JP2007227318A - プラズマ発生装置及びワーク処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】異なる種別の被処理ワークに対して、各々最適なプラズマ照射エリアを設定した上でプラズマ発生ノズルからプラズマ化されたガスを放射できるようにする。
【解決手段】ワーク処理装置Sは、2.45GHzのマイクロ波を発生するマイクロ波発生装置20と、マイクロ波を伝搬する導波管10と、導波管10のワークWとの対向面に設けられたプラズマ発生部30とを具備するプラズマ発生装置PUと、プラズマ発生部30を通過するようにワークWを搬送するワーク搬送手段Cとを備える。プラズマ発生部30は、マイクロ波を受電しその受電エネルギーに基づきプラズマ化したガスを生成して放出するプラズマ発生ノズル31を有する。このプラズマ発生ノズル31のワークWに対する指向角度は、傾斜調整機構14、15により導波管10を傾斜させることで調整可能とされている。
【選択図】図1
【解決手段】ワーク処理装置Sは、2.45GHzのマイクロ波を発生するマイクロ波発生装置20と、マイクロ波を伝搬する導波管10と、導波管10のワークWとの対向面に設けられたプラズマ発生部30とを具備するプラズマ発生装置PUと、プラズマ発生部30を通過するようにワークWを搬送するワーク搬送手段Cとを備える。プラズマ発生部30は、マイクロ波を受電しその受電エネルギーに基づきプラズマ化したガスを生成して放出するプラズマ発生ノズル31を有する。このプラズマ発生ノズル31のワークWに対する指向角度は、傾斜調整機構14、15により導波管10を傾斜させることで調整可能とされている。
【選択図】図1
Description
本発明は、基板等の被処理ワークに対してプラズマを照射しワーク表面の清浄化や改質等を図る場合に好適に用いられるプラズマ発生装置及びワーク処理装置に関するものである。
例えば半導体基板等の被処理ワークに対してプラズマを照射し、その表面の有機汚染物の除去、表面改質、エッチング、薄膜形成又は薄膜除去等を行うワーク処理装置が知られている。例えば特許文献1には、内側電極と外側電極とを有するプラズマ発生ノズルを用い、常圧下において両電極間に電界を印加することでグロー放電プラズマを発生させ、プラズマ化されたガスを固定的に配置された被処理ワークに放射するワーク処理装置が開示されている。また、プラズマを発生させるエネルギー源として、例えば2.45GHzのマイクロ波を用いた常圧プラズマ発生装置を利用したワーク処理装置も知られている。
上記プラズマ発生ノズルは、被処理ワークに対して垂直方向に固定的に配置され、プラズマ化されたガスは被処理ワークに対して垂直方向から放射されるような装置構成が一般的である。しかし、場合によっては被処理ワークに対して傾斜してプラズマ発生ノズルが配置される場合もある。例えば特許文献2には、処理面に対してプラズマ発生ノズルを傾斜させて固定的に配置し、処理基板に対して斜め方向から活性化されたガスを吹き付けるようにした表面処理装置が開示されている。
特開2003−197397号公報
特開2004−2992号公報
従来の装置では、プラズマ発生ノズルは固定的に配置されている。このため、プラズマ発生ノズルから放射されるプラズマの照射エリアは一定である。従って、例えば平板状ワークを処理する場合において、ワーク載置面の高さ位置が固定化されていると、異なる厚さの平板状ワークを処理した場合にプラズマの照射エリアが相違するようになり、画一的な表面処理等が行えないという問題がある。また、例えば電子部品が搭載された基板と、電子部品未搭載の基板とを処理しようとする場合、各々の基板に対して最適なプラズマの照射エリアを設定することが望ましいが、従来の装置ではプラズマ発生ノズルは固定的に配置されていることから、照射エリアの調整は困難であるという問題があった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、異なる種別の被処理ワークに対して、各々最適なプラズマ照射エリアを設定した上でプラズマ発生ノズルからプラズマ化されたガスを放射させることが可能なプラズマ発生装置及びワーク処理装置を提供することを目的とする。
本発明の請求項1に係るプラズマ発生装置は、マイクロ波を発生するマイクロ波発生手段と、前記マイクロ波を伝搬させる導波管と、前記導波管に取り付けられ、前記マイクロ波を受信しそのマイクロ波のエネルギーに基づきプラズマ化したガスを生成して放出するプラズマ発生ノズルと、前記プラズマ発生ノズルの指向角度を調整するための機構を有する調整手段とを備えることを特徴とする。
この構成によれば、調整手段によりプラズマ発生ノズルの指向角度を調整することが可能であるので、プラズマ発生ノズルを適宜な指向角度とすることで、プラズマ被照射面に対するプラズマ照射エリアの大きさを調整することができる。すなわち、例えばプラズマ発生ノズルを平板状ワークの法線方向(垂直方向)に配置した場合、当該ワークに対するプラズマ照射エリアは略円形の比較的狭い領域となるが、プラズマ発生ノズルを法線に対して斜め方向に傾斜させると、プラズマ照射エリアは楕円形に近い比較的広い領域となる。従って、厚さの異なるワークや電子部品等が搭載された各種ワークに各々対応して、最適なプラズマ照射エリアを設定できるようになる。
上記構成において、前記導波管にはプラズマ化されたガスの照射対象となる面に対向する対向面が形成され、該対向面に前記プラズマ発生ノズルが突設状態で取り付けられており、前記調整手段は、前記導波管を傾斜させることで前記プラズマ発生ノズルの指向角度を調整する構成とすることができる(請求項2)。或いは、前記調整手段を、前記対向面において前記プラズマ発生ノズルを首振り移動させることで前記プラズマ発生ノズルの指向角度を調整する構成とすることができる(請求項3)。これらの構成によれば、プラズマ発生ノズルが取り付けられている導波管を傾斜させることで、或いはプラズマ発生ノズル自体を首振り移動させることで、プラズマ発生ノズルの指向角度が調整される。
