JP2007229178A - 消火用シート - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、一般家庭において使用される天ぷら鍋等の過熱による油発火に対してはもとより、例えば料理店において又はその他業務用等に使用される天ぷら油を大量に収容する大型の天ぷら鍋の過熱による油発火又は石油ストーブによる発火を大火災に至る前に安全且つ短時間に、しかも発火周辺の環境をほとんど汚すことなく完全且つ容易に消火し得る消火用シートを提供することを目的とする。
【解決手段】(イ)吸水層面に対して垂直方向に貫通穴を有する吸水層と、(ロ)耐熱又は耐炎性繊維層とが積層されていることを特徴とする消火用シート。
【選択図】なし

Description

本発明は、天ぷら鍋等の過熱による油発火又は石油ストーブ等による発火の発生時における特に初期発火に適した消火用シートに関する。
従来、家庭、料理店において又はその他業務用等に使用される天ぷら鍋等の過熱による油発火又は石油ストーブ等による発火の場合には、水で消火しようとすると炎が拡大し、油が飛散し火傷を負い危険であることから、消火器を用いて消火するか、あるいは毛布や濡れ雑巾等で炎の上がった個所を被覆する等して消火するのが一般的であった。しかしながら、消火器は品質保証期限があるという問題があること、火炎発生の緊急時に消火器の安全ピンを抜き、次いでノズルを火炎に向けて開閉レバーを引くという一連の操作を迅速かつ確実に実行することは容易でないこと、さらに消火器使用後の周辺の汚れの片付けが大変であること等の問題点があった。また、毛布等は常時厨房近くには置けない等の欠点があった。また、毛布等に代わるものとしてガラス繊維に特殊加工を施した初期消火用のシート(ファイヤーストップまたはワンストップ等)が製品化されている。しかし、前記ファイヤーストップ等は、初期消火には優れているが、油温がすぐに下がらないため、異臭や刺激臭が発生し、更には再発火するおそれがある。特に、天ぷら油等を大量に収容する大型の天ぷら鍋等の過熱による油発火の場合には、初期消火後の異臭や刺激臭の発生や再発火の危険性が極めて大きい。
また、例えば、火炎に可溶性のフィルムから成る多数の中空部を全面にほぼ均等分布で設けられたシート状体であって、前記中空部内に粉末消火剤をそれぞれ密封した消火シート(特許文献1参照)、軽量金属製円盤状板よりなる蓋の周囲に耐火性布よりなるひだを取り付け、かつ伸縮自在構造の軽金属製柄を1本有する消火用掩い蓋(特許文献2参照)、防火液を布にしめらせて乾燥させた布(特許文献3参照)、金網を数枚重ね、鍋等の大きさに合わせた縁を付けた消火器具(例えば、特許文献4参照)又は不燃液を含浸させたレーヨン糸及び綿糸を使用した揚げ物用油火災消火用難燃性布帛、ニット、不織布(特許文献5参照)等がある。ところが、これらの消火用布帛や器具も一長一短があり、上記すべての問題点を解決するものではなく、必ずしも満足すべきものではない。
また、吸水倍率10〜1,000g/g、平均粒径50〜500μmである水不溶性吸水性樹脂(A)及びガラスクロスのような不燃若しくは難燃性シート(B)からなる防火シート(特許文献6参照)が知られている。しかし、特許文献6の実施例には、ティッシュ2枚の間に平均粒径350μmである水不溶性樹脂と再生パルプをほぼ均一になるように散布し、少し湿らしてからエンボス加工で一体化させた吸水シートを、ガラスクロスの袋状のシートを三隅縫製し開口部を設けたシート中に上記の吸水シートを封入して、開口部を縫製した防火シートが記載されている。しかし、平均粒子径350μmである水不溶性吸水樹脂と再生パルプをほぼ均一になるように散布した該実施例の防火シートを作成するには、相当の技術を要する上、シート中に水不溶性吸水樹脂がほぼ均一に配置されているか否かの確認が容易でない。また、業務用天ぷら鍋等のように大量に油を使用する場合の油火災に対する有用性についての言及はない。
このような状況下業務用等の天ぷら油等を大量に収容する大型の天ぷら鍋等の過熱による油発火において、消火後の異臭や刺激臭の発生や再発火を防止し、大火災に至る前に安全かつ短時間に、しかも発火周辺の環境をほとんど汚すことなく完全かつ容易に消火するための消火用シート又は消火器具の開発が望まれている。
特開平10―201871号公報 特開平10―33706号公報 特開平10―179780号公報 特開平11―57049号公報 特開2001−192964号公報 特開2005−237462号公報
従来使用されている防火シートによる消火方法は、防火シートを吸水させてから発火点を覆いかぶせるか、又は発火点を覆いかぶせてから防火シートの上から水をかけ吸水させるものである。しかし、該防火シートは、家庭用の少量の油を収容する天ぷら鍋の油発火に対する初期消火には効果はあるものの、特に業務用等の天ぷら油等を大量に収容する大型の天ぷら鍋等の過熱による油発火に使用した場合には、発火点に防火シートを被せて上から水をかけたときに、高熱の油面で急速に水蒸気ガスが発生し、また高温の油からも油煙等が発生する。このため防火シートで覆われた内部は、前記ガスや油煙等が充満して、油の温度が下がり難くなり消火に時間を要したり、消火されても再発火を引き起こす危険性がある。また、防火シートで覆われた内部に充満したガスや油煙等、あるいは再発火した炎が防火シートと天ぷら鍋の間から噴出し、消火者が火傷をする等の二次災害のおそれがある。
