のDNA分子と、二本鎖DNAリンカーBの5’末端とをライゲーションし、該DNA分子の3’末端と該リンカーBの5’末端とが結合した構造のDNA分子を作製する工程
(f)クレノウ酵素による5’-3’ポリメラーゼ活性によって、工程(e)のDNA分子のニック部位の3’末端を合成起点としてDNAを伸長させ、工程(a)の部分断片を繰り返し単位とする逆方向繰り返し配列を含む二本鎖DNAを作製する工程
本方法においては、まず、上記のようにして作成された、末端が平滑な少なくとも2以上の該DNAの部分断片について、5'-末端を脱リン酸化する。
次いで、ヘアピン形二本鎖DNAリンカーAの5’末端とをライゲーションし、該脱リン酸化二本鎖DNAの両末端に該リンカーAが結合した構造のDNA分子を作製する。リンカーAとしては、例えばBLO2リンカーを挙げることができる。なお、本方法において用いられるリンカーは、5'-末端がリン酸化されているものを用いることが好ましい。なお、該リンカーのリン酸化は、酵素的に行なっても、リンカー合成時の5'-末端にリン酸基を付加することによって行なっても構わない。
ライゲーションには、例えばT4 DNA ligaseを用いることができるが、同等の機能を有する酵素であればそれを用いて構わない。
次いで、作成されたDNAのニック部位の3’末端を合成起点として、鎖置換合成による伸長を行ない、上記の末端を平滑化した部分断片DNAと該ヘアピン形リンカーAとが結合した構造のDNA分子を作製する。
さらに該DNA分子と二本鎖DNAリンカーBの5’末端とをライゲーションし、該DNA分子の3’末端と該リンカーBの5’末端とが結合した構造のDNA分子を作製する。
リンカーBは、該DNA領域中に制限酵素部位を有するDNAであり、ヘアピン型二本鎖DNAであることが好ましいが、必ずしもヘアピン構造を有する必要はない。本方法においては例えばヘアピン型のリンカーとして、SLO2リンカーを利用することができる。
このようにして作成されたDNA分子のニック部位の3’末端を合成起点として、鎖置換合成による伸長を行ない、上記の末端を平滑化した部分断片DNAを繰り返し単位とする逆方向繰り返し配列を含む二本鎖DNAを作成する。鎖置換合成には、クレノウ、Bst DNA polymeraseなどの酵素を利用することができる。クレノウ酵素は、DNAの2箇所のニックで挟まれたNの部分(25〜35bp)が解離しないように、低温での反応に用いる。Bst DNA polymeraseは、クレノウ酵素を用いる場合と比較して伸長が速く、短時間で反応を完了することができる。
さらに、hairpinリンカー(SLO2)由来の末端を切り落として、hairpin断片を作成する。この切り落としには、好ましくはSacIである。
また本発明は、二本鎖DNAの部分断片に対応する転写産物をステムの一方の鎖とするステムループ形RNA分子発現ベクターの作製方法を提供する。詳しくは、以下の工程(a)および(b)を含む方法である。
(a)上記方法によって、二本鎖DNAの部分断片を繰り返し単位とする逆方向繰り返し配列を含む二本鎖DNAを作製する工程
(b)プロモーターの下流に、工程(a)のDNAの逆方向繰り返し配列が転写し得るように配置された構造を有する発現ベクターを作製する工程
「ステムループ」とは、一本鎖RNA上に存在する逆方向反復配列間で水素結合によって生じる二本鎖の部分(ステム;stem)とそれに挟まれるループの部分から成る構造を言い、ヘアピンループとも呼ばれる。
本方法においてはまず、上記方法によって得られた二本鎖DNAの部分断片を繰り返し単位とする逆方向繰り返し配列を含むDNAを、発現ベクターのプロモーターの下流に、該配列が転写し得るようにライゲーションする。該配列が挿入されたベクターについて、ヘアピンのループ部分にスタッファーと呼ばれる部分(BamHI-BamHI)が含まれる場合は、それを削除し、siRNA発現ベクターライブラリーを作製する。
以下、本発明を実施例により、さらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
〔実施例1〕siRNA発現ベクターライブラリーの作製手順の概略
あるDNA(ゲノムDNA、cDNA)を材料としたsiRNA発現ベクターライブラリーの作製手順は、small DNA fragmentの調製、hairpin fragmentの調製、プレライブラリーの作製(発現ベクターへのhairpin fragmentの挿入)、プレライブラリーからのスタッファーの抜き取りという4つの段階から成り、より詳しい手順は以下に示すとおりである。
(1.1) small DNA fragmentの調製
材料となるDNAから、DNase消化とそれに引き続く鎖置換合成(strand displacement synthesis)により、small DNA fragmentを調製した(図1参照)。
(1.1.1) 一本鎖特異的DNA分解酵素処理によるキメラDNA断片の排除
あらかじめ制限酵素AscIとPmeIとSwaIで切断した2μgのhuman genomic DNAをMg存在下、1.5U〜0.375UのDNaseIにより25℃で20分間反応させた。反応後のDNAを三等分して、何の処理も行わないか、1UのExonuclease I(New England Biolabs)、あるいは10UのExonuclease VII(Amersham Biosciences)で、37℃, 30分間の処理を行った。その後、5Uのklenow fragment(New England Biolabs)で25℃, 1時間反応させることによりDNAの末端を平滑化した。以上3通りの反応の生成物(exonuclease処理なし、Exonuclease I処理、Exonuclease VII処理)をポリアクリルアミドゲル電気泳動により分離し、25bpから35bpのDNA断片をゲルから抽出した。得られたDNA断片は、dTTP存在下、Klenow (3’→5’ exo-)(New England Biolabs)で処理することにより、3’-末端に一塩基のdTを付加した後、TA-クローニングベクター、pGEM-T Easy(Promega)にクローニングすることにより、3通りの反応で得られたDNA断片のライブラリーをそれぞれ作製した。これらのライブラリーから32個ずつのクローンを無作為に選択し、クローニングされているDNA断片の塩基配列を決定した。さらにBLAST検索により、決定したDNA断片の塩基配列がhuman genomic DNAのどの部分に由来するかを調べ、DNA断片の全長がhuman genomic DNAのある部分と部分的にしか一致しなかった場合にそのDNA断片は、反応系に混在する一本鎖DNA由来のキメラであると判定し、それぞれのライブラリーにどれくらいの割合でキメラDNA断片が含まれるかを調べた。