この場合、前記プラズマ発生ノズルは、前記対向面に複数個配列して取り付けられていることが望ましい(請求項4)。この構成によれば、複数のプラズマ発生ノズルから同時にプラズマ化されたガスを放射させることで、大面積のワーク等の処理効率を向上させることができる。この場合、上記の導波管を傾斜させる方式を採用すれば、複数のプラズマ発生ノズルの指向角度が導波管の傾斜角度調整により全て同様に調整されるようになる。また、上記のプラズマ発生ノズルを首振り移動させる方式を採用すれば、個別にプラズマ発生ノズルの指向角度を調整できるようになり、部分的にプラズマ照射エリアを調整することが可能となる。
また、前記導波管が矩形導波管からなり、前記複数のプラズマ発生ノズルが、前記対向面とされる前記矩形導波管の一つの側面に、一列に整列配置されていることが望ましい(請求項5)。この構成によれば、プラズマ発生ノズルの配列部にワークを搬送して連続的に処理させる場合に有利な構成とすることができる。
上記いずれかの構成において、前記調整手段は、前記プラズマ発生ノズルの高さ位置を調整するための機構をさらに含むことが望ましい(請求項6)。この構成によれば、指向角度に加えて、プラズマ発生ノズルの高さ位置も調整が可能となるので、プラズマ照射エリアの調整をより多様化できるようになる。
本発明の請求項7に係るワーク処理装置は、処理対象とされるワークを搬送しつつ該ワークにプラズマを照射して所定の処理を施与するワーク処理装置であって、請求項1〜6のいずれかに記載のプラズマ発生装置と、前記プラズマ発生ノズルからプラズマ化されたガスが照射される領域を通過するように所定のワークを搬送するワーク搬送手段とを備えることを特徴とする。
この構成によれば、ワーク搬送手段でワークを搬送しつつ、導波管に取り付けられたプラズマ発生ノズルから、プラズマ化されたガスをワークに対して放射することで、ワークの表面処理等を連続的に行うことが可能となる。しかも、プラズマ発生ノズルは、その指向角度が調整可能とされているので、各種のワーク形状に応じて最適なプラズマ照射エリアを設定して処理を行うことができる。
請求項1に係るプラズマ発生装置、並びに請求項7に係るワーク処理装置によれば、プラズマ発生ノズルの指向角度を調整する調整手段を具備させたので、各種ワーク形状に応じて、最適なプラズマ照射エリアを設定できる。従って、多様なワークに柔軟に対応して、各々最適なプラズマ処理を行わせ得るプラズマ発生装置、並びにワーク処理装置を提供できるようになる。
請求項2に係るプラズマ発生装置によれば、導波管を傾斜させることにより簡易にプラズマ発生ノズルの指向角度を調整できるので、装置構成を簡素化することができる。特に、導波管の対向面に複数のプラズマ発生ノズルを設ける構成とした場合、これらプラズマ発生ノズルの指向角度を同時に、且つ同様に調整できるので、指向角度の調整作業性に優れるという利点がある。
請求項3に係るプラズマ発生装置によれば、プラズマ発生ノズルを首振り移動させることにより簡易にプラズマ発生ノズルの指向角度を調整できるので、装置構成を簡素化することができる。特に、導波管の対向面に複数のプラズマ発生ノズルを設ける構成とした場合、各プラズマ発生ノズルの指向角度を個別的に調整できるので、部分的な高低差があるようなワークに対しても柔軟に対応できるという利点がある。
請求項4に係るプラズマ発生装置によれば、大面積のワーク等に対する処理効率を向上させたプラズマ発生装置を提供できるようになる。
請求項5に係るプラズマ発生装置によれば、プラズマ発生ノズルが一列に整列配置されている部位にワークを搬送させる機構を付設することで、ワークを連続的に処理させる構成を実現することができる。
請求項6に係るプラズマ発生装置によれば、指向角度及び高さ位置の調整により、プラズマ照射エリアの調整がより多様に行えるので、各種形状のワークに一層対応し易いプラズマ発生装置を提供できるようになる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明に係るワーク処理装置Sの全体構成を示す斜視図である。このワーク処理装置Sは、プラズマを発生し被処理物となるワークWに前記プラズマを照射するプラズマ発生ユニットPU(プラズマ発生装置)と、ワークWを前記プラズマの照射領域を経由する所定のルートで搬送する搬送手段Cとから構成されている。図2は、図1とは視線方向を異ならせたプラズマ発生ユニットPUの斜視図、図3は一部透視側面図である。なお、図1〜図3において、X−X方向を前後方向、Y−Y方向を左右方向、Z−Z方向を上下方向というものとし、−X方向を前方向、+X方向を後方向、−Yを左方向、+Y方向を右方向、−Z方向を下方向、+Z方向を上方向として説明する。
プラズマ発生ユニットPUは、マイクロ波を利用し常温常圧でのプラズマ発生が可能なユニットであって、大略的に、マイクロ波を伝搬させる導波管10、この導波管10の一端側(左側)に配置され所定波長のマイクロ波を発生するマイクロ波発生装置20、導波管10に設けられたプラズマ発生部30、導波管10の他端側(右側)に配置されマイクロ波を反射させるスライディングショート40、導波管10に放出されたマイクロ波のうち反射マイクロ波がマイクロ波発生装置20に戻らないよう分離するサーキュレータ50、サーキュレータ50で分離された反射マイクロ波を吸収するダミーロード60及びインピーダンス整合を行うスタブチューナ70を備えて構成されている。また搬送手段Cは、図略の駆動手段により回転駆動される搬送ローラ80を含んで構成されている。本実施形態では、平板状のワークWが搬送手段Cにより搬送される例を示している。
導波管10は、例えば非磁性金属(アルミニウム等)からなり、断面矩形の長尺管状を呈し、マイクロ波発生装置20により発生されたマイクロ波をプラズマ発生部30へ向けて、その長手方向に伝搬させるものである。導波管10は、分割された複数の導波管ピースが互いのフランジ部同士で連結された連結体で構成されており、一端側から順に、マイクロ波発生装置20が搭載される第1導波管ピース11、スタブチューナ70が組み付けられる第2導波管ピース12及びプラズマ発生部30が設けられている第3導波管ピース13が連結されてなる。なお、第1導波管ピース11と第2導波管ピース12との間にはサーキュレータ50が介在され、第3導波管ピース13の他端側にはスライディングショート40が連結されている。