したがって、本発明は天ぷら鍋、特に大量の油を収容する業務用天ぷら鍋等の過熱による油発火、又は石油ストーブ等による発火等を火災に至る前に安全かつ短時間に、しかも発火周辺の環境をほとんど汚すことなく完全かつ容易に消火するための消火用シートを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に対して鋭意検討を行った結果、吸水層面に対して垂直方向に貫通穴を有する吸水層及び耐熱又は耐炎性繊維層が積層されていることを特徴とする消火用シートを開発することに成功すると共に、この消火用シートが家庭において使用される天ぷら鍋等の過熱による油発火に対してはもとより、例えば料理店その他業務用等に使用される天ぷら油等を大量に収容する大型の天ぷら鍋等の過熱による油発火又は石油ストーブ等による発火等をも安全かつ短時間に、しかも発火周辺の環境をほとんど汚すことなく完全かつ容易に消火し得ることを知見し、さらに検討を重ねて本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、
(1)(イ)吸水層面に対して垂直方向に貫通穴を有する吸水層と、(ロ)耐熱又は耐炎性繊維層とが積層されていることを特徴とする消火用シート、
(2)貫通穴1つ当たりの面積が0.1〜100cm2であることを特徴とする前記(1)に記載の消火用シート、
(3)吸水層面に対する貫通穴の総面積の割合が、0.01〜30%であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の消火用シート、
(4)耐熱又は耐炎性繊維層の通気性が、4〜250cm3/cm2/秒であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の消火用シート、
(5)吸水層が吸水性樹脂を含む層であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の消火用シート、
(6)吸水性樹脂を含む層が吸水性繊維を含む布帛であることを特徴とする前記(5)に記載の消火用シート、
(7)吸水性繊維が超吸水性繊維であることを特徴とする前記(6)に記載の消火用シート、
(8)耐熱又は耐炎性繊維層が無機繊維又は有機繊維を含む布帛であることを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれかに記載の消火用シート、
(9)無機繊維がガラス繊維であることを特徴とする前記(8)に記載の消火用シート、
(10)油類の発火の消火用であることを特徴とする前記(1)〜(9)のいずれかに記載の消火用シート、
(11)油類が天ぷら油であることを特徴とする前記(10)に記載の消火用シート、
(12)発火元の燃焼面積の1.5〜25倍の面積を有する前記(1)〜(11)のいずれかに記載の消火用シートの耐熱又は耐炎性繊維層側を発火元に被せ、当該シートの吸水層に注水することを特徴とする消火方法、
(13)発火が天ぷら鍋の過熱による天ぷら油の発火であることを特徴とする前記(12)に記載の消火方法、
(14)(イ)天ぷら鍋の鍋口面積の1.5〜25の面積を有し、通気性が4〜250cm3/cm2/秒であり、耐熱又は耐炎性繊維を含む布帛と、
(ロ)天ぷら鍋の鍋口面積の1.5〜25倍の面積を有し、布帛面に対して垂直方向に貫通穴を有し、吸水性繊維を含み、1m2あたり水1.5〜100Lの吸水能力を有し、吸水してゲル化し、前記(イ)の布帛の上に重ねて消火目的で用いられる布帛が一緒に容器に収納されていることを特徴とする天ぷら鍋の過熱による天ぷら油の発火の消火に用いられる布帛セット、
(15)燃焼面積の1.5〜25倍の面積を有し、吸水層面に対して垂直方向に貫通穴を有し、1m2あたり水1.5〜100Lの吸水能力を有し、吸水してゲル化し、耐熱又は耐炎性繊維層の上に重ねて消火目的で用いられることを特徴とする吸水層、および
(16)発火に際し、燃焼面積の1.5〜25倍の面積を有し、通気性が4〜250cm3/cm2/秒である耐熱又は耐炎性繊維層を発火元に被せ、次いで前記耐熱又は耐炎性繊維層の上に前記(15)に記載の吸水層を被せ、該吸水層の上に注水することを特徴とする消火方法に関する。
本発明は、一般家庭において使用される天ぷら鍋等の過熱による天ぷら油等の発火に対してはもとより、例えば料理店その他業務用等に使用される天ぷら油等を大量に収容する大型の天ぷら鍋等の過熱による天ぷら油等の発火又は石油ストーブ等の油類による発火等を大火災に至る前に安全且つ短時間に、しかも発火周辺の環境をほとんど汚すことなく完全且つ容易に消火し得る消火用シートを提供することができる。
本発明の消火用シートは、ガラス繊維等から成る耐熱又は耐炎性繊維層と、吸水層の一部又は全面に吸水層面に対して垂直方向に貫通穴を設けた吸水性繊維等から成る吸水層が積層されているので、天ぷら油等の過熱による油類の発火において、消火用シートの耐熱又は耐炎性繊維層によって炎が抑えられると同時に、吸水層への注水によって過熱した天ぷら油等の油類の温度を発火温度以下へ急激に低下させて前記発火を消火し得る。このとき、吸水層に注水された水が過熱した天ぷら油等の油類と接触することにより発生する水蒸気ガスや、過熱した油から発生する油煙等を吸水層に設けられた貫通穴から外部へ排出させながら消火できるので、例えば天ぷら鍋と本発明の消火用シートの間に発生する前記ガスや油煙等が天ぷら鍋と消火用シートの間に充満するのを防止できる。天ぷら鍋と本発明の消火用シートの間に前記ガスや油煙等が充満すると、消火用シートが、前記ガスや油煙等による圧力で持ち上げられて天ぷら鍋と本発明の消火用シートの間から前記ガスや油煙等が噴出したり、高温の前記油煙等が空気と接触して再発火して炎が噴出したりする危険性があるが、本発明の消火用シートでは、該危険性を回避できる。また、本発明の消火用シートは、前記ガスや油煙等を排出しながら消火できるので、消火時間を短縮でき、再発火や、消火後の異臭又は刺激臭を抑制し得る。したがって、本発明の消火用シートは、天ぷら油を大量(例えば、約18L以上)収容する大型の天ぷら鍋、例えば業務用天ぷら鍋等において、該天ぷら鍋に収容された大量の油が加熱して発火する油火災の初期消火に特に顕著な効果を有する。
