JP2007253076A - 着色排水の脱色処理方法及び脱色処理剤 - Google Patents
着色排水の脱色処理方法及び脱色処理剤 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2007253076A JP2007253076A JP2006081280A JP2006081280A JP2007253076A JP 2007253076 A JP2007253076 A JP 2007253076A JP 2006081280 A JP2006081280 A JP 2006081280A JP 2006081280 A JP2006081280 A JP 2006081280A JP 2007253076 A JP2007253076 A JP 2007253076A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- colored
- wastewater
- waste water
- iron
- tetraoxoiron
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Abstract
【課題】少量の脱色処理剤を用いて、簡単な工程により効果的に着色排水を脱色することができ、処理に伴うスラッジの発生量も少ない着色排水の脱色処理方法及び脱色処理剤を提供する。
【解決手段】着色排水に、テトラオキソ鉄(VI)酸塩を添加することを特徴とする着色排水の脱色処理方法、及び、テトラオキソ鉄(VI)酸塩を含有することを特徴とする着色排水の脱色処理剤。
【選択図】なし
【解決手段】着色排水に、テトラオキソ鉄(VI)酸塩を添加することを特徴とする着色排水の脱色処理方法、及び、テトラオキソ鉄(VI)酸塩を含有することを特徴とする着色排水の脱色処理剤。
【選択図】なし
Description
本発明は、着色排水の脱色処理方法及び脱色処理剤に関する。さらに詳しくは、本発明は、少量の脱色処理剤を用いて、簡単な工程により効果的に着色排水を脱色することができ、処理に伴うスラッジの発生量も少ない着色排水の脱色処理方法及び脱色処理剤に関する。
食品工場や染色工場から排出される着色排水の処理として、大別して活性汚泥法などの生物処理と、凝集沈殿法などの物理化学処理があり、いずれも幅広く用いられている。しかし、一般に着色成分は他の共存有機物に比べて生分解が容易でない場合が多く、排水を放流するために処理すべきCODなどの基準値を達成しても、着色が残ってしまう場合が多い。着色は目視により確認されるために、周辺住民などからの苦情となることがあり、満足できる脱色レベルを得るために、さまざまな脱色方法が検討されてきた。
塩化鉄(III)は、古くより用いられている脱色剤であり、簡易で安価であり、生成するフロックが重いために沈降圧密性がよく、広いpH領域で使用し得る利点がある。しかし、着色排水を好適なpHに調整するために多量のアルカリが必要であり、処理後に水酸化鉄などの鉄化合物のスラッジが大量に発生するという問題がある。
染色排水に含まれる染料を簡単で安価に分解処理できる染色排水の処理方法として、染色排水に塩化ナトリウムを添加し、塩酸酸性下で電気分解して発生する次亜塩素酸イオンにより染料を分解する染色排水の処理方法が提案されている(特許文献1)。しかし、塩素系の処理は社会的に嫌われ、取扱いが危険であり、共存する有機物と次亜塩素酸イオンとの間で新たに有害な塩素化合物が発生するおそれがある。
次亜塩素酸ソーダのような塩素分を含む漂白剤などの脱色剤を用いずに、着色排水を良好に脱色し得る着色排水の脱色処理方法として、廃棄される排水をいったん中和処理及び曝気処理などして固液分離処理したのち、分離処理した排水中に無機塩系凝集剤と少量のカチオン系高分子凝集剤を添加して撹拌処理し、該排水中に含まれる着色物質を凝集沈殿させる着色排水の脱色処理方法が提案されている(特許文献2)。しかし、この方法は、工程が長く、多数の撹拌槽を必要とし、各種の薬剤の添加量を調整し、pHを制御する操作は煩雑である。また、薬剤の添加量の割合が変わった場合には、適正な処理ができないおそれもある。
また、反応性染料などを含有する染色廃水、アルカリ減量加工廃水、精練廃水、洗浄廃水などよりなる染色加工廃水を効率よく脱色する方法として、反応性染料による染色残液をオゾンによって酸化したのち、これをアルカリ減量加工廃水、反応性染料以外の染料による染色廃水又は精練廃水と混合し、微生物処理する染色加工廃水の脱色処理方法が提案されている(特許文献3)。しかし、オゾン処理はコストが高く、反応条件を調整する必要があり、適用し得る排水が限られる。