また、第1導波管ピース11、第2導波管ピース12及び第3導波管ピース13は、それぞれ金属平板からなる上面板、下面板及び2枚の側面板を用いて角筒状に組み立てられ、その両端にフランジ板が取り付けられて構成されている。なお、このような平板の組み立てによらず、押し出し成形や板状部材の折り曲げ加工等により形成された矩形導波管ピース若しくは非分割型の導波管を用いるようにしても良い。また、断面矩形の導波管に限らず、例えば断面楕円の導波管を用いることも可能である。さらに、非磁性金属に限らず、導波作用を有する各種の部材で導波管を構成することができる。
本実施形態に係るプラズマ発生ユニットPUでは、上記のように構成された導波管10に、導波管10のワークWと対向する対向面に突設されている後述のプラズマ発生ノズル31の指向角度並びに高さ位置を調整するために、当該導波管10の傾斜角度並びに高さ位置を調整する左右一対の傾斜調整機構14、15(調整手段)が付設されている。この傾斜調整機構14、15は、大略的に、傾斜調整板141、151と、該傾斜調整板141、151を介して導波管10を支持する支持フレーム142、152とから構成されている。かかる傾斜調整機構14、15については、図11〜図14に基づいて後記で詳述する。
マイクロ波発生装置20は、例えば2.45GHzのマイクロ波を発生するマグネトロン等のマイクロ波発生源と、このマイクロ波発生源にて発生されたマイクロ波の強度を所定の出力強度に調整するアンプとを具備する装置本体部21と、装置本体部21で発生されたマイクロ波を導波管10の内部へ放出するマイクロ波送信アンテナ22とを備えて構成されている。本実施形態に係るプラズマ発生ユニットPUでは、例えば1W〜3kWのマイクロ波エネルギーを出力できる連続可変型のマイクロ波発生装置20が好適に用いられる。
図3に示すようにマイクロ波発生装置20は、装置本体部21からマイクロ波送信アンテナ22が突設された形態のものであり、第1導波管ピース11に載置される態様で固定されている。詳しくは、装置本体部21が第1導波管ピース11の上面板11Uに載置され、マイクロ波送信アンテナ22が上面板11Uに穿設された貫通孔111を通して第1導波管ピース11内部の導波空間110に突出する態様で固定されている。このように構成されることで、マイクロ波送信アンテナ22から放出された例えば2.45GHzのマイクロ波は、導波管10により、その一端側(左側)から他端側(右側)に向けて伝搬される。
プラズマ発生部30は、第3導波管ピース13の下面板13B(矩形導波管の一つの側面;処理対象ワークとの対向面)に、左右方向へ一列に整列して突設された8個のプラズマ発生ノズル31を具備して構成されている。このプラズマ発生部30の幅員、つまり8個のプラズマ発生ノズル31の左右方向の配列幅は、平板状ワークWの搬送方向と直交する幅方向のサイズtと略合致する幅員とされている。これにより、ワークWを搬送ローラ80で搬送しながら、ワークWの全表面(下面板13Bと対向する面)に対してプラズマ処理が行えるようになっている。
なお、8個のプラズマ発生ノズル31の配列間隔は、導波管10内を伝搬させるマイクロ波の波長λGに応じて定めることが望ましい。例えば、波長λGの1/2ピッチ、1/4ピッチでプラズマ発生ノズル31を配列することが望ましく、2.45GHzのマイクロ波を用いる場合、矩形の導波管10の断面サイズが2.84インチ×1.38インチのとき、λG=230mmであるので、115mm(λG/2)ピッチ、或いは57.5mm(λG/4)ピッチでプラズマ発生ノズル31を配列すれば良い。
図4は、2つのプラズマ発生ノズル31を拡大して示す側面図(一方のプラズマ発生ノズル31は分解図として描いている)、図5は、図4のA−A線側断面図である。プラズマ発生ノズル31は、中心導電体32(内部導電体)、ノズル本体33(外部導電体)、ノズルホルダ34、シール部材35及び保護管36を含んで構成されている。
中心導電体32は、良導電性の金属から構成された棒状部材からなり、その上端部321の側が第3導波管ピース13の下面板13Bを貫通して導波空間130に所定長さだけ突出(この突出部分を受信アンテナ部320という)する一方で、下端部322がノズル本体33の下端縁331と略面一になるように、上下方向に配置されている。この中心導電体32には、受信アンテナ部320が導波管10内を伝搬するマイクロ波を受信することで、マイクロ波エネルギー(マイクロ波電力)が与えられるようになっている。当該中心導電体32は、長さ方向略中間部において、シール部材35により保持されている。
ノズル本体33は、良導電性の金属から構成され、中心導電体32を収納する筒状空間332を有する筒状体である。また、ノズルホルダ34も良導電性の金属から構成され、ノズル本体33を保持する比較的大径の下部保持空間341と、シール部材35を保持する比較的小径の上部保持空間342とを有する筒状体である。一方、シール部材35は、テフロン(登録商標)等の耐熱性樹脂材料やセラミック等からなる絶縁性部材からなり、前記中心導電体32を固定的に保持する保持孔351をその中心軸上に備える筒状体からなる。
ノズル本体33は、上方から順に、ノズルホルダ34の下部保持空間341に嵌合される上側胴部33Uと、後述するガスシールリング37を保持するための環状凹部33Sと、環状に突設されたフランジ部33Fと、ノズルホルダ34から突出する下側胴部33Bとを具備している。また、上側胴部33Uには、所定の処理ガスを前記筒状空間332へ供給させるための連通孔333が穿孔されている。
このノズル本体33は、中心導電体32の周囲に配置された外部導電体として機能するもので、中心導電体32は所定の環状空間H(絶縁間隔)が周囲に確保された状態で筒状空間332の中心軸上に挿通されている。ノズル本体33は、上側胴部33Uの外周部がノズルホルダ34の下部保持空間341の内周壁と接触し、またフランジ部33Fの上端面がノズルホルダ34の下端縁343と接触するようにノズルホルダ34に嵌合されている。なお、ノズル本体33は、例えばプランジャやセットビス等を用いて、ノズルホルダ34に対して着脱自在な固定構造で装着されることが望ましい。