各ライブラリーに含まれるキメラDNA断片の割合は、exonuclease処理を行わなかった場合にはおよそ30%のキメラDNA断片が検出されたが、Exonuclease VIIで処理を行うことにより4%、Exonuclease Iで処理を行うことにより10%程度まで、キメラDNA断片の生成が抑制された。
(1.2) hairpin fragmentの調製
small DNA fragmentと複数のリンカーを用いて、hairpin fragmentを調製した(図2参照)。このfragmentの質が、ライブラリーの質を大きく左右すると考えられる。
(1.3) プレライブラリーの作製
hairpin fragmentを、SacIとBmgBIで処理された発現ベクター(expression vector)に挿入することにより、プレライブラリーを作製した(図3参照)。
(1.4) プレライブラリーからのスタッファーの抜き取り
プレライブラリーでは、hairpinのloop部分にスタッファー(BamHI-BamHI)が含まれているので、これを引き抜きsiRNA発現ベクターライブラリーを完成させた(図4参照)。
〔実施例2〕 作製スケジュール
以下に、作製スケジュールの一例を示す。
<1日目>
small DNA fragmentの調製
PAGE精製、ゲルからの切り出し→over nightで溶出
<2日目>
small DNA fragmentのCIP処理
small DNA fragmentとBL02のlinker ライゲーション
Klenow fragmentによる鎖置換合成
PAGE精製、ゲルからの切り出し→over nightで溶出
<3日目>
SL02とのlinker ライゲーション
Bst DNA polymeraseによる鎖置換合成
PAGE精製、ゲルからの切り出し→over nightで溶出
<4日目>
SacI 消化
PAGE精製、gelからの切り出し→over nightで溶出
(hairpin-terminator fragmentの完成)
<5日目>
発現ベクターとhairpin-terminator fragmentとのライゲーション
SwaI 消化
エレクトロポレーション
<6日目>
プレライブラリーの回収
BamHI 消化
AGE、ゲルからの切り出し精製
セルフライゲーション
NotI/SwaI 消化
エレクトロポレーション
<7日目>
ライブラリー(完成品)の回収
以降、バルク(bulk)での制限酵素切断による品質チェック、いくつかのクローンについてのsequencingによる品質チェックなどを続けた。
〔実施例3〕siRNA発現ベクターライブラリー作製プロトコル
以下に、siRNA発現ベクターライブラリー作製プロトコルの一例として、EGFPに対するライブラリーの作製プロトコルを示す。
(3.1) 全体を通じての注意事項
(1) 酵素反応後のDNAの精製法として、Phenol/Chloroform抽出とEtOH沈殿を用いたが、これを市販の精製キットに置き換える場合は、収率に関して十分に検討する必要がある。少なくとも、収率の低いキット(例えば、QIAGENのキット(MinElute Reaction Cleanup Kit, QIAEX II Gel Extraction Kit))は使用しないことが好ましい。
(2) EtOH沈殿を何度も行うが、DNAの濃度が低い条件で行うことが多いため、共沈剤として1μL 20mg/ml glycogenを加えた。glycogenは、Phenol/Chloroform抽出やEtOH沈殿でDNAと同じように振舞うので、EtOH沈殿のたびにglycogenを加えていくと、次第に蓄積してくる。glycogenにより酵素反応が阻害される可能性は低いと考えられるが、気になる場合はEtOH沈殿の際に加えるglycogenの量を加減する。
glycogenを加えてEtOH沈殿を行ったときのpelletは、完全に乾くと溶解しにくくなる。また、完全に乾くとチューブの壁面から剥がれやすくなり、手袋の静電気などの影響でチューブから飛び出してしまうことがあるので、注意する。
(3) ライゲーションにはRoche diagnosticsのRapid DNA Ligation Kitを使用した。その他の酵素は、特に指定されていない限り、New England Biolabs(NEB)の酵素を用いた。他社の酵素でも同等品ならば使用できると考えられるが、unitの定義がメーカーにより異なる場合があるので、注意しなければならない。
(3.2) small DNA fragmentの調製
まず、材料となるDNA fragment(EGFPをコードするDNA fragment)をPCRにより調製し、そこからsmall DNA fragmentを調製した。
(3.2.1) EGFP fragmentの調製
(1) 次のPCR反応液(300μL)を調製し、6本のPCR tube(200μL)に50μLずつ分注した(KOD DNA polymerase: 東洋紡)。
Milli-Q 195μL
10×Buffer 30μL (KOD DNA polymeraseに添付のBuffer #1)
10mM MgCl2 30μL
2mM dNTP 30μL
EGFP01H 3μL (フォワードプライマー)
EGFP02N 3μL (リバースプライマー)
pEGFP-N1 6μL (1ng/μL)
KOD pol. 3μL (2.5unit/μL)
(2) 97℃ 10秒/ 68℃ 20秒× 25サイクルでPCRを行なった。
(3) Phenol/Chloroform抽出、EtOH沈殿の後、アガロースゲル電気泳動でEGFP fragmentを分離、ゲルからfragmentを切り出し精製した(MinElute Gel Extraction Kit: QIAGEN)。PCR生成物が単一であることが分かっている場合は、電気泳動を行わずにプライマーの除去を行うことも可能である(スピンカラム等)。精製されたfragmentは引き続くDNase処理のため、TEよりも10mM Trisに溶解しておいたほうが良い。
