JP2007230185A - 平版印刷版用処理液および処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】印刷インキ、湿し水またはこれらの両方により除去可能な画像記録を有する平版印刷版原版を、画像様に露光した後、塩基性色素及びアニオン界面活性剤を含む水溶液で処理することを特徴とする平版印刷版原版の処理方法及び処理液。該処理方法を用いる平版印刷版原版の検版方法および画像品質管理方法ならびに処理に用いる塩基性色素及びアニオン界面活性剤を含む水溶液。
【選択図】なし
Description
なお、本発明においては、特別な説明がない限り、「現像処理工程」とは、印刷機以外の装置を使用して液体(通常はアルカリ性現像液)を接触させることにより、平版印刷版原版の画像形成層の未露光部分を除去し、親水性支持体表面を露出させる工程を指し、「機上現像」とは、印刷機を用いて、液体(通常は印刷インキおよび/または湿し水)を接触させることにより、平版印刷版原版の画像形成層の未露光部分を除去し、親水性支持体表面を露出させる方法および工程を指す。
更に、画像部を着色し非画像部は着色せずにコントラストの良い染色処理液を提供することである。
更に又、非画像部の除去性に優れ、除去した滓の分散性に優れた染色処理液を提供することである。
本発明は以下のとおりである。
2.上記1記載の処理液を用いて、平版印刷版を処理する平版印刷版の処理方法。
3.上記2の平版印刷版が、印刷インキ、湿し水またはこれらの両方により除去可能な画像記録材料を有する平版印刷版原版である、上記2の平版印刷版の処理方法。
本発明の処理液は、塩基性色素を含有する。ここで塩基性色素とは、水溶液中で正に荷電した色素を意味し、具体的には、塩基性染料、塩基性顔料、塩基性もしくはカチオン性樹脂で被覆された色材、塩基性もしくはカチオン性界面活性剤で被覆された色材等を表す。
C.I.べーシックイエロー 1,2,11,13,14,15,19,21,23,24,25,28,29,32,36,40,41,45,49,51,53,63,64,65,67,70,73,77,87,91
C.I.ベーシックレッド 2,12,13,14,15,18,22,23,24,27,29,35,36,38,39,46,49,51,52,54,59,68,69,70,73,78,82,102,104,109,112
C.I.べーシックブルー 1,3,5,7,9,21,22,26,35,41,45,47,54,62,65,66,67,69,75,77,78,89,92,93,105,117,120,122,124,129,137,141,147,155
C.I.ベーシックブラック 2,8
が挙げられる。これらの中で特に好ましい染料として、クリスタルバイオレット、メチルバイオレット、ベーシックブルー3、ベーシックブルー75、エチルバイオレット、ビクトリアピュアブルー、およびメチレンブルーが挙げられる。
C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142
C.I.アシッドレッド 1,8,13,14,18,26,27,35,37,42,52,82,87,89,92,97,106,111,114,115,134,186,249,254,289
C.I.アシッドブルー 9,29,45,92,249
C.I.アシッドブラック 1,2,7,24,26,94
C.I.フードイエロー 3,4
C.I.フードレッド 7,9,14
C.I.フードブラック 1,2などが使用できる。
C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,26,33,44,50,86,120,132,142,144
C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,13,17,20,28,31,39,80,81,83,89,225,227
C.I.ダイレクトオレンジ 26,29,62,102
C.I.ダイレクトブルー 1,2,6,15,22,25,71,76,79,86,87,90,98,163,165,199,202
C.I.ダイレクトブラック 19,22,32,38,51,56,71,74,75,77,154,168,171などが使用できる。
C.I.リアクティブブラック 3,4,7,11,12,17
C.I.リアクティブイエロー 1,5,11,13,14,20,21,22,25,40,47,51,55,65,67
C.I.リアクティブレッド 1,14,17,25,26,32,37,44,46,55,60,66,74,79,96,97
C.I.リアクティブブルー 1,2,7,14,15,23,32,35,38,41,63,80,95などが使用できる。
また、有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。
アニオン界面活性剤の添加量は、塩基性色素の含有量の10倍モル以上から70倍モル以下である。好ましくは、12倍モルから60倍モル以下である。より好ましくは、15倍モルから50倍モル以下である。
