以下、パチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)の一実施の形態を、図面に基づいて説明する。図1はパチンコ機10の正面図であり、図2はパチンコ機10の遊技盤13の正面図であり、図3はパチンコ機10の背面図である。
パチンコ機10は、図1に示すように、略矩形状に組み合わせた木枠により外殻が形成される外枠11と、その外枠11と略同一の外形形状に形成され外枠11に対して開閉可能に支持された内枠12とを備えている。外枠11には、内枠12を支持するために正面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ18が取り付けられ、そのヒンジ18が設けられた側を開閉の軸として内枠12が正面手前側へ開閉可能に支持されている。
内枠12には、多数の釘や入賞口63,64等を有する遊技盤13(図2参照)が裏面側から着脱可能に装着される。この遊技盤13の前面を球が流下することにより弾球遊技が行われる。なお、内枠12には、球を遊技盤13の前面領域に発射する球発射ユニット112a(図4参照)やその球発射ユニット112aから発射された球を遊技盤13の前面領域まで誘導する発射レール(図示せず)等が取り付けられている。
内枠12の前面側には、その前面上側を覆う前面枠14と、その下側を覆う下皿ユニット15とが設けられている。前面枠14及び下皿ユニット15を支持するために正面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ19が取り付けられ、そのヒンジ19が設けられた側を開閉の軸として前面枠14及び下皿ユニット15が正面手前側へ開閉可能に支持されている。なお、内枠12の施錠と前面枠14の施錠とは、シリンダ錠20の鍵穴21に専用の鍵を差し込んで所定の操作を行うことでそれぞれ解除される。
前面枠14は、装飾用の樹脂部品や電気部品等を組み付けたものであり、その略中央部には略楕円形状に開口形成された窓部14cが設けられている。前面枠14の裏面側には2枚の板ガラスを有するガラスユニット16が配設され、そのガラスユニット16を介して遊技盤13の前面がパチンコ機10の正面側に視認可能となっている。前面枠14には、球を貯留する上皿17が前方へ張り出して上面を開放した略箱状に形成されており、この上皿17に賞球や貸出球などが排出される。上皿17の底面は正面視(図1参照)右側に下降傾斜して形成され、その傾斜により上皿17に投入された球が球発射ユニット112aへと案内される。また、上皿17の上面には、枠ボタン22が設けられている。この枠ボタン22は、例えば、第3図柄表示装置81で表示される変動表示の演出パターンを変更したり、リーチ演出時の演出内容を変更したりする場合などに、遊技者により操作される。
加えて、前面枠14には、その周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて、点灯又は点滅することにより発光態様が変更制御され、遊技中の演出効果を高める役割を果たす。窓部14cの周縁には、LED等の発光手段を内蔵した電飾部29〜33が設けられている。パチンコ機10においては、これら電飾部29〜33が大当たりランプ等の演出ランプとして機能し、大当たり時やリーチ演出時等には内蔵するLEDの点灯や点滅によって各電飾部29〜33が点灯または点滅して、大当たり中である旨、或いは大当たり一歩手前のリーチ中である旨が報知される。
また、前面枠14の正面視(図1参照)左上部には、LED等の発光手段が内蔵され賞球の払い出し中とエラー発生時とを表示可能な表示ランプ34が設けられている。また、右側の電飾部32下側には、前面枠14の裏面側を視認できるように裏面側より透明樹脂を取り付けて小窓35が形成され、遊技盤13前面の貼着スペースK1(図2参照)に貼付される証紙等はパチンコ機10の前面から視認可能とされている。また、パチンコ機10においては、より煌びやかさを醸し出すために、電飾部29〜33の周りの領域にクロムメッキを施したABS樹脂製のメッキ部材36が取り付けられている。
窓部14cの下方には、貸球操作部40が配設されている。貸球操作部40には、度数表示部41と、球貸しボタン42と、返却ボタン43とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)(図示せず)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部40が操作されると、その操作に応じて球の貸出が行われる。具体的には、度数表示部41はカード等の残額情報が表示される領域であり、内蔵されたLEDが点灯して残額情報として残額が数字で表示される。球貸しボタン42は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿17に供給される。返却ボタン43は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿17に球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部40が不要となるが、この場合には、貸球操作部40の設置部分に飾りシール等を付加して部品構成は共通のものとしても良い。カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との共通化を図ることができる。
上皿17の下側に位置する下皿ユニット15には、その中央部に上皿17に貯留しきれなかった球を貯留するための下皿50が上面を開放した略箱状に形成されている。下皿50の右側には、球を遊技盤13の前面へ打ち込むために遊技者によって操作される操作ハンドル51が配設され、かかる操作ハンドル51の内部には球発射ユニット112aの駆動を許可するためのタッチセンサ(図示せず)と、操作ハンドル51の回動操作量を電気抵抗の変化により検出する可変抵抗器(図示せず)とが内蔵されている。操作ハンドル51が遊技者によって右回りに回転操作されると、タッチセンサがオンされると共に可変抵抗器の抵抗値が操作量に対応して変化し、操作ハンドル51の回動操作量に応じて変化する可変抵抗器の抵抗値に対応した強さで球が発射され、これにより遊技者の操作に対応した飛び量で遊技盤13の前面へ球が打ち込まれる。
下皿50の正面下方部には、下皿50に貯留された球を下方へ排出する際に操作するための球抜きレバー52が設けられている。この球抜きレバー52は、常時、右方向に付勢されており、その付勢に抗して左方向へスライドさせることにより、下皿50の底面に形成された底面口が開口して、その底面口から球が自然落下して排出される。かかる球抜きレバー52の操作は、通常、下皿50の下方に下皿50から排出された球を受け取る箱(一般に「千両箱」と称される)を置いた状態で行われる。下皿50の右方には、前述したように操作ハンドル51が配設され、下皿50の左方には灰皿53が取り付けられている。
図2に示すように、遊技盤13は、正面視略正方形状に切削加工した木製のベース板60に、球案内用の多数の釘や風車およびレール61,62、一般入賞口63、第1入球口64、可変入賞装置65、可変表示装置ユニット80等を組み付けて構成され、その周縁部が内枠12の裏面側に取り付けられる。一般入賞口63、第1入球口64、可変入賞装置65、可変表示装置ユニット80は、ルータ加工によってベース板60に形成された貫通穴に配設され、遊技盤13の前面側から木ネジ等により固定されている。また、遊技盤13の前面中央部分は、前面枠14の窓部14cを通じて内枠13の前面側から視認することができる。以下に、遊技盤13の構成について説明する。
遊技盤13の前面には、帯状の金属板を略円弧状に屈曲加工して形成した外レール62が植立され、その外レール62の内側位置には外レール62と同様に帯状の金属板で形成した円弧状の内レール61が植立される。この内レール61と外レール62とにより遊技盤13の前面外周が囲まれ、遊技盤13とガラスユニット16とにより前後が囲まれることにより、遊技盤13の前面には、球の挙動により遊技が行われる遊技領域が形成される。遊技領域は、遊技盤13の前面であって2本のレール61,62と円弧部材70とにより区画して形成される略円形状の領域である。
2本のレール61,62は、球発射ユニット112aから発射された球を遊技盤13上部へ案内するために設けられたものである。内レール61の先端部分(図2の左上部)には戻り球防止部材68が取り付けられ、一旦、遊技盤13の上部へ案内された球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止される。外レール62の先端部(図2の右上部)には、球の最大飛翔部分に対応する位置に返しゴム69が取り付けられ、所定以上の勢いで発射された球は、返しゴム69に当たって、勢いが減衰されつつ中央部側へ跳ね返される。また、内レール61の右下側の先端部と外レール62の右上側の先端部との間には、レール間を繋ぐ円弧を内面側に設けて形成された樹脂製の円弧部材70がベース板60に打ち込んで固定されている。
遊技領域の正面視右側上部(図2の右側上部)には、発光手段である複数のLED37aと7セグメント表示器37bとが設けられた第1図柄表示装置37が配設されている。第1図柄表示装置37は、主制御装置110で行われる各制御に応じた表示がなされるものであり、主にパチンコ機10の遊技状態の表示が行われる。複数のLED37aは、パチンコ機10が確変中(確変状態)か変動時間短縮中(変動時間短縮状態)か通常中(通常状態)であるかを点灯状態により示したり、変動中であるか否かを点灯状態により示したり、停止図柄が確変大当たりに対応した図柄か普通大当たりに対応した図柄か外れ図柄であるかを点灯状態により示したり、保留球数を点灯状態により示すものである。7セグメント表示装置37bは、大当たり中のラウンド数やエラー表示を行うものである。なお、LED37aは、それぞれのLEDの発光色(例えば、赤、緑、青)が異なるよう構成され、その発光色の組合わせにより、少ないLEDでパチンコ機10の各種遊技状態を示唆することができる。
ここで、上述したパチンコ機10が確変中(確変状態)とは、大当たり確率がアップして特別遊技状態へ移行し易い遊技の状態である。さらに、本実施の形態における「確変中(確変状態)」は、第2図柄の当たり確率がアップして第1入球口64(図3参照)へ球が入球し易い遊技の状態である。また、パチンコ機10が「変動時間短縮中(変動時間短縮状態)」とは、大当たり確率がそのままで第2図柄の当たり確率のみがアップして第1入球口64(図3参照)へ球が入球し易い遊技の状態である。なお、一般的に、「変動時間短縮中(変動時間短縮状態)」を「時短中(時短状態)」と称することもあるが、本明細書中におけるこれ以降の記述においては、「時短状態」とは、確変状態又は変動時間短縮状態である遊技状態を意味し、変動時間短縮状態のみを意味するものではない。
一方で、パチンコ機10が「通常中(通常状態)」とは、確変中(確変状態)でも変動時間短縮中(変動時間短縮状態)でもない遊技の状態(大当たり確率も第2図柄の当たり確率もアップしていない状態)である。本明細書中におけるこれ以降の記述においては、この通常中である遊技状態を「通常状態」と称することがある。なお、パチンコ機10の遊技状態に応じて、第1入球口64に付随する電動役物(図示せず)が開放する時間や、1回の当たりで電動役物が開放する回数を変更するものとしても良い。
また、遊技領域には、球が入賞することにより5個から15個の球が賞球として払い出される複数の一般入賞口63が配設されている。また、遊技領域の中央部分には、可変表示装置ユニット80が配設されている。可変表示装置ユニット80には、第1入球口64への入賞をトリガとして第3図柄を変動表示する液晶ディスプレイ(以下単に「LCD」と略す。)で構成された第3図柄表示装置81と、第2入球口67の球の通過をトリガとして第2図柄を変動表示する発光ダイオード(以下、「LED」と略す。)で構成される第2図柄表示装置82とが設けられている。
第3図柄表示装置81は、後述する表示制御装置114によって表示内容が制御され、例えば左、中及び右の3つの図柄列が表示される。各図柄列は複数の図柄によって構成され、これらの図柄が図柄列毎に縦スクロールして第3図柄表示装置81の表示画面上にて第3図柄が可変表示されるようになっている。また、本実施の形態では、第3図柄表示装置81は8インチサイズの大型の液晶ディスプレイで構成され、可変表示装置ユニット80には、この第3図柄表示装置81の外周を囲むようにして、センターフレーム86が配設されている。本実施の形態の第3図柄表示装置81は、主制御装置110の制御に伴った遊技状態の表示が第1図柄表示装置37で行われるのに対して、その第1図柄表示装置37の表示に応じた装飾的な表示を行うものである。なお、LCDに代えて、例えば、リール等を用いて第3図柄表示装置81を構成するようにしても良い。
また、第1図柄表示装置37にて停止図柄(確変大当たり図柄、普通大当たり図柄、外れ図柄のいずれか1つ)が表示されるまでの間に球が第1入球口64へ入球した場合、その入球回数は最大4回まで保留され、その保留回数は第1図柄表示装置37により示されると共に保留ランプ85の点灯個数においても示される。保留ランプ85は、最大保留数分の4つ設けられ、第3図柄表示装置81の上方に左右対称に配設されている。なお、本実施の形態においては、第1入球口64への入賞は、最大4回まで保留されるように構成したが、最大保留回数は4回に限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定しても良い。また、保留ランプ85を削除し、第1入球口64への入賞に基づく変動表示の保留回数を第3図柄表示装置81の一部に数字で、或いは、4つに区画された領域を保留回数分だけ異なる態様(例えば、色や点灯パターン)にして表示するようにしても良い。また、第1図柄表示装置37により保留回数が示されるので、保留ランプ85により点灯表示を行わないものとしても良い。
第2図柄表示装置82は、第2図柄の表示部83と保留ランプ84とを有し、球が第2入球口67を通過する毎に、表示部83において表示図柄(第2図柄)としての「○」の図柄と「×」の図柄とが交互に点灯して変動表示が行われ、その変動表示が所定図柄(本実施の形態においては「○」の図柄)で停止した場合に第1入球口64が所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。球の第2入球口67の通過回数は最大4回まで保留され、その保留回数が上述した第1図柄表示装置37により表示されると共に保留ランプ84においても点灯表示される。なお、第2図柄の変動表示は、本実施の形態のように、表示部83において複数のランプの点灯と非点灯を切り換えることにより行うものの他、第1図柄表示装置37及び第3図柄表示装置81の一部を使用して行うようにしても良い。同様に、保留ランプ84の点灯を第3図柄表示装置81の一部で行うようにしても良い。また、第2入球口67の通過は、第1入球口64と同様に、最大保留回数は4回に限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定しても良い。また、第1図柄表示装置37により保留回数が示されるので、保留ランプ84により点灯表示を行わないものとしても良い。
可変表示装置ユニット80の下方には、球が入球し得る第1入球口64が配設されている。この第1入球口64へ球が入球すると遊技盤13の裏面側に設けられる第1入球口スイッチ(図示せず)がオンとなり、その第1入球口スイッチのオンに起因して主制御装置110で大当たりの抽選がなされ、その抽選結果に応じた表示が第1図柄表示装置37のLED37aで示される。また、第1入球口64は、球が入球すると5個の球が賞球として払い出される入賞口の1つにもなっている。
第1入球口64の下方には可変入賞装置65が配設されており、その略中央部分に横長矩形状の特定入賞口(大開放口)65aが設けられている。パチンコ機10においては、主制御装置110での抽選が大当たりとなると、所定時間(変動時間)が経過した後に、大当たりの停止図柄となるよう第1図柄表示装置37のLED37aを点灯させると共に、その大当たりに対応した停止図柄を第3図柄表示装置81に表示させて、大当たりの発生が示される。その後、球が入賞し易い特別遊技状態(大当たり)に遊技状態が遷移する。この特別遊技状態として、通常時には閉鎖されている特定入賞口65aが、所定時間(例えば、30秒経過するまで、或いは、球が10個入賞するまで)開放される。
この特定入賞口65aは、所定時間が経過すると閉鎖され、その閉鎖後、再度、その特定入賞口65aが所定時間開放される。この特定入賞口65aの開閉動作は、最高で例えば16回(16ラウンド)繰り返し可能にされている。この開閉動作が行われている状態が、遊技者にとって有利な特別遊技状態の一形態であり、遊技者には、遊技上の価値(遊技価値)の付与として通常時より多量の賞球の払い出しが行われる。
可変入賞装置65は、具体的には、特定入賞口65aを覆う横長矩形状の開閉板と、その開閉板の下辺を軸として前方側に開閉駆動するためのソレノイドとを備えている。特定入賞口65aは、通常時は、球が入賞できないか又は入賞し難い閉状態になっている。大当たりの際にはソレノイドを駆動して開閉板を前面下側に傾倒し、球が特定入賞口65aに入賞しやすい開状態を一時的に形成し、その開状態と通常時の閉状態との状態を交互に繰り返すように作動する。
なお、上記した形態に特別遊技状態は限定されるものではない。特定入賞口65aとは別に開閉される大開放口を遊技領域に設け、第1図柄表示装置37において大当たりに対応したLED37aが点灯した場合に、特定入賞口65aが所定時間開放され、その特定入賞口65aの開放中に、球が特定入賞口65a内へ入賞することを契機として特定入賞口65aとは別に設けられた大開放口が所定時間、所定回数開放される遊技状態を特別遊技状態として形成するようにしても良い。
遊技盤13の下側における左右の隅部には、証紙や識別ラベル等を貼着するための貼着スペースK1,K2が設けられ、貼着スペースK1に貼られた証紙等は、前面枠14の小窓35を通じて視認することができる。
さらに、遊技盤13には、アウト口66と第2入球口(スルーゲート)67とが設けられている。いずれの入賞口63,64,65aにも入球しなかった球はアウト口66を通って図示しない球排出路へと案内される。遊技盤13には、球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
図3に示すように、パチンコ機10の背面側には、制御基板ユニット90,91と、裏パックユニット94とが主に備えられている。制御基板ユニット90は、主基板(主制御装置110)と音声ランプ制御基板(音声ランプ制御装置113)と表示制御基板(表示制御装置114)とが搭載されてユニット化されている。制御基板ユニット91は、払出制御基板(払出制御装置111)と発射制御基板(発射制御装置112)と電源基板(電源装置115)とカードユニット接続基板116とが搭載されてユニット化されている。
裏パックユニット94は、保護カバー部を形成する裏パック92と払出ユニット93とがユニット化されている。また、各制御基板には、各制御を司る1チップマイコンとしてのMPU、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等が、必要に応じて搭載されている。
なお、主制御装置110、音声ランプ制御装置113及び表示制御装置114、払出制御装置111及び発射制御装置112、電源装置115、カードユニット接続基板116は、それぞれ基板ボックス100〜104に収納されている。基板ボックス100〜104は、ボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えており、そのボックスベースとボックスカバーとが互いに連結されて、各制御装置や各基板が収納される。
また、基板ボックス100(種制御装置110)及び基板ボックス102(払出制御装置111及び発射制御装置112)は、ボックスベースとボックスカバーとを封印ユニット(図示せず)によって開封不能に連結(かしめ構造による連結)している。また、ボックスベースとボックスカバーとの連結部には、ボックスベースとボックスカバーとに亘って封印シール(図示せず)が貼着されている。この封印シールは、脆性な素材で構成されており、基板ボックス100,102を開封するために封印シールを剥がそうとしたり、基板ボックス100,102を無理に開封しようとすると、ボックスベース側とボックスカバー側とに切断される。よって、封印ユニット又は封印シールを確認することで、基板ボックス100,102が開封されたかどうかを知ることができる。
