JP2007243461A - スピーカユニット - Google Patents

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Abstract

【課題】シール材を貼り付けなくてもバッフル板に密接させることができるスピーカユニットを提供する。
【解決手段】シール材を取り付けずに、シール材を取り付けた場合と同様の効果が得られるように、スピーカの構造や振動板の材質に応じて振動板やエッジを加工する。例えば、振動板やエッジに弾性があまりなく厚みが薄い場合には、当接部3Tでフレーム2の周面部2Sの先端部を含む全体を被覆する。また、当接部3Tの断面がU字状、J字状、またはロール状になるように成形し、フレーム2の周面部2Sにおける先端の平面部2Hに対する高さよりも、当接部3Tの湾曲部3TWの平面部2Hに対する高さの方が高くして、当接部3Tをバッフル板7に密接させる。これにより、スピーカユニットの当接部を介して、スピーカユニットの裏面側の音が表面側に漏れるのを防止できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、スピーカユニットの周縁部をスピーカボックスのバッフル板に密接される構造に関する。
近時、サラウンドサウンドシステムのひとつとして、複数のスピーカユニットを直線状や平面状(マトリックス状)に配置したスピーカアレイ装置を使用したものがある(非特許文献1参照。)。
非特許文献1に記載のスピーカアレイ装置では、スピーカボックス内の音が外部に漏れないように各スピーカユニットをスピーカボックスのバッフル板に密接させるために、従来の中型〜大型のスピーカユニットと同様に、振動板のエッジの外周部にシール材(例えば、ガスケットやクッション材)を貼り付けている(特許文献1参照。)。
「デジタル・サウンド・プロジェクターカタログ YSP−800/YSP−1000」,ヤマハ株式会社,2005年10月作成,カタログコードASP5101 特開平8−140184号公報
特許文献1に記載されているような中型または大型のスピーカユニットであれば、シール材自体も大きいので、容易にシール材を貼り付けることができる。しかしながら、スピーカユニットが小型になると、シール材は小型で細いリング状になり、貼り付け幅よりも厚みの方が大きくなるので、貼り付けが困難であるという問題があった。また、非特許文献1に記載のようなスピーカアレイ装置では、複数の小型スピーカを使用するので、全スピーカユニットにシール材を取り付けるのに、かなりの労力が必要であった。
そこで、本発明は、シール材を貼り付けなくてもバッフル板に密接させることができるスピーカユニットを提供することを目的とする。
この発明は、上記の課題を解決するための手段として、以下の構成を備えている。
(1)振動板の周縁部を支持し、全周にわたって立ち上がりフランジが形成されたフレームと、
前記フレームのフランジを全周にわたって被覆する振動板と、を備えたことを特徴とする。
この構成においては、スピーカユニットは、独立したエッジを備えていないフィックスドエッジ型であり、フレームの全周にわたって立ち上がりフランジ形成されており、振動板がこのフレームのフランジ全周を被覆している。したがって、スピーカユニットをスピーカボックスのバッフル板に取り付ける際には、従来のようにスピーカユニットにシール材を貼り付けなくても、振動板がシール材の役目を果たすので、スピーカユニットのフレーム(立ち上がりフランジ)をバッフル板に密接させることができる。これにより、スピーカボックスにスピーカユニットを取り付けた際に、スピーカユニットの裏面側の音がスピーカユニットの周囲から表面側に漏れるのを防止できる。
(2)振動板の周縁部内周側が接続されたフレームと、
先端の少なくとも一部が弾性変形可能に湾曲し、全周にわたって平面と当接可能な環状の周縁部を備えた振動板と、
を備えたことを特徴とする。
この構成においては、スピーカユニットは、独立したエッジを備えていないフィックスドエッジ型であり、フレームによって振動板の周囲が接続され、振動板は、先端の少なくとも一部が弾性変形可能に湾曲し、全周にわたって平面と当接可能である環状の周縁部を備えている。したがって、スピーカユニットをスピーカボックスのバッフル板に取り付けると、振動板の周縁部がバッフル板に当接して弾性変形するので、従来のようにスピーカユニットにシール材を貼り付けなくても、振動板の周縁部がシール材の役目を果たすので、振動板の周縁部をバッフル板に密接させることができる。これにより、スピーカボックスにスピーカユニットを取り付けた際に、スピーカユニットの裏面側の音がスピーカユニットの周囲から表面側に漏れるのを防止できる。
(3)前記振動板の周縁部は、先端の断面がロール状、U字状、またはJ字状に湾曲し、一端が自由端であることを特徴とする。