ノズルホルダ34は、第3導波管ピース13の下面板13Bに穿孔された貫通孔131に密嵌合される上側胴部34U(上部保持空間342の位置に略対応する)と、下面板13Bから下方向に延出する下側胴部34B(下部保持空間341の位置に略対応する)とを備えている。下側胴部34Bの外周には、処理ガスを前記環状空間Hに供給するためのガス供給孔344が穿孔されている。図示は省略しているが、このガス供給孔344には、所定の処理ガスを供給するガス供給管の終端部が接続するための管継手等が取り付けられる。かかるガス供給孔344と、ノズル本体33の連通孔333とは、ノズル本体33がノズルホルダ34への定位置嵌合された場合に互いに連通状態となるように、各々位置設定されている。なお、ガス供給孔344と連通孔333との突き合わせ部からのガス漏洩を抑止するために、ノズル本体33とノズルホルダ34との間にはガスシールリング37が介在されている。
シール部材35は、その下端縁352がノズル本体33の上端縁334と当接し、その上端縁353がノズルホルダ34の上端係止部345と当接する態様で、ノズルホルダ34の上部保持空間342に保持されている。すなわち、上部保持空間342に中心導電体32を支持した状態のシール部材35が嵌合され、ノズル本体33の上端縁334でその下端縁352が押圧されるようにして組み付けられているものである。
保護管36(図5では図示省略している)は、所定長さの石英ガラスパイプ等からなり、ノズル本体33の筒状空間332の内径に略等しい外径を有する。この保護管36は、ノズル本体33の下端縁331での異常放電(アーキング)を防止して後述するプルームPを正常に放射させる機能を有しており、その一部がノズル本体33の下端縁331から突出するように、前記筒状空間332に内挿されている。なお、保護管36は、その先端部が下端縁331と一致するように、或いは下端縁331よりも内側へ入り込むように、その全体が筒状空間332に収納されていても良い。
プラズマ発生ノズル31は上記のように構成されている結果、ノズル本体33、ノズルホルダ34及び第3導波管ピース13(導波管10)は導通状態(同電位)とされている一方で、中心導電体32は絶縁性のシール部材35で支持されていることから、これらの部材とは電気的に絶縁されている。従って、図6に示すように、導波管10がアース電位とされた状態で、中心導電体32の受信アンテナ部320でマイクロ波が受信され中心導電体32にマイクロ波電力が給電されると、その下端部322及びノズル本体33の下端縁331の近傍に電界集中部が形成されるようになる。
かかる状態で、ガス供給孔344から例えば酸素ガスや空気のような酸素系の処理ガスが環状空間Hへ供給されると、前記マイクロ波電力により処理ガスが励起されて中心導電体32の下端部322付近においてプラズマ(電離気体)が発生する。このプラズマは、電子温度が数万度であるものの、ガス温度は外界温度に近い反応性プラズマ(中性分子が示すガス温度に比較して、電子が示す電子温度が極めて高い状態のプラズマ)であって、常圧下で発生するプラズマである。
このようにしてプラズマ化された処理ガスは、ガス供給孔344から与えられるガス流によりプルームPとしてノズル本体33の下端縁331から放射される。このプルームPにはラジカルが含まれ、例えば処理ガスとして酸素系ガスを使用すると酸素ラジカルが生成されることとなり、有機物の分解・除去作用、レジスト除去作用等を有するプルームPとすることができる。本実施形態に係るプラズマ発生ユニットPUでは、プラズマ発生ノズル31が複数個配列されていることから、左右方向に延びるライン状のプルームPを発生させることが可能となる。
因みに、処理ガスとしてアルゴンガスのような不活性ガスや窒素ガスを用いれば、各種基板の表面クリーニングや表面改質を行うことができる。また、フッ素を含有する化合物ガスを用いれば基板表面を撥水性表面に改質することができ、親水基を含む化合物ガスを用いることで基板表面を親水性表面に改質することができる。さらに、金属元素を含む化合物ガスを用いれば、基板上に金属薄膜層を形成することができる。
スライディングショート40は、各々のプラズマ発生ノズル31に備えられている中心導電体32と、導波管10の内部を伝搬されるマイクロ波との結合状態を最適化するために備えられているもので、マイクロ波の反射位置を変化させて定在波パターンを調整可能とするべく第3導波管ピース13の右側端部に連結されている。従って、定在波を利用しない場合は、当該スライディングショート40に代えて、電波吸収作用を有するダミーロードが取り付けられる。
図7は、スライディングショート40の内部構造を示す透視斜視図である。図7に示すように、スライディングショート40は、導波管10と同様な断面矩形の筐体構造を備えており、導波管10と同じ材料で構成された中空空間410を有する筐体部41と、前記中空空間410内に収納された円柱状の反射ブロック42と、反射ブロック42の基端部に一体的に取り付けられ前記中空空間410内を左右方向に摺動する矩形ブロック43と、この矩形ブロック43に組み付けられた移動機構44と、反射ブロック42にシャフト45を介して直結されている調整ノブ46とが備えられている。
反射ブロック42は、マイクロ波の反射面となる先端面421が第3導波管ピース13の導波空間130に対向するよう左右方向に延在する円柱体である。この反射ブロック42は、矩形ブロック43と同様な角柱状を呈していても良い。前記移動機構44は、調整ノブ46の回転操作により矩形ブロック43及びこれと一体化された反射ブロック42を左右方向に推進若しくは後退させる機構であって、調整ノブ46を回転させることで反射ブロック42が中空空間410内において矩形ブロック43にてガイドされつつ左右方向に移動可能とされている。かかる反射ブロック42の移動による先端面421の位置調整によって、定在波パターンが最適化される。なお、調整ノブ46の回転操作を、ステッピングモータ等を用いて自動化することが望ましい。