また、本発明の消火用シートは耐熱又は耐炎性繊維層に、吸水能力が極めて大きく、また吸水後は保水する吸水性繊維等から成る、吸水層面に対して垂直方向に貫通穴を有する吸水層が積層されているので、水を散布しても炎の拡大や過熱した天ぷら油等を周囲に飛散させることなく消火できる。吸水層面に対して垂直方向に貫通穴を有する吸水層は、吸水後にゲル化し保水するものが好ましい。
吸水層面に対して垂直方向に貫通穴を有する吸水層は、上記のように耐熱又は耐炎性繊維層と積層されずに単に耐熱又は耐炎性繊維層とを重ねて消火目的で使用されてもよい。吸水層面に対して垂直方向に貫通穴を有する吸水層は、従来使用されていたタオル等と異なり、吸水能力が極めて大きく、また吸水後はゲル化し保水する。このため、発火元に被せた耐熱又は耐炎性繊維層による初期消火後に耐熱又は耐炎性繊維層の上に、吸水層面に対して垂直方向に貫通穴を有する吸水層を重ねて被せ、被せた吸水層に注水することにより、天ぷら鍋中の過熱した天ぷら油等を周囲に飛散させることなく、発生する水蒸気等を逃がしながら、油温度を発火温度以下に速やかに下げることができる。本発明に係る吸水層は、消火後の異臭や刺激臭の発生や天ぷら油等の再発火を防止できる。
本発明は、(イ)吸水層面に対して垂直方向に貫通穴を有する吸水層と(ロ)耐熱又は耐炎性繊維層とが積層されていることを特徴とする消火用シートに関する。以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の消火用シートに係る吸水層が有する貫通穴は、吸水層を貫いて吸水層の下面から上面又は上面から下面に設ける穴であればよく、通常は吸水層面に対して垂直方向に貫通している穴をいうが、下面から上面又は上面から下面に抜ける穴であれば吸水層面に対し傾斜角を有する貫通穴も包含される。該貫通穴は、本発明の消火用シートにおける吸水層としての効果を十分に発揮でき、かつ発火元と消火用シートの間で発生するガスや油煙等を外部に排出できる大きさと数であることが好ましい。該貫通穴の大きさは、吸水層に使用される材料等によっても異なるが、該貫通穴1つ当たりの面積は、通常、約0.1〜100cm2が好ましく、約0.2〜60cm2がより好ましく、約0.3〜30cm2がさらに好ましく、約0.4〜20cm2がとりわけ好ましく、約1〜10cm2が特に好ましい。また、吸水層面に対する貫通穴の総面積の割合は、通常、約0.01〜30%が好ましく、約0.05〜20%がより好ましくは、約0.1〜10%がさらに好ましい。
該貫通穴は、吸水層の全面に設けられていてもよく、また、吸水層面の一部(好ましくは、吸水層面の中心部付近)に設けられていてもよい。また、該貫通穴の形状は、特に制限はなく、丸、四角、三角又は星型等いずれも好ましく使用し得る。また吸水層に穴を開ける方法としては、例えば、穴あけパンチや打ち抜きポンチ等による打ち抜き加工、ドリル、パワーキット又はカッター等による方法等が挙げられる。前記貫通穴には吸水層の製造過程において生成し得る穴(例えばメッシュ織り等により生成される穴等)も包含される。また、貫通穴は、例えば、はと目等の穴補強具等で補強されていてもよい。
本発明の消火用シートに係る吸水層としては、吸水層の材料の質量の約20倍以上、好ましくは約30倍以上、より好ましくは約30〜1000倍程度の水を吸水する層であれば特に限定されることはない。吸水層は、前記吸水後にゲル化し、吸水した水を保水できる材質を含む層が好ましい。このような吸水層としては、例えば吸水性樹脂を含む層又は吸水性繊維を含む層等が挙げられる。
吸水性樹脂としては、例えば特開昭52−25886号、特公昭53−46199号、特公昭53−46200号及び特公昭55−21041号公報、特開昭52−14689号、特開昭52−27455号公報又は特開2005−234762号公報等に記載のもの等が挙げられる。
吸水性樹脂としてより具体的には、例えばアクリル酸塩とアクリルアミドとの共重合体;ポリ酢酸ビニルとアクリル酸エステルとの共重合体を加水分解して得られるビニルアルコールとアクリル酸塩との共重合体;又はセルロースにアクリル酸をグラフト重合した重合体等の水を吸収して、樹脂の質量の数十倍〜数千倍に膨潤する性質を有する樹脂等を挙げることができる。吸水性樹脂の市販品としては、例えばアクアリック(登録商標)CAシリーズ(株式会社日本触媒社製)、アクアパール(登録商標)Sシリーズ、アクアパール(登録商標)Aシリーズ(サンダイヤポリマー社製)又はアクリホープ(登録商標)GHシリーズ(株式会社日本触媒社製)等を挙げることができるが、これらに限定されない。吸水性樹脂の形態としては特に制約されないが、粉体、粒体(顆粒、パール球状体等を含む。)又は繊維体(状)等が好ましく、特に繊維体が好ましい。