処理液には、塩基性色素及びアニオン界面活性剤以外に、有機溶剤、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、消泡剤、防腐剤、湿潤剤、硬水軟化剤、水溶性高分子、酸、アルカリ等のpH調整剤、pHバッファー剤等を添加することができる。ここで、有機溶剤、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、硬水軟化剤は、主に画像形成層の未露光部の除去を促進する目的で使用する。また、酸、アルカリ等のpH調整剤、pHバッファー剤は、主に着色剤の安定性、着色剤の固定化安定性、および色相安定性を維持する目的で使用する。また水溶性高分子は、主に平版印刷版を着色した後、印刷機で印刷する場合に非画像部の親水性を維持しいわゆる印刷汚れを防止する目的で使用する。
本発明においては、画像様に露光した平版印刷版原版を、上記塩基性色素及びアニオン界面活性剤を含む水溶液に接触させて、平版印刷版原版の画像形成層未露光部を除去し、同時に画像部を着色させる。
この着色によって、検版性および画像品質管理が容易になる。
また、平版印刷版原版に、画像様露光および現像処理を行なった平版印刷版を処理し、画像部を着色させる、所謂染色液としても使用することができる。
上記の塩基性色素及びアニオン界面活性剤を含む処理液による処理を行う本発明において、検版は、(1)画像様に露光する工程、(2)塩基性色素及びアニオン界面活性剤を含む処理液に接触させて画像形成層の非画像部を除去し、画像記録材料の画像部を着色する工程、および(3)水洗、更に(4)乾燥する工程を経て、画像を可視化してから行うことが好ましい。
なお上記(2)の工程においては、処理液による画像記録材料の非画像部の除去と画像部の着色とは同時に実施してもよいし、または別の処理液(例えば現像液またはガム液)を用いて画像記録材料の非画像部を除去した後に本発明の水溶液を用いて画像部を着色してもよい。
また、画像品質管理は、上記(4)乾燥する工程の後に、(5)画像の網点面積または濃度を、網点面積測定機または濃度計により測定する工程によって計測して行うことが好ましい。
網点面積測定機は、GretagMacbeth社製D19C、エックスライト社製反射濃度計などの従来方式の反射濃度計や、内蔵されたビデオカメラにて網点パーセントを計測するGretagMacbeth社製iC PlateII、X-RiteDotなどいかなるものも使用できる。
本発明に使用する平版印刷版原版は、印刷インキ、湿し水またはこれらの両方により除去可能な画像記録材料を有するものが好ましい。以下、これらの平版印刷版原版の構成要素について、詳細に説明する。
本発明の画像記録材料は、塩基性色素と相互作用する化合物を含み、印刷インキ、湿し水またはこれらの両方により除去可能である。また、本発明の画像記録材料は、画像形成するための要素を含むことができる。
本発明で塩基性色素と相互作用する化合物とは、塩基性色素を固定化する機能を有する化合物を意味し、固定化する相互作用が静電的相互作用であっても、その他の相互作用であってもよい。より具体的には、塩基性色素と相互作用する化合物としては、水溶液中で塩解離して負の荷電となる化合物が挙げられ、また塩基性色素を固定化する化合物としては、塩基性色素と不溶性の塩を形成する化合物、分子量1000以上の高分子化合物、もしくは粒径5nm以上の粒子であることが好ましい。このような化合物の例として、無機層状化合物、無機微粒子、カルボキシル基、スルホン酸基、燐酸基等のアニオン性基含有高分子化合物等が挙げられるが、特に無機層状化合物、無機微粒子が好ましい。
A(B,C)2-5 D4 O10(OH,F,O)2
〔ただし、AはLi,K,Na,Ca,Mg,有機カチオンの何れか、BおよびCはFe(II),Fe(III),Mn,Al,Mg,Vの何れかであり、DはSiまたはAlである。〕で表される天然雲母、合成雲母等の雲母群、式3MgO・4SiO・H2Oで表されるタルク、テニオライト、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、りん酸ジルコニウムなどが挙げられる。
本発明においては、画像記録に用いられる画像形成要素の条件として特に限定されるものではなく、公知の画像形成要素を用いることができる。以下では、好ましい画像形成要素の一つである重合反応を利用した要素に関して記述する。なお本発明では、活性光線吸収剤、重合開始剤、重合性化合物、バインダーポリマー等を含有する層を画像形成層と定義し、画像形成層の上に設けられる保護層、および画像形成層の下に設けられる下塗り層との区別を行った。本発明の画像記録材料とは、画像形成層、保護層または下塗り層を有する場合はそれら全ての層を包含した意味である。
重合反応を利用した要素においては、(A)活性光線吸収剤と、(B)重合開始剤と、(C)重合性化合物と、(D)バインダーポリマーを主成分とする構成によって印刷画像を形成することができる。また、重合反応を利用した画像形成層は、必要に応じてこれら以外の公知の添加物を含有することができる。