(4) fragmentの濃度を測定した。
(3.2.2) EGFP fragmentからのsmall DNA fragmentの調製
本項の操作は低温で行なった。反応液は温度の指定が無い限り、On iceにしておいた。
(1) インキュベーター(heat blockまたはwater bath)を25℃にセットした。
(2) DNase反応液を調製した。#1のチューブから#2、#3に50μLずつ溶液を移していくことで、DNaseの2倍希釈溶液を作成した(RQ-DNase:Promega)。
#1
Milli-Q 82μL
10×Buffer 10μL
RQ-DNase 8μL (1unit/μL)

#2, #3
Milli-Q 45μL
10×Buffer 5μL
(3) #1〜#3のチューブに5μg/チューブでEGFP fragmentを加え、良く混合した。最終的にDNaseの量を次のようにした。
#1: 0.8unit/(μg DNA)
#2: 0.4unit/(μg DNA)
#3: 0.2unit/(μg DNA)
EGFP fragmentの濃度が低い(〜1μg/μL以下)の場合は、(1)でDNase反応液を調製するときに、加えるEGFP fragmentの体積をあらかじめ差し引いて調製するか、EGFP fragmentをEtOH沈殿で濃縮する。処理するfragmentの量をスケールアップするときは、DNA量当たりのDNase量を上記のとおりにすればよい。
(4) 25℃で20分反応させた。反応終了後もインキュベーターはそのままにしておいた(25℃は次の反応でも使う)。
(5) Phenol/Chloroform抽出、EtOH沈殿を行った。このとき、EtOH沈殿の塩はPhenol/Chloroform抽出の前に加えた。塩を先に加えた理由は、多くのnickが入ったfragmentがバラバラになるのを少しでも防ぐためである。Phenol中では、DNAのTm値が低下することが知られているので、意図的に塩濃度でTm値を上げた。
(6) 各チューブのpelletを次の反応液に溶解させた。
(3本分)
Milli-Q 40μL 120μL
10×EcoPol buffer 5μL 15μL
2mM dNTP 5μL 15μL
(7) 0.5μL/チューブでKlenow fragment(5unit/μL)を加え、穏やかに良く混ぜた。
(8) 25℃で1時間反応させた。
(9) (5)と同様にPhenol/Chloroform抽出、EtOH沈殿を行なった。
(10) 18.75%PAGEでsmall DNA fragmentを分離し、25〜35bpのfragmentを切り出し精製した(4.1参照)。fragmentは20μLの10mM Trisに溶解させた。
(11) 得られたsmall DNA fragmentを定量した(バイオアナライザー)。EtOH沈殿で添加しているglycogenの影響と考えられるが、分光光度計では正確な定量ができなかったので、バイオアナライザーを利用した。他にDNAを特異的に感度良く定量できる方法があれば、それでも構わない。PAGEでバンドの濃度から定量することも可能と考えられる。15μgのDNA fragmentから、およそ300〜600ngのsmall DNA fragmentが回収された。
(3.3)hairpin fragmentの調製
前項3.2で調製したsmall DNA fragmentから、複数の酵素反応によりhairpin-terminator fragmentを作成した。この作業は、ライブラリーの質を決定付ける重要な作業である。
(3.3.1) linkerの準備
本プロトコルで用いられる全てのlinkerは、5'-末端をリン酸化して用いた。ここでは、酵素的にリン酸化を行なったが、linkerの合成時に5'-末端にリン酸基を付加しても良い。用いたlinkerは、合成、逆相カートリッジによる簡易精製を外部業者に委託したが、ライブラリーの作製に十分な品質かどうか調査する必要がある。
(1) 次のオリゴを合成した(逆相カートリッジによる簡易精製まで)。100μMのTE溶液として保存した。
SL02: 5’-GAGCTCTGAGACCGCTCCAGTAGACTCCCAGGCCGAAAGGCCTGGGAGTCTACTGG
AGCGGTCTCAGAGCTC-3’(配列番号:1)
BL02: 5’-GGATCCATATGCGGCCGCCGAAAGGCGGCCGCATATGGATCC-3’(配列番号:2)
(2) (リン酸化)
次の反応液を用意した。
Milli-Q 34μL
10×Buffer 5μL
10mM ATP 5μL
oligo(100μM) 5μL (SL02, BL02)
T4 PNK 1μL
(3) 37℃、30分インキュベートした。
(4) 反応液を200μLのPCRチューブに移し、サーマルサイクラー(thermal cycler)にセットした。
(5) 次のステップを実行し、アニーリングを行なった。
90℃、3分→(-0.1℃/秒)→ 25℃
(6) Phenol/Chloroform抽出、EtOH沈殿を行い、pelletを50μLのTEに溶解させた(ロスはほとんどないとすれば、10μMになる)。linkerの質を見る場合は、それぞれのlinkerをそのまま、あるいはlinkerだけでライゲーションを行ってからPAGEで分析すると良い。ライゲーションを行った場合は、linkerのダイマーが効率よく生成するかどうかでlinkerの質をある程度評価することができる。
(3.3.2) small DNA fragmentの脱リン酸化
small DNA fragmentの5'-末端のリン酸基をCIP処理で外した。
(1) 次の反応液を調製した。
10×NEBuffer3 5μL
small DNA fragment 120〜160ng
CIP 1μL
Milli-Q up to 50μL
(2) 37℃、1時間インキュベートした。
(3) Phenol/Chloroform抽出、EtOH沈殿でDNAをpelletにして、次のステップに進んだ。PAGEから切り出したfragmentのCIP反応液をPhenol/Chloroform抽出する場合、水相と有機相がきれいに分かれないことがあったが、先にPhenol抽出をしてからPhenol/Chloroform抽出を行うのが好ましい。
