JP2007239835A - 流体軸受装置およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】使用時におけるディスクDの面振れを確実かつ低コストに防止する。
【解決手段】流体軸受装置1の回転部材3は、軸部2とディスクハブ9とを備えている。ディスクハブ9のディスク搭載面9cに形成された凹部には、インクジェット法で形成された微量インクの集合体からなる被覆部12が形成され、これによりディスクDが所期の姿勢に保持されている。
【選択図】図2
【解決手段】流体軸受装置1の回転部材3は、軸部2とディスクハブ9とを備えている。ディスクハブ9のディスク搭載面9cに形成された凹部には、インクジェット法で形成された微量インクの集合体からなる被覆部12が形成され、これによりディスクDが所期の姿勢に保持されている。
【選択図】図2
Description
本発明は、流体軸受装置およびその製造方法に関するものである。
流体軸受装置は、軸受隙間に生じる流体の潤滑膜で回転部材を回転自在に支持するものである。この流体軸受装置は、高速回転、高回転精度、低騒音等の特徴を備えるもので、近年ではその特徴を活かして、情報機器、例えばHDD等の磁気ディスク装置、CD−ROM、CD−R/RW、DVD−ROM/RAM等の光ディスク装置、MD、MO等の光磁気ディスク装置等のスピンドルモータ、レーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータ、プロジェクタのカラーホイール、あるいは電気機器、例えば軸流ファンなどの小型モータ用の軸受として広く用いられている。
この種の流体軸受装置では、回転部材をラジアル方向に支持するラジアル軸受部と、スラスト方向に支持するスラスト軸受部とが設けられる。ラジアル軸受部としては、軸受隙間を満たす潤滑流体に動圧を発生させるための動圧発生部を設けた動圧軸受が用いられる場合と、この種の動圧発生部を設けない真円軸受が用いられる場合とがある。一方、スラスト軸受部としては、動圧軸受が用いられる場合と、回転部材の一端を接触支持する構造の軸受(いわゆる、ピボット軸受)が用いられる場合とがある。
例えば、HDD等のスピンドルモータに組み込まれる流体軸受装置の回転部材には、固定部材としての軸受部材の内周に軸部が挿入され、該軸部の一端には、ディスク状情報記録媒体(ディスク)を載置するためのハブ部(ディスクハブ)が設けられる。このディスクハブは、例えば軸部をインサートして樹脂で射出成形される(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−337341号公報
ところで、ディスクハブのうち、特にディスクを載置するディスク搭載面は、面触れ等に起因したディスクの記録情報の読み取り不良を回避するため、特に高い面精度(例えば、平面度)が要求される。しかしながら、上記のようにディスクハブを射出成形した場合には、成形収縮に伴うヒケによって所期の面精度が得られない場合が多く、また、射出成形しない場合でも、例えばディスクハブが軸部に傾いて取り付けられたりする場合がある。そのため、成形後や組み付け後には、ディスク搭載面を所期の精度に仕上げる修正作業を行っているが、この種の修正作業は一般に煩雑で、コスト高を招いている。
本発明の課題は、ディスクの面振れを防止可能な流体軸受装置を低コストに提供することにある。
また、本発明の他の課題は、ディスクの面振れを防止可能な流体軸受装置を低コストに製造する方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明にかかる流体軸受装置は、固定部材と、固定部材に対して相対回転する回転部材と、固定部材と回転部材の間のラジアル軸受隙間に生じる流体の潤滑膜で回転部材をラジアル方向に支持するラジアル軸受部とを備え、回転部材が、固定部材に挿入される軸部、および軸部に設けられ、ディスク搭載面を有するディスクハブを備えるものであって、ディスク搭載面の一部あるいは全領域に、微量インクの集合体からなる被覆部を設けたことを特徴とするものである。
上記のように、本発明では、ディスク搭載面の一部あるいは全領域に微量インクの集合体からなる被覆部が設けられる。例えばディスクハブ成形後の検査段階で、ディスク搭載面に、ディスクの姿勢を悪化させる形状不良箇所が発見された場合、その形状不良箇所を被覆する被覆部を設けることによってディスクの姿勢を矯正し、使用時のディスクの面振れを防止することができる。