払出ユニット93は、裏パックユニット94の最上部に位置して上方に開口したタンク130と、タンク130の下方に連結され下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール131と、タンクレール131の下流側に縦向きに連結されるケースレール132と、ケースレール132の最下流部に設けられ、払出モータ216(図4参照)の所定の電気的構成により球の払出を行う払出装置133とを備えている。タンク130には、遊技ホールの島設備から供給される球が逐次補給され、払出装置133により必要個数の球の払い出しが適宜行われる。タンクレール131には、当該タンクレール131に振動を付加するためのバイブレータ134が取り付けられている。
また、払出制御装置111には状態復帰スイッチ120が設けられ、発射制御装置112には可変抵抗器の操作つまみ121が設けられ、電源装置115にはRAM消去スイッチ122が設けられている。状態復帰スイッチ120は、例えば、払出モータ216(図4参照)部の球詰まり等、払出エラーの発生時に球詰まりを解消(正常状態への復帰)するために操作される。操作つまみ121は、発射ソレノイドの発射力を調整するために操作される。RAM消去スイッチ122は、パチンコ機10を初期状態に戻したい場合に電源投入時に操作される。
次に、図4を参照して、本パチンコ機10の電気的構成について説明する。図4は、パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。
主制御装置110には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU201が搭載されている。MPU201には、ROM202と、RAM203と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。なお、払出制御装置111や音声ランプ制御装置113などのサブ制御装置に対して動作を指示するために、データ送受信回路によって、主制御装置110から該サブ制御装置へ各種のコマンドがデータ送受信回路によって送信されるが、かかるコマンドは、主制御装置110からサブ制御装置へ一方向にのみ送信される。
ROM202は、MPU201により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したものであり、ポインタテーブル202aと、上位バイト取得テーブル202bと、減算時間テーブル203bとを備えている。
ここで、図5を参照しつつ、これらのポインタテーブル202a、上位バイト取得テーブル202b、及び減算時間テーブル202cについて説明する。図5(a)は、ポインタテーブル202aの構成を示す模式図であり、図5(b)は、上位バイト取得テーブル202bの構成を示す模式図であり、図5(c)は、減算時間テーブル202cの構成を示す模式図である。
図5(a)に示すように、ポインタテーブル202aは、後述する保留球数メモリ203aの値が示す保留球数に対して、後述する上位バイト取得テーブル202bや減算時間テーブル202cを参照する際に使用される上位バイト取得ポインタの値(本実施の形態では、「0」、「1」、又は「2」)を割り当てたテーブルである。
このポインタテーブル202aは、遊技状態に応じて異なるポインタテーブルが選択できるように複数のポインタテーブルから構成されている。本実施の形態では、図5(a)に示すように、遊技状態が通常状態の場合に選択される第1ポインタテーブル202a1と、遊技状態が時短状態(確変状態又は変動時間短縮状態)である場合に選択される第2ポインタテーブル202a2とから構成されている。
ここで、図5(a)に示すように、第1ポインタテーブル202a1では、保留球数メモリ203aの値(即ち、保留球数)の「0」,「1」,「2」に対して、上位バイト取得ポインタの「0」が対応付けられており、保留球数メモリ203aの値の「3」,「4」に対して、上位バイト取得ポインタの「1」が対応付けられている。一方、第2ポインタテーブル202a2では、保留球数メモリ203aの値の「0」,「1」に対して、上位バイト取得ポインタの「1」が対応付けられており、保留球数メモリ203aの値の「2」,「3」,「4」に対して、上位バイト取得ポインタの「2」が対応付けられている。
詳細は後述するが、本実施の形態では、上位バイト取得ポインタの値は、その値が大きい程、第1図柄表示装置37及び第3図柄表示装置81で行われる変動表示(動的表示の一種)の基本変動時間が短縮されるように構成されている。即ち、上位バイト取得ポインタの値は、第1図柄表示装置37で行われる変動表示と、その第1図柄表示装置37で行われる変動表示に対応する装飾的な図柄(絵柄)による変動表示との両方の基本変動時間の短縮に寄与するポインタである。
よって、第1ポインタテーブル202a1及び第2ポインタテーブル202a2はいずれも、上記した通り、保留球数メモリ203aの値の増加に応じて、上位バイト取得ポインタの値が大きくなるように構成されているので、これらのポインタテーブル202a1,202a2を用いることにより、第1図柄表示装置37及び第3図柄表示装置81で行われる変動表示が、保留球の増加に応じて次第に短くなり、保留球数の消化速度を速くすることができる。
従って、保留球数が上限(本実施の形態では4)に達している場合であっても、遊技者は、保留球数の消化を待つために遊技を一時停止せずとも、始動条件の成立(第1入球口64への球の入賞)が無効とされることを回避することができるので、遊技者に損失感や喪失感に与えることを防止できるのである。また、その結果として、ホールにおけるパチンコ機10の稼動率の低下を抑制し、ホールが損失を受けることも回避できる。
また、第1ポインタテーブル202a1と第2ポインタテーブル202a2とを比較した場合、全ての保留球数メモリ203aの値に対し、第2ポインタテーブル202a2における上位バイト取得ポインタの方が、第1ポインタテーブル202a1における上位バイト取得ポインタより大きい値で構成されている。これは、同じ保留球数を比較した場合に、時短状態(確変状態又は変動時間短縮状態)の方が、通常状態に比べて、第1図柄表示装置37及び第3図柄表示装置81で行われる変動時間(動的表示時間)の短縮度合いがより大きく、結果として、保留球の消化速度が速まる。
時短状態(確変状態及び変動時間短縮状態)では、第2図柄の当たり確率がアップするために、第1入球口64へ球が入球し易いが故に保留球が生じ易い。そのため、確変状態であれば、早期に大当たりし易く、低確率状態のままである時短状態であっても球減りが少なく、通常状態に比べると有利度が高い。その一方で、時短状態(確変状態及び変動時間短縮状態)では、第1入球口64へ球が入球し易いが故に、保留球の生じやすさも増加する。
しかし、本実施の形態のパチンコ機10では、上記したように、同じ保留球数を比較した場合に、時短状態(確変状態及び変動時間短縮状態)において使用される第2ポインタテーブル202a2の方が、通常状態において使用される第1ポインタテーブル202a1より保留球数の消化速度が速いので、保留球が効率的に消化され、始動条件の成立(第1入球口64への球の入賞)の無効化を抑制できる。
また、保留球の消化速度が速まるということは、換言すると、単位時間当たりの抽選回数が増えるということである。一般的に、有利度の高い遊技状態では、遊技者は、その有利度の高い遊技状態を効率的に使用したいと考えるために、単位時間当たりの抽選回数が増えることは、遊技者にとって好ましい。例えば、大当たりとなる確率が高確率となる確変状態(時短状態の一種)であれば、大当たりが早期に得られ易くなるので、遊技者に満足感を与え、結果的に、遊技の興趣性を向上させることができる。また、単位時間当たりの抽選回数が増えたことにより、球減りの少ない期間である時短状態(確変状態及び変動時間短縮状態)を早期に終わらせることができるので、ホールが得る利益の点からも好ましい。
なお、詳細は、変動パターンコマンド作成処理(図17参照)を参照しつつ後述するが、これらの遊技状態に応じた2つのポインタテーブル202a1,202a2は、変動パターンコマンド作成処理において、その時の遊技状態に応じていずれか一方が選択されるように構成されている。上記した通り、第1ポインタテーブル202a1と第2ポインタテーブル202a2は、それぞれの遊技状態に応じて、保留球数と上位バイトポインタとが対応付けられているので、各遊技状態に応じた変動時間での変動表示を第1図柄表示装置37及び第3図柄表示装置81で実行させるための制御を容易に実現することができる。
次に、図5(b)に示すように、上位バイト取得テーブル202bは、変動パターンコマンドの上位バイト(コード)を格納したテーブルであり、この上位バイト取得テーブル202bにおいて、各上位バイトは、上記したポインタテーブル202a(第1ポインタテーブル202a1,第2ポインタテーブル202a2)から取得される上位バイト取得ポインタと対応付けられている。
この上位バイト取得テーブル202bは、後述する変動パターンコマンド作成処理(図17参照)において参照され、ポインタテーブル202aから取得された上位バイト取得ポインタに応じた上位バイト(コード)が取得される。上位バイト取得テーブル202bから上位バイトが取得されると、そのように取得された上位バイトと、始動入賞(第1入球口64への球の入賞)を契機として行われる抽選の抽選結果(後述する変動種別カウンタCS1及びCS2の値)に応じて決定される変動パターン(変動表示パターン)に対応する下位バイトとから構成される1単位(本実施の形態では2バイト)のコマンドが、変動パターンコマンドとして、音声ランプ制御装置113へ出力され、その結果として、表示制御装置114により第3図柄表示装置81での図柄(絵柄)の変動表示が行われる。
詳細は後述するが、表示制御装置114によって制御される第3図柄表示装置81での変動表示時間は、変動パターンにおける上位バイトと下位バイトにより決定されるように構成されており、下位バイトによって示される変動パターンの基本変動時間から、上位バイトによって示される減算時間を差し引いた値が変動時間とされる。本実施の形態では、上位バイトが「C0H」であれば、減算時間が0sであり、この場合には、第3図柄表示装置81での変動時間が、下位バイトによって示される変動パターンの基本変動時間とされる。一方で、上位バイトが「C2H」及び「CH4」の場合には、減算時間がそれぞれ6s及び9sであり、例えば、基本変動時間が9sであれば、結果的な第3図柄表示装置81での変動時間は、それぞれ、3s(=9−6)及び1s(=9−8)とされる。
このように、上位バイト取得テーブル202bでは、上位バイト取得ポインタの値が大きい程、減算時間が大きく結果的な第3図柄表示装置81での変動時間が短くなるように、上位バイト(コード)が割り当てられている。
次に、図5(c)に示すように、減算テーブル202cは、上記したポインタテーブル202a(第1ポインタテーブル202a1,第2ポインタテーブル202a2)から取得される上位バイト取得ポインタと、第1図柄表示装置37で行われる変動時間を短縮するための減算時間とが対応付けられたテーブルである。
この減算時間テーブル202cは、後述する変動パターン決定処理(図16参照)において参照され、ポインタテーブル202aから取得された上位バイト取得ポインタに応じた減算時間が取得される。減算時間テーブル202cから減算時間が取得されると、始動入賞(第1入球口64への球の入賞)を契機として行われる抽選の抽選結果に応じて決定される変動パターンの基本変動時間から、取得された減算時間を差し引いた値が、第1図柄表示装置37での変動時間として特図制御タイマ204に設定される。その結果、第1図柄表示装置37での変動表示は、特図制御タイマ204に設定された変動時間で行われることになる。
ここで、図5(c)に示すように、減算テーブル202cによれば、上位バイト取得ポインタが「0」である場合の減算時間は「0s(0秒)」であるので、この場合には、始動入賞(始動条件の成立)を契機として行われる抽選の抽選結果に応じて決定される変動パターンの基本変動時間での変動表示が第1図柄表示装置37で行われることになる。一方で、上位バイト取得ポインタが「1」である場合の減算時間は「6s」であるので、例えば、始動入賞を契機として行われる抽選の抽選結果に応じて決定される変動パターンの基本変動時間が9sであれば、第1図柄表示装置37では3s(=9−6)の変動表示が行われる。同様に、上位バイト取得ポインタが「2」である場合の減算時間は「8s」であるので、変動パターンの基本変動時間が9sであれば、第1図柄表示装置37では1s(=9−8)の変動表示が行われる。このように、減算時間テーブル202cでは、上位バイト取得ポインタの値が大きい程、減算時間が大きく結果的な第1図柄表示装置37での変動時間が短くなるように、減算時間が割り当てられている。
図4に戻って説明する。RAM203は、ROM202内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであり、保留球数メモリ203aと、時短カウンタ203bと、特図制御中フラグ203cと、特図変動中フラグ203dと、変動開始要求フラグ203eと、停止表示フラグ203fと、高確率フラグ203gと、時短フラグ203hとを備えている。
保留球数メモリ203aは、後述する保留球格納エリア(図7参照)におけるどのエリアに乱数値が格納されているか、即ち、保留球の個数(保留球数)を記憶するものである。保留球数メモリ203aの値は、後述する始動入賞処理(図20参照)において、第1入球口64への球の入賞が検出されると1ずつ加算される。なお、本実施の形態では、保留球の上限が「4」に構成されているので、保留球数メモリ203aの値には、「4」を超える値は記憶されることはない。よって、保留球数メモリ203aの値には、「0」から保留球数の上限値である「4」までのいずれかの値が記憶される。
時短カウンタ203bは、遊技状態が変動時間短縮状態に遷移された場合に、その実行期間を計数するものである。変動時間短縮状態の実行期間は、変動時間短縮状態への遷移後(変動時間短縮状態への遷移の条件を満たした大当たりの終了後)に、第1入球口64への球の入賞(始動条件の成立、始動入賞)を条件として行われる抽選回数(第1図柄表示装置37における特別図柄の変動表示の回数)により規定されている(本実施の形態では100回)。そのため、時短カウンタ203bは、変動時間短縮状態への遷移の条件を満たした大当たり(時短大当たり)が生じた場合に、後述する大当たり時設定処理(図15参照)において、規定値(本実施の形態では100)に設定される。そして、その大当たりの終了後、後述する変動終了処理(図18参照)が実行される毎に、時短カウンタ203bの値は1ずつ減算され、時短カウンタ203bの値が「0」になった場合に、変動時間短縮状態の実行期間が終了したと判断される。
特図制御中フラグ203cは、第1入球口64への球の入賞を条件として実行される第1図柄表示装置37における特別図柄の表示(変動表示及び停止表示)の制御中であるか否か、即ち、後述する特別図柄変動処理(図11参照)を実行するか否かを示すフラグである。この特図制御中フラグ203aは、後述する変動チェック処理(図10参照)において、所定の条件が満たされていることが確認され、第1図柄表示装置37における特別図柄の変動表示の実行が確定した場合にオンされ、後述する特別図柄変動処理(図11参照)において、第1図柄表示装置37における特別図柄の停止表示の終了が確認されるとオフされる。
特図変動中フラグ203dは、第1図柄表示装置37における特別図柄の変動表示が実行中であるか否かを示すフラグであり、後述する変動開始処理(図12参照)において、第1図柄表示装置37における特別図柄の変動表示が開始されるとオンされ、後述する特別図柄変動処理(図11参照)において、第1図柄表示装置37における特別図柄の変動表示の終了が確認されるとオフされる。
変動開始要求フラグ203eは、第1図柄表示装置37における特別図柄の変動表示を開始するタイミングであるか否かを示すフラグであり、後述する変動チェック処理(図10参照)において、所定の条件が満たされていることが確認され、第1図柄表示装置37における特別図柄の変動表示の実行が確定した場合にオンされ、後述する変動開始処理(図12参照)において、第1図柄表示装置37における特別図柄の変動表示が開始されるとオフされる。
停止表示フラグ203fは、第1図柄表示装置37における特別図柄の停止表示が実行中であるか否かを示すフラグであり、後述する特別図柄変動処理(図11参照)において、第1図柄表示装置37における特別図柄の停止表示が開始されるとオンされ、その後、停止表示の終了が確認されるとオフされる。
大当たり判定フラグ203gは、第1入球口64への球の入賞を条件として実行される抽選結果が大当たりであるか否かを示すフラグであり、後述する大当たり判定処理(図14参照)において、抽選結果が大当たりであると判定されるとオンされ、後述する変動終了処理(図18参照)において、大当たり状態へ遷移する前の変動表示の終了に伴ってオフされる。
高確率フラグ203hは、大当たり終了後の大当たり確率がアップして高確率となった状態であるか、大当たり後の大当たり確率が通常の状態であるかを示すフラグであり、具体的には、大当たり後の確率がアップした状態であればオンを示し、大当たり後の大当たり確率が通常の状態であればオフを示す。この高確率フラグ203gは、後述する大当たり時設定処理(図15参照)において、大当たりの態様が確変大当たりであることが確認された場合にはオンされ、一方で、大当たりの態様が時短大当たりであることが確認された場合にはオフされる。
時短フラグ203iは、遊技状態が時短状態(確変状態又は変動時間短縮状態)であるか否かを示すフラグである。本実施の形態では、大当たりの終了後に、遊技状態が時短状態(確変状態又は変動時間短縮状態)に遷移するので、後述する大当たり時設定処理(図15参照)が実行されると時短フラグ203iはオンされる。一方で、この時短フラグ203iは、時短状態(確変状態又は変動時間短縮状態)の終了、即ち、後述する変動終了処理(図18参照)において、変動時間短縮状態又は確変状態の実行期間の終了が確認されるとオフされる。
なお、上記した各フラグ(特図制御中フラグ203c、特図変動中フラグ203d、変動開始要求フラグ203e、停止表示フラグ203f、大当たり判定フラグ203g、高確率フラグ203h、及び時短フラグ203i)は、いずれも、電源投入時に初期化されてオフされる。
また、RAM203は、上記したメモリ、カウンタ、及びフラグの他に、MPU201の内部レジスタの内容やMPU201により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを備えている。RAM203は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM203に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。
停電などの発生により電源が遮断されると、その電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタの値がRAM203に記憶される。一方、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、RAM203に記憶される情報に基づいて、パチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。RAM203への書き込みはメイン処理(図9参照)によって電源遮断時に実行され、RAM203に書き込まれた各値の復帰は電源投入時の立ち上げ処理(図8参照)において実行される。なお、MPU201のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路252からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU201へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図21参照)が即座に実行される。
更に、MPU201は、時刻の計時を行うタイマ回路として、特図制御タイマ204を備えている。この特図制御タイマ204は、第1図柄表示装置37で実行される変動表示の時間を監視するためのものであり、変動表示の実変動の時間と停止表示の時間とをそれぞれ計時するように構成されている。特図制御タイマ204にセットされた時間(値)は、所定時間毎に(本実施の形態では4ms毎に実行される特別図柄変動処理(S206)の実行毎に)1ずつ減算される。かかる減算にて特図制御タイマ204の値が0に至ることにより、セットされた時間(第1図柄表示装置37における実変動の時間または停止表示の時間)の経過が計時される。
主制御装置110のMPU201には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン205を介して入出力ポート206が接続されている。入出力ポート206には、払出制御装置111、音声ランプ制御装置113、第1図柄表示装置37、第2図柄表示装置82や、図示しないスイッチ群やセンサ郡などからなる各種スイッチ206が接続されている。