(3.3.3) small DNA fragmentとBL02のlinkerライゲーション
small DNA fragmentとhairpin linker (BL02)をライゲーションすることにより、図5に示す形とした。
(1) pelletを次の溶液に溶解させた。
Milli-Q 4μL
5×dilution buffer 2μL (Rapid DNA Ligation Kit)
BL02 (10μM) 4μL (40pmol)
3.3.2で脱リン酸化を行った120〜160ngのfragmentは、長さを30bpとすると、6〜8pmolに相当する。従って、linkerが連結される末端は12〜16pmol存在することになる。ライゲーションには、この末端のmol数の2〜3倍のlinkerを用いた。
(2) 10μLの2×T4 DNA ligation bufferと0.5μLのT4 DNA ligaseを加え、良く混合した(Rapid DNA Ligation Kit)。
(3) 室温で30分〜60分インキュベートした。
(4) Phenol/Chloroform抽出、EtOH沈殿を行い、DNAをpelletにして、次のステップに進んだ。
(3.3.4) Klenow fragmentによる鎖置換合成
前節のlinkerライゲーションで作ったダンベル型DNAのnickから、鎖置換合成により伸長を行い、図6に示す形にした(似た配列の2分子となったが、それらはNの部分が互いに相補的になっていた)。
(1) pelletを次の溶液に溶解させた。
Milli-Q 39μL
10×EcoPol buffer 5μL
2mM dNTP 5μL
(2) 1μL (5units) のKlenow fragmentを加え、静かに良く混合した。
(3) 25℃、1時間インキュベートした。
(4) Phenol/Chloroform抽出、EtOH沈殿を行った。
(5) 11.25%または7.5%のポリアクリルアミドゲルで電気泳動を行い、目的のバンドを切り出してDNAを精製した(4.1参照)。精製したDNAはEtOH沈殿のpelletの状態で、次のステップに進んだ。
(3.3.5) SL02とのライゲーション
前節3.3.4で作ったhairpin型のDNAの平滑な末端に、第二のhairpin linkerであるSL02を結合させ、図7に示すような、両末端に異なるhairpin(BL02, SL02)を持つダンベル型のDNAを作成した。
(1) pelletを次の溶液に溶解させた。
Milli-Q 4μL
5×dilution buffer 2μL (Rapid DNA Ligation Kit)
SL02 (10μM) 4μL (40pmol)
(2) 10μLの2×T4 DNA ligation bufferと0.5μLのT4 DNA ligaseを加え、良く混合した(Rapid DNA Ligation Kit)。
(3) 室温で30分〜60分インキュベートした。
(4) Phenol/Chloroform抽出、EtOH沈殿を行い、DNAをpelletにして、次のステップに進んだ。
(3.3.6) Bst DNA polymeraseによる鎖置換合成
前節3.3.5で作ったダンベル型のDNAにあるnickから、Bst DNA polymeraseにより鎖置換合成を行い、図8に示す形にした。
3.3.4では、鎖置換合成にKlenowを用いたが、これは2箇所のnickで挟まれたNの部分(25〜35bp)が解離しないように、低温で反応させたためである。Bst DNA polymeraseの方が伸長が速く、短時間で反応を完了できると考え、本節ではBst DNA polymeraseを用いた。このような使い分けをせず、KlenowあるいはBst DNA polymeraseのどちらか一方で済ませることも可能と考えられる。
(1) pelletを10μLの10mM Trisに溶解させた。次に加える反応液中のThermoPol Bufferが泡立ちやすいので、先にpelletを溶解させておいた。
(2) 次の反応液を加えた。
Milli-Q 29μL
10×ThermoPol Buffer 5μL
2mM dNTP 5μL
Bst DNA polymerase (8units/uL) 1μL
(3) 65℃、20分インキュベートした。
(4) 0.5μL (1.25units) のKOD DNA polymerase(東洋紡)を加えた。Bst DNA polymeraseのような、3'→5' exonuclease活性を持たないDNA polymeraseは、DNAの3'末端に鋳型非依存的に1塩基付加する活性(terminal transferase活性)を持つことがあるので、3'→5' exo活性を持つKOD DNA polymeraseを用いて、伸長した末端を平滑化した(Bst DNA polymeraseがterminal transferase活性を持っていることを確認してはいないが、KODによる処理を行わない場合、hairpin fragmentとベクターのライゲーション効率は著しく低下する場合がある)。
(5) 70℃、2分インキュベーションした。
(6) Phenol/Chloroform抽出、EtOH沈殿を行った。
(7) 11.25%または7.5%のポリアクリルアミドゲルで電気泳動を行い、目的のバンドを切り出してDNAを精製した(4.1参照)。精製したDNAはEtOH沈殿のpelletの状態で、次のステップに進んだ。
(3.3.7) SacI消化によるSL02末端の切り落とし
SacIでhairpin linker (SL02)由来の末端を切り落とし、hairpinをコードするDNA fragment(haipin fragment)を完成させた(図9参照)。
(1) pelletを次の反応液に溶解させた。
Milli-Q 5μL
10×NEBuffer1 5μL
10×BSA 5μL
SacI 2μL
(2) 37℃、>3時間インキュベートした(Overnightも可能)。
(3) Phenol/Chloroform抽出、EtOH沈殿を行った。
(4) 11.25%または7.5%のポリアクリルアミドゲルで電気泳動を行い、目的のバンドを切り出してDNAを精製した(4.1参照)。
