JP2007258342A - 熱電子型発電装置 - Google Patents

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香苗 村田
Hirobumi Funabashi
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Abstract

【課題】 トンネル現象によって一対の電極間を移動する熱電子を利用する熱電子型発電装置において、大きな発電量を実現するための技術を提供すること。
【解決手段】 熱電子型発電装置10は、熱源からの熱が加わる高温側電極32と、その高温側電極32に空間60を隔てて対向している低温側電極34を備えている。高温側電極32の表面32aは、平滑な面である。低温側電極34の表面34aには、複数の凹凸が形成されていることを特徴としている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、トンネル現象によって一対の電極間を移動する熱電子を利用する熱電子型発電装置に関する。
温度差に基づくエネルギーを電気エネルギーに変換する熱電子型発電装置が開発されている。熱電子型発電装置は、空間を隔てて対向している高温側電極と低温側電極を備えている。高温側電極は、熱源からの熱が加わるように構成されている。高温側電極と低温側電極を隔てている空間は、真空状態に保たれていることが多い。このため、高温側電極と低温側電極の間には、温度差が生じる。
従来から知られている熱電子型発電装置の一つに、高温側電極と低温側電極の間に外部から電界が与えられている型式のものがある。この型式の熱電子型発電装置では、外部からの電界によって、熱電子が高温側電極の表面から放出され、低温側電極の表面まで移動する。高温側電極と低温側電極の間に負荷が接続されていると、低温側電極に移動した電子は、負荷を介して高温側電極に戻ることができる。これにより、熱電子型発電装置は、負荷に対して電力を供給することができる。この型式の熱電子型発電装置は、高温側電極と低温側電極の間に電界を与えるための外部装置を必要としている。このため、熱電子型発電装置に必要とされる部品点数が増加する。
部品点数の少ない熱電子型発電装置の一つに、トンネル現象によって、熱電子を高温側電極と低温側電極の間を移動させる型式のものがある。この型式の熱電子型発電装置では、高温側電極と低温側電極の間の空間の距離が短く形成されている。高温側電極と低温側電極の間の距離は、数十nm以下に形成されている。このため、高温側電極の表面の熱電子は、トンネル現象によって高温側電極の表面から低温側電極の表面まで移動することができる。この型式の熱電子型発電装置は、電界を与えるための外部装置を必要としない。
この型式の熱電子型発電装置の一例は、特許文献1に開示されている。
特開2004−349398号公報
この型式の熱電子型発電装置では、大きな発電量を実現するための技術が望まれている。また、この型式の熱電子型発電装置では、大きな発電電圧を実現するための技術も望まれている。
本発明は、トンネル現象を利用する熱電子型発電装置において、大きな発電量を実現する技術又は大きな発電電圧を実現する技術を提供することを目的としている。
本発明は、以下に複数の熱電子型発電装置を提案する。いずれの熱電子型発電装置も、高温側電極の表面の形態と低温側電極の表面の形態に着目している点において共通しており、実質的に対応する特別な技術的特徴を有している。
本発明は、高温側電極の表面の形態と低温側電極の表面の形態が異なっていることを特徴としている。従来のこの型式の熱電子型発電装置では、高温側電極の表面は平滑に形成されており、低温側電極の表面も平滑に形成されている。したがって、従来のこの型式の熱電子型発電装置では、高温側電極の表面の形態と低温側電極の表面の形態が同一であると評価される。本発明者らは、高温側電極の表面の形態と低温側電極の表面の形態が異なっていると、熱電子型発電装置の発電量が増大したり、熱電子型発電装置の発電電圧が増大することを見出し、本発明を創作するに至ったのである。