この構成においては、振動板の先端の断面が、ロール状、U字状、またはJ字状に湾曲し、一端が自由端である。したがって、スピーカユニットをスピーカボックスのバッフル板に取り付けて、振動板の周縁部がバッフル板に当接すると、自由端がフレームに当接することなく弾性変形するので、振動板の周縁部がシール材として作用させて、振動板の周縁部をバッフル板に密接させることができる。
本発明のスピーカユニットによれば、シール材を取り付けずに、シール材を取り付けた場合と同様の効果が得られるように、スピーカの構造や振動板の材質に応じて、振動板やエッジの当接部でフレームの周面部の先端部を含む全体を被覆したり、当接部の断面をU字状・J字状・またはロール状に成形したりする。これにより、当接部をバッフル板に密接させることができる。したがって、スピーカユニットの当接部を介して、スピーカユニットの裏面側の音が表面側に漏れるのを防止できる。
本発明のスピーカユニットは、シール材を取り付けずに、シール材を取り付けた場合と同様の効果が得られるように、スピーカの構造や振動板の材質に応じて振動板またはエッジを加工したものであり、スピーカボックスに取り付けた際に、バッフル板とスピーカユニットを密接させることができ、スピーカユニットの当接部を介して、スピーカユニットの裏面側の音が表面側に漏れるのを防止する。以下、その詳細を説明する。
まず、弾性があまりなく厚みが薄い振動板を使用したフィックスドエッジ型のスピーカユニットの場合について説明する。図1は、フィルムコーン型のスピーカユニットの正面図、A−A断面図、及び周縁部の拡大図である。図1に示すフィルムコーン型のスピーカユニット1は、フィックスドエッジ型のスピーカユニットであり、図1(B)に示すように、フレーム2、振動板であるフィルムコーン3、ボイスコイル4、及びマグネット5等を備えている。
フレーム2は、円盤形状(凹型)であり、平面部2Hと、立ち上がりフランジである周面部2Sと、マグネット取り付け部2Mと、から成る。周面部2Sは、平面部2Hの周縁(外周)部が直角に曲げられた環状の構造であり、周面部2Sの先端が全周にわたって平面と当接可能な形状に成形されている。また、マグネット取り付け部2Mは、平面部2Hの中央に設けられ、ボイスコイル4及びマグネット5がはまりこむように凹形状となっている。
フィルムコーン3は円盤形状であり、センタ部3C、振動部3B、接着部3N、及び周縁部である当接部3Tから成る。またフィルムコーン3の裏面において、センタ部3Cと振動部3Bと境界部にボイスコイル4が巻き付けられたコイルボビン6が接続されている。フィルムコーン3は、PETなどの合成樹脂等のシート状フィルムを、金型等を用いて成型したものであり、弾性があまりなく厚みが薄い。センタ部3Cは、フレームのマグネット取り付け部2Mに対向する位置に形成されている。振動部3Bは、センタ部3Cの周囲に形成されており、ボイスコイルに入力された音声信号に応じて振動して音声を放音する。接着部3Nは、振動部3Bの周囲に形成されており、フレーム2の平面部2Hの外周部、つまり平面部2Hと周面部2Sとの境界付近に接着される。
フィルムコーン3の当接部3Tは、接着部3Nの外周側に位置し、その断面が半円状(U字型)に成形されている。また、フィルムコーン3をフレーム2に取り付けると、当接部3Tがフレーム2の周面部2Sの先端部を含む全体を被覆し、周面部2Sの先端が当接部3Tの内面に当接する。なお、フィルムコーン3の当接部3Tが、少なくともフレーム2の周面部2Sの先端を被覆するように構成すると良い。
スピーカユニット1は、このような形状なので、スピーカボックスのバッフル板7に取り付ける際には、フィルムコーン3の当接部3Tの湾曲部3TWが全周にわたってバッフル板7に密接(当接)する。したがって、従来のように、シール材をスピーカユニットに貼り付けたり、バッフル板7に載置部(当接部)を設ける必要がない。
また、上記のフィルムコーン型のスピーカユニットのように、弾性がほとんどなく厚みが薄い振動板の周縁部を、シール材と同様の役目を果たすように加工する場合には、周縁部を図1(C)〜(F)に示すような形状に成形することも可能である。ここで、図1(C)〜(F)は図示の都合上、図1(B)における点線の円の部分のみを示している。また、図1(C)〜(F)に示す拡大図では、フィルムコーン3の当接部の形状のみ異なるので、ほとんど同じ符号を使用する。
図1(C)に示すスピーカユニット1は、フレーム2の外径がフィルムコーン3の外径よりも大きくなっている。また、フィルムコーン3の接着部3Nをフレーム2に貼り付けた際に、フレーム2の周面部2Sにおける先端の平面部2Hに対する高さよりも、当接部3Tの湾曲部3TWの平面部2Hに対する高さの方が高くなっている。当接部3Tは、断面がU字状(半円状)に成形され、先端がフレーム2に接続されて、固定端となっている。スピーカユニット1は、このような形状なので、バッフル板7に取り付ける際には、フィルムコーン3の当接部3Tの湾曲部3TWがバッフル板7に当接して、平面部3THが多少たわむ。したがって、従来のように、シール材をスピーカユニットに貼り付けたり、バッフル板7に載置部(当接部)を設けなくても、スピーカユニット1をバッフル板7に密接させることができる。