吸水性樹脂を含む層の形態としては、例えば吸水性繊維を含む布帛;吸水性樹脂が耐熱又は耐炎性繊維層間に封入された形態;吸水性樹脂が布帛又は抄紙等に散布され、例えば接着剤等で固定された形態;又は吸水性樹脂収納中空部が1から複数設けられたシート状体であって、前記中空部内に吸水性樹脂を封入したシート状形態(例えば、布帛と布帛の間に粒体、粉体又は繊維状(体)の吸水性樹脂を入れてキルティングしたシート等)等を挙げることができる。好ましくは吸水性繊維を含む布帛である。上記した布帛としては、例えば合成繊維[例えばポリエステル系繊維、ナイロン系繊維、ポリウレタン系繊維、アクリル系繊維、アラミド繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)繊維、ポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維、シリカ、ポリイミド繊維等]、天然繊維(例えば木綿、羊毛、麻等)、再生繊維(例えばレーヨン、キュプラ等)、無機繊維(例えばガラス、ボロン、セラミック、アルミナ、カーボン、シリカ、ステンレス等の金属等からなる繊維)等を原料として自体公知の方法に基づいて製造される織物、編物又は不織布等が挙げられる。吸水性樹脂を含む層に用いられる吸水性樹脂量は、吸水性樹脂の吸水能力等により異なるが、天ぷら油等の温度を発火温度(約300〜400℃)以下に速やかに下げる量の水を吸水できる量であればよい。具体的には、例えば樹脂の質量の約400〜800倍の吸水能力を有する吸水性樹脂を使用する場合、使用される吸水性樹脂量はシート等の1平方メートル当たり約20〜100g、好ましくは約40〜60g程度がよい。吸水性樹脂を含む層として布帛が用いられる場合、布帛の空隙部からの粒体又は粉体の吸水性樹脂の脱落を防止するためには、布帛の形態として、織物又は不織布が好ましい。該布帛の目付けは、通常約50〜500g/m2程度、好ましくは約100〜300g/m2程度である。
吸水性繊維を含む布帛の吸水性繊維として、例えばアクリル酸塩とアクリルアミドとの共重合体;ポリ酢酸ビニルとアクリル酸エステルとの共重合体を加水分解して得られるポリビニルアルコールとアクリル酸塩との共重合体;又はセルロースにアクリル酸をグラフト重合した重合体等を原料として例えば特開平7−229023号公報、2004−293022号公報又は特開平09−132814号公報等に記載の方法に基づいて製造される繊維等を挙げることができる。また吸水性繊維は、繊維全体が吸水性を有する単層繊維でも、繊維の外層のみが吸水性を有する複層繊維でもよい。これらの吸水性繊維は水を吸水して吸水性繊維の質量の約20倍以上となるものが好ましい。なかでも吸水性繊維としては、例えば遠心脱水法(例えば約300G、約5分)で測定して少なくとも自重の約2000%以上吸水できる、超吸水性繊維が好ましい。このような超吸水性繊維としては、(1)水溶性高分子(例えばポリアクリル酸ナトリウム塩等)の架橋体をそのまま繊維状としたもの、(2)内層(芯)がアクリル繊維(超吸水性繊維に対して約50〜75質量%)で外層がポリアクリル酸系の吸水高分子(超吸水性繊維に対して約25〜50質量%)となっているもの等が好ましく挙げられる。本発明においては、特に後者の(2)が好ましい。後者の(2)の吸水性繊維は、芯がアクリル繊維そのものであるため、繊維としての強度を十分持ち、吸水後も繊維としての形状を保つことができるという特性を有する。さらに、超吸水性繊維は、表面積が大きいので、例えば粉体の吸水性樹脂等と比較して吸水速度が早く、布帛から脱落しにくいという利点を有する。
吸水性繊維を含む布帛としては、特に制約されることはなく、例えば自体公知の方法に基づいて製造される織物、編物又は不織布等を挙げることができる。織物としては、例えば平織、綾織、朱子織、からみ織、模紗織、ジャカード織又は重ね織等が挙げられる。編物としては、例えば天竺編み、フライス編み、スムース編み、鹿の子編み、ツーウェー編み、ハーフ編み又はサテン編み等が挙げられる。不織布としては、例えばニードルパンチ、サーマルボンド、ケミカルボンド、ステッチボンド等の乾式法、スパンボンド法、メルトブローン法又はスパンレース法等によって製造される不織布等が挙げられる。
上記吸水性繊維を含む布帛は、吸水性繊維(好ましくは超吸水性繊維)のみから作製されたものでもよく(以下、吸水性繊維からなる布帛ともいう)又は吸水性繊維が他の繊維(例えば木綿、羊毛、麻等の天然繊維、例えばポリエステル系繊維、ナイロン系繊維、ポリウレタン系繊維、アクリル系繊維等の合成繊維、例えばレーヨン、キュプラ等の再生繊維等)等と混用されて作製されていてもよく、例えば他の繊維との混紡、混繊、引き揃え、交撚、交織又は交編されたもの等も含む。
吸水性繊維の単繊度は、約0.1〜10デニール程度が好ましい。吸水性繊維の布帛の目付けは特に制限されることはなく、該布帛の形態、該布帛を構成する繊維の材質又は形態等に応じて適宜選択できる。吸水性繊維の布帛の目付けは、通常約50〜500g/m2程度、好ましくは約100〜300g/m2程度である。例えば後記するランシール(登録商標)F(東洋紡績株式会社製)の目付けは約200g/m2程度のものが好ましい。
吸水性繊維(好ましくは超吸水性繊維)からなる布帛は、吸水後も繊維形状を保持できるので、他の粉体や粒体等の吸水性樹脂と比較してゲルの流動性が少なく、布帛から脱落しにくい。また吸水性繊維は、消火時の注水で継粉状や、塊状にならないという利点がある。また、吸水性繊維(好ましくは超吸水性繊維)は、繊維の長さが変化し難いという特性を有するので、吸水性繊維(好ましくは超吸水性繊維)からなる布帛は、吸水後において、その厚さのみが増大しその大きさ(縦及び横の長さ)が変わり難いという利点がある。さらに、吸水性繊維(好ましくは超吸水性繊維)からなる布帛は、均一なシート状となし得るので、耐炎性繊維層との積層が容易である。また吸水性繊維(好ましくは超吸水性繊維)からなる布帛は、耐炎性繊維層と2層形式でも消火用シートとして有利に使用し得る。超吸水性繊維又は超吸水性繊維からなる布帛の市販品として、例えばランシール(登録商標)F(東洋紡績株式会社製)又はベルオアシス(登録商標;帝人株式会社製)等を好ましく挙げることができるが、これらに限定されるわけではない。上記吸水性繊維又は吸水性繊維からなる布帛は水を吸水して吸水性繊維の質量の約20倍以上となる。より具体的には、例えばランシール(登録商標)Fの場合、通常ランシールの質量の約30〜200倍程度になり得る。