この重合反応を利用した平版印刷版原版においては、例えば赤外線の照射により画像形成層の露光部が硬化して疎水性(親油性)領域を形成し、かつ、画像形成層の未露光部は湿し水、インキまたは湿し水とインキとの乳化物によって支持体上から速やかに除去される性質を有す。すなわち、上記画像形成層は、印刷インキおよび/または湿し水により除去可能な画像形成層となる。
本発明の平版印刷版原版を、760〜1200nmの赤外線を発するレーザーを光源により画像形成する場合には、通常、赤外線吸収剤を用いることが好ましい。赤外線吸収剤は、吸収した赤外線を熱に変換する機能と赤外線により励起して後述するラジカル重合開始剤(ラジカル発生剤)に電子移動/エネルギー移動する機能を有する。本発明において使用される赤外線吸収剤は、波長760〜1200nmに吸収極大を有する染料または顔料である。
またインキ汚染を防止する観点から、赤外線吸収剤は波長400〜700nmに実質的に吸収極大を有さないことが好ましい。具体的には、画像形成層の波長400〜700nmの領域における吸収極大の吸光度が0.1以下(平版印刷版原版の反射濃度)であることが好ましい。
本発明に用いられるラジカル重合開始剤としては、光、熱或いはその両方のエネルギーによりラジカルを発生し、重合性の不飽和基を有する化合物の重合を開始、促進する化合物を示す。本発明に使用できるラジカル重合開始剤(以下では単に重合開始剤ともいう)としては、公知の熱重合開始剤や結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物、光重合開始剤などを使用することができ、本発明において好適に用いられるラジカルを発生する化合物は、熱エネルギーによりラジカルを発生し、重合性の不飽和基を有する化合物の重合を、開始、促進させる化合物を指す。本発明に係る熱ラジカル発生剤としては、公知の重合開始剤や結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物などを、適宜、選択して用いることとができる。また、ラジカルを発生する化合物は、単独または2種以上を併用して用いることができる。
本発明における画像形成層に用いる重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いることができる。これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマー、またはそれらの混合物ならびにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。モノマーおよびその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルあるいはアミド類と単官能もしくは多官能イソシアネート類あるいはエポキシ類との付加反応物、および単官能もしくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルあるいはアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルあるいはアミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
本発明では、画像形成層の皮膜特性や機上現像性の向上のため、バインダーポリマーを用いることができる。バインダーポリマーは、従来公知のものを制限なく使用でき、皮膜性を有するポリマーが好ましい。このようなバインダーポリマーの例としては、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ノボラック型フェノール系樹脂、ポリエステル樹脂、合成ゴム、天然ゴムが挙げられる。
バインダーポリマーは、画像部の皮膜強度を向上するために、架橋性を有していてもよい。バインダーポリマーに架橋性を持たせるためには、エチレン性不飽和結合等の架橋性官能基を高分子の主鎖中または側鎖中に導入すればよい。架橋性官能基は、共重合により導入してもよい。
分子の主鎖中にエチレン性不飽和結合を有するポリマーの例としては、ポリ−1,4−ブタジエン、ポリ−1,4−イソプレンなどが挙げられる。
分子の側鎖中にエチレン性不飽和結合を有するポリマーの例としては、アクリル酸またはメタクリル酸のエステルまたはアミドのポリマーであって、エステルまたはアミドの残基(−COORまたは−CONHRのR)がエチレン性不飽和結合を有するポリマーを挙げることができる。
また、重合性化合物とバインダーポリマーは、質量比で0.5/1〜4/1となる量で用いるのが好ましい。