さらに、脱色効果、COD除去に優れ、併せて経済性をも改善できる反応性染料などの脱色されにくい染料を含有する染色廃水の処理法として、染色廃水を、鉄塩を触媒として過酸化水素でpH≦3で酸化処理したのち、該処理液をpH=6〜7に調整し、アルミ系凝集剤と凝結剤を添加し、さらに高分子凝集剤を添加して凝集沈殿により固液分離するフェントン試薬法を用いた染色廃水処理方法が提案されている(特許文献4)。しかし、この方法は、pH≦3で処理したのち、処理水を放流することができるように中性付近にpHを上げるので、2回のpH調整と、多量のpH調整用の薬剤が必要である。
特開平8−281271号公報
特開平6−226265号公報
特開平6−254575号公報
特開平6−182362号公報
本発明は、少量の脱色処理剤を用いて、簡単な工程により効果的に着色排水を脱色することができ、処理に伴うスラッジの発生量も少ない着色排水の脱色処理方法及び脱色処理剤を提供することを目的としてなされたものである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、着色排水に脱色処理剤としてテトラオキソ鉄(VI)酸塩を添加することにより、pH調整を必要とすることなく、少量の脱色処理剤で効果的に脱色処理することができ、スラッジの発生量も少ないことを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)着色排水に、テトラオキソ鉄(VI)酸塩を添加することを特徴とする着色排水の脱色処理方法、
(2)着色排水にテトラオキソ鉄(VI)酸塩を添加して、着色排水中の鉄(VI)濃度を1〜10,000mgFe/Lとする(1)記載の着色排水の脱色処理方法、
(3)着色排水中の鉄(VI)濃度を、5〜1,000mgFe/Lとする(2)記載の着色排水の脱色処理方法、
(4)テトラオキソ鉄(VI)酸塩水溶液が、鉄のアノードを液中で電解酸化して生成したテトラオキソ鉄(VI)酸アルカリ塩水溶液である(3)記載の着色排水の脱色処理方法、
(5)テトラオキソ鉄(VI)酸塩の添加による脱色処理の後段に、固液分離処理を行う(1)ないし(4)のいずれか1項に記載の着色排水の脱色処理方法。
(6)着色排水が、排水の生物処理により発生した処理水である(1)ないし(5)のいずれか1項に記載の着色排水の脱色処理方法。
(7)着色排水が、飲料水製造工程から発生した排水である(1)ないし(6)のいずれか1項に記載の着色排水の脱色処理方法、及び、
(8)テトラオキソ鉄(VI)酸塩を含有することを特徴とする着色排水の脱色処理剤、
を提供するものである。
(1)着色排水に、テトラオキソ鉄(VI)酸塩を添加することを特徴とする着色排水の脱色処理方法、
(2)着色排水にテトラオキソ鉄(VI)酸塩を添加して、着色排水中の鉄(VI)濃度を1〜10,000mgFe/Lとする(1)記載の着色排水の脱色処理方法、
(3)着色排水中の鉄(VI)濃度を、5〜1,000mgFe/Lとする(2)記載の着色排水の脱色処理方法、
(4)テトラオキソ鉄(VI)酸塩水溶液が、鉄のアノードを液中で電解酸化して生成したテトラオキソ鉄(VI)酸アルカリ塩水溶液である(3)記載の着色排水の脱色処理方法、
(5)テトラオキソ鉄(VI)酸塩の添加による脱色処理の後段に、固液分離処理を行う(1)ないし(4)のいずれか1項に記載の着色排水の脱色処理方法。
(6)着色排水が、排水の生物処理により発生した処理水である(1)ないし(5)のいずれか1項に記載の着色排水の脱色処理方法。
(7)着色排水が、飲料水製造工程から発生した排水である(1)ないし(6)のいずれか1項に記載の着色排水の脱色処理方法、及び、
(8)テトラオキソ鉄(VI)酸塩を含有することを特徴とする着色排水の脱色処理剤、
を提供するものである。
本発明の脱色処理方法及び脱色処理剤によれば、極めて少量の脱色処理剤の添加により、着色成分を酸化分解して、着色排水を脱色することができる。本発明方法によれば、着色排水のpH調整などを必要としないので、脱色処理剤以外の薬剤を使用することなく、簡単な工程で経済的に着色排水を脱色処理することができ、脱色処理に伴って発生するスラッジの量も少ない。本発明の脱色処理方法及び脱色処理剤は、生物処理などにより処理され、放流水の水質基準は満たしているが、着色が問題として残されている排水の処理に特に好適に適用することができる。
本発明方法においては、着色排水にテトラオキソ鉄(VI)酸塩を添加する。テトラオキソ鉄(VI)酸塩は、一般式[1]又は一般式[2]で表される化合物である。
MI 2[FeO4] …[1]
MII[FeO4] …[2]
MIで表される1価の金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどのアルカリ金属、銀、銅(I)などを挙げることができる。MIIで表される2価の金属としては、例えば、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどのアルカリ土類金属、銅(II)、鉛、コバルト、ニッケルなどを挙げることができる。これらの中で、アルカリ金属塩とアルカリ土類金属塩は、水溶性なので好適に用いることができ、ナトリウム塩とカリウム塩は、電解酸化法により容易に水溶液として得ることができるので、特に好適に用いることができる。