吸水性繊維が他の繊維と混用されて成る布帛の場合、該布帛中の吸水性繊維の含有率は、約10質量%以上、好ましくは約30質量%以上、さらに好ましくは約50質量%以上である。吸水性繊維の含有率が前記範囲内であれば、消火用シートとしての消火性能を十分に発揮し得る。
本発明の消火用シートに係る耐熱又は耐炎性繊維層としては、耐熱又は耐火性を有し、難燃性で発火初期の消火ができる程度に空気を遮断できるものであればその材質等は特に制約されない。耐熱又は耐炎性繊維層に用いられる繊維としては、無機繊維又は有機繊維が挙げられる。無機繊維としては、例えばガラス繊維、シリカ繊維、ボロン繊維、セラミック繊維、カーボン繊維、アルミナ繊維又はステンレス等の金属からなる繊維を挙げることができる。有機繊維としては、例えばアラミド繊維[例えば、ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)、ポリ(m−フェニレンテレフタルアミド)等]、PBO繊維、PPS繊維、酸化アクリル繊維、難燃PET繊維、ポリイミド繊維又はフェノール繊維等が挙げられる。中でもガラス繊維が好ましい。
ガラス繊維としては、通常のガラス繊維として使用されるものであれば特に限定されるものではないが、例えばEガラス、Dガラス、Tガラス、Cガラス、ECRガラス、Aガラス、Lガラス、Sガラス、YM31−Aガラス又はHガラス等からなる繊維が挙げられる。中でも、特に好ましいのは、Eガラス繊維である。これらガラス繊維は、公知の製造方法に従って製造されるものでもよく、市販品を用いてもかまわない。
本発明の消火用シートに係る耐熱又は耐炎性繊維層としては、耐熱又は耐炎性布帛、例えば上記した無機繊維又は有機繊維からなる布帛(以後、無機繊維布帛又は有機繊維布帛と称することもある。)等が好ましい。中でもガラス繊維布帛が好ましい。耐熱又は耐炎性布帛の形態として、例えば公知の方法に基づいて製造される織物、編物又は不織布等を挙げることができる。中でも織物又は不織布が好ましい。
織物の織成方法(織り方)は、公知の方法に従ってよい。織成方法としては、例えば平織、綾織、斜文織、からみ織、朱子織、三軸織又は横縞織等、いかなるものであってもよい。織成は、例えばジェット織機(エアージェット織機、ウォータージェット織機)、スルザー織機又はレピア織機等の公知の織機を用いる等、自体公知の方法に従って容易に行うことができる。
また、編成方法(編み方)としては、例えば平編み、ゴム編み又はパール編み等の横編み、シングルデンビ編、シングルコード編又は二目編等の縦編み、レース編、浮き編又はパイル編等が挙げられる。編成は、例えば台丸機、丸編機又はコットン式編機等の公知の横編機もしくは縦編機を使用してよい。これらの中でも、布帛の形態として、朱子織又は綾織が好ましい。
本発明の消火用シートに係る耐熱又は耐炎性繊維層が、例えばガラス繊維布帛である場合、ガラス繊維は通常直径が約6〜20μm程度のフィラメントとして紡糸されているので、これを適宜の本数、束にしたものが使用される。しかしながら、必ずしも束にしたものを使用することに限定されるものではなく、フィラメント状態での使用も可能である。
また、ガラス繊維が長繊維の場合は適宜の数だけ引き揃えて固めたものを使用することができるが、短繊維の場合は撚りをかけて、つなぎ合わせた糸、すなわち紡績糸を使用することができる。使用されるガラス繊維の番手は約1〜1000tex、好ましくは約5〜850tex、より好ましくは約5〜200tex、特に好ましくは約5〜150texの範囲である。例えば織物又は編物に用いられる長繊維としてのガラス繊維は、撚りがかけられていることが好ましい。撚り数は特に制限がないが、編成用には撚り数100cm当たり約20〜300回程度、織成用には100cm当たり約20〜200回程度のものを使用するとよい。撚り方向として公知の右撚り(S撚り)、左撚り(Z撚り)いずれのものであってもよい。撚糸は、片撚り糸、諸撚り糸、ビッコ諸撚り糸、強ねん糸、壁撚り糸又は駒撚り糸等いずれのものであってもよい。織物の密度は、経糸、緯糸共に、約10〜80本/25mm程度であることが好ましく、約18〜60本/25mm程度であることがより好ましい。密度が約10本/25mm程度未満では、ガラス繊維布帛の空隙部が多すぎ、且つ十分な引張強度が得られないおそれがあり、約80本/25mm程度以上であると、ガラス繊維布帛の可とう性、柔軟性が損なわれるおそれがあり取り扱いが難しいため、好ましくない。
耐熱又は耐炎性繊維層は通気性を有する繊維層であることが好ましい。該通気性は、例えば、フラジール法(JISR3420 7.14 クロスの通気性)等により測定することができる。本発明に係る耐熱又は耐炎性繊維層の通気性は、約4〜250cm3/cm2/秒であることが好ましく、約5〜150cm3/cm2/秒であることがより好ましく、約7〜50cm3/cm2/秒であることがさらに好ましい。前記通気性の範囲内であれば消火と共に発火元と本発明の消火用シートの間で発生するガスや油煙等の排出が好ましく行われ得る。
耐熱又は耐炎性布帛としての不織布は、上記した無機繊維又は有機繊維等から、例えばトウ開繊法、メルトブロー法、短繊維乾式法又は短繊維湿式法等によりウエッブを形成し、通常、例えばポリエステル系又はエポキシ系のバインダーで処理するか、又はニーパン法等により、不織布を構成する無機繊維又は有機繊維相互間の結合を強固にすることによって製造される。布帛全体に対するバインダーの含有量は通常約2〜40質量%、好ましくは約5〜15質量%である。また、不織布として市販品が使用されてよい。無機繊維又は有機繊維の単糸径は、通常約3〜50μm、好ましくは約10〜30μmである。不織布の厚さは、通常約1〜10mm、好ましくは約2〜5mmである。種々の無機繊維又は有機繊維からなる不織布の中でもガラス繊維から成る不織布が好ましい。ガラス繊維から成る不織布において使用されるガラスの種類は、例えばEガラス、Cガラス又はSガラス等が使用され得るが、Eガラスが好ましい。ガラス繊維布帛の目付けは、約300〜350g/m2程度が好ましい。