本発明においては、上記の画像形成層構成成分(A)〜(D)および後述のその他構成成分を画像形成層に含有させる方法として、いくつかの態様を用いることができる。一つは、例えば、特開2002−287334号公報に記載のごとく、該構成成分を適当な溶媒に溶解して塗布する分子分散型画像形成層である。他の一つの態様は、例えば、特開2001−277740号公報、特開2001−277742号公報に記載のごとく、該構成成分の全てまたは一部をマイクロカプセルに内包させて画像形成層に含有させるマイクロカプセル型画像形成層である。さらに、マイクロカプセル型画像形成層において、該構成成分は、マイクロカプセル外にも含有させることもできる。ここで、マイクロカプセル型画像形成層は、疎水性の構成成分をマイクロカプセルに内包し、親水性構成成分をマイクロカプセル外に含有することが好ましい態様である。更に他の態様として、画像形成層に架橋樹脂粒子、即ちミクロゲルを含有する態様が挙げられる。該ミクロゲルは、その中および/または表面に該構成成分(A)〜(D)の一部を含有することが出来る。特に(C)重合性化合物をその表面に有することによって反応性ミクロゲルとした態様が、画像形成感度や耐刷性の観点から特に好ましい。
より良好な機上現像性を得るためには、画像形成層は、マイクロカプセル型もしくはミクロゲル型画像形成層であることが好ましい。
例えばマイクロカプセルの製造方法としては、米国特許第2800457号、同第2800458号明細書にみられるコアセルベーションを利用した方法、米国特許第3287154号の各明細書、特公昭38−19574号、同42−446号の各公報にみられる界面重合法による方法、米国特許第3418250号、同第3660304号明細書にみられるポリマーの析出による方法、米国特許第3796669号明細書に見られるイソシアナートポリオール壁材料を用いる方法、米国特許第3914511号明細書に見られるイソシアナート壁材料を用いる方法、米国特許第4001140号、同第4087376号、同第4089802号の各明細書にみられる尿素−ホルムアルデヒド系または尿素ホルムアルデヒド−レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法、米国特許第4025445号明細書にみられるメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシセルロース等の壁材を用いる方法、特公昭36−9163号、同51−9079号の各公報にみられるモノマー重合によるin situ法、英国特許第930422号、米国特許第3111407号明細書にみられるスプレードライング法、英国特許第952807号、同第967074号の各明細書にみられる電解分散冷却法などがあるが、これらに限定されるものではない。
上記界面重合を利用する方法としては、上述した公知のマイクロカプセル製造方法を応用することができる。
本発明において、画像形成層には、印刷開始時の機上現像性を促進させるため、および、塗布面状を向上させるために界面活性剤を用いるのが好ましい。界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
界面活性剤の含有量は、画像形成層の全固形分に対して、0.001〜10質量%であるのが好ましく、0.01〜5質量%であるのがより好ましい。
本発明の画像形成層には、焼き出し画像生成のため、酸またはラジカルによって変色する化合物を添加することができる。ただし未露光部は印刷機で現像除去されるため、インキ汚染の観点から、変色前には実質的に可視域に吸収を有さないことが望ましい。このような化合物としては、例えばジフェニルメタン系、トリフェニルメタン系、チアジン系、オキサジン系、キサンテン系、アンスラキノン系、イミノキノン系、アゾ系、アゾメチン系等の各種色素が挙げられる。
上記の他に、感熱紙や感圧紙用の素材として知られているロイコ染料も好適なものとし 酸またはラジカルによって変色する染料の好適な添加量は、それぞれ前述したように実質的に可視域に吸収を有さない程度、具体的には吸収極大の吸光度が0.1以下であることが望ましい。
本発明の画像形成層には、画像形成層の製造中または保存中において(C)ラジカル重合性化合物の不要な熱重合を防止するために、少量の熱重合防止剤を添加するのが好ましい。
熱重合防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩が好適に挙げられる。
熱重合防止剤の添加量は、画像形成層の全固形分に対して、約0.01〜約5質量%であるのが好ましい。
本発明の画像形成層には、酸素による重合阻害を防止するために、ベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で画像形成層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、画像形成層の全固形分に対して、約0.1〜約10質量%であるのが好ましい。
本発明の画像形成層は、機上現像性を向上させるために、可塑剤を含有してもよい。
可塑剤としては、例えば、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジオクチルフタレート、オクチルカプリルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジアリルフタレート等のフタル酸エステル類;ジメチルグリコールフタレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、トリエチレングリコールジカプリル酸エステル等のグリコールエステル類;トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類;ジイソブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジメチルセバケート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルマレエート等の脂肪族二塩基酸エステル類;ポリグリシジルメタクリレート、クエン酸トリエチル、グリセリントリアセチルエステル、ラウリン酸ブチル等が好適に挙げられる。