上記の被覆部を形成するに際し、微量インクの集合体は、例えばディスク搭載面とは非接触の状態で細孔ノズルからインクを供給する、いわゆるインクジェット法を用いて形成することができる。ディスク搭載面と非接触でインクを供給する方法としては、上記インクジェット法の他にも、ノズルではなくインク液面からインク液滴を飛ばすノズルレスタイプのインクジェット法(ノズルレスインクジェット法)、電気泳動を利用してインクを誘導する方法、マイクロピペットを介してインクを液滴の状態ではなく連続的に吐出する方法、あるいは定着面までの距離を短縮し、インクを吐出と同時に定着面に着弾させる方法等が考えられる。
以上に例示したインクの供給方法では、インクの供給量や供給箇所等が精密に制御可能であるから、予めプログラミングし、そのプログラムに沿ってインクの供給部(例えば、ノズル)の位置およびインクの供給・停止を制御することにより、ディスク搭載面の任意箇所に容易に被覆部を形成することができる。したがって、ディスク搭載面が所期の精度に形成されていない場合でも、煩雑な修正作業を排除してディスクの面振れを防止し得る流体軸受装置を低コストに提供することができる。
インクとしては、熱硬化タイプの他、例えば電子線や光線等の照射で硬化するタイプのものを使用することができ、特にコスト面や作業環境等を考慮すると、光線の照射でインクを硬化させることができる光硬化性を有するものが望ましい。光硬化性のインクとしては、紫外線硬化タイプや赤外線硬化タイプの他、可視光硬化タイプのインクも使用することができるが、低コストでかつ短時間で硬化させることができる紫外線硬化タイプが特に望ましい。
微量インクの集合体からなる被覆部は、ディスク搭載面の形状不良箇所を特定する第1工程と、該不良箇所に微量インクの集合体からなる被覆部を形成する第2工程とを経て形成することができる。この際、第1工程で、ディスクハブを固定治具で支持して形状不良箇所を特定し、第1工程終了後、該固定治具でディスクハブを支持したまま第2工程を行えば、シンプルな工程で短時間のうちに被覆部を形成することが可能となる。
以上のように、本発明によれば、ディスクハブの軸への組み付け後であっても、ディスクの面触れを確実かつ低コストに防止することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る流体軸受装置1を組み込んだ情報機器用スピンドルモータを概念的に示している。このスピンドルモータは、HDD等のディスク駆動装置に用いられるもので、回転部材3を回転自在に支持する流体軸受装置1と、例えば半径方向のギャップを介して対向させたステータコイル4およびロータマグネット5と、ブラケット6とを備えている。ステータコイル4はブラケット6の内周に取付けられ、ロータマグネット5は回転部材3の外周に取付けられる。流体軸受装置1の固定部材10は、ブラケット6の内周に装着される。回転部材3にはハブ部(ディスクハブ)9が設けられ、このディスクハブ9には、磁気ディスク等のディスクが一又は複数枚載置される。ステータコイル4に通電すると、ステータコイル4とロータマグネット5との間の電磁力でロータマグネット5が回転し、それに伴って、回転部材3および回転部材3に保持されたディスクが一体に回転する。
図2は、上記スピンドルモータで使用される流体軸受装置1の一例を示すものである。この流体軸受装置1は、固定部材10と、固定部材10に対して相対回転する回転部材3とを主要な構成要素として備える。本実施形態において、固定部材10は、ハウジング7と、ハウジング7の内部に保持された軸受スリーブ8とで構成され、また回転部材3は、軸受スリーブ8の内周に挿入された軸部2と、該軸部2の一端に設けられたディスクハブ9とを備えている。なお、以下説明の便宜上、ディスクハブ9が設けられた側を上側、その軸方向反対側を下側として説明を進める。
ハウジング7は、金属材料あるいは樹脂材料で略円筒状に形成された側部7aと、側部7aの下端開口部を閉塞する底部7bとで構成される。側部7aの外周には、上方に向かって漸次拡径するテーパ状の外壁7a3が形成されている。側部7aの下端内径側には、底部7bが固定される段部7a4が形成され、この段部7a4を除き、側部7aの内周面7a1は同径でストレートな円筒面に形成されている。底部7bは、段部7a4の内周に、接着、圧入、圧入接着、溶着等、形成材料に合わせて適宜の手段で固定される。
ハウジング7のうち、側部7aの上側端面7a2の全面または一部環状領域は、第1スラスト軸受部T1のスラスト軸受面となり、該スラスト軸受面となる領域には、図示は省略するが、例えばスパイラル形状に配列された複数の動圧溝が形成されている。動圧溝は、ハウジング7の上側端面7a2とスラスト軸受隙間を介して対向するディスクハブ9の下側端面9a1に形成してもよい。なお動圧溝形状は、スパイラル形状の他、例えばヘリングボーン形状等に形成することもできる。