サーキュレータ50は、例えばフェライト柱を内蔵する導波管型の3ポートサーキュレータからなり、一旦はプラズマ発生部30へ向けて伝搬されたマイクロ波のうち、プラズマ発生部30で電力消費されずに戻って来る反射マイクロ波を、マイクロ波発生装置20に戻さずダミーロード60へ向かわせるものである。このようなサーキュレータ50を配置することで、マイクロ波発生装置20が反射マイクロ波によって過熱状態となることが防止される。
図8は、サーキュレータ50の作用を説明するためのプラズマ発生ユニットPUの上面図である。図示するように、サーキュレータ50の第1ポート51には第1導波管ピース11が、第2ポート52には第2導波管ピース12が、さらに第3ポート53にはダミーロード60がそれぞれ接続されている。そして、マイクロ波発生装置20のマイクロ波送信アンテナ22から発生されたマイクロ波は、矢印aで示すように第1ポート51から第2ポート52を経由して第2導波管ピース12へ向かう。一方、第2導波管ピース12側から入射する反射マイクロ波は、矢印bで示すように、第2ポート52から第3ポートへ向かうよう偏向され、ダミーロード60へ入射される。
ダミーロード60は、上述の反射マイクロ波を吸収して熱に変換する水冷型(空冷型でも良い)の電波吸収体である。このダミーロード60には、冷却水を内部に流通させるための冷却水流通口61が設けられており、反射マイクロ波を熱変換することにより発生した熱が前記冷却水に熱交換されるようになっている。
スタブチューナ70は、導波管10とプラズマ発生ノズル31とのインピーダンス整合を図るためのもので、第2導波管ピース12の上面板12Uに所定間隔を置いて直列配置された3つのスタブチューナユニット70A〜70Cを備えている。図9は、スタブチューナ70の設置状況を示す透視側面図である。図示するように、3つのスタブチューナユニット70A〜70Cは同一構造を備えており、第2導波管ピース12の導波空間120に突出するスタブ71と、該スタブ71に直結された操作棒72と、スタブ71を上下方向に出没動作させるための移動機構73と、これら機構を保持する外套74とから構成されている。
スタブチューナユニット70A〜70Cに各々備えられているスタブ71は、その導波空間120への突出長が各操作棒72により独立して調整可能とされている。これらスタブ71の突出長は、例えばマイクロ波電力パワーをモニターしつつ、中心導電体32による消費電力が最大となるポイント(反射マイクロ波が最小になるポイント)を探索することで決定される。なお、このようなインピーダンス整合は、必要に応じてスライディングショート40と連動させて実行される。このスタブチューナ70の操作も、ステッピングモータ等を用いて自動化することが望ましい。
搬送手段Cは、所定の搬送路に沿って配置された複数の搬送ローラ80を備え、図略の駆動手段により搬送ローラ80が駆動されることで、処理対象となるワークWを、前記プラズマ発生部30を経由して搬送させるものである。ここで、処理対象となるワークWとしては、プラズマディスプレイパネルや半導体基板のような平型基板、電子部品が実装された回路基板等を例示することができる。また、平型形状でないパーツや組部品等も処理対象とすることができ、この場合は搬送ローラに代えてベルトコンベア等を採用すれば良い。
以上の通り構成されたワーク処理装置Sにおいて、本実施形態では、プラズマ発生ノズル31の指向角度並びに高さ位置を調整するために、導波管10の傾斜角度並びに高さ位置を調整する左右一対の傾斜調整機構14、15が具備されている。先ず、かかる傾斜調整機構14、15を設ける理由について、図10に基づいて説明する。
図10(a)は、プラズマ発生ノズル31がワークWの法線n方向に指向(指向角度がワークWに対して垂直)され、ワークWから所定距離d1だけ離間して配置されている状態を模式的に示す図である。この場合、図10(b)に示すように、プルームPのワークWに対する照射エリアE1は、処理ガスの流量が一定であるとした場合、距離d1やノズル内径、プルームの拡散特性等によって定まる所定のスポット径を備えた円形を呈することとなる。
次に、図10(c)に示すように、ワークWからの離間距離を上記距離d1に比べて短い距離d2とした場合、他の条件が同じである場合は、図10(d)に示すように、その照射エリアE2は、距離d1のときの照射エリアE1に比べて小さいスポット径となる。このことは、プラズマ発生ノズル31の高さ位置を変更することで、ワークWの対するプラズマ処理領域を変更できることを意味する。他方で、厚さが異なるワークWを同じ処理ステージでプラズマ処理しようとしても、薄肉のワークWと厚肉のワークWとでは照射エリアの相違により均質なプラズマ処理が行えないということも意味する。
また、図10(e)は、プラズマ発生ノズル31を図10(a)に示す垂直配置状態から、ワークWの法線nに対して角度θだけ傾斜(指向角度=角度θ)させた状態を模式的に示す図である。この場合、図10(f)に示すように、ノズルの傾斜前方側においてプルームPの拡散度合いが大きくなることから、プルームPのワークWに対する照射エリアE3は略楕円形を呈するようになり、図10(b)に示す照射エリアE1に比べて面積が大きくなる。このことは、プラズマ発生ノズル31の指向角度を調整することによって、プルームPのワークWに対する照射エリアを調整出来ることを意味する。
以上のことから、例えばプラズマ発生ノズル31を、図10(a)に示すようにワークWの法線n方向に指向させ、ワークWから所定距離d1だけ離間して固定的に配置した場合、例えば厚さの異なるワークWに対して同一条件でプルームPを照射することができない。このため、各種形状のワークWに対して均質なプラズマ処理が行えないことが生じ得る。これに対し、図10(c)に示すようにプラズマ発生ノズル31の高さ位置を変えたり、図10(d)に示すようにプラズマ発生ノズル31の指向角度を調整したりすることで、プルームPの照射エリアを変更できるので、各種形状のワークWに応じて最適な状態でプルームPを照射することが可能となる。このような理由で、傾斜調整機構14、15が付設されているものである。