可塑剤の含有量は、画像形成層の全固形分に対して、約30質量%以下であるのが好ましい。
本発明の画像形成層は、機上現像性向上のため、親水性低分子化合物を含有しても良い。親水性低分子化合物としては、例えば、水溶性有機化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール類およびそのエーテルまたはエステル誘導体類、グリセリン、ペンタエリスリトール等のポリヒドロキシ類、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンモノエタノールアミン等の有機アミン類およびその塩、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の有機スルホン酸類およびその塩、フェニルホスホン酸等の有機ホスホン酸類およびその塩、酒石酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸、アミノ酸類等の有機カルボン酸類およびその塩等が上げられる。
本発明の画像形成層は、必要な上記各成分を溶剤に分散、または溶かして塗布液を調製し、塗布される。ここで使用する溶剤としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチルラクトン、トルエン、水等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。これらの溶剤は、単独または混合して使用される。塗布液の固形分濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
本発明の平版印刷版原版には、酸素遮断性付与、画像形成層での傷等の発生防止、高照度レーザー露光時に生じるアブレーション防止等のために、必要に応じて画像形成層の上に保護層(オーバーコート層)を設けることができる。
本発明における平版印刷版原版に用いられる支持体は、特に限定されず、寸度的に安定な板状物であればよい。例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上述した金属がラミネートされまたは蒸着された紙またはプラスチックフィルム等が挙げられる。好ましい支持体としては、ポリエステルフィルムおよびアルミニウム板が挙げられる。中でも、寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板が好ましい。
本発明の平版印刷版原版においては、特に機上現像型平版印刷版原版の場合、必要に応じて、画像形成層と支持体との間に下塗層を設けることができる。下塗層は、未露光部において、画像形成層の支持体からのはく離を生じやすくさせるため、機上現像性が向上する。また、赤外線レーザー露光の場合は、下塗層が断熱層として機能することにより、露光により発生した熱が支持体に拡散せず、効率よく利用されるようになるため、高感度化が図れるという利点がある。
下塗層用化合物(下塗り化合物)としては、具体的には、特開平10−282679号公報に記載されている付加重合可能なエチレン性二重結合反応基を有しているシランカップリング剤、特開平2−304441号公報記載のエチレン性二重結合反応基を有しているリン化合物等が好適に挙げられる。
最も好ましい下塗り化合物としては、支持体吸着性基を有するモノマー/親水性基を有するモノマー/架橋性基を有するモノマーを共重合した高分子樹脂が挙げられる。
本発明の平版印刷版原版を画像様に露光する光源としては、特に限定されず、画像記録材料に応じて種々の光源を選択することができる。露光光源としては、例えば、カーボンアーク、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、タングステンランプ、ハロゲンランプ、紫外光レーザー、可視光レーザー、赤外光レーザーが挙げられる。特にレーザーが好ましく、250〜420nmの範囲の光を放射するガスレーザー、固体レーザーまたは半導体レーザー、450〜700nmn範囲の可視光を放射する固体レーザーおよび半導体レーザーなどが挙げられる。
また、赤外線レーザーの場合は、波長760〜1200nmの赤外線を放射する固体レーザーおよび半導体レーザーが好適である。赤外線レーザーの出力は、100mW以上であるのが好ましい。
露光は上記のレーザー光源を搭載したプレートセッターで行なわれることが好ましく、露光方式は内面ドラム方式、外面ドラム方式、フラットベッド方式等のいずれでもよい。また、露光時間を短縮するため、複数のレーザー光源を有するマルチビームレーザーデバイスを用いるのが好ましい。