即ち、本発明は、トンネル現象によって一対の電極間を移動する熱電子を利用する熱電子型発電装置に具現化することができる。本発明の第1の熱電子型発電装置は、熱源からの熱が加わる高温側電極と、その高温側電極に空間を隔てて対向している低温側電極を備えている。本発明の第1の熱電子型発電装置では、高温側電極の表面粗さと低温側電極の表面粗さが異なっていることを特徴としている。
高温側電極の表面粗さと低温側電極の表面粗さが異なっていると、高温側電極の表面の形態と低温側電極の表面の形態が異なっている評価できる。高温側電極の表面の形態と低温側電極の表面の形態が異なっていると、熱電子型発電装置の発電量が増大したり、熱電子型発電装置の発電電圧が増大する。
本発明の第1の熱電子型発電装置では、低温側電極の表面の方が、高温側電極の表面よりも算術平均粗さ(Ra)が小さくしてもよい。
上記関係になっていると、高温側電極と低温側電極の間の空間のエネルギー障壁の高さが減少する。このため、トンネル現象によって移動する熱電子量が増大し、熱電子型発電装置の発電量が増大する。
本発明の第1の熱電子型発電装置では、低温側電極の表面の方が、高温側電極の表面よりも凹凸の平均間隔(Sm)が小さくしてもよい。
上記関係になっていると、高温側電極と低温側電極の間の空間のエネルギー障壁の高さが減少する。このため、トンネル現象によって移動する熱電子量が増大し、熱電子型発電装置の発電量が増大する。
また、本発明の第1の熱電子型発電装置では、低温側電極の表面の方が、高温側電極の表面よりも算術平均粗さ(Ra)が小さく、且つ凹凸の平均間隔(Sm)が小さくなっているのが好ましい。上記現象が確実に得られ、熱電子型発電装置の発電量が増大する。
本発明の第1の熱電子型発電装置では、高温側電極の表面の方が、低温側電極の表面よりも算術平均粗さ(Ra)が小さくしてもよい。
上記関係になっていると、高温側電極と低温側電極の間の空間のエネルギー障壁の高さが増大する。このため、トンネル現象によって移動する熱電子量が減少する。特に、低温側電極から高温側電極まで移動する熱電子量が減少する。このため、高温側電極から低温側電極まで移動する熱電子量と低温側電極から高温側電極まで移動する熱電子量の差が増大する。したがって、両者を拮抗させるのに必要な電圧、即ち開放電圧が増大する。このため、熱電子型発電装置の発電電圧が増大する。
本発明の第1の熱電子型発電装置では、高温側電極の表面の方が、低温側電極の表面よりも凹凸の平均間隔(Sm)が小さくしてもよい。
上記関係になっていると、高温側電極と低温側電極の間の空間のエネルギー障壁の高さが増大する。このため、トンネル現象によって移動する熱電子量が減少する。特に、低温側電極から高温側電極まで移動する熱電子量が減少する。このため、高温側電極から低温側電極まで移動する熱電子量と低温側電極から高温側電極まで移動する熱電子量の差が増大する。したがって、両者を拮抗させるのに必要な電圧、即ち開放電圧が増大する。このため、熱電子型発電装置の発電電圧が増大する。
また、本発明の第1の熱電子型発電装置では、高温側電極の表面の方が、低温側電極の表面よりも算術平均粗さ(Ra)が小さく、且つ凹凸の平均間隔(Sm)が小さくなっているのが好ましい。上記現象が確実に得られ、熱電子型発電装置の発電電圧が増大する。
本発明の第2の熱電子型発電装置は、熱源からの熱が加わる高温側電極と、その高温側電極に空間を隔てて対向している低温側電極を備えている。高温側電極の表面は、平滑な面である。低温側電極の表面には、複数の凹凸が形成されていることを特徴としている。
低温側電極の表面にのみ複数の凹凸が形成されているので、高温側電極の表面の形態と低温側電極の表面の形態が異なっていると評価できる。低温側電極の表面にのみ複数の凹凸が形成されていると、空間のエネルギー障壁の高さが減少し、熱電子型発電装置の発電量が増大する。