フィルムコーン3の当接部3Tを別の形状にすることも可能である。例えば、図1(D)に示すように、当接部3Tを、J字状に成形して、湾曲部3TWをバッフル板7に密接させる構成とすることも可能である。また、図1(E)に示すように、フィルムコーン3の当接部3TをJ字状(つ字状)に成形して、平面部3THをバッフル板7に密接させる構成とすることも可能である。さらに、図1(F)に示すように、フィルムコーン3の当接部3Tをロール状に成形して、湾曲した側面部3TRをバッフル板7に密接させる構成とすることも可能である。
なお、いずれの場合も、フィルムコーン3の接着部3Nをフレーム2に貼り付けた際に、フレーム2の周面部2Sにおける先端の平面部2Hに対する高さよりも、当接部3T(湾曲部3TW、平面部3TH、側面部3TR)の平面部2Hに対する高さの方が高くなっている。
このような構成にすることで、いずれの場合も、当接部3Tの先端が自由端となり、当接部3Tをバッフル板7に当接させると、当接部3Tの先端がフレーム2にあたることなく当接部3Tがたわむ。したがって、フィルムコーン3の当接部3Tと、バッフル板7と、をより密接させることができる。
なお、以上の説明では、フィックスドエッジ型のスピーカユニットを例に挙げて説明したが、もちろん、フレキシブルエッジ型のスピーカユニットにおいても本発明は適用可能である。すなわち、エッジの素材として薄い材質のものや固い材質のものを使用する場合には、図1に示した振動板と同様に、エッジの外周側の延長した端部を加工して、平面(バッフル板)と当接させると密接する形状に成形すると良い。
また、図1(C)〜(F)に示したスピーカユニット1は、フレーム2の周面部2Sが立ち上がりフランジ形状に限るものではなく、周面部2Sを設けていなくても良い。
次に、一定値以上の厚みで弾力性があるエッジを備えたフレキシブルエッジ型のスピーカユニットの場合について説明する。図2は、フレキシブルエッジ型のスピーカユニットの断面図である。スピーカユニット10は、一般的なダイナミックスピーカであり、ヨーク11A、プレート11B、マグネット12、ボイスコイル13、振動板であるコーン紙14、エッジ15、フレーム16、振動伝達体17、ダンパ18、及びダストキャップ19などを備えている。
フレキシブルエッジ型のスピーカユニットでは、振動板に接続する(取り付ける)エッジとして、通常、材料に一定値以上の厚みで弾力性のあるものを使用することが多い。そこで、エッジとして、このような材料を使用する場合には、スピーカユニットのエッジを、以下のように加工することで、シール材と同様の効果を得ることができる。
例えば、図2(A)に示すように、バッフル板20と当接する部分であるフレーム16の周縁部16Sを平面状に形成する。そして、エッジ15を延長して、このフレーム16の平面状の周縁部16Sを、エッジ15の周縁部15Sにより被覆する。このように構成することで、従来のように、シール材を貼らなくても、スピーカユニット10の外周部分をバッフル板20に密接させることができる。
また、スピーカユニット10において、フレーム16の周縁部16Sの形状が図2(B)に示すように階段状の場合には、エッジ15の周縁部15Sを延長して,この階段状の部分全体を被覆するように構成すると良い。この場合にも、図2(A)の構成と同様に、スピーカユニットの周縁部15Sをバッフル板20に密接させることができる。
以上のように、振動板にエッジを接続し、そのエッジに厚みと弾性があるものを使用する場合には、上記のように、端部を延長するとともに、当接させても問題ない形状に成形すると良い。
フィルムコーン型のスピーカユニットの正面図、A−A断面図、及び周縁部の拡大図である。 フレキシブルエッジ型のスピーカユニットの断面図である。
符号の説明
1,10−スピーカユニット 2,16−フレーム 3−フィルムコーン
4,13−ボイスコイル 5,12−マグネット 6−コイルボビン
7−バッフル板 11A−ヨーク 11B−プレート 14−コーン紙
15−エッジ 17−振動伝達体 18−ダンパ 19−ダストキャップ

Claims (3)

  1. 振動板の周縁部を支持し、全周にわたって立ち上がりフランジが形成されたフレームと、
    前記フレームのフランジを全周にわたって被覆する振動板と、を備えたスピーカユニット。
  2. 振動板の周縁部内周側が接続されたフレームと、
    先端の少なくとも一部が弾性変形可能に湾曲し、全周にわたって平面と当接可能な環状の周縁部を備えた振動板と、
    を備えたスピーカユニット。
  3. 前記振動板の周縁部は、先端の断面がロール状、U字状、またはJ字状に湾曲し、一端が自由端である請求項2に記載のスピーカユニット。
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