1画素あたりの露光時間は、20マイクロ秒以内であるのが好ましい。また、照射エネルギー量は、10〜300mJ/cm2 であるのが好ましい。
本発明においては、上述したように、本発明の平版印刷版原版をレーザーで画像様に露光した後、塩基性色素及びアニオン界面活性剤を含有する処理液で処理された後、多色印刷において見当合わせの目印となる版上のトンボ(レジスターマーク)が鮮明に描き込まれているかどうか判別する。また、網点面積測定機や濃度計を用い版上の網点を測定することで、適正な露光、現像が成されているかの確認を行う。
厚み0.3mmのアルミニウム板(材質1050)の表面の圧延油を除去するため、10質量%アルミン酸ソーダ水溶液を用いて50℃で30秒間、脱脂処理を施した後、毛径0.3mmの束植ナイロンブラシ3本とメジアン径25μmのパミス−水懸濁液(比重1.1g/cm3)を用いアルミ表面を砂目立てして、水でよく洗浄した。この板を45℃の25質量%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、さらに60℃で20質量%硝酸に20秒間浸漬し、水洗した。この時の砂目立て表面のエッチング量は約3g/m2であった。
次に、60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温50℃であった。交流電源波形は、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電流密度は電流のピーク値で30A/dm2、補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。硝酸電解における電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量175C/dm2であった。その後、スプレーによる水洗を行った。
次に、塩酸0.5質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温50℃の電解液にて、アルミニウム板が陽極時の電気量50C/dm2の条件で、硝酸電解と同様の方法で、電気化学的な粗面化処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行った。この板を15質量%硫酸(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)を電解液として電流密度15A/dm2で2.5g/m2の直流陽極酸化皮膜を設けた後、水洗、乾燥して支持体Aを得た。この支持体の中心線平均粗さ(Ra)を直径2μmの針を用いて測定したところ、0.51μmであった。
上記支持体に下記下塗り液を、バーを用いて乾燥塗布量が10mg/m2になるよう塗布した後、80℃20秒間オーブンにて乾燥させて下塗層を作製した。得られた下塗層の上に下記組成の画像形成層塗布液(1)を、バーを用いて塗布した後、100℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.0g/m2の画像形成層を形成し、平版印刷版原版(1)を得た。
・下記の化合物B 0.017g
・メタノール 9.00g
・水 1.00g
・バインダーポリマー(1) 0.162g
・重合開始剤(1) 0.100g
・赤外線吸収剤(1) 0.020g
・重合性化合物、アロニックスM-215(東亜合成(株)製) 0.385g
・フッ素系界面活性剤(1) 0.044g
・メチルエチルケトン 1.091g
・1−メトキシ−2−プロパノール 8.609g
・下記の通り合成したミクロゲル 2.640g
・層状化合物水分散液(1) 2.500g
イオン交換水193.6gに合成雲母ソマシフME−100(コープケミカル(株)製)6.4gを添加し、ホモジナイザーを用いて平均粒径(レーザー散乱法)が3μmになるまで分散した。得られた分散無機粒子のアスペクト比は100以上であった。
油相成分として、トリメチロールプロパンとキシレンジイソシアナート付加体(三井武田ケミカル(株)製、タケネートD−110N、75質量%酢酸エチル溶液)10g、アロニックスM-215(東亞合成(株)製)6.00g、パイオニンA−41C(竹本油脂(株)製) 0.12gを酢酸エチル16.67gに溶解した。水相成分としてPVA−205の4質量%水溶液37.5gを調製した。油相成分および水相成分を混合し、ホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。得られた乳化物を、蒸留水25gに添加し、室温で30分攪拌後、40℃で2時間攪拌した。このようにして得られたミクロゲル液の固形分濃度を、15質量%になるように蒸留水を用いて希釈した。平均粒径は0.2μmであった。
上記支持体に、下記下塗り液をバーを用いて乾燥塗布量が10mg/m2になるよう塗布した後、80℃20秒間オーブンにて乾燥させて下塗層を作製した。得られた下塗層の上に、下記組成の画像形成層塗布液(2)をバー塗布した後、100℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量1.0g/m2の画像形成層を形成して平版印刷版原版を得た。引き続き、下記組成の保護層塗布液を前記画像形成層上にバー塗布し、120℃、60秒でオーブン乾燥し、乾燥塗布量0.15g/m2の保護層を形成することで平版印刷版原版を得た。