本発明の第2の熱電子型発電装置では、低温側電極の複数の凹凸が、スパッタ法を利用して形成されていることが好ましい。スパッタ法を利用すると、電極の表面に複数の凹凸を形成することができる。
本発明の第2の熱電子型発電装置では、低温側電極の表面の複数の凹凸に基づいて求められる平均の曲率半径が、高温側電極の表面と低温側電極の表面の間の距離よりも小さいことが好ましい。
上記関係が得られていると、熱電子型発電装置の発電量が大幅に増大する。
なお、ここでいう凹凸は、様々な形態を含む広義の意味で解釈される。複数の凹凸を構成する個々の凹凸は、共通した形態である必要はなく、それぞれが固有の形態を有していてもよい。また、ここでいう凹凸の寸法は数nmから数十nmである。このため、個々の凹凸は、数百個ないし数千個の原子によって構成されている。したがって、個々の凹凸の形態は、個々の凹凸の輪郭を近似的に結ぶことによって評価される。このようにして捉えられた個々の凹凸の形態から、個々の凹凸の曲率半径が求められる。
本発明の第3の熱電子型発電装置は、熱源からの熱が加わる高温側電極と、その高温側電極に空間を隔てて対向している低温側電極を備えている。高温側電極の表面には、複数の凹凸が形成されている。低温側電極の表面は、平滑な面であることを特徴としている。
高温側電極の表面にのみ複数の凹凸が形成されているので、高温側電極の表面の形態と低温側電極の表面の形態が異なっていると評価できる。高温側電極の表面にのみ複数の凹凸が形成されていると、空間のエネルギー障壁の高さが増大し、熱電子型発電装置の発電電圧が増大する。
本発明の第3の熱電子型発電装置では、高温側電極の表面の複数の凹凸が、スパッタ法を利用して形成されていることが好ましい。スパッタ法を利用すると、電極の表面に複数の凹凸を形成することができる。
本発明の第3の熱電子型発電装置では、高温側電極の表面の複数の凹凸に基づいて求められる平均の曲率半径が、高温側電極の表面と低温側電極の表面の間の距離よりも小さいことが好ましい。
上記関係が得られていると、熱電子型発電装置の発電電圧が大幅に増大する。
本発明の第4の熱電子型発電装置は、熱源からの熱が加わる高温側電極と、その高温側電極に空間を隔てて対向している低温側電極を備えている。高温側電極の表面には、複数の凹凸が形成されている。さらに、低温側電極の表面にも、複数の凹凸が形成されている。本発明の他の一つの熱電子型発電装置では、高温側電極の表面の複数の凹凸に基づいて求められる平均の曲率半径と低温側電極の表面の複数の凹凸に基づいて求められる平均の曲率半径が異なっていることを特徴としている。
高温側電極の表面の複数の凹凸に基づいて求められる平均の曲率半径と低温側電極の表面の複数の凹凸に基づいて求められる平均の曲率半径が異なっていると、高温側電極の表面の形態と低温側電極の表面の形態が異なっていると評価できる。高温側電極の表面の形態と低温側電極の表面の形態が異なっていると、熱電子型発電装置の発電量が増大したり、熱電子型発電装置の発電電圧が増大することができる。
本発明の第4の熱電子型発電装置では、高温側電極の表面の複数の凹凸が、スパッタ法を用いて形成されているのが好ましい。さらに、低温側電極の表面の複数の凹凸も、スパッタ法を用いて形成されているのが好ましい。本発明の第4の熱電子型発電装置では、高温側電極の表面に複数の凹凸を形成する際のスパッタ法の製造条件と低温側電極の表面に複数の凹凸を形成する際のスパッタ法の製造条件が異なっていることを特徴としている。
スパッタ法を利用すると、電極の表面に複数の凹凸を形成することができる。したがって、スパッタ法の製造条件を異ならせると、高温側電極の複数の凹凸に基づいて求められる平均の曲率半径と低温側電極の複数の凹凸に基づいて求められる平均の曲率半径を異ならせることができる。
本発明によると、高温側電極の表面の形態と低温側電極の表面の形態が異なっていることによって、発電量が増大した熱電子型発電装置や、発電電圧が増大した熱電子型発電装置を提供することができる。
本発明の好ましい形態を列記する。