MII[FeO4] …[2]
MIで表される1価の金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどのアルカリ金属、銀、銅(I)などを挙げることができる。MIIで表される2価の金属としては、例えば、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどのアルカリ土類金属、銅(II)、鉛、コバルト、ニッケルなどを挙げることができる。これらの中で、アルカリ金属塩とアルカリ土類金属塩は、水溶性なので好適に用いることができ、ナトリウム塩とカリウム塩は、電解酸化法により容易に水溶液として得ることができるので、特に好適に用いることができる。
本発明に用いるテトラオキソ鉄(VI)酸塩は、式[3]により1個の鉄(VI)原子が3個の電子を奪うので、通常の鉄化合物にはない極めて強い酸化力を有する。
Fe(VI) + 3e- → Fe(III) …[3]
着色排水中の着色物質の酸化により生成した鉄(III)は、凝集剤として作用し、凝集沈殿反応によっても脱色効果が発現する。
着色排水中の着色物質の酸化により生成した鉄(III)は、凝集剤として作用し、凝集沈殿反応によっても脱色効果が発現する。
本発明に用いるテトラオキソ鉄(VI)酸塩の製造方法に特に制限はなく、例えば、鉄を硝酸カリウム融解により酸化する方法、水酸化カリウムの濃厚な水溶液中に懸濁した水酸化鉄(III)を塩素又は臭素により酸化する方法、鉄のアノードを液中で電解酸化する方法などを挙げることができる。これらの中で、鉄のアノードを液中で電解酸化する方法は、電解セル以外の大掛かりな装置を必要とせず、危険を伴わず、脱色処理すべき着色排水が発生する工程の近くで、テトラオキソ鉄(VI)酸塩を水溶液として得ることができるので好適に用いることができる。なお、この鉄のアノードを電解酸化する方法においては、水酸化アルカリ等のアルカリ水溶液中で電解酸化を行うと、生成するテトラオキソ鉄(VI)酸塩の安定性が良く、好ましい。
本発明方法においては、着色排水にテトラオキソ鉄(VI)酸塩を添加して、着色排水中の鉄(VI)の濃度を1〜10,000mgFe/Lとすることが好ましく、5〜1,000mgFe/Lとすることがより好ましい。着色排水中の鉄(VI)の濃度が1mgFe/L未満であると、着色排水が十分に脱色されないおそれがあり、十分な効果を得るためには、5mgFe/L以上であることが好ましい。着色排水中の鉄(VI)の濃度が10,000mgFe/L以下で、着色排水は十分に脱色され、通常は10,000mgFe/Lを超える量の鉄(VI)を添加する必要はなく、生成するスラッジの量が増えすぎるのを防ぐために、1,000mgFe/L以下とすることが経済的に有利である。
本発明方法において、テトラオキソ鉄(VI)酸塩は酸化性の強い物質なので、固体としてよりも、水溶液の方が取り扱い作業性が良好である。また、鉄のアノードを液中で電解酸化することにより、脱色処理剤として用いるテトラオキソ鉄(VI)酸アルカリ塩の水溶液を直接得ることができる。この電解酸化によりテトラオキソ鉄(VI)酸塩を得る方法においては、テトラオキソ鉄(VI)酸塩を、鉄(VI)濃度が10〜25,000mgFe/Lであるテトラオキソ鉄(VI)酸塩水溶液として着色排水に添加することが好ましく、鉄(VI)濃度が100〜20,000mgFe/Lであるテトラオキソ鉄(VI)酸塩水溶液として着色排水に添加することがより好ましい。テトラオキソ鉄(VI)酸塩水溶液の鉄(VI)の濃度が10mgFe/L未満であると、着色排水に添加すべきテトラオキソ鉄(VI)酸塩水溶液の量が過大になるおそれがある。また、鉄のアノードを液中で電解酸化する方法では、鉄(VI)の濃度が25,000mgFe/Lを超えるテトラオキソ鉄(VI)酸塩水溶液を製造することが困難となるおそれがある。
本発明方法においては、テトラオキソ鉄(VI)酸塩の添加による脱色処理の後段で、固液分離処理を行うことが好ましい。固液分離処理することにより、発生したスラッジを除去して清澄な上澄水を得ることができる。固液分離処理の方法に特に制限はなく、例えば、沈降分離、遠心分離、ろ過などを挙げることができる。本発明方法において発生するスラッジは水酸化鉄(III)が主成分であり、沈降圧密性がよいので、沈降分離を好適に用いることができる。