傾斜調整機構14、15は、図1〜図3に示すように、導波管10の左右の端部位置に取り付けられている一対の導波管支持具である。傾斜調整機構14は、第3導波管ピース13のフランジ部13Fと接合されるスライディングショート40のフランジ部40Fの上端縁にその下端部が固定されている傾斜調整板141と、該傾斜調整板141を介して導波管10の右端側を支持する支持フレーム142とから構成されている。また、傾斜調整機構15は、サーキュレータ50のフランジ部50Fの上端縁にその下端部が固定されている傾斜調整板151と、該傾斜調整板151を介して導波管10の左端側を支持する支持フレーム152とから構成されている。
図11は、傾斜調整機構14の説明図であって、図1のI−I線断面図である。なお、傾斜調整機構14、15は同一構造を備えているため、ここでは傾斜調整機構14のみを取り上げて説明する。傾斜調整板141には、前後方向に配列された上下方向に長い3つの長孔143F,143C,143Bが穿孔されている。一方、支持フレーム142には前記3つの長孔143F,143C,143Bに対応させて係合ピン144F,144C,144Bが突設されている。これら3つの長孔143F,143C,143Bに、各々係合ピン144F,144C,144Bが挿通されることで、傾斜調整板141(導波管10)が支持フレーム142により支持されている。なお、支持フレーム142は、前後方向へ水平に延びる固定されたフレーム部材である。
図12は、傾斜調整板141と支持フレーム142との係合関係を説明するための説明図である。傾斜調整板141に備えられている長孔のうち、中央側の長孔143Cは、単純に上下方向に長い長孔である。これに対し、前方側の長孔143Fは、その上端と下端とに中央側の長孔143Cの方向に向けて幅員が拡張された拡張部F1,F2を有している。同様に、後方側の長孔143Bは、その上端と下端とに中央側の長孔143Cの方向に向けて幅員が拡張された拡張部B1,B2を有している。
従って、係合ピン144F,144C,144Bを、図12に一点鎖線で示すように、少なくとも水平状態で「下」位置、「中」位置及び「上」位置、並びに「前傾斜」位置及び「後傾斜」位置の5つのパターンで3つの長孔143F,143C,143Bに係合させることができる。つまり、係合ピン144F,144C,144Bの係合位置を調整することで、図11に示すように、傾斜調整板141を矢印Vの上下方向に移動させて位置調整できると共に、矢印R1,R2の回転方向に移動させて位置調整を行うことができる。これにより、第3導波管ピース13(導波管10)に取り付けられているプラズマ発生ノズル31の高さ位置及び指向角度が調整可能とされている。
図11は、係合ピン144F,144C,144Bが図12に示す水平状態「中」位置で長孔143F,143C,143Bに係合されている状態を示している。なお、係合ピン144F,144C,144Bと長孔143F,143C,143Bとは、かかる係合状態で図略の固定具により位置固定される。このとき、プラズマ発生ノズル31の指向角度はワークWの法線nと一致する方向とされ、ワークWとの離間距離はd1である。
これに対し図13は、係合ピン144F,144C,144Bが図12に示す水平状態「下」位置で長孔143F,143C,143Bに係合されている状態を示している。このとき、プラズマ発生ノズル31の指向角度はワークWの法線nと一致する方向とされ、ワークWとの離間距離は前記d1よりも短いd2となる。従って、かかる係合位置を選択すれば、図10(d)で説明したように、プルームPのワークWに対する照射エリアを小さくすることができる。なお、図示は省略するが、係合ピン144F,144C,144Bを、図12に示す水平状態「上」位置で長孔143F,143C,143Bに係合させると、プラズマ発生ノズル31とワークWとの離間距離を前記d1よりも長い距離、すなわち照射エリアを大きくすることができる。
一方、図14は、係合ピン144F,144C,144Bが図12に示す水平状態「前傾斜」位置で長孔143F,143C,143Bに係合されている状態を示している。この場合、係合ピン144Fは長孔143Fの上拡張部F1に、係合ピン144Cは長孔143Cの中位置に、係合ピン144Bは長孔143Bの下拡張部B2にそれぞれ収納される。このとき、プラズマ発生ノズル31の指向角度は、ワークWの法線nから角度θだけ前方向に傾斜したものとなる。従って、かかる係合位置を選択すれば、図10(f)で説明したように、プルームPのワークWに対する照射エリアを楕円とし、その面積を大きくすることができる(「後傾斜」位置でも同様である)。
次に、本実施形態に係るワーク処理装置Sの電気的構成について説明する。図15は、ワーク処理装置Sの制御系90を示すブロック図である。この制御系90はCPU(中央演算処理装置)等からなり、機能的にマイクロ波出力制御部91、ガス流量制御部92、モータ制御部93、全体制御部94が備えられている。さらに、全体制御部94に対して所定の操作信号を与える操作部95が備えられている。
マイクロ波出力制御部91は、マイクロ波発生装置20から出力されるマイクロ波のON−OFF制御、出力強度制御を行うもので、所定のパルス信号を生成してマイクロ波発生装置20の装置本体部21によるマイクロ波発生の動作制御を行う。
ガス流量制御部92は、プラズマ発生部30の各プラズマ発生ノズル31へ供給する処理ガスの流量制御を行うものである。具体的には、ガスボンベ等の処理ガス供給源921とプラズマ発生ノズル31との間を接続するガス供給管922に設けられた流量制御弁923の開閉制御乃至は開度調整を行う。
モータ制御部93は、搬送ローラ80を回転駆動させる駆動モータ931の動作制御を行うもので、ワークWの搬送開始及び停止、搬送速度の制御等を行うものである。