(第1形態) 高温側電極の材料には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、BaO等の仕事関数の小さい複合材料等が用いられる。
(第2形態) 低温側電極の材料には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、BaO等の仕事関数の小さい複合材料等が用いられる。
(第3形態) 高温側電極と低温側電極の間の空間の距離は、100nm以下である。
(第4形態) 高温側電極と低温側電極の間の空間は、真空状態である。
(第1実施例)
図1に、熱電子型発電装置10の構成を模式的に示す。熱電子型発電装置10は、トンネル現象によって一対の電極間を移動する熱電子を利用する型式である。このため、熱電子型発電装置10は、外部から電界を与えるための外部装置を備えていない。
熱電子型発電装置10は、第1層20と、高温側電極32と、低温側電極34と、第2層40を備えている。高温側電極32と低温側電極34は、空間60を隔てて対向している。なお、本明細書で高温側電極32の表面32aとは、高温側電極32の外表面のうち空間60に露出する面であり、低温側電極34に対向している面をいう。同様に、本明細書で低温側電極34の表面34aとは、低温側電極34の外表面のうち空間60に露出する面であり、高温側電極32に対向する面をいう。
第1層20の材料には、シリコン基板が用いられている。第1層20の材料には、シリコン基板に代えて、銅などの熱伝導率の高いものが用いられてもよい。第1層20は、熱源側に配置され、熱源からの熱を高温側電極32に伝熱する。
高温側電極32は、第1層20上に形成されている。高温側電極32の材料には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、BaO等の仕事関数の小さい複合材料等が用いられている。高温側電極32は、スパッタ法を利用して、第1層20上に形成されている。高温側電極32の表面32aは、平滑な面である。スパッタ法の製造条件を調整することによって、高温側電極32の表面32aを平滑にすることができる。
低温側電極34は、高温側電極32に空間60を隔てて対向している。低温側電極34の材料には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、BaO等の仕事関数の小さい複合材料等が用いられている。低温側電極34は、スパッタ法を利用して形成されている。なお、空間60は、図示しない犠牲層を除去することによって形成される中空空間である。したがって、低温側電極34は、スパッタ法を利用して、除去される前の犠牲層上に形成される。図示しない犠牲層を除去することによって、高温側電極32と低温側電極34が空間60を隔てて対向する関係が得られる。低温側電極34の表面34aには、複数の凹凸が形成されている。スパッタ法の製造条件を調整することによって、低温側電極34の表面34aに、複数の凹凸を形成することができる。
高温側電極32と低温側電極34の間の空間60の距離G60は、概ね0.1〜100nmで形成されている。空間60は、真空状態に保たれている。
第2層40は、低温側電極34上に形成されている。第2層40には、シリコンが用いられている。第2層40には、シリコンに代えて、銅などの熱伝導率の高いものが用いられてもよい。第2層40は、エピタキシャル成長法、CVD法、スパッタ法を利用して、低温側電極34上に形成されている。
高温側電極32と低温側電極34の間には、負荷50が接続されている。
次に、熱電子型発電素子10の動作を説明する。
外部の熱源からの熱が高温側電極32に加わると、高温側電極32の表面32aには、熱エネルギーを受けて運動エネルギーが増加した熱電子が増加する。高温側電極32と低温側電極34の間の空間60の距離G60が短く形成されているので、熱電子の一部は、トンネル現象によって高温側電極32の表面32aから低温側電極34の表面34aまで移動することができる。低温側電極34に移動した熱電子は、負荷50を介して高温側電極32に戻ることができる。これにより、熱電子型発電装置10は、負荷50に対して電力を供給することができる。