(5) 得られたhairpin fragmentを定量した(バイオアナライザー)。うまくいけば、10ng以上のhairpin fragmentを得ることができる。
(3.4) プレライブラリーの作製
hairpin fragmentとvector fragmentのライゲーションにより、プレライブラリーを作製した(図10参照)。RNA polymerase IIIの発現ベクターは、転写に用いるプロモーターの違いにより4種類(human tRNAval, human U6, mouse U6, human H1)が構築されている。(ptRNA-SS, phU6-SS, pmU6-SS, phH1-SS)
SacI/BmgBIにhairpin fragmentを挿入した。挿入されたhairpin fragmentはSacI/SalIで切り出すことができ、他のプロモーターの発現ベクターに容易に載せかえることが可能である。
(1) ptRNA-SSをSacI、BmgBIで切断しアガロースゲルで電気泳動を行い、切り出し精製した(10ng/μLに調整)。この段階のプロトコルは詳述しないが、一般的に用いられている方法なら特に問題はない。
(2) 次の反応液を調製した。
5×dilution Buffer 2μL (Rapid DNA Ligation Kit)
ptRNA-SS/SacI/BmgBI 2μL (10ng/μL)
hairpin fragment 3〜6μg
Milli-Q up to 10μL
vector fragment (ptRNA-SS/SacI/BmgBI)とhairpin fragmentのモル比は1:5 〜1:10で良好な結果を得ることができた。
(3) 10μLの2×T4 DNA ligation bufferと0.5μLのT4 DNA ligaseを加え、良く混合した(Rapid
DNA Ligation Kit)。
(4) 室温で30分〜60分インキュベートした。
(5) Phenol/Chloroform抽出、EtOH沈殿を行い、pelletを次の反応液に溶解させた。
Milli-Q 39μL
10×NEBuffer3 5μL
10×BSA 5μL
SwaI 1μL
Hairpin fragmentが挿入されずにセルフライゲーションしたもの(ptRNA-SSのSacI消化あるいはBmgBI消化が甘かったものは、そのままセルフライゲーションを起こした)は、このSwaI消化により排除された。
(6) 室温で1〜2時間インキュベーションした。
(7) Phenol/Chloroform抽出、EtOH沈殿を行い、pelletを4μLの10mM Trisに溶解させた。EtOH沈殿のときに加えた塩が残存していると、エレクトロポレーションがうまく行かないので、70%EtOHでpelletを2回以上洗浄した。
(8) (7)から2μLをとり、エレクトロポレーションにより大腸菌に導入した(4.2参照)。大腸菌のstrainは特に問わないが、InvitrogenのElectroMAX DH5α-E, ElectroMAX DH10Bで良好な結果が得られた。ここで使わなかった(7)のDNA溶液2μLは、エレクトロポレーションが失敗したときのための予備として保持しておいた。
(9) エレクトロポレーションを行った大腸菌のうちの1/1000量(1mL SOCで前培養を行っているうちの1μL)を1mLのLBに移して良く混合し、そこから10μLを分取したものを適量のLB(100μL程度)に加えて、コロニー計数用にその全量をLB(Ap)プレートにプレーティングした。
プレライブラリーの多様性を評価するために、このプレートに生えたコロニーの数を数えた。このプレートには、エレクトロポレーションを行った大腸菌のうちの1/105量を蒔いたので、単純な比例計算で、遺伝子導入された大腸菌の数(プレライブラリーの全コロニーの数)は、このプレートのコロニー数の105倍になった。
InvitrogenのElectroMAX以外の大腸菌を用いる場合は、transformation効率により大腸菌の希釈倍率が変わってくる可能性があるので、あらかじめ検討しておく。
このプレートには100〜1000個のコロニーが生えた。
(10) 残りの大腸菌は、プレライブラリーの回収用に全量を数枚のLB(Ap)プレートに蒔いた。
菌体の回収の手間を考え、大き目のプレート2枚程度に蒔いた(滅菌2号角型シャーレ:栄研機材)。この場合、プレートにはコロニーが分離せず層状に生えてきた。
(11) 37℃、〜20時間インキュベーションした。
(12) コロニー計数用のプレートに生えたコロニー数を数えた。
(13) プレライブラリー回収用のプレートに10mL程度の水(Milli-Q)を加えて、disposable spreaderなどを用いて、プレートに生えた菌を掻きとった。この菌体からプラスミドを抽出し、プレライブラリーとした。プレライブラリーのglycerol stock作製は、水の代わりにLB培地を用いて、菌体を無菌的に回収して行なった。適量を分取してglycerol stockを作製した。
(14) 必要に応じ、プレライブラリーを制限酵素で消化して、電気泳動によりプレライブラリーの質を確認した。ptRNA-SSを用いた場合は、500ng程度をHindIIIで消化して7.5%PAGEを行うことで、hairpin fragmentが挿入されているかどうか、また挿入されているものの割合などを知ることができた。
tRNA + hairpin + ターミネーター: 240bp付近にbroadなバンド
tRNA + クローニング部位 + ターミネーター(ptRNA-SS): 165bpにsharpなバンド
(3.5) プレライブラリーからライブラリーの作製
プレライブラリーから、hairpinのloop部分に存在する余分な配列(hairpin linker, BL02由来の配列)を取り除き、siRNA発現ベクターライブラリーを完成させた(図11参照)。
(1) 次の反応液を調製した。
Milli-Q 37μL
10×NEBuffer 5μL (BamHI用のunique buffer)
10×BSA 5μL
プレライブラリー 1〜2μL (0.5〜1μg/μL)
BamHI 2μL
(2) 37℃、1〜2時間インキュベーションした。
(3) Phenol/Chloroform抽出、EtOH沈殿を行った。