本発明方法は、排水の生物処理により発生して処理水である着色排水に好適に適用することができる。製造現場において発生した排水は、通常は多量のCOD成分やBOD成分を含有するので、このような排水に本発明方法を直接適用すると、製造コストの高いテトラオキソ鉄(VI)酸塩がCOD成分やBOD成分の酸化に消費され、脱色処理の経済性が損なわれるおそれがある。排水の生物処理により発生した処理水は、COD成分やBOD成分の濃度がすでに法流水の水質基準を満たすまで低下し、着色のみが問題とされる着色排水なので、製造コストの高いテトラオキソ鉄(VI)酸塩を主として着色成分の酸化分解にのみ利用し、効率的に着色排水の脱水処理を行うことができる。
本発明方法は、飲料水製造工程から発生した排水に好適に適用することができる。飲料水製造工程から発生した排水も、本発明方法を適用する前に、あらかじめ生物処理された排水であることが好ましい。飲料水としては、例えば、緑茶、麦茶、ウーロン茶、ジャスミン茶、紅茶、コーヒー、ココア、トマトジュース、オレンジジュース、グレープジュース、コーラ、ジンジャーエール、ガラナ飲料、ビールなどを挙げることができる。飲料水製造工程から発生した排水は、生物処理によりCODを放流水の水質基準値以下に低下させても、処理水に着色が残る場合が多い。本発明方法によれば、このような排水に適用して、残存する微量の着色成分を選択的かつ効率的に酸化分解することができる。
本発明方法は、染料を含有する着色排水や、土壌に由来する褐色成分であるフミン酸を含有する着色排水にも適用することができる。
本発明方法によれば、着色排水の脱色と同時に、着色排水中に存在する微生物を殺滅し、殺菌することができる。微生物の殺滅は、テトラオキソ鉄(VI)酸塩が有する強力な酸化作用により行われる。したがって、着色排水の大腸菌群数が万一放流水の水質基準値を超えていても、本発明方法を適用することにより、処理水の大腸菌群数を水質基準値以下に低下させることができる。
本発明の着色排水の脱色処理剤は、テトラオキソ鉄(VI)酸塩を含有する。本発明剤は、テトラオキソ鉄(VI)酸塩水溶液であることが好ましく、テトラオキソ鉄(VI)酸ナトリウム水溶液又はテトラオキソ鉄(VI)酸カリウム水溶液であることがより好ましい。テトラオキソ鉄(VI)酸ナトリウム水溶液又はテトラオキソ鉄(VI)酸カリウム水溶液は、鉄をアノードとし、水酸化ナトリウム水溶液又は水酸化カリウム水溶液を電解液として電解酸化することにより、容易に製造することができるので、処理すべき着色排水の発生する場所の近くで電解酸化を行い、テトラオキソ鉄(VI)酸塩水溶液を着色排水の脱色に使用することができる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
実施例1
容量500mLの電解セルに、外寸法4cm×5cm×1.5cmの綿状のスチールウールの上部に幅1cmの銅板を巻き付け、リード線を取り付けたアノードと、白金のカソードを設置し、電解液として濃度10モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液300mLを入れた。温度制御することなく、電圧8V、電流4Aで、90分間、定電流電解を行った。時間の経過とともに、スチールウールが溶解し、無色の溶液が紫色になり、最終的に濃紫色のテトラオキソ鉄(VI)酸ナトリウム水溶液が得られた。
実施例1
容量500mLの電解セルに、外寸法4cm×5cm×1.5cmの綿状のスチールウールの上部に幅1cmの銅板を巻き付け、リード線を取り付けたアノードと、白金のカソードを設置し、電解液として濃度10モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液300mLを入れた。温度制御することなく、電圧8V、電流4Aで、90分間、定電流電解を行った。時間の経過とともに、スチールウールが溶解し、無色の溶液が紫色になり、最終的に濃紫色のテトラオキソ鉄(VI)酸ナトリウム水溶液が得られた。
得られたテトラオキソ鉄(VI)酸ナトリウム水溶液の鉄(VI)濃度を定量した。塩化クロム(III)水溶液にテトラオキソ鉄(VI)酸ナトリウム水溶液を加えてクロム(III)をクロム(VI)に酸化し、ジフェニルアミンスルホン酸ナトリウムを指示薬とし、紫色から緑色への変色点を終点として、硫酸アンモニウム鉄(II)水溶液で逆滴定し、生成したクロム(VI)と鉄(II)を反応させた。テトラオキソ鉄(VI)酸ナトリウム水溶液中に存在した鉄(VI)の量と生成したクロム(VI)の量が等しいことを利用して、鉄(VI)の濃度を求めた。テトラオキソ鉄(VI)酸ナトリウム水溶液の鉄(VI)濃度は、5,000mgFe/Lであった。
得られたテトラオキソ鉄(VI)酸ナトリウム水溶液の全鉄濃度を定量した。テトラオキソ鉄(VI)酸ナトリウム水溶液に濃塩酸を加えて鉄を完全溶解したのち、ICP(高周波誘導結合プラズマ)発光分光分析により鉄を分析した。テトラオキソ鉄(VI)酸ナトリウム水溶液の全鉄濃度は、7,500mgFe/Lであった。