ここで、熱電子型発電素子10の特徴を説明する。熱電子型発電素子10は、高温側電極32の表面32aの形態と低温側電極34の表面34aの形態が異なっていることを特徴としている。熱電子型発電素子10は、高温側電極32の表面32aの表面粗さと低温側電極34の表面34aの表面粗さが異なっていることを特徴としている。高温側電極32の表面32aは平滑であり、低温側電極34の表面34aには複数の凹凸が形成されている。即ち、低温側電極34の表面34aの凹凸の平均間隔(Sm)は、高温側電極32の表面32aの凹凸の平均間隔(Sm)よりも小さい。高温側電極32の表面32aは平滑であり、凹凸の平均間隔(Sm)は実質的に無限大と評価される。表面粗さを測定する方法は特に限定されないが、例えば光学的手法を利用する方法、原子間力顕微鏡(AFM)を利用する方法、プローブを利用する方法等が用いられる。また、表面粗さが異なっているとは、好ましくは10%以上の差があることをいい、より好ましくは100%以上の差があることをいう。低温側電極34の表面34aの凹凸の平均間隔(Sm)は、高温側電極32の表面32aの凹凸の平均間隔(Sm)よりも小さいと、空間60のエネルギー障壁の高さが減少する。
また、低温側電極34の表面34aの形態は、形成されている複数の凹凸に基づいて求められる平均の曲率半径(以下、低温側電極34の平均曲率半径という)によっても評価される。ここでいう平均曲率半径は、以下の手法によって測定することができる。低温側電極34の表面34aを原子間力顕微鏡(AFM)又は走査型トンネル顕微鏡(STM)で観察すると、低温側電極34の表面34aに形成されている複数の凹凸の断面図が得られる。個々の凹凸の形態は、個々の凹凸の輪郭を近似的に結ぶことによって評価される。このようにして捉えられた個々の凹凸の形態から、個々の凹凸の形態の曲率半径が求められる。単位面積当たりに存在している凹凸の曲率半径の合計値を、存在する凹凸の個数で割ることによって、平均曲率半径が求められる。
高温側電極32の表面32aは平滑なので、平均曲率半径は実質的に無限大と評価される。したがって、低温側電極34の平均曲率半径は、高温側電極34の平均曲率半径よりも小さいと評価される。低温側電極34の平均曲率半径が、高温側電極34の平均曲率半径よりも小さいと、空間60のエネルギー障壁の高さが減少する。
図2に、空間60のエネルギー障壁を示す。図中の破線Refは、高温側電極32の表面32a及び低温側電極34の表面34aがいずれも平滑に形成されている場合である。実線10Aは、低温側電極34の平均曲率半径が、空間60の距離G60に略等しい場合である。実線10Bは、低温側電極34の平均曲率半径が、空間60の距離G60の約10分の1の場合である。
図2に示すように、低温側電極34の平均曲率半径が小さくなると、空間60のエネルギー障壁の高さが小さくなることが分かる。空間60のエネルギー障壁の高さが小さくなると、高温側電極32の表面32aに存在する熱電子が、トンネル現象によって高温側電極32の表面32aから低温側電極34の表面34aまで移動する現象が活発化する。このため、高温側電極32の表面32aから低温側電極34の表面34aまで移動する熱電子の量が増大する。これにより、熱電子型発電素子10は、大きな発電量を得ることができる。
図3に、熱電子型発電素子10の発電量が増大する様子を示す。図3の横軸は、空間60の距離G60に対する低温側電極34の平均曲率半径の比である。図3の縦軸は、高温側電極32の表面32a及び低温側電極34の表面34aがいずれも平滑に形成されている場合(図2の破線Ref)の発電量に対する熱電子型発電素子10の発電量の比である。