軸受スリーブ8は、例えば、焼結金属からなる多孔質体、特に銅を主成分とする燒結金属の多孔質体で円筒状に形成され、ハウジング7の内周面7a1の所定位置に圧入、接着、あるいは圧入接着等の手段で固定される。なお、焼結金属に限らず、多孔質体ではない他の金属材料、例えば黄銅等の軟質金属で軸受スリーブ8を形成することも可能である。
軸受スリーブ8の内周面8aには、第1ラジアル軸受部R1と第2ラジアル軸受部R2のラジアル軸受面Aとなる上下2つの領域が軸方向に離隔して設けられ、該2つの領域には、例えば図3(a)に示すようなヘリングボーン形状の動圧溝8a1、8a2がそれぞれ形成される。上側の動圧溝8a1は、軸方向中心m(上下の傾斜溝間領域の軸方向中央)に対して軸方向非対称に形成されており、軸方向中心mより上側領域の軸方向寸法X1が下側領域の軸方向寸法X2よりも大きくなっている。一方、下側の動圧溝8a2は軸方向対称に形成され、その上下領域の軸方向寸法はそれぞれ上記軸方向寸法X2と等しくなっている。この場合、軸部材2の回転時には、動圧溝による潤滑油の引き込み力(ポンピング力)は下側の対称形の動圧溝8a2に比べ、上側の動圧溝8a1で相対的に大きくなる。動圧溝は、公知のその他の形状、例えばスパイラル形状等に形成することもできる。なお、軸受スリーブ8の外周面8bには、1本又は複数本の軸方向溝8b1が軸方向全長に亘って形成されており、本実施形態では、3本の軸方向溝8b1が円周方向等間隔に形成されている。
また、軸受スリーブ8の下側端面8cの一部または全部環状領域には、第2スラスト軸受部T2のスラスト軸受面が形成され、当該スラスト軸受面となる領域には、例えば図3(b)に示すようなスパイラル形状の動圧溝8c1が形成される。なお、動圧溝は、前記のスパイラル形状の他、例えばヘリングボーン形状等に形成することもできる。また動圧溝は、スラスト軸受隙間を介して対向するフランジ部11の上側端面11aに形成してもよい。
回転部材3は、軸受スリーブ8の内周に挿入される軸部2と、該軸部2をインサートして樹脂で射出成形(インサート成形)されたディスクハブ9と、軸部2の下端に固定されたフランジ部11とで構成される。
軸部2は、例えばステンレス鋼等の金属材料で略円筒状に形成される。軸部2の上端部内周には、例えばねじ穴が設けられ、該ねじ穴にディスクハブ9との間でディスクDを挟持するクランパ(図示省略)がねじ止め固定される。また、軸部2の下端部には、軸部2の抜け止めとして、金属製のフランジ部11が、例えばねじ止め固定される。軸部2の外周面2aのうち、ディスクハブ9の固定部となる領域には円周溝2a1が設けられ、ディスクハブ9の成形時、この円周溝2a1に射出材料が充填・固化することにより、ディスクハブ9の抜け止めが図られる。軸部2の外周面2aは、上記円周溝2a1を除き、平滑な円筒面に形成されている。
ディスクハブ9は、上記の軸部2をインサートして樹脂で射出成形され、このディスクハブ9は、ハウジング7の上方に配置された円盤部9aと、円盤部9aの外周部から軸方向下方に延びた筒状部9bと、筒状部9bの外周に設けられたディスク搭載面9cおよび鍔部9dとを備えている。ディスクDは、円盤部9aの外周に外嵌され、ディスク搭載面9cに載置される。そして、図示しないクランパとの間でディスクDが挟持される。なお、樹脂ではない他の材料、例えば低融点の金属材料で射出成形することもできる。
ディスクハブ9の筒状部9bの内周面9b1は、ハウジング7の側部7aの外壁7a3との間に、ハウジング7の下端側から上方に向けて半径方向寸法が漸次縮小した環状のシール空間Sを形成する。このシール空間Sは、回転部材3の回転時、第1スラスト軸受部T1のスラスト軸受隙間の外径側と連通する。
上記構成の流体軸受装置1において、回転部材3が回転すると、軸受スリーブ8の内周面8aのラジアル軸受面Aとなる上下2箇所に離隔して設けられる領域は、それぞれ軸部2の外周面2aとラジアル軸受隙間を介して対向する。そして、回転部材3の回転に伴い、上記ラジアル軸受隙間に生じる潤滑膜は、動圧溝の動圧作用によってその油膜剛性が高められ、回転部材3がラジアル方向に回転自在に非接触支持される。これにより、回転部材3をラジアル方向に回転自在に非接触支持する第1ラジアル軸受部R1と第2ラジアル軸受部R2とが形成される。