得られたテトラオキソ鉄(VI)酸ナトリウム水溶液を用いて、清涼飲料水製造工場の着色排水の脱色処理を行った。この着色排水は、ウーロン茶、緑茶及びコーヒー製造工程から排出された排水を活性汚泥法により処理したのち凝集沈殿処理した排水であり、下水道法施行令第6条第1項の放流水の水質基準を満たしているが、薄い茶褐色に着色している。分光光度計[(株)日立製作所、U−2810]を用いてこの着色排水の450nmにおける吸光度を測定したところ、0.208であった。
着色排水800mLを容量1Lのビーカーに入れ、上記のテトラオキソ鉄(VI)酸ナトリウム水溶液200mLを加えて、撹拌により均一に混合したのち、15分間放置した。
上澄み液は、目視での着色は認められなかった。上澄み液をNo.5Cろ紙を用いてろ過し、ろ液の450nmにおける吸光度を測定したところ、0.019であった。
実施例2
着色排水980mLにテトラオキソ鉄(VI)酸ナトリウム水溶液20mLを添加して、実施例1と同じ操作を行った。
実施例2
着色排水980mLにテトラオキソ鉄(VI)酸ナトリウム水溶液20mLを添加して、実施例1と同じ操作を行った。
上澄み液は、目視での着色は認められなかった。ろ液の450nmにおける吸光度は、0.029であった。
実施例3
着色排水1,000mLにテトラオキソ鉄(VI)酸ナトリウム水溶液1mLを添加して、実施例1と同じ操作を行った。
実施例3
着色排水1,000mLにテトラオキソ鉄(VI)酸ナトリウム水溶液1mLを添加して、実施例1と同じ操作を行った。
上澄み液は、目視によりかなり薄い黄色が認められた。ろ液の450nmにおける吸光度は、0.062であった。
比較例1
40重量%塩化鉄(III)水溶液[和光純薬工業(株)]を水で希釈して、鉄(III)濃度10,000mg/Lの希釈塩化鉄(III)水溶液を調製した。
比較例1
40重量%塩化鉄(III)水溶液[和光純薬工業(株)]を水で希釈して、鉄(III)濃度10,000mg/Lの希釈塩化鉄(III)水溶液を調製した。
着色排水800mLを容量1Lのビーカーに入れ、上記の希釈塩化鉄(III)水溶液80mLを加えて、撹拌により均一に混合し、水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを5.5に調整したのち、15分間放置した。
上澄み液は、目視によりかなり薄い黄色が認められた。上澄み液をNo.5Cろ紙を用いてろ過し、ろ液の450nmにおける吸光度を測定したところ、0.059であった。
比較例2
着色排水800mLに比較例1で調製した希釈塩化鉄(III)水溶液40mLを添加して、比較例1と同じ操作を行った。
比較例2
着色排水800mLに比較例1で調製した希釈塩化鉄(III)水溶液40mLを添加して、比較例1と同じ操作を行った。
上澄み液は、目視により薄い黄色が認められた。ろ液の450nmにおける吸光度は、0.088であった。
実施例1〜3及び比較例1〜2の結果を、第1表に示す。なお、脱色率は、原着色排水の吸光度をA1、脱色処理後の処理水の吸光度をA2としたとき、次式により表される値である。
脱色率(%)=(1−A2/A1)×100
本発明の脱色処理方法及び脱色処理剤によれば、極めて少量の脱色処理剤の添加により、着色成分を酸化分解して、着色排水を脱色することができる。本発明方法によれば、着色排水のpH調整などを必要としないので、脱色処理剤以外の薬剤を使用することなく、簡単な工程で経済的に着色排水を脱色処理することができ、脱色処理に伴って発生するスラッジの量も少ない。本発明の脱色処理方法及び脱色処理剤は、生物処理などにより処理され、放流水の水質基準は満たしているが、着色が問題として残されている排水の処理に特に好適に適用することができる。
Claims (8)
- 着色排水に、テトラオキソ鉄(VI)酸塩を添加することを特徴とする着色排水の脱色処理方法。
- 着色排水にテトラオキソ鉄(VI)酸塩を添加して、着色排水中の鉄(VI)濃度を1〜10,000mgFe/Lとする請求項1記載の着色排水の脱色処理方法。
- 着色排水中の鉄(VI)濃度を、5〜1,000mgFe/Lとする請求項2記載の着色排水の脱色処理方法。
- テトラオキソ鉄(VI)酸塩水溶液が、鉄のアノードを液中で電解酸化して生成したテトラオキソ鉄(VI)酸アルカリ塩水溶液である請求項3記載の着色排水の脱色処理方法。
- テトラオキソ鉄(VI)酸塩の添加による脱色処理の後段に、固液分離処理を行う請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の着色排水の脱色処理方法。
- 着色排水が、排水の生物処理により発生した処理水である請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の着色排水の脱色処理方法。
- 着色排水が、飲料水製造工程から発生した排水である請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の着色排水の脱色処理方法。