図3に示すように、低温側電極34の平均曲率半径が空間60の距離G60よりも小さくなると、熱電子型発電素子10の発電量が増大する。空間60の距離G60に対する低温側電極34の平均曲率半径の比が「1」を下回ると、熱電子型発電素子10の発電量は顕著に増大する。これにより、空間60の距離G60に対する低温側電極34の平均曲率半径の比が「1」を下回るように構成すると、熱電子型発電素子10の発電量が増大する。
熱電子型発電素子10の他の特徴を記載する。
(1)高温側電極32の表面32aの形態と低温側電極34の表面34aの形態を異ならせるためには、それらの製造条件を異ならせるのが好ましい。高温側電極32と低温側電極34は、スパッタ法を利用して形成されている。例えば、スパッタ法の製造条件のうち、成膜速度、温度、圧力等が、高温側電極32を作製するときと低温側電極34を作製するときの間で変更されていると、高温側電極32の表面32aの形態と低温側電極34の表面34aの形態を異ならせることができる。
(2)上記の熱電子型発電素子10では、高温側電極32の表面32aが平滑であり、低温側電極34の表面34aに凹凸が形成されている場合を示してきた。この例に代えて、高温側電極32の表面32aに凹凸が形成されており、低温側電極34の表面34aに凹凸が形成されていてもよい。この場合でも、低温側電極34の表面34aの方が、高温側電極32の表面32aよりも凹凸の平均間隔(Sm)が小さく形成されていると、低温側電極34の平均曲率半径が高温側電極32の平均曲率半径よりも小さくなる。さらに、低温側電極34の表面34aの方が、高温側電極32の表面32aよりも算術平均粗さ(Ra)が小さく形成されていると、低温側電極34の平均曲率半径が高温側電極32の平均曲率半径よりも小さくなる。したがって、空間60のエネルギー障壁の高さが小さくなり、熱電子型発電素子10は、大きな発電量を得ることができる。
熱電子型発電素子10のより詳細な検討を以下に説明する。
上記で説明したように、(1)低温側電極34の表面34aの算術平均粗さ(Ra)及び/又は凹凸の平均間隔(Sm)が高温側電極32の表面32aよりも小さいと、あるいは(2)低温側電極34の平均曲率半径が高温側電極34の平均曲率半径よりも小さいと、空間60のエネルギー障壁の高さが減少する。このことは、次のように説明される。空間60のエネルギー障壁の高さは、電極の仕事関数からバイアス効果に基づく減少幅と鏡像電荷効果に基づく減少幅を引き算することで決定される。バイアス効果に基づく空間60のエネルギー障壁の高さの減少幅は、上記(1)あるいは(2)の関係が満たされていると、大きくなる。一方、鏡像効果に基づく空間60のエネルギー障壁の高さの減少幅は、上記(1)あるいは(2)の関係が満たされていると、小さくなる。したがって、上記(1)あるいは(2)の関係が満たされているときに、バイアス効果に基づく空間60のエネルギー障壁の高さの減少幅が、鏡像効果に基づく空間60のエネルギー障壁の高さの減少幅を上回ると、空間60のエネルギー障壁の高さが減少する現象が確実に得られる。
以下の条件で熱電子型発電装置を作成するときは、低温側電極の表面に複数の凹凸を形成するのが好ましい。熱電子型発電装置の発電量が増大することが確認されている。
1.高温側電極及び低温側電極の仕事関数が0.5eVであり、空間の距離が10nmであり、電極の温度差が500K(300Kと800K)の場合。
2.高温側電極及び低温側電極の仕事関数が0.5eVであり、空間の距離が50nmであり、電極の温度差が100K(300Kと400K)の場合。
3.高温側電極及び低温側電極の仕事関数が1eVであり、空間の距離が5nmであり、電極の温度差が500K(300Kと800K)の場合。
4.高温側電極及び低温側電極の仕事関数が1eVであり、空間の距離が10nmであり、電極の温度差が100K(300Kと400K)の場合。
5.高温側電極及び低温側電極の仕事関数が1.5eVであり、空間の距離が5nmであり、電極の温度差が500K(300Kと800K)の場合。
6.高温側電極及び低温側電極の仕事関数が1.5eVであり、空間の距離が10nmであり、電極の温度差が500K(300Kと800K)の場合。