払出制御装置111は、払出モータ216により賞球や貸出球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU211は、そのMPU211により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM212と、ワークメモリ等として使用されるRAM213とを備えている。
払出制御装置111のRAM213は、主制御装置110のRAM203と同様に、MPU211の内部レジスタの内容やMPU211により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを備えている。RAM213は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM213に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。なお、主制御装置110のMPU201と同様、MPU211のNMI端子にも、停電等の発生による電源遮断時に停電監視回路252から停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU211へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図21参照)が即座に実行される。
払出制御装置111のMPU211には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン214を介して入出力ポート215が接続されている。入出力ポート215には、主制御装置110や払出モータ216、発射制御装置112などがそれぞれ接続されている。
発射制御装置112は、主制御装置110により球の発射の指示がなされた場合に、操作ハンドル51の回転操作量に応じた球の打ち出し強さとなるよう球発射ユニット112aを制御するものである。球発射ユニット112aは、図示しない発射ソレノイドおよび電磁石を備えており、その発射ソレノイドおよび電磁石は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、遊技者が操作ハンドル51に触れていることをタッチセンサにより検出し、発射を停止させるための発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、操作ハンドル51の回動量に対応して発射ソレノイドが励磁され、操作ハンドル51の操作量に応じた強さで球が発射される。
音声ランプ制御装置113は、音声出力装置(図示しないスピーカなど)226における音声の出力、ランプ表示装置(電飾部29〜33や表示ランプ34など)における点灯および消灯の出力、表示制御装置114で行われる第3図柄表示装置81の表示態様の設定などを制御するものである。演算装置であるMPU221は、そのMPU221により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM222と、ワークメモリ等として使用されるRAM223とを備えている。
音声ランプ制御装置113のMPU221には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン224を介して入出力ポート225が接続されている。入出力ポート225には、主制御装置110、表示制御装置114、音声出力装置226やランプ表示装置227などがそれぞれ接続されている。
表示制御装置114は、第3図柄表示装置(LCD)81における第3図柄の変動表示を制御するものである。表示制御装置114は、MPU231と、ROM(プログラムROM)232と、ワークRAM233と、ビデオRAM234と、キャラクタROM235と、画像コントローラ236と、入力ポート237と、出力ポート238と、バスライン239,240とを備えている。入力ポート237の入力側には音声ランプ制御装置113の出力側が接続され、入力ポート237の出力側には、MPU231、ROM232、ワークRAM233、画像コントローラ236が接続されると共にバスライン240を介して出力ポート238が接続されている。出力ポート238の出力側には第3図柄表示装置81が接続されている。なお、パチンコ機10は、大当たりの抽選確率や1回の大当たりで払い出される賞球数が異なる別機種であっても、第3図柄表示装置81で表示される図柄構成が全く同じ仕様の機種があるので、表示制御装置114は共通部品化されコスト低減が図られている。
表示制御装置114のMPU231は、音声ランプ制御装置113から入力された図柄表示用のコマンドに基づいて、第3図柄表示装置81の表示内容を制御する。ROM232は、MPU231により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶するためのメモリである。ワークRAM233は、MPU231による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するためのメモリであり、演出許可フラグ233aと変動開始フラグ233bとを備えている。
演出許可フラグ233aは、主制御装置110の初期設定の処理後に送信される演出許可コマンドを、音声ランプ制御装置113を介して受信するとオンされ、電源断の発生によりオフされるフラグである。変動開始フラグ233bは、主制御装置110から出力された変動パターンコマンドに対応するコマンドを音声ランプ制御装置113から受信した場合にオンされると共に第3図柄表示装置81において変動表示が開始されたらオフされるフラグである。
キャラクタROM235は、第3図柄表示装置81に表示される図柄(背景図柄や装飾図柄)などのキャラクタ情報が記憶されたキャラクタ情報メモリ235aを備えている。このキャラクタ情報メモリ235aに記憶されているキャラクタ情報としては、変動表示される第3図柄の数字データ(例えば、0〜9)や、数字データ以外の図柄データ(例えば、箱の図柄やヘルメットの図柄(図6(b))参照)、背景図柄、予告キャラクタ図柄やキャラクタ図柄(例えば、男の子(図6(b)参照))などが記憶されている。
キャラクタ情報メモリ235aには、記憶するデータ量を少なくするために、上記のようなキャラクタ情報が圧縮形式のデータで記憶されている。本実施の形態では、キャラクタ情報は約1024Mバイトで構成されており、その約1024Mバイトのキャラクタ情報が、約768Mバイトに圧縮されてキャラクタ情報メモリ235aに記憶されている。キャラクタ情報メモリ235aに圧縮形式のデータとして記憶されているキャラクタ情報は、読み出されると、解凍された後にキャラクタ情報記憶領域234bに書き込まれる。
ビデオRAM234は、第3図柄表示装置81に表示される表示内容(変動表示の演出パターンや、リーチ演出時の演出内容など)に対応する演出データが記憶される表示用記憶領域234aと、キャラクタROM235のキャラクタ情報メモリ235aに記憶された圧縮形式のキャラクタ情報を解凍したデータが記憶されるキャラクタ情報記憶領域234bとを備えている。
表示用記憶領域234aは、第3図柄表示装置81に表示される演出データを記憶するためのメモリであり、その表示用記憶領域234aの内容を書き替えることにより、第3図柄表示装置81の表示内容が変更される。キャラクタ情報記憶領域234bには、背景図柄や装飾図柄などの素材となるキャラクタデータが記憶され、このキャラクタ情報記憶領域234bから第3図柄表示装置81に表示するための必要なデータが読み出されて表示用記憶領域234aに書き込まれる。
なお、キャラクタ情報をビデオRAM234のキャラクタ情報記憶領域234bに記憶させるのは、一般的に処理速度がROMよりRAMの方が高速であるためであり、キャラクタ情報をキャラクタROM235から直接、表示用記憶領域234aに直接書き込む場合、読み出すデータ量が大きいと読み出しに時間を有しスムーズな表示ができなかったり鮮明な表示ができないからである。更に、RAMにおいて表示データの加工(例えば、装飾図柄の大きさの変更や背景図柄の色の変更)などが容易であるためである。
画像コントローラ236は、MPU231、ビデオRAM234、出力ポート238のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在すると共に、ビデオRAM234に記憶される表示データを所定のタイミングで読み出して第3図柄表示装置81に表示させるものである。
電源装置115は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部251と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路252と、RAM消去スイッチ122(図3参照)とを有するRAM消去スイッチ回路253とを備えている。電源部251は、図示しない電源経路を通じて、各制御装置110〜114等に対して各々に必要な動作電圧を供給する装置である。その概要としては、電源部251は、外部より供給される交流24ボルトの電圧を取り込み、各種スイッチや、ソレノイド、モータ等を駆動するための12ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などを生成し、これら12ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧を各制御装置110〜114等に対して必要な電圧を供給する。
停電監視回路252は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置110のMPU201及び払出制御装置111のMPU211の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路252は、電源部251から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断、電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置110及び払出制御装置111へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置110及び払出制御装置111は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部251は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置110及び払出制御装置111は、NMI割込処理(図21参照)を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路253は、RAM消去スイッチ122が押下された場合に、主制御装置110へ、バックアップデータをクリアさせるためのRAM消去信号SG2を出力するための回路である。主制御装置110及び払出制御装置111は、パチンコ機10の電源投入時に、RAM消去信号SG2を入力した場合に、それぞれのバックアップデータをクリアすると共に、払出制御装置111においてバックアップデータをクリアさせるための払出初期化コマンドを払出制御装置111に対して送信する。
次に、図6を参照して、第3図柄表示装置81の表示内容について説明する。図6は、第3図柄表示装置81の表示画面を説明するための図面であり、図6(a)は、表示画面の領域区分設定と有効ライン設定とを模式的に示した図であり、図6(b)は、実際の表示画面を例示した図である。
第3図柄は、「0」から「9」の数字を付した10種類の主図柄と、この主図柄より小さく形成された花びら形状の1種類の副図柄とにより構成されている。各主図柄は、木箱よりなる後方図柄の上に「0」から「9」の数字を付して構成され、そのうち奇数番号(1,3,5,7,9)を付した主図柄は、木箱の前面ほぼ一杯に大きな数字が付加されている。これに対し、偶数番号(0,2,4,6,8)を付した主図柄は、木箱の前面ほぼ一杯にお守り、風呂敷、ヘルメット等のキャラクタを模した付属図柄が付加されており、付属図柄の右下側に偶数の数字が緑色で小さく、且つ、付属図柄の前側に表示されるように付加されている。
また、本実施の形態のパチンコ機10においては、主制御装置110による抽選結果が大当たりであった場合に、同一の主図柄が揃う変動表示が行われ、その変動表示が終わった後に大当たりが発生するよう構成されている。大当たり終了後に高確率状態(確変状態)に移行する場合は、奇数番号が付加された主図柄(「高確率図柄」に相当)が揃う変動表示が行われる。
一方、大当たり終了後に低確率状態に移行する場合は、偶数番号が付加された主図柄(「低確率図柄」に相当)が揃う変動表示が行われる。ここで、「高確率状態」とは、大当たり終了後に付加価値としてその後の大当たり確率がアップした状態、いわゆる確率変動(確変)の時をいう。また、「低確率状態」とは、確変でない時をいい、大当たり確率が通常の状態、即ち、確変の時より大当たり確率が低い状態をいう。
図6(a)に示すように、第3図柄表示装置81の表示画面は、大きくは上下に2分割され、下側の2/3が第3図柄を変動表示する主表示領域Dm、それ以外の上側の1/3が予告演出やキャラクタを表示する副表示領域Dsとなっている。
主表示領域Dmには、左・中・右の3つの図柄列Z1,Z2,Z3が表示される。各図柄列Z1〜Z3には、前述した第3図柄が規定の順序で表示される。即ち、各図柄列Z1〜Z3には、数字の昇順または降順に主図柄が配列されると共に、各主図柄の間に副図柄が1つずつ配列されている。このため、各図柄列には、10個の主図柄と10個の副図柄の計20個の第3図柄が設定され、各図柄列Z1〜Z3毎に周期性をもって上から下へとスクロールして変動表示が行われる。特に、左図柄列Z1においては主図柄の数字が降順に現れるように配列され、中図柄列Z2及び右図柄列Z3においては主図柄の数字が昇順に現れるように配列されている。
また、主表示領域Dmには、各図柄列Z1〜Z3毎に上・中・下の3段に第3図柄が表示される。従って、第3図柄表示装置81には、3段×3列の計9個の第3図柄が表示される。この主表示領域Dmには、5つの有効ライン、即ち上ラインL1、中ラインL2、下ラインL3、右上がりラインL4、左上がりラインL5が設定されている。そして、毎回の遊技に際して、左図柄列Z1→右図柄列Z3→中図柄列Z2の順に変動表示が停止し、その停止時にいずれかの有効ライン上に大当たり図柄の組合せ(本実施の形態では、同一の主図柄の組合せ)で揃えば大当たりとして大当たり動画が表示される。
副表示領域Dsは、主表示領域Dmよりも上方に横長に設けられており、さらに左右方向に3つの予告領域Ds1〜Ds3に等区分されている。ここで、左右の予告領域Ds1,Ds3は、ソレノイド(図示せず)で電気的に開閉される両開き式の不透明な扉で通常覆われており、時としてソレノイドが励磁されて扉が手前側に開放されることにより遊技者に視認可能となる表示領域となっている。中央の予告領域Ds2は、扉で覆い隠されずに常に視認できる表示領域となっている。
図6(b)に示すように、実際の表示画面では、主表示領域Dmに第3図柄の主図柄と副図柄とが合計9個表示される。副表示領域Dsにおいては、左右の扉が閉鎖された状態となっており、左右の予告領域Ds1,Ds3が覆い隠されて表示画面が視認できない状態となっている。変動表示の途中において、左右のいずれか一方、または両方の扉が開放されると、左右の予告領域Ds1,Ds3に動画が表示され、通常より大当たりへ遷移し易い状態であることが遊技者に示唆される。中央の予告領域Ds2では、通常は、所定のキャラクタ(本実施の形態ではハチマキを付けた少年)が所定動作をし、時として所定動作とは別の特別な動作をしたり、別のキャラクタが現出する等して予告演出が行われる。なお、第3図柄表示装置81の表示画面は、原則として上下の表示領域Dm,Dsに区分されているが、各表示領域Dm,Dsを跨いでより大きく第3図柄やキャラクタ等を表示して表示演出を行うことができる。
次に、図7を参照して、主制御装置110のRAM203内に設けられるカウンタ等について説明する。これらのカウンタ等は、大当たり抽選や第1図柄表示装置37の表示の設定、第2図柄表示装置82の表示結果の抽選などを行うために、主制御装置110のMPU201で使用される。
大当たり抽選や第1図柄表示装置37の表示の設定には、大当たりの抽選に使用する第1当たり乱数カウンタC1と、大当たり図柄の選択に使用する第1当たり種別図柄カウンタC2と、停止パターン選択カウンタC3と、第1当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する第1初期値乱数カウンタCINI1と、変動パターン選択に使用する変動種別カウンタCS1,CS2とが用いられる。また、第2図柄表示装置82の抽選には、第2当たり乱数カウンタC4が用いられ、第2当たり乱数カウンタC4の初期値設定には第2初期値乱数カウンタCINI2が用いられる。これら各カウンタは、更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。
各カウンタは、メイン処理(図9参照)の実行間隔である4ms間隔、またはタイマ割込処理(図19参照)の実行間隔である2ms間隔で更新され、その更新値がRAM203の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。RAM203には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる保留球格納エリアが設けられており、これらの各エリアには、第1入球口64への球の入賞タイミングに合わせて、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2及び停止パターン選択カウンタC3の各値がそれぞれ格納される。
各カウンタについて詳しく説明する。第1当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜738の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり738)に達した後0に戻る構成となっている。特に、第1当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の第1初期値乱数カウンタCINI1の値が当該第1当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。また、第1初期値乱数カウンタCINI1は、第1当たり乱数カウンタC1と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成され(値=0〜738)、タイマ割込処理(図19参照)の実行毎に1回更新されると共に、メイン処理(図9参照)の残余時間内で繰り返し更新される。第1当たり乱数カウンタC1の値は、例えば定期的に(本実施の形態ではタイマ割込処理毎に1回)更新され、球が第1入球口64に入賞したタイミングでRAM203の保留球格納エリアに格納される。大当たりとなる乱数の値の数は、低確率時と高確率時とで2種類設定されており、低確率時に大当たりとなる乱数の値の数は2で、その値は「373,727」であり、高確率時に大当たりとなる乱数の値の数は14で、その値は「59,109,163,211,263,317,367,421,479,523,631,683,733」である。
第1当たり種別カウンタC2は、大当たりの際の第1図柄表示装置37の表示態様を決定するものであり、本実施の形態では、0〜4の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり4)に達した後0に戻る構成となっている。第1当たり種別カウンタC2の値は、例えば定期的に(本実施の形態ではタイマ割込処理毎に1回)更新され、球が第1入球口64に入賞したタイミングでRAM203の保留球格納エリアに格納される。なお、大当たり後に高確率状態となる乱数の値は「1,2,3」であり、大当たり後に低確率状態となる乱数の値は「0,4」であり、2種類の当たり種別が決定される。よって、第1図柄表示装置37に表示される停止図柄に対応した表示態様は、高確率状態と低確率状態との2種類の大当たりに対応した表示態様と、はずれに対応した1種類の表示態様との合計3種類の表示態様のうち、いずれか1つが選択される。
停止パターン選択カウンタC3は、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり238)に達した後0に戻る構成となっている。本実施の形態では、停止パターン選択カウンタC3によって、第3図柄表示装置81で表示される演出のパターンが選択され、リーチが発生した後、最終停止図柄がリーチ図柄の前後に1つだけずれて停止する「前後外れリーチ」(例えば0〜8の範囲)と、同じくリーチ発生した後、最終停止図柄がリーチ図柄の前後以外で停止する「前後外れ以外リーチ」(例えば9〜38の範囲)と、リーチ発生しない「完全外れ」(例えば39〜238の範囲)との3つの停止(演出)パターンが選択される。停止パターン選択カウンタC3の値は、例えば定期的に(本実施の形態ではタイマ割込処理毎に1回)更新され、球が第1入球口64に入賞したタイミングでRAM203の保留球格納エリアに格納される。