また、回転部材3が回転すると、ハウジング7の上側端面7a2のスラスト軸受面となる領域がディスクハブ9の下側端面9a1と所定のスラスト軸受隙間を介して対向し、軸受スリーブ8の下側端面8cのスラスト軸受面となる領域がフランジ部11の上側端面11aと所定のスラスト軸受隙間を介して対向する。そして回転部材3の回転に伴い、両スラスト軸受隙間に生じる潤滑膜は、動圧溝の動圧作用によってその油膜剛性が高められ、回転部材3が両スラスト方向に回転自在に非接触支持される。これにより、回転部材3をスラスト方向に回転自在に非接触支持する第1スラスト軸受部T1と第2スラスト軸受部T2とが形成される。
この流体軸受装置1の運転中に両スラスト軸受部T1、T2のスラスト軸受隙間とシール空間Sとの間で圧力のアンバランスが生じた場合、両空間を連通する循環路を通って潤滑油が流動するため、圧力差が早期に解消され、圧力差に起因する潤滑油中での気泡の発生や潤滑油の漏れ、あるいは振動の発生が抑制される。本実施形態では、循環路を、軸受スリーブ8の外周面に形成した軸方向溝8b1で構成しているが、軸方向溝8b1をハウジング7の内周面に形成することもできる。
ところで、本実施形態のようにディスクハブ9が射出成形される場合、固化段階における成形収縮に伴って、ディスクハブ9の円周方向の各部、特に厚肉部となっているディスク搭載面9cにヒケが生じ易い。このヒケが生じた部分(凹部)には、微量インクの集合体からなる被覆部12が形成され、これによりディスクDが所期の姿勢で保持されている(図2の拡大断面図参照)。
以下、上記被覆部12の成形工程を図面に基づいて説明する。
図4は、被覆部12の成形方法の一例として、インクジェット方式の印刷装置を用いた被覆部12の成形工程の概要を示すものである。同図に示す印刷装置20は、主要な構成要素として、ディスクハブ9(本実施形態では、ディスクハブ9と軸部2の一体品)を支持する固定治具を有し、ディスクハブ9を回転駆動させる支持部21と、ディスクハブ9のディスク搭載面9cと対向配置された一組又は複数組(図示例は一組)のノズルヘッド22および硬化部23とを備えている。ノズルヘッド22には、インク25の微小液滴を吐出する複数のノズル24が縦横複数列に配設されている。硬化部23はインク25を硬化させるための光を照射する光源で、例えば紫外線ランプが使用される。この硬化部23は、照射紫外線によるノズル24の目詰まりを防止するため、紫外線がノズル24に照射されない程度にノズルヘッド22とは円周方向位置を異ならせて配置されている。なお、ノズル24からのインク25の吐出方式は特に問わず、ピエゾ方式、サーマルインクジェット方式、エアジェット方式などの公知の吐出方式が選択可能である。
また、図示は省略しているが、ディスクハブ9のディスク搭載面9cとの対向領域には、ディスク搭載面9cの形状不良箇所を特定し、インク25の供給箇所を決定するための変位計が配設されている。変位計としては、例えばレーザーを被測定面に照射して、その離間距離を測定することにより凹凸を検知するレーザー変位計が用いられる。このレーザー変位計は、ノズルヘッド22よりも回転方向前方に配設される。
本実施形態では、レーザー変位計とその対向領域とが、形状不良箇所を特定する(インク25の供給箇所を決定する)第1工程、ノズルヘッド22および硬化部23とその対向領域とが、被覆部12を形成する第2工程となる。
インク25は、例えば光硬化性樹脂、好ましくは紫外線硬化樹脂を主成分(ベース樹脂)とし、さらに光重合開始剤や有機溶媒等を適宜配合したものが使用される。
インク25のベース樹脂を構成する紫外線硬化樹脂としては、例えばラジカル重合系モノマーやラジカル重合系オリゴマー、カチオン重合系モノマーの他、イミドアクリレート、あるいは環状ポリエン化合物やポリチオール化合物に代表されるエン・チオール化合物が挙げられるが、この中でもラジカル重合系モノマーやラジカル重合系オリゴマー、カチオン重合系モノマーを好ましく使用することができる。ラジカル重合系モノマーとしては、例えば単官能、2官能あるいは多官能のアクリレート系モノマーや、メタクリレート系モノマーが使用でき、ラジカル重合系モノマーとしては、例えばウレタンアクリレートや、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、あるいは不飽和ポリエステルなどが使用できる。また、カチオン重合系モノマーとしては、例えばビスフェノールA系エポキシ樹脂や、フェノールノボラックエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂の他、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、3−エチル−3−(2−エチルへキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−{[3−(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタン等のオキセタン樹脂が使用できる。これら紫外線硬化樹脂は、単体で使用する他、2種類以上を混合したものをベース樹脂として使用することもできる。