(4) アガロースゲルで電気泳動を行い、2.9kb付近のバンドを切り出した。このバンドの少し低分子量側にhairpinが入っていない(BamHIで切断されていない)環状DNAのバンドが現れた。環状DNAのバンドの濃さは、プレライブラリーの出来具合に依存した。ゲルからの切り出しは、このバンドが混入しないように行なった。
(5) 切り出したゲル断片からDNAを精製して、10μLに調整した。市販の適当なキットを用いると良い(もちろんキットを用いなくても良い。方法は問わない)。材料のプレライブラリーを過剰に用いたため、収率が少し低くても問題はなかった。
(6) 次の反応液を調製した。
Milli-Q 2μL
5×dilution buffer 1μL Rapid DNA Ligation Kit)
プレライブラリーBamHI 2μL ((5)で調製したもの)
(7) 5μLの2×T4 DNA ligation bufferと0.5μLのT4 DNA ligaseを加え、良く混合した(Rapid
DNA Ligation Kit)。
(8) 室温で30分インキュベーションした。
(9) Phenol/Chloroform抽出、EtOH沈殿を行い、pelletを次の反応液に溶解させた。
Milli-Q 38μL
10×NEBuffer3 5μL
10×BSA 5μL
NotI 1μL
SwaI 1μL
NotI 消化により、プレライブラリーの形で残留しているもの(BamHIで完全に消化されなかったもの)を排除した。SwaIを加えたのは、プレライブラリー作製時にhairpinが入っていない元のプラスミド(ptRNA-SS)を排除しきれていなかった場合に備えた処理である。
(10) 25℃で30分、それから37℃で1〜2時間インキュベーションした。
(11) Phenol/Chloroform抽出、EtOH沈殿を行い、pelletを4μLの10mM Trisに溶解させた。EtOH沈殿のときに加えた塩が残存していると、エレクトロポレーションがうまく行かないので、70%EtOHでpelletを2回以上洗浄した。
(12) 3.4(7)から2μLをとり、エレクトロポレーションにより大腸菌に導入した(4.2参照)。大腸菌のstrainは特に問わないが、好ましくはInvitrogenのElectroMAX DH5α-E, ElectroMAX DH10Bであり、良好な結果を得ることができた。ここで使わなかった3.4(7)のDNA溶液2μLは、エレクトロポレーションが失敗したときのための予備として保持しておいた。
(13) エレクトロポレーションを行った大腸菌のうちの1/1000量(1mL SOCで前培養を行っているうちの1μL)を1mLのLBに移して良く混合し、そこから1μL(プレライブラリーの場合と異なるので注意)を分取したものを適量のLB(100μL程度)に加えて、その全量をLB(Ap)プレートにプレーティングした(コロニー計数用)。このプレートには、エレクトロポレーションを行った大腸菌のうちの1/106量を蒔いたので、単純な比例計算で、遺伝子導入された大腸菌の数(ライブラリーの全コロニー数)は、このプレートのコロニー数の106倍になった。InvitrogenのElectroMAX以外の大腸菌を用いる場合は、transformation効率により大腸菌の希釈倍率が変わってくる可能性があるので、あらかじめ検討しておく。
このプレートには100個程度のコロニーが生えた。
(14) 残りの大腸菌は、ライブラリーの回収用に全量を数枚のLB(Ap)プレートに蒔いた。
(15) 37℃、〜20時間インキュベーションした。
(16) コロニー計数用のプレートに生えたコロニー数を数えた。
ライブラリーの多様性は、プレライブラリーを材料としてライブラリーを作製している以上、プレライブラリーの多様性を超えることはなかった。ここで数えたコロニー数から割り出したライブラリーの全コロニー数(ここで数えたコロニー数の106倍)が、プレライブラリーの全コロニー数の数倍(できれば10倍くらい)あれば、ライブラリーの多様性をプレライブラリーの多様性と同一視しても問題ないと考えられる。何らかの理由でプレライブラリーの全コロニー数の方がライブラリーの全コロニー数よりも大きくなってしまった場合は、プレライブラリーからライブラリーを作製する過程で多様性が低下したことになり、ここで数えたコロニー数の106倍がライブラリーの多様性となる。
(17) ライブラリー回収用のプレートに10mL程度の水(Milli-Q)を加えて、disposable spreaderなどを用いて、プレートに生えた菌を掻きとった。この菌体からプラスミドを抽出した。
ライブラリーのglycerol stockの作製は、水の代わりにLB培地を用いて、菌体を無菌的に回収した。適量を分取してglycerol stockを作製した。
(18) ライブラリーを制限酵素で消化して、電気泳動によりライブラリーの質を確認した。ptRNA-SSを用いた場合は、500ng程度をHindIIIで消化して7.5%PAGEを行うことで、hairpin fragmentが挿入されているかどうか、また挿入されているものの割合などを知ることができた。本項は必要に応じて行なう。
tRNA + hairpin + terminator: 200bp付近にbroadなバンド
(19) さらにいくつかのクローンについて配列を確認した(4.3参照)。本項は必要に応じて行なう。
〔実施例4〕 補足
(4.1) PAGEとゲルからの切り出し精製
本プロトコルでは、用途に応じて3種類の濃度(18.75%, 11.25%, 7.5%)のポリアクリルアミドゲルを使用した。
(4.1.1) PAGE
(1) (ゲルの調製)
50mLの遠心チューブに次の試薬を調製した(mini gel 1枚当たり)(表1)。
(2) ゲル板を組み立てた。
(3) (1)の溶液に5μLのTEMEDを加え、良く混ぜた後、(2)のゲル板に注ぎ込みコームを差し込んだ。ゲルが固まるまで少なくとも室温で30分以上待った。ゲルが固まった後、長い時間ゲルを保存するときは、コームの部分にMilli-Qで湿らせたキムワイプを当て、全体をサランラップで包み乾燥を防いだ。
(4) (サンプルの準備)
泳動するサンプルはPhenol/Chloroform抽出、EtOH沈殿で精製し、少量のloading bufferに溶解させておいた。例えば10wellのゲルの場合は、2〜3μL/wellになるように、また、5wellのゲルの場合は5〜10μL/wellになるようにサンプルを調製した。