また、停止パターン選択カウンタC3には、停止パターンの選択される乱数値の範囲が異なる複数のテーブルが設けられている。これは、現在のパチンコ機10の状態が高確率状態であるか低確率状態であるか、保留球格納エリアのどのエリアに各乱数値が格納されているか(即ち、保留球数メモリ203aの値によって示される保留球の個数(保留球数))等に応じて、停止パターンの選択比率を変更するためである。
例えば、高確率状態では、大当たりが発生し易いため必要以上にリーチ演出が選択されないように、「完全外れ」の停止パターンに対応した乱数値の範囲が10〜238と広いテーブルが選択され、「完全外れ」が選択され易くなる。このテーブルは、「前後外れリーチ」が0〜5と狭くなると共に「前後外れ以外リーチ」も6〜9と狭くなり、「前後外れリーチ」や「前後外れ以外リーチ」が選択され難くなる。また、低確率状態で保留球格納エリアに各乱数値が格納されていなければ、第1入球口64への球の入球時間を確保するために「完全外れ」の停止パターンに対応した乱数値の範囲が51〜238と狭いテーブルが選択され、「完全外れ」が選択され難くなる。このテーブルは、「前後外れ以外リーチ」の停止パターンに対応した乱数値の範囲が9〜50と広くなり、「前後外れ以外リーチ」が選択され易くなっている。よって、低確率状態では、第1入球口64への球の入球時間を確保できるので、第3図柄表示装置81による変動表示が継続して行われ易くなる。
2つの変動種別カウンタCS1,CS2のうち、一方の変動種別カウンタCS1は、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっており、他方の変動種別カウンタCS2は、例えば0〜240の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり240)に達した後0に戻る構成となっている。以下の説明では、CS1を「第1変動種別カウンタ」、CS2を「第2変動種別カウンタ」ともいう。
第1変動種別カウンタCS1によって、いわゆるノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等の大まかな表示態様が決定される。表示態様の決定は、具体的には、図柄変動の変動時間の決定である。また、第2変動種別カウンタCS2によって、リーチ発生後に最終停止図柄(本実施の形態では中図柄)が停止するまでの変動時間(言い換えれば、変動図柄数)が決定される。
変動種別カウンタCS1,CS2により決定された変動時間に基づいて、表示制御装置114により第3表示装置81で表示される第3図柄のリーチ種別や細かな図柄変動態様が決定される。従って、これらの変動種別カウンタCS1,CS2を組み合わせることで、変動パターンの多種多様化を容易に実現できる。また、第1変動種別カウンタCS1だけで図柄変動態様を決定したり、第1変動種別カウンタCS1と停止図柄との組み合わせで同じく図柄変動態様を決定したりすることも可能である。変動種別カウンタCS1,CS2の値は、後述するメイン処理(図9参照)が1回実行される毎に1回更新され、当該メイン処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。
第2当たり乱数カウンタC4は、例えば0〜250の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり250)に達した後0に戻るループカウンタとして構成されている。第2当たり乱数カウンタC4の値は、本実施の形態ではタイマ割込処理毎に、例えば定期的に更新され、球が左右何れかの第2入球口(スルーゲート)67を通過したことが検知された時に取得される。当選することとなる乱数の値の数は149あり、その範囲は「5〜153」となっている。なお、第2初期値乱数カウンタCINI2は、第2当たり乱数カウンタC4と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成され(値=0〜250)、タイマ割込処理(図19参照)毎に1回更新されると共に、メイン処理(図9参照)の残余時間内で繰り返し更新される。
次に、図8から図21のフローチャートを参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される各制御処理を説明する。かかるMPU201の処理としては大別して、電源投入に伴い起動される立ち上げ処理と、その立ち上げ処理後に実行されるメイン処理と、定期的に(本実施の形態では2ms周期で)起動されるタイマ割込処理と、NMI端子への停電信号SG1の入力により起動されるNMI割込処理とがあり、説明の便宜上、はじめにタイマ割込処理とNMI割込処理とを説明し、その後立ち上げ処理とメイン処理とを説明する。
図19は、タイマ割込処理を示すフローチャートである。タイマ割込処理は、主制御装置110のMPU201により例えば2ms毎に実行される。タイマ割込処理では、まず各種入賞スイッチの読み込み処理を実行する(S501)。即ち、主制御装置110に接続されている各種スイッチの状態を読み込むと共に、当該スイッチの状態を判定して検出情報(入賞検知情報)を保存する。
次に、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2の更新を実行する(S502)。具体的には、第1初期値乱数カウンタCINI1を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施の形態では738)に達した際、0にクリアする。そして、第1初期値乱数カウンタCINI1の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域に格納する。同様に、第2初期値乱数カウンタCINI2を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施の形態では250)に達した際、0にクリアし、その第2初期値乱数カウンタCINI2の更新値をRAM203の該当するバッファ領域に格納する。
更に、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、停止パターン選択カウンタC3及び第2当たり乱数カウンタC4の更新を実行する(S503)。具体的には、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、停止パターン選択カウンタC3及び第2当たり乱数カウンタC4をそれぞれ1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態ではそれぞれ、738,4,238,250)に達した際、それぞれ0にクリアする。そして、各カウンタC1〜C4の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域に格納する。
その後は、第1入球口64への入賞に伴う始動入賞処理(図20参照)を実行し(S504)、発射制御処理を実行して(S505)、タイマ割込処理を終了する。なお、発射制御処理は、遊技者が操作ハンドル51に触れていることをタッチセンサにより検出し、発射を停止させるための発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、球の発射のオン/オフを決定する処理である。主制御装置110は、球の発射がオンである場合に、発射制御装置112に対して球の発射指示をする。
ここで、図20のフローチャートを参照して、S504の処理で実行される始動入賞処理を説明する。図12は、タイマ割込処理(図19参照)の中で実行される始動入賞処理(S504)を示すフローチャートである。
この始動入賞処理が実行されると、まず、球が第1入球口64に入賞(始動入賞)したか否かを判別する(S601)。球が第1入球口64に入賞したと判別されると(S601:Yes)、保留球数メモリ203aの値が上限値(本実施の形態では4)未満であるか否かを判別する(S602)。第1入球口64への入賞があり、且つ、保留球数メモリ203aの値が4未満であれば(S602:Yes)、保留球数メモリ203aの値を1加算し(S603)、更に、前記ステップS503で更新した第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2及び停止パターン選択カウンタC3の各値を、RAM203の保留球格納エリアの空き保留エリアのうち最初のエリアに格納する(S604)。一方、第1入球口64への入賞がないか(S601:No)、或いは、第1入球口64への入賞があっても、保留球数メモリ203aの値が上限値(本実施の形態では4)であれば(S602:No)、S603及びS604の各処理をスキップし、始動入賞処理を終了してタイマ割込処理へ戻る。
図21は、NMI割込処理を示すフローチャートである。NMI割込処理は、停電の発生等によるパチンコ機10の電源遮断時に、主制御装置110のMPU201により実行される処理である。このNMI割込処理により、電源断の発生情報がRAM203に記憶される。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路252から主制御装置110内のMPU201のNMI端子に出力される。すると、MPU201は、実行中の制御を中断してNMI割込処理を開始し、電源断の発生情報の設定として、電源断の発生情報をRAM203に記憶し(S701)、NMI割込処理を終了する。
なお、上記のNMI割込処理は、払出発射制御装置111でも同様に実行され、かかるNMI割込処理により、電源断の発生情報がRAM213に記憶される。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路252から払出発射制御装置111内のMPU211のNMI端子に出力され、MPU211は実行中の制御を中断して、NMI割込処理を開始するのである。
次に、図8を参照して、主制御装置110に電源が投入された場合の立ち上げ処理について説明する。図8は、主制御装置110内のMPU201により実行される立ち上げ処理を示すフローチャートである。この立ち上げ処理は電源投入時のリセットにより起動される。立ち上げ処理では、まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S101)。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定すると共に、サブ側の制御装置(音声ランプ制御装置113、払出制御装置111等の周辺制御装置)が動作可能な状態になるのを待つために、ウェイト処理(本実施の形態では1秒)を実行する。次いで、RAM203のアクセスを許可する(S103)。
その後は、電源装置115に設けたRAM消去スイッチ122(図3参照)がオンされているか否かを判別し(S104)、オンされていれば(S104:Yes)、処理をS110へ移行する。一方、RAM消去スイッチ122がオンされていなければ(S104:No)、更にRAM203に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S105)、記憶されていなければ(S105:No)、前回の電源遮断時の処理が正常に終了しなかった可能性があるので、この場合も、処理をS110へ移行する。
RAM203に電源断の発生情報が記憶されていれば(S105:Yes)、RAM判定値を算出し(S106)、算出したRAM判定値が正常でなければ(S107:No)、即ち算出したRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致しなければ、バックアップされたデータは破壊されているので、かかる場合にも処理をS110へ移行する。なお、図8のS213の処理で後述する通り、RAM判定値は、例えばRAM203の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。このRAM判定値に代えて、RAM203の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断するようにしても良い。
S110の処理では、サブ側の制御装置(周辺制御装置)となる払出制御装置111を初期化するために払出初期化コマンドを送信する(S110)。払出制御装置111は、この払出初期化コマンドを受信すると、RAM213のスタックエリア以外のエリア(作業領域)をクリアし、初期値を設定して、遊技球の払い出し制御を開始可能な状態となる。主制御装置110は、払出初期化コマンドの送信後は、RAM203の初期化処理(S111、S112)を実行する。
上述したように、本パチンコ機10では、例えばホールの営業開始時など、電源投入時にRAMデータを初期化する場合にはRAM消去スイッチ123を押しながら電源が投入される。従って、立ち上げ処理の実行時にRAM消去スイッチ123が押されていれば、RAMの初期化処理(S111、S112)を実行する。また、電源断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)によりバックアップの異常が確認された場合も同様に、RAM203の初期化処理(S111、S112)を実行する。RAMの初期化処理(S111、S112)では、RAM203の使用領域を0クリアし(S111)、その後、RAM203の初期値を設定する(S112)。RAM203の初期化処理の実行後は、S113の処理へ移行する。
一方、RAM消去スイッチ123がオンされておらず(S104:No)、電源断の発生情報が記憶されており(S105:Yes)、更にRAM判定値(チェックサム値等)が正常であれば(S107:Yes)、RAM203にバックアップされたデータを保持したまま、電源断の発生情報をクリアする(S108)。次に、サブ側の制御装置(周辺制御装置)を駆動電源遮断時の遊技状態に復帰させるための復電時の払出復帰コマンドを送信し(S109)、S113の処理へ移行する。払出制御装置111は、この払出復帰コマンドを受信すると、RAM213に記憶されたデータを保持したまま、遊技球の払い出し制御を開始可能な状態となる。S113の処理では、割込みを許可して、後述するメイン処理に移行する。
次に、図9を参照して、上記した立ち上げ処理後に実行されるメイン処理について説明する。図9は、主制御装置110内のMPU201により実行されるメイン処理を示すフローチャートである。このメイン処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、4ms周期の定期処理としてS201〜S208の各処理が実行され、その残余時間でS211,S212のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
メイン処理においては、まず、前回の処理で更新されたコマンド等の出力データをサブ側の各制御装置(周辺制御装置)に送信する(S201)。具体的には、S501のスイッチ読み込み処理で検出した入賞検知情報の有無を判別し、入賞検知情報があれば払出制御装置111に対して獲得球数に対応する賞球コマンドを送信する。また、この外部出力処理により、第3図柄表示装置81による第3図柄の変動表示に必要な変動パターンコマンド(後述する変動パターンコマンド作成処理(図17参照)によって作成された変動パターンコマンド)、停止図柄コマンド、停止コマンド等を音声ランプ制御装置113に送信する。さらに、球の発射を行う場合には、発射制御装置112へ球発射信号を送信する。
次に、変動種別カウンタCS1,CS2の各値を更新する(S202)。具体的には、変動種別カウンタCS1,CS2を1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態では198,240)に達した際、それぞれ0にクリアする。そして、変動種別カウンタCS1,CS2の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域に格納する。
変動種別カウンタCS1,CS2の更新が終わると、払出制御装置111より受信した賞球計数信号や払出異常信号を読み込み(S203)、第1図柄表示装置37及び第3図柄表示装置81において変動表示を開始するタイミングであるかを確認する変動開始チェック処理を行う(S204)。
ここで、図10を参照して、この変動開始チェック処理(S204)について説明する。図10は、メイン処理(図9参照)の中で実行される変動開始チェック処理(S204)を示すフローチャートである。
図10に示すように、この変動開始チェック処理(S204)では、まず、今現在大当たり中であるかを判別する(S301)。大当たり中としては、大当たりの際に第3図柄表示装置81及び第1図柄表示装置37で表示される大当たり遊技の最中と大当たり遊技終了後の所定時間の最中とが含まれる。判別の結果、大当たり中であれば(S301:Yes)、そのまま本処理を終了する。
大当たり中でなければ(S301:No)、第1図柄表示装置37の表示態様が変動中であるかを判別し(S302)、第1図柄表示装置37の表示態様が変動中でなければ(S302:No)、保留球数メモリ203aの値が0よりも大きいかを判別する(S303)。ここで、保留球数メモリ203aの値が0であれば(S303:No)、そのまま本処理を終了する。
一方で、S303の処理により確認した結果、保留球数メモリ203aの値が0よりも大きい場合には(S303:Yes)、第1図柄表示装置37による表示を行うための処理や第3図柄表示装置81による第3図柄の変動パターンなどを設定する変動処理を実行するタイミングであるので、特図制御中フラグ203cをオンし(S304)、変動開始要求フラグ203eをオンして(S306)、この変動開始チェック処理(S204)を終了する。
再度、図9に戻って説明する。上記した変動開始チェック処理(S204)の実行後、特図制御中フラグ203cがオンであるかを確認し(S205)、オンであれば(S205:Yes)、第1図柄表示装置37による表示を行うための処理や第3図柄表示装置81による第3図柄の変動パターンなどを設定する特別図柄変動処理を実行(S206)、S207へ移行する。なお、この特別図柄変動処理(S206)における詳細な処理については、図11を参照して後述する。
一方で、S205の処理により確認した結果、特図制御中フラグ203cがオフであれば(SS205:No)、特別図柄変動処理(S206)をスキップして、S207へ移行する。
S207では、大当たり状態である場合において可変入賞装置65の特定入賞口(大開放口)65aを開放又は閉鎖するための大開放口開閉処理を実行する(S207)。即ち、大当たり状態のラウンド毎に特定入賞口65aを開放し、特定入賞口65aの最大開放時間が経過したか、又は特定入賞口65aに球が規定数入賞したかを判定する。そして、これら何れかの条件が成立すると特定入賞口65aを閉鎖する。この特定入賞口65aの開放と閉鎖とを所定ラウンド数繰り返し実行する。
次に、第2図柄表示装置82による第2図柄(例えば「○」又は「×」の図柄)の表示制御処理を実行する(S208)。簡単に説明すると、球が第2入球口(スルーゲート)67を通過したことを条件に、その通過したタイミングで第2当たり乱数カウンタC4の値が取得されると共に、第2図柄表示装置82の表示部83にて第2図柄の変動表示が実施される。そして、第2当たり乱数カウンタC4の値により第2図柄の抽選が実施され、第2図柄の当たり状態になると、第1入球口64に付随する電動役物が所定時間開放される。
その後は、RAM203に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S209)、RAM203に電源断の発生情報が記憶されていなければ(S209:No)、停電監視回路252から停電信号SG1は出力されておらず、電源は遮断されていない。よって、かかる場合には、次のメイン処理の実行タイミングに至ったか否か、即ち前回のメイン処理の開始から所定時間(本実施の形態では4ms)が経過したか否かを判別し(S210)、既に所定時間が経過していれば(S210:Yes)、処理をS201へ移行し、前述したS201以降の各処理を繰り返し実行する。
一方、前回のメイン処理の開始から未だ所定時間が経過していなければ(S210:No)、所定時間に至るまで間、即ち、次のメイン処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、第1初期値乱数カウンタCINI1、第2初期値乱数カウンタCINI2及び変動種別カウンタCS1,CS2の更新を繰り返し実行する(S211,S212)。