7.高温側電極及び低温側電極の仕事関数が1.5eVであり、空間の距離が10nmであり、電極の温度差が100K(300Kと400K)の場合。
(第2実施例)
図4に、熱電子型発電装置110の構成を模式的に示す。熱電子型発電装置110の基本的な構成は、第1実施例の熱電子型発電装置10と同一である。熱電子型発電装置110では、高温側電極132aの表面132aの形態と低温側電極134の表面134aの形態が、第1実施例の熱電子型発電装置10のそれとは異なっている。
ここで、熱電子型発電素子110の特徴を説明する。熱電子型発電素子110は、高温側電極132の表面132aの形態と低温側電極134の表面134aの形態が異なっていることを特徴としている。高温側電極132の表面132aに複数の凹凸が形成されており、低温側電極134の表面134aの表面は平滑である。即ち、高温側電極132の表面132aの方が、低温側電極134の表面134aよりも凹凸の平均間隔(Sm)が小さく形成されている。あるいは、高温側電極134の平均曲率半径が、低温側電極134の平均曲率半径よりも小さく形成されている。高温側電極132の表面132aの形態と低温側電極134の表面134aの形態が上記関係で異なっていると、空間160のエネルギー障壁の高さが増大する。
図5に、空間160のエネルギー障壁を示す。図中の破線Refは、高温側電極132の表面132a及び低温側電極134の表面134aがいずれも平滑に形成されている場合である。実線110Aは、高温側電極132の平均曲率半径が、空間160の距離G160に略等しい場合である。実線110Bは、高温側電極132の平均曲率半径が、空間160の距離G160の約10分の1の場合である。
図5に示すように、高温側電極132の平均曲率半径が小さくなると、空間160のエネルギー障壁が大きくなることが分かる。空間160のエネルギー障壁が大きくなると、高温側電極132の表面132aから低温側電極134の表面134aまで移動する熱電子の量(以下、第1の熱電子量という)が減少するとともに、低温側電極134の表面134aから高温側電極132の表面132aまで移動する熱電子の量(第2の熱電子量という)も減少する。特に、第2の熱電子量が減少する量は、第1の熱電子量の減少する量よりも大きい。このため、熱電子型発電素子110では、第1の電子量と第2の電子量の差が拡大する。
第1の電子量と第2の電子量の差が拡大すると、第1の電子量と第2の電子量を拮抗させるのに必要な電圧(Vbias)が増大する。この電圧(Vbias)は、開放電圧と呼ばれ、熱電子型発電素子11が発電できる最大の電圧である。即ち、熱電子型発電素子110では、第1の電子量と第2の電子量の差が拡大することによって、大きな発電電圧を得ることができる。
図6に、熱電子型発電素子110の発電電圧が増大する様子を示す。図6の横軸は、空間160の距離G160に対する高温側電極132の平均曲率半径の比である。図6の縦軸は、高温側電極132の表面132a及び低温側電極134の表面134aがいずれも平滑に形成されている場合の発電電圧に対する熱電子型発電素子110の発電電圧の比である。
図6に示すように、高温側電極134の平均曲率半径が空間160の距離G160よりも小さくなると、熱電子型発電素子110の発電電圧が増大する。空間160の距離G160に対する高温側電極132の平均曲率半径の比が「1」を下回ると、熱電子型発電素子110の発電電圧は顕著に増大する。これにより、空間160の距離G160に対する高温側電極132の平均曲率半径の比が「1」を下回るように構成すると、熱電子型発電素子110の発電電圧が増大することが確認された。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
第1実施例の熱電子型発電装置の構成を模式的に示す。 第1実施例の熱電子型発電装置の空間のエネルギー障壁を示す。 第1実施例の熱電子型発電装置において、曲率半径の比と発電量の比の関係を示す。 第2実施例の熱電子型発電装置の構成を模式的に示す。 第2実施例の熱電子型発電装置の空間のエネルギー障壁を示す。 第2実施例の熱電子型発電装置において、曲率半径の比と発電電圧の比の関係を示す。