(5) (泳動)
泳動槽にゲルをセットしrunning bufferを注いだ。ゲルのwellをrunning bufferで洗浄した。running bufferは0.5×TBEを用いた。
(6) ゲルにサンプルをアプライした。
(7) loading bufferのBPBがゲルの下端に来るまで、200Vで泳動した。7.5%のゲルで20〜30分、11.25%のゲルで30〜40分、18.75%のゲルで70〜80分でBPBが下端に達した。
(8) (染色)
トレイに1×TAE(1×TBEでも構わない)を20〜30mLとり、そこにSYBR Goldを1μL程度加え、良く混ぜた。
(9) ゲル板からゲルを外し、(8)の染色液を用いて50〜70rpmで振とうしながら5分以上室温で染色した。あまり長く染色すると、DNAがゲルから抜け落ちてしまうので注意する。
(4.1.2) DNA fragmentのポリアクリルアミドゲルからの切り出し精製
(1) SYBR Goldで染色したゲルを可視光(青色)のtransilluminator上で観察しながら、目的とするバンドを切り出した。
(2) 切り出したゲル断片を1.5mLチューブに移し、先端の丸い棒(DNAが吸着しないような物ならば何でも良い)でゲルを細かくすりつぶした。濃度の高いゲルは弾性が高く、すりつぶしている最中にゲルの破片がチューブから飛び出しやすいため、慎重に操作を行なった。
(3) ゲルの体積の2倍量程度のelution bufferを加えた。加えた後、チップの先端で内容物を混合した。(2)で用いた棒にもゲルの破片が付着したので、棒を洗うようにしながらelution bufferを加えた。
(4) パラフィルムでチューブの蓋をシールして、37℃、220rpmで3時間〜O/Nでインキュベーションした。DNAの回収率は、インキュベーションの時間と温度に依存した。温度を上げることにより、短時間のインキュベーションで溶出が完了した。しかし短いDNAを溶出させる場合は、2本鎖が解離してしまうので高温にしなかった。
(5) 軽く遠心した後、チューブの内容物を遠心式フィルターユニット(Ultrafree-MC, 0.45μM: Millipore)に移した。すりつぶされたゲルでも1000μLのチップで吸引するには大きいので、チップの先端を少しだけ切り落として穴を大きくして用いた。
(6) 5000×g、1分、室温で遠心し、溶出したDNAを含むbufferを回収した。
(7) EtOH沈殿でDNAをpelletにして、pelletを適当量のbufferに溶解した。Elution Bufferの塩濃度ではEtOH沈殿に十分ではないので、3M AcONaを1/10vol.加えた。EtOH沈殿により、染色のときにDNAに結合したSYBR Goldを除去した。(2-propanolは染色時にDNAと結合したSYBR Goldの除去効率がEtOHに比べて低い)
(4.2) エレクトロポレーションによる大腸菌への遺伝子導入
ライブラリーの作製では、高いtransformation効率が要求されるため、transformationは基本的にエレクトロポレーションにより行なった。ここでは、BioRadのGenePulserIIを用いたInvitrogenのElectroMAX DH10Bに遺伝子を導入する例を示す。
(1) エレクトロポレーション用の大腸菌(ElectroMAX DH10B)を氷上(on ice)で溶解した。
(2) 1.5mLチューブとキュベット(0.1cm gap)を氷上に置いた。
(3) 1〜2μLのDNA溶液を(2)のチューブに移し、そこに40μLの大腸菌を加えてピペッティングにより丁寧かつ迅速に良く混合した。(良く混ざっていないと、パルスを加えたときの電場が不均一になり失敗する。また乱暴に混ぜると気泡が入り失敗する。あまりゆっくり混ぜていると大腸菌の温度が上がり、導入効率が低下する。)
(4) 混合したものをキュベットに移した。キュベットはそのまま氷上に置いた。全量を移そうとすると、気泡が混入する可能性があるため、チューブからチップに吸引するときはチューブに1μL程度残っていても良いし、チップからキュベットに移すときもチップに1μL程度残っていて良い。
(5) 1mL SOCの入ったチューブとdisposable pipette(パルスを加えたあと、大腸菌をキュベットからSOCに移すのに用いる)を用意した。
(6) GenePulserIIの電圧、容量、抵抗の設定を行なった。InvitrogenのElectroMAX DH10Bでは、2.5kV、25μF、100Ωに設定した。理論的なパルス幅は2.5msecとした。
(7) キュベットをGenePulserIIにセットして、パルスを加えた。パルスを加えた後、直ちに大腸菌をキュベットからSOCに移した。キュベットは良く拭いてからセットした。GenePulserIIに表示されるパルス幅の実測値が、理論値(2.5msec)前後であることを確認した。
(8) 37℃、220rpm、1時間培養した。
(9) 適当なプレートにプレーティングした。
(4.3) hairpinのstem部分のsequencing
small hairpin RNA発現ベクターのhairpin (stem)部分は、そのままではsequencingが困難である。しかし、hairpinのloop部分に導入したBamHI siteで切断してからsequencingを行うことにより、stem部分のsequencingは容易に行うことができる。ここでは、Amersham BioscienceのDYEnamic ETを用いたcycle sequencingのプロトコルを示す。
(1) 次の反応液を調製した。
Milli-Q 2μL
Premix 2μL
Dilution Buffer 2μL
プライマー(1μM) 2μL
プラスミド 2μL (mini prep.したもの。少なくとも100ng程度)
BamHI 0.1μL (1unit以上)
BamHIはDYEnamic ETのsequencing反応液中で活性を示すことが分かっているので、sequencing反応液中でBamHI消化を行うことができる。プライマーはM13系のユニバーサルプライマーを利用することができる。
(2) 37℃、1時間遮光してインキュベーションした。