まず、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2との更新を実行する(S211)。具体的には、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施の形態では738、250)に達した際、0にクリアする。そして、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域にそれぞれ格納する。
次に、変動種別カウンタCS1,CS2の更新を実行する(S212)。具体的には、変動種別カウンタCS1,CS2を1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態では198,240)に達した際、それぞれ0にクリアする。そして、変動種別カウンタCS1,CS2の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域にそれぞれ格納する。
ここで、S201〜S208の各処理の実行時間は遊技の状態に応じて変化するため、次のメイン処理の実行タイミングに至るまでの残余時間は一定でなく変動する。故に、かかる残余時間を使用して第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2の更新を繰り返し実行することにより、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2(即ち、第1当たり乱数カウンタC1の初期値、第2当たり乱数カウンタC4の初期値)をランダムに更新することができ、同様に変動種別カウンタCS1,CS2についてもランダムに更新することができる。
また、S209の処理において、RAM203に電源断の発生情報が記憶されていれば(S209:Yes)、停電の発生または電源のオフにより電源が遮断され、停電監視回路252から停電信号SG1が出力された結果、図21のNMI割込処理が実行されたということなので、S213以降の電源遮断時の処理が実行される。まず、各割込処理の発生を禁止し(S213)、電源が遮断されたことを示す電源遮断通知コマンドを他の制御装置(払出制御装置111や音声ランプ制御装置113等の周辺制御装置)に対して送信する(S214)。そして、RAM判定値を算出して、その値を保存し(S215)、RAM203のアクセスを禁止して(S216)、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。ここで、RAM判定値は、例えば、RAM203のバックアップされるスタックエリア及び作業エリアにおけるチェックサム値である。
なお、S209の処理は、S201〜S208で行われる遊技の状態変化に対応した一連の処理の終了時、又は、残余時間内に行われるS211とS212の処理の1サイクルの終了時となるタイミングで実行されている。よって、主制御装置110のメイン処理において、各設定が終わったタイミングで電源断の発生情報を確認しているので、電源遮断の状態から復帰する場合には、立ち上げ処理の終了後、処理をS201の処理から開始することができる。即ち、立ち上げ処理において初期化された場合と同様に、処理をS201の処理から開始することができる。よって、電源遮断時の処理において、MPU201が使用している各レジスタの内容をスタックエリアへ退避したり、スタックポインタの値を保存しなくても、初期設定の処理(S101)において、スタックポインタが所定値(初期値)に設定されることで、S201の処理から開始することができる。従って、主制御装置110の制御負担を軽減することができると共に、主制御装置110が誤動作したり暴走することなく正確な制御を行うことができる。
次に、図11を参照して、上記した特別図柄変動処理(S206)について説明する。図11は、メイン処理(図9参照)の中で実行される特別図柄変動処理(S206)を示すフローチャートである。
図11に示すように、この特別図柄変動処理(S206)では、まず、第1図柄表示装置37が変動表示中であるか否かを確認するために、特図制御タイマ204が0であるかを確認する(S321)。
S321の処理により確認した結果、特図制御タイマ204が0であれば(S321:Yes)、第1図柄表示装置37では変動表示が行われていないので、変動開始要求フラグ203eがオンであるかを確認する(S322)。
S322の処理により確認した結果、変動開始要求フラグ203eがオンであれば(S322:Yes)、第1図柄表示装置37及び第3図柄表示装置81において変動表示を開始するタイミングであるので、第1図柄表示装置37及び第3図柄表示装置81において変動表示を開始するために、変動開始処理を実行し(S323)、この特別図柄変動処理(S206)を終了する。なお、この変動開始処理(S323)における詳細な処理については、図12を参照して後述する。
一方で、S322の処理により確認した結果、変動開始要求フラグ203eがオフであれば(S322:No)、第1図柄表示装置37及び第3図柄表示装置81では変動表示が行われていないので、そのまま、この特別図柄変動処理(S206)を終了する。
また、S321の処理により確認した結果、特図制御タイマ204が0でなければ(S321:No)、第1図柄表示装置37及び第3図柄表示装置81において変動表示の実行中であるので、特図制御タイマ204を1減算し(S324)、特図制御タイマ204が0であるかを再度確認する(S325)。このとき、特図制御タイマ204が0であれば(S323:Yes)、第1図柄表示装置37における変動表示における実変動又は停止表示のいずれかの期間が終了したことを示すので、特図変動中フラグ203dがオンであるかを確認する(S326)。
S326の処理により確認した結果、特図変動中フラグ203dがオンであれば(S326:Yes)、第1図柄表示装置37における変動表示における実変動の期間が終了したタイミングであるので、停止保持時間を特図制御タイマ204にセットし(S327)、第1図柄表示装置37の停止図柄に対応した表示態様が設定される(S328)。次いで、特図変動中フラグ203dをオフし(S329)、停止表示フラグ203fをオンして(S330)、この特別図柄変動処理(S206)を終了する。よって、S327及びS328の処理の結果として、第1図柄表示装置37では、設定された停止表示のデータに従う停止表示態様が停止表示され、その停止表示は、特図制御タイマ204にセットされた停止保持時間だけ継続されることになる。
ここで、S328における停止図柄の設定は、第1当たり乱数カウンタC1の値に応じて大当たりか否かが決定されると共に、大当たりである場合には第1当たり種別カウンタC2の値により大当たり後に高確率状態となる図柄か低確率状態となる図柄かが決定される。本実施の形態では、大当たり後に高確率状態になる場合には赤色のLEDを点灯させ、低確率状態になる場合には緑色のLEDを点灯させ、外れである場合には青色のLEDを点灯させる。なお、各LEDの表示は、次の変動表示が開始される場合に点灯が解除されるが、変動の停止後数秒間のみ点灯させるものとしても良い。
S328の処理で停止図柄に対応した第1図柄表示装置37の表示態様が設定されると、第3図柄表示装置81の変動停止を第1図柄表示装置37におけるLEDの点灯と同調させるために停止コマンドが設定される(S310)。音声ランプ制御装置113は、この停止コマンドを受信すると、表示制御装置114に対して停止指示をする。第3図柄表示装置81は、変動時間が経過すると変動が停止し、停止コマンドを受信することで、第3図柄表示装置81における1の変動演出が終了する。
一方で、S326の処理により確認した結果、特図変動中フラグ203dがオフであれば(S326:No)、第1図柄表示装置37における変動表示における停止表示の期間が終了したタイミングであるので、停止表示フラグ203fをオフし(S333)、第1図柄表示装置37及び第3図柄表示装置81において実行中の変動表示を終了するために、図18を参照しつつ後述する変動終了処理を実行し(S334)、特図制御中フラグ203cをオフして(S335)、この特別図柄変動処理(S206)を終了する。
また、S325の処理により確認した結果、特図制御タイマ204が0でなければ(S325:No)、変動表示(実変動及び停止表示)の実行期間であるので、停止表示フラグ203fがオンであるかを確認し(S331)、停止表示フラグ203fがオンであれば(S331:Yes)、第1図柄表示装置37は停止表示の期間中であるので、停止表示を保持するために、そのまま、この特別図柄変動処理(S206)を終了する。
一方で、S331の処理により確認した結果、停止表示フラグ203fがオフであれば(S331:No)、第1図柄表示装置37は実変動の表示期間中であるので、第1図柄表示装置37の表示を更新し(S332)、この特別図柄変動処理(S206)を終了する。
本実施の形態では、第1図柄表示装置37のLED37aの内、変動が開始されてから変動時間が経過するまでは、例えば、現在点灯しているLEDが赤であれば、その赤のLEDを消灯すると共に緑のLEDを点灯させ、緑のLEDが点灯していれば、その緑のLEDを消灯すると共に青のLEDを点灯させ、青のLEDが点灯していれば、その青のLEDを消灯すると共に赤のLEDを点灯させる表示態様が設定される。
なお、変動処理は4ms毎に実行されるが、その変動処理の実行毎にLEDの点灯色を変更すると、LEDの点灯色の変化を遊技者が確認することができない。そこで、遊技者がLEDの点灯色の変化を確認することができるように、変動処理が実行される毎にカウンタ(図示せず)を1カウントし、そのカウンタが100に達した場合に、LEDの点灯色の変更を行う。即ち、0.4s毎にLEDの点灯色の変更を行っている。なお、カウンタの値は、LEDの点灯色が変更されたら、0にリセットされる。
次に、図12を参照して、上記した変動開始処理(S323)について説明する。図12は、特別図柄変動処理(図11参照)の中で実行される変動開始処理(S323)を示すフローチャートである。図12に示すように、この変動開始処理(S323)では、まず、各割込処理の発生を禁止し(S401)、保留球格納エリアの状態を更新する保留球格納エリア順送り処理を実行する(S402)。
ここで、図13を参照して、この保留球格納エリア順送り処理(S402)について説明する。図13は、変動開始処理(図12参照)の中で実行される保留球格納エリア順送り処理(S402)を示すフローチャートである。
図13に示すように、この保留球格納エリア順送り処理(S402)では、まず、保留球数メモリ203aの値を1減算し(S1401)、保留球格納エリアに格納されているデータ(各カウンタの乱数値)を、実行エリア側に1ブロック分順送りする(S1402)。即ち、このS1402では、保留第1エリア→実行エリア、保留第2エリア→保留第1エリア、保留第3エリア→保留第2エリア、保留第4エリア→保留第3エリアといった具合に各エリア内のデータがシフトされる。S1402の処理後、順送りの結果として不要になった保留球格納エリアのデータをクリアし(S1403)、この保留球格納エリア順送り処理(S402)を終了する。
再度、図12に戻って説明する。上記した保留球格納エリア順送り処理(S402)の実行後、割込みを許可して(S403)、保留球格納エリアの実行エリアに格納されているデータ(各カウンタの乱数値)に応じた停止パターン又は停止図柄を決定する大当たり判定処理を実行する(S404)。なお、この大当たり判定処理(S404)における詳細な処理については、図14を参照して後述する。
大当たり判定処理(S404)の実行後、第3図柄表示装置81及び第1図柄表示装置37における変動表示の変動パターンを決定する変動パターン決定処理を実行する(S405)。なお、この変動パターン決定処理(S405)における詳細な処理については、図16を参照して後述する。
詳細は後述するが、変動パターン決定処理を実行する(S405)では、保留球数に応じた変動時間に対応する1単位(本実施の形態では2バイト)の変動パターンコマンドが作成されるので、第1図柄表示装置37及び第3図柄表示装置81で実行される変動表示の変動時間もまた決定される。よって、大当たり判定処理(S404)及び変動パターン決定処理(S405)が実行された結果として、第1図柄表示装置37及び第3図柄表示装置81では、変動パターン決定処理(S405)により決定された変動パターンでの変動表示が開始され、その変動表示が保留球数に応じて決定された変動時間だけ行われた後、大当たり判定処理(S404)により決定された停止パターン又は停止図柄で停止されることになる。
変動パターン決定処理(S405)の実行後、特図変動中フラグ203dをオンし(S406)、変動開始要求フラグ203eをオフし(S407)、この変動開始処理(S323)を終了する。
次に、図14を参照して、上記した大当たり判定処理(S404)について説明する。図14は、変動開始処理(図12参照)の中で実行される大当たり判定処理(S404)を示すフローチャートである。
図14に示すように、この大当たり判定処理(S404)では、まず、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている第1当たり乱数カウンタC1の値に基づいて大当たりか否かを判別する(S1421)。大当たりか否かは第1当たり乱数カウンタC1の値とその時々のモードとの関係に基づいて判別される。前述した通り通常の低確率時には第1当たり乱数カウンタC1の数値0〜738のうち「373,727」が当たり値であり、高確率時には「59,109,163,211,263,317,367,421,479,523,631,683,733」が当たり値である。
大当たりであると判別された場合(S1421:Yes)、大当たり判定フラグ203gをオンし(S1422)、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている第1当たり種別カウンタC2の値を確認して、大当たり時の表示態様が設定される(S1423)。S1423の処理では、第1当たり種別カウンタC2の値に基づき、大当たり時の表示態様が、大当たり後に高確率状態へ移行する確変大当たりであるか、大当たり後に低確率状態へ移行する時短大当たりであるかが設定される。
また、S1423の処理では、大当たり後の移行状態が設定されると、第1図柄表示装置37の表示態様(LED37aの点灯状態)が設定される。なお、第1当たり種別カウンタC2の数値0〜4のうち、「0,4」の場合は、以後、低確率状態に移行し、「1,2,3」の場合は高確率状態に移行する。
S1423の処理後、大当たり後の移行状態に基づいて、第1図柄表示装置及び第3図柄表示装置81で停止表示される大当たりの停止パターン又は停止図柄を決定する大当たり時設定処理を実行し(S1424)、この大当たり判定処理(S404)を終了する。
ここで、図15を参照して、大当たり時設定処理(S1424)について説明する。図15は、大当たり判定処理(図14参照)の中で実行される大当たり時設定処理(S1424)を示すフローチャートである。
図15に示すように、この大当たり時設定処理(S1424)では、まず、S1423において設定された大当たり時の表示態様が何であるかを確認する(S1501)。S1501の処理により確認した結果、設定された表示態様が確変大当たりである場合には(S1501:確変大当たり)、時短カウンタ203bの値を0に設定し(S1502)、高確率フラグ203hをオンする(S1503)。次いで、停止パターン又は停止図柄を決定するための停止パターン設定値を「4」に設定し(S1504)、時短フラグ203iをオンして(S1505)、この大当たり時設定処理(S1424)を終了する。
一方で、S1501の処理により確認した結果、設定された表示態様が時短大当たりである場合には(S1501:時短大当たり)、時短カウンタ203bの値を100に設定し(S1506)、高確率フラグ203hをオフする(S1507)。次いで、停止パターン又は停止図柄を決定するための停止パターン設定値を「3」に設定し(S1508)、時短フラグ203iをオンして(S1505)、この大当たり時設定処理(S1424)を終了する。
再度、図14に戻って説明する。S1421の処理により大当たりでないと判別された場合には(S1421:No)、外れ時の表示態様が設定される(S1425)。S1425の処理では、第1図柄表示装置37の表示態様(LED37aの点灯状態)を外れ図柄に対応した表示態様に設定すると共に、保留球格納エリアの実行エリアに格納されている停止パターン選択カウンタC3の値に基づいて、第3図柄表示装置81において表示させる演出を、前後外れリーチであるか、前後外れ以外リーチであるか、完全外れであるかを設定する。本実施の形態では、上述したように、高確率状態であるか、低確率状態であるか、及び保留球数メモリ203aの値(即ち、作動保留個数N)に応じて、停止パターン選択カウンタC3の各停止パターンに対応する値の範囲が異なるようテーブルが設定されている。
次いで、S1425において設定された外れ時の表示態様が、前後外れリーチであるかを確認し(S1426)、前後外れリーチであれば(S1426:Yes)、停止パターン又は停止図柄を決定するための停止パターン設定値を「2」に設定し(S1427)、この大当たり時設定処理(S1424)を終了する。
一方で、S1426の処理により確認した結果、前後外れリーチでなければ(S1426:No)、設定された外れ時の表示態様が前後外れ以外リーチであるかを確認する(S1428)。ここで、外れ時の表示態様が前後外れ以外リーチであれば(S1428:Yes)、停止パターン設定値を「1」に設定し(S1429)、この大当たり時設定処理(S1424)を終了する。
また、S1428の処理により確認した結果、前後外れ以外リーチでなければ(S1428:No)、設定された外れ時の表示態様は完全外れであるので、停止パターン設定値を「0」に設定し(S1429)、この大当たり時設定処理(S1424)を終了する。
次に、図16を参照して、上記した変動パターン決定処理(S405)について説明する。図16は、変動開始処理(図12参照)の中で実行される変動パターン決定処理(S405)を示すフローチャートである。
図16に示すように、この変動パターン決定処理(S405)では、まず、高確率フラグ203hがオンであるかを確認し(S1441)、高確率フラグ203hがオンであれば(S1441:Yes)、高確率用のリーチパターン決定テーブル(図示せず)を取得する(S1442)。一方で、S1441の処理により確認した結果、高確率フラグ203hがオフであれば(S1441:No)、低確率用のリーチパターン決定テーブル(図示せず)を取得する(S1450)。
上記したように、本実施の形態では、高確率フラグ203hがオン(高確率状態)であるか、オフ(低確率状態)であるかに応じて、それぞれ、高確率用のリーチパターン決定テーブル及び低確率用のリーチパターン決定テーブルが用意されている。よって、現在のパチンコ機10の状態が、高確率状態であるか低確率状態であるかに応じて、リーチパターンの選択比率を変更することができる。
例えば、高確率状態の場合には、大当たりが発生し易いため必要以上にリーチ演出が選択されないように、高確率用のリーチパターン決定テーブルは、「完全外れ」に対応する範囲が最も広く、「完全外れ」が選択され易く構成されている。また、この高確率用のリーチパターン決定テーブルでは、「ノーマルリーチ」及び「スーパーリーチ」に対応する範囲は比較的狭く、「ノーマルリーチ」及び「スーパーリーチ」が比較的選択され難いように構成されている。
一方で、低確率状態の場合には、第1入球口64への球の入球時間を確保できるように、低確率用のリーチパターン決定テーブルは、「完全外れ」に対応する範囲が、高確率用のリーチパターン決定テーブルにおける「完全外れ」の範囲に比べて狭く、高確率状態の場合に比べて「完全外れ」が選択され難いように構成されている。また、この低確率用のリーチパターン決定テーブルでは、「ノーマルリーチ」に対応する範囲が、遊技者の遊技意欲を減退させないように、「完全外れ」に比べて狭く、高確率用のリーチパターン決定テーブルにおける「ノーマルリーチ」の範囲に比べて広くなるように構成されている。そのため、低確率状態では、高確率状態に比べて「ノーマルリーチ」が選択され易くなっている。さらに、低確率用のリーチパターン決定テーブルでは、「スーパーリーチ」に対応する範囲は比較的狭く、「スーパーリーチ」が比較的選択され難いように構成されている。
S1442又はS1450の処理により、確率大当たりか時短大当たりかに応じたリーチパターン決定テーブルが取得されると、取得されたリーチパターン決定テーブルの中から、大当たり判定処理(S404)又は大当たり時設定処理(S1424)において設定された停止パターン設定値に応じたリーチパターン決定テーブルを取得する(S1433)。