画像形成層塗布液(2)は下記感光液(1)及びミクロゲル液(1)を塗布直前に混合し攪拌することにより得た。
・バインダーポリマー(1) 0.162g
・重合開始剤(1) 0.100g
・赤外吸収染料(1) 0.020g
・重合性モノマー、アロニックスM-215(東亜合成(株)製) 0.385g
・フッ素系界面活性剤(1) 0.044g
・メチルエチルケトン 1.091g
・1−メトキシ−2−プロパノール 8.609g
・上記の通り合成したミクロゲル液 2.640g
・水 2.425g
・層状化合物水分散液(1) 1.5g
・ポリビニルアルコールPVA105 0.06g
((株)クラレ製、ケン化度98.5モル%、重合度500)
・ポリビニルピロリドンK30 0.01g
(東京化成工業(株)製、分子量Mw=4万)
・ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体LUVITEC VA64W 0.01g
(ISP社製、共重合比=6/4)
・ノニオン系界面活性剤エマレックス710 0.01g
(日本エマルジョン(株)製)
・イオン交換水 6.0g
得られた平版印刷版原版(1)を水冷式40W赤外線半導体レーザー搭載のCreo社製Trendsetter3244VXにて、出力9W、外面ドラム回転数210rpm、解像度2400dpiの条件で露光した。露光画像には200lpiの1%から95%の網点画像、およびベタ部(100%網点画像)を含むようにした。
得られた露光済み原版を下記の処理液(1)を付着させた富士写真フイルム(株)社製富士PSスポンジを用いて手で約30秒間、版面を擦ることで、画像形成層の未露光部を除去し、同時に露光部を着色させた。引き続き、シャワーを用いて版面を水道水にて洗浄した後、自然乾燥させて、平版印刷版を得た。
露光部の画像のみに着色され、処理液で除去された未露光部はほとんど着色されなかった。また、除去された未露光部の滓は処理液に分散され版面に付着しなかった。
更に版上の網点をGretagMacbeth社製iC PlateIIで測定しところ、
200lpiの1%から95%の網点画像を忠実に再現した値が得られた。
更に又、トンボ部分も着色され鮮明であった。
・塩基性染料ビクトリア ピュア ブルー BOHconc 1.2g
(保土谷化学工業(株)社製)
・アニオン界面活性剤 エレミノールMON2 40.0g
(アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムとアルキルジフェニルエーテルモノスルホン酸ナトリウムの混合物)
(三洋化成工業(株)社製)(47%水溶液)
◇アニオン界面活性剤/塩基性染料のモル比25.7倍
・ベンジルアルコール 10.0g
(TESSENDERLO社製)
・イオン交換水 948.7g
・消泡剤KS−502
(シリコン系の自己乳化型消泡剤) 0.1g
(信越化学工業(株)社製)
〔比較例1〜3〕
得られた平版印刷版原版(2)を水冷式40W赤外線半導体レーザー搭載のCreo社製Trendsetter3244VXにて、出力9W、外面ドラム回転数210rpm、解像度2400dpiの条件で露光した。露光画像には200lpiの1%から95%の網点画像、およびベタ部(100%網点画像)を含むようにした。
得られた露光済み原版を表1に示す処理液を付着させたサンファブレス社製スーパークリーナーのウレタンスポンジ面を用いて手で約20秒間、版面を擦ることで、画像形成層の未露光部を除去し、同時に露光部を着色させた。引き続き、シャワーを用いて版面を水道水にて洗浄した後、自然乾燥させ、平版印刷版を得た。
処理液の処方と結果を表1に示す。
比較例2は不溶解物が発生し処理液として使用できるものではなかった。
実施例2と3は露光部の画像のみに着色され、処理液で除去された未露光部はほとんど着色されなかった。また、除去された未露光部の滓は処理液に分散され版面に付着しなかった。
更に版上の網点をGretagMacbeth社製iC PlateIIで測定しところ、200lpiの1%から95%の網点画像を忠実に再現した値が得られた。
比較例3は、画像部にほとんど着色されなったため、網点測定装置での測定が出来なかった。
Claims (3)
- 色素および界面活性剤を含む平版印刷版用処理液であって、色素が塩基性色素であり、界面活性剤がアニオン系界面活性剤であり、該アニオン界面活性剤の含有量が、該塩基性色素の含有量の10倍モル以上から70倍モル以下である平版印刷版用処理液。
- 上記請求項1記載の処理液を用いて、平版印刷版を処理する平版印刷版の処理方法。
- 上記請求項2の平版印刷版が、印刷インキ、湿し水またはこれらの両方により除去可能な画像記録材料を有する平版印刷版原版である、上記請求項2記載の平版印刷版の処理方法。
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