これらベース樹脂には、紫外線照射により重合反応を起こさせるためのラジカル系光重合開始剤や、カチオン系光重合開始剤等の光重合開始剤を配合することができる。ラジカル系光重合開始剤としては、例えばベンゾフェノンや、オルソベンゾイン安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4‘−メチルジフェニルサルファイド、ベンゾフェノンのアンモニウム塩、イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、チオキサントンのアンモニウム塩に代表される水素引抜型の光重合系開始剤が使用でき、あるいはベンゾイン誘導体や、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシアルキルフェノン、α−アミノアルキルフェノン、アシルホスフィンオキサイド、モノアシルホスフィンオキサイド、ビスアシルホスフィンオキサイド、アクリルフェニルグリオキシレート、ジエトキシアセトフェノン、チタノセン化合物に代表される分子内開裂型の光重合開始剤が使用できる。また、カチオン系光重合開始剤としては、例えばトリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネートや、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロフォスフェート、SP−170やSP−150(共に旭電化(株)製)、FC−508やFC−512(共に3Mカンパニー社製)、UVE−1014(ゼネラルエレクトリックカンパニー社製)に例示されるポリアリールスルホニウム塩、Uvacure1590やUvacure1591(共にダイセル・ユーシービー社製)に例示されるトリアリルスルフォニュムヘキサフルオロフォスフェード塩の混合物、Irg−261(チバ・ガイギー社製)に例示されるメタロセン化合物、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネートやP−ノニルフェニルフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、4,4‘−ジエトキシフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート等のポリアリールヨードニウム塩が使用できる。これら光重合開始剤は、1種類であるいは2種類以上を組み合わせて使用することもできる。
以上の構成において、ディスクハブ9を支持部21で支持しながら回転させることにより、レーザー変位計でディスク搭載面9cの形状不良箇所を特定して、インク25の供給箇所を決定する。この供給箇所に関する情報はノズルヘッド22に伝達され、ディスクハブ9の回転が進行してディスク搭載面9cの形状不良箇所がノズルヘッド22の対向領域に達すると、ノズルヘッド22のノズル24からインク25の微小液滴が吐出され、これが多数集合することにより被覆部12が形成される。さらにディスクハブ9の回転が進行し、印刷部分が硬化部23の対向領域に達すると、紫外線の照射を受けたインク25が重合反応を起こして硬化する。これら一連の工程は、ディスクハブ9の円周方向に順次進行する形で行われ、ディスク搭載面9cにおける形状不良箇所の全てに被覆部12が形成されると、支持部21の回転を停止してディスクハブ9を支持部21から取り外す。なお、被覆部12は、ディスクハブ9を1回転させる間にディスク搭載面9cの全周に亘って形成する他、複数回転させる間に形成することもでき、複数回転させる場合には、1回転目でディスク搭載面9c全周に亘る印刷箇所を決定し、2回転目以降で、インク25の供給(印刷)および硬化を行うこともできる。複数回転させてインク25の供給および硬化を行う場合でも、一度硬化部23の対向領域を通過したインク25は完全に硬化しているので、硬化不十分なインク25の重なりによる印刷精度の低下は回避することができる。
なお図示例(図2の拡大図参照)では、被覆部12をディスク搭載面9cの最外径部にのみ形成した形態を示しているが、被覆部12は、凹部全体を埋めるように形成してもよく、さらにディスク搭載面9cの全面を被覆するように形成することもできる。