次いで、S1433において取得されたリーチパターン決定テーブル(図示せず)と、RAM203のカウンタ用バッファに格納されている変動種別カウンタCS1,CS2の値とから、変動パターンを示す値である変動パターン判定値を取得する(S1444)。具体的には、第1変動種別カウンタCS1の値に基づいてノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等の大まかな図柄変動の基本変動時間を決定すると共に、第2変動種別カウンタCS2の値に基づいてリーチ発生後に最終停止図柄(本実施の形態では中図柄Z2)が停止するまでの基本変動時間(言い換えれば、基本変動図柄数)を決定する。即ち、S1444において取得された変動パターン判定値は、第1図柄表示装置37及び第3図柄表示装置81において実行される変動表示が開始されてから最終停止図柄で停止されるまでの基本変動時間を決定する値である。
なお、本実施の形態では、第1変動種別カウンタCS1の数値と基本変動時間との関係、第2変動種別カウンタCS2の数値と基本変動時間との関係は、それぞれにリーチパターン決定テーブル(図示せず)により予め規定されている構成とした。但し、上記の基本変動時間は、第2変動種別カウンタCS2の値を使わずに第1変動種別カウンタCS1の値だけを用いて設定することも可能であり、第1変動種別カウンタCS1の値だけで設定するか又は両変動種別カウンタCS1,CS2の両値で設定するかは、その都度の第1変動種別カウンタCS1の値や遊技条件などに応じて適宜決めることができる。
S1444の処理後、第3図柄表示装置81において実行される図柄(絵柄)の変動表示の変動パターンに対応する変動パターンコマンドを作成する変動パターンコマンド作成処理を実行する(S1445)。
ここで、図17を参照して、変動パターンコマンド作成処理(S1445)について説明する。図17は、変動パターン決定処理(図16参照)の中で実行される変動パターンコマンド作成処理(S1445)を示すフローチャートである。
図17に示すように、この変動パターンコマンド作成処理(S1445)では、まず、時短フラグ203iがオンであるかを確認し(S1601)、時短フラグ203iがオン、即ち、遊技状態が時短状態(確変状態又は変動時間短縮状態)である場合には(S1601:Yes)、第2ポインタテーブル202a2を取得する(S1602)。
一方で、S1601の処理により確認した結果、時短フラグ203iがオフ、即ち、遊技状態が通常状態である場合には(S1601:No)、第1ポインタテーブル202a1を取得する(S1607)。
S1602又はS1607の処理により、遊技状態に応じたポインタテーブル202a(第1ポインタテーブル202a1又は第2ポインタテーブル202a2)が取得されると、取得されたポインタテーブル202aを参照し、保留球数メモリ203aの値に応じた上位バイト取得ポインタを取得する(S1603)。
S1603の処理後、取得した上位バイト取得ポインタに基づいて、上位バイト取得テーブル202bから、変動パターンコマンドの上位バイトを取得する(S1604)。次いで、S1444において取得された変動パターン判定値を、変動パターンコマンドの下位バイトに設定する(S1605)。
S1605の処理後、上位バイト及び下位バイトの設定された1単位(本実施の形態では2バイト)の変動パターンコマンドを、出力用リングバッファ(図示せず)に設定し(S1606)、この変動パターンコマンド作成処理(S1445)を終了する。
S1606の処理によって出力用リングバッファに変動パターンコマンドが設定されると、第3図柄表示装置81において抽選結果(大当たり又は外れ)に応じた停止図柄で停止するまでの図柄(絵柄)の変動時間が決定される。
具体的には、出力用リングバッファに変動パターンコマンドが設定されると、設定された変動パターンコマンドは、音声ランプ制御装置113によって受信され、音声ランプ制御装置113における液晶演出実行管理処理(図25参照、S1109)によって、第3図柄表示装置81で行われる変動表示に要する時間が設定される。このとき、音声ランプ制御装置113では、受信した変動パターンコマンドの下位バイトが示す変動パターンの基本変動時間から、上位バイトが示す減算時間を減算することによって、第3図柄表示装置81で行われる変動表示に要する時間を設定する。
上記したように、減算時間を示す上位バイトは、S1604において、1の上位バイト取得ポインタに対して1の上位バイトが対応付けられている上位バイト取得テーブル202bから、S1603において取得された上位バイト取得ポインタに基づいて取得される。一方で、S1604において上位バイトを取得するために使用される上位バイト取得ポインタは、S1603において、遊技状態に応じて選択されるポインタテーブル202a(第1ポインタテーブル202a1,第2ポインタテーブル202a2)から、保留球数(保留球数メモリ203aの値)に応じて1の上位バイト取得ポインタが取得される。従って、変動パターンコマンドにおける上位バイトは、保留球数に応じた減算時間を示す。そのため、上位バイトが同一の変動パターンコマンドは、下位バイトが示す変動パターンの種類(即ち、基本変動時間)に依存することなく、同一の減算時間で減算された値を変動時間として、音声ランプ表示装置113に指示することになる。
このように、本実施の形態では、変動パターンの種類を示す下位バイトに対して、保留球数(保留球数メモリ203aの値)に応じた減算時間が共通の上位バイトを組み合わせて1単位の変動パターンコマンドとするので、従来において、各遊技状態における各変動パターンコマンド毎に多岐にわたって存在していた変動パターンコマンドの数を、減算時間に応じて共通化された上位バイトで括ることによって減らすことができる。
その結果、主制御装置110のROM202に記憶させるべき変動パターンコマンドの数の増大を抑制することができるので、ROM202に必要とされる記憶容量もまた抑制することができるのである。
また、変動パターンコマンドの数の増大を抑制した結果として、主制御装置110の設計開発時におけるデバック工数の増大もまた抑制され、検査負荷を軽減することが可能となる。
再度、図16に戻って説明する。上記した変動パターンコマンド作成処理(S1445)の実行後、大当たり判定処理(S404)又は大当たり時設定処理(S1424)において設定された停止パターン設定値に対応する停止図柄コマンドを、出力用リングバッファ(図示せず)に設定する(S1446)。
S1446において、大当たり時の表示態様又は外れ時の表示態様に応じた停止コマンドが出力用リングバッファに設定されると、第3図柄表示装置81で停止表示される大当たりの停止図柄が音声ランプ制御装置113及び表示制御装置114で設定される。即ち、大当たり時の表示態様又は外れ時の表示態様に応じた停止パターン設定値に応じて、第3図柄表示装置81における停止図柄が設定される。
S1446の処理後、S1444において取得された変動パターン判定値に基づいて、その変動パターン判定値に対応する変動パターンの基本変動時間を取得し(S1447)、S1603において取得した上位バイト取得ポインタに基づいて、減算時間テーブル202cから、減算時間を取得する(S1448)。
S1448の処理後、S1447において取得した基本変動時間から、S1448において取得した減算時間を差し引いた値を、第1図柄表示装置37において今回行う実変動の期間(実変動時間)として、特図制御タイマ204に設定し(S1449)、この変動パターン決定処理(S405)を終了する。
よって、上記したS1447〜S1449の処理の結果として、第1図柄表示装置37の実変動時間が設定されて、第1図柄表示装置37での変動表示と第3図柄表示装置81での変動表示とが同期して実行される。
上記したように、基本変動時間から減算される減算時間は、S1448において、1の上位バイト取得ポインタに対して1の減算時間が対応付けられている減算時間テーブル202cから、S1603において取得された上位バイト取得ポインタに基づいて取得される。一方で、S1448において減算時間を取得するために使用される上位バイト取得ポインタは、S1603において、遊技状態に応じて選択されるポインタテーブル202a(第1ポインタテーブル202a1,第2ポインタテーブル202a2)から、保留球数(保留球数メモリ203aの値)に応じて1の上位バイト取得ポインタが取得される。従って、S1448において取得された減算時間は、保留球数に応じて取得されるものである。
このように、本実施の形態では、第1図柄表示装置37で行われる実変動の時間を、変動パターン判定値に応じた変動パターンの基本変動時間から、保留球数に応じた減算時間を差し引くことによって得ることができるので、第1図柄表示装置37での変動表示と第3図柄表示装置81での変動表示とを簡易な制御によって実現することができる。
次に、図18を参照して、上記した変動終了処理(S334)について説明する。図18は、特別図柄変動処理(図11参照)の中で実行される変動終了処理(S334)を示すフローチャートである。
図18に示すように、この変動終了処理(S334)では、まず、大当たり判定フラグ203gがオンであるか確認し(S421)、オンであれば(S421:Yes)、現在実行中の動的表示(変動表示)を終了して、大当たり遊技を開始する(大当たり状態へ遷移する)タイミングであるので、大当たり開始時のデータを設定する(S422)。
ここで、S422の処理では、S1423において確認された第1当たり種別カウンタC2の値によって示される大当たりのパターンに応じた時間を設定する。設定する時間は、具体的には、大当たり開始時に出力されるファンファーレの出力時間、特定入賞口65aの開放時間(大当たり開放時間)と閉鎖時間(大当たり閉鎖時間)、および第3図柄表示装置81における大当たりの終了の際の演出であるエンディングの演出時間(エンディング時間)である。
なお、本実施の形態では、大当たりのパターンが異なっても、S422において設定される各時間は同じであるものとして構成されている。また、本実施の形態では、大当たりパターンに応じた時間をS422の処理によって大当たりの実行毎に設定するように構成しているが、必ずしも、S422の実行毎に設定を行う必要はない。また、このS422の処理によって、大当たり開放時間と大当たり閉鎖時間とエンディング時間とが設定されるが、このうち大当たり開放時間は特図制御タイマとは異なるタイマに設定され、大当たり閉鎖時間とエンディング時間とはRAM203の所定のエリアに書き込まれる。
また、S422の処理では、S1423において確認された第1当たり種別カウンタC2の値に対応するラウンド数をRAM203に設けられた送信バッファ(図示せず)に設定する。さらに、S422の処理では、ファンファーレ開始コマンドを出力用リングバッファ(図示せず)に設定する。
よって、S422において大当たり開始時のデータが設定された結果として、次のメイン処理のサイクルで大当たり状態に遷移すると共に、ファンファーレが出力され、更に、第1図柄表示装置37における7セグメント表示器37bにラウンド数が表示される。また、第1図柄表示装置37における複数のLED37aによって、始動入賞(第1入球口64への入球)を契機とした大当たりの抽選結果(確変大当たりか時短大当たりか)が通知される。
上記したS422の処理を実行した後、大当たり判定フラグ203gをオフして(S423)、この変動終了処理(S334)を終了する。
一方で、S421の処理により確認した結果、大当たり判定フラグ203fがオフであれば(S421:No)、大当たり遊技を開始することなく現在実行中の動的表示(変動表示)を終了するタイミングであるので、この場合には、時短カウンタ203bの値が0であるかを確認する(S424)。
S424の処理により確認した結果、時短カウンタ203bの値が0でなければ(S424:No)、時短カウンタ203bの値を1減算し(S425)、時短カウンタ203bの値が0であるかを再度確認する(S426)。ここで時短カウンタ203bの値が0であれば(S426:Yes)、変動時間短縮状態を終了するタイミングであるので、時短終了時(変動時間短縮状態終了時)のデータを設定し(S427)、時短フラグ203iをオフして(S428)、この変動終了処理(S334)を終了する。
なお、S427において時短終了時のデータを設定した結果として、第1図柄表示装置37における複数のLED37aの点灯状態の変化によって、遊技状態が時短状態から通常状態に遷移したことが通知される。また、第3図柄表示装置81において、変動時間短縮状態が終了したことを示す演出が実行される。
また、S424の処理により確認した結果、時短カウンタ203jの値が0であった場合(S424:Yes)、または、S426の処理により確認した結果、時短カウンタ203bの値が0でなかった場合(S426:No)には、変動終了時(変動時間短縮状態終了時以外の変動終了時)のデータを設定をする(S429)。
ここで、「変動終了時」が、例えば、確変状態終了のタイミングであれば、S429において変動終了時のデータを設定した結果として、第1図柄表示装置37における複数のLED37aの点灯状態の変化によって、遊技状態が確変状態から通常状態に遷移したことが通知される。また、第3図柄表示装置81において、変動時間短縮状態が終了したことを示す演出が実行される。
一方で、「変動終了時」が、確変状態終了のタイミングでなければ、第3図柄表示装置81においては、通常の変動終了時の演出が実行されると共に、第1図柄表示装置37におけるLED37aの点灯状態は、現状のまま維持される。
上記したS429の処理を実行した後、確変状態終了のタイミングであるかを確認する(S430)。ここで、遊技状態が確変状態の実行期間は、確変状態への遷移後(確変状態への遷移の条件を満たした大当たりの終了後)に、第1入球口64への球の入賞を条件として行われる抽選回数により規定されており、RAM203に設けられた非図示のカウンタによって計数されるように構成されている。このカウンタは、確変状態への遷移の条件を満たした大当たり(確変大当たり)が生じた場合に、規定値(例えば、数千〜数万程度)に設定される。そして、その大当たりの終了後、変動終了処理が実行される毎に、カウンタの値は1ずつ減算され、カウンタの値が「0」になった場合に、確変状態の実行期間が終了したと判断される。
S430の処理により確認した結果、確変状態の終了タイミングであれば(S430:Yes)、S427へ移行して時短フラグ203iをオフしてから、この変動終了処理(S334)を終了する。一方で、S430の処理により確認した結果、確変状態の終了タイミングでなければ(S430:No)、そのまま、この変動終了処理(S334)を終了する。
次に、図22及び図23を参照して、払出制御装置111内のMPU211により実行される払出制御について説明する。図22は、払出制御装置111の立ち上げ処理を示すフローチャートであり、この立ち上げ処理は電源投入時に起動される。まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S801)。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定すると共に、割込みモードを設定する。そして、RAMアクセスを許可すると共に(S802)、外部割込ベクタの設定を行う(S803)。
その後は、MPU211内のRAM213に関してデータバックアップの処理を実行する。具体的には、RAM213に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S804)、記憶されていなければ(S804:No)、バックアップデータは記憶されていないので、処理をS811へ移行する。RAM213に電源断の発生情報が記憶されていれば(S804:Yes)、RAM判定値を算出し(S805)、算出したRAM判定値が正常でなければ(S805:No)、即ち算出したRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致しなければ、バックアップされたデータは破壊されているので、かかる場合にも処理をS811へ移行する。図23のS917の処理で後述する通り、RAM判定値は、例えばRAM213の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。このRAM判定値に代えて、RAM213の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断するようにしても良い。
S811,S812のRAMの初期化処理では、RAM213の全ての領域を0クリアした後(S811)、RAM213の初期値を設定する(S812)。その後、MPU211の周辺デバイスの初期設定を行い(S809)、割込みを許可して(S810)、メイン処理へ移行する。
一方、電源断の発生情報が設定されており(S804:Yes)、且つRAM判定値(チェックサム値等)が正常であれば(S806:Yes)、RAM213にバックアップされたデータを保持したまま、電源遮断の発生情報をクリアすると共に(S807)、賞球の払い出しを待機させるために、払出許可フラグ213dをオフする(S808)。その後、MPU211の周辺デバイスの初期設定を行い(S809)、割込みを許可して(S810)、メイン処理へ移行する。
次に、図23のフローチャートを参照して、払出制御装置111内のMPU211により実行されるメイン処理を説明する。このメイン処理は、まず主制御装置110からの賞球コマンドや払出復帰コマンド、払出初期化コマンドを受信し、それらコマンドの種別を判定するコマンド判定処理を行う(S901)。該処理では、主制御装置110から送信された正常なコマンドを受信すると、払出許可フラグがオンされ、賞球や貸出球の払い出しが許可される。
コマンド判定処理(S901)が終わると、払い出しが許可されているか否か、即ち、払出許可フラグの状態が判別され(S902)、払い出しが許可されていなければ(S902:No)、未だ主制御装置110は立ち上がった状態にないので、かかる場合には、コマンド判定処理(S901)において払い出しの許可がなされるまでコマンド判定処理(S901)を繰り返し実行する。一方、S902の処理において払い出しが許可されていれば(S902:Yes)、状態復帰スイッチ120をチェックし、状態復帰動作開始と判定した場合に状態復帰動作を実行する(S903)。
その後、下皿50の状態の変化に応じて下皿満タン状態又は下皿満タン解除状態の設定を実行する(S904)。即ち、下皿満タンスイッチの検出信号により下皿50の満タン状態を判別し、下皿満タンになった時に、下皿満タン状態の設定を実行し、下皿満タンでなくなった時に、下皿満タン解除状態の設定を実行する。また、タンク球の状態の変化に応じてタンク球無し状態又はタンク球無し解除状態の設定を実行する(S905)。即ち、タンク球無しスイッチの検出信号によりタンク球無し状態を判別し、タンク球無しになった時に、タンク球無し状態の設定を実行し、タンク球無しでなくなった時に、タンク球無し解除状態の設定を実行する。その後、報知する状態の有無を判別し、報知する状態が有る場合には、払出制御装置111に設けた7セグメントLEDにより報知する(S906)。
次に、S907〜S909の各処理により、賞球払出の処理を実行する。即ち、賞球の払出不可状態でなく且つ記憶した総賞球個数が0でなければ(S907:No,S908:No)、賞球の払い出しを行うために賞球制御処理を開始する(S909)。一方、賞球の払出不可状態(S907:Yes)または総賞球個数が0であれば(S908:Yes)、貸球払出の処理に移行する。
S910〜S912の貸球払出の処理では、貸球の払出不可状態でなく且つカードユニットからの貸球払出要求を受信していれば(S910:No,S911:Yes)、貸球を払い出しために貸球制御処理を開始する。一方、貸球の払出不可状態(S910:Yes)または貸球払出要求を受信していない場合には(S911:No)、処理をS913へ移行する。また、貸球制御処理(S912)の終了後も、同様に、処理をS913へ移行する。
S913の処理では、球詰まり状態であることを条件にバイブレータ134の制御(バイブモータ制御)を実行する(S913)。その後は、RAM213に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S914)、電源断の発生情報が記憶されていなければ(S914:No)、停電監視回路252から停電信号SG1は出力されておらず、電源は遮断されていないので、かかる場合には、処理をS901へ移行して、S901からS913のメイン処理を繰り返し実行する。
一方、S914の処理において、電源断の発生情報が記憶されていれば(S914:Yes)、停電の発生または電源のオフにより電源が遮断され、停電監視回路252から停電信号SG1が出力された結果、図21のNMI割込処理が実行されたということである。よって、かかる場合には、各割込処理の発生の禁止をし(S915)、主制御装置110から送信されるコマンドの受信漏れを防止するために、再度コマンド判定処理を実行する(S916)。そして、RAM判定値を算出してRAM213に保存し(S917)、RAM213のアクセスを禁止して(S918)、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。ここで、例えば、RAM判定値は、RAM213のバックアップされるスタックエリア及び作業エリアにおけるチェックサム値である。