全体制御部94は、当該ワーク処理装置Sの全体的な動作制御を司るもので、操作部95から与えられる操作信号に応じて、上記マイクロ波出力制御部91、ガス流量制御部92及びモータ制御部93を、所定のシーケンスに基づいて動作制御する。すなわち、予め与えられた制御プログラムに基づいて、ワークWの搬送を開始させてワークWをプラズマ発生部30へ導き、所定流量の処理ガスを各プラズマ発生ノズル31へ供給させつつマイクロ波電力を与えてプラズマ(プルームP)を発生させ、ワークWを搬送しながらその表面にプルームPを放射させるものである。これにより、複数のワークWを連続的に処理することができる。
以上説明したワーク処理装置Sによれば、ワーク搬送手段CでワークWを搬送しつつ、導波管10に複数個配列して取り付けられたプラズマ発生ノズル31からプラズマ化されたガスをワークWに対して放射することが可能であるので、複数の被処理ワークWに対して連続的にプラズマ処理を行うことができ、また大面積のワークに対しても効率良くプラズマ処理を行うことができる。従って、バッチ処理タイプのワーク処理装置に比較して、各種の被処理ワークに対するプラズマ処理作業性に優れるワーク処理装置S若しくはプラズマ発生ユニットPUを提供することができる。しかも、外界の温度及び圧力でプラズマを発生させることができるので、真空チャンバー等を必要とせず、設備構成を簡素化することができる。
また、マイクロ波発生装置20から発生されたマイクロ波を、各々のプラズマ発生ノズル31が備える中心導電体32で受信させ、そのマイクロ波のエネルギーに基づきそれぞれのプラズマ発生ノズル31からプラズマ化されたガスを放出させることができるので、マイクロ波が保有するエネルギーの各プラズマ発生ノズル31への伝達系を簡素化することができる。従って、装置構成のシンプル化、コストダウン等を図ることができる。
さらに、複数のプラズマ発生ノズル31が一列に整列配置されてなるプラズマ発生部30が、平板状のワークWの搬送方向と直交する幅方向のサイズtに略合致した幅員を有しているので、当該ワークWを、搬送手段Cにより一度だけプラズマ発生部30を通過させるだけで、その全面の処理を完了させることができ、平板状のワークWに対するプラズマ処理効率を格段に向上させることができる。また、搬送されて来るワークWに対して同じタイミングでプラズマ化されたガスを放射できるようになり、均質的な表面処理等を行うことができる。
以上に加えて、傾斜調整機構14、15により導波管10の高さ位置及び傾斜角度を調整することで、プラズマ発生ノズル31の高さ位置及び指向角度を調整することが可能であるので、ワークWに対するプラズマ照射エリアの大きさを調整することができる。これにより、厚さの異なるワークや電子部品等が搭載された各種ワークに各々対応して、最適なプラズマ照射エリアを設定できるようになる。従って、多様なワークに柔軟に対応して、各々最適なプラズマ処理を行わせることができる。さらに、本実施形態では導波管10のワークWへの対向面に複数のプラズマ発生ノズル31を設ける構成としているが、傾斜調整機構14、15によりこれら複数のプラズマ発生ノズル31の指向角度を同時に、且つ同様に調整できるので、指向角度の調整作業性に優れるという利点がある。
以上、本発明の一実施形態に係るワーク処理装置Sについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば下記の実施形態を取ることができる。
(1)上記実施形態では、プラズマ発生ノズル31の指向角度を調整する調整手段として導波管10を傾斜させる傾斜調整機構14、15を例示したが、これに代えてプラズマ発生ノズル31を首振り移動させることで、その指向角度を調整するようにしても良い。図16は、首振り式のプラズマ発生ノズル310の一例を示す側面図、図17は、その断面図である。このプラズマ発生ノズル310は、導波管10に固定的に取り付けられたノズルホルダ340に椀型を呈するノズル本体330が回動可能に保持され、これによりノズル先端部360の指向角度が調整可能とされている。図16(a)は、ノズル本体330が垂直な垂下状態とされ、ノズル先端部360の指向角度がワークWの法線n方向とされている状態を示している。一方、図16(b)は、ノズル本体330が回動され、ノズル先端部360の指向角度がワークWの法線nに対して角度θだけ傾斜した状態を示している。
図17に示すように、ノズルホルダ340は下端側に開口部3401を有する金属筒体からなり、前記開口部3401に向けて内径が縮径されている。なお、ノズルホルダ340の上端側は、導波管10の第3導波管ピース13に固定的に取り付けられ、側胴部には処理ガスの供給孔3402が設けられている。ノズル本体330は半球体状の金属部材であって、ノズルホルダ340と電気的接触を常時保ちつつその下端側において回動可能に保持されている。中心導電体32’は、上側片3211と下側片3212とが回転ジョイント部3213で接続されてなる。上側片3211は絶縁性のシール部材350で保持され、下側片3212はノズル本体330に嵌め込まれた絶縁性の保持リング3301で保持されている。従って、ノズル本体330を首振り移動させると、下側片3212が回転ジョイント部3213を支点として回転し、前記首振り移動に追従するようになる。なお、該保持リング3301には処理ガスの流通孔3302が設けられている。このような首振り式のプラズマ発生ノズル310によっても、その指向角度を調整することができる。
(2)上記実施形態では、複数のプラズマ発生ノズル31を一列に整列配置した例を示したが、ノズル配列はワークの形状やマイクロ波電力のパワー等に応じて適宜決定すれば良く、例えばワークの搬送方向に複数列プラズマ発生ノズル31をマトリクス整列したり、千鳥配列したりしても良い。また、単独のプラズマ発生ノズル31のみを具備させるようにしても良い。
(3)上記実施形態では、搬送手段Cとして搬送ローラ80の上面に平板状のワークWを載置して搬送する形態を例示したが、この他に例えば上下の搬送ローラ間にワークをニップさせて搬送させる形態、搬送ローラを用いず所定のバスケット等にワークを収納し前記バスケット等をラインコンベア等で搬送させる形態、或いはロボットハンド等でワークを把持してプラズマ発生部30へ搬送させる形態であっても良い。