また、以上では、第1工程および第2工程の双方を印刷装置20内で行う形態について説明を行っているが、例えば図示する硬化部23をレーザー変位計に置換して、形状不良箇所の特定(インク25供給箇所の決定)と、インク25の供給のみを印刷装置20内で行い、インク25の硬化を別工程で行うこともできる。
以上に示すように、本発明では、ディスクハブ9のディスク搭載面9cに形状不良箇所が存在していても、当該箇所に被覆部12を形成することによってディスクDの姿勢を矯正することができ、これにより使用時におけるディスクDの面触れを防止することができる。
また、被覆部12は、上述したインクジェット方式の印刷装置20で形成されたものであり、予めプログラムを行うことにより、インク25の供給量や供給箇所を精密に制御することができるから、被覆部12を容易かつ低コストに形成することができる。したがって、ディスクハブ9のディスク搭載面9cが所期の精度に形成されていない場合でも、煩雑な修正作業を排除して、低コストにディスクDの面振れを防止し得る流体軸受装置1を提供することができる。
また、以上では、ディスクハブ9を回転駆動させることにより、被覆部12を形成する形態について説明を行ったが、これとは逆に、ディスクハブ9を固定した状態で、レーザー変位計、ノズルヘッド22および硬化部23を回転させて被覆部12を形成することもできる。
また、図示例では、ディスクハブ9と軸部2の一体品に被覆部12を形成する形態を示しているが、ディスクハブ9単体、あるいは流体軸受装置1を印刷装置20に投入して被覆部12を形成することもできる。
また、以上の説明では、ディスクハブ9を軸部2と一体に射出成形した場合に、局所的に生じるヒケの部分に微量インクの集合体で被覆部12を形成する構成を示したが、上記本発明の構成は、例えばディスクハブ9を軸部2と別体の金属加工品とし、このディスクハブ9を圧入固定したときに、加圧力に伴ってディスク搭載面9cに局所的な変形が生じた場合や、ディスクハブ9が傾いて固定された場合などにも好ましく用いることができる。
以上、本発明の一実施形態について説明を行ったが、本発明は、図2に示す流体軸受装置1のみならず、ディスクハブ9を設け得る以下に示す形態の流体軸受装置にも同様に適用することができる。なお、以下の説明では、基本的に図2に示す実施形態と同一機能を有する部材および要素には共通の参照番号を付して重複説明を省略する。
図5は、流体軸受装置1の第2実施形態を示すものである。同図に示す流体軸受装置1は、主に、固定部材10が、ハウジングと軸受スリーブとを一体化させた軸受部材17で構成される点で、図2に示す形態と構成を異にする。
図6は、流体軸受装置1の第3実施形態を示すものである。同図に示す流体軸受装置1は、主に、フランジ部11が省略され、ハウジング7の側部7aと底部7bとが一体成形された点、スラスト軸受部Tがハウジング7の上側端面7a2とディスクハブ9の下側端面9a1の間にのみ設けられる点、およびディスクハブ9の側部9bの内周面9b1に、回転部材3の抜け止めとしての抜け止め部材13が固定された点で、図2に示す形態と構成を異にする。なお、本実施形態においても、図5に示す構成と同様にハウジング7と軸受スリーブ8とを一体成形することもできる。
図7は、流体軸受装置1の第4実施形態を示すものである。同図に示す流体軸受装置1は、主に、ハウジング7の上端開口部内周にシール部材19が配設され、このシール部材19の内周面19aと軸部2の外周面2aとの間にシール空間Sが形成された点、および軸部2に一体または別体に設けられたフランジ部11の両端側に第1および第2スラスト軸受部T1、T2が設けられた点で、図2に示す形態と構成を異にしている。
以上の説明では、ラジアル軸受部R1、R2として、へリングボーン形状やスパイラル形状の動圧溝により潤滑油の動圧作用を発生させる構成を例示しているが、ラジアル軸受部R1、R2として、いわゆるステップ軸受や多円弧軸受を採用することもできる。多円弧軸受やステップ軸受は、ラジアル軸受面Aとなる領域に、それぞれ複数の軸方向溝や円弧面を設けた構成の軸受である。
また、以上の説明では、ラジアル軸受部R1、R2のように、ラジアル軸受部を軸方向の2箇所に設けた構成としたが、ラジアル軸受部を軸方向の1箇所、あるいは3箇所以上に設けることもできる。
また、スラスト軸受部T1、T2の一方又は双方は、例えばステップ軸受で構成することができる他、いわゆる波型軸受(ステップ型が波型になったもの)等で構成することもできる。