なお、S914の処理は、払出制御装置111のメイン処理の1サイクルが終わるタイミングで電源断の発生情報を確認しているので、電源遮断前の状態から復帰する場合には、処理を立ち上げ処理の終了後、S901の処理から開始することができる。即ち、立ち上げ処理において初期化された場合と同様に、メイン処理を開始することができる。よって、電源遮断時の処理において、MPU211が使用している各レジスタの内容をスタックエリアへ退避したり、スタックポインタの値を保存しなくても、初期設定の処理(S801)において、スタックポインタを所定値(初期値)に設定することで、処理をS901から開始することができる。従って、払出制御装置111の制御負担を軽減することができると共に、払出制御装置111が誤動作したり暴走することなく正確な制御を行うことができる。また、各処理が終わったタイミングで電源断の処理が実行されるので、RAM213にバックアップする情報量を少なくすることができる。
次に、図24及び図25を参照して、音声ランプ制御装置113で行われる処理について説明する。図24は、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される立ち上げ処理を示したフローチャートであり、この立ち上げ処理は電源投入時に起動される。
立ち上げ処理が実行されると、まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S1001)。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定する。その後、電源断処理中フラグがオンしているか否かによって、今回の立ち上げ処理が瞬間的な電圧降下(瞬間的な停電、所謂「瞬停」)によって、S1115の電源断処理の実行途中に開始されたものであるか否かが判断される(S1002)。図25を参照して後述する通り、音声ランプ制御装置113は、主制御装置110から電源断コマンドを受信すると(図25のS1112参照)、S1115の電源断処理を実行する。かかる電源断処理の実行前に、電源断処理中フラグがオンされ、該電源断処理の終了後に、電源断処理中フラグはオフされる。よって、S1115の電源断処理が実行途中であるか否かは、電源断処理中フラグの状態によって判断できる。
電源断処理中フラグがオフであれば(S1002:No)、今回の立ち上げ処理は、電源が完全に遮断された後に開始されたか、瞬間的な停電が生じた後であってS1115の電源断処理の実行を完了した後に開始されたか、或いは、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって(主制御装置110からの電源断コマンドを受信することなく)開始されたものである。よって、これらの場合には、RAM223のデータが破壊されているか否かを確認する(S1003)。
RAM223のデータ破壊の確認は、次のように行われる。即ち、RAM223の特定の領域には、S1006の処理によって「55AAh」のキーワードとしてのデータが書き込まれている。よって、その特定領域に記憶されるデータをチェックし、該データが「55AAh」であればRAM223のデータ破壊は無く、逆に「55AAh」でなければRAM223のデータ破壊を確認することができる。RAM223のデータ破壊が確認されれば(S1003:Yes)、S1004へ移行して、RAM223の初期化を開始する。一方、RAM223のデータ破壊が確認されなければ(S1003:No)、S1008へ移行する。
なお、今回の立ち上げ処理が、電源が完全に遮断された後に開始された場合には、RAM223の特定領域に「55AAh」のキーワードは記憶されていないので(電源断によってRAM223の記憶は喪失するから)、RAM22のデータ破壊と判断され(S1003:Yes)、S1004へ移行する。一方、今回の立ち上げ処理が、瞬間的な停電が生じた後であってS1115の電源断処理の実行を完了した後に開始されたか、或いは、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって開始された場合には、RAM223の特定領域には「55AAh」のキーワードが記憶されているので、RAM22のデータは正常と判断されて(S1003:No)、S1008へ移行する。
電源断処理中フラグがオンであれば(S1002:Yes)、今回の立ち上げ処理は、瞬間的な停電が生じた後であって、S1115の電源断処理の実行途中に、音声ランプ制御装置113のMPU221にリセットがかかって開始されたものである。かかる場合は電源断処理の実行途中なので、RAM223の記憶状態は必ずしも正しくない。よって、かかる場合には制御を継続することはできないので、処理をS1004へ移行して、RAM223の初期化を開始する。
S1004の処理では、RAM223の全範囲の記憶領域をチェックする(S1004)。チェック方法としては、まず、1バイト毎に「0FFh」を書き込み、それを1バイト毎に読み出して「0FFh」であるか否かを確認し、「0FFh」であれば正常と判別する。かかる1バイト毎の書き込み及び確認を、「0FFh」に次いで、「55h」、「0AAh」、「00h」の順に行う。このRAM223の読み書きチェックにより、RAM223のすべての記憶領域が0クリアされる。
RAM223のすべての記憶領域について、読み書きチェックが正常と判別されれば(S1005:Yes)、RAM223の特定領域に「55AAh」のキーワードを書き込んで、RAM破壊チェックデータを設定する(S1006)。この特定領域に書き込まれた「55AAh」のキーワードを確認することにより、RAM223にデータ破壊があるか否かがチェックされる。一方、RAM223のいずれかの記憶領域で読み書きチェックの異常が検出されれば(S1005:No)、RAM223の異常を報知して(S1007)、電源が遮断されるまで無限ループする。RAM223の異常は、表示ランプ34により報知される。なお、音声出力装置226により音声を出力してRAM223の異常報知を行うようにしても良い。
S1008の処理では、電源断フラグがオンされているか否かを判別する(S1008)。電源断フラグはS1115の電源断処理の実行時にオンされるので(図25のS1114参照)、電源断フラグがオンされた状態でS1008の処理に至るのは、今回の立ち上げ処理が、瞬間的な停電が生じた後であってS1115の電源断処理の実行を完了した後に開始された場合である。従って、かかる場合には(S1008:Yes)、音声ランプ制御装置113の各処理を初期化するためにRAMの作業エリアをクリアし(S1009)、RAM223の初期値を設定した後(S1010)、割込み許可を設定して(S1011)、メイン処理へ移行する。なお、RAM223の作業エリアとしては、主制御装置110から受信したコマンド等を記憶する領域以外の領域をいう。
一方、電源断フラグがオフされた状態でS1008の処理に至るのは、今回の立ち上げ処理が、例えば電源が完全に遮断された後に開始されたためにS1004からS1006の処理を経由してS1008の処理へ至ったか、或いは、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって(主制御装置110からの電源断コマンドを受信することなく)開始された場合である。よって、かかる場合には(S1008:No)、RAM223の作業領域のクリア処理であるS1009をスキップして、処理をS1010へ移行し、RAM223の初期値を設定した後(S1010)、割込み許可を設定して(S1011)、メイン処理へ移行する。
なお、S1009のクリア処理をスキップするのは、S1004からS1006の処理を経由してS1008の処理へ至った場合には、S1004の処理によって、既にRAM223のすべての記憶領域はクリアされているし、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって、立ち上げ処理が開始された場合には、RAM223の作業領域のデータをクリアせず保存しておくことにより、音声ランプ制御装置113の制御を継続できるからである。
次に、図25を参照して、音声ランプ制御装置113の立ち上げ処理後に実行されるメイン処理について説明する。図25は、音声ランプ制御装置113のMPU221により実行されるメイン処理を示したフローチャートである。メイン処理が実行されると、まず、メイン処理が開始されてから1ms以上が経過したか否かが判別され(S1101)、1ms以上経過していなければ(S1101:No)、S1102〜S1109の処理を行わずにS1110の処理へ移行する。S1101の処理で、1ms経過したか否かを判別するのは、S1102〜S1109が表示(演出)に関する処理であり、短い周期(1ms以内)で編集する必要がないのに対して、S1110の各カウンタの更新処理やS1111のコマンドの受信処理を短い周期で実行する方が好ましいからである。これにより、主制御装置110から送信されるコマンドの受信洩れを防止できる。
S1101の処理で1ms以上経過していれば(S1101:Yes)、表示ランプ34の点灯態様の設定や後述するS1107の処理で編集されるランプの点灯態様となるよう各ランプの出力を設定し(S1102)、その後電源投入報知処理を実行する(S1103)。電源投入報知処理は、電源が投入された場合に所定の時間(例えば30秒)電源が投入されたことを知らせる報知を行うものであり、その報知は音声出力装置226やランプ表示装置227により行われる。また、第3図柄表示装置81の画面において電源が供給されたことを報知するようコマンドを表示制御装置114に送信するものとしても良い。なお、電源投入時でなければ、電源投入報知処理による報知は行わずにS1104の処理へ移行する。
S1104の処理では客待ち演出が実行され、その後、保留個数表示更新処理が実行される(S1105)。客待ち演出では、パチンコ機10が遊技者により遊技されない時間が所定時間経過した場合に、第3図柄表示装置81の表示をタイトル画面に切り替える設定などが行われ、その設定がコマンドとして表示制御装置114に送信される。保留個数表示更新処理では、保留球数、即ち、保留球数メモリ203aの値に応じて保留ランプ85を点灯させる処理が行われる。
その後、枠ボタン入力監視・演出処理が実行される(S1106)。この枠ボタン入力監視・演出処理では、演出効果を高めるために遊技者に操作される枠ボタン22が押されたか否かの入力を監視し、枠ボタン22の入力が確認された場合に対応した演出を行うよう設定する処理である。例えば、変動表示開始時に予告キャラが出現した場合に枠ボタン22を押すことで今回の変動による大当たりの期待値を表示したり、リーチ演出中に枠ボタン22を押すことで大当たりへの期待感を持てる演出に変更したり、複数のリーチ演出のうち1のリーチ演出を選択するための決定ボタンとしても良い。なお、枠ボタン22が配設されていない場合には、S1106の処理は省略される。
枠ボタン入力監視・演出処理が終わると、ランプ編集処理が実行され(S1107)、その後音編集・出力処理が実行される(S1108)。ランプ編集処理では、第3図柄表示装置81で行われる表示に対応するよう電飾部29〜33の点灯パターンなどが設定される。音編集・出力処理では、第3図柄表示装置81で行われる表示に対応するよう音声出力装置226の出力パターンなどが設定され、その設定に応じて音声出力装置226から音が出力させる。
その後、液晶演出実行管理処理が実行され(S1109)、S1110の処理へ移行する。液晶演出実行管理処理(S1109)では、主制御装置110から送信される変動パターンコマンド等に基づいて第3図柄表示装置81で行われる変動表示に要する時間と同期した時間が設定される。
例えば、主制御装置110から変動パターンコマンドを受信した場合には、受信した変動パターンコマンドの下位バイトが示す変動パターンの基本変動時間から、上位バイトが示す減算時間を減算することによって、第3図柄表示装置81で行われる変動表示に要する時間を設定する。
また、この液晶演出実行監視処理(S1109)で設定された時間に基づいてS1107のランプ編集処理やS1108の音編集・出力処理の演出時間が設定される。
S1110の処理では、第3図柄表示装置81の変動表示処理が実行される。この変動表示処理では、音声ランプ制御装置113に搭載された複数のカウンタ(大当たり時の停止図柄を設定するカウンタ、外れ時の停止図柄を選択するカウンタなど)が更新され、そのカウンタの値と主制御装置110から送信される変動パターンコマンドや停止図柄コマンドに基づき第3図柄表示装置81で停止表示される図柄を設定したり、変動表示のパターン(前後外れリーチ、前後外れ以外リーチ、完全外れ)などが設定される。その停止図柄や変動パターンは、コマンドとして表示制御装置114に送信される。
S1110の処理では、例えば、主制御装置110から送信される変動パターンのコマンドが「完全外れ」である場合、完全外れに対応した複数のパターンのうち完全外れAパターンが選択され、第3図柄表示装置81で完全外れAパターンの演出が行われるよう表示制御装置110に対してコマンドが送信される。よって、主制御装置110により決定された1の変動パターンに対して、第3図柄表示装置81で表示される詳細な変動パターンが音声ランプ制御装置113で決定されるので、主制御装置110の制御負担を軽減することができる。さらに、主制御装置110において決定される各演出のパターンを少なくできるので、ROM202の記憶容量を少なくすることができ、コスト低減を図ることができる。
そして、主制御装置110からのコマンドを受信する(S1111)。主制御装置110からのコマンドを受信すると、そのコマンドに応じて音声ランプ制御装置113で用いるコマンドであればそのコマンドに対応した処理を行い、処理結果をRAM233に記憶し、表示制御装置114で用いるコマンドであればそのコマンドを表示制御装置114に送信する。
S1111の処理が終わると、ワークRAM233に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別する(S1112)。電源断の発生情報は、主制御装置110から電源断コマンドを受信した場合に記憶される。S1112の処理で電源断の発生情報が記憶されていれば(S1112:Yes)、電源断フラグ及び電源断処理中フラグを共にオンして(S1114)、電源断処理を実行する(S1115)。電源断処理の実行後は、電源断処理中フラグをオフし(S1116)、その後、処理を、無限ループする。電源断処理では、割込処理の発生を禁止すると共に、各出力ポートをオフして、音声出力装置226およびランプ表示装置227からの出力をオフする。また、電源断の発生情報の記憶も消去する。
一方、S1112の処理で電源断の発生情報が記憶されていなければ(S1112:No)、RAM223に記憶されるキーワードに基づき、RAM223が破壊されているか否かが判別され(S1113)、RAM223が破壊されていなければ(S1113:No)、S1101の処理へ戻り、繰り返しメイン処理が実行される。一方、RAM223が破壊されていれば(S1113:Yes)、以降の処理の実行を停止させるために、処理を無限ループする。ここで、RAM破壊と判別されて無限ループするとメイン処理が実行されないので、その後第3図柄表示装置81による表示が変化しない。よって、遊技者は、異常が発生したことを知ることができるので、ホールの店員などを呼びパチンコ機10の修復などを頼むことができる。また、RAM223が破壊されていると確認された場合に、音声出力装置226やランプ表示装置227によりRAM破壊の報知を行うものとしても良い。
次に、図26と図27とを参照して、表示制御装置114で行われる処理について説明する。なお、説明の便宜上、図27の外部割込み処理を先に説明し、その後、図26のメイン処理を説明する。
図27は、表示制御装置114内のMPU241により実行される外部割込み処理を示したフローチャートであり、音声ランプ制御装置113からコマンドを受信した場合に実行される。外部割込み処理が実行されると、S1301、S1302の処理により受信したコマンドの判定が行われる。受信したコマンドが演出許可コマンドであれば(S1301:Yes)、ワークRAM233の演出許可フラグ233aをオンして(S1306)、外部割込み処理を終了する。さらに、受信したコマンドが変動パターンコマンドであれば(S1301:No、S1302:Yes)、ワークRAM233の変動開始フラグ233bをオンして(S1308)、外部割込み処理を終了する。
受信したコマンドが演出許可コマンド及び変動パターンコマンドでなければ(S1301:No、S1302:No)、その他の受信したコマンドに対応した処理が実行され(S1303)、外部割込み処理を終了する。例えば、受信したコマンドが停止コマンドであれば、第3図柄表示装置81で行われている変動を停止する処理が実行される。
図26は、表示制御装置114内のMPU241により実行されるメイン処理を示したフローチャートであり、このメイン処理は電源投入時に起動される。まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S1205)。具体的には、MPU231を初期設定し、ワークRAM233,ビデオRAM234の記憶をクリアする処理などが行われる。その後、キャラクタROM235のキャラクタ情報メモリ235bに記憶された圧縮形式のキャラクタ情報を読み出し(S1206)、読み出したキャラクタ情報を解凍して、解凍後のキャラクタ情報をキャラクタ情報記憶領域234bに記憶する(S1207)。更に、初期画面を表示するために、キャラクタ情報記憶領域234bに書き込まれたキャラクタ情報から初期画面に対応した情報を抽出して表示用記憶領域234aに書き込む(S1208)。
次に、主制御装置110から送信される演出許可コマンドを受信したかを判定するために演出許可フラグ233aがオンされているか否かを判別し(S1209)、演出許可フラグ233aがオンでなければ(S1209:No)、演出許可フラグ233aがオンされるまで、S1210以降の処理を待機する。
S1209の処理の結果、演出許可フラグ233aがオンされていれば(S1209:Yes)、大当たり中であるか否かが判別され(S1210)、大当たり中でなければ(S1210:No)、変動開始フラグ233bがオンされているか否かが判別される(S1211)。その結果、変動開始フラグ233bがオンされていれば(S1211:Yes)、1サイクル後のS1211の処理で既に変動開始されていることを判別可能とするために変動開始フラグ233bをオフして(S1212)、第3図柄表示装置81の表示画面に変動パターンコマンドに対応した変動を開始させる(S1213)。
一方、S1211の処理で確認した結果、変動開始フラグ233bがオフであった場合(S1211:No)、又は、S1213の処理で変動が開始されると、変動演出処理が行われる(S1214)。変動演出処理では、変動表示が継続して行われる場合には、キャラクタ情報や演出パターン情報が更新して設定され(キャラクタ情報記憶領域234bからのキャラクタ情報の新たな抽出と抽出されたキャラクタ情報の表示用記憶領域234aへの書き込み)、変動表示が行われていない場合には特に処理を行わずにS1215の処理へ移行する。ここで、S1215の処理では、第3図柄表示装置81における演出を行う処理(S1210〜S1224)を20ms毎に実行するために、S1210の処理が開始されてから20ms以上が経過したか否かを確認し(S1225)、否であれば20ms以上を経過するまで待機し(S1225:No)、20ms以上が経過していれば(S1225:Yes)、その処理をS1210の処理へ移行する。
また、S1210の処理の結果、大当たり中であれば(S1210:Yes)、大当たりの演出処理が実行される(S1216)。大当たり演出処理では、ラウンド数を更新したり、賞球数を更新したり、ラウンド毎に異なる背景の画像などの更新(キャラクタ情報記憶領域234bからのキャラクタ情報の新たな抽出と抽出されたキャラクタ情報の表示用記憶領域234aへの書き込み)を行う。大当たり演出処理(S1216)の終了後は、その処理をS1225の処理に移行する。
以上、説明したように、本実施の形態のパチンコ機10によれば、保留球数(保留球数メモリ203aの値)に応じて変動時間を変化させる場合であっても、主制御装置110において作成する1単位(本実施の形態では2バイト)の変動パターンコマンドでは、上位バイトが、変動パターンの種類に依らずに保留球数に応じた減算時間によって共通化されている。よって、各遊技状態における各変動パターン毎に多岐に存在していた変動パターンコマンドの数を、減算時間に応じて共通化された上位バイトで括ることによって減らすことができる。