(3) 次のサイクルで反応させた。
95℃、20秒
50℃、15秒
60℃、1分
(25サイクル)
(4) freeなdyeを除去し、sequencerで塩基配列を読んだ。BamHIで切断された部分でシグナルが消失するので、ABI PRISM 3100の場合、base callerをPCR産物のsequencing用の設定にしておいた。
(補足)
BamHIでhairpinのloop部分を切断してからsequencingを行うため、hairpinのloop部分がどうなっているかは分からない。特に、sequencingによってプレライブラリーとライブラリーの区別はつけられない。プレライブラリーの形(loop部分に余分な配列が入っている)かどうかを調べるためには、SacIとSalIでhairpinを切り出してPAGEなどで分析する必要がある。
材料となるDNAから、DNase消化とそれに引き続く鎖置換合成による、small DNA fragmentの調整を示す図である。 small DNA fragmentと複数のlinkerを用いた、hairpin fragmentの調整を示す図である。 hairpin fragmentをSacIおよびBmgBIで処理された発現ベクターに挿入することによる、プレライブラリーの作成を示す図である。 プレライブラリーからスタッファーを抜き取ることによる、siRNA発現ベクターライブラリーの作成を示す図である。 small DNA fragmentとBL02のlinkerライゲーションを示す図である。 実施例(3.3.3)のlinkerライゲーションで作成したダンベル型DNAのnickから、鎖置換合成により伸長を行なった図である。 実施例(3.3.4)hairpin型DNAの平滑末端に、第二のhairpin linkerであるSL02を結合させた図である。両末端に異なるhairpin(BL02、SL02)を持つダンベル型のDNAとなった。 実施例(3.3.5)で作成したダンベル型のDNAにあるnickから、Bst DNA polymeraseにより鎖置換合成を行なった図である。 SacIでhairpin linker(SL2)由来の末端を切り落とすことにより、hairpinをコードするDNAfragment(hairpin fragment)の作成を示す図である。 hairpin fragmentおよびvector fragmentのライゲーションによる、プレライブラリー作成を示す図である。 プレライブラリーから、hairpinのloop部分に存在する余分な配列(hairpin linker、BL02由来の配列)を除去することによる、siRNA発現ベクターライブラリーの作成を示す図である。

Claims (9)

  1. 二本鎖DNAから、末端が平滑な少なくとも2以上の該DNAの部分断片を作製する方法であって、以下の工程(a)〜(c)を含む方法。
    (a)二本鎖DNAをニック導入酵素によって消化し、二本鎖のそれぞれの鎖に少なくとも1以上のニックを有する二本鎖DNAを作製する工程
    (b)工程(a)の作製物を一本鎖DNA特異的分解酵素で処理し、含まれる一本鎖DNAを除去する工程
    (c)クレノウ酵素による5’-3’ポリメラーゼ活性によって、ニック部位の3’末端を合成起点とするDNA伸長反応を行い、平滑末端を有する二本鎖DNAを作製する工程
  2. 作製される2以上のDNA断片に、互いに重複したDNA領域を有するDNA断片が含まれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. ニック導入酵素がDNAseIである、請求項1または2に記載の方法。
  4. 一本鎖DNA特異的分解酵素がExonuclease VIIまたはExonuclease Iである、請求項1または2に記載の方法。
  5. 二本鎖DNAがゲノムDNA由来である、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 二本鎖DNAがcDNA由来である、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 二本鎖DNAから、該DNAの部分断片を繰り返し単位とする逆方向繰り返し配列を含む二本鎖DNAを作製する方法であって、以下の工程(a)〜(f)を含む方法。
    (a)二本鎖DNAから、請求項1〜6のいずれかに記載の方法によって、末端が平滑な該DNAの部分断片を作製する工程
    (b)工程(a)のDNA断片の5’末端を、脱リン酸化する工程
    (c)工程(b)により5’末端が脱リン酸化された二本鎖DNAと、ヘアピン形二本鎖DNAリンカーAの5’末端とをライゲーションし、該脱リン酸化二本鎖DNAの両末端に該リンカーAが結合した構造のDNA分子を作製する工程
    (d)クレノウ酵素による5’-3’ポリメラーゼ活性によって、工程(c)のDNA分子のニック部位の3’末端を合成起点としてDNAを伸長させ、工程(a)の部分断片DNAと該ヘアピン形リンカーAとが結合した構造のDNA分子を作製する工程
    (e)工程(d)のDNA分子と、二本鎖DNAリンカーBの5’末端とをライゲーションし、該DNA分子の3’末端と該リンカーBの5’末端とが結合した構造のDNA分子を作製する工程
    (f)クレノウ酵素による5’-3’ポリメラーゼ活性によって、工程(e)のDNA分子のニック部位の3’末端を合成起点としてDNAを伸長させ、工程(a)の部分断片を繰り返し単位とする逆方向繰り返し配列を含む二本鎖DNAを作製する工程
  8. 工程(e)の二本鎖DNAリンカーBが、該DNA領域中に制限酵素部位を有し、かつヘアピン形二本鎖DNAである、請求項7に記載の方法。
  9. 二本鎖DNAの部分断片に対応する転写産物をステムの一方の鎖とするステムループ形RNA分子発現ベクターの作製方法であって、以下の工程(a)および(b)を含む方法。
    (a)請求項7に記載の方法によって、二本鎖DNAの部分断片を繰り返し単位とする逆方向繰り返し配列を含む二本鎖DNAを作製する工程
    (b)プロモーターの下流に、工程(a)のDNAの逆方向繰り返し配列が転写し得るように配置された構造を有する発現ベクターを作製する工程
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