- テトラオキソ鉄(VI)酸塩を含有することを特徴とする着色排水の脱色処理剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006081280A JP2007253076A (ja) | 2006-03-23 | 2006-03-23 | 着色排水の脱色処理方法及び脱色処理剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006081280A JP2007253076A (ja) | 2006-03-23 | 2006-03-23 | 着色排水の脱色処理方法及び脱色処理剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007253076A true JP2007253076A (ja) | 2007-10-04 |
Family
ID=38627842
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006081280A Pending JP2007253076A (ja) | 2006-03-23 | 2006-03-23 | 着色排水の脱色処理方法及び脱色処理剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2007253076A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016185514A (ja) * | 2015-03-27 | 2016-10-27 | 栗田工業株式会社 | 透過膜の洗浄方法及び洗浄剤 |
WO2022163871A1 (en) | 2021-02-01 | 2022-08-04 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Wastewater treatment apparatus and wastewater treatment method |
-
2006
- 2006-03-23 JP JP2006081280A patent/JP2007253076A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016185514A (ja) * | 2015-03-27 | 2016-10-27 | 栗田工業株式会社 | 透過膜の洗浄方法及び洗浄剤 |
WO2022163871A1 (en) | 2021-02-01 | 2022-08-04 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Wastewater treatment apparatus and wastewater treatment method |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Bassyouni et al. | Comparative performance of anodic oxidation and electrocoagulation as clean processes for electrocatalytic degradation of diazo dye Acid Brown 14 in aqueous medium | |
Liu et al. | Microcystis aeruginosa-laden water treatment using enhanced coagulation by persulfate/Fe (II), ozone and permanganate: Comparison of the simultaneous and successive oxidant dosing strategy | |
Asaithambi et al. | Performance evaluation of hybrid electrocoagulation process parameters for the treatment of distillery industrial effluent | |
GilPavas et al. | Optimization of sequential chemical coagulation-electro-oxidation process for the treatment of an industrial textile wastewater | |
Arslan-Alaton et al. | Electrocoagulation of a real reactive dyebath effluent using aluminum and stainless steel electrodes | |