その結果、主制御装置110に記憶させるべき変動パターンコマンドの数の増大が抑制されるので、主制御装置110のROM202において必要とされる記憶領域もまた抑制され、装置コストを抑制することができる。
また、変動パターンコマンドの数の増大が抑制された結果として、主制御装置110の設計開発時におけるデバック工数の増大もまた抑制され、検査負荷を軽減することができる。
なお、減算時間を考慮しない変動パターンに対応する変動パターンコマンドと、減算時間に対応する加減算コマンドとの2種類のコマンドを用いることによって、減算された変動時間を得ることは可能であるが、2種類のコマンドを用いることによって、当然、使用されるコマンドの数が増加する。よって、主制御装置110のROM202において必要とされる記憶領域が増大すると共に、検査負荷も増大するので、この方法をとることは好ましくない。
また、本実施の形態のパチンコ機10によれば、変動パターンコマンドが、保留球数(保留球数メモリ203aの値)に応じた減算時間を示す上位1バイトと、基本変動時間での変動パターン(変動表示パターン)を示す下位1バイトとの2バイト構成であるので、コマンド構成が簡単であり、変動時間の短縮の制御が容易であると共に、パチンコ機10の設計開発時における作業者の設計負担や検査負担が軽減される。
なお、上記の実施形態では、保留球数に応じた減算時間を示す部分を上位バイトとし、変動パターン(変動表示パターン)を示す部分を下位バイトとして構成したが、保留球数に応じた減算時間を示す部分を下位バイトとし、変動パターンを示す部分を上位バイトとしてもよい。
以上、一実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記各実施の形態では、主制御装置110から変動パターンコマンドなどの各種コマンドが音声ランプ制御装置113に対して送信され、その音声ランプ制御装置113から表示制御装置114に対して表示の指示がなされるよう構成したが、主制御装置110から表示制御装置114へ直接コマンド(変動パターンコマンドなど)を送信するものとしても良い。また、表示制御装置に音声ランプ制御装置を接続して、表示制御装置から各音声の出力とランプの点灯を指示するコマンドを音声ランプ制御装置に送信するよう構成しても良い。さらに、音声ランプ制御装置と表示制御装置とを1の制御装置として構成し、この1の制御装置へ、主制御装置110から変動パターンコマンドなどの各種コマンドを出力するようにしても良い。
また、上記実施の形態においては、第1入球口64への入賞および第2入球口67の通過は、それぞれ最大4回まで保留されるように構成したが、最大保留回数は4回に限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定しても良い。また、第1入球口64への入賞に基づく変動表示の保留回数(保留球数)を、第3図柄表示装置81の一部においても、数字で、或いは、4つに区画された領域を保留回数分だけ異なる態様(例えば、色や点灯パターン)にして表示するようにしても良く、第1図柄表示装置37とは別体でランプ等の発光部材を設け、該発光部材によって保留回数を通知するように構成しても良い。
また、上記実施の形態に示すように、動的表示の一種である変動表示は、第3図柄表示装置81の表示画面上で識別情報としての図柄を縦方向にスクロールさせるものに限定されず、横方向あるいはL字形等の所定経路に沿って図柄を移動表示して行うものであっても良い。また、識別情報の動的表示としては、図柄の変動表示に限られるものではなく、例えば、1又は複数のキャラクタを図柄と共に、若しくは、図柄とは別に多種多様に動作表示または変化表示させて行われる演出表示なども含まれるのである。この場合、1又は複数のキャラクタが、第3図柄として用いられる。
また、上記実施の形態では、第1図柄表示装置37及び第3図柄表示装置81ではいずれも、実変動される時間(実変動時間)に対して、その実変動時間を、基本変動時間から減算時間を差し引くことによって得るように構成したが、実変動の時間に停止表示時間を加えた全体の変動表示に対して、その変動表示に要する時間を、基本変動時間から減算時間を差し引くことによって得るように構成してもよい。
また、上記実施の形態では、ポインタテーブル202aを用いて、保留球数(保留球数メモリ203aの値)に対応する上位バイト取得ポインタを得るように構成したが、保留球数に対応する上位バイトを直接取得する構成であってもよい。
また、上記実施の形態では、ポインタテーブル202aを、遊技状態が、通常状態であるか時短状態であるかに応じて異なるテーブル(第1ポインタテーブル202a1,第2ポインタテーブル202a2)を設けるように構成したが、その他の遊技状態(例えば、高確率状態、低確率状態など)を考慮した異なるポインタテーブルを設ける構成であってもよい。
また、上記実施の形態では、第1ポインタテーブル202a1と第2ポインタテーブル202a2とにおける同じ保留球数での上位バイト取得ポインタを比較した場合に、全ての保留球数において、第2ポインタテーブル202a1における上位バイト取得ポインタの方が、第1ポインタテーブル202a2における上位バイト取得ポインタより大きくなるように構成した。しかし、全ての保留球数において、上位バイト取得ポインタが、第2ポインタテーブル202a1>第1ポインタテーブル202a2である必要はなく、少なくとも一部の保留球数において、第2ポインタテーブル202a1における上位バイト取得ポインタの方が、第1ポインタテーブル202a2における上位バイト取得ポインタより大きくなるように構成することによって、有利度の高い遊技状態を効率的に使用したいと考える遊技者の要求を満たすことができる。
また、上記の実施形態では、変動種別カウンタCS1,CS2により図柄変動の変動時間を決定するように構成したが、RAM203に変動種別カウンタCS3を別途設け、その変動種別カウンタCS3によって、第1図柄表示装置37の表示態様に応じた第3図柄表示装置81において、図柄の変動以外に、予告演出を行うための演出パターンを選択させるように構成してもよい。即ち、変動種別カウンタCS3の値を、例えば、0〜162の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり162)に達した後に0に戻る構成とし、変動種別カウンタCS3の値に応じて、第3図柄表示装置81において、図柄の変動以外に行われる予告演出の演出パターンが選択されるようにしてもよい。
なお、予告演出の演出パターンとしては、例えば、変動している図柄を滑らせたり、リーチ演出の発生を予告するための予告キャラクタを通過させるなどのパターンが挙げられる。具体的には、予告演出に必要となる時間を変動時間に加算する演出パターンや、反対に変動表示される時間を短縮するために変動時間を減算する演出パターンや、変動時間を加減算しない演出パターンが選択される。ここで、変動表示時間が加減算される場合には、第3図柄表示装置81で大当たりの期待値が高くなる予告演出(例えば、変動図柄の変動時間を通常より長くしてスベリを伴わせるスベリ演出や予告キャラを表示させる演出、1の変動図柄の変動時間を通常より短くして即停止させる演出など)を行うことができる。また、第1当たり乱数カウンタC1の値が大当たりである場合は、2秒の加算値が選択される確率が高く設定されているので、遊技者は予告演出を確認することで大当たりを期待することができる。
よって、変動種別カウンタCS3を使用する場合には、S1605において下位バイトとして設定する変動パターンコマンドを、変動パターン判定値と変動種別カウンタCS3の値に応じたコマンドとするように構成してもよい。即ち、変動パターンの下位バイトが示す基本変動時間を、変動パターン判定値に対応する変動パターンの変動時間に、変動種別カウンタCS3の値に応じた予告演出の演出パターンに対応する演出時間を加算した時間として構成し、その基本変動時間から、上位バイトが示す減算時間を差し引くように構成してもよい。
あるいは、変動種別カウンタCS3を使用した場合に、S1606において変動パターンコマンドを出力用リングバッファに設定した後に、変動種別カウンタCS3の値に応じた予告演出の演出パターンに対応する演出時間の加算値に応じた演出時間加算コマンドを出力用リングバッファに設定するように構成してもよい。その結果、音声ランプ制御装置113では、変動パターンコマンドが示す変動時間に、演出時間加算コマンドが示す加算値が加算された演出時間が、第3図柄表示装置81で行われる変動表示に要する時間として設定されることになる。
なお、上記した変動種別カウンタCS3を設ける場合には、停止パターン選択カウンタC3と同様に、演出パターンが選択される乱数値の範囲が異なる複数のテーブルが設けられ、現在のパチンコ機10の状態が高確率状態であるか低確率状態であるか、保留球格納エリアのどのエリアに各乱数値が格納されているか等に応じて、各演出パターンの選択比率が異なるよう構成してもよい。
ここで、変動種別カウンタCS3の値の更新は、変動種別カウンタCS1,CS2の更新と同じタイミング、即ち、主制御装置110で実行されるメイン処理(図9参照)におけるS202及びS213の実行タイミングで行うように構成すればよい。
なお、変動種別カウンタCS3を使用する場合には、変動種別カウンタCS1,CS2により図柄変動の変動時間が上記したように決定されると共に、変動種別カウンタCS3により変動時間に加減算される時間が決定されることになる。よって、最終停止図柄が停止するまでの最終的な変動時間は、変動種別カウンタCS1,CS2,CS3により決定される。
従って、変動種別カウンタCS3を使用する場合には、第1図柄表示装置37における実変動中の変動時間は、S1449において計算された実変動時間と、変動種別カウンタCS3の値に応じた予告演出の演出パターンに対応する演出時間の加算値とに応じて決められることになる。
本発明を上記実施の形態とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、Vゾーン等の特別領域を有する入賞装置を有するいわゆる第2種パチンコ遊技機などに実施しても良い。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球など他の遊技機として実施するようにしても良い。
本発明を上記実施の形態とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施しても良い。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるパチンコ機として実施しても良い。また、Vゾーン等の特別領域を有する入賞装置を有し、その特別領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機に実施しても良い。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、スロットマシン、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する表示装置を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動表示が停止して確定表示され、その停止時の識別情報の組合せが特定のものであることを必要条件として、遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
また、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する表示装置を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の球の投入の後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップボタンの操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技が発生させられ、遊技者には、下部の受皿に多量の球が払い出されるものである。
以下に、本発明の遊技機および変形例を示す。図柄又は絵柄の表示を行う第1表示装置と、始動領域への遊技球の入球を検出する検出手段、その検出手段によって前記始動領域への入球が検出されたことを契機として遊技状態の抽選を行う抽選手段、その抽選手段による抽選結果に対応する前記図柄又は絵柄の表示を前記第1表示装置に停止表示によって行う前に、該第1表示装置において行われる前記図柄又は絵柄の変動表示の変動表示パターンを選定する変動表示パターン選定手段、その変動表示パターン選定手段により選定された変動表示パターンに対応する変動パターンコマンドを作成する変動パターンコマンド作成手段、その変動パターンコマンド作成手段により作成された変動パターンコマンドを出力する変動パターンコマンド出力手段、及び、前記抽選手段による抽選結果に応じた遊技状態に移行する遊技状態制御手段と、前記変動パターンコマンド出力手段から出力された変動パターンコマンドを受信した場合に、受信した変動パターンコマンドに対応する変動表示パターンで前記図柄又は絵柄の変動表示が行われるように、前記第1表示装置での変動表示を制御する表示制御手段とを備えた遊技機において、前記主制御手段は、前記表示制御手段による制御によって前記第1表示装置における前記図柄又は絵柄の変動表示中に、前記検出手段によって検出された遊技球の数を保留球数として記憶する保留球数記憶手段と、前記保留球数記憶手段に記憶される保留球数に応じた第1情報を取得する第1情報取得手段とを備え、前記変動パターンコマンド作成手段により作成される変動パターンコマンドは、前記第1情報取得手段により取得された第1情報又はその第1情報に対応する情報と、前記変動表示パターン選定手段により選定された変動表示パターンに対応する第2情報とを少なくとも含んで構成される1単位のコマンドであり、前記表示制御手段は、前記変動パターンコマンドを受信した場合に、受信した変動パターンコマンドに含まれる第2情報に対応する変動表示パターンでの変動表示を開始する第1変動表示開始手段と、その第1変動表示開始手段によって開始された変動表示を、前記第2情報に対応する変動表示パターンの基本変動時間と、前記第1情報又はその第1情報に対応する情報に応じた減算時間とから得られる変動表示時間だけ行った後、前記変動表示を前記抽選手段による抽選結果に対応する前記図柄又は絵柄で停止する第1変動表示手段とを備えていることを特徴とする遊技機1。
遊技機1において、前記主制御手段による制御に従って第1表示装置による前記図柄又は絵柄の変動表示に対応する変動表示を、識別情報を用いて行う第2表示装置を備え、前記主制御手段は、前記変動表示パターン選定手段により選定された変動表示パターンに対応する前記識別情報の変動表示を、前記第1変動表示開始手段による前記第1表示装置での前記図柄又は絵柄の変動表示の開始と同期させつつ、前記第2表示装置において開始する第2変動表示開始手段と、前記第2情報に対応する前記第1表示装置において行われる変動表示の変動表示パターンの基本変動時間と、前記第1情報取得手段により取得された第1情報又はその第1情報に対応する情報に応じた減算時間とに基づいて、前記第2表示装置で行われる識別情報の変動表示の変動表示時間を取得する変動表示時間取得手段と、前記第2変動表示開始手段により開始された識別情報の変動表示を、前記変動表示時間取得手段により取得された変動表示時間だけ行った後、該変動表示を抽選手段による抽選結果に対応する識別情報で停止する第2変動表示手段とを備えていることを特徴とする遊技機2。
遊技機1又は2において、保留球数と第1情報とを対応付けた第1情報記憶手段が遊技状態別に複数存在する場合に、遊技状態に応じた第1情報記憶手段が、選択手段によって選択される。選択手段によって遊技状態に応じた第1情報記憶手段が選択されると、第1情報取得手段によって、選択された第1情報記憶手段が参照されて、保留球数に応じた第1情報が取得されることを特徴とする遊技機3。
遊技機3において、前記第1情報記憶手段は、前記保留球数の増加に応じて減算時間が大きくなるように、前記第1情報が設定されていることを特徴とする遊技機4。
遊技機4によれば、第1情報記憶手段が、保留球数の増加に応じて減算時間が大きくなるように第1情報が設定されているので、遊技中に保留球数の増加に応じて減算時間が大きくことになる。よって、保留球数の増加に応じて消化速度が速くなるので、保留球数が上限に達している場合であっても、遊技者が遊技を一時停止せずとも、始動条件の成立が無効とされることを回避することができ、その結果として、遊技機の稼動率の低下を抑制できるという効果がある。
なお、この遊技機4において「保留球数の増加に応じて減算時間が大きくなるように」とは、保留球数が1又は所定数ずつ増加する毎に減算時間が増大するという意味だけではなく、規則的又は不規則的に適宜設定された保留球数を境界として減算時間が大きくなることを含む。また、その際の各境界の前後における減算時間の差は、同じ値であっても異なる値であってもよい。
遊技機3又は4において、前記第1情報記憶手段が複数存在する場合に、これらの複数の第1情報記憶手段は、少なくとも1の同じ保留球数において、有利度の高い遊技状態に対応する前記第1情報記憶手段に記憶される前記第1情報の方が、その遊技状態より有利度の低い遊技状態に対応する前記第1情報記憶手段に記憶される前記第1情報に比べて、減算時間が大きくなるように設定されていることを特徴とする遊技機5。
遊技機5によれば、第1情報記憶手段が複数存在する場合に、有利度の高い遊技状態に対する第1情報記憶手段の方が、その遊技状態より有利度の低い遊技状態に対する第1情報記憶手段に比べ、少なくとも1の同じ保留球数において減算時間が大きくなるように第1情報が設定されているので、有利度の高い遊技状態(例えば、通常状態と比較した場合の時短状態(確変状態及び変動時間短縮状態を含む))の方が、同じ保留球数であっても、それより有利度の低い遊技状態(例えば、時短状態(確変状態及び変動時間短縮状態を含む)と比較した場合の通常状態)に比べて減算時間が長く、その結果として、単位時間当たりの抽選回数が増えることになる。
一般的に、有利度の高い遊技状態では、遊技者は、その有利度の高い遊技状態を効率的に使用したいと考えるために、保留球数がより速く消化されることを所望する。例えば、大当たりの確率が高確率となる確変状態(時短状態の一種)であれば、単位時間当たりの抽選回数が増えた結果として、大当たりが早期に得られ易くなるので、遊技者に満足感を与え、結果的に、遊技の興趣性を向上させることができる。
よって、有利度の高い遊技状態に対して、同じ保留球数であっても、それより有利度の低い遊技状態に比べて減算時間が長くなるようなテーブルを用いることにより、遊技者の満足感が向上し、結果として、遊技の興趣性が向上するという効果がある。
また、ホール側からすれば、単位時間当たりの抽選回数が増えたことにより、球減りが通常状態に比べて少ない期間である時短状態(確変状態及び変動時間短縮状態)を早期に終わらせることができるので、利益性が向上するという効果がある。
遊技機1から5のいずれかにおいて、前記変動パターンコマンド作成手段により作成される1単位の変動パターンコマンドは、2バイト構成のコマンドであり、上位又は下位の一方にあたる1バイトが前記第1情報又はその第1情報に対応する情報で構成され、他方の1バイトが前記第2情報で構成されていることを特徴とする遊技機6。
遊技機6によれば、変動パターンコマンドが、保留球数に応じた減算時間を示す第1情報又はその第1情報に対応する情報である1バイトと、基本変動時間での変動表示パターンを示す第2情報との2バイト構成であるので、コマンド構成が簡単であり、変動時間の短縮の制御が容易であると共に、遊技機の設計開発時における作業者の設計負担や検査負担を軽減できるという効果がある。
遊技機1から6のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機であることを特徴とする遊技機7。中でも、パチンコ遊技機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示装置において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
遊技機1から6のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機8。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(ストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
遊技機1から6のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機9。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。