また、以上の説明では、ラジアル軸受部R1、R2の双方を動圧軸受で構成する形態を例示したが、ラジアル軸受部R1、R2の一方または双方を真円軸受で構成することもできる。
また、以上の説明では、流体軸受装置1の内部に充満する流体として潤滑油を例示したが、潤滑油以外にも、例えば空気等の気体や、磁性流体等を使用することもできる。
1 流体軸受装置
2 軸部
3 回転部材
4 ステータコイル
5 ロータマグネット
7 ハウジング
8 軸受スリーブ
9 ディスクハブ
9c ディスク搭載面
10 固定部材
12 被覆部
20 印刷装置
21 支持部
22 ノズルヘッド
23 ノズル
24 硬化部
25 インク
A ラジアル軸受面
2 軸部
3 回転部材
4 ステータコイル
5 ロータマグネット
7 ハウジング
8 軸受スリーブ
9 ディスクハブ
9c ディスク搭載面
10 固定部材
12 被覆部
20 印刷装置
21 支持部
22 ノズルヘッド
23 ノズル
24 硬化部
25 インク
A ラジアル軸受面
Claims (4)
- 固定部材と、固定部材に対して相対回転する回転部材と、固定部材と回転部材の間のラジアル軸受隙間に生じる流体の潤滑膜で回転部材をラジアル方向に支持するラジアル軸受部とを備え、回転部材が、固定部材に挿入される軸部、および軸部に設けられ、ディスク搭載面を有するディスクハブを備えた流体軸受装置において、
ディスク搭載面の一部あるいは全領域に、微量インクの集合体からなる被覆部を設けたことを特徴とする流体軸受装置。 - インクが光硬化性を有する請求項1記載の流体軸受装置。
- 固定部材と、固定部材に対して相対回転する回転部材と、固定部材と回転部材の間のラジアル軸受隙間に生じる流体の潤滑膜で回転部材をラジアル方向に支持するラジアル軸受部とを備え、回転部材が、固定部材に挿入される軸部、および軸部に設けられ、ディスク搭載面を有するディスクハブを備えた流体軸受装置の製造方法であって、
ディスク搭載面の形状不良箇所を特定する第1工程と、該不良箇所に微量インクの集合体からなる被覆部を形成する第2工程とを有する流体軸受装置の製造方法。 - 第1工程で、ディスクハブを固定治具で支持して形状不良箇所を特定し、第1工程終了後、該固定治具でディスクハブを支持したまま第2工程を行う請求項3記載の流体軸受装置の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006061554A JP2007239835A (ja) | 2006-03-07 | 2006-03-07 | 流体軸受装置およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006061554A JP2007239835A (ja) | 2006-03-07 | 2006-03-07 | 流体軸受装置およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007239835A true JP2007239835A (ja) | 2007-09-20 |
Family
ID=38585580
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2006061554A Withdrawn JP2007239835A (ja) | 2006-03-07 | 2006-03-07 | 流体軸受装置およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2007239835A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114033799A (zh) * | 2021-11-29 | 2022-02-11 | 江苏科技大学 | 一种基于电子束固化的滑动轴承复合润滑结构加工方法 |
-
2006
- 2006-03-07 JP JP2006061554A patent/JP2007239835A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114033799A (zh) * | 2021-11-29 | 2022-02-11 | 江苏科技大学 | 一种基于电子束固化的滑动轴承复合润滑结构加工方法 |
CN114033799B (zh) * | 2021-11-29 | 2024-02-27 | 江苏科技大学 | 一种基于电子束固化的滑动轴承复合润滑结构加工方法 |
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