本発明の消火用シートに係る耐熱又は耐炎性繊維層のうち例えば無機繊維布帛はヒートクリーニング処理又はシランカップリング処理等が行われてもよい。前記処理は、いずれか一つの処理を行ってもよく、両処理を行ってもよい。また、有機繊維布帛は、シランカップリング処理等が行われてもよい。
ヒートクリーニング処理は、約300〜400℃程度の加熱炉に耐熱又は耐炎性繊維層、好ましくは無機繊維布帛を約24〜120時間、好ましくは約48〜96時間程度放置することにより行われる。
シランカップリング処理は、シランカップリング剤を耐熱又は耐炎性繊維層、好ましくは無機繊維布帛又は有機繊維布帛に固着又は固定化することにより行われる。シランカップリング剤としては、例えばγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、イミダゾリンシラン、N−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、N−3−(4−(3−アミノプロポキシ)ブトキシ)プロピル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン又はトリアジンシラン等のアミノシラン類、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、4−グリシジルブチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン又はβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン類、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のクロルシラン類、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン等のメタクリルシラン類、ビニルトリメトキシシラン又はビニルトリエトキシシラン等のビニルシラン類等が挙げられる。
上記したシランカップリング剤は、適宜溶媒に溶かして使用される。用いられる溶媒としては、例えば水、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール又はイソブチルアルコール等の低級アルコール、又はイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン又はジオキサン等のエーテル等が挙げられる。これらは単独又は複数混合して使用される。
シランカップリング剤の耐熱又は耐炎性繊維層への固着又は固定化は、シランカップリング剤を約0.01〜20質量%程度、好ましくは約0.1〜5質量%程度の濃度に溶解した溶液に耐熱又は耐炎性繊維層を浸漬して行なわれる。
かくして得られた、耐熱又は耐炎性繊維層と吸水層面に対して垂直方向に貫通穴を有する吸水層(以下、単に吸水層ということもある)とを重ねて、両者を例えば縫合又は接着剤もしくはストロングホック等の止め具等による接着等の方法により積層体として本発明の消火用シートを製造し得る。
本発明の消火用シートにおいて、吸水層は、水を該層約1m2あたり約1.5〜100L、好ましくは約3〜60L吸水し、吸水後ゲル化して保水し得るのが好ましい。
また、耐熱又は耐炎性繊維層と吸水層は両積層面の面積が同面積で積層してもよく、また、耐熱又は耐炎性繊維層の一部分で積層していてもよい。耐熱又は耐炎性繊維層の一部分で積層する場合としては、例えば耐熱又は耐炎性繊維層の中心部に、天ぷら鍋等の鍋口の約0.8〜2倍程度の大きさの円形又は方形の吸水層を積層する場合が挙げられる。
本発明の消火用シートの大きさは、発火元の燃焼面積より大きければ特に限定されないが、発火元の燃焼面積の約1.5〜25倍の面積を有することが好ましく、具体的には、例えば天ぷら鍋等の過熱による天ぷら油等の発火の消火用に製造される場合、天ぷら鍋等の鍋口面積の約1.5〜25倍の面積、好ましくは約1.5〜16倍の面積、より好ましくは約2〜10倍の面積、さら好ましくは約2〜5倍の面積とするのがよい。また本発明の消火用シートは、鍋等に被せた場合に鍋等からずり落ちないよう、消火用シートの周囲又は/及び中央部に錘を配してもよい。また、石油ストーブ等の発火の消火用に製造される場合、石油ストーブ等全体が被さる大きさの約1.5〜25倍の面積、好ましくは約1.5〜16倍の面積、より好ましくは約2〜10倍の面積、さら好ましくは約2〜5倍の面積が好ましい。
本発明の消火用シートの吸水層は、耐熱又は耐炎性繊維層と離脱した吸水層とし、耐熱又は耐炎性繊維層の上に重ねて消火目的で使用することもできる。この場合、該吸水層は、上記吸水層に使用される形態、例えば吸水性樹脂が布帛等に分散され、固定された形態;吸水性樹脂収納中空部を1又は複数設けられたシート状体であって、前記中空部内に吸水性樹脂を封入したシート状形態(例えば、布帛と布帛の間に粒状、粉状又は繊維状の吸水性樹脂を入れてキルティングしたシート等);又は吸水性繊維を含む布帛等いずれの形態も好ましく用いることができるが、吸水性繊維を含む布帛が好ましく、吸水性繊維からなる布帛がより好ましく、超吸水性繊維からなる布帛がさらに好ましい。吸水性樹脂又は吸水性繊維(好ましくは超吸水性繊維)は、上記吸水層で記載したものが好ましく用いられる。耐熱又は耐炎性繊維層の上に重ねて消火目的で使用される前記吸水層は、発火元の燃焼面積の約1.5〜25倍の面積を有することが好ましく、具体的には例えば天ぷら鍋等の鍋口面積の約1.5〜25倍の面積、好ましくは約1.5〜16倍の面積、より好ましくは約2〜10倍の面積、さら好ましくは約2〜5倍の面積であることが好ましい。該吸水層は、約1m2あたり水約1.5〜100L、好ましくは約3〜60Lの吸水能力を有し、吸水してゲル化し得る。該吸水層は、ガラス繊維布帛等の耐熱又は耐炎性繊維層の上に重ねて消火目的で用いられる。