Ozyonar et al. | Treatment of pretreated coke wastewater by electrocoagulation and electrochemical peroxidation processes | |
Särkkä et al. | Natural organic matter (NOM) removal by electrochemical methods—A review | |
Uğurlu et al. | The removal of lignin and phenol from paper mill effluents by electrocoagulation | |
Cotillas et al. | Use of carbon felt cathodes for the electrochemical reclamation of urban treated wastewaters | |
Akyol | Treatment of paint manufacturing wastewater by electrocoagulation | |
Song et al. | Effect of operational parameters on the decolorization of CI Reactive Blue 19 in aqueous solution by ozone-enhanced electrocoagulation | |
Kabdaşlı et al. | Electrocoagulation applications for industrial wastewaters: a critical review | |
Zaied et al. | Electrocoagulation treatment of black liquor from paper industry | |
Xing et al. | Treatment of antibiotic fermentation wastewater by combined polyferric sulfate coagulation, Fenton and sedimentation process | |
Raghu et al. | Chemical or electrochemical techniques, followed by ion exchange, for recycle of textile dye wastewater | |
Koparal et al. | Effect of initial pH on the removal of humic substances from wastewater by electrocoagulation | |
Yildiz et al. | Electrocoagulation of synthetically prepared waters containing high concentration of NOM using iron cast electrodes | |
Yazdanbakhsh et al. | The influence of operational parameters on reduce of azithromyin COD from wastewater using the peroxi-electrocoagulation process | |
Gengec | Treatment of highly toxic cardboard plant wastewater by a combination of electrocoagulation and electrooxidation processes | |
Das et al. | Treatment of steel plant generated biological oxidation treated (BOT) wastewater by hybrid process | |
Bazrafshan et al. | Textile wastewater treatment by electrocoagulation process using aluminum electrodes | |
Rahmani et al. | Activated sludge treatment by electro-Fenton process: Parameter optimization and degradation mechanism | |
JP2020104115A (ja) | シアン含有廃水の処理方法 | |
JP5945682B2 (ja) | シアン含有廃水の処理方法 | |
JP2000237772A (ja) | 水の高度処理方法 |