(4)上記実施形態では、マイクロ波発生源として2.45GHzのマイクロ波を発生するマグネトロンを例示したが、マグネトロン以外の各種高周波電源も使用可能であり、また2.45GHzとは異なる波長のマイクロ波を用いるようにしても良い。
(5)導波管10内におけるマイクロ波電力を測定するために、パワーメータを導波管10の適所に設置することが望ましい。例えば、マイクロ波発生装置20のマイクロ波送信アンテナ22から放出されたマイクロ波電力に対する反射マイクロ波電力の比を知見するために、サーキュレータ50と第2導波管ピース12との間に、パワーメータを内蔵する導波管を介在させるようにすることができる。
本発明に係るワーク処理装置及びプラズマ発生装置は、半導体ウェハ等の半導体基板に対するエッチング処理装置や成膜装置、プラズマディスプレイパネル等のガラス基板やプリント基板の清浄化処理装置、医療機器等に対する滅菌処理装置、タンパク質の分解装置等に好適に適用することができる。
10 導波管
14,15 傾斜調整機構(調整手段)
20 マイクロ波発生装置(マイクロ波発生手段)
30 プラズマ発生部
31 プラズマ発生ノズル
32 中心導電体
33 ノズル本体
34 ノズルホルダ
40 スライディングショート
50 サーキュレータ
60 ダミーロード
70 スタブチューナ
S ワーク処理装置
PU プラズマ発生ユニット(プラズマ発生装置)
C 搬送手段
W ワーク
14,15 傾斜調整機構(調整手段)
20 マイクロ波発生装置(マイクロ波発生手段)
30 プラズマ発生部
31 プラズマ発生ノズル
32 中心導電体
33 ノズル本体
34 ノズルホルダ
40 スライディングショート
50 サーキュレータ
60 ダミーロード
70 スタブチューナ
S ワーク処理装置
PU プラズマ発生ユニット(プラズマ発生装置)
C 搬送手段
W ワーク
Claims (7)
- マイクロ波を発生するマイクロ波発生手段と、
前記マイクロ波を伝搬させる導波管と、
前記導波管に取り付けられ、前記マイクロ波を受信しそのマイクロ波のエネルギーに基づきプラズマ化したガスを生成して放出するプラズマ発生ノズルと、
前記プラズマ発生ノズルの指向角度を調整するための機構を有する調整手段と
を備えることを特徴とするプラズマ発生装置。 - 前記導波管にはプラズマ化されたガスの照射対象となる面に対向する対向面が形成され、該対向面に前記プラズマ発生ノズルが突設状態で取り付けられており、
前記調整手段は、前記導波管を傾斜させることで前記プラズマ発生ノズルの指向角度を調整するものであることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ発生装置。 - 前記導波管にはプラズマ化されたガスの照射対象となる面に対向する対向面が形成され、該対向面に前記プラズマ発生ノズルが突設状態で取り付けられており、
前記調整手段は、前記対向面において前記プラズマ発生ノズルを首振り移動させることで前記プラズマ発生ノズルの指向角度を調整するものであることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ発生装置。 - 前記プラズマ発生ノズルは、前記対向面に複数個配列して取り付けられていることを特徴とする請求項2又は3に記載のプラズマ発生装置。
- 前記導波管が矩形導波管からなり、
前記複数のプラズマ発生ノズルが、前記対向面とされる前記矩形導波管の一つの側面に、一列に整列配置されていることを特徴とする請求項4に記載のプラズマ発生装置。 - 前記調整手段は、前記プラズマ発生ノズルの高さ位置を調整するための機構をさらに含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のプラズマ発生装置。
- 処理対象とされるワークを搬送しつつ該ワークにプラズマを照射して所定の処理を施与するワーク処理装置であって、
請求項1〜6のいずれかに記載のプラズマ発生装置と、
前記プラズマ発生ノズルからプラズマ化されたガスが照射される領域を通過するように所定のワークを搬送するワーク搬送手段とを備えることを特徴とするワーク処理装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006050268A JP2007227318A (ja) | 2006-02-27 | 2006-02-27 | プラズマ発生装置及びワーク処理装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006050268A JP2007227318A (ja) | 2006-02-27 | 2006-02-27 | プラズマ発生装置及びワーク処理装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2007227318A true JP2007227318A (ja) | 2007-09-06 |
Family
ID=38548919
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JP2006050268A Withdrawn JP2007227318A (ja) | 2006-02-27 | 2006-02-27 | プラズマ発生装置及びワーク処理装置 |
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JP (1) | JP2007227318A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN111889432A (zh) * | 2020-07-31 | 2020-11-06 | 江苏创励安科技有限公司 | 一种fpc等离子清洗设备及清洗方法 |
-
2006
- 2006-02-27 JP JP2006050268A patent/JP2007227318A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
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