上記吸水繊維を含む布帛は、例えば天ぷら鍋等の鍋口面積の約1.5〜25倍の面積、好ましくは約1.5〜16倍の面積、より好ましくは約2〜10倍の面積、さら好ましくは約2〜5倍の面積を有する耐熱又は耐炎性布帛と共に収納された天ぷら油等の発火の消火に用いられる布帛セットとして保管されることが好ましい。なお、前記セットとされる吸水性繊維を含む布帛としては、吸水性繊維からなる布帛が好ましく、超吸水性繊維からなる布帛がより好ましい。また、耐熱又は耐炎性布帛は、通気性が約4〜250cm3/cm2/秒であることが好ましく、約5〜150cm3/cm2/秒であることがより好ましく、約7〜50cm3/cm2/秒であることがさらに好ましい。消火に用いられる布帛セットは、上記面積を有する吸水性繊維を含む布帛と上記面積を有する耐熱又は耐炎性布帛とが共に収納されていれば、特にその収納形態に制約はない。収納形態としては、例えば容器に収納された該吸水性繊維を含む布帛と容器に収納された該耐熱又は耐炎性布帛とを一緒に収納される形態又は該吸水性繊維を含む布帛と該耐熱又は耐炎性布帛とを重ねたもの又は積層されたものを容器に収納する形態等が挙げられる。
本発明の消火用シートはいずれの発火にも用いることができるが、油類の消火に好ましく使用し得る。油類、例えば天ぷら鍋等の過熱による油発火により鍋等から上がった炎等の消火に好ましく用いることができる。吸水層と耐熱又は耐炎性繊維層とが積層された本発明の消火用シートが、例えば天ぷら鍋等の過熱による油発火により鍋等から上がった炎等の消火に用いられる場合、消火用シートの耐熱又は耐炎性繊維層側を下方にして、鍋等から上がった炎に対して鍋等全体を覆うようにスッポリと被せ、次いで吸水層の表面上に注水するのがよい。耐熱又は耐炎性繊維層側を下方にして、鍋等全体を覆うようにスッポリと被せることにより、鍋中への空気を遮断でき初期消火ができる。吸水層への注水により、該吸水層は十分吸水し、該吸水層は例えばゲル状体となり、保水し得る。該ゲル状体が天ぷら鍋等の蓋としての役目を果たすと同時に、該ゲル状体中に保水された水の気化熱により天ぷら鍋中の油自身の温度を急速に低下させることができる。また同時に、天ぷら鍋と消火用シートの間で発生するガスや油煙等は、耐熱又は耐炎性繊維層の通気性と吸水層面の貫通穴により外部に排出できるので、再発火や異臭又は刺激臭を防止できる。また、通常過熱した油に水を入れると、周囲に油が飛散して、大やけどを起こしたりする危険性があるが、本発明の消火用シートでは注水した水がゲル状体となり得るので油の飛散も起こらず安全に使用し得る。上記天ぷら鍋は、業務用等の大量に油を収容する天ぷら鍋が含まれる。業務用天ぷら鍋としては、例えば天ぷら鍋の容量が、約18L以上の天ぷら鍋等が挙げられる。
また、上記天ぷら油等の発火の消火に用いられる布帛セットを天ぷら鍋等の過熱による天ぷら油等の発火の消火に使用する場合、例えばまず天ぷら鍋等の鍋口面積の約1.5〜25倍の面積、好ましくは約1.5〜16倍の面積、より好ましくは約2〜10倍の面積、さら好ましくは約2〜5倍の面積を有する耐熱又は耐炎性布帛を天ぷら鍋等に被せ、次いで前記耐熱又は耐炎性布帛の上に吸水性繊維を含む布帛を被せ、吸水性繊維を含む布帛の上に注水するか、あるいは水をあらかじめ吸水させた吸水性繊維を含む布帛を前記耐熱又は耐炎性布帛の上に被せるのが好ましい。
上記した油類としては、例えば、天ぷら油、菜種油、大豆油、紅花油、コーン油、ごま油、綿実油、オリーブオイル、やし油、パーム油、ひまわり油、米油又は石油等が挙げられるが、これらに限定されない。
以下に本発明を実施例、比較例及び試験例に基づいて、より具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
経糸としてガラス繊維DE150 G1/2 2.8S(ユニチカグラスファイバー株式会社製)を、緯糸としてガラス繊維DE75 1/2 3.8Sのバルキー加工糸(ユニチカグラスファイバー株式会社製)を使用して、織り密度として、経×緯=54本/25mm×30本/25mmの綾織の織物を織機にて製織し、ロール状に巻き取った。巻き取った生機を回分式のオーブンで400℃にて、80時間加熱し、ガラス繊維に付着している一次バインダーや経糸糊剤を焼却除去(ヒートクリーニング処理)して、質量332g/m2、厚さ0.33mmのガラス繊維織物を得た。この繊維織物の通気性をフラジール型通気性試験機(フラジールパーミヤメータ、株式会社東洋精機製作所製)で測定した。その結果、繊維織物の通気性は28cm3/cm2/秒であった。得られたガラス繊維織物を193cm角に裁断した。
ランシール(登録商標)F(東洋紡績株式会社製;以下、ランシールF)から成る吸水性不織布(吸水量:8L/m2)を193cm角に裁断し、その中心部93cm角に直径15mmのパンチ穴を30穴開けた後、これと上記ガラス繊維織物とを重ね、縫合した消火用シートAを製造した。
ランシールFから成る吸水性不織布(吸水量:8L/m2)を193cm角に裁断し、これの中心部93cm角に直径5mmのパンチ穴を30穴開け、実施例1で製造したガラス繊維織物と重ね、縫合した消火用シートBを製造した。
[比較例1]