符号の説明
20、120:第1層
32、132:高温側電極
34、234:低温側電極
40、140:第2層
50:負荷
60:空間

Claims (13)

  1. トンネル現象によって一対の電極間を移動する熱電子を利用する熱電子型発電装置であって、
    熱源からの熱が加わる高温側電極と、
    その高温側電極に空間を隔てて対向している低温側電極を備えており、
    高温側電極の表面の表面粗さと低温側電極の表面の表面粗さが異なっていることを特徴とする熱電子型発電装置。
  2. 低温側電極の表面の方が、高温側電極の表面よりも算術平均粗さ(Ra)が小さいことを特徴とする請求項1の熱電子型発電装置。
  3. 低温側電極の表面の方が、高温側電極の表面よりも凹凸の平均間隔(Sm)が小さいことを特徴とする請求項1又は2の熱電子型発電装置。
  4. 高温側電極の表面の方が、低温側電極の表面よりも算術平均粗さ(Ra)が小さいことを特徴とする請求項1の熱電子型発電装置。
  5. 高温側電極の表面の方が、低温側電極の表面よりも凹凸の平均間隔(Sm)が小さいことを特徴とする請求項1又は4の熱電子型発電装置。
  6. トンネル現象によって一対の電極間を移動する熱電子を利用する熱電子型発電装置であって、
    熱源からの熱が加わる高温側電極と、
    その高温側電極に空間を隔てて対向している低温側電極を備えており、
    高温側電極の表面は、平滑な面であり、
    低温側電極の表面には、複数の凹凸が形成されていることを特徴とする熱電子型発電素子。
  7. 低温側電極の表面の複数の凹凸は、スパッタ法を利用して形成されていることを特徴とする請求項6の熱電子型発電装置。
  8. 低温側電極の表面の複数の凹凸に基づいて求められる平均の曲率半径は、高温側電極の表面と低温側電極の表面の間の距離よりも小さいことを特徴とする請求項6又は7の熱電子型発電装置。
  9. トンネル現象によって一対の電極間を移動する熱電子を利用する熱電子型発電装置であって、
    熱源からの熱が加わる高温側電極と、
    その高温側電極に空間を隔てて対向している低温側電極を備えており、
    高温側電極の表面には、複数の凹凸が形成されており、
    低温側電極の表面は、平滑な面であることを特徴とする熱電子型発電素子。
  10. 高温側電極の表面の複数の凹凸は、スパッタ法を利用して形成されていることを特徴とする請求項9の熱電子型発電装置。
  11. 高温側電極の表面の複数の凹凸に基づいて求められる平均の曲率半径は、高温側電極の表面と低温側電極の表面の間の距離よりも小さいことを特徴とする請求項9又は11の熱電子型発電装置。
  12. トンネル現象によって一対の電極間を移動する熱電子を利用する熱電子型発電装置であって、
    熱源からの熱が加わる高温側電極と、
    その高温側電極に空間を隔てて対向している低温側電極を備えており、
    高温側電極の表面には、複数の凹凸が形成されており、
    低温側電極の表面には、複数の凹凸が形成されており、
    高温側電極の表面の複数の凹凸に基づいて求められる平均の曲率半径と低温側電極の表面の複数の凹凸に基づいて求められる平均の曲率半径が異なっていることを特徴とする熱電子型発電装置。
  13. 高温側電極の表面の複数の凹凸は、スパッタ法を用いて形成されており、
    低温側電極の表面の複数の凹凸は、スパッタ法を用いて形成されており、
    高温側電極の表面に複数の凹凸を形成する際のスパッタ法の製造条件と低温側電極の表面に複数の凹凸を形成する際のスパッタ法の製造条件が異なっていることを特徴とする請求項12の熱電子型発電装置。
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