経糸、緯糸としてガラス繊維DE150 1/2 2.8S(ユニチカグラスファイバー株式会社製)を使用して、織り密度として、経×緯=55本/25mm×53本/25mmの朱子織の織物をエアージェット織機にて製織し、ロール状に巻き取った。巻き取った生機を回分式のオーブンで400℃にて、80時間加熱し、ガラス繊維に付着している一次バインダーや経糸糊剤を焼却除去(ヒートクリーニング処理)して、質量300g/m2、厚さ0.25mmのガラス繊維織物を得た。得られたガラス繊維織物を193cm角に裁断した。別途、ランシールFから成る吸水性不織布(吸水量:8L/m2)を193cm角に裁断した。前記ガラス繊維織物とランシールFから成る吸水性不織布とを2枚重ね、縫合して消火用シートCを製造した。
[試験例1]
業務用てんぷら鍋(鍋容量:54リットル、天ぷら油容量:54リットル、鍋口径:100cm)に白絞油(精製大豆油)18リットルを入れて、白絞油が発火するまで加熱した。発火10秒後に、実施例1で得た消火用シートA、実施例2で得た消火用シートB、又は比較例1で製造した消火用シートCを、ガラス繊維織物側を下方にして消火用シートの中心部が天ぷら鍋のほぼ中心部となるように被せ、天ぷら鍋の口を覆い、吸水性不織布の全表面上に放水し、完全に消火されるまでの時間を測定した。完全に消火されるまでの時間は、消火用シートを被せた後、再発火の危険性を考慮して天ぷら油からの油煙発生が完全に抑制されるまでの時間とした。
その結果を表1に示した。
Figure 2007229178
消火用シートA又はBを使用した場合、天ぷら鍋からの白絞油の飛散も再発火もなく、天ぷら鍋の火を短時間で完全に消火することができた。尚、消火用シートの吸水層の穴面積が大きい消火用シートAの方が、吸水層の穴面積が小さい消化用シートBより完全消火までに要する時間が短かった。
一方、消火用シートCを使用した場合には、消火作業中に発生した水蒸気ガスや過熱された白絞油から気化した油煙により消火用シートCが膨らみ、消火用シートCと天ぷら鍋の間から水蒸気ガスや油煙が一度に噴出すると同時に再発火した。このような現象が数回生じたため、天ぷら鍋の火を消火するのに時間を要した。
本発明は、油類の発火等を大火災に至る前に安全且つ短時間に、しかも発火周辺の環境をほとんど汚すことなく完全且つ容易に消火し得る消火用シートとして有用である。本発明の消火用シートは、特に、大量に油を収容する大型の業務用天ぷら鍋の過熱による油発火に対しても安全に使用し得る消火用シートとして有用である。

Claims (16)

  1. (イ)吸水層面に対して垂直方向に貫通穴を有する吸水層と、(ロ)耐熱又は耐炎性繊維層とが積層されていることを特徴とする消火用シート。
  2. 貫通穴1つ当たりの面積が0.1〜100cm2であることを特徴とする請求項1に記載の消火用シート。
  3. 吸水層面に対する貫通穴の総面積の割合が、0.01〜30%であることを特徴とする請求項1または2に記載の消火用シート。
  4. 耐熱又は耐炎性繊維層の通気性が、4〜250cm3/cm2/秒であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の消火用シート。
  5. 吸水層が吸水性樹脂を含む層であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の消火用シート。
  6. 吸水性樹脂を含む層が吸水性繊維を含む布帛であることを特徴とする請求項5に記載の消火用シート。
  7. 吸水性繊維が超吸水性繊維であることを特徴とする請求項6に記載の消火用シート。
  8. 耐熱又は耐炎性繊維層が無機繊維又は有機繊維を含む布帛であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の消火用シート。
  9. 無機繊維がガラス繊維であることを特徴とする請求項8に記載の消火用シート。
  10. 油類の発火の消火用であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の消火用シート。
  11. 油類が天ぷら油であることを特徴とする請求項10に記載の消火用シート。
  12. 発火元の燃焼面積の1.5〜25倍の面積を有する請求項1〜11のいずれかに記載の消火用シートの耐熱又は耐炎性繊維層側を発火元に被せ、当該シートの吸水層に注水することを特徴とする消火方法。
  13. 発火が天ぷら鍋の過熱による天ぷら油の発火であることを特徴とする請求項12に記載の消火方法。
  14. (イ)天ぷら鍋の鍋口面積の1.5〜25倍の面積を有し、通気性が4〜250cm3/cm2/秒であり、耐熱又は耐炎性繊維を含む布帛と、
    (ロ)天ぷら鍋の鍋口面積の1.5〜25倍の面積を有し、布帛面に対して垂直方向に貫通穴を有し、吸水性繊維を含み、1m2あたり水1.5〜100Lの吸水能力を有し、吸水してゲル化し、前記(イ)の布帛の上に重ねて消火目的で用いられる布帛が一緒に容器に収納されていることを特徴とする天ぷら鍋の過熱による天ぷら油の発火の消火に用いられる布帛セット。
  15. 燃焼面積の1.5〜25倍の面積を有し、吸水層面に対して垂直方向に貫通穴を有し、1m2あたり水1.5〜100Lの吸水能力を有し、吸水してゲル化し、耐熱又は耐炎性繊維層の上に重ねて消火目的で用いられることを特徴とする吸水層。
  16. 発火に際し、燃焼面積の1.5〜25倍の面積を有し、通気性が4〜250cm3/cm2/秒である耐熱又は耐炎性繊維層を発火元に被せ、次いで前記耐熱又は耐炎性繊維層の上に請求項15に記載の吸水層を被せ、該吸水層の上に注水することを特徴とする消火方法。
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